立体視を持つ唯一の昆虫
2018年、英ニューカッスル大学は、カマキリが物体を立体的に見る仕組みが、人間などのほ乳類とは異なっていることを突き止めた。
人の両眼の間は5~7㌢㍍ほど離れており、右目と左目では見え方が違う。
両方の画像を脳で合成することで奥行きや立体感を感じている。
霊長類やネコ・フクロウなども同様の仕組みである。
実験では
偏光フィルターを使って3次元メガネ(3Dメガネ)を作り、ミツロウで固定して調べた。
3Dカメラを取り付けたカマキリに獲物が迫ってくる立体映像を見せた。
カマキリは近づいてくると、鎌を素早く伸ばして捕まえようと動いた。
次に、左右の目にそれぞれ異なる映像を見せても、カマキリは反応した。
こうした能力は人間には無い。
カマキリは立体能力を持つ唯一の昆虫といわれている。
静止した画像を見せても反応しなかったことから、カマキリの立体視は動いている物体でしか機能しない。
映像の細部は気にせず、変化している部分の情報を元に立体視しているようだ。
研究グループのベック・ニチャナンダ助教は“これまでに無いまったく新しい立体像だ”と話す。