漢方処方-3000以上掲載
# 阿魏丸《東醫寶鑑》
「阿魏(軟らかく酢で煮て)1両、山楂子・莱服子・神麹・麦芽・陳皮・青皮・香附子各2両」を粉末とし、蒸餅で丸めて服用」◎肉積と食積の塊になった症。
#阿魏元《東醫寶鑑》
「阿魏(酒侵化)・桂皮・莪朮・麦芽(炒)・神麹(炒)・莱服子・青皮・白朮・乾姜各5銭、百草霜3銭、巴豆37粒の皮と油は捨て、作末して薄糊で緑豆大の丸剤。生姜湯で20~30丸のみ、麺にあたった者は麺湯で呑む。」◎麺と生果を食べ過ぎて消化せず、積となって腹痛・嘔逆する者を治す。◎又、肉積を治す。
#阿魏散《中薬臨床応用》
「阿魏18g、五倍子12g、生信石12g、蟾酥12g、鹵砂18g、明礬12g、藤黄30g、熊胆6g、竜脳3g、乳香30g、没薬30g、銅緑10g」◎腫瘍に外用。粉末を混合し、毎回適量をガンの表面に塗布する。◎体表のガンや子宮頸ガンに。
#阿膠鶏子黄湯[1-1]《通俗傷寒論》《中医処方解説》
「阿膠6g、白芍9g、石決明15g(先煎)、釣籐鈎9g、生地黄12g、炙甘草3g、茯神12g、絡石藤9g、牡蛎24g(先煎)、鶏子黄2個」◎滋陰養血、柔肝熄風
◎大定風珠に準じる。
#阿膠鶏子黄湯[1-2]《重訂通俗傷寒論》
「阿膠・釣藤鈎各2銭、白芍薬・絡石藤各3銭、石決明5銭、地黄(生)・牡 蛎(生)・茯神各4銭、鶏子黄2個、甘草(炙)6分」水煎服。 ◎熱邪が陰をやぶり、唇舌かわき、経脈はひきつり、手足がうごめく。
#阿膠散[1-1]《小児薬証直訣》
「阿膠1両半、馬兜鈴半両、牛蒡子・杏仁各7分、甘草1匁、粳米1両」 ◎小児の肺虚、気粗に、喘促する者を治す。◎治小児肺虚、気粗喘促、 ◎此方は労嗽して諸薬効なく声唖咽痛して咽喉不利する者によろし。「麦門冬湯」と伯仲にして潤肺の効は勝れる。《勿誤薬室方函口訣》◎「補肺阿膠散」《銭乙方》に同じ。
#阿膠散[1-2] 《小児薬証直訣》=「補肺阿膠湯」
「補肺散」「阿膠・馬兜鈴・牛蒡子・杏仁各3.0、甘草2.0、糯米煮汁100ml」◎治小児肺虚、気粗喘促、此方は労嗽にて諸薬効なく聲唖咽痛めて咽喉不利する者に宜し。麦門冬湯と伯仲にして潤肺の効は勝れりとす。《勿誤薬室方函口訣》
#阿膠散[2]《古今医鑑》 「猪令湯車前子」
#阿膠散[3]《仁斎直指方》
「生脈散茯苓・阿膠・白芨・茯苓・地黄」 ◎肺傷嗽血を治す。《雑病翼方》
#阿膠湯《雞峰普斉方》 =「阿膠散[2]」に同じ。
「猪令湯車前子」◎血淋を治す。
#阿膠附子湯《黴瘡約言》
「阿膠5.0 、附子1.5、 甘草2.5」《実用漢方処方集》◎梅毒による潰瘍、陰茎の腫脹疼痛。◎虚証に使用する。
#安胃散《東醫寶鑑》
「人参・白朮・木香・檳榔・半夏(麺)・肉豆蔲・丁香・橘紅・缶香・青皮・白茯苓・甘草各8分」を挫作1貼を、水で煎服。◎食欲不振に。
#安胃湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》
「白朮・白茯苓・山薬(炒)・当帰・陳皮・半夏・藿香各1銭、黄連(姜汁炒)・蓮肉各8分、人参・縮砂各5分、甘草3分、生姜3、大棗2、烏梅1」水煎服。 ◎反胃を治す。◎反胃の者は胃虚し、食と吐して納らざるなり、此方に宜し。
#安胃湯[1-2]《万病回春》《方彙口訣》
「人参1.5g、砂仁1.5g、黄連2.0g、蓮肉2.0g、藿香3.0g、陳皮3.0g、当帰3.0g、山薬3.0g、茯苓3.0g、白朮3.0g、半夏3.0g、烏梅1.0g、甘草1.0g、生姜、大棗肉」水煎、温服。
#安胃湯[2]《古方選注》
「川椒、烏梅、黄連、人参、枳実、乾姜」 #安栄湯《東醫寶鑑》「熟地黄・白芍・川芎・当帰・阿膠・香附子・桑寄生・白朮・黄芩・縮砂各1銭、糯米100粒」水煎服。
◎胎気が堅固でなく、いつも流産する者。この薬で予防する。
#安蛔湯《万病回春》
「人参・白朮・茯苓・烏梅・花山椒・乾姜」◎脾胃虚寒し、回虫を上から吐き出し、或いは下から便とともに出す。
#安肝湯《安藤昌益伝》
「使君子・檳榔・大腹皮・蓮肉・苦参各3.0、楊梅2.0、蜀椒1.0、附子、木 香、硫黄」《実用漢方処方集》◎治小児腹膨張、青筋出、肌膚甲錯、或いは喜唾、有虫候者。《勿誤薬室方函口訣》
#安肝湯《安藤昌益伝》
「使君子・檳榔・大腹皮・蓮肉・楊梅・蜀椒・苦参・附子・木香・硫黄」 ◎小児、腹部膨張し、青筋出て、肌膚甲錯し、或いは喜唾して虫候のある者を治す。 ◎此方は小児腹満、青筋の症、陰陽錯雑、虚実混淆して、世医、脾疳などの方を施し、死せず癒えず、如何ともし難き者、此方を用いて意外の効を奏す。心得て試むべし。《勿誤薬室方函口訣》
#安宮牛黄丸[1-1]《温病条弁》
「牛黄・欝金・犀角・黄連・朱砂・梔子・雄黄・黄芩各1両、珍珠5銭、氷片・麝香各2銭半」(巻1)
#安宮牛黄丸[1-2]《温病条弁》【中成薬】
「牛黄・欝金・犀角・黄芩・黄連・雄黄・朱砂 ・山梔子各4.0g、冰片・麝香各1.0g、真珠2・0g」
◎感染性疾患で顕著な熱痰・意識朦朧の者。
<1>嘔吐のあるときは藿香湯or生姜湯で服用し、
<2>虚弱者は人参湯で、
<3>産婦は生姜湯で服用する。
#安宮牛黄丸[1-3]《温病条弁》《中医処方解説》=「抗熱牛黄丸」
「牛黄・欝金・犀角・黄芩・黄連・雄黄・山梔子・朱砂各30、竜脳・麝香各7.5、真珠15」蜜で丸剤。1丸を3gとし、1日1丸服用。◎清熱解毒、安神開竅。◎急性熱病or脳血管障害などで、高熱・意識障害が有る者。◎温病で邪が心包に入り、意識昏迷しひきつけ、舌が動かなくて言語ができにくい。《漢方医学概論》
#安血飲《中薬臨床応用》
「三七末3g<沖服>、白芨15g、藕汁酒杯1杯<沖服>、茅根30g、竜骨15g、牡蛎15g、製大黄6g」◎吐血・喀血。
#安息香丸《中薬臨床応用》
「安息香・沈香・丁香・木香・小茴香・藿香各9g、縮砂・甘草各15g」を作末して蜜で丸剤にし、毎回3gを紫蘇湯で服用。◎小児の寒による腹痛で、脚をまげ泣く者に有効。
#安神益志湯[1-1]《寿世保元》
「柴胡・人参・麦門冬・知母・竹茹・五味子・茯苓・当帰・地黄・黄連・遠志・甘草」◎傷寒虚煩し、心驚・微熱・四肢無力・倦怠する者を治す。又、◎刑剋の証拠無く、昏沈人事を知らず、六脈ともに静かな者を治す。
◎此方は、傷寒の壊症にして、六経正面の諸薬効なく、又《温疫論》などの方にも応ぜず、労疫にも非ず、百合にも非ず、餘熱荏苒として解せず、六脈ともに静かにして、精神振はざる者に験あり。《勿誤薬室方函口訣》◎疫後、健忘の者は此方に宜し。《先哲医話》◎《本朝老医伝》曰く、熱の解し難きに当たり、頻りに此湯を用いれば必ず発汗
して解す《傷寒翼方》
#安神益志湯[1-2]《寿世保元》
「柴胡4.0、人参・麦門冬・知母各3.0、竹茹2.0、五味子0.5、茯苓・当帰・地黄各4.0、黄連1.0、遠志3.0、甘草2.5」《実用漢方処方集》
#安神丸[1]《東醫寶鑑》
「人参・白茯苓・酸棗仁(炒)・当帰・生地黄(酒炒)・黄連(酒炒)・陳皮(去白)・天南星(姜製)各1両、朱砂・天竺黄各5銭、琥珀・雄黄・真珠・朱黄各2銭」作末し、梧子大に蜜で丸め、朱砂で衣をつけ、空腹時に温酒又は米飲で30~50丸服用。◎癲癇・驚狂・痰火に。
#安神丸[2]《蘭室秘蔵》 =「朱砂安神丸」
「朱砂、黄連、生地黄、当帰、甘草(炙)」
#安神定志丸《医学心悟》
「茯苓・茯神・人参・遠志・石菖蒲・竜歯・辰砂」◎癲癇、心悸亢進して寝られない。
#安神湯[1-1]《東醫寶鑑》
「黄蓍1銭半、羗活・黄柏(酒浸)各1銭、柴胡・生地黄・知母(酒浸)各5分、防風2分半、生甘草・炙甘草各2分」を水で2回煎じた後、「川芎・蔓荊子各3分」を加えて、もう一度煎じて半分になったら、食後に服用。◎気虚・血虚からくる頭痛・目のまわりが黒くなる。
#安神湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》
「黄蓍2銭半、羗活・黄柏各1銭、甘草(炙)2分、柴胡・升麻生地黄・知母各5分、防風2分半、甘草(生)2分」水煎し、川芎・蔓荊子を入れ、再煎し食後臥に臨み熱服する。◎頭痛、頭旋、眼黒を治す。
#安神湯[2]《寿世保元》《古今方彙》
「人参、黄連(姜炒)各1銭半、甘草5分、竹葉、生姜」煎服。◎夜啼止まず、心経に熱有り虚あるを作すを治す。
#安神復元湯[1-1]《寿世保元》
「黄蓍・人参・当帰・酸棗仁・枸杞子・黄芩・知母・柴胡各2.0、黄連・黄柏・升麻・甘草・蔓荊子各1.0、防風・麦門冬・茯神・竜眼肉・遠志各3.0」◎耳鳴り、耳内の掻痒。
#安神復元湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》
「黄蓍・人参・当帰・酸棗仁・枸杞・柴胡・黄連(酒炒)・黄芩(酒炒)・黄柏(酒炒)・知母・防風・麦門冬・茯神・小草・升麻・甘草・蔓荊子・竜眼」水煎服。◎思慮して心を煩し、而して耳鳴り、及び耳の内痒きを治す。
#安神復醒湯[1-1]《寿世保元》
「当帰・川芎・芍薬・熟地黄・酸棗仁・遠志・山薬・竜眼肉・大棗各3.0、益智仁2.0、生姜1.0」◎不眠。
#安神復醒湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬(酒)・熟地黄・益智仁・酸棗仁・遠志・竜眼肉各等分、生姜、大棗」水煎。◎不寐を治するの套剤なり。
#安神復醒湯[1-3]《古今方彙》
「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・熟地黄・酸棗仁・遠志・山薬・竜眼各等分」姜棗を入れて水煎服。
#安神補心湯《東醫寶鑑》「当帰・生地黄・茯神・黄蓍各1銭2分、麦門冬2銭、白芍・白朮各1銭、遠志・酸棗仁(炒)各8分、川芎7分、玄参5分、甘草3分」水煎服。
◎驚悸を治す。
#安神養血湯《温疫論》 「地黄・当帰・芍薬・茯苓・橘皮・桔梗・遠志・酸棗仁・竜眼肉」◎労復、熱甚だしく、虚甚だしい者。◎治労復、熱甚、虚甚、此方は労復の虚熱を解す。大抵は小柴胡湯・麦門冬湯の類にて治すれども虚熱去らざる者には此方を用いる。《勿誤薬室方函口訣》
#安息香丸《全幼心鑑》《中薬臨床応用》「安息香・沈香・丁香・小茴香・藿香各9g、縮砂・香附子・甘草各15g」作末し蜜丸。毎回3gを紫蘇湯で服用。◎小児の寒象を伴う腹痛で、脚をまげて泣く。
#安胎飲[1]《東醫寶鑑》「白朮2銭、黄蓍1銭半、当帰・白芍・熟地黄・縮砂(研)・陳皮各1銭、川芎・紫蘇葉各8分、甘草4分」水煎服。「白朮8g 黄蓍6g 当帰・白芍・熟地黄・縮砂・陳皮各4g 川芎・紫蘇葉各3.2g 甘草1.6g」《方薬合編》 ◎妊娠5~6ヶ月、胎動不安の者。常服すると良い。流産予防。
#安胎飲[2]《方薬合編》「人参・陳皮・大腹皮・白朮・当帰・川芎・白芍・香附子・縮砂・紫蘇葉・茯苓・甘草・灯心草・粳米各1.2g」◎妊婦の痘疹・腹痛・流産予防。
#安胎飲[3]《医学入門》《古今方彙》「当帰・芍薬・生地黄・白朮各1銭、人参・川芎・陳皮各5分、紫蘇葉・砂仁・黄芩・甘草各3分、生姜」煎じ温服。 ◎胎気不安にて腰腹微しく痛み、飲食美ならざるを治す。
#安胎丸《東醫寶鑑》「黄芩3銭、白朮1銭半」を作末し、粥で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸飲む。 ◎妊娠4~5ヶ月目に、いつも流産し、不安な者。
#安胎散[1]《万病回春》「当帰・白朮各2銭、川芎1銭半、生地黄・益智仁・条芩・香附子(童便炒)・蘇梗各1銭、砂仁8分、黄連(炒)8分、甘草3分」剉作1剤。生姜3片入れ水煎温服。◎妊娠養血。◎胎を安んずる者は血を養い、脾を健やかにして熱を清す。もとより熱ある者に宜し。《古今方彙》
#安胎散[2]《東醫寶鑑》「熟地黄3銭、川芎・枳穀各1銭半、糯米1合、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎驚いた為に、胎児が動き、腹痛・下血する者。 #安胎止瀉湯《外台秘要方》 「当帰・阿膠・地黄・黄連・芍薬各1両、鶏子黄・朮米」◎妊娠下重、痛み腰背に引くを治す。
#安胎当帰湯《医学入門》《古今方彙》「当帰・川芎各8分、人参・阿膠各6分、大棗子、艾葉」水酒にて煎服。 ◎挙動、驚悸、胎動、下墜、腹痛、下血するを治す。
#安胎和気飲《傷科補要》 「当帰・白芍・生地黄・川芎・条黄・白朮・縮砂」◎妊婦が傷を受け、腹痛が現れたもの。
#安中散[1-1]《和剤局方》《中薬臨床応用》
「肉桂2・5g(服)、延胡索・小茴香・高良姜各9g、牡蛎18g(先煎)、縮砂6g、茯苓15g、白芍(酒炒)9g、甘草6g」水煎服。 ◎脾胃虚寒による腹痛・食欲不振・上腹部の膨満・嘔吐・下痢。
#安中散[1-2]《和剤局方》《龍野一雄》「延胡索・良姜・乾姜・小茴香・桂枝各5、牡蛎8、甘草10」を作末し、1日量5.0を3回に分服。 ◎虚証の胃痛、呑酸、或いは腹満腹痛《龍野ー漢方処方集》
#安中散[1-3]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「桂枝4、延胡索・牡蠣各3、茴香1.5、縮砂・甘草(炒)各1、良姜0.5」(一方、乾姜(炮)1)七味作末し、毎服二、熱酒調下す。婦人は淡酢湯にて調服す。もし酒を飲まざる者は塩湯を用う。◎遠年、日近、脾疼、口酸水を吐し、寒邪の気内に留滞し、停積消せず、脹満、腹脇を攻刺し、及び婦人血気刺痛を治す。 ◎婦人血気、刺痛、小腹より腰に連り、攻疰重痛するを治す《方輿輗》◎気痛みをなすを治する剤である。脾疼反胃とは、胃潰瘍、胃ガン、胃拡張、胃酸過多症等による腹痛に該当する。虚証にしてやや衰弱の傾向あり、腹壁菲薄にして無力感、臍傍に動悸を触れる場合によい。煎剤散在共に用いられる。嘈雑、心下部疼痛を発し、諸薬効無き虚証のものにこの方の証が多い。《方輿輗》にては散として熱酒にて服するときは効果優れたりと云う。煎服するも効あり、本方の更に虚し、症状強きは「丁香茯苓湯」である。
「桂枝」=血脈を通じ、腹痛を治す。
「縮砂」=胃を養い痛みを止め、経を通ず。
「茴香」=疝気腹痛腰疼を治し、胃を温む。
「延胡索」=心腹疼痛を鎮め、経を通ず。
「牡蠣」=脇疼を鎮め、老痰を去る。
「良姜」=気を下し、中を温む。
#安中散[1-4]《和剤局方》「桂枝4g、高良姜2g、小茴香2g、延胡索2g、縮砂2g、炙甘草1g、牡蛎3g(先煎)水煎服。」《中医処方解説》
#安中散[1-5]《和剤局方》《漢方治療の実際》「桂枝4、延胡索・牡蠣各3、小茴香1.5、縮砂・甘草各1、良姜0.5」◎遠年日近、脾疼、翻胃、口に酸水を嘔し、寒邪の気、内に留滞し、停積し消えず、脹満、腹脇に攻刺す、及び◎婦人の血気刺痛を治す。◎此方、世上には澼嚢の主薬とすれども、吐水甚だしき者には効無し。痛み甚だしき者を主とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎やせ型で体力なく、虚弱で神経質な人に用いることが多く、<1>痛みを取り去り、<2>消化を助け、<3>神経の亢ぶりを抑えます。
#安神湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》「黄蓍2銭半、羗活・黄柏各1銭、甘草(炙)2分、柴胡・升麻生地黄・知母各5分、防風2分半、甘草(生)2分」水煎し、川芎・蔓荊子を入れ、再煎し食後臥に臨み熱服する。◎頭痛、頭旋、眼黒を治す。
#安神湯[2]《寿世保元》《古今方彙》「人参、黄連(姜炒)各1銭半、甘草5分、竹葉、生姜」煎服。◎夜啼止まず、心経に熱有り虚あるを作すを治す。
#安神復元湯[1-1]《寿世保元》「黄蓍・人参・当帰・酸棗仁・枸杞子・黄芩・知母・柴胡各2.0、黄連・黄柏・升麻・甘草・蔓荊子各1.0、防風・麦門冬・茯神・竜眼肉・遠志各3.0」◎耳鳴り、耳内の掻痒。
#安神復元湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍・人参・当帰・酸棗仁・枸杞・柴胡・黄連(酒炒)・黄芩(酒炒)・黄柏(酒炒)・知母・防風・麦門冬・茯神・小草・升麻・甘草・蔓荊子・竜眼」水煎服。◎思慮して心を煩し、而して耳鳴り、及び耳の内痒きを治す。
#安神復醒湯[1-1]《寿世保元》「当帰・川芎・芍薬・熟地黄・酸棗仁・遠志・山薬・竜眼肉・大棗各3.0、益智仁2.0、生姜1.0」◎不眠。
#安神復醒湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬(酒)・熟地黄・益智仁・酸棗仁・遠志・竜眼肉各等分、生姜、大棗」水煎。◎不寐を治するの套剤なり。
#安神復醒湯[1-3]《古今方彙》「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・熟地黄・酸棗仁・遠志・山薬・竜眼各等分」姜棗を入れて水煎服。
#安神補心湯《東醫寶鑑》「当帰・生地黄・茯神・黄蓍各1銭2分、麦門冬2銭、白芍・白朮各1銭、遠志・酸棗仁(炒)各8分、川芎7分、玄参5分、甘草3分」水煎服。
◎驚悸を治す。
#安神養血湯《温疫論》 「地黄・当帰・芍薬・茯苓・橘皮・桔梗・遠志・酸棗仁・竜眼肉」◎労復、熱甚だしく、虚甚だしい者。◎治労復、熱甚、虚甚、此方は労復の虚熱を解す。大抵は小柴胡湯・麦門冬湯の類にて治すれども虚熱去らざる者には此方を用いる。《勿誤薬室方函口訣》
#安息香丸《全幼心鑑》《中薬臨床応用》「安息香・沈香・丁香・小茴香・藿香各9g、縮砂・香附子・甘草各15g」作末し蜜丸。毎回3gを紫蘇湯で服用。◎小児の寒象を伴う腹痛で、脚をまげて泣く。
#安胎飲[1]《東醫寶鑑》「白朮2銭、黄蓍1銭半、当帰・白芍・熟地黄・縮砂(研)・陳皮各1銭、川芎・紫蘇葉各8分、甘草4分」水煎服。「白朮8g 黄蓍6g 当帰・白芍・熟地黄・縮砂・陳皮各4g 川芎・紫蘇葉各3.2g 甘草1.6g」《方薬合編》 ◎妊娠5~6ヶ月、胎動不安の者。常服すると良い。流産予防。
#安胎飲[2]《方薬合編》「人参・陳皮・大腹皮・白朮・当帰・川芎・白芍・香附子・縮砂・紫蘇葉・茯苓・甘草・灯心草・粳米各1.2g」◎妊婦の痘疹・腹痛・流産予防。
#安胎飲[3]《医学入門》《古今方彙》「当帰・芍薬・生地黄・白朮各1銭、人参・川芎・陳皮各5分、紫蘇葉・砂仁・黄芩・甘草各3分、生姜」煎じ温服。 ◎胎気不安にて腰腹微しく痛み、飲食美ならざるを治す。
#安胎丸《東醫寶鑑》「黄芩3銭、白朮1銭半」を作末し、粥で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸飲む。 ◎妊娠4~5ヶ月目に、いつも流産し、不安な者。
#安胎散[1]《万病回春》「当帰・白朮各2銭、川芎1銭半、生地黄・益智仁・条芩・香附子(童便炒)・蘇梗各1銭、砂仁8分、黄連(炒)8分、甘草3分」剉作1剤。生姜3片入れ水煎温服。◎妊娠養血。◎胎を安んずる者は血を養い、脾を健やかにして熱を清す。もとより熱ある者に宜し。《古今方彙》
#安胎散[2]《東醫寶鑑》「熟地黄3銭、川芎・枳穀各1銭半、糯米1合、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎驚いた為に、胎児が動き、腹痛・下血する者。
#安胎止瀉湯《外台秘要方》 「当帰・阿膠・地黄・黄連・芍薬各1両、鶏子黄・朮米」◎妊娠下重、痛み腰背に引くを治す。
#安胎当帰湯《医学入門》《古今方彙》「当帰・川芎各8分、人参・阿膠各6分、大棗子、艾葉」水酒にて煎服。 ◎挙動、驚悸、胎動、下墜、腹痛、下血するを治す。
#安胎和気飲《傷科補要》 「当帰・白芍・生地黄・川芎・条黄・白朮・縮砂」◎妊婦が傷を受け、腹痛が現れたもの。
#安中散[1-1]《和剤局方》《中薬臨床応用》
「肉桂2・5g(服)、延胡索・小茴香・高良姜各9g、牡蛎18g(先煎)、縮砂6g、茯苓15g、白芍(酒炒)9g、甘草6g」水煎服。 ◎脾胃虚寒による腹痛・食欲不振・上腹部の膨満・嘔吐・下痢。
#安中散[1-2]《和剤局方》《龍野一雄》「延胡索・良姜・乾姜・小茴香・桂枝各5、牡蛎8、甘草10」を作末し、1日量5.0を3回に分服。 ◎虚証の胃痛、呑酸、或いは腹満腹痛《龍野ー漢方処方集》
#安中散[1-3]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「桂枝4、延胡索・牡蠣各3、茴香1.5、縮砂・甘草(炒)各1、良姜0.5」(一方、乾姜(炮)1)七味作末し、毎服二、熱酒調下す。婦人は淡酢湯にて調服す。もし酒を飲まざる者は塩湯を用う。◎遠年、日近、脾疼、口酸水を吐し、寒邪の気内に留滞し、停積消せず、脹満、腹脇を攻刺し、及び婦人血気刺痛を治す。 ◎婦人血気、刺痛、小腹より腰に連り、攻疰重痛するを治す《方輿輗》◎気痛みをなすを治する剤である。脾疼反胃とは、胃潰瘍、胃ガン、胃拡張、胃酸過多症等による腹痛に該当する。虚証にしてやや衰弱の傾向あり、腹壁菲薄にして無力感、臍傍に動悸を触れる場合によい。煎剤散在共に用いられる。嘈雑、心下部疼痛を発し、諸薬効無き虚証のものにこの方の証が多い。《方輿輗》にては散として熱酒にて服するときは効果優れたりと云う。煎服するも効あり、本方の更に虚し、症状強きは「丁香茯苓湯」である。
「桂枝」=血脈を通じ、腹痛を治す。
「縮砂」=胃を養い痛みを止め、経を通ず。
「茴香」=疝気腹痛腰疼を治し、胃を温む。
「延胡索」=心腹疼痛を鎮め、経を通ず。
「牡蠣」=脇疼を鎮め、老痰を去る。
「良姜」=気を下し、中を温む。
#安中散[1-4]《和剤局方》「桂枝4g、高良姜2g、小茴香2g、延胡索2g、縮砂2g、炙甘草1g、牡蛎3g(先煎)水煎服。」《中医処方解説》
#安中散[1-5]《和剤局方》《漢方治療の実際》「桂枝4、延胡索・牡蠣各3、小茴香1.5、縮砂・甘草各1、良姜0.5」◎遠年日近、脾疼、翻胃、口に酸水を嘔し、寒邪の気、内に留滞し、停積し消えず、脹満、腹脇に攻刺す、及び◎婦人の血気刺痛を治す。◎此方、世上には澼嚢の主薬とすれども、吐水甚だしき者には効無し。痛み甚だしき者を主とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎やせ型で体力なく、虚弱で神経質な人に用いることが多く、
<1>痛みを取り去り、
<2>消化を助け、
<3>神経の亢ぶりを抑えます。
#易黄散《傳青主女科》
「山薬、芡実、黄柏、白果、車前子」
#易黄湯[1-1]《傳青主女科》《中薬臨床応用》 「芡実(炒)30g、山薬30g、黄柏6g、車前子6g、銀杏9g」
#易黄湯[1-2]《衷中参西録》「芡実・山薬各15g、銀杏(打砕)12g、黄柏・車前子各6g」
#硫黄膏《東醫寶鑑》「生硫黄・白芷・栝楼根・賊粉各半銭、全蝎3、蝉退5枚、莞青7枚」を粉末にし、別に香油・黄蝋をまぜ、そこに薬末を溶かしこむ。就寝時と洗面後に少しずつ塗る。
◎顔面の瘡。
◎鼻・頬の赤紫色の風刺・粉刺。
#硫黄散[1]《東醫寶鑑》「硫黄1両、焔硝半両」粉末にし、3回に分けて酒1杯を煎じて温かい時注入し、30分ごとに3回飲ませると、生き返る。 ◎尸厥によって死にかかり、人事不省に陥る症。
#硫黄散[2]《東醫寶鑑》「硫黄(生)5両、杏仁2銭半、軽粉1銭」作末し酒で調合し、就寝時に塗り、朝洗う。◎鼻齄を治す。
#硫黄散[3]《中薬臨床応用》「硫黄、軽粉」等量を姜酒で練って外用。◎白癜風。
#飴薑元《東醫寶鑑》「黒糖1斤、乾姜(細末)4両」先に糖を溶かし、次に薑末を入れて混ぜて固まると食べる。◎冷嗽を治す。
#育陰湯《中薬臨床応用》 「石決明15g(先煎)、桑寄生18g、野菊花9g、旱蓮草18g、生地黄9g、熟地黄9g、茅根18g」
#育魂丹《東醫寶鑑》「山薬1両、半夏・天南星・白茯神・白朮・黄連(炒)・遠志・酸棗仁(炒)・柏子仁各6銭、竹茹・天麻・白附子(煨)・川芎各5銭、犀角・羚羊角・白礬各3銭半、陳皮3銭2分半、全蝎3銭2分、辰砂2銭2分、牛黄1銭2分、麝香1銭、金箔24片を粉末にし、竹瀝に甘草膏を入れて鶏頭大の丸剤。毎回1丸を空腹時に淡姜湯で服用。 ◎癇病・怔忡・恐怖。
#一加減正気散[1-1]《温病条弁》「藿香梗・厚朴・杏仁・茵蔯蒿・茯苓皮各2銭、陳皮・大腹皮各1銭、神麹・麦芽各1銭半」◎食滞を伴う腹部膨満 ◎排便がすっきりしない
#一加減正気散[1-2]《温病条弁》《中医処方解説》 「藿香梗6g、厚朴6g、杏仁6g、茯苓皮6g、陳皮3g、神麹4.5g、麦芽4.5g、茵蔯蒿6g、大腹皮3g」
#一貫煎《柳州医話》《中薬臨床応用》=「益肝煎」 「北沙参9g、麦門冬9g、当帰身9g、甘杞子9~18g、生地黄18~45g、川楝子5g」◎滋陰養血、疏肝理気。◎慢性疾患で肝胃陰虚の者。
★適応症及び病名(いっかんせん)
■胃潰瘍
■肝硬変の初期
■高血圧症
■脂肪肝
■糖尿病
■慢性胃炎
■慢性肝炎
#一甲煎《温病条弁》「牡蛎(生)60g」細末を8杯の水で3杯に煎じ、3回に分けて温服する。◎熱性疾患の後の微熱。
#一甲復脈湯《温病条弁》《中医処方解説》=「加減復脈湯」「炙甘草18g、生地黄18g、白芍18g、麦門冬15g、阿膠9g、牡蛎」
#一字軽金散《東醫寶鑑》「川芎・白芷・藿香・荊芥・旋覆花・石膏・防風各5銭、天南星・川烏(生)各2銭半、草烏1銭半」を切って日光で干し、粉末にして、毎回1字を茶清で調服。 ◎頭痛・偏頭痛で眉稜骨が痛み、両眼がひきつれ、骨が痛い者。
#一字散[1]《東醫寶鑑》「皀角7銭、雄黄2銭、生明礬・藜蘆各1銭、蝎梢7枚」を粉末にし、少しづつ鼻中に吹き入れると、痰を吐く。 ◎急喉痺・纏喉風・咽喉閉塞・水穀不下・関牙緊急・人事不省。
#一字散[2]《東醫寶鑑》「蜈蚣(全頭1条炙)・天麻・草烏各5銭、全蝎10個、白芷1銭、を粉末にし、毎回1字を発熱のときは茶清で調下し、悪寒するときは温酒で調下する。◎急性破傷風。
#一酔膏《東醫寶鑑》「無灰酒2椀・真麻油4両」を柳の木20本で、かわるがわるかき混ぜると膏になる。これを飲むと熟睡する。 ◎心恙(⇒シンヨウと読み。きちがいのこと)・癲狂を治す。
#一酔不老丹《東醫寶鑑》「蓮花芯・生地黄・槐角子・五加皮各2両、没石子6個を石臼に入れてつき、絹袋に入れて清酒10斤と磁器内に入れて、春と冬は1ヶ月、秋は20日間、夏は10日間入れて連服する。 ◎養血・烏鬚・黒髪になる。
#一笑散《東醫寶鑑》「川椒・巴豆1粒」粉末にして膏をつくり、ご飯で丸め、綿でくるんで牙孔に詰め込む。 ◎虫牙痛で耐えられない者。
#一清飲《東醫寶鑑》「柴胡3銭、赤茯苓2銭、川芎・桑白皮各1銭、甘草5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎黄疸。
#一捻金丸《東醫寶鑑》「延胡索・茴香・呉茱萸・川楝子・木香各2両」を粉末にし、粳米糊で梧子大の丸剤。空腹時に木通湯で30~50丸呑み下し、片脳5分、鉄孕粉1銭を水にまぜて陰挺にぬる。
◎婦人の陰挺で、諸薬効なきとき。
#一捻金散《東醫寶鑑》「雄黄3銭、硼砂1銭、竜脳少し」粉末にし、蜜で調合して塗る。 ◎鵝口瘡で乳が吸えない症。
#一坪金 =「坪金丹」「熟地黄2両、地骨皮・蓮花芯・槐角子(酒に1日漬け・春秋3日・冬6日目に取り出し晒し乾燥)・薄荷各3両、没石子1両、人参・木香各5銭」作末し蜜で芡実大の丸剤。毎回1丸を温酒で1日3回飲む。◎長服すると、髪が黒く成る。
#一粒金丹[1]《東醫寶鑑》「川烏(炮)・炮附子・白附子(炮)各1両、白彊蚕。白蒺藜炒)・五霊脂・明礬(枯過)・没薬各5銭、朱砂・細墨(磨汁)・麝香各2銭半」粉末にし、墨汁でまぜ、1両を6丸に作って金箔で衣をし、毎回1丸を姜汁に酒半杯を混ぜて温服する。続いて薬力を補って汗を出すと、即効する。
◎一切の諸風を治す。
#一粒金丹[2]《東醫寶鑑》 「鴉片2銭半、阿魏1銭、木香・沈香各2分、牛黄2分半」沈香・木香・牛黄を粉末にし、鴉片・阿魏を丼によそって水を少しづつ注いで溶かした後、蜜を少し混ぜ緑豆大に丸め、金箔で衣をつけた後、毎回1粒を、痛むときは冷水で、冷えるときは温水で服用。◎気痛で話せなくなったとき。
#一服散《東醫寶鑑》「大半夏3個、杏仁7個、罌栗殻2個、烏梅2個、阿膠2片、紫蘇10葉、生姜10片、甘草1銭」剉作1貼し、水煎服。 ◎流行性暴嗽を治す。
#一物瓜蒂湯《金匱要略》 「瓜蒂20箇」右剉、以水1升、煮取5合、去滓頓服。◎太陽中暍、身熱疼重、而脉微弱、此以夏月傷冷水、水行皮中所致也。一物瓜蒂湯主之。《金匱要略》痓湿暍病脉證第二。
#一補一発丹《東醫寶鑑》「赤茯苓1両、半夏・陳皮・柴胡・黄芩・蒼朮・葛根各7銭、常山3銭」を粉末にし、麺糊で梧子大の丸剤。白湯で70丸飲む。 ◎長い瘧疾による内傷に外感を浴びた者を治す。
#一捏金散《東醫寶鑑》「延胡索・川練肉・全蝎(炒)・茴香(炒)」粉末にし、毎回1銭を熱酒で調下する。 ◎奔豚疝気の上衝。臍腹の大痛。
#胃関煎《方薬合編》 「熟地黄12g、山薬・白扁豆(炒)・白朮・乾姜(炒黒)各8g、炙甘草4g、呉茱萸2.8g」◎脾腎の虚寒による泄瀉・腹痛・冷痢・大腸カタル。
【加減】
1.泄瀉:肉蓯蓉・破故紙各1g。
2.陽虚:附子4g。
3.気虚:人参4g。
#胃効散《世医得効方》「五積散+麻黄」◎脾胃宿冷あり、腹内切痛、或いは外風寒に感じ、内生冷に傷つき、黄白色を泄瀉して止まず、或いは肝経寒を受け、面色青惨、厥して泄痢するを治す。
#胃風湯[1-1]《和剤局方》 「白朮・芎藭・人参(去蘆)・白芍薬・当帰(去苗)・肉桂(去粗皮)・茯苓(去皮)各等分」
#胃風湯[1-2]《和剤局方》 「人参・茯苓・当帰・芍薬・川芎・桂枝・白朮各等分、栗米100余粒」 ◎水穀化せず、泄瀉注下し、及び湿毒下ること豆汁の如き者。 ◎虚証の粘液血便、側腹満痛。《龍野ー漢方処方集》
#胃風湯[1-3]《東醫寶鑑》「人参・赤茯苓・白朮・当帰・川芎・白芍・桂皮・甘草各1銭、栗米1握り」水煎服。 ◎胃腸の湿毒で、腹痛・下痢して黒豆汁のようなものが下り、◎瘀血が下る者。
#胃風湯[1-4]《方薬合編》「人参・白朮・茯苓・当帰・川芎・白芍・桂皮・甘草・栗各4g」
■潰瘍性大腸炎
■慢性腸炎
■直腸炎
■直腸ガン
■下痢。
#胃風湯[1-5]《和剤局方》《勿誤薬室方函口訣》「人参・茯苓・川芎・桂枝・当帰・芍薬・白朮各等分、栗米100余粒」◎風冷、虚に乗じ、入りて腸胃に客となり、水穀化せず、泄瀉注下し、及び湿毒下ること豆汁の如く、或いは瘀血を下すを治す。 ◎この方は《素問》のいわゆる胃風には非ず。一種腸胃の不和より、泄瀉に非ず、滞下(=疫毒痢ナリ)に非ず、水穀化せずして稀汁と血液と漏下して止まず、顔色青惨、荏苒(ジンゼン)歳月を延びる者を治す。蓋し甘草瀉心湯・断痢湯の如きは上焦に属し、此の方は下焦の方に属するなり。◎《易簡方論》胃風湯、腸風下血及び婦人の下血、面色萎黄、筋力衰憊する者を治す。即ち、《和剤局方》の胃風湯、此れ即ち八物湯の地黄・甘草を去って官桂を加うるもの、蓋し亦結陰の類なり。陰は陰気内結と為す。故に甘寒を去って辛熱を加え、結する者散ずるなり。《雑病翼方》◎《原病集》に云う。風、腸胃に入り、清血を純下す、或いは湿毒下血す。胃風湯の桂を去り、枳殻・荊芥・防風を用いて之を主る。《雑病翼方》 ◎鑑別:《雑病翼方》「甘草瀉心湯」は:-上焦不和の利を、「胃苓湯」は:中焦不和の利を、「胃風湯」は-:下焦不和の利を治す。◎産後の暴泄、胃風湯を与えれば速やかに癒える。もし数行の後、心下痞満する者、宜しく生姜瀉心湯を与えるべし。《先哲医話》◎胃風湯の証は、即ち倉公伝のいわゆる洞風なり。《方読便覧》
#胃風湯[1-6]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「当帰・川芎・芍薬・人参・白朮各3、茯苓4、桂枝・栗各2」◎風冷、虚に乗じて腸胃に客し、水穀化せず、泄瀉注下し、腹脇虚満、腸鳴り、疼痛し、及び腸胃の湿毒下ること豆汁の如く、或いは瘀血を下す者を治す。
◎此方は四君子湯より甘草を去り、四物湯より地黄を去り、更に桂枝と栗を加えたもので、慢性虚証の大腸炎に用いられる。細野史郎氏は「漢方の臨床」に本方の運用を詳述し、下痢久しく続いて、体力稍衰弱の傾向あり、炎症も僅かにして、小腸よりもしろ下焦の大腸、直腸に邪のある場合に応用されるとしている。貧血気味、冷え症で脈浮弦弱、腹も虚軟の者に良い。
白朮・茯苓・人参=四君子湯の意で胃腸の水毒を去り、その機能を強化する。当帰・芍薬・川芎=四物湯の意で、貧血を補い、肝臓機能を亢進させる。桂枝=諸薬をよく導き、栗=腸管の弛緩をひきしめる。
◎目標:「胃風湯は、健常人に突発した胃腸炎などに用いられるものでなく、下痢も久しく続いて、体力のやや衰弱に傾きかけた者に適応性があり、更にその炎症の様子も、その最盛期を過ぎて、力弱く残存性のもので、しかも、小腸のみでなく、腸管下部、即ち大腸・直腸にも及んでいると思える場合に用いられ、また一見、ただ腸管下部にのみ限局された弱い残存性炎症と思える者に応用する機会が少なくない」《細野史郎》
★適応症及び病名(胃風湯)
[1]胃腸虚弱
[2]潰瘍性大腸炎《矢数道明》
[3]顔色悪い
[4]寒冷で増悪する
[5]筋力低下
[6]下血: ☆(冬が多い)☆冬期下血《矢数道明》
[7]下痢 :☆風邪で、下痢しながら便に清血を帯びる。☆産後、老人虚証の下痢《矢数道明》☆冷えると下痢する者《矢数道明》☆真武湯を用いるような虚弱な体質の患者の慢性の経過をとる下痢に用いる《大塚敬節》☆昭和27年1/8。73歳の女性。4、5年前から非常に下痢しやすく、ことに去年12/25から下痢が続いて、少ない日でも1日に2、3行あり、ひどくなると7、8行から10数行に及ぶことがある。しかもその下痢は摂取量にまったく並行的で、食事さえ慎めば回数も減るので、近頃は常に食量を制限しているとのことである。下痢はほとんど腹鳴は伴わないが、時々下腹部に軽い痛みがあることがある。又、時には胸悪く感じることもある。心窩部のつかえ感、膨満感無く、嘔吐の全くない。
診ると、栄養状態の甚だ悪い、顔色の悪い蒼白な老婆で、皮膚には全然ツヤがない。顔は少しむくみ気味で、栄養失調症を思わせる衰弱ぶりである。舌は全体として、帯褐白色の薄い舌苔に覆われてよく湿潤している。脈は中等大、弦で遅い。脈管壁の触感は軟らかい感じだが、之を按圧すると、まったく抵抗も感じないほどである。胸部では背面の左上部にわずかにギーメンが聴取出来る。
腹部は一般に軟弱で、心窩部で劒状突起下部のところに、腹底に軟かいつきたての餅のような触感のする抵抗が触れる。しいて云えば是でも心下痞硬の1微とも云えようか。
食欲はない。詳しく云えば、口に食味が全くないと云った方がよいとのことである。 以上の所見から、慢性胃腸カタルで、ことに腸部の障害の強い形と考えたが、心下痞硬、気、下痢などを目標に生姜瀉心湯と定め、全身の機能を活発化せしめる意味で四君子湯の方意を加えようと、茯苓・白朮を加味して与えた。
服薬後4日間は、あまり芳しい成績ではなく、下痢は依然としていたが、朝の中はなく、昼過ぎから3、4回引き続き行き、終わり頃になると絞り気味となる。丁度、服薬後3日目頃、餅を少々食べてみたが、反って腹具合がずっと良くなって、下腹部の鈍痛さえ無くなり、少しではあるが、腹力がついたかに思えるし、下痢悪化の兆しもなかった。診察上、他覚的には初診時と大差ないので、同方を継続した。
次の1週間は、全くの逆転となて現れ、固形しかけた大便が追々軟化し、ついに無形軟便となり、日に2、3回となった。そして夕方になると必ず便意を催し、下腹部に名状しがたい底苦しさを感じるようになった。さらに大便には強い悪臭があり、排便の始めに粘液があり、排便後には軽い裏急後重がある。時には下腹部痛が軽く伴うこともあった。
他覚的所見としては、脈は依然として弦脈であるが、強く浮き気味で、弱く渋った遅脈。舌は中央部から舌根にかけて濃褐色の苔が厚くかかり、強く湿っている。腹部には心下痞硬が強く、前述の程度ではなく、痞硬は腹底のものと云うよりも腹壁の表在部が最も強い。更に新しい所見としては、左下腹で大体S字状結腸に当たって深部に向かって按圧すると可成の圧痛があり硬い索状物があった。
以上の所見から、胃とS字状結腸部辺に病的変化が強くなったことを意味すると考えた。先ず常識的に行って、白頭翁加甘草阿膠か真武湯のなかから選用したい病像であるが、
①容貌や全身から読める程度の衰弱と久しい下痢
②脈状が浮にして弦、しかも弱遅
③餅食で反って元気づき腹具合も改善の兆しがあったことなどから、兼ねて思いを潜めていた栗を入れるあの胃風湯を試みることとして、方後の指示にしたがって木香を加え与えた。ところが1週間の服薬ですばらしい著効を現して、元気は見違えるほどに良くなり、皮膚色、顔面とも生気に満ち、頑固な下痢も、裏急後重もほとんど止んで、ただ余す苦痛は、わずかに肛門の脱出感を残すに過ぎなかった。それ以来数週間、同方を持続して日を追ってますます元気を回復して何等の自覚的苦痛もなくなり、脈・舌・腹・胸部の所見も全く異常なくなった《細野史郎》☆下痢が豆汁のようで或いは血を交え、急迫様の腹痛を訴え、或いは裏急後重の気味があるが、瘀物があるのではなく、小腹の拘攣によるものである。そして腹部肥満し、下剤のさいには大便が肛門に激突して音をたててチビチビと飛ぶ者あり、或いは便の汁が肛門に当たって沫になって、じわじわと鳴る者がある。これは腹中に風気があって、大便といっしょに出るのである。この時に胃風湯を用いると、5、6貼でその証が減じて必ず奇効がある。《藤田謙造》
[8]食欲不振
[9]大腸カタル
[10]脱肛:☆(寒くなると脱肛する)☆冬期の脱肛《矢数道明》
[11]直腸ガン:☆直腸腫瘍
[12]直腸潰瘍:☆62歳女性。2年前より下痢真武湯、種々の手当を受けたが一向に効がないという。下痢するときは、絞るような腹痛があり、1回の排便量は少なく、粘血便である。多いときは1日10回を越えるという。食欲はあるが、流動食を少しずつ食べている。医者は直腸の潰瘍で、ガンになる恐れがあると診断したという。腹診するに、左腸骨窩に索状物を触れ圧痛がある。私はこれに胃風湯を用いたが、日増しに下痢が減じ、腹痛も軽快し、半年後には正常便が出るようになった。《大塚敬節》
[13]疲労倦怠
[14]貧血
[15]腹痛
[16]腹鳴
[17]慢性下痢:☆<軟便><不消化便><水様便><粘液便>☆<アヒルの便のようにピチャピチャした便>☆半夏瀉心湯や真武湯の応ぜぬ慢性下痢《矢数道明》☆衰弱者の陳久下痢《矢数道明》
[18]慢性大腸炎
[19]慢性直腸炎《矢数道明》
#胃苓湯[1-1]《万病回春》「蒼朮(米泔製)・厚朴(姜汁炒・陳皮・猪苓・沢瀉・白朮(去蘆)・茯苓(去皮)・白芍薬(煨)各1銭、肉桂・甘草(炙)各2分」剉作1貼、生姜・棗子煎。
#胃苓湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》 「蒼朮・厚朴・陳皮・猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・白芍薬(煨)各1銭、甘草(炙)・肉桂各2分、生姜、大棗」水煎。
◎原方には芍薬なし。乃ち「平胃散+五苓散」◎脾胃和せず、腹痛泄瀉して水穀化せず、陰陽を分たざるを治す。 ◎水瀉には:+「滑石」◎暴痢にて赤白雑じえ腹痛、裏急後重する:「-肉桂+木香檳榔子黄連」◎久瀉:+「升麻」◎湿に勝るには:+「防風、升麻」 ◎食積には:+「麹、麦芽、山楂子」◎気虚には:+「人参」
#胃苓湯[1-3]《東醫寶鑑》「蒼朮・厚朴・陳皮・猪苓・沢瀉・白朮・赤茯苓・白芍各1銭、肉桂・甘草各5分、生姜3片、大棗2枚」水煎服。 ◎下痢・腹痛・消化不良。
#胃苓湯[1-4]《方薬合編》「蒼朮・厚朴・陳皮・猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・白芍・大棗各4g、肉桂・甘草各2g、生姜(ひねしょうが)3切れ」◎腹痛下痢・口渇・尿量減少・急性腸カタル・急性腎炎・腹膜炎・浮腫・食中毒。◎滑脱:「肉豆蔲2g・車前子3g」◎消化不良:「神曲・檳榔子・縮砂各2g」
#胃苓湯[1-5]《古今医鑑》《漢方後世要方解説》 「蒼朮・厚朴・陳皮・猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・芍薬各2.5、桂枝2.0、大棗・生姜各1.5、甘草1.0」◎平胃散五苓散芍薬
[主治]《古今医鑑》“中暑、傷湿、停飲、夾食、脾胃和せず、腹痛泄瀉渇を作し、小便利せず、水穀化せず、陰陽分たざるを治す”《医療手引草》“飲食停積、浮腫、泄瀉、脈証倶に実なる者を治す”《牛山方考》“飲食過多にして、腹脹り口渇泄瀉、小便赤渋の症に奇効あり”
#胃苓湯[1-6]《証治準縄》「蒼朮・厚朴・陳皮・白朮・茯苓各1銭5分、沢瀉・猪苓各1銭、甘草6分、肉桂5分、生姜3片、大棗3個」◎水腫を急に下した後、或いは利尿の後、腫勢がすでに消退をみても、続けて胃苓湯などの善後調理の薬物を服用して、再発を防ぐ。《漢方医学概論》
#胃苓湯[1-7]《丹渓心法》「平胃散五苓散」◎此の方は平胃散、五苓散の合方なれば、傷食に水飲を帯びる者に用いて宜し。その他、水穀化せずして下利、或いは脾胃不和にして水気を発する者に用いるべし。《万病回春》にいわゆる陰陽不分とは太陰の位にして陰陽の間に在る症を云うなり。《勿誤薬室方函口訣》◎利後、遍身水気有る者。《治瘟編》◎按ずるに、此の方、本《婦人良方》に出て、芍薬を去り、陳日華方と云う。夏秋の間、脾胃冷に傷つき、水穀不分、泄瀉止まざるを治す。《雑病翼方》◎水穀下痢、按ずるに胃苓湯は中焦不和の利を治す。《雑病翼方》
# 胃苓湯 [1-8]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「厚朴・陳皮・蒼朮・猪苓・沢瀉・茯苓各1銭、桂枝2分、甘草」◎脾胃和せず、腹痛・泄瀉し、水穀化せず、陰陽不分な者を治す。◎腹痛下痢、尿利減少、口渇する者。《龍野ー漢方処方集》◎理気化湿、利水止瀉《中医処方解説》
★適応症及び病名 (胃苓湯)
[1]胃腸神経症
[2]悪心
[3]嘔吐
[4]過敏性大腸症候群
[5]下痢(水様便)☆平胃散に準じ、水様便・浮腫がある者。☆草豆蔲(水様性)
[6]口渇
[7]上腹部振水音
[8]食傷:☆急性の大腸炎で、腎臓機能障碍を伴い、小便利せず腹痛泄瀉を発し、俗に云う夏期の食あたりというものに多くこの症がある。《矢数道明》
☆時に軽度の血便粘液便等を混じ、少し裏急後重を訴える者:「黄連・木香・檳榔」《矢数道明》☆脈証は多くは沈で力があり、腹証も相当抵抗がある者。舌は多くは白苔である。《矢数道明》
[9]食滞泄(消化不良の下痢)
[10]心下痞
[11]神経痛:☆夏場の神経痛・リウマチの類《矢数道明》
[12]]腸カタル(急性・慢性)
[13]尿量減少
[14]熱射病
[15]浮腫(下肢)☆食傷から来る急性腎炎や下痢しやすい者《矢数道明》
[16]腹痛
[17]腹満
#茵蔯蒿湯[1-1]《傷寒論》「茵蔯蒿6両、梔子(擘)14枚、大黄(去皮)2両」右三味、以水一斗二升、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。 (辨陽明病脉證并治第八) ◎陽明病、発熱、汗出者、此為熱越、不能発黄也。但頭汗出、身無汗、剤頸而還、小便不利、渇引水漿者、此為瘀熱在裏、身必発黄、茵蔯蒿湯主之。◎傷寒七八日、身黄如橘子色、小便不利、腹微満者、茵蔯蒿湯主之。(巻第五 辨陽明病脉證并治第八)。
#茵蔯蒿湯[1-2]《傷寒論》「茵蔯蒿6両、梔子(擘)14箇、大黄(破)2両」右三味、以水一斗二升、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分温三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。 ◎陽明病、発熱、汗出者、此為熱越、不能発黄也。但頭汗出、身無汗、剤頸而還、小便不利、渇引水漿者、以瘀熱在裏、身必発黄、宜下之以茵蔯蒿湯主之。 (辨可下病脉證并治第二十一)◎傷寒七八日、身黄如橘子色、小便不利、腹微満者、属茵蔯蒿湯証。
#茵蔯蒿湯[1-3]《金匱要略》「茵蔯蒿6両、梔子14枚、大黄2両」右三味、以水一斗、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分温三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。◎穀疸之為病、寒熱不食、食即頭眩、心胸不安、久久発黄、為穀疸。茵蔯蒿湯主之。(黄疸脉證并治第十五)
#茵蔯蒿湯[1-4]《傷寒論》《龍野一雄》「茵蔯蒿6.0g、山梔子1.4g、大黄2.0g」水480で先ず茵蔯を煮て240に煮詰め、他薬を加え更に煮て120に煮詰め、1日3回に分服。
◎茵蔯蒿湯証=心胸安からず、久久にして黄を発す《薬徴》[心胸安からず]=みずおちから胸にかけて気持ちが悪くサッパリしない。
◎黄疸で或いは発熱頭汗、尿利減少、或いは腹微満、或いは寒熱不食頭眩心胸部不安の者。
◎瘀熱、尿利減少。◎一身発黄し、心煩し、大便難に、小便不利の者を治す《類聚方広義》
◎目標:《大塚敬節》大小便不利、悪心or嘔吐、胸内苦煩、口渇があり、腹診上、上腹部の膨満がある場合に用いられる。発熱・口渇・尿不利・便秘を目標にして用いる。黄疸の有無にかかわらない。これらの症状のほかに悪心・胸の苦悶があることもある。もし発熱・口渇・尿不利があって、便秘がなければ、茵蔯五苓散または五苓散を用いる。
【適応症】 口渇があり尿量少なく、便秘する者の次の諸症: ジンマシン・口内炎。 【
注意】《矢野敏夫》 <1>次の者には投与しないこと。 身体虚弱の者。とくに体内に欝滞した熱感のない冷え症の者。
<2>次の者には慎重に投与すること。 妊婦、又は妊娠していると思われる者。 高齢者。 <3>副作用
消化器系:下痢、腹痛を催したり、食欲が減退することがある。
【ポイント】《矢野敏夫》
<1>古来より各種の黄疸・ジンマシン・口内炎に用いられているが、体力のある者で咽喉の渇き、心窩部から胸部にかけてのふさがるよういな胸苦しさ、便秘、肝臓部の圧迫感などを目標にします。
<2>五苓散、小柴胡湯などの処方とよく合方して使われます。 <3>熱症状、炎症症状の緩和なもの、便秘のない者には梔子柏皮湯がよい。
【腹証】《矢野敏夫》 ☆心下部が痞えて少し膨満感がある。 ☆腹部全体の緊張は良好。
★適応症及び病名 (茵蔯蒿湯)
[1]アトピー性皮膚炎
[2]足が腫れる:☆<下肢>が多い。
[3]油っこい食事で気分が悪くなる
[4]胃痛:☆(日射病による胃の煩痛)
[5]陰部掻痒症:☆女性外陰部のかゆみ。
[6]黄疸:☆黄疸のさいには出血の傾向がある《大塚敬節》 ☆黄疸と伴うときには、頭汗・皮膚掻痒感を伴う《矢野敏夫》☆黄疸等にして、少しく腹満ある証《奥田謙蔵》☆発熱のない黄疸にはá「茵蔯五苓散」を考える。☆(肝細胞性の黄疸)☆(溶血性に不適、閉塞性には不十分)☆《勿誤薬室方函口訣》“此の方は発黄を治する聖剤なり。世医は黄疸初発に茵蔯五苓散を用ゆれども非なり。先ず此の方を用いて下を取って後、茵蔯五苓散を与えるべし。茵蔯は発黄を治するを専らとする。蓋し、湿熱を解し利水の効あり。故に《蘭室秘蔵》の当帰拈痛湯、《医学綱目》の犀角湯にも此の品を用いて、発黄のみにはかかわらぬなり。梔子・大黄と伍するときは利水の効あり。方後に云う尿如角汁と、これなり。後世にても加味逍遥散、竜胆瀉肝湯等の梔子は皆清熱利水を主とするなり。但し此の方、発黄に用いる時は陽明部位の腹満小便不利を主として用るべし。もし心下の欝結ある者は大柴胡湯茵蔯かえって効あり。もし虚候ある者は千金茵蔯湯に宜し。《幼幼新書》吉本家伝。小児、身体黄・便黄・眼目睛黄は、これ疸なり。此の方によろし。即ち本方朴硝と。余は、本方の証にして胃熱激しき者を治するに、之を用いて奏功す。”《雑病論識》☆《大塚敬節》“体格、栄養ともに中等度の34歳の男子。約10日前に、原因不明の熱が出た。その熱が2、3日で下るとともに、全身が黄色になった。医師は急性肝炎と診断して薬をくれたが、どうも気持が良くないという。症状は、黄疸・口渇・全身の搔痒感・尿量の減少、ときどき少しずつ出る衂血などであり、みずおちに、何かが詰まっている感じがするという。脈は遅にして力があり、舌には少し黄苔があって乾燥している。腹部は全体にやや膨満し、鳩尾の部から右の季肋下にかけて抵抗と圧痛があり、肝臓の下縁を指頭にふれる。私はこれに茵蒿湯与えたが、翌日から尿がたくさん出るようになり、口渇が減じ、7日分の服用で、黄疸は大半消失し、19日分の内服でまったく健康になった。”
[7]悪心:☆(軽い)<+>☆悪心強い者にはá「柴胡剤」を考えるor合方する。
[8]かゆい:☆(激しい掻痒)
[9]脚気
[10]肝炎(急性肝炎)☆この方は黄疸の治療薬として有名であるが、黄疸がなくても、口渇・尿不利・便秘・胸内苦悶の状があれば用いる。そこで、急性肝炎の初期で、まだ黄疸の現れないうちに、悪心・食欲不振・便秘・尿利減少・発熱などを目標として、この方を用いる。そうすれば、黄疸が現れても軽く、短期間のうちに全快する。《大塚敬節》
[11]肝硬変
[12]肝臓肥大
[13]感情不安定:
[14]乾癬
[15]眼目痛
[16]気管支炎
[17]急性肝炎:☆茵蔯蒿湯証の患者は、胸がつまったような、塞がったような何とも名状できないような不快感を訴えるものである《大塚敬節》
[18]激症肝炎:(熊胆0.3g~0.6g)
[19]下血
[20]月経異常
[21]月経不順
[22]血清病
[23]結膜炎
[24]口がねばる
[25]口渇:☆急性肝炎の初期やネフローゼの初期に激しい口渇を訴えることがあり、その時に、茵蔯蒿湯を用いる機会がある《大塚敬節》
[26]口乾: ☆口中乾燥気味《矢野敏夫》
[27]口苦
[28]口内炎
[29]甲状腺機能亢進症
[30]更年期障害
[31]黒色便
[32]歯根炎
[33]歯周炎
[34]子宮出血:☆《生々堂医談》
“京師、小川通二条下町、近江屋与兵衛の妻は、毎月、月経が17、8日も止まず、こんな状態が3年間も続き、種々医薬を用いても治らないので、自分に治を乞うた。診察してみると、脈が細数で、からだの色は青白く、起きあがると喘鳴があり、小便が自然に漏れる。それに動悸がひどくて、今にも死ぬのではないかと思われるほどである。そこで茵蔯蒿湯を作って与えた。ところが、その夫はかって製薬を職業としたことのある者で、少しばかり薬のことを知っているので、不思議がって、自分に尋ねた。妻の病をもともと血症で発黄の症ではない。それなのに補血・調血の剤を与えないで、茵蔯蒿湯を与えるとは、どうした訳であるか、こんな虚証を、この上更に茵蔯蒿湯で攻めるのは虚々の法で、そのため死ぬるに違いない。どうしてこんなものを用いるか、その訳を聞かせてほしいと。自分が答えて云うのに、犀角地黄湯、芎帰膠艾湯の類は、前医がもう用いたところで一通りは、薬方と病症が一致しているように見えるけれども、そうではない。それだからこそ、3年もの間、これらの薬を呑んでも、なお治らなかったのではないか。この茵蔯蒿湯をなぜ用いるかを簡単にわかりやすく説明することはむつかしいがまあ一口に云えば、欝熱を除けば血は自然に治まるという意味であると、その人ついに自分の言に信伏してこの方を服し、50日ばかりですっかり治ってしまった”
[35]衂血
[36]湿疹:☆14歳の男児。平素から便秘の傾向があり、いつも下剤を飲んでいるという。こんどの病気は10日前からで、全身にジンマシンが出て、かゆくて堪えられないという。それにノドが詰まる感じがある。《大塚敬節》
[37]上腹部の膨満感(微満):☆この方の腹診は上腹部の軽微の膨満である。もし肝の腫脹があって、胸脇苦満が著明であればá「大柴胡湯」《大塚敬節》
[38]食事の臭いで気分が悪くなる
[39]食欲不振<+>☆今まで食欲のあった人が、突然食べたくなくなり、胸が詰まったようで、吐き気があり、魚や牛肉を焼く匂いを嗅ぐだけで、吐きそうな気分になるときは、急性肝炎の疑いがある。この際、便秘し、口渇を訴え、尿利も減少し、心下部がつまったようで膨満しているならば、茵蔯蒿湯を用いる。これで大小便が快通し、口渇も悪心もとれる。熱のある場合にも良く、また黄疸の有無にかかわらず、これを用いて良い。《大塚敬節》
[40]自律神経失調症
[41]腎盂炎
[42]腎炎
[43]心下堅大
[44]心下痞
[45]心煩
[]神経症:☆心胸不安、上腹部膨満感
[46]ジンマシン:☆26歳の芸者。10日ほど前、客坐でエビの天ぷらを食べ、その夜から発疹と瘙痒で夜の明けるのが待ちきれないで医師を呼んだ。医師は直ちにカルシウムの注射を打ち下剤を2日分与え、明日もまた明日もで、5本の注射を打たれたが、次第に薬効が減ずる様で全身の瘙痒が激しく閉口し、夜もろくろく眠れぬばかりか、御客の前で掻くのもきまりが悪いので休業しているとの事。但し下痢はなく、口が乾き、食も異常ないと云う。
茵蔯蒿湯3日分投与。再来の時は発疹も瘙痒も全くなくなっていた。《掘均》☆55歳の官吏。2年前ハイキングに出掛けて、毒草にあてられ帰途より瘙痒を覚え、翌日発疹、直ちに医師の手当を受けたが、一向に良くならないので、伊香保の温泉に1ヶ月ばかり入浴し、かなり良くなったので帰京した。しかし全治と云うわけでなく、紹介されてきた。腎臓に故障が起きていたので、先ず茵蔯蒿湯を服用し、1ヶ月後、防風通聖散を与え、1ヶ月で治った。《掘均》
[47]膵臓炎
[48]頭汗☆全身に汗が出るとá「大黄硝石湯」を考える。
[49]舌炎
[50]舌質<紅> ☆舌周辺全体に紅色(熱症状)《矢野敏夫》
[51]舌苔:☆<微白~黄~黄膩> ☆白苔(厚い傾向)《矢野敏夫》
[52]舌瘡
[53]譫語
[54]帯下:☆(悪臭・黄色)
[55]胆石症
[56]胆嚢炎:☆茵蔯蒿湯は、胆汁分泌が異常な患者に対し、bilirubin分泌量を増大し胆汁分泌を正常化する作用が顕著にある。しかし、茵蔯蒿単味では、わずかに利胆作用が認められるが、大黄だけではさらに微少で、山梔子には認められない。3味の配合の妙である。
[57]血の道症
[58]吐血
[59]尿が濃い
[60]尿赤濁 ☆瘀熱による
[61]尿不利
[62]ネフローゼ:☆昭和14年5月に、8歳の男児のネフローゼを治療した。その当時の主訴は浮腫と貧血であって、尿量は少なく、尿中に多量のタンパクを証明した。私はこれに五苓散を与えたが、患者は2日ぐらい飲んで、飲みにくいからイヤだといって止めてしまった。それから2年たった。私はその患者のことを忘れていた。ところが、昭和16年5月18日に、この患者から、突然往診を頼んできた。患者の祖母のいうことには、あれから近くの病院に入院して色々手当を受けたが、今に治らない。この状態では、いつ治るかの見当もつかない。薬が変わると、4、5日は尿量が増して、浮腫も減退するが、また間もなく、元のように尿利は減じ、浮腫が増してくる、こんなことをいつまでも繰り返しているという。
そこで今度は必ず薬を飲ませるし、本人も飲む気になっているから、ぜひお骨折りを乞うというのである。私が往診した日の浮腫は、そんなに高度ではなく、顔面と腹部とに主として水気があった。その日の朝まで、洋薬の利尿剤を飲んでいたというこの患者をいくら詳しく診察してみても、本当の証をつかむことは難しいと考えた私は、簡単に診察をすませて帰ってきた。そして3日分の分消湯を与え、この患者を紹介してくださった方に、電話で、次のように通じておいた。
“今日、Sさんを診まして薬をあげましたが、いままで飲んでいた強い利尿剤を今日限り止めさせましたので、2、3日中に、うんとむくみが増して、小便が出なくなると思います。その時、あなたの方へ文句が来るかも知れませんが、そんなことで薬を止めるような了見では、あのような難症は決して治りませんから、どうぞそのおつもりでいて下さい”
果たせるかな、3日目の早朝、患家から電話があり、昨日から尿利が減少して、一昼夜の尿量が200‹に足らず、全身がだるまのようにむくみ、そのため胸が苦しくて昨夜は少しも眠れませんでした。至急おいでくださいと。この日の午後になって、私は患家をたずねたが、2階への梯子段を上りかけると、苦しい、苦しいという患者のうなり声が聞こえる。泣いているのである。浮腫のために僅かに開いている眼裂から涙が頬につたって流れている。腹部はひどく膨満して、鳩尾の部には、数条の青筋が見える、口渇は強いが尿は出ない。それに、3日間便秘している。浮腫は緊張が強くて、張り切っていて、強く押さないと凹まない。脈も沈んでいるが、力がある。こんな状態から考えると、この患者の浮腫は実腫であり、茵蔯蒿湯証のように思われた。
茵蔯蒿湯は、一般に黄疸を治する処方のように考えられているが、この方は“瘀熱が裏にある”と古人がいった場合に用いる方剤で、 口渇・尿利の減少と尿の赤褐色・便秘・胸内苦悶・腹部膨満などを目標にして用いる。必ずしも黄疸の存在を必要としない。《中神琴渓》は、頑固な子宮出血で、いろいろの手当でも治らなかったものを、裏に瘀熱があるからとて、この方を用いて治し、《村井琴山》は、脚気で、ほていのように脹満した者に、この方を与えて速治している。
今、この患者をみるに、浮腫はひどいけれども、茯苓や朮のような利尿剤を用いる証とも思われない。また麻黄剤の適応症のようにも見えない。この患者は、浮腫の他に、心胸部の苦煩(むなぐるしい)口渇、尿利の減少、便秘、腸満を訴えている。しかし患者の主訴は、心胸の苦煩である。そのため眠れないのである。これは正しく梔子剤の証にみられる心中懊にて眠るを得ざる証ではないか。茵蔯蒿湯の証に“心胸安からず”とあるのは、この状態をいったものである。また茵蔯は、裏の瘀熱を去って口渇を治し、尿量を増やす効がある。茵蔯蒿湯はこの2つの薬物に大黄を加えたものである。
このような考案によって、茵蔯蒿湯を与えたところ、驚くべき奇効がたちまち現れ、その翌日は尿量1500‹に達し、心胸はくつろぎ、食は進み、20日ばかりにして、腹部に浮腫を残すだけになり、自覚的には、ほとんど苦痛を訴えない状態となった。心下部の青筋と腹水はやや減少したが、全く去るというまでにはならない。その頃になって、尿量はまた少し減じ、700~800‹になった。これは気分が良いために、安静を守らないからではないかと考えた。ところが投薬を始めて26日目の夜半の2時頃より猛烈な腹痛を訴えるようになり、盲腸炎らしいから至急往診を乞うという電話があった。不思議に思いながら、駆けつけてみると、患者は眉間にシワをよせて、涙を流している。顔は蒼白である。脈をみると、浮にしてやや数である。疼痛は回盲部より右腎の部位に広がり、圧に対して過敏である。ちょっと右足を動かしても、寝返りをしても腹痛はひどくなる。しかも、腹部にはまだ浮腫が相当あるので、深部の状態を充分に探ることが難しい。体温は39度6分である。
私は両親を別室に呼んで言った。こんどの腹痛はおそらく虫垂炎のためであろうと思う。しかしネフローゼに併発した虫垂炎を治療した経験は私にない。したがって、先の見透しはつかない。治療をしてみなければ、治るとも治らない友断言できない。私は一生懸命に手当をしてみるつもりでいるが、虫垂炎は手術しなければならないというのが一般の風潮であるから、あなた方が手術をする覚悟であるなら、私はこれを拒まない。ただ手術の結果がネフローゼに良い影響を与えると、私は考えないから、その点を御熟考の上、態度を決められたいといって帰ってきた。
すると1時間もたたないのに薬をとりにきた。そして云った。「一切を先生にお任せします。たとえ死ぬようなことがあっても、決して恨みません。私たちは覚悟を決めました」と。そこで私は大黄牡丹皮湯を与え、午後3時頃、電話をかけて症状をたずねた。体温は37度8分をなり、腹痛も楽のようだというのが、その返事であった。
私はいくらか安心して、往診の途中、午後7時頃、患家に立ち寄った。その時、患者は眠っていたが、脈も静になり、腹部には圧痛はあるが、自発痛は8分通り去った様子である。その翌朝早く、私はまた患家をたずねた。そして驚いたことには、いままで膨満して青筋のあった腹がぐっと小さくなり、青筋も無くなっている。尿は昨朝から1500‹以上も出たという。ほとんど飲食物をとっていないのに、いままでにない多量の尿が出たことは、予想外であった。しかし体温は平温になった。それから引き続き6日間、大黄牡丹皮湯を与えたところ、虫垂炎の症状はすっかりとれ、尿は毎日1500‹~2200‹もあり、尿中のタンパクもほとんど出なくなった。
この患者は前から腹部に青筋があったから、初めから、瘀血の証として、駆瘀血剤を与えるべきであったかも知れない。《大塚敬節》
[63]熱感
[64]ノイローゼ
[65]バセドウ病
[66]肺炎
[67]梅核気(のどの異物感)☆梔子は“咽中のふさがる”のを治する効があり、利膈湯、梔子豉湯などは食道炎・食道ポリープ。食道ガンなどによる嚥下困難に用いられる。そこでこれらもまた咽頭の異物感に応用でられる。また梔子の配剤せられている茵蔯蒿湯の証にも、のどのつまるという訴えがもられる。《大塚敬節》☆14歳の男子。10日前からひどいジンマシンが出るようになった。その頃から、のどがつまるような感じが起こり、又、のどがつまるような時にはジンマシンもひどく出るという。前々から便秘するくせがあり、下剤で通じをつけているという。茵蔯蒿湯を用いる目標の1つに“心胸安からず”という症状がある。私はこののどがつまるような感じを“心胸安からず”の変形とみた。そして茵蔯蒿湯を用いたところ、5日間の服用で、のどのつまる感じが去ると共に、ジンマシンも全く出なくなった。《大塚敬節》
[68]発熱
[69]ヒステリー
[70]皮膚病
[71]浮腫:☆口渇と尿利の減少と便秘と胸内苦煩を目標にして用いる方剤であるが、これらの症状があって浮腫するものに用いる《大塚敬節》☆効のあったのは、いずれも、腹部の浮腫が他の部分より著しく、便秘の傾向だった。《大塚敬節》
[72]腹水
[73]腹満:☆少し<+>腹部が膨満する。☆熱性証候劇しからず、腹満あるも能く食し、尿赤渋して糞便硬く、汗無くして煩悶する証《奥田謙蔵》☆汗下の後、熱性証候なく、腹満ありて糞便黒く、時々蒜臭を自覚し、煩悶し、然かも反って能く食する証《奥田謙蔵》☆発汗の後、腹満し、譫語し、或いは時に狂状をい発し、尿不利、大便難、その脈微にして沈なる証《奥田謙蔵》☆腹満著明ならá「承気湯類」を考える。☆腹満なら:á「小柴胡湯」を考える。
[74]不眠症
[75]便がスッキリ出ない
[76]便秘:☆肝機能障害があって便秘する者に用いる機会がある。ときに大柴胡湯に合して用いる《大塚敬節》
[77]膀胱炎
[78]慢性肝炎
[79]目が充血
[80]目が黄濁(目がきたない)
[81]卵巣機能障害
#茵荊湯《竹中文慶》《龍野ー漢方処方集》
「茵蔯蒿・茯苓・沢瀉各6.0g、猪苓・白朮・鉄粉各3.0g、荊芥・蒲黄各2.0g」◎肛門或いは腸出血、貧血或いは浮腫。◎下血止まず、身体萎黄、あるいは浮腫ある者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は竹中文慶の家方にして、痔血久しく止まず、面色萎黄、身体浮腫、短気、目眩して歩行出来ない者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎脾労下血して水気ある者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は利水中に止血鎮墜の意を寓する故、運用して意外の効能を有することあり。《勿誤薬室方函口訣》
◎茵蔯蒿が主薬《大塚敬節》◎「五苓散桂枝茵蔯荊芥蒲黄鉄粉」《大塚敬節》
★適応症及び病名(茵荊湯)
[1]痔出血:☆痔出血が永く続いて、貧血・浮腫・動悸・眩暈などのある者《大塚敬節》
[2]腸出血:☆《橘窓書影》“東台吉祥院弟子、恵雲房、眩暈、下血がやまず面色は萎黄状となり、動悸がひどく、少し歩いても呼吸が促迫し、めまいがあり、四肢に軽い浮腫がある。前医は、これに地黄剤を与え、その症ますます増悪した。自分は先年、竹中文慶から伝授せられた茵蔯湯を与えた。すると、数日で下血が止んで諸症がだんだんに良くなった”
[3]直腸ガン
[4]直腸潰瘍
#茵蔯丸《東醫寶鑑》「瘴疸丸に同じ。」毎回5丸を温水で飲む。瘴疸丸⇒「茵蔯・山梔子・大黄・芒硝・杏仁・常山・鼈甲・巴豆霜・豆豉」 ◎流行の瘟疫・瘴瘧・黄疸・温病・熱病を治す。
#茵蔯橘皮湯《東醫寶鑑》「茵蔯一物湯陳皮・白朮・生姜・半夏・茯苓各1銭」 ◎陰黄で煩躁し、嘔しながら吐かない者。
#茵蔯姜附湯[1]《東醫寶鑑》「茵蔯一物湯炮附子・乾姜(炮)各1銭」 ◎陰黄で冷汗が止まらない者。
#茵蔯姜附湯[2] 《衛生宝鑑》《古今方彙》「附子(炮)3銭、乾姜(炮)2銭、茵蔯1銭2分、草豆蔲1銭、白朮4分、枳実・半夏・沢瀉各5分、白茯苓・陳皮各3分、水2鐘、生姜5片」煎じて8分となし、冷えるを待って服す。 ◎陰黄(頭痛ありて熱状なき黄疸)◎女労疸、黒疸にて脈沈微、小便利し、或いは瀉するを治す。
#茵蔯蒿湯[1-1]《傷寒論》「茵蔯蒿6両、梔子(擘)14枚、大黄(去皮)2両」右三味、以水一斗二升、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。 (辨陽明病脉證并治第八) ◎陽明病、発熱、汗出者、此為熱越、不能発黄也。但頭汗出、身無汗、剤頸而還、小便不利、渇引水漿者、此為瘀熱在裏、身必発黄、茵蔯蒿湯主之。◎傷寒七八日、身黄如橘子色、小便不利、腹微満者、茵蔯蒿湯主之。(巻第五 辨陽明病脉證并治第八)。
#茵蔯蒿湯[1-2]《傷寒論》「茵蔯蒿6両、梔子(擘)14箇、大黄(破)2両」右三味、以水一斗二升、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分温三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。 ◎陽明病、発熱、汗出者、此為熱越、不能発黄也。但頭汗出、身無汗、剤頸而還、小便不利、渇引水漿者、以瘀熱在裏、身必発黄、宜下之以茵蔯蒿湯主之。 (辨可下病脉證并治第二十一)◎傷寒七八日、身黄如橘子色、小便不利、腹微満者、属茵蔯蒿湯証。
#茵蔯蒿湯[1-3]《金匱要略》「茵蔯蒿6両、梔子14枚、大黄2両」右三味、以水一斗、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分温三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。◎穀疸之為病、寒熱不食、食即頭眩、心胸不安、久久発黄、為穀疸。茵蔯蒿湯主之。(黄疸脉證并治第十五)
#茵蔯蒿湯[1-4]《傷寒論》《龍野一雄》「茵蔯蒿6.0g、山梔子1.4g、大黄2.0g」水480で先ず茵蔯を煮て240に煮詰め、他薬を加え更に煮て120に煮詰め、1日3回に分服。
◎茵蔯蒿湯証=心胸安からず、久久にして黄を発す《薬徴》(←茵蔯蒿) [心胸安からず]=みずおちから胸にかけて気持ちが悪くサッパリしない。◎黄疸で或いは発熱頭汗、尿利減少、或いは腹微満、或いは寒熱不食頭眩心胸部不安の者。◎瘀熱、尿利減少。◎一身発黄し、心煩し、大便難に、小便不利の者を治す《類聚方広義》◎目標:《大塚敬節》大小便不利、悪心or嘔吐、胸内苦煩、口渇があり、腹診上、上腹部の膨満がある場合に用いられる。発熱・口渇・尿不利・便秘を目標にして用いる。黄疸の有無にかかわらない。これらの症状のほかに悪心・胸の苦悶があることもある。もし発熱・口渇・尿不利があって、便秘がなければ、茵蔯五苓散または五苓散を用いる。
【適応症】 口渇があり尿量少なく、便秘する者の次の諸症: ジンマシン・口内炎。
【注意】《矢野敏夫》 <1>次の者には投与しないこと。 身体虚弱の者。とくに体内に欝滞した熱感のない冷え症の者。
<2>次の者には慎重に投与すること。 妊婦、又は妊娠していると思われる者。 高齢者。 <3>副作用
消化器系:下痢、腹痛を催したり、食欲が減退することがある。
【ポイント】《矢野敏夫》 <1>古来より各種の黄疸・ジンマシン・口内炎に用いられているが、体力のある者で咽喉の渇き、心窩部から胸部にかけてのふさがるよういな胸苦しさ、便秘、肝臓部の圧迫感などを目標にします。
<2>五苓散、小柴胡湯などの処方とよく合方して使われます。 <3>熱症状、炎症症状の緩和なもの、便秘のない者には梔子柏皮湯がよい。
【腹証】《矢野敏夫》 ☆心下部が痞えて少し膨満感がある。 ☆腹部全体の緊張は良好。
★適応症及び病名 (茵蔯蒿湯)
[1]アトピー性皮膚炎
[2]足が腫れる:☆<下肢>が多い。
[3]油っこい食事で気分が悪くなる
[4]胃痛:☆(日射病による胃の煩痛)
[5]陰部掻痒症:☆女性外陰部のかゆみ。
[6]黄疸:☆黄疸のさいには出血の傾向がある《大塚敬節》 ☆黄疸と伴うときには、頭汗・皮膚掻痒感を伴う《矢野敏夫》☆黄疸等にして、少しく腹満ある証《奥田謙蔵》☆発熱のない黄疸にはá「茵蔯五苓散」を考える。☆(肝細胞性の黄疸)☆(溶血性に不適、閉塞性には不十分)☆《勿誤薬室方函口訣》“此の方は発黄を治する聖剤なり。世医は黄疸初発に茵蔯五苓散を用ゆれども非なり。先ず此の方を用いて下を取って後、茵蔯五苓散を与えるべし。茵蔯は発黄を治するを専らとする。蓋し、湿熱を解し利水の効あり。故に《蘭室秘蔵》の当帰拈痛湯、《医学綱目》の犀角湯にも此の品を用いて、発黄のみにはかかわらぬなり。梔子・大黄と伍するときは利水の効あり。方後に云う尿如角汁と、これなり。後世にても加味逍遥散、竜胆瀉肝湯等の梔子は皆清熱利水を主とするなり。但し此の方、発黄に用いる時は陽明部位の腹満小便不利を主として用るべし。もし心下の欝結ある者は大柴胡湯茵蔯かえって効あり。もし虚候ある者は千金茵蔯湯に宜し。《幼幼新書》吉本家伝。小児、身体黄・便黄・眼目睛黄は、これ疸なり。此の方によろし。即ち本方朴硝と。余は、本方の証にして胃熱激しき者を治するに、之を用いて奏功す。”《雑病論識》☆《大塚敬節》“体格、栄養ともに中等度の34歳の男子。約10日前に、原因不明の熱が出た。その熱が2、3日で下るとともに、全身が黄色になった。医師は急性肝炎と診断して薬をくれたが、どうも気持が良くないという。症状は、黄疸・口渇・全身の搔痒感・尿量の減少、ときどき少しずつ出る衂血などであり、みずおちに、何かが詰まっている感じがするという。脈は遅にして力があり、舌には少し黄苔があって乾燥している。腹部は全体にやや膨満し、鳩尾の部から右の季肋下にかけて抵抗と圧痛があり、肝臓の下縁を指頭にふれる。私はこれに茵蒿湯与えたが、翌日から尿がたくさん出るようになり、口渇が減じ、7日分の服用で、黄疸は大半消失し、19日分の内服でまったく健康になった。”
[7]悪心:☆(軽い)<+>☆悪心強い者にはá「柴胡剤」を考えるor合方する。
[8]かゆい:☆(激しい掻痒)
[9]脚気
[10]肝炎(急性肝炎)☆この方は黄疸の治療薬として有名であるが、黄疸がなくても、口渇・尿不利・便秘・胸内苦悶の状があれば用いる。そこで、急性肝炎の初期で、まだ黄疸の現れないうちに、悪心・食欲不振・便秘・尿利減少・発熱などを目標として、この方を用いる。そうすれば、黄疸が現れても軽く、短期間のうちに全快する。《大塚敬節》
[11]肝硬変
[12]肝臓肥大
[13]感情不安定:
[14]乾癬
[15]眼目痛
[16]気管支炎
[17]急性肝炎:☆茵蔯蒿湯証の患者は、胸がつまったような、塞がったような何とも名状できないような不快感を訴えるものである《大塚敬節》
[18]激症肝炎:(熊胆0.3g~0.6g)
[19]下血
[20]月経異常
[21]月経不順
[22]血清病
[23]結膜炎
[24]口がねばる
[25]口渇:☆急性肝炎の初期やネフローゼの初期に激しい口渇を訴えることがあり、その時に、茵蔯蒿湯を用いる機会がある《大塚敬節》
[26]口乾: ☆口中乾燥気味《矢野敏夫》
[27]口苦
[28]口内炎
[29]甲状腺機能亢進症
[30]更年期障害
[31]黒色便
[32]歯根炎
[33]歯周炎
[34]子宮出血:☆《生々堂医談》
“京師、小川通二条下町、近江屋与兵衛の妻は、毎月、月経が17、8日も止まず、こんな状態が3年間も続き、種々医薬を用いても治らないので、自分に治を乞うた。診察してみると、脈が細数で、からだの色は青白く、起きあがると喘鳴があり、小便が自然に漏れる。それに動悸がひどくて、今にも死ぬのではないかと思われるほどである。そこで茵蔯蒿湯を作って与えた。ところが、その夫はかって製薬を職業としたことのある者で、少しばかり薬のことを知っているので、不思議がって、自分に尋ねた。妻の病をもともと血症で発黄の症ではない。それなのに補血・調血の剤を与えないで、茵蔯蒿湯を与えるとは、どうした訳であるか、こんな虚証を、この上更に茵蔯蒿湯で攻めるのは虚々の法で、そのため死ぬるに違いない。どうしてこんなものを用いるか、その訳を聞かせてほしいと。自分が答えて云うのに、犀角地黄湯、芎帰膠艾湯の類は、前医がもう用いたところで一通りは、薬方と病症が一致しているように見えるけれども、そうではない。それだからこそ、3年もの間、これらの薬を呑んでも、なお治らなかったのではないか。この茵蔯蒿湯をなぜ用いるかを簡単にわかりやすく説明することはむつかしいがまあ一口に云えば、欝熱を除けば血は自然に治まるという意味であると、その人ついに自分の言に信伏してこの方を服し、50日ばかりですっかり治ってしまった”
[35]衂血
[36]湿疹:☆14歳の男児。平素から便秘の傾向があり、いつも下剤を飲んでいるという。こんどの病気は10日前からで、全身にジンマシンが出て、かゆくて堪えられないという。それにノドが詰まる感じがある。《大塚敬節》
[37]上腹部の膨満感(微満):☆この方の腹診は上腹部の軽微の膨満である。もし肝の腫脹があって、胸脇苦満が著明であればá「大柴胡湯」《大塚敬節》
[38]食事の臭いで気分が悪くなる
[39]食欲不振<+>☆今まで食欲のあった人が、突然食べたくなくなり、胸が詰まったようで、吐き気があり、魚や牛肉を焼く匂いを嗅ぐだけで、吐きそうな気分になるときは、急性肝炎の疑いがある。この際、便秘し、口渇を訴え、尿利も減少し、心下部がつまったようで膨満しているならば、茵蔯蒿湯を用いる。これで大小便が快通し、口渇も悪心もとれる。熱のある場合にも良く、また黄疸の有無にかかわらず、これを用いて良い。《大塚敬節》
[40]自律神経失調症
[41]腎盂炎
[42]腎炎
[43]心下堅大
[44]心下痞
[45]心煩
[]神経症:☆心胸不安、上腹部膨満感
[46]ジンマシン:☆26歳の芸者。10日ほど前、客坐でエビの天ぷらを食べ、その夜から発疹と瘙痒で夜の明けるのが待ちきれないで医師を呼んだ。医師は直ちにカルシウムの注射を打ち下剤を2日分与え、明日もまた明日もで、5本の注射を打たれたが、次第に薬効が減ずる様で全身の瘙痒が激しく閉口し、夜もろくろく眠れぬばかりか、御客の前で掻くのもきまりが悪いので休業しているとの事。但し下痢はなく、口が乾き、食も異常ないと云う。
茵蔯蒿湯3日分投与。再来の時は発疹も瘙痒も全くなくなっていた。《掘均》☆55歳の官吏。2年前ハイキングに出掛けて、毒草にあてられ帰途より瘙痒を覚え、翌日発疹、直ちに医師の手当を受けたが、一向に良くならないので、伊香保の温泉に1ヶ月ばかり入浴し、かなり良くなったので帰京した。しかし全治と云うわけでなく、紹介されてきた。腎臓に故障が起きていたので、先ず茵蔯蒿湯を服用し、1ヶ月後、防風通聖散を与え、1ヶ月で治った。《掘均》
[47]膵臓炎
[48]頭汗☆全身に汗が出るとá「大黄硝石湯」を考える。
[49]舌炎
[50]舌質<紅> ☆舌周辺全体に紅色(熱症状)《矢野敏夫》
[51]舌苔:☆<微白~黄~黄膩> ☆白苔(厚い傾向)《矢野敏夫》
[52]舌瘡
[53]譫語
[54]帯下:☆(悪臭・黄色)
[55]胆石症
[56]胆嚢炎:☆茵蔯蒿湯は、胆汁分泌が異常な患者に対し、bilirubin分泌量を増大し胆汁分泌を正常化する作用が顕著にある。しかし、茵蔯蒿単味では、わずかに利胆作用が認められるが、大黄だけではさらに微少で、山梔子には認められない。3味の配合の妙である。
[57]血の道症
[58]吐血
[59]尿が濃い
[60]尿赤濁 ☆瘀熱による
[61]尿不利
[62]ネフローゼ:☆昭和14年5月に、8歳の男児のネフローゼを治療した。その当時の主訴は浮腫と貧血であって、尿量は少なく、尿中に多量のタンパクを証明した。私はこれに五苓散を与えたが、患者は2日ぐらい飲んで、飲みにくいからイヤだといって止めてしまった。それから2年たった。私はその患者のことを忘れていた。ところが、昭和16年5月18日に、この患者から、突然往診を頼んできた。患者の祖母のいうことには、あれから近くの病院に入院して色々手当を受けたが、今に治らない。この状態では、いつ治るかの見当もつかない。薬が変わると、4、5日は尿量が増して、浮腫も減退するが、また間もなく、元のように尿利は減じ、浮腫が増してくる、こんなことをいつまでも繰り返しているという。
そこで今度は必ず薬を飲ませるし、本人も飲む気になっているから、ぜひお骨折りを乞うというのである。私が往診した日の浮腫は、そんなに高度ではなく、顔面と腹部とに主として水気があった。その日の朝まで、洋薬の利尿剤を飲んでいたというこの患者をいくら詳しく診察してみても、本当の証をつかむことは難しいと考えた私は、簡単に診察をすませて帰ってきた。そして3日分の分消湯を与え、この患者を紹介してくださった方に、電話で、次のように通じておいた。
“今日、Sさんを診まして薬をあげましたが、いままで飲んでいた強い利尿剤を今日限り止めさせましたので、2、3日中に、うんとむくみが増して、小便が出なくなると思います。その時、あなたの方へ文句が来るかも知れませんが、そんなことで薬を止めるような了見では、あのような難症は決して治りませんから、どうぞそのおつもりでいて下さい”
果たせるかな、3日目の早朝、患家から電話があり、昨日から尿利が減少して、一昼夜の尿量が200‹に足らず、全身がだるまのようにむくみ、そのため胸が苦しくて昨夜は少しも眠れませんでした。至急おいでくださいと。この日の午後になって、私は患家をたずねたが、2階への梯子段を上りかけると、苦しい、苦しいという患者のうなり声が聞こえる。泣いているのである。浮腫のために僅かに開いている眼裂から涙が頬につたって流れている。腹部はひどく膨満して、鳩尾の部には、数条の青筋が見える、口渇は強いが尿は出ない。それに、3日間便秘している。浮腫は緊張が強くて、張り切っていて、強く押さないと凹まない。脈も沈んでいるが、力がある。こんな状態から考えると、この患者の浮腫は実腫であり、茵蔯蒿湯証のように思われた。
茵蔯蒿湯は、一般に黄疸を治する処方のように考えられているが、この方は“瘀熱が裏にある”と古人がいった場合に用いる方剤で、 口渇・尿利の減少と尿の赤褐色・便秘・胸内苦悶・腹部膨満などを目標にして用いる。必ずしも黄疸の存在を必要としない。《中神琴渓》は、頑固な子宮出血で、いろいろの手当でも治らなかったものを、裏に瘀熱があるからとて、この方を用いて治し、《村井琴山》は、脚気で、ほていのように脹満した者に、この方を与えて速治している。
今、この患者をみるに、浮腫はひどいけれども、茯苓や朮のような利尿剤を用いる証とも思われない。また麻黄剤の適応症のようにも見えない。この患者は、浮腫の他に、心胸部の苦煩(むなぐるしい)口渇、尿利の減少、便秘、腸満を訴えている。しかし患者の主訴は、心胸の苦煩である。そのため眠れないのである。これは正しく梔子剤の証にみられる心中懊にて眠るを得ざる証ではないか。茵蔯蒿湯の証に“心胸安からず”とあるのは、この状態をいったものである。また茵蔯は、裏の瘀熱を去って口渇を治し、尿量を増やす効がある。茵蔯蒿湯はこの2つの薬物に大黄を加えたものである。
このような考案によって、茵蔯蒿湯を与えたところ、驚くべき奇効がたちまち現れ、その翌日は尿量1500‹に達し、心胸はくつろぎ、食は進み、20日ばかりにして、腹部に浮腫を残すだけになり、自覚的には、ほとんど苦痛を訴えない状態となった。心下部の青筋と腹水はやや減少したが、全く去るというまでにはならない。その頃になって、尿量はまた少し減じ、700~800‹になった。これは気分が良いために、安静を守らないからではないかと考えた。ところが投薬を始めて26日目の夜半の2時頃より猛烈な腹痛を訴えるようになり、盲腸炎らしいから至急往診を乞うという電話があった。不思議に思いながら、駆けつけてみると、患者は眉間にシワをよせて、涙を流している。顔は蒼白である。脈をみると、浮にしてやや数である。疼痛は回盲部より右腎の部位に広がり、圧に対して過敏である。ちょっと右足を動かしても、寝返りをしても腹痛はひどくなる。しかも、腹部にはまだ浮腫が相当あるので、深部の状態を充分に探ることが難しい。体温は39度6分である。
私は両親を別室に呼んで言った。こんどの腹痛はおそらく虫垂炎のためであろうと思う。しかしネフローゼに併発した虫垂炎を治療した経験は私にない。したがって、先の見透しはつかない。治療をしてみなければ、治るとも治らない友断言できない。私は一生懸命に手当をしてみるつもりでいるが、虫垂炎は手術しなければならないというのが一般の風潮であるから、あなた方が手術をする覚悟であるなら、私はこれを拒まない。ただ手術の結果がネフローゼに良い影響を与えると、私は考えないから、その点を御熟考の上、態度を決められたいといって帰ってきた。
すると1時間もたたないのに薬をとりにきた。そして云った。「一切を先生にお任せします。たとえ死ぬようなことがあっても、決して恨みません。私たちは覚悟を決めました」と。そこで私は大黄牡丹皮湯を与え、午後3時頃、電話をかけて症状をたずねた。体温は37度8分をなり、腹痛も楽のようだというのが、その返事であった。
私はいくらか安心して、往診の途中、午後7時頃、患家に立ち寄った。その時、患者は眠っていたが、脈も静になり、腹部には圧痛はあるが、自発痛は8分通り去った様子である。その翌朝早く、私はまた患家をたずねた。そして驚いたことには、いままで膨満して青筋のあった腹がぐっと小さくなり、青筋も無くなっている。尿は昨朝から1500‹以上も出たという。ほとんど飲食物をとっていないのに、いままでにない多量の尿が出たことは、予想外であった。しかし体温は平温になった。それから引き続き6日間、大黄牡丹皮湯を与えたところ、虫垂炎の症状はすっかりとれ、尿は毎日1500‹~2200‹もあり、尿中のタンパクもほとんど出なくなった。
この患者は前から腹部に青筋があったから、初めから、瘀血の証として、駆瘀血剤を与えるべきであったかも知れない。《大塚敬節》
[63]熱感
[64]ノイローゼ
[65]バセドウ病
[66]肺炎
[67]梅核気(のどの異物感)☆梔子は“咽中のふさがる”のを治する効があり、利膈湯、梔子豉湯などは食道炎・食道ポリープ。食道ガンなどによる嚥下困難に用いられる。そこでこれらもまた咽頭の異物感に応用でられる。また梔子の配剤せられている茵蔯蒿湯の証にも、のどのつまるという訴えがもられる。《大塚敬節》☆14歳の男子。10日前からひどいジンマシンが出るようになった。その頃から、のどがつまるような感じが起こり、又、のどがつまるような時にはジンマシンもひどく出るという。前々から便秘するくせがあり、下剤で通じをつけているという。茵蔯蒿湯を用いる目標の1つに“心胸安からず”という症状がある。私はこののどがつまるような感じを“心胸安からず”の変形とみた。そして茵蔯蒿湯を用いたところ、5日間の服用で、のどのつまる感じが去ると共に、ジンマシンも全く出なくなった。《大塚敬節》
[68]発熱
[69]ヒステリー
[70]皮膚病
[71]浮腫:☆口渇と尿利の減少と便秘と胸内苦煩を目標にして用いる方剤であるが、これらの症状があって浮腫するものに用いる《大塚敬節》☆効のあったのは、いずれも、腹部の浮腫が他の部分より著しく、便秘の傾向だった。《大塚敬節》
[72]腹水
[73]腹満:☆少し<+>腹部が膨満する。☆熱性証候劇しからず、腹満あるも能く食し、尿赤渋して糞便硬く、汗無くして煩悶する証《奥田謙蔵》☆汗下の後、熱性証候なく、腹満ありて糞便黒く、時々蒜臭を自覚し、煩悶し、然かも反って能く食する証《奥田謙蔵》☆発汗の後、腹満し、譫語し、或いは時に狂状をい発し、尿不利、大便難、その脈微にして沈なる証《奥田謙蔵》☆腹満著明ならá「承気湯類」を考える。☆腹満なら:á「小柴胡湯」を考える。
[74]不眠症
[75]便がスッキリ出ない
[76]便秘:☆肝機能障害があって便秘する者に用いる機会がある。ときに大柴胡湯に合して用いる《大塚敬節》
[77]膀胱炎
[78]慢性肝炎
[79]目が充血
[80]目が黄濁(目がきたない)
[81]卵巣機能障害
#茵蔯呉茱萸湯《東醫寶鑑》
「茵蔯一物湯呉茱萸・炮附子・乾姜(炮)木通・当帰各1銭」 ◎陰黄で姜・附諸薬を飲んでも治らず、脈遅の者。
#茵蔯五苓散[1-1]《金匱要略》「茵蔯蒿(末)10分、五苓散5分」右二物和、先食飲方寸匕、日三服。◎黄疸病、茵蔯五苓散主之。《金匱要略》黄疸病脉證并治第十五。
#茵蔯五苓散[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「茵蔯蒿末2、五苓散1の割合で混和し、1日量6.0gを分3。」 ◎黄疸、小便不利。
#茵蔯五苓散料[1-3]《金匱要略》《龍野ー漢方処方集》「茵蔯蒿6.0g、沢瀉・茯苓各4.0g、白\朮・桂枝・猪苓各3.0g」
#茵蔯五苓散[1-4]《金匱要略》《勿誤薬室方函口訣》「五苓散方中に茵蔯を加う」 ◎此方は発黄の軽症に用いる。小便不利を主とするなり。故に《聖済総録》に此方、陰黄身如橘色小便不利云々治すと云う。陰黄の症、《巣源》に詳らかに見えて陰症のこと
茵蔯五苓散[1-5]《金匱要略》《東醫寶鑑》「茵蔯1両、五苓散5銭」粉末にし、毎回2銭を米飲で調下する。「五苓散茵蔯4g」《方薬合編》 ◎湿熱黄疸を治す。
◎排尿障害・黄疸・肝硬変・腎炎・浮腫。 ◎黄疸病、発熱して水を飲まんと欲し、小便難にして腹虚なる者は、茵蔯五苓散之を主る。《医聖方格》
★適応症及び病名 (茵蔯五苓散)
[1]足の裏(足蹠)が熱っぽい。
[2]油っこい食事で気分が悪くなる
[3]アルコール中毒による肝障害。
[4]黄疸 ☆<湿熱><酒疸>の黄疸に使う。
☆五苓散の証にして発黄する者を治す。《吉益東洞》
☆黄疸様疾患にして、熱性症候甚だしからず、腹部比較的軟弱、尿量減少せる等の者。《奥田謙蔵》☆初生児の黄疸。《奥田謙蔵》
☆寒湿による黄疸⇒「茵蔯四逆湯」を考える。
☆黄疸があって、口渇と小便不利のある者に用いる《大塚敬節》“患者は有名な画家であるが、胆石疝痛の発作が、たびたび起こるので、某病院で胆嚢の摘出手術を受けた。ところが、その後も、毎年初夏になると、胆石疝痛に似た症状が起こる。そのために、半年ぐらいは仕事が出来ないという。発作の起こり初めは、食欲が無くなる、それがひどくなると嘔吐が始まる。腹痛はひどくはないが、嘔吐のため食事がとれないので、体力が衰え、僅かの腹痛にも堪えがたいと云う。このような状態が10月頃まで続く。その為患者は、骨と皮になってしまうのが常だった。昭和22年7月8日、私はこの患者を茨城県の某町に見舞った。何を食べても吐くので、やっとの思いで、重湯をすすっているというこの患者は、発病してまだ7日あまりなのに、かなり衰弱し、それに黄疸も現れている。脈には力が無く、しかものろい。腹にも力がない。上腹部を強く圧すと痛む。ノドは渇くが、吐くので出来るだけ呑まないようにしているという。尿は柿の色のように赤く、1回に50~100‹ぐらいしか出ない。私は口渇・嘔吐・尿利の減少・黄疸を目標にして、茵蔯五苓散を与えて嘔吐を鎮めることに成功した。嘔吐は止んだが、食欲がないので、しばらく六君子湯を与えて様子を見ることにした。これを飲んでいる中にも黄疸もとれ、日増しに体力がつき、庭に萩の花が咲く頃には、これを写生出来るほどに力がついてきたその後、この患者は再びこのよいうな発作を起こさなくなった。この場合に、茵蔯五苓散で、腸管に残っていた石が排泄せられたのかも知れない”
[5]悪寒
[6]悪心
[7]嘔吐
[8]顔に発斑<赤い>
[9]からだが黄色い(皮膚色<黄色い>)
[10]肝硬変
[11]急性胃腸炎
[12]急性肝炎:☆口が渇き、水っぽいものばかり欲しく、吐き気があり、尿量の少ない急性肝炎で、便秘せず下痢しているか、便通が快通しているならば、茵蔯五苓散を用いる《大塚敬節》
[13]急性膵炎
[14]月経困難(煩渇・小便不利を伴う)
[15]月経不順
[16]下痢(泥状~水様便)
[17]口がねばる
[18]口渇
[19]口苦
[20]ジンマシン
[21]自汗
[22]十二指腸潰瘍
[23]上腹部振水音
[24]小便不利
[25]食事の臭いで気分が悪くなる
[26]食欲不振
[27]心悸亢進
[28]心懊悩
[29]新生児黄疸
[30]膵臓炎
[31]舌質:<紅>
[32]舌苔:<微白~微黄~微黄膩>
[33]胆石症
[34]胆嚢炎(急性胆嚢炎)
[35]つわり
[36]手足煩熱
[37]吐乳
[38]軟便
[39]尿色<赤黄><赤濁>
[40]尿量減少
[41]ネフローゼ:☆患者は3歳の時、肺結核に罹り、化学療法の他に小柴胡湯を併用して高熱も下り、咳も止みやっと全快し、やれやれと安心したところで浮腫が現れた。この浮腫は数日のうちに眼も開かないほどに高度になり、尿中のタンパクもズルフォ2、3滴で泥状に固まるほどに多い。口渇は激しいが、尿は1昼夜に300~200‹くらいである。初診時の血圧は134-110で、脈は沈小数で悪寒があった。腹部は膨満して腹水があり、皮膚は緊張している。下肢の浮腫を按圧してみるに、しばらく陥没しているが、軟弱ではない。舌には白苔があって乾燥している。食欲はあまりなく、水っぽいものばかり欲しがる。大便は1日1行で軟い。
こんな状態であるから、予後が心配である。しかしとにかく出来るだけの手当をしてみようと考え、五苓散に茵蔯を加えて茵蔯五苓散として与えた。なぜ茵蔯を加えたかというに、茵蔯には肝臓の機能を盛んにして、尿利を促す効があるので、これを加えてみたのである。ところが、2、3日たつと、尿が400~600‹とだんだん多く出るようになった。しかしこの患者はなかなか安静を守らないので、たびたび失敗して何回も後戻りをしながら、しかも次第に浮腫が減じ、5ヶ月たった頃は、腹水と下肢の浮腫を残すのみとなった。ところが、ある夜、突然39℃の熱が出た。耳が痛いという。中耳炎である。そこで小柴胡湯桔梗石膏に転じ、数日で、中耳炎は全快した。そこでまた茵蔯五苓散に戻した。その後も、時々、風邪を引いたり、咳をしたり、熱を出したりした。その時は小柴胡湯茯苓黄連を与え、これらの症状がとれてから、茵蔯五苓散に戻した。こんな風にして、2年あまりたった頃には、浮腫はほとんどなくなり、何かの拍子に時々僅かに浮腫が現れる程度になった。《大塚敬節》
[42]のぼせ
[43]排尿困難
[44]発熱<+>☆発熱は強くない。強い時は茵蔯蒿湯・梔子柏皮湯を考える。
[45]煩渇
[46]腹水(肝硬変の)
[47]腹部膨満(脹満)
[48]浮腫
[49]二日酔い
[50]慢性肝炎:☆口が渇き、尿が出にくい者で、腹壁柔らかく、胃内停水ある者。 ☆62歳の男性。 「6ヶ月前から鳩尾の当たりが張り、苦しく、食欲が衰え、むくみが下肢から腹部に及んできた。小便は黄赤色で回数が多くなり、腹水と下肢のむくみが徐々に増えて黄疸があらわれてきた。
むくみは軟弱で押すとへこんで長くそのまま残っている。小柄でやせ衰え、肝臓が腫れていて、脈は弦緊で、血圧は(205-95)、舌には白いコケが熱く乾燥し、口は渇いている。肝臓ガンの疑いがあるからと、入院を勧められたことがあるという。
しかし入院を嫌い、薬を望むので茵蔯五苓散の煎薬を与えたところ、、尿量が増え、20日後には黄疸・肝臓肥大・腹水のいずれもほとんど消えて、食欲が出て元気になった。血圧も(140-80)となり、40日間服用ののち、出勤する事が出来る葉になった」《矢数道明》
[51]メッケル憩室⇒胎生時の臍腸管が、生後完全に閉鎖しないために生じる腸の憩室。
[52]目が黄色い
[53]目眩
#茵蔯散[1]《聖済総録》《勿誤薬室方函口訣》 「茵蔯・柴胡・芍薬・茯苓・黄芩・麦門冬・山梔子・犀角・甘草・生姜・竹 葉・地黄」◎傷寒の後、熱心中にあり、恍惚・多驚・不眠を治す。 ◎此の方は《医学綱目》犀角湯の原方にして、傷寒、導赤各半湯の症にて、熱心下に結留して数日解せざる者に用いて効あり。雑病には犀角湯反って捷効する。
#茵蔯散[2]《張氏医通》《勿誤薬室方函口訣》 「茵蔯蒿・荊芥・薄荷・連翹・麻黄・升麻・独活・白彊蚕・細辛・大黄・牽牛子」◎骨槽風を治す。骨槽風は難治だが、初起に此方を用いると治ることが多い。[骨槽風]=耳前頬骨に生じ、腐潰穿孔し、口中膿を噴す。口眼斜になったり、上歯根が腐潰して飲食出来ず、遂には死亡することもある。◎此方は骨槽風を治すのが主であるが、牙歯疼痛、歯根腐爛して諸薬無効の者の用いる。◎さらに、上部瘀毒上衝して項背強急する者を治す。
★適応症及び病名 (茵蔯散)
■骨槽風:☆骨槽風の初期に用いる《浅田宗伯》
■歯根炎
■歯根膜炎
■虫歯の痛み #茵蔯散[3-1]《東醫寶鑑》「茵蔯蒿・山梔子・赤茯苓・猪苓・沢瀉・蒼朮・枳実・黄連・厚朴・滑石各1銭、灯心一握り」煎服。 ◎湿熱黄疸を治す。
#茵蔯散[3-2]《万病回春》《古今方彙》「茵蔯蒿・枳実・芍薬・厚朴・滑石・猪苓・沢瀉・蒼朮・赤茯苓・黄連各等分、燈心草」水煎。◎湿熱にて発黄するを治す。◎身熱には:「柴胡」
◎小水短赤には:「黄柏」◎胸膈飽悶には:「蘿葡子茯苓」◎酒を飲む人:「瓜蔞仁乾葛砂仁滑石」
#茵蔯三物湯《東醫寶鑑》「茵蔯蒿3銭、山梔子・黄連各2銭」水煎服。 ◎黄疸で熱便の不利する者。
#茵蔯四逆散《東醫寶鑑》「茵蔯一物湯・炮附子・乾姜(炮)・炙甘草各1銭」 ◎陰黄で肢体が逆冷し、自汗する者。
#茵蔯四逆湯[1-1]《張氏医通》 「茵蔯蒿・炮姜各6g 炮附子・炙甘草各4g」◎温化寒湿、補陽退黄《中医処方解説》
#茵蔯四逆湯[1-2]《張氏医通》「茵蔯蒿18g、熟附子9g、乾姜9g、甘草(炙)3g」水煎服。
#茵蔯四逆湯[1-3]《方薬合編》「茵蔯・乾姜・炙甘草各4g 炮附子1~4g」 ◎身体が冷え・自汗する黄疸。
#茵蔯四逆湯[1-4]《景岳全書》ー古方八陣ー「茵蔯2両、炮姜1両半、附子(炮)1個、甘草(炙)」
#茵蔯四逆湯[1-5]《医塁元戒》 「四逆湯茵蔯」「茵蔯2両、附子1枚、乾姜1両半、甘草(炙)1両」水煎。《古今方彙》冷服する。◎発黄、脈沈細にして遅、肢体逆冷し、腰以上自汗する者を治す。◎これ陰黄の証治に属す。《雑病翼方》
★適応症及び病名(茵蔯四逆湯)
<1>黄疸:☆寒湿による黄疸☆陰黄(黒ずんだ黄疸) ☆黄疸の陰症ですでに厥陰に及んだ者に用いる《有持桂里》☆手足など微冷する者に用いる。しかしこの方は茵蔯蒿がなくても良い。一通の四逆湯でよい。ただ他の医者と対診して処方を書くときには、四逆湯を用いると云えば、見識のある古方家ならば合点するけれども、そうでない人は信用しない。そこで四逆湯を用いても表向きには《医塁元戒》の茵蔯四逆湯を用いると云っておいた方が、そばの人が安心してよいものである。《有持桂里》
<2>肝硬変
<3>食欲不振・下痢:「白朮」《医学心悟》
<4>慢性黄疸型伝染性肝炎
<5>慢性胆嚢炎
#茵蔯四逆散《東醫寶鑑》
「茵蔯一物湯・炮附子・乾姜(炮)・炙甘草各1銭」 ◎陰黄で肢体が逆冷し、自汗する者。
#茵蔯四逆湯[1-1]《張氏医通》 「茵蔯蒿・炮姜各6g 炮附子・炙甘草各4g」◎温化寒湿、補陽退黄《中医処方解説》
#茵蔯四逆湯[1-2]《張氏医通》「茵蔯蒿18g、熟附子9g、乾姜9g、甘草(炙)3g」水煎服。
#茵蔯四逆湯[1-3]《方薬合編》「茵蔯・乾姜・炙甘草各4g 炮附子1~4g」 ◎身体が冷え・自汗する黄疸。
#茵蔯四逆湯[1-4]《景岳全書》ー古方八陣ー「茵蔯2両、炮姜1両半、附子(炮)1個、甘草(炙)」
#茵蔯四逆湯[1-5]《医塁元戒》 「四逆湯茵蔯」「茵蔯2両、附子1枚、乾姜1両半、甘草(炙)1両」水煎。《古今方彙》冷服する。◎発黄、脈沈細にして遅、肢体逆冷し、腰以上自汗する者を治す。◎これ陰黄の証治に属す。《雑病翼方》
★適応症及び病名(茵蔯四逆湯)
<1>黄疸:☆寒湿による黄疸☆陰黄(黒ずんだ黄疸) ☆黄疸の陰症ですでに厥陰に及んだ者に用いる《有持桂里》☆手足など微冷する者に用いる。しかしこの方は茵蔯蒿がなくても良い。一通の四逆湯でよい。ただ他の医者と対診して処方を書くときには、四逆湯を用いると云えば、見識のある古方家ならば合点するけれども、そうでない人は信用しない。そこで四逆湯を用いても表向きには《医塁元戒》の茵蔯四逆湯を用いると云っておいた方が、そばの人が安心してよいものである。《有持桂里》
<2>肝硬変
<3>食欲不振・下痢:「白朮」《医学心悟》
<4>慢性黄疸型伝染性肝炎
<5>慢性胆嚢炎
#茵蔯梔子湯《東醫寶鑑》「茵蔯蒿3銭、大黄2銭、山梔子・枳実各1銭」水煎服。 ◎穀疸を治す。
#茵蔯瀉黄湯《東醫寶鑑》「葛根1銭半、茵蔯蒿・黄連(姜汁炒)・山梔子(炒)・白朮・赤茯苓・白芍・厚朴・木通・人参各1銭、木香7分、生姜3片」水煎服。 ◎発熱して黄疸担った症(⇒瘟黄)を治す。
#茵蔯朮附湯《医学心悟》《中医処方解説》「茵蔯四逆湯加白朮」
#茵蔯大黄湯[1-1]《万病回春》《古今方彙》「茵蔯・大黄・枳実・山梔子・厚朴・滑石各等分、甘草減半、燈心草」水煎。◎黄疸にて大便結実するを治す。
#茵蔯大黄湯[1-2]《東醫寶鑑》「茵蔯蒿・山梔子・柴胡・黄柏・黄芩・升麻・大黄各1銭、草竜胆5分」水煎服。 ◎傷寒の大熱で黄疸になった者。
#茵蔯湯[1]《備急千金要方》 「茵蔯蒿湯《傷寒論》黄芩・黄連・人参・甘草」◎虚証の黄疸。
#茵蔯湯[2]《東醫寶鑑》「茵蔯3銭、大黄・梔子各1銭」作1貼し、水煎服。◎穀疸を治す。
#茵蔯附子湯《東醫寶鑑》「茵蔯一物湯炮附子・炙甘草各1銭」 ◎陰黄で全身が冷たい者。
#茵蔯附子乾姜湯[1]《衛生宝鑑》 「茵蔯蒿4.8g 炮附子12g 炮姜8g、草豆蔲(とろ火で煮る)4g、白朮1.6g、枳実(麩と炒る)・製半夏・沢瀉各20g、茯苓・橘紅各1.2g 生姜5片」
#茵蔯附子乾姜湯[2]《東醫寶鑑》「炮附子・乾姜(炮)各2銭、茵蔯蒿1銭2分、草豆蔲1銭、枳実・半夏・沢瀉各5分、白朮4分、白茯苓・橘紅各3分、生姜5片」水煎服。 ◎陰黄を治す。
#茵蔯茯苓湯《東醫寶鑑》「茵蔯蒿3銭、茯苓・猪苓・滑石・当帰・官桂各1銭」煎服。 ◎陰黄で小便不利、煩躁で渇する者。
#茵荊湯《竹中文慶》 「茵蔯蒿・荊芥・蒼朮・茯苓・猪苓・沢瀉・蒲黄・鉄粉」
#茴香安腎湯[1]《方薬合編》「人参・白朮・茯苓・茴香・破故紙・檳榔子・烏薬・香附子・縮砂・各3.2g 黄柏・沢瀉各2.4g 延胡索・木香各1.6g升麻・甘草各0.8g」 ◎睾丸腫大。
#茴香安腎湯[2]《東醫寶鑑》《方薬合編》 「人参・白朮・白茯苓・茴香・破故紙・檳榔・烏薬・香附子・縮砂・茄枝核各8分、黄柏・沢瀉各6分、木香・延胡索各4分、升麻・甘草各2分」水煎服。 ◎左辺が偏墜して、睾丸が鶏卵の大きさになった者。
#茴香練実丸《東醫寶鑑》「川楝子(炒)・茴香・山茱萸・呉茱萸・食茱萸・青皮・陳皮・馬蘭花・芫花各1両」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。温酒で50丸呑む。 ◎男の七疝。婦人の帯下・煆聚で痛みの激しい者。
#右帰飲[1-1]《景岳全書》(新方八陣・巻51)「熟地黄2銭~2両、山茱萸1銭、山薬(炒)・枸杞子・杜仲各2銭、甘草(炙)・肉桂1~2銭、制附子1~3銭」
#右帰飲[1-2]《景岳全書》《中薬臨床応用》「熟附子片5g、肉桂3g(服)、熟地黄18g、山茱萸9g、山薬12g、杜仲9g、枸杞子6g、炙甘草3g」◎陽虚の衰弱◎下半身の冷感◎腰膝がだるい◎下腹部の冷えとひきつるような痛み◎脈細弱
#右帰飲[1-3]《景岳全書》《中医処方解説》「附子9g、肉桂6g、熟地黄30g、山茱萸9g、山薬24g、枸杞子30g、杜仲15g、炙甘草3g、茯苓9g」◎温補腎陽。
#右帰飲[1-4]《方薬合編》「熟地黄8~18g 山薬・枸杞子・杜仲各8g 山茱萸・肉桂・炙甘草各4g 炮附子1~4g」 ◎虚労・尿失禁・腰痛・冷え症。
#右帰丸[1-1]《景岳全書》(新方八陣)「熟地黄8両、山薬(炒)・枸杞子・鹿角膠・制菟絲子・杜仲各4両、山茱萸・当帰各3両、肉桂2~4両、制附子2~6両」
#右帰丸[1-2]《景岳全書》《中医処方解説》「熟地黄24g、山薬12g、山茱萸9g、枸杞子6~12g、杜仲12g、兎絲子12g、熟附子6~18g、肉桂6~12g、当帰9g、鹿角膠12g、を粉末にし、蜜丸にし、1日2~3回6gづつ服用。◎温補腎陽、補血益精。
★適応症及び病名(右帰丸)■インポテンツ■遺精■慢性疾患:種々の慢性疾患で、腎陽虚の者。
#羽沢散(うたくさん)《方輿輗》「明礬・杏仁・甘草各2.0、丁字・竜脳各1.0」細末にし、絹布に包み座薬として膣内に挿入する。◎白帯止まず陰門腫痛、orかゆみ、or冷え、or臭気甚だしい者。◎この方は膣に挿入する坐薬で、内服薬に兼用する。帯下の多い者、陰部の冷える者、陰部にかゆみのある者などによい。《大塚敬節》
#禹功散[1-1]《寿世保元》《勿誤薬室方函》 「牽牛子4両、茴香1両」或いは木香1両を加う。生姜汁にて3味を調え、臥に臨んで服す。 ◎《古今医鑑》に云う、寒疝を治す。松原一閑斎曰く、疝気腰痛する者を治す。寧固曰く、乾湿水疝・陰嚢腫脹する者。
#禹功散[1-2]《東醫寶鑑》「黒丑頭末1銭、茴香2銭半、木香1銭」作末し、毎回2銭を姜湯で調下する。◎寒疝を治す。
#禹功散[2-1]《寿世保元》《龍野ー漢方処方集》「陳皮・半夏・茯苓・猪苓・沢瀉・白朮・木通・黄芩・山梔子各3.5g、升麻1.5g、甘草1.0g」◎尿閉。
#禹功散[2-2]《寿世保元》《方薬合編》「陳皮・半夏・茯苓・猪苓・沢瀉・白朮(炒)・木通・黄芩・山梔子(炒)各4g、升麻1.2g、甘草0.8g」◎排尿困難。
#禹功散[2-3]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・半夏・赤茯苓・猪苓・沢瀉・白朮・木通・黄芩・山梔子各1銭、升麻3分、甘草2分」水煎。 ◎小便通ぜず、百法奏功する能わざる者を治す。
#禹余粮丸《東醫寶鑑》「禹余粮(煆)・赤石脂(煆)・竜骨・蓽撥・訶子(炮)・乾姜(炮)・肉豆蔲()・炮附子各等分」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で70丸呑む。 ◎虚寒で、下痢が止まらない者。滑泄不禁。
#烏鴉散《東醫寶鑑》「烏鴉羽(焼く)1銭」酒で調服する。服用後に又酒1~2杯を呑んで、薬 力を増加させる。 ◎破傷風で、血が見えて昏悶する症。
#烏蝎散《東醫寶鑑》「四君子湯川烏・全蝎・天南星各1銭、生姜1」 ◎慢驚風の純陰性による吐瀉の止まらない症。
#烏金丸《経験方》「乳香、没薬、大黄、香附子、当帰、延胡索、烏薬、桃仁、蓬莪朮、天虫、五霊脂、肉桂、木香、益母草、黒豆、蘇木、紅花」
#烏荊円《和剤局方》 「荊芥穂・生烏頭」◎小産後、口噤目吊し、手足抽掣し、項背強直、角弓反張し、心頭倒築し、自利煩躁する者を治す。《雑病翼方》
#烏朮丸《東醫寶鑑》「蒼朮(水に10日間漬けて、皮を剥いて切り、焙って乾燥)半斤、川烏・川椒・青皮(去白)各3両、青塩1両を細末にし、蜜で梧子大に丸め、空腹時に塩湯で(又は温酒)30~50丸飲む。◎虚労を治し、筋骨を壮健にする。
#烏頭桂枝湯[1-1]《金匱要略》 「烏頭」右一味、以蜜二斤、煎減半、去滓、以桂枝湯五合解之、令得一升後、初服 二合、不知、即服三合、又不知、復加至五合。其知者如醉状、得吐者為中 病。◎寒疝・腹中痛・逆冷・手足不仁・身体疼痛、灸刺諸薬不能治、抵當烏頭桂枝湯 主之。
#烏頭桂枝湯[1-2]《金匱要略》《東醫寶鑑》「大川烏を蜜1杯で煎じ、半減したら取り出して細切りにし、肉桂・白芍茎各3銭3分、甘草2銭半、を剉作2貼し、生姜3、大棗2を入れ、前の煎蜜半合を同時に煎じて服用。◎風寒疝気が腹に入って刺痛のため、陰部がしぼみ・手足が冷える。
#烏頭桂枝湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 「烏頭1gを蜂蜜36gで煮て半分に煮詰め、別に桂枝湯20gを作り、両者を混和し、はじめ8gを服し、効かないと12gを服し、それでも効かないと20gを服用。 「桂枝湯烏頭蜜」《勿誤薬室方函口訣》◎腹中絞痛し、手足厥冷し、或いは不仁、或いは身疼痛する者を治す。《吉益東洞》 ○腹中絞痛し、手足逆冷し、或いは不仁、或いは身疼痛する者を治す《方極》 ○此の方の証は、桂枝湯の証にして此の諸証を兼ねるものなり。故に桂枝湯の方内において、烏頭、蜜煎を加えて之を治す。故に、「桂枝湯証にして」の5字あるべし。《方極刪定》◎此方は寒疝の主方なり。故に腰腹陰嚢にかけ苦痛する者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎後世にては「附子建中湯」を用ゆれども、此方、蜜煎にしたる方が速効あり。◎証によって「鹿茸」《勿誤薬室方函口訣》◎烏頭煎と表裏の別あり、病勢沈淪するは是れ「烏頭煎」とし、病勢浮揚するは是れ「烏頭桂枝湯」と為す。《雑病論識》 ◎激しい腹痛、手足冷或いは手足麻痺、或いは身疼痛、或いは腹部の深部鈍痛。 ◎「桂枝加附子湯」と組成が似る。◎「烏頭煎桂枝湯」《大塚敬節》◎目標:《金匱要略》には、寒疝で腹が痛み、からだ中が冷え込み、手足が麻痺し、または体が痛み、灸をしたり、鍼をしたり、色々の薬を用いても、治すことの出来ない者は、烏頭桂枝湯の主治である。◎烏頭桂枝湯の煎じ方:「始め烏頭だけを蜂蜜だけで煎じ、滓を濾してから、桂枝湯の煎汁を混合してから飲むことになっているが、烏頭湯の場合のように、烏頭その他の薬を全部一度に水で煎じて滓を濾し、次に蜂蜜を入れて溶かしてから呑んでも良い。蜂蜜を入れることを忘れると、中毒症状が起こしやすいから、おろそかにしてはいけない」。《大塚敬節》
★適応症及び病名(烏頭桂枝湯)
[1]イレウス
[2]運動麻痺:☆わが子乾先生は、しばしばこの方を用いて、痿躄で廃人になった者や、腰脚が引きつれて痛み、屈伸したり、寝返りしたりすることの出来ない者、または脚の心が割れるように痛み、筋脈が断折して堪えられないように痛み者など、いろいろの薬で効の無い者及びイザリで疼痛のある者を治した。しかし大腿部から下にかけて筋肉が萎縮している者は治らない。この薬をみだりに与えてはいけない。瞑眩を起こして死にそうになる。少し誤れば必ず死期を促すことになる。死んでからでは鍼灸も薬も救う事は出来ない《用方経験》
[3]ガン性の疼痛:<劇痛>
[4]関節炎
[5]寒疝:☆臍をめぐって痛み、もし発すれば即ち自汗出、手足厥逆す。その脈沈緊なる者、「大烏頭煎」之を主る。 烏頭(大)5枚、石水3升を以て煮て1升を取り、滓を去り、蜜2升をいれ、煎じて水気を尽さしめ、2升を取る。強人7合を服し、弱人5合を服す。差えざれば明日更に服す。
[6]気の上衝<+>
[7]ケイレン
[8]五十肩
[9]骨髄骨膜炎
[10]自汗
[11]四肢疼痛<劇痛>
[12]四十腕[13]神経痛<劇痛>[14]身体の疼痛<劇痛>[15]脊髄腫瘍[16]脱疽[17]知覚麻痺[18]腸閉塞[19]手足厥冷[20]のぼせ[21]脳血管障害[22]破傷風[23]腹痛[24]腹部の冷え[25]ヘルペス [26]慢性関節リウマチ[27]腰痛:☆失精家、常に腰足冷えて臍腹力なく、脚弱く、羸痩、腰痛する者に「烏頭桂枝湯」及び「大烏頭煎」効あり。 #烏頭赤石脂丸[1-1]《金匱要略》「蜀椒1両1法2分、烏頭(炮)1分、附子半両(炮)1法1分、乾姜1両1法1分、赤石脂1両1法1分」右五味、末之、蜜丸如梧子大、先食服一丸、日三服。◎心痛徹背、背痛徹心、烏頭赤石脂丸主之。 #烏頭赤石脂丸料[1-2]《龍野ー漢方処方集》 「蜀椒・白川附子・烏頭各1.0g、乾姜2.0g、赤石脂3.0」水半量、 常煎。 #烏頭赤石脂丸[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》「蜀椒・乾姜・赤石脂各1.0g、炮附子0.5g、烏頭0.1g」蜂蜜で0.3gの丸剤とし、1回1丸、1日3回。 ◎心痛背に徹し、背痛心に徹する者。 ◎人参湯は古人が裏寒とよんだ場合に用いる方剤で、沈衰した新陳代謝を新興せしめる作用がある。そこで胸痛に用いる場合でも、裏寒の症状として、尿の稀薄、舌の湿濡、腹および手足の厥冷感、などがみられるが、烏頭赤石脂丸はこの人参湯よりも更に新陳代謝が衰えている場合に用いる。《大塚敬節 ★適応症及び病名(烏頭赤石脂丸)[1]胃ガン[2]胃十二指腸潰瘍[3]嘔吐 [4]悪寒[5]悪心[6]顔色悪い[7]ガン性疼痛[8]狭心症[9]縦隔腫瘍[10]手術後の疼痛<劇痛>[11]食欲不振[12]心筋梗塞 [13]心下部疼痛<劇痛>☆心腹痛、年を経て已まざる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》[14]心胸部疼痛<劇痛>☆患者は体格の小さい血色のすぐれない41歳の女性。タバコを多飲する。この女性は1年中カイロを背に入れている。冬になると、腹にいま1つ加えて、腹背から温めるのを常としている。少し冷えると、みずおちから胸・背にかけて痛んで堪えられないが、カイロを入れると、しのぎやすいという。こんな風だから、夏はさだめし身体の調子が良いだろうと考えられるが、そうではなく、かえって全身が疲れて何も仕事が出来ない。就寝時には、汗を流しながら蒲団をかけている。食欲は普通で、大便は1日1行。小便は安静にしていると、良く出るが、少し動くと出が悪くなる。ときどき下肢に浮腫がくる。また頭が重くなる。脈は弦である。弦という脈は弓のつるを引っ張った状態で、ピンと張り切った脈で、この脈は裏寒の時によく見られる。 以上の症状から、附子の配剤された薬方が必要であることは、誰でも考えるであろう。私も先ず、桂枝加附子湯、附子粳米湯、附子理中湯、などを与えたが、大した効がないので、安中散に転方した。患者は、この薬を持参して、温泉に行った。ところが、4、5日いるうちに、胸背の痛みが堪えられないほど激しくなったので、急いで帰宅して診を乞うた。 その症状は《金匱要略》の赤石脂丸の条文の通り、胸から背に抜ける激しいものである。そこで私は赤石脂丸を試用することを決心し、患者を応接室に待たせて置いて、丸薬を作った。私は先ず青桐の実大にして丸薬を1つ呑ませた。すると、凡そ20分ほどたつと、胸背の疼痛のある部分だけに限局して灼熱感を覚え、あたかも背と胸で火が燃えているような気持になり、それと同時に激しかった疼痛は忘れたように消えてしまった。その後は、少しでも疼痛が起こると、この丸薬を1つ呑むだけで胸背痛を止めることが出来た。このようにして赤石脂丸を合計50粒にして、数年の痼疾が全快した。《大塚敬節》[15]膵臓炎[16]脊髄腫瘍[17]胆石症[18]手足厥冷: [19]肋間神経痛 #烏頭煎《金匱要略》「烏頭(大者5枚熬去皮咀)」右以水三升、煮取一升、去滓。内蜜二升、煎令水氣盡、取二升、強人服七合、弱人服五合。不差、明日更服。不可日再服。◎腹痛、脉弦而緊、弦則衛氣不行、即悪寒。緊則不欲食、邪正相搏、即為寒疝。寒疝遶臍痛、若發則自汗出、手足厥冷、其脉沈弦者、大烏頭煎主之。 #烏頭丸《奥田家方》「烏頭4.0、甘草8.0」右2味、各別に細末、蜂蜜を以て麻子大の丸剤。1回に2~3丸。◎悪寒し、四肢冷え、或いは筋骨攣痛し、或いは腹中絞痛し、或いは下利し、脈沈細にして熱候なき証を治す。◎凡そ諸種の疾病にして、所謂附子の証を現す者には、皆此方をその主方の兼用と為すことを得。 #烏頭湯[1-1]《金匱要略》「麻黄・芍薬・黄蓍各3両、甘草(炙)、川烏5枚咀以蜜2升煎取1升即出烏頭」右五味、咀四味、以水三升、煮取一升、去滓、内蜜煎中、更煎之、服七合、不知、盡服之。◎治脚気疼痛、不可屈伸。◎『外臺』治寒疝腹中絞痛、賊風入攻五臓、拘急不得轉側、発作有時、使人陰縮、手足厥冷。 #烏頭湯[1-2]《金匱要略》《中薬臨床応用》「製烏頭6g、麻黄6g、白芍薬9g、黄蓍9g、甘草5g」水煎服。◎風寒による痺 #烏頭湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 「麻黄・芍薬・黄蓍・炙甘草各3g、烏頭1g、蜂蜜40g」烏頭を蜂蜜で煮て20に煮詰め、別に他の4薬を水120で煮て40に煮詰め滓を去り、両者を合わせて、1回量30を服用。◎骨節疼痛して屈伸すべからず、及び腹中絞痛し手足厥冷する者を治す《吉益東洞》 烏頭湯証=歴節屈伸しべからず、疼痛。又曰く、拘急。 [歴節]=関節◎此方は歴節の劇症に用いて速効あり。◎此方は桂芍知母湯に比し、その力更に烈し、歴節初起の急激症を治す《雑病論識》 ◎四肢身体劇痛。 ★適応症及び病名 (烏頭湯)[1]陰嚢腫大:☆《華岡青州》曰く、切断後、烏頭湯を用うるに非ずんば膿を為す能わず。[2]悪寒[3]潰瘍<下腿の潰瘍>[4]鶴膝風:☆結毒頑固抜き難き者:「角石」[5]下肢の麻痺:(中枢性・脊髄性・末梢神経性・循環不全から)[6]関節の疼痛<劇痛>☆一婦人、臂痛甚だしく、屈伸すべからず、昼夜号泣、衆医治を尽くして治する能はず。余此方を用いて速やかに治す。《勿誤薬室方函 口訣》☆関節が激しく痛んで屈伸の出来ない者に用いる《大塚敬節》[7]頸腕部の神経痛<激しい>[8]血行不良・不全[9]骨髄炎の漏孔[10]座骨神経痛<劇痛>[11]自汗 [12]四肢の疼痛<劇痛>[13]身体疼痛<劇痛>[14]腸閉塞<劇痛に救急的に>[15]痛風:☆発作時の鎮痛。☆痛み激しい。 [16]手足厥冷[17]盗汗[18]嚢瘍: ☆《華岡青州》甘草分量少なく、蜜を加えざれば効なし。[19]半身不遂:☆《李挺》曰く、烏頭湯にて微に之を汗すと。按ずるに中風、疝より来る者、脈多くは緊なり。《雑病翼方》[20]反鼻傷:☆外、鍼を以て乱刺し、中黄雄黄を貼る。《方読便覧》[21]蝮蛇咬傷:☆烏頭湯及び紫円を内服し、柿実汁を塗布する、《先哲医話》☆結毒頑固抜き難き者:「角石」
[22]フルンケル:(硬く、痛み激しい)
[23]附骨疽:☆初起、「紫円」《方読便覧》
[24]腹痛<腹中の絞痛>☆寒疝で腹が絞られるように痛み、寝返りが出来ないほどに、引きつれる者に用いる《大塚敬節》
[25]浮腫
[26]慢性関節リウマチ<劇痛> ☆私は最近関節リウマチ疼痛が激しく、夜間眠れないという者に、種々の治療を施したが効無く、ついに、意を決して烏頭湯を与えたところ、初めて著効があって、疼痛が軽減した。ところが、これを用いると関節の疼痛は軽くなる反面、はげしい頭痛と悪心が起こって、続服出来かねると云う。これは烏頭の中毒症状であると考えたので、初めの1日分1.2の烏頭を1.0に減じ、0.8に減じたが、依然として頭痛が去らない。 そこでこれはあぶないと考えて、甘草附子湯とした。このさい附子は0.8としたが、頭痛は起こらず、関節の疼痛もやや軽快したと云う。 さて、烏頭は附子の母根で、附子はこの母根に付着した子であるが、今日一般に漢薬店で売っている白川附子と称するものは、すべて烏頭である。そこで、私が烏頭湯の時に用いた烏頭も、甘草附子湯のときに用いた附子も、同じ白川附子であった。そこで烏頭湯を用いた時の激しい頭痛と悪心は、烏頭のせいだけではなかったらしい。 烏頭や附子の中毒については、烏頭桂枝湯の方後に“その知る者は酔状の如し、吐を得る者は病にあたるとなす”といい、これを和久田寅は次のように説明している。 “烏頭の良は少なくとも悪寒がしたり、からだがシビレ足り、口に山椒を噛むようなシビレが来て、吐きそうになり、起き上がろうとするとめまいがくる。多量を呑んだ時は、からだが冷え、冷汗が流れ、吐いたり下したりして、脈は沈んで触れなくなり、死んだようになる。その軽い場合は1、2時間、重いときは半日ばかりで醒める。この薬は瞑眩を起こすから慎重に扱わなければならない。万一瞑眩を起こした時は、驚いて妄りに他の薬を与えてはいけない。また慌てて火で温めてもいけない。静かにして醒めるのを待つが良い。醒めて後で吐く者もあり、瞑眩のさいに嘔吐と下痢が同時に来ることもある。ただ、醒めて後に渇して呑みたがるなら、冷水を与えて、様子を見るがよい。もし誤って烏頭・附子の毒に当たる者は、味噌汁を呑むか、黒豆甘草湯を呑むか、又は乾姜甘草湯を呑むが良い”《大塚敬節》 [27]腰痛<激しい>☆腰痛数年止まず、佝僂せんとする者、《中川良哉》此方を用い、腰に芫菁膏を貼して全治す。
[28]卵巣軸捻転
[29]歴節風:☆陰陽の別あり。陽に在る者、越婢加朮湯、陰に在る者、烏頭湯と為す。二証、日を経て差えず、身体羸痩して脚独り腫れ、頭眩、短気、吐かんと欲する者、桂芍知母湯と為すなり。《雑病弁要》 脈:☆脈の緊または沈の者に、烏頭湯を用いれば百発百中であるが、洪数の者には効がない。効がないばかりか、反って悪くなることがある。洪数は続命湯を用いる脈である《有持桂里》
#烏頭七棗湯《東醫寶鑑》「川烏(大)(塩水で7回漬けて、皮と臍は捨て)2貼にし、1貼に生姜7、 大棗7、葱白3茎を入れて煎じ冷まし、先に棗を食べたあと薬を飲む。 ◎労瘧と寒瘧を治す。
#烏豆湯《経験方》《中医処方解説》「製川烏頭9g(先煎)、製草烏頭9g(先煎)、白芍9g、黒豆30g、紅花6g、黄蓍12g、麻黄3g」水煎服。◎散寒湿、止痛、補気血。
#烏鬚髪方《東醫寶鑑》「水蛭(大)2個を磁器椀の中に入れて7日間飢えさせて、烏骨雌雄の血で松煙墨をといて猪尿胞に入れ、水蛭に食わせ、針で水蛭をついて血が出たら、それを鬚髪の根に塗る。」 ◎毛髪が白くなる者。
#烏鬚酒《万病回春》《東醫寶鑑》「黄米(粘黎米)3斗、麦門冬8両、生地黄・何首烏各4両、天門冬・熟地黄・枸杞子・牛膝・当帰各2両、人参1両」を粉末にし麹(こうじ)を適当に入れて、普通の酒と同じように醸造し、毎日夜明け、かすかに酔う程度に飲む。
#烏蛇散[1]《東醫寶鑑》「烏蛇6銭、麻黄1両、草烏(炮)・乾姜・炮附子・川芎・白附子・天麻各5銭、蝎梢2銭半」粉末にし、毎回1銭を熱酒で1日3回飲む。◎破傷風で痰盛。
#烏蛇散[2]《証治準縄》「烏梢蛇、全蝎、白殭蚕、天南星、天麻、膩粉、生姜」
#烏蛇消風飲《中薬臨床応用》「烏梢蛇3g(研粉・呑)、蝉退12g、当帰15g、赤芍12g、防風9g、荊芥9g、地膚子18g、柴胡6g、白藜9g、甘草3g」水煎服。◎慢性湿疹◎ジンマシン
#烏沈湯[1-1]《和剤局方》「天台烏薬100両、沈香50両、人参3両、甘草盬4両半」作末し、毎服半銭、入生姜3片、塩少許、沸騰點服、空心、食前。◎血気心痛。
#烏沈湯[1-2]《和剤局方》《東醫寶鑑》「烏薬1両、沈香5銭、炙甘草4銭、人参3銭」細末にし、毎1銭づつ姜塩湯で服用。◎すべての気が鬱滞し、背や心腹に疼痛。◎諸気を利し、諸痛吐瀉転筋、冷風麻痺を除き、腹中を温め、宿食を消し、及び婦人血気、心を攻撃四物湯、腹刺痛する者並びに皆之を治す。《古今方彙》
#烏沈湯[2]《小児薬証直訣》《古今方彙》「天麻2銭、人参・川烏(生)・全蝎・天南星・木香・沈香各1銭、甘草(炙)5分」水煎。 ◎慢驚を治し、駆風して胃を助ける。
#烏貝散《中薬臨床応用》 「烏賊骨90g、浙貝母30g」細末にし、1日3回3~6g、食前に服用。 ◎胃十二指腸潰瘍
#烏梅円[1]《備急千金要方》 「烏梅・黄連・乾姜・呉茱萸各4両、桂心2両、当帰3両、蜀椒2両半」◎久痢、諸薬にて癒えざること数十年の者を治す。《雑病論識》◎安胃湯を祖とす。
烏梅円[2]=烏梅丸《金匱要略》
#烏梅丸[1-1]《金匱要略》「烏梅300枚、細辛6両、乾姜10両、黄連16両、当帰4両、附子(炮去皮)6両、蜀椒(出汗)4両、桂枝(去皮)6両、人参6両、黄柏6両」右十味、異擣篩、合治之。以苦酒漬烏梅1宿、去核、蒸之五斗米下、飯熟擣成泥、和薬令相得。内臼中、與蜜杵二千下、丸如梧桐子大。日三服、稍加至二十丸。禁生冷、滑物、臭食等。◎傷寒脉微而厥、至七八日膚冷、其人躁、無暫安時者、此為蔵厥、非蚘厥也。蚘厥者、其人當吐蚘、令病者静、而復時煩者、此為蔵寒。蚘上人其膈、故煩、須臾復止。得食時嘔、又煩者、蚘聞食臭出、其人常自吐蚘、蚘厥者、烏梅丸主之。又主久利。
#烏梅丸[1-2]《東醫寶鑑》「烏梅15個、黄連7銭半、当帰・川椒・細辛・炮附子・桂心・人参・黄柏各3銭」を粉末にし、醋に烏梅を漬けて肉を取り、薬末に入れてつき、梧子大に丸め米飲で10~20丸飲む。
#烏梅丸[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「烏梅30個、細辛・炮附子・桂枝・人参・黄柏各6g、黄連16g、当帰・蜀椒各4g、乾姜10g」先ず烏梅を醋の中に一晩つけて核を去り、釜の底に置き、その上に米5合を入れて蒸し、ふやけたら取り出して他薬と蜂蜜(適宜)を加えてつき、0.3gの丸剤に作り、食前に10丸服用。1日3回、漸次増量して、2倍にする。
#烏梅丸[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》「烏梅・細辛・附子・桂枝・大棗・芍薬各4、甘草2」以上を水600ccに入れ半分に煮詰め滓を去り、蜂蜜20を溶かしてから、2回に分服する。◎此方の蛔厥は冷痛するものなり。痛や煩は発作して止むものなり。軽き症には起こる時ばかり厥する者あり。《勿誤薬室方函口訣》◎病者静にして時に煩し、蔵寒に因って蚘上ってその膈に入り、蚘厥をなす。当に蚘を吐すべし。《雑病翼方》◎厥陰の主方とす。最も厥陰は寒熱錯雑の症多き故、「茯苓四逆湯」「呉茱萸湯」のほかはあまねく此方を運用して効を奏すること多い。《勿誤薬室方函口訣》◎故に回虫の候なくとも、胸に差し込み痛ある者に用いる。◎反胃の壊症:此方を半夏乾姜人参丸料で送下して奇効あり。◎《柯琴》曰く、厥陰症の総方と為す。吐蚘久利もっとも宜しと。◎《陳念祖》曰く、余新たに一方を悟出す。瀉心の意ありて、上痞を消すべく、下瀉を止どむべし。腹熱胃寒、能く分走して、各々その長を尽くす。他方有るに非ざるなし。即ち傷寒厥陰条の烏梅丸なり。 ◎胃部圧重感、胸やけ、嘔吐、足の冷え、食欲不振、下痢などを起こす回虫、胃病、慢性下痢、血の道症。
★適応症及び病名(烏梅丸:うばいがん)
[1]嘔吐:☆回虫による吐に用いるばかりでない、百方手を尽くして治らない者に良い《大塚敬節》
[2]精神錯乱:☆回虫が原因で精神錯乱した者を治した《山田業広》☆1幕臣の娘17歳が、1日発狂したので、はじめ柴胡加竜骨牡蛎湯を用いた。これで効があるようでもあり、無いようでもあり、数日たつとまた再発する。そこで三黄瀉心湯を用いてだんだん良くなった。その後、1年半ほどたって、突然手足が冷たくなり、脈が微になり、舌は湿り、熱は無いのに、ひどく口渇があり、不語、不食、大便秘結という状態になった。しかし精神は錯乱せず、顔色も虚脱の状がない。とても不思議に思われたけれども、脈微、手足厥冷によって真武湯を与えてみたが、効がない。いよいよおかしいことだと思っている時に、一案を得た。 思うに、これは、厥陰篇首条の“消渇、気上って心をつき、心中疼熱、飢えて食を欲せず、食すれば則ち蚘を吐す”とある場合であろうと。 そこで烏梅丸を与えたところ、諸症は次第にとれ、よだれのようなものを吐き、7、8日たって大便の通じと共に、回虫が3匹下って、そのまま治ってしまった。《椿庭夜話》
[3]血の道症:☆患者、鈴木某、46歳女性。病歴、5年前から、ゲップ・悪心・不眠・多夢・肩凝り・頭が重く何かがかぶさっているようだ、めまいもすることがある。寝たきりで全然起きられない。婦人科では手術を受けたが反って悪くなったような気がする。現在はブドウ糖とビタミンの注射をしてもらっている。 現症。初診6/11。かなり痩せていて見るからにピリピリするような神経質でどげどげしさが感じられる。以上の訴えの他に時々カーッとのぼせる。イライラする。咽に刺激感を覚える。足は冷たい。動悸、胃部が張る感じ、左手がシビレるなどの自覚症がある。大便は普通だが、小便は1日2、3回で時々出にくい感じがする。 望診上では、唇が乾燥気味で青味がかっている。舌は黒っぽい。脈は非常に沈んで弱い。腹診すると、腹壁は軟く、胸脇苦満や胃部振水音、腹動などはない。 治療と考案。病名は血の道症とつけた。一名更年期症候群。一名婦人精神身体症である。ノイローゼ、神経質、ヒステリー、卵巣機能障害、自律神経不安定症などと診断され、性ホルモンや精神安定剤を用いられるが、心因性のものがあるのでなかなかさっぱり行かないのが常である。 漢方的にみても厄介で、医者と患者の両方が忍耐と工夫をしなければうまく行かない。 先ず考えられるのは柴胡桂枝乾姜湯で、大体の症状は合っているが、悪心と腹証はぴたりとしない。柴胡桂枝乾姜湯は条文にも嘔せずとあり、実際味が悪いのでよく吐いてしまう人も有るくらいだ。 シビレ、小便難がある点では苓桂朮甘湯を考えないわけにはいかないが、ゲップ・胃部膨満感などがあるのでどうもぴったりと来ない。 咽中炙肉感があるからといって半夏厚朴湯の専売ではない。咽に来る経絡を考えたら他にいろいろなものが出てくるし、のぼせなども合わない。 残るのは黄連だが、黄連湯、黄連阿膠湯、甘草瀉心湯など一渡りしても脈その他ぴったりするものがない。まだ烏梅丸が残っている。 何しろ症状が複雑多岐で頭が混乱するから整理分類してみよう。この患者は上が熱して中が詰まって下が冷えている状態である。厥陰病は寒熱錯綜というが、寒と熱が一緒にごちゃごちゃになっているのではなくて、部分的に熱しているのは上の陽気が盛んなためで、下が冷えているのは下の陰気が盛んなためで、そうなったのは中が支えているので、上の陽気が降れず、下の陰気が昇れずにいるからである。 のぼせは頭部の充血によるものだが、陽気が盛んになっていると見る、烏梅丸には黄連と桂枝が入っているから適合する。 不眠は外の陽気が盛んなために起こるから、この場合は黄連で良い。黄連が一番多量に入っていることも意味があるようだ。 イライラするのは心肝の障害で、やはり黄連でよい。動悸はこの場合心熱と見られるから、心の陰気を補う黄連でよろしい。なお、上熱には黄柏も作用するし、のぼせ、動悸、めまい、頭重などを上衝も手伝うものとすれば桂枝が物を言うことになる。 次に中の症状だが、ゲップはこの場合は胃の虚寒のために起こるとしてよいだろう。胃の虚寒は足が冷えることや橘皮竹茹湯の証からも考えられる。乾姜蜀椒が入っている。 胃部の膨満感は胃虚である、人参が入っている。悪心は“せんと欲す”と、“吐せんと欲す”では病理が違ってくる。上に熱があるためなら“嘔せんと欲す”とし、胃に虚寒があるなら“吐せんと欲す”とすべきだが、今の場合はどちらの条件もあるからどちらにとっても宜しい。 下の冷えは、胃の虚寒と共に腎の陽虚陰盛と解釈すべきであろう。舌が黒いのは、腎陰が盛んなためとする。小便難は腎の陽虚であり、陽気が上ばかり集まっていて下に降りてこないためとも解釈できる。 以上の症状には桂枝・細辛が腎の陽気を補っている。 手のシビレは、表虚で、附子で経を温めるほか血行をよくするために当帰がある。特に左手がシビレるというのは難しい所だが、恐らくは女子は右を逆とし、左を従とするものだが、陽は左に症状が現れることが多いと解釈すれば、この場合シビレは表の陽虚だからそれが左手に起こったとしてよいだろうか、先輩の教えを仰ぎたい。 咽は咽と食道とを指している。咽の異常感はスチグマータとかヒステリー球とか云われるもので、食道の粘膜の知覚過敏、浮腫、食道筋層の痙攣などで起こるもので、食道神経症とも云われている。 漢方的にみれば気痞であり、経絡的にみれば胃・肝・腎などの経絡が絡っており、果たしてこの例で何経の作用であるかは明らかにし難いが、胃経であっても腎経であっても前述のように烏梅丸証の中に含まれるものだから、半夏厚朴湯ならずともよいのである。 経過。異常の如くにして烏梅丸を考え、烏梅丸の証を割り出し、薬能と症状とを引き合わせてそれに決め、1日量6.0を用い、9.0~12.0と漸次増量した。勘定合って銭足らずのこともあるから、結果如何と大いに興味を持っていたが、この患者は遠方で再往診も困難な事情があるため電話で連絡して経過を尋ねた。半月すると不眠症、ゲップなどの主訴が著しく軽快し、大変感謝されたが、1ヶ月後には起きられるようになった。5年間ほとんど寝たきりの病人だったので、その喜びようは並々でなかった。(龍野一雄・漢方の臨床誌第8巻第2号) [4]煩躁:☆回虫が原因で煩躁する者を治するために設けられた薬方《大塚敬節》 [5]腹痛:☆回虫から来る腹痛に用いる《大塚敬節》☆およそ回虫の腹痛は発作性にくるものが多く、嘔吐を伴うものである。これを治するに苦味の烏梅丸の効く者と甘草粉蜜湯の効く者とある。 もし吐がひどくて薬を受け付けない者には蜀椒と烏梅の2味を煎じて与えても良い。又、椒梅瀉心湯として用いても良い。《大塚敬節》☆烏梅丸の効く場合は、痛みが甚だしい時は手足がシビレ、或いは厥冷して、煩躁がひどくて気絶するほどになるものである。《大塚敬節》
烏梅丸[2]《東醫寶鑑》
「黄連1両半、烏梅肉・当帰・枳穀各1両」粉末にし、醋糊で丸め、米飲で空腹時に70丸飲む。 ◎熱痢で腹痛・下血。蛔厥の心腹痛を治す。
烏梅丸加減《中薬臨床応用》
「烏梅15g、乾姜6g、党参6g、檳榔子12g、苦楝根皮12g、使君子15g、木香9g、蜀椒6g、大黄9g、細辛3g」水煎し1日1剤を2回に分けて服用。
烏梅膏《中薬臨床応用》「烏梅30g」塩水(50mlのぬるま湯に食塩9g)の中に12~24時間浸す。核を除き「酢15ml」加えてすりつぶし軟膏にする。 ◎胼胝(タコ)、鶏眼(ウオノメ)に外用。
烏梅丹=烏梅丸《金匱要略》
烏梅湯[1]《東醫寶鑑》「柴胡2銭、山梔子(炒)・黄芩・炙甘草各1銭、烏梅肉2個、生姜3片、豆豉50粒」水煎服。 ◎傷寒が治った後、虚煩し、不眠・懊悩する者。
烏梅湯[2]《東醫寶鑑》「黒豆・緑豆各1合、烏梅3個」水煎服。 ◎痘渇と出痘を治す。痘瘡で煩渇し、水を飲んでも渇がもっとひどくなる。
烏梅木瓜湯[1-1]《三因極一病証方論》「木瓜、烏梅、黄柏、甘草、草果」
烏梅木瓜湯[1-2]《東醫寶鑑》「烏梅(砕いて種を残す)・木瓜各2銭、麦芽(炒)・草果・甘草各1銭、生姜3片」水煎服。◎酒熱と消渇を治す。
烏白丸《東醫寶鑑》「烏梅肉・生姜各4両、白礬・半夏各2両、をついて瓦の上に置いて3日間火に焙って、神麹・麦芽・陳皮・青皮・莪朮・丁香皮・大腹皮・枳穀各1両」粉末にし、酒糊で梧子大の丸剤。姜湯で50丸飲む。◎酒積を治し、痰と食物を消化する。 烏附通気湯《東醫寶鑑》 「烏薬・香附子・当帰・白芍・山楂肉・橘皮各1銭、白朮7分、赤茯苓・沢瀉各5分、猪苓・木香・甘草各3分」水煎服。 ◎新・久の疝病を治し、七情の疝を治す。 烏薬順気散[1-1]《和剤局方》《松田ー回春解説》「烏薬・陳皮各2銭、姜蚕(炒って糸を去る)・乾姜(炮5分)・甘草(炙3分)・麻黄(去節)・川芎・白芷・枳殻(去穰麩炒)・桔梗各1銭」剉作1剤。生姜3片、棗1枚。水煎して温服する。 ◎初めて風邪に中り、麻木疼痛るつ者は風湿の気なり。この方に宜し。
烏薬順気散[1-2]《和剤局方》《古今方彙》「烏薬・陳皮各2銭、白殭蚕・乾姜(炮)各5分、麻黄・川芎・白芷・桔梗各1銭、甘草(炙)3分、枳殻1銭、生姜、大棗」水煎。
◎男婦一切の風気攻めて四肢に注ぎ、骨節疼痛、肢体頑麻、手足癱瘓、言語蹇渋(発語が円転ならざるもの)、筋脉拘攣するを治す。 宜しく先ず此の薬を服し、気道を疎通し、然る後に風薬を進め蓋(オオ)いて風を治す。蓋し風を治するには、先ず気を理し、気順えば則ち痰は消え、除ろにその風を理すれば庶(オオク)は効を収むべし。理気は気滞・気欝・肩膊麻痛の類、これ七情なり。みな宜しく之を服すべし。 (癱=ナン、左半身不遂)(瘓=タン、右半身不遂)(蹇渋=ケンジュウ)
#茴香安腎湯[1]《方薬合編》「人参・白朮・茯苓・茴香・破故紙・檳榔子・烏薬・香附子・縮砂・各3.2g 黄柏・沢瀉各2.4g 延胡索・木香各1.6g升麻・甘草各0.8g」 ◎睾丸腫大。
#茴香安腎湯[2]《東醫寶鑑》《方薬合編》 「人参・白朮・白茯苓・茴香・破故紙・檳榔・烏薬・香附子・縮砂・茄枝核各8分、黄柏・沢瀉各6分、木香・延胡索各4分、升麻・甘草各2分」水煎服。 ◎左辺が偏墜して、睾丸が鶏卵の大きさになった者。
#茴香練実丸《東醫寶鑑》「川楝子(炒)・茴香・山茱萸・呉茱萸・食茱萸・青皮・陳皮・馬蘭花・芫花各1両」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。温酒で50丸呑む。 ◎男の七疝。婦人の帯下・煆聚で痛みの激しい者。
#右帰飲[1-1]《景岳全書》(新方八陣・巻51)「熟地黄2銭~2両、山茱萸1銭、山薬(炒)・枸杞子・杜仲各2銭、甘草(炙)・肉桂1~2銭、制附子1~3銭」
#右帰飲[1-2]《景岳全書》《中薬臨床応用》「熟附子片5g、肉桂3g(服)、熟地黄18g、山茱萸9g、山薬12g、杜仲9g、枸杞子6g、炙甘草3g」◎陽虚の衰弱◎下半身の冷感◎腰膝がだるい◎下腹部の冷えとひきつるような痛み◎脈細弱
#右帰飲[1-3]《景岳全書》《中医処方解説》「附子9g、肉桂6g、熟地黄30g、山茱萸9g、山薬24g、枸杞子30g、杜仲15g、炙甘草3g、茯苓9g」◎温補腎陽。
#右帰飲[1-4]《方薬合編》「熟地黄8~18g 山薬・枸杞子・杜仲各8g 山茱萸・肉桂・炙甘草各4g 炮附子1~4g」 ◎虚労・尿失禁・腰痛・冷え症。
#右帰丸[1-1]《景岳全書》(新方八陣)「熟地黄8両、山薬(炒)・枸杞子・鹿角膠・制菟絲子・杜仲各4両、山茱萸・当帰各3両、肉桂2~4両、制附子2~6両」
#右帰丸[1-2]《景岳全書》《中医処方解説》「熟地黄24g、山薬12g、山茱萸9g、枸杞子6~12g、杜仲12g、兎絲子12g、熟附子6~18g、肉桂6~12g、当帰9g、鹿角膠12g、を粉末にし、蜜丸にし、1日2~3回6gづつ服用。◎温補腎陽、補血益精。
★適応症及び病名(右帰丸)
■インポテンツ
■遺精
■慢性疾患:種々の慢性疾患で、腎陽虚の者。
#羽沢散(うたくさん)《方輿輗》「明礬・杏仁・甘草各2.0、丁字・竜脳各1.0」細末にし、絹布に包み座薬として膣内に挿入する。◎白帯止まず陰門腫痛、orかゆみ、or冷え、or臭気甚だしい者。◎この方は膣に挿入する坐薬で、内服薬に兼用する。帯下の多い者、陰部の冷える者、陰部にかゆみのある者などによい。《大塚敬節》
#禹功散[1-1]《寿世保元》《勿誤薬室方函》 「牽牛子4両、茴香1両」或いは木香1両を加う。生姜汁にて3味を調え、臥に臨んで服す。
◎《古今医鑑》に云う、寒疝を治す。松原一閑斎曰く、疝気腰痛する者を治す。寧固曰く、乾湿水疝・陰嚢腫脹する者。
#禹功散[1-2]《東醫寶鑑》「黒丑頭末1銭、茴香2銭半、木香1銭」作末し、毎回2銭を姜湯で調下する。◎寒疝を治す。
#禹功散[2-1]《寿世保元》《龍野ー漢方処方集》「陳皮・半夏・茯苓・猪苓・沢瀉・白朮・木通・黄芩・山梔子各3.5g、升麻1.5g、甘草1.0g」◎尿閉。
#禹功散[2-2]《寿世保元》《方薬合編》「陳皮・半夏・茯苓・猪苓・沢瀉・白朮(炒)・木通・黄芩・山梔子(炒)各4g、升麻1.2g、甘草0.8g」◎排尿困難。
#禹功散[2-3]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・半夏・赤茯苓・猪苓・沢瀉・白朮・木通・黄芩・山梔子各1銭、升麻3分、甘草2分」水煎。 ◎小便通ぜず、百法奏功する能わざる者を治す。
#禹余粮丸《東醫寶鑑》「禹余粮(煆)・赤石脂(煆)・竜骨・蓽撥・訶子(炮)・乾姜(炮)・肉豆蔲()・炮附子各等分」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で70丸呑む。 ◎虚寒で、下痢が止まらない者。滑泄不禁。 #烏鴉散《東醫寶鑑》「烏鴉羽(焼く)1銭」酒で調服する。服用後に又酒1~2杯を呑んで、薬 力を増加させる。 ◎破傷風で、血が見えて昏悶する症。
#烏蝎散《東醫寶鑑》「四君子湯川烏・全蝎・天南星各1銭、生姜1」 ◎慢驚風の純陰性による吐瀉の止まらない症。
#烏金丸《経験方》「乳香、没薬、大黄、香附子、当帰、延胡索、烏薬、桃仁、蓬莪朮、天虫、五霊脂、肉桂、木香、益母草、黒豆、蘇木、紅花」
#烏荊円《和剤局方》 「荊芥穂・生烏頭」◎小産後、口噤目吊し、手足抽掣し、項背強直、角弓反張し、心頭倒築し、自利煩躁する者を治す。《雑病翼方》 #烏朮丸《東醫寶鑑》「蒼朮(水に10日間漬けて、皮を剥いて切り、焙って乾燥)半斤、川烏・川椒・青皮(去白)各3両、青塩1両を細末にし、蜜で梧子大に丸め、空腹時に塩湯で(又は温酒)30~50丸飲む。◎虚労を治し、筋骨を壮健にする。
#烏頭桂枝湯[1-1]《金匱要略》 「烏頭」右一味、以蜜二斤、煎減半、去滓、以桂枝湯五合解之、令得一升後、初服 二合、不知、即服三合、又不知、復加至五合。其知者如醉状、得吐者為中 病。◎寒疝・腹中痛・逆冷・手足不仁・身体疼痛、灸刺諸薬不能治、抵當烏頭桂枝湯 主之。 #烏頭桂枝湯[1-2]《金匱要略》《東醫寶鑑》「大川烏を蜜1杯で煎じ、半減したら取り出して細切りにし、肉桂・白芍茎各3銭3分、甘草2銭半、を剉作2貼し、生姜3、大棗2を入れ、前の煎蜜半合を同時に煎じて服用。◎風寒疝気が腹に入って刺痛のため、陰部がしぼみ・手足が冷える。 #烏頭桂枝湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 「烏頭1gを蜂蜜36gで煮て半分に煮詰め、別に桂枝湯20gを作り、両者を混和し、はじめ8gを服し、効かないと12gを服し、それでも効かないと20gを服用。 「桂枝湯烏頭蜜」《勿誤薬室方函口訣》◎腹中絞痛し、手足厥冷し、或いは不仁、或いは身疼痛する者を治す。《吉益東洞》 ○腹中絞痛し、手足逆冷し、或いは不仁、或いは身疼痛する者を治す《方極》 ○此の方の証は、桂枝湯の証にして此の諸証を兼ねるものなり。故に桂枝湯の方内において、烏頭、蜜煎を加えて之を治す。故に、「桂枝湯証にして」の5字あるべし。《方極刪定》◎此方は寒疝の主方なり。故に腰腹陰嚢にかけ苦痛する者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎後世にては「附子建中湯」を用ゆれども、此方、蜜煎にしたる方が速効あり。◎証によって「鹿茸」《勿誤薬室方函口訣》◎烏頭煎と表裏の別あり、病勢沈淪するは是れ「烏頭煎」とし、病勢浮揚するは是れ「烏頭桂枝湯」と為す。《雑病論識》 ◎激しい腹痛、手足冷或いは手足麻痺、或いは身疼痛、或いは腹部の深部鈍痛。 ◎「桂枝加附子湯」と組成が似る。◎「烏頭煎桂枝湯」《大塚敬節》◎目標: 《金匱要略》には、寒疝で腹が痛み、からだ中が冷え込み、手足が麻痺し、または体が痛み、灸をしたり、鍼をしたり、色々の薬を用いても、治すことの出来ない者は、烏頭桂枝湯の主治である。◎烏頭桂枝湯の煎じ方:「始め烏頭だけを蜂蜜だけで煎じ、滓を濾してから、桂枝湯の煎汁を混合してから飲むことになっているが、烏頭湯の場合のように、烏頭その他の薬を全部一度に水で煎じて滓を濾し、次に蜂蜜を入れて溶かしてから呑んでも良い。蜂蜜を入れることを忘れると、中毒症状が起こしやすいから、おろそかにしてはいけない」。《大塚敬節》 ★適応症及び病名(烏頭桂枝湯) [1]イレウス[2]運動麻痺:☆わが子乾先生は、しばしばこの方を用いて、痿躄で廃人になった者や、腰脚が引きつれて痛み、屈伸したり、寝返りしたりすることの出来ない者、または脚の心が割れるように痛み、筋脈が断折して堪えられないように痛み者など、いろいろの薬で効の無い者及びイザリで疼痛のある者を治した。しかし大腿部から下にかけて筋肉が萎縮している者は治らない。この薬をみだりに与えてはいけない。瞑眩を起こして死にそうになる。少し誤れば必ず死期を促すことになる。死んでからでは鍼灸も薬も救う事は出来ない《用方経験》[3]ガン性の疼痛:<劇痛>[4]関節炎[5]寒疝:☆臍をめぐって痛み、もし発すれば即ち自汗出、手足厥逆す。その脈沈緊なる者、「大烏頭煎」之を主る。 烏頭(大)5枚、石水3升を以て煮て1升を取り、滓を去り、蜜2升をいれ、煎じて水気を尽さしめ、2升を取る。強人7合を服し、弱人5合を服す。差えざれば明日更に服す。
[6]気の上衝<+>
[7]ケイレン[8]五十肩[9]骨髄骨膜炎 [10]自汗[11]四肢疼痛<劇痛>[12]四十腕[13]神経痛<劇痛>[14]身体の疼痛<劇痛>[15]脊髄腫瘍[16]脱疽[17]知覚麻痺[18]腸閉塞[19]手足厥冷[20]のぼせ[21]脳血管障害[22]破傷風[23]腹痛[24]腹部の冷え[25]ヘルペス [26]慢性関節リウマチ[27]腰痛:☆失精家、常に腰足冷えて臍腹力なく、脚弱く、羸痩、腰痛する者に「烏頭桂枝湯」及び「大烏頭煎」効あり。 #烏頭赤石脂丸[1-1]《金匱要略》「蜀椒1両1法2分、烏頭(炮)1分、附子半両(炮)1法1分、乾姜1両1法1分、赤石脂1両1法1分」右五味、末之、蜜丸如梧子大、先食服一丸、日三服。◎心痛徹背、背痛徹心、烏頭赤石脂丸主之。 #烏頭赤石脂丸料[1-2]《龍野ー漢方処方集》 「蜀椒・白川附子・烏頭各1.0g、乾姜2.0g、赤石脂3.0」水半量、 常煎。 #烏頭赤石脂丸[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》「蜀椒・乾姜・赤石脂各1.0g、炮附子0.5g、烏頭0.1g」蜂蜜で0.3gの丸剤とし、1回1丸、1日3回。 ◎心痛背に徹し、背痛心に徹する者。 ◎人参湯は古人が裏寒とよんだ場合に用いる方剤で、沈衰した新陳代謝を新興せしめる作用がある。そこで胸痛に用いる場合でも、裏寒の症状として、尿の稀薄、舌の湿濡、腹および手足の厥冷感、などがみられるが、烏頭赤石脂丸はこの人参湯よりも更に新陳代謝が衰えている場合に用いる。《大塚敬節
★適応症及び病名(烏頭赤石脂丸)[1]胃ガン[2]胃十二指腸潰瘍[3]嘔吐 [4]悪寒[5]悪心[6]顔色悪い[7]ガン性疼痛[8]狭心症[9]縦隔腫瘍[10]手術後の疼痛<劇痛>[11]食欲不振[12]心筋梗塞 [13]心下部疼痛<劇痛>☆心腹痛、年を経て已まざる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》[14]心胸部疼痛<劇痛>☆患者は体格の小さい血色のすぐれない41歳の女性。タバコを多飲する。この女性は1年中カイロを背に入れている。冬になると、腹にいま1つ加えて、腹背から温めるのを常としている。少し冷えると、みずおちから胸・背にかけて痛んで堪えられないが、カイロを入れると、しのぎやすいという。こんな風だから、夏はさだめし身体の調子が良いだろうと考えられるが、そうではなく、かえって全身が疲れて何も仕事が出来ない。就寝時には、汗を流しながら蒲団をかけている。食欲は普通で、大便は1日1行。小便は安静にしていると、良く出るが、少し動くと出が悪くなる。ときどき下肢に浮腫がくる。また頭が重くなる。脈は弦である。弦という脈は弓のつるを引っ張った状態で、ピンと張り切った脈で、この脈は裏寒の時によく見られる。 以上の症状から、附子の配剤された薬方が必要であることは、誰でも考えるであろう。私も先ず、桂枝加附子湯、附子粳米湯、附子理中湯、などを与えたが、大した効がないので、安中散に転方した。患者は、この薬を持参して、温泉に行った。ところが、4、5日いるうちに、胸背の痛みが堪えられないほど激しくなったので、急いで帰宅して診を乞うた。 その症状は《金匱要略》の赤石脂丸の条文の通り、胸から背に抜ける激しいものである。そこで私は赤石脂丸を試用することを決心し、患者を応接室に待たせて置いて、丸薬を作った。私は先ず青桐の実大にして丸薬を1つ呑ませた。すると、凡そ20分ほどたつと、胸背の疼痛のある部分だけに限局して灼熱感を覚え、あたかも背と胸で火が燃えているような気持になり、それと同時に激しかった疼痛は忘れたように消えてしまった。その後は、少しでも疼痛が起こると、この丸薬を1つ呑むだけで胸背痛を止めることが出来た。このようにして赤石脂丸を合計50粒にして、数年の痼疾が全快した。《大塚敬節》[15]膵臓炎[16]脊髄腫瘍[17]胆石症[18]手足厥冷: [19]肋間神経痛 #烏頭煎《金匱要略》「烏頭(大者5枚熬去皮咀)」右以水三升、煮取一升、去滓。内蜜二升、煎令水氣盡、取二升、強人服七合、弱人服五合。不差、明日更服。不可日再服。◎腹痛、脉弦而緊、弦則衛氣不行、即悪寒。緊則不欲食、邪正相搏、即為寒疝。寒疝遶臍痛、若發則自汗出、手足厥冷、其脉沈弦者、大烏頭煎主之。 #烏頭丸《奥田家方》「烏頭4.0、甘草8.0」右2味、各別に細末、蜂蜜を以て麻子大の丸剤。1回に2~3丸。◎悪寒し、四肢冷え、或いは筋骨攣痛し、或いは腹中絞痛し、或いは下利し、脈沈細にして熱候なき証を治す。◎凡そ諸種の疾病にして、所謂附子の証を現す者には、皆此方をその主方の兼用と為すことを得。 #烏頭湯[1-1]《金匱要略》「麻黄・芍薬・黄蓍各3両、甘草(炙)、川烏5枚咀以蜜2升煎取1升即出烏頭」右五味、咀四味、以水三升、煮取一升、去滓、内蜜煎中、更煎之、服七合、不知、盡服之。◎治脚気疼痛、不可屈伸。◎『外臺』治寒疝腹中絞痛、賊風入攻五臓、拘急不得轉側、発作有時、使人陰縮、手足厥冷。
#烏頭湯[1-2]《金匱要略》《中薬臨床応用》「製烏頭6g、麻黄6g、白芍薬9g、黄蓍9g、甘草5g」水煎服。◎風寒による痺
#烏頭湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 「麻黄・芍薬・黄蓍・炙甘草各3g、烏頭1g、蜂蜜40g」烏頭を蜂蜜で煮て20に煮詰め、別に他の4薬を水120で煮て40に煮詰め滓を去り、両者を合わせて、1回量30を服用。◎骨節疼痛して屈伸すべからず、及び腹中絞痛し手足厥冷する者を治す《吉益東洞》 烏頭湯証=歴節屈伸しべからず、疼痛。又曰く、拘急。 [歴節]=関節◎此方は歴節の劇症に用いて速効あり。◎此方は桂芍知母湯に比し、その力更に烈し、歴節初起の急激症を治す《雑病論識》 ◎四肢身体劇痛。
★適応症及び病名 (烏頭湯)
[1]陰嚢腫大:☆《華岡青州》曰く、切断後、烏頭湯を用うるに非ずんば膿を為す能わず。[2]悪寒[3]潰瘍<下腿の潰瘍>[4]鶴膝風:☆結毒頑固抜き難き者:「角石」[5]下肢の麻痺:(中枢性・脊髄性・末梢神経性・循環不全から)[6]関節の疼痛<劇痛>☆一婦人、臂痛甚だしく、屈伸すべからず、昼夜号泣、衆医治を尽くして治する能はず。余此方を用いて速やかに治す。《勿誤薬室方函 口訣》☆関節が激しく痛んで屈伸の出来ない者に用いる《大塚敬節》[7]頸腕部の神経痛<激しい>[8]血行不良・不全[9]骨髄炎の漏孔[10]座骨神経痛<劇痛>[11]自汗 [12]四肢の疼痛<劇痛>[13]身体疼痛<劇痛>[14]腸閉塞<劇痛に救急的に>[15]痛風:☆発作時の鎮痛。☆痛み激しい。 [16]手足厥冷[17]盗汗[18]嚢瘍: ☆《華岡青州》甘草分量少なく、蜜を加えざれば効なし。[19]半身不遂:☆《李挺》曰く、烏頭湯にて微に之を汗すと。按ずるに中風、疝より来る者、脈多くは緊なり。《雑病翼方》[20]反鼻傷:☆外、鍼を以て乱刺し、中黄雄黄を貼る。《方読便覧》[21]蝮蛇咬傷:☆烏頭湯及び紫円を内服し、柿実汁を塗布する、《先哲医話》☆結毒頑固抜き難き者:「角石」[22]フルンケル:(硬く、痛み激しい)[23]附骨疽:☆初起、「紫円」《方読便覧》 [24]腹痛<腹中の絞痛>☆寒疝で腹が絞られるように痛み、寝返りが出来ないほどに、引きつれる者に用いる《大塚敬節》[25]浮腫[26]慢性関節リウマチ<劇痛> ☆私は最近関節リウマチ疼痛が激しく、夜間眠れないという者に、種々の治療を施したが効無く、ついに、意を決して烏頭湯を与えたところ、初めて著効があって、疼痛が軽減した。ところが、これを用いると関節の疼痛は軽くなる反面、はげしい頭痛と悪心が起こって、続服出来かねると云う。これは烏頭の中毒症状であると考えたので、初めの1日分1.2の烏頭を1.0に減じ、0.8に減じたが、依然として頭痛が去らない。 そこでこれはあぶないと考えて、甘草附子湯とした。このさい附子は0.8としたが、頭痛は起こらず、関節の疼痛もやや軽快したと云う。 さて、烏頭は附子の母根で、附子はこの母根に付着した子であるが、今日一般に漢薬店で売っている白川附子と称するものは、すべて烏頭である。そこで、私が烏頭湯の時に用いた烏頭も、甘草附子湯のときに用いた附子も、同じ白川附子であった。そこで烏頭湯を用いた時の激しい頭痛と悪心は、烏頭のせいだけではなかったらしい。 烏頭や附子の中毒については、烏頭桂枝湯の方後に“その知る者は酔状の如し、吐を得る者は病にあたるとなす”といい、これを和久田寅は次のように説明している。 “烏頭の良は少なくとも悪寒がしたり、からだがシビレ足り、口に山椒を噛むようなシビレが来て、吐きそうになり、起き上がろうとするとめまいがくる。多量を呑んだ時は、からだが冷え、冷汗が流れ、吐いたり下したりして、脈は沈んで触れなくなり、死んだようになる。その軽い場合は1、2時間、重いときは半日ばかりで醒める。この薬は瞑眩を起こすから慎重に扱わなければならない。万一瞑眩を起こした時は、驚いて妄りに他の薬を与えてはいけない。また慌てて火で温めてもいけない。静かにして醒めるのを待つが良い。醒めて後で吐く者もあり、瞑眩のさいに嘔吐と下痢が同時に来ることもある。ただ、醒めて後に渇して呑みたがるなら、冷水を与えて、様子を見るがよい。もし誤って烏頭・附子の毒に当たる者は、味噌汁を呑むか、黒豆甘草湯を呑むか、又は乾姜甘草湯を呑むが良い”《大塚敬節》 [27]腰痛<激しい>☆腰痛数年止まず、佝僂せんとする者、《中川良哉》此方を用い、腰に芫菁膏を貼して全治す。[28]卵巣軸捻転[29]歴節風:☆陰陽の別あり。陽に在る者、越婢加朮湯、陰に在る者、烏頭湯と為す。二証、日を経て差えず、身体羸痩して脚独り腫れ、頭眩、短気、吐かんと欲する者、桂芍知母湯と為すなり。《雑病弁要》 脈:☆脈の緊または沈の者に、烏頭湯を用いれば百発百中であるが、洪数の者には効がない。効がないばかりか、反って悪くなることがある。洪数は続命湯を用いる脈である《有持桂里》 #烏頭七棗湯《東醫寶鑑》「川烏(大)(塩水で7回漬けて、皮と臍は捨て)2貼にし、1貼に生姜7、 大棗7、葱白3茎を入れて煎じ冷まし、先に棗を食べたあと薬を飲む。 ◎労瘧と寒瘧を治す。 #烏豆湯《経験方》《中医処方解説》「製川烏頭9g(先煎)、製草烏頭9g(先煎)、白芍9g、黒豆30g、紅花6g、黄蓍12g、麻黄3g」水煎服。◎散寒湿、止痛、補気血。 #烏鬚髪方《東醫寶鑑》「水蛭(大)2個を磁器椀の中に入れて7日間飢えさせて、烏骨雌雄の血で松煙墨をといて猪尿胞に入れ、水蛭に食わせ、針で水蛭をついて血が出たら、それを鬚髪の根に塗る。」 ◎毛髪が白くなる者。 #烏鬚酒《万病回春》《東醫寶鑑》「黄米(粘黎米)3斗、麦門冬8両、生地黄・何首烏各4両、天門冬・熟地黄・枸杞子・牛膝・当帰各2両、人参1両」を粉末にし麹(こうじ)を適当に入れて、普通の酒と同じように醸造し、毎日夜明け、かすかに酔う程度に飲む。 #烏蛇散[1]《東醫寶鑑》「烏蛇6銭、麻黄1両、草烏(炮)・乾姜・炮附子・川芎・白附子・天麻各5銭、蝎梢2銭半」粉末にし、毎回1銭を熱酒で1日3回飲む。◎破傷風で痰盛。 #烏蛇散[2]《証治準縄》「烏梢蛇、全蝎、白殭蚕、天南星、天麻、膩粉、生姜」 #烏蛇消風飲《中薬臨床応用》「烏梢蛇3g(研粉・呑)、蝉退12g、当帰15g、赤芍12g、防風9g、荊芥9g、地膚子18g、柴胡6g、白藜9g、甘草3g」水煎服。◎慢性湿疹◎ジンマシン #烏沈湯[1-1]《和剤局方》「天台烏薬100両、沈香50両、人参3両、甘草盬4両半」作末し、毎服半銭、入生姜3片、塩少許、沸騰點服、空心、食前。◎血気心痛。 #烏沈湯[1-2]《和剤局方》《東醫寶鑑》「烏薬1両、沈香5銭、炙甘草4銭、人参3銭」細末にし、毎1銭づつ姜塩湯で服用。◎すべての気が鬱滞し、背や心腹に疼痛。◎諸気を利し、諸痛吐瀉転筋、冷風麻痺を除き、腹中を温め、宿食を消し、及び婦人血気、心を攻撃四物湯、腹刺痛する者並びに皆之を治す。《古今方彙》 #烏沈湯[2]《小児薬証直訣》《古今方彙》「天麻2銭、人参・川烏(生)・全蝎・天南星・木香・沈香各1銭、甘草(炙)5分」水煎。 ◎慢驚を治し、駆風して胃を助ける。 #烏貝散《中薬臨床応用》 「烏賊骨90g、浙貝母30g」細末にし、1日3回3~6g、食前に服用。 ◎胃十二指腸潰瘍 #烏梅円[1]《備急千金要方》 「烏梅・黄連・乾姜・呉茱萸各4両、桂心2両、当帰3両、蜀椒2両半」◎久痢、諸薬にて癒えざること数十年の者を治す。《雑病論識》◎安胃湯を祖とす。 烏梅円[2]=烏梅丸《金匱要略》 #烏梅丸[1-1]《金匱要略》「烏梅300枚、細辛6両、乾姜10両、黄連16両、当帰4両、附子(炮去皮)6両、蜀椒(出汗)4両、桂枝(去皮)6両、人参6両、黄柏6両」右十味、異擣篩、合治之。以苦酒漬烏梅1宿、去核、蒸之五斗米下、飯熟擣成泥、和薬令相得。内臼中、與蜜杵二千下、丸如梧桐子大。日三服、稍加至二十丸。禁生冷、滑物、臭食等。◎傷寒脉微而厥、至七八日膚冷、其人躁、無暫安時者、此為蔵厥、非蚘厥也。蚘厥者、其人當吐蚘、令病者静、而復時煩者、此為蔵寒。蚘上人其膈、故煩、須臾復止。得食時嘔、又煩者、蚘聞食臭出、其人常自吐蚘、蚘厥者、烏梅丸主之。又主久利。 #烏梅丸[1-2]《東醫寶鑑》「烏梅15個、黄連7銭半、当帰・川椒・細辛・炮附子・桂心・人参・黄柏各3銭」を粉末にし、醋に烏梅を漬けて肉を取り、薬末に入れてつき、梧子大に丸め米飲で10~20丸飲む。
#烏梅丸[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「烏梅30個、細辛・炮附子・桂枝・人参・黄柏各6g、黄連16g、当帰・蜀椒各4g、乾姜10g」先ず烏梅を醋の中に一晩つけて核を去り、釜の底に置き、その上に米5合を入れて蒸し、ふやけたら取り出して他薬と蜂蜜(適宜)を加えてつき、0.3gの丸剤に作り、食前に10丸服用。1日3回、漸次増量して、2倍にする。
#烏梅丸[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》「烏梅・細辛・附子・桂枝・大棗・芍薬各4、甘草2」以上を水600ccに入れ半分に煮詰め滓を去り、蜂蜜20を溶かしてから、2回に分服する。◎此方の蛔厥は冷痛するものなり。痛や煩は発作して止むものなり。軽き症には起こる時ばかり厥する者あり。《勿誤薬室方函口訣》◎病者静にして時に煩し、蔵寒に因って蚘上ってその膈に入り、蚘厥をなす。当に蚘を吐すべし。《雑病翼方》◎厥陰の主方とす。最も厥陰は寒熱錯雑の症多き故、「茯苓四逆湯」「呉茱萸湯」のほかはあまねく此方を運用して効を奏すること多い。《勿誤薬室方函口訣》◎故に回虫の候なくとも、胸に差し込み痛ある者に用いる。◎反胃の壊症:此方を半夏乾姜人参丸料で送下して奇効あり。◎《柯琴》曰く、厥陰症の総方と為す。吐蚘久利もっとも宜しと。◎《陳念祖》曰く、余新たに一方を悟出す。瀉心の意ありて、上痞を消すべく、下瀉を止どむべし。腹熱胃寒、能く分走して、各々その長を尽くす。他方有るに非ざるなし。即ち傷寒厥陰条の烏梅丸なり。 ◎胃部圧重感、胸やけ、嘔吐、足の冷え、食欲不振、下痢などを起こす回虫、胃病、慢性下痢、血の道症。
★適応症及び病名(烏梅丸)
[1]嘔吐:☆回虫による嘔吐に用いるばかりでない、百方手を尽くして治らない者に良い《大塚敬節》
[2]精神錯乱:☆回虫が原因で精神錯乱した者を治した《山田業広》☆1幕臣の娘17歳が、1日発狂したので、はじめ柴胡加竜骨牡蛎湯を用いた。これで効があるようでもあり、無いようでもあり、数日たつとまた再発する。そこで三黄瀉心湯を用いてだんだん良くなった。その後、1年半ほどたって、突然手足が冷たくなり、脈が微になり、舌は湿り、熱は無いのに、ひどく口渇があり、不語、不食、大便秘結という状態になった。しかし精神は錯乱せず、顔色も虚脱の状がない。とても不思議に思われたけれども、脈微、手足厥冷によって真武湯を与えてみたが、効がない。いよいよおかしいことだと思っている時に、一案を得た。 思うに、これは、厥陰篇首条の“消渇、気上って心をつき、心中疼熱、飢えて食を欲せず、食すれば則ち蚘を吐す”とある場合であろうと。 そこで烏梅丸を与えたところ、諸症は次第にとれ、よだれのようなものを吐き、7、8日たって大便の通じと共に、回虫が3匹下って、そのまま治ってしまった。《椿庭夜話》
[3]血の道症:☆患者、鈴木某、46歳女性。病歴、5年前から、ゲップ・悪心・不眠・多夢・肩凝り・頭が重く何かがかぶさっているようだ、めまいもすることがある。寝たきりで全然起きられない。婦人科では手術を受けたが反って悪くなったような気がする。現在はブドウ糖とビタミンの注射をしてもらっている。 現症。初診6/11。かなり痩せていて見るからにピリピリするような神経質でどげどげしさが感じられる。以上の訴えの他に時々カーッとのぼせる。イライラする。咽に刺激感を覚える。足は冷たい。動悸、胃部が張る感じ、左手がシビレるなどの自覚症がある。大便は普通だが、小便は1日2、3回で時々出にくい感じがする。 望診上では、唇が乾燥気味で青味がかっている。舌は黒っぽい。脈は非常に沈んで弱い。腹診すると、腹壁は軟く、胸脇苦満や胃部振水音、腹動などはない。 治療と考案。病名は血の道症とつけた。一名更年期症候群。一名婦人精神身体症である。ノイローゼ、神経質、ヒステリー、卵巣機能障害、自律神経不安定症などと診断され、性ホルモンや精神安定剤を用いられるが、心因性のものがあるのでなかなかさっぱり行かないのが常である。 漢方的にみても厄介で、医者と患者の両方が忍耐と工夫をしなければうまく行かない。 先ず考えられるのは柴胡桂枝乾姜湯で、大体の症状は合っているが、悪心と腹証はぴたりとしない。柴胡桂枝乾姜湯は条文にも嘔せずとあり、実際味が悪いのでよく吐いてしまう人も有るくらいだ。 シビレ、小便難がある点では苓桂朮甘湯を考えないわけにはいかないが、ゲップ・胃部膨満感などがあるのでどうもぴったりと来ない。 咽中炙肉感があるからといって半夏厚朴湯の専売ではない。咽に来る経絡を考えたら他にいろいろなものが出てくるし、のぼせなども合わない。 残るのは黄連だが、黄連湯、黄連阿膠湯、甘草瀉心湯など一渡りしても脈その他ぴったりするものがない。まだ烏梅丸が残っている。 何しろ症状が複雑多岐で頭が混乱するから整理分類してみよう。この患者は上が熱して中が詰まって下が冷えている状態である。厥陰病は寒熱錯綜というが、寒と熱が一緒にごちゃごちゃになっているのではなくて、部分的に熱しているのは上の陽気が盛んなためで、下が冷えているのは下の陰気が盛んなためで、そうなったのは中が支えているので、上の陽気が降れず、下の陰気が昇れずにいるからである。 のぼせは頭部の充血によるものだが、陽気が盛んになっていると見る、烏梅丸には黄連と桂枝が入っているから適合する。 不眠は外の陽気が盛んなために起こるから、この場合は黄連で良い。黄連が一番多量に入っていることも意味があるようだ。 イライラするのは心肝の障害で、やはり黄連でよい。動悸はこの場合心熱と見られるから、心の陰気を補う黄連でよろしい。なお、上熱には黄柏も作用するし、のぼせ、動悸、めまい、頭重などを上衝も手伝うものとすれば桂枝が物を言うことになる。 次に中の症状だが、ゲップはこの場合は胃の虚寒のために起こるとしてよいだろう。胃の虚寒は足が冷えることや橘皮竹茹湯の証からも考えられる。乾姜蜀椒が入っている。 胃部の膨満感は胃虚である、人参が入っている。悪心は“せんと欲す”と、“吐せんと欲す”では病理が違ってくる。上に熱があるためなら“嘔せんと欲す”とし、胃に虚寒があるなら“吐せんと欲す”とすべきだが、今の場合はどちらの条件もあるからどちらにとっても宜しい。 下の冷えは、胃の虚寒と共に腎の陽虚陰盛と解釈すべきであろう。舌が黒いのは、腎陰が盛んなためとする。小便難は腎の陽虚であり、陽気が上ばかり集まっていて下に降りてこないためとも解釈できる。 以上の症状には桂枝・細辛が腎の陽気を補っている。 手のシビレは、表虚で、附子で経を温めるほか血行をよくするために当帰がある。特に左手がシビレるというのは難しい所だが、恐らくは女子は右を逆とし、左を従とするものだが、陽は左に症状が現れることが多いと解釈すれば、この場合シビレは表の陽虚だからそれが左手に起こったとしてよいだろうか、先輩の教えを仰ぎたい。 咽は咽と食道とを指している。咽の異常感はスチグマータとかヒステリー球とか云われるもので、食道の粘膜の知覚過敏、浮腫、食道筋層の痙攣などで起こるもので、食道神経症とも云われている。 漢方的にみれば気痞であり、経絡的にみれば胃・肝・腎などの経絡が絡っており、果たしてこの例で何経の作用であるかは明らかにし難いが、胃経であっても腎経であっても前述のように烏梅丸証の中に含まれるものだから、半夏厚朴湯ならずともよいのである。 経過。異常の如くにして烏梅丸を考え、烏梅丸の証を割り出し、薬能と症状とを引き合わせてそれに決め、1日量6.0を用い、9.0~12.0と漸次増量した。勘定合って銭足らずのこともあるから、結果如何と大いに興味を持っていたが、この患者は遠方で再往診も困難な事情があるため電話で連絡して経過を尋ねた。半月すると不眠症、ゲップなどの主訴が著しく軽快し、大変感謝されたが、1ヶ月後には起きられるようになった。5年間ほとんど寝たきりの病人だったので、その喜びようは並々でなかった。(龍野一雄・漢方の臨床誌第8巻第2号)
[4]煩躁:☆回虫が原因で煩躁する者を治するために設けられた薬方《大塚敬節》
[5]腹痛:☆回虫から来る腹痛に用いる《大塚敬節》☆およそ回虫の腹痛は発作性にくるものが多く、嘔吐を伴うものである。これを治するに苦味の烏梅丸の効く者と甘草粉蜜湯の効く者とある。 もし嘔吐がひどくて薬を受け付けない者には蜀椒と烏梅の2味を煎じて与えても良い。又、椒梅瀉心湯として用いても良い。《大塚敬節》☆烏梅丸の効く場合は、痛みが甚だしい時は手足がシビレ、或いは厥冷して、煩躁がひどくて気絶するほどになるものである。《大塚敬節》
烏梅丸[2]《東醫寶鑑》「黄連1両半、烏梅肉・当帰・枳穀各1両」粉末にし、醋糊で丸め、米飲で空腹時に70丸飲む。 ◎熱痢で腹痛・下血。蛔厥の心腹痛を治す。
烏梅丸加減《中薬臨床応用》「烏梅15g、乾姜6g、党参6g、檳榔子12g、苦楝根皮12g、使君子15g、木香9g、蜀椒6g、大黄9g、細辛3g」水煎し1日1剤を2回に分けて服用。
烏梅膏《中薬臨床応用》「烏梅30g」塩水(50mlのぬるま湯に食塩9g)の中に12~24時間浸す。核を除き「酢15ml」加えてすりつぶし軟膏にする。 ◎胼胝(タコ)、鶏眼(ウオノメ)に外用。
烏梅丹=烏梅丸《金匱要略》
烏梅湯[1]《東醫寶鑑》「柴胡2銭、山梔子(炒)・黄芩・炙甘草各1銭、烏梅肉2個、生姜3片、豆豉50粒」水煎服。 ◎傷寒が治った後、虚煩し、不眠・懊悩する者。
烏梅湯[2]《東醫寶鑑》「黒豆・緑豆各1合、烏梅3個」水煎服。 ◎痘渇と出痘を治す。痘瘡で煩渇し、水を飲んでも渇がもっとひどくなる。
烏梅木瓜湯[1-1]《三因極一病証方論》「木瓜、烏梅、黄柏、甘草、草果」 烏梅木瓜湯[1-2]《東醫寶鑑》「烏梅(砕いて種を残す)・木瓜各2銭、麦芽(炒)・草果・甘草各1銭、生姜3片」水煎服。◎酒熱と消渇を治す。
烏白丸《東醫寶鑑》「烏梅肉・生姜各4両、白礬・半夏各2両、をついて瓦の上に置いて3日間火に焙って、神麹・麦芽・陳皮・青皮・莪朮・丁香皮・大腹皮・枳穀各1両」粉末にし、酒糊で梧子大の丸剤。姜湯で50丸飲む。◎酒積を治し、痰と食物を消化する。
烏附通気湯《東醫寶鑑》 「烏薬・香附子・当帰・白芍・山楂肉・橘皮各1銭、白朮7分、赤茯苓・沢瀉各5分、猪苓・木香・甘草各3分」水煎服。 ◎新・久の疝病を治し、七情の疝を治す。
烏薬順気散[1-1]《和剤局方》《松田ー回春解説》「烏薬・陳皮各2銭、姜蚕(炒って糸を去る)・乾姜(炮5分)・甘草(炙3分)・麻黄(去節)・川芎・白芷・枳殻(去穰麩炒)・桔梗各1銭」剉作1剤。生姜3片、棗1枚。水煎して温服する。 ◎初めて風邪に中り、麻木疼痛るつ者は風湿の気なり。この方に宜し。
烏薬順気散[1-2]《和剤局方》《古今方彙》「烏薬・陳皮各2銭、白殭蚕・乾姜(炮)各5分、麻黄・川芎・白芷・桔梗各1銭、甘草(炙)3分、枳殻1銭、生姜、大棗」水煎。
◎男婦一切の風気攻めて四肢に注ぎ、骨節疼痛、肢体頑麻、手足癱瘓、言語蹇渋(発語が円転ならざるもの)、筋脉拘攣するを治す。 宜しく先ず此の薬を服し、気道を疎通し、然る後に風薬を進め蓋(オオ)いて風を治す。蓋し風を治するには、先ず気を理し、気順えば則ち痰は消え、除ろにその風を理すれば庶(オオク)は効を収むべし。理気は気滞・気欝・肩膊麻痛の類、これ七情なり。みな宜しく之を服すべし。
烏薬順気散[1-3]《東醫寶鑑》「麻黄・陳皮・烏薬各1銭半、川芎・白芷・白彊蚕・枳穀・桔梗各1銭、乾姜5分、甘草3分、を剉作し、1貼に生姜3・大棗2を入れ、水煎服。 ◎一切の風疾を治す。先にこの薬を飲んで気道を疎通いた後、風薬を投与し、又 と歴節風を治す。◎風の通治薬。◎風気が経絡に流入して四肢が疼痛し、筋脈が拘攣したとき。
烏薬順気散[1-4]《和剤局方》《漢方後世要方解説》
「烏薬・陳皮・白殭蚕・乾姜・麻黄・川芎・桔梗各2.5、枳殻・白芷・甘草各1.5」
◎男子婦人一切の風気、四肢骨節疼痛、遍身頑麻、頭目旋暈するを治す。及び癰疾、語言蹇渋、筋脈拘攣するを療す。又、脚気歩履艱難、脚膝軟弱、婦人の血風、老人冷気上攻し、胸腹両脇刺痛、心腹膨張、吐瀉腸鳴を治す。
◎此方は中風の症で、四肢骨節の疼痛、言語障害あり、筋脈痛み引きつり、肩及び上肢の疼痛、運動障害あるもの、シビレ感ある者等に、気を順らす目的を以て用いる。風に当たりて麻痺感ある者にもよい。
*麻黄・川芎=表気を順らし、遍身疼痛を治す。
*烏薬・陳皮=裏気を順らし、語言蹇渋を治す。
*白芷・白殭蚕=面部の気を順らし、口眼を治す
*甘草=肺気を緩くし
*桔梗=気の上逆を下し*乾姜=滞気を順らす。
烏薬順気散[1-5]《和剤局方》《勿誤薬室方函》「麻黄・橘皮・烏薬・白彊蚕・枳実・白芷・甘草・桔梗各1両、乾姜半両」温酒にて調服する。
◎男子婦人、一切の風気、攻、四肢骨節疼痛し、遍身頑麻し、頭目旋暈するを治す。及び、語言蹇渋し、筋脈拘攣するを療す。」
◎又脚気、歩履難く、脚膝軟弱し、婦人血気、老人冷気、胸臆上攻し、両脇刺痛し、心腹膨張し、吐瀉腸鳴するを治す。
◎身体痛、関節痛、麻痺、言語障碍等の内どれかが主になる。《龍野処方集》
◎気のめぐりをよくして、気の欝滞によって四肢の疼痛、麻痺、運動障害なそを治する目的で用いる。虚証で脈の微弱な者には用いない。《大塚敬節》
★適応症及び病名 (烏薬順気散)
[1]肩こり:☆肩臂疼痛《矢数道明》☆気鬱から起きる肩こり。☆肩がつまって、首が回らない:「木瓜」=回首散《万病回春》
[2]脚弱の浮腫には:☆「牛膝・独活・五加皮各3.0g」《龍野ー漢方処方集》
[3]顔面神経麻痺:
[4]脚気
[5]関節リウマチ
「6」ギックリ腰:☆ギックリ腰や足のくじきに用いる《大塚敬節》
[7]筋肉リウマチ ☆全身の疼痛:
◎「当帰・桂枝各3.0g、乳香・没薬各1.5g」《龍野ー漢方処方集》[8]口眼か斜には:☆寒冷にあって口眼斜を起こした者《大塚敬節》☆「乾姜・黄連・竹瀝各2.0g、羗活・荊芥・防風各4.0g。《龍野ー漢方処方集》
[9]五十肩:[10]シビレ:《矢数道明》
☆四肢冷痺には:「白川附子1.0g、桂枝3.0g」《龍野ー漢方処方集》☆扇風機やクーラーの風によるしびれ。《中医処方解説》☆この方は気のめぐりをよくする方剤で、気のめぐりが悪いために起こる四肢のシビレ・痛みなどによい《大塚敬節》☆脳出血で、手足がシビレたり、痛んだりする者に良い《大塚敬節》
[11]四十腕
[12]中風: ☆烏薬順気散は中風の初起で、頭痛・悪寒・発熱・口眼・半身不随等の症状があって、一通り中風の初起の表症ある者に用いる主剤である。余が家では中風の常用方である。この方と人参順気散はいずれも表症のある者に用いる。しかし言語障害があり、意識もぼんやりしている様な者には遠慮するが良い。それよりも一等軽いところに用いる。雑病一切気のめぐりが悪く、四肢がシビレあるいは首が回りかね、或いは口がゆがみ、或いは歩行する時に、足の具合が悪い者などに用いる。又、足をねじり或いは床を踏み外し、或いは重い荷物を持って腰脚などをギックリとスジを違え、それが原因で痛み者などに良く効く《梧竹楼方函口訣》
「13」寝違い:☆寝違えて首の回らない者《大塚敬節》☆首の回りにくい者:「木瓜」=回首散《万病回春》[14]脳溢血:☆脳溢血による四肢疼痛《矢数道明》 [15]背心痛には: ☆「行気香蘇散白朮3.0g、半夏・茯苓各6.0g」《龍野ー漢方処方集》[16]半身不随: [17]臂痛:☆「羗活・防風各4.0g、桂枝・白朮各2.5g、紫蘇葉2.0g」《龍野ー漢方処方集》☆赤ん坊に手枕をして、肘がシビレ、痛む者《大塚敬節》[18]浮腫: ☆腰脚の浮腫:「牛膝・杜仲・角茴香各3.0g」《龍野ー漢方処方集》 ☆虚汗には・・黄蓍2.0g、麻黄。《龍野ー漢方処方集》
[19]婦人血風:☆「防風6.0g、荊芥4.0g、薄荷葉2.0g」。《龍野ー漢方処方集》[20]麻痺:☆《餐英舘療治雑話》“当今、肩背の痛んで手臂麻痺する証には気に属する者が甚だ多い。肩背が張って麻痺し、或いは心下がつかえて気ののびない証は、皆七情の病で、この方で著効をとる。或いはこれに羗活。防風などの風薬を加えたり、少し附子を加えて用いると更によい。この頃の病人には、気滞と肝欝に目をつけよというのは、このことである。またはっきり気滞の徴候が見えなくても、難治の者にはこの方を用いてみると良い。婦人で背から腕にかけてシビレて痛むと言う者には、なおさらこの証が多い”
☆片側麻痺には:「天麻・羗活・当帰各3.0g、麦門冬・天南星各6.0g、木香1.0g、麻黄」。《龍野ー漢方処方集》 ☆中風全麻痺には:「人参2.5g、白朮・当帰各3.0g、麦門冬6.0g」《龍野ー漢方処方集》 ☆慢性の麻痺・歩行困難「独活寄生湯」《龍野ー漢方処方集》
烏薬湯[1-1]《医学入門》《古今方彙》「烏薬1銭半、香附子2銭、当帰1銭、木香・甘草各5分」水煎、空心時に服用。◎血海疼痛するを治す。
烏薬湯[1-2]《済陰綱目》《東醫寶鑑》「香附子2銭、烏薬1銭半、当帰1銭、木香・甘草(炙)各5分」水煎服。 ◎婦人の血海疼痛を治す。
烏薬平気散《三因極一病証方論》《古今方彙》「烏薬・茯神・甘草・人参・白朮・川芎・当帰・木瓜・白芷・五味子・紫蘇子各等分、生姜、大棗」煎服。 ◎脚気上攻し、頭目昏眩、腰膝痠疼し、諸気和せず、喘満迫促するを治す。
烏薬平気湯《東醫寶鑑》「烏薬1銭、茯神・人参・白朮・川芎・当帰・木瓜・白芷・五味子・紫蘇葉各7分、甘草3分、生姜5片、大棗2枚」水煎服。 ◎脚気が上攻して昏眩し、喘促する者。
烏竜腎《東醫寶鑑》「川烏・草烏各1両」を黒豆半升と煎じて、皮・臍を捨て晒して乾燥、白附子・天麻・地竜各5銭を粉末にし、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で30~50丸呑む。 ◎腎臓風の下注による瘡癬の症。
烏竜丹《東醫寶鑑》
「川烏生(皮と臍を捨て)・五霊脂各2両、竜脳・麝香各半銭」を水で弾子大の丸剤。毎回1丸を、初日は姜汁で化下し、次の日は煖酒で調合して5~7丸を食べると手足が良く動くようになり、10丸を服用すれば自分の手で全ての事ができる。 ◎中風で口眼がし、手足に力無く、引っ張るような感じがして、言語不渋を治す。
烏龍解毒散《万病回春》《東醫寶鑑》「木耳4両を土鍋で炒り焦がし、性を残して粉末にする。毎回5銭を熱黄酒1椀で調服する。」◎杖で打たれた後、寝起きもできない者。又は打ち身で、疼痛がひどくて昼夜眠れない者。
烏苓通気湯[1-1]《万病回春》
「烏薬・当帰・芍薬・香附子・糖毬・陳皮各1銭、茯苓・白朮(去蘆)・檳榔・延胡索・沢瀉各5分、木香・甘草各3分」剉作1剤生姜3片、水煎服。
◎一切の疝気にて遠近、関越、風湿、寒気を問うことなく治す。◎若し悪寒し脈沈細の者:「呉茱萸」◎《医学入門》には猪苓ありて檳榔子、玄胡索なく、「烏附通気湯」と名づく。
烏苓通気湯[1-2]《万病回春》《勿誤薬室方函》 「烏薬・当帰・芍薬・香附子・山楂子・陳皮各1銭、茯苓・白朮・檳榔・玄胡・沢瀉各5分、木香・甘草各3分、生姜」
◎一切の疝気を治す。遠近寒熱を問う無し。
◎此方は後世、疝の套剤とすれども、疏気利水が主意にて、寒疝諸症、温散和中の薬効なき者に用いて通気の験著しい。《勿誤薬室方函口訣》
◎腹冷痛《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(烏苓通気湯)
[1]遺精:☆疝に因る者:《方読便覧》
[2]陰嚢腫脹:☆小児陰嚢急痛する者に与え即効あり。《勿誤薬室方函口訣》
[3]下痢:☆産後痢病、久痢を治す:「干姜・附子」《方読便覧》
[4]疝気
[5]乳房痛:☆婦人両乳痛甚だしき者に即効あり。《勿誤薬室方函口訣》
[6]冷え腹
[7]腹痛
[8]ヘルニア
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欝金丸[1]《東醫寶鑑》
「蝉退・欝金各7両、明礬3両」粉末にし、糊で梧子大の丸剤。毎回50丸 を温水で服用。飲むと胸につかえたものが、すっと降りる感じで気分が良 くなる。
◎癲狂。心配のしすぎから痰涎が心臓の弁をふさいで癲狂になった。
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欝金丸[2]「欝金、木香、(明)雄黄、五霊脂、延胡索、砂仁、明礬」
欝金黄連丸《東醫寶鑑》
「滑石・白茯苓各4両、黒牽牛子末3、黄芩・大黄・琥珀各2両、欝金・黄連各1両」粉末にし、水で梧子大の丸剤。沸騰湯で50~70丸呑む。
◎小腸・膀胱の積熱による閉不通。
◎遺尿不禁・白濁、膏淋が血膿のような症状。
◎沙石が米粒・粉糊のような症状。
#欝金散《東醫寶鑑》「欝金・白芷・細辛各等分」粉末にして牙歯に塗り、竹葉・竹茹に塩を少し入れて歯を磨く。
◎歯根出血の主治剤。
#禹余粮丸《東醫寶鑑》 「禹余粮(煆)・赤石脂(煆)・竜骨・蓽撥・訶子(炮)・乾姜(炮)・肉豆蔲()・附子(炮)」各等分に作末し、醋糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で70丸呑み下す。
◎虚寒に滑泄不禁を治す。
#雲南白薬【中成薬】 「田七・七葉一枝花」
#温胃湯[1]《東醫寶鑑》「乾姜(炮)1銭半、炮附子・半夏(麹)厚朴・人参・陳皮・甘草(炙)・当帰各1銭2分半、川椒(炒)1銭」水煎服。 ◎胃気が冷え、脹満して消化しない者。
#温胃湯[2]《東醫寶鑑》「陳皮・黄蓍各7銭、益智仁6銭、白豆蔲・姜黄・乾姜・沢瀉各3銭、縮砂・厚朴・人参・甘草各2銭」を粉末にし、毎回3銭に生姜3片を入れ、水煎服。◎寒薬の多飲による、胃脘の疼痛。
#温胃湯[3]《東醫寶鑑》「陳皮・黄蓍各7銭、益智仁6足。
#温胃化痰丸《東醫寶鑑》「半夏(製)3両、乾姜(炮)・白朮(焙)・陳皮各2両」粉末にし姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で20~30丸呑む。 ◎胸膈間に寒飲・冷痰のある症。
#温衛湯《東醫寶鑑》「当帰身1銭半、黄蓍・蒼朮・升麻・知母・柴胡・羗活各1銭、人参・防風・白・黄柏・沢瀉・甘草各5分、陳皮・青皮・黄連・木香各3分」水煎服。 ◎鼻が効かず、眼中に湯火があって、陰冷で足がしびれる症。
#温金散《東醫寶鑑》 「防風・桑白皮・黄芩・甘草各1両、杏仁(去皮尖)21粒」を水に漬けて一晩おき、乾燥後、「人参5銭、茯神5銭、麦門冬2銭半」を入れて粉末にし、毎回3銭に黄蝋を大豆大ぐらい入れ煎服。◎労嗽を治す。
#温経益元湯《傷寒六書》《古今方彙》「附子・人参・白朮・当帰・黄蓍・甘草(炙)・白芍薬(炒)・生地黄・茯苓・陳皮・肉桂・生姜・大棗・糯米(炒)」水煎温服。 ◎汗後大虚し、頭眩し、振々として地に倒れんと欲し、及び肉瞤筋愓(筋肉がピクピク動く)し、◎或いは大汗後衛虚し、亡陽、汗出ること止まず、◎或いは下後下利止まず、身疼痛する者を治す。
#温経湯[1-1]《金匱要略》《龍野一雄》「呉茱萸3g、当帰・芍薬・川芎・桂枝・人参・阿膠・牡丹皮・甘草各2g、半夏8g、麦門冬10g、干姜1g」◎此方は胞門(胎盤の出る門)虚寒と云うが目的にて、凡そ婦人血室虚弱にして月水不調、腰冷、腹痛、頭疼、下血、種々虚寒の候ある者に用いる。年50云々に拘わるべからず。反って方後の主治に拠るべし。《勿誤薬室方函口訣》胞門虚寒とは、子宮の機能が衰えて冷えていることを指す《大塚敬節》 ◎瘀血、暮熱、少腹裏急、腹満、手掌煩熱、口唇乾燥、下腹寒冷、不妊、子宮出血《龍野ー漢方処方集》◎此すなわち正を養えば邪自から消えるの法なり。《雑病論識》◎此湯の温経と名づくるは、瘀血温を得て即ち行るを以てなり、余、本方「附子」で奏功す。《雑病論識》◎温経散寒、補血調経、活血化瘀、益気和胃。《中医処方解説》◎《陳念祖》曰く、温経湯、陰陽、虚実、閉塞、崩漏、老少を論ぜず、よく之を用い、手に応じ効を取らざる無し。又云う、絶えて逐瘀の品無し、故に期を過ぎ来たらざる者能く之を通じ、月来たる過多なる者能く之を止む。少腹寒にして胎を受けざる者、並びに能く之を治す。《方読便覧》◎目標:手掌の煩熱と唇の乾燥と下腹部の膨満または不快感にある《大塚敬節》
★温経湯(手足のほてり、口唇乾燥、下腹部膨満感、腹痛、腰痛、脈無力
【適応症】《矢野敏夫》 「冷え症で手掌がほてり、口唇が乾燥しやすい次の諸症に用いる: 手掌角皮症・更年期神経症・月経不順・月経過多・月経痛・頭痛・腰痛・帯下」
【ポイント】《矢野敏夫》 元気が無く、貧血・冷え症傾向の婦人に、口渇、手掌のほてり、下腹部膨満感を目標に用いる
★適応症及び病名 (温経湯)
[1]アレルギー性鼻炎
[2]頭がふらつく
[3]潰瘍性大腸炎
[4]顔色悪い
[5]角皮症
[6]下肢の冷え:☆下肢寒冷にして、虚熱逆上の証候あり、時に屡(しばし)ば子宮出血を起こす者《奥田謙蔵》☆下肢寒冷にして、手掌煩熱し、冬季に入れば、時々腰腹痛を発する等の証《奥田謙蔵》
[7]下腹部の冷え
[8]下腹部の疼痛
[9]下腹部の不快感
[10]下腹部の膨満感
[11]感情が不安定
[12]乾癬
[13]寒冷で悪化する
[14]気の上衝<+>
[15]月経異常:(遅れる、早すぎる)
[16]月経過多
[17]月経困難
[18]月経痛:☆婦人経水不調、少腹冷気、瘀血に属する者は、温経湯奇効あり。経後腹痛する者亦瘀血に属す。もし経行中に不屈する者は気滞に属す。《先哲医話》
[19]月経不順:☆《張氏医通》に曰く、経水、期をあやまり、胸脇腰脘刺痛し、虚浮、寒戦す。これ衝任衰弱し、蔵気虚冷の故なり。《方読便覧》☆月経不順にして、常に腰脚に冷感あり、かって孕姙せざる証《奥田謙蔵》☆月経不順にして、熱候無く、白帯下断続する等の証《奥田謙蔵》
[20]下焦虚寒
[21]下痢
[22]血瘀血虚:☆血虚に血瘀の証を兼ねる者に用いる。
[23]口唇乾燥:☆瘀血の証で唇口が乾燥する者に用いる《大塚敬節》☆1婦人、結婚10数年一度も妊娠したことがない。この婦人は腰が冷え、足がひきつれる感じがすると云う。唇は乾かないが、鼻孔が乾燥し、肌が荒れる。そこで温経湯を用いたところ、鼻孔の乾燥や指の荒れは良くなった《大塚敬節》
[24]更年期障害
[25]腰が冷える<下寒>
[26]骨粗鬆症 ☆瘀血所見があり、冷え症で、下肢に膨満感があったり、下肢が引きつれたりして、掌には煩熱があり、口唇が乾燥するものに用いる(漢方診療医典)
[27]骨盤内うっ血症候群 ☆EBM:(Evidence) 1件の多施設症例集研究において、骨盤内うっ血症候群に対する温経湯の有効率は84.0%であった。内診所見では子宮圧痛、仙骨抵抗、分泌物の量は有意に改善した。
[28]しびれ(手足の) (手足のほてり、口唇乾燥、下腹部膨満感、腹痛、腰痛
[29]しもやけ
[30]子宮ガン:☆郡山、北条弥一右衛門、妻、歳60は、月経様の出血が止まず、時に汚い水のようなものを下し、腰は氷か鉄の帯をしている様に冷たい。医者は皆、帯下(ここでは今日の子宮ガン)不治とした。余はこれを診察して、悪寒も熱もなく、脈も虚数ではない。また陰部に痛むところがなく、下り物に悪臭がない。或いは治るかもしれないと、温経湯を与え、硫黄と龍骨の2味で丸薬をつくって兼用せしめた。これを服用すること10日あまり、腰に温みを覚え、汚水の下ることも減じ、数ヶ月の後、子宮出血も止まり、普通の老婦人となることが出来た。《橘窓書影》
[31]子宮発育不全
[32]子宮出血:☆下血の証、口唇乾燥、手掌煩熱、上熱下寒(上半身がのぼせ、下半身が冷える)、腹塊なき者を適証として用いる。《勿誤薬室方函口訣》☆もし塊あり、快く血下らざる者は「桂枝茯苓丸」に宜し。その一等重き者を「桃核承気湯」とする。☆《金匱要略》に“おたずねします。婦人が50歳ばかりの頃、数十日もの間、子宮出血が止まず、日暮れになると熱が出て、小腹裏急(小腹は下腹、裏急は腹のつれる感じ)と腹満があり、手掌には煩熱(いやな熱感)があり、唇と口が乾燥しているのですが、これはどういうわけでしょう。先生はこれに次のように答えられました。それは婦人の病で、半産後の瘀血が下腹に残って去らないからこんな症状を呈するのです。その証拠は唇口の乾燥にあるのです。これは温経湯の主治するところです”《大塚敬節》
[33]湿疹:☆手の指や手甲などに出来て、なかなか治らない頑固な湿疹に著効がある。《大塚敬節》☆30歳の女性。結婚して10年になるが、妊娠しないという。色の白い、中肉中背で、別に病気らしいものはしたことがない。婦人科の診察では、特に悪いところはないと言うが、冷え症で、腰(特に右側)の周りから右大腿にかけて冷えて、つれる感じがある。月経の量は少なく、右腹直筋が突っ張っている。それに数年前から、手の指と甲に湿疹があり、これはコーチゾンの使用でよくなるが、一時的でまた元通りになるという。 私は先ず当帰芍薬散を与えた。すると湿疹がひどくなって、鼻の下にも、新しいものが出来て、痒いという。温清飲荊芥連翹とする。変化無し。消風散とする。湿疹の方は少し良いようだが、胃が痛むので、続けて飲めないという。それに背がひどく冷えて、首まで凝るようになり、月経が遅れた。当帰飲子とする。湿疹の方は変化無く、右の腰から足にかけて、ひどく冷える。 温経湯とする。湿疹がどんどん良くなる。2ヶ月ほどで、全治してしまった。その後、3ヶ月ほど、この方を連用した。この患者は最近になって妊娠した。《大塚敬節》 ☆26歳の主婦。20歳の時に左手に湿疹が出来、4年間治らなかった。24歳の春結婚し、11月に妊娠した。その頃より湿疹が増悪し、25歳の春には右手にも拡がった。この年の11月には項部にも拡がり、手の方も悪くなった。そして胸にも発疹が出始めたので、プレドニンを飲んだ。これを飲んでいる間はよいが、止めるとまたひどくなった。目下妊娠7ヶ月であるが、両足と項部に湿疹が出ている。時々頭痛のする事があり、下痢しやすいという。 温経湯を与えると、10日間の服用で、湿疹の方は大いに軽快し、1ヶ月で全快し、下痢もしなくなり、頭痛も無いという。《大塚敬節》
[34]習慣性流産
[35]上熱下寒:☆(上半身がのぼせ、下半身が冷える)
[36]自律神経失調症
[37]進行性手掌角皮症:☆手掌煩熱、唇口乾燥にヒントを得て、それまでは、桂枝茯苓丸+ヨクイニンや加味逍遥散などを用いていたが、それらを用いず、指掌角皮症のほとんどが、これで治ることを知った。《大塚敬節》
[38]精神分裂病
[39]舌質:<淡白><瘀斑>
[40]舌苔:<無苔><湿潤> ☆やや乾燥した薄い白苔《矢野敏夫》
[41]多嚢胞性卵巣症候群 ☆EBM:(Evidence) 1件の多施設症例集積研究に於いて、多嚢胞性卵巣症候群に対する排卵率は57%であった。また、LHは有意に低下した。
[42]帯下(凝血がある)☆婦人、帯下と称する者は、赤白を泄し、少腹裏急し、或いは腹虚満し、手掌煩熱し、脣口乾燥し、その人心下痞し、嘔逆し、或いは欬唾に血を帯びる者なり。当に温経湯を以て之を主としべし《医聖方格》
[43]血の道症
[44]蓄膿症
[45]虫垂炎(急性)
[46]疲れやすい(疲労倦怠)
[47]手掌煩熱:☆手の甲や掌の乾燥する者にも効く《大塚敬節》
[48]凍傷
[49]ノイローゼ
[50]のぼせ<上熱>
[51]冷え症 ☆EBM(レーザー組織血流計による検討) (対象患者) ①冷えの自覚と四肢末梢血流量に関する検討 2000年3~6月外来受診112例 平均年齢 32.7±8.55歳(22~49歳) ②排卵障害、不妊症、更年期障害を有する患者での温経湯投与による四肢血流変化に関する検討 投与群 32例(33,7±7.49歳) 非投与群29例(32.0±7.04歳) 両群において月経状態、冷えスコアにおいて差を認めなかった。 (薬物投与) ③温経湯投与群では7.5g/日を8週間投与。 非投与群では漢方薬以外の治療を選択 (Evidence) 1件の症例集積研究において、温経湯は上下肢の血流量を調整することで冷え症を改善することが示された。
[52]冷えのぼせ
[53]関節痛<膝の>
[54]微熱
[55]皮膚疾患(乾燥性)☆34歳の婦人。不妊のため、6ヶ月前に、子宮後屈の手術をし、その時、両側の卵管を切除し、片方をビニールでつないだ。 なお4年前より軽い耳鳴りがあり、最近、疲れやすく、肩が張り、足が冷える。足は右が重い。時々眠れない。湿疹は胸部の中央に手掌大に拡がったものと、背部で肩胛間部の下方に手掌大に坐をとっている。発疹はあまり隆起せず、発赤を認めない。分泌物もなく、乾燥している。カユミはあるがひどくはない。腹診上左の腸骨窩のあたりに圧痛があり、瘀血の存在を疑わしめるに足る。大便は1日1行。 私はこれに温経湯を用いたところ、10日分の服用で安眠が出来るようになり、湿疹も軽快した。しかし腰痛と肩こりがよくならない。次の10日分で腰痛はよくなったが、肩こりがひどい。次の10日分で依然として肩こりを訴え、耳鳴りがひどい。まだ時々湿疹が痒い。なお、4、5回悪心を訴えた。次の10日分で依然として、肩こりと耳鳴りがあり、口腔に潰瘍が出来た。次の10日分で、口腔の潰瘍は治したが、外陰部から膣がただれ性交不能となる。イライラする。温経湯に黄柏を加えて与える。これを飲むと、とても気分がよく、肥えてきた。陰部のただれもよくなり、湿疹も全治した。《大塚敬節》
[56]皮膚枯燥[57]貧血[58]腹痛[59]不正性器出血:☆郡山の北条弥一右衛門の妻は60であるが、月経が止まらず、時々汚い水がもれ、腰は冷えて、まるで氷か鉄をあてているようだと云う。医者は皆、コレを診て、不治の症とした。自分はこれを診察して云った。身に悪寒も熱もなく、脈も虚数(力がなくて速い)ではない。また陰部にも疼痛もなく、下り物にも悪臭がない。ことによると治るかも知れないと、そこで温経湯を与え、硫黄と龍骨の2味を丸として兼用した。これを10日あまり飲むと腰に温かみを覚え、下り物が減じ、出血が止まり、普通の老婦となった。《橘窓書影》 [60]不妊症:☆《金匱要略》に“婦人の下腹が冷えて久しい間妊娠しないのを治し、かねて子宮出血を治し、また月経が多すぎる者及びその期になっても来ないものを治する”《大塚敬節》☆私はこの方を用いて、うまく妊娠した例を知らない。然し浅田流ではこの方を不妊に用いているので、方と証がうまく的中すれば、妊娠も可能であろうと思う《大塚敬節》 ☆桂枝茯苓丸や当帰芍薬湯とともに不妊症に有効である。桂枝茯苓丸は左下腹部圧痛と共に抵抗があり、温経湯にはない。当帰芍薬湯は、皮膚にやや水分の多い感じ、めまいなどがあり下腹直筋の緊張弱く、表層圧痛を認めるが、温経湯は腹直筋緊張良好の違いがある。《矢野敏夫》[61]ほてり[62]慢性腸炎[63]慢性副鼻腔炎 [64]無気力[65]無月経 [66]無排卵 ☆EBM:症例集積研究 (Evidence) 1件の証を考慮しない症例集積研究において、8週後のFSH、LH、estradiolは有意に増加した。12週後までに排卵に至ったのはⅠ度無月経65%、Ⅱ度無月経23%だった。 [67]盲腸炎[68]卵巣機能障害 [69]脈:弱、時に緊弱(細であることは少ない)《矢野敏夫》 温経湯[2](一名調経散)《東醫寶鑑》「麦門冬2銭、当帰1銭半、人参・半夏(製)・白芍薬・川芎・牡丹皮各1銭、阿膠珠・甘草(炙)各7分半、呉茱萸・肉桂各5分、姜3片」水煎服。◎月経の不調を治す。◎月経のあるときに房事を行い衝脈・任脈が損傷し、経血が暴下。 温警丸(一名粉紅丸)《東醫寶鑑》「天南星(牛胆)4両、天竺黄1両、朱砂1銭半、臙脂胚半銭、竜脳5分」 粉末にし、牛胆汁で芡実大の丸剤。砂糖水で飲む。 ◎急驚の虚症を治す。 温腎丸[1]《東醫寶鑑》「熟地黄1銭半、牛膝・肉蓯蓉・五味子・巴戟・麦門冬・炙甘草各8分、茯神・乾姜・杜仲(炒)各5分」水煎服。 ◎腎が弱く、命門が冷え、腰痛する者。 温腎丸[2]《東醫寶鑑》「山茱萸・熟地黄各3両、巴戟2両、兎絲子・当帰・鹿茸・益智仁・杜仲・生乾地黄・茯神・山・遠志・続断・蛇床子各1両」粉末にし、梧子大の蜜丸。空腹時に温酒で50~70丸飲む・ ◎これを飲むと妊娠する。 温腎湯《東醫寶鑑》「赤茯苓・白朮・沢瀉・乾姜(炮)各1銭2分半」水煎服。 ◎風寒湿による寒淋。小便不利を治す。 温清飲[1-1]《東醫寶鑑》=「解毒四物湯」「黄連解毒湯+四物湯」◎崩漏が止まらず、五色が流れ出、顔は黄色く腹痛する。 温清飲[1-2]《万病回春》《古今方彙》=「四物湯+黄連解毒湯」 「当帰・芍薬・川芎・地黄・黄芩・黄連・黄柏・山梔子各1銭半」◎婦人経水住まず、或いは豆汁の如く五色相雑え、面色萎黄・臍腹刺痛・寒熱往来・崩漏止まざるを治す。◎此方は温と清と相合する処に妙ありて、婦人漏下、或いは帯下、或いは男子下血止まざる者に用いて験あり。《勿誤薬室方函口訣》◎腸出血、子宮出血、貧血著明、或いは腰痛浮腫を伴う者。《龍野ー漢方処方集》◎清熱瀉火、解毒、補血活血、止血。《中医処方解説》◎目標:《大塚敬節》<1>患部が乾燥して赤みを帯び、灼熱があり、カユミがひどく、ひっかくと、粉がこぼれるという点にある。<2>分泌液が流れることはない。<3>顔面・頸部・項部などがひどくおかされる傾向がある。◎目標:《矢数道明》「多く丘疹性の湿疹で、分泌物はなく、枯燥の傾向があり、カユミが甚だしく、掻爬によって出血痕を残している者が多い」 ★適応症及び病名 (温清飲)[1]頭がふらつく[2]イライラ[3]陰部の潰瘍 [4]川崎病 ☆やや急性期を過ぎて、発熱、発疹、結膜充血、不眠などを目標に用いる(漢方診療医典)[5]乾癬:☆老人の頑癬は、多く血液乾燥し、湿熱き肌表に薫ずるに因る。故に温清飲を的治と為す。或いは「浮萍」佳なり。《先哲医話》☆若い人の乾癬:「連翹・荊芥」《大塚敬節》☆28歳の婦人。16歳の頃、全身に、汗疹のような小さい赤い発疹が出来、それが融合し、後には痂皮状になって、カユミがあった。しかしそれは1ヶ月ほどで治った。ところがそれから2年ほどたって、また赤い丘疹が四肢の伸側に散在性にでき、それからウロコの様に乾燥して、こぼれ落ちるようになった。カユミは少ないが、夜間痒いことがある。 某医大の病院で、尋常性乾癬と診断せられて、治療を受けているが、良くならないと云う。大便は1日1行。月経は順調。 私はこれに温清飲を与えたが、20日目頃から、漸次軽快し、4ヶ月の服用で全治した。ただ途中で、痔出血を起こしたので、これに魚腥草を加えたところ、4、5日で痔出血は止んだ。《大塚敬節》[6]肝斑:☆43歳の婦人。長い間、肝斑に悩んでいる。いろいろ手当をしている内に、顔一面に広がったという。 腹診上特に捕まえどころがなく、大便も1日1行。月経も順調。ただ左の足の裏が、ポカポカと火が燃えている様だというのを目標に温清飲を用いた。しかし、1、2ヶ月間の服用で、あまり効果があるようにみえなかった。しかし、患者は2年7ヶ月の間、休まずに飲み続けて、ついに全治した。《大塚敬節》[7]気の上衝:<+>[8]筋肉のひきつり[9]下血(鮮紅色)☆大便下血を治し、糞便糞後を問わず、即ち「地楡・槐花・阿膠・側柏葉」 ☆《名医方考》に曰く、上下失血太(はなは)だ多ければ則ち必ず「四物湯」を与える勿れと。瘀血厲毒の如きも亦禁じる所に在り。而して今加うるに黄連解毒湯を以てす。温清飲、適宜なり。《雑病翼方》☆小栗豊後の室、下血止まず面色萎黄、腰痛折れるが如く、両脚微腫ありて衆医手を束ね。余此方を与えて全く癒ゆ《浅田宗伯》[10]月経過多[11]月経困難[12]血崩[13]口渇 [14]口内炎[15]高血圧症[16]更年期障害 [17]サルコイドーシス ☆丘診や結節などの皮膚症状や眼症状のあるものに用いる(漢方診療医典)[18]痔出血:☆「魚腥草」《大塚敬節》☆41歳の男性。5年前に痔出血があったが、一旦治っていたがその翌年、内痔核からの出血が永く続いて、めまいが起こり、貧血がひどいため、入院して輸血をしたこともある。その後、耳鳴りとめまいがあって、メニエール氏病と云われたこともあった。血圧は110-70位で、疲れやすい。ひどく神経質で、手術は絶対イヤだと云う。大便1日1行あり、胸脇苦満が著明にある。そこで先ず大柴胡湯大黄を用いたところ、上腹部の膨満感は無くなったが、また痔出血が始まった。そこで温清飲荊芥魚腥草を用いたところ、7日分を飲み終わる頃には出血が止んだ。その後、引き続きこれを服用すること、6ヶ月、その間出血は1回もなく、イライラした気分もなくなった。 この患者も芎帰膠艾湯でよいかとも考えたが、上腹部の抵抗とイライラした不安感があったので、四物湯に黄連解毒湯を合した温清飲にし、これに荊芥と魚腥草を加えた。荊芥にも魚腥草にも止血の効があり、魚腥草は槐花と同じく痔に良く効くので、これを加えた。《大塚敬節》☆32歳の女性。5年前に痔出血があったが、それきり出血はなかった。ただ脱肛があって、歩くときにも出てくる状態で、便秘の傾向があり、いつも下剤を呑んでいた。昨日から、急に痔出血が始まったという。患部を診ないで薬をくれという。私はこれに温清飲大黄魚腥草を与えた。 すると翌日から出血が止み、脱肛の方も軽快し、排便の時は脱肛するが、歩行時に脱肛することはなくなった。《大塚敬節》[19]しびれ感(筋肉のひきつり)[20]子宮ガン[21]子宮出血 [22]子宮内膜炎[23]湿疹:☆発疹は乾燥し、赤みを帯び、痒み激しく、患者の皮膚はツヤがなく黄褐色、腹診すると上腹部から両脇にかけて抵抗を感じ、また下腹部に抵抗と圧痛がある。☆41歳の料理店の主婦。やや小太りで、湿疹は頸部・項部・顔面が主で、酒に酔ったような赤い顔をしている。頸部から項部にかけて棒状になった硬い丘疹がある。患者の云うところでは、そのままでは、ひどく乾いて、痒いばかりでなく、痛むので、オリーブ油を塗っているという。オリーブ油を塗らないと、ヌカのようの粉がこぼれるという。これは明らかに温清飲の症であるが、試みに消風散を与えてみた。すると、カユミが増して却って良くないという、そこで温清飲にしたところ、だんだん軽快し、2ヶ月で全治した。《大塚敬節》[24]紫斑病[25]酒渣鼻 [26]出血:☆にわかに紫血塊を成すを吐し、多しと雖も妨げず。《雑病翼方》 [27]自律神経失調症[28]心下痞[29]神経興奮[30]神経症[31]腎臓結核[32]ジンマシン[33]尋常性瘡[34]舌質:<紅>[35]舌苔:<白苔~黄苔>[36]帯下(おりもの) [37]多発性筋炎 ☆落屑性紅斑、皮膚萎縮、ヘリオトロープ疹など皮膚症状のある者に用いる(漢方診療医典)[38]たむし(田虫):☆「茯苓・大黄」《本朝経験》[39]血の道症[40]爪がもろい[41]手足がしびれる [42]手足厥冷 ☆下半身が冷えるが上半身に熱感あり。[43]腸出血[44]粘膜潰瘍:(口中・舌・頬)[45]ノイローゼ[46]のぼせ[47]梅毒:☆黴毒上攻し、頭上腫起し、凸凹を為す者は、火証に属す。温清飲に宜し。黴毒生火を動かす、徒に湿を為して治すべからず。《先哲医話》 [48]はげ ☆妙齢の婦人。円形脱毛症で、頭部には1本の毛もない。私はこれに柴胡加竜骨牡蛎湯を用いたが、3ヶ月たっても、少しも良くならない。ところが、患者は毛の生えないことを少しも気にかけないようで、すこぶる楽天的である。柴胡加竜骨牡蛎湯証ならば、もっと神経質であるハズだと考えた私は、処方を変更してみようと考えた。そして温清飲にした。これは患者の顔がいつも、のぼせたように赤くなっていて、皮膚に湿りの少ないのを目標にした、すると、1ヶ月もたつと、黒々と一面に毛が生えてきて、私を驚かせた《漢方診療医典》[49]鼻出血(鮮紅色)
[50]肌荒れ
[51]皮膚炎
[52]皮膚掻痒症
[53]皮膚枯燥:(皮膚につやがない)
[54]皮膚の色:(黄褐色~黒褐色)
[55]貧血
[56]腹直筋の緊張
[57]不正性器出血
[58]不眠症
[59]ベーチェット病 ☆黄連解毒湯と四物湯の合方で、ベーチャット病の第一選択処方。黄連解毒湯には、抗炎症、解熱、鎮静の作用があり、四物湯には、血行を良くし、血を補う作用がある。皮膚枯燥の傾向があり、やや慢性化した粘膜の潰瘍、炎症に用いられる(漢方診療医典)
[60]発疹(灼熱感あり、暗紅色、乾燥ぎみ)
[61ほてり
[62]膀胱腫瘍
[63]みずおち緊張
[64]メトロパチー=出血性子宮症
[65]目がかすむ[
66]目の充血
#温臍種子方《東醫寶鑑》「五霊脂・白芷・青塩各2銭、麝香1分」を粉末にし、そば粉を水にまぜて枠をつくり、臍の上において、薬末をそこに入れて炭で灸をすえる。 #
#温臍兜肚方《東醫寶鑑》「白檀・羚羊角各1両、零陵香・沈香・白芷・馬兜鈴・木鼈子・甘松・升麻・血竭各5銭、丁香皮7銭、麝香9分」を粉末にし、3つに分け、まずその1つを熟艾と綿でくるんで、さらに白絹でつつみ、臍の上にかぶせて取れないようにする。3日後の1つ、そして5日後、それから1ヶ月後に取り替える。◎痞積・遺精白濁・赤白帯下・経脈不調・孕胎できない(不妊症)。
# 温胆湯[1-1]《千金方》 「半夏・生姜・橘皮・竹茹各6分、枳実3分、甘草2分、茯苓1両」◎大病後、虚煩眠るを得ざる者を治す。
#温胆湯[1-2]《東醫寶鑑》「半夏・陳皮・白茯苓・枳実各2銭、青竹茹1銭、甘草5分、生姜5片、大棗2枚」◎驚悸・不眠。
#温胆湯[1-3]《東醫寶鑑》「半夏・陳皮・白茯苓・枳実各2銭、青竹茹1銭、甘草5分、生姜5片、大棗2枚」水煎服。 ◎心胆が怯え、事物に対するとよく驚き、夢寐(⇒ムビ)が安らかでない者。
#温胆湯[1-4]《三因極一病証方論》《古今方彙》 「竹茹1銭、甘草5分、陳皮・茯苓・半夏・枳実各2銭半、生姜」水煎。◎病後、虚煩して臥するを得ず。◎心胆虚怯、事に触れて驚き易く、短気、悸乏、或いは復、自汗あるを治す。
#温胆湯[1-5]《三因極一病証方論》 「陳皮・茯苓・半夏各6g、枳実・竹茹各2.5g、甘草・生姜各1g」右7 味、本、茯苓無し、今《三因》に従う。或いは「麦門冬人参」「黄連 酸棗仁」◎大病後、虚煩眠るを得ざるを治す。此れ胆寒の故なり。 ◎此方は駆痰の剤なり。古人淡飲のことを胆寒と云う、温胆は淡飲を温散するなり。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は「流水湯」《霊枢》に根底してその力一層優とす。後世の「竹茹温胆湯」「清心温胆湯」などの祖方なり。◎虚煩不眠、気鬱、心悸亢進、驚き易い、多夢。 《龍野一雄》◎清化熱痰、和胃降逆。《中医処方解説》
★適応症及び病名(温胆湯)
[1]胃内停水
[2]易驚
[3]気うつ
[4]更年期障害
[5]呼吸促迫
[6]自汗
[7]自律神経失調症
[8]神経過敏
[9]神経衰弱:☆心胆虚怯、事に触れて驚き易き者:「麦門冬・人参・柴胡・桔梗」。☆古人は胆が寒えると、物に驚きやすくなり、夢をみて安眠出来なくなり、気鬱の症状が現れるとして、胆を温める温胆湯をいう薬方を作った。 この方は、鳩尾が脹って、つかえ、腹で動悸がし、胸騒ぎがしたり、めまいがして上づりになり、気分が暗くふさぐ気味もあるので、柴胡加竜骨牡蛎湯に似たところがある。この方の大切な目標は、痰である。 痰は今日の喀痰の意味ではなく、病的な水の意味である。一般に水毒と云われている。この痰があって、物事に驚きやすく、夢でうなされたり、不吉な夢をみて眠れなかったり、胸騒ぎがするという者を目標にして、この方を用いる《大塚敬節》
[10]神仙労:☆一女子家に在り、事意に如かざるに因って欝結して脾に在り、半年食わず、毎日棗数を食う。予診し、遂に「温胆湯竹茹」を以て与服せしめ、200貼にして癒ゆ。朱震亨《方読便覧》
[11]心下痞
[12]心臓神経症
[13]盗汗
[14]ノイローゼ:☆横浜本町、肥前屋の下男、万吉という者が、かって、尾州の米会所で欝証になり、心気鬱々として楽しまず、或いはだまりこくって、数日間物を言わないかと思うと、時には訳の分からない筋道の通らないこ とをしゃべり、全く茫然として、癡愚(ちぐ)のようである。医者や巫祝の類が、代わりばんこに、これを治したが治らない。 余はこれを診察して云った。癲狂ではなく、心風であるから治るであろうと、そこで温胆湯に黄連、酸棗仁を加えて与え、朱砂安神丸を兼用した。すると数十日で全治したが、この頃になって再発した。しかし往年に比べると軽い、そこでまた前方を与えたところ、まったく治った。 世俗にいうところの癇症は皆この証である。辻元翁は、この証にたいていは温胆湯を用いる。余はこれに黄連・酸棗仁を加えて速効をとる。《橘窓書影》
[15]脳動脈硬化症 [
16]病後の虚煩
[17]腹部軟弱
[18]不眠症:(参照→「加味温胆湯」)☆神経過敏で、ものに驚きやすい。☆病後虚煩、寐ねず、或いは触れて驚悸するを治す:「人参・酸棗仁・遠志」
[19]慢性胃炎 温中益気湯《活幼心法》《古今方彙》「人参・白朮各5分、黄蓍(生)8分、当帰・茯苓6分、甘草・川芎各4分、白芷・防風各3分、木香・官桂各2分、山楂子6分、生姜1片、大棗1枚」煎服。 ◎血気虚弱にして毒気を送り手出でず、而して驚搐狂躁する者を治す。 温中化痰丸《東醫寶鑑》「青皮・陳皮・良姜・乾姜各等分」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。米飲で50丸呑む。 ◎冷痰・気分の悪い者。
#温中湯[1]《本朝経験》《勿誤薬室方函》 「四逆湯烏梅・蜀椒」◎蚘厥を治す。◎諸虫痛を作す。口中必ず清涎の流出あり。渇して飲進む能わず、危きこと旦夕に在る者、烏梅、花椒を用い、煎湯にて服す。《秘方集験》 温中湯[2]《万病回春》《古今方彙》「良姜、官桂、益智仁、砂仁、木香(別研)、香附子、厚朴、陳皮、小茴香、当帰、延胡索、甘草」各等分。生姜、水煎。 ◎手を以て之を按ずるに腹軟かく痛み止む者は是れ虚痛なり。
#温中補脾湯《活幼心法》「白朮、黄蓍、人参、白茯苓、白豆蔲、砂仁、官桂、陳皮、甘草、白芍薬、熟附子、生姜、大棗」温肺化飲湯=小青竜湯《傷寒論》 温肺湯[1-1]《医学正伝》「半夏(泡)・陳皮(去白)・五味子・乾姜・桂心各5分、杏仁(去皮炒研)5分、北細辛阿膠炒成珠・甘草(炙)各2分半」細切加生姜3片大棗2枚水1盞半煎至1盞去相温服。◎肺が寒邪に感じ、咳嗽吐痰する者を治す。 ◎久嗽欝熱の者は用うるなかれ。
温肺湯[1-2]《医学正伝》《龍野ー漢方処方集》 「半夏・陳皮各4g、五味子・乾姜・杏仁・桂枝・大棗各3、細辛・阿膠・甘草各2g、乾生姜1g」 ◎肺寒による咳嗽・喀痰。
★適応症及び病名(温肺湯)■感冒■気管支炎 温肺湯[1-3]《和剤局方》「温肺湯《医学正伝》阿膠白芍薬」 温肺湯[2]《月海雑録》 「麻黄・杏仁・五味子・桂枝・甘草」◎外感の咳嗽激しい者。◎「三拗湯」「五拗湯」よりはその効著しい。 温肺湯[3]《東醫寶鑑》「麻黄2銭、黄蓍・升麻各1銭半、防風・葛根・羗活・炙甘草各1銭、丁香2分、葱白3根」煎じて、食後温服。 ◎鼻が香臭を嗅げない症。 温肺湯[4]《東醫寶鑑》「乾姜・桂皮・半夏・陳皮・五味子・杏仁・甘草各1銭、細辛・阿膠各5分、生姜3、艾2」水煎服。◎肺虚に客寒を浴びて喘咳し、痰沫を嘔吐する者。 温白元(一名万病紫菀丸)《東醫寶鑑》「川烏(炮)2両半、呉茱萸・桔梗・柴胡・菖蒲・紫菀・黄連・乾姜(炮)・肉桂・川椒(炒)・巴豆霜・赤茯苓・皀角(炙)・厚朴・人参各5銭」粉末にし、煉蜜で梧子大の丸剤。姜湯で3~9丸呑む。 温白丸《東醫寶鑑》「白彊蚕(炒)・白附子(生)・天南星(炮)各1両、天麻(生)5銭、全蝎1銭」粉末にし、麺糊で緑豆大の丸剤。米飲に生姜汁を入れ5~30丸飲む。 ◎慢驚風を治す。 温脾散《万病回春》《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)・人参・白朮(土炒)・白茯苓・山薬(炒)・乾姜(炮)・訶子(炮)・肉豆蔲()・罌栗殻(蜜炒)・草果・丁香・肉桂・炮附子・黄連・姜汁・縮砂・陳皮・厚朴・甘草各5分、生姜3片、大棗2枚」水煎服。 ◎久泄で消化不良の者。 ◎久瀉にて米穀化せず、水穀口に入れば即ち時に直ちに下し、下元虚冷滑脱なるを治す。《古今方彙》 温脾湯[1]《備急千金要方》 「大黄4両、甘草・人参・乾姜各2両、附子1枚」 「四逆加人参湯《傷寒論》大黄」《熱痢門》◎下痢久しく、赤白連年止まず、霍乱・脾胃冷実、消えざるを治す。◎此方は温下の極剤とす。《勿誤薬室方函口訣》◎「桂枝加大黄湯」「大黄附子湯」に比すればその力尤も強し。◎脾胃冷実と云うが目的なり。◎積久冷熱、赤白痢を治す:「甘草桂枝」《冷痢門》◎久瀉不已証に此方の応ずる処あり。泄瀉に限らず温薬効なき証に、「大黄附子」、寒熱交え用ゆること深味あり。《勿誤薬室方函口訣》 ★適応症及び病名(温脾湯)<1>寒疝:☆腹痛、臍下絞結せず、胸をめぐって止まざるを治す。「甘草、附子、人参、芒硝、当帰、乾姜、大黄」《雑病翼方》<2>下痢:☆按ずるに是等の下利は、寒積有るに因って気下墜し致す所にして、「四逆湯」の下利と自から異なる。寒実、下を用いる。脈の有力無力、腹痛の微甚に着眼するを要し、始めて親切と為す。《雑病翼方》<3>吐乳 ☆凡そ胃中陽気盛んなれば則ち傾かず、もし胃腸虚すれば則ち必ず側垂し、因って之に乗ず。名づけて澼嚢と曰う。然れども之を按じて手に応ぜず、ただ腹痛嘔吐を以て徴と為す。温脾湯に宜し。<4>慢性腎不全:参照→病状「慢性腎炎」 温脾湯[2]《普済本事方》「厚朴(去麁皮姜製)・乾姜(炮)・甘草・桂心(去皮不見火)・附子(生去皮臍) 各半両、大黄(生)4銭」 (麁=ソ、あらい) 「温脾湯[1]《備急千金要方》-人参+厚朴桂枝」◎痼冷、腸胃の間在り、連年腹痛泄瀉し、休作時無し、諸熱薬を服し、効あらず、宜しく先ず去を取るべし。しかる後に調治せば差え易し。虚を畏れ、以て病を養うべからず。◎連年腹痛泄瀉休作無時者を痼冷の所為として温下するなり。《勿誤薬室方函口訣》◎久泄止まず、百薬効かず、或いはしばらく止んで復来る。此れ必ず陳積腸胃の間に在り、積一日去らざれば則ち瀉一日癒えず、必ず先ず陳積を逐去して復之を補う、こい願わくば益を獲んと。是なり。《雑病翼方》◎久瀉、温補及び固渋の薬を服して止まず、或いは癒えて復作る、或いは既に癒え次年に又期に応ず、倶に是れ痼精未だ除かざるなり。通因通用の法に宜し。《方読便覧》 温脾湯[3]《普済本事方》《龍野一雄》「大黄・厚朴・桂枝・甘草・乾姜各2g、白川附子1g」◎冷腹、腹痛下痢。温補脾陽、瀉下。 ★適応症及び病名(温脾湯)<1>結腸潰瘍<2>大腸カタル<3>腸カタル(急性・慢性)<4>慢性胃炎<5>慢性胃腸炎<6>慢性下痢で陽虚の者<7>慢性赤痢 温脾湯[4]《備急千金要方》 「甘草・附子・人参・芒硝各1両、当帰・乾姜各3両、大黄5両」「四逆加人参湯調胃承気湯」 ◎腹痛、下絞結せず、胸をめぐって止まざるを治す。《雑病翼方》 温脾湯[5]《東醫寶鑑》「甘草4両、大棗20枚」水5升で煎じ、2升になったら3分服。◎飽食すると嗽する者。 温脾丹《中医処方解説》「二陳湯白朮・炮姜」◎よだれ 温脾丹=二陳湯 温風散《東醫寶鑑》「当帰・川芎・細辛・白・蓽撥・藁本・露蜂房各1銭」水煎服、又はうがいして吐き出す。 ◎風邪による歯痛を治す。 温粉[1]《千金方》 「煆竜骨・煆牡蛎・生黄蓍各12g、粳米粉40gを、いっしょに細末にしてよく混ぜ合わし、薄絹でくるんでゆるやかに叩く。」 温粉[2]《東醫寶鑑》「麻黄根・牡蛎粉各1両、赤石脂・竜骨各5銭」粉末にして塗布する。 ◎汗が止まらない者。 温陽利水湯⇒真武湯《傷寒論》 温六丸《東醫寶鑑》「益元散1剤・乾姜1両」粉末にし、飯で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸呑む。 ◎白痢。 瘟疫初病一二日発汗方《奇効医術》《古今方彙》「羗活・紫蘇葉・葛根各1銭2分、蒼朮1銭、白芷・川芎各5分、香附子8分、陳皮・甘草各3分、生姜3片」熱服し汗を取り、大いに汗せず。 ◎虚実を論ぜず倶に此方を用いる。発汗の後も則ち癒え易し。 雲林香砂六君子湯《万病回春》《古今方彙》「香附子・砂仁・陳皮・人参・白朮・厚朴・芍薬(炒)・蒼朮・山薬・甘草各等分、生姜、烏梅」水煎。 ◎脾瀉の症を治す。◎凡そ脾瀉の者は、食後に倒飽(みぞおちのところへ食がつかえて下らない)し、瀉去れば寛ぎ、脈は細、是なり。 雲 林潤身丸《東醫寶鑑》「当帰(酒洗)・白朮各6両、白茯苓・陳皮・香附子・黄連(姜汁炒)山楂肉 ・神麹(炒)各3両、枳実・白芍・人参・山薬(炒)・蓮肉各2両、炙甘草5 銭」粉末にし、荷葉の煎じ湯でご飯を炊いて、梧子大の丸剤。米飲で100 丸呑む。 ◎痩せてひ弱になり、気短で、食欲のない者。
雲林参苓白朮散[1-1]《万病回春》「肉豆蔲(去油)・甘草(炙)・人参・白朮(去蘆)・茯苓(去皮)・山薬(炒)・ 砂仁(研)・藿香・陳皮・乾姜(炒)・蓮肉(去心皮)・訶子()各等分」剉作 1剤。「生姜1片、燈心1團」水煎服。◎気虚泄瀉、食後泄瀉を治す。
雲林参苓白朮散[1-2]《万病回春》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・縮砂(炒)・山薬・橘皮・乾姜・肉豆蔲・訶子・蓮肉・甘草(炙)各等分、生姜・灯心草」◎気虚泄瀉を治す。 ◎凡そ虚瀉は、飲食胃に入らば則ち瀉す。水穀化せず、脈微弱、是なり。 ◎此方は「参苓白朮散」《和剤局方》よりは収の力優とす。故に胃虚、下利止まざる者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》
欝金丸[1]《東醫寶鑑》「蝉退・欝金各7両、明礬3両」粉末にし、糊で梧子大の丸剤。毎回50丸 を温水で服用。飲むと胸につかえたものが、すっと降りる感じで気分が良 くなる。 ◎癲狂。心配のしすぎから痰涎が心臓の弁をふさいで癲狂になった。
欝金丸[2]「欝金、木香、(明)雄黄、五霊脂、延胡索、砂仁、明礬」 欝金黄連丸《東醫寶鑑》「滑石・白茯苓各4両、黒牽牛子末3、黄芩・大黄・琥珀各2両、欝金・黄連各1両」粉末にし、水で梧子大の丸剤。沸騰湯で50~70丸呑む。 ◎小腸・膀胱の積熱による閉不通。◎遺尿不禁・白濁、膏淋が血膿のような症状。◎沙石が米粒・粉糊のような症状。 欝金散《東醫寶鑑》「欝金・白芷・細辛各等分」粉末にして牙歯に塗り、竹葉・竹茹に塩を少し入れて歯を磨く。 ◎歯根出血の主治剤。 禹余粮丸《東醫寶鑑》 「禹余粮(煆)・赤石脂(煆)・竜骨・蓽撥・訶子(炮)・乾姜(炮)・肉豆蔲()・附子(炮)」各等分に作末し、醋糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で70丸呑み下す。◎虚寒に滑泄不禁を治す。 雲南白薬【中成薬】 「田七・七葉一枝花」烏薬順気散[1-3]《東醫寶鑑》「麻黄・陳皮・烏薬各1銭半、川芎・白芷・白彊蚕・枳穀・桔梗各1銭、乾姜5分、甘草3分、を剉作し、1貼に生姜3・大棗2を入れ、水煎服。 ◎一切の風疾を治す。先にこの薬を飲んで気道を疎通いた後、風薬を投与し、又 と歴節風を治す。◎風の通治薬。◎風気が経絡に流入して四肢が疼痛し、筋脈が拘攣したとき。 烏薬順気散[1-4]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「烏薬・陳皮・白殭蚕・乾姜・麻黄・川芎・桔梗各2.5、枳殻・白芷・甘草各1.5」 ◎男子婦人一切の風気、四肢骨節疼痛、遍身頑麻、頭目旋暈するを治す。及び癰疾、語言蹇渋、筋脈拘攣するを療す。又、脚気歩履艱難、脚膝軟弱、婦人の血風、老人冷気上攻し、胸腹両脇刺痛、心腹膨張、吐瀉腸鳴を治す。 ◎此方は中風の症で、四肢骨節の疼痛、言語障害あり、筋脈痛み引きつり、肩及び上肢の疼痛、運動障害あるもの、シビレ感ある者等に、気を順らす目的を以て用いる。風に当たりて麻痺感ある者にもよい。 *麻黄・川芎=表気を順らし、遍身疼痛を治す。*烏薬・陳皮=裏気を順らし、語言蹇渋を治す。*白芷・白殭蚕=面部の気を順らし、口眼斜を治す*甘草=肺気を緩くし*桔梗=気の上逆を下し*乾姜=滞気を順らす。 烏薬順気散[1-5]《和剤局方》《勿誤薬室方函》「麻黄・橘皮・烏薬・白彊蚕・枳実・白芷・甘草・桔梗各1両、乾姜半両」温酒にて調服する。 ◎男子婦人、一切の風気、攻、四肢骨節疼痛し、遍身頑麻し、頭目旋暈するを治す。及び、語言蹇渋し、筋脈拘攣するを療す。◎又脚気、歩履難く、脚膝軟弱し、婦人血気、老人冷気、胸臆上攻し、両脇刺痛し、心腹膨張し、吐瀉腸鳴するを治す。 ◎身体痛、関節痛、麻痺、言語障碍等の内どれかが主になる。《龍野処方集》 ◎気のめぐりをよくして、気の欝滞によって四肢の疼痛、麻痺、運動障害なそを治する目的で用いる。虚証で脈の微弱な者には用いない。《大塚敬節》 ★適応症及び病名 (烏薬順気散) [1]肩こり:☆肩臂疼痛《矢数道明》☆気鬱から起きる肩こり。☆肩がつまって、首が回らない:「木瓜」=回首散《万病回春》 [2]脚弱の浮腫には:☆「牛膝・独活・五加皮各3.0g」《龍野ー漢方処方集》[3]顔面神経麻痺:[4]脚気[5]関節リウマチ「6」ギックリ腰:☆ギックリ腰や足のくじきに用いる《大塚敬節》 [7]筋肉リウマチ ☆全身の疼痛:◎「当帰・桂枝各3.0g、乳香・没薬各1.5g」《龍野ー漢方処方集》[8]口眼か斜には:☆寒冷にあって口眼斜を起こした者《大塚敬節》☆「乾姜・黄連・竹瀝各2.0g、羗活・荊芥・防風各4.0g。《龍野ー漢方処方集》 [9]五十肩:[10]シビレ:《矢数道明》☆四肢冷痺には:「白川附子1.0g、桂枝3.0g」《龍野ー漢方処方集》☆扇風機やクーラーの風によるしびれ。《中医処方解説》☆この方は気のめぐりをよくする方剤で、気のめぐりが悪いために起こる四肢のシビレ・痛みなどによい《大塚敬節》☆脳出血で、手足がシビレたり、痛んだりする者に良い《大塚敬節》[11]四十腕[12]中風: ☆烏薬順気散は中風の初起で、頭痛・悪寒・発熱・口眼・半身不随等の症状があって、一通り中風の初起の表症ある者に用いる主剤である。余が家では中風の常用方である。この方と人参順気散はいずれも表症のある者に用いる。しかし言語障害があり、意識もぼんやりしている様な者には遠慮するが良い。それよりも一等軽いところに用いる。雑病一切気のめぐりが悪く、四肢がシビレあるいは首が回りかね、或いは口がゆがみ、或いは歩行する時に、足の具合が悪い者などに用いる。又、足をねじり或いは床を踏み外し、或いは重い荷物を持って腰脚などをギックリとスジを違え、それが原因で痛み者などに良く効く《梧竹楼方函口訣》「13」寝違い:☆寝違えて首の回らない者《大塚敬節》☆首の回りにくい者:「木瓜」=回首散《万病回春》[14]脳溢血:☆脳溢血による四肢疼痛《矢数道明》 [15]背心痛には: ☆「行気香蘇散白朮3.0g、半夏・茯苓各6.0g」《龍野ー漢方処方集》[16]半身不随: [17]臂痛:☆「羗活・防風各4.0g、桂枝・白朮各2.5g、紫蘇葉2.0g」《龍野ー漢方処方集》☆赤ん坊に手枕をして、肘がシビレ、痛む者《大塚敬節》[18]浮腫: ☆腰脚の浮腫:「牛膝・杜仲・角茴香各3.0g」《龍野ー漢方処方集》 ☆虚汗には・・黄蓍2.0g、麻黄。《龍野ー漢方処方集》
[19]婦人血風:☆「防風6.0g、荊芥4.0g、薄荷葉2.0g」。《龍野ー漢方処方集》
[20]麻痺:☆《餐英舘療治雑話》“当今、肩背の痛んで手臂麻痺する証には気に属する者が甚だ多い。肩背が張って麻痺し、或いは心下がつかえて気ののびない証は、皆七情の病で、この方で著効をとる。或いはこれに羗活。防風などの風薬を加えたり、少し附子を加えて用いると更によい。この頃の病人には、気滞と肝欝に目をつけよというのは、このことである。またはっきり気滞の徴候が見えなくても、難治の者にはこの方を用いてみると良い。婦人で背から腕にかけてシビレて痛むと言う者には、なおさらこの証が多い”
☆片側麻痺には:「+天麻・羗活・当帰各3.0g、麦門冬・天南星各6.0g、木香1.0g、麻黄」。《龍野ー漢方処方集》
☆中風全麻痺には:「人参2.5g、白朮・当帰各3.0g、麦門冬6.0g」《龍野ー漢方処方集》
☆慢性の麻痺・歩行困難「独活寄生湯」《龍野ー漢方処方集》
烏薬湯[1-1]《医学入門》《古今方彙》「烏薬1銭半、香附子2銭、当帰1銭、木香・甘草各5分」水煎、空心時に服用。◎血海疼痛するを治す。
烏薬湯[1-2]《済陰綱目》《東醫寶鑑》「香附子2銭、烏薬1銭半、当帰1銭、木香・甘草(炙)各5分」水煎服。 ◎婦人の血海疼痛を治す。
烏薬平気散《三因極一病証方論》《古今方彙》「烏薬・茯神・甘草・人参・白朮・川芎・当帰・木瓜・白芷・五味子・紫蘇子各等分、生姜、大棗」煎服。 ◎脚気上攻し、頭目昏眩、腰膝痠疼し、諸気和せず、喘満迫促するを治す。
烏薬平気湯《東醫寶鑑》「烏薬1銭、茯神・人参・白朮・川芎・当帰・木瓜・白芷・五味子・紫蘇葉各7分、甘草3分、生姜5片、大棗2枚」水煎服。 ◎脚気が上攻して昏眩し、喘促する者。
烏竜腎《東醫寶鑑》「川烏・草烏各1両」を黒豆半升と煎じて、皮・臍を捨て晒して乾燥、白附子・天麻・地竜各5銭を粉末にし、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で30~50丸呑む。 ◎腎臓風の下注による瘡癬の症。
烏竜丹《東醫寶鑑》「川烏生(皮と臍を捨て)・五霊脂各2両、竜脳・麝香各半銭」を水で弾子大の丸剤。毎回1丸を、初日は姜汁で化下し、次の日は煖酒で調合して5~7丸を食べると手足が良く動くようになり、10丸を服用すれば自分の手で全ての事ができる。 ◎中風で口眼がし、手足に力無く、引っ張るような感じがして、言語不渋を治す。
烏龍解毒散《万病回春》《東醫寶鑑》「木耳4両を土鍋で炒り焦がし、性を残して粉末にする。毎回5銭を熱黄酒1椀で調服する。」◎杖で打たれた後、寝起きもできない者。又は打ち身で、疼痛がひどくて昼夜眠れない者。
烏苓通気湯[1-1]《万病回春》「烏薬・当帰・芍薬・香附子・糖毬・陳皮各1銭、茯苓・白朮(去蘆)・檳榔・延胡索・沢瀉各5分、木香・甘草各3分」剉作1剤生姜3片、水煎服。◎一切の疝気にて遠近、関越、風湿、寒気を問うことなく治す。◎若し悪寒し脈沈細の者:「呉茱萸」◎《医学入門》には猪苓ありて檳榔子、玄胡索なく、「烏附通気湯」と名づく。
烏苓通気湯[1-2]《万病回春》《勿誤薬室方函》 「烏薬・当帰・芍薬・香附子・山楂子・陳皮各1銭、茯苓・白朮・檳榔・玄胡・沢瀉各5分、木香・甘草各3分、生姜」◎一切の疝気を治す。遠近寒熱を問う無し。◎此方は後世、疝の套剤とすれども、疏気利水が主意にて、寒疝諸症、温散和中の薬効なき者に用いて通気の験著しい。《勿誤薬室方函口訣》 ◎腹冷痛《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(烏苓通気湯)
[1]遺精:
☆疝に因る者:《方読便覧》
[2]陰嚢腫脹:☆小児陰嚢急痛する者に与え即効あり。《勿誤薬室方函口訣》
[3]下痢:☆産後痢病、久痢を治す:「干姜・附子」《方読便覧》
[4]疝気
[5]乳房痛:☆婦人両乳痛甚だしき者に即効あり。《勿誤薬室方函口訣》
[6]冷え腹
[7]腹痛 [
8]ヘルニア
温胃湯[1]《東醫寶鑑》「乾姜(炮)1銭半、炮附子・半夏(麹)厚朴・人参・陳皮・甘草(炙)・当帰各1銭2分半、川椒(炒)1銭」水煎服。 ◎胃気が冷え、脹満して消化しない者。
温胃湯[2]《東醫寶鑑》「陳皮・黄蓍各7銭、益智仁6銭、白豆蔲・姜黄・乾姜・沢瀉各3銭、縮砂・厚朴・人参・甘草各2銭」を粉末にし、毎回3銭に生姜3片を入れ、水煎服。◎寒薬の多飲による、胃脘の疼痛。
温胃湯[3]《東醫寶鑑》「陳皮・黄蓍各7銭、益智仁6足。
温胃化痰丸《東醫寶鑑》「半夏(製)3両、乾姜(炮)・白朮(焙)・陳皮各2両」粉末にし姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で20~30丸呑む。 ◎胸膈間に寒飲・冷痰のある症。
温衛湯《東醫寶鑑》「当帰身1銭半、黄蓍・蒼朮・升麻・知母・柴胡・羗活各1銭、人参・防風・白・黄柏・沢瀉・甘草各5分、陳皮・青皮・黄連・木香各3分」水煎服。 ◎鼻が効かず、眼中に湯火があって、陰冷で足がしびれる症。
温金散《東醫寶鑑》 「防風・桑白皮・黄芩・甘草各1両、杏仁(去皮尖)21粒」を水に漬けて一晩おき、乾燥後、「人参5銭、茯神5銭、麦門冬2銭半」を入れて粉末にし、毎回3銭に黄蝋を大豆大ぐらい入れ煎服。◎労嗽を治す。
温経益元湯《傷寒六書》《古今方彙》「附子・人参・白朮・当帰・黄蓍・甘草(炙)・白芍薬(炒)・生地黄・茯苓・陳皮・肉桂・生姜・大棗・糯米(炒)」水煎温服。 ◎汗後大虚し、頭眩し、振々として地に倒れんと欲し、及び肉瞤筋愓(筋肉がピクピク動く)し、◎或いは大汗後衛虚し、亡陽、汗出ること止まず、◎或いは下後下利止まず、身疼痛する者を治す。
温経湯[1-1]《金匱要略》《龍野一雄》「呉茱萸3g、当帰・芍薬・川芎・桂枝・人参・阿膠・牡丹皮・甘草各2g、半夏8g、麦門冬10g、干姜1g」
◎此方は胞門(胎盤の出る門)虚寒と云うが目的にて、凡そ婦人血室虚弱にして月水不調、腰冷、腹痛、頭疼、下血、種々虚寒の候ある者に用いる。年50云々に拘わるべからず。反って方後の主治に拠るべし。《勿誤薬室方函口訣》胞門虚寒とは、子宮の機能が衰えて冷えていることを指す《大塚敬節》
◎瘀血、暮熱、少腹裏急、腹満、手掌煩熱、口唇乾燥、下腹寒冷、不妊、子宮出血《龍野ー漢方処方集》
◎此すなわち正を養えば邪自から消えるの法なり。《雑病論識》
◎此湯の温経と名づくるは、瘀血温を得て即ち行るを以てなり、余、本方「附子」で奏功す。《雑病論識》
◎温経散寒、補血調経、活血化瘀、益気和胃。《中医処方解説》
◎《陳念祖》曰く、温経湯、陰陽、虚実、閉塞、崩漏、老少を論ぜず、よく之を用い、手に応じ効を取らざる無し。又云う、絶えて逐瘀の品無し、故に期を過ぎ来たらざる者能く之を通じ、月来たる過多なる者能く之を止む。少腹寒にして胎を受けざる者、並びに能く之を治す。《方読便覧》
◎目標:手掌の煩熱と唇の乾燥と下腹部の膨満または不快感にある《大塚敬節》
★温経湯(手足のほてり、口唇乾燥、下腹部膨満感、腹痛、腰痛、脈無力 【
適応症】《矢野敏夫》 「冷え症で手掌がほてり、口唇が乾燥しやすい次の諸症に用いる: 手掌角皮症・更年期神経症・月経不順・月経過多・月経痛・頭痛・腰痛・帯下」
【ポイント】《矢野敏夫》 元気が無く、貧血・冷え症傾向の婦人に、口渇、手掌のほてり、下腹部膨満感を目標に用いる
★適応症及び病名 (温経湯)
[1]アレルギー性鼻炎
[2]頭がふらつく
[3]潰瘍性大腸炎
[4]顔色悪い
[5]角皮症
[6]下肢の冷え:☆下肢寒冷にして、虚熱逆上の証候あり、時に屡(しばし)ば子宮出血を起こす者《奥田謙蔵》☆下肢寒冷にして、手掌煩熱し、冬季に入れば、時々腰腹痛を発する等の証《奥田謙蔵》
[7]下腹部の冷え
[8]下腹部の疼痛
[9]下腹部の不快感
[10]下腹部の膨満感
[11]感情が不安定
[12]乾癬
[13]寒冷で悪化する
[14]気の上衝<+>
[15]月経異常:(遅れる、早すぎる)
[16]月経過多
[17]月経困難
[18]月経痛:☆婦人経水不調、少腹冷気、瘀血に属する者は、温経湯奇効あり。経後腹痛する者亦瘀血に属す。もし経行中に不屈する者は気滞に属す。《先哲医話》
[19]月経不順:☆《張氏医通》に曰く、経水、期をあやまり、胸脇腰脘刺痛し、虚浮、寒戦す。これ衝任衰弱し、蔵気虚冷の故なり。《方読便覧》☆月経不順にして、常に腰脚に冷感あり、かって孕姙せざる証《奥田謙蔵》☆月経不順にして、熱候無く、白帯下断続する等の証《奥田謙蔵》
[20]下焦虚寒
[21]下痢
[22]血瘀血虚:☆血虚に血瘀の証を兼ねる者に用いる。[23]口唇乾燥:☆瘀血の証で唇口が乾燥する者に用いる《大塚敬節》☆1婦人、結婚10数年一度も妊娠したことがない。この婦人は腰が冷え、足がひきつれる感じがすると云う。唇は乾かないが、鼻孔が乾燥し、肌が荒れる。そこで温経湯を用いたところ、鼻孔の乾燥や指の荒れは良くなった《大塚敬節》
[24]更年期障害
[25]腰が冷える<下寒>
[26]骨粗鬆症 ☆瘀血所見があり、冷え症で、下肢に膨満感があったり、下肢が引きつれたりして、掌には煩熱があり、口唇が乾燥するものに用いる(漢方診療医典)
[27]骨盤内うっ血症候群 ☆EBM:多施設症例集積研究 (対象患者) 骨盤内うっ血症候群(Evidence) 1件の多施設症例集研究において、骨盤内うっ血症候群に対する温経湯の有効率は84.0%であった。内診所見では子宮圧痛、仙骨抵抗、分泌物の量は有意に改善した。
[28]しびれ(手足の) (手足のほてり、口唇乾燥、下腹部膨満感、腹痛、腰痛
[29]しもやけ
[30]子宮ガン:☆郡山、北条弥一右衛門、妻、歳60は、月経様の出血が止まず、時に汚い水のようなものを下し、腰は氷か鉄の帯をしている様に冷たい。医者は皆、帯下(ここでは今日の子宮ガン)不治とした。余はこれを診察して、悪寒も熱もなく、脈も虚数ではない。また陰部に痛むところがなく、下り物に悪臭がない。或いは治るかもしれないと、温経湯を与え、硫黄と龍骨の2味で丸薬をつくって兼用せしめた。これを服用すること10日あまり、腰に温みを覚え、汚水の下ることも減じ、数ヶ月の後、子宮出血も止まり、普通の老婦人となることが出来た。《橘窓書影》
#王氏清暑益気湯《温熱経緯》「西洋参4.5、西瓜皮30、蓮梗15、黄連3、石斛・麦門冬各9、竹葉・知母・甘草各6、粳米15」水煎服。◎清暑益気、養陰生津。
#王氏連朴飲《王孟英》 「川楝子・山梔子・半夏・鮮菖蒲・枳実・川厚朴・豆豉・蘆根・滑石・黄芩」水煎服。
#王道無憂散《万病回春》《古今方彙》=「開結潤燥湯」《厳氏済生方》 「赤茯苓・砂仁・枳実・香附子・烏薬・陳皮・半夏・藿香・檳榔子・猪苓・木通・天門冬・黄柏(人乳炒)・黄芩(炒)・知母(人乳炒)・生地黄・川芎・白芍薬(炒)・当帰各8分、赤芍薬5分、百九怵白茯苓各1銭2分、甘草3分」水煎温服。 ◎気血虚し而して反胃膈噎する者を治す。
#王不留行散《金匱要略》《龍野一雄》「王不留行10g、蒴藋細葉10g、桑白皮10g、甘草18g、川椒3g、黄芩・乾姜・芍薬・厚朴各2g」桑白皮までの3薬を黒薬のし、上記の割合に混ぜ、1回量2gを内服、又は瘡面に撤布する。
◎外傷・打撲。
#王不留行湯《備急千金要方》「王不留行、桃枝、茱萸根皮、蛇床子、牡荊子、苦竹葉、蒺藜子、大麻子」 #王鑰匙(おうやくし)《東醫寶鑑》「焔硝7銭半、硼砂2銭半、白蚕1銭2分半、竜脳少々」作末し竹管で半銭を喉中に吹き入れる。◎急喉閉・纒喉風を治す。
#王屑無憂散(おうせつむゆうさん)《東醫寶鑑》「寒水石(煆)・硼砂各2銭、玄参・貫家・滑石・縮砂・山豆根・黄連・甘草・赤茯苓・荊芥穂各5銭」作末し毎回1銭を口に入れて水を飲む。
◎骨子などが咽喉につかえて降りないとき。 #黄瓜蔞丸《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・半夏(麺炒)各等分」粉末にし、瓜蔞汁で梧子大の丸剤。姜汁竹瀝で30~50丸服用。
◎食積痰を治す。
#黄蓍益気湯[1-1]《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)1銭、人参・白朮・半夏(製)・陳皮各7分、当帰(酒洗)・川芎・藁本・甘草各5分、黄柏(酒炒)・升麻・細辛各5分、姜3・棗2」水煎服。
◎気虚頭痛を治す。◎耳鳴り、肛門の痛み。
#黄蓍益気湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・陳皮・半夏・当帰・藁本・甘草(炙)各5分、升麻・細辛・黄柏(酒)各3分、生姜、大棗」水煎。
◎頭痛にて右に偏する者は痰と気虚に属するなり。 #黄蓍益損湯《医学入門》《古今方彙》「官桂・熟地黄・半夏・甘草・木香各3分、石斛・当帰・川芎・黄蓍・白朮各1銭、白芍薬1銭半、五味子5分、生姜、大棗」煎服。
◎熱あれば:「柴胡」 #黄蓍丸《東醫寶鑑》「黄蓍1両、白蒺藜(炒)・羗活各5銭、炮附子(大)1個、羯羊腎1対」焙って乾燥させ、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に葱塩湯で30~50丸呑む。
◎耳鳴り。寝ると鐘の音が聞こえる者。 #黄蓍桂枝五物湯[1-1] 《金匱要略》「黄蓍3両、芍薬3両、桂枝3両、生姜6両、大棗12枚」右五味、以水六升、煮取二升、温服七合、日三服。◎血痺、陰陽倶微、寸口關上微、尺中小緊、外證身體不仁、如風痺状、黄蓍桂枝五物湯主之。
#黄蓍桂枝五物湯[1-2]《金匱要略》《中薬臨床応用》「黄蓍15g、白芍薬9g、桂枝6g、生姜9g、大棗6g」水煎服◎関節炎◎肩関節周囲炎 #黄蓍桂枝五物湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》「黄蓍・芍薬・桂枝・大棗各3g、生姜6g」水240を80に煮詰め、1日3分服。◎血痺、身体不仁。◎黄蓍桂枝五物湯の証に身体不仁と曰う。是も亦肌表の水なり、為則按ずるに、仲景氏は不仁を治するに、そのある所に随うと雖も処方は同じからず、而してその薬の如きは則ち皆治水の剤なり。然らば則ち不仁するは是れ水なり。故に小腹不仁、小便不利する者は八味丸を用うる時は則ち小便快利し不仁立ちどころに治す。是れ不仁するは水なり。《類聚方広義》
★適応症及び病名(黄蓍桂枝五物湯) [1]運動麻痺[2]脚気:☆下肢の知覚鈍麻を主訴とする脚気に用いて著効《大塚敬節》☆“患者は30歳あまりの色の白い肥満した婦人で、1ヶ月ほど前から下肢がシビレ、着物のすそが足にふれるのが、何とも嫌な感じであるという。その他には何の異常もない。医師は脚気と診断して、ビタミンB1を多量に与えたが効かないという。私も脚気であろうと診断したが、色が白くて肥満した素封家の婦人であるから、《金匱要略》に血痺の病は尊栄の人が罹るという点を考慮してこの方を与えたことろ、たった8日の服用で全治した。”《大塚敬節》[3]顔面神経麻痺黄蓍桂枝五物湯は、色の白い水太りの婦人の顔面神経麻痺に効がある。またこのような患者には神効黄蓍湯を用いて著効をえたことがある[4]気の上衝<+>[5]寒がり[6]自汗[7]湿疹:☆(うすい分泌液)☆36歳の婦人。1ヶ月ほど前から皮膚が痒くてたまらないという。肉眼的には、全く皮膚に異常を認めない。患者は小太りで、色白、きれいな皮膚をしている。
診察したところ、別につかまえどころがない。このような場合に、《村井琴山》は桂麻各半湯や大青竜湯を用いている。そこで、私は桂麻各半湯を試みることにした。ところがこれを飲むと、全身が温まって、汗が出て、却ってカユミが強くなると云う。瞑眩であろうと考えて、10日間ほど連用したが、思うように効かない。
1日、患者が云うのに、一番かゆいのは、下腹部で、臍以下は、全体に皮膚が少し厚くなっているようで、ほかの部分と感覚がと違うと云う。そこで急に思いついて、黄蓍桂枝五物湯を与えた。この処方は、前年脚気からきた知覚麻痺に用いて良く効いたことがあり、今度の患者も知覚麻痺があるから、それから思いついたのであった。
さて、この患者は、これを5日分飲んだだけで、全くカユミが陰を潜め、それきり良くなった。ところが、不思議なことに、これを3日分飲んだ時、いままで見たこともない白い虫が肛門から数匹這いだして来たと云う。その形状をきくと蟯虫である。蟯虫が夜間肛門から這いだして、そのために、カユミを訴えていたにしては、痒い場所があまりに広すぎるから、蟯虫のためとも考えられないが、不思議なことである。
この方を用いたのは、汗が多く、汗が出ると症状が悪化すると言う点と皮膚が厚くなったように感ずるというのを目標にした。色が白くて皮膚が軟らかいのも、黄蓍の入った薬方を用いる1つの目標になる。《大塚敬節》[8]心悸亢進[9]頭重[10]脊髄症[11]知覚異常:☆知覚低下☆知覚鈍麻
☆知覚麻痺☆<ピリピリ・しびれ> ☆これは中風に似て、体のシビレる者を目的に用いる。シビレなければ用いない。この方は間抜けのしたようなほうであるけれども、シビレのある症に用いると、ことのほか奇効がある。古方というものは妙なもので、手足の麻痺あるいは身體に及び或いは手足が麻痺して半身不随になっても、この方はよく効くものである・《有持桂里》[15]搐搦[16]中耳炎[17]盗汗[18]尿不利[19]妊娠中毒症[20]半身不随
[21]皮膚 <色白・きめ細かな肌>[22]皮膚掻痒症 [23]肥満ぎみ[24]疲労倦怠[25]片麻痺 [26]まぶたが腫れる(眼瞼浮腫)[27]耳鳴り
[28]無気力[29]憂鬱(抑鬱気分) [30]肋間神経痛 #黄蓍桂枝五物湯加味《中薬臨床応用》「黄蓍15g、桂枝6g、秦艽6g、姜黄5g、当帰6g、白芍薬6g、生姜6g、大棗6g」水煎服。◎風湿による痺痛◎肩関節周囲炎
#黄蓍建中湯[1-1]《金匱要略》「於小建中湯内、加黄蓍1両半、餘依上法。」氣短胸満者加生姜。腹満者去棗加茯苓一両半。及療虚損不足、補氣、加半夏三両。」◎虚労裏急、諸不足、黄蓍建中湯主之。
【鑑別】 ①小建中湯 (虚労・やや虚・去寒剤) ②当帰建中湯(虚労・貧血(やや甚)・婦人下腹部激痛・補益剤) #黄蓍建中湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「黄蓍1.5g、桂枝・大棗・甘草各3g、芍薬6g、水飴20g、干姜1g」
水280を120に煮詰め、滓を去り、水飴を加え、1日3分服。「小建中湯黄蓍」◎小建中湯の証にして、盗汗、自汗ある者を治す《吉益東洞》◎諸病、裏急し、自汗、盗汗し、面体に色少なく、身重く、皮膚、骨肉、或いは腰背拘急する者は、黄蓍建中湯之を主どる。《医聖方格》◎此方は小建中湯の中気不足、腹裏拘急を主として、諸虚不足を帯びる故、黄蓍を加えるなり。仲景の黄蓍は、表托、止汗、去水の用とす。此方も外体の不足を目的とする者と知るべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は虚労の症、腹皮背に貼し、熱無く咳する者に用いると雖も、あるいは微熱ある者。或いは汗出ずる者、汗無き者、ともに用いるべいし。《勿誤薬室方函口訣》
◎虚労裏急諸不足、或いは自汗盗汗体表の分泌物。◎虚労性疾患◎補気固表、緩急止痛、温中補虚。《中医処方解説》◎小建中湯、当帰建中湯、黄蓍建中湯、蓍帰建中湯などは腹直筋の拘急がひどくて、歩行困難、または歩行不能の者に用いて時に著効を得ることがある。その際疼痛のある場合があり、知覚麻痺を伴うこともある。《大塚敬節》◎腹直筋が軟弱無力のこともある《大塚敬節》◎下腿潰瘍、手術後肉芽の発生が悪い者。諸種の化膿性腫れ物の自潰後、稀薄な膿が流れて、よい肉芽がみられないような者に用いる。《華岡青州》はこれに当帰を加えて帰蓍建中湯として用いた。《大塚敬節》
#黄蓍建中湯[1-3]《金匱要略》《中薬臨床応用》「黄蓍18g、桂枝6g、白芍薬12g、甘草(炙)6g、生姜6g、大棗9g、膠飴30g(溶解)」水煎服。
◎胃十二指腸潰瘍。 ★適応症及び病名(黄蓍建中湯) [1]アレルギー性鼻炎[2]息切れ[3]癮疹:☆皮膚が乾燥、項背がこる。《腹証奇覧翼》[4]栄養不良性貧血[5]黄汗:☆黄疸で黄色い汗、食欲がない。《古家方則》[6]カリエス☆稀薄な分泌物が多量に出る者。[7]潰瘍:☆虚証、分泌物<多量・薄い>[8]顔色が悪い:☆<貧血状>[9]脚気:☆産後の脚気当にして、骨立羸痩し、常に身体、四肢に冷感ある証。《奥田謙蔵》[10]かぜ(咳嗽がひどい) [11]からだが痛い:☆湿に傷つき鼻塞身疼するを治す。☆血刺身痛:「川芎・当帰」《仁斎直指方》[12]下腹部の脹痛[13]気管支喘息[14]虚弱児の衰弱
☆滲出性体質の幼児に用いて体質を改善する効がある。飲んでいると、筋肉のしまりが良くなり、風邪を引かなくなります(漢方診療医典) [15]頸部リンパ腺結核
[16]結核性腹膜炎:☆(腹満腹痛する)[17]口唇乾燥[18]骨疽=附骨疽=骨壊疽: [19]自汗(全身虚弱で)[20]四肢冷感[21]小児ー虚弱児[22]食欲減退[23]褥瘡
[24]痔瘻:☆痔瘻、或いは諸種の腫瘍膿潰して後、所謂虚熱を発し、自汗、盗汗等有る証には:「当帰」。《奥田謙蔵》[25]心悸亢進[26]心臓弁膜症[27]神経症:☆黄蓍建中湯の他に小建中湯、附子理中湯なども神経症に用いることがあり、白虎湯、風引湯などを精神異常を呈する者に用いることがある。《大塚敬節》
[28 ]臍炎:☆虚証、分泌物<多量・色薄い> [29 ]喘鳴:☆腎経虚寒、咳嗽痰唾し、面色黒、少腹動気、痛をなすを治す。「半夏・乾姜・五味子」《雑病翼方》
[30]多汗[31]脱力感:☆肺虚損不足を療し、気を補う:「半夏」《雑病論識》 [32 ]中耳炎☆稀薄な分泌液がたくさん出る者 [33 ]疲れやすい:<+++>[34
]できもの:☆気体虚弱の人、背瘡頸疽を患い、痛痒を知らざるを治す。瘡勢作らざれば急に擬しく此を服し、以て血を生じ膿を潰ゆるべし。熱ある者服すべからず。:「附子」《袖珍》 [35
]盗汗:☆傷差ゆる後、虚脱し盗汗出る者《雑病翼方》[36 ]内傷発斑:☆(手足に蚊に刺された様な発疹、発病時に頭痛・身熱がない)[37]尿路結石☆腎石、膀胱結石で、尿が快通せず、排尿時に堪えがたいほどの激しい痛みを訴える者に用いる。《大塚敬節》[38
]肉芽形成不全:☆手術後肉芽の発生が悪い者。諸種の化膿性腫れ物の自潰後、稀薄な膿が流れて、よい肉芽がみられないような者に用いる。《大塚敬節》☆肉芽の発生を良くし、瘡口の癒合を促進せしめる目的で損傷後に潰瘍となった者。瘡口の癒合がはかばかしくない者などに用いる。この時に伯州散を兼用したり、紫雲膏を塗布したりする。《大塚敬節》☆「当帰」《大塚敬節》
[39]肺気腫:☆息切れする:「人参半夏湯」[40]肺結核:☆<軽>☆「人参」☆気短胸満:「干姜0.5g」《龍野ー漢方処方集》 ☆腹満には:「茯苓1.5g、大棗」《龍野ー漢方処方集》
☆肺虚損不足には:「半夏3.0g」《龍野ー漢方処方集》[41]皮膚潰瘍 [42]鼻炎・鼻カタル [43]脾腎泄=五更瀉[44]病後の衰弱[45]疲労倦怠感<+++>☆「人参2.0g」《龍野ー漢方処方集》[46]貧血:☆諸種の貧血性疾患にして、自汗或いは盗汗当ある証。《奥田謙蔵》
[47]腹痛 :☆<激しい>[48]不定熱(不明熱)[49]勃起不全:☆事に臨んで起たない:「当帰。人参」《雑病翼方》 「50」麻疹 ☆盗汗、皮膚緊張低下。軟便、食欲不振などを目標に用いる(漢方診療医典)[51]慢性潰瘍[52]慢性肝炎
[53]慢性化膿性疾患[54]慢性下痢:☆慢性下痢等にして、衰弱殊に甚だしく、時々腹痛し、食思無く、脈細弱にして或いは微汗出づる証。《奥田謙蔵》[55]慢性中耳炎[56]慢性副鼻腔炎[57]耳だれ
[58]夜尿症[59]腰背拘急☆痛みがひどいときは→「当帰建中湯」「帰蓍建中湯」を考える。[60]リンパ腺炎: ☆頸部リンパ腺炎☆15歳男子。血色、栄養ともに良くない。小学6年生の時、肺門リンパ腺炎に罹ったことがある。今度の病気は瘰癧で約10ヶ月前に、頸部リンパ腺が腫れているのに気づいた。その後、数個のリンパ腺が相次いで腫れ、その中に瘻孔を就くって、膿の出ているものが3個あるという。よくみると、左右の頸部に数個のリンパ腺の腫脹があり、大きいものは鶏卵大である。その中の左側のものは瘻孔を就くって膿が出ている。ひどく疲れ、せきも少し出る。右肺は明らかに浸潤を証明する。食欲はある。大便には変化がない。
内服薬には黄蓍建中湯を用い、瘻孔のある部位には紫雲膏を貼った。これを1週間ほど呑むと、疲労が軽くなり、7週間ほどで瘻孔が塞がり、栄養血色ともに良くなったが、全治しないうちに、家庭の都合で休薬した。《大塚敬節》[61]淋疾患:☆淋病、諸薬を用いて効なく、痛甚だしく忍ぶべからず、叫嗁(きゅうてい)して隣を動かす類の如きに黄蓍建中湯を用ひよ。その効神の如し。《香月牛山》[62]瘰癧:☆16歳の中学生。瘰癧があり、黄蓍建中湯を与えたが、1ヶ月あまりで非常に肥満し、血色もよくなり、登校しても疲労しないようになった。 それに数個の瘰癧の中の1つは、自然に自潰して排膿し、1つは消失した、その後10ヶ月ほど連用して、目立たないほどに縮小した。《大塚敬節》
[63]流注膿瘍[64]漏孔:☆分泌物---<薄くて多い>[65]労傷 [66]笑い出したら止まらない:☆埼玉県、北埼玉群北新宿村の三井彦周の母、歳70ばかりは、ある日、故なく大笑いするようになり、発作は夜となく昼となく起こり、発作が始まると半時間~1時間も大笑して止まない。自分で止めようとしても止めることが出来ないと云う。何人も医者を変え、薬も数百剤を用いたが効がない。
そこで治を余に乞うた。診察してみると、言語難渋し、手足不遂があり、飲食は進まず、からだが重く、のぼせがあり、汗が自然に流れ、腹はひどくひきつれている。よって癇症を診断し、黄蓍建中湯を与え、滾痰丸1匁を兼用した。
これを服用すること数十日で諸症やや軽快した。そこでますます前方を連用し、なお背に灸したところ、3ヶ月で全快した。(福富元璘・和漢医林新誌第89号)
★黄蓍建中湯
(疲れやすい、四肢冷、食欲不振、自汗、不定期熱、脈細弱、貧血、腹痛) #黄蓍建中湯[2]《小品》「黄蓍建中湯《金匱要略》当帰・人参」◎虚労、小腹急に小便赤く餘歴あり、事に臨んで起たず、陰下湿り、あるいは小便白濁する。傷多きを療する方。《雑病翼方》
#黄蓍建中湯[3]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍六一湯《寿世保元》肉桂、白芍薬」左を各々(蜜炙)すること十数次、火毒を出して水煎温服。
#黄蓍散[1]《医学入門》《古今方彙》「黄蓍・麦門冬・熟地黄・桔梗・白芍薬各1銭、甘草8分」水煎。◎咳血、労と成るを治す。
#黄蓍散[2]《証治準縄》《古今方彙》「黄蓍・檳榔子・紫菀・牛蒡子・梔子仁・赤茯苓・甘草(生)各半両、麦門冬・玄参各1両、升麻・黄芩各3銭」水煎。
◎咽喉に瘡を生じ疼痛するを治す。
#黄蓍散[3]《東醫寶鑑》「黄蓍・防風・黄芩・大黄()各1銭、地骨皮・遠志・人参・赤茯苓・漏芦各5分」水煎し、朝夕食後服用。 ◎瞳から膿が出る症。
#黄蓍芍薬桂枝苦酒湯《金匱要略》「黄蓍5両、芍薬3両、桂枝3両」
以上三味以苦酒一升水七升相和煮取三升温服一升。◎黄汗之為病、身體腫、発熱汗出而渇、状如風水、汗沾衣、色正黄如栢汁、脉自沈、何従得之・師曰、以汗出入水中浴、水従汗孔入得之、宜蓍芍桂酒湯主之。◎黄汗病。◎黄蓍桂枝苦酒湯の証は具らず、他例を以て之を考うるに当に身体疼痛或いは不仁の証あるべし。《重校薬徴》
#黄蓍十補湯《東醫寶鑑》「白芍1、黄蓍・当帰・熟地黄・茯神各7分、人参・白朮・酸棗仁・半夏・陳皮・五味子・肉桂・烏薬・麦門冬・甘草各5分、木香・沈香各2分、生姜5・大棗2」煎服。
◎虚労を補い、血気を養う。
#黄蓍損湯《東醫寶鑑》「人参・白朮・黄蓍・木香・当帰・桂皮・白茯苓・白芍・半夏・川芎・熟地黄・山薬・五味子・牡丹皮・麦門冬・石斛・甘草各7分、生姜5、大棗2、梅1、小麦50粒」煎服。
◎虚労の100症を治す。
#黄蓍湯[1-1]《直指小児》 「黄蓍・当帰・芍薬・川芎・地黄・蝦蟆各3匁、鼈甲2匁、人参・柴胡・半夏・橘皮・茯苓・使君子各1匁、生姜」◎疳労・喘咳・虚汗・骨蒸・渇して腹瀉・小食の者を治す。◎此方は浄府散と表裏の方にて、「浄府散」は血気少しも虚なく、心下あるいは両脇下、或いは右或いは左に凝りありて攣急あり、腹堅くして渇をなし、或いは下痢をなし、或いは下痢でずとも、発熱強く脈も盛んなるを標的とす。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は既に日数を経て血気虚耗する故、発熱の模様も骨蒸と云うて内より蒸し立つる如くなり。且つ盗汗出ずるなり。此の蒸熱、盗汗と五心煩熱とを、此の標的とすべし。◎小児疳労:☆虚証にて、後世のいわゆる哺露丁奚などと云う処に用いる。◎婦人の乾血労:☆疳より来る者に活用して奇効あり。《小島学古》
#黄蓍湯[1-2]《仁斎直指方》《漢方後世要方解説》「当帰・地黄・茯苓・半夏各3、柴胡2.5、鼈甲・陳皮・川芎・芍薬・生姜 各2、黄蓍1、人参・蝦蟆・使君子各1.5」◎疳労を治す。◎疳労、喘咳、虚汗、骨蒸渇して腹瀉、食少なき者。◎此方は疳労と呼ぶ結核性腹膜炎の虚状を呈した者に用いる剤である。腹部膨大して堅き硬結を触れ、消耗熱続いて四肢羸痩し、盗汗ある者を目標とする。「浄腑湯」は実熱に属し、此方は虚熱に属する。日数を経て全体に虚状を呈するものに良い。腹水は認められず、肥厚性のもので腹満、硬結、盗汗、消耗熱等を目的とする。本方を服用して下痢食欲不振を起こす者は中止する。本症の更に虚状強きは「消疳飲」である。「蝦蟆」=小児の疳、癆を治す。腹硬満によい。「使君子」=疳を治し、諸虫を除き、瀉を止む「鼈甲」=骨蒸熱、消耗熱を治す。「当帰・川芎・地黄」=血を補う「人参・黄蓍・茯苓・陳皮」=気脾を補う。
★適応症及び病名 (黄蓍湯) ■結核性腹膜炎 #黄蓍湯[1-3]《万病回春》《古今方彙》「人参、黄蓍、当帰、川芎、芍薬、地黄(生)、蝦蟆(去足)、鼈甲、茯苓、陳皮、半夏、柴胡、士君子、生姜、大棗」水煎。
◎小児疳労、喘嗽、虚汗、骨蒸、渇し而して腹瀉して少しく食する者を治す。 #黄蓍湯[2]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、甘草2銭、当帰5分、五味子9粒」水煎服。
◎気が虚し、発熱・脈がはやい・落ち着かない・頭重・憂鬱になる者。
#黄蓍湯[3]《東醫寶鑑》「黄蓍・陳皮各5銭」を粉末にし、別に麻子仁汁1盃を銀石器で煎じたものに、白蜜1匙を入れて再煎し、前の薬末3銭を入れて空腹時に服用。
◎老人の便秘。(老人の大便秘渋)
#黄蓍湯[4]《東醫寶鑑》「黄蓍・人参・白朮・白茯苓・甘草・白芍各1銭、生姜3片」水煎服。 ◎暑気あたりで、脈虚弱な者。
#黄蓍湯[5]《東醫寶鑑》「生乾地黄2銭、黄蓍・茯神・天花粉・麦門冬各1銭、五味子・甘草各5分」水煎服。 ◎すべての渇を治す。
#黄蓍湯[6-1]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、人参2銭、炙甘草5分」水煎服。 ◎慢驚風で下痢する者。
#黄蓍湯[6-2]《蘭室秘蔵》《古今方彙》「人参、炸薬、甘草(炙)、黄蓍」水煎。◎小児慢驚風の神薬なり。
#黄蓍湯[7]《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)2銭2分、生乾地黄・天門冬・白茯苓・麻黄根各1銭5分、当帰1銭2分、麦門冬1銭、五味子・浮小麦・甘草各7分、防風5分」水煎服用。◎陰陽偏虚と自汗または盗汗を治す。
#黄蓍湯[8]《東醫寶鑑》「人参・白朮・白茯苓・甘草・黄蓍・白芍薬各1銭、薑3片」水煎服用。◎中に脈が虚弱な症。
#黄蓍湯[9-1]《外台秘要方》《中医処方解説》「黄蓍30g、麦門冬15g、生地黄15g、天花粉18g、茯苓6g、五味子5g、甘 草5g」水煎服。
◎滋陰益気の効能があり。◎気陰両虚で口渇・多飲の者。
★適応症及び病名(黄蓍湯) [1]糖尿病[2]慢性胃炎[3]慢性気管支炎
#黄蓍湯[9-2]《証治準縄》《古今方彙》「黄蓍・茯苓・括楼根・麦門冬・地黄(生)・五味子・甘草各等分」水煎。◎諸ての渇疾を治す。 #黄蓍湯[10]《備急千金要方》《勿誤薬室方函口訣》「黄蓍・芍薬・桂枝・麦門冬・橘皮・甘草・当帰・細辛・人参・柴胡・茯苓各2両、半夏2両半、大棗20枚、生姜5両」◎虚労不足、四肢煩疼、食を欲せず、食すれば即ち脹り、汗出ずるを治す。
#黄蓍内托散[1-1]《医宗金鑑》「黄蓍、当帰、川芎、白朮、金銀花、皂角刺、天花粉、沢瀉、甘草」
#黄蓍内托散[1-2]《外科正宗》《古今方彙》「黄蓍1銭、当帰・川芎・金銀花・皂角刺・穿山甲・甘草(節)各2銭」水煎し(酒)を加え食前に服す。
◎臀癰已になり、前に薬を服して勢の定りたる者はそれ潰膿せんと欲す、宜しく之を服すべし。
#黄蓍人参湯《東醫寶鑑》「補中益気湯蒼朮1銭・神麹5分・黄柏3分・五味子15粒」◎暑月に精神が不足し両脚が痿軟し、煩熱・嘔逆・自汗・頭痛する症。
#黄蓍茯苓湯《備急千金要方》《勿誤薬室方函口訣》「黄蓍・茯苓・当帰・川芎・桂枝・芍薬・白朮・地黄・人参各1銭、甘草5分」◎治男婦諸虚不足、一切病後不如。◎此方は即ち後世の「十全大補湯」なれども、《備急千金要方》は旧き故、古に
本づくなり。
「八珍湯」は両虚を治する方なり。右に黄蓍,桂枝を加える者は、黄蓍じゃ黄蓍建中湯の如く諸不足を目的とす。故に、《済世方》の主治に虚労不足、五労七傷を治すと云う。◎此方と「人参養栄湯」に桂枝を伍する者は「八味丸」の意にて、桂枝にて地黄を濡滞を揮発するなり。◎諸病証治の末に此方と「補中益気湯」と「地黄丸」「四君子湯」の加減を載する者は、万病共に気血を回復するを主とするの意なり。[1]瘰癧:☆流注瘰癧の強く虚する者。[2]羸痩:☆瘡瘍に因って気血共に虚し羸痩する者。[3]脱疽:☆[荊芥]。☆痛甚だしいときは桂枝加朮附湯荊芥。
#黄蓍茯神湯《東醫寶鑑》「黄蓍・茯神・遠志・紫河車・酸棗仁(炒)各1銭、生姜3片、大棗2枚」水煎服。 ◎脇・胸・背中・肩・両腕の疼痛、心痛、暴瘖する病気が流行する時。(瘖⇒イン・オンと読み、発声障害のこと)。
#黄蓍鼈甲散[1-1]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「柴胡・黄蓍・鼈甲・芍薬・地黄各2、天門冬・茯苓各2.5、桑白皮・半夏・人参・桔梗・桂枝・地骨皮・知母・秦艽・紫菀・甘草各1」◎虚労客熱、肌肉消痩、四肢倦怠、五心煩熱・心悸、盗汗、食少なく、咳嗽多く、咳唾稠粘、時に膿血あるを治す。又、往来寒熱、労瘧等の症を治す。
◎此方は労咳と骨蒸熱を目的とする。肺痿骨蒸の主剤と言われる秦艽扶羸湯の変方で、肺結核の経過中、弛張熱、稽留熱、或いは消耗熱の初期に蒸々として発熱を続け、肌肉消痩して咳嗽する者に用いる。風労の症とて結核の初期、患者が外感に冒され、発熱の際発散の剤を与えれば排気虚耗して労咳となるものに此方が良い。 「地黄・知母」=腎水を滋す。 「天門冬」=肺火を瀉す。 「鼈甲・芍薬」=肝火を瀉す。(陰を養う剤) 「黄蓍・人参・桂枝・茯苓・甘草」=衛気を固くし、脾肺の虚を補う。(陽を助く) 「紫菀」=肺を潤し、嗽を止む。 「秦艽・地骨皮」=内熱を散ず。
◎秦艽扶羸湯=「秦艽・鼈甲・人参各3、当帰・半夏各5、柴胡・地骨皮・紫菀各2、甘草・烏梅・大棗・生姜各1」
★適応症及び病名 (黄蓍鼈甲散) [1]肺炎 [2]肺結核: ☆2期以後の発熱と咳嗽[3]慢性気管支炎[4]慢性マラリア #黄蓍鼈甲散[1-2]《東醫寶鑑》「鼈甲・天門冬各1銭、知母・地骨皮・黄蓍・秦艽・白茯苓・赤芍・柴胡各7分半、桑白皮・半夏・甘草各5分、紫菀・生地黄各4分、人参・肉桂・桔梗各3分、生姜3、大棗2」煎服。
◎諸虚証・百損と一切の労傷を治す。 #黄蓍鼈甲湯[1-1]《和剤局方》 「桑白皮(炙)・半夏(煮)・黄蓍(蜜炙)・知母(去蘆焙)・赤芍薬(洗)・甘草(炙)・紫菀(去蘆)各2両半、秦艽(去蘆)。白茯苓(焙)・生乾地黄(洗焙乾)・地骨皮(去土)・柴胡(洗)各3両3銭、苦桔梗・肉桂(去麁皮不見火)・人参各1両陸銭半、鼈甲(醋浸去裙炙酥)・天門冬各5両、去心焙 一木作地黄3両、肉桂2両陸銭半。
#黄蓍鼈甲湯[1-2]《和剤局方》《古今方彙》 「桑白皮・半夏・甘草各2分半、地骨皮・知母・黄蓍・秦艽・白茯苓・赤芍薬・柴胡各3分3厘、鼈甲・天門冬各5分、肉桂。人参・桔梗各1分6厘、紫菀・生地黄各3分」水煎、温服。◎虚労客熱、肌肉消羸、四肢煩熱、心悸盗汗、食少なく、多く咳嗽し、血有り、往来寒熱、労瘧等の症を治す。
#黄蓍鼈甲湯[1-3]《和剤局方》「茯苓・天門冬各2.5g、柴胡・芍薬・黄蓍・土鼈甲・地黄各2.0g、地骨皮・知母・秦艽・紫菀各・桑白皮1.5g、半夏・人参・桂皮・甘草・桔梗各1.0g」◎労咳、骨蒸熱、◎風労=初期感冒に罹り、摂養を怠り、漸次肺結核に移行)◎熱が続き咳嗽を伴う者。
★適応症及び病名(黄蓍鼈甲湯) [1]咽乾[2]往来寒熱 [3]気管支炎[4]稽留熱(ケイリュウネツ) [5]口燥[6]自汗[7]弛張熱☆胸部疾患に伴うもの。[8]消耗熱[9]盗汗[10]肺炎[11]肺結核症[12]発熱<微熱・消耗熱>[13]疲労倦怠[14]ほほが赤い[15]マラリア ☆慢性に経過するもの。[16]慢性咳嗽[17]慢性気管支炎
#黄蓍防風湯 「黄蓍防風湯2~3をまず濃く煎じて床下に入れておくと、蒸気が煙霧のようにあがり、独りでに薫ぶられその夜のうちにしゃべることができる。◎中風で脈が沈み、口噤なのは早く補わなければならない。もし有形な湯薬を使うと、遅れていけないので黄蓍防風湯を口・鼻が皆受けるようにしなければならない。これは智慧ある人の神技である。口は地に通じ鼻は天に通じ、口で陰を育て、鼻で陽を育てるので、天は綺麗なものを主張し、鼻は有形なものは受けず無形はものを受け、地は濁を主張し、口は有形なものを受け、又無形なものも兼ねて受ける。◎中風でしゅべられない・脈沈・口噤する者を治す。
#黄蓍補胃湯《医学正伝》《古今方彙》「黄蓍・柴胡・当帰・益智仁・橘紅各1銭半、升麻2銭、甘草(炙)半銭、紅花(少許)」水煎。◎1日に大便34次溏し、而して多からず、時にありて泄をなし、腹中鳴り、小便黄なるを治す。
#黄蓍六一湯《寿世保元》《古今方彙》 「黄蓍6両、甘草1両」◎額上常に汗出でて冬夏を論ぜざる者、酔後に之を得て風に当たりて致す所の者を治す。
#黄解丸《湯本救真》《龍野一雄》「黄連・黄芩・黄柏各3g、大黄4g、山梔子2g」丸薬にし、1日量2g。「黄連解毒湯大黄」 ◎便秘・のぼせ。
#黄解散《吉益南涯》《龍野一雄》「黄連3g、黄芩・黄柏各2g、山梔子1g」粉末にし、2gを頓服。◎冷水で服用。◎喀血・吐血。
#黄芩夏菊湯《中薬臨床応用》「黄芩9g、夏枯草15g、菊花9g」◎動脈硬化◎高血圧◎自律神経失調症◎頭痛、目の充血、口苦、顔面紅潮。
#黄芩滑石湯《温病条弁》《中薬臨床応用》「黄芩9g、滑石9g、通草3g、茯苓15g、猪苓9g、大腹皮9g、白豆蔲3g」◎熱性疾患の中期~後期で熱盛。◎発熱が続く、身体が重い、口渇、舌苔黄。
#黄芩加半夏生姜湯《傷寒論》《龍野一雄》「黄芩・大棗各3g、芍薬・甘草各2g、半夏8g、干姜1g」 水400を120に煮詰め、3分服。◎黄芩湯証にして、嘔逆する者を治す《方極附言》
◎下痢嘔吐、或いは発熱或いは腹痛。《龍野》
★適応症及び病名(黄芩加半夏生姜湯) [1]嘔吐[2]悪寒[3]悪心[4]急性虫垂炎[5]急性腸炎[6]下痢☆細菌性の下痢。☆熱性下痢等にして、乾嘔甚だしく、食物を摂取すること能はず。脈数にして弱なる証《奥田謙蔵》[7]口苦[8]口臭[9]子宮付属器炎[10]消化不良[11]食中毒[12]食欲不振[13]心下痞[14]身體疼痛[15]頭痛:[16]赤痢☆大腸湿熱の者。[17]喘息☆嘔吐を伴う。[18]発熱[19]腹痛:☆腹痛し、下痢すること日に数行、吐して煩悶する証《奥田謙蔵》
[20]裏急後重 #黄芩芍薬湯(一名黄芩湯)《東醫寶鑑》「黄芩・白芍各2銭、甘草1銭」水煎服。 腹痛が激しいときは桂心3分を加える。 ◎下痢に膿血がまじり、身体に熱があり、腹痛のある者。
#黄芩湯[1-1]《傷寒論》 =「天物黄芩湯」 「黄芩3両、芍薬2両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚」◎太陽興少陽合病、自下利者、與黄芩湯。若嘔者、黄芩加半夏生姜湯主之。
《傷寒論》巻第四辨太陽病脉證并治下第七。◎傷寒脉遅六七日、而判與黄芩湯徹其熱。脉遅為寒、今與黄芩湯復除其熱、腹中 応冷、當不能食。今反能食、此名除中、必死。《傷寒論》辨厥陰病脉證并治第十二。
#黄芩湯[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄芩9g、白芍薬6g、甘草6g、大棗8g」水煎服。◎腹痛◎裏急後重◎悪臭のある便◎舌苔黄膩◎湿熱の下痢
#黄芩湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「黄芩・大棗各3g、芍薬・甘草各2g」 ◎心下痞、腹強急して下利するものは、黄芩湯これを主る。為則つねに若の証に体すれば、即ち此の湯を用ひ、その応響の如し。《薬徴》
[腹強急]=腹がツッパリ痛む。
◎黄芩湯の条に太陽と少陽との合病自下利する者は之を主ると曰う、蓋し三陰三陽は疾医の言わざる所なり、故に取らず、他例を以て之を考うるに心下痞して腹強急して下利する者は此湯之を主る。為則若の証に値う毎に此湯を用う。その応響くが如し。《重校薬徴》
◎下して心下痞し、腹中拘急する者を治す《方極附言》◎発熱・腹痛・下痢。◎清熱止痢、和中止痛。
★適応症及び病名(黄芩湯) [1]アトピー性皮膚炎[2]胃炎[3]胃腸型感冒☆ウイルス性。《中医処方解説》[3]乾嘔[4]急性腸炎[5]急性虫垂炎[6]月経代償性出血[7]血便[8]下痢:☆(肛門に熱湯をかけた様に熱痛)☆泥状便・粘液便が多い。☆下痢性疾患等にして、初起に発汗法を行い、或いは之を下して後、大勢挫折するも、下痢なお未だ止まざる証《奥田謙蔵》☆熱性下痢等《奥田謙蔵》☆痢疾、発熱、腹痛し、心下痞し、裏急後重し、膿血を便する者を治す。
大黄を加ふ。若し嘔吐する者は、加半夏生姜湯中に大黄を加ふ。《類聚方広義》☆小児の疳虫による下痢。《荒木正胤》[9]口渇[10]口苦[11]口臭[12]子宮付属器炎(腹痛ある者)[13]消化不良[14]食中毒[15]心下痞[17]赤痢:☆赤痢等にありては、その初起に大黄を加える《奥田謙蔵》
[18]代償性月経[16]大腸炎 [17]虫垂炎(急性) [18]腸炎・腸カタル<軽> [19]吐血☆代償性月経として。[20]乳幼児の消化不良
[21]粘液便[22]発熱: ☆熱性病、数日を経過すと雖も、頭痛、煩渇なお未だ止まず、既にして脈勢やや虚弱に赴かんとする証《奥田謙蔵》[23]鼻出血(月経代償性)[24]腹中拘急(腹痛)[25]腹直筋攣急(右側)[26]慢性胃炎[27]盲腸炎[28]目眩[29]裏急後重☆熱症がない者には桂枝加芍薬乾姜・大黄を考える。
#黄芩湯[2]《外台秘要方》《金匱要略》 「黄芩3両、人参3両、乾姜3両、桂枝1両、大棗12枚、半夏半升」右六味、以水七升、煮取三升、温分三服。◎六物黄芩湯に同じ。◎治乾嘔下利《金匱要略》嘔吐下利病脉證治第十七。
#黄芩湯[3]《東醫寶鑑》「黄芩(酒炒)・山梔子(酒炒)・桔梗・赤芍・桑白皮・麦門冬・荊芥穂・薄荷・連翹各1銭、甘草3分」食後服用。 ◎鼻孔が乾く。又は瘡が出来て痛い者。
#黄芩湯[4]《東醫寶鑑》「沢瀉・山梔子・黄芩・麦門冬・木通・生地黄・黄連・甘草、生姜5片」水煎服。 ◎心肺の蘊熱・口瘡・咽喉痛・小便の淋濁の症。
#黄芩湯[5]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄芩・山梔子・桔梗・麦門冬・当帰・生地黄・天花粉・葛根・人参・白芍各1銭、烏梅1個」煎服。食後服用。
◎上消(糖尿の)を治す。◎上消渇の症を治す。是れ肺火にて飲水多く、而して食少なきなり。《古今方彙》
#黄芩湯[6]《東醫寶鑑》「黄芩・白朮・縮砂・当帰・各1銭半」水煎服。 ◎胎動不安に。
#黄芩湯[7] =「黄芩芍薬湯」「黄芩・白芍各2銭、甘草1銭」水煎服。 腹痛が激しいときは桂心3分を加える。 ◎下痢に膿血がまじり、身体に熱があり、腹痛のある者。
#黄芩湯[8]《万病回春》《古今方彙》「黄芩・山梔子・桔梗・芍薬・桑白皮・荊芥・薄荷葉・麦門冬・連翹各1銭、甘草3分」水煎、食後服用。 ◎肺火にて咳嗽、吐血、痰血、咽喉腫痛し、乾燥して瘡を生じ、或いは鼻穴乾燥して瘡を生じ、或いは鼻腫れて痛むを治す。
#黄芩人参湯《深師》《勿誤薬室方函口訣》「六物黄芩湯-半夏甘草」◎傷寒吐下の後、内外熱あり、煩渇不安を治す。 #黄甲丸《東醫寶鑑》「朱砂・阿魏・穿山甲(炙)・檳榔各5銭、雄黄・木香各2銭半」を粉末にし、黒豆を泡立たせ皮を剥いてついて梧子大の丸剤。姜湯で50丸飲む。
◎瘧が塊になって治らない者。
#黄鐘丸《東洞家塾方》=「三黄丸」「大黄40銭、黄芩・黄連各20銭」右三味杵き篩い作末、梧桐子大の糊丸。毎服20~30丸。白湯にて送下す。下を以て度と為す。若し急に之を下さんと欲するときは則ち酒にて之を服す。
◎大便難、煩悸して心下痞するものを治す。
#黄精エキス《中薬臨床応用》「黄精2500g」を500gまで煮詰めてエキス。◎肺結核。 #黄精湯《中薬臨床応用》「黄精18g、枸杞子9g、生地黄15g、黄蓍9g、党参9g」◎病後の衰弱。
#黄米丸《東醫寶鑑》「絲瓜絡(乾燥)の皮を去り細切りにし巴豆肉14粒と炒って、巴豆は捨て、陳倉米を絲瓜絡の分量に入れて炒り、米が黄色くなったら絲瓜は捨て、米を取って粉末にし、梧子大の丸剤。白湯で100丸呑む。
◎水蠱を治す。 #黄土湯[1-1]《金匱要略》「甘草・乾地黄・白朮・附子(炮)・阿膠・黄芩各3両、竃中黄土半斤」右七味、以水八升、煮取三升、分温二服。◎下血、先便後血、此遠血也、黄土湯主之。《金匱要略》驚悸吐衂下血胸満血病脉證治第十六。
#黄土湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「甘草・乾地黄・白朮・白川附子・阿膠・黄芩各3g、黄土8g」水320を120に煮詰め、2回に分服。◎旧注に云う、吐血、衂血、下血を主る。此方は先便後血、吐血、衂血を論ぜず、脈緊なる者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は下血陰分に陥る者収濇するの意なり。《勿誤薬室方函口訣》◎先便後血に拘わらず脈緊を以て用いるが此方の目的なり。《証治要訣》に“黄土湯は、吐血・衂血ともに、脈緊の者に、この湯を用いる症がある。また子宮出血でも脈緊の者に、この方を用いると効がある”◎吐血衂血を治するも此の意にて用いるべし。◎《陳念祖》曰く、余常に、此方を用いるに「-附子乾姜」「-黄土赤石脂」とし、効を取るに捷し、甚だしき者には「乾側柏葉4両、鮮竹茹6斛」
◎下血・吐血・鼻血・不眠。◎収渋止血、温陽健脾、養血。《中医処方解説》◎陽虚の者。
★適応症及び病名(黄土湯) [1]嘔吐[2]悪寒[3]潰瘍性大腸炎[4]顔色悪い<萎黄>[5]顔面蒼白[6]逆上感[7]健忘症
[8]下血:☆冷汗や冷却などの陰症がある者《済世薬室》☆傷寒、熱血分を侵し、にわかに下血する者、桃核承気湯・犀角地黄湯などを与えて血止まず、陰位に陥り危急なる者、此方を与えて往々奇験あり。《勿誤薬室方函口訣》☆厥陰下血の証を治して効あり。《傷寒翼方》☆下血、及び諸血症、その人心中悪熱し、時に襟を解かんと欲し、舌反って和し、或いは胎無くして乾き、ただ嗽(ススガ)んと欲して嚥んことを欲せず、四肢冷え、小便少なく、大便溏なる者は、黄土湯を主どる《医聖方格》☆下血のさいに、大便が先に出て、後で血の下るのは遠血で、血が先に出て、後から大便の出るのは近血であると述べている。遠血は腸からの出血で、近血は肛門からの出血である。《金匱要略》によれば、黄土湯は、遠血を主治し、また吐血、衂血も治することになっている。しかしこの方は近血である痔出血にも用いる。《大塚敬節》
[9]下痢
[10]子宮出血:☆子宮出血に附子剤を用いる症があり。この際には大抵、脈が緊である。これに黄土湯を用いると、数日のうちに血が止むものである《証治摘要》
[10]子宮内膜炎:☆子宮内膜炎等にして、血性分泌物断続し、下肢寒冷にして虚熱上逆 し、その脈細小遅なる証《奥田謙蔵》[12]痔出血:☆直腸や痔の疾患で、膿血が出て止まず、腹痛を訴え、大便が軟く、小便の出が悪く、貧血し、日々痩せてゆく者或いは浮腫のある者を治す《類聚方広義》[11]手掌煩熱
[12]出血:☆(下血・衂血・吐血・血尿・子宮出血・性器出血)☆衂血、或いは吐血の諸証にして、手掌煩熱し、下肢に冷感あり、その脈細弱なる者《奥田謙蔵》☆痔出血止まず、顔面蒼白、四肢寒冷にして、心煩あり、その脈細遅なる等の証《奥田謙蔵》☆子宮出血等にして、その脈沈細なる証《奥田謙蔵》☆吐血、下血、久久にして止まず、心下痞し、身熱、悪寒し、面青く、体痩せ、脈弱にして舌色刷白、或いは腹痛、下利し、或いは微腫する者を治す《類聚方広義》
[13]自律神経失調症[14]心下痞[15]心煩[16]身熱
[17]錐体外路症候群<運動失調性>[18]大腸ガン
[19]腸出血:☆浅田宗伯の治験に、佐伯候の医員、友浦甫仙の妻が傷寒(腸チフス)にかかって、数日、熱が下がらなかったが、ある日突然腸出血が始まり、豚の肝臓のようなものや、ウルシのような血塊を数個下し、手足は厥冷し、冷汗が流れ、のどには喘鳴が現れ、まさに危篤の状となった。そこで自分はこれに黄土湯を与えたとこそ。下血が止み、手足が温かになり、また熱がのぼって、うわごとを言うようになった。脈を診ると、微細である。そこで升陽散火湯を与えて全治した《大塚敬節》
☆「腸チフス」における腸出血等にして、体温俄然として下降し、手足厥冷し、虚煩し、その脈微細なる証《奥田謙蔵》
[20]テンカン
[21]手足厥冷
[22]尿不利
[23]ノイローゼ
[24]脳水腫
[25]白血病
[26]皮膚枯燥
[27]疲労倦怠[28]貧血[29]腹痛[30]不眠症
[31]崩漏:☆緊脈に効あり《勿誤薬室方函口訣》
[32]羸痩
#黄土湯加減《中薬臨床応用》「伏竜肝45g(さきに煎じて残を除き水の代わりとする)、熟地黄9g、当帰9g、肉桂1.5g(服)、艾葉3g、阿膠6g(溶解)、白朮9g、生姜3g、炙甘草3g」◎虚寒による胃腸出血。
#黄白散《東醫寶鑑》「黄柏・孩児茶・明礬各等分」粉末にし、冷米湯で口をゆすいでから、塗布。◎口瘡と口中の疳瘡を治す。
#黄柏丸[1](一名大補丸)《東醫寶鑑》「黄柏」炒って褐色になったら粉末にし、水で丸にし、空腹時に服用。 ◎腎経の火燥を除去し、下焦の湿と、陰火の気が臍の下からおきる症。
#黄柏丸[2]《小児薬証直訣》「黄柏、赤芍薬」
#黄柏膏《東醫寶鑑》「黄柏1両、甘草4両、紅花2両、緑豆粉1両半」粉末にし、精油で調合し、耳の前から目のふちに塗る。 ◎痘瘡が発したとき、先ずこの膏を使うと目も顔も軽くすむ。
#黄柏散《東醫寶鑑》「黄柏2両、五倍子・蜜陀僧各2銭、甘草2分」を粉末にし、煮詰める。就寝時に患部に塗る。 ◎口唇が合わされず、飲食も出来ない症。
#黄柏地楡煎 「黄柏、地楡」
#黄附湯《魏氏家蔵方》「黄蓍、附子」
#黄薬子酒《中薬臨床応用》「黄薬子300g」62度の白酒1500‹と共に陶器の器に入れて密封し、水をはった鍋に入れて2時間ぐらい弱火で煮る。やや冷えてから冷水中に入れ、7日後に取り出して残渣を除く。1日50~100‹を少量づつ頻回に服用。◎食道ガン。
#黄竜散《東醫寶鑑》「枯白礬・竜骨(煆)・黄丹(水飛)・嚥脂(焼灰)・海蛸(煆)各1銭、麝香若干」粉末にし、耳の中を脱脂綿で脱ぎ取るか、又薬を湿らせて耳の中に入れ、いつも詰め替える。◎風呂に入って水が耳に入って、膿が出る者。
◎小児の耳痛を治す。
#黄竜湯[1]《備急千金要方》 「小柴胡湯」に同じ。 ◎傷寒差ゆる後、更に頭痛壮熱あり、煩悶す。
#黄竜湯[2]《傷寒六書》=参帰承気湯。「大黄、芒硝、枳実、厚朴、人参、当帰、甘草」姜棗水煎。 「大承気湯《傷寒論》当帰・人参・甘草」姜棗水煎す。◎心下硬痛、純青水を下利し、譫語・発渇・身熱を患う者。 ◎《呉又可》曰く、凡そ下を失し、以て循衣模床、撮空肉を致し、目了了たらず、邪熱いよいよ盛んに偏気将に脱せんとする者、勢ついに下すべからず。又下さざるを得ず、已むを得ざれば《陶氏》 黄竜湯を用い之を下すと。是れ亦一活用に出ず。然れども此方、人参を用うる者、その意、硝黄の力をしていよいよ鋭ならしむるに在り。《張氏医通》に云う、人参を用うるは、借りて以て胃気を資助し、その薬力を行らせば、則ち大黄輩以て破敵の功を振うを得るなり。虚して補を兼ねるの謂に非ざるなりと、以て見るべきのみ。《傷寒翼方》
#黄竜湯[3]《東醫寶鑑》「小柴胡湯《傷寒論》-半夏」 ◎妊婦の傷寒発熱と、産後の発熱して熱が血室に入る症。 ◎四味凉血地黄湯を合わせると、さらによい。
#黄竜湯[4]《東醫寶鑑》「柴胡4銭、黄芩・人参・甘草各1銭」 ◎妊婦の感冒で、頭痛・煩熱し、瘧状の者。
#黄連阿膠湯[1-1]《傷寒論》「黄連4両、黄芩2両、芍薬2両、鶏子黄2枚、阿膠3両」右五味、以水六升、先煮三物、取二升、去滓。内膠烊盡、小冷。内雞子黄、攪令相得。温服七合、日三服。◎少陰病、得之二三日以上、心中煩、不得臥、黄連阿膠湯主之。《傷寒論》辨少陰病脉證并治第十一。
#黄連阿膠湯[1-2]《東醫寶鑑》=「黄連鶏子湯」「黄連・阿膠・芍薬各2銭、黄芩1銭、鶏子1個」黄連・芍薬・黄芩を半分まで水煎して滓を捨て、阿膠を入れ、再び煎じ、卵の黄身を入れ1日3回服用。 ◎心が煩悶して眠れない症。
#黄連阿膠湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄連6g、阿膠15g(溶解)、黄芩6g、白芍薬6g」水煎し薬液がぬるくなったとことへ卵黄2個を入れてかき混ぜ、1日3回温服。 ◎心血虚◎胸が暑苦しい◎不眠◎舌質紅 ◎脈細数
#黄連阿膠湯[1-4]《傷寒論》《龍野一雄》「黄連4g、黄芩・芍薬各2g、阿膠3g、鶏卵黄1個」水240を以て黄連・黄芩・芍薬を80に煮詰め滓を去り、阿膠を入れて溶かし。少し冷まして卵黄を加えてかき混ぜる。3回分服。
◎心中悸して煩し眠るを得ざる者を治す《吉益東洞》◎此方は《柯韻伯》の所謂“少陰の瀉心湯”にて、病、陰分に陥って、上熱なお去らず、心煩or虚躁する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎凡そ諸病日久しく熱気血分に浸淫して諸症をなす者、◎毒痢、腹痛、膿血止まず、口舌乾く者を治して験あり。◎疳瀉止まざる者◎不眠症・煩躁・吐血。◎心中煩、不得臥。《龍野ー漢方処方集》◎滋陰降火、安神除煩。《中医処方解説》
【腹証】《腹診配剤録》“心下煩悶して、志気尤も安んざぜず。吐血に此の証多し”
★適応症及び病名(黄連阿膠湯)
[1]喀血[2]化膿性皮膚疾患[3]乾癬[4]顔面紅潮
[5]眼痛:☆虚煩眠るを得ず、眼中疼痛、懊悩を治す《肘後備急方》[6]眼底出血
[7]気管支炎[8]狂躁
[9]下血:☆諸失血の症、驚悸、身熱し、腹痛、微利し、舌乾き、煩悶して寐ぬること能はず、身体困憊し、面に血色無く、或いは面熱し、潮紅する者を治す《類聚方広義》☆少陰の下利膿血に用いることもあり。桃花湯とは上下の弁別あり。
[10]下痢:☆久痢、腹中熱痛し、心中煩して眠ることを得ず、或いは膿血を便する者を治す《類聚方広義》☆星海曰く、符卿公夫人、体素羸弱、頻りに参朮を用い、懐孕7月痢を患う。 腰疼腹痛、病危急に在り。諸医みな言う、胎を安んずれば則ち痢いよいよ重く、痢を治すれば則ち胎全き難し。手を袖にして策無し。最後に余を招く。脈数滑重、按んじて無力と診するに至って、必ず固胎の薬を得て主に為さんと思い、又参朮の宜しき所に非ず。《仲景》に「黄連阿膠湯」あり、阿膠能く膿血の痢を治し、且つ腰痛を止め、而して固胎此より善きは無し、遂に用いて以て君と為し、同じく黄連芍薬甘草を佐と為し、少しく枳実を加え、以てその後重を緩慢にする。1剤を服して痛痢ともに減じ、次日、枳実を去り、23剤を再服して痢癒える。《雑病翼方》
[11]血尿
[12]口渇
[13]口臭
[14]口唇乾燥
[15]口内炎
[16]高血圧症[
17]興奮<逆上する>
[18]子宮出血[
19]湿疹: ①脈腹に力なく、のぼせ気味で胸苦しく、熱感あり。②発疹は赤味を帯び、乾燥して、かゆみ少ない。③強い風や日光に当たると悪化する。☆湿疹等にして、諸種の治療の抵抗し、掻痒、煩熱に堪えざる証《奥田謙蔵》☆目標は発疹が主として顔に見られ、隆起があまり目立たないほど低く、指頭でなでると、ザラザラしている。少し赤味を帯びて乾燥し、カユミは少ない。小さなヌカのような落屑があり、風に当たったり、日光に当たると悪くなる。《大塚敬節》
[20]出血性腸炎
[21]衂血
[22]心悸亢進
[23]心下痞
[24]心下痞硬
[25]心煩:☆下痢の後、水分欠損し、心煩して安静ならず、脈微にして浮なる証《奥田謙蔵》
[26]髄膜炎
[27]精神分裂病
[28]頭重
[29]譫語
[30]躁病
[31]手足がだるい(四肢脱力感)
[32]中風:☆少陰中風《医学実在易》
[33]痘瘡:☆痘瘡内陥し、熱気熾盛にして、咽燥、口渇し、心悸し、煩躁し、清血する者を治す。《類聚方広義》
[34]吐血
[35]尿道炎
[36]熱っぽい
[37]ノイローゼ
[38]脳血管障害[39]肺炎
[40]発熱:☆疲労ありて煩熱し、心下部満悶を覚え、安臥するを得ず。脈数急なる証。《奥田謙蔵》
[41]煩躁
[42]ヒステリー
[43]皮膚枯燥:☆私の妻が、頑固な皮膚病に悩まされたことがある。その発疹は円味を帯びて、両側の頬を中心に拡がりカユミがあり、やや赤味を帯びて乾燥し、小さい落屑が見られた。強い風に当たったり、日光に当たると、赤味が増して、カユミもひどくなる。 私はこれに大柴胡湯石膏、大黄牡丹皮湯薏苡仁、桂枝茯苓丸、黄連解毒丸などを、次々と内服せしめ、100日あまりも治療したが、少しもよくならず、むしろ増悪の傾向があり、さすがに、妻も、漢方では治らないのではありませんかと言うようになった。 そこで、私も今までの態度を改め、熟慮ののち、皮膚の乾燥を阿膠と芍薬で潤おし、熱と赤味を黄連と黄芩でとったらと考え、黄連阿膠湯を与えた。これはすばらしく効いた。1服で赤味がうすらぎ、1週間後には、カユミもなくなり、1ヶ月ほどで全治した。《大塚敬節》[44]皮膚掻痒症[45]腹痛[46]不眠症:☆吐血、咳血、心煩して眠らず、五心熱してようよう肉脱する者。☆吐血後の不眠。《本朝経験》☆痘瘡煩渇眠れない者に特効あり。《勿誤薬室方函口訣》☆中暑心煩、臥するを得ざるの内証を治す《陳修園》☆産後の不眠で、胸の中がサラサラして、空っぽになったようで眠れないと、訴える者に、この方を用いた。《伊沢蘭軒》☆吐血・喀血などがあって、胸苦しくて眠れず、からだが熱し、だんだん衰弱を加える者に用いた《原南洋》☆この方は、黄連解毒湯や三黄瀉心湯を用いたいような患者で、やや疲労している者に用いる。《大塚敬節》 ☆本郷、御弓町の斎藤定之進の義子の太沖は、傷寒にかかり、数10日下熱せず、脈は虚数で、舌上に黄苔があって乾燥し、心身共に疲れ果てている。 余はこれを診して、少陰の裏熱の証で有ると診断して、黄連阿膠湯を与えたが、2、3日で心煩g安らぎ、少し安眠が出来るようになり、食もやや進んだ。 ところが、次の日、全身に熱が高くなり、譫語を発し、煩渇、狂躁の状となった。そこで家人は驚いて、余を招いた。 余はこれを診察してから云った。病が陰から陽に復するのであるから、心配はいらないと、升陽散火湯を与えた。4、5日たつと、精神が明了となり、飲食も大いに進んだ。ただ盗汗が止まらず、夜間、微熱があって、腹が引きつれて、動悸がある。そこで 聖恵の人参散を与えて全治した《橘窓書影》
[47]膀胱炎:淋家、心煩して小便利せざる者を治す《類聚方集覧》
[48]発赤[49]麻疹
[50]腰痛:☆妊娠下重、痛み腰背に引くを治す:「黄芩当帰地黄糯米」《外台秘要方》 [51]羸痩
#黄連阿膠湯[2]《東醫寶鑑》「黄連・阿膠・黄柏・山梔子各1銭2分半」水煎服。 ◎膿血の腐った肉汁のような熱毒下痢。 ◎少陰病が原因で、煩躁して横にもなれない症。
#黄連阿膠元《東醫寶鑑》「黄連3両、赤茯苓2両」粉末にし、水と阿膠(炒)末1両で梧子大の丸剤。米飲で30~50丸空腹時に服用。 ◎赤白痢・熱痢。
#黄連飲[1]《東醫寶鑑》「人参2銭、黄連1銭半、炙甘草5分、青竹葉10斤、生姜1片」水煎服。 ◎心経に熱がある夜泣き。
#黄連飲[2]《聖済総録》《勿誤薬室方函》「甘草乾姜湯黄連」◎腸風、血を瀉す痢の如く、腹中痛し、面色萎黄の者。
#黄連温胆湯[1]《六因条辧》「黄芩2両、黄連・生地黄・知母各1両、甘草5銭」(雑病源流犀燭・臓腑門)
#黄連温胆湯[2]《六因条辧》「姜黄連・甘草・生地黄・当帰尾・赤芍薬・木通・連翹・防風・荊芥」(雑病源流犀燭・内傷外感門)
#黄連温胆湯《中医処方解説》「温胆湯黄連」◎燥湿化痰、清熱理気。
#黄連丸[1]《東醫寶鑑》 =「抑青丸」「黄連(酒炒)or(姜汁炒)」作末して粥で作丸し、白湯で20~30丸呑む。◎心経の火をなくし、酒熱を治す。
#黄連丸[2]《備急千金要方》「黄連、生地黄」
#黄連橘皮竹茹半夏湯《臨床常用中薬手冊》「黄連、橘皮、竹茹、半夏、生姜、大棗」
#黄連橘皮湯《外台秘要方》《勿誤薬室方函口訣》 [黄連4両、橘皮・杏仁・麻黄・葛根・枳実各2両、厚朴・甘草各1両」◎冬温に未だ即ち病まず、春に至って積寒の折むる所に被われ、発するを得ず、夏に至って熱を得、その春寒解け、冬温、毒始めて肌中に発す。 ◎斑爛癮疹錦文の如くにして、咳し心悶し、清汁を嘔吐す。◎眼赤、口瘡、下部もまた瘡を生ず、已に自ら下利を得るを療す。◎此方は時毒の1証にて、頭瘟になれば小柴胡湯桔梗石膏、牛蒡芩連湯の之く所なれど、その邪、肌膚を侵して赤斑を発し、心煩下利する者に用いて効あり。 ◎その一等劇しき者を「三黄石膏湯」《傷寒六書》とす。◎陰分に陥り内攻せんと欲する者は、「托裏挙斑湯」《瘟疫論》
#黄連解毒湯[1-1]《外台秘要方》《中薬臨床応用》「黄連5g、黄芩6g、黄柏6g、山梔子9g」水煎服。◎炎症性の煩躁◎意識朦朧◎譫語◎口乾
◎脈に力ある者。
#黄連解毒湯[1-2]《奥田謙蔵》「黄連3.6、黄芩・大黄・梔子各2.4」右四味を一包と為し、熱湯八勺中の之を漬し、須臾にして絞り、滓を去りて一回に温服する。◎心胸の間に毒有りて停滞し、或いは心下、之を按じて濡にして煩悶し、或いは心志定まらざる者を治す。《古方兼用丸散方》
#黄連解毒湯[1-3]《外台秘要方》 「黄連1銭、黄芩・黄柏・山梔子各2銭」◎時疾、煩悶に苦しみ、乾嘔、口燥し、呻吟、譫語し、臥するを得ざるを治す。◎此方は胸中熱邪を清解する聖剤なり。《勿誤薬室方函口訣》◎一名「倉公の火剤」とす。その目的は「梔子豉湯」の証にして熱勢劇しき者に用いる。 ◎苦味に堪えかねる者は泡剤にして与える。
◎煩悶に苦しみ、乾嘔、口燥し、呻吟・錯語し、臥するを得ざる者。◎清熱瀉火、解毒、清熱化湿、止血。◎大熱止まず、煩躁、乾嘔、口渇、喘満、陽厥極めて深く、蓄熱内に甚だしく、及び汗吐下後、寒涼の諸薬でその熱を退く能わざる者を治す。《傷寒活人書》◎三焦の実火にて内外皆熱し、煩渇し、小便赤く、口に瘡を生ずるを治す《傷寒活人書》
◎黄連には、充血を去り、興奮を鎮める効がある。《大塚敬節》梔子には、充血を去り、煩躁を鎮める効がある。《大塚敬節》
【腹証】胸脇苦満や腹部膨満感がなく、心下がつかえるという程度。《大塚敬節》
【加減方】 「黄連解毒湯石膏・麻黄・香豉(又知母)」= 三黄石膏湯《傷寒六書》 【適応症】《矢野敏夫》 比較的体力があり、のぼせ気味で顔色赤く、イライラ傾向のある者の次の症状:「鼻出血」「不眠症」「ノイローゼ」「胃炎」「二日酔い」「血の道症」「めまい」「動悸」
【腹証】《矢野敏夫》
★腹部の緊張は中等度良好。 ★腹直筋は上腹部がやや緊張。
【注意】《矢野敏夫》 <1>次の患者には、慎重に投与すること。
○顔面および皮膚の血色が冴えず、胃腸機能の減退や内臓下垂の傾向を認め、手足などに冷えを自覚する者。
○精神的に抑うつ傾向のある者。
【ポイント】 <1>充血・炎症症状に対し抑制的に作用する。イライラ・不安・のぼせ症状、胃部のつかえ感、そのた出血傾向を目標にする。 <2>本剤を出血に用いる場合は、鮮紅色で勢いのあるものに用いる。
【参考】《矢野敏夫》 体力がやや弱く、皮膚の乾燥が甚だしい者(血虚)は、四物湯を合わせて温清飲として用いる。
★適応症及び病名 (黄連解毒湯)
[1]噯逆(アイギャク):☆傷寒熱症、医誤って姜桂の薬を用い、火邪を助起し、相搏って逆する者を治す。《雑病翼方》
☆傷寒にて伝経(ある証からある証へ病症が変化すること)熱症を医者誤りて姜桂の熱薬を用いて火邪を助け起こして、痰火相搏ち、而して噯逆する者を治す《万病回春》
[2]赤ら顔 ☆酒に酔ったような赤い顔をしている者には、三黄瀉心湯、黄連解毒湯、温清飲などを用いることが多い。赤い顔でも、頬の当たりだけが桃色になっている者には、麦門冬、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、苓桂味甘湯などを用いることが多い。
[3]イライラ
[4]イボ:☆血疣:《方読便覧》
[5]犬・ネコに噛まれたとき:
☆狗猫鼠などの毒を解す。《勿誤薬室方函口訣》
☆瘈狗傷(狂犬病)、外に「中黄膏杏仁人参甘草」を貼り、「黄連解毒湯木鱉子」を内服し、兼ねて「蟾蜍膾」を食する《先哲医話》
[6]意識障害
[7]咽乾
[8]黄疸
[9]怒りっぽい
[10]かゆみ
[11]牙疳:
☆「+連翹犀角」《方読便覧》
☆走馬牙疳:「+犀角地黄湯《備急千金要方》
[12]鵞口瘡:☆「+薄荷・枳実・甘草」《方読便覧》
[13]喀血:☆[+地黄]
[14]川崎病 ☆川崎病の初期、発熱、発疹、結膜充血、不眠などを目標に用いる(漢方診療医典)
[15]肝炎
[16]肝火上炎
[17]肝斑
[18]眼精疲労 ☆充血、眼痛、のぼせ、種名、イライラがあり、腹力中等度以上で便秘はない(漢方診療医典)
[19]感染症
[20]顔面紅潮
[21]気の上衝<+>
[22]気管支炎:☆化膿性に:「+桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》
[23]気管支拡張症:☆「+桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》
[24]急性胃腸炎
[25]急性肝炎:☆湿熱ある者。
[26]急性感染症:☆インフルエンザ、日本脳炎、流行性脳脊髄膜炎、敗血症など。
[27]急性胆嚢炎:☆湿熱ある者。
[28]狂躁症:☆喜笑不止者を治す。
[29]下血
[30]下痢:☆膿血性、しぶる。☆細菌性の下痢。☆熱があって下痢する者は、通常柴芩湯であるが、一等甚だしい者は黄連解毒湯or柴胡解毒湯を用いる。《済世薬室》☆大熱有りて下利洞泄する者《勿誤薬室方函口訣》☆痧病などの熱毒深く洞下する者を治す。
[31]血尿
[32]血崩: ☆「艾葉」《赤水玄珠》
[33]高血圧症:
☆高血圧で不眠、のぼせ、顔面紅潮、気分が不安定:「釣藤鈎・黄蓍・魚腥草」。☆のぼせ、顔面潮紅、不眠、気分の不安定などの愁訴がある高血圧症患者に用いる。《大塚敬節》☆婦人の更年期障害に伴う高血圧症には、本方を用いる証が多い。《大塚敬節》☆重役婦人、46歳。1年前より月経が不調となり、その頃よりのぼせ、背部の灼熱感、動悸、多汗等の更年期症状を訴えていたが、最近、会社のストライキがもつれ、労働組合員が自宅にも押し掛けてきて、嫌がらせをするようになり、そのため、不眠、めまい等も訴 えるようになり、血圧も180-100となった。脈は浮でやや数、血色はよく赤味を帯びている。腹部は臍上で僅かに動悸が亢進しているだけで、特別の所見はない。大便は毎日1行ある。 私は、のぼせ、不眠、めまい、背部の灼熱感などを目標にして黄連解毒湯を与えた。これを飲むと、気分が落ち着き、睡眠薬を用いなくても眠れるようになり、10日後の来院で血圧は166-94となり、その後10毎の測定で、多少の上下はあったが、次第に血圧は安定し、3ヶ月たった頃は、最高150を越すこともなく、最低も90内外となった。《大塚敬節》
[34]口渇[35]口乾
[36]口苦
[37]口内炎: (アフター性)☆「+甘草2.5g~3.0g」《大塚敬節》☆63歳男性。昭和6年5月頃、口唇の表皮が少し剥げていたが、自覚症状がないので、そのままにしておいた。6月も過ぎ、8月になっても依然としてよくならなない。その頃から医師にかかり始め、昭和7年2月に、私の診察をうけるまで、種々雑多の治療をくりかえした。そしてついに、最後に下された診断は、口唇ガンになるかも知れないということであった。 診ると、下唇の左半分に長さ1cm、幅0.3cmの浅い潰瘍がある。周囲はさほど硬くもないし、出血もない。刺激性の飲食物を食べるときに、少し痛むほか、自覚症状もない。ところで、口腔内をみると、舌も、頬の内面も、左側は、ところどころ紅くなって、爛れている。しかしこれらの部位もほとんど痛まない。私はこれに黄連解毒湯を与えたが、1週間分で、大いに軽快し、3週間分で全治した。《大塚敬節》
[38]更年期障害
[39]興奮しやすい
[40]肛門出血[41]肛門掻痒
[42]黒皮症:☆黄連解毒湯や白虎加桂枝湯の証があるが、黄連解毒湯が効く者が多い《大塚敬節》☆42歳の女性。3年前の春、急に顔が赤くなって、カユミを訴え、医師の手当を受けている間にそれが次第に黒くなって、顔一面に黒くなってしまった。医師はリール氏の黒皮症と診断したという。 大便は便秘がち、月経は順調と云う、目下はカユミはほとんど無いが、のぼせると言う。 そこで黄連解毒湯大黄を与えた。飲み始めて徐々に黒色が薄れ、6ヶ月後には全くの正常な色になった。ところが、その頃から月経が不順となって、時々背に灼熱感があり、ひどく発汗するようになった。 私は更年期障害と診断して、前方を連用し、この頃は、ほとんど灼熱感も、発作性の発汗も訴えない。《大塚敬節》[43]痔出血[44]衂血[45]歯痛[46]湿疹:☆みぞおちがつかえ、のぼせ気味で患部に熱感を覚える。☆発疹は赤味を帯び、かゆみがあり、乾燥していない。温清飲の場合は乾燥している。☆黄連解毒湯を用いるような湿疹でも、患部がひどく乾いて、油でも塗らないと堪えがたいようであれば、温清飲が良い。《大塚敬節》☆激しいかゆみに頓服。 ☆「+荊芥連翹」で用いる《大塚敬節》 ☆55歳の婦人。血色も栄養もよい。昨年肝炎にかかった。ところが肝炎が治った頃から、湿疹が出来るようになった。この湿疹は顔面・肩・上肢の内側に診られ、発疹は赤く、その部分に熱感がある。時に動悸がある。食欲はあるが、胃潰瘍の気味があると云われたので、食事には注意しているという。脈は浮大数である。大便は秘結するので、下剤を飲むと云う。 私はこれに黄連解毒湯連翹荊芥大黄を7日分与えた。7日後に飲み終わって来院した時、患者はその効果に驚き、熱感が去り、カユミが減じ、大便が毎日快通するよいになったという。28日間の服用で全治した。《大塚敬節》☆58歳女性。頸部から肩に掛けて発疹、赤味を帯び、熱感がある。脈は浮でやや弦。腹診すると左脇下が硬く、臍上で動悸が亢進。大便は1日1行。血圧152-108。尿にタンパクなし、口渇があり、胃が重いという。私がのぼせるような感じは無いかと尋ねたところ、首から上がポカポカとあつく、酒に酔った時のような感じで、何となく乾く感じがあると云う。 以上の所見から連翹荊芥を与えた。7日後に、発赤、熱感が減じ、カユミも軽くなり、腹診上心下部の抵抗も減じ、血圧136-92 となった。2週間で良くなった《大塚敬節》[47]湿熱[48]重舌:☆重舌・木舌・紫舌等の症を治す《百々漢陰》[49]酒査鼻:☆酒毒を解する。[50]出血:☆炎症性の出血☆繭唇して出血《方読便覧》 [51]焦燥感 [52]情緒不安定 [53]小便赤色[54]食道炎: ☆食道、胃粘膜にビラン:「+大黄」[55]小児がはしかで鼻血[56]小児がはしかで高熱が続き煩躁
[57]自律神経失調症状
[58]心悸亢進:☆高血圧症や更年期障害からくる心悸亢進に用いることがある。
[59]心下痞 [60]心中懊[61]心煩[62]神経衰弱[63]神経性胃炎[64]神経症[65]身熱
[66]ジンマシン:☆45歳の女性。2ヶ月前からジンマシンができ、みずおちに塊のようなものが出来ると、ひどくなるという、大便は1日1行。月経は順調。 十味敗毒湯を与えた。20日間服用したがまったく効かない。そこで口渇があるというのを目標にして白虎加桂枝湯にして。少し良いようだと云う。1ヶ月続けるが、やっぱり出るという。夜間がひどいと云う。そこで瘀血を疑って桂枝茯苓湯とする。これを飲むと ひどく悪い。そこでまた白虎加桂枝湯にとする。これでだいぶん良い。腰と足にだけ出る。その他は良い。大きいのは出ない。小さいのが出る。口渇は無くなったが、食事を始めると胸がやけるようになったという。腹診すると鳩尾がつかえ、自分ではここに塊があるように感じるという、そこで黄連解毒湯にしたら、20日で完全に治った。《大塚敬節》
[67]髄膜炎
[68]頭痛:☆食物が胃に停滞して始終腹が張り、のぼせて顔色が赤く、頭痛を訴える者。☆高血圧症、動脈硬化症の頭痛。☆便秘があれば→「三黄瀉心湯」
[69]精神不安
[70]精神病
[71]舌質<紅> ☆辺縁の紅潮あり《矢野敏夫》
[72]舌苔<白~黄膩>
[73]譫語:(センゴ=うわごと)☆譫妄一証は即ち毒火太盛、邪熱心を侵し、神昏するなり、疹未だ出ざる者は黄連解毒湯加味に宜し 《麻疹心得続録》
[74]喘息:☆咳して喘息し、面赤く潮熱あり、脈洪大を治す《病機彙編》
[75]瘡瘍:☆惞痛し、煩躁し、冷を飲み、脈洪数の者《先哲医話》
[76]立ちくらみ[77]打撲
[78]丹毒:☆「牡丹皮・升麻・芍薬・紫草・甘草」《方読便覧》
[79]血の道症:☆赤ら顔で、のぼせ、不眠、心悸亢進、鼻出血があり、イライラして精神が不安定な者。
[80]中毒:☆腐薬瞑眩、その証微なる者は悪寒発熱し、或いは渇し、或いは飲食進まず、劇しき者は、煩渇、或いは煩悶、その毒、心下に迫って、遂に命期を促すに至る。急に当に之を救うべし、[黄連解毒湯][甘連加石膏湯][緑豆湯]などに宜し。《先哲医話》☆32歳男性。6年ほど前、砒素剤を服用したところ、顔の毛細血管が赤く透けて見えるようになり、鼻翼・頬部・眼瞼は特にひどくなり、どうしても、治らないと云う。
患者は背が高くて、色の白い方で、脈は浮大、白苔がある。大便は1日1行。 私はこれに黄連解毒湯葛根紅花を与えた。すると徐々に毛細血管が見えなくなり、約1年で全治した。なぜ葛根紅花を加えたかというに、《有持桂里》の《方輿輗》には葛根紅花湯という処方を酒渣鼻に用いてあり、これにヒントを得たのである。《大塚敬節》[81]ツバがたまる:☆口に唾液の溜まるものに、人参湯や甘草乾姜湯のような裏を温める作用のある処方を用いて良いものと、黄連解毒湯や瀉胃湯のように、裏を冷却せしめる作用のある処方を用いて良いものとある。黄連解毒湯や瀉胃湯の場合は、患者に寒性の症状が無く、顔色も赤味を帯び、唾液も粘稠で、しばしば口臭を覚え、脈も浮数の傾向がある。口内炎のため粘液の分泌が増加して、よだれの出るというような時にこれらの処方を用いる機会がある。《大塚敬節》[82]手足が温かい[83]動悸:☆酒に酔って、ひどく動悸する者に用いる《大塚敬節》☆火傷を受けて興奮状態になって、動悸する者に用いる。《大塚敬節》☆からだ中で動悸がして、夜もよく眠れないという53歳の女性が診を乞うた。痔核があって某医院で注射をしてから、そうなったのだという。ことに肛門から外陰部で動悸するという。よく訊ねると、全身に熱感があって、あちらこちらで脈が打つのを感ずるという。心臓に故障はなく、心下部の動悸は亢進していない。私はこれを更年期障害と診断して、本方を与えたところたちまち良くなった、《大塚敬節》[84]吐血:☆上焦熱極にして鮮紅を吐血するを治す:「+生地黄・犀角」
[85]軟便:☆陽毒熱極等の証、あるいは下後、便軟に壮熱已まず、此方に宜し。《傷寒翼方》[86]日本脳炎[87]尿路感染症☆湿熱ある者。[88]熱性ケイレン[89]熱性病:☆内熱太甚だしく、大熱、大渇、大煩する者:「+白虎加湯」《傷寒翼方》☆熱病の後の余熱に用いる方剤に竹葉石膏湯がある。これと黄連解毒湯との違いは、例えば竹葉石膏湯は火が燃えたあと余熱が残って、ほのかに温もりがあるという程度であるのに対し、黄連解毒湯は灼けて、焦げ付いたという感じである。《大塚敬節》[90]熱毒下血:☆(排便後に黒色を帯びた下血。腹痛がある。)[91]ノイローゼ[92]脳溢血[93]脳出血後遺症[94]脳卒中[95]のぼせ:☆顔面が酒でも呑んだ様に潮紅を呈し、気分がイライラして落ち着かず興奮傾向のある者。《大塚敬節》
☆多血症・高血圧症の者に用いる機会が多い。《大塚敬節》☆便秘の傾向があれば三黄瀉心湯を、不眠傾向があれば黄連解毒湯を用いる《大塚敬節》 ☆皮膚乾燥気味、顔面熱感(表面上赤くなくても良い)を目標にする《矢野敏夫》[96]肺炎[97]肺化膿症☆「桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》[98]敗血症:☆疔毒心に入り、口乾、煩悶、恍惚、脈実なる者を治す:
「連翹・甘草・牛蒡子」《外科正宗》「連翹・甘草・牛蒡子・石膏・犀角」《本朝経験》☆気迫する者:「沈香」《方読便覧》[99]排尿痛 [100]発熱:☆高熱が多い。☆1男子、原因不明の高熱が数日続き、抗生物質を用いて下熱したが、口唇は乾燥して裂け、舌は乾いて全くしめりなく、水を欲するも、呑もうとすると悪心があり食欲なく、うとうととするも何となく不安で安眠を得ない。脈は沈で力がある。
私はこれに黄連解毒湯を用いたが、2日後には口内にしめりを生じ、食欲が出で、安眠を得るようになった。《大塚敬節》☆発熱後、日数を経て余熱が内にこもり、舌は乾燥し、時には、黒苔を生じ、胸苦しく、口が渇き、悪心、不眠などのある者に用いる。この際、体の表面にくわっくわっとした浮かび出た熱はなく、深く沈んでこびりついたものによい。
皮膚もガサガサとして湿りがない。脈は沈んで小さくても力がある。腹にも底力がある。《大塚敬節》☆悪風や悪寒のある場合には、この処方ではない《大塚敬節》☆火傷のため、激しく発熱し、重篤の症状を呈する者に用いる。《大塚敬節》
[101]煩渇
[102]ヒステリー
[103]鼻出血:☆衂血清涼の治法なり:「連翹」《本朝経験》
[104]皮膚掻痒症:☆(かゆみ激しい<+++>)
[105]皮膚の化膿:☆熱があるもの。
[106]表層性胃炎
[107]癰疽:☆ひょうそ並びに手指一切の腫瘍、金瘡、損傷を治す「石膏甘草」《方読便覧》[108]腹部有力
[109]二日酔い
[110]不安感
[111]不眠症:☆頭が冴えてなかなか眠れない。☆気分が落ち着かず、つまらない事が気にかかり眠れない。☆イライラして眠れない。☆のぼせて眠れない。☆高血圧症、更年期障害のときの不眠に用いる機会がある《大塚敬節》☆55歳女性。8年前、子宮の全摘と片方の卵巣とを摘出した。主訴は頭重、めまい、不眠で、いつも頭に何かかぶっているようで、気分が重いと云う。この症状は5、6年前から起こり、その間、電撃療法を3回受けたが、あまりよくならなかった。便通は毎日有り、食欲は少ない。舌には白苔がある。この白苔は、毎晩のんでいる眠り薬のためかも知れないと患者は云う。診察が終わったあと、患者は、家の中の汚れが気になったり、食事のまずいのが気になると、追加した。 私はこれに黄連解毒湯を与えたが、1週間分を飲み終わって来院した時、患者は次のように云った。 朝、眼が醒めると、頭が重く、何かかぶったようになり、同時に肛門が締まって苦しいが、軟便が出ると楽になる。その時、舌がしぶいように感ずる。 私はこんな訴えによって、処方を変えることなく、前方を与えた。すると、次の1週間分を飲むと、肛門の締まりが減じ、よく眠れるようになった。めまいも頭重も軽くなった。ただ寝ていると、夜間口にツバがたまって困ると言う。 私は迷った。口につばが溜まるというのは、裏に寒があるためで、この裏寒を温めるには、人参湯を用いなければならないのではないか?黄連解毒湯は裏熱を去る効があるから、これで胃を冷却し過ぎたかも知れない。しかし、いま一度前方で押し通してみようと決心し、黄連解毒湯を与えたところ、口のツバも溜まらなくなり、神経症状も消散した。この時のツバは、裏寒のためのものではなかったらしい。《大塚敬節》
[112]ベーチェット病:☆24歳の女性。数年前から繰り返し、口中に潰瘍が出来て、どんなことをしても治らない。医師はベーチェット氏病と診断したという。患者は中肉中背で色白く、潰瘍が一時外陰部にも出来たことがあるが、主として口中に出来るという。大便は1日1行で、快通し、月経は正常。腹部は臍部でやや動悸を触れる。食欲はあるが、痛みのために十分食べられない。やや不眠の傾向がある。こんな状態であったから、私は黄連解毒湯に山豆根2.0を加えて用いたところ、10日頃から、潰瘍の治癒が速くなり、後から後から出来ていたのが少なくなり、3ヶ月で全治し、その後2ヶ月ほど服用した、それから2年になるが再発しない。《大塚敬節》 ☆粘膜症状の急性期で熱感や疼痛の強いものに用いる(漢方診療医典)[113]便秘 「+大黄」=黄解丸 [114]胞衣が下らない:☆新産息胞、憂思百端、気逆耳鳴眩迷す:「紅藍花」《本朝経験》[115]発赤[116]麻疹:☆疹未だ尽きず、怫々として発熱し、煩悶寧らざる者を治す。☆発せず、内欝煩悶、面熱し、赤斑皮中に隠々し、発透する能わざる者:「牛蒡子・甘草・大黄」《麻疹心得続録》☆毒熱壅滞し因って面赤、身熱、譫語、煩渇、疹色赤紫にして黯を帯びる者、先ず「化斑湯」を与え、差えざる者は「牛蒡子・甘草・大黄」を用いて一下すべし。《麻疹心得続録》[117]むち打ち症[110]胸苦しい(心煩)
[111]めまい:☆のぼせたり、興奮したり、脳充血を起こしたりしたときのめまいに用いる《大塚敬節》[112]目が熱っぽい[113]目の充血[114]目眩[115]裏急後重[116]流行性脳脊髄膜炎
#黄連解毒湯[2-1]《活人書》《漢方後世要方解説》「黄連・黄芩・黄柏各3、山梔子2、《万病回春》には更に加うるに柴胡・連翹・芍薬各2」◎三焦の実火、内外皆熱し、煩渇し、小便赤く、口瘡を生ずるを治す。◎一切の火熱、表裏倶に盛にして、狂躁煩心、口瘡咽乾大熱し、乾嘔錯誤して眠らず、吐血衂血し、熱甚だしく発斑するを治す《医方集解》◎此方は三焦の実火、内外皆熱すと云うのが目的で、半表半裏の熱にも非ず、凉膈散、白虎湯、承気湯の熱にも非ず、日数を経たる残余余熱を解するものである。熱永びき津液枯れて皮膚枯燥し、実熱あれども既に脈沈細にして力あり、腹堅にして結毒深く固着する者に用いる。又、瀉心湯の意を以て諸実火の出血、喀血、吐血、衂血、下血、血漏等に広く用いられる。単独にても用いるが、四物湯その他と合方或いは加減して用いることが多い。
「黄連」=心脾胃の瀉火を主とす。
「黄芩」=肺、大腸小腸の瀉火剤
「黄柏」=腎、膀胱の瀉火剤
「梔子」=心包、三焦の瀉火剤
「柴胡」=肝、胆の瀉火剤
「連翹」=心、脾の瀉火剤。
#黄連解毒湯[2-2]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「黄連・山梔子各2.0g、黄芩・柴胡各3.0g、黄柏・連翹各1.5g」◎煩悶、乾嘔口燥、呻吟、錯語、不眠、出血。
★適応症及び病名(黄連解毒湯)
[1]急性熱病: ☆熱性諸病の余熱《矢数道明》
[2]出血: ☆喀血・吐血・衂血・便血・子宮出血《矢数道明》 ☆熱淋出血《矢数道明》
[3]頭痛: ☆52歳男性。 「体格は太って、おなかがちょっと出ている。誰が見ても健康そのものに見えるが、本人はいつも頭痛がして仕方ないという。A医院で血圧を測ると、少し高いので、頭痛はそのせだと言われ、降圧剤をもらって飲んだ。しかし頭痛はいっこうに良くならない。 B医院で改めて見てもらうと、年齢にしては当然の血圧で、之が原因で頭が痛むとは考えられない。女の更年期障害みたいなもので、しばらく我慢しなさい--と言われた。 そこで管ぽいを訪ねたところ、黄連解毒湯を勧められ、飲み始めたところ、たちまち気分が落ち着いてきて頭痛はすっかり消えてしまったと言う。」《山田光胤》
[4]精神分裂病 ☆20歳男性。 「被害妄想がひどく、激しい興奮状態にあったので、大学病院で電気ショック両方を受けたところ、一応興奮状態だけはおさまった。しかし、「ある人に呪われている、自分の体が異常状態に陥れられている」という妄想と異常感覚だけは、どうしても消えない。 試みに、黄連解毒湯を3ヶ月ほど服用させてみたところ、次第に妄想も消えて、すっかり元通りになってしまい、以後7年間、立派に働いている。」《山田光胤》
[5]痘瘡:
[6]発狂喜笑: ☆狂乱喜笑不止《矢数道明》
[7]皮膚病
[8]麻疹:《矢数道明》
#黄連解毒湯[3]《外科正宗》「黄連・黄芩・黄柏・山梔子・連翹・甘草・悪実各等分」 ◎疔毒心に入り、内熱、口乾、煩悶、恍惚、脈実なる者を治す。
#黄連化痰丸《東醫寶鑑》「黄連・呉茱萸各1銭半、陳皮5銭、半夏1両半」粉末にし、姜汁糊で緑豆大の丸剤。姜湯で100丸呑む。 ◎熱痰と咳を治す。
#黄連橘皮湯《外台秘要方》「黄連4両、橘皮・杏仁・麻黄・葛根・枳実各2両、厚朴・甘草各1両」◎斑爛疹錦文の如くして咳し心悶し、清汁を嘔吐す。眼赤・口瘡・下部も亦瘡を生ず、已に自ら下利を得るを療す。
黄連鶏子湯⇒黄連阿膠湯。
#黄連膏《医宗金鑑》 「黄連・黄柏・姜黄各12g、当帰尾20g、生地黄40g、胡麻油480gを用いて各薬と共に煎じて枯らし、渣を去り、きれいに濾し、黄蝋160gを加えて火にかけて、膏とする」
#黄連香薷飲《東醫寶鑑》 =「黄連香薷散」「香薷3銭、厚朴1銭半、黄連7分半」を剉作1貼し、酒を少し入れ水煎し、冷服する。 ◎中暑と熱渇を治す。 【加減方】[四苓散白芍薬・梔子(炒)](熱泄で、口が乾き冷たいものを好み、痛みと瀉が交互に来る)
#黄連犀角湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄連・犀角・烏梅・木香・桃仁各1銭」剉作1貼、水煎服。◎狐惑を治す。
#黄連犀角湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄連1両半、犀角1両、烏梅7分、木香7分、桃仁」水煎し温服。◎傷寒、孤惑にて其の症、四肢沈重、食気を聞くを悪み、黙々をして臥せんと欲し、目閉じ、舌白く、面目の間黒色にして変易常ならず、下部を虫食し、狐となり、而して唇下に瘡あり、其の咽乾き、其の臓を虫食し惑となる。 (孤惑=コワク、うたがいまどう)
(孤=陰部潰瘍、惑=咽喉部潰瘍)◎上唇瘡ありて声唖するを治す。 #黄連犀角湯[2]《医林集要》「黄連犀角湯《万病回春》桃仁」
#黄連散《東醫寶鑑》「大黄(醋炒)2両、黄芩・黄連・甘草各1両」を細末にし、温水で2銭づつ1日2回服用。 ◎黄疸で熱が壅寒し、二便が秘渋する者
#黄連地黄湯《東醫寶鑑》「黄連・生地黄・天花粉・五味子・当帰・人参・葛根・白茯苓・麦門冬・甘草各1銭、生姜2、大棗1、竹葉10」水煎服。 ◎三消(糖尿の)を治す。
#黄連地黄湯《万病回春》《古今方彙》「黄連・生地黄・括楼根・五味子・当帰・人参・乾葛・茯苓・麦門冬・甘草各1銭、生姜・大棗・竹葉:水煎。 ◎三焦渇するを治す。神の如し。◎上焦渇する者:「山梔子桔梗」◎中焦渇する者:「黄芩」◎頭眩し渇止まざる者:「石膏」◎下焦渇する者:「黄柏知母」
#黄連瀉心湯《東醫寶鑑》 「黄芩2両、黄連・生地黄・知母・各1両、甘草5銭」細切りにし、毎回5銭づつ水煎服。 ◎狂疾を治す。
#黄連清心飲《東醫寶鑑》「黄連・生地黄・当帰・甘草・茯神・酸棗仁・遠志・人参・蓮肉」各等分を粉末にし、毎回5銭煎服。 ◎精が泄するのを調整する。
#黄連清膈丸《東醫寶鑑》「麦門冬1両、黄連5銭、黄芩(鼠尾)3銭」粉末にし、緑豆大の丸剤。温水で20~30丸呑む。 ◎心肺間の熱を治す。
#黄連清化丸《東醫寶鑑》「半夏1両半、黄連1両、陳皮5銭、桃仁20個、呉茱萸1銭」を粉末にし、神麹糊で緑豆大の丸剤。姜湯で100丸呑む。 ◎呑酸を治す。
#黄連消痞丸《東醫寶鑑》「黄芩・黄連(炒)各6銭、枳実(麩炒)5銭、半夏(製)4銭、姜黄・白朮・沢瀉各3銭、人参・陳皮・厚朴各2銭、猪苓1銭半、縮砂・乾姜・神麹・甘草各1銭」を粉末にし、梧子大の丸剤。白湯で100丸呑む。 ◎心下の痞が治らない者。
#黄連消毒散《東醫寶鑑》「黄連・羗活各1銭2分、黄芩・黄柏・藁本・防已・桔梗各7分、生地黄・知母・独活・防風・連翹・当帰尾各6分、人参・甘草各5分、蘇木・陳皮・沢瀉・黄蓍各4分」 ◎癰疽が背中に出来、痛まない。
#黄連消毒飲《寿世保元》《古今方彙》「黄連・羗活各1銭、黄芩・黄柏・藁本・防已・桔梗・当帰尾各5分、生地黄・知母・独活・防風・連翹各4分、黄蓍・人参・甘草・陳皮各3分、蘇木・沢瀉各2分」水煎服。◎附骨疽を治す神方なり。
#黄連竹茹湯[1-1]《東醫寶鑑》「黄連(姜汁炒)・山梔子(炒黒)・青竹茹各1銭、人参7分、白朮・赤茯苓・白芍・陳皮・麦門冬・甘草各5分、大棗2枚、梅1個」煎服。
◎胃に熱があって嘔吐・煩渇し、脈の早い症。
#黄連竹茹湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄連(姜汁炒)・山梔子(炒黒)・竹茹各1銭、人参5分、白朮・茯苓・白芍薬(炒)・麦門冬・甘草各3分、炒米1撮、烏梅1個、陳皮3分、棗肉」水煎。
◎胃熱にて煩渇吐するを治す。◎発熱には:「柴胡」
#黄連竹茹湯[2]《万病回春》《古今方彙》「砂仁・沈香・木香・茴香各5分、紫蘇子8分、甘草2分、黄連・竹茹・山梔子・陳皮・半夏・麦門冬各1銭、烏梅1個」煎服。
◎胃中に痰ありてを発するを治す。
#黄連通聖散《東醫寶鑑》 「防風通聖散黄連(酒炒)・薄荷葉」◎濁った鼻水が止まらない症。
#黄連猪肚丸[1]《東醫寶鑑》「雄猪肚1個、黄連5両、麦門冬・知母・瓜蔞根各4両」を粉末にし、猪肚の中に入れ、ひもで結び、肚を堅く封じて蒸し、臼でついて蜜を少し入れ、梧子大の丸剤。米飲で100丸呑む。
◎消渇・消中と強中症を治す。
#黄連猪肚丸[2]《東醫寶鑑》「黄連・小麦(炒)天花粉・茯神各4両、麦門冬2両」を粉末にし・雄猪肚1個に入れて封をし、蒸してついて梧子大の丸剤。米飲で70~90丸飲む。◎強中症に、石子薺苨湯を飲んだ後、この丸を飲む。
#黄連湯[1-1]《傷寒論》「黄連3両、甘草(炙)3両、乾姜3両、桂枝(去皮)3両、人参2両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚」 右七味、以水一斗、煮取六升、去滓、温服。晝三夜二。◎傷寒、胸中有熱、胃中有邪氣、腹中痛、欲嘔吐者、黄連湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七
「胸中熱」=現代医学で熱という場合は、体温の上昇を意味するが、個々では熱感の意で、あつく感ずること(大塚敬節)
#黄連湯[1-2]《東醫寶鑑》「黄連2銭、人参1銭半、半夏1銭2分、乾姜・桂枝各1銭、甘草5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎腹痛と嘔吐。上に熱があり、下が冷える者。
#黄連湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄連3g、半夏9g、乾姜3g、桂枝3g、党参9g、甘草3g、大棗15g」水煎 服。 ◎胃寒による腹痛、嘔吐。◎胸が暑苦しい
#黄連湯[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》「黄連・甘草・乾姜・人参・桂枝・大棗各3、半夏5」◎心煩、心下痞硬し、腹痛、嘔吐、上衝する者を治す。《吉益東洞》
◎熱病、心下痞し、胸中熱煩し、心腹痛みて吐せんと欲し、その人、頭に汗出で、心下悸して臥すこと能ざる者は、黄連湯之を主ドル《医聖方格》 ◎此方は胸中有熱、胃中有邪気と云うが本文なれども、《喩嘉言》が湿家下之舌上如胎者、丹田有熱、胸中有寒、仲景亦用此湯治之の説に従って、舌上如胎の 4字を一徴とすべし。《勿誤薬室方函口訣》◎此症の胎の模様は、舌の奥ほど胎が厚くかかり、少し黄色を帯び、舌上潤いて滑らかなる胎の有る者は、たとい腹痛無くとも、雑病乾嘔有りて諸治効無きに決して効あり。腹痛あれば尚更のことなり。
◎此方は「半夏瀉心湯黄芩桂枝」なれども、その効用大いに異なり。甘草乾姜桂枝人参と組みたる趣意は「桂枝人参湯」に近し。但し彼は恊熱利に用い、此は上熱下寒に用いる。黄連の主薬たる所以なり。また案ずるに、此の桂枝は腹痛を主とす。即ち「生地黄湯」《備急千金要方》の桂枝と同趣旨なり。《勿誤薬室方函口訣》◎胸熱胃寒、腹痛嘔吐。◎和胃降逆、消痞止痛、止瀉、清熱、調和腸胃。《中医処方解説》◎黄連湯(胸中煩熱、胃中有寒、腹痛<臍上>、胃のもたれ感、食欲不振、嘔吐、口臭、舌苔<黄白色>湿潤)
【腹証】《腹診配剤録》 “心下に物無く、上中脘の辺に凝り有りて痛み、食臭を聞けば、則ち嘔せんと欲す” 《矢野敏夫》 ★腹壁全体の緊張良好《矢野敏夫》
★適応症及び病名 (黄連湯)
[1]噯気[2]イライラ[3]胃液分泌過多症[4]胃炎
[5]胃潰瘍[6]胃カタル[7]胃ガン[8]胃酸過多症[9]胃部の不快感☆(停滞・重圧感)☆脈微緩にして、胸腹部に不快感あり、心下部殊に膨満するも、之按ずるに軟、時に嘔吐を発せんとする証《奥田謙蔵》☆飲酒過度、あるいは宿酔等《奥田謙蔵》[10]胃部の疼痛[11]嘔吐:☆厥、復し、発熱心煩し、嘔吐除かず、飲食を欲せざる者。☆霍乱、疝瘕、攻心腹痛し、発熱、上逆し、心悸して嘔吐せんと欲し、及び婦人の血気痛、嘔して心煩し、発熱、頭痛する者を治す《類聚方広義》☆半夏瀉心湯の黄芩の代わりに桂枝を入れたもので、腹証は半夏瀉心湯と同じく心下痞があり、腹痛・嘔吐を目標として用いる《大塚敬節》 [12]気の上衝 [13]急性胃カタル [14]急性胃腸炎 [15]急性虫垂炎 [16]胸中煩熱:☆半夏瀉心湯の証にして、下利せず、胸中熱ある者なり。《傷寒論識》☆胸部に熱煩、欝満の感ありて食欲欠損し、時に胃痛んで堪ふ可らず、二便に著変なき証《奥田謙蔵》☆胸部に煩熱を覚え、或いは腹痛し、或いは便通不整にして、脈弦数なる証《奥田謙蔵》☆胸中煩熱し、心下部膨満し、或いは喘し、或いは嘔吐し、或いは腹痛し、両便に著変なく、脈微しく弦なる証《奥田謙蔵》[17]下痢:(腹痛ある者) ☆腹痛・嘔気ある者に。《荒木正胤》☆腹痛なく雷鳴し、水瀉性の下痢は、生姜瀉心湯を考える。《済世薬室》☆下痢性疾患にして、腹痛し、嘔気ある証《奥田謙蔵》 [18]口臭 [19]口角糜爛症(びらん、のぼせあり)[20]口内炎(口臭がある)[21]更年期障害☆胸中煩悶、みずおちつかえ、頭痛、吐き気ある者《荒木正胤》[22]コレラ[23]回虫 [24]自家中毒[25]十二指腸潰瘍[26]消化不良 [27]自律神経失調症状[28]歯痛 [29]十二指腸潰瘍 [30]上熱下寒[31]上腹部の疼痛:☆(心下~臍上)[32]舌苔<微白~黄白>☆厚い白苔の現れることが多い《大塚敬節》[33]大腸炎[34]胆石症[35]血の道症[36]虫垂炎:☆急性初期で嘔吐・腹痛<劇痛>[37]腸炎・腸カタル[38]テンカン[39]腹痛:☆霍乱吐瀉止まず、心腹煩痛する者を治す《先哲医話》☆痘疹熱毒胃中にあり、腹痛する者《傷寒翼方》☆この方は心下痞硬よりも腹痛を目標にして用いる。もし心下痞硬が著明であれば半夏瀉心湯などの瀉心湯類を用い、それで痛の止まない時にこの方を用いる。《大塚敬節》☆この方の腹痛は、みずおちと臍の中間あたりから起こるものに良い。《大塚敬節》☆嘔吐は無くても良い。《大塚敬節》☆食傷や急性の胃炎などの腹痛に用いることもある。この際には舌に白苔が厚くかかることが多い。《大塚敬節》[40]二日酔い:☆頭痛・吐き気ある者《荒木正胤》 [41]ノイローゼ[42]肺結核[43]慢性胃炎[44]虫歯[45]盲腸炎[46]卵巣機能障害
#黄連湯[2-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄連(酒炒)・生地黄(酒洗)・麦門冬・当帰(酒洗)・赤芍各1銭、犀角・薄荷・甘草各5分」水煎服。 ◎口唇の瘡。又は舌が裂け、舌先の出血。
#黄連湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》「薄荷葉・犀角・甘草各5分、黄連・山梔子・生地黄・当帰・芍薬・麦門冬湯各1銭」水煎し食遠に服用。 ◎心下舌上に瘡を生じ、或いは舌上腫れ燥き裂け、或いは舌尖出血し、或いは舌硬きを治す。
#黄連湯[3]《東醫寶鑑》「黄連・当帰各2銭、甘草1銭」煎服。 ◎大便のあと下血し、腹が痛まない者。
#黄連二陳湯《中医処方解説》「二陳湯黄連」
#黄連茯苓湯《東醫寶鑑》「黄連・赤茯苓・各1銭2分半、麦門冬・通草・車前子・遠志各7分半、半夏・黄芩・甘草5分半、生姜7、大棗2」水煎服。 ◎上下に寒を受けて、たわごとを言い、妄心・疼痛・咳嗽・寝汗のある者。
#黄連補腸湯《東醫寶鑑》「黄連4銭、赤茯苓・川芎各3銭、石榴皮5片、地楡5銭、伏竜肝2銭」水煎服。 ◎大腸が冷え、青白色の便を下す者。
#黄連木香湯《東醫寶鑑》「白芍(炒)2銭、白朮1銭半、黄連(炒)・木香・縮砂(研)・黄芩(炒)・陳皮・当帰(酒洗)各1銭、甘草5分、生姜3片」水煎服。
◎瘧疾後の痢疾を治す。
#黄蝋膏《東醫寶鑑》「清油5銭を弱火で煮て、黄蝋1塊を入れて又煮る。胡粉・五倍子末を少しづつ入れて煎じ、紫色になったらOK。まず患部を熱湯で洗って乾かした後、膏をつける。
◎凍傷で痛む者。
#鴨子煎《東醫寶鑑》「生姜(年少者100銭、年老者200銭)を搗いて自然汁を取り、卵1個を姜汁に入れて混ぜ、煎じて8分ぐらいになったら蒲黄3銭を入れ、再煎し、温服。
◎子癇を治す。 ◎子痢を治す。
#応鐘散《吉益東洞》=「芎黄散」。「應鐘散」「川芎・大黄各2両」右2味、杵き篩い作末。毎服6分、酒或いは湯にて送下。知らざれば稍加えて1銭に至る。下を以て度と為す。若し結毒、痼疾あるものは、毎夕、臥に臨みて之を服す。◎諸々の上衝。轉変して治すべからざるものを治す。
★適応症及び病名(応鐘散)
[1]肩こり
[2]血圧上昇
[3]頭痛[4]動悸[5]のぼせ ☆便秘に伴うのぼせ。[6]便秘[7]めまい
#応神黒玉丹《東醫寶鑑》「猬皮4両、諸懸蹄2隻、牛角猬3両、乱髪霜・敗棕2両、槐角1両半、苦楝根1両2銭半、雷丸・脂麻各1両を剉砕して缶に入れ、火煆して粉末にし、そこに乳香5銭、麝香2銭を入れて混ぜ、酒糊で梧子大の丸剤。先に胡桃肉1個を入れてかじり、温酒で30~50丸夕食前に呑む。◎五痔と諸痔。(→病状し)
#応痛元《東醫寶鑑》「生姜朮・破故紙(半生半炒)・骨砕補・穿山甲(桑灰炒為珠)・生草烏各2両、茴香1両半に草烏を細かく切って連皮生姜4両とっておいて一夜おき、焙って乾かし、前の薬と作末して酒糊で梧子大の丸剤。温酒で50丸呑む。 ◎折傷後に風寒湿の為手足が痛む。
#嘔血一方[1]《寿世保元》《古今方彙》「当帰・川芎・芍薬・生地黄・梔子」水煎し服するに臨み「童便・韮汁(少許)」入れる。 ◎先づ悪心し、而して血を嘔する者を治す。これ多くは怒気逆するに因るなり。◎《厳氏済生方》には欝金あり。◎痰あれば:「竹瀝」
#嘔血一方[2]《寿世保元》《古今方彙》 「黄蓍、人参、黄柏、荊芥、当帰、生地黄」水煎温服。◎血を嘔し、脉大にして発熱し、喉中痛む者を治す。これ気虚なり。
#嘔血一方[3]《寿世保元》《古今方彙》 「当帰、生地黄、桔梗、通草、牡丹皮、括楼仁」水煎温服。◎怒気逆甚だしく、而して嘔血する者を治す。
#嘔吐一方[1]《済世全書》《古今方彙》「人参、半夏、生姜」蜜(少許)入れ水煎。◎気虚し痰あり嘔吐する者を治す。◎また、反胃を治す。
#嘔吐一方[2]《寿世保元》《古今方彙》「藿香・厚朴・陳皮・白朮・半夏・茯苓各1銭、砂仁(炒)5分、枇杷葉3片、甘草3分、生姜」水煎。 ◎大腸結燥し、嘔吐止まず湯薬入らざるを治す。◎老人虚人に多く此症あり。◎幽門通ぜずして竅門泛満(のどにあふれて一杯になる)の症、法は須らく先づ「蜜導煎」を以てその幽門を通じ、然る後に薬を服すべし。
#罌栗蘇子湯《后字二三六部隊》《中薬臨床応用》「罌栗殻・蘇子・烏梅・五味子各6g、地竜・杏仁各9g、半夏8g」水煎服。◎慢性の咳嗽
#乙字湯[1-1]《原南陽》《中医処方解説》「柴胡5g、升麻2g、黄芩3g、甘草(炙)3g、大棗3g、生姜2g、大黄1g」 (原方)
#乙字湯[1-2]《原南陽》《漢方後世要方解説》「柴胡5、当帰6、黄芩3、升麻1、甘草2、大黄0.5」 大黄は便通の如何により去加する。◎此方は種々の痔疾に用いられる。特に痔疾の疼痛、出血、肛門裂傷などに良い。◎筆者《矢数道明》は長浜氏の駆瘀血丸を以て屡々効を得ている。「柴胡、升麻」=湿熱清解の効あり。「当帰」=滋陰通和の能あり。「黄芩」=裏熱を清解する。
#乙字湯[1-3]《原南陽》《龍野一雄》「唐大黄1~3g、柴胡4g、升麻1.5g、甘草3g、黄芩3g、当帰5g」◎実証の痔、脱肛、痔出血。
#乙字湯[1-4]《勿誤薬室方函口訣》「乙字湯《原南陽》原方大棗・生姜当帰」 ◎痔疾脱肛の痛楚する、あるいは下血腸風、あるいは前陰痒痛する者を理す。◎諸瘡疥、誤って枯薬にて洗傅し、頓に癒ゆる後、上逆鬱冒、気癖の如く、繊憂細慮、あるいは心気不定の如き者、並びに之を主る。《原南陽》◎此方は《原南陽》の経験にて、諸痔疾、脱肛、痛楚甚だしく、或いは前陰痒痛、心気不定の者を治す。◎南陽は柴胡・升麻を升提の意に用いたれども、やはり湿熱清解の功に取るがよし。
◎そのうち、升麻は古より「犀角」の代用にして止血の功あり。◎此方は「甘草」を大量にせざれば効なし。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名 (乙字湯) [1]イボ痔(痔核):☆私はこの方を痔核に用いる時は、「大黄桃仁・牡丹皮・魚腥草」とする。便秘がひどいときは大黄を入れるが、そうでなければ入れない。桃仁・牡丹皮を入れるのは、痔核を瘀血とみて、瘀血を治する作用のあるこの2味を加えるのである。魚腥草には緩下と止血の作用があるので加える。《大塚敬節》[2]陰部掻痒症[3]下血:☆臓毒による:「桃仁・人参」《方読便覧》[4]肛門裂傷:《矢数道明》
☆この処方は原南陽の経験方で、いろいろの痔疾患に用いられる。とくに痔核の騰津、出血、肛門裂傷などによい。便通の状態によっては大黄を去るのがよい。大塚氏はこれに桃仁、牡丹皮、魚腥草(ドクダミ)を加えて用いた(漢方診療医典)[5]痔の疼痛:☆痛み甚だしい者:「乳香」《済世薬室》[6]痔出血:☆大便秘結して出血→「三黄瀉心湯」を考える。☆多量の出血→「芎帰膠艾湯」を考える。☆出血にはこの方より、三黄瀉心湯、芎帰膠艾湯、温清飲などを用いた方が良い《大塚敬節》[7]湿疹[8]女子の前陰部掻痒症
[9]脱肛:☆大腸熱甚だしく脱肛する者。☆脱肛の初期軽症《矢数道明》[10]ほてり[11]不眠☆便秘が多い #乙脳方《中薬臨床応用》⇒「日本脳炎方」「大青葉30g、石膏(生)120g(先煎)、黄芩12g、山梔子(焦)9g、紫根9g、牡丹皮9g、鮮地黄60g、元明粉6g(沖服)、黄連3g」水煎服。◎日本脳炎◎流行性耳下腺炎◎ウイルス性肺炎◎流行性脳脊髄膜炎
#膃肭補天丸《東醫寶鑑》「胡桃肉3両、白朮2両半、白芍・黄蓍・熟地黄・杜仲・牛膝・破故紙・川練肉・遠志各2両、膃肭臍・人参・白茯苓・枸杞子・当帰・川芎・茴香各1両半、木香・茯神・甘草(蜜炙)各1両、沈香5銭」粉末にし、麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に温酒又は塩湯で50~70丸呑む。◎虚損陰痿を治す。 ◎亡陽・失陰・諸虚・百損・陰痿・遺精を治す。
#遠志飲《証治準縄》「遠志、茯神、人参、黄蓍、酸棗仁、当帰、肉桂、甘草」
#遠志丸[1]《厳氏済生方》「遠志、菖蒲、茯神、酸棗仁、人参、竜歯、朱砂」 #遠志丸[2]《東醫寶鑑》「遠志(姜製)・天南星(牛胆製)・人参・白附子・白茯神・酸棗仁(炒)各5銭、朱砂3銭、麝香1銭、金箔5片」蜜で梧子大に丸め、朱砂で衣をつけ、薄荷湯で毎回30丸飲む。◎びっくりして言葉が出ないとき。
#遠志湯[1-1]《証治準縄》「遠志・黄蓍・当帰・麦門冬(去心)・酸棗仁・石斛各5g、党参9g、茯神2g、甘草1.5g」水煎服。◎神経衰弱◎病後の不眠、動悸。
#遠志湯[1-2]《証治準縄》《古今方彙》 「遠志・黄蓍・当帰・麦門冬・酸棗仁・石斛各1両半、人参・茯神各7分、甘草5分」◎心虚して煩熱し夜臥寧からず、及び病後虚煩するを治す。◎煩甚だしき者;「知母竹葉」
#遠志湯[2]《備急千金要方》「遠志、麦門冬、人参、甘草、当帰、桂心、芍薬、生姜、大棗」 #恩仙散《活人心統》 「八角茴香、杜仲、木香」
[31]子宮発育不全
[32]子宮出血:☆下血の証、口唇乾燥、手掌煩熱、上熱下寒(上半身がのぼせ、下半身が冷える)、腹塊なき者を適証として用いる。《勿誤薬室方函口訣》☆もし塊あり、快く血下らざる者は「桂枝茯苓丸」に宜し。その一等重き者を「桃核承気湯」とする。☆《金匱要略》に“おたずねします。婦人が50歳ばかりの頃、数十日もの間、子宮出血が止まず、日暮れになると熱が出て、小腹裏急(小腹は下腹、裏急は腹のつれる感じ)と腹満があり、手掌には煩熱(いやな熱感)があり、唇と口が乾燥しているのですが、これはどういうわけでしょう。先生はこれに次のように答えられました。それは婦人の病で、半産後の瘀血が下腹に残って去らないからこんな症状を呈するのです。その証拠は唇口の乾燥にあるのです。これは温経湯の主治するところです”《大塚敬節》
[33]湿疹:☆手の指や手甲などに出来て、なかなか治らない頑固な湿疹に著効がある。《大塚敬節》☆30歳の女性。結婚して10年になるが、妊娠しないという。色の白い、中肉中背で、別に病気らしいものはしたことがない。婦人科の診察では、特に悪いところはないと言うが、冷え症で、腰(特に右側)の周りから右大腿にかけて冷えて、つれる感じがある。月経の量は少なく、右腹直筋が突っ張っている。それに数年前から、手の指と甲に湿疹があり、これはコーチゾンの使用でよくなるが、一時的でまた元通りになるという。 私は先ず当帰芍薬散を与えた。すると湿疹がひどくなって、鼻の下にも、新しいものが出来て、痒いという。温清飲荊芥連翹とする。変化無し。消風散とする。湿疹の方は少し良いようだが、胃が痛むので、続けて飲めないという。それに背がひどく冷えて、首まで凝るようになり、月経が遅れた。当帰飲子とする。湿疹の方は変化無く、右の腰から足にかけて、ひどく冷える。 温経湯とする。湿疹がどんどん良くなる。2ヶ月ほどで、全治してしまった。その後、3ヶ月ほど、この方を連用した。この患者は最近になって妊娠した。《大塚敬節》
☆26歳の主婦。20歳の時に左手に湿疹が出来、4年間治らなかった。24歳の春結婚し、11月に妊娠した。その頃より湿疹が増悪し、25歳の春には右手にも拡がった。この年の11月には項部にも拡がり、手の方も悪くなった。そして胸にも発疹が出始めたので、プレドニンを飲んだ。これを飲んでいる間はよいが、止めるとまたひどくなった。目下妊娠7ヶ月であるが、両足と項部に湿疹が出ている。時々頭痛のする事があり、下痢しやすいという。 温経湯を与えると、10日間の服用で、湿疹の方は大いに軽快し、1ヶ月で全快し、下痢もしなくなり、頭痛も無いという。《大塚敬節》
[34]習慣性流産
[35]上熱下寒:☆(上半身がのぼせ、下半身が冷える)
[36]自律神経失調症 [
37]進行性手掌角皮症:☆手掌煩熱、唇口乾燥にヒントを得て、それまでは、桂枝茯苓丸+ヨクイニンや加味逍遥散などを用いていたが、それらを用いず、指掌角皮症のほとんどが、これで治ることを知った。《大塚敬節》
[38]精神分裂病
[39]舌質:<淡白><瘀斑>
[40]舌苔:<無苔><湿潤>
☆やや乾燥した薄い白苔《矢野敏夫》
[41]多嚢胞性卵巣症候群
☆EBM:症例集研究 (対象患者) 無月経を主訴に来院し、以下の項目を満たし多嚢胞性卵巣症候群と診断された未婚女性73例(平均年齢24.3歳)を証に随い漢方薬を投与し、8週間で排卵に至らなかった60例を対象にした。
1)血中LHの基礎値が106mlU/ml以上
2)LH-RHtestにおいてLHとFSHの反応性に3倍以上の解離がみられる。 LH=黄体形成ホルモン FSH=卵胞刺激ホルモン (結果) 平均血中LH濃度の低下は見られなかったが、温経湯に切り替えることにより有意に低下した。血中LH濃度低下率は当帰芍薬散か (Evidence) 1件の多施設症例集積研究に於いて、多嚢胞性卵巣症候群に対する排卵率は57%であった。また、LHは有意に低下した。
[42]帯下(凝血がある)☆婦人、帯下と称する者は、赤白を泄し、少腹裏急し、或いは腹虚満し、手掌煩熱し、脣口乾燥し、その人心下痞し、嘔逆し、或いは欬唾に血を帯びる者なり。当に温経湯を以て之を主としべし《医聖方格》
[43]血の道症
[44]蓄膿症
[45]虫垂炎(急性)
[46]疲れやすい(疲労倦怠)
[47]手掌煩熱:☆手の甲や掌の乾燥する者にも効く《大塚敬節》
[48]凍傷
[49]ノイローゼ
[50]のぼせ<上熱>
[51]冷え症
☆EBM(レーザー組織血流計による検討) (対象患者) ①冷えの自覚と四肢末梢血流量に関する検討 2000年3~6月外来受診112例 平均年齢 32.7±8.55歳(22~49歳) ②排卵障害、不妊症、更年期障害を有する患者での温経湯投与による四肢血流変化に関する検討 投与群 32例(33,7±7.49歳) 非投与群29例(32.0±7.04歳) 両群において月経状態、冷えスコアにおいて差を認めなかった。 (薬物投与) ③温経湯投与群では7.5g/日を8週間投与。 非投与群では漢方薬以外の治療を選択 (Evidence) 1件の症例集積研究において、温経湯は上下肢の血流量を調整することで冷え症を改善することが示された。
[52]冷えのぼせ
[53]関節痛<膝の>
[54]微熱
[55]皮膚疾患(乾燥性)☆34歳の婦人。不妊のため、6ヶ月前に、子宮後屈の手術をし、その時、両側の卵管を切除し、片方をビニールでつないだ。 なお4年前より軽い耳鳴りがあり、最近、疲れやすく、肩が張り、足が冷える。足は右が重い。時々眠れない。湿疹は胸部の中央に手掌大に拡がったものと、背部で肩胛間部の下方に手掌大に坐をとっている。発疹はあまり隆起せず、発赤を認めない。分泌物もなく、乾燥している。カユミはあるがひどくはない。腹診上左の腸骨窩のあたりに圧痛があり、瘀血の存在を疑わしめるに足る。大便は1日1行。 私はこれに温経湯を用いたところ、10日分の服用で安眠が出来るようになり、湿疹も軽快した。しかし腰痛と肩こりがよくならない。次の10日分で腰痛はよくなったが、肩こりがひどい。次の10日分で依然として肩こりを訴え、耳鳴りがひどい。まだ時々湿疹が痒い。なお、4、5回悪心を訴えた。次の10日分で依然として、肩こりと耳鳴りがあり、口腔に潰瘍が出来た。次の10日分で、口腔の潰瘍は治したが、外陰部から膣がただれ性交不能となる。イライラする。温経湯に黄柏を加えて与える。これを飲むと、とても気分がよく、肥えてきた。陰部のただれもよくなり、湿疹も全治した。《大塚敬節》
[56]皮膚枯燥
[57]貧血
[58]腹痛
[59]不正性器出血:☆郡山の北条弥一右衛門の妻は60であるが、月経が止まらず、時々汚い水がもれ、腰は冷えて、まるで氷か鉄をあてているようだと云う。医者は皆、コレを診て、不治の症とした。自分はこれを診察して云った。身に悪寒も熱もなく、脈も虚数(力がなくて速い)ではない。また陰部にも疼痛もなく、下り物にも悪臭がない。ことによると治るかも知れないと、そこで温経湯を与え、硫黄と龍骨の2味を丸として兼用した。これを10日あまり飲むと腰に温かみを覚え、下り物が減じ、出血が止まり、普通の老婦となった。《橘窓書影》
[60]不妊症:☆《金匱要略》に“婦人の下腹が冷えて久しい間妊娠しないのを治し、かねて子宮出血を治し、また月経が多すぎる者及びその期になっても来ないものを治する”《大塚敬節》☆私はこの方を用いて、うまく妊娠した例を知らない。然し浅田流ではこの方を不妊に用いているので、方と証がうまく的中すれば、妊娠も可能であろうと思う《大塚敬節》 ☆桂枝茯苓丸や当帰芍薬湯とともに不妊症に有効である。桂枝茯苓丸は左下腹部圧痛と共に抵抗があり、温経湯にはない。当帰芍薬湯は、皮膚にやや水分の多い感じ、めまいなどがあり下腹直筋の緊張弱く、表層圧痛を認めるが、温経湯は腹直筋緊張良好の違いがある。《矢野敏夫》
[61]ほてり
[62]慢性腸炎
[63]慢性副鼻腔炎
[64]無気力[65]無月経
[66]無排卵
☆EBM:症例集積研究 (Evidence) 1件の証を考慮しない症例集積研究において、8週後のFSH、LH、estradiolは有意に増加した。12週後までに排卵に至ったのはⅠ度無月経65%、Ⅱ度無月経23%だった。
[67]盲腸炎
[68]卵巣機能障害
[69]脈:弱、時に緊弱(細であることは少ない)《矢野敏夫》
温経湯[2](一名調経散)《東醫寶鑑》「麦門冬2銭、当帰1銭半、人参・半夏(製)・白芍薬・川芎・牡丹皮各1銭、阿膠珠・甘草(炙)各7分半、呉茱萸・肉桂各5分、姜3片」水煎服。◎月経の不調を治す。◎月経のあるときに房事を行い衝脈・任脈が損傷し、経血が暴下。
温警丸(一名粉紅丸)《東醫寶鑑》「天南星(牛胆)4両、天竺黄1両、朱砂1銭半、臙脂胚半銭、竜脳5分」粉末にし、牛胆汁で芡実大の丸剤。砂糖水で飲む。 ◎急驚の虚症を治す。
温腎丸[1]《東醫寶鑑》「熟地黄1銭半、牛膝・肉蓯蓉・五味子・巴戟・麦門冬・炙甘草各8分、茯神・乾姜・杜仲(炒)各5分」水煎服。 ◎腎が弱く、命門が冷え、腰痛する者。
温腎丸[2]《東醫寶鑑》「山茱萸・熟地黄各3両、巴戟2両、兎絲子・当帰・鹿茸・益智仁・杜仲・生乾地黄・茯神・山・遠志・続断・蛇床子各1両」粉末にし、梧子大の蜜丸。空腹時に温酒で50~70丸飲む・ ◎これを飲むと妊娠する。
温腎湯《東醫寶鑑》「赤茯苓・白朮・沢瀉・乾姜(炮)各1銭2分半」水煎服。 ◎風寒湿による寒淋。小便不利を治す。
温清飲[1-1]《東醫寶鑑》=「解毒四物湯」「黄連解毒湯+四物湯」◎崩漏が止まらず、五色が流れ出、顔は黄色く腹痛する。
温清飲[1-2]《万病回春》《古今方彙》
=「四物湯+黄連解毒湯」 「当帰・芍薬・川芎・地黄・黄芩・黄連・黄柏・山梔子各1銭半」◎婦人経水住まず、或いは豆汁の如く五色相雑え、面色萎黄・臍腹刺痛・寒熱往来・崩漏止まざるを治す。◎此方は温と清と相合する処に妙ありて、婦人漏下、或いは帯下、或いは男子下血止まざる者に用いて験あり。《勿誤薬室方函口訣》◎腸出血、子宮出血、貧血著明、或いは腰痛浮腫を伴う者。《龍野ー漢方処方集》◎清熱瀉火、解毒、補血活血、止血。《中医処方解説》
◎目標:《大塚敬節》<1>患部が乾燥して赤みを帯び、灼熱があり、カユミがひどく、ひっかくと、粉がこぼれるという点にある。<2>分泌液が流れることはない。<3>顔面・頸部・項部などがひどくおかされる傾向がある。◎目標:《矢数道明》「多く丘疹性の湿疹で、分泌物はなく、枯燥の傾向があり、カユミが甚だしく、掻爬によって出血痕を残している者が多い」
★適応症及び病名 (温清飲)
[1]頭がふらつく
[2]イライラ
[3]陰部の潰瘍
[4]川崎病 ☆やや急性期を過ぎて、発熱、発疹、結膜充血、不眠などを目標に用いる(漢方診療医典)
[5]乾癬:☆老人の頑癬は、多く血液乾燥し、湿熱き肌表に薫ずるに因る。故に温清飲を的治と為す。或いは「浮萍」佳なり。《先哲医話》☆若い人の乾癬:「連翹・荊芥」《大塚敬節》☆28歳の婦人。16歳の頃、全身に、汗疹のような小さい赤い発疹が出来、それが融合し、後には痂皮状になって、カユミがあった。しかしそれは1ヶ月ほどで治った。ところがそれから2年ほどたって、また赤い丘疹が四肢の伸側に散在性にでき、それからウロコの様に乾燥して、こぼれ落ちるようになった。カユミは少ないが、夜間痒いことがある。 某医大の病院で、尋常性乾癬と診断せられて、治療を受けているが、良くならないと云う。大便は1日1行。月経は順調。 私はこれに温清飲を与えたが、20日目頃から、漸次軽快し、4ヶ月の服用で全治した。ただ途中で、痔出血を起こしたので、これに魚腥草を加えたところ、4、5日で痔出血は止んだ。《大塚敬節》[6]肝斑:☆43歳の婦人。長い間、肝斑に悩んでいる。いろいろ手当をしている内に、顔一面に広がったという。 腹診上特に捕まえどころがなく、大便も1日1行。月経も順調。ただ左の足の裏が、ポカポカと火が燃えている様だというのを目標に温清飲を用いた。しかし、1、2ヶ月間の服用で、あまり効果があるようにみえなかった。しかし、患者は2年7ヶ月の間、休まずに飲み続けて、ついに全治した。《大塚敬節》[7]気の上衝:<+>[8]筋肉のひきつり[9]下血(鮮紅色)☆大便下血を治し、糞便糞後を問わず、即ち「地楡・槐花・阿膠・側柏葉」 ☆《名医方考》に曰く、上下失血太(はなは)だ多ければ則ち必ず「四物湯」を与える勿れと。瘀血厲毒の如きも亦禁じる所に在り。而して今加うるに黄連解毒湯を以てす。温清飲、適宜なり。《雑病翼方》☆小栗豊後の室、下血止まず面色萎黄、腰痛折れるが如く、両脚微腫ありて衆医手を束ね。余此方を与えて全く癒ゆ《浅田宗伯》
[10]月経過多
[11]月経困難
[12]血崩
[13]口渇
[14]口内炎
[15]高血圧症
[16]更年期障害
[17]サルコイドーシス ☆丘診や結節などの皮膚症状や眼症状のあるものに用いる(漢方診療医典)
[18]痔出血:☆「魚腥草」《大塚敬節》☆41歳の男性。5年前に痔出血があったが、一旦治っていたがその翌年、内痔核からの出血が永く続いて、めまいが起こり、貧血がひどいため、入院して輸血をしたこともある。その後、耳鳴りとめまいがあって、メニエール氏病と云われたこともあった。血圧は110-70位で、疲れやすい。ひどく神経質で、手術は絶対イヤだと云う。大便1日1行あり、胸脇苦満が著明にある。そこで先ず大柴胡湯大黄を用いたところ、上腹部の膨満感は無くなったが、また痔出血が始まった。そこで温清飲荊芥魚腥草を用いたところ、7日分を飲み終わる頃には出血が止んだ。その後、引き続きこれを服用すること、6ヶ月、その間出血は1回もなく、イライラした気分もなくなった。 この患者も芎帰膠艾湯でよいかとも考えたが、上腹部の抵抗とイライラした不安感があったので、四物湯に黄連解毒湯を合した温清飲にし、これに荊芥と魚腥草を加えた。荊芥にも魚腥草にも止血の効があり、魚腥草は槐花と同じく痔に良く効くので、これを加えた。《大塚敬節》☆32歳の女性。5年前に痔出血があったが、それきり出血はなかった。ただ脱肛があって、歩くときにも出てくる状態で、便秘の傾向があり、いつも下剤を呑んでいた。昨日から、急に痔出血が始まったという。患部を診ないで薬をくれという。私はこれに温清飲大黄魚腥草を与えた。すると翌日から出血が止み、脱肛の方も軽快し、排便の時は脱肛するが、歩行時に脱肛することはなくなった。《大塚敬節》
[19]しびれ感(筋肉のひきつり)
[20]子宮ガン
[21]子宮出血
[22]子宮内膜炎
[23]湿疹:☆発疹は乾燥し、赤みを帯び、痒み激しく、患者の皮膚はツヤがなく黄褐色、腹診すると上腹部から両脇にかけて抵抗を感じ、また下腹部に抵抗と圧痛がある。
☆41歳の料理店の主婦。やや小太りで、湿疹は頸部・項部・顔面が主で、酒に酔ったような赤い顔をしている。頸部から項部にかけて棒状になった硬い丘疹がある。患者の云うところでは、そのままでは、ひどく乾いて、痒いばかりでなく、痛むので、オリーブ油を塗っているという。オリーブ油を塗らないと、ヌカのようの粉がこぼれるという。これは明らかに温清飲の症であるが、試みに消風散を与えてみた。すると、カユミが増して却って良くないという、そこで温清飲にしたところ、だんだん軽快し、2ヶ月で全治した。《大塚敬節》
[24]紫斑病
[25]酒渣鼻
[26]出血:☆にわかに紫血塊を成すを吐し、多しと雖も妨げず。《雑病翼方》
[27]自律神経失調症
[28]心下痞
[29]神経興奮
[30]神経症
[31]腎臓結核
[32]ジンマシン
[33]尋常性瘡
[34]舌質:<紅>
[35]舌苔:<白苔~黄苔>
[36]帯下(おりもの)
[37]多発性筋炎 ☆落屑性紅斑、皮膚萎縮、ヘリオトロープ疹など皮膚症状のある者に用いる(漢方診療医典)
[38]たむし(田虫):☆「茯苓・大黄」《本朝経験》
[39]血の道症
[40]爪がもろい
[41]手足がしびれる
[42]手足厥冷 ☆下半身が冷えるが上半身に熱感あり。
[43]腸出血
[44]粘膜潰瘍:(口中・舌・頬)
[45]ノイローゼ
[46]のぼせ
[47]梅毒:☆黴毒上攻し、頭上腫起し、凸凹を為す者は、火証に属す。温清飲に宜し。黴毒生火を動かす、徒に湿を為して治すべからず。《先哲医話》
[48]はげ
☆妙齢の婦人。円形脱毛症で、頭部には1本の毛もない。私はこれに柴胡加竜骨牡蛎湯を用いたが、3ヶ月たっても、少しも良くならない。ところが、患者は毛の生えないことを少しも気にかけないようで、すこぶる楽天的である。柴胡加竜骨牡蛎湯証ならば、もっと神経質であるハズだと考えた私は、処方を変更してみようと考えた。そして温清飲にした。これは患者の顔がいつも、のぼせたように赤くなっていて、皮膚に湿りの少ないのを目標にした、すると、1ヶ月もたつと、黒々と一面に毛が生えてきて、私を驚かせた《漢方診療医典》
[49]鼻出血(鮮紅色)
[50]肌荒れ
[51]皮膚炎 [52]皮膚掻痒症
[53]皮膚枯燥:(皮膚につやがない)[54]皮膚の色:(黄褐色~黒褐色)
[55]貧血
[56]腹直筋の緊張
[57]不正性器出血
[58]不眠症
[59]ベーチェット病 ☆黄連解毒湯と四物湯の合方で、ベーチャット病の第一選択処方。黄連解毒湯には、抗炎症、解熱、鎮静の作用があり、四物湯には、血行を良くし、血を補う作用がある。皮膚枯燥の傾向があり、やや慢性化した粘膜の潰瘍、炎症に用いられる(漢方診療医典)
[60]発疹(灼熱感あり、暗紅色、乾燥ぎみ)
[61ほてり
[62]膀胱腫瘍
[63]みずおち緊張
[64]メトロパチー=出血性子宮症
[65]目がかすむ
[66]目の充血
温臍種子方《東醫寶鑑》「五霊脂・白芷・青塩各2銭、麝香1分」を粉末にし、そば粉を水にまぜて枠をつくり、臍の上において、薬末をそこに入れて炭で灸をすえる。
温臍兜肚方《東醫寶鑑》「白檀・羚羊角各1両、零陵香・沈香・白芷・馬兜鈴・木鼈子・甘松・升麻・血竭各5銭、丁香皮7銭、麝香9分」を粉末にし、3つに分け、まずその1つを熟艾と綿でくるんで、さらに白絹でつつみ、臍の上にかぶせて取れないようにする。3日後の1つ、そして5日後、それから1ヶ月後に取り替える。
◎痞積・遺精白濁・赤白帯下・経脈不調・孕胎できない(不妊症)。
温胆湯[1-1]《千金方》 「半夏・生姜・橘皮・竹茹各6分、枳実3分、甘草2分、茯苓1両」◎大病後、虚煩眠るを得ざる者を治す。
温胆湯[1-2]《東醫寶鑑》「半夏・陳皮・白茯苓・枳実各2銭、青竹茹1銭、甘草5分、生姜5片、大棗2枚」◎驚悸・不眠。
温胆湯[1-3]《東醫寶鑑》「半夏・陳皮・白茯苓・枳実各2銭、青竹茹1銭、甘草5分、生姜5片、大棗2枚」水煎服。
◎心胆が怯え、事物に対するとよく驚き、夢寐(⇒ムビ)が安らかでない者。
温胆湯[1-4]《三因極一病証方論》《古今方彙》 「竹茹1銭、甘草5分、陳皮・茯苓・半夏・枳実各2銭半、生姜」水煎。◎病後、虚煩して臥するを得ず。◎心胆虚怯、事に触れて驚き易く、短気、悸乏、或いは復、自汗あるを治す。
温胆湯[1-5]《三因極一病証方論》 「陳皮・茯苓・半夏各6g、枳実・竹茹各2.5g、甘草・生姜各1g」右7 味、本、茯苓無し、今《三因》に従う。或いは「麦門冬人参」「黄連 酸棗仁」
◎大病後、虚煩眠るを得ざるを治す。此れ胆寒の故なり。
◎此方は駆痰の剤なり。古人淡飲のことを胆寒と云う、温胆は淡飲を温散するなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は「流水湯」《霊枢》に根底してその力一層優とす。後世の「竹茹温胆湯」「清心温胆湯」などの祖方なり。
◎虚煩不眠、気鬱、心悸亢進、驚き易い、多夢。 《龍野一雄》◎清化熱痰、和胃降逆。《中医処方解説》
★適応症及び病名(温胆湯)
[1]胃内停水
[2]易驚
[3]気うつ
[4]更年期障害
[5]呼吸促迫
[6]自汗
[7]自律神経失調症
[8]神経過敏
[9]神経衰弱:☆心胆虚怯、事に触れて驚き易き者:「麦門冬・人参・柴胡・桔梗」。
☆古人は胆が寒えると、物に驚きやすくなり、夢をみて安眠出来なくなり、気鬱の症状が現れるとして、胆を温める温胆湯をいう薬方を作った。 この方は、鳩尾が脹って、つかえ、腹で動悸がし、胸騒ぎがしたり、めまいがして上づりになり、気分が暗くふさぐ気味もあるので、柴胡加竜骨牡蛎湯に似たところがある。この方の大切な目標は、痰である。 痰は今日の喀痰の意味ではなく、病的な水の意味である。一般に水毒と云われている。この痰があって、物事に驚きやすく、夢でうなされたり、不吉な夢をみて眠れなかったり、胸騒ぎがするという者を目標にして、この方を用いる《大塚敬節》
[10]神仙労:☆一女子家に在り、事意に如かざるに因って欝結して脾に在り、半年食わず、毎日棗数を食う。予診し、遂に「温胆湯竹茹」を以て与服せしめ、200貼にして癒ゆ。朱震亨《方読便覧》
[11]心下痞
[12]心臓神経症
[13]盗汗
[14]ノイローゼ:☆横浜本町、肥前屋の下男、万吉という者が、かって、尾州の米会所で欝証になり、心気鬱々として楽しまず、或いはだまりこくって、数日間物を言わないかと思うと、時には訳の分からない筋道の通らないこ とをしゃべり、全く茫然として、癡愚(ちぐ)のようである。医者や巫祝の類が、代わりばんこに、これを治したが治らない。 余はこれを診察して云った。癲狂ではなく、心風であるから治るであろうと、そこで温胆湯に黄連、酸棗仁を加えて与え、朱砂安神丸を兼用した。すると数十日で全治したが、この頃になって再発した。しかし往年に比べると軽い、そこでまた前方を与えたところ、まったく治った。 世俗にいうところの癇症は皆この証である。辻元翁は、この証にたいていは温胆湯を用いる。余はこれに黄連・酸棗仁を加えて速効をとる。《橘窓書影》
[15]脳動脈硬化症
[16]病後の虚煩
[17]腹部軟弱
[18]不眠症:(参照→「加味温胆湯」)☆神経過敏で、ものに驚きやすい。☆病後虚煩、寐ねず、或いは触れて驚悸するを治す:「人参・酸棗仁・遠志」
[19]慢性胃炎
温中益気湯《活幼心法》《古今方彙》「人参・白朮各5分、黄蓍(生)8分、当帰・茯苓6分、甘草・川芎各4分、白芷・防風各3分、木香・官桂各2分、山楂子6分、生姜1片、大棗1枚」煎服。 ◎血気虚弱にして毒気を送り手出でず、而して驚搐狂躁する者を治す。
温中化痰丸《東醫寶鑑》「青皮・陳皮・良姜・乾姜各等分」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。米飲で50丸呑む。 ◎冷痰・気分の悪い者。
温中湯[1]《本朝経験》《勿誤薬室方函》 「四逆湯烏梅・蜀椒」◎蚘厥を治す。◎諸虫痛を作す。口中必ず清涎の流出あり。渇して飲進む能わず、危きこと旦夕に在る者、烏梅、花椒を用い、煎湯にて服す。《秘方集験》
温中湯[2]《万病回春》《古今方彙》「良姜、官桂、益智仁、砂仁、木香(別研)、香附子、厚朴、陳皮、小茴香、当帰、延胡索、甘草」各等分。生姜、水煎。 ◎手を以て之を按ずるに腹軟かく痛み止む者は是れ虚痛なり。
温中補脾湯《活幼心法》「白朮、黄蓍、人参、白茯苓、白豆蔲、砂仁、官桂、陳皮、甘草、白芍薬、熟附子、生姜、大棗」
温肺化飲湯=小青竜湯《傷寒論》
温肺湯[1-1]《医学正伝》「半夏(泡)・陳皮(去白)・五味子・乾姜・桂心各5分、杏仁(去皮炒研)5分、北細辛阿膠炒成珠・甘草(炙)各2分半」細切加生姜3片大棗2枚水1盞半煎至1盞去相温服。◎肺が寒邪に感じ、咳嗽吐痰する者を治す。 ◎久嗽欝熱の者は用うるなかれ。
温肺湯[1-2]《医学正伝》《龍野ー漢方処方集》 「半夏・陳皮各4g、五味子・乾姜・杏仁・桂枝・大棗各3、細辛・阿膠・甘草各2g、乾生姜1g」 ◎肺寒による咳嗽・喀痰。温肺湯[1-3]《和剤局方》「温肺湯《医学正伝》阿膠白芍薬」 温
★適応症及び病名(温肺湯)
■感冒■気管支炎
肺湯[2]《月海雑録》 「麻黄・杏仁・五味子・桂枝・甘草」◎外感の咳嗽激しい者。◎「三拗湯」「五拗湯」よりはその効著しい。
温肺湯[3]《東醫寶鑑》「麻黄2銭、黄蓍・升麻各1銭半、防風・葛根・羗活・炙甘草各1銭、丁香2分、葱白3根」煎じて、食後温服。 ◎鼻が香臭を嗅げない症。
温肺湯[4]《東醫寶鑑》「乾姜・桂皮・半夏・陳皮・五味子・杏仁・甘草各1銭、細辛・阿膠各5分、生姜3、艾2」水煎服。◎肺虚に客寒を浴びて喘咳し、痰沫を嘔吐する者。
温白元(一名万病紫菀丸)《東醫寶鑑》「川烏(炮)2両半、呉茱萸・桔梗・柴胡・菖蒲・紫菀・黄連・乾姜(炮)・肉桂・川椒(炒)・巴豆霜・赤茯苓・皀角(炙)・厚朴・人参各5銭」粉末にし、煉蜜で梧子大の丸剤。姜湯で3~9丸呑む。
温白丸《東醫寶鑑》「白彊蚕(炒)・白附子(生)・天南星(炮)各1両、天麻(生)5銭、全蝎1銭」粉末にし、麺糊で緑豆大の丸剤。米飲に生姜汁を入れ5~30丸飲む。
◎慢驚風を治す。 温脾散《万病回春》《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)・人参・白朮(土炒)・白茯苓・山薬(炒)・乾姜(炮)・訶子(炮)・肉豆蔲()・罌栗殻(蜜炒)・草果・丁香・肉桂・炮附子・黄連・姜汁・縮砂・陳皮・厚朴・甘草各5分、生姜3片、大棗2枚」水煎服。
◎久泄で消化不良の者。
◎久瀉にて米穀化せず、水穀口に入れば即ち時に直ちに下し、下元虚冷滑脱なるを治す。《古今方彙》
温脾湯[1]《備急千金要方》
「大黄4両、甘草・人参・乾姜各2両、附子1枚」 「四逆加人参湯《傷寒論》大黄」《熱痢門》◎下痢久しく、赤白連年止まず、霍乱・脾胃冷実、消えざるを治す。◎此方は温下の極剤とす。《勿誤薬室方函口訣》◎「桂枝加大黄湯」「大黄附子湯」に比すればその力尤も強し。◎脾胃冷実と云うが目的なり。◎積久冷熱、赤白痢を治す:「甘草桂枝」《冷痢門》◎久瀉不已証に此方の応ずる処あり。泄瀉に限らず温薬効なき証に、「大黄附子」、寒熱交え用ゆること深味あり。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名(温脾湯)
<1>寒疝:☆腹痛、臍下絞結せず、胸をめぐって止まざるを治す。「甘草、附子、人参、芒硝、当帰、乾姜、大黄」《雑病翼方》
<2>下痢:☆按ずるに是等の下利は、寒積有るに因って気下墜し致す所にして、「四逆湯」の下利と自から異なる。寒実、下を用いる。脈の有力無力、腹痛の微甚に着眼するを要し、始めて親切と為す。《雑病翼方》
<3>吐乳 ☆凡そ胃中陽気盛んなれば則ち傾かず、もし胃腸虚すれば則ち必ず側垂し、因って之に乗ず。名づけて澼嚢と曰う。然れども之を按じて手に応ぜず、ただ腹痛嘔吐を以て徴と為す。温脾湯に宜し。<4>慢性腎不全:参照→病状「慢性腎炎」 温脾湯[2]《普済本事方》「厚朴(去麁皮姜製)・乾姜(炮)・甘草・桂心(去皮不見火)・附子(生去皮臍) 各半両、大黄(生)4銭」 (麁=ソ、あらい) 「温脾湯[1]《備急千金要方》-人参+厚朴桂枝」◎痼冷、腸胃の間在り、連年腹痛泄瀉し、休作時無し、諸熱薬を服し、効あらず、宜しく先ず去を取るべし。しかる後に調治せば差え易し。虚を畏れ、以て病を養うべからず。◎連年腹痛泄瀉休作無時者を痼冷の所為として温下するなり。《勿誤薬室方函口訣》◎久泄止まず、百薬効かず、或いはしばらく止んで復来る。此れ必ず陳積腸胃の間に在り、積一日去らざれば則ち瀉一日癒えず、必ず先ず陳積を逐去して復之を補う、こい願わくば益を獲んと。是なり。《雑病翼方》◎久瀉、温補及び固渋の薬を服して止まず、或いは癒えて復作る、或いは既に癒え次年に又期に応ず、倶に是れ痼精未だ除かざるなり。通因通用の法に宜し。《方読便覧》
温脾湯[3]《普済本事方》《龍野一雄》「大黄・厚朴・桂枝・甘草・乾姜各2g、白川附子1g」◎冷腹、腹痛下痢。温補脾陽、瀉下。
★適応症及び病名(温脾湯)
<1>結腸潰瘍
<2>大腸カタル
<3>腸カタル(急性・慢性)
<4>慢性胃炎
<5>慢性胃腸炎
<6>慢性下痢で陽虚の者
<7>慢性赤痢
温脾湯[4]《備急千金要方》 「甘草・附子・人参・芒硝各1両、当帰・乾姜各3両、大黄5両」「四逆加人参湯調胃承気湯」 ◎腹痛、下絞結せず、胸をめぐって止まざるを治す。《雑病翼方》
温脾湯[5]《東醫寶鑑》「甘草4両、大棗20枚」水5升で煎じ、2升になったら3分服。◎飽食すると嗽する者。
温脾丹《中医処方解説》「二陳湯白朮・炮姜」◎よだれ 温脾丹=二陳湯 温風散《東醫寶鑑》「当帰・川芎・細辛・白・蓽撥・藁本・露蜂房各1銭」水煎服、又はうがいして吐き出す。 ◎風邪による歯痛を治す。
温粉[1]《千金方》 「煆竜骨・煆牡蛎・生黄蓍各12g、粳米粉40gを、いっしょに細末にしてよく混ぜ合わし、薄絹でくるんでゆるやかに叩く。」
温粉[2]《東醫寶鑑》「麻黄根・牡蛎粉各1両、赤石脂・竜骨各5銭」粉末にして塗布する。 ◎汗が止まらない者。 温陽利水湯⇒真武湯《傷寒論》
温六丸《東醫寶鑑》「益元散1剤・乾姜1両」粉末にし、飯で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸呑む。 ◎白痢。 瘟疫初病一二日発汗方《奇効医術》《古今方彙》「羗活・紫蘇葉・葛根各1銭2分、蒼朮1銭、白芷・川芎各5分、香附子8分、陳皮・甘草各3分、生姜3片」熱服し汗を取り、大いに汗せず。
◎虚実を論ぜず倶に此方を用いる。発汗の後も則ち癒え易し。
雲林香砂六君子湯《万病回春》《古今方彙》「香附子・砂仁・陳皮・人参・白朮・厚朴・芍薬(炒)・蒼朮・山薬・甘草各等分、生姜、烏梅」水煎。 ◎脾瀉の症を治す。◎凡そ脾瀉の者は、食後に倒飽(みぞおちのところへ食がつかえて下らない)し、瀉去れば寛ぎ、脈は細、是なり。
雲林潤身丸《東醫寶鑑》「当帰(酒洗)・白朮各6両、白茯苓・陳皮・香附子・黄連(姜汁炒)山楂肉 ・神麹(炒)各3両、枳実・白芍・人参・山薬(炒)・蓮肉各2両、炙甘草5 銭」粉末にし、荷葉の煎じ湯でご飯を炊いて、梧子大の丸剤。米飲で100 丸呑む。 ◎痩せてひ弱になり、気短で、食欲のない者。
雲林参苓白朮散[1-1]《万病回春》「肉豆蔲(去油)・甘草(炙)・人参・白朮(去蘆)・茯苓(去皮)・山薬(炒)・ 砂仁(研)・藿香・陳皮・乾姜(炒)・蓮肉(去心皮)・訶子()各等分」剉作 1剤。「生姜1片、燈心1團」水煎服。
◎気虚泄瀉、食後泄瀉を治す。
雲林参苓白朮散[1-2]《万病回春》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・縮砂(炒)・山薬・橘皮・乾姜・肉豆蔲・訶子・蓮肉・甘草(炙)各等分、生姜・灯心草」◎気虚泄瀉を治す。 ◎凡そ虚瀉は、飲食胃に入らば則ち瀉す。水穀化せず、脈微弱、是なり。 ◎此方は「参苓白朮散」《和剤局方》よりは収の力優とす。故に胃虚、下利止まざる者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》
#営実湯[1]《本朝経験》《勿誤薬室方函》「営実・大黄・甘草」 ◎宿水を除く。 ◎蕩滌宿水、此方は疎滌(浮腫を除き去るの意)の効至て捷なり、◎実証の水気腹満には即効あり、又、◎疝より来る水気に宜し。《勿誤薬室方函口訣》◎旧友、嘗て疝塊あり、夏秋の間、水気を醸し、陰嚢腫大、両脚洪腫、腹満如鼓、諸治水の剤寸効なし。之方を服し、三貼にして徹し、五貼にして全く癒ゆ。
蓋し、利水の品、郁李仁は上に係りて、桃花より緩に、営実は中位に在りて、牽牛子に比すれば最も俊なりとす。又尤も峻なる者を甘遂とし、その甘遂の重を巴豆とするなり。
#営実湯[2]《本朝経験》《雑病翼方》 「営実・大黄・黒豆」 #衛生湯[1]《医学入門》《東醫寶鑑》「人参・白朮・白茯苓・山薬・陳皮・苡仁・沢瀉各1銭、黄連・甘草各5
分」水煎服。 ◎洞泄を治す。◎虚火気虚にて水穀を必別する脳わざる者を治す。 #衛生湯[2]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、当帰・白芍・甘草各1銭」水煎服。
◎補脾・養血。 #衛生天花元《東醫寶鑑》「黄連(童便に3日漬けたもの)3両、白扁豆(炒)2両、蘆薈7銭半、辰砂・ 白茯苓・牡蛎粉・知母・苦参・鉄粉・天花粉各5銭、金箔・銀箔各20片
を粉末にし、生楼根汁に生蜜をまぜ梧子大の丸剤。麦門冬湯で30~50 丸呑む。」◎飲酒又は酒後の色欲過多によって、水を飲み食べる物が日毎に増え、肌肉と精
髄はより枯渇し、小便はなく蜜のようで又滑らかなことは油の如く、口が苦く、 のどが乾き、舌が赤い~三消の妙薬。 #益胃湯[1-1]《温病条弁》「沙参3銭、麦門冬・地黄(生)各5銭、氷糖1銭、玉竹(炒)1銭半」
#益胃湯[1-2]《温病条弁》《中薬臨床応用》 「沙参12g、生地黄15g、麦門冬9g、玉竹9g、氷砂糖15g」 #益胃湯[1-3]《温病条弁》《中医処方解説》
「沙参9g、麦門冬15g、生地黄15g、玉竹5g、氷砂糖3g」◎益胃生津、清虚熱。
★適応症及び病名(益胃湯) <1>萎縮性胃炎<2>糖尿病<3>熱病の回復期<4慢性胃炎
#益胃升陽湯《東醫寶鑑》「白朮1銭半、黄蓍1銭、人参・神麹(炒)各7分半、当帰身・陳皮・炙甘草 各5分、升麻・柴胡各3分、生黄芩2分」剉作し1貼づつ水煎服。
◎血塊がひっきりなしにあふれ出る症。◎内傷の諸症を治す。
#益陰腎気丸 「熟地黄2両、生乾地黄(酒焙)・山茱萸各1両、五味子・山薬・牡丹皮・柴 胡・当帰尾(酒洗)各5銭、茯神・沢瀉各2銭半」を作末して蜜で梧子大の
丸剤。朱砂で衣をして空腹時に、塩湯で50~70丸呑む。」◎色欲で腎精の弱った者を治す。
#益栄湯《東醫寶鑑》「黄蓍・当帰・小草・酸棗仁・柏子仁・麦門冬・茯神・白芍・紫石英各1両、 木香・人参・甘草各5銭」細切りにして、1貼を7銭づつ計って、生姜5
片・大棗2枚を入れ水煎服。 ◎思慮過度で心血を消耗して、恍惚・怔忡する者。
#益黄散[1]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、人参・陳皮各1銭、白芍7分、生甘草・炙甘草各5分、白茯苓4分、黄連2分」水煎服。 ◎慢驚を治す。
#益黄散[2-1](一名補脾散)《東醫寶鑑》「陳皮1両、青皮・訶子肉・甘草(炙)各5銭、丁香2銭」それぞれ作末し毎回2~3銭を煎服。又は5銭づつ切って水煎服用する。◎脾臓の冷えと腹痛・下痢を治す。
#益黄散[2-2]《小児薬証直訣》《古今方彙》「陳皮5銭、丁香2銭、青皮・訶子各5銭、甘草3銭」水煎温服。◎脾胃虚寒にて吐泄瀉する者を治す。
#益気安神湯[1-1]《東醫寶鑑》「当帰・茯神各1銭、生地黄・麦門冬・酸棗仁(炒)・遠志・人参・黄蓍(蜜炒)・牛胆(蜜炒)・天南星・竹葉各8分、甘草・黄連各4分、生姜3、大棗2」水煎服。
◎夢が多く・熟睡できず・恍惚・驚悸の者。
#益気安神湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄連8分、生地黄・麦門冬・酸棗仁・遠志・人参・黄蓍・竹葉・天南星各1銭、甘草6分、当帰・茯神各1銭2分、生姜、大棗」水煎。
◎七情六淫、相感じ而して心虚して夜は夢寝多く、睡臥寧からず、恍惚恐怖し、痰(痰のために筋肉の拘攣すること)するを治す。 #益気丸《東醫寶鑑》「人参・麦門冬各7銭、橘皮・桔梗・炙甘草各5銭、五味子21粒」を細末にして水に浸した後、ついて実大の丸剤。1丸づつかんで飲む。
◎気が弱くて言葉を力強く出せない者。◎言葉が多すぎて気を損じる者。 #益気健脾湯《寿世保元》《古今方彙》=「三白散」《厳氏済生方》「人参、白朮、茯苓、陳皮、白芍薬(炒)、蒼朮、乾姜(炒黒)、訶子、肉豆、甘草、升麻(酒洗)、生姜、大棗」水煎。
◎泄瀉にて飲食胃に入れば住(トマ)らず、完穀化せざる者を治す。◎腹痛には:「桂」油膩を忌む。 #益気聡明湯[1]《東垣試効方》「黄蓍・人参各半両、甘草6匁、升麻・葛根各3匁、蔓荊子1匁半、芍薬・黄柏各1匁」◎飲食節せず、形体を労役し、脾胃不足、内障耳鳴り、或いは多年目昏暗する者。
#益気聡明湯[2-1]《蘭室秘蔵》《古今方彙》「黄蓍・人参・甘草各5銭、蔓荊子1銭半、升麻・葛根各3銭、芍薬・黄柏(酒炒)各1銭」毎服3銭、水煎。
◎飲食節せず労役《小児薬証直訣》、形体脾胃不足し、内障、耳鳴り、或いは多年、目昏暗し物を視る能わざるを治す。 ◎此薬は能く人をして目の光を大ならしむ。◎久しく服すれば、内外障・耳鳴・耳聾の患をなくし、又清心は過倍し、元気は自ら益し、身軽く、体健やかに、耳目聡明ならしむ。
#益気聡明湯[2-2]《東垣試効方》《龍野一雄》「黄蓍・人参各4g、蔓荊子1.5g、甘草・升麻・芍薬・葛根各3g、黄柏1g」◎胃腸が弱く疲労しやすく、耳鳴耳聾、或いは弱視の者。
★適応症及び病名(益気聡明湯) [1]弱視: ☆能く人の目光を大ならしむ。☆久服すれば内外障、耳鳴、耳聾の患を無くす《方読便覧》☆真の青盲などの内障には効なし。
《勿誤薬室方函口訣》[2]耳鳴:☆老人など心思労働して目暗、耳鳴する者に効あり。[3]耳聾:☆精神過倍し、元気自ら益し、身軽く、体健やかに耳目聡明ならしむ。《方読便覧》
#益気聡明湯[3]《東醫寶鑑》「炙甘草1銭2分、人参・黄蓍各1銭、升麻・葛根各6分、蔓荊子3分、白芍・黄柏(酒炒)各2分」水煎し、朝夕服用。
◎老人の労傷、虚損による眼昏、耳鳴り。 #益気湯=四君子湯《和剤局方》《中薬臨床応用》 「党参12g、白朮12g、茯苓12g、炙甘草6g」 #益気養栄湯[1]《外科正宗》《勿誤薬室方函》
「白朮・人参・茯苓・陳皮・貝母・当帰・莎草・川芎・黄蓍・芍薬・地黄・桔梗・甘草・大棗・生姜」◎抑鬱あるいは気血を傷められ、あるいは四肢頸項の筋薀結して、累々貫珠の如きを成す者を治す。筋累という。此の患は皆思慮過大に神気の受傷による。乃ち労中得る所なり。或いは痛まず、あるいは日哺発熱し、或いは潰えて斂まざれ者これを主る。
#益気養栄湯[2-1]《外科枢要》《龍野一雄》「黄蓍・白朮・茯苓・人参・当帰・川芎・芍薬・熟地黄・陳皮・貝母・香附子各3g、柴胡2g、桔梗・甘草1.5g」◎気鬱、ルイレキ、或いは四肢腫瘍、或いは潰瘍、或いは発熱する者。
★適応症及び病名(益気養栄湯) [1]潰瘍[2]化膿症[3]気鬱[4]瘰癧(ルイレキ) #益気養栄湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》「黄蓍・白朮・茯苓・人参・当帰・川芎・白芍薬・熟地黄・陳皮・貝母・香附子各1銭、柴胡6分、桔梗・甘草(炙)各5分」水煎。◎懐抱抑鬱(面白くない気持を抱く)して瘰癧流注し、或いは四肢腫を患い肉色は変わらず、或いは日発熱し、或いは潰が斂まらざるを治す。
◎脇下刺痛する;「青皮木香」◎痰あれば:「陳皮倍加」◎午後熱あり、or微しく頭眩:「黄柏(酒)」◎膿水清きには:「人参黄蓍当帰倍加」◎女人欝気あり、胸膈利せざる:「香附子貝母倍加」◎経水通ぜざる:「当帰倍加、牡丹皮」
#益気養栄湯[3]《証治準縄》 「人参4g、炒白朮8g、当帰・白芍・熟地黄・香附子・黄蓍 各12g、茯苓・ 陳皮・貝母各4g、生姜3片」 #益気養神湯[1]《万病回春》《古今方彙》「人参・当帰・白芍薬(酒)・知母・麦門冬・梔子各1銭、大棗」水煎、食遠に温服。◎傷寒が新たにえて方に起こり、労動事に応じ、或いは多言神を労し而して微しく発熱する者を治す。
#益気養神湯[2]《東醫寶鑑》「人参・当帰・白芍(酒炒)・麦門冬・知母・山梔子(炒)各1銭、白茯神・前胡各7分、陳皮5分、升麻・生甘草各3分、大棗2枚」水煎服。
◎労復で気血の虚した者。 益肝煎=一貫煎 #益元固真湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「甘草梢2銭、山薬・沢瀉各1銭半、人参・白茯苓・蓮芯・巴戟・升麻・益智仁・黄柏(酒炒)各1銭」水煎服。
◎情欲を無理に抑制して淫精を出さず、浸下して淋疾になった者。 #益元固真湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》 「人参・茯苓・蓮肉蕊・巴戟天・益智仁・升麻・黄柏(酒)各2銭、山薬・沢瀉各1銭半、甘草梢2銭」水煎、空心服用。
◎欲を縦(ホシイ)ままにし、強く留めて泄さず、精を淫(ムサボ)り、下に滲し、而して淋を作う者を治す。 #益元散[1]《東醫寶鑑》 (=六一散・天水散・神白散)「滑石6両、炙甘草1両」を粉末にし、毎回3銭を温蜜水で調服し、冷飲し
たい時は井戸水で調服する。 ◎中暑で身熱して吐瀉し、腸閉塞・赤白下利・閉を治す。 ◎霍乱・吐瀉に、生姜湯で調下する。 #益元散[2-1](=辰砂六一散)《中薬臨床応用》「六一散18g、朱砂1.5g」2~3回に分けて湯で服用。 ◎熱射病、日射病。
◎夏かぜの下痢には、香9gを煎じ液で服用。 #益元散[2-2]《河間六書》 「滑石240g、甘草(炙る)40g、辰砂20g」煎服。 #益元湯[1]《傷寒六書》《勿誤薬室方函》
「復元湯《寿世保元》芍薬艾葉」⇒「附子・人参・甘草・五味子・麦門冬・黄連・知母・乾姜・艾葉」 ◎傷寒、微熱煩悶し、面赤・脈数で根無し・上熱下冷する者。
◎此方は復元湯と同じことにて、陰陽錯雑の治方なり。《勿誤薬室方函口訣》◎本邦の医は既に「柴胡四逆湯」を用いる。◎寒熱錯雑なれば益元湯を用いるべし《医事小言補正》◎上盛下虚:既済湯 上熱下冷:増損四順湯 外熱裏寒:復元湯
#益元湯[2]《道三》「黄柏6.0、地黄・瓜蔞根・地骨皮各4.0、石膏2.0」 #益寿固真丹《東醫寶鑑》「兎絲子(酒に漬けて焙って末に)3両、熟地黄(酒浸し焙って磁石で火煆し、醋で濾すのを9回)2両、何首烏(切って黒豆汁で蒸して晒し乾燥)2両、肉蓯蓉(酒浸し鱗・甲を捨て、蒸して肉のみ)2両、天門冬(芯を去る)・麦門冬・山薬(微炒)・当帰(酒洗焙)白茯苓(水飛)・沢瀉(酒蒸)・牡丹皮各1両半、人参・芡実・山茱萸(酒肉を取る)・石斛・覆盆子・枸杞子・五味子それぞれ酒洗焙各1両、蛇床子・杜仲それぞれ炒って皮を去り切って姜汁炒って絲を捨てて各1両、巴戟(塩水で煎じ骨去)1両、鹿茸(毛を去る)1両、韭子(炒)1両、赤石脂(水飛)1両、益智仁(皮を去る)・蓮花芯(塩水煎)・破故紙(炒)・柏子仁(皮を去る)・青塩・各1両、天雄(童尿に3日浸炮、皮・臍を去る)1両、陽起石(火煆)1両、膃肭臍(黄色まで焼く)」を粉末にし糯米粉で清酒を注いで煮て、糊で梧子大の丸剤。毎回2銭を空腹時に温酒(又は塩湯・米飲)で呑む。◎強精・補血に良い。中年以降に常服すると良い。
#益腎散《東醫寶鑑》「磁石(煆淬)・巴戟・川椒各1両、石菖蒲・沈香各5銭」を粉末にし、猪腎1枚を細切りにして葱白1銭・薬末1銭・塩1匙を入れてまぜ、湿紙10枚にくるんでり、空腹時に細嚼して酒で呑み下す。 ◎耳聾を治す。
#益腎方《中薬臨床応用》「金桜子15g、益智仁9g、覆盆子12g、狗脊12g、熟地黄6g、生地黄6g、竜骨30g、牡蛎15g、茯苓12g」水煎服。
◎腎陽虚◎遺精◎頻尿◎夜尿症◎脾虚による水様便、泥状便◎白色帯下 #益脾丸《東醫寶鑑》「葛花2両、小豆花、草豆各1両、緑豆花1両・木香各5銭」を粉末にし、梧子大の蜜丸。紅花湯で10丸呑む。
◎酒を呑んでも酔わないようにする。脾胃の補益に良い。 #益胆湯《東醫寶鑑》「黄芩・人参・甘草各1銭、遠志7分、官桂5分、苦参・茯神各3分」水煎服。◎気が上溢し、苦みの出る症。
#益智和中湯《東醫寶鑑》「白芍1銭半、当帰・黄蓍・升麻・炙甘草各1銭、牡丹皮・柴胡・葛根・益智仁・半夏各5分、桂皮4分、肉桂・乾姜(炮)各2分」煎服。
◎腸子下血。黒紫色で、腹痛悪寒する者。
#益本滋腎丸《東醫寶鑑》「黄柏・知母(酒洗)各等分」粉末にし、水で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で50~70丸呑む。 ◎黒晴に硃膜が出る症。陰虚で黒晴が散大する症。
#易簡断下湯《東醫寶鑑》「罌栗殻14枚(筋・膜・帯を捨て醋につけ炒末)、白朮・赤茯苓各1銭、炙甘草5分、草果1、連皮」剉作して水1椀に姜7片・棗7・梅7を濃く煎て、2回に分服。◎一切の痢疾を治す。
#易老門冬飲子《医類元戎》《古今方彙》「生脈散茯苓、枸杞子、甘草」◎老弱虚人、大渇するを治す。 #腋臭摺薬《本朝経験》 「軽粉2.0、炉甘石・礬石各4.0」 右三味、先ず礬石、炉甘石を細末にして、後、軽粉を合して散と為し、之を以て腋下を擦(ス)る。
◎わきが(腋臭)を治す。
#越鞠丸[1-1]《丹渓心法》「香附子、蒼朮、川芎、山梔子」 # 越鞠丸[1-2]《丹渓心法》《中医処方解説》「香附子・蒼朮・川芎・神麹・山梔子各3g」水煎服。◎理気解鬱・清熱化湿。
★適応症及び病名(越鞠丸) [1]月経困難[2]自律神経失調症[3]神経性胃炎[4]肝炎[5]慢性胃腸炎 ☆気滞、湿熱がある者。
#越婢湯[1-1]《金匱要略》「麻黄6両、石膏半升、生姜3両、大棗15枚、甘草2両」以上五味、以水六升、先煮麻黄、去上沫、内諸薬、煮取三升、分温三服。悪風者、加附子一枚。風水、加朮四両。◎風水、悪風、一身悉腫、脉浮、不渇、続自汗出、無大熱、越脾湯主之。
#越脾湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》 「麻黄6g、石膏8g、大棗4g、甘草2g、生姜1g」水240を以て麻黄を煮て上沫を去り、他の諸薬を入れて再び煮て120とし、1日3回分服。◎一身悉く腫れ、喘して渇し、自汗出で悪風する者を治す。《吉益東洞》
「悪風、一身ことごとく腫る」越婢湯証◎越婢湯の証は具らず、為則之を試すに、身体腫れ発熱悪風、喘して渇し、或いは自汗、或いは無汗、或いは脚攣痛する者之を主る。若し小便不利し、身体疼痛する者は越婢加朮湯之を主り、若し咳して嘔逆する者は、越婢加半夏湯之を主る。《重校薬徴》◎陽病、一身悉く腫れ、脈浮にして、渇し、続いて自汗出で、或いは悪風する者は、大熱無きも亦越婢湯之を主どる。《医聖方格》◎此方は脾気を発越すと云うが本義にて、同じ麻黄剤なれども「麻黄湯」「大青竜湯」とは趣を異にして、大熱無く汗出ずと云うが目的なり。故に肺脹(呼吸困難を引き起こす疾患)、皮水(浮腫に同じ)等に用いる。◎傷寒、溢飲には用いない。《勿誤薬室方函口訣》◎傷寒、汗出で悪寒す。衣を近づけば則ち汗益々多く、之を去れば悪寒反って甚だし、。或いは譫語し、食せず、終に危篤に至る者、蓋し2道あり。<1>は則ち内熱熾盛、津液表に溢れる者にして、越婢湯と為す。<2>は則ち表虚して多汗なる者にして、温経益元湯と為す。《先哲医話》温経益元湯=「十全大補湯川芎附子・橘皮」姜棗糯米炒煎。◎越婢湯は風水に挟熱を治するの剤なり、「麻黄附子湯」は風水挟寒を治するの剤なり。
◎風水悪風、脉浮、自汗。◎疎風宣肺、利水。《中医処方解説》
★適応症及び病名 (越脾湯) [1]悪風[2]脚気:☆脚気初起、膝脛不仁に、痺して行く能わず、脚弱歴節、或いは屈伸能わざる者、越婢湯に宜し。《雑病翼方》☆脚気等にして、両脚水腫し、脈浮にして、渇し、尿利減少し、あるいは喘咳を発する証。《奥田謙蔵》[3]化膿性皮膚疾患:☆「フルンケル」の初起等。《奥田謙蔵》[4]関節腫痛:
☆淋毒性関節炎:「朮苓苡仁湯」 ☆下肢関節炎等。《奥田謙蔵》[5]関節水腫[6]急性腎炎[7]急性発作で風水を呈する:☆風水:脈浮、骨節疼痛し悪風する者は、水風のため激して上行するなり。故に名付けて“風水”という《雑病弁要》 [8]口渇[9]口舌乾燥[10]ジンマシン[11]自汗[12]湿疹[13]湿性肋膜炎[14]頭痛:☆偏風・頭風を治す。「蒼朮・川芎」《方読便覧》[15]腫脹[16]帯状疱疹[17]脱力感<下肢の脱力>[18]丹毒:☆丹毒には、証に由り犀角を加える。《奥田謙蔵》[19]痛風[20]疼痛[21]尿不利[22]ネフローゼ[23]発熱[24]皮膚病:(水疱性・膿疱性)[25]浮腫☆炎症性。[26]発赤[27]麻疹[28]慢性関節リウマチ[29]慢性腎炎:☆皮膚病性腎炎、及びその類似疾患。《奥田謙蔵》
#越婢湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》「麻黄9g、石膏(生)25g(打砕先煎)、生姜9g、大棗6g、甘草8g」水煎服。 ◎軽度の浮腫◎悪寒、頭痛、口渇、◎胸が暑苦しい
◎尿が濃い #越婢湯[2-1]《聖済総録》《勿誤薬室方函》 「越脾加朮附湯に同じ」◎風毒脚気、痺攣し、行歩すすまざる者。
#越婢湯[2-2]《東醫寶鑑》「麻黄3銭、蒼朮2銭、石膏・甘草各1銭」剉作1貼し「姜3、棗2」いれて水煎服。◎腰から上の浮腫で咳をし、喘満する者を治す。
#越婢湯[3]《東醫寶鑑》「石膏4銭、麻黄2銭、甘草1銭」剉作1貼し、「姜5、棗2、半夏2銭」入れて水煎服。◎肺脹。 #越婢加朮烏湯 ◎湿毒流注を治す《方読便覧》◎疔毒一身に散漫し、流注する者:「紫円」《方読便覧》◎蜈蚣螫を治す《方読便覧》◎蝮蛇螫を治す、発表して毒を散ず。《方読便覧》◎附骨疽、熱毒甚だしき者。
#越婢加朮湯[1-1]《千金方》《金匱要略》「麻黄6両、石膏半斤、生姜3両、甘草2両、白朮4両、大棗15枚」右六味、以水六升、先煮麻黄、去上沫、内諸薬、煮取三升、分温三服。悪
風加附子一枚、炮。◎治肉極、熱則身體津脱、理開、汗大泄、風氣、下焦脚弱。 ◎裏水者、一身面目黄腫、其脉沈、小便不利、故令病水、假如小便自利、此亡津液、故令渇也、越婢加朮湯主之。(水氣病脉證并治第14)
「一身面目黄腫」=1本に「黄」を「洪」に作る。からだ中、顔までひどく浮腫する #越脾加朮湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》 「麻黄6g、石膏8g、大棗4g、甘草2g、白朮4g、生姜1g」
◎越婢湯の証にして、小便不利する者を治す。《吉益東洞》 ◎一身面目黄腫し、小便少なく、渇して汗出で、その人大便く、舌黄なるは、越婢加朮湯之を主どる。《医聖方格》◎「越婢湯蒼朮4両」或いは症に随って更に茯苓・附子を加う《勿誤薬室方函口訣》◎此方は裏水とあれども、越婢湯方後に風水加朮四両とあれば、風水の誤りと知るべし。朮を加ふるものは湿邪に麻黄加朮湯を与ふと同手段なり。《勿誤薬室方函口訣》◎肉極、汗又は体表の分泌過多、脚弱、浮腫、小便不利。◎行水解表。《中医処方解説》◎鑑別:防已黄蓍湯「防已黄蓍湯の証は筋肉が軟かくて、しまりのない者を目標にし、この方は筋肉のしまりが良くて、充実したものを目標とする」《大塚敬節》
【適応症】《矢野敏夫》 咽喉がかわき浮腫または水疱が甚だしく尿量減少または頻尿の者。あるいは分泌物の多いもの。「腎炎」「ネフローゼ」「湿疹」「脚気」
【注意】《矢野敏夫》 <1>次の者には投与しないこと。 虚弱体質者 高齢者 妊婦 <2>次の患者には慎重に投与すること。
胃腸虚弱者 冷え症傾向がある者 高血圧症の者。 <3>副作用 1.消化器系症状:(食欲減退・悪心・嘔吐を起こすことがある)
2.中枢神経系症状:(発汗過多・心悸亢進・不眠・脱力感などを稀に起こすことがある) 1.甘草の注意 【ポイント】《矢野敏夫》 <1>口渇・浮腫・分泌物が多い、尿量減少を目標にするが、浮腫はいわゆる『実腫』(押してみると比較的弾力があって凹まないで元に戻る)で下半身・脚などに著明である。また「分泌物が多い」には、発汗傾向・水疱・涙が多い、あるいは皮膚ビラン状態なども含む。
<2>症状が緩和な時には五苓散料を考慮する。
【参考】《矢野敏夫》 ★桂枝湯と合方し、桂枝二越婢一湯として良く用いる。さらに附子を加えることも多い(目標は脉診による)。 ★リウマチなど膠原病に有効なことが多い。
【腹証】 ★特定の腹証なし。腹部全体に緊張が良好であれば(実)どんな腹証に使用しても差し支えない。(症状の方が重要)。胸脇苦満があっても無視する。《矢野敏夫》
★適応症及び病名 (越脾加朮湯)
[1]朝のこわばり[2]足に力が入らない[3]アトピー性皮膚炎[4]イボ[5]陰嚢水腫[6]陰部掻痒症[7]黄疸[8]悪風[9]カルブンケル
[10]潰瘍[12]角膜炎<実質炎>[13]脚気: ☆水腫性脚気にして、歩行時下肢に倦怠、痿弱、疲労感あり、頭重、口渇し、しばしば汗出で、下腿浮腫し、知覚鈍麻等ある証《奥田謙蔵》[14]化膿症[15]眼疼(眼球が赤く腫痛)☆眼球膨張、熱痛し、瞼胞腫脹し、及び爛瞼風、痒痛、羞明し、涙多き者を治す。応鐘散を兼用し、時に梅肉散或いは紫円を以て之を攻める。《類聚方広義》[16]関節炎:☆関節「ロイマチス」等。《奥田謙蔵》☆体力が充分にあって、脈にも腹にも力があり、一体に熱状のある関節炎に用いる《大塚敬節》
☆実証陽証のものに適応となり、関節痛、筋肉痛の初期で、急激に発生し、患部に腫脹、熱感、圧痛のあるものに用いる(漢方診療医典)[17]関節水腫:☆43歳女性。左側膝関節の疼痛を主訴として来院した。患者は、硬く肥満し、1回も妊娠したことがない。月経は異常なく、大便は1日1行。尿はやや頻数、舌には白苔がある。膝の痛みは、歩行時はもちろん、5分間以上坐っていると、痛みに堪えられなくなるという。医師は神経痛といい、按摩師は脂肪塊が神経を圧迫するためだと言ったという。しかしなかなか治らないという。患部を触診するに、拇指頭大の脂肪塊状のものがあって、これを圧すると痛む。私はこれに越婢加朮湯を与えたが、15日分の服用で、塊状物が消失して、疼痛も拭うようになくなった。
私はこの治験に気をよくして、結核性の膝関節炎にこの方を用い、反って疼痛が増し、食欲も減少して面目を失ったことがある。越婢加朮湯は老人や虚弱者には注意してほしい。《大塚敬節》[18]関節リウマチ:☆急性関節リウマチで、発熱して悪寒があり、のどが渇いて発汗傾向があり、小水の出が悪い者。[19]頑癬=いんきんたむし
☆諸種の皮膚病、殊に疥癬等。《奥田謙蔵》[20]汗疱状白癬[21]脚弱[22]瘧病:☆内熱熾盛し、煩渇して水を飲み、発露し、風に当たって凉を取り、邪気発泄する能わざる者、変じて水腫を為す。越婢加朮湯に宜し。《先哲医話》《華岡青州》[23]急性腎炎☆実証。☆急性腎炎、及びその類似疾患。《奥田謙蔵》[24]筋炎[25]ケロイド[26]結節性紅斑[27]結膜炎[28]口渇[29]紅肢症[30]骨髄炎[31]自汗☆大量の出汗で体液喪失。[32]湿疹:
①急性・慢性の湿疹②患部は湿潤している場合が多い。③小便の出が悪く、のどが渇く者。
[33]湿性肋膜炎[34]紫斑病:(リュウマチ性)[35]小便の出が渋る[36]神経痛[37]静脈瘤☆バリックス=varix 静脈瘤<下腿>
☆下肢の静脈瘤[38]腎炎(急・慢性)[39]心臓不全[40]舌質<紅><乾燥ぎみ> 全体に膨満気味(浮腫状)で緊張良好《矢野敏夫》 周辺紅色(熱状)、表面甘草気味《矢野敏夫》[41]舌苔<無苔~白苔~黄苔>[42]喘息:☆およそ浮腫の状況や脈状は分消湯のようで、喘咳が甚だしく呼吸が促迫する者に良い《導水瑣言》[43]ただれ目[44]タムシ[45]大便硬[46]痛風:☆発作時の鎮痛。(発作に頓服、浮腫あり)☆発熱して悪寒、のど渇いて、発汗、小水少ない者。☆発表を先務と為す。越婢加朮湯に宜し。最後は下剤を与うる佳と為す。神祐丸に宜し。此の証、水毒を泄下せざれば則ち全効なし。☆発熱悪寒し、頭痛、骨節流注疼痛する者、後世名付けて痛風と曰う。又痛劇しく、節疼痛し、虎の咬む如き者、名付けて白虎病と曰う。
☆発作のときばかりでなく、平素から越婢加朮湯を飲んでいると、発作を予防する効がある。しかし、体質が虚弱で、胃腸の弱い人は、食欲が無くなったり、疲労倦怠を訴えるものがある(漢方診療医典)[47]手足の疼痛
[48]なみだ目[49]なみだが出やすい☆21歳の未婚の婦人。訳もなく、ただ涙が流れ、人の前に出るもの恥ずかしいといって来院した。初診は昭和27年11/29。
私と対談しているときも、涙がポロポロとこぼれる。いままで大学病院の眼科にかかり、遠視と結膜炎が有ると云われて手当を受け、眼鏡も新調したが、やはり涙の流れるのは同じだと云う。なお流涙の他に、口渇と不眠があり、下痢しやすい。しかし便秘すると気持が悪いので、下痢は気にならないという。野菜と魚肉が嫌いで、甘味を好む。月経は正常である。
涙の流れるのは、風邪の時や、冷たい風に当たった時が、特にひどい。したがって夏より冬が悪いと云う。 私はこれに越婢加朮湯10日分を与えたが、これを飲むと、涙の出るのが減るようだという。そこで10日あて与えて、経過をみることにした。1ヶ月ほどたつと、涙の出ない日が多くなった。しかし翌年の正月に薬を10日ほど休んだ時は、また少し後戻りする傾向があった。そこで、たまには休むことはあったが、10ヶ月ほど服薬して、ほとんど、涙を流すこととはなくなった。《大塚敬節》[50]難産:☆妊娠末期に浮腫がひどくて坐することも出来ないという婦人に、越婢加朮湯を用いたところ、2、3日で浮腫が去るとともに。分娩が始まり無事に女子が生まれた《大塚敬節》[51]肉極
[52]乳腺炎[53]尿量減少(尿不利)[54]寝小便[55]ネフローゼ [56]バセドウ病 [57]鼻の先端が黄色い [58]鼻ポリープ
[59]煩渇[60]半身不随:☆半身不随等にして、手足の屈伸自由ならず、尿利著しく減少し、自汗あり、渇して頻りに水を欲する証。《奥田謙蔵》 [61]皮下膿瘍[62]皮膚炎<潰瘍性>
[63]皮膚の知覚異常[64]光がまぶしい[65]肥満(贅肉)[66]疽(ひょうそ)[67]鼻涙菅狭窄 ☆本方の条文に汗が流れ出るという文章がある。これを涙が出るということに転用して用いることがある。分泌物があって、ただれて汚く見える。また結膜には異常がなくて当帰に風に当たると流涙が止まらないという者によい。脈は沈で水毒のある水太りの人によい。
大塚氏は21歳の婦人が、ワケもなくただ涙が流れ人前に出られないといい、対談中も涙がボロボロこぼれている。眼科では結膜炎というが、冷たい風に当たるとひどく、なるよりとくに冬に激しい、口が渇いて不眠症があり、下痢しやすいという人が、本方を1ヵ月飲んで涙の出ない日が多くなり、10ヵ月飲んでほとんど治って結婚したと報告(漢方診療医典)
[68]浮腫 ☆身体がむくんで、脈沈で小便が出ない者。《大塚敬節》☆浮腫を伴う種々の疾患に。☆実腫に用いる方剤《大塚敬節》☆妊娠9ヶ月の婦人で、下半身の浮腫がひどくて、坐れないという者に、この方を用いたとこと、2、3日で浮腫がとれるとともに、分娩が始まった。麻黄剤を妊婦の浮腫に用いると流産することがあると古人も述べている。《大塚敬節》☆小青竜湯、大青竜湯。麻黄連赤小豆湯、続命湯などの麻黄剤を用いる浮腫は実腫で喘鳴、咳嗽を伴う者に良い《大塚敬節》☆咳喘癒えず、小便次第に少なくなり、ついに腫満をなす者には、大小の青竜湯、麻杏甘石湯、厚朴麻黄湯などを与えるが良い。《証治摘要》[69]フルンケル[70]変形性関節炎[71]扁桃炎[72]麻痺☆下肢のマヒに。
[73]慢性関節リウマチ:☆発熱し、口渇があり、その部分or全体に浮腫があって痛む者。☆体力あり、脈・腹ともに力あり、口渇、多汗の者。[74]慢性腎炎:☆実証の者。☆皮膚病性腎炎等《奥田謙蔵》[75]水虫[76]目がかゆい[77]目の充血
[78]夜尿症 [79]腰脚無力 [80]翼状片(目頭に肉が出てきて腫れる) [81]緑内障 ☆角膜の混濁があり、充血、頭痛などがあり、前駆症状と思われるときや刺激症状が比較的軽い時に用いる(漢方診療医典)
#越脾加朮附湯 「越脾加朮湯附子1.0g」《龍野一雄》◎《張路玉》曰く、風毒脚気、湿壅最も甚だし、附子の大力を籍りるに非ざれば、以て之を開く無し。今、朮附を以て越婢湯中に彙入す。
◎越婢加朮湯に附子を加えて、越婢加朮附湯と名く。水腫、身熱、悪寒し、骨折疼重し、或いは痺し、渇して小便不利の者を治す。賓丸、仲呂丸等を兼用す。心下痞満し、或いは腹満し、或いは塊有り、大便通ぜざる者は、陥胸丸、大承気湯等を兼用す。又諸瘍久しきを経て流注状を為す者、及び破傷湿と称する者を治す。又疥癬内攻し、一身洪腫し、短気、喘鳴し、咽乾口渇し、二便通ぜず、虚里の動、怒濤の如き者を治す。更に反鼻を加えれば効尤も勝る。当に仲呂丸、紫円、走馬湯等を以て之を下すべし。又風湿、痛風(ロイマチスなど)、身熱、悪寒し、走注、腫起し、或いは熱痛し、小便利せずして渇する者を治す。賓丸を兼用す。《類聚方広義》
★適応症及び病名(越脾加朮附湯) [1]アトピー性皮膚炎[2]角膜炎:☆眼腫、臥蚕の如き者《方読便覧》[3]結膜炎[4]下肢の疼痛:☆風痺脚弱を治す。[5]口渇[6]歯根炎[7]腫瘍:☆乳疾初起、熱腫甚だし《方読便覧》☆流注状を見す者は、何の因を論せず、越婢加朮湯を与えて可なり。《先哲医話》[8]腎炎(急性・慢性)[9]水疱[10]手足冷たい[11]尿不利[12]冷えると増悪(寒冷で悪化)[13]皮膚枯燥[14]皮膚掻痒感[15]浮腫[16]ポリープ<鼻の>[17]慢性関節リウマチ[18]慢性湿疹<頑固で難治>
[19]夜間排尿 [20]翼状片 #越婢加半夏湯[1-1]《金匱要略》「麻黄6両、石膏半斤、生姜3両、大棗15枚、甘草2両、半夏半升」右六味、以水六升先煮舞おう、去上沫、内諸薬、煮取三升、分温三服。◎而上気、此為肺脹、其人喘、目如脱状、脉浮大者、越婢加半夏湯主之。
#越脾加半夏湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「麻黄6g、石膏8g、大棗4g、甘草2g、半夏8g、生姜1g」◎越婢湯証にして嘔逆する者を治す。《吉益東洞》 ◎此方は肺脹を主とす。その症、して上気、喘ありて気急し、甚だ支飲に似たり。
<1>然れども支飲の喘は初め胸痛あるいは手足厥冷して気急し、側臥すること能わず、<2>肺脹の上気は熱勢強く、卒に発し目脱するが如き状あり、然れども側臥し難きに非ず。◎して嘔逆し、発熱し、その人微喘し、目、脱する状の如く、大に浮腫し、脈浮大なる者は、越婢加半夏湯之を主どる。《医聖方格》
◎咳喘上気、脉浮大、目脱状の如き者。◎咳が出て、呼吸困難があって、眼が腫れたようになり脈が浮大であるというのが、この方を用いる目標である《大塚敬節》
★適応症及び病名(越婢加半夏湯) [1]息切れ[2]喀痰:<濃厚>[3]顔面の浮腫[4]急性気管支炎☆感冒・気管支炎などで、激しく連続的に咳き込み、嘔吐する者。☆気管支炎等にして、口渇あり、喀痰粘稠にして、咽喉に粘着する感を訴える証。《奥田謙蔵》☆気管支炎等にして、咳嗽発作時眼球突出せるの観あり、頚部の静脈怒張し、冷汗を出す証。《奥田謙蔵》[5]口渇[6]ジフテリア:☆ジフテリア及びその類似疾患。《奥田謙蔵》[7]ジンマシン:☆喘息発作のたびにジンマシンの出る少年を診たことがある。この患者には、越婢加半夏湯を用いたところ、喘息が治まると共に、ジンマシンも出なくなった《大塚敬節》[8]自汗
[9]咳<激しい>[10]喘咳<激しい>☆顔を真っ赤に咳き込み、眼球が飛び出しそうな激しい咳。☆まぶたや顔面に浮腫がある者。 ☆《医宗必読》に云う、一令愛、久しく喘じて咳す。凡そ順気・化痰・清金・降化の剤、幾千遍すれど、かって絶えて効を取らず。一日喘甚だしく煩躁す。余、その目は則ち脹出し、鼻は則ち鼓扇し、脈浮にして且つ大なるを視て、肺脹疑い無し、遂に此を以て之に投ず、一剤にして減じ、再剤にして癒ゆ。《雑病翼方》[11]喘息:☆哮喘《方読便覧》☆喘息、日を経て癒えず、脈浮大にしてやや力ある証。《奥田謙蔵》[12]肺炎:☆小児の肺炎にして、高熱あり、口渇、煩躁劇しく、口唇共に乾燥し、咳嗽頻発する証。《奥田謙蔵》[13]尿不利[14]煩躁[15]百日咳[16]ほてり[17]翼状片:☆初期に奇効を示す《知新堂方選》
#延烏二陳湯 「延胡索・烏薬・香附子・縮砂・陳皮・甘草」
#延経散 =「延経期方」 ◎浅田方函の延経散には「紫檀・滑石」なし。 #延経期方[1-1]《方輿》「続断・蒲黄(炒)・枳殻・括楼仁・紫檀・滑石各3,0」◎月経を延期させる処方。
#延経期方[1-2]《周方堂蔵方》《漢方後世要方解説》「続断・蒲黄・枳殻・瓜呂仁・紫檀・滑石各3.0」◎此方暫く経期を延ばす方なり。方書にも見あたらず、且つ医家必用の剤に非らざれども、稀異の薬なるを以て録して子姪の聞見を広む。周方堂蔵方なり《方輿輗》
◎此方は《方輿輗-婦人経閉門》に続方として紹介されている。月経を延期させる経験方であるが、筆者は一処女の海水浴に赴く前6日間これを与えて経期を4日間延期させたことがあるので参考として掲げた。
◎方意、薬能推察し難し「続断」=本草経では乳難(難産)に使う「蒲公」=止血、収斂、利尿の効あり。「枳殻」=芳香健胃、気を破りめぐらす。「瓜呂」=止血、鎮咳、鎮痛「紫檀」=止血、鎮痛、健胃「滑石」=乳難、消炎、利尿
#延胡索散[1]《婦人大全良法》 「延胡索・当帰・川芎・桂心各30g、木香・枳穀・赤芍・桃仁各20g、熟地黄40gに生姜3片を加え煎服」 #延胡索散[2]《中薬臨床応用》「延胡索6g、当帰9g、蒲黄(炒)3g、川芎5g、乳香6g、没薬6g、肉桂3g(
服)」水煎服。◎月経痛。 #延寿屠蘇散《備急千金要方》《本草綱目》「白朮・桔梗・山椒・防風・肉桂・大黄」白朮を蒼朮に。又「赤小豆・烏頭・薐葜」を加える。◎肉桂はニッケイの根皮を使用した。《実用漢方処方集》◎中国では早くすたれたが、日本では宮中行事から民間に広がった。近世になって曲直瀬玄朔が、毒性の強い薬を抜いて、五味~六味としたのが今に続いている。(宗田一著「健康と病の民族誌」)
#延年半夏湯[1-1]《外台秘要方》《漢方後世要方解説》「半夏5、桔梗・前胡・別甲・檳榔各3、生姜・人参各2、枳実・呉茱萸各1」◎此方は痃癖の主方と云われ、胸中の痰を去り、痞堅を和ぐる剤である。その症状は左胸脇の下より肩背にかけて強く牽引して痛むもので、胸苦しく呼吸促迫する。心下部硬く緊張する。「枳実」=痰を除き、積を破り、痰を化す。「檳榔」=気を破り、痰を去り、水を逐う「半夏」=湿を燥し、脾を健にす。「前胡」=痰を消し、痞悶を治す「桔梗」=諸薬を載せて上升し、胸壅を開利す「別甲」=痰を散し、腫を消し、痞を去る「呉茱萸」=疝気を調和し、寒を去る
◎鑑別: 胸背より腹中に拘急するは「柴胡別甲湯」痰心下にあって痛み、腰背に遊走するは「枳縮二陳湯」胸脇より肩背に引っ張り痛む者によいのが「延年半夏湯」。
#延年半夏湯[1-2]《外台秘要方》《勿誤薬室方函》 「半夏・柴胡・鼈甲各3両、桔梗・呉茱萸・枳実各2両、檳榔14枚、人参1両、生姜4両」◎腹内左肋に痃癖あり、硬急、気満し、食する能わず、胸背の痛むを主る。◎此方は痃癖の主方とす。《勿誤薬室方函口訣》◎腹内から左肋胸背にかけての牽引痛、胸満気急《龍野ー漢方処方集》◎延年半夏湯は左側の脇肋にある可視または不可視の塊りがもとで、腹内の硬急や項背背に筋肉の攣急があり、胸背痛み、気満して食することが出来ない者を主治すと考えられると、細野史郎氏は、《外台秘要方》の延年半夏湯の主治を現代風に訳してから、これを用いる目標を次のように要約している。
臨床的観察から、延年半夏湯の奏功者の呈する症状をその頻度の順に列記すると次の如くなる。 ①胃症状が自他覚的のいずれかに必ず証明される。自覚的に胃症状を欠く場合でも、立位における心部圧痛、左側背痛を必ず証明すること。
②左肩凝り。自他覚的いずれかに証明される。③足冷④左季肋部~左乳房下部の疼痛または疼痛に近い感じ(例えば張った様な感じ) 等がもっとも重要な症状であって、その他、便秘の傾向や、左側に強く現れる傾向の腹筋緊張、更に脈・舌・腹力などより推定して体力的にやや消衰状態にあることなどが参考症状たりうる。
これを《外台秘要方》に本方の主治症としている「腹内左肋痃癖硬急」「気満食する能はず」「胸背痛む」の諸点と比較すると、外台に云う如く症状が左側優位に現れた。それがたとえ自覚されぬ場合でも他覚的に証明されることを立証し得た。
「胸背痛」は。われわれの観察では、季肋部、乳房下部及び背部に証明され、これも左側に多く証明される。 ★適応症及び病名(延年半夏湯) [1]足が冷える[2]胃アトニー[3]胃液分泌過多症[4]胃潰瘍[5]胃十二指腸潰瘍[6]黄疸:
☆黄疸で心下及び脇下の硬結ある:「鍼砂」。[7]嘔吐[8]黄胖:(鈎虫症などによる貧血)☆「平胃散」と上下の別あり。《勿誤薬室方函口訣》「延年半夏湯」は病上に位して胸満気急するを目的とす。「平胃散」は病膈下にありて気急の症無し。[9]悪心[10]過食症[11]肩こり ①胃の具合が悪い人が多い。
②左の肩が凝りやすい。 ③足が冷えると訴える。 ④左の季肋部にかたまりがあったり、違和感がある。 ⑤立たせると、背部の左側に痛みがある。 ⑥便秘傾向。 ⑦胃切除後の肩こり。☆私は、左の肩が凝る患者で、仰臥位または立位で心下部に圧痛を訴え、足が冷えるという者に用いている《大塚敬節》[12]狭心症:☆類似する症状[13]胸痛<左の胸>[14]胸膜炎の一症:《矢数道明》[15]拒食症[16]肩背強急<左の>☆婦人肩背強急する者は多く痃癖の為す所に係る《先哲医話》
[17]痃癖:☆《和田東郭》の説の通り、呉茱萸は左部に在る痃癖に最も効あり。又、脇肋の下より肩背に強く牽急する者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》☆痃癖にても胸背より腹中に及んで拘急する者は、「柴胡鼈甲湯」《外台秘要方》を宜しとす。[18]上腹部振水音[19]食欲不振<神経性>[20]心下痞[21]心下部の疼痛[22]心下部の膨満感・停滞感[23]神経性胃炎[24]衰弱[25]膵臓炎の一症:《矢数道明》[26]脱力感[27]疲労倦怠[28]貧血[29]慢性胃炎:
☆立位時にみずおちが痛み、(左)肩こりと圧痛、足の冷えがあり、(左)腹直筋が緊張する者。[30]慢性膵臓炎[31]慢性肋膜炎[32]羸痩[33]肋間神経痛
#延年護命丹《東醫寶鑑》「大黄10両(半分は生で、半分は醋に漬け、切って焙って乾燥)、牽牛子1両、莪朮・三稜・芫花・鼈甲(醋炙)各5銭、陳皮2銭半を芫花と醋浸して1晩おき、焙って乾かし、没薬・乳香・軽粉⇒水銀粉各1銭を粉末にし、蜜で混ぜ、毎回1両を4丸に分作して1丸づつ細かく噛んで、温水で就寝時に飲み下すと、翌朝には悪物が出る。」
#延年益寿不老丹《東醫寶鑑》「何首烏(赤)4両、何首烏(白)4両を、洗い桶に入れて竹刀で皮を剥き、切って黒豆を煎じた汁に漬けて陰干しし、甘草汁をまぜて作る。この後地骨皮(酒洗乾燥)・白茯苓(酒洗干)各5両、生乾地黄(酒浸して日光に晒す)・熟地黄(酒洗し日光に晒す)・天門冬(半日酒浸し晒し干す)・麦門冬(酒浸し一昼夜乾燥)・人参各3両を粉末にし、蜜で丸剤。温酒で30~50丸飲む。
◎養生と長寿に。
#延令固本丹《東醫寶鑑》「兎絲子(酒洗)・肉蓯蓉(酒洗)各4両、天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄・熟地黄酒・山薬・牛膝(酒洗)・杜仲(姜汁炒)・巴戟(酒浸去心)・枸杞子・山茱萸(酒浸去核)・白茯苓・五味子・人参・柏子仁各2両、覆盆子・車前子・地骨皮各1両半、石菖蒲・川椒・遠志・甘草(水浸姜汁)・沢瀉(炒)各1両」を細末にして、酒で煮た希麺糊で丸剤。空腹時に80丸づつ飲む。婦人は当帰・赤石脂各1両を加える。
◎中年の精力減退と50才前後の白髪に飲むと、精力はつき、顔色は若者のよう に若返る。3ヶ月もたつと白髪は黒くなり、常用すると気は衰えず、身体は軽く健康になる。
#延齢丹[1-1]《一渓》 「桂枝・縮砂・丁香・沈香・辰砂各30.0、蓽撥・白檀各3.0、木香・桔梗・乳香・訶子各14.0、甘草18.0、麝香6.0、竜脳5.0」細末にし蜂蜜に和して 舐剤とする。1回量0.5。◎眩暈悶絶、心腹急迫。
#延齢丹[1-2]《牛山方考》「沈香・肉桂・砂仁・辰砂・甘草各5分、木香・白檀・乳香・桔梗・蓽撥各3匁、麝香1匁、竜脳8分」◎東井翁の家伝の秘方也。◎一切の気付け、痰切り、種々の急証、咽喉不利、口噤して薬が入らない者に、歯にすり塗れば必ず甦る。
#塩朮散 「蒼朮4両を切って青塩1両と黄色くなるまで炒ったら、塩を捨て木賊2両を童便でつくり、作末して1銭を熱い水に1日2~3回づつ調下する。」◎内外障を治す。
#塩礬散《東醫寶鑑》「塩化・明礬」粉末にし、箸で患部に塗布。 ◎上顎の腫が下にたれ、咽喉をふせぐ症。
#鉛丹散[1-1]《外台秘要方》「鉛丹・胡粉各2,0、括楼根・甘草各10.0、沢瀉・石膏・白石脂・赤石脂各5.0」細末にし1回1,0服用。
#鉛丹散[1-2]《方輿》「鉛丹2分(熬別研)、括楼根・甘草(炙)各10分、胡粉2分(熬研)、沢瀉・石膏・白石脂・赤石脂各5分」◎治消渇、止小便数兼消中。
#淵然真人奪命丹(一名飛竜奪命丹)《東醫寶鑑》「雄黄3銭、蟾酥・乳香・没薬・銅緑各2銭、血竭・胆礬・寒水石各1銭、軽粉⇒水銀粉・麝香・竜脳各半銭、蝸牛21、連穀用、蜈蚣1条を粉末にし、蝸牛を粘土のように搗いて緑豆大の丸剤。朱砂末2銭で衣をし、毎回2丸を服するが、先に葱白3寸をかじって吐いて、男は左り、女は右の手のひらの受けて、丸薬を葱内に入れ熱酒で34杯送下し、布団をかぶって、しばらくしたら、又熱酒数杯を呑むと発熱し、汗が出るのを限度とする。
#掩臍法[1]《東醫寶鑑》 「田螺2個・麝香少し」かき混ぜて、臍につめて包帯しておく。 ◎噤口痢の熱を冷ます。
#掩臍法[2]《東醫寶鑑》「甘遂末」を水で濾して臍の下に塗り、「甘草節」煎じた湯を飲んで臍の下まで降ろすようにすると、は自ずと下がって小便が出る。◎転症に。
#嚥津服水法《備急千金要方》《東醫寶鑑》「口をつぐみ、舌で上下の歯をなめて、津液を1日260回飲み込むとよい。そしてだんだん回数を増やして1000回までやると、おのずとひもじくなくなる。はじめの3~5日は疲れるが、これを過ぎと身体の自由が効くようになる。もし水のある所だと、左手で水をすくって握り呪文[丞椽吏之賜真之粮正赤黄、行無過城下諸医以自防]を唱えた後、3回歯をかみ合わせ、右の指を3回たたき、左も同様に3回して水を飲む。器があったら、水をその器に入れてやると良い。このように1日3升飲むと飢えない。」
◎飢えて死にかかったとき。
#王氏清暑益気湯《温熱経緯》「西洋参4.5、西瓜皮30、蓮梗15、黄連3、石斛・麦門冬各9、竹葉・知母・甘草各6、粳米15」水煎服。◎清暑益気、養陰生津。
#王氏連朴飲《王孟英》 「川楝子・山梔子・半夏・鮮菖蒲・枳実・川厚朴・豆豉・蘆根・滑石・黄芩」水煎服。
#王道無憂散《万病回春》《古今方彙》=「開結潤燥湯」《厳氏済生方》 「赤茯苓・砂仁・枳実・香附子・烏薬・陳皮・半夏・藿香・檳榔子・猪苓・木通・天門冬・黄柏(人乳炒)・黄芩(炒)・知母(人乳炒)・生地黄・川芎・白芍薬(炒)・当帰各8分、赤芍薬5分、百九怵白茯苓各1銭2分、甘草3分」水煎温服。
◎気血虚し而して反胃膈噎する者を治す。 #王不留行散《金匱要略》《龍野一雄》「王不留行10g、蒴藋細葉10g、桑白皮10g、甘草18g、川椒3g、黄芩・乾姜・芍薬・厚朴各2g」桑白皮までの3薬を黒薬のし、上記の割合に混ぜ、1回量2gを内服、又は瘡面に撤布する。
◎外傷・打撲。
#王不留行湯《備急千金要方》「王不留行、桃枝、茱萸根皮、蛇床子、牡荊子、苦竹葉、蒺藜子、大麻子」 #王鑰匙(おうやくし)《東醫寶鑑》「焔硝7銭半、硼砂2銭半、白蚕1銭2分半、竜脳少々」作末し竹管で半銭を喉中に吹き入れる。◎急喉閉・纒喉風を治す。
#王屑無憂散(おうせつむゆうさん)《東醫寶鑑》「寒水石(煆)・硼砂各2銭、玄参・貫家・滑石・縮砂・山豆根・黄連・甘草・赤茯苓・荊芥穂各5銭」作末し毎回1銭を口に入れて水を飲む。
◎骨子などが咽喉につかえて降りないとき。 #黄瓜蔞丸《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・半夏(麺炒)各等分」粉末にし、瓜蔞汁で梧子大の丸剤。姜汁竹瀝で30~50丸服用。
◎食積痰を治す。
#黄蓍益気湯[1-1]《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)1銭、人参・白朮・半夏(製)・陳皮各7分、当帰(酒洗)・川芎・藁本・甘草各5分、黄柏(酒炒)・升麻・細辛各5分、姜3・棗2」水煎服。
◎気虚頭痛を治す。◎耳鳴り、肛門の痛み。
#黄蓍益気湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・陳皮・半夏・当帰・藁本・甘草(炙)各5分、升麻・細辛・黄柏(酒)各3分、生姜、大棗」水煎。
◎頭痛にて右に偏する者は痰と気虚に属するなり。 #黄蓍益損湯《医学入門》《古今方彙》「官桂・熟地黄・半夏・甘草・木香各3分、石斛・当帰・川芎・黄蓍・白朮各1銭、白芍薬1銭半、五味子5分、生姜、大棗」煎服。
◎熱あれば:「柴胡」 #黄蓍丸《東醫寶鑑》「黄蓍1両、白蒺藜(炒)・羗活各5銭、炮附子(大)1個、羯羊腎1対」焙って乾燥させ、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に葱塩湯で30~50丸呑む。
◎耳鳴り。寝ると鐘の音が聞こえる者。 #黄蓍桂枝五物湯[1-1] 《金匱要略》「黄蓍3両、芍薬3両、桂枝3両、生姜6両、大棗12枚」右五味、以水六升、煮取二升、温服七合、日三服。◎血痺、陰陽倶微、寸口關上微、尺中小緊、外證身體不仁、如風痺状、黄蓍桂枝五物湯主之。
#黄蓍桂枝五物湯[1-2]《金匱要略》《中薬臨床応用》「黄蓍15g、白芍薬9g、桂枝6g、生姜9g、大棗6g」水煎服◎関節炎◎肩関節周囲炎 #黄蓍桂枝五物湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》「黄蓍・芍薬・桂枝・大棗各3g、生姜6g」水240を80に煮詰め、1日3分服。◎血痺、身体不仁。◎黄蓍桂枝五物湯の証に身体不仁と曰う。是も亦肌表の水なり、為則按ずるに、仲景氏は不仁を治するに、そのある所に随うと雖も処方は同じからず、而してその薬の如きは則ち皆治水の剤なり。然らば則ち不仁するは是れ水なり。故に小腹不仁、小便不利する者は八味丸を用うる時は則ち小便快利し不仁立ちどころに治す。是れ不仁するは水なり。《類聚方広義》
★適応症及び病名(黄蓍桂枝五物湯) [1]運動麻痺[2]脚気:☆下肢の知覚鈍麻を主訴とする脚気に用いて著効《大塚敬節》☆“患者は30歳あまりの色の白い肥満した婦人で、1ヶ月ほど前から下肢がシビレ、着物のすそが足にふれるのが、何とも嫌な感じであるという。その他には何の異常もない。医師は脚気と診断して、ビタミンB1を多量に与えたが効かないという。私も脚気であろうと診断したが、色が白くて肥満した素封家の婦人であるから、《金匱要略》に血痺の病は尊栄の人が罹るという点を考慮してこの方を与えたことろ、たった8日の服用で全治した。”《大塚敬節》[3]顔面神経麻痺黄蓍桂枝五物湯は、色の白い水太りの婦人の顔面神経麻痺に効がある。またこのような患者には神効黄蓍湯を用いて著効をえたことがある[4]気の上衝<+>[5]寒がり[6]自汗[7]湿疹:☆(うすい分泌液)☆36歳の婦人。1ヶ月ほど前から皮膚が痒くてたまらないという。肉眼的には、全く皮膚に異常を認めない。患者は小太りで、色白、きれいな皮膚をしている。
診察したところ、別につかまえどころがない。このような場合に、《村井琴山》は桂麻各半湯や大青竜湯を用いている。そこで、私は桂麻各半湯を試みることにした。ところがこれを飲むと、全身が温まって、汗が出て、却ってカユミが強くなると云う。瞑眩であろうと考えて、10日間ほど連用したが、思うように効かない。
1日、患者が云うのに、一番かゆいのは、下腹部で、臍以下は、全体に皮膚が少し厚くなっているようで、ほかの部分と感覚がと違うと云う。そこで急に思いついて、黄蓍桂枝五物湯を与えた。この処方は、前年脚気からきた知覚麻痺に用いて良く効いたことがあり、今度の患者も知覚麻痺があるから、それから思いついたのであった。
さて、この患者は、これを5日分飲んだだけで、全くカユミが陰を潜め、それきり良くなった。ところが、不思議なことに、これを3日分飲んだ時、いままで見たこともない白い虫が肛門から数匹這いだして来たと云う。その形状をきくと蟯虫である。蟯虫が夜間肛門から這いだして、そのために、カユミを訴えていたにしては、痒い場所があまりに広すぎるから、蟯虫のためとも考えられないが、不思議なことである。
この方を用いたのは、汗が多く、汗が出ると症状が悪化すると言う点と皮膚が厚くなったように感ずるというのを目標にした。色が白くて皮膚が軟らかいのも、黄蓍の入った薬方を用いる1つの目標になる。《大塚敬節》[8]心悸亢進[9]頭重[10]脊髄症[11]知覚異常:☆知覚低下☆知覚鈍麻
☆知覚麻痺☆<ピリピリ・しびれ> ☆これは中風に似て、体のシビレる者を目的に用いる。シビレなければ用いない。この方は間抜けのしたようなほうであるけれども、シビレのある症に用いると、ことのほか奇効がある。古方というものは妙なもので、手足の麻痺あるいは身體に及び或いは手足が麻痺して半身不随になっても、この方はよく効くものである・《有持桂里》[15]搐搦[16]中耳炎[17]盗汗[18]尿不利[19]妊娠中毒症[20]半身不随
[21]皮膚 <色白・きめ細かな肌>[22]皮膚掻痒症 [23]肥満ぎみ[24]疲労倦怠[25]片麻痺 [26]まぶたが腫れる(眼瞼浮腫)[27]耳鳴り
[28]無気力[29]憂鬱(抑鬱気分) [30]肋間神経痛 #黄蓍桂枝五物湯加味《中薬臨床応用》「黄蓍15g、桂枝6g、秦艽6g、姜黄5g、当帰6g、白芍薬6g、生姜6g、大棗6g」水煎服。◎風湿による痺痛◎肩関節周囲炎
#黄蓍建中湯[1-1]《金匱要略》「於小建中湯内、加黄蓍1両半、餘依上法。」氣短胸満者加生姜。腹満者去棗加茯苓一両半。及療虚損不足、補氣、加半夏三両。」◎虚労裏急、諸不足、黄蓍建中湯主之。
【鑑別】 ①小建中湯 (虚労・やや虚・去寒剤) ②当帰建中湯(虚労・貧血(やや甚)・婦人下腹部激痛・補益剤) #黄蓍建中湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「黄蓍1.5g、桂枝・大棗・甘草各3g、芍薬6g、水飴20g、干姜1g」
水280を120に煮詰め、滓を去り、水飴を加え、1日3分服。「小建中湯黄蓍」◎小建中湯の証にして、盗汗、自汗ある者を治す《吉益東洞》◎諸病、裏急し、自汗、盗汗し、面体に色少なく、身重く、皮膚、骨肉、或いは腰背拘急する者は、黄蓍建中湯之を主どる。《医聖方格》◎此方は小建中湯の中気不足、腹裏拘急を主として、諸虚不足を帯びる故、黄蓍を加えるなり。仲景の黄蓍は、表托、止汗、去水の用とす。此方も外体の不足を目的とする者と知るべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は虚労の症、腹皮背に貼し、熱無く咳する者に用いると雖も、あるいは微熱ある者。或いは汗出ずる者、汗無き者、ともに用いるべいし。《勿誤薬室方函口訣》
◎虚労裏急諸不足、或いは自汗盗汗体表の分泌物。◎虚労性疾患◎補気固表、緩急止痛、温中補虚。《中医処方解説》◎小建中湯、当帰建中湯、黄蓍建中湯、蓍帰建中湯などは腹直筋の拘急がひどくて、歩行困難、または歩行不能の者に用いて時に著効を得ることがある。その際疼痛のある場合があり、知覚麻痺を伴うこともある。《大塚敬節》◎腹直筋が軟弱無力のこともある《大塚敬節》◎下腿潰瘍、手術後肉芽の発生が悪い者。諸種の化膿性腫れ物の自潰後、稀薄な膿が流れて、よい肉芽がみられないような者に用いる。《華岡青州》はこれに当帰を加えて帰蓍建中湯として用いた。《大塚敬節》
#黄蓍建中湯[1-3]《金匱要略》《中薬臨床応用》「黄蓍18g、桂枝6g、白芍薬12g、甘草(炙)6g、生姜6g、大棗9g、膠飴30g(溶解)」水煎服。
◎胃十二指腸潰瘍。 ★適応症及び病名(黄蓍建中湯) [1]アレルギー性鼻炎[2]息切れ[3]癮疹:☆皮膚が乾燥、項背がこる。《腹証奇覧翼》[4]栄養不良性貧血[5]黄汗:☆黄疸で黄色い汗、食欲がない。《古家方則》[6]カリエス☆稀薄な分泌物が多量に出る者。[7]潰瘍:☆虚証、分泌物<多量・薄い>[8]顔色が悪い:☆<貧血状>[9]脚気:☆産後の脚気当にして、骨立羸痩し、常に身体、四肢に冷感ある証。《奥田謙蔵》[10]かぜ(咳嗽がひどい) [11]からだが痛い:☆湿に傷つき鼻塞身疼するを治す。☆血刺身痛:「川芎・当帰」《仁斎直指方》[12]下腹部の脹痛[13]気管支喘息[14]虚弱児の衰弱
☆滲出性体質の幼児に用いて体質を改善する効がある。飲んでいると、筋肉のしまりが良くなり、風邪を引かなくなります(漢方診療医典) [15]頸部リンパ腺結核
[16]結核性腹膜炎:☆(腹満腹痛する)[17]口唇乾燥[18]骨疽=附骨疽=骨壊疽: [19]自汗(全身虚弱で)[20]四肢冷感[21]小児ー虚弱児[22]食欲減退[23]褥瘡
[24]痔瘻:☆痔瘻、或いは諸種の腫瘍膿潰して後、所謂虚熱を発し、自汗、盗汗等有る証には:「当帰」。《奥田謙蔵》[25]心悸亢進[26]心臓弁膜症[27]神経症:☆黄蓍建中湯の他に小建中湯、附子理中湯なども神経症に用いることがあり、白虎湯、風引湯などを精神異常を呈する者に用いることがある。《大塚敬節》
[28 ]臍炎:☆虚証、分泌物<多量・色薄い> [29 ]喘鳴:☆腎経虚寒、咳嗽痰唾し、面色黒、少腹動気、痛をなすを治す。「半夏・乾姜・五味子」《雑病翼方》
[30]多汗[31]脱力感:☆肺虚損不足を療し、気を補う:「半夏」《雑病論識》 [32 ]中耳炎☆稀薄な分泌液がたくさん出る者 [33 ]疲れやすい:<+++>[34
]できもの:☆気体虚弱の人、背瘡頸疽を患い、痛痒を知らざるを治す。瘡勢作らざれば急に擬しく此を服し、以て血を生じ膿を潰ゆるべし。熱ある者服すべからず。:「附子」《袖珍》 [35
]盗汗:☆傷差ゆる後、虚脱し盗汗出る者《雑病翼方》[36 ]内傷発斑:☆(手足に蚊に刺された様な発疹、発病時に頭痛・身熱がない)[37]尿路結石☆腎石、膀胱結石で、尿が快通せず、排尿時に堪えがたいほどの激しい痛みを訴える者に用いる。《大塚敬節》[38
]肉芽形成不全:☆手術後肉芽の発生が悪い者。諸種の化膿性腫れ物の自潰後、稀薄な膿が流れて、よい肉芽がみられないような者に用いる。《大塚敬節》☆肉芽の発生を良くし、瘡口の癒合を促進せしめる目的で損傷後に潰瘍となった者。瘡口の癒合がはかばかしくない者などに用いる。この時に伯州散を兼用したり、紫雲膏を塗布したりする。《大塚敬節》☆「当帰」《大塚敬節》
[39]肺気腫:☆息切れする:「人参半夏湯」[40]肺結核:☆<軽>☆「人参」☆気短胸満:「干姜0.5g」《龍野ー漢方処方集》 ☆腹満には:「茯苓1.5g、大棗」《龍野ー漢方処方集》
☆肺虚損不足には:「半夏3.0g」《龍野ー漢方処方集》[41]皮膚潰瘍 [42]鼻炎・鼻カタル [43]脾腎泄=五更瀉[44]病後の衰弱[45]疲労倦怠感<+++>☆「人参2.0g」《龍野ー漢方処方集》[46]貧血:☆諸種の貧血性疾患にして、自汗或いは盗汗当ある証。《奥田謙蔵》
[47]腹痛 :☆<激しい>[48]不定熱(不明熱)[49]勃起不全:☆事に臨んで起たない:「当帰。人参」《雑病翼方》 「50」麻疹 ☆盗汗、皮膚緊張低下。軟便、食欲不振などを目標に用いる(漢方診療医典)[51]慢性潰瘍[52]慢性肝炎
[53]慢性化膿性疾患[54]慢性下痢:☆慢性下痢等にして、衰弱殊に甚だしく、時々腹痛し、食思無く、脈細弱にして或いは微汗出づる証。《奥田謙蔵》[55]慢性中耳炎[56]慢性副鼻腔炎[57]耳だれ
[58]夜尿症[59]腰背拘急☆痛みがひどいときは→「当帰建中湯」「帰蓍建中湯」を考える。[60]リンパ腺炎: ☆頸部リンパ腺炎☆15歳男子。血色、栄養ともに良くない。小学6年生の時、肺門リンパ腺炎に罹ったことがある。今度の病気は瘰癧で約10ヶ月前に、頸部リンパ腺が腫れているのに気づいた。その後、数個のリンパ腺が相次いで腫れ、その中に瘻孔を就くって、膿の出ているものが3個あるという。よくみると、左右の頸部に数個のリンパ腺の腫脹があり、大きいものは鶏卵大である。その中の左側のものは瘻孔を就くって膿が出ている。ひどく疲れ、せきも少し出る。右肺は明らかに浸潤を証明する。食欲はある。大便には変化がない。
内服薬には黄蓍建中湯を用い、瘻孔のある部位には紫雲膏を貼った。これを1週間ほど呑むと、疲労が軽くなり、7週間ほどで瘻孔が塞がり、栄養血色ともに良くなったが、全治しないうちに、家庭の都合で休薬した。《大塚敬節》[61]淋疾患:☆淋病、諸薬を用いて効なく、痛甚だしく忍ぶべからず、叫嗁(きゅうてい)して隣を動かす類の如きに黄蓍建中湯を用ひよ。その効神の如し。《香月牛山》[62]瘰癧:☆16歳の中学生。瘰癧があり、黄蓍建中湯を与えたが、1ヶ月あまりで非常に肥満し、血色もよくなり、登校しても疲労しないようになった。 それに数個の瘰癧の中の1つは、自然に自潰して排膿し、1つは消失した、その後10ヶ月ほど連用して、目立たないほどに縮小した。《大塚敬節》
[63]流注膿瘍[64]漏孔:☆分泌物---<薄くて多い>[65]労傷 [66]笑い出したら止まらない:☆埼玉県、北埼玉群北新宿村の三井彦周の母、歳70ばかりは、ある日、故なく大笑いするようになり、発作は夜となく昼となく起こり、発作が始まると半時間~1時間も大笑して止まない。自分で止めようとしても止めることが出来ないと云う。何人も医者を変え、薬も数百剤を用いたが効がない。
そこで治を余に乞うた。診察してみると、言語難渋し、手足不遂があり、飲食は進まず、からだが重く、のぼせがあり、汗が自然に流れ、腹はひどくひきつれている。よって癇症を診断し、黄蓍建中湯を与え、滾痰丸1匁を兼用した。
これを服用すること数十日で諸症やや軽快した。そこでますます前方を連用し、なお背に灸したところ、3ヶ月で全快した。(福富元璘・和漢医林新誌第89号)
★黄蓍建中湯
(疲れやすい、四肢冷、食欲不振、自汗、不定期熱、脈細弱、貧血、腹痛) #黄蓍建中湯[2]《小品》「黄蓍建中湯《金匱要略》当帰・人参」◎虚労、小腹急に小便赤く餘歴あり、事に臨んで起たず、陰下湿り、あるいは小便白濁する。傷多きを療する方。《雑病翼方》
#黄蓍建中湯[3]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍六一湯《寿世保元》肉桂、白芍薬」左を各々(蜜炙)すること十数次、火毒を出して水煎温服。
#黄蓍散[1]《医学入門》《古今方彙》「黄蓍・麦門冬・熟地黄・桔梗・白芍薬各1銭、甘草8分」水煎。◎咳血、労と成るを治す。
#黄蓍散[2]《証治準縄》《古今方彙》「黄蓍・檳榔子・紫菀・牛蒡子・梔子仁・赤茯苓・甘草(生)各半両、麦門冬・玄参各1両、升麻・黄芩各3銭」水煎。
◎咽喉に瘡を生じ疼痛するを治す。
#黄蓍散[3]《東醫寶鑑》「黄蓍・防風・黄芩・大黄()各1銭、地骨皮・遠志・人参・赤茯苓・漏芦各5分」水煎し、朝夕食後服用。 ◎瞳から膿が出る症。
#黄蓍芍薬桂枝苦酒湯《金匱要略》「黄蓍5両、芍薬3両、桂枝3両」
以上三味以苦酒一升水七升相和煮取三升温服一升。◎黄汗之為病、身體腫、発熱汗出而渇、状如風水、汗沾衣、色正黄如栢汁、脉自沈、何従得之・師曰、以汗出入水中浴、水従汗孔入得之、宜蓍芍桂酒湯主之。◎黄汗病。◎黄蓍桂枝苦酒湯の証は具らず、他例を以て之を考うるに当に身体疼痛或いは不仁の証あるべし。《重校薬徴》
#黄蓍十補湯《東醫寶鑑》「白芍1、黄蓍・当帰・熟地黄・茯神各7分、人参・白朮・酸棗仁・半夏・陳皮・五味子・肉桂・烏薬・麦門冬・甘草各5分、木香・沈香各2分、生姜5・大棗2」煎服。
◎虚労を補い、血気を養う。
#黄蓍損湯《東醫寶鑑》「人参・白朮・黄蓍・木香・当帰・桂皮・白茯苓・白芍・半夏・川芎・熟地黄・山薬・五味子・牡丹皮・麦門冬・石斛・甘草各7分、生姜5、大棗2、梅1、小麦50粒」煎服。
◎虚労の100症を治す。
#黄蓍湯[1-1]《直指小児》 「黄蓍・当帰・芍薬・川芎・地黄・蝦蟆各3匁、鼈甲2匁、人参・柴胡・半夏・橘皮・茯苓・使君子各1匁、生姜」◎疳労・喘咳・虚汗・骨蒸・渇して腹瀉・小食の者を治す。◎此方は浄府散と表裏の方にて、「浄府散」は血気少しも虚なく、心下あるいは両脇下、或いは右或いは左に凝りありて攣急あり、腹堅くして渇をなし、或いは下痢をなし、或いは下痢でずとも、発熱強く脈も盛んなるを標的とす。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は既に日数を経て血気虚耗する故、発熱の模様も骨蒸と云うて内より蒸し立つる如くなり。且つ盗汗出ずるなり。此の蒸熱、盗汗と五心煩熱とを、此の標的とすべし。◎小児疳労:☆虚証にて、後世のいわゆる哺露丁奚などと云う処に用いる。◎婦人の乾血労:☆疳より来る者に活用して奇効あり。《小島学古》
#黄蓍湯[1-2]《仁斎直指方》《漢方後世要方解説》「当帰・地黄・茯苓・半夏各3、柴胡2.5、鼈甲・陳皮・川芎・芍薬・生姜 各2、黄蓍1、人参・蝦蟆・使君子各1.5」◎疳労を治す。◎疳労、喘咳、虚汗、骨蒸渇して腹瀉、食少なき者。◎此方は疳労と呼ぶ結核性腹膜炎の虚状を呈した者に用いる剤である。腹部膨大して堅き硬結を触れ、消耗熱続いて四肢羸痩し、盗汗ある者を目標とする。「浄腑湯」は実熱に属し、此方は虚熱に属する。日数を経て全体に虚状を呈するものに良い。腹水は認められず、肥厚性のもので腹満、硬結、盗汗、消耗熱等を目的とする。本方を服用して下痢食欲不振を起こす者は中止する。本症の更に虚状強きは「消疳飲」である。「蝦蟆」=小児の疳、癆を治す。腹硬満によい。「使君子」=疳を治し、諸虫を除き、瀉を止む「鼈甲」=骨蒸熱、消耗熱を治す。「当帰・川芎・地黄」=血を補う「人参・黄蓍・茯苓・陳皮」=気脾を補う。
★適応症及び病名 (黄蓍湯) ■結核性腹膜炎 #黄蓍湯[1-3]《万病回春》《古今方彙》「人参、黄蓍、当帰、川芎、芍薬、地黄(生)、蝦蟆(去足)、鼈甲、茯苓、陳皮、半夏、柴胡、士君子、生姜、大棗」水煎。
◎小児疳労、喘嗽、虚汗、骨蒸、渇し而して腹瀉して少しく食する者を治す。 #黄蓍湯[2]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、甘草2銭、当帰5分、五味子9粒」水煎服。
◎気が虚し、発熱・脈がはやい・落ち着かない・頭重・憂鬱になる者。
#黄蓍湯[3]《東醫寶鑑》「黄蓍・陳皮各5銭」を粉末にし、別に麻子仁汁1盃を銀石器で煎じたものに、白蜜1匙を入れて再煎し、前の薬末3銭を入れて空腹時に服用。
◎老人の便秘。(老人の大便秘渋)
#黄蓍湯[4]《東醫寶鑑》「黄蓍・人参・白朮・白茯苓・甘草・白芍各1銭、生姜3片」水煎服。 ◎暑気あたりで、脈虚弱な者。
#黄蓍湯[5]《東醫寶鑑》「生乾地黄2銭、黄蓍・茯神・天花粉・麦門冬各1銭、五味子・甘草各5分」水煎服。 ◎すべての渇を治す。
#黄蓍湯[6-1]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、人参2銭、炙甘草5分」水煎服。 ◎慢驚風で下痢する者。
#黄蓍湯[6-2]《蘭室秘蔵》《古今方彙》「人参、炸薬、甘草(炙)、黄蓍」水煎。◎小児慢驚風の神薬なり。
#黄蓍湯[7]《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)2銭2分、生乾地黄・天門冬・白茯苓・麻黄根各1銭5分、当帰1銭2分、麦門冬1銭、五味子・浮小麦・甘草各7分、防風5分」水煎服用。◎陰陽偏虚と自汗または盗汗を治す。
#黄蓍湯[8]《東醫寶鑑》「人参・白朮・白茯苓・甘草・黄蓍・白芍薬各1銭、薑3片」水煎服用。◎中に脈が虚弱な症。
#黄蓍湯[9-1]《外台秘要方》《中医処方解説》「黄蓍30g、麦門冬15g、生地黄15g、天花粉18g、茯苓6g、五味子5g、甘 草5g」水煎服。
◎滋陰益気の効能があり。◎気陰両虚で口渇・多飲の者。
★適応症及び病名(黄蓍湯) [1]糖尿病[2]慢性胃炎[3]慢性気管支炎
#黄蓍湯[9-2]《証治準縄》《古今方彙》「黄蓍・茯苓・括楼根・麦門冬・地黄(生)・五味子・甘草各等分」水煎。◎諸ての渇疾を治す。 #黄蓍湯[10]《備急千金要方》《勿誤薬室方函口訣》「黄蓍・芍薬・桂枝・麦門冬・橘皮・甘草・当帰・細辛・人参・柴胡・茯苓各2両、半夏2両半、大棗20枚、生姜5両」◎虚労不足、四肢煩疼、食を欲せず、食すれば即ち脹り、汗出ずるを治す。
#黄蓍内托散[1-1]《医宗金鑑》「黄蓍、当帰、川芎、白朮、金銀花、皂角刺、天花粉、沢瀉、甘草」
#黄蓍内托散[1-2]《外科正宗》《古今方彙》「黄蓍1銭、当帰・川芎・金銀花・皂角刺・穿山甲・甘草(節)各2銭」水煎し(酒)を加え食前に服す。
◎臀癰已になり、前に薬を服して勢の定りたる者はそれ潰膿せんと欲す、宜しく之を服すべし。
#黄蓍人参湯《東醫寶鑑》「補中益気湯蒼朮1銭・神麹5分・黄柏3分・五味子15粒」◎暑月に精神が不足し両脚が痿軟し、煩熱・嘔逆・自汗・頭痛する症。
#黄蓍茯苓湯《備急千金要方》《勿誤薬室方函口訣》「黄蓍・茯苓・当帰・川芎・桂枝・芍薬・白朮・地黄・人参各1銭、甘草5分」◎治男婦諸虚不足、一切病後不如。◎此方は即ち後世の「十全大補湯」なれども、《備急千金要方》は旧き故、古に
本づくなり。
「八珍湯」は両虚を治する方なり。右に黄蓍,桂枝を加える者は、黄蓍じゃ黄蓍建中湯の如く諸不足を目的とす。故に、《済世方》の主治に虚労不足、五労七傷を治すと云う。◎此方と「人参養栄湯」に桂枝を伍する者は「八味丸」の意にて、桂枝にて地黄を濡滞を揮発するなり。◎諸病証治の末に此方と「補中益気湯」と「地黄丸」「四君子湯」の加減を載する者は、万病共に気血を回復するを主とするの意なり。[1]瘰癧:☆流注瘰癧の強く虚する者。[2]羸痩:☆瘡瘍に因って気血共に虚し羸痩する者。[3]脱疽:☆[荊芥]。☆痛甚だしいときは桂枝加朮附湯荊芥。
#黄蓍茯神湯《東醫寶鑑》「黄蓍・茯神・遠志・紫河車・酸棗仁(炒)各1銭、生姜3片、大棗2枚」水煎服。 ◎脇・胸・背中・肩・両腕の疼痛、心痛、暴瘖する病気が流行する時。(瘖⇒イン・オンと読み、発声障害のこと)。
#黄蓍鼈甲散[1-1]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「柴胡・黄蓍・鼈甲・芍薬・地黄各2、天門冬・茯苓各2.5、桑白皮・半夏・人参・桔梗・桂枝・地骨皮・知母・秦艽・紫菀・甘草各1」◎虚労客熱、肌肉消痩、四肢倦怠、五心煩熱・心悸、盗汗、食少なく、咳嗽多く、咳唾稠粘、時に膿血あるを治す。又、往来寒熱、労瘧等の症を治す。
◎此方は労咳と骨蒸熱を目的とする。肺痿骨蒸の主剤と言われる秦艽扶羸湯の変方で、肺結核の経過中、弛張熱、稽留熱、或いは消耗熱の初期に蒸々として発熱を続け、肌肉消痩して咳嗽する者に用いる。風労の症とて結核の初期、患者が外感に冒され、発熱の際発散の剤を与えれば排気虚耗して労咳となるものに此方が良い。 「地黄・知母」=腎水を滋す。 「天門冬」=肺火を瀉す。 「鼈甲・芍薬」=肝火を瀉す。(陰を養う剤) 「黄蓍・人参・桂枝・茯苓・甘草」=衛気を固くし、脾肺の虚を補う。(陽を助く) 「紫菀」=肺を潤し、嗽を止む。 「秦艽・地骨皮」=内熱を散ず。
◎秦艽扶羸湯=「秦艽・鼈甲・人参各3、当帰・半夏各5、柴胡・地骨皮・紫菀各2、甘草・烏梅・大棗・生姜各1」
★適応症及び病名 (黄蓍鼈甲散) [1]肺炎 [2]肺結核: ☆2期以後の発熱と咳嗽[3]慢性気管支炎[4]慢性マラリア #黄蓍鼈甲散[1-2]《東醫寶鑑》「鼈甲・天門冬各1銭、知母・地骨皮・黄蓍・秦艽・白茯苓・赤芍・柴胡各7分半、桑白皮・半夏・甘草各5分、紫菀・生地黄各4分、人参・肉桂・桔梗各3分、生姜3、大棗2」煎服。
◎諸虚証・百損と一切の労傷を治す。 #黄蓍鼈甲湯[1-1]《和剤局方》 「桑白皮(炙)・半夏(煮)・黄蓍(蜜炙)・知母(去蘆焙)・赤芍薬(洗)・甘草(炙)・紫菀(去蘆)各2両半、秦艽(去蘆)。白茯苓(焙)・生乾地黄(洗焙乾)・地骨皮(去土)・柴胡(洗)各3両3銭、苦桔梗・肉桂(去麁皮不見火)・人参各1両陸銭半、鼈甲(醋浸去裙炙酥)・天門冬各5両、去心焙 一木作地黄3両、肉桂2両陸銭半。
#黄蓍鼈甲湯[1-2]《和剤局方》《古今方彙》 「桑白皮・半夏・甘草各2分半、地骨皮・知母・黄蓍・秦艽・白茯苓・赤芍薬・柴胡各3分3厘、鼈甲・天門冬各5分、肉桂。人参・桔梗各1分6厘、紫菀・生地黄各3分」水煎、温服。◎虚労客熱、肌肉消羸、四肢煩熱、心悸盗汗、食少なく、多く咳嗽し、血有り、往来寒熱、労瘧等の症を治す。
#黄蓍鼈甲湯[1-3]《和剤局方》「茯苓・天門冬各2.5g、柴胡・芍薬・黄蓍・土鼈甲・地黄各2.0g、地骨皮・知母・秦艽・紫菀各・桑白皮1.5g、半夏・人参・桂皮・甘草・桔梗各1.0g」◎労咳、骨蒸熱、◎風労=初期感冒に罹り、摂養を怠り、漸次肺結核に移行)◎熱が続き咳嗽を伴う者。
★適応症及び病名(黄蓍鼈甲湯) [1]咽乾[2]往来寒熱 [3]気管支炎[4]稽留熱(ケイリュウネツ) [5]口燥[6]自汗[7]弛張熱☆胸部疾患に伴うもの。[8]消耗熱[9]盗汗[10]肺炎[11]肺結核症[12]発熱<微熱・消耗熱>[13]疲労倦怠[14]ほほが赤い[15]マラリア ☆慢性に経過するもの。[16]慢性咳嗽[17]慢性気管支炎
#黄蓍防風湯 「黄蓍防風湯2~3をまず濃く煎じて床下に入れておくと、蒸気が煙霧のようにあがり、独りでに薫ぶられその夜のうちにしゃべることができる。◎中風で脈が沈み、口噤なのは早く補わなければならない。もし有形な湯薬を使うと、遅れていけないので黄蓍防風湯を口・鼻が皆受けるようにしなければならない。これは智慧ある人の神技である。口は地に通じ鼻は天に通じ、口で陰を育て、鼻で陽を育てるので、天は綺麗なものを主張し、鼻は有形なものは受けず無形はものを受け、地は濁を主張し、口は有形なものを受け、又無形なものも兼ねて受ける。◎中風でしゅべられない・脈沈・口噤する者を治す。
#黄蓍補胃湯《医学正伝》《古今方彙》「黄蓍・柴胡・当帰・益智仁・橘紅各1銭半、升麻2銭、甘草(炙)半銭、紅花(少許)」水煎。◎1日に大便34次溏し、而して多からず、時にありて泄をなし、腹中鳴り、小便黄なるを治す。
#黄蓍六一湯《寿世保元》《古今方彙》 「黄蓍6両、甘草1両」◎額上常に汗出でて冬夏を論ぜざる者、酔後に之を得て風に当たりて致す所の者を治す。
#黄解丸《湯本救真》《龍野一雄》「黄連・黄芩・黄柏各3g、大黄4g、山梔子2g」丸薬にし、1日量2g。「黄連解毒湯大黄」 ◎便秘・のぼせ。
#黄解散《吉益南涯》《龍野一雄》「黄連3g、黄芩・黄柏各2g、山梔子1g」粉末にし、2gを頓服。◎冷水で服用。◎喀血・吐血。
#黄芩夏菊湯《中薬臨床応用》「黄芩9g、夏枯草15g、菊花9g」◎動脈硬化◎高血圧◎自律神経失調症◎頭痛、目の充血、口苦、顔面紅潮。
#黄芩滑石湯《温病条弁》《中薬臨床応用》「黄芩9g、滑石9g、通草3g、茯苓15g、猪苓9g、大腹皮9g、白豆蔲3g」◎熱性疾患の中期~後期で熱盛。◎発熱が続く、身体が重い、口渇、舌苔黄。
#黄芩加半夏生姜湯《傷寒論》《龍野一雄》「黄芩・大棗各3g、芍薬・甘草各2g、半夏8g、干姜1g」 水400を120に煮詰め、3分服。◎黄芩湯証にして、嘔逆する者を治す《方極附言》
◎下痢嘔吐、或いは発熱或いは腹痛。《龍野》
★適応症及び病名(黄芩加半夏生姜湯) [1]嘔吐[2]悪寒[3]悪心[4]急性虫垂炎[5]急性腸炎[6]下痢☆細菌性の下痢。☆熱性下痢等にして、乾嘔甚だしく、食物を摂取すること能はず。脈数にして弱なる証《奥田謙蔵》[7]口苦[8]口臭[9]子宮付属器炎[10]消化不良[11]食中毒[12]食欲不振[13]心下痞[14]身體疼痛[15]頭痛:[16]赤痢☆大腸湿熱の者。[17]喘息☆嘔吐を伴う。[18]発熱[19]腹痛:☆腹痛し、下痢すること日に数行、吐して煩悶する証《奥田謙蔵》
[20]裏急後重 #黄芩芍薬湯(一名黄芩湯)《東醫寶鑑》「黄芩・白芍各2銭、甘草1銭」水煎服。 腹痛が激しいときは桂心3分を加える。 ◎下痢に膿血がまじり、身体に熱があり、腹痛のある者。
#黄芩湯[1-1]《傷寒論》 =「天物黄芩湯」 「黄芩3両、芍薬2両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚」◎太陽興少陽合病、自下利者、與黄芩湯。若嘔者、黄芩加半夏生姜湯主之。
《傷寒論》巻第四辨太陽病脉證并治下第七。◎傷寒脉遅六七日、而判與黄芩湯徹其熱。脉遅為寒、今與黄芩湯復除其熱、腹中 応冷、當不能食。今反能食、此名除中、必死。《傷寒論》辨厥陰病脉證并治第十二。
#黄芩湯[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄芩9g、白芍薬6g、甘草6g、大棗8g」水煎服。◎腹痛◎裏急後重◎悪臭のある便◎舌苔黄膩◎湿熱の下痢
#黄芩湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「黄芩・大棗各3g、芍薬・甘草各2g」 ◎心下痞、腹強急して下利するものは、黄芩湯これを主る。為則つねに若の証に体すれば、即ち此の湯を用ひ、その応響の如し。《薬徴》
[腹強急]=腹がツッパリ痛む。
◎黄芩湯の条に太陽と少陽との合病自下利する者は之を主ると曰う、蓋し三陰三陽は疾医の言わざる所なり、故に取らず、他例を以て之を考うるに心下痞して腹強急して下利する者は此湯之を主る。為則若の証に値う毎に此湯を用う。その応響くが如し。《重校薬徴》
◎下して心下痞し、腹中拘急する者を治す《方極附言》◎発熱・腹痛・下痢。◎清熱止痢、和中止痛。
★適応症及び病名(黄芩湯) [1]アトピー性皮膚炎[2]胃炎[3]胃腸型感冒☆ウイルス性。《中医処方解説》[3]乾嘔[4]急性腸炎[5]急性虫垂炎[6]月経代償性出血[7]血便[8]下痢:☆(肛門に熱湯をかけた様に熱痛)☆泥状便・粘液便が多い。☆下痢性疾患等にして、初起に発汗法を行い、或いは之を下して後、大勢挫折するも、下痢なお未だ止まざる証《奥田謙蔵》☆熱性下痢等《奥田謙蔵》☆痢疾、発熱、腹痛し、心下痞し、裏急後重し、膿血を便する者を治す。
大黄を加ふ。若し嘔吐する者は、加半夏生姜湯中に大黄を加ふ。《類聚方広義》☆小児の疳虫による下痢。《荒木正胤》[9]口渇[10]口苦[11]口臭[12]子宮付属器炎(腹痛ある者)[13]消化不良[14]食中毒[15]心下痞[17]赤痢:☆赤痢等にありては、その初起に大黄を加える《奥田謙蔵》
[18]代償性月経[16]大腸炎 [17]虫垂炎(急性) [18]腸炎・腸カタル<軽> [19]吐血☆代償性月経として。[20]乳幼児の消化不良
[21]粘液便[22]発熱: ☆熱性病、数日を経過すと雖も、頭痛、煩渇なお未だ止まず、既にして脈勢やや虚弱に赴かんとする証《奥田謙蔵》[23]鼻出血(月経代償性)[24]腹中拘急(腹痛)[25]腹直筋攣急(右側)[26]慢性胃炎[27]盲腸炎[28]目眩[29]裏急後重☆熱症がない者には桂枝加芍薬乾姜・大黄を考える。
#黄芩湯[2]《外台秘要方》《金匱要略》 「黄芩3両、人参3両、乾姜3両、桂枝1両、大棗12枚、半夏半升」右六味、以水七升、煮取三升、温分三服。◎六物黄芩湯に同じ。◎治乾嘔下利《金匱要略》嘔吐下利病脉證治第十七。
#黄芩湯[3]《東醫寶鑑》「黄芩(酒炒)・山梔子(酒炒)・桔梗・赤芍・桑白皮・麦門冬・荊芥穂・薄荷・連翹各1銭、甘草3分」食後服用。 ◎鼻孔が乾く。又は瘡が出来て痛い者。
#黄芩湯[4]《東醫寶鑑》「沢瀉・山梔子・黄芩・麦門冬・木通・生地黄・黄連・甘草、生姜5片」水煎服。 ◎心肺の蘊熱・口瘡・咽喉痛・小便の淋濁の症。
#黄芩湯[5]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄芩・山梔子・桔梗・麦門冬・当帰・生地黄・天花粉・葛根・人参・白芍各1銭、烏梅1個」煎服。食後服用。
◎上消(糖尿の)を治す。◎上消渇の症を治す。是れ肺火にて飲水多く、而して食少なきなり。《古今方彙》
#黄芩湯[6]《東醫寶鑑》「黄芩・白朮・縮砂・当帰・各1銭半」水煎服。 ◎胎動不安に。
#黄芩湯[7] =「黄芩芍薬湯」「黄芩・白芍各2銭、甘草1銭」水煎服。 腹痛が激しいときは桂心3分を加える。 ◎下痢に膿血がまじり、身体に熱があり、腹痛のある者。
#黄芩湯[8]《万病回春》《古今方彙》「黄芩・山梔子・桔梗・芍薬・桑白皮・荊芥・薄荷葉・麦門冬・連翹各1銭、甘草3分」水煎、食後服用。 ◎肺火にて咳嗽、吐血、痰血、咽喉腫痛し、乾燥して瘡を生じ、或いは鼻穴乾燥して瘡を生じ、或いは鼻腫れて痛むを治す。
#黄芩人参湯《深師》《勿誤薬室方函口訣》「六物黄芩湯-半夏甘草」◎傷寒吐下の後、内外熱あり、煩渇不安を治す。 #黄甲丸《東醫寶鑑》「朱砂・阿魏・穿山甲(炙)・檳榔各5銭、雄黄・木香各2銭半」を粉末にし、黒豆を泡立たせ皮を剥いてついて梧子大の丸剤。姜湯で50丸飲む。
◎瘧が塊になって治らない者。
#黄鐘丸《東洞家塾方》=「三黄丸」「大黄40銭、黄芩・黄連各20銭」右三味杵き篩い作末、梧桐子大の糊丸。毎服20~30丸。白湯にて送下す。下を以て度と為す。若し急に之を下さんと欲するときは則ち酒にて之を服す。
◎大便難、煩悸して心下痞するものを治す。
#黄精エキス《中薬臨床応用》「黄精2500g」を500gまで煮詰めてエキス。◎肺結核。 #黄精湯《中薬臨床応用》「黄精18g、枸杞子9g、生地黄15g、黄蓍9g、党参9g」◎病後の衰弱。
#黄米丸《東醫寶鑑》「絲瓜絡(乾燥)の皮を去り細切りにし巴豆肉14粒と炒って、巴豆は捨て、陳倉米を絲瓜絡の分量に入れて炒り、米が黄色くなったら絲瓜は捨て、米を取って粉末にし、梧子大の丸剤。白湯で100丸呑む。
◎水蠱を治す。 #黄土湯[1-1]《金匱要略》「甘草・乾地黄・白朮・附子(炮)・阿膠・黄芩各3両、竃中黄土半斤」右七味、以水八升、煮取三升、分温二服。◎下血、先便後血、此遠血也、黄土湯主之。《金匱要略》驚悸吐衂下血胸満血病脉證治第十六。
#黄土湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「甘草・乾地黄・白朮・白川附子・阿膠・黄芩各3g、黄土8g」水320を120に煮詰め、2回に分服。◎旧注に云う、吐血、衂血、下血を主る。此方は先便後血、吐血、衂血を論ぜず、脈緊なる者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は下血陰分に陥る者収濇するの意なり。《勿誤薬室方函口訣》◎先便後血に拘わらず脈緊を以て用いるが此方の目的なり。《証治要訣》に“黄土湯は、吐血・衂血ともに、脈緊の者に、この湯を用いる症がある。また子宮出血でも脈緊の者に、この方を用いると効がある”◎吐血衂血を治するも此の意にて用いるべし。◎《陳念祖》曰く、余常に、此方を用いるに「-附子乾姜」「-黄土赤石脂」とし、効を取るに捷し、甚だしき者には「乾側柏葉4両、鮮竹茹6斛」
◎下血・吐血・鼻血・不眠。◎収渋止血、温陽健脾、養血。《中医処方解説》◎陽虚の者。
★適応症及び病名(黄土湯) [1]嘔吐[2]悪寒[3]潰瘍性大腸炎[4]顔色悪い<萎黄>[5]顔面蒼白[6]逆上感[7]健忘症[8]下血:☆冷汗や冷却などの陰症がある者《済世薬室》☆傷寒、熱血分を侵し、にわかに下血する者、桃核承気湯・犀角地黄湯などを与えて血止まず、陰位に陥り危急なる者、此方を与えて往々奇験あり。《勿誤薬室方函口訣》☆厥陰下血の証を治して効あり。《傷寒翼方》☆下血、及び諸血症、その人心中悪熱し、時に襟を解かんと欲し、舌反って和し、或いは胎無くして乾き、ただ嗽(ススガ)んと欲して嚥んことを欲せず、四肢冷え、小便少なく、大便溏なる者は、黄土湯を主どる《医聖方格》☆下血のさいに、大便が先に出て、後で血の下るのは遠血で、血が先に出て、後から大便の出るのは近血であると述べている。遠血は腸からの出血で、近血は肛門からの出血である。《金匱要略》によれば、黄土湯は、遠血を主治し、また吐血、衂血も治することになっている。しかしこの方は近血である痔出血にも用いる。《大塚敬節》[9]下痢[10]子宮出血:☆子宮出血に附子剤を用いる症があり。この際には大抵、脈が緊である。これに黄土湯を用いると、数日のうちに血が止むものである《証治摘要》[10]子宮内膜炎:☆子宮内膜炎等にして、血性分泌物断続し、下肢寒冷にして虚熱上逆 し、その脈細小遅なる証《奥田謙蔵》[12]痔出血:☆直腸や痔の疾患で、膿血が出て止まず、腹痛を訴え、大便が軟く、小便の出が悪く、貧血し、日々痩せてゆく者或いは浮腫のある者を治す《類聚方広義》[11]手掌煩熱
[12]出血:☆(下血・衂血・吐血・血尿・子宮出血・性器出血)☆衂血、或いは吐血の諸証にして、手掌煩熱し、下肢に冷感あり、その脈細弱なる者《奥田謙蔵》☆痔出血止まず、顔面蒼白、四肢寒冷にして、心煩あり、その脈細遅なる等の証《奥田謙蔵》☆子宮出血等にして、その脈沈細なる証《奥田謙蔵》☆吐血、下血、久久にして止まず、心下痞し、身熱、悪寒し、面青く、体痩せ、脈弱にして舌色刷白、或いは腹痛、下利し、或いは微腫する者を治す《類聚方広義》[13]自律神経失調症[14]心下痞[15]心煩[16]身熱[17]錐体外路症候群<運動失調性>[18]大腸ガン[19]腸出血:☆浅田宗伯の治験に、佐伯候の医員、友浦甫仙の妻が傷寒(腸チフス)にかかって、数日、熱が下がらなかったが、ある日突然腸出血が始まり、豚の肝臓のようなものや、ウルシのような血塊を数個下し、手足は厥冷し、冷汗が流れ、のどには喘鳴が現れ、まさに危篤の状となった。そこで自分はこれに黄土湯を与えたとこそ。下血が止み、手足が温かになり、また熱がのぼって、うわごとを言うようになった。脈を診ると、微細である。そこで升陽散火湯を与えて全治した《大塚敬節》☆「腸チフス」における腸出血等にして、体温俄然として下降し、手足厥冷し、虚煩し、その脈微細なる証《奥田謙蔵》[20]テンカン[21]手足厥冷[22]尿不利[23]ノイローゼ[24]脳水腫[25]白血病[26]皮膚枯燥[27]疲労倦怠[28]貧血[29]腹痛[30]不眠症[31]崩漏:☆緊脈に効あり《勿誤薬室方函口訣》
[32]羸痩
#黄土湯加減《中薬臨床応用》「伏竜肝45g(さきに煎じて残を除き水の代わりとする)、熟地黄9g、当帰9g、肉桂1.5g(服)、艾葉3g、阿膠6g(溶解)、白朮9g、生姜3g、炙甘草3g」◎虚寒による胃腸出血。
#黄白散《東醫寶鑑》「黄柏・孩児茶・明礬各等分」粉末にし、冷米湯で口をゆすいでから、塗布。◎口瘡と口中の疳瘡を治す。
#黄柏丸[1](一名大補丸)《東醫寶鑑》「黄柏」炒って褐色になったら粉末にし、水で丸にし、空腹時に服用。 ◎腎経の火燥を除去し、下焦の湿と、陰火の気が臍の下からおきる症。
#黄柏丸[2]《小児薬証直訣》「黄柏、赤芍薬」
#黄柏膏《東醫寶鑑》「黄柏1両、甘草4両、紅花2両、緑豆粉1両半」粉末にし、精油で調合し、耳の前から目のふちに塗る。 ◎痘瘡が発したとき、先ずこの膏を使うと目も顔も軽くすむ。
#黄柏散《東醫寶鑑》「黄柏2両、五倍子・蜜陀僧各2銭、甘草2分」を粉末にし、煮詰める。就寝時に患部に塗る。 ◎口唇が合わされず、飲食も出来ない症。
#黄柏地楡煎 「黄柏、地楡」
#黄附湯《魏氏家蔵方》「黄蓍、附子」 #黄薬子酒《中薬臨床応用》「黄薬子300g」62度の白酒1500‹と共に陶器の器に入れて密封し、水をはった鍋に入れて2時間ぐらい弱火で煮る。やや冷えてから冷水中に入れ、7日後に取り出して残渣を除く。1日50~100‹を少量づつ頻回に服用。◎食道ガン。
#黄竜散《東醫寶鑑》「枯白礬・竜骨(煆)・黄丹(水飛)・嚥脂(焼灰)・海蛸(煆)各1銭、麝香若干」粉末にし、耳の中を脱脂綿で脱ぎ取るか、又薬を湿らせて耳の中に入れ、いつも詰め替える。◎風呂に入って水が耳に入って、膿が出る者。
◎小児の耳痛を治す。
#黄竜湯[1]《備急千金要方》 「小柴胡湯」に同じ。 ◎傷寒差ゆる後、更に頭痛壮熱あり、煩悶す。
#黄竜湯[2]《傷寒六書》=参帰承気湯。「大黄、芒硝、枳実、厚朴、人参、当帰、甘草」姜棗水煎。 「大承気湯《傷寒論》当帰・人参・甘草」姜棗水煎す。◎心下硬痛、純青水を下利し、譫語・発渇・身熱を患う者。 ◎《呉又可》曰く、凡そ下を失し、以て循衣模床、撮空肉を致し、目了了たらず、邪熱いよいよ盛んに偏気将に脱せんとする者、勢ついに下すべからず。又下さざるを得ず、已むを得ざれば《陶氏》 黄竜湯を用い之を下すと。是れ亦一活用に出ず。然れども此方、人参を用うる者、その意、硝黄の力をしていよいよ鋭ならしむるに在り。《張氏医通》に云う、人参を用うるは、借りて以て胃気を資助し、その薬力を行らせば、則ち大黄輩以て破敵の功を振うを得るなり。虚して補を兼ねるの謂に非ざるなりと、以て見るべきのみ。《傷寒翼方》
#黄竜湯[3]《東醫寶鑑》「小柴胡湯《傷寒論》-半夏」 ◎妊婦の傷寒発熱と、産後の発熱して熱が血室に入る症。 ◎四味凉血地黄湯を合わせると、さらによい。
#黄竜湯[4]《東醫寶鑑》「柴胡4銭、黄芩・人参・甘草各1銭」 ◎妊婦の感冒で、頭痛・煩熱し、瘧状の者。
#黄連阿膠湯[1-1]《傷寒論》「黄連4両、黄芩2両、芍薬2両、鶏子黄2枚、阿膠3両」右五味、以水六升、先煮三物、取二升、去滓。内膠烊盡、小冷。内雞子黄、攪令相得。温服七合、日三服。◎少陰病、得之二三日以上、心中煩、不得臥、黄連阿膠湯主之。《傷寒論》辨少陰病脉證并治第十一。
#黄連阿膠湯[1-2]《東醫寶鑑》=「黄連鶏子湯」「黄連・阿膠・芍薬各2銭、黄芩1銭、鶏子1個」黄連・芍薬・黄芩を半分まで水煎して滓を捨て、阿膠を入れ、再び煎じ、卵の黄身を入れ1日3回服用。 ◎心が煩悶して眠れない症。
#黄連阿膠湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄連6g、阿膠15g(溶解)、黄芩6g、白芍薬6g」水煎し薬液がぬるくなったとことへ卵黄2個を入れてかき混ぜ、1日3回温服。 ◎心血虚◎胸が暑苦しい◎不眠◎舌質紅 ◎脈細数
#黄連阿膠湯[1-4]《傷寒論》《龍野一雄》「黄連4g、黄芩・芍薬各2g、阿膠3g、鶏卵黄1個」水240を以て黄連・黄芩・芍薬を80に煮詰め滓を去り、阿膠を入れて溶かし。少し冷まして卵黄を加えてかき混ぜる。3回分服。
◎心中悸して煩し眠るを得ざる者を治す《吉益東洞》◎此方は《柯韻伯》の所謂“少陰の瀉心湯”にて、病、陰分に陥って、上熱なお去らず、心煩or虚躁する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎凡そ諸病日久しく熱気血分に浸淫して諸症をなす者、◎毒痢、腹痛、膿血止まず、口舌乾く者を治して験あり。◎疳瀉止まざる者◎不眠症・煩躁・吐血。◎心中煩、不得臥。《龍野ー漢方処方集》◎滋陰降火、安神除煩。《中医処方解説》
【腹証】《腹診配剤録》“心下煩悶して、志気尤も安んざぜず。吐血に此の証多し”
★適応症及び病名(黄連阿膠湯)
[1]喀血[2]化膿性皮膚疾患[3]乾癬[4]顔面紅潮
[5]眼痛:☆虚煩眠るを得ず、眼中疼痛、懊悩を治す《肘後備急方》
[6]眼底出血[7]気管支炎[8]狂躁[9]下血:☆諸失血の症、驚悸、身熱し、腹痛、微利し、舌乾き、煩悶して寐ぬること能はず、身体困憊し、面に血色無く、或いは面熱し、潮紅する者を治す《類聚方広義》☆少陰の下利膿血に用いることもあり。桃花湯とは上下の弁別あり。
[10]下痢:☆久痢、腹中熱痛し、心中煩して眠ることを得ず、或いは膿血を便する者を治す《類聚方広義》☆星海曰く、符卿公夫人、体素羸弱、頻りに参朮を用い、懐孕7月痢を患う。腰疼腹痛、病危急に在り。諸医みな言う、胎を安んずれば則ち痢いよいよ重く、痢を治すれば則ち胎全き難し。手を袖にして策無し。最後に余を招く。脈数滑重、按んじて無力と診するに至って、必ず固胎の薬を得て主に為さんと思い、又参朮の宜しき所に非ず。《仲景》に「黄連阿膠湯」あり、阿膠能く膿血の痢を治し、且つ腰痛を止め、而して固胎此より善きは無し、遂に用いて以て君と為し、同じく黄連芍薬甘草を佐と為し、少しく枳実を加え、以てその後重を緩慢にする。1剤を服して痛痢ともに減じ、次日、枳実を去り、23剤を再服して痢癒える。《雑病翼方》[11]血尿[12]口渇[13]口臭
[14]口唇乾燥[15]口内炎[16]高血圧症[17]興奮<逆上する>
[18]子宮出血
[19]湿疹: ①脈腹に力なく、のぼせ気味で胸苦しく、熱感あり。②発疹は赤味を帯び、乾燥して、かゆみ少ない。③強い風や日光に当たると悪化する。☆湿疹等にして、諸種の治療の抵抗し、掻痒、煩熱に堪えざる証《奥田謙蔵》☆目標は発疹が主として顔に見られ、隆起があまり目立たないほど低く、指頭でなでると、ザラザラしている。少し赤味を帯びて乾燥し、カユミは少ない。小さなヌカのような落屑があり、風に当たったり、日光に当たると悪くなる。《大塚敬節》[20]出血性腸炎[21]衂血[22]心悸亢進[23]心下痞[24]心下痞硬[25]心煩:☆下痢の後、水分欠損し、心煩して安静ならず、脈微にして浮なる証《奥田謙蔵》[26]髄膜炎[27]精神分裂病[28]頭重[29]譫語[30]躁病[31]手足がだるい(四肢脱力感)[32]中風:☆少陰中風《医学実在易》[33]痘瘡:☆痘瘡内陥し、熱気熾盛にして、咽燥、口渇し、心悸し、煩躁し、清血する者を治す。《類聚方広義》[34]吐血[35]尿道炎[36]熱っぽい[37]ノイローゼ[38]脳血管障害[39]肺炎[40]発熱:☆疲労ありて煩熱し、心下部満悶を覚え、安臥するを得ず。脈数急なる証。《奥田謙蔵》
[41]煩躁[42]ヒステリー
[43]皮膚枯燥:☆私の妻が、頑固な皮膚病に悩まされたことがある。その発疹は円味を帯びて、両側の頬を中心に拡がりカユミがあり、やや赤味を帯びて乾燥し、小さい落屑が見られた。強い風に当たったり、日光に当たると、赤味が増して、カユミもひどくなる。 私はこれに大柴胡湯石膏、大黄牡丹皮湯薏苡仁、桂枝茯苓丸、黄連解毒丸などを、次々と内服せしめ、100日あまりも治療したが、少しもよくならず、むしろ増悪の傾向があり、さすがに、妻も、漢方では治らないのではありませんかと言うようになった。 そこで、私も今までの態度を改め、熟慮ののち、皮膚の乾燥を阿膠と芍薬で潤おし、熱と赤味を黄連と黄芩でとったらと考え、黄連阿膠湯を与えた。これはすばらしく効いた。1服で赤味がうすらぎ、1週間後には、カユミもなくなり、1ヶ月ほどで全治した。《大塚敬節》
[44]皮膚掻痒症[45]腹痛[46]不眠症:☆吐血、咳血、心煩して眠らず、五心熱してようよう肉脱する者。☆吐血後の不眠。《本朝経験》☆痘瘡煩渇眠れない者に特効あり。《勿誤薬室方函口訣》☆中暑心煩、臥するを得ざるの内証を治す《陳修園》☆産後の不眠で、胸の中がサラサラして、空っぽになったようで眠れないと、訴える者に、この方を用いた。《伊沢蘭軒》☆吐血・喀血などがあって、胸苦しくて眠れず、からだが熱し、だんだん衰弱を加える者に用いた《原南洋》☆この方は、黄連解毒湯や三黄瀉心湯を用いたいような患者で、やや疲労している者に用いる。《大塚敬節》 ☆本郷、御弓町の斎藤定之進の義子の太沖は、傷寒にかかり、数10日下熱せず、脈は虚数で、舌上に黄苔があって乾燥し、心身共に疲れ果てている。 余はこれを診して、少陰の裏熱の証で有ると診断して、黄連阿膠湯を与えたが、2、3日で心煩が安らぎ、少し安眠が出来るようになり、食もやや進んだ。 ところが、次の日、全身に熱が高くなり、譫語を発し、煩渇、狂躁の状となった。そこで家人は驚いて、余を招いた。 余はこれを診察してから云った。病が陰から陽に復するのであるから、心配はいらないと、升陽散火湯を与えた。4、5日たつと、精神が明了となり、飲食も大いに進んだ。ただ盗汗が止まらず、夜間、微熱があって、腹が引きつれて、動悸がある。そこで 聖恵の人参散を与えて全治した《橘窓書影》 [47]膀胱炎:淋家、心煩して小便利せざる者を治す《類聚方集覧》 [48]発赤[49]麻疹[50]腰痛:☆妊娠下重、痛み腰背に引くを治す:「黄芩当帰地黄糯米」《外台秘要方》 [51]羸痩
#黄連阿膠湯[2]《東醫寶鑑》「黄連・阿膠・黄柏・山梔子各1銭2分半」水煎服。 ◎膿血の腐った肉汁のような熱毒下痢。 ◎少陰病が原因で、煩躁して横にもなれない症。
#黄連阿膠元《東醫寶鑑》「黄連3両、赤茯苓2両」粉末にし、水と阿膠(炒)末1両で梧子大の丸剤。米飲で30~50丸空腹時に服用。 ◎赤白痢・熱痢。
#黄連飲[1]《東醫寶鑑》「人参2銭、黄連1銭半、炙甘草5分、青竹葉10斤、生姜1片」水煎服。 ◎心経に熱がある夜泣き。
#黄連飲[2]《聖済総録》《勿誤薬室方函》「甘草乾姜湯黄連」◎腸風、血を瀉す痢の如く、腹中痛し、面色萎黄の者。 #黄連温胆湯[1]《六因条辧》「黄芩2両、黄連・生地黄・知母各1両、甘草5銭」(雑病源流犀燭・臓腑門)
#黄連温胆湯[2]《六因条辧》「姜黄連・甘草・生地黄・当帰尾・赤芍薬・木通・連翹・防風・荊芥」(雑病源流犀燭・内傷外感門) #黄連温胆湯《中医処方解説》「温胆湯黄連」◎燥湿化痰、清熱理気。
#黄連丸[1]《東醫寶鑑》 =「抑青丸」「黄連(酒炒)or(姜汁炒)」作末して粥で作丸し、白湯で20~30丸呑む。◎心経の火をなくし、酒熱を治す。
#黄連丸[2]《備急千金要方》「黄連、生地黄」 #黄連橘皮竹茹半夏湯《臨床常用中薬手冊》「黄連、橘皮、竹茹、半夏、生姜、大棗」 黄連橘皮湯《外台秘要方》《勿誤薬室方函口訣》
[黄連4両、橘皮・杏仁・麻黄・葛根・枳実各2両、厚朴・甘草各1両」◎冬温に未だ即ち病まず、春に至って積寒の折むる所に被われ、発するを得ず、夏に至って熱を得、その春寒解け、冬温、毒始めて肌中に発す。
◎斑爛癮疹錦文の如くにして、咳し心悶し、清汁を嘔吐す。◎眼赤、口瘡、下部もまた瘡を生ず、已に自ら下利を得るを療す。◎此方は時毒の1証にて、頭瘟になれば小柴胡湯桔梗石膏、牛蒡芩連湯の之く所なれど、その邪、肌膚を侵して赤斑を発し、心煩下利する者に用いて効あり。
◎その一等劇しき者を「三黄石膏湯」《傷寒六書》とす。◎陰分に陥り内攻せんと欲する者は、「托裏挙斑湯」《瘟疫論》 #黄連解毒湯[1-1]《外台秘要方》《中薬臨床応用》「黄連5g、黄芩6g、黄柏6g、山梔子9g」水煎服。◎炎症性の煩躁◎意識朦朧◎譫語◎口乾
◎脈に力ある者。
#黄連解毒湯[1-2]《奥田謙蔵》「黄連3.6、黄芩・大黄・梔子各2.4」右四味を一包と為し、熱湯八勺中の之を漬し、須臾にして絞り、滓を去りて一回に温服する。◎心胸の間に毒有りて停滞し、或いは心下、之を按じて濡にして煩悶し、或いは心志定まらざる者を治す。《古方兼用丸散方》
#黄連解毒湯[1-3]《外台秘要方》 「黄連1銭、黄芩・黄柏・山梔子各2銭」◎時疾、煩悶に苦しみ、乾嘔、口燥し、呻吟、譫語し、臥するを得ざるを治す。◎此方は胸中熱邪を清解する聖剤なり。《勿誤薬室方函口訣》◎一名「倉公の火剤」とす。その目的は「梔子豉湯」の証にして熱勢劇しき者に用いる。
◎苦味に堪えかねる者は泡剤にして与える。◎煩悶に苦しみ、乾嘔、口燥し、呻吟・錯語し、臥するを得ざる者。◎清熱瀉火、解毒、清熱化湿、止血。◎大熱止まず、煩躁、乾嘔、口渇、喘満、陽厥極めて深く、蓄熱内に甚だしく、及び汗吐下後、寒涼の諸薬でその熱を退く能わざる者を治す。《傷寒活人書》◎三焦の実火にて内外皆熱し、煩渇し、小便赤く、口に瘡を生ずるを治す《傷寒活人書》◎黄連には、充血を去り、興奮を鎮める効がある。《大塚敬節》梔子には、充血を去り、煩躁を鎮める効がある。《大塚敬節》
【腹証】胸脇苦満や腹部膨満感がなく、心下がつかえるという程度。《大塚敬節》
【加減方】 「黄連解毒湯石膏・麻黄・香豉(又知母)」= 三黄石膏湯《傷寒六書》 【適応症】《矢野敏夫》 比較的体力があり、のぼせ気味で顔色赤く、イライラ傾向のある者の次の症状:「鼻出血」「不眠症」「ノイローゼ」「胃炎」「二日酔い」「血の道症」「めまい」「動悸」
【腹証】《矢野敏夫》 ★腹部の緊張は中等度良好。 ★腹直筋は上腹部がやや緊張。
【注意】《矢野敏夫》 <1>次の患者には、慎重に投与すること。 ○顔面および皮膚の血色が冴えず、胃腸機能の減退や内臓下垂の傾向を認め、手足などに冷えを自覚する者。
○精神的に抑うつ傾向のある者。
【ポイント】 <1>充血・炎症症状に対し抑制的に作用する。イライラ・不安・のぼせ症状、胃部のつかえ感、そのた出血傾向を目標にする。
<2>本剤を出血に用いる場合は、鮮紅色で勢いのあるものに用いる。 【参考】《矢野敏夫》 体力がやや弱く、皮膚の乾燥が甚だしい者(血虚)は、四物湯を合わせて温清飲として用いる。
★適応症及び病名 (黄連解毒湯) [1]噯逆(アイギャク):☆傷寒熱症、医誤って姜桂の薬を用い、火邪を助起し、相搏って逆する者を治す。《雑病翼方》☆傷寒にて伝経(ある証からある証へ病症が変化すること)熱症を医者誤りて姜桂の熱薬を用いて火邪を助け起こして、痰火相搏ち、而して噯逆する者を治す《万病回春》
[2]赤ら顔 ☆酒に酔ったような赤い顔をしている者には、三黄瀉心湯、黄連解毒湯、温清飲などを用いることが多い。赤い顔でも、頬の当たりだけが桃色になっている者には、麦門冬、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、苓桂味甘湯などを用いることが多い。
[3]イライラ[4]イボ:☆血疣:《方読便覧》[5]犬・ネコに噛まれたとき:☆狗猫鼠などの毒を解す。《勿誤薬室方函口訣》☆瘈狗傷(狂犬病)、外に「中黄膏杏仁人参甘草」を貼り、「黄連解毒湯木鱉子」を内服し、兼ねて「蟾蜍膾」を食する《先哲医話》[6]意識障害[7]咽乾[8]黄疸[9]怒りっぽい[10]かゆみ[11]牙疳:☆「+連翹犀角」《方読便覧》☆走馬牙疳:「+犀角地黄湯《備急千金要方》[12]鵞口瘡:☆「+薄荷・枳実・甘草」《方読便覧》 [13]喀血:☆[+地黄]
[14]川崎病 ☆川崎病の初期、発熱、発疹、結膜充血、不眠などを目標に用いる(漢方診療医典)[15]肝炎[16]肝火上炎[17]肝斑 [18]眼精疲労
☆充血、眼痛、のぼせ、種名、イライラがあり、腹力中等度以上で便秘はない(漢方診療医典)[19]感染症 [20]顔面紅潮[21]気の上衝<+>[22]気管支炎:☆化膿性に:「+桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》[23]気管支拡張症:☆「+桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》[24]急性胃腸炎[25]急性肝炎:☆湿熱ある者。
[26]急性感染症:☆インフルエンザ、日本脳炎、流行性脳脊髄膜炎、敗血症など。[27]急性胆嚢炎:☆湿熱ある者。[28]狂躁症:☆喜笑不止者を治す。[29]下血[30]下痢:☆膿血性、しぶる。☆細菌性の下痢。☆熱があって下痢する者は、通常柴芩湯であるが、一等甚だしい者は黄連解毒湯or柴胡解毒湯を用いる。《済世薬室》☆大熱有りて下利洞泄する者《勿誤薬室方函口訣》☆痧病などの熱毒深く洞下する者を治す。
[31]血尿[32]血崩: ☆「艾葉」《赤水玄珠》 [33]高血圧症:☆高血圧で不眠、のぼせ、顔面紅潮、気分が不安定:「釣藤鈎・黄蓍・魚腥草」。☆のぼせ、顔面潮紅、不眠、気分の不安定などの愁訴がある高血圧症患者に用いる。《大塚敬節》☆婦人の更年期障害に伴う高血圧症には、本方を用いる証が多い。《大塚敬節》☆重役婦人、46歳。1年前より月経が不調となり、その頃よりのぼせ、背部の灼熱感、動悸、多汗等の更年期症状を訴えていたが、最近、会社のストライキがもつれ、労働組合員が自宅にも押し掛けてきて、嫌がらせをするようになり、そのため、不眠、めまい等も訴 えるようになり、血圧も180-100となった。脈は浮でやや数、血色はよく赤味を帯びている。腹部は臍上で僅かに動悸が亢進しているだけで、特別の所見はない。大便は毎日1行ある。
私は、のぼせ、不眠、めまい、背部の灼熱感などを目標にして黄連解毒湯を与えた。これを飲むと、気分が落ち着き、睡眠薬を用いなくても眠れるようになり、10日後の来院で血圧は166-94となり、その後10毎の測定で、多少の上下はあったが、次第に血圧は安定し、3ヶ月たった頃は、最高150を越すこともなく、最低も90内外となった。《大塚敬節》
[34]口渇[35]口乾 [36]口苦[37]口内炎: (アフター性)☆「+甘草2.5g~3.0g」《大塚敬節》☆63歳男性。昭和6年5月頃、口唇の表皮が少し剥げていたが、自覚症状がないので、そのままにしておいた。6月も過ぎ、8月になっても依然としてよくならなない。その頃から医師にかかり始め、昭和7年2月に、私の診察をうけるまで、種々雑多の治療をくりかえした。そしてついに、最後に下された診断は、口唇ガンになるかも知れないということであった。
診ると、下唇の左半分に長さ1cm、幅0.3cmの浅い潰瘍がある。周囲はさほど硬くもないし、出血もない。刺激性の飲食物を食べるときに、少し痛むほか、自覚症状もない。ところで、口腔内をみると、舌も、頬の内面も、左側は、ところどころ紅くなって、爛れている。しかしこれらの部位もほとんど痛まない。私はこれに黄連解毒湯を与えたが、1週間分で、大いに軽快し、3週間分で全治した。《大塚敬節》
[38]更年期障害 [39]興奮しやすい[40]肛門出血[41]肛門掻痒[42]黒皮症:☆黄連解毒湯や白虎加桂枝湯の証があるが、黄連解毒湯が効く者が多い《大塚敬節》☆42歳の女性。3年前の春、急に顔が赤くなって、カユミを訴え、医師の手当を受けている間にそれが次第に黒くなって、顔一面に黒くなってしまった。医師はリール氏の黒皮症と診断したという。
大便は便秘がち、月経は順調と云う、目下はカユミはほとんど無いが、のぼせると言う。 そこで黄連解毒湯大黄を与えた。飲み始めて徐々に黒色が薄れ、6ヶ月後には全くの正常な色になった。ところが、その頃から月経が不順となって、時々背に灼熱感があり、ひどく発汗するようになった。
私は更年期障害と診断して、前方を連用し、この頃は、ほとんど灼熱感も、発作性の発汗も訴えない。《大塚敬節》[43]痔出血[44]衂血[45]歯痛[46]湿疹:☆みぞおちがつかえ、のぼせ気味で患部に熱感を覚える。☆発疹は赤味を帯び、かゆみがあり、乾燥していない。温清飲の場合は乾燥している。☆黄連解毒湯を用いるような湿疹でも、患部がひどく乾いて、油でも塗らないと堪えがたいようであれば、温清飲が良い。《大塚敬節》☆激しいかゆみに頓服。
☆「+荊芥連翹」で用いる《大塚敬節》 ☆55歳の婦人。血色も栄養もよい。昨年肝炎にかかった。ところが肝炎が治った頃から、湿疹が出来るようになった。この湿疹は顔面・肩・上肢の内側に診られ、発疹は赤く、その部分に熱感がある。時に動悸がある。食欲はあるが、胃潰瘍の気味があると云われたので、食事には注意しているという。脈は浮大数である。大便は秘結するので、下剤を飲むと云う。
私はこれに黄連解毒湯連翹荊芥大黄を7日分与えた。7日後に飲み終わって来院した時、患者はその効果に驚き、熱感が去り、カユミが減じ、大便が毎日快通するよいになったという。28日間の服用で全治した。《大塚敬節》☆58歳女性。頸部から肩に掛けて発疹、赤味を帯び、熱感がある。脈は浮でやや弦。腹診すると左脇下が硬く、臍上で動悸が亢進。大便は1日1行。血圧152-108。尿にタンパクなし、口渇があり、胃が重いという。私がのぼせるような感じは無いかと尋ねたところ、首から上がポカポカとあつく、酒に酔った時のような感じで、何となく乾く感じがあると云う。
以上の所見から連翹荊芥を与えた。7日後に、発赤、熱感が減じ、カユミも軽くなり、腹診上心下部の抵抗も減じ、血圧136-92 となった。2週間で良くなった《大塚敬節》[47]湿熱[48]重舌:☆重舌・木舌・紫舌等の症を治す《百々漢陰》[49]酒査鼻:☆酒毒を解する。[50]出血:☆炎症性の出血☆繭唇して出血《方読便覧》
[51]焦燥感 [52]情緒不安定 [53]小便赤色[54]食道炎: ☆食道、胃粘膜にビラン:「+大黄」[55]小児がはしかで鼻血[56]小児がはしかで高熱が続き煩躁[57]自律神経失調症状[58]心悸亢進:☆高血圧症や更年期障害からくる心悸亢進に用いることがある。
[59]心下痞 [60]心中懊[61]心煩[62]神経衰弱[63]神経性胃炎[64]神経症[65]身熱[66]ジンマシン:☆45歳の女性。2ヶ月前からジンマシンができ、みずおちに塊のようなものが出来ると、ひどくなるという、大便は1日1行。月経は順調。
十味敗毒湯を与えた。20日間服用したがまったく効かない。そこで口渇があるというのを目標にして白虎加桂枝湯にして。少し良いようだと云う。1ヶ月続けるが、やっぱり出るという。夜間がひどいと云う。そこで瘀血を疑って桂枝茯苓湯とする。これを飲むと ひどく悪い。そこでまた白虎加桂枝湯にとする。これでだいぶん良い。腰と足にだけ出る。その他は良い。大きいのは出ない。小さいのが出る。口渇は無くなったが、食事を始めると胸がやけるようになったという。腹診すると鳩尾がつかえ、自分ではここに塊があるように感じるという、そこで黄連解毒湯にしたら、20日で完全に治った。《大塚敬節》
[67]髄膜炎[68]頭痛:☆食物が胃に停滞して始終腹が張り、のぼせて顔色が赤く、頭痛を訴える者。☆高血圧症、動脈硬化症の頭痛。☆便秘があれば→「三黄瀉心湯」
[69]精神不安[70]精神病 [71]舌質<紅> ☆辺縁の紅潮あり《矢野敏夫》 [72]舌苔<白~黄膩>[73]譫語:(センゴ=うわごと)☆譫妄一証は即ち毒火太盛、邪熱心を侵し、神昏するなり、疹未だ出ざる者は黄連解毒湯加味に宜し
《麻疹心得続録》[74]喘息:☆咳して喘息し、面赤く潮熱あり、脈洪大を治す《病機彙編》 [75]瘡瘍:☆惞痛し、煩躁し、冷を飲み、脈洪数の者《先哲医話》[76]立ちくらみ[77]打撲[78]丹毒:☆「牡丹皮・升麻・芍薬・紫草・甘草」《方読便覧》[79]血の道症:☆赤ら顔で、のぼせ、不眠、心悸亢進、鼻出血があり、イライラして精神が不安定な者。
[80]中毒:☆腐薬瞑眩、その証微なる者は悪寒発熱し、或いは渇し、或いは飲食進まず、劇しき者は、煩渇、或いは煩悶、その毒、心下に迫って、遂に命期を促すに至る。急に当に之を救うべし、[黄連解毒湯][甘連加石膏湯][緑豆湯]などに宜し。《先哲医話》☆32歳男性。6年ほど前、砒素剤を服用したところ、顔の毛細血管が赤く透けて見えるようになり、鼻翼・頬部・眼瞼は特にひどくなり、どうしても、治らないと云う。
患者は背が高くて、色の白い方で、脈は浮大、白苔がある。大便は1日1行。 私はこれに黄連解毒湯葛根紅花を与えた。すると徐々に毛細血管が見えなくなり、約1年で全治した。なぜ葛根紅花を加えたかというに、《有持桂里》の《方輿輗》には葛根紅花湯という処方を酒渣鼻に用いてあり、これにヒントを得たのである。《大塚敬節》[81]ツバがたまる:☆口に唾液の溜まるものに、人参湯や甘草乾姜湯のような裏を温める作用のある処方を用いて良いものと、黄連解毒湯や瀉胃湯のように、裏を冷却せしめる作用のある処方を用いて良いものとある。黄連解毒湯や瀉胃湯の場合は、患者に寒性の症状が無く、顔色も赤味を帯び、唾液も粘稠で、しばしば口臭を覚え、脈も浮数の傾向がある。口内炎のため粘液の分泌が増加して、よだれの出るというような時にこれらの処方を用いる機会がある。《大塚敬節》[82]手足が温かい[83]動悸:☆酒に酔って、ひどく動悸する者に用いる《大塚敬節》☆火傷を受けて興奮状態になって、動悸する者に用いる。《大塚敬節》☆からだ中で動悸がして、夜もよく眠れないという53歳の女性が診を乞うた。痔核があって某医院で注射をしてから、そうなったのだという。ことに肛門から外陰部で動悸するという。よく訊ねると、全身に熱感があって、あちらこちらで脈が打つのを感ずるという。心臓に故障はなく、心下部の動悸は亢進していない。私はこれを更年期障害と診断して、本方を与えたところたちまち良くなった、《大塚敬節》[84]吐血:☆上焦熱極にして鮮紅を吐血するを治す:「+生地黄・犀角」
[85]軟便:☆陽毒熱極等の証、あるいは下後、便軟に壮熱已まず、此方に宜し。《傷寒翼方》[86]日本脳炎[87]尿路感染症☆湿熱ある者。[88]熱性ケイレン[89]熱性病:☆内熱太甚だしく、大熱、大渇、大煩する者:「+白虎加湯」《傷寒翼方》☆熱病の後の余熱に用いる方剤に竹葉石膏湯がある。これと黄連解毒湯との違いは、例えば竹葉石膏湯は火が燃えたあと余熱が残って、ほのかに温もりがあるという程度であるのに対し、黄連解毒湯は灼けて、焦げ付いたという感じである。《大塚敬節》[90]熱毒下血:☆(排便後に黒色を帯びた下血。腹痛がある。)[91]ノイローゼ[92]脳溢血[93]脳出血後遺症[94]脳卒中[95]のぼせ:☆顔面が酒でも呑んだ様に潮紅を呈し、気分がイライラして落ち着かず興奮傾向のある者。《大塚敬節》
☆多血症・高血圧症の者に用いる機会が多い。《大塚敬節》☆便秘の傾向があれば三黄瀉心湯を、不眠傾向があれば黄連解毒湯を用いる《大塚敬節》 ☆皮膚乾燥気味、顔面熱感(表面上赤くなくても良い)を目標にする《矢野敏夫》[96]肺炎[97]肺化膿症☆「桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》[98]敗血症:☆疔毒心に入り、口乾、煩悶、恍惚、脈実なる者を治す:
「連翹・甘草・牛蒡子」《外科正宗》「連翹・甘草・牛蒡子・石膏・犀角」《本朝経験》☆気迫する者:「沈香」《方読便覧》[99]排尿痛 [100]発熱:☆高熱が多い。☆1男子、原因不明の高熱が数日続き、抗生物質を用いて下熱したが、口唇は乾燥して裂け、舌は乾いて全くしめりなく、水を欲するも、呑もうとすると悪心があり食欲なく、うとうととするも何となく不安で安眠を得ない。脈は沈で力がある。
私はこれに黄連解毒湯を用いたが、2日後には口内にしめりを生じ、食欲が出で、安眠を得るようになった。《大塚敬節》☆発熱後、日数を経て余熱が内にこもり、舌は乾燥し、時には、黒苔を生じ、胸苦しく、口が渇き、悪心、不眠などのある者に用いる。この際、体の表面にくわっくわっとした浮かび出た熱はなく、深く沈んでこびりついたものによい。
皮膚もガサガサとして湿りがない。脈は沈んで小さくても力がある。腹にも底力がある。《大塚敬節》☆悪風や悪寒のある場合には、この処方ではない《大塚敬節》☆火傷のため、激しく発熱し、重篤の症状を呈する者に用いる。《大塚敬節》[101]煩渇[102]ヒステリー[103]鼻出血:☆衂血清涼の治法なり:「連翹」《本朝経験》[104]皮膚掻痒症:☆(かゆみ激しい<+++>)[105]皮膚の化膿:☆熱があるもの。[106]表層性胃炎[107]疽:☆疽並びに手指一切の腫瘍、金瘡、損傷を治す「石膏甘草」《方読便覧》[108]腹部有力[109]二日酔い[110]不安感[111]不眠症:☆頭が冴えてなかなか眠れない。☆気分が落ち着かず、つまらない事が気にかかり眠れない。☆イライラして眠れない。☆のぼせて眠れない。☆高血圧症、更年期障害のときの不眠に用いる機会がある《大塚敬節》☆55歳女性。8年前、子宮の全摘と片方の卵巣とを摘出した。主訴は頭重、めまい、不眠で、いつも頭に何かかぶっているようで、気分が重いと云う。この症状は5、6年前から起こり、その間、電撃療法を3回受けたが、あまりよくならなかった。便通は毎日有り、食欲は少ない。舌には白苔がある。この白苔は、毎晩のんでいる眠り薬のためかも知れないと患者は云う。診察が終わったあと、患者は、家の中の汚れが気になったり、食事のまずいのが気になると、追加した。
私はこれに黄連解毒湯を与えたが、1週間分を飲み終わって来院した時、患者は次のように云った。 朝、眼が醒めると、頭が重く、何かかぶったようになり、同時に肛門が締まって苦しいが、軟便が出ると楽になる。その時、舌がしぶいように感ずる。
私はこんな訴えによって、処方を変えることなく、前方を与えた。すると、次の1週間分を飲むと、肛門の締まりが減じ、よく眠れるようになった。めまいも頭重も軽くなった。ただ寝ていると、夜間口にツバがたまって困ると言う。
私は迷った。口につばが溜まるというのは、裏に寒があるためで、この裏寒を温めるには、人参湯を用いなければならないのではないか?黄連解毒湯は裏熱を去る効があるから、これで胃を冷却し過ぎたかも知れない。しかし、いま一度前方で押し通してみようと決心し、黄連解毒湯を与えたところ、口のツバも溜まらなくなり、神経症状も消散した。この時のツバは、裏寒のためのものではなかったらしい。《大塚敬節》[112]ベーチェット病:☆24歳の女性。数年前から繰り返し、口中に潰瘍が出来て、どんなことをしても治らない。医師はベーチェット氏病と診断したという。 患者は中肉中背で色白く、潰瘍が一時外陰部にも出来たことがあるが、主として口中に出来るという。大便は1日1行で、快通し、月経は正常。腹部は臍部でやや動悸を触れる。食欲はあるが、痛みのために十分食べられない。やや不眠の傾向がある。こんな状態であったから、私は黄連解毒湯に山豆根2.0を加えて用いたところ、10日頃から、潰瘍の治癒が速くなり、後から後から出来ていたのが少なくなり、3ヶ月で全治し、その後2ヶ月ほど服用した、それから2年になるが再発しない。《大塚敬節》
☆粘膜症状の急性期で熱感や疼痛の強いものに用いる(漢方診療医典)[113]便秘 「+大黄」=黄解丸 [114]胞衣が下らない:☆新産息胞、憂思百端、気逆耳鳴眩迷す:「紅藍花」《本朝経験》[115]発赤[116]麻疹:☆疹未だ尽きず、怫々として発熱し、煩悶寧らざる者を治す。☆発せず、内欝煩悶、面熱し、赤斑皮中に隠々し、発透する能わざる者:「牛蒡子・甘草・大黄」《麻疹心得続録》☆毒熱壅滞し因って面赤、身熱、譫語、煩渇、疹色赤紫にして黯を帯びる者、先ず「化斑湯」を与え、差えざる者は「牛蒡子・甘草・大黄」を用いて一下すべし。《麻疹心得続録》[117]むち打ち症[110]胸苦しい(心煩)[111]めまい:☆のぼせたり、興奮したり、脳充血を起こしたりしたときのめまいに用いる《大塚敬節》[112]目が熱っぽい[113]目の充血[114]目眩[115]裏急後重[116]流行性脳脊髄膜炎
#黄連解毒湯[2-1]《活人書》《漢方後世要方解説》「黄連・黄芩・黄柏各3、山梔子2、《万病回春》には更に加うるに柴胡・連翹・芍薬各2」◎三焦の実火、内外皆熱し、煩渇し、小便赤く、口瘡を生ずるを治す。◎一切の火熱、表裏倶に盛にして、狂躁煩心、口瘡咽乾大熱し、乾嘔錯誤して眠らず、吐血衂血し、熱甚だしく発斑するを治す《医方集解》◎此方は三焦の実火、内外皆熱すと云うのが目的で、半表半裏の熱にも非ず、凉膈散、白虎湯、承気湯の熱にも非ず、日数を経たる残余余熱を解するものである。熱永びき津液枯れて皮膚枯燥し、実熱あれども既に脈沈細にして力あり、腹堅にして結毒深く固着する者に用いる。又、瀉心湯の意を以て諸実火の出血、喀血、吐血、衂血、下血、血漏等に広く用いられる。単独にても用いるが、四物湯その他と合方或いは加減して用いることが多い。
「黄連」=心脾胃の瀉火を主とす。「黄芩」=肺、大腸小腸の瀉火剤「黄柏」=腎、膀胱の瀉火剤「梔子」=心包、三焦の瀉火剤「柴胡」=肝、胆の瀉火剤「連翹」=心、脾の瀉火剤。
#黄連解毒湯[2-2]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「黄連・山梔子各2.0g、黄芩・柴胡各3.0g、黄柏・連翹各1.5g」◎煩悶、乾嘔口燥、呻吟、錯語、不眠、出血。
★適応症及び病名(黄連解毒湯) [1]急性熱病: ☆熱性諸病の余熱《矢数道明》[2]出血: ☆喀血・吐血・衂血・便血・子宮出血《矢数道明》 ☆熱淋出血《矢数道明》[3]頭痛:
☆52歳男性。 「体格は太って、おなかがちょっと出ている。誰が見ても健康そのものに見えるが、本人はいつも頭痛がして仕方ないという。A医院で血圧を測ると、少し高いので、頭痛はそのせだと言われ、降圧剤をもらって飲んだ。しかし頭痛はいっこうに良くならない。
B医院で改めて見てもらうと、年齢にしては当然の血圧で、之が原因で頭が痛むとは考えられない。女の更年期障害みたいなもので、しばらく我慢しなさい--と言われた。
そこで管ぽいを訪ねたところ、黄連解毒湯を勧められ、飲み始めたところ、たちまち気分が落ち着いてきて頭痛はすっかり消えてしまったと言う。」《山田光胤》
[4]精神分裂病 ☆20歳男性。 「被害妄想がひどく、激しい興奮状態にあったので、大学病院で電気ショック両方を受けたところ、一応興奮状態だけはおさまった。しかし、「ある人に呪われている、自分の体が異常状態に陥れられている」という妄想と異常感覚だけは、どうしても消えない。
試みに、黄連解毒湯を3ヶ月ほど服用させてみたところ、次第に妄想も消えて、すっかり元通りになってしまい、以後7年間、立派に働いている。」《山田光胤》[5]痘瘡:[6]発狂喜笑: ☆狂乱喜笑不止《矢数道明》[7]皮膚病[8]麻疹:《矢数道明》
#黄連解毒湯[3]《外科正宗》「黄連・黄芩・黄柏・山梔子・連翹・甘草・悪実各等分」 ◎疔毒心に入り、内熱、口乾、煩悶、恍惚、脈実なる者を治す。
#黄連化痰丸《東醫寶鑑》「黄連・呉茱萸各1銭半、陳皮5銭、半夏1両半」粉末にし、姜汁糊で緑豆大の丸剤。姜湯で100丸呑む。 ◎熱痰と咳を治す。
#黄連橘皮湯《外台秘要方》「黄連4両、橘皮・杏仁・麻黄・葛根・枳実各2両、厚朴・甘草各1両」◎斑爛疹錦文の如くして咳し心悶し、清汁を嘔吐す。眼赤・口瘡・下部も亦瘡を生ず、已に自ら下利を得るを療す。
黄連鶏子湯⇒黄連阿膠湯。 #黄連膏《医宗金鑑》 「黄連・黄柏・姜黄各12g、当帰尾20g、生地黄40g、胡麻油480gを用いて各薬と共に煎じて枯らし、渣を去り、きれいに濾し、黄蝋160gを加えて火にかけて、膏とする」
#黄連香薷飲《東醫寶鑑》 =「黄連香薷散」「香薷3銭、厚朴1銭半、黄連7分半」を剉作1貼し、酒を少し入れ水煎し、冷服する。 ◎中暑と熱渇を治す。
【加減方】[四苓散白芍薬・梔子(炒)](熱泄で、口が乾き冷たいものを好み、痛みと瀉が交互に来る) #黄連犀角湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄連・犀角・烏梅・木香・桃仁各1銭」剉作1貼、水煎服。◎狐惑を治す。
#黄連犀角湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄連1両半、犀角1両、烏梅7分、木香7分、桃仁」水煎し温服。◎傷寒、孤惑にて其の症、四肢沈重、食気を聞くを悪み、黙々をして臥せんと欲し、目閉じ、舌白く、面目の間黒色にして変易常ならず、下部を虫食し、狐となり、而して唇下に瘡あり、其の咽乾き、其の臓を虫食し惑となる。 (孤惑=コワク、うたがいまどう)
(孤=陰部潰瘍、惑=咽喉部潰瘍)◎上唇瘡ありて声唖するを治す。 #黄連犀角湯[2]《医林集要》「黄連犀角湯《万病回春》桃仁」 #黄連散《東醫寶鑑》「大黄(醋炒)2両、黄芩・黄連・甘草各1両」を細末にし、温水で2銭づつ1日2回服用。
◎黄疸で熱が壅寒し、二便が秘渋する者
#黄連地黄湯《東醫寶鑑》「黄連・生地黄・天花粉・五味子・当帰・人参・葛根・白茯苓・麦門冬・甘草各1銭、生姜2、大棗1、竹葉10」水煎服。 ◎三消(糖尿の)を治す。
#黄連地黄湯《万病回春》《古今方彙》「黄連・生地黄・括楼根・五味子・当帰・人参・乾葛・茯苓・麦門冬・甘草各1銭、生姜・大棗・竹葉:水煎。 ◎三焦渇するを治す。神の如し。◎上焦渇する者:「山梔子桔梗」◎中焦渇する者:「黄芩」◎頭眩し渇止まざる者:「石膏」◎下焦渇する者:「黄柏知母」
#黄連瀉心湯《東醫寶鑑》 「黄芩2両、黄連・生地黄・知母・各1両、甘草5銭」細切りにし、毎回5銭づつ水煎服。 ◎狂疾を治す。
#黄連清心飲《東醫寶鑑》「黄連・生地黄・当帰・甘草・茯神・酸棗仁・遠志・人参・蓮肉」各等分を粉末にし、毎回5銭煎服。 ◎精が泄するのを調整する。
#黄連清膈丸《東醫寶鑑》「麦門冬1両、黄連5銭、黄芩(鼠尾)3銭」粉末にし、緑豆大の丸剤。温水で20~30丸呑む。 ◎心肺間の熱を治す。
#黄連清化丸《東醫寶鑑》「半夏1両半、黄連1両、陳皮5銭、桃仁20個、呉茱萸1銭」を粉末にし、神麹糊で緑豆大の丸剤。姜湯で100丸呑む。 ◎呑酸を治す。
#黄連消痞丸《東醫寶鑑》「黄芩・黄連(炒)各6銭、枳実(麩炒)5銭、半夏(製)4銭、姜黄・白朮・沢瀉各3銭、人参・陳皮・厚朴各2銭、猪苓1銭半、縮砂・乾姜・神麹・甘草各1銭」を粉末にし、梧子大の丸剤。白湯で100丸呑む。
◎心下の痞が治らない者。 #黄連消毒散《東醫寶鑑》「黄連・羗活各1銭2分、黄芩・黄柏・藁本・防已・桔梗各7分、生地黄・知母・独活・防風・連翹・当帰尾各6分、人参・甘草各5分、蘇木・陳皮・沢瀉・黄蓍各4分」
◎癰疽が背中に出来、痛まない。 #黄連消毒飲《寿世保元》《古今方彙》「黄連・羗活各1銭、黄芩・黄柏・藁本・防已・桔梗・当帰尾各5分、生地黄・知母・独活・防風・連翹各4分、黄蓍・人参・甘草・陳皮各3分、蘇木・沢瀉各2分」水煎服。◎附骨疽を治す神方なり。
#黄連竹茹湯[1-1]《東醫寶鑑》「黄連(姜汁炒)・山梔子(炒黒)・青竹茹各1銭、人参7分、白朮・赤茯苓・白芍・陳皮・麦門冬・甘草各5分、大棗2枚、梅1個」煎服。
◎胃に熱があって嘔吐・煩渇し、脈の早い症。
#黄連竹茹湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄連(姜汁炒)・山梔子(炒黒)・竹茹各1銭、人参5分、白朮・茯苓・白芍薬(炒)・麦門冬・甘草各3分、炒米1撮、烏梅1個、陳皮3分、棗肉」水煎。
◎胃熱にて煩渇吐するを治す。◎発熱には:「柴胡」
#黄連竹茹湯[2]《万病回春》《古今方彙》「砂仁・沈香・木香・茴香各5分、紫蘇子8分、甘草2分、黄連・竹茹・山梔子・陳皮・半夏・麦門冬各1銭、烏梅1個」煎服。
◎胃中に痰ありてを発するを治す。 #黄連通聖散《東醫寶鑑》 「防風通聖散黄連(酒炒)・薄荷葉」◎濁った鼻水が止まらない症。
#黄連猪肚丸[1]《東醫寶鑑》「雄猪肚1個、黄連5両、麦門冬・知母・瓜蔞根各4両」を粉末にし、猪肚の中に入れ、ひもで結び、肚を堅く封じて蒸し、臼でついて蜜を少し入れ、梧子大の丸剤。米飲で100丸呑む。
◎消渇・消中と強中症を治す。
#黄連猪肚丸[2]《東醫寶鑑》「黄連・小麦(炒)天花粉・茯神各4両、麦門冬2両」を粉末にし・雄猪肚1個に入れて封をし、蒸してついて梧子大の丸剤。米飲で70~90丸飲む。◎強中症に、石子薺苨湯を飲んだ後、この丸を飲む。
#黄連湯[1-1]《傷寒論》「黄連3両、甘草(炙)3両、乾姜3両、桂枝(去皮)3両、人参2両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚」 右七味、以水一斗、煮取六升、去滓、温服。晝三夜二。◎傷寒、胸中有熱、胃中有邪氣、腹中痛、欲嘔吐者、黄連湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七
「胸中熱」=現代医学で熱という場合は、体温の上昇を意味するが、個々では熱感の意で、あつく感ずること(大塚敬節)
#黄連湯[1-2]《東醫寶鑑》「黄連2銭、人参1銭半、半夏1銭2分、乾姜・桂枝各1銭、甘草5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎腹痛と嘔吐。上に熱があり、下が冷える者。
#黄連湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄連3g、半夏9g、乾姜3g、桂枝3g、党参9g、甘草3g、大棗15g」水煎 服。 ◎胃寒による腹痛、嘔吐。◎胸が暑苦しい
#黄連湯[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》「黄連・甘草・乾姜・人参・桂枝・大棗各3、半夏5」◎心煩、心下痞硬し、腹痛、嘔吐、上衝する者を治す。《吉益東洞》
◎熱病、心下痞し、胸中熱煩し、心腹痛みて吐せんと欲し、その人、頭に汗出で、心下悸して臥すこと能ざる者は、黄連湯之を主ドル《医聖方格》 ◎此方は胸中有熱、胃中有邪気と云うが本文なれども、《喩嘉言》が湿家下之舌上如胎者、丹田有熱、胸中有寒、仲景亦用此湯治之の説に従って、舌上如胎の 4字を一徴とすべし。《勿誤薬室方函口訣》◎此症の胎の模様は、舌の奥ほど胎が厚くかかり、少し黄色を帯び、舌上潤いて滑らかなる胎の有る者は、たとい腹痛無くとも、雑病乾嘔有りて諸治効無きに決して効あり。腹痛あれば尚更のことなり。
◎此方は「半夏瀉心湯黄芩桂枝」なれども、その効用大いに異なり。甘草乾姜桂枝人参と組みたる趣意は「桂枝人参湯」に近し。但し彼は恊熱利に用い、此は上熱下寒に用いる。黄連の主薬たる所以なり。また案ずるに、此の桂枝は腹痛を主とす。即ち「生地黄湯」《備急千金要方》の桂枝と同趣旨なり。《勿誤薬室方函口訣》◎胸熱胃寒、腹痛嘔吐。◎和胃降逆、消痞止痛、止瀉、清熱、調和腸胃。《中医処方解説》◎黄連湯(胸中煩熱、胃中有寒、腹痛<臍上>、胃のもたれ感、食欲不振、嘔吐、口臭、舌苔<黄白色>湿潤)
【腹証】《腹診配剤録》 “心下に物無く、上中脘の辺に凝り有りて痛み、食臭を聞けば、則ち嘔せんと欲す” 《矢野敏夫》 ★腹壁全体の緊張良好《矢野敏夫》
★適応症及び病名 (黄連湯) [1]噯気[2]イライラ[3]胃液分泌過多症[4]胃炎 [5]胃潰瘍[6]胃カタル[7]胃ガン[8]胃酸過多症[9]胃部の不快感☆(停滞・重圧感)☆脈微緩にして、胸腹部に不快感あり、心下部殊に膨満するも、之按ずるに軟、時に嘔吐を発せんとする証《奥田謙蔵》☆飲酒過度、あるいは宿酔等《奥田謙蔵》[10]胃部の疼痛[11]嘔吐:☆厥、復し、発熱心煩し、嘔吐除かず、飲食を欲せざる者。☆霍乱、疝瘕、攻心腹痛し、発熱、上逆し、心悸して嘔吐せんと欲し、及び婦人の血気痛、嘔して心煩し、発熱、頭痛する者を治す《類聚方広義》☆半夏瀉心湯の黄芩の代わりに桂枝を入れたもので、腹証は半夏瀉心湯と同じく心下痞があり、腹痛・嘔吐を目標として用いる《大塚敬節》
[12]気の上衝<> [13]急性胃カタル [14]急性胃腸炎 [15]急性虫垂炎 [16]胸中煩熱:☆半夏瀉心湯の証にして、下利せず、胸中熱ある者なり。《傷寒論識》☆胸部に熱煩、欝満の感ありて食欲欠損し、時に胃痛んで堪ふ可らず、二便に著変なき証《奥田謙蔵》☆胸部に煩熱を覚え、或いは腹痛し、或いは便通不整にして、脈弦数なる証《奥田謙蔵》☆胸中煩熱し、心下部膨満し、或いは喘し、或いは嘔吐し、或いは腹痛し、両便に著変なく、脈微しく弦なる証《奥田謙蔵》[17]下痢:(腹痛ある者)
☆腹痛・嘔気ある者に。《荒木正胤》☆腹痛なく雷鳴し、水瀉性の下痢は、生姜瀉心湯を考える。《済世薬室》☆下痢性疾患にして、腹痛し、嘔気ある証《奥田謙蔵》
[18]口臭 [19]口角糜爛症(びらん、のぼせあり)[20]口内炎(口臭がある)[21]更年期障害☆胸中煩悶、みずおちつかえ、頭痛、吐き気ある者《荒木正胤》[22]コレラ[23]回虫 [24]自家中毒[25]十二指腸潰瘍[26]消化不良 [27]自律神経失調症状[28]歯痛 [29]十二指腸潰瘍 [30]上熱下寒[31]上腹部の疼痛:☆(心下~臍上)[32]舌苔<微白~黄白>☆厚い白苔の現れることが多い《大塚敬節》[33]大腸炎[34]胆石症[35]血の道症[36]虫垂炎:☆急性初期で嘔吐・腹痛<劇痛>[37]腸炎・腸カタル[38]テンカン[39]腹痛:☆霍乱吐瀉止まず、心腹煩痛する者を治す《先哲医話》☆痘疹熱毒胃中にあり、腹痛する者《傷寒翼方》☆この方は心下痞硬よりも腹痛を目標にして用いる。もし心下痞硬が著明であれば半夏瀉心湯などの瀉心湯類を用い、それで痛の止まない時にこの方を用いる。《大塚敬節》☆この方の腹痛は、みずおちと臍の中間あたりから起こるものに良い。《大塚敬節》☆嘔吐は無くても良い。《大塚敬節》☆食傷や急性の胃炎などの腹痛に用いることもある。この際には舌に白苔が厚くかかることが多い。《大塚敬節》[40]二日酔い:☆頭痛・吐き気ある者《荒木正胤》 [41]ノイローゼ[42]肺結核[43]慢性胃炎[44]虫歯[45]盲腸炎[46]卵巣機能障害
#黄連湯[2-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄連(酒炒)・生地黄(酒洗)・麦門冬・当帰(酒洗)・赤芍各1銭、犀角・薄荷・甘草各5分」水煎服。 ◎口唇の瘡。又は舌が裂け、舌先の出血。
#黄連湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》「薄荷葉・犀角・甘草各5分、黄連・山梔子・生地黄・当帰・芍薬・麦門冬湯各1銭」水煎し食遠に服用。 ◎心下舌上に瘡を生じ、或いは舌上腫れ燥き裂け、或いは舌尖出血し、或いは舌硬きを治す。
#黄連湯[3]《東醫寶鑑》「黄連・当帰各2銭、甘草1銭」煎服。 ◎大便のあと下血し、腹が痛まない者。
#黄連二陳湯《中医処方解説》「二陳湯黄連」
#黄連茯苓湯《東醫寶鑑》「黄連・赤茯苓・各1銭2分半、麦門冬・通草・車前子・遠志各7分半、半夏・黄芩・甘草5分半、生姜7、大棗2」水煎服。 ◎上下に寒を受けて、たわごとを言い、妄心・疼痛・咳嗽・寝汗のある者。
#黄連補腸湯《東醫寶鑑》「黄連4銭、赤茯苓・川芎各3銭、石榴皮5片、地楡5銭、伏竜肝2銭」水煎服。 ◎大腸が冷え、青白色の便を下す者。
#黄連木香湯《東醫寶鑑》「白芍(炒)2銭、白朮1銭半、黄連(炒)・木香・縮砂(研)・黄芩(炒)・陳皮・当帰(酒洗)各1銭、甘草5分、生姜3片」水煎服。
◎瘧疾後の痢疾を治す。
#黄蝋膏《東醫寶鑑》「清油5銭を弱火で煮て、黄蝋1塊を入れて又煮る。胡粉・五倍子末を少しづつ入れて煎じ、紫色になったらOK。まず患部を熱湯で洗って乾かした後、膏をつける。
◎凍傷で痛む者。
#鴨子煎《東醫寶鑑》「生姜(年少者100銭、年老者200銭)を搗いて自然汁を取り、卵1個を姜汁に入れて混ぜ、煎じて8分ぐらいになったら蒲黄3銭を入れ、再煎し、温服。
◎子癇を治す。 ◎子痢を治す。
#応鐘散《吉益東洞》=「芎黄散」。「應鐘散」「川芎・大黄各2両」右2味、杵き篩い作末。毎服6分、酒或いは湯にて送下。知らざれば稍加えて1銭に至る。下を以て度と為す。若し結毒、痼疾あるものは、毎夕、臥に臨みて之を服す。◎諸々の上衝。轉変して治すべからざるものを治す。
★適応症及び病名(応鐘散) [1]肩こり[2]血圧上昇[3]頭痛[4]動悸[5]のぼせ ☆便秘に伴うのぼせ。[6]便秘[7]めまい #応神黒玉丹《東醫寶鑑》「猬皮4両、諸懸蹄2隻、牛角猬3両、乱髪霜・敗棕2両、槐角1両半、苦楝根1両2銭半、雷丸・脂麻各1両を剉砕して缶に入れ、火煆して粉末にし、そこに乳香5銭、麝香2銭を入れて混ぜ、酒糊で梧子大の丸剤。先に胡桃肉1個を入れてかじり、温酒で30~50丸夕食前に呑む。◎五痔と諸痔。(→病状し)
#応痛元《東醫寶鑑》「生姜朮・破故紙(半生半炒)・骨砕補・穿山甲(桑灰炒為珠)・生草烏各2両、茴香1両半に草烏を細かく切って連皮生姜4両とっておいて一夜おき、焙って乾かし、前の薬と作末して酒糊で梧子大の丸剤。温酒で50丸呑む。
◎折傷後に風寒湿の為手足が痛む。
#嘔血一方[1]《寿世保元》《古今方彙》「当帰・川芎・芍薬・生地黄・梔子」水煎し服するに臨み「童便・韮汁(少許)」入れる。 ◎先づ悪心し、而して血を嘔する者を治す。これ多くは怒気逆するに因るなり。◎《厳氏済生方》には欝金あり。◎痰あれば:「竹瀝」
#嘔血一方[2]《寿世保元》《古今方彙》 「黄蓍、人参、黄柏、荊芥、当帰、生地黄」水煎温服。◎血を嘔し、脉大にして発熱し、喉中痛む者を治す。これ気虚なり。
#嘔血一方[3]《寿世保元》《古今方彙》 「当帰、生地黄、桔梗、通草、牡丹皮、括楼仁」水煎温服。◎怒気逆甚だしく、而して嘔血する者を治す。
#嘔吐一方[1]《済世全書》《古今方彙》「人参、半夏、生姜」蜜(少許)入れ水煎。◎気虚し痰あり嘔吐する者を治す。◎また、反胃を治す。
#嘔吐一方[2]《寿世保元》《古今方彙》「藿香・厚朴・陳皮・白朮・半夏・茯苓各1銭、砂仁(炒)5分、枇杷葉3片、甘草3分、生姜」水煎。 ◎大腸結燥し、嘔吐止まず湯薬入らざるを治す。◎老人虚人に多く此症あり。◎幽門通ぜずして竅門泛満(のどにあふれて一杯になる)の症、法は須らく先づ「蜜導煎」を以てその幽門を通じ、然る後に薬を服すべし。
#罌栗蘇子湯《后字二三六部隊》《中薬臨床応用》「罌栗殻・蘇子・烏梅・五味子各6g、地竜・杏仁各9g、半夏8g」水煎服。◎慢性の咳嗽
#乙字湯[1-1]《原南陽》《中医処方解説》「柴胡5g、升麻2g、黄芩3g、甘草(炙)3g、大棗3g、生姜2g、大黄1g」 (原方)
#乙字湯[1-2]《原南陽》《漢方後世要方解説》「柴胡5、当帰6、黄芩3、升麻1、甘草2、大黄0.5」 大黄は便通の如何により去加する。◎此方は種々の痔疾に用いられる。特に痔疾の疼痛、出血、肛門裂傷などに良い。◎筆者《矢数道明》は長浜氏の駆瘀血丸を以て屡々効を得ている。「柴胡、升麻」=湿熱清解の効あり。「当帰」=滋陰通和の能あり。「黄芩」=裏熱を清解する。
#乙字湯[1-3]《原南陽》《龍野一雄》「唐大黄1~3g、柴胡4g、升麻1.5g、甘草3g、黄芩3g、当帰5g」◎実証の痔、脱肛、痔出血。
#乙字湯[1-4]《勿誤薬室方函口訣》「乙字湯《原南陽》原方大棗・生姜当帰」 ◎痔疾脱肛の痛楚する、あるいは下血腸風、あるいは前陰痒痛する者を理す。◎諸瘡疥、誤って枯薬にて洗傅し、頓に癒ゆる後、上逆鬱冒、気癖の如く、繊憂細慮、あるいは心気不定の如き者、並びに之を主る。《原南陽》◎此方は《原南陽》の経験にて、諸痔疾、脱肛、痛楚甚だしく、或いは前陰痒痛、心気不定の者を治す。◎南陽は柴胡・升麻を升提の意に用いたれども、やはり湿熱清解の功に取るがよし。
◎そのうち、升麻は古より「犀角」の代用にして止血の功あり。◎此方は「甘草」を大量にせざれば効なし。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名 (乙字湯)
[1]イボ痔(痔核):☆私はこの方を痔核に用いる時は、「大黄桃仁・牡丹皮・魚腥草」とする。便秘がひどいときは大黄を入れるが、そうでなければ入れない。桃仁・牡丹皮を入れるのは、痔核を瘀血とみて、瘀血を治する作用のあるこの2味を加えるのである。魚腥草には緩下と止血の作用があるので加える。《大塚敬節》
[2]陰部掻痒症[3]下血:☆臓毒による:「桃仁・人参」《方読便覧》[4]肛門裂傷:《矢数道明》 ☆この処方は原南陽の経験方で、いろいろの痔疾患に用いられる。とくに痔核の騰津、出血、肛門裂傷などによい。便通の状態によっては大黄を去るのがよい。大塚氏はこれに桃仁、牡丹皮、魚腥草(ドクダミ)を加えて用いた(漢方診療医典)」
[5]痔の疼痛:☆痛み甚だしい者:「乳香」《済世薬室》[6]痔出血:☆大便秘結して出血→「三黄瀉心湯」を考える。☆多量の出血→「芎帰膠艾湯」を考える。☆出血にはこの方より、三黄瀉心湯、芎帰膠艾湯、温清飲などを用いた方が良い《大塚敬節》[7]湿疹[8]女子の前陰部掻痒症 [9]脱肛:☆大腸熱甚だしく脱肛する者。☆脱肛の初期軽症《矢数道明》[10]ほてり[11]不眠☆便秘が多い
#乙脳方《中薬臨床応用》⇒「日本脳炎方」「大青葉30g、石膏(生)120g(先煎)、黄芩12g、山梔子(焦)9g、紫根9g、牡丹皮9g、鮮地黄60g、元明粉6g(沖服)、黄連3g」水煎服。◎日本脳炎◎流行性耳下腺炎◎ウイルス性肺炎◎流行性脳脊髄膜炎
#膃肭補天丸《東醫寶鑑》「胡桃肉3両、白朮2両半、白芍・黄蓍・熟地黄・杜仲・牛膝・破故紙・川練肉・遠志各2両、膃肭臍・人参・白茯苓・枸杞子・当帰・川芎・茴香各1両半、木香・茯神・甘草(蜜炙)各1両、沈香5銭」粉末にし、麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に温酒又は塩湯で50~70丸呑む。◎虚損陰痿を治す。 ◎亡陽・失陰・諸虚・百損・陰痿・遺精を治す。
#遠志飲《証治準縄》「遠志、茯神、人参、黄蓍、酸棗仁、当帰、肉桂、甘草」
#遠志丸[1]《厳氏済生方》「遠志、菖蒲、茯神、酸棗仁、人参、竜歯、朱砂」
#遠志丸[2]《東醫寶鑑》「遠志(姜製)・天南星(牛胆製)・人参・白附子・白茯神・酸棗仁(炒)各5銭、朱砂3銭、麝香1銭、金箔5片」蜜で梧子大に丸め、朱砂で衣をつけ、薄荷湯で毎回30丸飲む。◎びっくりして言葉が出ないとき。
#遠志湯[1-1]《証治準縄》「遠志・黄蓍・当帰・麦門冬(去心)・酸棗仁・石斛各5g、党参9g、茯神2g、甘草1.5g」水煎服。◎神経衰弱◎病後の不眠、動悸。
#遠志湯[1-2]《証治準縄》《古今方彙》 「遠志・黄蓍・当帰・麦門冬・酸棗仁・石斛各1両半、人参・茯神各7分、甘草5分」◎心虚して煩熱し夜臥寧からず、及び病後虚煩するを治す。◎煩甚だしき者;「知母竹葉」
#遠志湯[2]《備急千金要方》「遠志、麦門冬、人参、甘草、当帰、桂心、芍薬、生姜、大棗」
#恩仙散《活人心統》 「八角茴香、杜仲、木香」
#快胃片【中成薬】「烏賊骨・延胡索」◎腹痛 #快気湯[1]《東醫寶鑑》 「香附子3両半、縮砂8 銭、炙甘草4 銭」を細かく切って、塩湯を点服する。
◎気が昇降しないために起こる、上気・喘息。 #快気湯[2]《東醫寶鑑》 「人参末を温水で1日5~6回濃く煎じて服用。 #快気湯[3]《東醫寶鑑》
「白芥子1升を作末して布袋に入れ、酒2升に漬けておいたのを、7日目に3合ずつ、1日2回温めて飲む。 ◎上気に。 #快透散《小児痘疹方論》「紫草、蝉蛻、木通、芍薬、甘草」
#快班散[1]《医学入門》《古今方彙》「紫草・蝉退・人参・白芍薬各5分、木通1分」水煎。◎痘出でて快からざるを治す。 #快班散[2]《医学入門》《古今方彙》「紫草・蝉退・人参・白芍薬各5分、穿山甲」水煎。◎痘已にでて風を被りて復た入るを治す。
#槐黄丸《東醫寶鑑》「槐花(炒)・黄連(酒炒)各4両を作末し、猪大腸1尺のなかに入れて、韮薬2斤と煮て韮は捨て、腸をついて梧子大の丸剤。米飲で80~90丸呑む。
◎腸風・臓毒・痔瘻・便血に。 #槐黄湯《東醫寶鑑》「槐花(炒)・生地黄・樗根白皮(炒)各1銭、防風・当帰・白芍・荊芥穂・川芎・黄連・枳穀各8分、地楡・烏梅・甘草各5分」煎服。
◎腸風・臓毒を治す。 #槐花散[1]《東醫寶鑑》「当帰・地楡各1銭、槐花(炒)・枳穀・阿膠珠各8分、生地黄・白芍・黄蓍・升麻各7分、防風・側柏葉各5分」煎服。
◎臓毒を治す。 #槐花散[2]《東醫寶鑑》「槐花(炒)・柏葉(焙)・荊芥・枳穀」等分を作末し、毎回2銭づつ服用。 ◎腸風・臓毒を治す。 #槐花散[3]《東醫寶鑑》「槐花(炒)2銭、蒼朮・厚朴・陳皮・当帰・枳殻各1銭、烏梅肉・甘草(炙)各5分」剉作1貼に水煎服用。◎胃腸が脹って下血する症状。
#槐角丸《和剤局方》《中薬臨床応用》 「槐角9g、地楡12g、当帰6g、防風6g、黄芩3g、枳穀3g」水煎服。◎痔の炎症◎痔の出血◎血便 #槐角元《東醫寶鑑》「槐角4両、地楡・黄芩・防風・当帰・枳穀各2両」を作末して酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で50~70丸呑む。
◎五痔と諸痔を治す。 #槐子丸《東醫寶鑑》「槐実2両、覆盆子・酸棗仁・柏子仁(炒)・車前子・蔓荊子・茺蔚子・鼠粘子(炒)・白殭蚕(炒)各1両」作末し、蜜で梧子大の丸剤。酒で30丸服用。
◎風邪で瞳がかすむ者。 #槐楡煎《中薬臨床応用》「槐花米(炒)9g、地楡炭9g、黄芩9g、桃仁9g、麻子仁9g、枳穀6g、生甘草3g」水煎服。◎痔出血
#海青丸[1]《東醫寶鑑》「海粉1両、青黛3銭、黄芩2銭、神麹5銭」を作末し、神麹糊で梧子大の丸剤。空腹時に、白湯で20~30丸服用。 ◎痰積下痢を治す。
#海青丸[2]《東醫寶鑑》 「訶子皮・海蛤粉・瓜蔞・青黛・半夏(製)・便香附各1両」作末し姜汁浸蒸し餅で緑豆大の丸剤。姜湯で30~50丸飲む。◎火嗽・欝嗽、肺脹で苦しいとき。
#海金散《中薬臨床応用》「海金砂9g、肉桂3g、赤茯苓15g、白朮9g、沢瀉9g、白芍9g、滑石9g、石葦9g」細末を灯心草煎液で、空腹時に服用。◎急性尿道炎◎尿路結石◎尿量減少◎排尿困難◎排尿痛
#海金沙散[1]《東醫寶鑑》 「海金沙・滑石各1両、甘草2銭半」を作末し、毎回1銭を、麦門冬・灯心草の煎湯で服用。◎膏淋(小便が濁ること膏に似て、浮いて固まる)を治す。
#海金沙散[2]《東醫寶鑑》 「海金沙・雄黄・木香・当帰(酒洗)・牛膝(酒洗)・大黄(酒浸)各5銭を作末し、毎回2銭を就寝時に、酒で服用。」 ◎五淋を治す。
#海金砂散[3]《東醫寶鑑》「当帰(酒洗)・大黄(酒浸)・牛膝(酒洗)・木香・雄黄・海金砂各5銭」作末し、毎回2銭を就寝時に酒で調服。◎五淋を治す。
#海金砂散[4]《東醫寶鑑》「黒丑頭末(半分炒・半分生)1両半、白朮1両、甘遂5銭、海金砂3銭」作末し毎回2銭を倒流水で煎じて1杯を食前に調下する。◎脾湿で肥りすぎ、腫れて喘急する者を治す。
#海金砂散[5]《証治準縄》《古今方彙》「海金砂・肉桂・甘草各2銭、赤茯苓・猪苓・白朮・白芍薬各3銭、沢瀉5銭、滑石7銭、石葦1銭、燈心草30茎」水煎。 ◎諸淋渋痛するを治す。
#海蛤散《東醫寶鑑》「海蛤粉・滑石・甘草各1両、芒硝5銭」を作末し、毎回2銭を鶏で服用。 ◎婦人の傷寒で、血が胸につかえて、堪えられない程痛む症。
#海青丸《東醫寶鑑》「海粉1両、青黛3銭、黄芩2銭、神麹5銭」作末し、別途に神麹糊で梧子大の丸剤。空腹時に白湯で20~30丸飲む。◎痰積の下痢。
#海藻玉壷湯《医宗金鑑》《古今方彙》「海藻・貝母・陳皮・昆布・青皮・川芎・当帰・半夏・連翹・甘草・独活各1銭、海帯5分」水煎。◎単純性甲状腺腫(癭瘤)◎癭瘤の初起、或いは腫れ、或いは硬く、或いは赤く、或いは赤く成らずして但だ未だ破れざる者を治す。
#海藻玉壷湯加減《中薬臨床応用》「海藻9g、浙貝母9g、連翹6g、昆布9g、法半夏6g、青皮3g、海浮石9g、 当帰6g、川芎3g、海帯9g」水煎服。◎甲状腺腫
#海藻栗殻湯《中薬臨床応用》「海藻12g、昆布9g、屈頭鶏9g、風栗殻6g」煎服。豚肉(赤身)を加えて煎じた方がよい。◎慢性リンパ腺炎
#海藻連翹湯《証治準縄》「海藻、連翹、陳皮、半夏、茯苓、黄芩、天南星、牛蒡、柴胡、三稜、莪朮、昆布、白殭蚕、羗活、防風、桔梗、夏枯草、川芎、升麻、黄連」
#海底柏湯《中薬臨床応用》「海底柏15g、煨葛根9g、木香6g(後下)、炙甘草3g、煨肉豆蔲5g」水煎服。◎赤痢・腸炎の下痢。
#海底椰湯《中薬臨床応用》「海底椰12g、紫菀9g、款冬花9g、川貝母12g、阿膠9g(溶解)、旱蓮草12g、鵝管石12g、沙参24g、甘草6g」水煎服。◎肺熱の肺結核◎乾咳◎嗄声◎痰に血が混じる
#海蜇荸薺方《中薬臨床応用》「海蜇60g、荸薺60g」水煎し、1日2回服用。◎硅肺
#海桐皮酒《中薬臨床応用》「海桐皮60g、薏苡仁60g、牛膝30g、川芎30g、羗活30g、地骨皮30g。五加皮30g、生地黄300gを酒1000ccに1ヶ月ぐらい浸け、1日1~2回30cc づつ食前に服用。◎関節リウマチ。
#海馬湯《中薬臨床応用》「海馬12g、枸杞子12g、魚螵膠12g(溶解)、紅棗30g」水煎服。◎腎陽虚による夜間頻尿◎白色帯下
#海貝散(烏貝散)《中薬臨床応用》「烏賊骨90g、浙貝母30g」細末にし、1日3回3~6gづつを食前に、ぬるま湯で服用。
#海浮散《外科十法》《中薬臨床応用》「製乳香・製没薬」各等分。微粉末を外用。◎感染による外傷が癒合しない時
#海竜湯《中薬臨床応用》「海竜9g、冬菇18g(根が付いたまま)、紫菜9g、大棗30g」水煎服。 ◎慢性リンパ腺炎◎リンパ腺結核◎単純性甲状腺腫
#回金丸《東醫寶鑑》「黄連6両、呉茱萸1両」作末して、蒸し餅で梧子大の丸剤。 空腹時に白湯で30~50丸服用。 ◎肝火を治す。 #回首散[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「烏薬順気散羗活・独活・木瓜」水煎服。
◎頭項がまわらず、筋がひっぱる症。◎肩こり ①首がまわりにくい。 ②気鬱から起きる肩こり。 ◎烏薬順気散に羗活、独活、木瓜を加えたもので、万病回春に“頸項強急し、筋痛み、或いは頸を挫(くじ)きて項を転ずることを得ざるを治す”とあるように寝違えの疼痛に用いる(漢方診療医典)
#回首散[1-2]《漢方治療の実際》 「烏薬順気散+木瓜3」 #回春散《東醫寶鑑》「明礬1銭8分、胡椒(細研)2分、焔硝1分」を好錯でまぜ、手で塗る。
◎陰冷を治す。 #回春凉膈散《東醫寶鑑》「連翹1銭2分、黄芩・山梔子・桔梗・黄連・薄荷・当帰・生地黄・枳穀・赤芍・甘草各7分」水煎服。 ◎三焦の火がおきて、口舌に瘡ができる症。
#回生散[1]《奥田家方》 「熊胆2.0、麝香1.0、葛紛20.0」(葛紛は、今、澱粉を用いる)右3味、各別に研磨し、混和して散と為し、白湯or冷水で、1回0.2~0.5服用。◎諸般の虚脱証候を治す。
#回生散[2]《医学入門》《東醫寶鑑》「藿香・陳皮各5銭」水煎温服。◎霍乱・吐瀉の激しい者。 #回生丹《万病回春》「藜蘆2両、青礞石2両、猪胆汁、片脳」葱菅の藜蘆2両、河水1桶を用い、煮て汁となし、青礞石2両を火にて煆き通紅ならしめ、汁の内に投入する。かくの如くすること数次、濾して浄め、雄猪胆汁10箇をもって汁を取り、煎汁の内に攪拌し、再び重湯で煮て膏と成す。温かい間に片脳末1銭5分を入れ、陶器の壺に入れて、黄蠟で口を封じる。つかう毎に黄豆1大粒を用いて新汲水に化して開き、男は左、女は右の鼻孔に吹き入れると、その痰を自ら吐き出す。
◎卒中昏倒して、人事不省、牙関緊急する者。 #回生養胃丹《東醫寶鑑》「蒼朮(換泔浸6日)・蓮肉(酒浸)各4両、猪肚1個を壁土でにぎってきれいに洗い、朮と蓮を入れて縫い、固く結んで酒で煮て搗いて小餅子をつくって焙って乾燥したもの、天南星を細切りにし、姜汁に漬け、一夜おいたのを伏竜肝で炒って土は捨て、半夏湯で洗って醋で7日間漬けておいたもの、橘紅を伏竜肝で炒って土は捨て栗米を姜汁に漬けて蒸して焙ったもの各4両、人参・白朮・白茯苓・厚朴・莪朮・三稜二味並醋炒・蓽澄茄・縮砂・白豆蔲・穀芽炒・麦芽炒・甘草各1両、丁香・木香・沈香各5銭」作末し、稀麺糊で梧子大の丸剤。米飲で60~70丸呑む。◎痰涎があって大便が難渋・小便が赤い・酸水を吐く、反胃と結腸を治す。
#回乳四物湯《医宗金鑑》《古今方彙》「四物湯+麦芽」◎産婦にして乳を吃う児が無く、乳汁致(キワ)まりて腫脹し堅硬疼痛し、忍びがたき者を治す。
#回陽救急湯《傷寒六書》《古今方彙》「附子、乾姜、人参、肉桂、半夏、五味子、茯苓、甘草(炙)、白朮、陳皮、生姜、大棗」水煎。 ◎傷寒の初起、頭痛なく、身熱なく、便ち就中、寒を怕れ四肢厥冷し、或いは肘膝を過ぎ、或いは腹痛、吐瀉、或いは口に白沫を吐し、或いは冷涎を流し、或いは戦慄し、面は刀を刮が如く、衣を退い踡臥し、渇せず、瀉し、脈遅にして力無きは即ち是れ寒が陰経に中たる真の寒症にして陽経より伝え来るにはあらず。
◎嘔吐止まざるには:「+姜汁」◎泄瀉止まざるには:「+升麻黄蓍」◎嘔吐、涎沫、小腹痛あれば:「+呉茱萸(塩炒)」 #回陽救逆湯《傷寒六書》「附子・乾姜・人参・肉桂・半夏・五味子・茯苓・甘草(炙)・白朮・陳皮・生姜・大棗」水煎する。◎傷寒の初起、頭痛なく、身熱なく、便ち就中(ナカンズク)、寒を怕(オソ)れ、四肢厥逆し、あるいは肘膝を過ぎ、あるいは腹痛・吐瀉、或いは口に沫を吐し、或いは冷涎を流し、或いは戦慄し、面は刀を刮が如く、衣を引きて踡臥し、渇せず、瀉し、脉遅にして力無きは即ち是れ寒が陰経に中たる真の寒症にして陽経より伝え来るにはあらず。【加減方】
<1>嘔吐止まざる・・・姜汁。<2>泄瀉止まざる・・・升麻・黄蓍。<3>嘔吐・涎沫、小腹痛・・・呉茱萸(塩炒)。
#回陽玉竜膏《外科正宗》 「生姜(炒)3両、草烏(炒)3両、赤芍薬(炒)3両、白芷1両、南星1両、肉桂5銭」細末にし熱酒で調合し患部に塗布。
#回陽三建湯《外科正宗》《古今方彙》「附子・人参・黄蓍・当帰・川芎・茯苓・枸杞葉・陳皮・山茱萸肉各1銭、木香・甘草・紫草・厚朴・蒼朮・紅花・独活各5分、煨姜」水煎。◎陰疽発背を治す。◎初起疼まず腫れず熱せず紅硬せずして牛皮の如く、堅くして頑石の如く、十日の外にて脈細、身涼しく、肢体倦怠し、皮は鼈甲の如く、色は土砂栗に似て項に多く孔に血を流し、根脚は平に散じ、軟陥して膿無く又皮は腐を作らず、手は熱し足は涼しき者は倶に急ぎ之を服せ。
#回陽湯《外科枢要》《古今方彙》「補中益気湯+乾姜+附子」◎脾腎虚寒にて瘡は純陰に属し、或いは薬が元気を損じ腫痛せずして腐潰せず、或いは腹痛泄瀉、嘔吐厥逆し或いは陽気脱陥する等の症を治す。
#回陽返本湯《傷寒六書》《古今方彙》「附子(煨)・乾姜(炮)・甘草(炙)・人参・麦門冬・五味子・陳皮・臘茶・生姜・大棗」煎じ服するに臨み「蜜2匙」入れ頓に之を冷服する。◎陰極まりて躁を発し、微しく渇し、面赤く、泥水の中に座せんと欲し、中脉は沈遅にして力無く、或いは脉全く無く絶せんと欲する者は涼薬を服すべからず。 もし誤りて熱症なりと認めて涼薬を用うれば死す。復び生きるべからず。熱薬を服し而して躁止まざる者は宜しく再び服すべし、自ら定まる。◎嘔する者:「姜汁・半夏(炙)」。
#廻生神膏《東醫寶鑑》「牡蛎陳粉・乾姜(炮)各1両」を作末し、男は女のつばで調合したものを、手のひらで熱が出るまでもんだ後、睾丸にかぶせ、汗が出ると治る。女には男のつばで調合して、熱が出るまでもんだ後、両乳房にかぶせ、汗が出ると治る。」
◎陰症で、大小便が不通になり、危急の者。 #廻陽救急湯《東醫寶鑑》 「人参・白茯苓・陳皮・半夏・乾姜(炮)・肉桂・炮附子・五味子・炙甘草各1銭を剉作1貼して、生姜7片を入れて水煎服。」
◎傷寒の陰症。陰毒で四肢厥冷・脈細沈・唇が青い・顔色が黒い症。 #廻陽返本湯《東醫寶鑑》「炮附子・乾姜(炮)・人参・陳皮・五味子・麦門冬・炙甘草・臘茶各1銭を剉作1貼して、清泥漿2盞と煎じて、滓は捨て、蜜5匙を混ぜて冷して服用し、汗を出すと治る。」顔の赤い者には葱白7葵・黄連を少し加える。
◎陰が盛んで陽を隔す症。 #廻陽湯《東醫寶鑑》「益智仁・青皮各2銭、川烏(生)・附子(生)各1銭、乾姜5分を剉作1貼し、生姜7片、大棗2枚を入れ水煎服。」
◎中寒を治す。 #潰堅丸《東醫寶鑑》「潰堅湯に「海粉・瓦楞子・鱉甲(炒)」を加えて細末にし、阿魏を醋煮して姜汁糊で梧子大の丸剤・50~70丸飲む。◎五積・六聚・諸般の痞塊を治す。
#潰堅湯《万病回春》《東醫寶鑑》「当帰・白朮・半夏・陳皮・枳実・山楂子・香附子・厚朴・縮砂各1銭、木香5分」を洗って汁を取り水煎、木香汁で調合して服用。◎五積・六聚・諸般の痞塊を治す。◎諸般の癥瘕、痃癖、血塊の総司なり。◎左脇塊あれば:「川芎」◎右脇塊あれば:「青皮」
◎肉を食し塊をなす;「黄連(姜汁炒)」◎粉麺食積には:「神麹」◎痰塊には:「浮石括楼仁枳実」◎壮健の人には:「莪朮」◎痩人には:「人参」
◎血塊には:「+桃仁紅花官桂−半夏山楂子」 #潰瘍出血湯《中薬臨床応用》「白芨9g、陳棕炭9g、当帰(炭)9g、阿膠9g(溶解)、党参9g、黄蓍12g」水煎服。
◎胃潰瘍 #改定三痺湯(1-1) 「人参・白朮・茯苓・甘草・当帰・芍薬・川芎・黄蓍・桂心・炮烏頭・防風・防已・細辛・生姜・大棗」 #改定三痺湯(1-2)《張氏医通》《古今方彙》「人参・黄蓍(酒炒)・白朮・当帰・川芎・白芍薬・茯苓各1銭、甘草(炙)・桂心・防已・防風・烏頭(炮)各5分、細辛3分、生姜3片、大棗2枚」
◎風寒湿気の合病で気血凝滞し、手足拘攣するを治す。 #解急蜀椒湯[1-1]《晋唐名医方選》「蜀椒200粒、乾姜半両、附子1枚、半夏12枚、甘草1両、大棗20枚、粳米半升」 人参・膠飴無し。
#解急蜀椒湯[1-2]《漢方治療の実際》「蜀椒・乾姜・甘草各2、半夏4、人参・大棗各3、附子0.6、粳米8」 #解急蜀椒湯[1-3]《外台秘要方》「乾姜4g、人参2g、蜀椒1g、炮附子0.3g、半夏8g、甘草1g、大棗3g、玄米7g」◎寒疝気、心痛刺すが如く、臍をめぐり腹中ことごとく痛み、自汗出て絶せんと欲するを主とす。◎「大建中湯+附子粳米湯」。本人参無し。今大建中湯に従う。《勿誤薬室方函口訣》◎寒疝心腹に迫り切痛する者を主とする。《勿誤薬室方函口訣》◎「烏頭桂枝湯」とその証髣髴たれども、上下の分あり。且つ烏頭桂枝湯は腹中絞痛、拘急轉側を得ざるが目的とす。「解急蜀椒湯」は心腹痛、水気有って腹鳴するを目的とす。
◎心腹激痛・嘔吐・腹鳴。《龍野一雄》 ★適応症及び病名(解急蜀椒湯) [1]イレウス[2]胃痙攣:☆腹部にかかりて必ず雷鳴があって痛む症。《済世薬室》[3]蚘痛[4]寒疝:☆寒疝の心腹に及ぶ者を治す。☆寒疝、腹痛、腹満、雷鳴して嘔吐するに「附子粳米湯」のゆく処あり。然れども「解急蜀椒湯」は彼よりその症強し。[5]腹痛:☆附子粳米湯の症にして痛心胸に連なる者を主とす。☆心腹痛困急、死せんとするを療す。結を解き寒を逐う。上下痛甚だしき者に良い。《雑病翼方》
#解労散[1-1]《楊氏》《漢方後世要方解説》「柴胡6、芍薬・別甲各4、枳殻・茯苓各3、大棗・生姜・甘草各2」◎労、積気堅硬、胸腹に噎塞し、背に引いて徹痛するを治す。◎「四逆散+別甲茯苓」◎此方は心下部硬く緊張し、硬結ある者に用いる。◎結核症の初期にこの腹証によって用いることがある。◎痃癖の症とて肝、腎、脾、腹膜等に塊状をなし、背に徹して痛む者に屡々用いられる。
即ち、胆石症、胆嚢炎、膵臓炎、胃潰瘍、腹膜の硬結等において、心下部全体に硬く塞りたる実証の腹証の者によい。 「柴胡」=胸腹部、脇下痛みを治す「芍薬」=結実して拘攣、腹痛、腹満を治す。「別甲」=癥結を破り、熱毒を消す「枳殻」=気を破り、胸膈を利す「茯苓」=気を導き、水を行らす。
#解労散[1-2] 《漢方治療の実際》「柴胡4、枳実・甘草各2、芍薬4、土別甲・茯苓・大棗・生姜各3」 #解労散[1-3]《楊氏》《龍野一雄》「柴胡6g、鼈甲・枳実各2g、芍薬4g、甘草3g、茯苓・大棗3g、干姜1g」
◎腹部腫塊・背部の牽引痛、或いは発熱。◎解労散(体がだるくて、時々激しい腹痛があり、臍の左斜め上方4横指あたりを押さえると抵抗・圧痛がある)
★適応症及び病名(解労散) [1]胃潰瘍[2]顔色悪い[3]胸脇苦満 [4]結核性腹膜炎[5]肩背強急[6]痃癖[7]心下部の疼痛[8]膵臓炎[9]胆石症[10]胆嚢炎[11]手足冷たい[12]疲労倦怠
[13]腹痛<右側の上腹部の劇痛>[14]腹膜炎 #開欝正元散《医学入門》《古今方彙》「白朮、陳皮、青皮、香附子、山楂子、海粉、桔梗、茯苓、延胡索、神麹、砂仁、麦芽、甘草、生姜」煎服。
◎痰飲にて血気欝結、食積、気は升降せず、積聚脹痛するを治す。 ◎此は気を利し、血を行らし、脾を和して向導すべし。 #開鬱四物湯《東醫寶鑑》
「香附子(米炒)・当帰身・白芍(薬酒炒)・熟地黄・白朮各1銭、川芎・黄蓍・蒲黄(炒)・地楡・人参各5分、升麻3分」 ◎崩漏。幸せ・裕福だった者が、急に不幸・貧困になり起こる者。
#開欝導気湯《万病回春》《古今方彙》「蒼朮・香附子(便)・川芎・白芷・茯苓・神麹・山梔子(黒)・滑石各1銭、乾姜(黒)5分、甘草(少許)、陳皮5分」水煎温服。◎一切の腹痛を治するの総司なり。
#開欝導痰湯《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・枳殻・黄芩各1銭、前胡・檳榔子各8分、枳実・半夏・荊芥・羗活・射干・甘草・威霊仙各7分、桔梗・木香各5分、白殭蚕2分、香附子(便炒)2分、生姜」水煎。
◎結核にて渾身手足倶に各ありて胡桃の如き者を治す。◎併せて、胸中、胃脘、咽門に至りて狭窄して線の如くにしいて疼痛する者を治す。 #開気丸【中成薬】=舒肝丸【中成薬】「芍薬・川楝子」◎ストレスによる胃腸障害。
#開胸散《医宗金鑑》「柴陥湯枳実・桔梗・山梔子」 ◎傷寒、結胸を治す。《傷寒翼方》 #開襟散《医学心悟》「人参、黄連、石菖蒲、丹参、石蓮子、茯苓、陳皮、陳米、冬瓜仁、荷葉蒂」
#開音飲《中薬臨床応用》「胖大海3~6g、菖蒲5g、薄荷2g」沸騰湯で服。◎発生障害◎急性の激しい炎症による嗄声◎肺熱による失声。 #開関散[1]《医学入門》(一名破棺散)《東醫寶鑑》
「天南星末2g 竜脳1字をまぜ、中指に末をつけて歯に、20 ~30回こする。」 ◎卒中風で口を閉じて開けられないとき。 #開関散[2]《東醫寶鑑》「蜈蚣1条炙、白彊蚕・天南星(炮)各1銭、麝香1字、猪牙皀角3銭を焼いて作末し、指先に姜汁をつけて薬末を歯にこすり、又は薬末2~3滴を口中にたらす。◎驚風で口の開かない者。
#開関神応散《斉有堂医案》 「明浄腰黄 枯白礬 生埕蘆 猪牙皀角<焦がさないように黄色く炒め、筋膜を去る>各等分」それぞれ作末して混和し、密封して保存。
使用方法⇒喉に吹き込む。 #開気消痰湯《東醫寶鑑》 「香附子・桔梗・白彊蚕(炒)各1銭、陳皮・黄芩・枳穀各7分、前胡・半夏・枳実・羗活・荊芥・檳榔・射干・威霊仙各5分、木香・甘草各3分、姜3片」
◎胸中と胃脘から咽門に至るまで、通道が狭窄して線条と同じく、痛んで手足に胡桃のような塊がある者。 #開噤散《医学心悟》「人参、川連、石菖蒲、丹参、石蓮子、茯苓、陳皮、陳米、冬瓜仁、荷葉、荷蒂」
#開噤湯《東醫寶鑑》「砂糖7銭、細茶5銭、縮砂1銭、生姜5片」を水で煎じて、一晩露に当て次の朝、北に向かって温服し、木鼈子の殻をとったもの3銭、麝香2分を、つき砕いて臍をふさぐと、すぐ食欲が出る。◎噤口痢を治す。
#開懐散《東醫寶鑑》「柴胡・草豆蔲各1銭、三稜・莪朮(炒)・青皮・半夏・白茯苓・香附子・檳榔・枳実・紅花・甘草各7分・生姜3片」水煎服。 ◎心下の積塊・痞悶。
#開結枳実丸《東醫寶鑑》「黒丑頭末2両、皀角・旋覆花各1両、枳実・白朮・半夏・南星(炮)・苦葶藶(炒)・白礬(焙)・大黄・青皮・木香各5銭を作末し、姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸呑む。◎凝結した症を治す。◎痰飲を消化して滞気を昇降させ、三焦を通行させる。◎心肺を良くし、肝腎を灌漑して腸胃を補助し、百脹を転行させる。
#開結化痰湯《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・半夏・茯苓・茯苓・枳殻・貝母・括楼仁・黄連・黄芩・山梔子・紫蘇子・桑白皮・朴硝・杏仁各等分、甘草半減」水煎し姜汁を入れ、木香を磨し調服。
◎熱痰胸膈の間に在りて化せず、喀出して出でず、寒熱気急満悶して痛みをなる者を名付けて痰結と曰う。此方に宜し。 #開結舒経湯《東醫寶鑑》「紫蘇葉・陳皮・香附子・烏薬・川芎・蒼朮・羗活・天南星・半夏・当帰各8分、桂枝・甘草各4分、生姜3片」水で煎じて竹瀝・姜汁を入れて調服する。
◎婦人の七情・六鬱により気が経絡に滞し、手足が麻痺する者。 #開結導引丸(一名開鬱導飲丸)《東醫寶鑑》「陳皮・白朮・沢瀉・茯苓・神麹・棗芽・半夏(姜製)各1両、枳実・青皮・乾姜各5銭、巴豆霜1銭半」を作末し、蒸餅で梧子大の丸剤。温水で50~70丸服用。
◎脚気で食積の流注による心下の痞悶に。 #開心散《東醫寶鑑》 「定志丸-茯神」 ∴定志丸=人参・白茯苓・石菖蒲・遠志・朱砂。 ◎健忘症。 #疥癬摺薬
「巴豆・大黄・萆麻子・黒胡麻各等分」右四味、細かに刻み、麻布に之を包み、熱酒に漬して之を打つことしばしばなれば、2時間或いは1時間にして麻疹の如く発疹す。発疹すれば、湯水を以て洗うことを禁ず。此の如くすること67日許りにして入浴すらば、則ち疹白く尽きて癒える。
◎疥癬は、新久を問わず、必ず之を打ちて奇効あり。面部、両乳、及び前後の陰辺は、之を打つ可らざる也。 #孩児散《東醫寶鑑》「熊胆5分、孩児茶2分、片脳1分」を作末し、人乳で調合して塗る。
◎脱肛・熱腫に。 #艾錯湯《東醫寶鑑》「好醋で艾葉を煎じる」◎半配呑んで腹が痛かったら、妊娠している。 #艾附暖宮丸《沈氏尊生書》「艾葉・香附子・当帰・続断・呉茱萸・川芎・白芍・黄蓍・地黄・官桂」
#外感風滞方《中薬臨床応用》 「穀芽15g、藿香6g、蝉退5g、防風5g、茯苓9g、蘇梗15g、薄荷3g(後下)、黄連2g」水煎服。◎小児の感冒性消化不良症。
#外敷膏《東醫寶鑑》「熱水で「甘草」を囓って水を飲み下し、漬けた「大戟・芫花・甘遂・海藻」を等分に作末し醋で調合して腹上に塗る。◎腹脹が固く石の様になった者を治す。
#外敷神膏《東醫寶鑑》「大黄・朴硝各4両、麝香1銭」作末し2両を「大蒜」と混ぜ膏を作って患部に塗る。◎積聚・脹満・血蠱。 #咳奇方《和田東郭》《勿誤薬室方函》「麦門冬・阿膠・百合・乾姜・白朮・地黄・五味子・甘草・桔梗」◎肺痿の咳嗽。◎此方と「四陰煎」《景岳》と伯仲する。◎もし熱に属する者は:「人参養栄湯」《聖済総録》
#咳血一方《寿世保元》《古今方彙》「当帰・白芍薬・知母・桔梗・麦門冬各1銭、生地黄1銭半、括楼根1銭半、茯苓8分、貝母1銭2分、甘草5分」水煎。
◎嗽に因りて痰を去り、痰の内に血のある者を治す。 #咳血方《丹渓心法》《中薬臨床応用》「山梔子(炭)9g、青黛粉3g(冲服)、括蔞仁12g、海浮石9g、訶子2.5g」水煎服。◎肺熱による喀血。
#咳血方加減《中薬臨床応用》「海浮石9g、訶子9g、括蔞仁9g、山梔子(炭)6g、生地黄12g、玄参9g、甘草6g」水煎服。◎熱痰の咳嗽◎慢性咳嗽◎粘稠な痰◎喀出しにくい◎痰に血が混じる
#咳嗽一方[1]《医宗必読》《古今方彙》「百部膏1味烏梅・檳榔子」◎一男子、3年久しく嗽し薬を服して効無く、飢えたる時は胸中大いに痛み、上唇の白点が芣(セイ、砕いた米)の如きを治す。
#咳嗽一方[2]《医宗必読》《古今方彙》「麻黄、杏仁、半夏、前胡、桔梗、陳皮、紫蘇子、甘草」水煎。◎一男子あり、経年咳嗽し、更に医数十人而して病反って増劇す。右の寸脉浮大にして滑なり、これ風痰未だ解せず、必ず多く酸収(五倍子や五味子のこと)を服し久しくして、いよいよ甚だしきを治す。
#咳嗽一方[3]《明医雑著》《古今方彙》「杏仁、茯苓、陳皮、五味子(生)、桔梗、甘草(炙)」水煎温服。◎咳嗽を治するの要方なり。◎春は多く上升の気あり、宜しく肺を潤にし、肝を抑えるべし:「川芎・芍薬・半夏・黄芩・知母・麦門冬」◎春に若し風に傷れて咳を致し鼻に清涕を流すには:「防風・薄荷・紫蘇葉・黄芩・麦門冬」
◎夏は多く火熱炎上す、宜しく金を清し火を降ろすべし:「桑白皮・黄芩・知母・石膏・麦門冬」 ◎秋は多く湿熱が肺を傷る、宜しく熱を清し湿を瀉すべし:「蒼朮・桑白皮・防風・山梔子・黄芩」
◎冬は多く風寒外感す、宜しく表を解し痰を行らすべし:「麻黄・桂枝・半夏・防風・乾姜」 #痎瘧飲《寿世保元》《古今方彙》「蒼朮・草果・桔梗・青皮・陳皮・良姜・白芷・茯苓・半夏・枳殻・桂心・乾姜各3銭、紫蘇葉2銭、甘草(炙)3銭、川芎2銭」水煎し、塩少し許り入れて服用。
◎久瘧にて癥瘕(腹中の硬結)をなし、癖が胸脇の間にありて諸薬にて癒えざる者を治す。 #化瘀散《東醫寶鑑》「蘇木・当帰尾各3銭、大黄・紅花各2銭、を末にし、毎回3銭を温酒と童便で調下する。」◎杖打がひどく、血が心を打ち気絶する症。
#化塊丸《東醫寶鑑》「海粉(酒煮)・三稜・莪朮(並醋煮)・紅花・桃仁・五霊脂・香附子各1両、石5銭を作末し、醋糊で梧子大の丸剤。白朮湯で30~50丸呑む。
◎痞塊・血塊を治す。 #化気湯《東醫寶鑑》「莪朮・乾生姜・陳皮・丁香皮・茴香(炒)・甘草各5銭、縮砂・桂心・木香各2銭半、胡椒・沈香各1銭を作末し、毎回2銭を生姜・紫蘇・塩少し入れて煎じ湯で調下する。
◎息積が腹や肋骨の下で病み、片方が脹満、飲食には差し支えないが、諸薬の効なきとき。 #化血丹《医学衷中参西録》「三七、花蕊石、血余炭」 #化積丸《沈氏尊生書》
「三稜・莪朮・阿魏・海浮石・香附子・雄黄・檳榔・蘇木・瓦楞子・五霊脂を細末にして、水を数滴加え丸剤にして、温服」 #化積湯《済世全書》《古今方彙》「当帰、川芎、生地黄、熟地黄、延胡索、赤芍薬、青皮、貝母、半夏、三稜、莪朮、香附子、白芍薬、陳皮、桃仁、木香、紅花、生姜」水煎。
◎婦人の気積、血塊、癥、左右に拘わらず治す。 #化痰降火湯《医学正伝》《古今方彙》 「陳皮、半夏、黄柏(酒炒)、知母(酒炒)、沢瀉、茯苓、甘草各等分」◎痰火にて尾骨節痛むを治す。
#化痰清火湯《万病回春》《古今方彙》「天南星、半夏、陳皮、黄連、黄芩、山梔子、知母、石膏、蒼朮、白朮、白芍薬各等分、甘草半減、生姜」水煎。 ◎雑、短あり、火動に因る者を治す。
#化疔内消散《外科正宗》《古今方彙》「皀角刺、金銀花、知母、貝母、括楼根、穿山甲、白芨、乳香、赤芍薬、半夏、甘草、蚤休各1銭」水酒で煎服。 ◎疔瘡の初起、或いは已に針し、又已に灸したる後に之を服し能く内消せしむ。
#化毒丸《漢方治療の実際》「乳香10、軽粉1、大黄・雄黄・乱髪霜各3」米糊で丸剤とし、辰砂の衣をかける。1回量2。1日1回。 #化毒清表湯《医宗金鑑》
「葛根・薄荷葉・地骨皮・牛蒡子(炒って末にする)・連翹(心を去る)・防風・黄芩・黄連・玄参・生知母・木通・生甘草・桔梗・灯心草・生姜水煎服」
#化毒丹《東醫寶鑑》「草烏(糊浸炮)・浮石(赤く焼くこと7回、別に研いで)各1両、乳香・没薬各5銭の別研、巴豆(去皮)49個の別研末を醋麺糊で豌豆大の丸剤。冷酒で5~7丸呑む。
◎100種の悪瘡・毒腫の初発を治す。 #化毒湯《寿世保元》《古今方彙》「紫草5銭、升麻・甘草各2銭半、糯米」水煎。◎痘瘡已に出て痘毒太盛なれば此方を以て毒を消す。◎方考には、陳皮あり。
#化斑解毒湯《外科正宗》《古今方彙》「知母、黄連、連翹、人中黄、升麻、石膏、甘草、牛蒡子、玄参」各等分。竹葉20片と水で煎服。 ◎漆瘡にて面熱して腫れ、遍身痒痛する者を治す。
#化斑湯[1-1]《温病条弁》 「生石膏・知母・甘草・玄参・犀角・粳米」 #化斑湯[1-2]《古今方彙》=「白虎加人参湯」◎傷寒にて汗吐下後、発斑、脈伏するを治す。
#化痞丹《東醫寶鑑》「大黄4両(醋に漬けること7日間、日に晒し夜は露に当てること7日間)、穿山甲(土炒)2両、大鼈子(去油)・香附子(童便炒)・桃仁各1両、紅花2銭、青黛5分、を作末し、大黄を好醋で混ぜ糊を作って緑豆大の丸剤。茅根煎湯で50~70丸呑む。
◎積塊を除く。 #化癖如神丸《東醫寶鑑》「蟾酥・黄蝋各2銭、巴豆肉1銭、羚羊角末・牛黄各5分、麝香3分、硼砂・竜脳各1分」作末し、葵子大の丸剤。毎回1丸服用。◎痞塊・積聚を治す。
#化虫丸《医方集解》 「鶴虱・檳榔・苦楝根皮・胡粉(炒)・明礬・蕪・使君子」 ◎蛔厥で腹が痛むとき。 #化虫散 「雷丸2・檳榔2・鶴虱2銭、使君子肉7を作末し、軽粉⇒水銀粉1を入れ、2回に分服。服用法は、猪肉1両を切って皀角汁に漬けて、一夜おいてから早朝弱火で香油を塗って焼き、上記の薬末を肉片にふりかけ、空腹時にかんで食べる。
#化虫湯《中薬臨床応用》「鶴虱9g、苦楝根皮9g、蕪9g、使君子9g、雷丸9g」水煎して早朝空腹時に2日間連続して服用。◎回虫◎蟯虫◎条虫
#華蓋散《和剤局方》《古今方彙》「紫蘇子・赤茯苓・陳皮・桑白皮・麻黄・杏仁各1銭、甘草5分」水煎温服。◎肺が風邪に感じ、咳嗽上気、胸膈煩満、項背拘急、頭目昏眩、鼻塞がり声重く痰気利せざるを治す。
#華蓋散《漢方治療の実際》「麻黄・杏仁各4、茯苓5、橘皮・桑白皮・蘇子各2、甘草1」 #華蓋散《和剤局方》《龍野一雄》「紫蘇子・茯苓・陳皮・桑白皮・麻黄・杏仁各3.5g、甘草2g」◎肺風寒に感じ、咳嗽上気胸膈煩満項背拘急頭目昏眩鼻塞声重痰気不利するを治す。◎発熱・咳嗽・上気、胸満、肩や首筋が強くこる、めまい、鼻閉、声が出にくい。
★適応症及び病名(華蓋散) [1]悪寒[2]咳嗽<激しい>☆胃腸の弱い乳幼児のせき。 [3]気管支喘息[4]くしゃみ[5]肩こり<肩背強>[6]感冒[7]項強[8]自汗[9]喘鳴[10]肺炎[11]肺気腫[12]発熱[13]百日咳[14]鼻汁[15]鼻閉
[16]のぼせ[17]目眩[18]流感 #華蓋散《東醫寶鑑》「麻黄2銭、赤茯苓・蘇子・陳皮・桑白皮・杏仁各1銭、甘草(炙)5分」剉作1貼し、「姜3片、棗2枚」入れ水煎服。◎肺に寒邪を感じ、咳をし上気して鼻が詰まり、声がしゃれる者。
#華佗愈風散《華元化》 「荊芥穂<少し焙って作末する>を毎回12gを、酒あるいは童便といっしょに服用。歯を食いしばっていれば、こじ開けて注ぎ込む。」
#花蕊白芨散《中薬臨床応用》「花蕊石()12g、白芨12g、乱髪霜6g」極細末にし1日3回、3~6g湯冷ましで沖服。◎喀血。 #香川解毒剤[1-1]《香川修徳》《漢方後世要方解説》「山帰来・木通各4、茯苓5、川芎・忍冬各3、甘草・大黄各1」◎此方は香川氏江州の民間より伝え得たという経験方で、梅毒通治の一般薬である。
◎此方に荊芥、防風、連翹各3を加えて梅毒の初期硬結、横痃、梅毒疹等に応用。「山帰来」=梅瘡家一切必要の薬、風湿を除く。「忍冬」=熱を散じ、毒を解す、瘡瘍の要薬。「川芎」=瘀血を破り、気血を順らす、梅瘡を治す。
#香川解毒剤[1-2]《香川修徳》《勿誤薬室方函口訣》「川芎7分、茯苓・木通各6分5厘、遺糧・忍冬各6分、大黄4分5厘、甘草3分」◎黴瘡、便毒、下疳、結毒、発漏、筋骨疼痛、諸の壊証、及び癬、下腿潰瘍、諸々の悪瘡、膿淋を療す。
◎香川の解毒剤は一切の瘡瘍の毒を小便に分泌する効あり。諸瘡の臭気を去るには妙なり。
★適応症及び病名(香川解毒剤) [1]顔面神経麻痺 ☆梅毒が原因のものに用いる。これに桂枝加苓朮附湯を合して用いることがある(漢方診療医典)
[1]下痢:☆臭気甚だしきものは、必ず結毒に因るなり:「桂枝・芍薬・当帰」《雑病翼方》 [2]身体疼痛:「桂枝・附子・牽牛子」。[3]帯下:☆白帯下、臭気甚だしき者:「軽粉丸」《雑病翼方》[4]痛風:☆毒深く一処に凝結して痛をなす:「桂枝・附子・牽牛子」。且つ痛処に芫菁膏を貼る。《橘窓書影》[5]毒淋:☆淋菌性尿道炎:「車前子・滑石・阿膠」。
[6]梅毒:☆初期硬結:「荊芥、防風、連翹各3」《矢数道明》☆梅毒性神経痛:「桂枝3、牽牛子2、附子0.5」《矢数道明》☆淋疾患で、膿血淋瀝、劇痛する者:「阿膠3、滑石4、車前子3」。《矢数道明》☆2期3期の体の冷える者:「桂枝・附子・牽牛子」《済世薬室》
☆湿眼(梅毒性角膜炎):「菊花1.5、車前子・桔梗・防風各3、滑石4」《矢数道明》☆32歳の主婦。3年前に梅毒に感染していることを知った。その後、今日までずっと医師にかかっているが、まだ血液検査は陰性とならず、次のような症状がある。肩凝り・頭痛・眼底が痛む・腰痛・足冷・右下腹部の疼痛・帯下・尿意頻数・月経は正常、外痔核があって稀に痛む。
脈は沈で、腹診上、左下腹で腸骨の部分に圧に対して敏感な索状物を触れる。すなわち少腹急結である。 私はこれに解毒剤桂枝茯苓丸を与えた。患者は辛抱強く、3年近く服薬した。これによって、肩凝り、眼痛、頭痛、帯下、腰痛は皆良くなり、痔核は赤小豆ぐらいの小さい物が1つ残り、苦痛はなくなった。その間、血液検査は2回ともに陰性であった。《大塚敬節》
[7]横痃(よこね):☆「荊芥、防風、連翹各3」《矢数道明》 #樺皮散《東醫寶鑑》「樺皮(焼)・枳穀(麩炒)各2両、杏仁・荊芥穂各1両、炙甘草2銭半」作末し、毎回2銭を1日2回温酒で調下する。◎肺臓の風邪で、満身疹でかゆく、瘡が出来て、疥瘡になる症。
#嘉禾散《和剤局方》《古今方彙》「人参、白朮、薏苡仁、神麹、山楂子、杜仲、半夏。桑白皮、麦芽、石斛、茯苓、陳皮、枇杷葉、藿香、大腹皮、檳榔子、白豆蔲、青皮、沈降、砂仁、木香、甘草(炙)、生姜」水煎。◎脾胃和せず、胸膈痞悶し、気逆し、痰を生じ飲食進まざるを治す。◎膈噎反胃の如きも並びに治す。◎五膈には:「乾柿」◎膈気吐逆に:「薤白紅棗」◎古方には、丁香、五味子、訶子ありて、山楂子、白豆蔲無し、草豆蔲に易(カ)える。
#膈気散《和剤局方》《古今方彙》「三稜・莪朮・檳榔子・陳皮・枳殻・益智仁・肉桂各10両、乾姜・厚朴・木香・青皮・肉豆蔲・甘草(炙)各5両、生姜、大棗」水煎。
◎五種膈気、三焦痞塞し心腹膨張し、背膂引痛し、脇肋刺痛し、噎塞通ぜず、嘔吐痰逆呑酸するを治す。 ◎気を順らし、中を寛ぎ、痃癖積聚を消し、驚憂気を散ず。
#薤白粥《東醫寶鑑》「薤白3茎、卵白3個分、栗米3合」を煮て粥をつくり、別に人参1両を切って水1升で3合まで煎じ、1両を取って前の粥と混ぜて頓服する。◎嘔逆を治す。
#鵝管石湯《中薬臨床応用》「鵝管石30g、胡桃肉10個、杏仁9g、子12g、甘草3g」水煎服。◎気管支喘息。 #芎朮丸(一名麹丸)《東醫寶鑑》「白朮3両、山楂肉2両、蒼朮・川芎・神麹(炒)・便香附子・陳皮・半夏・白茯苓・枳実・黄連(酒炒)・当帰(酒洗)各1両、梔子(炒)・連翹・蘿葡子(炒)・木香5銭を作末し、姜汁泡で搗いた餅で梧子大の丸剤。姜湯で50丸呑む。◎鬱を開き、気を運行させ、積を消し、熱を散らす。
#蝸牛散《東醫寶鑑》「蝸牛1個に片脳・麝香を少しづつ瓦器内に入れておくと、おのずと溶けて水になる。これを塗る。」 ◎痔瘡の腫脹に。 #家韭子元《東醫寶鑑》「家韭子(略炒)6両、鹿茸(燎去毛)4両、肉蓉(酒浸)・牛膝(酒浸)・熟地黄・当帰(酒洗)各2両、菟絲子(酒製)・巴戟各1両半、杜仲(炒)・石斛(酒洗)・乾姜(炮)・桂心各1両」作末し酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に温酒or塩湯で100丸飲む。◎腎陽が衰退しが冷え、遺尿・不禁する者。
#核桃馬蛇子湯(天津和平区衛生局)「馬蛇子粉0.6~0.9g(冲服)、胡桃肉6g、大棗5g」水煎服。◎慢性気管支炎 #括子仁湯《外科枢要》《古今方彙》「薏苡仁4銭、桃仁・牡丹皮・括楼仁各1銭」水煎。◎産後の悪露或いは経行血にて痛みを作し、或いは腸癰を作すを治す。◎「白芍薬」=薏苡仁湯《外科正宗》
#括石湯《医学入門》《古今方彙》「括楼仁9銭、滑石1銭半、天南星・蒼朮・赤芍薬・陳皮各1銭、黄連・黄柏・黄芩・白各5分、甘草2分、生姜」煎服。◎破傷風にて発熱するを治す。
#括呂湯《漢方治療の実際》「括呂実・桂枝・半夏各4、橘皮・厚朴・薤白各3、枳実2、生姜・桔梗各2」 #括呂根湯《漢方治療の実際》 「括呂根・百合・知母・括呂仁各3、薏苡仁10、柴胡5、黄芩3、甘草1」
#藿香安胃散《東醫寶鑑》「橘紅5銭、人参・丁香・藿香各2銭半を作末し、毎回2銭を姜3片と煎じて温服。 ◎脾胃が弱くて嘔吐する。 #藿香安胃湯《医学正伝》《古今方彙》「人参・陳皮・藿香各1銭、丁香半銭」水煎。◎嘔吐悪心、飲食する能わざる者を治す。
#藿香正気丸【中成薬】《和剤局方》《中薬臨床応用》「藿香・紫蘇葉・半夏・白・大腹皮・茯苓・白朮・陳皮・厚朴・桔梗・甘草を含む。1日1~2回、1丸づつを生姜・大棗の煎湯で服用。◎急性胃炎◎生もの、冷たいものなどの飲食で上腹部が脹って苦しい、発熱、疲労感、嘔吐、下痢、口臭
#藿香正気散[1-1]《万病回春》《古今方彙》「大腹皮・紫蘇葉・藿香・白・茯苓各6分、厚朴・白朮・陳皮・桔梗・半夏各4分、甘草2分、生姜、大棗」水煎。
◎四時感冒、頭痛、憎寒壮熱、或いは風湿気、霍乱吐瀉、内傷外感を挟む物を治す。◎四時風寒雨湿に感冒し、或いは腹痛吐瀉、頭疼憎寒、嘔逆悪心、胸膈痞悶するを治す。《寿世保元》
#藿香正気散[1-2]《和剤局方》《東醫寶鑑》「藿香1銭半、紫蘇葉1銭、白・大腹皮・白茯苓・厚朴・白朮・陳皮・半夏(製)・桔梗・炙甘草各5分を剉作1貼して生姜3、大棗2を入れ水煎服。」◎傷寒陰症で頭痛・身疼して表裏を分弁できないとき、この剤で経絡を導引して変動しないようにする。
◎乾霍乱という症は、気がなかにあって痞悶し、吐下出来ず、正気を壅塞し陰陽を関格し、煩躁・喘脹すると必ず死ぬ。「急いで、吐法を使い、委中に鍼をし、兼ねて治中湯or藿香正気散を服用する」
#藿香正気散[1-3]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「白朮・半夏・茯苓各3、厚朴・陳皮各2、桔梗1.5、蘇葉1、藿香1、白1.5、甘草・大棗・生姜各1」◎傷寒、頭痛、憎寒、壮熱、上喘、咳嗽、五労、七傷、八般の風痰、五般の膈気、心腹冷痛、反胃嘔悪、気瀉霍乱、臓腑虚鳴、山嵐瘴瘧、遍身虚腫、婦人産前産後血気刺痛、小児癇傷並びに皆之を治す。
◎此方は内傷と外感を兼治し、発散の力がある。夏月に多く、内生冷に傷られ、外暑湿に感じ、胃腸内に食毒、水毒滞り、ために腹痛下痢、嘔吐、心下痞え、頭痛発熱して汗無き者によい。◎平胃散の去加方である。
◎本方の虚証は「清暑益気湯」である。◎食滞による小児の明け方の咳嗽、眼疾、牙痛、少年性疣に転用される。「紫蘇・藿香・白」=表を解す「厚朴・大腹皮」=胃を開き、腹満感を去る。「藿香・白朮・茯苓・陳皮・甘草・半夏・厚朴・桔梗・大腹皮」=皆中を調える
#藿香正気散[1-4]《和剤局方》《龍野一雄》「大腹皮・藿香・白・茯苓各4g、厚朴・白朮・陳皮・桔梗・半夏・紫蘇葉・大棗各3g、甘草1.5g、干姜1g」◎傷寒、頭疼、憎寒、壮熱、腹痛、霍乱を治す。◎「不換金正気散半夏厚朴湯桔梗大腹皮」《勿誤薬室方函口訣》◎此方はもと《嶺南方》にて、山嵐瘴気を去るが主意なり。夫れ夏月、脾胃に水湿の気を蓄へ、腹痛縁して頭痛悪寒の外症を顕す者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎世に「不換金正気散」と同じく夏の感冒薬とすれども方意大いに異なり。◎発熱・頭痛・悪寒、或いは嘔吐・下痢・腹痛。
★適応症及び病名(藿香正気散)[1]イボ:☆少年の顔面手足に多発するイボ「薏苡仁大量」《矢数道明》
[2]咽痛
[3]嘔吐
[4]悪寒
[5]咳嗽:☆小児の食滞咳嗽《矢数道明》☆小児などで他に原因がなくて朝時にせきする者《矢数道明》
[6]感冒<夏かぜ> ☆外感:「蒼朮・羗活各3g、白朮」《龍野ー漢方処方集》☆春寒く、夏冷え、秋暑く、冬温なるは四時不正の気である。時気に当たったものは皆これを用いて良い《矢数道明》
[7]急性胃腸炎:☆過食し、或いは美食に過ぎ、或いは堅硬のものを摂取、或いは飲料水にあてられ、吐瀉腹痛する者《矢数道明》 ☆夏の寝冷え、または寒冷なものにあたって、下痢、腹痛、嘔吐するものによい(漢方診療医典)
[8]急性熱病: ☆湿熱による霍乱・転筋・煩渇・悶乱:「黄連・藿香」《龍野ー漢方処方集》☆中暑、暑さにあてられた者《矢数道明》
[9]下痢(腹痛・下痢・嘔吐)☆消化不良:「香附子6g・縮砂2g」《龍野ー漢方処方集》☆米穀不消化:「神麹2g・麦芽3g」《龍野ー漢方処方集》☆肉食不消化:「山楂子3g」《龍野ー漢方処方集》☆裏急後重:「枳穀2g」《龍野ー漢方処方集》
[10]口渇☆口渇・下痢・小便不利:「五苓散」《龍野ー漢方処方集》
[11]呼吸困難
[12]歯痛:☆耳の腫痛に用いることがある。食鬱による《矢数道明》
[13]食欲不振
[14]心下痞☆心下痞悶:「香附子6g・縮砂2g」《龍野ー漢方処方集》☆心下痞:「枳実2.5g・青皮3g」《龍野ー漢方処方集》☆誤った薬を服んで、胃が疲労し、心下に欝滞して快くない者《矢数道明》
[15]心腹疼痛☆心腹絞痛:「木香1.5g」《龍野ー漢方処方集》
[16]頭痛
[17]発熱☆発熱:「麦門冬8g・竹茹2.5g」《龍野ー漢方処方集》
[18]疲労倦怠
[19]腹痛 :<産前産後の神経性腹痛>☆腹痛:「芍薬5g」《龍野ー漢方処方集》☆寒痛:「桂枝3g」《龍野ー漢方処方集》☆冷甚だしい者:「乾姜3g」《龍野ー漢方処方集》
[20]のどが痛い:(口を開けて寝るために、朝のどが痛む)☆夜口を開いて眠り、咽喉の痛む者《矢数道明》
[21]浮腫:☆湿気にあてられて浮腫を来した者《矢数道明》[22]無汗[23]目が痛い #藿香湯《奥田家方》「藿香・益智仁・縮砂各3.0」三味を一包とし、水一合を以て、煮て六勺を取り、滓を去り頓服する。
◎頭痛、眩暈を発する諸病にして、熱性症候なく、或いは下肢寒冷にして頭面熱し、或いは宿酔にして嘔気、嘔吐を発し、頭重き、身体倦怠を覚える者を治す。
#藿香平胃散[1]《医学正伝》《龍野一雄》「陳皮3.5g、神麹1.5g、縮砂1.5g、厚朴・藿香各3.5g、古立蒼朮4g」 ◎飲食停滞・嘔吐。
★適応症及び病名(藿香平胃散) [1]胃カタル[2]胃拡張[3]胃下垂[4]食傷
#藿香平胃散[1]《医学正伝》《古今方彙》「陳皮1銭、神麹半銭、砂仁半銭、厚朴1銭、甘草3分、蒼朮1銭半、藿香1銭、生姜」水煎温服。 ◎内、飲食に傷つき、脾湿り、壅滞して吐をなすを治す。
#藿香平胃散[2]《東醫寶鑑》「蒼朮2銭、藿香・厚朴・陳皮各1銭半、縮砂・神麹各1銭、炙甘草7分、姜3、棗2」煎服。◎脾胃の虚弱・嘔吐。 #藿香養胃湯《医学入門》《古今方彙》「藿香・烏薬・白朮・神麹・茯苓・半夏(麹)・砂仁・薏苡仁各1銭半、蓽澄茄・甘草各1銭、生姜、大棗」煎服。
◎胃虚にて食ぜず、四肢痿弱、行立能わず、皆陽明胃虚に由り宗筋養う所無く、遂に痿躄となるを治す ◎入門には、「藿仁養胃湯」と名づく。 #藿香連翹飲《中薬臨床応用》「藿香6g、連翹6g、製半夏6g、陳皮3g」◎熱射病・日射病で発熱・煩熱・悪心・嘔吐。
#藿香和中湯《古今方彙》「藿香、紫蘇葉、香附子、蒼朮、厚朴、山楂子、川芎、羗活、砂仁、麦芽、白、陳皮、甘草(炙)、生姜」水煎。 ◎寒に感じて停食吐瀉する者を治す。
#藿朴夏苓湯 「藿香・厚朴・半夏・茯苓」 #藿朴夏苓湯《温病条弁》「藿香、沢瀉、猪苓、半夏、淡豆豉、赤茯苓、杏仁、薏苡仁、白豆蔲仁、厚朴」 #廓清飲《景岳全書》《勿誤薬室方函》「厚朴1銭5分、大腹皮1銭、、沢瀉1銭、茯苓2~3銭、橘皮1銭、枳実2銭、白芥子7分、蘿葡子1銭」
◎三焦壅滞し、気道清からず、小便不利・通身腫脹する者を治す。 ◎此方は導水茯苓湯より簡にして効多し。《勿誤薬室方函口訣》
◎三子養親湯の症にして中焦壅実する者を治す。
#角石散《備急千金要方》 「角石1味、酒服する。」 ◎腰痛。《勿誤薬室方函口訣》 #鶴頂丹《東醫寶鑑》 「明白礬1両、心紅5銭」を作末し、1匙ずつ取って容器に入れ、熔化させ、桜桃大に丸め、薄荷の煎湯で毎回1丸服用。
◎痰熱が咽喉を防ぎ、痰が胸膈につまって痛むのを治す。
#鶴柏湯《中薬臨床応用》「仙鶴草30g、側柏葉12g、白芨15g、藕節30g、大薊12g」水煎服。◎吐血。 #馘鬼散《東醫寶鑑》 (馘=カク・くびきる)「黄連・胡桐涙・荊芥穂・薄荷・升麻・羊脛骨灰」各等分に、「麝香少々」入れて作末しすりつける。◎胃熱歯痛。
#楽令建中湯[1-1]《和剤局方》《古今方彙》「前胡・細辛・黄蓍・人参・肉桂・陳皮・当帰・白芍薬・茯苓・麦門冬・甘草各1両、半夏7銭半、生姜、大棗」煎服。
◎臓腑虚損、身体消痩、潮熱自汗、まさに労を成るを治す。◎虚熱を療退して血気を生ず。 #楽令建中湯[1-2]《和剤局方》《勿誤薬室方函》「黄蓍・芍薬・桂枝・麦門冬・橘皮・甘草・当帰・細辛・人参・柴胡・茯苓各2両、半夏2両半、大棗20枚、生姜5両」「黄蓍建中湯当帰・人参・麦門冬・細辛・前胡・茯苓・半夏・橘皮」「調中益気湯白朮桂枝細辛麦門冬半夏」◎臓腑虚損・身体痩せ・潮熱自汗し・まさに労にならんとするを治し、虚熱を退く。
◎虚労不足、四肢煩疼、食を欲せず、食せば即ち脹り、汗出ずるを治す。◎虚労寒熱ある者の套剤とす。◎但し肺痿寒熱ある者には効なし。肺痿には人参養栄湯《聖済総録》を用いるべし。《勿誤薬室方函口訣》
#加減湯[1]《通俗傷寒論》 「生12g、生葱白3枚、桔梗6g、東白薇4g、淡豆豉12g、薄荷4g・甘 草2g、紅棗2枚」 #加減湯[2]《通俗傷寒論》《中薬臨床応用》⇒「加減玉竹湯」「玉竹9g、桔梗9g、白薇3g、淡豆豉12g、薄荷3g(後下)、炙甘草15g、大
棗3g」◎陰虚の感冒◎風熱咳嗽 #加減胃苓湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「蒼朮1銭半、陳皮・沢瀉・白朮・赤茯苓・木瓜各1銭、厚朴・猪苓・神麹・檳榔各8分、山楂肉。縮砂各7分、香附子(姜汁炒)・大腹皮各6分、炙甘草3分」を剉作1貼し、姜3・灯心草1を入れ水煎服。◎浮腫を治す。
#加減胃苓湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「陳皮・猪苓・赤茯苓・沢瀉・目下・白朮各1銭、厚朴・神麹・檳榔子各8分、大腹皮・香附子(姜炒)各6分、山楂子・砂仁各7分、蒼朮1銭半、甘草(炙)3分、生姜、燈心草」水煎。◎水腫を治す。
#加減胃苓湯[2]《東醫寶鑑》「胃苓湯桂枝、藿香・半夏・大腹皮・山楂子・蘿葡子・三稜・莪朮・青皮各5分、生姜3、大棗2」水煎服。◎黄疸で食物がまずく、歩行のだるい者。
#加減胃苓湯《寿世保元》《古今方彙》「蒼朮、陳皮、厚朴、猪苓、沢瀉、白朮、白茯苓、藿香、半夏、大腹皮、三稜、莪朮、山楂子、青皮、甘草、蘿葡子、生姜、大棗」煎服。
◎黄胖(貧血して動悸強き者)にて飲食味無く、四肢無力、行歩倦怠、脈濡、或いは腹に積聚ありて腸満するを治す。 #加減温胆湯《万病回春》《東醫寶鑑》
「茯神・半夏(製)・陳皮・枳実・山梔子(炒)・白朮・麦門冬・黄連各1銭、当帰・酸棗仁(炒)・竹茹各8分、人参6分、辰砂末5分、甘草3分、生姜3斤、大棗2枚、烏梅1個を入れて、水煎し竹瀝半杯・辰砂末5分をまぜて服用。
◎痰が心竅をふせぎ、神が離れ、憂が鬱結して驚恐・傷心・いつも不安でびくびくし・怔忡・煩悶・悲歌・叫罵・奔走し、他人の事は省みないとき。◎痰躁痰語驚、志神を失し舎(イエ)(心臓)を守らざるを治す。「痰躁」=痰にて胸が躁いで落ち着かないこと。
「痰語」=痰にて心臓を包み籠らせうろうろして胸苦しくうわごとを言う。 #加減益気湯《東醫寶鑑》「白朮・白芍・陳皮各1銭、当帰7分、黄蓍・人参・沢瀉・縮砂・地楡各5分、升麻・木香・白豆蔲・御米穀(錯炒)・炙甘草各3分」空腹時に水煎服。
◎久痢で衰弱したとき。 加減越脾湯《張氏医通》 #加減甘露消毒丹 「茵蔯・山梔子・黄芩・石菖蒲・藿香・白豆蔲・薄荷・滑石・木通・枳穀」 #加減揆雲散《東醫寶鑑》「羗活2両2銭半、甘菊1両9銭、木賊・白藜各1両1銭半、防風・柴胡・蒼朮・枳殻・川芎・甘草各1両1銭、荊芥・薄荷各1両、蝉退7銭半、石決明(製)・密蒙花各4銭」作末し毎回2銭を薄荷湯で食後服用。◎諸般の眼病を治す。
#加減芎辛湯頭風で目が痛むとき) #加減玉竹湯=加減湯「玉竹9g、桔梗5g、白薇3g、淡豆豉12g、薄荷3g(後下)、炙甘草15g、大棗3g」水煎服。
#加減銀翹散《温病条弁》「金銀花、連翹、玄参、麦門冬、犀角、竹葉、薄荷葉」 #加減五積散《古今方彙》「五積散乾姜羗活、牛膝、生姜、葱白」◎婦人たまたま経行の時に身し沿いて疼痛し、手足麻痺し、或いは寒熱を生じ、頭痛目眩等の症を治す。
◎これ経が感冒に触されたるなり。 #加減五苓散《済世経験良方》 #加減香苓散《東醫寶鑑》「枳穀・陳皮・香附子・蒼朮・麻黄・猪苓・沢瀉・木通・滑石・車前子・三稜・莪朮・川楝子・延胡索・甘草各7分剉作し、姜3・葱白2茎を入れ水煎服。
◎偏墜気が初めて起きたとき。 #加減芎辛湯《東醫寶鑑》「川芎・細辛・白・石膏・藁本・皀角・羗活・防風・荊芥・桔梗・蔓荊子・甘菊・薄荷・甘草各5分」水煎服。
◎頭風で目が痛むとき。 #加減解毒湯《寿世保元》《古今方彙》 「柴胡・知母・羗活・山梔子・黄芩・人参各1銭半、黄連1銭2分、防風・当帰・連翹・乾葛・生地黄・甘草各1銭」水煎、温服。
◎傷寒、かって汗下を経たる後、熱退かず、頭疼みて清からず、脈数実、身なお煩躁し、渇止まず、是れ陰陽交わりたるなり。此症甚だ危うし、その人平素積熱あり。或いは心事火を起こすに因るなり。
#加減香苓散《万病回春》《東醫寶鑑》「枳穀・陳皮・香附子・蒼朮・麻黄・猪苓・沢瀉・木通・滑石・車前子・三稜・蓬莪朮・川楝子・延胡索・甘草各7分、生姜3、葱白2」水煎服。
◎偏墜気が初めて起きたとき。 #加減香苓散《万病回春》《古今方彙》「枳殻、陳皮、香附子、蒼朮、麻黄、香薷、猪苓、沢瀉、木通、滑石、車前子、三稜、莪朮、川楝子、延胡索、甘草、生姜」煎服。
◎疝気が暑月に発する者を治す。◎多く是れ暑が膀胱に入るなり。◎偏墜気の初起に憎寒壮熱するを治す。 #加減紅綿散《東醫寶鑑》「麻黄・荊芥穂・全蝎・天麻・薄荷・紫草茸・蝉退各5分を剉作し、1貼に葱白1茎を入れ水煎服。
◎痘疹が発しようとしたら、まずひどい熱が出て搦する。発散させるために本方を使う。 #加減虎骨散《東醫寶鑑》「虎骨3両、没薬5銭」を作末し、毎回2銭を温酒で服用。
◎白虎歴節痛が昼夜止まない者。 #加減固本丸⇒二参丹(一名二老丹)《東醫寶鑑》 「丹参・熟地黄・天門冬各1両半、麦門冬・白茯苓・甘草各1両、人参・遠志・石菖蒲・朱砂各5銭」を末にし、梧子大の蜜丸。空腹時に、愈風湯で服用。
◎老人の昏忘・中風後の健忘症。 #加減犀角地黄湯《寿世保元》《古今方彙》「犀角・生地黄・当帰・黄連・苦参・枳殻・桔梗・赤芍薬・紅花・牡丹皮・甘草・生姜」服するに臨み藕汁を入れ、もし無くば韭汁にても亦可なり。
#加減柴苓湯[1-1]《寿世保元》《古今方彙》「柴胡、黄芩、半夏、猪苓、沢瀉、蒼朮、青皮、檳榔子、草果、烏梅、甘草、生姜、大棗」水煎温服。◎諸瘧にて寒熱交作し、陰陽を分たず、口乾、渇を発し、小便赤渋、或いは吐瀉をなす者を治す。
#加減柴苓湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》「柴胡、半夏、茯苓、甘草、白朮、沢瀉、猪苓、山楂子、茘枝核、山梔子各等分、生姜」煎服。◎諸疝を治す。◎気を順らし、疝を消し、湿熱を治すの剤なり。
#加減柴苓湯[1-3]《東醫寶鑑》「柴胡・沢瀉各1銭、半夏・赤茯苓・白朮・猪苓・山楂子・山梔子・茘枝核各7分」を作末し、水煎服。 ◎疝による湿熱・腫痛を治す。
#加減三奇湯《医学入門》《東醫寶鑑》「半夏2銭、桔梗・陳皮・青皮・人参・桑白皮・紫蘇葉・杏仁・五味子各1銭、甘草5分」剉作1貼し、姜3片を入れ水煎服。
◎咳喘で上気し、痰涎の不利する者。 #加減三拗湯[1]《東醫寶鑑》「麻黄2銭、陳皮1銭半、杏仁・橘紅各1銭半、乾生姜・桂皮・甘草各1銭」剉作1貼し、紫蘇葉3片を入れ水煎服。
◎寒喘を治す。 #加減三拗湯[2]《医学入門》《古今方彙》「麻黄1銭、杏仁・桑白皮各7分、甘草5分、紫蘇子・前胡各3分、生姜」水煎。 ◎風寒に因る喘を治す。
#加減酸棗仁湯《中薬臨床応用》「酸棗仁24g、茯神12g、朱砂0.5g8(冲服)、党参9g、白芍12g、知母9g、川芎3g、百合花9g、夜交藤15g、炙甘草3g」◎神経衰弱不眠心臓神経症動悸・不安・自汗・盗汗
#加減四君子湯《東醫寶鑑》「四君子湯茯苓、人参・黄蓍・香附子各1銭、姜3片入れて吸い煎服。」 ◎長患いによる胃弱。飲食を受け付けず、食臭を嗅ぐとすぐ吐く者。
#加減四物湯[1]《婦人大全良方》 「四物湯莪朮・三稜・桂心・乾漆」 #加減四物湯[2]《東醫寶鑑》「側柏葉・生地黄・当帰・川芎各1銭、枳穀・荊芥・槐花(炒)・炙甘草各5分、姜3、烏梅1」水煎服。◎血便・腸風を治す。
#加減四物湯[3]《医学入門》《古今方彙》「生地黄、当帰、白芍薬、山梔子、牡丹皮、貝母、知母、黄柏、陳皮、白朮、甘草、玄参、麦門冬」水煎。 #加減四物湯[4]《寿世保元》《古今方彙》「香附子・熟地黄各1銭、当帰・白芍薬(酒炒)・川芎・枳殻・柴胡各8分、黄芩・陳皮・三稜(醋炒)・莪朮(醋炒)各6分、延胡索・小茴香(酒炒)・白朮・青皮・砂仁・肉桂・白・甘草各5分」水煎熱服。◎室女56歳にして経脈通ぜず、日夜寒熱し、手足麻痺し、飲食少し進み、頭疼み、悪心し嘔吐し、腹中に忽然として一塊を結びて痛む者を治す。
◎誤って生冷を食し傷るる所なり。 #加減瀉青丸《雑病証治新義》 「防風・竜胆・山梔子・大黄・黄芩・川牛膝」 # 加減瀉白散[1]《東醫寶鑑》「桑白皮1銭半、地骨皮・赤茯苓各1銭2分、人参8分、陳皮・五味子各5分、青皮・甘草各3分、粳米一握り」水煎服。◎嘔逆して喘促する。◎陰気が下にあり、陽気は上にあって咳をし、嘔逆して喘促する者を治す。
#加減瀉白散[2]《東醫寶鑑》「桑白皮・地骨皮・知母・桔梗・陳皮・青皮各1銭、片芩・甘草各5分」水煎服。◎喘急。 #加減瀉白散[3]《古今方彙》「桑白皮・桔梗・括楼仁・升麻・杏仁・地骨皮各1銭、甘草5分、生姜」水煎。
◎咳嗽喘急、脇痛胸満気促、肺経の湿熱等の症を治す。◎肺火咳嗽の要方なり。 #加減十全大補湯《済世全書》《古今方彙》「黄蓍、人参、白朮、茯苓、当帰、川芎、芍薬、熟地黄、柴胡、黄芩、陳皮、甘草、生姜、大棗」水煎温服。
◎人、虚弱にして久しく瘧し、寒熱多からずして但だ微熱の者を治す。 # 加減薷苓湯[1-1]《寿世保元》《東醫寶鑑》「天花粉2銭、赤茯苓1銭、猪苓・沢瀉・香薷・乾葛各7分、黄連・白朮・甘草各5分を剉作し、1貼に姜3片を入れ煎服。
◎霍乱の熱渇を治す。 #加減薷苓湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》「猪苓・沢瀉・香薷・乾葛各7分、赤茯苓1銭、括楼根2銭、白朮・黄連各5分、甘草3分、生姜」水煎。
◎霍乱、身熱口渇を治す。◎熱極まれば:「石膏知母」◎泄極まれば:「升麻滑石」◎腹痛には:「芍薬(炒)肉桂」 #加減潤燥湯[1-1]《万病回春》「天南星(姜)、半夏・白朮・茯苓・天麻各1銭、防風・桃仁各6分、紅花(酒)4分、黄芩(酒)8分、薄桂6分、白芍薬(酒)2銭、黄柏(酒)3分、酸棗仁(炒)8分、甘草(炙)4分、川芎1銭、陳皮(塩水)8分、水煎し、服するに臨み竹瀝、姜汁少しばかりを入れる。◎中風にて左半身不随、手足、及び語言に力を費やし、呵欠(あくび)、噴嚔(フンテイ=くしゃみ)、面目口眼斜、寛弛、頭目眩暈、痰火熾盛、筋骨時に痛み、 頭痛、心悸するを治す。これ血虚と死血に属するなり。
【加減方】<1>手の不随には・・黄芩、薄桂を倍加する。<2>足の不随には・・竹瀝、牛膝を倍加する。
#加減潤燥湯[1-2]《東醫寶鑑》「白芍(酒炒)2銭、当帰1銭2分、川芎・白茯苓・白朮・天南星・半夏・天麻各1銭、生地黄(酒炒)・熟地黄(姜汁炒)・陳皮(塩水洗)・牛膝(酒洗)・黄芩(酒炒)・酸棗仁(炒)各8分、桃仁・羗活・防風・薄桂各6分、紅花(酒洗)・炙甘草各4分・黄柏(酒炒)3分を剉作2貼して、水で煎じ・竹瀝を少し入れ調服する。」◎左半身の不随。
#加減正気散[1]《東醫寶鑑》「蒼朮2銭、藿香・厚朴・陳皮・縮砂(研)・香附子・半夏・甘草各1銭を剉作1貼して、姜3、棗2、灯心草1団を入れて煎服。◎初めて行った地方で、水が合わず霍乱になって吐き、下痢する者。
#加減正気散[2]《中薬臨床応用》「大腹皮9g、厚朴6g、茯苓皮9g、神麹9g、麦芽112g、陳皮6g、茵蔯蒿12g」水煎服。◎慢性肝炎◎消化不良
◎上腹部が脹って苦しい◎大便がすっきり出ない #加減正気散[3]《万病回春》《古今方彙》「藿香・厚朴・陳皮・砂仁・香附子・半夏・甘草・蒼朮各等分、生姜、大棗、燈心草」水煎温服。
◎異郷にある人初めて他方に至り、水土を服せず(土地変わり水変わりて)或いは吐し、或いは瀉し胸腹飽悶し、或いは腫脹して吐瀉せざる者は此方に宜し。
◎瀉すれば:「白朮山薬烏梅炒米」◎嘔吐:「白朮山薬烏梅炒米」◎腹痛すれば:「木香小茴香」◎飽悶には:「益智仁大腹皮」◎発腫気喘:「紫蘇子桑白皮木通猪苓大腹皮木香甘草」◎小水短赤:「木通猪苓山梔子車前子半夏甘草」◎胸腹脹飽或いは四肢浮腫し、吐瀉せざる者:「蘿葡子枳殻大腹皮木通半夏甘草」
◎内熱にて煩渇する:「乾葛黄連山梔子烏梅半夏甘草」◎内熱、手足冷え、脈沈細:「乾姜官桂」 #加減逍遥散[1]《世医得効方》《古今方彙》「当帰・芍薬・白朮・茯苓・柴胡・生地黄・遠志各中、蘇木・紅花・桃仁各大、甘草少、姜」水煎。
◎婦人癲疾にて歌唱時無く、上屋の踰墻(踰=ユ、超えるのぼる)(墻=ショウ、かき)する者を治す。乃ち栄血が心胞に迷い致す所なり。 #加減逍遥散[2]《寿世保元》《東醫寶鑑》
「逍遥散胡黄連・麦門冬・地骨皮・黄芩・秦艽・木通・車前子を等分」に剉作して、灯心一握りを入れ煎服。 ◎子(ね)・午(うま)の潮熱を治す。
#加減逍遥散[3]《寿世保元》《勿誤薬室方函口訣》「当帰、芍薬、白朮、柴胡、茯苓、胡黄連、麦門冬、甘草、黄芩、秦艽、木通、地骨皮、車前子」◎子午潮熱ある者。◎婦人血熱、時を期して発する者、奇効あり。《高階枳園》◎此方は婦人血熱固着して骨蒸状に似たる者効あり。なかんずく小便不利或いは淋瀝する者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
#加減逍遥散[4]《寿世保元》《龍野ー漢方処方集》「牡丹皮・白朮各4.0g、当帰・芍薬・桃仁・貝母各3.0g、山梔子・黄芩各2.0g、桔梗・青皮各1.5g、甘草1.0g」◎熱性の吐血喀血。
#加減小柴胡湯[1]《東醫寶鑑》「小柴胡湯香附子・黄連・前胡」水煎服。 ◎手のひら、足の裏に、熱があってたまらない症。 #加減小柴胡湯[2]《万病回春》《古今方彙》「柴胡・黄芩・山梔子・柿蔕・陳皮・砂仁・半夏・竹茹各1銭、藿香8分、茴香5分、沈香(磨)・木香(磨)・甘草各3分、烏梅1個、生姜」水煎温服。
◎身熱し、煩渇してを発するを治す。 #加減除湿湯《万病回春》《古今方彙》「人参8分、当帰1銭、白朮1銭2分、茯苓・陳皮・半夏各1銭、桔梗・防風各8分、枳殻・蒼朮各1銭、川芎・白9分、烏薬・羗活・赤芍薬・黄連(酒)・黄芩(酒)各1銭、甘草5分、生姜、水煎温服。◎中風にて右半身不随、手足及び筋骨疼痛するを治す。◎これ気虚と湿痰に属するなり。【加減方】
<1>身痛には・・欝金。<2>脚痛には・・牛膝・防已・威霊仙。 #加減茹苓湯《寿世保元》《古今方彙》「猪苓・沢瀉・香薷・乾葛各7分、赤茯苓1銭、白朮・黄連・甘草各5分、括楼根2銭、生姜」水煎。
◎夏秋の月に霍乱、吐瀉、身熱口渇するを治す。◎熱極まるには:「石膏知母」◎瀉極まるには:「升麻」◎腹痛には:「芍薬肉桂」(寒痛:朮)
#加減腎気丸《東醫寶鑑》「熟地黄2両、牡丹皮・白茯苓・山茱萸・五味子・沢瀉・鹿茸・山薬各1両、肉桂・沈香各5銭」作末し、蜜で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で70~80丸呑む。◎腎消で口が燥し、煩渇して、両足が痩せる。
#加減清脾湯《東醫寶鑑》「小柴胡湯+人参養栄湯」◎寒が多く熱少ない:養栄湯を多く使い。熱が多く寒少ない:小柴胡湯を多く使う。毎貼に姜3・棗2・桃枝2寸・柳枝2寸を入れ、空腹時に水煎服。◎すべての瘧を治す。
#加減続命湯《傷寒六書》《古今方彙》「防風・芍薬・白朮・川芎・防已・桂枝・麻黄・甘草・蒼朮・羗活・生姜・大棗・燈心草」水煎。◎脚気、傷寒に類し、頭疼・身熱・悪寒・肢節痛み、便閉、嘔逆、脚軟屈し、転動する能わず、ただ脚膝にて起つのみ。補剤及び淋洗を用うるを禁ず。この湯に宜し。【加減方】
<1>寒中三陽が冷え、脉遅:附子。<2>湿が原因、脉弱・・・:牛膝・木瓜。<3>風が原因、脉浮・・・:独活。<4>元気を虚する・・・・:人参。<5>大便実・・・・・・・:大黄。
#加減冲和湯《古今方彙》「羗活、防風、白朮、川芎、白、黄芩、生地黄、細辛、甘草、黄蓍、生姜、葱白」水煎。 ◎春夏秋、感冒時に非らざるに寒に暴れ又頭疼悪寒身熱、脈浮緩、自汗あるを治す。
#加減駐景丸[1]《和剤局方》《中薬臨床応用》「車前子60g、当帰15g、熟地黄15g、五味子30g、枸杞子30g、楮実子30g、蜀椒30g、兎絲子240g」細末を蜜で小豆大の丸剤。毎回30丸、空腹時に塩湯で服用。◎老人性白内障。
#加減駐景丸[2]《易簡方論》 「枸杞子 五味子 車前子 楮実子 蜀椒 熟地黄 当帰 兎絲子」 #加減駐景元《東醫寶鑑》「兎絲子8両、枸杞子・五味子・車前子・楮実子・川椒(炒)各1両、熟地黄・当帰身各5銭」蜜で梧子大の丸剤。空腹時に温酒、又は塩湯で50~70丸服用。
◎肝腎ともに弱く、目に黒花・視界が暗い・障が出来る者。 #加減調中湯《医学入門》《古今方彙》「白芍薬、茯苓、白朮、麦門冬、生地黄、陳皮、桔梗、烏梅、甘草」水煎、温服。◎冬温かく及び春暴かに煖飼う、煩躁し、眠食安からず、◎或いは脱して傷風に状をなさんと欲する者を治す。◎体盛んなれば:黄芩。◎痰あれば:貝母。
#加減鎮心丹《東醫寶鑑》「天門冬・黄蓍(蜜炙)・当帰身(酒炙)・熟地黄各1両半、麦門冬・生乾地黄・白茯神・山薬各1両、五味子・遠志(姜汁製)・人参各5銭」作末し、緑豆大の蜜丸。朱砂で衣をつけ温酒又は米飯で50~70丸服用。◎気血の不足、心神の虚損を治す。
#加減珍珠粉丸《東醫寶鑑》「黄柏(半生半炒)・蛤粉各3両、滑石2両、樗根白皮1両、青黛・乾姜(炒褐色)各5銭、炒神麹糊で梧子大に丸め、空腹時に温酒で70~100丸呑む。
「黄柏」は陰火を降ろし、湿熱を除し、
「蛤粉」は補腎、
「滑石」は利竅し、
「樗根白皮」は湿熱を乾かし、
「青黛」は鬱を解かして火を降ろし、
「乾姜」は肺気を収め下降させ、陰血を治す塩を少し黒くなるまで炒って使う。◎赤・白濁と白淫を治す。 #加減天麻湯《万病回春》《古今方彙》「半夏8分、白朮7分、川芎7分、黄蓍・人参・甘草・蒼朮各3分、生姜、大棗」水煎し食遠に服す。
#加減当帰補血湯《万病回春》《古今方彙》「当帰・生地黄・熟地黄・芍薬各3銭、人参5分、白朮・茯苓・山梔子・麦門冬・陳皮各8分、烏梅1個、炒米100粒、甘草3分、大棗肉」水煎し、辰砂(研末)を入れ温服。
◎心中血少なく、而してする者を治す。 #加減導痰湯[1-1]《万病回春》《松田ー回春解説》 「人参(去蘆)・陶器(酒洗)・木香各5分、肝臓3分、南星・陳皮(去白)・枳実(麩炒)・桔梗(去蘆)・黄連(姜汁炒)・黄芩(去朽)・白茯苓(去皮)・瓜蔞仁(去殻)・半夏(1味、牙皀・白礬・生姜の煎湯を用い、浸し透し、炒り乾燥)・白朮(去蘆)各1銭」◎中風、痰喘壅盛、言語すること能わず、牙関緊急、熱ある者を治す。
#加減導痰湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「人参・当帰各5分、白朮1銭、茯苓・陳皮・天南星・枳実・半夏各1銭、木香5分、括蔞仁・黄芩・黄連(姜炒)各1銭、甘草3分。生姜、水煎、服するに臨み、竹瀝・姜汁を入れ同服す・◎中風にて痰涎壅盛し、言語する能わず、牙関緊急し熱ある者を治す。
#加減導痰湯[2]《東醫寶鑑》「天南星・半夏を皀角・明礬・生姜の煎じ湯に浸して炒って乾かし、白茯苓・陳皮・白朮・桔梗・枳穀各1銭、黄連・黄芩・瓜蔞仁・人参・当帰・木香各5分、甘草3分を剉作1貼して生姜3・大棗2を入れた水で煎じ、竹瀝・姜汁を入れ調服する。」
◎中風で痰が多く、言葉が出ず、熱のある症。 #加減内固丸《東醫寶鑑》「巴戟・肉蓉・山茱萸・兎絲子各3両、破故紙2両半、石斛・胡蘆巴各2両、茴香1両、附子5銭」を作末し、梧子大の蜜丸。温酒又は塩湯で50~70丸呑む。
◎命門の火が衰え、腎が冷たく、陰痿して立たない者。 #加減二陳湯[1]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・茯苓・枳実・黄芩各1銭、半夏1銭半、香附子(便)1銭、貝母1銭半、白朮1銭2分、括楼根7分、防風5分、連翹5分、甘草3分、生姜」水煎。
◎痰は湿に属す。乃ち津液の化す所、風寒湿熱に感ずるに因り或いは七情が飲食に傷るる所気逆を致すを以て液は濁変し、痰厥と為る。故に痰は火動降火に因り先ず火と為る。気逆に因り気を順らすを要となす。
#加減二陳湯[2]《万病回春》《古今方彙》「茯苓・陳皮・羗活・防風・人参・当帰・白朮・枳実・天南星・川芎・括楼仁・桔梗各等分、甘草少し」水煎し、竹瀝・姜汁入れる。
◎眩暈して倒れる者を治す。これ風痰なり。 #加減二陳湯[3]《東醫寶鑑》 「橘紅を塩水で浸して焙ったもの1銭2分、枳実・黄芩(炒)各1銭、白朮・貝母(炒)・香附子各9分、白茯苓・天花粉の塩水で炒めたもの各7分、防風・連翹各5分、甘草3分」煎服。
◎老痰・燥痰・熱痰。 #加減人参白虎湯《万病回春》《古今方彙》「人参5分、甘草3分、白朮・陳皮各7分、石膏・知母各1銭半、茯苓・芍薬・香薷・梔子・麦門冬各1銭、白扁豆8個、蓮肉10個、烏梅1個」水煎。
◎熱極まりて所謂温経湯便遺尿して止まざるには:「黄柏(炒)」◎煩躁する:「辰砂酸棗仁」◎腹痛嘔、吐瀉飽悶する:石膏を使わないこと。 #加減寧神湯《東醫寶鑑》「生乾地黄1両半、当帰・白芍・白茯神・麦門冬・陳皮・貝母(炒)各1両、遠志(姜製)・川芎各7銭、酸棗仁(炒)・黄連・甘草各5銭を作末し、緑豆大の蜜丸。朱砂で衣をし、棗湯で50~70丸服用。
◎心血不足・驚悸・怔忡・健忘・恍惚・一切の痰火。 #加減敗毒散《寿世保元》《古今方彙》「防風、荊芥、羗活、独活、前胡、升麻、乾葛、赤芍薬、桔梗、川芎、白、薄荷、牛蒡子、甘草、柴胡、生姜、葱白」煎服し、汗を出す。
◎衆人、一般に天行時疫を病む。その症は顔面腫大し、咽喉不利、舌乾口燥、憎寒憎熱、時気流れ伝わり、四時の瘟疫を問わず通して此方を用いる。 #加減排風湯《東醫寶鑑》「天麻2銭、蒼朮1銭、防風・川芎・羗活・独活各8分、麻黄7分、白鮮皮・当帰・白芍・白朮・半夏・赤茯苓・黄芩・杏仁・甘草各4分を剉作1貼して生姜3片を入れて、水煎服。」◎五臓の風を通治する。
#加減薄荷煎元《東醫寶鑑》 「薄荷葉8両、防風・川芎・白豆蔲各1両、縮砂・甘草各5銭、竜脳5分、桔梗2両」を作末し、蜜にまぜ1両を30丸につくって、毎回1丸をいつも口に含んで徐々に飲み下す。
◎風熱と咽喉腫痛。 #加減白通湯《東醫寶鑑》「炮附子2銭、乾姜(炮)・肉桂・草豆蔲()・半夏・人参・白朮・炙甘草各1銭を剉作1貼して生姜5片、葱白5茎を入れ水煎服。
◎沈寒痼冷・臍腹冷痛・大便自利・足脛の寒逆の症。 #加減白虎湯《東醫寶鑑》「石膏2銭半、知母1銭、人参・黄柏各7分、玄参・甘草各5分、五味子10粒」剉作1貼し、粳米100粒を入れ水煎服。
◎消渇。良く食べながら渇く。 #加減白朮散《東醫寶鑑》「乾葛2銭、人参・白朮・白茯苓各1銭、木香・知母・黄柏・甘草各5分、五味子9粒」水煎服。◎消渇。食べられずに渇く。
#加減八珍湯《済世全書》《古今方彙》「人参・陳皮各8分、白朮・芍薬各1銭半、茯苓・冬季・半夏・神麹・沢瀉・阿膠各1銭、黄連(酒炒)2銭、砂仁・防風各7分、甘草(炙)5分、川芎6分、生姜」水煎。◎食積痢あるいは時に赤痢し或いはときに水瀉し或いは完穀倶に出る者を治す。
#加減八味丸《東醫寶鑑》 「熟地黄2両、山薬(少炒)・山茱萸各1両、沢瀉(酒蒸)・牡丹皮・白茯苓各8銭、五味子(炒)1両半、肉桂5銭、を作末して、梧子大の蜜丸。早朝と就寝前に、塩湯または温酒で50~70丸服用。◎腎水を治す。
#加減八味丸料車前子・牛膝《薛立斎十六種》《古今方彙》「六味丸五味子・肉桂」 ◎老人陰痿にて色を思いて精出でず、而して内敗れ、小便道渋痛して淋の如く、或いは大小便道牽痛し、痛むと便意起こり、便せんと欲すれば痛む者を治す。応ぜざれば急いで附子を加える。
#加減八味元《東醫寶鑑》◎強中症。 #加減八物湯《万病回春》《古今方彙》「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・生地黄・人参・白朮・茯苓・山薬・杜仲(酒炒)・香附子各等分、甘草半減、烏梅1個、生姜、大棗」水煎。
◎赤白帯下にて気血の虚に属する者を治す。◎肥人には:「半夏」◎痩人には;「黄柏」◎飽悶には:「砂仁人参」◎腹痛には:「小茴香延胡索人参」◎冬季には:乾姜()を使う。
#加減撥雲散《東醫寶鑑》「羗活2両2銭半、甘菊1両9銭、木賊・白各1両1銭半、防風・柴胡・蒼朮・枳穀・川芎・甘草各1両1銭、荊芥・薄荷各1両、蝉退7銭半、石決明(製)・密蒙花各4銭」を作末し、毎回2銭を薄荷湯で食後服用。◎諸般の眼病。 #加減不換金正気散《寿世保元》《古今方彙》「蒼朮、陳皮、厚朴、藿香、半夏、枳実、白朮、茯苓、黄連(姜汁炒)、白豆蔲、甘草(生)、生姜」水煎温服。
◎噎食(物を食べた後にゲップに連れて食が出てくること)を治す。◎転食(食べた物のそのまま口中へ転び出ること)を治す。 #加減復脈湯《温病条弁》「甘草(炙)、生地黄、白芍薬、麦門冬、阿膠、麻子仁」
#加減茯苓丸《東醫寶鑑》「半夏3両を、白礬・皀角・生姜各1両の煎じ湯で、7日間浸し、陳皮(塩水炒)・白芍(酒炒)・黄蓍(塩水炒)各2両、白茯苓1両半、朴硝1両半、海桐皮(酒洗)・姜黄・木瓜各1両、薄桂・甘草各5銭」を作末し、姜汁竹瀝汁で梧子大の丸剤。白湯で100丸飲む。◎湿痰がたまって経絡に通らず、両腕の痛むとき。
#加減茯苓半夏湯《万病回春》《古今方彙》「藿香8分、小茴香7分、丁香・官桂・砂仁各5分、沈香・木香・甘草各3分、陳皮・柿蔕・茯苓・半夏・乾姜(炒)・厚朴各1銭、生姜」水煎。沈香・木香は磨し、同服す。
◎水寒が胃に停り、を発するを治す。 #加減平胃散《東醫寶鑑》「白朮・厚朴・陳皮・各1銭2分、桃仁・人参・黄連・阿膠・赤茯苓・各7分、甘草9、木香・檳榔各5分、生姜3、大棗2片」水煎服。空腹時に服用。
◎脾胃が弱り、血が四肢に流れず、胃に入って血痢となった者。 #加減補陰丸《東醫寶鑑》「熟地黄8両、兎絲子・牛膝各4両、白芍・当帰・鎖陽・亀板各3両、虎骨・黄柏・山薬・杜仲・人参・黄蓍各2両、破故紙・枸杞子各1両半を作末し、猪の脊髄に蜜を入れて丸を作り、塩湯で100丸呑む。」◎陰虚を治す。◎陰を補い、陽を扶ける。
#加減補心湯[1-1] 「陳皮・白茯苓・当帰・白芍・生地黄・遠志(製)・麦門冬・酸棗仁(炒)・知母と知母の酒で炒ったもの各5銭、人参・白朮・石菖蒲・甘草各3銭」水煎服。
◎すべての虚症と健忘。 # 加減補心湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》「人参、白朮、茯苓、陳皮、冬季、生地黄、白芍薬(酒炒)、遠志、菖蒲根、麦門冬、酸棗仁、知母、黄柏(酒炒)、甘草、生姜、大棗」水煎。
◎諸虚にて健忘、及び驚悸、怔忡等の症を治す。 #加減補中益気湯[1]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍・白朮各1銭半、仁治・茯苓・当帰各1銭、陳皮・半夏・厚朴各7分、柴胡・山楂子・枳実各5分、甘草4分、生姜、大棗」水煎。
◎五積、六聚、七癥、八、或いは左、或いは右、或いは上、或いは下、或いは腹中に特にあり、攻めれば疼痛し、諸医は誤りて攻撃大過を持って治し、以て面黄、肌痩、四肢困倦を致し、飲食を思わざる等の症を治す。
#加減補中益気湯[2]《寿世保元》《古今方彙》「補中益気湯柴胡白芍薬、沢瀉、木香、砂仁、白豆蔲、地楡、御米殻(醋炒)」(御米殻=ケシの実の外殻)◎下利にて赤白膿血相雑じり、腹痛、裏急後重、昼夜度無く、日久しく癒えずして起床する能わず、飲食を思わず疲倦甚だしく、◎或いは寒涼峻剤を服するの過ぎたる者を治す。
#加減保和丸《東醫寶鑑》「白朮2両半、山楂肉・香附子・厚朴・神麹・半夏・茯苓各1両半、陳皮・連翹・蘿葡子・黄芩・黄連各1両、蒼朮・枳実各5銭]を作末し、姜汁糊
で梧子大の丸剤。毎回70~80丸を茶湯で服用。」 ◎消食・化痰・脾胃気を保つ。 # 加減木香散《東醫寶鑑》「木香・良姜・升麻・檳榔・人参・白朮各2銭半、神麹(炒)2銭、肉豆蔲()・呉茱萸(湯洗)・乾姜(炮)・陳皮・縮砂各5分」を粗末にし、空腹時に、毎回5銭を水煎服。◎腸風泄・水穀痢を治す。
#加減抑肝散《和田東郭》「抑肝散川芎半夏・梔子・黄連・莎草」 #加減理中湯[1]《東醫寶鑑》「人参・白朮・赤茯苓・乾姜(炮)・陳皮・丁香・半夏・縮砂(研)・桂皮各1銭を剉作し、1貼に姜3片・烏梅1個を入れ煎服。
◎胃が寒冷、清水と冷涎を嘔吐し、脈沈遅。 #加減理中湯[2]《万病回春》《古今方彙》「藿香・蒼朮・厚朴・砂仁・香附子・木香・枳殻・陳皮各1銭、甘草・乾姜・肉桂各分、生姜」水煎。◎乾霍乱、心腹胞脹絞痛し、吐せず、瀉せず、脈沈にして絶せんと欲するを治す。
◎仲景の「四味理中湯」及び「附子理中湯」「姜附湯」「四逆湯」「備急円」類、乾霍乱を治す急卒の捷方なり。◎夏月、乾霍乱にて吐瀉せず胸腹絞痛、煩渇自汗するには生姜、肉桂を用いるべからず。◎心腹絞痛、面唇青く手足冷え、脈は伏し絶せんと欲する:「附子茴香蒼朮」
◎心腹飽悶、硬痛結実の者;「檳榔子枳実山楂子括楼仁蘿葡子甘草枳殻蒼朮」◎胃寒にて嘔発するには;「附子藿香蒼朮」
#加減六合湯《万病回春》《古今方彙》「当帰・白朮・椿根(酒炒)・熟地黄各1銭、橘紅(塩水洗)・白芍薬各8分、川芎(塩水浸)・茯苓・知母(酒炒)各6分、黄柏(酒炒)・貝母(糯米拌炒)・半夏各7分、甘草(炙)4分、生姜」水煎。
◎上は痰火あり、下は白帯、腹痛在る者を治す。◎痰火盛んなれば:「黄芩」 #加減六君子湯《寿世保元》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓・砂仁・黄蓍各1銭、山薬2銭、甘草5分、大棗」水煎。◎脾疳(結核性腹膜炎にて体が痩せて腹部のみ膨大せり状態)を治す。◎泄瀉、痢疾にて気虚に属する者を治す。
◎腹痛には:「乾姜(炒黒)、木香、烏梅」 #加減竜薈丸《東醫寶鑑》「草竜胆(酒洗)・当帰(酒洗)・山梔子(炒)・黄芩・青皮各1両、大黄(酒蒸)・青黛・柴胡各5銭、蘆薈・牛胆・天南星各3銭、木香2銭半、麝香5分」を作末し、神麹に蜜で緑豆大の丸剤。姜湯で1日3回20丸づつ呑み、再び鍼砂酒で気を通させる。
◎痰火による耳鳴り。 #加減竜虎散《東醫寶鑑》「虎脛骨3両、没薬5銭」作末し毎回2銭を温酒で調下する。◎白虎歴節風が昼夜止まない者を治す。 #加減凉膈散[1-1]《万病回春》「大黄・黄芩・桔梗・石膏・薄荷・連翹・山梔子・甘草」に「桔梗・防風・菊花・木通・車前子」を加える。◎此方は凉膈散よりは用い易く、口舌を治するのみならず諸病に活用すべし。《勿誤薬室方函口訣》◎古人凉膈散を調胃承気湯の変方とすれども、その方意は膈熱を主として瀉心湯諸類に近し。故に凉膈散の一等劇しき処へ三黄加芒硝湯を用いるなり。《勿誤 薬室方函口訣》◎三焦火盛んに、口舌瘡を生じる者。◎口内炎、舌炎《龍野ー漢方処方集》
#加減凉膈散[1-2]《万病回春》《古今方彙》「連翹、黄芩、山梔子、桔梗、黄連、薄荷、当帰、枳殻、芍薬、生地黄、甘草」各等分、水煎し食遠に服用。
◎三焦の火盛んににて口舌に瘡を生じるを治す。 #加減凉膈散[1-3]《漢方治療の実際》「連翹・黄芩・梔子・桔梗各3、黄連・薄荷各1、当帰・芍薬・地黄各4、甘草・枳実各1.5」◎凉膈散《和剤局方》の大黄・芒硝を去って黄連・当帰・枳殻・芍薬・地黄を際得たものであるから、その応用の目標は似ている。ただ、《和剤局方》の凉膈散は《万病回春》の加減凉膈散より実証で、便秘している者を目標にして用い る《大塚敬節》
★適応症及び病名(かげんりょうかくさん)[1]口内炎:☆口内炎で炎症がひどくて、疼痛の激しい者には:「山豆根3.0」を用いる。呑むにくくなるが良く効く《大塚敬節》☆50歳女性。5日前より突然、口内が荒れて、食事が出来ず、物を言うにも、涙がこぼれるほど痛くなった。近所の医師は、含嗽薬をくれたが、口に含むとひどくしみて1回で止めてしまったという。体温を測ると37、8℃。口腔粘膜から舌にかけて、赤くただれ、所々に潰瘍がある。顎下リンパ腺が腫れている。次男の結婚式があと5日に迫っているのに、こんなことでは困るから、至急治してほしいという。私はこれに加減凉膈散山豆根を与えたが、3日の服薬で大半は治し無事に結婚式に臨むことが出来た。[2]鼻疾患:☆鼻紅白:「加減凉膈散葛根・石膏・白・竹葉」[3]麻疹:☆麻毒内攻劇しき者を治す。紫円を兼服する。☆発疹その形蚊跡の如く、熱甚だしき者:「凉膈散石膏」を服すれば表裏双解して余毒のうれいなし。☆疹すでに発して失音する者《麻疹心得続録》
#加減凉膈散(一名桔梗湯)《東醫寶鑑》 ◎六経の熱をさまし、又熱の上焦にある症を治す。 #加減羚羊角散《雑病証治新義》 「羚羊角・天麻・釣籐鈎・竜胆草・桑寄生・川牛膝・鶏血藤・白彊蚕<蜈蚣<焼いて粉にする>・全蠍<焼いて粉にする>」煎剤をつくり、それに羚羊水磨液・蜈蚣末・全蠍末を加えて服用。
#加減六欝湯《万病回春》《古今方彙》「紫蘇葉茎・枳殻・貝母・川芎・陳皮・連翹・山梔子・神麹・蒼朮・茯苓・甘草・香附子(便炒)各1銭」水煎。 ◎諸欝を解し、火を清し痰を化し気を順らし胸膈を開くなり。◎血欝には:「桃仁紅花」◎湿には:「白朮羗活」◎気には:「木香檳榔子」◎食積には:「山楂子砂仁」
#加剤除湿湯《東醫寶鑑》「赤茯苓・乾姜各2銭、蒼朮・白朮・甘草各1銭、橘紅・桂皮・厚朴各5分、を剉作1貼し、生姜3・大棗2を入れ、水煎服。」
◎湿にあたって身重・腰痛・四肢の冷え・嘔吐・下痢する者。 #加味遺糧湯《済世外科経験》「捜風解毒湯《本草綱目》」に同じ。 #加味遺糧湯《外科正宗》《古今方彙》「川芎・当帰・防風・薏苡仁・木瓜・金銀花・木通・白鮮皮・蒼朮・威霊仙各1銭、甘草5分、皀角刺5個、仙糧(山帰来)1両」水煎。
◎楊梅瘡の初起に筋骨疼痛し、及び已に成りて数月延綿として已まず、并びに楊梅風毒に誤りて軽粉を服しにて骨疼みて動履する能わざるを治す。◎瘡久しく気虚する者:「人参」◎腿脚の下には:「牛膝」
#加味胃苓湯《嬰童類萃》《龍野ー漢方処方集》「白朮・猪苓・沢瀉・蒼朮各3.0g、香附子・茯苓各6.0g、厚朴・橘皮各2.5g、木香・蘇葉・干姜各1.5g」◎一切の水腫脹満を治す。証に随い加減功効神の如し。◎此方は水穀不化より来る水気を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎傷寒差後に用いることあり。
◎痢後風には別して効あり。◎浮腫、腹水。
★適応症及び病名(かみいれいとう)脚気心臓病腎臓炎肝臓病結核性腹膜炎 #加味茵蔯五苓散《寿世保元》《古今方彙》「茵蔯、白朮、茯苓、猪苓、沢瀉、蒼朮、山梔子、滑石、肉桂、甘草、燈心草」水煎温服。
◎黄疸は専ら湿熱に属す。 #加味烏荊元《東醫寶鑑》「川烏(湯で3~5回洗焙)・荊芥穂各4両、薄荷2両半、当帰(洗浸3日焙乾)8両」作末し、錯で煮て、糊で梧子大の丸剤。温酒で50~70丸呑む。
◎疹が頭面に出来て赤く腫れてかゆく、瘡となって皮がむける。 #加味烏薬湯《女科準縄》 「烏薬・縮砂仁・木香・延胡索各40g、香附子80g(毛を除く)、甘草60g、生姜3片 煎服」
#加味温胆湯[1-1]《東醫寶鑑》 「香附子2銭4分、橘紅1銭2分、半夏・枳実・竹茹各8分、人参・白茯苓・柴胡・麦門冬・桔梗各6分 、甘草4分、生姜3、大棗2」煎服。
◎驚悸。痰涎が気と相まって病症を起こす者。◎心と胆が事物にふれると良く驚き、痰涎が気と相まって病症を起こす時に使う。 #加味温胆湯[2-1]《東醫寶鑑》
「半夏3銭半、陳皮2銭2分、竹茹・枳実各1銭半、酸棗仁(炒)・遠志・五味子・人参・熟地黄・白茯苓・甘草各1銭、生姜5、大棗2」水煎服。 ◎心胆が怯え、驚きやすく、夢寝が安らかでない。
# 加味温胆湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》 「酸棗仁・遠志・熟地黄・人参・五味子各1銭、半夏3銭5分、枳実・竹茹各1銭半、陳皮2銭2分、茯苓・甘草各1銭1分、生姜、大棗」水煎。
◎病後虚煩し、臥するを得ず及び心胆虚怯、事に触れて驚き易く、痰気悸乏するを治す。 ◎凡そ虚煩する者は心胸煩擾し而して寧からざるなり。 #加味温胆湯[2-3]《万病回春》《松田邦男ー解説》「半夏(泡7次)3銭半、陳皮2銭2分、竹茹・枳実(麩炒)各1銭半、酸棗仁(炒)・遠志(去心)・五味子・熟地黄・人参各1銭、茯苓・甘草各1銭1分」剉作1剤、姜棗にて煎服。◎病後に虚煩し、臥すことを得ず、及び心胆虚怯、事に触れて驚きやすく、短気、悸乏する者を治す。
#加味温胆湯[2-4]《漢方治療の実際》「温胆湯酸棗仁5、黄連1.5」★適応症及び病名(かみうんたんとう)[1]胃下垂[2]息切れ[3]ウツ病(鬱病)[4]驚悸[5]恐怖[6]健忘症[7]上腹部振水音[8]心悸亢進[9]心下痞
<心下の痞塞感> []認知症(アルツハイマー型) 「有用・・・遠志が重要な役割」(北里大学・北里生命科学研究所の山田陽城教授) [10]ノイローゼ[11]疲労倦怠
[12]不安感(オドオドしている) [13]不眠症:☆ストレスで不眠・・・黄連《衆方規矩》☆大病後、疲れて眠れない者に用いる。神経過敏になり、些細なことに驚き、安眠を得ず、時に気鬱の状となり、或いは息切れがしたり、食が進まないものがある。
私はこれに酸棗仁5.0、黄連1.0を加えて加味温胆湯として用いることにしている。 又、遠志2.0、玄参2.0、人参2.0、地黄3.0、酸棗仁3.0を加えた加味温胆湯もある。《大塚敬節》☆箕輪亀山老候は、歳0余。かって、御奏者番を勤めている時、営中で眩冒(頭に何かかぶさっているようで、めまいがする)を訴えた。この眩冒は辞職の後も治らず、心下に動悸があり、夜間安眠する事が出来ない。その上、時々めまいがして卒倒しそうになる。
辻元為春院がこれを数年治療したが、効がないのですててあるという。余はこれに《備急千金要方》の温胆湯黄連酸棗仁を与えた。眩冒の時は小烏沈散(烏薬・人参・沈香・甘草)を服せしめた。すると、数10日たって、夜は快眠出来るようになり、多年の持病を忘れ、亀山に移住した。《橘窓書影》☆四谷荒木町の角、油舗、三河屋長九郎という者は、気分が沈んで鬱々として楽しまず、心下が虚痞し、飲食が進まない。その上終夜眠られないので、ひどく痩せ、衆医の治を経て寸効がないという。
余はこれに《備急千金要方》の温胆湯黄連酸棗仁を与えたところ、睡眠がとれるようになった。ただ気分が欝塞してのびないので、加味寧癇湯を与え、全快した。《橘窓書影》
☆56歳、主婦。 1人息子を亡くしてから、ひどい不眠症になり、いったん睡眠剤を使って治ったことがあるが、フトしたおりに再発してからは、なかなか前のように治らない。いつもこめかみあたりがシビレた感じで、食事も1日2回、極少量ずつしか食べたくないという。
漢方医が診てみると、いわゆる反応性抑鬱という神経病の1つで、体も胃下垂の傾向があった。加味温胆湯を飲み始めたところ、気分が良くなり、食欲も徐々に出始めるとともに、あれほど頑固な不安不眠も2ヶ月足らずで、治ってしまった。《山田光胤》[14]浮腫:<四肢の浮腫>[15]慢性胃炎
[16]夢をよく見る(多夢) #加味温胆湯[3-1]《万病回春》《古今方彙》「人参・白朮・茯神・生地黄・酸棗仁・麦門冬・半夏・黄連・枳実・竹茹・山梔子各等分、甘草3分、辰砂5分(服するに臨み研末)、生姜、大棗、烏梅、竹瀝」水煎。
◎驚悸にて痰火に属し、而して気虚を兼ねて驚不眠する者を治す。 #加味益気湯《東醫寶鑑》「羗活1銭半、人参・黄蓍・防風・柴胡各1銭、白朮・陳皮・当帰各7分、甘草5分、升麻・黄柏(酒炒)各3分を剉作1貼して生姜3片を入れ、水煎服。熱がひどいときは、黄芩(酒炒)3分を加える。」◎疲労して(傷寒を)外感。
#加味益気湯《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍1銭半、人参・当帰・茵蔯・蒼朮・山梔子・猪苓・沢瀉・黄連・赤茯苓・滑石各1銭、白朮2銭、陳皮8分、柴胡・升麻各5分、甘草(炙)4分、生姜」水煎服用。16味を以て丸となし、「蒼朮・白朮・茵蔯・黄柏各2両」を加えて丸となし、相兼ねて之を進む。
◎五疸にて病延びて日久しく、医誤りて寒涼を以て之を過り、元気と脾胃を損傷し致すを以て身体黒く痩せ、四肢困沈、憎寒発熱し、飲食を思わざる等の症を治す。
#加味益気湯《万病回春》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・陳皮・当帰各1銭、升麻・柴胡・木香各5分、香附子・青皮・川芎核8分、桂枝(少許)、甘草3分、生姜、大棗」水煎。
◎麻は是れ渾身の気虚なり、此方、之を主る。 #加味益気湯《済世全書》《古今方彙》「補中益気湯黄柏・知母・香附子・半夏・・川楝子」◎婦人赤白帯下を治す。
#加味益母丸《東醫寶鑑》「益母草半斤・当帰・赤芍・木香各2両を作末し、梧子大の蜜丸。白湯で100丸呑む。◎100日呑むと妊娠する。 # 加味槐角丸《東醫寶鑑》「槐角・生乾地黄各2両、当帰・黄蓍・黄連・黄芩・枳穀・秦艽・防風・連翹・地楡・升麻各1両、阿膠・川芎・白各5銭を作末し、酒糊げ梧子大の丸剤。温酒又は米飲で、50~70丸呑む。
◎諸痔と腸風・臓毒に通用する。 #加味槐花散《本事方》《中薬臨床応用》「槐花米6g、側柏葉6g、荊芥穂(炒炭)6g、枳穀6g、厚朴5g、木香5g(後下)、葛根9g」水煎服。◎潰瘍性大腸炎による出血。
#加味藿香散《外科正宗》「藿香、甘草、桔梗、青皮、陳皮、柴胡、紫蘇、半夏、白朮、茯苓、白、夏枯草、厚朴、川芎、香附子、生姜、大棗」 #加味麹丸《東醫寶鑑》「蒼朮を漬けた姜汁を炒って蕪・便香附子・神麹(炒)・山梔子(炒)各4両、
陳皮(去白)・白朮(炒)各1両半、山楂肉(蒸)2両を作末し、糊で梧子大の 万歳。白湯で50~60丸呑む。◎すべての鬱を解かし、胸膈を開き、食欲を増進させる。
#加味陥胸湯《東醫寶鑑》「桔梗・枳穀各1銭5分、半夏・黄連・黄芩・薏苡仁・麦門冬各1銭、生姜5片」水煎服。 ◎熱痞で胸膈が痛む症。 #加味含紅合剤《中薬臨床応用》「鮮含羞草根90g、鮮紅背葉60g、鮮茜草根30g」水煎服。弱火で6時間煎じる。(煎じる時間が短いと、服用後にめまい等の副作用が起こる)朝夕2回、温服。◎老人の慢性気管支炎
#加味甘麦大棗湯《中薬臨床応用》「甘草(炙)・大棗各12g、浮小麦18g、菟絲子・桑螵蛸(炙)・益智仁()各9g、竜骨6g」水煎服。 ◎小児の夜尿症。
#加味枳朮丸《東醫寶鑑》「白朮3両、枳実・蒼朮・猪苓・麦芽(炒)・神麹(炒)・半夏各1両、沢瀉・赤茯苓・川芎・黄連・東堕土(同炒)・白螺殻()各7銭、縮砂・草豆蔲・黄芩・東壁土砂・青皮・蘿菖子(炒)・乾生姜各5銭、陳皮(去白)・便香附・薏苡仁・厚朴・檳榔各3銭、木香・甘草各2銭を作末し、青荷葉泡湯に粳米粉を浸して糊をつくり、梧子大の丸剤。清米飲で100丸を呑み下す。」
◎痞満・悪心・雑・噫気・呑酸・嘔吐・脾痛。 #加味枳朮湯《医学入門》《古今方彙》「半夏・茯苓各3分、枳実・白朮・紫蘇葉・肉桂・陳皮・檳榔子・桔梗・木 香・五霊脂各1分、甘草3分、生姜」水煎。
◎気が痰飲のために所を隔て心下堅脹するを治す。名付けて気分と曰う。 加味蓍桂五物湯《雑病証治新義》 「黄蓍・桂枝・白芍・当帰尾・桃仁・牛膝・生姜・大棗」煎服。重症には 虫・大黄を加える。
加味橘皮竹茹湯 《東醫寶鑑》 「橘皮・竹茹・赤茯苓・枇杷葉・麦門冬・半夏各1銭、人参・甘草各5分を 剉作し、1貼に姜3を入れ水煎服。
◎胃熱による渇症と嘔吐・食べられない者。 加味橘皮竹茹湯 《医学入門》《古今方彙》 「赤茯苓・橘皮・枇杷葉・麦門冬・竹茹・半夏各1銭、人参・甘草各5分、 生姜」煎じ温服。
◎胃熱にて渇多く嘔して食せざるを治す。 加味帰脾湯[1-1]《内科摘要》 「帰脾湯《厳氏済生方》柴胡・山梔子」 ◎貧血不眠、発熱盗汗、或いは思慮過度、健忘、胸さわぎ、驚悸、或いは嗜臥少
食、或いは憂鬱微熱、或いは肢体疼痛、便秘、或いは月経不順、暮方発熱、或 いはリンパ腺腫脹等ですべて熱候をおびた者。 《龍野ー漢方処方集》 ◎欝結して脾を傷つけ、月水通ぜざるを治す《薛立斎十六種》 ◎脾経欝結し、而して血が経に帰らざるを治す《薛立斎十六種》
加味帰脾湯[1-2]《東醫寶鑑》 「帰脾湯《厳氏済生方》柴胡・山梔仁各1銭」 「黄蓍・人参・白朮・茯苓・酸棗仁・竜眼肉各4g、当帰・遠志・大棗各2g、 甘草・木香・干姜各1g」 ◎肝脾が欝し、月経不通を治す。
加味帰脾湯[1-3]《漢方治療の実際》 「帰脾湯+柴胡3、梔子2」 ★適応症及び病名 (加味帰脾湯)[1]イライラ[2]胃弱[3]遺精[4]陰部掻痒症: ☆婦人もと、鬱悶し、牝戸(女性の外陰部)痛痒を覚え、時に水液浸出し、飲食少思、肢体怠なる者に宜し。《先哲医話》[5]ウツ病(鬱病)[6]思い過ごし(考えすぎ)[7]顔色が悪い[8]感情の起伏が激しい[9]驚悸[10]経閉(精神的疲労による)[11]月経不順[12]血小板無力症[131]健忘症[14]更年期障害
[13]再生不良性貧血: ☆《大塚敬節》 “昭和33年の7月に某大学で再生不良性貧血と診断されれた少年を診 に行った。その患者はその前年から体をだるがっていた。はじめ医師 は肝臓が悪いというので、その手当を受けていたが、よくならず、だ んだん貧血が現れてきたので、某大学病院に入院した。そこでも、再 生不良性貧血と診断せられ、輸血を唯一の治療としていたが、治療を 担当している医師が、漢方薬を飲んでみたらどうだろうと云うことで、 私に往診を依頼してきたのであった。 診察したところ、輸血のためか血色は悪くない。元気もある。何処 を診てもつかまえどころがない。そこでこれにも加味帰脾湯を与えて みた。ところで大学の血液検査の結果はだんだんよいということで、 8月から輸血をやめてしまった。これまでは輸血を休むとすぐ悪くな るのに、今度はちっとも悪化して来ないから、薬が効いているだろう ということであった。それで、この薬方をずっと飲み続けたところ、 昭和34年の元旦に届いた先生からの葉書には、次のようにかいてあ った「ちょうど診察していただきました頃から、輸血の間隔が次第に 伸び、現在は8月以降、まったく輸血をせずに赤血球350万、白血球 4000万、血小板2万を保持しております」 この患者はその後次第によくなり、休薬してから2年あまりになる が、まったく健康で通学している”
[14]嗜臥少食 [15]肢体疼痛 紫斑病 ☆電撃性にきて、出血が止まず、脾腫のあるものに(漢方診療医典) [16]出血(種々の) ☆《矢数道明》 “初診は昭和11年10月25日。患者は41歳の女。生来虚弱な体質で 20年前、男児1人をあげただけである。今から6年前は甚だしい血 尿を起こし、T大病院で左側腎臓を剔出(てきしゅつ)してもらった。当時の病名 を尋ねたが患者には分からない。以来、顔色は全く白のようで、歩 行時、階段の上下等には心動悸・呼吸促迫を訴えていた。その頃から すでに右側腎臓も腫脹し圧痛を覚えていたという。2年前のことであ るが、患者の夫が眼疾にかかり、ほとんど失明状態になったので、以 来患者は心身共に労苦の限りを舐め尽くし、疲労困憊の極いよいよ現 在の病状を起こしたようである。 現在症、10月2日。突然39℃を超える高熱を発し、悪寒戦慄を 訴え、時に40℃を超える熱が10日間も続いた。その間右側の腎臓 は驚くべきほど腫大し、疼痛を訴え、血尿はぶどう酒のようで混濁し ている。それが1日10回以上も頻発する。2週間目頃医者を変え、 解熱の注射というのを数回受け、次第に体温は下降したが一般状態は すこぶる不安で、患者は自ら死を覚悟したと言う。私の初診は発病後 すでに3週間を過ぎ、激しい症状は過ぎ去った時である。しかし尿は 依然としてぶどう酒の様で1日10回以上である。さて当時の患者の 主訴は①尿血の頻数不快 ②食思まったく不振 ③右側腎臓の腫大疼 痛 ④体動によって心動悸・息切れを覚え ⑤全身の脱力感 ⑥不眠 等である。 診ると、患者の顔色は①蒼白蝋の如くで ②色つやは全くない ③ 唇もまた血の気が無く ④舌は苔なくまた色あせている ⑤眼光は無 力で ⑥言語応答に物憂いようで ⑦頭髪は赤く薄く散乱として生気 がない。診ると脈は6脈沈微でやや数しており、腹状は右側の腎臓は 肝臓とともに腫脹し、心下から腸骨にまで及んでいる。どこを圧し ても痛む。しかし全身症状の割合には腹は虚弱ではなく、相当の抵抗 感がある。聴診、打診上、両肺とも異常は無く、心音は貧血性雑音が 著明に聴取できる。当時の体温は最高37.3℃である。大便は1日 1回である。 診断。以上で、私は先ず《金匱要略》の黄土湯を考えたが、思うに 本患者の食思不振、四肢倦怠、言語軽微、唇蒼白、心動悸等をもって、 脾経出血、心室血虚の証とし、すなわち熱状あるところから加味帰脾 湯を与えた。すなわち脾気を振り起こして、出血を抑制し、造血作用 を鼓舞させようと企てた訳である。西洋医学的には尿中タンパク強陽 性、膿球、白血球強陽性、大腸菌強陽性、結核菌陰性で腎臓腎盂炎の 出血による全身衰弱状態というところであろう。 経過、初日及び翌日は1日わずか1貼を3回分服。第3日に1貼半 を服用すると、食欲がにわかに進み、全身の元気が充実した感があり、 4日目の朝は血尿は全く止み、日ごとに体力は回復の一途をたどった。 6日目から1日3服し、私は8日目に再び往診したのであったが、患 者は床の中に仰臥して、編み物をしていた。顔色は一変して色つやは 良くなり、言語応答も別人のようで、食欲も大いに進み、平熱となり、 私を紹介した知人の云うところによれば唇の色も良くなったという。 腹診すると腎臓は初診の時に比べて半分に縮小し、圧痛も減少、昨今 では、自分で便所も云っても大した疲労を覚えないという、驚くべき 回復ぶりである。”
[17]食欲不振 [18]自律神経失調症 [19]神経衰弱 [20]神経性胃炎 [21]神経性心悸亢進症: ☆不眠、思慮過度、胸騒ぎ、嗜臥小食
[22]心臓神経症 [23]舌質<湿潤> [24]舌苔<微白苔> [25]多夢 [26]血の道症
[27]低タンパク血症 [28]盗汗 吐血: ☆《梧竹楼方函口訣》 “一男子、20歳あまり、平素から虚弱なたちであったが、12月に なって、ある朝、早く起きて商売の帳尻を合わせたところ、取引を 間違えて余程損になっている事が分かり、ひどく心配した。すると 急に顔色が悪くなり、胸の気持も悪くなって、その夜血を沢山吐い た。それからは、物事に驚きやすくなり、動悸がしたり、眠れなか ったりするようになった。そこで帰脾湯に梔子と柴胡を加えた加味 帰脾湯を与えたところすっかり良くなった。”
熱病の回復期 ノイローゼ: ☆心身の過労により、全身が衰弱し、不眠、健忘、精神不安などを訴える 者。
[29]のぼせ [30]白血病 ☆出血の傾向、貧血、疲労倦怠、脾腫、肝臓肥大などを目標に用いる。 加味帰脾湯紫根・・・紫根は悪性腫瘍に用いて、ときに效を見るのでこれを加える。1日量10g。
[31]発熱<夕暮れから> [32]ヒステリー [33]脾臓機能亢進症 [34]微熱
[35]疲労倦怠 [36]貧血症: ☆原因不明の貧血 ☆悪性貧血 ☆再生不良性貧血 ☆《大塚敬節》 “昭和16年、患者は28歳のの婦人で、1男1女があり、数ヶ月前から 病院に入院していたが、病勢は次第に悪化し、あと1ヶ月の命があびな いと云われたという。 病室に入った私は吸呑みで口を湿らせている血色の悪い婦人をみた。 口渇はあるが、水を飲んでも、すぐ吐くので、1口ずつ口に含んで吐き 出し、ただ口を湿らせているだけでこらえているという。舌には乳頭が なくなって、赤く爛れている。脈をみると沈小弱で、体温は38℃7分、 腹部は陥没していて、臍部では動悸が亢進し、下半身には浮腫がある。 以上の病状から薬方を考えると、四逆湯加人参、附子理中湯なども頭 に浮かんだが、貧血がひどいので、帰脾湯とし、これに柴胡と梔子を加 えた。しなわち加味帰脾湯である。これを飲むと頑固な嘔吐が止み、そ の夜は尿がめずらしくたくさん出た。4、5日たつと、体温も37℃ぐ らいに下り、食欲も出てきた。7日後に、患者は自宅に帰って、私の薬 だけで治療することを決心したので、その日の夕方、私は患家に往診し た。この日は、もう下肢に浮腫もなく、顔に生気があふれていた。こん な状態で貧血の方もぐんぐん良くなり、5ヶ月ほどの服薬を続けて休薬 した。それから20年になるが、この患者はこれといって重い病気もで ずに元気にいるという”
[37]不安神経症 [38]不正性器出血 [39]不眠症: ☆精神の過労がもとでノイローゼ気味となり、記憶力が減退して不眠を訴
える者。 ☆老人・虚弱者で平素から胃腸が弱く、貧血気味で疲れやすく、物忘れす る者で不眠を訴えるものに用いる。 ☆この方は帰脾湯の証で熱状の有る者に用いる。さて帰脾湯は貧血・健忘 ・動悸・神経過敏・不眠などのある者に用いるが、老人などで、物忘れ をして困るというものによく、この症状があって眠れないものに用いる。 老人でなくても、虚弱な者を目標にする。また、軽い中風で、物忘れを し、言語のもつれる者に用いる《大塚敬節》 ☆43歳男性。腹膜炎に罹った事があり、元来、虚弱な体質であるが、4、 5年前から朝・夕に頭痛があり、そのとき悪心を訴える。疲れると背が 痛む。甘い菓子を好む。脈は弱く、腹力もなく、腹部で振水音を証明す る。
私はこれに半夏白朮天麻湯を与えた。これで、やや睡眠状態は良いよ うであったが、3週間ほど飲むと、また逆転して眠れなくなり、背が張 るという。そこで枳縮二陳湯にしてみたが、これも効かない。桂枝加竜 骨牡蛎湯、甘草瀉心湯、神効湯など、次々と用いたが、どれもあまり効 かない。
そこで、加味帰脾湯にした。のぼせ、頭痛、不眠、疲労感と胃腸虚弱 な点を考慮して、この処方を選んだ。これを飲み始めてから、2週間ほ どたつと安眠出来るようになり、血色もよくなった。《大塚敬節》 ☆54歳女性。数年前、胃潰瘍を病んだ。主訴は胃部膨満不快、肩背急痛、 逼迫感、腰痛、神思鬱々として、いわゆる婦人更年期の訴えをことごと く備えていた。
患者は今まで2回ほど狭心症の発作のように肩背強痛、心絞窄の苦悶 を起こしたことがある。 私は初診以来、当帰芍薬散、抑肝散、茯苓補心湯等といろいろ試みた が、結局、香砂六君子湯が最も良かった。患者はこの方を1日1貼ぐら い飲むと気持ちよく立働くことが可能となっていた。
ところが、去る10/27、孫が急性肺炎で危機に瀕し、その看護に精魂 を傾けたため、前症がにわかに拾頭し、心臓部苦悶、動悸、息切れ、食 思まったく不振に陥った。
本患者の病因はすなわち脾胃虚弱で、常に顔面蒼白、皮膚枯燥、貧血 状態であった。脈は沈遅で力薄く、腹は虚軟で臍傍・臍中の動悸がたか ぶっている。私は例に因って香砂六君子湯を与えたが、こんどは効かな い。頑固な不眠症を起こし、ほとんど眠られないとのことであった。
そこで思慮過度、心脾労傷の致すところとして、加味帰脾湯を与える と、これが非常な好結果で、不眠も食思不振も、心思鬱々も治り、顔色 もまたいままでになく良くなった。《矢数道明》
☆32歳男子。 「2年ほど前、ある事件で神経衰弱気味となり、それ以来不眠症になってしまった。あちこちの神経科や精神科を訪ねて睡眠剤をもらったら、はじめはそれなりに効いても、3~4日もすると、効かなくなってくる。
睡眠薬の量が増えてそれでも寝付かれなくなって、夜中になると布団の上に座り込んだり、町の中をうろつき回るようになった。 本人は、甘いものを食べたり、油や肉の多いものを食べた日は、不安と不眠が特にひどくなる。
漢方医から加味帰脾湯をもらって飲んだところ、たちまち気分が安定してきて、夜眠られなくても、静かに横になっていることが出来るようになった。少しずつ心身の状態が安定を取り戻し、3ヶ月すぎ頃からは、ほとんど普通と変わらないところまできた。」《山田光胤》
[40]便秘 [41]ほてり [42]慢性胃腸炎 [43]慢性淋疾患 [44]胸苦しい [45]胸騒ぎ [46]憂鬱(ゆううつ)
[47]リンパ腺腫脹 注意・・・[血中AG]が上昇することがある 加味芎帰湯《万病回春》《古今方彙》 =「活名芎帰湯」《寿世保元》 「川芎、当帰、自死亀板(醋炒)1個、乱髪霜1握り」作末し、毎服5銭水煎 服用。 ◎交骨開かず(=骨盤狭窄)、生産する能わざるを治す。
加味芎湯《三因極一病証方論》《古今方彙》 「川芎、当帰、白芍薬、百合、荊芥」各等分。毎に4銭を服す。水1盞酒半 盞、同じく7分に煎じて服用。
(盞=サン、さかずき) 加味姜附湯《寿世保元》《古今方彙》 「茵蔯2両、附子1枚、乾姜1両半、甘草(炙)1両」 ◎発黄にて脈沈細而して遅、肢体逆冷し、腰以上自ら汗する者を治す。
加味姜附湯(一名四順附子湯)《東醫寶鑑》 「炮附子・乾姜(炮)・人参各1銭半、炙甘草7分」 ◎激しい霍乱で、手足が冷え、六脈の沈伏した者。
加味彊黄丸《東醫寶鑑》 「大黄(酒煮)4両、白彊蚕2両、蝉退6銭半、姜黄3銭半」を作末し、姜 汁糊で混ぜ、1両で10丸作り、大人は1丸、小児は半丸を蜜水で飲む。
◎大頭瘟、蝦蟆を治す。 加味羗活散《東醫寶鑑》 「羗活・前胡各1銭2分、人参・桔梗・枳穀・川芎・天麻・赤茯苓・甘草各7 分、蝉退・薄荷各5分、生姜3片」水煎服。
◎疹でかゆい症。 加味金花丸《東醫寶鑑》 「黄連(酒炒)・黄柏(酒炒)・黄芩(酒炒)・山梔子各1両、大黄()・人参・ 半夏・桔梗各5銭」等分を作末し、水をたらして梧子大の丸剤。茶清で30 丸服用。
◎三焦の火を鎮め、嗽を止め、厥をなくし、頭目をはっきりさせる。 加味駆風豁痰湯《寿世保元》《古今方彙》 「人参、白朮、茯苓、半夏、陳皮、枳実、当帰、川芎、白芍薬(酒炒)、生地 黄、桔梗、天南星、括楼仁、附子、白殭蚕、天麻、遠志、黄芩(酒炒)、黄 連(姜汁炒)、甘草、生姜」水煎。
◎癲狂、五癇、眩暈時に作こり、時に止み、痰涎壅盛、心神昏するを治す。 ◎これ気血の虚に属ず。 ◎而して風痰と欝火を挟みたるなり。
加味荊黄湯《医学入門》《古今方彙》 「荊芥・大黄各5銭、牛蒡子・甘草各1分」水煎。 ◎肝を血が壅ぎて両瞼上下栗米の如きを生じ、或いは赤く或いは白く、甚だし くは疼痛せず、堅硬の者を治す。
加味解毒湯《寿世保元》《古今方彙》 「黄芩、黄連、黄柏、山梔子、柴胡、茵蔯、竜胆、木通、滑石、升麻、甘草、 燈心草」水煎。
◎発黄の症にて身口倶に発して金色の如く、小便は膿煎したる黄柏汁の如くにし て諸薬の効かざるを治す。 ◎大便実なれば:「大黄」 ◎目黄には:「竜胆倍加」
加味解毒湯《寿世保元》《古今方彙》 =「滌腸湯」《厳氏済生方》 「大黄、黄連、黄芩、黄柏、山梔子、赤芍薬、連翹、枳殻、防風、甘草」水 煎。
◎大便下血し、大腸痛み忍ぶべからず。 ◎肛門腫起する者を尚s。 ◎これ下焦の熱盛なり。 ◎外用に金鳳花を水煎し、頻りに肛門を洗えば腫痛たちどころに消える。
加味牽正散《中薬臨床応用》 「全蝎3g、白彊蚕5g、製白附子6g、釣籐鈎9g、天麻9g、黄蓍9g、当帰9g」 水煎服。 ◎脳卒中による半身不随 ◎顔面神経麻痺 ◎脳血管障害後遺症 ◎実証
加味香薷飲《万病回春》《古今方彙》 「香薷飲人参・白朮・茯苓・白芍薬・陳皮・甘草・烏梅・炒米」 ◎夏月暴瀉して水の如く、面垢れ脈虚、煩渇自汗するを治す。
加味香蘇散《医学入門》《古今方彙》 「陳皮・枳殻・川芎・槐花各5分、檳榔子・木香・桃仁・紫蘇茎・香附子・ 甘草各2分半、生姜、大棗」煎服。
◎気痔(心配、怒り、恐れ等の場合に肛門分が急に腫れて、気を使うことが止む と又もとの通りにおさまるもの)を治す。 加味香蘇散(一名橘皮湯)《東醫寶鑑》 「陳皮・川芎・槐花各1銭、紫蘇茎・檳榔・木香・桃仁・香附子・甘草各5 分、生姜3、大棗2」煎服。
◎気痔を治す。 加味香連丸[1]《東醫寶鑑》 「黄連4両を呉茱萸の煎じ湯に浸して炒り、木香1両、阿芙蓉2銭、を作末 し、陳米糊で緑豆大の丸剤。毎回20~30丸を蓮肉を煎じた湯で呑み下す。」
◎虚痢と久痢を治す。 加味香連丸[2]《東醫寶鑑》 「黄連(炒)2両、呉茱萸(炮炒)1両、木香1銭、白豆蔲()1銭半、乳香・ 没薬各1銭、を作末し、烏薬を水で浸したものの肉で梧子大の丸剤。毎回30 丸服用。」
◎一切の痢疾を治す。 加味虎潜丸《東醫寶鑑》 「熟地黄4両、牛膝2両、人参・黄蓍・白芍(炒)・黄柏(酒浸炒)・当帰・山 薬各1両、破故紙(炒)・五味子各5銭、兎絲子・亀板・虎骨・枸杞子・鎖 陽(酥炙)各5銭を作末し、煉蜜に猪の脊髄を入れ梧子大の丸剤。毎回100 丸を温酒又は塩湯で呑む。 ◎虚労を治し、心・腎を補う。
加味固本丸《東醫寶鑑》 「生乾地黄・熟地黄・当帰・黄柏(蜜炙)・白茯苓各1両、天門冬(塩炒)・麦 門冬(塩炒)・知母・訶子・阿膠珠各5銭、人参3銭、烏梅15個、人乳・ 梨汁各1椀を作末し、黄豆大の蜜丸。訶子湯又は蘿菖湯で80~100丸呑 む。 ◎声音がなめらかでない。
加味五加皮散《医方考》《古今方彙》 「五加皮・地骨皮・生姜皮・大腹皮・茯苓皮各等分、姜黄、木瓜、燈心草」 水煎温服。
◎水病にて腰以下腫れる者を治す。 ◎一方に「地骨皮桑白皮橘皮」あり。 加味五香湯《古今方彙》 「沈香、木香、乳香、丁香、藿香、升麻、葛根、連翹、木通、大黄」水煎。 ◎小児の瘡、無名の腫毒を治す。
加味五積散《万病回春》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・陳皮・半夏・蒼朮・茯苓・厚朴・羗活・独活 ・枳殻・桔梗・白各8分乾姜・肉桂・麻黄・甘草各5分、穿山甲1銭、 生姜、大棗、麝香(少許)」水煎。
◎四肢骨節の痛みが虚寒に因る者を治す。 加味五苓散[1]《東醫寶鑑》 「沢瀉・猪苓・茯苓・白朮・桂皮・当帰・枳穀・牛膝・木通・甘草梢各等 分。灯心草ひとにぎり入れて、空腹時に煎服。」 ◎小便の不通を治す。
加味五苓散[2]《東醫寶鑑》 「加味五苓散[1]に「木香・茴香・川楝子・檳榔・黒丑・破故紙・木通・青 皮・三稜・莪朮」を加えた煎じ湯を、青木香元で飲む。 ◎寒疝を治す。
加味五苓散《万病回春》《古今方彙》 「白朮・茯苓・猪苓・沢瀉・山薬・陳皮・蒼朮・砂仁・訶子・肉豆蔲各8分、 官桂・甘草(炙)各5分、生姜、烏梅、燈心草」水煎。
◎湿瀉の者は水を瀉すこと多く、而して腹痛まず、腹響き雷鳴し、脈細なり。 加味犀角地黄湯《万病回春》《勿誤薬室方函》 「《備急千金要方》犀角地黄湯当帰・黄連・黄芩」 ◎一切の吐血・衂血・咳血・喀血・唾血。
◎此方は、諸失血に用い易し。 ◎方後に若吐紫黒血塊胸中気塞加桃将とあれども。此の如きには桃核承気湯を用 いるを優とする。 加味犀角地黄湯《万病回春》《古今方彙》 「犀角・当帰・黄連・黄芩各1銭、生地黄2銭、牡丹皮1銭半、赤芍薬1銭 半」水煎し茅根汁を入れる。
◎一切の吐血、衂血、咳血、喀血、唾血を治す。 ◎吐血には:「天門冬山梔子阿膠蛤粉」 ◎衂血には:「山梔子阿膠」 ◎喀血、唾血には:「山梔子麦門冬黄柏知母熟地黄」 ◎凡そ紫黒血塊を吐して胸中の気塞がる:「桃仁大黄」
加味柴胡湯《東醫寶鑑》 「柴胡2銭、黄芩・半夏・人参・枳穀・大黄・甘草各1銭を剉作し、1貼に 姜3、棗2を入れ水煎服。
◎山嵐等の毒気に感染して、蘊瘧寒熱になる者。 加味柴胡湯《万病回春》《古今方彙》 「人参、半夏、柴胡、黄芩、百合、知母、甘草、竹茹1団、粳米(炒)、食塩1 撮み、姜汁(少許)」水煎。
◎百合病、その病寒に非らず、熱に非らず、食を欲して食せず、行かんと欲して 行かず、坐せんと欲して坐せず、薬を服すれば吐し、小便赤きを治す。
◎鬼を見る如き是れなり。 加味柴平湯《東醫寶鑑》 「柴胡・黄芩・半夏・蒼朮・厚朴・陳皮・山楂肉・青皮・枳穀・神麹・三稜 ・莪朮各7分、甘草5分を剉作し、1貼に姜3、棗2を入れて水煎服。
◎積塊に熱のある者。 加味柴苓湯《東醫寶鑑》 「柴胡・沢瀉各1銭、半夏・赤茯苓・白朮・猪苓・山楂子・山梔子・茘枝核 各7分」水煎服。 ◎疝による湿熱・腫痛。
加味三拗湯《東醫寶鑑》 「麻黄2銭、陳皮1銭半、杏仁・五味子各1銭2分、桂皮1銭、甘草5 分を剉作し、1貼に姜3片を入れ水煎服。
◎寒喘を治す。 加味散毒散《東醫寶鑑》 「人参敗毒散1両に、大黄・蒼朮各1銭、生姜3片、薄荷7葉」水煎服。 ◎三陽経に脚気が流注し、脚踝が赤く腫れる者。
加味滋陰散《寿世保元》《古今方彙》 「当帰・川芎・芍薬・熟地黄・陳皮・半夏・茯苓・甘草各5分、升麻・柴 胡・白朮・牛膝・知母(酒炒)・黄柏(酒炒)・蒼朮各1銭」水煎し一宿を 露す。
◎諸淋久しく止まざる者を治す。 加味四斤元《東醫寶鑑》 「牛膝(酒浸)1両半、川烏・虎脛骨・肉蓉各1両、乳香・没薬各5銭、 木瓜1個(蒸熟)」を作末し、木瓜膏に入れ、酒糊で梧子大の丸剤。 温酒又は塩湯で70丸服用。 ◎肝・腎ともに弱くなり、脚・膝の疼痛・痿弱。又は風寒湿の気で脚痛に。
加味四君子湯[1]《外科正宗》 「四君子湯白扁豆・黄蓍・生姜・大棗」 ◎痔瘡・痔瘻、下血止まず、面色痿黄、心松、耳鳴、脚弱、気乏及びいっさいの 脾虚、口淡く、食に味を知らざるを治す。 ◎又中気虚し、血を摂する能わず、便血禁ぜざるを致す者を治す。 ◎此方は、下血止まず、面色萎黄、短気心する者を治す。 ◎「四君子湯」と「理中湯」は下血虚候の者に効あり。
加味四君子湯[2]《王海蔵》 「四君子湯杏仁・桑白皮各等分 半夏<半量に減ず>」 加味四君子湯[3]《東醫寶鑑》 「四君子湯肉豆蔲()・訶子(炮)各1銭、生姜3・大棗2」空腹時に、 水煎服。
◎気虚下痢を治す。 加味四君子湯[4]《東醫寶鑑》 「人参・白朮各1銭3分、甘草1銭、当帰8分、赤茯苓・陳皮・厚朴・縮 砂・紫蘇子・桑白皮各6分、沈香・木香各5分を水で洗って汁を取り、 剉作1貼し、姜3、棗2を入れ水煎し、二香の水磨汁を調合して食べる。 ◎気喘を治す。
加味四君子湯《朱丹渓》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・陳皮・半夏・甘草、水煎す。竹瀝・姜汁を入れ温服 し、或いは天南星・枳実・烏薬・羗活等を加えるも可なり。 ◎右半身不遂し、手足の者は気虚と湿痰に属するなり。
加味四君子湯《万病回春》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・陳皮・砂仁・厚朴・当帰・甘草各等分、生姜、大棗」 水煎。
◎一死の気虚にて病をなす者を治す。 ◎気虚甚だしいとき;「黄蓍」 加味四君子湯《万病回春》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・黄蓍・当帰・川芎・陳皮・半夏・天麻・桔梗・白 各等分、甘草半減、生姜、大棗」水煎。
◎肥人で気虚し湿痰、頭眩するを治す。 加味四君子湯《仁斎直指方》《古今方彙》 「人参・白朮・白茯苓・白芍薬・黄蓍・白扁豆(炒)各2銭、甘草(炙)1銭、 水2鐘、生姜5片、紅大棗2枚」煎じて1鐘を服す。
◎色疸及び久疸癒えざるを治す。 加味四君子湯《三因極一病証方論》《古今方彙》 「四君子湯黄蓍、白扁豆」 ◎五痔下血、面色萎黄、心耳鳴、脚弱気乏、口淡にて食するの味を知らざる者 を治す。
加味四君子湯《寿世保元》《古今方彙》 「人参1銭、附子1分、茯苓5分、蒼朮・羗活各3分、炮姜4分、甘草(炙)4 分、白朮6分、生姜、大棗」水煎。
◎慢脾の症で面赤額汗、舌短、頭低く眼合して開かず、睡中に揺頭し舌を吐し、 頻りに腥臭を嘔し、噤口咬牙し、手を床にし、足は微しくして収まらず、或 いは身冷え有為は温き者を治す。
◎蓋し慢驚の後、吐瀉して脾を損じ、病伝わりて已に極まり、総じて虚に帰する 処は惟れ脾の受くる所なり。故に慢脾風と曰う。 加味四順清凉飲《中薬臨床応用》
「山梔子9g、連翹15g、防風9g、当帰18g、赤芍9g、羗活6g、生甘草9g、 生黄蓍45g、生地黄15g、黄柏9g」水煎服。 ◎熱傷の感染性発熱。
加味四七湯[1]《東醫寶鑑》 「半夏(製)2銭、赤茯苓・厚朴各1銭2分、茯神・紫蘇葉各8分、遠志(姜 製)・炙甘草各5分、生姜7片、大棗2枚、石菖蒲半寸」水煎服。
◎心気が鬱滞する症状。 加味四七湯[2]《東醫寶鑑》 「半夏・陳皮・赤茯苓・各1銭、神麹(炒)・枳実・天南星(炮)各7分、青 皮・厚朴・紫蘇葉・檳榔・縁砂各5分、白淡豆豉・益智仁各3分、姜3 分、大棗5片」
◎痰気が鬱結して咽喉間にふさがり、吐いても出ず、飲み下すことも出来ない症 状(⇒梅核気)に。 加味四七湯[3]《東醫寶鑑》 「紫蘇葉・半夏・赤茯苓・陳皮・枳実・天南星・縮砂・神麹各1銭、青皮7 分、白豆蔲6分、檳榔・益智仁各3分、生姜5片」水煎服。 ◎梅核気を治す。
加味四七湯《寿世保元》《古今方彙》 「半夏5両、茯苓4両、厚朴3両、紫蘇葉・桔梗・枳実各2両、甘草1両、 生姜、大棗」煎服。
◎七情の気結ばりて痰涎となり、状は破絮(=古綿)の如く、或いは梅核が咽喉の 間にあるが如く、咯けども出でず、嚥めども下らず、或いは中痞悶し、気は 舒快ならず、或いは痰喘壅盛、上気喘急、或いは痰飲に因り、悪心嘔吐する等 を治す。
加味四七湯《世医得効方》《古今方彙》 「四味四七湯茯苓・遠志・石菖蒲・甘草」 「半夏、茯苓、紫蘇葉、厚朴、遠志、石菖蒲、甘草」 ◎心気欝滞するを治す。 ◎痰を豁き驚を散ず。
加味四七湯《万病回春》《古今方彙》 「茯苓・蘇梗・半夏・橘紅・青皮・枳実・縮砂・天南星・神麹・厚朴各1 銭、白豆蔲・檳榔子・益智仁各5分、生姜」水煎し臥するに臨み服す。
◎七情の気が結んで痰気となり、状、梅核の如く、或いは破絮(=古綿)の如く、 咽喉の間にありて咯けども出でず、嚥めども下らず、或いは中痞悶し、或い は中痞悶し、気舒快ならず、或いは痰喘壅盛して上気喘急し、或いは痰飲に 因り、悪心嘔吐する者を治す。
加味四聖散《医学入門》《古今方彙》 「紫草・木通・木香・黄蓍・川芎・甘草・人参各等分、蝉退半減」水煎。 ◎痘出でて快駆らず、及び変陥倒靨(=痘膿後に痂皮を作らず、かえって腐爛し 脱皮する)し、小便赤渋して余熱除からざる一切の悪候、或いは痘出でて風吹 を被り復見われずに皮膚に入り、内熱欝して散らざるを治す。 ◎便閉すれば、:「枳殻」 ◎便調えば「糯米」
加味四物湯[1-1]《医学正伝》 「当帰・麦門冬・黄柏・蒼朮・各1匁、地黄3分、芍薬・川芎・各7分、 五味子9粒、人参・黄連各5分、知母・牛膝各3分、杜仲7分半」
◎諸痿症、四肢軟弱・挙動不能。 加味四物湯[1-2]《医学正伝》《漢方治療の実際》 「当帰・川芎・芍薬・熟地黄・朮各3、麦門冬5、人参・牛膝各2、黄柏
・五味子・黄連・知母・杜仲各1.5」 ◎麻痺 加味四物湯[1-3]《医学正伝》《古今方彙》 「当帰1銭、地黄3銭、芍薬・川芎各7分半、五味子9枚、麦門冬1銭、 人参半銭、黄柏1銭、黄連半銭、知母3分、杜仲7分半、牛膝3分、蒼 朮1銭」水煎温服。
◎諸痿にて四肢軟弱にして挙動する能わざるを治す。 ◎肥えて痰あれば:「半夏」 ◎痩せて血虚すれば:「当帰地黄」 加味四物湯[1-4]《医学正伝》《龍野一雄》 「当帰・黄柏・麦門冬・白朮各2.5g、熟地黄8g、芍薬・杜仲・川芎各2g、 人参・黄連各1.5g、知母・牛膝・五味子各1g」 「或いは、人参を去り羚羊角を加える」 ◎諸痿、四肢軟弱、挙動し能わざるを治す。 ◎此方は滋血、生津、清湿の3功を兼ねて諸痿を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は「大防風湯」とは陰陽の別あり。 <1>大防風湯:専ら下部を主とする。 <2>加味四物湯:専ら上焦の津液を滋して下部に及ぼす。 ★適応症及び病名 (五十音順)
[1]下肢の麻痺: ☆痿症の初起には:痿証方《秘方集験》に宜し。 ☆凝固して動き難き者:痿躄湯(=亀板湯) ☆筋痙攣甚だしき者:二角湯 ☆壊症になった者:加味四物湯 [2]筋萎縮。
[3]脊椎カリエス 加味四物湯[2-1]《万病回春》《古今方彙》 「当帰・黄柏(蜜炙)・知母・括楼根・川芎各1銭、桔梗・甘草各3銭、熟 地黄・白芍薬各1銭2分」水煎し「竹瀝」を入れて同服す。
◎虚火上升して喉痛するを治す。 ◎并して喉瘡、喉痺、熱毒を生ずるを治す。 ◎最も能く火を降ろす。甚だ効あり。 加味四物湯[2-2]《万病回春》《漢方治療の実際》 「当帰・黄柏・知母・川芎・天花粉各2、桔梗・甘草各4、地黄・芍薬各3」 原方には竹瀝があるが、今これを入れない。 ◎この方は咽頭痛に用いる。
◎この方は、滋陰降火湯によく似た処方で、浅田宗伯は、加味四物湯を用いるよ うな咽痛には、滋陰降火湯を用いる《大塚敬節》 加味四物湯[2-3]《万病回春》《東醫寶鑑》
「桔梗・甘草各1銭半、熟地黄・白芍各7分、当帰・川芎・黄柏(蜜水炒) ・知母・天花粉各5分」を水で煎じて、竹瀝1鐘を入れて服用。
◎喉痺・喉痛・喉瘡。 ★適応症及び病名 (五十音順) 咽頭痛: ☆咽痛の症で虚症になった者に用いる《大塚敬節》
☆発汗したり、下したりして効が無く、そのくせ熱があって、脈が虚数 になった時に、この方を用いる。このような場合には、他に用いる方 がなく、附子剤でもなく、甘桔湯などを用いてもダメなときに用いる。 《有持桂里》
加味四物湯[3-1]《万病回春》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬(炒)・生地黄・熟地黄・黄蓍・人参・白朮・陳皮・ 茯苓・荊芥・甘草(炙)各等分、大棗、烏梅」水煎。
◎血虚眩暈、卒倒するを治す。 ◎艾灸をすべからず。 ◎驚哭、叫動、動すれば虚に乗じて死す。 ◎飽悶には:「香附子砂仁黄蓍白朮」
加味四物湯[3-2]《万病回春》《東醫寶鑑》 「当帰・白芍・川芎・生地黄・熟地黄・黄蓍・人参・白朮・陳皮・白茯苓 ・荊芥穂・甘草各7分、大棗2枚、烏梅1個」煎服。
◎貧血でめまい。 加味四物湯[4]《万病回春》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・熟地黄・陳皮・黄芩・山梔子・天麻・茯苓 各等分、人参・甘草各半減、松香、大棗」水煎温服。
◎肥人で気虚し、湿痰、頭眩するを治す。 加味四物湯[5-1]《万病回春》《古今方彙》 「黄柏(酒炒)・知母(酒炒)・黄芩(酒炒)・黄連(酒炒)・当帰・生地黄・蔓 荊子・山梔子・川芎各等分」
◎血虚にして陰火上に冲(ノボ)りて頭痛するを治す。 加味四物湯[5-2]《万病回春》《東醫寶鑑》 「当帰・川芎・生乾地黄(黄酒炒)・黄柏(酒炒)・知母(酒炒)・黄芩(酒炒) ・黄連(酒炒)・蔓荊子・山梔子(炒)各7分」水煎服。
◎血虚による頭痛。 加味四物湯[6]《福井》 「当帰・地黄・知母・黄柏・黄連・蔓荊子・山梔子・川芎」 ◎梅毒壮熱ある者、先ず此湯を用いてその熱を解し、後に奇良剤を用いる。 ◎此方は能く黴毒の壮熱を解す。《勿誤薬室方函口訣》
加味四物湯[7]《東醫寶鑑》 「四物湯4銭、人参・呉茱萸各1銭、姜3、棗2」水煎服。 ◎月経がなくなって何年か後に、又月経があって、それが崩漏となって腹痛と寒 熱がある。
加味四物湯[8]《朱丹渓》《古今方彙》 「当帰・芍薬・川芎・熟地黄・桃仁・紅花」水煎し、「竹瀝・姜汁」少し 許り入れ温服。
◎左半身不遂し、手足の者は血虚と死血に属す。此方に宜し。 加味四揚湯[1]《薛立斎十六種》《古今方彙》 「四物湯山梔子、柴胡、牡丹皮」
加味四揚湯[2]《東醫寶鑑》 「熟地黄2銭、当帰身・麦門冬・黄柏・蒼朮各1銭、白芍・川芎・杜仲各7 分、人参・黄連各5分、知母・牛膝各3分、五味子9粒」水煎服。
◎湿熱による両脚の痿軟・無力。 加味四苓散[1]《万病回春》《古今方彙》 「白朮・茯苓・猪苓・沢瀉・蒼朮・山薬・芍薬・陳皮・山梔子各1銭、烏梅 1個、甘草(炙)5分、燈心草」水煎。
◎火瀉(熱瀉)の者は腹中が一陣(ヒトシキリ)痛み、一陣瀉四物湯、後は去ること熱湯 の如く、後重し滞るが如くにて、赤色を瀉下し、小水短赤、煩渇、脈数なり。 此方に宜し。
◎飽悶には:「厚朴砂仁山薬」 ◎腹痛には:「厚朴砂仁木香小茴香白朮」 ◎嘔悪心には:「藿香烏梅蓮肉縮砂人参」 ◎小水短赤には:「木通車前子沢瀉」 ◎口燥煩渇には:「黄連麦門冬蓮肉烏梅乾葛沢蒼朮」 ◎瀉多く元気虚脱し昏倦する:「人参黄蓍蒼朮沢瀉」 ◎夏月に暴瀉にはあ:「香薷白扁豆」 ◎瀉多く煩躁する:「黄連人参辰砂奪い蒼朮沢瀉」
◎瀉多く止まざるには:「肉豆蔲烏梅人参沢瀉山梔子」 ◎発熱脈数には:「柴胡黄芩烏梅」 加味四苓散[2]《寿世保元》《古今方彙》 「人参、白朮、赤茯苓、猪苓、沢瀉、香薷、蓮肉、麦門冬各等分」水煎し、 空心に服す。
◎心経暑に伏し、小便赤濁するを治す。 加味七気湯《済世全書》《古今方彙》 「半夏、茯苓、厚朴、蘇梗、香附子、生姜」水煎。 ◎七情の傷るる所、憂思欝結し腑臓の気が和平せず、心腹痞悶するを治す。
加味磁朱丸《東醫寶鑑》 「磁石(を醋淬すること7回)、朱砂研1両、沈香5銭を作末し、神麹末2 両で糊をつくって梧子大に丸め、塩湯又は米飲で30~50丸空腹時に服用。 ◎眼昏に常服。
加味紫草散《医学入門》《古今方彙》 「紫草、白芍薬、麻黄、甘草各5分」水煎温服。 ◎痘出でて未だ透らざるを治す。 加味貝散《東醫寶鑑》 「白・貝母・天花粉・金銀花・皀角刺・穿山甲(土炒)・当帰尾・薏苡仁・ 甘草節各1銭」酒と水を半分ずつ入れて煎服。
◎乳癰の腫硬で痛む症。 加味瀉白散《中薬臨床応用》 「桑白皮12g、地骨皮9g、甘草3g、粳米6g、知母6g、黄芩4.5g、桔梗3g、 薄荷1.5g(後下)」水煎服。 ◎小児の急性気管支炎。
加味小胃丹《東醫寶鑑》(一名導痰小胃丹・又、竹瀝化痰丸) 「小胃丹天南星・半夏」 白礬・皀角を姜汁で15回煮て各2両半、蒼朮を米・白礬・皀角と水の
泡に漬け、紅花(酒蒸)・陳皮・枳実と白礬水泡に半日漬けて炒り、白朮・ 白芥子(炒)各1両を作末して、姜汁・竹瀝・神麹を煮て、緑豆大の丸剤。
20 ~30丸を姜湯で服用。 ◎風痰・痞積・眩暈・喉痞・不語。 加味小陥胸湯[1]《勿誤薬室方函》 「小陥胸湯枳実・山梔子」 ◎火、その痰を動かし雑するを治す。 ◎此方は雑に奇効あり。 ◎胸のやけることなり。
加味小陥胸湯[2]《証治大概》《龍野一雄》 「半夏8g、瓜呂仁3g、枳実・山梔子各2g、黄連1.5g」 ◎むねやけ・胃部疼痛。 ★適応症及び病名
胃潰瘍 胃酸過多症 胃痛 胆石症 加味小建中湯《東醫寶鑑》 「白芍(酒炒)3銭、桂心1銭半、炙甘草・遠志(姜汁炒)各1銭、生姜5、
大棗2」水煎服。 ◎心腹痛で堪えられず、押すと痛みが止まる・虚寒症。 加味小柴胡湯《本朝老医伝》《勿誤薬室方函》 「小柴胡湯竹茹・麦門冬・黄連・滑石・茯苓」
◎暑疫、協熱利を治す。 ◎此方は一老医の伝にて、夏秋間の傷寒恊熱利に経験を取りし方なれども、余は 常に「滑石」として、人参飲子(=小柴胡湯麦門竹葉)の邪勢一等重く煩熱
心悶する者を治す。人参飲子は小柴胡湯の邪勢甚だしきに用い、此方は更に 重い。《済世薬室》 ◎竹茹温胆湯の症にして往来寒熱する者を治す。 ★適応症及び病名 泄瀉: ☆最初より下痢あり、恊熱利に似て熱消し難きものあり、此方を用いて
意外の効を得たり。《橘窓書影》 ☆その人、大便不調、邪気忽ち裏に乗じ、便ち煩渇となる。一に平時の 如く稀糞を泄瀉して色敗れず、その色ただ焦黄のみ。これ伏邪裏に伝
え、胃に稽留し能わず、午後に至って潮熱し、便泄瀉となる。加味小 柴胡湯能く之を治す。もし潮熱未だ除かず利止まざる者は「小承気湯」 を以てその余邪を徹するに宜し。《雑病翼方》
加味十奇散《東醫寶鑑》 「当帰・肉桂・人参・黄蓍・川芎・防風・白・桔梗・甘草・乳香・没薬」 各等分を作末し、毎回3銭を温酒で調服。
◎老人・虚弱者の癰疽。膿に成ったか、ならないかに関わらない。 加味十全大補湯[1]《東醫寶鑑》 「十全大補湯柴胡1銭、黄連5分」
◎虚労による気血の衰弱。 加味十全大補湯[2]《寿世保元》《古今方彙》 「十全大補湯附子、沈香、木香、烏薬、牛膝、杜仲、木瓜、防風、羗活、 独活、薏苡仁」
加味上清丸《東醫寶鑑》 「白砂糖8両、薄荷葉4両、柿霜4両、玄明粉・硼砂・寒水石・烏梅肉各5 銭、片脳5分を作末し、甘草水を煮て膏を作り、実大に丸め、毎回1
丸を茶湯で解かして呑む。 ◎声音がなめらかでない。 ◎清声・潤肺・止咳・爽気などに有効。 加味承気湯《傷科補要》 「大黄80g、朴硝80g、枳実4g、厚朴4g、甘草20g、当帰4g、紅茶4g、酒 と水各一杯で飲む。」
加味承気湯《万病回春》《古今方彙》 「大黄・芒硝各2銭、枳実・厚朴・当帰・紅花各1銭、甘草5分」酒水にて 煎じる。 ◎血内に停りて胸腹脹痛し或いは ◎大便通ぜざる等の症を治す。
加味順気散《厳氏済生方》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・半夏・青皮・陳皮・川芎・白・枳殻・桔梗・烏薬・ 細辛・防風・白殭蚕・乾姜・麻黄・甘草・生姜・大棗」水煎す。 ◎風はまず気を理し、気順(メグ)れば則ち痰は消え、除ろにその風を理すれば庶(オ
オ)くは効を収む可し。 ◎気を理すれば気滞・気欝・肩膊麻痛の類を治す。これ七情なり。 加味潤下丸《東醫寶鑑》 「橘紅8両、半夏(擘)2両、を塩湯で煮て乾かした後、天南星・黄芩・黄連
・甘草各1両を作末して、姜汁に漬け、蒸し餅で緑豆大の丸剤。白湯で50 ~70丸服用。 ◎痰火(熱痰)を下降させる名薬。 加味消毒飲《東醫寶鑑》 「人参敗毒散1両に、大黄・蒼朮各1銭を加え剉作し、姜3片、薄荷7葉を
入れて煎服。 ◎三陽経に脚気げ流注し、脚踝が赤く腫れる者。 加味生脈散《医学入門》《東醫寶鑑》 「五味子3銭、人参・麦門冬・杏仁・陳皮各2銭剉作1貼し、姜2片、棗5
を入れ煎服。 ◎脉がなく、喘促して手足の厥逆のとき。 ◎手足厥逆、脉伏し、喘促の者を治す。危殆(キタイ、あやうい)これを以て之を救 う。《古今方彙》
加味朮附湯[1]《東醫寶鑑》 「炮附子2銭、白朮・赤茯苓・炙甘草各1銭半を剉作1貼し、生姜7片・大 棗2を入れ、1日2回、水煎服。
◎中湿の諸症を治す。 加味朮附湯[2]《東醫寶鑑》 「炮附子・白朮各1両、肉豆蔲()2個、木香・炙甘草各5銭を作末し、 毎回2銭に姜3、棗2を入れ水煎服。
◎吐瀉の後、変じて慢驚になり、又は下痢する者。 加味寿星丸《東醫寶鑑》 「半夏(姜製)6両、天南星(炮)3両、朱砂(水飛)1両、琥珀・白礬枯各5銭、
母真珠1銭」作末し、姜汁麺糊で梧子大に丸め、朱砂で衣をつけて、毎 回30~50丸生姜湯で服用。 ◎痰がつまり、清神が安定せず、健忘と恍惚を兼ね、手足がだるいとき。
加味正気散《古今方彙》 「陳皮、半夏、厚朴、藿香、蒼朮、芍薬、黄連、木香、檳榔子、枳殻、甘草 (炙)、生姜」水煎。 ◎痢にして飲食酔飽によりて得たる者を治す。
加味逍遥散[1-1]《内科摘要》《中薬臨床応用》 =「丹梔逍遥散」 「牡丹皮6g、山梔子6g、柴胡9g、当帰12g、白芍薬9g、白朮9g、茯苓9g、 甘草(炙)3g、薄荷3g(後下)、生姜3g」水煎服。 ◎発熱、午後ひどくなる。 ◎盗汗、自汗 ◎頭痛、目に充血 ◎頬の紅潮 ◎口乾 ◎月経不順
加味逍遥散[1-2]《内科摘要》《中薬臨床応用》 =「丹梔逍遥散」 「牡丹皮6g、山梔子6g、柴胡9g、当帰12g、白芍9g、茯苓9g、炙甘草3g、 薄荷3g(後下)、生姜3g」水煎服。
◎逍遥散証で熱候又は上部に充血症状がある者。《龍野ー漢方処方集》 ◎此方は清熱を主として上部の血症に効あり。故に逍遥散の症にして、頭痛面熱、
肩背強ばり、鼻衂などあるに佳なり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎肝分の虚火を鎮むる手段なり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎下部の湿熱を解す。婦人淋疾、竜胆瀉肝湯などより一等虚候の者に用いて効あ
り。 ★加味逍遥散(顔面紅潮、四肢倦怠、疲労、発熱盗汗、口乾、嗜臥不眠、手掌煩 熱、不定期な熱感、月経異常) 【腹証】 加味逍遥散[1-3]《女科撮要》《漢方治療の実際》
=《和剤局方》の逍遥散+牡丹皮+山梔子各2」 ★適応症及び病名 (加味逍遥散)[1]頭のふらつき[2]イライラ:☆63歳の婦人。「2年前、胃潰瘍で吐血し、入院したことがある。1ヶ月前に風邪を引き、頭重・全身倦怠・肩こり・のぼせ・悪寒・便秘・発汗などがあり、イライラするという。食欲は普通、ゲップが出る。
初診時には血圧が(140-90)。以前は低血圧であったとのことである。脈はやや弱く、腹を診てみると、軽度の胸脇苦悶が認められた。。舌にコケはない。
加味逍遥散エキスを15日分服用すると、諸症状が好転し、血圧も(120-80)となり、続けてさあ飲んだところ、経過はますます良好となった」《矢数圭堂》[3]胃潰瘍[4]咽喉神経症[5]咽喉痞塞感[6]陰戸腫[7]陰部掻痒症[8]ウツ病(鬱病)[9]悪寒:<背部>[10]往来寒熱:☆此方の症にして寒熱甚だしく胸脇に迫り、嘔気等ある者は、「小柴胡湯+山梔子+牡丹皮」《勿誤薬室方函口訣》[11]怒りっぽい[12]外陰部(膣口)の腫痛[13]咳血[14]疥癬:☆男子婦人遍身に疥癬の如きを発し、甚だ痒く諸治無効の者:「+四物湯」《勿誤薬室方函口訣》[15]下肢疼痛[16]鵞掌風:「+地骨皮・荊芥」《華岡青州》
[17]喀血[18]肩こり ①血の道症。 ②のぼせ、頭痛 ③めまい ④足が冷える。☆血の道症で、いつも申分が絶えず、のぼせ、頭痛、肩凝り、めまい、足冷などのある者に用いる《大塚敬節》☆月経不順、帯下などの婦人病の症状があって、肩凝りを訴える者に用いる《大塚敬節》[19]過敏性大腸症候群
[20]肝炎 [21]肝硬変:<初期> [22]肝臓肥大:<腫大> [23]肝斑: ☆若い婦人の肝斑に有効《大塚敬節》 ☆33歳未婚婦人。肺結核の既往歴あり。2年前過労と心労のため、不眠症と食欲不振に悩まされ、手当たり次第に新薬を飲んだ。そのためか鼻翼の左右の低いところに大きな茶褐色の斑点が出来た。ところがその冬にスキーに行ったところ、斑点の色が濃くなり、ひどく人目を引くようになり、医師の診察を受けると肝斑と云われ、その指示通りに手当を受けたが、斑点はますます拡大し、鼻と上唇との間にも、ひげ剃りの痕のような斑点が出来た。
月経は順調だが、始まる前日に下腹痛がある。私はこれに加味逍遥散を与えたが、1ヶ月の服用で斑点の着色が薄れて人目を引かなくなり、疲れが減じ、勤務に出ても、あまり疲労を感じないようになった。《大塚敬節》☆42歳女性。卵巣嚢腫で手術の既往歴あり。2週間前にジンマシンが出たが、それは数日で治った。1年ほど前よりこめかみの部分と前膊に肝斑がある。便秘の傾向がある。喫煙が多い。月経は順調である。
私はこれに加味逍遥散を与えたところ、2ヶ月余りで、肝斑は消失し、眉間に、ハタケ(顔面白癬)のようなものが出来た。そこで加味逍遥散+荊芥地骨皮を用い、これも1ヶ月足らずで全治した。《大塚敬節》
[24]感情不安定 [25]眼精疲労 ☆眼痛、頭痛、めまい、冷えのぼせ、不眠、疲れやすいなそ女性で愁訴の多いもの(漢方診療医典) [26]顔面紅潮
[27]気の上衝<₊> [28]逆上感 :<午後から> [29]胸脇苦満<軽>
[30] 強皮症 ☆種々の精神神経症状のある者に、加味逍遙散四物湯を長期間服用させるということがある(漢方診療医典)[31]月経異常 [32]月経困難
[33]月経前緊張症 [34]月経不順[35]眩暈[36]肩背強急 [37]口乾 [38]口苦 [39]口内炎:☆口舌爛瘡する者:茄子の黒焼きを塗布し、本方を内服する。[40]高血圧
[41]更年期障害 [42]骨盤腹膜炎[43]恐がり[44]臍腹脹痛[45]痤瘡 [46]産後の口内炎☆産前産後に口内・舌にビランを生じ痛む。《中医処方解説》☆産前後、口舌赤爛し惞痛する者: <実証>:「麦門冬湯+石膏」「三黄石膏湯」 <虚実の間>:加味逍遥散 <虚証>:「附子湯+当帰」《先哲医話》☆産前後の口赤爛する者に効あるは、虚火上炎を治すればなり《勿誤薬室方函口訣》
☆産前産後の舌が荒れる:「+連翹桔梗」《目黒道》[47]産後の便秘[48]散大眼:☆「密蒙花・五味子磁石丸」《備急千金要方》
[49]残尿感 [50]色素沈着 [51]子宮内膜炎 [52]四肢倦怠・疲労 [52]湿疹: ☆貧血ぎみで足腰が冷える者の、慢性化し、乾燥してかゆみのあるもの。☆血虚熱あり、遍身瘙痒、あるいは口燥咽乾、発熱盗汗、食少に臥を嗜
み、小便渋滞などの症を治す。《雑病翼方》☆身体掻痒とは周身かゆくなりて後には血の出るほどに掻てもまだ飽きたらず思うて掻く。是を身体掻痒という。一症には敗毒散あるいは川芎茶調散の類よけれども、これらにて効無き時は加味逍遥散を用ゆべし。是にて効をとること多し。是は肝経の欝熱より生ずるなり。故に逍遙散にて効あるなり。《療治経験筆記》[53]十二指腸潰瘍
[54]手掌角皮症 [55]手掌煩熱[56]手術後の不定愁訴[57]出血 [58]処女及び寡婦の気鬱病 [59]小便淋瀝(女子)
[60]小便:<色濃い>[61]逍遥性熱感 [62]しろなまず(白癜風) [63]嗜眠 [64]自律神経失調症[65]シミ: ☆41歳主婦。
「やせ形で貧血気味。頬にシミがたくさんある。1年前から月経が不順で、生理のないときに不快症状が起こる。頭がガンガンしてめまいがして、首筋が凝り、車に酔いやすく、不快なときは全身に流れるほど汗が出て、気分が悪くなる。少しのことにも腹が立ち、興奮しやすく、物事が気になって仕方がない。脈は普通。みずおちの当たりは薄く緊張している。
加味逍遥散を与えてみると、10日ほどで諸症状が好転し、40日分の服用で顔色もすっかり良くなり、シミも取れて、月経も順調になった。《矢数道明》[66]ジンマシン:☆この方に四物湯を合したり、地骨皮、荊芥を加えたりしてジンマシン・湿疹・頑癬に用いる《大塚敬節》☆血風(ジンマシン)の症に加味逍遥散または四物湯に荊芥を加えて用いることあり、痒きこと甚だしき者によし。《疎註要験》☆43歳女性。10ヶ月前からジンマシンで出て、治らない。夕方から夜間にかけて特にひどく出る。その他の症状は、足がだるく、のどが乾く、大便は快通しない、尿中のタンパクは陰性、ウロビリノーゲン反応は正常、月経は2年前から止まっている。腹診すると、右に胸脇苦満が少しある。
そこで十味敗毒湯を与えた。10日間服用したが、何の反応もない。そこで加味逍遥散+四物湯を用いたところ、1週間後にはジンマシンは出なくなった。ところが服薬を中止すると又出るので、2ヶ月ほど連用したところ、全治した。《大塚敬節》☆44歳女性。平素から胃が弱く、便秘する。2ヶ月前からジンマシンで、夜間になると、全身に出て痒い、そのため安眠が妨げられる。医師から注射をしてもらったが、よくならない。
私はこれに加味逍遥散+荊芥地骨皮を与えた。加味逍遥散+四物湯を考えたが、この患者は胃腸が弱いので、地黄を考慮して四物湯を入れなかった。これを飲むと大便が快通し、頭が軽くなり、5、6日たつと、ジンマシンが出たり消えたりするようになり、2週間ですっかりよくなった。《大塚敬節》
[65]心悸亢進[66]心下痞 [67]神経症:(ヒステリー) ☆流産後や卵管結紮後に起こる各種の神経症状。 ☆37歳女性。主訴、上逆、心悸亢進、意識障害。11年前に人工妊娠中絶のため、掻爬術を2回受けたところ、それから、上衝、眩暈などが起きた。しかしこれらの症状は間もなく治った。 ついで10年前、卵管結紮の手術を受けたところ、その2年後から、月経過少となり、結婚前には1週間ぐらいあった月経が1日しか見ら れなくなった。更にその1年後から、上衝や身体の震え、腰痛、不眠、手のシビレ感などが起こり、肩背が甚だしく凝り、疲れやすく、しばしば不安になって、気が狂いそうな気持になった。女性ホルモンの注射を受けると、生き返ったように楽になったが、最近はそれも効果がなくなった。また月経の際はことに症状が激しく、しばしば興奮状態になり、正常な意識がなくなって、異常なことを口汚く口走ると言う。
患者は、体格中等、肉つきはやや肥満、筋肉は軟弱、風邪を引きやすく、のぼせ症で疲れやすい。 脈は沈で右やや弦、腹部は心下部に抵抗圧痛があり、下腹が他覚的に冷たい。
性格は温和だが、小心で、敏感、物事を気にしやすく、心配性である。これに加味逍遥散を投与したところ、1ヶ月後には全般的に好転し、月経時に興奮状態を呈することはなくなった。しかし、6/7日、悪心・食思不振・腹痛を覚え、某病院に受診し、急性肝炎と診断された。この際は《大塚敬節》の茵蔯蒿湯の投与を20日間受けて全治した。また、7、8年来、月経量は少なく、コーヒー滓様の固形のおりものがあったのが、6月頃から経血は正常になり、2~3日間あるようになったと言う。
9月下旬、大体調子は良いが、ときに具合が悪くなり、手がシビレ、身体が硬くなり、夜中や早朝、目が醒め、気分が悪いと云う。 12月下旬、疲れは無くなったが、月経時に違和感があると訴えた。その後も時々服薬を続けているが、日常生活は順調である《山田光胤》[68]神経性胃炎[69]神経性下痢[70]頭痛:☆血の道症の片頭痛。☆頭が痛いというより重い感じが強く、同時に肩こり、めまい、月経異常などがある。☆血の道症の患者にみられる、のぼせ、頭痛、肩凝り、めまい、月経不順などの有る者によい。便秘している者に用いて、大便を快通せしめる力がある《大塚敬節》☆頭が重いとか、頭に何かかぶさっていると訴える者に良い。《大塚敬節》☆28歳女性。3回妊娠中絶をしたという。主訴は頭痛で、いつも頭が重く、肩が凝り、欠伸が出て、疲れやすく、仕事をする気力がないと云う。大便は快通せず、下剤を飲むと腹が痛んで、渋り腹で、気持が悪い。月経不順で、月経時に腹痛を訴える。
加味逍遥散を与える。これを飲むと、大便が気持ちよく出て、肩凝りも頭痛も良いが、何となくサッパリしない。1ヶ月ほどたってから、加味逍遥散に香附子3.0を加えたところ、1ヶ月ほどで、頭痛を忘れ、からだがしっかりして、仕事がしたくなり、家庭が明るくなった。《大塚敬節》[71]舌質<紅>
[72]舌苔<微白~黄>[73]帯下:☆当帰芍薬散で帯下が減少するが、今一歩というところで、全治しない者に用いる《大塚敬節》☆28歳主婦。約6ヶ月前から、黄色帯下をみるようになった。以前から月経時に下腹痛のあることが時々ある。特に大病にかかったことはない。
体格は小柄で、肉付きは痩せ型、体質は冷え症、顔色蒼白で冴えない。帯下は染色鏡検では雑菌しか認められない。理学的診断上、胸腹部に著変を認めない。
脈小にしてやや弦。腹部は肉付き少なく、心下部に振水音を認める。両側腹直筋攣急(特に右側が強い)し、左臍傍の動悸が亢進し、下腹部が他覚的にも冷たい。
物事にこだわらない性格で、病気についての訴えも少ない。経過。腹直筋の攣急と月経痛を目標に、当帰建中湯+桂枝茯苓丸を3週間投与したが、無効。当帰建中湯のみを2週間投与し、足の冷えが好転したという。下腹の冷を目標に、当帰芍薬散に転方し、3週間投与、帯下がやや薄くなったという。そこで加味逍遥散にしたところ、帯下は急速に減少し、1週間後には帯下はほとんど消失したと言う。 《山田光胤》
☆帯下白き者には加味逍遥散+白鶏冠花。帯下赤き者には加味逍遥散+赤鶏冠花を用いよ。《香月牛山》 [73]多夢[74]脱毛症:☆抜け毛が多くて困るという婦人に用いて、効を得たことが数例ある。 《大塚敬節》
☆肝斑(シミ)があって、毛が抜けて困るという婦人に、これを用いて、3ヶ月ほどで肝斑も良くなり、毛も抜けなくなった。《大塚敬節》 [74]胆嚢炎
[75]痰に血が混じる [76]血の道症:☆イライラして怒りっぽく、熱感と悪寒が交互に現れ、手足が不快にほ てり、顔面紅潮、頭重、めまい、寝汗、不眠、全身倦怠感、食欲不振
などの不定愁訴がある者。☆27歳女性。10ヶ月ほど前に、死胎を分娩し、その後、頭痛、めまい、動悸、不眠、肩凝り、便秘を訴えるようになった。月経は不順である。体格中等度で、栄養も血色も悪くない。私はこれに加味逍遥散15日分を与えた。これを呑むと、気分が軽くなり、頭痛も、めまいも忘れた。便通も毎日つくようになり、治ったように思った。
そこでしばらく休薬していたが、また頭痛がするようになったからといって、1ヶ月分の調剤を乞うた。こんなことを繰り返して、すっかり全快した。《大塚敬節》
[77]登校拒否 ☆虚弱な体質の女子で、精神不安、憂うつ感などの精神神経症状があり、脈も腹も緊張が弱く、腹診上、軽度の胸脇苦満を認めるものを目標に用いる。瘀血徴候あるいは月経異常が見られることが多い(漢方診療医典)[77]凍瘡:《方読便覧》
[78]動脈硬化症 [79]にきび:☆(月経前に増悪する)[80]乳ガン:☆初起に。《方読便覧》 [81]乳腺症 [82]乳房が張って痛む[83]乳裂:☆産後ごとに乳裂を患う者:茄子の裂けたものを焼いて灰にし、(研末)
水調して乳首に塗布する。そして加味逍遥散を内服する。《方読便覧》 [84]尿道炎[85]ねあせ(盗汗) [86]ノイローゼ:☆虚弱な婦人で、頭痛、頭重、肩こり、のぼせ、めまい、不眠、動悸、足腰の冷え、月経異常を訴える者。
[87]のぼせ:☆のぼせはさほどひどくは無いが、肩こり・頭痛・めまい・不安感などある者《大塚敬節》[88]白帯下 [89]バセドウ病
☆バセドウ病にかかると、月経不順になり、血の道症のときに見られるような精神症状を訴える者がある。めまい、肩こり、動悸、耳なり、のぼせ、足冷、頭重などのあるものによい。(漢方診療医典)
[90]発熱[91]煩熱[92]冷え症[93]冷えのぼせ[94]微熱(原因不明の)[95]皮膚炎[96]肥満:☆肥満しているのに貧血気味で、顔色が冴えず、頭痛、肩こり、不眠を訴える者。
[97]疲労倦怠[98]不安感 [99]不定愁訴:☆不定期の熱感☆加味逍遥散は、年中、肩が凝るとか、頭が重いとか、めまいがするとか、足が冷えるとか、ぼせるとか、とかく訴えのたえない者に用いる。《大塚敬節》
[100]不妊症:☆結婚後6年間妊娠しない婦人に、頭痛、肩凝りを目標に用いたところ、3ヶ月で妊娠し、それから連続して3人の子供が産まれ、もういらないと苦情を云われたことがある。《大塚敬節》
[101]不眠症: ☆(眠りが浅い、夢が多い) [102]浮腫[103]吻瘡:☆「地骨皮・荊芥」《方読便覧》 [104]便秘:☆便秘の特徴:①ケイレン性便秘。②細い、こまぎれ、コロコロ便。③しぶり腹。裏急後重。 ☆大便秘結して朝夕快く通ぜずと云う者、何病に限らず此方を用いれば大便快通して諸病も治すと云う。《勿誤薬室方函口訣》☆平素胃が弱い女性。みずおちがつかえて鈍痛があり、おくびが出るそれにときどき頭痛が来る。大便は軟くて、毎日ある。
半夏瀉心湯を与えたところ、胃のつかえや鈍痛は良くなったが、こんどは便秘してジンマシンが出るようになった。そこで加味逍遥散+荊芥地骨皮を与えたところ、7日分を飲み終わらないうちによくなった。《大塚敬節》☆婦人の患者で、大便が快通せず、大黄を用いると、少量を与えても腹痛を起こして下痢する者がある。このような患者に、この方を用いると腹痛を起こさないで自然便のように大便が快通する。《和田東郭》はこの方に阿膠を加えて用いている。《大塚敬節》☆1病婦、微熱があり、種々の雑症を患って4、5年も治らない。そこで、大便秘結の傾向があるのみ眼をつけて、この方に阿膠を加えて用いたところ、4、5年の痼疾がウソのように忘れるように治った《津田玄仙》☆1老婦、子を失った悲嘆ののち、腰が痛んだり、脚が痛んだりして歩くことが出来なくなり、時には何も食べない日があり、大便は石のように硬くて秘結し、或いは頭痛がしたりめまいgあしたり、卒倒したりして一定の病症がない。脈を診ると、微数で2年も治らない。そこで大便が石のようだというところを目標にして、この方を用いたところ30貼ばかりで大半治った《津田玄仙》☆これには別に下剤は入っていないのに、これで気持ちの良い通じのつくことがあり、大黄の入って薬方で通じをつけると、腹の痛むような便秘に用いる。《大塚敬節》[105]ほてり
[106]膀胱炎 [107]膀胱神経症[108]発作性自汗[109]発作性灼熱感[110]発赤[111]慢性胃炎 [112]慢性肝炎:☆疲労しやすく、手足だるく、頭重、めまい、不眠、怒りっぽい者。☆体がほてる、顔面が紅潮することがある。[113]慢性子宮内膜炎[114]慢性頭痛[115]慢性膀胱炎
[116]水虫[117]無気力[118]めまい(眩暈)[119]ゆううつ(憂鬱)[120]腰痛症 加味逍遥散[2]《和田東郭》 「《和剤局方》の逍遥散地黄・阿膠」 「加味逍遥散阿膠」
◎血虚、発熱止まず、労を成すを治す。 ◎《張氏医通》に云う、もし室女、経水不調ならば、尤も当に開鬱を主と為すべ しと。此方ずなわち是なり。《雑病翼方》
加味逍遥散[3]《東醫寶鑑》 「牡丹皮・白朮各1銭半、当帰・赤芍・桃仁・貝母各1銭、山梔子・黄芩各8 分、桔梗7分、青皮5分、甘草3分」を煎服。
◎痰の中に血がまじる。 加味逍遥散[4]《医貫》《古今方彙》 「柴胡・芍薬・牡丹皮・陳皮・茯神・当帰・白朮・貝母各1銭、薄荷7分、 黄連5分」。毎両呉茱萸2銭、水に拌ぜて用いる。焦色に入り合して用う。
◎欝症にて瘧に似る者を治す第一の薬なり。 ◎その寒熱は正瘧と異なることなし。但しその人、口苦く、青水或いは苦水を嘔 吐し、面青く脇痛み、耳鳴り、脉なり。
加味逍遥散合四物湯《漢方治療の実際》 「加味逍遥散川芎・地黄各3」 #加味升陽除湿湯[1-1]《済世全書》《勿誤薬室方函》「防風・芍薬各1銭半、茯苓・葛根各1銭、紫蘇葉・山楂子・独活・木香・
乾姜・桂枝・生姜・蒼朮各1銭」 ◎下利、大便裏急後重し、しばしば厠に至って便する能わざるを治す。◎赤白膿血に拘わらず慎みて之を利する勿れ、その陽を升せば則ち陰火自ずから
退く。◎此方は「桃花湯」「白頭翁湯」の“後重”にも非ず。◎「大柴胡湯」「四逆散」の“裏急”にも非ず。◎一種湿熱より来る処の類痢にて裏急後重する者に効あり。◎後世、痢疾の初起後重甚だしきに、ただの升陽除湿湯を用いれども効なし。此
の場合は葛根湯にて発汗すれば後重ゆるむ者なり。《勿誤薬室方函口訣》
#加味升陽除湿湯[1-2]《済世全書》《古今方彙》「防風・芍薬(酒炒)各1銭半、茯苓・白朮・蒼朮・乾葛各1銭、甘草(炙)5分、生姜」水煎。 ◎下利にて大便裏急後重、数々厠に至り而して便する能わず、赤白膿血に拘わらず慎んで之を利する勿れ、その陽を升せば則ち陰火は自ら退く。
◎冬には:「桂枝、紫蘇葉、柴胡、山楂子、木香、羗活、乾姜」◎食積には:「麦芽」 #加味除湿湯《東醫寶鑑》「半夏・厚朴・蒼朮各1銭2分、藿香・陳皮・赤茯苓各7分、木香・桂皮・
甘草各5分、生姜3片、大棗2片」空腹時に、水煎服。◎下痢が黒豆汁のようなときに。 #加味如神散《済世全書》《古今方彙》「破故紙(酒)、小茴香(塩)、延胡索、当帰、牛膝、杜仲、黄柏(酒)、知母(酒)、肉桂、生姜」煎服。
◎男婦一切の腰痛を治す。 #加味神効括樓散《寿世保元》《古今方彙》「括楼仁1個、白・括楼根1銭半、玄参・当帰尾・延胡索・連翹各2銭、桔梗・柴胡・青皮・知母・木通・穿山甲各1銭、木鱉子2個、川芎8分、升麻5分」水煎。
◎乳腫れて痛みを作し、癰毒を成らんと欲する者を治す。 # 加味腎気円(一名牛車腎気丸)《勿誤薬室方函》「腎気丸牛膝・車前子」 #加味腎気丸《東醫寶鑑》「炮附子2両、白茯苓・沢瀉・肉桂・牛膝・車前子(炒)・山薬・山茱萸・牡
丹皮各1両、熟地黄5銭」作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に米飲で70 ~100丸呑む。◎腎が弱って水が運行せず、浮腫になった者。 #加味腎気丸《厳氏済生方》《古今方彙》「附子(炮)2両、白茯苓・沢瀉・山茱萸・山薬・車前子。牡丹皮各1両、肉桂・牛膝・熟地黄各半両」作末し蜜丸にし、毎服70丸、空心に米飲にて下す。
◎後人は「金匱腎気丸」と名づく。◎腎虚にて腰重く、脚腫れ、小便不利するを治す。◎《薛立斎十六種》には茯苓・熟地黄各4両附子5銭、余の薬は各1両。補中益気湯と兼ねて用い、脾腎虚して腫脹するを治す。宜しく《薛氏》の案を考うべし。
#加味清胃散[1]《寿世保元》《古今方彙》「当帰尾・生地黄・升麻・黄連・防風・石膏各等分」水煎。◎一切の牙歯腫痛するを治す。◎帯顴額半辺(=ひたいやこめかみ)が痛む者:「防風白羗活細辛」
◎牙脱し而して血を出す者:「柏葉黄芩荊芥山梔子」◎虚損にして牙痛する:「黄柏知母人参甘草」◎満口浮き而して痛みて嚼む力能わざる者:「連翹玄参芍薬」◎小児の牙疳:「括楼根玄参白」◎醇酒、厚味にて痛みを作し、或いは歯潰爛する:「犀角連翹甘草」◎胃寒にて刺痛する:「草豆蔲細辛防風牡丹皮」
#加味清胃散[2]《中薬臨床応用》「牡丹皮6g、生地黄15g、当帰6g、黄連3g、牛膝6g、生甘草3g」水煎服。◎歯根の腫痛 #加味青蛾元《東醫寶鑑》「破故紙6両(脂麻と同時に炒って、色が変わると脂麻は捨て)、杜仲6両、
姜汁(浸炒)・胡桃肉・沈香・玩薬各3両を作末する。肉蓉6両を酒に つけて膏を作り、薬をまぜてついて梧子大の丸剤。温酒又は塩湯で50~ 70
丸服用。 ◎風寒と血気との相搏による腎腰の痛み。 #加味青洲白元子《東醫寶鑑》 「白附子・天南星・半夏・白姜各2両、天麻・全蝎・白彊蚕各1両、川烏5
銭」を作末し、姜汁麺糊で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸随時服用。 ◎中風の壅塞・斜・。(→病状:卒中) #加味清心飲[1]《東醫寶鑑》「蓮肉・白茯苓各1銭半、益智仁・麦門冬・遠志・人参各8分、石菖蒲・車
前子・白朮・沢瀉・甘草各5分、灯心20」 ◎心熱による小便の赤濁。 #加味清心飲[2]《寿世保元》《古今方彙》「白茯苓・蓮肉各1銭半、益智仁・麦門冬・人参・遠志・石菖蒲・車前子・白朮・沢瀉・甘草各1銭、燈心草20茎」水煎。
◎心中客熱、煩躁、赤濁、肥脂(尿の上にギラギラと油が浮く)を治す。◎熱あれば:「薄荷(少許)」 #加味銭氏白朮散《東醫寶鑑》「乾葛2銭、人参・白朮・白茯苓・藿香・甘草各1銭、木香・柴胡・枳穀・
五味子各5分」水煎服。 ◎消渇で食べられないのを治し。又消中を治す。 #加味銭氏白朮散《仁斎直指方》《古今方彙》「銭氏白朮散枳殻、五味子、柴胡」◎消渇にて食する能わざるを治す。
#加味蒼朮膏《東醫寶鑑》「蒼朮10斤をついて鍋に入れ、水2桶を強火で煎じ、10杯ぐらいになった ら絹で濾過して汁をうつして、人参・生地黄・熟地黄・黄柏・遠志・杜仲
・川芎・胡桃肉・川椒・破故紙・当帰・姜汁各4両、青塩2両、朱砂1両、 旱蓮草汁2椀、白蜜2斤。各薬末を朮膏内に入れて鍋に入れ、固く封じて 水で煮て、7日間埋めておいて、毎回2~3匙、空腹時に温酒で、1日2回
服用。」 ◎長期間常服すると、精満・気盛・髪は黒くなり・歯が更生する。 # 加味蒼柏散《東醫寶鑑》 「蒼朮1銭、白朮8分、知母・黄柏・黄蓍各6分、当帰・芍薬・生地黄各4
分、木瓜・防已・檳榔・羗活・木通・牛膝各3分、甘草1分、生姜3片」 水煎服。 ◎湿熱脚気でいざりになる者。 #加味蒼柏散《医学入門》《古今方彙》「蒼朮1銭、白朮8分<湿を去る>、知母・黄柏・黄芩各5分<熱去る>、当帰・芍薬・生地黄各4分<血を調う>、木瓜・檳榔子<気を行らす>、羗活・独活<関節を利し、風湿を散ずる>、木通・防已・牛膝<薬を引きて下に行らし腫湿を消す>、各3分、甘草<和薬>1分、生姜」煎じ温服。
◎痰あれば:「竹瀝姜汁」◎大便実すれば:「桃仁」◎小便渋る:「牛膝」 #加味太乙膏[1]《外科正宗》 「肉桂・白・当帰・玄参・赤芍・生地黄・大黄・土木鼈各80g、真阿魏12
g、軽粉16g、槐枝・柳枝各100本、乱髪霜40g、東丹160g、乳香末12g、没薬末12g、真胡麻5斤」 #加味太乙膏[2]《外科正宗》《漢方医学概論》「肉桂・白・当帰・玄参・赤芍薬・生地黄・大黄・土木鱉各2両、真阿魏
3銭、軽粉4銭、槐枝・柳枝各100本、血余1両、東丹40両、乳香末3 銭、没薬末3銭、真麻油5斤」先ず肉桂・柳枝などの10味を油に浸す(春5日間・夏3日間・秋7日間・
冬10日間)薬ごとに清潔な大鍋に移し、とろ火で煮て、薬が枯れて浮き 上がったら火を止める。布袋で薬の滓を濾過し、油鍋を綺麗に拭き、さら に細かい古絹で油を鍋内に濾過して入れる。透明なほど良い。それから血
余を加え、とろ火で血余が浮き上がるまで煮て、膏が熔化したような状態 になれば、油はすでに熟しているからこれを水に滴らすと珠のようになる。 熟油1斤につき東丹(水飛)6両5銭を徐々に加え(夏秋は暑いので5銭多く加える)、火力を強め、柳の棒で手を休めずにかき混ぜ、鍋内に初め青い煙が昇り、のちに白い煙が出るまでしばしば回すと、膏が出来上がる。 膏を水中に滴下させて硬軟を試し、膏が薄ければ東丹を加え、膏が堅ければ熟油を加え、次第に火を強めてさらに煮て、硬軟を適度にする。煙が出なくなり火から離した後、阿魏を膏面に薄く散らして敷くようににし、全部溶けたら、さらに乳香・没薬・軽粉を加えてまんべんなくかき混ぜ、水の中に傾けて入れ、柳の棒でかき混ぜて一塊とし、冷水を換えてこれに浸して貯蔵しておく。
#加味大承気湯(天津市南開医院)《中薬臨床応用》「厚朴15~30g、莱服子(炒)15~30g、枳穀15g、桃仁9g、赤芍15g、大黄15g(後下)、芒硝9~15g(冲服)水煎服。」◎急性の機能性腸閉塞。
#加味大七気湯《勿誤薬室方函》「大七気湯蘇木・紅花・呉茱萸」「大七気湯」=三稜・莪朮・桔梗・桂枝・橘皮・藿香・甘草・莎草・益智仁。◎気鬱・経閉・腹満を治す。
#加味大醒脾散《寿世保元》《古今方彙》「人参、白朮、茯苓、陳皮、丁香、木香、天南星、全蝎、天麻、白附子、山薬、蓮肉、菖蒲根、肉豆蔲、砂仁、甘草、生姜、大棗」煎服。
◎小児慢脾にて内虚して昏迷醒めざるを治す。 #加味大補湯《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)・人参・白朮・白茯苓・当帰(酒洗)・川芎・白芍・熟地黄各7分、烏薬・牛膝(酒洗)・杜仲(酒炒)・木瓜・防風・羗活・独活・薏苡仁各 5分、附子(炮)・沈香・木香・肉桂・甘草各3分、生姜3、大棗2」水煎 服。
◎左右の。 加味調中益気湯《東醫寶鑑》 「黄蓍(蜜炒)1銭、羗活・黄柏・甘草各7分、陳皮・当帰・川芎各5分、木 香・升麻・柴胡・細辛・蔓荊子各3分」水煎服。
◎気血ともに弱い頭痛。 加味調中飲《傷寒六書》《古今方彙》 「蒼朮・厚朴・陳皮・白朮・山楂子・神麹・枳実・草果(麩炒)・黄連(姜炒) ・甘草・乾姜(炮)・生姜」煎服。 ◎食積、傷寒に類し、頭疼・発熱・気口の脉(左手寸口と關上の中間の脉)緊盛、 倶に身痛まず、此れと異なるとなすのみ。この湯に宜し。 【加減方】 <1>腹中痛む:「桃仁」。 <2>痛み甚だしく大便実熱:大黄を加えてこれを下し、「山楂子・草果・乾 姜・神麹・生姜・大棗、竹瀝・生姜汁」。
加味通心飲《東醫寶鑑》 「瞿麦・木通・山梔子・黄芩・連翹・枳穀・川楝子・甘草各2銭、を剉作し て灯心20茎・車前草5葉と同時に煎服。」
◎小腸の疝気で熱痛し、小便不通の者。 加味定志丸《東醫寶鑑》 「白茯苓3両、遠志・石菖蒲各2両、人参1両、琥珀・欝金各5銭」を作末 し、梧子大に蜜で丸め、朱砂をつけて米飯で、30丸ずつ服用。
◎痰による驚悸。 ◎痰で苦しみ心膈が驚悸するとき。 加味導痰湯[1]《傷寒六書》《古今方彙》 「半夏1銭、天南星・茯苓・枳実各8分、黄芩・白朮・陳皮・黄連・括蔞仁 各5分、人参3分、甘草2分、桔梗4分、生姜・大棗」煎じ服るに臨んで 「竹瀝・姜汁」を入れ同じく服す。 ◎憎寒壮熱、頭痛、昏沈迷悶、上気喘急、口に涎沫を出す。これ内傷により七情 痰を致すを以て心竅に迷いて神舎を守らず、神舎を出て空空として痰生ずるな り。鬼祟の如き症なり。
加味導痰湯[2]《寿世保元》《古今方彙》 「陳皮、半夏、天南星、枳実、茯苓、木香、沈香、甘草、生姜」水煎。 ◎痰欝して胸膈不利し痰嗽出でず、脇肋痛み或いは喘満気急、脈沈滑なるを治す。
加味導痰湯[3]《寿世保元》《古今方彙》 「陳皮、半夏、茯苓、白朮、香附子、青皮、黄芩、黄連、括楼仁、砂仁、甘 草、生姜」水煎。 ◎気の声が外に聞こえるは、気に因り胸膈が悶え痰ありて舌黒し、乃ち痰の症 なり。
加味二陳湯[1]《東醫寶鑑》 「半夏(姜製)・赤茯苓(塩水炒)・山梔子(炒黒)各1銭半、陳皮・白朮・桔梗 ・升麻(酒炒)・柴胡(酒炒)・甘草各1銭、石菖蒲7分、黄柏・知母各3分、 生姜3斤」空腹時に水煎服。 ◎湿痰による遺精に。
加味二陳湯[2]《東醫寶鑑》 「半夏・陳皮・赤茯苓・枳穀・桔梗各1銭、黄芩・山梔子各7分、紫蘇子・ 白豆蔲仁・甘草各5分、姜3片」
◎気痰が咽喉につかえて梅核気。 加味二陳湯[3-1]《東醫寶鑑》 「半夏(製)・陳皮・白茯苓・当帰・枳実・桔梗・杏仁各1銭、良姜・縮砂各5 分、木香・桂皮・甘草各3分、姜5片」
◎痰厥を治す。 加味二陳湯[3-2]《万病回春》《古今方彙》 「陳皮・半夏・茯苓・当帰・枳実・桔梗・杏仁各1銭、良姜・砂仁各7分、 木香・肉桂・甘草各3分、生姜」水煎。
◎痰厥し運倒するを治す。 ◎気逆には:「紫蘇子」 ◎元気虚弱には:「枳実」 加味二陳湯[4]《東醫寶鑑》 「二陳湯《和剤局方》枳穀・桔梗・黄芩・山梔子・紫蘇子・白豆蔲各7分 を加え、1貼に生姜3片を入れ煎服。」
◎梅核気を治す。 加味二陳湯[5]《東醫寶鑑》 「二陳湯縮砂1銭、丁香5分」 ◎胃が冷え嘔吐する者。 加味二陳湯[6]《万病回春》《古今方彙》
「陳皮・半夏・茯苓・甘草・人参・白朮・竹茹・砂仁・山梔子・麦門冬各等 分、烏梅1個、生姜、大棗」水煎し徐々に温服する。 ◎痰火にて嘔吐するを治す。
加味二陳湯[7]《万病回春》《古今方彙》 「括楼仁・枳実・茯苓・桔梗・山梔子・陳皮・半夏・天南星・黄芩各1銭、 辰砂・木香各5分、甘草3分、生姜」水煎し、「竹瀝・姜汁」を入れる。
◎《寿世保元》には黄連ありて「加減導痰湯」と名づく。 ◎諸て癇は痰涎併せて壅がる。此方に宜し。 加味二陳湯[8]《万病回春》《古今方彙》
「陳皮・半夏・茯苓・枳殻・牛膝・猪苓・山梔子・麦門冬・黄柏(酒)・車前子・木通各等分、甘草半減、燈心草」水煎。 ◎咳喘して小便通ぜざる者を治す。◎是れ痰気閉塞の致す所なり。
加味二陳湯[9]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・半夏・茯苓・白朮・蒼朮・砂仁・山薬・車前子・木通・厚朴・甘草各等分、生姜、烏梅、燈心草」水煎。
◎凡そ痰瀉の者は、或いは痰多く或いは痰少なく、或いは瀉し或いは瀉せず、脈沈滑なり。 ◎瀉止まざれば:「+肉豆蔲訶子-厚朴」◎当に「香砂六君子湯」加減を考えるべし。
加味二陳湯[10]《寿世保元》《古今方彙》 「陳皮・半夏・茯苓・黄連(姜炒)・枳実・山楂子・木香・青皮・砂仁・甘草・生姜」水煎温服。 ◎之を按じて堅く而して軟く塊なきを痞となす。(按すと堅き様なれど堅くなくて塊もないのを痞という)
◎多く痰気欝結し、或いは飲食停滞する者なり、此方これを主どる。 加味二母丸《東醫寶鑑》「知母・貝母」を巴豆と炒って黄色くなったら巴豆は捨て、「白礬・白芨」4味を等分に作末し、姜汁を蜜で混ぜ芡実大の丸剤。溶かして飲む。又は、麦門冬・陳皮・阿膠珠を加えても良い。◎久嗽・労嗽・食積嗽。
加味二妙丸《東醫寶鑑》 「蒼朮(泔浸)4両、黄柏(酒浸)2両、牛膝・当帰尾(酒洗)・萆薢・防已・亀板(酥炙)各1両」作末し、酒麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に姜塩湯で100丸服用。◎両腕が火にあぶられたようで、徐々に腰胯に及び、麻痺・痿軟する者。
加味人参紫菀散《東醫寶鑑》「人参・五味子・紫菀茸・陳皮・紫蘇葉・貝母・桑白皮・白茯苓・各1銭、杏仁・甘草各7分半、川芎・半夏麹各1銭、阿膠珠5分を剉作し、1貼に姜5、棗2、梅1を入れ水煎服。◎虚労の咳を治す。
加味寧癇湯《浅田家方》《勿誤薬室方函》 「寧癇湯橘皮・茯苓」 寧癇湯=「沈香降気湯《和剤局方》黄連・呉茱萸」。◎此方は予が家の経験にて、沈香降気湯の症にして一等衝逆甚だしき者を寧癇湯とす。寧癇湯の症にして一等衝逆劇しく胸中満悶するを此方とす。◎橘皮・茯苓を加える所以は、茯苓飲《外台秘要方》と同じく胸中を主とするなり。
加味寧癇湯《漢方治療の実際》「沈香・縮砂各2、香附子3、甘草1.5、呉茱萸2、黄連1、橘皮3、茯苓4」 加味寧神丸《東醫寶鑑》 「乾地黄1両半、当帰・白芍・白茯神・麦門冬・陳皮・貝母(炒)各1両、遠志(姜製)・川芎各7銭、酸棗仁(炒)・黄連・甘草各5銭」作末し、蜜で緑豆大に丸め、朱砂で衣をし棗湯で50~70丸服用。
◎心血不足・驚悸・怔忡・健忘・恍惚・一切の痰火。 加味敗毒散[1]《東醫寶鑑》「羗活・独活・前胡・柴胡・川芎・枳穀・桔梗・赤茯苓・人参・防風・荊芥・蒼朮・赤芍・当帰・生地黄各6分、薄荷・甘草各3分、姜3、棗2」水煎服。
◎瘟疫と発斑を治す。 加味敗毒散[2]《東醫寶鑑》「人参敗毒散1両に「大黄・蒼朮各1銭」を加え剉作し「姜3片、薄荷7葉」入れて煎服。 ◎三陽経に脚気が流注し、脚踝が赤く腫れるとき。
加味敗毒散[3]《万病回春》《古今方彙》「柴胡、前胡、羗活、独活、防風、荊芥、薄荷、枳殻、桔梗、川芎、天麻、地骨皮」◎初起発熱すれば即ち此の薬を服す。◎古方では、人参、茯苓を除く。補を早め、火を助くるを恐るるためなり。宜しく、紫草、蝉退、紫蘇葉、麻黄、白殭蚕、葱白、帯根を加え、熱を解し汗を表すべし。
◎泄瀉するには:「猪苓沢瀉紫草」 加味麩麹丸《東醫寶鑑》「蒼朮(姜汁炒)・蕪荑・便香附・神麹(炒)・梔子(炒)各4両、陳皮(去白)・白朮(炒)・黄芩(炒)各1両半、山楂肉(蒸)2両」作末し糊で梧子大の丸剤。白湯で50~60丸飲む。◎すべての欝を溶かし、胸膈を開き、食欲を増進させる。
加味白朮散《東醫寶鑑》「参苓白朮散に陳皮・半夏各1銭を加えて剉作し、1貼に姜3片、桑白皮7寸を入れ、水煎服。◎気虚で食欲のない喘息。 加味白通湯
加味八正散《古今方彙》「沢瀉、木通、車前子、萹蓄、瞿麦、黄芩、山梔子、厚朴、滑石、大黄、燈心草」水煎。 ◎水腫にて目赤く、口乾き煩渇して飲を引き、小便赤渋、大便秘結し、脈数の者を治す。
加味八仙湯《万病回春》《古今方彙》「当帰・川芎・熟地黄・半夏各7分、茯苓1銭、白芍薬・陳皮各8分、人参・牛膝・秦艽各6分、防風・羗活各5分、白朮4銭、柴胡4分、桂枝3分、甘草(炙)4分、生姜、大棗」水煎食遠に服す。◎手足麻木するを治す。◎(長く座っているとシビレる・水ぶとり)
加味八脈散[1-1]《勿誤薬室方函》「猪苓・沢瀉・茯苓・木通・地黄・藁本・山梔子・杏仁・知母・黄柏」 ◎鼻に悪臭常にあり、累年癒えざるを治す。◎此方は鼻淵脳漏の如く臭水を流すに非ず、ただ鼻に一種の悪臭を覚えて如何ともし難き者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎鼻塞香臭を通ぜざる者に用いることあり。
加味八脈散[1-2]《勿誤薬室方函》《龍野ー漢方処方集》「猪苓・沢瀉・茯苓・木通・熟地黄・杏仁各3.0g、藁本・山梔子・知母・黄柏各2.0g」◎鼻悪臭、鼻塞、臭覚障碍。
★適応症及び病名[1]悪臭性萎縮性鼻炎:☆鼻腔内萎縮、結痂、悪臭を3大徴候とする《矢数道明》 [2]臭鼻症:☆真性臭鼻症《矢数道明》[3]嗅覚消失[4]蓄膿症[5]梅毒:☆婦人の多く青春期に屡々発し、遺伝梅毒と関係がある《矢数道明》☆梅毒性オツェーナ[6]鼻づまり
加味八物湯《済世全書》《古今方彙》「人参・白朮・当帰・熟地黄各1銭半、芍薬・陳皮・麦門冬各1銭、茯苓・貝母・括楼仁各8分、川芎・紫蘇葉・知母(酒)・黄柏(酒)各7分、五味子15粒、甘草4分、生姜」水煎し温服。
◎四肢倦怠、気血虧損、咳嗽吐痰、喘急発熱し自汗するを治す。 加味八味丸《精要》《勿誤薬室方函》「八味丸-附子+五味子」 ◎癰疽、既発未発にして、渇する者を治す。
加味百合地黄湯《台州方鈴》「麦門冬・阿膠・百合・乾姜・白朮・地黄・五味子・甘草・桔梗」◎咳奇方《和田東郭》に同じ。◎久咳方《医方問要》に同じ。
加味百花膏《東醫寶鑑》「紫菀・款冬花・各1両、百部根5銭」を作末し毎回3銭を「姜3片・梅1個」の煎じ水で、食後の調服。◎久嗽。 加味七神丸
「肉豆蔲・補骨脂・呉茱萸・木香・白朮・茯苓・車前子」 加味附子理中湯《万病回春》《古今方彙》「乾姜、官桂、人参、当帰、陳皮、厚朴、白朮、呉茱萸、附子、甘草、生姜、大棗」水煎熱服。
◎寒に中たり厥し倒れるを治す。 加味附子理中湯《寿世保元》《古今方彙》「白朮、茯苓、人参、乾姜、附子、砂仁、厚朴、蒼朮、甘草、生姜」水煎。
◎泄瀉にて肚腹疼痛し、四肢厥冷する等を治す。 加味茯苓湯 「人参・半夏(製)・陳皮各1銭半、白茯苓・香附子・益智仁各1銭、甘草5分、姜3片、大棗梅1個」◎痰による昏迷・健忘症。
加味茯苓湯《古今方彙》「白朮3銭、蒼朮2銭、茯苓・当帰・黄芩各1銭、猪苓・沢瀉各8分、芍薬7分、柴胡6分、升麻・肉桂各5分、甘草(炙・生)各5分」水煎温服。
◎水泄にて注下(水のように下ること)し日夜度無く、小便短少、口渇咽乾、腹中疼痛、或いは変じて白痢となる者を治す。 (白痢=白色粘液便を下す者。気の障碍によって起こり、下痢で血液が混じないもの)
加味平胃散[1]《東醫寶鑑》「平胃散神麹・麦芽(炒)各7分」 ◎宿食の消化されない症。 加味平胃散[2]《医方考》《龍野一雄》「白朮・厚朴・陳皮・茯苓・沢瀉各3g、神麹・大棗・麦芽各2g、乾姜1.5、g
甘草1g」◎水様性下痢。胃部につかえ・食欲不振・呑酸。★適応症及び病名 胃カタル 胃弱 腸カタル 加味平胃散[3]《勿誤薬室方函口訣》「平胃散神麹・麦芽・山楂子」◎飲食に傷つけられ胸痞、腹脹、脾胃不和を治す。◎能く宿食を散じ、滞気を除く。
加味平胃散《医方考》《古今方彙》「陳皮、蒼朮、厚朴、神麹、山楂子、麦芽、甘草、生姜」水煎温服。◎飲食に傷られ、胸痞し腹脹り、脾胃和せざる者を治す。
◎能く宿食を消し滞気を除く。 加味平胃散《医方考》《古今方彙》「陳皮、蒼朮、厚朴、神麹、麦芽、甘草(炙)、生姜」水煎。 ◎呑酸が食欝に因りて致す所を治す。
加味平胃散《古今方彙》「蒼朮・厚朴・陳皮・茯苓・神麹・猪苓・沢瀉各1銭、乾姜5分、甘草2分、生姜」水煎。 ◎水瀉を治す。◎凡そ水瀉の者は澄徹清冷なり。
加味防已黄蓍湯《医経会元》《勿誤薬室方函》「防已黄蓍湯薏苡仁・独活」◎風湿相打ち皮膚に客す。四肢無力・関節煩疼する者。 加味補陰丸《東醫寶鑑》「黄柏・知母各4両、牛膝・杜仲・巴戟・熟地黄・山茱萸各3両、肉蓯蓉・白茯苓・枸杞子・遠志・山薬・鹿茸・亀板各2両を作末し、梧子大の蜜丸。塩湯で80~90丸呑む。◎陰虚を補い、陰火を降ろす。
加味補心湯 加味補中益気湯[1]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍・柴胡・黄芩各1銭、升麻・半夏各8分、陳皮6分、甘草5分、生姜、大棗」水煎。 ◎人、平素不足、兼ねて労役して以て肉を傷つけ、挟(メグ)りて寒暑を感じ、以て瘧疾を致し、寒熱交錯、肢体倦怠、力乏しく気少なきを治す。
◎瘧を発して経年癒えず、則ち気血皆虚し、瘧邪深く入るは此湯に宜し。◎汗あるには:「桂枝、黄蓍倍加」◎熱盛んなれば:「柴胡黄芩倍加」◎渇あれば:「麦門冬括楼根」
加味補中益気湯[2]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍・白朮・茯苓各2銭、人参・蘿葡子・厚朴・当帰各1銭、白芍薬1銭半、陳皮8分、枳実5分、柴胡4分、升麻3分、甘草(炙)2分、生姜」水煎。
◎水腫、腫脹の症は内傷に因りて而して得たる者か或いは誤りて攻撃殺代の過を服し以て元気と脾胃の虚損の極を致して腫脹尤も甚だし、これ気血両虚し、腎水乾涸す。此方を用いる。《金匱要略》の腎気丸を以て兼ね進む。
加味保元湯《万病回春》《古今方彙》「黄蓍2銭、人参1銭、山梔子・知母各1銭半、甘草5分、麦門冬2銭半」水煎温服。 ◎痘瘡、血痂し而して後に虚煩する者を治す。
加味麻黄湯《奇効良方》 「小青竜湯-五味子+附子」 ◎悪寒発熱し、外因の心痛、五臓を内攻し、拘急して転側を得ず。これ恐らくは外感、真心痛に非ざるなり。《雑病翼方》
加味養栄丸《東醫寶鑑》「熟地黄・当帰・白朮各2両、白芍・川芎・黄芩・香附子各1両半、陳皮・貝母・白茯苓・麦門冬各1両、阿膠7銭、甘草5銭、黒豆(炒って皮を去る)49粒を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に温酒又は塩湯で呑む。
◎月経が来る前に、外へ潮熱し、内に煩躁・咳嗽し飲食が減り、頭痛・めまいがし、帯下に血風・血気があって、妊娠出来ない症。胎動不安。 加味養臓湯《東醫寶鑑》「真人養臓湯附子・青皮・烏薬・茯苓・生姜3・大棗2」◎休息痢を治す。
加味理中円《三因極一病証方論》《勿誤薬室方函》「理中湯乾葛・川芎」◎虚証の衂血。 ◎飲酒過多及び炙臠を喰らい熱食し、血を動かし発して鼻衂となる者を治す。
加味理中湯[1]《東醫寶鑑》「人参・白朮・乾姜・甘草・赤茯苓・半夏・陳皮・細辛・五味子各1銭」を剉作し、1貼に姜3、棗2を入れ水煎服。◎肺胃が冷え、咳嗽する者。
加味理中湯[2]《備急千金要方》 「理中湯麦門冬・茯苓」◎理中湯の症で、咳嗽・吐痰・煩渇・微腫する者。 加味理中湯[3]《東醫寶鑑》 「炮附子・人参・白朮・乾姜(炒)・肉桂・陳皮・白茯苓・炙甘草各1銭」を剉作1貼して、生姜2を入れ水煎服。◎痼冷の積寒を治す。
加味理中湯《傷寒六書》《古今方彙》「乾姜、白朮、人参、甘草、肉桂、陳皮、茯苓、生姜、大棗」服するに臨んで炙陳壁土1匙を入れ調服。土気を取り持って胃気を助く。◎足の太陰脾経、症を受け、自利して渇せず、手足温、身に熱無く、脈来ること沈にして無力、これ蔵寒に属し。法当に裏を温むべし。◎厥陰消渇、気が心に上衝し、飢えて食を欲せず、即ち食すれば蚘を吐し、腹痛し大便実する者は蜜少しばかりを加え之を理中湯す。
◎本経、腹は濡満、時に減じる者は:「甘草」。◎本経、嘔吐する者:「半夏、生姜」。◎本経、踡臥、沈重、足冷え、利止まざる者:少しく附子を加え、利後身体痛む者は急に之を温む。◎自利腹痛の者:「木香磨汁」。
加味理中湯《万病回春》《古今方彙》「人参・白朮・乾姜(炒)各1銭、官桂5分、陳皮7分、甘草(炙)5分、藿香・茯苓・良姜各7分、烏梅1個、生姜、大棗、燈心草」水煎。
◎寒瀉の者は悠々腹痛し、瀉は休止なく、色は青く、脈沈遅なり。此方に宜し。 ◎寒極まり手足冷え、脈沈細なる:「附子-良姜官桂」 ◎噦、悪心に:「丁香半夏良姜官桂」◎瀉止まざる者:「蒼朮山薬」
◎瀉多く止まざる者:「訶子肉豆蔲附子良姜官桂」◎虚汗には:「黄蓍藿香官桂」 加味理中湯《万病回春》《古今方彙》「人参・茯苓・白朮・乾姜・陳皮・藿香・丁香・半夏・砂仁(炒)・官桂各等分、生姜、烏梅」水煎。
◎胃寒嘔吐、清水冷涎を吐くを治す。◎寒極まりで手足冷え、脈微、吐して出でざる者:「附子官桂」◎煩躁には:「辰砂炒米」 加味理中湯《万病回春》《古今方彙》
「人参・白朮・乾姜(炒)・肉桂・茯苓・陳皮・附子各等分、甘草(炙)減半、生姜、大棗」水煎。 ◎痼冷の者は寒の甚だしきなり。此方これを主どる。
加味六君子湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「香附子1銭半、白朮・白茯苓・陳皮・半夏各1銭、人参7分、木香・縮砂各5分、甘草3分を剉作し、1貼に姜3、棗2、紫蘇葉7片を入れ煎服。
◎突然、昏倒して口もきけず、四肢も挙げられない。 加味六君子湯[1-2]《万病回春》《龍野一雄》「香附子6g、茯苓・白朮・陳皮・半夏各3.5g、木香・縮砂各1.5g、大棗・
人参各2g、甘草・干姜各1g」◎胃弱・食欲不振・倦怠・微熱疲労・咳痰・下痢。 ★適応症及び病名 胃アトニー胃カタル胃拡張胃下垂疲労腸カタル低血圧症
加味六君子湯《方読便覧》「六君子湯干姜・細辛・五味子」◎肺脾虚寒、痰喘気喘する者を治す。 加味六君子湯《万病回春》《古今方彙》「人参7分、香附子1銭2分、木香・砂仁各5分、甘草3分、茯苓・白朮・陳皮・半夏各1銭、生姜、大棗」水煎。
◎類中風、食厥の者は飲食を過ごし、胃気自ら傷れ、運化する能わず、故に昏冒す。此方に宜し。◎或いは「行気香蘇散」木香、青皮、山楂子に宜し。 加味六君子湯《寿世保元》《古今方彙》「人参1銭、白朮1銭半、半夏・陳皮各8分、茯苓・山楂子各1銭、乾葛7分、縮砂5分、甘草(炙)3分、生姜、大棗」水煎。
◎中気虚して胃弱く食を愛せず、及び食して肉を生せず力を長さず、◎或いは常に微しく熱し、冷えに怯え神は疲れて倦怠し、◎或いは痰嗽を帯びる等の症を治す。
加味六君子湯《証治準縄》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・黄蓍・山薬・甘草。砂仁各1両、厚朴・肉豆蔲各7銭半」作末し、飯湯にて調服。 ◎一切の脾胃虚弱泄瀉の症◎傷寒の病後に米穀化せず、腸中虚滑し、渇を発し微しく痛み久しくえざる者。◎小児脾疳(=食疳と同じ結核性の腹膜炎のため痩せて腹だけ膨大する状態)◎泄瀉し痢を得るを治す。
加味竜虎散《東醫寶鑑》「蒼朮1両、全蝎5銭、草烏・附子(炮)各2銭、天麻3銭」作末し、毎回1銭を空腹時に、豆淋酒で調下する。 ◎風寒腰痛・筋骨のしびれ。
加味凉膈散《漢方治療の実際》「凉膈散石膏10」 加味和中湯《寿世保元》《古今方彙》「人参・白朮各1銭、茯苓・陳皮・全蝎各5分、半夏・天麻各7分、薄荷・甘草各2分、細辛3分、生姜、大棗」水煎。
◎ 母子倶に之を服す。◎小児慢驚風を治す。 河間生地黄散《東醫寶鑑》 「枸杞子・柴胡・黄連・地骨皮・天門冬・白芍・黄芩・黄蓍・生地黄・熟地黄・甘草各7分」煎服。
◎鬱熱・衂血・吐血・喀血・唾血。
夏枯草膏《医宗金鑑》「夏枯草、当帰、玄参、烏薬、浙貝母、白殭蚕、昆布、桔梗、甘草、陳皮、川芎、香附子、紅花、白蜜」 夏枯草散[1-1]《張氏医通》《中薬臨床応用》「夏枯草15g、当帰12g、白芍9g、炙甘草3g、玄参9g」水煎服。◎肝虚、目珠疼痛で夜になると激しく痛む。
夏枯草散[1-2]《張氏医通》「夏枯草、香附子、甘草(炙)」 夏枯草散[2](一名補肝散)《東醫寶鑑》「夏枯草2両、香附子1両、甘草5銭」を作末し、毎回2銭を茶清で食後服用。■夏枯草は黒晴が痛み、夜にひどい症によい。
◎肝虚で瞳が痛い・冷たい涙があふれ・明るさを嫌う者。
夏枯草湯《外科正宗》「夏枯草、貝母、桔梗、甘草、白芷、当帰、白芍、生地黄、紅花、柴胡、陳皮、茯苓、白朮、香附子」
夏氏代匙散《中国民間験方》 「硼砂4g、薄荷2g。生石膏4g、胆礬2g、生甘草4g、製蚕2g、皀角<煙が出なくなるまで炙る>2g、西黄2g」以上を、微細末にして、瓶に貯蔵して、使用するまで、空気が入らないように密閉保存。
夏氏禽化丸《中国民間験方》 「川貝母2g、百草霜4g、甘草2g、軽粉⇒水銀粉1.6g、薄荷2g、硼砂2g、柿霜20g、梅片0.8g微細末にし、白密で溶かして蓮の実の大きさの丸薬にして、口中に含んで溶かす。」
夏檳湯《勿誤薬室方函口訣》「橘皮、半夏、白朮、木瓜、檳榔」◎乳児の脚気。《済世薬室》 瓜子仁湯[1]《勿誤薬室方函》「薏苡仁・瓜子各3銭、牡丹皮・桃仁各2銭」◎腸癰湯《外科集験方》に同じ。
瓜子仁湯[2]《龍野ー漢方処方集》「薏苡仁7.0g、桃仁・牡丹皮・瓜蔞仁各3.5g」◎骨盤内器官の化膿、発熱疼痛。★適応症及び病名[1]急性子宮付属器炎[2]急性虫垂炎[3]骨盤腹膜炎
[4]腸腰筋炎 瓜蒂散[1-1]《傷寒論》 「瓜蒂(熬黄)1分、赤小豆1分」以上2味、各別搗篩、為散已、合治之。取1銭匕、以香豉1合、用熱湯7合煮作稀糜、去滓、取汁和散、温頓服之。不吐者、少々加得快吐乃止。諸
亡血虚家、不可與瓜蒂散。◎病如桂枝證、頭不痛、項不強、寸脉微浮、胸中痞鞕、氣上衝咽喉不得息者、此 為胸有寒也。當吐之、宜瓜蒂散。《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。
瓜蒂散[1-2]《傷寒論》「瓜蒂・赤小豆」右2味、各等分、異搗篩、合内臼中、更治之、別以香豉1合、用熱湯7合、 煮作稀糜、去滓、取汁和散1錢匕、温頓服之。不吐者、少々加、得快吐乃
止。諸亡血虚家、不可與瓜蒂散。◎病人手足厥冷、脉乍緊者、邪結在胸中、心下満而煩、飢不能食者、病在胸中、 當須吐之、宜瓜蒂散。《傷寒論》辨厥陰病脉證并治第十二。
瓜蒂散[1-3]《金匱要略》「瓜蒂(熬黄)1分、赤小豆(煮)1分」右2味、杵為散、以香豉7合煮取汁、和散1錢匕、不吐者、少加之、以快 吐為度而止。◎宿食在上脘、當吐之、宜瓜蒂散。《金匱要略》腹満寒疝宿食病脉證治第十。◎温温として、吐せんと欲する者を治す。《方極》◎凡そ瓜蒂を服するは、三分より五分(約1.2~2.0)に至る。多服するに宜しからず。已にして、須臾に鳥羽或いは紙縄を以て、徐々に咽下を摩払し、以てその吐を挑促して可也。《類聚方集覧》◎亡血家は、大に之を禁ずと曰ふ。《類聚方集覧》◎卒中風、狂癇、暴厥、真頭痛、風眼、雷頭痛、痰癖、肩背臂膊の疼痛、霍乱、胃翻等、病毒胸膈に在る者は、之を用ふれば皆効あり。但だ精気虚乏する者、腹力脱弱する者は、之を与ふ可らず。《類聚方広義》【腹証】《腹診配剤録》“胸中腫れて痞し、煩悶ことに甚だし、凡そ瓜蒂散を興ふるには、その証を詳かにし、而して後に与ふ加し。苟も誤り治せば、即ち斃るるに至らん”
★適応症及び病名(瓜蒂散) [1]痿躄 [2]胃反 [3]咽喉の痞塞感 [4]咽喉腫痛 [5]黄疸 [6]嘔吐 [7]悪心 [8]咳嗽: ☆咳嗽、喀痰あり、胸背部攣痛して俯仰するを得ず、
時に自汗出で、その脈数なる証《奥田謙蔵》 [9]喀痰 [10]過食症 [11]篏頓ヘルニア [12]亀胸 [13]亀背 [14]吃逆 [15]急性胃炎
[16]急性咽頭炎 [ 17]急性扁桃炎 [18]虚弱者<使わない> ☆虚弱者には・・・附子剤を前もって投与《龍野一雄》 [19]呼吸困難:
☆<テンカンなどの発作で呼吸困難> [20]胸背の疼痛: ☆胸背不痞満して安からず、悪心、煩悶ありて飲食を欲せず、既に日を経て治癒せざる証《奥田謙蔵》
☆外部に時々熱感あり、胸痛、背に徹し、背痛、胸に徹し、或いは乾嘔し、或いは心煩する証《奥田謙蔵》 [21]胸中痞硬 [22]ジフテリア [23]自家中毒
[24]子宮出血 [25]食滞 [26]食中毒 [27]食欲不振 [28]心下痞硬 [29]心煩 [30]頭項部に熱感・自汗: ☆頭部に熱感在り、心煩し、胸満して痛み、或いはその痛、背部に及び、食欲なく、時に乾嘔し、或いは僅かに渇を覚え、四肢に微冷を感ずる証《奥田謙蔵》
☆吐せず、下らず、頭頂部に大汗出で、胸部満悶して飲食を嫌悪し、熱性症候を各証《奥田謙蔵》 ☆発汗の後、頭部に熱感あり、胸痛し、煩悶し、或いは可能し、微渇し、四肢厥冷する証《奥田謙蔵》
[31]頭痛 [32]精神病 [33]喘息 [34]喘満 [35]喘鳴 [36]帯下 [37]テンカン [38]毒物の誤飲 [39]熱射病 [40]ノイローゼ
[41]発熱:<なし> ☆発熱があれば・・・十棗湯を考える。 [42]ひきつけ: ☆産後暈倒する者は、是れ瘀血の逆攻也。故に此方を服す《類聚方集覧》
[43]腹部膨満 [44]マラリア [45]無月経 [46]淋病 [47]瘰癧(ルイレキ) 瓜蒂散《傷寒論》《中薬臨床応用》「甜瓜蒂・赤小豆」各等量。作末し、毎回1.5~3gを「淡豆豉9g」と共
に煎じて服用。◎毒物の誤飲◎脳卒中◎テンカン
瓜蒂散《古今方彙》「瓜蒂・赤小豆・淡豆豉各5分」水煎。◎腹満して吐さんと欲し、鼻燥き、脈浮なる者は此方に宜し。◎酒疸にて吐せんと欲する者も同じ。
瓜丁散(一名細辛散)《東醫寶鑑》「瓜蒂・細辛」等分を作末し、豆粒大にして綿でくるみ、鼻中をふさぐ。 ◎齆臭と瘜肉があって、香臭を嗅げない症。
■砭⇒鼻づまり。硤⇒こぶの類。
瓜礬散《東醫寶鑑》「瓜蒂4銭、甘遂1銭、明礬・蝉退灰・草烏尖各5分」を作末し、麻油で丸剤。鼻孔に毎日1回、痔肉にくっつくぐらいに入れておくと、痔が水となって流れ出る。
◎鼻痔を治す。 瓜蔞枳穀湯《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・枳穀・桔梗・川芎・蒼朮・香附子・杏仁・黄芩(酒炒)・貝母(炒)・陳皮各1銭、縮砂・木香各5分、甘草3分を剉作し、1貼に姜3片を入れ水煎服。
◎痰鬱を治す。 瓜蔞枳実湯[1-1]《万病回春》《龍野一雄》「当帰・縮砂・木香各1.5g、甘草・干姜各1g、山梔子・黄芩・陳皮・瓜呂仁・枳実・桔梗・茯苓・貝母各3g」◎実証者の、粘痰喀出困難、胸痛、胸部の熱気。
瓜蔞枳実湯[1-2]《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・枳実・桔梗・貝母・黄芩・麦門冬・人参・当帰・紫蘇子各8分、 甘草3分を剉作1貼し、生姜3片を入れ、竹瀝と姜汁を温かくして飲む。」
◎破傷風で体熱・咳嗽・痰が出て・脈滑数の者。 瓜蔞枳実湯[1-3]《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・枳実・桔梗・赤茯苓・貝母(炒)・陳皮・芹苓・梔子各1銭、当帰6分、縮砂・木香各5分、甘草3分」水煎し「竹瀝5匙、姜汁半匙」入れて服用。◎痰を吐いても出てこなく、胸膈が痛いとき。
瓜蔞枳実湯[1-4]《万病回春ー痰飲門》《《漢方後世要方解説》「当帰・茯苓・貝母各3、瓜呂仁・桔梗・陳皮・黄芩各2、砂仁・木香・山梔子・枳実・竹茹・甘草・生姜各1」◎痰結喀吐すれども出でず、脇膈痛みをなし、転側すること能わざるを治す。或いは痰胸膈に結んで満悶ぢて寒熱気急を作し、並に痰心竅に迷って言語する能わざる者並に皆之を治す。◎此方は小陥胸湯より出で、胃中の熱と食積によって生じた実熱による燥痰を潤し降ろす方剤である。
喘急、呼吸促迫し、膠痰を吐き、胸痛甚だしく、臥すること能わず、咳嗽すれば呼吸止まる如く、小便赤く、脈滑腹に力あり、痰に風痰、湿痰、燥痰、熱痰、寒痰、気痰の別あるが、寒痰の外は皆用いて良い。
特に燥痰が目的である。◎雑病にも胸中に燥痰あって喀出困難のものに用いられる。◎早朝より正午頃まで咳嗽強き者に特に効がある。■瓜呂・枳実・桔梗・茯苓・貝母・陳皮・生姜=痰飲を消却する。■黄芩・山梔子・竹茹=熱痰を清解する。■木香・砂仁=痰の滞留を散ず■当帰・甘草=気血を和す。
★適応症及び病名[1]胃酸過多症[2]肩こり:☆乾痰のある者《矢数道明》 [3]急性気管支炎:☆早朝より正午頃まで咳嗽強き者に特に効がある。《矢数道明》[4]狭心症類似症:
☆飲食胸中に塞るもの。《矢数道明》[5]せき:☆胸中に燥痰あって喀出困難のもの。☆特に午前中咳嗽烈しく、痰濃厚で喀出の困難な者《矢数道明》[6]動脈硬化症[7]脳溢血:☆脳溢血で顔面赤く、乾痰が出にくく、言語強ばり健忘する者《矢数道明》[8]肺炎:☆肺炎ー胸痛、呼吸困難、燥痰の出にくい者《矢数道明》[9]慢性気管支炎:☆喫煙家の咳嗽《矢数道明》[10]胸がつまる:☆飲食胸中に塞がる者《矢数道明》☆胸焼け《矢数道明》[11]肋間神経痛:☆乾痰燥結して出にくく、胸痛ある者《矢数道明》
瓜蔞杏連丸《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・杏仁・黄連」各等分。作末し竹瀝・姜汁で糊をつくり、服用。 ◎酒痰の咳。 瓜蔞丸《東醫寶鑑》「瓜蔞実・半夏(麹)・山楂子・神麹各等分に作末し、瓜蔞と水でまぜ、竹瀝・姜湯で50~70丸呑む。◎食痰が壅滞して、喘息する。
瓜蔞実丸《厳氏済生方》「小陥胸湯桔梗」 ◎呼吸壅滞し、喘息妨悶し、胸膈痞痛、背に徹する者。《雑病翼方》
瓜蔞実丸《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・枳穀・半夏(製)・桔梗」各1両を作末し、姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸服用。 ◎噎膈・胸膈と痞痛がで背まで来てつっぱり、喘息がひどく煩悶する症。
瓜蔞散《東醫寶鑑》「石膏2銭、青皮・瓜蔞仁1銭、没薬・甘草節・当帰尾・皀角刺・金銀花・青橘葉各5分」酒水各半分で煎服。 ◎乳癰の末潰の症は速く散らし、既潰の症を治す。
瓜蔞湯《勿誤薬室方函》「瓜蔞根・牡蛎・甘草各1銭、連翹・羗活各2銭、反鼻8分」 ◎結毒咳嗽して虚労の者。 花蕊石散《東醫寶鑑》「花蕊石4両、硫黄1両」作末し、互缶の中に入れて塩泥で密封して乾燥後、炭火でいぶって、朝食をしてはじめ徹夜した後、そのまま冷やして取り出し、もう一度細末にし、毎回大さじ1杯を、童便と酒を煎じた熱湯で服用。◎刃傷・打撲による損傷。牛馬に噛まれ、蹴られて重傷のとき、早急ににこの薬を貼るとよい。もし、臓腑の瘀血があって、内に損傷が多く、悶絶して死にそうなとき、この薬を飲むと黄水となって出、吐き出すか、または下痢する。◎虚労による吐血。◎五臓の破壊。
花蕊白芨散《中薬臨床応用》「花蕊石(煆)12g、白芨12g、乱髪霜6g」極細末にし、1日3回、3~6gづつ湯冷ましで冲服。◎喀血。
何首烏丸《医学入門》 「何首烏1斤を水に漬け、乾かしてさらしたものを切って、初産婦の乳を絞って混ぜてさらす。そいて乾いたものを作末して、大棗肉とついて梧子大の丸剤。空腹時に温酒または塩湯で飲む。1回に10~20丸服用、100丸を越えないように。
何首烏丸《中薬臨床応用》「何首烏15g、菟絲子9g、当帰9g、牛膝9g、補骨脂9g」作末し煉蜜で丸剤。毎回9g薄い塩水で服用。◎虚弱体質で◎腰膝がだるい◎頭がふらつく◎目がかすむ◎病的白髪◎早期老化◎遺精◎帯下
訶子 散[1]《蘭室秘蔵》《中薬臨床応用》「訶子(煨)9g、罌栗殻6g、乾姜5g、橘紅6g」細末にし、毎回6~9gを湯で服用。◎慢性の泥状便、虚寒の者。
訶子散[2]《東醫寶鑑》 「訶子皮3銭、桔梗5銭、甘草2銭、木通3銭、地黄汁」 ◎咳と失語症。(咳・声が出ない)
訶子散[3-1]《素問病機宜保命集》「訶子、黄連、木香、甘草」
訶子散[3-2]《東醫寶鑑》「訶子皮1両(半生半熟)・木香5銭、黄連3銭、甘草2銭を作末し、毎回2銭を作末し、白朮・白芍の煎じ湯で服用。」◎久泄のとまらない者。
訶子散[4]《三因極一病証方論》《東醫寶鑑》「訶子(炮)・厚朴・乾姜(炮)・草果・陳皮・良姜(炒)・茯苓・神麹(炒)・麦芽(炒)・甘草(炙)」各等分。粗末にし少しの水で煎じ、痛むとき頓服。
◎心脾が冷え、心下の急痛でたえられない者。
訶子皮散《東醫寶鑑》「御米穀(蜜炒)・橘皮各5分、乾姜(炮)6分、訶子皮7分」を作末し、1貼を、空腹時に水煎服。 ◎赤白痢で脱肛。
訶子清音湯[1-1]《東醫寶鑑》 「訶子49個の核を去り、桔梗1両半、甘草2銭半を荒い粉にして、毎回7銭を水煎し、滓を去り童尿1盃を入れ服用。3回飲めば快方に向かう。
◎諸風による失語症。(諸風の失音・中語を治す)
訶子清音湯[1-2]《中薬臨床応用》「生訶子4個、桔梗・甘草各30g」細末にし、毎回6gを水煎服。◎嗄声。 訶子清音湯[2]《東醫寶鑑》 「白朮2銭、人参・橘紅各1銭半、半夏麺1銭、白茯苓・桑白皮・天門冬各7、甘草・青皮各3分、五味子20粒、知母・地骨皮・薏苡仁・桔梗各5分、姜3片を入れて水煎服。夏には黄芩5分を加えて使うが、四物湯に童便・竹瀝・姜汁・黄柏(炒)を加えたものを、昼夜かわるがわる服用する。
◎乾咳嗽・声唖を治す。 訶朮散《東醫寶鑑》 「訶子皮・白朮各1銭半、陳皮・良姜・木香・白芍(薬酒炒)・肉豆蔲(煨)・甘草各1銭を剉作し、1貼に姜5片を入れ水煎服。
◎妊娠中の下痢。
訶梨勒散《金匱要略》 「訶黎勒(煨)10枚」為散、粥飲和、頓服。◎気利、本方主之。《金匱要略》嘔吐下利病脉證治第十七。◎後重を治す。《勿誤薬室方函口訣》
訶黎勒丸[1]《東醫寶鑑》「訶子皮5銭、海粉・括蔞仁・青黛・杏仁・貝母・便香附各2銭半、を作末し姜汁で桜桃大の蜜丸。口に含んで徐々に呑む。◎労嗽・乾嗽・肺脹・喘急。
訶黍勒丸[2]《東醫寶鑑》 「樗根白皮2両、訶子肉5銭、母丁香30粒」を作末し、醋糊で梧子大の丸剤。陳米飲に錯を少し入れ、毎回50丸1日3回。 ◎休息痢で百薬効なきとき。
訶黍勒丸《厳氏済生方》「訶黎勒、附子、肉豆蔲、広木香、呉茱萸、竜骨(生)、白茯苓、蓽撥」
河車大造丸《呉球方》「紫河車、亀板、熟地黄、人参、天門冬、麦門冬、牛膝、杜仲、黄柏」
河車大造丸《扶寿精方》【中成薬】「紫河車・肉蓯蓉・熟地黄・生地黄・天門冬・黄柏・五味子・鎖陽・当帰・枸杞子・杜仲」朝晩の空腹時に、9gづつ湯で服用。
(腰膝がだるい・ふらつく・羸痩)
鰕汁方《東醫寶鑑》「海老」半斤に醤油・葱・姜等の薬味を入れ煮て、まず海老を食べて、次に汁を飲んだ後、鴟(とび)羽でさぐって痰を吐き出させる。海老が風を引っぱり出す。」
◎風痰をはき出させる。 莪朮散《証治準縄》《中薬臨床応用》「莪朮9g、川芎3g、当帰12g、熟地黄18g、白芍9g、小茴香3g、白芷3g、甘草2.5g」水煎服。◎月経不順◎気滞血瘀による月経痛◎無月経◎下腹部に腫瘤をふれる。◎稀発月経
莪稜遂瘀湯《中薬臨床応用》「莪朮9g、三稜9g、紅花9g、丹参15g、鼈甲18g(先煮)、穿山甲(炮)15g、党参9g、黄蓍9g、当帰9g、陳皮9g」水煎服。◎気滞血おによる腹腔内腫瘤◎肝硬変で、肝脾腫大、腹水。
莪稜通経湯《中薬臨床応用》「三稜3g、莪朮3g、肉桂3g(冲服)、木香5g(後下)、熟地黄9g、白芍9g、当帰9g、川芎9g、延胡索9g、桃仁(打砕)9g、紅花9g」水5杯で2杯まで煎じ、滓を去り、2回に温服。◎無月経◎腹腔内腫瘤◎月経痛
鶴柏湯《中薬臨床応用》「仙鶴草30g、側柏葉12g、白芨15g、藕節30g、大薊12g」水煎服。 活血駆風散《東醫寶鑑》「白(炒)・当帰・川芎・白・細辛・桃仁・半夏・槐潤・白芍・五霊脂・甘草(生)各6分、蒼朮・杜仲・桂皮・薏苡仁・天麻・橘紅・檳榔・厚朴・枳穀各3分を剉作して1貼し、生姜5、大棗2を入れて水で煎じ、乳香末を少し入れて空腹時に服用。◎腎臓風・嚢下の湿痒と両脚に瘡癬の出る症。
活血解毒湯《浅田宗伯家方》「解毒剤《香川修徳》当帰・紅花・荊芥」◎此方は解毒剤の症にして血燥を帯る者に用いる。◎総じて遺糧を用ゆる症、血気枯燥者、当帰、山梔子、紅花の類を加えざれば効なし。
◎天刑病:「反鼻」
活血化堅湯《外科正宗》《古今方彙》「防風・赤芍薬・当帰尾・括楼根・金銀花・貝母・川芎・皀角刺・桔梗各1銭、白殭蚕・五霊脂・厚朴・陳皮・甘草・乳香・白各5分」水煎し、酒1杯を加え服用。
◎一切の瘰癧及び癭瘤痰核(リンパ腺炎)で初起未だ潰えず膿ある者を治す。
活血散《東醫寶鑑》「黒黄蓍・当帰・川芎・赤芍・白・続断・鹿茸・黄芩・細辛・炮附子」各等分。作末し、各3銭を1日3回、温酒で服用。 ◎刀槍の傷。腹が裂かれ内蔵が飛び出た者を治す。
活血散瘀湯《外科正宗》《龍野ー漢方処方集》「川芎・当帰・防風・芍薬・蘇木・連翹・天花粉・皀角刺・黄芩・枳殻各3.0g、紅花1.0g、大黄1.0g」◎臀部癰或いは肛門周囲炎の初期で発赤腫脹疼痛便秘の者。
活血散瘀湯《外科正宗》《古今方彙》「川芎・当帰・防風・赤芍薬・蘇木・連翹・括楼根・皀角刺・紅花・黄芩・枳殻各1銭、大黄2銭、水煎。 ◎臀癰の初起赤腫痛し墜重して石(カタ)を加え及び大便秘渋するを治す。◎便通じる者は:「大黄乳香」
活血散瘀湯《外科正宗》《古今方彙》 「川芎・当帰尾・赤芍薬・蘇木・牡丹皮・枳殻・括楼仁・桃仁各1銭、檳榔子6分、大黄(酒炒)2銭」水煎、空心時に服用。
◎産後悪露尽きず、或いは月経の後に血痛みを作四逆湯、或いは暴急奔走し、或いは男子杖後に血流注四逆湯、腸胃痛みを作四逆湯、漸く内に癰を成し、腹痛み、大便燥する者を治す。
活血止痛湯《傷科大成》《中薬臨床応用》「落得打9g、乳香6g、没薬6g、赤芍6g、当帰尾9g、虫3g、三七末3g(冲服)、茯神12g、陳皮6g、蘇木9g、紫荊藤12g、紅花3g、川芎3g」水煎服。◎打撲捻挫による内出血◎打撲捻挫による腫脹、疼痛。
活血潤燥丸《東醫寶鑑》「潤腸丸皀角仁」 潤腸丸⇒杏仁・枳穀・麻子仁・陳皮・阿膠・防風◎風秘・血秘で大便がいつも乾く者。
活血潤燥生津飲《医学入門》《古今方彙》「当帰、生地黄、熟地黄、天門冬、五味子、括楼仁、麻子仁、甘草、括楼根等分」水煎温服。 ◎裏病、消渇するを治す。
活血通経湯《衛生宝鑑》「紅花、当帰、熟地黄、莪朮、三稜、肉桂、血竭、木香、蘇木、貫衆」
活血湯《万病回春》《古今方彙》「当帰尾・赤芍薬・牡丹皮・桃仁・延胡索・烏薬・枳殻・香附子各1銭、川芎7分、甘草2分、紅花・官桂・木香(別研)各5分、生姜」水煎。
◎痛み処を移さざるを治す。是れ死血なり。
活亀丸《東醫寶鑑》「大烏亀を、柴火で地を熱くした所に座らせて出られないように蓋をしておくと、亀がおならをするが、放屁したら縄で亀をしばって黄土を練って固く封をし、灰火でし、肉をとって細く切り、その皮に牛骨髄を塗って5~7回焼いて透明になったら乾かし、作末し黄連1両で9回蒸し、9回晒して当帰尾3銭3分を作末して、以上の諸品を合わせて搗いて梧子大の丸剤。白湯で50~70丸呑む。◎腸風・痔瘻を治す。
活虎丹《東醫寶鑑》「蝎虎1個を四つ足と爪を切り血と一緒に細く切って、朱砂・片脳・麝香を少しづつ入れて混ぜ、礞石散を使って痰涎を降ろした後薄荷湯で飲む。◎積年の癲癇で、気血の不足する者。
活腎丸《東醫寶鑑》「蒼朮(塩炒)1両、黄柏(酒洗)・枳実・滑石各7銭、天南星(炮)・半夏(製)・山楂肉・神麹(炒)・白各5銭、昆布・呉茱萸各3銭」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。塩湯で70丸呑む。
◎木腎の痛まない症。
活命金丹《東醫寶鑑》「大黄1両半、桂心・芒硝各1両、真珠・牛黄・青黛・犀角・薄荷各5銭、辰砂4銭(2銭は花にする)、麝香・竜脳各2銭、板藍根・貫衆・乾葛・甘草各7銭」を作末し、蜜水に浸して蒸し餅でまぜ、毎回1両で10丸を作り、乾く前に朱砂で衣をし、再び金箔40斤で衣をし、毎回1丸を服用。もし風毒を治すには、清茶で化下するが、臘月に収合するのが良い。」
◎風が臓に入って、神が澄んでいない症。
活幼経験治痢方《古今方彙》「黄連・黄芩・白芍薬(生)・山楂子各1銭2分、枳殻檳榔子・厚朴・青皮各8分、当帰・甘草・地楡各5分、紅花(酒洗)3分、桃仁(炒)1銭、木香2分」水煎温服。
◎壮実の人が下痢し或いは赤く或いは白く、或いは紅白相兼ね、裏急後重、身熱し腹痛する者を治す。 ◎単に白く紅無き者:「地楡桃仁木香倍加、陳皮」◎滞渋(大便が滞り出ししぶる)甚だしき者:「大黄(酒)」
活絡效霊丹《医学衷中参西録》「丹参、乳香、当帰、没薬」 活絡丹《東醫寶鑑》「川烏(炮)・草烏(炮)・天南星(炮)・地竜(焙)各1両、乳香・没薬各2銭2分」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に温酒で20~30丸服用。
◎一切の通風と筋脈の拘攣・沈痛・上衝する者。
活絡湯《医学入門》《東醫寶鑑》「羗活・独活・川芎・当帰・甘草各1銭、白朮2銭、生姜5片」煎じて沈香磨汁を少し入れて服用。◎風湿臂痛にして諸薬効かざる者を治す。
活絡流気飲《医経会元》《勿誤薬室方函》「木通・羗活・柴胡・升麻・白・桔梗・薄荷・当帰・川芎・紅花・甘草・連翹・皀角刺・木鼈子・威霊仙」◎流注塊、或いは痛み、あるいは痛まざる者を治す。◎此方は多味なれども流注毒頑固の者を動かすの力あり。《勿誤薬室方函口訣》◎もし膿潰の後は「桂枝加朮附湯」「托裏消毒飲」の類に宜し。
活竜散《東醫寶鑑》「活地竜4条(洗って裂く)、姜汁・薄荷汁・蜜各1匙」水でまぜて潅入(服用)する。熱があると片脳を少し加える。 ◎陽毒の結胸に。陽毒発狂に。
喀血一方《済世全書》《古今方彙》「当帰・芍薬・桃仁・貝母各1銭、白朮・牡丹皮各1銭半、山梔子・黄芩各8分、甘草3分、青皮5分」 ◎喀血、痰血糸を帯びるを出す者を治す。◎一方に青皮・黄芩なく、知母・黄柏・麦門冬あり。◎《寿世保元》には桔梗あり。
脚気一方《寿世保元》《古今方彙》「牛膝・五加皮・独活・蒼朮各1銭半、威霊仙・防已・当帰・黄柏(酒)各1銭、生姜」煎じ、酒を加える。 ◎脚気にて浮腫するを治す。
豁胸湯《和田東郭》《勿誤薬室方函口訣》 「桑白皮湯[2]《東郭》茯苓・犀角」 「桑白皮・呉茱萸・茯苓・犀角」◎脚気毒衝心昏悶欲死を治す。◎「沈香降気湯生姜」=沈香豁胸湯◎「沈香、甘草、羊参」=「人参茯苓湯」《梧竹樓》
葛黄丸《東醫寶鑑》「黄連4両、葛花2両を作末し、大黄末を水で煎じて膏をつくり、梧子大の丸剤。温水で100丸服用。 ◎過飲による熱・吐・衂血によって死ぬようになった症。
#葛花解醒湯[1-1]《東醫寶鑑》「葛花・縮砂・白豆蔲各5銭、青皮3銭、白朮・乾生姜・神麹・沢瀉各2銭、 人参・猪苓・茯苓・橘皮各1銭半、木香5分」を作末し、毎回3銭を白湯で調下する。汗をだすと治る。
◎飲酒過多によって病になり、嘔吐・手足のふるえ・清神朦朧・食欲減退の症。
#葛花解醒湯[1-2]《弁惑論》《龍野ー漢方処方集》 「白豆蔲・砂仁・葛花各5銭、木香5分、青皮3分、白茯苓・陳皮・猪苓・人参各1銭半、白朮・神麹・沢瀉・乾姜各2銭」水煎温服。或いは末となし毎服1~2銭白湯で調下。
◎飲酒を大過して嘔吐痰逆、心神煩乱、胸膈痞塞、手足戦揺、飲食減少、小便不利するを治す。 #葛花解醒湯[1-3]《弁惑論》《龍野ー漢方処方集》「白豆蔲・縮砂・葛花各6.0g、木香1.5g、青皮1.0g、茯苓・陳皮・猪苓・人参各2.0g、白朮・神麹・沢瀉・乾姜各3.0g」◎飲酒過多、嘔吐、心神煩乱、胸膈痞塞、手足戦揺、飲食減少、小便不利。★適応症及び病名
・酒の飲み過ぎ ・二日酔い #葛花散《東醫寶鑑》=「雙花散」「葛花・小豆花」等分に焙って乾燥。作末し毎回2銭を、白湯で点服する。 ◎酒を呑んでも酔わないようにする。
#葛根湯[1-1]《傷寒論》「葛根4両、麻黄(去節)3両、桂枝(去皮)2両、生姜(切)3両、甘草(炙)2両、芍薬2両、大棗(擘)12枚」右七味、以水一斗、先煮麻黄、葛根、減二升、去白沫、内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升、覆取微似汗。餘如桂枝法將息及禁忌、諸湯皆倣此。◎太陽病、項背強几几、無汗、悪風、葛根湯主之。◎太陽與陽明合病者、必自下利、葛根湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證幷治中第六。◎太陽病、項背強几几、無汗悪風者、属葛根湯證。◎太陽與陽明合病病、必自下利、不嘔者、属葛根湯證。《傷寒論》辨可発汗病脉證幷治第十六。
#葛根湯[1-2]《金匱要略》「葛根4両、麻黄(去節)3両、桂(去皮)2両、、芍薬2両、甘草(炙)2両、生姜3両、大棗12枚」右7味、㕮咀、以水1斗、先煮麻黄葛根減2升、去沫、内諸薬、煮取3升、
去滓、温服1升、覆取微似汗、不須啜粥。餘如桂枝法將息及禁忌。◎太陽病、無汗、而小便反少、氣上衝胸、口噤不得語、欲作剛、葛根湯主之。《金匱要略》湿病脉證第二。
#葛根湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「葛根4g、麻黄・大棗各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、干姜1g」水400ccを以て葛根麻黄を煮て80を減じ、白沫を去り、他の諸薬を加え
て再び煮て、120に煮詰め、滓を去り3回に分服。 #葛根湯[1-4]《漢方治療の実際》「葛根8、麻黄・生姜・大棗各4、桂枝・芍薬各3、甘草2」◎項背強急し、発熱悪風、或いは喘し或いは身疼痛する者を治す。《吉益東洞》◎陽病、項背強ること几几、発熱し、汗無く、悪風するは、葛根湯之を主る。《医聖方格》◎此方は、項背強急を主治する也。故に能く驚癇、破傷風、産後の感冒卒痙、痘瘡の初起等、角弓反張し、上竄搦し、身体強直する者を治す。宜しく症に随いて熊胆、紫円、参連湯、瀉心湯等を兼用すべし。《類聚方広義》◎発熱悪風項背強る者。実証の化膿症で発熱悪寒する者。脉浮緊、肩こり・頭部
又は顔面の疼痛。
◎注意:葛根湯や麻黄湯のような麻黄の入っている方剤を飲むと、睡眠のとれない人がある、又、これを長期間服用していると、食欲がなくなったり、性欲が減退する人がある。《大塚敬節》私の患者で、麻黄剤を飲んで、排尿痛と、尿の淋瀝を訴えた者が2例あった。このことをある会合で発表したところ、聴衆の1人が、私もそれと同じ経験をしたということであった。《大塚敬節》麻黄剤を飲むと、動悸して困ると訴える人がいる《螺王人》
【腹診】 《大塚敬節》“臍の上部(臍より少し上の位置)で皮下に圧痛を訴える者を、葛根湯を用いる目標としている。この圧痛は他の薬方の場合にも現れることがるが、葛根湯の際に、最もしばしば現れ、症状の軽快と共に、この圧痛が消失する”
★適応症及び病名 (かっこんとう) ■アレルギー性鼻炎:☆28歳女性。数年前から、朝起きると、続けざまに、しばらく、クシャミが出続ける。この状態は夏は軽く、秋から冬はひどくなる。医者はアレルギー性鼻炎と診断して、薬をくれるが、いつまでも治らないという。
患者は色白の肉づきの良い長身の婦人である。脈はやや浮であるが、速くはない。腹証上では臍より少し上の部分に、圧に過敏な部位がある。私はこれに葛根湯を与えたが、7日間の服用では何の変化もなく、2週間の服用で軽快し、4週間の服用で全治して、再び、クシャミが頻発することなないと言う。《大塚敬節》☆医学博士T氏は、多年アレルギー性鼻炎に悩み、毎夜、鼻がつまって眠れないという。私はこれに葛根湯を与えたところ、その夜から、鼻が気持ちよく通るよいうになって、安眠が出来るよいうになったと、大変喜ばれた。《大塚敬節》
☆本方は顔面や項背部に炎症充血症状があって緊張感があり、目、耳、鼻に及びその粘膜に炎症充血が起こるものに用いられる。アレルギー性鼻炎で常に肩こりがひどく、風邪を引きやすく、クシャミの頻発する者に本方でよいことがある(漢方診療医典)
■アンギナ⇒口腔・咽頭の炎症(狭義) ☆初期に発熱して咽痛のあるときに葛根湯を用いて発汗させる。熱が高くて苦しむときは桔梗2,0g石膏10.0g。嘔吐するときは半夏5.0g。だいたい本方は1~2日間用いるもので、これで治らなければ別の方を考える(漢方診療医典)
■朝のこわばり
■インフルエンザ(流感)
■咽喉炎
■疫痢(えきり)☆疫痢の極めて初期に用いることがある。《大塚敬節》
■おたふくかぜ
■悪寒(おかん)
■カルブンケル(癰)
■外耳道炎:☆悪寒・発熱があり、くび・肩などが強ばる、初期に用いる。:「桔梗石膏」《大塚敬節》☆葛根湯桔梗石膏を用いても、炎症・疼痛が止まない者には、十味敗毒湯+連翹を用いる《大塚敬節》☆北新掘街の後藤弘三郎の妹16歳。幼児の頃より耳だれの持病があり、両方の耳から膿汁が流れ、時にはその膿が臭くて、側によれないほどである。そのため左の耳が聞こえない。嫁にやる年になったので、何人もの医者にかかった。余は胎毒のためだから、徐々に、その毒を攻めて、毒を尽くすべきだと云った。主人は余の言をいれて治を託した。そこで、葛根湯芎黄を与え、五味鼠丸を兼用すること数ヶ月にして、漸次、膿が減じ、臭気も去り、左耳の聴力も回復し、まもなく嫁した。《橘窓書影》
五味鼠丸の代わりに、伯州散を用いてもよい《大塚敬節》
■肩関節周囲炎
■肩こり:①頭痛、発熱②汗が出ていない。 ③項(コウ=うなじ)背がこわばる。④脈浮緊・数。⑤太陽病。☆肩痛・臂痛:「+蒼朮・附子」《勿誤薬室方函口訣》☆項背痛の諸証にして、脈浮数なる等の者《奥田謙蔵》☆18歳男性。2週間前から、朝起きたとき、背が痛み、手足の関節が痛むが、仕事を始めると痛みは軽くなるという。患部は目立つほど腫れていない。食欲は普通で、時々悪寒があり、体温は37、7℃くらいまでのぼる。一番痛むところは項部と背とである。そこで葛根湯を3日分づつ3回与えたところすっかり良くなった。その後2ヶ月ほどたって、再び全症が再発したが、葛根湯3日分でよくなった。この患者は項背部の痛みがいちばん強かったので、葛根湯を用いた《大塚敬節》
☆首から背にかけての凝りがあって、汗が出ない者に葛根湯を、汗が出て悪風する者には桂枝加葛根湯を用いる。熱のない雑病では汗の有無ではなく、脈で区別する。脈浮で力あれば葛根湯、脈浮で力なければ桂枝加葛根湯を用いる。《大塚敬節》
☆葛根湯を用いる肩凝りは、項部から肩胛間部にかけて凝る者に良いが、また項部から肩胛関節に向かって、凝る者にも用いる。しかし、このような肩凝りを訴える場合でも、胸脇苦満があれば、柴胡剤を用いるし、心下痞硬があれば瀉心湯類を用いる。又、腹部が軟弱でこの部で振水音を証明するようであれば、真武湯を用いる《大塚敬節》☆葛根湯を用いる患者の腹は、腹筋の緊張がよいことが条件で、軟弱無力であってはいけない。ことに食欲不振・悪心・嘔吐などのある場合は用いない方が良い《大塚敬節》
☆鼻炎・結膜炎・中耳炎などで肩凝りを訴える者に用いる機会が多い《大塚敬節》 ☆傷寒論に“太陽病、項背強ばること几几、汗無く悪風する者”とあり、肩から項背部のこりを訴えるものに幅広く用いられる(漢方診療医典)
■化膿性炎症:☆諸種化膿性炎症には、証に由り桔梗、石膏を加う。《奥田謙蔵》
■化膿症湿疹
■眼瞼炎:☆1男子、眼に炎症を起こして腫れ痛み、その上に喘鳴と咳嗽がことにひどい。そこで先ず葛根湯を与え、刺絡と家方の鼻方を施したところ、疼痛がたちまち止んだ。続いて麻杏甘石湯を与え、鉛糖水で洗眼したところ、喘咳はだんだんよくなった、だた大便が秘結して、眼にうすい雲がかかって取れない。そこで大柴胡湯を与え、点眼薬を用いたところ、まもなく治った《眼科一家言》
☆1男子、眼が赤く腫れ痛んで耐え難く、黒まなこにも雲がかかっている。これを診たところ、脈は浮数である。そこで葛根湯を与えたところ、眼の赤味と腫れはやや減じたが、雲が取れないので汞水で洗ってから点眼したところ、1ヶ月ばかりで治った《眼科一家言》
☆30歳男性。山に薪をとりに往ったところ、毒虫が飛んできて、眼瞼を刺したため、ひどく腫れ痛み、眼がくらんで歩くことが出来なくなった。そこで傍の人に助けられて家に帰ってから診を乞うた。眼球と眼瞼は共に大いに腫れ、烏睛には白い点が出来て、毒牙すでに両眼に伝わり、発熱がひどく、頭は裂かれるように痛む。そこで刺絡を施し、甘草湯で洗眼し、葛根湯を与え、雄黄を焼いて眼を薫じたところ、頭痛が止み、炎症も消退した。そこで点眼を施し、数日で治った《眼科一家言》
■眼精疲労 ☆眼痛、充血、肩こりなどあるもの(漢方診療医典)
■関節痛:
■関節リウマチ:☆初期で関節が少し腫れている者。☆関節リウマチの初期に用いることがある《大塚敬節》
■疳瘡(かんそう)☆「+荊芥・大黄」《勿誤薬室方函口訣》
■感染症(かんせんしょう)
■感冒(かぜ):☆感冒の初起、項背強急、悪寒、発熱し、汗出でざる証には、まず此方を与えて発汗せしむるを良策とす。《奥田謙蔵》☆悪風または悪寒があって、発熱し、からだが強ばり、項から肩が凝り、脈が浮で力がある者に用いる。汗が自然に出ていないのを常とする。《大塚敬節》
■]顔面の疼痛 ☆筋肉の緊張がよく、突っ張った感じがある者に: 「+朮・附子」or「+川芎・大黄」or「+薏苡仁」を用いる《大塚敬節》
■寒冷ジンマシン
■ギックリ腰
■気の上衝<+>
■急性大腸炎 ☆悪寒・しぼり腹・裏急後重・粘液性下痢に使う。《中医処方解説》☆発熱がないとき→「桂枝加芍薬湯黄連・木香」《中医処方解説》☆葛根湯を急性腸炎の初期、悪寒、発熱の有る者に用いる場合がある。《大塚敬節》
☆発病の初期で、悪寒、発熱があって下痢し、裏急後重があり、脈浮数にして力のある者に用いる(漢方診療医典)
■筋炎
■筋肉痛:☆風湿、体疼、悪風、微腫するを療す:「大棗天門冬・杏仁・人参」 《外台秘要方》
■口の周りをなめる:☆口の周りが乾燥して赤くなり、この部を舌でなめずりまわす者がある。子供によく見られる。《村井琴山》はこのような者には葛根湯が良く効くといっている《大塚敬節》☆10歳少年。半年あまり某大学の耳鼻科にかかっているという。この少年は平素からあまり頑丈な体質ではなかったが、1年ほど前から鼻汁が多くなって、鼻の下がいつもただれるようになった。私が診察している間も、舌を出して、ペロリ、ペロリと上唇から人中のあたりをなめ回している。私はこれに葛根湯を用いたが、次第に鼻汁が流れなくなり、3ヶ月ほどで完全に治るとともに、時々あった夜間の遺尿も止まり、血色も良くなった。《大塚敬節》
■首がまわらない
■ケイレン:☆初発は必ず両腮剛強す。先ず葛根湯を与え、合谷及び髪際に鍼す可く ば則ち治す。もし脱候を見わす者は[十全大補湯荊芥附子]に、[豆
淋酒荊芥」を兼用す。然れども、角弓反張甚だしく、水薬咽を下ら ざる者及び口開く者は、不治なり。《先哲医話》☆疫痢の初期のケイレン《大塚敬節》
■結膜炎:(+桔梗石膏)☆葛根湯・越婢加朮湯・大青竜湯などの麻黄の配剤された薬方は、古人が外障眼と呼んだ結膜や角膜などの病気に用いられた《大塚敬節》
■下痢:☆下痢の初起等にして、悪寒、発熱し、脈浮数なる証。《奥田謙蔵》☆裏急後重(りきゅうごじゅう)のある場合でも、これで汗をとると、後重も緩解し、下痢もまた軽快する。《大塚敬節》☆桂枝加人参湯証の下痢とは、寒熱虚実の差がある。
☆発病の初期で、悪寒、発熱があって下痢し、裏急後重があり、脈浮数にして力のある者に用いる(漢方診療医典)
■口噤(こうきん)☆36歳の中肉中背の婦人。5ヶ月ほど前から口が開かなくなり、いろいろ手当をしたが良くならないといって来院した。無理に開けようとしても、右の顎の間接がこわばっていて、痛くて動かない、指が1本入るくらいがやっとである。そこで《金匱要略》の条文にヒントを得て葛根湯を用いた。葛根湯が筋肉の緊張を緩解する作用のあることは、一般に知られているところで、これで肩こりや腰痛が治り、また破傷風のケイレンを治する効がある。こんなことを考慮に入れて、10日分を投与した。ところが不思議なことに、これを飲み終わって来院し時は8分通り口が開くようになり、1ヶ月あまりで全快した。《大塚敬節》
■高血圧
■]虹彩炎
■五十肩:☆五十肩の初期に用いる。しかし脈の弱い者や、腹部の軟弱な者、胃腸が弱くて、食の進まない者などには与えない方が良い。《大塚敬節》☆63歳男性。中肉中背の患者が、左の五十肩で診を乞うた。私はこれに葛根湯を与えたところ、便秘して大便が快通しないようになり、気分が良くないというので、清湿化痰湯にしたところ、大便も快通するようになり、疼痛も軽快した。《大塚敬節》
☆発病の比較的初期で、脈に力がり筋肉の緊張のよい消化器の丈夫な人に用いる。ばあいによっては、薏苡仁10.0を加えたり、朮4.0を加えたりする(漢方診療医典)
■項背部のこわばり(項背拘急)
■さむけ(寒気)がする
■座骨神経痛
■産後の諸疾患:☆産後の柔中風:「独活・地黄」《勿誤薬室方函口訣》☆産後痙病:その初、項背強ばり、或いは言語蹇渋、寒慄する者は治す べし。葛根湯。続命湯の類に宜し。無患子、虎杖茎2味煎服亦効あり。
■三叉神経痛:☆項部が緊張して脈有力の者《大塚敬節》☆三叉神経痛やこの部の神経痛で、初期の者に用いる。☆こじれた者or長引く者には:「+朮3.0、附子1.0」《大塚敬節》☆慢性の上顎洞蓄膿症のある38歳の女性が、数日前より右顔面がひどく痛んで、食事をすることもできない。夜も眠れないという。
診察してみると、右上顎の中央が、拇指頭大に腫れ、少し発赤し、この部を撫でても強く痛む。右鼻腔は閉塞し、右肩が特に凝る。時々悪寒があり、37、8℃の体温。脈は浮でやや数である。
そこで葛根湯に薏苡仁10.0を入れて与えたところ、その夜の明け方から急に顔が軽くなって、ぐっすり眠り、起床と同時に、多量の膿がノドの方へ出た。続いて、5日間これを飲むと、患部の新しい炎症は消失して、全く疼痛を忘れた。薏苡仁は鎮痛と排膿の作用があるので、これを加えた《大塚敬節》耳下腺炎
■子癇(しかん)☆妊娠臨月、風痙を発するに因り、忽ち悶し、人を識らず、嘔逆眩倒し、すこし醒め復発す。《外台秘要方》
■四十肩(腕)
■視神経萎縮
■視神経炎
■歯痛:☆歯痛、或いは歯根腫痛等には、証に由り石膏を加う。《奥田謙蔵》☆「石膏15g」《荒木正胤》
■湿疹:☆<膨疹が白っぽいものに>☆膨疹が赤く、熱を持つ時は→大青竜湯を考える。《中医処方解説》☆化膿傾向には:「桔梗石膏or金銀花・連翹」。《中医処方解説》☆水泡があれば:「越婢加朮湯」《中医処方解説》☆急性期で発赤して熱感があり、かゆみのひどい者☆慢性期でかさぶたを作り、かゆみの強い者:「石膏」☆諸種の皮膚病、殊に湿疹等には、証に由り大黄を加う。《奥田謙蔵》
☆毛孔性苔癬《大塚敬節》☆47歳男性。毎年夏になると全身の皮膚が痒い。汗をかくと時にひどい。体格中等大、肉付きは良い方。皮膚に変化は見られないが、前腕内側を擦過すると敏感に発赤する。すなわち皮膚表記症が認められる。これはジンマシンと考えて良いと思う。脈はやや浮にして緊、舌正常、腹は肉付きよく、上腹部一体が膨満しているが、胸脇苦満とないえない。その他には特に変わったこともない。そこで私は敗毒の意味で十味敗毒湯を1週間分与えた。ところが再び来院して少しも良くならないと云うのである。ここでまた考えてみた。強い皮膚の瘙痒を訴える のに、発疹は全く見られないのが、前に十味敗毒湯の効が無かった例と似ている。脈のやや浮を表証の存在と考えたらどうかと、そして葛根湯+石膏を1週間分与えた。10日ほどたって、その患者から電話があった。
「今度の薬を飲んだら、痒いのが止まった。しかし薬がなくなるとまた痒くなったので、薬を送って下さい」《大塚敬節》
■腫脹<硬い>
■上気道炎
■猩紅熱
■小児が舌で口のまわりをなめる。《村井琴山》☆口唇・周辺が乾燥して舐める者は→「柴胡清肝湯」を考える《中医処方解説》
■小児のひきつけ
■ジンマシン:☆10才の少女。色が浅黒く、すでに1年近くジンマシンに悩んだ。私はこれに十味敗毒湯、桂枝茯苓丸、茵蔯蒿湯などを与えたが効無く、最後に葛根湯を用い、やや軽快し、僅かのところで、どうしても治らないので、葛根湯+撲樕にしたところ、1ヶ月あまりで全治した。《大塚敬節》
☆数年前30歳ぐらいの婦人が頑固なジンマシンに悩んで治療を受けに来た。方々の医者で注射をしたり薬をつけたりしたがどうしても治らないという。その時私は十味敗毒湯を10日分ばかり与えた。その患者はそれきり来なくなったので、果たして薬が効いたかどうかもわからず、そのことも忘れてしまっていた。この春ひょっこりとその婦人が、ご夫婦でやってきた。聞けば「私のジンマシンは、あの薬ですっかり治ってしまいました。今度は主人が同じようにジンマシンで苦しんでいますので、一緒につれて来ました」ともこと。ご主人は痩せ型の背の高い人で、全身が痒くかけば赤くなって腫れるという。しかし見た目には、皮膚の発疹は認められなかったが、前と同じ十味敗毒湯を1週間分与えた。しかし1週間たってきた時も、少しもカユミが治らないということであった。私は又1週間、同方を与えて帰した。けれどもやはり効かなかった。私の師匠に、この話をしてご意見を求めと「それは麻黄じゃないか」と云われた。しかし患者はそれきり来なくなったので、麻黄剤を試みることは出来なかった。《山田光胤》
☆5歳の子供、ジンマシンで身体中が痒がり、夜も一晩中眠らない。近所の医者にかかって、10日程注射をしているが少しもよくならない。 私は、《類聚方広義》の葛根湯条下に“小児赤遊風を治す”“葛根加朮附湯----風疹、血疹、瘙痒甚だしきを治す”とあることから、葛根湯証と考え、また夜も眠らずにかゆがるという点を煩躁と考えて石膏を加え、葛根湯+石膏として3日分を与えた。しばらくしてから報告があった。それによると、子供が嫌がってなかなか飲まないので、1日分を2日かかってやっと飲ませた。ところが、1日分を飲み終わる頃から、あれほどひどく痒かったのが、ぱったり止まって、夜もよく眠れるようになった。もうよいと思ったが、再発するといけないと思って、あと2日分を5日かかって、全部飲ませた。《大塚敬節》
☆44歳男性。25年前から冬になるとジンマシンが出るという。葛根湯撲樕薏苡仁を用いて著効を得た。この患者には葛根湯だけでも良かったのかも知れないが、撲樕を加えた。これは私の安心のためであって、果たして撲樕が効いたがどうかは疑問であるが、蓄膿症にジンマシンを併発していた患者に、葛根湯撲樕を用いて著効を得た例があったので、この患者にも夜のなると鼻が詰まると言う訴えがあって、よく似ていたので加減した。薏苡仁を加えたのは、頭部の百会の付近にイボが1つあったからである。
さてこの患者は冬になるとジンマシンが出るけれども、水を呑むと5分位で消失する。また熱が出ている間はジンマシンは出ない。ところが3年前から、のどにウロコのようなものが、貼り付いた感じがあり、神経症とも云われたり、鼻咽腔炎とも云われたことがある。耳鼻科に1年通院したがよくない。
私はこれに葛根湯撲樕薏苡仁を用いたところ、ジンマシンがぐっと減り、特別に寒い時だけに出るようになり、20日目ゴロから、鼻の乾燥感を忘れ30日目ごろには、イボが消えた。《大塚敬節》
■神経痛
■頭痛:☆感冒その他熱がある時の頭痛で、悪寒又は風にあたるとゾクゾクして気持ちが悪く、項部から背にかけて凝る者《大塚敬節》
☆感冒その他熱のある場合の頭痛に用いる《大塚敬節》
☆悪寒又は悪風があって、発熱し、項部から背にかけて凝るという症状があり、脈は浮いて力がない者を目標にする《大塚敬節》☆熱や悪寒がなくても、前額洞蓄膿症や上顎洞蓄膿症などの鼻の病気で頭痛する時や三叉神経痛で痛む時にも項部の緊張と脈に力にあることを目標にして用いる、《大塚敬節》
■脊椎空洞症
■喘咳
■喘息:☆肩・背がこる者:「+杏仁3.5g、石膏15.0g」《荒木正胤》
■帯状疱疹
■大腸炎:☆腸炎・腸カタル:☆赤痢・大腸炎などの発病の初期に用いることがある。その目標は、腹痛と裏急後重を伴う下痢で、悪寒、発熱があり、脈は浮大数である。しばしば腹痛を訴える事がある《大塚敬節》☆大腸炎や赤痢などで葛根湯を用いるのは、発病当初だけで、これを数日間続けて用いることは少ない。葛根湯を用いて悪寒が去れば、黄芩湯、芍薬湯、大柴胡湯などを用いる。《大塚敬節》
■打撲
■丹毒:☆頭部の丹毒(頭瘟):「桔梗石膏」《方読便覧》
■蓄膿症:(副鼻腔炎)☆葛根湯は鼻炎・副鼻腔炎などで、鼻閉塞、鼻漏などを訴える者に広く用いられる。これに川芎と辛夷を加えたり、川芎と大黄を加えたり、石膏を加えたりすることもある。《大塚敬節》
☆上顎洞蓄膿症には、証に由り芎藭、大黄を加え、或いは辛夷を加えて、更に有効なることあり。《奥田謙蔵》
☆脳漏、眼耳痛:「川芎・大黄」《勿誤薬室方函口訣》☆前額洞蓄膿症、上顎洞蓄膿症に適する。頬部が痛み、便秘、のぼせなどの症状があれば葛根湯に川芎3.0、大黄1.0を加える《大塚敬節》☆「川芎3.5g、大黄1.0g」or「ドクダミ3.5g」《荒木正胤》☆急性には:「桔梗石膏」《荒木正胤》☆27歳男性。1年ほど前から、頭が重く、鼻が詰まり、ノドの方へ鼻汁が流れるようになったので、某大学病院で診てもらったところ、前額洞蓄膿症だから、手術をしなけれな治らないと云われた。その上、10ヶ月ほど前からジンマシンも出るようになった。
脈をみると浮大で、腹診上、臍上の皮下に鉛筆の芯のように硬いものを触れ、しかもそれを指頭で圧すと痛む。これは葛根湯を用いる目標である。そこで、葛根湯辛夷・撲樕各3.0を加えて与えた。撲樕を加えたのは、《腹証奇覧翼》に桂枝加土骨皮という処方があり、土骨皮は撲樕のことである。これにヒントを得て、毒を消し、排膿を促し、かねてジンマシンを治するという狙いでやった小細工である。
さた、これを服用してから、1ヶ月目に、次のような来信があった。“過日(10/16)は御診察をいただき、大変ありがとうございました。おかげを持ちまして、日毎に快方に向かい、昨今はすこぶる爽快で、仕事の能率が上り、感謝いたしております。もうしばらく服用を続ければ、全快することと存じますので、お手数ながらお薬をお送りいただきたくお願い申しあげます。10/20、服用開始。1日3回。10/21、少し下痢する。10/25、足首と腹部(ベルトが当たる部分)のカユミがなくなる。10/27、口の中へ下りる膿が減ってくる。10/30、鼻汁がちょっと多く出る。11/2、酒を飲んだが従前のように頭が痛くならない。11/4夕方、背中からおしりにかけて一面にジンマシンが、今までに無いくらいひどく出る。翌朝は引いていた。11/5、前日よりは軽いが、同じようにジンマシンが出て、翌朝は引いていた。11/18、鼻の外観が変わっているのに気づく。服用前の写真と比べてみると、鼻の付け根から少し下がった部分の腫れが引いているのがよく分かる。11/14、現状、頭の重いという感じが無くなった。口の中へ下りる膿が非常に少ない。鼻汁が服用前より多く出るようになった。従前はかんで出るより咽へどんどん下りていました。咽喉は若干楽になったようである。まだタンがひっかかっているような感じで、声の出にくい時がある。以上のような次第でありすので、前回同様格別の御配慮を賜りたく存じます”そこで1ヶ月分の薬を送ったところ、12/18、次のような連絡があった。“2回目のお薬をいただいてからの経過は次の通りであります。だんだん咽頭が楽になってきました。風邪気味でありますせいか、頭が痛いのですが、服用前のようにドンと重く、時々しびれるというのではありません。睡眠不足の朝の様な感じであります。従来は甘い物にはほとんど食気がなく、まれに食べても、胃に異常感を起こすことさえありましたが、最近は甘い物が美味しいと感じるようになりました。それかと云って、たくさん食べるようなことは致しません。疲労しなくなりました。従来は毎日何か栄養剤を飲んでおりましても、帰宅すると、ぐったりして元気がありませんでしたが、最近は全然栄養剤を服用しなくても疲労感がありません。ジンマシンはその後、全く出なくなりました”この患者は、その後1ヶ月ほど服用すると、自覚的に全快したように思われるので、手術をしなければいけないと云われた大学病院に行って診察を受けたところ、レントゲン写真で調べても、すっかり全治していたので、その医師は驚いていたとのことである《大塚敬節》☆劇痛を訴える副鼻腔炎:「桔梗石膏薏苡仁」《大塚敬節》
■中耳炎:☆悪寒・発熱があり、くび・肩などが強ばる、初期に用いる。:「桔梗石膏」《大塚敬節》☆葛根湯桔梗石膏を用いても、炎症・疼痛が止まない者には、十味敗毒湯連翹を用いる《大塚敬節》
☆初期に耳の中が痛み、悪寒、発熱、頭痛があり、脈は筆力があるときに用いられる。また肩こりを訴えたり、脳膜炎様の症状を呈するときにも用いられる。もし嘔吐を伴うときは、半夏5.0gを加え、煩渇を訴える場合、穿孔性で排膿のあるものには桔梗3.0g、石膏5.0gを加える(漢方診療医典)
■痛風(つうふう):☆初起、発熱、悪寒、苦痛する者:「土骨皮」《方読便覧》
■トラコーマ:☆膿眼:毒に属する者:「川芎・大黄」《方読便覧》
■難聴 ☆感冒のため鼻がつまり、耳管カタルを併発した者や、中耳炎などのために難聴になった者に用いる。その目標は悪寒、発熱、脈浮の状があって、頭痛、肩凝りなどが有る者《大塚敬節》
■にきび
■日本脳炎
■乳汁不足:☆乳汁の分泌を促す効がある。乳房の張りはよく、乳汁が出そうで出ないという婦人に、脈が浮いて力があるのと、肩が凝るのを目標として、用いる、《大塚敬節》
■乳腺炎: ☆乳汁が欝滞して悪寒する者に良い《大塚敬節》
■熱性ケイレン ☆傷寒論では項背の強ばるものに用い、金匱要略では口噤し、て語するを得ず、剛痙をなさんと欲すというものに用いている。ここで剛痙というのは破傷風を指したもので、牙疳緊急して口を開くことができないものに用いる。葛根湯はこの初期で口噤語るを得ずという程度のものに用いる(漢方診療医典)
■寝小便
■ねちがい
■脳炎
■脳膜炎:☆軽症仮性脳膜炎、或いは破傷風の類にして、その初起、脈浮数なる者《奥田謙蔵》
■はしか(=麻疹)☆虚弱な者は→「桂枝加葛根湯」《荒木正胤》
■肺炎
■黴毒:「荊芥・大黄」
■背痛(せなかが痛い)
■破傷風:☆その初、項背強ばり、或いは言語蹇渋、寒慄する者は治すべし。葛根湯、続命湯の類に宜し。無患子、虎杖茎2味煎服亦効あり。☆傷寒論で、項背の強ばる者に用い、《金匱要略》では口噤して語るを得ず、剛痙をなさんと欲すという者に用いている。ここで剛痙とは破傷風を指したもので、牙関緊急して、口を開くことが出来ない者に用いる《大塚敬節》☆《平原元淋》“余が上毛、高崎に寓居の頃、旧藩士大滝某2男年14、5は雨天の時、素足で外に出て右足の甲を少し損傷した。しかし小さい傷だから何もつけず、1日ばかりで治ってしまった。ところが、2、3日たって少し寒気がして熱が出た。そこで診察を乞うた。その症は熱と悪寒が少しあり、脈は遅で腹はややひきつれ、足の甲が少し痛む。その他は大したことはない。主人が破傷風ではないかと問うので、余もそうであろうと答え、投剤しようと急いで帰宅した。すると調剤が終わらないうちに、使者が飛んできて、病人がきわかに半身痛を起こしたという。そこで使者に葛根湯烏頭を与え、再び診察してみるに、諸症は前の通りで、右半身から足にかけて引きつれている。よって、前方をどんどん服用せしめると共に、夕方発汗してから症状が軽快しましたと主人がいう。発泡膏の部が水疱となっていたので、皮を切り去り、また発泡を貼った。3日たって膏薬を変えた。通計6、7日で全治した”
■発声困難:☆喉痺、纒喉風、風熱に属する者を治す「葛根湯桔梗石膏」外含むに「駆風解毒湯桔梗石膏」を以てすれば更に桂なり。
■発熱:☆種痘後の発熱等。《奥田謙蔵》
■鼻炎 ☆かぜをひいて、急性鼻炎を起こしたとき、その初期に一般に用いられる。頭痛、発熱、悪寒、鼻閉塞、鼻汁などのあるとき用いる。慢性の鼻炎にも用いて良い。初音UTのないものでもい。便秘の者には川芎3.0g大黄0.5g~1.0g(漢方診療医典)
■皮下膿瘍
■皮膚炎
■ひきつけ
■肥厚性鼻炎
■瘭疽(ひょうそ)
■風疹 ☆発病初期でクビから肩にかけて強ばり、熱が高く出ても汗が出ず、脈浮数の者に用いる。また、夜、かゆみがひどくて眠れない者には石膏。(漢方診療医典)
■副鼻腔炎 ☆急性期の初期に用いる。発熱、頭重、鼻閉塞、膿汁流出、肩こりなどあるものに用いる(漢方診療医典) ☆慢性に移行した場合によく用いられるのは葛根湯川芎・黄芩・桔梗・辛夷各2.0gである。内熱、便秘の傾向有る者には石膏5.0g大黄0.5g~1.0gがよい。肥厚性鼻炎、鼻茸に連用してもよい。鼻の病にはよく辛夷を加える(漢方診療医典)
■フルンケル()☆癰や疔の発病初期で、悪寒、発熱を主訴とする時期に用いてよい場合がある。《大塚敬節》
■ヘルペス
■片頭痛
■扁桃(周囲)炎:(桔梗石膏)☆扁桃炎、或いは咽喉の諸疾患には、証に由り甘草を増量し桔梗を加う。《奥田謙蔵》☆扁桃炎、咽頭炎などで、悪寒、発熱、頭痛、肩背の緊張感などがあれば:「桔梗石膏」《大塚敬節》
■扁桃膿瘍
■発疹:<痛みがある>☆29歳の婦人。4年前、出産後に栗粒のよいうな発疹が上肢に出来、それがだんだん拡がって、背部・肩・臀部などにも出来た。それは、カユミは大してなく、苦しみは無いが、皮膚がザラザラして気持が悪いと云う。その発疹の色は、皮膚の色と同じで、ただやや乾燥している。冬になると増悪し、夏になると軽快するという。大小便、月経など普通。
そこで当帰飲子を与え、これを2ヶ月あまり飲んだが効がない。そこで十味敗毒湯にした。すると1ヶ月ほどで、だんだん患部が拡がり、反って良くない。思いあまって、葛根湯にしたところ、こんどは日増しに軽快し、2ヶ月ほどで全治した。《大塚敬節》
■麻疹:☆初発のとき、発熱増寒、咽喉腫痛、咳嗽煩渇する者「桔梗石膏」を主とす。世医往々桂麻を忌む。余曰く、疹毒は桂麻石の3品に非ずんば発する能わず。紫蘇荊芥はその奴隷のみ。《麻疹心得続録》☆麻疹、或いは痘瘡の初起等《奥田謙蔵》
■慢性関節リウマチ:☆起床時に痛むがしばらくたつと軽くなる者。
■慢性頭痛
■水虫:☆72歳の婦人。毎年夏になると足に水虫が出来るのだが、今年はことにひどくて、10日ほど前から歩くこともできない。 往ってみると、あまりのひどさに驚いてしまった。両足の足底は全体がグシャグシャになって皮が剥けかかり、黄色の浸出液がジクジク出て、しかもそれが細菌感染を起こして、臭い膿臭を漂わせている。2日前からは悪寒と頭痛がするので、寝込んでしまったという。口渇があり、お茶をよく飲む。便通は快通しない。足は前から非常に痒かったが、ここ数日は痛くで仕方がないという。
体格中等大、肉付き普通、脈はやや浮、腹は心下部がやや堅く張っている。頭痛・悪寒があり、表証の存在は確実である。とすれば薬方は何かということで迷ってしまった。葛根湯を先ず使いたいところだが、口渇、煩躁により白虎加人参湯も考えられる。また局所の状態から考えれば排膿散や十味敗毒湯なども考えられる。合方という手もあるが、それでは反って効果が無いこともあるし、また効果があっても、後々のためにならない。そこで十味敗毒湯石膏を煎剤で与え、葛根湯のエキスを兼用することにした。これならば表証の除去にも、局所の病変の根本的治療にもよいと考えたのである。
1週間分の薬を与えたら、“薬を飲んだら、見る見るうちに良くなった、5日目ぐらい後にはほとんど普通と同じくらいきれいになった”と報告があった。1週間後、家人が薬を取りに来て“もう外見上は何ともない。皆不思議に思っている”とのことであった。
そこで今度は十味敗毒湯だけを1週間分与えた。この時、私は水虫そのものの治療は十味敗毒湯の薬効だとうと考えていた。ところが、4、5日すると電話がかかってきて“煎じ薬を飲んでいるが、また足が痒くなってきて、病人が心配して粉末も飲みたがっているがら至急送って下さい”とのことである。
これはこれはと思って、私はいささか驚いてしまった。ことによると、これは葛根湯が効いたのではないかと気づいたのである。早速葛根湯エキスを1週間分送っておいた。そして7日後、家人がやってきて、“粉薬を飲んだらカユミが止まりました。もう少し薬は続けます”というので、葛根湯が効いたらしいことは、先ず間違いなさそうである。そこで今度は、家人が両方の薬を下さいというのを、強いて説得して、葛根湯エキス剤だけ1週間分与えた。そして、その後は全く順調である。《大塚敬節》
■耳だれ:☆耳:「桔梗石膏」《方読便覧》
■無汗
■無声
■面庁
■網膜炎
■夜尿症 ☆葛根湯や麻黄湯などの麻黄剤が夜尿症に効くという話を亡友吉村得二氏に聞いたことがあり、昼間は尿が多くないのに、夜間になると尿が多く出るというものに用いる効を得たことがあった。患者は、筋肉の緊張がよく、血色もよく、食欲もあり活発な小児であった。(漢方診療医典)
■腰痛症:☆感冒・流感・神経痛・リウマチなどによる腰痛。 ☆熱のある病気の初期に腰痛を訴えるときに用いる《大塚敬節》☆熱の無いときでも、急に腰が痛む時は、リウマチ・神経痛・腰筋痛症の如何を問わず、脈が浮いて力があれば葛根湯を用いる《大塚敬節》☆38歳の男性。頑強な体格で、数ヶ月前から腰痛を訴え、注射その他の手当を受けたが、なかなか軽快しないという。脈を診ると浮にして力があり、全身の筋肉が緊張している。腰痛は圧によって増減することはないが、屈伸時は突っ張るように痛む。脊椎には異常はない。この腰痛も“項背強ばる”の1症とみなして葛根湯を与えたところ、数日後には疼痛が止まった。《大塚敬節》
☆発病初期で、脈にも筋肉にも緊張のある者を目標とする。薏苡仁が良いことがある(漢方診療医典)
■癰疽(ようそ)
■リウマチ
■リンパ腺(管)炎
■リンパ節炎
■]流行性耳下腺炎 ☆発病の初期で悪寒、頭痛、発熱などのある時に用いる(漢方診療医典)
■瘰癧(るいれき)☆初起、宜しく発汗すべし「桔梗石膏」
■脈:☆浮にして力がある、と言われているけれども、これは感冒などで熱のある場合のことで、鼻炎や副鼻腔炎に用いる場合には、必ずしも浮であることを要しない。《大塚敬節》☆腰部や筋肉の緊張が弱く、振水音などを証明し、脈も沈弱である場合には葛根湯を用いない方が良い。《大塚敬節》
【加減方】「+黄芩」=「解肌湯」《外台秘要方》 #葛根湯[2]《東醫寶鑑》「葛根2銭、黄芩・大黄(錯炒)・山梔子・朴硝・甘草各1銭半」水煎服。
◎陽毒を治す。 #葛根湯加川芎辛夷《本朝経験》「葛根湯+川芎辛夷」 ★適応症及び病名 悪寒花粉症項背強頭重頭痛発熱鼻炎(急性・慢性)鼻汁<濃厚>鼻閉副鼻腔炎(急性・慢性)
無汗 #葛根黄芩黄連湯[1-1]《傷寒論》「葛根半斤、甘草(炙)2両、黄芩3両、黄連3両」右四味、以水八升、先煮葛根、減二升、内諸薬、煮取二升、去滓、分温再服。
◎太陽病、桂枝證、医反下之、利遂不止、脉促者、表未解也。喘而汗出者、葛根 黄芩黄連湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證幷治中第六。 「利遂不止」=利ついに止まず。
=ひきつづき下痢が止まない。「遂に」は、ある事柄にひきつづくの意で、ここでは、医者が誤って下剤を用い、それにつづいての意。 #葛根黄芩黄連湯[1-2]《傷寒論》「葛根8両、黄連3両、黄芩3両、甘草(炙)2両」右四味、以水八升、先煮葛根、減二升、内諸薬、煮取二升、去滓、分温再
服。 ◎太陽病、桂枝證、医反下之、利遂不止、脉促者、表未解也。喘而汗出者、葛根 黄芩黄連湯主之。《傷寒論》辨可発汗病脉證幷治第十六。 #葛根黄芩黄連湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「葛根8g、甘草・黄芩・黄連各3g」水320ccを以て先ず葛根を煮て240に煮詰め、他の諸薬を加えて再び煮て
80に煮詰め、滓を去り2回に分服。
#葛根黄芩黄連湯[1-4]《傷寒論》《中薬臨床応用》「葛根6g、麻黄5g、白芍薬9g、桂枝5g、生姜9g。甘草3g、大棗6g」水煎服。◎急性腸炎◎細菌性下痢◎湿熱の下痢
#葛根黄芩黄連湯[1-5]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「葛根6、黄連・黄芩各3、甘草2」 ○葛根黄連黄湯は、その葛根を用ふること最も多し。しかして項背強急の証なし、蓋し闕文(文が欠けている)なり。これを下裏して汗出づる者に施すに、終に効あることなし。項背強急して前証ある者は、即ち是れ影響するなり。《薬徴》◎項背強急し、心下痞し、心悸して下利する者を治す。《吉益東洞》◎葛根半斤を用いて項背強急の証なし、蓋し闕文なり。諸を下利、喘じて汗出ずる者に施すに終に効あることなし、項背強急して前証を見る者は其の効影響す、其れ闕文たること疑を容るるなし。《重校薬徴》◎表熱下利・脉促・喘・汗出。
葛根黄芩黄連湯[1-6]《傷寒論》 ★適応症及び病名[1]インフルエンザ[2]息切れ[3]疫痢:☆疫痢で高熱が出て、下痢とともにケイレンを発する場合に用いる。《大塚敬節》[4]嘔吐:☆嘔吐止まず、諸薬無効の者、脈浮数は表邪壅遏に属する。本方を与えすみやかに癒える。☆二日酔いで、嘔吐する者には、五苓散や順気和中湯が良く効くが、嘔吐、下痢があり、また心下部の痛む者には、この方の効く場合がある《大塚敬節》[5]悪寒
[6]肩こり:①悪寒、頭痛 ②感冒<胃腸型> ③下痢<発熱性>④太陽病。[7]感冒:<胃腸型>[8]気管支喘息[9]急性胃腸炎[10]急性腸炎[11]胸中煩悸 ☆平日項背強急し、心胸痞塞し、神思悒欝(ユウウツ)して、舒暢(ジョチョウ)せざる者を治す。或いは大黄を加う。《類聚方広義》[12]ケイレン:☆疫痢の初期のケイレン《大塚敬節》[13]下痢:☆<発熱性>☆(悪臭のある下痢・裏急後重・肛門の灼熱感)☆表邪陥下の下利に効あり。《勿誤薬室方函口訣》☆下痢性疾患にして、裏急後重有り、熱性症候盛にして、心下部満悶し、汗出でて脈浮数なる証。《奥田謙蔵》☆発汗を行いて後病解せず、下痢日に数余行、心下部痞満し、汗出でて脈浮数なる証。《奥田謙蔵》☆下痢の初期に葛根湯を与え、而も下痢止まらず、熱性症候益々増進する等の者。《奥田謙蔵》☆小児早手(=疫痢)の下痢に用いる。☆疹已に出て瀉する者によろし。☆瀉久しくして痢に変ずる者→「乾姜芩連人参湯」《麻疹心得続録》☆傷寒恊熱利して喘する者を治す。☆熱瀉を治す。[14]口渇[15]口内炎:☆口内炎等。《奥田謙蔵》☆口瘡を治す:「紅花、石膏」《浅田宗伯》☆鵝口瘡を生じ、飲食ともに減じた者に:「葛根黄芩黄連湯1/4紅花0.5・石膏3.0」で著効《大塚敬節》☆急性肺炎で、抗生物質を濫用したため、下熱後、カンジダ性潰瘍となり、口腔内及び舌一面に、紅斑様の糜爛を生じ、ところどころに白斑の苔が出来て、飲食が出来ず、言語を発することも困難を感ずる者に、「葛根黄芩黄連湯紅花2.0・石膏10.0」を用いたところ、7日後には、ほとんど苦痛を訴えないほどに軽快した。《大塚敬節》[16]高血圧[17]項背強[18]自汗[19]心悸亢進[20]心下痞:☆微熱ありて下痢頻発し、心下部閉塞の感あり、或いは疼痛する証。《奥田謙蔵》[21]頭痛
[22]赤痢: ☆小児の疫痢。《済世薬室》[23]舌炎 [24]喘息:☆此方の喘は熱勢の内壅する処にして主証にあらず。☆喘息には、証に由り、半夏、石膏、或いは大黄を加う。《奥田謙蔵》[25]歯痛:☆項背強急し、心下痞塞し、胸中寃熱(寃=エン、ぬれぎぬ)して、眼目、牙歯疼痛し、或いは口舌腫痛、腐爛する者には、大黄を加ふれば其の効速かなり。《類聚方広義》[26]丹毒:☆丹毒、及びその類似疾患等。《奥田謙蔵》[27]脳血管障害・後遺症:☆脳溢血の発作後にして、発熱し、心気不安、顔面潮紅及び頭痛、煩躁を現し、脈浮大にして数なる等の証。《奥田謙蔵》[28]発熱:☆艾灸後の発熱。《奥田謙蔵》☆疹後、身熱除かざるを治す。《保嬰撮要》[29]二日酔い:☆酒客の表証に用いるは活用なり。《勿誤薬室方函口訣》☆過酒後の吐下、心痛する者。☆宿酔にして煩熱を訴える等の証《奥田謙蔵》[30]不安神経症[31]不眠症
[32]ほてり [33]麻疹 ☆高熱が出るとともに痙攣を起こすものに用いる。また、高熱、咳嗽があって下痢する者に用いることがある(漢方診療医典)[34]胸苦しい:☆身熱劇しくして心煩し、或いは暴瀉数行、脈浮数なる証。《奥田謙蔵》[35]目が充血[36]やけど:☆火傷後の発熱等。《奥田謙蔵》
#葛根加朮附湯[1-1]《龍野一雄》「葛根4g、麻黄・大棗・白朮各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、炮附子0.3g(又は白川附子1g)」
◎実証の身体の麻痺・疼痛・分泌・化膿症。 #葛根加朮附湯《漢方治療の実際》「葛根湯朮3、附子0.5」 葛根加朮附湯[1-2]《中医処方解説》「葛根湯蒼朮4g、附子1g」★適応症及び病名(かっこんかじゅつぶとう)[1]カルブンケル[2]かぜ[3]潰瘍[4]肩関節周囲炎[5]肩こり
☆肩強急(本方以外に「肩強急」の表現があるのは、延年半夏湯、三味鷓胡菜湯などがある) ☆身体の麻痺、疼痛、実証。 [6]関節リウマチ(上半身の)[7]顔面神経麻痺[8]筋肉痛[9]筋肉リウマチ[10]頸肩腕症候群
[11]項背がこる[12]五十肩[13]座骨神経痛[14]四肢の疼痛[15]四十腕[16]湿疹[]小児の解顱:☆初起の者には急に葛根加朮附湯を与え、紫円を以て之を 攻めば則ち効
あり。その証已に成る者は之を攻めば命を促す。紫円能く上部の毒を治 す。《先哲医話》[]小児四肢痿弱:☆もし痿弱、背骨突起する者及び左右の証異なり偏枯の如きは、急癒し能
わず。《先哲医話》[17]神経痛:☆上肢の神経痛に用いることがある《大塚敬節》[]脱毛:☆油風にて毛髪脱落する者。《吉益南涯》[18]蓄膿症[19]中耳炎[20]発疹[21]フルンケル[]附骨疽:☆熱甚だしき者《方読便覧》
[22]麻痺<四肢の麻痺> [23]慢性関節炎[24]慢性関節リウマチ[25]腰痛症[26]リンパ腺炎[]瘰癧:表を発すれば滞を散ず。《方読便覧》
#葛根加川芎大黄湯《龍野一雄》「葛根4g、麻黄・大棗・川芎各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、大黄1~3g、干姜1g」◎頭部の炎症、発赤疼痛、のぼせ、便秘。
★適応症及び病名 [1]結膜炎[2]湿疹[3]歯痛[4]蓄膿症[5]フルンケル<頭背部> #葛根加半夏湯[1-1]《傷寒論》「葛根4両、麻黄(去節)3両、甘草(炙)2両、芍薬2両、桂枝(去皮)2両、生姜(切)2両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚」右八味、以水一斗、先煮葛根、麻黄、減二升、去白沫、内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升、覆取微似汗。◎太陽與陽明合病、不下利、但嘔者、葛根加半夏湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。
#葛根加半夏湯[1-2]《傷寒論》「葛根4両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚、桂枝(去皮)2両、芍薬2両、甘草(炙)2両、麻黄(去節)3両、生姜3両」右八味、以水一斗、先煮葛根麻黄、減二升、去上沫、内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升、覆取微似汗。◎太陽與陽明合病、不下利、但嘔者、宜葛根加半夏湯。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
#葛根加半夏湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「葛根4g、麻黄・大棗各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、半夏8g、干姜1g」◎葛根湯の証にして嘔する者を治す。《吉益東洞》◎《傷寒論》に太陽と陽明との合病必ず自下利す葛根湯之を主ると曰う。下利せず但嘔する者は葛根加半夏湯是を主ると曰う。為則按ずるに合病の説は疾医の言にあらざるなり。項背強急、汗なく悪風、身疼痛して嘔する者は葛根加半夏湯之を主る。《重校薬徴》◎葛根加半夏湯は、太陽と陽明との合病、身熱し、頭疼み、項強り、煩熱し、鼻乾き、目疼んで嘔するを治す。《証治要訣》◎此方は合病の嘔を治するのみならず、平素停飲ありて本方を服し難く、或いは酒客の外感などに、反って効を得るなり。
◎葛根湯の証で吐く者。
★適応症及び病名(かっこんかはんげとう)[1]嘔吐:☆総て葛根湯の証にして、乾嘔或いは嘔吐を発する者《奥田謙蔵》[2]悪寒[3]咳嗽[4]喀痰
☆葛根湯を飲むと吐き気を催す者。[5]急性大腸炎<嘔吐がある>[6]項背強[7]食欲不振:☆葛根湯を与えて、反って食欲減退する者に、本方の応ずる証あり。《奥田謙蔵》[8]身熱[9]頭痛[10]赤痢:☆小児の赤痢、及び疫痢の初期にして、表証有り、或いはその嘔吐を以て始まる等の者。《奥田謙蔵》[11]]発熱[12]]煩熱
[13]無汗 #葛根解肌湯[1]《東醫寶鑑》「葛根・柴胡・黄芩・芍薬・羗活・石膏・升麻・白・桔梗各1銭、甘草5分を剉作して、1貼に姜3、棗2を入れ水煎服。◎陽明経病に目がチカチカし、鼻が乾いて、寝られないとき。
#葛根解肌湯[2]《東醫寶鑑》「葛根3銭、麻黄・黄芩各2銭、芍薬1銭半、桂皮1銭、甘草8分」剉作1貼し「姜3、棗2」入れ水煎服。◎春瘟で発熱し、渇く。
#葛根橘皮湯《東醫寶鑑》「葛根・橘皮・杏仁・知母・黄芩・麻黄・甘草各1銭」水煎服。 ◎冬温の発斑を治す。 #葛根紅花湯《漢方治療の実際》「葛根・芍薬・地黄各3。黄連・梔子・紅花各1.5、大黄・甘草各1」
# 葛根竹茹湯《東醫寶鑑》「葛根3銭、半夏(切って姜汁と漿水で煎じて、焙って乾燥)2銭、甘草1銭を剉作して、1貼に姜3、棗2、竹茹1を弾子大に丸めて服用。◎胃熱があって嘔吐、煩渇・脈早い者を治す。
#葛根片(北京心不全協作組)
1錠中に葛根フラボン100mgを含む。毎日3回、1回1~2錠づつ服用。 4~12週を1クール。 ◎狭心痛。 葛黄丸《東醫寶鑑》(一名葛連丸)
「黄連4両、葛花2両」作末し、大黄末を水で煎じた内に入れ膏をつくり、 梧子大の丸剤。温水で100丸服用。 ◎飲酒過多で熱がつもり、衂血して死に至るとき。
葛朮湯《東醫寶鑑》 「葛根・蒼朮各2銭、枳実・山梔子・甘草各1銭、豆豉1合」作末し水煎服。 ◎酒疸を治す。 葛朮湯《医学入門》《古今方彙》 「葛根・白朮・桂心各1分、豆豉・杏仁・甘草各5分、枳実3分、水煎。 ◎酒疸及び脾経肉疸、労役疸、腎経黒疸を治す。 ◎熱有る者:「桂枝白朮山梔子」
滑石丸《東醫寶鑑》 「滑石末」飯で梧子大の丸剤。10丸を飲む。 ◎傷寒で汗が出ず衂血が出るとき。 滑石散[1] 「寒水石2両、滑石・乱髪霜・車前子・木通各1両、葵子1合」を水1斗を5 升まで煎じる。1回に1升、1日3回。
◎臍下が急に痛み、小便が出ない者。 ◎転で小便不利。 滑石散[2]《東醫寶鑑》 「滑石・石膏各5銭、石葦・瞿麦・木通・蜀葵子各3銭を作末し、毎回2 銭を、葱白2茎・灯心ひとにぎり・蜜2匙を煎じた湯で、空腹時に服用。
◎沙石淋を治す。 滑石散《備急千金要方》 「滑石、通草、車前子、冬葵子」 滑石礬石甘草散《東洞家塾方》 「滑石・礬石各6両、甘草3両」 右3味、杵き篩い作末、毎服1銭温湯にて之を下す。
◎淋病。 ◎小便不利の者を治す。 “余嘗て淋家痛み忍ぶべからずして渇する者を治するに、滑石礬石甘散を用ひ、その痛み立ちどころに息む。”《薬徴》
膈下逐湯《医林改錯》 「五霊脂、当帰、赤芍薬、桃仁、降下、香附子、烏薬、甘草、川芎、牡丹皮、 延胡索、枳殻」 膈下逐湯《医林改錯》《中薬臨床応用》 「五霊脂(炒)・当帰・赤芍薬・桃仁・紅花・香附子・烏薬・甘草各9g、川 芎・牡丹皮・延胡索・枳殻6g」水煎し2回に分服。 ◎内出血に伴う便秘(大黄)。
豁痰湯《万病回春》《古今方彙》 「半夏・山梔子各1銭、海桐皮・陳皮・枳殻各8分、桔梗・赤芍薬・蒼朮・ 香附子各7分、茯苓6分、川芎・欝金各57分、甘草1分」水煎。
◎肩背疼痛するを治す。 ◎痛み甚だしきには:「芒硝」 霞天膏《東醫寶鑑》 「黄牡牛1具を純黄し、肥沢して病の気の全然ない2~3才になったものの、4 腿(ふくらはぎ)・項・脊を取って筋と膜は捨て、精肉でだんご程度の大き さに切って、40~50斤程をきれいな大きな釜にれ、長流水又は清潔な水で 煮るが、煮る時は火を連続に燃やし、ひっくり返しながら、又、水がなくな ったら熱湯を加えながら、水をかぶせて煮る事を忘れない事。そこの浮沫は 取って捨て、肉が溶けて泥のようになったら、濾過して汁を取り、又、小銅 鍋のような容器に柔柴で強火で沸して、上記のように休まず撹拌し、汁がだ んだん稀のようになったら、それを1滴程度、水に溶して散らないと、琥 珀と如王膏が完全になった事になる。しかし一番注意する事は、用心しない と膏にならないから良く注意してやる事である。12斤に膏1斤程度を作り、 磁器に入れて置いて使うから霞天膏と言う。
<1>薬剤に調用するには、最初に少し入れ、徐々に増やすのが良い。 <2>温火で煮詰めると、自然に熔化するから、丸薬を作るなら毎3分に白 蜜1分を入れて一緒に煮詰め糊を作って製丸し、或いは煉蜜で作っても 良い。又、寒天にして置くといつも新鮮である。 <3>夏は冷蔵庫などの冷所に保管すればよい。
◎虚痰・老痰が胸に粘着したときに、この膏を使って吐かせる。そして実痰・新 痰を治すには天南星・半夏を使って燥し、橘紅・枳角で散らし、猪苓・茯苓で 浸透させ、黄芩・黄連で降ろし、巴豆・附子で流通させ、竹瀝・瓜蔞で潤下さ せる。
喝起散 「嫩心(嫩ドン=若い)を陰干しにし作末して、2銭を酒で服用。」 ◎風寒の頭痛を治す。 蝎麝白元子《世医得効方》《東醫寶鑑》 「半夏7両、天南星3両、白附子2両、川烏・天麻・防風・各1両、全蝎5 銭、麝香半銭」を作末し、姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸呑 み、風には温酒で1日3服すれば、数日後に汗をかいて患部が楽にな り、3~5日すぎたらあくびをする。
◎中風の痰涎壅塞と、一切の風疾に諸薬が効かないとき。 蝎梢散《東醫寶鑑》 「羊脛骨(灰)2銭半、麻黄1銭半、草豆蔲皮1銭、羗活5分、桂皮・升麻・ 防風・藁本・黄蓍各3分、白・当帰身・柴胡各2分、全蝎梢少し」を作 末し、牙上にすりつける。
◎大寒により脳を犯し、牙痛ある者。 蝎梢散《東醫寶鑑》 「蝎梢49枚を生薄荷葉でくるんで鍋で炒り、乾いたら再び、「白殭蚕49個」 を入れて姜汁で炒り、乾いたら脳・麝をそれぞれ少し入れて細末にし、「紫 雄鶏肝2片」を煎じた湯で呑み下す。 ◎胎風・臍風などを治す。
果附湯《東醫寶鑑》 「草果・炮附子各2銭半、生姜7、大棗2」水煎服。 ◎瘧疾で、顔色が青く・寒くて震える。 家方三物湯《和田東郭》 =「三物梓葉湯」 「赤梓・忍冬・通草各8分」 赤梓=あかめがしわ 忍冬=にんどう 通草=あけび ◎《和田東郭》の《蕉窓雑話》に詳しい 「この薬全体、癰に用るには半紙2つ切にして、その紙に円くなるほどの大剤 に調合し、水5合を入れ煎じて2合半とし、1日に2貼ほどづつ用ゆ。もし 煎汁多くて呑みかむる者には、よく煎じつめて用ゆ。初よりこれを用ゆれば、 終始この薬一方にて大抵はすむなり。これを用ゆれば、暫時にして高く腫 して蜂の如く穴あきて水出るなり。潰爛に至るときは腐肉トロトロして取 れて生肉上るなり。この薬、肉を通じ、血分を通ずると見ゆ。畢竟疎通の剤 なるゆへよく内托すると見ゆ。実に霊方なり。その薬の尋常なるを以てこれ を軽視すべからず、先ず巧用の著しきことは癰疽などにて用て甚だ功あり。 また飯たきの女などの指先の痛むに用ゆれば、僅かに2~3貼も用る中に、 ぶっくりと腫上るなり、故に風毒流注の未だ潰ゆべきは潰ゆ」 ◎僕郷里、因州鳥取に在っては旧同藩医、戸崎省庵を師とせり、竹中氏の門に遊 んで東郭家を信ずる故、この三物梓葉湯もしばしば試用するに、往々験あり。 その目的は ①必ず醸膿を以てその毒を排せずんば愈べからざる種類の諸瘍にして、膿ま さに成らんとして未だ成らざるの間に用て膿潰を得ること甚だ速なり。 ②諸癰疽及び便毒に多く用ゆ。 ③疔の如き迅速の症には間に合はず。 ④また痔疾及び風毒腫その他諸瘡には未だ確験を得ず。 ⑤又、膿已に成り潰えて後、或いは専ら補托の剤を頼むべき者には決して効 無し。 ⑥されども、癰疽すでに潰ゆと雖も、毒勢なお去らず、痛未だ止まざる者 には、托裏消毒飲に楸葉を加えて面白き効き目あり。
要するに、実症の者に行くべくして虚症には効無しと思われる。 また僕が母方の祖父に衣笠遊鴎と云う者、医を業として亦楸葉を用ひて、婦 人、分娩後、乳房凝結脹大にして乳汁塞て出でず、苦痛する者、或いは出づと 雖も凝りあって痛む者に、葛根湯楸葉を用いて能く消散す。外用よりも楸葉 1味を煎じて蒸さしむ。もし人乳汁乏少にして且つ乳房の凝痛する者には、五 味蒲公英湯楸葉を用ゆるに両全の効あり。」《藤田謙造》
★適応症及び病名 癰疔 牙疼禽嗽薬《東醫寶鑑》 「露蜂房1個の孔すべてに、胡椒・川椒を水につけたものを詰めて蓋をし、 紙で封をして重湯にし、温いうちにうがいをして、冷えたらはき捨てる。」
◎歯牙の疼痛。 画眉膏《東醫寶鑑》 「山梔子(炒黒)3個、雄黄・朱砂・軽粉」少しずつ作末し、清油で調合して 眉に塗る。
◎小児の乳離れに使う。 過敏性鼻炎湯《中薬臨床応用》 「路路通12g、蒼耳子9g、辛夷6g、防風9g、白6g」水煎服。 ◎アレルギー性鼻炎。
荷葉煎《中薬臨床応用》 「鮮荷葉12g、香薷9g、白扁豆6g、冬瓜皮6g」水煎服。 ◎熱射病 ◎日射病 ◎頭が脹る ◎胸苦しい ◎尿が濃い
括蔞薤白桂枝湯《金匱要略》 ◎胸中痺し、満ちて痛み、或いは上衝する者を治す《方極附言》 ◎して痰飲を唾し、胸満し、脇下より逆して心を搗き、その人必ず頭汗出ずる は、括蔞薤白桂枝湯之を主どる。《医聖方格》 ◎世に所謂、痰労とは、咳嗽、胸満して痛み、或いは脇肋肩背攣痛し、粘痰或い は唾血する者なり。此方に宜し。当に胸満、胸背攣痛を以て目的と為すべし。 南呂丸、或いは姑洗丸を兼用す《類聚方広義》 ★適応症及び病 [1]胃痙攣: 胃ケイレン、及びその類証。《奥田謙蔵》 [2]狭心症:
狭心症、及びその類証。《奥田謙蔵》 [3]心臓神経痛: 括蔞薤白白酒湯[1-1]《金匱要略》 =「括呂薤白白酒湯」 「括蔞実(搗)1枚、薤白半升、白酒7升」 右3味、同煮取2升、分温再服。 ◎胸痺之病、喘息唾、胸背痛、短氣、寸口脉沈而遅、關上小緊数、括蔞薤白白 酒湯主之。 《金匱要略》胸痺心痛短氣病脉證治第九。
括蔞薤白白酒湯[1-2]《金匱要略》 「括蔞実2.4、薤白9.6、白酒2合1勺(今、《尾台榕堂》氏に従い、水1合9 勺に米醋(=きず「生酢」)2勺を加えて之に代う)」
括蔞薤白白酒湯[1-3]《金匱要略》《中薬臨床応用》 「括蔞仁15g、薤白9g、白酒60g」水煎服。 括呂薤白白酒湯[1-4]《漢方治療の実際》 「括呂実2、薤白4」を白酒400‹に入れ、150‹に煎じ、1日3回に分服 する。白酒の代用として上等の清酒を用いるがよいとする者と、酢を用い る者とある。酢の場合は水400‹の中に酢40‹を入れる。 ◎山田椿庭の、白酒は醋で良いとしている《大塚敬節》
括蔞薤白白酒湯[1-5]《金匱要略》《龍野一雄》 =「括呂薤白白酒湯」 「括蔞実4g、薤白8g、日本酒140cc」 水を入れずに煮て40ccに煮詰め、2回に分服。 ◎胸中痺して胸背痛み、及び喘息、唾する者を治す《方極附言》
◎胸背痛、心下部疼痛、或いは喘息短気咳唾。 ★適応症及び病名 [1]息切れ [2]胃炎 [3]胃痛 [4]咳嗽 [5]喀痰 [6]肩こり ①肩背強急
②胸痛 [7]感冒 [8]気管支炎 [9]気管支喘息 [10]気胸 [11]狭心症: ☆狭心症、及びその類証《奥田謙蔵》
☆飲みにくいので、少しづつ冷服するとよい。真性狭心症で、胸背痛、喘鳴、呼吸困難のものに用いるが、発作時にも飲んでよい。飲めないときは、発作が治まってかあ飲むようにする。 [12]胸内苦悶感 [13]胸痛: ☆白酒は醋のことである。胸背が痛んで呼吸が困難な者に用いる。 薤白は君薬である。この方を用いて中ると良く効くものである。 たいがい胸痛の甚だしいものは治るものである。括呂薤白半夏湯 はこの湯よりも一段と痛みが強く背へ抜ける者によい。病が一等 重いものである《梧竹楼方函口訣》 [14]肩背強急 [15]呼吸困難: ☆喘息で、咳と痰が出て、胸と背が痛んで、呼吸の促迫する者にこ の方を用いる《大塚敬節》 [16]縦隔腫瘍 [17]心悸亢進 [18]心筋炎 [19]心筋梗塞 [20]心臓神経症 [21]心臓喘息: ☆心臓性喘息、及びその類証《奥田謙蔵》 ☆心臓性喘息や狭心症などで、呼吸が苦しく、胸から背にかけて痛 む者に用いる《大塚敬節》 [22]心不全 [23]膵臓炎 [24]喘息:
☆括呂薤白白酒湯、多年喘息を患う者にこの証が多い。或いは労咳 と云われて百薬の効のない者、例えば、大小の青竜湯または麻黄 甘草湯或いは葛根湯などの証に似て、これらを用いて効のない者 にこの証が多い。この証に似て、茯苓杏仁甘草湯の証がままある。 診察を誤らないようにしなければならない。もしみずおちの動悸 の有無で、この2つの方を区別するがよい。《腹証奇覧翼》 [25]胆石症 [26]肺気腫 [27]肺結核 [28]肋間神経痛 「絡石藤、寛筋藤」《中薬臨床応用》 [29]肋膜炎
括蔞薤白半夏湯[1-1]《金匱要略》 「括蔞実1枚、薤白3両、半夏半升、白酒1斗」 右4味、同煮取4升、温服1升、日3服。 ◎胸痺、不得臥、心痛徹背者、括蔞薤白半夏湯主之。
括呂薤白半夏湯[1-2]《漢方治療の実際》 「括呂実3、薤白3、半夏6」以上を白酒400‹に入れ半分に煮詰め、滓を 去り3回に分服する。 ◎この薬方に入れる白酒は醋でよい。先ず水250ccほどで、180cc位に煎じ、煎 じあがる少し前に、猪口に1杯くらい醋を入れてから呑む。呑みにくい薬だが、 病気の激しい時は、呑みにくいとは感じない。《大塚敬節》
括蔞薤白半夏湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 =「括呂薤白半夏湯」「括楼薤白半夏湯」 「括蔞実4g、薤白3g、半夏8g、日本酒200cc」 水を入れずに煮て80ccに煮詰め、3回に分服。
◎喘咳し、吐逆して臥することを得ず、心痛背に徹する者は、括蔞薤白半夏湯之 を主どる《医聖方格》 ◎必ず痰涎、短息の症あり、且つ必ず背に徹す。《類聚方広義》
◎胸痺痛して臥すことを得ず、心痛背に徹する者。 ◎「括呂薤白白酒湯半夏」で白酒湯よりも、更にその症状の激しい者に用いる 《大塚敬節》
★適応症及び病名 [1]息切れ [2]嘔吐 [3]悪心 [4]喀痰 [5]気管支炎 [6]気管支喘息 [7]気胸 [8]狭心症: ☆狭心症、及びその類証《奥田謙蔵》
☆古人が真心痛といった、狭心症及びこれに類する病気に良く効く 《大塚敬節》 [9]胸痛:<劇痛> ☆劒状突起のあたりの真ん中で起こり、それが背に徹するもので、 その痛みの様子は、口に言い難く、どことなく凄惨にして危篤に みえるものである。《大塚敬節》 ☆この方の患者は、触診を嫌い、脈は沈伏(分かりにくい程に沈む) で、顔色がひどく悪く、煩躁する訳ではなく、陰々と痛み、横臥 出来ないのが特徴である。《大塚敬節》 [10]胸内苦悶感 [11]肩背強急 [12]呼吸困難 [13]縦隔腫瘍
tumor of mediastinum [14]心悸亢進 [15]心筋炎 [16]心筋梗塞: ☆真心痛の激しい者は、朝に起こって夕を待たずして死ぬるもので あるが、椿庭はこのような病人を10人ほど診たが、どれも皆、 括呂薤白半夏湯を多量に呑んで治したという。その内の1人だけ は、この方で効無く、附子理中湯で著効を得、他の1人はいろい ろ用いたが効無く頓死したという。《大塚敬節》
[17]心臓神経症: ☆心臓神経症、及びその類証《奥田謙蔵》 [18]心臓喘息: ☆心臓性喘息、及びその類証《奥田謙蔵》 [19]心臓弁膜症 [20]膵臓炎 [21]胆石症 [22]肺炎 [23]肺気腫 [24]肺結核症 [25]肋膜炎
括蔞薤白半夏湯加減《中薬臨床応用》 「括蔞仁30g、薤白12g、製半夏6g、丹参18g、欝金9g、紅花6g」 ◎狭心症の発作 ◎乾性肋膜炎
括蔞枳殻湯《万病回春》《古今方彙》 =「括樓枳殻湯」 「木香・砂仁・陳皮・貝母・黄芩・杏仁・香附子・括楼仁・枳殻・桔梗・川 芎・蒼朮各1銭、甘草3分、生姜」水煎。「竹瀝、姜汁」を入れ調服。
◎痰欝症を治す。 ◎凡そ痰欝の者は動けば即ち喘満気急寒痰ででず、胸脇痛み脈沈滑なり。 括蔞枳実湯[1-1]《万病回春》《古今方彙》 =「括樓枳実湯」「括呂枳実湯」 「当帰6分、砂仁・木香各5分、甘草3分、山梔子・黄芩・陳皮・括楼仁・ 枳実・桔梗・茯苓・貝母各1銭、生姜、大棗」水煎。「竹瀝、姜汁(少許)」 入れ同じく服す。 ◎痰結して咯吐して出でず、胸膈痛みを作し、転側する能わず、 ◎或いは痰結して胸膈満悶、寒熱気急するを治す。
◎並びに心竅に迷い言語する能わざる者を治す。 ◎咳嗽、食積にて嗽する者は痰嗽膠の如し。 ◎咳嗽にて胸膈結通する者は是れ痰結なり。 ◎早晨に嗽する者は胃中に食積あるなり。 (晨=シン、あした) ◎上半日嗽多き者は胃中に伏火あるなり。ともに此方に宜し。 ◎健忘:痰が心竅に迷い、神は舎を守らず、人をして健忘せしむる者を治す。 依りて:「遠志石菖蒲」 ◎脇痛:痰結して脇下痛むを治す。 依りて:「白芥子青皮小茴香桔梗黄芩」 発熱する:「柴胡」
括呂枳実湯[1-2]《漢方治療の実際》 「当帰・茯苓・貝母各3、括呂実・桔梗・陳皮・黄芩・生姜各2、縮砂・木 香・甘草・梔子・枳実・竹瀝各1」今、竹瀝の代わりに、竹茹3、または 竹葉を以て代用する。 ◎目標:《木村長久》 4、50歳で従来多量に喫煙を嗜む者。
皮膚は汚穢色で血色に乏しく、やや弛緩して、枯燥の気味がある。 脈は硬く触れ脈管硬化を察する。 腹筋は枯燥拘急し、ことに心下部には腹直筋の攣急を触れる。
以上の目標にて、此方を慢性咳嗽に用うれば的中せざることほとんど稀で ある。また、喫煙家でなくとも、此証があれば応用目標となる。括呂枳実湯 の咳嗽には気急と云い、喘咳と云うのが特長となるから注意を要する。以上 によって本方を慢性気管支炎・肋膜炎・肺炎・肺気腫・肺結核などに応用し ていたが、今度は前記の目標を以て運用してみようと考えた。そこで第1に 試みたのが、食後1~2時間あるいは空心時に胃痛を訴える溜飲症ないし胃 酸過多症である。喫煙家で溜飲症の胃痛を訴え、前記の証を具えた者に応用 したところ果たして奏効した。そこで私は括呂枳実湯は慢性ニコチン中毒と 関係があると考え、喫煙家に多い病症に次々と応用したところ、何れも良い 結果を得た。今まで経験したものは、動脈硬化症で身体疲れやすく、諸神経 痛、肩凝り、脳力低下を覚える者。慢性ニコチン中毒による心臓衰弱症にて、 動悸息切れを覚え、時々狭心症類似の発作を現す者。及び狭心症である。 ◎鑑別:「柴陥湯」 「この方と柴陥湯とは、咳嗽があって、胸痛を訴え、痰が粘稠で切れにくい、 という点では同じで区別しにくいが、柴陥湯には気急という症状が無い」 と述べている《大塚敬節》
括蔞枳実湯[1-3]《増補万病回春》 「枳実、括蔞仁、桔梗、茯苓、貝母、陳皮、黄芩、山梔子、当帰、砂仁、木 香、甘草、生姜」
括蔞枳実湯[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》 =「括樓枳実湯」「括呂枳実湯」 「当帰、縮砂、木香各1.5g、甘草・干姜各1.0g、山梔子・黄芩・陳皮・瓜蔞 仁・枳実・桔梗・茯苓・貝母各3.0g」 ◎痰結して喀吐出でず、胸膈満悶、寒熱気急し、或いは胸膈痛を作し、轉側する 能わざるを治す。 ◎実証の粘痰喀出困難、胸痛、胸部満悶、或いは熱気。
◎目標:《療治経験筆記》 喘息 胸痛 咳嗽して息を止む 小便赤く 脈実数 以上の5症は此方を用いる目標である。この5の中、喘急、胸痛があって、 呼吸の間に、息を引とめる意があれば、脈と小便の色を問題にせずに用いて よい。 ◎胸がべったりとして肋骨の間が痛み。或いは悪寒のあとで、熱が出て、痰がの どの塞がってなかなか出ず。或いは飲食物がつまって下りにくい者。或いは首 筋から肩へかけてひどく凝る者に良い。結局、肺と胃に潜在性の炎症があって、 痰が粘って、このような症状を呈する者である。《梧竹楼方函口訣》 ◎この方は、腹部が軟弱無力というような虚証や疲労倦怠感の甚だしい者や、食 欲不振・下痢などの証のある者には用いない。滋陰至宝湯や味麦益気湯よりは、 はるかに実証で、体力のある者に用いる《大塚敬節》 ★適応症及び病名(五十音順) [1]胃液分泌過多症 [2]胃酸過多症 [3]咳嗽: ☆早朝の咳嗽《衆方規矩》 ☆咳が胸にひびく者。 ☆咳で呼吸が止まりそうになる者。 ☆咳をして息苦しいという者が目標で、老人の喘息様の咳嗽に、この 方を用いる証があるが、ただ痰が粘稠で切れにくいというだけでは、 息苦しさを訴えない者もある《大塚敬節》 ☆気喘する者:「蘇子桑白皮」 ☆午前中だけ咳嗽があり、その他の時には何のことも無いという者に、 この方を与え、半年以上続いた慢性咳嗽を治したことがある《大塚 敬節》 [4]喀痰<濃厚な痰>
[5]気管支炎(急性・慢性) ☆喫煙家の慢性気管支炎・気管支拡張症で、朝目覚めると、しばらく 咳が続き、タンが絡んで切れにくく、息苦しい者。 ☆体格は頑丈だが、乾燥肌の喫煙家。 [6]狭心症
☆本方は、タバコのみの慢性気管支炎に用いられることがあり、それにヒントを得て、喀痰が胸に塞がって、胸痛、呼吸困難を訴え、言語の出にくいのを目標にして、狭心症様の発作のあるものに用いる(漢方診療医典) [7]胸痛: ☆肺炎、気管支炎などで、呼吸が苦しく胸痛を訴える者に、この方を 用いてよい場合のあることが考えられる。ことに中年以降の方で、 タバコを好み、からだの肉付きがしまった人で、咳嗽時に胸痛を訴 え、痰の切れにくい時に良く効く。《大塚敬節》 [8]高血圧症 [9]呼吸困難 [10]心痛 [11]動脈硬化 [12]尿色<赤濁> [13]肺炎: ☆陳久性肺結核があって、喫煙家で、酒飲家で喘息様の咳嗽を訴える 者に、この方を用いて著効を得たことがある《大塚敬節》 [14]発熱 [15]皮膚枯燥 [16]老人の慢性咳嗽 [17]肋膜炎
[18]肋間神経痛 括蔞瞿麦丸《金匱要略》 「括蔞根2両、茯苓3両、薯蕷3両、附子(炮)1枚、瞿麦1両」 右五味、末之、煉蜜丸梧子大、飲服三丸、日三服、不知、増至七八丸、以 小便利、腹中温為知。 ◎小便不利者、有水気、其人若渇、括蔞瞿麦丸主之。 《金匱要略》消渇小便利淋病脉證幷治第十三。 ◎此方は水気にて小便不利、苦渇する者を治する方なれども、凡て「八味丸」の 症にて地黄の泥恋して服しかぬる症に用いるべし。 ◎腎気丸の証にして地黄を嫌忌する者を治す。《先哲医話》 ◎心下悸し、小便利せず、悪寒して渇する者を治す《方極》 ◎消渇、「八味丸」の症にして小便不利する者は此方に宜し。蓋し此方は、火酒 を製するような仕掛けにて、附子、下焦の火を補い、茯苓、薯蕷、中焦の土を 補い、括蔞根、上焦を清し、水と火と上下にありて中の水気を蒸したてる趣向 なり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎夜に入って口渇し、舌乾き眠るを得ざる者、久しきを経ば、必ず消渇と為る。 此の煉蜜をゆるゆる服するに宜し。《雑病翼方》 ◎《沈明宗》曰く、利水発汗は乃ちその常を言う、而して未だその変に及ばざる なり。当に実者を審(つまび)らかにし。その常を施し、虚者はその変を施すべ し。但し治変の法は、汗せんと欲する者は当に補陽。即ち「麻黄附子湯」の類 を兼ねるべく、小便を利せんと欲する者はその陰を養う。即ち「括蔞瞿麦丸」 の類を兼ねるべし。 ◎《庭劉》曰く、此方は小便閉して腎気丸に宜しく、而してその人厭いて泥恋 する者に甚だ験ありと。《雑病論識》 ★適応症及び病名
脚気: ☆軽症脚気等にして、下肢に冷感有り、口中乾燥するも、あえて水を欲 せず、尿利減少し、微しく心悸亢進を覚える証《奥田謙蔵》
☆産後の脚気等《奥田謙蔵》 括蔞桂枝湯[1-1]《金匱要略》 「括蔞根2両、桂枝3両、芍薬3両、甘草2両、生姜3両、大棗12枚」 右六味、以水九升、煮取三升、分温三服、取微汗。汗不出、食頃啜熱粥發 之。 ◎太陽病、其證備、身體強、几几然脉反沈遅、此為。括蔞桂枝湯主之。 《金匱要略》湿病脉證第二。
括呂桂枝湯[1-2]《漢方治療の実際》 「桂枝湯括呂根3」 括蔞桂枝湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 =「括呂桂枝湯」 「括蔞根・甘草各2g、桂枝・芍薬・大棗各3g、干姜1g」 水360ccを以て煮て120とし、3回に分服。 ◎身体強り、脉沈遅。 ★適応症及び病名 痙性麻痺
痙病 括蔞牡蠣散《金匱要略》 「括蔞根・牡蠣(熬)」等分。 右為細末、飲服方寸匕、日3服。 ◎百合病渇不差者、括蔞牡蠣散主之。
《金匱要略》百合孤惑陰陽毒病證治第三。 ◎休息痢で百薬効なきとき。 括蔞湯[1]《黴新書》 =「括楼湯」 「括蔞根・牡蛎・甘草各1銭、連翹・羗活各2銭、反鼻8分」 ◎湿労:結毒咳嗽して連々虚労状をなす者。
(参照→九味柴胡湯[1]《高階枳園》) 括蔞湯[2-1]《潜名方》 =「括呂湯」 「括蔞仁1枚、橘皮1両、半夏1両、枳実1両、桂枝、桔梗、薤白、厚朴、 生姜」
括呂湯[2-2]《漢方治療の実際》 =「括楼湯」 「括呂実・桂枝・半夏各4、橘皮・厚朴・薤白各3、枳実2、生姜・桔梗各2」 ◎胸痺を治す。 ◎此方は括蔞薤白白酒湯の変方にして、括蔞薤白白酒湯の激する者、此方中庸を 得て効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎痰飲胸膈に結氏、痛忍ぶべからず、咳嗽、喘鳴、気急の者は小陥胸湯に宜し。 もし胃中伏火ありて咳嗽気急、あるいは膠痰を吐き胸痛する者、瓜蔞枳実湯に 宜し。
◎胸中痛背に引きて微咳、熱候なき者は此方の主なり。 【適応】 狭心症 括楼薤白白酒湯が飲みにくくて、おさまらないもの。または括楼薤白白酒湯を飲んで、かえって病勢が激発するものによい。痛みが胸から背に抜けて、呼吸促迫の甚だしいものを目標にする(漢方診療医典)
乾葛湯《医学入門》《古今方彙》 「乾葛・枳殻・半夏・茯苓・生地黄・杏仁各5分、黄芩・甘草各2分半、黒 豆100粒、生姜、白梅」水煎。
◎たまたま飲酒して痔瘡を発動し腫痛して流血するを治す。 乾姜甘草湯《外台秘要方》 「甘草乾姜湯《傷寒論》」に同じ。 ◎吐逆、水薬下らざる者を治す。
乾姜半夏人参丸[1-1]《金匱要略》 =「乾姜人参半夏丸」 「乾姜1両、人参1両、半夏2両」 右三味、末之、以生姜汁糊為丸如梧子大、飮服十丸、日三服。 ◎妊娠嘔吐不止、乾姜人参半夏丸主之。 (婦人妊娠脉證幷治第二十) ☆乾姜人参半夏丸、本治の例に依って、試みにその功を推すし、心下に結実の毒 あり、しかして嘔吐止まざる者、実に是れ之を主る。《薬徴》
乾姜半夏人参丸[1-2]《金匱要略》 ◎《温知堂雑著》 「半夏乾姜人参丸を嘔吐に用いるにも、本条に言うとおり、嘔止まずと云うを 目的にして用いる。これは他薬を用いて効無く、悪阻久しく止まず胃中虚寒 を帯びるところに用いる。それ故に始めからこの方を与えても効がない。余 は3味を等分にして、普通の煎剤の1貼の量に調合して、水1合3勺を入れ、 6勺に煮詰め、これを10回に分けて、極少量をたびたび呑ますようにして いる。
この方の応ずる嘔吐の模様は、飲食すると直ちに吐出して、諸薬を呑んで も受け付けない者に良い。 なお、この方の適する者は、1、2貼、服する間に、必ず気持が良くなる ものである。2、3貼を服しても、なお少しも効を診ない者は、この方の応 じない者である」
★適応症及び病名 [1]嘔吐: ☆頑固な嘔吐に乾姜半夏人参丸烏梅丸で著効を得ることがある。《大塚 敬節》 ☆安井仲平の娶(シュウ、めとる)、歳20ばかりは、産のあと胃の消化が悪 く、ときどき飲食を吐きひどく痩せ、ついに大嘔吐を発し、薬も食事も 一切口に入れることが出来なくなった。脈をみると、微細で、四肢は微 冷し、口は乾燥して冷水をほしがる。医はただ手を束ねてどうすること も出来ない。
余はこれを診察して、半夏乾姜人参丸料を作り煎じて冷たくした液を、 時々、蛤の殻に1杯づつ呑ましめ、又冷水で烏梅丸を呑ましめた。そこ で始めて薬が咽を下り、嘔吐が止み、2、3日を経て、薄い粥をすする ようになった。やっと胃の機能が回復した。
そこで、1ヶ月あまり前方を続けると、肉づきよく肥満して、健康体 となった。《橘窓書影》 [2]吐水: ☆旧幕府市予、池田播磨守の妾40歳あまりが、かねてから吐水のくせが あったが、炎暑のため病勢つのり、食欲は全くなくなり、痩せて骨ばか りとなった。それに胸が痛むように灼けて冷水を好む。
余は半夏乾姜人参丸料を与え、烏梅丸を兼服せしめた。するとたちま ち嘔吐が止み、胸が焼けるように痛むのも、日々に減じ、飲食も日毎に 進むようになった。《橘窓書影》
甘桔湯[1-1]《外科正宗》=桔梗湯《傷寒論》 「桔梗1両、甘草2両」 甘桔湯[1-2]《東醫寶鑑》 「桔梗3両、甘草1両」を粗末にし、毎回5銭を水煎し、冷服。
◎咽痛。 甘桔湯[1-3]《小児薬証直訣》《古今方彙》 「甘草(炙)2両、桔梗1両」水煎温服。又阿膠を入れて煎じる。 ◎熱涎を咳吐し、咽痛みて利せざるを治す。
#甘桔湯[2]《万病回春》《古今方彙》「桔梗3銭、防風・荊芥・黄芩・薄荷・甘草各1銭」水煎、食後頻繁に温服する。 ◎小児の咽喉腫痛、風毒等の症を治す。
#甘汞丸《華岡青州》「甘汞1銭、黄連解毒湯末3銭」◎陰中糜爛 #甘草湯[1-1]《傷寒論》「甘草2両」右1味、以水3升、煮取1升半、去滓、温服7合、日2服。◎少陰病23日、咽痛者、可與甘草湯。不差、與桔梗湯。
《傷寒論》辨少陰病脉證幷治第十一。 #甘草湯[1-2]《傷寒論》《龍野一雄》「甘草2g」水120ccを以て煮て60に煮詰め、2回に分服。 #甘草湯[1-3]《漢方治療の実際》「甘草8」
証(咽痛の者)《薬徴》◎病逼迫し及び咽喉の急痛する者を治す《吉益東洞》 ◎此方も亦その用広し。第一咽痛を治し、又諸薬吐して納まらざる者を治し、又薬読を解し、又蒸薬にして脱肛の痛楚を治し、末にして貼ずれば毒蟹・竹木刺などを治す。《勿誤薬室方函口訣》◎甘草。味甘平、毒を解し、中を温め、気を下し、渇を止め、経脈を通じ咽痛を去る。けだし甘草湯は、以て中気を安んじ、痛を緩むるを主るなり。《古今薬議》◎咽痛。咽の使いすぎ。激しい咳。
◎漢方では胃潰瘍という病名で甘草を用いるのではない。《傷寒論》に特に少陰病とあるのに注目しなければならない。少陰病では新陳代謝が衰え、手足が冷え、脈が微細で、生気に乏しいという症状がある。甘草湯を用いるにも、このような状態が必要である。《大塚敬節》
甘草湯[1-4]《傷寒論》★適応症及び病名(かんぞうとう)[1]アナフィラキシー ☆抗原抗体反応に基づく生体反応と定義(→病状:アナフラキシー)[2]胃潰瘍:☆甘草はすべての急迫性の疼痛に用いられる《大塚敬節》
☆傷寒論に“少陰病、咽痛のものは甘草湯を与う”とあって、本方は咽痛ばかりでなく、腹痛、痔痛、四肢痛などで急迫症状の激しい者に用いて効があり、ヨーロッパでは胃潰瘍の薬として評判になり、日本でも追試して薬効が認められた。しかし少陰病の徴候のある胃潰瘍に用いることが望ましく、そうでないと、尿利減少、浮腫、血圧上昇などが現れる。(漢方診療医典)[3]胃ケイレン
[4]咽頭炎:☆急性咽頭炎の初期で、急にのどの痛くなった者似よい。《大塚敬節》☆疼痛の激しい者に良く効くが、激しくないものでもよい。咽頭が乾燥気味で痛む者に良い。これをしばらく口に含んでいて、少しずつ嚥下するようにすると良い《大塚敬節》
[5]咽痛:☆激痛ではない、腫脹なし。☆諸薬口に入らない時、痛の甚だしい時ほど効果大《済世薬室》☆炎症性甚だしからずして、咽痛を発する等の証《奥田謙蔵》
[6]咳嗽 [7]気管支炎: ☆空気乾燥して喉を痛めた時《済世薬室》 [8]気管支喘息 [9]吃逆[10]急迫症状[11]驚狂[12]胸痛[13]筋肉攣縮(筋肉のケイレン)
[14]ケイレン性疼痛 [15]口内炎(アフター性) [16]呼吸促迫[17]嗄声:☆声音嘶嗄等《奥田謙蔵》[18]四肢疼痛[19]痔の疼痛(外用、湯煎し患部を浸ける。)☆エキス4g~10gを湯おけに溶かし、患部を浸ける《螺王人》
☆温湿布によって、急迫性の激しい疼痛を緩解せしめることが出来る。また内服しても良い。ただし疼痛のあまり強くない場合の温湿布は五物大黄湯でよい。《大塚敬節》[20]歯痛:☆突然に激しく歯の痛む者に用いる。甘草には急迫を緩める効があるので、激しい疼痛を治する効がある。疼痛の軽いものには効がない。《大塚敬節》
[21]上逆[22]心悸亢進[23]心臓神経症[24]心煩 [25]咳[26]胆石症 [27]窒息 [28]中毒[29]手足厥冷 [30]尿閉
[31]排尿痛 [32]発声困難[33]煩躁[34]ヒステリー[35]腹痛:☆凡そ紫円、備急円、梅肉丸、白散等を用いて、未だ快吐下を得ず、悪心、腹痛し、苦楚、悶乱する者、甘草湯を用いるときは、則ち吐瀉倶に快く、腹痛頓に安し。《類聚方広義》
☆感冒や急性胃腸炎による腹痛を訴えた小児の有効率は97.5%(症例集積研究)[36]腹直筋緊張 [37]ベーチェット病 ☆口腔粘膜潰瘍にゆっくりとうがいしながら用いる(漢方診療医典)
[38無声 [39]虫さされ #甘草湯[2]《腹証奇覧》 「甘草・桂枝・芍薬・阿膠各8分、大黄1銭」◎癲癇・腹中拘攣・急迫。或いは腹満・時々息迫・上衝する者。◎此方テンカンの急迫を緩和する効あり。柴胡加竜骨牡蛎湯、紫円或いは沈香天麻湯などを与えて逆に激動し苦悶止まざる者に、此方を用いて一時の効を奏することがある《勿誤薬室方函口訣》
#甘草湯[3]《東醫寶鑑》「甘草・瓜蔞根各2銭」剉作し、水煎服。◎痘瘡で煩渇し、水を飲んでも渇がもっとひどくなる。
#甘草湯[4](一名升麻鼈甲湯)《東醫寶鑑》 「炙甘草・升麻・当帰・桂枝各1銭、雄黄・川椒各1銭半、鼈甲(酥炙)3銭、を剉作1貼して、水煎服。毒は汗と共に出る。出ない時は再煎服する。
◎陰毒を治す。 #甘草黄連石膏湯《吉益東洞》《勿誤薬室方函》 「甘草・黄連・石膏」「鵲石散」《普済本事方》に同じ。◎此方はすべて煩熱渇を主として用いるべし。《勿誤薬室方函口訣》★適応症及び病名[1]驚癇:☆参連白虎湯の之く処。☆風引湯の劇しき症。[2]骨痛[3]傷寒発狂:☆或いは衣を棄て奔走し、垣根をこえ屋に登る者を治す。[4]小児の発育不全:☆小児23歳に至るまで骨格不堅、諸薬無効に此方を与える。[5]吐逆:☆嘔吐、煩渇、心下苦悶する者:「小半夏加茯苓湯」
#甘草乾姜湯[1-1]《傷寒論》「甘草(炙)4両、乾姜2両」右二味、以水三升、煮取一升五合、去滓、分温再腹。◎傷寒脉浮、自汗出、小便数、心煩、微悪寒、脚攣急、反與桂枝、欲攻其表、此誤也。得之便厥、咽中乾、煩躁吐逆者、作甘草乾姜湯與之、以復其陽。若厥愈足温者、更作芍薬甘草湯與之、其脚即伸。若胃氣不和譫語者、少與調胃承気湯。若重発汗、復加焼針者、四逆湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。◎問曰、證象陽旦、按法治之而増劇、厥逆、咽中乾、両脛拘急而譫語。師曰、言夜半手足當温、両脚當伸、後如師言、何以知此。答曰、寸口脉浮而大、浮為風、大為虚。風則生微熱、虚則両脛攣。病形象桂枝、因加附子参其間、増桂令汗出、附子温経、亡陽故也。厥逆、咽中乾、煩躁、陽明内結、譫語煩乱、更飲甘草乾姜湯、夜半陽氣還、両足當熱、脛尚微拘急、重與芍薬甘草湯、爾乃脛伸。以承気湯微溏、則止其譫語。故知病可愈。《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
◎傷寒脉浮、自汗出、小便数、心煩、微悪寒、脚攣急、反與桂枝、欲攻其表、此誤也。得之便厥、咽中乾、煩躁吐逆者、作甘草乾姜湯與之、以復其陽。若厥愈足温者、更作芍薬甘草湯與之、其脚即伸。若胃氣不和譫語者、少與調胃承気湯。若重発汗、復加焼針者、與四逆湯。《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。
#甘草乾姜湯[1-2]《金匱要略》 「甘草(炙)4両、乾姜(炮)2両」右㕮咀、以水三升、煮取一升五合、去滓、分温再服。◎肺痿吐涎沫而不欬者、其人不渇、必遺尿、小便数、所以然者、以上虚不能制下故也。此為肺中冷、必眩、多涎唾、甘草乾姜湯以温之。若服湯已渇者、属消渇。《金匱要略》肺痿肺癰欬嗽上氣病脉證治第七。
#甘草乾姜湯[1-3]《東醫寶鑑》「炙甘草4銭、乾姜(炮)2銭」を剉作1貼して水煎服。 ◎煩躁・吐逆・厥逆を治す。◎肺痿で涎沫を吐き、咳のない者を治す。
#甘草乾姜湯[1-4]《傷寒論》《龍野一雄》「甘草4g、乾姜2g」水120ccを以て60に煮詰め、2回に分服。 証(厥して咽中乾き、煩躁)《薬徴》
「厥、咽中乾」厥して咽中乾き=手足が冷たくなって、口の中に唾液が無くなって乾燥する 甘草乾姜湯証=厥・咽中乾。煩躁吐逆。《薬徴》 [厥]=厥冷に同じ
[咽中乾]=のどに湿りがなく乾く。口渇ではない。 [煩躁吐逆]=もだえ苦しんで吐く。 ◎厥して煩躁し、涎沫の多き者を治す《吉益東洞》◎此方は簡にしてその用広し。《勿誤薬室方函口訣》◎余、甘草乾姜湯を用いるに、その乾姜を炒黒し、「五味子2銭」とし甚だ効あり。《雑病翼方》
◎足冷・咽中乾・煩躁吐逆。或いは肺痿・涎沫を吐し、遺尿・小便数。◎寒性症状があって、新陳代謝の沈衰した者を目標にする。脈は沈にして力なく、手足ことに下半身が冷え、口にはうすい唾液がたまり、尿は水のように稀薄でたくさん出る者に用いる。《大塚敬節》
◎本方は手足の厥冷、多尿、多唾を目標にして用いる。尿も唾液も希薄である。 医師の逆治またはショックなどで手足の厥冷を来した場合には、煩躁の状を呈することがある。《漢方診療医典》
#甘草乾姜湯[1-5]《傷寒論》《漢方治療の実際》「甘草4、乾姜2」 *「+附子」=四逆湯*「+茯苓・朮」=苓姜朮甘湯*「+人参・朮」=人参湯
★適応症及び病名(かんぞうかんきゅうとう)[1]アレルギー性鼻炎[2]息切れ[3]萎縮腎[4]遺尿:☆肺痿の冷症は、その人、肺中冷、気虚し、津液を温布すること能わず、津液聚めて涎沫に化す。故に唾多く出る。然れども熱症の者の唾凝って重濁なるが如きに非ず、又咳なく咽渇せず、彼は必ず遺尿小便数なり。此症に甘草乾姜湯を与えて甚だ奇効あり。☆涎沫を吐して咳せず、遺尿し、小便数鳴る者。南呂を兼用《方機》[5]運動麻痺[6]喀痰(うすい)[7]吃逆:(しゃっくり)☆吃逆を発し、手足冷え、その脈微なる証《奥田謙蔵》[8]気管支炎[9]気管支喘息[10]逆上感[11]胸痛:☆胸脇偏痛を治す。これみな毒心胸に迫るの致す所なり。[12]厥冷:☆全身の厥冷<急激に起こった厥冷>☆煩躁し四肢が冷える☆大率(オオム)ね、急卒に逆冷する者は、此方に宜しく、大病、荏苒として癒えず、而して厥冷する者は、四逆の輩に宜し《類聚方集覧》☆足厥し、咽中燥き、煩躁し嘔逆する者《方機》☆吐下の後、厥逆、煩躁し、如何ともす可らざる者《方機》[13]下痢:☆久痢を治す、兼用は承気丸なり《類聚方集覧》[14]口内乾燥[15]呼吸困難:☆大発汗の後、呼吸促迫し、或いは乾嘔を発し、或いは心煩しその脈弱にして数なる証《奥田謙蔵》
[]後陣痛[16]しびれ[17]子癇:☆産前の子癇は産後の痙と同じくす。ともに甘草乾姜湯に宜し。 又、産後の痙に豆淋酒を用いるは、之を酔わしめ筋脈を緩くするの取るなり。《方読便覧》[18]子宮出血(冷え性)[19]自家中毒[20]自汗
[]弛緩性出血[21]上熱下寒:☆上は熱し、下は冷え、或いは煩躁して安んぜず、その脈弱にして数なる証《奥田謙蔵》☆発汗し、汗出でて後、頭熱し、足冷え、胸部満悶し、乾嘔を発し、その脈緩にして弱なる証《奥田謙蔵》
[]小便自利[22]心悸亢進:☆熱候なくして脈浮数、心悸亢進及び逆上感あり、二便に著変なき証《奥田謙蔵》[23]精神不安:☆汗下の後、困悶、擾動して安んぜず、或いは嘔し、或いは渇し、或いは呼吸促迫し、二便に著変なき証《奥田謙蔵》[24]赤痢:☆赤白痢を治す。末と為し、蜜にて丸し服す《魏氏家蔵方》☆腸風、血を瀉す痢の如く、腹中㽲痛し、面色萎黄なり:「黄連」《雑病翼方》[25]喘息:☆虚候の喘息に此方にて黒錫丹を送下する。《勿誤薬室方函口訣》[26]前立腺肥大[27]唾液分泌過多症:☆此方を服することを嫌い、咳なくただ多く涎沫を吐して、唾に非らざる者→「桂枝去芍薬加莢湯」を用いて奇効あり。[28]大腸炎[29]脱汗:☆発汗の後、脱汗止まず、頭熱し、足冷え、口舌乾燥し、呼吸促迫、心悸亢進を発し、その脈浮弱なる証《奥田謙蔵》[]多唾[30]食べられない:☆大発汗の後、熱解するも、嘔逆、煩渇し、食物咽に下らず、手足微例し、その脈微浮なる証《奥田謙蔵》[31]知覚麻痺
[]手足厥冷 ☆医師の誤治によって急激に手足厥冷、煩躁、吐逆、口内乾燥などを起こした場合に頓服。《漢方診療医典》[32]テンカン:☆癇を発し、角弓筋惕、気急促迫し、あるいは叫呼する者。[33]盗汗:☆能く自汗盗汗を治す。その理は承気湯の陽明自汗を治すると同じ。《先哲医話》[34]凍傷:《奥田謙蔵》[35]吐逆
:☆<激しい><急激に起こる>☆煩躁なくてただ吐逆して苦味の薬用い難き者。☆水薬下らざる者を療す。《雑病翼方》☆瀉心湯や呉茱萸湯のような苦味の薬を与えて、反って嘔吐が激しくなるような者に良い《大塚敬節》[36]吐血:☆(冷え性で)☆傷胃の吐血に用いる。☆吐血を治す絶妙なり。男子婦人吐紅の疾を治す。けだし是久病、或いは急労となり、その栄衛を損じ、壅滞の気、血に上る妄行の致す所なり。もし投ずるに生地黄などの凉剤を以て之を治せば、必ずその死を求めん。即ち甘草乾姜湯。☆《陳念祖》曰く、血症凉薬を服して止まざる者。甘草乾姜湯を得れば神の如しと。[37]尿意頻数:☆咽渇せず尿意数なる者。「猪苓湯甘草」も可なり。[38]尿失禁☆咳をすると尿がもれる。[39]尿道炎[40]尿の色(うすい)[41]尿量多い[42]肺結核:☆肺痿の吐涎沫に用いる。
☆肺痿の症具わりてせず、渇せずば、乃ち熱無きを知るなり。《雑病論識》☆肺痿、涎沫多く、小便数の者:「芍薬」[43]鼻水(薄い)[44]煩躁:☆傷寒の煩躁吐逆に用いる。☆手足が厥冷して、煩躁吐逆する者に用いる薬方であるが、煩躁がなくても用いてよい《大塚敬節》
[45]冷え症:☆多唾・多尿などがあって、寒冷を訴える者に用いる《大塚敬節》 ☆平素から冷え性で、尿意頻数、多唾、めまいなどある者《漢方診療医典》[46]ひきつけ[47]皮膚の色: ☆<黒ずんでいる>[49]瘭疽:☆瘭疽、及び諸種の炎症性腫瘍等にして、熱性症候なく、ただ疼痛劇甚なる証《奥田謙蔵》[50]頻尿<老人・虚弱者>[51]腹痛[52]腹脹満:☆病人、甘遂、大黄、大戟、桃花の類を服し、下利せず反って腹部腸満する者は当に胃気を和すべし。「芍薬」《先哲医話》[53]膀胱炎[54]めまい:☆熱候なく、脈やや浮大にして、腹部軟弱、頭眩し、煩悶、躁擾し、時に昏憒する証《奥田謙蔵》☆老人、平日小便頻数に苦しみ、涎を吐して短気し、眩暈して起歩し難き者は、此方に宜し《類聚方広義》[55]目眩[56]夜尿症
[57]よだれ:☆13歳少女。夜間眠っている間に、よだれが沢山流れ、昼間は、咳が出ないのに、痰のような、ツバのようなものが沢山出るという。この方を与えて全治した《古訓医伝》
#甘草乾姜茯苓白朮湯《金匱要略》=「苓姜朮甘湯」を参照。 「甘草2両、白朮2両、乾姜4両、茯苓4両」以水5升、煮取3升、分温3 服、腰中即温。
#甘草桔梗湯《傷寒論》《中薬臨床応用》「桔梗6g、生甘草12g」水煎服。◎咽喉炎による咽喉痛◎肺膿瘍 #甘草瀉心湯[1-1]《傷寒論》「甘草(炙)4両、黄芩3両、乾姜3両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚、黄連1両」右六味、以水一斗、煮取六升、去滓、再煎取三升。温服一升、日三服。◎傷寒中風、医反下之、其人下利、日数十行、穀不化、腹中雷鳴、心下痞鞕而満、乾嘔心煩不得安。医見心下痞、謂病不盡、復下之、其痞益甚。此非結熱、但以胃中虚、客氣上逆、故使鞕也。甘草瀉心湯主之。
#甘草瀉心湯[1-2]《傷寒論》《龍野一雄》「甘草4g、半夏8g、黄芩・乾姜・人参・大棗各3g、黄連1g」 水400ccを以て煮詰め滓を去り、再煮て120に煮詰め3回に分服。半夏瀉心湯方中の甘草を倍にする。
#甘草瀉心湯[1-3]《傷寒論》《古今方彙》「半夏瀉心湯甘草1銭、人参1銭半」◎傷寒、傷風、医反って之を下し、下利日に数十行、穀化せず、腹中鳴り、心下痞鞕、乾嘔、心煩するを治す。
#甘草瀉心湯[1-4]《漢方治療の実際》「半夏瀉心湯甘草1」 証(心煩安きを得ず)《薬徴》 「心煩不得安」=心煩安きを得ず=胸苦しく気持ちが安定しない。◎半夏瀉心湯の証にして、心煩し、安きを得ざる者を治す。《吉益東洞》◎半夏瀉心湯証にして、急迫する者を治す《方極附言》◎此方は、半夏瀉心湯方内に於いて、更に甘草一両を加う。而してその主治する所大に同じからず。曰く下利すること日に数十行、穀化せずと。曰く乾嘔し心煩し、安きことを得ずと。曰く黙黙として眠らんと欲し、目閉ずることを得ず、臥起安からざる者と。此れ皆急迫する所有りて然る者なり。甘草の君薬たる所以也。《尾台榕堂》◎胃中不和の下痢で水穀不化雷鳴下痢するを目標とする《済世薬室》◎生姜瀉心湯の証にして胃虚を挟むを論ず。《雑病論識》◎下痢・腹中雷鳴・心下痞硬満・乾嘔・心煩。或いは黙々として眠らんと欲するも目を閉ることが出来ず。臥起安からず・飲食を欲せず・声嗄する者。
甘草瀉心湯[1-5]《傷寒論》★適応症及び病名[1]あくび [2]噫気 [3]イレウス [4]胃カタル [5]胃潰瘍 [6]胃拡張 [7]胃酸過多症
[8]胃弱 [9]息切れ [10]嘔吐:☆吐逆の証にして、心下痞硬し、呼吸促迫し、小半夏湯を与ふるに、反って嘔吐増劇する等の証《奥田謙蔵》[11]悪心
[12]咯血 [13]乾嘔 [14]感情が不安定 [15]急性胃腸炎 ☆心下痞硬。腹鳴、下痢を目標にして用いるが、悪心、嘔吐を伴うもにに用いてよい。腹痛を伴うこともあるが、はげしい痛みでは無い。下痢は裏急後重を伴うことはなく、サッと下る。下痢の回数の多いときは甘草瀉心湯を用い、噫気を伴うときは生姜瀉心湯とする(漢方診療医典)[16]下痢:☆<激しい><日に数十回>
☆心下痞硬・腹中雷鳴があって下痢する者に半夏瀉心湯・生姜瀉心湯・甘草瀉心湯を用いるが、その中でも下痢の回数が多く、激しい者に用いる、《大塚敬節》☆胃中不和の下利を主とする。故に穀不化、雷鳴下利が目的なり。《勿誤薬室方函口訣》☆下痢して心下満悶し、気急息迫し、脈沈緊なる証。《奥田謙蔵》☆瀉下剤を用いて下利を得、下痢続いて止まず、心下痞硬し、食思欠損し、呼吸促迫する証《奥田謙蔵》☆穀不化して雷鳴なく下利する者á「理中湯」or「四逆湯」を考える。☆産後の口糜瀉(=下痢して口がただれる)に用いて奇効あり。《勿誤薬室方函口訣》☆38歳男性。数日前より下痢がある。腹痛と裏急後重はない。ゴロゴロと腹が鳴って、1日数回下痢をする。みずおちがつかえて夜はよく夢をみる。甘草瀉心湯を与える。2日分で全快した。この患者 は急性の腸炎であったが、慢性のものにも効く。《大塚敬節》☆体格の良い女性で、、みずおちに力があって慢性下痢の患者にしては、体力が衰えていなかったが、1年近くの間、どんな事をしても、1日1、2回の下痢が止まらないという。下痢するときは腹が鳴る という。そこで心下痞硬、腹中雷鳴、下痢を目標にして甘草瀉心湯を与えたところ、長い間続いた下痢が止んだ。《大塚敬節》☆もし甘草瀉心湯を与えて、反って下痢が増加するようであれば、人参湯or真武湯or参苓白朮散などに変方した方がよい。《大塚敬節》
☆40歳、主婦。 「一男一女の母。10年ほど前に急性の大腸カタルをやったことがあるが、以後慢性化してしまった。特に、油物や牛肉を食べると、すぐ下痢してしまう。下痢は1日1~2回で、下る時に腹が鳴って、軽い腹痛を感じる。胃も、いつもただれているようで、ときどき酸っぱい水が上がってくる。
温灸やゲンノショウコを飲んだりしてみたが、止めると、又元に戻ってしまう。 こういう人には半夏瀉心湯か甘草瀉心湯が向いているもので、まず甘草瀉心湯を用いたところ、10日ほどで、ずいぶん気分が良くなり、1ヶ月ほどですっかり下痢しなくなった。」《山田光胤》
[17]口臭 ☆胃腸炎があって腹が鳴り、発酵性下痢を起こし、常に気分が悪く神経質となり、口内炎や口内潰瘍を起こしやすく、口臭を発する者に用いる。[18]口内炎:☆甘草瀉心湯は心下痞硬、腹中雷鳴、下痢というのを目標にして用いる方剤であるが、また下痢せずに、不眠があったり、口内が荒れたり、舌に潰瘍が出来たりする者にも用いる。《大塚敬節》☆私は小学校の4、5年頃から唇・舌・口腔粘膜などに小さい潰瘍が出来て、古いものが治れば、また新しいものが出来て、非常に苦しめられた。このような状態は大人になるまで治らなかった。そこで漢方を研究するようになってから、甘草瀉心湯を呑んだところ、年ごとに潰瘍が出来なくなって、全治した。私は平素胃腸が弱く、いつも鳩尾がつかえ、少し食べすぎると、すぐ下痢するクセがあり、下痢する時は、よく腹がゴロゴロ鳴る。こんな風であったから、胃腸と口内の潰瘍とは関係あるに違いないと思って、心下痞硬と下痢しやすく、腹が鳴るというのを目標にして、甘草瀉心湯を用いたところ、だんだん潰瘍が少なくなって治ってしまった。ところが私の長男も、私と同じように、口腔粘膜、舌などに潰瘍が出来るクセがあったが、長男の場合は、私のように下痢せず、食べ過ぎると、便秘して発熱するクセがある。そこで黄連解毒湯甘草を呑んだところ、これで治ってしまった。《大塚敬節》
☆急性慢性胃腸炎に合併したもので、やや虚状を帯び、心窩部痞塞感、精神不安感を伴うものに用いる。 ☆しばしは口内炎を繰り返し、胃腸の弱い者に、本方を長期間服用させると口内炎が出なくなる。[19]嗄声(しわがれ声)
☆神経衰弱、ヒステリーなどによる嗄声で胃腸障害があって心下痞硬、精神不安を訴える者[20]消化不良 [21]食傷[22]食欲不振☆飲食を欲せず《龍野ー漢方処方集》[23]心悸亢進[24]心下痞[25]心下痞硬:☆動気上に在り、之を下せば則ち腹満し、心痞し、頭痛するは、甘草瀉心湯に宜し《奥田謙蔵》[26]心煩[27]神経質[28]神経衰弱[29]神経性下痢[30]精神分裂症[31]嘈雑(胸やけ)[32]走馬疳を治す《方読便覧》(→牙疳=壊血病)「走馬疳」=悪性の壊血病[33]吐血[34]腸カタル[35]呑酸[36]ノイローゼ
[37]バセドウ病 ☆バセドウ病患者で下痢を訴える者(漢方診療医典)[38]ひきつけ:☆慢驚風には、此方に宜しき者あり。《類聚方広義》[39]ヒステリー[40]腹痛
[41]腹鳴<腹中雷鳴>[42]不安感[43]不安神経症[44]不眠症:☆黙々として眠らんと欲するも目を閉することが出来ず、臥起安からず《龍野ー漢方処方集》☆胃炎のある患者で、みぞおちが痞え、腹が張ってゴロゴロ鳴り、胃腸がすっきりせず、夢が多く安眠できない者。☆胃炎、胃下垂症、胃アトニー症などの患者で、胃部に膨満感があって、夢が多くて安眠出来ない者に用いる《大塚敬節》☆嘔吐や下痢がなくても、心下痞硬があれば、用いてよい《大塚敬節》☆34歳男性。不眠、頭重、疲労感を訴え来院。診察すると、心下部やや膨満し、ガスが停滞している。夢が多くて熟睡しないためか、頭が重いという。油の多いものを食べると下痢する。
私はこれに甘草瀉心湯を与え、夕食を軽くし、夕食後には、一切飲食をしないように指導したところ、頭痛がとれ安眠が出来るよう になった。《大塚敬節》
☆本方は心下痞硬、腹中雷鳴、下痢を目標として用いるほかに、狐惑病にも用いられた。狐惑病については《金匱要略》に“狐惑の病たる状は傷寒の如く、黙々眠らんと欲し、目閉づるを得ず、臥起安からず、甘草瀉心湯之を主る”とある。[45]舞踏病
[46]ほてり[47]慢性腸狭窄 [48]味覚異常 ☆味覚異常には、黄連解毒湯、三黄瀉心湯、甘草瀉心湯、涼膈散、加減涼膈散、清熱補気湯、清熱補血湯などから選らぶ。[49]夢遊病:☆近江大津の人、某が先生を訪ねてきて、同室の人を他室に退け。こっそりと先生に相談した。
私に1人の娘があります。歳は18で、某家と婚約をしています。ところで妙な変わった病気があって、毎夜のこと辰己の時刻になって、家人が熟睡すると、こっそり起き上がって舞をまいます。その舞は消妙閑雅で、ちょうど才妓の最も秀でた者が舞うのに似ています。その舞は寅の刻を終わる頃になると止み、それから床につきます。私が時々、その舞をのぞいてみますに、毎晩、その曲が違っていて、曲が異なるたびに、その奇妙なことに、まことに名状出来ません。
ところで翌朝の動作、飲食は平常とちっとも違いません。また自分でもそこことを知りません。そこで、そのことを本人に話してもひどく驚いて、不思議がって信用しません。
これは鬼か、狐か、狸が化かしているのではないでしょうか?もしこれを婚家で知ったなら、結婚解消になると思います。そこで神に祈ったり、おまじないをしたりしていますが、一向に効きません。先生は奇妙な病気の治療がお上手だということを聞きましたので、どうぞ御診察をお願いいたしますと。
先生はこれにこたえて、それは孤惑病というものであろうと、診てみるに、果たしてその通りであった。よって甘草瀉心湯を与えたとこ ろ、数日もたたないで、夜間の舞踊が自然に止み、某家に嫁して子 供が生まれた」《生々堂治験》
[50]幽門狭窄 #甘草附子湯[1-1]《傷寒論》「甘草(炙)2両、附子(炮去皮破)2枚、白朮2両、桂枝(去皮)4両」右四味、以水六升、煮取三升、去滓、温服一升、日三服。初服得微汗則解。能食、汗止復煩者、将復五合。恐一升多者、宜服六七方為始。
◎風湿相搏、骨節疼煩、掣痛不得屈伸、近之則痛劇、汗出短氣、小便不利、悪風不欲去衣、或身微腫者、甘草附子湯主之。
#甘草附子湯[1-2]《傷寒論》《東醫寶鑑》「桂枝4銭、甘草・附子(炮)・白朮各1銭」剉作1貼し、水煎服用。◎風湿を治す。 #甘草附子湯[1-3]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》「甘草・白朮各2g、炮附子0.6g、桂枝4g」水240ccを以て煮て120ccに煮詰め、滓を去り1日3回分服。◎骨節煩疼し、屈伸し得ず、上衝し、汗出で悪寒し、小便不利する者を治す。《吉益東洞》◎条に上衝の証なし。為則按ずるに、此の方は桂枝甘草湯に朮附を加うる者なり。桂枝甘草湯の条に上衝の証あり。然るときは則ち此湯特り骨節疼痛、悪風なしと雖も必ず当に上衝の証あるべく其れ脱文たるや明らかなり。《重校薬徴》◎関節劇しく疼煩して屈伸することが出来ず、汗出で短気・小便不利・悪風・身微腫などある者。
#甘草附子湯[1-4]《漢方治療の実際》「甘草・白朮各2、附子0.6、桂枝4」◎《傷寒論》には“風湿、相い搏ち、骨節疼煩、掣痛、屈伸を得ず。これに近づけば則ち痛み劇しく、汗出でて短気、小便利せず、悪風衣を去るを欲せず、或いは身微腫する者は甘草附子湯之を主る”◎和久田寅は、次のようにこれに注解を加えている。“湿はしめること。水と言わないで湿といったのは、水のように腫れても、之を圧して、そのあとが凹まない。ただ皮肉の締まりがなく、ぐさぐさした状態が皮肉を湿らせたように見えるから湿と名付けたものである。俗によんで、悪太りというの類は、皆湿証である。これは正気のはりが弱いから、水気がこれに乗ずるのである。気が虚して湿証となるから、これを気虚の候とするのである。さて風湿相あつまるというのは、その人の下地に湿気のあるところへ、風邪を感冒して、風邪と湿気と相闘うによって、名付けたのである。骨節疼煩は、節々が疼き痛んで、いきれもやつくのをいう。掣はひくこと。後から引きとどめるように痛む、びっくりする痛を掣痛という。屈伸することを得ずの句は、骨節疼煩に応じたもので、之に近づくは、手を痛い処に近づけることをいう。汗出ずは、風湿が相うつからである。短気は呼吸が短く促迫するをいう。小便不利は、気が衝逆して下降しないためである。悪風が尋常より重いことを示すために衣を去るを欲せずの1句を添えたものである。微腫は何となく腫れたようなものをいう。すなわち湿気の候である”◎鑑別:
「桂枝附子湯」「甘草附子湯に似た処方に、桂枝附子湯があるが、この方は甘草附子湯証に似て、身体疼煩して、自ら転側することの出来ない者に用いている」《大塚敬節》
★適応症及び病名(かんぞうぶしとう)■アルレギー性鼻炎
■悪寒
■悪風
■顔色悪い
■化膿症
■関節炎: ☆急性関節炎
■関節リウマチ:☆急性関節リウマチで、痛みが激しく屈伸出来ない者。
☆患部は赤く腫れて熱感あり。
☆患部に少し触れても、痛みが激しい。
☆17歳少女。扁桃炎から引き続いて高熱が下がらず、四肢に疼痛を訴えたが、熱が高いための疼痛であろうと考えていた。ところが、2、3日たつと、膝関節や足関節が腫れてひどく痛むようになり、立つことも出来なくなった。枕元を歩いても、足が痛みという。呼吸は促迫し、尿利も減少し、汗は流れるほど出るもに、熱も下がらず、悪寒もある。脈は浮にして大である。
このさい汗が出ていなければ、私は麻黄加朮湯、または越婢加朮湯などを用いていたかも知れない。私は先ず白虎加桂枝湯を考えた。高熱と脈の浮大と関節痛と多汗を目標にしたのである。ところが白虎加桂枝湯証には悪寒はないはずである。そこで舌を診たところ、苔もなく湿っている。石膏剤を用いる証とも考えられない。いろいろと考えてから甘草附子湯にした。附子は陰証に用いるもので、真武湯や四逆湯のような附子剤を高熱の時に用いることがあるのである。
この患者は体温が39℃近くものぼるけれども、食事の味は平素と変わらないので、あとで述べる《有持桂里》の口訣などを思いだし、また脈が浮大であるのに、何となく力がないように感ずるのと、舌証なども併せ考え、甘草附子湯にした。附子ははじめ1日量0.5とした。3日目には1.0とした。その頃から汗の出ることが減じ、熱も37℃代となり、疼痛も軽くなった。最も腫脹疼痛の甚だしいところは、左の足関節で足を伸ばすことも出来ず、着物やフトンが触れても痛んだが、その頃から、ひとりで少しずつ動かせるようになった。こんなふうにして、3週間たった頃には、便所に立てるようになり、2ヶ月足らずで全快した。終始、甘草附子湯で押し通した。《大塚敬節》
☆桂枝附子湯よりも痛風(関節リウマチのこと)には、甘草附子湯を用いることが多い。最初から甘草附子湯でやって良い。たいてい痛風で附子の証があれば甘草附子湯ですむものである。この症でよくよく表証でも強ければ桂枝附子湯を用いる。ここに秘訣がある。およそ舌に苔があり、あるいは潮熱などあるときは附子はやりにくいものである。わけても痛風には舌に黒苔の付くこともある。それでもタバコの味も変わらず、醤油・味噌の類の味も変わらない者は、桂枝附子湯や甘草附子湯の証があれば遠慮なく附子をやって良い。百発百中である。これは諸病とも、附子剤を用いる目標となる者であるが、わけても痛風には、この秘訣が役立つものである。また痛風で、脈が浮数or洪数で、食事に味がなく、平素嗜むタバコも臭くて吸えないという者には続命湯や越婢加朮湯などを選んで用いるが良い。いずれにしても石膏剤を用いるのである《有持桂里》
■気の上衝<+>
■筋肉痛
■くしゃみ
■骨髄炎 ■寒がり ■歯痛 ■神経痛
■手足厥冷 ■鼻汁(色薄く多量)
■瘭疽 ■腰痛症 #甘草粉蜜湯[1-1]《金匱要略》「甘草2両、粉1両、蜜4両」 右三味、以水三升、先煮甘草取二升、去滓、内粉蜜、攪令和、煎如薄粥、温服一升、差即止。◎蚘蠱之為病、令人吐涎、心痛発作有時、毒薬不止、甘草粉蜜湯主之。
#甘草粉蜜湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「甘草2g、米粉1g、蜂蜜4g」水120ccを以て甘草を煮て80に煮詰め滓を去り、他の2薬を加えて攪拌し、再び煮て薄い粥の如くし、1回に40を服用。
#甘草粉蜜湯[1-3]《漢方治療の実際》「甘草3、米粉1.5、蜂蜜6」水200ccで甘草を煮て150ccとし、滓を去り、米粉と蜜を入れて、よく混ぜ3回に分けてのむ。証(人をして涎(えん)を吐せしめ、心痛発作あり、毒薬にて止まず)《東洞》
■「毒薬」=作用のはげしい薬。この毒薬は、東洞の主張する毒薬の意味とは違っている《大塚敬節》■「心痛」=心臓の痛みではなく胃のあたりの痛み。◎吐涎、吐虫し、心痛発作時ある者を治す。《吉益東洞》◎古く単に「粉」と称する者は、みな米粉なり。その粉稲黍、相通用するなり。《雑病論識》◎「毒薬不止」の4字深く味わうべし。《勿誤薬室方函口訣》■毒薬とは辛苦の剤を指して言う。《雑病論識》
★適応症及び病名(甘草粉蜜湯)[1]胃拡張:☆澼嚢病、痛甚だしき者を治して効あり。《先哲医話》[2]嘔逆:☆傷寒熱甚だしく嘔逆止まず、「小柴胡湯」を用いて解せず、一医、水逆として「五苓散」を与えますます劇し、此方を与えて嘔速やかに差える。すなわち《玉函》単甘草湯(甘草一味)の意にして更に妙なり。《勿誤薬室方函口訣》[3]嘔吐:☆傷寒回虫、嘔吐し、諸薬にて止まず、薬食口に入れば即ち出ずる者、甘草粉蜜湯を与え、殊に効あり。《傷寒翼方》
[4]虫積痛:☆苦味を嫌い、強いて与えれば嘔噦する者、此方に宜し。 [5]腹痛:☆此方は蚘虫の吐涎を治するにみならず。吐涎無くとも心腹痛甚だしき者に用いる。☆「烏梅丸」「鷓胡菜湯」などの剤を投じて反って激痛する者、此方を与えて緩むるときは必ず腹痛止むなり。
☆この方は元来、回虫による腹痛を治すために設けられたものであるが、回虫に限らず作用の激しい劇剤を用いて効のない時に、この方を与えて意外に著効を示すことがある《大塚敬節》☆26歳男性。11月下旬から下腹痛を訴えるようになり、それが日増しにひどくなった。その痛みの模様は、始め右下腹から起こり、臍下一面から脇下まで及び、発作時には手を近づけることも出来ないほどである。そこで某医に治を乞うたところ、水薬、散薬、下剤などをくれ、痛みのひどい時には白色の粉末をくれた。これはモルヒネらしく、一時疼痛が緩解した。しかしすぐまた元通りに痛み、一昼夜に4、5回も発作があって、ちっとも安眠出来ない。母や妻は徹夜して看護していたが、そのうなり声を聞くにしのびないという。こんな風で12/7になって余に来診を求めた。
往診してみると、脈は沈んで渋るような状で、少し緊を帯び、微熱がある。顔には血の気が無く、口舌は乾燥している。食事は小さい茶碗に1杯食べるだけで、腹は軟弱にして、大便は出にくく、小便も少ない。そこで寒疝と診断して、解急蜀椒湯を与えたが、更に効がない。よっていろいろと考えた末に、甘草粉蜜湯の項に、心痛、発作時あり、毒薬にて止まずとあるのを思いだし、試みにこの方を1回呑ましめたところ、服後、疼痛軽減し、2、3日で全快した。(和漢医林新誌第197号・竹中玄撮)
[6]反胃:☆反胃澼嚢、毒薬治まらざる者。此方を服して怠らざれば、則ち身微腫を発し、全癒を得る。これ余、累試累効の法なりと。余かって傷寒嘔吐諸薬能せず、いかんともし難き者にしばしば効あり《雑病翼方》
[7]澼嚢:☆痩せて痛の激しい者《和田東郭》 #甘草麻黄湯[1-1]《金匱要略》 =麻黄甘草湯 「甘草2両、麻黄4両」右2味、以水5升、先煮麻黄、去上沫、内甘草、煮取3升、温服1升、重覆汗出、不汗再服、愼風寒。
◎裏水、越婢加朮湯主之、甘草麻黄湯亦主之。 ■「裏水」=浮腫の一種。《金匱要略》に、「裏水者一身面目黄腫、其脈沈、小便不利云々」
#甘草麻黄湯[1-2]《漢方治療の実際》「甘草2、麻黄4」◎水腫、喘咳急迫、或いは汗無く、或いは自汗する者《重校薬徴》 ★適応症及び病名 []呼吸困難:☆激しい発作を押さえるために頓服用として用いる。《大塚敬節》☆多くは兼用方として用いる《大塚敬節》☆乳児や老人、虚弱体質の人などには、用量を加減して用いるが良い。《有持桂里》はこの方を老人に用いて、頓死した例を報告している。《大塚敬節》
#甘葱煎《傷科補要》 「甘草・鮮葱を等分。」水で煎じ、冷めるのをまって濾し、瘡口を洗浄する。
#甘竹茹湯《備急千金要方》「竹茹1銭、黄芩8分、人参2分、茯苓6分、甘草2分」◎産後、内虚、煩熱、短気を治す。◎此方は竹皮大丸料の一等軽き処へ用いる。◎産後煩熱ありて下利し石膏など用い難き処に宜し。◎他病にても「内虚煩熱」の4字を目的として用いれば当たらぬことなし。甘淡音通ず、淡竹なり。《勿誤薬室方函口訣》
#甘麦大棗湯[1-1]《金匱要略》 =「甘草小麦大棗湯」「甘草3両、小麦1升、大棗10枚」右三味、以水六升、煮取三升、温分三服、亦補脾氣。◎婦人藏躁、喜悲傷、欲哭、象如神霊所作、数欠伸、甘麦大棗湯主之。
#甘麦大棗湯[1-2]《金匱要略》 「甘草3g、小麦14g、大棗2.5g」水240ccを以て120に煮詰め、3回に分服。証(蔵躁、喜(しばしば)悲傷し、哭(こく)せんと欲す)《薬徴》
「藏躁」=ヒステリー甘麦大棗湯証=臓躁、喜(しばしば)悲傷。甘麦大棗湯条に喜悲傷の証あり。此れ毒の逼迫なり。故に大棗を用ふ。攣引強急を治するを以て、甘草小麦を用ひ、以て迫急を緩むるなり。《薬徴》
◎急迫して狂驚なる者を治す。《吉益東洞》◎甘麦大棗湯の条に蔵躁喜悲傷の証あり、此れ毒の逼迫するなり。故に大棗を用い以て攣引強急を治し、甘草と小麦を用いて以て急迫を緩みなり。為則按ずるに、仲景氏、大棗、甘草、芍薬を用うる其の症候略ぼ相似る。要は自得するにあるのみ。《重校薬徴》◎此方は婦人臓躁を主とする薬なれども、凡て右の脇下臍傍の辺に拘攣や結塊のある処へ用いると効あるものなり。《勿誤薬室方函口訣》◎婦人、ヒステリー・憂鬱・欠伸。
◎婦人悲傷、欠伸、或いは脾気弱き者。《龍野ー漢方処方集》 #甘麦大棗 湯[1-3]《漢方治療の実際》「甘草5、大棗6、小麦20」◎《方輿輗》に“この方は稀に男子に用いるけれども、もっぱら婦人の癇に用いる。心細がって、部屋の隅で泣いているなどという者に用いる。そのうちで、この方は甘味を嗜む者に良い。甘いものを食べると、腹がゆるむと云う者にことに良い 。 ●この証では腹が引っ張っているのを目的にすべしとある。(大塚も、右腹直筋のひどく突っ張っている者に用いて著効を得た)しかしこれは一概の論だと思う。またこの方は悲傷が無くても、ただ、たびたび欠伸をする者に用いても効がある。これもたびたび効験を得たことである。●蔵躁で悲傷しても柴胡の腹候があれば、やはり柴胡を用いるがよい、悲傷の症でも柴胡の腹候があれば柴胡を用いて効があるものである。そのところへ悲傷を目的にして甘麦大棗湯を用いてみても効のないものである。しかし悲傷を目的にして甘麦大棗湯を用いたが効がない。そこで腹候によって柴胡加竜骨牡蛎湯を用いたところ、悲傷もついに治った。●甘麦大棗湯には消石大円などを兼用することがある。経閉などのある時に兼用する。
●また婦人でよく笑う者がある。甘麦大棗湯を用いて効があると思うけれども、まだ用いたことがない。《儒門事親》には、よく笑う者に、黄連解毒湯を用いてある。これはよく効のあるものである。喜笑で右の腹の凝る者には甘麦大棗湯、心下に迫る者には黄連解毒湯である”
★適応症及び病名 (甘麦大棗湯)[1]あくび(欠伸)をよくする[2]胃アトニー[3]胃炎[4]胃ケイレン[5]胃下垂[6]鬱病[7]驚きやすい[8]おびえる:[9]咳嗽:(ケイレン性)[10]寡黙[11]癇:☆大人の癇に用いることあり。“病急者食甘緩之”の意を旨とすべし。☆癇症、狂症、臓躁に髣髴する者も、奇験あり《類聚方広義》[12]飢餓感が強い[13]喜笑:(笑いが止まらない)☆<右の腹がこる>《方輿輗》☆心下にせまるのは→「黄連解毒湯」《方輿輗》喜笑で右の腹の凝る者には甘麦大棗湯、心下に迫る者には黄連解毒湯である[14]驚狂[15]狂躁症[16]筋肉攣縮[17]更年期障害[18]興奮・神経興奮[19]子宮ケイレン
[20]自閉症 ☆腹直筋は発作中は緊張、神経過敏、奇声、ケイレン、一人笑い、その他急迫症状(漢方診療医典)[20]焦燥感[21]食が細い[21]小舞踏病[22]自律神経失調症[23]神経衰弱 [24]精神病:☆今泉玄が精神神経病に多用。[25]精神分裂症[26]咳:(ケイレン性)
[27]舌質:<淡白>[28]舌苔:<無苔~微白>[29]躁病[30]血の道症:
①ヒステリーの発作に繁用。②腹直筋がひきつり、神経の興奮がひどい者。③少しのことに泣き悲しんだり、不眠、生あくびする者。④狂躁状態の者。[31]チック[32]疲れやすい[33]テンカン:☆ジャクソンの癲癇《大塚敬節》“その少女は、運動会で転倒して、頭部を強打し、その後右半身の不随と全身ケイレンを伴う意識消失が1日10数回も起こるようになり、言語障害もあって。ケイレン発作時には、尿を失禁した。こんな状態が1カ年あまり続き、種々の治療も無効であったという。診察してみると、右腹直筋が棒のように硬く四肢の筋肉も強く緊張している、診察中にも発作が起こった。発作を終えるとしきりに欠伸をする《金匱要略》をみると、「婦人にみられる蔵躁という病気は、たびたび悲しみ、泣き、ちょうど、物の怪が付いたような奇妙な格好をし、たびたび欠伸する。これは甘麦大棗湯の主治である」とある。私はこの条文によって、甘麦大棗湯を用いた。患者は、これを飲むと日増しにケイレンが止み、1カ年ほどで全治し、常人と変わらなくなった。この蔵躁という病気はヒステリーのようにみえるが、この少女はヒステリーとは思えなかった。”[34]涙もろい:☆平時女人好く哭す、自己その故を知らず、之を服せば最も妙なり《雑病翼方》[35]尿失禁:☆「桑螵蛸」 [36]寝つきが悪い[37]眠りが浅い[38]脳出血[39]梅核気:☆元浜街の伊勢屋啓助の女、21歳は、昨年の7月上旬の夜半に、突然、眠りから醒めたところ、胸苦しく、何か物がのどに衝き上がってくる感じで、その状は、喘鳴でもなく、吃逆でもなく、嘔吐でも なく、噫気でもなく、実に名状することの出来ない気持であった。ところが夜明け近くになると、忽然として、その感じが消え去って、平素と変わらなくなった。しかしその発作は時々起こって、患者を苦しめた。そこである医者に治を乞うたところ、その医者は肺病だといって薬をくれたが、ちっとも効がないばかりか、病状はますます激しくなる一方である。そこで11/25に予に治を乞うた。
これを診るに、脈・腹共に異常なく、飲食、大小便もまた平素と変わりがない。ただ月経の来る時期が少し狂っているという。自分が思うに、これは《金匱要略》にある、婦人の蔵躁(ヒステリー)の1症であろうと。そこで甘麦大棗湯を作って与えた。そして1日おいて、次の日に往診してみると、おかげさまで大変気分が良くなりましたという。それからまた3、4日たって往診してみると、病苦は全くなくなったという。そして、その後は再び発作が起こらなくなった(下条通春・和漢医林新誌第50号)[40]歯ぎしり
[41]ヒステリー:(蔵躁) ☆「ヒステリー」、及びその類証《奥田謙蔵》☆蔵は子宮也。此方の蔵躁を治するは、能く急迫を緩むるを以て也。孀婦、室女、平素憂鬱、無聊にして、夜夜眠らざる等の人は、多く此症を発す。発するときは則ち悪寒、発熱し、戦慄、錯語し、心神 恍惚し、居に席に安んぜず、酸泣已まず。此方を服すれば立ちどころに効あり。《類聚方広義》
☆ヒステリーのケイレン発作に《大塚敬節》☆蔵躁で悲傷しても柴胡の腹候があれば、やはり柴胡を用いるがよい、悲傷の症でも柴胡の腹候があれば柴胡を用いて効があるものである。そのところへ悲傷を目的にして甘麦大棗湯を用いてみても効のないものである。しかし悲傷を目的にして甘麦大棗湯を用いたが効がない。そこで腹候によって柴胡加竜骨牡蛎湯を用いたところ、悲傷もついに治った。《方輿輗》[42]悲泣(ひきゅう):☆小児啼泣止まざる者も速効あり。《勿誤薬室方函口訣》[43]百日咳[44]不安感[45]不随意運動が起こる[46]不眠症:☆神経衰弱に因する強度の不眠症等《奥田謙蔵》[47]腹直筋攣急:[48]腹痛:<ケイレン性>[]閉経:☆「消石大円」《方輿輗》[49]夢遊病:☆小児が夜中にふと起きて家の内を歩き回り、またふとして寝床に入って眠り、翌日、そのことを知らないことがある。この[寝ぼけ]の症は、男女共に甘麦大棗湯のゆくところである。腹の左右のどちらが凝っていても用いて良い。もし心胸につかえている者は柴胡剤を用いる。とかく甘麦大棗湯は蔵躁悲笑が目的である《百疢一貫》[50]舞踏病:☆舞踏病のケイレン発作に《大塚敬節》[51]夜驚症:☆元浜街の伊勢屋啓助の娘、21歳は、昨年7月上旬、夜半、突然、眠りより醒めたところ、胸が苦しくなって悶えはじめた、その状は、何か物があって、のどに突き上げてくるようである。それは喘でもなく、噫気でもない。嘔でもなく、吃逆でもない。実に名状出来ない状態である。ところで、その苦しみは夜明けになるとピタリと止んだ。しかしその後も同じ様な苦悩の発作が続いた。
余がこれを診するに、脈腹ともに異状なく、飲食大便ともに何の変わりもない。ただ月経が時々遅れると云う。余はこれは《金匱要略》に論ずるところの婦人蔵躁の1症であると思った。甘麦大棗湯を作って与え、そしてその翌日往診してみるに、患者は云う、お薬をのんでから、とても病気が軽快したようですと、そこで前方を与え、3、4日たって往診してみるに、すっかり病気を忘れ、再び発作は起こらなかった。(下条通春・和漢医林新誌第50号)
☆ヒステリックに泣き叫ぶものによい(漢方診療医典) [52]夜尿症:☆「桑螵蛸」《中薬臨床応用》[53]憂鬱症[54]夜泣き:☆(泣くように長く啼く)☆小児の夜啼証等《奥田謙蔵》☆本症の小児の夜啼は時を定めて泣き、その時目を開いて泣くものなり《済世薬室》 ☆夜啼客忤、左の拘攣する者を「柴胡」とし、右に拘攣する者を甘麦大棗湯とすれども、泥むべからず。客忤は大抵甘麦大棗湯にて治するなり。《勿誤薬室方函口訣》
#甘麦大棗湯加味《中薬臨床応用》 「甘草9g、浮小麦30g、大棗8g、麦門冬9g、生地黄15g、石斛12g」水煎服。◎更年期障害◎ヒステリー
#甘遂散[1]《東醫寶鑑》 「甘遂末1銭を豚の仔袋の血にまぜ、そして仔袋を裂いてその内に入れて糸で縫い、紙にくるんで水に入れて弱火焼いた後、取り出した甘遂末を辰砂末で、4個の丸剤。毎回1丸、先の豚の焼いた水で飲む。大便に悪物が混じっていたら中止し、そうでなかったら又飲む。
◎五種類の癲癇・婦人の風血による混迷に特効。
#甘遂散[2]《東醫寶鑑》 「赤皮甘遂2両、煉蜜2合」まぜて、1両を4分したものを、1日1回蜜水で服用。 ◎大・小便の不通を治す。
#甘遂散[3]《東醫寶鑑》 「甘遂末を葱汁で丸め、綿にくるんで耳をふさぎ、口には甘草湯をふくむ。」 ◎耳聾を治す。 #甘遂半夏湯《金匱要略》
「甘遂(大者)3枚、半夏12枚(以水1升煮取取半升去滓)、芍薬5枚、甘草(如指大1枚炙1本作無)」以上4味、以水2升、煮取半升、去滓、以蜜半升、和薬汁煎取8合、頓服之。◎病者脉伏、其人欲自利、利反快、雖利、心下続堅満、此為溜飲、欲去故也。甘遂半夏湯主之。
◎甘遂半夏湯証(利すとも雖も心下続きて堅滿)《薬徴》◎芍薬甘草湯の証にして心下痞満し嘔する者を治す《吉益東洞》◎此方は利して反って快と心下堅満が目的なり。脈は伏して当てにならならぬものなり。《勿誤薬室方函口訣》◎一体心下の留飲を去るの主方なれども、特り留飲のみに非ず、支飲及び脚気などの気急ある者に用いて緩むこと妙なり。「控涎丹」も此方が軽き処へゆくものなり。◎此方の妙は蜜を用ふるに在り。故に若し蜜を用ひざるときは、則ち特り効を得ざるのみならず、瞑眩(中毒)して変を生ずる者あり。宜しく古法を遵守すべし。《尾台榕堂》
◎此方、蜜を加えざれば反って激して功なし。《二宮桃亭》壮年の時、蜜を加えずして大敗を取り、《吉益東洞》に督責を受けしことあり。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名 (甘遂半夏湯)[1]脚気:☆水腫性脚気等にして、強実なる証《奥田謙蔵》☆脚気衝心等にして、気急息迫、喘鳴し、脈実なる証《奥田謙蔵》[2]腹水:☆腹水等にして、脈緊実なる証《奥田謙蔵》
[3]腹痛:☆飲家、心下満痛し、嘔吐せんと欲し、或いは胸腹攣痛する者を治す《類聚方広義》 #甘豆湯《本草綱目》《東醫寶鑑》「甘草・黒豆各5銭」水煎服。竹葉か薺(=桔梗)を加えるとなお良い。◎100種の毒を消す。
#甘胆丸《東醫寶鑑》「甘草2両を赤皮は捨て、2寸大に切って半分に割り、猪胆汁5枚に3日間漬けて取り出し、炙乾作末し、煉蜜で緑豆大の丸剤。毎回40~50丸を茶湯で飲む。
◎酸っぱいものを食べて喘嗽になり、諸薬無効のとき。
#甘李根湯《東醫寶鑑》「李根皮5銭、桂皮1銭半、当帰・芍薬・茯苓・黄蓍各1銭、半夏・甘草各5分、を剉作1貼して生姜3片を入れ、水煎服。 ◎動気に誤って発汗し、気が上衝して心臓のはじに止まっている症。
#甘楞散《中薬臨床応用》「甘草末・瓦楞子(いて末にする)各等分」1日3回、9gづつを食前に湯で服用。◎胃十二指腸潰瘍。
#甘連大黄丸 =「林鐘丸」「大黄60.0、甘草・黄連各30.0」 右三味、各別に細末にし、糊丸。1回に2.0~4.0。◎胸間に毒有り、審判して安からざる者を治す。《古方兼用丸散方》◎心中煩悸し、大便せざる者を治す。《春林軒丸散方》
#甘連大黄湯《龍野一雄》「甘草・黄連・大黄各2g」◎結膜炎で充血羞明著しきもの。癇家鬱々として不眠・心悸亢進・心下痞する者。
#甘連湯《松原方函》《勿誤薬室方函》「甘草・黄連・紅花・大黄」=甘連大黄湯紅花《方輿輗》には紅花なし。◎小児初生より45歳に至り、便不和、吐乳し、腹脹、滞食す。故無くして発熱、夜啼、腹痛の諸証、皆之を主る。◎専ラ胎毒ヲ去ルヲ主トス。世に「マクリ」と称するもの数方あれども此方を優とす。《勿誤薬室方函口訣》
◎1日振り出し量「甘草0.7黄連0.7大黄0.7紅花o.5」
★適応症及び病名 (甘連湯)驚癇:「連銭草」小児五疳:「胡黄連」 胎毒:胎毒痛:「竹葉」吐乳:「連翹」 #甘連湯《陳氏》《古今方彙》「黄連、甘草、辰砂(少し)」熱湯にて払い出し之を用いる。◎小児初生には先づ須らく此方を用いる。
#甘露飲[1-1]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「熟地黄・生地黄・天門冬・麦門冬・黄芩各3、茵蔯蒿・枇杷葉・甘草・石斛各2、枳殻1」◎丈夫、婦人、小児、胃中客熱、牙宣、陰垂重く常に合閉せんことを欲す。或いは飢煩して飲食を欲せず、及び赤目腫痛涼薬に任えず、口舌瘡を生じ、咽喉腫痛するを治す。痘疹已に発し未だ発せず皆之を服すべし。又、脾胃湿を受け瘀熱裏にあり、或いは酔飽房労、湿熱相搏ち、疸病を生ずることを致し、身面皆黄、肢体微腫、胸満気短、大便調わず、小便黄渋、或いは時に身熱するを療す。並びに宜しく之を服すべし。
◎此方は脾胃消化器系に湿熱あり、裏に熱あって、口舌に瘡を生じ、又は、咽喉腫痛する者に用いる。又胃腸弱く、熱をかもし、歯根腫痛又は糜爛して膿血を出す。所謂歯槽膿漏にも用いられる。もし上焦の実熱のものは「加減凉膈散」、脾胃虚熱の場合は「清熱補気湯」である。又血燥によるものは「清熱補血湯」がよい。
熟地・生地・天門・麦門=瘀熱を涼す。枇杷=上焦の熱を解す石斛=脾胃の虚熱を除く茵蔯=風湿を治し、黄疸を療す。
#甘露飲[1-2]《和剤局方》《古今方彙》 「枇杷葉・石斛・黄芩・枳殻・天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄・茵蔯・甘草各等分」水煎。 ◎牙疳にて去血口臭、歯腫痛し、腐爛するを治す。
#甘露飲[1-3]《和剤局方》《古今方彙》「熟地黄・生地黄・天門冬・麦門冬・枳殻・茵蔯・黄芩(酒)・石斛・枇杷葉・甘草各等分」水煎。 ◎小児胃中の客熱にて牙宣(歯出血)、口臭、歯腫爛して時に膿血を出し、饑煩して飲食を欲せず、及び目赤腫痛し、涼薬に任えずして口舌に瘡を生じ、咽喉腫痛し、及び身面皆黄にして、肢体微腫し、大便調わず、小便赤渋するを治す。
#甘露飲[1-4]《和剤局方》《勿誤薬室方函》「生地黄1銭、乾地黄・天門冬各8分、麦門冬9分、枇杷葉4分、黄芩3分、甘草3分、石斛4分、枳実2分5厘、茵蔯蒿3分」◎丈夫小児、胃中客熱あり、牙宣歯爛、目垂れ閉じんと欲し、饑ゆれども食を欲せず、及び目赤く腫痛し、口瘡咽腫、瘡疹已に発し、未だ発せざるを治す。
◎又脾胃湿熱、酔飽房労、黄疸腹満、或いは時に身熱するを療す。◎此方は脾胃湿熱を云うが目的にて、湿熱より来る口歯の諸瘡に用いて効あり。<1>もし上焦膈熱より来る口歯の病は「加減凉膈散」に非らざれば効なし。<2>甘露飲は、「調胃承気湯」や「瀉心湯石膏」などを用いるほどの邪熱にも至らず、血虚を帯びて緩なる処に用いるなり。
#甘露飲[1-5]《和剤局方》《漢方治療の実際》「枇杷葉・石斛・黄芩・枳実・天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄・茵蔯蒿・甘草各2」 ★適応症及び病名
(甘露飲)[1]黄疸:☆茵蔯蒿湯などを用いて攻下した後、湿熱未だ全く徐かざる者に宜し。《方読便覧》☆腹満攻下の後湿熱去らざる者《矢数道明》[2]壊血病:《矢数道明》[3]牙疳:☆《有持桂里》は“牙疳といって、歯茎よりすさまじく日々血出で、血出るにつれて歯齦が腐爛して、なくなり、臭気が強く、後には膿も少しづつ出るものである。その症状の緩慢なものを牙疳といい、急なものを走馬牙疳という。甘露飲はその緩慢な牙疳を治すものである。走馬牙疳は平生の人にもあるけれども、とりわけ天然痘のあとに、最も多いもので、2、3日の中に歯も落ちて死ぬものである。通常の牙疳、走馬牙疳ともに、俗にクサと呼んでいる。この際、甘露飲に六味丸を兼用すると、ことの外によいものである”と述べている。《大塚敬節》[4]角膜膿瘍:☆胃中客熱、眼胞低重、膿をなす。《方読便覧》[5]虚労:☆房事によるものには効なし。《方読便覧》☆房事による虚労には、「牛車腎気丸鹿茸」を用いる。[6]口腔底蜂織炎:《矢数道明》[7]口舌疾患:☆これは繭唇(ケンシン)を治する主剤である。繭唇というのは、唇が堅くて膨れ上がるもので、破れて血が流れるようになると難治である。そこで転用して、一切口舌に申し分があって、虚火に属するものを治する。また口中に硬い出来物を生じ、永く治らず、後に血を流すようになると多くは死ぬものである。膿にはならずにしまうものである。早期にこの方を用いるがよい。《和田東郭》はこの方で舌疽を治したと余に語ったことがある。すべてこの方の効く症は、虚火と心得るがよい。 実証で清胃瀉火湯などを用いる場合とは、別個のものである。《百々漢陰》[8]歯槽膿漏:《矢数道明》
☆《和剤局方》に甘露飲は“牙疳、出血、口臭、歯齦腫れ痛み、腐爛すると治す”とあり、これは今日の粗相脳漏にあたる。《大塚敬節》 [9]舌ガン:☆舌疽に用いて著効を得た《華岡青州》☆舌疽には、甘露飲と滋陰降火湯の他には用いるものがない《浅田宗伯》[10]やせる:☆胃熱、善食し肌肉を生ぜざる者を治す。[11]夜盲症:☆雀目烏睛、膿をなす者を治す。《方読便覧》
#甘露飲[2]《東醫寶鑑》「寒水石・石膏・欝金・薄荷・甘草」各等分を作末し、毎回1銭を薄荷湯で 調下する。 ◎潮熱を治す。 #甘露消毒丹《葉天子》
「黄芩・連翹・茵蔯蒿・藿香・薄荷・白豆蔲・射干・菖蒲」 ◎(悪臭のある下痢) #汗証一方《済世全書》《古今方彙》「黄蓍1銭半、人参・芍薬各1銭、白朮・陳皮・麻黄根・甘草各7分、升麻・柴胡各1分、桂枝・附子各3分、浮小麦1撮み」水煎。
◎内傷虚症、発熱自汗雨の如く已まざるか、或いは身体は水の如く、或は寒戦を発するものを治す。 #冠心二号方(北京地区防治冠心病協作組)《中薬臨床応用》「降香15g、丹参30g、赤芍15g、川芎15g、紅花15g」毎日1剤を3回に分けて冲服。4週間を1クールとし、連続3クール服用する。◎狭心症。
寛快湯《仁斉直指》《勿誤薬室方函》「莎草2両、烏薬・枳実各1両半、縮砂7匁半、橘皮・木香各3匁、紫蘇子半両」 ◎気下降せず、大府渋滞するを治す。◎此方は気剤なれども中気を推下するの効ありて、大便不通、硝黄の剤を投ずれば便気ますます頻数にして通ずる能わず。気利とも云うべき症に用いる。
◎畢竟は訶黎勒散の意にて、はたらきのある方なり。◎対症の薬にて四つ手に取り組み、何としても行かぬことあり。この時彼の鉄砲を暖簾や幕にて受くる如く、軽き剤にて思いの外。和らぐなり。これいわゆる剛柔相制するなり。
寛胸丸《中医研究院西苑医院》《中薬臨床応用》「蓽撥90g、細辛15g、檀香45g、竜脳25g、延胡索25g、高良姜45g」エキスを精油と混ぜてカプセルに入れる(1カプセル=0.3g)1日3回、1カプセルづつ服用。◎狭心症。
寛胸利隔丸《中医雑誌1958年10月号》 「広木香・茅蒼朮・川厚朴・草果・枳穀・縮砂仁・麦芽・神麹・山楂子・桔 梗・青皮・子・広藿香・檳榔子・陳皮・甘草・川貝母各40g、炒白芍 80g、
製大黄160g。(大黄の製法は大黄6400gを、紅花・当帰・黄酒・童 便各1600gで、煎じ泡立てる)上記を作末し、蜜を練って丸め、毎丸12g、 毎服半丸ないし1丸。
寛中丸《全生指迷方》 「橘皮、白朮」 寛中丸《東醫寶鑑》 「蒼朮(炒)・烏薬・香附子各2両、三稜と莪朮を醋で煮て焙ったもの・青皮
・陳皮・乾姜(炮)・良姜(炮)・茴香(炒)・神麹(炒)・麦芽(炒)各1両を作 末し、醋糊で梧子大の丸剤。姜湯で50丸呑む。 ◎七癥・八・五積・六聚・痃癖・気塊を治す。 ◎胸腹の脹痛で顔が黄色く痩せる者を治す。 ◎一切の沈滞の疾病を治す。
寛中散《和剤局方》《龍野一雄》 「香附子6g、厚朴4g、陳皮・丁香・縮砂各1.5g、白豆蔲0.5g、甘草・木香 ・干姜各1g」 ◎気鬱・胃弱・胸つかえ・張る。 ★適応症及び病名 胃アトニー 気鬱 食道狭窄
寛中進食丸《東醫寶鑑》 「麦芽(麺)1両、半夏・猪苓各7銭、草豆蔲・神麹各5銭、枳実4銭、橘皮 ・白朮。白茯苓・沢瀉各2両、縮砂1銭半、乾生姜・人参・青皮・甘草各1
銭、木香5分を作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。米飲で50~70丸呑む。 ◎精が出、食欲を増す。 寛中湯《和田東郭》《勿誤薬室方函》 「半夏・茯苓・厚朴・乾姜・紫蘇子・甘草」
右六味、或いは呉茱萸を加う。 ◎此方は、「半夏厚朴湯」に「甘草乾姜湯」を合し、蘇葉を蘇子に代えたる方に して、利気を主とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎胸中に気あつまりて、心下までも及ぼし、気宇鬱塞する者に宜し。 ◎《和田東郭》は、婦人の経閉にて気宇鬱塞する者、先ず此方を用いて経水を通 じると云う。
寛中湯《和剤局方》《古今方彙》 「香附子16両、厚朴1斤、青皮・陳皮・丁香・砂仁各4両、白豆蔲2両、 甘草5分、木香3両、生姜」水煎。或いは作末し、姜塩湯にて点服する。 (点服=抹茶をたてるように、泡立てて飲むこと)
◎七情四気、脾胃を傷り以て陰陽不和を致し、胸膈痞満、停痰気逆遂に五膈の病 をなるを治す。 寛中透毒飲 「葛根・桔梗・前胡・青皮・枳穀・山楂子・蝉退・連翹・荊芥・麦芽」
寛中養胃湯《万病回春》《古今方彙》 「蒼朮4両、香附子7分、枳殻・藿香・厚朴・半夏・茯苓各5分、神麹・麦 芽・枳実各4分、砂仁・山楂子・檳榔子・青皮・甘草各3分、陳皮1銭、 生姜、大棗」水煎し食遠に服す。
◎胸膈腸満して飲食少しく用うるを治す。 寛腸丸《東醫寶鑑》 「黄連・枳穀」を等分に作末し、麺糊で梧子大の丸剤。50丸呑む。 ◎痔と大便が秘結して痛い。
緩痃湯《高階枳園》《勿誤薬室方函》 「柴胡桂枝乾姜湯鼈甲・芍薬」 ◎臍傍の痃癖ありて骨蒸状をなす者。 ◎肋下或いは臍傍に痃癖ありて、之を按ずれば則ち痛み、寒熱、盗汗、咳嗽など ある者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
緩中湯《肘後備急方》 =茯苓緩中湯《肘後備急方》 ◎此方は「小建中湯」の変方にて、能く中気を緩め積聚を和するの力あり。故に 後世には「緩痃湯」と称するなり。《勿誤薬室方函口訣》
観音救苦散《済世全書》《古今方彙》 「金銀花、皀角刺、穿山甲、当帰尾、括楼根、括楼仁、貝母、甘草」水煎し 酒を加えて服す。
◎乳癰、吹乳腫痛忍ぶべからざる者を治す。 観音元《東醫寶鑑》 「半夏生・烏梅肉・母子香・巴豆肉各10枚」乾燥させ作末し、姜汁糊で麻 子大の丸剤。毎回5丸、就寝時に冷水で服用。
◎瘴瘧を治す。 観音散《医学入門》《東醫寶鑑》 「人参1銭、蓮肉・神麹各2分、白茯苓2分半、白朮・黄蓍・木香・白扁豆 ・甘草各1分を剉作し、1貼に姜2、棗1、藿香3を入れ水煎服。
◎脾が弱く、下痢・精神混迷・四肢が冷たくて、慢驚になろおうとする者。 ◎外は風冷に感じ、内は飲食に傷き、嘔逆吐瀉、飲食進まず漸く羸弱するを治す。 《古今方彙》 ◎一方に「羗活、防風、全蝎、天麻」を加え「全蝎観音散」と名付け、吐瀉の後 慢脾風の甚だしき者を治す《古今方彙》
観音夢授丸《東醫寶鑑》 「夜明砂・当帰・蝉退・木賊各3両、を作末し、白羯羊肝4両を煮て、膏に なるまでついて、梧子大の丸剤。空腹時に、5丸を100日間服用。
◎内障で目が腫れた者。塩辛い物の食べ過ぎが原因の症状。 関節熱洗一方《中薬臨床応用》 「海桐皮・桂枝・寛筋藤・海風藤・両面針・路路通各30gを水煎し、1日1 ~2回、20~30分ずつ熱い内に関節を薫洗する。 ◎打撲、骨折 ◎関節リウマチ ◎関節の腫脹 ◎筋肉拘縮 ◎運動障害
関節熱洗二方《中薬臨床応用》 「沢蘭6g、生姜皮12g、姜黄9g、寛筋藤15g、忍冬藤15g、紅花6g 」水煎 し、熱い内に洗浄する。 ◎捻挫による腫脹疼痛
還元丹(一名返本丸)《東醫寶鑑》 「牛肉(筋・膜を去り、碁石ぐらいに切って洗い一夜漬けておき、酒に漬け て油紙で封をし、桑柴火で一昼夜煮て乾燥・作末し、肉半斤に薬1升の割 で入れる。蓮肉・山薬・白茯苓・茴香(微炒)を作末し、各4両を混ぜ、棗 肉をつぶして膏にし好酒を少し入れ、前の薬末を混ぜて搗いて梧子大の丸 剤。空腹時に温酒で50~70丸呑。
◎内傷の虚弱を治す。 ◎五臓を和らげ、百病を消滅する。 ◎精髄を充実させ、元気を出させ、肥らせる。 還元秋石丸《東醫寶鑑》 「秋石1斤、白茯苓1斤、天門冬・麦門冬・生既往・熟地黄・人参・地骨皮 ・人乳粉各4両」を作末し、梧子大の蜜丸。白湯又は酒で30~50丸呑む。
◎房事による精の消耗で、髪の白くなるのを治す。 還元保真湯《外科正宗》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬・熟地黄・白朮・茯苓・人参・黄蓍各1銭、牡丹皮・ 枸杞子各8分、甘草(炙)・熟附子各5分、沢瀉・肉桂各3分、姜、大棗」 水煎。
◎懸癰にて已に潰れ、瘡口開張し、膿水林として収斂する能わざる者を治す。 還魂湯[1](一名追還湯)《東醫寶鑑》 「麻黄3銭、杏仁25粒、桂心・甘草各1銭を剉作し、1貼を水煎し口に注 ぎ入れる。口をつぐんだ者には、口を開けさせて注入する、薬が入りさえ すれば生き返る。 ◎中悪などで、口をつぐみ、気の切れたのを治す。 還魂湯[2](一名輪廻酒)《東醫寶鑑》 「自分の小便を1~2滴、小鉢に垂らして呑む」 ◎腸の中に残った垢を濯う。この方法を行って、おなかが空いたら淡い粥を飲ん で、3日後に他の菓物を食べる、すると半月後に精神が生き生きしているよう になる。それから5年間は牛肉を忌けて食べてはならない。疝病・黄病の慢性 化したのによい。
還魂湯[3]《金匱要略》 「麻黄(去節)3両、杏仁(去皮尖)70個、甘草(炙)1両」 ◎救卒死客忤死、本方主之。 還少丹《東醫寶鑑》 「熟地黄・枸杞子各1両半、山薬・牛膝・遠志・山茱萸・巴戟・白茯苓・五 味子・石菖蒲・肉蓉・楮実子・杜仲・茴香」を作末し、蜜でまぜ棗肉で 梧子大の丸剤。空腹時に温酒又は塩湯で30~50丸呑む。 ◎下部脈が細く、陰痿して立たない者。
還晴丸[1]《東醫寶鑑》 「石決明()・覆盆子・茺蔚子各2両、槐実(炒)・人参・細辛・防風・白茯 苓・甘菊・柏子仁・川芎各1両」作末し、蜜で梧子大の丸剤。温水で30 丸服用。
◎高風雀目で内障になりかける者。 還晴丸[2]《東醫寶鑑》 「細辛・五味子各2両半、人参・桔梗・黄蓍・熟地黄・防風・知母・茺蔚子 ・車前子各2両、玄参5銭」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に、50丸 茶清で服用。
◎目に五色花が見える症。 還晴丸[3]《東醫寶鑑》 「天門冬・麦門冬・熟地黄各3両、知母(酒炒)2両、人参・地骨皮・肉蓉 (酒浸)・牛膝・杜仲(酒炒)・石斛・杏仁各1両半、当帰(酒洗)・白茯苓・ 山薬(蒸)・兎絲子(酒製)・黄柏(酒炒)・枳穀・甘菊(酒洗)・青子・草決 明・白茯苓・羚羊角(屑)各1両、防風・犀角各8銭、川芎」を作末し、梧 子大の蜜丸。空腹時に、塩湯で100丸服用。
◎遠近の一切の眼疾。 ◎内外膜の攀晴・努肉・爛弦・風眼。 ◎老人・虚弱者の目昏・多晴・迎風・冷涙。 還晴紫金丹《東醫寶鑑》 「白蜜2両、炉甘石1両を火10回して、水浸半日・黄丹の水を切った もの6銭、烏賊骨1銭、硼砂(細末にし磁器に入れ、重湯で煮て、自然 乾燥)・麝香各5分、白丁香2分半、軽粉1分を蜜と砂石器内に入れ、 とろ火で煮た後、甘石末を又少し入れ、次に黄丹を入れて柳枝でかき混 ぜ、又残りの薬末を入れて実大の丸剤。毎回1丸を温水で点眼する。
◎爛弦風を治す。 還精補腎丸《銀海精微》 「人参・白朮・茯苓・潼・羗活・木賊・菊花・防風各40g、甘草16g、 川芎・山薬・肉蓉・密蒙花・青子・牛膝・兎絲子各40g、以上を作末 して、蜜で丸薬にする。または煎服」
還陽散《東醫寶鑑》 「硫黄末2銭、を新汲水で調下すると、寒が一度おき、また熱が一度出るが、 もう一度飲むと、汗が出て治る。」
◎陰毒で顔色が青く、四肢が冷え、脈が沈む症。 貫衆丸《東醫寶鑑》 「雷丸1両半、貫衆1両2銭半、狼牙1両、白彊蚕1両、白藿蘆・乾漆・厚 朴・雄黄各7銭半」梧子大の蜜丸。水で5丸ずつ3回服用したあと、漸次 増やして10丸までに達した20日目になると三尸と九虫はみな死ぬ。 ◎三尸(→用語さ)と九虫(→用語き)を除去する。
◎雷丸は赤虫、貫衆は伏・尸虫、狼牙は胃虫、白彊蚕は膈虫、白藿蘆は尸虫、乾 漆は白虫、厚朴は肺虫、雄黄は尸虫、を殺す。 貫衆湯《中薬臨床応用》 「東北貫衆9g、山紫蘇15g、苦楝根皮15g、土荊芥15g」 水煎服。 ◎腸内寄生虫(鈎虫)
旱蓮膏《東醫寶鑑》 「旱蓮草16斤を6月下旬又は7月上旬に採集し水洗。乾いたら汁を絞って 陽に晒すこと5日間、そしてかき混ぜないで正午に新生蔓汁と蜜各1斤を 加えて、前のように晒して乾かし、数日たって飴のようになったものを、 缶に入れて貯蔵して、毎日早朝、空腹時に酒と調合して服用。」
◎髪を黒くする。 款冬花散《東醫寶鑑》 「麻黄・貝母・阿膠珠各2銭、杏仁・甘草(炙)各1銭、知母・桑白皮・半夏 ・款冬花各5分、姜3」煎服。 ◎寒と壅で肺気に不利となり、咳をして痰が起こるとき。
款冬花散《医学入門》《古今方彙》 「款冬花・桑白皮・知母・貝母(炒)・杏仁(炒)・半夏・阿膠・麻黄・甘 草・生姜」水煎温服。
◎寒壅相交わり(寒と痰とが滞り壅る)、肺気不利し、咳嗽喘満、膈煩悶し、鼻塞 清涕、咽腫痛する者を治す。 款冬花湯《中薬臨床応用》 「款冬花8g、杏仁6g、浙貝母6g、知母6g、桑白皮6g、五味子9g、甘草3g」 水煎服。 ◎上気道炎の咳嗽。
感応丸《東醫寶鑑》 「肉豆蔲()・白姜(炮)・百草霜各2両、木香1両半、撥茄・三稜(炮)・丁 香各1両、巴豆100粒の皮・芯・膜・油を捨て粉末、杏仁100粒去皮尖・ 雙仁麩炒の細研酒煮、蝋4両、清油1両を細末にし、先に香油に巴豆・杏 仁末を入れて蝋令で熔化させた後、残りの薬末を全部まぜて1両を10錠 に作り、毎回1錠を米飲で服用。または緑豆大の丸剤にし、白湯で10丸 服用。」
◎積痢・久痢・赤白膿血のまじった者。 感冒熱咳方《中薬臨床応用》 「前胡9g、牛蒡子9g、桔梗9g、薄荷4.5g(後下)、桑葉9g、荊芥9g、野菊 花9g、杏仁12g、甘草6g」水煎服。 ◎感冒で風熱。
換肌消毒飲《保嬰撮要》《古今方彙》 「 換金散《東醫寶鑑》 「乾姜・黄連」等分を作末し、瘡上に塗る。 ◎熱毒の口瘡を治す。
換骨丹《東醫寶鑑》 「蒼朮・槐実・桑白皮・川芎・白・威霊仙・人参・防風・何首烏・蔓荊子 各1両、苦参・五味子・木香各5銭、竜脳・麝香各5分」作末し、麻黄煎 じた膏に入れ、杵でついて1両を10丸に分作して、毎回2分の1丸を食 後、2分の1丸を就寝時に温酒で服用。ふとんをかぶって汗を出せばすぐ 直る。
◎中風の斜・・語渋・痰盛等の一切の風痰を治す。 ◎暗風・風癇も治す。 ◎発汗するのに特効あり。 疳湿散《東醫寶鑑》 「5月5日に、蝦蟆・木香・硫黄・鉄精を等分に作末し、麝香を少し入れて、 患部に塗る。」
◎婦人の陰蝕瘡を治す。 疳積餅《東醫寶鑑》 「使君子肉1両、白朮・黄連各3銭、青皮・陳皮・山楂肉・神麹(炒)・麦芽 (炒)・三稜()・莪朮()・木香各2銭半、縮砂・檳榔・肉豆蔲・訶子肉 ・炙甘草各2銭、茴香(炒)・川練肉・夜明砂(炒)各1銭半、乾蟾酥1個を 作末し、白麺3斤を黄色く炒って砂糖5両と煎じた水に混ぜ、餅をつくっ て毎回2~3餅をかじって米飲で送下する。」 ◎五疳のあらゆる積を治す。
坎離丸 「黄柏・知母」等分。童便に9回蒸し、さらした後作末し、地黄煎で梧子大 の丸剤。空腹時に毎回30~50丸、塩湯で服用。
坎離膏《東醫寶鑑》 「黄柏・知母・胡桃仁(皮を去り洗う)・白蜜各4両、生地黄・熟地黄・天門 冬各2 両、杏仁7 銭」まず黄柏・知母を童便3
椀に浸して、側柏葉を4 椀ぐらいになるように煮て滓を去り、又、天門冬・麦門冬・生地黄・熟地 黄を薬汁に入れて、水2
椀を注いで再び煮る。滓を去ると同時に、その 滓を粘土のようについて、そこに又、水1 ~2 椀を注いで濃く煎じて汁 を絞って、前の汁に入れ、杏仁・胡桃仁をついて汁を取って、蜜と合わせ て全汁に配合して煮て、膏薬をつくって容器に密封し、水中に入れて1日 おくと火毒ば抜ける。柏葉湯で3
~5 匙、空腹時に服用。 ◎陰虚火動による衂血・吐血・咳・嗽・喀血・唾血。
坎既済丸(かんりきせいがん)《東醫寶鑑》 「当帰(酒洗)6両、熟地黄・生地黄(酒洗)・天門冬・麦門冬・山茱萸・牛 膝(酒洗)各4両、白芍(酒洗)・五味子・山薬・亀板(酥炙)各3両、知母(酒 浸)2両、知母(塩水浸)2両、黄柏(酒炒)3両、黄柏(蜜水炒)3両、川芎1 両」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に塩湯で50~60丸服用。
◎陰虚火動による労損を治す。
坎膏(かんりこう)《東醫寶鑑》 「黄柏・知母各4両、生地黄・熟地黄・天門冬・麦門冬各2両、杏仁7銭、 胡桃仁・蜂蜜各4両」 まず先に黄柏・知母を童尿3椀・水3椀・側柏葉一握りと煎じて、3~4 椀になったら滓を捨て、そこに天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄を薬汁内 に入れ、水2椀を加えて煎じ、滓を捨てついて粘土のようになったら、又 水1~2椀を注いで煎じて汁をしぼる。別に杏仁・胡桃仁に水を入れ、つ いて汁を濾す、それを繰り返し、滓がなくなったら蜜と前の薬汁に入れ、 炒って膏をつくり、水に漬けて冷まし、毎回3~5匙を側柏葉湯で、空腹 時に調服する。 ◎陰虚火動による潮熱・盗汗・喀血して労になろうとする者。
寒水石散《東醫寶鑑》「寒水石・滑石各1両、甘草2銭半」作末し、毎回1銭を服用。 ◎小児のあらゆる熱を治す。 乾姜黄連黄芩人参湯[1-1]《傷寒論》
=乾姜黄芩黄連人参湯「乾姜・黄芩・黄連・人参各3両」右4味、以水6升、煮取2升、去滓、分温再服。◎傷寒本自寒下、医復吐下之、寒格、更逆吐下。若食入口即吐、人参乾姜黄連黄芩湯主之。《傷寒論》辨厥陰病脉證并治第十二。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。 乾姜黄連黄芩人参湯[1-2]《傷寒論》《龍野一雄》 「乾姜・黄芩・黄連・人参各3g」水240を以て80に煮詰め、滓を去り2回に分服。
乾姜黄連黄芩人参湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》「乾姜・黄連・黄芩・人参各3」◎心煩し、心下痞硬して吐下する者を治す《吉益東洞》◎此方は膈熱ありて吐逆食を受けざる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎半夏生姜、諸嘔吐を止むるるの薬を与えて寸効なき者に特効あり。
◎寒格吐下。 ★適応症及び病名[2]嘔吐:☆嘔逆 ☆乾嘔☆傷寒脈遅、胃冷嘔吐するを治す《傷寒論識》☆普通の嘔吐は小半夏加茯苓湯なり。これは胃熱なし、熱があって、食物の入らないとき、或いは小半夏加茯苓湯で無効のとき、本方を与える《済世薬室》☆本、寒邪上焦に膈熱するを治す。今、食入れば即ち之を吐する症。☆ケガの後や手術のあとで、悪心・嘔吐があって、薬も食事ものどを通らない者に本方を与えると、嘔吐が止むものである《大塚敬節》
[4]急性胃腸カタル[5]急性腸炎[6]下痢:☆噤口痢に用いる《勿誤薬室方函口訣》 ☆脾胃虚寒、腸に積気あるの泄を治して、甚だ効あり。《雑病翼方》☆下痢して、食欲無く、悪心・嘔吐を訴え、半夏瀉心湯などで効のない者に用いる《大塚敬節》[7]消化不良[8]上腹部痞塞感
[9]心下痞硬[10]心煩[11]発熱: ☆冬月傷寒発汗し、解せず、下利数行、或いは下利せず、三四日後、熱いよいよ盛んに、譫語・煩悶・心下痞・少腹無力。面赤耳聾す。余、以て直中証と為し、与うるに附子剤を以てする。効無し。後、上熱下冷と謂い、本方を与える。《先哲医話》[12]煩悸[13]煩躁[14]便秘(心煩がある便秘)[15]慢性腸炎☆食べると嘔吐し・心下痞硬し、下痢する。
乾姜生肌散《医宗金鑑》 「乾姜40gを細末にし、瘡口にのせ、外は膏薬を貼る。」
乾姜人参半夏丸《漢方治療の実際》「乾姜1、人参1、半夏2」以上を作末し、生姜汁を加えて米糊で丸とし、1回3.0、1日3回服用。 乾姜人参半夏丸料[1-1]《金匱要略》「乾姜1両、人参1両、半夏2両」右2味、末之、以生姜汁糊為丸如梧子大、飲復10丸、日3服。◎妊娠嘔吐不止、乾姜人参半夏丸主之。《金匱要略》婦人妊娠病脉證并治第二十。
乾姜人参半夏丸料[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》 「乾姜1g、人参1g、半夏2g」生姜汁を加えて0.3gの糊丸とし、30丸を3 回に分服。◎嘔吐止まず心下痞硬する者を治す。《吉益東洞》◎此方は本悪阻を治する丸なれども、今料となして、諸嘔吐止まず、胃気虚する者に用いて捷功あり。◎妊娠・悪阻・嘔吐。
★適応症及び病名[1]胃下垂[2]嘔吐<激しい>☆食べるとすぐに吐く。☆周期的にくる。 ☆もし大期に及んで忽ち嘔吐を発する者は、多くこれ子癇の兆し、是方の治す所に非ざるなり。《雑病論識》☆頑固なる嘔吐、及び悪阻等に在りては、伏竜肝の浸漬汁を以て、此方を煮服すれば効あり《奥田謙蔵》☆小半夏加茯苓湯より少し胃虚に属す。《済世薬室》☆嘔吐頻発し、漸く四肢に寒冷を覚ゆる等の証《奥田謙蔵》☆「橘皮・半夏・竹茹各5両、生姜・茯苓各4両、麦門冬・人参各3両」:(胃熱気逆嘔吐を治す)。仲景の未備を補うべきなり《雑病論識》
☆《陳念祖》曰く、「乾姜人参半夏丸料」は胃に寒飲有るを主る。もし胃熱上衝して嘔吐する者:-乾姜生姜・茯苓・麦門冬・鮮竹茹」湯に作る。《雑病翼方》
[3]悪心<激しい>[4]吃逆:☆手術後の治りにくい吃逆。[5]食欲不振[6]心下痞硬[7]衰弱[8]つわり:☆婦人妊娠、悪阻、酢心、胸中冷え、腹中痛み、飲食し能わず、すなわち青黄汁を吐くを治す。ただ、生姜汁を代えて地黄汁に和し、丸とするのみ。《医心方》☆妊娠、悪阻殊に甚だしく、湯薬を服すること能はざる者は、此方を用いて、徐々に効を収むるを宜しと為す。大便不通の者は、大簇丸、黄鐘丸等を間服す。若し蚘を兼ねる者は、鷓胡菜丸に宜し《類聚方広義》☆始め小半夏加茯苓湯を、治らないときは本方を用いる。《済世薬室》[9]手足厥冷[10]疲労倦怠
[11]羸痩 乾姜附子湯[1-1]《傷寒論》「乾姜1両、附子(生用去皮切8片)1枚」右2味、以水3升、煮主1升、去滓、頓服。◎下之後、復発汗、晝日煩躁不得眠、夜而安静、不嘔、不渇、無表證、脉沈微、
身大熱者、乾姜附子湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。 《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。
乾姜附子湯[1-2]《傷寒論》《龍野一雄》「乾姜1g、生附子0.5g」水120ccを以て40に煮詰め頓服。 ◎此方、昼日は煩躁し、夜は則ち安眠する者、実に能く之を治す。大に奇也。《類聚方集覧》◎昼煩躁、夜安静。
★適応症及び病名[1]息切れ[2]意識混濁[3]胃腸炎(急性・慢性)[4]嘔吐[5]悪寒[6]悪風[7]顔色悪い[8]からだがだるい[9]霍乱:☆暴かに風冷に中り、久しく痰水を積み、心腹冷痛四逆湯、霍乱転筋するを治す。一切の虚寒は、並に皆之を治す《和剤局方》[10]風邪:☆陰証の傷寒、大便自利して発熱する者は、尤も之を服するに宜し《易簡方》[11]吃逆:☆傷寒の病、呃(=吃逆)止まざるを治す。擣篩し、苦酒を以て丸し、酒にて飲み下す《外台秘要方》
(擣=トウ、つく) (篩=シ、ふるい)[12]胸内苦悶[13]筋肉ケイレン[14]厥逆[15]下痢:☆下利し、煩躁して厥する者を治す《類聚方広義》☆当に下利、煩躁、悪寒の証有るべし。《類聚方集覧》[16]口渇☆外表に熱感あり、口舌乾燥するも舌苔なく、呼吸促迫し、自汗出でて煩し、精神欝々として悶え、その脈浮虚なる証《奥田謙蔵》
[17]ジンマシン[18]しもやけ[19]自汗[20]食欲不振[21]瘴毒:☆陰証の発熱にして、或いは煩躁四逆湯、手足冷え、鼻尖重痛し、舌上に胎生じ、飲を引き、煩渇し、或いは自利、嘔吐し、汗出でて悪風するを治す《景岳全書》[22]心悸亢進[23]心腹冷痛[24]身体煩疼[25]喘息[26]テンカン[27]手足冷たい[28]尿毒症[29]熱っぽい<虚熱>☆虚熱去らず、時に煩躁を発し、須臾にして又止み、其の脈微浮にして弱なる証《奥田謙蔵》[30]脳出血[31]脳塞栓[32]煩躁:☆虚熱なお解せず、時に自汗出で、大に煩躁し、その脈微浮にして虚なる証《奥田謙蔵》☆煩躁して眠ることを得ず、脈沈微なる者《方機》☆此れ汗下の誤施に因りて致す症也。甘草乾姜湯の煩躁とほぼ似たり。然れども、彼は誤治に因りて病勢激動し、急迫を致す、此病は誤治の為に重きを加えず、又急迫の症無し。ただ精気の脱すること甚だし。これ甘草、附子、地を易ふる所以か《類聚方広義》[33]皮膚潰瘍[34]腹痛[35]不眠
[36]無気力[37]胸苦しい:☆外表に熱感あり、胸内に苦悶あり、時々汗出で、身体疼煩し、その脈沈なる証《奥田謙蔵》 乾姜湯《東醫寶鑑》「乾姜3銭」水煎服。汗を出すと治る。
◎陰陽易病。 乾葛湯《東醫寶鑑》「乾葛・枳穀・半夏・赤茯苓・生地黄・杏仁各1銭、黄芩・甘草各5分を剉作1貼して、黒豆100粒、呉茱萸3、白梅100個」煎服。
◎酒痔を治す。 乾地黄湯《婦人大全良方》《勿誤薬室方函》「地黄・大黄・黄連・黄芩各1両、柴胡・芍薬・甘草各1両半」「大柴胡湯-枳実姜棗+乾地黄黄連甘草」《傷寒翼方》
◎婦人、傷寒差ゆるの後、なお余熱ある者。◎此方は大柴胡湯の変方にて、熱血分に沈淪する者に効あり。故に余門、熱入血室を治する正面の者を「小柴胡湯地黄」とし、変面の者を此方とするなり。 《勿誤薬室方函口訣》
◎傷寒遺熱を治するに、「参胡芍薬湯」を慢治とし、此方を緊治とするなり。 陥胸湯《備急千金要方》「大黄2両、黄連2両、甘草1両、括蔞仁2両」◎胸中心下結積し飲食消せざるを治す。◎此方は大陥胸湯と小陥胸湯との間の薬なり。《勿誤薬室方函口訣》◎結積、胸中或いは心下にありて拒痛する者を治す。◎この飲食不消は胸中に邪ある故なり。中に満などあればますます宜し。◎小児食積より胸中に痰喘壅盛する者を治す。もし嘔気ある者は「半夏・甘草」 《勿誤薬室方函口訣》◎宿食上脘にある者の治法なり《雑病翼方》
陥胸湯《漢方治療の実際》「大黄1、黄連2、甘草1、括呂実3」 眼疼1号 「当帰・薄荷・防風・細辛」各等分に作末し毎回2銭を、麦門冬湯で1日3回服用。◎瞳が痛みで耐えられない者を治す。
眼目一方《寿世保元》《古今方彙》「当帰1銭半、生地黄1銭、白芍薬(酒)・川芎・益母草・白朮・黄柏(乳炒)・知母(乳炒)各1銭、人参・密蒙花各5分、黄芩7分、竜胆4分」水煎。
◎素稟(生まれつき)虚弱なるに勤労して眼目昏暗するを治す。
含膏丸《東醫寶鑑》「葶藶子1両」を隔紙で蒸し、黒色になったら「知母・貝母各1両」を作末し、棗肉半両に砂糖1両半を溶かして混ぜ、梧子大の丸剤。新綿でくるんで1丸を口に含んで吸って飲む。◎喘嗽を治す。
#気緘元《東醫寶鑑》「薑黄・青皮各1両、木香・丁香・胡椒・全蝎・肉豆蔲(煨)各5銭」作末し蘿葡子2両を細研して混ぜ紅酒・生姜汁で糊をつくり梧子大の丸剤。紫蘇葉・陳皮煎じ湯で40~50丸飲む。◎気脹を治す。
#気疝飲《医学入門》《東醫寶鑑》「黄連を呉茱萸で煎じた湯に漬けて炒ったもの2銭、人参・白朮各1銭、白芍・陳皮各7分、甘草3分、生姜3」水煎服。
◎気疝を治す。
#気痛方《中薬臨床応用》「両面針9g、烏薬9g、延胡索9g、烏賊骨12g、九里香12g、風沙藤12g、鶏骨香12g、甘草3g」水煎服。◎消化性潰瘍◎神経性胃炎
#気痢丸《東醫寶鑑》「訶子皮・橘皮・厚朴各1両を作末し、蜜で梧子大の丸剤。 空腹時に米飲で30服用。」 ◎気痢で大便が泡のような者。
#奇応丸《桂集》「麝香・沈香・人参・熊胆・金箔」
#奇応丸《経験方》「人参、熊胆、伽羅、麝香、牛黄、真珠」 #帰葵湯《東醫寶鑑》 「升麻1銭、黄蓍・酒片芩・防風・羗活各7分、蔓荊子・連翹・甘草(生)・
地黄(生)・当帰・人参・紅葵花各5分、柴胡3分」水煎し食後温服。◎物を見ると黒花が出、涙が出、目の中に火気があって陽を嫌い者。
#蓍帰建中湯[1-1]《華岡青洲方》
(ぎきけんちゅうとう)
「桂枝、白芍薬、甘草(炙)、生姜、大棗、膠飴、当帰、黄蓍」 #蓍帰建中湯[1-2]《漢方治療の実際》=「帰蓍建中湯」「黄蓍2、当帰2、桂枝・生姜・大棗各4、芍薬6、甘草2」
#蓍帰建中湯[1-3]《華岡青洲方》《龍野一雄》 「黄蓍2g、当帰4g、桂枝・大棗・甘草各3g、芍薬6g、干姜1g」◎小建中湯、当帰建中湯、黄蓍建中湯、蓍帰建中湯などは腹直筋の拘急がひどくて、歩行困難、または歩行不能の者に用いて時に著効を得ることがある。その際疼痛のある場合があり、知覚麻痺を伴うこともある。《大塚敬節》◎腹直筋が軟弱無力のこともある《大塚敬節》◎「黄蓍建中湯+当帰」
★適応症及び病名(ぎきけんちゅうとう)
[1]脊椎カリエス:☆《大塚敬節》“昭和9年11月、茨城県の山間にある知人の別荘にでかけたとき、村の者が数人して戸板に乗せた青年を運んできた。聞けば隣村からわざわざ診察を受けに来たのだという。診れば、痩せた血色の良くない青年で、1人では寝返りさえ出来ない。病人のいうところによれば、病気になってから、もうかれこれ10年にもなるから、元の身体になることは望まないが、せめて大小便だけでも人手を借りずに済ませるようになれば満足だという。医師から脊髄が悪いといられたそうであるが、脊椎の形状からカリエスではないかと考えた。脈は弦で、しかも弱である。腹直筋は弓のつるを張ったようになって、脊柱はひどく変彎しているので、仰臥することが出来ない。無理に力を入れて伸ばそうとすると痛む、大小便と食欲は普通である。私は虚労と診断し、腹直筋の攣急とやせて血色の良くない点を目標にして、蓍帰建中湯を与えたところ、1ヶ月ぐらいでひとりで座れるようになり、3ヶ月たつと、杖を突いて歩けるようになり、翌年の夏は健康人と同じく動作が出来るようになり、たいへん喜ばれた。”
[2]紫斑病 ☆小建中湯よりも、さらに貧血、衰弱の激しいものに用いる(漢方診療医典)
[3]痔瘻(じろう):☆幼児の痔瘻に、帰蓍建中湯伯州散を服用させ、紫雲膏を塗布して、1年かかって全治せしめた。《大塚敬節》☆5歳の男子の痔瘻に、帰蓍建中湯紫雲膏で全治した。《大塚敬節》
[4]附骨疽(ふこっそ)
☆12歳の男児。腰椎カリエスがあり、臀部に寒性膿瘍を作り、それが破潰して、排膿しているものに、蓍帰建中湯を用い、1年余り連用せしめて全快した。この少年は目下成人して結婚し健康に生活している。《大塚敬節》
#蓍帰建中湯《華岡青州》《龍野ー漢方処方集》「黄蓍2.0g、当帰4.0g、桂枝・大棗・甘草各3.0g、芍薬6.0g、干姜1.0g」◎諸病後、虚脱し、盗汗出ずる者を治す。◎「当帰建中湯+黄蓍」。或いは証に随い「+反鼻」《勿誤薬室」函口訣》◎此方は《華岡青州》の創意にて、瘡瘍に用ゆれども、虚労の盗汗、自汗症に用いて宜し。◎肉芽悪く分泌うすく) ■潰瘍
■痔瘻 ■蓄膿症 ■皮膚病 ■ 慢性中耳炎 ■漏孔 #蓍蔯湯《東醫寶鑑》「石膏2銭、黄蓍・赤芍薬・茵蔯蒿・麦門冬・豆豉各1銭、甘草5分」剉作1貼し、姜5片入れ水煎服。◎黄汗を治す。
蓍附湯《厳氏済生方》《古今方彙》=「茋附湯」 「黄蓍(去蘆・蜜炙)・附子(炮)各等分」毎に4銭を服す。水1鐘、生姜10片、煎じて8分を服す。◎気虚陽弱、大汗体倦するを治す。
蓍附湯《重訂厳氏済生方》《魏氏家蔵方》「黄蓍、附子」 蓍附湯《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)・附子(炮)各2銭半、姜3片」煎服。◎自汗を治す。
帰求破癥湯《東醫寶鑑》 「香附子(醋炒)1銭半、三稜(醋煮)・蓬莪朮(醋煮)・赤芍薬・白芍・当帰尾 ・青皮各1銭、烏薬7分、紅花・蘇木・官桂各5分」水煎服。
◎月経不通・腹中に塊があって疼痛ある者。
帰荊湯(きけいとう)《仁斎直指方》 「当帰・荊芥」各等分。酒水煎。◎風痙(=子癇)、昏迷し、沫を吐し、抽掣し、背脊強直するを治す。◎産後の痙も通用す。◎余が門にては、豆淋酒にて煎服す。
帰元散《東醫寶鑑》 「人参・白朮・白茯苓・遠志・酸棗仁(炒)・麦門冬・黄柏・知母・鶏頭実・ 蓮花芯・枸杞子・陳皮・川芎各5分、升麻・甘草・各2分半、蓮肉3個、
棗子1枚」を煎じて、空腹時に、温服。◎夢泄がひどく体力が無くなった者に。
帰元湯《万病回春》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓・遠志・酸棗仁・麦門冬・黄柏(便)・知母(童便)・陳皮・川芎・芡実・蓮花鬚・枸杞子各等分、升麻、甘草半減、蓮肉、大棗子」水煎し空心に服す。
◎夢精、日久しく気下陥する者を治す。
帰茸丸《東醫寶鑑》「当帰・鹿茸」各等分に作末し、烏梅肉で膏を作り梧子大の丸剤。温酒で50 ~70丸飲む。◎虚労による肝の虚弱。 ◎顔色が悪く、目がかすむ。
帰芍紅花散《審視瑶函方》 「当帰・大黄・梔子仁・黄芩・紅花(以上いずれも酒でていねいに洗う)・ 赤芍・甘草・白芷・防風・生地黄・連翹各等分。作末して、毎服12g。」
帰心丹《東醫寶鑑》 「朱砂2両を豚の仔袋の内に入れて灯心で結び、酒で蒸して作末し、酸棗仁(炒)・白茯神・人参・当帰各2両、琥珀・遠志(姜製)・竜歯各1両、金箔20斤、銀箔20斤」作末し、酒で煮た糊で梧子大の丸剤。
①19~39丸を麦門冬を煎じた湯で飲む。 ②癲癇がひどいときは、乳香・人参を煎じた湯で飲む。 ③夢ばかり見て寝られない人には、酸棗仁の煎じ湯で飲む。
◎心気の不足・恍惚・健忘・癲癇・狂乱・驚悸・怔忡に。 ◎病後の心臓の衰弱に特効。 帰脾湯 [1-1]《厳氏済生方》《龍野ー漢方処方集》 「黄蓍・人参・白朮・茯苓・酸棗仁・竜眼肉各4g、当帰・遠志・大棗各2g、甘草・木香・干姜各1g」
(きひとう)
◎不眠・発熱・盗汗。 ◎思慮過度。 ◎健忘・胸騒ぎ・驚悸。 ◎嗜臥・食欲不振。 ◎憂思発熱。 ◎体痛大便調わず。 ◎月経不調、暮れ方に発熱。
◎頚腺腫脹。
帰脾湯[1-2]《厳氏済生方》《中薬臨床応用》「黄蓍9g、白朮9g、党参9g、当帰6g、茯神9g、竜眼肉9g、木香1.5g(後下)、遠志3g、酸棗仁9g、甘草(炙)5g、生姜5g、大棗15g」水煎服。◎神経衰弱
帰脾湯[1-3]《厳氏済生方》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・茯苓・酸棗仁(炒)・竜眼肉各2銭、当帰・遠志各1銭、甘草(炙)・木香各5分、生姜、大棗」水煎。
◎脾経血をい失して、少寝発熱、盗汗、或いは思慮して脾を傷り、血を摂する能わず、以て妄行を致し、或いは健忘怔忡、驚悸不寝、或いは心脾傷き痛み、嗜臥少食、或いは憂思して脾を傷り、血虚して発熱し、或いは肢体痛みをなし、大便調わず、或いは婦人経候準ならず、
熱内熱、或いは瘰癧流注し、消散潰斂する能わざるを治す◎加味帰脾湯=「+柴胡山梔子」◎本方には当帰遠志なく、《薛立斎十六種》は之を加える。
帰脾湯[1-4]《東醫寶鑑》 「当帰・竜眼肉・酸棗仁(炒)・遠志(製)・人参・黄蓍・白朮・茯神各1銭、木香5分、甘草3分、生姜5片、大棗2枚」
◎憂思によって心・脾を傷め、健忘・怔忡する者。 帰脾湯[1-5]《厳氏済生方》(きひとう) 「当帰・白朮・茯苓・黄蓍・人参各2銭、甘草1銭、酸棗仁・遠志・木香各5分、竜眼肉5枚」
◎思慮過制し、心神脾を労傷し、健忘・怔忡するを治す。
◎此方は《明医雑著》に拠って[遠志]・[当帰]を加え用いて、健忘のほか、思慮 過度にして心脾二臓を傷り、血を摂することならず、或いは吐血、衂血、或い
は下血の症を治するなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方に[柴胡][山梔子]を加えたるは、《内科摘要》なり。前症に虚熱を挟み、或いは肝火を帯る者に用いる。
◎凡そ、補剤を用ゆる時は、小便通利少なき者多し。此方も補剤にして、且つ利水の品を伍せざれども、方中の木香、気を下し、胸を開く故、よく小便をして通利せしむ。主治に大便不調を云うは、能く小便を裏するを以て、大便自止の理なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎思慮、脾を傷め、血を摂する能わず、血の妄行を致し、或いは健忘、怔忡、驚悸、盗汗、臥を嗜み、食を少なくし、或いは大便不調、心脾疼痛、瘧利、欝結し、或いは病の薬を用うるに宜しきを失うに因って、剋代し、脾を傷め、以て変証に致したる者を治す。《雑病翼方》
◎《陳念祖》曰く、此方は養神の法と為す。《雑病翼方》
◎不眠発熱盗汗或いは思慮過度、或いは健忘、胸さわぎ、驚悸、或いは嗜臥食欲不振、或いは憂思発熱、或いは体痛大便調わず、或いは月経不順、暮方に発熱、或いは頸腺腫脹。《龍野ー漢方処方集》
◎《漢方後世要方解説》此方は思慮過度により心脾を労傷し、主治に挙ぐる如き諸症を発せる場合に用いられる。脈腹ともに虚弱にして、面色痿白、貧血甚だしく、健忘、不眠、驚悸、怔忡、出血し易き等の症がある。犀角、地黄、黄連と虚実の相違があり、また他の補養の剤は心下に痞えて亨は心悪しき者によく奏功する。
◎《大塚敬節》思慮が多きにすぎ、そのために脾を傷り血をおさめることが出来ないから、下血・吐血・衂血等の症を現し、または心が虚して怔忡驚悸(驚きやすくて動悸がする)健忘(物忘れが激しい)等の症状を現す者を治すのが、この帰脾湯である。
◎帰脾湯がまことに良く効く方であるけれども、ちょっと証を間違えて、実証の者などに用いると、ひどく悪くなることがある。《大塚敬節》
★帰脾湯きひとう:(胃腸虚弱、貧血疲労、顔面蒼白、心悸亢進、腹部軟弱、出血、舌無苔) 帰脾湯[1-6]《漢方治療の実際》「黄蓍・人参・朮・茯苓・酸棗仁・竜眼肉・当帰各2、
遠志・甘草・木香各1、 生姜・大棗各1.5」
★適応症及び病名 (帰脾湯) [1]悪性貧血 ☆患者は友人の妻君で、子供も2人あった。従来健康であったが、夏に急性胃腸カタルをやってからどうも腸の具合がわるく下痢しがちで、ひどく痩せてしまった。秋頃になってあまり体重が減少するので、海軍病院で診てもらうと腸結核であるといわれた。その後、中野の組合病院に入院したが、ここでは腸結核の上に腹膜炎も伴っていて、その上ひどい貧血であるから重症であるといわれた。そこで、友人は知人のS博士に診てもらった。同博士は血液学の大家で、病理学の著書を出しているひとであるが、血液検査をして見て、首を横に振った。どうもいかんというのである。血液検査の結果は赤血球が114万(正常なものは450万)で、正常なる婦人の1/4しかないのである。こうした例は学界に類が稀で、2例の報告はあるがいずれも不治に終わったから、この患者も難しいであろうとのことであった。
だが友人はかって肺結核で半年間も血痰が止まらずに困っていたのが、私(代田文誌)の灸治により血痰が泊まり、肺結核も全治した経験を持っているので、最後の希望を私にかけて治療を頼んできた。そこで、私は往診したが、顔面蒼白、全身は水腫をきたし、顔面と足首とはことにひどく、熱も38.5℃ほどあり、咳嗽が頻発している上に、食欲が無くて、しかも毎日数回下痢しているのである。
これを診た時は、どうしても助かりそうに思えなかった。だが、私は勇気を起こした。そこで、 (腹部)中脘、上脘、水分、気海、大巨 (背部)身柱、風門、大杼、至陽、膈兪
(手足)曲池、左陽池、尺沢、足三里、太谿 に半米粒大の灸3壮ずつすえた。灸し終わったが、不安でならぬので、湯液を飲んではどうか?と相談すると、飲んでみたいという。そこで、大塚敬節先生を紹介し、往診を求めた。大塚先生は快く承諾し、往診し、投薬してくれた。
その後、患者は日ごとに体の調子がよくなり、数日にして平熱となり、水腫もとれ、食欲が出てきた。そうして下痢も止まったのである。かくて灸治と湯液を併用すること約1ヵ月にして退院し、自宅で養生することになり、次に往診したのは、前の往診後1ヵ月半の時であった。そのときはすでに食事も起きて自分でとり、便所へも自分で行っていた。その後1ヵ月の灸治と湯液の服用で、完全に治癒し、血液検査の結果は正常となったのである。
この悪性貧血の治に当たっては、灸治も相当に効いていることは確かであるが、大塚先生の与えられた帰脾湯が非常に効いているようで、患者はあの薬をのむと食欲が増すといって、1日でも薬がきれると早く薬をとりに行ってくれるようにと主人に督促するというふうであった《灸療雑話》
[2]頭がふらつく
[3]頭がボーッとする
[4]胃下垂
[5]胃潰瘍
[6]胃がもたれる ☆補中益気湯・十全大補湯などがもたれる者に良い、
[7]胃無力症
[8]息切れ
[9]遺精:☆遺精白濁《漢方後世要方解説》☆白濁。淋渋、虚証の者《矢数道明》
[10]陰痿:☆思慮し脾を破る者《薛立斎十六種》
[11]陰戸出
[12]陰部掻痒症:☆婦人素より欝悶し、陰内痛痒し、時ならず水を出し、飲食少しく思い、肢体倦怠するを治す。《薛立斎十六種》
[13]陰門熱癢:☆陰門熱痒《漢方後世要方解説》
[14]過労: ☆元来胃腸虚弱者が、思慮過度により脾がやぶれ心身過労となる。
[15]感情不安定:☆今俗に云う癇証で、しきりに物事を苦にして種々の容体を言うて、自ら大病となし、或いは自刃せんとし、或いは悲傷する者がある。しかし時によっては、起居、飲食とも変わりなく、診察してみると、多くは脈が沈細で、人参や附子を用いたい様である。しかしこのような証はひどい虚証のように見えても、うっかり人参や附子の入った方剤はやれないものである。先ず疏肝散(柴胡剤など)がよい。
1婦人が癇症だといって治を乞うた。そうして言うに、私の病気は癇症だけれども、帰脾湯を用いないで下さいという。そこで余がその訳を詰問すると、婦人がいうのに、先年、私の夫が癇症にかかって、ある医者に治を乞うたところ、その医者が虚証と判断して帰脾湯を与えた。するとたちまち上逆、発狂して自殺してしまったと。余はこれを信ずることが出来ず、疑問に思っていた。ところが、その後、また1人の婦人が癇性で治を乞うたが、虚証のように見えるので帰脾湯を用いたところ、たちまち発狂して、井戸に飛び込み死んだ。そこで始めて、前の婦人の云ったことが、こじつけでないことを知り感服した。その後、また1人の男子の癇症を診察し、よほどの虚証であったから、帰脾湯を用いたところ、1年ばかりで全治した。
帰脾湯は、証に適中すれば、その効は神の如くすばらしいが、一度誤るときは、人を殺すこともすみやかである。よくよくつつしみ、虚実を弁別して用いなければならない。《椿庭夜話》
[16]顔面蒼白
[17]驚悸
[18]経閉:☆(気の鬱滞による慢性)☆《陳念祖》曰く、女子に不得隠曲(欲求不満)あり。之を心に鬱し、心、血を生ずる能わず。血、脾を養う能わず、是れに由って水穀衰少、以て精微の気を化する無く、而して血脈遂に枯れ、月事時に下ら能わず。余、凝して「帰脾湯鹿茸麦門冬」として二十餘在を服して癒える。
[19]血尿: ☆諸出血、貧血がひどく、心動悸、食欲不振を訴える者《矢数道明》
[20]血便:☆大便下血、凉血の薬を用い、効かざる者、:「槐花・黄芩」《雑病翼方》
[21] 月経不順:☆全身衰弱による者《矢数道明》☆思慮過度による月経不順《矢数道明》☆遅れる者:「附子乾姜」☆早き者:「牡丹皮・梔子」《方読便覧》
[22]血小板無力症
[23]元気がない
[24]健忘症:☆健忘を治すの総司なり《古今方彙》☆思慮過度、大病後の気虚脱《漢方後世要方解説》☆老衰健忘《漢方後世要方解説》☆この方のゆく健忘は、瘀血にもよらず、また柴胡剤、瀉心剤、石膏剤などの症でもない。老人が中風の下地をなす時、多く健忘となる。このところに、この方の効がある。老境の健忘にはよく効のある方である。たとえば、自分のそばにある火盆をここへ持ってこいと命ぜんとして、その火盆の名を忘れ、或いは親戚・朋友の姓名などを忘れなどすることは、老境に多くあるものである。壮年の人の健忘には桃核承気湯などのゆくこともあるが、老人には駆瘀血剤のゆくことは少ない。しかしまた壮年にも帰脾湯のゆく処がある。帰脾湯のゆく処は、多くは面などツヤツヤし、或いは半身不遂なども有る者である。しかしこのような症を帰脾湯の主症というのではない。この場は世人、多くは中風とみるものである。帰脾湯は老壮を論ぜず、健忘の症があっても、攻撃剤を用いることの出来ない処に用いる。世医、帰脾湯の処へ、瀉心剤などを与え効が無い、難治などと云って、捨てておく者がある。、
健忘は癇に属する者もあり、瘀血に因る者もある。瘀血による者には、茯苓杏仁甘草湯が効がある。《方輿輗》
[25]更年期障害
[26]衂血 ☆諸出血、貧血がひどく、心動悸、食欲不振を訴える者《矢数道明》 ☆しばしば衂血を繰り返し、甚だしく貧血をきたし、顔面、口唇まで蒼白となり、食欲不振、栄養不足となった者。白血病、悪性貧血などに起こる衂血に本方がよい(漢方診療医典)
[27]嗜臥少食
[28]子宮ガン
[29]子宮出血:☆《矢数道明》 “48歳の婦人。常に顔色が悪く、痩せ型ですこぶる神経質である。この婦人も、上衝・耳鳴り・頭痛・肩こり・動悸・腰痛・悲観に陥りやすく、年に3、4回、猛烈な子宮出血を起こし、1ヶ月以上も続くことが、この3、4年の週間であった。腹が虚軟で、心下から臍傍にかけて著明な大動気を触れ、脈は弦である。昨年の春、例年のように出血に見舞われ、私が芎帰膠艾湯を与えると出血はさらに加わり、虚羸衰弱を増し、唇や舌が蒼白になるほどますます貧血してしまった。そこで[血崩血脱甚だしきに四物湯を用うる勿れ、万物を故殺す。血を補うは気を補うにしかず]で、帰脾湯を与えると、出血は速やかに止まり、全身症状は異常に好転した。その後、本患者は長年の服薬を廃するまでによくなった”
[30]子宮内膜炎
[31]自汗
[32]自閉症 ☆腹力低下者の精神不安、不眠、抑うつ、言語障害などを目標に(漢方診療医典)
[33]自律神経失調症状
[34]小児の言葉を発するのが遅い。《済世薬室》
[35]食欲不振:☆神仙労(神経性食欲不振症):「呉茱萸」《内科摘要》☆食思不振《漢方後世要方解説》☆全身衰弱で他の補剤を服して反って胃に泥む者《矢数道明》
[36]心悸亢進
[37]心臓神経症
[38]心痛:☆押さえると痛みが止まる=虚痛、顔面蒼白、神経症状、食欲不振、腹部軟弱、貧血疲労、心悸亢進、舌無苔
[39]神経性胃炎
[40]神経性心悸亢進症: 胃腸虚弱、貧血疲労、顔面蒼白
[41]神経衰弱
[42]衰弱 [43]舌質<淡白>[44]舌苔<無苔>
[45]躁鬱病
[46]帯下:☆赤白帯下を治す、《寿世保元》
[47]血の道症:☆女子には必ず調経し、「帰脾湯」を以てその源を治め、「逍遥散」を以てその流れを治す。ただ、婦人体肥厚する者は恐らく子宮脂満なり。別に「二陳湯+川芎香附子」を用い、丸と為す。《雑病翼方》
[48]腸出血
[49]疲れやすい
[50]低タンパク血症
[51]手足冷たい
[52]多夢
[53]盗汗
[54]動悸:《方読便覧》
[55]吐血:
[56]軟便~水様便
[57]のぼせ: ☆頭上白屑《漢方後世要方解説》
[58]バルトリン腺炎
[59]白血病
[60]腹がはる
[61]疲労倦怠感
[62]ヒステリー:☆貧血性の者の《矢数道明》
[63]貧血:☆ひどいときは「+四物湯」。☆昭和30年6月20日初診の6歳の男児。生まれて間もなくから貧血があり、その貧血の原因が不明であった。約2年前までは時々ケイレンしてひきつけたが、最近は発作がなくなった。よく風邪を引く、下痢はしない。貧血はかなりひどく、枯れかかった竹の葉のような色をしている。脈は微細である。腹診すると、脾臓は臍の下方まで肥大し、肝臓は季肋弓より2横指径ほど下にまで肥大している。このような症状から考えると白血病のように見える。しかしそれにしては、経過が長すぎるように思われる。患家は生計が苦しいので、ここ2、3年は医療を受けていないという。従って、精密な検査を受けたこともないという。私はこれに帰脾湯を10日分与えた。ところが、それきり来院しないので、どうなったかと心配していたところ、2ヶ月ほどたって又来院した。みると、貧血が減じ、血色もよくなり、脾臓は縮小して、初診時の半分ぐらいとなり、肝臓も触れなくなっていた。私はおどろいた。この調子なら治るかも知れないから、もっと続けて飲むようにいって、また10日分を与えたが、それきり来院しない。《大塚敬節》
☆原因不明の貧血、悪性貧血、再生不良性貧血などに用いられる。 ☆貧血、出血、不眠、健忘、心悸亢進などのある虚証の患者に用いる。体質虚弱の者、病後で衰弱している者、精神の過労から発病したものなどによい(漢方診療医典)
☆熱状があれば、加味帰脾湯に。
[64]フケ:☆頭上白屑に、虚熱上衝と足の冷えがある者《矢数道明》
[65]不安神経症: ☆62歳男性。主訴、抑鬱気分、不安、不眠等。約3ヶ月前、10歳になる末の息子を急病で亡くし、その直後は気づかなかったが、日が経つにつれて“かわいそうなことをしてしまった”と始終考えているようになった。1ヶ月後には食欲は全くなく、ヤ セが目立ち、気分は常に悲しく憂鬱で、何事も手につかなくなり、ぼんやりして、考えがまとまらず、仕事も出来ないので勤めをやすむようになった。夜はまったく眠れなかった。最近は大分気持が落ち着いたので、勤めに出るようになったが、身体がだるく、疲れやすく、時々、心臓が止まりそうな感じが起こり、不安になる。喜忘や物事に対する興味も湧かず、酒を飲んだ時だけ元気になる。その後では反って具合がわるくなるという訴えであった。
現症。発病当初は、抑鬱状態が中心であったのに対し、初診時は、心気的訴えと、不安が著明であり、集中困難、無関心、不眠などを伴っていた。身体的には、顔色やや蒼白で潤いがなく、冴えない。身長は大で、肉つきは中等、筋肉も適度に緊張している。脈は沈細でやや遅、腹部は弾力有り、腹証には特徴がない。腰部の志室穴に圧痛が著明である。盗汗がある。
治療及び経過。帰脾湯+香附子+黄連を投与した。黄連は不安、不眠等に対して鎮静させる目的であった。 1週間後、気分爽快となり、食欲が出て、次第に眠れるようになった。
2週間後、気分はすっかり安定し、食欲も進み、体重も回復したと云って、すっかり元気になった。 1ヶ月後、上腕痛と、時に気分が沈む日があると言う。しかし3週以後は休薬していた。《山田光胤》
[66]不正性器出血: ☆性交時出血する者《矢数道明》
[67]不眠症:☆(眠りが浅い)☆心身過労の結果、不眠症を発し、その人貧血し、元気が大変衰えた者《矢数道明》
[68]腹部軟弱
[69]慢性胃腸炎
[70]慢性淋疾患 [71]脈沈細微
[72]無力感
[73]めまい
[74]目眩
[75]瘰癧(るいれき) ☆なかなか治らなくて、稀膿が出る者《矢数道明》 帰葵湯《東醫寶鑑》「升麻1銭、黄蓍・黄芩(酒)・防風・羗活各7分、蔓荊子・連翹・生地黄・当帰・人参・紅葵花・生甘草各5分、柴胡3分」水で煎じて食後服用。
◎物を見ると黒花がおき、涙が出て、目の中に火気がある者。
帰霊湯《外科正宗》《古今方彙》「川芎・当帰・白芍薬・熟地黄・薏苡仁・木瓜・防已・括楼根・金銀花・白鮮皮・人参・白朮各1銭、甘草5分、威霊仙6分、山帰来2両」水煎。
量は病の上下による。食前・食後に之を服す。◎楊梅瘡、新久を問わず元気虚弱の者を治す。◎下部には:「+牛膝」
鬼哭丹《東醫寶鑑》「常山1斤(切醋浸、夏3・秋7・冬10日)晒し乾燥・檳榔各4両、半夏・貝母各2両」作末し卵の白身に面を混ぜて梧子大の丸剤。毎回30丸、就寝時に冷酒で飲む。◎痎瘧を治す。
奇効四物湯《婦人大全良方》《東醫寶鑑》
「四物湯+阿膠・艾葉・黄蓍各7銭、姜5片」 ◎血崩に効く。◎肝経の虚熱、血沸騰して崩久しく止まざるを治す。《古今方彙》
奇良八物湯《撮要方》「奇良・当帰・川芎・茯苓・橘皮・木通・金銀花・大黄各等分」 (奇良=山帰来) →八味帯下方 葵子湯《東醫寶鑑》 「葵子・赤茯苓・猪苓・枳実・瞿麦・滑石・木通・黄芩・車前子・甘草各1銭を作末し、姜5片を入れて煎服。
◎膀胱の熱・小便の不通を治す。
葵子茯苓散《金匱要略》 「葵子1斤・茯苓3両」杵為散、飲服方寸日匕、日3服、小便利則癒。◎妊娠有水気、身重、小便不利、洒浙悪寒、起則頭眩、本方主之。《金匱要略》婦人妊娠病脉證并治第二十。
葵子茯苓散《金匱要略》《漢方治療の実際》「葵子8、茯苓1.5」作末し、1回2を服用。 菊花散[1]《東醫寶鑑》「甘菊4両、蝉退・木賊・羗活・白蒺藜各3両、荊芥・甘草各2両」を作末し、毎回2銭を茶清で服用。
◎肝が風毒のために腫れ、涙が多く、瞖膜が出る症。
菊花散[2]《東醫寶鑑》「甘菊・蔓荊子・側柏葉・川芎・白芷・細辛・桑白皮・旱蓮草(全草・花)各1両を剉作して毎回2両を漿水3椀で煎じ、2椀になったら滓を捨てて、髪を洗う。
◎髪が黄色く変色したものを、黒く艶があるようにする。
菊花散[3]《和剤局方》「白菊花、蝉退、木賊、白蒺藜、羗活」
菊花酒方《医学入門》 「甘菊花5升・生地黄の根皮5升・枸杞の根皮5升」を水1石に入れ、煮て5斗までに減ったら、糯米5斗に麹を入れて醸造する。◎健康・養生・不老・延年に
菊花茶調散[1-1]《和剤局方》 「菊花、薄荷、荊芥、川芎、防風、羗活、甘草、白芷、細辛、白殭蚕、香附子、茶葉」
菊花茶調散[1-2]《東醫寶鑑》「甘菊・川芎・荊芥・羗活・白芷・甘草各1両、防風7銭半、細辛5銭、蝉退・白僵蚕・薄荷各2銭半」を細末にし、毎回2銭を食後に茶清で服用。
◎頭風で鼻塞、偏頭痛を治す。
菊晴元《東醫寶鑑》「甘菊4両、枸杞子3両、熟地黄・肉蓯蓉各2両、巴戟1両」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に、温酒又は塩湯で50~70丸服用。
◎右腎と肝腎の不足による青瞖・白瞖を治す。
菊晴湯《中薬臨床応用》「菊花6g、枸杞子15g、肉蓯蓉9g、巴戟天6g」水煎服。◎目がかすむ ◎目がくらむ◎視力減退
麹芽正気散《古今方彙》「陳皮・半夏・厚朴・蒼朮・藿香・神麹・麦芽・山楂子各等分、生姜、大棗」水煎。 ◎食積瀉、腹痛甚だしく而して瀉し、瀉したる後は痛みが減ずる者を治す。
麹芎丸《東醫寶鑑》「神麹・川芎・白朮・炮附子」各等分。作末し麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で30~50丸服用。 ◎風泄・湿泄・滑泄を治す。◎下痢(水だけ降り、腹痛しない)
麹朮丸《東醫寶鑑》「神麹(炒)3両、蒼朮(土炒)1両半、陳皮・縮砂各1両」作末し姜汁で神麹糊をつくり、梧子大の丸剤。姜湯で70~90丸飲む。◎中脘に宿食と溜飲があり、酸が上がって心が痛み、牙歯が浮き、◎水を吐き、腐気のしゃっくりが出る者を治す。
麹朮元《東醫寶鑑》「神麹(炒)・蒼朮(製)」各等分。作末し、麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で30~50丸服用。 ◎傷泄・暑泄・暴泄を治す。
麹蘗枳朮丸《東醫寶鑑》「枳朮丸神麹(炒))麦芽(炒)各1両」 ◎食傷で胸満があり、不快。
麹蘗丸《東醫寶鑑》「神麹(炒)・麦芽(炒)各1両5銭、巴豆肉3粒を炒って巴豆は捨て、作末して沸湯で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸飲む。」◎酒癖による消化不良、腹部が膨れ酸っぱいものを吐き、嘔逆して食べられない者を治す。
枳橘湯《東醫寶鑑》 「橘皮8銭、枳穀1銭半、生姜4片」水煎服。鬱気がひどいときは姜黄を少し加える。 ◎気滞して胸痛。
枳橘熨法《東醫寶鑑》「橘皮・枳実各4両」炒って香熱を出し、絹袋に入れて両方に分けて全身をなでこする。◎婦人の陰腫が石のように固く、痛みに堪えかね、大小便ともに苦しいとき。
枳桔湯《医方集解》「桔梗、枳殻」 桔梗湯[1-1]《傷寒論》 「桔梗1両、甘草2両」右二味、以水三升、煮取一升、去滓、温分再服。◎少陰病二三日、咽痛者、可與甘草湯。不差、與桔梗湯。
《傷寒論》辨少陰病脉證并治第十一。
桔梗湯[1-2]《金匱要略》 「桔梗1両、甘草2両」 右二味、以水三升、煮取一升、分温再服、則吐膿血也。◎而胸満、振寒、脉数、咽乾不渇、時出濁唾腥臭、久久吐膿如米粥者、為肺癰、桔梗湯主之。《金匱要略》肺痿肺癰嗽上氣病脉證治第七。
桔梗湯[1-3]《漢方治療の実際》「桔梗2、甘草3」◎甘草湯の証にして、腫あり、或いは粘痰を吐く者を治す。《吉益東洞》◎此方は後世の「甘桔湯」にて、咽痛の主薬なり。又肺癰の主方とす。《勿誤薬室方函口訣》
桔梗湯[1-4]《東醫寶鑑》「桔梗1両、甘草2両」を粗末にし、毎回5銭を水煎し、冷服。 ◎咽痛。 桔梗湯[1-5]《金匱要略》★適応症及び病名
(ききょうとう)[1]咽痛: ☆咽痛、咽頭カタル《龍野ー漢方処方集》☆咽喉腫痛し、或いは咳嗽し、喀痰粘稠にして、喀出困難なる証《奥田謙蔵》
☆虚労咽痛、赤爛し、多くは脱症に係る:「薔薇花」含薬。
[2]咽頭炎:☆《傷寒論》では、甘草湯で良くならない咽痛にこの方を用いることになっているので、急性咽頭炎にも用いる。《大塚敬節》
[3]嚥下困難:☆木舌を治す:「山豆根」《方読便覧》
[4]嚥下痛
[5]気管支炎: (化膿性)
[6]気管支拡張症:☆甚だしければ則ち胸脇腸満し、呼吸不利、飲食減少し、脈洪に、自汗する者を治す。
[7]血痰が出る:☆久咳止まず、唾血赤線を引き、或いは点斑をなす者は、肺損に属す。外候軽きに似たりと雖も最も難治となす。:「+白芨・桑白皮」《高階枳園》
[8]喉頭炎(腫痛): ☆喉痺腫痛を治す。「石膏」
[9]嗄声:☆咽喉腫痛し、嚥下困難、或いは声音嘶嗄等を現す証《奥田謙蔵》
[10]失音:☆痰咳失音しつ者を治す「薯蕷・生姜」《方読便覧》☆寒に感じて声出でざるを治す:「訶子」を作末し砂糖小塊と煎じ、細かく吸う。
[11]小児の鵞口瘡(紫円と併用)
[12]新生児の疾患:☆初生の鼻づまり。☆乳を吸うことが出来ない。《方読便覧》
[13]舌苔<微黄~黄>
[14]タンが腐敗臭:☆肺癰已に膿を吐く後、宜しく服すべし:「生姜、大棗」
[15]肺壊疽
[16]肺膿瘍:☆肺化膿症の初起に:「薏苡仁・糯米」《張子和》
[17]扁桃炎:☆扁桃炎や扁桃周囲炎で悪寒や熱のない者に用いる《大塚敬節》☆ある日、のどが腫れて塞がって、口を開けることも出来ず、飲食も出来ないという青年を診察した。脈は大きいが、熱も悪寒もない。歯の間からのぞいてみると、扁桃周囲炎らしい。そこで桔梗湯を与 えたところ、なかなか呑めないので、少しずつ口に入れて、1口ずつ呑み込むことにあいた。すると1日分を1/3位呑んだ時、急に嘔逆の状になって、のどに力が入った途端に、一度に、膿血が口から流れ出て、それきり治ってしまった。周囲炎の患部が破潰したのである。
桔梗には排膿の作用もあり、催吐作用もあるから、こんな結果になったのであろう。 私が漢方を独学で勉強している時、咽喉結核の患者に桔梗湯を与えて、激しい喀血を誘発せしめたことがあった。桔梗を多量に用いると、食欲を害したり、悪心を起こすことがあるから中止しなければならない、《大塚敬節》☆病人、咽痛する者は、甘草湯を与ふ可じ。若し差えずして、腫痛する者は、桔梗湯を与ふ。若しその人、懸雍の傍、腫れ起り、飲食入ること膿はず。語言出で難き者は、急に当に之を刺し、少しく膿血を去るべし、則ち頓に癒えん《医聖方格》
[18]脈:<数> 桔梗湯[2]《外台秘要方》 「桔梗3升、木香3両、地黄2両、甘草2両、敗醤2両、薏苡仁2両、桑白皮1升、当帰1両」◎肺癰、時を経て差えざるを療す。◎此方は肺癰の症、「葦茎湯」「桔梗湯」等を与えて、臭膿減ぜず、日を経て血気衰弱する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎桔梗湯は、能く肺癰始萠の者を治す。証拠未だ具わざるも、口に腥臭ある者、之を用いて尤も効あり。敗醤或いは葶藶子に代う。《先哲医話》
◎婦人帯下にて肺痿状を見す者に運用すべし。 桔梗湯[3]《東醫寶鑑》 「桔梗・甘草各1銭半、当帰・馬勃各1銭半、麻黄5分、白僵蚕・黄芩各3分、桂枝少し」水煎服。
◎咽喉の腫痛で語声がちぎれる症。
桔梗湯[4]《東醫寶鑑》「桔梗・半夏(製)・陳皮(去白)各1両、枳実3銭」粗末にし、毎回3銭を姜5片と水煎服用。◎痰を除き咳嗽を止め、また心咳を治す。
桔梗湯[5-1]《厳氏済生方》《中薬臨床応用》「桔梗・防已・桑白皮・貝母・当帰・枳殻・栝楼仁・薏苡仁各1.5g、黄蓍2g、杏仁・甘草・百合1g、生姜」煎服。◎排膿。
桔梗湯[5-2]《厳氏済生方》《古今方彙》「桔梗・貝母・当帰・括楼仁・枳殻・桑白皮・苡仁・防已各1両、杏仁・百合・甘草節各半両、黄蓍1両半、生姜」水煎。◎《医学入門》は、-枳殻+人参。◎肺癰にて唾膿血、咽乾きて多く渇し、大小便不利するを治す。◎大便秘する:「大黄」◎小便閉には:「木通」◎喘急に:「+葶藶子」《万病回春》◎口燥には:「黄芩」
桔梗解毒湯[1-1]《方輿輗》「遺糧8~50銭、川芎3分、大黄2分、桔梗1銭、黄蓍2分、芍薬3分、甘草3分」◎黴毒咽喉に在り、声嗄する者を治す。◎結毒上攻、咽喉腐爛を療す。《黴瘡約言》◎此方は咽喉結毒の主方なれども、凡て上部の結毒(=梅毒)に用いて宜し。◎咽喉結毒、此方を用いて効無き者:結毒喉癬湯、五宝丹を用いるべし。◎鼻淵初起の者を治す。《方読便覧》◎「黄蓍芍薬石膏木通」=「咽疳解毒湯」《勿誤薬室方函口訣》
桔梗解毒湯[1-2]《漢方治療の実際》「土茯苓(山帰来)・川芎各3、大黄1、桔梗3、黄蓍2、芍薬3、甘草1.5」
★適応症及び病名(ききょうげどくとう) [1]咽頭痛:☆梅毒から来る咽痛に用いる《大塚敬節》☆58歳女性。腰痛と咽痛を主訴として来院した。この患者には梅毒があるが、その治療の為に洋薬を使用すると、副作用がひどくて、とても連用が出来ないと言う。のどは乾燥気味で、飲食のたびに痛むという。私は桔梗解毒湯大黄地黄麦門冬を用いたところ、2週間ほどで、疼痛を忘れた。そこで腰痛を治する目的で。養血湯に転方したところ、腰痛は軽くなったが、またのどが痛むという。そこで仕方なく、桔梗解毒湯と養血湯とを交互に呑ますことにした。続服10ヶ月、自覚症状は去り休薬した。《大塚敬節》
桔梗白散《外台秘要方》《金匱要略》「桔梗・貝母各3分、巴豆(去皮熬研如脂)1分」右三味、為散、強人飲服半銭匕、羸者減之。病在膈上者、吐膿血、膈下者瀉出、若下多不止、飲冷水1杯則定。◎治而胸満、振寒、脉数、咽乾不渇、時出濁唾腥臭、久久吐膿如米粥者、為肺癰。
《金匱要略》肺痿肺癰咳嗽上氣脉證治第七。 「濁唾」=汚い喀痰 「腥臭」=その痰がなまぐさい臭味をもつ。 桔梗白散証=時に濁唾・腥臭を出し、久久にして膿を吐す《薬徴》
桔梗白散《外台秘要方》《金匱要略》◎虚弱者・老人・幼児には用いないほうが良い《大塚敬節》
★適応症及び病名(ききょうはくさん)[1]胃潰瘍
[2]息切れ
[3]咳嗽
[4]喀痰<濃厚>
[5]急性肺炎
[6]ジフテリア
[7]食中毒
[8]心胸部痛<劇痛>
[9]心下痞硬
[10]心不全
[11]肺壊疽:☆肺壊疽の初期、胸痛のある時に用いる《大塚敬節》☆25歳女性。愛人とアパートに住んでいたが、数日前から胸が痛むようになった。1医は肋間神経痛だと云い、他医は肋膜炎だと云ったという。私が招かれて云ったときは、体温が38℃近くに上り、咳をしていたので、痰をよくみたところ、肺壊疽特有の臭い痰であった。病巣は右肺上葉にある。この部には自発痛があり、右肩が凝る、みゃくは大きくて力がある。私はこれに桔梗白散を与えようと考え、桔梗と貝母をそれぞれ1.0に、巴豆0.5を混和し、これを2等分し、その1包をお湯で飲ませた。
2、3分たつと、嘔吐が始まり、5分ぐらいたった頃、クルミの実大の膿塊が咳と共に飛び出てきた。20~30分たつと、下痢が始まった。白い粘液がたくさん出る。しかし患者は、胸がスーッとなって、気持が良いという。翌日は平熱となり、胸の痛みもなくなった。そこで柴胡枳桔湯を1ヶ月ほど飲ませ、それですっかり全快した。《大塚敬節》☆50歳男性。右肺下葉に肺浸潤があると診断されたというが、病室に入ると、肺壊疽らしい悪臭があり、喀痰を見ると、間違いなく肺壊疽である。患者は体力もあり、脈にも力があるので、桔梗白散を頓服せしめた。すると、10分もたたないうちに、胸が焼けるとようだと云い、食物を吐いてしまった。そのあとで、鶏卵大の肉の塊を吐いた。それから30分ほどたつと下痢が始まった。そこで、かねて準備しておいた冷たい粥を1杯飲ませたところ、20分ぐらいで下痢も止んだ。この患者は桔梗白散を飲ませる前には40℃近い熱があったが、肉塊を吐いたとたん下熱し始め、その夜のうちに平熱となった。そこで柴胡枳桔湯+葶藶を2ヶ月ほど与え、そのまま全快した。《大塚敬節》
[12]肺水腫
[13]肺膿瘍
[14]煩躁
[15]百日咳
[16]浮腫 桔梗枳穀湯《東醫寶鑑》 =「桔梗湯」「桔梗・枳穀各2銭、甘草1銭、生姜5片」水煎服。 ◎痞気で胸が脹満する症。 枳芎散《東醫寶鑑》「枳実・川芎各5銭、甘草2銭半」作末し毎回2銭を姜棗湯で調下する。◎左脇肋の刺痛する者。
枳殻丸《東醫寶鑑》「枳殻2両、陳皮1両、檳榔5銭、木香2銭半、黒牽牛子4両の半分は生で、半分は炒熟して叩いて頭末をとって1両半を作末して蜜で梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸飲む。◎三焦がつまって大小便の不通のとき。
枳殻益気湯《中薬臨床応用》「枳殻(炒)18g、黄蓍30g、党参15g、白朮12g、升麻6g、陳皮5g、当帰9g、益母草15g、甘草(炙)6g」水煎服。◎産後の子宮脱◎慢性の下痢で脱肛。
枳殻化滞湯《病因脈治》「枳殻、萊菔子、厚朴、神麹、陳皮、麦芽、砂仁」 枳穀散[1]《婦人良方》「大柴胡湯−大黄」 ◎婦人手足煩熱、夜臥多汗、肌肉黄瘁、経行不調、四肢は煩倦、心胸満悶状は労気の如きを治す。《雑病翼方》
枳穀散[2]《東醫寶鑑》「枳穀2両、黄連・白芍各1両、槐花(炒)・地楡各5銭、甘草2銭半」を作末し、毎回1両を煎服。 ◎臓毒を治す。
枳殻散[3]《東醫寶鑑》「枳殻1両2銭半、甘草(炙)3銭7分半」作末して毎回2銭を濃く煎じて葱白湯で服用。◎何かで刺すように痛む脇痛。
枳穀散[4]《東醫寶鑑》「便香附1両、枳殻・白朮各5銭、檳榔2銭」を作末して、毎回2銭を米飲で1日3回調下する。◎心下に積があって痞満・疼痛・腐った卵のような噫気の症を治す。
枳穀湯《東醫寶鑑》「白朮3銭半、枳殻・黄芩各1銭7分半を作1貼して、水煎服用。◎胎漏の下血を治す。 枳穀散《東醫寶鑑》「厚朴・枳殻・桔梗各2銭、大黄(蒸)・甘草(炙)各1銭、姜5、棗2」 水煎服。◎熱脹を治す。
枳穀煮丸《東醫寶鑑》「枳穀2銭、細辛・桔梗・防風・川芎各1銭、葛根7分、甘草5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎悲哀が肝を傷つけ、両脇が疼痛しる。又は七情が肝を傷つけて、両脇・両腋ともに痛む者。
枳実括楼薤白散加減《中薬臨床応用》「枳実6g、括楼仁15g、薤白9g、製半夏6g、黄連3g、陳皮3g」水煎服。◎肋膜炎。
枳実薤白桂枝湯[1-1]《金匱要略》「枳実4枚、厚朴4両、薤白半斤、桂枝1両、括楼(搗)1枚」右五味、以水五升、先煮枳実、厚朴、取二升、去滓、内諸薬、煮数沸、分
温三服。◎胸痺、心中痞、留氣結在胸、胸満、脇下逆搶心、枳実薤白桂枝湯主之、人参湯 亦主之。《金匱要略》胸痺心痛短氣病脉證治第九。 枳実薤白桂枝湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「枳実・厚朴各3、薤白4、桂枝1、括呂実4」◎胸痺、胸腹満痛し、上逆する者を治す。《吉益東洞》◎この方は元来、心気を労し或いは憤怒によって胸が塞がって痛む者に用いる。この症が痰飲があって、痞塞し、気が欝滞して、胸下から逆して心胸に衝き、気を労することがあると胸に詰まって痛みが甚だしくなる者によい。この方と人参湯とは交互に用いる。ただ甘味を好む者は人参湯、苦味を好む者はこの方を用いるとよい。俗に積気と呼ぶ者に、ままこの症がある。《福井楓亭》◎此方は、胸痺、槍逆の勢甚だしく、心中痞結する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎栝楼薤白白酒湯一類の薬:①括楼薤白半夏湯:心痛背に徹し臥することが出来ない。②枳実薤白桂枝湯:脇下より逆槍するを主とする。③栝楼薤白白酒湯:喘息胸痛を主とす。
◎元来、心気を労し、或いは忿怒に因り、胸塞がり、痛をなし、津液之が為に一身に布くこと能わず、凝唾と成って出づる者。上の3方を考えて用いるべし。《勿誤薬室方函口訣》◎胸満痛、心中痞気《龍野ー漢方処方集》◎この方は上記の①②と違って、季肋下や心下から胸にかけて差し込んで痛む者に用いる。《大塚敬節》
★適応症及び病名(枳実薤白桂枝湯)[1]胃痛[2]狭心症 [3]胸痛[4]心痛[5]胆石症[6]肋間神経痛 枳実丸《東醫寶鑑》「枳実1両、白芍(炒)・雀脳芎・人参各5銭」を細末にし、毎回2銭を姜棗湯で調下する。
◎男の肝気不足・両脇の疼痛。 枳実梔子湯[1-1]《傷寒論》=「枳実梔子豉湯」「枳実(炙)3枚、梔子(擘)14箇、豉(綿嚢)1升」右三味、以清漿水七升、空煮取四升、内枳実、梔子、煮取二升、下豉、更煮五六沸、去滓、温分再服、覆令微似汗。若有宿食者、内大黄如博碁子五六枚、服之愈。◎大病差後労復者、枳実梔子湯主之。
《傷寒論》辨陰陽易差後労復病脉證并治第十四。
枳実梔子豉湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》「枳実2、梔子4、香豉8」 ○為則按ずるに、梔子・香豉は心中懊悩を主治す。しかしてさらに枳実を加ふれば、則ちその胸滿の証あるや明らかなり(薬徴の枳実)
○枳実梔子豉湯条に、心中懊悩の証なし。為則按ずるに、梔子大黄豉湯は、此れ枳実梔子豉湯にして大黄を加ふるもの、しかもその条に心中懊悩の証あり。心中懊は固より大黄の主治するところにあらず。然れば則ち枳実梔子豉湯条に、その心中懊悩の証を脱するや明らかなり。
枳実梔子豉湯[1-3]《傷寒論》=「枳実梔子湯」「枳実2.4、梔子1.6、香豉9.6」右三味、醋二勺、水二合を以て、空煮して一合二勺と為し、先づ二味を入れ、煮て六勺を取り、滓を去り、後、香豉を入れ、五六沸し、滓を去りて一回に服用す。
◎此方、原本に在りては、清漿水を以て薬味を煮る。今、《尾台榕堂》の改むる所に従う《奥田謙蔵》◎枳実梔子豉湯の条に心中懊悩の証無し。蓋し脱文なり。為則梔子大黄湯を按ずるに即ち枳実梔子豉湯中に大黄を加うるものにして心中懊悩の証あり。則ち此の条は心中懊悩を脱するや明らかなり。《重校薬徴》
◎梔子豉湯証にして、胸満する者を治す《類聚方広義》◎病人、心下堅く、之を按じて痛まず、而して心中懊悩する者は、枳実梔子豉湯之を主どる。《医聖方格》◎大病差後労復、或いは微熱、或いは不眠、或いは食欲不振、或いは胸しき者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(枳実梔子豉湯)[1]胸苦しい:☆汗下の後、胸部及び心下部に欝塞を感じて煩悶し、せず、渇せず、便通やや渋滞の傾向ある証《奥田謙蔵》
☆胸部に閉塞の感ありて煩悶し、便通整順ならず、その脈遅なる証。若し便秘する者は、また証に由り大黄を加す《奥田謙蔵》☆凡そ大病新に差え、血気未だ復せざるに方有り、労働、飲啖度に過ぐるときは、則ち或いは心胸満悶を作し、或いは煩熱を作す。此方を与えて将養すれば則ち癒える。若し大便通ぜず、宿食有る者は、 枳実梔子大黄豉湯に宜し《類聚方広義》
[2]やせる:☆虚羸して、欝熱の状あり、心下痞《傷寒論》、或いは痛み、せず、渇せず、便通渋滞し、その脈浮沈定まらざる証《奥田謙蔵》 枳実芍薬散《金匱要略》「枳実(焼令黒勿太過)・芍薬」等分。右二味、杵為散、服方寸匕、日三服、并主癰膿、以麦粥下之。◎産後腹痛、煩満不得臥、枳実芍薬散主之。
《金匱要略》婦人妊娠病脉證并治第二十。◎産後の腹痛煩満、或いは化膿性疼痛、或いはしこり。 《龍野ー漢方処方集》
枳実酒《東醫寶鑑》「枳実((麩炒黄)を切って毎回3銭を、温酒1杯に1時間浸して、枳実は捨 て酒を飲む。◎全身に白疹が出て、かゆいとき。
枳実清痞丸《東醫寶鑑》「枳実・黄連各5銭、厚朴4銭、半夏(麹)・人参・白朮各3銭、乾生姜・白茯苓・麦芽・甘草各2銭」を作末し、梧子大の丸剤。白湯で100丸を空腹時に服用。
◎心下が弱って痞となり、右関脈ののろい症。
枳実大黄湯[1]《万病回春》《勿誤方函口訣》「小承気湯檳榔・甘草」◎食積、大便通ぜざるを治す。《方読便覧》
枳実大黄湯《万病回春》《古今方彙》「枳実、厚朴、大黄、檳榔子、甘草」水煎し空心に熱服す。利するを以て度となす。◎胸腹に食積ありて大便通ぜざるを治す。◎大便結実し、胃中痛む者を治す。◎腹痛甚だしき:「木香」
枳実大黄湯[2]《万病回春》《古今方彙》「枳実・大黄・檳榔子・厚朴各2銭、甘草3分、木香(別研)5分」水煎。◎食積痛併せて積熱痛にて大便通ぜざるを治す。
枳実大黄湯[2]《東醫寶鑑》「大黄2銭、厚朴・枳実・檳榔・甘草各1銭、木香5分」水煎服。◎熱物にあたって便が通じない者を治す。
枳実大黄湯[3]《東醫寶鑑》「大黄(酒)3銭、羗活1銭半、当帰1銭、枳実5分」水煎し空腹時に服用。◎湿熱脚気の腫痛を治す。
枳実湯[1]《厳氏済生方》 =厚朴七物湯《金匱要略》◎腹脹発熱し、大便秘実し、脈は多く洪数なるを治す。此れ熱脹と名づくと。熱 は当に寒となして看るべし。《勿誤方函口訣》
枳実湯[2]《実在易》《勿誤方函口訣》「枳実3両、半夏、生姜半斤」「橘皮枳実生姜湯橘皮半夏」《雑病翼方》◎心痛、胃脘及び胸脇・大小腹の諸病、按を拒む者を治す。
枳実導滞丸(一名導気枳実丸)《東醫寶鑑》「大黄1両、枳実・神麹各5銭、茯苓・黄芩・黄連・白朮各3銭、沢瀉2銭」を作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。温水で70~80丸呑む。
<注>本方木香・檳榔各2銭⇒「木香導滞丸」。◎湿熱の食にあたり、消化されず痞満の症。
枳実導滞丸《内外傷弁惑論》《中薬臨床応用》「枳実9g、大黄(生)9g(後下)、白朮9g、黄芩6g、黄連5g、茯苓9g、沢瀉6g、神麹9g」水煎服。◎急性胃腸炎◎細菌性下痢、裏急後重、腹痛。
(腐敗臭・裏急後重・細菌性下痢)
枳実導滞湯[1]《重訂通俗傷寒論》「枳実、大黄、檳榔子、厚朴、連翹、黄連、神麹、紫草、山楂肉、木通、甘草」
枳実導滞湯[2]《内外傷弁惑論》《中薬臨床応用》「枳実9g、大黄(生)9g(後下)、白朮9g、黄芩6g、黄連5g、茯苓9g、沢瀉6g、神麹9g」水煎服。◎下痢◎裏急後重◎胸苦しい
枳実分消湯《寿世保元》《古今方彙》「厚朴5銭、枳実2銭半、大黄・甘草(炙)各1銭半、官桂1銭2分、生姜、大棗」水煎。 ◎腹脹り発熱し、陽並びに陰を以て則ち陽は実し陰は虚し、陽勝てば則ち外熱し、陰虚すれば則ち内熱を生じ、脈は必ず浮数、浮は則ち虚となし、数は則ち熱となし、陰虚すれば宣導する能わず、飲食故の如く、固より脹満を致す者は之を熱脹となす。此方に宜し。◎吐には:「半夏」◎自利には:「大黄」◎寒多ければ:「乾姜」
枳実理中湯《証治要訣》 「理中丸枳朮・茯苓」◎霍乱ならびに種々の吐瀉後、胸膈高起し、痞塞絶えんとするを治す。◎腹内諸般冷痛に加減して無限の用をなす《雑病翼方》
枳実理中元《東醫寶鑑》「枳実(麩炒)・人参・白茯苓・白朮・乾姜(炮)・炙甘草」各等分を作末し、蜜でまぜ、1両を4丸につくり、熱湯で服用。 ◎寒実痞満を治す。
枳縮二陳湯[1-1]《万病回春》《漢方後世要方解説》「枳実1、砂仁1.5、半夏3、陳皮27、香附子2、厚朴2、小茴香1、延胡索27、木香1、草果1、乾姜1、甘草1、生姜1、茯苓3」◎涎心膈上に在り、腰背に攻め走り、して大いに痛むを治す。◎此方は痰飲にて、キョウは胃走痛する者を治す。疝にて背痛する者は「千金当帰湯」を用い、痰より来る者は此方を用ゆ。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は慢性胃炎を患う者、種々の誘因によって胸中の痰、胃内停水が毒性を帯びて心下を攻めて痛み烈しく、胃痙攣の如く、心臓部、両乳間に攻め上って狭心症の如く、心臓神経痛の如く、同時に嘔吐乾嘔あってその痛み腰背に遊走する症を治する。総て胸元に痛み甚だしくある者に用いられる。疝に痰飲を兼ねたものである。
枳縮二陳湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「枳実・砂仁・半夏・陳皮・香附子各1銭、厚朴・小茴香・延胡索各8分、木香・草豆・乾姜各5分、甘草3分、生姜、大棗」水煎。竹瀝を加える。
◎涎が心膈の上にあり、腰背に攻め走り、して大いに痛むを治す。
枳縮二陳湯[1-3]《丹渓心法》「二陳湯枳実・縮砂」◎順気、寛中、消痰飲。
枳縮二陳湯[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「枳実・縮砂・半夏・陳皮・香附子各3.0g、厚朴・小茴香・延胡索各2.5g、木香・草豆・乾姜各2.0g、甘草1.0g」
枳縮二陳湯[1-5]《万病回春》《漢方治療の実際》「枳実・縮砂・半夏・陳皮・香附子各2、厚朴・小茴香・延胡索各1.5、木香・草豆・乾姜・甘草各1.0、生姜3、竹瀝2」
今、竹瀝を去って、茯苓2を加える。◎涎、心膈上にあり、腰背に攻走し、大痛するを治す。◎此方は痰飲にて胸背走痛する者を治す。◎先輩の伝に、
①疝にて背痛する者は、当帰湯《備急千金要方》②痰より来る者は枳縮二陳湯。◎痰飲性の腰背痛、吃逆、嘔吐。◎目標:「この方は吐がひどくて、胸から腹にかけて痛み、又、背へ連り腰へかけて痛みが甚だしく種々の処方を用いても効のない者に与えて奇効がある。」《大塚敬節》「すべて鳩尾(みずおち)の痛みがひどくて吐する者には先ずこの方を用いてみるが良い。その目当ては、とかく疼痛が漉し、背に連るというとことにある。」《梧竹楼方函口訣》★適応症及び病名[1]胃痛: ☆胃ケイレン、嘔吐、腰背痛ある者《矢数道明》 ☆胃下垂などの慢性の胃疾患があって、腰・背・胸などに疼痛が放散する者に用いる《大塚敬節》[2]狭心症: ☆痰飲による胸内苦悶に用いることが多い《矢数道明》[3]胸痛: ☆一切の心痛及び痰飲、寒疝の衝心する者を治す。:「川烏」《雑病翼方》[4]小児:
☆壊症、腫を発し、補瀉無効のものに虫薬にて癒える者あり、此方しばしば験あり。《方読便覧》[5]心臓神経症: ☆胸膈停飲によって、心臓神経症、肋間神経痛など《矢数道明》[6]背痛[7]腹満: ☆腹満して湯水も収まらない者《矢数道明》 ☆大小便秘閉《矢数道明》
[8]慢性胃炎[9]腰痛[10]溜飲症: ☆陳旧の胃内停水、慢性胃炎など《矢数道明》 枳縮二陳湯[2-1]《東醫寶鑑》「枳実1銭、川芎8分、縮砂・白茯苓・貝母・陳皮・紫蘇子・瓜仁・厚朴・便香附子各7分、木香・沈香各5分、甘草3分」木香・沈香を除いて剉作して1貼にし、姜3片を入れて水煎し竹瀝・沈香・木香各5分を濃くひいて入れて飲む。◎関格の上下不通を治し、これは痰が中焦をふせぐ症だが、この薬を飲んで痰を出させる。
枳縮二陳湯[2-2]《寿世保元》《古今方彙》「枳実1銭、茯苓・貝母・陳皮・香附子・紫蘇子・括楼仁・厚朴(便炒)・砂仁各7分、川芎8分、甘草3分、沈香・木香各5分、生姜」水煎し、竹瀝、磨沈香、木香を入れて服す。
◎関格上下通ぜざるを治す。
枳朮丸[1-1]《張潔古》《内外傷弁惑論》《蘭室秘蔵》 「枳実・白朮」 ◎痞をとり、痰を除き、脾を強くして、食が進む。
枳朮丸[1-2]《東醫寶鑑》「白朮2両、枳実(麩炒)1両」を作末して荷葉でくるみ、ご飯で梧子大の丸剤。熟水で50~70丸呑む。 ◎痞を治し、食を消化させ、胃を強くする。
(数日食べなかったあと下痢するとき)
枳朮丸[1-3]《朱丹渓》《勿誤薬室方函口訣》「枳朮湯[1-2]《金匱要略》」を丸として◎痞積を治し、諸kを消す、即ち健脾、去湿、利水の効あればなり。
枳朮散《医学従衆》「枳朮湯[1-2]《金匱要略》」を(研末)として、穀湯にて送下する。 枳朮湯[1-1]《金匱要略》「枳実7枚、白朮2両」右二味、以水五升、煮取三升、分温三服、腹中、即當散也。(=ゼン、やわらかい)
◎心下堅、大如盤、邉如旋盤、水飲所作、枳朮湯主之。《金匱要略》水氣病脉證并治第十四 ◎枳朮湯・桂姜草棗黄辛附湯の2方、金匱要略に載するところ、その因と証と同じ。しかして別つべからず。《薬徴》
心下堅大にして悪寒・発熱・上逆するものは桂姜草棗黄辛附湯之を主る。 朮は水を利するを主る。 心下堅大にして、小便不利するものは、枳朮湯之を主る。
枳朮湯[1-2]《金匱要略》《勿誤薬室方函口訣》「枳実7枚、蒼朮2両」右2味、《朱丹渓》、丸とし、痞積を治し、食を消し、胃を強くする。◎心下堅満し小便不利なる者を治す《吉益東洞》◎“水飲心下堅、小便不利する者は枳朮湯之を主る。頭痛発熱、喘咳、身体疼痛、悪寒甚だしき者は桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯(=桂姜草棗黄辛附子湯)之を主る”《重校薬徴》◎此方は心下堅塊ありて水飲を醸す者を主とす。◎常の積の類に非ずして、之を按ぜば轆々として声ある者なり。もし挫け難き者は甘遂半夏湯を交ぜ用いるべし。◎心腹堅大にして盤の如く、飲水のなす所を治す。名づけて気分という。《古今方彙》◎水飲、心下堅《龍野ー漢方処方集》★適応症及び病名[1]脚気
[2]腎炎[3]ネフローゼ 枳朮湯[1-3]《東醫寶鑑》「白朮4銭、枳実2銭」煎服。◎心下が大きく、何か丸い物があるような気がする、即ち、水の過飲による症に使う。
亀穀散《東醫寶鑑》「亀穀1個、男女の毛髪(焼く)一握り、川芎・当帰各1両」作末し毎回3銭を水煎服。 ◎難産で死にかかる者。◎骨盤が開かない者
亀尿解噤法《東醫寶鑑》「亀の小便を少しとって舌の下に付ける」亀の小便を取る方法:
亀を蓮葉の上に座らせて、ブタのたてがみ毛で亀の鼻をさすと小便をする。◎卒中風で口を閉じて開けられないとき。 亀板湯[1-1]《本朝経験》《漢方後世要方解説》「当帰・地黄各5、芍薬・川芎・亀板・石決明各4」◎痿躄を治す。一名痿躄湯と称す。◎此方は痿躄とて両脚下肢の運動麻痺を起こしたものを治する。
一般に両脚痿弱の者には四物湯を主方として加減せるものが多い。此方は下肢の筋萎縮に対し、血行を促し、機能を回復せしめる能がある。 産後の下肢麻痺には特に効がある。又、梅毒による脊髄癆にも屡々用いられ、安西安周氏は此方を脊髄カリエスに頻用されている。
◎亀板=陰を滋し、腎を補い、筋骨を強壮ならしむ。石決明=風熱、労極を治す。 亀板湯[1-2]《本朝経験》《龍野ー漢方処方集》「当帰・熟地黄各6.0g、亀板・芍薬・川芎・石決明各4.0g」「四物湯亀板・石決明」(一名:痿躄湯)◎痿躄を治す。◎此方は痿躄血分鬱して振るわざる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎産後の痿躄には別してあり。《橘窓書影》<1>亀板湯<2>血虚下元不足者:「腎気丸」《厳氏済生方》<3>病頑固動き難き者:「化毒丸」◎黴毒の痿証に附子の効なきに用いて宜し。《勿誤薬室方函口訣》◎腰脚麻痺、腰抜け、いざり。★適応症及び病名[1]いざり
[2]小児麻痺[3]脊髄脊椎疾患: ☆脊髄炎 ☆脊髄カリエス ☆脊髄癆[4]麻痺:☆本方は腱反射消失のこと多し。《済世薬室》 ☆産後の下肢麻痺
既済丸《東醫寶鑑》 「兎絲子(酒製)・益智仁(炒)・茯苓・韭子(炒)・肉蓯蓉(酒洗)・当帰・熟地黄各5銭、黄柏(塩炒)・知母(塩炒)・牡蛎()・山茱萸(酒蒸:去核)各3銭、五味子1銭」を作末し、酒麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に100丸を塩湯で服用。
◎膀胱が弱い失禁。◎気不足で陰火があって小便失禁する者。◎気不足で陰火が有って小便不禁になったとき。 既済精神散《東醫寶鑑》「桔梗・黄芩・赤茯苓・川芎・山梔子・当帰・白朮・羗活各1銭、知母・薄荷・甘草各5分」水で煎じ、蜜1匙を入れて服用。
◎中焦の熱を治す。 既済湯[1-1]《易簡方論》「竹葉石膏湯石膏、附子」 ◎下痢・発熱する者。◎此方は傷寒上熱下冷の症とす。《勿誤薬室方函口訣》
◎按ずるに、竹葉石膏湯の証にして脈数無根、或いは下痢し、上熱下冷の者に之を用いて効あり《傷寒翼方》◎虚煩、上盛下虚、煩躁自利、手足冷ゆるを治す。《医学入門》
◎《劉桂山》之を陽、陰に変じ、なお浮熱を剰す者、及び少陰病未だはなはだ脱に至らずして虚熱燥渇する者に施して奏功す。《傷寒翼方》 ◎霍乱後、虚煩眠るを得ざるを治す。按ずるに霍乱、理中、四逆湯等を服し、吐利已み、熱解せざる者、此湯に宜し。《雑病翼方》◎少陰病の軽症に別あり《先哲医話》<1>上焦、津液乾枯し、その症、白虎湯に似て、而して脈浮数、根脚無く、腹部軟弱に且つ微利し、渇すと雖も水数升を飲まんと欲するの勢無き者:「既済湯」<2>邪気緩満し、ようやく譫語煩躁を見し、肌熱甚だしからず、舌上濡潤し、所謂、労役寒に感ずる者:「姜附益気湯」◎按ずるに此方、少陽将に厥陰に脱陥せんとする者を治して極めて佳なり《傷寒翼方》
既済湯[1-2]《東醫寶鑑》「竹葉石膏湯石膏、炮附子2銭」 ◎霍乱の後、虚煩し、手足の冷える症。
既済湯[2]《傷寒溯源集》「小柴胡湯半夏、竹葉・麦門冬・附子」 ◎少陽のまさに厥陰に大陥せんとする者。
既済湯[3]《東醫寶鑑》「麦門冬2銭、人参・半夏・附子(炮)・甘草(炙)各1銭」作して、1貼に「姜5片、粳米100粒」入れて煎服。◎霍乱後の虚煩と不眠症を治す。
既済解毒湯《東醫寶鑑》「大黄(酒)・黄芩(酒炒)・黄連(酒炒)・桔梗・甘草各1銭、升麻・柴胡・連翹・当帰身各5分」水煎服。◎天行大頭瘟で頭面が赤く腫れ、疼痛する者を治す
起死回生散《寿世保元》《古今方彙》「当帰、川芎、白芍薬、生地黄、升麻、紅花」水煎。◎痘瘡七八日に至り、忽然として黒収に変じて腹内に入り、遍身抓破そ吮喘して死が須臾にある者を治す。
起痔湯《張氏医通》 「黄連・黄芩・黄柏・大黄・防風・荊芥・山梔子・槐角・苦参・甘草各400g、朴硝20g」以上の薬を3回に分け、煎液で患部を洗う。
起枕散《東醫寶鑑》「当帰・白芍薬各2銭、川芎1銭半、白・桂心・蒲黄・牡丹皮・延胡索・五霊脂・没薬各7分」作1貼し、水煎し好醋を入れ空腹時に服用。◎児沈痛で痛む者を治す。
起廃丸《百一貫》 「生漆、大黄、蕎麦粉」◎《荒木正胤》はかって、生漆と大黄と蕎麦粉の3味の丸剤を自ら試用して、その効を得た経験がある。この時は全身にウルシかぶれを生じ、発熱、浮腫肛門の内部まで腫れ上がって、あたかも脱肛のようになり、水瀉下痢して、回虫数条を下した。本方の使用法は、《百一貫》という著者不詳の口訣書に、起廃丸と名付けられている。
起癈丸《和田啓十郎》《漢方治療の実際》「乾漆・桃仁・伯州散各1、大黄2」以上を米粉で丸とし、1日量とし3回に分服する。 起癈丸《和田啓十郎》「乾漆・桃仁・伯州散各1.0、大黄2.0」以上1日3回に分服。◎瘀血の癈症及び結毒の百方効なき者を治す。1には諸々の痼疾多く瘀血に由り、或いは病久しうして瘀血を醸する等の癈疾に作る。また血癖、痼、積年癒えざる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
痼=子宮筋腫や子宮ガンを指す。 葵樹子湯《中薬臨床応用》「葵樹子250~1000g」搗いてつぶし、水を加えて3時間煎じ、数回に分服。◎ガン
稀涎散[1]《聖済総録》《中薬臨床応用》「角・細辛」各等量。作末し、湯に溶いて口に流し込んで吐させる。 ◎脳卒中による牙関緊急で実証に。
稀涎散[2]《東醫寶鑑》「皀角(皮・子)4錠、明礬1両」を作末し、温水で半銭を調下し、病が重い者は1銭を調服し、嘔吐すると、古い稀冷涎を1~2升吐出し、すぐさめる。◎吐剤。
◎風涎が咽喉につかえて通らないとき。
夏丸《中薬臨床応用》「草90g、夏枯草90g、竜胆15g」細末を蜜丸。朝晩9gづつ湯で服用。 ◎高血圧で、四肢にしびれがある。 桐丸《抜萃良方》「草、臭梧桐子」
桐丸【中成薬】《中薬臨床応用》「草250g、臭梧桐500g」細末を小豆大の蜜丸。◎風湿による関節がだるい 丸《張詠方》《中薬臨床応用》「草の葉と若い茎」数回蒸して日干し後、少し焙って作末し、蜜丸。朝晩に9gづつ湯or重湯で服用。◎風湿による痺痛◎慢性関節リウマチ
橘核丸《東醫寶鑑》「橘核(炒)・海藻(塩酒炒)・昆布(塩酒炒)・海帯(塩水洗)・桃仁(麩炒)・川楝子(炒)各1両、延胡索(炒)・厚朴・枳実・桂心・木香・木通各5銭」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。温酒又は塩湯で60~70丸呑む。」
◎4種の疝に卵核が腫脹し、又は石のように固く、小腹がしぼれる様に痛いとき。
橘核散《東醫寶鑑》「橘核1銭半、桃仁15枚、山梔子1銭、川烏(炮)・呉茱萸各5分」を炒って作末し、1貼をつくって水煎服。◎4種の疝の長くなったのには、橘核丸を使い、出たばかりのものには橘核散を使う。
橘核湯《中薬臨床応用》「橘核12g、川楝子5g、小茴香5g、肉桂3g(服)、木香3g(後下)、茘枝核12g、木通3g、桃仁5g、延胡索3g、海帯12g、昆布12g」 毎日1剤を煎じ2回に分服。◎陰黄水腫
橘甘散《東醫寶鑑》「橘皮・生姜(焙乾)・神麹(炒)」各等分に作末し、温水で梧子大の丸剤。米飲で50~70丸を1日2回づつ呑み下す。◎気嗽・痰嗽に良い。
橘帰丸《東醫寶鑑》「橘紅4両、当帰2両」作末し蜜で梧子大の丸剤。温酒で50~70丸飲む。◎婦人の肌膚と手足に血線のある者を治す。 橘杏丸《東醫寶鑑》「橘皮・杏仁」等分を作末し、蜜で梧子大の丸剤。米飲で70丸服用。◎老人・虚弱者の便秘。
橘薑丸《東醫寶鑑》「陳皮・生姜を同時に搗いて乾燥し、各2両を作末し神麹1両で糊をつくって梧子大の丸剤。米飲で30~50丸呑む。◎慢性の気嗽を治す。
橘紅丸【中成薬】「橘紅・半夏・杏仁・貝母・茯苓・麦門冬・石膏(生)・楼皮・陳皮・生地黄・桔梗・紫・款冬花・蘇子・甘草」◎咳嗽、痰が多い◎胸が苦しい◎腹が脹る
橘蘇散[1-1]《医学正伝》《東醫寶鑑》「橘紅・紫蘇葉・杏仁・白朮・半夏・桑白皮・貝母・五味子各1銭、甘草5分」を剉作1貼して、姜3片を入れて服用する。◎傷寒に咳をし、熱があって汗が出、脈が浮いて数多いとき、杏子湯を飲んで効のないときこれを飲む。
橘蘇散[1-2]《医学正伝》《古今方彙》「陳皮・木香・桑白皮・貝母・五味子各1銭、紫蘇葉・杏仁・甘草各5分、生姜」水煎。 ◎傷寒にて咳嗽身熱、汗あり悪風し脈浮の者を治す。◎《厳氏済生方》には、白朮ありて木香なり。◎1日暑嗽を治するの剤なり。
橘半枳朮丸《東醫寶鑑》「枳朮丸橘皮・半夏(姜製)各1両」◎飲食傷による痞悶に。
橘皮一物湯 「橘皮1両」良く洗って新水で煎服。 ◎気が凝固したとき。安逸をむさぼれば気が停滞する。
橘皮乾姜湯《東醫寶鑑》「橘皮2銭、人参1銭半、通草・乾姜・桂心・甘草(炙)各1銭」水煎服。◎胃が冷たく咳逆する者を治す。
橘皮枳実生姜湯《金匱要略》=「橘枳姜湯」「橘皮1斤、枳実3両、生姜半斤」右三味、以水五升、煮取二升、分温再服。◎胸痺。胸中氣塞、短氣、茯苓杏仁甘草湯主之、橘枳姜湯亦主之。
《金匱要略》胸痺心痛短氣病脉證治第九。 橘皮枳実生姜湯《金匱要略》《漢方治療の実際》「橘皮4、枳実3、生姜6」 橘皮枳実生姜湯《金匱要略》◎胸痺、心下痞満し、嘔する者を治す。《吉益東洞》◎胸痺、胸中気塞、短気、心下痞満、噎する者を主る。《重校薬徴》(参照→茯苓杏仁甘草湯)◎胸痺、胸中として満つる如く、噎塞習々としてきが如く、唾沫を渋燥するを治す。《肘後備急方》◎此方は気塞短気を主とす。<1>茯苓杏仁甘草湯:淡滲を用いる
(参照→茯苓杏仁甘草湯)<2>橘皮枳実生姜湯:辛開を用いる。◎短気=呼吸促迫《大塚敬節》★適応症及び病名 [1]息切れ[2]咽喉の痞塞感: ☆食道狭窄、及びその類証《奥田謙蔵》[3]飲酒による鬱血性肝疾患[4]吃逆:(=しゃっくりと吐) ☆痰飲に因る者:橘皮枳実生姜湯 ☆胃寒に因る者:丁香柿蔕湯龍眼丸《先哲医話》[5]悪心[6]気の上衝<+>
☆のぼせ[7]気管支喘息[8]気胸[9]吃逆: ☆吃逆頻発し、鎮止し難き等の証《奥田謙蔵》 ☆吃逆を主どる。橘皮湯、橘皮竹茹湯も亦皆同じ。案ずるに、当に心下痞の証有るべし《類聚方集覧》[10]逆流性食道炎[11]狭心症[12]胸中の痞塞感: ☆胸中気塞がり、逆し、或いはし、心下堅き者は、橘枳薑湯之を主どる《医聖方格》 ☆心痛、胃及び胸腹、大小腹の諸病、按を拒む者を治す:「橘皮半夏」《実在易》 ☆胸がつまる者に、山脇家では、橘皮枳実生姜湯茯苓杏仁甘草湯を用いる《大塚敬節》[13]胸痛: ☆胸痛、胸中ふさがり息が切れる者。《龍野ー漢方処方集》[14]呼吸困難 ☆胸部打撲によって呼吸困難。 ☆気管支喘息の少女で、発作時には全く食欲無く、飲食物を口に入れるとすべて吐き、呼吸困難とともに、みずおちの気持が堪えがたいほどに苦しいという者に、橘皮枳実生姜湯を与えて、発作を鎮めたことがある《大塚敬節》[15]自汗[16]心悸亢進[17]心下痞[18]心臓神経症[19]心臓喘息[20]心臓弁膜症[21]心不全:<鬱血性>[22]腎炎[23]声門浮腫[24]喘息[25]雑[26]呑酸[27]尿不利[28]ネフローゼ[29]肺気腫[30]肺水腫[31]背痛[32]浮腫[33]慢性胃炎[34]肋間神経痛
橘皮枳朮丸《東醫寶鑑》「白朮2両、枳実(麩炒)1両、橘皮1両」作末し荷葉でつつみ、ご飯で梧子大の丸剤。 ◎飲食が消化されず、心下の痞悶を治す。
橘皮散《東醫寶鑑》「陳皮を作末し麝香をまぜる。毎回2銭を酒で調服する。」 ◎吹乳・妬乳・乳癰を治す。 橘皮煎元《東醫寶鑑》「橘皮5両、甘草3両3銭、当帰・・肉蓯蓉・呉茱萸・厚朴・肉桂・陽起石・巴戟・石斛・附子・菟絲子・牛膝・鹿茸・杜仲・乾姜各1銭」を作末して、酒1升と橘皮末を容器に入れて煎じ飴のようになったら諸薬物を入れてかき混ぜて搗き、梧子大の丸剤。温酒or塩湯で、空腹時に50~70丸飲む。◎脾と腎の虚症。◎食欲がなく、痩せて虚弱し、憔悴するとき。
橘皮大黄朴硝湯《金匱要略》《奥田謙蔵》「橘皮2.4g、大黄・朴硝各4.8g」 右3味を1包とし、水1合4勺を以て煮て6勺を取り、滓を去って頓服する。此の方、原本に在りては方名無し。今、類聚方に従う。
◎証(鱠之を食して心胸間に在って化せず、吐せんとして後出でず)《薬徴》 「鱠」細くきざんだ生の肉。◎心胸の間に宿滞有りて、結ぼるる者を治す。《類聚方広義》◎此方は魚毒を解するの主剤とす。《勿誤薬室方函口訣》◎魚毒:「荊芥、橘皮、山楂子」の三味方も解す。《済世薬室》
★適応症及び病名[1]噫気 [2]悪心<激しい> ☆吐いた後も、気分が悪い。 ☆症状が軽い場合は「平胃散」《勿誤薬室方函口訣》[3]ジンマシン[4]宿便[5]消化不良[6]食中毒(魚肉)[7]食物の停滞感:☆鳥獣の肉類を食して消化せず、胃部に停滞の感ありて苦悶する証《奥田謙蔵》[8]食欲不振[9]心下痞痛[10]呑酸[11]肌荒れ[12]皮膚色:
<きたない><渋紙色>[13]皮膚掻痒症[14]二日酔い[15]発疹
橘皮竹茹湯[1-1]《金匱要略》「橘皮2升、竹茹2升、大棗30枚、生姜半斤、甘草5両、人参1両」右六味、以水一斗、煮取三升、温服一升、日三服。◎逆者、橘皮竹茹湯主之。
《金匱要略》嘔吐下利病脉證治第十七。
橘皮竹茹湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「橘皮4、竹茹2、大棗・生姜各6、甘草3、人参1.5」
橘皮竹茹湯[1-3]《金匱要略》《中薬臨床応用》「橘皮9g、竹茹6g、党参9g、甘草3g、生姜12g、大棗9g」水煎服。 ◎胃気虚の吃逆
橘皮竹茹湯[1-4]《東醫寶鑑》=「陳皮竹茹湯」「橘皮3銭、人参2銭、青竹茹4銭、甘草1銭、姜5、棗2」水煎服。◎胃が弱り、膈に熱があって咳逆する者を治す。
橘皮竹茹湯[1-5]《金匱要略》 「橘皮4.8、竹茹3.2、大棗1.6、生姜2.4、甘草1.4、人参0.8」右六味を一包と為し、水一合四勺を以て、煮て六勺を取り、滓を去りて一回に温服す。◎橘皮竹茹湯の証に逆と曰い、生姜甘草湯の証に咳唾涎沫止まずと曰う。按ずるに若(かくのごと)き証の人は、胸中に必ず攣引強急の状あり、是を以て大棗を用うること居多なり。莢丸の証の如きも亦然り故に棗膏を用う。又橘皮竹茹湯を按ずるに薬量に水率相当せず、且つ他薬の分量甚だ多くして、人参は僅かに一両なり、仲景の方中、絶えて此の如き者あらず、疑うらくは錯誤あらん。《重校薬徴》
◎此方、原本に在りては、薬量と水率と相応せず。又他薬に比して、人参の用量甚だ少なし。今、《方極附言》の改むる所に従う。《奥田謙蔵》◎此方は橘皮の下気を主として竹茹の順降を兼ねる。又、気逆を発する者の主とする。《勿誤薬室方函口訣》
◎《金匱要略》に“逆は、橘皮竹茹湯之を主る”といい、また“乾嘔、もし手足厥する者は橘皮湯之を主る”とある。この2つの処方は、ともに吃逆に用 いるが、橘皮湯の方は症状がはげしくて、手足の厥冷状になっている者を目標とする。私の経験では、橘皮は苦味の強いものが良く、[橘皮]の代わりに[陳
皮]を用いたのでは、効がない《大塚敬節》【腹証】《腹診配剤録》“胸脹れて、臓気尽く上行す。故に吃逆す”★適応症及び病名 [1]しゃっくり:(吃逆)(逆)
☆胸中痺し、逆する者を治す。《吉益東洞》☆又、甘草を多く入れるが手段なり。もし少量なれば効なし。甘草5両を用いるは深旨あり。逆、「甘麦大棗湯」を与えまま奏功す。その意知るべし。《雑病論識》☆逆(しゃっくり)には:①胸中に属する者:「丁香」②腹中に属する者:附子粳米湯甘草乾姜湯」③水飲ありて中気虚する者:「香砂六君子湯芍薬」☆吃逆を発する諸証。《奥田謙蔵》☆吃逆連綿として止まず、疲労、衰弱漸く加はれる者には、証に由り粳米、麦門冬を加ふ。《奥田謙蔵》
☆しゃっくり、百日咳《龍野ー漢方処方集》☆雑病のなれば月餘の者と雖も必ず効あり。☆濁飲上逆してする者:①陽に在る者:「半夏瀉心湯」②陰に在る者:「呉茱萸湯」☆傷寒痢病などの脱陽してする者には効なし。《勿誤薬室方函口訣》☆橘皮竹茹湯、にもいろいろありて、その因る処一ならざる者なれども、その病因を問わずして、ひらおしにに広く用る方あり。即ち此方そのものなり。凡そ逆家の総司とも云うべき薬なり。此方ならば、脈と腹の様子を問わずして、先ず最初に用いる薬なり。「橘皮湯」はこれの一段と強きものなり。橘皮湯は危篤の場にても用るなり。軽きは橘皮竹茹湯にてすむなり。橘皮湯は薬味少なくして、反って重き処に良きなり。霍乱などの末になり、とと一緒になり、薬も通らず、医者の手を離れたる時は、これにて効を得ることあり《有持桂里》
[2]百日咳:☆百日咳等煮た、証により半夏を加味し。《奥田謙蔵》[3]吐乳:☆小児の乳、及び百日咳には、此方に半夏を加ふれば極めて効有り。腹症に随ひて、紫円、南呂丸を兼用す《類聚方広義》
橘皮竹茹湯[2]《三因極一病証方論》《勿誤方函口訣》=「橘皮竹茹湯[1]《金匱要略》大棗茯苓枇杷葉麦門冬半夏」 「橘皮・竹茹・生姜・甘草・人参・茯苓・枇杷葉・麦門冬・半夏」 ◎逆・嘔・胃中虚冷し、一毎に89声相連なるに至り、収気回らず、人を驚かしむるに至るを治す。◎胃熱・多渇・嘔して食せざるを治す。
橘皮竹茹湯[3-1]《寿世保元》《勿誤方函口訣》 「橘皮・竹茹・大棗・生姜・甘草・人参・柿蔕1銭、丁香5分」◎吐利の後、胃虚・膈熱に因って嘔逆する者を治す。《雑病論識》
橘皮竹茹湯[3-2]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮2銭、人参1銭、甘草1銭、竹茹1銭、柿蔕1銭、丁香5分、生姜、大棗」水煎。◎吐利したる後に胃虚するに因りて膈(胸中の隔膜)熱し、逆する者を治す。◎坊考には、柿蔕・丁香を去る。◎身熱し、渇を発する:「柴胡黄芩丁香」
橘皮竹茹湯[4]《傷寒蘊要》《勿誤方函口訣》 =「 橘皮竹茹湯[1]《金匱要略》人参生姜大棗半夏茯苓黄連葛根」 「 橘皮・竹茹・甘草・半夏・茯苓・黄連・葛根」◎咳逆:、胃中虚冷し、一ごとに八九声相連なるに至り、収気回らず、人を驚かしむるに至るを治す。◎胃熱、多渇して食せざるを治す。《雑病論識》
橘皮湯[1-1]《金匱要略》「橘皮4両、生姜半斤」右2味、以水7升、煮取3升、温服1升、下咽即愈。◎乾嘔、、若手足厥者、橘皮湯主之。 橘皮湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「橘皮3、生姜6」◎胸中痺して、する者を治す《方極》◎痰逆して、悪寒するを治す《傷寒六書》★適応症及び病名[1]胃部の停滞感:☆胃部に停滞の感ありて、乾嘔を発する等の証《奥田謙蔵》[2]霍乱:☆霍乱、嘔吐止まず、四逆輩を用いて無効まる者、急に此湯を用いて験あり。《和田東郭》☆霍乱の後、煩躁し、臥して安ぜざるを治す《聖済総録》[3]しゃっくり:(吃逆)
橘皮湯[]《備急千金要方》 橘皮湯[2-1]《外台秘要方》=後世名「神秘湯」。《橘窓書影》「麻黄・紫蘇・橘皮・杏人・石膏各中、柴胡大、」右6味。
橘皮湯[2-2]《外台秘要方》 「橘皮4両、杏仁4両、柴胡3両、麻黄3両、蘇葉2両、生姜4両、石膏8両」◎肺熱、気上り、息、奔喘を療す。《雑病翼方》
橘皮湯[2-3]《刪繁》《勿誤方函口訣》「麻黄・紫蘇葉・橘皮・柴胡・杏仁・生姜・石膏」
橘皮湯[3]《東醫寶鑑》「橘皮3銭、青竹茹・甘草各1銭、人参5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎虚煩を治す。
橘皮湯[4]《東醫寶鑑》=「加味香蘇散」「陳皮・枳殻・川芎・槐花各1銭、紫蘇茎・檳榔・木香・桃仁・香附子・甘草各5分、姜3、棗2」煎服。◎気痔を治す。
橘皮半夏湯[1-1]《張氏医通》《漢方後世要方解説》「橘皮・柴胡・杏仁・桔梗・香附子各3、半夏・茯苓各4、桑白皮・蘇子各1.5、生姜1」 ◎此方は感冒後の亜急性又は慢性の気管支炎にて他に特記すべき症状なく咳嗽のみ残って癒えざる者によい。◎感冒の症、初め、桂枝湯、麻黄湯等を用いて表証は解したけれども咳嗽の止まざる者がある。もの心下に水気あって表解せざるは「小青竜湯」であるが、小青竜湯にて心下の水気去るもなお咳嗽止まず、微熱ある者に此方がよい。
◎半夏・茯苓・橘皮・生姜=二陳湯より甘草を去ったもの、諸痰飲を除く。柴胡=少陽の余熱を解く蘇子・桑白皮=痰を去り気を下す杏仁・桔梗=胸膈を利し、痰喘嗽を治す。香附子=気を開き痰を去らしむ。
橘皮半夏湯[1-2]《漢方治療の実際》「柴胡5、蘇子・橘皮・半夏・茯苓各3、香附子・桑白皮・杏仁・桔梗各2、生姜3」 橘皮半夏湯[1-3]《張氏医通》
「柴胡・紫蘇子・橘皮・半夏・茯苓・莎草・桑白皮・杏仁・桔梗・生姜」◎感冒の解後、咳止まざる者を治す。《張氏医通》 ◎此方は、桂麻にて発汗後、表証は解すれども、咳嗽独り止まざる者を治す。①もし、心下に水気ありて表解せざる者:「小青竜湯」②小青竜湯を与えて心下水気は去れども、咳嗽止まず微熱ある者:橘皮半夏湯
◎咳嗽或いは微熱を伴う。《龍野ー漢方処方集》★適応症及び病名[1]咽頭カタル [2]感冒[3]気管支炎[4]喫煙家[5]せき:☆感冒、気管支炎などで、小柴胡湯を用いて解熱し、ただ咳だけが残って止まない者に用いる《大塚敬節》
[6]慢性気管支炎 橘皮半夏生姜湯《東醫寶鑑》「陳皮・半夏各2銭、乾生姜。人参・通草各1銭」水煎服。◎咳逆。
橘連枳朮丸《東醫寶鑑》「白朮3両、梧実<あおぎりの実>(麩炒)・陳皮・黄連(酒炒)各1両、を作末し、荷葉煮湯で米糊をつくり梧子大の丸剤。 ◎脾を補い、胃を和し、消化させる。
橘葉散《東醫寶鑑》「皀角刺(略炒)1銭半、瓜仁1銭、青皮・石膏・甘草節・当帰頭・金銀花・没薬・蒲公英各5分、青橘葉ひとにぎり」酒1杯半を1杯まで煎じ、毎食後と就寝時に服用。◎乳房の核と乳癰を治す。
揆雲散《東醫寶鑑》「柴胡2両、羗活・防風・甘草各1両」作末し、毎回2銭を薄荷湯又は茶清で服用。 ◎風毒が上がって、眼目が暗く・かゆくて痛い症。
揆雲湯《東醫寶鑑》「羗活・防風・黄柏各1銭、荊芥・藁本・升麻・当帰・知母・甘草各7分、柴胡5分、川芎・黄蓍・葛根・細辛・生姜各3分」食後、煎服。◎目に黒・白瞖が出来たとき。
揆雲退瞖丸《東醫寶鑑》「甘菊・川椒・大賊・白藜・密蒙花・蛇道・蝉退・川芎・蔓荊子・荊芥穂・石燕子()・黄連・薄荷・瓜根・枳実・羗活・当帰・地骨皮・甘草」 各等分に作末し蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を茶清で呑む。◎揆膜を治す。
却毒湯《東醫寶鑑》「焔硝1両、瓦松・馬歯・甘草各5銭、五倍子・川椒・防風・側柏葉・枳穀・葱白・蒼朮各3銭」を水5杯で煎じ、3杯までに減じて、1日3回洗う。◎痔瘻を洗う。
却痛散《東醫寶鑑》「川烏(炮)1銭半、当帰・肉桂・石菖蒲・木香・胡椒各1銭、五霊脂・蒲黄(炒)各5分、塩、錯」水煎服。 ◎心気が冷えると堪えられない症。
却老烏鬚健陽丹《東醫寶鑑》「赤何首烏・白何首烏各1斤、牛膝8両を黒豆汁でまぜて蒸すこと3回、赤 茯苓を牛乳5升、白茯苓を人乳汁5升に、それぞれ強火で煎じて乾かした
もの各1斤、兎絲子・破故紙各8両を作末し、弾子大の蜜丸。毎回1丸 を1日2回温酒で呑む。」 ◎毛の白いのを、黒くする。 却病延寿湯 「人参1銭・白朮1銭・牛膝7分・白芍7分・陳皮5分・白茯苓5分・山楂 肉5分・当帰5分・甘草5分・生姜3斤を入れ煎服。春には川芎を加え、夏には黄芩・麦門冬を加え、秋冬には当帰・生姜を倍加する。小水量が回復すれば服用をやめる。
◎老人の小便量が少ない。
卻病延年湯《済世全書》《古今方彙》「人参・茯苓・白芍薬(酒)・牛膝・山楂子各1銭、白朮1銭半、陳皮8分、当帰7分、甘草5分、生姜」水煎。 ◎凡そ高年の人は但だ小水短少を訴える。即ち是の病には進んで宜しく此湯を用いるべし。これ《丹渓養母》の方なり。
◎春には:「川芎」◎夏秋には:「黄芩麦門冬」◎冬には:「当帰、生姜倍加」 ◎老人陰痿にて色を思いて精出でず、小便の道は渋りて淋の如くに痛むには車前子と牛膝を八味丸の内に加える。《薛立斎十六種》
◎老人精已に竭き而して復た之を耗し、大小便牽痛して愈々痛み、愈々便せんと欲し、便すれば則ち痛み癒ゆ。前薬を以て応ぜざれば急ぎ附子を加える。 逆挽湯[1-1]《名古屋玄医》《漢方治療の実際》「桂枝・甘草・茯苓・人参・朮各3、乾姜・枳実各2」
逆挽湯[1-2]《名古屋玄医》「桂枝人参湯枳実・茯苓」◎一二日微熱あり、泄瀉数十行にして、後に血を帯び、裏急後重するを治す。 「後重」=便意あるも排便無し。◎此方の手段は、逆流挽舟と云う譬えにて、下へ降りる力の無き者は、一応上へずっと引き上げて、弾みをつけるならば、その拍子に下る理にて、虚寒下利にて後重する者は、桂枝人参湯にて一旦表へ引き戻し、その間に枳実、茯苓にて押し流す時は、後重ゆるむと云う意なり。《勿誤薬室方函口訣》◎下痢:桂枝加芍薬湯乾姜を与えて下痢止まず、熱があり、気がある者。◎《希藻》曰く、発熱の初、泄痢未だ判らず、虚候を挟むに似たる者、世医先ず逆挽湯を用い、緊迫を視るに及べば則ち之を疏滌す。《雑病翼方》
瘧疾一方《医学正伝》《古今方彙》「常山1銭半、檳榔子1銭、丁香半銭、烏梅1個」作1貼、好酒1盞を用い、1宿を浸し、発する日に臨み清晨(明け方)に之を飲む。
◎久瘧、癒えざるを治す。
瘧疾一方《済世全書》《古今方彙》「蒼朮、陳皮、厚朴、藿香、半夏(倍)、柴胡、黄芩、青皮、茯苓、沢瀉、檳榔子、草果、烏梅、甘草、生姜」煎じ、未だ発せざる前に服す。
◎諸瘧新久已まざるを治す。 芎烏散《東醫寶鑑》 「川芎・烏薬」等分を作末し、毎回2銭を服用。◎産後の頭痛。
芎黄円《楊氏家蔵方》《龍野ー漢方処方集》「川芎・大黄」各等分。蜂蜜で0.3gの丸薬として6~9を3回に分服。◎便秘、頭痛のぼせ。
芎黄円《楊氏家蔵方》《勿誤薬室方函口訣》「川芎・大黄」各等分。◎風熱壅盛し、頭昏、目赤、大便難なるを治す。《楊氏家蔵方》◎此方は、《楊氏家蔵方》の主治を至的とす。《勿誤薬室方函口訣》◎風熱壅盛し肩背強急する者:「葛根湯」◎心下支飲ありて頭昏目赤する者:「苓桂朮甘湯」
◎頭瘡、耳鳴に兼用すべし。
芎黄散[1]《王獄産書》=「黄散」=「応鐘散」「大黄、芎」「大黄10.0、芎6.0」《奥田謙蔵》右二味、各別に細末にし混和して散と為し、1回2.0~4.0を酒服する。下るを以て度とする。又病証に髄ひ、毎夜連続服用するも亦可なり。◎産後大便秘を治するの方。◎産後両(産前と産後の各七日)の内、大便秘するは損する所無し。ただ緩満に薬を以て之を通ぜよ。
◎蒿麦粉を加え尤も効あり。《雑病翼方》◎転変し、治す可らざる者を治す。転変とは、病証転変して治す可らざる也。《古方兼用丸散方》 ◎瘡及び頭上の毒を治す《古方兼用丸散方》◎諸般の上逆甚だしく、大便せず、或いは頭痛、耳鳴し、或いは頭痒く、或いは白屑多く、或いは瘡を生じ、或いは頭眩、目瞑し、或いは肩強り、或いは口熱、歯痛するを治す。《春林軒丸散方》◎打撲して瘀血ある者は、蕎麦を加えて、酒にて服す。《春林軒丸散方》
芎黄散《漢方治療の実際》「大黄1、川芎2」以上を作末し、1回に服す。 芎黄散[2]《東醫寶鑑》「川芎・生乾地黄・当帰・山薬・白芍薬各1両、沈香5銭、甘草3銭」作末し、半銭を白湯で調下する。◎小児の髄の気が不足して骨に充満出来ず、歯が生えない。
芎活湯[1]《東醫寶鑑》「川芎・半夏・赤茯苓・独活・陳皮・枳穀・各1銭、白朮・甘草各5分、生姜5片」水煎服。 ◎水飲が経絡に停注して、臂痛になった者。
芎活湯[2]《古今方彙》「人参、黄芩、杏仁、甘草(炙)、石膏、麻黄、肉桂、川芎、葛根、升麻、当帰、独活、生姜」水煎。 ◎急驚にて角弓反張するを治す。
芎葛湯[1]《東醫寶鑑》 「川芎・半夏(製)・赤茯苓各1銭、陳皮・枳穀各5分、白朮・甘草(炙)各2分半、姜5片」 ◎逐水・利飲に応用。
芎葛湯[2]《東醫寶鑑》「川芎・乾葛・桂皮・細辛・枳穀・人参・芍薬・麻黄・防風各1銭、甘草5分、生姜3片」水煎服。 ◎風寒脇痛を治す。
芎帰飲《東醫寶鑑》「川芎・当帰・細辛各1銭、石菖蒲・白各7分、生姜3片、大棗2枚、紫蘇葉7枚」食後、水煎服。◎風邪で耳鳴りになった者を治す。
芎帰丸《東醫寶鑑》「川芎・当帰・黄蓍・神麹(炒)・地楡・槐花(炒)各1両、阿膠・荊芥・木賊・髪灰各5銭」を作末し、梧子大の蜜丸。50~70丸呑む。
◎腸風・臓毒が長引くとき。
芎帰湯[1]《備急千金要方》 「川芎3匁半、当帰5匁」◎去血多、因って眩冒、困悶を致す者を治す。 「眩冒」=能貧血によるめまい、精神昏迷症状。◎胎前産後、危急狼狽、垂死等の証を治す。◎和血の効、捷なりとす。《勿誤薬室方函口訣》◎血分の症に活用すべし。◎後世の「補血湯」は此方の一等虚する処に用いる。◎婦人産後、両乳伸長、細小にして腸の垂れるが如く、小腹を過ぎ、痛忍ぶねからず。名づけて『乳懸痛」』と曰う。芎帰湯を用いる。《方読便覧》◎児枕痛:「甘草乾姜湯」《和田東郭》◎月信痛:「甘草乾姜湯」《和田東郭》◎耳中出血:「茅根」少し塩を入れて煎服。◎婦人、陰中突出し、蛇の如く、或いは鶏冠菌様の者を治す。「白、甘草、胆草各等分」《方読便覧》
芎帰湯[1-1]《厳氏済生方》=「仏手散」「川芎、当帰」 ◎(失血過多でめまい)◎生理不順:☆月経淡白:「人参・黄蓍・白芍薬・香附子」◎難産:☆産にのぞんで、分娩の困難な者に頓服させる。《大塚敬節》
芎帰湯[1-2]《和剤局方》《古今方彙》「川芎・当帰各等分」水煎。◎一切の失血過多にて眩暈し醒めざる者を治す。◎虚甚だしければ:「+附子」
芎帰湯[1-3]《和剤局方》《古今方彙》 「当帰・川芎」水煎し或いは酒童便を入れて同じく煎じる。◎一名「仏手散」:という。◎産前産後の諸疾及び難産、催生(陣痛発来のこと)、崩漏、胎動、胎痛を治す。◎新産の婦人、之を用いれば血を調えば則ち諸症悉く癒える。◎益母草5銭を加えるも亦妙なり。
◎気弱には:「人参」◎悪血には:「紅花」 芎帰湯[2]《証治準縄》 「川芎・当帰・人参・茯苓・呉茱萸・苦桔梗各12g、川厚朴・芍薬各8g清水9升にて煎じて3升とし、3回に分けて服用する。」
#芎帰膠艾湯[1-1]《金匱要略》 「芎2両、阿膠2両、甘草2両、艾葉3両、当帰3両、芍薬4両、乾地黄6両」右7味、以水5升、清酒3升、合煮取3升、去滓、内膠令消盡、温服1升、日3服、不差更作。◎師曰、婦人有漏下者、有半産後因續下血都不絶者、假令妊娠腹中痛、為胞阻、膠艾湯主之。
芎帰膠艾湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「川芎・阿膠・甘草各2、艾葉・当帰各3、芍薬4、地黄6」原方では水のほかに酒を加え、阿膠はあとから入れることになっているが、今、水だけで煎じ、阿膠も初めから一緒に入れる。
「地黄」*芎帰膠艾湯・三物黄芩湯・八味丸、皆地黄を以て君薬となし、2方は血証を言ひ、1方は小便不利を言ふ。膠艾湯方中、地黄を除くの外、阿膠・当帰・あり、鈞(ひと)しく是れ血を治する薬なり。三物黄芩湯は地黄を去れば、則ちその余は血を治するの薬品なし。是れに由って之れを観るに、古人の地黄を用ふる、並びに血証・水病を治するや覈(あき)らかなり。且つや、施治の法、血と水とを別たざるも亦明らかなり。《薬徴》
[施治の法]=治療を施すさいには血と水との気別をしないことも明瞭である 芎帰膠艾湯[1-3]《金匱要略》◎漏下、腹中痛み、及び吐血、下血する者を治す。《吉益東洞》◎此方は止血の主薬とす。◎阿膠の滋血、艾葉の調経、之に加ふるに甘草の和中を以てして、その効妙とす。
◎膠艾湯、調経、安胎、止漏、養血の良方となす《方読便覧》
◎《和剤局方》に云う、労傷、血気衝任、虚損、月水過多、淋瀝漏下、連日断えず、臍腹疼痛するを治す。
◎子宮出血、血尿、肛門出血、腰脚冷え、或いは下腹痛。《龍野ー漢方処方集》
◎鑑別:「三黄瀉心湯」「黄連解毒湯」「三黄瀉心湯や黄連解毒湯には消炎・鎮静・止血の効があるので、充血、のぼせ、興奮等を目標として、上半身の出血に用いることが多く、芎帰膠艾湯は鬱血を散じ、強壮・増血の効があるので、血色が悪く、冷え症のある者を目標とする。けれども、三黄瀉心湯も痔出血や子宮出血に用いることもあり、芎帰膠艾湯を衂血に用いることもある。」《大塚敬節》
◎鑑別:「当帰芍薬散」「芎帰膠艾湯と当帰芍薬散はともに、当帰・川芎・芍薬があり、前者には地黄・甘草・艾葉・阿膠があり、後者には、茯苓・朮・沢瀉がある。だから、芎帰膠艾湯は多く血に働き、当帰芍薬散は多く水に働く。」《大塚敬節》「芎帰膠艾湯:“腸痔、下血、綿々として止まず。身体痿黄、起きれば則ち眩暈し、四肢力なく、小腹刺痛する者を治す”
「当帰芍薬散」:“脱肛、腫脹、水を出して止まざる者に奇効あり”」《類聚方広義》
★適応症及び病名 (きゅうききょうがいとう)[1]頭がボーッとする
[2]外傷性出血
[3]顔色悪い
[4]下腹部知覚鈍麻
[5]眼出血
[6]ギックリ腰(初期に) ☆椎間板に異常がなく、下肢に痛みが走らない者に用いる。《螺王人》
[7]筋肉攣縮
[8]月経過多
[9]血小板無力症
[10]血尿:☆血尿証等《奥田謙蔵》☆《大塚敬節》“男子、42歳。3ヶ月前より血尿が出るようになった。日によってはブドウ酒のようになり、また日によっては桃色になることもあるという。その他には何の症状もない。しかしこの血尿はいつまでも治らないので、某大学病院に入院した。そこでいろいろ詳しく検査をした後、腎臓からの出血であることを突き止めた。しかし原因が分からず、特発性腎出血ということになった。ところがこの血尿はいつまでも止まらないので、退院して私に治を乞うた。腹診上は特にとりたてていうほどのものはなく、ただ僅かに臍部で動悸がやや亢進しているだけである。顔色は黒い方で、やや貧血の傾向がある。脈はやや沈で小である。食欲は普通で、大便も1日1行あり、排尿時にも苦痛はない。以上の所見から芎帰膠艾湯を与えたところ、4、5日後には肉眼では血尿らしいところが無くなり、その後、時々、疲れたときなどに血尿を出すこともあったが、だんだんそれも遠のき2ヶ月後には、体重が3kgほど増し全く健康体になってしまった”
[11]血便:☆血痢止まずして、腹満、熱実の症無く、ただ腹中攣痛し、脣舌乾燥する者は此方まま効有り《類聚方広義》
[12]眩暈(めまい):<起立性>
[13]口中(口内)出血
[14]喉頭結核
[15]肛門出血
[16]座骨神経痛
[17]産後の悪露が止まらない
[18]産後の子宮不全
[19]産後の出血
[20]産後の神経症
[21]産後の衰弱
[22]しびれ感(シビレ・筋肉のひきつり)
[23]弛緩性の出血
[24]四肢煩熱
[25]痔出血:☆痔出血にして、顔面蒼白、四肢に冷感ある証《奥田謙蔵》☆腸痔、下血綿々として止まず、身体萎黄、起てば即ち眩暈し、四肢に力無く、少腹刺痛する者を治す。若し胸中煩悸し、心気欝塞し、大便燥結する者は、黄連解毒湯、瀉心湯を兼用す《類聚方広義》
☆28歳の婦人。蒼白の顔をしている。一見してかなり貧血している。痔から永く出血しているが、手術が恐ろしいので、医者に見せたことはないと言う。動くと、疲れやすく、それに疲れるとのどが渇く、大便はやや硬いのでつとめて野菜や果実を食べているという。しかし便所に行くたび毎に、飛ぶように出血するので、便所に行くのが恐ろしくてたまらないという。腹診してみると、臍上で動悸が亢進し、下腹部が少し膨満してる。患者は下腹が張るような感じがあるという。そこで芎帰膠艾湯を与えたところ、大便が気持ちよく出るようになり、2週間目から少しずつ出血が減じ、1ヶ月後には、全く止血し、顔色も良くなり、動悸、息切れも次第によくなった。《大塚敬節》☆40歳男性。2年前、痔核の手術をしたが、その後、手術のあとが俗に云う[切れ痔]となって、出血して治らないので、翌年の5月に再手術をした。しかし依然として、疼痛と出血が止まないので、9月に又 手術した。しかし疼痛も出血も止まない。大便が少し硬いとすぐに、出血が始まり、痛むので、いつも性マグネシヤを呑んでいるという。それでも時々出血するし、1度出血が始まるとなかなか止まらないと云う。
患者は色が浅黒く、栄養も悪くない。腹診上特別の所見はない。私は芎帰膠艾湯を与えて、治りますよと、安請け合いをした。ところが、これを飲み始めて6日たつと、今までよりも排便時と排便後に、肛門が痛むようになった。大便が硬いためかと考え、これに大黄0.5を加えてみた。これを3日ほど飲むと、疼痛は軽くなり、5、6日たつと疼痛を忘れた。しかし、何かの調子で、時々疼痛が来る。そこで患部に紫雲膏を塗り、黄連解毒湯大黄甘草湯にし、大黄0.7を用いた。ところで、意外にも、これより前の薬が良いというので、また芎帰膠艾湯大黄にして、大黄を0.7にした。すると出血も疼痛も10日に1回位起きる程度になった。しかし、どうしても完全に治らず、1週間から10日に1回くらいは疼痛と出血があり、肛門専門の医師は、今一度手術した方がよいと診断したとこことである。けれども患者の方は、いくら永くかかってもよいから、漢方で根治するまで服薬を続けたいと云う。
そこで服薬を始めて、3ヶ月目に、次のような変則な処方を作って用いた。則ち、芎帰膠艾湯大黄桃仁牡丹皮麻黄梔子魚腥草である。ところで、これがすばらしく良く効いて、これを服用し始めてから6ヶ月間に、初めの頃に、1、2回少し出血があったきりで、その後は、疼痛も出血も全くない。《大塚敬節》☆56歳男性。既往症に痔瘻、動脈硬化症がある。7日前から痔出血があるという。大便は1日1行あるが、時々硬いことがある。そこで芎帰膠艾湯大黄1.0にして用いたところ、1週間ほどで出血が止み、とても身分が良いというので、服薬を続けたところ、10ヶ月ほどたつと、脱肛の方も軽快し、よほど無理を重ねない限り、脱肛することはなくなった。《大塚敬節》
[26]紫斑病(血小板減少性紫斑病) ☆特発性血小板減少性紫斑病に有効(漢方診療医典)
[27]子宮出血:☆子宮出血にして、熱候無き証《奥田謙蔵》☆芎帰膠艾湯と温経湯とは、血が多く出るか、少ないかによって区別する。また芎帰膠艾湯は流れをせき止めるような作用があり、温経湯とは作用が違っている。だから、桂枝茯苓丸のような、ドブをさらえるような作用のあるものを芎帰膠艾湯証に用いると、却って出血がひどくなるものである《百一貫》
[28]子宮内膜症:☆子宮内膜炎等にして、赤白の分泌物断続する証《奥田謙蔵》
[29]子宮ガン
[30]出血:☆外傷後、内出血の疑いある証《奥田謙蔵》☆打撲で、すさまじく出血する者に効がある《百一貫》
[31]腎臓結核 [32]腎臓腫瘍 [33]切迫流産:☆胎動き、血水を下す者は、更に「理中湯縮砂」を以て之を佐く、と。是れ亦気虚を治する者なり。《仁斎直指方》☆妊娠中、少しずつ子宮出血があって、流産のおそれのある時に用いる《大塚敬節》
☆《方輿輗》に、“妊娠中に下血して腹中痛む者に用いる方なり。また下血せずしてただ腹痛するばかりにも用いることあり。また妊娠中にケガして胎動(今日の胎動と内容が異なり、胎が動いて流産せんとすること)することあり、ここえ最も効有る薬なり。ケガして腰や腹痛み出して甚だしきは下りものなどありて堕胎せんとするに用いて取り留める者也。また1治験あり、毎産5、6月に堕胎する者に、これを服すれば堕胎を逃れるなり。
胎動に当帰芍薬散や当帰散などを用いるときは軽き場なり、軽き内は前2方にてよし。これにても癒えざる時は芎帰膠艾湯を用てよし。 当帰芍薬散の痛は劇しくとも、腹にのみありて腰にかからぬなり。膠艾湯の痛は小腹にありて、腰にかかるなり。故に膠艾湯には腰腹痛とあるなり。当帰芍薬散の場にても、腰にかかる者は早く膠艾湯を用ゆべし。腰痛は堕胎せんとするの兆しなり。早く救ふべし。胎動して腰にかかるに至る者は必ず血を見る者なり。軽き者はその時血の下るを知らずしている者なり。よくよく意をそそいで審にすべし”《大塚敬節》
[34]舌質<やや淡白>
[35]舌苔<無苔>
[36]帯下:☆漏崩走下止まず、自ら臍下氷の如く覚え、白帯の物多く、まま、悪露水の下るあり。時に鮮血止まざるあるを治す:「甘草丁香」《衛生宝鑑》
[37]胎漏(妊娠中の腹痛のない子宮出血)[38]吐血 [39]腸出血:☆腸出血にして、熱性証候を欠く者《奥田謙蔵》 [40]難産 [41]妊娠:☆妊娠二三月より上七八月に至り、その人、頓仆(突然倒れる)、失踞(座ったまま倒れる)し、胎動不安、傷損止、腰腹痛し、絶えんと欲する者、所見の胎に及ぶあり。奔上して搶心、短気するを治す《雑病翼方》☆妊婦顛躓し、胎動いて心に冲し、腹痛して腰股に引き、或いは胎萎縮の状覚え、或いは血を下して止まざる者は、此方を用う可し。胎殞ちざる者は即ち安く、若し胎殞つる者は即ち産す、《類聚方広義》
[42]冷え症 [43]皮膚に艶(ツヤ)がない [44]貧血: ☆諸種の貧血証等《奥田謙蔵》
[45]<左>腹直筋攣急
[46]腹痛(下腹部疼痛) [47]腹部軟弱無力 [48]不正性器出血: ☆(少量で持続することが多い)
[49]分娩後の持続する出血 [50]膀胱結核 [51]膀胱腫瘍 [52]メトロパチー(Metropathie)=出血性子宮症
[54]目が疲れる
[55]腰痛症
[56]流産:☆孕む毎に必ず堕つる者、此を服して止む無ければ、則ちその胎を保つべし、と。按ずるに之を服して差えざる者は気虚し、血を摂せざるなり。「補中益気湯」に宜し。《希藻》曰く。☆懐妊して6、7月もして堕胎し、あるいはたまたま10月に満ちて生まれても、生まれてすぐ死亡し、5人、6人と孕んでも、育たない者がある。その場合は、妊娠と分かった月から10ヶ月まで用いるが良い。育つものである。先生の経験である。芎帰膠艾湯を酒を 入れて煎じないと効力が薄い。しかし酒を初めから入れては、飲みにくいので、煎じあがって、あとから酒を入れて飲ませるのが良い。《百一貫》
#芎帰膠艾湯+乾姜
=大膠艾葉湯《備急千金要方》「芎帰膠艾湯と主治同じ、地黄・乾姜と伍するときは、血分の働き一層強くなるなり」《勿誤薬室方函口訣》
芎帰膠艾湯加減《中薬臨床応用》「阿膠12g(溶解)、艾葉6g、当帰9g、白芍5g、熟地黄12g、桑寄生18g、続断9g、菟絲子12g、白朮12g、黄蓍12g」水煎服。◎流産防止。
#芎帰調血飲[1-1]《万病回春》《古今方彙》「当帰、川芎、白朮、茯苓、熟地黄、陳皮、烏薬、香附子(便)、乾姜(黒)、益母草、牡丹皮、甘草、生姜、大棗」水煎、温服。
◎産後の諸病にて気血虚損し脾胃弱、悪露行らず、血を去ること過多にして、飲食節を失し、怒気相沖し、以て発熱を致し、悪寒、自汗、口乾、心煩、喘急し、心腹疼痛し、脇肋腸満し、頭暈眼花、耳鳴り、口噤して語らず、昏㿉する等の症を治す。
芎帰調血飲[1-2]《万病回春》《漢方後世要方解説》「当帰・川芎・熟地黄・白朮・茯苓・陳皮・烏薬・香附子・牡丹皮各2.5乾姜・益智仁・甘草・大棗各1」◎産後一切諸病、気血虚損、脾胃怯弱、或いは悪露行らず、或いは血を去ること過多し、或いは飲食節を失し、或いは怒気相沖し、以て発熱悪寒、自汗、口乾き、心煩喘急、心腹疼痛、胸肋脹満、頭暈、眼花、耳鳴、口噤て語らず、昏㿉等の症を治す。
◎此方は八珍湯方中より芍薬と人参を去り、牡丹、益母草の駆瘀血剤、香附子・烏薬・乾姜の順気健胃剤を配合せるもので、産後一切の気血を調理するによい。「八珍湯」「大補湯」ほど虚状のない者に広く用いられる。
すなわち貧血を補い、悪露悪血を去り、腸胃を益し、産後の諸症に応用される。 「当帰・川芎・熟地黄」=補血、潤血の作用有り「茯苓・白朮・陳皮・甘草」=脾胃を養う「烏薬・香附子」=気血を順らし「牡丹・益母草」=血熱を涼す。
芎帰調血飲[1-3]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「当帰・川芎・白朮・茯苓・熟地黄・陳皮・烏薬・香附子・牡丹皮各3.0g、乾姜・益母草・大棗各2.0g、干姜1.0g」◎産後の諸病、気血虚、胃弱、悪露、貧血、出血過多、飲食不調、発熱悪寒、自汗口乾、心煩喘息、心腹疼痛、脇肋脹満、眩暈、耳鳴り、口噤不語、昏迷等。《龍野ー漢方処方集》
★芎帰調血飲(気血虚損、胃腸虚弱、神経症、貧血めまい、動悸、耳鳴り、腹部軟弱、腰痛、乳汁不足、)
★適応症及び病名(きゅうきちょうけついん)[1]胃腸虚弱
[2]外傷の後遺症
[3]眼花
[4]肝斑
[5]気の上衝<+>
[6]気血虚損
[7]脇肋脹満
[8]血瘀気血両虚☆桃紅四物湯より補益性が強く、寒証に適する。《中医処方解説》☆寒証がひどい者には、芎帰調血飲第一加減《中医処方解説》
[9]血脚気
[10]血腫
[11]月経不順
[12]眩暈
[13]口乾
[14]口噤不語
[15]骨盤内血腫
[16]骨盤内の鬱血
[17]骨盤腹膜炎(第一加減)
[18]昏迷
[19]産後の諸病<調整>☆産後の血☆産後の悪露滞留 ☆産後の神経症で、脈腹軟弱でおりものがある者。☆産後の頭痛☆産後の肥立ち(第一加減)
[20]産褥熱:☆軽症
[21]自汗
[22]出血過多
[23]腫瘍
[24]食欲不振(飲食不調)
[25]神経症
[26]心煩
[27]心腹疼痛(腹がはって痛む)
[28]喘息
[29]頭暈
[30]頭痛
[31]舌質<淡紅><瘀斑>
[32]帯下
[33]血の道症:
[34]動悸
[35]乳汁不足
[36]腹部軟弱
[37]便秘<傾向>
[38]耳鳴り
[39]めまい
[40]腰痛
[41]脈沈弱 #芎帰調血飲第一加減《一貫堂》《中医処方解説》「芎帰調血飲白芍薬・桃仁各・延胡索3g、紅花・牛膝・枳殻・木香各2g、肉桂1g」◎活血化瘀、理気止痛、補血健脾、温裏寒。
★適応症及び病名(芎帰調血飲第一加減)
■外傷後遺症 ■血瘀気血両虚寒証 ■月経不順 ■月経困難症 ■骨盤内炎症 ■骨盤内鬱血 ■子宮筋腫 ■無月経 芎 帰鼈甲散《医学入門》《古今方彙》「鼈甲1銭、川芎・当帰・茯苓・芍薬・半夏・陳皮・青皮各5分、烏梅1固、生姜、大棗」煎服。
◎労瘧にて寒熱するを治す。◎熱多ければ:「+柴胡」◎寒多ければ:「+草果」
芎帰補中湯[1]《万病回春》《古今方彙》「人参・黄蓍・白朮・当帰各1両半、川芎・五味子各1両、白芍薬(酒)1両半、乾姜(炒)・阿膠各1両、杜仲・木香・甘草各半両」水煎温服。
◎懐妊し、血気虚弱にて栄養する能わず、以て数月を致して墜つるを治す。
芎帰補中湯[2]《婦人大全良方》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・当帰・芍薬・川芎・艾葉・阿膠・五味子・杜仲各1銭、甘草5分」水煎。 (きゅうきほけつとう)気血虚し、而して産を欲するを治す。◎若し脾気虚弱なるには:「補中益気湯」を使う。◎若し気虚し而して火あるには宜しく:「安胎飲」を用いるべし。
芎帰養血湯《中薬臨床応用》「川芎5g、当帰・桑枝各9g、鶏血藤30g、桑椹子12g、白芍6g、秦芁5g、大棗15g」水煎服。
(きゅうきようけつとう)
◎多発性神経炎・脳血管攣縮・脳血管後遺症などによる麻痺。◎筋肉リウマチ。慢性関節リウマチによるしびれ・疼痛・ケイレン。
芎竅散[1]《東醫寶鑑》「川芎1銭、当帰7分半、羗活・旋覆花・蔓荊子・細辛・石膏・藁本・荊芥穂・半夏(麹)・熟地黄・防風・甘草各5分に生姜3片を入れ、水煎服。」薬物の種類は、「養血袪風湯」と同じだが重両数が違う。
◎頭風・眩暈を治し、兼ねて肝虚暈を治す。特に婦人に良い。
芎竅散[2]《東醫寶鑑》 「川芎・檳榔・麻黄・肉桂・防已・木通・細辛・白芷・菖蒲各7分、木香・川椒・甘草各3分、生姜3片、紫蘇葉5片」水煎服。
◎鼻がつまり、匂いをかげない症。 芎摻散《証治準縄》 「川芎・辛夷各40g、細辛30g(苗を去る)、木通20gを細末にして、少量を綿にくるんで、鼻の中に挿入し、湿ったら取り替える。」
芎夏湯《東醫寶鑑》「川芎・半夏(製)・赤茯苓各1銭、陳皮・枳殻各5分、白朮・甘草(炙)各2分半、姜5片」水煎服。◎逐水・利飲に。
芎犀元《東醫寶鑑》「川芎・石膏各1両、人参・赤茯苓・細辛・甘草各5銭、麦門冬7銭半、阿膠珠4銭、山梔子・竜脳・犀角各2銭半、朱砂5銭半」を作末し 蜜でねり芡実大の丸剤。朱砂で衣をし1~2丸を、こまかくかんで温酒又は茶清で服用。
◎偏頭痛を治す。
芎芷膏《東醫寶鑑》 「川芎・白芷」等分を作末し、芡実大の蜜丸。毎回1丸を就寝時に服用。 ◎口気の熱臭を治す。
芎芷香蘇散[1]《東醫寶鑑》「香附子・紫蘇葉各2銭、蒼朮1銭半、陳皮・川芎・白芷各1銭、甘草5分を剉作1貼して生姜3・大棗2を入れ、水煎服。」
◎傷寒・傷風の表症で、頭と首がつって・関節が疼痛し、陰陽が弁別できないとき。
芎芷香蘇散[2]《済世全書》《古今方彙》「川芎・白芷・香附子・陳皮・羗活各1銭、薄荷・紫蘇葉各8分、甘草5分、生姜、葱白」水煎。 ◎外が傷風に感じ、鼻塞り、声重く、左の脈浮緩の者を治す。◎荊芥、防風を加え「荊防芎蘇散」と名づく。◎咳には:「+杏仁桑白皮」
芎芷散《東醫寶鑑》「川芎1銭半、白芷・蒼朮・陳皮・細辛・石菖蒲・厚朴・半夏・木通・紫蘇葉・辣桂・甘草各7分、姜3片、蓮鬚葱白2茎」水煎服。◎風邪で耳鳴りする者を治す。
芎芷散《医学入門》《古今方彙》「白芷・菖蒲根・蒼朮・細辛・厚朴・半夏・甘草・木通・紫蘇子・辣桂各2半、川芎2分、生姜、葱白」煎服。 ◎風が耳に入り、虚鳴するを治す。
芎朮姜梔二陳湯《万病回春》《古今方彙》「乾姜・蒼朮・梔子・半夏・茯苓・川芎各1銭、甘草5分、陳皮1銭2分、生姜:煎服。 ◎平素より痰火ありて胃脘急痛して忍ぶべからざる者、◎食納むる能わざるを治す。◎痛み時に服す。
芎朮散《東醫寶鑑》「川芎・蒼朮・香附子・白芷」等分を作末し、姜汁で木香をそそいで、熱湯で2銭調下する。 ◎痰積腹痛を治す。
芎朮湯《東醫寶鑑》「川芎・白朮・半夏(姜製)各2銭、炙甘草5分、生姜7片」水煎服。 ◎冒雨中湿で頭が重く、鼻閉・めまいを治す。 (雨に濡れて鼻がつまり、頭重、めまい)
芎朮湯《厳氏済生方》《古今方彙》「川芎・白朮・半夏各2銭、甘草5分、生姜」煎服。◎雨を冒し、湿に中たり、眩暈頭重、嘔逆、食せざるを治す。
芎朮除眩湯《東醫寶鑑》「川芎2銭、白朮・附子(生)各1銭、桂皮・甘草各5分、生姜7、大棗2」水煎服。 ◎寒湿による・激しい頭痛・めまいを治す。
芎朮除眩湯《易簡方》《古今方彙》「川芎・白朮・附子(生)各1銭、官桂・甘草各5分、生姜、大棗」水煎。◎寒湿を感じ、眩暈頭重、痛み極まるを治す。
芎辛散《東醫寶鑑》 「川芎・細辛・防風・桔梗・白芷・羗活・桑白皮各1銭、甘草5分、姜2片、薄荷3葉」水煎服。 ◎熱痰による失語症。
芎辛湯《東醫寶鑑》「川芎3銭、細辛・白朮各1銭半、甘草1銭、生姜5片、茶芽を少し」水煎服。 ◎風・寒・湿が脳にあって頭痛・嘔吐・めまいする者。
芎辛湯《医学入門》《古今方彙》「川芎2銭、細辛・白朮各1銭、甘草5分、生姜、細茶」水煎温服。◎風寒が脳に在り、或いは邪が湿に感じ頭重く痛み、眩暈吐定まらざるを治す。
芎辛導痰湯《東醫寶鑑》「半夏(姜製)2銭、川芎・細辛・南星(炮)・陳皮・赤茯苓各1銭、枳穀・甘草各5分に姜7片を入れ、水煎服。」 ◎痰厥頭痛を治す。
芎蘇散《医学入門》《東醫寶鑑》「黄芩・前胡・麦門冬各1銭、川芎・陳皮・白芍・白朮各8分、紫蘇葉6分、乾葛5分、甘草3分を作1貼と、生姜・葱白を入れ煎服。」
◎妊婦が傷寒で頭痛・寒熱・咳嗽する症。◎孕婦の傷寒にて寒熱、頭疼、身痛、項背強ばるを治す。
芎麻湯《東醫寶鑑》「羗活・麻黄・甘菊・川芎・石膏・防風・前胡・黄芩・細辛・枳穀・白茯苓・蔓荊子・甘草各7分、白芷・薄荷各5分を剉作1貼して生姜3片を入れ水煎服。」
◎破傷風が半表半裏にあって汗をかかない症。
久咳方《医法問要》 「咳奇方《和田東郭》に同じ。」
宮外孕方 「丹参、乳香、没薬、赤芍薬、桃仁」
宮頸糜爛栓Ⅱ方《山西薬品制剤手冊》「黄柏、竜脳、蜈蚣、雄黄、青黛」 究原心腎丸《東醫寶鑑》「菟絲子3両、牛膝・熟地黄・肉蓯蓉・鹿茸・附子(炮)・人参・遠志・茯神・黄蓍・山薬・当帰・竜骨・五味子各1両」作末し菟絲子酒に漬け、酒煮糊で梧子大の丸剤。棗湯で70~90丸呑む。◎虚労・怔忡・盗汗・遺精・尿赤濁の者を治す。
急驚風一方《済世全書》《古今方彙》「防風、蝉退、白芍薬、木通、車前子、赤茯苓、麦門冬、甘草、燈心草」水煎。 ◎小児発熱して驚啼するを治す。 急結炎方《中薬臨床応用》「木賊3g、菊花9g、白蒺藜6g、決明子3g」水煎服。◎急性結膜炎。
急性腎炎方《中薬臨床応用》「茅根15g、車前草9g、栗米鬚15g、仙鶴草9g、鷹不泊9g、広東商陸15g」水煎服。 ◎急性腎炎。 急風散《東醫寶鑑》「麝香1字、朱砂1両、黒豆(生)2銭半、草烏(半分生・半分焙存性)3両」米醋で同淬し、作末し半銭を酒で調服する。◎新旧のすべての瘡が伝変して破傷風になった者を治す。
求苓湯《東醫寶鑑》「黄蓍・防風・白茯苓・白朮・麻黄根各5銭、甘草(炙)2銭半」を切って毎回7銭を浮小麦100粒と煎服。◎虚汗を治す。
救汗湯《葉氏録験方》 「桂枝加附子湯《傷寒論》に同じ。」◎陽虚し自汗する者を治す。
救急稀涎散《本事方》 「猪牙皀角4挺 明礬40gを作末し、温湯で2gに調合する。」 救急療気噎方《勿誤薬室方函口訣》「半夏・柴胡各3両、生姜3両、羚羊角・犀角・桔梗・昆布・通草・炙甘草各3両」◎食に因って即ち噎塞し、炙臠の膈に在って下らざる者に効をえたり。◎羚羊角湯[1]《外台秘要方》とは寒熱相反す。
救逆湯[1-1]《傷寒論》=桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯《傷寒論》「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚、牡蠣(熬)5両、蜀漆(洗去脂)3両、龍骨4両」
右七味、以水一斗二升、洗煮蜀漆、減二升。内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升。本云桂枝湯、今去芍薬、加蜀漆牡蠣龍骨。◎傷寒脉浮、醫以火迫劫之、亡陽、必驚狂、臥起不安者、桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯主之。
◎火邪、亡陽驚狂、臥起不安、虚証でのぼせひどき者。《龍野ー漢方処方集》
救逆湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「桂枝・生姜・大棗・蜀漆各4、甘草2、牡蠣6、龍骨5」◎桂枝去芍薬湯の証にして胸腹動の劇しき者を治す《吉益東洞》◎此方は火邪を主とす。故に湯火傷の煩悶す疼痛する者、又灸瘡にて発熱する者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》◎蜀漆が入手出来ないときは、これを入れないでも効がある。《大塚敬節》
◎桂枝加竜骨牡蛎湯の証に似ていて、急迫症状の甚だしい者に用いる《大塚敬節》 救逆湯[1-3]《傷寒論》=「桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯」《傷寒論》
★適応症及び病名 [1]イライラ [2]息切れ [3]一酸化炭素中毒 [4]ウツ状態 [5]感情不安定 [6]顔面紅潮 [7]気の上衝<>☆顔面に逆上感有り、心中煩悶し安眠するを得ず、口乾くも飲料を欲せず、脚部微冷にして、脈浮大なる証。《奥田謙蔵》[8]灸後の煩躁: ☆灸の反応熱に良く効く《大塚敬節》[9]驚狂
[10]下血:《雑病翼方》[11]自汗 [12]心悸亢進:☆<激しい>☆自汗出でて脈虚大、心悸亢進を覚え、逆上し、二便ともに減少し、食欲著しく減ぜざる証。《奥田謙蔵》☆お灸にあてられて動悸がしたり、火熱を加えたために心悸亢進の起こった場合に用いる《大塚敬節》[13]頭汗
[14]頭重 [15]頭痛[16]精神不安: ☆(やけど等で)[17]中風:☆入浴中に、倒れて中風になった者を治した《辻元菘庵》[18]ツバを吐く:☆滋賀県近江国蒲生郡日野大窪町米商、伴忠助という者が、ある日、予が門を叩き、泣きながら云う。私の妻は病気になって半年、床について数十日、多くの医者の治療も効無く、もういつ死ぬか分からないほどです。どうぞ活かす方法がありましたら、どんなことでもして下さいと。
そこで急いで往診してみるに、患者の名は多可といい、年は38、 脈は細数微で、痩せて、食欲はなく、悪寒がしたり熱が出たりする。それに頭痛とめまいがあり、精神が安定を欠き、頸項が強ばり、眉間が痛む。1日中、ネバネバした唾液を吐き続け、その吐くものはひどく臭い。そこで自分で脳漏(=蓄膿症)と決め、必死であると考えているようである。
ところが余の診察では、吐物には臭気は無く、また脳漏の徴候もない。そこでそのことを患家に告げたが、患者も家人も余の言を信用しないようであるから、袖を払って帰ってきた。しかし、その日の夕方、また忠助が来て、是非薬をくれと云う。そこで、この病はきっと治るといって、桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯を与えた。
これを10日分飲むと、悪寒も熱も無くなり、ツバを吐くのも半減し、呼吸の臭気も消え、30日後には過半の症状がとれ、50日あまりで全治した。(杉原周作・継興医報第32号)[19]テンカン:☆癲癇にして、上逆甚だしく、胸腹に動悸ある等の証。《奥田謙蔵》[19]動悸:☆気逆上衝し、胸腹に動悸を感ずる等の証。《奥田謙蔵》
☆ストーブに酔って動悸がしたり、風呂にながく入って動悸がした場合に用いる《大塚敬節》☆1男子が室屋に入って休んでいる中に、そのまま眠り、少し経って眼が覚めたところ、汗が流れるように出て、ひどく動悸がするようになったという。そこで救逆湯を与えたところ、2、3貼でおさまった。《方輿輗》[20]のぼせ☆風呂に入るとのぼせる・鼻血が出る。☆コタツに入っていると、頭がボーッとする。☆コタツに酔うとか、風呂に酔った場合《大塚敬節》☆密室に閉居し、或いは火力強気コタツ等にて逆上し、頭重、眩暈を発する証。《奥田謙蔵》[21]発狂:☆不寐の人、徹夜、1と目も眠ること得ざること、5、6夜に及ぶときは、必ず狂を発す。恐るべき事なり。速にこの方を服すべし《校正方輿》☆徹夜眠らず、久しければ必ず狂を発するものを治す《方彙続貂》[22]発熱:☆湯火傷、或いは灸後の発熱等。《奥田謙蔵》[23]冷えのぼせ[24]腹部大動脈の拍動:☆<激しい>
[25]胸がつまる(欝塞感・閉塞感) ☆ストレスで胸がいっぱい。[26]目眩:(めまい)☆入浴長きに過ぎて逆上し、眩暈を発する証。《奥田謙蔵》[26]やけど:(火傷)☆火邪を療す。《方読便覧》
☆私の家のお手伝いさんが、台所で仕事中に、徳用の大形マッチ箱に引火して、頭髪が燃えながら顔面に垂れ下がって、火傷をしたことがある。その時、この方を内服せしめるとともに、顔面一体に紫雲膏を塗ったところ、30分後には疼痛が忘れたように無くなり、全く、後を残さずに全治した。《大塚敬節》☆近所の小さいお嬢さんが、手を沸騰中の味噌汁の中に入れ、赤く腫れて、水疱を作り、泣き叫ぶのに、この方を内服せしめて、患部に紫雲膏を塗ったところ、間もなく静かになって、眠った。その後しばらく、この手当を続け、きれいに治った《大塚敬節》
救苦湯《東醫寶鑑》 「蒼朮・草竜胆各1銭4分、当帰・甘草各1銭、川芎6分、生地黄・黄柏・黄芩・知母各5分・羗活・升麻・柴胡・防風・藁本・黄連各3分、桔梗・連翹・細辛・紅花各2分」水煎服。
◎目尻が赤く腫れて痛い者。 ◎眼が激しい赤腫で、苦痛に耐えられない症。
救命延年丸《東醫寶鑑》「黄連・乾姜・当帰・阿膠珠」を等分に作末し、錯に阿膠珠を煎じ、熔火して梧子大の丸剤。毎回30~50丸を米飲で服用。 ◎男女の痢疾の重症を治す。
救命通心散[1]「人参・白朮・白茯苓・山薬各1銭、白扁豆・粳米・知母・生地黄・甘草各5 分、地骨皮・麦門冬・竹葉各3分」剉作して、1貼に姜3、麦2を入れ水
煎服。◎内傷病で熱があるとき、胃気を和らげ、清涼にする。 救命通心散[2]《東醫寶鑑》「川烏1両を青塩1銭・酒1杯に浸して1夜おいた後、皮をむいて焙って乾
かし、川楝子肉1両を巴豆肉21粒と同時に炒って、黒くなったら豆は捨 て、茴香5銭、石燕1対を火に焙って土狗5枚、芥子1銭6分を作末し、 毎回3銭を羊石子の中に入れ、湿紙でくるんで熱し、夜中に好酒半升に
塩を少しまぜ、石子をこまかくかんで酒で呑む。」 ◎小腸気を治す。
韭子丸《東醫寶鑑》
「韮子・全蝎各1両、乳香・雄黄各2銭半」を作末し、黄蝋をとかして、弾子大の蜜丸。瓶のなかで1丸を焼いて、紙で瓶の口をふせいだ後、竹管で煙を牙孔に入れると、虫が出てくる。
◎虫牙痛を治す。
韭子湯《中薬臨床応用》「韭子9g、桑螵蛸9g、竜骨()9g」水煎服。 ◎腎陽虚による遺精、滑精 ◎白色帯下 ◎寒がる ◎頻尿 ◎夜間多尿
九一丹《外科正宗》 「紅升丹4g、石膏36gを極細の作末し、瘡口の上にのせるか、又は、 薬をこよりにまぶして、瘡口に挿入し、外は膏薬をはる。」
九君子湯《医学入門》《古今方彙》「陳皮・半夏・麦門冬・茯苓・白朮各1銭、人参・甘草・小麦各5分、烏梅1個、生姜」水煎。◎霍乱已に癒え、煩熱して多く渇し、痰あり、小便不利するを治す。
九仙王道糕《東醫寶鑑》 「蓮肉・山薬(炒)・白茯苓・薏苡仁各4両、麦芽(炒)・白扁豆(炒)・芡仁各2 両、柿霜1両、白砂糖20両」を細末にし、粳米粉5升を入れて糕を作り、さらに乾燥させ米飲で服用する。◎精をつけ、元気を扶養し、脾骨を壮健にし、食欲を増進させる。
九仙散[1-1]《東醫寶鑑》「罌栗殻(蜜炒)2銭、人参・款冬花・桑白皮・桔梗・阿膠珠・五味子各1銭、 貝母半銭、姜3、梅1」水煎服。◎久嗽を治す。
九仙散[1-2]《医学正伝》《古今方彙》「人参、款冬花、桔梗、桑白皮、五味子、阿膠、貝母、烏梅、罌栗殻、生姜」水煎温服。 ◎一切の咳嗽、久嗽乃ちその惰帰を撃つ薬なり。(向こうの勢の抜けた処を撃って往く薬なり)
九仙奪命丹《東醫寶鑑》「枳殻2両、白礬枯1両、半夏・厚朴並(姜製)各5銭、木香・南星(姜製)各2 銭、人参・甘草各1銭、豆豉(研過)1両」を作末し夜露に当てて、人参・
厚朴煎湯で糊をつくって、小銭大の餅にして弱火で焙って乾燥、毎回1餅 をかじって姜湯で平胃散を作ったものを飲み下す。◎反胃と噎食に効く。 九仙霊応散《東醫寶鑑》「附子(炮)・蛇床子・紫梢花・遠志・石菖蒲・海蛸・丁香・木鼈子各2銭、
小脳1銭半」を粗末にして、毎回5銭を水3杯で半減するまで煎じて、1 日2回湿ったところを洗い、その水をそのままにして温めて又洗う。 ◎男の陰湿による不能を治す。
九轉黄精丹《全国中薬成薬処方集》「当帰、黄精」
九痛丸《金匱要略》「附子(炮)3両、生狼牙(炙香)1両、巴豆(去皮心熬研如脂)1両、人参、 乾姜、呉茱萸各1両」右六味、末之、煉蜜丸如梧子大、酒下、強人初服三丸、日三服。弱者二丸。
兼治卒中悪、腹脹満、口不能言。又治連年積冷、流注心胸痛、并冷衝上氣、 落馬墜車血疾等、皆主之。忌口如常法。◎治九種心痛。 ★適応症及び病名 狭心症胸痛心臓神経症心筋炎心筋梗塞心下痞膵臓炎の疼痛打撲の後遺症胆嚢炎の疼痛手足冷たい慢性胃腸炎肋間神経痛肋膜炎
九痛元《東醫寶鑑》「炮附子3両、呉茱萸・人参・乾姜(炮)・巴豆(去皮油)各1両、狼毒5銭」 を作末し、梧子大の蜜丸。温酒で3~5丸服用。 ◎九種の心痛・積冷・心胸痛を治す。
九種の心痛⇒虫心痛・心痛・風心痛・悸心痛・食心痛・飲心痛・冷心痛・熱 心痛・去来心痛。 九宝飲《東醫寶鑑》「陳皮・薄荷・麻黄・桂皮・桑白皮・紫蘇葉・杏仁・大腹皮・甘草各1銭、
姜5片、梅1個」水煎服。◎諸般の咳嗽と寒嗽・久嗽を治す。 牛角鰓湯《中薬臨床応用》「牛角鰓30g、白背葉12g、生姜(炭)9g、香附子9g、狗脊18g、両
頭尖12g、牡蛎24g、生地黄(炭)18g、当帰18g」水煎服。◎不正性器出血◎血便◎出血性の下痢◎産後に悪露が止まらない 牛遍丸《津田玄仙》「ゲンノショウコ1味」◎下痢
魚腥草桔梗湯《中薬臨床応用》「魚腥草30g、桔梗15g」水煎服。◎肺膿瘍◎大葉性肺炎 魚腥草冬葵子散《中薬臨床応用》「魚腥草18g、冬葵子30g、土茯苓30g、旱蓮草18g、飛天18g、甘草5g」水煎服。◎肺ガン。
魚石散《東醫寶鑑》「石骨首頭中骨5対を焼いて作末し、滑石5銭を作末」2回に分服。木通湯で調服すると砂はみな出て治る。◎砂石淋で茎中が痛む者を治す。
魚石湯《東醫寶鑑》「石骨・首頭中骨5対を焼いて作末し、滑石5銭を作末し、2回に分けて服用。木通湯で調服すると砂はみな出て治る。」 ◎沙石淋で茎中が痛む者。
魚脳石散《南京第一医学院》《中薬臨床応用》「魚脳石9g、青黛3g、辛夷0.6g、竜脳0.6g」細末にし1日数回、仰臥位で鼻腔に散布して短時間待つと、乾酪様痂皮の排出を促進する。
◎萎縮性鼻炎 魚鰾丸《中薬臨床応用》「魚鰾膠120g、竜骨120g、枸杞子90g、杜仲90g、牛膝60g、当帰60g、補骨脂60g、茯苓60g」」細末を蜜丸。1日2回、9gづつ空腹時に塩湯で服用◎インポテンツ◎夢精
僵黄丸(=殭黄丸)《東醫寶鑑》「白殭蚕1両、大黄2両」作末し、姜汁で弾子大の丸剤。1丸を研いで呑む。 ◎大頭病と喉痺を治す。
僵蚕飲《中薬臨床応用》「白殭蚕3g、天竺黄・杉寄生各3g、半夏5g、菖蒲2.5g、釣藤鈎5g、天南星2.5g、当帰2g」水煎服。◎テンカン。
僵蚕飲《中薬臨床応用》「白僵蚕3g、天竺黄6g、杉寄生6g、半夏5g、菖蒲2.5g、釣藤鈎5g、天南星2.5g、当帰2g」水煎服。◎テンカン。
強神湯《本朝経験》《漢方治療の実際》「紅花1.5、白殭蚕3、棕櫚葉2、甘草1」 強神湯《本朝経験》 「紅花・白殭蚕・棕櫚葉・甘草」◎中風・口眼斜・半身不随・喜欠・流涎する者を治す。◎中風の妙薬とす。《勿誤薬室方函口訣》<1>手足が冷えるとき;「桂枝加朮苓附湯」<2>腹拘攣し、癇癖ある者:「四逆散」◎棕櫚葉善く風を治す、症に随って方中に之を加えて可なり。《雑病翼方》
強中湯《厳氏済生方》《古今方彙》「乾姜(炮)・白朮各1両、青皮・陳皮・人参・附子(炮)・厚朴・甘草各半両、 草果仁・丁香各3両」左を咀し、「水1盞半、生姜5片、大棗2枚」煎じ7分に至り温服す。◎脾胃和せず、食、生冷を啖い、寒漿を過飲すること多くして、腹脹を致し、心下痞満し、飲食に妨げあり、甚だしければ則ち腹痛するを治す。
夾鐘円=「硝石大円」 夾鐘丸(きょうしょうがん)《東洞家塾方》=「消石大圓当帰」「大黄24銭、硝石18銭、人参・甘草各6銭」別々に杵きて散と為し、苦酒2合を以て先ず大黄を内れ、煮て2合をとり、餘薬を内れ、飴状の如くし火を下し、冷して硝石を内れ、石で杵きて之を梧桐子大の膏となし、毎30丸飲服す。《村井》按ずるに今、古方家と称するものは、以て煙硝これ硝石となす。硝石となすものは非なり。此れ硝石は水硝の硝石なり。
◎腹中に結毒あり、或いは心下痞のものを治す。
膠艾湯《金匱要略》「生地黄、白芍薬、当帰、川芎、阿膠、艾葉」 膠艾湯《東醫寶鑑》 「熟地黄・艾葉・当帰・川芎・阿膠珠・甘草(炙)・黄蓍各1銭」1日2回水煎服。◎胎漏を安らげる。
膠艾芎帰湯《医学入門》《東醫寶鑑》 「阿膠珠・艾葉・川芎・当帰各2銭、甘草(炙)1銭」水煎服。◎8~9月以内に胎動下血するのと、流産のあと流血して止まらない者を治す。◎胎動不安、或いは下血するを治す。◎八九箇月にあれば、内に少しく砂仁を加える。《古今方彙》
膠艾四物湯[1-1]《金匱要略》《中薬臨床応用》「阿膠15g(溶解)、艾葉15g、当帰12g、熟地黄15g、白芍薬9g、川芎9g、甘草(炙)3g」水煎服。
◎機能性子宮出血
膠艾四物湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》「阿膠・艾葉・当帰・川芎・甘草各4分、芍薬・熟地黄各8分」水酒で煎じ空心に服す。 ◎労にて気血を傷つけ、月水過多し、或いは放ろう止まざるを治す。◎妊娠して胎気安駆らず、或いは損動に因りて血を漏らし、胎を傷つけたる者に亦宜し。◎原は《金匱要略》に出ず、「芎帰膠湯」
膠艾四物湯[2]《東醫寶鑑》 「熟地黄・当帰・川芎・白芍薬・阿膠珠・黄芩・白朮・縮砂・葉・香附子(炒)、糯米少し」水煎服。◎胎漏の腹痛を治す。
膠艾四物湯加減《中薬臨床応用》「阿膠12g(溶解)、艾葉6g、当帰9g、白芍薬5g、熟地黄12g、桑寄生18g、続断9g、菟絲子12g、白朮12g、黄蓍12g」水煎服。
◎切迫流産 膠密湯《東醫寶鑑》「蓮根大・葱白3茎」を水1盃で葱を煮たあと、葱は捨て明阿膠珠2銭・蜜2 匙を入れ、とかして空腹時に服用。 ◎老人・虚弱者の大便秘渋を治す。
響声破笛丸[1-1]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「連翹・桔梗・甘草各2.5g、大黄・縮砂・川芎・訶子各1.0g、阿仙薬2.0g、薄荷葉4.0g」の割合で卵白を加えて丸薬とし1回2.0~3.0g。
◎唄いや演説で声がつぶれた者。
響声破笛丸[1-2]《東醫寶鑑》 「薄荷4両、連翹・桔梗・甘草各2両半、百薬煎2両、川芎1両半、縮砂・訶子(炒)・大黄(酒炒)各1両」作末し、鶏子清で弾丸大の丸剤。1丸を就寝前に口に入れて、溶かして飲み下す。
◎歌いすぎて、声がもつれたとき。
響声破笛丸[1-3]《漢方治療の実際》「連翹・桔梗・甘草各2.5、大黄・縮砂・川芎・訶子各1、阿仙薬2、薄荷4」 以上を作末し米糊で丸とし、1回2~3を服用。◎私は大黄を除いて、丸としたものを作っている。まことに重宝なもので、感冒でのどの気持の悪い時に飲んでも良い《大塚敬節》★適応症及び病名(五十音順)
[1]声がれ: ☆平素のどが弱くて、すぐ声がかれる傾向のある者《大塚敬節》☆声楽家・政治家の演説などで、声のかれた者に良く効く《大塚敬節》 杏膠飲《東醫寶鑑》「杏仁・明膠各1両、馬兜鈴・半夏(製)・人参・皮草各5銭」を粗末にし、毎回2銭を水1杯、姜3片と煎じて7分になったら就寝時に飲む。◎16種の哮嗽を治す。
杏子湯[1]《易簡方論》 「小青竜湯《傷寒論》麻黄人参・茯苓・杏仁・生姜」
杏子湯[2]《東醫寶鑑》「人参・半夏・赤茯苓・白芍薬・細辛・乾姜・桂皮・杏仁・五味子各1銭、 甘草5分」作1貼し、「姜5片、梅1箇」入れて水煎服。◎風寒を感じ痰が盛んで咳きをする。
杏参散[1]《東醫寶鑑》「杏仁・人参・桑白皮・桃仁各1銭半」を作1貼し、「姜3、棗2」を入れて水煎服。◎咳と喘急を治す。
杏参散[2]《東醫寶鑑》「杏仁・人参・大腹皮・陳皮・檳榔・白朮・訶子・半夏・桂心・紫・桑白皮・紫蘇葉・甘草各7分」作1貼し、姜3片入れ水煎服。◎墜落して驚恐し、喘急して不安な者を治す。
杏参散《医学入門》《古今方彙》「杏仁・人参・陳皮・大腹皮・檳榔子・白朮・訶子・半夏・桂心・紫菀・桑白皮・甘草・紫蘇葉各5分、生姜」煎服。 ◎墜堕(ツイダ、高所より墜ちて打撲すること)により、水を渡るを驚恐し、跌仆(テツフ、つまづき倒れること)し、筋力を疲極し、喘急して安ぜざるを治す。
杏蘇飲《東醫寶鑑》「紫蘇葉2銭、紫菀・甘草各1銭、陳皮・桔梗・麻黄・桑白皮・阿膠珠各7分半、五味子・大腹皮・烏梅肉・杏仁各5分、姜5片」水煎服。◎上気して喘嗽し、浮腫の者を治す。
杏蘇散[1]《医学正伝》《古今方彙》「紫蘇葉7分、五味子・大腹皮・烏梅・杏仁各5分、陳皮・桔梗・麻黄・桑白皮・阿膠各2分半、紫3分半、甘草1分、生姜」水煎。温服。
◎上気喘嗽、面目浮腫する者を治す。 杏蘇散[2]《温病条弁》 「紫蘇葉・法半夏・茯苓・前胡・桔梗・杏仁(去尖打砕)・枳穀・甘草・生姜・大棗(紅棗)・橘皮」
◎頭痛・悪寒し、咳嗽・鼻閉、脈弦、汗なし、口渇なし。◎風熱による燥咳《中薬臨床応用》 杏蘇湯《東醫寶鑑》「杏仁・紫蘇葉・桑白皮・陳皮・半夏・貝母・白朮・五味子各1銭、甘草5分、姜5片」水煎服用。◎風寒に当たって咳をし、痰が盛んな者。
杏 仁五味子湯《浅田家方》 「杏仁・五味子・茯苓・甘草」 ◎此方は茯苓杏仁甘草湯の症にして咳嗽甚だしき者を治す。◎高年及び虚羸の人、厚薬に堪え難き者、此方にて意外に効を奏す。
杏仁煎《東醫寶鑑》 「杏仁泥・白蜜・砂糖屑・生姜汁各1杯、桑白皮・木通・貝母(炒)各1両半、紫・五味子各1両、石菖蒲5銭、」以上の6味を水5升が半升になるまで煮て、滓を捨て、杏・蜜・糖・姜を入れてまた煮て、粘膏にする。 毎回1匙服用。
知母・款冬花を加えてもよい。 ◎咳で失語症。(失音症)
杏仁半夏湯 「杏仁・半夏・桔梗・赤茯苓・防已・桑白皮・白礬各1銭、角・薄荷各5分、甘草1寸」を粗末にし、姜3片を入れ水煎服。◎肺気の不足と喘嗽を治す。
杏酪湯《朝鮮伝》《勿誤薬室方函口訣》 「杏仁、麦門冬、氷糖」◎清俗、客に供するに必ず用いると云う。暑中最も佳なり。今借りて咳嗽を治す。◎此方は本飲料なれども、肺痿、労嗽、その他咳嗽甚だしき者に兼用して宜し。
薑茶湯《東醫寶鑑》「老生姜・春茶葉」等分、煎服。 ◎痢疾・腹痛を治す。 薑黄散《東醫寶鑑》「姜黄3銭、白朮1銭半、羗活・甘草各2分半」水煎服。
◎臂痛に。
姜塩湯《東醫寶鑑》「塩1両・生姜(切)半両」を同時に炒って、色が変わるのを限度にし、童尿2杯を1杯まで煎じて、2回に分けて飲む。◎乾霍乱で死線をさまよう者を治す。◎乾霍乱が最も治しにくくあっという間に死ぬ場合がある。吐かせてその気の横格した症を通じさせるべきで、涼薬はいけない。
「二陳湯川芎・蒼朮・防風・白を使い、兼ねて姜塩湯で吐かせるべきである」 薑蝎散《東醫寶鑑》「全蝎(洗って焙)49個・生姜49片を銀石器で炒る」細末にし、就寝時に、酒で服用。
◎腎虚による耳聾。
薑桂丸《東醫寶鑑》「桂皮2両、天南星(製)・半夏(製)各1両」作末し姜汁浸蒸餅で緑豆大の丸 剤。姜湯で30~50丸飲む。◎寒痰の咳嗽を治す。
姜桂湯《万病回春》《古今方彙》「乾姜・良姜・官桂各7分、藿香・蒼朮・厚朴・陳皮・甘草(炙)・小茴香(酒)・木香・枳殻・砂仁・香附子(炒)各等分、生姜」水煎。
◎初起胃寒痛するを治す。◎寒による腹痛し綿々として増減無く、脈沈遅の者を治す。◎[心痛門]には蒼朮、砂仁、茴香無く、呉茱萸あり。◎痛む甚だしきは:「乳香」◎手足厥冷し脈沈伏するには:「附子良姜」◎痛み止まざるには:「延胡索茴香乳香」◎泄瀉するには:「枳殻」
姜朮湯 「白生姜・生白朮・赤茯苓・半夏(麺)各5銭、桂皮・甘草各2銭半、を切って毎5銭ずつ貼をつくり、生姜3、大棗2」を入れて、煎服。 ◎怔忡に応用する。
附固衛湯《中薬臨床応用》「乾姜6g、熟附子片6g、白朮12g、黄蓍12g、山茱萸15g、竜骨(生)12g、牡蛎(生)12g、茜草根9g、陳棕炭9g」水煎服。◎不正性器出血◎子宮出血◎月経が、長く続き、塊状の黒い出血、脈沈遅。
姜附四物湯《中薬臨床応用》「四物湯乾姜、附子」◎月経が遅れる◎月経色が黒い◎下腹部が痛む 姜附湯《東醫寶鑑》「乾姜(炮)1両、附子(炮)1枚」を作末し、毎回5銭を水煎服。
生の附子を使うと⇒白通湯になる。◎傷寒の陰症と中寒を治す。
姜墨丸《東醫寶鑑》「乾姜(炒)・松煙墨」等分。作末し、錯煮麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で30~50丸、1日3回。 ◎赤白痢・蠱症痢を治す。
姜蜜湯《東醫寶鑑》「生姜7片、蜜半杯、白茅根一握り」水煎服。 ◎小便に血がまじる。
羗活芎藁湯加減《中薬臨床応用》「羗活、藁本、白、防風各3g」水煎服。◎感冒による激しい頭痛。
羗活呉茱萸湯 =「羗呉湯」「黄芩、黄柏、蒼朮、羗活、麻黄、呉茱萸、藁本、升麻、黄蓍、当帰、川芎、蔓荊子、細辛、黄連、半夏、紅花」水煎温服。 ◎厥陰にて頭頂項痛し、或いは痰涎厥冷、脈浮にして緩なるを治す。
羗 活黒附湯《李東垣》 「麻黄・羗活・防風・蒼朮・升麻・甘草・附子 白」
羗活散《東醫寶鑑》「柴胡5銭、麻黄・防風各3銭、羊脛・骨灰各2銭、羗活1銭半、草豆蔲1銭、当帰身6分、蒼朮・升麻各5分、藁本・白・桂枝各3分、細辛少し」作末し、動くところにつけると痛みが止まる。
◎風寒湿が脳を犯して痛み、歯根がゆっくり動く症。 羗活蒼朮湯《東醫寶鑑》「羗活1銭半、蒼朮・柴胡・黄芩・枳実・橘紅・半夏・川芎・甘草各1銭、姜5片」水煎服。◎感冒と嵐瘴で寒・熱瘧になった者を治す。
羗活勝湿湯《李東垣方》《内外傷弁惑論》《東醫寶鑑》「羗活・独活各2銭、藁本・防風・甘草各1銭、川芎・蔓荊子各5分」水煎服。 ◎首がつっぱってまわらない症。
羗活勝湿湯《内外傷弁惑論》《中薬臨床応用》「羗活6g、独活6g、防風6g、藁本6g、川芎3g、蔓荊子5g、甘草(炙)3g」水煎服。 ◎風湿による関節の疾患◎上半身の筋肉痛(シビレと痛み・だるさ)◎腰背正中部の筋肉の冷感とこわばり◎風湿による顔面神経麻痺。
羗活勝湿湯《内外傷弁惑論》《古今方彙》「羗活・独活各1銭、藁本・防風・川芎各5分、蔓荊子3分、甘草5分、生姜」水煎。 ◎脾胃が湿を受け身重く、倦怠し臥するを好み、背痛み項強ばり、項を折るに似て抜くに似る。上に冲りて頭痛し及び足の太陽系が行らざるを治す。
◎若し身重く腰沈沈然たるは経中に寒湿あるなり:「防已(酒洗)5分」 軽き者は:「附子5分」 重き者は:「川烏」
羗活蒼朮湯《明医雑著》《古今方彙》「羗活・蒼朮・柴胡・黄芩・橘紅・半夏・枳実・甘草・川芎各1銭、生姜」水煎し食前温服。 ◎治は当に表を解し、熱を清め、気を降ろし、痰を行らずべし。此方は寒涼の時月及び温暖の時に在ると雖も感冒風寒の者に用いる。
羗活続断湯《東醫寶鑑》「羗活・防風・白・細辛・杜仲・牛膝・秦・続断・熟地黄・当帰・白芍・川芎・人参・赤茯苓・桂心各5分、生姜3片」水煎服。
◎脚気で肝腎骨のケイレン。
羗活退瞖湯《東醫寶鑑》「羗活1銭半、防風1銭、荊芥・薄荷・藁本・各7分、知母(酒)5分、黄柏(酒)4分、川芎・当帰身各3分、麻黄・生地黄(酒)各2分、川椒・細辛各1分」を食後水煎服。
◎新しい瞖膜が出て、陽をさえぎる。
羗活冲和湯(一名九味羗活湯)《東醫寶鑑》「羗活・防風各1銭半、蒼朮・川芎・黄芩・白・生乾地黄1銭2分、細辛・甘草各5分、姜3、棗2、葱白2茎」水煎服。◎ただ頭痛があり、骨節が痛く、発熱・悪寒し、汗がなく脈浮緊。
羗活湯《万病回春》《古今方彙》「羗活・蒼朮・黄芩(酒)・当帰・茯苓・芍薬(炒)・香附子・半夏各1銭半、 陳皮・木香各7分、甘草3分、生姜」煎服。
◎遍身骨節疼痛する者を治す。◎風痛には:「防風」◎湿痛には:「蒼朮」◎熱痰痛には:「黄芩(酒)倍加、白威霊仙」◎下痛むには:「黄柏牛膝」◎痛甚だしきとき;「乳香」◎発熱には:「柴胡」◎小水短少には:「木通」◎手臂痛むには:「薄桂」
羗活湯《医林集要》《古今方彙》「羗活・附子(炮)・秦・肉桂・木香・川芎・当帰・牛膝・桃仁・防風・骨砕補、甘草、生姜」水煎。 ◎白虎歴節風にて毒が骨髄に注ぎ、疼み発すること定まらざるを治す。
羗活湯《活法機要》《古今方彙》「羗活・菊花・麻黄・川芎・石膏・防風・前胡・黄芩・細辛・甘草・白茯苓・蔓荊子・枳殻各5分、薄荷・白芷各2分半」水煎。
◎破傷風、半表半裏に在る者を治す。 羗活導滞湯《東醫寶鑑》「大黄(酒)2銭4分、羗活・独活各1銭2分、防已・当帰尾各7分、枳実5分」水煎服。
◎はじめ脚気を発すると、全身が疼痛し、又肢節が痛んで、便・尿がつまる者に用い、次に当帰招痛湯で除去する。 羗活導滞湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》「羗活・独活各半両、当帰・防已各3銭、枳実1銭、大黄(酒)1両」水煎。◎脚気の初起に一身尽く痛み、或いは脚節腫痛し、◎便溺阻隔(大便が遠くへだたる)するを治す。◎此方を用いて導引したる後に「拈痛湯」を服す。
羗活附子湯《東醫寶鑑》「羗活・附子(炮)・茴香(炒)・乾姜(炮)・木香・丁香各1銭」作1貼し、塩を少し入れて煎服。 ◎寒が脳を犯し、脳痛で歯痛を兼ねる症⇒脳風に効く。◎大病後に、胃中が虚寒し咳逆する者を治す。
羗活附子湯《傷寒活人書》《古今方彙》「羗活・附子(炮)・小茴香(炒)各5銭、木香・乾姜各7銭半」水煎。塩を入れ服す。◎吐利の後に胃寒咳逆するを治す。◎傷寒陰症、内は寒厥し而して逆するを治す。
羗活附子湯《寿世保元》《古今方彙》「麻黄(去節)・附子各3分、羗活・蒼朮各5分、黄蓍1分、防風・甘草・升麻・白殭蚕・黄柏・白芷各3分、仏耳草」水煎。
(仏耳草は寒嗽ある者に用いる、もし無ければ用いず)◎冬月、大寒が脳を犯し、人をして脳から連なりて痛ましむるを治す。名づけて脳風と曰う。害甚だしく速しと為す。此方に非ずば救うこと莫し。
羗活防風湯《東醫寶鑑》「羗活・防風・川芎・白芍・藁本・当帰・甘草各1銭、地楡・細辛各5分」水煎服。 ◎破傷風の初期。 羗活防風湯《活法機要》《古今方彙》「羗活・防風・甘草・川芎・藁本・当帰・白芍薬各1銭、地楡・細辛各5分」水煎。
◎破傷風にて邪が初めて表に在る者を治す。 羗活愈風湯[1]《万病回春》「人参・当帰・黄蓍・白芍薬(酒)・生地黄・枸杞子・柴胡・甘草・秦・肉桂・羗活・防風・細辛・薄荷・菊花・蒼朮・独活・白・地骨皮・蔓荊子・知母・石膏・黄芩・枳殻・杜仲(姜酒炒)・生姜」水煎、温服。◎初めに風動を覚えて此を服して倒仆するに到らず、此れ即ち未病を治するの聖薬なり。
◎中風症にて内邪已に除き、外邪已い尽きるを治す。◎以て諸経を導く、久しく服すれば大風尽く去る。
羗活愈風湯[2]《万病回春》「人参・当帰・黄蓍・白芍薬(酒)・生地黄・枸杞子・柴胡・甘草・秦・肉桂・羗活・防風・細辛・薄荷・菊花・蒼朮・独活・白・地骨皮・蔓荊子・知母・石膏・黄芩・枳殻・杜仲(姜酒炒)・生姜」「熟地黄・半夏・厚朴・前胡・防已・茯苓・川芎」◎腎肝の虚、筋骨弱く、語言蹇渋、精神昏するを療す。
◎この薬は神を安んじ陰陽を調理し、偏勝なからしむ。
羗活癒風湯[3](一名愈風湯)《東醫寶鑑》「蒼朮・石膏・生地黄・各6分、羗活・防風・当帰・蔓荊子・川芎・細辛・黄蓍・枳穀・人参・麻黄・白芷・甘菊・薄荷・枸杞子・柴胡・知母・地骨皮・杜仲・独活・秦・黄芩・白芍・甘草各4分、肉桂2心に二参丹を呑み下し、就寝時に四白丹を嚥下する。
◎肝腎の虚した者・筋骨の弱い者・言語のむずかしい者・精神の昏冒・痩せて偏枯・太って不遂・恐懼で健忘した者。 ◎中風に外邪がすでに出来て内邪が除かれると、この薬を使ってすべての経を行導させ、長服すると大風が除去され、清濁が自ら分けて栄衛は自ら和らぐ。
羗附湯《東醫寶鑑》「羗活・炮附子・白朮・甘草各1銭半、生姜5」水煎服。 ◎風湿で身体が重く痛い、浮腫のある者を治す。
羗麻湯《東醫寶鑑》「羗活・麻黄・甘菊・川芎・石膏・防風・前胡・黄芩・細辛・枳殻・白茯苓・蔓荊子・甘草各7分、白芷・薄荷各5分」作1貼して姜3片入れ水煎服。◎破傷風が半表半裏にあって汗のかかない者を治す。
脇痛一方《済世全書》《古今方彙》「蒼朮、川芎、白芷、赤芍薬、香附子、黄柏、威霊仙、桂枝、甘草、生姜」煎服。 ◎婦人、胸背走痛するを治す。 鞏堤丸《景岳全書》「熟地黄、菟絲子、五味子、益智仁、補骨脂、附子、白朮、茯苓、韭子、山薬」
行気香蘇散《古今医鑑》《古今方彙》「紫蘇葉1銭、陳皮8分、香附子1銭、烏薬・柴胡・蒼朮・川芎・羗活・枳殻各8分、麻黄1銭、甘草3分、生姜」水煎温服。
◎内は生冷に傷付き、厚味堅硬の物を飲食し、肚腹腹満疼痛、外風寒に感じ、湿気頭疼、身熱憎寒、遍身骨節麻木疼痛し、七情悩怒相冲り飲食下らsず心腹気痛するを治す。
◎内飲食に傷るるは:「山楂子神麹」◎《万病回春》の方には柴胡蒼朮無し。◎風寒、外感、飲食内傷、七情悩怒度を過ごし、肚腹の疼痛が起こり始めの者を治す《寿世保元》
行気香蘇散《万病回春》《古今方彙》「香蘇散小茴香、青木香、三稜、莪朮、木通」◎偏墜気(鼠径ヘルニア)にて疼痛し、初発で憎寒壮熱するを治す。
蕘玄湯《原南陽》《勿誤薬室方函口訣》 「連翹1銭、玄参7分、独活3分、木通7分、升麻3分、甘草2分、梔子3分、薫陸2分」◎瘰癧、侠癭、上部の腫毒、発疔、或いは疹後小瘡を発し、寒熱瘵状に似たる者を療す。
◎此方の能く鬱火を瀉し、結気を散じ、滞血を通ず。◎此方は《山脇東洋》の延年玄参湯《外台秘要方》に本づきて組み立つと云う。瘰癧及び上部の腫物にて寒熱状に似たる者に用ゆれば、能く鬱火を散じ、気血を通ずるなり。
◎此方の一等軽き者:逍遥散瘰癧の加減とす。 凝唾湯《備急千金要方》「当帰建中湯人参・前胡・乾地黄」 ◎虚損短気、咽喉凝唾出でず、膠の喉を塞ぐが如きを治す。
凝神飲子《東醫寶鑑》「人参・当帰・白芍薬・白茯神・白茯苓・黄蓍・白朮・半夏(麹)・五味子・熟地黄・蓮肉・麦門冬・桔梗・甘草各7分」を作末し「烏1、紅棗2」を入れ煎服。◎労瘵の寒熱自汗を治す。◎喀血のひどい者を治す。
玉液散《東醫寶鑑》「瓜蔞根・知母・貝母(炒)各1両、人参・甘草各5分」作末し毎回2銭を、先に黄2銭を溶かして米飲で調服する。◎喘嗽と口乾・煩渇を治す。
玉液湯《東醫寶鑑》「半夏(姜製)4銭、生姜10片」を水で煎じ、沈香を少し入れて服用。」 ◎気鬱・生涎・めまい・動悸を治す。 玉華散《東醫寶鑑》「甜蓽撥(炒)・桑白皮(炒)・天門冬・馬兜鈴・半夏・紫菀・杏仁・貝母・百合・人参各1銭、百部根・甘草各5分、姜4、棗2」水煎服。◎咳があって喘促する者を治す。◎肺気を清め、咽と膈を良くする。
玉芝飲子《東醫寶鑑》「炙甘草2両、藿香葉・石膏()・山梔子各1作末し毎回1銭を水で服用。 ◎胸膈の熱で口舌に瘡ができ、のどが痛い症。
玉芝元《東醫寶鑑》「半夏(麹)6両、人参・薄荷・白茯苓・白礬枯・天南星(浸焙)各3両」作末し、姜汁にを入れて煮た糊で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸呑む。◎風熱に痰が激しく、声の重い者を治す。
玉女英[1]《瘍科選粋方》 「滑石粉20g 緑豆粉160g(少し炒る)を混和
玉女英[2]《東醫寶鑑》「滑石・緑豆粉」等分を作末し、脱脂綿につけてたたく。又は黄柏・棗葉各5銭、片脳少しを加えるとさらに良い。 ◎あせもが破れて瘡になり、かゆい者。◎瘡でかゆい者を治す。
玉女煎《張景岳》⇒「石膏熟地煎」 「生石膏25g(打砕先煎)、大熟地黄25g、麦門冬・知母各12g、懐牛膝9g」水煎服。◎歯周炎・歯根炎・口内炎。◎胃熱。
玉燭散《東醫寶鑑》 「当帰・白芍・川芎・熟地黄・大黄・芒硝・甘草各1銭」 ◎月経が凝滞して不通になり、癥になったとき。 ◎下痢している者には不適。
玉真丸《東醫寶鑑》「硫黄2両、石膏()・半夏(製)・硝石各1両」を作末し姜汁糊で梧子大の丸剤。陰干ししたものを毎回20~30丸姜湯or米飲で呑み下す。
◎頭痛に歯痛を兼ねる症で、痛みに耐えかねる者。
玉真散[1]《医宗金鑑》 「天南星・防風・白・天麻・羗活各40g、白附子48g]以上を作末し、毎服20gを童便にて送下する。」◎破傷風 玉真散[2]《普済本事方》《東醫寶鑑》
「防風・天南星」作末し、毎回2銭に温酒・姜汁を加えて調服し、かすは瘡口に貼って、口噤した者は童便で調下する。 ◎破傷風で口を閉じて、体が硬直する症。
玉屑丸《東醫寶鑑》「椿根白皮(乾燥)4両、槐根白皮・苦楝根・寒食麺各3両、威霊仙1両、天南星・半夏各5銭」を作末し、水をたらして梧子大の丸剤。毎回30丸を水1杯で煎じて匙で呑む。
◎腸風・臓毒が長引いている時。 玉鎖丹《東醫寶鑑》「龍骨・蓮花芯・芡仁烏梅肉各等分」作末し山薬糊で小豆大の丸薬。空腹時に米飲で30丸づつ服用◎精気虚骨・遺泄不禁の治療剤。
玉枢丹《医学入門》《東醫寶鑑》「太乙紫金丹雄黄1両、朱砂5銭」◎蠱が有るところに行って、気分が不快なとき1錠飲むと、吐くか下すかするが、再び軽快になる。実に良く効く。
玉枢丹《片玉心書》「雄黄、朱砂、麝香、五倍子、紅芽大戟、山慈姑、千金子霜」
玉枢丹《外科正宗》《中薬臨床応用》⇒「紫金錠」【中成薬】「山慈姑・紅芽大戟・五倍子・麝香・千金子」糯米(もちごめ)で錠剤とし、外用する。 ◎癰・癤・◎耳下腺炎
玉泉丸《沈氏尊生書》「天花粉、葛根、人参、麦門冬、烏梅、甘草、黄蓍」 玉泉丸《東醫寶鑑》「天花粉・乾葛各1両半、麦門冬・人参・白茯苓・黄蓍(半分は生・半分は蜜炒)・烏梅・甘草各1両」作末して蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を温水でかじって呑み下す。◎消渇による口乾を治す。
玉泉散《東醫寶鑑》「天花粉2銭、粉葛・麦門冬・生地黄・五味子・甘草各1銭を剉作1貼し、糯米1合を入れ水煎服。◎消渇を治す特効薬。
玉蟾散《東醫寶鑑》「乾蟾酥(焼灰)3銭、黄連2銭、青黛1銭、麝香1字」を作末し、先に甘草湯で洗った後塗る。◎諸般の疳瘡を治す。 玉池散《東醫寶鑑》「地骨皮・白芷・細辛・防風・升麻・川芎・当帰・槐花・藁本・甘草各1銭、生姜3片、黒豆100粒」水煎。うがいして、冷めたらはき捨てる。
◎風・虫牙痛によるただれ・動揺。又は変じて骨槽風になり膿んで血が出る症。
玉竹門冬湯《温病条弁》⇒「玉竹麦門冬湯」 「玉竹12g・麦門冬12g・沙参8g・甘草4g」 玉粉丸[1]《東醫寶鑑》 「半夏(姜製)5銭、草烏(熟炒)・桂心各2分半を作末して、姜汁に浸した蒸し餅を実大に蜜丸。就寝前に1丸服用。
◎寒痰がつまって声が出ない。
玉粉丸[2]《東醫寶鑑》「三仙丸香附子、橘紅末2両」◎気痰を治す。
玉粉丸[3]《東醫寶鑑》「陳皮2両、天南星・半夏各1両」を作末し姜汁に漬けて搗いて丸め、姜湯で50~70丸呑む。」◎気痰の咳と喘急を治す。
玉粉散《東醫寶鑑》「蛤粉4両7銭半、滑石4両2銭半、寒水石()・栗米粉各1両、定粉5銭、白石脂・竜骨各2銭半」を作末し、患部にしみこませる。◎熱汗で瘡が出来、かゆくて痛いとき。
玉屑丸《東醫寶鑑》「椿根白皮(乾燥)4両、槐根白皮・苦練根・寒食麺各3両、威霊仙1両、天南星・半夏各5銭」作末し、水をたらして梧子大の丸剤。毎回30丸を水1杯で煎じて匙で飲み込む。◎腸風・臓毒の長引く者。
玉屑散《咽喉脈証通論方》 「薄荷120g、硼砂14g、雄黄12g、阿仙薬4g、冰片1.2g」以上を微細末にする。
玉壷丸《東醫寶鑑》「白麺3両、半夏(生)・天南星(生)・天麻・白朮各5銭、雄黄(水飛)3銭半」を作末し、姜汁で梧子大の丸剤。毎回30丸を1杯煎じたところへ入れて、5~7回煎じたあと、薬が浮くのを待ってすくって、別に生姜湯をつくって食後に服用。
◎痰厥頭痛のめまいを治す。
玉屏風散[1]《世医得効方》 「黄蓍2.5・防風1.2・白朮1.2」 ◎自汗を治す。
玉屏風散[2]《東醫寶鑑》「白朮2銭半、防風・黄蓍1銭2分」水煎服。◎自汗を治す。
玉容膏《東醫寶鑑》「明礬1両、硫黄(生)・白附子各2銭」を作末し、就寝時につばでこねて患部に塗り、あくる朝洗う。 ◎顔面の燥瘡・斑痕・ほくろ・諸刺を治す。
玉容散《東醫寶鑑》 「皀角1片、升麻2両6銭半、楮実子1両6銭半、白芷・白芨・天花粉・緑豆粉各3銭3分半、甘松・縮砂・白丁香各1銭6分半、糯米3合半」作末して顔を洗う。◎面上の・小瘡・痤疿・粉刺を治す。◎皮膚のかゆい者を治す。
玉容西施散《東醫寶鑑》「緑豆粉2両、白芷・白芨・白厥・白殭蚕・白附子・天花粉各1両、甘松・三乃子・茅香各5銭、零陵香・防風・藁本各2銭、皀角(肥)2銭」細末にし顔を洗う。◎顔面の難病に。
玉露丸 「白竜骨を9回蒸し、9回さらしたもの3両・兎絲子(酒製)3両・韭子(瓦で炒)3両」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に10丸服用。
玉露散[1]《東醫寶鑑》 「寒水石・滑石・石膏・天花粉各1両、甘草5銭」作末し、毎回3銭を井水で調下する。 ◎暑渇を治す。
玉露散[2]《東醫寶鑑》「石膏・寒水石各5銭」細末にし、半銭or1銭を温水or水で飲む。◎夏に吐瀉し、熱があって煩渇する者を治す。
玉鑰啓栄丸《東醫寶鑑》「香附子(搗去皮毛・3日漬炒乾末)15両、当帰2両、白芍薬・川芎・赤石脂・藁本・人参・牡丹皮・白茯苓・白薇・桂心・白・白朮・延胡索・没薬各1両」を赤石脂と没薬だけを抜いて切り、3日間酒に漬けて焙って乾燥し作末して15両にする。別に細かくした赤石脂・没薬末を入れ、煉蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を早朝の空腹時に、茶湯or薄荷湯で口をゆすぎ、温酒or白湯で呑み下す。◎子を産めない婦人のための薬。
玉鑰匙《証治準縄》《中薬臨床応用》「硼砂1.5g、芒硝15g、製白殭蚕1.5、竜脳1.5g、朱砂1.8g」細末にし喉に吹き付ける。(外用) ◎急性扁桃炎◎咽頭炎◎鵞口瘡◎膣カンジダ◎急性結膜炎
去加柴胡湯《勿誤薬室方函口訣》 「柴胡去半夏加括呂湯荊芥・防風・連翹」を去加柴胡湯と名付け、症に随って増損する。《幼々家則》◎肝経鬱熱を主とし、一切の餘毒遺毒にして熱ある者を治す
「柴胡去半夏加括呂湯連翹・木通」◎実熱ある者: 「柴胡去半夏加括呂湯大黄・芒硝」◎水気有る者: 「柴胡去半夏加括呂湯赤小豆・車前子」◎痒湿ある者:
「柴胡去半夏加括呂湯荊芥」◎膿ある者: 「柴胡去半夏加括呂湯連翹倍加」◎眼に赤翳ある者: 「柴胡去半夏加括呂湯菊花・決明子・(羚羊角)」
去黒靨子方《東醫寶鑑》「石灰を水1杯で調合して粥のようにする。餅米を、半分は石灰になかにつけ、半分は石灰の外に1挽置くと、米が水精のようになる。これを塗布する。2~3日で治る。」
◎黒痣・えくぼ。 靨⇒エンとよみ、えくぼのこと。
去三尸虫元[1]《東醫寶鑑》 「生地黄3斗を東に向かった厨房で3回、枯れ木で煎じる。それに清漆2升を入れてまぜ、日影が1尺ぐらい指すとき黄丹3両を入れ、1尺のびたら爪子3升を入れ、又1尺のびたら大黄末3両を入れ、その次からは弱火で煮て梧子大の丸剤。空腹時に1丸服用。 3日目に濁血が鼻から流れ、20日目には虫が全部下って、50日目には100病が治る
◎三尸虫に。尸⇒シと読み、しかばねのこと。
去三尸虫元[2]《東醫寶鑑》 「生漆2升、蕪菁子3升、大黄6升」作末し、酒1升を合わせて煎じ梧子大の丸剤。空腹時に2丸服用。10日目に濁った血が鼻からでる、30日目には虫は全部死ぬ、50日目には身体につやが出る。
去涎方《東醫寶鑑》「猪牙皀角5銭、胆礬1銭半、青黛5分、」を作末し、錯糊で桜桃大の丸剤。毎回1丸を絹でくるんで箸につけ、喉中の瘡につける。 ◎喉痺を治す。
去風丹(一名浮萍丸)《東醫寶鑑》「紫背浮萍を7月上旬に採取し、竹篩いで漉して酒で乾燥し、作末して弾子大の蜜丸。毎回1丸を豆淋酒で服用。」 ◎諸風・風・大風・破傷風。
去鈴丸《東醫寶鑑》「茴香1斤を、生姜1斤から取った汁に浸して1夜おき、姜汁が茴香に染み込んだら、青塩2両を入れて同時に炒り、色が赤くなったら取り出して焙って乾かし、作末し酒糊で梧子大の丸剤。毎回30~50丸温酒で服用。◎小腸の疝気を治す。
去骨湯《中薬臨床応用》「威霊仙30g、酢30g、砂糖6g」大カップ2杯の水で威霊仙を煎じ、数沸させてから残渣を去り、酢と砂糖を加えて沸騰させて冷ます。口に含
み20分以内に少しずつ飲み下す。◎魚骨が刺さったとき 袪風敗毒散《漢方治療の実際》「枳実・芍薬・前胡・柴胡・荊芥・薄荷・牛蒡子・朮各2、独活・白殭蚕・連翹・川芎・羗活各2.5、蝉退・甘草各1」
袪痰丸[1](一名軟石膏丸)《東醫寶鑑》「便香附1両、軟石膏7銭、半夏(製)・南星(炮)・梔子(炒)各5銭」作末し姜汁に漬け、餅で梧子大の丸剤。姜湯で50丸飲む。
◎胃に痰火があってゲップが出る。
袪痰丸[2]《東醫寶鑑》「人参・木香・天麻・陳皮・赤茯苓・青皮・白朮各1両、皀角9銭、槐角子・半夏各7銭半」作末し姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で60~70丸飲む。◎風喘・喘嗽を治す。
袪毒湯《万病回春》《古今方彙》「貝母、白殭蚕、穿山甲(土炒)、大黄(生・熟)」水煎し熱し好酒1銭を入れ 調服。◎一切の無名の腫毒疼痛するを治す。初起に用いれば神効あり。
袪毒養栄湯《寿世保元》《古今方彙》「当帰・生地黄・黄芩・知母・連翹・荊芥・黄蓍・甘草節各1銭、芍薬・槐花・括楼根・皀角刺・皀角子各2銭、黄連(酒)1銭半、升麻・黄柏(酒)各5分、人参7分」水煎空心に服す。
◎痔瘡を治す。 袪風至宝丹《東醫寶鑑》「滑石1両半、川芎・当帰各1両2銭半、甘草1両、防風・白芍各7銭半、白朮6銭半、石膏・黄芩・桔梗・熟地黄・天麻・人参・羗活・各5銭、山梔子3銭、連翹・荊芥・薄荷・芒硝・黄連・麻黄・大黄・黄柏・細辛・全蝎各2銭半」を作末し蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を細嚼して茶又は酒で任意に服用。(防風通聖散の加味方。)
◎風が臓に入って、昏冒と風熱を兼ねた症。
袪風除湿湯 「白朮1銭2分、白茯苓・当帰(酒洗)・陳皮・赤芍薬・半夏・蒼朮・烏薬・枳穀・黄連・黄芩(酒炒)・羗活各1銭、人参・川芎・桔梗・防風各8分、白7分、炙甘草5分を作2貼し、生姜5片入れ煎服。」
◎右半身の不随に。
袪風清上散《統旨方》 「酒黄芩8g、羗活・防風・柴胡梢・白各4g、川芎5g、荊芥3.2g、甘草2g」
袪風導痰湯《厳氏済生方》「天南星・半夏・茯苓・黄連(姜)・黄芩・白朮・枳実・楼仁各1銭、陳皮 ・桔梗・防風・白附子各7分、人参5分、甘草2分、生姜、大棗」水煎し「竹瀝・姜汁」を加え同じく服す。
◎傷寒に類し、憎寒壮熱する者を治す。◎内傷により、七情痰を致すを以て心竅に迷い、、舎を守らず、舎空なれば則ち痰自ら生するなり。★適応症及び病名[1]
上気喘急 [2]頭目昏沈 [3]痰火[4]痰気迷悶・ [5]中気[6]中風
袪風敗毒散《寿世保元》《古今方彙》「枳殻・赤芍薬・前胡・柴胡各5分、荊芥・薄荷・牛蒡子・蒼朮各6分、独活・白殭蚕・連翹各7分、川芎・羗活各8分、蝉退・甘草各3分、生姜」水煎。◎風瘡(猩紅熱)、疥癬、疹(あかほろせ)、紫白癜風(なまず)、赤遊風(丹毒)、血風(皮膚に紅斑或いは血泡を生じる病)、瘡、丹瘤及び破傷風を治す。◎種々の皮膚疾患に用いてよいことが分かる《大塚敬節》◎上部に在る者:「桔梗」◎下部に在る者:「牛膝木瓜」◎湿熱が患となりて下に在る者:「蝉退白殭蚕」
★適応症及び病名[1]湿疹:☆私の妻が、半年ほど前から、顔・頸部などにカユミを訴えるようになった。ちょっと診た位ではよく分からないが、指頭でなでてみると、ザラザラした感じで、乾燥気味である。赤味はない。十味敗毒湯を5、6日飲んだが効がないので、黄連阿膠湯を飲んだがこれも効無く、当帰飲子にしたが、これは胃が悪くなって、気持が悪いと云う。地黄の入ったのはイヤだと本人がいう。麻黄の入ったものもこの人にはよくない。すぐ胃にさわる。だから葛根湯や桂麻各半湯を用いることが出来ない。いろいろ考えて、《古今方彙》の瘡門からこの方を探し出した。
3週間ほど続けたらいつしか治ってしまった。《大塚敬節》☆地黄も麻黄も用いることが出来ず、黄連、黄芩、梔子なども効無く、困った時には、用いてみるのもよい。《大塚敬節》[2]全身性エリテマトーデス(SLE)[3]皮膚炎
袪風辟毒湯《寿世保元》《古今方彙》「黄連・黄芩・赤芍薬・枳殻・黄柏・槐花各1銭、連翹・大黄・苦参各1銭半」水煎。 ◎痔瘡の腫痛が初めに起こりしを治す。
行湿補気養血湯《万病回春》《勿誤薬室方函口訣》「人参・蒼朮・茯苓・当帰・芍薬・川芎各1銭、木通・厚朴・大腹皮・蘿葡 子・海金砂各8分、木香3分、橘皮8分、甘草3分、蘇葉8分」◎気血虚弱し、腹鼓腸し浮腫するを治す。◎此方は鼓腸の末症に用いるなり。
行湿流気飲《東醫寶鑑》「薏苡仁2両、白茯苓1両半、蒼朮・羗活・防風・川烏(炮)各1両」を作末し毎回2銭を温酒or葱白湯で調下する。◎風・寒湿痺で麻木不仁し、手足が煩軟した者を治す。
禦寒膏《東醫寶鑑》 「生姜半斤の汁を絞って、明膠3両、没薬1銭半を加えて銅杓内に入れて煎じ、これを又重湯にして、柳の枝でかき混ぜて膏になったら、また川椒末を少し入れて、又かき混ぜる。そして皮紙に薬をのして患部に貼る。
◎衰弱すると背の悪寒で、夏ですら着物を脱ぎたくない。◎婦人の風冷で手足が冷える・腰痛。
禦塞湯《東醫寶鑑》「黄蓍1銭、蒼朮7分、陳皮・人参・升麻各5分、防風・白・仏耳草・款冬花・甘草各3分、黄連・黄柏・羗活各2分」水煎服。 ◎鼻づまり。
禦塞湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》「黄連・黄柏・羗活各2分、黄蓍1分、人参5分、甘草・款冬花・仏耳草(母子草)・白・防風各3分、陳皮、升麻各5分、蒼朮7分」水煎熱服。
◎寒に皮毛が傷き鼻塞がり、咳嗽上気喘急するを治す。
禦風膏 「葉を蒸して1日3回貼り替える。」◎脚気の腫痛に。 禦風丹《東醫寶鑑》「麻黄・防風・白各1両半、乾生姜・甘草各7銭半、川芎・白芍・細辛・桔梗・白彊蚕・羗活・天南星各5銭」を作末し、蜜で弾子大に丸め、朱砂2銭半で衣をし、毎回1丸を熱酒で服用。
◎中風の口眼斜・半身不随・神昏・語渋を治す。 局方安腎元《東醫寶鑑》「桃仁・白蒺藜・巴戟・肉蓯蓉・山薬・破故紙・白茯苓・石斛・萆薢・白朮各2両4銭、川烏(炮)・肉桂各1両3銭」を作末し、梧子大の丸剤。空腹時に50~70丸呑み下す。
◎腎虚腰痛で下元が冷え、小便が少ないとき。
局方密蒙花散《東醫寶鑑》「密蒙花・白蒺藜(炒)・羗活・木賊・石決明」等分。作末し、茶清で毎回1銭服用。 ◎風眼で目が暗く・赤く腫れる者。 驚気丸《東醫寶鑑》
「紫蘇子1両、附子・木香・白彊蚕(炒)・白花蛇・橘紅・天麻・天南星各5銭、全蠍2銭半、竜脳・麝香各5分、朱砂の水を切ったもの2銭半」作末し、竜眼大に蜜で丸め、朱砂で衣をつけ、毎回1丸を薄荷湯または温酒で服用。附子を抜いて、鉄粉を加えても良い。
◎驚愕で失心し、癲癇が発生し、泡をふきながら昏倒し、醒めても清神が朦朧としている。 牛乳粥《東醫寶鑑》 「牛乳1升に米を入れて、粥をつくって飲む。」
老人の食養生。
牛乳湯《東醫寶鑑》「蓽撥2銭を牛乳半升で、半量まで煎じる。」空腹時に服用。 ◎気痢を治す。
吉良附湯《華岡青州》「遺糧、人参、附子、桔梗、桂枝、乾姜、当帰、黄蓍、甘草」◎黴毒、一切の痼疾、身体羸痩、虚弱し、峻剤を与えるべからざる者を治す。◎此方は、黴毒の壊症になり、陰分に陥り、虚羸如何ともすべからざる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
◎諸瘡、虚候を具へ、臭穢近づくべからざる者に与えてまま効あり。
晞露丸《東醫寶鑑》「三稜(酒浸)・莪朮(酒浸)各1両、巴豆30粒を去皮炒黄し巴豆を捨て・乾漆(炒煙)川烏(炮)各5銭、砂4銭」を別途に細く切って茴香(塩炒)・青皮(去白)・雄黄(別研)各3銭、穿山甲(炮)2銭、麝香5分、軽粉(別研)1 銭を作末し、姜汁麺糊で梧子大の丸剤。温酒or姜湯で20~30丸飲む。◎腸覃病で悪血が癥になって痛む者を治す。
けん磠散(一名二妙散)《東醫寶鑑》「6・7月頃に、牛馬の糞中にいるをつかまえて、ひもで結んで陰干しにして貯蔵する。使うときに取り出して、きれいな瓦の上に置いて四面に火灰を置いて乾かした後、刀で切って、大便の不通には上半截を、小便の不通には下半截を、大小便ともに不通のときは全角を細末にして服用。」
◎大小便の不通を治す。
金液丹《東醫寶鑑》「硫黄10両を細研して濾し、器に入れて赤石脂で蓋を堅く封をし、塩泥で固く封をして、穴を掘って薪を敷いてその上に置き、弱火で7日7晩煮る。器の上に炭1斤をかぶせて焼いたあと、冷まして取り出し、細末して、1両に蒸し餅1両を水に漬けたあと、梧子大の丸剤。30~100丸を空腹時に調下する。」
◎久寒と痼冷。吐痢が長くつづいて、身体が冷え、脈微の者。
金桜艾葉湯《中薬臨床応用》「金桜根30g、艾葉(炒)30g、鶏血藤30g、益母草60g」水煎服。豚肉or鶏卵と一緒に煎じるほうがより有効。◎月経過多。
金匱腎気丸《古今方彙》「熟地黄4両、白茯苓3両、牛膝・肉桂・沢瀉・車前子・山薬・牡丹皮・山茱萸(酒蒸)各1両、附子5銭、生姜、大棗」水煎。 原は丸となし之を用いる。煎剤となして数々効あり。◎脾と腎が虚して腰痛し、脚腫れ、小便不利し、或いは肚腹脹痛し、四肢浮腫し、或いは喘急痰盛已に蠱症となるを治す。
金匱当帰散《東醫寶鑑》「黄芩・白朮・当帰・白芍薬・川芎」各1両を作末し、毎回3銭を温酒で調下し、or酒糊で丸め、米飲で50~70丸飲む。◎妊婦が常服すると養血・清熱する。◎流産の習慣を治す。
金黄湯 「欝金・瞿麦・生地黄・車前子・滑石・芒硝」各5銭。粗末にし、空腹時に、毎回5銭を水煎服。 ◎小便に出血があり、尿道が痛む者。
金花丸(一名安脾丸)《東醫寶鑑》「半夏(製)1両、檳榔2銭、雄黄(水飛)1銭半」作末し、姜汁に漬けて蒸して餅にし、梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸呑む。◎悪心・吐き気。
金鎖固精丸《医方集解》 「沙苑・蒺藜・芡実・蓮鬚・竜骨・牡蛎・蓮肉」 ◎精液が漏れてやまない。
金鎖固精丸《医方集解》《中薬臨床応用》「蓮鬚9g、潼蒺藜9g、芡実12g、竜骨24g、牡蛎15g、蓮子9g」丸薬にし、1回5~9gを服用。 ◎遺精◎白色帯下◎頻尿
金鎖思仙丹 「蓮花芯・蓮子・芡実」等分。作末し金桜子のついた湯膏で梧子大に丸め、空腹時に塩湯で、1回に30丸服用。 金鎖匙《東醫寶鑑》「朱砂3分3厘、柏古礬各1分6厘、硼砂1分2厘、熊胆・焔硝・片脳・麝香各1分」を作末し、半銭を喉中に入れる。」
◎急喉閉と纒喉風を治す。
金鎖匙散 「焔硝60g 梅片1g。以上を細末にする」 金茱丸《医宗金鑑》「呉茱萸、苦楝子」 金珠緑雲油《東醫寶鑑》 「蔓荊子・没石子・躑躅(ツツジ)花・訶子皮・白・沈香・附子・防風・覆盆子・生地黄・零陵香・芒硝・旱蓮草・丁香各1銭半、巻柏3銭を作して絹袋に入れ、清油8両に漬けて固く封をし、7日すぎたら頭にぬる。」
◎髪がはえる。 金水六君煎《景岳全書》《中薬臨床応用》⇒「熟地二陳湯」「当帰9g、熟地黄12g、陳皮5g、半夏6g、茯苓9g、甘草(炙)3g」水煎服。◎肺腎陰虚◎痰が多い◎咳嗽◎息苦しい
金傷散《東醫寶鑑》「5月5日の早朝、4人がそれぞれ東西南北の4方に出ていって草の茎・葉をそれぞれ半かかえぐらい採って、正午になったら石灰1斤と共にいぶして、桑に木2~3株に穴を開け其の中に積み重ねた後、桑木皮をかぶせ油に石灰を混ぜて堅く塗って薬の気が抜けないようにし、その上に桑木皮を、9月9日正午に取り出して100日の間陰乾して細末にする。もし傷を負ったら塗る。」◎一切の金瘡を治す。
金消丸《東醫寶鑑》「黄柏・荊芥・射干・黄芩」各等分を作末し、桜桃大も蜜丸。毎回1丸を口に含んで溶かす。 ◎咽喉の腫れる症。
金生虎骨散《東醫寶鑑》
「当帰1両半、赤芍・続断・白朮・藁本・虎骨各1両、烏蛇肉5銭」を作末し、毎回2銭を温酒で食後調服する。骨髄が疼痛すれば、生地黄1両を加える。◎半身不随で肌肉の乾痩する者(⇒偏枯)に。
金髄煎 「赤く熟した枸杞子を、酒に二ヶ月漬けたものを、つぶして 布で絞る。絞り汁を煮詰めて膏にし、毎日2回、2匙ずつ 温酒にまぜて服用。長服すると良い。
金聖湯《方読便覧》「黄連解毒湯石膏・甘草」 ◎疽並びに手指一切の腫瘍、金瘡、損傷を治す。
金棗散《中国民間験方》 「黒棗20粒 白信8g 人中白2g 梅片2g。 黒棗は核を去り、白信を入れ、炭火の上に置いて、 焼いて炭にし、極細末に磨り、さらに人中白・梅片
を加え、細かくまんべんなく混ぜ合わせて、瓶に貯蔵する。」
金疝飲《東醫寶鑑》「黄連(呉茱萸の煎湯に漬炒)2銭、人参・白朮各1銭、白芍薬・陳皮各7分、甘草3分、姜3」煎服。◎気疝を治す。
金蟾散《東醫寶鑑》「蝦蟆(大)の口中に縮砂を入れ、泥缶に堅く封をし、炙って煙りになったら冷まし、泥は捨て細末にし酒or陳皮湯で調下する。◎気脹を治す。
金箔丸《東醫寶鑑》 「晩蚕蛾(炒)・破故紙(炒)・韭子(炒)・牛膝(酒浸)・竜骨・山茱萸・桑蛸(炙)・兎絲子(酒浸)各1両」作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に温酒で30丸服用。
◎白淫・夢泄。
金箔鎮心丸[1]《東醫寶鑑》「全蝎(薄荷葉でくるんで弱火で焼く)7個、天麻・防風・羗活・牛黄・赤茯苓・犀角・朱砂・麝香・甘草各1銭」作末し蜜で子大に丸め、金箔で衣をし、毎回1~2丸を薄荷湯で飲む。◎驚風を治し、心を鎮める。
金箔鎮心丸[2]《東醫寶鑑》「牛胆製南星1両、朱砂(水飛)・琥珀・天竺黄各5銭、牛黄・雄黄・真珠各2銭、麝香半銭」作末し蜜で丸め、金箔で衣をして30丸作り、毎1丸づつ薄荷湯で服用。◎癲癇・驚悸・怔忡と一切の痰火を治す。
金刃独聖丹《瘍科綱要》 「竜眼核40g(炒る)冰片8gを極細末にし、まぜあわせ密閉保存。瘡口に塗布する。」
金不換散《東醫寶鑑》「罌栗殻(蜜炒)5銭、枳殻4銭、杏仁・甘草各3銭、姜3、梅1」煎服。◎喘嗽の長引く者。
金沸草散[1-1]《和剤局方》 「荊芥、麻黄、前胡、炙甘草、赤芍、半夏、旋覆花」
金沸草散[1-2]《和剤局方》《中薬臨床応用》「金沸草9g、麻黄1.5g、前胡6g、桔梗3g、赤芍薬3g、法半夏4.5g、薄荷4.5g(後下)、甘草3g」水煎服。◎上気道炎で咳嗽。
金沸草散[2-1]《傷寒活人書》《古今方彙》「前胡・金沸草(旋覆花のこと)・赤芍薬各2銭半、甘草3分、半夏7分半、荊芥2銭、赤茯苓1銭」水煎温服。
◎風に因り咳嗽し痰を生じる者。
金沸草散[2-2]《東醫寶鑑》「荊芥穂2銭、旋覆花・前胡各1銭半、麻黄・赤茯苓各1銭、半夏7分半、細辛・甘草各3分」剉作し、「姜3、棗2、梅1」入れて煎服。◎肺が風寒を感じ、咳をし声が重く、痰涎が黄色で壅盛な者。
金蓮丸《東醫寶鑑》「石蓮肉・白茯苓・竜骨・天門冬・麦門冬・柏子仁・当帰・酸棗仁・紫石英・遠志・乳香・竜歯各1両」を作末し、蜜で梧子大に丸め、朱砂で衣をし、空腹時に、温酒又は棗湯で70丸服用。
◎思慮傷心で、小便が赤く濁る者。 金鈴散《東醫寶鑑》「川楝子(大)30枚を肉を取って切り、巴豆肉30粒を同じく切って炒り、巴豆は捨て、茴香(炒)と等分にして、木香2銭半を入れて作末し、毎回2銭を水・酒各半分にまぜ、葱白の煎湯で、空腹時に調下する。」
◎膀胱・小腸気の腫痛を治す。
金鈴子丸[1](一名玄金散)《東醫寶鑑》 「金鈴子・延胡索各1両」を作末し、毎回2銭を酒で調服し、枳朮丸を連用する。◎熱厥心痛を治す。
金鈴子丸[2]《東醫寶鑑》 「川楝子肉5両を切って5貼にし、1貼は斑花10箇と炒って猫は捨て、貼は茴香3銭・塩半銭と炒って塩だけ捨て、又1貼は黒丑3銭と炒って黒丑を捨て、1貼は破故紙3銭と炒り、残りの1貼は蘿葡子1銭と炒って蘿葡子を捨てる。以上を作末し、梧子大の丸剤。温酒で30~50丸服用。」
◎疝気で、陰卵の一辺が腫大で偏墜して、つっぱって痛いとき。
金鈴子散(一名玄金散)《東醫寶鑑》「金鈴子・延胡索各1両」作末し毎回2銭を酒で服用。◎熱厥心痛を治す。 金鈴子散《保命集》「川楝子、延胡索」
金鈴子散《聖恵方》《中薬臨床応用》「川楝子60g、延胡索60g」作末し1回6gを湯で服用。◎慢性肝炎◎肝気欝結による腹痛、脇痛 金露元《東醫寶鑑》「草烏(炮)・黄連各1両、生乾地黄・貝母・巴豆霜・桔梗・柴胡・紫菀・呉茱萸・菖蒲・乾姜・白茯苓・桂心・川芎・人参・甘草・防風・厚朴・枳殻・鼈甲・川椒・甘遂各5銭」作末し麺糊で梧子大の丸剤。姜湯で3~5丸飲む。◎腹内の一切の積聚と癥塊で痛む者を治す。
匀気丸《東醫寶鑑》「益智仁・大腹子・白檀香各1両、草豆蔲・橘皮・沈香・人参各5銭」作末し梧子大の丸剤。淡姜湯で70~80丸飲む。◎気が虚し、濁ったものがこみ上がり、ゲップの多い者を治す。
匀気散[1-1]《古今方彙》「白朮4銭、烏薬3銭、天麻・人参各1銭、沈香・白芷・青皮・甘草・紫蘇葉・木瓜各5分、生姜、大棗」水煎。◎腰腿疼み、手足屈伸する能わず、半身不遂、口眼斜、風気、中風、中気を治す。
【加減方】心脾痛む者:茯苓・半夏・陳皮・木香・羗活。
匀気散[1-2](一名順風匀気散)《東醫寶鑑》「白朮2銭、烏薬1銭半、人参・天麻各1銭、沈香・青皮・白・木瓜・紫蘇葉・甘草各5分、姜2片」水煎服。◎すべての中風・気虚不随に。
匀気散[2]《証治準縄》「山楂炭、青皮、木香」◎夏に冷物を摂りすぎ、腹痛下痢。
均気八仙散《寿世保元》《古今方彙》「麻黄2銭、杏仁・桔梗・片黄芩各3銭、知母2銭、貝母1銭、石膏3銭、甘草1銭」水煎温服。 ◎哮喘にて気急而して息するを得ざる者は宜しく用いるべし。
近効方朮附湯《漢方治療の実際》=「白朮附子湯」《金匱要略》「桂枝附子湯桂枝朮3」 「附子・朮・生姜・大棗・甘草」 近製清暑益気湯《医学六要》《古今方彙》「人参、白朮、麦門冬、五味子、陳皮、甘草(炙)、黄柏(炒)、黄蓍(蜜炙)、当帰」煎服。人によって加減す。生姜、大棗。
◎中暑。
化丸《類証方》「玉露霜、柿霜、貝母、百合、茯苓、海石、秋石、甘草、薄荷」 化先方《東醫寶鑑》「甜梨汁・生蘿葡汁・生姜汁・白砂糖・款冬花・桔梗・紫菀各2両、五味子1両」共に煎じて滓は捨て、膏を作った後、人参末1両を入れ梧子大の丸剤。就寝時に1丸噛み下す。◎痰が多く、咳嗽し膿血を吐く者を治す。
銀花解毒湯《瘍科心得集》《中薬臨床応用》「金銀花30g、紫花地丁30g、赤茯苓9g、連翹9g、牡丹皮6g、黄連5g、夏枯草9g」水煎服。◎化膿性皮膚疾患
銀翹散《温病条弁》「連翹、金銀花、桔梗、荊芥、薄荷、淡竹葉、甘草、淡豆豉、牛蒡子、蘆根」 銀翹散《温病条弁》《中薬臨床応用》「金銀花12g、連翹9g、荊芥9g、淡豆豉9g、牛蒡子9g、桔梗6g、薄荷3g(後下)、淡竹葉9g、芦根18g、甘草3g」水煎服。◎感冒◎感染性疾患の初期◎発熱、頭痛、咽喉痛
銀川紅片《中薬臨床応用》⇒「銀川紅舒血片」「銀杏葉9g、川芎15g、紅花15g」糖衣錠とし、3分服。◎冠不全◎狭心痛 銀白散《東醫寶鑑》「蓮肉・白扁豆・白茯苓各2銭、白附子(炮)・人参・天麻・全蝎(炒)・木香・藿香・甘草(炒)各1銭、陳米(炒)3銭」作末し、毎回2銭に姜2片、冬瓜仁7粒を入れ水煎服。◎慢驚風を治す。
銀花解毒湯《瘍科心得集》「金銀花、紫花地丁、赤茯苓、連翹、牡丹皮、黄連、夏枯草」 銀甲散《成都中医学院婦科経験方》「金鈴子、香附子、烏薬、当帰、川芎、赤芍薬、琥珀、甲珠、鼈甲、夏枯草、絲瓜絡、紫花地丁、蒲公英、連翹、銀花、紅藤」
#気緘元《東醫寶鑑》「薑黄・青皮各1両、木香・丁香・胡椒・全蝎・肉豆蔲(煨)各5銭」作末し蘿葡子2両を細研して混ぜ紅酒・生姜汁で糊をつくり梧子大の丸剤。紫蘇葉・陳皮煎じ湯で40~50丸飲む。◎気脹を治す。
#気疝飲《医学入門》《東醫寶鑑》「黄連を呉茱萸で煎じた湯に漬けて炒ったもの2銭、人参・白朮各1銭、白芍・陳皮各7分、甘草3分、生姜3」水煎服。
◎気疝を治す。
#気痛方《中薬臨床応用》「両面針9g、烏薬9g、延胡索9g、烏賊骨12g、九里香12g、風沙藤12g、鶏骨香12g、甘草3g」水煎服。◎消化性潰瘍◎神経性胃炎
#気痢丸《東醫寶鑑》「訶子皮・橘皮・厚朴各1両を作末し、蜜で梧子大の丸剤。 空腹時に米飲で30服用。」 ◎気痢で大便が泡のような者。
#奇応丸《桂集》「麝香・沈香・人参・熊胆・金箔」
#奇応丸《経験方》「人参、熊胆、伽羅、麝香、牛黄、真珠」 #帰葵湯《東醫寶鑑》 「升麻1銭、黄蓍・酒片芩・防風・羗活各7分、蔓荊子・連翹・甘草(生)・
地黄(生)・当帰・人参・紅葵花各5分、柴胡3分」水煎し食後温服。◎物を見ると黒花が出、涙が出、目の中に火気があって陽を嫌い者。
#蓍帰建中湯[1-1]《華岡青洲方》
(ぎきけんちゅうとう)
「桂枝、白芍薬、甘草(炙)、生姜、大棗、膠飴、当帰、黄蓍」 #蓍帰建中湯[1-2]《漢方治療の実際》=「帰蓍建中湯」「黄蓍2、当帰2、桂枝・生姜・大棗各4、芍薬6、甘草2」
#蓍帰建中湯[1-3]《華岡青洲方》《龍野一雄》 「黄蓍2g、当帰4g、桂枝・大棗・甘草各3g、芍薬6g、干姜1g」◎小建中湯、当帰建中湯、黄蓍建中湯、蓍帰建中湯などは腹直筋の拘急がひどくて、歩行困難、または歩行不能の者に用いて時に著効を得ることがある。その際疼痛のある場合があり、知覚麻痺を伴うこともある。《大塚敬節》◎腹直筋が軟弱無力のこともある《大塚敬節》◎「黄蓍建中湯+当帰」
★適応症及び病名(ぎきけんちゅうとう)
[1]脊椎カリエス:☆《大塚敬節》“昭和9年11月、茨城県の山間にある知人の別荘にでかけたとき、村の者が数人して戸板に乗せた青年を運んできた。聞けば隣村からわざわざ診察を受けに来たのだという。診れば、痩せた血色の良くない青年で、1人では寝返りさえ出来ない。病人のいうところによれば、病気になってから、もうかれこれ10年にもなるから、元の身体になることは望まないが、せめて大小便だけでも人手を借りずに済ませるようになれば満足だという。医師から脊髄が悪いといられたそうであるが、脊椎の形状からカリエスではないかと考えた。脈は弦で、しかも弱である。腹直筋は弓のつるを張ったようになって、脊柱はひどく変彎しているので、仰臥することが出来ない。無理に力を入れて伸ばそうとすると痛む、大小便と食欲は普通である。私は虚労と診断し、腹直筋の攣急とやせて血色の良くない点を目標にして、蓍帰建中湯を与えたところ、1ヶ月ぐらいでひとりで座れるようになり、3ヶ月たつと、杖を突いて歩けるようになり、翌年の夏は健康人と同じく動作が出来るようになり、たいへん喜ばれた。”
[2]紫斑病 ☆小建中湯よりも、さらに貧血、衰弱の激しいものに用いる(漢方診療医典)
[3]痔瘻(じろう):☆幼児の痔瘻に、帰蓍建中湯伯州散を服用させ、紫雲膏を塗布して、1年かかって全治せしめた。《大塚敬節》☆5歳の男子の痔瘻に、帰蓍建中湯紫雲膏で全治した。《大塚敬節》
[4]附骨疽(ふこっそ)
☆12歳の男児。腰椎カリエスがあり、臀部に寒性膿瘍を作り、それが破潰して、排膿しているものに、蓍帰建中湯を用い、1年余り連用せしめて全快した。この少年は目下成人して結婚し健康に生活している。《大塚敬節》
#蓍帰建中湯《華岡青州》《龍野ー漢方処方集》「黄蓍2.0g、当帰4.0g、桂枝・大棗・甘草各3.0g、芍薬6.0g、干姜1.0g」◎諸病後、虚脱し、盗汗出ずる者を治す。◎「当帰建中湯+黄蓍」。或いは証に随い「+反鼻」《勿誤薬室」函口訣》◎此方は《華岡青州》の創意にて、瘡瘍に用ゆれども、虚労の盗汗、自汗症に用いて宜し。◎肉芽悪く分泌うすく) ■潰瘍
■痔瘻 ■蓄膿症 ■皮膚病 ■ 慢性中耳炎 ■漏孔 #蓍蔯湯《東醫寶鑑》「石膏2銭、黄蓍・赤芍薬・茵蔯蒿・麦門冬・豆豉各1銭、甘草5分」剉作1貼し、姜5片入れ水煎服。◎黄汗を治す。
蓍附湯《厳氏済生方》《古今方彙》=「茋附湯」 「黄蓍(去蘆・蜜炙)・附子(炮)各等分」毎に4銭を服す。水1鐘、生姜10片、煎じて8分を服す。◎気虚陽弱、大汗体倦するを治す。
蓍附湯《重訂厳氏済生方》《魏氏家蔵方》「黄蓍、附子」 蓍附湯《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)・附子(炮)各2銭半、姜3片」煎服。◎自汗を治す。
帰求破癥湯《東醫寶鑑》 「香附子(醋炒)1銭半、三稜(醋煮)・蓬莪朮(醋煮)・赤芍薬・白芍・当帰尾 ・青皮各1銭、烏薬7分、紅花・蘇木・官桂各5分」水煎服。
◎月経不通・腹中に塊があって疼痛ある者。
帰荊湯(きけいとう)《仁斎直指方》 「当帰・荊芥」各等分。酒水煎。◎風痙(=子癇)、昏迷し、沫を吐し、抽掣し、背脊強直するを治す。◎産後の痙も通用す。◎余が門にては、豆淋酒にて煎服す。
帰元散《東醫寶鑑》 「人参・白朮・白茯苓・遠志・酸棗仁(炒)・麦門冬・黄柏・知母・鶏頭実・ 蓮花芯・枸杞子・陳皮・川芎各5分、升麻・甘草・各2分半、蓮肉3個、
棗子1枚」を煎じて、空腹時に、温服。◎夢泄がひどく体力が無くなった者に。
帰元湯《万病回春》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓・遠志・酸棗仁・麦門冬・黄柏(便)・知母(童便)・陳皮・川芎・芡実・蓮花鬚・枸杞子各等分、升麻、甘草半減、蓮肉、大棗子」水煎し空心に服す。
◎夢精、日久しく気下陥する者を治す。
帰茸丸《東醫寶鑑》「当帰・鹿茸」各等分に作末し、烏梅肉で膏を作り梧子大の丸剤。温酒で50 ~70丸飲む。◎虚労による肝の虚弱。 ◎顔色が悪く、目がかすむ。
帰芍紅花散《審視瑶函方》 「当帰・大黄・梔子仁・黄芩・紅花(以上いずれも酒でていねいに洗う)・ 赤芍・甘草・白芷・防風・生地黄・連翹各等分。作末して、毎服12g。」
帰心丹《東醫寶鑑》 「朱砂2両を豚の仔袋の内に入れて灯心で結び、酒で蒸して作末し、酸棗仁(炒)・白茯神・人参・当帰各2両、琥珀・遠志(姜製)・竜歯各1両、金箔20斤、銀箔20斤」作末し、酒で煮た糊で梧子大の丸剤。
①19~39丸を麦門冬を煎じた湯で飲む。 ②癲癇がひどいときは、乳香・人参を煎じた湯で飲む。 ③夢ばかり見て寝られない人には、酸棗仁の煎じ湯で飲む。
◎心気の不足・恍惚・健忘・癲癇・狂乱・驚悸・怔忡に。 ◎病後の心臓の衰弱に特効。 帰脾湯 [1-1]《厳氏済生方》《龍野ー漢方処方集》 「黄蓍・人参・白朮・茯苓・酸棗仁・竜眼肉各4g、当帰・遠志・大棗各2g、甘草・木香・干姜各1g」
(きひとう)
◎不眠・発熱・盗汗。 ◎思慮過度。 ◎健忘・胸騒ぎ・驚悸。 ◎嗜臥・食欲不振。 ◎憂思発熱。 ◎体痛大便調わず。 ◎月経不調、暮れ方に発熱。
◎頚腺腫脹。
帰脾湯[1-2]《厳氏済生方》《中薬臨床応用》「黄蓍9g、白朮9g、党参9g、当帰6g、茯神9g、竜眼肉9g、木香1.5g(後下)、遠志3g、酸棗仁9g、甘草(炙)5g、生姜5g、大棗15g」水煎服。◎神経衰弱
帰脾湯[1-3]《厳氏済生方》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・茯苓・酸棗仁(炒)・竜眼肉各2銭、当帰・遠志各1銭、甘草(炙)・木香各5分、生姜、大棗」水煎。
◎脾経血をい失して、少寝発熱、盗汗、或いは思慮して脾を傷り、血を摂する能わず、以て妄行を致し、或いは健忘怔忡、驚悸不寝、或いは心脾傷き痛み、嗜臥少食、或いは憂思して脾を傷り、血虚して発熱し、或いは肢体痛みをなし、大便調わず、或いは婦人経候準ならず、
熱内熱、或いは瘰癧流注し、消散潰斂する能わざるを治す◎加味帰脾湯=「+柴胡山梔子」◎本方には当帰遠志なく、《薛立斎十六種》は之を加える。
帰脾湯[1-4]《東醫寶鑑》 「当帰・竜眼肉・酸棗仁(炒)・遠志(製)・人参・黄蓍・白朮・茯神各1銭、木香5分、甘草3分、生姜5片、大棗2枚」
◎憂思によって心・脾を傷め、健忘・怔忡する者。 帰脾湯[1-5]《厳氏済生方》(きひとう) 「当帰・白朮・茯苓・黄蓍・人参各2銭、甘草1銭、酸棗仁・遠志・木香各5分、竜眼肉5枚」
◎思慮過制し、心神脾を労傷し、健忘・怔忡するを治す。
◎此方は《明医雑著》に拠って[遠志]・[当帰]を加え用いて、健忘のほか、思慮 過度にして心脾二臓を傷り、血を摂することならず、或いは吐血、衂血、或い
は下血の症を治するなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方に[柴胡][山梔子]を加えたるは、《内科摘要》なり。前症に虚熱を挟み、或いは肝火を帯る者に用いる。
◎凡そ、補剤を用ゆる時は、小便通利少なき者多し。此方も補剤にして、且つ利水の品を伍せざれども、方中の木香、気を下し、胸を開く故、よく小便をして通利せしむ。主治に大便不調を云うは、能く小便を裏するを以て、大便自止の理なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎思慮、脾を傷め、血を摂する能わず、血の妄行を致し、或いは健忘、怔忡、驚悸、盗汗、臥を嗜み、食を少なくし、或いは大便不調、心脾疼痛、瘧利、欝結し、或いは病の薬を用うるに宜しきを失うに因って、剋代し、脾を傷め、以て変証に致したる者を治す。《雑病翼方》
◎《陳念祖》曰く、此方は養神の法と為す。《雑病翼方》
◎不眠発熱盗汗或いは思慮過度、或いは健忘、胸さわぎ、驚悸、或いは嗜臥食欲不振、或いは憂思発熱、或いは体痛大便調わず、或いは月経不順、暮方に発熱、或いは頸腺腫脹。《龍野ー漢方処方集》
◎《漢方後世要方解説》此方は思慮過度により心脾を労傷し、主治に挙ぐる如き諸症を発せる場合に用いられる。脈腹ともに虚弱にして、面色痿白、貧血甚だしく、健忘、不眠、驚悸、怔忡、出血し易き等の症がある。犀角、地黄、黄連と虚実の相違があり、また他の補養の剤は心下に痞えて亨は心悪しき者によく奏功する。
◎《大塚敬節》思慮が多きにすぎ、そのために脾を傷り血をおさめることが出来ないから、下血・吐血・衂血等の症を現し、または心が虚して怔忡驚悸(驚きやすくて動悸がする)健忘(物忘れが激しい)等の症状を現す者を治すのが、この帰脾湯である。
◎帰脾湯がまことに良く効く方であるけれども、ちょっと証を間違えて、実証の者などに用いると、ひどく悪くなることがある。《大塚敬節》
★帰脾湯きひとう:(胃腸虚弱、貧血疲労、顔面蒼白、心悸亢進、腹部軟弱、出血、舌無苔) 帰脾湯[1-6]《漢方治療の実際》「黄蓍・人参・朮・茯苓・酸棗仁・竜眼肉・当帰各2、
遠志・甘草・木香各1、 生姜・大棗各1.5」
★適応症及び病名 (帰脾湯) [1]悪性貧血 ☆患者は友人の妻君で、子供も2人あった。従来健康であったが、夏に急性胃腸カタルをやってからどうも腸の具合がわるく下痢しがちで、ひどく痩せてしまった。秋頃になってあまり体重が減少するので、海軍病院で診てもらうと腸結核であるといわれた。その後、中野の組合病院に入院したが、ここでは腸結核の上に腹膜炎も伴っていて、その上ひどい貧血であるから重症であるといわれた。そこで、友人は知人のS博士に診てもらった。同博士は血液学の大家で、病理学の著書を出しているひとであるが、血液検査をして見て、首を横に振った。どうもいかんというのである。血液検査の結果は赤血球が114万(正常なものは450万)で、正常なる婦人の1/4しかないのである。こうした例は学界に類が稀で、2例の報告はあるがいずれも不治に終わったから、この患者も難しいであろうとのことであった。
だが友人はかって肺結核で半年間も血痰が止まらずに困っていたのが、私(代田文誌)の灸治により血痰が泊まり、肺結核も全治した経験を持っているので、最後の希望を私にかけて治療を頼んできた。そこで、私は往診したが、顔面蒼白、全身は水腫をきたし、顔面と足首とはことにひどく、熱も38.5℃ほどあり、咳嗽が頻発している上に、食欲が無くて、しかも毎日数回下痢しているのである。
これを診た時は、どうしても助かりそうに思えなかった。だが、私は勇気を起こした。そこで、 (腹部)中脘、上脘、水分、気海、大巨 (背部)身柱、風門、大杼、至陽、膈兪
(手足)曲池、左陽池、尺沢、足三里、太谿 に半米粒大の灸3壮ずつすえた。灸し終わったが、不安でならぬので、湯液を飲んではどうか?と相談すると、飲んでみたいという。そこで、大塚敬節先生を紹介し、往診を求めた。大塚先生は快く承諾し、往診し、投薬してくれた。
その後、患者は日ごとに体の調子がよくなり、数日にして平熱となり、水腫もとれ、食欲が出てきた。そうして下痢も止まったのである。かくて灸治と湯液を併用すること約1ヵ月にして退院し、自宅で養生することになり、次に往診したのは、前の往診後1ヵ月半の時であった。そのときはすでに食事も起きて自分でとり、便所へも自分で行っていた。その後1ヵ月の灸治と湯液の服用で、完全に治癒し、血液検査の結果は正常となったのである。
この悪性貧血の治に当たっては、灸治も相当に効いていることは確かであるが、大塚先生の与えられた帰脾湯が非常に効いているようで、患者はあの薬をのむと食欲が増すといって、1日でも薬がきれると早く薬をとりに行ってくれるようにと主人に督促するというふうであった《灸療雑話》
[2]頭がふらつく
[3]頭がボーッとする
[4]胃下垂
[5]胃潰瘍
[6]胃がもたれる ☆補中益気湯・十全大補湯などがもたれる者に良い、
[7]胃無力症
[8]息切れ
[9]遺精:☆遺精白濁《漢方後世要方解説》☆白濁。淋渋、虚証の者《矢数道明》
[10]陰痿:☆思慮し脾を破る者《薛立斎十六種》
[11]陰戸出
[12]陰部掻痒症:☆婦人素より欝悶し、陰内痛痒し、時ならず水を出し、飲食少しく思い、肢体倦怠するを治す。《薛立斎十六種》
[13]陰門熱癢:☆陰門熱痒《漢方後世要方解説》
[14]過労: ☆元来胃腸虚弱者が、思慮過度により脾がやぶれ心身過労となる。
[15]感情不安定:☆今俗に云う癇証で、しきりに物事を苦にして種々の容体を言うて、自ら大病となし、或いは自刃せんとし、或いは悲傷する者がある。しかし時によっては、起居、飲食とも変わりなく、診察してみると、多くは脈が沈細で、人参や附子を用いたい様である。しかしこのような証はひどい虚証のように見えても、うっかり人参や附子の入った方剤はやれないものである。先ず疏肝散(柴胡剤など)がよい。
1婦人が癇症だといって治を乞うた。そうして言うに、私の病気は癇症だけれども、帰脾湯を用いないで下さいという。そこで余がその訳を詰問すると、婦人がいうのに、先年、私の夫が癇症にかかって、ある医者に治を乞うたところ、その医者が虚証と判断して帰脾湯を与えた。するとたちまち上逆、発狂して自殺してしまったと。余はこれを信ずることが出来ず、疑問に思っていた。ところが、その後、また1人の婦人が癇性で治を乞うたが、虚証のように見えるので帰脾湯を用いたところ、たちまち発狂して、井戸に飛び込み死んだ。そこで始めて、前の婦人の云ったことが、こじつけでないことを知り感服した。その後、また1人の男子の癇症を診察し、よほどの虚証であったから、帰脾湯を用いたところ、1年ばかりで全治した。
帰脾湯は、証に適中すれば、その効は神の如くすばらしいが、一度誤るときは、人を殺すこともすみやかである。よくよくつつしみ、虚実を弁別して用いなければならない。《椿庭夜話》
[16]顔面蒼白
[17]驚悸
[18]経閉:☆(気の鬱滞による慢性)☆《陳念祖》曰く、女子に不得隠曲(欲求不満)あり。之を心に鬱し、心、血を生ずる能わず。血、脾を養う能わず、是れに由って水穀衰少、以て精微の気を化する無く、而して血脈遂に枯れ、月事時に下ら能わず。余、凝して「帰脾湯鹿茸麦門冬」として二十餘在を服して癒える。
[19]血尿: ☆諸出血、貧血がひどく、心動悸、食欲不振を訴える者《矢数道明》
[20]血便:☆大便下血、凉血の薬を用い、効かざる者、:「槐花・黄芩」《雑病翼方》
[21] 月経不順:☆全身衰弱による者《矢数道明》☆思慮過度による月経不順《矢数道明》☆遅れる者:「附子乾姜」☆早き者:「牡丹皮・梔子」《方読便覧》
[22]血小板無力症
[23]元気がない
[24]健忘症:☆健忘を治すの総司なり《古今方彙》☆思慮過度、大病後の気虚脱《漢方後世要方解説》☆老衰健忘《漢方後世要方解説》☆この方のゆく健忘は、瘀血にもよらず、また柴胡剤、瀉心剤、石膏剤などの症でもない。老人が中風の下地をなす時、多く健忘となる。このところに、この方の効がある。老境の健忘にはよく効のある方である。たとえば、自分のそばにある火盆をここへ持ってこいと命ぜんとして、その火盆の名を忘れ、或いは親戚・朋友の姓名などを忘れなどすることは、老境に多くあるものである。壮年の人の健忘には桃核承気湯などのゆくこともあるが、老人には駆瘀血剤のゆくことは少ない。しかしまた壮年にも帰脾湯のゆく処がある。帰脾湯のゆく処は、多くは面などツヤツヤし、或いは半身不遂なども有る者である。しかしこのような症を帰脾湯の主症というのではない。この場は世人、多くは中風とみるものである。帰脾湯は老壮を論ぜず、健忘の症があっても、攻撃剤を用いることの出来ない処に用いる。世医、帰脾湯の処へ、瀉心剤などを与え効が無い、難治などと云って、捨てておく者がある。、
健忘は癇に属する者もあり、瘀血に因る者もある。瘀血による者には、茯苓杏仁甘草湯が効がある。《方輿輗》
[25]更年期障害
[26]衂血 ☆諸出血、貧血がひどく、心動悸、食欲不振を訴える者《矢数道明》 ☆しばしば衂血を繰り返し、甚だしく貧血をきたし、顔面、口唇まで蒼白となり、食欲不振、栄養不足となった者。白血病、悪性貧血などに起こる衂血に本方がよい(漢方診療医典)
[27]嗜臥少食
[28]子宮ガン
[29]子宮出血:☆《矢数道明》 “48歳の婦人。常に顔色が悪く、痩せ型ですこぶる神経質である。この婦人も、上衝・耳鳴り・頭痛・肩こり・動悸・腰痛・悲観に陥りやすく、年に3、4回、猛烈な子宮出血を起こし、1ヶ月以上も続くことが、この3、4年の週間であった。腹が虚軟で、心下から臍傍にかけて著明な大動気を触れ、脈は弦である。昨年の春、例年のように出血に見舞われ、私が芎帰膠艾湯を与えると出血はさらに加わり、虚羸衰弱を増し、唇や舌が蒼白になるほどますます貧血してしまった。そこで[血崩血脱甚だしきに四物湯を用うる勿れ、万物を故殺す。血を補うは気を補うにしかず]で、帰脾湯を与えると、出血は速やかに止まり、全身症状は異常に好転した。その後、本患者は長年の服薬を廃するまでによくなった”
[30]子宮内膜炎
[31]自汗
[32]自閉症 ☆腹力低下者の精神不安、不眠、抑うつ、言語障害などを目標に(漢方診療医典)
[33]自律神経失調症状
[34]小児の言葉を発するのが遅い。《済世薬室》
[35]食欲不振:☆神仙労(神経性食欲不振症):「呉茱萸」《内科摘要》☆食思不振《漢方後世要方解説》☆全身衰弱で他の補剤を服して反って胃に泥む者《矢数道明》
[36]心悸亢進
[37]心臓神経症
[38]心痛:☆押さえると痛みが止まる=虚痛、顔面蒼白、神経症状、食欲不振、腹部軟弱、貧血疲労、心悸亢進、舌無苔
[39]神経性胃炎
[40]神経性心悸亢進症: 胃腸虚弱、貧血疲労、顔面蒼白
[41]神経衰弱
[42]衰弱 [43]舌質<淡白>[44]舌苔<無苔>
[45]躁鬱病
[46]帯下:☆赤白帯下を治す、《寿世保元》
[47]血の道症:☆女子には必ず調経し、「帰脾湯」を以てその源を治め、「逍遥散」を以てその流れを治す。ただ、婦人体肥厚する者は恐らく子宮脂満なり。別に「二陳湯+川芎香附子」を用い、丸と為す。《雑病翼方》
[48]腸出血
[49]疲れやすい
[50]低タンパク血症
[51]手足冷たい
[52]多夢
[53]盗汗
[54]動悸:《方読便覧》
[55]吐血:
[56]軟便~水様便
[57]のぼせ: ☆頭上白屑《漢方後世要方解説》
[58]バルトリン腺炎
[59]白血病
[60]腹がはる
[61]疲労倦怠感
[62]ヒステリー:☆貧血性の者の《矢数道明》
[63]貧血:☆ひどいときは「+四物湯」。☆昭和30年6月20日初診の6歳の男児。生まれて間もなくから貧血があり、その貧血の原因が不明であった。約2年前までは時々ケイレンしてひきつけたが、最近は発作がなくなった。よく風邪を引く、下痢はしない。貧血はかなりひどく、枯れかかった竹の葉のような色をしている。脈は微細である。腹診すると、脾臓は臍の下方まで肥大し、肝臓は季肋弓より2横指径ほど下にまで肥大している。このような症状から考えると白血病のように見える。しかしそれにしては、経過が長すぎるように思われる。患家は生計が苦しいので、ここ2、3年は医療を受けていないという。従って、精密な検査を受けたこともないという。私はこれに帰脾湯を10日分与えた。ところが、それきり来院しないので、どうなったかと心配していたところ、2ヶ月ほどたって又来院した。みると、貧血が減じ、血色もよくなり、脾臓は縮小して、初診時の半分ぐらいとなり、肝臓も触れなくなっていた。私はおどろいた。この調子なら治るかも知れないから、もっと続けて飲むようにいって、また10日分を与えたが、それきり来院しない。《大塚敬節》
☆原因不明の貧血、悪性貧血、再生不良性貧血などに用いられる。 ☆貧血、出血、不眠、健忘、心悸亢進などのある虚証の患者に用いる。体質虚弱の者、病後で衰弱している者、精神の過労から発病したものなどによい(漢方診療医典)
☆熱状があれば、加味帰脾湯に。
[64]フケ:☆頭上白屑に、虚熱上衝と足の冷えがある者《矢数道明》
[65]不安神経症: ☆62歳男性。主訴、抑鬱気分、不安、不眠等。約3ヶ月前、10歳になる末の息子を急病で亡くし、その直後は気づかなかったが、日が経つにつれて“かわいそうなことをしてしまった”と始終考えているようになった。1ヶ月後には食欲は全くなく、ヤ セが目立ち、気分は常に悲しく憂鬱で、何事も手につかなくなり、ぼんやりして、考えがまとまらず、仕事も出来ないので勤めをやすむようになった。夜はまったく眠れなかった。最近は大分気持が落ち着いたので、勤めに出るようになったが、身体がだるく、疲れやすく、時々、心臓が止まりそうな感じが起こり、不安になる。喜忘や物事に対する興味も湧かず、酒を飲んだ時だけ元気になる。その後では反って具合がわるくなるという訴えであった。
現症。発病当初は、抑鬱状態が中心であったのに対し、初診時は、心気的訴えと、不安が著明であり、集中困難、無関心、不眠などを伴っていた。身体的には、顔色やや蒼白で潤いがなく、冴えない。身長は大で、肉つきは中等、筋肉も適度に緊張している。脈は沈細でやや遅、腹部は弾力有り、腹証には特徴がない。腰部の志室穴に圧痛が著明である。盗汗がある。
治療及び経過。帰脾湯+香附子+黄連を投与した。黄連は不安、不眠等に対して鎮静させる目的であった。 1週間後、気分爽快となり、食欲が出て、次第に眠れるようになった。
2週間後、気分はすっかり安定し、食欲も進み、体重も回復したと云って、すっかり元気になった。 1ヶ月後、上腕痛と、時に気分が沈む日があると言う。しかし3週以後は休薬していた。《山田光胤》
[66]不正性器出血: ☆性交時出血する者《矢数道明》
[67]不眠症:☆(眠りが浅い)☆心身過労の結果、不眠症を発し、その人貧血し、元気が大変衰えた者《矢数道明》
[68]腹部軟弱
[69]慢性胃腸炎
[70]慢性淋疾患 [71]脈沈細微
[72]無力感
[73]めまい
[74]目眩
[75]瘰癧(るいれき) ☆なかなか治らなくて、稀膿が出る者《矢数道明》 帰葵湯《東醫寶鑑》「升麻1銭、黄蓍・黄芩(酒)・防風・羗活各7分、蔓荊子・連翹・生地黄・当帰・人参・紅葵花・生甘草各5分、柴胡3分」水で煎じて食後服用。
◎物を見ると黒花がおき、涙が出て、目の中に火気がある者。
帰霊湯《外科正宗》《古今方彙》「川芎・当帰・白芍薬・熟地黄・薏苡仁・木瓜・防已・括楼根・金銀花・白鮮皮・人参・白朮各1銭、甘草5分、威霊仙6分、山帰来2両」水煎。
量は病の上下による。食前・食後に之を服す。◎楊梅瘡、新久を問わず元気虚弱の者を治す。◎下部には:「+牛膝」
鬼哭丹《東醫寶鑑》「常山1斤(切醋浸、夏3・秋7・冬10日)晒し乾燥・檳榔各4両、半夏・貝母各2両」作末し卵の白身に面を混ぜて梧子大の丸剤。毎回30丸、就寝時に冷酒で飲む。◎痎瘧を治す。
奇効四物湯《婦人大全良方》《東醫寶鑑》
「四物湯+阿膠・艾葉・黄蓍各7銭、姜5片」 ◎血崩に効く。◎肝経の虚熱、血沸騰して崩久しく止まざるを治す。《古今方彙》
奇良八物湯《撮要方》「奇良・当帰・川芎・茯苓・橘皮・木通・金銀花・大黄各等分」 (奇良=山帰来) →八味帯下方 葵子湯《東醫寶鑑》 「葵子・赤茯苓・猪苓・枳実・瞿麦・滑石・木通・黄芩・車前子・甘草各1銭を作末し、姜5片を入れて煎服。
◎膀胱の熱・小便の不通を治す。
葵子茯苓散《金匱要略》 「葵子1斤・茯苓3両」杵為散、飲服方寸日匕、日3服、小便利則癒。◎妊娠有水気、身重、小便不利、洒浙悪寒、起則頭眩、本方主之。《金匱要略》婦人妊娠病脉證并治第二十。
葵子茯苓散《金匱要略》《漢方治療の実際》「葵子8、茯苓1.5」作末し、1回2を服用。 菊花散[1]《東醫寶鑑》「甘菊4両、蝉退・木賊・羗活・白蒺藜各3両、荊芥・甘草各2両」を作末し、毎回2銭を茶清で服用。
◎肝が風毒のために腫れ、涙が多く、瞖膜が出る症。
菊花散[2]《東醫寶鑑》「甘菊・蔓荊子・側柏葉・川芎・白芷・細辛・桑白皮・旱蓮草(全草・花)各1両を剉作して毎回2両を漿水3椀で煎じ、2椀になったら滓を捨てて、髪を洗う。
◎髪が黄色く変色したものを、黒く艶があるようにする。
菊花散[3]《和剤局方》「白菊花、蝉退、木賊、白蒺藜、羗活」
菊花酒方《医学入門》 「甘菊花5升・生地黄の根皮5升・枸杞の根皮5升」を水1石に入れ、煮て5斗までに減ったら、糯米5斗に麹を入れて醸造する。◎健康・養生・不老・延年に
菊花茶調散[1-1]《和剤局方》 「菊花、薄荷、荊芥、川芎、防風、羗活、甘草、白芷、細辛、白殭蚕、香附子、茶葉」
菊花茶調散[1-2]《東醫寶鑑》「甘菊・川芎・荊芥・羗活・白芷・甘草各1両、防風7銭半、細辛5銭、蝉退・白僵蚕・薄荷各2銭半」を細末にし、毎回2銭を食後に茶清で服用。
◎頭風で鼻塞、偏頭痛を治す。
菊晴元《東醫寶鑑》「甘菊4両、枸杞子3両、熟地黄・肉蓯蓉各2両、巴戟1両」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に、温酒又は塩湯で50~70丸服用。
◎右腎と肝腎の不足による青瞖・白瞖を治す。
菊晴湯《中薬臨床応用》「菊花6g、枸杞子15g、肉蓯蓉9g、巴戟天6g」水煎服。◎目がかすむ ◎目がくらむ◎視力減退
麹芽正気散《古今方彙》「陳皮・半夏・厚朴・蒼朮・藿香・神麹・麦芽・山楂子各等分、生姜、大棗」水煎。 ◎食積瀉、腹痛甚だしく而して瀉し、瀉したる後は痛みが減ずる者を治す。
麹芎丸《東醫寶鑑》「神麹・川芎・白朮・炮附子」各等分。作末し麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で30~50丸服用。 ◎風泄・湿泄・滑泄を治す。◎下痢(水だけ降り、腹痛しない)
麹朮丸《東醫寶鑑》「神麹(炒)3両、蒼朮(土炒)1両半、陳皮・縮砂各1両」作末し姜汁で神麹糊をつくり、梧子大の丸剤。姜湯で70~90丸飲む。◎中脘に宿食と溜飲があり、酸が上がって心が痛み、牙歯が浮き、◎水を吐き、腐気のしゃっくりが出る者を治す。
麹朮元《東醫寶鑑》「神麹(炒)・蒼朮(製)」各等分。作末し、麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で30~50丸服用。 ◎傷泄・暑泄・暴泄を治す。
麹蘗枳朮丸《東醫寶鑑》「枳朮丸神麹(炒))麦芽(炒)各1両」 ◎食傷で胸満があり、不快。
麹蘗丸《東醫寶鑑》「神麹(炒)・麦芽(炒)各1両5銭、巴豆肉3粒を炒って巴豆は捨て、作末して沸湯で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸飲む。」◎酒癖による消化不良、腹部が膨れ酸っぱいものを吐き、嘔逆して食べられない者を治す。
枳橘湯《東醫寶鑑》 「橘皮8銭、枳穀1銭半、生姜4片」水煎服。鬱気がひどいときは姜黄を少し加える。 ◎気滞して胸痛。
枳橘熨法《東醫寶鑑》「橘皮・枳実各4両」炒って香熱を出し、絹袋に入れて両方に分けて全身をなでこする。◎婦人の陰腫が石のように固く、痛みに堪えかね、大小便ともに苦しいとき。
枳桔湯《医方集解》「桔梗、枳殻」 桔梗湯[1-1]《傷寒論》 「桔梗1両、甘草2両」右二味、以水三升、煮取一升、去滓、温分再服。◎少陰病二三日、咽痛者、可與甘草湯。不差、與桔梗湯。
《傷寒論》辨少陰病脉證并治第十一。
桔梗湯[1-2]《金匱要略》 「桔梗1両、甘草2両」 右二味、以水三升、煮取一升、分温再服、則吐膿血也。◎而胸満、振寒、脉数、咽乾不渇、時出濁唾腥臭、久久吐膿如米粥者、為肺癰、桔梗湯主之。《金匱要略》肺痿肺癰嗽上氣病脉證治第七。
桔梗湯[1-3]《漢方治療の実際》「桔梗2、甘草3」◎甘草湯の証にして、腫あり、或いは粘痰を吐く者を治す。《吉益東洞》◎此方は後世の「甘桔湯」にて、咽痛の主薬なり。又肺癰の主方とす。《勿誤薬室方函口訣》
桔梗湯[1-4]《東醫寶鑑》「桔梗1両、甘草2両」を粗末にし、毎回5銭を水煎し、冷服。 ◎咽痛。 桔梗湯[1-5]《金匱要略》★適応症及び病名
(ききょうとう)[1]咽痛: ☆咽痛、咽頭カタル《龍野ー漢方処方集》☆咽喉腫痛し、或いは咳嗽し、喀痰粘稠にして、喀出困難なる証《奥田謙蔵》
☆虚労咽痛、赤爛し、多くは脱症に係る:「薔薇花」含薬。
[2]咽頭炎:☆《傷寒論》では、甘草湯で良くならない咽痛にこの方を用いることになっているので、急性咽頭炎にも用いる。《大塚敬節》
[3]嚥下困難:☆木舌を治す:「山豆根」《方読便覧》
[4]嚥下痛
[5]気管支炎: (化膿性)
[6]気管支拡張症:☆甚だしければ則ち胸脇腸満し、呼吸不利、飲食減少し、脈洪に、自汗する者を治す。
[7]血痰が出る:☆久咳止まず、唾血赤線を引き、或いは点斑をなす者は、肺損に属す。外候軽きに似たりと雖も最も難治となす。:「+白芨・桑白皮」《高階枳園》
[8]喉頭炎(腫痛): ☆喉痺腫痛を治す。「石膏」
[9]嗄声:☆咽喉腫痛し、嚥下困難、或いは声音嘶嗄等を現す証《奥田謙蔵》
[10]失音:☆痰咳失音しつ者を治す「薯蕷・生姜」《方読便覧》☆寒に感じて声出でざるを治す:「訶子」を作末し砂糖小塊と煎じ、細かく吸う。
[11]小児の鵞口瘡(紫円と併用)
[12]新生児の疾患:☆初生の鼻づまり。☆乳を吸うことが出来ない。《方読便覧》
[13]舌苔<微黄~黄>
[14]タンが腐敗臭:☆肺癰已に膿を吐く後、宜しく服すべし:「生姜、大棗」
[15]肺壊疽
[16]肺膿瘍:☆肺化膿症の初起に:「薏苡仁・糯米」《張子和》
[17]扁桃炎:☆扁桃炎や扁桃周囲炎で悪寒や熱のない者に用いる《大塚敬節》☆ある日、のどが腫れて塞がって、口を開けることも出来ず、飲食も出来ないという青年を診察した。脈は大きいが、熱も悪寒もない。歯の間からのぞいてみると、扁桃周囲炎らしい。そこで桔梗湯を与 えたところ、なかなか呑めないので、少しずつ口に入れて、1口ずつ呑み込むことにあいた。すると1日分を1/3位呑んだ時、急に嘔逆の状になって、のどに力が入った途端に、一度に、膿血が口から流れ出て、それきり治ってしまった。周囲炎の患部が破潰したのである。
桔梗には排膿の作用もあり、催吐作用もあるから、こんな結果になったのであろう。 私が漢方を独学で勉強している時、咽喉結核の患者に桔梗湯を与えて、激しい喀血を誘発せしめたことがあった。桔梗を多量に用いると、食欲を害したり、悪心を起こすことがあるから中止しなければならない、《大塚敬節》☆病人、咽痛する者は、甘草湯を与ふ可じ。若し差えずして、腫痛する者は、桔梗湯を与ふ。若しその人、懸雍の傍、腫れ起り、飲食入ること膿はず。語言出で難き者は、急に当に之を刺し、少しく膿血を去るべし、則ち頓に癒えん《医聖方格》
[18]脈:<数> 桔梗湯[2]《外台秘要方》 「桔梗3升、木香3両、地黄2両、甘草2両、敗醤2両、薏苡仁2両、桑白皮1升、当帰1両」◎肺癰、時を経て差えざるを療す。◎此方は肺癰の症、「葦茎湯」「桔梗湯」等を与えて、臭膿減ぜず、日を経て血気衰弱する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎桔梗湯は、能く肺癰始萠の者を治す。証拠未だ具わざるも、口に腥臭ある者、之を用いて尤も効あり。敗醤或いは葶藶子に代う。《先哲医話》
◎婦人帯下にて肺痿状を見す者に運用すべし。 桔梗湯[3]《東醫寶鑑》 「桔梗・甘草各1銭半、当帰・馬勃各1銭半、麻黄5分、白僵蚕・黄芩各3分、桂枝少し」水煎服。
◎咽喉の腫痛で語声がちぎれる症。
桔梗湯[4]《東醫寶鑑》「桔梗・半夏(製)・陳皮(去白)各1両、枳実3銭」粗末にし、毎回3銭を姜5片と水煎服用。◎痰を除き咳嗽を止め、また心咳を治す。
桔梗湯[5-1]《厳氏済生方》《中薬臨床応用》「桔梗・防已・桑白皮・貝母・当帰・枳殻・栝楼仁・薏苡仁各1.5g、黄蓍2g、杏仁・甘草・百合1g、生姜」煎服。◎排膿。
桔梗湯[5-2]《厳氏済生方》《古今方彙》「桔梗・貝母・当帰・括楼仁・枳殻・桑白皮・苡仁・防已各1両、杏仁・百合・甘草節各半両、黄蓍1両半、生姜」水煎。◎《医学入門》は、-枳殻+人参。◎肺癰にて唾膿血、咽乾きて多く渇し、大小便不利するを治す。◎大便秘する:「大黄」◎小便閉には:「木通」◎喘急に:「+葶藶子」《万病回春》◎口燥には:「黄芩」
桔梗解毒湯[1-1]《方輿輗》「遺糧8~50銭、川芎3分、大黄2分、桔梗1銭、黄蓍2分、芍薬3分、甘草3分」◎黴毒咽喉に在り、声嗄する者を治す。◎結毒上攻、咽喉腐爛を療す。《黴瘡約言》◎此方は咽喉結毒の主方なれども、凡て上部の結毒(=梅毒)に用いて宜し。◎咽喉結毒、此方を用いて効無き者:結毒喉癬湯、五宝丹を用いるべし。◎鼻淵初起の者を治す。《方読便覧》◎「黄蓍芍薬石膏木通」=「咽疳解毒湯」《勿誤薬室方函口訣》
桔梗解毒湯[1-2]《漢方治療の実際》「土茯苓(山帰来)・川芎各3、大黄1、桔梗3、黄蓍2、芍薬3、甘草1.5」
★適応症及び病名(ききょうげどくとう) [1]咽頭痛:☆梅毒から来る咽痛に用いる《大塚敬節》☆58歳女性。腰痛と咽痛を主訴として来院した。この患者には梅毒があるが、その治療の為に洋薬を使用すると、副作用がひどくて、とても連用が出来ないと言う。のどは乾燥気味で、飲食のたびに痛むという。私は桔梗解毒湯大黄地黄麦門冬を用いたところ、2週間ほどで、疼痛を忘れた。そこで腰痛を治する目的で。養血湯に転方したところ、腰痛は軽くなったが、またのどが痛むという。そこで仕方なく、桔梗解毒湯と養血湯とを交互に呑ますことにした。続服10ヶ月、自覚症状は去り休薬した。《大塚敬節》
桔梗白散《外台秘要方》《金匱要略》「桔梗・貝母各3分、巴豆(去皮熬研如脂)1分」右三味、為散、強人飲服半銭匕、羸者減之。病在膈上者、吐膿血、膈下者瀉出、若下多不止、飲冷水1杯則定。◎治而胸満、振寒、脉数、咽乾不渇、時出濁唾腥臭、久久吐膿如米粥者、為肺癰。
《金匱要略》肺痿肺癰咳嗽上氣脉證治第七。 「濁唾」=汚い喀痰 「腥臭」=その痰がなまぐさい臭味をもつ。 桔梗白散証=時に濁唾・腥臭を出し、久久にして膿を吐す《薬徴》
桔梗白散《外台秘要方》《金匱要略》◎虚弱者・老人・幼児には用いないほうが良い《大塚敬節》
★適応症及び病名(ききょうはくさん)[1]胃潰瘍
[2]息切れ
[3]咳嗽
[4]喀痰<濃厚>
[5]急性肺炎
[6]ジフテリア
[7]食中毒
[8]心胸部痛<劇痛>
[9]心下痞硬
[10]心不全
[11]肺壊疽:☆肺壊疽の初期、胸痛のある時に用いる《大塚敬節》☆25歳女性。愛人とアパートに住んでいたが、数日前から胸が痛むようになった。1医は肋間神経痛だと云い、他医は肋膜炎だと云ったという。私が招かれて云ったときは、体温が38℃近くに上り、咳をしていたので、痰をよくみたところ、肺壊疽特有の臭い痰であった。病巣は右肺上葉にある。この部には自発痛があり、右肩が凝る、みゃくは大きくて力がある。私はこれに桔梗白散を与えようと考え、桔梗と貝母をそれぞれ1.0に、巴豆0.5を混和し、これを2等分し、その1包をお湯で飲ませた。
2、3分たつと、嘔吐が始まり、5分ぐらいたった頃、クルミの実大の膿塊が咳と共に飛び出てきた。20~30分たつと、下痢が始まった。白い粘液がたくさん出る。しかし患者は、胸がスーッとなって、気持が良いという。翌日は平熱となり、胸の痛みもなくなった。そこで柴胡枳桔湯を1ヶ月ほど飲ませ、それですっかり全快した。《大塚敬節》☆50歳男性。右肺下葉に肺浸潤があると診断されたというが、病室に入ると、肺壊疽らしい悪臭があり、喀痰を見ると、間違いなく肺壊疽である。患者は体力もあり、脈にも力があるので、桔梗白散を頓服せしめた。すると、10分もたたないうちに、胸が焼けるとようだと云い、食物を吐いてしまった。そのあとで、鶏卵大の肉の塊を吐いた。それから30分ほどたつと下痢が始まった。そこで、かねて準備しておいた冷たい粥を1杯飲ませたところ、20分ぐらいで下痢も止んだ。この患者は桔梗白散を飲ませる前には40℃近い熱があったが、肉塊を吐いたとたん下熱し始め、その夜のうちに平熱となった。そこで柴胡枳桔湯+葶藶を2ヶ月ほど与え、そのまま全快した。《大塚敬節》
[12]肺水腫
[13]肺膿瘍
[14]煩躁
[15]百日咳
[16]浮腫 桔梗枳穀湯《東醫寶鑑》 =「桔梗湯」「桔梗・枳穀各2銭、甘草1銭、生姜5片」水煎服。 ◎痞気で胸が脹満する症。 枳芎散《東醫寶鑑》「枳実・川芎各5銭、甘草2銭半」作末し毎回2銭を姜棗湯で調下する。◎左脇肋の刺痛する者。
枳殻丸《東醫寶鑑》「枳殻2両、陳皮1両、檳榔5銭、木香2銭半、黒牽牛子4両の半分は生で、半分は炒熟して叩いて頭末をとって1両半を作末して蜜で梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸飲む。◎三焦がつまって大小便の不通のとき。
枳殻益気湯《中薬臨床応用》「枳殻(炒)18g、黄蓍30g、党参15g、白朮12g、升麻6g、陳皮5g、当帰9g、益母草15g、甘草(炙)6g」水煎服。◎産後の子宮脱◎慢性の下痢で脱肛。
枳殻化滞湯《病因脈治》「枳殻、萊菔子、厚朴、神麹、陳皮、麦芽、砂仁」 枳穀散[1]《婦人良方》「大柴胡湯−大黄」 ◎婦人手足煩熱、夜臥多汗、肌肉黄瘁、経行不調、四肢は煩倦、心胸満悶状は労気の如きを治す。《雑病翼方》
枳穀散[2]《東醫寶鑑》「枳穀2両、黄連・白芍各1両、槐花(炒)・地楡各5銭、甘草2銭半」を作末し、毎回1両を煎服。 ◎臓毒を治す。
<a href="http://www.naoru.com/"><img src="file:///C:/Users/soga/Documents/Site_naoru/naorucom6.gif"
width="88" height="19" border="0"></a>枳殻散[3]《東醫寶鑑》「枳殻1両2銭半、甘草(炙)3銭7分半」作末して毎回2銭を濃く煎じて葱白湯で服用。◎何かで刺すように痛む脇痛。
#枳穀散[4]《東醫寶鑑》「便香附1両、枳殻・白朮各5銭、檳榔2銭」を作末して、毎回2銭を米飲で1日3回調下する。◎心下に積があって痞満・疼痛・腐った卵のような噫気の症を治す。
#枳穀湯《東醫寶鑑》「白朮3銭半、枳殻・黄芩各1銭7分半を作1貼して、水煎服用。◎胎漏の下血を治す。
#枳穀散《東醫寶鑑》「厚朴・枳殻・桔梗各2銭、大黄(蒸)・甘草(炙)各1銭、姜5、棗2」 水煎服。◎熱脹を治す。
#枳穀煮丸《東醫寶鑑》「枳穀2銭、細辛・桔梗・防風・川芎各1銭、葛根7分、甘草5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎悲哀が肝を傷つけ、両脇が疼痛しる。又は七情が肝を傷つけて、両脇・両腋ともに痛む者。
#枳実括楼薤白散加減《中薬臨床応用》「枳実6g、括楼仁15g、薤白9g、製半夏6g、黄連3g、陳皮3g」水煎服。◎肋膜炎。
#枳実薤白桂枝湯[1-1]《金匱要略》「枳実4枚、厚朴4両、薤白半斤、桂枝1両、括楼(搗)1枚」右五味、以水五升、先煮枳実、厚朴、取二升、去滓、内諸薬、煮数沸、分 温三服。◎胸痺、心中痞、留氣結在胸、胸満、脇下逆搶心、枳実薤白桂枝湯主之、人参湯 亦主之。《金匱要略》胸痺心痛短氣病脉證治第九。
#枳実薤白桂枝湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「枳実・厚朴各3、薤白4、桂枝1、括呂実4」◎胸痺、胸腹満痛し、上逆する者を治す。《吉益東洞》◎この方は元来、心気を労し或いは憤怒によって胸が塞がって痛む者に用いる。この症が痰飲があって、痞塞し、気が欝滞して、胸下から逆して心胸に衝き、気を労することがあると胸に詰まって痛みが甚だしくなる者によい。この方と人参湯とは交互に用いる。ただ甘味を好む者は人参湯、苦味を好む者はこの方を用いるとよい。俗に積気と呼ぶ者に、ままこの症がある。《福井楓亭》◎此方は、胸痺、槍逆の勢甚だしく、心中痞結する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎栝楼薤白白酒湯一類の薬:①括楼薤白半夏湯:心痛背に徹し臥することが出来ない。②枳実薤白桂枝湯:脇下より逆槍するを主とする。③栝楼薤白白酒湯:喘息胸痛を主とす。
◎元来、心気を労し、或いは忿怒に因り、胸塞がり、痛をなし、津液之が為に一身に布くこと能わず、凝唾と成って出づる者。上の3方を考えて用いるべし。《勿誤薬室方函口訣》◎胸満痛、心中痞気《龍野ー漢方処方集》◎この方は上記の①②と違って、季肋下や心下から胸にかけて差し込んで痛む者に用いる。《大塚敬節》
★適応症及び病名(枳実薤白桂枝湯)[1]胃痛[2]狭心症 [3]胸痛[4]心痛[5]胆石症[6]肋間神経痛 枳実丸《東醫寶鑑》「枳実1両、白芍(炒)・雀脳芎・人参各5銭」を細末にし、毎回2銭を姜棗湯で調下する。 ◎男の肝気不足・両脇の疼痛。
#枳実梔子湯[1-1]《傷寒論》=「枳実梔子豉湯」「枳実(炙)3枚、梔子(擘)14箇、豉(綿嚢)1升」右三味、以清漿水七升、空煮取四升、内枳実、梔子、煮取二升、下豉、更煮五六沸、去滓、温分再服、覆令微似汗。若有宿食者、内大黄如博碁子五六枚、服之愈。◎大病差後労復者、枳実梔子湯主之。
《傷寒論》辨陰陽易差後労復病脉證并治第十四。
#枳実梔子豉湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》「枳実2、梔子4、香豉8」 ○為則按ずるに、梔子・香豉は心中懊悩を主治す。しかしてさらに枳実を加ふれば、則ちその胸滿の証あるや明らかなり(薬徴の枳実)
○枳実梔子豉湯条に、心中懊悩の証なし。為則按ずるに、梔子大黄豉湯は、此れ枳実梔子豉湯にして大黄を加ふるもの、しかもその条に心中懊悩の証あり。心中懊悩は固より大黄の主治するところにあらず。然れば則ち枳実梔子豉湯条に、その心中懊悩の証を脱するや明らかなり。
#枳実梔子豉湯[1-3]《傷寒論》=「枳実梔子湯」「枳実2.4、梔子1.6、香豉9.6」右三味、醋二勺、水二合を以て、空煮して一合二勺と為し、先づ二味を入れ、煮て六勺を取り、滓を去り、後、香豉を入れ、五六沸し、滓を去りて一回に服用す。
◎此方、原本に在りては、清漿水を以て薬味を煮る。今、《尾台榕堂》の改むる所に従う《奥田謙蔵》◎枳実梔子豉湯の条に心中懊悩の証無し。蓋し脱文なり。為則梔子大黄湯を按ずるに即ち枳実梔子豉湯中に大黄を加うるものにして心中懊悩の証あり。則ち此の条は心中懊悩を脱するや明らかなり。《重校薬徴》
◎梔子豉湯証にして、胸満する者を治す《類聚方広義》◎病人、心下堅く、之を按じて痛まず、而して心中懊悩する者は、枳実梔子豉湯之を主どる。《医聖方格》◎大病差後労復、或いは微熱、或いは不眠、或いは食欲不振、或いは胸しき者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(枳実梔子豉湯)[1]胸苦しい:☆汗下の後、胸部及び心下部に欝塞を感じて煩悶し、せず、渇せず、便通やや渋滞の傾向ある証《奥田謙蔵》
☆胸部に閉塞の感ありて煩悶し、便通整順ならず、その脈遅なる証。若し便秘する者は、また証に由り大黄を加す《奥田謙蔵》☆凡そ大病新に差え、血気未だ復せざるに方有り、労働、飲啖度に過ぐるときは、則ち或いは心胸満悶を作し、或いは煩熱を作す。此方を与えて将養すれば則ち癒える。若し大便通ぜず、宿食有る者は、 枳実梔子大黄豉湯に宜し《類聚方広義》
[2]やせる:☆虚羸して、欝熱の状あり、心下痞《傷寒論》、或いは痛み、せず、渇せず、便通渋滞し、その脈浮沈定まらざる証《奥田謙蔵》 枳実芍薬散《金匱要略》「枳実(焼令黒勿太過)・芍薬」等分。右二味、杵為散、服方寸匕、日三服、并主癰膿、以麦粥下之。◎産後腹痛、煩満不得臥、枳実芍薬散主之。
《金匱要略》婦人妊娠病脉證并治第二十。◎産後の腹痛煩満、或いは化膿性疼痛、或いはしこり。 《龍野ー漢方処方集》
#枳実酒《東醫寶鑑》「枳実((麩炒黄)を切って毎回3銭を、温酒1杯に1時間浸して、枳実は捨 て酒を飲む。◎全身に白疹が出て、かゆいとき。
#枳実清痞丸《東醫寶鑑》「枳実・黄連各5銭、厚朴4銭、半夏(麹)・人参・白朮各3銭、乾生姜・白茯苓・麦芽・甘草各2銭」を作末し、梧子大の丸剤。白湯で100丸を空腹時に服用。
◎心下が弱って痞となり、右関脈ののろい症。
#枳実大黄湯[1]《万病回春》《勿誤方函口訣》「小承気湯檳榔・甘草」◎食積、大便通ぜざるを治す。《方読便覧》
#枳実大黄湯《万病回春》《古今方彙》「枳実、厚朴、大黄、檳榔子、甘草」水煎し空心に熱服す。利するを以て度となす。◎胸腹に食積ありて大便通ぜざるを治す。◎大便結実し、胃中痛む者を治す。◎腹痛甚だしき:「木香」
#枳実大黄湯[2]《万病回春》《古今方彙》「枳実・大黄・檳榔子・厚朴各2銭、甘草3分、木香(別研)5分」水煎。◎食積痛併せて積熱痛にて大便通ぜざるを治す。
枳実大黄湯[2]《東醫寶鑑》「大黄2銭、厚朴・枳実・檳榔・甘草各1銭、木香5分」水煎服。◎熱物にあたって便が通じない者を治す。
枳実大黄湯[3]《東醫寶鑑》「大黄(酒)3銭、羗活1銭半、当帰1銭、枳実5分」水煎し空腹時に服用。◎湿熱脚気の腫痛を治す。
枳実湯[1]《厳氏済生方》 =厚朴七物湯《金匱要略》◎腹脹発熱し、大便秘実し、脈は多く洪数なるを治す。此れ熱脹と名づくと。熱 は当に寒となして看るべし。《勿誤方函口訣》
枳実湯[2]《実在易》《勿誤方函口訣》「枳実3両、半夏、生姜半斤」「橘皮枳実生姜湯橘皮半夏」《雑病翼方》◎心痛、胃脘及び胸脇・大小腹の諸病、按を拒む者を治す。
枳実導滞丸(一名導気枳実丸)《東醫寶鑑》「大黄1両、枳実・神麹各5銭、茯苓・黄芩・黄連・白朮各3銭、沢瀉2銭」を作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。温水で70~80丸呑む。
<注>本方木香・檳榔各2銭⇒「木香導滞丸」。◎湿熱の食にあたり、消化されず痞満の症。
枳実導滞丸《内外傷弁惑論》《中薬臨床応用》「枳実9g、大黄(生)9g(後下)、白朮9g、黄芩6g、黄連5g、茯苓9g、沢瀉6g、神麹9g」水煎服。◎急性胃腸炎◎細菌性下痢、裏急後重、腹痛。
(腐敗臭・裏急後重・細菌性下痢)
枳実導滞湯[1]《重訂通俗傷寒論》「枳実、大黄、檳榔子、厚朴、連翹、黄連、神麹、紫草、山楂肉、木通、甘草」
枳実導滞湯[2]《内外傷弁惑論》《中薬臨床応用》「枳実9g、大黄(生)9g(後下)、白朮9g、黄芩6g、黄連5g、茯苓9g、沢瀉6g、神麹9g」水煎服。◎下痢◎裏急後重◎胸苦しい
枳実分消湯《寿世保元》《古今方彙》「厚朴5銭、枳実2銭半、大黄・甘草(炙)各1銭半、官桂1銭2分、生姜、大棗」水煎。 ◎腹脹り発熱し、陽並びに陰を以て則ち陽は実し陰は虚し、陽勝てば則ち外熱し、陰虚すれば則ち内熱を生じ、脈は必ず浮数、浮は則ち虚となし、数は則ち熱となし、陰虚すれば宣導する能わず、飲食故の如く、固より脹満を致す者は之を熱脹となす。此方に宜し。◎吐には:「半夏」◎自利には:「大黄」◎寒多ければ:「乾姜」
枳実理中湯《証治要訣》 「理中丸枳朮・茯苓」◎霍乱ならびに種々の吐瀉後、胸膈高起し、痞塞絶えんとするを治す。◎腹内諸般冷痛に加減して無限の用をなす《雑病翼方》
枳実理中元《東醫寶鑑》「枳実(麩炒)・人参・白茯苓・白朮・乾姜(炮)・炙甘草」各等分を作末し、蜜でまぜ、1両を4丸につくり、熱湯で服用。 ◎寒実痞満を治す。
枳縮二陳湯[1-1]《万病回春》《漢方後世要方解説》「枳実1、砂仁1.5、半夏3、陳皮27、香附子2、厚朴2、小茴香1、延胡索27、木香1、草果1、乾姜1、甘草1、生姜1、茯苓3」◎涎心膈上に在り、腰背に攻め走り、して大いに痛むを治す。◎此方は痰飲にて、キョウは胃走痛する者を治す。疝にて背痛する者は「千金当帰湯」を用い、痰より来る者は此方を用ゆ。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は慢性胃炎を患う者、種々の誘因によって胸中の痰、胃内停水が毒性を帯びて心下を攻めて痛み烈しく、胃痙攣の如く、心臓部、両乳間に攻め上って狭心症の如く、心臓神経痛の如く、同時に嘔吐乾嘔あってその痛み腰背に遊走する症を治する。総て胸元に痛み甚だしくある者に用いられる。疝に痰飲を兼ねたものである。
枳縮二陳湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「枳実・砂仁・半夏・陳皮・香附子各1銭、厚朴・小茴香・延胡索各8分、木香・草豆・乾姜各5分、甘草3分、生姜、大棗」水煎。竹瀝を加える。
◎涎が心膈の上にあり、腰背に攻め走り、して大いに痛むを治す。
枳縮二陳湯[1-3]《丹渓心法》「二陳湯枳実・縮砂」◎順気、寛中、消痰飲。
枳縮二陳湯[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「枳実・縮砂・半夏・陳皮・香附子各3.0g、厚朴・小茴香・延胡索各2.5g、木香・草豆・乾姜各2.0g、甘草1.0g」
枳縮二陳湯[1-5]《万病回春》《漢方治療の実際》「枳実・縮砂・半夏・陳皮・香附子各2、厚朴・小茴香・延胡索各1.5、木香・草豆・乾姜・甘草各1.0、生姜3、竹瀝2」
今、竹瀝を去って、茯苓2を加える。◎涎、心膈上にあり、腰背に攻走し、大痛するを治す。◎此方は痰飲にて胸背走痛する者を治す。◎先輩の伝に、
①疝にて背痛する者は、当帰湯《備急千金要方》②痰より来る者は枳縮二陳湯。◎痰飲性の腰背痛、吃逆、嘔吐。◎目標:「この方は吐がひどくて、胸から腹にかけて痛み、又、背へ連り腰へかけて痛みが甚だしく種々の処方を用いても効のない者に与えて奇効がある。」《大塚敬節》「すべて鳩尾(みずおち)の痛みがひどくて吐する者には先ずこの方を用いてみるが良い。その目当ては、とかく疼痛が漉し、背に連るというとことにある。」《梧竹楼方函口訣》★適応症及び病名[1]胃痛: ☆胃ケイレン、嘔吐、腰背痛ある者《矢数道明》 ☆胃下垂などの慢性の胃疾患があって、腰・背・胸などに疼痛が放散する者に用いる《大塚敬節》[2]狭心症: ☆痰飲による胸内苦悶に用いることが多い《矢数道明》[3]胸痛: ☆一切の心痛及び痰飲、寒疝の衝心する者を治す。:「川烏」《雑病翼方》[4]小児:
☆壊症、腫を発し、補瀉無効のものに虫薬にて癒える者あり、此方しばしば験あり。《方読便覧》[5]心臓神経症: ☆胸膈停飲によって、心臓神経症、肋間神経痛など《矢数道明》[6]背痛[7]腹満: ☆腹満して湯水も収まらない者《矢数道明》 ☆大小便秘閉《矢数道明》
[8]慢性胃炎[9]腰痛[10]溜飲症: ☆陳旧の胃内停水、慢性胃炎など《矢数道明》 枳縮二陳湯[2-1]《東醫寶鑑》「枳実1銭、川芎8分、縮砂・白茯苓・貝母・陳皮・紫蘇子・瓜仁・厚朴・便香附子各7分、木香・沈香各5分、甘草3分」木香・沈香を除いて剉作して1貼にし、姜3片を入れて水煎し竹瀝・沈香・木香各5分を濃くひいて入れて飲む。◎関格の上下不通を治し、これは痰が中焦をふせぐ症だが、この薬を飲んで痰を出させる。
枳縮二陳湯[2-2]《寿世保元》《古今方彙》「枳実1銭、茯苓・貝母・陳皮・香附子・紫蘇子・括楼仁・厚朴(便炒)・砂仁各7分、川芎8分、甘草3分、沈香・木香各5分、生姜」水煎し、竹瀝、磨沈香、木香を入れて服す。
◎関格上下通ぜざるを治す。
枳朮丸[1-1]《張潔古》《内外傷弁惑論》《蘭室秘蔵》 「枳実・白朮」 ◎痞をとり、痰を除き、脾を強くして、食が進む。
枳朮丸[1-2]《東醫寶鑑》「白朮2両、枳実(麩炒)1両」を作末して荷葉でくるみ、ご飯で梧子大の丸剤。熟水で50~70丸呑む。 ◎痞を治し、食を消化させ、胃を強くする。
(数日食べなかったあと下痢するとき)
枳朮丸[1-3]《朱丹渓》《勿誤薬室方函口訣》「枳朮湯[1-2]《金匱要略》」を丸として◎痞積を治し、諸kを消す、即ち健脾、去湿、利水の効あればなり。
枳朮散《医学従衆》「枳朮湯[1-2]《金匱要略》」を(研末)として、穀湯にて送下する。 枳朮湯[1-1]《金匱要略》「枳実7枚、白朮2両」右二味、以水五升、煮取三升、分温三服、腹中、即當散也。(=ゼン、やわらかい)
◎心下堅、大如盤、邉如旋盤、水飲所作、枳朮湯主之。《金匱要略》水氣病脉證并治第十四 ◎枳朮湯・桂姜草棗黄辛附湯の2方、金匱要略に載するところ、その因と証と同じ。しかして別つべからず。《薬徴》
心下堅大にして悪寒・発熱・上逆するものは桂姜草棗黄辛附湯之を主る。 朮は水を利するを主る。 心下堅大にして、小便不利するものは、枳朮湯之を主る。
枳朮湯[1-2]《金匱要略》《勿誤薬室方函口訣》「枳実7枚、蒼朮2両」右2味、《朱丹渓》、丸とし、痞積を治し、食を消し、胃を強くする。◎心下堅満し小便不利なる者を治す《吉益東洞》◎“水飲心下堅、小便不利する者は枳朮湯之を主る。頭痛発熱、喘咳、身体疼痛、悪寒甚だしき者は桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯(=桂姜草棗黄辛附子湯)之を主る”《重校薬徴》◎此方は心下堅塊ありて水飲を醸す者を主とす。◎常の積の類に非ずして、之を按ぜば轆々として声ある者なり。もし挫け難き者は甘遂半夏湯を交ぜ用いるべし。◎心腹堅大にして盤の如く、飲水のなす所を治す。名づけて気分という。《古今方彙》◎水飲、心下堅《龍野ー漢方処方集》★適応症及び病名[1]脚気
[2]腎炎[3]ネフローゼ 枳朮湯[1-3]《東醫寶鑑》「白朮4銭、枳実2銭」煎服。◎心下が大きく、何か丸い物があるような気がする、即ち、水の過飲による症に使う。
亀穀散《東醫寶鑑》「亀穀1個、男女の毛髪(焼く)一握り、川芎・当帰各1両」作末し毎回3銭を水煎服。 ◎難産で死にかかる者。◎骨盤が開かない者
亀尿解噤法《東醫寶鑑》「亀の小便を少しとって舌の下に付ける」亀の小便を取る方法:
亀を蓮葉の上に座らせて、ブタのたてがみ毛で亀の鼻をさすと小便をする。◎卒中風で口を閉じて開けられないとき。 亀板湯[1-1]《本朝経験》《漢方後世要方解説》「当帰・地黄各5、芍薬・川芎・亀板・石決明各4」◎痿躄を治す。一名痿躄湯と称す。◎此方は痿躄とて両脚下肢の運動麻痺を起こしたものを治する。
一般に両脚痿弱の者には四物湯を主方として加減せるものが多い。此方は下肢の筋萎縮に対し、血行を促し、機能を回復せしめる能がある。 産後の下肢麻痺には特に効がある。又、梅毒による脊髄癆にも屡々用いられ、安西安周氏は此方を脊髄カリエスに頻用されている。
◎亀板=陰を滋し、腎を補い、筋骨を強壮ならしむ。石決明=風熱、労極を治す。 亀板湯[1-2]《本朝経験》《龍野ー漢方処方集》「当帰・熟地黄各6.0g、亀板・芍薬・川芎・石決明各4.0g」「四物湯亀板・石決明」(一名:痿躄湯)◎痿躄を治す。◎此方は痿躄血分鬱して振るわざる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎産後の痿躄には別してあり。《橘窓書影》<1>亀板湯<2>血虚下元不足者:「腎気丸」《厳氏済生方》<3>病頑固動き難き者:「化毒丸」◎黴毒の痿証に附子の効なきに用いて宜し。《勿誤薬室方函口訣》◎腰脚麻痺、腰抜け、いざり。★適応症及び病名[1]いざり
[2]小児麻痺[3]脊髄脊椎疾患: ☆脊髄炎 ☆脊髄カリエス ☆脊髄癆[4]麻痺:☆本方は腱反射消失のこと多し。《済世薬室》 ☆産後の下肢麻痺
既済丸《東醫寶鑑》 「兎絲子(酒製)・益智仁(炒)・茯苓・韭子(炒)・肉蓯蓉(酒洗)・当帰・熟地黄各5銭、黄柏(塩炒)・知母(塩炒)・牡蛎()・山茱萸(酒蒸:去核)各3銭、五味子1銭」を作末し、酒麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に100丸を塩湯で服用。
◎膀胱が弱い失禁。◎気不足で陰火があって小便失禁する者。◎気不足で陰火が有って小便不禁になったとき。 既済精神散《東醫寶鑑》「桔梗・黄芩・赤茯苓・川芎・山梔子・当帰・白朮・羗活各1銭、知母・薄荷・甘草各5分」水で煎じ、蜜1匙を入れて服用。
◎中焦の熱を治す。 既済湯[1-1]《易簡方論》「竹葉石膏湯石膏、附子」 ◎下痢・発熱する者。◎此方は傷寒上熱下冷の症とす。《勿誤薬室方函口訣》
◎按ずるに、竹葉石膏湯の証にして脈数無根、或いは下痢し、上熱下冷の者に之を用いて効あり《傷寒翼方》◎虚煩、上盛下虚、煩躁自利、手足冷ゆるを治す。《医学入門》
◎《劉桂山》之を陽、陰に変じ、なお浮熱を剰す者、及び少陰病未だはなはだ脱に至らずして虚熱燥渇する者に施して奏功す。《傷寒翼方》 ◎霍乱後、虚煩眠るを得ざるを治す。按ずるに霍乱、理中、四逆湯等を服し、吐利已み、熱解せざる者、此湯に宜し。《雑病翼方》◎少陰病の軽症に別あり《先哲医話》<1>上焦、津液乾枯し、その症、白虎湯に似て、而して脈浮数、根脚無く、腹部軟弱に且つ微利し、渇すと雖も水数升を飲まんと欲するの勢無き者:「既済湯」<2>邪気緩満し、ようやく譫語煩躁を見し、肌熱甚だしからず、舌上濡潤し、所謂、労役寒に感ずる者:「姜附益気湯」◎按ずるに此方、少陽将に厥陰に脱陥せんとする者を治して極めて佳なり《傷寒翼方》
既済湯[1-2]《東醫寶鑑》「竹葉石膏湯石膏、炮附子2銭」 ◎霍乱の後、虚煩し、手足の冷える症。
既済湯[2]《傷寒溯源集》「小柴胡湯半夏、竹葉・麦門冬・附子」 ◎少陽のまさに厥陰に大陥せんとする者。
既済湯[3]《東醫寶鑑》「麦門冬2銭、人参・半夏・附子(炮)・甘草(炙)各1銭」作して、1貼に「姜5片、粳米100粒」入れて煎服。◎霍乱後の虚煩と不眠症を治す。
既済解毒湯《東醫寶鑑》「大黄(酒)・黄芩(酒炒)・黄連(酒炒)・桔梗・甘草各1銭、升麻・柴胡・連翹・当帰身各5分」水煎服。◎天行大頭瘟で頭面が赤く腫れ、疼痛する者を治す
起死回生散《寿世保元》《古今方彙》「当帰、川芎、白芍薬、生地黄、升麻、紅花」水煎。◎痘瘡七八日に至り、忽然として黒収に変じて腹内に入り、遍身抓破そ吮喘して死が須臾にある者を治す。
起痔湯《張氏医通》 「黄連・黄芩・黄柏・大黄・防風・荊芥・山梔子・槐角・苦参・甘草各400g、朴硝20g」以上の薬を3回に分け、煎液で患部を洗う。
起枕散《東醫寶鑑》「当帰・白芍薬各2銭、川芎1銭半、白・桂心・蒲黄・牡丹皮・延胡索・五霊脂・没薬各7分」作1貼し、水煎し好醋を入れ空腹時に服用。◎児沈痛で痛む者を治す。
起廃丸《百一貫》 「生漆、大黄、蕎麦粉」◎《荒木正胤》はかって、生漆と大黄と蕎麦粉の3味の丸剤を自ら試用して、その効を得た経験がある。この時は全身にウルシかぶれを生じ、発熱、浮腫肛門の内部まで腫れ上がって、あたかも脱肛のようになり、水瀉下痢して、回虫数条を下した。本方の使用法は、《百一貫》という著者不詳の口訣書に、起廃丸と名付けられている。
起癈丸《和田啓十郎》《漢方治療の実際》「乾漆・桃仁・伯州散各1、大黄2」以上を米粉で丸とし、1日量とし3回に分服する。 起癈丸《和田啓十郎》「乾漆・桃仁・伯州散各1.0、大黄2.0」以上1日3回に分服。◎瘀血の癈症及び結毒の百方効なき者を治す。1には諸々の痼疾多く瘀血に由り、或いは病久しうして瘀血を醸する等の癈疾に作る。また血癖、痼、積年癒えざる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
痼=子宮筋腫や子宮ガンを指す。 葵樹子湯《中薬臨床応用》「葵樹子250~1000g」搗いてつぶし、水を加えて3時間煎じ、数回に分服。◎ガン
稀涎散[1]《聖済総録》《中薬臨床応用》「角・細辛」各等量。作末し、湯に溶いて口に流し込んで吐させる。 ◎脳卒中による牙関緊急で実証に。
稀涎散[2]《東醫寶鑑》「皀角(皮・子)4錠、明礬1両」を作末し、温水で半銭を調下し、病が重い者は1銭を調服し、嘔吐すると、古い稀冷涎を1~2升吐出し、すぐさめる。◎吐剤。
◎風涎が咽喉につかえて通らないとき。
夏丸《中薬臨床応用》「草90g、夏枯草90g、竜胆15g」細末を蜜丸。朝晩9gづつ湯で服用。 ◎高血圧で、四肢にしびれがある。 桐丸《抜萃良方》「草、臭梧桐子」
桐丸【中成薬】《中薬臨床応用》「草250g、臭梧桐500g」細末を小豆大の蜜丸。◎風湿による関節がだるい 丸《張詠方》《中薬臨床応用》「草の葉と若い茎」数回蒸して日干し後、少し焙って作末し、蜜丸。朝晩に9gづつ湯or重湯で服用。◎風湿による痺痛◎慢性関節リウマチ
橘核丸《東醫寶鑑》「橘核(炒)・海藻(塩酒炒)・昆布(塩酒炒)・海帯(塩水洗)・桃仁(麩炒)・川楝子(炒)各1両、延胡索(炒)・厚朴・枳実・桂心・木香・木通各5銭」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。温酒又は塩湯で60~70丸呑む。」
◎4種の疝に卵核が腫脹し、又は石のように固く、小腹がしぼれる様に痛いとき。
橘核散《東醫寶鑑》「橘核1銭半、桃仁15枚、山梔子1銭、川烏(炮)・呉茱萸各5分」を炒って作末し、1貼をつくって水煎服。◎4種の疝の長くなったのには、橘核丸を使い、出たばかりのものには橘核散を使う。
橘核湯《中薬臨床応用》「橘核12g、川楝子5g、小茴香5g、肉桂3g(服)、木香3g(後下)、茘枝核12g、木通3g、桃仁5g、延胡索3g、海帯12g、昆布12g」 毎日1剤を煎じ2回に分服。◎陰黄水腫
橘甘散《東醫寶鑑》「橘皮・生姜(焙乾)・神麹(炒)」各等分に作末し、温水で梧子大の丸剤。米飲で50~70丸を1日2回づつ呑み下す。◎気嗽・痰嗽に良い。
橘帰丸《東醫寶鑑》「橘紅4両、当帰2両」作末し蜜で梧子大の丸剤。温酒で50~70丸飲む。◎婦人の肌膚と手足に血線のある者を治す。 橘杏丸《東醫寶鑑》「橘皮・杏仁」等分を作末し、蜜で梧子大の丸剤。米飲で70丸服用。◎老人・虚弱者の便秘。
橘薑丸《東醫寶鑑》「陳皮・生姜を同時に搗いて乾燥し、各2両を作末し神麹1両で糊をつくって梧子大の丸剤。米飲で30~50丸呑む。◎慢性の気嗽を治す。
橘紅丸【中成薬】「橘紅・半夏・杏仁・貝母・茯苓・麦門冬・石膏(生)・楼皮・陳皮・生地黄・桔梗・紫・款冬花・蘇子・甘草」◎咳嗽、痰が多い◎胸が苦しい◎腹が脹る
橘蘇散[1-1]《医学正伝》《東醫寶鑑》「橘紅・紫蘇葉・杏仁・白朮・半夏・桑白皮・貝母・五味子各1銭、甘草5分」を剉作1貼して、姜3片を入れて服用する。◎傷寒に咳をし、熱があって汗が出、脈が浮いて数多いとき、杏子湯を飲んで効のないときこれを飲む。
橘蘇散[1-2]《医学正伝》《古今方彙》「陳皮・木香・桑白皮・貝母・五味子各1銭、紫蘇葉・杏仁・甘草各5分、生姜」水煎。 ◎傷寒にて咳嗽身熱、汗あり悪風し脈浮の者を治す。◎《厳氏済生方》には、白朮ありて木香なり。◎1日暑嗽を治するの剤なり。
橘半枳朮丸《東醫寶鑑》「枳朮丸橘皮・半夏(姜製)各1両」◎飲食傷による痞悶に。
橘皮一物湯 「橘皮1両」良く洗って新水で煎服。 ◎気が凝固したとき。安逸をむさぼれば気が停滞する。
橘皮乾姜湯《東醫寶鑑》「橘皮2銭、人参1銭半、通草・乾姜・桂心・甘草(炙)各1銭」水煎服。◎胃が冷たく咳逆する者を治す。
橘皮枳実生姜湯《金匱要略》=「橘枳姜湯」「橘皮1斤、枳実3両、生姜半斤」右三味、以水五升、煮取二升、分温再服。◎胸痺。胸中氣塞、短氣、茯苓杏仁甘草湯主之、橘枳姜湯亦主之。
《金匱要略》胸痺心痛短氣病脉證治第九。 橘皮枳実生姜湯《金匱要略》《漢方治療の実際》「橘皮4、枳実3、生姜6」 橘皮枳実生姜湯《金匱要略》◎胸痺、心下痞満し、嘔する者を治す。《吉益東洞》◎胸痺、胸中気塞、短気、心下痞満、噎する者を主る。《重校薬徴》(参照→茯苓杏仁甘草湯)◎胸痺、胸中として満つる如く、噎塞習々としてきが如く、唾沫を渋燥するを治す。《肘後備急方》◎此方は気塞短気を主とす。<1>茯苓杏仁甘草湯:淡滲を用いる
(参照→茯苓杏仁甘草湯)<2>橘皮枳実生姜湯:辛開を用いる。◎短気=呼吸促迫《大塚敬節》★適応症及び病名 [1]息切れ[2]咽喉の痞塞感: ☆食道狭窄、及びその類証《奥田謙蔵》[3]飲酒による鬱血性肝疾患[4]吃逆:(=しゃっくりと吐) ☆痰飲に因る者:橘皮枳実生姜湯 ☆胃寒に因る者:丁香柿蔕湯龍眼丸《先哲医話》[5]悪心[6]気の上衝<+>
☆のぼせ[7]気管支喘息[8]気胸[9]吃逆: ☆吃逆頻発し、鎮止し難き等の証《奥田謙蔵》 ☆吃逆を主どる。橘皮湯、橘皮竹茹湯も亦皆同じ。案ずるに、当に心下痞の証有るべし《類聚方集覧》[10]逆流性食道炎[11]狭心症[12]胸中の痞塞感: ☆胸中気塞がり、逆し、或いはし、心下堅き者は、橘枳薑湯之を主どる《医聖方格》 ☆心痛、胃及び胸腹、大小腹の諸病、按を拒む者を治す:「橘皮半夏」《実在易》 ☆胸がつまる者に、山脇家では、橘皮枳実生姜湯茯苓杏仁甘草湯を用いる《大塚敬節》[13]胸痛: ☆胸痛、胸中ふさがり息が切れる者。《龍野ー漢方処方集》[14]呼吸困難 ☆胸部打撲によって呼吸困難。 ☆気管支喘息の少女で、発作時には全く食欲無く、飲食物を口に入れるとすべて吐き、呼吸困難とともに、みずおちの気持が堪えがたいほどに苦しいという者に、橘皮枳実生姜湯を与えて、発作を鎮めたことがある《大塚敬節》[15]自汗[16]心悸亢進[17]心下痞[18]心臓神経症[19]心臓喘息[20]心臓弁膜症[21]心不全:<鬱血性>[22]腎炎[23]声門浮腫[24]喘息[25]雑[26]呑酸[27]尿不利[28]ネフローゼ[29]肺気腫[30]肺水腫[31]背痛[32]浮腫[33]慢性胃炎[34]肋間神経痛
橘皮枳朮丸《東醫寶鑑》「白朮2両、枳実(麩炒)1両、橘皮1両」作末し荷葉でつつみ、ご飯で梧子大の丸剤。 ◎飲食が消化されず、心下の痞悶を治す。
橘皮散《東醫寶鑑》「陳皮を作末し麝香をまぜる。毎回2銭を酒で調服する。」 ◎吹乳・妬乳・乳癰を治す。 橘皮煎元《東醫寶鑑》「橘皮5両、甘草3両3銭、当帰・・肉蓯蓉・呉茱萸・厚朴・肉桂・陽起石・巴戟・石斛・附子・菟絲子・牛膝・鹿茸・杜仲・乾姜各1銭」を作末して、酒1升と橘皮末を容器に入れて煎じ飴のようになったら諸薬物を入れてかき混ぜて搗き、梧子大の丸剤。温酒or塩湯で、空腹時に50~70丸飲む。◎脾と腎の虚症。◎食欲がなく、痩せて虚弱し、憔悴するとき。
橘皮大黄朴硝湯《金匱要略》《奥田謙蔵》「橘皮2.4g、大黄・朴硝各4.8g」 右3味を1包とし、水1合4勺を以て煮て6勺を取り、滓を去って頓服する。此の方、原本に在りては方名無し。今、類聚方に従う。
◎証(鱠之を食して心胸間に在って化せず、吐せんとして後出でず)《薬徴》 「鱠」細くきざんだ生の肉。◎心胸の間に宿滞有りて、結ぼるる者を治す。《類聚方広義》◎此方は魚毒を解するの主剤とす。《勿誤薬室方函口訣》◎魚毒:「荊芥、橘皮、山楂子」の三味方も解す。《済世薬室》
★適応症及び病名[1]噫気 [2]悪心<激しい> ☆吐いた後も、気分が悪い。 ☆症状が軽い場合は「平胃散」《勿誤薬室方函口訣》[3]ジンマシン[4]宿便[5]消化不良[6]食中毒(魚肉)[7]食物の停滞感:☆鳥獣の肉類を食して消化せず、胃部に停滞の感ありて苦悶する証《奥田謙蔵》[8]食欲不振[9]心下痞痛[10]呑酸[11]肌荒れ[12]皮膚色:
<きたない><渋紙色>[13]皮膚掻痒症[14]二日酔い[15]発疹
橘皮竹茹湯[1-1]《金匱要略》「橘皮2升、竹茹2升、大棗30枚、生姜半斤、甘草5両、人参1両」右六味、以水一斗、煮取三升、温服一升、日三服。◎逆者、橘皮竹茹湯主之。
《金匱要略》嘔吐下利病脉證治第十七。
橘皮竹茹湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「橘皮4、竹茹2、大棗・生姜各6、甘草3、人参1.5」
橘皮竹茹湯[1-3]《金匱要略》《中薬臨床応用》「橘皮9g、竹茹6g、党参9g、甘草3g、生姜12g、大棗9g」水煎服。 ◎胃気虚の吃逆
橘皮竹茹湯[1-4]《東醫寶鑑》=「陳皮竹茹湯」「橘皮3銭、人参2銭、青竹茹4銭、甘草1銭、姜5、棗2」水煎服。◎胃が弱り、膈に熱があって咳逆する者を治す。
橘皮竹茹湯[1-5]《金匱要略》 「橘皮4.8、竹茹3.2、大棗1.6、生姜2.4、甘草1.4、人参0.8」右六味を一包と為し、水一合四勺を以て、煮て六勺を取り、滓を去りて一回に温服す。◎橘皮竹茹湯の証に逆と曰い、生姜甘草湯の証に咳唾涎沫止まずと曰う。按ずるに若(かくのごと)き証の人は、胸中に必ず攣引強急の状あり、是を以て大棗を用うること居多なり。莢丸の証の如きも亦然り故に棗膏を用う。又橘皮竹茹湯を按ずるに薬量に水率相当せず、且つ他薬の分量甚だ多くして、人参は僅かに一両なり、仲景の方中、絶えて此の如き者あらず、疑うらくは錯誤あらん。《重校薬徴》
◎此方、原本に在りては、薬量と水率と相応せず。又他薬に比して、人参の用量甚だ少なし。今、《方極附言》の改むる所に従う。《奥田謙蔵》◎此方は橘皮の下気を主として竹茹の順降を兼ねる。又、気逆を発する者の主とする。《勿誤薬室方函口訣》
◎《金匱要略》に“逆は、橘皮竹茹湯之を主る”といい、また“乾嘔、もし手足厥する者は橘皮湯之を主る”とある。この2つの処方は、ともに吃逆に用 いるが、橘皮湯の方は症状がはげしくて、手足の厥冷状になっている者を目標とする。私の経験では、橘皮は苦味の強いものが良く、[橘皮]の代わりに[陳
皮]を用いたのでは、効がない《大塚敬節》【腹証】《腹診配剤録》“胸脹れて、臓気尽く上行す。故に吃逆す”★適応症及び病名 [1]しゃっくり:(吃逆)(逆)
☆胸中痺し、逆する者を治す。《吉益東洞》☆又、甘草を多く入れるが手段なり。もし少量なれば効なし。甘草5両を用いるは深旨あり。逆、「甘麦大棗湯」を与えまま奏功す。その意知るべし。《雑病論識》☆逆(しゃっくり)には:①胸中に属する者:「丁香」②腹中に属する者:附子粳米湯甘草乾姜湯」③水飲ありて中気虚する者:「香砂六君子湯芍薬」☆吃逆を発する諸証。《奥田謙蔵》☆吃逆連綿として止まず、疲労、衰弱漸く加はれる者には、証に由り粳米、麦門冬を加ふ。《奥田謙蔵》
☆しゃっくり、百日咳《龍野ー漢方処方集》☆雑病のなれば月餘の者と雖も必ず効あり。☆濁飲上逆してする者:①陽に在る者:「半夏瀉心湯」②陰に在る者:「呉茱萸湯」☆傷寒痢病などの脱陽してする者には効なし。《勿誤薬室方函口訣》☆橘皮竹茹湯、にもいろいろありて、その因る処一ならざる者なれども、その病因を問わずして、ひらおしにに広く用る方あり。即ち此方そのものなり。凡そ逆家の総司とも云うべき薬なり。此方ならば、脈と腹の様子を問わずして、先ず最初に用いる薬なり。「橘皮湯」はこれの一段と強きものなり。橘皮湯は危篤の場にても用るなり。軽きは橘皮竹茹湯にてすむなり。橘皮湯は薬味少なくして、反って重き処に良きなり。霍乱などの末になり、とと一緒になり、薬も通らず、医者の手を離れたる時は、これにて効を得ることあり《有持桂里》
[2]百日咳:☆百日咳等煮た、証により半夏を加味し。《奥田謙蔵》[3]吐乳:☆小児の乳、及び百日咳には、此方に半夏を加ふれば極めて効有り。腹症に随ひて、紫円、南呂丸を兼用す《類聚方広義》
橘皮竹茹湯[2]《三因極一病証方論》《勿誤方函口訣》=「橘皮竹茹湯[1]《金匱要略》大棗茯苓枇杷葉麦門冬半夏」 「橘皮・竹茹・生姜・甘草・人参・茯苓・枇杷葉・麦門冬・半夏」 ◎逆・嘔・胃中虚冷し、一毎に89声相連なるに至り、収気回らず、人を驚かしむるに至るを治す。◎胃熱・多渇・嘔して食せざるを治す。
橘皮竹茹湯[3-1]《寿世保元》《勿誤方函口訣》 「橘皮・竹茹・大棗・生姜・甘草・人参・柿蔕1銭、丁香5分」◎吐利の後、胃虚・膈熱に因って嘔逆する者を治す。《雑病論識》
橘皮竹茹湯[3-2]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮2銭、人参1銭、甘草1銭、竹茹1銭、柿蔕1銭、丁香5分、生姜、大棗」水煎。◎吐利したる後に胃虚するに因りて膈(胸中の隔膜)熱し、逆する者を治す。◎坊考には、柿蔕・丁香を去る。◎身熱し、渇を発する:「柴胡黄芩丁香」
橘皮竹茹湯[4]《傷寒蘊要》《勿誤方函口訣》 =「 橘皮竹茹湯[1]《金匱要略》人参生姜大棗半夏茯苓黄連葛根」 「 橘皮・竹茹・甘草・半夏・茯苓・黄連・葛根」◎咳逆:、胃中虚冷し、一ごとに八九声相連なるに至り、収気回らず、人を驚かしむるに至るを治す。◎胃熱、多渇して食せざるを治す。《雑病論識》
橘皮湯[1-1]《金匱要略》「橘皮4両、生姜半斤」右2味、以水7升、煮取3升、温服1升、下咽即愈。◎乾嘔、、若手足厥者、橘皮湯主之。 橘皮湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「橘皮3、生姜6」◎胸中痺して、する者を治す《方極》◎痰逆して、悪寒するを治す《傷寒六書》★適応症及び病名[1]胃部の停滞感:☆胃部に停滞の感ありて、乾嘔を発する等の証《奥田謙蔵》[2]霍乱:☆霍乱、嘔吐止まず、四逆輩を用いて無効まる者、急に此湯を用いて験あり。《和田東郭》☆霍乱の後、煩躁し、臥して安ぜざるを治す《聖済総録》[3]しゃっくり:(吃逆)
橘皮湯[]《備急千金要方》 橘皮湯[2-1]《外台秘要方》=後世名「神秘湯」。《橘窓書影》「麻黄・紫蘇・橘皮・杏人・石膏各中、柴胡大、」右6味。
橘皮湯[2-2]《外台秘要方》 「橘皮4両、杏仁4両、柴胡3両、麻黄3両、蘇葉2両、生姜4両、石膏8両」◎肺熱、気上り、息、奔喘を療す。《雑病翼方》
橘皮湯[2-3]《刪繁》《勿誤方函口訣》「麻黄・紫蘇葉・橘皮・柴胡・杏仁・生姜・石膏」
橘皮湯[3]《東醫寶鑑》「橘皮3銭、青竹茹・甘草各1銭、人参5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎虚煩を治す。
橘皮湯[4]《東醫寶鑑》=「加味香蘇散」「陳皮・枳殻・川芎・槐花各1銭、紫蘇茎・檳榔・木香・桃仁・香附子・甘草各5分、姜3、棗2」煎服。◎気痔を治す。
橘皮半夏湯[1-1]《張氏医通》《漢方後世要方解説》「橘皮・柴胡・杏仁・桔梗・香附子各3、半夏・茯苓各4、桑白皮・蘇子各1.5、生姜1」 ◎此方は感冒後の亜急性又は慢性の気管支炎にて他に特記すべき症状なく咳嗽のみ残って癒えざる者によい。◎感冒の症、初め、桂枝湯、麻黄湯等を用いて表証は解したけれども咳嗽の止まざる者がある。もの心下に水気あって表解せざるは「小青竜湯」であるが、小青竜湯にて心下の水気去るもなお咳嗽止まず、微熱ある者に此方がよい。
◎半夏・茯苓・橘皮・生姜=二陳湯より甘草を去ったもの、諸痰飲を除く。柴胡=少陽の余熱を解く蘇子・桑白皮=痰を去り気を下す杏仁・桔梗=胸膈を利し、痰喘嗽を治す。香附子=気を開き痰を去らしむ。
橘皮半夏湯[1-2]《漢方治療の実際》「柴胡5、蘇子・橘皮・半夏・茯苓各3、香附子・桑白皮・杏仁・桔梗各2、生姜3」 橘皮半夏湯[1-3]《張氏医通》
「柴胡・紫蘇子・橘皮・半夏・茯苓・莎草・桑白皮・杏仁・桔梗・生姜」◎感冒の解後、咳止まざる者を治す。《張氏医通》 ◎此方は、桂麻にて発汗後、表証は解すれども、咳嗽独り止まざる者を治す。①もし、心下に水気ありて表解せざる者:「小青竜湯」②小青竜湯を与えて心下水気は去れども、咳嗽止まず微熱ある者:橘皮半夏湯
◎咳嗽或いは微熱を伴う。《龍野ー漢方処方集》★適応症及び病名[1]咽頭カタル [2]感冒[3]気管支炎[4]喫煙家[5]せき:☆感冒、気管支炎などで、小柴胡湯を用いて解熱し、ただ咳だけが残って止まない者に用いる《大塚敬節》
[6]慢性気管支炎 橘皮半夏生姜湯《東醫寶鑑》「陳皮・半夏各2銭、乾生姜。人参・通草各1銭」水煎服。◎咳逆。
橘連枳朮丸《東醫寶鑑》「白朮3両、梧実<あおぎりの実>(麩炒)・陳皮・黄連(酒炒)各1両、を作末し、荷葉煮湯で米糊をつくり梧子大の丸剤。 ◎脾を補い、胃を和し、消化させる。
橘葉散《東醫寶鑑》「皀角刺(略炒)1銭半、瓜仁1銭、青皮・石膏・甘草節・当帰頭・金銀花・没薬・蒲公英各5分、青橘葉ひとにぎり」酒1杯半を1杯まで煎じ、毎食後と就寝時に服用。◎乳房の核と乳癰を治す。
揆雲散《東醫寶鑑》「柴胡2両、羗活・防風・甘草各1両」作末し、毎回2銭を薄荷湯又は茶清で服用。 ◎風毒が上がって、眼目が暗く・かゆくて痛い症。
揆雲湯《東醫寶鑑》「羗活・防風・黄柏各1銭、荊芥・藁本・升麻・当帰・知母・甘草各7分、柴胡5分、川芎・黄蓍・葛根・細辛・生姜各3分」食後、煎服。◎目に黒・白瞖が出来たとき。
揆雲退瞖丸《東醫寶鑑》「甘菊・川椒・大賊・白藜・密蒙花・蛇道・蝉退・川芎・蔓荊子・荊芥穂・石燕子()・黄連・薄荷・瓜根・枳実・羗活・当帰・地骨皮・甘草」 各等分に作末し蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を茶清で呑む。◎揆膜を治す。
却毒湯《東醫寶鑑》「焔硝1両、瓦松・馬歯・甘草各5銭、五倍子・川椒・防風・側柏葉・枳穀・葱白・蒼朮各3銭」を水5杯で煎じ、3杯までに減じて、1日3回洗う。◎痔瘻を洗う。
却痛散《東醫寶鑑》「川烏(炮)1銭半、当帰・肉桂・石菖蒲・木香・胡椒各1銭、五霊脂・蒲黄(炒)各5分、塩、錯」水煎服。 ◎心気が冷えると堪えられない症。
却老烏鬚健陽丹《東醫寶鑑》「赤何首烏・白何首烏各1斤、牛膝8両を黒豆汁でまぜて蒸すこと3回、赤 茯苓を牛乳5升、白茯苓を人乳汁5升に、それぞれ強火で煎じて乾かした
もの各1斤、兎絲子・破故紙各8両を作末し、弾子大の蜜丸。毎回1丸 を1日2回温酒で呑む。」 ◎毛の白いのを、黒くする。 却病延寿湯 「人参1銭・白朮1銭・牛膝7分・白芍7分・陳皮5分・白茯苓5分・山楂 肉5分・当帰5分・甘草5分・生姜3斤を入れ煎服。春には川芎を加え、夏には黄芩・麦門冬を加え、秋冬には当帰・生姜を倍加する。小水量が回復すれば服用をやめる。
◎老人の小便量が少ない。
卻病延年湯《済世全書》《古今方彙》「人参・茯苓・白芍薬(酒)・牛膝・山楂子各1銭、白朮1銭半、陳皮8分、当帰7分、甘草5分、生姜」水煎。 ◎凡そ高年の人は但だ小水短少を訴える。即ち是の病には進んで宜しく此湯を用いるべし。これ《丹渓養母》の方なり。
◎春には:「川芎」◎夏秋には:「黄芩麦門冬」◎冬には:「当帰、生姜倍加」 ◎老人陰痿にて色を思いて精出でず、小便の道は渋りて淋の如くに痛むには車前子と牛膝を八味丸の内に加える。《薛立斎十六種》
◎老人精已に竭き而して復た之を耗し、大小便牽痛して愈々痛み、愈々便せんと欲し、便すれば則ち痛み癒ゆ。前薬を以て応ぜざれば急ぎ附子を加える。 逆挽湯[1-1]《名古屋玄医》《漢方治療の実際》「桂枝・甘草・茯苓・人参・朮各3、乾姜・枳実各2」
逆挽湯[1-2]《名古屋玄医》「桂枝人参湯枳実・茯苓」◎一二日微熱あり、泄瀉数十行にして、後に血を帯び、裏急後重するを治す。 「後重」=便意あるも排便無し。◎此方の手段は、逆流挽舟と云う譬えにて、下へ降りる力の無き者は、一応上へずっと引き上げて、弾みをつけるならば、その拍子に下る理にて、虚寒下利にて後重する者は、桂枝人参湯にて一旦表へ引き戻し、その間に枳実、茯苓にて押し流す時は、後重ゆるむと云う意なり。《勿誤薬室方函口訣》◎下痢:桂枝加芍薬湯乾姜を与えて下痢止まず、熱があり、気がある者。◎《希藻》曰く、発熱の初、泄痢未だ判らず、虚候を挟むに似たる者、世医先ず逆挽湯を用い、緊迫を視るに及べば則ち之を疏滌す。《雑病翼方》
瘧疾一方《医学正伝》《古今方彙》「常山1銭半、檳榔子1銭、丁香半銭、烏梅1個」作1貼、好酒1盞を用い、1宿を浸し、発する日に臨み清晨(明け方)に之を飲む。
◎久瘧、癒えざるを治す。
瘧疾一方《済世全書》《古今方彙》「蒼朮、陳皮、厚朴、藿香、半夏(倍)、柴胡、黄芩、青皮、茯苓、沢瀉、檳榔子、草果、烏梅、甘草、生姜」煎じ、未だ発せざる前に服す。
◎諸瘧新久已まざるを治す。 芎烏散《東醫寶鑑》 「川芎・烏薬」等分を作末し、毎回2銭を服用。◎産後の頭痛。
芎黄円《楊氏家蔵方》《龍野ー漢方処方集》「川芎・大黄」各等分。蜂蜜で0.3gの丸薬として6~9を3回に分服。◎便秘、頭痛のぼせ。
芎黄円《楊氏家蔵方》《勿誤薬室方函口訣》「川芎・大黄」各等分。◎風熱壅盛し、頭昏、目赤、大便難なるを治す。《楊氏家蔵方》◎此方は、《楊氏家蔵方》の主治を至的とす。《勿誤薬室方函口訣》◎風熱壅盛し肩背強急する者:「葛根湯」◎心下支飲ありて頭昏目赤する者:「苓桂朮甘湯」
◎頭瘡、耳鳴に兼用すべし。
芎黄散[1]《王獄産書》=「黄散」=「応鐘散」「大黄、芎」「大黄10.0、芎6.0」《奥田謙蔵》右二味、各別に細末にし混和して散と為し、1回2.0~4.0を酒服する。下るを以て度とする。又病証に髄ひ、毎夜連続服用するも亦可なり。◎産後大便秘を治するの方。◎産後両(産前と産後の各七日)の内、大便秘するは損する所無し。ただ緩満に薬を以て之を通ぜよ。
◎蒿麦粉を加え尤も効あり。《雑病翼方》◎転変し、治す可らざる者を治す。転変とは、病証転変して治す可らざる也。《古方兼用丸散方》 ◎瘡及び頭上の毒を治す《古方兼用丸散方》◎諸般の上逆甚だしく、大便せず、或いは頭痛、耳鳴し、或いは頭痒く、或いは白屑多く、或いは瘡を生じ、或いは頭眩、目瞑し、或いは肩強り、或いは口熱、歯痛するを治す。《春林軒丸散方》◎打撲して瘀血ある者は、蕎麦を加えて、酒にて服す。《春林軒丸散方》
芎黄散《漢方治療の実際》「大黄1、川芎2」以上を作末し、1回に服す。 芎黄散[2]《東醫寶鑑》「川芎・生乾地黄・当帰・山薬・白芍薬各1両、沈香5銭、甘草3銭」作末し、半銭を白湯で調下する。◎小児の髄の気が不足して骨に充満出来ず、歯が生えない。
芎活湯[1]《東醫寶鑑》「川芎・半夏・赤茯苓・独活・陳皮・枳穀・各1銭、白朮・甘草各5分、生姜5片」水煎服。 ◎水飲が経絡に停注して、臂痛になった者。
芎活湯[2]《古今方彙》「人参、黄芩、杏仁、甘草(炙)、石膏、麻黄、肉桂、川芎、葛根、升麻、当帰、独活、生姜」水煎。 ◎急驚にて角弓反張するを治す。
芎葛湯[1]《東醫寶鑑》 「川芎・半夏(製)・赤茯苓各1銭、陳皮・枳穀各5分、白朮・甘草(炙)各2分半、姜5片」 ◎逐水・利飲に応用。
芎葛湯[2]《東醫寶鑑》「川芎・乾葛・桂皮・細辛・枳穀・人参・芍薬・麻黄・防風各1銭、甘草5分、生姜3片」水煎服。 ◎風寒脇痛を治す。
芎帰飲《東醫寶鑑》「川芎・当帰・細辛各1銭、石菖蒲・白各7分、生姜3片、大棗2枚、紫蘇葉7枚」食後、水煎服。◎風邪で耳鳴りになった者を治す。
芎帰丸《東醫寶鑑》「川芎・当帰・黄蓍・神麹(炒)・地楡・槐花(炒)各1両、阿膠・荊芥・木賊・髪灰各5銭」を作末し、梧子大の蜜丸。50~70丸呑む。
◎腸風・臓毒が長引くとき。
芎帰湯[1]《備急千金要方》 「川芎3匁半、当帰5匁」◎去血多、因って眩冒、困悶を致す者を治す。 「眩冒」=能貧血によるめまい、精神昏迷症状。◎胎前産後、危急狼狽、垂死等の証を治す。◎和血の効、捷なりとす。《勿誤薬室方函口訣》◎血分の症に活用すべし。◎後世の「補血湯」は此方の一等虚する処に用いる。◎婦人産後、両乳伸長、細小にして腸の垂れるが如く、小腹を過ぎ、痛忍ぶねからず。名づけて『乳懸痛」』と曰う。芎帰湯を用いる。《方読便覧》◎児枕痛:「甘草乾姜湯」《和田東郭》◎月信痛:「甘草乾姜湯」《和田東郭》◎耳中出血:「茅根」少し塩を入れて煎服。◎婦人、陰中突出し、蛇の如く、或いは鶏冠菌様の者を治す。「白、甘草、胆草各等分」《方読便覧》
芎帰湯[1-1]《厳氏済生方》=「仏手散」「川芎、当帰」 ◎(失血過多でめまい)◎生理不順:☆月経淡白:「人参・黄蓍・白芍薬・香附子」◎難産:☆産にのぞんで、分娩の困難な者に頓服させる。《大塚敬節》
芎帰湯[1-2]《和剤局方》《古今方彙》「川芎・当帰各等分」水煎。◎一切の失血過多にて眩暈し醒めざる者を治す。◎虚甚だしければ:「+附子」
芎帰湯[1-3]《和剤局方》《古今方彙》 「当帰・川芎」水煎し或いは酒童便を入れて同じく煎じる。◎一名「仏手散」:という。◎産前産後の諸疾及び難産、催生(陣痛発来のこと)、崩漏、胎動、胎痛を治す。◎新産の婦人、之を用いれば血を調えば則ち諸症悉く癒える。◎益母草5銭を加えるも亦妙なり。
◎気弱には:「人参」◎悪血には:「紅花」 芎帰湯[2]《証治準縄》 「川芎・当帰・人参・茯苓・呉茱萸・苦桔梗各12g、川厚朴・芍薬各8g清水9升にて煎じて3升とし、3回に分けて服用する。」
#芎帰膠艾湯[1-1]《金匱要略》 「芎2両、阿膠2両、甘草2両、艾葉3両、当帰3両、芍薬4両、乾地黄6両」右7味、以水5升、清酒3升、合煮取3升、去滓、内膠令消盡、温服1升、日3服、不差更作。◎師曰、婦人有漏下者、有半産後因續下血都不絶者、假令妊娠腹中痛、為胞阻、膠艾湯主之。
芎帰膠艾湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「川芎・阿膠・甘草各2、艾葉・当帰各3、芍薬4、地黄6」原方では水のほかに酒を加え、阿膠はあとから入れることになっているが、今、水だけで煎じ、阿膠も初めから一緒に入れる。
「地黄」*芎帰膠艾湯・三物黄芩湯・八味丸、皆地黄を以て君薬となし、2方は血証を言ひ、1方は小便不利を言ふ。膠艾湯方中、地黄を除くの外、阿膠・当帰・あり、鈞(ひと)しく是れ血を治する薬なり。三物黄芩湯は地黄を去れば、則ちその余は血を治するの薬品なし。是れに由って之れを観るに、古人の地黄を用ふる、並びに血証・水病を治するや覈(あき)らかなり。且つや、施治の法、血と水とを別たざるも亦明らかなり。《薬徴》
[施治の法]=治療を施すさいには血と水との気別をしないことも明瞭である 芎帰膠艾湯[1-3]《金匱要略》◎漏下、腹中痛み、及び吐血、下血する者を治す。《吉益東洞》◎此方は止血の主薬とす。◎阿膠の滋血、艾葉の調経、之に加ふるに甘草の和中を以てして、その効妙とす。
◎膠艾湯、調経、安胎、止漏、養血の良方となす《方読便覧》
◎《和剤局方》に云う、労傷、血気衝任、虚損、月水過多、淋瀝漏下、連日断えず、臍腹疼痛するを治す。
◎子宮出血、血尿、肛門出血、腰脚冷え、或いは下腹痛。《龍野ー漢方処方集》
◎鑑別:「三黄瀉心湯」「黄連解毒湯」「三黄瀉心湯や黄連解毒湯には消炎・鎮静・止血の効があるので、充血、のぼせ、興奮等を目標として、上半身の出血に用いることが多く、芎帰膠艾湯は鬱血を散じ、強壮・増血の効があるので、血色が悪く、冷え症のある者を目標とする。けれども、三黄瀉心湯も痔出血や子宮出血に用いることもあり、芎帰膠艾湯を衂血に用いることもある。」《大塚敬節》
◎鑑別:「当帰芍薬散」「芎帰膠艾湯と当帰芍薬散はともに、当帰・川芎・芍薬があり、前者には地黄・甘草・艾葉・阿膠があり、後者には、茯苓・朮・沢瀉がある。だから、芎帰膠艾湯は多く血に働き、当帰芍薬散は多く水に働く。」《大塚敬節》「芎帰膠艾湯:“腸痔、下血、綿々として止まず。身体痿黄、起きれば則ち眩暈し、四肢力なく、小腹刺痛する者を治す”
「当帰芍薬散」:“脱肛、腫脹、水を出して止まざる者に奇効あり”」《類聚方広義》
★適応症及び病名「芎帰膠艾湯」(きゅうききょうがいとう)
[1]頭がボーッとする
[2]外傷性出血
[3]顔色悪い
[4]下腹部知覚鈍麻
[5]眼出血
[6]ギックリ腰(初期に) ☆椎間板に異常がなく、下肢に痛みが走らない者に用いる。《螺王人》
[7]筋肉攣縮
[8]月経過多
[9]血小板無力症
[10]血尿:☆血尿証等《奥田謙蔵》☆《大塚敬節》“男子、42歳。3ヶ月前より血尿が出るようになった。日によってはブドウ酒のようになり、また日によっては桃色になることもあるという。その他には何の症状もない。しかしこの血尿はいつまでも治らないので、某大学病院に入院した。そこでいろいろ詳しく検査をした後、腎臓からの出血であることを突き止めた。しかし原因が分からず、特発性腎出血ということになった。ところがこの血尿はいつまでも止まらないので、退院して私に治を乞うた。腹診上は特にとりたてていうほどのものはなく、ただ僅かに臍部で動悸がやや亢進しているだけである。顔色は黒い方で、やや貧血の傾向がある。脈はやや沈で小である。食欲は普通で、大便も1日1行あり、排尿時にも苦痛はない。以上の所見から芎帰膠艾湯を与えたところ、4、5日後には肉眼では血尿らしいところが無くなり、その後、時々、疲れたときなどに血尿を出すこともあったが、だんだんそれも遠のき2ヶ月後には、体重が3kgほど増し全く健康体になってしまった”
[11]血便:☆血痢止まずして、腹満、熱実の症無く、ただ腹中攣痛し、脣舌乾燥する者は此方まま効有り《類聚方広義》
[12]眩暈(めまい):<起立性>
[13]口中(口内)出血
[14]喉頭結核
[15]肛門出血
[16]座骨神経痛
[17]産後の悪露が止まらない
[18]産後の子宮不全
[19]産後の出血
[20]産後の神経症
[21]産後の衰弱
[22]しびれ感(シビレ・筋肉のひきつり)
[23]弛緩性の出血
[24]四肢煩熱
[25]痔出血:☆痔出血にして、顔面蒼白、四肢に冷感ある証《奥田謙蔵》☆腸痔、下血綿々として止まず、身体萎黄、起てば即ち眩暈し、四肢に力無く、少腹刺痛する者を治す。若し胸中煩悸し、心気欝塞し、大便燥結する者は、黄連解毒湯、瀉心湯を兼用す《類聚方広義》
☆28歳の婦人。蒼白の顔をしている。一見してかなり貧血している。痔から永く出血しているが、手術が恐ろしいので、医者に見せたことはないと言う。動くと、疲れやすく、それに疲れるとのどが渇く、大便はやや硬いのでつとめて野菜や果実を食べているという。しかし便所に行くたび毎に、飛ぶように出血するので、便所に行くのが恐ろしくてたまらないという。腹診してみると、臍上で動悸が亢進し、下腹部が少し膨満してる。患者は下腹が張るような感じがあるという。そこで芎帰膠艾湯を与えたところ、大便が気持ちよく出るようになり、2週間目から少しずつ出血が減じ、1ヶ月後には、全く止血し、顔色も良くなり、動悸、息切れも次第によくなった。《大塚敬節》☆40歳男性。2年前、痔核の手術をしたが、その後、手術のあとが俗に云う[切れ痔]となって、出血して治らないので、翌年の5月に再手術をした。しかし依然として、疼痛と出血が止まないので、9月に又 手術した。しかし疼痛も出血も止まない。大便が少し硬いとすぐに、出血が始まり、痛むので、いつも性マグネシヤを呑んでいるという。それでも時々出血するし、1度出血が始まるとなかなか止まらないと云う。
患者は色が浅黒く、栄養も悪くない。腹診上特別の所見はない。私は芎帰膠艾湯を与えて、治りますよと、安請け合いをした。ところが、これを飲み始めて6日たつと、今までよりも排便時と排便後に、肛門が痛むようになった。大便が硬いためかと考え、これに大黄0.5を加えてみた。これを3日ほど飲むと、疼痛は軽くなり、5、6日たつと疼痛を忘れた。しかし、何かの調子で、時々疼痛が来る。そこで患部に紫雲膏を塗り、黄連解毒湯大黄甘草湯にし、大黄0.7を用いた。ところで、意外にも、これより前の薬が良いというので、また芎帰膠艾湯大黄にして、大黄を0.7にした。すると出血も疼痛も10日に1回位起きる程度になった。しかし、どうしても完全に治らず、1週間から10日に1回くらいは疼痛と出血があり、肛門専門の医師は、今一度手術した方がよいと診断したとこことである。けれども患者の方は、いくら永くかかってもよいから、漢方で根治するまで服薬を続けたいと云う。
そこで服薬を始めて、3ヶ月目に、次のような変則な処方を作って用いた。則ち、芎帰膠艾湯大黄桃仁牡丹皮麻黄梔子魚腥草である。ところで、これがすばらしく良く効いて、これを服用し始めてから6ヶ月間に、初めの頃に、1、2回少し出血があったきりで、その後は、疼痛も出血も全くない。《大塚敬節》☆56歳男性。既往症に痔瘻、動脈硬化症がある。7日前から痔出血があるという。大便は1日1行あるが、時々硬いことがある。そこで芎帰膠艾湯大黄1.0にして用いたところ、1週間ほどで出血が止み、とても身分が良いというので、服薬を続けたところ、10ヶ月ほどたつと、脱肛の方も軽快し、よほど無理を重ねない限り、脱肛することはなくなった。《大塚敬節》
[26]紫斑病(血小板減少性紫斑病) ☆特発性血小板減少性紫斑病に有効(漢方診療医典)
[27]子宮出血:☆子宮出血にして、熱候無き証《奥田謙蔵》☆芎帰膠艾湯と温経湯とは、血が多く出るか、少ないかによって区別する。また芎帰膠艾湯は流れをせき止めるような作用があり、温経湯とは作用が違っている。だから、桂枝茯苓丸のような、ドブをさらえるような作用のあるものを芎帰膠艾湯証に用いると、却って出血がひどくなるものである《百疢一貫》
[28]子宮内膜症:☆子宮内膜炎等にして、赤白の分泌物断続する証《奥田謙蔵》
[29]子宮ガン
[30]出血:☆外傷後、内出血の疑いある証《奥田謙蔵》☆打撲で、すさまじく出血する者に効がある《百疢一貫》
[31]腎臓結核 [32]腎臓腫瘍 [33]切迫流産:☆胎動き、血水を下す者は、更に「理中湯縮砂」を以て之を佐く、と。是れ亦気虚を治する者なり。《仁斎直指方》☆妊娠中、少しずつ子宮出血があって、流産のおそれのある時に用いる《大塚敬節》
☆《方輿輗》に、“妊娠中に下血して腹中痛む者に用いる方なり。また下血せずしてただ腹痛するばかりにも用いることあり。また妊娠中にケガして胎動(今日の胎動と内容が異なり、胎が動いて流産せんとすること)することあり、ここえ最も効有る薬なり。ケガして腰や腹痛み出して甚だしきは下りものなどありて堕胎せんとするに用いて取り留める者也。また1治験あり、毎産5、6月に堕胎する者に、これを服すれば堕胎を逃れるなり。
胎動に当帰芍薬散や当帰散などを用いるときは軽き場なり、軽き内は前2方にてよし。これにても癒えざる時は芎帰膠艾湯を用てよし。 当帰芍薬散の痛は劇しくとも、腹にのみありて腰にかからぬなり。膠艾湯の痛は小腹にありて、腰にかかるなり。故に膠艾湯には腰腹痛とあるなり。当帰芍薬散の場にても、腰にかかる者は早く膠艾湯を用ゆべし。腰痛は堕胎せんとするの兆しなり。早く救ふべし。胎動して腰にかかるに至る者は必ず血を見る者なり。軽き者はその時血の下るを知らずしている者なり。よくよく意をそそいで審にすべし”《大塚敬節》
[34]舌質<やや淡白>
[35]舌苔<無苔>
[36]帯下:☆漏崩走下止まず、自ら臍下氷の如く覚え、白帯の物多く、まま、悪露水の下るあり。時に鮮血止まざるあるを治す:「甘草丁香」《衛生宝鑑》
[37]胎漏(妊娠中の腹痛のない子宮出血)[38]吐血 [39]腸出血:☆腸出血にして、熱性証候を欠く者《奥田謙蔵》 [40]難産 [41]妊娠:☆妊娠二三月より上七八月に至り、その人、頓仆(突然倒れる)、失踞(座ったまま倒れる)し、胎動不安、傷損止、腰腹痛し、絶えんと欲する者、所見の胎に及ぶあり。奔上して搶心、短気するを治す《雑病翼方》☆妊婦顛躓し、胎動いて心に冲し、腹痛して腰股に引き、或いは胎萎縮の状覚え、或いは血を下して止まざる者は、此方を用う可し。胎殞ちざる者は即ち安く、若し胎殞つる者は即ち産す、《類聚方広義》
[42]冷え症 [43]皮膚に艶(ツヤ)がない [44]貧血: ☆諸種の貧血証等《奥田謙蔵》
[45]<左>腹直筋攣急
[46]腹痛(下腹部疼痛) [47]腹部軟弱無力 [48]不正性器出血: ☆(少量で持続することが多い)
[49]分娩後の持続する出血 [50]膀胱結核 [51]膀胱腫瘍 [52]メトロパチー(Metropathie)=出血性子宮症
[54]目が疲れる
[55]腰痛症
[56]流産:☆孕む毎に必ず堕つる者、此を服して止む無ければ、則ちその胎を保つべし、と。按ずるに之を服して差えざる者は気虚し、血を摂せざるなり。「補中益気湯」に宜し。《希藻》曰く。☆懐妊して6、7月もして堕胎し、あるいはたまたま10月に満ちて生まれても、生まれてすぐ死亡し、5人、6人と孕んでも、育たない者がある。その場合は、妊娠と分かった月から10ヶ月まで用いるが良い。育つものである。先生の経験である。芎帰膠艾湯を酒を 入れて煎じないと効力が薄い。しかし酒を初めから入れては、飲みにくいので、煎じあがって、あとから酒を入れて飲ませるのが良い。《百一貫》
#芎帰膠艾湯+乾姜
=大膠艾葉湯《備急千金要方》「芎帰膠艾湯と主治同じ、地黄・乾姜と伍するときは、血分の働き一層強くなるなり」《勿誤薬室方函口訣》
芎帰膠艾湯加減《中薬臨床応用》「阿膠12g(溶解)、艾葉6g、当帰9g、白芍5g、熟地黄12g、桑寄生18g、続断9g、菟絲子12g、白朮12g、黄蓍12g」水煎服。◎流産防止。
#芎帰調血飲[1-1]《万病回春》《古今方彙》「当帰、川芎、白朮、茯苓、熟地黄、陳皮、烏薬、香附子(便)、乾姜(黒)、益母草、牡丹皮、甘草、生姜、大棗」水煎、温服。
◎産後の諸病にて気血虚損し脾胃弱、悪露行らず、血を去ること過多にして、飲食節を失し、怒気相沖し、以て発熱を致し、悪寒、自汗、口乾、心煩、喘急し、心腹疼痛し、脇肋腸満し、頭暈眼花、耳鳴り、口噤して語らず、昏㿉する等の症を治す。
芎帰調血飲[1-2]《万病回春》《漢方後世要方解説》「当帰・川芎・熟地黄・白朮・茯苓・陳皮・烏薬・香附子・牡丹皮各2.5乾姜・益智仁・甘草・大棗各1」◎産後一切諸病、気血虚損、脾胃怯弱、或いは悪露行らず、或いは血を去ること過多し、或いは飲食節を失し、或いは怒気相沖し、以て発熱悪寒、自汗、口乾き、心煩喘急、心腹疼痛、胸肋脹満、頭暈、眼花、耳鳴、口噤て語らず、昏㿉等の症を治す。
◎此方は八珍湯方中より芍薬と人参を去り、牡丹、益母草の駆瘀血剤、香附子・烏薬・乾姜の順気健胃剤を配合せるもので、産後一切の気血を調理するによい。「八珍湯」「大補湯」ほど虚状のない者に広く用いられる。
すなわち貧血を補い、悪露悪血を去り、腸胃を益し、産後の諸症に応用される。 「当帰・川芎・熟地黄」=補血、潤血の作用有り「茯苓・白朮・陳皮・甘草」=脾胃を養う「烏薬・香附子」=気血を順らし「牡丹・益母草」=血熱を涼す。
芎帰調血飲[1-3]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「当帰・川芎・白朮・茯苓・熟地黄・陳皮・烏薬・香附子・牡丹皮各3.0g、乾姜・益母草・大棗各2.0g、干姜1.0g」◎産後の諸病、気血虚、胃弱、悪露、貧血、出血過多、飲食不調、発熱悪寒、自汗口乾、心煩喘息、心腹疼痛、脇肋脹満、眩暈、耳鳴り、口噤不語、昏迷等。《龍野ー漢方処方集》
★芎帰調血飲(気血虚損、胃腸虚弱、神経症、貧血めまい、動悸、耳鳴り、腹部軟弱、腰痛、乳汁不足、)
★適応症及び病名(きゅうきちょうけついん)[1]胃腸虚弱
[2]外傷の後遺症
[3]眼花
[4]肝斑
[5]気の上衝<+>
[6]気血虚損
[7]脇肋脹満
[8]血瘀気血両虚☆桃紅四物湯より補益性が強く、寒証に適する。《中医処方解説》☆寒証がひどい者には、芎帰調血飲第一加減《中医処方解説》
[9]血脚気
[10]血腫
[11]月経不順
[12]眩暈
[13]口乾
[14]口噤不語
[15]骨盤内血腫
[16]骨盤内の鬱血
[17]骨盤腹膜炎(第一加減)
[18]昏迷
[19]産後の諸病<調整>☆産後の血☆産後の悪露滞留 ☆産後の神経症で、脈腹軟弱でおりものがある者。☆産後の頭痛☆産後の肥立ち(第一加減)
[20]産褥熱:☆軽症
[21]自汗
[22]出血過多
[23]腫瘍
[24]食欲不振(飲食不調)
[25]神経症
[26]心煩
[27]心腹疼痛(腹がはって痛む)
[28]喘息
[29]頭暈
[30]頭痛
[31]舌質<淡紅><瘀斑>
[32]帯下
[33]血の道症:
[34]動悸
[35]乳汁不足
[36]腹部軟弱
[37]便秘<傾向>
[38]耳鳴り
[39]めまい
[40]腰痛
[41]脈沈弱 #芎帰調血飲第一加減《一貫堂》《中医処方解説》「芎帰調血飲白芍薬・桃仁各・延胡索3g、紅花・牛膝・枳殻・木香各2g、肉桂1g」◎活血化瘀、理気止痛、補血健脾、温裏寒。
★適応症及び病名(芎帰調血飲第一加減)
■外傷後遺症 ■血瘀気血両虚寒証 ■月経不順 ■月経困難症 ■骨盤内炎症 ■骨盤内鬱血 ■子宮筋腫 ■無月経 芎 帰鼈甲散《医学入門》《古今方彙》「鼈甲1銭、川芎・当帰・茯苓・芍薬・半夏・陳皮・青皮各5分、烏梅1固、生姜、大棗」煎服。
◎労瘧にて寒熱するを治す。◎熱多ければ:「+柴胡」◎寒多ければ:「+草果」
芎帰補中湯[1]《万病回春》《古今方彙》「人参・黄蓍・白朮・当帰各1両半、川芎・五味子各1両、白芍薬(酒)1両半、乾姜(炒)・阿膠各1両、杜仲・木香・甘草各半両」水煎温服。
◎懐妊し、血気虚弱にて栄養する能わず、以て数月を致して墜つるを治す。
芎帰補中湯[2]《婦人大全良方》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・当帰・芍薬・川芎・艾葉・阿膠・五味子・杜仲各1銭、甘草5分」水煎。 (きゅうきほけつとう)気血虚し、而して産を欲するを治す。◎若し脾気虚弱なるには:「補中益気湯」を使う。◎若し気虚し而して火あるには宜しく:「安胎飲」を用いるべし。
芎帰養血湯《中薬臨床応用》「川芎5g、当帰・桑枝各9g、鶏血藤30g、桑椹子12g、白芍6g、秦芁5g、大棗15g」水煎服。
(きゅうきようけつとう)
◎多発性神経炎・脳血管攣縮・脳血管後遺症などによる麻痺。◎筋肉リウマチ。慢性関節リウマチによるしびれ・疼痛・ケイレン。
芎竅散[1]《東醫寶鑑》「川芎1銭、当帰7分半、羗活・旋覆花・蔓荊子・細辛・石膏・藁本・荊芥穂・半夏(麹)・熟地黄・防風・甘草各5分に生姜3片を入れ、水煎服。」薬物の種類は、「養血袪風湯」と同じだが重両数が違う。
◎頭風・眩暈を治し、兼ねて肝虚暈を治す。特に婦人に良い。
芎竅散[2]《東醫寶鑑》 「川芎・檳榔・麻黄・肉桂・防已・木通・細辛・白芷・菖蒲各7分、木香・川椒・甘草各3分、生姜3片、紫蘇葉5片」水煎服。
◎鼻がつまり、匂いをかげない症。 芎摻散《証治準縄》 「川芎・辛夷各40g、細辛30g(苗を去る)、木通20gを細末にして、少量を綿にくるんで、鼻の中に挿入し、湿ったら取り替える。」
芎夏湯《東醫寶鑑》「川芎・半夏(製)・赤茯苓各1銭、陳皮・枳殻各5分、白朮・甘草(炙)各2分半、姜5片」水煎服。◎逐水・利飲に。
芎犀元《東醫寶鑑》「川芎・石膏各1両、人参・赤茯苓・細辛・甘草各5銭、麦門冬7銭半、阿膠珠4銭、山梔子・竜脳・犀角各2銭半、朱砂5銭半」を作末し 蜜でねり芡実大の丸剤。朱砂で衣をし1~2丸を、こまかくかんで温酒又は茶清で服用。
◎偏頭痛を治す。
芎芷膏《東醫寶鑑》 「川芎・白芷」等分を作末し、芡実大の蜜丸。毎回1丸を就寝時に服用。 ◎口気の熱臭を治す。
芎芷香蘇散[1]《東醫寶鑑》「香附子・紫蘇葉各2銭、蒼朮1銭半、陳皮・川芎・白芷各1銭、甘草5分を剉作1貼して生姜3・大棗2を入れ、水煎服。」
◎傷寒・傷風の表症で、頭と首がつって・関節が疼痛し、陰陽が弁別できないとき。
芎芷香蘇散[2]《済世全書》《古今方彙》「川芎・白芷・香附子・陳皮・羗活各1銭、薄荷・紫蘇葉各8分、甘草5分、生姜、葱白」水煎。 ◎外が傷風に感じ、鼻塞り、声重く、左の脈浮緩の者を治す。◎荊芥、防風を加え「荊防芎蘇散」と名づく。◎咳には:「+杏仁桑白皮」
芎芷散《東醫寶鑑》「川芎1銭半、白芷・蒼朮・陳皮・細辛・石菖蒲・厚朴・半夏・木通・紫蘇葉・辣桂・甘草各7分、姜3片、蓮鬚葱白2茎」水煎服。◎風邪で耳鳴りする者を治す。
芎芷散《医学入門》《古今方彙》「白芷・菖蒲根・蒼朮・細辛・厚朴・半夏・甘草・木通・紫蘇子・辣桂各2半、川芎2分、生姜、葱白」煎服。 ◎風が耳に入り、虚鳴するを治す。
芎朮姜梔二陳湯《万病回春》《古今方彙》「乾姜・蒼朮・梔子・半夏・茯苓・川芎各1銭、甘草5分、陳皮1銭2分、生姜:煎服。 ◎平素より痰火ありて胃脘急痛して忍ぶべからざる者、◎食納むる能わざるを治す。◎痛み時に服す。
芎朮散《東醫寶鑑》「川芎・蒼朮・香附子・白芷」等分を作末し、姜汁で木香をそそいで、熱湯で2銭調下する。 ◎痰積腹痛を治す。
芎朮湯《東醫寶鑑》「川芎・白朮・半夏(姜製)各2銭、炙甘草5分、生姜7片」水煎服。 ◎冒雨中湿で頭が重く、鼻閉・めまいを治す。 (雨に濡れて鼻がつまり、頭重、めまい)
芎朮湯《厳氏済生方》《古今方彙》「川芎・白朮・半夏各2銭、甘草5分、生姜」煎服。◎雨を冒し、湿に中たり、眩暈頭重、嘔逆、食せざるを治す。
芎朮除眩湯《東醫寶鑑》「川芎2銭、白朮・附子(生)各1銭、桂皮・甘草各5分、生姜7、大棗2」水煎服。 ◎寒湿による・激しい頭痛・めまいを治す。
芎朮除眩湯《易簡方》《古今方彙》「川芎・白朮・附子(生)各1銭、官桂・甘草各5分、生姜、大棗」水煎。◎寒湿を感じ、眩暈頭重、痛み極まるを治す。
芎辛散《東醫寶鑑》 「川芎・細辛・防風・桔梗・白芷・羗活・桑白皮各1銭、甘草5分、姜2片、薄荷3葉」水煎服。 ◎熱痰による失語症。
芎辛湯《東醫寶鑑》「川芎3銭、細辛・白朮各1銭半、甘草1銭、生姜5片、茶芽を少し」水煎服。 ◎風・寒・湿が脳にあって頭痛・嘔吐・めまいする者。
芎辛湯《医学入門》《古今方彙》「川芎2銭、細辛・白朮各1銭、甘草5分、生姜、細茶」水煎温服。◎風寒が脳に在り、或いは邪が湿に感じ頭重く痛み、眩暈吐定まらざるを治す。
芎辛導痰湯《東醫寶鑑》「半夏(姜製)2銭、川芎・細辛・南星(炮)・陳皮・赤茯苓各1銭、枳穀・甘草各5分に姜7片を入れ、水煎服。」 ◎痰厥頭痛を治す。
芎蘇散《医学入門》《東醫寶鑑》「黄芩・前胡・麦門冬各1銭、川芎・陳皮・白芍・白朮各8分、紫蘇葉6分、乾葛5分、甘草3分を作1貼と、生姜・葱白を入れ煎服。」
◎妊婦が傷寒で頭痛・寒熱・咳嗽する症。◎孕婦の傷寒にて寒熱、頭疼、身痛、項背強ばるを治す。
芎麻湯《東醫寶鑑》「羗活・麻黄・甘菊・川芎・石膏・防風・前胡・黄芩・細辛・枳穀・白茯苓・蔓荊子・甘草各7分、白芷・薄荷各5分を剉作1貼して生姜3片を入れ水煎服。」
◎破傷風が半表半裏にあって汗をかかない症。
久咳方《医法問要》 「咳奇方《和田東郭》に同じ。」
宮外孕方 「丹参、乳香、没薬、赤芍薬、桃仁」
宮頸糜爛栓Ⅱ方《山西薬品制剤手冊》「黄柏、竜脳、蜈蚣、雄黄、青黛」 究原心腎丸《東醫寶鑑》「菟絲子3両、牛膝・熟地黄・肉蓯蓉・鹿茸・附子(炮)・人参・遠志・茯神・黄蓍・山薬・当帰・竜骨・五味子各1両」作末し菟絲子酒に漬け、酒煮糊で梧子大の丸剤。棗湯で70~90丸呑む。◎虚労・怔忡・盗汗・遺精・尿赤濁の者を治す。
急驚風一方《済世全書》《古今方彙》「防風、蝉退、白芍薬、木通、車前子、赤茯苓、麦門冬、甘草、燈心草」水煎。 ◎小児発熱して驚啼するを治す。 急結炎方《中薬臨床応用》「木賊3g、菊花9g、白蒺藜6g、決明子3g」水煎服。◎急性結膜炎。
急性腎炎方《中薬臨床応用》「茅根15g、車前草9g、栗米鬚15g、仙鶴草9g、鷹不泊9g、広東商陸15g」水煎服。 ◎急性腎炎。 急風散《東醫寶鑑》「麝香1字、朱砂1両、黒豆(生)2銭半、草烏(半分生・半分焙存性)3両」米醋で同淬し、作末し半銭を酒で調服する。◎新旧のすべての瘡が伝変して破傷風になった者を治す。
求苓湯《東醫寶鑑》「黄蓍・防風・白茯苓・白朮・麻黄根各5銭、甘草(炙)2銭半」を切って毎回7銭を浮小麦100粒と煎服。◎虚汗を治す。
救汗湯《葉氏録験方》 「桂枝加附子湯《傷寒論》に同じ。」◎陽虚し自汗する者を治す。
救急稀涎散《本事方》 「猪牙皀角4挺 明礬40gを作末し、温湯で2gに調合する。」 救急療気噎方《勿誤薬室方函口訣》「半夏・柴胡各3両、生姜3両、羚羊角・犀角・桔梗・昆布・通草・炙甘草各3両」◎食に因って即ち噎塞し、炙臠の膈に在って下らざる者に効をえたり。◎羚羊角湯[1]《外台秘要方》とは寒熱相反す。
救逆湯[1-1]《傷寒論》=桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯《傷寒論》「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚、牡蠣(熬)5両、蜀漆(洗去脂)3両、龍骨4両」
右七味、以水一斗二升、洗煮蜀漆、減二升。内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升。本云桂枝湯、今去芍薬、加蜀漆牡蠣龍骨。◎傷寒脉浮、醫以火迫劫之、亡陽、必驚狂、臥起不安者、桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯主之。
◎火邪、亡陽驚狂、臥起不安、虚証でのぼせひどき者。《龍野ー漢方処方集》
救逆湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「桂枝・生姜・大棗・蜀漆各4、甘草2、牡蠣6、龍骨5」◎桂枝去芍薬湯の証にして胸腹動の劇しき者を治す《吉益東洞》◎此方は火邪を主とす。故に湯火傷の煩悶す疼痛する者、又灸瘡にて発熱する者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》◎蜀漆が入手出来ないときは、これを入れないでも効がある。《大塚敬節》
◎桂枝加竜骨牡蛎湯の証に似ていて、急迫症状の甚だしい者に用いる《大塚敬節》 救逆湯[1-3]《傷寒論》=「桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯」《傷寒論》
★適応症及び病名 [1]イライラ [2]息切れ [3]一酸化炭素中毒 [4]ウツ状態 [5]感情不安定 [6]顔面紅潮 [7]気の上衝<>☆顔面に逆上感有り、心中煩悶し安眠するを得ず、口乾くも飲料を欲せず、脚部微冷にして、脈浮大なる証。《奥田謙蔵》[8]灸後の煩躁: ☆灸の反応熱に良く効く《大塚敬節》[9]驚狂
[10]下血:《雑病翼方》[11]自汗 [12]心悸亢進:☆<激しい>☆自汗出でて脈虚大、心悸亢進を覚え、逆上し、二便ともに減少し、食欲著しく減ぜざる証。《奥田謙蔵》☆お灸にあてられて動悸がしたり、火熱を加えたために心悸亢進の起こった場合に用いる《大塚敬節》[13]頭汗
[14]頭重 [15]頭痛[16]精神不安: ☆(やけど等で)[17]中風:☆入浴中に、倒れて中風になった者を治した《辻元菘庵》[18]ツバを吐く:☆滋賀県近江国蒲生郡日野大窪町米商、伴忠助という者が、ある日、予が門を叩き、泣きながら云う。私の妻は病気になって半年、床について数十日、多くの医者の治療も効無く、もういつ死ぬか分からないほどです。どうぞ活かす方法がありましたら、どんなことでもして下さいと。
そこで急いで往診してみるに、患者の名は多可といい、年は38、 脈は細数微で、痩せて、食欲はなく、悪寒がしたり熱が出たりする。それに頭痛とめまいがあり、精神が安定を欠き、頸項が強ばり、眉間が痛む。1日中、ネバネバした唾液を吐き続け、その吐くものはひどく臭い。そこで自分で脳漏(=蓄膿症)と決め、必死であると考えているようである。
ところが余の診察では、吐物には臭気は無く、また脳漏の徴候もない。そこでそのことを患家に告げたが、患者も家人も余の言を信用しないようであるから、袖を払って帰ってきた。しかし、その日の夕方、また忠助が来て、是非薬をくれと云う。そこで、この病はきっと治るといって、桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯を与えた。
これを10日分飲むと、悪寒も熱も無くなり、ツバを吐くのも半減し、呼吸の臭気も消え、30日後には過半の症状がとれ、50日あまりで全治した。(杉原周作・継興医報第32号)[19]テンカン:☆癲癇にして、上逆甚だしく、胸腹に動悸ある等の証。《奥田謙蔵》[19]動悸:☆気逆上衝し、胸腹に動悸を感ずる等の証。《奥田謙蔵》
☆ストーブに酔って動悸がしたり、風呂にながく入って動悸がした場合に用いる《大塚敬節》☆1男子が室屋に入って休んでいる中に、そのまま眠り、少し経って眼が覚めたところ、汗が流れるように出て、ひどく動悸がするようになったという。そこで救逆湯を与えたところ、2、3貼でおさまった。《方輿輗》[20]のぼせ☆風呂に入るとのぼせる・鼻血が出る。☆コタツに入っていると、頭がボーッとする。☆コタツに酔うとか、風呂に酔った場合《大塚敬節》☆密室に閉居し、或いは火力強気コタツ等にて逆上し、頭重、眩暈を発する証。《奥田謙蔵》[21]発狂:☆不寐の人、徹夜、1と目も眠ること得ざること、5、6夜に及ぶときは、必ず狂を発す。恐るべき事なり。速にこの方を服すべし《校正方輿》☆徹夜眠らず、久しければ必ず狂を発するものを治す《方彙続貂》[22]発熱:☆湯火傷、或いは灸後の発熱等。《奥田謙蔵》[23]冷えのぼせ[24]腹部大動脈の拍動:☆<激しい>
[25]胸がつまる(欝塞感・閉塞感) ☆ストレスで胸がいっぱい。[26]目眩:(めまい)☆入浴長きに過ぎて逆上し、眩暈を発する証。《奥田謙蔵》[26]やけど:(火傷)☆火邪を療す。《方読便覧》
☆私の家のお手伝いさんが、台所で仕事中に、徳用の大形マッチ箱に引火して、頭髪が燃えながら顔面に垂れ下がって、火傷をしたことがある。その時、この方を内服せしめるとともに、顔面一体に紫雲膏を塗ったところ、30分後には疼痛が忘れたように無くなり、全く、後を残さずに全治した。《大塚敬節》☆近所の小さいお嬢さんが、手を沸騰中の味噌汁の中に入れ、赤く腫れて、水疱を作り、泣き叫ぶのに、この方を内服せしめて、患部に紫雲膏を塗ったところ、間もなく静かになって、眠った。その後しばらく、この手当を続け、きれいに治った《大塚敬節》
救苦湯《東醫寶鑑》 「蒼朮・草竜胆各1銭4分、当帰・甘草各1銭、川芎6分、生地黄・黄柏・黄芩・知母各5分・羗活・升麻・柴胡・防風・藁本・黄連各3分、桔梗・連翹・細辛・紅花各2分」水煎服。
◎目尻が赤く腫れて痛い者。 ◎眼が激しい赤腫で、苦痛に耐えられない症。
救命延年丸《東醫寶鑑》「黄連・乾姜・当帰・阿膠珠」を等分に作末し、錯に阿膠珠を煎じ、熔火して梧子大の丸剤。毎回30~50丸を米飲で服用。 ◎男女の痢疾の重症を治す。
救命通心散[1]「人参・白朮・白茯苓・山薬各1銭、白扁豆・粳米・知母・生地黄・甘草各5 分、地骨皮・麦門冬・竹葉各3分」剉作して、1貼に姜3、麦2を入れ水
煎服。◎内傷病で熱があるとき、胃気を和らげ、清涼にする。 救命通心散[2]《東醫寶鑑》「川烏1両を青塩1銭・酒1杯に浸して1夜おいた後、皮をむいて焙って乾
かし、川楝子肉1両を巴豆肉21粒と同時に炒って、黒くなったら豆は捨 て、茴香5銭、石燕1対を火に焙って土狗5枚、芥子1銭6分を作末し、 毎回3銭を羊石子の中に入れ、湿紙でくるんで熱し、夜中に好酒半升に
塩を少しまぜ、石子をこまかくかんで酒で呑む。」 ◎小腸気を治す。
韭子丸《東醫寶鑑》
「韮子・全蝎各1両、乳香・雄黄各2銭半」を作末し、黄蝋をとかして、弾子大の蜜丸。瓶のなかで1丸を焼いて、紙で瓶の口をふせいだ後、竹管で煙を牙孔に入れると、虫が出てくる。
◎虫牙痛を治す。
韭子湯《中薬臨床応用》「韭子9g、桑螵蛸9g、竜骨()9g」水煎服。 ◎腎陽虚による遺精、滑精 ◎白色帯下 ◎寒がる ◎頻尿 ◎夜間多尿
九一丹《外科正宗》 「紅升丹4g、石膏36gを極細の作末し、瘡口の上にのせるか、又は、 薬をこよりにまぶして、瘡口に挿入し、外は膏薬をはる。」
九君子湯《医学入門》《古今方彙》「陳皮・半夏・麦門冬・茯苓・白朮各1銭、人参・甘草・小麦各5分、烏梅1個、生姜」水煎。◎霍乱已に癒え、煩熱して多く渇し、痰あり、小便不利するを治す。
九仙王道糕《東醫寶鑑》 「蓮肉・山薬(炒)・白茯苓・薏苡仁各4両、麦芽(炒)・白扁豆(炒)・芡仁各2 両、柿霜1両、白砂糖20両」を細末にし、粳米粉5升を入れて糕を作り、さらに乾燥させ米飲で服用する。◎精をつけ、元気を扶養し、脾骨を壮健にし、食欲を増進させる。
九仙散[1-1]《東醫寶鑑》「罌栗殻(蜜炒)2銭、人参・款冬花・桑白皮・桔梗・阿膠珠・五味子各1銭、 貝母半銭、姜3、梅1」水煎服。◎久嗽を治す。
九仙散[1-2]《医学正伝》《古今方彙》「人参、款冬花、桔梗、桑白皮、五味子、阿膠、貝母、烏梅、罌栗殻、生姜」水煎温服。 ◎一切の咳嗽、久嗽乃ちその惰帰を撃つ薬なり。(向こうの勢の抜けた処を撃って往く薬なり)
九仙奪命丹《東醫寶鑑》「枳殻2両、白礬枯1両、半夏・厚朴並(姜製)各5銭、木香・南星(姜製)各2 銭、人参・甘草各1銭、豆豉(研過)1両」を作末し夜露に当てて、人参・
厚朴煎湯で糊をつくって、小銭大の餅にして弱火で焙って乾燥、毎回1餅 をかじって姜湯で平胃散を作ったものを飲み下す。◎反胃と噎食に効く。 九仙霊応散《東醫寶鑑》「附子(炮)・蛇床子・紫梢花・遠志・石菖蒲・海蛸・丁香・木鼈子各2銭、
小脳1銭半」を粗末にして、毎回5銭を水3杯で半減するまで煎じて、1 日2回湿ったところを洗い、その水をそのままにして温めて又洗う。 ◎男の陰湿による不能を治す。
九轉黄精丹《全国中薬成薬処方集》「当帰、黄精」
九痛丸《金匱要略》「附子(炮)3両、生狼牙(炙香)1両、巴豆(去皮心熬研如脂)1両、人参、 乾姜、呉茱萸各1両」右六味、末之、煉蜜丸如梧子大、酒下、強人初服三丸、日三服。弱者二丸。
兼治卒中悪、腹脹満、口不能言。又治連年積冷、流注心胸痛、并冷衝上氣、 落馬墜車血疾等、皆主之。忌口如常法。◎治九種心痛。 ★適応症及び病名 狭心症胸痛心臓神経症心筋炎心筋梗塞心下痞膵臓炎の疼痛打撲の後遺症胆嚢炎の疼痛手足冷たい慢性胃腸炎肋間神経痛肋膜炎
九痛元《東醫寶鑑》「炮附子3両、呉茱萸・人参・乾姜(炮)・巴豆(去皮油)各1両、狼毒5銭」 を作末し、梧子大の蜜丸。温酒で3~5丸服用。 ◎九種の心痛・積冷・心胸痛を治す。
九種の心痛⇒虫心痛・心痛・風心痛・悸心痛・食心痛・飲心痛・冷心痛・熱 心痛・去来心痛。 九宝飲《東醫寶鑑》「陳皮・薄荷・麻黄・桂皮・桑白皮・紫蘇葉・杏仁・大腹皮・甘草各1銭、
姜5片、梅1個」水煎服。◎諸般の咳嗽と寒嗽・久嗽を治す。 牛角鰓湯《中薬臨床応用》「牛角鰓30g、白背葉12g、生姜(炭)9g、香附子9g、狗脊18g、両
頭尖12g、牡蛎24g、生地黄(炭)18g、当帰18g」水煎服。◎不正性器出血◎血便◎出血性の下痢◎産後に悪露が止まらない 牛遍丸《津田玄仙》「ゲンノショウコ1味」◎下痢
魚腥草桔梗湯《中薬臨床応用》「魚腥草30g、桔梗15g」水煎服。◎肺膿瘍◎大葉性肺炎 魚腥草冬葵子散《中薬臨床応用》「魚腥草18g、冬葵子30g、土茯苓30g、旱蓮草18g、飛天18g、甘草5g」水煎服。◎肺ガン。
魚石散《東醫寶鑑》「石骨首頭中骨5対を焼いて作末し、滑石5銭を作末」2回に分服。木通湯で調服すると砂はみな出て治る。◎砂石淋で茎中が痛む者を治す。
魚石湯《東醫寶鑑》「石骨・首頭中骨5対を焼いて作末し、滑石5銭を作末し、2回に分けて服用。木通湯で調服すると砂はみな出て治る。」 ◎沙石淋で茎中が痛む者。
魚脳石散《南京第一医学院》《中薬臨床応用》「魚脳石9g、青黛3g、辛夷0.6g、竜脳0.6g」細末にし1日数回、仰臥位で鼻腔に散布して短時間待つと、乾酪様痂皮の排出を促進する。
◎萎縮性鼻炎 魚鰾丸《中薬臨床応用》「魚鰾膠120g、竜骨120g、枸杞子90g、杜仲90g、牛膝60g、当帰60g、補骨脂60g、茯苓60g」」細末を蜜丸。1日2回、9gづつ空腹時に塩湯で服用◎インポテンツ◎夢精
僵黄丸(=殭黄丸)《東醫寶鑑》「白殭蚕1両、大黄2両」作末し、姜汁で弾子大の丸剤。1丸を研いで呑む。 ◎大頭病と喉痺を治す。
僵蚕飲《中薬臨床応用》「白殭蚕3g、天竺黄・杉寄生各3g、半夏5g、菖蒲2.5g、釣藤鈎5g、天南星2.5g、当帰2g」水煎服。◎テンカン。
僵蚕飲《中薬臨床応用》「白僵蚕3g、天竺黄6g、杉寄生6g、半夏5g、菖蒲2.5g、釣藤鈎5g、天南星2.5g、当帰2g」水煎服。◎テンカン。
強神湯《本朝経験》《漢方治療の実際》「紅花1.5、白殭蚕3、棕櫚葉2、甘草1」 強神湯《本朝経験》 「紅花・白殭蚕・棕櫚葉・甘草」◎中風・口眼斜・半身不随・喜欠・流涎する者を治す。◎中風の妙薬とす。《勿誤薬室方函口訣》<1>手足が冷えるとき;「桂枝加朮苓附湯」<2>腹拘攣し、癇癖ある者:「四逆散」◎棕櫚葉善く風を治す、症に随って方中に之を加えて可なり。《雑病翼方》
強中湯《厳氏済生方》《古今方彙》「乾姜(炮)・白朮各1両、青皮・陳皮・人参・附子(炮)・厚朴・甘草各半両、 草果仁・丁香各3両」左を咀し、「水1盞半、生姜5片、大棗2枚」煎じ7分に至り温服す。◎脾胃和せず、食、生冷を啖い、寒漿を過飲すること多くして、腹脹を致し、心下痞満し、飲食に妨げあり、甚だしければ則ち腹痛するを治す。
夾鐘円=「硝石大円」 夾鐘丸(きょうしょうがん)《東洞家塾方》=「消石大圓当帰」「大黄24銭、硝石18銭、人参・甘草各6銭」別々に杵きて散と為し、苦酒2合を以て先ず大黄を内れ、煮て2合をとり、餘薬を内れ、飴状の如くし火を下し、冷して硝石を内れ、石で杵きて之を梧桐子大の膏となし、毎30丸飲服す。《村井》按ずるに今、古方家と称するものは、以て煙硝これ硝石となす。硝石となすものは非なり。此れ硝石は水硝の硝石なり。
◎腹中に結毒あり、或いは心下痞のものを治す。
膠艾湯《金匱要略》「生地黄、白芍薬、当帰、川芎、阿膠、艾葉」 膠艾湯《東醫寶鑑》 「熟地黄・艾葉・当帰・川芎・阿膠珠・甘草(炙)・黄蓍各1銭」1日2回水煎服。◎胎漏を安らげる。
膠艾芎帰湯《医学入門》《東醫寶鑑》 「阿膠珠・艾葉・川芎・当帰各2銭、甘草(炙)1銭」水煎服。◎8~9月以内に胎動下血するのと、流産のあと流血して止まらない者を治す。◎胎動不安、或いは下血するを治す。◎八九箇月にあれば、内に少しく砂仁を加える。《古今方彙》
膠艾四物湯[1-1]《金匱要略》《中薬臨床応用》「阿膠15g(溶解)、艾葉15g、当帰12g、熟地黄15g、白芍薬9g、川芎9g、甘草(炙)3g」水煎服。
◎機能性子宮出血
膠艾四物湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》「阿膠・艾葉・当帰・川芎・甘草各4分、芍薬・熟地黄各8分」水酒で煎じ空心に服す。 ◎労にて気血を傷つけ、月水過多し、或いは放ろう止まざるを治す。◎妊娠して胎気安駆らず、或いは損動に因りて血を漏らし、胎を傷つけたる者に亦宜し。◎原は《金匱要略》に出ず、「芎帰膠湯」
膠艾四物湯[2]《東醫寶鑑》 「熟地黄・当帰・川芎・白芍薬・阿膠珠・黄芩・白朮・縮砂・葉・香附子(炒)、糯米少し」水煎服。◎胎漏の腹痛を治す。
膠艾四物湯加減《中薬臨床応用》「阿膠12g(溶解)、艾葉6g、当帰9g、白芍薬5g、熟地黄12g、桑寄生18g、続断9g、菟絲子12g、白朮12g、黄蓍12g」水煎服。
◎切迫流産 膠密湯《東醫寶鑑》「蓮根大・葱白3茎」を水1盃で葱を煮たあと、葱は捨て明阿膠珠2銭・蜜2 匙を入れ、とかして空腹時に服用。 ◎老人・虚弱者の大便秘渋を治す。
響声破笛丸[1-1]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「連翹・桔梗・甘草各2.5g、大黄・縮砂・川芎・訶子各1.0g、阿仙薬2.0g、薄荷葉4.0g」の割合で卵白を加えて丸薬とし1回2.0~3.0g。
◎唄いや演説で声がつぶれた者。
響声破笛丸[1-2]《東醫寶鑑》 「薄荷4両、連翹・桔梗・甘草各2両半、百薬煎2両、川芎1両半、縮砂・訶子(炒)・大黄(酒炒)各1両」作末し、鶏子清で弾丸大の丸剤。1丸を就寝前に口に入れて、溶かして飲み下す。
◎歌いすぎて、声がもつれたとき。
響声破笛丸[1-3]《漢方治療の実際》「連翹・桔梗・甘草各2.5、大黄・縮砂・川芎・訶子各1、阿仙薬2、薄荷4」 以上を作末し米糊で丸とし、1回2~3を服用。◎私は大黄を除いて、丸としたものを作っている。まことに重宝なもので、感冒でのどの気持の悪い時に飲んでも良い《大塚敬節》★適応症及び病名(五十音順)
[1]声がれ: ☆平素のどが弱くて、すぐ声がかれる傾向のある者《大塚敬節》☆声楽家・政治家の演説などで、声のかれた者に良く効く《大塚敬節》 杏膠飲《東醫寶鑑》「杏仁・明膠各1両、馬兜鈴・半夏(製)・人参・皮草各5銭」を粗末にし、毎回2銭を水1杯、姜3片と煎じて7分になったら就寝時に飲む。◎16種の哮嗽を治す。
杏子湯[1]《易簡方論》 「小青竜湯《傷寒論》麻黄人参・茯苓・杏仁・生姜」
杏子湯[2]《東醫寶鑑》「人参・半夏・赤茯苓・白芍薬・細辛・乾姜・桂皮・杏仁・五味子各1銭、 甘草5分」作1貼し、「姜5片、梅1箇」入れて水煎服。◎風寒を感じ痰が盛んで咳きをする。
杏参散[1]《東醫寶鑑》「杏仁・人参・桑白皮・桃仁各1銭半」を作1貼し、「姜3、棗2」を入れて水煎服。◎咳と喘急を治す。
杏参散[2]《東醫寶鑑》「杏仁・人参・大腹皮・陳皮・檳榔・白朮・訶子・半夏・桂心・紫・桑白皮・紫蘇葉・甘草各7分」作1貼し、姜3片入れ水煎服。◎墜落して驚恐し、喘急して不安な者を治す。
杏参散《医学入門》《古今方彙》「杏仁・人参・陳皮・大腹皮・檳榔子・白朮・訶子・半夏・桂心・紫菀・桑白皮・甘草・紫蘇葉各5分、生姜」煎服。 ◎墜堕(ツイダ、高所より墜ちて打撲すること)により、水を渡るを驚恐し、跌仆(テツフ、つまづき倒れること)し、筋力を疲極し、喘急して安ぜざるを治す。
杏蘇飲《東醫寶鑑》「紫蘇葉2銭、紫菀・甘草各1銭、陳皮・桔梗・麻黄・桑白皮・阿膠珠各7分半、五味子・大腹皮・烏梅肉・杏仁各5分、姜5片」水煎服。◎上気して喘嗽し、浮腫の者を治す。
杏蘇散[1]《医学正伝》《古今方彙》「紫蘇葉7分、五味子・大腹皮・烏梅・杏仁各5分、陳皮・桔梗・麻黄・桑白皮・阿膠各2分半、紫3分半、甘草1分、生姜」水煎。温服。
◎上気喘嗽、面目浮腫する者を治す。 杏蘇散[2]《温病条弁》 「紫蘇葉・法半夏・茯苓・前胡・桔梗・杏仁(去尖打砕)・枳穀・甘草・生姜・大棗(紅棗)・橘皮」
◎頭痛・悪寒し、咳嗽・鼻閉、脈弦、汗なし、口渇なし。◎風熱による燥咳《中薬臨床応用》 杏蘇湯《東醫寶鑑》「杏仁・紫蘇葉・桑白皮・陳皮・半夏・貝母・白朮・五味子各1銭、甘草5分、姜5片」水煎服用。◎風寒に当たって咳をし、痰が盛んな者。
杏 仁五味子湯《浅田家方》 「杏仁・五味子・茯苓・甘草」 ◎此方は茯苓杏仁甘草湯の症にして咳嗽甚だしき者を治す。◎高年及び虚羸の人、厚薬に堪え難き者、此方にて意外に効を奏す。
杏仁煎《東醫寶鑑》 「杏仁泥・白蜜・砂糖屑・生姜汁各1杯、桑白皮・木通・貝母(炒)各1両半、紫・五味子各1両、石菖蒲5銭、」以上の6味を水5升が半升になるまで煮て、滓を捨て、杏・蜜・糖・姜を入れてまた煮て、粘膏にする。 毎回1匙服用。
知母・款冬花を加えてもよい。 ◎咳で失語症。(失音症)
杏仁半夏湯 「杏仁・半夏・桔梗・赤茯苓・防已・桑白皮・白礬各1銭、角・薄荷各5分、甘草1寸」を粗末にし、姜3片を入れ水煎服。◎肺気の不足と喘嗽を治す。
杏酪湯《朝鮮伝》《勿誤薬室方函口訣》 「杏仁、麦門冬、氷糖」◎清俗、客に供するに必ず用いると云う。暑中最も佳なり。今借りて咳嗽を治す。◎此方は本飲料なれども、肺痿、労嗽、その他咳嗽甚だしき者に兼用して宜し。
薑茶湯《東醫寶鑑》「老生姜・春茶葉」等分、煎服。 ◎痢疾・腹痛を治す。 薑黄散《東醫寶鑑》「姜黄3銭、白朮1銭半、羗活・甘草各2分半」水煎服。
◎臂痛に。
姜塩湯《東醫寶鑑》「塩1両・生姜(切)半両」を同時に炒って、色が変わるのを限度にし、童尿2杯を1杯まで煎じて、2回に分けて飲む。◎乾霍乱で死線をさまよう者を治す。◎乾霍乱が最も治しにくくあっという間に死ぬ場合がある。吐かせてその気の横格した症を通じさせるべきで、涼薬はいけない。
「二陳湯川芎・蒼朮・防風・白を使い、兼ねて姜塩湯で吐かせるべきである」 薑蝎散《東醫寶鑑》「全蝎(洗って焙)49個・生姜49片を銀石器で炒る」細末にし、就寝時に、酒で服用。
◎腎虚による耳聾。
薑桂丸《東醫寶鑑》「桂皮2両、天南星(製)・半夏(製)各1両」作末し姜汁浸蒸餅で緑豆大の丸 剤。姜湯で30~50丸飲む。◎寒痰の咳嗽を治す。
姜桂湯《万病回春》《古今方彙》「乾姜・良姜・官桂各7分、藿香・蒼朮・厚朴・陳皮・甘草(炙)・小茴香(酒)・木香・枳殻・砂仁・香附子(炒)各等分、生姜」水煎。
◎初起胃寒痛するを治す。◎寒による腹痛し綿々として増減無く、脈沈遅の者を治す。◎[心痛門]には蒼朮、砂仁、茴香無く、呉茱萸あり。◎痛む甚だしきは:「乳香」◎手足厥冷し脈沈伏するには:「附子良姜」◎痛み止まざるには:「延胡索茴香乳香」◎泄瀉するには:「枳殻」
姜朮湯 「白生姜・生白朮・赤茯苓・半夏(麺)各5銭、桂皮・甘草各2銭半、を切って毎5銭ずつ貼をつくり、生姜3、大棗2」を入れて、煎服。 ◎怔忡に応用する。
附固衛湯《中薬臨床応用》「乾姜6g、熟附子片6g、白朮12g、黄蓍12g、山茱萸15g、竜骨(生)12g、牡蛎(生)12g、茜草根9g、陳棕炭9g」水煎服。◎不正性器出血◎子宮出血◎月経が、長く続き、塊状の黒い出血、脈沈遅。
姜附四物湯《中薬臨床応用》「四物湯乾姜、附子」◎月経が遅れる◎月経色が黒い◎下腹部が痛む 姜附湯《東醫寶鑑》「乾姜(炮)1両、附子(炮)1枚」を作末し、毎回5銭を水煎服。
生の附子を使うと⇒白通湯になる。◎傷寒の陰症と中寒を治す。
姜墨丸《東醫寶鑑》「乾姜(炒)・松煙墨」等分。作末し、錯煮麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で30~50丸、1日3回。 ◎赤白痢・蠱症痢を治す。
姜蜜湯《東醫寶鑑》「生姜7片、蜜半杯、白茅根一握り」水煎服。 ◎小便に血がまじる。
羗活芎藁湯加減《中薬臨床応用》「羗活、藁本、白、防風各3g」水煎服。◎感冒による激しい頭痛。
羗活呉茱萸湯 =「羗呉湯」「黄芩、黄柏、蒼朮、羗活、麻黄、呉茱萸、藁本、升麻、黄蓍、当帰、川芎、蔓荊子、細辛、黄連、半夏、紅花」水煎温服。 ◎厥陰にて頭頂項痛し、或いは痰涎厥冷、脈浮にして緩なるを治す。
羗 活黒附湯《李東垣》 「麻黄・羗活・防風・蒼朮・升麻・甘草・附子 白」
羗活散《東醫寶鑑》「柴胡5銭、麻黄・防風各3銭、羊脛・骨灰各2銭、羗活1銭半、草豆蔲1銭、当帰身6分、蒼朮・升麻各5分、藁本・白・桂枝各3分、細辛少し」作末し、動くところにつけると痛みが止まる。
◎風寒湿が脳を犯して痛み、歯根がゆっくり動く症。 羗活蒼朮湯《東醫寶鑑》「羗活1銭半、蒼朮・柴胡・黄芩・枳実・橘紅・半夏・川芎・甘草各1銭、姜5片」水煎服。◎感冒と嵐瘴で寒・熱瘧になった者を治す。
羗活勝湿湯《李東垣方》《内外傷弁惑論》《東醫寶鑑》「羗活・独活各2銭、藁本・防風・甘草各1銭、川芎・蔓荊子各5分」水煎服。 ◎首がつっぱってまわらない症。
羗活勝湿湯《内外傷弁惑論》《中薬臨床応用》「羗活6g、独活6g、防風6g、藁本6g、川芎3g、蔓荊子5g、甘草(炙)3g」水煎服。 ◎風湿による関節の疾患◎上半身の筋肉痛(シビレと痛み・だるさ)◎腰背正中部の筋肉の冷感とこわばり◎風湿による顔面神経麻痺。
羗活勝湿湯《内外傷弁惑論》《古今方彙》「羗活・独活各1銭、藁本・防風・川芎各5分、蔓荊子3分、甘草5分、生姜」水煎。 ◎脾胃が湿を受け身重く、倦怠し臥するを好み、背痛み項強ばり、項を折るに似て抜くに似る。上に冲りて頭痛し及び足の太陽系が行らざるを治す。
◎若し身重く腰沈沈然たるは経中に寒湿あるなり:「防已(酒洗)5分」 軽き者は:「附子5分」 重き者は:「川烏」
羗活蒼朮湯《明医雑著》《古今方彙》「羗活・蒼朮・柴胡・黄芩・橘紅・半夏・枳実・甘草・川芎各1銭、生姜」水煎し食前温服。 ◎治は当に表を解し、熱を清め、気を降ろし、痰を行らずべし。此方は寒涼の時月及び温暖の時に在ると雖も感冒風寒の者に用いる。
羗活続断湯《東醫寶鑑》「羗活・防風・白・細辛・杜仲・牛膝・秦・続断・熟地黄・当帰・白芍・川芎・人参・赤茯苓・桂心各5分、生姜3片」水煎服。
◎脚気で肝腎骨のケイレン。
羗活退瞖湯《東醫寶鑑》「羗活1銭半、防風1銭、荊芥・薄荷・藁本・各7分、知母(酒)5分、黄柏(酒)4分、川芎・当帰身各3分、麻黄・生地黄(酒)各2分、川椒・細辛各1分」を食後水煎服。
◎新しい瞖膜が出て、陽をさえぎる。
羗活冲和湯(一名九味羗活湯)《東醫寶鑑》「羗活・防風各1銭半、蒼朮・川芎・黄芩・白・生乾地黄1銭2分、細辛・甘草各5分、姜3、棗2、葱白2茎」水煎服。◎ただ頭痛があり、骨節が痛く、発熱・悪寒し、汗がなく脈浮緊。
羗活湯《万病回春》《古今方彙》「羗活・蒼朮・黄芩(酒)・当帰・茯苓・芍薬(炒)・香附子・半夏各1銭半、 陳皮・木香各7分、甘草3分、生姜」煎服。
◎遍身骨節疼痛する者を治す。◎風痛には:「防風」◎湿痛には:「蒼朮」◎熱痰痛には:「黄芩(酒)倍加、白威霊仙」◎下痛むには:「黄柏牛膝」◎痛甚だしきとき;「乳香」◎発熱には:「柴胡」◎小水短少には:「木通」◎手臂痛むには:「薄桂」
羗活湯《医林集要》《古今方彙》「羗活・附子(炮)・秦・肉桂・木香・川芎・当帰・牛膝・桃仁・防風・骨砕補、甘草、生姜」水煎。 ◎白虎歴節風にて毒が骨髄に注ぎ、疼み発すること定まらざるを治す。
羗活湯《活法機要》《古今方彙》「羗活・菊花・麻黄・川芎・石膏・防風・前胡・黄芩・細辛・甘草・白茯苓・蔓荊子・枳殻各5分、薄荷・白芷各2分半」水煎。
◎破傷風、半表半裏に在る者を治す。 羗活導滞湯《東醫寶鑑》「大黄(酒)2銭4分、羗活・独活各1銭2分、防已・当帰尾各7分、枳実5分」水煎服。
◎はじめ脚気を発すると、全身が疼痛し、又肢節が痛んで、便・尿がつまる者に用い、次に当帰招痛湯で除去する。 羗活導滞湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》「羗活・独活各半両、当帰・防已各3銭、枳実1銭、大黄(酒)1両」水煎。◎脚気の初起に一身尽く痛み、或いは脚節腫痛し、◎便溺阻隔(大便が遠くへだたる)するを治す。◎此方を用いて導引したる後に「拈痛湯」を服す。
羗活附子湯《東醫寶鑑》「羗活・附子(炮)・茴香(炒)・乾姜(炮)・木香・丁香各1銭」作1貼し、塩を少し入れて煎服。 ◎寒が脳を犯し、脳痛で歯痛を兼ねる症⇒脳風に効く。◎大病後に、胃中が虚寒し咳逆する者を治す。
羗活附子湯《傷寒活人書》《古今方彙》「羗活・附子(炮)・小茴香(炒)各5銭、木香・乾姜各7銭半」水煎。塩を入れ服す。◎吐利の後に胃寒咳逆するを治す。◎傷寒陰症、内は寒厥し而して逆するを治す。
羗活附子湯《寿世保元》《古今方彙》「麻黄(去節)・附子各3分、羗活・蒼朮各5分、黄蓍1分、防風・甘草・升麻・白殭蚕・黄柏・白芷各3分、仏耳草」水煎。
(仏耳草は寒嗽ある者に用いる、もし無ければ用いず)◎冬月、大寒が脳を犯し、人をして脳から連なりて痛ましむるを治す。名づけて脳風と曰う。害甚だしく速しと為す。此方に非ずば救うこと莫し。
羗活防風湯《東醫寶鑑》「羗活・防風・川芎・白芍・藁本・当帰・甘草各1銭、地楡・細辛各5分」水煎服。 ◎破傷風の初期。 羗活防風湯《活法機要》《古今方彙》「羗活・防風・甘草・川芎・藁本・当帰・白芍薬各1銭、地楡・細辛各5分」水煎。
◎破傷風にて邪が初めて表に在る者を治す。 羗活愈風湯[1]《万病回春》「人参・当帰・黄蓍・白芍薬(酒)・生地黄・枸杞子・柴胡・甘草・秦・肉桂・羗活・防風・細辛・薄荷・菊花・蒼朮・独活・白・地骨皮・蔓荊子・知母・石膏・黄芩・枳殻・杜仲(姜酒炒)・生姜」水煎、温服。◎初めに風動を覚えて此を服して倒仆するに到らず、此れ即ち未病を治するの聖薬なり。
◎中風症にて内邪已に除き、外邪已い尽きるを治す。◎以て諸経を導く、久しく服すれば大風尽く去る。
羗活愈風湯[2]《万病回春》「人参・当帰・黄蓍・白芍薬(酒)・生地黄・枸杞子・柴胡・甘草・秦・肉桂・羗活・防風・細辛・薄荷・菊花・蒼朮・独活・白・地骨皮・蔓荊子・知母・石膏・黄芩・枳殻・杜仲(姜酒炒)・生姜」「熟地黄・半夏・厚朴・前胡・防已・茯苓・川芎」◎腎肝の虚、筋骨弱く、語言蹇渋、精神昏するを療す。
◎この薬は神を安んじ陰陽を調理し、偏勝なからしむ。
羗活癒風湯[3](一名愈風湯)《東醫寶鑑》「蒼朮・石膏・生地黄・各6分、羗活・防風・当帰・蔓荊子・川芎・細辛・黄蓍・枳穀・人参・麻黄・白芷・甘菊・薄荷・枸杞子・柴胡・知母・地骨皮・杜仲・独活・秦・黄芩・白芍・甘草各4分、肉桂2心に二参丹を呑み下し、就寝時に四白丹を嚥下する。
◎肝腎の虚した者・筋骨の弱い者・言語のむずかしい者・精神の昏冒・痩せて偏枯・太って不遂・恐懼で健忘した者。 ◎中風に外邪がすでに出来て内邪が除かれると、この薬を使ってすべての経を行導させ、長服すると大風が除去され、清濁が自ら分けて栄衛は自ら和らぐ。
羗附湯《東醫寶鑑》「羗活・炮附子・白朮・甘草各1銭半、生姜5」水煎服。 ◎風湿で身体が重く痛い、浮腫のある者を治す。
羗麻湯《東醫寶鑑》「羗活・麻黄・甘菊・川芎・石膏・防風・前胡・黄芩・細辛・枳殻・白茯苓・蔓荊子・甘草各7分、白芷・薄荷各5分」作1貼して姜3片入れ水煎服。◎破傷風が半表半裏にあって汗のかかない者を治す。
脇痛一方《済世全書》《古今方彙》「蒼朮、川芎、白芷、赤芍薬、香附子、黄柏、威霊仙、桂枝、甘草、生姜」煎服。 ◎婦人、胸背走痛するを治す。 鞏堤丸《景岳全書》「熟地黄、菟絲子、五味子、益智仁、補骨脂、附子、白朮、茯苓、韭子、山薬」
行気香蘇散《古今医鑑》《古今方彙》「紫蘇葉1銭、陳皮8分、香附子1銭、烏薬・柴胡・蒼朮・川芎・羗活・枳殻各8分、麻黄1銭、甘草3分、生姜」水煎温服。
◎内は生冷に傷付き、厚味堅硬の物を飲食し、肚腹腹満疼痛、外風寒に感じ、湿気頭疼、身熱憎寒、遍身骨節麻木疼痛し、七情悩怒相冲り飲食下らsず心腹気痛するを治す。
◎内飲食に傷るるは:「山楂子神麹」◎《万病回春》の方には柴胡蒼朮無し。◎風寒、外感、飲食内傷、七情悩怒度を過ごし、肚腹の疼痛が起こり始めの者を治す《寿世保元》
行気香蘇散《万病回春》《古今方彙》「香蘇散小茴香、青木香、三稜、莪朮、木通」◎偏墜気(鼠径ヘルニア)にて疼痛し、初発で憎寒壮熱するを治す。
蕘玄湯《原南陽》《勿誤薬室方函口訣》 「連翹1銭、玄参7分、独活3分、木通7分、升麻3分、甘草2分、梔子3分、薫陸2分」◎瘰癧、侠癭、上部の腫毒、発疔、或いは疹後小瘡を発し、寒熱瘵状に似たる者を療す。
◎此方の能く鬱火を瀉し、結気を散じ、滞血を通ず。◎此方は《山脇東洋》の延年玄参湯《外台秘要方》に本づきて組み立つと云う。瘰癧及び上部の腫物にて寒熱状に似たる者に用ゆれば、能く鬱火を散じ、気血を通ずるなり。
◎此方の一等軽き者:逍遥散瘰癧の加減とす。 凝唾湯《備急千金要方》「当帰建中湯人参・前胡・乾地黄」 ◎虚損短気、咽喉凝唾出でず、膠の喉を塞ぐが如きを治す。
凝神飲子《東醫寶鑑》「人参・当帰・白芍薬・白茯神・白茯苓・黄蓍・白朮・半夏(麹)・五味子・熟地黄・蓮肉・麦門冬・桔梗・甘草各7分」を作末し「烏1、紅棗2」を入れ煎服。◎労瘵の寒熱自汗を治す。◎喀血のひどい者を治す。
玉液散《東醫寶鑑》「瓜蔞根・知母・貝母(炒)各1両、人参・甘草各5分」作末し毎回2銭を、先に黄2銭を溶かして米飲で調服する。◎喘嗽と口乾・煩渇を治す。
玉液湯《東醫寶鑑》「半夏(姜製)4銭、生姜10片」を水で煎じ、沈香を少し入れて服用。」 ◎気鬱・生涎・めまい・動悸を治す。 玉華散《東醫寶鑑》「甜蓽撥(炒)・桑白皮(炒)・天門冬・馬兜鈴・半夏・紫菀・杏仁・貝母・百合・人参各1銭、百部根・甘草各5分、姜4、棗2」水煎服。◎咳があって喘促する者を治す。◎肺気を清め、咽と膈を良くする。
玉芝飲子《東醫寶鑑》「炙甘草2両、藿香葉・石膏()・山梔子各1作末し毎回1銭を水で服用。 ◎胸膈の熱で口舌に瘡ができ、のどが痛い症。
玉芝元《東醫寶鑑》「半夏(麹)6両、人参・薄荷・白茯苓・白礬枯・天南星(浸焙)各3両」作末し、姜汁にを入れて煮た糊で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸呑む。◎風熱に痰が激しく、声の重い者を治す。
玉女英[1]《瘍科選粋方》 「滑石粉20g 緑豆粉160g(少し炒る)を混和
玉女英[2]《東醫寶鑑》「滑石・緑豆粉」等分を作末し、脱脂綿につけてたたく。又は黄柏・棗葉各5銭、片脳少しを加えるとさらに良い。 ◎あせもが破れて瘡になり、かゆい者。◎瘡でかゆい者を治す。
玉女煎《張景岳》⇒「石膏熟地煎」 「生石膏25g(打砕先煎)、大熟地黄25g、麦門冬・知母各12g、懐牛膝9g」水煎服。◎歯周炎・歯根炎・口内炎。◎胃熱。
玉燭散《東醫寶鑑》 「当帰・白芍・川芎・熟地黄・大黄・芒硝・甘草各1銭」 ◎月経が凝滞して不通になり、癥になったとき。 ◎下痢している者には不適。
玉真丸《東醫寶鑑》「硫黄2両、石膏()・半夏(製)・硝石各1両」を作末し姜汁糊で梧子大の丸剤。陰干ししたものを毎回20~30丸姜湯or米飲で呑み下す。
◎頭痛に歯痛を兼ねる症で、痛みに耐えかねる者。
玉真散[1]《医宗金鑑》 「天南星・防風・白・天麻・羗活各40g、白附子48g]以上を作末し、毎服20gを童便にて送下する。」◎破傷風 玉真散[2]《普済本事方》《東醫寶鑑》
「防風・天南星」作末し、毎回2銭に温酒・姜汁を加えて調服し、かすは瘡口に貼って、口噤した者は童便で調下する。 ◎破傷風で口を閉じて、体が硬直する症。
玉屑丸《東醫寶鑑》「椿根白皮(乾燥)4両、槐根白皮・苦楝根・寒食麺各3両、威霊仙1両、天南星・半夏各5銭」を作末し、水をたらして梧子大の丸剤。毎回30丸を水1杯で煎じて匙で呑む。
◎腸風・臓毒が長引いている時。 玉鎖丹《東醫寶鑑》「龍骨・蓮花芯・芡仁烏梅肉各等分」作末し山薬糊で小豆大の丸薬。空腹時に米飲で30丸づつ服用◎精気虚骨・遺泄不禁の治療剤。
玉枢丹《医学入門》《東醫寶鑑》「太乙紫金丹雄黄1両、朱砂5銭」◎蠱が有るところに行って、気分が不快なとき1錠飲むと、吐くか下すかするが、再び軽快になる。実に良く効く。
玉枢丹《片玉心書》「雄黄、朱砂、麝香、五倍子、紅芽大戟、山慈姑、千金子霜」
玉枢丹《外科正宗》《中薬臨床応用》⇒「紫金錠」【中成薬】「山慈姑・紅芽大戟・五倍子・麝香・千金子」糯米(もちごめ)で錠剤とし、外用する。 ◎癰・癤・◎耳下腺炎
玉泉丸《沈氏尊生書》「天花粉、葛根、人参、麦門冬、烏梅、甘草、黄蓍」 玉泉丸《東醫寶鑑》「天花粉・乾葛各1両半、麦門冬・人参・白茯苓・黄蓍(半分は生・半分は蜜炒)・烏梅・甘草各1両」作末して蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を温水でかじって呑み下す。◎消渇による口乾を治す。
玉泉散《東醫寶鑑》「天花粉2銭、粉葛・麦門冬・生地黄・五味子・甘草各1銭を剉作1貼し、糯米1合を入れ水煎服。◎消渇を治す特効薬。
玉蟾散《東醫寶鑑》「乾蟾酥(焼灰)3銭、黄連2銭、青黛1銭、麝香1字」を作末し、先に甘草湯で洗った後塗る。◎諸般の疳瘡を治す。 玉池散《東醫寶鑑》「地骨皮・白芷・細辛・防風・升麻・川芎・当帰・槐花・藁本・甘草各1銭、生姜3片、黒豆100粒」水煎。うがいして、冷めたらはき捨てる。
◎風・虫牙痛によるただれ・動揺。又は変じて骨槽風になり膿んで血が出る症。
玉竹門冬湯《温病条弁》⇒「玉竹麦門冬湯」 「玉竹12g・麦門冬12g・沙参8g・甘草4g」 玉粉丸[1]《東醫寶鑑》 「半夏(姜製)5銭、草烏(熟炒)・桂心各2分半を作末して、姜汁に浸した蒸し餅を実大に蜜丸。就寝前に1丸服用。
◎寒痰がつまって声が出ない。
玉粉丸[2]《東醫寶鑑》「三仙丸香附子、橘紅末2両」◎気痰を治す。
玉粉丸[3]《東醫寶鑑》「陳皮2両、天南星・半夏各1両」を作末し姜汁に漬けて搗いて丸め、姜湯で50~70丸呑む。」◎気痰の咳と喘急を治す。
玉粉散《東醫寶鑑》「蛤粉4両7銭半、滑石4両2銭半、寒水石()・栗米粉各1両、定粉5銭、白石脂・竜骨各2銭半」を作末し、患部にしみこませる。◎熱汗で瘡が出来、かゆくて痛いとき。
玉屑丸《東醫寶鑑》「椿根白皮(乾燥)4両、槐根白皮・苦練根・寒食麺各3両、威霊仙1両、天南星・半夏各5銭」作末し、水をたらして梧子大の丸剤。毎回30丸を水1杯で煎じて匙で飲み込む。◎腸風・臓毒の長引く者。
玉屑散《咽喉脈証通論方》 「薄荷120g、硼砂14g、雄黄12g、阿仙薬4g、冰片1.2g」以上を微細末にする。
玉壷丸《東醫寶鑑》「白麺3両、半夏(生)・天南星(生)・天麻・白朮各5銭、雄黄(水飛)3銭半」を作末し、姜汁で梧子大の丸剤。毎回30丸を1杯煎じたところへ入れて、5~7回煎じたあと、薬が浮くのを待ってすくって、別に生姜湯をつくって食後に服用。
◎痰厥頭痛のめまいを治す。
玉屏風散[1]《世医得効方》 「黄蓍2.5・防風1.2・白朮1.2」 ◎自汗を治す。
玉屏風散[2]《東醫寶鑑》「白朮2銭半、防風・黄蓍1銭2分」水煎服。◎自汗を治す。
玉容膏《東醫寶鑑》「明礬1両、硫黄(生)・白附子各2銭」を作末し、就寝時につばでこねて患部に塗り、あくる朝洗う。 ◎顔面の燥瘡・斑痕・ほくろ・諸刺を治す。
玉容散《東醫寶鑑》 「皀角1片、升麻2両6銭半、楮実子1両6銭半、白芷・白芨・天花粉・緑豆粉各3銭3分半、甘松・縮砂・白丁香各1銭6分半、糯米3合半」作末して顔を洗う。◎面上の・小瘡・痤疿・粉刺を治す。◎皮膚のかゆい者を治す。
玉容西施散《東醫寶鑑》「緑豆粉2両、白芷・白芨・白厥・白殭蚕・白附子・天花粉各1両、甘松・三乃子・茅香各5銭、零陵香・防風・藁本各2銭、皀角(肥)2銭」細末にし顔を洗う。◎顔面の難病に。
玉露丸 「白竜骨を9回蒸し、9回さらしたもの3両・兎絲子(酒製)3両・韭子(瓦で炒)3両」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に10丸服用。
玉露散[1]《東醫寶鑑》 「寒水石・滑石・石膏・天花粉各1両、甘草5銭」作末し、毎回3銭を井水で調下する。 ◎暑渇を治す。
玉露散[2]《東醫寶鑑》「石膏・寒水石各5銭」細末にし、半銭or1銭を温水or水で飲む。◎夏に吐瀉し、熱があって煩渇する者を治す。
玉鑰啓栄丸《東醫寶鑑》「香附子(搗去皮毛・3日漬炒乾末)15両、当帰2両、白芍薬・川芎・赤石脂・藁本・人参・牡丹皮・白茯苓・白薇・桂心・白・白朮・延胡索・没薬各1両」を赤石脂と没薬だけを抜いて切り、3日間酒に漬けて焙って乾燥し作末して15両にする。別に細かくした赤石脂・没薬末を入れ、煉蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を早朝の空腹時に、茶湯or薄荷湯で口をゆすぎ、温酒or白湯で呑み下す。◎子を産めない婦人のための薬。
玉鑰匙《証治準縄》《中薬臨床応用》「硼砂1.5g、芒硝15g、製白殭蚕1.5、竜脳1.5g、朱砂1.8g」細末にし喉に吹き付ける。(外用) ◎急性扁桃炎◎咽頭炎◎鵞口瘡◎膣カンジダ◎急性結膜炎
去加柴胡湯《勿誤薬室方函口訣》 「柴胡去半夏加括呂湯荊芥・防風・連翹」を去加柴胡湯と名付け、症に随って増損する。《幼々家則》◎肝経鬱熱を主とし、一切の餘毒遺毒にして熱ある者を治す
「柴胡去半夏加括呂湯連翹・木通」◎実熱ある者: 「柴胡去半夏加括呂湯大黄・芒硝」◎水気有る者: 「柴胡去半夏加括呂湯赤小豆・車前子」◎痒湿ある者:
「柴胡去半夏加括呂湯荊芥」◎膿ある者: 「柴胡去半夏加括呂湯連翹倍加」◎眼に赤翳ある者: 「柴胡去半夏加括呂湯菊花・決明子・(羚羊角)」
去黒靨子方《東醫寶鑑》「石灰を水1杯で調合して粥のようにする。餅米を、半分は石灰になかにつけ、半分は石灰の外に1挽置くと、米が水精のようになる。これを塗布する。2~3日で治る。」
◎黒痣・えくぼ。 靨⇒エンとよみ、えくぼのこと。
去三尸虫元[1]《東醫寶鑑》 「生地黄3斗を東に向かった厨房で3回、枯れ木で煎じる。それに清漆2升を入れてまぜ、日影が1尺ぐらい指すとき黄丹3両を入れ、1尺のびたら爪子3升を入れ、又1尺のびたら大黄末3両を入れ、その次からは弱火で煮て梧子大の丸剤。空腹時に1丸服用。 3日目に濁血が鼻から流れ、20日目には虫が全部下って、50日目には100病が治る
◎三尸虫に。尸⇒シと読み、しかばねのこと。
去三尸虫元[2]《東醫寶鑑》 「生漆2升、蕪菁子3升、大黄6升」作末し、酒1升を合わせて煎じ梧子大の丸剤。空腹時に2丸服用。10日目に濁った血が鼻からでる、30日目には虫は全部死ぬ、50日目には身体につやが出る。
去涎方《東醫寶鑑》「猪牙皀角5銭、胆礬1銭半、青黛5分、」を作末し、錯糊で桜桃大の丸剤。毎回1丸を絹でくるんで箸につけ、喉中の瘡につける。 ◎喉痺を治す。
去風丹(一名浮萍丸)《東醫寶鑑》「紫背浮萍を7月上旬に採取し、竹篩いで漉して酒で乾燥し、作末して弾子大の蜜丸。毎回1丸を豆淋酒で服用。」 ◎諸風・風・大風・破傷風。
去鈴丸《東醫寶鑑》「茴香1斤を、生姜1斤から取った汁に浸して1夜おき、姜汁が茴香に染み込んだら、青塩2両を入れて同時に炒り、色が赤くなったら取り出して焙って乾かし、作末し酒糊で梧子大の丸剤。毎回30~50丸温酒で服用。◎小腸の疝気を治す。
去骨湯《中薬臨床応用》「威霊仙30g、酢30g、砂糖6g」大カップ2杯の水で威霊仙を煎じ、数沸させてから残渣を去り、酢と砂糖を加えて沸騰させて冷ます。口に含
み20分以内に少しずつ飲み下す。◎魚骨が刺さったとき 袪風敗毒散《漢方治療の実際》「枳実・芍薬・前胡・柴胡・荊芥・薄荷・牛蒡子・朮各2、独活・白殭蚕・連翹・川芎・羗活各2.5、蝉退・甘草各1」
袪痰丸[1](一名軟石膏丸)《東醫寶鑑》「便香附1両、軟石膏7銭、半夏(製)・南星(炮)・梔子(炒)各5銭」作末し姜汁に漬け、餅で梧子大の丸剤。姜湯で50丸飲む。
◎胃に痰火があってゲップが出る。
袪痰丸[2]《東醫寶鑑》「人参・木香・天麻・陳皮・赤茯苓・青皮・白朮各1両、皀角9銭、槐角子・半夏各7銭半」作末し姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で60~70丸飲む。◎風喘・喘嗽を治す。
袪毒湯《万病回春》《古今方彙》「貝母、白殭蚕、穿山甲(土炒)、大黄(生・熟)」水煎し熱し好酒1銭を入れ 調服。◎一切の無名の腫毒疼痛するを治す。初起に用いれば神効あり。
袪毒養栄湯《寿世保元》《古今方彙》「当帰・生地黄・黄芩・知母・連翹・荊芥・黄蓍・甘草節各1銭、芍薬・槐花・括楼根・皀角刺・皀角子各2銭、黄連(酒)1銭半、升麻・黄柏(酒)各5分、人参7分」水煎空心に服す。
◎痔瘡を治す。 袪風至宝丹《東醫寶鑑》「滑石1両半、川芎・当帰各1両2銭半、甘草1両、防風・白芍各7銭半、白朮6銭半、石膏・黄芩・桔梗・熟地黄・天麻・人参・羗活・各5銭、山梔子3銭、連翹・荊芥・薄荷・芒硝・黄連・麻黄・大黄・黄柏・細辛・全蝎各2銭半」を作末し蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を細嚼して茶又は酒で任意に服用。(防風通聖散の加味方。)
◎風が臓に入って、昏冒と風熱を兼ねた症。
袪風除湿湯 「白朮1銭2分、白茯苓・当帰(酒洗)・陳皮・赤芍薬・半夏・蒼朮・烏薬・枳穀・黄連・黄芩(酒炒)・羗活各1銭、人参・川芎・桔梗・防風各8分、白7分、炙甘草5分を作2貼し、生姜5片入れ煎服。」
◎右半身の不随に。
袪風清上散《統旨方》 「酒黄芩8g、羗活・防風・柴胡梢・白各4g、川芎5g、荊芥3.2g、甘草2g」
袪風導痰湯《厳氏済生方》「天南星・半夏・茯苓・黄連(姜)・黄芩・白朮・枳実・楼仁各1銭、陳皮 ・桔梗・防風・白附子各7分、人参5分、甘草2分、生姜、大棗」水煎し「竹瀝・姜汁」を加え同じく服す。
◎傷寒に類し、憎寒壮熱する者を治す。◎内傷により、七情痰を致すを以て心竅に迷い、、舎を守らず、舎空なれば則ち痰自ら生するなり。★適応症及び病名[1]
上気喘急 [2]頭目昏沈 [3]痰火[4]痰気迷悶・ [5]中気[6]中風
袪風敗毒散《寿世保元》《古今方彙》「枳殻・赤芍薬・前胡・柴胡各5分、荊芥・薄荷・牛蒡子・蒼朮各6分、独活・白殭蚕・連翹各7分、川芎・羗活各8分、蝉退・甘草各3分、生姜」水煎。◎風瘡(猩紅熱)、疥癬、疹(あかほろせ)、紫白癜風(なまず)、赤遊風(丹毒)、血風(皮膚に紅斑或いは血泡を生じる病)、瘡、丹瘤及び破傷風を治す。◎種々の皮膚疾患に用いてよいことが分かる《大塚敬節》◎上部に在る者:「桔梗」◎下部に在る者:「牛膝木瓜」◎湿熱が患となりて下に在る者:「蝉退白殭蚕」★適応症及び病名[1]湿疹:☆私の妻が、半年ほど前から、顔・頸部などにカユミを訴えるようになった。ちょっと診た位ではよく分からないが、指頭でなでてみると、ザラザラした感じで、乾燥気味である。赤味はない。十味敗毒湯を5、6日飲んだが効がないので、黄連阿膠湯を飲んだがこれも効無く、当帰飲子にしたが、これは胃が悪くなって、気持が悪いと云う。地黄の入ったのはイヤだと本人がいう。麻黄の入ったものもこの人にはよくない。すぐ胃にさわる。だから葛根湯や桂麻各半湯を用いることが出来ない。いろいろ考えて、《古今方彙》の瘡門からこの方を探し出した。
3週間ほど続けたらいつしか治ってしまった。《大塚敬節》☆地黄も麻黄も用いることが出来ず、黄連、黄芩、梔子なども効無く、困った時には、用いてみるのもよい。《大塚敬節》[2]全身性エリテマトーデス(SLE)[3]皮膚炎
袪風辟毒湯《寿世保元》《古今方彙》「黄連・黄芩・赤芍薬・枳殻・黄柏・槐花各1銭、連翹・大黄・苦参各1銭半」水煎。 ◎痔瘡の腫痛が初めに起こりしを治す。
行湿補気養血湯《万病回春》《勿誤薬室方函口訣》「人参・蒼朮・茯苓・当帰・芍薬・川芎各1銭、木通・厚朴・大腹皮・蘿葡 子・海金砂各8分、木香3分、橘皮8分、甘草3分、蘇葉8分」◎気血虚弱し、腹鼓腸し浮腫するを治す。◎此方は鼓腸の末症に用いるなり。
行湿流気飲《東醫寶鑑》「薏苡仁2両、白茯苓1両半、蒼朮・羗活・防風・川烏(炮)各1両」を作末し毎回2銭を温酒or葱白湯で調下する。◎風・寒湿痺で麻木不仁し、手足が煩軟した者を治す。
禦寒膏《東醫寶鑑》 「生姜半斤の汁を絞って、明膠3両、没薬1銭半を加えて銅杓内に入れて煎じ、これを又重湯にして、柳の枝でかき混ぜて膏になったら、また川椒末を少し入れて、又かき混ぜる。そして皮紙に薬をのして患部に貼る。
◎衰弱すると背の悪寒で、夏ですら着物を脱ぎたくない。◎婦人の風冷で手足が冷える・腰痛。
禦塞湯《東醫寶鑑》「黄蓍1銭、蒼朮7分、陳皮・人参・升麻各5分、防風・白・仏耳草・款冬花・甘草各3分、黄連・黄柏・羗活各2分」水煎服。 ◎鼻づまり。
禦塞湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》「黄連・黄柏・羗活各2分、黄蓍1分、人参5分、甘草・款冬花・仏耳草(母子草)・白・防風各3分、陳皮、升麻各5分、蒼朮7分」水煎熱服。
◎寒に皮毛が傷き鼻塞がり、咳嗽上気喘急するを治す。
禦風膏 「葉を蒸して1日3回貼り替える。」◎脚気の腫痛に。 禦風丹《東醫寶鑑》「麻黄・防風・白各1両半、乾生姜・甘草各7銭半、川芎・白芍・細辛・桔梗・白彊蚕・羗活・天南星各5銭」を作末し、蜜で弾子大に丸め、朱砂2銭半で衣をし、毎回1丸を熱酒で服用。
◎中風の口眼斜・半身不随・神昏・語渋を治す。 局方安腎元《東醫寶鑑》「桃仁・白蒺藜・巴戟・肉蓯蓉・山薬・破故紙・白茯苓・石斛・萆薢・白朮各2両4銭、川烏(炮)・肉桂各1両3銭」を作末し、梧子大の丸剤。空腹時に50~70丸呑み下す。
◎腎虚腰痛で下元が冷え、小便が少ないとき。
局方密蒙花散《東醫寶鑑》「密蒙花・白蒺藜(炒)・羗活・木賊・石決明」等分。作末し、茶清で毎回1銭服用。 ◎風眼で目が暗く・赤く腫れる者。
驚気丸《東醫寶鑑》 「紫蘇子1両、附子・木香・白彊蚕(炒)・白花蛇・橘紅・天麻・天南星各5銭、全蠍2銭半、竜脳・麝香各5分、朱砂の水を切ったもの2銭半」作末し、竜眼大に蜜で丸め、朱砂で衣をつけ、毎回1丸を薄荷湯または温酒で服用。附子を抜いて、鉄粉を加えても良い。 ◎驚愕で失心し、癲癇が発生し、泡をふきながら昏倒し、醒めても清神が朦朧としている。
牛乳粥《東醫寶鑑》 「牛乳1升に米を入れて、粥をつくって飲む。」 老人の食養生。
牛乳湯《東醫寶鑑》「蓽撥2銭を牛乳半升で、半量まで煎じる。」空腹時に服用。 ◎気痢を治す。
吉良附湯《華岡青州》「遺糧、人参、附子、桔梗、桂枝、乾姜、当帰、黄蓍、甘草」◎黴毒、一切の痼疾、身体羸痩、虚弱し、峻剤を与えるべからざる者を治す。◎此方は、黴毒の壊症になり、陰分に陥り、虚羸如何ともすべからざる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
◎諸瘡、虚候を具へ、臭穢近づくべからざる者に与えてまま効あり。
晞露丸《東醫寶鑑》「三稜(酒浸)・莪朮(酒浸)各1両、巴豆30粒を去皮炒黄し巴豆を捨て・乾漆(炒煙)川烏(炮)各5銭、砂4銭」を別途に細く切って茴香(塩炒)・青皮(去白)・雄黄(別研)各3銭、穿山甲(炮)2銭、麝香5分、軽粉(別研)1 銭を作末し、姜汁麺糊で梧子大の丸剤。温酒or姜湯で20~30丸飲む。◎腸覃病で悪血が癥になって痛む者を治す。
けん磠散(一名二妙散)《東醫寶鑑》「6・7月頃に、牛馬の糞中にいるをつかまえて、ひもで結んで陰干しにして貯蔵する。使うときに取り出して、きれいな瓦の上に置いて四面に火灰を置いて乾かした後、刀で切って、大便の不通には上半截を、小便の不通には下半截を、大小便ともに不通のときは全角を細末にして服用。」
◎大小便の不通を治す。
金液丹《東醫寶鑑》「硫黄10両を細研して濾し、器に入れて赤石脂で蓋を堅く封をし、塩泥で固く封をして、穴を掘って薪を敷いてその上に置き、弱火で7日7晩煮る。器の上に炭1斤をかぶせて焼いたあと、冷まして取り出し、細末して、1両に蒸し餅1両を水に漬けたあと、梧子大の丸剤。30~100丸を空腹時に調下する。」
◎久寒と痼冷。吐痢が長くつづいて、身体が冷え、脈微の者。
金桜艾葉湯《中薬臨床応用》「金桜根30g、艾葉(炒)30g、鶏血藤30g、益母草60g」水煎服。豚肉or鶏卵と一緒に煎じるほうがより有効。◎月経過多。
金匱腎気丸《古今方彙》「熟地黄4両、白茯苓3両、牛膝・肉桂・沢瀉・車前子・山薬・牡丹皮・山茱萸(酒蒸)各1両、附子5銭、生姜、大棗」水煎。 原は丸となし之を用いる。煎剤となして数々効あり。◎脾と腎が虚して腰痛し、脚腫れ、小便不利し、或いは肚腹脹痛し、四肢浮腫し、或いは喘急痰盛已に蠱症となるを治す。
金匱当帰散《東醫寶鑑》「黄芩・白朮・当帰・白芍薬・川芎」各1両を作末し、毎回3銭を温酒で調下し、or酒糊で丸め、米飲で50~70丸飲む。◎妊婦が常服すると養血・清熱する。◎流産の習慣を治す。
金黄湯 「欝金・瞿麦・生地黄・車前子・滑石・芒硝」各5銭。粗末にし、空腹時に、毎回5銭を水煎服。 ◎小便に出血があり、尿道が痛む者。
金花丸(一名安脾丸)《東醫寶鑑》「半夏(製)1両、檳榔2銭、雄黄(水飛)1銭半」作末し、姜汁に漬けて蒸して餅にし、梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸呑む。◎悪心・吐き気。
金鎖固精丸《医方集解》 「沙苑・蒺藜・芡実・蓮鬚・竜骨・牡蛎・蓮肉」 ◎精液が漏れてやまない。
金鎖固精丸《医方集解》《中薬臨床応用》「蓮鬚9g、潼蒺藜9g、芡実12g、竜骨24g、牡蛎15g、蓮子9g」丸薬にし、1回5~9gを服用。 ◎遺精◎白色帯下◎頻尿
金鎖思仙丹 「蓮花芯・蓮子・芡実」等分。作末し金桜子のついた湯膏で梧子大に丸め、空腹時に塩湯で、1回に30丸服用。 金鎖匙《東醫寶鑑》「朱砂3分3厘、柏古礬各1分6厘、硼砂1分2厘、熊胆・焔硝・片脳・麝香各1分」を作末し、半銭を喉中に入れる。」
◎急喉閉と纒喉風を治す。
金鎖匙散 「焔硝60g 梅片1g。以上を細末にする」 金茱丸《医宗金鑑》「呉茱萸、苦楝子」 金珠緑雲油《東醫寶鑑》 「蔓荊子・没石子・躑躅(ツツジ)花・訶子皮・白・沈香・附子・防風・覆盆子・生地黄・零陵香・芒硝・旱蓮草・丁香各1銭半、巻柏3銭を作して絹袋に入れ、清油8両に漬けて固く封をし、7日すぎたら頭にぬる。」
◎髪がはえる。 金水六君煎《景岳全書》《中薬臨床応用》⇒「熟地二陳湯」「当帰9g、熟地黄12g、陳皮5g、半夏6g、茯苓9g、甘草(炙)3g」水煎服。◎肺腎陰虚◎痰が多い◎咳嗽◎息苦しい
金傷散《東醫寶鑑》「5月5日の早朝、4人がそれぞれ東西南北の4方に出ていって草の茎・葉をそれぞれ半かかえぐらい採って、正午になったら石灰1斤と共にいぶして、桑に木2~3株に穴を開け其の中に積み重ねた後、桑木皮をかぶせ油に石灰を混ぜて堅く塗って薬の気が抜けないようにし、その上に桑木皮を、9月9日正午に取り出して100日の間陰乾して細末にする。もし傷を負ったら塗る。」◎一切の金瘡を治す。
金消丸《東醫寶鑑》「黄柏・荊芥・射干・黄芩」各等分を作末し、桜桃大も蜜丸。毎回1丸を口に含んで溶かす。 ◎咽喉の腫れる症。
金生虎骨散《東醫寶鑑》
「当帰1両半、赤芍・続断・白朮・藁本・虎骨各1両、烏蛇肉5銭」を作末し、毎回2銭を温酒で食後調服する。骨髄が疼痛すれば、生地黄1両を加える。◎半身不随で肌肉の乾痩する者(⇒偏枯)に。
金髄煎 「赤く熟した枸杞子を、酒に二ヶ月漬けたものを、つぶして 布で絞る。絞り汁を煮詰めて膏にし、毎日2回、2匙ずつ 温酒にまぜて服用。長服すると良い。
金聖湯《方読便覧》「黄連解毒湯石膏・甘草」 ◎疽並びに手指一切の腫瘍、金瘡、損傷を治す。
金棗散《中国民間験方》 「黒棗20粒 白信8g 人中白2g 梅片2g。 黒棗は核を去り、白信を入れ、炭火の上に置いて、 焼いて炭にし、極細末に磨り、さらに人中白・梅片
を加え、細かくまんべんなく混ぜ合わせて、瓶に貯蔵する。」
金疝飲《東醫寶鑑》「黄連(呉茱萸の煎湯に漬炒)2銭、人参・白朮各1銭、白芍薬・陳皮各7分、甘草3分、姜3」煎服。◎気疝を治す。
金蟾散《東醫寶鑑》「蝦蟆(大)の口中に縮砂を入れ、泥缶に堅く封をし、炙って煙りになったら冷まし、泥は捨て細末にし酒or陳皮湯で調下する。◎気脹を治す。
金箔丸《東醫寶鑑》 「晩蚕蛾(炒)・破故紙(炒)・韭子(炒)・牛膝(酒浸)・竜骨・山茱萸・桑蛸(炙)・兎絲子(酒浸)各1両」作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に温酒で30丸服用。
◎白淫・夢泄。
金箔鎮心丸[1]《東醫寶鑑》「全蝎(薄荷葉でくるんで弱火で焼く)7個、天麻・防風・羗活・牛黄・赤茯苓・犀角・朱砂・麝香・甘草各1銭」作末し蜜で子大に丸め、金箔で衣をし、毎回1~2丸を薄荷湯で飲む。◎驚風を治し、心を鎮める。
金箔鎮心丸[2]《東醫寶鑑》「牛胆製南星1両、朱砂(水飛)・琥珀・天竺黄各5銭、牛黄・雄黄・真珠各2銭、麝香半銭」作末し蜜で丸め、金箔で衣をして30丸作り、毎1丸づつ薄荷湯で服用。◎癲癇・驚悸・怔忡と一切の痰火を治す。
金刃独聖丹《瘍科綱要》 「竜眼核40g(炒る)冰片8gを極細末にし、まぜあわせ密閉保存。瘡口に塗布する。」
金不換散《東醫寶鑑》「罌栗殻(蜜炒)5銭、枳殻4銭、杏仁・甘草各3銭、姜3、梅1」煎服。◎喘嗽の長引く者。
金沸草散[1-1]《和剤局方》 「荊芥、麻黄、前胡、炙甘草、赤芍、半夏、旋覆花」
金沸草散[1-2]《和剤局方》《中薬臨床応用》「金沸草9g、麻黄1.5g、前胡6g、桔梗3g、赤芍薬3g、法半夏4.5g、薄荷4.5g(後下)、甘草3g」水煎服。◎上気道炎で咳嗽。
金沸草散[2-1]《傷寒活人書》《古今方彙》「前胡・金沸草(旋覆花のこと)・赤芍薬各2銭半、甘草3分、半夏7分半、荊芥2銭、赤茯苓1銭」水煎温服。
◎風に因り咳嗽し痰を生じる者。
金沸草散[2-2]《東醫寶鑑》「荊芥穂2銭、旋覆花・前胡各1銭半、麻黄・赤茯苓各1銭、半夏7分半、細辛・甘草各3分」剉作し、「姜3、棗2、梅1」入れて煎服。◎肺が風寒を感じ、咳をし声が重く、痰涎が黄色で壅盛な者。
金蓮丸《東醫寶鑑》「石蓮肉・白茯苓・竜骨・天門冬・麦門冬・柏子仁・当帰・酸棗仁・紫石英・遠志・乳香・竜歯各1両」を作末し、蜜で梧子大に丸め、朱砂で衣をし、空腹時に、温酒又は棗湯で70丸服用。
◎思慮傷心で、小便が赤く濁る者。 金鈴散《東醫寶鑑》「川楝子(大)30枚を肉を取って切り、巴豆肉30粒を同じく切って炒り、巴豆は捨て、茴香(炒)と等分にして、木香2銭半を入れて作末し、毎回2銭を水・酒各半分にまぜ、葱白の煎湯で、空腹時に調下する。」
◎膀胱・小腸気の腫痛を治す。
金鈴子丸[1](一名玄金散)《東醫寶鑑》 「金鈴子・延胡索各1両」を作末し、毎回2銭を酒で調服し、枳朮丸を連用する。◎熱厥心痛を治す。
金鈴子丸[2]《東醫寶鑑》 「川楝子肉5両を切って5貼にし、1貼は斑花10箇と炒って猫は捨て、貼は茴香3銭・塩半銭と炒って塩だけ捨て、又1貼は黒丑3銭と炒って黒丑を捨て、1貼は破故紙3銭と炒り、残りの1貼は蘿葡子1銭と炒って蘿葡子を捨てる。以上を作末し、梧子大の丸剤。温酒で30~50丸服用。」
◎疝気で、陰卵の一辺が腫大で偏墜して、つっぱって痛いとき。
金鈴子散(一名玄金散)《東醫寶鑑》「金鈴子・延胡索各1両」作末し毎回2銭を酒で服用。◎熱厥心痛を治す。 金鈴子散《保命集》「川楝子、延胡索」
金鈴子散《聖恵方》《中薬臨床応用》「川楝子60g、延胡索60g」作末し1回6gを湯で服用。◎慢性肝炎◎肝気欝結による腹痛、脇痛 金露元《東醫寶鑑》「草烏(炮)・黄連各1両、生乾地黄・貝母・巴豆霜・桔梗・柴胡・紫菀・呉茱萸・菖蒲・乾姜・白茯苓・桂心・川芎・人参・甘草・防風・厚朴・枳殻・鼈甲・川椒・甘遂各5銭」作末し麺糊で梧子大の丸剤。姜湯で3~5丸飲む。◎腹内の一切の積聚と癥塊で痛む者を治す。
匀気丸《東醫寶鑑》「益智仁・大腹子・白檀香各1両、草豆蔲・橘皮・沈香・人参各5銭」作末し梧子大の丸剤。淡姜湯で70~80丸飲む。◎気が虚し、濁ったものがこみ上がり、ゲップの多い者を治す。
匀気散[1-1]《古今方彙》「白朮4銭、烏薬3銭、天麻・人参各1銭、沈香・白芷・青皮・甘草・紫蘇葉・木瓜各5分、生姜、大棗」水煎。◎腰腿疼み、手足屈伸する能わず、半身不遂、口眼斜、風気、中風、中気を治す。
【加減方】心脾痛む者:茯苓・半夏・陳皮・木香・羗活。
匀気散[1-2](一名順風匀気散)《東醫寶鑑》「白朮2銭、烏薬1銭半、人参・天麻各1銭、沈香・青皮・白・木瓜・紫蘇葉・甘草各5分、姜2片」水煎服。◎すべての中風・気虚不随に。
匀気散[2]《証治準縄》「山楂炭、青皮、木香」◎夏に冷物を摂りすぎ、腹痛下痢。
均気八仙散《寿世保元》《古今方彙》「麻黄2銭、杏仁・桔梗・片黄芩各3銭、知母2銭、貝母1銭、石膏3銭、甘草1銭」水煎温服。 ◎哮喘にて気急而して息するを得ざる者は宜しく用いるべし。
近効方朮附湯《漢方治療の実際》=「白朮附子湯」《金匱要略》「桂枝附子湯桂枝朮3」 「附子・朮・生姜・大棗・甘草」 近製清暑益気湯《医学六要》《古今方彙》「人参、白朮、麦門冬、五味子、陳皮、甘草(炙)、黄柏(炒)、黄蓍(蜜炙)、当帰」煎服。人によって加減す。生姜、大棗。
◎中暑。
化丸《類証方》「玉露霜、柿霜、貝母、百合、茯苓、海石、秋石、甘草、薄荷」 化先方《東醫寶鑑》「甜梨汁・生蘿葡汁・生姜汁・白砂糖・款冬花・桔梗・紫菀各2両、五味子1両」共に煎じて滓は捨て、膏を作った後、人参末1両を入れ梧子大の丸剤。就寝時に1丸噛み下す。◎痰が多く、咳嗽し膿血を吐く者を治す。
銀花解毒湯《瘍科心得集》《中薬臨床応用》「金銀花30g、紫花地丁30g、赤茯苓9g、連翹9g、牡丹皮6g、黄連5g、夏枯草9g」水煎服。◎化膿性皮膚疾患
銀翹散《温病条弁》「連翹、金銀花、桔梗、荊芥、薄荷、淡竹葉、甘草、淡豆豉、牛蒡子、蘆根」 銀翹散《温病条弁》《中薬臨床応用》「金銀花12g、連翹9g、荊芥9g、淡豆豉9g、牛蒡子9g、桔梗6g、薄荷3g(後下)、淡竹葉9g、芦根18g、甘草3g」水煎服。◎感冒◎感染性疾患の初期◎発熱、頭痛、咽喉痛
銀川紅片《中薬臨床応用》⇒「銀川紅舒血片」「銀杏葉9g、川芎15g、紅花15g」糖衣錠とし、3分服。◎冠不全◎狭心痛 銀白散《東醫寶鑑》「蓮肉・白扁豆・白茯苓各2銭、白附子(炮)・人参・天麻・全蝎(炒)・木香・藿香・甘草(炒)各1銭、陳米(炒)3銭」作末し、毎回2銭に姜2片、冬瓜仁7粒を入れ水煎服。◎慢驚風を治す。
銀花解毒湯《瘍科心得集》「金銀花、紫花地丁、赤茯苓、連翹、牡丹皮、黄連、夏枯草」 銀甲散《成都中医学院婦科経験方》「金鈴子、香附子、烏薬、当帰、川芎、赤芍薬、琥珀、甲珠、鼈甲、夏枯草、絲瓜絡、紫花地丁、蒲公英、連翹、銀花、紅藤」
#気緘元《東醫寶鑑》「薑黄・青皮各1両、木香・丁香・胡椒・全蝎・肉豆蔲(煨)各5銭」作末し蘿葡子2両を細研して混ぜ紅酒・生姜汁で糊をつくり梧子大の丸剤。紫蘇葉・陳皮煎じ湯で40~50丸飲む。◎気脹を治す。
#気疝飲《医学入門》《東醫寶鑑》「黄連を呉茱萸で煎じた湯に漬けて炒ったもの2銭、人参・白朮各1銭、白芍・陳皮各7分、甘草3分、生姜3」水煎服。
◎気疝を治す。
#気痛方《中薬臨床応用》「両面針9g、烏薬9g、延胡索9g、烏賊骨12g、九里香12g、風沙藤12g、鶏骨香12g、甘草3g」水煎服。◎消化性潰瘍◎神経性胃炎
#気痢丸《東醫寶鑑》「訶子皮・橘皮・厚朴各1両を作末し、蜜で梧子大の丸剤。 空腹時に米飲で30服用。」 ◎気痢で大便が泡のような者。
#奇応丸《桂集》「麝香・沈香・人参・熊胆・金箔」
#奇応丸《経験方》「人参、熊胆、伽羅、麝香、牛黄、真珠」 #帰葵湯《東醫寶鑑》 「升麻1銭、黄蓍・酒片芩・防風・羗活各7分、蔓荊子・連翹・甘草(生)・
地黄(生)・当帰・人参・紅葵花各5分、柴胡3分」水煎し食後温服。◎物を見ると黒花が出、涙が出、目の中に火気があって陽を嫌い者。
#蓍帰建中湯[1-1]《華岡青洲方》
(ぎきけんちゅうとう)
「桂枝、白芍薬、甘草(炙)、生姜、大棗、膠飴、当帰、黄蓍」 #蓍帰建中湯[1-2]《漢方治療の実際》=「帰蓍建中湯」「黄蓍2、当帰2、桂枝・生姜・大棗各4、芍薬6、甘草2」
#蓍帰建中湯[1-3]《華岡青洲方》《龍野一雄》 「黄蓍2g、当帰4g、桂枝・大棗・甘草各3g、芍薬6g、干姜1g」◎小建中湯、当帰建中湯、黄蓍建中湯、蓍帰建中湯などは腹直筋の拘急がひどくて、歩行困難、または歩行不能の者に用いて時に著効を得ることがある。その際疼痛のある場合があり、知覚麻痺を伴うこともある。《大塚敬節》◎腹直筋が軟弱無力のこともある《大塚敬節》◎「黄蓍建中湯+当帰」
★適応症及び病名(ぎきけんちゅうとう)
[1]脊椎カリエス:☆《大塚敬節》“昭和9年11月、茨城県の山間にある知人の別荘にでかけたとき、村の者が数人して戸板に乗せた青年を運んできた。聞けば隣村からわざわざ診察を受けに来たのだという。診れば、痩せた血色の良くない青年で、1人では寝返りさえ出来ない。病人のいうところによれば、病気になってから、もうかれこれ10年にもなるから、元の身体になることは望まないが、せめて大小便だけでも人手を借りずに済ませるようになれば満足だという。医師から脊髄が悪いといられたそうであるが、脊椎の形状からカリエスではないかと考えた。脈は弦で、しかも弱である。腹直筋は弓のつるを張ったようになって、脊柱はひどく変彎しているので、仰臥することが出来ない。無理に力を入れて伸ばそうとすると痛む、大小便と食欲は普通である。私は虚労と診断し、腹直筋の攣急とやせて血色の良くない点を目標にして、蓍帰建中湯を与えたところ、1ヶ月ぐらいでひとりで座れるようになり、3ヶ月たつと、杖を突いて歩けるようになり、翌年の夏は健康人と同じく動作が出来るようになり、たいへん喜ばれた。”
[2]紫斑病 ☆小建中湯よりも、さらに貧血、衰弱の激しいものに用いる(漢方診療医典)
[3]痔瘻(じろう):☆幼児の痔瘻に、帰蓍建中湯伯州散を服用させ、紫雲膏を塗布して、1年かかって全治せしめた。《大塚敬節》☆5歳の男子の痔瘻に、帰蓍建中湯紫雲膏で全治した。《大塚敬節》
[4]附骨疽(ふこっそ)
☆12歳の男児。腰椎カリエスがあり、臀部に寒性膿瘍を作り、それが破潰して、排膿しているものに、蓍帰建中湯を用い、1年余り連用せしめて全快した。この少年は目下成人して結婚し健康に生活している。《大塚敬節》
#蓍帰建中湯《華岡青州》《龍野ー漢方処方集》「黄蓍2.0g、当帰4.0g、桂枝・大棗・甘草各3.0g、芍薬6.0g、干姜1.0g」◎諸病後、虚脱し、盗汗出ずる者を治す。◎「当帰建中湯+黄蓍」。或いは証に随い「+反鼻」《勿誤薬室」函口訣》◎此方は《華岡青州》の創意にて、瘡瘍に用ゆれども、虚労の盗汗、自汗症に用いて宜し。◎肉芽悪く分泌うすく) ■潰瘍
■痔瘻 ■蓄膿症 ■皮膚病 ■ 慢性中耳炎 ■漏孔 #蓍蔯湯《東醫寶鑑》「石膏2銭、黄蓍・赤芍薬・茵蔯蒿・麦門冬・豆豉各1銭、甘草5分」剉作1貼し、姜5片入れ水煎服。◎黄汗を治す。
蓍附湯《厳氏済生方》《古今方彙》=「茋附湯」 「黄蓍(去蘆・蜜炙)・附子(炮)各等分」毎に4銭を服す。水1鐘、生姜10片、煎じて8分を服す。◎気虚陽弱、大汗体倦するを治す。
蓍附湯《重訂厳氏済生方》《魏氏家蔵方》「黄蓍、附子」 蓍附湯《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)・附子(炮)各2銭半、姜3片」煎服。◎自汗を治す。
帰求破癥湯《東醫寶鑑》 「香附子(醋炒)1銭半、三稜(醋煮)・蓬莪朮(醋煮)・赤芍薬・白芍・当帰尾 ・青皮各1銭、烏薬7分、紅花・蘇木・官桂各5分」水煎服。
◎月経不通・腹中に塊があって疼痛ある者。
帰荊湯(きけいとう)《仁斎直指方》 「当帰・荊芥」各等分。酒水煎。◎風痙(=子癇)、昏迷し、沫を吐し、抽掣し、背脊強直するを治す。◎産後の痙も通用す。◎余が門にては、豆淋酒にて煎服す。
帰元散《東醫寶鑑》 「人参・白朮・白茯苓・遠志・酸棗仁(炒)・麦門冬・黄柏・知母・鶏頭実・ 蓮花芯・枸杞子・陳皮・川芎各5分、升麻・甘草・各2分半、蓮肉3個、
棗子1枚」を煎じて、空腹時に、温服。◎夢泄がひどく体力が無くなった者に。
帰元湯《万病回春》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓・遠志・酸棗仁・麦門冬・黄柏(便)・知母(童便)・陳皮・川芎・芡実・蓮花鬚・枸杞子各等分、升麻、甘草半減、蓮肉、大棗子」水煎し空心に服す。
◎夢精、日久しく気下陥する者を治す。
帰茸丸《東醫寶鑑》「当帰・鹿茸」各等分に作末し、烏梅肉で膏を作り梧子大の丸剤。温酒で50 ~70丸飲む。◎虚労による肝の虚弱。 ◎顔色が悪く、目がかすむ。
帰芍紅花散《審視瑶函方》 「当帰・大黄・梔子仁・黄芩・紅花(以上いずれも酒でていねいに洗う)・ 赤芍・甘草・白芷・防風・生地黄・連翹各等分。作末して、毎服12g。」
帰心丹《東醫寶鑑》 「朱砂2両を豚の仔袋の内に入れて灯心で結び、酒で蒸して作末し、酸棗仁(炒)・白茯神・人参・当帰各2両、琥珀・遠志(姜製)・竜歯各1両、金箔20斤、銀箔20斤」作末し、酒で煮た糊で梧子大の丸剤。
①19~39丸を麦門冬を煎じた湯で飲む。 ②癲癇がひどいときは、乳香・人参を煎じた湯で飲む。 ③夢ばかり見て寝られない人には、酸棗仁の煎じ湯で飲む。
◎心気の不足・恍惚・健忘・癲癇・狂乱・驚悸・怔忡に。 ◎病後の心臓の衰弱に特効。 帰脾湯 [1-1]《厳氏済生方》《龍野ー漢方処方集》 「黄蓍・人参・白朮・茯苓・酸棗仁・竜眼肉各4g、当帰・遠志・大棗各2g、甘草・木香・干姜各1g」
(きひとう)
◎不眠・発熱・盗汗。 ◎思慮過度。 ◎健忘・胸騒ぎ・驚悸。 ◎嗜臥・食欲不振。 ◎憂思発熱。 ◎体痛大便調わず。 ◎月経不調、暮れ方に発熱。
◎頚腺腫脹。
帰脾湯[1-2]《厳氏済生方》《中薬臨床応用》「黄蓍9g、白朮9g、党参9g、当帰6g、茯神9g、竜眼肉9g、木香1.5g(後下)、遠志3g、酸棗仁9g、甘草(炙)5g、生姜5g、大棗15g」水煎服。◎神経衰弱
帰脾湯[1-3]《厳氏済生方》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・茯苓・酸棗仁(炒)・竜眼肉各2銭、当帰・遠志各1銭、甘草(炙)・木香各5分、生姜、大棗」水煎。
◎脾経血をい失して、少寝発熱、盗汗、或いは思慮して脾を傷り、血を摂する能わず、以て妄行を致し、或いは健忘怔忡、驚悸不寝、或いは心脾傷き痛み、嗜臥少食、或いは憂思して脾を傷り、血虚して発熱し、或いは肢体痛みをなし、大便調わず、或いは婦人経候準ならず、
熱内熱、或いは瘰癧流注し、消散潰斂する能わざるを治す◎加味帰脾湯=「+柴胡山梔子」◎本方には当帰遠志なく、《薛立斎十六種》は之を加える。
帰脾湯[1-4]《東醫寶鑑》 「当帰・竜眼肉・酸棗仁(炒)・遠志(製)・人参・黄蓍・白朮・茯神各1銭、木香5分、甘草3分、生姜5片、大棗2枚」
◎憂思によって心・脾を傷め、健忘・怔忡する者。 帰脾湯[1-5]《厳氏済生方》(きひとう) 「当帰・白朮・茯苓・黄蓍・人参各2銭、甘草1銭、酸棗仁・遠志・木香各5分、竜眼肉5枚」
◎思慮過制し、心神脾を労傷し、健忘・怔忡するを治す。
◎此方は《明医雑著》に拠って[遠志]・[当帰]を加え用いて、健忘のほか、思慮 過度にして心脾二臓を傷り、血を摂することならず、或いは吐血、衂血、或い
は下血の症を治するなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方に[柴胡][山梔子]を加えたるは、《内科摘要》なり。前症に虚熱を挟み、或いは肝火を帯る者に用いる。
◎凡そ、補剤を用ゆる時は、小便通利少なき者多し。此方も補剤にして、且つ利水の品を伍せざれども、方中の木香、気を下し、胸を開く故、よく小便をして通利せしむ。主治に大便不調を云うは、能く小便を裏するを以て、大便自止の理なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎思慮、脾を傷め、血を摂する能わず、血の妄行を致し、或いは健忘、怔忡、驚悸、盗汗、臥を嗜み、食を少なくし、或いは大便不調、心脾疼痛、瘧利、欝結し、或いは病の薬を用うるに宜しきを失うに因って、剋代し、脾を傷め、以て変証に致したる者を治す。《雑病翼方》
◎《陳念祖》曰く、此方は養神の法と為す。《雑病翼方》
◎不眠発熱盗汗或いは思慮過度、或いは健忘、胸さわぎ、驚悸、或いは嗜臥食欲不振、或いは憂思発熱、或いは体痛大便調わず、或いは月経不順、暮方に発熱、或いは頸腺腫脹。《龍野ー漢方処方集》
◎《漢方後世要方解説》此方は思慮過度により心脾を労傷し、主治に挙ぐる如き諸症を発せる場合に用いられる。脈腹ともに虚弱にして、面色痿白、貧血甚だしく、健忘、不眠、驚悸、怔忡、出血し易き等の症がある。犀角、地黄、黄連と虚実の相違があり、また他の補養の剤は心下に痞えて亨は心悪しき者によく奏功する。
◎《大塚敬節》思慮が多きにすぎ、そのために脾を傷り血をおさめることが出来ないから、下血・吐血・衂血等の症を現し、または心が虚して怔忡驚悸(驚きやすくて動悸がする)健忘(物忘れが激しい)等の症状を現す者を治すのが、この帰脾湯である。
◎帰脾湯がまことに良く効く方であるけれども、ちょっと証を間違えて、実証の者などに用いると、ひどく悪くなることがある。《大塚敬節》
★帰脾湯きひとう:(胃腸虚弱、貧血疲労、顔面蒼白、心悸亢進、腹部軟弱、出血、舌無苔) 帰脾湯[1-6]《漢方治療の実際》「黄蓍・人参・朮・茯苓・酸棗仁・竜眼肉・当帰各2、
遠志・甘草・木香各1、 生姜・大棗各1.5」
★適応症及び病名 (帰脾湯) [1]悪性貧血 ☆患者は友人の妻君で、子供も2人あった。従来健康であったが、夏に急性胃腸カタルをやってからどうも腸の具合がわるく下痢しがちで、ひどく痩せてしまった。秋頃になってあまり体重が減少するので、海軍病院で診てもらうと腸結核であるといわれた。その後、中野の組合病院に入院したが、ここでは腸結核の上に腹膜炎も伴っていて、その上ひどい貧血であるから重症であるといわれた。そこで、友人は知人のS博士に診てもらった。同博士は血液学の大家で、病理学の著書を出しているひとであるが、血液検査をして見て、首を横に振った。どうもいかんというのである。血液検査の結果は赤血球が114万(正常なものは450万)で、正常なる婦人の1/4しかないのである。こうした例は学界に類が稀で、2例の報告はあるがいずれも不治に終わったから、この患者も難しいであろうとのことであった。
だが友人はかって肺結核で半年間も血痰が止まらずに困っていたのが、私(代田文誌)の灸治により血痰が泊まり、肺結核も全治した経験を持っているので、最後の希望を私にかけて治療を頼んできた。そこで、私は往診したが、顔面蒼白、全身は水腫をきたし、顔面と足首とはことにひどく、熱も38.5℃ほどあり、咳嗽が頻発している上に、食欲が無くて、しかも毎日数回下痢しているのである。
これを診た時は、どうしても助かりそうに思えなかった。だが、私は勇気を起こした。そこで、 (腹部)中脘、上脘、水分、気海、大巨 (背部)身柱、風門、大杼、至陽、膈兪
(手足)曲池、左陽池、尺沢、足三里、太谿 に半米粒大の灸3壮ずつすえた。灸し終わったが、不安でならぬので、湯液を飲んではどうか?と相談すると、飲んでみたいという。そこで、大塚敬節先生を紹介し、往診を求めた。大塚先生は快く承諾し、往診し、投薬してくれた。
その後、患者は日ごとに体の調子がよくなり、数日にして平熱となり、水腫もとれ、食欲が出てきた。そうして下痢も止まったのである。かくて灸治と湯液を併用すること約1ヵ月にして退院し、自宅で養生することになり、次に往診したのは、前の往診後1ヵ月半の時であった。そのときはすでに食事も起きて自分でとり、便所へも自分で行っていた。その後1ヵ月の灸治と湯液の服用で、完全に治癒し、血液検査の結果は正常となったのである。
この悪性貧血の治に当たっては、灸治も相当に効いていることは確かであるが、大塚先生の与えられた帰脾湯が非常に効いているようで、患者はあの薬をのむと食欲が増すといって、1日でも薬がきれると早く薬をとりに行ってくれるようにと主人に督促するというふうであった《灸療雑話》
[2]頭がふらつく
[3]頭がボーッとする
[4]胃下垂
[5]胃潰瘍
[6]胃がもたれる ☆補中益気湯・十全大補湯などがもたれる者に良い、
[7]胃無力症
[8]息切れ
[9]遺精:☆遺精白濁《漢方後世要方解説》☆白濁。淋渋、虚証の者《矢数道明》
[10]陰痿:☆思慮し脾を破る者《薛立斎十六種》
[11]陰戸出
[12]陰部掻痒症:☆婦人素より欝悶し、陰内痛痒し、時ならず水を出し、飲食少しく思い、肢体倦怠するを治す。《薛立斎十六種》
[13]陰門熱癢:☆陰門熱痒《漢方後世要方解説》
[14]過労: ☆元来胃腸虚弱者が、思慮過度により脾がやぶれ心身過労となる。
[15]感情不安定:☆今俗に云う癇証で、しきりに物事を苦にして種々の容体を言うて、自ら大病となし、或いは自刃せんとし、或いは悲傷する者がある。しかし時によっては、起居、飲食とも変わりなく、診察してみると、多くは脈が沈細で、人参や附子を用いたい様である。しかしこのような証はひどい虚証のように見えても、うっかり人参や附子の入った方剤はやれないものである。先ず疏肝散(柴胡剤など)がよい。
1婦人が癇症だといって治を乞うた。そうして言うに、私の病気は癇症だけれども、帰脾湯を用いないで下さいという。そこで余がその訳を詰問すると、婦人がいうのに、先年、私の夫が癇症にかかって、ある医者に治を乞うたところ、その医者が虚証と判断して帰脾湯を与えた。するとたちまち上逆、発狂して自殺してしまったと。余はこれを信ずることが出来ず、疑問に思っていた。ところが、その後、また1人の婦人が癇性で治を乞うたが、虚証のように見えるので帰脾湯を用いたところ、たちまち発狂して、井戸に飛び込み死んだ。そこで始めて、前の婦人の云ったことが、こじつけでないことを知り感服した。その後、また1人の男子の癇症を診察し、よほどの虚証であったから、帰脾湯を用いたところ、1年ばかりで全治した。
帰脾湯は、証に適中すれば、その効は神の如くすばらしいが、一度誤るときは、人を殺すこともすみやかである。よくよくつつしみ、虚実を弁別して用いなければならない。《椿庭夜話》
[16]顔面蒼白
[17]驚悸
[18]経閉:☆(気の鬱滞による慢性)☆《陳念祖》曰く、女子に不得隠曲(欲求不満)あり。之を心に鬱し、心、血を生ずる能わず。血、脾を養う能わず、是れに由って水穀衰少、以て精微の気を化する無く、而して血脈遂に枯れ、月事時に下ら能わず。余、凝して「帰脾湯鹿茸麦門冬」として二十餘在を服して癒える。
[19]血尿: ☆諸出血、貧血がひどく、心動悸、食欲不振を訴える者《矢数道明》
[20]血便:☆大便下血、凉血の薬を用い、効かざる者、:「槐花・黄芩」《雑病翼方》
[21] 月経不順:☆全身衰弱による者《矢数道明》☆思慮過度による月経不順《矢数道明》☆遅れる者:「附子乾姜」☆早き者:「牡丹皮・梔子」《方読便覧》
[22]血小板無力症
[23]元気がない
[24]健忘症:☆健忘を治すの総司なり《古今方彙》☆思慮過度、大病後の気虚脱《漢方後世要方解説》☆老衰健忘《漢方後世要方解説》☆この方のゆく健忘は、瘀血にもよらず、また柴胡剤、瀉心剤、石膏剤などの症でもない。老人が中風の下地をなす時、多く健忘となる。このところに、この方の効がある。老境の健忘にはよく効のある方である。たとえば、自分のそばにある火盆をここへ持ってこいと命ぜんとして、その火盆の名を忘れ、或いは親戚・朋友の姓名などを忘れなどすることは、老境に多くあるものである。壮年の人の健忘には桃核承気湯などのゆくこともあるが、老人には駆瘀血剤のゆくことは少ない。しかしまた壮年にも帰脾湯のゆく処がある。帰脾湯のゆく処は、多くは面などツヤツヤし、或いは半身不遂なども有る者である。しかしこのような症を帰脾湯の主症というのではない。この場は世人、多くは中風とみるものである。帰脾湯は老壮を論ぜず、健忘の症があっても、攻撃剤を用いることの出来ない処に用いる。世医、帰脾湯の処へ、瀉心剤などを与え効が無い、難治などと云って、捨てておく者がある。、
健忘は癇に属する者もあり、瘀血に因る者もある。瘀血による者には、茯苓杏仁甘草湯が効がある。《方輿輗》
[25]更年期障害
[26]衂血 ☆諸出血、貧血がひどく、心動悸、食欲不振を訴える者《矢数道明》 ☆しばしば衂血を繰り返し、甚だしく貧血をきたし、顔面、口唇まで蒼白となり、食欲不振、栄養不足となった者。白血病、悪性貧血などに起こる衂血に本方がよい(漢方診療医典)
[27]嗜臥少食
[28]子宮ガン
[29]子宮出血:☆《矢数道明》 “48歳の婦人。常に顔色が悪く、痩せ型ですこぶる神経質である。この婦人も、上衝・耳鳴り・頭痛・肩こり・動悸・腰痛・悲観に陥りやすく、年に3、4回、猛烈な子宮出血を起こし、1ヶ月以上も続くことが、この3、4年の週間であった。腹が虚軟で、心下から臍傍にかけて著明な大動気を触れ、脈は弦である。昨年の春、例年のように出血に見舞われ、私が芎帰膠艾湯を与えると出血はさらに加わり、虚羸衰弱を増し、唇や舌が蒼白になるほどますます貧血してしまった。そこで[血崩血脱甚だしきに四物湯を用うる勿れ、万物を故殺す。血を補うは気を補うにしかず]で、帰脾湯を与えると、出血は速やかに止まり、全身症状は異常に好転した。その後、本患者は長年の服薬を廃するまでによくなった”
[30]子宮内膜炎
[31]自汗
[32]自閉症 ☆腹力低下者の精神不安、不眠、抑うつ、言語障害などを目標に(漢方診療医典)
[33]自律神経失調症状
[34]小児の言葉を発するのが遅い。《済世薬室》
[35]食欲不振:☆神仙労(神経性食欲不振症):「呉茱萸」《内科摘要》☆食思不振《漢方後世要方解説》☆全身衰弱で他の補剤を服して反って胃に泥む者《矢数道明》
[36]心悸亢進
[37]心臓神経症
[38]心痛:☆押さえると痛みが止まる=虚痛、顔面蒼白、神経症状、食欲不振、腹部軟弱、貧血疲労、心悸亢進、舌無苔
[39]神経性胃炎
[40]神経性心悸亢進症: 胃腸虚弱、貧血疲労、顔面蒼白
[41]神経衰弱
[42]衰弱 [43]舌質<淡白>[44]舌苔<無苔>
[45]躁鬱病
[46]帯下:☆赤白帯下を治す、《寿世保元》
[47]血の道症:☆女子には必ず調経し、「帰脾湯」を以てその源を治め、「逍遥散」を以てその流れを治す。ただ、婦人体肥厚する者は恐らく子宮脂満なり。別に「二陳湯+川芎香附子」を用い、丸と為す。《雑病翼方》
[48]腸出血
[49]疲れやすい
[50]低タンパク血症
[51]手足冷たい
[52]多夢
[53]盗汗
[54]動悸:《方読便覧》
[55]吐血:
[56]軟便~水様便
[57]のぼせ: ☆頭上白屑《漢方後世要方解説》
[58]バルトリン腺炎
[59]白血病
[60]腹がはる
[61]疲労倦怠感
[62]ヒステリー:☆貧血性の者の《矢数道明》
[63]貧血:☆ひどいときは「+四物湯」。☆昭和30年6月20日初診の6歳の男児。生まれて間もなくから貧血があり、その貧血の原因が不明であった。約2年前までは時々ケイレンしてひきつけたが、最近は発作がなくなった。よく風邪を引く、下痢はしない。貧血はかなりひどく、枯れかかった竹の葉のような色をしている。脈は微細である。腹診すると、脾臓は臍の下方まで肥大し、肝臓は季肋弓より2横指径ほど下にまで肥大している。このような症状から考えると白血病のように見える。しかしそれにしては、経過が長すぎるように思われる。患家は生計が苦しいので、ここ2、3年は医療を受けていないという。従って、精密な検査を受けたこともないという。私はこれに帰脾湯を10日分与えた。ところが、それきり来院しないので、どうなったかと心配していたところ、2ヶ月ほどたって又来院した。みると、貧血が減じ、血色もよくなり、脾臓は縮小して、初診時の半分ぐらいとなり、肝臓も触れなくなっていた。私はおどろいた。この調子なら治るかも知れないから、もっと続けて飲むようにいって、また10日分を与えたが、それきり来院しない。《大塚敬節》
☆原因不明の貧血、悪性貧血、再生不良性貧血などに用いられる。 ☆貧血、出血、不眠、健忘、心悸亢進などのある虚証の患者に用いる。体質虚弱の者、病後で衰弱している者、精神の過労から発病したものなどによい(漢方診療医典)
☆熱状があれば、加味帰脾湯に。
[64]フケ:☆頭上白屑に、虚熱上衝と足の冷えがある者《矢数道明》
[65]不安神経症: ☆62歳男性。主訴、抑鬱気分、不安、不眠等。約3ヶ月前、10歳になる末の息子を急病で亡くし、その直後は気づかなかったが、日が経つにつれて“かわいそうなことをしてしまった”と始終考えているようになった。1ヶ月後には食欲は全くなく、ヤ セが目立ち、気分は常に悲しく憂鬱で、何事も手につかなくなり、ぼんやりして、考えがまとまらず、仕事も出来ないので勤めをやすむようになった。夜はまったく眠れなかった。最近は大分気持が落ち着いたので、勤めに出るようになったが、身体がだるく、疲れやすく、時々、心臓が止まりそうな感じが起こり、不安になる。喜忘や物事に対する興味も湧かず、酒を飲んだ時だけ元気になる。その後では反って具合がわるくなるという訴えであった。
現症。発病当初は、抑鬱状態が中心であったのに対し、初診時は、心気的訴えと、不安が著明であり、集中困難、無関心、不眠などを伴っていた。身体的には、顔色やや蒼白で潤いがなく、冴えない。身長は大で、肉つきは中等、筋肉も適度に緊張している。脈は沈細でやや遅、腹部は弾力有り、腹証には特徴がない。腰部の志室穴に圧痛が著明である。盗汗がある。
治療及び経過。帰脾湯+香附子+黄連を投与した。黄連は不安、不眠等に対して鎮静させる目的であった。 1週間後、気分爽快となり、食欲が出て、次第に眠れるようになった。
2週間後、気分はすっかり安定し、食欲も進み、体重も回復したと云って、すっかり元気になった。 1ヶ月後、上腕痛と、時に気分が沈む日があると言う。しかし3週以後は休薬していた。《山田光胤》
[66]不正性器出血: ☆性交時出血する者《矢数道明》
[67]不眠症:☆(眠りが浅い)☆心身過労の結果、不眠症を発し、その人貧血し、元気が大変衰えた者《矢数道明》
[68]腹部軟弱
[69]慢性胃腸炎
[70]慢性淋疾患 [71]脈沈細微
[72]無力感
[73]めまい
[74]目眩
[75]瘰癧(るいれき) ☆なかなか治らなくて、稀膿が出る者《矢数道明》 帰葵湯《東醫寶鑑》「升麻1銭、黄蓍・黄芩(酒)・防風・羗活各7分、蔓荊子・連翹・生地黄・当帰・人参・紅葵花・生甘草各5分、柴胡3分」水で煎じて食後服用。
◎物を見ると黒花がおき、涙が出て、目の中に火気がある者。
帰霊湯《外科正宗》《古今方彙》「川芎・当帰・白芍薬・熟地黄・薏苡仁・木瓜・防已・括楼根・金銀花・白鮮皮・人参・白朮各1銭、甘草5分、威霊仙6分、山帰来2両」水煎。
量は病の上下による。食前・食後に之を服す。◎楊梅瘡、新久を問わず元気虚弱の者を治す。◎下部には:「+牛膝」
鬼哭丹《東醫寶鑑》「常山1斤(切醋浸、夏3・秋7・冬10日)晒し乾燥・檳榔各4両、半夏・貝母各2両」作末し卵の白身に面を混ぜて梧子大の丸剤。毎回30丸、就寝時に冷酒で飲む。◎痎瘧を治す。
奇効四物湯《婦人大全良方》《東醫寶鑑》
「四物湯+阿膠・艾葉・黄蓍各7銭、姜5片」 ◎血崩に効く。◎肝経の虚熱、血沸騰して崩久しく止まざるを治す。《古今方彙》
奇良八物湯《撮要方》「奇良・当帰・川芎・茯苓・橘皮・木通・金銀花・大黄各等分」 (奇良=山帰来) →八味帯下方 葵子湯《東醫寶鑑》 「葵子・赤茯苓・猪苓・枳実・瞿麦・滑石・木通・黄芩・車前子・甘草各1銭を作末し、姜5片を入れて煎服。
◎膀胱の熱・小便の不通を治す。
葵子茯苓散《金匱要略》 「葵子1斤・茯苓3両」杵為散、飲服方寸日匕、日3服、小便利則癒。◎妊娠有水気、身重、小便不利、洒浙悪寒、起則頭眩、本方主之。《金匱要略》婦人妊娠病脉證并治第二十。
葵子茯苓散《金匱要略》《漢方治療の実際》「葵子8、茯苓1.5」作末し、1回2を服用。 菊花散[1]《東醫寶鑑》「甘菊4両、蝉退・木賊・羗活・白蒺藜各3両、荊芥・甘草各2両」を作末し、毎回2銭を茶清で服用。
◎肝が風毒のために腫れ、涙が多く、瞖膜が出る症。
菊花散[2]《東醫寶鑑》「甘菊・蔓荊子・側柏葉・川芎・白芷・細辛・桑白皮・旱蓮草(全草・花)各1両を剉作して毎回2両を漿水3椀で煎じ、2椀になったら滓を捨てて、髪を洗う。
◎髪が黄色く変色したものを、黒く艶があるようにする。
菊花散[3]《和剤局方》「白菊花、蝉退、木賊、白蒺藜、羗活」
菊花酒方《医学入門》 「甘菊花5升・生地黄の根皮5升・枸杞の根皮5升」を水1石に入れ、煮て5斗までに減ったら、糯米5斗に麹を入れて醸造する。◎健康・養生・不老・延年に
菊花茶調散[1-1]《和剤局方》 「菊花、薄荷、荊芥、川芎、防風、羗活、甘草、白芷、細辛、白殭蚕、香附子、茶葉」
菊花茶調散[1-2]《東醫寶鑑》「甘菊・川芎・荊芥・羗活・白芷・甘草各1両、防風7銭半、細辛5銭、蝉退・白僵蚕・薄荷各2銭半」を細末にし、毎回2銭を食後に茶清で服用。
◎頭風で鼻塞、偏頭痛を治す。
菊晴元《東醫寶鑑》「甘菊4両、枸杞子3両、熟地黄・肉蓯蓉各2両、巴戟1両」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に、温酒又は塩湯で50~70丸服用。
◎右腎と肝腎の不足による青瞖・白瞖を治す。
菊晴湯《中薬臨床応用》「菊花6g、枸杞子15g、肉蓯蓉9g、巴戟天6g」水煎服。◎目がかすむ ◎目がくらむ◎視力減退
麹芽正気散《古今方彙》「陳皮・半夏・厚朴・蒼朮・藿香・神麹・麦芽・山楂子各等分、生姜、大棗」水煎。 ◎食積瀉、腹痛甚だしく而して瀉し、瀉したる後は痛みが減ずる者を治す。
麹芎丸《東醫寶鑑》「神麹・川芎・白朮・炮附子」各等分。作末し麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で30~50丸服用。 ◎風泄・湿泄・滑泄を治す。◎下痢(水だけ降り、腹痛しない)
麹朮丸《東醫寶鑑》「神麹(炒)3両、蒼朮(土炒)1両半、陳皮・縮砂各1両」作末し姜汁で神麹糊をつくり、梧子大の丸剤。姜湯で70~90丸飲む。◎中脘に宿食と溜飲があり、酸が上がって心が痛み、牙歯が浮き、◎水を吐き、腐気のしゃっくりが出る者を治す。
麹朮元《東醫寶鑑》「神麹(炒)・蒼朮(製)」各等分。作末し、麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で30~50丸服用。 ◎傷泄・暑泄・暴泄を治す。
麹蘗枳朮丸《東醫寶鑑》「枳朮丸神麹(炒))麦芽(炒)各1両」 ◎食傷で胸満があり、不快。
麹蘗丸《東醫寶鑑》「神麹(炒)・麦芽(炒)各1両5銭、巴豆肉3粒を炒って巴豆は捨て、作末して沸湯で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸飲む。」◎酒癖による消化不良、腹部が膨れ酸っぱいものを吐き、嘔逆して食べられない者を治す。
枳橘湯《東醫寶鑑》 「橘皮8銭、枳穀1銭半、生姜4片」水煎服。鬱気がひどいときは姜黄を少し加える。 ◎気滞して胸痛。
枳橘熨法《東醫寶鑑》「橘皮・枳実各4両」炒って香熱を出し、絹袋に入れて両方に分けて全身をなでこする。◎婦人の陰腫が石のように固く、痛みに堪えかね、大小便ともに苦しいとき。
枳桔湯《医方集解》「桔梗、枳殻」 桔梗湯[1-1]《傷寒論》 「桔梗1両、甘草2両」右二味、以水三升、煮取一升、去滓、温分再服。◎少陰病二三日、咽痛者、可與甘草湯。不差、與桔梗湯。
《傷寒論》辨少陰病脉證并治第十一。
桔梗湯[1-2]《金匱要略》 「桔梗1両、甘草2両」 右二味、以水三升、煮取一升、分温再服、則吐膿血也。◎而胸満、振寒、脉数、咽乾不渇、時出濁唾腥臭、久久吐膿如米粥者、為肺癰、桔梗湯主之。《金匱要略》肺痿肺癰嗽上氣病脉證治第七。
桔梗湯[1-3]《漢方治療の実際》「桔梗2、甘草3」◎甘草湯の証にして、腫あり、或いは粘痰を吐く者を治す。《吉益東洞》◎此方は後世の「甘桔湯」にて、咽痛の主薬なり。又肺癰の主方とす。《勿誤薬室方函口訣》
桔梗湯[1-4]《東醫寶鑑》「桔梗1両、甘草2両」を粗末にし、毎回5銭を水煎し、冷服。 ◎咽痛。 桔梗湯[1-5]《金匱要略》★適応症及び病名
(ききょうとう)[1]咽痛: ☆咽痛、咽頭カタル《龍野ー漢方処方集》☆咽喉腫痛し、或いは咳嗽し、喀痰粘稠にして、喀出困難なる証《奥田謙蔵》
☆虚労咽痛、赤爛し、多くは脱症に係る:「薔薇花」含薬。
[2]咽頭炎:☆《傷寒論》では、甘草湯で良くならない咽痛にこの方を用いることになっているので、急性咽頭炎にも用いる。《大塚敬節》
[3]嚥下困難:☆木舌を治す:「山豆根」《方読便覧》
[4]嚥下痛
[5]気管支炎: (化膿性)
[6]気管支拡張症:☆甚だしければ則ち胸脇腸満し、呼吸不利、飲食減少し、脈洪に、自汗する者を治す。
[7]血痰が出る:☆久咳止まず、唾血赤線を引き、或いは点斑をなす者は、肺損に属す。外候軽きに似たりと雖も最も難治となす。:「+白芨・桑白皮」《高階枳園》
[8]喉頭炎(腫痛): ☆喉痺腫痛を治す。「石膏」
[9]嗄声:☆咽喉腫痛し、嚥下困難、或いは声音嘶嗄等を現す証《奥田謙蔵》
[10]失音:☆痰咳失音しつ者を治す「薯蕷・生姜」《方読便覧》☆寒に感じて声出でざるを治す:「訶子」を作末し砂糖小塊と煎じ、細かく吸う。
[11]小児の鵞口瘡(紫円と併用)
[12]新生児の疾患:☆初生の鼻づまり。☆乳を吸うことが出来ない。《方読便覧》
[13]舌苔<微黄~黄>
[14]タンが腐敗臭:☆肺癰已に膿を吐く後、宜しく服すべし:「生姜、大棗」
[15]肺壊疽
[16]肺膿瘍:☆肺化膿症の初起に:「薏苡仁・糯米」《張子和》
[17]扁桃炎:☆扁桃炎や扁桃周囲炎で悪寒や熱のない者に用いる《大塚敬節》☆ある日、のどが腫れて塞がって、口を開けることも出来ず、飲食も出来ないという青年を診察した。脈は大きいが、熱も悪寒もない。歯の間からのぞいてみると、扁桃周囲炎らしい。そこで桔梗湯を与 えたところ、なかなか呑めないので、少しずつ口に入れて、1口ずつ呑み込むことにあいた。すると1日分を1/3位呑んだ時、急に嘔逆の状になって、のどに力が入った途端に、一度に、膿血が口から流れ出て、それきり治ってしまった。周囲炎の患部が破潰したのである。
桔梗には排膿の作用もあり、催吐作用もあるから、こんな結果になったのであろう。 私が漢方を独学で勉強している時、咽喉結核の患者に桔梗湯を与えて、激しい喀血を誘発せしめたことがあった。桔梗を多量に用いると、食欲を害したり、悪心を起こすことがあるから中止しなければならない、《大塚敬節》☆病人、咽痛する者は、甘草湯を与ふ可じ。若し差えずして、腫痛する者は、桔梗湯を与ふ。若しその人、懸雍の傍、腫れ起り、飲食入ること膿はず。語言出で難き者は、急に当に之を刺し、少しく膿血を去るべし、則ち頓に癒えん《医聖方格》
[18]脈:<数> 桔梗湯[2]《外台秘要方》 「桔梗3升、木香3両、地黄2両、甘草2両、敗醤2両、薏苡仁2両、桑白皮1升、当帰1両」◎肺癰、時を経て差えざるを療す。◎此方は肺癰の症、「葦茎湯」「桔梗湯」等を与えて、臭膿減ぜず、日を経て血気衰弱する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎桔梗湯は、能く肺癰始萠の者を治す。証拠未だ具わざるも、口に腥臭ある者、之を用いて尤も効あり。敗醤或いは葶藶子に代う。《先哲医話》
◎婦人帯下にて肺痿状を見す者に運用すべし。 桔梗湯[3]《東醫寶鑑》 「桔梗・甘草各1銭半、当帰・馬勃各1銭半、麻黄5分、白僵蚕・黄芩各3分、桂枝少し」水煎服。
◎咽喉の腫痛で語声がちぎれる症。
桔梗湯[4]《東醫寶鑑》「桔梗・半夏(製)・陳皮(去白)各1両、枳実3銭」粗末にし、毎回3銭を姜5片と水煎服用。◎痰を除き咳嗽を止め、また心咳を治す。
桔梗湯[5-1]《厳氏済生方》《中薬臨床応用》「桔梗・防已・桑白皮・貝母・当帰・枳殻・栝楼仁・薏苡仁各1.5g、黄蓍2g、杏仁・甘草・百合1g、生姜」煎服。◎排膿。
桔梗湯[5-2]《厳氏済生方》《古今方彙》「桔梗・貝母・当帰・括楼仁・枳殻・桑白皮・苡仁・防已各1両、杏仁・百合・甘草節各半両、黄蓍1両半、生姜」水煎。◎《医学入門》は、-枳殻+人参。◎肺癰にて唾膿血、咽乾きて多く渇し、大小便不利するを治す。◎大便秘する:「大黄」◎小便閉には:「木通」◎喘急に:「+葶藶子」《万病回春》◎口燥には:「黄芩」
桔梗解毒湯[1-1]《方輿輗》「遺糧8~50銭、川芎3分、大黄2分、桔梗1銭、黄蓍2分、芍薬3分、甘草3分」◎黴毒咽喉に在り、声嗄する者を治す。◎結毒上攻、咽喉腐爛を療す。《黴瘡約言》◎此方は咽喉結毒の主方なれども、凡て上部の結毒(=梅毒)に用いて宜し。◎咽喉結毒、此方を用いて効無き者:結毒喉癬湯、五宝丹を用いるべし。◎鼻淵初起の者を治す。《方読便覧》◎「黄蓍芍薬石膏木通」=「咽疳解毒湯」《勿誤薬室方函口訣》
桔梗解毒湯[1-2]《漢方治療の実際》「土茯苓(山帰来)・川芎各3、大黄1、桔梗3、黄蓍2、芍薬3、甘草1.5」
★適応症及び病名(ききょうげどくとう) [1]咽頭痛:☆梅毒から来る咽痛に用いる《大塚敬節》☆58歳女性。腰痛と咽痛を主訴として来院した。この患者には梅毒があるが、その治療の為に洋薬を使用すると、副作用がひどくて、とても連用が出来ないと言う。のどは乾燥気味で、飲食のたびに痛むという。私は桔梗解毒湯大黄地黄麦門冬を用いたところ、2週間ほどで、疼痛を忘れた。そこで腰痛を治する目的で。養血湯に転方したところ、腰痛は軽くなったが、またのどが痛むという。そこで仕方なく、桔梗解毒湯と養血湯とを交互に呑ますことにした。続服10ヶ月、自覚症状は去り休薬した。《大塚敬節》
桔梗白散《外台秘要方》《金匱要略》「桔梗・貝母各3分、巴豆(去皮熬研如脂)1分」右三味、為散、強人飲服半銭匕、羸者減之。病在膈上者、吐膿血、膈下者瀉出、若下多不止、飲冷水1杯則定。◎治而胸満、振寒、脉数、咽乾不渇、時出濁唾腥臭、久久吐膿如米粥者、為肺癰。
《金匱要略》肺痿肺癰咳嗽上氣脉證治第七。 「濁唾」=汚い喀痰 「腥臭」=その痰がなまぐさい臭味をもつ。 桔梗白散証=時に濁唾・腥臭を出し、久久にして膿を吐す《薬徴》
桔梗白散《外台秘要方》《金匱要略》◎虚弱者・老人・幼児には用いないほうが良い《大塚敬節》
★適応症及び病名(ききょうはくさん)[1]胃潰瘍
[2]息切れ
[3]咳嗽
[4]喀痰<濃厚>
[5]急性肺炎
[6]ジフテリア
[7]食中毒
[8]心胸部痛<劇痛>
[9]心下痞硬
[10]心不全
[11]肺壊疽:☆肺壊疽の初期、胸痛のある時に用いる《大塚敬節》☆25歳女性。愛人とアパートに住んでいたが、数日前から胸が痛むようになった。1医は肋間神経痛だと云い、他医は肋膜炎だと云ったという。私が招かれて云ったときは、体温が38℃近くに上り、咳をしていたので、痰をよくみたところ、肺壊疽特有の臭い痰であった。病巣は右肺上葉にある。この部には自発痛があり、右肩が凝る、みゃくは大きくて力がある。私はこれに桔梗白散を与えようと考え、桔梗と貝母をそれぞれ1.0に、巴豆0.5を混和し、これを2等分し、その1包をお湯で飲ませた。
2、3分たつと、嘔吐が始まり、5分ぐらいたった頃、クルミの実大の膿塊が咳と共に飛び出てきた。20~30分たつと、下痢が始まった。白い粘液がたくさん出る。しかし患者は、胸がスーッとなって、気持が良いという。翌日は平熱となり、胸の痛みもなくなった。そこで柴胡枳桔湯を1ヶ月ほど飲ませ、それですっかり全快した。《大塚敬節》☆50歳男性。右肺下葉に肺浸潤があると診断されたというが、病室に入ると、肺壊疽らしい悪臭があり、喀痰を見ると、間違いなく肺壊疽である。患者は体力もあり、脈にも力があるので、桔梗白散を頓服せしめた。すると、10分もたたないうちに、胸が焼けるとようだと云い、食物を吐いてしまった。そのあとで、鶏卵大の肉の塊を吐いた。それから30分ほどたつと下痢が始まった。そこで、かねて準備しておいた冷たい粥を1杯飲ませたところ、20分ぐらいで下痢も止んだ。この患者は桔梗白散を飲ませる前には40℃近い熱があったが、肉塊を吐いたとたん下熱し始め、その夜のうちに平熱となった。そこで柴胡枳桔湯+葶藶を2ヶ月ほど与え、そのまま全快した。《大塚敬節》
[12]肺水腫
[13]肺膿瘍
[14]煩躁
[15]百日咳
[16]浮腫 桔梗枳穀湯《東醫寶鑑》 =「桔梗湯」「桔梗・枳穀各2銭、甘草1銭、生姜5片」水煎服。 ◎痞気で胸が脹満する症。 枳芎散《東醫寶鑑》「枳実・川芎各5銭、甘草2銭半」作末し毎回2銭を姜棗湯で調下する。◎左脇肋の刺痛する者。
枳殻丸《東醫寶鑑》「枳殻2両、陳皮1両、檳榔5銭、木香2銭半、黒牽牛子4両の半分は生で、半分は炒熟して叩いて頭末をとって1両半を作末して蜜で梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸飲む。◎三焦がつまって大小便の不通のとき。
枳殻益気湯《中薬臨床応用》「枳殻(炒)18g、黄蓍30g、党参15g、白朮12g、升麻6g、陳皮5g、当帰9g、益母草15g、甘草(炙)6g」水煎服。◎産後の子宮脱◎慢性の下痢で脱肛。
枳殻化滞湯《病因脈治》「枳殻、萊菔子、厚朴、神麹、陳皮、麦芽、砂仁」 枳穀散[1]《婦人良方》「大柴胡湯−大黄」 ◎婦人手足煩熱、夜臥多汗、肌肉黄瘁、経行不調、四肢は煩倦、心胸満悶状は労気の如きを治す。《雑病翼方》
枳穀散[2]《東醫寶鑑》「枳穀2両、黄連・白芍各1両、槐花(炒)・地楡各5銭、甘草2銭半」を作末し、毎回1両を煎服。 ◎臓毒を治す。
枳殻散[3]《東醫寶鑑》「枳殻1両2銭半、甘草(炙)3銭7分半」作末して毎回2銭を濃く煎じて葱白湯で服用。◎何かで刺すように痛む脇痛。
枳穀散[4]《東醫寶鑑》「便香附1両、枳殻・白朮各5銭、檳榔2銭」を作末して、毎回2銭を米飲で1日3回調下する。◎心下に積があって痞満・疼痛・腐った卵のような噫気の症を治す。
枳穀湯《東醫寶鑑》「白朮3銭半、枳殻・黄芩各1銭7分半を作1貼して、水煎服用。◎胎漏の下血を治す。 枳穀散《東醫寶鑑》「厚朴・枳殻・桔梗各2銭、大黄(蒸)・甘草(炙)各1銭、姜5、棗2」 水煎服。◎熱脹を治す。
枳穀煮丸《東醫寶鑑》「枳穀2銭、細辛・桔梗・防風・川芎各1銭、葛根7分、甘草5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎悲哀が肝を傷つけ、両脇が疼痛しる。又は七情が肝を傷つけて、両脇・両腋ともに痛む者。
枳実括楼薤白散加減《中薬臨床応用》「枳実6g、括楼仁15g、薤白9g、製半夏6g、黄連3g、陳皮3g」水煎服。◎肋膜炎。
枳実薤白桂枝湯[1-1]《金匱要略》「枳実4枚、厚朴4両、薤白半斤、桂枝1両、括楼(搗)1枚」右五味、以水五升、先煮枳実、厚朴、取二升、去滓、内諸薬、煮数沸、分
温三服。◎胸痺、心中痞、留氣結在胸、胸満、脇下逆搶心、枳実薤白桂枝湯主之、人参湯 亦主之。《金匱要略》胸痺心痛短氣病脉證治第九。 枳実薤白桂枝湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「枳実・厚朴各3、薤白4、桂枝1、括呂実4」◎胸痺、胸腹満痛し、上逆する者を治す。《吉益東洞》◎この方は元来、心気を労し或いは憤怒によって胸が塞がって痛む者に用いる。この症が痰飲があって、痞塞し、気が欝滞して、胸下から逆して心胸に衝き、気を労することがあると胸に詰まって痛みが甚だしくなる者によい。この方と人参湯とは交互に用いる。ただ甘味を好む者は人参湯、苦味を好む者はこの方を用いるとよい。俗に積気と呼ぶ者に、ままこの症がある。《福井楓亭》◎此方は、胸痺、槍逆の勢甚だしく、心中痞結する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎栝楼薤白白酒湯一類の薬:①括楼薤白半夏湯:心痛背に徹し臥することが出来ない。②枳実薤白桂枝湯:脇下より逆槍するを主とする。③栝楼薤白白酒湯:喘息胸痛を主とす。
◎元来、心気を労し、或いは忿怒に因り、胸塞がり、痛をなし、津液之が為に一身に布くこと能わず、凝唾と成って出づる者。上の3方を考えて用いるべし。《勿誤薬室方函口訣》◎胸満痛、心中痞気《龍野ー漢方処方集》◎この方は上記の①②と違って、季肋下や心下から胸にかけて差し込んで痛む者に用いる。《大塚敬節》
★適応症及び病名(枳実薤白桂枝湯)[1]胃痛[2]狭心症 [3]胸痛[4]心痛[5]胆石症[6]肋間神経痛 枳実丸《東醫寶鑑》「枳実1両、白芍(炒)・雀脳芎・人参各5銭」を細末にし、毎回2銭を姜棗湯で調下する。
◎男の肝気不足・両脇の疼痛。 枳実梔子湯[1-1]《傷寒論》=「枳実梔子豉湯」「枳実(炙)3枚、梔子(擘)14箇、豉(綿嚢)1升」右三味、以清漿水七升、空煮取四升、内枳実、梔子、煮取二升、下豉、更煮五六沸、去滓、温分再服、覆令微似汗。若有宿食者、内大黄如博碁子五六枚、服之愈。◎大病差後労復者、枳実梔子湯主之。
《傷寒論》辨陰陽易差後労復病脉證并治第十四。
枳実梔子豉湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》「枳実2、梔子4、香豉8」 ○為則按ずるに、梔子・香豉は心中懊悩を主治す。しかしてさらに枳実を加ふれば、則ちその胸滿の証あるや明らかなり(薬徴の枳実)
○枳実梔子豉湯条に、心中懊悩の証なし。為則按ずるに、梔子大黄豉湯は、此れ枳実梔子豉湯にして大黄を加ふるもの、しかもその条に心中懊悩の証あり。心中懊は固より大黄の主治するところにあらず。然れば則ち枳実梔子豉湯条に、その心中懊悩の証を脱するや明らかなり。
枳実梔子豉湯[1-3]《傷寒論》=「枳実梔子湯」「枳実2.4、梔子1.6、香豉9.6」右三味、醋二勺、水二合を以て、空煮して一合二勺と為し、先づ二味を入れ、煮て六勺を取り、滓を去り、後、香豉を入れ、五六沸し、滓を去りて一回に服用す。
◎此方、原本に在りては、清漿水を以て薬味を煮る。今、《尾台榕堂》の改むる所に従う《奥田謙蔵》◎枳実梔子豉湯の条に心中懊悩の証無し。蓋し脱文なり。為則梔子大黄湯を按ずるに即ち枳実梔子豉湯中に大黄を加うるものにして心中懊悩の証あり。則ち此の条は心中懊悩を脱するや明らかなり。《重校薬徴》
◎梔子豉湯証にして、胸満する者を治す《類聚方広義》◎病人、心下堅く、之を按じて痛まず、而して心中懊悩する者は、枳実梔子豉湯之を主どる。《医聖方格》◎大病差後労復、或いは微熱、或いは不眠、或いは食欲不振、或いは胸しき者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(枳実梔子豉湯)[1]胸苦しい:☆汗下の後、胸部及び心下部に欝塞を感じて煩悶し、せず、渇せず、便通やや渋滞の傾向ある証《奥田謙蔵》
☆胸部に閉塞の感ありて煩悶し、便通整順ならず、その脈遅なる証。若し便秘する者は、また証に由り大黄を加す《奥田謙蔵》☆凡そ大病新に差え、血気未だ復せざるに方有り、労働、飲啖度に過ぐるときは、則ち或いは心胸満悶を作し、或いは煩熱を作す。此方を与えて将養すれば則ち癒える。若し大便通ぜず、宿食有る者は、 枳実梔子大黄豉湯に宜し《類聚方広義》
[2]やせる:☆虚羸して、欝熱の状あり、心下痞《傷寒論》、或いは痛み、せず、渇せず、便通渋滞し、その脈浮沈定まらざる証《奥田謙蔵》 枳実芍薬散《金匱要略》「枳実(焼令黒勿太過)・芍薬」等分。右二味、杵為散、服方寸匕、日三服、并主癰膿、以麦粥下之。◎産後腹痛、煩満不得臥、枳実芍薬散主之。
《金匱要略》婦人妊娠病脉證并治第二十。◎産後の腹痛煩満、或いは化膿性疼痛、或いはしこり。 《龍野ー漢方処方集》
枳実酒《東醫寶鑑》「枳実((麩炒黄)を切って毎回3銭を、温酒1杯に1時間浸して、枳実は捨 て酒を飲む。◎全身に白疹が出て、かゆいとき。
枳実清痞丸《東醫寶鑑》「枳実・黄連各5銭、厚朴4銭、半夏(麹)・人参・白朮各3銭、乾生姜・白茯苓・麦芽・甘草各2銭」を作末し、梧子大の丸剤。白湯で100丸を空腹時に服用。
◎心下が弱って痞となり、右関脈ののろい症。
枳実大黄湯[1]《万病回春》《勿誤方函口訣》「小承気湯檳榔・甘草」◎食積、大便通ぜざるを治す。《方読便覧》
枳実大黄湯《万病回春》《古今方彙》「枳実、厚朴、大黄、檳榔子、甘草」水煎し空心に熱服す。利するを以て度となす。◎胸腹に食積ありて大便通ぜざるを治す。◎大便結実し、胃中痛む者を治す。◎腹痛甚だしき:「木香」
枳実大黄湯[2]《万病回春》《古今方彙》「枳実・大黄・檳榔子・厚朴各2銭、甘草3分、木香(別研)5分」水煎。◎食積痛併せて積熱痛にて大便通ぜざるを治す。
枳実大黄湯[2]《東醫寶鑑》「大黄2銭、厚朴・枳実・檳榔・甘草各1銭、木香5分」水煎服。◎熱物にあたって便が通じない者を治す。
枳実大黄湯[3]《東醫寶鑑》「大黄(酒)3銭、羗活1銭半、当帰1銭、枳実5分」水煎し空腹時に服用。◎湿熱脚気の腫痛を治す。
枳実湯[1]《厳氏済生方》 =厚朴七物湯《金匱要略》◎腹脹発熱し、大便秘実し、脈は多く洪数なるを治す。此れ熱脹と名づくと。熱 は当に寒となして看るべし。《勿誤方函口訣》
枳実湯[2]《実在易》《勿誤方函口訣》「枳実3両、半夏、生姜半斤」「橘皮枳実生姜湯橘皮半夏」《雑病翼方》◎心痛、胃脘及び胸脇・大小腹の諸病、按を拒む者を治す。
枳実導滞丸(一名導気枳実丸)《東醫寶鑑》「大黄1両、枳実・神麹各5銭、茯苓・黄芩・黄連・白朮各3銭、沢瀉2銭」を作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。温水で70~80丸呑む。
<注>本方木香・檳榔各2銭⇒「木香導滞丸」。◎湿熱の食にあたり、消化されず痞満の症。
枳実導滞丸《内外傷弁惑論》《中薬臨床応用》「枳実9g、大黄(生)9g(後下)、白朮9g、黄芩6g、黄連5g、茯苓9g、沢瀉6g、神麹9g」水煎服。◎急性胃腸炎◎細菌性下痢、裏急後重、腹痛。
(腐敗臭・裏急後重・細菌性下痢)
枳実導滞湯[1]《重訂通俗傷寒論》「枳実、大黄、檳榔子、厚朴、連翹、黄連、神麹、紫草、山楂肉、木通、甘草」
枳実導滞湯[2]《内外傷弁惑論》《中薬臨床応用》「枳実9g、大黄(生)9g(後下)、白朮9g、黄芩6g、黄連5g、茯苓9g、沢瀉6g、神麹9g」水煎服。◎下痢◎裏急後重◎胸苦しい
枳実分消湯《寿世保元》《古今方彙》「厚朴5銭、枳実2銭半、大黄・甘草(炙)各1銭半、官桂1銭2分、生姜、大棗」水煎。 ◎腹脹り発熱し、陽並びに陰を以て則ち陽は実し陰は虚し、陽勝てば則ち外熱し、陰虚すれば則ち内熱を生じ、脈は必ず浮数、浮は則ち虚となし、数は則ち熱となし、陰虚すれば宣導する能わず、飲食故の如く、固より脹満を致す者は之を熱脹となす。此方に宜し。◎吐には:「半夏」◎自利には:「大黄」◎寒多ければ:「乾姜」
枳実理中湯《証治要訣》 「理中丸枳朮・茯苓」◎霍乱ならびに種々の吐瀉後、胸膈高起し、痞塞絶えんとするを治す。◎腹内諸般冷痛に加減して無限の用をなす《雑病翼方》
枳実理中元《東醫寶鑑》「枳実(麩炒)・人参・白茯苓・白朮・乾姜(炮)・炙甘草」各等分を作末し、蜜でまぜ、1両を4丸につくり、熱湯で服用。 ◎寒実痞満を治す。
枳縮二陳湯[1-1]《万病回春》《漢方後世要方解説》「枳実1、砂仁1.5、半夏3、陳皮27、香附子2、厚朴2、小茴香1、延胡索27、木香1、草果1、乾姜1、甘草1、生姜1、茯苓3」◎涎心膈上に在り、腰背に攻め走り、して大いに痛むを治す。◎此方は痰飲にて、キョウは胃走痛する者を治す。疝にて背痛する者は「千金当帰湯」を用い、痰より来る者は此方を用ゆ。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は慢性胃炎を患う者、種々の誘因によって胸中の痰、胃内停水が毒性を帯びて心下を攻めて痛み烈しく、胃痙攣の如く、心臓部、両乳間に攻め上って狭心症の如く、心臓神経痛の如く、同時に嘔吐乾嘔あってその痛み腰背に遊走する症を治する。総て胸元に痛み甚だしくある者に用いられる。疝に痰飲を兼ねたものである。
枳縮二陳湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「枳実・砂仁・半夏・陳皮・香附子各1銭、厚朴・小茴香・延胡索各8分、木香・草豆・乾姜各5分、甘草3分、生姜、大棗」水煎。竹瀝を加える。
◎涎が心膈の上にあり、腰背に攻め走り、して大いに痛むを治す。
枳縮二陳湯[1-3]《丹渓心法》「二陳湯枳実・縮砂」◎順気、寛中、消痰飲。
枳縮二陳湯[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「枳実・縮砂・半夏・陳皮・香附子各3.0g、厚朴・小茴香・延胡索各2.5g、木香・草豆・乾姜各2.0g、甘草1.0g」
枳縮二陳湯[1-5]《万病回春》《漢方治療の実際》「枳実・縮砂・半夏・陳皮・香附子各2、厚朴・小茴香・延胡索各1.5、木香・草豆・乾姜・甘草各1.0、生姜3、竹瀝2」
今、竹瀝を去って、茯苓2を加える。◎涎、心膈上にあり、腰背に攻走し、大痛するを治す。◎此方は痰飲にて胸背走痛する者を治す。◎先輩の伝に、
①疝にて背痛する者は、当帰湯《備急千金要方》②痰より来る者は枳縮二陳湯。◎痰飲性の腰背痛、吃逆、嘔吐。◎目標:「この方は吐がひどくて、胸から腹にかけて痛み、又、背へ連り腰へかけて痛みが甚だしく種々の処方を用いても効のない者に与えて奇効がある。」《大塚敬節》「すべて鳩尾(みずおち)の痛みがひどくて吐する者には先ずこの方を用いてみるが良い。その目当ては、とかく疼痛が漉し、背に連るというとことにある。」《梧竹楼方函口訣》★適応症及び病名[1]胃痛: ☆胃ケイレン、嘔吐、腰背痛ある者《矢数道明》 ☆胃下垂などの慢性の胃疾患があって、腰・背・胸などに疼痛が放散する者に用いる《大塚敬節》[2]狭心症: ☆痰飲による胸内苦悶に用いることが多い《矢数道明》[3]胸痛: ☆一切の心痛及び痰飲、寒疝の衝心する者を治す。:「川烏」《雑病翼方》[4]小児:
☆壊症、腫を発し、補瀉無効のものに虫薬にて癒える者あり、此方しばしば験あり。《方読便覧》[5]心臓神経症: ☆胸膈停飲によって、心臓神経症、肋間神経痛など《矢数道明》[6]背痛[7]腹満: ☆腹満して湯水も収まらない者《矢数道明》 ☆大小便秘閉《矢数道明》
[8]慢性胃炎[9]腰痛[10]溜飲症: ☆陳旧の胃内停水、慢性胃炎など《矢数道明》 枳縮二陳湯[2-1]《東醫寶鑑》「枳実1銭、川芎8分、縮砂・白茯苓・貝母・陳皮・紫蘇子・瓜仁・厚朴・便香附子各7分、木香・沈香各5分、甘草3分」木香・沈香を除いて剉作して1貼にし、姜3片を入れて水煎し竹瀝・沈香・木香各5分を濃くひいて入れて飲む。◎関格の上下不通を治し、これは痰が中焦をふせぐ症だが、この薬を飲んで痰を出させる。
枳縮二陳湯[2-2]《寿世保元》《古今方彙》「枳実1銭、茯苓・貝母・陳皮・香附子・紫蘇子・括楼仁・厚朴(便炒)・砂仁各7分、川芎8分、甘草3分、沈香・木香各5分、生姜」水煎し、竹瀝、磨沈香、木香を入れて服す。
◎関格上下通ぜざるを治す。
枳朮丸[1-1]《張潔古》《内外傷弁惑論》《蘭室秘蔵》 「枳実・白朮」 ◎痞をとり、痰を除き、脾を強くして、食が進む。
枳朮丸[1-2]《東醫寶鑑》「白朮2両、枳実(麩炒)1両」を作末して荷葉でくるみ、ご飯で梧子大の丸剤。熟水で50~70丸呑む。 ◎痞を治し、食を消化させ、胃を強くする。
(数日食べなかったあと下痢するとき)
枳朮丸[1-3]《朱丹渓》《勿誤薬室方函口訣》「枳朮湯[1-2]《金匱要略》」を丸として◎痞積を治し、諸kを消す、即ち健脾、去湿、利水の効あればなり。
枳朮散《医学従衆》「枳朮湯[1-2]《金匱要略》」を(研末)として、穀湯にて送下する。 枳朮湯[1-1]《金匱要略》「枳実7枚、白朮2両」右二味、以水五升、煮取三升、分温三服、腹中、即當散也。(=ゼン、やわらかい)
◎心下堅、大如盤、邉如旋盤、水飲所作、枳朮湯主之。《金匱要略》水氣病脉證并治第十四 ◎枳朮湯・桂姜草棗黄辛附湯の2方、金匱要略に載するところ、その因と証と同じ。しかして別つべからず。《薬徴》
心下堅大にして悪寒・発熱・上逆するものは桂姜草棗黄辛附湯之を主る。 朮は水を利するを主る。 心下堅大にして、小便不利するものは、枳朮湯之を主る。
枳朮湯[1-2]《金匱要略》《勿誤薬室方函口訣》「枳実7枚、蒼朮2両」右2味、《朱丹渓》、丸とし、痞積を治し、食を消し、胃を強くする。◎心下堅満し小便不利なる者を治す《吉益東洞》◎“水飲心下堅、小便不利する者は枳朮湯之を主る。頭痛発熱、喘咳、身体疼痛、悪寒甚だしき者は桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯(=桂姜草棗黄辛附子湯)之を主る”《重校薬徴》◎此方は心下堅塊ありて水飲を醸す者を主とす。◎常の積の類に非ずして、之を按ぜば轆々として声ある者なり。もし挫け難き者は甘遂半夏湯を交ぜ用いるべし。◎心腹堅大にして盤の如く、飲水のなす所を治す。名づけて気分という。《古今方彙》◎水飲、心下堅《龍野ー漢方処方集》★適応症及び病名[1]脚気
[2]腎炎[3]ネフローゼ 枳朮湯[1-3]《東醫寶鑑》「白朮4銭、枳実2銭」煎服。◎心下が大きく、何か丸い物があるような気がする、即ち、水の過飲による症に使う。
亀穀散《東醫寶鑑》「亀穀1個、男女の毛髪(焼く)一握り、川芎・当帰各1両」作末し毎回3銭を水煎服。 ◎難産で死にかかる者。◎骨盤が開かない者
亀尿解噤法《東醫寶鑑》「亀の小便を少しとって舌の下に付ける」亀の小便を取る方法:
亀を蓮葉の上に座らせて、ブタのたてがみ毛で亀の鼻をさすと小便をする。◎卒中風で口を閉じて開けられないとき。 亀板湯[1-1]《本朝経験》《漢方後世要方解説》「当帰・地黄各5、芍薬・川芎・亀板・石決明各4」◎痿躄を治す。一名痿躄湯と称す。◎此方は痿躄とて両脚下肢の運動麻痺を起こしたものを治する。
一般に両脚痿弱の者には四物湯を主方として加減せるものが多い。此方は下肢の筋萎縮に対し、血行を促し、機能を回復せしめる能がある。 産後の下肢麻痺には特に効がある。又、梅毒による脊髄癆にも屡々用いられ、安西安周氏は此方を脊髄カリエスに頻用されている。
◎亀板=陰を滋し、腎を補い、筋骨を強壮ならしむ。石決明=風熱、労極を治す。 亀板湯[1-2]《本朝経験》《龍野ー漢方処方集》「当帰・熟地黄各6.0g、亀板・芍薬・川芎・石決明各4.0g」「四物湯亀板・石決明」(一名:痿躄湯)◎痿躄を治す。◎此方は痿躄血分鬱して振るわざる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎産後の痿躄には別してあり。《橘窓書影》<1>亀板湯<2>血虚下元不足者:「腎気丸」《厳氏済生方》<3>病頑固動き難き者:「化毒丸」◎黴毒の痿証に附子の効なきに用いて宜し。《勿誤薬室方函口訣》◎腰脚麻痺、腰抜け、いざり。★適応症及び病名[1]いざり
[2]小児麻痺[3]脊髄脊椎疾患: ☆脊髄炎 ☆脊髄カリエス ☆脊髄癆[4]麻痺:☆本方は腱反射消失のこと多し。《済世薬室》 ☆産後の下肢麻痺
既済丸《東醫寶鑑》 「兎絲子(酒製)・益智仁(炒)・茯苓・韭子(炒)・肉蓯蓉(酒洗)・当帰・熟地黄各5銭、黄柏(塩炒)・知母(塩炒)・牡蛎()・山茱萸(酒蒸:去核)各3銭、五味子1銭」を作末し、酒麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に100丸を塩湯で服用。
◎膀胱が弱い失禁。◎気不足で陰火があって小便失禁する者。◎気不足で陰火が有って小便不禁になったとき。 既済精神散《東醫寶鑑》「桔梗・黄芩・赤茯苓・川芎・山梔子・当帰・白朮・羗活各1銭、知母・薄荷・甘草各5分」水で煎じ、蜜1匙を入れて服用。
◎中焦の熱を治す。 既済湯[1-1]《易簡方論》「竹葉石膏湯石膏、附子」 ◎下痢・発熱する者。◎此方は傷寒上熱下冷の症とす。《勿誤薬室方函口訣》
◎按ずるに、竹葉石膏湯の証にして脈数無根、或いは下痢し、上熱下冷の者に之を用いて効あり《傷寒翼方》◎虚煩、上盛下虚、煩躁自利、手足冷ゆるを治す。《医学入門》
◎《劉桂山》之を陽、陰に変じ、なお浮熱を剰す者、及び少陰病未だはなはだ脱に至らずして虚熱燥渇する者に施して奏功す。《傷寒翼方》 ◎霍乱後、虚煩眠るを得ざるを治す。按ずるに霍乱、理中、四逆湯等を服し、吐利已み、熱解せざる者、此湯に宜し。《雑病翼方》◎少陰病の軽症に別あり《先哲医話》<1>上焦、津液乾枯し、その症、白虎湯に似て、而して脈浮数、根脚無く、腹部軟弱に且つ微利し、渇すと雖も水数升を飲まんと欲するの勢無き者:「既済湯」<2>邪気緩満し、ようやく譫語煩躁を見し、肌熱甚だしからず、舌上濡潤し、所謂、労役寒に感ずる者:「姜附益気湯」◎按ずるに此方、少陽将に厥陰に脱陥せんとする者を治して極めて佳なり《傷寒翼方》
既済湯[1-2]《東醫寶鑑》「竹葉石膏湯石膏、炮附子2銭」 ◎霍乱の後、虚煩し、手足の冷える症。
既済湯[2]《傷寒溯源集》「小柴胡湯半夏、竹葉・麦門冬・附子」 ◎少陽のまさに厥陰に大陥せんとする者。
既済湯[3]《東醫寶鑑》「麦門冬2銭、人参・半夏・附子(炮)・甘草(炙)各1銭」作して、1貼に「姜5片、粳米100粒」入れて煎服。◎霍乱後の虚煩と不眠症を治す。
既済解毒湯《東醫寶鑑》「大黄(酒)・黄芩(酒炒)・黄連(酒炒)・桔梗・甘草各1銭、升麻・柴胡・連翹・当帰身各5分」水煎服。◎天行大頭瘟で頭面が赤く腫れ、疼痛する者を治す
起死回生散《寿世保元》《古今方彙》「当帰、川芎、白芍薬、生地黄、升麻、紅花」水煎。◎痘瘡七八日に至り、忽然として黒収に変じて腹内に入り、遍身抓破そ吮喘して死が須臾にある者を治す。
起痔湯《張氏医通》 「黄連・黄芩・黄柏・大黄・防風・荊芥・山梔子・槐角・苦参・甘草各400g、朴硝20g」以上の薬を3回に分け、煎液で患部を洗う。
起枕散《東醫寶鑑》「当帰・白芍薬各2銭、川芎1銭半、白・桂心・蒲黄・牡丹皮・延胡索・五霊脂・没薬各7分」作1貼し、水煎し好醋を入れ空腹時に服用。◎児沈痛で痛む者を治す。
起廃丸《百一貫》 「生漆、大黄、蕎麦粉」◎《荒木正胤》はかって、生漆と大黄と蕎麦粉の3味の丸剤を自ら試用して、その効を得た経験がある。この時は全身にウルシかぶれを生じ、発熱、浮腫肛門の内部まで腫れ上がって、あたかも脱肛のようになり、水瀉下痢して、回虫数条を下した。本方の使用法は、《百一貫》という著者不詳の口訣書に、起廃丸と名付けられている。
起癈丸《和田啓十郎》《漢方治療の実際》「乾漆・桃仁・伯州散各1、大黄2」以上を米粉で丸とし、1日量とし3回に分服する。 起癈丸《和田啓十郎》「乾漆・桃仁・伯州散各1.0、大黄2.0」以上1日3回に分服。◎瘀血の癈症及び結毒の百方効なき者を治す。1には諸々の痼疾多く瘀血に由り、或いは病久しうして瘀血を醸する等の癈疾に作る。また血癖、痼、積年癒えざる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
痼=子宮筋腫や子宮ガンを指す。 葵樹子湯《中薬臨床応用》「葵樹子250~1000g」搗いてつぶし、水を加えて3時間煎じ、数回に分服。◎ガン
稀涎散[1]《聖済総録》《中薬臨床応用》「角・細辛」各等量。作末し、湯に溶いて口に流し込んで吐させる。 ◎脳卒中による牙関緊急で実証に。
稀涎散[2]《東醫寶鑑》「皀角(皮・子)4錠、明礬1両」を作末し、温水で半銭を調下し、病が重い者は1銭を調服し、嘔吐すると、古い稀冷涎を1~2升吐出し、すぐさめる。◎吐剤。
◎風涎が咽喉につかえて通らないとき。
夏丸《中薬臨床応用》「草90g、夏枯草90g、竜胆15g」細末を蜜丸。朝晩9gづつ湯で服用。 ◎高血圧で、四肢にしびれがある。 桐丸《抜萃良方》「草、臭梧桐子」
桐丸【中成薬】《中薬臨床応用》「草250g、臭梧桐500g」細末を小豆大の蜜丸。◎風湿による関節がだるい 丸《張詠方》《中薬臨床応用》「草の葉と若い茎」数回蒸して日干し後、少し焙って作末し、蜜丸。朝晩に9gづつ湯or重湯で服用。◎風湿による痺痛◎慢性関節リウマチ
橘核丸《東醫寶鑑》「橘核(炒)・海藻(塩酒炒)・昆布(塩酒炒)・海帯(塩水洗)・桃仁(麩炒)・川楝子(炒)各1両、延胡索(炒)・厚朴・枳実・桂心・木香・木通各5銭」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。温酒又は塩湯で60~70丸呑む。」
◎4種の疝に卵核が腫脹し、又は石のように固く、小腹がしぼれる様に痛いとき。
橘核散《東醫寶鑑》「橘核1銭半、桃仁15枚、山梔子1銭、川烏(炮)・呉茱萸各5分」を炒って作末し、1貼をつくって水煎服。◎4種の疝の長くなったのには、橘核丸を使い、出たばかりのものには橘核散を使う。
橘核湯《中薬臨床応用》「橘核12g、川楝子5g、小茴香5g、肉桂3g(服)、木香3g(後下)、茘枝核12g、木通3g、桃仁5g、延胡索3g、海帯12g、昆布12g」 毎日1剤を煎じ2回に分服。◎陰黄水腫
橘甘散《東醫寶鑑》「橘皮・生姜(焙乾)・神麹(炒)」各等分に作末し、温水で梧子大の丸剤。米飲で50~70丸を1日2回づつ呑み下す。◎気嗽・痰嗽に良い。
橘帰丸《東醫寶鑑》「橘紅4両、当帰2両」作末し蜜で梧子大の丸剤。温酒で50~70丸飲む。◎婦人の肌膚と手足に血線のある者を治す。 橘杏丸《東醫寶鑑》「橘皮・杏仁」等分を作末し、蜜で梧子大の丸剤。米飲で70丸服用。◎老人・虚弱者の便秘。
橘薑丸《東醫寶鑑》「陳皮・生姜を同時に搗いて乾燥し、各2両を作末し神麹1両で糊をつくって梧子大の丸剤。米飲で30~50丸呑む。◎慢性の気嗽を治す。
橘紅丸【中成薬】「橘紅・半夏・杏仁・貝母・茯苓・麦門冬・石膏(生)・楼皮・陳皮・生地黄・桔梗・紫・款冬花・蘇子・甘草」◎咳嗽、痰が多い◎胸が苦しい◎腹が脹る
橘蘇散[1-1]《医学正伝》《東醫寶鑑》「橘紅・紫蘇葉・杏仁・白朮・半夏・桑白皮・貝母・五味子各1銭、甘草5分」を剉作1貼して、姜3片を入れて服用する。◎傷寒に咳をし、熱があって汗が出、脈が浮いて数多いとき、杏子湯を飲んで効のないときこれを飲む。
橘蘇散[1-2]《医学正伝》《古今方彙》「陳皮・木香・桑白皮・貝母・五味子各1銭、紫蘇葉・杏仁・甘草各5分、生姜」水煎。 ◎傷寒にて咳嗽身熱、汗あり悪風し脈浮の者を治す。◎《厳氏済生方》には、白朮ありて木香なり。◎1日暑嗽を治するの剤なり。
橘半枳朮丸《東醫寶鑑》「枳朮丸橘皮・半夏(姜製)各1両」◎飲食傷による痞悶に。
橘皮一物湯 「橘皮1両」良く洗って新水で煎服。 ◎気が凝固したとき。安逸をむさぼれば気が停滞する。
橘皮乾姜湯《東醫寶鑑》「橘皮2銭、人参1銭半、通草・乾姜・桂心・甘草(炙)各1銭」水煎服。◎胃が冷たく咳逆する者を治す。
橘皮枳実生姜湯《金匱要略》=「橘枳姜湯」「橘皮1斤、枳実3両、生姜半斤」右三味、以水五升、煮取二升、分温再服。◎胸痺。胸中氣塞、短氣、茯苓杏仁甘草湯主之、橘枳姜湯亦主之。
《金匱要略》胸痺心痛短氣病脉證治第九。 橘皮枳実生姜湯《金匱要略》《漢方治療の実際》「橘皮4、枳実3、生姜6」 橘皮枳実生姜湯《金匱要略》◎胸痺、心下痞満し、嘔する者を治す。《吉益東洞》◎胸痺、胸中気塞、短気、心下痞満、噎する者を主る。《重校薬徴》(参照→茯苓杏仁甘草湯)◎胸痺、胸中として満つる如く、噎塞習々としてきが如く、唾沫を渋燥するを治す。《肘後備急方》◎此方は気塞短気を主とす。<1>茯苓杏仁甘草湯:淡滲を用いる
(参照→茯苓杏仁甘草湯)<2>橘皮枳実生姜湯:辛開を用いる。◎短気=呼吸促迫《大塚敬節》★適応症及び病名 [1]息切れ[2]咽喉の痞塞感: ☆食道狭窄、及びその類証《奥田謙蔵》[3]飲酒による鬱血性肝疾患[4]吃逆:(=しゃっくりと吐) ☆痰飲に因る者:橘皮枳実生姜湯 ☆胃寒に因る者:丁香柿蔕湯龍眼丸《先哲医話》[5]悪心[6]気の上衝<+>
☆のぼせ[7]気管支喘息[8]気胸[9]吃逆: ☆吃逆頻発し、鎮止し難き等の証《奥田謙蔵》 ☆吃逆を主どる。橘皮湯、橘皮竹茹湯も亦皆同じ。案ずるに、当に心下痞の証有るべし《類聚方集覧》[10]逆流性食道炎[11]狭心症[12]胸中の痞塞感: ☆胸中気塞がり、逆し、或いはし、心下堅き者は、橘枳薑湯之を主どる《医聖方格》 ☆心痛、胃及び胸腹、大小腹の諸病、按を拒む者を治す:「橘皮半夏」《実在易》 ☆胸がつまる者に、山脇家では、橘皮枳実生姜湯茯苓杏仁甘草湯を用いる《大塚敬節》[13]胸痛: ☆胸痛、胸中ふさがり息が切れる者。《龍野ー漢方処方集》[14]呼吸困難 ☆胸部打撲によって呼吸困難。 ☆気管支喘息の少女で、発作時には全く食欲無く、飲食物を口に入れるとすべて吐き、呼吸困難とともに、みずおちの気持が堪えがたいほどに苦しいという者に、橘皮枳実生姜湯を与えて、発作を鎮めたことがある《大塚敬節》[15]自汗[16]心悸亢進[17]心下痞[18]心臓神経症[19]心臓喘息[20]心臓弁膜症[21]心不全:<鬱血性>[22]腎炎[23]声門浮腫[24]喘息[25]雑[26]呑酸[27]尿不利[28]ネフローゼ[29]肺気腫[30]肺水腫[31]背痛[32]浮腫[33]慢性胃炎[34]肋間神経痛
橘皮枳朮丸《東醫寶鑑》「白朮2両、枳実(麩炒)1両、橘皮1両」作末し荷葉でつつみ、ご飯で梧子大の丸剤。 ◎飲食が消化されず、心下の痞悶を治す。
橘皮散《東醫寶鑑》「陳皮を作末し麝香をまぜる。毎回2銭を酒で調服する。」 ◎吹乳・妬乳・乳癰を治す。 橘皮煎元《東醫寶鑑》「橘皮5両、甘草3両3銭、当帰・・肉蓯蓉・呉茱萸・厚朴・肉桂・陽起石・巴戟・石斛・附子・菟絲子・牛膝・鹿茸・杜仲・乾姜各1銭」を作末して、酒1升と橘皮末を容器に入れて煎じ飴のようになったら諸薬物を入れてかき混ぜて搗き、梧子大の丸剤。温酒or塩湯で、空腹時に50~70丸飲む。◎脾と腎の虚症。◎食欲がなく、痩せて虚弱し、憔悴するとき。
橘皮大黄朴硝湯《金匱要略》《奥田謙蔵》「橘皮2.4g、大黄・朴硝各4.8g」 右3味を1包とし、水1合4勺を以て煮て6勺を取り、滓を去って頓服する。此の方、原本に在りては方名無し。今、類聚方に従う。
◎証(鱠之を食して心胸間に在って化せず、吐せんとして後出でず)《薬徴》 「鱠」細くきざんだ生の肉。◎心胸の間に宿滞有りて、結ぼるる者を治す。《類聚方広義》◎此方は魚毒を解するの主剤とす。《勿誤薬室方函口訣》◎魚毒:「荊芥、橘皮、山楂子」の三味方も解す。《済世薬室》
★適応症及び病名[1]噫気 [2]悪心<激しい> ☆吐いた後も、気分が悪い。 ☆症状が軽い場合は「平胃散」《勿誤薬室方函口訣》[3]ジンマシン[4]宿便[5]消化不良[6]食中毒(魚肉)[7]食物の停滞感:☆鳥獣の肉類を食して消化せず、胃部に停滞の感ありて苦悶する証《奥田謙蔵》[8]食欲不振[9]心下痞痛[10]呑酸[11]肌荒れ[12]皮膚色:
<きたない><渋紙色>[13]皮膚掻痒症[14]二日酔い[15]発疹
橘皮竹茹湯[1-1]《金匱要略》「橘皮2升、竹茹2升、大棗30枚、生姜半斤、甘草5両、人参1両」右六味、以水一斗、煮取三升、温服一升、日三服。◎逆者、橘皮竹茹湯主之。
《金匱要略》嘔吐下利病脉證治第十七。
橘皮竹茹湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「橘皮4、竹茹2、大棗・生姜各6、甘草3、人参1.5」
橘皮竹茹湯[1-3]《金匱要略》《中薬臨床応用》「橘皮9g、竹茹6g、党参9g、甘草3g、生姜12g、大棗9g」水煎服。 ◎胃気虚の吃逆
橘皮竹茹湯[1-4]《東醫寶鑑》=「陳皮竹茹湯」「橘皮3銭、人参2銭、青竹茹4銭、甘草1銭、姜5、棗2」水煎服。◎胃が弱り、膈に熱があって咳逆する者を治す。
橘皮竹茹湯[1-5]《金匱要略》 「橘皮4.8、竹茹3.2、大棗1.6、生姜2.4、甘草1.4、人参0.8」右六味を一包と為し、水一合四勺を以て、煮て六勺を取り、滓を去りて一回に温服す。◎橘皮竹茹湯の証に逆と曰い、生姜甘草湯の証に咳唾涎沫止まずと曰う。按ずるに若(かくのごと)き証の人は、胸中に必ず攣引強急の状あり、是を以て大棗を用うること居多なり。莢丸の証の如きも亦然り故に棗膏を用う。又橘皮竹茹湯を按ずるに薬量に水率相当せず、且つ他薬の分量甚だ多くして、人参は僅かに一両なり、仲景の方中、絶えて此の如き者あらず、疑うらくは錯誤あらん。《重校薬徴》
◎此方、原本に在りては、薬量と水率と相応せず。又他薬に比して、人参の用量甚だ少なし。今、《方極附言》の改むる所に従う。《奥田謙蔵》◎此方は橘皮の下気を主として竹茹の順降を兼ねる。又、気逆を発する者の主とする。《勿誤薬室方函口訣》
◎《金匱要略》に“逆は、橘皮竹茹湯之を主る”といい、また“乾嘔、もし手足厥する者は橘皮湯之を主る”とある。この2つの処方は、ともに吃逆に用 いるが、橘皮湯の方は症状がはげしくて、手足の厥冷状になっている者を目標とする。私の経験では、橘皮は苦味の強いものが良く、[橘皮]の代わりに[陳
皮]を用いたのでは、効がない《大塚敬節》【腹証】《腹診配剤録》“胸脹れて、臓気尽く上行す。故に吃逆す”★適応症及び病名 [1]しゃっくり:(吃逆)(逆)
☆胸中痺し、逆する者を治す。《吉益東洞》☆又、甘草を多く入れるが手段なり。もし少量なれば効なし。甘草5両を用いるは深旨あり。逆、「甘麦大棗湯」を与えまま奏功す。その意知るべし。《雑病論識》☆逆(しゃっくり)には:①胸中に属する者:「丁香」②腹中に属する者:附子粳米湯甘草乾姜湯」③水飲ありて中気虚する者:「香砂六君子湯芍薬」☆吃逆を発する諸証。《奥田謙蔵》☆吃逆連綿として止まず、疲労、衰弱漸く加はれる者には、証に由り粳米、麦門冬を加ふ。《奥田謙蔵》
☆しゃっくり、百日咳《龍野ー漢方処方集》☆雑病のなれば月餘の者と雖も必ず効あり。☆濁飲上逆してする者:①陽に在る者:「半夏瀉心湯」②陰に在る者:「呉茱萸湯」☆傷寒痢病などの脱陽してする者には効なし。《勿誤薬室方函口訣》☆橘皮竹茹湯、にもいろいろありて、その因る処一ならざる者なれども、その病因を問わずして、ひらおしにに広く用る方あり。即ち此方そのものなり。凡そ逆家の総司とも云うべき薬なり。此方ならば、脈と腹の様子を問わずして、先ず最初に用いる薬なり。「橘皮湯」はこれの一段と強きものなり。橘皮湯は危篤の場にても用るなり。軽きは橘皮竹茹湯にてすむなり。橘皮湯は薬味少なくして、反って重き処に良きなり。霍乱などの末になり、とと一緒になり、薬も通らず、医者の手を離れたる時は、これにて効を得ることあり《有持桂里》
[2]百日咳:☆百日咳等煮た、証により半夏を加味し。《奥田謙蔵》[3]吐乳:☆小児の乳、及び百日咳には、此方に半夏を加ふれば極めて効有り。腹症に随ひて、紫円、南呂丸を兼用す《類聚方広義》
橘皮竹茹湯[2]《三因極一病証方論》《勿誤方函口訣》=「橘皮竹茹湯[1]《金匱要略》大棗茯苓枇杷葉麦門冬半夏」 「橘皮・竹茹・生姜・甘草・人参・茯苓・枇杷葉・麦門冬・半夏」 ◎逆・嘔・胃中虚冷し、一毎に89声相連なるに至り、収気回らず、人を驚かしむるに至るを治す。◎胃熱・多渇・嘔して食せざるを治す。
橘皮竹茹湯[3-1]《寿世保元》《勿誤方函口訣》 「橘皮・竹茹・大棗・生姜・甘草・人参・柿蔕1銭、丁香5分」◎吐利の後、胃虚・膈熱に因って嘔逆する者を治す。《雑病論識》
橘皮竹茹湯[3-2]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮2銭、人参1銭、甘草1銭、竹茹1銭、柿蔕1銭、丁香5分、生姜、大棗」水煎。◎吐利したる後に胃虚するに因りて膈(胸中の隔膜)熱し、逆する者を治す。◎坊考には、柿蔕・丁香を去る。◎身熱し、渇を発する:「柴胡黄芩丁香」
橘皮竹茹湯[4]《傷寒蘊要》《勿誤方函口訣》 =「 橘皮竹茹湯[1]《金匱要略》人参生姜大棗半夏茯苓黄連葛根」 「 橘皮・竹茹・甘草・半夏・茯苓・黄連・葛根」◎咳逆:、胃中虚冷し、一ごとに八九声相連なるに至り、収気回らず、人を驚かしむるに至るを治す。◎胃熱、多渇して食せざるを治す。《雑病論識》
橘皮湯[1-1]《金匱要略》「橘皮4両、生姜半斤」右2味、以水7升、煮取3升、温服1升、下咽即愈。◎乾嘔、、若手足厥者、橘皮湯主之。 橘皮湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「橘皮3、生姜6」◎胸中痺して、する者を治す《方極》◎痰逆して、悪寒するを治す《傷寒六書》★適応症及び病名[1]胃部の停滞感:☆胃部に停滞の感ありて、乾嘔を発する等の証《奥田謙蔵》[2]霍乱:☆霍乱、嘔吐止まず、四逆輩を用いて無効まる者、急に此湯を用いて験あり。《和田東郭》☆霍乱の後、煩躁し、臥して安ぜざるを治す《聖済総録》[3]しゃっくり:(吃逆)
橘皮湯[]《備急千金要方》 橘皮湯[2-1]《外台秘要方》=後世名「神秘湯」。《橘窓書影》「麻黄・紫蘇・橘皮・杏人・石膏各中、柴胡大、」右6味。
橘皮湯[2-2]《外台秘要方》 「橘皮4両、杏仁4両、柴胡3両、麻黄3両、蘇葉2両、生姜4両、石膏8両」◎肺熱、気上り、息、奔喘を療す。《雑病翼方》
橘皮湯[2-3]《刪繁》《勿誤方函口訣》「麻黄・紫蘇葉・橘皮・柴胡・杏仁・生姜・石膏」
橘皮湯[3]《東醫寶鑑》「橘皮3銭、青竹茹・甘草各1銭、人参5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎虚煩を治す。
橘皮湯[4]《東醫寶鑑》=「加味香蘇散」「陳皮・枳殻・川芎・槐花各1銭、紫蘇茎・檳榔・木香・桃仁・香附子・甘草各5分、姜3、棗2」煎服。◎気痔を治す。
橘皮半夏湯[1-1]《張氏医通》《漢方後世要方解説》「橘皮・柴胡・杏仁・桔梗・香附子各3、半夏・茯苓各4、桑白皮・蘇子各1.5、生姜1」 ◎此方は感冒後の亜急性又は慢性の気管支炎にて他に特記すべき症状なく咳嗽のみ残って癒えざる者によい。◎感冒の症、初め、桂枝湯、麻黄湯等を用いて表証は解したけれども咳嗽の止まざる者がある。もの心下に水気あって表解せざるは「小青竜湯」であるが、小青竜湯にて心下の水気去るもなお咳嗽止まず、微熱ある者に此方がよい。
◎半夏・茯苓・橘皮・生姜=二陳湯より甘草を去ったもの、諸痰飲を除く。柴胡=少陽の余熱を解く蘇子・桑白皮=痰を去り気を下す杏仁・桔梗=胸膈を利し、痰喘嗽を治す。香附子=気を開き痰を去らしむ。
橘皮半夏湯[1-2]《漢方治療の実際》「柴胡5、蘇子・橘皮・半夏・茯苓各3、香附子・桑白皮・杏仁・桔梗各2、生姜3」 橘皮半夏湯[1-3]《張氏医通》
「柴胡・紫蘇子・橘皮・半夏・茯苓・莎草・桑白皮・杏仁・桔梗・生姜」◎感冒の解後、咳止まざる者を治す。《張氏医通》 ◎此方は、桂麻にて発汗後、表証は解すれども、咳嗽独り止まざる者を治す。①もし、心下に水気ありて表解せざる者:「小青竜湯」②小青竜湯を与えて心下水気は去れども、咳嗽止まず微熱ある者:橘皮半夏湯
◎咳嗽或いは微熱を伴う。《龍野ー漢方処方集》★適応症及び病名[1]咽頭カタル [2]感冒[3]気管支炎[4]喫煙家[5]せき:☆感冒、気管支炎などで、小柴胡湯を用いて解熱し、ただ咳だけが残って止まない者に用いる《大塚敬節》
[6]慢性気管支炎 橘皮半夏生姜湯《東醫寶鑑》「陳皮・半夏各2銭、乾生姜。人参・通草各1銭」水煎服。◎咳逆。
橘連枳朮丸《東醫寶鑑》「白朮3両、梧実<あおぎりの実>(麩炒)・陳皮・黄連(酒炒)各1両、を作末し、荷葉煮湯で米糊をつくり梧子大の丸剤。 ◎脾を補い、胃を和し、消化させる。
橘葉散《東醫寶鑑》「皀角刺(略炒)1銭半、瓜仁1銭、青皮・石膏・甘草節・当帰頭・金銀花・没薬・蒲公英各5分、青橘葉ひとにぎり」酒1杯半を1杯まで煎じ、毎食後と就寝時に服用。◎乳房の核と乳癰を治す。
揆雲散《東醫寶鑑》「柴胡2両、羗活・防風・甘草各1両」作末し、毎回2銭を薄荷湯又は茶清で服用。 ◎風毒が上がって、眼目が暗く・かゆくて痛い症。
揆雲湯《東醫寶鑑》「羗活・防風・黄柏各1銭、荊芥・藁本・升麻・当帰・知母・甘草各7分、柴胡5分、川芎・黄蓍・葛根・細辛・生姜各3分」食後、煎服。◎目に黒・白瞖が出来たとき。
揆雲退瞖丸《東醫寶鑑》「甘菊・川椒・大賊・白藜・密蒙花・蛇道・蝉退・川芎・蔓荊子・荊芥穂・石燕子()・黄連・薄荷・瓜根・枳実・羗活・当帰・地骨皮・甘草」 各等分に作末し蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を茶清で呑む。◎揆膜を治す。
却毒湯《東醫寶鑑》「焔硝1両、瓦松・馬歯・甘草各5銭、五倍子・川椒・防風・側柏葉・枳穀・葱白・蒼朮各3銭」を水5杯で煎じ、3杯までに減じて、1日3回洗う。◎痔瘻を洗う。
却痛散《東醫寶鑑》「川烏(炮)1銭半、当帰・肉桂・石菖蒲・木香・胡椒各1銭、五霊脂・蒲黄(炒)各5分、塩、錯」水煎服。 ◎心気が冷えると堪えられない症。
却老烏鬚健陽丹《東醫寶鑑》「赤何首烏・白何首烏各1斤、牛膝8両を黒豆汁でまぜて蒸すこと3回、赤 茯苓を牛乳5升、白茯苓を人乳汁5升に、それぞれ強火で煎じて乾かした
もの各1斤、兎絲子・破故紙各8両を作末し、弾子大の蜜丸。毎回1丸 を1日2回温酒で呑む。」 ◎毛の白いのを、黒くする。 却病延寿湯 「人参1銭・白朮1銭・牛膝7分・白芍7分・陳皮5分・白茯苓5分・山楂 肉5分・当帰5分・甘草5分・生姜3斤を入れ煎服。春には川芎を加え、夏には黄芩・麦門冬を加え、秋冬には当帰・生姜を倍加する。小水量が回復すれば服用をやめる。
◎老人の小便量が少ない。
卻病延年湯《済世全書》《古今方彙》「人参・茯苓・白芍薬(酒)・牛膝・山楂子各1銭、白朮1銭半、陳皮8分、当帰7分、甘草5分、生姜」水煎。 ◎凡そ高年の人は但だ小水短少を訴える。即ち是の病には進んで宜しく此湯を用いるべし。これ《丹渓養母》の方なり。
◎春には:「川芎」◎夏秋には:「黄芩麦門冬」◎冬には:「当帰、生姜倍加」 ◎老人陰痿にて色を思いて精出でず、小便の道は渋りて淋の如くに痛むには車前子と牛膝を八味丸の内に加える。《薛立斎十六種》
◎老人精已に竭き而して復た之を耗し、大小便牽痛して愈々痛み、愈々便せんと欲し、便すれば則ち痛み癒ゆ。前薬を以て応ぜざれば急ぎ附子を加える。 逆挽湯[1-1]《名古屋玄医》《漢方治療の実際》「桂枝・甘草・茯苓・人参・朮各3、乾姜・枳実各2」
逆挽湯[1-2]《名古屋玄医》「桂枝人参湯枳実・茯苓」◎一二日微熱あり、泄瀉数十行にして、後に血を帯び、裏急後重するを治す。 「後重」=便意あるも排便無し。◎此方の手段は、逆流挽舟と云う譬えにて、下へ降りる力の無き者は、一応上へずっと引き上げて、弾みをつけるならば、その拍子に下る理にて、虚寒下利にて後重する者は、桂枝人参湯にて一旦表へ引き戻し、その間に枳実、茯苓にて押し流す時は、後重ゆるむと云う意なり。《勿誤薬室方函口訣》◎下痢:桂枝加芍薬湯乾姜を与えて下痢止まず、熱があり、気がある者。◎《希藻》曰く、発熱の初、泄痢未だ判らず、虚候を挟むに似たる者、世医先ず逆挽湯を用い、緊迫を視るに及べば則ち之を疏滌す。《雑病翼方》
瘧疾一方《医学正伝》《古今方彙》「常山1銭半、檳榔子1銭、丁香半銭、烏梅1個」作1貼、好酒1盞を用い、1宿を浸し、発する日に臨み清晨(明け方)に之を飲む。
◎久瘧、癒えざるを治す。
瘧疾一方《済世全書》《古今方彙》「蒼朮、陳皮、厚朴、藿香、半夏(倍)、柴胡、黄芩、青皮、茯苓、沢瀉、檳榔子、草果、烏梅、甘草、生姜」煎じ、未だ発せざる前に服す。
◎諸瘧新久已まざるを治す。 芎烏散《東醫寶鑑》 「川芎・烏薬」等分を作末し、毎回2銭を服用。◎産後の頭痛。
芎黄円《楊氏家蔵方》《龍野ー漢方処方集》「川芎・大黄」各等分。蜂蜜で0.3gの丸薬として6~9を3回に分服。◎便秘、頭痛のぼせ。
芎黄円《楊氏家蔵方》《勿誤薬室方函口訣》「川芎・大黄」各等分。◎風熱壅盛し、頭昏、目赤、大便難なるを治す。《楊氏家蔵方》◎此方は、《楊氏家蔵方》の主治を至的とす。《勿誤薬室方函口訣》◎風熱壅盛し肩背強急する者:「葛根湯」◎心下支飲ありて頭昏目赤する者:「苓桂朮甘湯」
◎頭瘡、耳鳴に兼用すべし。
芎黄散[1]《王獄産書》=「黄散」=「応鐘散」「大黄、芎」「大黄10.0、芎6.0」《奥田謙蔵》右二味、各別に細末にし混和して散と為し、1回2.0~4.0を酒服する。下るを以て度とする。又病証に髄ひ、毎夜連続服用するも亦可なり。◎産後大便秘を治するの方。◎産後両(産前と産後の各七日)の内、大便秘するは損する所無し。ただ緩満に薬を以て之を通ぜよ。
◎蒿麦粉を加え尤も効あり。《雑病翼方》◎転変し、治す可らざる者を治す。転変とは、病証転変して治す可らざる也。《古方兼用丸散方》 ◎瘡及び頭上の毒を治す《古方兼用丸散方》◎諸般の上逆甚だしく、大便せず、或いは頭痛、耳鳴し、或いは頭痒く、或いは白屑多く、或いは瘡を生じ、或いは頭眩、目瞑し、或いは肩強り、或いは口熱、歯痛するを治す。《春林軒丸散方》◎打撲して瘀血ある者は、蕎麦を加えて、酒にて服す。《春林軒丸散方》
芎黄散《漢方治療の実際》「大黄1、川芎2」以上を作末し、1回に服す。 芎黄散[2]《東醫寶鑑》「川芎・生乾地黄・当帰・山薬・白芍薬各1両、沈香5銭、甘草3銭」作末し、半銭を白湯で調下する。◎小児の髄の気が不足して骨に充満出来ず、歯が生えない。
芎活湯[1]《東醫寶鑑》「川芎・半夏・赤茯苓・独活・陳皮・枳穀・各1銭、白朮・甘草各5分、生姜5片」水煎服。 ◎水飲が経絡に停注して、臂痛になった者。
芎活湯[2]《古今方彙》「人参、黄芩、杏仁、甘草(炙)、石膏、麻黄、肉桂、川芎、葛根、升麻、当帰、独活、生姜」水煎。 ◎急驚にて角弓反張するを治す。
芎葛湯[1]《東醫寶鑑》 「川芎・半夏(製)・赤茯苓各1銭、陳皮・枳穀各5分、白朮・甘草(炙)各2分半、姜5片」 ◎逐水・利飲に応用。
芎葛湯[2]《東醫寶鑑》「川芎・乾葛・桂皮・細辛・枳穀・人参・芍薬・麻黄・防風各1銭、甘草5分、生姜3片」水煎服。 ◎風寒脇痛を治す。
芎帰飲《東醫寶鑑》「川芎・当帰・細辛各1銭、石菖蒲・白各7分、生姜3片、大棗2枚、紫蘇葉7枚」食後、水煎服。◎風邪で耳鳴りになった者を治す。
芎帰丸《東醫寶鑑》「川芎・当帰・黄蓍・神麹(炒)・地楡・槐花(炒)各1両、阿膠・荊芥・木賊・髪灰各5銭」を作末し、梧子大の蜜丸。50~70丸呑む。
◎腸風・臓毒が長引くとき。
芎帰湯[1]《備急千金要方》 「川芎3匁半、当帰5匁」◎去血多、因って眩冒、困悶を致す者を治す。 「眩冒」=能貧血によるめまい、精神昏迷症状。◎胎前産後、危急狼狽、垂死等の証を治す。◎和血の効、捷なりとす。《勿誤薬室方函口訣》◎血分の症に活用すべし。◎後世の「補血湯」は此方の一等虚する処に用いる。◎婦人産後、両乳伸長、細小にして腸の垂れるが如く、小腹を過ぎ、痛忍ぶねからず。名づけて『乳懸痛」』と曰う。芎帰湯を用いる。《方読便覧》◎児枕痛:「甘草乾姜湯」《和田東郭》◎月信痛:「甘草乾姜湯」《和田東郭》◎耳中出血:「茅根」少し塩を入れて煎服。◎婦人、陰中突出し、蛇の如く、或いは鶏冠菌様の者を治す。「白、甘草、胆草各等分」《方読便覧》
芎帰湯[1-1]《厳氏済生方》=「仏手散」「川芎、当帰」 ◎(失血過多でめまい)◎生理不順:☆月経淡白:「人参・黄蓍・白芍薬・香附子」◎難産:☆産にのぞんで、分娩の困難な者に頓服させる。《大塚敬節》
芎帰湯[1-2]《和剤局方》《古今方彙》「川芎・当帰各等分」水煎。◎一切の失血過多にて眩暈し醒めざる者を治す。◎虚甚だしければ:「+附子」
芎帰湯[1-3]《和剤局方》《古今方彙》 「当帰・川芎」水煎し或いは酒童便を入れて同じく煎じる。◎一名「仏手散」:という。◎産前産後の諸疾及び難産、催生(陣痛発来のこと)、崩漏、胎動、胎痛を治す。◎新産の婦人、之を用いれば血を調えば則ち諸症悉く癒える。◎益母草5銭を加えるも亦妙なり。
◎気弱には:「人参」◎悪血には:「紅花」 芎帰湯[2]《証治準縄》 「川芎・当帰・人参・茯苓・呉茱萸・苦桔梗各12g、川厚朴・芍薬各8g清水9升にて煎じて3升とし、3回に分けて服用する。」
#芎帰膠艾湯[1-1]《金匱要略》 「芎2両、阿膠2両、甘草2両、艾葉3両、当帰3両、芍薬4両、乾地黄6両」右7味、以水5升、清酒3升、合煮取3升、去滓、内膠令消盡、温服1升、日3服、不差更作。◎師曰、婦人有漏下者、有半産後因續下血都不絶者、假令妊娠腹中痛、為胞阻、膠艾湯主之。
芎帰膠艾湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「川芎・阿膠・甘草各2、艾葉・当帰各3、芍薬4、地黄6」原方では水のほかに酒を加え、阿膠はあとから入れることになっているが、今、水だけで煎じ、阿膠も初めから一緒に入れる。
「地黄」*芎帰膠艾湯・三物黄芩湯・八味丸、皆地黄を以て君薬となし、2方は血証を言ひ、1方は小便不利を言ふ。膠艾湯方中、地黄を除くの外、阿膠・当帰・あり、鈞(ひと)しく是れ血を治する薬なり。三物黄芩湯は地黄を去れば、則ちその余は血を治するの薬品なし。是れに由って之れを観るに、古人の地黄を用ふる、並びに血証・水病を治するや覈(あき)らかなり。且つや、施治の法、血と水とを別たざるも亦明らかなり。《薬徴》
[施治の法]=治療を施すさいには血と水との気別をしないことも明瞭である 芎帰膠艾湯[1-3]《金匱要略》◎漏下、腹中痛み、及び吐血、下血する者を治す。《吉益東洞》◎此方は止血の主薬とす。◎阿膠の滋血、艾葉の調経、之に加ふるに甘草の和中を以てして、その効妙とす。
◎膠艾湯、調経、安胎、止漏、養血の良方となす《方読便覧》
◎《和剤局方》に云う、労傷、血気衝任、虚損、月水過多、淋瀝漏下、連日断えず、臍腹疼痛するを治す。
◎子宮出血、血尿、肛門出血、腰脚冷え、或いは下腹痛。《龍野ー漢方処方集》
◎鑑別:「三黄瀉心湯」「黄連解毒湯」「三黄瀉心湯や黄連解毒湯には消炎・鎮静・止血の効があるので、充血、のぼせ、興奮等を目標として、上半身の出血に用いることが多く、芎帰膠艾湯は鬱血を散じ、強壮・増血の効があるので、血色が悪く、冷え症のある者を目標とする。けれども、三黄瀉心湯も痔出血や子宮出血に用いることもあり、芎帰膠艾湯を衂血に用いることもある。」《大塚敬節》
◎鑑別:「当帰芍薬散」「芎帰膠艾湯と当帰芍薬散はともに、当帰・川芎・芍薬があり、前者には地黄・甘草・艾葉・阿膠があり、後者には、茯苓・朮・沢瀉がある。だから、芎帰膠艾湯は多く血に働き、当帰芍薬散は多く水に働く。」《大塚敬節》「芎帰膠艾湯:“腸痔、下血、綿々として止まず。身体痿黄、起きれば則ち眩暈し、四肢力なく、小腹刺痛する者を治す”
「当帰芍薬散」:“脱肛、腫脹、水を出して止まざる者に奇効あり”」《類聚方広義》
★適応症及び病名 (きゅうききょうがいとう)[1]頭がボーッとする
[2]外傷性出血
[3]顔色悪い
[4]下腹部知覚鈍麻
[5]眼出血
[6]ギックリ腰(初期に) ☆椎間板に異常がなく、下肢に痛みが走らない者に用いる。《螺王人》
[7]筋肉攣縮
[8]月経過多
[9]血小板無力症
[10]血尿:☆血尿証等《奥田謙蔵》☆《大塚敬節》“男子、42歳。3ヶ月前より血尿が出るようになった。日によってはブドウ酒のようになり、また日によっては桃色になることもあるという。その他には何の症状もない。しかしこの血尿はいつまでも治らないので、某大学病院に入院した。そこでいろいろ詳しく検査をした後、腎臓からの出血であることを突き止めた。しかし原因が分からず、特発性腎出血ということになった。ところがこの血尿はいつまでも止まらないので、退院して私に治を乞うた。腹診上は特にとりたてていうほどのものはなく、ただ僅かに臍部で動悸がやや亢進しているだけである。顔色は黒い方で、やや貧血の傾向がある。脈はやや沈で小である。食欲は普通で、大便も1日1行あり、排尿時にも苦痛はない。以上の所見から芎帰膠艾湯を与えたところ、4、5日後には肉眼では血尿らしいところが無くなり、その後、時々、疲れたときなどに血尿を出すこともあったが、だんだんそれも遠のき2ヶ月後には、体重が3kgほど増し全く健康体になってしまった”
[11]血便:☆血痢止まずして、腹満、熱実の症無く、ただ腹中攣痛し、脣舌乾燥する者は此方まま効有り《類聚方広義》
[12]眩暈(めまい):<起立性>
[13]口中(口内)出血
[14]喉頭結核
[15]肛門出血
[16]座骨神経痛
[17]産後の悪露が止まらない
[18]産後の子宮不全
[19]産後の出血
[20]産後の神経症
[21]産後の衰弱
[22]しびれ感(シビレ・筋肉のひきつり)
[23]弛緩性の出血
[24]四肢煩熱
[25]痔出血:☆痔出血にして、顔面蒼白、四肢に冷感ある証《奥田謙蔵》☆腸痔、下血綿々として止まず、身体萎黄、起てば即ち眩暈し、四肢に力無く、少腹刺痛する者を治す。若し胸中煩悸し、心気欝塞し、大便燥結する者は、黄連解毒湯、瀉心湯を兼用す《類聚方広義》
☆28歳の婦人。蒼白の顔をしている。一見してかなり貧血している。痔から永く出血しているが、手術が恐ろしいので、医者に見せたことはないと言う。動くと、疲れやすく、それに疲れるとのどが渇く、大便はやや硬いのでつとめて野菜や果実を食べているという。しかし便所に行くたび毎に、飛ぶように出血するので、便所に行くのが恐ろしくてたまらないという。腹診してみると、臍上で動悸が亢進し、下腹部が少し膨満してる。患者は下腹が張るような感じがあるという。そこで芎帰膠艾湯を与えたところ、大便が気持ちよく出るようになり、2週間目から少しずつ出血が減じ、1ヶ月後には、全く止血し、顔色も良くなり、動悸、息切れも次第によくなった。《大塚敬節》☆40歳男性。2年前、痔核の手術をしたが、その後、手術のあとが俗に云う[切れ痔]となって、出血して治らないので、翌年の5月に再手術をした。しかし依然として、疼痛と出血が止まないので、9月に又 手術した。しかし疼痛も出血も止まない。大便が少し硬いとすぐに、出血が始まり、痛むので、いつも性マグネシヤを呑んでいるという。それでも時々出血するし、1度出血が始まるとなかなか止まらないと云う。
患者は色が浅黒く、栄養も悪くない。腹診上特別の所見はない。私は芎帰膠艾湯を与えて、治りますよと、安請け合いをした。ところが、これを飲み始めて6日たつと、今までよりも排便時と排便後に、肛門が痛むようになった。大便が硬いためかと考え、これに大黄0.5を加えてみた。これを3日ほど飲むと、疼痛は軽くなり、5、6日たつと疼痛を忘れた。しかし、何かの調子で、時々疼痛が来る。そこで患部に紫雲膏を塗り、黄連解毒湯大黄甘草湯にし、大黄0.7を用いた。ところで、意外にも、これより前の薬が良いというので、また芎帰膠艾湯大黄にして、大黄を0.7にした。すると出血も疼痛も10日に1回位起きる程度になった。しかし、どうしても完全に治らず、1週間から10日に1回くらいは疼痛と出血があり、肛門専門の医師は、今一度手術した方がよいと診断したとこことである。けれども患者の方は、いくら永くかかってもよいから、漢方で根治するまで服薬を続けたいと云う。
そこで服薬を始めて、3ヶ月目に、次のような変則な処方を作って用いた。則ち、芎帰膠艾湯大黄桃仁牡丹皮麻黄梔子魚腥草である。ところで、これがすばらしく良く効いて、これを服用し始めてから6ヶ月間に、初めの頃に、1、2回少し出血があったきりで、その後は、疼痛も出血も全くない。《大塚敬節》☆56歳男性。既往症に痔瘻、動脈硬化症がある。7日前から痔出血があるという。大便は1日1行あるが、時々硬いことがある。そこで芎帰膠艾湯大黄1.0にして用いたところ、1週間ほどで出血が止み、とても身分が良いというので、服薬を続けたところ、10ヶ月ほどたつと、脱肛の方も軽快し、よほど無理を重ねない限り、脱肛することはなくなった。《大塚敬節》
[26]紫斑病(血小板減少性紫斑病) ☆特発性血小板減少性紫斑病に有効(漢方診療医典)
[27]子宮出血:☆子宮出血にして、熱候無き証《奥田謙蔵》☆芎帰膠艾湯と温経湯とは、血が多く出るか、少ないかによって区別する。また芎帰膠艾湯は流れをせき止めるような作用があり、温経湯とは作用が違っている。だから、桂枝茯苓丸のような、ドブをさらえるような作用のあるものを芎帰膠艾湯証に用いると、却って出血がひどくなるものである《百一貫》
[28]子宮内膜症:☆子宮内膜炎等にして、赤白の分泌物断続する証《奥田謙蔵》
[29]子宮ガン
[30]出血:☆外傷後、内出血の疑いある証《奥田謙蔵》☆打撲で、すさまじく出血する者に効がある《百一貫》
[31]腎臓結核 [32]腎臓腫瘍 [33]切迫流産:☆胎動き、血水を下す者は、更に「理中湯縮砂」を以て之を佐く、と。是れ亦気虚を治する者なり。《仁斎直指方》☆妊娠中、少しずつ子宮出血があって、流産のおそれのある時に用いる《大塚敬節》
☆《方輿輗》に、“妊娠中に下血して腹中痛む者に用いる方なり。また下血せずしてただ腹痛するばかりにも用いることあり。また妊娠中にケガして胎動(今日の胎動と内容が異なり、胎が動いて流産せんとすること)することあり、ここえ最も効有る薬なり。ケガして腰や腹痛み出して甚だしきは下りものなどありて堕胎せんとするに用いて取り留める者也。また1治験あり、毎産5、6月に堕胎する者に、これを服すれば堕胎を逃れるなり。
胎動に当帰芍薬散や当帰散などを用いるときは軽き場なり、軽き内は前2方にてよし。これにても癒えざる時は芎帰膠艾湯を用てよし。 当帰芍薬散の痛は劇しくとも、腹にのみありて腰にかからぬなり。膠艾湯の痛は小腹にありて、腰にかかるなり。故に膠艾湯には腰腹痛とあるなり。当帰芍薬散の場にても、腰にかかる者は早く膠艾湯を用ゆべし。腰痛は堕胎せんとするの兆しなり。早く救ふべし。胎動して腰にかかるに至る者は必ず血を見る者なり。軽き者はその時血の下るを知らずしている者なり。よくよく意をそそいで審にすべし”《大塚敬節》
[34]舌質<やや淡白>
[35]舌苔<無苔>
[36]帯下:☆漏崩走下止まず、自ら臍下氷の如く覚え、白帯の物多く、まま、悪露水の下るあり。時に鮮血止まざるあるを治す:「甘草丁香」《衛生宝鑑》
[37]胎漏(妊娠中の腹痛のない子宮出血)[38]吐血 [39]腸出血:☆腸出血にして、熱性証候を欠く者《奥田謙蔵》 [40]難産 [41]妊娠:☆妊娠二三月より上七八月に至り、その人、頓仆(突然倒れる)、失踞(座ったまま倒れる)し、胎動不安、傷損止、腰腹痛し、絶えんと欲する者、所見の胎に及ぶあり。奔上して搶心、短気するを治す《雑病翼方》☆妊婦顛躓し、胎動いて心に冲し、腹痛して腰股に引き、或いは胎萎縮の状覚え、或いは血を下して止まざる者は、此方を用う可し。胎殞ちざる者は即ち安く、若し胎殞つる者は即ち産す、《類聚方広義》
[42]冷え症 [43]皮膚に艶(ツヤ)がない [44]貧血: ☆諸種の貧血証等《奥田謙蔵》
[45]<左>腹直筋攣急
[46]腹痛(下腹部疼痛) [47]腹部軟弱無力 [48]不正性器出血: ☆(少量で持続することが多い)
[49]分娩後の持続する出血 [50]膀胱結核 [51]膀胱腫瘍 [52]メトロパチー(Metropathie)=出血性子宮症
[54]目が疲れる
[55]腰痛症
[56]流産:☆孕む毎に必ず堕つる者、此を服して止む無ければ、則ちその胎を保つべし、と。按ずるに之を服して差えざる者は気虚し、血を摂せざるなり。「補中益気湯」に宜し。《希藻》曰く。☆懐妊して6、7月もして堕胎し、あるいはたまたま10月に満ちて生まれても、生まれてすぐ死亡し、5人、6人と孕んでも、育たない者がある。その場合は、妊娠と分かった月から10ヶ月まで用いるが良い。育つものである。先生の経験である。芎帰膠艾湯を酒を 入れて煎じないと効力が薄い。しかし酒を初めから入れては、飲みにくいので、煎じあがって、あとから酒を入れて飲ませるのが良い。《百一貫》
#芎帰膠艾湯+乾姜
=大膠艾葉湯《備急千金要方》「芎帰膠艾湯と主治同じ、地黄・乾姜と伍するときは、血分の働き一層強くなるなり」《勿誤薬室方函口訣》
芎帰膠艾湯加減《中薬臨床応用》「阿膠12g(溶解)、艾葉6g、当帰9g、白芍5g、熟地黄12g、桑寄生18g、続断9g、菟絲子12g、白朮12g、黄蓍12g」水煎服。◎流産防止。
#芎帰調血飲[1-1]《万病回春》《古今方彙》「当帰、川芎、白朮、茯苓、熟地黄、陳皮、烏薬、香附子(便)、乾姜(黒)、益母草、牡丹皮、甘草、生姜、大棗」水煎、温服。
◎産後の諸病にて気血虚損し脾胃弱、悪露行らず、血を去ること過多にして、飲食節を失し、怒気相沖し、以て発熱を致し、悪寒、自汗、口乾、心煩、喘急し、心腹疼痛し、脇肋腸満し、頭暈眼花、耳鳴り、口噤して語らず、昏㿉する等の症を治す。
芎帰調血飲[1-2]《万病回春》《漢方後世要方解説》「当帰・川芎・熟地黄・白朮・茯苓・陳皮・烏薬・香附子・牡丹皮各2.5乾姜・益智仁・甘草・大棗各1」◎産後一切諸病、気血虚損、脾胃怯弱、或いは悪露行らず、或いは血を去ること過多し、或いは飲食節を失し、或いは怒気相沖し、以て発熱悪寒、自汗、口乾き、心煩喘急、心腹疼痛、胸肋脹満、頭暈、眼花、耳鳴、口噤て語らず、昏㿉等の症を治す。
◎此方は八珍湯方中より芍薬と人参を去り、牡丹、益母草の駆瘀血剤、香附子・烏薬・乾姜の順気健胃剤を配合せるもので、産後一切の気血を調理するによい。「八珍湯」「大補湯」ほど虚状のない者に広く用いられる。
すなわち貧血を補い、悪露悪血を去り、腸胃を益し、産後の諸症に応用される。 「当帰・川芎・熟地黄」=補血、潤血の作用有り「茯苓・白朮・陳皮・甘草」=脾胃を養う「烏薬・香附子」=気血を順らし「牡丹・益母草」=血熱を涼す。
芎帰調血飲[1-3]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「当帰・川芎・白朮・茯苓・熟地黄・陳皮・烏薬・香附子・牡丹皮各3.0g、乾姜・益母草・大棗各2.0g、干姜1.0g」◎産後の諸病、気血虚、胃弱、悪露、貧血、出血過多、飲食不調、発熱悪寒、自汗口乾、心煩喘息、心腹疼痛、脇肋脹満、眩暈、耳鳴り、口噤不語、昏迷等。《龍野ー漢方処方集》
★芎帰調血飲(気血虚損、胃腸虚弱、神経症、貧血めまい、動悸、耳鳴り、腹部軟弱、腰痛、乳汁不足、)
★適応症及び病名(きゅうきちょうけついん)[1]胃腸虚弱
[2]外傷の後遺症
[3]眼花
[4]肝斑
[5]気の上衝<+>
[6]気血虚損
[7]脇肋脹満
[8]血瘀気血両虚☆桃紅四物湯より補益性が強く、寒証に適する。《中医処方解説》☆寒証がひどい者には、芎帰調血飲第一加減《中医処方解説》
[9]血脚気
[10]血腫
[11]月経不順
[12]眩暈
[13]口乾
[14]口噤不語
[15]骨盤内血腫
[16]骨盤内の鬱血
[17]骨盤腹膜炎(第一加減)
[18]昏迷
[19]産後の諸病<調整>☆産後の血☆産後の悪露滞留 ☆産後の神経症で、脈腹軟弱でおりものがある者。☆産後の頭痛☆産後の肥立ち(第一加減)
[20]産褥熱:☆軽症
[21]自汗
[22]出血過多
[23]腫瘍
[24]食欲不振(飲食不調)
[25]神経症
[26]心煩
[27]心腹疼痛(腹がはって痛む)
[28]喘息
[29]頭暈
[30]頭痛
[31]舌質<淡紅><瘀斑>
[32]帯下
[33]血の道症:
[34]動悸
[35]乳汁不足
[36]腹部軟弱
[37]便秘<傾向>
[38]耳鳴り
[39]めまい
[40]腰痛
[41]脈沈弱 #芎帰調血飲第一加減《一貫堂》《中医処方解説》「芎帰調血飲白芍薬・桃仁各・延胡索3g、紅花・牛膝・枳殻・木香各2g、肉桂1g」◎活血化瘀、理気止痛、補血健脾、温裏寒。
★適応症及び病名(芎帰調血飲第一加減)
■外傷後遺症 ■血瘀気血両虚寒証 ■月経不順 ■月経困難症 ■骨盤内炎症 ■骨盤内鬱血 ■子宮筋腫 ■無月経 芎 帰鼈甲散《医学入門》《古今方彙》「鼈甲1銭、川芎・当帰・茯苓・芍薬・半夏・陳皮・青皮各5分、烏梅1固、生姜、大棗」煎服。
◎労瘧にて寒熱するを治す。◎熱多ければ:「+柴胡」◎寒多ければ:「+草果」
芎帰補中湯[1]《万病回春》《古今方彙》「人参・黄蓍・白朮・当帰各1両半、川芎・五味子各1両、白芍薬(酒)1両半、乾姜(炒)・阿膠各1両、杜仲・木香・甘草各半両」水煎温服。
◎懐妊し、血気虚弱にて栄養する能わず、以て数月を致して墜つるを治す。
芎帰補中湯[2]《婦人大全良方》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・当帰・芍薬・川芎・艾葉・阿膠・五味子・杜仲各1銭、甘草5分」水煎。 (きゅうきほけつとう)気血虚し、而して産を欲するを治す。◎若し脾気虚弱なるには:「補中益気湯」を使う。◎若し気虚し而して火あるには宜しく:「安胎飲」を用いるべし。
芎帰養血湯《中薬臨床応用》「川芎5g、当帰・桑枝各9g、鶏血藤30g、桑椹子12g、白芍6g、秦芁5g、大棗15g」水煎服。
(きゅうきようけつとう)
◎多発性神経炎・脳血管攣縮・脳血管後遺症などによる麻痺。◎筋肉リウマチ。慢性関節リウマチによるしびれ・疼痛・ケイレン。
芎竅散[1]《東醫寶鑑》「川芎1銭、当帰7分半、羗活・旋覆花・蔓荊子・細辛・石膏・藁本・荊芥穂・半夏(麹)・熟地黄・防風・甘草各5分に生姜3片を入れ、水煎服。」薬物の種類は、「養血袪風湯」と同じだが重両数が違う。
◎頭風・眩暈を治し、兼ねて肝虚暈を治す。特に婦人に良い。
芎竅散[2]《東醫寶鑑》 「川芎・檳榔・麻黄・肉桂・防已・木通・細辛・白芷・菖蒲各7分、木香・川椒・甘草各3分、生姜3片、紫蘇葉5片」水煎服。
◎鼻がつまり、匂いをかげない症。 芎摻散《証治準縄》 「川芎・辛夷各40g、細辛30g(苗を去る)、木通20gを細末にして、少量を綿にくるんで、鼻の中に挿入し、湿ったら取り替える。」
芎夏湯《東醫寶鑑》「川芎・半夏(製)・赤茯苓各1銭、陳皮・枳殻各5分、白朮・甘草(炙)各2分半、姜5片」水煎服。◎逐水・利飲に。
芎犀元《東醫寶鑑》「川芎・石膏各1両、人参・赤茯苓・細辛・甘草各5銭、麦門冬7銭半、阿膠珠4銭、山梔子・竜脳・犀角各2銭半、朱砂5銭半」を作末し 蜜でねり芡実大の丸剤。朱砂で衣をし1~2丸を、こまかくかんで温酒又は茶清で服用。
◎偏頭痛を治す。
芎芷膏《東醫寶鑑》 「川芎・白芷」等分を作末し、芡実大の蜜丸。毎回1丸を就寝時に服用。 ◎口気の熱臭を治す。
芎芷香蘇散[1]《東醫寶鑑》「香附子・紫蘇葉各2銭、蒼朮1銭半、陳皮・川芎・白芷各1銭、甘草5分を剉作1貼して生姜3・大棗2を入れ、水煎服。」
◎傷寒・傷風の表症で、頭と首がつって・関節が疼痛し、陰陽が弁別できないとき。
芎芷香蘇散[2]《済世全書》《古今方彙》「川芎・白芷・香附子・陳皮・羗活各1銭、薄荷・紫蘇葉各8分、甘草5分、生姜、葱白」水煎。 ◎外が傷風に感じ、鼻塞り、声重く、左の脈浮緩の者を治す。◎荊芥、防風を加え「荊防芎蘇散」と名づく。◎咳には:「+杏仁桑白皮」
芎芷散《東醫寶鑑》「川芎1銭半、白芷・蒼朮・陳皮・細辛・石菖蒲・厚朴・半夏・木通・紫蘇葉・辣桂・甘草各7分、姜3片、蓮鬚葱白2茎」水煎服。◎風邪で耳鳴りする者を治す。
芎芷散《医学入門》《古今方彙》「白芷・菖蒲根・蒼朮・細辛・厚朴・半夏・甘草・木通・紫蘇子・辣桂各2半、川芎2分、生姜、葱白」煎服。 ◎風が耳に入り、虚鳴するを治す。
芎朮姜梔二陳湯《万病回春》《古今方彙》「乾姜・蒼朮・梔子・半夏・茯苓・川芎各1銭、甘草5分、陳皮1銭2分、生姜:煎服。 ◎平素より痰火ありて胃脘急痛して忍ぶべからざる者、◎食納むる能わざるを治す。◎痛み時に服す。
芎朮散《東醫寶鑑》「川芎・蒼朮・香附子・白芷」等分を作末し、姜汁で木香をそそいで、熱湯で2銭調下する。 ◎痰積腹痛を治す。
芎朮湯《東醫寶鑑》「川芎・白朮・半夏(姜製)各2銭、炙甘草5分、生姜7片」水煎服。 ◎冒雨中湿で頭が重く、鼻閉・めまいを治す。 (雨に濡れて鼻がつまり、頭重、めまい)
芎朮湯《厳氏済生方》《古今方彙》「川芎・白朮・半夏各2銭、甘草5分、生姜」煎服。◎雨を冒し、湿に中たり、眩暈頭重、嘔逆、食せざるを治す。
芎朮除眩湯《東醫寶鑑》「川芎2銭、白朮・附子(生)各1銭、桂皮・甘草各5分、生姜7、大棗2」水煎服。 ◎寒湿による・激しい頭痛・めまいを治す。
芎朮除眩湯《易簡方》《古今方彙》「川芎・白朮・附子(生)各1銭、官桂・甘草各5分、生姜、大棗」水煎。◎寒湿を感じ、眩暈頭重、痛み極まるを治す。
芎辛散《東醫寶鑑》 「川芎・細辛・防風・桔梗・白芷・羗活・桑白皮各1銭、甘草5分、姜2片、薄荷3葉」水煎服。 ◎熱痰による失語症。
芎辛湯《東醫寶鑑》「川芎3銭、細辛・白朮各1銭半、甘草1銭、生姜5片、茶芽を少し」水煎服。 ◎風・寒・湿が脳にあって頭痛・嘔吐・めまいする者。
芎辛湯《医学入門》《古今方彙》「川芎2銭、細辛・白朮各1銭、甘草5分、生姜、細茶」水煎温服。◎風寒が脳に在り、或いは邪が湿に感じ頭重く痛み、眩暈吐定まらざるを治す。
芎辛導痰湯《東醫寶鑑》「半夏(姜製)2銭、川芎・細辛・南星(炮)・陳皮・赤茯苓各1銭、枳穀・甘草各5分に姜7片を入れ、水煎服。」 ◎痰厥頭痛を治す。
芎蘇散《医学入門》《東醫寶鑑》「黄芩・前胡・麦門冬各1銭、川芎・陳皮・白芍・白朮各8分、紫蘇葉6分、乾葛5分、甘草3分を作1貼と、生姜・葱白を入れ煎服。」
◎妊婦が傷寒で頭痛・寒熱・咳嗽する症。◎孕婦の傷寒にて寒熱、頭疼、身痛、項背強ばるを治す。
芎麻湯《東醫寶鑑》「羗活・麻黄・甘菊・川芎・石膏・防風・前胡・黄芩・細辛・枳穀・白茯苓・蔓荊子・甘草各7分、白芷・薄荷各5分を剉作1貼して生姜3片を入れ水煎服。」
◎破傷風が半表半裏にあって汗をかかない症。
久咳方《医法問要》 「咳奇方《和田東郭》に同じ。」
宮外孕方 「丹参、乳香、没薬、赤芍薬、桃仁」
宮頸糜爛栓Ⅱ方《山西薬品制剤手冊》「黄柏、竜脳、蜈蚣、雄黄、青黛」 究原心腎丸《東醫寶鑑》「菟絲子3両、牛膝・熟地黄・肉蓯蓉・鹿茸・附子(炮)・人参・遠志・茯神・黄蓍・山薬・当帰・竜骨・五味子各1両」作末し菟絲子酒に漬け、酒煮糊で梧子大の丸剤。棗湯で70~90丸呑む。◎虚労・怔忡・盗汗・遺精・尿赤濁の者を治す。
急驚風一方《済世全書》《古今方彙》「防風、蝉退、白芍薬、木通、車前子、赤茯苓、麦門冬、甘草、燈心草」水煎。 ◎小児発熱して驚啼するを治す。 急結炎方《中薬臨床応用》「木賊3g、菊花9g、白蒺藜6g、決明子3g」水煎服。◎急性結膜炎。
急性腎炎方《中薬臨床応用》「茅根15g、車前草9g、栗米鬚15g、仙鶴草9g、鷹不泊9g、広東商陸15g」水煎服。 ◎急性腎炎。 急風散《東醫寶鑑》「麝香1字、朱砂1両、黒豆(生)2銭半、草烏(半分生・半分焙存性)3両」米醋で同淬し、作末し半銭を酒で調服する。◎新旧のすべての瘡が伝変して破傷風になった者を治す。
求苓湯《東醫寶鑑》「黄蓍・防風・白茯苓・白朮・麻黄根各5銭、甘草(炙)2銭半」を切って毎回7銭を浮小麦100粒と煎服。◎虚汗を治す。
救汗湯《葉氏録験方》 「桂枝加附子湯《傷寒論》に同じ。」◎陽虚し自汗する者を治す。
救急稀涎散《本事方》 「猪牙皀角4挺 明礬40gを作末し、温湯で2gに調合する。」 救急療気噎方《勿誤薬室方函口訣》「半夏・柴胡各3両、生姜3両、羚羊角・犀角・桔梗・昆布・通草・炙甘草各3両」◎食に因って即ち噎塞し、炙臠の膈に在って下らざる者に効をえたり。◎羚羊角湯[1]《外台秘要方》とは寒熱相反す。
救逆湯[1-1]《傷寒論》=桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯《傷寒論》「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚、牡蠣(熬)5両、蜀漆(洗去脂)3両、龍骨4両」
右七味、以水一斗二升、洗煮蜀漆、減二升。内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升。本云桂枝湯、今去芍薬、加蜀漆牡蠣龍骨。◎傷寒脉浮、醫以火迫劫之、亡陽、必驚狂、臥起不安者、桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯主之。
◎火邪、亡陽驚狂、臥起不安、虚証でのぼせひどき者。《龍野ー漢方処方集》
救逆湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「桂枝・生姜・大棗・蜀漆各4、甘草2、牡蠣6、龍骨5」◎桂枝去芍薬湯の証にして胸腹動の劇しき者を治す《吉益東洞》◎此方は火邪を主とす。故に湯火傷の煩悶す疼痛する者、又灸瘡にて発熱する者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》◎蜀漆が入手出来ないときは、これを入れないでも効がある。《大塚敬節》
◎桂枝加竜骨牡蛎湯の証に似ていて、急迫症状の甚だしい者に用いる《大塚敬節》 救逆湯[1-3]《傷寒論》=「桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯」《傷寒論》
★適応症及び病名 [1]イライラ [2]息切れ [3]一酸化炭素中毒 [4]ウツ状態 [5]感情不安定 [6]顔面紅潮 [7]気の上衝<>☆顔面に逆上感有り、心中煩悶し安眠するを得ず、口乾くも飲料を欲せず、脚部微冷にして、脈浮大なる証。《奥田謙蔵》[8]灸後の煩躁: ☆灸の反応熱に良く効く《大塚敬節》[9]驚狂
[10]下血:《雑病翼方》[11]自汗 [12]心悸亢進:☆<激しい>☆自汗出でて脈虚大、心悸亢進を覚え、逆上し、二便ともに減少し、食欲著しく減ぜざる証。《奥田謙蔵》☆お灸にあてられて動悸がしたり、火熱を加えたために心悸亢進の起こった場合に用いる《大塚敬節》[13]頭汗
[14]頭重 [15]頭痛[16]精神不安: ☆(やけど等で)[17]中風:☆入浴中に、倒れて中風になった者を治した《辻元菘庵》[18]ツバを吐く:☆滋賀県近江国蒲生郡日野大窪町米商、伴忠助という者が、ある日、予が門を叩き、泣きながら云う。私の妻は病気になって半年、床について数十日、多くの医者の治療も効無く、もういつ死ぬか分からないほどです。どうぞ活かす方法がありましたら、どんなことでもして下さいと。
そこで急いで往診してみるに、患者の名は多可といい、年は38、 脈は細数微で、痩せて、食欲はなく、悪寒がしたり熱が出たりする。それに頭痛とめまいがあり、精神が安定を欠き、頸項が強ばり、眉間が痛む。1日中、ネバネバした唾液を吐き続け、その吐くものはひどく臭い。そこで自分で脳漏(=蓄膿症)と決め、必死であると考えているようである。
ところが余の診察では、吐物には臭気は無く、また脳漏の徴候もない。そこでそのことを患家に告げたが、患者も家人も余の言を信用しないようであるから、袖を払って帰ってきた。しかし、その日の夕方、また忠助が来て、是非薬をくれと云う。そこで、この病はきっと治るといって、桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯を与えた。
これを10日分飲むと、悪寒も熱も無くなり、ツバを吐くのも半減し、呼吸の臭気も消え、30日後には過半の症状がとれ、50日あまりで全治した。(杉原周作・継興医報第32号)[19]テンカン:☆癲癇にして、上逆甚だしく、胸腹に動悸ある等の証。《奥田謙蔵》[19]動悸:☆気逆上衝し、胸腹に動悸を感ずる等の証。《奥田謙蔵》
☆ストーブに酔って動悸がしたり、風呂にながく入って動悸がした場合に用いる《大塚敬節》☆1男子が室屋に入って休んでいる中に、そのまま眠り、少し経って眼が覚めたところ、汗が流れるように出て、ひどく動悸がするようになったという。そこで救逆湯を与えたところ、2、3貼でおさまった。《方輿輗》[20]のぼせ☆風呂に入るとのぼせる・鼻血が出る。☆コタツに入っていると、頭がボーッとする。☆コタツに酔うとか、風呂に酔った場合《大塚敬節》☆密室に閉居し、或いは火力強気コタツ等にて逆上し、頭重、眩暈を発する証。《奥田謙蔵》[21]発狂:☆不寐の人、徹夜、1と目も眠ること得ざること、5、6夜に及ぶときは、必ず狂を発す。恐るべき事なり。速にこの方を服すべし《校正方輿》☆徹夜眠らず、久しければ必ず狂を発するものを治す《方彙続貂》[22]発熱:☆湯火傷、或いは灸後の発熱等。《奥田謙蔵》[23]冷えのぼせ[24]腹部大動脈の拍動:☆<激しい>
[25]胸がつまる(欝塞感・閉塞感) ☆ストレスで胸がいっぱい。[26]目眩:(めまい)☆入浴長きに過ぎて逆上し、眩暈を発する証。《奥田謙蔵》[26]やけど:(火傷)☆火邪を療す。《方読便覧》
☆私の家のお手伝いさんが、台所で仕事中に、徳用の大形マッチ箱に引火して、頭髪が燃えながら顔面に垂れ下がって、火傷をしたことがある。その時、この方を内服せしめるとともに、顔面一体に紫雲膏を塗ったところ、30分後には疼痛が忘れたように無くなり、全く、後を残さずに全治した。《大塚敬節》☆近所の小さいお嬢さんが、手を沸騰中の味噌汁の中に入れ、赤く腫れて、水疱を作り、泣き叫ぶのに、この方を内服せしめて、患部に紫雲膏を塗ったところ、間もなく静かになって、眠った。その後しばらく、この手当を続け、きれいに治った《大塚敬節》
救苦湯《東醫寶鑑》 「蒼朮・草竜胆各1銭4分、当帰・甘草各1銭、川芎6分、生地黄・黄柏・黄芩・知母各5分・羗活・升麻・柴胡・防風・藁本・黄連各3分、桔梗・連翹・細辛・紅花各2分」水煎服。
◎目尻が赤く腫れて痛い者。 ◎眼が激しい赤腫で、苦痛に耐えられない症。
救命延年丸《東醫寶鑑》「黄連・乾姜・当帰・阿膠珠」を等分に作末し、錯に阿膠珠を煎じ、熔火して梧子大の丸剤。毎回30~50丸を米飲で服用。 ◎男女の痢疾の重症を治す。
救命通心散[1]「人参・白朮・白茯苓・山薬各1銭、白扁豆・粳米・知母・生地黄・甘草各5 分、地骨皮・麦門冬・竹葉各3分」剉作して、1貼に姜3、麦2を入れ水
煎服。◎内傷病で熱があるとき、胃気を和らげ、清涼にする。 救命通心散[2]《東醫寶鑑》「川烏1両を青塩1銭・酒1杯に浸して1夜おいた後、皮をむいて焙って乾
かし、川楝子肉1両を巴豆肉21粒と同時に炒って、黒くなったら豆は捨 て、茴香5銭、石燕1対を火に焙って土狗5枚、芥子1銭6分を作末し、 毎回3銭を羊石子の中に入れ、湿紙でくるんで熱し、夜中に好酒半升に
塩を少しまぜ、石子をこまかくかんで酒で呑む。」 ◎小腸気を治す。
韭子丸《東醫寶鑑》
「韮子・全蝎各1両、乳香・雄黄各2銭半」を作末し、黄蝋をとかして、弾子大の蜜丸。瓶のなかで1丸を焼いて、紙で瓶の口をふせいだ後、竹管で煙を牙孔に入れると、虫が出てくる。
◎虫牙痛を治す。
韭子湯《中薬臨床応用》「韭子9g、桑螵蛸9g、竜骨()9g」水煎服。 ◎腎陽虚による遺精、滑精 ◎白色帯下 ◎寒がる ◎頻尿 ◎夜間多尿
九一丹《外科正宗》 「紅升丹4g、石膏36gを極細の作末し、瘡口の上にのせるか、又は、 薬をこよりにまぶして、瘡口に挿入し、外は膏薬をはる。」
九君子湯《医学入門》《古今方彙》「陳皮・半夏・麦門冬・茯苓・白朮各1銭、人参・甘草・小麦各5分、烏梅1個、生姜」水煎。◎霍乱已に癒え、煩熱して多く渇し、痰あり、小便不利するを治す。
九仙王道糕《東醫寶鑑》 「蓮肉・山薬(炒)・白茯苓・薏苡仁各4両、麦芽(炒)・白扁豆(炒)・芡仁各2 両、柿霜1両、白砂糖20両」を細末にし、粳米粉5升を入れて糕を作り、さらに乾燥させ米飲で服用する。◎精をつけ、元気を扶養し、脾骨を壮健にし、食欲を増進させる。
九仙散[1-1]《東醫寶鑑》「罌栗殻(蜜炒)2銭、人参・款冬花・桑白皮・桔梗・阿膠珠・五味子各1銭、 貝母半銭、姜3、梅1」水煎服。◎久嗽を治す。
九仙散[1-2]《医学正伝》《古今方彙》「人参、款冬花、桔梗、桑白皮、五味子、阿膠、貝母、烏梅、罌栗殻、生姜」水煎温服。 ◎一切の咳嗽、久嗽乃ちその惰帰を撃つ薬なり。(向こうの勢の抜けた処を撃って往く薬なり)
九仙奪命丹《東醫寶鑑》「枳殻2両、白礬枯1両、半夏・厚朴並(姜製)各5銭、木香・南星(姜製)各2 銭、人参・甘草各1銭、豆豉(研過)1両」を作末し夜露に当てて、人参・
厚朴煎湯で糊をつくって、小銭大の餅にして弱火で焙って乾燥、毎回1餅 をかじって姜湯で平胃散を作ったものを飲み下す。◎反胃と噎食に効く。 九仙霊応散《東醫寶鑑》「附子(炮)・蛇床子・紫梢花・遠志・石菖蒲・海蛸・丁香・木鼈子各2銭、
小脳1銭半」を粗末にして、毎回5銭を水3杯で半減するまで煎じて、1 日2回湿ったところを洗い、その水をそのままにして温めて又洗う。 ◎男の陰湿による不能を治す。
九轉黄精丹《全国中薬成薬処方集》「当帰、黄精」
九痛丸《金匱要略》「附子(炮)3両、生狼牙(炙香)1両、巴豆(去皮心熬研如脂)1両、人参、 乾姜、呉茱萸各1両」右六味、末之、煉蜜丸如梧子大、酒下、強人初服三丸、日三服。弱者二丸。
兼治卒中悪、腹脹満、口不能言。又治連年積冷、流注心胸痛、并冷衝上氣、 落馬墜車血疾等、皆主之。忌口如常法。◎治九種心痛。 ★適応症及び病名 狭心症胸痛心臓神経症心筋炎心筋梗塞心下痞膵臓炎の疼痛打撲の後遺症胆嚢炎の疼痛手足冷たい慢性胃腸炎肋間神経痛肋膜炎
九痛元《東醫寶鑑》「炮附子3両、呉茱萸・人参・乾姜(炮)・巴豆(去皮油)各1両、狼毒5銭」 を作末し、梧子大の蜜丸。温酒で3~5丸服用。 ◎九種の心痛・積冷・心胸痛を治す。
九種の心痛⇒虫心痛・心痛・風心痛・悸心痛・食心痛・飲心痛・冷心痛・熱 心痛・去来心痛。 九宝飲《東醫寶鑑》「陳皮・薄荷・麻黄・桂皮・桑白皮・紫蘇葉・杏仁・大腹皮・甘草各1銭、
姜5片、梅1個」水煎服。◎諸般の咳嗽と寒嗽・久嗽を治す。 牛角鰓湯《中薬臨床応用》「牛角鰓30g、白背葉12g、生姜(炭)9g、香附子9g、狗脊18g、両
頭尖12g、牡蛎24g、生地黄(炭)18g、当帰18g」水煎服。◎不正性器出血◎血便◎出血性の下痢◎産後に悪露が止まらない 牛遍丸《津田玄仙》「ゲンノショウコ1味」◎下痢
魚腥草桔梗湯《中薬臨床応用》「魚腥草30g、桔梗15g」水煎服。◎肺膿瘍◎大葉性肺炎 魚腥草冬葵子散《中薬臨床応用》「魚腥草18g、冬葵子30g、土茯苓30g、旱蓮草18g、飛天18g、甘草5g」水煎服。◎肺ガン。
魚石散《東醫寶鑑》「石骨首頭中骨5対を焼いて作末し、滑石5銭を作末」2回に分服。木通湯で調服すると砂はみな出て治る。◎砂石淋で茎中が痛む者を治す。
魚石湯《東醫寶鑑》「石骨・首頭中骨5対を焼いて作末し、滑石5銭を作末し、2回に分けて服用。木通湯で調服すると砂はみな出て治る。」 ◎沙石淋で茎中が痛む者。
魚脳石散《南京第一医学院》《中薬臨床応用》「魚脳石9g、青黛3g、辛夷0.6g、竜脳0.6g」細末にし1日数回、仰臥位で鼻腔に散布して短時間待つと、乾酪様痂皮の排出を促進する。
◎萎縮性鼻炎 魚鰾丸《中薬臨床応用》「魚鰾膠120g、竜骨120g、枸杞子90g、杜仲90g、牛膝60g、当帰60g、補骨脂60g、茯苓60g」」細末を蜜丸。1日2回、9gづつ空腹時に塩湯で服用◎インポテンツ◎夢精
僵黄丸(=殭黄丸)《東醫寶鑑》「白殭蚕1両、大黄2両」作末し、姜汁で弾子大の丸剤。1丸を研いで呑む。 ◎大頭病と喉痺を治す。
僵蚕飲《中薬臨床応用》「白殭蚕3g、天竺黄・杉寄生各3g、半夏5g、菖蒲2.5g、釣藤鈎5g、天南星2.5g、当帰2g」水煎服。◎テンカン。
僵蚕飲《中薬臨床応用》「白僵蚕3g、天竺黄6g、杉寄生6g、半夏5g、菖蒲2.5g、釣藤鈎5g、天南星2.5g、当帰2g」水煎服。◎テンカン。
強神湯《本朝経験》《漢方治療の実際》「紅花1.5、白殭蚕3、棕櫚葉2、甘草1」 強神湯《本朝経験》 「紅花・白殭蚕・棕櫚葉・甘草」◎中風・口眼斜・半身不随・喜欠・流涎する者を治す。◎中風の妙薬とす。《勿誤薬室方函口訣》<1>手足が冷えるとき;「桂枝加朮苓附湯」<2>腹拘攣し、癇癖ある者:「四逆散」◎棕櫚葉善く風を治す、症に随って方中に之を加えて可なり。《雑病翼方》
強中湯《厳氏済生方》《古今方彙》「乾姜(炮)・白朮各1両、青皮・陳皮・人参・附子(炮)・厚朴・甘草各半両、 草果仁・丁香各3両」左を咀し、「水1盞半、生姜5片、大棗2枚」煎じ7分に至り温服す。◎脾胃和せず、食、生冷を啖い、寒漿を過飲すること多くして、腹脹を致し、心下痞満し、飲食に妨げあり、甚だしければ則ち腹痛するを治す。
夾鐘円=「硝石大円」 夾鐘丸(きょうしょうがん)《東洞家塾方》=「消石大圓当帰」「大黄24銭、硝石18銭、人参・甘草各6銭」別々に杵きて散と為し、苦酒2合を以て先ず大黄を内れ、煮て2合をとり、餘薬を内れ、飴状の如くし火を下し、冷して硝石を内れ、石で杵きて之を梧桐子大の膏となし、毎30丸飲服す。《村井》按ずるに今、古方家と称するものは、以て煙硝これ硝石となす。硝石となすものは非なり。此れ硝石は水硝の硝石なり。
◎腹中に結毒あり、或いは心下痞のものを治す。
膠艾湯《金匱要略》「生地黄、白芍薬、当帰、川芎、阿膠、艾葉」 膠艾湯《東醫寶鑑》 「熟地黄・艾葉・当帰・川芎・阿膠珠・甘草(炙)・黄蓍各1銭」1日2回水煎服。◎胎漏を安らげる。
膠艾芎帰湯《医学入門》《東醫寶鑑》 「阿膠珠・艾葉・川芎・当帰各2銭、甘草(炙)1銭」水煎服。◎8~9月以内に胎動下血するのと、流産のあと流血して止まらない者を治す。◎胎動不安、或いは下血するを治す。◎八九箇月にあれば、内に少しく砂仁を加える。《古今方彙》
膠艾四物湯[1-1]《金匱要略》《中薬臨床応用》「阿膠15g(溶解)、艾葉15g、当帰12g、熟地黄15g、白芍薬9g、川芎9g、甘草(炙)3g」水煎服。
◎機能性子宮出血
膠艾四物湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》「阿膠・艾葉・当帰・川芎・甘草各4分、芍薬・熟地黄各8分」水酒で煎じ空心に服す。 ◎労にて気血を傷つけ、月水過多し、或いは放ろう止まざるを治す。◎妊娠して胎気安駆らず、或いは損動に因りて血を漏らし、胎を傷つけたる者に亦宜し。◎原は《金匱要略》に出ず、「芎帰膠湯」
膠艾四物湯[2]《東醫寶鑑》 「熟地黄・当帰・川芎・白芍薬・阿膠珠・黄芩・白朮・縮砂・葉・香附子(炒)、糯米少し」水煎服。◎胎漏の腹痛を治す。
膠艾四物湯加減《中薬臨床応用》「阿膠12g(溶解)、艾葉6g、当帰9g、白芍薬5g、熟地黄12g、桑寄生18g、続断9g、菟絲子12g、白朮12g、黄蓍12g」水煎服。
◎切迫流産 膠密湯《東醫寶鑑》「蓮根大・葱白3茎」を水1盃で葱を煮たあと、葱は捨て明阿膠珠2銭・蜜2 匙を入れ、とかして空腹時に服用。 ◎老人・虚弱者の大便秘渋を治す。
響声破笛丸[1-1]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「連翹・桔梗・甘草各2.5g、大黄・縮砂・川芎・訶子各1.0g、阿仙薬2.0g、薄荷葉4.0g」の割合で卵白を加えて丸薬とし1回2.0~3.0g。
◎唄いや演説で声がつぶれた者。
響声破笛丸[1-2]《東醫寶鑑》 「薄荷4両、連翹・桔梗・甘草各2両半、百薬煎2両、川芎1両半、縮砂・訶子(炒)・大黄(酒炒)各1両」作末し、鶏子清で弾丸大の丸剤。1丸を就寝前に口に入れて、溶かして飲み下す。
◎歌いすぎて、声がもつれたとき。
響声破笛丸[1-3]《漢方治療の実際》「連翹・桔梗・甘草各2.5、大黄・縮砂・川芎・訶子各1、阿仙薬2、薄荷4」 以上を作末し米糊で丸とし、1回2~3を服用。◎私は大黄を除いて、丸としたものを作っている。まことに重宝なもので、感冒でのどの気持の悪い時に飲んでも良い《大塚敬節》★適応症及び病名(五十音順)
[1]声がれ: ☆平素のどが弱くて、すぐ声がかれる傾向のある者《大塚敬節》☆声楽家・政治家の演説などで、声のかれた者に良く効く《大塚敬節》 杏膠飲《東醫寶鑑》「杏仁・明膠各1両、馬兜鈴・半夏(製)・人参・皮草各5銭」を粗末にし、毎回2銭を水1杯、姜3片と煎じて7分になったら就寝時に飲む。◎16種の哮嗽を治す。
杏子湯[1]《易簡方論》 「小青竜湯《傷寒論》麻黄人参・茯苓・杏仁・生姜」
杏子湯[2]《東醫寶鑑》「人参・半夏・赤茯苓・白芍薬・細辛・乾姜・桂皮・杏仁・五味子各1銭、 甘草5分」作1貼し、「姜5片、梅1箇」入れて水煎服。◎風寒を感じ痰が盛んで咳きをする。
杏参散[1]《東醫寶鑑》「杏仁・人参・桑白皮・桃仁各1銭半」を作1貼し、「姜3、棗2」を入れて水煎服。◎咳と喘急を治す。
杏参散[2]《東醫寶鑑》「杏仁・人参・大腹皮・陳皮・檳榔・白朮・訶子・半夏・桂心・紫・桑白皮・紫蘇葉・甘草各7分」作1貼し、姜3片入れ水煎服。◎墜落して驚恐し、喘急して不安な者を治す。
杏参散《医学入門》《古今方彙》「杏仁・人参・陳皮・大腹皮・檳榔子・白朮・訶子・半夏・桂心・紫菀・桑白皮・甘草・紫蘇葉各5分、生姜」煎服。 ◎墜堕(ツイダ、高所より墜ちて打撲すること)により、水を渡るを驚恐し、跌仆(テツフ、つまづき倒れること)し、筋力を疲極し、喘急して安ぜざるを治す。
杏蘇飲《東醫寶鑑》「紫蘇葉2銭、紫菀・甘草各1銭、陳皮・桔梗・麻黄・桑白皮・阿膠珠各7分半、五味子・大腹皮・烏梅肉・杏仁各5分、姜5片」水煎服。◎上気して喘嗽し、浮腫の者を治す。
杏蘇散[1]《医学正伝》《古今方彙》「紫蘇葉7分、五味子・大腹皮・烏梅・杏仁各5分、陳皮・桔梗・麻黄・桑白皮・阿膠各2分半、紫3分半、甘草1分、生姜」水煎。温服。
◎上気喘嗽、面目浮腫する者を治す。 杏蘇散[2]《温病条弁》 「紫蘇葉・法半夏・茯苓・前胡・桔梗・杏仁(去尖打砕)・枳穀・甘草・生姜・大棗(紅棗)・橘皮」
◎頭痛・悪寒し、咳嗽・鼻閉、脈弦、汗なし、口渇なし。◎風熱による燥咳《中薬臨床応用》 杏蘇湯《東醫寶鑑》「杏仁・紫蘇葉・桑白皮・陳皮・半夏・貝母・白朮・五味子各1銭、甘草5分、姜5片」水煎服用。◎風寒に当たって咳をし、痰が盛んな者。
杏 仁五味子湯《浅田家方》 「杏仁・五味子・茯苓・甘草」 ◎此方は茯苓杏仁甘草湯の症にして咳嗽甚だしき者を治す。◎高年及び虚羸の人、厚薬に堪え難き者、此方にて意外に効を奏す。
杏仁煎《東醫寶鑑》 「杏仁泥・白蜜・砂糖屑・生姜汁各1杯、桑白皮・木通・貝母(炒)各1両半、紫・五味子各1両、石菖蒲5銭、」以上の6味を水5升が半升になるまで煮て、滓を捨て、杏・蜜・糖・姜を入れてまた煮て、粘膏にする。 毎回1匙服用。
知母・款冬花を加えてもよい。 ◎咳で失語症。(失音症)
杏仁半夏湯 「杏仁・半夏・桔梗・赤茯苓・防已・桑白皮・白礬各1銭、角・薄荷各5分、甘草1寸」を粗末にし、姜3片を入れ水煎服。◎肺気の不足と喘嗽を治す。
杏酪湯《朝鮮伝》《勿誤薬室方函口訣》 「杏仁、麦門冬、氷糖」◎清俗、客に供するに必ず用いると云う。暑中最も佳なり。今借りて咳嗽を治す。◎此方は本飲料なれども、肺痿、労嗽、その他咳嗽甚だしき者に兼用して宜し。
薑茶湯《東醫寶鑑》「老生姜・春茶葉」等分、煎服。 ◎痢疾・腹痛を治す。 薑黄散《東醫寶鑑》「姜黄3銭、白朮1銭半、羗活・甘草各2分半」水煎服。
◎臂痛に。
姜塩湯《東醫寶鑑》「塩1両・生姜(切)半両」を同時に炒って、色が変わるのを限度にし、童尿2杯を1杯まで煎じて、2回に分けて飲む。◎乾霍乱で死線をさまよう者を治す。◎乾霍乱が最も治しにくくあっという間に死ぬ場合がある。吐かせてその気の横格した症を通じさせるべきで、涼薬はいけない。
「二陳湯川芎・蒼朮・防風・白を使い、兼ねて姜塩湯で吐かせるべきである」 薑蝎散《東醫寶鑑》「全蝎(洗って焙)49個・生姜49片を銀石器で炒る」細末にし、就寝時に、酒で服用。
◎腎虚による耳聾。
薑桂丸《東醫寶鑑》「桂皮2両、天南星(製)・半夏(製)各1両」作末し姜汁浸蒸餅で緑豆大の丸 剤。姜湯で30~50丸飲む。◎寒痰の咳嗽を治す。
姜桂湯《万病回春》《古今方彙》「乾姜・良姜・官桂各7分、藿香・蒼朮・厚朴・陳皮・甘草(炙)・小茴香(酒)・木香・枳殻・砂仁・香附子(炒)各等分、生姜」水煎。
◎初起胃寒痛するを治す。◎寒による腹痛し綿々として増減無く、脈沈遅の者を治す。◎[心痛門]には蒼朮、砂仁、茴香無く、呉茱萸あり。◎痛む甚だしきは:「乳香」◎手足厥冷し脈沈伏するには:「附子良姜」◎痛み止まざるには:「延胡索茴香乳香」◎泄瀉するには:「枳殻」
姜朮湯 「白生姜・生白朮・赤茯苓・半夏(麺)各5銭、桂皮・甘草各2銭半、を切って毎5銭ずつ貼をつくり、生姜3、大棗2」を入れて、煎服。 ◎怔忡に応用する。
附固衛湯《中薬臨床応用》「乾姜6g、熟附子片6g、白朮12g、黄蓍12g、山茱萸15g、竜骨(生)12g、牡蛎(生)12g、茜草根9g、陳棕炭9g」水煎服。◎不正性器出血◎子宮出血◎月経が、長く続き、塊状の黒い出血、脈沈遅。
姜附四物湯《中薬臨床応用》「四物湯乾姜、附子」◎月経が遅れる◎月経色が黒い◎下腹部が痛む 姜附湯《東醫寶鑑》「乾姜(炮)1両、附子(炮)1枚」を作末し、毎回5銭を水煎服。
生の附子を使うと⇒白通湯になる。◎傷寒の陰症と中寒を治す。
姜墨丸《東醫寶鑑》「乾姜(炒)・松煙墨」等分。作末し、錯煮麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で30~50丸、1日3回。 ◎赤白痢・蠱症痢を治す。
姜蜜湯《東醫寶鑑》「生姜7片、蜜半杯、白茅根一握り」水煎服。 ◎小便に血がまじる。
羗活芎藁湯加減《中薬臨床応用》「羗活、藁本、白、防風各3g」水煎服。◎感冒による激しい頭痛。
羗活呉茱萸湯 =「羗呉湯」「黄芩、黄柏、蒼朮、羗活、麻黄、呉茱萸、藁本、升麻、黄蓍、当帰、川芎、蔓荊子、細辛、黄連、半夏、紅花」水煎温服。 ◎厥陰にて頭頂項痛し、或いは痰涎厥冷、脈浮にして緩なるを治す。
羗 活黒附湯《李東垣》 「麻黄・羗活・防風・蒼朮・升麻・甘草・附子 白」
羗活散《東醫寶鑑》「柴胡5銭、麻黄・防風各3銭、羊脛・骨灰各2銭、羗活1銭半、草豆蔲1銭、当帰身6分、蒼朮・升麻各5分、藁本・白・桂枝各3分、細辛少し」作末し、動くところにつけると痛みが止まる。
◎風寒湿が脳を犯して痛み、歯根がゆっくり動く症。 羗活蒼朮湯《東醫寶鑑》「羗活1銭半、蒼朮・柴胡・黄芩・枳実・橘紅・半夏・川芎・甘草各1銭、姜5片」水煎服。◎感冒と嵐瘴で寒・熱瘧になった者を治す。
羗活勝湿湯《李東垣方》《内外傷弁惑論》《東醫寶鑑》「羗活・独活各2銭、藁本・防風・甘草各1銭、川芎・蔓荊子各5分」水煎服。 ◎首がつっぱってまわらない症。
羗活勝湿湯《内外傷弁惑論》《中薬臨床応用》「羗活6g、独活6g、防風6g、藁本6g、川芎3g、蔓荊子5g、甘草(炙)3g」水煎服。 ◎風湿による関節の疾患◎上半身の筋肉痛(シビレと痛み・だるさ)◎腰背正中部の筋肉の冷感とこわばり◎風湿による顔面神経麻痺。
羗活勝湿湯《内外傷弁惑論》《古今方彙》「羗活・独活各1銭、藁本・防風・川芎各5分、蔓荊子3分、甘草5分、生姜」水煎。 ◎脾胃が湿を受け身重く、倦怠し臥するを好み、背痛み項強ばり、項を折るに似て抜くに似る。上に冲りて頭痛し及び足の太陽系が行らざるを治す。
◎若し身重く腰沈沈然たるは経中に寒湿あるなり:「防已(酒洗)5分」 軽き者は:「附子5分」 重き者は:「川烏」
羗活蒼朮湯《明医雑著》《古今方彙》「羗活・蒼朮・柴胡・黄芩・橘紅・半夏・枳実・甘草・川芎各1銭、生姜」水煎し食前温服。 ◎治は当に表を解し、熱を清め、気を降ろし、痰を行らずべし。此方は寒涼の時月及び温暖の時に在ると雖も感冒風寒の者に用いる。
羗活続断湯《東醫寶鑑》「羗活・防風・白・細辛・杜仲・牛膝・秦・続断・熟地黄・当帰・白芍・川芎・人参・赤茯苓・桂心各5分、生姜3片」水煎服。
◎脚気で肝腎骨のケイレン。
羗活退瞖湯《東醫寶鑑》「羗活1銭半、防風1銭、荊芥・薄荷・藁本・各7分、知母(酒)5分、黄柏(酒)4分、川芎・当帰身各3分、麻黄・生地黄(酒)各2分、川椒・細辛各1分」を食後水煎服。
◎新しい瞖膜が出て、陽をさえぎる。
羗活冲和湯(一名九味羗活湯)《東醫寶鑑》「羗活・防風各1銭半、蒼朮・川芎・黄芩・白・生乾地黄1銭2分、細辛・甘草各5分、姜3、棗2、葱白2茎」水煎服。◎ただ頭痛があり、骨節が痛く、発熱・悪寒し、汗がなく脈浮緊。
羗活湯《万病回春》《古今方彙》「羗活・蒼朮・黄芩(酒)・当帰・茯苓・芍薬(炒)・香附子・半夏各1銭半、 陳皮・木香各7分、甘草3分、生姜」煎服。
◎遍身骨節疼痛する者を治す。◎風痛には:「防風」◎湿痛には:「蒼朮」◎熱痰痛には:「黄芩(酒)倍加、白威霊仙」◎下痛むには:「黄柏牛膝」◎痛甚だしきとき;「乳香」◎発熱には:「柴胡」◎小水短少には:「木通」◎手臂痛むには:「薄桂」
羗活湯《医林集要》《古今方彙》「羗活・附子(炮)・秦・肉桂・木香・川芎・当帰・牛膝・桃仁・防風・骨砕補、甘草、生姜」水煎。 ◎白虎歴節風にて毒が骨髄に注ぎ、疼み発すること定まらざるを治す。
羗活湯《活法機要》《古今方彙》「羗活・菊花・麻黄・川芎・石膏・防風・前胡・黄芩・細辛・甘草・白茯苓・蔓荊子・枳殻各5分、薄荷・白芷各2分半」水煎。
◎破傷風、半表半裏に在る者を治す。 羗活導滞湯《東醫寶鑑》「大黄(酒)2銭4分、羗活・独活各1銭2分、防已・当帰尾各7分、枳実5分」水煎服。
◎はじめ脚気を発すると、全身が疼痛し、又肢節が痛んで、便・尿がつまる者に用い、次に当帰招痛湯で除去する。 羗活導滞湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》「羗活・独活各半両、当帰・防已各3銭、枳実1銭、大黄(酒)1両」水煎。◎脚気の初起に一身尽く痛み、或いは脚節腫痛し、◎便溺阻隔(大便が遠くへだたる)するを治す。◎此方を用いて導引したる後に「拈痛湯」を服す。
羗活附子湯《東醫寶鑑》「羗活・附子(炮)・茴香(炒)・乾姜(炮)・木香・丁香各1銭」作1貼し、塩を少し入れて煎服。 ◎寒が脳を犯し、脳痛で歯痛を兼ねる症⇒脳風に効く。◎大病後に、胃中が虚寒し咳逆する者を治す。
羗活附子湯《傷寒活人書》《古今方彙》「羗活・附子(炮)・小茴香(炒)各5銭、木香・乾姜各7銭半」水煎。塩を入れ服す。◎吐利の後に胃寒咳逆するを治す。◎傷寒陰症、内は寒厥し而して逆するを治す。
羗活附子湯《寿世保元》《古今方彙》「麻黄(去節)・附子各3分、羗活・蒼朮各5分、黄蓍1分、防風・甘草・升麻・白殭蚕・黄柏・白芷各3分、仏耳草」水煎。
(仏耳草は寒嗽ある者に用いる、もし無ければ用いず)◎冬月、大寒が脳を犯し、人をして脳から連なりて痛ましむるを治す。名づけて脳風と曰う。害甚だしく速しと為す。此方に非ずば救うこと莫し。
羗活防風湯《東醫寶鑑》「羗活・防風・川芎・白芍・藁本・当帰・甘草各1銭、地楡・細辛各5分」水煎服。 ◎破傷風の初期。 羗活防風湯《活法機要》《古今方彙》「羗活・防風・甘草・川芎・藁本・当帰・白芍薬各1銭、地楡・細辛各5分」水煎。
◎破傷風にて邪が初めて表に在る者を治す。 羗活愈風湯[1]《万病回春》「人参・当帰・黄蓍・白芍薬(酒)・生地黄・枸杞子・柴胡・甘草・秦・肉桂・羗活・防風・細辛・薄荷・菊花・蒼朮・独活・白・地骨皮・蔓荊子・知母・石膏・黄芩・枳殻・杜仲(姜酒炒)・生姜」水煎、温服。◎初めに風動を覚えて此を服して倒仆するに到らず、此れ即ち未病を治するの聖薬なり。
◎中風症にて内邪已に除き、外邪已い尽きるを治す。◎以て諸経を導く、久しく服すれば大風尽く去る。
羗活愈風湯[2]《万病回春》「人参・当帰・黄蓍・白芍薬(酒)・生地黄・枸杞子・柴胡・甘草・秦・肉桂・羗活・防風・細辛・薄荷・菊花・蒼朮・独活・白・地骨皮・蔓荊子・知母・石膏・黄芩・枳殻・杜仲(姜酒炒)・生姜」「熟地黄・半夏・厚朴・前胡・防已・茯苓・川芎」◎腎肝の虚、筋骨弱く、語言蹇渋、精神昏するを療す。
◎この薬は神を安んじ陰陽を調理し、偏勝なからしむ。
羗活癒風湯[3](一名愈風湯)《東醫寶鑑》「蒼朮・石膏・生地黄・各6分、羗活・防風・当帰・蔓荊子・川芎・細辛・黄蓍・枳穀・人参・麻黄・白芷・甘菊・薄荷・枸杞子・柴胡・知母・地骨皮・杜仲・独活・秦・黄芩・白芍・甘草各4分、肉桂2心に二参丹を呑み下し、就寝時に四白丹を嚥下する。
◎肝腎の虚した者・筋骨の弱い者・言語のむずかしい者・精神の昏冒・痩せて偏枯・太って不遂・恐懼で健忘した者。 ◎中風に外邪がすでに出来て内邪が除かれると、この薬を使ってすべての経を行導させ、長服すると大風が除去され、清濁が自ら分けて栄衛は自ら和らぐ。
羗附湯《東醫寶鑑》「羗活・炮附子・白朮・甘草各1銭半、生姜5」水煎服。 ◎風湿で身体が重く痛い、浮腫のある者を治す。
羗麻湯《東醫寶鑑》「羗活・麻黄・甘菊・川芎・石膏・防風・前胡・黄芩・細辛・枳殻・白茯苓・蔓荊子・甘草各7分、白芷・薄荷各5分」作1貼して姜3片入れ水煎服。◎破傷風が半表半裏にあって汗のかかない者を治す。
脇痛一方《済世全書》《古今方彙》「蒼朮、川芎、白芷、赤芍薬、香附子、黄柏、威霊仙、桂枝、甘草、生姜」煎服。 ◎婦人、胸背走痛するを治す。 鞏堤丸《景岳全書》「熟地黄、菟絲子、五味子、益智仁、補骨脂、附子、白朮、茯苓、韭子、山薬」
行気香蘇散《古今医鑑》《古今方彙》「紫蘇葉1銭、陳皮8分、香附子1銭、烏薬・柴胡・蒼朮・川芎・羗活・枳殻各8分、麻黄1銭、甘草3分、生姜」水煎温服。
◎内は生冷に傷付き、厚味堅硬の物を飲食し、肚腹腹満疼痛、外風寒に感じ、湿気頭疼、身熱憎寒、遍身骨節麻木疼痛し、七情悩怒相冲り飲食下らsず心腹気痛するを治す。
◎内飲食に傷るるは:「山楂子神麹」◎《万病回春》の方には柴胡蒼朮無し。◎風寒、外感、飲食内傷、七情悩怒度を過ごし、肚腹の疼痛が起こり始めの者を治す《寿世保元》
行気香蘇散《万病回春》《古今方彙》「香蘇散小茴香、青木香、三稜、莪朮、木通」◎偏墜気(鼠径ヘルニア)にて疼痛し、初発で憎寒壮熱するを治す。
蕘玄湯《原南陽》《勿誤薬室方函口訣》 「連翹1銭、玄参7分、独活3分、木通7分、升麻3分、甘草2分、梔子3分、薫陸2分」◎瘰癧、侠癭、上部の腫毒、発疔、或いは疹後小瘡を発し、寒熱瘵状に似たる者を療す。
◎此方の能く鬱火を瀉し、結気を散じ、滞血を通ず。◎此方は《山脇東洋》の延年玄参湯《外台秘要方》に本づきて組み立つと云う。瘰癧及び上部の腫物にて寒熱状に似たる者に用ゆれば、能く鬱火を散じ、気血を通ずるなり。
◎此方の一等軽き者:逍遥散瘰癧の加減とす。 凝唾湯《備急千金要方》「当帰建中湯人参・前胡・乾地黄」 ◎虚損短気、咽喉凝唾出でず、膠の喉を塞ぐが如きを治す。
凝神飲子《東醫寶鑑》「人参・当帰・白芍薬・白茯神・白茯苓・黄蓍・白朮・半夏(麹)・五味子・熟地黄・蓮肉・麦門冬・桔梗・甘草各7分」を作末し「烏1、紅棗2」を入れ煎服。◎労瘵の寒熱自汗を治す。◎喀血のひどい者を治す。
玉液散《東醫寶鑑》「瓜蔞根・知母・貝母(炒)各1両、人参・甘草各5分」作末し毎回2銭を、先に黄2銭を溶かして米飲で調服する。◎喘嗽と口乾・煩渇を治す。
玉液湯《東醫寶鑑》「半夏(姜製)4銭、生姜10片」を水で煎じ、沈香を少し入れて服用。」 ◎気鬱・生涎・めまい・動悸を治す。 玉華散《東醫寶鑑》「甜蓽撥(炒)・桑白皮(炒)・天門冬・馬兜鈴・半夏・紫菀・杏仁・貝母・百合・人参各1銭、百部根・甘草各5分、姜4、棗2」水煎服。◎咳があって喘促する者を治す。◎肺気を清め、咽と膈を良くする。
玉芝飲子《東醫寶鑑》「炙甘草2両、藿香葉・石膏()・山梔子各1作末し毎回1銭を水で服用。 ◎胸膈の熱で口舌に瘡ができ、のどが痛い症。
玉芝元《東醫寶鑑》「半夏(麹)6両、人参・薄荷・白茯苓・白礬枯・天南星(浸焙)各3両」作末し、姜汁にを入れて煮た糊で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸呑む。◎風熱に痰が激しく、声の重い者を治す。
玉女英[1]《瘍科選粋方》 「滑石粉20g 緑豆粉160g(少し炒る)を混和
玉女英[2]《東醫寶鑑》「滑石・緑豆粉」等分を作末し、脱脂綿につけてたたく。又は黄柏・棗葉各5銭、片脳少しを加えるとさらに良い。 ◎あせもが破れて瘡になり、かゆい者。◎瘡でかゆい者を治す。
玉女煎《張景岳》⇒「石膏熟地煎」 「生石膏25g(打砕先煎)、大熟地黄25g、麦門冬・知母各12g、懐牛膝9g」水煎服。◎歯周炎・歯根炎・口内炎。◎胃熱。
玉燭散《東醫寶鑑》 「当帰・白芍・川芎・熟地黄・大黄・芒硝・甘草各1銭」 ◎月経が凝滞して不通になり、癥になったとき。 ◎下痢している者には不適。
玉真丸《東醫寶鑑》「硫黄2両、石膏()・半夏(製)・硝石各1両」を作末し姜汁糊で梧子大の丸剤。陰干ししたものを毎回20~30丸姜湯or米飲で呑み下す。
◎頭痛に歯痛を兼ねる症で、痛みに耐えかねる者。
玉真散[1]《医宗金鑑》 「天南星・防風・白・天麻・羗活各40g、白附子48g]以上を作末し、毎服20gを童便にて送下する。」◎破傷風 玉真散[2]《普済本事方》《東醫寶鑑》
「防風・天南星」作末し、毎回2銭に温酒・姜汁を加えて調服し、かすは瘡口に貼って、口噤した者は童便で調下する。 ◎破傷風で口を閉じて、体が硬直する症。
玉屑丸《東醫寶鑑》「椿根白皮(乾燥)4両、槐根白皮・苦楝根・寒食麺各3両、威霊仙1両、天南星・半夏各5銭」を作末し、水をたらして梧子大の丸剤。毎回30丸を水1杯で煎じて匙で呑む。
◎腸風・臓毒が長引いている時。 玉鎖丹《東醫寶鑑》「龍骨・蓮花芯・芡仁烏梅肉各等分」作末し山薬糊で小豆大の丸薬。空腹時に米飲で30丸づつ服用◎精気虚骨・遺泄不禁の治療剤。
玉枢丹《医学入門》《東醫寶鑑》「太乙紫金丹雄黄1両、朱砂5銭」◎蠱が有るところに行って、気分が不快なとき1錠飲むと、吐くか下すかするが、再び軽快になる。実に良く効く。
玉枢丹《片玉心書》「雄黄、朱砂、麝香、五倍子、紅芽大戟、山慈姑、千金子霜」
玉枢丹《外科正宗》《中薬臨床応用》⇒「紫金錠」【中成薬】「山慈姑・紅芽大戟・五倍子・麝香・千金子」糯米(もちごめ)で錠剤とし、外用する。 ◎癰・癤・◎耳下腺炎
玉泉丸《沈氏尊生書》「天花粉、葛根、人参、麦門冬、烏梅、甘草、黄蓍」 玉泉丸《東醫寶鑑》「天花粉・乾葛各1両半、麦門冬・人参・白茯苓・黄蓍(半分は生・半分は蜜炒)・烏梅・甘草各1両」作末して蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を温水でかじって呑み下す。◎消渇による口乾を治す。
玉泉散《東醫寶鑑》「天花粉2銭、粉葛・麦門冬・生地黄・五味子・甘草各1銭を剉作1貼し、糯米1合を入れ水煎服。◎消渇を治す特効薬。
玉蟾散《東醫寶鑑》「乾蟾酥(焼灰)3銭、黄連2銭、青黛1銭、麝香1字」を作末し、先に甘草湯で洗った後塗る。◎諸般の疳瘡を治す。 玉池散《東醫寶鑑》「地骨皮・白芷・細辛・防風・升麻・川芎・当帰・槐花・藁本・甘草各1銭、生姜3片、黒豆100粒」水煎。うがいして、冷めたらはき捨てる。
◎風・虫牙痛によるただれ・動揺。又は変じて骨槽風になり膿んで血が出る症。
玉竹門冬湯《温病条弁》⇒「玉竹麦門冬湯」 「玉竹12g・麦門冬12g・沙参8g・甘草4g」 玉粉丸[1]《東醫寶鑑》 「半夏(姜製)5銭、草烏(熟炒)・桂心各2分半を作末して、姜汁に浸した蒸し餅を実大に蜜丸。就寝前に1丸服用。
◎寒痰がつまって声が出ない。
玉粉丸[2]《東醫寶鑑》「三仙丸香附子、橘紅末2両」◎気痰を治す。
玉粉丸[3]《東醫寶鑑》「陳皮2両、天南星・半夏各1両」を作末し姜汁に漬けて搗いて丸め、姜湯で50~70丸呑む。」◎気痰の咳と喘急を治す。
玉粉散《東醫寶鑑》「蛤粉4両7銭半、滑石4両2銭半、寒水石()・栗米粉各1両、定粉5銭、白石脂・竜骨各2銭半」を作末し、患部にしみこませる。◎熱汗で瘡が出来、かゆくて痛いとき。
玉屑丸《東醫寶鑑》「椿根白皮(乾燥)4両、槐根白皮・苦練根・寒食麺各3両、威霊仙1両、天南星・半夏各5銭」作末し、水をたらして梧子大の丸剤。毎回30丸を水1杯で煎じて匙で飲み込む。◎腸風・臓毒の長引く者。
玉屑散《咽喉脈証通論方》 「薄荷120g、硼砂14g、雄黄12g、阿仙薬4g、冰片1.2g」以上を微細末にする。
玉壷丸《東醫寶鑑》「白麺3両、半夏(生)・天南星(生)・天麻・白朮各5銭、雄黄(水飛)3銭半」を作末し、姜汁で梧子大の丸剤。毎回30丸を1杯煎じたところへ入れて、5~7回煎じたあと、薬が浮くのを待ってすくって、別に生姜湯をつくって食後に服用。
◎痰厥頭痛のめまいを治す。
玉屏風散[1]《世医得効方》 「黄蓍2.5・防風1.2・白朮1.2」 ◎自汗を治す。
玉屏風散[2]《東醫寶鑑》「白朮2銭半、防風・黄蓍1銭2分」水煎服。◎自汗を治す。
玉容膏《東醫寶鑑》「明礬1両、硫黄(生)・白附子各2銭」を作末し、就寝時につばでこねて患部に塗り、あくる朝洗う。 ◎顔面の燥瘡・斑痕・ほくろ・諸刺を治す。
玉容散《東醫寶鑑》 「皀角1片、升麻2両6銭半、楮実子1両6銭半、白芷・白芨・天花粉・緑豆粉各3銭3分半、甘松・縮砂・白丁香各1銭6分半、糯米3合半」作末して顔を洗う。◎面上の・小瘡・痤疿・粉刺を治す。◎皮膚のかゆい者を治す。
玉容西施散《東醫寶鑑》「緑豆粉2両、白芷・白芨・白厥・白殭蚕・白附子・天花粉各1両、甘松・三乃子・茅香各5銭、零陵香・防風・藁本各2銭、皀角(肥)2銭」細末にし顔を洗う。◎顔面の難病に。
玉露丸 「白竜骨を9回蒸し、9回さらしたもの3両・兎絲子(酒製)3両・韭子(瓦で炒)3両」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に10丸服用。
玉露散[1]《東醫寶鑑》 「寒水石・滑石・石膏・天花粉各1両、甘草5銭」作末し、毎回3銭を井水で調下する。 ◎暑渇を治す。
玉露散[2]《東醫寶鑑》「石膏・寒水石各5銭」細末にし、半銭or1銭を温水or水で飲む。◎夏に吐瀉し、熱があって煩渇する者を治す。
玉鑰啓栄丸《東醫寶鑑》「香附子(搗去皮毛・3日漬炒乾末)15両、当帰2両、白芍薬・川芎・赤石脂・藁本・人参・牡丹皮・白茯苓・白薇・桂心・白・白朮・延胡索・没薬各1両」を赤石脂と没薬だけを抜いて切り、3日間酒に漬けて焙って乾燥し作末して15両にする。別に細かくした赤石脂・没薬末を入れ、煉蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を早朝の空腹時に、茶湯or薄荷湯で口をゆすぎ、温酒or白湯で呑み下す。◎子を産めない婦人のための薬。
玉鑰匙《証治準縄》《中薬臨床応用》「硼砂1.5g、芒硝15g、製白殭蚕1.5、竜脳1.5g、朱砂1.8g」細末にし喉に吹き付ける。(外用) ◎急性扁桃炎◎咽頭炎◎鵞口瘡◎膣カンジダ◎急性結膜炎
去加柴胡湯《勿誤薬室方函口訣》 「柴胡去半夏加括呂湯荊芥・防風・連翹」を去加柴胡湯と名付け、症に随って増損する。《幼々家則》◎肝経鬱熱を主とし、一切の餘毒遺毒にして熱ある者を治す
「柴胡去半夏加括呂湯連翹・木通」◎実熱ある者: 「柴胡去半夏加括呂湯大黄・芒硝」◎水気有る者: 「柴胡去半夏加括呂湯赤小豆・車前子」◎痒湿ある者:
「柴胡去半夏加括呂湯荊芥」◎膿ある者: 「柴胡去半夏加括呂湯連翹倍加」◎眼に赤翳ある者: 「柴胡去半夏加括呂湯菊花・決明子・(羚羊角)」
去黒靨子方《東醫寶鑑》「石灰を水1杯で調合して粥のようにする。餅米を、半分は石灰になかにつけ、半分は石灰の外に1挽置くと、米が水精のようになる。これを塗布する。2~3日で治る。」
◎黒痣・えくぼ。 靨⇒エンとよみ、えくぼのこと。
去三尸虫元[1]《東醫寶鑑》 「生地黄3斗を東に向かった厨房で3回、枯れ木で煎じる。それに清漆2升を入れてまぜ、日影が1尺ぐらい指すとき黄丹3両を入れ、1尺のびたら爪子3升を入れ、又1尺のびたら大黄末3両を入れ、その次からは弱火で煮て梧子大の丸剤。空腹時に1丸服用。 3日目に濁血が鼻から流れ、20日目には虫が全部下って、50日目には100病が治る
◎三尸虫に。尸⇒シと読み、しかばねのこと。
去三尸虫元[2]《東醫寶鑑》 「生漆2升、蕪菁子3升、大黄6升」作末し、酒1升を合わせて煎じ梧子大の丸剤。空腹時に2丸服用。10日目に濁った血が鼻からでる、30日目には虫は全部死ぬ、50日目には身体につやが出る。
去涎方《東醫寶鑑》「猪牙皀角5銭、胆礬1銭半、青黛5分、」を作末し、錯糊で桜桃大の丸剤。毎回1丸を絹でくるんで箸につけ、喉中の瘡につける。 ◎喉痺を治す。
去風丹(一名浮萍丸)《東醫寶鑑》「紫背浮萍を7月上旬に採取し、竹篩いで漉して酒で乾燥し、作末して弾子大の蜜丸。毎回1丸を豆淋酒で服用。」 ◎諸風・風・大風・破傷風。
去鈴丸《東醫寶鑑》「茴香1斤を、生姜1斤から取った汁に浸して1夜おき、姜汁が茴香に染み込んだら、青塩2両を入れて同時に炒り、色が赤くなったら取り出して焙って乾かし、作末し酒糊で梧子大の丸剤。毎回30~50丸温酒で服用。◎小腸の疝気を治す。
去骨湯《中薬臨床応用》「威霊仙30g、酢30g、砂糖6g」大カップ2杯の水で威霊仙を煎じ、数沸させてから残渣を去り、酢と砂糖を加えて沸騰させて冷ます。口に含
み20分以内に少しずつ飲み下す。◎魚骨が刺さったとき 袪風敗毒散《漢方治療の実際》「枳実・芍薬・前胡・柴胡・荊芥・薄荷・牛蒡子・朮各2、独活・白殭蚕・連翹・川芎・羗活各2.5、蝉退・甘草各1」
袪痰丸[1](一名軟石膏丸)《東醫寶鑑》「便香附1両、軟石膏7銭、半夏(製)・南星(炮)・梔子(炒)各5銭」作末し姜汁に漬け、餅で梧子大の丸剤。姜湯で50丸飲む。
◎胃に痰火があってゲップが出る。
袪痰丸[2]《東醫寶鑑》「人参・木香・天麻・陳皮・赤茯苓・青皮・白朮各1両、皀角9銭、槐角子・半夏各7銭半」作末し姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で60~70丸飲む。◎風喘・喘嗽を治す。
袪毒湯《万病回春》《古今方彙》「貝母、白殭蚕、穿山甲(土炒)、大黄(生・熟)」水煎し熱し好酒1銭を入れ 調服。◎一切の無名の腫毒疼痛するを治す。初起に用いれば神効あり。
袪毒養栄湯《寿世保元》《古今方彙》「当帰・生地黄・黄芩・知母・連翹・荊芥・黄蓍・甘草節各1銭、芍薬・槐花・括楼根・皀角刺・皀角子各2銭、黄連(酒)1銭半、升麻・黄柏(酒)各5分、人参7分」水煎空心に服す。
◎痔瘡を治す。 袪風至宝丹《東醫寶鑑》「滑石1両半、川芎・当帰各1両2銭半、甘草1両、防風・白芍各7銭半、白朮6銭半、石膏・黄芩・桔梗・熟地黄・天麻・人参・羗活・各5銭、山梔子3銭、連翹・荊芥・薄荷・芒硝・黄連・麻黄・大黄・黄柏・細辛・全蝎各2銭半」を作末し蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を細嚼して茶又は酒で任意に服用。(防風通聖散の加味方。)
◎風が臓に入って、昏冒と風熱を兼ねた症。
袪風除湿湯 「白朮1銭2分、白茯苓・当帰(酒洗)・陳皮・赤芍薬・半夏・蒼朮・烏薬・枳穀・黄連・黄芩(酒炒)・羗活各1銭、人参・川芎・桔梗・防風各8分、白7分、炙甘草5分を作2貼し、生姜5片入れ煎服。」
◎右半身の不随に。
袪風清上散《統旨方》 「酒黄芩8g、羗活・防風・柴胡梢・白各4g、川芎5g、荊芥3.2g、甘草2g」
袪風導痰湯《厳氏済生方》「天南星・半夏・茯苓・黄連(姜)・黄芩・白朮・枳実・楼仁各1銭、陳皮 ・桔梗・防風・白附子各7分、人参5分、甘草2分、生姜、大棗」水煎し「竹瀝・姜汁」を加え同じく服す。
◎傷寒に類し、憎寒壮熱する者を治す。◎内傷により、七情痰を致すを以て心竅に迷い、、舎を守らず、舎空なれば則ち痰自ら生するなり。★適応症及び病名[1]
上気喘急 [2]頭目昏沈 [3]痰火[4]痰気迷悶・ [5]中気[6]中風
袪風敗毒散《寿世保元》《古今方彙》「枳殻・赤芍薬・前胡・柴胡各5分、荊芥・薄荷・牛蒡子・蒼朮各6分、独活・白殭蚕・連翹各7分、川芎・羗活各8分、蝉退・甘草各3分、生姜」水煎。◎風瘡(猩紅熱)、疥癬、疹(あかほろせ)、紫白癜風(なまず)、赤遊風(丹毒)、血風(皮膚に紅斑或いは血泡を生じる病)、瘡、丹瘤及び破傷風を治す。◎種々の皮膚疾患に用いてよいことが分かる《大塚敬節》◎上部に在る者:「桔梗」◎下部に在る者:「牛膝木瓜」◎湿熱が患となりて下に在る者:「蝉退白殭蚕」★適応症及び病名[1]湿疹:☆私の妻が、半年ほど前から、顔・頸部などにカユミを訴えるようになった。ちょっと診た位ではよく分からないが、指頭でなでてみると、ザラザラした感じで、乾燥気味である。赤味はない。十味敗毒湯を5、6日飲んだが効がないので、黄連阿膠湯を飲んだがこれも効無く、当帰飲子にしたが、これは胃が悪くなって、気持が悪いと云う。地黄の入ったのはイヤだと本人がいう。麻黄の入ったものもこの人にはよくない。すぐ胃にさわる。だから葛根湯や桂麻各半湯を用いることが出来ない。いろいろ考えて、《古今方彙》の瘡門からこの方を探し出した。
3週間ほど続けたらいつしか治ってしまった。《大塚敬節》☆地黄も麻黄も用いることが出来ず、黄連、黄芩、梔子なども効無く、困った時には、用いてみるのもよい。《大塚敬節》[2]全身性エリテマトーデス(SLE)[3]皮膚炎
袪風辟毒湯《寿世保元》《古今方彙》「黄連・黄芩・赤芍薬・枳殻・黄柏・槐花各1銭、連翹・大黄・苦参各1銭半」水煎。 ◎痔瘡の腫痛が初めに起こりしを治す。
行湿補気養血湯《万病回春》《勿誤薬室方函口訣》「人参・蒼朮・茯苓・当帰・芍薬・川芎各1銭、木通・厚朴・大腹皮・蘿葡 子・海金砂各8分、木香3分、橘皮8分、甘草3分、蘇葉8分」◎気血虚弱し、腹鼓腸し浮腫するを治す。◎此方は鼓腸の末症に用いるなり。
行湿流気飲《東醫寶鑑》「薏苡仁2両、白茯苓1両半、蒼朮・羗活・防風・川烏(炮)各1両」を作末し毎回2銭を温酒or葱白湯で調下する。◎風・寒湿痺で麻木不仁し、手足が煩軟した者を治す。
禦寒膏《東醫寶鑑》 「生姜半斤の汁を絞って、明膠3両、没薬1銭半を加えて銅杓内に入れて煎じ、これを又重湯にして、柳の枝でかき混ぜて膏になったら、また川椒末を少し入れて、又かき混ぜる。そして皮紙に薬をのして患部に貼る。
◎衰弱すると背の悪寒で、夏ですら着物を脱ぎたくない。◎婦人の風冷で手足が冷える・腰痛。
禦塞湯《東醫寶鑑》「黄蓍1銭、蒼朮7分、陳皮・人参・升麻各5分、防風・白・仏耳草・款冬花・甘草各3分、黄連・黄柏・羗活各2分」水煎服。 ◎鼻づまり。
禦塞湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》「黄連・黄柏・羗活各2分、黄蓍1分、人参5分、甘草・款冬花・仏耳草(母子草)・白・防風各3分、陳皮、升麻各5分、蒼朮7分」水煎熱服。
◎寒に皮毛が傷き鼻塞がり、咳嗽上気喘急するを治す。
禦風膏 「葉を蒸して1日3回貼り替える。」◎脚気の腫痛に。 禦風丹《東醫寶鑑》「麻黄・防風・白各1両半、乾生姜・甘草各7銭半、川芎・白芍・細辛・桔梗・白彊蚕・羗活・天南星各5銭」を作末し、蜜で弾子大に丸め、朱砂2銭半で衣をし、毎回1丸を熱酒で服用。
◎中風の口眼斜・半身不随・神昏・語渋を治す。 局方安腎元《東醫寶鑑》「桃仁・白蒺藜・巴戟・肉蓯蓉・山薬・破故紙・白茯苓・石斛・萆薢・白朮各2両4銭、川烏(炮)・肉桂各1両3銭」を作末し、梧子大の丸剤。空腹時に50~70丸呑み下す。
◎腎虚腰痛で下元が冷え、小便が少ないとき。
局方密蒙花散《東醫寶鑑》「密蒙花・白蒺藜(炒)・羗活・木賊・石決明」等分。作末し、茶清で毎回1銭服用。 ◎風眼で目が暗く・赤く腫れる者。 驚気丸《東醫寶鑑》
「紫蘇子1両、附子・木香・白彊蚕(炒)・白花蛇・橘紅・天麻・天南星各5銭、全蠍2銭半、竜脳・麝香各5分、朱砂の水を切ったもの2銭半」作末し、竜眼大に蜜で丸め、朱砂で衣をつけ、毎回1丸を薄荷湯または温酒で服用。附子を抜いて、鉄粉を加えても良い。
◎驚愕で失心し、癲癇が発生し、泡をふきながら昏倒し、醒めても清神が朦朧としている。 牛乳粥《東醫寶鑑》 「牛乳1升に米を入れて、粥をつくって飲む。」
老人の食養生。
牛乳湯《東醫寶鑑》「蓽撥2銭を牛乳半升で、半量まで煎じる。」空腹時に服用。 ◎気痢を治す。
吉良附湯《華岡青州》「遺糧、人参、附子、桔梗、桂枝、乾姜、当帰、黄蓍、甘草」◎黴毒、一切の痼疾、身体羸痩、虚弱し、峻剤を与えるべからざる者を治す。◎此方は、黴毒の壊症になり、陰分に陥り、虚羸如何ともすべからざる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
◎諸瘡、虚候を具へ、臭穢近づくべからざる者に与えてまま効あり。
晞露丸《東醫寶鑑》「三稜(酒浸)・莪朮(酒浸)各1両、巴豆30粒を去皮炒黄し巴豆を捨て・乾漆(炒煙)川烏(炮)各5銭、砂4銭」を別途に細く切って茴香(塩炒)・青皮(去白)・雄黄(別研)各3銭、穿山甲(炮)2銭、麝香5分、軽粉(別研)1 銭を作末し、姜汁麺糊で梧子大の丸剤。温酒or姜湯で20~30丸飲む。◎腸覃病で悪血が癥になって痛む者を治す。
けん磠散(一名二妙散)《東醫寶鑑》「6・7月頃に、牛馬の糞中にいるをつかまえて、ひもで結んで陰干しにして貯蔵する。使うときに取り出して、きれいな瓦の上に置いて四面に火灰を置いて乾かした後、刀で切って、大便の不通には上半截を、小便の不通には下半截を、大小便ともに不通のときは全角を細末にして服用。」
◎大小便の不通を治す。
金液丹《東醫寶鑑》「硫黄10両を細研して濾し、器に入れて赤石脂で蓋を堅く封をし、塩泥で固く封をして、穴を掘って薪を敷いてその上に置き、弱火で7日7晩煮る。器の上に炭1斤をかぶせて焼いたあと、冷まして取り出し、細末して、1両に蒸し餅1両を水に漬けたあと、梧子大の丸剤。30~100丸を空腹時に調下する。」
◎久寒と痼冷。吐痢が長くつづいて、身体が冷え、脈微の者。
金桜艾葉湯《中薬臨床応用》「金桜根30g、艾葉(炒)30g、鶏血藤30g、益母草60g」水煎服。豚肉or鶏卵と一緒に煎じるほうがより有効。◎月経過多。
金匱腎気丸《古今方彙》「熟地黄4両、白茯苓3両、牛膝・肉桂・沢瀉・車前子・山薬・牡丹皮・山茱萸(酒蒸)各1両、附子5銭、生姜、大棗」水煎。 原は丸となし之を用いる。煎剤となして数々効あり。◎脾と腎が虚して腰痛し、脚腫れ、小便不利し、或いは肚腹脹痛し、四肢浮腫し、或いは喘急痰盛已に蠱症となるを治す。
金匱当帰散《東醫寶鑑》「黄芩・白朮・当帰・白芍薬・川芎」各1両を作末し、毎回3銭を温酒で調下し、or酒糊で丸め、米飲で50~70丸飲む。◎妊婦が常服すると養血・清熱する。◎流産の習慣を治す。
金黄湯 「欝金・瞿麦・生地黄・車前子・滑石・芒硝」各5銭。粗末にし、空腹時に、毎回5銭を水煎服。 ◎小便に出血があり、尿道が痛む者。
金花丸(一名安脾丸)《東醫寶鑑》「半夏(製)1両、檳榔2銭、雄黄(水飛)1銭半」作末し、姜汁に漬けて蒸して餅にし、梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸呑む。◎悪心・吐き気。
金鎖固精丸《医方集解》 「沙苑・蒺藜・芡実・蓮鬚・竜骨・牡蛎・蓮肉」 ◎精液が漏れてやまない。
金鎖固精丸《医方集解》《中薬臨床応用》「蓮鬚9g、潼蒺藜9g、芡実12g、竜骨24g、牡蛎15g、蓮子9g」丸薬にし、1回5~9gを服用。 ◎遺精◎白色帯下◎頻尿
金鎖思仙丹 「蓮花芯・蓮子・芡実」等分。作末し金桜子のついた湯膏で梧子大に丸め、空腹時に塩湯で、1回に30丸服用。 金鎖匙《東醫寶鑑》「朱砂3分3厘、柏古礬各1分6厘、硼砂1分2厘、熊胆・焔硝・片脳・麝香各1分」を作末し、半銭を喉中に入れる。」
◎急喉閉と纒喉風を治す。
金鎖匙散 「焔硝60g 梅片1g。以上を細末にする」 金茱丸《医宗金鑑》「呉茱萸、苦楝子」 金珠緑雲油《東醫寶鑑》 「蔓荊子・没石子・躑躅(ツツジ)花・訶子皮・白・沈香・附子・防風・覆盆子・生地黄・零陵香・芒硝・旱蓮草・丁香各1銭半、巻柏3銭を作して絹袋に入れ、清油8両に漬けて固く封をし、7日すぎたら頭にぬる。」
◎髪がはえる。 金水六君煎《景岳全書》《中薬臨床応用》⇒「熟地二陳湯」「当帰9g、熟地黄12g、陳皮5g、半夏6g、茯苓9g、甘草(炙)3g」水煎服。◎肺腎陰虚◎痰が多い◎咳嗽◎息苦しい
金傷散《東醫寶鑑》「5月5日の早朝、4人がそれぞれ東西南北の4方に出ていって草の茎・葉をそれぞれ半かかえぐらい採って、正午になったら石灰1斤と共にいぶして、桑に木2~3株に穴を開け其の中に積み重ねた後、桑木皮をかぶせ油に石灰を混ぜて堅く塗って薬の気が抜けないようにし、その上に桑木皮を、9月9日正午に取り出して100日の間陰乾して細末にする。もし傷を負ったら塗る。」◎一切の金瘡を治す。
金消丸《東醫寶鑑》「黄柏・荊芥・射干・黄芩」各等分を作末し、桜桃大も蜜丸。毎回1丸を口に含んで溶かす。 ◎咽喉の腫れる症。
金生虎骨散《東醫寶鑑》
「当帰1両半、赤芍・続断・白朮・藁本・虎骨各1両、烏蛇肉5銭」を作末し、毎回2銭を温酒で食後調服する。骨髄が疼痛すれば、生地黄1両を加える。◎半身不随で肌肉の乾痩する者(⇒偏枯)に。
金髄煎 「赤く熟した枸杞子を、酒に二ヶ月漬けたものを、つぶして 布で絞る。絞り汁を煮詰めて膏にし、毎日2回、2匙ずつ 温酒にまぜて服用。長服すると良い。
金聖湯《方読便覧》「黄連解毒湯石膏・甘草」 ◎疽並びに手指一切の腫瘍、金瘡、損傷を治す。
金棗散《中国民間験方》 「黒棗20粒 白信8g 人中白2g 梅片2g。 黒棗は核を去り、白信を入れ、炭火の上に置いて、 焼いて炭にし、極細末に磨り、さらに人中白・梅片
を加え、細かくまんべんなく混ぜ合わせて、瓶に貯蔵する。」
金疝飲《東醫寶鑑》「黄連(呉茱萸の煎湯に漬炒)2銭、人参・白朮各1銭、白芍薬・陳皮各7分、甘草3分、姜3」煎服。◎気疝を治す。
金蟾散《東醫寶鑑》「蝦蟆(大)の口中に縮砂を入れ、泥缶に堅く封をし、炙って煙りになったら冷まし、泥は捨て細末にし酒or陳皮湯で調下する。◎気脹を治す。
金箔丸《東醫寶鑑》 「晩蚕蛾(炒)・破故紙(炒)・韭子(炒)・牛膝(酒浸)・竜骨・山茱萸・桑蛸(炙)・兎絲子(酒浸)各1両」作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に温酒で30丸服用。
◎白淫・夢泄。
金箔鎮心丸[1]《東醫寶鑑》「全蝎(薄荷葉でくるんで弱火で焼く)7個、天麻・防風・羗活・牛黄・赤茯苓・犀角・朱砂・麝香・甘草各1銭」作末し蜜で子大に丸め、金箔で衣をし、毎回1~2丸を薄荷湯で飲む。◎驚風を治し、心を鎮める。
金箔鎮心丸[2]《東醫寶鑑》「牛胆製南星1両、朱砂(水飛)・琥珀・天竺黄各5銭、牛黄・雄黄・真珠各2銭、麝香半銭」作末し蜜で丸め、金箔で衣をして30丸作り、毎1丸づつ薄荷湯で服用。◎癲癇・驚悸・怔忡と一切の痰火を治す。
金刃独聖丹《瘍科綱要》 「竜眼核40g(炒る)冰片8gを極細末にし、まぜあわせ密閉保存。瘡口に塗布する。」
金不換散《東醫寶鑑》「罌栗殻(蜜炒)5銭、枳殻4銭、杏仁・甘草各3銭、姜3、梅1」煎服。◎喘嗽の長引く者。
金沸草散[1-1]《和剤局方》 「荊芥、麻黄、前胡、炙甘草、赤芍、半夏、旋覆花」
金沸草散[1-2]《和剤局方》《中薬臨床応用》「金沸草9g、麻黄1.5g、前胡6g、桔梗3g、赤芍薬3g、法半夏4.5g、薄荷4.5g(後下)、甘草3g」水煎服。◎上気道炎で咳嗽。
金沸草散[2-1]《傷寒活人書》《古今方彙》「前胡・金沸草(旋覆花のこと)・赤芍薬各2銭半、甘草3分、半夏7分半、荊芥2銭、赤茯苓1銭」水煎温服。
◎風に因り咳嗽し痰を生じる者。
金沸草散[2-2]《東醫寶鑑》「荊芥穂2銭、旋覆花・前胡各1銭半、麻黄・赤茯苓各1銭、半夏7分半、細辛・甘草各3分」剉作し、「姜3、棗2、梅1」入れて煎服。◎肺が風寒を感じ、咳をし声が重く、痰涎が黄色で壅盛な者。
金蓮丸《東醫寶鑑》「石蓮肉・白茯苓・竜骨・天門冬・麦門冬・柏子仁・当帰・酸棗仁・紫石英・遠志・乳香・竜歯各1両」を作末し、蜜で梧子大に丸め、朱砂で衣をし、空腹時に、温酒又は棗湯で70丸服用。
◎思慮傷心で、小便が赤く濁る者。 金鈴散《東醫寶鑑》「川楝子(大)30枚を肉を取って切り、巴豆肉30粒を同じく切って炒り、巴豆は捨て、茴香(炒)と等分にして、木香2銭半を入れて作末し、毎回2銭を水・酒各半分にまぜ、葱白の煎湯で、空腹時に調下する。」
◎膀胱・小腸気の腫痛を治す。
金鈴子丸[1](一名玄金散)《東醫寶鑑》 「金鈴子・延胡索各1両」を作末し、毎回2銭を酒で調服し、枳朮丸を連用する。◎熱厥心痛を治す。
金鈴子丸[2]《東醫寶鑑》 「川楝子肉5両を切って5貼にし、1貼は斑花10箇と炒って猫は捨て、貼は茴香3銭・塩半銭と炒って塩だけ捨て、又1貼は黒丑3銭と炒って黒丑を捨て、1貼は破故紙3銭と炒り、残りの1貼は蘿葡子1銭と炒って蘿葡子を捨てる。以上を作末し、梧子大の丸剤。温酒で30~50丸服用。」
◎疝気で、陰卵の一辺が腫大で偏墜して、つっぱって痛いとき。
金鈴子散(一名玄金散)《東醫寶鑑》「金鈴子・延胡索各1両」作末し毎回2銭を酒で服用。◎熱厥心痛を治す。 金鈴子散《保命集》「川楝子、延胡索」
金鈴子散《聖恵方》《中薬臨床応用》「川楝子60g、延胡索60g」作末し1回6gを湯で服用。◎慢性肝炎◎肝気欝結による腹痛、脇痛 金露元《東醫寶鑑》「草烏(炮)・黄連各1両、生乾地黄・貝母・巴豆霜・桔梗・柴胡・紫菀・呉茱萸・菖蒲・乾姜・白茯苓・桂心・川芎・人参・甘草・防風・厚朴・枳殻・鼈甲・川椒・甘遂各5銭」作末し麺糊で梧子大の丸剤。姜湯で3~5丸飲む。◎腹内の一切の積聚と癥塊で痛む者を治す。
匀気丸《東醫寶鑑》「益智仁・大腹子・白檀香各1両、草豆蔲・橘皮・沈香・人参各5銭」作末し梧子大の丸剤。淡姜湯で70~80丸飲む。◎気が虚し、濁ったものがこみ上がり、ゲップの多い者を治す。
匀気散[1-1]《古今方彙》「白朮4銭、烏薬3銭、天麻・人参各1銭、沈香・白芷・青皮・甘草・紫蘇葉・木瓜各5分、生姜、大棗」水煎。◎腰腿疼み、手足屈伸する能わず、半身不遂、口眼斜、風気、中風、中気を治す。
【加減方】心脾痛む者:茯苓・半夏・陳皮・木香・羗活。
匀気散[1-2](一名順風匀気散)《東醫寶鑑》「白朮2銭、烏薬1銭半、人参・天麻各1銭、沈香・青皮・白・木瓜・紫蘇葉・甘草各5分、姜2片」水煎服。◎すべての中風・気虚不随に。
匀気散[2]《証治準縄》「山楂炭、青皮、木香」◎夏に冷物を摂りすぎ、腹痛下痢。
均気八仙散《寿世保元》《古今方彙》「麻黄2銭、杏仁・桔梗・片黄芩各3銭、知母2銭、貝母1銭、石膏3銭、甘草1銭」水煎温服。 ◎哮喘にて気急而して息するを得ざる者は宜しく用いるべし。
近効方朮附湯《漢方治療の実際》=「白朮附子湯」《金匱要略》「桂枝附子湯桂枝朮3」 「附子・朮・生姜・大棗・甘草」 近製清暑益気湯《医学六要》《古今方彙》「人参、白朮、麦門冬、五味子、陳皮、甘草(炙)、黄柏(炒)、黄蓍(蜜炙)、当帰」煎服。人によって加減す。生姜、大棗。
◎中暑。
化丸《類証方》「玉露霜、柿霜、貝母、百合、茯苓、海石、秋石、甘草、薄荷」 化先方《東醫寶鑑》「甜梨汁・生蘿葡汁・生姜汁・白砂糖・款冬花・桔梗・紫菀各2両、五味子1両」共に煎じて滓は捨て、膏を作った後、人参末1両を入れ梧子大の丸剤。就寝時に1丸噛み下す。◎痰が多く、咳嗽し膿血を吐く者を治す。
銀花解毒湯《瘍科心得集》《中薬臨床応用》「金銀花30g、紫花地丁30g、赤茯苓9g、連翹9g、牡丹皮6g、黄連5g、夏枯草9g」水煎服。◎化膿性皮膚疾患
銀翹散《温病条弁》「連翹、金銀花、桔梗、荊芥、薄荷、淡竹葉、甘草、淡豆豉、牛蒡子、蘆根」 銀翹散《温病条弁》《中薬臨床応用》「金銀花12g、連翹9g、荊芥9g、淡豆豉9g、牛蒡子9g、桔梗6g、薄荷3g(後下)、淡竹葉9g、芦根18g、甘草3g」水煎服。◎感冒◎感染性疾患の初期◎発熱、頭痛、咽喉痛
銀川紅片《中薬臨床応用》⇒「銀川紅舒血片」「銀杏葉9g、川芎15g、紅花15g」糖衣錠とし、3分服。◎冠不全◎狭心痛 銀白散《東醫寶鑑》「蓮肉・白扁豆・白茯苓各2銭、白附子(炮)・人参・天麻・全蝎(炒)・木香・藿香・甘草(炒)各1銭、陳米(炒)3銭」作末し、毎回2銭に姜2片、冬瓜仁7粒を入れ水煎服。◎慢驚風を治す。
銀花解毒湯《瘍科心得集》「金銀花、紫花地丁、赤茯苓、連翹、牡丹皮、黄連、夏枯草」 銀甲散《成都中医学院婦科経験方》「金鈴子、香附子、烏薬、当帰、川芎、赤芍薬、琥珀、甲珠、鼈甲、夏枯草、絲瓜絡、紫花地丁、蒲公英、連翹、銀花、紅藤」
#空倉痘方《勿誤薬室方函口訣》「川芎、黄蓍、白芷、牛蒡子、桂枝、当帰、鹿茸、地黄、白朮、穿山甲」 ◎此方は大保元湯、参蓍鹿茸湯よりはその力一等強くして、痘瘡、気血不足、灌膿する能はざる者を治す。
◎毒壅を兼ねる者:「透膿散反鼻」
#空青元《東醫寶鑑》「防風・生乾地黄・知母各2両、車前子・石決明・細辛各1両、空青2銭」を作末し、蜜で梧子大の丸剤。空腹時に10丸茶清で服用。◎白点が目の黒水下にある者。
#苦酒湯《傷寒論》「半夏(先破如棗核)14枚、癀子(去黄内上苦酒着癀子殻中)1枚」右2味、内半夏、著苦酒中、以癀子殻置刀環中、安火上、令三沸、去沸。少少含燕之。不差、更作三剤。◎少陰病、咽中傷、生瘡、不能語言、聲不出者、苦酒湯主之。◎咽中瘡を生じ、音唖する者を治す《吉益東洞》◎此方は、纒喉風、飲食薬汁下ること能わず、語言出でざる者に用いて奇効あり。 《勿誤薬室方函口訣》◎《喜多村栲窓》は傷生瘡、金瘡に鶏卵を用いるの意にて、凡て咽中に創を生ずる者に用いて効ありと云う。◎急喉痺、秘塞して飲下する能わざる者《先哲医話》◎平素咽腫を患う者。
#苦杖散《東醫寶鑑》「虎杖根1両」水5杯を1杯まで煎じ、滓を捨て、麝香・乳香を少し入れて 服用。 ◎沙淋・石淋・排尿痛。
#苦参散《東醫寶鑑》「葶藶子(炒)5銭、苦参・黄連・瓜蒂・黄柏・大黄各2銭半」作末し毎回1銭を米飲で調服する。◎急に寒気がして、皮膚にポツポツが出来、小便が赤渋し、大便が固まり、いろんな薬方を使っても治らない黄病。
#苦参湯《漢方治療の実際》「苦参6」水500‹に入れて、煮て300‹とし、滓を去り、洗滌剤または湿布薬として用いる。 #苦参湯《備急千金要方》
「三物黄芩湯乾地黄生地黄」◎天行熱病むこと五六日以上を療す。《勿誤薬室方函口訣》
#苦練丸《東醫寶鑑》 「苦楝子(酒浸)・茴香(炒)・当帰」各等分。酒糊で梧子大の丸剤。30~50丸、空腹時。 ◎熱が大腸・小腸に入って、赤と白の帯下になる者。
#苦練湯《東醫寶鑑》「苦楝根皮一握り(切焙)、麝香少々」水2杯で1杯まで煎じ、空腹時に飲む。◎虫渇=虫が臓腑にあって津液を消耗し消渇になった者を治す。
#枸杞湯《医学入門》《古今方彙》
(くことう)「枸杞子・肉蓯蓉・茯苓各1銭、五味子7分、人参・黄蓍・山梔子・熟地黄・山茱萸肉・甘草各5分、生姜1片、燈心草1握り」早朝空心に温服。
◎腎虚精滑を治す。 #狗脊飲《中薬臨床応用》「狗脊9g、牛膝9g、海風藤9g、木瓜9g、杜仲9g、桑枝15g、秦芁6g、桂枝6g、熟地黄12g、当帰身9g、虎骨膠6g(溶解)」水煎服。◎腰背部の硬直◎強直性脊椎関節炎◎肝腎不足の関節リウマチ
#狗胆丸《東醫寶鑑》 「五霊脂を作末して、狗胆汁で芡実に丸め、1丸を姜酒で飲み下す。 ◎連日、吐血が止まらないとき。
#狗米平胃丸《東醫寶鑑》「黄雄犬を数日飢えさせた後、生栗米を食わせ、その糞中の栗米を取って洗 い、韭白煎湯で粥を煮て、沈香2銭、平胃散末を入れて混ぜ、梧子大の丸
剤。毎回50~70丸を陳米飲で飲み下す。◎反胃に、諸薬効なきとき。 #駆蛔湯 「檳榔子、使君子、苦楝皮、烏梅、木香、枳殻、芒硝、川椒、細辛、乾姜」
#駆瘧湯《東醫寶鑑》「草果・青皮・人参・赤茯苓・半夏・厚朴・蒼朮・白朮・檳榔各1銭、良姜・甘草各5分」剉作1貼し姜5、棗2、梅1を入れ水煎服。◎すべての瘧・久瘧を治す。
#駆邪湯[1]《医方問餘》「桂枝2銭、乾姜・半夏・柴胡各1銭、蒼朮1銭半、附子7分、甘草」 ◎瘧疾の初発、先寒後熱、先熱後寒の者、倶に之を用いる。
◎此方は瘧邪陰分の陥りて数十日解せず、瘧労の状を為す者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎此方の症にして一等虚候を帯ぶる者は「医王湯+附子」に宜し。
◎瘧に桂附の剤を用いられしは《単源》に風寒湿の3気より諸病起こると云うに拠れり。
◎陰瘧を治するの治法なり。蓋し瘧治は温剤を用いる。《病機彙編》曰く、寒多熱少、小便調い渇せず、脈遅にして小なる者は、陰邪の勝るまり、辛温の剤を以てその寒を散ずるに宜しと。余、此の説に本づき、附子を乗って瘧を治するすくなからず。《雑病翼方》
#駆邪湯[2](一名柴胡二朮湯)《東醫寶鑑》「柴胡2銭、白朮1銭半、乾葛1銭3分、蒼朮1銭、陳皮7分、甘草5分」剉作1貼し、水煎し空腹時に服用。◎すべての瘧を治す。
#駆暑益元湯《寿世保元》《古今方彙》「人参1銭2分、白朮1銭5分、五味子10粒、麦門冬・茯神・白芍薬(酒) 各1銭、甘草(炙)5分、知母(酒)・陳皮・香各7分、黄芩(炒)3分、生姜」水煎。
◎夏月は最も調理し難く、而して途中は尤も甚だし、故に方を附し、預め暑毒を卻き、熱を清し煩を解し、中暑霍乱、泄瀉痢疾等の症を免る可し。
#駆風一字散《東醫寶鑑》「川芎・荊芥・川烏(炮)各5銭、羗活・防風各2銭半」を作末し、毎回2銭を薄荷湯で食後服用。 ◎目がひどくかゆい者。
#駆風豁痰湯《済世全書》《古今方彙》「天南星・半夏・天麻・防風・陳皮・茯苓・白殭蚕・川烏・羗活・蒼朮・甘草・生姜。水煎。服するに臨み姜汁を入れ温服。
◎口眼喎斜、及び手足頑麻するを治す。
#駆風解毒散[1-1]《厳氏済生方》《龍野ー漢方処方集》「防風・連翹各5.0g、荊芥・羗活・甘草各1.5g、牛蒡子3.0g」◎扁桃炎で咽喉腫塞痛の者。
#駆風解毒散[1-2]《済世全書》《古今方彙》「防風、荊芥、羗活、連翹、牛蒡子、甘草」各等分。水煎し食後服用。◎腮にて腫痛するを治す。
#駆風解毒湯[1-1]《漢方治療の実際》「防風3、荊芥・羗活・甘草各1.5、連翹5、牛蒡子3」或いは桔梗3、石膏10を加える。◎私はこの方をしばらく口に含んでから少量づつ呑み込むようにしている。口中で薬の温まる程度にして呑むとよい。《大塚敬節》◎この方は《和田東郭》《津田玄仙》などが愛用した方で、浅田宗伯も、次のように述べている。
「この方はもと時疫の毒による痄腮腫痛(耳下腺炎)を治する効がある。しかしこの症はたいてい葛根湯桔梗石膏でよい。もし硬く腫れて久しく消散しないときは、この方に桔梗白散を加えて(駆風解毒湯桔梗石膏)用いるがよい。東郭子は纒喉風(扁桃炎)で炎症がひどく、ノドが腫れ痛んで、水も薬も下らず、物を言うことも出来ない者に、この加減の方を水煎し、冷水にて浸してうんと冷くして、嚥下せしめて奇効を得たという。余は咽喉が腫れ塞がって、炎症のひどい者には、いつもこの方を極冷にして含ましめ、口中で温まる程にして、うがいをせしめて、しばしば効を得た。もし咽喉が爛れて腫れ痛むときは加味凉膈散竹葉を、こんな風にして含ましめると効がある。」
#駆風解毒湯[1-2]《厳氏済生方》「荊芥4分、防風4分5厘、独活6分、甘草、連翹3分、牛蒡子2分5厘」◎痄腮腫痛を治す。
◎此方はもと時毒の痄腮腫痛を治す。然れども此の症、大抵は「葛根湯+桔梗石膏」にて宜し。
◎もし硬腫久しく散ぜざる者は此方に「桔梗石膏」にて用いるべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎《和田東郭》、纒喉風、熱気甚だしく、咽喉腫痛、水薬しずくも下らず、言語すること能わざる者に:「桔梗石膏」を水煎し。冷水に浸し極冷ならしめ、含薬として奇効を得る。◎余は、咽喉腫塞、熱甚だしき者、つねに此方を極冷せしめ含ましめ、口中にて温まる程にして嗽せしめて、しばしば効を奏せり。《勿誤薬室方函口訣》◎咽喉糜爛して腫痛する者:「加味凉膈散+竹葉」含薬。
★適応症及び病名 (駆風解毒湯) ■扁桃炎:☆この方は扁桃炎または扁桃周囲炎がこじれて、他の処方で効にない時に奏効する《大塚敬節》☆この方に石膏を加えて、冷服せしめた方が良い《大塚敬節》☆咽喉腫痛して、諸薬効無く、腫痛ますます甚だしい者には、駆風解毒湯石膏を冷服せしめ、その日の内に痛が止む。百発百中の方である《津田玄仙》
#駆風散[1]《東醫寶鑑》「草竜胆・防風各5銭、銅録3銭、五倍子2銭、竹葉一握り」粗末にし、毎回1銭を熱湯2合に入れ、うわみずを取って洗う。
◎爛弦風・浮硃・努肉・渋涙を治す。
#駆風散[2]《東醫寶鑑》「辰砂・蝎梢・当帰・草竜胆・川芎・梔子・大黄・羗活・防風・甘草各1銭」作末し、麝香少々入れて砂糖で芡実大の丸剤。毎回1丸を薄荷葉の蜜湯で溶かして飲む。◎肝風で驚を発する者を治す。◎胎風症を治す。
#駆風上清散《審視瑤函》「黄芩6g、白芷5g、羗活・防風・柴胡各3.5g、川芎3.5g、荊芥2.5g、甘草1.5g」作末し、12gづつ水煎し食後服用。 ◎風熱による眉稜骨痛。
#瞿麦元《雞峰普済方》「人参・茯苓・当帰・瞿麦・大黄・芍薬・桂枝各半両、葶藶子2分」 =「治婦人経水云々方」《本事後集》に同じ。◎血分腫の実する者。
#瞿麦散《東醫寶鑑》「瞿麦を黄色く炒って作末し、鵝涎にまぜて、両方の目に少しづつ塗る」 ◎砂が目に入って出ないとき。
#瞿麦散《中薬臨床応用》「瞿麦9g、赤芍9g、茅根30g、地黄(生)18g、地骨皮6g、阿膠5g(溶解)」◎急性膀胱炎
#瞿麦湯《婦人大全良方》《古今方彙》「瞿麦・赤茯苓・桑白皮・木通・葵子各2銭、車前子(炒)・黄芩・芍薬・枳殻各5分」水煎。 ◎子淋にて心煩し悶乱するを治す。
#遇仙丹《東醫寶鑑》「黒牽牛子(半生半炒)頭末4両、三稜・莪朮・茵・檳榔各5銭」作末し、 毎回薬末4両を「白麺1両・角5銭」で煮た水で梧子大の丸剤。毎回3
銭を五更に茶清で呑み下すと、軽いのは1服で、重いのは虫が出るまで服 用し続ける。
下る虫は穿心虫・血鱉虫・伝尸虫・肺虫・疾心虫・馬尾虫・ 積血虫・細虫・長虫・寸白虫などである。
◎虫積を治す。
#藕汁膏《東醫寶鑑》「藕汁・生地黄汁・牛乳汁」に黄連・天花粉末を入れ、姜汁と白蜜で補い、 膏をつくって、少し削って舌の上において白湯で1日3~4回、徐々に送
下する。◎胃熱と消中を治す。
#藕汁散《東醫寶鑑》 「生藕汁・生地黄汁・大薊汁各3合、生蜜半匙を調合して茶盞で1回服用。盞⇒さかずき。 ◎吐血・衂血。 #黒丸子《経験方》「沈香、木香、黄連、合歓皮、熊胆」
#黒膏《東醫寶鑑》「生地黄2両6銭半、香豉1両6銭半、猪膏10両を合わせて煎じ、3分の1ぐらいになったら、滓を去って、雄黄・麝香各1分を作末して混ぜ、再煎して膏をつくって3つに分け、白湯に混ぜて調服。その毒が皮中から出てくる。
◎温毒発斑を治す。
#九味安神丸《東醫寶鑑》◎腎虚を治す。 #九味安腎丸(一名九味安神丸)《東醫寶鑑》「胡蘆巴・破故紙(炒)・川練肉・茴香・続断各1両半、桃仁・杏仁・山薬・
白茯苓各1両」を作末し、梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で50~70丸服用。◎腎虚腰痛で、目がくらみ・耳聾・面黒など。◎腎虚を治す。
#九味羗活湯[1-1]《病機気宜保命集》「羗活、防風、蒼朮、細辛、生姜、川芎、白、生地黄、黄芩、甘草、葱白」
#九味羗活湯[1-2]《張潔古方》「羗活、防風、白芷、生地黄、蒼朮、黄芩、細辛、甘草(生)、川芎、生姜、 葱白」
#九味羗活湯[1-3]《此事難知》《古今方彙》=「羗活冲和湯」「羗活・蒼朮各2銭、防風・川芎各1銭半、白芷・生地黄・黄芩各2銭、細辛・甘草各3分、生姜、葱白」水煎。
◎春夏秋、時に非らざるに感冒し、寒に暴れて頭痛発熱、無汗背強、脈浮緊なるを治す。 ◎此れ足の太陽膀胱経が邪を受けたもので宜しくこれを発汗すべし。◎汗あるには:「−蒼朮+白朮」《寿世保元》◎再びあせ止まざれば:「−細辛+黄蓍」◎若し再び止まざれば:「小柴胡湯+桂枝芍薬」=「神朮湯」◎汗を作さざれば:「+紫蘇葉」◎傷寒傷風、発熱するを治す《万病回春》
#九味羗活湯[1-4](一名羗活冲和湯)《東醫寶鑑》「羗活・防風各1銭半、蒼朮・川芎・黄芩・白芷・生地黄各1銭2分、細辛 ・甘草各5分を剉作1貼して、生姜3・大棗・葱白2茎を入れ、水煎服。」
◎四時(季節)を問わず、ただ頭痛があり、骨節が痛く・発熱・悪寒・無汗・脈緊で、麻黄剤の使えない者。 #九味柴胡湯[1]《高階枳園》「柴胡、黄芩、木通、当帰、梔子、沢瀉、地黄、車前子、甘草」◎黴毒の労状を為す者を治す。◎此方は《高階枳園》の自製にて湿労(梅毒の労状)の主方とす。
◎余、湿労を治するに4等の別あり。《勿誤薬室方函口訣》<1>寒熱止まず羸痩する者:九味柴胡湯<2>盗汗止まず咳嗽短気、胸腹動甚だしき者:柴胡桂枝乾姜湯天石<3>結毒咳嗽して連々虚労状をなす者:括湯<4>身体酸疼、或いは痿弱、微熱ありて気宇楽からず:逍遥解毒湯
#九味柴胡湯[2]《外科枢要》「柴胡・黄芩各5分、人参・梔子・半夏・竜胆・当帰・芍薬各3分」◎肝胆経の熱毒、瘰癧、あるいは耳内耳下に瘡を生じ、発熱、潮熱、あるいは肝経の湿熱、下注、嚢瘍、便毒、腫潰れ、あるいは小腹脇肋の結核を治す。
◎此方は小柴胡湯の変方にて、凡て瘡瘍の寒熱ある者を治す。《勿誤薬室方函口訣》 ◎後世の肝経の湿熱と云うを目的とすべし。但し湿熱下部に専らなる者は「竜胆瀉肝湯」に宜しく、上部に専らなる者は小柴胡湯竜胆胡黄連」に宜し。此方はその中位の者を治すなり。
#九味柴胡湯[3]《薛立斎十六種》《古今方彙》「柴胡・黄芩各5分、人参・山梔子・半夏・竜胆・当帰・芍薬各3分、甘草2分」水煎。 ◎肝胆経の熱毒、瘰癧或いは耳内耳下に瘡を生じて発熱潮熱し、或いは肝経の湿熱が下に注ぎて嚢癰便毒腫潰し、或いは小腹脇役に核を結ぶ等、凡て肝経一切の瘡傷にて発熱するを治す。
#九味茱連丸《東醫寶鑑》「蒼朮(炒)・黄連(炒)・黄芩(炒)・呉茱萸・陳皮・桔梗・茯苓・半夏各1両」 作末して神麹糊で梧子大の丸剤。20~30丸飲む。◎欝積の呑酸を治す。
#九味清脾湯[1-1]《厳氏済生方》 「橘皮、厚朴、白朮、半夏、柴胡、黄芩、茯苓、甘草、草果」各等分。◎瘧を治す。但し熱し、寒せず、或いは熱多く寒少なし。
(癉=タン、病み疲れる)◎此方は小柴胡湯の変方にて、瘧病のみならず、熱逍遥部位にありて類瘧の状を為す者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎蓋し、朮・茯苓・厚朴を伍する者は湿邪を駆るの意あり。◎もし湿邪の候なく、ただ熱固着して瘧状をなし、乾咳など強き者は、「小柴胡湯葛根・草果・天花粉」《和田東郭》を用いるべし。◎「達原飲」は此方の脱胎(趣意を取り形式を変えて作る)したるものなり。◎脈弦数、ただ熱し、寒せず、或いは熱多く寒少なく、膈は満ち、能く食し、口苦舌乾、心煩渇水、小便黄赤、大腑不利を治す。《雑病翼方》
◎盗汗止まざる者:「地骨皮・鼈甲・椒目」《先哲医話》
#九味清脾湯[1-2]《厳氏済生方》《古今方彙》=「九味清脾飲」「青皮・厚朴・白朮・半夏・柴胡・黄芩・茯苓・草果各等分、甘草」水煎。◎瘧の発する時に熱多く、寒少なく、口苦咽乾、大小便赤渋する者を治す。◎凡て諸瘧を通して此方を用いる。
◎食瘧にて痰沫を吐するを治す。◎時行(流行病)瘴瘧(山や川の悪気にあたって起こった瘧)を問わず、先づ寒くて後に熱する諸ての瘧を通して治す。
◎大棗肉を更に加え水煎する。◎小便赤き者:「猪苓沢瀉」《寿世保元》 #九味清脾湯[1-3]《厳氏済生方》《漢方後世要方解説》「柴胡・黄芩・半夏・白朮各3、茯苓4、青皮・厚朴各2、草果・大棗・生姜各1.5、甘草1」◎瘧発するとき、熱多く寒少なし、口苦咽乾、大小便赤渋、脈来ること強数なるもの之を主る。
★適応症及び病名(九味清脾湯)
[1]回虫の発熱
[2]瘧疾:
☆マラリア及びその類似症の4~5日位《矢数道明》
[3]腎盂炎
[4]心下痞硬:
☆胃内停水し咳嗽続き心下痞鞕甚だしき者《矢数道明》
■瘧疾治療の順序■:①十神湯(葛根湯)
②九味清脾湯(小柴胡湯)
③柴胡桂枝乾姜湯
④補中益気湯
⑤理中湯(六君子湯)
⑥十全大補湯◎此方は小柴胡湯の変方で、熱瘧に主要の剤である。胆熱を清解し、胃中腐敗の汚物を洗滌し、脾を清浄ならしめる意味で清脾湯と名付ける。所謂寒瘧は柴胡桂枝乾姜湯の主るもので、此方は熱瘧によい。
此方は瘧を発して3~5日の間に用いることが多く、瘧疾ばかりでなく、他の熱性病で、心下痞甚だしく、熱盛にして小柴胡湯類では如何ともし難きものによい。
■草果=食を消し、積を化し、瘧を截る。■青皮=肝を瀉し、気を破り、痰を消す。■厚朴=中を寛げ、滞を化し、湿を去り、満を散ず。
#九味清心元《東醫寶鑑》「蒲黄2両半、犀角2両、黄芩1両半、牛黄1両2銭、羚羊角・麝香・竜脳 各1両、石雄黄8銭、金箔1200箔」を作末し、蜜で丸め1両で30丸つくり、金箔で衣をつけ毎回1丸を熟水で呑む。
◎心胸の毒熱を治す。 #九味半夏湯[1-1]《飲病論》 「半夏、升麻、猪苓、橘皮、沢瀉、茯苓、柴胡、甘草、生姜」◎是れ升提滲利の剤、治飲の主方なり。
◎此方は《石崎朴庵》の発明にて、仲景治飲の方、「大小青竜湯」、「甘遂半夏湯」、「十棗湯」の類あれども、皆重剤にして容易に用い難し。《勿誤薬室方函口訣》◎凡て飲食の不和より水飲を生じ、或いはその気心肺を薫蒸し、頭眩、健忘、種々の症候を現ずる者を治すと云う。
◎中年以降、肥満し、支飲上逆して雲霧の中に居るが如き者に用いて験あり。
◎石崎氏曰く、健忘の証、庸医みだりに虚と為し設ける者多し。愚案するに肥盛んの者、年四旬をこえ、後に風雲の中に在るが如くにして健忘する者、これ飲邪肺に蒸するなり。飲病の治方に依って効を得るものままこれ有り。《雑病翼方》◎熱胸背に薫蒸し、湧痰、咳嗽、喘咳、肩息し、支飲に似たる者に宜し。《先哲医話》◎この方は一切の留飲(水分の代謝が悪くて肥満しているものを指す)を治する方である、しべて世に云う中風、中気の症はこの留飲から起こる者が多い。心を配って診察することが肝要である。もし留飲に間違いがなければ、この方に 加減して用いて治るものである。すべて40歳ばかりから、からだが重くなって、悪太りに肥えて、少し道を急いで歩くときに、息切れがして苦しいという者は、留飲として治療するがよい。主方は九味半夏湯にし、その他の病症があれば、別の対応の処方を兼用する。
麻痺不仁も留飲から発する者が多い。しかし留飲からくる麻痺不仁は、からだが重く、息切れし、悪太りに肥える等の症があるものである。このような者は九味半夏湯を本剤とし、その他に病状があればそれに対応する処方を兼用するのがよい。《療治経験筆記》
#九味半夏湯[1-2]《漢方治療の実際》「半夏・橘皮・甘草各3、沢瀉・茯苓各4、柴胡・猪苓各3、生姜・升麻各2」 #九味檳榔湯[1-1]《浅田家方》《漢方後世要方解説》「檳榔4、桂枝・橘皮・厚朴各3、生姜・蘇葉各1.5、木香・甘草各1、大黄0.5」(或いは大黄を去り、呉茱萸1茯苓5を加う)《原南陽》は枳実を以て木香に代え、脚気気血凝滞腫をなす者を理む。◎此方は知覚運動型一般の脚気初期に広く用いられる。いずれかと言えば、実証に属するもので、下肢倦怠、知覚麻痺、シビレ感、心悸亢進、下肢浮腫、腓腸筋緊張、圧痛あり、腹部充実し、心下部膨満、圧重感あって便秘傾向ある者に能く効を奏する。
■檳榔=胸中の滞気を瀉し、水を行らす■厚朴=湿を去り、満を散じ、滞を化す■木香=諸気を降ろし、鬱を開く■橘皮=気を理し、滞を導き、湿を燥す #九味檳榔湯[1-2]《浅田家方》「檳榔子4g<粗末沖服>、厚朴4g、陳皮・桂皮各3g、紫蘇葉1.5g、木香・生姜・甘草(炙)各1g、大黄0.5~1g」◎脚気脹満し、短気す、及び心腹痞積し、気血凝滞する者を治す。◎此方は和方の「七味檳榔湯枳実厚朴、木香、紫蘇」なり《勿誤薬室方函口訣》◎脚気浮腫、息切れ及び心腹痞積、ふくらはぎの緊張。《龍野ー漢方処方集》★九味檳榔湯(息切れ、胸苦しい、ふくらはぎの緊張、腹が張る・脹痛)
#九味檳榔湯《漢方治療の実際》
「檳榔4、厚朴・桂枝・橘皮各3、蘇葉1.5、甘草・大黄・木香各1、生姜3」或いは呉茱萸1.0、茯苓3.0を加える。
★適応症及び病名(くみびんろうとう) [1]胃炎
[2]胃腸神経症
[3]息切れ
[4]息苦しい
[5]鬱血性心不全
[6]悪心
[7]かぜ <胃腸型>
[8]下肢が重だるい
[9]下肢の知覚麻痺
[10]下肢浮腫
[11]脚気Beriberi☆腫満短気する者、「唐侍中一方」よりは服し易く効あり。☆筋攣の症は無い。(参照→鶏鳴散[2-1]《時方歌括》)☆湿脚気(浮腫型)=ビタミンB1欠乏が急激に起こったもの。必ず浮腫を生じ、浮腫がひどいと右心不全を生じ、急死することあり。乾脚気(麻痺型)=ビタミンB1欠乏が徐々に起こったもの。
[12]脚気の浮腫(湿脚気)☆息切れ及び心腹痞積、ふくらはぎの緊張。《龍野ー漢方処方集》
[13]肩こり ①息切れ。②胸苦しい。③ふくらはぎの緊張。④腹が張る。
[14]関節水腫
[15]関節のこわばり(硬直感)
[16]眼瞼浮腫
[17]顔面浮腫
[18]筋肉痛 ☆気滞・水毒による筋肉痛=九味檳榔湯☆瘀血による筋肉痛=疎経活血湯
[19]頸項(首筋・うなじ・肩)に硬直感
[20]腱反射異常《矢野》
[21]ケイレン
[22]高血圧症
[23]更年期障害
[24]呼吸困難
[25]呼吸促迫
[26]腰が硬直
[27]さむがり
[28]最低血圧(低下)
[29]シビレ <下肢> (下肢のしびれ、息切れ、胸苦しい、ふくらはぎの緊張)
[30]神経性胃炎
[31]心悸亢進
[32]心筋炎
[33]心臓神経症
[34]心臓肥大 <右>
[35]心不全 <鬱血性>
[36]心腹痞積
[37]舌苔 <白>
[38]全身倦怠感
[39]だるい<下肢>
[40]帯状疱疹
[41]多発性神経炎
[42]脱力感
[43]知覚異常 <皮膚>
[44]頭痛 <高血圧による>
[45]テンカン
[46]手足厥冷
[47]動悸
[48]動脈硬化
[49]突発性浮腫
[50]ノイローゼ
[51]バセドウ病
[52]鼻の先端部に光沢
[53]疲労倦怠
[54]貧血
[55]ふくらはぎ(腓腸筋)の緊張・圧痛
[56]腹部充実
[57]腹部脹痛
[58]浮腫 <下肢の>
[59]便秘 <傾向> ☆便秘せず小便不利する:「呉茱萸2.5g、茯苓6.0g、大黄」《龍野ー漢方処方集》
[60]慢性関節リウマチ
[61]脈 <弦><滑>
[62]胸苦しい #九味理中湯《東醫寶鑑》「縮砂(研)・乾姜(炮)・紫蘇子・厚朴・桂皮・陳皮・甘草(炙)各1銭、沈香 ・木香各5銭」を水で洗って汁を絞って剉作し、1貼に姜3片を入れて水
煎し、沈香・木香汁で調服する。◎寒喘を治す。寒喘=手足が冷たい脈の少ない症。 #九竜丹《東醫寶鑑》 「枸杞子・金桜子・山子・蓮子・蓮花芯・熟地黄・芡実・白茯苓・当帰」各等分。作末し、酒麺糊で梧子大に丸め、空腹時に温酒または塩湯で、50丸ずつ服用。◎2~3日続けて服用すると小便は清水のようになり、食欲は倍になり歩行が軽くなる。
◎精滑の治療薬。
#熏鱉法《東醫寶鑑》「スッポン1匹に麝香1~2分をふりかけた後、水を注いでそれを敷いて座り、洗ったあと肉は煮て食べ、頭は作末して肛門に塗る。」
◎脱肛。
#桂蓍湯《本草彙言》 「桂枝湯黄蓍・柴胡・人参」◎傷寒、裏虚表実にして発散の薬を与え、邪汗出でず、身体煩燥、六脈空数なるを治す。◎此方は桂枝加黄蓍湯の変方にて、外感後、自汗止まず、時々身熱、脈虚数なる者を治す。◎桂枝湯の証にして久虚なる者を治す《傷寒翼方》
◎此方の一等もつれたる者:「医王湯+鼈甲」《勿誤薬室方函口訣》 #桂姜草棗黄辛附湯[1-1]《金匱要略》
(けいきょうそうそうおうしんぶとう)「桂枝3両、生姜3両、甘草2両、大棗12枚、麻黄2両、細辛2両、附子 (炮)1枚」 右七、以水七升、煮麻黄、去上沫、内諸薬、煮取二升、分温三服、當汗出、如蟲行皮中即愈。◎気分、心下堅、大如盤、邊如旋杯、水飲所作、桂枝去芍薬加麻辛附子湯主之。《金匱要略》水氣病脉證并治第十四。
① 心下堅大にして悪寒・発熱・上逆するものは桂姜草棗黄辛附湯之を主る。② 朮は水を利するを主る。 ③心下堅大にして、小便不利するものは、枳朮湯之を主る。
#桂姜草棗黄辛附湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「桂枝・生姜・大棗各3、甘草・麻黄・細辛各2、附子0.6」 ◎桂姜草棗黄辛附湯は、その方、桂枝去芍薬および麻黄附子細辛湯を合するなり。しかして桂枝去芍薬湯は頭痛・発熱・悪風、汗ある等の証を主る。しかして腹中に結実するものなし。麻黄附子細辛湯に曰く、少陰病、発熱と。為則按ずるに、謂うところの少陰病は、悪寒甚だしきものなり。故に附子を用ふ。附子は悪寒を主るなり。2湯の証に依って之を推すに、心下堅大にして悪寒・発熱・上逆(=のぼせ)するものは、桂姜草棗黄辛附湯之を主る。朮は水を利するを主る。夫れ秦張(張仲景を指す)の疾を治するや、その証に従って因を取らず。因は想像なり。
方中にその証在り。斯れその方意を知らずんば、則ち未だその証に中る能はざるなり。それその方意を知るは、薬能を知るに在り。能く薬能を知って後、始めて与(とも)に方を言ふべきのみ。」
[方意]=薬方の意味。この方はどんな病証のものに用いるか?の意味。 [証に中る]=病証が薬方に適中する。
◎桂姜草棗黄辛附湯証=心下堅、大なること盤の如く、辺旋杯の如し。 [盤の如く、辺旋杯の如し]=盆のように、まわりはさかずきを伏せたようで、ふくれあがって硬い。《薬徴》◎此れ本、雑病を治するの方、今運らし、少陰表寒の証を治し、更に妙なり《傷寒翼方》
◎本方は外表陽気を持て主と為す。故にその験、汗出ずると虫の皮中を行くが如しとに在り。《雑病論識》
◎手足身冷え、悪寒骨疼、腹満腸鳴、麻痺、或いは浮腫、或いは咳、難病の動かし難き者。《龍野ー漢方処方集》◎「桂枝去芍薬湯麻黄附子細辛湯」《大塚敬節》
◎種々のこじれた疾患によく用いられる。《大塚敬節》◎この方は、陰の気と陽の気とが離ればなれになっているのを、一転して調和せしめる方剤で、古来、種々の難症、痼疾に用いられた《大塚敬節》
桂姜草棗黄辛附湯[1-3]《金匱要略》★適応症及び病名(けいきょうそうそうおうしんぶとう)[1]悪性腫瘍
[2]遺尿
[3]栄養失調の浮腫
[4]悪寒
「5」かぜ:☆70歳女性。普段から風邪をひきやすい、主訴はかぜで、痰も多い。痰は切れやすく泡沫状のものが出る。体温は38℃内外で、ときどき悪寒がする。食欲はあるが、寝ているので粥食を食べているという。大便は下痢の傾向があり、その際軽い腹痛を訴える。舌に苔はなく、顔色は蒼白で、脈を診ると沈細弱である。聴診上乾性のラッセルがある。腹部は一体に軟弱である。
以上の所見によって、私は桂姜草棗黄辛附湯を与えた。このさい附子は1日量0.5を用いた。それを飲むと、その晩、少し汗が出て、からだが軽くなった。翌朝は体温が36℃にまで下がった。4、5日たつと痰が減少し、咳も軽くなった。10日目から床を払って起きた。すると又37℃に体温がのぼった。そこで床につくようにして、引き続き前方を与え、通計35日で全治した。《大塚敬節》
[6]肝硬変
[7]顔面蒼白
[8]気管支炎
[9]心因性疼痛
[10]心気症
[11]心下堅
☆気滞と水毒で心下に塊が出来る。これを除く処方。
[12]神経痛
[13]腎臓病
[14]舌腫瘍
[15]喘咳
[16]喘息
[17]難病の動かし難きもの ☆白血病・悪性腫瘍・肺結核・梅毒・etc☆凡そ大気の一転は万病を治する極意なり《勿誤薬室方函口訣》 [18]脱疽:☆鳥取県士族の平岡邦直、60歳は、かって愛知県に寄留していたが、今から5、6年前、左足の小指が突然痛くなり、医者にかかって30日ばかりで治った。ところが明治22年9月に帰郷するにあたって、再発し、帰宅後、鳥取病院にかかって治療を加えたが、2ヶ月ばかりの間に、疼痛は次第に激しさを加え、小指の先端がビランしてきた。そこで11/15に入院し、12/17に切断した。しかし侵蝕はますます増劇し、疼痛は耐え難く、眠る事も、食べる事も出来ない状態となった。そこで2/28に余に治を乞うた。
これを診るに、身体に血色なく、肉は落ちて骨だけとなり、精神は恍惚としており、舌には灰白の苔があり、脈は微細で、1日にわずかに薄い粥を1杯足らず食べるだけである。局所を診るに炎症が膝の上まで拡がって、紫暗色となり、腐肉の凸凹している状は、くさった魚の腸(はらわた)のようで、脛骨は露出して膝まで見える。
そこで予は診断して、“毒はもう尽きている。腐蝕がますます甚だしいのは石灰酸を注射するからである。疼痛がひどくて眠れないから、たびたび麻酔薬を服用せしめるから、意識が朦朧としているのである。また食欲の無いのは、キナ塩を長期間服用しているからである”と、自分が思うに、古諺に薬を服せざれば中医を得とあるが、これはこのような場合を言ったものであろうと。そこで衰弱がひどいから、難治であることを告げたところ、患者の言うのに、院長にまた股から切断しなければなるまいと云われたが、自分はもうここまで悪くなってしまっては、今更手術をしても何の益があろう。自分は死を覚悟しているが手術をすれば死期を早めるだけのことである。出来ることなら、疼痛が少なくなって、少しでも楽になればそれで満足ですと。
そこで患者を入院せしめて、内服には桂姜草棗黄辛附湯人参を与え、 外用には左突膏に鶏子白を混ぜて用いた。これが3/2のことである。すると2、3日で疼痛が無くなり、6、7日たつと腐肉と健康な肉との分界が現れ、食が少し進み、30日ばかりで腐肉が脱落し、食気が大いに出て、追い追いに快方に向かい、瘡口も癒着し、5/26には帰宅した。ただ露出した骨はまだ脱離しない。惜しいことをしたものである。初めから石灰酸を用いないで、清潔な水を用いていたら、不具者にはならなかったであろうに(和漢医林新誌弟147号)
[19]蓄膿症:☆余の同村の医師、故岡村直枝氏はかって余に、つぎのような話をした。岡村氏は前に脳漏を病み、数種の方剤を呑んだが効無く、近隣及び京都の諸大家にも治を乞うたが、治らなかった。こんな風で3年間も苦しんだ末、ある日、《金匱要略》水気篇の桂姜草棗黄辛附湯の条を読んで、大いに発明するところがあり、脳漏という病気は、太陽経の病気を治する方剤であるから、効くかも知れないと考え、1服これを呑んだところ、鼻梁と額の上のこわばった感じが急にとれ気持がよくなった。2日飲んだところ、臭い膿の出るのが減じ、3、4日の服用で奇効を奏した。このようにして、4、5日の連服で病の大半は治し、16、7日で数年の痼疾が洗うように治ってしまった。そこでますます古書の精実さを信じ、このような妙方が自分の机の上にあるのを知らずして、却って遠くの名医の門を叩くのははずかしいことではないかと悟り、その後は、脳漏には必ずこの方を用い、数剤も飲まないうちにいつも効があった。脳漏の一病は緩急軽重ともに、この一方で足ると。(前田文良・和漢医林新誌第21号)
[20]手足厥冷
「21」乳がん:☆一婦人乳癌結核、処々糜爛し、少しく翻花に兆しあり、時々出血す。戌午初春に至りて疼痛甚だしく、結核増長してはじめて臥床にあり。正月28日、桂姜草棗黄辛附湯を与えて45日、疼痛退き結核減じて、床を起って事を視ること平日の如べて陰陽相得ずして労咳をなし、咳血、吐血、顔色脱して為すべからざるに、此湯を与えて起死回生を得しことありと。《勿誤薬室方函口訣》
[22]ノイローゼ
[23]肺結核の難症:☆一婦人労咳を患う。咳血気息、肌熱手を烙く如く、肌膚削脱し、脈細数なり。予視て死症とす。一医ちかって治しべしとし、桂姜草棗黄辛附湯を用いて全癒を得たり。予大いに敬服して、これにならいて大気一転の理を発明して、乳岩、舌疳、及び諸翻花瘡など、数十人を治し得たり。翻花瘡に本方を用いたる意は、陰陽相隔たり気の統制なき故、血肉相得その気乃行、大気一転その気乃散と云うに本づきて、此湯を擬したるなり。《勿誤薬室方函口訣》
[24]白血病
[25]腹水
[26]腹痛
[27]腹満
[28]腹冷
[29]浮腫
[30]片麻痺
[31]麻痺
[32]慢性関節リウマチ
[33]腰痛症
#桂香丸《東醫寶鑑》「桂心1両、麝香1銭」作末し飯で緑豆大の丸剤。白湯で15丸飲み下す。◎雑果を食べ過ぎて腹が張り、気の急する者を治す。 #桂香散[1-1]《医学入門》《古今方彙》
「辣桂(桂枝)・川芎・当帰・細辛・菖蒲根・木香・木通・蒺藜・麻黄・甘草各2分半、天南星・白芷各4分、紫蘇子1分、葱白」水煎。 ◎風虚(肝と腎の陽気の弱き処へ風気が籠りたるを云う)も耳聾を治す。
#桂香散[1-2]《東醫寶鑑》「天南星(炮)・白芷各1銭、辣桂・川芎・当帰・細辛・菖蒲・木香・白蒺藜 ・麻黄・甘草各7分、紫蘇葉7葉、生姜3片、葱白2茎」水煎服。
◎風虚耳聾を治す。 #桂香散[2]《東醫寶鑑》「草豆蔲()・良姜(炒)・白朮・縮砂・炙甘草・生姜(切)・厚朴(姜製) ・大棗肉各1両、青皮(炒)・訶子肉各5銭、耳桂2銭半」水1杯で煎じて
乾かし、団子をつくって粗末にして、毎回3銭を沸騰湯に塩を少し入れて、 空腹時に服用。◎脾臓が冷えて腹痛するとき。 #桂枝黄蓍湯(一名黄蓍桂枝湯・桂枝苦酒湯)《東醫寶鑑》「黄蓍2銭半、桂枝・芍薬各1銭半、甘草1銭」を作1貼し好酒3分、水1
杯半で煎服。◎黄汗を治す。 #桂枝黄芩湯《東醫寶鑑》「柴胡2銭、石膏・知母各1銭半、黄芩・人参・半夏・甘草各1銭2分、桂枝1銭」水煎服。◎桂枝芍薬湯を飲んだ後、寒・熱のひどいのは、太陽・陽明・少陽の合わさった病で、この薬方を使う。
#桂枝加黄蓍湯《金匱要略》「桂枝3両、芍薬3両、甘草2両、生姜3両、大棗12枚、黄蓍2両」右六味、以水八升、煮取三升、温服一升、須臾、飲熱稀粥一升餘、以助薬力、温服取微汗、若不汗更服。◎黄汗乃病、両脛自冷、假令発熱、此属歴節。食已汗出、又身常暮汗出者、此労氣也。若汗出已、反発熱者、久久其身必甲錯。発熱不止者、必生悪瘡。若身重汗出已、輙軽者、久久必身瞤、瞤即胸中痛、又従腰以上必汗出、下無汗、腰髖弛痛、如有物在皮中状、劇者不能食、身疼重、煩躁、小便不利、此為黄汗、桂枝加黄蓍湯主之。
(輙=チョウ、すなわち。髖=カン、こしぼね。) 《金匱要略》水気病脉證并治第十四。 「腰髖弛痛」=髖はもものつけねのことだから、腰から股関節あたりがだるく痛む
○桂枝湯証にして黄汗、若しくは自汗盗汗する者を治す《方極》 ○按ずるに、「若」の字はまさに「或」の字につくるべし。「盗汗」の上に亦、まさに「或」の字あるべし。《方極刪定》
#桂枝加黄蓍湯《金匱要略》《漢方治療の実際》「桂枝湯黄蓍3」◎桂枝湯の証にして黄汗あるいは盗汗ある者を治す。《吉益東洞》◎両脛冷え、汗出で発熱、身甲錯或いは悪瘡、或いは身瞤、胸中痛、腰から上に汗が出て腰痛し、劇しい者は食すことが出来ず、身疼痛煩躁小便不利する。《龍野ー漢方処方集》◎=「黄蓍桂枝五物湯甘草」《大塚敬節》
★桂枝加黄蓍湯(腰から上に汗、自汗盗汗<黄汗>、精神不安、下肢冷感、頭痛発熱悪風、胸中煩躁・疼痛、悪瘡、脈浮虚)
★適応症及び病名(けいしかおうぎとう)[1]足が冷える
[2]アトピー性皮膚炎
[3]黄汗:☆発黄、黄汗の2症、その発汗すべき者は、此方を用い、温覆して以て汗を発す可し。《類聚方広義》
[4]黄疸:☆黄疸脉浮。《龍野ー漢方処方集》☆諸種の黄疸にして、尿量減少し、或いは身体疼重、倦怠等を覚え、脈浮弱なる証。《奥田謙蔵》☆黄病、小便を利するに宜しき者は、茵蔯五苓散の類を用いる。当に汗を以て之を解すべき者は、麻黄醇酒湯の類を用いる。自汗、盗汗有りて身重き者は此方を用いる。《類聚方集覧》 [5]悪風
[6]潰瘍
[7]かぜ<虚弱者>
[8]風邪をひきやすい
[9]下肢の冷感
[10]肩こり ①[黄蓍]の入った処方は肩こりに有効《大塚敬節》
[11]顔面神経麻痺
[12]顔面浮腫<軽>
[13]気の上衝<+>
[14]虚弱者の感冒
[15]胸中痛
[16]胸中煩躁
[17]筋肉リウマチ ☆痙病の陰位に属する者:「防風附子」《雑病翼方》 [
18]倦怠感
[19]座骨神経痛
[20]しびれ
[21]自汗<上半身>
[22]湿疹:☆(分泌物多い)☆幼児の水疱性皮膚炎、とびひ、小児ストルフルスに応用する。☆8歳少女。2ヶ月前から、手足に水泡性の発疹を生じ、1つ良くなればまた新しいものを生じ、なかなか治らない。蚊や蚤に噛まれてもみな水泡になると云う。夜尿症の持病もある。
桂枝加黄蓍湯を与える。1週間飲むと大部分よくなり、2週間で全治した。《矢数道明》尿の回数も減じた。《大塚敬節》
[23]小児ストロフルス
[24]小便不利
[25]痔瘻(肉の盛り上がりが悪い)
[26]ジンマシン(固定ジンマシン)
[27]精神不安
[28]大腿部疼痛<牽引性>
[29]知覚異常
[30]蓄膿症
[31]中耳炎 ☆体質の虚弱な人で、慢性に移行し、薄い膿が長引き、なかなか治らないというものに長く内服させる。小児の場合にほんぽうがよい。虚の甚だしいものには帰蓍建中湯を用いる(漢方診療医典)
[32]盗汗:☆5歳の男児。色が白く、肥えていて、元気そうだが、よく盗汗が出てよく風邪を引くという。風邪を引くと長引く。高い熱は出ないが、いつまでも咳が出る。
桂枝加黄蓍湯を与えたが、3ヶ月ほど続けて飲んでいるうちに、筋肉の締まりが良くなって、風邪を引かなくなり、」盗汗も出なくなった。《大塚敬節》
[33]多汗症
[34]床ずれ
[34]とびひ:☆水疱を形成する幼児の皮膚炎に効く。膿疱を形成する俗にトビヒという皮膚病にもよく効く。《大塚敬節》
[35]のぼせ
[36]皮膚炎
[37]疲労倦怠
[38]フルンケル
[39]浮腫 <腰から上・上半身>☆顔面、手足に軽度の浮腫を現し、或いは自汗、盗汗等ありて、脈浮虚なる証。《奥田謙蔵》
[40]腰痛症 <牽引性>
[41]脈 <浮虚> #桂枝加葛根湯[1-1]《傷寒論》「葛根4両、麻黄(去節)3両、芍薬2両、生姜(切)3両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚、桂枝(去皮)2両」右七味、以水一斗、先煮麻黄、葛根、減二升、去上沫、内諸薬、煮取三升、
去滓、温服一升、覆取微似汗、不須啜粥、餘如桂枝法將息及禁忌。◎太陽病、項背強几几、反汗出悪風者、桂枝加葛根湯主之。 《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
#桂枝加葛根湯[1-2]《傷寒論》「葛根4両、麻黄(去節)3両、甘草(炙)2両、芍薬3両、桂枝2両、生姜3両、大棗(擘)12枚」右七味、以水一斗、先煮麻黄葛根、減二升、去上沫、内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升。覆取微似汗、不須啜粥、助薬力、餘將息桂枝法。◎太陽病、項背強几几、反汗出悪風者、宜桂枝加葛根湯。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
#桂枝加葛根湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》「桂枝湯葛根6」 ○桂枝湯証にして項背強急する者を治す《方極》 #桂枝加葛根湯[1-4]《傷寒論》◎葛根湯の虚証、項背がこり汗が出る者《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名 (けいしかかっこんとう)[1]汗をかきやすい
[2]インフルエンザ
[3]胃腸型感冒
[4]悪風
[5]かぜ
[6]肩こり ①胃腸虚弱。
[7]感冒: ☆感冒の初起等にして項背強急し、悪寒、発熱し、自汗出づる症。《奥田謙蔵》
[8]気の上衝<+>
[9]急性胃腸炎
[10]関節痛
[11]驚癇
[12]首筋がこる:☆肩背痛、頭首の旋回困難にして、脈浮緩、数なる等の証。《奥田謙蔵》
[13]頸腕症候群
[14]結膜炎
[15]下痢
[16]項背がこわばる(項背強)
[17]五十肩
[19]三叉神経痛
[20]自汗
[21]小児麻痺(初期)
[22]神経痛
[23]身体疼痛
[24]頭痛
[25]知覚異常
[26]のぼせ
[27]日本脳炎(初期)
[28]熱性病初期:☆熱性病の初起等。《奥田謙蔵》☆四時の傷寒、初めて覚える者は、宜しく之を服すべし。《聖済総録》
[29]脳膜炎(初期)
[30]背痛
[31]破傷風:☆驚癇及び破傷風、角弓反張する者は、即ち項背強急几几の状也。此方に宜し。《類聚方集覧》
[32]発熱
[33]半身不随
[34]ヒステリー
[35]皮膚化膿症:☆痘瘡初起、軽症の者は、此方に宜し。起脹貫膿の際は桔梗、黄蓍等を加え、収靨以後は大黄を加え、以て余熱を解し、残毒を駆るときは則ち眼疾患、痘癰等の厄有ること無し。麻疹の初起、軽症の者も亦之を主る。《類聚方広義》
[36]腹痛
[37]副鼻腔炎(急慢性)
[38]偏頭痛
[39]発疹
[40]麻疹初期:☆麻疹、及びその余発疹病の初起等。《奥田謙蔵》
[41]脈浮弱
[42]めまい #桂枝加桂湯[1-1]《傷寒論》「桂枝(去皮)5両、芍薬3両、生姜(切)3両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚」右五味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升。本云桂枝湯、今加桂満五両。所以加桂者、以能泄奔豚氣也。◎焼針令其汗、針処被寒、核起而赤者、必發奔豚。氣從少腹上衝心者、灸其核上各一壯、與桂枝加桂湯、更加桂二両也。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。
#桂枝加桂湯[1-2]《傷寒論》「桂枝(去皮)5両、芍薬3両、生姜(切)3両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚」右五味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升。本云、桂枝湯、今加桂満五両、所以加桂者、以能奔豚氣也。◎焼針令其汗、針処被寒、核起而赤者、必發奔豚。氣從少腹上撞心者、灸其核上、各一壯、與桂枝加桂湯。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
#桂枝加桂湯[1-3]《金匱要略》「桂枝5両、芍薬3両、甘草(炙)2両、生姜3両、大棗12枚」右5味、以水7升、微火煮取3升、去滓、温服1升。◎発汗後、焼針令其汗、針処被寒、核起而赤者、必發奔豚。氣從少腹上至心、灸其核上各1壯、與桂枝加桂湯主之。
《金匱要略》奔豚氣病脉證治第八。
#桂枝加桂湯[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》 ◎上衝甚だしきものは、桂枝加桂湯之を主どる。桂枝湯の方内において桂2両を加う。 若し、琪急、鞕滿の證あるものは、則ち桂枝湯を与えるに宜しからず。
凡そ上衝は、上逆の謂には非ず。氣、少腹より上りて胸を衝く、是なり。 煩して脈浮、数、鞕滿満の状なきもの。「桂枝湯」の桂枝を6にする。 ◎桂枝湯証にして、上衝劇しき者を治す。《方極附言》
桂枝加桂湯[1-5]《傷寒論》★適応症及び病名(けいしかけいとう)[1]嘔吐
[2]悪風
[3]関節痛
[4]気の上衝:<++>
[5]逆上感
[6]灸後の発熱:☆艾灸後発熱し、脈浮大にして弱なる証。《奥田謙蔵》
[7]クシャミ
[8]自汗
[9]心悸亢進 ☆心悸亢進より、頭痛が主目標。心悸亢進が主目標であれば、桂枝甘草湯を考える。☆発汗の後、寒熱無く、脈浮にして、心悸亢進あり、下肢寒冷にして頭部熱する証。《奥田謙蔵》☆心下でとくとくとして根があるような感じの動悸。《百疢一貫》
[10]神経性頭痛:☆神経頭痛等にして、その発作に際しては頭痛忍ぶ可らず、或いは部痛に汗出で、或いは嘔吐を発し、或いは煩躁悶乱し、而も脈候に著変無き証。《奥田謙蔵》
[11]心臓神経症
[12]心煩
[13]頭痛:☆虚弱体質で、のぼせの激しい常習性頭痛。☆天曇りて雨降らんと欲する毎に頭痛する者も、また当に之を服す可し。《類聚方集覧》☆余の妹、20歳の頃、頭痛を患い、あたかも錐にて刺すが如く劇痛忍ぶべからずと、余アンチピリン・ミグレニン等の知れる限りの洋薬を投ずと雖もその効無し。よって本方を用いしに、1服にて少し安く2服にして大いに軽快し、2日を出ずして全快せり《湯本求真》☆42歳男性。数年前から常習頭痛を患い、種々の手当を加えたが、大抵の薬はすぐ胃にさわるので、漢方の書物を読んで、桂枝加桂湯を作って呑んだところ、すぐに頭痛が止んだ。
しかし2、3日服薬を休んでいると、また頭痛がくるという。何とかして根治したいという。私はこの方の連用をすすめ、2ヶ月あまり飲み続け、多年の頭痛を忘れた。《大塚敬節》
[14]ノイローゼ
[15]のぼせ
[16]鼻水
[17]発熱
[18]煩躁
[19]ヒステリー:☆「ヒステリー」等にして、特に頭痛、或いは逆上感甚だしき証。《奥田謙蔵》
[20]冷えのぼせ
[21]腹部大動脈の搏動亢進
[22]不安感
[23]不眠:☆発汗を行いて後、熱候去り、身体重くして頭眩し、二便やや難、逆上感甚だしくて睡眠不安の状あり、脈浮虚にして大なる証。《奥田謙蔵》
[24]偏頭痛:☆偏頭痛、及びその類似疾患等。《奥田謙蔵》
[25]耳鳴り
[26]めまい
[27]目眩
[28]やけど(火傷)による精神不安 #桂枝加厚朴杏子湯[1-1]《傷寒論》 =「桂枝加厚朴杏仁湯」「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、生姜(切)3両、芍薬3両、大棗(擘)12枚、厚朴(炙去皮)2両、杏仁(去皮尖)50枚」右七味、以水七升、微火煮取三升、去滓、温服一升、覆取微似汗。◎太陽病、下之微喘者、表未解故也、桂枝加厚朴杏子湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。 #桂枝加厚朴杏仁湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》「桂枝湯厚朴1、杏仁4」◎桂枝湯の証にして胸満微喘する者を治す。《吉益東洞》◎本と喘症有る、之を喘家と謂う。喘家、桂枝湯の症を見はす者、此方を以て汗を発するときは則ち癒える。若し、邪に因てその勢急に、邪、喘に乗してその威盛なる者は、此方の得て治する所に非ざる也。宜しく他方を参考し、以て治を施すべし。拘拘たる可らず。《類聚方広義》◎「桂枝湯厚朴・杏仁」◎此方は風家喘咳する者に用いる。◎老人などつねに感冒して喘する者、之方を持薬にして効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎虚証の表熱と喘咳《龍野ー漢方処方集》★桂枝加厚朴杏仁湯(虚弱、喘鳴、自汗、咳嗽)
★適応症及び病名(けいしかこうぼうきょうにんとう) [1]インフルエンザ
[2]悪風
[3]咳逆(夜間咳逆)
[4]感冒:☆感冒性疾患にして、自汗出、或いは悪寒し、喘咳し、微煩して脈浮数なる証。《奥田謙蔵》
[5]気管支炎:☆老人の軽症気管支炎。《奥田謙蔵》
[6]気管支喘息:☆無熱の喘息。☆喘息の初起。《奥田謙蔵》☆哮喘《方読便覧》
[7]胸痛
[8]胸満
[9]自汗
[10]頭痛
[11]喘咳(ケイレン性の咳嗽):☆下後腹痛虚脹し、喘咳を発し、微汗ありて脈尚数なる証。《奥田謙蔵》☆後世の参蘇飲を用いる処に効あり。軽邪にて喘する者に用いる。しかし小青竜湯の如く水気ある者には用いない。持病に喘息ある人、初起に用いる、風邪をひいて起きそうな時に用いる《百疢一貫》
[12]喘鳴:☆虚弱な人で、かぜをひくと、すぐ喘鳴を訴え麻黄剤を使用しにくい場合に用いる《大塚敬節》
[13]熱性病初期
[14]肺気腫
[15]肺結核症
[16]発熱
[17]鼻カタル
[18]腹痛(寒冷・咳嗽で増悪する)
[19]腹満
[20]麻疹初期
[21]老人のかぜによる咳 #桂枝加芍薬湯[1-1]《傷寒論》「桂枝(去皮)3両、芍薬6両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚、生姜(切)3両」
右五味、以水七升、煮取三升、去滓、温分三服。本云桂枝湯、今加芍薬。◎本太陽病、医反下之、因爾腹満時痛者、属太陰也、桂枝加芍薬湯主之。大實痛者、桂枝加大黄湯主之。《傷寒論》辨太陰病脉證并治第十。《傷寒論》辨発汗吐下病後脉證并治第二十二。
○桂枝湯証にして腹拘攣甚だしき者を治す《方極》 ○按ずるに「甚」は、まさに「劇(はげしき)」に作るべし。「腹」の字はまさにこれを刪る拘攣は豈ただ「腹」のみならんか《方極刪定》
#桂枝加芍薬湯《傷寒論》《漢方治療の実際》「桂枝湯」の芍薬を6とする。 ◎桂枝湯証にして、拘攣劇しき者を治す《方極附言》◎桂枝湯証にして腹拘攣甚だしき者を治す《方極》◎病人、攣急して時に痛み者は、桂枝加芍薬湯之を主どる《医聖方格》◎腹痛或いは下痢《龍野ー漢方処方集》
◎目標:「胃下垂症などがあって、腹部で振水音を証明し、ガスが充満していて、腹満はあるが、腹部に充実感のない者」《大塚敬節》
【腹証】《腹証奇覧翼》“桂枝湯の腹状で、一等張りが強く、三指で按ずるに、筋ぱり引きつるものがある。この証は腹満とあるけれども実の腹満ではない。腹皮が拘攣して張り満つるものである。それ故、按じても底に答えるものがない”《大塚敬節》“この方を用いる腹満は、大承気湯などを用いる腹満と異なり、腹直筋が緊張して腹部の表面を硬くふれるが、腹全体は弾力に乏しく内部に充実した感がない”
★適応症及び病名 (けいしかしゃくやくとう)[1]移動性盲腸
[2]胃腸炎(急・慢性)
[3]悪風:☆此方に附子を加えて、桂枝加芍薬附子湯と名付ける。桂枝加芍薬湯の証にして、悪寒する者を治す。又、腰脚攣急し、冷痛、悪寒する者を治す《類聚方広義》
[4]かぜ:☆からだの弱い小児の感冒で頭痛もあるという場合、桂枝加芍薬湯を用いてよいことがある。このさい心下部の痛むこともあり、臍傍の痛むこともある。脈は緩で顔には赤味がある。もしこれに動悸が伴うと小建中湯を用いる《大塚敬節》
[5]咳嗽により誘発された腹痛:☆咳嗽頻発するが為に腹筋攣急、疼痛する者に、此方を権用す《奥田謙蔵》
[6]潰瘍性大腸炎
[7]過敏性大腸症候群
[8]ケイレン性便秘
[9]結核性腹膜炎
[10]下痢:(泥状・粘液便)☆46歳男性。裏急後重を伴う下痢があり、20分ぐらいの間隔で便通があった。白い粘液がたくさん出る。大便をガマンしていると、身震いが来る。腹痛はほとんど無い。食欲はあるが、味がよく分からない。口臭はあるが舌苔はない。口渇が少しある。大便のたびごとに尿が出る。脈は左手では浮大、右手では沈小弱である。腹満がある。診断は大腸炎である。右手の脈をみる。真武湯の証のように見える。しかし真武湯の証にしては裏急後重が強すぎる。左脈は浮大であるが力がない。いずれにしても大黄は禁忌である。そこで桂枝加芍薬湯を用いることにした。3日分の服用で、大便は1時間半から2時間に1行となり、大いに気分が良いという。更に3日分を与え全治した。《大塚敬節》
[11]限局性腹膜炎
[12]原因不明の腹痛
[13]痔核
[14]痔瘻:《奥田謙蔵》
[15]しぶり腹
[16]食中毒
[17]大腸炎:☆軽症の大腸炎で、腹痛、下痢があって、裏急後重を兼ねる者に用いる。裏急が強いときは大黄で用いる。《大塚敬節》
[18]大腸カタル
[19]脱肛
[20]腸炎・腸カタル
[21]腸結核
[22]直腸潰瘍
[23]虫垂炎 ☆軽症に用いる。腹部が一体に膨満し、腹痛は右側下部に限局しているが、脈が緩で、全身状態の良い者に用いる。慢性の者にも用いる(漢方診療医典)
[24]登校拒否 ☆虚弱な児童で反復性の臍疝痛や下痢、便秘がみられるものを目標に用いる。脈は弱く、腹部は膨満、腹直筋は拘攣して硬くツッパリ、棒を2本立てたようにみえる(漢方診療医典)
[25]熱性下痢:乳幼児下痢症 ☆軽症の大腸炎で腹痛、下痢があって裏急後重をかねる者に用いる(漢方診療医典)
[26]発熱:☆発汗の後、微熱尚去らず、腹軟にして虚脹し、之を按ずれば痛み、或いは下痢する証。《奥田謙蔵》
[27]腹直筋拘攣 ☆胃下垂症などがあって、腹部で振水音を証明し、ガスが充満していて、腹満はあるが、腹部に充実感が無い者を目標とする。このような場合、多くは腹直筋が緊張して触れる。そしてこの場合には脈にも力がない《大塚敬節》
[28]腹痛 :<自発痛・圧痛>☆消化不良に因する腹痛等。《奥田謙蔵》☆43歳女性。いままで大病に罹ったことはない。1/21の夕刻。突然、激しい腹痛を覚えたので、近くの胃腸専門の医師を招いて注射をしてもらった。医師は軽い虫垂炎だから盲腸の部を冷罨法するように指示した。ところが、この夜また腹痛に堪えられなくなり医師を呼んで注射をしてもらった。その翌日も2回。其の次の日は3回も鎮痛剤の注射をうけた。そして駆虫剤を飲まされた。
其の次の日、発病5日目に、私に往診を依頼してきた。初診時の症状は次のようであった。患者は腹痛のため、苦悶の状態であるが、4日間ほとんど眠らず、飲食物もほとんど摂っていないのに、あまり衰弱していない。顔色は比較的よい。脈は大きくて緩である。体温は37℃。悪寒も発汗もない。足は冷たくはないが、湯たんぽを入れている。唾液が無いため言葉が出にくい。腹部は膨満していて、どこを圧しても痛む。特に回盲部の圧痛が強い訳でもない。
虫垂炎という診断はおかしい。腸捻転にしては、脈がよすぎるし、一般状態もよすぎる。大した病気でもないものを、誤治によって、こんなことにしてしまったのではないかと考える。
病名の判断はつかなくも、漢方では治療方針がたつ。この患者には、腹満、腹痛、便秘、口乾があるが、便秘は医師が続けてやった鎮痛剤のために、腸管の運動が制限せられた結果であろうし、口乾もまたロートエキス内服剤が入っているためであろう。腹満の甚だしいのは、5日間便秘していることも原因であろう。そう考えてみると、腹満、便秘があっても、うっかり大承気湯のようなもので下すのは危険である。その証拠が脈に現れている。大にして緩という脈は、下剤を用いる脈ではない。ただここで注意しなければならないのは、《金匱要略》に“腹満があって、これを按じて痛む者は実であり痛まない者は虚である”という条文があり、この患者は按圧しても痛むから実証ではないかという疑問が生まれる。実証であれば下剤の入ったもので下さなければならない。ところで、私の経験では、結核性腹膜炎などは、腹満もあり、按圧すれば痛みもあるが、実証として下剤を用いて良い場合は、ほとんど無い。してみれば、この条文も無条件で参考にしてはならない。
さて、こんな風に考えて、私はこの患者に桂枝加芍薬湯を与えることにした。この薬方は《傷寒論》の太陰病篇に出ていて、腹満、腹痛があり、嘔吐や下痢のある場合に用いることになっているが、嘔吐や下痢がなくても消化機能が衰えておれば用いて良い。
私はこの患者は大黄の入った下剤で下すような裏実の証ではなく、裏虚の証と診断したから、桂枝加芍薬湯を用いたのである。もし手足が冷たく、脈が弱く、腹満がなければ真武湯を用いてかもしれないが、この患者は手足は冷えないし、脈は大で緩であったから真武湯を否定した。緩脈はゆっくりした落ち着いた脈で、病気が重篤でないことを示している。
患者はこれを飲むと3時間ほどで、次から次ぎと放屁が出て、腹痛は大いに軽快した。翌日も引き続き腹痛はときどき起こったが、非常に軽くなった。其の夜、8時頃、黒褐色の軟便がたくさん出た。気持がよくなった。其の夜はよく眠れた。
翌日は食欲も出て、毎日自然便があるようになり、腹満も去り、みずおちに少し圧痛が残り、少しつかえる気味だという。そこで半夏瀉心湯に転方した。これを5日分飲むと、胃のつかえは良くなったが、便秘するようになり、下腹が張るという。そこでまた桂枝加芍薬湯とし、これを7日間飲んで患者は病気を忘れた。《大塚敬節》
[29]腹膜炎
[30]腹満:<虚満>☆或いは発汗し、或いは下して後、熱候去り、腹柔軟なるも虚脹し、或いは疼痛を発し、便通に著変無き証。《奥田謙蔵》 ☆傷寒論では腹部が膨満して時々腹痛を訴える者に用いている。この方を用いる腹満は大承気湯などを用いる腹満と異なり、腹直筋が緊張して腹部の表面を硬くふれるが、腹全体は弾力に乏しく内部に充実した感がない。腹証奇覧翼では“桂枝湯の腹状で、一等張りが強く、三指で按ずるに、筋ばり引きつるものがある。この証は腹満とあるけれども実の腹満ではない、腹皮が拘攣して張り満つるものである。それゆえ按じても底にこたえるものがない”と説明している
《大塚敬節》
[31]ヘルニア ☆還納性ヘルニアで、しばしば腫瘤状となり、時々腹が張って腹痛を訴える者に用いてよい。やせ型の老人によく奏功する(漢方診療医典)
[32]慢性大腸炎
[33]脈: <浮弱>
[32]盲腸炎
[34]腰痛症:☆腰痛を発する証。《奥田謙蔵》
[35]裏急後重 :<軽> ☆軽症の大腸炎で、腹痛、下痢があって、裏急後重を兼ねる者に用いる。裏急が強いときは大黄を加えて、桂枝加芍薬大黄湯を用いる。ともに、腹直筋が緊張して膨満の傾向がある。
46歳男子、8日前より裏急後重を伴う下痢があり、20分ぐらいの間隔で便通があった。白い粘液が沢山出る。大便をガマンしていると、身震いがくる。腹痛はほとんど無い。食欲はあるが、味がよく分からない。口臭はあるが舌苔はない。口渇が少しある。大便のたびごとに尿が出る。脈は左手(浮大)右手(沈小弱)。腹満がある。診断は大腸炎である。
右手の脈を診ると真武湯の証のように見える。しかし真武湯の証にしては裏急後重が強すぎる。左脈は浮大であるから力がない。いずれにしても大黄は禁忌である。そこで桂枝加芍薬湯を用いることにした。3日分の服用で、大便は1時間半~2時間に1行となり、多いに気分が良いという。更に3日分を与え全治した。」
《大塚敬節》 #桂枝加芍薬生姜人参湯《傷寒論》⇒「桂枝加芍薬生姜各一両人参三両新加湯方」。「桂枝(去皮)3両、芍薬4両、甘草(炙)2両、人参3両、大棗(擘)12枚、生姜4両」右六味、以水一斗二升、煮取三升、去滓、温服一升、本云桂枝湯、今加芍薬生姜人参。◎発汗後、身疼痛、脉沈遅者、桂枝加芍薬生姜各一両人参三両新加湯主之。◎按ずるに、当に心下の痞硬、或いは拘急、或いは嘔の証有るべし。《吉益東洞》
桂枝加芍薬生姜人参新加湯は、その証具らざるなり。その発刊後、身疼痛を云ふは、是れ桂枝湯の証なり。然れば則ち芍薬生姜人参の証闕くるなり。《薬徴》◎桂枝加芍薬湯証にして、心下痞硬し、及び嘔する者を治す。《方極附言》◎疝家、寒熱こもごも作り、心下痞硬し、胸腹攣痛して嘔する者を治す《類聚方広義》◎身痛、脉沈遅の者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名 (桂枝加芍薬生姜人参湯)[1]嘔吐:☆諸種の嘔吐、心下痞硬し、脈沈遅なる証。《奥田謙蔵》
[2]肩こり①首の真後ろがら、背中にかけて凝る。②虚証。 [3]頭痛:☆発汗の後、頭痛して尚微熱有り、四肢疼重倦怠を覚える証。《奥田謙蔵》
[4]腹痛:☆発汗法を行いて後、腹微満して痛み、或いは乾嘔を発し、或いは身体痛み、或いは尚少しく汗出づる証《奥田謙蔵》☆腹痛し、或いは乾嘔し、四肢拘急し、微汗出づる証。《奥田謙蔵》
☆腹痛、四肢拘攣し、心下痞塞の感ありて食思無き証。《奥田謙蔵》 #桂枝加芍薬大黄湯[1-1]《傷寒論》 =桂枝加大黄湯「桂枝(去皮)3両、大黄2両、芍薬6両、生姜(切)3両、甘草(擘)12枚」右六味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升、日三升。◎本太陽病、醫反下之、因爾腹満時痛者、属太陰也、桂枝加芍薬湯主之。大實痛者、桂枝加大黄湯主之。
《傷寒論》辨太陰病脉證并治第十 「大實痛」=便秘して腹がひどくいたむ。 #桂枝加芍薬大黄湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》「桂枝湯」の芍薬を6とし、大黄1を加える。◎桂枝湯の証にして腹拘攣甚だしく、而して停滞有る者を治す《吉益東洞》◎桂枝加芍薬湯証にして、腹中大実痛する者を治す。《方極附言》◎腹中攣急し、大実痛する者は、桂枝加大黄湯之を主どる。《医聖方格》◎此方に附子を加えて、桂枝加芍薬附子大黄湯と名付ける。疝家、発熱、悪寒し、腹中拘攣し、痛腰脚に引き、或いは陰卵惞腫し、二便不利の者を治す。又、乾脚気、筋攣骨痛し、或いは十指冷痺指、大便難なる者を治す《類聚方広義》◎此方は温下の祖剤なり。温下の義《金匱要略》に出で、寒実の者は是非此の策無ければならぬなり。《勿誤薬室方函口訣》◎此方の一等重き者に:「厚朴七物湯」◎虚証の腹満腹痛、便秘又は下痢《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名 (桂枝加芍薬大黄湯)[1]移動性盲腸
[2]過敏性腸症候群
[3]篏頓ヘルニア:「附子」
[4]感冒:☆感冒に食物停滞を兼ねる証。《奥田謙蔵》
[5]急性腸炎 ☆下痢の回数は多いが、1回の量は少なく、腹痛と裏急後重があって、たえず便意を催す者に用いる。多くは左腹部の腹壁は緊張して、圧痛があり、あるいはS状部に索状物を触れることがある(漢方診療医典)
[6]月経困難:☆月経が快通せず、桂枝茯苓丸でもやろうというような証で、疼痛の強い者にこの方を用いることがある。《大塚敬節》
[7]下痢:☆寒熱無く、腹痛後重する者を治す《雑病翼方》☆腹拘攣微痛し、熱無く、下利快通せざる者。
[8]痔
[9]子宮内膜炎:「附子」
[10]大腸炎
[11]胆石症:「附子」
[12]胆嚢炎:「附子」
[13]虫垂炎:<急性・慢性>
[14]腸疝痛(腹満感ある)☆腸疝痛等にして、腹満緩ある所為《温病条弁》。《奥田謙蔵》
[15]尿路結石:「附子」
[16]熱性下痢:☆熱性下痢、或いは赤痢等にして、下痢すること1日に10数回、腹痛甚だしく、脈浮数にして力無き証。《奥田謙蔵》
[17]冷え症
[18]腹痛:☆小児、宿食化せずして腹痛する者を治す。若し嘔する者は大黄を倍す。凡そ此方を用いるには、宜しく大黄を倍加すべし。《類聚方集覧》
☆腹全体が膨満し、ことに下腹がふくれて、この部を按圧して痛みの強い者に用いる。《大塚敬節》
[19]腹部の圧痛
[20]腹部の抵抗
[21]腹膜炎:(慢性)
[22]腹満:<虚証>虚満☆時に痛む。☆《傷寒続論》に曰く、吐すが如くして吐せず、利せんと欲す、桂枝加芍薬湯。利せず、上下通ぜず、腹満痛して頭疼発熱する者は桂枝加芍薬大黄湯と、これ乾霍乱なり。《雑病翼方》
[23]不眠症:☆某、年20有餘。腹中拘急し、大便硬く、飲食常の如し、ただ眠らんと欲し、眠る能わず、来たって診を余に乞う。診にて曰く、子の眠る能わざるは心気の為す所に非ず。その病胃中に在り、経に曰く、胃不和なれば則ち臥安からずと、是なり。乃ち桂枝加芍薬大黄湯を与え、一剤にて知り、九剤にして癒える《先哲医話》☆この方は、夜が来ると、腹が張って安眠できないという者によい。便秘しなければ桂枝加芍薬湯でよい《大塚敬節》☆20歳余、腹筋が緊張して硬く、便秘し、食欲はいつもと変わりないが、眠ろうとして眠ることが出来ない。
そこで不眠の原因が腹にあるとして、この方を与えたところ、1日分で効果があり、9日分で全治した。《荻野台州》☆直腸癌を疑われるような症状で、大便が快通せず、粘血便が出て、夜が更けると、下腹部が膨満して、眠れないという者に、この方を用いた。すべての症状が消失して、安眠を得るようになった。《大塚敬節》
[25]便秘:<常習> ☆便が切れぎれ・すっきり出ない・細い。☆脈緩にして滑、時々発熱し、下腹部拘痛し、便通頻繁にして渋痢する証。《奥田謙蔵》☆腹が張って大便が快通せず、下剤を用いると、渋り腹になったり、腹が痛んだりして快通しない者に良い。《大塚敬節》
☆腹部は膨満し、腹直筋は緊張していることが多いが、腹部は弾力に乏しく、大柴胡湯や大小承気湯のように充実した感じが少ない。又、脈にも力がない。《大塚敬節》☆胃下垂症・胃アトニー症・腸管狭窄症などから来る便秘に用いる機会がある《大塚敬節》
☆大黄の量は1日量0.3g~1.0gくらいで効くことが多い。《大塚敬節》☆44歳女性。長い間、便秘に苦しんでいる。下剤を飲むと通じはあるが、腹が痛んでとても気持ち悪い。下剤を飲まないと1週間でも通じない。そのためが腹が張ってときどき軽い腹痛があり、腰痛もある。月経は正常である。腹診すると、腹部は一体に膨満して下腹部はことに脹っている。腹直筋はやや緊張している。胸脇苦満はない。私はこれに桂枝加芍薬大黄湯を与えた。大黄は1日分0.7gを入れた。これを飲み始めて、2日目、自然便のような気持ちよい通じがあり、中1日をおいて、また気持ちよい通じがあり、その後は1日置きによい便が出るようになり、腰の痛みも取れ、腹も脹らなくなった。しかし薬を止めると便秘するので、3ヶ月ほどの間は、毎日これを呑んだ。それから後は飲まなくても自然に通じがあるようになった。《大塚敬節》
[26]慢性関節リウマチ:「附子」
[27]卵巣炎:「附子」
[28]裏急後重:☆痢病の熱邪薄く裏急後重する者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》☆発汗の後、5、6日を経て尚微悪寒し、脈少しく浮にして腹満あり、稍や下痢して裏急後重の状有る証。《奥田謙蔵》☆裏急後重あって熱症無く、日に三四回下痢する者:「乾姜」☆熱あるとき:「葛根湯」☆大黄剤が使えない者:「建理湯人参茯苓」
[29]赤痢
#桂枝加朮烏湯 ◎骨槽風、久瘡口収まらない者を治す《方読便覧》
#桂枝加朮附湯[1-1]《吉益東洞》《龍野ー漢方処方集》「桂枝・芍薬・大棗・生姜各3.0g、白朮4.0g、甘草2.0g、白川附子1.0g」
#桂枝加朮附湯[1-2]《吉益東洞》《漢方治療の実際》「桂枝湯朮4、附子0.5」◎麻痺、疼痛。
★適応症及び病名(桂枝加朮附湯) [1]結毒流注:☆「烏薬消毒丸」《方読便覧》
[2]産後の疾患:☆産後、脚の立たざる症に本方or「大黄附子湯」《橘窓書影》☆産後ならびに諸病後に、脚の立たざる症あり、桂枝加朮附湯或いは大
黄附子湯を用い、証に随って紫円を時々用ゆべし、本症はとかく附子がよろし《老医口訣》
[3]小児麻痺
[4]耳聾: ☆「桂枝加朮苓烏頭湯応鐘散」《方読便覧》
[5]神経痛
[6]脊椎カリエス:☆久漏瘡、枯骨となり癒えざる者:烏薬消毒丸」
[7]脊椎脊髄腫瘍
[8]打撲:☆(年月を経るもの)《勿誤薬室方函口訣》☆年月を経たる者:「梅肉散」《雑病翼方》
[9]脱疽(激しい痛み): ☆「荊芥」《勿誤薬室方函口訣》
[10]半身不随
[11]附骨疽:☆実する者を治す「烏薬・角石」《方読便覧》 [12]慢性関節リウマチ:☆冷え症で血色悪く、筋肉に緊張が弱い。[13]関節痛
[14]脳溢血後遺症:
☆《大塚敬節》“患者は65歳の痩せた男子で、7ヶ月前に脳出血で倒れ、その後、右半身不随を訴え、目下は杖をついて、どうにか歩ける程度であるが、右手は箸を持つことが難しい。手にも足にも、シビレ感があり、冷えて困るという。大便は1日1行脈は弦浮大 臍上で動悸が亢進し、腹筋は一体に緊張している私はこれに桂枝加朮附湯を与えた。附子は1日量0.5を用いた。ところが、これを飲むと妙なことがおこった。ある日、患者の長男だという40歳ぐらいの方が、私の診察室をおとずれ、「あの薬はたいへんよく効いて、おかげさまで、父はとても元気になりましたが、母から苦情が出ました」という。その苦情というのは、あの薬を飲み始めて20日ほどたつと、父親が毎晩、母に乗りかかって、そのために母が眠れないので何とかしてほしいというのである。附子に性欲を亢進せしめる力のあることは聞いていたが、その効果に私はおどろいた”
☆やや虚証の人で、冷えや湿気により痛みの増強するもにに用いられる(漢方診療医典) [14]強皮症
☆虚証で、レイノー症状、四肢関節の疼痛、腫脹、筋肉痛のある者に用いる(漢方診療医典) #桂枝加朮附合強神湯《本朝経験》《龍野ー漢方処方集》「桂枝・芍薬・大棗・白殭蚕各3.0g、白朮4.0g、甘草・棕櫚草各2.0g、紅花
1.5g、白川附子・干姜1.0g」
★適応症及び病名(桂枝加朮附合強神湯)[]脳血栓[]脳出血[]半身不随 #桂枝加附子湯[1-1]《傷寒論》「桂枝(去皮)3両、芍薬3両、甘草(炙)3両、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚、附子(炮去皮破8片)1枚」右六味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升。本云桂枝湯、今加附子、將息如前法。◎太陽病、発汗、遂漏不止、其人悪風、小便難、四肢微急、難以屈伸者、桂枝加附子湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。 #桂枝加附子湯[1-2]《傷寒論》 =桂枝附子湯《東醫寶鑑》「桂枝・附子(炮)各3銭、白芍薬2銭、甘草(炙)1銭、薑5片、棗2枚」水煎服用。◎傷寒で汗が多くて止まらず、四肢が拘急するとき。
#桂枝加附子湯[1-3]《傷寒論》◎「桂枝湯附子0.5」《漢方治療の実際》◎桂枝湯の証にして悪寒あるいは支節微痛する者を治す。《吉益東洞》桂枝附子湯は、桂枝を用ふること桂枝加附子湯よりも多くして上衝の証なし。蓋し闕文なり。桂枝加附子湯条に、猶ほ桂枝の証あり。いわんや此の湯において桂枝の証なかるべけんや。
○微痛の下に、おそらくは「以て屈伸し難き」の4字あらん《方極刪定》
◎桂枝湯証にして、悪寒し、及び肢節微痛し、以て屈伸し難き者を治す。《方極附言》
◎病人、汗漏れて止まず、その人悪寒し、四肢微急し、以て屈伸し難く、或いは小便難なる者は、本方之を主る。《医聖方格》
◎中風偏枯、痿躄、痛風、小便不利、或いは頻数なる者を治す。又、黴瘡、結毒、筋骨疼痛し、諸瘍疽、瘀膿尽きず、新肉生せず、遷延して癒えざる者を治す。応鐘、伯州、七宝、十幹、梅肉の類、宜しきに随ひて之を兼用す」《類聚方広義》
◎此方も汗出悪風に用いるのみならず、その用広し。《勿誤薬室方函口訣》
◎この方は桂枝湯に附子を加えたもので、烏頭桂枝湯とその組成はよく似ている。 「桂枝湯烏頭・蜜」=烏頭桂枝湯 「桂枝湯附子0.5」=桂枝加附子湯
★適応症及び病名(桂枝加附子湯)[1]運動麻痺:☆足痿弱、歩行する能わざる者に「紫円」兼服して速やかに癒える。《吉益東洞》☆偏枯、老壮年を論ぜず、用いるべし。その急迫する者は「紫円」を以て之を下す。《先哲医話》☆中風偏枯、発作時あるは多く癇家に属す。:「白朮茯苓」。時々「紫円」を以て之を下す。《先哲医話》☆発汗を行いて病尚解せず、手足拘急し、歩行するを得ざる証。《奥田謙蔵》
[2]悪風
[3]肩関節周囲炎
[4]関節痛:☆関節「ロイマチス」、及びその類似疾患にして、熱候なき等の証。《奥田謙蔵》
[5]寒疝:☆寒疝、心腹疼痛、手足厥冷、身体拘急するを治す《療治茶談》☆この方はもと《傷寒論》に出た方であるが、尚因は寒疝と治する最上の神方だとして、これで神効をとるという。これはこの人の使い覚えである。自分も尚因の経験にたよって用いてみたが、著効を得たことがたびたびある。但し、甘草をこの通りに入れては甘すぎて病人が嫌がることが多い。また、この方に呉茱萸を加えると更に効力を増すものである。《療治茶談》
[6]感冒
[7]口眼喎斜:☆偏枯口眼喎斜する者「控涎丹」《山脇東洋》
[8]こわばり:☆発汗が過ぎて体液が減少し、小便が出しぶり、四肢がひつれる者に用いる《大塚敬節》
[9]産後の疾患:☆産後の漏汗、四肢微急に用いる。《勿誤薬室方函口訣》☆風湿、汗出て止まず、小便難、四肢微急し、以て屈伸し難き者を治す。《備急千金要方》☆産後営血虚損し、汗出で日に止まず、形体困怠するを治す。:「地黄」《聖済総録》☆産後風湿にて虚汗止まず云々を治す。《備急千金要方》
[10]自汗:☆陽虚し自汗するを治す《葉氏録験方》
[11]四肢疼痛:☆烏頭湯や烏頭桂枝湯の場合のように激しくない。《大塚敬節》☆《傷寒論》“太陽病を発汗したところ、それから引き続いて汗が漏れ止まず、悪風を訴え、小便が出にくく、四肢が少しつれて屈伸するのに骨の折れるのは、桂枝加附子湯の主治である”というところにヒントを得たものである《大塚敬節》☆1男子、41歳。4、5年前から、膝が少し痛んだ。しかし年中痛むのではなく、時々起こる程度であった。ところが今年になって、両方の膝が痛むようになった。右は軽くて左はひどい。膝の痛む時は、胸の方も冷えて痛む。又、左の肩背が凝って、シビレ感があり、腹筋は拘攣し、右胸下に痞硬があり、左臍傍に停水があって鳴る。頭汗があり、呼吸促迫の気味もあり、脈は弦数である。先生はこれを診察して、《備急千金要方》の半夏湯の証に似ているが、これはきっと桂枝加附子湯の証であろうと、これを与えたところ、数服飲んだだけで全治した《豊浦遺珠》
[12]紫斑病 ☆単純性のもので、数ヶ月、軽微の出血がつづき、手足が冷え、倦怠感のあるものに用いて效を得た(漢方診療医典)
[12]痔瘻
[13]小児麻痺
[14]神経痛:☆神経痛或いは麻痺性疾患にして、熱候著しからざる等の証。《奥田謙蔵》
[15]頭痛
[16]脱汗
[17]打撲の疼痛
[18]堕胎後の疾患:☆堕胎後の陰痙、筋脈攣し屈伸し得ず、脈虚微なる者を治す。《本朝 経験》
[19]知覚麻痺:☆微熱ありて自汗出で、尿利減少し、手足脱するが如き感あり、脈浮にして力無き証。《奥田謙蔵》
[20]中耳炎
[21]手足冷たい
[22]盗汗
[23]尿不利:☆大汗出でて寒熱去らず、身体微痛し、尿不利、脈浮にして弱なる証。《奥田謙蔵》
[24]脳出血
[25]冷え性:☆虚弱な、血色のすぐれない冷え症も者に用いる《大塚敬節》 ☆冷え症で、夏でも足袋をはかないと板の間を歩けないとか、足が冷えると腹が張って痛むなどという者に用いる《大塚敬節》
[26]皮膚潰瘍
[27]皮膚掻痒:☆身体に瘙痒を覚え、これを掻くに鈍麻感ある等の証。《奥田謙蔵》
[28]皮膚化膿症(滲出液)
[29]腹痛:☆寒疝(寒冷or冷物を食して腹痛する)を治す。☆寒疝気を治す:「川楝子・茴香」《方読便覧》☆疝による腹痛には、この方の応ずる者が多い《津田玄仙》☆この方を用いる腹痛と当帰四逆加呉茱萸生姜湯を用いる腹痛との区別はむつかしいほどよく似ている。ともに冷え症で、足が冷えても腹が痛むと言う者がある。夏でも足袋をはかないと板の間を歩けないという者もある。《大塚敬節》☆57歳の背の高い中肉の男性。2年前に胃潰瘍の手術を受けたが、その後、下腹部がつれるように痛み、疲れると下痢する様になった。冬になると下腹部の痛みが強くなり、夜はことに激しく痛み、そのために安眠出来ないという。痛む場所は臍の両側で、腹直筋の外側に沿って、鼠径部に及んでいる。腹直筋は攣急し、臍の上で振水音を証明し、腹部は全般的に軟弱で、按圧すると、あちこちでグル音がする。食欲は普通にあり、大便は1日1行ある。足がよく冷える。脈は遅弱である。私はこれに桂枝加附子を与えが、翌日から腹痛が軽くなり、夜間も安眠できるようになった。しかし休薬するとまた痛むので、3ヶ月ほど続けて飲み、いつしか痛みを忘れてしまった。ところがその翌年も1月になると、同じ様な症状で来院した。この時も同じ処方を用い、3週間で良くなった。そのあと下痢の傾向があり、時々下痢するので真武湯を与え、これですっかりよくなった。《大塚敬節》
[30]慢性関節リウマチ
[31]慢性副鼻腔炎 #桂枝去桂加白朮湯《金匱要略》「白朮2両、附子1枚半、甘草1両、生姜1量販、大棗6枚」 右5味、以水3升、煮取1升、去滓、分温3服。1服覚身痺、半日許再服、3服都盡、其人如冒状、勿怪、是朮附並走皮中、逐水氣未得除故耳。
◎傷寒89日、風湿相搏、身體疼煩、不能自轉側、不嘔、不渇、脉浮虚而濇者、桂枝附子湯主之。若其人大便鞕、小便自利者、去桂枝加白朮湯主之。 =桂枝去桂加朮湯
「《金匱要略》の白朮附子湯は、すなわち《傷寒論》中の桂枝去桂加朮湯にして、分量はその半を減ずるなり。蓋し朮、蒼白を別つは古にあらざるなり。故に今、方名を称するには《傷寒論》に従ふ。《外台秘要》の朮附湯もまた同方にして、分量は古にあらざるなり、みな従うべからず《薬徴》」
「桂枝去桂加朮湯」(附子3枚、白朮4両、生姜3両、甘草2両、大棗12枚)
「白朮附子湯」(白朮2両、附子1枚半、甘草1両、生姜1量販、大棗6枚)
「朮附湯」(白朮3銭、附子2銭、甘草1銭、姜3、棗2) #桂枝加竜骨牡蛎湯[1-1]《金匱要略》=「桂枝竜骨牡蛎湯」「桂枝・芍薬・生姜各3両、甘草2両、大棗12枚、竜骨・牡蠣各3両」右七味、以水七升、煮取三升、分温三服。◎脉得諸芤動微緊、男子失精、女子夢交、桂枝加竜骨牡蠣湯主之。《金匱要略》血痺虚労病脉證并治第六。◎原文解説:「失精家」=夢精・遺精のある人の意。《大塚敬節》「小腹弦急」=下腹の腹直筋の突っ張っていること。《大塚敬節》「脉芤」=大きく幅のある脈で外側が硬く、内がうつろの感じの脈で、古人は葱の切り口に指をあてた感じの脈だと述べている。《大塚敬節》
#桂枝加竜骨牡蛎湯[1-2]《金匱要略》=「白竜湯」《万病回春》◎「桂枝湯竜骨・牡蛎各3」《漢方治療の実際》◎桂枝湯の証にして胸腹動ある者を治す《吉益東洞》
○「胸腹」の下に、まさに「臍下」の2字あるべし《方極刪定》 ◎病人、頭痛、身疼し、或いは小腹弦急し、休作時有り、而して汗出で、男子失精し、女子は夢交し、しばしば盗汗する者は、桂枝加竜骨牡蛎湯之を主どる。《医聖方格》
◎鑑別:小建中湯「桂枝加竜骨牡蛎湯はおよそ小建中湯の証で動悸の亢ぶる者に用いる。この動悸は胸から腹にあるものである。この症には遺精などがありがちであるが、癇にこの方を用いるときは、遺精を目的にせずに、動悸を目標にしてやるものである。しかしみずおちが塞がるから多くは遺精がある。この方の証は虚証の癇症である。富貴・安佚の人に多くあるものである。さて心中煩悸という症状は小建中湯にもあるけれども、この方の心中煩悸のところへ小建中湯を用いてみるに、悪くはないが効はない。この証には、不眠、往来寒熱、夜夢みることが多いという症状などもある。
桂枝加竜骨牡蛎湯は、今云う癇症に多くあるもので、健忘でも癲狂でも不眠でも、腹中が拘急して動悸の亢ぶる者に用いる。いずれ小建中湯の証で動悸の亢ぶる処にゆくものと心得て良い。動悸がさほど無い者には小建中湯が良い。
小建中湯も今云うところの癇に多く用いられるもので、これは軽重といって良いものだが、ただ、心中煩悸の症があれば小建中湯でよいが、これを按じて胸腹に動悸が強ければ桂枝加竜骨牡蛎湯の証である。また動悸のあるところに小建中湯などを用いてみても、効が無いから、小建中湯に茯苓を加えて茯苓建中湯として用いみるに、それでも治まらないものである。いずれこれは龍骨牡蠣でなければならないとみえる。
後世に怔忡と名付けたのは、煩悸のことである。動悸が強いと怔忡がそうものである。また動悸が強くても怔忡のそわないものもある。怔忡のことを心怯ともいう。動悸も怔忡も治法は1つで、小建中湯や茯苓甘草湯のゆくことがある。《方輿輗》
【腹証】《長沙腹診考》“1書生、年20ばかり、気鬱閉、短気ことに甚だし、診するに上逆して胸腹動あり。桂枝加竜骨牡蛎湯を与えて治す” ★適応症及び病名
(桂枝加竜骨牡蛎湯)[1]汗が出やすい[2]インポテンツ:☆固精起陽《方読便覧》[3]息切れしやすい[4]遺精:☆上衝し、胸腹部に動悸有り、下腹部痛み、眩暈し、脱毛多く、不眠、遺精等を発する証。《奥田謙蔵》☆事に触れて驚き易く、時に冷汗を出し、遺精の傾向あり、全体虚弱にして腹力無き等の証。《奥田謙蔵》☆気力衰え、面色青白、少しく身体を労すれば夢交遺精を発する証。《奥田謙蔵》[5]遺尿:☆小児の遺尿に《浅田宗伯》☆私はこれを遺尿症に用いる時は、臍部の動悸の亢進と神経質で物に感じやすい点や寝ぼけるというところに注目している。《大塚敬節》
[6]萎縮腎[7]陰痿:☆陰痿にして、下腹部強急の証ある者《奥田謙蔵》☆神経症状がない者には→「八味地黄丸」を考える。[8]陰茎硬直症[9]陰頭<寒冷>[10]円形脱毛症[11]驚きやすい(易驚)[12]顔色が悪い[13]下腹部のひきつれ(少腹弦急)
[14]下腹部軟弱無力 [15]眼精疲労 ☆かすみ目、のぼせ、足の冷え、不眠があり臍上に動悸、腹直筋緊張があるもの(漢方診療医典)
[15]期外収縮 [16]気の上衝:<+++>[17]逆上 [18]狭心症[19]胸腹の動悸 [20]虚労 [21]月経不順 [22]下痢 [23]眩暈
[24]健忘症☆癇症で、腹中が拘急し、動悸がたかぶる者《荒木正胤》☆癇症で、動悸がなければá「小建中湯」が良い。《方輿輗》 [25]コルサコフ症候群
[26]交感神経緊張症[27]口唇乾燥[28]高血圧症[29]更年期障害[30]興奮しやすい[31]座骨神経痛[32]四肢倦怠[33]しびれ[34]耳鳴[35]自汗[36]自律神経失調症状 [37]小便閉:☆諸薬無効の者に特効あり《和田東郭》[38]小便頻数:☆尾州殿の老女、年60歳、小便頻数、1時間に5~6度上厠、少腹弦急して、ほかに苦しむ所無し。此方を長服して癒える。《勿誤薬室方函口訣》[39]小児ケイレン [40]食が細い
[41]女子夢交[42]神経症:☆神経過敏☆神経衰弱☆桂枝加竜骨牡蛎湯は柴胡加竜骨牡蛎湯に似て、便秘せず、腹部膨満、胸脇苦満にないものである。そこで体力のあまり強壮でない、疲れやすい人の神経症に用いる機会がある《大塚敬節》☆健忘、癲狂、不眠、いじれも腹中拘急、動悸亢ぶる者に、桂枝加竜骨牡蛎湯を用ゆべし。《方読弁解》
[43]心臓神経症 [44]心悸亢進:☆神経性心悸亢進等。《奥田謙蔵》 [45]身体疼痛 [46]頭痛 [47]精神分裂症[48]精力減退:☆桂枝湯に龍骨と牡蠣を加えたもので、精力減退、疲労を主訴とするものに用いるが、夜尿症、遺精、神経症、不眠症などにも用いる。《大塚敬節》☆患者は血色のすぐれない、背の高いやや痩せ気味の男性。近頃、疲労が甚だしく、精力が減退し、ほとんど性欲が無いという。
腹診してみると、腹部は一体に緊張に乏しい。下腹部は下になるほど削ったように厚味がなくなっている。 こんな状態であったから、私は八味丸を与えた。ところが1ヶ月近く、これを呑んだが、何の効もないという。そこで詳しく腹診してみると、臍の上部に約2cmくらいの鉛筆の芯のような硬いものを皮下に触れた。葛根湯を用いる証には、この芯のようなものに圧痛があるが、この患者のそれには全く圧痛を欠いている。こんな腹証は、桂枝加竜骨牡蛎湯の証にみられることがある。
そこで桂枝加竜骨牡蛎湯にしたところ、10日目ぐらいから、めきめきと元気が出てきて、疲労を覚えなくなり、2ヶ月ほどたつと、血色も良くなり、肉付きも良くなった。《大塚敬節》☆48歳、やや痩せ気味の色白の男性。2、3年前より精力が衰え、疲れやすく、まったく性欲がなくなったといって来院した。
この患者は腹直筋がやや緊張し、臍部で動悸が少し亢進している。私はこれに桂枝加竜骨牡蛎湯を用いたが、これを呑むと、わずかに10日で性欲が亢進してきた。ところが困ったことに、下痢するという。そこでこれを休んで、半夏瀉心湯にしてみた。すると、下痢は止まるが、性欲の方は、サッパリ駄目だという。そこで桂枝加竜 骨牡蛎湯にしたところ、これで性欲はつくがまだ下痢するという。仕方がないので、半夏瀉心湯と桂枝加竜骨牡蛎湯を交互に呑むことにして、2ヶ月ほどで良くなった。《大塚敬節》[49]性的神経衰弱:(性欲異常)☆性欲減退。☆平素、体力なく強健でない者の、一時的な性欲亢進によって起きる
疲労と異常興奮。《荒木正胤》☆性的潔癖性・淫乱も含む。☆失神に効く《東醫寶鑑》[50]舌質<やや淡白><湿潤傾向>[51]舌苔<微白苔> [52]前立腺肥大症[53]早漏[54]帯下[55]対人赤面症[56]脱毛症:[57]多夢[58]血の道症:☆虚弱体質で、神経が亢ぶり、のぼせ、頭痛、不眠、心悸亢進、驚き
やすく汗が出やすい者。 ☆ヘソの下や胸腹部に動悸がある者。[59]疲れやすい(易疲労)[60]テンカン:[61]盗汗[62]動悸:☆(臍の周辺で)を自覚する☆腹部で動悸を覚える者。☆胸部の動悸に:牡蠣、☆臍下の動悸に:竜骨。[63]禿頭=はげ:☆円形脱毛症ではなく、どことなく脱毛が多く、のぼせて、フケが多く、疲れやすいという者に用いる《大塚敬節》☆《金匱要略》の条文に“夫れ失精家は、小腹弦急、陰頭寒く、目眩、髪落つ云々”とあるによる。小腹弦急は下腹部で腹直筋が突っ張っている状で、陰頭は陰茎の先端である。しかしこれは男子に限らず、女子の脱毛にも用いる《大塚敬節》[64]尿量増大[65]寝小便:☆此方は虚労失精の主方なれども、小児の遺尿に効あり《勿誤薬室方
函口訣》[66]ノイローゼ:☆虚弱タイプで、疲れやすく、冷えのぼせて、小水の近い神経質な者。[67]のぼせ:☆体は頑丈でなく、神経過敏で、ちょっとしたことで興奮し、のぼせる者《大塚敬節》☆足が冷えて、のぼせ、フケが多くて困るという者に、この方を用いて効を得たことがある。《大塚敬節》[68]はげ:☆禿髪病、体質虚弱にして常に逆上感有る等の者。《奥田謙蔵》[69]バセドウ病 [70]排尿回数
:☆<多い>[71]発熱:☆不規則な発熱。[72]煩驚[73]煩躁:☆火傷後、或いは艾灸後の、煩躁、発熱等。《奥田謙蔵》
☆牡蛎・黄連・竜骨、同じく煩躁を治し、しかも各主治するところあり。膻中は黄連の主るところなり。臍下は竜骨の主るところなり。しかして部位定まらずして胸腹煩躁の者は、牡蛎の主るところなり。《薬徴》[74]疲労倦怠:☆大学受験で、猛烈に勉強している学生に、この方を長期間呑ましたことがある、これを呑むと、疲労の回復が早く、よく勉強できると云って喜ばれた。《大塚敬節》[75]貧血:☆少年期の原因不明の貧血に用いて著効を得たことがある《大塚敬節》[76]フケ:☆頭にフケの多い者があり、頭髪のしきりに抜ける者に良い《大塚敬節》[77]不安感
[78]不眠症:☆神経衰弱性不眠症等。《奥田謙蔵》☆癇症で、腹中が拘急し、動悸がたかぶる者《荒木正胤》☆癇症で、動悸がなければá「小建中湯」が良い。《方輿輗》[79]腹部大動脈瘤[80]腹直筋<下腹部>緊張(下腹部拘急)☆下腹部で腹直筋がひきつれて、小腹弦急の状を呈し、八味丸の腹証によく似ていることがある。《大塚敬節》[81]発作性頻脈 [82]夜尿症[83]夜泣き[84]慢性下痢[85]脈:
<大・無力> [86]耳鳴り[87]無気力 [88]夢交: ☆西山英雄氏は、38歳の未亡人で、強度の疲労を主訴とする者にこの方を用いて著効を得た例を報告している。その中で、患者は「実は先生、時々熟睡中に、相手は誰だか判らないが、交接していて、オルガズムスに達して、驚いて目を覚します。そんなときは両手を胸に置いて、固く誰かを抱きしめているような感じです。隣に寝ている男の子供をみて、羞しいやら、○○やら、何ともいえない感じです。その翌日は、店に立って居られないくらい、疲れるのです。何とか、これが起こらないように、治してほしい」と述べている。
西山氏は、これに桂枝加竜骨牡蛎湯を与えたところ、10日目に来た患者は、「おかげさまで、随分良くなりました」とうれしそうにいった。 [89]夢精
[90]目眩[91]やけど(火傷)による精神不安[92]腰痛症[93]卵巣機能障害[94]冷汗[95]鬼交症 ☆婦人、心気欝結し、胸腹の動甚だしく、寒熱こもごも起こり、経行常に期をあやまり、多夢驚惕し、鬼と交わって淸を洩らし、身体ようやく羸痩し、その状、あたかも労瘵に似たり、孀婦(そうふ)(やもめ)、室女(オールドミス)、情欲妄動して遂げざるもの、多くこの症あり。此方によろし《尾台榕堂》
[96]不整脈
☆虚証で神経症傾向のものに用いる。臍上悸を触れることが多い(漢方診療医典)
#桂枝加苓朮附湯《漢方治療の実際》「桂枝湯+茯苓・朮各4、附子0.5」★適応症及び病名 (桂枝加苓朮附湯)[1]神経症:☆60余歳、男性。高所より墜落して頭部を打撲し、失神したる事ありしに、後外傷性神経症に罹り、頭痛・眩暈・耳鳴・健忘・精神欝幽、振顫(震戦)、脚弱等を発し、ために神身無能、数年薬を廃すと云ふ。診するに脈沈弱にして、閉目直立せしむれば震戦著しく、動もすれば倒せんとする。腹診するに腹直筋は両側共に攣急すと雖も、左側強く、臍の周囲及び下に瘀血塊あり。按ずるに痛み、腹壁は一般に軟弱にして冷感あり。下肢冷却、尿頻数、大便秘結す。よって本方の附子を3倍して、桂枝茯苓丸(3倍)を合方し、抵当丸(5.0/1回・1日3回)を兼用し、1週間分処方した。服薬するや尿量増加し、黒便を多量に下し、全治した。《湯本求真》[2]慢性関節リウマチ:☆体力が衰え、血色すぐれず、手足の冷える者。
#桂枝甘草湯[1-1]《傷寒論》「桂枝(去皮)4両、甘草(炙)2両」右二味、以水三升、、煮取一升、去滓、頓服。◎発汗過多、其人叉手自冒心、心下悸欲得按者、桂枝甘草湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六 #桂枝甘草湯[1-2]《傷寒論》「桂枝(去皮)2両、甘草(炙)2両」◎発汗過多、其人叉手自冒心、心下悸欲得按者、属桂枝甘草湯。
《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。 #桂枝甘草湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》「桂枝4、甘草2」 証(叉手して自ら心を冒(おお)ふ)《薬徴》
「叉(さ)手」=両手を組み合わせて心臓の部にあてて、動悸を鎮めようとする。◎上衝急迫する者を治す《方極》◎桂枝甘草湯の証に其の人叉手して自ら心を冒うと曰う。為則按ずるに、叉手して心を冒う者は悸して上衝するを以ての故なり。《重校薬徴》
★適応症及び病名 (桂枝甘草湯) [1]息切れ[2]気の上衝:<>[3]呼吸困難[4]心悸亢進:<激しい><発作性>☆発汗が多すぎて、動悸する者に用いる《大塚敬節》☆心悸亢進の激しい時に、頓服として用いるに適する《大塚敬節》[5]バセドウ病[6]ヒステリー
#桂枝甘草附子湯 桂枝甘草附子湯条に、上衝の証なし。為則按ずるに、此の方は桂枝甘草湯に附子を加ふるものなり。桂枝甘草湯条に上衝の証あり。然れば則ち此の湯も亦当に上衝の証あるべし。それ此の証を脱するや明らかなり。《薬徴》
#桂枝甘草竜骨牡蛎湯[1-1]《傷寒論》「桂枝(去皮)1両、甘草(炙)2両、牡蠣(熬)2両、龍骨2両」右四味、以水五升、煮取二升半、、去滓、温服八合、日三服。◎火逆下之、因焼針煩躁者、桂枝甘草竜骨牡蛎湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六
#桂枝甘草竜骨牡蛎湯[1-2]《傷寒論》 証(煩躁)《薬徴》◎胸腹に動ありて急迫する者を治す《方極》◎興奮、煩躁腹動《龍野ー漢方処方集》 ★適応症及び病名
(桂枝甘草竜骨牡蛎湯)[1]興奮:☆灸又は加熱療法後[2]心悸亢進:☆心悸亢進の激しい時に、頓服として用いるに適する《大塚敬節》[3]バセドウ氏病:
☆動悸のほかに、不安の念が強く、足が冷え、食欲は進まず、痩せて顔色も蒼い:「半夏厚朴湯」《大塚敬節》 #桂枝羗活湯《東醫寶鑑》「桂枝・羗活・防風・甘草各1銭半」水煎服。◎太陽瘧で自汗し、頭や項が痛む者を治す。
#桂枝去桂加茯苓白朮湯《傷寒論》「芍薬3両、甘草(炙)2両、生姜(切)・白朮・茯苓各3両、大棗(擘)12枚」右六味、以水八升、煮取三升、去滓、温服一升、小便利即愈。本云桂枝湯、今去桂枝、加茯苓白朮。◎服桂枝湯、或下之、仍頭項強痛、翕翕発熱、無汗、心下満微痛、小便不利者、桂枝去桂加茯苓白朮湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。◎桂枝湯の証にして、心下悸し、小便利せず、上衝せざる者を治す。《方極附言》◎病人、橋脚冷痛し、時に攣急し、小便少なく、或いは肉瞤筋する者は、桂枝去桂加苓朮湯之を主どる。《医聖方格》
○桂枝湯証にして、小便不利し、上衝せざる者を治す《方極》 ○脈経は桂枝去桂加茯苓朮湯に作る《方極刪定》◎頭痛項強、発熱、心下満微痛、尿利減少《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(桂枝去桂加苓朮湯)[1]悪心[2]感冒(胃腸型の風邪)☆汗下を行いて後、表熱尚未だ全く去らず、胸部煩満を覚え、尿不利、腹部時々微痛する証。《奥田謙蔵》[3]急性胃腸炎[4]筋肉がケイレンする[5]首筋がこわばる(項強)[6]頸腕症候群[7]下痢:☆下痢の後、日を経て尚微熱あり、腹部膨満を覚え、尿利渋滞し、脈微沈にして数なる証。《奥田謙蔵》☆下痢、腹痛を発し、或いは尿不利等の有る証。《奥田謙蔵》[8]腎炎[9]心下痞満[10]頭重[11]頭痛[12]二日酔い[13]尿不利:☆神経性心悸亢進にして、尿利著しく減少する証。《奥田謙蔵》☆肩背或いは頭項強急し、心下膨満し手少しく痛み、尿不利の証ある者。《奥田謙蔵》[14]ネフローゼ[15]ヒステリー:☆「ヒステリー」等にして、時々痙攣を発し、或いは腰痛耐え難く、胸満感あるも心下を按ずるに軟、尿利甚だしく渋滞する証。《奥田謙蔵》[16]慢性頭痛[17]むち打ち症[18]無汗
[19]腰痛症 #桂枝去芍薬加蜀漆牡蛎竜骨救逆湯[1-1]《傷寒論》《金匱要略》「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚、牡蠣(熬)5両、蜀漆(洗去腥)3両、龍骨4両」右七味、以水一斗二升、先煮蜀漆、減二升。内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升、本云桂枝湯、今去芍薬、加蜀漆牡蠣龍骨。◎傷寒脉浮、医以火迫劫之、亡陽、必驚狂、臥起不安者、桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯主之。 《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。◎火邪者、桂枝去芍薬加蜀漆牡蛎竜骨救逆湯主之。《金匱要略》驚悸吐衂下血胸満瘀血病脉證治第十六。
「驚狂、臥起不安」=驚狂臥起安からず=おどろきやすく精神不安で静かにジッとしておれない。 桂枝去芍薬加蜀漆牡蛎竜骨救逆湯[1-2]《傷寒論》《金匱要略》=「救逆湯」=「桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣湯」
桂枝去芍薬加蜀漆竜骨牡蠣湯[1-3] 《漢方治療の実際》=「救逆湯」 「桂枝・生姜・大棗・蜀漆各4、甘草2、牡蠣6、龍骨5」★適応症及び病名 (参照→「救逆湯」)
#桂枝去芍薬加皀莢湯[1-1]《金匱要略》「桂枝3両、生姜3両、甘草2両、大棗10枚、莢(去皮炙焦)2枚」右五味、以水七升、微微火煮取三升、分温三服。◎治肺痿吐涎沫。《金匱要略》肺痿肺癰嗽上氣病脉證治第七。
#桂枝去芍薬加皀莢湯[1-2]《金匱要略》 ◎桂枝去芍薬湯証にして、濁唾、涎沫を吐する者を治す。《方極》◎咳する者は、おおむね上気、胸満す。桂枝去芍薬湯にて、以て上気、胸満を治し、更に皀莢を加えて、以て涎沫を駆る也。《類聚方広義》
★適応症及び病名(桂枝去芍薬加皀莢湯)[1]咽痛:☆頻りに粘痰を喀出し、咽痛する等の証《奥田謙蔵》 [2]気管支炎:☆腐敗性気管支炎等にして、発熱甚だしからず、且つ未だ衰弱加わらざる証。《奥田謙蔵》☆乾性気管支炎等《奥田謙蔵》[3]喘息:☆喘息にして粘痰有り、喘鳴止まざる等の証《奥田謙蔵》
#桂枝去芍薬加附子湯《傷寒論》 ○桂枝去芍薬湯証にして悪寒する者を治す《方極》 #桂枝去芍薬湯《傷寒論》「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚」右四味、以水七升、去滓、温服一升。本云桂枝湯、今去芍薬、將息如前法。◎太陽病、下之後、脉促、胸満者、桂枝去芍薬湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治上大五◎太陽病、下之後、脉促、胸満者、属桂枝去芍薬湯。《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治大二十二
桂枝去芍薬湯は頭痛・発熱・悪風、汗ある等の証を主る。しかして、その腹中に結実するものなし。 #桂枝去芍薬湯《傷寒論》「桂枝湯-芍薬」
◎桂枝湯証にして拘攣せざる者を治す《方極》◎桂枝湯症にして、拘攣せざる者を治す。《方極附言》◎病人、脈促、上衝して胸満し、頭に汗出じる者は、桂枝去芍薬湯之を主る。《医聖方格》
【腹証】《腹診配剤録》“胸満して腹中に苦しむ所無し。唯その人、胸満し、心気安からずと謂う” ★適応症及び病名(桂枝去芍薬湯)[1]息切れ[2]悪寒[3]風邪[4]気の上衝<+>☆故なくして上逆し、胸満感を訴える等の証。《奥田謙蔵》[5]胸痛[6]呼吸困難[7]自汗[8]頭汗
[9]ドキドキする☆表証已に去れるも、胸中欝満して苦悩し、脈なお少しく数なる証。《奥田謙蔵》 [10]のぼせ[11]肺結核[12]不安感 [13]胸がつまる:☆発汗を行い、或いは下して後、表証尚解せず、上逆を感じ、胸中満悶し、その脈数にして力無き証。《奥田謙蔵》
#桂枝救逆湯《金匱要略》「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、生姜3両、牡蠣(熬)5両、龍骨4両、大棗12枚、蜀漆(先去腥)3両」 右為末、以水一斗二升、先煮蜀漆、減二升、内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升。◎火邪者、桂枝去芍薬加蜀漆牡蛎竜骨救逆湯主之。《金匱要略》驚悸吐衂下血胸満瘀血病脉證治第十六。
◎参照→「救逆湯」 #桂枝苦酒湯《東醫寶鑑》=「桂枝黄蓍湯」「黄蓍2銭半、桂枝・芍薬各1銭半、甘草1銭」を作1貼し好酒3分、水1杯半で煎服。◎黄汗を治す。
「黄汗」=衣が黄色に染まる汗 #桂枝五物湯[1-1]《吉益東洞》《勿誤薬室方函口訣》=「桂枝桔梗湯」 「桂枝、茯苓、桔梗、黄芩、地黄」各等分。◎上衝、咽喉刺痛し、或いは瘡を生ずる者を治す。◎《吉益東洞》曰く、牙歯疼痛する者を治す。
◎《吉益南涯》曰く、血毒上に迫る者にて、その証、牙歯疼痛、両頬腫痛し、或いは舌の強痛するを治す。◎熱有って大便せざる者を治す:「大黄」◎伏熱ある者:「石膏」◎此方の一等重き者:「柴胡清肝散」《寿世保元》◎「柴胡清肝散」の虚候を帯ぶる者:「滋陰降火湯」
#桂枝五物湯[1-2]《吉益東洞》《漢方後世要方解説》「桂枝4、茯苓8、桔梗3、黄芩4、地黄4」或いは大黄を加えて、熱あり大便せざる者を治し、或いは石膏を加えて伏熱する者を治す。
◎此方は出所不明とされ、東洞の経験によって牙歯の疼痛、或いは口舌糜爛の症に効ありとして伝えられてきた。浅田宗伯は此方の一等重き者を保元の柴胡清肝散とし、清肝散の虚候を臣多ものを滋陰降火湯とした。
「桂枝」=衝逆を治し、血脈を通ず。「桔梗」=腫瘍を治し、咽喉通歯痛を治す。「黄芩」=上焦の湿熱を治し、瘡瘍を治す。「地黄」=瘀血、留血、諸熱を治す。
#桂枝五物湯[1-3]《吉益東洞》《漢方治療の実際》「桂枝4、茯苓8、桔梗3、黄芩・地黄各4」◎この方は《吉益東洞》の愛した処方で、歯痛に用いる。《大塚敬節》
#桂枝五物湯[1-4]《吉益東洞》《龍野ー漢方処方集》 「茯苓・乾地黄各4.0g、桂枝・桔梗・黄芩各3.0g」◎のぼせ、咽喉痛、或いは歯痛、或いは舌痛。
★適応症及び病名(桂枝五物湯)[1]アンギナ [2]咽喉炎[3]口舌糜爛[4]口内炎:口内潰瘍[5]歯根炎[6]歯槽膿漏[7]歯痛[8]舌炎
#桂枝四七湯《東醫寶鑑》「桂枝・半夏各2銭、白芍(酒炒)11銭半、白茯苓・厚朴・枳穀各7分、人参・紫蘇葉・炙甘草各5分、生姜3、大棗2」水煎服。
◎寒邪による心痛。 #桂枝芍薬知母湯[1-1]《金匱要略》⇒「桂芍知母湯」「桂枝4両、芍薬3両、甘草2両、麻黄2両、生姜5両、白朮5両、知母4両、防風4両、附子(炮)2両」右九味、以水七升、煮取二升、温服七合、日三服。◎諸肢節疼痛、身體魁羸、脚腫如脱、頭眩短氣、温温欲吐、桂枝芍薬知母湯主之。 《金匱要略》中風節病脉證并治第五。
#桂芍知母湯[1-2]《漢方治療の実際》「桂枝・知母・防風・生姜・芍薬・麻黄各3、朮4、甘草1.5、附子0.5」 #桂枝芍薬知母湯[1-3]《金匱要略》◎「葛根加朮附湯葛根大棗知母防風」◎此方は身体瘊瘣(木のこぶ)と云うが目的にて、歴節数日を経て骨節が木のこぶ(瘤)の如く腫起し、両脚微腫ありて、わるだるく、疼痛の為に逆上して頭眩乾嘔などする者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎四肢或いは関節疼痛、痩せて脚が腫れ力が抜け、或いは関節だけが腫れてこぶの様になり、頭眩、息切れ、むかつく者。《龍野ー漢方処方集》★桂芍知母湯(四肢疼痛、関節腫脹、知覚麻痺<下肢>、身体枯燥、羸痩、呼吸困難、乾嘔)
桂芍知母湯[1-4]《金匱要略》 =「桂枝芍薬知母湯」
★適応症及び病名(桂芍知母湯)[1]足跟痛:☆特効あり。もし湿熱甚だしき者は当帰拈痛湯に宜し《方読便覧》[2]足に力が入らない[3]息切れ[4]運動障害(下肢の)[5]悪寒[6]顔色悪い[7]鶴膝風(ひざ関節の変形・疼痛)☆表寒の症状がないときは、「烏頭湯」を考える。[8]下肢の知覚麻痺:☆足首腫れて、靴脱するが如く、行歩すること能わざる(脚腫如脱)を治す。
[9]脚気:☆能く痛痺転筋不仁を治す《脚気提要》 [10]乾嘔(むかつき)[11]関節炎[12]関節痛 <激しい>[13]関節腫痛(疼痛)☆関節に発赤・熱感・疼痛がある《中医処方解説》[14]急性副鼻腔炎[15]筋萎縮[16]呼吸困難[17]座骨神経痛[18]四肢疼痛
[19]しびれ感(痛んでシビレ)[20]神経痛 [21]身体枯燥[22]頭眩[23]頭痛[24]舌質 <淡紅>[25]舌苔 <白苔>[26]多発性関節炎[27]短気[28]知覚麻痺[29]痛風:☆痛風なる者は風熱骨節に入るなり。発汗すべし。麻黄湯に宜し。桂芍知母湯も亦之を主る。表証やめば、当に禹功散を以て之を下すべし。《先哲医話》[30]尿不利[31]発熱[32]冷える[33]皮膚枯燥[34]疲労倦怠[35]変形性関節症[36]片マヒ(片麻痺)[37]末梢神経炎[38]慢性関節リウマチ:☆栄養が悪く、痩せて関節が腫れ、周囲の肉が落ち、皮膚がカサカサし
てツヤがない者。☆患部に熱感がない。☆急性・増悪期の疼痛にも。☆これで全治しなくても、疼痛が軽減し、患部の腫脹が減少する場合がかなりある《大塚敬節》☆この方を用いる目標は、関節の腫脹、疼痛と皮膚が枯燥してガサガサしている点にある《大塚敬節》☆62歳男性。痩せて皮膚がガサガサしてツヤがなく、枯燥の状態である。発病はこの年の4月で、全身の関節が次々と痛み、ついには屈伸が不能となって、人手を借りなければ寝返りも出来ないほどになった。四肢の関節は腫脹しているが、木のこぶのようなひどい腫れ方ではない。脈は微弱で、手足は冷えやすい。こんな症状であったから、桂芍知母湯を与えたところ、徐々に手足の屈伸が自由になって、その年の暮れには歩行が出来るようになった。《大塚敬節》[39]腰痛症
[40]羸痩(やせ) [41]歴節風:①陽に在る者:越婢加朮湯②陰に在る者:烏頭湯③身体が羸痩衰弱した者:桂芍知母湯 #桂枝芍薬湯《東醫寶鑑》「桂枝1銭、赤芍薬・知母・石膏・黄各2銭」水煎服。◎瘧の寒熱症を治す。
#桂枝生姜枳実湯[1-1]《金匱要略》「桂枝3両、生姜3両、枳実5枚」右三味、以水六升、煮取三升、分温三服。◎心中痞、諸逆心懸痛、桂枝生姜枳實湯主之。
#桂枝生姜枳実湯[1-2]《金匱要略》◎心中痞、諸逆、心懸痛、《龍野ー漢方処方集》 ◎この方は枳実薤白桂枝湯に似て、胸へ差し込んで痛む者に用いる。およそ桂枝と枳実とを組み合わせた薬方は、胸の痞塞を押し開いて、気を下げる効があるものである。《大塚敬節》◎[心中痞]=胸につかえる気分があること。《大塚敬節》◎[諸逆]=種々の衝逆をいい、何かが胸に突き上がってくるのを云ったものである《大塚敬節》◎[懸痛]=
★適応症及び病名(桂枝生姜枳実湯)[1]胃痛[2]気管支喘息:☆1少女の激しい発作を、この方を用いて緩解せしめた。この少女は色が浅黒く痩せて、麻黄の入った小青竜湯・麻杏甘石湯などを用いると、これを吐出し、却って気分が悪いと云う。蘇子降気湯、人参湯、なども用いたが、更に効がない。腹部は一般に軟弱で、心下部にも力がない。患者が云うのに、何かが突き上がってきて、ただ胸が塞がって苦しいと云う。そこでこの方を頓服として用いたところ、胸の塞がりが取れて、数日間、何も食べられなかったのに、粥を食べるようになった。そして、追々と元気になった。《大塚敬節》[3]胸痛:☆和久田寅は、胸中が堪えられないほど痛み、それが発作性にたびたび起こり、数日治らなかった者に、胸中痞満・衝逆の状を診て、この方を与えて1服で全快せしめた。《大塚敬節》☆死ぬのではないかというほどの胸痛に用いた。《北尾春甫》[4]心臓病[5]胆石症[6]肋間神経痛
#桂枝石膏湯《東醫寶鑑》「石膏・知母各3銭、黄2銭、桂枝1銭」水煎服。◎太陽と陽明の合病で、熱多く、寒少ない者を治す。 #桂枝湯[1-1]《傷寒論》「桂枝(去皮)3両、芍薬3両、甘草(炙)2両、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚」
右五味、咀三味、以水七升、微火煮取参升、去滓、適寒温、服一升、服已須臾、歠熱稀粥一升餘、以助薬力、温覆令一時許、遍身微似有汗者益佳。不可令如水流離、病必不除、若一服汗出病差、停後服、不必盡剤。若不汗、更服、依前法。又不汗、後服小促其間、半日許令三服盡。若病重者、一日一夜服、周時觀之、服一剤盡、病證猶在者、更作服。若汗不出、乃服至二、参剤。禁生冷、粘滑、肉麪、五辛、酒酪、臭悪等物。.「禁生冷、以下」の十五字、玉函、千金、千金翼共に無し。是なり。《類聚方広義》◎太陽中風、陽浮而陰弱、陽浮者、熱自発。陰弱者、嗇嗇悪寒、浙浙悪風、翕翕発熱、鼻鳴乾嘔者、桂枝湯主之。方一。《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。◎太陽病、頭痛、発熱、汗出、悪風、桂枝湯主之。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
◎太陽病、初服桂枝湯、反煩、不解者、先刺風池、風府、却與桂枝湯則愈。十一。《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。 ◎服桂枝湯、大汗出、脉洪大者、與桂枝湯、如前法。若形似瘧、一日再発、汗出必解、宜桂枝二麻黄一湯。方十二。《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。◎太陽病、外證未解、脉浮弱者、當以汗解、宣桂枝湯。方十二。◎太陽病、外證未解、不可下也、下之為逆。欲解外者、宜桂枝湯。十四。◎病常蔵無他病、時発熱、自汗出、而不愈者、此衛気不和也。先其時発汗則愈、宜桂枝湯。二十。◎傷寒発汗已解、半日許復煩、脉浮数者、可更発汗、宜桂枝湯。二十三。傷寒、醫下之、続得下利清穀不止、身疼痛者、急當救裏。後身疼痛、清便自調者、急當救表、救裏宜桂枝湯、救表宜桂枝湯。四十五。◎太陽病、発熱、汗出者、此為栄弱衛強、故救邪風者、宜桂枝湯。四十七。◎傷寒大下後復発汗、心下痞、悪寒者、表未解也。不可攻痞、當先解表、表解乃可攻痞。解表宜桂枝湯、攻痞宜大黄黄連瀉心湯。二十六。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。◎陽明病、脉遅、汗出多、微悪寒者、表未解也、可発汗、宜桂枝湯。二十一。 《傷寒論》辨陽明病脉證并治第八。◎病人煩熱、汗出則解。又如瘧状、日哺所発熱者、属陽明也。脉實者、宜下之。脉浮虚者、宜発汗。下之與大承気湯、発汗宜桂枝湯。二十六。
《傷寒論》辨陽明病脉證并治第八。◎太陰病、脉浮者、可発汗、宜桂枝湯。方一。 《傷寒論》辨太陰病脉證并治第十。◎下利腹脹満、身體疼痛者、先温其裏、乃攻其表。温裏宜四逆湯、攻裏宜桂枝湯。
《傷寒論》辨厥陰病脉證并治第十二。◎太陽病、外證未解、脉浮弱者、當以汗解、宜桂枝湯。方一。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。 ◎陽明病、脉遅、汗出多、微悪寒者、表未解也、可発汗、属桂枝湯證。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。◎太陽病不解、熱結膀胱、其人如狂、血自下、下者愈。其外未解者、尚未可攻、當先解其外、属桂枝湯證。八。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。◎傷寒不大便六七日、頭痛有熱者、與承気湯。其小便清者、知不在裏、續在表也、當須発汗。若頭痛者必衂。属桂枝湯證。十五。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。◎下利腹脹満、身體疼痛者、先温其裏、乃攻其表、温裏宜四逆湯、攻表宜桂枝湯。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。◎下利後、身疼痛、清便自調者、急當救表、宜桂枝湯発汗。十七。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。◎太陽病、頭痛、発熱、汗出、悪風寒者、属桂枝湯證。十八。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。◎太陽中風、陽浮而陰弱、陽浮者熱自発、陰弱者汗自出、嗇嗇悪寒、浙浙悪風、翕翕発熱、鼻鳴乾嘔者、属桂枝湯證。方十九。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。◎太陽病、発熱汗出者、此為栄弱衛強、故使汗出、欲救邪風、属桂枝湯證。二十《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
#桂枝湯[1-2]《傷寒論》「桂枝(去皮)3両、芍薬3両、生姜3両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚」右5味、以水7升、煮取3升、去滓、温服1升。◎吐利止而身痛不休者、當消息和解其外、宜桂枝湯小和之。方三。《傷寒論》辨霍乱病脉證并治第十三。
桂枝湯[1-3]《漢方治療の実際》「桂枝・芍薬・大棗・生姜各4、甘草2」 ◎上衝、頭痛、発熱し、汗出で悪風し、腹拘攣する者を治す《吉益東洞》◎上衝し、頭痛し、発熱し、汗出でて悪風する者を治す《方極》◎《陳念祖》曰く、此湯、表症之を得れば肌を解し栄衛を和すると為す。内症之を得れば気を化し陰陽を調う。今人ただ傷寒の首方為るを知るのみ。此れ「妊娠篇」に於いて、列して第一方と為し、以て千古庸医の夢を喝醒す。《雑病翼方》◎桂枝はよく気血を宣達し、諸薬の嚮導となる。是を以て、上は頭頂に抵り、下は四肢に及び、内は上衝の気を散じ、外は身体の疼痛を治す。故に桂枝湯は下後に用いて持って衝逆を散じ、霍乱後に用いて以て消息し、その外、胎前に用いては以て胎を安ずるなり。《勿誤薬室方函口訣》◎もし夫れ証に軽重緩急の差あれば、増損去加して以て制するなり。《古今薬議》<1>上衝の勢劇しく少腹より心下に迫るとき:桂枝を倍加する。<2>ただ気、胸中に満するとき:「芍薬」<3>胸満ことに甚だしく、叉手心を冒い、且つ心下悸するとき:「姜棗」以てその勢を単にす。<4>もしその下悸し、奔豚を作さんと欲し、或いは少腹より胸咽に上衝するとき:「茯苓」以て之を降滲す。
<5>疼痛以て屈伸し難きとき:「附子」<6>烏頭、葛根、附子、黄蓍、膠飴、大黄、之を桂枝湯に加えて以てその変化を極む。<7>麻黄、石膏を得て発汗を為し、<8>桃仁、地黄を配して血分に行き、<9>苓附を併せて水気を利する。
【腹証】《腹診配剤録》“凡そ桂枝湯類の腹状は、大抵臍下に悸有るも、微にして知り難く、悸無き者も間々亦之有り” #桂枝湯[1-4]《傷寒論》《方機》
「桂枝、芍薬、生姜、各3両。大棗12枚。甘草2両。5味㕮咀ふそ)し、水7升を以て微火に煮て3升を取り、滓を去り、寒温に適し1升を服す。 服し己(おわ)って須臾(すゆ)に熱稀粥(ねつきじゅく)1升を歠(すす)りて、以て、薬力を助け、温覆すること一時(いっとき)許(ばか)りならしめて、偏身漐漐(ちゅうちゅう)として微かに汗あるに似る者は、益々佳なり。水の流漓(りゅうり)なるが如からしめず。病、必ず徐かず。若し、一服して汗出で、病差(い)えば、後服を停む。必ずしも剤を盡さず。若し汗せずんば、更に服すること前法に依る。又汗せざれば、後服小しく其の間を促し、半日許りに3服をして盡さしむ。若し病重きものは、1日一夜服し、周時に之を觀る。1剤を服し盡して病症なおあるものは、更に作り服す。若し汗出でざる者は、乃ち服して2、3剤に至る。
頭痛、発熱(ほつねつ)、汗出で、悪風するものは、正證なり。頭痛の1證も亦(また)、まさに此の方を投ずべし。若し、咳嗽し逆に因りて、頭痛するものは、則ち此の湯の治すところに非ざるなり。
悪寒、鼻鳴、乾嘔は外邪の候なり。此の方之を主どる。脈浮弱、或いは浮數(ふさく)にして悪寒するものは、證具わらずと雖も、亦此の方を用い、浮數、浮弱は、蓋し桂枝湯の脈状なり。汗、吐、下の後、更に湊(あつま)ること一證又、発熱、汗出でて身疼痛するものは、此の方なお用ゆべしと為す。若し脈浮、緊にして疼痛するものは則ち此の湯の治すところに非ず」
★適応症及び病名 (桂枝湯) [1]インフルエンザ(流感)[2]インポテンツ[3]遺精[4]胃腸型感冒[5]悪寒[6]悪心[7]悪阻(=つわり)[8]悪風
[9]乾嘔・・・吐きそうになる気分になること《大塚敬節》[10]関節痛[11]感染症☆諸般の熱性病、頭痛、逆上して煩悶し、稍や便秘の傾向あり、少しく腹満を覚え、食欲減ぜずして唯身体を露出するを嫌う証。《奥田謙蔵》[12]感冒(かぜ)
☆頭痛、発熱、微悪寒し、自汗出で、脈浮緩にして数なる証。もし脈浮緊にして、汗無き証は、此方の禁忌とす。《奥田謙蔵》☆悪寒または悪風を伴う熱で、脈が浮かんで弱く、やや拍動の速い者を目標として用いる。《大塚敬節》☆10歳の少年。2日前、突然さむけがして38℃の熱が出たので、風邪だろうと考えて、市販のかぜ薬をのんだ。その依る、あせが出て、翌朝体温はほとんど平常となったが、悪風があり、頭が重く、からだがだるいと云う。脈は浮いているが弱い、食欲は変わらない。そこで桂枝湯を与えたが、1日分をのみ終わらないうつに、悪風が去り、頭痛もとれて、元気になった。《大塚敬節》[13]寒冷ジンマシン[14]寒冷による腹痛[15]逆上感[16]急性腸炎:☆腸「カタール」等の初起にして、浮脈を呈し、軽度の発汗を促すべき要ある証。《奥田謙蔵》[17]虚弱[18]筋肉痛:[19]下痢後の身体疼痛☆吐瀉の後、発熱して自汗出で、身体疼痛を覚える証。《奥田謙蔵》[20]原因不明の熱[21]自汗[22]気の上衝☆寒熱既に去り、脈浮にして力無く、唯逆上感あり、結膜充血し、耳鳴し、食欲及び二便に著変無き証。《奥田謙蔵》☆足が冷えて、のぼせるという症状を訴えるものがある。《大塚敬節》
[23]産後の下痢:☆産後における下痢性疾患等。《奥田謙蔵》[24]湿疹:☆痤疿(ザビ=にきび、小さな腫れ物)を治す。「葛根防風」《方読便覧》[24]神経衰弱
[25]神経痛 :☆腰神経痛、及びその類似疾患等。《奥田謙蔵》☆「ロイマチス」様疾患等。《奥田謙蔵》[26]身体疼痛☆既に発刊法を行い後、寒熱無く、食欲もまた著変無く、唯全身に疼痛、拘急を覚える証。《奥田謙蔵》[27]頭痛☆頭痛して自汗あり、渇するも舌苔無く、時々発熱あり、身体重く、脈浮弱なる証。《奥田謙蔵》☆凡そ頭痛、発熱し、悪風、悪寒し、その脈浮にして弱、汗自ら出ずる者は、中風、傷寒、雑病を問わず、みな此方を用いる事が出来る。惟だ脈浮・自汗を以てその主と為すのみ。《傷寒附翼》[28]舌苔<微白苔>[29]丹毒[30]妊娠悪阻[31]のぼせ[32]発熱☆発熱し、微しく腹満有り、汗出でて渇し、食を欲せず、悪寒有り、日を経るも尚解せざる証。《奥田謙蔵》☆発熱し、汗出で、腹微満し、或いは腹痛し、或いは心煩し、脈浮弱なる証。《奥田謙蔵》☆発熱し汗出で、心下部痞塞し、食を欲せず、脈浮なる証。《奥田謙蔵》[33]煩悶[34]鼻水[35]鼻閉[36]鼻鳴[37]皮膚虚弱
[38]皮膚掻痒症:[39]皮膚知覚異常[40]疲労倦怠[41]腹直筋攣急:<右>[42]腹痛(寒冷による)[43]腹満[44]偏頭痛[45]慢性関節リウマチ[46]脈浮弱[47]目の充血[48]腰痛症
#桂枝湯[2]《東醫寶鑑》「枳殻1両、桂枝5銭」作末し、毎回2銭を姜棗湯で調下する。◎びっくりして肝を傷つけ、脇骨のなかが疼痛する者。 #桂枝二越婢一湯《傷寒論》
=「桂婢各半湯」「桂枝(去皮)・芍薬・麻黄・甘草(炙)各18銖、大棗(擘)4枚、生姜(切)1両2銖、石膏(碎綿嚢)24銖」右七味、以水五升、煮麻黄十二沸、去上沫、内諸薬、煮取二升、去滓、温服一升。本云、當裁為越婢湯、桂枝湯、合之飲一升。今合為一方、桂枝湯二分、越婢湯一分。(銖=シュ、目方の単位)◎太陽病、発熱悪寒、熱多寒少、脉微弱者、此無陽也。不可発汗、宜
桂枝二越婢一湯。 《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。◎発熱多く悪寒少なく脉微弱の者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(桂枝二越婢一湯)
[1]咽痛 ☆咽痛から始まる風邪。[2]悪寒[3]咳嗽[4]かゆい [5]間欠性跛行症 ☆「苓朮附」本方を服用していると、1ヵ月もたつと、だんだん長距離の歩行が可能になるが、軽快しても服用を続けることが必要である(漢方診療医典)[6]関節痛<劇痛>
[7]顔面紅潮[8]急性熱病[9]筋肉痛[10]口渇[11]口舌乾燥[12]自汗[13]身体疼重[14]心煩[15]頭痛[16]熱感☆局所の熱感がある。[17]発熱[18]ベーチェット病[19]慢性関節リウマチ☆体力の衰えなく、ノドが渇いて、小水が出なく、手足が冷える者:「朮附」
[20]腰痛 #桂枝二麻黄一湯《傷寒論》「桂枝(去皮)1両17銖、芍薬1両6銖、麻黄(去節)16銖、生姜(切)1両6銖、杏仁(去被尖)16箇、甘草(炙)1両2銖、宜桂枝二麻黄一湯。右七味、以水五升、先煮麻黄十二沸、去上沫、内諸薬、煮取二升、去滓、温服一升、日再服。本云桂枝湯二分、麻黄湯一分、合為二升、分再服。今合為一方、將息如前法。 (銖=シュ、目方の単位)◎服桂枝湯、大汗出、脉洪大者、與桂枝湯、如前法。若形似瘧、1日再発者、汗出必解、宜桂枝二麻黄一湯。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。 ◎桂枝湯証多く、越婢湯証少なき者を治す《方極》 ◎風湿、痛風、初起寒熱休作し、肢体疼重、或いは攣痛し、或いは走注腫起する者は、此方を以て汗を発し、後、加朮附湯を与える可し。応鐘散、蕤賓丸を兼用す。《類聚方広義》
◎汗が沢山出た後で脉洪大瘧の如き者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(桂枝二麻黄一湯)[1]咽痛[2]感冒(汗出て治らない者) [3]悪寒:☆悪寒、発熱、頭痛久しく止まず、殊に悪寒甚だしく、脈浮大にして数、舌上乾燥し口渇有る等の証。《奥田謙蔵》[4]咳嗽[5]関節の疼痛[6]顔面紅潮[7]急性熱病:[8]呼吸困難[9]ジンマシン[10]自汗[11]身体疼痛:☆筋肉或いは関節疼痛し、少しく浮腫を現し、脈やや大なる等の証。《奥田謙蔵》[12]頭痛:☆頭痛、発熱し、悪風、悪寒し、身疼腰痛し、脈浮にして、数、或いは舌少しく乾燥する等の証。《奥田謙蔵》☆頭痛甚だしく、汗流れるが如く、唇口乾きて渇し、而も悪寒止まずして衣服を重ねんと欲する等の証。《奥田謙蔵》[13]発汗後☆発汗して治らず、すっきりしない。[14]発熱☆発熱を繰り返す者。
[15]発疹<少ない>☆熱性病にして、4、5日を経、発斑する等の証。《奥田謙蔵》[16]皮膚の掻痒感[17]鼻汁<量多い>[18]マラリア:☆「マラリア」様疾患にして、寒熱発作劇しきも、尚その初期における等の証。《奥田謙蔵》[19]老人性掻痒症
#桂枝桃仁湯[1-1]《婦人大全良方》 「桂枝湯桃仁・地黄」 ◎経道通ぜず、臍をめぐって痛む寒疝。◎此方は虚候の経閉、乾血労の初起に用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎経後の腹痛、或いは去血過多は、血虚なり。「当帰建中湯」に宜し。◎経前の腹痛痛は、血気凝滞なり。「桂枝桃仁湯」に宜し。◎《雞峰普済方》に曰く、経候頓然として行らず、痛心腹に上攻し、死せんと欲す。或いは行らざるに因って積結漸々に塊を成し、臍腹下に覆杯の如く、久しくして内癥瘕と成って治すべからず。本方に宜し。《雑病翼方》◎腸覃(腸外に出来た肉)を治す:「檳榔・枳実」《婦人秘科》
#桂枝桃仁湯[1-2]《東醫寶鑑》「桂皮・赤芍薬・生乾地黄(酒洗)各2銭、甘草(炙)1銭、桃仁30、姜3、棗2」水煎服。◎寒気が血室に入り血が凝結し運行できない為、月経が不通、臍の周りが冷たい、疝痛、脈沈の者。
#桂枝人参湯[1-1]《傷寒論》「桂枝(別切)4両、甘草(炙)4両、白朮3両、人参3両、乾姜3両」右五味、以水九升、先煮四味、取五升。内桂、更煮取三升、去滓。温服一升、日再夜一服。◎太陽病、外證未除而数下之、遂協熱而利、利下不止、心下痞硬、表裏不解者、桂枝人参湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。
#桂枝人参湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》「桂枝4、甘草・朮・人参各3、乾姜2」 ◎[協熱下痢]=体表には熱があり、胃腸には寒があって、下痢しているものを云う。だから、人参湯を用いるような患者で、悪寒・発熱があると、この方を用いる。《大塚敬節》
#桂枝人参湯[1-3]《東醫寶鑑》「桂枝・甘草各2銭、人参・白朮・乾姜各1銭」水煎服。◎支結を治す。 #桂枝人参湯[1-4]《傷寒論》「人参湯桂枝」《大塚敬節》 証(利下止まず)《薬徴》
「利下」=下痢《大塚敬節》◎人参湯の証にして上衝急迫劇しき者を治す《吉益東洞》◎桂枝人参湯は其の証詳かならざるに似る。然して其の外証未だ除かずと云うを観るに、表裏未だ解せずと云うは則ち其の頭痛、発熱、悪風、身疼痛等の証あるを知るべし。是れ人参湯中に桂枝四両を用うる所以なり。学者諸を思え。《重校薬徴》◎病人、利止まず、心下痞硬し、心腹時に痛み、頭に汗出で、心下悸し、平臥すること能わず、小便少なく、或いは手足冷える者は、桂枝人参湯之を主る。《医聖方格》◎此方は恊熱利を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎下利を治するは理中丸に拠るに似たれども、心下痞ありて表症を帯ぶる故、《金匱要略》の人参湯に桂枝を加える。方名苟もせず。《勿誤薬室方函口訣》◎目標:「頭痛、悪風などの発熱症と下痢、又は腹に冷えがある者」《龍野ー漢方処方集》「表熱裏寒証、頭痛、頭汗、発熱悪風、下痢、心下痞、四肢倦怠、心腹疼痛」《螺王人》
★適応症及び病名 (桂枝人参湯) [1]足が冷える[2]胃腸炎<急性・慢性>:☆腸胃「カタール」等にして、或は吐し、或いは下し、悪寒なくして脈数弱なる証。《奥田謙蔵》 ☆吐瀉を発し、心下痞硬し、腹痛し、小便不利、渇して熱飲を好み、且つ発熱、悪寒し、四肢惰痛を訴える等の証。《奥田謙蔵》[3]悪寒[4]悪風[5]花粉症[]感覚異常:☆手足に麻痺感或いは知覚異常あり、心下痞硬し、脈浮数にして舌苔なき等の証。《奥田謙蔵》[6]感冒(胃腸型)☆頭痛、発熱し、汗出でて悪風し、肢体倦怠し、心下支撑し、水瀉傾くるが如き者は、夏秋の間に多く之れ有り。此方に宜し。《類聚方広義》[7]急性膵臓炎[8]急性大腸炎 ☆腹痛便血なく、悪寒烈しく脈緊の者。《勿誤薬室方函口訣》☆急性大腸炎の発病当初に用いる機会がある。発病が水様性の下痢で始まり、腹痛、裏急後重が軽く、悪寒が強く、脈がしまっている者に、桂枝人参湯を用いる。もし悪寒・発熱があって、下痢していても、裏急後重が強ければ葛根湯を用いなければならない。《大塚敬節》
☆傷寒論では協熱下痢に、本方を用いている。桂枝人参湯が理中湯に桂皮を加えたものであるから、理中湯を用いるような下痢で、表熱を帯びた者を目標とする。急性腸炎の初期で、下痢もあり、熱もあるものに用いるので、葛根湯証との鑑別が必要である。葛根湯証では、脈が浮数で力があり、裏急後重を伴うけれども、桂枝人参湯では脈弱でやや緊を帯びることがあるが、下痢に、裏急後重を伴うことはない。(漢方診療医典)[9]協熱利[10]下痢☆(水様性下痢・泥状便・腹痛・嘔吐・臭いなく・色うすい)☆虚痞下利を治するの聖薬なり《傷寒論識》☆発汗し、或いは下し、頭痛、発熱し、心下痞硬して痛み、下痢頻々、腹中雷鳴し、その脈浮にして弱なる証。《奥田謙蔵》☆発汗を行いて後脱汗止まず、少しく悪寒し、下痢頻々、或いは嘔吐を発して胸満を覚え、脈数なる証。《奥田謙蔵》☆少しく熱候ありて下痢頻発し、心下軟くして痛み、或いは気ありて職を欲せず、脈数にして弱なる証。《奥田謙蔵》☆夏月冷物を食して水瀉腹痛し、或いは冬月寒冷に遭いて下痢を発し、悪寒、発熱し、脈浮弱なる証。《奥田謙蔵》☆下痢の初期に発汗法を行いて治せず、表証は尚在り、心下痞硬する等の証。《奥田謙蔵》☆平日下痢し易き習慣在り、少しく食物多きに過ぐれば直ちに下痢し、発熱、悪寒する等の証。《奥田謙蔵》☆治痢攻徴篇には“痢疾のはじめ頭痛と悪寒があり、脈が沈遅の者或いは悪風があって、脈が浮弱で数十行も下痢する者には桂枝人参湯がよい。逆挽湯もまたよい。先ず此方を与えて、表証(悪寒・発熱)を治するとともに裏(胃腸)を温めてやるがよい”とあり、逆挽湯は桂枝人参湯茯苓・枳実である。《大塚敬節》
☆傷寒論では協熱下痢に、本方を用いている。桂枝人参湯が理中湯に桂皮を加えたものであるから、理中湯を用いるような下痢で、表熱を帯びた者を目標とする。急性腸炎の初期で、下痢もあり、熱もあるものに用いるので、葛根湯証との鑑別が必要である。葛根湯証では、脈が浮数で力があり、裏急後重を伴うけれども、桂枝人参湯では脈弱でやや緊を帯びることがあるが、下痢に、裏急後重を伴うことはない。(漢方診療医典)[11]さむがり☆手足の冷えが強い時は:「人参」☆腹痛が強いときは:「肉桂」《中医処方解説》[12]四肢倦怠[13]常習性の頭痛[14]小便自利[15]食欲不振[16]神経性心悸亢進症[17]心下痞硬[18]心下動悸
[19]心腹疼痛 [20]頭汗 [21]頭痛 <常習性>(慢性)☆内臓の寒証の人が頭痛を訴えるとき《中医処方解説》[22]軟便
[]乳幼児下痢症 ☆水溶性の下痢で始まり、腹痛、裏急後重が軽く、悪寒が強く脈がしまっている者に用いる。胃腸が弱く、食欲があまりなく血色もすぐれない者に平素これを飲ませておおくと体質が丈夫になる(漢方診療医典)[23]尿量多い[24]発熱☆人参湯証で発熱ある者。《螺王人》☆平素から人参湯を服用している者が突然発症《中医処方解説》[25]表熱裏寒証[26]疲労倦怠[27]頻尿
[28]慢性胃腸炎[29]脈<浮弱数> [30]流感 [31]レイノー病 #桂枝茯苓丸[1-1]《金匱要略》「桂枝・茯苓・牡丹(去心)・桃仁(去皮尖熬)・芍薬各等分」右五味、末之、煉蜜和丸如兎屎大、毎日食前服一丸、不知、加至三丸。◎婦人宿有癥瘕病、經断未及三月、而得漏下不止、胎動在臍上者、為癥痼害。妊娠六月動者、前三月經水利時、胎也。下血者、後断三月衃也。所以血不止者、其癥不去故也、當下其癥、桂枝茯苓丸主之。《金匱要略》婦人妊娠病脉證并治第二十。
○拘攣し、上衝し、心下悸し、経水に変あり或いは胎動く者を治す 按ずるに「経水」の上に、まさに「及」の字あるべし。然らずんば、男子の病を治するの方に非ざるに似る。(方極刪定)
刪=サン、けずる
#桂枝茯苓丸[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬各等分」作末し、煉蜜で丸とし、1日3回、1回3服用。 桂枝茯苓丸証=胎動。
[胎動]=胎児が母の腹中で動く。 “桂枝茯苓丸証に曰く、胎動臍上に在りと、為則按ずるに、蓋し謂ふところの奔豚なり。しかして憶測すべからず。旁例を以て之れを推すに、上衝。心下悸・経水変あり、或は胎動の者、此の丸の主るところなり。”《薬徴》
○拘攣し、上衝し、心下悸し、経水に変あり或いは胎動く者を治す《方極》 ○按ずるに、「経水」の上に、まさに、「及」の字あるべし。然らずんば、男子の病を治するの方にあらざるに似る《方極刪定》
◎経水変有り、或いは胎動、拘攣、上衝し、心下悸する者を治す。《吉益東洞》 ◎此方は瘀血より来る癥瘕を去るが主意にて、凡て瘀血より生じる諸症に活用すべし《勿誤薬室方函口訣》◎鑑別:「桃核承気湯」・・・・・如凶、少腹急結とあり、
「桂枝茯苓丸」・・・・その不去故也を目的とす「温経湯」・・・・・・・・上熱下寒の候あり。
◎実証で顔面口唇などが欝血性で、肩こり・頭痛・めまいなどののぼせ症状があり、下腹痛、月経不順、子宮出血などある者。《龍野ー漢方処方集》◎《湯本求真》慢性病はすべて、瘀血が原因であるとして、桃仁・牡丹皮の入った処方と柴胡剤を合方した。“瘀血の証あれば柴胡の証あり、柴胡の証あれば瘀血の証あり”
◎目標:《大塚敬節》 <1>腹診上、瘀血の腹証がある。(参照→桃核承気湯・大黄牡丹皮湯) <2>便秘の徴候無く、下腹部に圧痛のある部位を認める。しかし、まれにはこれらの腹証のはっきりしない場合もある。
【腹証】《腹診配剤録》“臍下に塊有りて悸し、若くは痛む” 《大塚敬節》“下腹部に充実した感触の抵抗を触れる部があり、この部を按圧すると疼痛を訴える。この抵抗は左下腹に触れることもあり、右下腹に触れることもあって、場処は一定していない”
★適応症及び病名 (けいしぶくりょうがん)[1]アレルギー性鼻炎
[2]アレルギー性皮膚炎:☆30歳の女性。パーマネントをかけ薬品にかぶれて頭部全体から頸部にかけて皮膚炎を生じ、結痂性膿疱を多発し、夜間の瘙痒と熱感激しく不眠を訴える。
腹診上、著明な瘀血所見と、三陰交の圧痛著明且つ頭部のフケが多いのを目標にして桂枝茯苓丸に薏苡仁を1日20g加えて投薬した。 腹部瘀血所見の改善に平行して頭部の皮膚炎次第に軽快し、瘙痒感もとれ、フケも減少す。《坂本正夫》
[3]あかぎれ
[4]朝のこわばり
[5]足が冷たい(足が冷える)
[6]足がほてる
[7]イライラ
[8]イボ
[9]鬱血斑
[10]鬱病(ウツ病)
[11]打ち身(打撲):☆桃核承気湯より症状が緩慢な者を目標とする《大塚敬節》☆打撲の後遺症に:「+甘草・生姜」=甲字湯《原南陽》☆打撲の疼痛:「+大黄附子」《浅田宗伯》
[12]瘀血:☆《劉紹》曰く、此方、世人は単に破血の剤と為す。此れおそらくは然らず、蓋し、癥瘕の生ずるは陰気渋滞に原づく。故に方中、桂枝茯苓を以て主と為す。又掲ぐるに方名を以てす。見る可し、その扶陽和栄よりして破血逐瘀に及ぶ者なるを。《雑病論識》
☆瘀血による疼痛を治する効があり、上肢または下肢の打撲後の疼痛に用いられる《大塚敬節》
[13]悪露残留:☆産後悪露尽きず、或いは経後、瘀血痛を作し、漸く内癰と成らんとするを治す。《本朝経験》☆産後、悪露尽きざれば則ち諸患錯出し、その窮、ふ可らざるに至らん。故にその治は瘀血を逐ふを以て至要とす、《類聚方広義》
[14]カルブンケル(癰)
[15]下肢の疾患: ☆25歳の婦人。お産の後で左下肢が大きくなった。それに左の足は重くて、長く座っていられない。もう半年以上になるが、少しも良くならないという。桂枝茯苓丸料を与えた。腫脹がすっかりとれるまでに半年あまりかかったが、それと同時に、顔のニキビもきれいによくなった。《大塚敬節》☆下肢が冷える。☆福井侯の臣、杉山源十郎の妻、年30は、左の足が瘤のように腫れ、軟らかくて赤色を帯び、時々痛んで歩くことが出来ない。医は皆、風湿あるいは傷冷毒としてこれを治したが効かない。余はこれを診して、瘀血によるものであるから、血を温めて、血行を良くしなければならないと云って、桂枝茯苓丸料に附子を加えて与え、当帰湯加荷葉礬石で痛むところを温湿布した。すると月経がどっさり下って、腫痛が自然に忘れるように良くなった。《橘窓書影》
[16]下腹部の腫瘤
[17]下腹部の抵抗と圧痛
[18]角皮症
[19]角膜炎
[20]鵞掌風
[21]肩こり(肩痛)①顔面・口唇が鬱血している。②のぼせ。③月経不順。
[22]眼瞼炎
[23]眼精疲労 ☆眼痛、充血。赤ら顔、冷えのぼせがあり、臍傍の圧痛(瘀血)があるもの(漢方診療医典)
[24]眼底出血
[25]感情不安定
[26]肝斑
[27]顔面紅潮
[28]ギックリ腰
[29]気の上衝
[30]強皮症 ☆瘀血によるもので、下腹部の抵抗圧痛を訴え、体力のある者に本方がよい。薏苡仁10.0gを加えるとよい(漢方診療医典)
[31]筋炎
[32]頸管カタル
[33]経閉
[34]下焦の血瘀
[35]月経異常:☆月経久しく止まず、下腹部に拘攣疼痛等有る証。《奥田謙蔵》☆経水不調、時時頭痛し、腹中拘攣し、或いは手足𤸷痺する者、或いは経期に至る毎に頭重、眩暈し、腹中・腰脚㽲痛する者を治す《類聚方広義》☆稀発月経☆過少月経
[36]月経困難症:☆月経の始まる前、または初日に疼痛が来る月経困難症に用いる。当帰建中湯では月経の全期間を通じて痛み、或いは月経が終わる頃になっても痛む傾向がある。桂枝茯苓丸を用いる患者は、当帰建中湯や当帰芍薬散などを用いる患者よりも、腹力があり、弾力に富んだ腹をしている。《大塚敬節》☆丸とせず煎剤として用いる《大塚敬節》
【EBM】月経困難症に対する桂枝茯苓丸の効果 桂枝茯苓丸の月経時短期投与法により、著効は16例(53%)、有効は8例(27%)、無効は6例(20%)であった。
(付記) 鎮痛剤の使用は、著効群で7.3個から1.4個、有効群で8個から4.5個に減少した。
[37]月経痛:☆生理中ずっと腹痛・腰痛。
[38]月経不順☆婦人、血行障害ありて月経順調ならず、或いは下腹部が痛み、或いは腰痛し、或いは足膝部疼痛する等の証。《奥田謙蔵》☆「紅花・甘草(大黄)」を用いることあり《済世薬室》☆19歳の未婚の女性。3年前より黄色を帯びた帯下があり、最近は下腹部に疼痛を訴えるようになった。その上、月経が不順になり、3ヶ月も4ヶ月も月経をみないことがある。婦人科では子宮発育不全と診断したという。
その他、肩凝り、頭痛があり、腰や足が冷える。大便は硬い。腹診すると、左下腹部で腸骨の付近に、抵抗と圧痛を証明する。私はこれに桂枝茯苓丸を与えたが、これを7日飲むと、月経が始まり、腹痛も軽快し、頭痛、肩凝りもよくなった。しかし帯下には変化がない。しかし気分が良いので、あと1週間の服薬で休薬してしまった。すると、翌月は月経があったが、翌々月からまた月経が止まった。そこでまた前方を与えた。今度は2週間ほど呑むと、月経が始まった。引き続き7ヶ月呑んだ。すると毎月、月経があるようになり、帯下もほとんど下りなくなった。《大塚敬節》
[39]血液の循環障害
[40]血栓性静脈炎: ☆本方で血栓性静脈炎を治した例が数例あり、発病後1カ年以内のものによい。多くは、瘀血の腹証がみとめられることで、本方を用いる。
発病2ヵ月の婦人では、20日間の服用で全治したが。発病半年あまりの婦人では、全治までに、半年以上かかった(漢方診療医典)
[41]血尿
[42]血分腫:(=月経なく水気を発する。瘀血からきた水腫)☆《浅田宗伯》は“桂枝茯苓丸に車前子と茅根を加えて、血分種および産後の水気を治す”☆産褥下肢血栓症にこの方を用いて著効を得た。1人の患者は27歳の女で、2ヶ月目に流産し、その後、掻爬術を受けたという。ところが数日を経て、左下肢に浮腫を生じ、漸次増大し、平素の2倍ほどになり、緊満感が甚だしく、起座が困難の状態になった。産婦人科医は産褥下肢血栓症と診断して、手当をしてくれたが、何の効もないという。大小便および食欲に異常はない。私は瘀血によるものと診断して桂枝茯苓丸を与えたが、数日の服薬で腫脹がどんどん消散、20日で全治した。《大塚敬節》
☆20歳女性。平素から軽い心臓弁膜症があったが、ほとんど自覚症状はなかった。ところが1ヶ月ほど前から、急に全身に浮腫が現れ、呼吸が苦しくなったという。医者は心臓が悪いからだという診断で、ジギタリス剤を用いているらしかった。ところが、これを飲んでも効がないばかりか、食欲が無くなったという。脈をみると、沈濇で、臍上で動悸が亢進し、下腹部が膨隆して抵抗がある。月経が6ヶ月も止まっているという。そこで、瘀血による血分種と診断して、桂枝茯苓丸料を与えたところ、2ヶ月ほど服用した。その後、この患者は結婚し、3年ほどになるが、妊娠しないということで来院した。しかし浮腫はその後現れないということだった。
[43]血瀝痛:☆=(血瘀によって起こる痛み)☆大黄・附子。《済世薬室》
[44]結節性紅斑:☆20歳の未婚の女性。平素は頑健で著患を知らず。2週間前より四肢と腰に疼痛を覚え、微熱が出た。医師は結節性紅斑と診断したという。
下腿には数個の指頭大の隆起した紅斑があり、圧痛がある。食欲は少なく、大便は3日に1行。月経は遅れがち。 腹診上、やや左によった下腹部に圧痛がある。以上の所見から、私は桂枝茯苓丸大黄を与えたが、2週間で結節は消失した。《大塚敬節》
[45]結膜炎
[46]眩暈(げんうん)
[47]肩背強急
[48]睾丸炎(急性)
[49]高脂血症 ☆腹診で瘀血の証が認められる女性に用いる。のぼせ、高血圧などを伴っていることが多い。(漢方診療医典)
[50]高血圧症: ☆48歳の女性。 「1年前から月経不順となり、更年期障害と言われ、ホルモン注射を受けた。気分がイライラし、外出すると顔がモヤモヤし、フラフラめまいがして歩けないという。天気の悪いときは症状がひどい。頭痛・動悸・腰痛・左下腹の引きつるような痛み・のぼせ・首筋のこり・足のほてりとむくみなどがあって、生きた心地がしない。
体格・栄養はともによい。顔は赤い方で、脈は沈んでかたい。腹は充実して左のヘソの当たりから下にかけて、押すと抵抗感と圧痛がある。数年前から血圧が(210-110)ぐらいだという。初診時は(170-110)であった。
桂枝茯苓丸を与えると、10日分で前記の諸症状が警戒し、血圧も(140-95)に下がり、腹部の状態も良くなり、数ヶ月間服用したところ全治した。」《矢数道明》
[51]口乾
[52]口唇鬱血性
[53]虹彩炎☆《小倉重成》が瘀血による虹彩炎12例の治験を発表。その大部分が桃核承気湯、大黄牡丹皮湯、当帰芍薬散、大柴胡湯等を2~3方ずつ合方したもので奏功している《大塚敬節》
[54]甲状腺腫 ☆甲状腺腫の患者で腹診で瘀血の腹証を認めたときには薏苡仁(漢方診療医典)
[55]更年期障害 【EBM】更年期障害に対する桂枝茯苓丸の効果
[56]紅斑
[57]黒色便
[58]黒斑
[59]肛門周囲炎
[60]五十肩
[61]骨粗鬆症 ☆体格中等度以上で、瘀血の所見があり、のぼせがある者に(漢方診療医典)
[62]骨折
[63]骨盤内炎症(鬱血症候群)
[64]骨盤腹膜炎
[65]座骨神経痛: ☆座骨神経痛:「附子」《大塚敬節》☆48歳の女性。約1年ほど前から月経が閉止している。その頃から左の腰から足にかけて痛む。医師は坐骨神経痛と診断して、注射をしてくれたが、よくならない。便秘がちである。腹診すると、左下腹の筋肉が緊張し、左腸骨付近に圧痛を証明する。よって桂枝茯苓丸料大黄1.0を与えたところ、10日分の服用でいちじるしく軽快し、20日分も飲み終わらないうちに全治した。《大塚敬節》
[66]サルコイドーシス ☆瘀血があり、ブドウ膜炎などの眼症状があるものに用いる(漢方診療医典)
[67]産後の眼疾患 “産後、眼疾患を患うものに、出血がひどくて、視力の弱ったものがあり、悪露が残って、瘀血が攻めのぼって種々の険悪な症を呈するものがある。之には桃核承気湯、下瘀血湯、桂枝茯苓丸、芎帰膠艾湯、八味地黄丸の類を選用するのがよい”《眼科一家言》
[68]子宮筋腫
[69]しもやけ
[70]手掌角皮症:☆「+薏苡仁」《大塚敬節》☆33歳の女性。10年前に結婚したが未だに子がない。約5年前から月経が長引き、或いは1ヶ月に2回もあって、とかく全身の違和感を覚えて、いろいろ治療を試みたが無効であった。訴えを聞くと、常に下腹部が張り、黄色の帯下が多く、腰が冷え、いつも腰へ風が吹き込んでいるようだと云う。上衝や肩こりがあり、月経の時に風邪を引くことが多く、また下痢する。同時に、数年前から両手指掌が荒れて冬になると亀裂を生じ耐え難い疼痛があり、口唇も乾燥して荒れるという。
見たところでは血色は大変良く、上衝して赤すぎるぐらいの顔色である。体格はしっかりして均整のとれた肢体である。脈は沈遅で力があり。腹は全面拘急し、両腹直筋は特に拘攣して、臍の左方及び右腸骨に圧痛を証明する。
以上から考えると、桂枝茯苓丸の正面の証とみて差し支えないであろう。私は料とし、手指の荒れるのを皮膚甲錯とみて苡仁を加えて 投薬した。当時2度目の出血が8日間続いて止みそうに無いとのことであったが、本方を1貼服用したら翌朝ピタリと止血してしまった。しかし本方を服用してから翌月は正しく1ヶ月目に来潮して5日間でキチンと済んだ。
それと同時に、両手掌の角化症が8分通り治ってしまった。《矢数道明》
[71]心筋梗塞 ☆弁膜症の患者で、瘀血の徴候のあるものに用いる。 19歳お未婚の婦人で、兼ねて弁膜症があったが、たいした愁訴もなく、医療を受けていなかったところ、それまで順調であった月経が2ヵ月ほど閉止し、そのためが全身に浮腫が現れ、動悸、めまいを訴えるようになったという。腹診してみると、下腹に抵抗と圧痛があり、瘀血に腹証を認めたので、桂枝茯苓丸車前子茅根を与えたところ、1ヵ月もたたないうちに月経が通じ、諸症状が消失した。車前子・茅根各3.0を加えたのは、尿利を良くして、浮腫を去るためであった。浅田宗伯に勿誤薬室方函口訣に桂枝茯苓丸の項に“車前子、茅根を加えて血分種(月経が停止して浮腫を来した状態)及び産後の水気を治する”とある(漢方診療医典)
[72]ジンマシン:☆27歳男子。体格中等、栄養も普通。1年以上前からジンマシンで苦しんでいる。発斑はやや赤く、大きいが、全身に散在して出る程度で、痒くて眠れないほどではない。口渇もなく、便秘もしていない。
そこで十味敗毒湯を与えた。2週間服用したが、何の反応もない。そこで葛根湯石膏としてみた。これも1週間の服用で効がない。ところが、この頃、ジンマシンは夜が特にひどく、昼間は軽いというので、瘀血の証を疑って、ていねいに腹診してみると、右下腹に抵抗と圧痛を認める。瘀血の腹証である。そこで桂枝茯苓丸を与えた。これを飲むとその夜から著効があり、7日の間、1日だけ痒く、他はカユミを忘れていたという。《大塚敬節》
[73]痔核:☆男子の痔疾患等《奥田謙蔵》
[74]痔出血
[75]四十肩(腕)
[76]湿疹(しっしん)
[77]子宮筋腫☆「鼈甲・甘草」《済世薬室》☆「茅根・車前子(大黄)」《済世薬室》 【Evidence】 ①1件の多施設症例集積研究において、内診および超音波、CTによる検討がなされ、62%の症例で筋腫子宮の大きさが縮小した。
②2件の症例集積研究で内診および超音波で筋腫子宮の大きさの変化を検討し、有意の縮小効果は得られなかったが、月経困難症と貧血に改善を認めた。 ③1件の比較臨床試験において、桂枝茯苓丸群は無治療群に比べ3ヶ月後から推定子宮重量が有意に減少した。6ヶ月後の時点で桂枝茯苓丸群は半数の症例が15%以上推定子宮重量が減少したのに対し、無治療群で15%以上推定子宮重量が減少したのは5.2%であった。
[78]子宮後屈
[79]子宮出血:☆子宮出血にして、或いは凝血、粘液を交え、腹拘攣し、身熱、頭痛する等の証。《奥田謙蔵》☆妊娠中に子宮より出血するときは、止血の目的で芎帰膠艾湯を用いる。これで出血が止んで流産が防止できる出来ることがある。しかし早産や流産の後、胎盤が残留していて、出血の止まない時、又は、胎児が死亡しているような場合には、桂枝茯苓丸や桃核承気湯を用いるのが良い。これで奇妙に胎盤や死胎が排出せられる《大塚敬節》
[80]子宮退縮不全
[81]子宮内膜症
[82]子宮付属器炎
[83]死胎:☆毒物を食し、或いは誤って毒薬を服し、胎気を傷動し、下血止まず、胎いまだ損ぜざれば此れを服して安かる可し。已に死せば之を服して下るべし。《雑病翼方》☆婦人小産、下血至多、子腹中に死し、その人憎寒、手指口唇爪甲青白、面色黄黒、或いは胎は上心を搶けば悶絶死せんと欲し、冷汗自ら出で、喘満食せざるを治す。《雑病翼方》☆妊婦、顛仆して子腹中に死し、下血止まず、少腹攣痛する者に之を用いれば胎即ち下る。《類聚方広義》
[84]紫斑(紫斑病)
[85]習慣性流産
[86]出血<出血傾向>☆吐血、或いは逆経にして、下腹部拘攣する等の証。《奥田謙蔵》☆血淋、腸風、下血し撰び用いれば皆効有り。《類聚方広義》☆瘀血による出血に用いる。《大塚敬節》☆一女子20歳許り、1日大いに衂血出て止まらず、一旦軽快し、また発して止まざる者、桂枝茯苓丸を服し頓に癒えたる者あり、此人平常より経水順調ならずと謂い、又、顔面血色良きより本方を服せしめたり、これは所謂瘀血が上衝して鼻血として出たものの如し、併し此婦人経水閉止とまではいかざりしなり《古方薬嚢》
[87]出血性メトロパシー
[88]手術後の不定愁訴
[89]出産:☆妊娠臨盆に之を用いれば催生に尤も効有り《類聚方広義》☆産後、眼疾を患う者に、出血がひどくて、視力の弱ったものがあり、悪露が残って、瘀血が攻め上って種々の険悪な症を呈するものがある。これには桃核承気湯、下瘀血湯、桂枝茯苓丸、芎帰膠艾湯、八味丸の類を選用するが良い《眼科一家言》☆産後已に数十日を過ぎて它異症無く、但だ時時臍を遶りて刺痛し、或いは痛腰腿に延く者、経閉、上衝、頭痛し、眼中に翳を生じ、赤脈縦横、疼痛、羞明し、腹中拘攣する者を治す《類聚方広義》
[90]耳鳴
[91]腫瘍(しゅよう)
[92]静脈怒張
[93]静脈瘤
[94]自律神経失調症
[95]腎炎
[96]心悸亢進
[97]心臓病
[98]神経質
[99]神経衰弱
[100]神経痛: ☆血分に属し動かし難きは:「桂枝茯苓丸附子」しばしば験あり。《橘窓書影》☆打撲の後遺症として、手足の神経質要の疼痛に用いる《大塚敬節》
[101]進行性手掌角皮症
[102]尋常性痤瘡
[103]ジンマシン
[104]水腫(体内に必要以上の水分が停留して、浮腫(むくみ)を起こす病証。) “産後に悪露の出が悪くて、そのために起こった水腫には、たいていは桂枝茯苓丸で瘀血を下せば、水腫も自然に消失する”《有持桂里》
[105]頭重
[106]頭痛
[107]舌質:<紫><斑>
[108]全身性エリテマトーデス ・SLEに用いてよいことが多い。腹証その他によって瘀血証を確かめて用いるものである。ステロイド剤長期投与により瘀血が生じやすい。(漢方診療医典)
[109]喘息
[110]前立腺炎
[111]前立腺肥大
[112]そばかす
[113]帯下:☆赤白帯下を治す:「鶏冠花・紅花・蒲黄(炒)」《本朝経験》 [114]大動脈瘤 ☆腹部の大動脈瘤に用いることがある。腹診して、悪血の腹証を認めるものを目標とする。症状によって、大黄を加える(漢方診療医典)
[115]胎盤残留
[116](だぼく):☆血瀝痛(悪血による疼痛)及び打撲疼痛に:「大黄・附子」《済世薬室》☆打撲の軽症を治す:「川芎・当帰」《本朝経験》☆打撲に原因する諸種の疾患に用いる《大塚敬節》
☆打撲による皮下出血が広範囲に及び、紫斑となり、下肢血栓症のように腫れたものなどに用いる。またむち打ち症の軽いものにも広く用いられる。むち打ち症には葛根湯桂枝茯苓丸料としても用いられる(漢方診療医典)
[117]脱肛
[118]血の道症:☆ヘソ横~下腹部に抵抗と圧痛を認め、頭痛、腹痛、肩こりする者。
[119]蓄膿症
[120]中心性漿液性網脈絡膜症 ☆婦人などで月経異常を伴い、腹部に瘀血を認め、経過の長引くものによい。小柴胡湯や大柴胡湯と合方してもよい。
30歳のバーのマダムで、シッカリした体格である、1年前から視力障害を訴え、眼科では白内障と中心性網膜炎といわれた。有名な眼科専門医を歴訪したが、どこでも失明不治を宣告されてしまった。頭痛、肩こりがひどく、月経時に特にひどい。人工流産を数回繰り返したことがある、下腹部臍傍に瘀血症状が顕著である。桂枝茯苓丸を10日分服用すると、肩こりや頭痛、首筋のこりがウソのようにとれ、20日後には少し視力が回復し、1ヵ月後にはピンポンができるようになった。2ヶ月後には新聞が読めるようになり、4ヶ月後には左右とも視力0.9まで回復し、主治医はまさしく漢方による奇跡的治癒と言った(漢方診療医典)
[121]虫垂炎:☆亜急性~慢性。中ぐらいの体力があり、ときどき右下腹部が痛み、下腹部が張り気味で、少し強く押すと圧痛がある者。☆軽症虫様突起炎等には、証に由り大黄を加う。《奥田謙蔵》☆《原南陽》は、「+甘草・大黄」で腸癰を治す。☆腸癰:「甘草・薏苡仁・大黄」《雑病翼方》
☆亜急性のもので、慢性の者にも用いる機会がある。一般状態は軽く、熱も無く、腹痛は軽く、右下腹部に鈍痛と圧痛があるものに用いる。これに薏苡仁10.0を加えてもよい。(漢方診療医典)
[122]手のあれ:☆手掌・手甲の荒れる者に:「薏苡仁」《大塚敬節》
[123]テンカン
[124]凍傷
[125]動脈硬化症
[126]にきび:☆27歳女性。色の浅黒い体格が良い。便秘の癖があり、いつも下剤を飲んでいるという。面疱は、顔一面に出ていて、月経前にはひどくなる。大きいやつは赤小豆大となり、先端に膿を持つことがある。月経の初日に腰痛がある。脂っこい物と香辛料を好む。腹診してみると、左右の腹直筋は攣急し左腸骨窩に抵抗と圧痛がある。
そこで桂枝茯苓丸料に大黄を加えて与えた。翌月の月経時には、腰痛はほとんど無く、面疱も増悪せず、段々減少する。3ヶ月後には、ほとんど全治の状態となったが、流感にかかり20日ほど服薬を休んだところ、又少し逆転したが、その後、3ヶ月間服薬を続け、面疱も月経困難症もともに全治した。《大塚敬節》☆色白で、月経が遅れ気味で、帯下があり、腰痛のない面疱の女性に、桂枝茯苓丸大黄を与えたが効無く、清上防風湯大黄を4ヶ月服用して全治した。《大塚敬節》
[127]乳腺腫瘍
[128]乳腺症
[129]尿路結石:☆左側の尿管に結石があって、時々激しい腹痛を起こす患者を診察し、左側腸骨の内側に抵抗と圧痛のあるのを目標に、この方を用いたところ、2週間で、赤小豆大の血塊が排泄されて、それきり全治した。《大塚敬節》
[130]ネフローゼ
[131]熱性病:☆熱性病の後、余熱退かず、苦煩、咳嗽し、渇して心下痞硬し、或いは嘔し或いは吃逆を発する等の証。《奥田謙蔵》
[132]ノイローゼ
[133]脳梗塞 【EBM】無症候性脳梗塞に対する桂枝茯苓丸の効果 (EVIDENCE) 1件の多施設症例集積研究において、12週間投与は無症候性脳梗塞(142例)に対して、投与前に比べてHDS-R、apathyスケール、SDSを有意に改善し、有用度がやや有用以上は60%であった。
[134]のぼせ
[135]バージャー病(閉塞性血栓性血管炎) ☆下肢の冷感と疼痛を主訴とし、間欠性跛行をきたす。大塚敬節氏は、下肢切断を奨められいた青年に、タバコを禁じ、野菜を主食にして桂枝茯苓丸を与えて全治せしめたことがある
[136]肺結核
[137]麦粒腫
[138]鼻血 ☆月経障害による代償性衂血に最もしばしば本方が用いられる。実証で瘀血が多く、症状が激しく便秘しているものには桃核承気湯がよい(漢方診療医典)
[139]皮下膿瘍
[140]皮膚炎
[141]肥厚性鼻炎
[142]ヒステリー
[143]腓腹筋の疼痛
[144]疲労倦怠感
[145]ひび
[146]冷える(冷え性)
[147]鼻炎。鼻カタル
[148]皮下膿瘍
[149]フルンケル()
[150]ブドウ膜炎
[151]副睾丸炎
[152]副鼻腔炎
[153]腹直筋攣急:<左の>
[154]腹痛: ☆産後悪露尽きず、腹痛、大便燥なる者:「大黄」《本朝経験》☆蓄血に因り腹大脹満する者は血蠱となる。その証、発作時有り、或いは夜に至って腫れ、旦(あした)に至れば則ち減ずるの類なり。《先哲医話》
☆月経困難症、卵管炎、卵巣炎などの子宮付属器炎からくる腹痛、虫垂炎、尿管結石などからくる腹痛に用いられる。《大塚敬節》 ☆腹膜炎(慢性) [155]浮腫:☆産後に悪露の出が悪くて、そのために怒った水腫には大抵は桂枝茯苓丸で、瘀血を下せば、水腫も自然に消失する《有持桂里》☆産後の水気を治す:「車前子・茅根」。《済世薬室》☆他の1人は25歳の婦人、お産のあとで左下肢が大きくなった。それに左の足は重くて、長く坐っておれない。もう半年以上になるが、すこしも良くならないという。これにも桂枝茯苓丸料を与えた。この患者の場合は腫脹がすっかり取れるまでに半年あまりもかかったが、それと同時に、顔のニキビもきれいに良くなった。《大塚敬節》☆20歳の処女。平素から軽い心臓弁膜症があったが、ほとんど自覚症状はなかった。ところが1ヶ月ほど前から、急に全身に浮腫が現れ、呼吸が苦しくなったという。私はこの患者の父親を往診し、ついでにこの患者を診察した。医者は心臓が悪いからだという診断で、ジギタリス剤を用いているらしかった。ところが、これを飲んでも効かないばかりか、食欲が無くなったという。脈をみると、沈濇で、 臍上で動悸が亢進し、下腹部が膨隆して抵抗がある。月経が6ヶ月も止まっているという。そこで、瘀血による血分腫と診断して、桂枝茯苓丸料を与えたところ、服薬5日目に月経があり、2週間で、浮腫の大半がとれ、2ヶ月ほど服薬した。《大塚敬節》[156]婦人肥満症[157]不正性器出血[158]不妊症:☆28歳、結婚して5年になるが、妊娠しないと云う。色は浅黒く、筋肉の発育もよく、頑丈な体質である。月経はほぼ順調であるが、月経の初日に腰痛がある。
婦人科で診察を受けたところ、子宮の発育が良くないと云われた。私はこれに桂枝茯苓丸を与えたが、2ヶ月目から月経時の腰痛がなくなり、8ヶ月目に妊娠し、男子を無事分娩した。《大塚敬節》☆当帰芍薬散:虚弱で疲れやすく、色が白く、筋肉の締まりが悪い。桂枝茯苓丸:筋肉がしまり、血色もよい。☆山梨県から不妊症の患者が引き続いて3人来て3人とも成功した。これらの人々は結婚後4年から8年間、1度も妊娠しないというもので、皆がガッチリした太った体格で、一見女丈夫である。顔色も良く、下腹部、臍傍に抵抗と圧痛があり、かって内膜炎や卵管炎などの既往症があって、瘀血充満と認められる者ばかりであった。3人とも桂枝茯苓丸料を1、2ヶ月間服用しているうちに、妊娠した。 《矢数道明》[159]不眠症[160]偏頭痛[161]便秘[162]慢性肝炎[163]脈
:<沈緊遅>[164]耳鳴り[165]無月経:☆肥満した29歳の女性。月経が5ヶ月止まっている。ホルモン注射を2ヶ月も続けているが、効が無いという。
自覚症状としては、肩凝りと頭重があるだけで、ほかに訴えはない。腹を診ると右下腹部に抵抗と圧痛があり、腹部は全般に緊張に乏しい。 私はこれに桂枝茯苓丸料を与えたが、7日呑んだ時、月経が始まった。《大塚敬節》
☆北欧系の少女、17歳。体格は大柄でよく肥満している。この少女は1年に1回ぐらい、少し月経らしいものがあるだけで、それをひどく気にしているが医師に診てもらうのが、嫌だという。それでも 漢方の先生になら診てもらってもよいということになって、腹診してみた。
腹部は全体に緊張し、ことに下腹部は緊満しているが、この部を強く按圧すると痛むという。 私はこれに桂枝茯苓丸料を与えたが、なかなか月経が来朝しない。しかしこの少女は注射が嫌いであったから、辛抱強く飲み続け、3ヶ月目にやっと、しるしぐらいの月経があり、5ヶ月目から規則正しく月経があるようになり、大変喜んだ。《大塚敬節》[166]ムチ打ち症[167]メトロパチー(機能性出血)
[168]メニエール症群 ☆本方は瘀血(血塞、うっ血、血凝滞)があって、気の動揺によって神経症状が起こったものに用いる。メニエール症候群は内耳の血行不全、循環調節不全によって起こるといわれているが、この処方はそれらの循環不全を治すものと思われる。本病は婦人の更年期によく起こるものであるが、それはこの血行不全や自律神経失調と関係がある。たいてい、腹診すると臍傍から下腹部に抵抗と圧通があり、赤ら顔でのぼせ症である。
50歳の肥った赤ら顔の不仁、半年前。手洗いに起きたとたんにひどいめまいがして倒れ、2週間頭を上げられず、激しいめまいで苦しんだ。血圧は120mmHgである。大学病院の婦人科や耳鼻科でメニエール症候群と言われた。その後つねにフラフラして真っ直ぐに歩けない。耳鳴りがしていつも蝉が鳴いている様である。危なくて一人で外出できない。月経時にはめまいがひどい、臍傍臍下に抵抗・圧通があり、瘀血がハッキリしている。桂枝茯苓丸料を与えたところ、10日分飲んで再来のとき、横断歩道を真っ直ぐに駆け足で渡ることができ、足元がしっかりしたと喜んだ。半年ぐらい続服してほとんど良くなった(漢方診療医典)
[169]めまい[170]面疱[171]網膜炎(視力がない):☆30歳女性。初診昭和33年2/6。患者は昨年11月に右視力障害を訴え、眼科の診断を受けたところ、白内障と中心性網膜炎という病名であった。いろいろ治療してもらったが好転せず、ほとんど視力が無くなってしまった。そしてついに不治の宣告を下されたので、他の大病院の眼科や伊豆の眼科の長老に紹介され診てもらったところ、残念ながら手遅れで失明に近いと云われた。
この患者は銀座の大きなバーのマダムで、堂々たる貫禄で顔色もよく、主訴は右側の視力障害と頑固な頭痛、肩と首筋の凝りであった。頭痛は月経時に烈しく、月経は遅れ勝ちで、かつ子宮後屈があると云われたことがある。8年前に出産1回、人工流産数回を繰り返している。腹証は瘀血による下腹部反応が顕著であたので、桂枝茯苓丸に大黄0.3を加えて投与した。
10日間の服用によって、肩凝りや首筋の凝り、それと頑固な頭痛がウソのように取れて、20日後には視力の回復を自覚し、1ヶ月後にはピンポン遊びが出来、2ヶ月後には悪い方の眼で新聞が読めるようになった。
4ヶ月後には左右とも視力が0.9となり、発病当初からの主治医は全くの奇跡で、漢方が効いたことを率直に認めると言っているとのことである。《矢数道明》[172]盲腸炎[173]夜尿症[174]腰痛症:☆腹診して左下腹部に抵抗と圧痛を認める者。☆泌尿器及び婦人科疾患による腰痛。☆打撲後の腰痛。☆瘀血に起因する疼痛で、便秘がなく、疼痛に急迫症状がない。したがって堪えがたいような腰痛には用いない。《大塚敬節》
☆打撲による腰痛、産後の腰痛などにも用いる《大塚敬節》☆腎石、卵巣炎、卵管炎などがあって、腹痛とともに腰痛を訴える場合にも用いる。《大塚敬節》
☆体力中等度から実証の者の腰痛で、のぼせを伴うような腰痛で、瘀血所見のある者にもちいる(漢方診療医典)[175]卵巣炎[176]卵巣機能不全[177]卵巣嚢腫
☆浮腫あれば、「琥珀・車前子・茅根」《済世薬室》 [178]リウマチ[179]流産後[180]流産癖 #桂枝茯苓湯《勿誤薬室方函口訣》「桂枝茯苓丸車前子・茅根・大黄」◎瘀血変じて水腫を成す者を治す。◎一方、「-大黄+琥珀」
#桂枝附子湯[1-1]《傷寒論》 「桂枝(去皮)4両、附子(炮去皮破)3枚、生姜(切)3枚、大棗(擘)12枚、 甘草(炙)2両」右五味、以水六升、煮取二升、去滓、分温三服。初一服、其人身如痺、半日許復服之。三服都盡、其人如冒状、勿怪。此以附子、朮、併走皮内、逐水氣未得除、故使之耳。法當加桂4両。此本一方二法。以大便鞕、小便自利、去桂也。以大便不鞕、小便不利當加桂。附子三枚恐多也、虚弱家及産婦、宜減服之。◎傷寒八九日、風湿相搏、身體疼煩、不能自轉側、不嘔、不渇、脉浮虚而濇者、桂枝附子湯主之。若其人大便鞕、小便自利者、去桂加白朮湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。《金匱要略》痓湿暍病脉證第二。 #桂枝附子湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》「桂枝4、附子0.5、生姜・大棗各3、甘草2」◎桂枝去芍薬湯の証にして、身体煩疼し、自ら轉側し能わざるを治す。《吉益東洞》◎桂枝附子湯は其の桂枝を用うること桂枝湯より多くして上衝の語なし。蓋し闕文なり。桂枝湯、葛根湯、苓桂朮甘湯等は皆上衝の証あり。況んや此の湯に於てをや、其の闕文たるや明らかなり。《重校薬徴》
○桂枝去芍薬湯証にして身体疼痛し、自ら転側し能わざる者を治す《方極》◎身体疼痛、脉浮虚。《龍野ー漢方処方集》 ◎鑑別:甘草附子湯(参照→甘草附子湯)
★適応症及び病名(桂枝附子湯)[1]悪寒[2]化膿症[3]関節痛[4]関節リウマチ: ☆痛み激しくない者。 ☆慢性関節リウマチ[5]気の上衝<+>[6]脚の攣急[7]筋肉リウマチ[8]寒がり[9]自汗[10]神経痛[11]身体疼痛[12]手足冷たい[13]尿頻数[14]のぼせ[15]瘭疽[16]ベーチェット病
[17]麻痺[18]面疔 #桂枝附子去桂加朮湯(白朮附子湯)《金匱要略》「白朮2両、附子(炮去皮)1枚半、甘草(炙)1両、生姜(切)1両半、大棗6枚」
右五味、以水三升、煮取一升、去滓、分温三服、一服覚身痺、半日許再服、三服都盡、其人如冒状、勿怪、即是朮附並走皮中、逐水氣未得如故耳。◎傷寒八九日、風湿相搏、身體疼煩、不能自轉側、不嘔、不渇、脉浮虚而濇者、桂枝附子湯主之。若其人大便鞕、小便自利者、去桂加白朮湯主之。《金匱要略》痓湿暍病脉證第二。◎其の人冒状の如し、怪しむ勿れ、即ち是れ朮附皮中を並び走り、水気を逐い未だ除くを得ざる故にもと曰う。此れ亦瞑眩の謂なり。《重校薬徴》
○桂枝附子湯証にして大便硬く小便自利し、上衝せざる者を治す《方極》 ○「上衝せず」の3字は、まさに「大便硬」の上に在るべし《方極刪定》 #桂枝麻黄各半湯[1-1]《傷寒論》=「桂麻各半湯」「桂枝(去皮)1両16銖、芍薬・生姜(切)・甘草(炙)・麻黄(去節)各1両、
大棗(擘)4枚、杏仁(湯浸去皮及両仁者)24枚」右七味、以水五升、先煮麻黄十二沸、去上沫、煮取一升八合、去滓、温服六合。本云桂枝湯三合、麻黄湯三合、併為六合、頓服、将息如上法。◎太陽病、得之八九日、如瘧状、発熱悪寒、熱多寒少、其人不嘔、清便欲自可、一日二三度發。脉微緩者、為欲愈也。脉微而悪寒者、此陰陽倶虚、不可更発汗、更下、更吐也。面色反有熱色者、未欲解也、以其不能得小汗出、身必痒、宜桂枝麻黄各半湯。《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。
#桂枝麻黄各半湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》=「桂枝麻黄各半湯」「桂枝3.5、芍薬・生姜・甘草・麻黄・大棗各2、杏仁2.5」★桂麻各半湯(顔面赤い、発熱無汗、皮膚掻痒、便秘なし)
#桂麻各半湯 ◎桂枝湯、麻黄湯の二方の証、相半ばする者を治す《吉益東洞》◎此方は外邪の壊症になりたる者に活用すべし。《勿誤薬室方函口訣》◎表証があっても発汗し難く、顔赤く身がかゆい者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(桂麻各半湯)[1]咽痛
[2]悪寒:☆微しく自汗出で、腰痛或いは腰部筋肉の緊張を覚え、頭痛、眩暈し、寒熱発作連日止まざる等の証。《奥田謙蔵》
[3]嘔吐はない
[4]咳嗽
[5]顔が赤い(顔面紅潮)
[6]かぜ:☆小児の感冒にして、発熱、咳嗽し、顔面熱して赤色なる等の証。《奥田謙蔵》
[7]かゆみ:☆特に挙げるべき原因無くして、身体に瘙痒を発する等の証。《奥田謙蔵》
[8]寒冷ジンマシン
[9]急性熱病
[10]項背痛
[11]座骨神経痛
[12]自汗
[13]湿疹:☆痘瘡、熱気灼くが如く、表欝して見點し難く、或いは見點稠密に、風疹交々出て、或いは痘起脹せず、喘咳、咽痛する者は、此湯に宜し。《類聚方広義》☆つかまえどころがない場合に、《村井琴山》は桂麻各半湯や大青竜湯を用いている。《大塚敬節》☆私はかって、1青年の瘙痒を桂麻各半湯で治したことがある。その時皮膚にはほとんど発斑も発疹もなかった。《大塚敬節》☆老人が夜間になると瘙痒を訴え、皮膚に著変のない者《百々鳩窓》
[14]身体疼痛
[15]頭痛:☆頭痛、発熱し、汗無く、悪風、悪寒し、或いは身体疼痛し、或いは咳し、脈浮にして緊ならず弱ならざる当の証。《奥田謙蔵》
[16]知覚異常
[17]知覚鈍麻:☆知覚鈍麻、或いは知覚異常ありて、その脈浮なる等の証。《奥田謙蔵》
[18]熱感
[19]にきび
[20]二便に変化なし☆下痢・便秘・排尿異常なし。
[21]はしか
[22]発熱(熱多寒少)
[23]皮膚炎
[24]皮膚掻痒症☆分泌物少ない。
[25]風疹:☆風疹発せんとして発せず、痛痒甚だしく、或いは発するも十分ならず、或いは腹痛する等の証。《奥田謙蔵》
[26]変形性関節炎
[27]便秘なし
[28]マラリヤ
[29]麻疹
[30]麻痺
[31]腰痛症:☆一男子、風邪後、腰痛止まず、医疝として療し、その痛ますます劇し、一夕此方を服せしめ、発汗して脱然として癒える。《勿誤薬室方函口訣》
[32]流感 #桂枝竜骨牡蛎湯 「桂枝・白芍・忪竜骨・忪牡蛎・生姜各3両、甘草2両、大棗12枚」 ◎失神に効く。
#桂枝竜牡湯《中薬臨床応用》「桂枝9g、竜骨30g(打砕先煎)、牡蛎30g、桑椹15g、金桜子12g、白芍薬12g、生姜9g、大棗15g、甘草(炙)6g」水煎服。◎腎陽虚で◎夢精◎滑精◎下痢◎帯下、不正性器出血
#桂朮湯《東醫寶鑑》「桂皮1銭半、白朮・麻黄・細辛・甘草各1銭、枳殻・乾姜各7分半、姜3片」水煎服。◎気分の病を治す。
#桂婢各半湯《東醫寶鑑》「石膏2銭、桂枝・芍薬・麻黄各1銭、甘草3分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎太陽病で脈が細く、身体がかゆくない症。
#桂附湯[1]《東醫寶鑑》 「桂枝・炮附子」各2銭。煎服。 ◎自汗が流れて止まらないとき。 #桂附湯[2]《東醫寶鑑》 「附子(炮)3銭、肉桂1銭、黄柏・知母各5分」煎服。◎白帯・なまぐさい体臭を治す。
#桂附湯[3]《東醫寶鑑》「桂皮3銭、附子(炮)2銭」作1貼し「姜3、棗2」を入れ水煎服。◎陽虚・血弱・虚汗不止の者を治す。 #桂附理中湯《軒岐救正論》《古今方彙》「理中湯附子肉桂」◎房労、傷寒にて頭目疼痛、発熱して燎くが如く、口燥き唇焦げ、嘔逆、煩悶、脈浮数、力無く、尺細にして脱する如き者を治す。
#桂麻各半湯《東醫寶鑑》「麻黄1銭半、桂枝・芍薬・杏仁各1銭、甘草7分」を作1貼して「姜3、棗2」を入れ、水煎服。 ◎太陽病で脈が細く、身体がかゆい症。
#桂苓飲子《寿世保元》《古今方彙》「猪苓・沢瀉・桂枝・甘草・黄柏・知母・白朮・山梔子・滑石・生姜・燈心草24茎」水煎。◎傷寒にて初めて症を得て熱なく、狂言・煩躁不安、発狂をなし、而し下薬を用いて死する者多し、此の因を知らず邪熱膀胱に結ぶ、名付けて狂症の如しという。
#桂苓甘露飲[1-1]《劉河間》 「茯苓・甘草・白朮・沢瀉・官桂・猪苓・石膏・寒水石・滑石」 ◎中暑で湿を受け、水をたくさん飲んで、頭痛・煩渇し、小便不利。
#桂苓甘露飲[1-2]《東醫寶鑑》「滑石2両、赤茯苓・沢瀉・石膏・寒水石・甘草各1両、白朮・肉桂・猪苓各5銭」を細末にし、熱湯で服用。蜜or姜湯を少し入れると良い。◎傷暑・煩渇・下痢・霍乱・吐瀉を治す。
◎伏暑で煩渇し、引飲する症。
#桂苓甘露飲[2]《東醫寶鑑》「滑石1両、石膏・寒水石・沢瀉・白朮・乾葛・赤茯苓・甘草各5銭、人参・桂皮・香各2銭半、木香1銭2分半」を作末し、毎回2銭を白湯で調下する。
◎伏暑に水を飲み過ぎて下痢する症。
#桂苓甘露飲[3]《寿世保元》「五苓散滑石・甘草」◎邪熱、膀胱に結び、小便不通
#桂苓五味甘草湯《金匱要略》「茯苓4両、桂枝(去皮)4両、甘草(炙)3両、五味子半升」右4味、以水8升、煮取3升、去滓、分3温服。◎青龍湯下已、多唾口燥、寸脈微、手足厥逆、氣従小腹上衝胸咽、手足痺、其面翕然如醉状、因復下流陰股、小便難、時復冒者、與茯苓桂枝五味甘草湯、治其氣衝。
《金匱要略》痰飲嗽病脉證并治第十二。 #桂苓五味甘草去桂加乾姜細辛半夏湯《金匱要略》「茯苓4両、甘草2両、細辛2両、乾姜2両、五味子・半夏各半升」右6味、以水8升、煮取3升、去滓、温服半升、日3服。◎満即止、而更復渇、衝氣復發者、以細辛、乾姜為熱薬也。服之當遂渇、而渇反止者、為支飲也。支飲者、法當冒、冒者必嘔、嘔者復内半夏、以去其水。
《金匱要略》痰飲嗽病脉證并治第十二。 #桂苓元《東醫寶鑑》「桂心・赤茯苓」等分を作末し煉蜜とまぜ、1両を8丸につくり、毎回1丸服用。 ◎暑月に冷温に傷ついて吐く症。
#桂苓湯《東醫寶鑑》「桂皮・赤茯苓・当帰・川芎・赤芍薬・莪朮・三稜・桑白皮・檳榔・蒼朮・大腹皮・瞿麦・青皮・陳皮・甘草各5分、葶藶子・大黄(煨)各2分半」を剉作1貼し「姜3」を入れ水煎服。◎血分の病を治す。
#桂苓白朮散《東醫寶鑑》「滑石1両、寒水石・石膏・沢瀉・甘草各5銭、白朮・白茯苓・人参・桂枝各2銭半」作末して、毎回3銭を白湯or水で調下する。生姜湯も良い。◎中暑による霍乱・吐瀉・煩渇の者を治す。
#桂霊散《東醫寶鑑》「桂心・五霊脂・良姜(炒)・厚朴(製)」各等分を作末し、熱い錯湯で1銭を服用。 ◎心腹の大痛に。
#荊黄湯[1]《東醫寶鑑》「大黄(酒炒)・荊芥穂・防風各2銭」水煎服。◎風熱眩暈を治す。 #荊黄湯[2]《東醫寶鑑》「荊芥4銭、大黄1銭」水煎、空腹時に服用。
◎風熱で咽喉が痛む者。
#荊黄解毒湯《方読便覧》「黄連解毒湯荊芥地黄」◎痼疾久しく癒えず、水分の動亢ぶる者を治す。 #荊芥散《東醫寶鑑》「荊芥穂」作末し毎回1銭を、童便1杯で調合して熱服する。◎血暈を治す。
#荊芥湯[1]《東醫寶鑑》「川椒・白塩・露蜂房各1銭、葱白3茎」煎じて、熱いうちにうがいをし、冷えたら吐き出す。 ◎風熱歯痛を治す。
#荊芥湯[2-1]《三因極一病証方論》《古今方彙》「荊芥半両、桔梗2両、甘草1両、生姜」水煎。◎咽喉腫痛し、語声出でず。唾を嚥むにも痛み甚だしきを治す。
#荊芥湯[2-2]《東醫寶鑑》「桔梗2両、甘草1両、荊芥穂5銭」を粗末にし、毎回4銭に生姜3片を入れて、水煎し徐々に服用。 ◎咽喉腫痛・語声の出ない症。
#荊芥湯[3]《雑病翼方》 「荊芥」 ◎衂血を治す。
#荊芥連翹湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》 「荊芥・連翹・防風・当帰・白芍・川芎・柴胡・枳穀・黄芩・山梔子・白芷・桔梗各7分、甘草5分」水で煎じて食後温めて服用。◎両耳の腫痛。(腎経に風熱があるため)
#荊芥連翹湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「荊芥・連翹・防風・当帰・川芎・白芍薬・柴胡・枳殻・黄芩・山梔子・白芷・桔梗各等分、甘草半減」水煎。
◎両耳腫痛する者を治す。◎腎経に風熱あるなり。◎鼻渕にて胆の熱を脳に移すを治す。◎[耳病門]の「連翹湯」枳殻薄荷、生地黄。
#荊芥連翹湯[2]《東醫寶鑑》 「荊芥・柴胡・川芎・当帰・生地黄・赤芍・白芷・防風・薄荷・山梔子・黄芩・桔梗・連翹各5分、甘草3分」水煎服。
◎鼻渕を治す。
#荊芥連翹湯《漢方治療の実際》「当帰・芍薬・荊芥・連翹・防風・川芎・柴胡・枳実・黄芩・梔子・白芷・桔梗各1.5、甘草1」
#荊芥連翹湯[3-1]《一貫堂》《漢方後世要方解説》「当帰・芍薬・川芎・地黄・黄芩・黄連・黄柏・山梔子・連翹・荊芥・防風・薄荷葉・枳殻・甘草各1.5、白芷・桔梗・柴胡各2」◎両耳腫痛するものを治す。《万病回春》[原方]荊芥・連翹・防風・当帰・川芎・芍薬・柴胡・枳殻・黄芩・山梔子・白芷・桔梗各2、甘草1◎此方の主治は原方の如くであるが、耳病に限らず、解毒症体質の改善薬として広く応用される。清熱、和血、解毒作用あって、青年期における腺病体質者に発する諸症に用いてよい。一般に皮膚浅黒く、光沢を帯び手足の裏に油汗多く、主として上焦に発せる鼻炎、扁桃腺炎、中耳炎、蓄膿症に用いられる。脈腹共に緊張ある者である。
#荊芥連翹湯[3-2]《一貫堂》《中医処方解説》 「黄連・黄芩・黄柏・山梔子・当帰・川芎・熟地黄・白芍薬・連翹・荊芥・薄荷・防風・柴胡・白芷・桔梗・枳殻・甘草(炙)各2g」水煎服。
#荊芥連翹湯[3-2]《一貫堂》《龍野ー漢方処方集》「当帰・芍薬・川芎・熟地黄・黄連・黄芩・黄柏・山梔子・連翹・防風・薄荷葉・荊芥・甘草・枳殻各1.5g、柴胡2.0g、白芷・桔梗各2.5g」
◎体質的に浅黒く手足の裏に油汗多く、脉腹共に緊張ある者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名 (荊芥連翹湯)[1]浅黒い<皮膚> ☆浅黒く光沢がある。渋紙色と表現する書もある。[2]咽頭炎[3]鬱病[4]円形脱毛症
[5]化膿傾向[6]感情不安定[7]癇症[8]胸腺リンパ体質[9]頸部リンパ腺炎[10]結核性痔瘻[11]くすぐったがり[12]喉頭炎[13]ジンマシン [14]湿疹[15]上顎洞化膿症: ☆急慢性《矢数道明》[16]衂血
☆慢性肥厚性鼻炎、副鼻腔炎、鼻茸などに起こる衂血には升麻0.5g牡丹皮2.0g(漢方診療医典)[17]手掌足蹠(手のひら・足の裏)に脂汗[18]神経衰弱[19]尋常性痤瘡
[20]青年期の腺病体質の改善[21]舌苔<白苔>[22]増殖性腎炎 [23]中耳炎:☆急性中耳炎:「蝉退・蔓荊子各1.2」《矢数道明》 ☆小柴胡湯を用いる時期を過ぎ、なお耳痛を訴え、分泌物が多く、熱も続くものには本方に蝉退・蔓荊子各2.0gを加える。本方を長期服していると慢性に移行せずに治癒することが多い(漢方診療医典)
[24]肺尖カタル ☆肺浸潤初期《矢数道明》 [25]肺結核:<増殖型> [26]はげ []鼻炎 ☆これは粘液性または膿性の分泌物のあるもので、皮膚の色が浅黒く、腹壁が緊張しているものによい。もし、鼻汁に血液を混じるようなときは牡丹皮2,0g升麻0.5g(漢方診療医典)[27]肥厚性鼻炎 [28]皮膚炎
[29]腹直筋の緊張 [30]扁桃炎[31]扁桃周囲炎 [32]副鼻腔炎 ☆上顎洞炎に罹りやすい体質傾向のうちで、筋骨質で皮膚の色浅黒く、腹筋が緊張して覆審すると笑って手を払いのけるほど過敏なものがある。手足の裏が湿りやすいものが多い。葛根湯が効かないものに試みてみるとよい(漢方診療医典)
[33]耳だれ[34]面疱メンホウ:にきびや顔の吹き出物。 [35]肋膜炎 #荊槐散《東醫寶鑑》 「荊芥穂・槐花(炒)」等分。作末し、牙歯にぬる。又は少しずつ飲む。◎牙宣出血。
#荊蘇湯《東醫寶鑑》「荊芥穂・紫蘇葉・木通・橘紅・当帰・辣桂・石菖蒲各1銭」水煎服用。◎失音症を治す。
#荊桃承気湯《本朝経験》「荊芥、桃仁、大黄、芒硝、甘草」 ◎草薬を以て堕胎し、毒気上攻し、心胸急迫、項背強直、牙関緊急、悪露下らず、便溺秘閉、憎寒壮熱、大渇引飲、腰腹絞痛する者を治す《雑病翼方》
#荊蓬煎元《東醫寶鑑》「三稜((酒浸3日)・莪朮((酒浸3日)・夏には1日目に取り出し、巴豆肉38粒と石器で炒り、黄色くなったら巴豆は捨て、湯水に漬けて白いのは捨てたもの3両、木香・枳殻・青皮・茴香(炒)・檳榔各1両」作末し麺糊で緑豆大の丸剤。姜湯で30~50丸飲む。◎癥塊と冷・熱の積聚を治す。◎痰癖を治し、宿食を消化させる。
#荊防解表湯《時氏処方学》 「荊芥 紫蘇葉 杏仁 防風 赤茯苓 白 陳皮 建麹 葱白 生姜 煎服」
#荊防敗毒散[1-1]《万病回春》《古今方彙》「防風、荊芥、羗活、独活、柴胡、前胡、薄荷、連翹、桔梗、枳殻、川芎、茯苓、金銀花、甘草、生姜」水煎。
◎癰疽、疔腫、発背、乳癰等の症で壮熱甚だしき者、頭痛拘急し状は傷寒に似て一二より四五日に至る者を治す。 ◎一二剤にてその毒は衰え軽き者は内自ら消散す。
#荊防敗毒散[1-2]《万病回春》《漢方後世要方解説》「防風・荊芥・独活・羗活・柴胡・前胡・連翹・桔梗・枳殻・川芎・茯苓・金銀花各1.5、生姜・薄荷葉・甘草各1」
#荊防敗毒散[1-3] 《漢方治療の実際》「防風・荊芥・羗活・独活・柴胡・前胡・薄荷・連翹・桔梗・枳実・川芎・ 茯苓・金銀花・甘草各1.5、生姜3」
#荊防敗毒散[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「荊芥・防風・独活・柴胡・前胡・薄荷葉・枳殻・川芎・桔梗・金銀花・連翹・茯苓各2.0g、甘草・干姜各1.0g」◎化膿症で悪寒発熱頭痛疼痛する者。
★適応症及び病名(荊防敗毒散)[1]カルブンケル[2]筋炎[3]犬毒:☆犬毒を治す:「馬銭子」☆もし腹大なる者:「大承気湯」《方読便覧》[4]シビレ感(痛んでシビレ)[5]乳腺炎[6]皮下膿瘍[7]フルンケル[8]リンパ腺炎
#荊防敗毒散[2]《証治準縄》 「荊芥穂・防風・羗活・前胡・柴胡・枳穀(麩炒)・桔梗・赤茯苓・川芎各4g、人参・甘草各2g生姜3片」水2杯で8分に煎じ、空腹時に服用。
寒のひどいものには、葱3本を加える。 #荊防敗毒散[3]《東醫寶鑑》「羗活・独活・柴胡・前胡・赤茯苓・人参・枳殻・桔梗・川芎・荊芥・防風各1銭、甘草5分」水煎服。◎瘟疫と大頭瘟を治す。
#荊防敗毒散[4]《摂生衆妙方》《中薬臨床応用》「荊芥・防風・羗活・柴胡・前胡・枳殻・茯苓・桔梗・薄荷各6g、川芎・甘草各3g、生姜2g」水煎服。◎感冒・インフルエンザに初期。◎発熱・頭痛・鼻閉・咽喉痛・結膜炎など。
#荊防敗毒散《摂生衆妙方》 「荊芥、防風、羗活独活、川芎、柴胡、薄荷、前胡、桔梗、枳殻、茯苓、甘草、生姜」
#経験烏鬚酒《東醫寶鑑》「毎年の冬の10月の壬・癸日に東向の枸杞子2升を搗いて、好無灰酒2升と磁器内に入れて21日たったら開封し、生地黄3升を添えて入れてかき混ぜ、紙で三重に口を封じ。立春30日前に開けて空腹時に1杯づつ温めて飲む。 ◎髪を黒くし、身体を丈夫にする。
#経験二防飲《東醫寶鑑》「熟地黄・人参各1銭、白朮・黄蓍・当帰・川芎・白芍薬・杜仲・萆薢各7分、防風・防已・羗活・牛膝・甘草各5分、附子(童便浸3日炮)7分」剉作作1貼して「姜3、棗2」を入れ水煎服。◎痢疾後に脚が痛み、まるで刀で切られたような痛さで、腫が大きく歩けない鶴膝風を治す。
#経験方[1]《活人心統》「沈香、紫蘇葉、白豆蔲、柿蔕」
#経験方[2]《活法機要方》「地楡、蒼朮」 #経験方[3]《簡便単方》「白朮、車前子」 #経効瘧丹《東醫寶鑑》「真阿魏・雄黄各2銭半、朱砂1銭半」沸騰湯で阿魏を泡立たせ、雄黄を粉にして混ぜ、麺粉で梧子大の丸剤。毎回1丸を人参湯で、空腹時に冷服する。◎瘧母が癖をつくって寒熱のとまらない者を治す。
軽粉剤・・・・吉益東洞がよく使った #頸淋巴結炎方《中薬臨床応用》「浙貝母18g、夏枯草15g、生地黄15g、玄参15g、牡蛎(生)30g(先煎)」水煎服。◎頸部リンパ腺結核
#瓊玉膏《朱丹渓》 「生地黄10.24kgを臼に入れて突いて汁を絞り、人参 細切り960g・白茯苓細切り1.92kg・精製した白 蜜6.4kgを磁器に入れ、油紙を五重にし、その上に厚い布でかぶせて堅く密封して銅鍋に入れる。そして底にきれいな木で橋渡しておいて、煮立ってもふきこぼれない
ようにしておいて、桑の木で3昼夜煮る。煮詰まると熱湯 を注ぎ入れ、煮終わったら磁器を取り出し、又その上に濾紙で堅く密閉して、一昼夜井戸に吊しておく、そしてこれを取り出して、又前法のごとく一昼夜煮込む。これを少し
取り出して、まず神に捧げた後、一日に2~3回、1~2 匙温酒で服用する。酒を飲めない人は、百沸湯で服用する 。精製するときは鉄器を使わないこと。」
◎労瘵治し、滋血・補気に有効。又百損を補い、百病を除く。
#瓊脂膏《東醫寶鑑》「生地黄20斤を蒸して汁を取り、滓を去る。白蜜2升を煮て泡を捨てる。生姜2両を蒸して汁を取り、滓を去る。まず先に弱火で地黄汁を沸かし、そこへ鹿角膠1斤を入れ、次に真酥油1斤・蜜・生姜汁を入れ煎じ、飴のようになったら磁器に貯蔵。1~2匙づつ温酒で調下する。
◎燥病を治す。
#鶏黄散《東醫寶鑑》「卵の白身は捨て、黄丹1銭を入れて振って厚紙でくるみ、塩泥で固く封をし、火で焙って作末し、毎回2銭を米飲で調下する。◎子癇を治す。
#鶏肝散《南京中医学院験方》 「炉甘石24g(制) 赤石脂・滑石(飛)・胡黄連・各20g 辰砂16g 青黛12g 石決明40g 雄鶏肝1個
#鶏血藤湯《中薬臨床応用》「鶏血藤15g、半楓荷30g、当帰15g、牛膝9g、楓香寄生15g、海風藤15g、豆豉姜15g」水煎服。◎風湿による痺痛。
#鶏清元《東醫寶鑑》「大半夏(生)」を末にし「鶏子清」で梧子大の丸剤。少し乾くと猪苓筴で混ぜ、弱火で炒り、猪苓末は養薬の為器中に貯蔵し、白茯苓の煎じ湯で空腹時に30~50丸飲む。◎小便が濁ったとき。
#鶏舌香散《東醫寶鑑》「丁香100枚、白芍薬(酒炒)2両、良姜1両、甘草(炙)5銭」作末し毎回2銭を陳米飲で調下する。◎心腹の冷痛を治す。
#鶏蘇散《東醫寶鑑》 「鶏蘇葉・黄蓍・生黄・阿膠・白茅根各1銭、麦門冬・桔梗・蒲黄(炒)・貝母(炒)・桑白皮・甘草(炙)各5分、生姜3片」水煎服し、黄丹を鼻孔に注ぎ入れる。
◎衂血が止まらない。
#鶏蘇散《傷寒標本》「薄荷3g(後下)、甘草(生)3g、滑石18g」水煎服。◎熱射病によるふらつき、発熱、口渇、尿赤。 #鶏腸散《東醫寶鑑》「鶏腸(焼)・牡蠣粉・白茯苓・桑蛸(蒸)各5銭、辣桂・竜骨各2銭半」剉作し毎回2銭に「姜3片、棗2枚」入れ水煎し空腹時に服用、or作末し1銭を米飲で調服する。◎小児の遺尿不禁。
#鶏頭丸《東醫寶鑑》「雄鶏頭の焼いたもの、鳴蝉焼いたもの3、大黄()or甘草(炙)各1両、当帰・川芎・遠志・麦門冬各7銭半、木通・黄蓍各5銭」作末して蜜で緑豆大の丸剤。空腹時に米飲で5丸づつ1日3回服用。◎小児の病後に、話せない症を治す。
#鶏内全散《東醫寶鑑》「の胆袋・黄皮の陰干しして細末したもの各1銭、緑豆粉3銭」を生蜜で丸剤にし、口中で噛み下す。◎喉閉と単乳蛾・雙乳蛾に特効あり。
#鶏腠散《東醫寶鑑》「鶏1具、鶏腸1具、猪(炙焦)1箇」作末し1銭づつ酒で服用。◎小児の遺尿。
#鶏鳴丸《東醫寶鑑》「知母(炒)4両、旋覆花・陳皮・馬兜鈴・麻黄・甘草(炙)各1両、桔梗・人参各5銭、阿膠珠・款冬花・五味子各4銭、杏仁・子(炒)・半夏(製) 各3銭」作末し蜜で梧子大の丸剤。毎回1丸を烏梅・姜・棗の煎じ湯で1日3回噛み下す。◎18種の咳と哮喘、吐血のあらゆる病勢を治す。
#鶏鳴散[1]《備急千金要方》《漢方治療の実際》「大黄1、当帰・桃仁各4」◎打撲症に用いる。
#鶏鳴散[1]《備急千金要方》 「大黄 当帰 桃仁」 ◎高きより堕下し、崩中する者を治す。◎此方は打撲の主薬なり。《勿誤薬室方函口訣》◎此れ金瘡打撲の通治の方にして、その用尤も広し。◎重物の圧迫、或いは高きより墜下し、熱を作し、吐血、下血止まらず、或いは瘀血内に在り、胸腹脹満し、喘粗気短を治す。兼ねて能く悪血を打去す。《太平聖恵方》◎打撲損傷、内壅死せんとするを治す:「麝香」《施丹端効方》◎乱打し、血心を攻むるを治す:「蘇木・紅花」《医方指南》
#鶏鳴散[2-1]《時方歌括》《朱氏集験》 「檳榔、橘皮、木瓜、呉茱萸、紫蘇葉、桔梗、生姜」 ◎脚気第一の品薬、男女を問わず皆服すべし。もし風湿に感じ、流注脚痛忍ぶべからず、筋脈浮腫する者、宜しく之を服すべし。◎「唐侍中一方桔梗」《勿誤薬室方函口訣》
◎脚痛浮腫《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(けいめいさん)脚気: ☆小便不利の者:「茯苓4.0g」《龍野ー漢方処方集》☆気のある者:「半夏」《済世薬室》☆動悸のある者:「茯苓・大黄」☆動悸の激しい者:「竜骨牡蛎」
#鶏鳴散[2-2]《証治準縄》《中薬臨床応用》「檳榔21g、陳皮・木瓜各30g、呉茱萸6g、紫蘇葉9g、桔梗・生姜15g」粗末にし水煎し3~5回に冷服。◎両脚が腫脹して重い感じがする脚気。
#鶏鳴散[3]《三因極一病証方論》 「大黄40g(酒蒸)、当帰尾12g、桃仁27粒(炒める)」以上を酒で煎じて、 鶏が鳴くときに服用し、次の日に血がおりると治る。折傷にも有効。◎刀傷・打撲傷に。◎瘀血がたまって悶絶して死にそうな者を治す。
#鶏鳴散[4] 「大黄、杏仁」◎この方は、三因方には種々の損傷で瘀血がとどこおり集まって、こらえにくいほどに痛む者を治すという。《大塚敬節》
◎この方は元来、粉末にして酒で呑むことになっているが、酒で煎じて呑んでも良い。《大塚敬節》
★適応症及び病名(けいめいさん)打ち身(打撲):☆1男子、20歳余。ある時、打撲して意識を失い、訳の分からないことを口走るようになった。腹を診ると、膨満し、目には涙を流している。脈を診ると力がある。そこで鶏鳴散を酒で煎じて与えたところ、蘇生した。蘇生後、再診してみると、舌には黄柏の粉を塗ったような苔がつき、呼吸は促迫し、胸は塞がったように苦しく、頭は裂けるかと思われるほど痛いという。そこでまた前方を与えたところ、黄色の水を茶碗2杯ほど吐いた。吐いた後は、胸の気持も良くなったと云うので、続けて5、 6貼も呑ましめてから、腹を診たところ、圧痛を訴えるので、小承気湯を与えた。すると穢物を2日間も下して全快した。《積山遺言》
「ここに腹に圧痛があったので、小承気湯を与えたとあるのは、《金匱要略》に“腹満して、これを按じて痛む者は実であり、痛まない者は虚である”との理論によって、実と判断して、小承気湯で下したのである。しかし、腹部が膨満していて、圧痛がある者にも虚証があって、下してならない者がある、例えば、腹膜炎などは下して良い者は、ほとんどなからである。」《大塚敬節》
☆本方は打撲直後の腫れと痛みの激しいものに用いると奏功する(漢方診療医典) #鶏鳴散加茯苓《漢方治療の実際》「檳榔4、木瓜・生姜各3、橘皮・桔梗各2、蘇葉・呉茱萸各1、茯苓4」◎脚気様の症状に用いる。
#鶏鳴散加苓《時方歌括》《漢方後世要方解説》「茯苓5、檳榔4、木瓜・生姜各3、橘皮・桔梗各2.5、蘇葉・呉茱萸各1」◎脚気を治する第一品薬、男女を問わず皆服すべし。若しくは風湿に感じ、流注痛忍ぶべからず、筋脈浮腫する者並びに宜しく之を服すべし。
◎外台脚気門に「唐侍中一方」として記載「方中桔梗なし、即ち桔梗を加えて鶏鳴散とし、白朮・茯苓を加えて双解散と名づけ、脚気剤となす」と。◎此方は実証の脚気に用いる。胸満気急、気上衝を目標とする。即ち萎縮性脚気を除く初期脚気、浮腫性脚気、衝心脚気、神経性脚気等に心動悸、心窩部膨満、浮腫、腓腸筋圧痛を目当として用いる。此症にして更に実証甚だしく、便秘の者には前方或いは大柴胡湯又は防風通聖散を用いる。
■檳榔=気をかぶり、水を逐う、痰を去る■木瓜=湿腫、脚気、転筋、足膝無力を治す。■橘皮=気滞を順らす。■蘇葉=風寒を発表し、諸気を下し、脹満を除く■呉茱萸=気を下し、中を温め、湿を除く■桔梗=気を下し、滞気を散じ、諸薬を胸部に作用せしむ。
★適応症及び病名(鶏鳴散加苓) [1]脚気:☆浮腫性脚気☆衝心脚気☆神経性脚気[2]こむらがえり:☆腓腹筋のケイレンに良く効く《大塚敬節》[2]腎炎[3]妊娠浮腫[4]疲労倦怠:☆脚気で、足がだるく、また足がしびれ、または足に浮腫がある者によい。《大塚敬節》
#鶏矢醴散《東醫寶鑑》「鶏糞(白いもの)・大黄・桃仁各等分」作末し毎回2銭を姜湯で調服する。◎穀脹で朝食べたら夕方には食べられない者を治す。◎気脹・水脹・蠱脹を治す。
#鶏舌香散《東醫寶鑑》「丁香100枚、白芍(酒炒)2両、良姜1両、炙甘草5銭」を作末し、毎回2銭を陳米飲で調下する。 ◎心腹の冷痛を治す。 #啓膈散《医説》
「沙参 丹参 茯苓 川貝母 欝金 縮砂仁殻 荷葉蒂 杵頭糠」 ◎噎膈の初期に嘔吐・悪心して食を納めることができない者。
#啓峻湯《張氏医通》《古今方彙》「人参・黄蓍・当帰・白朮(炒枯)各1銭5分、陳皮8分、甘草(炙)5分、肉桂5分、茯苓1銭5分、乾姜(炮)4分、肉豆蔲・沈香各8分、附子(炮)1銭5分」水煎温服。
◎気滞硬満の者は:「黄蓍厚朴」 #啓脾湯[1-1]《万病回春》《古今方彙》《漢方後世要方解説》「人参・白朮・茯苓・蓮肉・山薬各3、山楂子・陳皮・沢瀉各2、甘草・生姜・大棗各1」(煎服or蜜丸)。小児1日量。◎食を消し、瀉を止め、吐を止め、疳を消し、黄を消し、腹痛を定め、脾を益し、胃を健にす。
◎此方は「四君子湯」を基礎として消食の剤を加えたもので、小児疳瀉と呼ぶ所謂小児の消化不良症に最も屡々用いられるものである。 他に大人にても脾胃虚弱即ち慢性胃腸炎にて諸薬応ぜぬ水瀉性下痢に広く応用される。
余は腸結核の初期に用いて卓効を収めたことがある。脈腹共に虚状にして微熱ある者によい。 ■人参・白朮・茯苓・甘草=四君子湯で脾を補う■山楂子・陳皮=食を消化す■蓮肉=瀉を止む■沢瀉=渇を止め湿を除く。
#啓脾湯[1-2]《漢方治療の実際》「人参3、朮・茯苓各4、蓮肉・山薬各3、山査子・陳皮・沢瀉各2、甘草1」 啓脾湯[1-3]《万病回春》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓・蓮肉・山薬各1両、山査子・陳皮・沢瀉・甘草(炙)各5銭、生姜、大棗」水煎。或いは細末となし、蜜丸となす。
◎食を消し、瀉を止め、吐を止め、疳を消し、黄を消し、脹を消し、腹痛を定め、脾を益し胃を健やかにす。 ◎消化不良、慢性胃腸カタル、腸結核。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名 [1]胃腸虚弱:☆病後の胃腸強壮剤《矢数道明》[2]嘔吐[3]顔色悪い [4]虚弱 [5]下痢(発酵性) ☆水様性下痢(泡状のこともある)☆慢性の下痢に用いる《大塚敬節》☆真武湯や胃風湯を用いるような下痢で、これらを用いても効をみない 時に用いてみるがよい。《大塚敬節》☆42歳女優で、平素から胃腸が弱く、下痢するクセがある。半年前から下痢が始まり、なかなか止まらない。そこで腸結核を疑われて、ストレプトマイシンやパスを用いたが、それでも下痢は止まらなかった。
患者は痩せて脈が弱く、舌には苔がなく、腹部は軟弱で、振水音を著明に聞く。月経は規則正しくある。肩が凝りやすく手足が冷える。 私はこれに真武湯を与え、7日分飲んだが変わりなく、1日2、3回も下痢が止まない、そこで啓脾湯に転方したところ、2週間分で、下痢が1日1回となり、1ヶ月あまりで下痢が止んだ。真武湯で止まらない下痢が啓脾湯でとまったり、啓脾湯で止まらない下痢が真武湯で止まったりする。《大塚敬節》
[7]手術後の胃腸虚弱 [8]消化不良:☆小児の消化不良《矢数道明》[9]小児の癇癪[10]上腹部振水音[11]食欲不振[12]舌質<淡白><胖大>[13]舌苔<無苔~白苔>[14]軟便[15]腸結核:《矢数道明》[16]微熱[17]疲労倦怠[18]貧血性(貧血傾向)
[19]腹痛 [20]腹部軟弱 [21]脈弱 [22]慢性胃腸炎 [23]慢性下痢 [24]羸痩(やせ) 啓脾元《東醫寶鑑》「甘草1両半、人参・白朮・青皮・陳皮・神麹・麦芽・縮砂・乾姜(炮)・厚
朴各1両」作末し蜜で丸め、毎回1両で10丸つくり、米飲で1丸づつ噛み下す。◎脾胃を和らげ、食欲を増進させる。
軽効散《東醫寶鑑》「柴胡2銭、大黄・当帰・赤芍薬・犀角各1銭、甘草5分」水煎服。◎目に打撲傷を受けた者を治す。 却労散《婦人大全良方》 「芍薬6両、黄蓍・甘草・人参・当帰・茯苓・地黄・五味子・阿膠各3両、生姜、大棗」水煎。 (→人参養栄湯《聖済総録》)◎労嗽、寒熱、盗汗あり、唾中紅線有るを治す。◎心と腎が弱くなり、労嗽を2~3回やっても痰が出ず、夜になると発熱し、熱がひとしきり上がると寒くなり、ときどき盗汗し、四肢だるく、食欲なく、痩せて顔色が黄色くなったとき。
下瘀瘀血湯[1-1]《金匱要略》 「大黄2両 桃仁20枚 虫20枚(熬去足)」 右三味、末之、煉蜜和為四丸、以酒一升、煎一丸取八合、頓服之、新血下 如豚肝。
◎産婦腹痛、法當以枳実芍薬散、假令不愈者、此為腹中有乾血着臍下、宣下瘀血 當主之、亦主経水不利。 下瘀血湯[1-2]《金匱要略》 ◎下毒痛し、及び経水不利の者をなおす。《方極》 【腹証】 《腹診配剤録》 “下腹部微しく実満し、下に凝滞あり。或いは小塊一二を認むることあ り。之を按ずれば即ち痛む。” ★適応症及び病名 [1]月経痛: ☆月経痛等にして、平日便秘の傾向ある証。《奥田謙蔵》 [2]月経不順: ☆諸種の月経不順にして、下腹部に微満、拘攣を認むる等の証《奥田謙 蔵》 [3]月経閉止 [4]小児の疳: ☆下瘀血湯に、乾漆2両を加え、蕎麦(ソバ)の糊にて丸と為し、小児の 疳疾、癖塊、諸薬効無く、羸痩、腹満し、飲食を欲せず、面身痿黄、 浮腫し、唇舌白、我は殷紅にして、肌膚索沢、巨里跳動し、黄胖の 如く、兼ねて蟲有る者を治するに、奇効有り。乾漆は、黒色、光亮 (リョウ、あきらか)なる者を佳と為す。《類聚方広義》 [5]腹痛: ☆産後の腹痛等にして、下腹部結実、拘攣する証《奥田謙蔵》
☆産後、腹中結実、拘攣し、或いは煩満して、痛む者は、当に枳実芍薬 散を用いて之を和すべし。若し癒えざる者は、その人必ず乾血有る也。 下瘀血湯に宜し。乾血は、久瘀血也。《類聚方広義》
[6]不食病: ☆木の実ばかり食べて他のものを食べず、骨と皮ばかりになっていた娘に、腹証によって、瘀血があると診断して下瘀血湯を用いて全治せし めた。《燈火医談》
#下気円《勿誤薬室方函口訣》「辰砂、乱髪霜、大黄、紫檀、莎草」 #下虫丸《東醫寶鑑》「乾蝦蟇(灰)3銭、苦楝根皮・貫衆・木香・桃仁・蕪・檳榔各2銭、鶴虱1銭、軽粉半銭、使君子肉50個」作末し糊で麻子大の丸剤。毎回10~20丸を肉汁で飲む。◎蛔疳を治す。
#下虫散《東醫寶鑑》「使君子肉・檳榔各1銭、大黄5分」作末し、苦練根の煎じ湯で調下する。◎腹内の諸虫を治す。
#下乳方《中薬臨床応用》「通草6g、穿山甲(炙)9g、王不留行9g」水煎服。猪蹄と一緒に煎じるとさらに有効。◎乳汁が少ない。 #外科蟾酥丸《外科正宗》「蟾酥、軽粉、銅緑、枯礬、寒水石、胆礬、乳香、没薬、麝香、雄黄、蝸牛、朱砂」
#外染烏雲膏《東醫寶鑑》「五倍子(製)5銭、銅(未製)2銭、明礬・白塩各1銭半、 没石子2箇」を黄色くなるまで炒って、作末して濃い茶で調合し、重湯が黒くなったら使う。
◎白髪に。
#解欝湯《医学入門》《東醫寶鑑》 「柴胡・黄連・黄・地骨皮・黄蓍・生地黄・熟地黄・白芍」等分。水煎服。 ◎衂血 #解欝調胃湯《万病回春》《古今方彙》「陳皮(塩水洗)・白朮各1銭、川芎6分、茯苓1両、当帰尾1銭2分、神麹・麦芽各7分、桃仁4分、赤芍薬(酒)8分、甘草(生)4分、香附子8分、山梔子(塩水炒)各1銭2分、生地黄(姜汁攪拌・晒)8分、生姜」水煎熱服。◎胃脘(胃の内腔)の血液が耗損し、痰火内欝し、水漿下り易く而して食物消し難きを治す。もし噎膈の症(のどのつまる病)或いは気分の火が中に壅遏して時に刺痛をなす者は皆怒憂思慮にて心を労するに由り致す所なり。
◎胸膈刺痛するには:「姜黄」◎胸、噎悶するには:「枳殻」◎胸内煩熱するには:「黄連」◎大便不利には:「大黄(酒蒸)」 ◎痰あれば:「半夏、姜汁地黄」◎飲食美ならざるには:「白朮地黄」◎吐には:「香地黄川芎桃仁」
#解欝調胃湯《東醫寶鑑》「梔子(塩水炒)・当帰(酒洗)各1銭2分、白朮・陳皮・白茯苓各1銭、赤芍薬(酒浸)・生乾地黄(酒洗)(姜汁炒)・香附米各8米、神麹(炒)・麦芽(炒)各7分、川芎6分、桃仁・甘草(生)各4分、姜3片」水煎服。◎気分が火のなかにつまって刺痛する。
#解欝和中湯《万病回春》《古今方彙》「赤茯苓・香附子(童便炒)・枳殻・山梔子各1銭、半夏・前胡各8分、神麹・黄連・紫蘇子・厚朴(姜炒)各7分、陳皮1銭2分、青皮(醋炒)5分、甘草(生)4分、生姜」水煎温服。 ◎胸膈痞満、内熱し夜安臥せず、臥すれば即ちますます悶える者を治す。
#解欝和中湯《東醫寶鑑》「陳皮1銭2分、便香附・赤茯苓・枳穀・山梔子(炒)各1銭半、半夏・前胡各7分、黄連(姜汁炒)・神麹(炒)・厚朴・青皮・紫蘇子(炒)各5分、甘草4分、生姜5片」水煎服。 ◎痞満で熱があって、安眠出来ない症。
#解肌湯《外台秘要方》 「葛根湯黄芩」「葛根4両、麻黄3両、芍薬2両、黄芩2両、甘草1両、大棗12枚、桂枝1両」◎天行病二三日、頭痛、壮熱する者を主治とす。
◎此方は葛根湯の症、壮熱甚だしく少陽に進まんとする者を治す。◎疫症、熱強く汗無き者、世医「達原飲麻黄」などを用ゆる場にして、一段強く発すべき症あれば、此方を与えるべし。《勿誤薬室方函口訣》◎痘瘡の初起、敗毒散を用いる症に、此方の行く所あり。◎麻疹、泄瀉する者。◎中風傷寒、脈浮、発熱往来し、汗出でて悪風し、頸項強ばり、鼻鳴り、乾嘔する者を主る。《傷寒翼方》
#解噤丸《東醫寶鑑》「黄連8両、生姜4両」を同時に炒って、姜を捨て黄連を取って作末し、陳米飲で梧子大の丸剤。70~80丸服用。赤痢には、陳米飲で呑み下し、赤白痢には陳米橘皮湯で呑み下す。 ◎噤口痢を治す。
#解語丸《海蔵》《東醫寶鑑》「白附子・石菖蒲・遠志・活・全蝎・天麻・天南星(牛胆製)・白彊蚕」等分を作末し、緑豆大の蜜丸。毎回50~70丸を姜湯で服用。
◎中風で話し方が正しくない者。
#解語湯《永類鈴方》「桂枝7銭半、防風1両、独活半両、附子1両、羚羊角7銭半、甘草、酸棗仁1両、天麻1両」◎心脾経、風を受け、言語蹇渋、舌強ばり転せず、涎唾溢盛す、及び淫邪陰神を搏ち、内昏、鬱塞、心脈閉滞し、暴かに言う能わざるを治す。此方は中風の言語蹇渋を主とす。《勿誤薬室方函口訣》
◎言語蹇渋に虚実の別あり。<1>実する者:痰迷心竅なり。「続命湯」「滾痰丸」の類を用いるべし。甚だ しき者は吐剤を与える。<2>虚する者:此方なり。《勿誤薬室方函口訣》此方の一等重き者:「神仙解語丹」<3>内熱有る者は:
①《本草彙言》の一方。 ②犀角一味。
◎《陳念祖》曰く、中風脾緩に舌強ばらず語らず、半身不遂を治す。
#解語湯《永類鈴方》《龍野ー漢方処方集》「桂枝・独活・防風各3.0g、天麻2.0g、羚羊角末0.5g、甘草・白川附子各1.0g、 酸棗仁6.0g」◎虚証の言語障害、舌不自由、流涎。
★適応症及び病名脳出血後の言語障害。
#解酒化毒散《東醫寶鑑》「滑石4両、葛根1両2銭半、甘草7銭半」作末して冷水or熱湯で2~31日2~3回調服する。◎酒に傷つき発熱し、小便が赤渋する者を治す。
#解暑三白散《東醫寶鑑》「沢瀉・白茯苓・白朮各2銭を作1貼して生姜3片、灯心20茎を入れ、水煎服。」 ◎暑熱水を飲み過ぎて吐瀉になった症。
#解毒丸[1]《東醫寶鑑》「黄・黄連・山梔子・滑石・牽牛子各5銭」作末し、水で梧子大の丸剤。温水で30~40丸服用。◎一切の熱毒・癰腫・瘡傷・驚悸・歯ぎしりを治す。
#解毒丸[2]《東醫寶鑑》「板蘭根4両、貫衆(毛を去る)・青黛・甘草各1両」作末し蜜で梧子大の丸剤。青黛で衣を付け、精神が朦朧としたら中毒の症で、急いで15丸をかじって水で飲み下す。◎飲食・その他の中毒を治す。◎死にかかった者を治す。
解毒剤《香川修徳》⇒参照「香川解毒剤」
#解毒金花散《東醫寶鑑》「黄連・黄柏各2銭、黄芩・白朮・赤茯苓・赤芍各1銭」水煎服。 ◎熱毒膿血を治す。
#解毒散《保赤全書》「忍冬化毒湯《痘疹救逆方》牡丹皮桃仁茯苓防風」
#解毒四物湯《寿世保元》「温清飲地楡・槐花・阿膠・側柏葉」 ◎大便下血を治し、糞便糞後を問わず。
#解毒四物湯《東醫寶鑑》 「黄・黄連解毒湯四物湯」◎崩漏で、色赤黒く腐った匂いがし、腹痛する者。
#解毒天漿散《外科正宗》《古今方彙》「括楼根2銭、防風・防已・皀角刺・白鮮皮・連翹・川芎・当帰・南藤・木瓜・金銀花・蝉退・苡仁各1銭、甘草5分、山帰来2両」水煎。服するに臨みて酒を入れる。
◎下部にある瘡には:「牛膝」 解毒湯《漢方治療の実際》=「香川解毒剤」 #
解毒湯《東醫寶鑑》「黄連・黄芩・黄柏・山梔子・連翹・槐花(炒)各1銭、細辛・甘草各5分」煎服。◎臓毒を治す。
#解毒防風湯《活法機要》《古今方彙》「防風1銭半、地骨皮・黄蓍・芍薬・荊芥・枳殻・牛蒡子各7分半」水煎。◎発斑、及び疹、痒痛する者を治す。
#解毒雄黄丸《和剤局方》 「雄黄 欝金 巴豆」 ◎纏喉風・急喉痺・あるいは卒倒して歯を食いしばり、 人事不省の者。
#解毒雄黄元《東醫寶鑑》「雄黄・欝金各2銭半、巴豆(去皮)14粒」作末し、錯麺糊で緑豆大の丸剤。茶清で7丸を服用。 ◎喉閉・口噤を治す。
#解熱下痰湯《万病回春》《古今方彙》「紫蘇子・白芥子・枳実・黄連・桔梗・楼仁・杏仁・烏梅・黄柏・甘草・生姜」水煎。◎傷寒にて結胸、痰あり、熱あり、気滞あり、並びに咳嗽・失声するを治す。
#解表升麻湯《万病回春》《古今方彙》「柴胡、消磨、藁本、羗活、防風、麻黄、蒼朮、陳皮、甘草、当帰、生姜、葱白」煎服。◎遍身壮熱して骨節疼痛するを治す。 解表徐煩湯⇒大青竜湯《傷寒論》
#解表二陳湯《東醫寶鑑》「二陳湯紫蘇葉・麻黄・杏仁・桑白皮・紫・貝母・桔梗各5分、姜3片」れて煎服。◎哮吼を治す。
#解酒化毒散《東醫寶鑑》「滑石4両、葛根1両2銭半、甘草7銭半」を作末し、毎回2~3銭を服用。 ◎酒に傷つき発熱・小便赤渋。
#化痰清火湯《東醫寶鑑》「南星・半夏・陳皮・蒼朮・白朮・白芍薬・黄連・黄・梔子・知母・石膏各等分、甘草3分、姜3片」水煎服。◎雑を治す。
#化斑湯《東醫寶鑑》「人参白虎湯に同じ」◎陽毒・温毒・熱毒・発斑を治す。
#血極膏[1]《東醫寶鑑》 「大黄を作末して醋熬して膏をつくって鶏頭大に丸め、毎回1丸を熱酒にまぜ、就寝前に服用すると、大便が良く出るが、1~2回下ると、経水が自然に下りる婦人の妙薬である。 ★本方当帰頭⇒「単大黄膏」という。
◎月経不通。
#血極膏[2]《東醫寶鑑》 「大黄を酒蒸し9回、それを9回晒したもの4両に、血竭・没薬各5銭を加えて丸剤。70~80丸を四物湯で服用。 ◎月経が出ない(無月経)、諸薬が効なく病勢が危篤な者。
#血竭散[1]《傷科補要》 「血竭・発灰・茅根・韮根」各等分 童便にて煎服
#血竭散[2]《東醫寶鑑》「蒲黄2銭、竜骨・明礬各1銭、寒水石()4銭、血竭5を作末して、少しづつ瘡上にまき、紙を貼る。 ◎牙疳悪瘡。 #血竭散[3]《東醫寶鑑》「血竭・牡蛎粉・髪灰」を等分に作末して、麝香を少し入れてツバで調合して塗る。
◎痔瘻で痛むとき。
#血府逐瘀湯《医林改錯》 「桃仁16g、当帰・生地黄・牛膝・紅花各12g、赤芍・枳穀各8g、桔梗・川芎各6g、柴胡・甘草各4g」
#血府逐瘀湯《医林改錯》《中薬臨床応用》「当帰9g、川芎3g、生地黄9g、桃仁9g、紅花3g、柴胡6g、赤芍薬9g、枳殻6g、牛膝6g、桔梗6g、甘草3g」水煎服。◎頭痛(肝気欝結による瘀血)
#血余帰母湯《中薬臨床応用》「乱髪霜9g、当帰(炭)9g、益母草15g、何首烏9g、生地黄18g、大棗8g」水煎服。◎不正性器出血◎吐血
#血余散《東醫寶鑑》 「髪を皀角水で洗って、晒して乾かした後、白茅根の煎湯または醋湯で服用。 ◎衂血・吐血・便血・内崩。
#決明元《東醫寶鑑》「麦門冬・当帰・車前子各2両、青葙子・防風・枳穀各1両、・細辛・茺蔚子・枸杞子・決瀉・生乾地黄・石決明・黄連各5両」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に、麦門湯で50~70丸服用。」
◎熱病の後、目の膜がかすむ者。
#決明散《東醫寶鑑》「石決明・草決明・黄芩・甘菊・木賊・石膏・赤芍・川芎・羗活・蔓荊子・甘草各7分、生姜5片」水煎服。◎風熱の毒気で内障になろうとする者。
#決明子湯《中薬臨床応用》「決明子(炒黄)9g、柴胡9g、黄連6g、淡竹葉9g、防風6g、升麻3g、細辛1.5g、菊花9g、甘草3g」水煎服。◎目の充血◎目が痛い◎羞明◎涙が出る◎結膜炎
#決明夜霊散《証治準縄》「石決明、夜明砂、猪肝」 #結陰丹《東醫寶鑑》 「枳穀・威霊仙・黄蓍・陳皮・椿根・白皮・何首烏・荊芥穂各5銭」作末し、酒糊で梧子大の丸剤。米飯に酢を少し混ぜて、50~70丸服用。
◎血便。
#結核一方《寿世保元》《古今方彙》「黄芩1銭3分、枳実・紫蘇子・貝母・連翹各1銭、白芥子8分、海藻・香附子・桔梗各7分、甘草3分」水煎、食後服用。
◎痰核、気核(梅核気)を治す。 #結毒喉癬一方《広算記》 「桔梗・甘草各2銭、竜胆・射干各1銭、遺糧5銭、山豆根1銭」右六味、牛黄を送下す。
◎此方《華岡青州》にて直ちに喉癬湯と名づけ、咽喉結毒の主方とす。
#潔矩三和湯《医学正伝》《古今方彙》「陳皮・甘草・紫蘇葉各7分、厚朴・白朮・檳榔子っかう1銭、海金砂4分、木通2分、生姜」水煎。 ◎水腫、腸満倶に之を用いる。◎気を順らし、脾を和し、湿を除き、水を利す。
#月華丸 「天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄・山薬・百部・沙参・川貝母・阿膠・茯苓・獺肝・三七・桑葉・菊花を煮て膏にし、蜜で練って弾丸大にする。1丸ずつ、1日3回。」
#月季酒《中薬臨床応用》「月季花3g、当帰9g、丹参9g」適量の黄酒に浸けて服用。◎無月経◎稀発月経◎月経の色がうすく少量◎元気がない◎便秘、大便が硬い
#兼金散《東醫寶鑑》「黄連・細辛」各等分に作末し、脱脂綿で患部を拭いてからぬる。◎熱毒で口舌瘡になる者を治す。
#兼済湯《済世全書》《古今方彙》=[汗症門]の「白竜湯」なり。◎男子失精、女人夢交、自汗盗汗を治す。 #元戎四物湯《王好古》 「当帰・白芍・川芎・熟地黄・桃仁・紅花」
◎打撲・損傷の瘀血、臓結便秘。
#元陰湯[1]《本朝経験》 「六味地黄丸黄連・白芥子」◎傷寒壊症、舌上黒苔あり、乾燥して亀裂。精神恍惚、津液枯渇し、熱劇しく、如何ともできない者を治す。
◎上盛下虚、舌上黒苔あり、精神恍惚なる者に奇効あり。夫れ内熱解せず、しばしば清火して熱退かざるは、人、寒涼以て熱を去るべきを知り、壮水以て火を去るべきを知らざるなり《傷寒翼方》
#元陰湯[2]《本朝老医伝》「六味地黄丸白芥子・防風・黄蓍」 ◎麻疹後数日、熱退かざる者を治し奇効あり《雨森牛南》◎熱性の流行病に効あり。《救瘟袖暦》◎此方は《本朝老医伝》の伝にて面白き考えなり。傷寒数日を熱解せず壊症になる者は、鍋に物の“焦げ“着いたようなものなり。無理に“焦げ”を取らんとすれば鍋を損ずるなり。先ず水を入れて潤してから火にかける時は、その“焦げ”が自然と取れるなり。傷寒に六味地黄丸を入れるは、先ず水を差すなり。 黄連・白芥子を加えるは火にかける意なり。《勿誤薬室方函口訣》
玄金散 #玄胡索散[1]《東醫寶鑑》「延胡索1両半、桂心・滑石・紅花・紅麹各5銭、桃仁30枚」を作末し、湯に浸した蒸し餅で梧子大の丸剤。錯湯で50~70丸服用。
◎瘀血で心痛する者。
#玄胡索散[2]《東醫寶鑑》「延胡索(炒)・当帰・蒲黄(炒)・赤芍・官桂各1銭、姜黄・木香・乳香・没薬各7分、炙甘草・生姜7水煎服。 ◎婦人の傷寒で、血が胸につかえて、心腹が痛む症。
#玄珠転苗丹《東醫寶鑑》「五味子8両、巴戟・遠志・枸杞子・山薬・白茯苓・肉蓉・百部根・杜仲・蛇床子・防風・柏子仁・菟絲子各2両」作末し蜜で梧子大の丸剤。温酒or塩湯で50~70丸飲む。◎五臓の保養に特効あり。
#玄参散《東醫寶鑑》「玄参1両、升麻・射干・大黄(酒洗)各5銭、炙甘草2銭半」作末し、5銭を水煎し、温いうちに含んで、呑み下す。 ◎懸雍垂腫を治す。
懸雍垂⇒咽喉の病症の1つで、上顎に出る症。
#参升麻湯《活人書》《東醫寶鑑》「玄参・升麻・甘草各3銭」水煎服。 ◎傷寒発斑・煩躁・胆語・咽喉閉痛。
#玄参治咽湯《中薬臨床応用》「玄参12g、地黄(生)18g、沙参9g、玉竹9g、四葉参30g」水煎。◎慢性咽喉炎◎扁桃炎
#玄参貝母湯《東醫寶鑑》「防風・貝母・天花粉・黄柏(塩水炒)・白茯苓・玄参・白・蔓荊子・天麻・半夏(製)各1銭、甘草5、生姜3」水煎し食後服用。◎耳に熱があって汁が出、かゆい者
#玄参牝貝湯(=消瘰丸)《医学心悟》《中薬臨床応用》「玄参30g、牡蛎120g(先煎)、浙貝母30g」牡蛎を4.5杯の水で2.5杯まで煎じ、玄参・貝母を入れて1杯まで煎じ詰め温服する。◎頸部リンパ腺炎◎頸部リンパ腺結核
#玄菟固本丸[1]《必用方》 「兎絲子(酒製)4両・熟地黄4両・生乾地黄4両・天門冬(酒炙)4両・麦門冬(酒炙)4両・五味子(酒浸、芯を去る)4両・茯神(酒浸、芯を去る)4両・山薬(炒)3両・蓮肉2両・人参2両・枸杞子2両」を作末し梧子大の丸剤。毎回80~90丸、温酒または塩湯で服用。
#玄菟固本丸[2]《東醫寶鑑》「菟絲子1斤を酒に作って浄末8両、熟地黄・生乾地黄・天門冬・麦門冬・五味子・茯神各4両、山薬(微炒)3両、蓮肉・人参・枸杞子各2両」作末して梧子大の丸剤。温酒or塩湯で80~90丸飲む。◎虚労による下元の衰弱した者を治す。
#玄菟丹《東醫寶鑑》「菟絲子(酒浸)10両、五味子7両、白茯苓・蓮子肉・山薬各3両」作末し、別途に山薬末3両を作って、菟絲子漬けた酒で糊を作り梧子大の丸剤。空腹時に米飲で50~70丸飲む。 ◎三消渇を治す。
#玄霜膏 「烏梅汁・梨汁・柿霜・白砂糖・白蜜・蘿菖汁各4両、生姜汁1両、赤茯苓8両を乳汁に漬け、乾かすこと9回・款冬花・紫末各2両」を土鍋に入れて煮て膏をつくり、弾丸大の丸剤。就寝前に服用。
#玄霜雪梨膏[1-1] 「雪梨60個を芯を取って皮をむいて汁を取ったもの・生藕・生地黄汁・麦門冬を煎じて汁を絞ったもの・生蘿菖汁・白茅根汁」以上の汁を良く濾過して炭火で煮、煉蜜1斤、飴糖8両、柿霜8両、姜汁半杯を入れて粥のように煮て、3~5匙ずつ、1日3回服用。
◎咳・嗽・唾・喀血・吐血・心労。
#玄霜雪梨膏[1-2]《東醫寶鑑》「雪梨60個の芯と皮は捨て、汁を取って20鍾子、蘿汁10鍾子、生地黄汁10鍾子、麦門冬を煎じて汁を取って5鍾子、生蘿葡汁5鍾子、茅根汁10鍾子」を濾過して滓を去り煮る、「煉蜜16両、飴糖8両、柿霜8両、姜汁半杯」を入れ再び煮ると粥のようになって膏となる。これを毎回3~5匙食べる。◎労嗽の治らない症に使う。痰を消化させ咳を止め、喀血・唾血を止める。
#玄白散《万病回春》《古今方彙》「大黄・生地黄・赤芍薬・当帰尾・檳榔子・牽牛子(赤痢には黒、白痢には白、赤白には黒白相雑し、兼ねて半生半炒を用いる)・枳殻・莪朮・黄連各2銭」水煎し空心に温服。
◎暑月には:「香」 #芡実丸《東醫寶鑑》「芡実500個、七夕蓮花鬚・山茱萸各1両、白蒺藜5両、覆盆子2両、龍骨5 銭」作末し蜜で梧子大の丸剤。空腹時に蓮肉を煎じた湯で60~70丸服用。◎交合する前に射精する者。◎夢泄に効く。
#健胃保和元《東醫寶鑑》「白朮2両、枳実・山楂肉・橘紅・麦芽各1両、神麹・白豆蔲・木香各5銭」作末し、粳米飯で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸服用。
◎消化を補い、脾を養う。 #健脾丸[1] 「白参・白朮・陳皮・麦芽・山楂子・枳実」 ◎脾虚で気弱く、飲食消化せず。
#健脾丸[2]《東醫寶鑑》「白朮5両、白茯苓・白芍・半夏(姜製)各3両、陳皮・神麹・山楂子・当帰(酒洗)・川芎各2両」を作末し、荷葉の煮た水で米糊をつくって梧子大の丸剤。白湯で100丸呑む。
◎脾胃を壮健にし、食欲増進、消化を良くする。
#健脾丸《中薬臨床応用》「神麹9g、山楂子9g、麦芽12g、陳皮6g、党参6g、白朮6g、枳実6g」水 煎服。◎食欲不振◎消化不良◎胸腹が脹って苦しい
#健脾資生丸《先醒斉医学広筆記》「当帰、白朮、白扁豆、石蓮肉、芡実、茯苓、山査子、山薬、神麹、薏苡仁、沢瀉、藿香、橘紅、白豆蔲、桔梗、甘草、麦芽、黄連」
健脾退翳丸《中医雑誌1958年10月号》 「白朮・遠志肉各1両6銭、蒼朮・杭菊花・鶏金・白蒺藜・蔓荊子・紅花・檳榔・莪朮・木賊・枳実・生地黄(炒)・三稜各1両2銭、使君子1両、蝉退8銭、竜衣・甘草各4銭、製大黄・養肝散各5両、清肝翳活血丸末4両。以上の薬を作末して、蜜で練って3銭の丸剤とし、毎服半丸ないし1丸。」
健脾和胃湯⇒香砂六君子湯。
健歩丸《東醫寶鑑》「防已1両、羗活・柴胡・滑石・瓜蔞根(酒洗)・炙甘草各5銭、沢瀉・防風各3銭、苦参・川烏各1銭、肉桂5分」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。葱白・荊芥煎湯で70丸服用。
◎湿熱によって脚・膝に力が入らない、屈伸出来ない、腿・腰が重い者。
健歩虎潜丸(=虎潜丸)《中薬臨床応用》【中成薬】「虎骨、鎖陽、牛膝、熟地黄、当帰、白芍、桑寄生、黄柏、亀板」1日1~2回、6~9gづつ、食前にうすい塩水で服用。
◎骨格の発育不良◎筋肉の運動麻痺◎病後の腰痛、下腿無力。
健忘一方《寿世保元》《古今方彙》「当帰・生地黄・白朮・玄参各1銭、川芎・白芍薬・茯苓・知母(酒)・黄柏(酒)・麦門冬・山梔子・甘草各5分、生姜」水煎。
◎物忘れ、読書辛苦して而して房労ある者を治す。 建中湯《活幼心法》 「人参2銭、黄蓍3銭、白朮・当帰各1銭5分、附子・乾姜・桂枝各1銭、丁香5分、甘草1銭」◎痘、淡白にて頂陥み、腹鳴下痢、寒顫咬牙するを治す。◎此方は痘毒内陥して下利寒戦の者を主とす。《勿誤薬室方函口訣》◎癰疽、諸瘍、及び産後の下利止まず寒戦する者に効あり。◎もし毒内攻して下利戦慄する者は:「真武湯反鼻」《勿誤薬室方函口訣》
建中益気湯《保命歌括》 建理湯《勿誤薬室方函口訣》「建中湯理中湯」◎此方は方意相反して効を相同じくす。建中湯は胃中を潤す薬なり、理中湯は胃中を燥かす薬なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎もし胃中潤沢無く、血気行らず、拘急或いは腹痛すれば、胃中の水穀ますます化すること能わず、遂に内潰して下利をなす。故に二方を相合して効を奏するなり。《勿誤薬室方函口訣》◎《百々漢陰》曰く、人の脾胃というものは、人家の台所にある“カマド”のようなものである。常に水を流さざるを得ない処なので、なるべく乾くように世話を焼かないと、カマドばかりが朽ちる。人に脾胃も水穀を受け込む処なので、なるべく水気の巡るように、乾くようにしないと、朽ちて傷むものです。◎大腸炎の一証、下剤や附子剤が不可も者に用いる《済世薬室》◎後重があれば、「桂枝加芍薬湯乾姜将軍」なり《済世薬室》
建瓴湯(けんれいとう)《衷中参西録》 「生地黄 淮牛膝 杭白芍 柏子仁 生代赭石 生竜骨 生牡蛎 煎服」 堅中湯《備急千金要方》「半夏3両、大棗50枚、茯苓・芍薬・乾姜・甘草各3両、桂枝2両」右7味、本、大棗無く、大黄有り。
今、茯苓を以て之に代える。或いは当帰を加え、或いは呉茱萸を加える。◎此方は小建中湯の変方にてその用広し。 ◎古方家は、小建中湯茯苓を用ゆれども、此方の伍用がはるかに勝れり。《勿誤薬室方函口訣》◎利後、腹中拘急し、水穀化せざる者。◎慢性胃腸炎:腹壁薄く緊張し、腹力がなく、胃内停水があり、食後に腹痛・嘔吐する者。
堅中湯《備急千金要方》《漢方後世要方解説》「半夏・茯苓各5、桂枝4、芍薬・大棗・乾姜各3、甘草1」(或いは当帰3、呉茱萸1.5を加える) ◎虚労内傷、寒熱、嘔逆、吐血するを治す。◎此方は小建中湯の変方で、古方を以てすれば小建中湯茯苓を用いたき場合によい。
主として、胃潰瘍、胃拡張等の慢性に経過したもので、腹壁両直腹筋薄く緊張し、而も腹力無く弱く、胃内停水もあって食後の腹痛、呑酸、雑、時々嘔吐を発する者に用いられる。
★適応症及び病名 (50音順) [1]胃潰瘍[2]胃拡張[3]慢性胃炎: 芫菁膏 蠲飲枳実丸《東醫寶鑑》 「黒牽牛(子頭末)3両、枳実(麩炒)・半夏(製)・橘紅各1両」を作末し、麺糊で梧子大に丸め、毎回50丸を姜湯で服用。
◎遂飲・導気・清膈・消痰に応用。 蠲痛元《東醫寶鑑》「延胡索1両、川練肉・茴香(炒)各5銭、白丑頭(未炒)・当帰・良姜・青皮・木香・烏薬各2銭半、全蝎(焙)7枚」を作末し、綿汁で梧子大の丸剤。焼縁灰で調合した酒で30~50丸を呑む。
◎小腸・膀胱気痛を治す。 蠲痺解毒湯《保嬰撮要》《古今方彙》「蠲痺消毒散《外科枢要》独活皀角刺白鮮皮羗活」 蠲痺消毒散《外科枢要》 「蠲痺湯[1]《楊氏家蔵方》黄蓍防風甘草白・遺糧」◎時瘡、肢節筋攣を治す《勿誤薬室方函口訣》
蠲痺消毒散《外科枢要》《古今方彙》「姜黄・独活各5銭、白朮・当帰各1銭半、赤芍薬1銭、白芷5分、山帰来」 水煎。◎時瘡にて肢節筋攣を治す。
蠲痺湯[1-1]《楊氏家蔵方》 「当帰・羗活・姜黄・芍薬・黄蓍・防風各60g、甘草20g 生姜」 ◎風湿相打ち、身体煩疼し、項臂痛重し、挙動困難す、及び手足冷痺し、腰腿沈重、筋脈無力なる者を治す。◎此方は麻痺筋攣の要薬とす。◎風寒湿三気合して痺を成すと云うが目的なり。《勿誤薬室方函口訣》◎臂痛の湿に因る者を治す《方読便覧》◎按ずるに此方は痛痺の套剤なり。或いは「附子・苡仁」その力更に捷やかなり。《脚気提要》
蠲痺湯[1-2]《済世方》 「当帰、芍薬、黄蓍、片姜黄、羗活、炙甘草、防風、生姜、大棗」 ◎身体ひどく痛み、項背ひきつれる。
蠲痺湯[2]《万病回春》《古今方彙》「当帰・赤芍薬・荻・羗活・欝金・甘草(炙)各等分、生姜」水煎。◎臂痛が湿に因る者を治す。◎兼ねて風湿相搏ち、手足冷痺し、四肢沈重の者を治す。
蠲痺湯[3]《東醫寶鑑》 「大豆蘖1升」炒って作末し、毎回1銭を1日2回、温酒で調服。 ◎手が冷えて麻痺した(⇒冷痺)者。◎体が冷え熱がなく、腰脚が沈重した者。
蠲痺湯[4]《医学心悟》《中薬臨床応用》「海風藤12g、独活3g、羗活3g、桂心1.5g、当帰9g、川芎2.5g、桑枝9g、 乳香2.5g、木香2.5g、甘草(炙)1.5g」水煎服。 ◎風湿による関節痛 ◎脚気の浮腫 ◎寒気を伴う腰膝の無力感
巻柏散《東醫寶鑑》「巻柏の東向きのもの(塩水で半日煮て、再び甘冷水で半日煮て焙乾)・黒・甘遂・檳榔」作末する。五更初に、葱白湯の濃く煎じたもので、巻柏・牽牛子・甘遂各1銭、檳榔2銭を調服する。
◎久年の脚気で難治の者。
捲廉散《証治準縄》 「炉甘石4両、朴硝5銭、黄連(細砕し煎じ汁・去滓)7銭」まず炉甘石の粉末を坩堝(るつぼ)の内に入れ、口をあけたままで外が霞色になるまで焼き、次に黄連・朴硝を水浸し、それを吹き付けてからさらに乾燥させ、次に「膩粉(別磨)・磠砂(別磨)・白礬(半生・半吹き付け)・黄連(末)各5銭、青銅1両5銭、白丁香(別磨)・乳香(別磨)・鉛白霜(別磨)・青塩(別磨)・胆礬(別磨)各1両」前の薬といっしょに合わせて磨り、毎回少量、眼にさす。
牽牛散[1]《普済本事方》「牽牛子・木通・白朮・桑白皮・木香・肉桂・陳皮」 牽牛散[2]《沈氏尊生書》「牽牛子・大黄・檳榔子・雄黄」 牽正散[3-1]《証治準縄》
「白附子・白彊蚕・全蠍(並生)各等分」作末し毎回2銭を熱酒で調下する。 ◎中風で口眼がひきつれる。 牽正散[3-2]《楊氏家蔵方》「白附子、白殭蚕、全蝎」
牽正散[3-3]《楊氏家蔵方》《中薬臨床応用》「製白附子6g、白殭蚕6g、全蝎3g」水煎服。 ◎中風で痰が多い ◎脳卒中の顔面神経麻痺 ◎半身不随
蜆子水《東醫寶鑑》「生きた蜆子を、5日間水に入れて置いて、毎日その水で手や顔を洗う」◎痘痂が落ちても、そのあとが黒く、凸凹がある痘後に、これで洗う。
減瘢散《東醫寶鑑》「鉛粉1両、軽粉2分半」細末にし。猪脂で調合して1日3回塗る。◎痘痂が落ちても、そのあとが黒く、凸凹の形があるとき。
#古庵心腎丸《東醫寶鑑》「熟地黄・生乾地黄・山薬・茯神各3両、当帰・沢瀉・黄柏(塩酒炒)各1両半、山茱萸・枸杞子・亀板(酥炙)・牛膝・黄連・牡丹皮・鹿茸(酥炙)各1両、甘草(生)5銭、朱砂1両」作末し蜜で梧子大の丸剤。朱砂で衣をつけて、空腹時に塩湯or温酒で100丸飲む。◎労損による心腎の虚熱があり、◎驚悸・怔忡・遺精・盗汗。◎目がかすみ、耳鳴り。◎腰痛・足が痿弱する者を治す。
#牛黄丸《東醫寶鑑》「犀角(屑)2銭、牛黄1銭、金箔・銀箔各5片、甘草2銭半」を作末し、蜜で緑豆大の丸剤。毎回7丸を薄荷湯で服用。 ◎小児の通晴(外障の一種)を治す。
#牛黄金虎丹《和剤局方》 《東醫寶鑑》 「雄黄(水飛)15両、白礬枯・天竺黄・牛胆・天南星(製)各2両5銭、天雄(炮)1両2銭半、膩粉(べにとおしろい)・竜脳各5銭、牛黄2銭半、を作末して煉蜜でまぜ、1両半を分けて10丸作り、金箔80斤で衣をつくって、毎回1丸を新汲水で和らげ潅下して、薬気がよく運行するようにし、しばらくして薄荷汁で再び1丸を溶かして、潅下するとすぐ治る。もし肥盛で、唾が多く、いつも風気がある虚証の人は、いつもこの薬を常備して、万一の危急に対備するとよい。《和剤局方》
范子黙という人が、中風で痰涎がつまって喋れなくなったので、金虎丹4丸を飲んだが、気は通ぜず、つばも出ず、魂魄が飛江湖におちたようで治らないので、聴会・頬車・地倉・百会・肩井・曲池・風市・三里・絶骨・耳前髪際・風池を灸すると気が通じ、痰を一椀くらい吐き、又、十数回下痢して半月間まくらに腹這いになっていたら治ったという。これがつまり百会の灸の力である。吐いて瀉すは金虎丹を飲むとよい。《資生》
◎急中風で人事不省・体が硬直・口を閉じて鼻がかわき・顔が黒く・心神が迷悶で・形体が酔ったようで・痰涎が胸を壅塞し・喉中で鋸びきの音がする者。《東醫寶鑑》
#牛黄散子《東醫寶鑑》「黒牽牛子末を春8分・夏9分・秋7分・冬1銭。大黄を春8分・夏9分・秋7分・冬1銭。檳榔を春8分・夏9分・秋7分・冬4分。甘草を春8分・夏9分・秋7分・冬4分」細末にし毎回3銭を五更時に、東南に向かって井戸水で調服する。◎穀疸・酒疸・水気・蠱脹を治す。
#牛黄瀉心湯(一名南極延生湯)《東醫寶鑑》 「大黄(生)1両、竜脳・朱砂(水飛)・牛黄各1銭」を作末し、毎回3銭、生姜汁に蜜をまぜて服用。 ・癲癇
・心経の邪熱・狂乱
・精神不快。
#牛黄承気湯《温病条弁》 「安宮牛黄丸2粒、生大黄8g(粉にする)。安宮牛黄丸は水にとかし、生大黄末をまぜ、まずその半分を飲み、治らない時にはさらに残りの半分を服用する。」
#牛黄清心丸《痘疹世医心法》「牛黄、黄連、山梔子、欝金、朱砂」
#牛黄清心丸【中成薬】《中薬臨床応用》「牛黄・黄連・黄芩・山梔子・欝金・朱砂」◎感染性の疾患の敗血症期、◎高熱、意識障害◎煩躁 ◎ケイレン発作
#牛黄清心丸《万氏方》 「牛黄・黄連・黄芩・生梔子・欝金・辰砂」 ◎温病で熱が心包に入り、意識不明・うわごとを言う。 ◎小児は急にひきつける。
#牛黄清心元[1]《医宗金鑑》《東醫寶鑑》 「山薬7銭、炙甘草5銭、人参・蒲黄(炒)・神麹(炒)各2銭半、犀角2銭、大豆黄巻(炒)・肉桂・阿膠(炒)各1銭7分、白芍・麦門冬・黄芩・当帰・防風・朱砂(水飛)・白朮各1銭半、柴胡・白茯苓・桔梗・杏仁・川?各1銭2分半、牛黄1銭2分、羚羊角・麝香・竜脳各1銭、雄黄8分、白蘞・乾姜(炮)各7分半、金箔120斤のうち40斤で衣を作り、作末したものは大棗20個を蒸して肉を取り入れた棗膏とまぜ、煉蜜を入れてまぜたもので、1両大の丸剤を10丸つくる。毎回1丸を温水で服用。
◎卒中風で人事不省・精神混迷・言語塞渋・口眼喎斜・手足が不随する者を治す。◎癲癇・発狂・痰涎が壅塞して起こる疾患。◎心気不足・神志不定・喜怒無常・癲狂発作・精神昏乱を治す。
#牛黄清心元[2]《俗方》 「至宝丹・牛黄・洗心元・竜脳蘇合元・牛黄金虎丹」を「竹瀝・生姜汁・香油・童便」で調合して潅下する。 ◎卒中風で人事不省。
#牛黄通膈湯《衛生宝鑑》 「調胃承気湯牛黄」◎はじめて中風を覚えて一二日、実なれば則ち急に之を下すに宜し。《雑病翼方》
#牛黄定志丸《丹渓心法》「朱砂(水飛)・半夏(姜製)各2両、雄黄(水飛)・天麻・烏蛇肉・甘草各1両、琥珀7銭半、牛黄・竜脳・全蝎・白彊蚕(炒)・白附子(炮)・牛胆・天南星
各5銭、麝香2銭半」作末し、芡実大の蜜丸。毎回1丸を人参薄荷湯で、 かんで服用。 ◎心臓中風による昏冒で、清神を守れないとき、この薬が驚悸を鎮めて心を楽に
し、つばを消化して神を本にする。
#牛黄凉膈元《東醫寶鑑》「馬牙硝・寒水石(煆)・石膏(煆)各2両、甘草1両、牛胆南星7銭半、紫石英(煆)5銭、牛黄・竜胆・麝香各2銭半」作末し、1両を30丸に蜜丸。毎回1丸を薄荷湯でかみ下す。◎咽喉腫痛・口舌生瘡・頬の赤腫。
#牛膝散《医学入門》《古今方彙》「牛膝、羚羊角、檳榔子、芒硝、牡丹皮、防已、肉桂、甘草、赤芍薬」水煎温服。 ◎脚気が腎に入るを治す。◎腰脚腫脹し、小便不利して目額皆黒く、左の尺脈絶える者は死す。
#牛膝散《婦人大全良方》《古今方彙》「牛膝・川芎・朴硝・蒲黄各3両、桂心5銭、生地黄1銭、生姜」煎服。◎胎衣出でず、腹中脹急するを治す。この薬を服し腐化し而して下す。
牛膝散《聖済総録》
#牛膝散《証治準縄》「牡丹皮、桂心、川芎、朴硝、補黄、当帰、生姜、生地黄」 #牛膝湯《証治準縄》《中薬臨床応用》「牛膝・当帰」各等分、作末し1回6g水煎服。◎尿道炎◎排尿痛◎排尿困難
#牛膝湯《証治準縄》「牛膝・当帰・黄芩各等分」作末し、1回6g水煎服。 #牛膝湯《医学入門》《古今方彙》「牛膝・瞿麦・赤小豆・当帰・木通各2分、滑石6分、葵子4分」水煎温服。一方には、赤小豆なし。◎生産(産育)不順なるを治す。◎此を用いて水道を滑利し産を易からしむ。◎若し胞衣下らざれば瞿麦を去り、連進すること二三服すれば即ち下る。
#牛膝木瓜湯《東醫寶鑑》「牛膝・木瓜各1銭、白芍薬・杜仲・枸杞子・黄松節・菟絲子・天麻各7分半、甘草5分」剉作1貼して「姜3片・棗2枚」入れ水煎服。◎脇と小腹が疼痛し、つんぼになって、目が赤く、小腹と尻陰が突っ張り、股・膝・髀・ふくらはぎ・すね・足がみな疼痛するとき。
#牛車腎気丸《漢方治療の実際》「八味丸牛膝・車前子」「地黄5、山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮各3、桂枝1、附子0.5、牛膝・車前子各3」煎服■
地黄=滋補強壮薬、能滋腎除熱、補血潤燥 ■山茱萸=添精固髓、煖腰膝 ■山薬=滋精気、退虚熱、潤皮膚枯燥 ■茯苓=去胃内停水 ■茯苓+沢瀉=増加尿利
■牡丹皮=去下焦血滞、治循環障害 ■桂枝=行下焦之気。助地黄強化血行、助茯苓利尿、 ■附子=増進體温力強、挽回機能衰退 ■牛膝=利水剤 ■車前子=利水剤
■牛膝+車前子=強壮作用 #牛車腎気丸《厳氏済生方》《中医処方解説》 ⇒済生腎気丸=牛車腎八味丸「八味地黄丸牛膝・車前子15g」蜜丸。◎腎虚、腰重く、脚腫れ、小便不利を治す。◎此方は八味丸の症にして腰重、脚腫、或いは痿弱する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎腎虚、腰重脚腫、小便不利《龍野ー漢方処方集》
★牛車腎気丸(下半身の浮腫、腎炎、糖尿病、体力低下、疲れやすい、排尿異常、口渇、しびれ)
★適応症及び病名(牛車腎気丸)[1]かすみ目(老人の)
[2]脚気:☆一男子三十餘、年々脚気を患い、腰重、脚軟、歩する能わず、冬月はやや差ゆるに、春夏の際に至ればまた発することもとの如し、余、強いて秋冬より春末に至るまで此方を服せしめて全癒す。《勿誤薬室方函口訣》
[3]下肢痛
[4]健忘症
[5]口渇
[6]高血圧症
[7]腰が重い
[8]四肢のしびれ
[9]四肢の冷え:
[10]四肢浮腫《雑病翼方》
[11]消渇
[12]座骨神経痛
[13]小便不利
[14]心不全:☆鬱血性心不全。☆下半身の浮腫、体力低下
[15]腎炎
[16]腎虚
[17]腎結核
[18]腎結石
[19]腎陽虚の水腫
[20]神経衰弱
[21]脊椎カリエス:☆太田正隆(和漢医林新誌第173号)“府下赤坂区青山北町にすむ小島某は、明治24年12月になって、突然、背に腫物のようなものが出来た。もっとも、その前から呼吸が促迫し、歩行に困難を感じていたけれども、別に気にせずにいたが、この頃になって、背が鍵のように曲がって、はじめて[亀背]であることを知った。しかし時期が年末で忙しかったので、そのままにしておいたところ、肩背が強ばり、胸部から腹部にかけてひきつれ痛み、からだを伸ばして歩くことが出来なくなり、下肢が麻痺してしまった。翌年の1月になると、病気はだんだん重く、毎晩、盗汗が流れるように出始めた。そこで19日になって帰省し、その父が渋谷の赤十字につれて行って治を乞うた。ここでは21日に撃剱の皮胴のような器械をつけてくれた。それから隔日に、3週間同社に通って治療を受けたが効がない。そこで医員にたずねたところもう手遅れだといって治るとも治らないとも云わない。そこで父兄たち家族のものは皆不治の症として治療をうけず、ただ加持祈祷をするだけであったが、3月3日の午後になって、両足の麻痺がひどくて全く動かなくなり、腰から下は氷のように冷たくなってしまった。こんな風で臀で這い回るだけである。4月25日になって、余に治を乞うた。しかしこの時、余は眼の病気に罹って往診が出来なかった。そこで、その病状経過を聞いて思うに、病気は脊椎にあって、もうここまでになったか、しかしこれを見捨てるのは不仁である。余が力を尽くしてみようと、牛車腎気丸料を与えた。6月上旬になって、余の眼がやや良くなったので、車で往診したところ、引きつれて痛むのはすでに良くなり、盗汗も止み、ただ小便が頻数である。そこで前方を3ヶ月ほど連用し、6月20日に、いつものように父に抱かれて便所に行き、片足を草履の上に置いたところ踏みごたえがあり、次に両脚を置いたがこれも踏みごたえがあった。こんな風で麻痺が日に日に去り、下肢は漸々に旧に復し、この頃では数町の処へ歩いて、行けるようになった。”
[22]前立腺肥大症
[23]タンパク尿
[24]疲れやすい
[25]低血圧症
[26]糖尿病
[27]糖尿病性腎症 ☆八味地黄丸に牛膝、車前子を加えて利尿作用を増強させたのが牛車腎気丸で、糖尿病性腎症によく用いられる(漢方診療医典)
[28]動脈硬化
[29]難聴 ☆八味地黄丸適応者よりさらに排尿障害、歩行障害。腰痛を伴う場合にも牛車腎気丸が適している。(漢方診療医典)
[30]尿閉
[31]ネフローゼ
[32]脳出血の後遺症
[33]排尿困難
[34]皮膚病
[35]頻尿
[36]浮腫(下半身の):☆肚腹腫脹《雑病翼方》☆脚腫☆腎炎やネフローゼなどの浮腫。ことにやや慢性になったものには、用いる場合が多い。《大塚敬節》
[37]変形性膝関節症
[38]乏精子症
[39]慢性腎炎
[40]夢精
[41]夜尿症
[42]腰痛 #牛車腎気丸《厳氏済生方》【中成薬】《中薬臨床応用》⇒旧称「済生腎気丸」「牛膝9g、車前子12g(包煎)、山薬12g、茯苓12g、熟地黄24g、山茱萸9g、牡丹皮6g、附子9g、肉桂3g(服)」水煎服。 ◎腎炎の水腫 ◎尿量減少 ◎腎陽虚。
#牛車肉《東醫寶鑑》 「紫河車・牛肛」等分に煮て、随時食べる。 ◎失神・癲癇・発狂。 #牛珠七厘散《中薬臨床応用》「牛黄150mg,朱砂末・全蝎(炙)・天麻・黄連・瑪瑙末各8g、竜脳・胆南星・甘草各5g、金箔25枚」作末し、毎日0.2gを湯で服用。◎小児の熱性ケイレン。
#牛榔丸 「牽牛子、檳榔子」 #牛蒡解肌湯《瘍科心得集》 「牛蒡子・連翹・荊芥・石斛・玄参各9g、山梔子・牡丹皮各6g、夏枯草12g、薄荷3g(後下)」
◎頸項部の癰・◎咽喉の腫脹疼痛 #牛蒡芩連湯《万病回春》「黄芩・黄連各2銭半、桔梗・石膏各1銭半、大黄・荊芥・防風・?活各2分、連翹1銭、牛蒡1銭、甘草1銭」
本、玄参あり。◎積熱上に在り、面腫し、多く耳根より上起するを治す。俗に大頭瘟と曰う。◎此方は時毒、大頭瘟の主方とすれども、凡て積熱上に在りて諸悪瘡を発し癒え難き者に用いて効あり。◎時毒、大頭瘟の類、<1>その初めは「葛根湯桔梗石膏」にて発汗すべし、<2>発汗後、腫痛解せざる者は「小柴胡湯桔梗石膏」に宜し。<3>その次ぎを「大柴胡湯桔梗石膏」とし、<4>その次ぎを「牛蒡?連湯」とす。もし早く此方を与える時は甚だ具合悪きものなり。《勿誤薬室方函口訣》
#牛蒡芩連湯《万病回春》《古今方彙》「黄芩(酒)・黄連各2銭半、桔梗・石膏各1銭半、連翹・牛蒡(炒)・玄参各1銭、大黄(酒)・防風・羗活各3分、甘草1銭、生姜」水煎。
◎積熱上に在り、頭頂腫起し、或いは面腫れ、多く耳根の上より起こるを治す。俗に「大頭瘟(おたふくかぜ)」という。
#牛蒡子飲《万病回春》《古今方彙》「牛蒡子・前胡・黄連・黄芩・連翹・白附子・玄参・赤芍薬各1銭、羗活・防風・甘草各5分」水煎。 ◎還元して痂(かさぶた)落ちても余毒ありてその臓腑に聚るを覚え、時に復た熱を作し、腹内腫れて疼痛する者を治す。
#牛蒡子湯《医学入門》《東醫寶鑑》「牛蒡子2銭、玄参・犀角・升麻・黄芩・木通・桔梗・甘草各1銭」水煎し、食後服用。◎咽喉腫痛・牙関緊急・瘡雍。◎風熱上を壅ぎ初めに牙関緊急を発し、已にして咽喉腫痛を発し、或いは瘡癰を生じ、及び癒えたる後に復た胸脇を攻めて気促し身熱し言臥する能わざるを治す。
#牛蒡子湯《外科正宗》《古今方彙》「陳皮、山梔子、甘草、黄芩、牛蒡子、金銀花、括楼仁、括楼根、連翹、皀針、柴胡、青皮」水煎し酒を加え食遠に服す。
◎乳癰、乳疽、結して疼痛するを治す。◎新久を論ずる勿れ。但し未だ膿をなさざるに服す。
#牛蒡子湯《漢方治療の実際》「柴胡5、青皮・陳皮・梔子・黄芩・天花粉各2.5、連翹・牛蒡子・金銀花各2、皀角刺 1、冬瓜子4、甘草1.5」 #牛蒡湯《沈氏尊生書》
「牛蒡子 升麻 黄薬子 玄参 紫浮萍 桔梗 甘草 天花粉」
#牛蒡湯《証治準縄》《中薬臨床応用》「牛蒡子6g、荊芥穂6g、薄荷3g(後下)、防風6g、大黄3g、甘草(生)3g」水煎服。 ◎感冒 ◎咽喉の腫脹疼痛
#五噎湯《医学入門》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓・陳皮各1銭、枳殻・厚朴・甘草・乾姜・三稜・莪朮・神麹・麦芽各5分、訶子、桂心、木香、檳榔子、生姜、大棗」水煎。◎噎にて下らず、嘔徹せず、胸背刺痛、涙と涎出ずる者を治す。
#五飲湯《東醫寶鑑》 「旋覆花・人参・陳皮・枳実・白朮・茯苓・厚朴・半夏・沢瀉・猪苓・前胡・桂心・白芍・甘草各7分、生姜10片」 ◎五飲すなわち溜飲・癖飲・痰飲・溢飲・流飲の五症を治す。
#五飲湯《方読便覧》「六君子湯五苓散旋覆花・前胡・枳実・芍薬」◎飲癖を治す。
#五飲湯《医学入門》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓・甘草・枳実・厚朴・陳皮・半夏・猪苓・沢瀉・前胡・桂心・芍薬・旋覆花各等分、生姜」煎じ温服。肉食・生冷等の物を忌む。
◎酒後寒に傷れ冷を飲むこと過多にて故に五飲となるを治す。 #五瘟丹《東醫寶鑑》「黄連(生)・黄柏(生)・黄芩(生)・甘草(生)・香附子(生)・紫蘇葉(生)各1
両」を冬至の日に作末し、「錦門大黄3両」を濃く煎じて滓を去り、膏を 作って梧子大の丸剤。「朱砂・雄黄」で衣をし、再び金箔をかぶせ毎回1 丸を井戸水で飲む。◎流行瘟疫と傷寒の熱病・熱瘧を治す。
#五液湯《医学衷中参西録》「山薬、黄蓍、知母、鶏内金、葛根、五味子、天花粉」 #五黄膏《東醫寶鑑》 「黄柏・黄連・黄?・黄丹・大黄各5銭」を作末し、毎回1銭を蜜水で調合して膏薬をつくって絹の上にひろげ、左右太陽穴に塗る。
◎目赤・腫痛を治す。
#五黄散《東醫寶鑑》「黄丹・黄芩・黄連・黄柏・大黄・乳香」各等分に末にし、水で膏に作り、きれいな絹の上にひろげて傷口に貼り、1日1回取り替える。◎杖瘡の痛みを治す。
#五膈寛中散《東醫寶鑑》「厚朴・香附子各1銭半、甘草5分、青皮・陳皮・丁香・縮砂各4分、木香3分、白豆蔲2分」粗末にし「姜3、塩少々」を入れ水煎服。◎五膈による食物の下らない者を治す。
#五膈湯《医学入門》《古今方彙》「枳殻・青皮・天南星・半夏各1銭、白朮1銭2分、大腹皮8分、乾姜7分、麦芽6分、丁香・木香・草果各5分、甘草3分、生姜」水煎。
◎胸膈痞気、結聚脇脹、胆逆悪心する者を治す。 #五加皮酒 「五加皮を酒につくって飲むと五加皮酒になる。」○風を治し、虚を補い、又風痺と痛風を治す。
#五加皮散[1]《東醫寶鑑》「五加皮2銭半、牛膝・木瓜各1銭半」作末し、毎回1銭を米飲で調下する。◎3歳になっても歩けない子を治す。
#五加皮散[2]《東醫寶鑑》「皮を作末し、酒で調合し、項骨の上に貼り、乾いたら貼り替える。◎項軟を治す。 ◎小児が風邪で頭がまわらず、頭を前にたれ、また後にのけぞる。
#五癇丸《東醫寶鑑》 「半夏(酒洗して焙)2両、白彊蚕(炒)1両半、天南星(炮)・烏蛇肉・白礬各1両、白附子5銭、麝香3銭、を別に作末し、朱砂2銭半を水を切り、全蠍2銭(炒)、雄黄2銭を別にきざみ、蜈蚣半条足(炙)・皀角各4両、を槌で砕いて水半升と白礬を少し入れて煮て乾かした後、細末にし姜汁麺糊で梧子大の丸剤。毎回30丸姜湯で服用。
◎癲癇の新旧を問わず特効あり。
#五疳丸《銀海精微》 「緑礬・夜明砂各120g、胡黄連20g、牛黄4g 蜜陀僧40g。以上を作末し、大棗肉でついて、丸薬にして、毎服、緑豆の大きさを30丸、重湯で飲む。」
#五疳保童元《東醫寶鑑》「黄連・白頭・草竜胆・五倍子・青皮・夜明砂(炒)・苦楝根・雄黄・麝香・青黛・天漿子・熊胆・蘆薈・胡黄連各2銭半、蟾頭(炒黄)1枚」飯で麻子大の丸剤。1歳児は米飲で1~2丸服用。◎五臓疳を治す。
#五行湯《東醫寶鑑》「黄柏」を作末し、しめった紙でくるみ、黄泥で又くるんで、紐でゆわいて火であぶり、乾いた後薬末を取り出し、弾子大に丸め、綿でくるんで水に漬けて蒸し、温いうちにいぶして洗う。
◎ひどい赤眼と腫痛を治す。 #五玄散《東醫寶鑑》「藜蘆5銭、明礬2銭、猪牙・皀角・緑礬・赤小豆各1銭」を作末し、毎回1銭を漿水で調下する。 ◎吐剤の重剤。
#五虎丹《陳協吉》 「黄升82g、軽粉40g、忪石膏240g(小便壷の中に1年以上浸し、流れている河川中に半年間浸して漂白したものがよい。)梅片20g、黄連40g、以上を極細末にし、磁製の瓶に密閉保存する。瘡口に塗布、又は瘡孔内に挿入し、外は膏薬を貼る。少量を使用する。多く用いると瘡口が痛みだす。」
#五虎追風散《晋南史全恩家伝方》「蝉脱、天南星、天麻、全蝎、白殭蚕、朱砂」 #五虎追風湯《全恩家伝方》「蝉退30g、製南星6g、天麻6g、全蝎(連尾)7個、白蚕(炒)7個」水煎し、毎日1剤を3日間連続服用。◎破傷風。
#五虎湯《万病回春》《古今方彙》「杏仁(炒)・麻黄各3銭、石膏5銭、甘草1銭、細茶1撮、桑白皮・生姜・葱白」水煎熱服。 ◎傷寒にて喘急するを治す。
◎痰あるには:「二陳湯人参」=「五虎二陳湯」◎虚して喘急する:先ず此湯を以て表を散じ、後に小青竜湯杏仁を用いて治す。 #五虎湯《増補万病回春》「麻黄、杏仁(炒)、石膏、甘草、細茶、桑白皮、生姜、葱白」
#五虎湯《漢方治療の実際》「麻杏甘石湯桑白皮3」原方には細茶があるが、一般には入れない。 #五虎湯《東醫寶鑑》「麻黄3銭、石膏5銭、杏仁2銭、甘草1銭、細茶一握り、桑白皮1銭半を?作1貼し、姜3剉片、葱白1茎を入れ水煎服。本、細茶あり、今必ずしも用いず《勿誤薬室方函口訣》◎傷寒の喘息を治す。又虚喘急を治す。◎先に此湯を用い、表を散じ、後に「小青竜湯杏仁」を用いる。◎此方は麻杏甘石湯の変方にして喘急を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎感冒咳嗽、気管支喘息、気管支炎。《龍野ー漢方処方集》★五虎湯・(気管支喘息、呼吸困難、小児喘息)
★適応症及び病名(五虎湯) [1]咳嗽
[2]気管支炎
[3]気管支拡張症
[4]気管支喘息
[5]口渇
[6]呼吸困難☆小児に最も効あり《勿誤薬室方函口訣》
[7]自汗
[8]傷寒の喘急《万病回春》
[9]小児喘息
[10]心悸亢進
[11]舌苔<白苔>
[12]喘鳴
[13]肺炎
[14]肺気腫
[15]伏熱 #五虎二陳湯《東醫寶鑑》「石膏2銭、麻黄・杏仁・陳皮・半夏・赤茯苓各1銭、人参8分、甘草5分、木香・沈香各5分」剉作1貼し「姜3、葱2、蜜少々」を入れ少し煎じたあと、2香の汁を入れて調服する。◎哮吼で喘急し、痰の多い者を治す。
#五香散《仁斎直指方》 「五香湯《備急千金要方》連翹・木通・続断・桑寄生・甘草」◎癰疽を治す。 #五香湯《備急千金要方》 「藿香・木香・乳香・丁香・沈香各1両」右五味、或いは反鼻を加え、或いは大黄を加える。◎熱毒気卒かに腫痛し、結んで核を作り、或いは癰疽に似て非、人をして頭痛、寒熱、気急ならしむる者を治す。数日徐かずば人を殺す。
◎此方は解毒の良方なり。《勿誤薬室方函口訣》◎凡そ、瘡毒内攻衝心の者、此方に非ざれば救う能はず。◎痘疹の内攻に与えて宜し。◎本邦往古の医書には此方に加減して、胎毒の主剤とするなり。◎小児初生に用いる。:その症は、色など青白く、その他何となく陰症を顕わし、心下に迫る気味の者に宜し。
◎此の一段重きを「四逆湯」とす。 ◎頭瘡:「合歓皮・木通・柴胡・連翹」 #五香湯[2-1]《千金翼方》「五香湯《備急千金要方》藿香麝香」
#五香湯[2-2]《古今方彙》「沈香、木香、丁香、乳香、麝香」水煎。◎毒気腹に入り裏を托くを治す。 ◎異証あれば之を加減す。◎嘔には:「-麝香藿香」◎渇には:「人参」◎此方は外科精義に出ず、常に「麝香」を去り「藿香」を加え用いる。◎一方には、丁香を去り、?香・連翹を加え「小五香湯」と名づく。
#五香連翹湯《医学入門》《古今方彙》 「連翹・篇竹根・大黄・桑寄生・独活・木通・升麻・丁香各7銭、木香(青)・沈香各2銭半、甘草(生)・乳香・麝香各1銭半」水煎熱服。思独を利するを以て度とする。◎一切の積熱結核、瘰癧、癰疽、瘡癰を治す。◎一方には、竹瀝・芒硝あり、熱の軽重に髄って加減す。
#五香連翹湯《薬師院伝》 「木香、沈香、丁香、麝香、連翹、黄蓍、升麻、木通、射干、独活、大黄」 #五香連翹湯《東醫寶鑑》「大黄1銭、連翹・射干・独活・升麻・桑寄生・沈香・藿香・木香・丁香・甘草各7分、麝香3分」水煎服。◎癰疽・瘡癤・瘰癧の結核と一切の毒腫を治す。
#五香連堯湯《勿誤薬室方函》 「 連堯湯《本朝経験》五香湯《備急千金要方》」◎胎毒の内攻するとき。 #五子元《東醫寶鑑》 「兎絲子(酒製)・韭子(略炒)・益智仁・茴香(炒)・蛇床子(炒)」各等分。作末し酒糊で梧子大の丸剤。糯米飲で50~70丸服用。
◎小便失禁(夜間にひどい)・めまい・足が弱い。
#五子衍宗丸《朱丹渓》《東醫寶鑑》「枸杞子9両、菟絲子(酒浸)7両、覆盆子5両、車前子3両、五味子1両」搗いて蜜で梧子大の丸剤。空腹時に温酒で90丸飲み、就寝時に塩湯で50丸飲む。◎男子の子のない者を治す。
#五子十皮湯《済世全書》《古今方彙》「紫蘇子、菟絲子、大腹皮、車前子、葶藶子、茯苓皮、五加皮、牡丹皮、地骨皮、生姜皮、木通皮、木瓜皮、甘草皮、草果皮」水煎。
◎一切の蠱脹、気虚、中満、単に腹脹するを治す。 #五子湯《中薬臨床応用》「覆盆子・枸杞子・菟絲子・五味子・蓮子各5g」水煎or丸薬◎遺精◎インポテンス
#五枝散《東醫寶鑑》「桃枝・桑枝・李枝・石榴・梅枝の東向きの小枝7茎を3寸の長さに切ったもの、青蒿一握り、苦練根(7寸)、生藍青7葉、葱白連根(洗い7分割)」を童尿2升半で煎じ、半分になったら滓を去って、「安息香・蘇合香・阿魏各1銭」を煎じて1杯にして、濾して「朱砂・雄黄・雷丸・柿白礬・硫黄各半銭」を作末、「檳榔末1銭、麝香2分半」を入れて調合し、2回に分服。毎月初旬の五更は空腹時に1服する。万一虫が下りて来なかったら、早朝にまた飲むと虫と悪物を吐くか、下すかする。◎伝尸の労虫を治す。
#五痔蒸薬方《積山遺言》「荷葉・蕺薬(ドクダミの未開花)・甘草」粗末にし、分量はその時に随う。先ず、嚢に入れ焼酎に浸し、3、5沸の後、病者をして安坐せしめ、肛門に前記薬を敷き、厚く被を覆い、頭上に及び(頭から夜着のようにぶる)よろしく汗を取るべし。もし薬冷る時は、則ち薬末を少しばかり添え、次に焼酎を2、3沸すること前法の如くし、蒸すこと一昼夜に3、4回。最も風寒を忌む。かくの如くすること、5、6日の間、煎じ湯には秦芁防風湯蒼耳子(炒)を、毎日服すること、2、3度とある。」
#五汁飲《温病条弁》 「梨汁 荸薺汁 鮮葦根汁 麦門冬汁 鮮藕汁」 適当な量を凉服する。凉服を好まない者は重湯で温服。◎肺熱・胃熱が甚だしい◎口乾、舌の乾燥、煩渇。
#五汁玉泉丸《東醫寶鑑》「黄連・乾葛・天花粉・知母・麦門冬・五味子・人参・生地黄・烏梅肉・当帰・甘草各1両」作末し、別に「人参・牛乳・砂糖・梨汁・藕汁を合わせ、蜜1斤半」を入れて煮て膏を作り、前記の薬末を入れて再び膏を作る、5~7回煮立ったら、毎5匙を1日2~3回米飲で調服する。◎消渇を治す。
#五蒸丸《東醫寶鑑》「青蒿(童便浸)・生地黄・地骨皮・石膏各1両、当帰7銭、胡黄連5銭、鼈甲1片」を作末し、梧子大の丸剤。毎回70丸を小麦を煎じた湯で服用。◎骨蒸で熱はあるが脈弱く、口が乾き煩躁する者。
#五蒸湯[1]《外台秘要方》 「茯苓3両、葛根3両、知母2両、黄芩2両、石膏5両、竹葉2把、地黄3 両、粳米1合、甘草1両、人参2両」◎五蒸熱(骨蒸・脈蒸・皮蒸・肉蒸・血蒸)を解す。◎此方は「竹葉石膏湯」の変方にして、骨蒸熱の虚脱せざる者を治す。◎此方と《蘇沈内翰良方》の麦煎散とは骨蒸初起の主剤とす。但し此方は《医学入門》のいわゆる煩熱、蒸痿、自汗を主とし、麦煎散は方後のいわゆる骨蒸、黄痩、口臭、盗汗を主とするなり。《勿誤薬室方函口訣》◎労病煩熱ある者に用いる。もし乾血労にて煩熱を苦しむ者は三物黄芩湯を佳とする《雑病翼方》
#五蒸湯[2-1]《医学入門》「五蒸湯[1]《外台秘要方》+麦門冬」◎男婦諸虚、煩熱、蒸熱、蒸痿、自汗などの症を治す。《勿誤薬室方函口訣》 #五蒸湯[2-2]《医学入門》《古今方彙》「人参・黄芩・知母・地黄・葛根・石膏・粳米・麦門冬各等分、小麦1撮、甘草半減」水煎。
◎男婦諸ての虚煩熱、蒸痿(蒸熱のために筋肉が弛緩して無力となる)、自汗等を治す。 #五蒸湯[3]《東醫寶鑑》「石膏2銭、生地黄・乾葛各1銭半、人参・知母・黄芩・赤茯苓各1銭、甘草(生)5分を剉作1貼し、竹葉7・粳米1合・小麦2合を入れ煎服。」
◎骨蒸で熱があって脈が少なく、口が渇き、煩躁する症。 #五豆湯《東醫寶鑑》「乾葛(切)・甘草(切)各1斤、貫衆8両、黒豆・黄豆・青豆・赤小豆各1両」を水5斗5升で12月8日に炒って滓を去り、磁器に漬けて封をして置いたのを、春と夏に開けて飲む。◎酒毒を解き、消渇を治す。
#五痔散(一名五灰散)《東醫寶鑑》「猪の左蹄甲・鼈甲・猬皮・露蜂房・蛇退」を焼いて作末し、まぜて毎回2銭に麝香少しを入れて、空腹時に服用。 ◎五痔と諸痔を治す。
#五秀重明丸《東醫寶鑑》「甘菊花(開頭)500、荊芥穂500、木賊の節を去ったもの500、楮実500枚、川椒(開口)500粒」を作末し、弾子大の蜜丸。毎回1丸を茶清で服用。
◎瞖膜が瞳にかぶさる症。 #五獣三匱丸《東醫寶鑑》「鹿茸(酥炙)・血竭・虎脛骨(酥炙)・牛膝(酒浸)・金毛狗脊(毛を焼いたもの)各1両を作末し、別に附子1個の皮をむいて芯を去ったもの、辰砂1両。まず木瓜1箇の皮をむいて中身を取り出して附子を入れて、附子末で封し、重湯で蒸して先の五獣末を入れて、芡実大に丸め木瓜酒でとかして呑み込む。◎肝腎の不足による、両脚の痿に。
#五生丸《東醫寶鑑》 「天南星・半夏・川烏・白附子・黒豆各1両」作末し、姜汁糊で梧子大の丸剤。毎回3~5丸、淡生姜湯で服用。 ◎陰癇で身体が冷たい・脈細遅。
#五瀉湯《銀海精微》 「黄柏、知母、木通、山梔子、生地黄、甘草、黒参、桔梗、黄芩、防風」。熱がひどい者は羚羊角・犀角・黄連を加える。これらを粉末とし、毎服24~28g。 食後煎服。
#五炒川練丸《東醫寶鑑》「川練肉5両に1両は斑猫3個と炒り、1両は茴香3銭、塩5分と炒り、1両は破故紙3銭と炒り、1両は黒丑3銭と炒り、1両は蘿葡子1銭と炒り、時に入れて炒った薬は捨て、茴香・破故紙・川練肉だけを取って作末し、酒糊で梧子大の丸剤。毎回50丸を温酒で調下する。◎諸疝を治す。
#五精丸《東醫寶鑑》「秋石・鹿角霜・白茯苓・陽起石・山薬」各等分に作末し酒糊で梧子大の丸剤。毎回50丸服用。◎腎虚・陰痿に使う。 #五積散[1-1]《蘇沈》
「蒼朮・茯苓・橘皮・白芷・当帰・厚朴・川芎・芍薬・桔梗・半夏・枳実各4g、麻黄3.2g、桂枝・乾姜各2g、甘草0.8g」 ◎内外寒に感ずるを治し、一切の気を和し、血絡を通ず。◎此方は《軒岐救正論》に気、血、飲、食、痰を五積と云へることあり。即ち此の意にて名づくと見ゆ。故に、風寒を駆散し発表するのほかに、内を温め血を和するの意あれば、風・寒・湿の気に感じ、表症もあり、内には従来の疝積ありて、臍腹疼痛する者、尤も効あり。
#五積散[1-2]《東醫寶鑑》「蒼朮2銭、麻黄・陳皮各1銭、厚朴・桔梗・枳穀・当帰・乾姜・白芍・白茯苓各8分、白芷・川芎・半夏・桂皮各7分、甘草6分を剉作1貼して生姜3片、葱白3茎を入れ、水煎服。」
<別法>肉桂・白芷を除いて、残りを慢火で炒って色が変わったら、さめた後、桂と白芷を入れると「熟料五積散」といい、炒らないのは「生料五積散」という。
◎風寒感傷して頭痛・体痛。四肢逆冷して胸痛・腹痛・嘔吐・下痢。生冷に傷つき、外に風冷を感じる症。 #五積散[1-3]《和剤局方-中寒門》《漢方後世要方解説》「茯苓・陳皮・半夏・蒼朮各2、当帰・芍薬・川芎・厚朴・白芷・枳殻・桔梗・乾姜・桂枝・麻黄・大棗・香附子・甘草各1.2」
◎本方の原方は平胃散である。◎中を調え気を順らし、風冷を除き痰飲を化ず。脾胃宿冷、腹脇脹痛、胸膈停痰、嘔逆悪心、或いは外風寒に感じ、内生冷に傷られ、心腹痞悶、頭目昏痛、肩背拘急、肢体怠惰、寒熱往来、飲食進まざるを治す。及び婦人血気調わず、心腹撮痛、経候匀しからず、或いは閉じて通ぜず、並に宜しく之を服すべし。◎此方は発表温裏の剤である。よく気血順らし、胃腸を調える効がある。五積散とは気血痰寒食の五積を治すの意である。本方は平胃散を原方として二陳湯、四物湯、桂枝湯、続命湯の意を有し、風寒湿を駆逐し、胃を和し、肝脾を補う。故に食滞、血虚、痰飲、中寒、気鬱、感冒等に広く用いられる。《津田玄仙》は腰冷痛、腰股攣急、上熱下冷、小腹痛を目的として用いた。
*「膀胱経の発汗剤」=麻黄・桂枝・蒼朮・生姜・桔梗*「脾胃の温剤」=白芷・桂枝・乾姜・厚朴・陳皮・桔梗・茯苓・甘草*「肝の補剤=当帰・芍薬・川芎
【主治】 五積散の主治として
☆《和剤局方》に、 「中ヲ調へ、気ヲ順ラシ、風冷を除キ、痰飲ヲ化ス。脾胃宿冷、腹脇脹痛、胸隔停痰嘔逆悪心、或ハ外風寒ニ感ジ、内生冷ニ傷ラレ、心腹痞悶、頭目昏痛、肩背拘急、肢体怠惰、寒熱往来、飲食進マザルヲ治ス。及ビ婦人血気調ハズ、心腹撮痛、経候均カラズ、或ハ、閉ジテ通セズ、並ビニ宜シク之ヲ服スベシ。如(も)シ寒熱調ハズ、嗽喘満ニハ棗ヲ入レテ煎服ス、婦人ノ難産ニハ醋1合ヲ入レテ、同ク煎ジテ之ヲ服ス」と述べている。
☆《医方口訣集》には、 「寒湿ニ中ル者之ヲ主ル」とある。 【目標】 ☆《勿誤薬室方函口訣》には、 「此方ハ軒岐救正論ニ気血飲食痰ヲ五積ト云ヘルコトアリ、即チ此意ニテ名ズクト見ユ。故ニ風寒ヲ駆散シ発表スルノ外ニ内ヲ温メ和スルノ意アレバ、風寒室ノ気ニ感ジ、炎症モアリ、内ニハ従来ノ疝積アリテ臍腹疼痛スル者、尤モ效アリ。先哲此方ヲ用ヒル目的ハ、腰冷痛、腰腹攣急、上熱下冷、小腹痛ノ4症ナリ。」
小腹=臍下部 少腹=側腹部 ☆《牛山方考》には 「此方ハ寒湿ニ中リタルヲ治スル剤也。身痛、腰痛、腹痛、項背拘急シ、悪寒、嘔吐、外ハ風寒ニ感ジ、内ハ生冷ニ傷ラレ、或ハ寒湿ノ邪気経絡ニ客シテ痛ヲナシ、或ハ婦人経血調ハズ、或ハ難産並ビニ之ヲ治ス」とある。
☆《当壮庵家方口解》には 「寒邪ニ感ジタルト云フガ主ナリ。春夏秋共ニ寒湿令湿アル程ニ温散シタルト思フ時用ヒテヨシ、春夏秋ハ麻黄ヲ羗活ニ代ヘテヨシ。中寒オ主方ナレドモ是ハ瀉薬ノ方也。中寒多クハ心下空虚、元陽虚スル故ニ理中湯ニ肉桂、木香ナド、或ハ附子ナド加ヘルコトアリ。心下欝滞有リテ、寒邪表ニアラバ、五積散ヲ用ヒテ温散シテ汗出レバヨシ」とある。
#五積散[1-4]《和剤局方》《古今方彙》「当帰・川芎・白芍薬・蒼朮・厚朴・陳皮・茯苓・半夏・白芷・枳殻・桔梗各1銭、乾姜・官桂各5分、麻黄8分、甘草2分、生姜、大棗」水煎。 一方に茯苓なし。◎中寒及び感冒、寒邪、頭疼身痛、項背強急、悪寒嘔吐腹痛するを治す。◎内は生冷に傷つき、胸腹腸満し、外は風寒に感じ、湿気経絡に客し、腰脚酸疼するを問わず、及び婦人難産、経調わず、或いは血滞通ぜざるを並びに治す。◎陰経傷寒にて脾胃和せず、及び寒邪に感じるを治す。◎寒湿が経絡に客し、腰脚は酸み麻木する者。◎虚弱の人が瘧を患い、初めに起きて寒を感じる者を治す。◎風湿に感じ、手膊が或いは痛み、或いは麻木し或いは遍身麻木する者を治す。◎外は寒邪に中たり、内は冷物に気づつき、肚腹綿々として痛み已まず、而して手足厥冷する者を治す。◎臂痛にて寒による者を治す。◎疝気が寒月に発する者を治す。多くこれ寒邪が膀胱に入るなり。◎風湿流注して両脚酸疼するを治す。:「独活檳榔子烏薬木香」◎足浮腫するには:「五加皮大腹皮」◎已に風痺となるには:「羗活独活防風」◎腰痛には:「牛膝杜仲小茴香」◎手足攣拳するには:「檳榔子木瓜牛膝」◎咳嗽には:「桑白皮杏仁」◎遍身疼痛するには:「乳香没薬細辛」◎難産には:「麝香肉桂」◎帯下にて虚寒に属する者を治す:「香附子小茴香呉茱萸」
#五積散[1-5]《漢方治療の実際》「朮3、陳皮・茯苓・半夏・当帰各2、厚朴・芍薬・川芎・白芷・枳実・桔梗・乾姜・桂枝・麻黄・大棗・生姜・甘草各1」
#五積散[1-6]《和剤局方》《龍野ー漢方処方集》「当帰・川芎・芍薬・白朮・陳皮・茯苓・半夏・白芷・枳殻・桔梗各3.0g、乾姜・桂枝各1.5g、麻黄2.5g、甘草1.0g、大棗2.0g」◎目標:先哲《津田玄仙》、此方を用いる目的は、以下の4症なり。《勿誤薬室方函口訣》
正面の目標。腰 冷痛:(冷えるというところに眼をつける)腰腹攣急:(腰から股にかけて筋がはる)上熱下冷:(足冷を重くみる)小腹痛◎悪寒or発熱、頭痛、身痛、項強拘急、嘔吐腹痛or無熱胸上腹膨満感or腰脚痛or
月経不順
★五積散(顔面貧血性、上半身熱感、下半身冷感、腰・下腹部の冷痛・攣急、頭痛身痛)
★適応症及び病名(五積散)[1]足が冷たい: ☆足の浮腫「五加皮・大腹皮各4.0g」。
[2]胃ケイレン
[3]胃腸炎: ☆寒冷堅硬の飲食によって発した急性胃炎《矢数道明》
[4]陰嚢寒疝
[5]運動障害
[7]悪心
[8]咳嗽:「桑白皮・杏仁各3.0g」。
[9]かぜ:☆陰経傷寒にて脾胃和せず、及び寒邪に感ずるを治す。☆虚弱者の感冒☆老人のかぜ。
[10]顔色悪い(貧血性)
[11]肩関節周囲炎
[12]脚気
[13]下半身冷感
[14]下腹部の冷痛(攣急)
[15]関節炎
[16]関節痛☆風湿流注して両脚酸疼するを治す。:「独活檳榔子烏薬木香」
[17]関節リウマチ☆遍身疼痛するには:「乳香没薬細辛」
[18]寒痢:☆脾胃宿冷あり、腹内切痛、或いは外風寒に感じ、内生冷に傷つき、黄 白色を泄瀉して止まず、或いは肝経寒を受け、面色青惨、厥して泄痢するを治す:「-麻黄」=和気飲《続易簡後集》[19]脚部の腫痛
[20]胸膈部の疼痛(瘀血による)
[21]ギックリ腰
[22]脇腹の痛み(持続的で鈍痛)
[23]恐怖心
[24]筋肉痛☆全身疼痛:「乳香・没薬各1.0g、細辛2.0g」。
[25]くしゃみ
[26]ケイレン:☆手足のケイレン「檳榔子・牛膝・木瓜各3.0g」。
[27]月経異常☆月経痛☆月経の前後に悪寒・発熱☆月経不順
[28]血行障害
[29]下痢(寒痢)
[30]更年期障害
[31]催生剤:☆酢を加える《矢数道明》☆予定日より早く産ませたい時用いる《矢数道明》☆死胎を下す:「-麻黄、附子、肉桂倍加」《矢数道明》
[32]さむけ(寒気)がする
[33]座骨神経痛
[34]産後の感冒による発熱
[35]産後の消化不良
[36]産後の食欲不振
[37]ジフテリア(脾風): ☆3歳児。飲食気宇変ぜざるにより捨て置きしが、昨宵より咳嗽劇発、声瘂、心胸苦悶、喘鳴迫塞、大熱自汗、但坐して臥することを得ず、二便不利なりと云う。乃ちその背を下させむるに立つことを得ず、直ちに横倒し将に昏冒せんとす。眼晴朦朧面色蒼白、鼻上自汗出、その脈弦数にして結止。舌上白苔表に微熱あり、四肢温にして冷ならず、虚里の動亢盛、息する毎に鳩尾休止あることなし。余以て脾風の候となし、直ちに五積散棗を作りて之に2貼を授け、明旦までに服せしむ。次早使者至り頗る快し、願はくは前方を賜らんと云う。仍ち3貼を与ふ。4日に来て診を乞う。因って前日の景況を尋ねるの、初日の夜2貼を服さしめ、明旦に至りて諸症去り、二便快利頗る食を欲し、続いて服してますます快く、今や苦しむ所なく、ただ微嗽するのみと云う。乃ち前方5貼を与えて遂に全治の報を得たり《山田業精》
[38]しぶり腹
[39]消化不良
[40]上腹部振水音
[41]小児麻痺
[42]神経痛
[43]心臓弁膜症:
☆心臓病で心下に痰飲食痞塞し、動悸、息切れなどして、苦しむ者《矢数道明》
[44]疝気:☆腰痛、神経痛。所謂疝気で、足の冷えとのぼせを訴える者《矢数道明》
[45]嘈雑
[46]帯下☆帯下にて虚寒に属する者を治す:「香附子小茴香呉茱萸」☆冷え込みによる水様の白帯下に、足冷、腰痛等を目標として用いる《矢数道明》
☆処女、女学生当の冷えによる帯下にはこの症が多い《矢数道明》
[47]打撲(冷えがあるもの)
[48]胆石
[49]血の道:《矢数道明》
[50]腸ケイレン(腸疝痛)
[51]手足の厥冷
[52]軟便
[53]難産(難産癖)☆難産の者には煎じて後、酢を盃に1杯加えて用いる《矢数道明》☆出産予定日を過ぎて生まれない者《矢数道明》☆陣痛微弱で分娩の長引く者に頓服《大塚敬節》☆破水後、頓服させる。《大塚敬節》
[54]熱感(上半身熱感)
[55]冷え症:☆冷え症の婦人に《矢数道明》☆目標:腰冷痛・腰股攣急・上熱下冷・小腹痛《津田玄仙》
[56]冷えのぼせ:☆上熱下冷の症状の1つ。
[57]脾泄(ひせつ)
[58]不安感(何事にも)
[59]腹部軟弱
[60]腹痛: ☆(風寒湿による疼痛---温めると軽くなる)(臍を中心に疼痛)
[61]閉経:☆冷えにより、血が凝滞して順らない《矢数道明》
[62]変形性膝関節炎
[63]麻痺:☆発熱を伴う麻痺「羗活・独活各3.0g、防風4.0g」。
[64]慢性胃腸炎:☆胃酸過多症、胃内停水があり、呑酸、雑、嘔吐、胸中、心下不快、下痢等もあって手足の冷える者《矢数道明》[65]慢性関節リウマチ
[66]慢性頭痛
[67]無月経
[68]腰痛症:<攣急><冷痛>☆顔色が貧血ぎみで、上半身に熱感があって下半身が冷え、下腹部~腰~足にかけて冷えて痛む者。「牛膝・杜仲各3.0g、小茴香2.0g」。
☆慢性胃炎・胃酸過多症・胃潰瘍・坐骨神経痛・関節リウマチ・婦人科疾患などで腰痛する者。 ☆上半身がほてり、下半身が冷えると訴えるものによい。中年以降の女性に適応が多い。(漢方診療医典)
[69]冷感(下半身寒冷)
[70]冷心痛
[71]冷房病
[72]老人の感冒
[73]脈 <沈> #五神湯[1]《洞天奥旨》「金銀花、牛膝、茯苓、車前子、紫花地丁」
五神湯[2]《東醫寶鑑》 「生藕汁・紫蘇汁・生地黄汁・白蜜各1杯、生姜汁半杯を入れて煎じ、半杯程度になったら、白麺(炒)を1銭づつ入れて服用。
◎婦人の吐血。
五仁丸[1]《世医得効方》 「桃仁 杏仁 柏子仁 松子仁 郁李仁 陳皮」 ◎気血が衰弱して生じた津液の枯渇と便秘。
#五仁丸[2]《東醫寶鑑》 =「滋腸五仁丸」 「橘紅4両、桃仁・杏仁各1両、柏子仁5銭、郁李仁(炒)2銭、松子仁1銭2分半」を作末し、蜜で梧子大の丸剤。空腹時に50~70丸服用。
◎津液の枯れと、便秘を治す。婦人の産後便秘。 #五仁湯《中薬臨床応用》郁李仁9g(打砕)、麻子仁12g(研末)、括楼仁9g(打砕)、甜杏仁9g、柏子仁9g」水煎服。◎習慣性便秘。
#五仁橘皮湯《通俗傷寒論》 「甜杏仁12g細末にする。松子仁12g、 橘皮6g蜜であぶる。郁李仁18g 桃仁8g(搗く)・柏子仁8g(搗く)」煎服
#五仁潤腸丸《山西省中薬成方》「郁李仁、火麻仁、柏子仁、松子仁、桃仁、生地黄、陳皮、肉蓉、当帰、大黄(熟)」 #五精丸《東醫寶鑑》「秋石・鹿角霜・白茯苓・陽起石・山薬」各等分。作末して酒糊で梧子大の丸剤。毎回50丸を服用。
◎腎虚の陰痿に。
#五仙丸《東醫寶鑑》 「大黄4両、皀角・雷丸・苦練根各1両、木香2銭を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。茶清で30~40丸服用。」◎虫を治す特効薬。
五仙膏《東醫寶鑑》「大黄・角・生姜・生葱・大蒜各半斤」よく搗いて水煎し汁を取って滓去り、また煎じて絹布に広げ、先に針で患部を刺してから貼る。◎一切の痞塊・積聚・癖疫を治す。
五退散[1]《東醫寶鑑》「穿山甲(炒)・川烏(炮)・甘草(炙)各5銭、蝉退・蚕退・蛇退(錯煮)・猪蹄退(炒)・荊芥穂各2銭半」を作末し、毎回2銭を塩湯で、食後服用。
◎脾が風毒を受け、まつ毛が乾き、刺すように痛む者。
#五退散[2]《眼科龍木論》《東醫寶鑑》「蝉皮・蛇退・蚕退・烏卵殻・男子髪」各等分に焼いて作末し、猪肝を煎じた湯で1銭調服する。◎内障を治す。
五胆膏《東醫寶鑑》 「青羊胆1枚、黄牛胆汁1合、熊胆2銭半、鯉魚胆7銭半、烏胆5枚、牛黄5銭」を作末し、先に諸胆をまぜた後、牛黄末とともに入れてまぜ、銀石器で弱火で煮て膏をつくって、食後温酒で半銭を服用し、薬を目に少したらす。
◎目がかすみ、内障になろうとする者。◎眼昏・黒花・内障を治す。
五疸一方[1]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・白芍薬(炒)・神麹・麦芽・山子・白茯苓・石膏各1銭、厚朴7分、?香5分、蒼朮7分、白朮1銭半、甘草3分」水煎し熟して砂糖(少許)入れる。
◎黄病にて生米を愛吃する者を治す。
#五疸一方[2]《寿世保元》《古今方彙》 「四苓湯四物湯川?茵?・麦門冬・滑石・甘草」◎女労疸(黄疸と腹水があって額上は黒く手足心は煩熱し、微しく汗する等の悪液質の症候を伴うもの。肝臓癌・肝硬変・胆嚢癌・膵臓ガンに相当する)を治す極めて効あり。
五通膏《東醫寶鑑》「生地黄・生姜・葱白・蘿葡子・田螺肉」搗いて臍の上に貼る。◎臍風。 五藤飲《中薬臨床応用》「寛筋藤15g、絡石藤15g、鶏血藤15g、忍冬藤15g、海風藤15g」水煎服。
◎風湿による痺痛◎関節リウマチ◎腰腿部痛 五灰散[1-1]《東醫寶鑑》「蓮蓬殻・黄絹・乱髪霜・百草霜・棕櫚皮」を焼いて「梔子(炒黒)・松煙墨・血竭」を加え細末にし3銭づつ生藕汁or蘿葡汁で服用。又は蜜で梧子大の丸剤。米飲で50丸服用。◎一切の失血と血崩を治す。
五灰散[1-2]《沈氏尊生湯》「蒲黄、血竭、山梔子、血余、蓮蓬殻、黄絹、棕皮、百草霜、京墨」 五灰散[2](一名五痔散)《東醫寶鑑》「猪の左蹄甲・鼈甲・皮・露蜂房・蛇退」を焼いて作末し、まぜて毎回2銭に麝香少しを入れて、空腹時に服用。
◎五痔と諸痔を治す。 五倍子散《中薬臨床応用》「五倍子」適量を蜂蜜で深黄色になるまで炙って細末にし、醋で練って軟膏にし、患部に塗布する。1日1回交換、膿が出なくなるのを限度とする。◎背部膿瘍
五倍子煎湯熏洗方《仁斎直指方》 「五倍子煎湯」 #五倍子湯《中薬臨床応用》「五倍子5g、瓦楞子(煆)12g、白6g、訶子(煆)6g、鶏骨香12g、鶏内金15g、両面針9g」水煎服。◎胃十二指腸潰瘍
五皮飲[1]《澹寮方》 「大腹皮・茯苓皮・陳皮・桑白皮・生姜皮」各1銭半、水煎服。 ◎水病で腫満し、上気喘息し、あるいは腰から下が腫れる。◎他の病より変じて水腫になり浮虚した者を治す。
五皮飲[2-1]《和剤局方》《古今方彙》「五加皮・地骨皮・生姜皮・大腹皮・茯苓各1銭」水煎。◎小児が四肢腫満し、陽水、陰水を治す。◎「姜黄・木瓜」を加えれば尤も可なり。◎一方に、「五加皮地骨皮陳皮桑白皮」
五皮飲[2-2]《小児薬証直訣》「五加皮、陳橘皮、茯苓皮、生姜皮、大腹皮」 五皮散[1-1]《東醫寶鑑》 「大腹皮・茯苓皮・陳皮・桑白皮・生姜皮」各1銭半、水煎服。◎他の病より変じて水腫になり浮虚した者を治す。
五皮散[1-2]《中蔵経》《中薬臨床応用》「茯苓皮15g、大腹皮9g、桑白皮9g、生姜皮6g、陳皮6g」水煎服。◎病後・衰弱で生じた顔面・四肢の浮腫。
五痺湯《医学入門》《東醫寶鑑》「?活・白朮・姜黄・防已各2銭、甘草1銭、生姜7片」水煎服。 ◎風・寒・湿気が肌体に客居して手足が緩弱し、麻痺する症。◎一方に、柴胡あり。《古今方彙》
五百明洗剤《中薬臨床応用》「五月艾15g、百部15g、毛麝香15g、明礬15g」煎液で洗う。◎皮膚湿疹◎皮膚炎 五物解毒湯《漢方治療の実際》「川?5、金銀花2、大黄1、荊芥1.5、菜3」
◎効能効果 麻疹 症状がほぼ治った後、全身に痒を訴え、小発疹を繰り返すことがある。このような時に用いる。麻疹後の調理の剤。 麻疹はかなり重症名疾患であるので、治療後も、盗汗、食欲不振、全身倦怠感、微熱が続くことがある。(漢方診療医典)
五物大黄湯[1-1]《吉益東洞》 「大黄・桂枝・地黄・川?・甘草各6分」 五物大黄湯[1-2]《吉益東洞》《龍野ー漢方処方集》「大黄2.0g、甘草・桂枝・川?各3.0g、乾地黄6.0g」内服or煎剤。
五物大黄湯[1-3]《吉益東洞》《漢方治療の実際》「大黄1、桂枝4.5、地黄6、川?5、甘草1.5」◎指腫れて腐爛し、熱痛する者を治す。いわゆるヒョウソ。◎或いは痔、脱肛者、此湯を用いて之を洗って効あり。◎此方《吉益東洞》の経験にて疽代指に効あり。或いは蒸薬として痔、脱肛を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎この方は《吉益東洞》の愛用したもので、“指が腫れて熱痛するものを治す。謂うところの疽の指痛である。また痔、脱肛の者は、この湯で洗って効がある”という。《大塚敬節》
★適応症及び病名 (五物大黄湯)痔脱肛疽:☆18歳某家のお手伝いさん。数日前から右指示の先端が腫れて痛み、昨夜は眠れないほど痛んだという。診ると、第2関節の部分が腫れて、化膿している。手術をすると後が長引くので、切らないで治してほしいという。
そこで五物大黄湯を与え、これを2日分飲んでも良くならないようなら外科で手術をしてもらいなさいといって帰した。患部には青木の葉で作った軟膏を塗っておいた。
患者はこれを2回飲むと、夕方になって、腹が痛くなって便所に行った。便所ではどっと下った。便所から出て、手を洗うと、不備に巻いておいた包帯が緩んでいる。そこで包帯をといてみると、指の腫れがすっかり無くなっていたという。これは非常に都合良く治った例で、いつでもこんなに簡単に治る訳ではない《大塚敬節》
☆48歳女性。左側の拇指に激痛あり、疽と診断されて来院した。病症。拇指の先端に炎症性の発赤した小部分がある。表在性のものである。疼痛は動悸性で睡眠は少しも出来ないという。発熱37.5℃、顔色は焦心の色である。触知するに熱感があって拍動を感じる。投薬をするに当たって、先ず服薬中、4、5日間に疼痛に堪え得るや否やを聞き、もし堪えられない時には外科手術を行うことを約して次の処を調剤した。
内服薬は五物大黄湯、その他蒸剤として同方。この蒸剤の使用如何によっては、疽には必ずしも手術をしなくとも治するものであることは、度々の経験にて自信を得たので、特に記載する。
この蒸剤は内服薬と同方であるが、それよりも更に大剤とする必要がある。この蒸剤を布の袋に入れ、水約2勺を沸騰後10分間煮沸し、この熱い薬袋(ヤケドを起こさない程度の熱さ)を以て患部を包むようにして温罨法するのであるが、それから後は患部を温かいこの薬液に5~6分間浸すのである。1日3回位を以て適度とする。こうして内外両面から治療する時には、3、4日後には疼痛も薄らぎ、炎症部は限局して化膿し、1週間後には膿が表皮下に集まるから、小刀にて表皮を破れば排膿して全快するのである。《高橋道史》
五物湯《東醫寶鑑》「黄蓍・桂枝・白芍各3銭、生姜7片、大棗3枚」水煎服。1日3回服用。別方には人参を入れる。 ◎血痺を治す。
五補丸《東醫寶鑑》「地骨皮・白茯苓・牛膝・熟地黄・人参各1両」作末して蜜で梧子大の丸剤。温酒or塩湯で50~70丸飲む。◎諸虚と百損を補うとき。
五福花毒丹《東醫寶鑑》玄参1両、桔梗8銭、人参・赤茯苓・馬牙硝各5銭、青黛2銭半、甘草1銭、麝香5分、金箔・銀箔各8銭」作末し蜜で混ぜ、毎両を12丸に作り、金銀箔で衣をし、毎回1丸を1歳児には薄荷湯で溶かして、4回に分服。◎熱疳で瘡が多くでる者を治す。◎痘瘡の余毒によって口歯からつばや血の臭気が匂い、夜見えない者を治す。
五味安胎丸《東醫寶鑑》「当帰・川芎・黄芩・白芍薬各1両、白朮5銭」作末して、酒糊で梧子大の丸剤。茶湯で50~70丸飲む。◎流産しやすい婦人が飲む。
五味異功散《小児薬証直訣》《古今方彙》 「四君子湯陳皮」◎脾胃虚弱、吐瀉して食せず、凡て虚寒の症を治す。 五味五苓散《万病回春》《古今方彙》「猪苓・沢瀉・白朮・赤茯苓・肉桂・当帰・枳殻・牛膝・木通各等分、甘草半減、燈心草」水煎空心に服す。
五味子散[1]《普済本事方》「呉茱萸、五味子」 五味子散[2]《東醫寶鑑》 「五味子2両、呉茱萸5銭、を妙香と作末して、毎回2銭、空腹時に米飲で服用。」◎腎泄で毎五更と夜明けに洞泄を1回する(⇒晨泄シンセツ)者。
五味子合剤《中薬臨床応用》「五味子・酸棗仁・山薬各9g、当帰6g、竜眼肉15g」水煎服。◎メニエール病 五味子湯[1]《聖済総録》 「麦門冬湯《金匱要略》半夏、五味子・款冬花・桂枝・桑白皮」◎肺痿小便数を治す。
五味子湯[2](⇒加味生脈散)《類証活人書》《東醫寶鑑》 「五味子3銭、人参・麦門冬・陳皮・杏仁各2銭を?作1貼して、生姜5、大棗2を入れ水煎服。」◎傷寒で喘息し、脈が伏・厥する者。
五味子湯[3]《東醫寶鑑》「五味子・附子(炮)・巴戟・鹿茸・山茱萸・熟地黄・杜仲(炒)各1銭」剉作1貼し「姜7片・塩少々」入れ水煎服。◎浮腫・脹満・濡泄し、足が麻痺・脚下が疼痛する者を治す。
五味子湯[4]《東醫寶鑑》「麻黄2銭、五味子・杏仁・橘紅各1銭半、乾生姜・桂皮・甘草各1銭、紫蘇葉3片」水煎服。◎寒喘を治す。 五味子湯《傷寒活人書》《古今方彙》「五味子(炒)半両、人参・麦門冬・杏仁・陳皮各2銭、生姜」水煎。◎寒に傷れ喘促し、脈伏して厥し、及び肺虚し喘をなし、脈大なる者を治す。
五味消毒飲《医宗金鑑》「金銀花、菊花、蒲公英、紫花地丁、紫背天癸」 五味消毒飲《医宗金鑑》《中薬臨床応用》「紫花地丁15g、蒲公英15g、金銀花15g、野菊花9g、紫背天癸9g」水煎服。姜白酒1匙を加えるほうが効果的。
◎顔面、背部の癤・癰。 五味麦門冬湯《外台秘要方》 五味大黄湯《吉益東洞》 五妙川練丸《東醫寶鑑》「川練肉5両」1両は「斑猫4箇」と炒り、1両は「茴香3銭、塩5分」と炒り、1両は「破故紙3銭」と炒り、1両は「黒丑3銭」と炒り、1両は「蘿葡子1銭」と炒り、同時に入れて炒った薬は捨て、「茴香・破故紙・川練肉」だけを取って作末し、酒糊で梧子大の丸剤。毎回50丸を温酒で調下する。◎諸疝を治す。
五拗湯《東醫寶鑑》「三拗湯荊芥穂・桔梗各1銭」煎服。◎風寒による咳・声重く・喉の痛み。 五利大黄湯《東醫寶鑑》 「大黄()2銭、黄?・升麻・梔子・芒硝各1銭2分」水煎服。 ◎癰疽で、気血が多く大小便が秘渋する者を治す。
五利湯《備急千金要方》 「芒硝1両、升麻・黄?各2両、大黄3両、梔子5両」 ◎癰疽発熱強き者、内疎黄連湯[1]《保命集》の応ぜざる者に宜し。《雑病翼方》 ◎年50已過還、強壮、常に大いに熱を患い、癰疽を発し、低処無く、大小便不 通を治す。
五淋散《和剤局方》《古今方彙》 「赤茯苓6両、赤芍薬・山梔子各10両、甘草(生)・当帰各5両、黄?3両」 水煎空心に服す。
◎肺気不足、膀胱熱あり、水道通ぜず、淋瀝して出でず或いは尿が豆汁の如く、 或いは沙石の如く、或いは冷淋膏の如く、或いは熱淋尿血するを治す。 ◎小児の淋症を治す。
◎一方に、生地黄、沢瀉、木通、滑石、車前子を加える。 五淋散《漢方治療の実際》 「芍薬・梔子各2、茯苓6、当帰・甘草・黄?各3」或いは更に、「地黄・沢 瀉・木通・滑石・車前子各3」を加える。
五淋散《和剤局方》《龍野ー漢方処方集》 「茯苓6.0g、芍薬・山梔子各1.5g、当帰・甘草・黄?各3.0g」 ◎膀胱に熱があり、小便淋瀝、排尿困難、或いは血尿、膿尿、泥膏状の尿を出す 者。 ★適応症及び病名(五十音順)
[1]血尿 [2]残尿感 [3]小便淋瀝 [4]腎盂炎: ☆急性・慢性の腎盂炎。 ☆サルファ剤や抗生物質でどうにもならない者に有効。 ☆排尿後の不快感、残尿感、排尿回数の増加、腰痛がある者で、 胃腸障害がある者。 ☆婦人科手術後に起きる腎盂炎に有効。
[5]腎臓結石 [6]虫垂炎 [7]尿意頻数 [8]尿が濃い(豆汁色、泥膏状) [9]尿道炎 [10]尿路感染症
[11]尿路結石 [12]排尿異常 [13]排尿困難 [14]排尿痛 [15]膀胱炎 ☆排尿後の不快感、残尿感、排尿回数の増加、腰痛がある者で、 胃腸障害がある者。 ☆サルファ剤や抗生物質でどうにもならない者に有効。
[16]膀胱結石 [17]膀胱に熱あり [18]頻尿 [19]力むと尿がもれる [20]淋疾(種々の)
【加減法】 <1>別法に、沢瀉・木通各4.0g、滑石・車前子各2.0g。 <2>淋病で膿が出渋り痛み、尿黄色く脉遅の者・・・黄?。
五淋散《東醫寶鑑》 「赤芍・山梔子各2銭、当帰・赤茯苓各1銭、条黄・甘草各5分」水煎服。 ◎諸淋を治す。 五淋湯《和剤局方》 五淋湯《中薬臨床応用》 「赤茯苓18g、山梔子9g、6g、甘草梢6g、当帰9g、白芍12g」水煎服。 ◎熱淋 ◎血淋
五輪湯《済世全書》《古今方彙》 「人参5分、白朮・茯苓・芍薬(酒)・川?・生地黄・熟地黄(姜)。半夏・天 麻各1銭、当帰1銭2分、黄連(姜)各8分、陳皮7分、防風・独活・?活 各6分、黄柏(酒)4分、天南星(姜)1銭半、甘草3分」水煎し、服するに 臨み、「竹瀝・姜汁」を入れ温服。
◎中風の諸病を治するの総司なり。 【加減方】 <1>左?には・・・・・秦?・桃仁・紅花。 <2>右?には・・・・・黄蓍・木香・烏薬。
<3>左足?、右足?・・牛膝・木瓜・?苡仁。 <4>痰が心竅に迷い、舌強ばり、言う能わざるには・・・・ 遠志・菖蒲・楼仁・麦門冬・枳実。 <5>口眼斜には・・・白?・白?蚕。
<6>痰涎熾盛には・・・楼仁・枳実。 <7>肢体頑麻には・・・烏薬・白?蚕・薄桂。 <8>筋骨疼痛には・・・乳香・没薬・肉桂。 <9>眩暈・頭痛・・・・白?・蔓荊子・藁本。 <10>手足拘攣には・・皀角・木香。
五霊丸《東醫寶鑑》 「五霊脂2両、川烏(炮)1両半、没薬1両、乳香5銭」を作末し水で梧子大 の丸剤。生姜湯に温酒を混ぜて、1丸を砕いて飲む。
◎風冷で気血が閉じ、身体が麻木・疼痛する者。 五霊指散[1]《東醫寶鑑》 「五霊脂・荊芥穂・防風・?活・独活・穿山甲・骨砕補・草烏(製)・甘草節 各5銭、麝香半銭」を作末し、毎回2銭を就寝時に温酒で調服する。」 ◎風・寒・湿による気血の壅滞と、臂胛の疼痛に。
五霊脂散[2]《東醫寶鑑》 「五霊脂末1銭」温酒で飲む。 ◎血崩に。五霊脂散→「五積散荊芥・防風」→「五霊脂散」と服用。
五苓散[1-1]《傷寒論》「猪苓(去皮)18銖、沢瀉1両6銖、白朮18銖、茯苓18銖、桂枝(去皮)半両」右五味、搗為散、以白飲和服方寸匕、日三服。多飲煖水、汗出愈、如法將息。◎太陽病、発汗後、大汗出、胃中乾、煩躁不得眠、欲得飲水者、少々與飲之、令胃氣和則愈。若脉浮、小便不利、微熱、消渇者、五苓散主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六・41。◎病在陽、應以汗解之、反以冷水潠之。若灌之、其熱被劫不得去、彌更益煩、肉上栗起。意欲飲水、反不渇、服文蛤散。若不差者、與五苓散。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七・141。 ◎本以下之、故心下痞・與瀉心湯、痞不解。其人渇而口燥煩。小便不利者、五苓散主之。◎太陽病、寸緩、關浮、尺弱、其人発熱汗出、復悪寒、不嘔、但心下痞者、此以医下之也。如其不下者、病人不悪寒而渇者、此転属陽明也。小便数者、大便必鞕、不更衣10日、無所苦也。渇欲飲水、少々與之、但以法救之。渇者、宜五苓散。
《傷寒論》辨陽明病脉證并治第八。◎霍乱、頭痛、発熱、身疼痛、熱多欲飲水者、五苓散主之。寒多不用水者、理中丸主之。 《傷寒論》辨霍乱病脉證并治第十三。◎脉浮、小便不利、微熱、消渇者、與五苓散、利小便発汗。 《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。◎本以下之、故心下痞。與瀉心湯、痞不解。其人渇而口燥煩、小便不利者、属五苓散。 《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。
五苓散[1-2]《金匱要略》「沢瀉1両1分、猪苓(去皮)3分、茯苓3分、白朮3分、桂(去皮)2分」右五味、為末、白飲服方寸匕、日三服、多飲煖水、汗出愈。◎假令痩人、臍下有悸、吐涎沫而癲眩、此水也。五苓散主之。 《金匱要略》痰飲嗽病脉證并治第十二。◎脉浮小便不利、微熱消渇者、宜利小便、発汗、五苓散主之。渇欲飲水、水入則吐者、名曰水逆、五苓散主之。 《金匱要略》消渇小便利淋病脉證并治第十三。
五苓散[1-3]《傷寒論》《東醫寶鑑》「沢瀉2銭半、赤茯苓・白朮・猪苓各1銭半、肉桂5分」を作末し、毎回2銭を白湯で調下、又は剉作1貼して水煎服。
◎太陽病が中に入って、煩渇・小便不利する者。 ◎腎気が内虚して邪熱が腎経に流れ込み、脈が多く、大小便が渋く赤く濁り、疼痛の時は「瞿麦燈心煎湯」に五苓散を調合して服用する。
五苓散[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「沢瀉5、猪苓・茯苓・朮各3、桂枝2」以上煎剤の1日量。粉末として用いる場合は、以上の比率で作末し、混和して、1回1、1日3回、重湯で飲む。◎消渇、小便不利、或いは渇して水を飲まんと欲し、水入れば則ち吐く者を治す《吉益東洞》
五苓散[1-5]《傷寒論》「沢瀉5両半、猪苓・茯苓・朮各4両、桂枝2両」《琴山》《傷寒論識》◎此方は傷寒、渇而小便不利が正面なれども、水逆の嘔吐にも用い、又畜水の癲眩にも用い、その用広し。《勿誤薬室方函口訣》「癲眩」=頭眩の甚だしいもの《雑病論識》◎後世にては、煎剤に加味して水気に活用す。◎此方は末にして与えるべし、煎剤にては一等下るなり。胃苓湯や柴苓湯を用いるはこの例にあらず。《勿誤薬室方函口訣》◎口渇、尿利減少、或いは嘔吐、或いは下痢、或いは浮腫、或いは発熱頭痛等の発熱症状を伴う。《龍野ー漢方処方集》
【腹証】《腹診配剤録》“心下に物有るが如くして、之を按ずれば力無く、即ち散ず。又、腹中に悸有り”
【加減】 *「五苓散+六一散+琥珀」= 茯苓琥珀散《宝鑑》 (六一散)=滑石+甘草=排尿痛・排尿困難・湿熱*「五苓散-桂枝」=四苓散(煩渇思飲を治す)*「五苓散+茵蔯」=茵蔯五苓散*「五苓散+辰砂」=辰砂五苓散*「五苓散-肉桂+甘草滑石梔子燈心草」=陶氏五苓散
★適応症及び病名(五苓散) [1]胃アトニー[2]胃カタル:☆急性胃腸「カタール」等にして、発熱、尿量減少、煩渇ありて、裏急後重なく、其の下痢水瀉様なる証。《奥田謙蔵》*
【EBM】ウイルス胃腸炎に対する五苓散の注腸療法の効果 (結果) 全体の有効率は84.5%であった。 男児の有効率は87.8% 女児の有効率は81.4%
年齢間に有効率の差は認めなかった。 30分以内に効果発現が見られたのは有効例の85.0%で、特に低年齢ほど即効性が認められた。[3]胃液分泌過多症
☆胃酸分泌過多[4]胃潰瘍[5]胃拡張[6]胃下垂[7]胃内停水[8]息切れ[9]遺精[10]陰核腫大[11]陰吹:☆(女性の陰道より声響を帯た気を排出する)を治す。《雑病翼方》[12]陰嚢水腫:☆小児の陰嚢水腫、或いは故なくして陰茎包皮に腫脹を発する等の者。《奥田謙蔵》☆小児、陰頭水腫、及び陰嚢赤種して小便短渋なる者を治す。奇効有り。《類聚方広義》[13]陰嚢が肥大:☆陰嚢赤腫脹痛を治す「+車前子+薏苡仁」《心書》☆陰嚢赤腫脹痛を治す「+黒丑+呉茱萸」《急救仙方》[14]陰嚢ヘルニア[15]黄疸:
☆(陰黄)☆酒疸を治す:「大黄」《古今方彙》☆眼黄、酒疸及び五疸には:「茵蔯木通滑石」《古今方彙》[16]悪心 【EBM】SSRIによる嘔気に対する五苓散の効果
(薬物投与) 五苓散エキス(7.5g/日)を投与 (結果) 五苓散投与後、嘔気や消化不良が消失した患者は9例。 減少した患者は4例。 わずかに減少した患者が2例で。
変化の無かった患者は5例であった。 改善した患者はいずれも1日以内に症状の改善を認めた。[17]悪阻[18]嘔吐: *【EBM】急性胃腸炎に伴う嘔吐に対する五苓散注腸の効果
(評価方法) 注腸により嘔吐が止まったものを有効、 嘔吐は続いたが軽快したものをやや有効 嘔吐が続き脱水症状を認め点滴を必要としたものを無効とした。
(結果) 来院までの症状は、 嘔吐のみが72例(34.1%) 発熱を認めたものは87例(41.2%) 腹痛を伴うものは68例(32.2%) 咳・鼻汁などの気道炎症状を伴うもの25例(11.8%)だった。
五苓散注腸の嘔吐に対する全体の有効率は82.9%であった。 *【EBM】ウイルス胃腸炎に伴う嘔吐に対する五苓散および柴苓湯注腸 (付記) 症を考慮せず、嘔吐のみを目標に五苓散と柴苓湯の注腸投与を行ったが、両方剤ともに良好な治療成績を得ることができた。また、その効果にも両方剤で差がなかった。
☆飲んでからすぐに飲んだ量以上を吐く(=水逆)。乳幼児に多くみられる。水逆の嘔吐では、口渇が激しく水を欲しがる。しばらくすると、呑んだ水よりも多いと思うほどの多量の水を一時にどっと吐く、盆を傾けるようである。するとまた水を欲しがる。するとまた吐く。これを繰り返し、煩躁が甚だしい。尿量が減少し、熱がある場合でも、決して発汗しない。《大塚敬節》
☆水逆の嘔吐に用いるときは、煎じて呑すよりも、粉末にして重湯で呑ますのが良い。積山遺言にも、ある病人が食物は吐かずに水ばかり吐く者に、五苓散を煎じて呑ませたところ、反ってひどく吐くようになり、五苓散の粉末を与えたところ、たちまち良くなった例が出ている《大塚敬節》☆飲んでから半日以上たって吐く(=胃反)は→「茯苓沢瀉湯」。☆熱候あり、其の脈浮数、大渇し、嘔吐累日にして飲食するを得ざる証。《奥田謙蔵》☆頭痛、発熱し、胸腹微痛し、汗出でて乾嘔し、食物入れば直ちに吐し、脈洪数なる証。《奥田謙蔵》☆水逆嘔吐を治す:生料五苓散を熱煎し、滓を去り、生姜自然汁を入れ、細々之を服して効あり。《経験良法》☆「-桂枝+半夏生姜」《古今方彙》
☆3歳の男児。朝から元気なく、昼食も食べずにうつらうつら眠っていた。時々フトンから転がり出して、手足をバタバタさせている。煩躁である。体温を測ると38.8℃ある。そこで、食欲のないのと、発熱と、煩躁を目標にして小柴胡湯を与えた。すると間もなく、これを吐き、水を欲しがる。やがてまた吐く。吐くとしきりに水を飲む。尿の方は午前中に1回出たきりだという。そこで五苓散を与えたところ、1服で嘔吐は止み、30分ほどたつと発汗があり、煩躁が止み、1時間あまりで排尿があった。翌朝は体温も37.5℃となり、食欲も出たが、引き続き五苓散を与え、3日間で全快した。《大塚敬節》
☆6歳の女児。感冒の後、嘔吐が止まず、薬を呑んでも、水を飲んでも吐き、こんな日が4日間も続き、ついに某病院に入院した。ここでも嘔吐は止まず、栄養剤の注入と注射で、わずかに栄養を補給しているという。私は患家の切望で往診した。脈を診ると沈小で、舌には白苔があって乾燥し、腹部はやや膨満し、臍上で動悸が亢進し、しきりに水を欲しがる。看護婦はこれを拒んで与えようとしない。呑めばすぐに吐くからである。尿は前日の午後から1回もない。
私は自宅から用意してきた五苓散の粉末を水とともに呑ませた。母親と看護婦は今にも吐くだろうと不安顔である。患児は何となく落ち着いた様子であったが、とうとう吐かなかった。そしてそれきり、口渇も嘔吐も止み数日で退院した。《大塚敬節》☆ある患者が嘔吐を訴え、水も薬も納まらない。医者は、これを水逆の症と診断して五苓散を与えたが効がない。そこで玄仙に治を乞うた。玄仙がこれを診てみると水分の動(臍上の悸)がひどく亢進していた。そこで、これは先ず動悸を鎮めて後に、嘔吐を止めるのが順序であると考え、先ず四君子湯生姜(炒)・呉茱萸を与えたところ、吐を治せずして吐は止 んだ《津田玄仙》
☆5才男児。疫痢様の病気の後、高熱がさめて安心していたところ、もだえ苦しみ始め、フトンをけり、口の渇きを訴えて、水を与えるとたちまち吐き出す。水を1口飲むと2口も3口もの水が飛び出すありさまであった。小便はほとんど出ず、脈は浮数(脈拍の数がふえ、軽く触れるとよく分かるが、強く押すと消えそうな状態)で、大にして無力な状態。そこで、五苓散2gを重湯に溶かして与えたところ、1服で嘔吐が止み、
小便がよく出て、食欲も起こり、たちまち回復した《矢数道明》[19]霍乱:☆霍乱、吐下の後、厥冷、煩躁し、渇飲止まずして、水、薬共に吐する者有り、厳に湯水を禁じ、水を欲する毎に五苓散を与える。但だ1貼を2、3次に服するを佳と為す。3貼を過ぎずして嘔吐、煩渇必ず止む。吐瀉共に止めば、則ち必ず厥復して熱発し、身体惰痛す。なお五苓散を用いるときは、則ちとして汗出で諸症脱然として癒える。これ五苓散、小半夏湯の別也。《類聚方広義》☆吐瀉、腹痛し、精神恍惚、四肢倦怠し、煩渇を発し、脈数なる証。《奥田謙蔵》☆吐瀉の後、発熱し、尿利無く、心下部痞塞し、発汗淋漓(り)たる証。《奥田謙蔵》☆霍乱転筋には:「+藿香木瓜」《古今方彙》[20]体がだるい・重い:☆心熱には:「+黄連蓮肉」《古今方彙》[21]角膜潰瘍[22]下肢の浮腫[23]仮性コレラ[24]感冒性吐瀉症[25]寒冷ジンマシン[26]気の上衝<+>[27]急性胃腸炎
☆乳幼児の急性腸炎に用いる場合が多い。口渇を訴えて、水や茶をよくのむのに、尿の出が少なく、水瀉様に下痢するものを目標とする。 腹痛や嘔吐を伴う者にもちいてよい(漢方診療医典)
[28]急性膀胱炎 [29]虚弱児の体質改善 ☆ストルフルスによく効くので、滲出性体質のものに用いる機会がある(漢方診療医典)[30]クインケ浮腫(血管神経浮腫)
☆クインケ浮腫は、発作性に、皮膚または粘膜の一部に限局して浮腫が現れ、その浮腫が移動して出没し、このような状態が慢性に経過する。この浮腫は圧によって凹むことがなく、多くは顔面または、四肢の関節に近い部分に現れる。多年、この病気に悩んでいた未婚の婦人は、五苓散によって全治し、2カ年間再発しない。(漢方診療医典)
☆76歳の婦人は、若いころよりこの病気があり、発症すると、頭痛を起こしたり、腹痛を起こしたりしていたが、五苓散の服用によって全治し、その後、再発していない。口渇と尿利の減少は、はっきり現れていなかった。(漢方診療医典)[31]口の渇き(口渇):☆お茶をよく飲む人に。☆ミネラルウォーターやジュースを毎日飲む人に。☆食事の時以外でも、ちょくちょく缶コーヒーやウーロン茶を飲む人に。☆口乾水には:「乾葛烏梅」《古今方彙》
☆尿利減少を伴う口渇に用いる《大塚敬節》[32]車酔い [33]頚椎症 【EBM】頚椎症の愁訴に対する五苓散の効果 (薬物投与) 五苓散エキス(7.5g/日)投与期間は2週間
(Evidence) 1件の症例集積研究において、頚椎症の愁訴に対して神経ブロック併用群に関しては有効率65.2%、非併用群では40%であった。[34]月経困難:
☆15歳の少女。12、13歳にしか見えない。小柄で血色が良くない。初潮は12歳からで、15歳の2月から毎月のように、月経の初日に、激しい心下痛が起こって、薬も水も吐いて、一切の飲食物を受け付けないという。こんな状態で、色々な手当を受けたが、一向に効がないので、昭和30年8/20に来院した。初診の日は8月の月経が終わったところで、何の苦痛もなく、これといった、捕まえどころがない。そこで9月の月経を待って、その腹痛の状態を診せてもらうことにして、その期間の服薬には当帰芍薬散を一応考えたが、嘔吐を伴う腹痛だし、“心腹卒中痛”の点も参酌して柴胡桂枝湯を与えた。
9/14に月経が始まったので、患者は蒼い元気のない顔で、母親に伴われて診察室に入ってきたが、まだ脈を診ないうちに、持ってきた洗面器に汚い水を大量に吐いた。吐く前に心下に強い差し込みがある。吐いてしまうとやや心下は楽になる。脈は浮数である。腹診するに、臍上の動悸が強く亢進している。振水音は証明しない。ひどい口渇で水を要求するので、コップ1杯の水を与えた。すると1分間もたたないのに、激しい心下痛と共に水を吐いた。尿利はひどく減少している。この口渇、嘔吐、尿利減少の3拍子がそろえば、いうまでもなく五苓散の証である。この場合の激しい心下痛が五苓散で良くなるかどうか私には不安があった。しかし先人は疝の疼痛にこの方を用いているので、この患者の心下痛も、古人のいうところの疝に属する疼痛と考えて、この方を与える決心をした。この場合蛇足であったかもしれないが、茵?を加えて茵?五苓散とした。
さてこの薬を3週間分飲んでから、患者はしばらく来院しなかった。やっぱり効が無かったのかなあと、私はひそかに考えた。この3週間分を飲み終わった頃が、彼女の10月の月経が来潮する頃なのである。10月もまたあんなに苦しんだのかなあと思っていた。ところが11/6に彼女は晴れ晴れしい姿で診察室に入ってきた。私は、「どうしたの」とせっかちに聞いた。彼女は落ち着き払って「何ともなかったの」と平然としている。「10月は吐かなかったの。お腹は痛まなかったの」と、私はまだ不安な心持ちで尋ねたが、「何ともなかった」と、彼女は当たり前のような顔をしている。この患者はそれきり月経困難症が全治した。私はこの患者に茵?五苓散を用いたが、五苓散でも良かったと思う。《大塚敬節》
[35]月経前症候群(PMS)premenstrual sundrome 【EBM】月経前症候群の不定愁訴に対する五苓散の効果 (Evidence)
1件の症例集積研究において、月経前症候群に対する有効率(著効、 有効、やや有効)は98%であった。[36]結膜炎:☆此方の眼疾患を治すること、苓桂朮甘湯とほぼ似たり。而して彼は心下の悸、心下逆満、脇肋支満、上衝等の症を以て目的とし、此は発熱、消渇、腨涙多く、小便不利を以て目的となす。2方ともに小便を利するを以て其の効となすなり。応鐘、紫円等を兼用する。《類聚方広義》[37]下痢:(寒泄・虚泄・洞泄の)
☆水様便・口渇。 ☆湿泄で身痛:「+羗活・草豆蔲」☆一種熱水を下し、臭きこと近づくべからざるものあり「六一散」☆初痢を治す:「+大黄」《古今方彙》
【EBM】感冒性胃腸症に伴う下痢に対する五苓散の効果 (結果) 五苓散単独投与群と五苓散砂糖併用群の両群間で年齢、発症から受診までの日数、来院までの下痢の回数に有意差は無かった。
五苓散単独投与群120例のうち服用できたのは62例(51.7%)。 五苓散砂糖併用群240例のうち服用できたのは230例(95.8%)と、 内服率に関しては砂糖と併用した群のほうが優れていた。
有効率は、五苓散単独投与群が77.4%。五苓散砂糖併用群が81.3%。 副作用は両群とも認めなかった。[38]眩暈[39]睾丸炎 [40]甲状腺腫
☆中に液体を貯留する腺腫様甲状腺腫に用いる。五苓散に山梔子3.0g、枳実3.0gを加え、数年にわたって服用させると腺腫は小さくなっていく(漢方診療医典)[41]交腸:(小便中に大便を出す)☆婦人交腸に即効あり《方読便覧》☆婦人、病癒えたる後、小便屎(シ、大便)を出すを治す:「+牛膝海金砂木通通草」《寿世保元》[42]三叉神経痛:☆葛根湯・香芎湯を用いたが効が無く、最後に五苓散を与えて著効を得たことがある。《大塚敬節》
隣家の女中さんが「一昨日から顔面の左半分が痛くて堪えがたいと言って来院した。その痛みは、朝起きた時が一番激しく、午後になると少し楽になる」と言う。
診察してみると、脈は浮小で、左側の後頭部から前額部にかけて、三叉神経の第1枝に沿って痛む。 この日、葛根湯を2日分与える。効がない。そこで香芎湯とする。《勿誤薬室方函口訣》には、この方が片頭痛に効くとあるので用いてみたのである。2日間服用、効がない。ところが、その頃から、強い口渇を訴えるようになった。小便の方はどうかと聞くと、とても少なく、1日に1~2回だと言う。
そこで口渇と尿利の減少と頭痛を目標にして、五苓散を与えた。これは良く効いた。2日分で、ほとんど痛みが取れ、4日間で全治した。」《大塚敬節-漢方診療30年より》
【EBM】三叉神経痛に対する五苓散の効果 (Evidence) 1件の症例集積研究において、五苓散の三叉神経痛に対する有効率(改善以上)は47.2%であり、30.6%にカルバマゼピンの減量が可能であった。
[43]しびれ 【EBM】胸郭出口症候群のシビレに対する五苓散の効果 (Evidence) 1件の症例集積研究において胸郭出口症候群のしびれに対する有効率は67%であった。[44]ジンマシン(寒冷ジンマシン)[45]ジンマシン様苔癬[46]自家中毒:
☆口が渇いて吐いたり、尿が少ないとき、発作時に服用させると効果的。煎じるよりも、むしろ、重湯に粉末を入れ飲ませた方が良い《山田光胤》[47]斜視[48]酒風脚:☆初起に用いる《方読便覧》[49]消化不良
[50]小児ストロフルス:《大塚敬節》[51]小便不利:☆傷寒にて小便不利し而して渇する者を治す。《寿世保元》☆邪熱、膀胱に結び、小便不通「+滑石・甘草」☆小便壅閉し、臍下結硬、小便壮する所、火を撒くが如し「+滑石・甘草」☆腫満を治し、小便を利す。「+商陸・附子」《本朝経験》☆食に傷れて瀉をなして腹脹り、四肢浮腫し、小便不利するを治す:「+木香」《万病回春》☆小児の小便不利を治す:「+車前子燈心草」《万病回春》[52]子淋:☆「生料五苓散阿膠」《雑病翼方》[53]腎炎:☆腎臓炎等。《奥田謙蔵》☆瘧疾(腎盂炎など)を治す。服すること桂枝湯の如し、然れども彼は粥を啜り、此は煖水を飲む。是れを異れりと為す」《類聚方広義》☆八味丸を用いると、食欲が減じたり、嘔吐を訴える者に用いる機会がある《大塚敬節》
[54]心下痞(無力) [55]心臓性浮腫[56]心不全☆肺鬱血を伴う非代償性心不全には、木防已湯を考える。間違えると静脈圧の上昇を起こすことあり。《矢野》
[57]水逆: ☆5歳の男児。 「疫痢様の病気のあと、高熱が冷めて安心していたところ、もだえ苦しみはじめ、布団をけり、口の渇きを訴え、水を与えるとたちまち吐き出す。水を1口飲むと2口も3口も水が飛び出す有様であった。
小便はほとんど出ず、脈は浮数で、大にして無力であった。そこで、五苓散2gを重湯に溶かして与えたところ、1服で嘔吐が止み、小便が良く出て、食欲も起こり、たちまち快復した。」《矢数道明》
[58]水泡性の皮膚疾患(小水泡) [59]頭痛:☆常習性頭痛。☆口渇が激しく、飲んだ水をすぐ吐く者で、脈浮数。☆口渇と尿利の減少があって、頭痛を訴える者に著効あり。☆呉茱萸湯証の頭痛との鑑別:「呉茱萸湯の頭痛は、意識を失うほど激しく来ることがあり、眼も開けられず、モノも言えないことがあるが、五苓散証の頭痛は、これほど激しくはない。また、五苓散証では口渇を訴え水を呑みたがるが、呉茱萸湯証では、こんなことはまれである。」《大塚敬節》「五苓散でも肩から頸にかけて凝ることがあるし、嘔吐を伴うことがある。また煩躁状態もあれば、心下部の膨満もある。ただ、五苓散証では足がひどく冷えるということは少なく、脈が沈になることはあても、遅になることは少ない」《大塚敬節》
「五苓散証の頭痛では、悪寒と熱を伴うことがある、呉茱萸湯証でも熱が出ることがある。私の経験で、風邪を引くたびに、激しい頭痛を訴え、呉茱萸湯を用いなければ治らない患者があったが、この場合にも脈は浮細となり体温が上昇するのを常とした。だから悪寒や熱の有無で、五苓散証と呉茱萸湯証とを区別することは難しい。」《大塚敬節》
☆35歳男性。10年前から頭痛、タンパク尿があり、一時尿のタンパクは消失したこともあるが、頭痛はまったく持続的で、しょっちゅう鎮痛剤を飲んでいる。最近、東大で診てもらったところ、入院を勧められたという。患者は中背の痩せた人である。脈沈細弦、腹部は上腹角狭く、筋肉非薄で、皮膚は乾燥している。また心下部振水音を著明に認める。
尿タンパク強陽性。血圧192-124。これは水毒による頭痛で半夏白朮天麻湯かと思ったが、腎炎に対する治療の意味で五苓散を与えたのであるが、7日後には頭痛はほとんど訴えなくなり、血圧は154-106となった。《山田光胤》
[60]生殖器の腫れ・疼痛 [61]せき:☆(肺が湿に傷られて起こる咳)☆水寒肺に射(あた)り、而して咳となる者を治す《医方考》 ☆咳嗽あれば:「+五味子桔梗」《古今方彙》☆痰多い者:「+半夏陳皮」《古今方彙》☆喘急には:「+馬兜鈴桑白皮」《古今方彙》☆痰あり熱あれば:「+桑白皮人参前胡」《古今方彙》☆喘咳、心煩して眠るを得ざる者:「+阿膠」[62]積聚:☆積聚、食黄を治す:「*大黄」《古今方彙》☆気塊(仮性腫塊)には:「+三稜莪朮」《古今方彙》[63]疝:☆疝にて烏頭桂枝湯や当帰四逆湯を用いて一向に腰伸びず諸薬効なき者:「+茴香」妙に効あり。是れ即ち腸間の水気を能く逐うが故なり。《勿誤薬室方函口訣》☆疝気を治す「+茴香・川楝子・葱白・灯心」水煎。《世医得効方》☆肥人の腫疝寒熱に「+茴香」《瘍医大全》☆疝気には:「+小茴香川楝子檳榔子生姜葱白」《古今方彙》[64]舌苔<白苔~白滑~白膩>
[65]だるい:☆五心熱し、労の如きは:「+桔梗柴胡」《古今方彙》 [66]脱腸 [67]脱毛症 [68]膣炎 [69]膣直腸瘻 [70]腸炎。腸カタル
[71]直腸膣漏 [72]つわり [73]テンカン:☆水を見て発作を起こす癲癇《腹証奇覧翼》[74]転胞:☆「生料阿膠」《雑病翼方》 [75]動悸
:☆臍下悸。☆気の上衝が強くなると起こる。☆心気不足するには:「+人参麦門冬」《古今方彙》☆臍部で動悸の亢進していることもある《大塚敬節》☆口渇がひどくて、尿利の減少があって、心悸亢進があれば、五苓散の証。口渇が無ければ茯苓甘草湯の証です《大塚敬節》
[76]糖尿病:☆糖尿病及び尿崩症等。《奥田謙蔵》 【EBM】糖尿病患者における起立性低血圧に対する効果 (Evidence) 1件のプラセボとのRCT(ランダム化比較試験)において五苓散には糖尿病による起立性低血圧を防止する作用があり、治療法として有用である可能性が示唆された。[77]吐乳:☆小児、吐乳止まず、尿不利なる等の証。《奥田謙蔵》[78]禿頭=はげ[79]夏まけ・夏バテ:☆暑湿の病たる、発熱、頭疼、煩躁して渇す:「+人参」《雑病翼方》 ☆暑気裏を攻め、腹内刺痛し、小便通じない者:「生料五苓散木香」☆暑を冒し、飲酒し、暑を引いて腸内に入り、酒熱と暑気と相い并び、発熱大渇し、小便不利し、その色血の如し:「生料五苓散-官桂+黄連」
[80]日射病☆傷暑、身熱し、口乾煩渇し、心神恍惚、小便赤渋し、大便泄瀉する者を治す。《万病回春》☆日射病、或いは熱射病等にして、発熱、尿閉、煩渇、脈浮なる証。《奥田謙蔵》[81]乳幼児の感冒:☆3歳の男児。朝から何となく元気が無いので、体温を測ったところ、37、8℃ある。感冒だろうと、葛根湯を飲ませた。30分ほどたつとゴロゴロと蒲団から転がって、じっとしていないようになった。煩躁である。そのうちにうつらうつらと眠った。正午過ぎに、葛根湯を又飲ませたところ、吐いてしまった。その内に、水を欲しがるようになり、水を呑むとすぐ吐き、吐くとまた水を欲しがり、飲むと又吐く。体温は38℃を越した。尿は朝から1回も出ないという。
そこで五苓散を与えたところ、口渇も嘔吐も1回で止み、40分ほどたつと、全身が汗ばみ、尿が多量に出て、下熱した。《大塚敬節》 [82]乳幼児下痢症
☆比較的初期で口渇がひどく、飲むと吐く、吐くと飲むという状態のものに用いる。食欲不振、尿利減少があるが、これを飲むと口渇が止み、嘔吐も止まり、尿の出も良くなって下痢も止まる。なるべく早期に飲ませるとよい。さらに裏急後重を伴う場合には、桂枝加芍薬湯とする(漢方診療医典)[83]入浴中に倒れる:☆《陳無択》曰く、入浴暈倒し、口眼斜し、手足に力が入らずダラッとしているを治す:「干姜・附子」《方読便覧》[84]尿道直腸瘻
[85]尿毒症[86]尿閉[87]尿量減少:☆発汗、吐下の後、渇飲止まず、大便に異常なく、尿利渋滞する証。《奥田謙蔵》[88]妊娠中の排尿障害[89]ネフローゼ:☆2歳男児のネフローゼ。患者は半年前から全身に浮腫があり、腹水もある。尿は昼夜200?内外で、少し動いても呼吸が促迫する。しかし浮腫は按圧で陥んでもすぐ元に戻る。一般状態も良く、元気で、下痢せず、食欲もあった。口渇の有無ははっきりしなかった。以上の状態から実腫と診断して五苓散を与えた。ところがこれを呑んでも、尿量はあまり増加せず、浮腫も減じないので、小細工的なことで、あまり褒めたこととは思わないが、五苓散に桑白皮と麦門冬を加えてみた。しかしやはり大した変化が見られなかった。そこでまた五苓散に戻した。これで悪くはならないが、あまり良い方でもなかった。
3ヶ月ほどたったある夜、この患者は死ぬのではないか?と思われるほどの煩躁を伴う呼吸困難を訴えた。ところが、これを境にして少しずつ尿量が増加し、浮腫も減じた。6ヶ月目には、浮腫の大半がなくなり、時々軽い浮腫がみられる程度になった。尿中のタンパクも、日によって増減はあったが、徐々に減少して行った。患者は健康児と変わらないほど元気になり、安静を守らせることは難しくなった。そして、2カ年後にはタンパクも痕跡程度となり、約3年半、五苓散を飲み続け、完全に治癒して、小学校に入学できた。《大塚敬節》☆八味丸を用いると、食欲が減じたり、嘔吐を訴える者に用いる機会がある《大塚敬節》
☆10歳の男児。 「むくみが全身にひどく、腹水が著明で、腹囲が90cmあり、下肢のむくみから漏液がしたたっっていた。呼吸困難と咳がひどく、泡のような薄いツバを吐き、錆色のタンがあり、尿量は減少して1日300~500ccしか出ない。
そこで、五苓散末を、1日量5g、3回に分服させたところ、少しずつ尿量が増加して、10日後には300ccを越え、2週間で全身の浮腫が全く消えた。
しかし、その後退院して半年で再発したという。」《矢数道明》 ☆急性、慢性をとわず、また腎炎であろうと、ネフローゼであとうと、浮腫と尿利減少と口渇を目標にして用いる。また口渇のあまり著明でないものにももちいてよい。(漢方診療医典)[90]寝小便[91]脳水腫[92]二日酔い[93]排尿障害[94]はげ[95]鼻血:☆鼻衂には:「+梔子烏梅」《古今方彙》☆暑に伏し、鼻衂する:「+茅根」百霜末で調服。☆代償月経としての鼻血:「+桃仁牡丹皮」《古今方彙》[96]煩渇:☆畜水は陽気中焦に鬱し、上下相せず、故に煩渇を発するなり《先哲医話》☆飲んでも飲んでも止まらないのは、白虎加人参湯を考える。[97]煩躁:☆口渇と小便の不利があり、熱があって煩躁する者に用いる《大塚敬節》☆発汗後の煩躁。「茯苓四逆湯」「白虎湯」との弁別が必要。
[98]鼻涙菅狭窄 ☆本方も眼疾患によく用いられるが、体腔内に停水があり、のぼせ、嘔気、つばが出たり、頭痛を訴え、口が渇いて小便が少ないという場合で、涙の出るものに用いてよい。脈は浮である(漢方診療医典)
[99]表熱裏水[100]フリクテン[101]風湿:☆春夏のころ、病傷寒の如く、その人、汗自ら出で、死体重痛し、轉側し難く、小便不利なり、これ風湿と名づく。傷寒に非ざるなり。陰雨の後、卑湿、或いは引飲過多、多く此の症有り、ただ五苓散を多服し、小便通利し、湿去れば則ち癒える。《雑病翼方》[102]腹水☆虚証の者に「+人参湯」or「+附子」が多い。《矢野》
【EBM】腹水を認める肝硬変(非代償性)に対する五苓散の効果 (Evidence) 1件の症例集積研究において、利尿剤により改善の得られない腹水を伴う非代償性肝硬変での五苓散に有効率は40%であった。[103]腹壁軟弱[104]浮腫:☆腫満を治す「+附子・商陸」《勿誤薬室方函口訣》☆口渇と尿利の減少のある浮腫《大塚敬節》☆ネフローゼや腎炎の浮腫に用いる機会が多い。あまり口渇が激しくなくても、尿利の減少があって、脈がやや沈んで力のある者に用いる。脈が浮大弱の者、洪大の者、微弱の者、沈遅弱の者などには、用いても効力を期待できない《大塚敬節》☆18歳女性。「断食療法を受けた。すると、浮腫はますますひどく、ウエストは90cmに達した。 私の初診時は、全身に浮腫があり、腹水はことにひどく、脈は沈小で、尿量は1日200~300?で、ひとりで寝返りすることが困難である。口渇はひどくはないが、大便1日に1行。食欲はない。
こんな状態であるから、五苓散を煎剤として与えるとともに、一切の食事を止めて、赤小豆だけを調味料無しで煮て2、3日続けて食べ るように指示した。すると翌日から急に尿量が増加し、700、900,1200という調子で、どんどん排尿量が多くなり、それにつれて浮腫も日を追うて減退し、食欲も増加した。3週間の服薬を終わった頃には、腹部に僅かに浮腫があるだけとなり、5週間目に往診したときは、浮腫は全くとれた。
浮腫に赤小豆だけを食べさせる治療は、《林一烏》の発明であると伝えられているが、試みるべき価値がある。《大塚敬節》[105]二日酔い[106]船酔い:☆船暈《方読便覧》
[107]ヘルニア[108]片頭痛:☆吐き気を伴う片頭痛。☆呉茱萸湯の目標によく似ている。五苓散証でも、肩から頸にかけて凝ることがあるし、嘔吐を伴うこともある。また煩躁状態もあれば、心下部の膨満もある。ただ、五苓散証では足がひどく冷えるということは少なく、脈は沈になることはあっても遅になることは少ない。《大塚敬節》
[109]便秘:☆大便通ぜざれば:「+大黄芒硝」《古今方彙》[110]膀胱炎[111]膀胱直腸瘻[112]発作性の心悸亢進症:☆(塊が下腹部から心下に突き上げる)[113]メニエール病[114]慢性胃腸炎:☆嘔吐を主訴。口が渇き尿量減少し、吐くとまた渇き、飲むとすぐ吐く者。[115]慢性腎炎[116]慢性頭痛☆実証の者に著効あり。《矢野》
[117]水疱瘡: ☆発疹部のかゆみが強くて、口が渇く時。また、夜むずがって眠らないとき。《山田光胤》[118]めまい(眩暈) ☆血分不和より水気を醸し、その上胃中に湿熱を生じ頭眩、下利、種々の変症をなす者:「+大香連丸乾姜」=
巫神湯《原南陽》 *巫神湯(茯苓1、蒼朮0.5、猪苓0.5、沢瀉0.5、桂枝0.5、乾姜0.4、黄連0.3、 木香0.1)☆眩暈にして、頭痛、嘔吐を発する等の者。《奥田謙蔵》☆頭疼目眩するには:「川芎、羗活」《古今方彙》[119]やけど[120]夜尿症[121]夜盲症[122]よだれ:☆寺師睦斎氏は、3歳の男児のひどいよだれをこれで治した。その患者は1日に50枚ものよだれかけを取り替えなければならなかったほどのよだれを流していたが、口渇と尿利の少ないのに眼を付けて、五苓散を与えたところ、10日の服薬で、1日20枚のよだれかけで間に合うように
なり、1ヶ月で全治したという。《大塚敬節》[123]溜飲[124]涙嚢炎 [125]幽門狭窄症[126]淋:☆熱極、淋を成し、服薬効かざる者:「五苓散-桂枝+木通・滑石・燈心草・瞿麦」各少許に宜し。《要訣》
[127]脈 <浮数>☆熱のある場合は、脈が浮数になるが、熱の無いときは沈小のものがある。また舌に白苔がつくこともある。そのため小柴胡湯の証と誤ることがある。《大塚敬節》
○利尿作用・・・「茯苓」参照 五苓散中のおもな利尿薬は「桂枝」「沢瀉」「白朮」である。 (中薬大辞典)「桂枝」 ①抗菌作用 ②抗ウイルス作用
③利尿作用 桂枝を含む五苓散を麻酔したイヌに0.25g/kg静注したところ、尿量は明らかに増加したが、桂枝の単用による静注(0.029g/kg)の利尿作用は他の4薬の単用よりも顕著であった。したがって桂枝は五苓散における主要な利尿成分の1つ。
(中薬大辞典)「沢瀉」 修治の違いで利用効果が異なる。生の沢瀉、酒で炙った沢瀉、ふすまで炙った沢瀉にはいずれもかなりの利尿作用がある。が、塩沢瀉には利尿作用が無い。
ただし、五苓散では生沢瀉であれ、塩沢瀉であれ、いずれも利尿作用を示す。 (中薬大辞典)「白朮」各種の動物、たとえばラット、ウサギ、イヌに対し明らかな持続性の利尿作用がある。
無麻酔のイヌに煎剤0.05~0.25g/kgを静注したところ、尿量は9倍以上に増加し、薬を用いて5時間後も依然として正常より高かった。 胃に薬を用いる前の2~6倍に増加し、また多数が薬を用いて6~7時間後にも正常より多かった。
白朮は水の排出を増加させるだけでなく、電解質とりわけナトリウムの排出を促し、ナトリウムの排出は水の排出より勝っている。 下垂体後葉のホルモンの抗利尿作用には影響を及ぼさない
五老還童丹《丹渓心法》 「茯神1両・赤石脂1両・川椒(炒る)1両・朱砂(細研水飛)1両・乳香と燈 心をそいだのを各1両。乳香と朱砂は細末にし、鶏卵(黄身を除く)の中
に入れ、堅紙で密封して青絹に入れる。それを健康な婦人の腹で暖めた後、 朱砂は35日、乳香は49日目に取り出して、それをもう一度くだいて作末する。それと他の3種の細末と合わせ蒸棗肉で、緑豆大の丸薬をつくる。毎日空腹時に、酒を温めて30丸呑み下す。人参湯で服用するとさらに良い。
◎精神安定に特効。 五老元 五労元《東醫寶鑑》「常山3両半、桃仁1両2銭、辣桂7銭半、淡豆?3両半、烏梅肉2両半」日向で干して作末し、蜜で梧子大の丸剤。空腹時に温水で30~40丸飲む。◎労瘧・瘴瘧を治す。
後七宝丸 「巴豆・鶏舌香各2.0、大黄3.2」右三味、各別に細末にし、糊丸。◎先ず「前七宝丸」を服すること、朝夕各1回0.4~0.8を以てし、之を持続すること3日間にして、第4日に至り、「後七宝丸」を服すること、亦前方の如くす。然れども此方、その作用峻烈にして、屡(シバシ)ば中毒症状を現すを以て、特に注意を要する。
抗蕁湯《中薬臨床応用》「蛇退皮3g、蝉退6g、生地黄9g、牡丹皮9g、赤芍薬9g、荊芥穂(炭)6g、白朮9g、地膚子15g、紫根9g、蒼耳子9g」水煎服。◎ジンマシン◎風熱による皮膚疾患
抗毒湯《中薬臨床応用》「貫衆9g、大青葉15g、板蘭根15g、紫根15g、山豆根9g、茵?蒿9g、桔梗6g、甘草6g」水煎し、毎日2~3回に分服。◎インフルエンザ◎日本脳炎◎ウイルス性肺炎◎流行性耳下腺炎
抗麻痺注射液《鄭州中薬製薬廟》《中薬臨床応用》「淫羊藿、桑寄生」等分。◎小児麻痺の急性期:毎日2回2mlずつ筋注 。◎小児麻痺の後遺症:穴位注射、隔日1回4ml筋注。
口疳方《方読便覧》「三黄瀉心湯承気湯薄荷」 ◎小児の疳病で、口舌、咽喉に瘡を生じる者を治す。
甲字丸《黒焼の研究》
甲子湯《原南陽》《勿誤薬室方函口訣》「桂枝茯苓丸甘草」◎婦人外因に属せざる者悉く之を主る。凡そ婦人経閉、腰背牽引し、脚疾、腹痛、帯下、寒熱、皆血に属す。◎びに、中風偏枯、歴節、?、鼓腸、男女を問わず之を用いる。◎腸癰:「薏苡仁・大黄」◎塊を為す者:「鼈甲」
◎麻木冷痛する者:「附子」《雑病翼方》 甲字湯《漢方治療の実際》「桂枝・茯苓・桃仁・牡丹皮・芍薬各4、甘草1.5、生姜3」 甲字湯《原南陽》《龍野ー漢方処方集》「茯苓4.0g、桂枝・牡丹皮・桃仁各3.0g、甘草1.5g、干姜1.0g」「桂枝茯苓丸甘草・生姜」◎瘀血を理む。◎此方は桂枝茯苓丸の症にして激する者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》◎塊癖動かざる者:「鼈甲」《勿誤薬室方函口訣》◎痔を消し、膿を排し、湿を除く:「大黄・薏苡仁」《方読便覧》
【加減】1.便秘又は熱ある者・・・大黄2.0g 紅花散《銀海精微》《中薬臨床応用》「紅花・大黄各5g、連翹・紫根各6g、当帰・赤芍・生地黄各9g、甘草3g」水煎服。◎眼の充血◎急性結膜炎◎麦粒腫
紅花散《勿誤薬室方函口訣》「連堯湯《本朝経験》木通甘草沈香・丁香・金銀花・欝金・木香・檳榔・大黄」◎胎毒、血毒、寒熱往来、腹痛、胸膈痞塞。疳虫を治す。
紅花散《保命集》「紅花、荷葉、牡丹皮、当帰、蒲黄」 紅花子湯《東醫寶鑑》「紅花子1合」水煎服。◎痘渇と出痘の症を治す。 紅 花四物湯《朱氏》
「四物湯紅花」 ◎婦人臂痛、又癱瘓(ナンタン、運動麻痺)を治す《方読便覧》 紅花当帰散《東醫寶鑑》「赤芍薬2両、劉寄奴1両2銭半、紫蔵・当帰尾・牛膝・蘇木・甘草各5銭、白芷・紅花・桂心各3銭半」作末し2銭づつ酒で調服する。 紅花は酒で飲むのが最も良い。◎処女の月経不順。◎瘀血が積もって腰腹が痛む者を治す。
紅花当帰散《寿世保元》《古今方彙》「当帰8分、川芎・赤芍薬・熟地黄・黄芩・香附子各6分、枳殻・延胡索各5分、小茴香(酒)・厚朴・柴胡・陳皮・三稜(醋)・莪朮(醋)・牛膝各4分、紅花3分、甘草2分、生姜」煎じ、兼ねて「八物湯」を服す。
◎婦人31、32歳にして年々生み育て、敗血過多、以て経水均しからざるを致し、時ならずして腹中疼痛し、塊を結び飲食少しく進み、困倦目眩、潮熱往来し、五心煩躁するを治す。これ血虚胃熱なり。宜しく此方を服すべし。兼ねて「八物湯」を用いる。
紅花桃仁湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》「黄柏・生地黄各1銭半、沢瀉・蒼朮・当帰尾・防已・防風・猪苓各1銭、麻黄・紅花・桃仁各5分」水煎。 ◎痔瘻、経年飽食に因り筋脈横解、腸澼(飲食の消化せざる病)痔となるを治す。◎治法は当に北方(腎の水)を補い、中央(脾の湿)を瀉すべし。
紅升丹《証治概要》「朱砂、雄黄、水銀、火硝、白、皀」 紅雪通中散《東醫寶鑑》「朴硝8両、蘇木6銭、黄芩・升麻・羚羊角各3銭、赤芍・人参・檳榔・枳穀・竹葉・木香・甘草各2銭、山梔子・葛根・木通・桑白皮・藍葉・大青葉各1銭半、朱砂1銭、麝香5分、朱砂・朴硝・麝香を除いた諸薬を、細かく刻んで水2升5合で9合まで煎じて滓を去り、沸かした後、朴硝を入れて柳の木枝でかきまぜ、固まったら朱砂・麝香末を磁器内に入れて一晩おき、毎回1~2銭水で服用。
◎積熱を治し、毒熱を除き、三焦を開き、五臓を良くし、口瘡・重舌・喉閉・腸癰を治す。
紅丹子《東醫寶鑑》「三稜・莪朮・陳皮・青皮各5両、胡椒・乾姜各1両」作末し、醋で煮た麺糊で梧子大の丸剤。礬紅で衣をつけて姜湯で50~70丸飲む。◎食積・酒積・脾積・血気の?塊を治す。
紅綿散《東醫寶鑑》「明礬・海螵蛸各1銭、乾臙脂5分、麝香1字を切って、先に脂綿で耳の膿汁をふいて、かんじよりで薬末をつけて耳の中に塗る。」
◎膿耳を治す。膿汁を取り除く。 紅藍解毒湯《本朝経験》 香烏散《中薬臨床応用》「香附子・烏薬」等分を作末し、毎回3~6g服用。◎腹痛に。◎食欲不振には:「生姜・大棗」の煎じ湯で服用。◎寄生虫:檳榔子の煎じ湯で服用。◎下腹部痛・疝痛:小茴香湯で服用。◎感冒頭痛:茶で服用。
香櫞湯《中薬臨床応用》「枸櫞皮(陳)6g、陳皮6g、草豆蔲3g、香附子9g、厚朴6g、党参9g、茯苓9g、神麹9g」水煎服。◎肝気欝結による消化不良◎胸脇部が脹って苦しい◎上腹部が痛い
香葛湯《辻本》 「香蘇散桔梗・葛根」◎暑熱感冒を治す。◎感冒桂麻の用い難き者、斟酌して与えるべし。《勿誤薬室方函口訣》
香葛湯《東醫寶鑑》「蒼朮・紫蘇葉・白芍・香附子・升麻・乾葛・陳皮各1銭、川芎・白芷・甘草各5分、を剉作1貼して、生姜3・葱白2茎・豉7粒を入れ水煎服。」
◎傷寒に陰陽が伴い、頭痛・寒熱する症。
香葛湯《済世全書》《古今方彙》「香附子・紫蘇葉・陳皮・青皮・葛根・甘草・生姜・大棗・葱白」水煎。◎小児傷寒にて食をい挟み、驚を挟み、及び四時瘟疫瘧疾を治す。
香橘飲《東醫寶鑑》「半夏(製)2両、陳皮・白茯苓・白朮各1銭、木香・縮砂(研)・甘草(炙)各5分、姜5片」水煎服。◎気虚のめまいを治す。 香橘湯《東醫寶鑑》「香附米(炒)・半夏(製)・橘皮赫1銭半、甘草(炙)5分、薑5片、棗2枚」煎服。◎七情に傷つき中脘・腹脇に充満した時使う。
香芎散《中蔵経》「石膏、川芎、甘草、香附子」「香芎湯-桂枝薄荷」◎一切の頭風を治す。《勿誤薬室方函口訣》 香芎湯《儒門事親》《龍野ー漢方処方集》「石膏10.0g、桂枝・川?各3.0g、香附子6.0g、薄荷葉・甘草各2.0g」
◎偏正頭痛を治す。◎此方は《中蔵経の》香芎散の本づきたれども、《張子和》の工夫一着高くして偏頭痛には奇効あり。《勿誤薬室方函口訣》◎此の症にして肩背強急して痛む者は、釣藤散《普済本事方》を佳とす。《勿誤薬室方函口訣》
◎発熱頭痛、熱性頭痛、偏頭痛。 香薑散《東醫寶鑑》「生姜4両を切り、黄連2両と一緒に一晩つけて弱火で炒り、姜が紫色になったら姜を捨て、黄連を作末し、毎回2銭、茶清で服用。」
◎晨泄を治す。 香膠散《東醫寶鑑》「魚膠(焼存性)に麝香を少し入れ、細末にして毎回2銭を、熱酒又は米飲で服用。 ◎破傷風で口を閉じ、体が硬直する者。
香殻丸[1](一名加味連穀丸)《東醫寶鑑》「黄連1両、枳穀・厚朴各5銭、当帰4銭、荊芥穂・木香・黄柏各3銭、猬皮1個を焼いて灰にしたもの」を作末し、麺糊で梧子大の丸剤。温水で50~70丸を1日2回服用。
◎飽食による腸僻と諸痔瘻を治す 香殻丸[2]《東醫寶鑑》 「青皮・陳皮各2両、枳穀1両、香附子7銭半、蘿葡子・木香・三稜・莪朮・神麹・麦芽・檳榔・枳実・山楂子・草果各5銭、半夏(製)1両2銭半、陳倉米1升、巴豆20個を黄色くなるまで炒って巴豆は捨てる。以上を作末し醋糊で梧子大の丸剤。 白湯で70~80丸服用。
◎消食・化気・酔脾・去痰に。 香砂枳朮丸《張潔古》 「木香・縮砂仁・枳実(麩で炒る)各40g、白朮120g(土で蒸す)」 香砂枳朮丸《摂生秘部》【中成薬】「白朮・木香・縮砂」毎日2回、6~9g服用。◎慢性の消化不良。
香砂二陳湯《朱丹渓》《古今方彙》「陳皮、香附子、茯苓、半夏、砂仁、神麹、甘草、生姜」水煎。◎涎が心膈の上にあり、腰背に攻め走り、嘔して大いに痛むを治す。◎食に傷るるの主方なり。
香砂平胃散[1-1]《東醫寶鑑》「蒼朮2銭、陳皮・香附子各1銭、枳実・?香各8分、厚朴・縮砂各7分、木香・甘草各5分、生姜3片」 ◎食あたりに。
◎腹痛激しく、下痢すると痛みが減る:「枳実白朮・白茯苓」 香砂平胃散[1-2]《寿世保元》《古今方彙》「平胃散枳殻白朮茯苓」◎食積(体質的に或いは疾病のために消化機能の衰弱している時に摂食の不適正から腹内に硬結を生じる)瀉、腹痛甚だしく而して瀉し、瀉したる後に痛みは減じ、脈弦の者を治す。
香砂平胃散[1-3]《東醫寶鑑》「蒼朮・厚朴・陳皮・便香附各1銭、山?肉・縮砂・枳殻・麦芽・神麹・乾姜・木香各5分、甘草(炙)3分、姜3片、蘿葡子(炒研)一握り」煎服。◎食欝を治す。
香砂平胃散[1-4]《万病回春》《古今方彙》「平胃散黄連山梔子呉茱萸枳実木香」◎呑酸、吐酸を治す。 香砂平胃散[1-5]《万病回春》《古今方彙》
「平胃散黄連山梔子川?白芍薬辰砂枳実?香」◎食欝而して嘈する者を治す。 香砂平胃散[1-6]《万病回春》《古今方彙》 「香附子・砂仁・厚朴・蒼朮・陳皮・枳殻・山楂子・神麹各1銭、乾姜・甘草・木香(別研)各3分、生姜」水煎。
◎腹痛し而して瀉するを治す。◎瀉したる後に痛みが減じる者は是れ食積なり。 香砂平胃散[1-7]《万病回春》《古今方彙》 「平胃散青皮木香山楂子麦芽乾姜檳榔子藿香蒼朮」◎食積にて脇痛するを治す。◎発熱には:「柴胡半夏」
香砂平胃散[1-8]《万病回春》《古今方彙》「香附子・陳皮・蒼朮各1銭、枳実・藿香各8分、砂仁・木香・甘草各5分、生姜」水煎。◎食に傷るるを治す。◎食に傷つき嘔吐するを治す。◎凡て飲食自ら倍する者は脾胃両つながら傷るるなり。◎肉食化せざるには:「山楂子草果」◎米粉、麵食化せざるには:「神麹麦芽」◎生冷瓜果化せざるには:「乾姜青皮」◎飲食にて傷れし者は:「黄連乾葛烏梅」◎吐瀉止まざるには:「茯苓白朮半夏烏梅枳実」
香砂平胃散[1-9]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「香附子・陳皮・白朮各3.0g、枳実・藿香各2.5g、縮砂・木香・甘草各1.5g、干姜1.0g」◎飲食進み平常の倍も食べる者。◎消化せずに胃腸に滞っている者。★適応症及び病名
胃酸過多症食傷 香砂養胃湯[1-1]《増補万病回春》「香附子、砂仁、蒼朮、厚朴、陳皮、茯苓、人参、木香、白朮、白豆蔲仁、甘草(炙)」 香砂養胃湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「人参・木香各5分、白朮1銭、陳皮・茯苓・厚朴・蒼朮・砂仁・香附子各8分、白豆?7分、甘草(炙)8分、生姜、大棗」水煎。◎脾胃不和にて飲食を思わず、口味を知らず、痞悶して舒びざるを治す。◎脾胃の寒には:「乾姜肉桂」◎肉食化せざるには:「山?子草果」◎米粉、食化せざるには:「神麹麦芽」◎生冷、瓜果化せざるには:「檳榔子乾姜」◎胸腹飽悶には:「枳殻蘿葡子大腹皮」◎食に傷れ胃口病むには:「木香枳実益智」◎食に傷れ泄瀉する:「乾姜烏梅白朮」◎吐痰には:「烏梅」
香砂養胃湯《東醫寶鑑》「白朮・陳皮・半夏・白茯苓各1銭、香附子・縮砂・木香・枳実・藿香・厚朴・白豆蔲各7分、甘草3分、生姜3、大棗2」水煎服。◎陰伏陽蓄の痞満を治す。
香砂養胃湯【中成薬】《中薬臨床応用》「縮砂3g、党参12g、白朮12g、蒼朮9g、厚朴6g、陳皮3g、香附子6g、草豆蔲3g、茯苓9g、生姜9g、甘草3g、大棗8g」水煎服。◎脾胃虚寒による妊娠中の嘔吐。◎切迫流産
香砂養胃湯[1-3]《万病回春》《漢方後世要方解説》「白朮・茯苓各3、蒼朮・厚朴・陳皮・香附子・白豆蔲・人参各2、木香・縮砂・甘草・大棗・生姜各1.5」
◎脾胃和せず飲食を思わず、口味を知らず痞悶して舒びざるを治す。◎此れ「四君子湯香砂平胃散白豆蔲・木香」平胃散は脾胃の湿痰を除き、食滞を消す。四君子湯は脾胃を補い食を進む。乃脾虚冷して食せず、胸冷え胃中寒痰あるものを治す。
◎此方は中焦胃の気を助け、胃中に停滞する気を順らし、胃口を温め開く剤である。脈も力なく、心下軟弱の中に少し塞る気味あって暗然と膨満し、飲食進まず、或いは吐利し易き者によい。
又、諸熱病後の食欲不振、急性胃腸炎後の疲労、食欲不振、胃腸虚弱者の養生薬として用いられる。 ◎小児の発育不良、飲食進まざる者に体質改善薬として長服せしめるものによい。「人参・白朮・茯苓」=胃の不足を補い「蒼朮・厚朴・陳皮」=胃の有余を平かにし、「香附子・木香・縮砂」=胃の気を開く「白豆蔲」=胃の気を増し、嘔を止む。
香砂養胃湯[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「人参・木香各1.5g、白朮3.0g、陳皮・茯苓・厚朴・蒼朮・縮砂・香附子・甘草各2.5g、白豆蔲・大棗各2.0g、干姜1.0g」◎胃腸障碍、食欲不振、味が分からず、胃部がつかえ苦しくて胸がすかない者。
★適応症及び病名(香砂養胃湯)[1]胃アトニー[2]胃炎[3]胃潰瘍: ☆潰瘍後の食不通《矢数道明》[4]胃拡張[5]胃下垂 [6]陰痿:☆胃腸虚弱者のインポテンス《矢数道明》[7]食欲不振:☆病後の食不振《矢数道明》☆熱状去り、或いは大勢決して後、食欲が進まず、何となく元気がない者《矢数道明》[8]肺結核:☆結核などで、大熱なく、非活動性の者《矢数道明》[9]慢性胃炎:☆胃腸虚弱者の養生薬
☆胸が冷えて痞え、食欲進まず、風邪を引きやすく、夏やせし、下痢しやすい者《矢数道明》[10]慢性腸炎:☆心下空虚で、温かい手で触ってもらいたがり、下痢し易く、又腹痛泄瀉する者《矢数道明》
香砂六君子湯[1-1]《内科摘要》《古今方彙》「六君子湯香附子、藿香、砂仁」◎脾胃虚弱にて飲食少しく思い、或いは久しく瘧痢を患いて若し内熱を覚え、飲食化し難く、胸膈痞悶、心腹脹痛、嗁気呑酸等の症あるを治す。◎脾胃虚弱、而して宿食、痰気を兼ね、飲食進まず、嘔吐悪心、或いは泄痢の後脾胃調わず、或いは風寒病の後に余熱退かず、咳嗽止まず、気力弱き者を治す。
香砂六君子湯[1-2]《東醫寶鑑》「香附子・縮砂(研)・厚朴・陳皮・人参・白朮・白芍(炒)・蒼朮(炒)・山薬(炒)各1銭、炙甘草5分、生姜3片、烏梅1」水煎服。
◎脾泄を治す。 香砂六君子湯[1-3]《名医方論》《中薬臨床応用》⇒「健脾和胃湯」「木香3g(後下)、縮砂5g、製半夏9g、党参9g、白朮9g、茯苓9g、甘草3g」水煎服。◎慢性消化不良◎病後で消化吸収力が低下◎食欲不振、腹が苦しい
香砂六君子湯[1-4] 《漢方治療の実際》「人参・朮・茯苓・半夏各3、陳皮・香附子各2、大棗・生姜各1.5、甘草・縮砂・藿香各1」 香砂六君子湯[1-5]《内科摘要》《龍野ー漢方処方集》「半夏6.0g、陳皮・人参・白朮・茯苓・香附子各3.0g、?香・縮砂・大棗・生姜各2.0g、甘草1.5g」◎胃腸が虚弱で宿食痰気を兼ねて食欲不振、嘔吐、悪心、或いは下痢後胃腸の具合が悪く、或いは熱病後微熱が取れず咳が止まらず気力が弱い者。◎老人虚弱者などが食後になると至って眠くなり頭も重く手足がだるく気が塞がる者。◎腹満、噫気、呑酸。◎此方は後世にては尊奉する剤なれども、“香砂”の能は開胃の手段なりて別に奇効なし。但し、「平胃散」に加えるときは消食の力を速やかにする。「六君子湯」に加えるときは開胃の力を増すと心得べし。《勿誤薬室方函口訣》
◎老人、虚人、食後眠くなり、頭重、手足倦怠、気塞がる者、此方に宜し。至って重き者半夏白朮天麻湯に宜し。◎この方は六君子湯の証に似て、みずおちのつかえひどく、気鬱の症状の有る者に用いる《大塚敬節》
★適応症及び病名(香砂六君子湯) [1]胃アトニー:☆胃内停水があり、食欲無く、食後胃もたれ、或いは嘔吐する者《矢数道明》[2]胃潰瘍:☆吐血止んで後徐々に与える《矢数道明》[3胃ガン:☆末期に至らない中に、この方で苦痛の一時軽快する場合がある《矢数道明》[4]胃酸過多症
[5]下痢(慢性の下痢・消化不良、脾泄)[6]減酸症[7]食欲不振:☆病後食欲不振の者《矢数道明》☆諸病熱去り、病勢収まってから使う《矢数道明》[8]中風:☆虚弱者、老人、養生薬として《矢数道明》
[9]肥満:☆虚胖:「麦芽倍加」 [10]慢性胃腸炎:☆常に胃腸弱く、下痢を起こしやすく、冷え症にて、食欲の進まない者《矢数道明》[11]慢性腹膜炎:☆腹水、無熱の者に奏効することあり《矢数道明》[12]癰疽:☆癰疽の後、回復期に用いる《矢数道明》
香砂理中湯《医燈》 「木香 縮砂仁 乾姜 白朮 人参 甘草」「理中湯木香・砂仁」 ◎脾虚気滞、あるいは外寒を受け、泄瀉腹痛し、温を喜ぶ、あるいは嘔吐、胸膈満悶、腹腸雷鳴などの証を治す。
香砂和中湯《寿世保元》《古今方彙》「藿香・砂仁各1銭2分、白朮・蒼朮各1銭半、厚朴・陳皮・半夏・茯苓・枳実・青皮・神麹・山楂子各1銭、甘草3分、生姜」水煎。
◎病人初起、心腹腸満が食傷に因りて脾胃湿痰、気鬱食積し而して脹を作すなり、此湯に宜し。 香児散《東醫寶鑑》「麝香5分、葱白1根の汁、孩児茶3銭半、琥珀2分半」を作末し、百沸湯に葱汁を入れたもので、空腹時に服用。
◎血淋・沙淋・膏淋を治す。
香茸丸《東醫寶鑑》「乳香3銭、鹿茸(燎去し酥灸黄)5銭、肉豆?1両、麝香2銭」を細末にし、陳米飯で梧子大の丸剤。50丸を米飲で服用。 ◎酒泄を治す。◎飲食と酒で身体を壊し骨だけ残り、食べられず、酒だけ飲んで長年治らない者。
香薷飲[1-1]《和剤局方》 「香薷5g、厚朴6g、白扁豆(炒)18g」水煎服。◎夏期に、寒冷の環境に居住or生冷物を食べて、悪寒・発熱・無汗・腹痛・嘔吐・下痢などの胃腸型感冒。◎腹痛・下痢・頭痛・発熱・悪寒・無汗:「香薷散異功散・白芍薬・車前子・陳米100粒、烏薬1、燈心1」 (夏に水様にひどい下痢・脈弱)
香薷飲[1-2]《東醫寶鑑》「香薷3銭、厚朴・白扁豆各1銭半」酒を少し入れ、水煎し冷服。 ◎一切の暑病・霍乱・吐瀉・昏塞して気が切れようとする症。◎中暑に霍乱・吐瀉して腹痛、四肢が冷えるとき。
香薷飲《和剤局方》《古今方彙》「香薷2両、厚朴・白扁豆(炒)・茯苓各1両、生姜、黄連(炒)を加えて「黄連香薷飲」と名づく。水煎し熱し涼水を以て沈め冷服す。
◎暑に伏し、飲を引き、口燥、咽乾、或いは吐し、或いは瀉しもしくは卒中昏冒倒仆、角弓反張、人事を省わかにせず、手足は搦を発するを治す。これ暑風となし風となすべからず、これを治するには当に此方に?活を加えこれを治すべし。
◎搦あれば:「?活」 ◎瀉痢には:「白朮茯苓」 ◎脈虚弱には:「人参五味子麦門冬」 ◎虚汗止まざるには:「黄蓍白朮」 ◎心煩には:「山梔子黄連(姜炒)辰砂末」 ◎胸脹には:「枳殻桔梗」 ◎痰を挟む:「天南星半夏」 ◎虚すれば:「人参黄蓍」 ◎小便不利には:「赤茯苓滑石」 ◎嘔吐すれば:「?香珍ぽい生姜汁」 ◎渇すれば:「葛根括楼根」
香?解毒湯《寿世保元》《古今方彙》 「香?・厚朴・白扁豆・山梔子・黄連・黄柏・黄?各2銭」水煎。 ◎夏月、暑に中り危篤而して大便下血する者を治す。
香?朮丸《僧深集方》 「香?、白朮」 香?湯《医方考》《東醫寶鑑》 「香?3銭、白扁豆・厚朴・赤茯苓各1銭半、甘草5分」水煎服。
◎暑病と吐瀉を治す。 香?湯《医方考》《古今方彙》 「香?、白扁豆、厚朴、茯苓、甘草」 ◎瘧発する時に独り熱して寒無き者を?瘧という。当に之を責むべし。暑には此 方之を主どる。
香椒散《東醫寶鑑》 「香附子・川椒・破故紙各2銭、?撥1銭」作末し、炒塩2銭を入れて牙上 にすりつける。 ◎冷症の歯痛を治す。
香参丸《種福堂公選良方》 「苦参、木香」 香蘇散[1-1]《和剤局方》《中薬臨床応用》 「香附子6g、紫蘇葉6g、陳皮3g、甘草3g、生姜9g、大棗5g」水煎服。 ◎老人、小児の感冒の軽症。
香蘇散[1-2]《東醫寶鑑》 「香附子・紫蘇葉各2銭、蒼朮1銭半、陳皮1銭、炙甘草5分を?作1貼し て、生姜3・葱白2茎を入れ、水煎服。」
◎四時(季節)の傷寒で頭痛・身疼・発熱・悪寒。及び時汗温疫を治す。 香蘇散[1-3]《東醫寶鑑》 「香附子3銭、紫蘇葉2銭半、陳皮1銭半、蒼朮・甘草各1銭」?作1貼し 「姜3、葱白2」入れ水煎服。 ◎四時の瘟疫。
香蘇散[1-4]《万病回春》《古今方彙》 「紫蘇葉2銭、香附子3銭、陳皮3銭、甘草5分、生姜、葱白」水煎。 ◎四時傷寒、瘟疫にて頭疼、寒熱往来及び内外両感の症を治す。 ◎春月病を得れば此方に宜し。 ◎頭痛には:「川?白?細辛」《寿世保元》 ◎汗を発するには:「麻黄蒼朮」 ◎咳嗽には:「杏仁桑白皮」 ◎痘疹未だ成ならざるには:「升麻葛根」 ◎痢疾には:「枳殻黄連」 ◎瘧疾には:「檳榔子草果」 ◎泄瀉には:「白朮茯苓」 ◎悪寒潮熱には:「桂枝麻黄」 ◎身疼には:「?活烏薬」 ◎胸膈拘攣するには:「木香檳榔子?活木瓜」=「檳榔散」 ◎口渇には:「乾葛」 ◎食を挟むには:「山?子神麹」
香蘇散[1-5]《和剤局方》《漢方後世要方解説》 「香附子3.5、紫蘇葉1.5、陳皮3、甘草1、生姜1」 大人1日量、食前1時間、3回に分けて温服。 ◎本方は局方には生姜がない。
◎禁忌・・・本方は皆発散耗気の剤であるから、全身衰弱の候現れ、気血ともに虚したもの、あるいは既に発汗あるものなどには禁しむべき。 [主治] 《寿世保元》 “四時の傷寒瘟疫頭疼、寒熱往来及び内外両感の症を治す。春月病を得て、 宜しく此方を用いるべし” 瘟疫(ウンエキ)=素問陰陽大論に冬時厳寒の毒肌膚に蔵れ。春に至って変じ て瘟病となるをいう。一種の流行病である。 《医方集解》 “四時の感冒、頭痛発熱、或いは内傷を兼ね、胸膈満悶し、噫気して食を 悪むを治す”
《和剤局方》 “四時ノ瘟疫傷寒ヲ治ス” [目標] 《勿誤薬室方函口訣》 “此方は気剤の中でも揮発の効があり、故に男女共気滞して胸中心下痞塞し、黙々として飲食を欲せず、動作にもの憂く脇下苦満する故、大小柴胡湯など用いても、反って激する者、或いは鳩尾がきびしく痛み、昼夜悶乱して建中・瀉心類を用いても寸効無い者に与えて、意外の効を奏す。昔西京に一婦人がいて、心腹痛を訴え諸医手を尽くしても癒すことが出来ず、一老医此方を用い。3貼で消え去った。”
“其の昔征韓の役、清正の医師が此方で兵卒を治療したのも、気鬱を揮発させんが為です。局方記載の主治に限らず用いることが出来ます。” “蘇葉はよく食積を解します。故に食毒魚毒より起きる腹痛、又は喘息に紫蘇を多量に用いれば即効があります”
《医療手引草》 “此薬感冒の軽症に用いる。局方には此方は白髪老人、一人の富裕家に教 えて疫癘(エキレイ、はやり病)を治したこと始まるとあるので、時疫の薬だ が、今では此薬を好んで時疫に用いることはない。しかし香りが良い薬 なので、春時瘟疫の軽症に用いる。” “気滞して胸膈落ち着かず、或いは頭痛する者を主治する。又能く食毒を 解す。食傷と食毒は少し異なる。食傷は医者も病家も皆が常に知ってい る。食毒は食物によって忽然と悶乱し、胃が激痛するもので此方が主 る。友松子は、「夾食夾気ノ感冒、常ニ之ヲ用イテ甚ダ効アリ」と言っ ている” 《餐英舘療治雑話》 “此方気滞の感冒に非ざれば效なし、用ゆべからず。気滞を弁ずるあらま しを云はば、劉立子曰く、手を下して脈沈即気滞を知る。沈極まれば即 ち伏とす。凡そ病人さまで形気虚候も見えず、起居動作もさのみ衰へず、 唯気重なる病人、脈沈伏せざるも至って細小なる者、是気滞なり。気滞 を弁ずるの脈、此より善なるはなし。証を以て弁ぜんとならば、心下痞 し、肩張り、或いは痰気あり、或いは平生呑酸雑あり、或いは朝起れ ば温々として嘔吐あり。或いは何となく気をふさぐの類は皆気滞なり。 平常斯様の証ある人感冒せば、此方效あらずと云うことなし。又感冒せ ずとも耳鳴、頭鬱冒し、頭痛、眩暈等の証ある者、此方を用ふる標的也。 以上の証婦人に甚だ多し。又婦人手足麻痺、身体疼痛する者気滞なり。 此方に宜し。若し肝鬱を兼ね脇下攣急あり、或いは少しく寒熱あり、或 いは寒せず唯熱する等の証あらば、小柴胡湯を合わせて甚だ妙なり。又 牛山活套に曰く、婦女或いは勤労の士気鬱に因りて下血する証あり、当 帰を加えて效神の如し、と。血薬を服して験無き証など此方に眼を着く べし。凡そ血と見えて気あり、気と見えて血あり、虚と見えて実あり、 実と見えて虚あり。明弁すべし”
[薬能] 《方意弁義》 “此方は香附子、紫蘇大に入る故に香蘇散を名ずく。紫蘇を君とし、香附 子を臣とし、陳皮を佐とし、甘草を使とす。紫蘇は味辛く温にして皮膚 へ通ず。肺は皮毛に至りて風寒表に中れば肺気裏に鬱す。故に紫蘇は以 て表を発散し。香附子は辛く苦して裏に通ず。表を発して邪裏に残るこ とあり、故に辛を以て表へ発散し温を以て行らし、苦を以てあとに止ま りて、紫蘇とつれて裏に残る所を引きて大小腸へ下る。陳皮は佐となり て正気を佐け、流通して表へ発するは発し、裏へ逐うは逐うなり。甘草 は上の3味を以て発散すれば、陽気虚するに依って、風邪の又中り易し、 故に甘草の甘温はを以て気を助く。土生金の故に肺位を得て表気実する 故に皮膚堅固になるより甘草を入るなり。甘は潤ひを生じて物を散さぬ 故なり。婦人などの気鬱の症に宜し。酒などの過ぎて頭痛し、或いは鱠 魚(エソ)の類多く食して悪しきに宜し。如何となれば本草に紫蘇は魚の類 に宜しと云へり”
《医方口訣集》 “紫蘇辛芬気味質倶に軽し、能く汗を発して表邪を解す、夫れ邪気侵すと きは正気渋滞す。香附、陳皮(辛苦温、中を調へ、膈を快くし、滞を導 き、痰を消し、気を理し、湿を燥す。芳香性健胃利尿剤なり。今気滞を 順らすを目的とす)の辛温能く気を利し、滞を散ず。正気順利するとき は即ち邪自ら去る。甘草の甘平中を和して正を輔(たす)くるのみ”
[応用] 1.感冐: 気滞を兼ねた軽症の感冐で、脈沈あるいは細小、桂枝湯、葛根湯などよりも軽症なものに用う。特に春先流行の感冐によい。 先師森道伯翁は大正6年の流行性感冐の胃腸型に本方加茯苓・半夏各5.0、白朮3.0を用いて效を挙げた。
香蘇散[1-6]《漢方治療の実際》 「香附子4、蘇葉・陳皮各2、生姜3、甘草1.5」 原方には葱を用いることになっているが、これを入れないで良い。
香蘇散[1-7]《和剤局方》 「香附子3銭、紫蘇葉2銭、橘皮3銭、甘草5分」水煎服。 ◎四時の温疫傷寒、頭疼・往来寒熱する者。 ◎此方は気剤の中にても揮発の功あり。《勿誤薬室方函口訣》 「烏薬・乾姜」=「正気天香湯」《丹渓纂要》 ◎男女とも気滞して、胸中心下痞塞し、黙々として飲食を欲せず、動作に物憂く、 脇下苦満する故、大小柴胡湯などを用いても反って激する者。 ◎感冒その他の熱病で頭痛、発熱、悪寒する者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(香蘇散)[1]アレルギー性鼻炎[2]胃炎[3]胃腸虚弱 [4]胃腸神経症[5]胃腸型感冒[6]うるしかぶれ:☆漆瘡を治す:「紫蘇葉倍量」《方読便覧》[7]悪心
[8]咳嗽:「杏仁・桑白皮各3.0g」《龍野ー漢方処方集》[9]角膜炎:☆結膜炎・角膜炎などに本方のよいことがある《矢数道明》[10]かぜ☆桂枝湯・葛根湯が胸につかえるかぜに。《矢数道明》☆傷風:「沈香」《方読便覧》☆気滞を兼ねた軽症の感冒で、脈沈or細小、桂枝湯、葛根湯等よりも軽症な者に用いる。特に春先の感冒によい。先師《森道伯》翁は大正6年の流行性感冒の胃腸型に「香蘇散茯苓半夏各5.0、白朮3.0」を用いて效を挙げた。《矢数道明》[11]肩こり:
①気鬱。 ②頭痛・頭重。 ③胸中痞、心下痞塞、 ④腹痛 ⑤吐き気。☆気鬱からくる肩凝りに用いる《木村長久》[12]脚気:☆「川芎・木瓜・羗活・芍薬」《矢数道明》[13]感情不安定
[14]気鬱 <ウツ傾向>☆昔西京に一婦人あり、心腹痛を患う。諸医手を尽くして癒えること能わず。一老医此方を用いて3貼にて霍然たり。気鬱を揮発せしが故なり。但し《和剤局方》主治に泥むべからず。《勿誤薬室方函口訣》[15]気ちがい:☆狂乱とならんとする病の下地に用いて予防となる《矢数道明》[16]胸部痞塞感(胸の中心部)
[17]月経閉止:☆気滞気鬱による月経閉止に用いて奇効がある《矢数道明》[18]下血:☆気鬱による下血、血薬の奏効しない者の、当帰を加えて效がある。《矢数道明》[19]下痢
[20]眩暈[21]肩背強急[22]コレラ:☆番沙を治す:「薄荷荊芥」《方読便覧》[23]更年期のウツ病 [24]ジンマシン [25]臭覚喪失(匂いがわからない)[26]腫脹:☆脈微遅にして無力、衆以て不治と為す。《友益》之に「香蘇散附子」を与える。小便決するが如く出て、腫脹たちどころに消える。ある人その理由を問う。曰く、これ《黄帝内経素問》のいわゆる膚脹まる者、脈虚微と雖も病内に在らず、故に脈を捨てて証に従うなりと、《皇国名医伝》
[27]食あたり(魚肉で食中毒)☆蘇葉は能く食積を解す。故に食毒、魚毒より来る腹痛に効あり《勿誤薬室方函口訣》☆所謂魚毒に中った者、ジンマシンを発した者などに良い《矢数道明》[28]自律神経失調症
[29]神経症[30]神経衰弱:☆ヒステリーなど気鬱の人、胸膈妨悶を訴え、気重く、頭疼、身痛ある者に用いる《矢数道明》 [31]神経性胃炎 [32]心下痞
[33]頭重:☆登舟乗轎の頭疼目眩を治す。《牛山活套》[34]頭痛:☆「+川芎・細辛各3.0g、白芷2.5g」《龍野ー漢方処方集》 [35]舌苔
<微白苔>[36]喘息:☆紫蘇を多量に用いれば即効あり。《勿誤薬室方函口訣》[37]血の道症:☆心下痞え、肩こり、耳鳴、頭鬱冒、頭痛、眩暈などある婦人、気鬱に因するものに用いる《矢数道明》
[38]呑酸[39]妊娠中毒:☆孕婦六七ヶ月以来、両足腫大し、行歩困難、脚指間に黄水出るを治す。これ子気と名づく。:「+茯苓・白朮・烏薬・木瓜」《方読便覧》
☆妊娠気満、飲食消化する能わず、或いは胎気不和(妊娠のよる体調不良)なる者を治す:「+四物湯-地黄大腹皮」= 紫蘇和気飲《済生全書》[40]ノイローゼ:☆気厥、心胸に上湊し、胸脇痛み、或いは腹中結塊、発渇刺痛し、或いは眩暈、??、精神乏迫し、或いは酸水を嘔吐し、往来寒熱し、口苦からず、脈沈遅、或いは月水不調の者、此方大効あり。:
「+烏薬・乾姜」《雑病翼方》[41]発汗:「麻黄・白朮各3.0g」《龍野ー漢方処方集》[42]鼻つまり(鼻閉塞)[43]腹が脹る[44]腹痛:☆(神経性・迷走性)☆腹痛、灸刺諸薬効無きを治す:「木香」《本朝経験》☆諸薬無効の者:「青皮」姜煎。《先哲医話》☆妊婦大腹痛に:「青皮」姜煎。《先哲医話》
☆鳩尾できびしく痛み、昼夜悶乱して、建中湯の類を用いても寸効なき者に効を奏す。☆大小柴胡剤、建中湯、瀉心湯等で応じない腹痛(胃痙攣)に奏効することがある。《矢数道明》[45]不妊症:☆婦人、気は血より盛んに子無き所以を治す:「蘇葉茯苓」=抑気散《済世経験良方》[46]麻痺:☆婦人手足麻痺する者、多く七情鬱絡凝滞に致す所なり:「二陳湯烏薬」《高階枳園》[47]慢性副鼻腔炎[48]耳鳴り[49]薬煩:☆補薬、血薬、烏頭の類久しく用いる時は、時々本方を用いて気を順らし、薬気を発すれば薬煩することがない《矢数道明》[50]脈
<沈> 香白元《東醫寶鑑》「青州白元子・青木香元前陰」等分に作丸して姜湯で30丸飲む。◎厥涎が壅盛し、嘔吐が止まらず、大便が渋滞する者を治す。
香附瓜楼青黛丸《東醫寶鑑》「香附子・瓜楼・青黛」作末し芡実大の丸剤。毎回1丸を食後or就寝時に溶かして飲む。◎燥痰・欝痰・酒痰を治す。
香附丸《東醫寶鑑》「蒼朮3両、香附子1両、蘿葡子(炒)・瓜楼仁・杏仁・半夏各1両、黄芩・赤茯苓各5銭、川芎3銭」作末し姜汁糊で丸剤。淡姜湯で50~70丸飲む。◎食積痰嗽を治す。
香附芎帰湯《沈氏尊生書》《中薬臨床応用》「香附子9g、川芎5g、当帰12g、白芍9g、艾葉(炒)9g、熟地黄30g、麦門冬9g、杜仲9g、橘紅3g、青蒿6g、甘草3g」水煎服。
◎月経痛。
香附散[1]《東醫寶鑑》「香附子(炒)1両、枳穀7銭半、当帰・川芎各5銭、槐花(炒)・甘草各2銭半」を作末し、毎回3銭に生姜3、大棗2を入れて煎服。
◎腸風を治す。
香附散[2]《東醫寶鑑》 「香附子」毛を除いて砕き、醋で半日煮て焙り、作末して、毎回2銭、空腹時に米飯で調服する。 ◎五色の崩漏を治す。
香附散《沈氏尊生書》《中薬臨床応用》「香附子9g、山梔子6g、黄連3g、陳皮6g、法半夏6g」水煎服。◎気滞による疼痛◎慢性胃炎、十二指腸潰瘍
香附旋覆花湯《温病条弁》「香附子・旋覆花(布包)・茯苓・蘇子・製半夏各9g、薏苡仁15g、陳皮6g」水煎し3回に分服。◎脇痛、咳嗽、悪寒がない。
香朴飲子《東醫寶鑑》「香薷1銭半、厚朴・白扁豆・沢瀉・赤茯苓・陳皮・木瓜・半夏・人参・紫蘇葉・烏梅各7分、甘草5分、生姜3、大棗2」水煎服。
◎傷暑で吐瀉し、煩乱する症。
香朴湯《万病回春》《勿誤薬室方函口訣》「厚朴1両、木香3銭、附子7銭」◎老人の中寒下虚、心腹膨張し、飲食を喜ばず、脈浮遅にして弱なるを治す。此れ寒脹と名づく。◎此方は寒気腹満を治す。◎中寒或いは霍乱吐瀉の後、まま此の症あり。◎厚朴生姜甘草半夏人参湯の一等重き者と知るべし。
香朴湯《万病回春》《古今方彙》 「厚朴1両、木香3銭、附子7銭半、生姜、大棗」水煎。◎老人が中寒にて下虚し、心腹膨張し飲食を喜ばず、脈浮遅而して弱なるを治す。これ寒脹と名づく。
◎本方は《厳氏済生方》に出ず、「朴附湯」と名づく。 香螺膏《東醫寶鑑》「田螺3個、麝香少々」搗いて臍の上に貼る。◎臍風で腫が堅い者を治す。 香陸胃苓湯
香稜丸《東醫寶鑑》「三稜・檳榔各3両、山楂肉2両、香附子・蘿葡子・枳実・枳殻・莪朮・陳皮・青皮各1両、黄連・神麹・鼈甲・麦芽・乾漆・桃仁・硃砂・縮砂・当帰尾・木香・甘草各5銭」作末し醋糊で梧子大の丸剤。白湯で30~50丸飲む。◎五積・六聚・気塊を治す。
香苓散《世医得効方》《古今方彙》「五苓散辰砂妙香散」を和し匀しくして、「天門冬・麦門冬」の煎湯を用いて空心に調服す。 香連丸[1]《和剤局方》
「木香20g(とろ火で焼く)、黄連80g(去蘆)」 香連丸[2]《東醫寶鑑》 「黄連1両、呉茱萸5銭を水に浸して一晩おき、炒って呉茱萸は捨て、木香2銭半を作末し錯糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で20~30丸服用。」◎赤白膿血・下痢腹痛・一切の下痢を治す。
香連丸[3]《兵部手集方》【中成薬】「黄連60gを呉茱萸とともに炒り、呉茱萸を除いて木香15gを加え、作末して酢で丸にしたもの。 ◎下痢・腹痛・裏急後重に。
香連五苓散 香連化滞湯《寿世保元》《古今方彙》「当帰尾・白芍薬(生)・黄連・黄芩・黄柏・檳榔子・木香・枳殻・滑石・大黄・甘草」水煎し空心に熱服す。◎赤白痢疾、初起に積滞行らず、裏急後重、頻りに圊(=セイ、かわや)に登るを治す。而して少腹痛等の症を去る。
香連平胃散《和剤局方》 「木香40g、黄連80g(姜汁で炒る)、蒼朮320g、厚朴200g(皮を去る)、陳皮40g (泡立てて浮白を去る)、甘草40g(刻んで炙る)」
降気湯《元和紀用経》 ⇒桑白皮湯[2]《東郭》のこと。 「桑白皮6両、呉茱萸3両」
降気湯《東醫寶鑑》 「香附子(製)・茯神・甘草各1銭」水煎服。◎気欝に。 降心丹 「熟地黄・当帰・天門冬・麦門冬各3両、白茯苓・人参・山薬・茯神・遠志(製)各2両、肉桂・朱砂各5銭」を作末し、梧子大の蜜丸。人参湯で30丸ずつ服用。
◎心・腎の不足による健忘症。 降心湯《東醫寶鑑》「天花粉2銭、人参・遠志・当帰・熟地黄・白茯苓・黄蓍(蜜炒)・五味子・甘味子・甘草各1銭、棗2」水煎服。◎心火が上にあがり、腎水が出ず、煩渇し・飲みたがり、気血が日毎になくなる者を治す。
行気活血湯《中薬臨床応用》「枳殻6g、木香2.5g(後下)、縮砂3g、厚朴6g、香附子3g、赤芍9g、当帰尾9g、桃仁6g、紅花5g、蘇木6g」水・酒半分づつで煎服。◎打撲・捻挫による気滞血瘀。
行気香蘇散[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「紫蘇葉・陳皮・蒼朮・香附子・烏薬・川芎・羗活・枳穀・麻黄・甘草各1銭、生姜3片」水煎服。温めて服用。◎内に冷気を覚え、外に風寒を覚え、胸腹の痛む者。
行気香蘇散[1-2]《御纂医宗金鑑》《龍野ー漢方処方集》「紫蘇葉・香附子・麻黄各3.0g、陳皮・柴胡・白朮・川芎・羗活・枳殻各2.5g、甘草・干姜1.0g」◎内に生冷飲食、厚味堅硬の物に傷つき、肚腹脹満、疼痛し、外に風寒湿気に感じ、頭疼、身熱、憎寒し、遍身骨節麻木疼痛し、七情悩怒相冲し、飲食下らず、心腹気痛するを治す。◎此方は香蘇散の症にして、滞食を兼ね、邪気内壅して解せざる者に効あり。 《勿誤薬室方函口訣》 ◎急性熱病で頭痛身熱、関節痛、麻痺、疼痛し、飲食下らず腹痛する者。
行気香蘇散[1-3]《万病回春》《漢方後世要方解説》「香附子・陳皮・烏薬・羗活・川芎各2.5、紫蘇葉・麻黄・枳殻各2、生姜・甘草各1」《古今医鑑》は柴胡・蒼朮2.5を加う。
◎内ち生冷飲食厚味堅硬のものに傷られ、肚腹脹満疼痛し、外風寒湿気に感じ、頭疼身熱憎寒し、遍身骨節麻木疼痛し、七情悩怒相冲き、飲食下らず、心腹気痛するを治す。◎此方は、香蘇散方に更に順気化滞の烏薬、羗活、川芎、麻黄、枳殻を加えたものである。
◎此方は内傷と外感を兼ね、内には宿食停飲があり、気の欝滞を生じ、加うるに外風寒に感じて邪気内に閉壅し、心腹痛みを発し、且つ頭痛、悪寒、全身骨節疼痛等を発する者に用いる。又、熱無くとも雑病としては所謂疝気と称する腹中に宿疾があって気滞り、痛みを発し、腰脚に及ぶ者、婦人腹中に宿疾ありて月経毎に痛みを作す者等に用いられる。
「紫蘇・羗活・麻黄」=外邪を散ず「香附子・陳皮・烏薬・川芎・枳殻」=気を順らし滞を行る「甘草」=脾気を助ける。
[主治]《万病回春》“内ち生冷、飲食厚味、堅硬の物に傷られ、肚腹脹満疼痛し、外風寒湿気に感じ、頭疼身熱憎寒し、遍身骨節、麻木疼痛し、七情悩怒相冲き、飲食下らず、心腹気痛するを治す。”
《医方口訣集》 “内ち生冷厚味に傷られ、外風寒湿気に感じ、悪寒発熱、肚腹脹満疼痛等を治す”
[目標]《勿誤薬室方函口訣》“此方は香蘇散の症にして、滞食を兼ね、邪気内壅して解せざる者に效あり。往年金局吏、原健助なる者、平素疝塊あり、飲食之が為に化する能はず、時々外感して邪気遷延し、諸医、外感の薬を投じて解せず、余此方を与えて癒ゆ。後外感毎に此方にて百中す、後世の方策亦侮るべからず”
《漢陰噫乗》“一切気滞り、宿食腹痛の症に用ゆ。本と香蘇散より出たる方なれば、外感風寒の気を滞びらち。夫故主治に内傷と外感とを兼ねて説きたれども、たとえ外感の気はなくとも、一切気滞にかかり、或いは飲食に傷られ、腹脹痛する者に一切大いによし。酒食を過し、外風寒を受け、憎寒、壮熱、頭痛、腹痛等の症ある者によし。又疝気腹痛によし。とかく疝と云う者は気滞に腸胃の宿物を兼ねたる者多きが故なり。併し此方の効く症は皆何れも気を疎利してやれば治る症にて、宿滞あればと云ひて、大黄を用ひては反って激して悪し。此湯の加減の方を疝気偏墜に用いることあり。” “一人臍下大いに痛み、これを按ずれば快きを覚ゆ、諸薬効無し、予此を診して云う、此は疝気気鬱して痛みをなすものなりと、此湯を用ひて頓に癒ゆ。” “一男子、一夜酒食を欲しいままにして遂に宿滞となり、翌朝大腹痛忍ぶべからず。諸疎滌の薬を与えて益々劇し。此湯を用ひて速かに癒ゆ。”
“一婦人常に経行来らんとする前毎に必ず大腸痛を発して堪ゆべからず、かくの如きもの56年、毎月苦楚堪えず、諸血剤を用ゆるに功なし。予此湯を用ひて侍重して遂に癒えたり。”“此方偏墜(鼠径ヘルニア)初期憎寒疼痛、腹痛陰嚢にひき忍べからず、しきものは手足厥冷に至るものもあり。此湯を用ゆれば一時にひらけ、痛み止むもの也、神效あり。但し平生の偏墜の者には牡丹五等散を用ゆ。此方は一時発動する者をよく治するものなり。五積散も亦佳なり。症に臨んで撰び用ひてよし”
[薬能]《医方口訣集》“按ずるに、紫蘇、羗活、麻黄は外邪を散ずる所以なり、香附子、陳皮、烏薬、川芎、枳殻は気を順らし、滞を行らす所以なり。甘草は脾気を和するなり”
★適応症及び病名(行気香蘇散)[1]あごがはずれる:☆落架風:あごが外れに「木香」で奇効あり《矢数道明》[2]胃炎:☆食傷、急性胃炎。生冷厚味の物、胃内に停滞して、順化せず、肚腹脹満疼痛する者《矢数道明》
☆消化が悪い者:「山楂子・神麹各2.0g」 [3]感冒:☆往年金局吏原健助なる者、平素疝塊あり、飲食これが為化する能わず、時々外感して邪気遷延し、医、諸外感の薬を投じて解せず。余此方を与えて癒える。のち外感ごとに此方にて百中する。後世の方策あなどるべからず。《勿誤薬室方函口訣》
[4]筋肉リウマチ:☆感冒、リウマチ、風湿寒気、皮膚に鬱して順らず、寒熱止まず、遍身骨節疼痛する者《矢数道明》 ☆俗に平常肩がつまると云う者《矢数道明》[5]月経痛:☆経水が来ようとして腹痛する者。気滞の候あれば用いて良い《矢数道明》[6]泄瀉:☆久しき泄瀉で、跡に残るような気のするものに、スラリを順らしてよいことがある。《矢数道明》[7]疝気[8]乳房の痛み:☆婦人の乳腫痛に用いれば奇効あり《方輿輗-乳病門》☆婦人乳核の腫痛:「茴香・木香・莪朮・木通」《雑病翼方》[9]腸疝痛[10]へルニアの痛み:☆気鬱脱腸疼痛の時《矢数道明》
☆古名疝気といわれていたものの症で、胃腸の不安定によりガスが停滞し、大小便の通利が悪く、ヘルニアを起こし、腹部疝痛を起こすものに、この方がよいことがある(漢方診療医典)
行軍散《諸葛武候》 「牛黄・麝香・真珠・冰片・蓬砂各20g、雄黄32g、火硝1.2g、飛金20枚」 以上を細末にする。
行湿補気養血湯《万病回春》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓・当帰・白芍薬・川?各1銭、木通・陳皮・厚朴・大腹皮・蘿葡子・海金砂・紫蘇梗各8分、甘草(生)・木香各3分、生姜、大棗」水煎。
◎気血虚弱にて腹鼓脹し浮腫するを治す。◎血虚には:「当帰川?芍薬倍加」◎気虚には:「人参白朮茯苓倍加」◎小水短少には:「猪苓沢瀉滑石」◎服後に腫脹倶に退き、ただ面と足が消えざるはこれ陽明経の気虚なり:「白朮茯苓」
行湿補気養血湯《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「人参・白朮・茯苓・当帰・芍薬・川?各3.0g、木通・陳皮・厚朴・大腹皮・蘿葡子・海金砂・蘇葉・大棗各2.5g、甘草・木香・干姜各1.0g」◎気血虚弱、鼓脹、腹満、腹水、浮腫。★適応症及び病名
肝硬変腹水腹膜炎
行湿補中湯《寿世保元》《古今方彙》=[鼓脹門]の「補記建中湯」なり。◎気運らざるには:「木香木通」◎気下陥するには:「柴胡升麻」◎朝は急に暮れは寛ぐは気虚なり、:「人参白朮」
行湿流気飲《東醫寶鑑》「薏苡仁2両、白茯苓1両半、蒼朮・?活・防風・川烏(炮)・各1両」を作末し、毎回2銭を温酒又は葱白湯で服用。◎風・寒・湿気で麻木不仁し、手足が煩軟する者。
行和芍薬散《和剤局方》《龍野ー漢方処方集》「芍薬6.0g、当帰・黄連・黄芩各3.0g、大黄2.0g、檳榔子・木香・桂枝・甘草各1.5g」◎急性大腸カタルで粘液又は血便、腹渋り或いは裏急後重し、排便後下腹痛む者。
江鰾丸《証治準縄》 「天麻・雄黄各1銭、蜈蚣2匹、江鰾・白彊蚕各5分、野鴿糞5分」以上を合わせて細末とし、それを2つに分け、片方は飯で桐の実大に丸め、朱砂を衣とする。片方は巴豆霜1gを加え、飯で桐の実大に丸める。朱砂薬20丸に対して、巴豆を加えたもの1丸の割合で服用する。」
候氏黒散料《万病回春》 候氏黒散《金匱要略》「菊花40分、白朮10分、細辛3分、茯苓3分、牡蛎3分、桔梗8分、防風10分、人参3分、礬石3分、黄芩5分、当帰3分、乾姜3分、芎藭3分、桂枝3分」
右十四味、杵為散、酒服方寸匕、日一服、初服二十日、温酒調服、禁一切魚肉大蒜、常宜冷食、六十日止、即薬積在腹中不下也、熱食即矣、冷食自能助薬力。
中風歴節病脉證并治第五 ◎治大風、四肢煩重、心中悪寒不足者。◎《外台秘要方》風癲を治す。◎《徐霊胎》曰く、腸腹空虚なれば則ち邪留り易し、此れ空隙を満し、邪気をして容る能わざらしむ。◎此方は多味煩雑なれど中風の頭痛、眩暈甚だしき者に候あり。◎中風、四肢煩重、心中悪寒、或いは風癲。《龍野ー漢方処方集》
喉癬湯《華岡青州》 「桔梗・甘草各2銭、竜胆・射干各1銭、遺糧5銭、山豆根1銭」右六味、牛黄を送下す。「結毒喉癬一方《広算記》」に同じ。◎咽喉結毒の主方とす。《勿誤薬室方函口訣》◎咽喉の毒は、此方及び「桔梗解毒湯」「紫金丹」「五宝丹」にて治すれども、その劇甚に至りては薫薬に非ざれば験なし。《勿誤薬室方函口訣》
喉痛方《中薬臨床応用》「鹹竹蜂5匹、屈頭鶏9g、夏枯草15g、風栗殻6g」豚肉(赤身)と煮てスープを服用。◎嗄声◎咽喉部の腫脹疼痛◎嚥下困難◎肺熱
厚朴温中湯《内外傷弁惑論》《東醫寶鑑》「乾姜(炮)2銭、厚朴・陳皮各1銭半、赤茯苓・草豆蔲(煨)各7分、木香・炙甘草各5分、生姜3、大棗2」水煎服。
◎客寒が胃を犯し、心腹が冷えて、脹って痛むとき。 厚朴温中湯《内外傷弁惑論》《中薬臨床応用》「茯苓9g、厚朴・陳皮・乾姜各6g、木香(後下)・甘草各3g、草豆蔲2.5g」◎腹部膨満で寒象がある者。
厚朴丸《東醫寶鑑》「万病紫菀丸に同じ。毎回3~5丸姜湯で飲む。」◎吐いて痛む者を治す。
厚朴枳実湯《東醫寶鑑》「厚朴(姜製)・訶子皮(半生半熟)・枳実(麩炒)各2銭、木香1銭、大黄6分、黄連・炙甘草各4分」水煎服。 ◎虚滑が長い間治らず、痢疾となるのを防ぐ。
厚朴橘皮煎《東醫寶鑑》「厚朴3両、枳殻・乾姜・良姜各1両2銭、青皮・陳皮・肉桂・全蝎各7銭」作末し、醋糊で梧子大の丸剤。生姜橘皮湯で30~50丸飲む。◎冷えて腹が脹満し、喘息する者を治す。
厚朴三物湯《金匱要略》 「厚朴8両、大黄4両、枳実5枚」右三味、以水一斗二升、先煮二味、取五升、内大黄煮取三升、温服一升、以利為度。◎痛而閉者、厚朴三物湯主之。
厚朴三物湯証=痛みて閉づ。《薬徴》←厚朴 [痛みて閉づ]=腹が痛んで大便が出ない。 厚朴三物湯条に、腹満の証なし。此の湯は即ち大承気湯にして芒硝なきものなり。然れば則ち腹満の証あるや知るべきのみ。その芒硝なきものは、堅塊なきを以てなり。◎厚朴三物湯の証に曰く、痛んで閉する者と、此方は大承気湯にして芒硝なきものなり。痛んで閉する者は自ら腹満せざるを得ず。是れ厚朴八両を用うる所以なり。其の芒硝なきは燥屎、煩躁等の証無きを以てなり。《重校薬徴》◎腹痛し、痛んで閉ざす者は、厚朴三物湯之を主どる。《医聖方格》◎諸病、大承気湯を服すること能わざる者は、宜しく此湯を以て消塊丸を送下すべし。毎服1銭(約4g)《類聚方広義》◎厚朴三物湯、痛んで閉する者。按ずるに、腹満して痛み、もし大便実する者は、「小承気湯」に宜し、行気の中に蕩実(病邪を揺り動かす)の法を兼ね、以て病根をのぞく。《雑病翼方》◎腹痛、便秘、腹満。
★適応症及び病名(厚朴三物湯)[1]イレウス[2]嘔吐[3]悪心[4]急性腹症[5]下痢:☆<炎症性>☆痢病、腹満甚だしくして、裏急後重する者を治す《類聚方広義》[6]胸満[7]心下満痛:☆心下に溜飲ありて胸満、便秘し、時々心下部疼痛し、或いは溜飲を吐出し、脈実なる証《奥田謙蔵》[8]腹痛:☆<激しい>
[9]腹部膨満:☆<激しい>☆腹満して便秘し、脈沈実成る証《奥田謙蔵》☆腸管内に多量のガスありて腹満し、便閉し、脈賃実なる証《奥田謙蔵》[10]便秘
厚朴七物湯《金匱要略》 「厚朴半斤、甘草3両、大黄3両、大棗10枚、枳実5枚、桂枝2両、生姜5両」 右七味、以水一斗、煮取四升、温服八合、日三服。嘔者加半夏五合、下利去大黄、寒多者加生姜至半斤。
◎病腹満、発熱十日、脉浮而数、飲食如故、厚朴七物湯主之。 厚朴七物湯《金匱要略》《漢方治療の実際》「厚朴6、甘草・大黄各2、大棗・枳実各2.5、桂枝1.5、生姜3」
厚朴七物湯《金匱要略》◎腹満発熱し、上衝し、嘔する者を治す。《吉益東洞》◎此方は「桂枝去芍薬湯小承気湯」にて、発熱と腹満が目的なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎《世医得効方》に陽実陰虚、陽盛んならば外熱を生じ、陰虚すれば内熱を生ず。陰虚して宣通すること能わずして、飲食故の如く、脹満熱脹為すと云うが如く、陰虚する故に陽気浮いて発熱あり、脈も浮なり。是表邪に非ず、又実満に非ず、方中の桂枝はただ陽気を発起して外表へ出す為なれば、即ち太陰温下の一方とすべし。《勿誤薬室方函口訣》◎按ずるに、此方能く寒実腹脹を治す。《雑病翼方》
◎腹満、発熱し、上衝して嘔吐する者を治す《方極附言》 ◎腹満、脉浮数、飲食平常通りの者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(厚朴七物湯)[1]嘔吐[2]悪風[3]乾嘔[4]感冒<胃腸型>[5]気の上衝<+>[6]急性胃腸炎[7]下痢:☆<炎症性>☆痢疾、腹満、拘急し、発熱し、腹痛劇しくして嘔なる者を治す。《類聚方広義》☆下痢性疾患にして、腹部膨満し、或いは発熱を兼ねる証《奥田謙蔵》[8]呼吸困難[9]食中毒:☆傷食吐下の後、胸中爽快ならず、乾嘔し腹満し、或いは頭痛して熱ある者を治す《類聚方広義》[10]頭痛[11]のぼせ[12]虫垂炎[13]腸チフス
[14]発熱 [15]腹痛[16]腹部膨満:☆<熱っぽい>☆腹部膨満して煩悶し、脈浮にして数なる証《奥田謙蔵》[17]腹膜炎:☆腹膜炎等にして、腹満強く、胸内圧迫感及び呼吸困難あり、なお便秘の傾向ありて、脈浮数なる証《奥田謙蔵》[18]便秘:☆鼓脹ありて便秘する証《奥田謙蔵》
[19]裏急後重 厚朴生姜半夏甘草人参湯《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》「厚朴・生姜(必ずひねショウガ)・半夏各8.0g、甘草2.0g、人参1.0g」水400ccを以て煮て120ccに煮詰め3回に分服。◎胸腹満して嘔する者を治す。《吉益東洞》◎胸腹満ち、心下痞硬して、嘔吐する者を治す《方極附言》◎病人、疲労し、腹虚満して嘔吐する者は、厚朴生姜甘草半夏人参湯之を主どる《医聖方格》◎此方は中気虚して腹満する者を治す。故に古人は太陰の主方とす。《勿誤薬室方函口訣》◎厚朴七物湯や厚朴三物湯の跡に用ゆることあり。◎平胃散の虚症に与えて効あり。《勿誤薬室方函口訣》◎発汗後虚証の腹脹満。
★適応症及び病名(厚朴生姜半夏甘草人参湯)
[1]噫気[2]胃ガン[3]胃拡張[4]胃下垂[5]胃切除後の通過障害[6]胃腸炎(急性・慢性)[7]嚥下困難[8]顔色悪い[9]霍乱:☆霍乱、吐瀉の後、腹なお満痛し、嘔気有る者を治す。腹満は、所謂実満に非ざる也《類聚方広義》[10]嘔吐:☆胃虚して嘔逆し、痞満して食せざるを治す《張氏医通》[11]悪心[12]下痢:☆泄瀉後の腹脹を治す《喩嘉言》[13]食道ガン[14]食欲不振:☆熱候なく、腹虚満して微煩し、食欲著しく減退する証《奥田謙蔵》[15]呑酸[16]疲労倦怠
[17]腹部脹満:☆熱候なく、胸腹膨満を覚えて食を欲せず、その脈弦遅なる証《奥田謙蔵》[18]腹膜炎[19]便秘[20]幽門狭窄[21]羸痩
厚朴煎《東醫寶鑑》 「厚朴・生姜各5両、白朮・神麹・麦芽・五味子各1両」を黄色になるまで炒って、作末し糊で梧子大の丸剤。米飲で100丸を服用。
◎血便・下血。 厚朴湯[1-1]《医学入門》 「大承気湯檳榔・良姜」 ◎腹部脹満を治す。 厚朴湯[1-2]《聖済総録》 「大承気湯檳榔・良姜」
◎乾霍乱を治す。◎霍乱裏熱に治法に属す。《雑病翼方》
厚朴湯[2]《東醫寶鑑》「厚朴・陳皮各2銭、赤茯苓・乾姜(炮)・甘草(炙)各1銭」水煎服。 ◎虚寒のため心腹がはって痛む症。 厚朴湯[3]《東醫寶鑑》「白朮2銭、厚朴1銭3分、陳皮・甘草各1銭、半夏(麺)9分、枳実8分、生姜3、大棗2枚」水煎服。
◎大便の虚秘を治す。 厚朴湯[4]《張潔古方》「厚朴・白朮・陳皮・半夏麹・枳実・甘草」 厚朴人参湯《外台秘要方》「高良姜湯《備急千金要方》桂枝橘皮・人参・?香」◎霍乱心腹痛、煩嘔止まざるを療す。
厚朴半夏湯《東醫寶鑑》「厚朴3銭、人参・半夏各1銭半、甘草7分半、生姜7片」水煎服。 ◎傷寒で発汗した後に、腹が脹満する症。 厚朴麻黄湯《漢方治療の実際》「厚朴4、麻黄3、石膏10、杏仁・半夏各4、乾姜・細辛各1.5、小麦10、五味子3」
厚朴麻黄湯《金匱要略》《龍野ー漢方処方集》「厚朴・半夏各5.0g、麻黄・杏仁各4.0g、石膏10.0g、乾姜・細辛各2.0g、小麦14.0g、五味子3.0g」
水480ccを以て、先ず小麦を煮て熟さしめ、滓を去り、他の諸薬を入れて煮直して120ccに煮詰め3回に分服。◎此方は「小青竜加石膏湯」に似たる薬なれども降気の力を優とす。◎溢飲を主とするは「小青竜加石膏湯」を宜しとす。◎射干麻黄湯:熱なき 厚朴麻黄湯:熱強く脈浮◎咳して脉浮の者。
★適応症及び病名(厚朴麻黄湯)
[1]気管支炎[2]喘息: ☆喘息上気に用いて効あり。[3]百日咳 厚朴麻黄湯加減《中薬臨床応用》「茯苓12g、杏仁9g、厚朴6g、麻黄・製半夏・甘草各3g、五味子・淡乾姜・細辛各1.5g」 ◎痙攣性気管支炎。
厚腸丸《東醫寶鑑》「枳実・麦芽・神麹末各5分、橘紅・半夏・蒼朮・人参各3分、厚朴・青皮各2分」作末し、麹糊で麻子大の丸剤。温水で20~30丸飲む。◎乳・食積による腹のふくれ、痩弱の者を治す。
高枕無憂散《東醫寶鑑》 「人参5銭、石膏3,陳皮・半夏・白茯苓・枳実・竹茹・麦門冬・竜眼肉・甘草各1銭半、酸棗仁(炒)1銭」を2回に分けて、煎服。
◎神魂の不安・驚悸不安・不眠症。 高枕無憂散《万病回春》《古今方彙》「陳皮・半夏・茯苓・枳実・竹茹・麦門冬・竜眼肉・石膏各1銭半、人参5分、甘草1銭半」水煎し温服。◎《寿世保元》には酸棗仁ありて竜眼肉なし。◎心胆虚怯して昼夜睡らざるを治す。
高良姜湯《備急千金要方》《龍野ー漢方処方集》「高良姜5.0g、当帰・黄連・黄芩各3.0g、大黄2.0g」◎卒に心腹絞痛、刺すが如く、両脇支満、煩悶忍ぶべからざるを治す。◎此方は「心腹絞痛」を主とす。《勿誤薬室方函口訣》◎故に、ただ腹痛のみにては効無し。少しにても心にかかるを目的とす。且つ痛み激しきほどよろしきなり。◎急に上腹部が劇痛し、両脇が支満煩悶する者。◎腹満なき者は、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」「真武湯」などの之く処とす。◎貧血足冷え下痢する者。
★適応症及び病名(高良姜湯)[1]胃痙攣:☆胸より腹にかけて絞痛あるもの寒症のものなり。いわゆる胃痙攣の一証であるが、胃痙攣には「解急蜀椒湯」又は「千金当帰湯」があるが、 本方は嘔気なく、少しく腹が張る気味のある症なり《済世薬室》[2]胃痛:☆<劇痛>☆大建中湯の治すること能わざる処に奇中す。《勿誤薬室方函口訣》☆「良姜」は温中の効あり。安中散に伍するは是と同じ。「乾姜」に比すればその力一等優なり。[3]下痢:☆肝経寒を受けて、面色青惨、厥して泄痢する者を治す。
☆虚寒下痢腹痛の症、真武湯などにて効無き者を治す。[4]胆石症[5]腸カタル
高良姜湯《外台秘要方》 「良姜・桂心」◎霍乱、吐利、転筋、腹に入るを治す。《雑病翼方》 孔子大聖枕中湯《東醫寶鑑》 「亀板・竜骨・遠志(姜製)・石菖蒲」各等分を粉末。1回に2銭酒で服用。1日3回。
◎聡明にする。 洪辰丹《東醫寶鑑》「鹿茸(酥炙)・当帰・山茱萸各4両、麝香5銭」細末にし酒麺糊で梧子大の丸剤。温酒or塩湯で70~100丸飲む。◎五臓・百病の保健薬。
交加散《東醫寶鑑》「五積散1/2敗毒散1/2」◎風寒感冒に。◎五積散は性が温で、敗毒散は性が涼の薬で、軽い風邪には両方を各半分づつ合わせて煎じると、邪気が自然と消える。
交感丹《東醫寶鑑》「香附子1片を長流水に3日間漬け(炒)、茯神4両」作末し蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸づつ降気湯で服用。◎諸気が欝結し、公私のことがうまくいかず、何事も成就せず煩悩し、七情が傷み食欲無く、顔色黄色、胸痛に堪えかねる者を治す。
交解散《東醫寶鑑》 「解飲子」に同じ。 ◎寒瘧を治す。 交接快方《洞玄子》 交泰丸《韓氏医通》 「黄連、肉桂」 交泰丸《東醫寶鑑》「大黄を、当帰・紅花・呉茱萸・乾漆各1両煎じ湯で、一昼夜漬けて切って乾燥、酒でかき混ぜて乾かすこと9回蒸し9回晒して4両、黄連(姜汁浸黄土炒)・呉茱萸(湯泡炒)各2両、枳実1両、当帰尾(酒洗)1両3銭を作末し、姜汁で煎じた神麹糊で緑豆大の丸剤。白湯で70~80丸飲む。◎胸中の痞満・雑を治す。◎大便の通じがよいと脈中は快く、悪いと胸中が痞悶でたまらない者を治す。
交藤飲《中薬臨床応用》「夜交藤30g、酸棗仁15g、柏子仁6g、竜眼肉9g」水煎服。◎夢をよく見て驚きやすい。 控涎丸 「白彊蚕を姜汁に一晩漬けたもの・川烏・生半夏各15銭、全蠍7枚、鉄粉3銭、甘遂2銭半」を作末し、姜汁糊で緑豆大に丸め、朱砂で衣をつけ、姜湯で毎回15丸服用。
◎癇疾患が長くなり、雑病が発生したとき。
控涎丹[1-1]《三因極一病証方論》 「甘遂 大戟 白芥子」 ◎痰飲病・胸背手足の疼痛・昏倦多唾・食不味。 控涎丹[1-2]《三因極一病証方論》《中薬臨床応用》「大戟・甘遂・白芥子」各等分。作末しカプセルに入れて、第1日目は1.5g、以後は0.3gづつ全量3gになるまで加え、「大棗8~15g」の煎液で早朝空腹時に服用。5~6日間用いる。◎本糊丸、今煉蜜服とし、更に効あり。《勿誤薬室方函口訣》◎凡そ人忽ち胸背手脚を患い、頸項腰痛忍ぶべからず、筋骨に連なって、牽引釣痛し、座臥寧からず、時々走易定まらず。俗医さとらず、之を走注と謂い、便ち風薬及び鍼灸を用いる。みな益無し。◎又是を風毒結聚し癰疽を為さんとすと疑い、薬貼を以てするも亦非なり。
◎此すなわち痰喘心膈の上下にあり、変じてこの疾を為す。或いは頭痛み挙ぐべからず、或いは神意昏倦、多睡、或いは飲食無味・痰唾粘稠、夜間喉中鋸声の如く、多く唾涎を流す。手足重槌、冷痺、気脈通ぜず。誤り認め、??と為す。亦非なり。◎凡そ此の疾有るは但是の薬を以てするのみ。数服に過ぎず、その疾失うが如し。《勿誤薬室方函口訣》◎胸水。
控涎丹[1-3]《三因極一病証方論》《奥田謙蔵》=「姑洗丸」 「甘遂・大戟・白芥子各等分」右三味、各別に細末にし、煉蜜を以て混和し、丹と為す。或いは糊にて丸と為すも亦佳なり。通常、1回1.0~3.0を生姜汁湯で服用。◎痰涎にて胸中了了たらず、或いは背痛する者を治す。《古方兼用丸散方》◎胸中に他人有りて咳嗽、短気し、或いは攣痛し、或いは項背強ばり痛む者を治す。《春林軒丸散方》
控涎丹[1-4]《東醫寶鑑》 =(一名妙応丹)「甘遂・紫大戟・白芥子」各等分に作末し糊で梧子大の丸剤。晒して乾燥後就寝時に、姜湯or湯水で7~10丸服用。驚痰には朱砂で衣をし、痛みが激しいと全蝎を加え、酒痰には雄黄を、臂痛に皮木魚子・桂心を、驚痰の重症の穿山甲・鼈甲・延胡索・莪朮を加える。◎痰飲が流れて痛む者。
甲状腺腫方《中薬臨床応用》「海藻9g、昆布9g、海浮石12g、浙貝母9g、連翹12g、金銀花12g、玄参12g、白芍薬9g」水煎服。◎単純性甲状腺腫
更衣丸《蘭台軌範》 「朱砂 蘆薈」 ◎津液不足・大便不通。 更衣丸《先醒斉医学広筆記》《中薬臨床応用》「蘆薈21g、朱砂15g」細末にし酒を少量垂らして丸剤。1回に3.5g服用。◎便秘◎睡眠時不安
更生丸《素女方》「茯苓4分、菖蒲4分、山茱萸4分、栝楼根4分、菟絲子4分、牛膝4分、赤石脂4分、乾地黄7分、細辛4分、防風4分、薯蕷4分、続断4分、蛇
床子4分、柏実4分、巴戟天4分、天雄4分、遠志皮4分、石斛4分、杜仲4分、肉蓉4分」搗いて篩にかけ、梧桐大の蜜丸。食前に3丸、1日3回。◎男子の五労七傷。◎陰茎が衰弱して萎縮◎陰嚢の下に腫れ物◎腰背が痛み起きられない◎労傷
【加減方】<1>消化が弱い:茯苓増量1/3<2>耳が聞こえない:菖蒲増量1/3
鈎藤飲《幼科心法》「釣藤鈎、羚羊角、全蝎、天麻、人参、甘草」 鈎藤散⇒釣藤散《普済本事方》 広朮化癖丸《東醫寶鑑》
「木香5銭、代赭石(醋浸)当帰(炒)・朱砂(研)・枳殻(炒)・莪朮・三稜各2銭半、麝香・巴豆霜各1銭2分」作末し麺糊で麻子大の丸剤。1歳児に米飲で2~3丸飲む。◎乳癖・食?を治す。
広朮潰堅湯《東醫寶鑑》「半夏1銭半、黄連・黄芩・厚朴・益智仁・草豆蔲・当帰各7分、陳皮・青皮・神麹・沢瀉・柴胡・甘草各5分、莪朮・升麻・呉茱萸各3分、紅花2分、姜3」水煎服。◎中満と腹脹で中に積聚があって石のように固く、大小便が渋い者を治す。
広大重明湯《東醫寶鑑》「草竜胆・甘草・防風・細辛各1銭」大椀1杯半に、先に草竜胆を煎じて半量にし、そこに残りの3入れて又半量まで煎じ、滓を去って1日5~7回温めて洗眼。◎両瞼の赤爛・腫痛。
広茂潰堅湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》「厚朴・黄連・黄芩・益智仁・草豆蔲・当帰各5分、半夏7分莪朮・升麻・呉茱萸・甘草(生)・柴胡・紅花・沢瀉・神麹・青皮・陳皮各3分、生姜」水煎。
◎中満し腹脹り積聚あり、石の如く堅硬にして人をして座臥寧からず、二便渋滞し、上気喘促し、通身虚腫するを治す。 ◎口乾には:「乾葛」
猴骨湯《中薬臨床応用》「猴子骨9g(先煎)、釣藤鈎9g、白芍薬9g、茯苓9g、蝉退3g、鶏内金6g、麦芽15g、甘草3g」水煎服。◎小児の疳積◎いらいら、よく泣く◎食欲がない
猴棗散【中成薬】《中薬臨床応用》「猴棗、菖蒲、牛黄、竜脳」◎小児の熱痰によるケイレン◎急性気管支炎によるケイレン◎肺炎で高熱によるケイレン 絳礬丸《漢方治療の実際》「緑礬10、厚朴・陳皮・三稜・莪朮・黄連・苦参・朮各5、甘草2、水沙15」以上を細末とし醋糊で丸を作り、1回10を服す。
絳礬丸(こうばんがん)《有持桂里》 ◎黄胖病 睾丸鞘膜積液方《中薬臨床応用》「小茴香3g、川楝子12g、木香3g、枳殻9g、白芍12g、黄柏9g、檳榔子6g、薏苡仁(生)24g、木通6g」◎陰嚢水腫の疼痛。
合歓湯《中薬臨床応用》「合歓皮30g、丹参15g、夜交藤15g、柏子仁6g」水煎服。◎不眠、◎憂鬱状態◎胸が苦しい◎食欲不振 蛤蚧丸《東醫寶鑑》
「蛤蚧一対(醋炙)、訶子肉・阿膠・生地黄・麦門冬・細辛・甘草各5分」作末し、棗実大の蜜丸。毎回1丸服用。 ◎肺に血がたまって痛む失語症。咳にむせんで失語。
蛤蚧湯《中薬臨床応用》「蛤蚧1対、百部12g、汐留9g、五味子1.5g、川貝母9g、杏仁9g、桑白皮9g」 水煎服。◎肺結核の血痰を伴う咳嗽。
蛤粉丸《東醫寶鑑》「蛤粉・黄蝋」等分にして、蝋を溶かして粉を混ぜ棗子大の丸剤。猪肝2両を割って薬をその中に入れてくくり、水1杯で煎じて熱いうちに取り出し目をくぶし、さまして服用。
◎雀目を治す。 蛤胆片《福建龍渓区方》《中薬臨床応用》「海蛤殻粉280g、海浮石240g、海蜆粉240g、猪胆粉40g」細末を混和し1000錠の錠剤にする。1錠は0.8gである。毎日3錠づつ服用。◎咳嗽、呼吸困難◎胸苦しい◎痰が多い◎痰が粘稠で喀出しにくい。◎熱痰。
◎副作用:下痢、疲労、ふらつき 服薬を止めると消える。 劫労散《婦人大全良方》《古今方彙》「白芍薬1銭、黄蓍・甘草・人参・茯苓・熟地黄・当帰・五味子・半夏(麹)・阿膠各4分、生姜、大棗」煎服。
◎心腎倶に虚し、労嗽。痰無く、夜熱し盗汗、四肢倦怠、体痩せ食少なく、恍惚として夢と異なり、嗽中に血あるを治す。名づけて肺痿と曰う。 藁蒼湯《東醫寶鑑》「藁本5銭、蒼朮1両」を粗末にし、毎回5銭、水煎服。
◎心痛に、煮黄丸を飲んだ後、この処方を使う。 蒿芩清胆湯《通俗傷寒論》 「青蒿・竹茹・半夏・赤茯苓・黄芩・枳穀・広皮・碧玉散」 ◎寒軽く、熱重く、口苦・胸悶・胸脇脹痛。
皇帝塗容金面方《東醫寶鑑》「朱砂2銭、乾臙脂1銭、官粉3銭、烏梅肉5、小脳5、川芎少々」細末にし就寝時に、ツバに混ぜて顔に塗り、翌朝温水で洗う。◎粉刺・風刺・雀卵・に。
膠密湯《東醫寶鑑》「連根大葱白3茎を水1盃で葱を煮たあと、葱は捨て、明阿膠珠2銭・蜜2匙を入れ、溶かして空腹時に服用。◎老人・虚弱者の大便秘渋を治す。
後坎离丸《東醫寶鑑》「四物湯4味各2両に知母4両、黄柏8両を塩水・人乳・蜜水清酒に4等分して漬け、一晩置いたあと知母・黄柏を取り出して日に晒し、夜露に当てること3昼夜、4物を入れて作末し、蜜で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で80~90丸飲む。◎虚火が動いて遺精し、盗汗・痰嗽・潮熱の者を治す。
枯痔散《黄済川》 「白砒素20g、雄黄・硼砂・倭硫黄各8g、明礬80g以上の薬物を別々につぶして細末とし、硫黄を除いた諸薬を混和して、素焼きの壷にいれ、壷の口を紙で蓋をする。(蓋の中央に直径1.5cmの穴を開けておく)炭火の上に壷を置いて焼く。黄色の煙が青色に変わり、煙の量が減って、音が均一になったら、(薬物が全部液化したら)さらに、中央の穴から硫黄を入れ、同時に火力をやや弱める。壷の中の音が消え、青色の煙が出なくなるのを待って、壷を降ろし、冷やしてから、薬物を取り出し、冷暗所で約1ヶ月保存し、その後に細粉末として応用する」
枯痔方《東醫寶鑑》「雄黄・硫黄・明礬」を等分に作末し、きれいな磁器の酒杯に、先に明礬末を半分敷いておいて、次に余った薬末を入れ次に残りの明礬末を入れて、火を入れ明礬が乾いたら、作末して唾(つば)で調合して貼り、落ちたら石膏・五倍子を作末して瘡口に塗る。
◎痔の腫れを治す。 枯礬散《東醫寶鑑》「明礬1銭、片脳5分」を作末し、薬水で洗ったあと少しづつ塗る。 ◎五痔と痔痛に。 姑洗圓(こせんえん)《東洞家塾方》=「控涎丹」「甘遂・大戟・白芥子各等分」杵きて篩い作末。梧桐子大の蜜丸。毎15丸生姜湯を以て之を服す。◎諸々の痰飲、水毒を治す。
姑洗丸(こせんがん)=「控涎丹」 「甘遂・大戟・白芥子各等分」右三味、各別に細末にし、煉蜜を以て混和し、丹と為す。或いは糊にて丸と為すも亦佳なり。通常、1回1.0~3.0を生姜汁湯で服用。◎痰涎にて胸中了了たらず、或いは背痛する者を治す。《古方兼用丸散方》◎胸中に他人有りて咳嗽、短気し、或いは攣痛し、或いは項背強ばり痛む者を治す。《春林軒丸散方》
故紙核桃方《中薬臨床応用》「補骨脂30g(研末)、胡桃肉60g(研爛)」蜂蜜で飴状にし、毎朝、湯で1匙づつ服用。◎腎陽虚による腰痛、早漏、呼吸困難、咳嗽。
杞菊地黄丸《小児薬証直訣》「枸杞子、菊花、熟地黄、茯苓、山薬、沢瀉、山茱萸、牡丹皮」 杞菊地黄湯《医級》《中薬臨床応用》「枸杞子12g、甘菊花9g、熟地黄15g、茯苓9g、山薬12g、沢瀉9g、山茱萸9g、 牡丹皮6g」水煎服。 ◎頭がふらつく ◎目がかすむ ◎肝腎不足
黒玉丹(一名烏玉丸)《東醫寶鑑》「神応黒玉丹に同じ。」 ◎痔瘻・五痔。 黒元《東醫寶鑑》「当帰(酒浸)2両、鹿茸(酥炙)1両」作末し、烏梅肉で膏を作り、梧子大の
丸剤。温酒で50~70丸飲む。◎虚労による肝の衰弱。◎耳が遠く、目が悪く、足が痿弱し、腰が痛み、小便に白濁のある者を治す。 黒効散 黒膏湯 「鮮茅根・括蘆根各40g、石膏・鮮石斛各18g、淡豆?・鮮地黄・白彊蚕(炙)・赤芍(京)・連翹・象貝母・浮萍各12g、薄荷・蝉退・生甘草各3.2
g」 黒散《備急千金要方》 「麻黄1分、杏仁2分、大黄1分」 ◎小児変蒸、中に時行温病を挟む。或いは変蒸時に非ずして時行なる者を治す。◎此方は麻黄湯の変方にして、小児暴熱を発し気急喘鳴する者を治す。◎此方の一等重き症、肚腹膨脹する者は、《本草彙言》治小児風痰方を用いる。
黒散子《仁斎直指方》「棕櫚炭、血余炭、蓮蓬」 黒錫丹《和剤局方》 「黒錫・硫黄各80g 金鈴子・胡蘆巴(酒炒)・木香・炮附子・肉豆?(煖)・ 破故紙(酒炒)・茴香・沈香(末)・陽起石(酒煮研)各40g、肉桂20g」
黒地黄丸《東醫寶鑑》「蒼泔(泄浸)1斤、熟地黄1斤、五味子8両、乾姜」を作末し棗肉で梧子大の丸剤。空腹時に米飲又は温酒で100丸呑む。 ◎久痔を治す。
黒参丸《東醫寶鑑》「玄参・天門冬・麦門冬」各等分に作末し、蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を溶かして呑み込む。◎口舌瘡で長年苦しむとき。 黒神散《和剤局方》
「黒豆 熟地黄 当帰 肉桂 乾姜 芍薬 甘草 蒲黄」 ◎胎が腹中で死し、胞衣下らず、産後血暈する者。 黒神散《済世全書》《古今方彙》「当帰・川芎・熟地黄・乾姜(炒)・桂心・蒲黄・香附子(便)・木香・青皮・黒豆」酒水各半にて煎服。
◎痘瘡正に起発。貫漿の時に在りて、忽ち坐草(分娩のこと)分娩の期を過ごしてこの気血が倶に虚するの候には宜しく大補すべし。熟附子を加え之を主どる。気血を補うを以て表裏を固む。若し産後小腹急痛するはこれ血未だ尽きざるなり。此湯を以てす。
黒神散《東醫寶鑑》 「百草霜を作末し、毎回2銭を糯米飯で服用。」 ◎吐血・衂血。 黒神散《東醫寶鑑》「百草霜・白?」各等分に作末し、毎回2銭を清酒と童便各半杯に、麝香少々入れて熱くして2回服用。◎難産を治す。
黒聖散《東醫寶鑑》「蜘蛛(大)を瓜の葉で何回もくるみ、糸で結わえて炙って、黒色になったら取り出して作末し、黄丹を少し入れて、先に明礬・葱・胡椒の煎湯で、患部を洗って乾かした後に、黒聖散を塗る。」
◎脱肛と痔の疼痛。
黒豆湯[1]《浅田家方》 「黒豆、桔梗、降下、大黄、甘草」 ◎黴瘡、軽粉を服し、口中腐爛し、歯(シギン、はぐき)出血止まざる者を治す。 ◎此方は、軽粉或いは甘汞の毒に中り、口中腐爛、牙根露出、飲食咽に入ること 能わず、疼痛甚だしき者を治す。 ◎大抵は、含嗽煎にて治すれども、その劇毒のものに至っては此方を内服せざれ ば験なし。《勿誤薬室方函口訣》
黒豆湯[2]《中薬臨床応用》 「黒豆30g、浮小麦30g」水煎服。 ◎病後、衰弱による浮腫 ◎眩暈 ◎自汗、盗汗。
黒白散《万病回春》《古今方彙》 「小麦、朴硝、白礬、五倍子、葱白」煎じたる湯にて頻りに洗う。 ◎陰中腫痛するを治す。 ◎陰痒の者:「蛇床子白礬」水煎し洗う。
黒附湯《東醫寶鑑》 「附子(炮)3銭、木香1銭半、白附子1銭、甘草(炙)半銭」切って2貼にし、 姜5片を入れ水煎し、匙ですくって入れると、手足が温かくなって生き返 る。 ◎慢脾風で危急の者を治す。
黒奴丸《東醫寶鑑》 「麻黄・大黄各2両、黄?・釜底煤・芒硝・かまどの底墨・梁上塵・小麦奴 各1両」を作末し梧子大の蜜丸。新汲水で毎回1丸服用すると汗をかき ながら治る。もし汗をかかないときは再服。
◎陽毒で発狂。煩躁・大渇・脈洪数の症。 黒龍散《有持桂里》 「伯州散沈香」 黒竜丹《東醫寶鑑》 「五霊脂・当帰・川?・良姜・熟地黄各1両」を切って砂盒に入れ、塩泥と ひもで堅く封をし、炭10斤で焼いて冷まして取り出し、「百草霜3銭、硫 黄・乳香・没薬各1銭半、花蕊石(煆)・琥珀各1銭」を細研して入れ、醋 麺糊で梧子大の丸剤。毎回1丸を姜汁・童便・温酒の中で細研して食べる。 ◎難産・死胎・胎衣の下りないとき。 ◎産後の悪いとき。 ◎血迷・血暈と一切の危急・瀕死のとき。これを口に入れてやると良い。
穀神元《東醫寶鑑》 「人参・縮砂・香附子・三稜・莪朮()・青皮・陳皮・神麹(炒)・麦芽(炒) ・枳穀」等分を作末し、米糖で梧子大の丸剤。米飲で30~50丸服用。 ◎宿食の消化しない症を治し、脾を壮健に、気の補益に有効。
穀神湯《東醫寶鑑》 「穀芽4両」を洗って乾かし、作末し姜汁少し・塩少々を入れて餅をつく り焙って乾燥。そして縮砂・白朮(炒)・炙甘草各1両を作末し、塩湯で1 ~2銭服用。
◎胃を和らげ、食欲を増進させる。 穀精草湯《中薬臨床応用》 「穀精草9g、荊芥穂6g、玄参6g、牛蒡子6g、菊花9g、連翹6g、白芍6g、 桔梗3g、青子6g」水煎服。 ◎角膜炎による角膜混濁。
穀疸丸《東醫寶鑑》 「苦参3両、草竜胆1両、人参7銭半、梔子仁5銭」作末し牛胆で梧子大の 丸剤。大麦粥で1日2回5~70丸飲む。 ◎暑さに負けて病となり、食欲なく熱欝して発黄する者
谷霊丸《東醫寶鑑》 「黄蓍・人参・牛膝・当帰各1両、炮附子1個、熟地黄・白茯苓各5銭、杜 仲・蒼朮・白朮・肉桂・枸杞子各3銭」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。 人参湯で100丸呑む。
◎婦人の痩瘁。 ◎拒食症《螺王人》 哭来笑去散《東醫寶鑑》 「雄黄・乳香・胡椒・麝香・?撥・良姜・細辛」等分を作末し、男は左・女 は右、の鼻中に吹き入れる。
◎牙歯痛に特効。 呉氏清絡飲《温病条弁》 「鮮荷葉辺8g、鮮銀花8g、西瓜翠衣8g、鮮扁豆花1枝、絲瓜絡皮8g、竹葉 心8g煎服」
呉茱萸湯[1-1]《傷寒論》 「呉茱萸(洗)1升、人参3両、生姜(切)6両、大棗(擘)12枚」 右四味、以水七升、煮取二升、去滓、温服七合、日三服。 ◎食穀欲嘔、属陽明也、呉茱萸湯主之。得湯反劇者、属上焦也。呉茱萸湯。
《傷寒論》辨陽明病脉證治第八。 呉茱萸湯[1-2]《傷寒論》「呉茱萸1升、人参2升、生姜(切)6両、大棗(擘)12枚」右四味、以水七升、煮取二升、去滓、温服七合、日三服。◎少陰病、吐利、手足逆冷、煩躁欲死者、呉茱萸湯主之。《傷寒論》辨少陰病脉證治第十一。
呉茱萸湯[1-3]《傷寒論》「呉茱萸(湯洗7遍)1升、人参3両、大棗(擘)12枚、生姜(切)6両」右四味、以水七升、煮取二升、去滓、温服七合、日三服。◎乾嘔吐涎沫、頭痛者、呉茱萸湯主之。《傷寒論》辨厥陰病脉證治第十二。
呉茱萸湯[1-4]《東醫寶鑑》 =「三味参萸湯」「呉茱萸3銭、人参2銭、生姜4斤、大棗2枚」?作1貼し、水煎し温服する。◎厥陰病に乾嘔逆して涎沫を吐き、頭痛する症。◎少陰病で厥冷し、煩躁して死にかかる症。◎陽明に穀類を食べると嘔逆する症。
呉茱萸湯[1-5]《傷寒論》《中薬臨床応用》「呉茱萸6g、生姜15g、党参12g、大棗8g」水煎服。◎虚寒による上腹部痛◎呑酸、乾嘔、よだれが多い、手足が冷える。
呉茱萸湯[1-6]《傷寒論》《漢方治療の実際》「呉茱萸4、人参・大棗各3、生姜6」◎嘔吐、下痢或いは頭痛、或いは煩躁、手足冷、或いは涎沫。◎嘔して胸満し、心下痞硬する者を治す《吉益東洞》◎胸満し、心下痞硬して、嘔吐する者を治す《方極附言》◎此方は濁飲を下降するを主とす。《勿誤薬室方函口訣》◎故に、涎沫を吐するを治し、頭痛を治し、食穀欲嘔を治し、煩躁吐逆を治す。
★適応症及び病名(呉茱萸湯)[1]足が冷える[2]胃炎[3]胃潰瘍[4]胃ケイレン[5]胃液分泌過多症[6]胃拡張[7]胃下垂[8]胃酸過多症
[9]胃・十二指腸潰瘍[10]胃のあたりが重い:☆胸中積冷、心煩悶、飲食下らず、心胸背に応じて痛み、或いは胃もたれを治す。「半夏・桂枝」《備急千金要方》[11]胃腸虚弱[12]噎膈(イッカク):嚥下困難を主訴とする病気。食道癌なども含まれる☆噎膈、反胃、皆用いるべし。ただ嘔して胸満するを以て的証となす。《陳修園》[13]嘔吐
☆《金匱要略》に“嘔して胸満する”ものを目標にする。多くの場合に、嘔吐すれば、胸がすいて胸満が減ずるのを常とするが、もし、吐いても胸満が減ぜず、ますます胸が膨満するのは、呉茱萸湯を用いる目標である。ここに胸満というのは、俗にいう鳩尾の部分の膨満である。《大塚敬節》☆嘔吐は強い発作の時には起きるが、いつでもくるとは限らない。この嘔吐は悪心が強く、胆汁を吐く《大塚敬節》☆呉茱萸湯の嘔吐は、多くは、激しい頭痛を伴うものであるが、頭痛がなくて、急激な嘔吐を訴えるものがある。この方の嘔吐は強い悪心を伴うのが特徴で、吐物の量は少ない。これは五苓散の水逆と異なる点である。何を呑んでもすぐ下から突き上げてきて胃に納まらないことがある。口に入れるとすぐ吐く、このような時は呉茱萸湯を唾液を呑むように1口ずつ呑むとよく納まり、また止むことがある《大塚敬節》☆久腹痛、水穀を吐する者「沈香」《勿誤薬室方函口訣》☆陽明、穀を食し嘔せんと欲するを治す。☆少陰病、吐利し、手足煩躁し、死せんと欲するを治す。
☆鑑別: ☆激しい頭痛を伴う嘔吐ことに片頭痛に用いられているが、頭痛が無くても、吐く場合にも用いられる。金匱要略に“嘔して胸滿する者は呉茱萸湯之を主る”とあって、多くの場合、嘔吐すれば胸がすいて胸滿が減ずるのを常とするが、もし吐いても胸滿が減ぜず、ますます胸がはるのは呉茱萸湯を用いる目標である。呉茱萸湯の嘔吐では、悪心を伴い、吐物の1回量は少なく、五苓散証のように多量の水を吐くことはない。
呉茱萸湯証では、心下痞満があるので、小柴胡湯や半夏瀉心湯証に似ているので、鑑別を要する(漢方診療医典) [14]黄疸[15]悪心☆悪心も寒証も見られないときは、「茯苓飲」。《中医処方解説》☆悪心があって寒証がないとき、「茯苓飲合半夏厚朴湯」がよい。《中医処方解説》
[16]悪阻 [17]回虫[18]顔色悪い[19]霍乱:激しい嘔吐、下痢、腹痛を訴える病気☆霍乱、吐せず下らず、心腹劇痛して、死せんと欲する者は、先ず備急円、或いは紫円を用い、継いで此方を投ずれば、則ち吐せざる者無し。吐すれば則ち下らざる者無し。已に快吐下を得るときは、則ち苦楚脱然として除かん。その効至って速かなり。《類聚方広義》☆霍乱、転筋し、吐瀉止まず、頭目昏眩し、須臾も救わざる者《雑病翼方》
[20]脚気衝心:☆脚気、心を攻め、嘔吐甚だしきを治す。☆衝心し、煩躁死せんと欲するを治す。☆脚気冲心、煩、嘔逆し、悶乱する者を治す《類聚方広義》[21]肩こり ①胃の具合が悪い ②頭痛持ち。 ③肩が詰まった様に凝ると頭痛する。☆この方の肩凝りは、発作性に消長があり、肩凝りと同時に、激しい頭痛を訴える。《大塚敬節》
[22]肝炎(急性肝炎)[23]乾嘔:☆乾嘔し、涎沫を吐し、頭痛する者を治す。☆乾嘔を発する証にして、陰証に属する者《奥田謙蔵》[24]感冒
“女40歳。この患者は痩せた背の高い胃下垂のある婦人で、それまでは、カゼにかかっても、香蘇散・葛根湯・小柴胡湯あたりで良くなっていた。ところが、今度の風邪は、今までと違って、ひどく足が冷え、それと同時に、激しい頭痛がきて、頭を持ち上げることが出来なくなった。そこでそちらまで出向くことが出来ないので、使いの者に、風邪薬を持たせてほしいと云う。診察はしなかったが、足が冷えて頭痛が激しいというのを目標にして呉茱萸湯を与えた。あとで聞いたことであるが、この患者は、これを1回飲んだだけで頭痛が止んで、翌日から起きられるようになったという。ところが、この患者は風邪をひくたびに呉茱萸湯の証を現すようになった。そればかりでなく、人混みでもまれたり、乗り物に乗ったりしても、腹から突き上げてくるような嘔吐と激しい頭痛を訴えるようになったので、呉茱萸湯を連用せしめたところ、翌春からは呉茱萸湯の証が出なくなった。”
《大塚敬節-漢方治療の実際p4~p5》[25]気の上衝:☆<++><冷気>☆顔面がのぼせたように赤くなったり、頭部に熱感を訴えたりする者がある。これは真寒仮熱と古人が呼んだもので、本当の熱ではない。私の経験では、頭痛がいくらひどくても、頭を冷やすと気分が悪いと訴えた患者が2例あった。《大塚敬節》 [26]急性胃炎
[27]急性吐瀉病 [28]急性腸炎 [29]胸満 [30]虚脱 [31]首筋からこめかみの凝り:☆首の凝り具合が、この処方を用いる1つの目標になる。《大塚敬節》☆この処方を結核性髄膜炎や悪性脳腫瘍による激しい頭痛に用いたが、無効であった。この処方を用いる目標の首の凝りは筋肉の収縮であって、項部強直ではない。《大塚敬節》
[32]眩暈 [33]こむらがえり(転筋) ☆霍乱後、転筋に「木瓜」 [34]項背強(首の後ろがこる): ☆くびの凝りは筋肉の収縮であって、項部強直ではない。《大塚敬節》
[35]昏倒 [36]シャックリ:(吃逆)☆(神経性・手術後の)☆体力・胃腸虚弱と関係なく使える。《矢野》☆逆には、此方に宜しき者あり。《類聚方広義》☆呉茱萸湯は寒証ある者に適し、冷えのない若い者には「甘草瀉心湯陳皮」。《中医処方解説》☆父親は60歳、8日前から突然、吃逆が始まり、色々の手当をしたが、どうしても治らない。この上は手術するしかないと云われたが、柿のヘタが吃逆に効くというが、どうだろうという電話があった、柿のヘタの効く吃逆もあるが、効かないこともある。診察してみなければ分からないと答えたところ、往診してくれという。来院できないかというと、食事もほとんど摂らず、色々の注射をしたので疲れてやっと歩いているという。行ってみると、患者は憔悴して蒼い顔をしている。脈は沈遅で1分間54乃至である。手足が寒くて仕方がないと云う。7月だというのに足袋を履いている。診察している間も、キュッ、キュッと吃逆が出る。続けてキュッ、キュッとくると、しばらく息が止 まるという。腹を診ると、食事をしない割に、鳩尾が張っている。しかし弾力はない。ガスが溜まっているという感じである。大便は少しずつ毎日あるという。口渇はない。私は裏寒により吃逆と診断して、呉茱萸湯を与えた。そして、この1日分でもし治らなかったら、知らせてほしいと告げておいた。
私の考えでは、証が合えば、この1日分で治るはずである。もしこれで治らなければ処方を考え直してみるつもりであった。ところで、この患者は1回呉茱萸湯を飲んだだけで、ピタリと吃逆が止んだのに驚き、お宅にはすばらしい家伝の秘薬がありますねえと、電話をかけてきた。この患者は予防のため、あと3日分、この方を飲んだ。
それから10日ほどたって、この患者の三男の17歳の少年が同じように吃逆が止まらないので、先日と同じものがほしいという。診察してみると、脈は沈遅弱で、足が冷え、胸がつかえて食欲が無いという。そこでまた呉茱萸湯を与えたところ、たちまち良くなった。《大塚敬節》[37]子癇
[38]習慣性頭痛<頭痛嘔吐> [39]十二指腸潰瘍 [40]食中毒 [41]食欲不振[42]小児のよだれが多い [43]小児のひきつけ[44]心下緊張(強い)[45]心下部の膨満☆心下部が膨満し、胃がつまったようだと訴えることが多い。この腹部の状態も大切な目標の1つ。《大塚敬節》☆心下部膨満して食欲欠損し、熱候なく、二便常態の証《奥田謙蔵》☆もし激しい頭痛があっても、髄膜炎の時の様に、腹部が陥没していたら、この処方を用いても効果を期待出来ない」《大塚敬節》[46]心下痞:
☆心下の苦悶(重圧感)☆胃部停滞の感ありて、或いは心煩し、或いは嘔吐を発し、脈微にして沈なる証《奥田謙蔵》[47]人事不省:☆凡そ危篤の症、濁飲の上溢を審らかにして此方を処するときは、その効挙げて数へ難し。《勿誤薬室方函口訣》[48]頭痛(発作性)<冷痛>☆発作性の激しい頭痛で、胃腸部に冷感・水分停滞感を訴える《矢野》。☆多くは片頭痛の型でくる。発作の激しい時は、嘔吐がくる。発作は疲れたとき、食べ過ぎたとき、婦人では月経の前によく起こる。発作の起きるときは、項部の筋肉が収縮するから、肩から首にかけてひどく凝る。左より右にくる場合が多く、耳の後ろから、こめかみにまで連なる」。このくびの凝り具合が、この処方を用いる1つの目標になる。《大塚敬節》 ☆頭痛がいくらひどいものであっても、頭を冷やすと気分が悪いと訴えた患者が2例あった《大塚敬節》☆寒冷頭痛で熱性のものではない。だから頭が燃えるように熱くても、冷やさない方がよい。《大塚敬節》
☆発作的に起きる激しい頭痛で、吐き気を伴い、手足が冷え、気分が悪く、ものを言うのも苦しく、脈沈遅の者。☆発作の時に診察すると、心下部が膨満し、患者も胃がつまったようだと訴えることが多い。漢方で、心下逆満と呼ぶかたちになる。もし激しい頭痛があっても、髄膜炎のときのように、腹部が陥没していたなら、呉茱萸湯を用いても効果を期待できない。《大塚敬節》☆冷たいものを食べて起こった頭痛☆発作時には、足がひどく冷え、脈が沈遅の傾向にあり、また一種の煩躁状態を伴うことがある。すなわち、じっと安静にしておれないで、起きたり、寝たりして苦悶する傾向がある。又、発作が強いと、患者は言語を発することが出来ないで、ただうなるだけのことがある。《大塚敬節》☆頭痛して乾嘔を発し、手足寒冷、尿利減少し、脈微にして細なる証《奥田謙蔵》☆40歳あまりの男子がある日、突然、頭のてっぺんから頭上一面に裂くような、金槌で打つような頭痛を訴え、この部分が燃えるように熱く、黄色の液を吐き、眼を開けることが出来ず、足が氷のように冷え、発作は1日に3~4回も起こり、激しい時は意識を失うこともある。《津田玄仙》が診察してみると、脈は小さく速く、からだの熱は無い。 ただ臍部の動悸が亢進している。そこで呉茱萸湯に沈香を加えて与えたところ、2日で大半はよくなり、臍部の動悸の亢進だけが残ったので、桂枝加竜骨牡蛎湯を用いたところ10日ほどで全治した。《積山 遺言》
☆【EBM】頭痛に対する呉茱萸湯の効果 (対象患者) 1施設の脳神経外科外来通院中の2週間以上経過観察できた慢性頭痛患者147例。♂46例♀101例。
内訳は、血管性頭痛47例、筋緊張性頭痛46例、混合性頭痛54例 (薬物投与) 呉茱萸湯エキス(7.5g/日)投与期間は不定 頭痛の種類別では
有用以上の症例は、血管性頭痛617%、筋緊張性頭痛47.8%、混合型で48.1%で、有意差はないが血管性頭痛で改善例が多い傾向を認めた。 ☆【EBM】緊張性頭痛に対する呉茱萸湯の効果
(対象患者)1施設の心療内科外来通院中の緊張性頭痛患者30例(♂8例、♀22例)、平均年齢41.8歳、 有効性では 有効(症状の消失または軽快)23例(76.7%)
無効3例(10%)、中止による評価不能4例(13.3%) うつ状態では うつ状態ありの13例中12例(92.3%)、うつ状態無しの13例中11例(84.6%)が有効であった。
習慣性の有無では 習慣性頭痛21例中19例(90.5%)、非習慣性頭痛5例中4例(80%)が有効であった。 ☆【EBM】筋収縮性頭痛に対する呉茱萸湯と桂枝人参湯の効果
(対象患者)1施設の神経内科外来を受診した慢性頭痛患者88例(♂32例、♀55例)、平均年齢55.2歳、内訳は筋収縮性頭痛81例、混合性頭痛7例。
(薬物投与) 呉茱萸湯エキス(7.5g/日)または桂枝人参湯エキス(7.5g/日)投与期間は4週間 (結果) 自覚症状改善度では 軽度改善以上は呉茱萸湯群35例(79.5%)、桂枝人参湯群27例(61.4%)で、呉茱萸湯群で多かったが有意差はなかった。
[49]頭冒感[50]舌質<淡白> [51]舌苔<白滑>[52]疝:☆陰嚢より上を攻め、刺痛して刺しこみ、嘔などもあり、何れ上へ迫るものを治す「附子」《呉菎》☆寒疝腰痛し、尺脈沈遅なる者を治す「附子」《方読便覧》
[53]胆石症 [54]中枢神経の疾患[55]中毒[56]腸炎・腸カタル [57]つわり [58]手足が冷たい(手足厥冷)☆頭痛の発作時には、足がひどく冷える《大塚敬節》[59]低血圧症[60]吐乳:☆小児の吐乳症当にして、手足寒冷の者《奥田謙蔵》[61]呑酸:☆人、食し畢(オワ)って、噫錯(=呑酸)し、及び錯心(=嘈雑)するを治す《肘後備急方》[62]生唾を吐く[63]尿毒症[64]妊娠悪阻[65]脳腫瘍
[66]はきけ☆吐き気が強くて嘔吐しない頭痛は、「半夏白朮天麻湯」を考える。《螺王人》 [67]ひきつけ[68]煩躁:☆吐利煩躁し、心下苦悶、死せんと欲する者を治す。[69]冷え症 [70]疲労倦怠
[71]貧血[72]腹痛[73]腹満:☆胸腹に膨満感あり、腹を按ずるに軟弱なり。而して或いは嘔吐を発し、或いは乾嘔し、その脈微緩なる証《奥田謙蔵》[74]腹鳴
[75]二日酔い[76]片頭痛: ☆(肩こりから始まり、激痛)☆頭痛は肩凝りから始まり、耳の後ろからコメカミにかけて激しい片頭痛となる。《矢野》☆一種の煩躁状態をともなうことがある。じっと安静にしておれないで、起きたり、寝たりして苦悶する傾向がある《大塚敬節》
☆28歳男性。 「約10年前から片頭痛に悩んできた。平素は別になんでもないが、月に1度くらい、突如として肥立ちのコメカミから目の方にかけて、激しい痛みが起こり、気分が悪くなって寝込んでしまう。という。
目を開けているのも苦痛なほどで、物がノドを通らず、無理して食べても吐いてしまう。2~3日、飲まず食わずでじっとしていると、そのうちに治まるが、その間、何も手に着かない。
こういう場合、たいていは手足が冷えて首筋が凝り、後頭部からコメカミにかけて痛むのが特徴である。漢方医から呉茱萸湯をもらって飲んだところ、半日ほどで頭痛は消えてしまった。しかし、そのうちに再発。そこで、2週間ほど飲み続けたところ、、いつの間にか再発しなくなった。」《山田光胤》
[77]みぞおちのつかえ[78]無気力[79]胸やけ:☆吐醋嘈雑を治す《肘後備急方》[80]メニエール病[81]めまい[82]薬物中毒[83]幽門狭窄症
[84]よだれが多い [85]流行性黄疸[86]脈 :<沈細遅> ☆「脈は必ずしも遅でなくて、頻数であることがある」《大塚敬節》
【臨床】
*《大塚敬節》“患者は色の白い中肉中背の婦人で、若いときから頭痛の持病がある。この頭痛は最近特にひどくなり、月経の後が特に悪い。頭痛は毎日あるわけではなく、1ヶ月に1~2回起こる。頭痛の模様を聞いてみるに、頭痛は右か左の片頭痛として現れる。右側にきた時は症状が特に激しく、この時は必ず吐く。この頭痛と嘔吐は2日間はひどくて、一切の飲食物を受け付けない。床につききりである。その後も数日間は、胃の具合が悪くて、食べられない。ところが左側にきた時は、頭痛も軽く、吐くこともない。頭痛の発作時には、頭痛する側の肩がひどく凝る。大便は1日1行あり、月経も順調である。腹診してみるに、胸脇苦満は無く、心下がやや痞鞕している。私はこれに半夏白朮天麻湯を与えた。なぜ呉茱萸湯を与えなかったと言うと、《目黒道琢》の餐英館療治雑話や《和田東郭》の口訣に、呉茱萸湯は、腹の左よりさしこんで吐くものには効があり、右からさしこむものには効が無いとあったことを思いだし、この患者は右から差し込む場合に吐くので、呉茱萸湯証ではあるまいと考えたからである。ところがこれを飲むと、心下部がひどく膨満し、肩が凝り、1日に5回も大便が出るようになった。こんな日が3日ほど続き、大便は1日に2行になったが、胸が詰まって苦しく、腹鳴がひどくなった。そこで、心下痞鞕・腹中雷鳴・下痢を目標にして半夏瀉心湯を与えた。ところが、これを飲むと、激しい頭痛と嘔吐が起こって床についてしまったそうである。患者は今度の薬より前の薬がよいと云う。けれども、私は考えた。この患者は“裏に寒飲”があるのに、半夏・黄連・黄芩などの冷薬を用いて、更に寒飲に寒を加えたので、症状が増悪したのではあるまいか?半夏白朮天麻湯にも、半夏・黄柏のような冷薬が入っている。これはいけない。裏の寒を温める必要があるのではないか?そう考えた私は、温薬である呉茱萸を主薬とした呉茱萸湯を用いた。これを飲むと、頸が凝って来そうになってきても、すぐ良くなり、頭痛を起こさなくなった。続けて3週間、これを飲んで多年の片頭痛もあとを断った。”《大塚敬節-漢方治療の実際p3~p4》
*《大塚敬節》“女40歳。この患者は痩せた背の高い胃下垂のある婦人で、それまでは、カゼにかかっても、香蘇散・葛根湯・小柴胡湯あたりで良くなっていた。ところが、今度の風邪は、今までと違って、ひどく足が冷え、それと同時に、激しい頭痛がきて、頭を持ち上げることが出来なくなった。そこでそちらまで出向くことが出来ないので、使いの者に、風邪薬を持たせてほしいと云う。診察はしなかったが、足が冷えて頭痛が激しいというのを目標にして呉茱萸湯を与えた。あとで聞いたことであるが、この患者は、これを1回飲んだだけで頭痛が止んで、翌日から起きられるようになったという。ところが、この患者は風邪をひくたびに呉茱萸湯の証を現すようになった。そればかりでなく、人混みでもまれたり、乗り物に乗ったりしても、腹から突き上げてくるような嘔吐と激しい頭痛を訴えるようになったので、呉茱萸湯を連用せしめたところ、翌春からは呉茱萸湯の証が出なくなった。”
《大塚敬節-漢方治療の実際p4~p5》
*《大塚敬節》 “女30歳。患者は小柄な婦人であるが、中肉で、今まで重篤な病にかかったことはない。今の病気は数年前からで、初めの間は1ヶ月に1回位の間隔をおいて、激しい頭痛を訴えていたが、この頃は1ヶ月に3回も激しい発作が起きるようになった。頭痛は睡眠の足りない時、眼の疲れた時などに起こるが、別に無理をしないでも起こることがある。発作の時は、左右の肩から頸が凝り、頭痛も左右のこめかみを中心にして痛む。そのとき耳が鳴ることがあり、また頭痛の激しい時は吐く、大便は毎日1回あり、月経は正常である。腹診してみるに、胸脇苦満があり、右側が顕著である。この胸脇苦満を証にとって方を当てるならば、小柴胡湯の証のようにも見えるが、私はこれに呉茱萸湯を与えた。この患者は、これを飲み始めて2ヶ月間に1回だけ、月経3日前に、軽い頭痛を訴えただけで、服薬を中止ししても、それきり頭痛を忘れている”
《大塚敬節-漢方治療の実際p5》
*《大塚敬節》 “45歳の男子。色の黒い痩せ型の体格である。かって中心性網膜炎・腎臓炎・虫垂炎などに罹ったことがある。こんどの病気の主訴は、1週間に1回ぐらいの割合で起こる片頭痛で、この頭痛は数年前に胃を悪くしてからずっとあって食欲が減少する。しかし吐いたこともなく、また床につくほど激しく痛んだこともない。大便は1日1行ある。脈はやや沈、血圧(120-80)。腹診するに、胃部に振水音があり、腹壁に弾力がない。このような場合に用いる処方としては、五苓散・半夏白朮天麻湯・川芎茶調散・呉茱萸湯などがある。五苓散を用いるとすれば、当然口渇と尿利の減少がなければならない。しかしこの患者にはそれがない。また川芎茶調散は頭痛の薬として有名であるが、私はこれを胃の悪い人に用いて失敗したことがあるので、この患者にはよくないとと考えた。呉茱萸湯の片頭痛は、頭痛が激しくて煩躁状態があり、よく嘔吐を伴うものであるが、この患者は頭痛が軽くて煩躁も嘔吐も無いので、一応おあずけにして、胃が弱くて、胃部に振水音があって、頭痛がするというのを目標にして、半夏白朮天麻湯を用いた。1週間分を飲んでも、2週間分を飲んでも大した変化がない。3週間分を飲み終わった頃、悪心と食欲不振を訴えるようになり、胸がつかえて、噫気が出て、時々水のようなツバが出ると言う。しかし頭痛は遠のいたと言うので、また前方を1週間分与えた。ところがこれを飲んでいるうちに、また頭痛が起こり、寒いと言う。そこで呉茱萸湯に転方した。これはすばらしく効いた。たった1日分を飲んだだけで胸がすいて食が進み、気分が軽くなり、全く頭痛が無いと言う。引き続き3週間分呉茱萸湯を与え、これですっかり頭痛を忘れた。この患者には、初めから呉茱萸湯を与えるべきであった。半夏白朮天麻湯と呉茱萸湯の鑑別はそう簡単ではない。”
《大塚敬節-漢方治療の実際p6~p7》 呉茱萸湯[2]《備急千金要方》《勿誤薬室方函口訣》「呉茱萸湯《傷寒論》半夏・桂枝」◎噫、酢咽を治す。◎胸中積冷、心煩悶、汪々、飲食を下さず、心胸背に応じ痛む。
呉茱萸湯[3]《東醫寶鑑》「呉茱萸(揀浄)5銭」を白水で煮て滓を去り、塩を少し入れて煎服。 ◎脾泄を治す。 (老人・腎虚からくる脾泄) 呉茱萸湯[4]《東醫寶鑑》「川烏・細辛各7分半、呉茱萸5分、良姜・当帰・乾姜・肉桂各2分半」煎服。◎厥疝の上逆して陰が冷えるとき。
呉茱萸湯[5]《東醫寶鑑》「呉茱萸・厚朴・官桂・乾姜各1銭、白朮・陳皮・川椒(炒)各5分」?作1貼し水煎服。◎濁気が上にあって脹が出来た者を治す。◎陰がおこって寒が出来て腹がいっぱいで脹になった者を治す。
呉茱萸浴湯《女科要旨》 「呉茱萸・木香・丁香・五味子各40g、蛇床子・杜仲各80g」を水で煎じ、 熱いうちに燻洗する。 ◎寒湿虚に襲われ、臓気を損なって、帯下五色の者で、煎薬を服用しても速効な き者に、この洗法を用いて燻ずる。
虎杖茎湯《青州医話》 ◎破傷湿を治す。 胡黄連丸《東醫寶鑑》 「胡黄連・黄連各5銭、朱砂2銭半」細末にし猪胆の中に入れ、淡漿水を砂 銚に入れて煎じ、取り出して「蘆薈・青黛・蝦蟆灰各2銭、麝香1分」を 入れて作末し、飯で麻子大の丸剤。米飲で3~20丸飲む。 ◎熱疳を治す。
胡椒湯《中薬臨床応用》「胡椒・緑豆」各等量。作末し1回6g服用◎寒証の嘔吐、下痢 胡宣二連湯《銀海精微》 「胡黄連2g、宣黄連4g」作末する。
胡麻散《東醫寶鑑》「胡麻2両半、苦参・荊芥穂・何首烏各1両、威霊仙(炒)・防風・石菖蒲・悪実(炒)・甘菊・蔓荊子・白藜(炒)・甘草各7銭半」を作末し、毎回2銭を薄荷湯で調下する。◎風熱疹が全身に出て、かゆく瘡疥の症。
胡蘆巴元《東醫寶鑑》「茴香(炒)3両、白丑頭2両、川烏(炮)・巴戟・呉茱萸各1両半、川楝子・胡蘆巴各1両」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に20~30丸酒で服用。◎奔豚疝気が上衝して痛みに耐えられないとき。
故紙核桃方《中薬臨床応用》「補骨脂30g(研末)、胡桃肉60g(研爛)」蜂蜜で飴状にし、毎朝1匙、湯で服用。 ◎腎陽虚による腰痛 ◎早漏 ◎呼吸困難
固栄散《東醫寶鑑》 「真蒲黄・地楡各1両、白?5銭、甘草2銭半」を作末し、毎回4銭、温酒 で服用。 ◎吐血・衂血・便血・血尿・一切の失血。
固経丸《婦人大全良方》 「亀板・芍薬・黄柏・黄?・香附子・樗皮」 ◎月経止まらず、崩中漏下⇒子宮出血。 固経丸《東醫寶鑑》 「黄?・白朮・亀板各1両、椿根皮7銭、黄柏(炒)3銭、香附子(童便焙)2 銭半」末にし、酒糊で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸服用。
◎経水過多症。 固下丸《張子和》 「樗皮・白芍・良姜・黄柏」 ◎赤白帯下 固元丹《仁斎直指方》 「蒼朮1斤を4つに分け、1つは小茴香・食塩各1両を用いて、かき混ぜな がら炒る。1つは川椒・補骨脂各1両を用いてかき混ぜながら炒る。1つ は川烏頭・川楝子肉各1両を用いてかき混ぜながら炒る。1つは醇酢・老 酒各半斤といっしょに炒り、そのあと乾燥する。以上諸薬を作末してから、 酒で煮て、桐の実大の丸薬とし、毎回30~50丸を温酒又は酢湯で服用。」
固歯散《東醫寶鑑》 「大きいねずみを1匹(肉は捨て骨だけ)、川椒(炒)・乳香各2両、香附子(炒) ・白藜(炒)・青塩各1両」を作末し、毎日牙をこする。
◎牙歯痛。
固衝湯《衷中参西録》《中薬臨床応用》「白朮30g、黄蓍18g、山茱萸18g、白芍薬(生)12g、竜骨(煆)18g、牡蛎(煆)18g、茜草根(炭)6g、陳棕炭6g、烏賊骨12g」煎じ湯で「五倍子」の細末3gを服用。 ◎不正性器出血 ◎月経後も少量の出血が続く ◎長期間少量の出血が続く ◎気虚による大量の性器出血
固真飲子《東醫寶鑑》 「熟地黄1銭半、人参・山薬・当帰・黄蓍(蜜炒)・黄柏(塩酒炒)各1銭、陳 皮・白茯苓各8分、杜仲(炒)・甘草(炙)各7分、白朮・沢瀉・山茱萸・破 故紙(炒)各5分、五味子10粒」水煎、空心に温服。 ◎陰陽が虚し、気血が不足する者を治す。 ◎食欲がなく、五心が煩熱し、自汗して精気がなく、足に力が入らず、下痢・脈 沈弱で、咳をすると痰が多い者を治す。 ◎元気不足、陰陽両虚、飲食少なく、五心熱し、自汗、日潮熱、精気滑脱、行 歩無力、腰胯疼痛、泄瀉、脈沈弱、嗽少なく痰多く、或いは乾嗽する者、或い は気血精神不足、肢躰倦怠、頭目昏眩、食少なく、脈虚而して数、時に潮熱を 発し、将に労症となる者、或いは力を傷付け、気虚し、脈弱、腰背疼痛、事を なすごとに鼻衂し、或いは便血過多、しこうして黄痩憔悴して食少なく、気促 の者、或いは婦人陰虚し痩悴、食少なく虚熱自汗、腹痛面浮、腰痛赤白滞下等 の症を治す。《古今方彙》 ◎元気を補い、腎水を滋(ふや)すの套剤なり《古今方彙》
固真飲子
(陰陽が皆虚し、気血の不足、食欲なく、五心煩熱、自汗、精 気なく、歩行に無力、下痢、脈沈・弱) 固真丸《東醫寶鑑》 「乾姜4両、竜骨・当帰各2両、柴胡・白石脂各2両、黄柏・白芍各5銭」 作末し、麺糊で梧子大の丸剤。白湯で20~30丸服用。
◎白帯がいつまでも止まらず、腹が冷える症。 固真丹 「晩蚕蛾2両、肉蓉蓉・白茯苓・益智各1両、竜骨5銭を作末し、鹿角膠 を酒に浸したもので、梧子大の丸剤。空腹時に30丸を温酒み、ご飯1匙 入れて飲み下すのが良い。
◎遺精・夢泄。 固精丸 「知母(塩炒)・黄柏(塩炒)各1両、牡蛎・実・蓮花 芯・白茯苓・遠志各3銭、竜骨2銭、山茱萸5銭」粉末 にし、山薬糊で梧子大に丸め、朱砂でくるみ、空腹時に
塩湯で50丸服用。 ◎腎虚・精棗。
固精丸《経験方》「金桜子、牡蠣、竜骨、沙苑子、実、蓮鬚、蓮肉」 固本還晴丸《東醫寶鑑》 「天門冬(酒浸して粘土のように)・麦門冬・生乾地黄(酒浸)各3両、人参・白茯苓・山薬・枸杞子各1両半、牛膝(酒洗)石斛(酒洗)・草決明(炒)・杏仁・甘菊・兎絲子(酒製)・枳穀各1両、羚羊角(屑)・防風・青子各8銭、五味子・甘草・黄連・白茯苓・川?各7銭」を作末し、梧子大の蜜丸。 空腹時に50~70丸服用。
◎一切の眼疾。内外膜が瞳子をおおい、風眼が爛弦する症。 ◎老人の目やに。 ◎風にあたると冷涙が流れる症。 固体健腸丹《東醫寶鑑》「熟地黄・山茱萸各3両、巴戟2両、菟絲子・続断(酒浸)・遠志(製)・蛇床 子(炒)各1両半、白茯神・山薬(酒蒸)・牛膝(酒洗)・杜仲
(酒洗醋炒・去 絲)・当帰身(酒洗)・肉蓉(酒浸)・五味子・益智仁(塩水炒)・鹿茸(酥 炙)各1両、枸杞子3両、人参2両」作末し蜜で梧子大の丸剤。空腹時に 塩湯or温酒で50~70丸飲む。 ◎不妊症。
固湯《中薬臨床応用》「桑蛸9g、山茱萸9g、潼藜9g、当帰6g、黄蓍9g、茯神6g、蔚子9g、 白芍薬9g、升麻3g」水煎服。 ◎成人の腎虚による多尿。
固本元《東醫寶鑑》「炙甘草3両、猪苓2両半、蓮花芯・黄連各2両、白茯苓・縮砂・益智仁・半夏(姜製)・黄柏(炒)各1両」湯浸蒸し餅で梧子大の丸剤。空腹時に、温 酒で50~70丸服用。
◎小便の白濁を治す。
固本酒《衛生篇》 「生乾地黄・熟地黄・天門冬と麦門冬の芯を去ったもの・白茯苓各2両。人 参1両。」を細切りにし、磁器に良い酒1斗を入れて、3日間漬けた後、1 ~2時間煮ると酒の色が黒くなってできあがる。空腹時に服用。
固腸丸[1]《東醫寶鑑》 「竜骨・炮附子・明礬・訶子皮各1両、丁香・良姜・赤石脂・白豆?・縮砂 各5銭、木香3銭」を作末し、錯糊で梧子大の丸剤。栗米飲で30丸服用。
◎下痢が長くつづき、やせて衰弱した者。 固腸丸[2]《東醫寶鑑》 「樗根白皮」を焙って乾かして作末し、粥で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で20 ~30丸服用。」
◎赤痢と血痢を治す。 固腸丸[3]《証治準縄》「烏梅、肉豆?、訶子、罌栗殻、蒼朮、茯苓、人参、木香」
固腸湯《東醫寶鑑》 「罌栗殻(錯炒)2銭、白芍1銭半、当帰・甘草(炙)各7分半、陳皮・訶子・ 乾姜各5分、人参・木香各3分」水煎服。空腹時に服用。
◎赤白痢を治す。 固中丸《東醫寶鑑》 「蒼朮・肉豆?()各1両」を作末し、粥で梧子大の丸剤。空腹時に50~70 丸服用。」破故紙(炒)1両を加えると固下丸になる。 ◎脾が弱く、長い間下痢する者。
固陽湯《万病回春》《古今方彙》 「黄蓍・人参各2銭、白朮・茯苓・附子各4銭、乾姜・白姜各8銭、厚朴・ 良姜各3銭」水煎熱服。
[白姜]=生姜を蒸して白くカビを生じたもの。 ◎陽症が陰に帰り、陰嚢宿入し、手足厥冷し、腹痛み腫り、冷汗大いに出で或い は洪弦なるを治す。
国老飲 虎骨丸《東醫寶鑑》 「虎脛骨・生乾地黄・酸棗仁・白茯苓・肉桂・防風・当帰・川?・黄蓍・牛 膝」各等分に作末し、蜜で梧子大の丸剤。、木瓜湯で10丸服用。 ◎歩行の遅れている児を治す。
虎骨散[1]《東醫寶鑑》 「虎骨(酥炙)2両、白花蛇肉・天麻・防風・牛膝・白彊蚕(炒)・当帰(酒浸) ・乳香・桂心各1両、全蝎(炙)・炙甘草各2銭、麝香1銭」作末して、 毎回2銭を温酒又は豆淋酒で調下する。
◎歴節風で100節がしびれ、痛む場所に定処がない者。長引いて風毒に変じ、 痛みが骨髄まで入って動かない症。 虎骨散[2]《東醫寶鑑》 「自然銅・白附子・檳榔・?活・白?・川?各1両、地竜・没薬・雄黄各5 銭」服用法は上記に同じ。
虎骨散[3]《聖済総録》 「虎骨、酒、生地黄」 虎骨酒《東醫寶鑑》「虎脛骨(炙黄して粉末)2両、羚羊角(屑)1両・白芍(細切り)2両、を酒5 升に浸して、春夏7日・秋冬は倍。毎日空腹時に1杯飲む。
◎臂(ひじ)脛の腫痛に、軽重を問わず。 虎骨酒(史国公薬酒)《中薬臨床応用》「虎脛骨・枸杞子・蒼耳子・秦?・乾茄根(蒸熟)各120g、当帰・杜仲(姜 汁炒)・牛膝(酒洗)・白朮(土炒)・鼈甲(酥炙)・防風・?活・松節・蚕砂 (炒)・各60g」粗末にし紗の布に包み、1500ccの白酒で密封して10 日間つけ、濾過して氷砂糖500gを入れる。毎日1~2回15~30ccづつ 服用。 ◎関節痛で移動するもの。
虎骨木瓜酒《通行方》 「虎骨、桑枝、木瓜、玉竹、川?、川牛膝、当帰、天麻、五加皮、紅花、続 断、白茄根、秦?、防風」
虎潜丸[1-1]《朱丹溪》 「黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、陳皮、虎骨、鎖陽、当帰、羊肉」 虎潜丸[1-2]《東醫寶鑑》 「亀板・黄柏各4両、熟地黄・知母各3両、白芍薬・当帰・瑣陽各2両、陳 皮・虎骨各1両、乾姜5銭」作末し酒糊で梧子大の丸剤。塩湯で70~90 丸飲む。 ◎陰虚労症を治す。
虎潜丸[1-3]《医方集解》 「黄柏、亀板、知母、陳皮、白芍、熟地黄、鎖陽、虎骨、干姜」 虎潜丸[2](=健歩虎潜丸)【中成薬】《中薬臨床応用》「虎骨、鎖陽、牛膝、熟地黄、当帰、白芍、桑寄生、黄柏、亀板」1日1~2 回、6~9gづつ、食前にうすい塩水で服用。
◎骨格の発育不良 ◎筋肉の運動麻痺 ◎病後の腰痛、下腿無力。 虎翼飲《賀川ー産論》 「小半夏加茯苓湯橘皮・伏竜肝」 ◎心下せまりて嘔吐する者を治す。 ◎脱症、やや復し、嘔逆なお止まざる者。 ◎此方は悪阻の主薬とす。但し悪阻甚だしきに至っては湯剤反って激するものな り。「単烏梅丸」を徐々に下すべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎虚候の者は「半夏乾姜人参丸」に宜し。此方は雑病の嘔吐止まざる者に運用し て効あり。 ◎「小半夏湯茯苓・橘皮」として使用すること多い《済世薬室》
蜈蚣散《医宗金鑑》《中薬臨床応用》「蜈蚣6g、製南星7.5g、防風7.5g、魚膠9g」作末し毎日2回、6gづつ黄 酒or湯で服用。
◎破傷風 ◎小児の急性熱性ケイレン。 蜈蚣油《東醫寶鑑》「端午の日に蜈蚣を取って、竹筒に入れて陰干しにし、痔疾の発作が起きたら、1寸ぐらいに切って、焼いて麻油で調合して塗る。 ◎諸痔を治す。
琥珀膏《東醫寶鑑》 「大黄・朴硝各1両」作末し、大蒜を搗いて膏を作って混ぜ、患部に貼る。 ◎積聚・痞塊に、貼る。 琥珀杞菊湯《中薬臨床応用》
「琥珀2g(沖服)、枸杞子12g、菊花9g、女貞子12g、夜明砂9g、密蒙花9g、菖蒲5g」水煎服。◎角膜混濁。 琥珀犀角膏《東醫寶鑑》 「酸棗仁・茯神・人参各2銭、犀角・琥珀・朱砂各1銭、竜脳」細末にし、弾子大の蜜丸。毎回1丸を麦門冬の煎じ湯で服用。1日3回。
◎咽喉と口舌に瘡が出来る症。 琥珀散[1]《東醫寶鑑》「琥珀(細末)」を「燈心草・薄荷」の煎じ湯で2銭服用。◎血尿を治す。 琥珀散[2]《漢方治療の実際》「琥珀・海金砂各2、滑石3」以上を作末して混和し、1回2、1日3回服用。
琥珀散[3]《東醫寶鑑》 「琥珀・滑石各2銭、木通・当帰・木香・欝金・篇蓄各1銭」を作末し、毎回3銭を蘆葦葉の煎じ湯で、空腹時に、服用。 ◎砂淋・石淋を治す。
琥珀朱砂丸《東醫寶鑑》 「琥珀・木香・当帰・没薬各4銭、乳香2銭、麝香・朱砂各2分半」作末し、水で芡実大の丸剤。毎1丸温酒で服用。 ◎処女が初潮でびっくり。または風邪をこじらすと帯下になる者。
琥珀定志丸《東醫寶鑑》 (琥珀定智丸) 「天南星8両、乾人乳(姜製)・人参・白茯苓・白茯神各3両、朱砂・石菖蒲・猪胆汁(炒)・遠志・猪胆を煮て乾かした後姜汁製各2両、真琥珀1両」作末し、梧子大の丸剤。就寝前に姜湯で50丸服用。
◎補心・生血・安魄・扶肝・壮胆・神魂不定・驚戦・虚弱者に応用。
琥珀調経丸《東醫寶鑑》 「香附米1斤で2包をつくり、童尿と醋に、9日間それぞれ漬けて、取り出してきれいに洗って、熟艾4両を入れ、まぶして再び醋5椀を土鍋に入れて煮る。それを乾かしたものに、川芎・当帰・白芍・熟地黄・生乾地黄・没薬各2両、琥珀1両を作末して加え、醋糊で梧子大の丸剤。毎回100丸を空腹時に、艾醋湯で服用。」◎婦人の月経不順で七情が傷つき、妊娠出来ない者を治す。◎無月経。◎胞が冷えるとき。
琥珀通淋方《中薬臨床応用》「琥珀2g(沖服)、穿山甲(炙)12g、旱蓮草18g、冬葵子18g、木通9g、木香9g、猫鬚草18g、薺菜24g、大棗30g」水煎服。◎腎結石の血尿、
琥珀 湯《山脇方函》 「琥珀1銭半、商陸2銭、反鼻5分、猪苓7分、丁香」右五味、或いは丁香に代うるに桂枝8分を以てす。 ◎産後の水腫及び諸々の血毒腫を治す。◎此方は血分の水気(=血分腫)を治す、故に産後の水気及び諸血毒腫に効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎もし此方を与えて腫気減ぜざる者は「治婦人経水云々方」《本事後集》を与えるべし。 ◎又、調経散《宝慶集》を兼用するも佳なり。◎《恵済方》曰く、婦人経滞り、水となり流走し、四肢尽くみな腫満す、名付けて「血分腫」と曰う。証は水腫と相似たり。医審らかにする能わず、すなわち水腫と作して之を治す。誤りなり《方読便覧》
孤鳳散《東醫寶鑑》「白礬」細末にし、毎回1銭を水で服用。◎産後に言葉が出ない者を治す。
杞苓丸《東醫寶鑑》「茯苓4両、枸杞子(酒浸)2両、菟絲子(酒製)・当帰各1両、青塩5銭」作末し蜜で梧子大の丸剤。空腹時に温水で50~70丸飲む。
◎腎虚による目の昏暗と内障に。 葫芦巴散《中薬臨床応用》「葫芦巴15g、茘枝核15g、黄皮核15g、芒果核15g、竜眼肉15g、牛奶樹寄生30g、小茴香7.5g」毎回粗末15gを布で(包煎)。又は細末にし1.5~5g を生姜煎じ湯で服用。 ◎腎陽虚の寒痛 ◎下腹部や睾丸に放散痛 ◎陰嚢が収縮
芩求樗丸《東醫寶鑑》 「黄芩・白朮各3銭、樗根白皮・白芍・山茱萸各2銭半、白芷・黄連各2銭、黄柏1銭」作末し、酒枯で梧子大の丸剤。白湯で50丸服用。
◎妊婦の白帯。(湿熱による白帯)
芩朮丸《東醫寶鑑》「黄芩3銭、白朮1銭半」水煎服。◎妊娠して4~5ヶ月目に、いつも流産し、不安な者。 芩朮湯《東醫寶鑑》「白茯苓・白朮・厚朴・青皮・乾姜(炮)・草果・半夏・甘草各1銭、姜3、棗2」水煎服。◎ソン泄・食欲減少・腸鳴・脇痛・子満の症状が流行するとき。
芩心丸《東醫寶鑑》 「条黄芩2両」泔に浸して1日乾かし、又浸して乾かす。7回繰り返す。それを作末し、醋糊で梧子大の丸剤。毎回70丸、空腹時に温酒で1日2回服用。
◎閉経後の生理が止まらない。◎閉経後にまた生理が出だした。 芩柏樗皮丸《東醫寶鑑》 「黄芩・黄柏・樗根白皮・滑石・川芎・海石・青黛・当帰・白芍」等分に作末し、醋糊で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸服用。
◎やせた人の帯下。 芩半丸《東醫寶鑑》「黄芩・半夏各1両」作末して姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で70丸飲む。◎熱嗽に痰にある者を治す。
芩連消毒湯《東醫寶鑑》「黄連・黄芩・柴胡・桔梗・川芎・荊芥・防風・羗活・枳殻・連翹・射干・白芷・甘草各7分、姜3片」水煎し「牛蒡子1握り」入れ、再び「竹瀝・ 姜汁」を混ぜ服用。◎天行大頭瘟で咽喉が腫れて痛む者を治す。
芩連四物湯《医方考》《古今方彙》「当帰・川芎・芍薬・熟地黄・黄芩・黄連・半夏各等分、生姜」◎子癇で、陰火亢ぶる者。 芩連半夏散《東醫寶鑑》「黄芩1銭2分半、白朮・半夏各1銭、赤茯苓7分半、黄連・陳皮・当帰・梔子・枳殻・香附子・人参・蒼朮・縮砂・甘草各5分、姜7片」水煎服。◎悪阻で胸・背が痛む者を治す。
混元丹(一名紫河車丹)《東醫寶鑑》「紫河車・人参各1両半、熟地黄・当帰・白朮・茯神各1両、木香・白茯苓各5銭、乳香・没薬各4銭、朱砂2銭、麝香2分」作末し酒糊で梧子大の丸剤。人参湯で50丸飲む。◎虚労・痩せ・痰嗽・鬼厓を治す。
滾痰丸[1]《東洞家塾方》=「南呂丸」「黄芩4銭、甘草・青礞石各2銭、大黄<捌銭>」右4味、搗き篩い作末し、梧桐子大の丸剤。毎服20~40丸、日に3回。温水で送下。■[青礞石を製する法]「青礞石・煙硝各等分」土器中に入れて(煆)過ごし金色を以て度と為し、研飛して晒し乾燥。之を用いる。◎諸々の痰飲咳嗽して大便不利の者を治す。
滾痰丸[2]《漢方治療の実際》「大黄・黄芩各8、青礞石1、沈香0.5」以上を作末し米糊で丸とする。 滾痰丸[3]《東醫寶鑑》 「大黄(酒蒸)・黄芩各8両、青礞石・焔硝各1両を容器に入れ、蓋をして塩と泥をまぶして封をし、乾いたあと火で炙って、冷まして取り出すと垽石が金色になる。沈香5銭を作末して水をたらし、梧子大に丸め温茶で、就寝前に、40~50丸服用。
◎湿熱痰積が百病に変わるときに応用。 ◎失心・癲狂には100丸。 中風便秘には30~50丸。 昆布丸《証治準縄》「昆布、海藻、蕪仁、藜子、枳実、麻子仁、訶子、黄蓍、木香、桃仁、 菟絲子」
昆布消瘰湯《中薬臨床応用》「昆布9g、海藻9g、夏枯草15g、牡蛎30g(先煎)、柴胡6g、白芍薬9g、陳皮6g」水煎服。◎慢性頸部リンパ腺炎。
#済陰丸《東醫寶鑑》「亀板・黄柏各2両半、牛膝・菟絲子・各1両2銭半、当帰・知母・鎖陽各1両、陳皮・虎骨・山薬・白芍薬・縮砂・杜仲・黄蓍(塩水炒)・熟地黄各7銭、枸杞子5銭、破故紙3銭半」作末し熟地黄を酒で蒸して膏を作って梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で70丸飲む。◎陰虚労症を治す。
#済生紫蘇子湯《東醫寶鑑》「白朮2銭、蘇子・人参各1銭、大腹皮・草果・半夏・厚朴・木香・陳皮・枳殻・甘草各5分」剉作1貼し「姜3、棗2」入れ水煎服。◎心配事と思慮が脾・肺を傷つけ、心腹が脹満し喘促して胸が一杯で腸が鳴り、大小便が不利で、脈が虚で渋い。
#済生腎気丸《厳氏済生方》 =「牛車腎気丸」 「六味地黄丸牛膝・車前子・附子・肉桂」
#済生茯苓湯《医学入門》《古今方彙》「半夏・赤茯苓・陳皮各1銭、甘草・桔梗・枳実各5分、生姜」煎じ温服。◎停蓄支飲及び筋痺、脉痺を治す。
#済生防風湯《医学入門》《古今方彙》 「当帰・赤茯苓・独活・赤芍薬・黄芩・秦艽各5分、甘草・桂心・杏仁各2分半、防風1銭、生姜」煎じ温服。 ◎血痺、肌痺、皮痺を治す。
#済川煎《景岳全書》《中薬臨床応用》「当帰12g、牛膝6g、肉蓯蓉9g、沢瀉5g、升麻2.5g、枳殻3g」水煎服。 ◎腸燥による便秘。 #済川煎《張景岳》
「当帰 牛膝 肉蓯蓉、沢瀉 升麻 枳穀」 ◎体液が枯れ、腸がかわき、大便困難。 採毒散《雑病翼方》「白扁豆」 #犀角飲《医学入門》《東醫寶鑑》「犀角螃2銭、羗活・黄芩・車前子各1銭、白附子・麦門冬各5分」水煎し食後服用。◎黄膜が上がって瞳が痛み閉渋の者を治す。
#犀角飲《医学入門》《古今方彙》「犀角2銭、黄芩・車前子・羗活各5分、白附子・麦門冬各2分半」水煎◎脾胃が風熱や食毒を受け、下瞼より黄膜を生じ、上衝黒暗して痛み渋りて開き難く、或いは小眥の中に赤脉を生じ、漸々にして睛を衝くを治す。
#犀角飲子《東醫寶鑑》「犀角螃屑・木通・石菖蒲・玄参・赤芍薬・赤小豆・甘菊各1銭、甘草5分、姜5片」水煎服。◎風熱による耳の腫痛・膿水を治す。
#犀角飲子《医学入門》《古今方彙》「犀角・菖蒲根・木通・玄参・赤芍薬・小豆(赤)・甘菊各5分、甘草2分半、生姜」煎じ温服。 ◎風熱上に壅りて両耳聾し、外を閉じて内は腫痛し、膿水流出するを治す。◎左甚だしければ:「蔓荊子生地黄」◎右甚だしければ:「桑白皮麦門冬」
#犀角解毒湯《寿世保元》《古今方彙》「犀角・牡丹皮・赤芍薬各1銭、生地黄5分、黄連・黄芩・黄柏・山梔子」水煎。 ◎麻疹已に出て大便下血し、或いは小便下血し、吐血衂血し、或いは二便閉渋し、瘡疹は緻密にして熱渇し亦痛む者を治す。
#犀角玄参湯《東醫寶鑑》「犀角螃屑1銭、升麻2銭、黄芩1銭半、香附子・玄参各1銭、人参5分、甘草3分、大青葉1銭」水煎服。◎発斑を治す。
#犀角散《東醫寶鑑》 「車前子・枸杞子各1両、槐子・五味子・青葙子・牛蒡子(炒)・茺蔚子・胡黄連各7銭半、犀角屑・羚羊角屑各5銭、兎肝1典」作末し毎回2銭を、食後に槐子煎じ湯で服用。◎失明を治す。
#犀角地黄湯《備急千金要方》 「犀角3両、地黄8両、芍薬3両、牡丹皮2両」◎傷寒及び温病で、まさに発汗すべくして之を発せず、内瘀に、畜血ある者。◎及び鼻衂血・吐血つきず、瘀血・面黄・大便黒き者を治す。
◎瘀血を消化するを主る。◎此方は、内に瘀血有りて吐血・衂血する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎もし蓄血による吐血・衂血甚だしき者:「桃核承気湯」に非ざれば効なし。犀角地黄湯は第二に処すべし。◎それ蓄血の証は、小便不利に在るなり。故に昼日やや減じ、夜に発熱譫語する者は瘀血未だ行らざるなり。「桃核承気湯」にて之を下し、後に「犀角地黄湯」を用い之を調う。《傷寒翼方》◎《有持希藻》曰く、大便黒き者、即ち是れ血便なり。血便はその色紫黒にして、臍の四辺小腹必ず痛む。傷寒中に此証あらば則ち極めて危悪の候。《雑病翼方》◎熱あり、狂の如き者:「+黄芩」。その人、脈大に来ること遅く、腹満せざるも自ら満すと言う。《傷寒翼方》◎傷寒のみならず諸病に運用すべし。◎血淋:☆小便淋瀝し、出血疼痛忍び難きを治す《方読便覧》◎衂血:☆《外科正宗》陽明積熱、歯根腐爛し、出血止まず、及び歯衂を治す《雑病翼方》☆「+黄連解毒湯」《児科方要》◎走馬牙疳:☆「+黄連解毒湯」《児科方要》☆走馬疳に「+三黄湯」《雑病翼方》◎吐血:「+三黄瀉心湯「《方読便覧》◎風眼:☆破潰し、出血止まざる者:「+三黄湯」《先哲医話》
#犀角地黄湯《漢方治療の実際》「犀角・地黄各4、芍薬・牡丹皮各3」 #犀角地黄湯《備急千金要方》《東醫寶鑑》「生地黄3銭、赤芍2銭、犀角・牡丹皮各1銭」
#犀角地黄湯《備急千金要方》《中薬臨床応用》「犀角3g(剉作沖服)、生地黄30g、牡丹皮9g、赤芍薬9g」水煎服。 犀角の代用に牛角60gでもよい)◎皮下出血◎血小板減少性紫斑病による鼻出血、歯根出血、吐血。
#犀角地黄湯《古今方彙》「犀角、生地黄、牡丹皮、芍薬」水煎。◎胃火盛んにして血熱妄行し、或いは吐血、衂血、便血するを治す。◎本、《備急千金要方》に出ず。
犀角地黄湯[2]《済世抜萃方》 「瀉心湯《傷寒論》犀角・地黄」◎吐血。◎熱甚だしく、胸中に血積するを治す。 #犀角消毒飲[1-1]《和剤局方》《古今方彙》「牛蒡子4銭、荊芥・防風各3銭、甘草1銭、犀角1銭半別に(ホウ、ヤスリですりおろすこと)して細末となし湯煎に入れず。左を細く切り1服を作り、水2盞にて煎じ1盞に至り、犀角を調えて服す。◎大人、小児、内蘊邪熱、咽膈不利、痰涎壅嗽、眼赤瞼腫、腮項結核、癰腫表に聚り、遍身風疹、毒赤及び瘡疹已に出で、未だ出でず快透する能わざるを治す。並びに皆小児の疹痘出でんと欲し及び已に出で熱未だ解でざるを治療す。急ぎ此薬三四服を進む。
#犀角消毒飲[1-2]《東醫寶鑑》「鼠粘子4銭、荊芥・防風各2銭、甘草1銭、犀角1銭半」水煎し犀角汁で調合して服用。◎丹毒・斑疹・癮疹を治す。
#犀角消毒飲[1-3]《和剤局方》《古今方彙》「荊芥・防風各1銭、犀角・甘草各5分、牛蒡(微炒)4銭」水煎。 *犀角なければ升麻に代ゆ。◎風毒(転移性の膿腫)赤紫、丹瘤(熱毒のために皮膚に赤い塊が出来る)壮熱、狂躁して睡臥不安、胸膈満悶し、咽喉腫痛して九道の血の妄行あり、遍身の丹毒を治す。
◎及び痘疹至に出で、未だ出でず快透する能わず、已に熱出でて解せざるには急ぎ宜しく此を服すべし。 ◎《万病回春》には黄芩あり。 #犀角消毒飲[2]《勿誤薬室方函口訣》「牛蒡子6分、荊芥8分、防風・甘草各4分、犀角・黄芩各5分」六味、水三升、以水、煮取一升。◎放点稠密、凹陥して凸起せず、あるいは行漿の時(発痘)に至って平陥紫黯なる者、犀角消毒飲に宜し。《雑病翼方》
#犀角升麻湯《普済本事方》《東醫寶鑑》 「犀角1銭半、升麻1銭2分半、防風・羗活各1両、川芎・白附子・白芷・黄芩各7分半、甘草5分」水煎し食後服用。◎中風で鼻・額(ヒタイ)・唇・頬車・髪際が疼痛し、口を開けられず、左ヒタイと頬の方が硬く糊を付けたように、四方から引っ張られるような気がする者と、手で触ると疼痛する者を治す。◎陽明胃経の風熱毒を治す。
#犀角升麻湯《普済本事方》《古今方彙》「犀角7分半、升麻・防風・羗活・川芎・白芷・黄芩・白附子各5分、甘草1分半」水煎し漱(そそ)ぎつつ服す。
◎胃経が風毒にて気血凝滞し麻痺不仁、鼻額の間の痛み、唇口、頬車、髪際が牙に連なりて腫痛し、口開く能わざるを治す。 #犀角旋覆花湯《備急千金要方》「犀角3両、旋覆花2両、橘皮3両、茯苓3両、生姜3両、蘇葉1握、香豉1升、大棗12枚」
◎脚気腫満し、或いは行起渋弱、小便秘渋し、喘息気喉を衝き、食嘔して下らざるを治す。 ◎此方は、脚気の水気、上胸腹に盛して嘔気を発し、或いは気急喘息する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は水気嘔逆を主とし、「沈香豁胸湯」は気急促迫を主とする。◎瘴毒脚気、はじめ嘔逆を覚え、煩悶頭昏、不食なり、宜しく以下の方を服すべし《太平聖恵方》「木香、檳榔、半夏、犀角、旋覆花、橘皮、茯苓、蘇葉、甘草」。按ずるに此方は犀角旋覆花湯に変方。嘔を治す、特に優れる。《方読便覧》
#犀角大黄湯《聖済総録》 「犀角・大黄各1両、川芎半両、石膏2両、牛黄半分、竹葉」◎剛痙、壮熱、頭痛、筋脈舒展する能わざるを治す。◎此方は剛痙、壮熱を治する薬ばれども、中風初起、熱甚だしく「続命湯」《金匱要略》を与えて応ぜざる者、此方にて一下するときは病ゆるむものなり。《勿誤薬室方函口訣》◎痙病の裏に在る者の治法なり《雑病翼方》
◎その証劇しく、胸満口噤、臥、席に着かず、脚攣急、齘歯(歯ぎしり)、脈反って伏弦なるは、邪気已に裏に入る。陽明に在りと為す《雑病弁要》 #犀角大青湯《張氏医通》「犀角、大青葉、玄参、升麻、黄連、黄芩、梔子、生草」
#犀角湯《備急千金要方》「犀角2両、羚羊角1両、柴胡3両、梔子3両、黄芩3両、射干3両、大黄4両、升麻4両、香豉1升」 ◎熱毒四肢に流入し、歴節腫痛するを治す。◎此方は、歴節の熱甚だしく、一身に入り、四肢節々痛腫して、越婢湯や続命湯の症にて一段痼をなしたる者なり。四苓湯《諸病源候論》に熱毒の痛風を挙げて陽結と云う、即ち此症なり。《勿誤薬室方函口訣》◎市谷の抹香屋妻、両脚腫痛、日哺より瘀熱を発し、その痛忍ぶべからず、徹夜号泣す。余、此方を与えて熱漸く減じ、一月にして痛全く安し。◎《華岡青州》は、痛風熱甚だしく烏附の剤投じ難き者にしばしば用いて奇験を奏すと云う。◎歴節風、升陽に在る者の治法なり《雑病翼方》
#犀角湯《金匱翼方》 「犀角湯《備急千金要方》羚羊角・黄芩・梔子・大黄・香豉玄参・連翹・麦門冬・芒硝・木通・沈香・甘草」◎余かって、手十指独り腫大する者、此薬を与えて癒える。◎傷寒後、手足腫れて紅き者、此を与えて癒える。《雑病翼方》
#犀角湯《医綱》 「犀角・茵蔯蒿・地黄・梔子各(大)、茯苓・麦門冬各(中)、竹葉、生姜」◎傷寒後、伏熱心にあり、怔忪、驚悸、眠睡し得ざるを治す。◎此方、瀉心導赤散の変方に係り、而も簡捷なり。証に因って之を試み、反って奇なり《傷寒翼方》◎此方は傷寒大熱解する後、心胞絡に餘熱蓄在して、心煩、驚悸などあり、小便赤濁、或いは微咳嗽する者を治す。
#犀角湯《張渙》 「犀角・茯苓・麦門冬・人参・甘草・黄芩各半両、地黄」◎癇を退け、心神を鎮む。◎此方は小児驚癇に用いる薬なれども、大人肝虚内熱の症、あるいは熱病後、心神安からざる者の効あり。
#犀角湯《医学入門》《古今方彙》「犀角・玄参各1銭、連翹・柴胡各6分、升麻・木通各8分、沈香・射干・甘草各5分、芒硝・麦門冬各4分」水煎。 ◎結腸(手足腫れ諸脉留結して熱をなして腫満す)にて肢腫れ便閉する者を治す。
#犀角湯《東醫寶鑑》「犀角・玄参各1銭、升麻・木通各8分、連翹・柴胡各6分、沈香・射干・甘草各5分、芒硝・麦門冬各4分」水煎服。◎結陽症で、四肢が腫閉する者を治す。
#犀角麻黄湯《備急千金要方》「犀角・麻黄・黄芩各2両、生姜3両、石膏4両、桂枝・甘草・杏仁各3両、防風・独活・防已・川芎・蒼朮・羚羊角・当帰各2両」◎風毒脚気を治す。「風毒」=寒暑湿鬱蒸は人を傷く、みな風毒と名づく《脚気提要》◎脚気、太陽に在る者の治法なり《雑病翼方》◎専ら、脚気、実熱に属する者を治す《方読便覧》◎此方、能く脚気腫、脈数にして小便赤渋し、毒気血分を犯し、発熱する者を治す。《高階枳園》◎此方は風毒脚気の主剤なし。風毒脚気の候は《備急千金要方》及び《太平聖恵方》の悉く身えたり。◎湿気外邪を挟んで発熱腫満する者、此方に非ざれば効なし。◎もし此症、誤治し内攻する者、「大陥胸湯」に非ざれば救うこと能はず。《勿誤薬室方函口訣》◎脚気痿弱の症、「附子湯」《備急千金要方》を用いる《和田東郭》◎胸中一物あるが如く、脇肋膨張して却って快からざる者、「越婢湯木瓜檳榔」を使う。その甚だしき者に、犀角麻黄湯。◎此方、専ら脚気風毒、腫痛し、寒熱する者を治して効あり。一方、「茯苓、附子、細辛、独活、羚羊角、杏仁、人参」あり。《脚気提要》
#犀地清神湯 「犀角・鮮地黄・銀花・連翹・広欝金・鮮石菖蒲(後入)・梨汁(冲)・竹瀝(冲)・生姜汁(冲)煎服」 犀地清絡飲《通俗傷寒論》 「犀角汁(冲)4匙、牡丹皮8g、鮮地黄32g、連翹(去心)6g、淡竹瀝(冲)2瓢、生赤芍6g、原桃仁36g、生姜汁(冲)2滴」煎服。
犀連承気湯《通俗傷寒論》 「犀角汁(冲)2瓢、川楝子3.2g、枳実6g、鮮地黄汁(冲)6瓢、生錦紋大黄12g、真金汁(冲)40g」煎服。 柴葛解肌湯[1]《傷寒蘊要》「小柴胡湯葛根・芍薬」◎脈弦長、少陽と陽明の合病にして熱ある者を治す。◎柴葛解肌湯《浅田家方》の症にして、汗出、煩渇せず、脈弦長なる者。《勿誤薬室方函口訣》
柴葛解肌湯[2-1]《傷寒六書》《古今方彙》「柴胡、黄芩、葛根、羗活、赤芍薬、桔梗、甘草、石膏、生姜、大棗」◎足の陽明胃経受症、目痛み、鼻乾き、眠るを得ず、眼痛み、脈来ること微洪なるは宜しく解肌すべし。
◎陽明経に属する病を治す。◎本経、汗無く悪寒するには:「黄芩麻黄」 柴葛解肌湯[2-2]《傷寒六書》《古今方彙》「柴胡・黄芩・乾葛・芍薬・羗活・白芷・桔梗・石膏・甘草・生姜・大棗」水煎し温服。◎足の陽明胃経受症。◎目痛み、鼻乾き、眠るを得ず、眼(ガンキョウ、まぶた)痛み、脉来ること微洪なるは宜しく解肌すべし。
◎陽明経に属する病を治す。其の症陽明腑症は則ち別に治法あり。【加減方】<1>本経、汗無く悪寒するには:-黄芩、+麻黄。
柴葛解肌湯[2-3]《傷寒六書》《漢方後世要方解説》「柴胡4、葛根・黄芩・芍薬各3、羗活・白芷・桔梗・甘草・大棗・生姜各2。石膏5」◎太陽陽明の合病、頭、目、眼、眶(キョウ、まぶた)痛み、鼻乾きで、眠らず、悪寒して汗無く、脈微洪を治す。◎此方は桂枝湯、麻黄湯にて発表しても快癒せず、汗が出ないで却って熱勢加わり、柴胡の証があって表証尚解せず、白虎の証でもなく、熱が盛にして頭痛、身体疼痛、鼻衂等があり、上部閉塞し、甚だしきは譫語狂躁の状など生ずる者に用いる。
■柴胡・黄芩・芍薬・甘草=心下肝部胸脇を暖めすかし■葛根=上部肌表を疎通し■羗活・白芷・桔梗=上部の緩解し■石膏=上部の熱を鎮墜清涼し、又肌肉の熱を疎通する。
★適応症及び病名(柴葛解肌湯)
肺炎の一症熱性病の一症流行性感冒 柴葛解肌湯[3-1]《浅田家方》「柴胡4、黄芩・桂枝・半夏・葛根・芍薬各3、麻黄2、石膏5、甘草1。生姜1.5」◎太陽・少陽の合病、頭痛・鼻乾・口渇・不眠・四肢煩疼・脈洪数なる者を治す。◎此方は余家の新定にて、麻黄・葛根、二湯の症未だ解せず、既に少陽に進み、嘔渇甚だしく、四肢煩疼する者に宜し。◎浅田家方は、麻黄湯、葛根湯の2証未だ解せず、而も少陽に進んで嘔渇甚だしく四肢煩疼する者に宜い。《矢数道明》
柴葛解肌湯[3-2]《浅田家方》《龍野ー漢方処方集》「柴胡・半夏・葛根各4.0g、麻黄3.0g、桂枝・黄芩・芍薬各2.0g、甘草1.5g、 石膏6.0g、干姜1.0g」◎感冒で頭痛鼻乾き口渇し不眠、四肢煩疼脉洪数の者。
★適応症及び病名(柴葛解肌湯)[1]怒りっぽい
[2]悪寒
[3]悪心
[4]胸脇苦満
[5]狂躁
[6]口渇
[7]高熱
[8]錯乱状態
[9]衂血
[10]身体疼痛
[11]頭痛
[12]譫語
[13]発狂
[14]鼻が乾燥
[15]不眠
[16]無汗 柴葛二朮湯《古今方彙》「柴胡、白朮、陳皮、乾葛、蒼朮、羗活、防風、荊芥、甘草、生姜」水煎。◎瘧疾初に発し、憎寒壮熱、頭疼み汗ある者汗なき者を治す。
柴陥湯[1-1]《本朝経験》「小柴胡湯+小陥胸湯」◎小柴胡湯の消炎鎮痛作用が更に強化される《大塚敬節》
柴陥湯[1-2]《通俗傷寒論》《中薬臨床応用》「柴胡9g、黄芩6g、黄連3g、法半夏5g、括楼仁15g、枳実4.5g、桔梗6g、生姜5g」水煎服。◎胸痛を伴う咳嗽
◎痰が多い◎痰がすっきり出ない
柴陥湯[1-3]《東醫寶鑑》「半夏3銭、括呂仁・柴胡各2銭、黄芩・黄連各1銭、人参7分、甘草5分、姜5、棗2」水煎服。◎熱実結胸と水結痰結を治す。
柴陥湯[1-4]《漢方治療の実際》「小柴胡湯括呂仁3、黄連1.5」◎胸中の熱邪が心下の水と併結する者を治す。◎此方は誤下の後、邪気虚に乗して心下に聚まり、その邪の心下に聚まるにつけて、胸中の熱邪がいよいよ心下の水と併結する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎此症の一等重き者:「大陥胸湯」なれども、此方にて大抵防げる。
◎鑑別:《浅田宗伯》*「柴陥湯」:胸から心下まで痛む者。*「柴胡枳桔湯」:胸が詰まったように痛み、或いは肺癰になろうとする者。*「柴梗半夏湯」:両脇まで刺痛し、咳嗽の甚だしい者。
「括呂枳実湯」参照→「括呂枳実湯」「柴陥湯」:咳嗽・胸痛・粘痰。「括呂枳実湯」:咳嗽・胸痛・粘痰・気急。
◎目標:「胸脇部に充満圧迫感があって、咳嗽時または深呼吸時に胸痛を訴える点にある。また体温上昇、食欲不振などがみられることもある」。《大塚敬節》「熱性の胸痛、或いは心下痛、咳嗽」《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(さいかんとう)[1]咽喉炎
[2]往来寒熱
[3]かぜ
[4]咳嗽 ☆咳嗽による胸痛。☆上焦熱盛んに痰咳する者:「竹茹」☆疹已に出で胸満喘急する者は、毒気内攻して肺気壅塞するなり、柴陥湯に宜し。《麻疹心得続録》
[5]肝炎
[6]感冒
[7]気管支炎:☆感冒後に気管支炎になり、痰が切れにくく、強い咳をすると、胸から腹に引きつれて痛むという者《大塚敬節》
[8]気管支喘息
[9]急性胃腸炎
[10]急性腎炎
[11]胸脇苦満(著明)
[12]胸痛:☆傷寒、結胸を治す:「枳実・桔梗・山梔子」《傷寒翼方》☆肋膜炎・気管支炎・肺炎などで、胸痛を訴える者に用いる《大塚敬節》
[13]胸膜炎
[14]口がねばる
[15]血管運動神経浮腫
[16]肩背強急
[17]口乾
[18]口苦
[19]ジフテリア(=馬脾風)☆初起に:「竹茹」《勿誤薬室方函口訣》
[20]上気道炎
[21]心筋梗塞(初期)《矢野》
[22]心下痞鞕
[23]深呼吸が苦しい
[24]舌苔<白膩>
[25]胆嚢炎
[26]濃厚な喀痰 ☆熱盛んな者には、+竹茹《勿誤薬室方函口訣》 ☆痰が<黄色痰稠>
[27]肺炎
[28]疲労倦怠
[29]百日咳
[30]肋膜炎 ☆乾性肋膜炎の特効薬。
[31]肋間神経痛:☆みぞおちから脇腹にかけて。重苦しくつまる感じで、抵抗と圧痛のある者。 柴香散《東醫寶鑑》「枳実・地骨皮・三稜・莪朮各1銭、柴胡・黄芩各7分、赤芍薬・厚朴・香薷・黄連・延胡索各5分、甘草3分」剉作1貼し、水煎服。◎心腹に気があるが、塊にために少し通じ、又は膨張し、寒熱往来する者を治す。
柴梗湯《東醫寶鑑》「柴胡2銭、黄芩・半夏・枳穀・桔梗各1銭、人参7分、甘草5分、生姜5、大棗2」水煎服。◎胸膈の満悶・痞痛を治す。
柴梗半夏湯《東醫寶鑑》 「柴胡2銭、瓜蔞仁・半夏・黄芩・桔梗各1銭、青皮・杏仁各8分、甘草4分、姜3片」水煎服。◎痰熱による胸痞・脇痛のとき。
柴 梗半夏湯《医学入門》《龍野ー漢方処方集》「柴胡・半夏各4.0g、桔梗・杏仁・瓜蔞仁各3.0g、黄芩・大棗各2.5g、枳実・青皮各2.0g、甘草1.5g、干姜1.5.g」◎発熱、咳嗽、胸満、両脇刺痛する者を治す。これ邪熱、痰を挟み攻注するなり。◎「柴胡枳桔湯青皮・杏仁・人参」《勿誤薬室方函口訣》柴胡枳桔湯証にして咳嗽甚だしき者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎発熱咳嗽、胸満脇痛する者。
★適応症及び病名(柴梗半夏湯) [1]肺炎:☆柴陥湯の証にして、胸に牽引痛と咳嗽がある《済世薬室》[2]胆石症
柴胡飲子《金匱要略》 「柴胡8分、白朮8分、檳榔4枚、橘皮5分、生姜5分、桔梗7分、枳実5枚、甘草3分」◎五臓の虚熱を退く。◎此方は四逆散の変方にして、時々肌熱を発し、或いは瘧状の如く、二三日苦悶する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎脚気初起、傷寒に似て発熱する者に効あり。◎腹中熱有り、将に下痢せんとする者、先ず之を与える。
柴胡飲子《宣明論》《古今方彙》「人参、当帰、黄芩、柴胡、大黄、甘草」◎一切の蒸積熱及び血虚発熱、脈洪大実弦数の者を治す。 柴胡飲子《東醫寶鑑》「柴胡・黄芩・人参・当帰・赤芍薬・大黄・甘草各1銭」剉作1貼し、姜3片入れ水煎服。◎肝熱を治す。
柴胡加桂湯《傷寒論》《古今方彙》「柴胡3銭、黄芩・桂枝各2銭、半夏1銭、甘草4分、生姜大棗」水煎温服。◎半表半裏の症、盗汗、身熱し衣を去るを欲せず、及び満せず、硬せず、但だ、心下妨悶(いためもだえる)するを治す。之を支結百病という。◎ここに若し頭疼悪寒あらば、「小柴胡加桂」値千金なり。
柴胡加芒硝湯《傷寒論》「柴胡2両26銖、黄芩1両、人参1両、甘草(炙)1両、生姜(切)1両、半夏20銖、大棗(擘)4枚、芒硝2両」右八味、以水四升、煮取二升、去滓、内芒消、更煮微沸、分温再服。不解更作。◎傷寒十三日不解、胸脇満而嘔、日哺所発潮熱、已而微利、此本柴胡證、下之以不得利、今反利者、知医以丸薬下之、此非其治也。潮熱者、実也。先宜小柴胡湯以解外、後以柴胡加芒硝湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。 柴胡加芒硝湯《傷寒論》《漢方治療の実際》「柴胡6、半夏5、黄芩・人参・大棗・生姜・甘草各3、芒硝2」
柴胡加芒硝湯《傷寒論》◎「大柴胡湯+芒硝2両」◎此方は《成無已》は小柴胡湯に加ふれども、《医学入門》に従って大柴胡湯に加ふべし。何となれば、柴胡証にして陽明に及ぶ者に用ゆればなり。《勿誤薬室方函口訣》◎故にその熱候、鬱々として微煩にはあらで、日哺所潮熱を発するなり。◎芒硝は即ち胃中凝滞の実熱を去る為に用いる。《金匱要略》には芒硝一味を大黄に伍せずして用ゆれども、解凝利水に用いる。此方とは趣意異なる。《勿誤薬室方函口訣》◎その既に陽明に及び、而して少陽未だ解せず、心下急、鬱々微煩する者は、「大柴胡湯」なり。胸脇満して嘔し、日哺所潮熱を発するは、「柴胡加芒硝湯」と為す。《傷寒弁要》◎潮熱、下痢、胸脇満、嘔。
★適応症及び病名(柴胡加芒硝湯)
[1]悪心
[2]嘔吐
[3]胸脇苦満
[4]口渇
[5]口苦
[6]口唇乾燥
[7]食欲不振
[8]心下痞硬
[9]潮熱:☆<日哺所=夕方4時頃>
[10]熱病誤下後
[11]腹満<実満>
[12]便秘
[13]痢疾: ☆痢疾の初起は発表を以て緊要と為す。もし将に噤口痢にならんとする者は、早く大いに之を下すべし。大柴胡湯芒硝に宜し。《先哲医話》
柴胡加竜骨牡蛎湯[1-1]《傷寒論》「柴胡4両、龍骨・黄芩・生姜(切)・鉛丹・人参・桂枝(去皮)・茯苓各1両半、半夏(洗)2合、大黄2両、牡蠣(熬)1両半、大棗(擘)6枚」右十二味、以水八升、煮取四升、内大黄、切如碁子、更煮一両沸、去滓、温服一升。本云柴胡湯、今加龍骨等。◎傷寒八九日、、下之、胸満、煩驚、小便不利、譫語、一身盡重、不可轉側者、柴胡加竜骨牡蠣湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。
■鑑別 [大柴胡湯](肝鬱・寒熱症・心下急・鬱々微煩) 〇柴胡6・黄芩3 [柴胡桂枝乾姜湯](肝鬱・腹動・虚証) 〇柴胡6・黄芩3 〇柴胡7・黄芩3(小柴胡湯
〇柴胡5・黄芩2(柴胡桂枝湯) [苓桂朮甘湯](癇症・心下悸・胃内停水・脈沈) [抑肝散加陳皮半夏](癇症・腹動・神経症状・臍傍大動悸・虚証)
[甘麦大棗湯](狂状・急迫・神経症状甚・腹筋拘急) 柴胡加竜骨牡蛎湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》「柴胡5、半夏4、大棗・生姜・人参・龍骨・牡蠣・桂枝・茯苓各2、大黄1」原方には鉛丹があるが、一般には、これを去る。また甘草を入れることがある。
◎小柴胡湯の証にして胸腹動あり煩躁、驚狂、大便難、小便不利する者を治す。《吉益東洞》 ◎此方は肝胆の鬱熱を鎮墜するの主薬とす。故に、傷寒の胸満、煩驚のみならず、小児驚癇、大人のテンカンに用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎本症は胸中煩して嘔せず(小柴胡湯)と、少陽中風胸満而煩とあるものより、一等深きもの、煩、驚、各自が一証である。《傷寒論識》◎柴胡加竜骨牡蛎湯証にして、虚に属する者:「升陽散火湯」《傷寒翼方》
★適応症及び病名 (柴胡加竜骨牡蛎湯)[1]イライラ:☆癇症(神経がイライラする症)にて、煩驚なく、四肢掣縦(不自由)、心志不安者は:「大黄・鉛丹芍薬・釣藤鈎・羚羊角・甘草」《勿誤薬室方函口訣》☆癇症、夜安眠を得ず、喜笑止まず、あるいは痰喘壅塞し、精神爽やかならざる者を治す。《傷寒論識》
[2]咽喉異物感
[3]インポテンツ
[4]陰痿(神経性の)
[5]萎縮腎
[6]運動障害
[7]円形脱毛症
[8]往来寒熱
[9]驚きやすい(易驚)・怒りっぽい(易怒)☆驚癇、或いは心気不定の者、之を主どる。《類聚方集覧》
[10]潰瘍性大腸炎
[11]角膜混濁:☆1聾者、角膜曇濁して胸腹に動があり、時に或いは頭眩する。よって柴胡加竜骨牡蛎湯を与え、芎黄散を兼用し、且つ一方を点眼し、1ヶ月ばかりにして癒えた。《上田椿年》
[12]脚気(かっけ)
[13]肩こり: ①神経過敏、興奮しやすい。②臍上動悸、 ③心下部膨満・抵抗あり、④胸脇苦満。 ⑤上腹部膨満し、不眠、めまいを訴える。
☆神経過敏で興奮しやすい、便秘するなどの症状があって肩凝りを訴える者《大塚敬節》
☆神経症・心臓病・高血圧症などで肩凝りのある者に用いる機会がある《大塚敬節》
[14]仮面うつ病
[15]肝炎(急・慢性)
[16]肝硬変
[17]感情不安定
[18]癇症:☆この方を癇症や癲狂に用いてしばしば効を得た。当今の病人は、気鬱と肝うつの病人が10中の7、8である。肝欝が募ると癇症となる。婦人はわけても肝欝と癇症が多い。この場を会得すれば当今の雑病の治療も困難ではない。《傷寒論》では胸満、煩驚、小便不利の者に用いている。この数症の中で、胸満が主症で、煩驚、小便不利が客症である。畢竟、胸満するから自然と胸中が煩する。煩するから精神が不安で事に触れて驚くようになる。気が胸に上って結ばれるからそこに鬱積してめぐらない。それで小便の不利が起こる。それ故にこの方を用いる標準は胸満である。もちろん大小便の通じ悪く、煩驚があれば正面の証である。さて癇症は色々の証を現す病で、夜床につくと、眼に色々のものが見えたり、また水気が臍の下から攻め上がって呼吸が促迫して、脚気衝心のようになったり、発作のたびに手足がひきつれ、ひどいときは痙病のように、反り返る。夜間たまたま眠ると夢を見、種々の症状を現す。このような場合、胸満、煩驚、小便不利があれば、必ずこの方を用いるが良い。《餐英舘療治雑話》☆府下大久保余丁町の鈴木由喜は年が40歳あまり。ある日突然眼を見張って、まばたきをせず、訳の分からないことを口走り、屋根に登ったり、垣根を飛び越えたりして走り騒ぐようになった。またひどい大食で、鰯魚のなますを大きな盆に1杯入れてあったものを半分も食べて、まだ飽きたらないもののようである。その上、からだや四肢を団子大のものが走り回るようになった。そこで人々は狐つきだとして、神に祷ったり、仏にお願いをかけたり、針をしたり、灸をしたり、刺絡をして血をとったり、薫法をして煙を嗅がせたり、ありとあらゆることをした。こんな風で100日ほどたったが、依然として治らない。ところがたまたま団子大のものが3つも4つも左の顎のところに集まって、瘰癧のようになり、ひどく歯が痛むようになった。すると、いままでの狂躁状態がピタッと止み、ただ訳の分からないことをいうだけとなった。そこで余に往診を乞うた。
余はこれを癇症と診断して、柴胡加竜骨牡蠣湯を与えたところ、歯痛が治まり、瘰癧の様なものも、だんだん消え、妄語もまた止んで10日あまりで全治した。その後は感冒のような軽い病気にかかっても、他の薬剤よりも、柴胡加竜骨牡蠣湯の効く場合が多くなった。(福富元・和漢医林新誌第76号)
[19]気が小さい
[20]気の上衝
[21]灸後の煩躁
[22]胸脇苦満:
[23]胸満煩驚:☆胸満感ありて心悸亢進し、身体微痛し、脈弦遅なる証。《奥田謙蔵》
[24]強迫神経症
[25]恐怖症: ☆怵惕、煩満の状ありて、精神昏乱し、時には譫語を発し、脈緊急なる証。《奥田謙蔵》 (怵=ジュツ、恐れる)(惕=テキ、恐れる)
[26]狭心症 ☆「黄連1.5g、葛根5.0g」狭心症や心筋梗塞の発作時に用いるのではなく、平素服用することで、発作を予防する効がある。神経過敏で、精神感動によって発作を起こすもので、心下部が膨満し、臍上で動悸が亢進し、不眠、煩悶の状あるものに用いる。《漢方診療医典》
[27]狂乱: ☆狂症、胸腹の動甚だしく、驚懼(キョウグ)人を避け、兀(コツ)座、独語し、昼夜寝ねず、或いは猜疑多く、或いは自死せんと欲し、床に安んぜざる者を治す。《類聚方広義》兀(コツ)=白川静は髪の毛を剃り落とした頭の側面の象形だとする。
[28]筋肉攣縮(ピクピクひきつる)
[29]ケイレン:☆《大塚敬節》“14歳の男児。乳児の頃、中耳炎にかかった。昭和29年に突然意識を失って卒倒して、激しい痙攣を起こした。それが毎年少しずつ悪化し昭和34年には、3月、5月、6月、7月、10月に大きな痙攣発作があり、昭和35年には2月と3月に大発作があって、4月に当院に治を乞うた。腹診すると、臍部で動悸が亢進している。胸脇苦満は右側で極めて軽微に証明されるが、ほとんどわからない程度である。およそ乳幼児や少年に柴胡剤を用いるときは、胸脇苦満は、あまりはっきり現れないことが多い。腹部もあまり膨満していない。この点は大人の場合とは違っている。私はこれに柴胡加竜骨牡蛎湯大黄甘草を与えた。これで効がなければ、釣藤鈎、芍薬を加えることを予定していた。ところが、これを服用し始めてから昭和35年、36年は1回も発作を起こさず。37年8月現在まで約年3ヶ月全く健康である。”
[30]眩暈(げんうん)
[31]肩胛骨の酸痛
[32]言語障害:☆《橘窓書影》“戌申(つちのえさる)の役の時、沼田候が心を悩ます事多く、和平の のち、“忽然として言語蹇渋、半身不随、腹裏拘急、時々欝棒、人事
を省せず、精神快々として楽しまず百治效なき者”に、柴胡加竜骨牡 蛎湯大黄鉛丹芍薬釣藤羚羊角甘草を与え、数日で著効を得た例が 出ている。”
[33]高血圧症:☆「釣藤鈎3.0、芍薬3.0」《大塚敬節》☆大柴胡湯の証にして、心悸亢進、息切れ、胸内苦悶などを訴え、また神経症状が強いような場合に用いる。《大塚敬節》
☆72歳の婦人。 「4年来の高血圧で最高血圧は240mmまで上がったことがあるという。心臓肥大があり、動悸・息切れを訴える。頭痛・肩こりはないが、軽いめまいがある。
胃下垂で胃が変形していると言われたことがある。食欲が無く、便通は普通。睡眠は精神安定剤を飲んでも4時間ぐらいしか眠れないとこのとである。手足が冷えて手がふるえる。本人は唇や声もふるえると訴える。
体格はやせ型で、顔色は普通、脈は弦で、左のヘソのかたわらに拍動を触れ、ヘソの上部に圧痛がある。舌には白いコケが目立っている。血圧は(160-90)であった。降圧剤を服用しているとのことである。
柴胡加竜骨牡蛎湯エキスを与えたところ、20日後には声と手のふるえが止まり、血圧は(130-80)に下がり、1ヶ月半後には降圧剤を中止したが、その後も血圧は安定して、全身状態が好転した。」《矢数圭堂》
「34」高脂血症に対する柴胡加竜骨牡蛎湯と大柴胡湯の効果【EBM】 (対象): インスリン非依存型糖尿病に高脂血症を合併した患者32例。 (Evidence)
1件の症例集積研究において、インスリン非依存型糖尿病に合併した高脂血症では証を考慮して投与後(12週)、有意に総コレステロール値の低下を認めた。しかし、大柴胡湯はこの条件では有意な改善が求められなかった。
[35]高所恐怖症
[36]甲状腺機能亢進症 ☆発病初期で体力があり。胸脇苦満、腹部膨満を認め、興奮しやすくて疲労し、動悸、不眠などを訴えるものに(漢方診療医典)
[37]更年期障害
[38]五十肩
[39]四十肩(腕)
[40]子癇:☆「鍼砂」《雑病翼方》
[41]自閉症 ☆腹力充実、胸脇苦満、気分変化の大きさ、物事の興味喪失、興奮、癇症、独語などに(漢方診療医典)
[42]自律神経失調症状
[43]神経過敏
[44]神経衰弱症
[45]神経症:☆この方は大柴胡湯を用いるような腹証の患者で、臍上で動悸が亢進し、神経過敏で、驚きやすく、興奮しやすい者に用いられる《大塚敬節》☆癲狂、驚悸、不眠、健忘の症でも、胸脇にかかる者は、小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡加竜骨牡蛎湯の4方を症に随って選んで用いるがよい。この他に、これらを例として、柴胡別甲湯の類、或いは後世家ならば逍遙散、抑肝散などの類を広く用いる。後世家は、柴胡桂枝乾姜湯の処へ逍遙散を用い、大小柴胡湯の処は大方抑肝散を用いる。以上の4方の内で、動悸をよく治する者は柴胡加竜骨牡蛎湯である。柴胡桂枝乾姜湯を用いるような動悸で、この方を用いても効のない時は格別に、胸満、煩驚がなくても、柴胡加竜骨牡蛎湯を用いて、よく動悸の治まるものである。また柴胡加竜骨牡蛎湯を用いて効のある程度の動悸には必ず多少の胸満、煩驚の症がそうものである。
柴胡桂枝乾姜湯を柴胡加竜骨牡蛎湯とはよく似ていて、動悸が主である。胸満、煩驚の証は姜桂湯にもあるけれども、姜桂湯の方は虚証で、龍骨牡蠣湯の方は実証である《方輿輗》
[46]【EBM】神経症に対する柴胡加竜骨牡蛎湯の効果 (対象) イライラを主訴とする神経症患者15例。♂10例♀5例。年齢は28~68歳、平均47.0歳。漢方医学的所見は全例が実証。
自覚症状の消失、軽快、不変によって、それぞれ著効、有効、無効と判定。 (結果) 著効2例(16.7%)、有効6例(40.0%)無効7例(43.3%)で、有効率は53.3%であった。副作用は認めなかった。
[47]心悸亢進:☆神経性心悸亢進症 ☆発作性頻脈(発作性心悸亢進)☆柴胡加竜骨牡蠣湯を用いる目標は、胸満・煩驚である。そこで、上腹部から胸部にかけて膨満し、物に驚きやすく神経が過敏になり、臍部で動悸が亢進し、大便は秘結し、心悸亢進ある者の用いる。この方は神経性心悸亢進に用いるばかりでなく、バセドウ病・高血圧症・更年期障害などに用いた。《大塚敬節》☆34歳の肥満した女性で、主訴はめまいと発作性の心悸亢進で、その他に肩凝り・頭重・胸内苦悶・上腹部の膨満感・小便不利などを訴える。この病気は2年前の分娩から起こり、いろいろ手当をしたが良くならないという。顔色は少しく潮紅を呈し、脈はやや浮にして力がある。鳩尾の部分で振水音を証明する。軟弱ではない。大便は毎日1行あるが、思うように快通しない。月経が遅れがちである。
以上のような症状であるから、柴胡加竜骨牡蛎湯を与えたところ、大便が快通し、すべての症状が軽快した。ところが2ヶ月ほどたってまた来院した。患者の語るところによると、5ヶ月目に流産したが、その後で、めまいが起きて、フラフラして歩くのに困るという。こんどは肩凝りと頭重はないが、胸のふさがる感じがある。それに便秘もなく、上腹部の膨満はあるが、前のように抵抗がなく、軟い、そこでこんどは半夏厚朴湯を与えたところ、3週間の服薬ですっかりよくなった。《大塚敬節》
[48]心筋炎
[49]心筋障害
[50]心筋変性症
[51]心下部に抵抗感(心下痞鞕)
[52]心下部に膨満感
[53]心臓神経症 ☆胸脇苦満をと心下部膨満のある患者で、神経過敏で、発作性に心悸亢進を訴え、呼吸促迫と胸痛のあるものに用いる。また、不眠、肩こり、めまい、便秘を訴えるものもある。腹診すると、臍傍で動悸の亢進しているものもある(漢方診療医典)
[54]心臓喘息
[55]心臓弁膜症:☆心臓弁膜病等にして、胸脇苦満、浮腫、動悸、神経過敏、小便不利、便秘の傾向ある証。《奥田謙蔵》
[56]腎炎:☆慢性腎炎で、浮腫なく、血圧高く、息切れ、耳鳴り、便秘して、尿量減少する者。☆臍上で動悸の亢進を認める。
[57]水腫
[58]小児驚癇
[59]小便不利(尿不利)
[60]身重(下半身)
[61]頭重:
[62]頭痛:☆大柴胡湯を用いるような患者で、臍のあたりで動悸が亢進し、神経症状の強い者に用いる《大塚敬節》☆患者は50あまりの婦人で、数年前から激しい頭痛を患い、ヘソの当たりの動悸が上にのぼって、それが胸にまで響き、頸項がとても強ばりひきつれ、一昼夜ほどたつと、今度は、頭に突き上がるようなひどい痛みがきて、堪えられない。このような発作が月に2回も3回も起こる。(中略)脈をみると、沈んで、突っ張った脈で、速い。腹をみると、季肋下が膨満して腹部で動悸が亢進し、腹筋が少し緊張している。そこで柴胡加竜骨牡蛎湯を与えたところ、4、5日たつと、6、7年前から止まっていた月経があり、それきり頭痛が起きなくなった。《和漢医林新誌ー西川市令》
[63]精神分裂病:☆16歳男。体格強壮、隆々たる筋骨の運動選手で、勉学と運動選手の責任との矛盾に悩んで神経衰弱となり、快々として楽しまなかったが、病状悪化して太息をもらし、独語するようになった。ついに狂躁状態を呈して、室外に飛び出し、屋根に登り、塀を登って高声放歌するようになった。初診の前日まで2週間ほど騒擾を繰り返していたが、診察の日は欝状で、不眠、頭痛、食欲不振、鼻閉塞を訴え、応答はすこぶる不活発である。
脈は沈遅、腹部は右季肋下反応陽性で臍上で動悸を認める。事志と異なり、計画と実行の矛盾に悩むときに起こる精神的葛藤はやがて肝胆の気鬱となる。すなわち柴胡加竜骨牡蠣湯鉛丹大黄を与えたとこ ろ、翌日から睡眠可能となり、以来狂躁状態はほとんど無くなった。
以来快方の一途をたどり、服薬4ヶ月におよんで廃薬し、就学可能となった。《矢数道明》
[64]精力減退
[65]性的神経衰弱
[66]舌質:<紅>
[67]舌苔:<白苔~黄・やや膩>
[68]譫語(せんご)
[69]譫妄(せんもう)
[70]嘈雑(そうざつ=胸やけのこと):《方読便覧》
[71]早漏
[72]対人恐怖症
[73]帯下:☆あまり血色の良くない肥満した婦人が、胃が悪いといって来院した。主訴は、いつも胃が重く、胸がつかえているというのであるが、その他に胸焼け、肩の凝り、めまいもあるという。大便は便秘の傾向がある。
腹診するに、腹部は全般的に膨満し、とくに心下部が張っている。大柴胡湯にしようかとも考えたが、柴胡加竜骨牡蛎湯にした。 これを2週間ほど飲んだ時、患者は云った。「先生、あの薬はこしけにも効きますか、こしけが止まりました」患者は初診の時、私に、帯下の下りることを話さなかったが、よほどうれしかったらしい。その後、気をつけていると、この処方で帯下が良くなった者が、2、3人あった。《大塚敬節》
[74]大動脈瘤 ☆動悸、息切れ、胸痛、胸部の圧迫感などがあり、神経質になって、不安感、不眠などを訴え、上腹部が膨満して、便秘する者に用いる、大動脈瘤の成因が、狭心症と類似の動脈硬化性病変にあると考えて、黄連1.5、葛根5.0を加えてよい(漢方診療医典)
[75]立ちくらみ
[76]多夢
[77]血の道症:☆胸に圧迫感があり、ヘソの上orヘソ横に不快感、腹部大動脈の亢進、みぞおちに突き上げる動悸、のぼせ、頭痛、めまい、不眠、疲労感がある者。
[78]中風:☆中風の一種に熱癇(脳卒中で熱あるもの)と称するものに、よく応ずる《勿誤薬室方函口訣》☆《橘窓書影》“管沼織部正の老女、千代野70余歳は、ある日、卒倒してから、顔がゆがみ、左の手足が動かなくなり、頭は破れるかと思うほど痛み、顔は赤く、舌は強ばって、物を言うことが出来なくなった。大便も出ない。診察してみると、腹はひきつれ、みずおちで動悸をふれる。そこで余は熱癇の正証と診断し、先ず風引湯を与え、次いで柴胡加竜骨牡蛎湯中の鉛丹を去り釣藤鈎、芍薬、甘草、羚羊角を加えて与えたところ、3日後には、諸症軽快し、起きあがって歩くことが出来るようになった。た
だし、言葉はもつれて用意に話が出来ない。そこで前方を続けたところ、100日余りたって、やや平生通りに、話をすることが出来るようになった。余はいままで中風で、実証の者は、みな《金匱要略》に言うところの熱癇に属するものとし、その重い者には風引湯、柴胡加竜骨牡蛎湯鉛丹釣藤芍薬黄連羚羊を用い、軽い者には、四逆散棕櫚葉紅花白蚕及び抑肝散芍薬黄連羚羊角を用いたが、全治する者が少なくなかった。ところで、大小の続命湯及び桂枝加朮附湯の証に属する者は、ある程度は治っても全治することは難しい”
[79]テンカン:☆《徐霊胎》曰く、此方能く肝胆の驚痰を治す。之を以て癲病を治せば必ず効ありと。☆症候性癲癇様発作等。《奥田謙蔵》☆按ずるに、此方は能く肝胆の驚痰を下す。之を以て癲癇を治すれば必ず効あり。《傷寒類方》☆癇症、時時寒熱交(コモゴ)も作(オコ)り、欝欝として悲愁し、多夢升寐、或いは人に接するを悪み、或いは暗室に屏居し、殆ど労(肺結核)の如き者を治す。狂、癇の2症も、亦当に胸脇苦満、上逆、胸腹動悸等を以て目的と為すべし。癲癇、居常胸満、上逆し、胸腹に動有り、毎月23発に及ぶ者、常に此方を服して(きびしか)らざるときは、則ち屡(しばしば)発するの患無し。《類聚方広義》☆この方で著効を得ることがしばしばある。但し、1年も用いて発作の止まない者は、この方の適応証でがない。私は釣藤鈎3.0芍薬3.0甘草2.0として用いている《大塚敬節》☆《大塚敬節》“少年9歳。2歳の頃から時々ひきつけがあり、6歳になって、癲癇という診断をつけられた。痙攣を起こして卒倒するような大発作は少ないが、1回20秒~50秒くらい意識の消失する程度の発作が、多い日は10数回もあった、そこで某大学で手術をうけたが、やはり意識の消失は止まなかった。体格は中肉中背で、血色はすぐれない。私はこれに柴胡加竜骨牡蛎湯大黄釣藤芍薬甘草を与えた。これを用い始めて、5ヶ月たつと、全く発作が止み、その後2年間服薬を続けた。その間1快も発作がなかった。”
[80]動悸 (どうき)☆<臍上動悸>☆実証の動悸に柴胡加竜骨牡蠣湯。☆虚証の動悸には、柴胡桂枝乾姜湯。《勿誤薬室方函口訣》☆矢数道明氏は抑肝散加陳皮半夏湯の証と柴胡加竜骨牡蛎湯の証が似ていて間違う場合のあることについて、次のように述べている。
神経症、血の道などはとかく腹部大動脈の亢進を伴うことが多いものである。柴胡加竜骨牡蛎湯の時は心下部が比較的堅く張っていて、いわゆる胸脇苦満という心下部に抵抗圧痛があり、臍傍あるいは臍上に比較的限局性の動悸を触れることが多い。この証が長引いて虚証に移行し、腹筋がすっかり軟弱となり、胸脇苦満という症状はみとめられずに、心下より左臍傍まで、大きい長い動悸がつかめるように触れるものには抑肝散加陳皮半夏湯が良いと私は思っている。ところが中間型や移行型があって、類症鑑別を要することもしばしばである。
私は現在も柴胡加竜骨牡蛎湯を随分多くの場合に使っているが、この薬を呑んでひどい反応を起こしたことが一度ならずあった。仙台の人で、血圧も高く慢性腎炎があり、神経質の人で、柴胡加竜骨牡蛎湯の正証と思って、鉛丹・大黄を去って与えた。服薬を始めると、食欲が全く衰え、嘔吐下痢が起こった。しかしこれは一時的の反応と思って3日間ガマンして呑んだが、すっかり病人になって寝込んでしまったとのことである。速達で問い合わせがあったので、1週間服薬を中止して、それらの症状が去ってから再び服用して結果を知らせてくれるように返信した。薬を止めて1週間、やっと普通になったので、1日分を煎じて飲んでみたら、同じように負うとと下痢を起こったので中止してしまったということである。これはどうしてもいわゆる瞑眩現象とは思われないので、この患者に抑肝散加陳皮半夏湯を与えたところ、始めて著効を得たという《大塚敬節》
[81]動脈硬化症 ☆神経質の患者で動悸と胸部の圧迫感をおぼえて安眠せず、胸脇苦満、心下痞満、便秘のあるものに用いる(漢方診療医典) ☆長く服用すると、肝と腎の機能が調整されてコレステロールがとれ、全身状態が改善される。
[82]登校拒否 ☆体質的には実証で胸脇苦満、心下部の抵抗がある。臍上に動悸を認め、心悸亢進、不眠、煩悶、憂うつ感、神経過敏、集中力低下などの精神神経症状がみられる。脈は緊張強く、便秘の傾向がある、小児の場合は胸脇苦満はくすぐったがるタイプが多い。(漢方診療医典)
[83]難聴 ☆大柴胡湯と小柴胡湯の中間程度の胸脇苦満があって、心下部に抵抗を触れ痞満し、臍上または臍傍に動悸を認め、腹部大動脈の亢進による神経症状があり、病気を気にし、のぼせ、不眠、煩悶の状あるものに(漢方診療医典)
[84]禿頭=はげ
[85]日射病:☆熱病、胸脇満して嘔せんと欲し、煩驚して心下悸し、小便少なく、譫語し、休作時有り、一身尽く重く、転側す可らざる者は、柴胡加竜骨牡蛎湯之を主どる。《医聖方格》
[86]尿毒症
[87]ネフローゼ
[88]熱性病:☆熱性病、逆上して精神昏み、身体倦怠の状ありて安臥せず、二便渋滞し、脈数急なる証。《奥田謙蔵》
[89]ノイローゼ:☆がっちりタイプで、見かけによらず神経過敏で、のぼせ、不眠、便秘傾向の者。☆胸脇苦満と、臍上で動悸を認める。
[90]のぼせ
[91]脳溢血:☆《矢数道明》“横浜の患者で61歳になる頑健そうにみえる老紳士が、付き添いと共に足を引きずって来院した。発病は昨年11月13日、選挙運動で疲労困憊していたが、この夜突然、猛烈な頭痛が起こって、その痛みは形容しがたい程激しく、15分間意識不明に陥っていた。この時血圧は173ミリ、先ず脳溢血であろうと言われ、応急処置をしてもらった。その後、意識は回復したが、右足が無力になって、引きずって歩くようになった。東京の有名病院の2、3を歴訪したが、Y病院では脳出血、Z大学病院では脳底の腫瘍であろうとのこと。先ず治療法としては的確なものはないから、安静を守って経過を待つように言われた。その後の訴えとしては、首筋の強直感がつよく、首を回すことが出来ない。軽い言語障害があって、ろれつが回らない。また字を書くことが困難で、自分では分かったつもりで書くが他人がみると間違っている。記憶力も減退し、発病後、右眼の視力障害も起こって右側視野が狭くなった。また右の足がだるく自分では階段など上り下り出来ず、膝が自由に挙がらないので引きずって歩く。2人の肩を借りて来院した。発病前は67.5kgあったが、半年後52kgに減少し、諸症は漸次進行状態にある。初診時の血圧は120しかない。脈は沈、舌苔なく露出不可能、腹証は心下堅く、胸脇苦満、臍上の動悸をみとめ、右項部堅く緊張し、胸部聴診上ギーメン(=ギー音:乾性ラ音の一種)を聴取し、呼吸困難を訴え、長年喘息の気味がある。膝蓋腱反射両側共に減弱し、足搦はない。大小便共に普通、膝蓋腱反射が減弱しているところからずれば中心性麻痺よりも末梢性麻痺と診られるが、発病時の猛烈な頭痛、舌露出不能や言語障害、書字欠落症状などは中心性麻痺に傾いてくる。はたしてZ大学病院の診断のように脳腫瘍であれば、内服治療の効果もそれほど期待されないと思う。せっかくの希望に対して答え得るがどうか“すこぶる不安であった”腹証は先ず柴胡剤が考えられ、柴胡加竜骨牡蛎湯の“一身尽く重く転側すべからざるもの”をこの運動麻痺、不随症状に該当させてこの方を用いた。鉛丹・大黄を去る。服薬3日目から足の軽くなったのを自覚し、1週間後、再度来院の時は、駅の階段を独りで昇降できた。前回のことを思うと生まれ変わったようであると非常の喜びようである。視力も少しは良いし、喘息気味の方も軽快し、物忘れも少なくなった。心下部の抵抗圧痛がとれ、血圧も120-70に安定した。ただ首を右へ回すと首筋が凝って引っ張られる。 引き続き服薬中であるが、ますます好調である”
[92]脳出血
[93]脳症
[94]脳底動脈硬化症
[95]バセドウ病:☆バセドウ病等にして、動悸、不眠、多汗、神経過敏にして驚愕し易く、胸脇苦満ある証。《奥田謙蔵》
[96]梅核気
[97]半身不随:☆《傷寒論》に一身ことごとく重く、転側すべからざる者に用いてあり、脳出血、脳軟化症などから来る半身不随に用いる機会がある。《大塚敬節》
[98]煩驚:(はんきょう)☆「救逆湯」は竜骨牡蛎を以て太陽火逆の驚狂を鎮め、柴胡加竜骨牡蛎湯は竜骨牡蛎を以て少陽誤下の煩驚を鎮む。《傷寒論識》☆煩驚=邪熱が胸中に客在する症候で、精神不安、驚狂、奔豚、煩躁を兼ねるもの。
[99]煩躁:(はんそう) [牡蛎][黄連][竜骨]、同じく煩躁を治し、しかも各主治するところあり。膻中は黄連の主るところなり。臍下は竜骨の主るところなり。しかして、部位定まらずして胸腹煩躁のものは牡蛎の主るところなり。
[牡蛎]胸腹の動をを主治するなり。旁ら驚狂・煩躁を治す
[100]煩悶(はんもん)
[101]ヒステリー:☆「ヒステリー」等にして、胸脇苦満、腹部膨満感、煩驚、心悸亢進、不眠、呑酸嘈雑を発する証。《奥田謙蔵》
[102]肥満
[103]【EBM】子宮収縮剤(塩酸リトドリン)による頻脈に対する効果
[104]不安感
[105]不安神経症:☆49歳女性。7、8年前から頭痛(頭頂痛)が常にあって、動悸がして不安が起こり、乗り物には恐ろしくて乗れず、音に敏感になって驚きやすく、疲れやすく、欠伸が多く、おっくうで仕事をする気にもならず、入浴するのも面倒でならない。今年に入ってから特にひどく、顔ばかりのぼせて足が冷え、足裏に氷をつけているように感じる。時々立ちくらみや不眠がある。
以前はホルモン注射をすると一時楽になったが、この頃は効果が無いと言う。 現症。体格中等、肉づきやや肥満型、体質は冷え症でのぼせ性、夏は肥って調子が良いという。精神症状の主なものは、不安、心気的訴え、不眠、精神作業能の減退などであり、また知覚異常その他より、自律神経症状も推定された。
身体的には、血圧164-90mg/Hgでやや亢進しているほかには、理学的診断上著変を認めない。 漢方的には、便秘、食欲不振、胸焼け、白苔、月経やや遅れ気味である。脈は沈でやや弦、腹部は筋肉の緊張がよく、左側胸部に自発痛及び圧痛があり、且つ左季肋下に軽度の抵抗を認め、心下部に抵抗、圧痛(心下痞硬)を認めた。
治療及び経過。柴胡加竜骨牡蠣湯、(大黄1.5)を投与。1週間後、明らかに気分がよくなって、頭が軽くなったという。左側胸部の疼痛は、自他覚的で消失した。血圧144-86。
2週間後、気分はよいが月経の際、頭痛が起こる。しかし以前ほど強くないという。血圧128-74。 5週間後、手がむくまなくなった。墓参に行って来たが不安が起きなかった。動悸は時に起こることがあるが、対して気にならない。血圧に対して不安が無くなった。血圧136-84。
約1ヶ月半後、結婚式に参列して、疲れたら震えが出た。 約2ヶ月服薬を続け、患者は非常に気が楽になり、仕事も出来るようになったといって廃薬した。(山田光胤・日本東洋医学誌第12巻1号)
[106]不整脈 ☆胸脇苦満、心下部痞満、便秘のあるもので、頻脈症の発作があるものに用いる(漢方診療医典)
[107]不眠症:☆神経衰弱性不眠症等。《奥田謙蔵》☆大柴胡湯を用いるような患者で、物に驚きやすく、動悸がしたり、興奮したりする病状があって、安眠できない者に用いる《大塚敬節》
[108]発狂:☆婦人の発狂:「鉄砂」《勿誤薬室方函口訣》☆婦人狂疾を発し、歌唱時無く、垣を越え屋上に上がり、或いは罵詈雑言、親疎を避けず、衣を棄てて走るなどを治す:「鉄砂」《傷寒論識》
[109]腹水
[110]便秘
[111]麻痺
[112]慢性関節リュウマチ
[113]慢性腎炎 ☆浮腫はないが、血圧が高く、尿量が少なく、便秘、心悸亢進、胸部圧迫感などのある者に用いる。肥満体質で、胸脇苦満、上腹部の膨満がある(漢方診療医典)
[114]慢性腹鼻腔炎
[115]慢性便秘(臍下動悸を伴う)
[116]耳鳴り ☆神経衰弱、神経質、ヒステリーなどに現れた耳鳴で、精神不安定、心悸亢進、不眠、眩暈を伴い、腹部に動悸を認め胸脇苦満の証のあるもの(漢方診療医典)
[117]胸苦しい
[118]メニエール症候群 ☆本方は上衝し、停滞している気と水を順通するというものである。また胸滿煩驚という病態は自律神経に失調を意味していて、腹部大動脈の亢進による腹部神経症状があり、上衝、心悸亢進、不眠、煩悶を訴えるものによい(漢方診療医典)
[119]めまい(眩暈)☆肥満して、上腹部が膨満し、胸脇苦満があり、臍部で動悸が亢進し、興奮しやすく、驚きやすく、動悸、息切れなどを訴える者のめまいに用いる。《大塚敬節》
☆血圧の高低に拘わらず用いることが出来るが、血圧の高い場合に用いる機会が多い《大塚敬節》 ☆45歳男性。数年前から軽いめまいを訴える。眼のせいかも知れないと眼鏡をいろいろ変えてみたが良くならない。原因が分からないから、治療法がないと云われたこともある。
腹診すると、胸脇苦満があり、大便が快通しないという。詳しくいろいろ尋ねると、この患者は外観によらず神経質で、つまらないことを気にするたちで、夜は安眠出来ないという。血圧は最高160最低94であった。
私はこれに柴胡加竜骨牡蠣湯を用いたが、徐々にめまいが遠のき、不安感が去り、安眠出来るようになった。《大塚敬節》
[120]めんどう(大儀):☆動作不活発
[121]火傷(やけど)による煩躁
[122]やけど:☆火傷後の発熱等。《奥田謙蔵》
[123]ゆううつ
[124]【EBM】
抑うつ状態に対する柴胡加竜骨牡蛎湯の効果 (Evidence) 1件の症例集積研究において、抑うつ状態の強い神経症患者に対する柴胡加竜骨牡蛎湯の有効率(軽度改善以上)は78.3%であった。症状別では、全身倦怠、易疲労、不安、抑うつ、心気、易怒、心血管系症状に特に有効であった。
[115]夜泣き:☆小児の夜啼証等にして、腹部に動悸ある者。《奥田謙蔵》
[116]卵巣機能不全
[117]副作用: 患者:50代女性。 使用理由:更年期障害(合併症なし) 1日投与量:7.5g 投与期間:約6ヶ月 副作用発現経過: 37日前:全身倦怠感出現(投薬薬5ヶ月後)
21日目:38.9℃の発熱を認め、その後、労作時息切れが出現。 発現日 :近医受診し、胸部X線にて異常陰影を指摘される。 3日後 :本院入院
4日後 :内服薬を中止 20日後:胸腔鏡下肺生検を施行。 25日後:プレドニゾロン20mgより治療を開始。 39日後:退院し、外来で経過観察。
使用薬剤:酢酸メドロキシプロゲステロン 結合型エストロゲン ☆改訂後の添付文書:(重大な副作用) 「発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音(捻髪音)等が現れた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処理を行うこと。また、発熱、咳嗽、呼吸困難等が現れた場合には、本剤の服用を中止し、ただちに連絡するよう患者に対し注意を行うこと」
柴胡陥胸湯《通俗傷寒論》 「柴胡1銭、半夏(姜)3銭、川煉8分、桔梗(苦)1銭、黄芩1.5銭、瓜蔞仁(搗)5 銭、枳実1.5銭、生姜汁4滴」水煎服。」
柴胡枳桔湯[1]《傷寒蘊要》 「小柴胡湯人参括楼仁・枳実・桔梗」 ◎小結胸、脈弦数・口苦・心下硬痛。あるいは胸中満硬し、或いは発熱し、或いは日哺潮熱し、往来寒熱・耳聾・目眩を治す。◎此方は、結胸の類証にして、胸脇痛み、咳嗽短気、寒熱ある者を治す。此の類に3方あり。《勿誤薬室方函口訣》<1>胸中より心下に至るまで結痛する者:「柴陥湯」<2>胸中満して痛み或いは肺癰を醸さんとする:「柴胡枳桔湯」<3>両脇まで刺痛して咳嗽甚だしい者:「柴梗半夏湯」世医は「瓜蔞枳実湯」を慨用すれども、上の3方を弁別するに如くはなし。◎脉弦数、口苦く心下硬痛、或いは胸中硬満、或いは脇下硬満、或いは発熱、或いは暮方に潮熱を発し、或いは往来寒熱し、耳聾目眩、或いは咳嗽短気する者《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(柴胡枳桔湯) ■肺炎 ■胆石症 ■胆嚢炎 ■肋間神経痛
柴胡枳桔湯[2]《通俗傷寒論》 「柴胡1~1.5銭、黄芩(青子)1~1.5銭、半夏(姜)1.5銭、鮮生姜1銭、枳穀1.5銭、新会皮1.5銭、雨前茶1銭、桔梗1銭」
柴胡枳桔湯[3]《東醫寶鑑》「麻黄・杏仁・枳殻・桔梗・柴胡・黄芩・半夏・知母・石膏・乾葛各1銭、甘草5分、姜3片」水煎服。◎傷寒で胸脇が痛み、熱で咳をし、喘息して痰が盛んな者を治す。
柴胡枳桔湯《漢方治療の実際》「柴胡・半夏各5、生姜・黄芩・括呂仁・桔梗各3、甘草1、枳実1.5」 柴胡枳穀湯《東醫寶鑑》「大青葉・生地黄・石膏各1銭半、柴胡1銭、枳殻・黄芩・梔子・知母・麦門冬・乾葛各5分、升麻4分、甘草2分」水煎服。◎妊婦が傷寒で発熱し、口が渇き、腹が脹満して便がつまり、たわごとを言って発狂する者を治す。
柴胡既済湯《溯源集》《勿誤方函口訣》「小柴胡湯麦門冬・竹葉・附子」◎熱無く脈沈、足冷を治す。
柴胡芎帰湯[1-1]《東醫寶鑑》「柴胡・乾葛・川芎各1銭、桔梗・当帰・赤芍薬・人参・厚朴・白朮・茯苓・陳皮各7分、紅花・甘草各3分」剉作1貼し、「姜3、棗2、梅1」を入れ水煎服。この後、人参截瘧飲を飲む。◎夜に発する陰瘧を治す。
柴胡芎帰湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「柴胡・桔梗・当帰・川芎・芍薬・人参・白朮・乾葛・茯苓・陳皮・厚朴各1銭、紅花・甘草各3分、生姜、大棗、烏梅」水煎し食遠に服す。
◎夜間の陰瘧を治す。◎陽分を引き出せば即ち散ず。
柴胡芎帰湯[2-1]《万病回春》《古今方彙》 「香附子・当帰・竜胆・木香・砂仁・甘草各5分、柴胡・川芎・白芍薬・青皮・枳殻各1銭半、生姜」水煎。
◎肝火盛んにして而して木気実し、左右脇下が痛むのをなおす。 柴胡芎帰湯[2-2]《万病回春》《漢方後世要方解説》「香附子2、当帰3、竜胆2、木香2、砂仁2、甘草2、柴胡4、川芎3、芍薬3、青皮3、枳殻1、生姜1」◎此方は四物湯より地黄を去り、柴胡を加え、肝火の亢ぶるを抑え、気を順らす剤である。よく神経質の者に現れる、原因不明の胸痛、特に右肝臓部の胸脇痛を訴うる者に用いてよく奏功する。
木香・香附子・砂仁=諸気を行らす。当帰・芍薬・川芎=血を補い燥を潤す青皮・枳殻=気を破る柴胡・竜胆=肝火を瀉す。
★適応症及び病名(柴胡芎帰湯)■原因不明の胸肋痛 ■血の道症の胸痛 ■肋間神経痛 柴胡去半夏加括呂湯《漢方治療の実際》「柴胡6、人参・黄芩・甘草・大棗・生姜各3、括呂根5」
◎柴胡去半夏加瓜蔞湯はその証具わらざるなり。渇するを以ての故に、半夏に代ふるに瓜蔞を以てするなり。今、諸(これ)を、世に謂ふところの瘧疾にして胸脇苦満して渇する者に試みるに、甚だ効あり。その胸脇苦満の証あるなきは、則ち終にしらざるなり。然れば則ち胸脇苦満の証、それを脱するや明らかなり。《薬徴》
[瘧疾]=マラリヤ 柴胡去半夏加括蔞湯《外台秘要方》《金匱要略》「柴胡8両、人参3両、黄芩3両、甘草3両、括蔞根4両、生姜2両、大棗12枚」右7味、以水1斗2升、煮取6升、去滓、再煎取3升、温服1升、日2服。
柴胡去半夏加括蔞湯《外台秘要方》《金匱要略》◎小柴胡湯の証で渇し、嘔せざる者を治す。《吉益東洞》◎「小柴胡湯-半夏+括蔞根4両」◎小柴胡湯証にして、渇し、若くは微嘔する者を治す《方極附言》◎此方は瘧疾発渇を治す《勿誤薬室方函口訣》
(参照→去加柴胡湯)◎病気がひねびて疲れを生じた者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(柴胡去半夏加括蔞湯)[1]気管支炎:☆腐敗性気管支炎等には、証に由り少量の白芥子を加う。《奥田謙蔵》
[2]瘧疾:☆長引く瘧(労瘧)に用いるは、清涼滋潤を主とするなり。☆大渇大熱の甚だしきは:「小柴胡湯半夏知母・麦門冬・黄連」《雑病翼方》
[3]小児の諸瘡:「荊芥・防風・連翹」
[4]ジンマシン
[5]腎盂炎
[6]喘息
[7]痘疹:☆餘毒ある者に:「荊芥・防風・連翹」
[8]胆嚢炎
[9]肺炎
[10]肺結核:☆肺結核、及び其の類似疾患にして、日潮熱甚だしからず、骨立羸痩し、手掌、足蹠煩熱に堪えざる証。《奥田謙蔵》
[11]マラリア: ☆本草綱目、柴胡の部中、往々、往来寒熱を以て、その主治となすなり。夫れ世に謂うところの瘧疾は、その寒熱往来するや劇し。しかして柴胡を用ひて治する者あり、亦治せざる者あり。是において之を仲景氏の書に質(ただす)すに、その柴胡を用ふるや、胸脇苦満の証あらざるなし。今乃ち諸(これ)を胸脇苦満して関越往来する者に施すに、その応響の声におけるがごとし。ただに瘧にみのあらず、百疾然り。胸脇苦満の証なき者には、則ち之れを用ひて効なし。《薬徴》
☆「マラリア」様疾患にして、口舌乾燥感あるも、冷水を欲せずして、但だ水にて漱がんと欲する証。《奥田謙蔵》 ☆「マラリア」。及びその類似疾患にして、慢性経過を取り、漸やく疲労し、口中乾燥感ある証。《奥田謙蔵》
柴胡桂枝乾姜湯[1-1]《傷寒論》=「柴胡桂姜湯」「姜桂」「柴胡半斤、桂枝(去皮)3両、乾姜2両、括楼根4両、黄芩3両、牡蠣(熬)2両、甘草(炙)2両」右七味、以水一斗二升、煮取六升、去滓、再煎取三升、温服一升。日三服、
初服微煩、復服汗出便愈。◎傷寒五六日、已発汗而復下之、胸脇満微結、小便不利、渇而不嘔、但頭汗出、 往来寒熱、心煩者、此為未解也。柴胡桂枝乾姜湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。 柴胡桂枝乾姜湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》=「柴胡姜桂湯」=「姜桂湯」 「柴胡6、桂枝・乾姜・黄芩・牡蠣各3、括呂根4、甘草2」
◎小柴胡湯の証にして、嘔せず、上衝して渇し、胸腹動ある者を治す。《吉益東洞》◎胸脇苦満して、胸腹に動有り、乾嘔し、上衝し、渇する者を治す。《方極附言》◎胸脇滿して微結し、渇して嘔せず頭汗出でて、往来寒熱し、心煩する者。
胸脇滿して上逆し胸腹に動あるもの 瘧疾、悪寒甚だしく胸脇滿して胸腹に動ありて渇するもの◎労、肺痿、肺癰、瘰癧、痔瘻、結毒、黴毒等、久しきを経て癒えず、漸やく衰憊に就き、胸満、乾嘔し、寒熱も交も作(オコ)り、動悸、煩悶し、盗汗、自汗し、痃嗽し、乾し、咽乾口燥、大便溏泄し、小便利せず、面に血色無く、精神困乏し、厚薬に耐えざる者は、此方に宜し。《類聚方広義》◎此方も結胸の類症にして、水飲心下に微結して、小便不利、頭汗出ずる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎胸脇満微結、小便不利、渇或いは口唇乾燥、頭汗或いは盗汗、心煩、或いは往
来寒熱、或いは腹動、或いは咳、或いは咯血。《龍野ー漢方処方集》◎この方は、柴胡剤の中で最も虚証になった者に用いる方剤である《大塚敬節》◎目標:「この方を用いる患者は、血色が悪く、筋肉の緊張も弱く、腹部は一体に断直に乏しい。また胸脇苦満も軽く、それと分からない程度である。臍部で動悸の亢進していることがある。便秘することはなく、ややもすると下痢に傾く。脈にも力がない。口が渇くと訴える者がある。一口に云えば、柴胡加竜骨牡蛎湯証の虚証である」。《大塚敬節》【腹証】《腹診配剤録》“小柴胡湯の如くにして、之を按ずるに力無く、亦苦満少なくして動気甚だし”【参考】◎方中の括呂根は、キカラスウリの球根であって、カラスウリの球根ではないということである。もし誤って土瓜根(カラスウリの球根)を用いると、食欲不振、嘔吐などを起こす事がある。《大塚敬節》
柴胡桂枝乾姜湯[1-4]《傷寒論》★適応症及び病名(柴胡桂枝乾姜湯)[1]アレルギー性鼻炎
[2]イライラ
[3]インフルエンザ(流感)
[4]胃液分泌過多症
[5]胃潰瘍
[6]胃下垂
[7]胃酸過多症
[8]息切れ
[9]うつ病
[10]おたふくかぜ
[11]横隔膜下膿瘍
[12]黄疸
[13]往来寒熱
[14]怒りっぽい
[15]かぜ(感冒):☆老人または虚弱な人が、風邪をこじらせたり、肺炎になたりした場合に用いられる機会がある《大塚敬節》
[16]かぜをひきやすい
[17]咳嗽: ☆体力衰え、腹力もなく、冷え症で、貧血の傾向があり、動悸しやすく、歩くと息が切れたり、また盗汗が出たりするような場合で、咳の出る者に用いる《大塚敬節》☆咳血、心下水有り、左肋及び脇下拘急し、動悸する者:「呉茱萸・茯苓」《先哲医話》
[18]喀痰:☆肺結核で動悸・息切れ・咳嗽があり、喀痰に血が混じる程度の者。多量の喀血には向かない。《大塚敬節》
[19]肩こり ①虚証。②臍上動悸して体力がない。③往来寒熱、④小便不利、⑤口唇乾燥、⑥頭汗。⑦肩から背中にかけて凝ることが多い。☆柴胡加竜骨牡蛎湯証の虚証タイプで、肩凝りの有る者《大塚敬節》☆癒着性の腹膜炎があったり、胃アトニー症などがあって、肩や背の凝る者によい《大塚敬節》
[20]脚気:☆脚気及びその類似疾患。
[21]体がだるい・重い
[22]肝炎
[23]肝臓機能障害
[24]乾嘔
[25]乾咳
[26]感情不安定
[27]眼精疲労
[29]気管支炎
[30]気管支拡張症
[31]気管支喘息
[32]気の上衝 <>
[33]基礎体温が低い
[34]脇下微結(脇下重圧感)
[35]胸脇苦満
[36]胸膜炎
[37]頸部リンパ腺炎
[38]頸部リンパ腺結核
[40]月経不順
[41]血小板減少性紫斑病
[42]瘧疾:(マラリアなど)☆寒多く熱少なき者に用いる。☆《峰普済方》曰く、瘧、多寒に熱少なる者は痰瘧なり。熱少なくして脈浮なれば則ち疑い無し、之を吐すべし。もし脈遅微なる者は悪寒瘧なるのみ、柴胡桂枝乾姜湯に宜し。《雑病翼方》
【瘧】=オコリ、間歇熱。
[43]眩暈
[44]肩背強急:☆婦人、積聚、水飲を兼ね、ときどき衝逆し、肩背強急する者。
[45]痃癖(げんぺき)☆肋下或いは臍傍に痃癖有り、之を按ずれば則ち痛み、微に寒熱あり、盗汗、咳嗽し、神気憂鬱し、身体削痩する者を治す。:「鼈甲・芍薬」《高階枳園》「黄蓍・鼈甲」or「呉茱萸・茯苓」【痃】=臍のそばが筋張って盛り上がっている状態。
【癖】=両脇の間にある隠れた積塊をさす。
[46]口渇:☆激しい口渇でなく、口乾の傾向がある。☆口が乾いて、少しずつ水っぽいものを口に入れることを好む者がある《大塚敬節》☆括呂根・人参・知母・麦門冬・地黄などは体液を増し、滋潤の効があるから、口渇の有る者に用いられる。柴胡桂枝乾姜湯は体力が衰え、動悸・息切れなどがある患者で口渇が有る者に用いる。《大塚敬節》
[47]口苦
[48]口唇乾燥
[49]更年期障害
[50]抗生物質を使用しても下がらない熱。
[51]五十肩
[52]臍上動悸
[53]産褥熱
[54]ジンマシン
[55]耳下腺炎
[56]耳鳴
[57]四十腕
[58]歯槽膿漏
[59]湿疹(頭部~上半身) 「京師東洞街の賈人、大和屋吉五郎は、毎歳発生の時、頭面必ず熱す。頭上に瘡を生じ、痒(ようそう)盛んにして之を掻くときは即ち爛れ凋落の候に至るときは則ち藥せずして自ら已ゆるもの数年来。診治を求む。
先生之を診す。心下微動す。胸脇支満して上気殊に甚だし。柴胡姜桂湯及び芎黄散をつくりて之を飲むこと一月所(ばか)り、諸證全く已ゆ。爾後、復発せず。と」
[60]諸種の熱病
[61]紫斑病
[62]小便不利
[63]上腹部振水音
[64]食欲減退
[65]自律神経失調症状
[66]腎盂炎
[67]腎炎(急・慢性)
[68]心悸亢進 ☆神経性心悸亢進等。《奥田謙蔵》☆虚証の特発性頻搏症に有効。 《矢野》☆臍下でのつのつとして根が無いような感じの動悸。《百一貫》
[69]心筋梗塞
[70]心下微結
[71]心身症
[72]心臓神経症
[73]心臓弁膜症:☆心臓弁膜病にして、虚状加わり、尿不利、心悸亢進甚だしき等の証には:「苓桂朮甘湯」《奥田謙蔵》☆心臓弁膜症で浮腫のない者に用いる機会がある《大塚敬節》
[74]心煩(しんぱん):☆心煩あり、微熱去らず、睡眠すれば、盗汗出、覚醒すれば微しく渇し、舌面白滑にして、大便渋痢し、尿利減少する証。《奥田謙蔵》
[75]神経過敏 「京師知恩街の紙舗政右衛門は、病みての後、怯悸し、障戸の響きを畏る。其の抵觸するところ皆、紙條を粘して之を防ぐ。居常飲食するに味なし。百事皆廢す。然して行歩を妨げず。但、橋梁に遇ときは則り、乗輿してなお過(よぎ)ること能わず。百治、効なし。此の如きものは凡そ三年。
先生、此を診す。上気殊に甚だし。脇下拘滿し、胸腹に動あり。心中安からず。桂苓朮甘湯及び、芎黄散(大黄1、川芎2)を作りて此を飲む。数日。上逆稍減ず。また柴胡姜桂湯を為(つく)りて、之を飲む。数月にして、諸證皆徐く。居ること二、三日、家に蓋匠を召して、政右衛門、正に廡下(ぶか)に出でて、自ら指揮す。脩葺(しゆうしゆう)、偶々意の如からざることあり、走りて屋に上がる。之に就きて、その梯を蹈(ふ)むの易きを知らず。久之して自ら覚り、之を家人に語る。余、之を其の家人に聞きてしか云う」
怯=怯というのは虚弱あるいはビクビクするという意味。胆気が不足すると驚きやすくなるし、中気の虚弱によっても起こる。 悸=心中が跳動すること。心虚し血少ないときと、水飲の場合がある。
上気=喘息、逆気や心臓性の喘息も指す。気の上衝のこと。 乗輿=乗り物に乗る 蓋匠=屋根を作る大工 廡下(ぶか)=大きな家のひさしの下(軒下)
脩葺(しゆうしゆう)=屋根を修理する
[76]神経衰弱:☆神経衰弱様疾患にして、欝々として楽しまず、身体疲倦し、胸満感あり、臍上に動悸劇しき証。《奥田謙蔵》
[77]進行性手掌角皮症
[78]水腫:☆心下和せず、築々として動悸する者は、水気と持病の積聚と合して心下へ聚る者なり。:「茯苓」《勿誤薬室方函口訣》
[79]膵臓炎
[80]頭汗
[81]頭重
[82]頭痛
[83]精神異常: 「某生徒、読書苦学す。かって発憤するところあり、遂に机に倚りて、寝を廃すること七昼夜。已にして独語し妄笑す。前儒を摘(あば)き指して罵詈(罵詈雑言)口に絶えず。久(きゆうし)之して人は其の狂疾を覚ゆ。先生之を診す。胸肋妨脹し、臍上に動あり。上気して降らず。柴胡姜桂湯をつくりて之を飲む。時に紫円を以て之を攻むること数日。全く常に復す。」
発憤=意気を鼓舞すること 前儒を摘(あば)き=今までの指導をした先生の悪口をいって 胸肋妨脹=脇腹が張って隆起する
[84]精神分裂病
[85]舌質<乾燥>or<湿潤>
[86]舌苔<無苔~微白苔>
[87]喘息:☆此方は微結が目的にて、津液胸脇に結聚して五内に滋さず、乾咳出ずる者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》☆此方は小青竜湯などの心下水飲に因って痰咳頻りに出る者に非らず。ただ表症より来たって身体疼痛無く、熱ありといえども脈浮ならず、或いは頭汗、盗汗出で、乾咳する者に用いる。
[88]そばかす
[89]帯下
[90]帯状疱疹
[91]打撲 ☆(山田業精・和漢医林新誌第176号) 「本郷3丁目の志母谷氏の母は60歳である。かって縁側から落ちて、したたか前額を打ち、その部分が腫痛していたが、2、3日で腫がとれた。ところが左の眼瞼の周囲が紫黒色になった。そこで私に治を乞うたので、紅花と菊花の2味を等分に合わせて、濃煎して温湿布したところ3日ですっかり良くなった。」「また45歳女性。ある日、車に乗ろうとしていて、誤って転倒し、面部を打って、そこに紫黒色の斑点が出来た。そこで前と同じもので湿布したところ、その斑点は全部なくなった。」
「打撲跌損傷を治する秘方があり、重傷で死に瀕するようなもので、まだ脈さえあれば、これがノドを下れば蘇生するという処方をあげている。それは11月に野菊の花を、枝・葉もつけたままで採って、陰干ししておき、必要なときに野菊の花1両に、童便と無灰酒をそれぞれ1椀ずつ加え、煎じて熱いものを呑むとある。」「本郷元町2丁目の消防夫、年62。かって屋上から墜ち、強く左の胸肋を打撲し、ひどく痛むので、私を迎えた。そこで卵白をつけたところ、数日で疼痛が軽くなったが、起臥するたびに、ひきつれ痛み、息を吸うたびに攣痛する。しかもしきりに咳をするので、左脇下が膨満して苦しい。そこで、再診するに、脈が沈遅で緊を示し、舌上には苔がなく、食欲は平生と変わらない。左脇下は痞硬して動悸があり、気分がふさいで外出するのを嫌がり、毎夜盗汗が出る。大小便は平生と変わらないが、尿の色が少し赤い。よって柴胡桂枝乾姜湯芍薬を与えたところ、3日で大効があり、遂に全治した。」
「丸山田町の鋸の目立て職の妻、年30が、かって夫に打擲され腰から背・脇まで疼痛して、堪え難く、咳が出て、呼吸が促迫し、悪寒発熱し、盗汗、不食、二便不利があり、その上、奔豚気のように時々下腹部から心下に突き上げてくると云う。診察してみると、脈が沈緊で、舌上に白苔があり、心下が石のように硬い、そこで柴胡桂枝乾姜湯茯苓杏仁甘草湯を与え、卵白を痛むところに塗ったところ、5、6日で全治した。」
「1男児、5、6歳。豚児と遊戯をしていたところ、外から1人の児が来て、竹杖でその児の頭部をなぐったので、すぐに倒れて気絶しそうになった。そこで冷水をそそぎかけたところ蘇生した。ところが、次に耳と鼻からも出血した。私はこれに抑肝散菊花を与えて全治せしめた。」
[91]だるい:
[92]胆石症
[93]胆嚢炎
[94]蓄膿症
[95]中耳炎
[96]血の道症
[97]手足冷えやすい
[98]テンカン 「京師室街の賈人、升屋徳右衛門の家僕、宇右衛門は年二十有餘。積年、癇を患う。一月に一発する。或は再発す。或は発せず・然れども間三月なれば必ず発す、と。
先生之を診す。胸腹微動し、胸下支満し、時にありて上衝す。乃って柴胡姜桂湯及び滾痰丸を作りて之を飲ましめ時に梅肉散を以て之を攻む。出入すること一歳ばかり、復び発せず。
[癇は小児の痙攣性疾患を指す。10才以上を癲といい、10歳以下を癇ということもある。また、女子の月経が始める前後で癲癇を分けることもある。20歳を過ぎるて治しにくい癲の事例]
[99]盗汗(ねあせ):☆今日のように抗生物質の無かった時代には、肺結核で、熱が上下して、盗汗の有る者によく用いた。《大塚敬節》☆盗汗が止まない時:「黄蓍茯苓」《大塚敬節》
[100]動悸 :☆<臍上動悸>☆柴胡加竜骨牡蛎湯を用いるような場合で、患者の体力が衰えて、虚証になっている者に用いる。患者は貧血し、動悸・息切れを訴え、胸脇苦満は軽微かまたはほとんど証明出来ない程度で、腹力は弱く、臍上で動悸が亢進しているような者に用いる。《大塚敬節》☆腹診すると、季肋下に強い抵抗を証明することなく、(胸脇苦満は僅微である)。僅かにみずおちにつかえるものがあり、腹力は一体に弱く、臍部で動悸が亢進している。このような症状で、息切れや咳嗽を訴える者である。《大塚敬節》☆動悸が激しいときは:「呉茱萸2.0茯苓3.0」《大塚敬節》☆郡山候の留守居の滝内蔵之進の妻は、年が40歳あまりであるが、臍傍に塊状のものがあって、時々鳩尾に突き上げてきて、動悸がして歩くことが出来ない。腰から下には浮腫があり、顔色は貧血して萎黄状となり、月経が不調である。多数の医者がこてを治療したが寸効なしという。そこで余はこれを診察して、云った。原因は水塊にある。そこで先ずその水を巡らし、併せて血の巡りをよくすれば良いと。柴胡桂枝乾姜湯呉茱萸茯苓を与え、鉄砂丸を兼用した。これを数日間服用すると、小便が夜中に5、6行も快利し、臍傍の塊も次第に減じ、数旬ののちにすべての症状がとれた。《浅田宗伯》
[101]糖尿病
[102]どもり
[103]軟便:☆便秘せず、むしろ軟便である《大塚敬節》
[104]尿量減少
[105]尿閉
[106]ネフローゼ
[107]ノイローゼ
[108]のぼせ
[109]肺炎
[110]肺気腫
[111]肺結核:☆肺結核で動悸を訴える者に用いる機会がある《大塚敬節》☆9歳の男児。約20日前から、毎日38℃内外の熱があり、肺門結核の診断を下されて、治療中であるという。
主訴は、発熱と盗汗である。食が進まず、口が乾き、舌には白苔があり、大便は1日1行。 柴胡桂枝乾姜湯を与える。これを5日分飲むと平熱となり、15日後には、普段通り元気になり、1ヶ月後には、通学出来るようになった。《大塚敬節》☆遠州の1農夫、30余歳。昨年から頭冒感があり、時に少し血を吐く、また盗汗が出て、往来寒熱し、少し口渇を訴え、臍傍の動悸がひどい。
先生はこれに柴胡桂枝乾姜湯を与えたところ、治った。《成蹟録》☆大野善八郎の妻、50余歳は、感冒の後、いつまでも熱が下がらず、時々マラリアのように熱が出て、盗汗もあり、胸腹の動悸がひどい。その上、まめい、耳鳴があり、また肩から背にかけてひどく強ばり、頭は大きな石をいただいているように重く、耳は大きな鐘を撞くようである。こんな状態で多くの医を招いて治を乞うこと1年あまりに及んだが、少しも効がない。
余はこれに、柴胡桂枝乾姜湯黄蓍甲を用い、数十日で熱が減じ、盗汗が止んだ。そこで黄蓍甲を去って、呉茱萸茯苓を加え、六味地黄丸鉄砂丸を兼用して全快した。」《橘窓書影》黄蓍は盗汗を治するため、甲は固着した熱を去るため、呉茱萸茯苓を入れるのは、動悸を鎮めるためである《大塚敬節》
[112]バセドウ病
[113]発熱:☆熱に上り下りがあり、悪寒が強く、脈に力がなく、盗汗が出たり、頸から上だけ汗が出たりする者に用いる。血色も優れず。足が冷えるという徴候もある。《大塚敬節》
[114]ヒステリー
[115]冷える
[116]鼻炎・鼻カタル
[117]皮膚炎
[118]皮膚枯燥
[119]疲労倦怠
[120]脾腫
[121]腹痛:☆左脇下より刺し込み緩み難き者:「呉茱萸・茯苓」
[122]腹部で動悸する: ☆(胸腹動)
[123]腹部軟弱
[124]腹膜炎:☆結核性腹膜炎
[125]不安感
[126]不眠症☆寝苦しく、夢をよく見る。夢見が悪い。☆不眠症、耳鳴し、恐怖し易く、或いは発汗し易い証《奥田謙蔵》☆体力が弱く、血色がすぐれず、急いで歩くと息切れがし、口が燥き、臍部で動悸が亢進する。こんな患者で、寝苦しい、夢を多く見る、夢に脅かされるというような場合によい《大塚敬節》
[127]不定愁訴
【EBM】不定愁訴に対する効果 (対象患者) 不定愁訴を主訴に受診した患者で、明らかな精神科疾患と診断された患者及び悪性腫瘍術後の患者、そのほか、医師が不適当と判断した患者を除外した41例(うち更年期障害37例)
(Evidence) 1件の証を考慮した症例集積研究で、Kupperman閉経期指数の変化は、 著明改善0% 改善:80.0% 軽度改善:10.0%
不変:10.0% であった
[128]偏頭痛
[129]扁桃肥大
[130]頬が紅い
[131]麻疹 ☆微熱、盗汗、全身倦怠感、神経質などを目標に用いられる(漢方診療医典)
[132]マラリア:☆「マラリア」様疾患にして、寒戦著しきも、発熱甚だしからざる証。《奥田謙蔵》☆マラリアにして、治を失し、あたかも再発する観を呈し、その発作激烈ならず、病勢衰えたりと雖も、独り臍上の動悸強く、容易に治に赴かざる証《奥田謙蔵》
[133]慢性胃炎
[134]慢性肝炎
[135]耳鳴り
[136]めまい
[137]盲目:☆1漁夫、21歳。眼を患い、医生某、治を施すこと1年にして百端効無く、烏睛(黒目、虹彩のこと)全く曇闇(どんあん)した。ここにおいて医生の術尽き、これに謂って云うに、無効の薬を長服するよりは、早く家に帰って、盲者の業を学ぶ方がよい。たとえ、能くこれを治すと云う者があっても、必ずこれに欺されてはならないぞと、ここにおいて漁夫は大いに失意して、茫々然となて帰来し、医生の言を父母に告げ、相対して泣いた。
隣人はこれを見るに忍びず、来たって治を乞うた。到って診するに、胸脇苦満し、且つ動がある。 先生は微笑して云うに、このような証がどうして不治であろうぞ。200日足らずで、必ず全癒すると。家人はその言を喜び、且つこれを疑った。そこで柴胡桂枝乾姜湯と解毒湯を併進し、且つ一方を点眼すること10余日にして少しく明を得。続いて前方を与えること100余日にして、果たして旧に復した。《上田椿年》☆潮深の1漁夫、40歳。両眼が腫痛し、白膜は紫色の筋を帯び、烏睛がまったく曇暗した。1医生が治を施すこと7年にして寸効もなく、来たって治を乞うた。これを診るに、寒熱往来して胸腹に動があるので、柴胡桂枝乾姜湯を与え、芎黄散及び甘汞丹を兼用して、その上に刺絡を施すこと数次にして、4ヶ月ばかりで全治した。《上田椿年》
[138]夜尿症
[139]夢におびやかされる
[140]腰脚寒冷
[141]卵巣機能不全[142]リンパ節炎 [143]リンパ腺炎 [144]ルイレキ [145]肋膜炎:☆本郷元町の消防夫、鈴木鉄五郎という者、歳が62であるが、かって屋根から落ちて、大いに左脇部を打撲し、ひどく痛むようになった。そこで鷄玉白(卵の白味)を貼ったところ、そのうちに痛は軽くなったが、起臥するたびに、ひきつれつように痛み、吸気のたびに強く痛み、さかんに咳が出るようになり、左脇下が膨隆してきた。脈をみるに沈遅で緊を帯び、舌には苔なく、食欲には変わりがない。 左脇下は痞硬して、動悸があり、気分が重くて外出が嫌である。毎夜盗汗が出る、大小便は平素と変わらないが、尿がやや赤い。そこで柴胡桂枝乾姜湯芍薬を与えたところ、3日の服用で大効があった。《山田業精》
柴胡桂枝乾姜湯[2-1]《東醫寶鑑》=「柴胡桂姜湯」「柴胡3銭、桂枝・牡蠣各1銭半、天花粉・黄芩各1銭、乾姜・甘草各8分」剉作1貼し水煎服。◎邪が半分は表、半分は裏にあって、寒・熱が往来するとき。
柴胡桂枝湯[1-1]《傷寒論》「桂枝(去皮)、黄芩1両半、人参1両半、甘草(炙)1両、半夏(洗)2合半、芍薬1両半、大棗(擘)6枚、生姜(切)1両半、柴胡4両」右九味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升、本云人参湯、作如桂枝法、加半夏、柴胡、黄芩、復如柴胡法。今用人参作半剤。◎傷寒六七日、発熱、微悪寒、支節煩疼、微嘔、心下支結、外證未去者、柴胡桂枝湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治第七。
柴胡桂枝湯[1-2]《傷寒論》「柴胡4両、黄芩1両半、人参1両半、桂枝(去皮)1両半、生姜(切)1両半、半夏(洗)2合半、芍薬1両半、大棗(擘)6枚、甘草(炙)1両」 右九味、以水六升、煮取三升、去滓、温服一升、日三服。本云、人参湯。作如桂枝法、加半夏柴胡黄芩、如柴胡法。今著人参。作半剤。◎傷寒六七日、発熱、微悪寒、支節煩疼、微嘔、心下支結、外證未去者、柴胡桂枝湯主之。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
柴胡桂枝湯[1-3]《傷寒論》「柴胡4両、桂枝(去皮)1両半、黄芩1両半、芍薬1両半、生姜1両半、大棗(擘)6箇、人参1両半、半夏(洗)2合半、甘草(炙)1両」右九味、以水六升、煮取三升、去滓、温服一升、日三服。◎発汗多、亡陽譫語者、不可下、與柴胡桂枝湯和其栄衛、以通津液、後自愈。
《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。 ◎=「柴胡加桂湯」《古今方彙》 柴胡桂枝湯[1-4]《外台秘要方》《金匱要略》「柴胡4両、黄芩・人参・芍薬・桂枝・生姜各1両半、甘草1両、半夏2合半、大棗6枚」右九味、以水六升、煮取三升、温服一升、日三服。◎治心腹卒中痛者。
《金匱要略》腹満寒疝宿食病脉證治第十。 柴胡桂枝湯[1-5]《東醫寶鑑》「柴胡2銭、桂枝・黄芩・人参・芍薬各1銭、半夏(製)8分、甘草(炙)6分」を剉作1貼して「姜5片、棗2枚」を入れ、水煎服。◎傷寒の動気が築痛する者を治す。◎少陽瘧に寒熱の往来する者を治す。
柴胡桂枝湯[1-6]《漢方治療の実際》「桂枝・黄芩・人参・芍薬・生姜・大棗各2、甘草1.5、半夏4、柴胡5」 ◎柴胡桂枝湯証=肢節煩疼。(←芍薬)
[肢節煩疼]=四肢の関節が気持ち悪く痛む。◎小柴胡湯、桂枝湯、二方の証、相い合する者を治す《吉益東洞》◎「小柴胡湯桂枝湯」◎此方は、世医風薬の套剤とすれども、左にあらず、結胸の類にして心下支結を目的とする薬なり。《勿誤薬室方函口訣》◎発熱微悪寒、関節煩疼、微嘔、心下支結、或いは亡陽譫語、或いは心腹卒中痛。《龍野ー漢方処方集》
◎桂枝湯証の悪寒と関節の痛みの他に、小柴胡湯証の嘔がみられ、腹証では心下支結がみられる。《大塚敬節》【腹証】《腹診配剤録》“心下に物無く、中の辺に凝り有り、これ即ち支結なり”《大塚敬節》 “柴胡が主薬。四逆散の腹証に似ている。この場合胸脇苦満や心下痞硬の程度は軽く、腹直筋が腹表に浮かんだように硬く触れる。ことに右の季肋下で腹直筋を表面に突っ張ったように触れる。しかし、膨満しているのでもなく、脱力しているのでもない。中等度の力がある。”
柴胡桂枝湯[1-7]《外台秘要方》《金匱要略》★適応症及び病名(さいこけいしとう)[1]アレルギー性疾患
[2]イライラ
[3]インフルエンザ
[4]胃炎
[5]胃潰瘍: ☆49歳の男性。 「10数年来胃下垂と言われていた。1ヶ月前から病状が悪化し、会食後と空腹時に鳩尾が痛み、全身がだるく、起立時にめまいがして、左胸部と背部に痛みが放散するという。口の中にツバがたまり、胸焼けがあり、腹がゴロゴロ鳴る。胃は骨盤まで下垂しているという。
レントゲン検査をすると、胃の上部と十二指腸に潰瘍があり、潜血反応が陽性であった。診察すると、鳩尾のあたりではっきりした圧痛があり、腹直筋に軽い緊張があるが、腹全体はへっこみがちである。全身が衰弱しており、手術が勧められた。
はじめ堅中湯+呉茱萸牡蛎を与えてみたが、あまり好転せず、柴胡桂枝湯+牡蛎小茴香とし、摂生に注意したところ諸症状が好転し、5ヶ月間服用したあとで再検査したところ、手術の必要なしと言われた。」《矢数道明》
[6]胃酸過多症
[7]胃酸減少症
[8]胃・十二指腸潰瘍
[9]胃痛
[10]胃腸カタル
[11]黄疸
[12]嘔吐
[13]悪心
[14]往来寒熱
[15]怒りっぽい
[16]かぜ☆風邪をひきやすい者の体質改善に。《中医処方解説》☆熱性病、発汗剤を服して後、嘔気ありて心悸亢進し、食欲減退し、頭痛、微悪寒等なお解せざる証《奥田謙蔵》
[17]咳嗽
[18]過敏性腸症候群
[19]川崎病 ☆川崎病の回復期に用いられる。胸脇苦満、食欲不振、反復性上気道炎を目標に用いる(漢方診療医典)
[20]肝炎
[21]肝臓機能障害
[22]肩こり ①胸脇苦満<軽>。 ②心下支結。③腹直筋緊張. ④頭痛。
[23]癇癪
[24]関節炎
[25]関節痛:☆歴節支節煩疼し、表證未だ解せざる者:「犀角」《雑病翼方》
[26]眼精疲労:☆上気頭痛し、眼目闇翳する者を治す:「菊花」《方読便覧》 [27]感冒
[28]気の上衝<+>
[29]気管支炎 ☆気管支炎の体質改善には、小柴胡湯。《中医処方解説》 ☆【EBM】反復気道感染症に対する柴胡桂枝湯の効果 著効4例(22%)有効12例(67%)、不変2例(11%)、悪化は0例。
投与中止後に保護者に回答を依頼した質問票では、発熱頻度の低下、食思不振の改善などが認められた。 ②【EBM】反復気道感染症に対する柴胡桂枝湯の効果
(結果) 著効6例(23.1%)、有効15例(57.7%)不変4例(15.4%)無効1例’(3.8%)
[30]急性肝炎
[31]急性大腸炎
[32]強迫症
[33]恐怖症
[34]胸脇苦満
[35]胸痛
[36]胸膜炎
[37]虚弱体質 ☆神経関節炎体質のものに用いる。この処方の服用で頭痛、腹痛、四肢痛が治るばかりでなく、喘息、リウマチ熱などにも罹りにくくなる(漢方診療医典)
[38]筋肉攣縮
[39]口が苦い
[40]月経前緊張症
[41]月経不順
[42]結膜炎
[43]減酸症
[44]肩背強急
[45]更年期障害
[46]自家中毒☆自家中毒を起こす子供の体質改善に。《中医処方解説》
[47]自汗:☆自汗、盗汗等ありて、その脈浮数なる証《奥田謙蔵》☆瘧、身熱して汗多きを治す。《証治準縄》
[48]子宮出血:山田業精が用いた。
[49]湿疹: ☆4歳の男児。 「生後2ヶ月より湿疹が顔面と背部に現れ、1歳頃から喘息の発作が始まり、小青竜湯その他の処方を用いたが、柴胡桂枝湯にかえたところ、1ヶ月後には発作の軽いものが疲労時に一度出ただけで、すっかり軽快してしまった。」《矢数圭堂》
[50]紫斑病 ☆東京の某大学の病院に入院している少年が、すでに半年近くになるのに、全然軽快しないので、漢方の薬が欲しいというので、診察した。主訴は発作的にくる腹痛で、血尿が出る。下腿には広範囲にわかって溢血斑がみられ、健康な皮膚はいくらも残っていない。私はこの患者に柴胡桂枝湯を用いた。《金匱要略》に“柴胡桂枝湯は心腹卒中痛の者を治す”とあるによったのである。ところが驚いたことに、朝と正午に、この薬を飲んだだけで下腿の溢血斑が夕方には全部消えた。腹痛もそれきり起こらなくなり、血尿も出なくなった。しかし尿中の蛋白は2ヵ月あまり陽性が続いた。この患者は6ヵ月の服用で治療を中止したが、その後3カ年あまりになるが再発していない。
この経験によって、一婦人の血小板減少性紫斑病に、本方を用いてみた。この間は別に、腹痛を訴えるわけでもなく、衂血、口腔内の出血、皮膚の溢血などが主訴であったが、やはりよく効いた。
紫斑病には、止血の目的で、帰膠艾湯、黄連解毒湯、温清飲、黄土湯などを用いたことがあるが、柴胡桂枝湯ほどによく効いたものはなかった。(漢方診療医典)
[51]斜頚 ☆腹証や症状が抑肝散加芍薬甘草に似ているが、やや実証で、抑肝散加芍薬甘草の効かないときいは本方を用いるがよい。胸脇苦満の証がハッキリしているものに用いる。
16歳の高校2年の女子であったが、右胸乳筋の頻繁案発作性痙攣による斜頚であった。恥ずかしいといって学校を休んでいる学校で字を書くときにひどく首が右へ曲がってしまう。腹証は両腹直筋が板のように緊張していた。肩こりがひどいので初め葛根湯を与えていたが、1ヶ月間で少しも効かないので、抑肝散加芍薬厚朴にしたところ、これで肩こりはほとんど消失した。そこで学校に行くようになったが、寒冷期に入って逆転した。胸脇苦満の証が強いので、柴胡桂枝湯加厚朴にした。これを飲んで一層経過がよくなっったので約7ヵ月継続して全治した。(漢方診療医典)
[52]十二指腸潰瘍
[53]食欲不振
[54]腎盂炎: ☆急性腎盂炎で、腎臓部が痛み、熱が上下する者。 ☆腎臓部に疼痛があって、往来寒熱、悪心、嘔吐などある者を目標に(漢方診療医典)
[55]腎炎:☆腎炎の体質改善には:「柴胡清肝散」
[56]心気症
[57]心下支結:(心下の腹直筋が緊張して不安がある) ☆脈をみると、浮弦で、腹をみると、左右の季肋下に突っ張るものがあって、腹直筋を棒状に硬くふれる、これが心下支結である。《大塚敬節》
[58]心下痛:☆私は最近3年間に、心下部疼痛を主訴とし、胃潰瘍・慢性胃炎・胃酸過多症・慢性胃炎・急性胃炎・胃下垂症・胃ガン・胃痙攣・十二指腸潰瘍・胆石症・胆嚢炎・肝炎等の診断を受け、一般内科の諸治療にもかかわらず、好転せず、漢方療法を希望した患者に対し、柴胡桂枝湯牡蠣・小茴香を投薬したものが、概算142名に及んでいる。その適応症候として定型的なものは、心下部の自発痛と、胸脇苦満と、心下支結である。すなわち左右の腹直筋緊張し、特に右の肋骨弓下部に抵抗があって、心下部正中線、鳩尾の部位に抵抗と圧痛または苦悶を証明する者によく奏効するようである。《矢数道明》
[59]心下痞
[60]心身症
[61]心腹卒中痛:☆この方を心腹痛に用いることがある。なるほど《外台秘要方》に卒痛とある通り柴桂湯の心腹痛は卒然と発したものでなければ効のないものである。しばしば試みてみるに、心痛でも腹痛でも長く日を引いた者には効かない。2ヶ月にも3ヶ月にもなる者には効がない。2、3日前から心痛・腹痛して癒えない者に用いると能く効のある者である。柴桂湯のゆく腹痛は腹候で用いるようにする。柴桂湯呉茱萸茴香は、痛が腰にかかる者に良い。《有持桂里》
[62]神経質
[63]神経症: ☆不安神経症 ☆ストレスによって発病する諸症に芍薬の量を増やして応用《相見三郎》☆50歳女性。10数年前に肺結核を病んだことがある。今度の病気は5、6年前からで、時々カッカッと灼熱感を覚えるようになり、更年期障害だろうと云われた。ところがその後、非常に気分が沈んで、ひどい時は食事も出来ないほどであった。しかし、こんな強い気分の悪さは3ヶ月毎に周期的に繰り返され、その間は起きていることすら出来ない。その間、整体療法をやった時に、1年半ほど発作がなく元気であった。しかしまた再発したので、玄米食・野菜を主とした食療法をやったり、断食道場に入って断食をやったりした。そのためか、1年間は無事であった。昭和36年7月に父の死に逢った時も何ともなかった。ところが10月の中旬より、またまた気分が沈んで何をする気もしないので、断食をやってみたが、こんどは効が無く、気分は沈む一方である。しかし安眠は出来る。患者は少し右に傾いて歩く傾向がある。
初診は昭和36年12/15。栄養、血色ともに悪くない。脈は沈小である。腹診すると右に軽微の胸脇苦満があり、臍上で動悸が亢進してい。大便1日1行。月経は47歳で閉止している。
私はこれに柴胡桂枝湯を与えたが、これを飲み始めてから、却って気分が沈み、心配になったが、12/26になって、急に気分が明るくなった。歩くときは右に傾かない。ただ少し便秘する。1/8には大便も快通し、気分もよい。1/17、とても気分がよい。顔に軽い浮腫がある。背が強ばる。1/27、とてもよい。その後、流感にも罹ったがますます元気。4/5、近来になく仕事が出来る。その後まったく再発のきざしはない。《大塚敬節》☆52歳男性。食品加工会社を経営して多忙な生活を送っていたが、1年半ほど前から神経症となり、不安、取り越し苦労を主訴として、次第に体力を消耗し、某大学病院に入院中である。
血色すぐれず、脈浮数、舌に白苔があり、便秘の傾向がある。酒はやめているが、タバコは20本くらい呑んでいる。初診時の血圧は170-120。腹診してみるに、左右に胸脇苦満があり、臍の左側から臍上にかけて動悸が亢進している。
12/27、柴胡桂枝湯を20日分投与。患者はこの薬を持って郷里に帰省。翌1/10再来、人間が変わったかと思うほど明るい表情で血色も良い。気分も良く、元気が出て、仕事をする気力が出たと喜ぶ。この日の血圧は164-100。この日20日分投与。ますます元気で、血圧も150-90内外である《大塚敬節》☆20歳女性。未婚。6歳の時に小児麻痺にかかり、その後、右脚に軽度の運動障害が残っている。一昨年、腎炎にかかったがこれは治った。
この患者には幼少の頃からテンカンがあるが、それが何時発病したか、はっきりしない。小学校に通う頃には、時々意識消失を伴う痙攣発作があり、小学5年生の時、食事中に、茶碗を落とすことが度々あった。しかし3年間の服薬で一旦は痙攣発作が止み、10ヶ月後に再発した。最近は、大発作はないが、朝起きる前に、時々寝床に尿を失禁することがあり、気分がムラでイライラしたり、焦ったり、猫が私に乗り移っていると言ってみたり、ソワソワしたり、考え込んだりして、家事のことは何1つとしてしないと云う。
初診は昭和37年2/11、体格も小柄で、血色は普通である。脈は浮大数である。腹部は左右の腹直筋が緊張し、ことに臍の左右の部分が硬い。心下に圧痛はあるが胸脇苦満はない。臍上で動悸が亢進している。しかも振水音も証明できる。大便はやや秘結がちである。月経は順調であるが、月経前になると腹を立てて困ると云う。
私はこれに柴胡桂枝湯を与えたが、2.19の再来の時、母親の云うのに、この頃は気分が落ち着き、朝は起こされなくても、一人で起きて、掃除をするようになり、考え込むことがなくなった。それに昨日は一人で風呂に行く気になった。これは全く珍しいことであると云う。2/25、ほとんど常人と変わらなくなった。性格が変わって、別人のようになったと、母親が喜んで、何遍も礼をいった。《大塚敬節》
[64]神経衰弱
[65]身体痛・身体疼痛: ☆此方はよく痛に効くものである。手足の痛や腰の痛などにも効がある。大柴胡湯や小柴胡湯の証で身体のどこかに痛のある者には柴胡桂枝湯を用いると良く効くものである。《有持桂里》
[66]膵臓炎
[67]頭重
[68]頭痛(側頭部)
[69]舌苔 <微白苔>
[70]譫語
[71]大腸炎
[72]胆石症
[73]胆嚢炎
[74]血の道症:☆婦人、故なくして憎寒、壮熱し、頭痛、眩暈し、心下支結し、嘔吐、悪心し、肢体酸、或いは痺し、欝欝として、人に対するを悪み、或いは頻頻として欠伸する者、俗に之を血の道と謂う。此方に擬し。或いはかねて瀉心湯を服す。《類聚方広義》
[75]中耳炎
[76]虫垂炎 ☆虫垂炎の初期で、腹痛がまだ右下腹に限局する前で、腹壁が一体に緊張しているものに用いる。(漢方診療医典)
[77]テンカン:☆《大塚敬節》“患者は40歳の婦人。昭和36年1月頃より、左の下肢に広範囲にわたって発疹ができたが、それほど痒感はなかった。ところが2月から1ヶ月の1回~2回の痙攣発作を起こすようになり、そのたび意識が消失し、この発作は夜間が多かったが、まれに昼間に起こることもあった。医師の診断は癲癇であった。初診は昭和36年5月5日で、主訴は意識消失を伴う痙攣発作で、頭痛と頭重がある。便秘の傾向があるが、胃散を飲むと、通じがつくという。患者は血色の良い肥満した体格で、腹部は著しく膨満し、胸脇苦満が強い。月経は正常である。足が冷えるという。下肢には浮腫があるが、私はこれに柴胡加竜骨牡蛎湯大黄芍薬甘草釣藤黄連を与えた。ところが6月1回、7月1回、8月1回、9月1回、10月1回という状態で全く効がみられない。そこで12月2日に、柴胡桂枝湯に転方した。すると12月の発作は無し。1月も、2月も、3月も、4月も、5月 も、ずっと発作がない。半年間、柴胡加竜骨牡蛎湯を用いている間、毎月あった発作が柴胡桂枝湯に転方した月から全く発作がなくなったことは注目すべきことである”
[78]盗汗:☆陽明病、脈浮にして緊なるは必ず潮熱し、発作、時有り、但だ脈浮なる者は、必ず盗汗出ず。柴胡桂枝湯なり。《傷寒六書》
[79]登校拒否 ☆やや虚証のもので、自汗の傾向があり、胸脇苦満とともに上腹部の緊張を認める者に用いる。(漢方診療医典)
[80]特発性血小板減少性紫斑病(1TP) ☆ITPやそれに関連した腎炎・胃潰瘍などに有効なことがある
[81]特発性頻搏症
[82]乳腺炎
[83]ネフローゼ
[84]寝小便
[85]ノイローゼ:☆胸脇苦満と左右の腹直筋の緊張を認める者。
[86]のぼせ
[87]肺炎
[88]肺気腫
[89]肺結核
[90]背痛
[91]発熱:☆発熱し、汗出で、気有り、身体疼痛し、或いは胸痛を覚える証《奥田謙蔵》☆発汗剤を服して後、なお発熱し、四肢煩疼し、汗出でてし、或いは頭痛し、或いは悪寒し、脈浮なる証《奥田謙蔵》☆熱と悪寒があって、悪心などもあり、身体もまた痛むという症状があるが、これらの症状は激しくないのが特徴である。《大塚敬節》
[92]ヒステリー
[93]B型肝炎
[94]微熱がとれない:☆発汗、期を失し、胸脇満ちてし、頭疼、身痛し、往来寒熱し、累日癒えず、心下支結し、飲食進まざる者、或いは汗下の後、病なお解せず、又敢えて加重せず、但だ熱気纒続して去らず、胸満し、微悪寒し、嘔して食を欲せず、数日を過ぎて、癒えるが如く、癒えざるが如き者、まま之れ有り。当にその発熱の期に先立ちて此方を用い、重複して汗を取るべし《類聚方広義》
[95]フリクテン
[96]腹痛:☆寒疝腹痛用いる。☆腹疼悪寒する者:「黄芩」《普済本事方》☆腸疝痛等にして、寒熱往来する証《奥田謙蔵》 ☆疝家、腰腹拘急し、痛、胸脇に連なり、寒熱休作し、心下痞硬して嘔する者を治す。《類聚方広義》
[97]腹直筋緊張 <>
[98]閉経:☆心下支結して経閉する者:「大黄」《奥道逸》
[99]ヘルニア ☆心下部と腹部全体が緊張しヘルニアを起こして時々腹痛を訴える者に本方を長期にわたって連用し、体質が改善されるとヘルニアも治ることがある(漢方診療医典)
[100]偏頭痛
[101]マラリヤ:☆「マラリア」、及びその類証《奥田謙蔵》
[102]慢性胃腸炎: ☆胃痛を訴える者。みずおちつかえ、へそ横の下腹部が疼痛、腹直筋が緊張する者。
[103]慢性肝炎: ☆28歳の婦人。 「10年来の慢性肝炎で、胃下垂があり、全身倦怠、食欲不振、鳩尾がつかえて苦しいという。肩こり・腰の冷えがあり、痔核の痛みと出血がある。
体格・顔色は普通で鳩尾が硬く緊張している。舌には白いコケがある。柴胡桂枝湯を10日分与えたところ、食欲がでて倦怠感もとれ、気分がよいというので、6ヶ月間続けて飲ませてたら全身症状が好転した」《矢数圭堂》
☆【EBM】慢性ウイルス性肝炎に対する柴胡桂枝湯の効果 (結果) AST値、ALT値はともに柴胡桂枝湯投与8週間が投与前に比較して有意に低下。
γ-GTPも同様に有意な低下を示した。またプロトロンビン時間は柴胡桂枝湯投与により有意に増加した。 ALP、アルブミン、血小板数、ヘモグロビン濃度には変化が見られなかった。
HCVウイルス量の検討は6例においてのみ実施され、柴胡桂枝湯投与により全例で低下し、1例では検出感度以下となった。
[104]耳鳴り 【EBM】慢性耳鳴に対する柴胡桂枝湯の効果 (対象患者) (結果) 有効度は著効7.7%、有効15.4%、やや有効15.4%、有効以上23.1%、やや有効以上38.5%。
(付記) キシロカイン静注試験を9例に施行しえたが、この試験で耳鳴が消失軽快したのは7例であった。軽快した7例での柴胡桂枝湯の有効率は有効28.6%、やや有効28.6%で全例に対する有効率より高かった。
また、キシロカイン無効であった2例は柴胡桂枝湯は無効であった。
[105]無月経:☆胸脇苦満を目標に用いる《大塚敬節》
[106]盲腸炎:☆腸癰生ぜんとして腹部一面に拘急し、脇下へ強く牽きしめ、その熱状、傷寒に似て非なる者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
[107]夜尿症 ☆本方を夜尿症に用いるのは、相見三郎氏の創見である。この方はストレスの解消に役立つので、ストレスによる夜尿症によい。種々の治療法で効果のないものが、本方で著効を得ることがある。この方は腹診うえでは、胸脇苦満と腹直筋の緊張を認めることになっているが、小児の場合はこれに拘泥しなくてもよい(漢方診療医典)
[108]卵巣機能不全
[109]リンパ節炎
[110]肋膜炎
[111]肋間神経痛
[112]流感 [113]流行性耳下腺炎 ☆睾丸炎や卵巣炎を併発したものに用いる(漢方診療医典)[114]緑内障
柴胡解毒湯[1-1]《医学正伝》「小柴胡湯黄連解毒湯」◎少陽陽明の合病、脇痛、嘔逆、自利、脈弦長にして沈実なるを治す。◎此方は傷寒のみならず、凡て胸中に薀熱あり、咽喉に瘡腫、糜爛を生じ、或いは目赤頭瘡、あるいは諸瘡内攻し、壮熱煩悶する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎瘡瘍:肝胆経を狙て柴胡を用いるが定石なり《勿誤薬室方函口訣》
柴胡解毒湯[1-2]《漢方治療の実際》「小柴胡湯黄連3、梔子3、黄柏2」
★適応症及び病名(さいこげどくとう) [1]口内炎:☆タクシー運転手。3ヶ月前から咽喉が塞がったようで不快で、無理に開こうとして咳をすると、痰は出なく、呑み込もうとすれば下らない。そうかと言って吐こうとしても吐けない。そのうち咽頭部に痛みを感じ、酒・タバコを止めてみたが良くならない。疼痛はカサブタのようなものが出るので、病院の診察を受けたところ、咽頭炎と言われた。
患者は40歳、顔色はやや黒く、元気がない。脈は沈んで緊張している。腹部は腹直筋が緊張している。舌は白苔で舌根の方は黄色である。咽喉は私には良く診えない。大便は普通。自覚症状からみると後世のいわゆる梅核気に酷似している。
即ち、これに適する薬方に半夏厚朴湯がある。しかしこの薬方の証は、この患者の初期症状で、後には疼痛があり、次いでカサブタが出るようになったから、他の薬方の証を考えなくてなならない。それには加減凉膈散という薬方がある。
そこで私は咽喉腫痛を目的として、加減凉膈散に竹葉を加味して投薬したのであるが、10日間服薬せしめて効がなかったのである。実は私はこのような咽喉不利疼痛には多くは本方にて大抵治しているが、この度は残念ながら失敗したのである。そこでこのカサブタは喉中に糜爛があって出てくるのであろうとし、柴胡解毒湯に転方したのである。その口訣には、凡そ胸中蘊熱ありて咽喉に瘡腫糜爛を生ずるものあり、また諸瘡瘍は肝経をねらって柴胡を用うるが常席なりとあって、必ずしも胃腸疾患とは限らず、このような喉頭疾患にも適切であることが明らかである。
柴胡解毒湯を服用すること15日で全治した。《高橋道史》 柴胡建中湯《普済本事方》「柴胡桂枝湯黄芩」◎腹疼悪寒する者を治す。 柴胡厚朴湯《外台秘要方》「柴胡・厚朴各10分、茯苓・橘皮・蘇葉各8分、檳榔5分、生姜12枚」◎心腹脹満を治す。
◎此方は柴胡湯の位に在りて脹満する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎少陽の属する腹満の治法なり《雑病翼方》◎本方の証は腹は痛まず、硬くもない。産後の腹満にこの証あり。《済世薬室》
◎もし実する者は:「大柴胡加鼈甲湯」◎虚気の腸満には:「厚朴生姜甘草禿人参湯」 柴胡三白湯《浅田家方》「小柴胡湯白朮・茯苓・芍薬」◎此方は「参胡三白湯」の症にして熱勢一等甚だしき者を治す。◎暑痢、嘔渇、腹痛止まざる者を治す。
柴胡散《聖済総録》 「柴胡・地黄・黄連・茯苓・地骨皮各1銭、知母・甘草各5分、鼈甲3分、枳実1分」 ◎熱病後の虚労・煩熱・四肢疼痛・小便赤黄・食を欲せず。◎此方は大柴胡湯の変方ににて、世のいわゆる風労なる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎按ずるに、労の病、凶候具わらずと雖も、脈数なる者はついに必ず死す。◎《仁斎直指方》に云う、虚労の脈、大抵は多くが弦、或いは浮大、或いは数なり。みな虚労の候なり。<1>大なるは治し易く、血気未だ衰えず斂めて止むべきなり。<2>弦なるは治し難し。血色すでに耗す、未だ之を調補し易からず。<3>もし雙弦を帯びれば則ち賊邪脾を侵すと為す。これ尤も難治なり。<4>数を加うれば則ち殆(あやう)し。《雑病弁要》◎骨蒸:☆骨蒸の初起には効あり。☆虚する者には、「秦艽扶羸湯」に宜し。
柴胡散《証治準縄》 「柴胡・防風・赤芍・荊芥・羗活・桔梗・生地黄各4g、甘草2g」以上を粉末にし、煎湯にして服用。 柴胡散《太平聖恵方》「旋覆花湯《聖済総録》」に同じ。◎肺気暑熱、大便不通、時々咳嗽、喘息、促急するを治す。《方読便覧》
柴胡地黄紅花湯《本朝経験》「柴胡8両、黄芩4分、生地黄1銭、紅花3分、甘草2分、大棗2分」◎憎寒壮熱、紳志正しからず、耳目は見聞を妄し、言語錯乱するを治す。《雑病翼方》
柴胡地黄湯《普済》「小柴胡湯地黄」◎小柴胡加地黄湯《普済本事方》を参照 柴胡地黄湯《峰普斉方》「小柴胡湯地黄」◎小柴胡加地黄湯《普済本事方》を参照
柴胡四逆湯 「小柴胡湯茯苓四逆湯」 ◎《原南陽》奇験ありと云う。◎傷寒陰症に用いる《医事小言》 ◎参照→益元湯[1]《傷寒六書》
柴胡四物湯(一名三元湯)《保命集》「小柴胡湯四物湯」◎日久しい虚労、微に寒熱有る者を治す。◎此方は小柴胡湯の症にして、血虚を帯ぶる者に宜し。◎小柴胡湯地黄に比すれば、血燥を兼ねる者に験あり。◎麻疹:餘熱解せざる者:「柴胡四物湯」に宜し。◎《保命集》は、虚労寒熱を主とすれども、広く活用すべし。
柴胡四物湯《東醫寶鑑》「柴胡・生乾地黄各2銭、人参・半夏・黄芩・甘草・川芎・当帰・赤芍薬各1銭」を剉作1貼し、姜3、棗2を入れ水煎服。◎三陰の温瘧を治す。◎夜に発する症を治す。
柴胡地骨皮湯《東醫寶鑑》「柴胡・地骨皮各2銭半」水煎服。◎膀胱の熱が小腸に移り、上へ口糜となった者を治す。 柴胡勝湿湯《蘭室秘蔵》《漢方後世要方解説》
「柴胡・茯苓各3、当帰・竜胆・沢瀉・甘草・黄柏・羗活・麻黄根・防已各2、升麻1、五味子・紅花各0.5」 ◎両外腎冷え、両脾陰汗し、両陰痿え、陰嚢湿痒気を治す。◎麻黄根は麻黄と其の作用相反し、汗を止むるものであるが、市販の麻黄そのまま用いても効果を認められる。◎此方は湿熱の毒、陰部に発するを治する。◎陰嚢湿痒、両髀(両股)陰汗を目標として陰嚢湿疹に用いて有効である。◎柴胡、竜胆=肝経に入り、陰部下焦の湿熱を除く。茯苓、沢瀉、羗活、防已=湿熱を利尿によって除く。麻黄根=湿を去り、汗を止む。升麻=熱を清くし、毒を解す。
★適応症及び病名 (柴胡勝湿湯)「1」陰嚢湿疹:☆毎年夏期暑熱多湿の侯に陰嚢大腿内側、臀部までも発疹拡大し、巣用甚だしく荏苒として癒ざる者に続服させると、再発なく治癒する。《矢数道明》
「2」陰部掻痒症
柴胡升麻湯[1]《東醫寶鑑》「柴胡・黄芩・半夏・升麻・葛根・枳実・桔梗・知母・貝母・玄参・桑白皮・甘草各7分、生姜3片」水煎服。 ◎傷寒咳嗽・声がれ・咽痛を治す。
柴胡升麻湯[2-1]《医学入門》《古今方彙》「桑白皮・黄芩各6分、升麻5分、荊芥・赤芍薬・前胡・柴胡・石膏()、・乾葛各1銭、生姜」水煎。
◎時行瘟疫、壮熱悪風、頭痛体疼、鼻塞咽乾、申姜煩満、寒熱往来、痰盛咳嗽、涕唾粘稠の者を治す。 柴胡升麻湯[2-2]《東醫寶鑑》「柴胡・前胡・葛根・赤芍薬・荊芥・石膏各1銭、桑白皮・黄芩各7分、升麻5分、姜3、豆10粒」煎服。◎流行の瘟疫で頭痛がし、熱がある者を治す。
柴胡清燥湯《温疫論》「柴胡・黄芩・橘皮・甘草・知母・天花粉・生姜・大棗」◎下後、まま、緩剤を服す。◎《尾台榕堂》先生は明の呉有可が温疫論に於て、傷寒と温疫は畢竟同一だとする意見を古今の卓説であるとし、その中で述べている呉氏の創方を尽く追試し、ただ柴胡清燥湯と柴胡養栄湯の2方は古方の遺漏を補うに足るが、その他の方剤は一切用うるに足らむ駄方であると結論した。(尾台榕堂著「井觀醫言」荒木正胤譯より)
柴胡清肝散[1-1]《外科枢要》《古今方彙》「柴胡1銭半、黄芩・人参・川芎各1銭、山梔子1銭半、連翹・桔梗各8分、甘草3分」水煎。 ◎疽及び肝胆三焦風熱怒火の所謂右、或いは項胸痛みを作し、或いは瘡毒発熱するを治す。
柴胡清肝散[1-2]《寿世保元》「柴胡・黄芩・地黄各1匁、黄連・当帰各1匁5分、牡丹皮1匁、梔子・川芎各6分、升麻1匁5分、甘草3分」◎肝経の怒火、風熱脾に伝え、唇腫裂し、or繭唇を治す。◎此方は口舌唇の病に効あり。◎清熱和血の剤にして、上部に尤も効あり。柴胡・黄芩:肝胆のねらいとし、升麻・黄連:陽明胃経の熱を冷まし、地黄・当帰・牡丹皮:牙より唇吻の間の血熱を清解し、血を消散す。
柴胡清肝散[1-3] 「柴胡・白芍・山梔子・黄芩・牡丹皮・当帰・青皮・甘草・釣籐鈎」
★適応症及び病名(さいこせいかんさん) [1]繭唇 [2]口内炎:☆口舌唇の病に効あり《浅田宗伯》 柴胡清肝散[2]《明医雑著附》《古今方彙》「柴胡・黄芩各1銭、黄連・山梔子各7分、当帰1銭、川芎6分、牡丹皮1銭、升麻8分、甘草3分」水煎。
◎肝胆二経、風熱怒火、頸項腫痛、結核消えず、或いは寒熱往来小柴胡湯、して痰を吐くを治す。 ◎又、婦人暴かに怒り、肝火内に動き、経水妄行し、胎気安らかざる等の症を治す。
◎若し脾胃弱き者は:「黄芩黄連茯苓」
★適応症及び病名(さいこせえいかんさん) [1]口内炎: ☆58歳女性。いつもは朗らかにやってくるが、この度は元気がなく、言葉も渋り、ロレツが廻らないから非常に聞きにくく、まるで別人の感じがあった。自覚的には口舌唇が疼み、食事は多くのものが刺激するし、近頃では好きなタバコも遠慮しているという。初診は9/20である。舌は白苔で数条の小裂皺がある。唇は乾燥して荒れてところどころに小裂傷がある。口腔は乾燥して口蓋はことに荒れている。腹部は腹直筋が緊張し臍上に動悸の亢進を見る。
薬方。方函に柴胡清肝散がある。口訣には、此方は口舌唇の病に効あり。柴胡黄芩は肝胆のねらいとし、升麻・黄連は陽明胃経の熱を冷まし、地黄・当帰・牡丹皮は、牙歯より唇吻の血熱を清解し、瘀血を消散するという基づいて、本方を投薬し、外用として和口散を兼用したのである。柴胡清肝散の方は「柴胡・黄芩・地黄・黄連・当帰・牡丹皮・梔子・川芎・升麻・甘草」以上10味で、和口散は蒲黄と鍼砂の混剤である。20日の服薬と塗布で全治した。(高橋道史・漢方の臨床第7巻第2号)
柴胡清肝湯[1-1]《一貫堂》《漢方後世要方解説》「柴胡2、当帰・芍薬・川芎・地黄・黄連・黄芩・黄柏・梔子・連翹・桔梗・牛蒡・花粉・薄荷葉・甘草各1.5」
◎疽(ビンソ)及び肝胆三焦、風熱怒火の症、或いは項胸痛みを作し、或いは瘡毒発熱するを治す。 [原方]柴胡4、黄芩・人参・川芎・梔子各3、連翹・桔梗各2、甘草1」◎此方は主治の如く、頸部リンパ腺炎を治すのが本旨であるが、小児腺病体質に発する瘰癧、肺門リンパ腺腫、扁桃腺肥大等上焦に於ける炎症充血を清熱、和血、解毒せしめる能がある。腺病体質は多く父母の遺毒を受け、肝臓鬱血して、食物に好き嫌いあり、神経質にして発育が障碍される。本方を続服して体質改善を図るときは諸リンパ腺の疾患を治し、結核の予防治療に効がある。
黄連解毒湯=三焦の実火を瀉す。四物湯=血熱を凉まし、血燥を潤す。桔梗=膿を去り咽喉腫痛を散ず。牛蒡=結を散じ、咽喉を利し、腫瘡の毒を散ず。天花=膿を排し腫を消す。メンタ=気を下す。
柴胡清肝湯[1-2]《一貫堂》《龍野ー漢方処方集》「当帰・芍薬・川芎・地黄・連翹・桔梗・牛蒡子・括楼根・薄荷葉・甘草各2.5g、黄連・黄芩・黄柏・山梔子各1.5g、柴胡2.0g」★柴胡清肝湯:(皮膚浅黒い<青白い>、くすぐったがり、虚弱、やせ形、頸部リンパ腺腫大)
★適応症及び病名(柴胡清肝湯)[1]咽喉炎
[2]怒りっぽい
[3]驚きやすい(易驚)
[4]顔色青白い
[5]化膿傾向
[6]癇が強い(癇症)
[7]感情不安定
[8]関節リウマチ
[9]気管支炎
[10]くすぐったがり
[11]口がねばる
[12]首が細い
[13]頸部リンパ腺腫
[14]口苦
[15]口内炎
[16]上腹部の知覚過敏
[17]小児の疳
[18]小児の神経質
[19]小児の腺病体質の改善 ☆本方は小柴胡湯と同じく、胸腺リンパ体質の改善とくに扁桃炎、滲出性中耳炎を繰り返すものに用いられる(漢方診療医典)
[20]小児の発育障害
[21]食欲不振
[22]腎臓炎
[23]腎臓結核
[24]心下痞
[25]精神薄弱児
[26]腺様腫
[27]食べ物の好き嫌いが激しい
[28]中耳炎
[29]手足に汗かき(べとついた汗)☆帰宅すると靴・靴下が湿っている《螺王人》
[30]乳様突起炎
[31]肺門リンパ腺炎
[32]ヒステリー
[33]鼻炎
[34]皮膚色=浅黒い
[35]不安神経症
[36]腹直筋が緊張しやすい
[37]腹膜炎(初期)
[38]副鼻腔炎(急慢性)
[39]扁桃炎
[40]扁桃周囲炎: ☆扁桃腺肥大《矢数道明》
[41]膀胱炎
[42]膀胱結核
[43]慢性扁桃炎
[44]やせ型が多い☆切れ長の目をしていることが多い《螺王人》
[45]リンパ腺炎
[46]リンパ腺腫(頸部・顎下)
[47]ルイレキ
[48]肋膜炎
[49]わがまま 柴胡清骨散 「柴胡・青蒿・秦艽・知母・炙甘草・鼈甲・胡黄連・地骨皮・薤白・猪胆汁・童便」 柴胡清熱飲《医宗金鑑》 「柴胡・黄芩・赤芍・生地黄・生知母・地骨皮・麦門冬(心を去る)・甘草・生姜・灯芯」水煎服。
柴胡雙解散《傷寒六書》《古今方彙》「柴胡・黄芩・半夏・人参・甘草・陳皮・白芍薬・生姜・大棗」水煎。◎足の少陽胆経、耳聾・脇痛・寒熱、嘔して口苦、脉来ること弦数なるは半表半裏に属す。宜しく和解すべし。【加減方】<1>小便不利する:+茯苓。<2>嘔には:+陳皮・竹茹・姜汁。<3>痰多き者:+括楼仁・貝母。<4>口渇:+知母・石膏。<5>心中飽悶:+桔梗・枳殻。<6>心下痞満:+枳実・黄連。<7>小便不利、大便泄瀉:+四苓散。
柴胡疎肝散[1-1]《張氏医通》「四逆散梔子・姜」「柴胡・橘皮各2銭、川芎・芍薬・枳殻各半銭、甘草5分、香附子半銭、山梔子1銭、姜1斤」◎脇痛、血、上へうつるを治す。◎瘀血ありて痛をなす者に宜し《勿誤薬室方函口訣》◎上焦瘀血の治法に属す。《雑病翼方》
柴胡疏肝散[1-2]《張氏医通》《漢方治療の実際》「柴胡疎肝湯《医学統旨》梔子3、乾姜1」「柴胡・芍薬各4、枳実3、甘草2、香附子・川芎各2、青皮2、梔子3、乾姜1」
★適応症及び病名(さいこそかんさん)[1]胸痛:☆瘀血による胸痛に用いる《大塚敬節》
[2]大動脈瘤 ☆胸背痛、胸部の圧迫感、呼吸促迫などを目標にして用いる。一婦人、大動脈瘤にかかり、嚥下時の胸痛、体動時の胸苦しさを訴えていたが、本方を用いてからこれらの愁訴を忘れることができた(漢方診療医典)
[3]吐血:☆癇癪もちの時、ともすると寒熱往来し、脇痛し、吐血する者を治する効があり、吐血が強ければ牡丹皮を加えるとよい。《百々漢陰》
[4]肺ガン:☆48歳男性。昭和28年12/20、突然喀血し、H医師の診察によって肺結核と診断せられたが、T医師は肺ガンと診断した。そこで翌年の3月、上京して某大学病院で診察を受けたところ、肺ガンと診断せられた。その頃から、左胸部の疼痛が激しくなり、呼吸が苦しくなってきた。咳は、たまにしか出ないが、胸や背に響いて苦しい。3月下旬から、横臥すると息苦しくて眠ることが出来なくなり、ほとんど徹夜で机にもたれてうたた寝をする程度だという。そこで4/3に当院に治を乞うた。この日、患者が持参したレ写真をみると、左肺上葉一面にガンが拡がっている。
腹診すると、胸脇苦満は軽微であるが、腹直筋は突っ張って、腹壁は一体に緊張している。そこで、最後のつなと私を頼ってきた患者を、むげに断りかねて柴胡疎肝散を与えた。ところが、この処方が驚くほど奇効を奏し、5日後には、胸の苦しいのが大変楽になり、安臥出来るようになった。食欲も出た。10日目には、ほとんど苦痛は去った。患者は治るという自信を持つようになり、私も手柄をしたような気分になった。1ヶ月ほどたつと、患者は川や海に釣りに出掛けるほど元気になった。ところが5ヶ月あまりたったある日、何となく胸が苦しいという。そしてレントゲンで診てみると、ガンはずっと拡がっている。自覚的には、大変楽になっていたが、ガンは良くなっていたわけではなかった。そして、その次の年を待たずに患者は死んだ。《大塚敬節》☆65歳女性。1月下旬、帯を結ぶ辺りの腰の部分が痛んで起居が困難になり、近くの医師の治療を受けたが軽快せず、当院に治を乞うたので、補陰湯を与えた処、15日分の服薬で全治した。それから2ヶ月ほどたって、息が苦しくなってきた。そのためよく眠れない、腹がすくと、よけいに息が苦しいという。そこで加味温胆湯を与えた。その後これが効いたのか、効かなかったのか、しばらく来院せず、4月中旬、肺ガンと診断せられたから、何とかなるまいかという相談を受けた。患者は左胸背にかけて激しい疼痛を訴え、咳嗽、喀痰があり、時々血性の痰が出るし、レ線で左肺にガンとおぼしき陰影がある。体温の上昇はない。腹筋は一体に板のように硬く、寝返りをするにも痛みがはげしく、便所にも行けない。そこで前の患者のことを思い出して、柴胡疎肝散を用いてみた。すると、驚いたこことに、これを飲み始めて4日目から、胸背痛が急激に軽快し、7日間の服用で、自覚的苦痛は全くなくなった。そこでこれを引き続き与え3週間ほどたってから、レ線で調べてみると、陰影が小さくなっていた。そして6/25の検査では、陰影は全く消失していた。《大塚敬節》
柴胡疏肝散[2]《医学統旨》「柴胡・芍薬各4、枳実3、甘草2、香附子・川芎各2、青皮2」
柴胡疏肝散[3]《景岳全書》「柴胡・枳殻・白芍薬・香附子各6.0、川芎5.0、甘草(炙)3.0」水煎服。◎胸脇痛◎腹部膨満感 柴胡疎肝湯[1-1]《漢方治療の実際》「柴胡・芍薬各4、枳実3、甘草2、香附子・川芎各3、青皮2」
柴胡疎肝湯[1-2]《医学統旨》 「柴胡6.0、芍薬・香附子・川芎各3.0、枳実・甘草・青皮」 柴胡疎肝湯[1-3]《医学統旨》 「柴胡・芍薬・香附子各4.0、甘草・川芎各3.0、青皮・枳実各2.0」
柴胡疎肝湯[1-4]《医学統旨》「四逆散莎草・川芎・青皮」◎左脇痛を治す。◎参照→理気平肝散《医学統旨》◎此方は四逆散の加味ゆえ、脇痛のみならず、四逆散の症にして、肝気鬱塞し、痛を覚え、或いは衝逆して頭疼、肩背強急する者を治す。◎平素腹裏拘急、心下痞塞、ややもすれば気上逆絶せんとし、肩背強急、夜安眠するを得ず。柴胡疎肝湯を与え、朱砂安神丸を兼服せしめ、諸証大いに安し。《橘窓書影》
柴胡疎肝湯《一貫堂》「当帰・芍薬・川芎・地黄・桃仁・牡丹皮・柴胡・桂枝・陳皮各3.0、枳殻・紅花・甘草・大黄・芒硝各1.5」 柴胡聡耳湯《東醫寶鑑》「連翹3銭、柴胡2銭、人参・当帰・甘草各1銭」剉作1貼し「姜3片」を水2盃に入れ、1盃になるまで煎じた後、滓を去り「蛭米5分、虻虫3枚、麝香1分」を入れ食後煎服。◎耳(耳だれ)・耳中乾結・耳鳴り。
柴胡知母湯《東醫寶鑑》「柴胡・知母各1銭半、蒼朮・黄芩・乾葛・陳皮・半夏・川芎各1銭、甘草(炙)7分、姜3、梅2」水煎し、早朝と午後に服用。◎熱瘧と瘴瘧を治す。
柴胡調経湯《東醫寶鑑》「蒼朮1銭半、柴胡1銭、羗活・独活・藁本・升麻各7分、葛根・当帰・甘草各5分、紅花2分」水煎服。 ◎血崩が止まらない者。
柴胡通経湯《万病回春》《古今方彙》「柴胡、連翹、当帰尾、黄芩、牽牛子、三稜、桔梗、甘草(生)、紅花」水煎。 ◎馬刀瘡で項側に瘡ありて堅く而して潰えざるを治す。
柴胡湯[1]《備急千金要方》「柴胡8両、芍薬3両、黄蓍3両、桃仁50枚、乾姜8両、呉茱萸2升、当帰3両、甘草」◎産後、往来寒熱し、悪露尽きざる者を治す。
◎此方は、産後、悪露下らずして往来寒熱する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎故に、桂苓丸、折衝飲の類を与え、血去らず寒熱を発する者を治す。◎悪露尽きて寒熱止まざる者:小柴胡加地黄湯に宜し。
柴胡湯[2-1]《東醫寶鑑》「柴胡・赤芍薬・川芎・当帰・青皮・草竜胆・梔子・連翹各1銭、甘草5分」煎服。◎肝火が起きて、目が赤く腫れ痛む者。
柴胡湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》「柴胡・芍薬・川芎・当帰・青皮・山梔子・連翹・竜胆各1銭、甘草5分」水煎食遠に服す。 ◎肝火盛んにして木気実し、或いは脇痛み、或いは気が左辺より起こる者を治す。◎目紅く腫痛するは倶に肝火なり。
柴胡湯[3]《万病回春》《古今方彙》=「柴平湯」 「柴胡・黄芩・半夏・蒼朮・厚朴・陳皮・青皮・枳殻・神麹・山子・三稜・莪朮各等分、甘草半減、生姜、大棗」水煎。
◎積塊が熱に属する者は宜しく清火すべし。
柴胡湯[4]《外台秘要方》「柴胡、枳実、生姜、白朮、甘草、檳榔」 柴胡湯[5]《外台秘要方》 「柴胡、当帰、青木香、犀角、檳榔、甘草」 柴胡破瘀湯《東醫寶鑑》「柴胡2銭、黄芩・半夏・赤芍・当帰・生地黄各1銭、桃仁・五霊脂・甘草
各5分」水煎服。◎熱が血室に入る症。血室に入ると経水は出たり止まったり、昼は朗らかだが夜 になるとたわごとを言い、まるで鬼に憑かれたようになる。◎蓄血症。
柴胡半夏湯《医学入門》《古今方彙》「柴胡・半夏各1銭半、黄芩・白朮・陳皮・麦門冬各1銭、甘草5分、生姜、大棗」水煎温服。 ◎傷風、発熱悪寒、頭痛汗無くして咳嗽し、◎協熱自利(=表に熱があり、裏に寒があって下利する)を治す。◎兼ねて一切の痰症にて状は傷寒に似たるを治す。【加減方】<1>小便不利には・・・茯苓。<2>冬月無汗には・・・麻黄。<3>三時無汗には・・・紫蘇葉。(三時=春夏秋)<4>冬月有汗には・・・桂枝。<5>三時有汗には・・・防風。<6>喘嗽には・・・・・白朮、杏仁・桑白皮。<7>酒熱には・・・・・黄連。<8>食積には・・・・・山子・神麹。<9>痰脇下に伏し痛みを作す・・・白芥子。<10>痰盛にて喉中牽鋸の如き・・竹瀝・姜汁。<11>痰稠して膠の如きに・金沸草・前胡。<12>胸膈痞悶には・・・枳殻。
柴胡白虎湯 「柴胡・黄芩・石膏・天花粉・知母・粳米・鮮荷葉・甘草」
柴胡百合湯《傷寒六書》《古今方彙》「柴胡・人参・黄芩・百合・知母・陳皮・鼈甲・甘草・生姜・大棗」煎じ服するに臨み「生地黄汁」を入れ温服する。◎傷寒えたる後、昏沈・発渇・而して譫語失神及び百合(神経衰弱様の疾患)、労復(労働することのより再発する病気)、食復(快復期に食事を誤りたるために病の再発すること)などの症を治す。
柴胡鼈甲湯[1-1]《聖済総録》「柴胡・鼈甲・茯苓各1両、黄芩・知母・桑白皮各3分、甘草半両」◎傷寒、潮熱解せず、or時に寒を作し、瘧状の如き者を治す。◎此方は少陽の壊症にて、潮熱あるいは瘧状の如き熱を発し連綿解せざる者に宜し。世医は「小柴胡湯鼈甲」を用ゆれども、此方を是とする。《勿誤薬室方函口訣》◎熱気固着するもの:「胡黄連」◎左脇下より少腹に至りて攣急冷痛する者は
柴胡加鼈甲湯に宜し《先哲医話》◎慢性気管支炎に此症がある。《済世薬室》 柴胡鼈甲湯[1-2]《外台秘要方》=「柴胡別甲湯」「柴胡8両、枳実6分、芍薬8両、蒼朮6分、鼈甲8両、檳榔7箇、甘草6分」《済世薬室》では「杏仁」として用いる。◎痰癖、心腹痛み、冷喘息を兼ねる者を治す。◎此方は「集験一方」とありて、方名なし。◎《鎌田碩庵》此の名を冒して、喘息の痃癖より来る者にしばしば効を得たり。◎「四逆散鼈甲・檳榔・朮」にして、痃癖、心腹痛を治するが主なり《勿誤薬室方函口訣》
◎「解労散」《楊氏家蔵方》は、此方の一等軽き者なり。◎労立ちの胸脇にかかり、寒熱往来して咳嗽する者に「柴胡鼈甲湯」「解労散」を用いて、大小柴胡よりは反って効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎瘧母も治す。これにて治せざる者は「柴胡加芒硝湯」なり。 柴胡別甲湯[1-3]《漢方治療の実際》「柴胡5、朮4、芍薬・檳榔各3、土別甲・枳実各2、甘草1.5」
◎この方は鎌田硯庵の口伝を得て、浅田宗伯が痃癖からくる喘息を治すために用いたもの。《大塚敬節》
★適応症及び病名(さいこべっこうとう) [1]喘息:☆箕輪大関横街、百姓喜右衛門、前の年にいろいろ心配事があって気を使い、そのため胸がふさがり、鳩尾が塊のように硬くなった。そのためか今年になってからは、その時の気候に感じて、喘息が起こり、発作時には昼も夜も物に寄りかかったままで横になることが出来ない。その上の冷汗も流れて、飲食も進まない。医者は哮喘(喘息)と診断して治療したが効がないという。そこで自分は、この病人を診察して云った。これは痃癖が上に迫って、呼吸を妨げて喘息を起こしたのであると、よって外台の柴胡別甲湯を与え、上迫の甚だしい時は麻黄甘草湯を兼用した。すると数日呑んだだけで喘気が徐々におさまり数ヶ月の苦悩が全く去った《橘窓書影》
柴胡防帰湯《医学入門》《古今方彙》「柴胡・人参各1銭、当帰3銭、川芎1銭半、半夏・陳皮・防風各8分、甘草5分、生姜、大棗」煎服。 ◎産後の発熱が難産にて力を傷つけ、及び亡血過多、悪露尽きず、子無くし、乳を蒸すの4症に因らず、果たして外感に係り、風寒、表症、脈実、食を挟み、血を積むを治す。◎量は体にて加減す。
柴胡養栄湯《温疫論》「柴胡・黄芩・橘皮・甘草・当帰・芍薬・地黄・知母・天花粉・生姜・大棗」◎表に余熱ありて血燥する者を治す。 ◎此方はのちの「柴胡清燥湯」と伯仲にして、<1>下後、胃中の津液乏しきなりて余熱未だ徐かず。ややもすれば再び胃に陥らんとする勢ある者が、:「柴胡清燥湯」
<2>下後、血液枯燥して余熱之が為に去る能はざる者:「柴胡養栄湯」◎麻疹:収後、身体枯痩、虚熱去らざる者《麻疹心得続録》
柴胡抑肝湯《寿世保元》《古今方彙》「柴胡・赤芍薬各2銭半、青皮2銭、牡丹皮1銭半、蒼朮・香附子・山梔子・甘草・地骨皮各1銭、神麹・川芎核7分、連翹・生地黄各5分」水煎温服。
◎寡居(やもめぐらし)、独陰無陽、色欲心萠而して多く遂げず、是を以て悪寒発熱、全て瘧に類する者を治す。 柴胡連翹湯《東醫寶鑑》「柴胡・黄芩・枳殻・赤芍薬・桔梗・瓜蔞仁・梔子仁・連翹・黄連・黄柏・甘草各8分」剉作1貼して、姜3片を入れて水煎服。◎傷寒に発熱して譫語を言い、呻吟して睡臥でかない者を治す。
柴粳半夏湯《漢方治療の実際》「柴胡・半夏各4、桔梗・杏仁・括呂仁各2、黄芩・大棗・生姜各2.5、枳実 ・青皮各1.5、甘草1」 柴芍六君子湯《本朝経験》「六君子湯柴胡4・芍薬3」《漢方治療の実際》◎四逆散の證に胃虚を兼ねる者を治す。◎此方は脾気虚「芍薬」と云う意にて、脾気病は腹筋拘急して痛み、又胸脇へ引きつける形ある故に、柴芍と伍するなり。《勿誤薬室方函口訣》◎肝実脾虚し腹筋拘急して痛み、或いは胸脇へ引付ける者。《龍野ー漢方処方集》
柴前梅連散《東醫寶鑑》「柴胡・前胡・烏梅・胡黄連各2銭」剉作1貼し、「童尿2杯・猪胆1枚・猪脊髄1条・韭白半銭」を入れ水煎服。◎骨蒸労熱が治らない者。
柴蘇飲《本朝経験》「小柴胡湯+香蘇散」「小柴胡湯香附子4、蘇葉1、陳皮2.5」《漢方治療の実際》◎傷寒後の耳聾を治す。◎此方は小柴胡湯の証にして欝滞を兼ねる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎耳聾:少陽の余邪欝滞して解せざるが故なり。☆暴に耳聾して頭鬱冒する者、百発百中《方読便覧》◎傷風:《方読便覧》
柴陳湯《東醫寶鑑》「柴胡2銭、黄芩・半夏・赤茯苓・陳皮各1銭、人参7分、甘草5分、姜5、棗2」水煎服。 ◎痰熱による胸膈の痞満を治す。
柴平湯《医方考》《古今方彙》「柴胡、黄芩、半夏、人参、陳皮、甘草、厚朴、蒼朮、生姜、大棗」水煎。◎瘧発する時は一身尽く痛み、手足沈重、寒多くして熱少なく脈濡なる者を治す。
柴平湯《東醫寶鑑》「柴胡・蒼朮各2銭、厚朴・陳皮・半夏・黄芩各1銭、人参・甘草各5分、姜3、棗2、梅1」水煎服。◎すべての瘧を治す。 (腹部膨満感・口がねばる)
柴朴湯《本朝経験》 「小柴胡湯半夏厚朴湯」「小柴胡湯厚朴3、蘇葉2、茯苓4」
★適応症及び病名(さいぼくとう)
[1]咽喉部の異物感
[2]悪心
[3]咳嗽
[4]喀痰
[5]感情不安定
[6]感冒(かぜ)
[7]気鬱
[8]気管支喘息
[9]気管支炎
[10]口がねばる
[11]口苦
[12]呼吸困難:☆大柴胡湯を用いる場合よりも、やや体格が劣勢で、胸脇苦満も軽く、便秘の傾向の無い者によい。《大塚敬節》☆ある夜、私は喘息発作で苦しんでいる32歳の女性を診察した。その際腹診しようとしたが、息苦しくて仰臥出来ないので、坐って前かがみになっているままで腹をさすってみた。胸脇苦満はないようである。
この患者は少女時代から喘息があったが、最近次第にひどくなり、呼吸困難ばかりでなく、咳が頻発する。脈は小さく沈んで触れにくい。私は処方の選定に迷った。そしてとにかく小青竜湯を与えてみた。ところが2ヶ月ほど呑んだが、あまり効果が無く、相変わらず、咳と呼吸困難の発作が来るという。
そこで1日、発作の収まっている時に、診察してみた。ところが腹診すると、左右に著明ではないが胸脇苦満がある。この程度の胸脇苦満は坐位で診察すると証明できないことが多い。腹直筋はあまり緊張していない。そこで私は小柴胡湯半夏厚朴湯を与えた。すると、これを飲み始めて、喘息発作は全く起こらなくなった。風邪を引いてひどい咳を出した時も、呼吸困難はこなかった。そこで約3年、患者はこれを飲み続けた。その間1回の発作もなく、体重も4kg増加した。そして休薬してから約2年になるが発作は起こらない。《大塚敬節》
[13]食道ケイレン
[14]食欲不振
[15]心下痞
[16]神経質
[17]舌苔 <白膩>
[18]喘息
[19]喘鳴
[20]痰(タン)が出る
[21]動悸
[22]ノイローゼ
[23]梅核気
[24]反芻症
[25]ヒステリー
[26]疲労倦怠
[27]不安感
[28]不安神経症
[29]腹部膨満感
[30]めまい
[31]脈 <弦滑>【副作用】肺炎:1996年以降、12人。1998.3.5《日本経済新聞》 柴苓湯《世医得効方》「小柴胡湯五苓散」◎本、麦門冬、地骨皮有り、今之を去る《勿誤薬室方函口訣》◎傷風。傷暑・瘧を治す。◎瘧にて寒熱を発し、病が半表半裏に在り、陰陽を分たざるを治す。《古今方彙》◎小柴胡湯の証で煩渇下利する者《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(さいれいとう)[1]IgA腎症 ☆胸脇苦満があり、口渇、尿量減少、浮腫などを目標にして用いられる。そのほか食欲不振、悪心、下痢などを伴うことある(漢方診療医典)
☆【EBM】IgA腎症に対する効果 (Evidence) IgA腎症の改善率67.9%。2年間の柴苓湯治療による尿所見正常化率は46%で、対照群より有意に高かった。
[2]胃腸炎(急・慢性)
[3]嘔吐
[4]悪心
[5潰瘍性大腸炎
[6]感冒(かぜ)
[7]肝硬変
[8]肝臓疾患
[9]関節リウマチ
[10]顔面神経麻痺
[11]顔面の腫れ(浮腫)
[12]急性胃腸炎
[13]急性腎炎
[14]クインケ浮腫=血管神経性浮腫(アレルギーの一種)
[15]口がねばる
[16]下痢(水瀉性、尿量減少・口渇)
[17]口渇:☆発熱、口渇し、裏虚の証《雑病翼方》 【EBM】向精神薬による口渇に対する効果 (Evidence) 抗精神病内服時の口渇に対する改善度は87%であった。全般改善度でも、やや改善以上が90%と高い改善率を示した。
[18]口苦
[19]サルコイドーシス ☆ステロイド治療が必要なもので、柴苓湯併用はその副作用防止や脱ステロイドに有用である(漢方診療医典) (Evidence)
1件の症例集積研究において、サルコイドブドウ膜炎および眼サルコイドーシスの前眼部と眼底の炎症を有意に改善した。
[20]三叉神経痛 【EBM】三叉神経痛に対する効果 (対象患者) CBZ(カルバマゼピン)内服中の特発性三叉神経痛患者26例(♂7例♀19例)
(結果) 著明改善6例、改善8例、やや改善10例、不変2例、悪化例はなく、改善以上の有効率が53.8%だった。 VASの平均は、治療前8,3±0.3から治療後は0.8±0.2へと著明に改善した。
なお10例(38.5%)でCBZの減量が可能であった。
[21]食欲不振
[22]暑泄
[23]腎炎(急・慢性)
[24]腎盂炎
[25]心下痞
[26]身熱
[27]水腫
[28]小児疾患:☆はしかで下痢する。☆腹中癖塊あり、発熱口乾、小便赤きを治す:「大棗生姜莪朮三稜胡黄連」=浄府散《古今医鑑》 ☆【EBM】感冒性消化不良症による下痢に対する効果
(Evidence) 乳幼児の感冒性消化不良による下痢に対して、柴苓湯あるいは柴苓湯と整腸剤の併用による治療は整腸剤のみの治療に比べて、有意な症状の早期改善が見られ、重症化し脱水症に陥る患児も少なかった。
[29]ステロイド療法の副作用軽減
[30]舌苔<白膩>
[31]全身性エリテマトーデス ステロイドの大量投与時に、柴苓湯が併用される。柴苓湯はステロイドの効果を増強する作用と、副作用を予防する効果があるとみられる(漢方診療医典)
[32]前立腺肥大 【EBM】前立腺肥大に対する効果 (結果) 自覚症状では、投与前と比較して、投与4週後、8週後で有意に自覚症状の改善を認めた。
全般改善度では、著明改善1例、改善2例、やや改善5例、不変4例だった。やや改善以上が66.7%。 日中尿量は、投与8週後では、投与前と比較して優位に増加し、また夜間尿量は、減少傾向を示した。また夜間排尿回数は、投与8週後に、投与前と比較して有意な減少を認め、尿比重も投与前後で有意な低下を認めた。
[33]帯状疱疹後神経痛(PHN) 【EBM】PHNに対する効果 (Evidence) 1件の症例集積研究において、柴苓湯のPHNに対する有効率は亜急性期症例で69.2%、慢性期症例で60.0%だった。
[34]多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) 【EBM】多嚢胞性卵巣症候群に対する効果 (薬物投与) 柴苓湯エキス(8.1g/日)を1~2ヶ月間投与。
(評価方法) 基礎体温表および経膣超音波で排卵の有無を確認した。 (結果) 柴苓湯投与で21例中12例(57%)が排卵した。 無効例には、クロミフェン100mg/日と柴苓湯を併用したところ、3例が排卵した。この3例は柴苓湯投与前にはクロミフェンに抵抗性の症例だった。
クロミフェン=経口剤の排卵誘発剤 また、LH値は投与前12.1±5.9mIU/mlから投与中5.4±3.6mIU/mlに有意に低下した。
[35]多発性筋炎 ☆ステロイド大量使用時に柴苓湯を併用する(漢方診療医典)
[36]タンパク尿 ☆無症候性タンパク尿に用いる(漢方診療医典)
[37]手足の腫れ(浮腫)
[38]透析関節症 【EBM】透析関連骨関節症に対する効果 有効例のうちで柴苓湯を3~6ヶ月投与後に投薬を中止してみ関節痛を訴えない症例があった。小柄な高齢者で下肢のむくみが出現したため、柴苓湯を1.2~1.5g/日に減量しても関節痛に十分な有効な症例があった。
[39]糖尿病性腎症 ☆胸脇苦満があり、口渇、尿量減少、浮腫などを目標にして用いられる。そのほか食欲不振、悪心、下痢などを伴うことある(漢方診療医典)
☆【EBM】糖尿病性腎症に対する柴苓湯の効果
[40]特発性血尿 【EBM】特発性血尿に対する柴苓湯 (薬物投与) 柴苓湯エキス(9.0g/日)を28日間投与した。 (Evidence)
4週間服用後の血尿の消失は49例中16例(33%)。有効率は68%であり、特発性血尿患者に対する血尿の改善作用が有意に認められた。
[41]尿量減少
[42]妊娠中毒症
[43]ネフローゼ ☆胸脇苦満があり、口渇、尿量減少、浮腫などを目標にして用いられる。そのほか食欲不振、悪心、下痢などを伴うことある(漢方診療医典)
☆【EBM】ネフローゼ症候群に対する効果 (対象患者) 組織学的に微小変化型が疑われるネフローゼ症候群患者221例。 [44]熱射病: ☆暑疫(夏の流行病)には別して効あり《勿誤薬室方函口訣》
[45]煩渇
[46]不育症 (Evidence) 1 件の症例集積研究において、自己免疫異常(非同種免疫異常)不育症に対する妊娠率は43.0%、流産阻止率は64.2%、生児獲得率は27.6%であった。
自己免疫異常同種免疫異常不育症に対する妊娠率は31.6&、流産阻止率は68.0%、生児獲得率は21.5%、 純粋型同種免疫異常不育症で、リンパ球移植療法が無効例で妊娠率70.3%、流産阻止率は66.7%、生児獲得率は46.9%だった。
[47]浮腫
[48]変形性膝関節症 【EBM】変形性膝関節症に対する柴苓湯の効果 (Evidence) 1件の症例集積研究において、変形性関節症の自覚症状に対する有効率は50%であった。
[49]慢性肝炎
[50]慢性糸球体腎炎 【EBM】慢性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群に対する効果 (付記) 尿タンパク排泄量の減少効果は、尿タンパク排泄量(前値)が1.0g/日未満の群で減少率が顕著で、開始時のCcrが50ml/分以上の群では投与後12週以降に有意な減少が認められた。
[51]メニエール症候群 ☆腹力中等以上で、口渇、口苦、胸脇苦満、尿量減少、浮腫などを目標に用いられる(漢方診療医典)
[52]リュウマチ
[53]脈 <弦滑>
[54]【副作用】☆肺炎:1996年から39人。1998.3.5《日本経済新聞》 柴苓湯《万病回春》《古今方彙》「小柴胡湯四苓散」生姜、大棗、煎じる。◎麻疹已に出て寒熱瘧に似たる者を治す。
柴苓湯《東醫寶鑑》「柴胡1銭6分、沢瀉1銭3分、白朮・猪苓・赤茯苓各7分半、半夏7分、黄芩・甘草各6分、桂心3分」剉作1貼し姜3片を入れ水煎服。◎傷寒熱病に発熱し、下痢する者。
再障方《中薬臨床応用》「鶏血藤15g、何首烏24g、牡丹皮9g、熟地黄15g、五瓜竜30g、地捻30g、茯苓15g、白朮15g、当帰12g」水煎服。◎再生不良性貧血
再造飲子《勿誤薬室方函口訣》「空倉痘方白芷、牛蒡子、地黄、白朮附子、升麻」 再造散《山脇東洋》 「欝金5銭、皀角刺1銭、大黄10銭、牽牛子・反鼻各6銭」「通天再造散《三因極一病証方論》反鼻」◎大風を治し、及び黴毒、新痼を択ばず、之を服して可なり。◎《桂里》曰く、もろもろの血毒を治し、兼ねて久淋を療す。《勿誤薬室方函口訣》
再造散《傷寒六書》《古今方彙》「黄蓍・人参・桂枝・甘草・附子・白芍薬(炒)・細辛・羗活・防風・川芎・生姜(炒)・大棗」水煎。◎頭疼、発熱、項強、悪寒汗無く、発汗の薬を二三用いて汗出ざる者は、此れ陽が虚して汗を作す能わざるなり。
◎夏月は:「黄芩・石膏」。
左帰飲《景岳全書》《中薬臨床応用》「山茱萸3g、熟地黄30g、枸杞子6g、山薬12g、茯苓9g、甘草(炙)3g」水煎服。◎口燥、盗汗、足腰がだるくて力がない
左帰丸《景岳全書》 「熟地黄、牛膝、亀板膠、鹿角膠、山薬、枸杞子、山茱萸、兎絲子」 ◎真陰不足・虚熱・自汗盗汗・遺精・淋瀝・失血・眩暈・耳聾・口燥咽乾・腰痛・腿軟。
左金丸料《丹渓秘伝方訣》 「黄連6匁 呉茱萸1匁」◎肝は火実を蔵し、左脇痛を作すを治す。 ◎此方は左脇痛を主とす。☆或いは「沈香降気湯」☆或いは「参連湯」◎嬰児頓嗽:《先哲医話》◎逆:諸治無効の者、熊胆を与えて効あり。又左金丸料を与えしばしば効あり。◎噤口痢:禁口冷痢に属する者。呉茱萸・黄連各等分と為して用いる。《勿誤薬室方函口訣》
左金丸《丹渓心法》 「黄連(姜汁炒)、呉茱萸(塩水泡立てる)」を粉末にして、水又は蒸餅で丸にして、白湯で50丸服用。
左金丸《丹渓心法》《中薬臨床応用》「黄連180g、呉茱萸30g」作末し丸剤。1日1~3回1.5~3gづつ服用。◎嘔吐◎噫気、呑酸、口臭、口苦、上腹部膨満◎肝胃不和
左金丸《東醫寶鑑》「片芩6両、呉茱萸1両」作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。空腹時に白湯で30~50丸飲む。◎肺金を補い、肝木の火を治す。◎下焦の熱に。
左突膏《漢方治療の実際》「瀝青800、黄220、豚指58、ごま油1000」先ずごま油を煮て水分を去り、黄・豚指を入れて溶かし、終わりに瀝青を入れて溶かし、温かい中に布で濾し、更に煮て粘稠性を高める。
左脾丸《東醫寶鑑》「山肉3両、連翹・陳皮・蘿葡子(炒)各5銭、赤茯苓・半夏各1銭」作末し粥で緑豆大の丸剤。温水で50~70丸飲む。◎食積を治す。
左竜丸《東醫寶鑑》「野糞(炒)(一名左幡竜)・江鰾焼・白殭蚕各5銭、雄黄1銭、蜈蚣2条、天麻2銭」作末し3貼に分けて、先に2貼を焼飯で梧子大の丸剤、朱砂で衣を付けて20丸作り、巴豆丸1丸を加えて服用して、2服目には2丸を加えて温酒で飲む。便がよく出ることを原則とする。朱砂丸を服用して病が治ればすぐ止め、もしが止まらないときは羗麻湯を服用。◎破傷風が中に入って症を発して目が直視し、大小便が秘渋する者を治す。
鎖陽丹《東醫寶鑑》「桑蛸(炙)3両、竜骨・白茯苓各1両」粉末にし、糊で梧子大の丸剤。 茯苓塩湯で70丸服用。 ◎脱精・滑泄を治す。
細辛膏《東醫寶鑑》「細辛・川椒・乾姜・川芎・呉茱萸・附子各7銭半、角屑5銭、桂心1両、猪油6両」猪油を煎じて膏を作って一夜置き、酒に前の薬を漬けて猪油で煎じるが、附子が黄色くなったら止め、綿でくるんで鼻孔をふさぐ。◎鼻が詰まり、鼻水が止まらない者を治す。
細辛散《東醫寶鑑》「麻黄3銭、桂皮・羊脛骨灰各2銭半、羗活・草豆各1銭半、当帰4分、藁本・蒼朮各3分、防風・柴胡・白芷各2分、細辛1分」作末し、先に温水で口をゆすいですりつける。◎頭と歯が痛い。
細辛湯《普済本事方》《中薬臨床応用》「細辛1.5g、桂枝0.5g、製半夏6g、茯苓9g、桔梗3g、生姜6g、甘草3g」◎外感風寒で、鼻づまり(鼻汁が多い)、痰がからむ。
莎芎散《東醫寶鑑》「香附子・川芎各5銭、黄連・梔子各2銭半、木香・乾姜各1銭半、檳榔・黄芩(酒)・芒硝各1銭」作末し毎回2銭を、熟姜湯で痛むときに調服。◎平素、熱薬の飲み過ぎでなる者を治す。
莎芎湯《東醫寶鑑》「香附子4両、川芎2両」粉末にし、毎回2銭、清茶で服用。 ◎衂血を治す。
催生飲《万病回春》《古今方彙》「当帰、川芎、大腹皮、枳殻、白芷」各等分。水煎温服。◎産生し難きは燥渋堅斂によるなり。之を治す。◎「五積散牛膝倍加」も可なり。
催生湯《万病回春》《古今方彙》「桃仁(炒)・赤芍薬・牡丹皮・茯苓・肉桂各1銭」水煎。◎産を候(キザ)し、母腹痛し腰痛して漿水下るを見れば方に服すべし。
催乳方《牛山活套》《漢方後世要方解説》「露蜂房・熟地黄」黒焼きにして糊で梧桐子大の丸剤。毎服50丸、大麦の煮汁にて用いること2週間。◎乳汁不足
梅油《中薬臨床応用》「梅花(花蕾が開花しはばかりの)6g」落花生油orごま油60gに2週間浸 けて使用。局所に1日2~3回すり込む。◎麻疹後に皮疹が潰瘍になったもの。◎小児の顔面部の乳痂◎軽度の火傷
撮風散《証治準縄》「蜈蚣、釣藤鈎、白殭蚕、全蝎、朱砂、麝香」
擦牙止痛方《東醫寶鑑》「黄蜜蜂巣1箇に川椒を入れ一杯になるようにし、再び白塩1銭で巣口を封じて「白芷・羊脛骨灰各1銭」をといで、先に口をゆすいだ後すりつけ、穴があると薬末を穴の中につめる。
擦牙方《東醫寶鑑》 「牙歯痛には、胡椒・撥を使うと必ず歯牙中の浮熱が発散する。升麻・寒水石と薄荷・荊芥・細辛の類で補佐する。牙痛に清涼薬を使って、もっとひどくなったときは、撥・細辛・川椒・荊芥・薄荷・樟脳・青塩を作末してこすりつける。
三一胃気丸《東醫寶鑑》「熟地黄・生乾地黄・山薬・山茱萸各4両、牡丹皮・白茯苓・沢瀉・鎖陽・亀板各3両、牛膝・枸杞子・人参・麦門冬・天門冬各2両、知母・黄柏(並塩炒)・五味子・肉桂各1両」作末し、蜜で梧子大の丸剤。温酒or塩湯で70
~90丸飲む。◎虚労を治し、心と腎のあらゆる臓の精血を補養する。
三一承気湯《東醫寶鑑》「甘草3銭、大黄・厚朴・枳実・芒硝各1銭」剉作1貼し「薑3片」を入れて煎じ、半分程になったら、カスは捨てて「芒硝」を入れもう1回煎じて服用。
◎傷寒で雑病が中に深く入って、大小便が通らない症。
三因琥珀散《東醫寶鑑》「琥珀・海金砂・没薬・蒲黄」各等分に細末にし、毎回3銭を空腹時に萓草根の煎じ湯で調服する。◎五淋の渋痛、小便に膿血が出る者を治す。
三因散聚湯《古今方彙》「檳榔子・半夏・当帰各4分、杏仁・桂心・茯苓各1銭、附子・川芎・甘草各5分、陳皮1銭、枳殻・厚朴・呉茱萸各1銭半、生姜」水煎。
◎九気積聚、状はの如く、気に髄って上下あり、発作時あり、心腹痛、腰脇を攻刺し、小腹脹し、大小便不利する者を治す。
三因葱白散《東醫寶鑑》「川芎・当帰・熟地黄・白芍薬・枳殻・厚朴・莪朮・三稜・赤茯苓・肉桂・乾姜・人参・川練肉・神麹・麦芽・青皮・茴香・木香各5分」剉作1貼し、「葱白2茎、塩1匙」入れて水煎服。◎寒冷の気が膀胱に入って痛むとき。
三黄丸《漢方治療の実際》「大黄・黄芩・黄連」以上等量を作末し、米糊で丸にする。1回2~3、1日3回。 三黄丸《東醫寶鑑》「大黄()・黄芩・黄連」各等分に作末し、蜜で梧子大の丸剤。空腹時に30~50丸飲む。◎三焦の積熱を治す。
三黄枳朮丸《東醫寶鑑》「黄芩2両、黄連(酒炒)・大黄()・神麹(炒)・白朮・陳皮各1両、枳実(麩炒)5銭」作末し、湯浸蒸し餅で緑豆大の丸剤。白湯で50~70丸飲む。◎肉にあたり、美味や湿麺などを食って悶乱し、不快な症。
三黄解毒丸《東醫寶鑑》「黒丑頭末4両、滑石3両、大黄・黄連・梔子各2両」水で梧子大の丸剤。温水で30~40丸飲む。◎一切の熱毒・癰腫・瘡傷・驚悸・歯ぎしりを治す。
三黄解毒湯《傷寒翼方》「黄連解毒湯甘草」◎大熱、譫語、発斑、発黄、吐衂、下血の証を治す。
三黄梔子湯 =「八仙飲子」に同じ。「治酒査鼻方《本朝経験》黄連黄芩・葛根」
三黄瀉心湯[1-1]《傷寒論》 「大黄2両、黄連1両、黄芩1両」右三味、以水三升、煮取一升、頓服之。◎心氣不足、吐血、衂血、瀉心湯主之。 「心氣不足」=こころもちがおちつかない(大塚敬節)
三黄瀉心湯[1-2]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》=「瀉心湯」「大黄2.0g、黄連・黄芩各1.0g」水120ccを以て40ccに煮詰め、頓服。《金匱要略》では「瀉心湯」、後世方では「三黄瀉心湯」と呼ぶ。◎心煩し、心下痞に、之を按んじて濡なる者を治す。《吉益東洞》◎《金匱要略》瀉心湯の条に心気不足、吐血、衂血、瀉心湯之を主ると曰う。即ち不足と云い、又瀉心と云う。是れ後世の論説に由って起こる所なり。為則按ずるに《千金方》の不足を不定に作る是れ仲景の古なり。蓋し心気不定は煩悸の謂なり。故に心中煩悸し心下痞して諸証を発する者に此湯を用うれば皆治す。啻(シ、ただ)に吐血衂血のみならざらんや、是に因って之を観れば不定の煩悸たるや明らかなり。《重校薬徴》
◎心気不定、心下痞し、之を按ずるに濡(ナン)なる者を治す《方極》◎吐血、衂血、諸血症にして、その人心下痞硬し、欝欝として熱煩し、大便硬く、劇しき者は舌黄にして、面目赤し。瀉心湯之を主どる。《医聖方格》
◎此方は上焦瀉下の剤にして、その用尤も広し。《和剤局方》「三黄湯」の主治熟読すべし。但し気痞と云うが目的なり。《勿誤薬室方函口訣》◎心気不足:は《備急千金要方》では「心気不定」となっている、いずれにしても、気分が不安でイライラして落ち着かないのを云ったものである。興奮したり、気分がイライラしたり、落ち着きを失ったり、狂躁という状態がよく見られる。又、幻覚を訴える者もある。《大塚敬節》◎のぼせを引き下げ、気分を落ち着かせ、興奮を静め、便通をつけ、炎症を去り、出血を止め、食を進める効があるので、応用範囲が広い。《大塚敬節》◎宋板の傷寒論や成本傷寒論では大黄と黄連の2味であるが、康平傷寒論では、これに黄芩が配剤されている。《大塚敬節》【腹証】☆《腹証奇覧翼》“心下痞して一物あるごとく覚え、手を以て之を按ずるうちに散りうせて何もなく軟らかにして両傍にもまた大竹を立つる如きものもなく只何となく心下の痞を覚ゆるもの”“三黄瀉心湯は心気不定・心下痞する者を治する。不定は心中が何となく按じてみると却って、思ったほどには踊らないものである。また血気に熱を帯びていると云うのが目標で、吐血、衂血、痔疾、下血、便血、狂乱等の証がある。これは心気不定によるのである。要するに、心下痞、心中煩悸して不定なものが、腹証の準拠である”☆《大塚敬節》“腹部は膨満せず、胸脇苦満・腹直筋の緊張を認めず、ただわずかに上腹部に痞える気味がある。このつかえるところを腹診してみると、底には抵抗があって、軟弱無力ではない。”
三黄瀉心湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》=「瀉心湯」《金匱要略》=「大黄黄連瀉心湯」《康平傷寒論》「大黄・黄芩・黄連各1」以上を振り出し剤とする場合には、これに熱湯100‹を加え、3分間煮沸し、滓を去って頓服する。◎三黄瀉心湯は、のぼせ、上逆、不安感、興奮、出血などの症状があって、便秘の傾向の有る者に用いる。《大塚敬節》
◎この症を患う者、常に眼光鋭く、感気とりとまり無く、また安眠なり難く、心 いそがわしく。或いは好んで物を忘れ、或いは物を案じ過ごし、或いは怒り悲しみ、或いは狂乱の如くなり、或いは時として死をも顧みずの類にて、胸中結毒のためなり。《長沙腹診考》◎すべてこの方を大病人に用ふるは麻沸湯にて振り出すべし。《梧竹楼方函口訣》
三黄瀉心湯[1-4]《傷寒論》★適応症及び病名(五十音順)[1]イライラ[2]インポテンツ[3]胃潰瘍[4]胃部膨満感[5]遺精[6]唖(おし)[7]黄疸:☆黄疸、身体、面目皆黄なるを療す。《外台秘要方》☆熱性黄疸には、証に由り茵蔯を加える。《奥田謙蔵》[8]おたふくかぜ[9]怒りっぽい[10]外傷性出血
[11]顎下腺炎[12]肩こり ①精神不安.。②顔面紅潮。③心下痞、胃部膨満停滞感、 ④便秘。[13]喀血:☆気分がイライラして落ち着かず、吐血・喀血する者《大塚敬節》
[14]逆上:☆狂の如き者、眼目痛し、赤脈怒張し、面熱して酔えるが如き者《類聚方広義》[15]癇:☆胸中動甚だしく、大便秘結し、舌上胎有る者:「石膏」《方読便覧》☆癇証百端枚挙すべからずして、眼胞惰、数瞬し、呼吸促迫、唏(=すすり泣く・なげく)するが如きの類、三黄瀉心湯最も効あり。☆衝逆甚だしく自汗出ずる者:「牡蛎」☆もし諸怪証を見す者:辰砂丸を兼用する。《先哲医話》
[16]肝火上炎 [17]眼瞼炎:☆その他の炎症性眼疾患に応用。 [18]眼底出血:☆高血圧症患者の眼底出血《大塚敬節》[19]感情不安定 [20]顔面紅潮[21]気の上衝:
☆気痞上逆する者:「川芎」=竜騰飲《賀川》[22]驚悸:☆驚悸、或いは発狂等の証《奥田謙蔵》[23]金瘡:☆《陽斎随筆》“自分が若い頃、嘯堂先生に就学したことがある。その頃、藩の医者が争事をして、武士に切られたことがある。切創は鎖骨を切って背まで通り、切先はあごにかかり、下顎骨で止まっていた。その医者は反り返って眼をみつめ、煩躁の状を見せていた。外科の医者は縫合術を行った。先生は三黄瀉心湯を与えて、自若として驚かず、これで効を収めることが出来た。先生は常に金瘡には三黄瀉心湯が良い。これは気を落ち着かせる効があって、人参などの及ぶところではないと云われた。その後、東都に就役したとき、同じ班に長尾順庵という外科医がいた。この人は金瘡の治療が上手で、是も先生と同じ考えで、金瘡には三黄湯より他には無いと云うことであった。その頃、引間正順という人と三黄瀉心湯について語り合ったことがある。ある日、常盤台の方に火事があって、5、6人の怪我人が出た。その時、正順は辻番所で治療にあたったが、1人がしきりに反り返って止まない、そこで三黄湯を作って呑ましたところ治った時、1人の狂人が刃を振り回すので、森田某という士が、これを取り鎮めようとして、頭に浅い切創をうけて、血が雨のように流れた。そこで自分は早速に三黄湯を振り出して与えた。その後、その士が自分の御礼をいって云うのに、先程の振り出しはまことに結構な薬でした。1服で気分が明るく、サッパリして、のぼせがいっぺんに静まり血もおさまりましたと。三黄瀉心湯はまことに金瘡の主方である”
[24]口が苦い [25]月経代償性出血 [26]血尿:☆本朝経験、血淋を治す:「紅花」。按んずるに尿血と血淋と相似たり。毒、尿道に在って痛む者は淋と為す。毒、膀胱に在って痛まざる者を尿血と為す。《雑病翼方》
[27]血便:☆下血。腸胃実化に属する者に宜し。《先哲医話》☆酒客、欝熱し、下血する者《類聚方広義》 [28]結膜炎:☆風眼痛、尤も甚だしき者を治す。☆赤脈睛を貫き、緊渋開き難く、日と火を悪み、大便秘結する者を治す。:「川芎・薄荷」☆大便滑なる者:「薄荷・連翹・竹葉」《方読便覧》[29]結膜黄濁(目がきたない)☆黄疸がある時は、茵蔯蒿。[30]結膜充血:☆目が赤い。
☆結膜出血 [31]肩背酸痛(肩背強急) [32]幻想:☆幻覚☆尾藩の士、某、その君の東行に従ひて旅立ちけるが、その日の夕方、旅館にて厠に登りしに、きんかくしの版の先に3尺許りの青色の鬼、ふと現れたり。大いに驚き、脇差しにて斬りつけたりしに、忽ち消え失せたり。大いにあやしみ、居たりしに、その夜、膳に臨む時に、かの青鬼また膳の先に出でたり、ただうづくまり居て、外に害もなさず。その人驚き、傍人に、是を見るやと問ふに、他人は見ることなし。そのまま食し終わりたるに鬼もまた消え失せたり。
翌朝。厠に登りしに、また鬼の出ること前の如し。その後は1日の中に2、3度づつ必ずこの鬼現れ、目に遮りて、ただ是のみ心に障りて安からざりしかば、道中、3、4日にして引き返し、名古屋に帰り、医師に談じけるに、是は心火の病なりとて、三黄瀉心湯を多く服せしに、鬼の出ること、その数、日々に減じ、1月ばかりして鬼も見へず全癒したり。
これらのこと世の中に間々ありて、急に妻の顔色が牛の如くに見 へ、或いは婢の顔が馬の如くになり、或いはわが子の形、鬼の如く見え、その人大いに驚き、抜き打ちなどして、狂妄の名を取ることあり。これ皆“心気不定”の所為にして、その人鎮心省思せば、薬を服せずとも、自治すべし。蓋し三黄瀉心湯を用ふるは至極のことなり(浅田宗伯・温知医談第78号)
[33]高血圧 [34]口臭[35]口内炎:☆口舌腐爛し、脣風、走馬疳、喉痺、熱、腫痛し、重舌、痰胞、語言すること能はざる者、針を以て横割し、悪血を去り、液を取るを佳と為す《類聚方広義》 ☆口疳:「承気湯薄荷」《方読便覧》(口疳=小児の疳病で、口舌、咽喉に瘡を生じる。)
☆口内炎の初期で、口舌が乾き、水分を欲しがり、便秘の傾向がある者に用いる。便秘の傾向がなければ黄連解毒湯を用いる(漢方診療医典)[36]虹彩炎[37]更年期障害(更年期の不定愁訴)[38]興奮しやすい:☆のぼせ気味で、血色が赤味を帯び、気分が落ち着かない者《大塚敬節》[39]黒内障[40]五十肩[41]昏倒[42]耳下腺炎[43]子癇:☆子癇の発作が頻々と起きるとき《大塚敬節》☆妊娠の癇症これを子癇と云う。羚羊角くらいにては治せぬものなり。三黄湯鉄粉、大続命湯などのよき症あり、所謂る有故無損なれば堕胎をを恐れず用ゆべし。古人妊娠白き物を見て黒きと云ひ、黒き物を見ては白きを云うは子癇を発する兆なりと云う。相違なきことなり。また婦人急に物に驚くことあり、癇症を発するの兆なり。柴胡加竜骨牡蛎湯の症なり《老医口訣》[44]子宮出血:☆《大塚敬節》“私はかって1処女の子宮出血に、この方を用いて著効を得たことがある。この患者は多血質で、冬でも足袋をはけないというほどであったが、はじめ芎帰膠湯や桂枝茯苓丸を用いて効無く、三黄湯で始めて止血した”[45]歯根出血:☆歯槽膿漏で出血傾向のある者に用いる。便秘しないなら黄連解毒湯を用いる。歯槽膿漏がなくても、歯齦から出血する者によい。《大塚敬節》
☆場合により「石膏」《大塚敬節》[46]歯根腫痛[47]歯痛:☆歯痛、或いは歯腫痛を発し、顔面紅潮せる等の証《奥田謙蔵》[48]四十肩(腕)[49]痔:☆痔の出血(鮮紅色)☆腸痔、腫痛し、下血する者《類聚方広義》☆痔疾の疼痛、或いは出血等《奥田謙蔵》
[50]衂血:☆時無きを治す。《普済本事方》☆実熱衂血:「川芎」《仁斎直指方》☆諸薬無効の者:「荊芥」奇効あり。「側柏散」と虚実の別あり。《先哲医話》☆《大塚敬節》“10年ほど前、私はひどい衂血に悩んだことがある。診察中であったが、ぽたりと何か鼻から落ちた。血である。しかし大したこともないので、気に留めないでいたところ、だんだんひどく、ダラダラと流れるほどである。脱脂綿でタンポンしてみたが、のどへ流れてくる。そこで瀉心湯を作って呑んだところ、呑むや否や、どっと堰を切ったように、血が吹き出てきた。物を言うことも出来ないのである。血は鼻から口から噴水のように流れるのである。妻はこの様子を見て、ビックリ仰天して、近くの内科の先生と耳鼻科の先生を呼んだ。そのうちに出血はやや下火になった。内科の先生はカチーフの注射をしてくれた。そして耳鼻科の先生は、タンポンをしてくれた。それで翌日から診察が出来るようになったことがある。 後で考えたことであるが、この時、瀉心湯を呑んで、一時ひどい出血を起こしたのは、瞑眩であっただろうと。そころが、その後、肺結核で喀血している患者に瀉心湯を呑ませたところこの時も呑むや否やひどい喀血が始まった。そこでまた考えた。これは煎じたてのひどく熱いやつを呑んだ為ではあるまいか?と、自分が呑んだ時も、熱いやつがのどを通ると、どっと血が出たことを思い出した。三黄瀉心湯は、頓服で用いるときは沸騰している湯で、振り出しにして呑ますことになっている。煎じて呑ますのではない。しかしやや冷めて呑みやすくなってから呑ますべきで、慌てて煎じたての熱いやつを呑むのはよくないに違いない。そう考えた私は、それからは、熱いやつを呑まさないことにしているが、そのようにしてみると、呑むや否やどっと出血がひどくなることななくなった”[51]出血:☆《金匱要略》瀉心湯、大黄は芩連に倍とし、寒以てを行らすの法なり、「柏葉湯」は吐止まざるを治し、温以てを行らすの法なり。《雑病翼方》☆本朝経験、金刃傷及び墜打損傷、昏眩不省にして血出でて止まらざる者、宜しく急に此湯を与右べし。《雑病翼方》☆本朝経験、血箭を治す。(血箭=下肢のリンパ管の炎症で出血しやすい病気)☆牙縫出血は動脈自潰の致す所、止まざれば則ち亦人を殺す。「牙衂」と名づく。三黄瀉心湯犀角、ならびに烙鉄とす。《方読便覧》[52]失神[53]耳出血[54]
[55]習慣性便秘 [56]酒査鼻 [57]小児麻痺 [58]心悸亢進 [59]心下痞:☆胸中に血積するを治す:「犀角地黄」《済世抜萃方》[60]心身症[61]心煩:[62]神経過敏
[63]神経質 [64]神経衰弱 [65]人事不省 [66]ジンマシン [67]水ガン [68]頭重:☆のぼせて、頭が重く、足が冷えるという場合、蘇子降気湯を用いることがあるが、この場合は顔全体よりも頬に限局して桜色が見られる。三黄瀉心湯の場合は、顔一体が紅潮する。降気湯は足冷が主であり、瀉心湯ではのぼせが主である。《大塚敬節》[69]頭痛:☆のぼせ、めまい、耳鳴、顔面紅潮、頭痛などの有る者《大塚敬節》☆気分がイライラして落ち着かず、安眠出来ず、食のすすまない者などで、腹部は膨満せず、表面には抵抗はないが、自覚的には、心下部につかえた感じを訴え、腹底に力がある者に用いる《大塚敬節》☆63歳女性。数年前、胆石症の時、大柴胡湯を与え、大小数個の石を排出したことがある。今度の主訴は、のぼせと頭痛で、ひどいときは、眼が見えなくなる。顔は紅潮し、腹部はやや膨満している。 私はこれに瀉心湯を与えたが、2週間分を飲み終わらないうちに、全快し、その後、4年間再発しない。《大塚敬節》
☆多血質の血色の良い人が多く、貧血性の者は少ない《大塚敬節》 [70]精神異常:☆精神不安☆精神分裂病 ☆24歳男性。口どもりて語ること能はず、また時として夜中に目覚めて、自ら身体の大なることを誇ることあり、来たりて診を乞う。
診するに、心煩甚だしく、心下痞す。瀉心湯を与える。数ヶ月ならずして諸症悉く治り、言語意の如し。《長沙腹診考》☆心中煩悸し、心下痞する者に用いる《長沙腹診考》[72]赤痢
[73]舌炎[74]舌苔 <黄色> [75]喘息:☆逆して、大便軟利する者を治す《医林集要》☆喘息は至って強く来る者によし。《梧竹楼方函口訣》
[76]譫妄(せんもう)[77]早漏[79]帯下:☆婦人赤白帯下、その病多く心下に根底す。故に「三黄瀉心湯阿膠滑石」を与え「化毒丸」を兼用す。《先哲医話》[80]立ちくらみ:☆産前後、血暈、欝冒する者《類聚方広義》[81]打撲(打ち身):☆打撲、或いは爾余の外傷に因する眩暈、或いは失神等にして、顔面紅潮する証《奥田謙蔵》☆瀉心湯は打撲、損傷などで、目がくらんで意識を失って醒めないもの及び血が出て止まないものを治す。《証治摘要》☆打撲、損傷の直後に用いる。この際には、熱湯を入れて2、3分間煮沸してすぐ滓を濾して、頓服として用いる。およそ打撲などの外傷を受けた後は、気が転倒しているので、三黄瀉心湯を用いて、気分を鎮めることが必要である。《大塚敬節》
☆出血のある時は勿論、出血のない時でも用いる。《大塚敬節》☆この方は実に打ち身、出血の一大妙方である。打撲すると、みな気が逆上して昏眩するものである。その時此方を用いて心下をくつろげると良い。血が出ない者にもよい。血が出るものには、尚更よい。《有持桂里》
☆高いところから転落したり、突発的に打撲を受けたり、或いは交通事故による追突などでショックを受けた直後に、精神感動がはなはだしく、不安、恐怖、のぼせ、興奮などあって、顔面紅潮して気分の落ち着かないときや昏迷を起こしているようなときに、本方は、興奮を鎮め、出血を止め、吸収を早くする効がある。実熱の証すなわち体力があって、貧血のないものに用いる(漢方診療医典)[82]丹毒:☆「犀角・紫円」《方読便覧》[83]血の道症:☆瀉心湯は家君、血暈及び俗に血の道の薬と称する者にこの方を用いる《証治摘要》☆58歳女性。7、8年前の、丁度月経の閉止する頃に、腎盂炎にかかり、それが治ってのち、腎盂炎の時に経験したような悪寒が、1日の中に数回背中を通り、その後で背中が燃えるように熱し、その熱感は下から起こって上に通り過ぎる。その時、体温を測っても、平温であるという。その他、絶えず、気分がイライラして落ち着かず、耳鳴があり、大便は秘結する。こんな症状が7、8年の間、毎日続き、医師の診察を受けても、神経だとて相手にしてくれないと云う。
昔からこのような症状を、血の道と呼んでいる。一種の神経症である。この気のいらつく感じ、背中が燃える感じ、便秘という症状は、三黄瀉心湯を用いる目標である。
そこで10日分の三黄瀉心湯を与えた。これで症状はたいへん軽快したが、患者は6ヶ月間引き続きこの薬を呑み、ついに全治した。《大塚敬節》[84]腸出血[85]テンカン:☆先ず三黄瀉心湯数剤を与え、冷水を以て灌腸す。後「紫円」を服す。《方読便覧》[86]痘瘡:(天然痘のこと)☆痘瘡には、胃実し、声唖する者有り。必ず口渇し、熱盛にして、大便秘結し、その瘡起発を欠く。三黄瀉心湯に宜し。又、大便閉結し、脹悶し、痘発すること斎しからず、並に起長せず、形色赤紫なるは三黄瀉心湯を用いて、之を通ずれば、則ち痘起り易く、而して色、順に転ず。《痘瘡宝筏》☆痘瘡、熱気熾盛にして、七孔出血する者《類聚方広義》[87]吐血:☆傷寒吐血を治す《聖済総録》☆酒客吐血、瀉心湯に宜し、止まざる者は理中湯《方読便覧》☆吐血、衂血、及び爾余の出血諸病にして、心煩し、安静ならざる証。《奥田謙蔵》☆若し吐血止み難き者には、証に由り犀角を加える《奥田謙蔵》☆酒客の吐血にも、まことに良く効く。この際黄連解毒湯を用いてもよい。《大塚敬節》[88]動悸:☆“心気不定”の不定を“煩悸”の意味に解釈すれば応用が広がり、“心煩”となせば方用狭くなることを、知らない者が多い。《長沙腹診考》[89]動脈硬化症
☆三黄瀉心湯や黄連解毒湯は、脳動脈硬化のある患者で、逆上の気味があり、顔面充血しやすく、気分が落ちつかず、めまい、耳なり、不眠などのあるものに用いる(漢方診療医典)[90]どもり[91]難聴
☆のぼせ気味で顔面紅潮し。不安、興奮し、心下部の痞えをおぼえ、気分の落ち着かぬというものに。実証で脈に力があり、便秘の傾向がある(漢方診療医典)[92]ノイローゼ[93]脳溢血(予防・療養)☆中風、卒倒して人事を省みず、身熱し、牙関緊急し、脈洪大にして、或いは鼾睡、大息し、頻頻として欠伸する者、及び省後の偏枯、緘黙不語、或いは口眼斜し、言語蹇渋し、流涎、泣笑し、或いは神思恍惚、機転木偶人の如き者は、此方に宜し《類聚方広義》☆脳溢血、及びその類証伸して、脈浮大、数なる証《奥田謙蔵》☆卒中を治す《雑病翼方》[94]脳血栓[95]脳出血:☆脳出血にも用いる。発病初期に用いる機会が多い《大塚敬節》[96]脳出血後遺症:☆《大塚敬節》“顔の赤い、がっちりした体格の56歳の男子が、夫人につれられて来院した。この人は3年前に軽い脳出血にかかり、その後、歩行が不自由になり、左手がシビレ、言語が滑らかに出なくなった。その上、腹がたちやすく、1日中イライラして怒っているという。脈をみると弦大で、腹部は一体に緊張している。三黄瀉心湯を与える。これを2週間分飲み終わる頃より、気分が落ち着き腹か立たなくなり、1ヶ月ほどで歩行が確かになり、3ヶ月目には、1人で青森まで旅行し、何の故障もなく帰宅した。”[97]脳充血<>☆脳充血、及び其の類証《奥田謙蔵》[98]脳底出血 [99]脳膜炎[100]のぼせ:☆顔面が酒でも呑んだ様に潮紅を呈し、気分がイライラして落ち着かず興奮傾向のある者。《大塚敬節》
☆多血症:高血圧症の者に用いる機会が多い。《大塚敬節》☆便秘の傾向があれば三黄瀉心湯を、不眠傾向があれば黄連解毒湯を用いる《大塚敬節》 [101]発狂:☆発狂錯乱☆心膈実熱し、狂躁して面赤き者を治す。《名医方考》☆発狂する者、「三黄瀉心湯芒硝」を与え、兼ねて瀑布泉に灌するを妙と為す。《先哲医話》☆発狂、眼光榮榮として、据傲(キョゴウ、おごる)、妄語し、昼夜牀に就かざる者、心下の痞、心中煩悸の症有るや、瀉心湯を用いれば、その効響くが如し《類聚方広義》☆17歳女子。麻疹を患ひ、余熱解せず、ついに狂症を発す。その脈弦数、夜間、怔忡、驚悸、眠らず。1医抑肝散を与ふ。治せず。漸くにして頸筋に癰を発し、好んで暗室に坐す。鄰家の木履(ばくり)の声を聞くもまた驚く。因って遂に鄰家に乞うて木履を禁ずるに至る。その後、山脇道策を乞て診せしむ。道策云ふ。火熱のなす所と、此方を処方して癒ゆ。癰もまた続いて癒えたり。《梧竹楼方函口訣》
[102]半身不随:☆偏枯、語言蹇渋、大便秘する者を療す。《方輿輗》[103]煩躁[104]ヒステリー [105]鼻出血(鮮紅色)
[106]皮下出血 [107]皮膚炎:☆乾燥性の皮膚疾患。[108]不安感 [109]ふけ[110]フルンケル:☆癰疔内攻し、胸膈寃熱し、心気恍惚たる者《類聚方広義》(寃=エン、ぬれぎぬ)[111]腹痛:☆心下卒然として痛み、尋常の腹痛の諸薬を用いて効なき者《梧竹楼方函口訣》
[112]二日酔い:☆宿酔。《奥田謙蔵》 [113]不眠症:☆心中煩して不眠し、心下痞する者《長沙腹診考》☆頭が冴えてなかなか眠れず、便秘する者。☆気分が落ち着かず、つまらない事が気にかかり、便秘して眠れない。☆のぼせて、便秘し眠らない。
☆昭和26年12/5、38歳の女性が頑固な不眠で診を乞うた。この患者は、その前々年の9月からめまいが起こり、ビタミンBの注射を続け、その方は軽快したが、いまでも月経時にはめまいがある。それに前年の7月頃から不眠症となり、同時に肩凝り、腰痛なども訴えるようになり、最高血圧が160となった。この不眠はなかなか頑固で、睡眠薬を多量に飲むと僅かに眠れるが、睡眠薬を飲むと胃のぐあいが悪くなって食欲がなくなる。そのためだんだん痩せてきた。尿中のタンパク・糖はともに陰性である。
この女性は色の白い方で、腹は筋張ったように堅く、大便は秘結気味で、足が冷え、左眼の視力が弱い。 鍼灸師が鍼とマッサージをしてくれたので、肩の凝りと腰痛はとれたが、不眠は依然として続き、そのため廃人のようで仕事もできない。8月と9月は月経が少なかった。目下ホルモン剤の注射を続けているという。
この患者には、三黄瀉心湯に梔子を加え、大黄を0.5として与えたが、これで気持が落ち着いて眠れるようになった。 三黄瀉心湯に梔子を加えると、黄連解毒湯の黄柏の代わりに大黄を入れた方剤となる。この患者に黄連解毒湯を用いても、効果はあったと思う。《大塚敬節》
[114]偏頭痛 [115]便秘:☆大黄・黄連・黄芩は、いずれも充血を去り、炎症を止め、興奮を鎮める作用があるので、三黄瀉心湯を用いる患者は、血色が良く、顔面が潮紅し、のぼせる傾向があり、気分が落ち着かず、不安・不眠等の傾向があって、便秘している《大塚敬節》[116]めまい:☆主婦。年末に多忙を極め、数日間、十分に睡眠をとらなかったためか大晦日の夜からひどいめまい困っていると云う。この女性は、平素から勝ち気で、あまり病気をしたことがない。
往診すると、氷嚢をあてて寝ている。のぼせてたまらない、脳充血らしいという。顔面は紅潮している。脈は浮いて大きく力がある。血圧は高くない。 こんな状態では、沢瀉や朮の入った処方が効くとな思われない。黄連の入った処方を用いる必要があると考えた。《原南陽》という 大家の著した《叢桂亭医事小言》という書物には、めまいには、黄連や石膏を用いるとあったのを思いだした。そこで私は黄連・黄芩・大黄の3味から出来ている三黄瀉心湯を、煎じないで振り出しにして飲ませた。この処方を振り出しにするには、沸騰している湯の中に、2、3分間、以上の3味を浸して、その汁を飲ますのである。この際、この患者は便秘の傾向があったので、1回の分量を次のようにした。黄連1.0黄芩1.0大黄1.0を熱湯100‹に浸出せしめる。
この処方は、急激にきた病気に頓服的に用いるには、振り出しにして用いた方が良く効く。 さて、この患者は、これを飲んで30分ほどたつと、気分が良くなったと言った。めまいも軽くなったので、そのうち眠ってしまったので、家族の者も安心した。3日間の服用で家事を手伝えるようになった。《大塚敬節》☆55歳女性。初診は昭和33年8/16。3年前から右の耳鳴が始まった。今年になってめまいが始まり、3/19に激しいめまいが起こって、医師を呼んだ。その時の血圧は120-70であった。
6月になって、夜中に又めまいが起こったが、2時間くらいでよくなった。ところが、一昨日まためまいが起こり、今度はサッパリせず、床についたきりである。
患者には不安感があって、便所へもゆけない。肩凝りもあり、便秘している。食欲はある。脈は沈んで力がある。右に胸脇苦満があって、上腹部は全体に緊張している。
私はこれに三黄瀉心湯梔子を与え、大黄1.0を用いた。胸脇苦満があったから大柴胡湯を考えないわけではなかったが、不安感を去るつもりで三黄瀉心湯にしたのである。ところが、これが大変良く効いて、その夜からめまいがなくなり、不安感がてれて、よく眠れた。便通も快通する・そこで前方を続け、1ヶ月もたたないうちに、家事が出来るようになった。
ところで、耳鳴だけが依然として残っているので、これを治してほしいという。そこで大柴胡湯にしたところ、この薬はどうもからだに合わないようだから、前の薬にしてくれと云う。こんな風で三黄瀉心湯梔子を1年半ほど飲み続け、外出も出来るようになった。その後、患者はしばらく休薬していたが昭和35年7/6に来院した。その時は、メニエール氏症候群のめまいと嘔吐と耳鳴とを訴え、項部が何とも云えない不快感で苦しいと云う。下向いてタタミにあるものを拾ったり、頭を振ったりすることが出来ない。もし強いて、それをやろうとすると激しいめまいが起こって、嘔吐が起こるという。胸脇苦満は依然として存在する。この日血圧は112-70であった。ところで黄連解毒湯大黄四逆散を与えたところ、7/9に発作があったきり、多年にわたる、めまい・耳鳴が消失して完全に健康を回復した。この治験で考えられることは、この患者は三黄瀉心湯梔子である程度の効果はあったが、まだ証と方が合致していなかったのである。《大塚敬節》
[117]耳鳴り:☆高血圧症、脳充血、更年期障害などの時にみられる耳鳴りに用いる機会が有る《大塚敬節》 ☆逆上、顔面紅潮、便秘、不眠などがあって耳鳴りを訴える者《大塚敬節》☆59歳女性、かねてより高血圧があり、一昨日より耳鳴りとめまいがある。頭を少し動かしても、悪心、吐があり、顔は上気して紅潮しているが足は冷たい。大便は2、3に1行という。腹部は軟弱であるが、心下部を強く圧すると抵抗がある。三黄瀉心湯を与える。これを2週間飲むと、以上の症状は消散した。
三黄瀉心湯証では足が温かいと訴える者が多いが、逆上の甚だしいときは足が冷えるという者がある《大塚敬節》 [118]虫歯:☆齲歯疼痛し、歯縫出血する《類聚方広義》[119]ムチ打ち症
[120]妄想 [121]網膜炎 [122]目眩 [123]やけど(火傷)☆火傷後の発熱等《奥田謙蔵》[124]翼状片[125]雷撃[126]淋疾患:☆老人淋疾を患い、45年治せず、或いは死に至る者は是れ積年の毒、膀胱に流注するなり、その治は胸中に在り、宜しく「三黄瀉心湯滑石・阿膠」「化毒丸」を兼用すべし。《先哲医話》[127]わきが:☆腋臭:《方読便覧》[128]脈
<有力>
#三黄瀉心湯《傷寒論》《古今方彙》「黄連、黄芩、大黄(酒浸)」各等分。水煎し温服。◎心火にて胸膈実熱、面赤く、狂躁の者を治す。
#三黄瀉心湯[2]《東醫寶鑑》「大黄3銭、黄連・黄芩各1銭、生地黄2銭」水煎服。 ◎熱がひどくて、吐血の多いとき。
#三黄瀉心湯[3]《金匱要略》《中薬臨床応用》⇒「瀉心湯」「大黄6g、黄連3g、山梔子9g」水煎服。◎血熱妄行による吐血、血尿、衂血、血便。
#三黄熟艾湯《医学入門》《東醫寶鑑》「黄芩・黄柏・黄連・熟各1銭半」水煎服用。 ◎傷寒で大下痢し、熱痢が止まらない。◎痘瘡正しく出で収まるに似て収まらず、下利黄臭膿血、身大いに渇するを治す。
◎或いは「糯米、紫草、甘草」を加えるも亦好し。《古今方彙》 三黄勝湯《東醫寶鑑》「三黄石膏湯《東醫寶鑑》麻黄・豆芒硝・大黄」に「薑1片、棗2枚」入れ水煎し、熱いときに「泥漿清水2匙」入れて調服する。◎陽毒で発狂し、ひどい症。
#三黄石膏湯《漢方治療の実際》「黄連解毒湯石膏10、麻黄3、知母5」 #三黄石膏湯《傷寒六書》 「黄連解毒湯石膏・麻黄・香(又知母)」◎陽毒発斑を治す。◎此方は陽毒発斑を治するが主なれども、麻疹、熱毒甚だしく、発し兼ねる者に宜し。◎「黄連橘皮湯」の証にして、熱悶甚だしく、狂叫走らんと欲し、六脈洪大、躁渇、死せんと欲し、或いは譫語止まず、鼻、時に衂を加え、身目倶に黄なる者に効あり。《傷寒翼方》◎丹毒:《勿誤薬室方函口訣》
#三黄石膏湯《傷寒六書》《古今方彙》「黄連・黄芩・黄柏・山梔子・麻黄・石膏・香・生姜・細茶」水煎。 ◎陽毒、発斑、黄身朱を塗れるが如く、眼珠火の如く、狂叫して走らんと欲し、六脉洪大、燥熱、死せんと欲し、鼻乾き、面赤く、過経(=10日以内のこと)解せず、已に壊症となり、表裏みな熱し、発汗せんと欲して、熱病退かず、◎又復之を下し、大便遂に頻し、小便不利し、又錯あるを治す。◎温病にてこの症となる者、又汗ありて後、三焦熱を生じ、脉洪にして譫語して休まず、夜を尽くして喘急し、鼻時に衂を加え、狂叫して走らんとするを治す。
#三黄石膏湯《東醫寶鑑》「石膏3銭、黄芩・黄連・黄柏・山梔子各1銭半、麻黄1銭・香豉半合」剉作1貼し「薑3、細茶一握り」入れて水煎服用。◎陽毒の発斑に身体が黄色く、目が赤く、狂って踊り。叫び、六脈が洪大の症を治す。
#三黄知母湯《本朝経験》 「三黄瀉心湯知母・石膏各10、甘草1.5」《漢方治療の実際》 ◎歯痛を治す。◎此方は上部熱甚だしく、歯痛或いは歯衂する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》もし、齲歯或いは疽、牙疳の類にて痛甚だしき者は、「桃核承気湯」に非ざれば効なし。◎此方と「葛根黄芩黄連湯紅花・石膏」にて口瘡を治するとは、古方者流の工夫に出で、面白き経験なり。◎衂血:「茅花」or「茅根」◎舌瘡腐爛、一切の歯痛:「知母紅花」◎心気不足、種々の癇症を治す:「知母朱砂」
#三黄湯[1-1]《備急千金要方》「麻黄5分、独活4分、細辛2分、黄蓍2分、黄芩3分」◎中風、手足拘急し、百節疼痛し、煩熱、心乱、悪寒し、日を経て飲食を欲せざるを治す。◎心熱は:「大黄2分」◎腹満は:「枳実1枚」◎此方は続命湯の証の一等重き者なるが故に、煩熱心乱を致すなり。◎《三因極一病証方論》に云う、兼ねて賊風、偏風、猥腿風、半身不遂、失瘖
#三黄湯 [2]《東醫寶鑑》「大黄(煨)・黄芩・黄連」毎回1銭、水煎服。◎三焦の積熱。
#三黄半辺蓮湯《中薬臨床応用》「黄芩9g、黄連6g、田基黄15g、半辺蓮30g、金銀花15g、野菊花15g」水煎服。 ◎毒蛇咬傷(タイワンコブラ、マムシ)◎さそりの刺傷◎蜂の刺傷
#三黄宝蝋丸《医宗金鑑》 「藤黄160g、天竺黄・大戟・劉寄奴・血竭各120g、雄黄80g、当帰尾60g朱砂・孩児茶⇒阿仙薬・軽粉⇒水銀粉・乳香・琥珀・麝香各12g」以上を細かく砕き、さらに黄蝋960gを用いて溶解し、薬をいれて平均にかき混ぜる。重病には毎丸4g、軽い者には毎丸2g、熱い黄酒で服用。
#三黄補血湯《東醫寶鑑》「升麻・白芍薬各2銭、熟地黄1銭、当帰・川芎各7分半、地黄(生)・柴胡・黄蓍・牡丹皮各等分」水煎服用。◎六脈が弱く衂血・吐血するとき。
#三乙承気湯[1]《劉河間》《古今方彙》「大黄・芒硝・厚朴・枳実各半銭、甘草1銭、生姜」煎服。◎消渇、胃中に熱ある者を治す。
#三乙承気湯[2]《寿世保元》《古今方彙》「承気湯木香、檳榔子」◎裏に邪あり、実して便せず、脈実にして喘する者を治す。
#三化湯《活法機要》《古今方彙》「小承気湯羗活」水煎。◎中風にて九竅ともに閉じ、唇緩く、舌強ばるを治す。《雑病翼方》 三化湯《保命集》 ◎内に便溺の阻格あらば、復三化湯之を主る。《雑病翼方》
#三花五子丸《東醫寶鑑》「密蒙花・旋覆花・甘菊・決明子・枸杞子・菟絲子(酒製)・鼠粘子・地膚子・石決明()・甘草」各等分に作末し蜜で梧子大の丸剤。 食後、麦門冬湯で50丸飲む。◎目に黒花と飛蚊がみえ、障の出る者を治す。
#三花神祐丸《東醫寶鑑》「黒丑頭末2両、大黄1両、芫花・甘遂・大戟各5銭、軽粉1銭」作末し水で小豆大の丸剤。最初は5丸、次は服用するごとに5丸づつ加えて、温水で飲む。◎一切の水湿の腫と、脹満を治す。◎中満・腹脹し喘嗽する者を治す。◎湿熱の沈積による疾患を治す。
# 三脘散《東醫寶鑑》「独活・白朮・木瓜・大腹皮・紫蘇葉各1銭、檳榔(麺でくるんで)・陳皮・沈香・木香・川芎各7分、甘草(炙)5分」作末し毎回3銭水煎服。◎脚気が心を衝いて症憫し、大小便が渋滞する者を治す。
#三脘散《究原方》「三脘湯《伝家秘宝》+大黄」=三和散。◎脚気腫を発し、大便渋し、気満す。《方読便覧》 三脘湯 =三和散《和剤局方》 三脘湯《伝家秘宝》
「大腹皮2分、蘇葉1分5厘、独活2分5厘、沈香2分、木瓜3分、川芎4分、蒼朮4分、木香、甘草3分、檳榔4分、橘皮2分」《和田奏庵方函》には木香なく、生姜あり。
◎三焦気逆を治し、大便秘滞を解し、胸腹満脹を下す。◎此方は気の壅滞を疎利するが主意にて、畢竟腹気の壅滞するより色々の症を生じ、或いは大便秘結、小便不利、或いは腹張り、或いは腰疼み、或いは背疼み、手足痛み、或いは面腫、手足腫れ、或いは腹中痞塊を生じ、種々の患を為すを治す。◎《衆方規矩》に云う、筋攣急する者は気滞なり。此方に宜し。◎腫瘍:☆嘿脹内に形指の如きものあり、之を按じて累々として転動する者、此方を用いる要訣なりと。
(嘿=セン、ふくらはぎ) (嘿脹=ゼンチョウ、①腓腹筋、②承筋穴の別名) ☆此症にして、虚寒に属する者:「補腎湯」に宜し。《勿誤薬室方函口訣》◎脚気:☆小腹不仁、疝に属する者を治す。《世医得効方》に云う、脚気やや癒え、常に三脘湯を服せ。「薏苡仁」弱人は更に「朮附湯」に宜し。《脚気提要》☆疝気に脚気を兼ねるもの。腹の具合悪く、脚気があって脚がしびれる者に使用。《済世薬室》
☆《和剤局方》に云う、脚気上攻し、胸腹満悶し、大便不通を治す。按ずるに気血壅滞すれば則ち筋脈不利し、三焦不和、運輸不健、此湯を用うれば則ち欝滞開き、而して三焦通ず。
三癇丹《東醫寶鑑》「蜈蚣1条、牛胆南星2銭、全蝎・防風・白附子・遠志・蘆薈・延胡索・辰砂各1銭、麝香1字、金箔・銀箔各3片」作末し糊で梧子大の丸剤。金銀箔で衣をし、毎1丸を薄荷湯に入れて飲み下す。
◎急驚が癇になった者を治す。
三奇湯《備全古今十便良方》 「桔梗、甘草、訶子」作末し砂糖小塊と煎じ、細かく吸う。 ◎寒に感じて声出でざるを治す。
三建湯《和剤局方》《古今方彙》「烏頭・附子(炮)・天雄(炮)各2銭」水煎。◎真気不足して元陽久しく虚し、寒邪攻め冲(ノボ)り、肢節煩疼し、腰背酸困し、 自汗、厥冷、大便滑泄、脈微なる者を治す。
三光膏《東醫寶鑑》「朱砂・雄黄・硼砂」各等分に細末にし乳汁で調合して椀内に塗って土に伏せておき、黄色くなるまで中からいぶして、使うとき香油を少し入れて炒って眼角に滴らす。◎犯土傷眼を治す。点眼薬。
三甲復脈湯《温病条弁》 「生亀板40g,、生鼈甲32g、炙甘草・乾地黄・生白芍各24g、麦門冬・阿膠各16g、麻子仁12g、生牡蛎80g」 三甲復脈湯《温病条弁》《中薬臨床応用》「牡蠣(生)15g、鼈甲(生)23g(打砕先煎)、亀板(生)30g(打砕先煎)、甘草(炙)18g、乾地黄18g、白芍(生)18g、麦門冬15g(不去心)、阿膠9g(溶解)、麻子仁9g」水煎服。◎熱性疾患の後期◎夜間に発熱し朝には解熱。◎口唇のただれ、歯の乾燥。
三五七散《東醫寶鑑》「防風2両、山茱萸・乾姜(炮)・赤茯苓各1両半、附子(炮)・細辛各7銭半」作末し毎回2銭を温酒で服用。又は7銭を切って「姜3、棗2」を入れ水煎服。◎風寒が脳に入って頭痛・目がくらむ者。
三香散《東醫寶鑑》「沈香・白豆・紫蘇葉」各等分に作末し、毎回1銭を柿蔕の煎じ湯で調下する。◎胃が冷え、咳逆する症。
三合済世湯《寿世保元》《古今方彙》「当帰3銭、川芎2銭、枳殻2銭、香附子1銭半、紫蘇葉8分、大腹皮1銭半、甘草7分」水煎。腹痛甚だしきを待って之を服す。
◎産に臨みて難し、或いは一二日下らざる者を治す。
三合湯《東醫寶鑑》「烏薬順気散二陰湯香蘇散羗活・蒼朮」水煎服。◎背心の痛みを治す。 三合湯《医方考》《古今方彙》「八物湯半夏、陳皮」◎転胞の者は妊娠して卒かに小便するを得ざるなり。之を治す。
三合復明湯《古今方彙》「陳皮、半夏、天安(炒)、茯苓、茯神、遠志、酸棗仁、黄連、黄芩、山梔子、大黄(酒)、枳実、甘草」水煎。 ◎癲狂にて初めに驚叫・罵詈雑言を発し、親を避けず、踈(ハダシ)にて高きに登り、而して歌い、衣を棄て而して走る等の症を治す。
三根飲《東醫寶鑑》「五倍木根・蒼耳草根・臭樗根白皮」各等分にし、毎回7銭に、「姜3、大棗2、黒豆36粒、糯米49粒」を入れて空腹時に服用。◎休息痢の長引く者。
三根湯《中薬臨床応用》「土牛膝根60g、梅根60g、無患子根60g」水煎服。◎喉痛。 三才丸《東醫寶鑑》「天門冬・熟地黄・人参」各等分。粉末にし蜜で梧子大の丸剤。100丸づつ酒で服用。
◎血の少ないのを補う。 三才湯《温病条弁》「人参、熟地黄、麦門冬」 三才湯《温病条弁》《中薬臨床応用》⇒「三才封髄丹」「人参9g、天門冬6g、生地黄15g」◎陰虚の微熱◎貧血、結核、病後の衰弱による微熱。
三才封髄丹《衛生宝鑑》「天門冬、人参、熟地黄、黄柏、砂仁、甘草」 三子湯《類証方》 「五味子、菟絲子、蛇床子」 三子養親湯[1-1]《皆効方》
「紫蘇子 白芥子 蘿葡子」各等分。◎およそ人、年老い、形衰え、痰気に苦しみ、喘嗽し、胸満するを治す。◎熱ある者:「小陥胸湯」《勿誤薬室方函口訣》◎此方は、老衰或いは虚劣の人、痰喘胸満して浮腫する者に効あり。◎一老婦人、痰喘より追々上部水気を発し、気急促迫する者、此方に「琥珀一味」を点服して即験あり。
三子養親湯[1-2]《東醫寶鑑》「紫蘇子・蘿葡子・白芥子各1銭」紙の上に置いて、かすかに炒り、細かく砕いて煎服。◎咳が急にひどくなる者を治し、養脾、食欲増進させる。
三子養親湯[1-3]《韓氏医通》《中薬臨床応用》⇒「三子湯」「白芥子・蘇子・子各3g(微炒)」くだいて水煎服。◎慢性気管支炎◎肺気腫◎滲出性肋膜炎◎多量のうすい痰◎胸脇部が脹って苦しい
三子養親湯[2]《済世全書》《古今方彙》「白芥子(研)8分、蘿葡子(研)7分、紫蘇子(研)・天南星各8分、半夏9分、黄芩・赤茯苓各8分、陳皮・枳実各6分、甘草2分、生姜」水煎。
◎老人の痰嗽気喘を治す。 三七湯《臨床常用中葯手冊》「三七、茜草、生地黄、枸杞子、蓮子、石膏、茅根、藕節」 三将軍円《起死回生方》「呉茱萸・木瓜・大黄」各等分。◎脚気腹に入り、衝心し、大便不通を治す。《勿誤薬室方函口訣》
三将軍元《東醫寶鑑》「呉茱萸・木瓜・大黄」各等分に作末し米糊で梧子大の丸剤。枳殻湯で50~70丸飲む。 ◎脚気が心臓を衝いて大小便不通の者を治す。
三生飲[1-1]《和剤局方》「南星(生)1両、川烏(生去皮)・附子(生去皮)各半両、木香1分」◎治卒中、昏不知人、口眼斜、半身不遂、咽喉作聲痰。
三生飲[1-2]《和剤局方》《古今方彙》 「天南星(生)2銭、川烏頭(生)・附子(生)各1銭、木香5分、生姜」水煎服用。 ◎卒中昏(クラ)く人を知らず、口や目がゆがみ、半身不遂、痰気上壅(ふさぐ)者は此方を主る。
◎兼ねて痰厥、気厥などの証を治す。 ◎中風で痰涎がつまり、言語が出にくい。 三生飲[1-3](一名順気飲)《東醫寶鑑》「南星(生)2銭、川烏(生)・白附子(生)各1銭、木香半銭」剉作1貼し、姜15片入れ水煎服。◎卒中風に痰塞し、昏倒して人事不省になり、沈んで熱のない者を治す。
三生丸《東醫寶鑑》「半夏・白附子・天南星」各等分に作末し、姜汁浸蒸し餅で緑豆大の丸剤。食後、姜湯で40~50丸飲む。◎痰厥頭痛を治す。 三消丸《東醫寶鑑》「黄連」きれいに細末にし、冬瓜の自然汁に入れて餅を作り、陰干しにして作末すること7回、再び冬瓜汁で梧子大の丸剤。大麦仁煎じ湯で50~70丸飲む。◎消渇を治す。
三茱丸《東醫寶鑑》「山茱萸・呉茱萸各2両、破故紙(炒)1両7銭、川楝肉1両、斑猫1皿(炒赤去猫)、黒丑頭末(炒)1両、青塩・青皮・茴香(炒)各3銭」作末し醋麺糊で梧子大の丸剤。桃仁15粒と温酒or塩湯で30~50丸飲む。◎気疝の腫痛を治す。
三仁粥《東醫寶鑑》「桃仁・松海子仁各1合、郁李仁1銭」共に搗いて、水でこし、汁を取って粳米を少し入れて粥を作り空腹時に食べる。◎便秘を治す。老人・虚弱者に良い。
三仁丸《奇効良方》「柏子仁、麻子仁、松子仁」 三仁丸《中薬臨床応用》「柏子仁9g、麻子仁9g、甜杏仁9g」水煎服。◎便秘◎老人、産後の便秘 三仁元《東醫寶鑑》「郁李仁・杏仁・苡仁各1両」作末し糊で梧子大の丸剤。米飲で40~50丸飲む。◎水腫で喘息が激しく、大小便が不利な者を治す。
三仁湯《温病条弁》 「苡仁・滑石各24g、杏仁・半夏各20g、白豆仁・厚朴・通草各8g」甘瀾水で煎服。 三仁湯《温病条弁》「杏仁、白豆仁、苡仁、厚朴、通草、滑石、淡竹葉、半夏」
三仁湯《温病条弁》《中薬臨床応用》「白豆6g、苡仁(生)18g、杏仁15g、滑石18g、通草6g、淡竹葉6g、製半夏15g、厚朴6g」水8杯の水で3杯まで煎じ、3回に分けて服用。◎腸チフスに初期◎頭重◎胸が苦しい◎全身倦怠◎尿量減少◎泥状便◎舌苔白膩
三神丸[1]《東醫寶鑑》「橘紅2両、延胡索(醋製)・当帰(酒炒)各1両」粉末にし、酒糊で梧子大の丸剤。艾醋湯で100丸飲む。 ◎処女の月経不調・腹痛を治す。
三神丸[2]《東醫寶鑑》「二神丸木香1両」二神丸=「破故紙(炒)・肉豆(生)・棗・生姜」◎脾腎が弱く下痢する者。 三神丸[3]《東醫寶鑑》「枳殻・角()・五倍子(炒)」各等分に作末し、蜜で梧子大の丸剤。空腹時に温水で50~70丸飲む。◎長く座る職業の人・飽食により諸痔が発したとき。
三精丸《東醫寶鑑》「蒼朮(天の精)・地骨肉(地の精)各1斤、黒桑椹(人の精)20斤」を混ぜて汁を絞り、その上に薬末を汁に入れ混ぜる。そして密封して昼は日向に、夜は月の光を受けさせ、自然に乾燥したものを蜜でまぶし小豆大の丸剤。毎日10丸づつ酒又は湯で服用。
◎長期間服用すると長寿になる。 三聖丸《和田東郭》「蛇黄・禹余粮各3両、鍼砂5両」米醋2升を用いて煮て乾かし糊丸とす。◎水腫、虚実の間に在る者を治す。◎《寧固》曰く、水気気道を衝き、或いは浮腫、喘満、小便秘渋し、気急煩躁する者を治す。
三聖丸《和田東郭》《漢方治療の実際》「蛇黄・禹余粮各3、鍼砂5」以上3味を作末し、米醋2升で煮て、乾かし、糊で丸とする。 三聖丸《東醫寶鑑》「白朮4両、陳皮1両、黄連5銭」作末し神麹糊で緑豆大の丸剤。姜湯で50丸飲む。◎嘈雑を治す。
三聖膏《東醫寶鑑》「風化石灰半斤」作末し、瓦器で炒って淡紅色になったら取り出し、熱が冷 めたら「大黄末1両」を入れ、火鉢の外で搗いて炒り、又熱が冷めたら「桂 心末5銭」を入れて少し炒り「糯米」を入れ黒膏を作って厚紙or油紙に 広げて患部に貼る。 ◎積塊に貼る。
三聖散《東醫寶鑑》「防風3両、風蔕2両、藜蘆1両」粗末にし、毎半両を飲むとき、齎汁3を 茶盞で先に2盞(サン=さかずき)を3~5回沸かして他器に移して置いて、 次に水1盞(サン=さかずき)を入れて煮詰めて、3回程度沸かしたら、先 の汁2杯を一緒に入れて2~3回沸かして、カスは捨てて、澄清を取って 温かいうちに徐々に飲み、吐くことを限度とする。
◎この処方は汗吐などに使用する方法で、防風は発汗させ、風蔕は下痢させる。 ◎陰癇と癲狂を治す。 三聖散《儒門事親》「防風、瓜蒂、藜蘆」 三聖丹《東醫寶鑑》「半夏(製)2両、南星()1両、甘草(生)半両に半星二味を作末して姜汁と 混ぜ、冬には10日・夏には5日・春秋には7日間を置いて取り出し、再 び作末して甘草末を入れて混ぜ、竹瀝1椀を入れてしめし、再び焙って乾 燥すること10数回、竹瀝が全部なくなるまでする。就寝時に1匙を口に 入れ、竹瀝を噛んで飲み込む。 ◎乾性の痰嗽。
◎慢性の痰嗽に良い。 三石湯《温病条弁》《中薬臨床応用》「寒水石9g(打砕先煎)、滑石9g、石膏(生)18g、杏仁9g、竹茹6g、金銀花9g、 通草6g」水煎服。 ◎夏期の急性熱性伝染病 ◎高熱、煩渇 ◎舌苔黄
三仙丸《東醫寶鑑》「半夏・天南星各1斤」を粉末にし姜汁で調合したものを、艾葉又は楮葉を かぶせ、黄色になるまで蒸し、晒して乾燥5・6月頃に麹をつくる。毎回 「麹4両に香附子末2両」を入れ、姜汁糊で梧子大に丸め姜湯で50丸飲む。
◎湿痰を治す。 三仙散 「三聖散に同じ」 三仙丹《東醫寶鑑》「蒼朮2両と葱白一握りを(炒)黄色くなったら、葱は捨て「川烏1両、塩5 銭」と(炒)、広がるのを限度とし、茴香3両(炒)を作末し酒糊で梧子大の 丸剤。温酒で50~70丸飲む。 ◎虚労症で腎と膀胱が冷え、耳が遠くなり、目が見えなくなる。
三仙湯《東醫寶鑑》「蒼朮4銭、乾地黄2銭、牛膝1銭」剉作1貼し水煎服用し、又作末して醋 糊で梧子大の丸剤。空腹時に30~50丸酒で飲み下す。 ◎山嵐瘴気の時行瘟瘧を治す。
三疝湯《東醫寶鑑》「車前子2銭4分、茴香1銭6分、葱白1銭2分、沙参8分」水煎服。◎膀胱気の腫痛。 三退散(一名催生散or蛇蛻散)《東醫寶鑑》「蛇退1条、蝉退14枚、男の頭髪を卵大に焼いて」作末し、2回に分けて 温酒で調下する。◎難産・横産、又は胎児が腹の中で死んでいる症。
三退六一散(一名滑胎散)《東醫寶鑑》「益元散1両、男子頭髪(卵大に香油をかける)、蛇退5枚、穿山甲1片」 それぞれ焼いて作末し、水煎して髪灰を入れて調服する。 ◎催生に特効あり。
三豆解醒湯《東醫寶鑑》「葛根2銭、蒼朮1銭半、陳皮・赤茯苓・木瓜・半夏各1銭、神麹7分、沢 瀉5分、乾生姜3分、黒頭・緑豆・赤小豆各2銭」水煎服。 ◎酒のよる頭痛・嘔吐などの毒を消し、酒を飲んでも酔わない。
三白飲《東醫寶鑑》「鶏子清1個、白蜜1大匙、芒硝3銭」を涼水で混ぜて調下する。 ◎傷寒の熱症がひどく、狂走する。 三白丸(一名雄黄丸)《東醫寶鑑》「大白半夏1両、白礬・雄黄・白砒・巴豆霜各3銭」白礬で溶かして砒末を 入れ、焙って乾かし、砕いて炒って前薬と作末して姜汁麺糊で栗米大の丸 剤。桑白皮湯で10丸飲む。 ◎吼気を治す。
三白散[1]《東醫寶鑑》「白丑頭末1両、桑白皮・白朮・木通・陳皮各2銭半」作末し毎回2銭を姜 湯or桑白湯で調下する。 ◎膀胱気と熱による陰嚢の腫脹、大小便の不通を治す。
三白散[2]《済世全書》《古今方彙》「白朮、白芍薬、白茯苓、沢瀉、厚朴、黄連、環境、烏梅、生姜」水煎。 ◎一切の泄瀉に神の如し。 三白散[3]《外科正宗》《古今方彙》「芫粉1両、軽粉3銭、石膏3銭」作末し韭英汁(ニラの葉を杵いた汁)にて 調えて紙に敷き被う。若し韭英汁無ければ涼水にて調え敷く。 ◎漆瘡の甚だしき者を治す。
三白湯《東醫寶鑑》「白朮・白茯苓・白芍薬各1銭半、甘草(炙)5分」剉作水煎服。 ◎一切の下痢に効く。 三痺湯《医学入門》《東醫寶鑑》「杜仲・牛膝・桂皮・細辛・人参・赤茯苓・白芍薬・防風・当帰・川芎・黄 蓍・続断・甘草各7分、独活・秦艽・生地黄各3分」剉作1貼し「薑5片、 棗2枚」入れて水煎し服用。
◎風痺で気血が凝滞し、手足がしびれる。 ◎血気渋滞し、手足拘攣、風痺の症を治す《古今方彙》 三品一条瘡《漢方治療の実際》「礬石3、砒石1.5、雄黄0.3、乳香0.2」以上を作末し、壺の中で焼いて、 粉末にし、うすい糊で練り、線香の状として、瘻孔に挿入する。
三補丸《東醫寶鑑》「黄芩・黄連・黄柏」各等分に作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。空腹時に白 湯で50~70丸飲む。 ◎三焦の積熱を除去し、五臓に火をなくす。
三補枳朮丸《東醫寶鑑》「白朮2両、陳皮(去白)・枳実各1両、貝母8銭、黄連・黄芩・黄柏(塩水 炒)・白茯苓・神麹・山子各5銭、麦芽・香附子(醋炒)各3銭、縮砂1 銭」作末して、荷葉でつくったご飯で梧子大の丸剤。姜湯で70~80丸飲 む。
◎脾胃を補い、痰をなくし、熱をさまし、消化させる。 三味湯《本朝経験》 「香、益智仁、木香」 右三味、振り出し、一名「神祖袖薬」「益智飲」。 ◎傷食を治す。 ◎《医事説約》に云う、傷食、腹痛、呑酸、吐せず、瀉せず、七転八倒する。急 に三味、振り出しを以て吐を取る。吐瀉後は煎湯可なり。
三味湯《聖済総録》 「甘草乾姜湯芍薬」 ◎肺痿、涎沫多く、小便数の者を治す。 三味安神丸《東醫寶鑑》 「破故紙(炒)・茴香(炒)・乳香」各等分に作末し蜜で梧子大の丸剤。塩湯で30 ~50丸飲む。 ◎下が虚して、腎気が真元に入らず、変じて何かの病になる症。
三味鷓鴣菜湯《漢方治療の実際》 「海人草5、大黄・甘草各1.5」 三味鷓鴣菜湯《撮要方函》 「鷓胡菜2銭、大黄1銭、甘草1銭」◎回虫を下す。◎此方は駆虫の主剤なり。鷓胡菜の方、種々あれども、此方と「七味鷓胡菜湯」にて大抵事足れりとす。《勿誤薬室方函口訣》
◎もし鷓胡菜の応ぜざる者:鶴虱を与えるべし。◎寸白虫:鷓胡菜は効なし。「梅肉丸」を与えるべし。◎小児、毒頭瘡、虫癖、腹痛する者を治す:「甘草蒲黄・苦楝皮」
三味天漿子散《東醫寶鑑》「天漿子・白蚕・全蝎各3分」作末し、薄荷湯で調下する。 ◎慢驚風を治す。 三妙丸 三妙散《医学正伝》《中薬臨床応用》「黄柏・蒼朮・牛膝各9g」粉末にして内服。=「二妙散牛膝」 ◎下肢の運動麻痺 ◎しびれ ◎腫脹 ◎疼痛 ◎湿熱下注 ◎感染性末梢神経炎 ◎脊髄神経根炎
三物黄芩湯[1-1]《金匱要略》 「黄芩1両、苦参2両、乾地黄4両」右三味、以水八升、煮取二升、温服一症、多吐下蟲。◎治婦人在草蓐、自發露得風。四肢苦煩熱、頭痛者、與小柴胡湯。頭不痛但煩者、此湯主之。《備急千金要方》
三物黄芩湯証=草蓐に在って自ら発露して風を得、四肢煩熱に苦しむ。《薬徴》 「草蓐」=草のねどこの意であるが、古代にあっては、お産の時には草を敷いて その上でお産をしたので、、個々では産褥のこと《大塚敬節》
「発露して風を得」=分娩のさいに下半身を露出していたために外邪が侵入して病気になったというので、今の産褥熱をさしている。風は外邪のこと。 「四肢煩熱」=手足がポカポカと気持ちが悪くあつく、フトンから出して冷たいものにあてたい。《大塚敬節》
三物黄芩湯 [1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「黄芩・苦参各3、地黄6」◎《備急千金要方》地黄(生)を使い「苦参湯」と名付ける。◎心胸苦悶する者を治す。《吉益東洞》◎此方は蓐労のみに限らず、婦人血症の頭痛に奇効あり。《勿誤薬室方函口訣》
三物黄芩湯[1-3]《金匱要略》 「黄芩・苦参各3、地黄6」★適応症及び病名(五十音順) [1]足がケイレン [2]回虫
[3]夏期に悪化する [4]脚気(夏の) [5]喀血[6]乾血労:(=閉経後に体力衰え、衰弱した状態)☆頭痛、煩熱が目的なり。《勿誤薬室方函口訣》☆手掌煩熱、赤紋ある者を血の候とす。乾血労、此の候ありて他の証候なき者に的治する。《勿誤薬室方函口訣》
[7]乾癬: ☆(乾燥性・かゆみ強い) [8]頑癬: ☆(乾燥性・かゆみ強い) [9]顔面紅潮
[10]胸中煩熱 [11]月経不順 [12]月経閉止 [13]下血(血便) [14]下痢 [15]眩暈
[16]倦怠感 [17]口渇 [18]口舌乾燥 [19]口内炎 [20]更年期障害 [21]産褥熱: ☆産後の婦人等にして、手掌、足蹠に煩熱を覚え、口舌乾燥に苦しむも、 敢えて飲料を欲せず、ただ水にて嗽がんことを望む証《奥田謙蔵》 ☆婦人草蓐に在り、自ら発露し、四肢苦煩熱し、寐する毎に口舌乾燥し て嗽がんと欲し、胸中熱痞し、更に諸症を発し、一二時にして止むと 雖も、睡りに就くときは、則ち復た前症を発する者を治す《医聖方格》
[22]しもやけ [23]四肢煩熱: ☆四肢煩熱する者、兼用は黄連解毒散《方機》 [24]湿疹 ☆かゆみ激しく、熱感あり。
[25]手掌(足蹠)煩熱: ☆諸般の病後にして、手掌、足蹠、煩熱に苦しむ証《奥田謙蔵》 ☆夏月に至る毎に、手掌、足心煩熱して堪え難く、夜間尤も甚だしくし て、眠ること能はざる者を治す《類聚方広義》
[26]小児の栄養失調(=疳労) [27]自汗 [28]自律神経失調症 [29]ジンマシン ☆かゆみ激しく、煩躁する。
[30]身熱: ☆凡て婦人、血熱解せず、諸薬応ぜざる者を治す。 [31]頭痛: ☆婦人血症の頭痛に奇効あり。《勿誤薬室方函口訣》 ☆頭痛、煩熱が目的なり。《勿誤薬室方函口訣》 ☆旧友尾台榕堂の長女、産後血熱解せず、午後頭痛甚だしく、ほとんど 蓐労状を具す。余此方を処方して、ようよう癒を得たり。その後、そ の症発動するときは自ら調剤して之を服すと云う。 ☆血熱からくる頭痛に用いる。血熱は、産後の婦人に多くみられる。そ の特徴は、煩熱と口乾である。煩熱は熱にもだえ苦しむという意で、 手足を出したがる。口乾は口が乾燥して、水で口をすすぐことを好む、 しかし、多量に水を飲みたがらない。《大塚敬節》
☆「竹皮大丸」は、上逆による頭痛が主で、 「三物黄芩湯」の証では、煩熱による頭痛が主になる《大塚敬節》 ☆日本橋通り4丁目の卯助の妻は、産後に煩熱を発し、頭痛は破れるよ うで飲食が進まず、日に日に痩せ衰え、医者は蓐労(産後の肺結核)と 診断して、治療を謝絶したと云う。
そこで余はこれに三物黄芩湯を与えた。すると、4、5日の服用で、 煩熱が大いに減じ、頭痛を忘れた。その頃、悪露がまた下って腰痛を 訴え、腰が折れるようだと云うので、小柴胡湯四物湯に鹿角霜を兼 用したところ、全快した。
余は血熱を治するに竹皮大丸、三物黄芩湯を用いて、しばしば奇効 を得た。《橘窓書影》 [32]舌燥咽乾 [33]舌質
<紅> [34]舌苔 <無苔> [35]タムシ [36]血の道症 [37]動悸 [38]凍傷 [39]吐血
[40]夏まけ・夏バテ [41]ノイローゼ [42]肺結核 [43]白癬症 [44]発熱(虚熱): [45]煩躁
[46]煩熱: ☆骨蒸労熱、久咳、男女の諸血症、肢体煩熱甚だしく、口舌乾涸し、漆 器欝塞する者を治す《類聚方広義》 ☆諸失血の後、身体煩熱、倦怠し、手掌、足下熱更に甚だしく、脣舌乾 燥する者を治す《類聚方広義》 ☆小柴胡湯は、四肢煩熱して、頭痛、悪風小柴胡湯、して食を欲せざ る等の症有る者を治す。此方は、外症已に解し、但だ四肢の煩熱甚だ しく、或いは心胸苦煩する者を治す。《類聚方広義》
☆<1>小柴胡湯--------[煩熱、胸脇苦満、寒熱往来、頭痛] <2>白虎湯-----------[煩熱、舌苔乾燥、身熱、煩渇] <3>温経湯-----------[煩熱、小腹拘急、手掌煩熱] <4>八味地黄丸-----[煩熱、足裏煩熱、渇、小便不利]
[47]皮膚のかゆみ(乾燥性) ☆激しいかゆみ ☆局所ー暗赤色。 [48]皮膚枯燥 [49]不安感
[50]不眠症 ☆布団の中へ足を入れると眠れない。 ☆手足の煩熱のために眠れない者に用いる《大塚敬節》 ☆33歳女性。4年前に出産。その後、不眠が続き、どうしても治らな いという。どんな風に眠れないと問うに、手足がやけて、火照って、 それが苦しくて眠れないと言う。
私はこの手足の煩熱を目標にして、三物黄芩湯を与えた。1週間分 を飲み終わって来院した時は、6、7時間眠れるようになり、手足の 煩熱も良くなったと喜ぶ。《大塚敬節》 ☆夏になる毎に手のひらや足の裏が気持ち悪く灼けて、それが夜間はと くにひどく、そのために眠れない者を治す。《類聚方広義》
[51]腹部軟弱 [52]分娩時(産褥時)の出血 [53]ほてり(手掌・足心) [54]水虫: ☆俗に水虫と呼んでいる病気は、麻杏甘湯、苡附子敗醤散、防風通 聖散、十味敗毒湯などで、大抵は良くなる《大塚敬節》 ☆22歳の女性。両方の手足に数年前から水虫が出来て、表皮が乾燥し、 とろどころ裂け、痒がある。そのために、靴のはけないこともあり、 今までいろいろの治療をしたが良くならない。大小便、月経、食欲に も異常なく、その他に苦しいところはない。
初めに、麻杏甘湯を用い、次に十味敗毒湯を用い、これで効無く、 服薬1ヶ月を経て、患者が激しい口渇を訴えるようになったので、十 味敗毒湯石膏として与えたが、依然として止まない。そこで、この 口渇は、地黄剤を用いる場合の口渇ではないかと考え、三物黄芩湯を 与えたところ、口渇や止み、手足の乾燥は潤い、疼痛は減じ、しこぶ る軽快した。その後私は消風散を水虫に用いて効を得たことがあった。 消風散には、地黄も苦参も配剤さられている。《大塚敬節》 ☆三物黄芩湯を内服さしめると同時に、消風散(苦参倍加)の煎汁で湿布 する《大塚敬節》 ☆25歳女性。5年前より両側指趾の水虫に悩まされ、夏季より秋にか けて増悪し、ツメまで侵され爪床は完全に消失した状態になっている。
体格中等度、両便正常、月経不順(2ヶ月に1度)、頭部にフケ多し、 診るに下腹部ことに左側下部に血を示す圧痛あり、三陰交の圧痛も 著明、足は両側とも熱感があって夜間火照りを感ずるという。
自覚症状を取ることが薬効を知らせる有力な手段と考え、三物黄芩 湯7日分投与し、苦参350gを煎じて、両指趾の局所の洗滌を命じた ところ、痒感も次第にとれて3ヶ月にして完全に痒は消失し、湿 潤していた局所は乾燥し爪の新生が見られた。
服薬8ヶ月に及び廃薬した。、爪は全部新生し、再発を見ない。《坂 本正夫》 [55]耳鳴り [56]めまい(眩暈)
[57]やけど(火傷) [58]卵巣機能不全 三物白散《金匱要略》 =「桔梗白散」 「桔梗・貝母各3分、巴豆(去皮熬研如脂)1分」 右三味、為散、強人飲服半銭匕、羸者減之。病在膈上者、吐膿血、膈下者 瀉出、若下多不止、飲冷水一杯則定。 ◎治而胸満、振寒、脉数、咽乾不渇、時出濁唾腥臭、久久吐膿如米粥者、為肺 癰。
《金匱要略》肺痿肺癰咳嗽上氣脉證治第七。 三物白散《金匱要略》《東醫寶鑑》 「桔梗・貝母各3銭、巴豆去皮心し、煎じて油のようになったもの1銭を作 末して混ぜ、和白湯で半銭を服用するが、弱い人は半分にする。もし下 痢が止まらない時は冷粥1椀を飲む。 ◎寒実結胸を治す。
三物白散《金匱要略》 ★適応症及び病名 胃潰瘍 息切れ 咳嗽 喀痰<濃厚> 急性肺炎 ジフテリア 食中毒 心胸部痛<劇痛> 心下痞 心不全 肺壊疽 肺水腫 肺膿瘍 煩躁 百日咳
浮腫 三物梓葉湯=家方三物湯《和田東郭》 三物備急丸《金匱要略》 「巴豆霜、蒼朮、乾姜」 三拗湯《識病捷法》 「麻黄湯桂枝」 ◎凡そ喘気実し、参蓍の薬を服する過多なるは、此方を用いて之を瀉す。《勿誤 薬室方函口訣》 ◎咳嗽、経年癒えず、餘に他症無く、服薬効無き者を治す。 ◎産後咳嗽、此方最も良し。《雑病翼方》
三拗湯《和剤局方》《古今方彙》「麻黄(根節不去)・杏仁(皮尖不去)・甘草(生)各1銭半、生姜、大棗肉」水煎温服。 ◎風寒にて咳嗽喘急するを治す。◎「荊芥、桔梗」=「五拗湯」《万病回春》
三拗湯《東醫寶鑑》 「麻黄・杏仁・甘草各1銭半」剉作して、姜5片入れて水煎服。 ◎風寒を感じて咳きをし、声が重く、失音の者。
三陽湯《東醫寶鑑》 「羗活・防風・石膏・柴胡・白芷・川芎各1銭、荊芥・升麻・葛根・芍薬・ 細辛各5分、連根葱白3茎」水煎服。 ◎三陽が合わさって頭痛する。
三稜化積丸《東醫寶鑑》 「三稜(酒煮)6両、山肉4両、大黄(酒蒸)・檳榔各3両、莪朮(醋煮)・木 香・青皮・陳皮・香附子(醋炒)・枳実・厚朴・縮砂・神麹(炒)・麦芽(炒) ・南星(姜湯泡)・半夏(姜製)・蘿葡子(炒)・黄連(炒)・桃仁・乾漆(炒)・ 甘草各1両」作末し醋糊で梧子大の丸剤。白湯で40~50丸飲む。 ◎諸般の積聚を治す。
三稜枳朮丸 三稜消積丸《東醫寶鑑》 「三稜・莪朮・神麹各7銭、巴豆に米を混ぜ(炒黒)米を去る・青皮・陳皮・ 茴香各5銭、丁香皮・益智仁各3銭」作末し醋糊で梧子大の丸剤。姜湯で30 ~40丸飲む。 ◎生・冷物に当たって、消化されず、腹が脹る者を治す。
三稜煎《東醫寶鑑》 「三稜・莪朮各4両、芫花1両」共に磁気に入れ、米醋5杯を入れて封をし、 灰火でって乾いたら取り出し、醋が少し残っているところを炒って乾燥、 醋糊で緑豆大の丸剤。姜湯で15丸飲む。 ◎食・酒癖・血・気塊を治す。
三稜煎《選奇方》 「三稜、莪朮、青皮、半夏、麦芽」 三稜煎元《東醫寶鑑》 「大黄8両、三稜()・莪朮()各1両」作末し、大黄末を醋煮して粥にな ったら稜・朮末を入れて緑豆大の丸剤。白湯で30~50丸飲む。 ◎婦人の血積・血塊・血蠱を治す。
三稜煎元《東醫寶鑑》 「三稜(生)細切り作末し8両を醋3升に漬けて煎じ、膏を作って神麹・麦芽 (炒)各3両、青皮・乾漆(炒)・蘿葡子(炒)各2両、杏仁・砂(飛研)各1 両を作末し、三稜膏で梧子大の丸剤。姜湯で20~30丸飲む。 ◎肉積を治す。 ◎脾が弱く肉食にあたると脹って痛む。
三霊湯《本朝経験》 「莎草、紅花、檳榔」 ◎虫積の嘔吐する者を治す。 ◎《提耳談》に云う。大人小児、回虫癖積泄瀉、吐、腹痛、及び噤口痢、霍乱、 上吐、下泄、凡て諸病の脈弱、不食、胸満気逆、嘔吐、悪心、危急なる者を治 す。 ◎此方は回虫の嘔吐を主とする薬なれども、諸嘔吐に兼用すべし。 ◎血症の嘔吐に尤も効あり。《勿誤薬室方函口訣》
三和散[1-1]《和剤局方》《東醫寶鑑》 「川芎1銭、紫蘇葉・沈香・大腹皮・羗活・木瓜各5分、木香・白朮・檳榔・陳皮・炙甘草各3分」水煎服。 ◎あらゆる気が鬱滞して疼痛する者。 ◎気滞と便秘。 ◎治七情気結、五臓脾胃不和、心腹脹急、大小便秘、寝食倶廃。 ◎治三焦不和、心腹痞満、大便秘難及脚気上攻腹脹。《観聚方》
三和散[1-2]《和剤局方》《古今方彙》「沈香・紫蘇葉・大腹皮・羗活各4分、木香・白朮・檳榔子・陳皮・甘草各3 分、川芎1銭2分、木瓜2分、生姜」水煎温服。
◎七情の気、五臓に結び、脾胃和せず、心腹腸急、大小便秘し、寝食倶に廃する を治す。 ◎五臓調わず、三焦和せず、心腹痞悶し、脇肋脹し、風気壅滞し、肢節煩疼し、 積聚をなし、及び背痛、腹痛、飲食に妨げあるを治す。 ◎大便秘結するを治す。 ◎七情の気痛みて実する者を治す。 ◎渇せざる者は乃ち気秘のみなり。未だ以て硝黄を施すべからず、秘甚だしけれ ば再び枳殻蘿葡子皀角刺を加える。《医学入門》
三和散[1-3]《和剤局方》《漢方後世要方解説》 =「三湯」 「沈香・蘇葉・大腹皮各2、白朮・川芎各3、木香・陳皮・檳榔・木瓜各1.5、 生姜・甘草各1」(《和田東郭》は加茯苓とす) ◎五臓調わず、三焦和せず、心腹痞悶、胸肋慎腫、風気壅滞、肢体煩疼、頭面虚 浮、手足微腫、腸胃燥渋、大便秘難を治す。年高く気弱しと雖も、並に之を服 すべし。又、背痛脇痛飲食を妨ぐることあり、及び脚気上攻し、胸腹満悶大便 通ぜざるを治す。《和剤局方》
◎此方は五臓調わず、三焦和せず、心腹痞満し、脚気胸を攻め、大便不通の症を 治す。《牛山方考》 ◎此方は気鬱し、血滞り、増激して筋攣急、疼痛を発する者を治する。気血留滞 する時は筋脈通利せず、上中下の三焦和せざるに至る。即ちこの方は欝滞を解 して三焦を相和せしむるを以て三和散と謂う。又、血秘、気秘、風秘の3秘を 和するを以て三和と名づけるという。その候は腹部に気血欝滞して心下痞硬し、 腹皮攣急、腹脹り、腰疼み、背疼み、顔面手足腫れ、大便秘、小便不利し、又 脚気腓腸筋の攣急によい。
◎本方証は、心下痞硬、腹皮攣急、脈腹共に実状で、気鬱により以上の諸症を発 するものに用いられる。《矢数道明》 ◎香蘇散の変方。 [香附子沈香、羗活、大腹皮、木香、白朮、檳榔子、木瓜、川芎]
◎沈香・木香・陳皮・紫蘇・大腹皮・檳榔=皆気を順らし、滞を開き鬱を破る 川芎=血滞を散じ、脇痛を和らぐ。 羗活=風湿を逐うて痛みを除く 木瓜=筋脈を利し、脚気転筋を治す。 白朮・甘草=脾気を助け、心腹を和らぐ。
[主治]《牛山方考》“此方は五臓調わず、三焦和せず、心腹痞満し、脚気胸を攻め、大便不通の 症を治する妙剤なり”
[目標]《勿誤薬室方函口訣-三湯条》“此方は気の壅滞を疎利するが主意にて、畢竟腹気の壅滞するより、色々の症を生じ、或いは大便秘結、小便不利、或いは腹張り、或いは腰疼み、或いは背疼み、手足痛み、或いは面腫手足腫れ、或いは腹中痞塊を生じ、種々の患をなすを治す。悉くは局方三和散の主治を読んで知るべし。《衆方規矩》に云う筋攣急するものは気滞也、此方に宜し。亦脹(腓脹筋)内に形指の如きものあり、之を按じて異々として転勤する者此方を用ゆる要訣也と。亦一徴となすべし。又此症にして虚寒に属する者は補腎湯に宜し”《当荘庵家方口解》“此方の主意は筋攣を和すると云うが目当てなり。故に疝気肝経に滞る故、筋強ばり攣するなり。腹筋脹痛、或いは下攣痛、腰脚攣む病によし。疝気に良きと云うことは俗に言うこと也。畢竟順気にして筋を和する故に上記の症によし、”《蕉窓方意解》“腸胃燥渋、大便不通の症、心下痞硬、腹皮攣急して、動悸もなく、脈腹共に実したる様子にて、背筋痛等の症は、いかにも三和散にて大便通すべし。 腹部脈状共に力無く、任脈水分に動悸亢ぶるものは腎水肝血共に虧損するの候にて所謂血燥の症なり。此の様子にて大便不通に者には、四物湯に甘草、麦門冬、阿膠、効果などを加えて用ゆれば、大便ほどなく通ずるものなり”《漢陰臆乗》“此方一切の疝気に用ふ神功あり。三焦の不和を治する故三和の名あり、心 腹痞悶、脇肋脹、大便秘難等に症が此方の目当て也。畢竟気の不和より 来れるものなり。又飲食すれば中に棚を架したる如く、つかへて下らざ る様に思うも此方效あり。又大便秘閉して大黄を用ゆれど腹痛するのみに て思うように下らぬ者あり、此れ又気閉なり。此湯を与ふれば大便快通す るなり。又気閉より来る小便不通によし。全体の行き方、分心気飲に類す れども、分心気飲は温剤也。熱疝の者には悪し、此は冷熱に竝び用いて妨 げず、さて気を回すことも一等するどし。一切の諸症疝より来るもの見ば、 此方を用いるべし”(疝気条) “脚気大毒熱はなけれども、とかく胸先満じて大小便不利する者に用いる” 《餐英舘療治雑話》 “古今方書に七疝の目あり。余多年治術を試みるに他の疝は少なく、気に属 する疝は十中に七八なり。今僻に三和散を用ゆ。加茵蔯・川楝子、名つけ て大如意湯と云う。これを用ゆるに百発百中、影の形に随ひ、嚮の声に応 ずる如し、今言に発し、楮に書することを得る丈の訣を挙げて示す。第一 心腹脹急或いは両脇下に凝りあれども右の凝り甚だしく、大便秘結、小便 或いは利し、若しくは不利ならば尚更よし、肩背はり、或いは疝積背に着 きて七九の辺はり、四逆散の証にも又七九の辺はる者あり、弁別すべし。 或いは肩背筋攣急し、或いは腰脚筋はり、或いは脹引きつり、脚気の如 く、或いは腹より脇肋へかけ、きくりと息を引き留め、或いは腹より肩へ かけて筋引きつり、或いは睾丸引きつり、疝にて上件の証候二つ三つもあ らば必ず效あり。婦人竝に失意の人、此方の応ずる証多し、三和散は心下 竝びに右にて痛むものに效あり。左にて痛むには效なしと知るべし。然れ ども右に凝り痛む者は食積痰飲等を挟む証あり、部位にのみ拘わる可から ず。” 《医学六要》 “疝は肝経の湿熱に属す、寒疝、水疝、気疝、血疝、孤疝、筋疝、疝を七 疝とする”
[薬能]《医方口訣集》 “此の症皆挟む所有って、気血之が為に欝滞する。故にこれ病を成すなり。 是方たるや、沈香・国交・陳皮・紫蘇・大腹皮・檳榔子、皆気を順らし、 滞を開き、鬱を破るの品なり。川芎は血滞を散じて厥陰少陰経に入る、脇 痛を和ぐる所以なり。羗活は風湿を逐うて足の太陽経に入る、皆痛を除く 所以なり。木瓜の酸温能く筋脈を利し、脚気竝びに転筋を治す。白朮・甘 草の甘苦温脾気を助け、心腹を和らぐ。夫れ気血欝滞するときは即ち筋脈 利せず、三焦和せず、一度び此湯を用ゆれば則ち、欝滞解けて三焦和す、 三和の名ある所以也”《蕉窓方意解》 “此方、沈香、木香の香にて胸中開き、紫蘇、羗活にて再び胸中を開き、 右の四味相合して胸中稍(ヤ)々疎通す。また芎は主薬にして右の四味に 力を添え、峻に胸中を推し開き、檳榔、木瓜に甘草を和して峻に心下を推 し緩め、白朮、大腹皮、陳皮、生姜の四味にて胸中をすかし、水気を下し 水道へ消導する也。按ずるに此方茯苓を用ひざること立方の瑕疵と云うべ し、余常に茯苓を加えて用ゆ、白朮にも力を併せ、消導殊に宜しきように 覚ゆ”
三和散[1-4]《和剤局方》《漢方治療の実際》 「沈香・蘇葉・大腹皮・羗活各2、甘草1.5、木香・陳皮・檳榔・木瓜・生 姜各1.5、朮・川芎各3」★適応症及び病名(五十音順) [1]陰嚢攣痛: ☆攣痛or腫大《当荘庵家方口解》 [2]脚気: ☆乾脚気で、腓腹筋攣急甚だしい者《矢数道明》 [3]肩こり: ☆気鬱による肩背攣急する者《矢数道明》 [4]ケイレン [5]こむらがえり: [6]小便閉: ☆気鬱により小便の通じない者《矢数道明》 [7]せき: ☆咳き久しく止まない者:「蘇子・杏仁」《当荘庵家方口解》
[8]疝気: 腸疝痛 ☆所謂疝気であって、疝気の中に包含される現代病名は、腸神経痛、慢性 淋疾、慢性膀胱炎、慢性尿道炎、慢性精管炎、慢性睾丸炎、慢性前立腺 炎、鼠径ヘルニア、所謂腰痛、坐骨神経痛等に現れる諸症を指すもの ようである。即ちこれらの疾患で腹が張り、腰背が痛み、手足疼み、顔 面・手足が腫れ、筋肉攣急し、大便秘結、小便不利等の症があって、脈、 腹共に力のある者に広く用いる。《矢数道明》
☆茴香、川楝子を加えるのもよい《矢数道明》 [9]寝違い: ☆頸筋引きつり、寝返りも出来ない者で、行気香蘇散、烏薬順気散などで 効無しの者《当荘庵家方口解》 [10]腹膜炎の一症: ☆慢性にて浸出液のないもの、腹満を主とする。 [11]腹攣急: ☆頭痛已まず、腹攣急する者《当荘庵家方口解》 ☆産後大便渋滞し、腹攣痛する者《当荘庵家方口解》 [12]ヘルニア
☆古名疝気といわれていたものの症で、胃腸の不安定によりガスが停滞し、大小便の通利が悪く、ヘルニアを起こし、腹部疝痛を起こすものに、この方がよいことがある(漢方診療医典) [13]便秘: ☆大黄を用いて腹痛のみを訴え通じない者、腹が張り、胸痞えなどする者 によい。「桃仁・枳殻。紅花」《矢数道明》 ☆大便渋滞し、残る気味ある者にスラリと通ず《当荘庵家方口解》 [14]腰痛: ☆ようよう匍匐して起きられない者《当荘庵家方口解》 [15]リウマチ: ☆手足痛みて腫れざるによし《当荘庵家方口解》 [16]リンパ腺の凝滞:《当荘庵家方口解》【禁忌】 気血ともに虚し、脈腹共に力無く、胃腸の虚弱者には用いてはいけない。 気を散ずる薬だからである。心下の虚実を見て用いることが必要。心下空虚の 者に用いれば、虚を虚さしめる。《矢数道明》
三和湯[1]《全幼心鑑》 「麻杏甘石湯石膏」 ◎脾胃虚弱者の肺経の寒邪。 三和湯[2]《東醫寶鑑》「生乾地黄・白芍・川芎・当帰・連翹・大黄・朴硝・薄荷・黄芩・甘草各7 分」水煎服。
四物湯調胃承気湯凉膈散。 ◎熱結・血閉を治す。 三和湯[3](一名矩三和湯)《東醫寶鑑》 「白朮・陳皮・厚朴各1銭、檳榔・紫蘇葉各7分半、木通・大腹皮・白茯苓 ・枳殻・海金砂・甘草各5分」剉作1貼し姜3片入れ水煎服。 ◎気脹で大小便が不利。
三和 湯[4]《東醫寶鑑》 「三和散に同じ」 ◎気滞と便秘。 刪繁建中湯《勿誤薬室方函口訣》 「黄蓍建中湯半夏」
◎肺虚損不足を療し、気を補う。(→虚証) 刪繁浄府湯《蔓難録》 「柴胡4分、黄芩3分、半夏3分、茯苓2分、山子2分、莪朮2分、沢瀉2 分、甘草1分」 ◎蛔家の熱利、心腹脹痛する者を治す。 ◎此方は《拓植彰常》の伝にて、簡便にして用い易し。 ◎少小の驚癇、陰に似て陰に非らず、陽に似て陽に非らず。数十日醒めざる者は 癖疾に属するなり。刪繁浄府湯之を主る。《雑病補亡論》 ◎腹部にしこりがあって発熱する疾患。 sx結核性腹膜炎など
醋墨法 醋煮三稜丸《東醫寶鑑》 「三稜(醋煮)4両」竹刀で切って晒し乾燥、「川芎2両、大黄(醋煮)5銭」醋 でり作末し、醋糊で梧子大の丸剤。毎回30丸を醋湯で飲む。 ◎血蠱を治す。
砂糖元《東醫寶鑑》 「砂糖1両、縮砂末1銭」蜜少々入れて混ぜ、30丸服用。五味子肉末半銭 を入れても良い。 ◎脾胃を調養する。
山甲下乳湯《中薬臨床応用》 「穿山甲(炮)5g、王不留行9g、木瓜9g、黄蓍18g、木通6g」 水煎服。 ◎乳汁分泌不足。
山麹朮丸《東醫寶鑑》 「白朮(炒)2両、神麹(炒)・山肉(炒)各1両半、黄芩(炒)・白芍薬(酒炒) ・半夏(姜製)各5銭」作末し、青荷葉でくるみ、ついた飯で梧子大の丸剤。 白湯で50丸呑む。 ◎老人の肥りすぎで、飲食が脾を傷つけ、常に下痢する者。
山梔子散《東醫寶鑑》 「山梔子」粉末にし、沸湯で1銭服用。 山梔地黄湯《東醫寶鑑》 「山梔子1銭2分、生地黄・赤芍薬・知母・貝母・瓜蔞仁各1銭、天花粉・ 牡丹皮・麦門冬各5分」剉作1貼し水煎服用する。 ◎先に痰が出、あとから血が出る症状に使う。
山梔仁湯《医学入門》《古今方彙》 「山梔子仁・白鮮皮・赤芍薬・升麻各2分、寒水石・甘草各1分、紫草、薄 荷(少許)」水煎温服。
◎痘疹及び班毒の状が蚊の咬みたるが如く、毒盛んにして黒色をなすを治す。 山精丸《東醫寶鑑》 「蒼朮(水に3日浸し、竹刀で皮を剥き陰干し)2斤、黒桑椹(1斗の汁に 蒼朮を漬け晒し乾燥すること9回)・枸杞子・地骨皮各1斤」を粉末にし梧 子大の丸剤。毎回100丸を温湯で飲む。
◎湿痰を治す。 山薬消渇飲《中薬臨床応用》 「山薬・生地黄各15g、黄蓍12g、天花粉・麦門冬各9g」水煎服。 ◎糖尿病(軽度~中等度)。
山薬湯《中薬臨床応用》 「山薬30g、茯苓15g、草豆・葛根()・金銀花各9g、甘草(炙)6g」水煎 服。 ◎脾虚による下痢で、水様便。
散欝湯《済世全書》《東醫寶鑑》 「陳皮・赤茯苓各1銭半、蒼朮・白芍薬・川芎・梔子各1銭2分、枳殻・香 附子各1銭、甘草5分、姜3片」水煎服。 ◎食欝を治す。 ◎欝を開き気を順らし塊を消す。《古今方彙》
散和傷湯《医宗金鑑》 「番木鼈子・紅花・生半夏各20g、骨砕補・甘草各12g、葱鬚40gを水5杯 で煎じ、数10回沸騰させ、患部を燻洗する。」
散火湯《万病回春》《古今方彙》 「黄連・芍薬(炒)・山梔子・枳殻・陳皮・厚朴・香附子・川芎各1銭、木香 ・砂仁・小茴香各5分、甘草3分、生姜」煎服。
◎乍(タチマ)ち痛み乍ち止み、脈数の者を治す。 ◎是れ熱痛なり。 ◎痛み止まざれば:「延胡索乳香」 散結救蔵湯《石室秘蔵》 「人参、白朮、甘草、附子、当帰、肉桂」 ◎蔵結、少腹と臍膀と牽痛し、以て前陰に至るを治す。《傷寒翼方》
散血消腫湯《東醫寶鑑》 「川芎2銭、当帰・半夏各1銭半、莪朮・木香・縮砂・芍薬・甘草各1銭、 人参・桂皮・五霊脂各5分」剉作1貼し、「姜5、棗2、紫蘇葉4片」入れ 水煎服。
⇒「人参芎帰湯烏薬芍薬」 ◎血脹で煩躁する者を治す。 散邪湯《万病回春》《古今方彙》 「羗活・紫蘇葉・荊芥・川芎・白芷・麻黄・白芍薬・防風各1銭、甘草3分、 生姜、葱白」水煎し一宿を露し、次の早(アサ)温服す。
◎瘧疾の初発で憎寒壮熱、頭疼身痛、汗無きを治す。◎痰あれば:「陳皮」◎湿あれば:「蒼朮」◎食を挟むには:「香附子」 散治紫癜風方 散聚湯《東醫寶鑑》「厚朴・呉茱萸・枳殻各1銭半、陳皮・杏仁・桂心・赤茯苓各1銭、川芎・附子(炮)・甘草(炙)各5分、半夏・檳榔・当帰各4分」剉作1貼し、姜3片入れて煎服。◎六聚と化が気について昇降し、心腹を刺痛、大小便が不利の者を治す。
散腫潰堅湯[1-1]《万病回春》《古今方彙》=「消腫潰堅湯」「昆布(水)、海藻、黄柏(酒)、知母(酒)、括楼根、桔梗、三稜(酒)、莪朮(酒)、連翹、黄連、黄芩(酒)、白芍薬(酒)、乾葛、升麻、柴胡、当帰尾、甘草(炙)、竜胆(酒)、生姜」水煎。
◎馬刀結核、硬くして石の如く、或いは耳下にありて欠盆中に至り、或いは肩上に至り、或いは腋下に及び、瘰癧頬下に遍く、或いは頬車に至り、而して潰れず、或いは瘡已に破れて水を出すを治す。
◎及び、瘤を治す。 散腫潰堅湯[1-2]《蘭室秘蔵》「黄芩、知母、黄柏、竜胆草、天花粉、桔梗、昆布、柴胡、升麻、連翹、甘草(炙)、莪朮、三稜、菊花、当帰尾、芍薬、黄連」
散腫潰堅湯[1-3]《万病回春》《漢方後世要方解説》「当帰・芍薬・柴胡・黄芩・黄連・連翹・黄柏・知母・括呂根・桔梗・竜胆・葛根・山陵・莪朮各1.5、昆布・海藻・升麻・生姜・甘草各1」
◎この方は瘰癧に屡々用いられるが、結核性の頸部リンパ腺種の外、馬刀(まてがい)の如く大きく鶏卵大にも及ぶリンパ腺、永年腫脹し次々と続けて耳下肩上等に及ぶものに長服せしめる時は、続発を防ぐことが出来る。
◎初期形小なるは、「小柴胡湯桔梗・石膏」に良く、長年に及ぶ大きさ鶏卵大に達して石の如く硬きは、此方が良い。急性化膿性のものには、「托裏消毒飲」が効がある。◎山陵=痃癖を消し、気滞を順し、血行をよくす。莪朮=痃癖を破り、滞を消す海藻=を消し、癧を散し、を破る。
散腫潰堅湯[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「昆布・海藻・黄柏・知母・天花粉・桔梗・三稜・莪朮・連翹・黄連・黄芩・葛根・升麻・柴胡・当帰・甘草・竜胆各1.5g、干姜0.5g」★適応症及び病名
(五十音順)[1]頸腺炎、[2]頸部リンパ腺腫:☆形大にして硬きこと石の如く、次々と続発するもの《矢数道明》☆永年腫脹し次々と続けて耳下肩上等に及ぶもの《矢数道明》[3]るいれき、
散腫膏 「黒梔子320g、紫荊皮320g(炒って紫色にする)、全当帰・赤芍・天花粉・威霊仙・防風・白芷・五加皮・防已・川牛膝・丹参・木瓜・姜黄・羗活各80g、川芎・秦艽・連翹各40g 甘草24g」の薬を細末にして、混和し、蜜糖・飴糖を半々に加えて、糊状に調製する。
散熱飲子《東醫寶鑑》「防風・羗活・黄芩・黄連」各等分に切って、5銭づつ水煎服。◎目が赤く腫れ疼痛する者。
酸棗人湯《備急千金要方》「酸棗仁湯《金匱要略》石膏」◎余熱あって煩躁して眠るを得ざる者。《雑病論識》 酸棗仁丸《証治準縄》「酸棗仁(炒)、茯神、遠志、柏子仁、防風、枳殻、生地黄、青竹茹」煉蜜で丸剤。
酸棗仁湯[1-1]《金匱要略》「酸棗仁2升、甘草1両、知母2両、茯苓2両、芎2両」右五味、以水八升、煮酸棗仁得六升、内諸薬煮取三升、分温三服。虚労、虚煩不得眠、酸棗仁湯主之。
酸棗仁湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「酸棗仁15、知母・川芎各3、茯苓5、甘草1」 酸棗仁湯 “酸棗仁湯証に曰く、虚煩、眠るを得ずと。為則按ずるに虚煩は当に煩躁に作るべし”
[虚煩]=心身が疲れてわずらわしい。◎煩躁して眠るを得ざる者を治す。《吉益東洞》◎為則案ずるに虚煩は煩躁に作るべし。《重校薬徴》◎此方は心気を和潤して安眠せしむるの策なり。《勿誤薬室方函口訣》
酸棗仁湯[1-3]《金匱要略》★適応症及び病名(五十音順) [1]頭のふらつき[2]イライラ[3]咽乾[4]顔色悪い[5]肩こり ①不眠嗜眠、②胸中煩躁、腹部軟弱、③多夢、驚悸、
④疲労。[6]驚悸:☆健忘、驚悸、怔忡の3症は、此方に宜しき者有り。証に随いて黄連、辰砂を撰び加う。《類聚方広義》[7]胸中煩悶[8]虚労 [9]健忘[10]口乾[11]高血圧
[12]嗜眠症:☆昼夜昏睡し、数日目覚めざる者木防已湯、亦まま此方の宜しき者有り《類聚方集覧》☆煩して眠ることを得ざる者。煩悸して、眠り寤めざる者《方機》 (寤=ゴ、さめる)☆東洞先生、1病人、昏々として醒めず死状の如く、5、6日に及ぶ者を、此方を用いて遂に効あり。円機活法というべし《類聚方広義》[13]焦燥感
[14]自律神経失調症[15]心悸亢進 [16]心臓神経症 [17]心神恍惚 [18]神経衰弱:☆神経衰弱様疾患にして、身体羸痩し、不眠の傾向あり、故なくて心 悸亢進し、細事に驚き易き等の証《奥田謙蔵》[19]身熱[20]頭重[21]頭痛[22]舌質
<紅> [23]多夢 [24]盗汗:☆酸棗仁湯で盗汗がやんだり、便通がつくことがある《大塚敬節》 [25]動悸 [26]軟便 [27]寝つきが悪い
[28]眠りが浅い [29]のぼせ [30]バセドウ病 [31]煩躁 [32]疲労倦怠 [33]不安神経症 [34]不眠症:☆胸中煩躁して、眠るを得ざる者を治す。《方極附言》☆病人、眠ることを得ずして、虚煩する者は、酸棗湯之を主どる《医聖方格》☆眠るを得ざるに3策あり。《勿誤薬室方函口訣》<1>心下肝胆の部分に当たりて停飲あり、之が為に動悸して眠るを得ざるは、「温胆湯」の症なり。<2>もし胃中虚し、客気膈に動じて眠るを得ざる者:「甘草瀉心湯」<3>血気虚燥、心火亢ぶりて眠るを得ざる者:「酸棗仁湯」《金匱要略》。「帰脾湯」《厳氏済生方》は此方に胚胎するなり。☆脱血過多、心神恍惚し、眩暈して寐ねず、煩熱し、盗汗し、浮腫を見はす者は、此方当帰芍薬散に宜し。《類聚方広義》☆諸病久久にして癒えず、羸、困憊し、身熱し、寝汗し、怔忡し、口乾き、喘嗽し、大便溏に、小便渋り、飲啖味無き者は、此方に宜し。証に随ひて黄蓍、麦門冬、乾姜、附子等を選び加う。《類聚方広義》
(=オウ、弱い)☆心身共に疲れ切っている虚弱者で、昼はウトウトして、夜になると目が冴えて眠れない者。☆病後の不眠等《奥田謙蔵》☆餘熱有る者:「石膏」☆62歳男性。数年来、不眠、頭重、耳鳴、肩凝りを訴え、疲れやすく、食もまた進まないという。
いままでいろんな睡眠薬を用い、また2年間、医師の治療を受けているが、良くならないと云う。 患者は痩せ型で、腹部に力がなく、臍部で動悸がやや亢進している。私はこれに酸棗仁湯を与えたが、1ヶ月余りの服薬で、耳鳴、肩凝り、頭重がとれ、5、6時間の安眠が出来る良いようになり、記憶力を増進した。そこで小柴胡湯に転じたところ、食欲が出て、体重も増加した。
ある日、患者が云うのに、この頃は性欲が旺盛なって10数年前の若さにかえったと、そこでますますこれを続服したところ、10数年前からの痼疾であった痔核もまったく全治した。《大塚敬節》
[35]腹部軟弱 [36]ほてり [37]めまい [38]もうろう感 [39]夢をよく見る(多夢) [40]脈 <弱>[41]コルサコフ症候群
酸棗仁湯[2-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「酸棗仁(微炒)・人参・白茯苓」各等分。粉末にし、毎回1銭に水1杯を入れ、7分まで煮る。睡眠が必要なときは冷服。不眠が必要なときには熱くして飲む。
◎不眠又は多眠を調節する。 酸棗仁湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》「人参・茯苓・酸棗仁(皮を微炒、和す)各等分」水煎。◎多く睡り、及び睡らざるを治す。◎睡を要さざれば即ち熱服し、睡を要すれば冷服す。
酸棗仁湯[3-1]《証治準縄》《東醫寶鑑》「石膏2銭半、酸棗仁(炒)・人参各1銭半、知母・赤茯苓・甘草各1銭、桂心5分、生姜3片」水煎服。 ◎虚煩不眠を治す。
酸棗仁湯[3-2]《証治準縄》《古今方彙》「酸棗仁・人参各1銭半、石膏2銭半、茯苓・知母・甘草各1銭、桂心5分、生姜3片」水煎。◎汗吐下後に昼夜眠らざるを治す。
酸棗仁湯[4]《東醫寶鑑》「酸棗仁(炒)2銭、麦門冬・知母各1銭半、茯苓・川芎各1銭、乾姜・甘草(炙)各2分半」剉作1貼し水煎服用。◎傷寒が治った後、虚煩し寝られない者を治す。
酸棗仁湯《証治準縄》《古今方彙》「酸棗仁1両半、遠志・黄蓍・蓮肉・人参・当帰・茯苓・茯神各1両、陳皮・甘草各半両、生姜、大棗」煎服。 ◎心腎の水火交わらず、精血虚耗し、痰飲内畜(動悸のこと)、怔忡恍惚、夜臥不安なるを治す。
杉節湯《東醫寶鑑》「杉木節4両、大腹皮1両、檳榔7箇、青橘葉49片」剉作し、水煎服用。◎脚気が腹に入り、心臓を衝いて危険なとき 蚕砂散《中薬臨床応用》「蚕砂120g、緑豆粉(炒)120g、枯礬70g」作末し酢で練って患部に湿布。◎打撲捻挫
蚕珠定驚湯《中薬臨床応用》「白蚕3g、真珠末1g(沖服)、釣藤鈎5g、白芍5g、丹参5g、羗活2g、鶏血藤5g、酸棗仁(熟)3g」水煎服。◎小児の熱性痙攣
◎破傷風による痙攣 蚕矢湯《霍乱論》《中薬臨床応用》「蚕砂9g(包煎)、木瓜6g、呉茱萸3g、通草3g、製半夏6g、山梔子9g、黄芩6g」水煎服。◎腹痛、嘔吐、下痢
珊瑚寧心方《中薬臨床応用》「珊瑚18g、旱蓮草12g、丹参9g、紫石英9g、胆南星3g」水煎服。 ◎テンカン ◎脳卒中 ◎角膜混濁 ◎頭部外傷後遺症
#滋陰丸《証治準縄》《中薬臨床応用》「亀板(炙)120g、黄柏60g、知母60g、鎖陽30g、枸杞子30g、五味子30g、乾姜15g」作末し酒で小豆大の丸剤。毎回9gづつ塩湯で服用。◎腎陽虚によって生じた四肢の筋萎縮。◎抹消性運動麻痺で下肢に筋肉が萎縮。◎末梢神経炎◎脊髄神経根炎◎小児麻痺後遺症
#滋陰九宝 湯《外科正宗》《古今方彙》「川芎・当帰・白芍薬・生地黄・黄連・括楼根・知母・黄柏・大黄(蜜)各2銭」水煎。 ◎懸雍にて厚味膏梁(美食のこと)、瘟熱結腫し、小水渋滞し、大便秘結し、内熱にて口乾し、煩渇して冷を飲むものを治す。
#滋陰健脾湯《万病回春》《古今方彙》「当帰・茯苓・陳皮(塩水洗)各1銭、白朮1洗半、生地黄・白芍薬(酒)各8分、人参・茯神・麦門冬・遠志各7分、川芎5分、半夏7分、甘草(炙)4分、生姜、大棗」水煎早晩に服す。
◎気血虚損し痰ありて眩暈を作す仙剤なり。
#滋陰降火丸《東醫寶鑑》「熟地黄2両、黄柏1両半、知母・枸杞子・蓮肉・茯神・人参各1両」作末し地黄を酒で蒸して膏を作り、梧子大の丸剤。白湯で100丸飲む。◎陰虚の症を治す。
#滋陰降火湯[1-1]《万病回春》《勿誤薬室方函口訣》 「当帰1銭2分、芍薬1銭3分、天門冬・白朮各1銭、地黄9分、陳皮7分、黄柏5分、知母5分、甘草5分、姜棗」水煎。◎陰虚火動発熱し、咳嗽、吐痰、喘息、盗汗、口乾するを治す。
#滋陰降火湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「当帰(酒)1銭2分、白芍薬1銭3分、熟地黄・天門冬・麦門冬・白朮各1銭、生地黄8分、陳皮7分、黄柏(蜜炙)・知母各5分、甘草(炙)5分、生姜、大棗」水煎し服するに臨み「竹瀝、童便、姜汁(少許)」入れる。
◎陰虚火動、発熱咳嗽、吐痰喘急、盗汗口乾を治す。「六味丸」と相兼ね之を服す。大いに虚を補う。
◎午後より夜に至り嗽多き者は陰虚に属するなり、黄昏(たそがれ)に嗽多き者は火気浮かぶなり。少しく涼薬を加えよ。火嗽の者は声ありて痰少なく面赤く身熱して脉数なり。乾咳嗽し痰無き者は是れ痰欝して火邪肺にありて治し難し。労嗽の者は盗汗、痰多く寒熱をなし、脉数大にして力無し。此等の症は皆酒色にて内傷られ、陰虚の致す所なり。竝(ナラ)んで此湯に宜し。
◎骨蒸労熱の者は陰虚火動なり。+「地骨皮・柴胡」もし数剤を服して熱退かざれば「+黒乾姜」 ◎盗汗止まざる者は気血衰えるなり:「黄蓍・酸棗仁」◎痰火咳嗽、気急短を生じるには:「桑白皮・紫紫苑・黄芩・竹瀝」◎咳嗽痰中に血を帯びる者:「黄芩・牡丹皮・阿膠・山梔子・紫苑・犀角竹瀝」◎乾咳、燥痰無く、及び喉痛み瘡を生じ声唖する者:「黄芩括楼仁貝母五味子桑白皮紫苑山梔子」◎咳嗽痰多く、津液痰を生じ、血を生ぜざる:「貝母款冬花桑白皮」
◎痰火熱を作し、煩躁安んぜず、気は火に髄って升る、並びに痰火にて怔忡嘈雑するには:「酸棗仁黄芩黄連竹茹竹瀝辰砂」◎血虚し、脚腿枯れて細く、力無く痿弱の者:「黄蓍牛膝防已杜仲天門冬」◎小便淋瀝する:「車前子瞿麦萆薢牛膝蓄山梔子」◎陰虚火動、小腹痛む者:「+茴香木香-麦門冬」◎「+川芎乾姜-麦門冬」=「補陰瀉心湯」《雑著》
#滋陰降火湯[1-3]《東醫寶鑑》「白芍1銭3分、当帰1銭2分、熟地黄・天門冬・麦門冬・白朮各1銭、生地黄(酒炒)8分、陳皮7分、知母・黄柏(蜜炒)・炙甘草各5分、生姜3片、大棗2枚」水煎服。
◎腎水不足・陰虚・火動を治す。 ◎陰虚火動により寝汗をかき、午後に発熱して咳嗽し、痰が多く、血を喀・唾吐 し、食欲なく、肌肉がやせ、労瘵になろうとする者。
#滋陰降火湯[1-4]《万病回春》 《漢方治療の実際》「当帰・芍薬・地黄・天門冬・麦門冬・陳皮各2.5、朮3、知母・黄柏・甘草各1.5」
#滋陰降火湯[1-5]《万病回春》《漢方後世要方解説》「白朮3、当帰・芍薬・地黄・麦門冬・天門冬・陳皮各2.5、知母・黄柏・甘草・大棗・生姜各1」竹瀝・童便・姜汁入れて服す(省略するもよい)。◎陰虚火動、発熱、咳嗽、吐痰、喘急、盗汗、口乾を治す。
◎此方六味丸と相兼ねてこれを服す。大いに虚労を補う。神効あり。◎陰虚火動、咳嗽、吐痰、皮膚浅黒く、大便硬く、此を聴診して乾性「ラ」音のもの之を主る《矢数有道》
◎此方は腎水虚乏により、肝火、命門火妄動し、脾肺を薫灼するのを消炎滋潤するを以て目的とする。即ち人体根元の元気たる腎水虚乏し、消耗熱のため津液虚耗せるを潤して解熱せしめるものである。肺結核には屡々用いられるが、熱状旺盛にして発汗咳嗽喀痰多く、下痢し易き開放性のものには多く禁忌である。皮膚浅黒く、大便硬く、食思良好、粘痰あって乾性「ラ」音の者によく奏功する。増殖型のものによい。
◎八珍湯の加減方です。 「生地黄・知母・黄柏」=命門の火を清涼す。「天門冬・麦門冬」=肺を潤す。「当帰・芍薬・熟地黄」=肝火を瀉す。「朮・陳皮・甘草・大棗」=脾胃を調和する。「童便」=12歳以下の健康男子の尿を用いる。血熱を冷まし久瘧を治す。
#滋陰降火湯[1-6]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「当帰4.5g、芍薬5.0g、熟地黄・天門冬・麦門冬・白朮各3.5g、乾地黄2.0g、陳皮2.5g、黄柏・知母・甘草各2.0g」◎陰虚火動(発熱、咳嗽、喀痰多く、午後から夜にかけて熱発多く、顔面も紅潮し、唇赤く小便も赤茶色に着色する。結核の末期症状)して而して喘し、心の脉数なる者を治す。
◎陰虚火動し発熱咳嗽、吐痰喘急、盗汗口乾。◎喉痛喉瘡。 ★適応症及び病名(滋陰降火湯)[1]遺精[2]陰虚火動:☆腎経が陰虚火動するを治す。《古今方彙》☆喘して心の脈数:「紫蘇子・沈香・杏仁・桑白皮・竹瀝」
[3]咳血:☆(咳と同時に血を吐く。肺からの出血) [4]喀血:☆(鮮紅色・気泡を含む) [5]喀痰:☆(痰稠痰・量少ない)[6]乾性水泡音(ラ音):☆皮膚浅黒く、大便硬く粘痰乾性ラッセルの者。[7]乾性肋膜炎:☆乾性胸膜炎《矢数道明》
[8]気鬱による咳:☆(顔面紅潮・痰少ない) ☆痰に熱を帯び煩躁不安、或いは胸騒ぎ嘈雑する者:「酸棗仁6.0g、黄連・黄芩・竹茹各2.0g、竹瀝・辰砂各1.0g」。[9]気管支炎:☆急性・慢性《矢数道明》
[10]気管支拡張症 [11]吃逆:☆陰火上升して啘を発するを治す:「砂仁・茴香・沈香・木香・山梔子・柿蔕・辰砂」《古今方彙》 [12]胸部煩悶
[13]口渇 [14]口乾 [15]呼吸促迫:☆(呼気が多く、吸気が少ない)☆咳嗽喀痰呼吸促迫する者: [16]嗄声 [17]失語症(失声)[18]失禁:☆虚熱にて尿多き者を治す「+山梔子(炒)・梔子仁-五味子」
[19]シェーグレン症候群 ☆口渇、口乾があり、皮膚が枯燥し、疲労しやすく、手足の煩熱などがあるものに用いる(漢方診療医典) [19]消化不良[20]小便閉:☆陰虚火動、小便通ぜざるを治す:「猪苓、沢瀉、木通、牛膝」☆虚怯の人で小便不利する:「猪苓・牛膝各3.0g、沢瀉・木通各4.0g」。[21]小便淋瀝:☆腎結核の一症《矢数道明》
[22]上逆 [23]食欲不振 [24]神経衰弱 [25]津液不足 [26]心悸亢進 [27]心煩[28]腎盂炎(急・慢性)☆腎盂炎・腎膀胱結核の初期に著効《矢数道明》
☆亜急性のもので、熱が続き、口渇、自汗、臍上の動悸亢進があり、尿の混濁がひどい者によい(漢方診療医典) [29]腎臓結核[30]性的神経衰弱
[31]精力減退:(房事過多による) ☆早老期の生殖器障害《矢数有道》[32]せき:☆この方に用いる咳嗽は、力があって強く、痰は少ない。喀血の傾向があり、口が乾く、《衆方規矩》には、午後になって咳嗽の出る者に良いとしているが、必ずしもこれにかかわる必要はない。しかし、本方証の患者には、夜、床についてから、ひどく咳の出る者がある。《大塚敬節》☆激しい乾咳:「桑白皮・黄芩各3.0g、紫菀2.5g、竹瀝1.0g」
☆咳嗽喀痰中に血を交る者: 「黄芩・牡丹皮・阿膠・紫菀各3.0g、山梔子2.0g、犀角・竹瀝各1.0g」。
☆乾咳及び喉痛瘡を出し声が出ない者:「黄芩・貝母・桑白皮各2.5g、五味子・紫菀・山梔子・瓜蔞仁各2.0g」。 ☆[労咳、骨蒸熱、疲労、自汗]=「黄蓍鼈甲散」☆[久痰、咽喉乾燥、大逆上気、咳嗽、顔面紅潮]=「麦門冬湯」
☆17歳女性。平常健康な娘であったが、最近咳が出るようになり、胸も少し痛むが大して気にもしないでいたと云う。然し身体がだるいので静養のつもりで網島温泉に行き、却って具合が悪いと云って来院する。
診ると肥った女で、色は黒いが血色は良く、ニコニコしていて一寸病人には見えない。ところが脈を診ると、130~140あり、手は熱くないが脇の下は熱い。そこで体温を計ってみると39.4℃ある。自分では寒気はするが熱感はないと云う。聴診すると聴診器の当て具合でラッセルが聴こえたり聴こえなかったりする。便秘していて背にヘルペスがある。私は肺炎と診断して小柴胡湯を与えた。然し翌日診ると薬効はない。咳は多くなり、胸苦しく脈を診ると強い滑脈を帯びてきた。呼吸困難が激しくなってきたので柴陥湯を与えた。その翌日は熱は38.4℃が最高で呼吸はやや楽になったが、咳はますます激しい。聴診すると呼気延長が強くなり、気管支音を思わせるような荒い呼吸音が聴える。更に柴陥湯を続けると翌日熱は少し下がったが、脈は140で熱の割に数して悪い徴候である。依然として呼吸困難にも変化がないので竹葉石膏湯に代えてみる。2日続けると今度は舌が黒くなり、脈は120くらいになり、全体の様子は悪化してきた。そこで私はこれは唯の肺炎ではなく結核性のものだと思うようになり、結核の肺炎型とみて、直ちに滋陰降火湯を与えた。これにて翌日はあれほど劇しかった咳が嘘のようにほとんど止まった。2日経って診てみると脈は100になり、その他の病状も順調に良くなり本方を続けて12日目には起きられるようになった。患者は調子が良くなったので、田舎へ帰ると云ったが、病気の性質上なお3ヶ月は服薬を要する事を告げてさしあたり1週間分の薬を持たせ帰った。併しそれきり服薬を怠ってしまった。後で聞いた話であるが、約1ヶ月ほどして又悪くなり、田舎の医者にかかっている中に結核性脳膜炎を併発して、1ヶ月位で死んだと云う。《矢数有道》
[33]舌質 <紅・乾燥> [34]舌苔 <微白苔> [35]喘息:☆動くと出る。安静時に出ない。 [36]唾血:(唾液・痰に鮮血がまじる)
[37]だるい: ☆.血虚し下肢筋萎縮し無力な者:「黄蓍2.0g、牛膝・防已・杜仲各3.0g天門冬」。[38]痰が出る:☆濃厚な喀痰(粘痰)。☆(粘痰・痰に血が混じる)☆吐血した後に痰を見るを治す。これ陰虚火動なり。《古今方彙》☆[稀薄な痰、咳嗽、自汗、皮膚青白い]=「参苓白朮散」
[39]潮熱:☆陰虚火動、潮熱する者を治す。 [40]手足の冷え [41]盗汗[42]糖尿病:☆糖尿病に肺結核を併発した者で、皮膚浅黒く、大便秘結し、呼吸に乾性ラ音がある者。☆下消渇の症を治す《医学入門》:「滋陰降火湯白朮・括楼根・山梔子・粉葛・烏梅、黄連倍加・知母倍加、白芍薬」[43]熱感[44]のぼせ[45]肺結核:☆咳嗽、発汗ない者《矢数道明》☆増殖性によい。《矢数道明》
☆熱状旺盛にして発汗咳嗽喀痰多く、下痢し易き開放性のものには多く禁忌である。《矢数道明》 ☆皮膚が枯燥し、便秘傾向の肺尖カタル《矢数道明》☆17歳男性。最近母親と妹が肺結核で死亡している。発病は3ヶ月前。職工であるので工場医の治療を受けていたが、咳嗽がどうしても除れぬ。皮膚の色ドス黒きが特徴として目立つ。時々血痰が出る。微熱、食欲可。脈はやや緊数。腹筋少しく拘攣、大便は硬い。両肺全面に乾性ラ音を聴く。これに始め四物解毒湯桃仁牡丹皮陳皮半夏茯苓五味子麦門冬桑白皮を与えた。1週間の容体は比較的良好。更に前方を続けてみる。その後良くない。だんだん悪くなる。母も死んでいるので、これも駄目かと悲観したくなってきた。この時脳裡をかすめたのが滋陰降火湯である。こんな者に与えたらどうか。冒険的にやってみる。予想外の反応で、嘘のように具合が良くなる。滋陰降火湯を飲みだしてから約1年、風邪ひとつ引かない。1日も臥床することなく、4月に再び工場に勤めるようになった。《矢数有道》[46]発熱(午後から夜半にかけて)☆消耗性の高熱が出る。☆[発熱、咳嗽、往来寒熱、胸腹痛、上衝、心煩]=「柴胡桂枝乾姜湯」
[47]膝に力が入らない[48]鼻乾(血虚で虚火上昇のため)[49]微熱[50]皮膚枯燥(皮膚浅黒い)[51]疲労倦怠:☆[虚労、咳逆、心悸亢進、脈結代]=「炙甘草湯」
[52]貧血[53]ふらつき[54]不眠[55]便秘 [56]ほてり[57]膀胱尿道炎: ☆痩せた人が濁尿、血尿を患う:「滋陰降火湯芍薬 白朮3.0g、山梔子・萹蓄各2.0g」。☆煩渇して飲むこと多く小便脂の如き者:「滋陰降火湯芍薬・天花粉・白朮各3.0g、葛根4.0g、山梔子・黄連・烏梅各1.5g」。[58]慢性気管支炎:☆昼間より夜間に、激しい空咳。☆皮膚浅黒く、便が秘結がちの老人が多い。☆タンが多く出るときには使用不可。[59]夢精:☆夢精遺精の者:「山薬4.0g、牡蠣・杜仲・牛膝・破故紙各3.0g、天門冬」。
[60]目が赤い [61]肋膜炎 #滋陰降火湯[2]《寿世保元》 「当帰・川芎・知母・黄柏・天花粉各1匁、芍薬1匁2分、地黄1匁5分、桔梗・甘草各3分」
右9味、竹瀝を入れ、温服す。◎虚火上升し、喉痛、并びに喉内瘡を生ずるを治す。◎此方は虚火上炎して喉瘡を生ずる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎肺痿の末証、陰火喉癬と称する者、一旦は効あれども全治すること能わず。◎舌疳:「+甘露飲」◎哮喘:《高階枳園》<1>脈数、陰虚火動に属する者:滋陰降火湯[1]<2>脈実なる者:「承気湯」◎口腫:《先哲医話》
#滋陰地黄丸[1-1]《李東垣》 「熟地黄・生地黄・柴胡・黄芩・当帰・天門冬・地骨皮・五味子・黄連・人 参・甘草・枳穀」 ◎気血衰弱・心火旺盛にして、瞳孔散大・物をみてもはっきり見えない。
#滋陰地黄丸[1-2]《東醫寶鑑》「熟地黄1両、柴胡8銭、生乾地黄(酒焙)7銭半、当帰身(酒洗)・黄芩各5銭、天門冬・地骨皮・黄連各3銭、人参・枳殻甘草(炙)各2銭」蜜で緑豆大の丸剤。毎回100丸茶清で飲む。
#滋陰地黄湯《万病回春》《古今方彙》「山薬・山茱萸・当帰・川芎各8分、牡丹皮・遠志・茯苓・黄柏(酒)・菖蒲根・知母・沢瀉各6分、熟地黄1銭6分」水煎。or蜜丸。
◎右耳聾する者は色欲が相火を動かしたるなり。
#滋陰地黄湯《万病回春》《東醫寶鑑》「熟地黄1銭半、山薬・山茱萸・当帰・川芎・白芍各8分、牡丹皮・沢瀉・白茯苓・石菖蒲・遠志・知母・黄柏(黄酒炒)各6分」水煎し、空腹時に服用。
◎色欲におぼれ右耳聾になろうとする者。 ◎大病後の耳聾。 #滋陰至宝湯[1-1]《万病回春》《松田邦男ー解説》「当帰(酒洗)・白朮(藘を去る)・白芍薬(酒炒)・白茯苓(藘を去る)・陳皮・貝母(去心)・香附子(童便炒)・地骨皮(去骨)・知母(生)・麦門冬(去心)各8分、薄荷・柴胡(酒炒)・甘草各2分」剉作1剤。生姜(煨)3片を入れ水煎し温服。◎婦人の諸虚百損、五労七傷、経脈調わず、肢体羸痩するを治す。◎専ら経水を調え、血脈を滋し、虚労を補い、元気を扶け、脾胃を健やかにし、心肺を養い、咽喉を潤し、頭目を清し、心慌を定め、神魄を安んじ、潮熱を退け、骨蒸を除き、喘嗽を止め、痰涎を化し、盗汗を収め、泄瀉を住め、鬱気を開き、胸膈を利し、腹痛を療し、煩渇を解し、寒熱を散じ、大いに奇効あり。
#滋陰至宝湯[1-2]《古今医鑑》《勿誤薬室方函口訣》「逍遥散陳皮・知母・貝母・香附子・地骨皮・麦門冬」◎婦人の諸虚百損、五労七傷して、経脈調わず、肢体羸痩するを治す。◎この薬、専ら血脈を滋し、潮熱を退け、大いに奇効あり。
#滋陰至宝湯[1-3]《漢方治療の実際》「当帰・芍薬・白朮・茯苓・陳皮・知母・香附子・地骨皮・麦門冬各3、貝母・薄荷・柴胡・甘草各1」 ◎男よりも婦人に多く用いられる《大塚敬節》◎類似処方→参照「味麦益気湯」
★滋陰至宝湯(咳嗽、痰<痰稠>出しにくい、口渇、のぼせ、手掌のほてり、午後の潮熱、舌質紅、脈弦細数)
★適応症及び病名(滋陰至宝湯) [1]咳嗽[2]気管支炎(慢性)[3]気管支拡張症[4]月経異常[5]下痢傾向 [6]口渇[7]食欲不振[8]心下痞[9]舌質
<紅>[10]舌苔 <無苔~微白苔> [11]痰が出る:☆(稀薄で多量の痰)[12]脱力感 [13]盗汗[14]熱感[15]のぼせ[16]肺結核:☆肺結核が長引き、熱はさほどなく、咳はいつまでも止まらず、息が苦しく、食が進まず、貧血して血色のすぐれない者に用いている《大塚敬節》☆43歳女性。20年前より肺結核に罹り、いまだに全治しない。主訴は頑固な咳嗽で、時に喘鳴を伴うこともある。体温は、あまり高くならないが、疲れるので、ほとんど床に就いている。食欲もあまりなく、軟便で下痢しやすい、月経は不順で、年に3、4回あるという。皮はガサガサして枯燥の状があり、血色もよくない。脈は沈小で力がないが、あまり速くない。腹を診ると、一体に弾力に乏しく、臍上で動悸を触れる。
私はこれに滋陰至宝湯を与えたが、これを飲むと何となく気分が良いという。私の経験では、すぐに著効はなくても気分が良いという時は、この薬が効いている証拠である。そこでこれを2ヶ月ほど飲むと、体重が2kgほど増し、咳嗽も減じ、食が進むようになった。しかし時々憂鬱な気分になることがあるから、気分を引き立てる薬がほしいという。私は、薬を加減しておくとウソを言って、この方を続けた。すると、半年ほどたつと、仕事がしてみたいということになり、電車で来院した。私は、人が違うのではないかと思った。血色も良くなり、生き生きとしている。咳はまだ朝少し出るが、ほとんど気にならないという。この患者は、まだ服薬中であるが、初診時よりも体重は5kを増し、腹力もついてきた。《大塚敬節》[17]肺気腫[18]微熱(午後から)[19]疲労倦怠[20]ほてり(手掌・足心)
[21]慢性気管支炎:☆衰弱がひどく気力衰え、息切れして食欲無く、寝汗がでる者。☆咳はひどくない。[22]慢性呼吸器疾患(老人・虚弱者)☆男女とも、衰弱して、痩せている患者で、慢性の咳が出て、熱が出たり、盗汗が出たりする者に良い《大塚敬節》
[23]脈弦細数[24]羸痩 #滋陰清胃丸《東醫寶鑑》「石膏(煆醋淬)1両、当帰(酒洗)・生地黄(酒洗)・梔子(塩水炒)・牡丹皮各1両、黄連(酒炒)・知母・葛根・防風・各7銭、升麻・白芷・各5銭、生甘草節4銭」作末し蒸餅で緑豆大の丸剤。米飲で100丸呑む。◎陽明経血熱による、上下の歯床の腫れ・痛み・赤くただれて浮く者。
滋陰清胃湯 #滋陰清火散《寿世保元》《古今方彙》「当帰、生地黄、熟地黄、黄柏(酒)、知母、黄芩、黄連、木通、桑白皮」水煎。◎淋瀝疼痛、兼ねて紅淋を治す。
#滋陰清火湯《寿世保元》《古今方彙》「熟地黄・山薬・黄柏(蜜)知母・天門冬・玄参・山茱萸・茯苓・牡丹皮・沢瀉・麦門冬・甘草各1銭、桔梗2銭」水煎。
◎喉痺にて腫痛し、声は唖して出でず、飲食は下らず、陰虚して相火(肝腎の火)上炎し、咳嗽痰涎、潮熱虚労等の症を治す。 #滋陰清化膏《東醫寶鑑》
「地黄(生)・熟地黄・天門冬・麦門冬各2両、黄柏(塩酒炒)1両半、白茯苓・山薬・枸杞子・白芍薬(酒炒)・知母(塩酒炒)・玄参・薏苡仁(炒)各1両、五味子7銭、甘草(生)」作末し梧子大の丸剤。毎回1丸を空腹時に飲む。◎咳を止め、痰火を降ろす。
#滋陰清膈湯《医学統旨》《古今方彙》「黄連解毒湯生地黄・当帰・芍薬・甘草・童便・竹瀝」煎服。◎陰火上衝し、或いは胃火大盛し食入らず、脉洪数の者を治す。
#滋陰清臓湯《済世全書》《古今方彙》「当帰、生地黄、白芍薬、枳殻、黄連、槐花、地楡、防風、甘草」水煎。◎大便下血、腸風下血するを治す。
#滋陰大補丸《東醫寶鑑》「熟地黄2両、牛膝・山薬各1両半、杜仲・巴戟・山茱萸・肉蓯蓉・五味子・白茯苓・茴香・遠志各1両、石菖蒲・枸杞子各5銭」作末し棗肉を蒸して蜜を入れ、梧子大の丸剤。塩湯or温酒で70~90丸飲む。◎虚労を治し、心・腎を補う。
#滋陰脾湯《東醫寶鑑》「白朮1銭半、陳皮(塩水洗)・半夏(製)・白茯苓各1銭、当帰・白芍薬・生乾地黄各7分、人参・白茯神・麦門冬・遠志(製)各5分、川芎・甘草各3分、姜3、棗2」水煎服。◎仕事するとき落ち着かず、めまいする者。
滋陰通耳湯 #滋陰内托散《外科正宗》《古今方彙》「当帰・川芎・白芍薬・熟地黄・黄蓍・皀角刺・沢瀉・穿山甲各5分」水煎、食前に温服。 ◎膿瘍已に成り腫れて痛み、発熱するを治す。之を服して膿あれば即ち穿潰すべし。
#滋陰寧心湯《東醫寶鑑》「当帰・川芎・白芍・熟地黄・人参・茯神・白朮・遠志・天南星各1銭、酸棗仁(炒)・甘草各5、黄連(酒炒)4分、生姜3片」水煎温服。
◎癲疾と不時の昏倒。痰が胸につまったとき。
#滋陰寧神湯《医学入門》《古今方彙》「当帰・川芎・白芍薬・熟地黄・人参・茯神・白朮・遠志各1銭、酸棗仁・甘草各5分、黄連(酒)4分、生姜」煎じ温服。◎時ならずして暈倒して搐搦、痰壅がるを治す。◎痰あれば:「天南星」《古今方彙》
#滋陰八物湯《外科正宗》《古今方彙》「川芎・当帰・赤芍薬・生地黄・牡丹皮・括楼根・甘草(節)各1銭、沢瀉5分、燈心草」煎服。 ◎懸雍の初起の状は蓮子の如く、紅赤漸く腫れ悠々として痛みを作す者を治す。◎便秘するには:「大黄(蜜炒)1銭」
#滋陰八味丸《張景岳》 「知蘗六味丸《丹渓心法》」に同じ。 #滋陰百補丸《東醫寶鑑》「熟地黄4両、当帰・菟絲子各2両、知母(塩水炒)・黄柏(塩水炒)・山薬・甘菊・楮実子・杜仲(炒)各1両、青塩5銭、沈香2銭半」作末し酒糊で梧子大の丸剤。塩湯で70丸飲む。◎虚労を治し、血気を補い、陰を滋養する。
#滋陰明目丸《中医雑誌1958年10月号》 「党参・人参・枸杞子・当帰・炒生地黄・土茯苓・兎絲子各40g、焦三仙48g、 制大黄80g、血丹参24g、紫油桂・肉蓯蓉・沙苑子・赤芍・楮実子・炒棗仁
・柏子仁・天門冬・寸冬・茯神・枳穀・檳榔・欝金・黄蓍・石菖蒲・杭菊 花・蔓荊子・甘草各20g、塩知母・塩黄柏各16g、広陳皮・朱砂・川芎・青葙子・草決明各12g、養肝散400g以上を作末し、蜜で練って丸とし(12gの丸剤)、毎服半分ないし1丸。」
#滋陰明目湯[1-1]《万病回春》=「腎気明目湯」「当帰・川芎・白芍・生地熟地以上培用、桔梗・人参・山梔子・黄連・白芷・蔓荊子・菊花・甘草以上減半」剉作細茶一撮燈心一熱甚加竜胆草柴胡 腎虚加黄柏知母 風熱壅盛加防風荊芥 風熱紅腫加連翹黄芩
#滋陰明目湯[1-2]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「当帰・川芎・乾地黄・芍薬各4.0 桔梗・人参・山梔子・黄連・白芷・蔓荊子・菊花・甘草各2.0 燈心草1.0」◎血少なく眼痛する者◎久病で気力衰え眼精疲労する者◎閃視、或いは内障の者。
#滋陰養栄湯《東醫寶鑑》「当帰2銭、人参・地黄(生)各1銭半、麦門冬・白芍薬・知母・黄柏(蜜炒)各1銭、甘草5分、五味子15粒」剉作、水煎服。◎消渇で津液がなくなり、口が乾き、咽喉が乾く症。
滋栄散 #滋栄調中湯《万病回春》《古今方彙》「陳皮(塩製)8分、半夏・白芍薬・黄芩(酒)・木瓜(塩)・牛膝・黄柏(酒)各7分、知母(酒)・羗活各6分、桂枝3分、防風、川芎(塩湯浸)各5分、当帰・白朮・茯苓各1銭、生姜」水煎。
◎臂痛み及び腰酸き或いは時ありて痛みを作すを治す。
#滋栄養衛湯《済世全書》《古今方彙》「白朮(麩炒)・山薬・白芍薬(酒)・当帰・黄蓍各1銭、人参8分、益智仁・山茱萸各7分、甘草(炙)4分、酸棗仁7分」水煎温服。
◎身体虚羸し、夜は当に遺溺失禁するを治す。 #滋血潤腸湯《医学統旨》《古今方彙》 「当帰3銭、芍薬・地黄各1銭半、紅花・枳実・大黄各1銭、韮汁」◎血枯、及び死血、膈に在り、飲食下らず、大便結燥するを治す。◎此方は膈噎の瘀血に属する者に用ゆれども、総て瘀血血の胸腹に在る者に運用すべし。《勿誤薬室方函口訣》
#滋血湯《医学入門》《古今方彙》「馬鞭草・荊芥各8分、牡丹皮2分、肉桂・赤芍薬・川芎・当帰・枳殻各4分、烏梅1個」膵炎温服。 ◎血熱気虚にて経候調わず、血は四肢に聚まり、在り右派浮腫を為し、肌体発熱し労瘵と為るを疑うを治す。宜しく此薬にて滋養し之を通利すべし。
#滋血百補丸《東醫寶鑑》「熟地黄・菟絲子各4両、当帰・杜仲(酒炒)各2両、知母・黄柏各1両、沈香5銭」作末し酒糊で梧子大の丸剤。塩湯で70丸飲む。◎虚労を治し、血気を補い、陰を滋養する。
#滋潤湯[1-1]《万病回春》《松田ー回春解説》「当帰・枳殻(去穰)・厚朴(去皮)・檳榔・生地黄・大黄・杏仁(去皮)・火麻仁各1銭、熟地黄・羗活各7分、紅花3分」剉作1剤。水煎し空心に温服する。
◎風、臓に中たる者は、多くは九竅に滞る。唇緩まり、失音、耳聾、鼻塞、目瞽(=盲人)、二便閉渋するは裡に在りと為す。この方に宜し。それ半身不随、口眼喎斜、語言蹇渋し、或いは癱瘓して伸びず、或いは舌強ばって語らず、痰涎壅盛し、人事不省、牙関緊急す。これ皆臓に中たるなり。
若し大便閉結せば、先ず滋潤湯を服し、後、愈風湯を服して調理す。◎風、中って臓に在り、大便閉結するを治す。 #滋潤湯[1-2]《万病回春》《東醫寶鑑》「当帰・地黄(生)・枳殻・厚朴・檳榔・大黄・麻子仁・杏仁各1銭、羗活7分、紅花(酒焙)3分」水煎服。◎風が臓に入って、二便が閉渋の者。◎中風臓に在りて大便閉結するを治す。《古今方彙》
#滋腎丸《東醫寶鑑》「黄柏(酒洗)・知母(酒洗)各1両、肉桂半銭」作末し水で梧子大の丸剤。空腹時に白湯で100丸飲む。◎渇かずに小便がつまったとき。
#滋腎散《万病回春》《古今方彙》「萆薢・麦門冬・黄柏(酒)・菟絲子(酒)・遠志・五味子各等分、竹葉、燈心草」水煎。 ◎小便白濁初起、或いは半月の者を治す。
#滋腎地黄湯《済世全書》《古今方彙》「天門冬・麦門冬・生地黄・白芍薬(酒)・熟地黄・当帰・知母(蜜炒)・黄柏(蜜炒)・白朮・茯苓・山薬・沢瀉・牡丹皮・山茱萸・甘草(炙)」水煎。
◎陰虚火動を治す。◎熱熱には:「柴胡・地骨皮」◎陰虚火動、潮熱退かざる:「六七歳の童便白きもの1盞」
#滋腎通関丸《蘭室秘蔵》「黄柏、知母、肉桂」
#滋腎通耳湯《万病回春》《古今方彙》「黄柏(酒)・黄芩(酒)・知母(酒)・生地黄・白芍薬・当帰・川芎・柴胡・白芷・香附子各等分」水煎。 ◎腎虚して聾し而して耳鳴するを治す。
#滋腎通耳湯《万病回春》《東醫寶鑑》「当帰・川芎・白芍・生乾地黄(酒炒)各1銭、知母(炒黄)・黄柏(炒黄)・黄芩(酒炒)・柴胡・白芷・香附子各7分」空腹時に水煎服。
◎腎弱・耳鳴りで、つんぼになろうとする者。◎慢性腎炎:萎縮腎のために起きる耳鳴り ◎耳鳴り
#滋腎通耳湯《漢方治療の実際》「当帰・川芎・芍薬・知母・地黄・黄柏・黄芩・柴胡・白芷・香附子各2.5」 #滋腎明目湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「当帰・川芎・白芍薬・地黄(生)・熟地黄各1銭、人参・桔梗・梔子・黄連・白芷・蔓荊子・甘菊・甘草各5分、細茶・燈心各一握り」水煎服。◎神を労して腎虚し血少なく眼痛み昏暗するを治す。《古今方彙》◎熱甚だしければ:「竜胆・柴胡」◎腎虚には:「黄柏・知母」◎風熱壅盛する:「防風・荊芥」◎風熱にて紅腫するには:「連翹・黄芩」
#滋腎明目湯[1-2]《漢方治療の実際》=「滋気明目湯」に同じ。「当帰・川芎・地黄・芍薬各3、桔梗・人参・梔子・黄連・白芷・蔓荊子・菊花・甘草・細茶各1.5」
◎私は古方家が八味丸を用いるような場合に主としてこの方を用いる《大塚敬節》
◎浅田宗伯は滋腎明目湯を用いるような場合に腎気明目湯《万病回春》を用いている。滋腎明目湯とは大同小異で、宗伯によれば“この方は内障眼の主方である。内障に気虚の者と。血虚によるものがあり、血虚によるものはこの方を用い、気虚のものには益気聡明湯を用いる。気虚の重い者には医王湯+防風+蔓荊子+白豆蔲を用い、血虚の重症には十全大補湯+沈香+白豆蔲+附子とする”と述べている《大塚敬節》
滋腎明目湯[1-3]《万病回春》 ★適応症及び病名(滋腎明目湯) [1]視力が低下:☆51歳、血色の悪い男性。昭和26頃より眼が良く見えなくなり、某大学の眼科で梅毒性のものだと診断せられ、熱療法をしてもらったところ、かえって悪化し、最近は、やっと明暗を弁じる程度で、室内を歩くにも、他人の手を借りなければ歩行が出来ないという。この日も婦人が手を引いて、診察室に入って来た。脈は弦で腹診すると、臍上で動悸を触れる。その他に著しい特徴はない。大便は1日1行。ときどき頭痛が来る。足は冷える。
私は眼科を専攻した事がないので、この患者の眼底の所見を診断することは出来なかったし、また治す自信もなかった。しかし《衆方規矩》に滋腎明目湯という処方があって、“眼久しく昏暗なるを治する の主方なり”とあるによって、これを用いることにした。なおこれより数年前、盲目の1少女にこの方を与えて、やや視力の回復したこともあったので、万一を僥倖したのであった。
ところが1ヶ月ほどたって再来した患者は、何だか少し良いようだと云う。そこで続けて前方を1ヶ月分ずつ投薬したが、5月下旬には障子の桟が見えるようになり、10月には一人で電車に乗って来院出来る程になった。この頃から仕事も少しずつ出来るようになり、約2年ほど服薬を続け、視力が0.3まで回復した。《大塚敬節》
☆62歳男性。初診昭和36年9/20。約1年前、左の視力が衰え、次いで右も悪くなり、医師の治療を受けている中に、左右とも全く視力を失い、辛うじて、夜と昼の区別が出来る程度の盲目になった。目下高血圧から来る眼底出血という診断のもとに、内科医の注射を受けているということであった。
患者はやや肥満しているが、胸脇苦満はない。血圧144-86。私は眼底出血という診断に疑問を持ち、伊藤清夫氏に相談したところ、診察の結果、眼底には全く異常なく、それよりも、もっと深いところに病気があるのだろうということであった。
そこで、この患者に滋腎明目湯を与えた。すると1ヶ月分飲んだら、何となく眼が明るくなったといい、翌年の3月には遠くの方が見えるようになった。《大塚敬節》
#地黄飲子《劉河間》 「熟地黄・巴戟・山茱萸・肉蓯蓉・附子・生姜・薄荷・大棗・官桂・石斛・茯苓・石菖蒲・遠志・麦門冬・五味子」 ◎中風で、唖になり言葉が出ず、歩くことができない。
#地黄飲子《劉河間》《東醫寶鑑》「熟地黄・巴戟・山茱萸・肉蓯蓉・石斛・遠志・五味子・白茯苓・麦門冬各1銭、附子(炮)・肉桂・石菖蒲各5分」剉作1貼し、姜3、棗2、薄荷少々入れて水煎し空腹時に服用。
#地黄粥《東醫寶鑑》「地黄(生)」米半升に漬けて煮た後、3回晒し、磁器に水1杯煮たところへ、先の晒したのを1合入れて粥を作って食べる。◎寝て起きたとき、目が赤く腫れ、すこしたつと無くなる者。
#地黄元《東醫寶鑑》「熟地黄1両半、黄連・決明子各1両、防風・甘菊・羗活・桂心・朱砂・没薬各5銭」作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に50~70丸飲む。
◎ながく視つづけて目が弱くなった者。
#地黄膏《東醫寶鑑》「地黄(生)1合の汁を絞り、「黄連1両、黄柏・寒水石各5銭」を作末し、以上を混ぜて餅を作って塗る。◎目に打撲傷を受けた者。
#地黄散[1-1]《証治準縄》 「生地黄・熟地黄・当帰・大黄各30g、穀精草・黄連・白蒺藜・防風・木通・烏犀角・玄参・羗活・木賊草・蝉退・粉草各20g」以上を作末し、毎服2g、豚肝または洋肝を煮た汁で、食遠に調服する。
#地黄散[1-2]《東醫寶鑑》「熟地黄・当帰各5銭、生乾地黄・木通・甘草各3銭、黄連・大黄・防風・羗活・犀角屑・蝉退・木賊・穀精草・玄参・白蒺藜各2銭」作末し毎回2銭を羊肝湯で1日3回、食後服用。◎熱と目が赤く腫れて痛い者を治す。◎白膜が瞳にかぶさって失明する恐れがある者。◎小児の瘡疹余毒が目に入ったとき。
#地黄散[2]《東醫寶鑑》「地黄(生)1両、赤芍薬・当帰・甘草各5銭」剉作し、5銭づつ水煎服。◎混晴を治す。 #地黄湯《東醫寶鑑》「磁石(淬末)2両、生乾地黄(酒洗)1両半、枳穀・羗活・桑白皮・防風・黄芩・木通各1両、甘草5銭」細末にし毎回4銭を水煎し、1日2回服用。
◎腎経熱で右耳が聞こえず、いつも心中安らかでなく、耳鳴りがして疼痛する者。
#地黄通経丸《東醫寶鑑》「熟地黄2両、虻虫(炒)・水蛭と糯米を同時に炒って米を除く・桃仁各50」作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に温酒で70~80丸飲む。
◎血瘀で、臍下に塊が出来て痛む者。
#地骨皮枳殻散《医類元戎》《古今方彙》「秦芁鼈甲散枳殻・桃柳枝頭-青蒿」 #地骨皮散[1]《東醫寶鑑》「知母・半夏・柴胡・人参・地骨皮・赤茯苓・甘草各3分」作末し、姜3片を入れ、水煎服。
◎虚熱を治す。
#地骨皮散[2]《東醫寶鑑》「石膏2銭、柴胡・黄芩・知母・生地黄各1銭、羗活・麻黄各7分、地骨皮・赤茯苓各5分、姜3」水煎服。◎血熱と陽毒の火が盛んで、全身に熱がある者。
#地骨皮散[3]《東醫寶鑑》「地骨皮・秦艽・柴胡・知母・当帰・鼈甲(醋炙)各1銭、川芎・甘草各5分」を剉作1貼し、桃・柳枝各7分、姜3、烏梅1個を入れ煎服。
◎骨蒸の熱を治す。
#地骨皮湯《小児薬証直訣》《中薬臨床応用》「地骨皮・知母・銀柴胡・太子参・黄芩各9g、赤茯苓12g、別甲(先煮)18g」◎発汗をともなう骨蒸潮熱。
#地芝丸《東醫寶鑑》「熟地黄・天門冬各4両、枳穀・甘菊各2両」作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に100丸飲む。◎遠視を治す。 #地膚子湯[1]《東醫寶鑑》「地膚子・車前子各1銭半、知母・黄芩・枳穀・赤茯苓・白芍各1銭、升麻・通草・甘草各7分」水煎服。◎子淋を治す。
#地膚子湯[2]《東醫寶鑑》「地膚子1銭、知母・黄芩・猪苓・瞿麦・枳実・升麻・通草・冬葵子・海藻各7分」剉作し空腹時に水煎服。◎下焦に熱結して小便不通。◎女人の房労後、小便不通・脈少には、猪腎半隻を入れ煎服。
#地楡外用剤《中薬臨床応用》「地楡漆大姑・黄柏」各等量を作末し、少量の竜脳を加えよく攪拌し、さらに落花生油を加え20%の糊剤とし、加熱煮沸後、外用する。
#地楡煎《中薬臨床応用》「地楡(炒)12g、鮮地黄12g、白芍薬6g、牡丹皮6g、山梔子(炒)9g、荊芥炭3g、黄連3g、木香1.5g(後下)」水煎服。◎慢性の膿血下痢◎血便◎大腸炎
#地竜飲《東醫寶鑑》「生地黄3条(熟して細研)・姜汁・薄荷汁・生蜜」水で調下。 ◎瘴瘧で、大熱があり煩躁する者。 #地竜散[1]《証治準縄》《中薬臨床応用》「地竜・肉桂・蘇木各2.5g、麻黄2g、黄柏・当帰尾・甘草各5g、桃仁9個」水煎服。◎打撲による疼痛◎内出血◎腰背部損傷の疼痛
#地竜散[2]《東醫寶鑑》「羗活2銭、独活・黄柏(塩酒炒)・甘草各1銭、蘇木6分、麻黄5分、地竜 ・中桂各4分、当帰梢2分、桃仁6箇」水煎服用。◎瘀血が太陽経にあって腰脊が痛む。
#地竜湯《中薬臨床応用》「地竜9g、全蝎3g、金銀花12g、連翹9g、釣藤鈎9g」水煎服。◎高熱、煩躁、痙攣。 #地蓮湯《中薬臨床応用》「地胆頭30g、穿心蓮30g、崩大碗90g」水煎服。◎上気道炎◎気管支炎◎肺炎
#資寿解語湯《医学入門》《古今方彙》「附子・防風・天麻・酸棗仁各3分、官桂・羚羊角各7分半、羗活・甘草各5分」 #資生湯《医学衷中参西録》「山薬、玄参、白朮、牛蒡子、鶏内金」
#紫円[1-1]《東洞家塾方》=「紫圓」 「代赭石・赤石脂・巴豆各2銭、杏仁4銭」 右4味、まず杵きて2味を末と為し、別に巴豆を研り杏仁の中に入れ合して治め緑豆大の丸剤。病証の浅深を量り之を服す。1~2より1浅に至るを度となす。若し、差えざる者あるときは毎日之を服す。或いは5丸、或いは10丸。若し赤石脂なきときは則ち塩蔵の鉄粉を以て之に代える。
[塩蔵鉄粉を製する法]「上鉄屑2銭、食塩2分」を攪て之を貯え密器に封蔵し10日を置きて諸々を床下より地上に取り出し之を研り水飛し、晒し乾燥して以て赤石脂に代える。
◎胸腹の結毒、或いは腹満し大便難く水毒ある者を治す。 #紫円[1-2]《東洞家塾方》「巴豆(去殻)・赤石脂・代赭石各4.0、杏仁8.0」 右四味、先ず赤石脂、代赭石を細末とし、巴豆、杏仁を研りて末に合し、糊にて小粒の丸と為し、温湯を以て、1回0.4~1.5を服用する。小児は年齢に応じて減量する。◎胸腹の結毒、或いは腹満して大便せず、或いは水気有る者を治す。千金方に曰く、紫円は療せざる所無し。下すと雖も人を虚せず。《古方兼用丸散方》
#紫円[1-3]《春林軒丸散方》「代赭石4.0、巴豆(去殻)2.5、赤石脂・杏仁各2.0」 ◎心痛(=胃痛)、腹痛、大便通ぜず、或いは痢疾、熱病、或いは食滞、所謂痛風、卒中風、中暑、驚風、癩、胎毒、黴毒、発狂の類、心胸に迫る者を治す。
◎此方、大人の黴毒性諸証、小児の消化不良に因する諸疾患等に用ふれば、能く奇効を奏べし。然れどもその作用の峻烈なるを以て、体質薄弱の者、或いは虚候を帯びぶる者には特にその投与を慎まざる可らず。
#紫円[1-4]《漢方治療の実際》「代赭石・赤石脂・巴豆各4、杏仁8」以上の4味を末とし、米糊で丸とする。1回1を頓服。
★適応症及び病名(しえん) [1]鼻炎 ☆幼児の胎毒のある鼻閉塞に本方を与えて、胎毒を下す時は軽快することがある(漢方診療医典)[2]便秘:☆至急に排便を必要とする時に、頓服として用いる。《大塚敬節》☆備急円より作用が緩和で、乳幼児にも用いることが出来る《大塚敬節》
☆先年、自分の藩士に、大便が通じない時に、好んで紫円を用いたものがあった。ある日、例によって、これを用いたが効がないので、増量して1匁を用いたがなお通ぜず、だんだん増して、2匁、3匁、4匁、5匁としたが、便は通ぜず、ついに悶乱して死んだことがある。その証もないのに、紫円のような激しい下剤を濫用するのは、恐ろしいことである《山田業広》
#紫雲膏《華岡青州》《漢方治療の実際》 =華岡青州が明代の陳実効著《外科正宗》(1617)にある「当帰潤肌膏」を改良して案出したとされる。「ゴマ油1000、当帰・紫根各100、黄蠟380、豚脂25」先ずゴマ油を煮て、黄蠟・豚脂を入れて溶かし、次に当帰を入れ、終わりに紫根を入れ、鮮明な紫赤色になったら布で濾す。冷えるの随って、かたまるが、しばらく攪拌しながら、冷えるのを待つと、粘稠な良いものになる。紫根を入れる時の温度は140℃ぐらいが良い。なお黄蠟は夏は多くし、冬は減ずる。
#紫雲膏《華岡青州》《龍野ー漢方処方集》 =「潤肌膏」「胡麻油1000g、黄蠟380g、豚指25g、当帰・紫根各100g」胡麻油を煮て黄蠟・豚指を加えて溶かし、いったん鍋を火から下ろし当帰を入れて狐色になったら網ですくい上げ、又火にかけて熱し、再び鍋を火から下ろして紫根を入れ、程良い紫赤色が出たら紫根をすくい上げ、布で濾し放置して冷やす。
◎虚証・貧血性・乾燥性の外傷や皮膚病。
★適応症及び病名(紫雲膏) [1]あかぎれ[2]あせも[3]アトピー性皮膚炎(外用)[4]イボ [5]打ち身(打撲傷):☆塗布する《大塚敬節》[6]外傷:☆擦過傷☆スキーで転倒して、顔の皮をすりむいた者に用いて、忽ち治った。《大塚敬節》[7]潰瘍[8]かぶれ[9]切り傷(切創):☆塗ると、化膿を予防し、速に治癒する。《大塚敬節》[10]痔核(外用)[11]痔瘻[12]しもやけ[13]ただれ[14]凍傷:☆夜間、寝る前に患部に、よくすりこんでおくと良い。《大塚敬節》[15]肉芽形成不全:☆下腿潰瘍などで肉芽の発生状況のよくないものに用いると、治癒を促進する《大塚敬節》[16]ひび[17]水虫[18]火傷(ヤケド):☆軽いものはこれを塗るだけで良い《大塚敬節》[19]雪やけ
[20]癰の目 #紫根牡蠣湯《漢方治療の実際》「当帰5、芍薬・川芎・紫根各3、大黄・忍冬各1.5、升麻・黄蓍各2、牡蠣4、甘草1」 #紫蘇散《証治準縄》「杏仁、紫蘇葉、桑白皮、檳榔子、茯苓、木通、甘草、紫苑、前胡、百合、生姜」
#四陰煎《景岳全書》「地黄23匁、麦門冬・芍薬・百合・沙参各2匁、甘草・茯苓各1匁半」 ◎これ保肺清金の剤なり。陰虚老損し、相火熾盛、津枯煩渇、咳嗽吐衂、多熱などの証を治す。
◎此方、はるかに「滋陰降下湯」の上に出ず《高階枳園》◎此方は《景岳全書》に新方なれども、陰虚火動の症には滋陰降下湯より効あり。滋陰降下湯は理屈はつめども寒凉に過ぎて、保肺清金の力反って劣れり。《勿誤薬室方函口訣》◎此症にして虚弱、浮熱、汗出者:「二加竜骨湯」
#四烏賊骨一蘆茹丸《黄帝内経素問》「茜草、烏賊骨」 #四烏賊骨一蘆茹丸加味《中薬臨床応用》「烏賊骨12g、茜草根3g、黄蓍9g、党参9g、当帰9g、熟地黄9g、川芎9g、白芍薬12g」水煎服。◎血虚による無月経。
#四海舒欝丸《瘍医大全》《中薬臨床応用》「海蛤粉6g、海帯60g、海藻60g、烏賊骨60g、昆布60g、青木香15g、陳皮6g」細末にし蜜丸。毎日2回9gづつ服用。◎甲状腺ガン。
#四逆散[1-1]《傷寒論》「甘草(炙)、枳実(破水漬炙乾)、柴胡、芍薬」右四味、各十分、擣篩、白飲和服方寸匕、日三服。欬者、加五味子、乾姜各五分、主下利。悸者、加桂枝五分、小便不利者、加茯苓五分、腹中痛者、加附子一枚、炮令坼。泄利下重者、先以水五升、煮薤白三升、煮取三升、去滓、以散三方寸匕、内湯中、煮取一升半、分温再服。◎少陰病、四逆、其人或欬、或悸、或小便不利、或腹中痛、或泄利下重者、四逆散主之。
#四逆散[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》「柴胡5g、白芍薬9g、枳実5g、甘草(炙)3g」水煎服。◎肝気欝結による腹痛。 #四逆散[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》「柴胡5、枳実2、芍薬4、甘草1.5」◎参照→理気平肝散《医学統旨》◎四逆=四肢温和でないこと。◎此方は大柴胡湯の変方にして、少陰の熱厥を治するのみならず、傷寒に癇を兼ねること甚だしく、譫語、煩躁し、噦逆を発するなどの証に特験あり。《勿誤薬室方函口訣》◎邪を疎き、気を通ずるを以て主と為す。《浅田宗伯》◎その腹形、専ら心下及び両脇下に強く聚り、その凝り胸中にも及ぶくらいにて、拘急は強けれども熱実は少なき故、大黄・黄芩を用いず、ただ心下両脇を緩め和ぐることを主とするなり。《勿誤薬室方函口訣》◎《和田東郭》多年此方を、疫症(流行病)及び雑病に用いて種々の異証を治する。
◎「陽気内鬱して四肢厥逆および肝脾調和せず、胃腹痛み、腰だるく帯下多し」◎《藤田謙造》「その証は、ほぼ柴胡桂枝乾姜湯に似ていて、積気や気病、または心身の過労などから起こる者に多い。それ故に急病で悶え苦しむ者や慢性病でひどく衰弱した者に用いることは稀で、病勢があまり激しくはないが、いつまでも治らず、医者が治療に困るような者に、戸崎先生はこの方を用いて、奇効を得られたことが度々あった。
その症状は肩背が強ばったり、腰が痛んだり、脇腹が痛んだり、頭が痛んだり、食が進まなかったり、大便は秘結したり、下痢したり、小便の出が悪かったりする。又、気持に張りが無く、気分が欝滞して動作が物憂く、万事を苦労にし。或いは物事を憂慮して止まず、ややもすれば悲愁し、夜は夢をみて気持ちよく眠らず。或いは物毎に好悪があり。また心中がむしゃくしゃして安定しない。なお体がだるかったり、筋肉がつれたりする。またいつも季肋部のあたりに重滞感があり、この部の痛むこともある。それにいろいろと工夫をこらしたり考え事をすると、その度に必ず季肋のあたりが、縮じまりふさがるように覚え。或いは1、2町も歩くと季肋下から脇下にかけて、激しい時は呼吸にもさわるから、この部を手でジッと押さえている。以上挙げたような症状の他にもなお種々の徴候があって、全部を挙げることは難しいが、これらの中の2、3の症状があって、前に述べた腹候があれば、四逆散のよく治するところである。」《大塚敬節》◎四逆散は柴胡を主薬とする点では、大柴胡湯や小柴胡湯と同列に並ぶものであるが、枳実と芍薬が配剤されているので、大柴胡湯に近く、しかも大黄が無いので、大柴胡湯ほど実証には用いない。しかし腹証上では、みずおちが詰まった様に硬く、胸脇苦満もあり、腹直筋が突っ張っていることが多い。この点では柴胡桂枝湯にも似ている《大塚敬節》
◎四逆散は陽気を疎通することや、裏を和する効能を持っているので、経を伝わった熱邪が鬱して伸びることができなくなったために引き起こされた疾患にも使用することが出来る。
【腹証】《大塚敬節》“胸脇苦満、心下痞硬の程度が軽く、腹直筋は硬く緊張して、臍傍にまで及んでいる”“季肋下に緊張、抵抗があって、腹直筋を季肋下から臍傍にかけて、硬く触れる”
★適応症及び病名(四逆散) [1]アレルギー鼻炎[2]朝のこわばり[3]頭のふらつき[4]イライラ[5]インポテンツ:☆(精神性)☆遺精:肝積に因る者は、左の腹拘攣、あるいは左右ともの拘攣する者、又痞塊ある者なり。「四逆散」の類にて遺精自ずから止むなり。四逆散の症は脈数疾なり。[6]胃ケイレン[7]胃液分泌過多症
[8]胃潰瘍:☆単独でH2ブロッカーと同等の効力。☆81歳、男性。胃潰瘍患者に四逆散、ファモチジン、酸化マグネシウムの併用療法を行った。約8週間後の瘢痕化を認めた。それは現代医学の抗潰瘍剤を多剤併用した治癒期間の平均とほぼ同じである。胃潰瘍の治療には四逆散を昼間投与し、就寝時のみH2ブロッカーを投与することが望ましい。日経メディカル1990.4.10別冊☆内視鏡で胃・十二指腸潰瘍と診断した症例のうち、ヘリコバクターピロリ(Hp)陽性の症例に、オメプラゾールと漢方薬or生薬の併用療法を行った結果、四逆散、オメプラゾールの併用療法を行った、39才の男性胃潰瘍患者では、治療開始6週間後の潰瘍の瘢痕化とHpの除去に成功した。第46回日本東洋医学会学術講演要旨集41.1983
[9]胃酸過多症[10]胃腸炎(急・慢性)[11]胃腸神経症[12]胃痛:☆ストレスや精神的緊張からキリキリ痛む者に。☆心胃刺痛、憎寒壮熱、口乾煩躁し、臥せず、時に痛み時に止むを治す:「黄芩・黄連・梔子・竹茹」=「清膈散」《万病回春》
[13]遺精[14]飲癖(いんぺき)=胃内停水が常時あるもの。☆「呉茱萸・茯苓」[15]往来寒熱 [16]悪心 [17]怒りっぽい(多怒)[18]驚きやすい(易驚)[19]咳嗽
[20]肩こり(肩背強急) ①胸脇苦満。②腹直筋攣急。③神経過敏、精神内欝。④四肢冷<微>。[21]肩関節周囲炎[22]過敏性大腸症候群☆ケイレン性便秘型には、á四逆散《中医処方解説》☆痛まない下痢には、á甘草瀉心湯《中医処方解説》☆冷えによる者には、á桂枝加芍薬湯or当帰建中湯 [23]肝炎(急・慢性)[24]肝硬変
[25]癇癪もち: [26]感染症[27]癇癖(かんぺき)=神経過敏で時に引きつけ、ケイレンを起こす。☆「釣藤鈎・黄連・羚羊角」
[28]癇厥(=癇の発作に気の上逆を兼ねる)☆いわゆる癇厥、胸脇攣急、朝に劇しく暮れに安く、病態不定なる者を治す《傷寒論識》☆熱厥、癇厥、左積有る者:「黄連・羚羊角」《方読便覧》
[29]気管支炎(急・慢性)☆気管支「カタール」にして、僅かに胸脇苦満があり、腹攣急し、咳嗽によって疼痛し、食欲及び二便に甚だしき異常無き証。《奥田謙蔵》
[30]気管支喘息[31]逆流性食道炎☆黄連・黄芩・山梔子・大黄・金銀花・連翹《中医処方解説》 [32]急性伝染病 [33]胸脇苦満 :<左右>☆胸腹部につまったような感じがして、重苦しい。[34]胸脇部の疼痛[35]緊張しやすい(表情が堅い)[36]筋肉攣縮
[37]口が苦い(口苦)[38]口がねばる(口粘) [39]結核性腹膜炎 [40]月経困難 [41]月経周期が一定しない [42]月経前緊張症(月経前期症候群)
[43]月経時に乳房が脹って痛い [44]月経痛[45]月経不順 [46]下痢:☆(裏急後重・手足の冷え) ☆下痢と便秘を繰り返す。☆下痢と便秘が交互にくる、スッキリ出ない。☆下痢の後、精神欝塞し、少しく心煩ありて身体倦怠を覚え、腹痛し、四肢微冷に、尿量減少し、なお大便滑利し、その脈沈小にして力ある証。《奥田謙蔵》☆下痢累日止まず、胸腹不微満し、四肢微厥し、熱性症候緒しからざる証。《奥田謙蔵》☆虚羸にして気逆し、熱候無くして下痢し、胸脇苦満し、或いは微痛し、手足寒冷にして、その脈沈緊なる証。《奥田謙蔵》
☆熱候なく、頭重して足冷え、心煩し、腹痛し、食欲に著変無く、脈少しく弦、下痢の傾向ある証《奥田謙蔵》☆痢疾、累日下痢止まず、胸脇苦満し、心下痞塞し、腹中結実して痛み、裏急後重する者を治す。《類聚方広義》☆泄利下重する者:薤白9.0gを水200ccで120ccまで煮て滓を去り、四逆散末2.0gを入れて煮直し60ccに煮詰め2回に分服。《龍野ー漢方処方集》[47]痃癖(げんぺき)[48]口乾
[49]高血圧症 [50]更年期障害[51]しもやけ [52]痔核 [53]子宮ガン[54]歯根炎 [55]四肢逆冷 [56]四肢拘急 [57]十二指腸潰瘍[58]食道ケイレン:☆食道狭窄様疾患にして、嚥下障碍を発すれば胸内苦悶及び短気を現し、腹満し、腹攣急し、四肢微冷に、脈虚大ある等の者には、証に由り本方に「梔子厚朴湯」を合方する。《奥田謙蔵》
[59]食欲不振 [60]情緒不安定[61]腎炎 [62]神経質 [63]神経性胃炎 [64]神経過敏:☆癇が高ぶる者の諸症状に応用できる。[65]心悸亢進
[66]心下部疼痛 [67]心下痞鞕(軽)[68]心臓神経症 [69]心煩 [70]小便不利:☆小便不利する者:「茯苓前の半量」。《龍野ー漢方処方集》
[71]頭痛 [72]精神分裂病 [73]精力減退 [74]舌質 <紅><やや乾燥>[75]舌苔 <無苔~微白苔~黄> [76]喘息:☆咳して下痢する者:「五味子・乾姜各前の半量」《龍野ー漢方処方集》[77]疝(せん):☆「牡蛎・茯苓・小連翹」《本朝経験》☆疝痛「茴香・茯苓」☆寒疝を治するに「芍甘黄辛附湯」及び「附子建中湯」を用い、熱疝を治するに「四逆散茴香茯苓」及び「大柴胡湯茴香甘草」を用いて、咄嗟に奏功す。《橘窓書影》
[78]早漏 [79]大腸炎 [80]ため息が多い
[81]胆石症:☆胆石患者で、体力が衰えて、大柴胡湯を用いることが出来ない者に:「土別甲・茯苓」=解労散として用いる。《大塚敬節》[82]胆道感染症[83]胆道ジスキネジーbiliary
dyskinesia(胆道機能不全)[84]胆嚢炎[85]血の道症[86]蓄膿症:(腹直筋攣急する者)☆28歳男性。半年ほど前から、副鼻洞炎の治療を続けているが良くならないので、1ヶ月ほど前に、鼻中隔彎曲症の手術を受けた。主訴は、7、8年前よりの後頭痛で、鼻汁が多くて、ノドの方へも流れる。その鼻汁に時々血が混じっている。不眠がある。大便は1日1行。腹診すると、左右の季肋下より臍傍にかけて腹直筋が棒のように硬い。私はこれに四逆散茯苓辛夷薏苡仁を与えた。
これを呑むと、頭が軽くなり、睡眠がとれるようになった。引き続き3ヶ月ほど服用し、風邪でも引かなければ、鼻もつまらず、鼻汁も流れるようなことがなくなり、服薬を中止した。《大塚敬節》[87]中風:[88]腸炎・腸カタル
[89]直腸炎
[90]直腸潰瘍[91]テンカン[92]手足が冷える(厥冷)[93]手のひら(足の裏)に汗をかく(冷や汗)[94]乳ガン[95]乳房が張って痛む[96]任脈陥没:(心下~臍の間で)[97]任脈拘急:(心下~臍の間で)[98]ネフローゼ[99]肺結核[100]排便してもあとに残る(後重)[101]半身不随[102]反芻症[103]ヒステリー
[104]疲労倦怠[105]頻尿 [106]副鼻腔炎 ☆大柴胡湯の腹証に似て、心下部が堅く緊張しているが、それほど充実していないものに茯苓、辛夷、薏苡仁(漢方診療医典)[106]ふけ[107]不安感☆悸する者:「桂枝前の半量」《龍野ー漢方処方集》[108]不定期熱[109]副睾丸炎[110]腹直筋攣急
<><左右>[111]腹痛(腹中痛):☆「附子」《方読便覧》☆腹中痛む者:「附子(炮)1枚or白川附子0.5」《龍野ー漢方処方集》☆胃に水飲を蓄えて腹痛嘔吐する者:「呉茱萸・茯苓」《浅田宗伯》☆胆嚢が十二指腸に癒着しているために右脇下にひきつれる様な痛みを訴える者に:「土別甲・茯苓」《大塚敬節》[112]腹部膨満感(腹が張る)
[113]澼嚢(へきのう)=胃内停水から嘔吐を繰り返す病。
☆「+呉茱萸・牡蛎」=蔓倩湯(まんせいとう) 《原南陽》[114]片頭痛[115]扁桃肥大[116]便が: <細い・きれぎれ> [117]便秘:☆便秘と下痢を繰り返す☆寒邪、熱に変じ、裏に伝えて腹痛し、便秘して厥する者を治す。《明医指掌》[118]膀胱神経症☆膀胱機能の異常に:「+烏薬」。《中医処方解説》[119]マラリヤ[120]麻痺[121]慢性胃腸炎:
☆胸脇苦満があり、腹直筋が緊張し、手足が冷える、神経過敏な者。[122]慢性副鼻腔炎[123]胸苦しい[124]胸のつかえ[125]胸やけ[126]無月経[127]ゆううつ☆抑鬱気分☆気分が欝滞して何となくひきたたない傾向がある《大塚敬節》[128]幽門ケイレン[129]流感[130]肋膜炎[131]肋間神経痛
■薬理作用■:①胃の攻撃因子を抑制する:<1>胃液分泌を抑制<2>胃酸分泌を抑制<3>ペプシンの分泌を抑制
②胃の防御因子を増強する:・胃粘膜中の糖タンパク分泌を促進する。③ストレスによる急性胃粘膜病変を抑制する④活性酸素消去作用がある:・胃粘膜障害の発生を防ぐ⑤プロトンポンプ活性を抑制する:・胃液分泌を抑制する。
#四逆湯[1-1]《傷寒論》「甘草(炙)2両、乾姜1両半、附子(生用去皮破8片)1枚」右三味、以水三升、煮取一升二合、去滓、分温再服。強人可大附子一枚、乾姜三両。◎傷寒脉浮、自汗出、小便數、心煩、微悪寒、脚攣急、反與桂枝、欲攻其表、此誤也。得之便厥、咽中乾、煩躁吐逆者、作甘草乾姜湯與之、以復其陽。若厥愈足温者、更作芍薬甘草湯與之、其脚即伸。若胃氣不和譫語者、少與調胃承氣湯、若重発汗、復加焼針者、四逆湯主之。◎病発熱、頭痛、脉反沈、若不差、身體疼痛、當救其裏。◎脉浮而遅、表熱裏寒、下利清穀者、四逆湯主之。◎少陰病、脉沈者、急温之、宜四逆湯。◎大汗出、熱不去、内拘急、四肢疼、又下利厥逆而悪寒者、四逆湯主之。◎吐利汗出、発熱悪寒、四肢拘急、手足厥冷者、四逆湯主之。◎下利腹脹満、身體疼痛者、先温其裏、乃攻其表、温裏宜四逆湯、攻宜桂枝湯。◎嘔而脉弱、小便復利、身有微熱、見厥者、難治、四逆湯主之。
#四逆湯[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》「熟附子片15g、乾姜6g、甘草(炙)6g」水煎服。◎ショックの重症◎虚脱の重症 #四逆湯[1-3]《傷寒論》「附子、乾姜、甘草(炙)」
◎証(四肢拘急、厥逆)《薬徴》 ◎本草は乾姜をもって大熱となす。是(ここ)において世医は皆謂ふ、四逆湯の方中、姜附は熱薬なり。故に能く厥冷を温むと。非なり。按ずるに、厥冷は毒の急迫なり。故に甘草を以て君となし、姜附を以て佐となす。その姜附を用ふるものは、水毒を逐ふを以てなり。何ぞ熱之れあらん。《薬徴》◎四肢厥逆し、身体疼痛、下利清穀、或いは小便清利なる者を治す。《吉益東洞》◎按ずるに、此れ甘草君薬也。《吉益東洞》◎此方は陰症正面の治方にて、四肢厥逆、下利清穀などが目的なり。《勿誤薬室方函口訣》
#四逆湯[1-4]《傷寒論》「甘草乾姜湯+附子」◎激しい下痢に嘔吐を伴ない手足の厥冷する者に用いる《大塚敬節》
★適応症及び病名(四逆湯) [1]汗が出る:☆発汗して後、自汗出出、虚熱在り、腹筋攣急するも、之を按ずるに軟弱、其の脈虚なる証《奥田謙蔵》[2]嘔吐:☆呉茱萸湯の嘔吐と区別する必要がある。四逆湯証は下痢を主とし、呉茱萸湯証では下痢を伴うことがあっても、嘔吐が主である。《大塚敬節》[3]かぜ:☆傷寒の陰証、脣青く面黒く、身背強ばり痛み、四肢厥冷し、及び諸虚沈寒を治す《医林集要》☆1男子、32歳。3日前感冒気味で床についた。体温は38℃余り、悪寒がした。医師は感冒と診断して、薬をくれたが、翌日は40℃近くまで体温がのぼった。そこで医師は何か重い病気かも知れないから、他の医師に相談してくれということになり、私がまねかれた。その日も体温は40℃近くあったが、患者の訴えは、ただ何となくからだが重いと云うだけで、これといって、愁訴がない。便通は昨日来ないという。尿をみると清澄であまり着色していない。悪寒もほとんど無いが、足を握ってみると冷たい。その他には所見がない。
私はこれに四逆湯を与えた。なぜか、この患者の体温は40℃になっ ているのに、熱のための愁訴がない。脈も熱の高いのに比較し遅である。 舌も湿っている。尿も熱のある時のように着色していない。足が冷たい。これらは明らかに裏寒の状である。それにこの患者は発病前、数日間は無理をして徹夜に近い仕事をしてひどく疲れていた。
これらの点を考え合わせて四逆湯を与えた。1時間ほどたつと、体温は40℃を越したが、それから2時間後には軽い発汗があり、次第に体温は降下をはじめ、その夜は37℃となり、翌朝は37、5℃となり、四逆湯2日分で平熱となった。《大塚敬節》☆四逆湯を用いるような熱には、熱に連れ合わない矛盾した症状がある点に注意してほしい。《大塚敬節》☆四逆湯を用いるような患者で、煩躁が激しい者には茯苓四逆湯を用いる《大塚敬節》[4]吃逆:☆重症の赤痢で、吃逆を発する者用いて効をとることがある《大塚敬節》☆大病中の噦逆に四逆湯証多し、痢疾、噦を発し、蛔を吐する者は四逆湯によろし。《有持桂里》
[5]急性胃腸炎 ☆はげしい急性の吐瀉病で、大量の水分が、上下に出て、急に水分が失われたために、手足は冷たくなり、手足の筋肉がひきつれ、脈は微弱となり、重篤な症状を呈した者に用いる。
幼児、老人などにみられることが多い。また下痢に、激しい、ひきつれるような、絞るような腹痛を伴うころがある(漢方診療医典)[3]ケイレン:☆五臓中寒して口噤み、四肢強直し、失音不語、或いは卒然として暈悶し手足厥冷する者を治す《厳氏済生方》[4]下痢:☆完穀下痢を発し、熱候なく、所謂虚寒の証《奥田謙蔵》☆《陳念祖》曰く、虚寒、下利渇せず、口中和し、脈遅小にして無力、或いは手足冷え、腹痛んで、善く按ずるは、虚寒の症と為す。四逆湯に非ざれば不可なり。もし腹痛して下利重滞する者は再び芍薬を加う。《雑病翼方》
☆慢性の下痢に用いることは少なく、急性の吐瀉病に用いる機会がある。疫痢・急性胃腸炎などで、下痢が激しく一般状態が重篤な時に用いる。手足は割礼四逆湯、脈は微弱で、顔面は葱白、大便は下痢し、或いは失禁するというような時に用いる。一般状態がさらに重篤であれば「通脈四逆湯」を用い、煩躁状態がひどい時は「茯苓四逆湯」を用いる。《大塚敬節》 [5]コレラ:☆「コレラ」様疾患にして、水瀉すること度なく、なお虚熱ありて汗出で、言語不明、精神朦朧、その脈微なる証《奥田謙蔵》☆「コレラ」様疾患にして、下利頻々、汗出でて悪寒し、語言明瞭を欠き、手足厥冷し、その脈沈にして力なき証《奥田謙蔵》[6]臓結:☆臓結、もと痞積あり、痛み陰筋に引く者を治す:「呉茱萸・桂枝」
[7]手足が冷たい:☆手足厥冷し、自汗出で、胸内苦悶あり、或いは痛み、或いは化膿。小柴胡湯、その脈細なる証《奥田謙蔵》☆冷汗流れて煩躁激しい者:「人参茯苓」=茯苓四逆湯[8]吐瀉:☆吐瀉し、手足厥冷し、脈細にして、吃逆を発する証《奥田謙蔵》☆霍乱、振寒を発する者は陽気復するの候、佳兆と為す。もし虚人振慄に堪えざる者は四逆湯に宜し。《先哲医話》☆《傷寒論》には“大いに汗しもしくは大いに下利して厥冷する者は、四逆湯これを主る”といい、また“吐利、汗出で、発熱、悪寒、四肢拘急、手足厥冷のものは四逆湯これを主る”とあり、康平傷寒論では四逆湯が回逆湯となっている。厥逆を回復せしめる湯という意味であろう。そこで急性の吐瀉病で手足の厥冷する者に用いる機会がある。《大塚敬節》☆急性吐瀉病で、一般状態が悪く、脈も弱く、予後の気ずかわれるような者によい。《大塚敬節》[9]日射病:☆中暍(チュウエツ、日射病)、吐瀉、手足厥冷する者に2途あり。《先哲医話》 ①四逆湯 ②白虎湯[10]慢性胃腸炎:☆慢性胃腸「カタール」等にして、久しきを経るも治せず、脈弱にして四肢厥冷を発する証《奥田謙蔵》[11]やせる:☆虚羸して逆上感あり、下利頻々、汗出でて四肢冷え、語言明瞭を欠き、その脈微なる証《奥田謙蔵》
#四逆湯[2]《備急千金要方》「四逆加人参湯《傷寒論》」に同じ。◎多寒、手足厥冷、脈絶ゆるを治す。 ◎吐下して、汗出で、小便復利す、或いは下利清穀、裏寒外熱、脈微、絶せんと欲す、或いは発熱悪寒し、四肢拘急、手足厥するを治す。《雑病翼方》
#四逆加人参湯《傷寒論》 「甘草(炙)2両、附子1枚、乾姜1両半、人参1両」
◎悪寒、脉微而復利、利止、亡血也、四逆加人参湯主之。 「脉微」=脈はやっとかすかに触れる程度 「復利」=また下痢をする。
#四逆加人参湯《傷寒論》《漢方治療の実際》「四逆湯+人参2」
#四逆加人参湯《傷寒論》「附子、乾姜、人参、甘草」 ◎四逆散の証にして心下痞硬する者を治す《吉益東洞》 四逆加人参湯はその証具らざるなり。悪寒・脈微にして復利すろ。是れ四逆湯の主るところにして、人参の証を見ざるなり。此の方、人参を加ふること僅か1両と雖も、見証なければ則ち何そ以て之を加えん。是れ心下の病証を脱するや明らかなり。《薬徴》◎此方は亡血、亡津液を目的とす。《勿誤薬室方函口訣》
◎後世にては参附と一つかみに云えども、仲景、「陰虚」には附子を主とし、 「陽虚」には人参を主とす。後世にて云はば、人参は脾胃に入り脾元の気を温養し、附子は下元に入りて命門火の源を壮するとの相違あって、格別のものと心得べし。《勿誤薬室方函口訣》
◎四逆湯を応用すべき諸病にして、脱汗止み、舌色煤煙の如くにして湿潤し、薬汁、食餌共に咽を下利難く、心下痞鞕し、腹皮虚張する証《奥田謙蔵》
★適応症及び病名(四逆加人参湯) [1]陰症発斑:☆身冷え、脈無く、斑黒く、昏沈し、厥冷、人事を知らざる者、宜しく之を服すべし。[2]悪寒:☆悪寒し、脈微にして復た利し、飲食すること能はず、その人疲労して、必ず蜷臥する者は、四逆加人参湯之を主どる《医聖方格》[3]乾嘔:☆煩躁し、冷水を欲する者は「乾姜・炙甘草各1銭半、附子5銭、人参2銭半」を以て冷水中に投じて冷やし服用する。《雑病翼方》[4]霍乱:☆転筋肉し、冷汗出でて嘔呃する者を治す。《雑病翼方》
☆吐瀉の後、著しく水分を失へる証《奥田謙蔵》[5]吃逆:☆産後の吃逆は悪候なり。気門に灸し四逆加人参湯を服するによろし。《医療手引草》[5]出血:☆吐血・子宮出血・腸出血等が突然に起こって、しかもその量が多くて、
脈が緩弱または微弱であればこの方を用いる。ところが出血が多いのに、脈が滑数であったり、洪大であれば、予後は悪い。《大塚敬節》☆子宮よりの出血がひどくて、手足が厥冷し、冷汗が流れるものには、四逆湯または四逆加人参湯が良い。《後藤艮山》☆産後のひどい子宮出血《和田東郭》[6]冷や汗:☆傷寒の陰証、身涼しく、額上、手背に冷汗有るを治す《衛生宝鑑補遺》[7]めまい:☆脱血過多にして、眩暈を発し、或いは暈倒する等の証《奥田謙蔵》
#四君子湯[1-1]《和剤局方》「人参、白朮、茯苓、甘草」 「理中湯-乾姜+茯苓」 「理中湯」=「人参・白朮・甘草(炙)・乾姜」
◎栄衛気虚・臓腑虚弱・心腹脹満・全く食を思わず・腸鳴・泄瀉・嘔吐・噦逆するを治す。 ◎此方は気虚を主とす。故に一切脾胃の元気虚して諸症を見はす者、此方に加減斟酌して療すべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎気虚といえども、参附と組み合わせ用いる証とはよほど相違あり。◎此方は、ただ胃口に飲を蓄ふる故、胃中の陽気分布し難く、飲食これに因って進まず、胃口日々に塞がり、胸膈虚痞、痰嗽呑酸などを発するなり。
#四君子湯[1-2]《和剤局方》《中薬臨床応用》⇒「益気湯」「党参12g、白朮12g、茯苓12g、甘草(炙)6g」水煎服。◎脾胃気虚◎消化吸収機能低下◎身体衰弱
#四君子湯[1-3]《東醫寶鑑》「人参(去蘆)・白茯苓・白朮・炙甘草各1銭2分半」水煎服。 ◎真気の虚弱・気短・小心に。 #四君子湯[2-1]《和剤局方》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓各2銭、甘草(炙)1銭、生姜、大棗」水煎。◎脾胃虚弱、飲食少しく思い、或いは大便実せず、体痩せ、面黄、或いは胸膈虚痞し、痰嗽呑酸、或いは脾胃虚弱、しばしば溏痢を患う等の症を治す。《薛立斎》◎「+陳皮」=「異功散」◎此方は胃中の蓄飲を消導し、消化吸収の機能を促進せしめる能がある。全身栄養衰え、弛緩性体質、貧血し、疲労感強く、食欲不振、胃口塞って、心下に痞え、嘔吐、腹鳴、下痢などするものに用いる。人参湯は本方に寒の加わったものである。口訣集に「面目萎白」「言語軽微」「四肢無力」「脈来ること弱」等を目標とする。四味は中焦の気を補い、不偏、不倚、君子中和の徳があるとて四君子湯と名づけた。《漢方後世要方解説》
「人参」=寒温大いに元気を補い、脾胃を増す。君薬となす。「白朮」=苦温、脾を燥す(脾は湿を悪む)気を補う。臣薬。「茯苓」=甘淡、脾中の湿熱を滲す。佐薬とす。「甘草」=甘平にして使薬とす。
#四君子湯[2-2]《和剤局方》《龍野ー漢方処方集》「茯苓4.0g、白朮・人参各3.0g、甘草・大棗・生姜各2.0g」 #四君子湯[2-3]《漢方治療の実際》「人参・白朮・茯苓各4、甘草・生姜・大棗各1.5」
=「人参湯+茯苓大棗生姜-乾姜」《大塚敬節》◎胃腸無力、心腹脹満、食欲不振、腸鳴下痢、嘔吐吃逆する者。◎脾衰肺損、食欲不振、体痩面黄、皮膚にシワ多く抜け毛多き者。
◎《療治茶談》で、出血がひどくて、唇の色が白くなるほどに貧血している者には、陰を補う当帰・川芎・芍薬・地黄の入った四物湯のようなものを用いないで、陽を補う人参・茯苓・朮・甘草の入った四君子湯を用いるが良いと述べているのは、注目に値する。《大塚敬節》
★適応症及び病名 (四君子湯) [1]味がない[2]息切れ[3]胃アトニー[4]胃下垂[5]胃・十二指腸潰瘍: ☆《大塚敬節》“50歳あまりの男子で、2ヶ月ほど前から胃潰瘍の診断で治療を受けているが、いまだに少量ずつの出血が止まず、食欲もなく、次第に体力も衰え、歩行にも困難を感じるようになった。私が往診した時は、顔は青ざめ、下肢には浮腫が有り、舌は米粥を塗ったように白く、脈は遅弱で、1分間に52至という状態である。腹部は軟弱で陥没し、臍部で動悸をふれる。腹部には自発痛はないが、心下部にやや抵抗があり、軽い圧痛がある。大便は3日~4日に自然便があり、軟い。肉眼では、それとは見えないが、潜血を証明する。5月だというのに、足が冷たく湯たんぽを入れている。起きあがろうとすると、めまいがくる。こんな状態だから、私は胃ガンを疑った。そして予後を心配しながら、四君子湯を与えた。ところが、ころを飲み始めると、食欲が出る、浮腫が去る。元気が出る。出血もなくなる。そして2ヶ月後には外来として電車で1時間あまりのところから通院出来るようになった”[6]胃内停水[7]胃腸炎(急・慢性)[8]胃腸に力がない:☆(気虚による胃腸虚弱)☆諸病衰弱期、食欲不振、腹虚満、嘔吐など《矢数道明》☆胃弱でも、顔色赤い者。本方を服して上衝気味の者は不可《矢数道明》[9]遺尿:☆虚弱体質者、貧血、冷え症の者《矢数道明》[10]悪寒[11]嘔吐:☆辛熱の剤を服し、而して嘔吐噎膈する者、或いは耗気の剤を服し、大便燥結する者を治す:「+当帰・川芎」《薛立斎》
☆困倦無力で食べるとすぐ吐き、腹痛は軽い者:「+木香・縮砂・蓮肉・陳糯米」作末し砂糖水で調服。[12]顔色わるい:☆面色痿白、言語軽微、四肢無力、脈来ること弱なる者、此方をつかさどる《名医方考》☆《療治茶談》“四君子湯を用いる大事の口訣が1つある。唇の色に血色の少ない時は四君子湯の正面の証であると思うがよい。これは痔や下血の病人を診るときの口訣である。補中益気湯は手足倦怠の1つを目的にとり、四君子湯は面色の痿黄と唇の血色の少ないとの2つを目的にとっている。これが益気湯と四君子湯との区別である。益気湯でも顔色の痿 黄が全くない訳ではない。四君子湯でも手足の倦怠が全くない訳ではないけれども、ただ口訣は10に10はなれず、動かない証だけを目的にするのである。これはまた口訣を学ぶ1つの心得である。”《大塚敬節》[13]過敏性腸症候群[14]気力がない(気力減退)[15]口数が少ない[16]下血:☆悲傷して胞(子宮)絡(シバ)り、而して血が下崩(大量出血のこと)するを治す。:「+柴胡・梔子・升麻」《薛立斎》 ☆上下出血甚だしければ、此方を与うること勿れ《名医方考》[16]下痢<傾向> ☆軟便~水様便 ☆腹鳴下痢[17]元気がない[18]言語が不明瞭
[19]口渇:☆《陳念祖》曰く、一婦人有り、産後一年、口渇止まず。服薬効かず、予、「四君子湯麦門冬・烏梅・乾姜」蜜で弾子大の丸剤。それを口の中で溶かしながら服用させる。3日にして知り、10日にして全癒す。方中の妙は白朮の苦燥、乾姜の辛熱、に在り、所以に胃気を鼓舞してその水液を升すなり。《雑病翼方》☆《薛氏》曰く、弄舌、渇を作し、冷を畏れるは胃経の虚熱なり。四君子湯に宜し。《方読便覧》[20]口唇蒼白:☆諸出血唇色白き者《漢方後世要方解説》
[21]声に力がない(言語無力) [22]呼吸が浅い[23]産後の浮腫 [24]嗜臥[25]自汗[26]四肢が重だるい[27]痔出血(虚証):☆老人、虚人の甚だしい痔出血。《漢方後世要方解説》☆私は《療治茶談》の説を守って、痔出血が永く続いて、貧血し、動悸、息切れ、めまいを訴え、唇の色が白くなっている者に四君子湯を用いたが効無く、四物湯と苓桂朮甘湯との合方である聯珠飲を用いて著効を得たことがある。しかしまた四物湯を用いて止まらない痔出血に四君子湯+黄蓍白扁豆を用いて効をとることがある。陰陽虚実の鑑別は微妙であり、判断に迷うことがある。《大塚敬節》☆方考に曰く、年高く気弱く、痔血止まざる者、此方之を主る。誤って痔を攻めるの薬を服し、血大いに下って虚脱する者もまた之を主る。《積山遺言》[28]痔瘻:
☆肛門潰爛して膿血を出す者:「+黄蓍・槐角」 exM氏痔を患う多年、肛門潰爛し、時に膿血を出し、臭比なし。面色萎黄、肢体倦怠、諸薬無効なり。四君子湯+黄蓍+槐角を以て100余剤与え服し、全く癒える。《方読便覧》
☆肛門潰爛して痛ある者:「+黄蓍建中湯白扁豆・縮砂・人参」☆腸風下血、腸胃中に水飲ある者:「+黄蓍・白扁豆」[29]小便淋瀝:☆冷淋にて諸薬の効かざる者:「猪苓・沢瀉・木通」《寿世保元》[29]小児の疾患: ☆嘔吐 ☆小児の五軟 ☆消化不良 ☆吐乳
☆小児のはしか ☆小児の発熱☆面色萎黄、眼胞微腫し、渇を作して飲食少しく思い、腹中に一塊ありて或いは移動し、小便澄白、大便実せざるを治す:「+梔子・蕪蔞仁肥児丸」《古今方彙》[35]上腹部振水音[36]食後、眠くなる[37]食欲不振:☆火逆して上を衝き食入るを得ざる者を治す:「+山梔子・黄連」《薛立斎》☆脾胃虚弱(消化力が弱い)、飲食進み難きを第一の標的として用ゆるべし 《和田東郭》☆食欲がない。食べると胃にもたれる。腹にも脈にも力がない。血色もすぐれない。手足が冷え、言語にも力が入らない。吐いたり下痢したりすることもある。こんな場合に用いる《大塚敬節》☆生後3ヶ月の男児。2週間ほど前から乳を呑まなくなり、だんだん痩せてくるという。小児科の先生はどこも悪いところはないというが、このままでは心配だからといって診を乞うた。
腹診すると、乳児の腹にしては小さく、ことに臍下は陥没して力がない。下痢も嘔吐も無いが、私はこれに四君子湯を与えた。これをサジ(匙)にすくって、少しずつ呑ましたが、喜んで呑むと言う。2、3日たつと食欲が出たのか、乳をぐんぐん呑むようになった。《大塚敬節》[38]心悸亢進[39]頭頂部が軟らかく、弾力がない
[40]舌質<淡白><胖大>[41]舌苔<微白苔><湿潤>[42]全身の無力感:☆面色痿白、言語軽微、四肢無力、脉来たること虚弱の者は此方主どる《医方考》[43]手足がふにゃふにゃ(手足痿弱)☆手足痿弱は脾胃の元気が衰えたため《矢数道明》
[44]疲れやすい[45]低タンパク血症 [46]糖尿病:☆糖尿で疲労倦怠する。 ☆病気が進行して、衰弱が甚だしく、食欲もなく、貧血し、下肢に浮腫がみられ、脈も微弱となった者に用いる(漢方診療医典)[47]吐血:(陰虚火動による)“《名医方考》に、上も下も出血がひどければ四物湯を与えてはならないと述べている。四君子湯は春と夏のようなものである。天地の間で万物を生ずるは春と夏である。また万物を枯らすのは秋と冬である。これは天地陰陽の常道である。諸種の出血で、唇の色を診て痿白ならば四君子湯を用いるがよい”[48]夏バテ[49]脳血管障害後の養生に使用する。[50]はしか[51]半身不随:☆なかなか治らず衰弱を来す者《矢数道明》[52]脾胃気虚[53]冷え症:[54]疲労倦怠:☆糖尿病で疲れる者。☆病中・病後のつかれ・だるさ[55]貧血:☆出血で唇の色がないほど貧血した者《矢数道明》
☆気力が衰微に、地黄・当帰・川芎・芍薬などの入った補血剤を用いることが出来ない者に用いる《大塚敬節》☆この方は胃腸の機能を盛んにして、消化力を助けて気力を益す効があるので、胃潰瘍・胃ガンなどで、気力が衰えて、貧血の甚だしくなっている者に用いる機会がある。《大塚敬節》
[56]腹部軟弱[57]腹鳴[58]浮腫<軽度>☆15歳の少女。平素から身体が弱く顔色も悪い。痩せている。発病は1ヶ月前で、時々負うとがあり、食が進まず、疲れて元気がない。脈は微弱で、手足が冷える。心下部に振水音を証明する。大便は1日1行。
異常の所見から「人参湯」を与えることにした。2、3日飲むと嘔吐が止み、食が進むようになった。ところが5日目頃から全身に浮腫が現れ、眠れなくなった。そこで、人参湯中の乾姜を生姜に代え、これに茯苓を加えた。すなわち四君子湯の意である。これを数日飲むと、1日10数回の排尿があり、浮腫が去り、以上の症状はすっかり消え去った。《大塚敬節》[59]慢性下痢:[60]味覚低下[61]無気力[62]めまい(目眩)
☆肥った人:「+倍蜜・黄蓍(炙)・半夏・陳皮・川芎・荊芥」 [63]痩せて顔色が悪い[64]横になりたい #四香散《東醫寶鑑》「木香・沈香・乳香・甘草各2銭半、川芎・胡椒・陳皮・人参・白礬各5銭、桂心・乾姜・縮砂・茴香各1両、大茄焙5両」細末にし毎回2銭を陳米飲で調下する。◎脾気・血気・血蠱・気蠱・水蠱・石蠱で腫脹の激しい者を治す。
#四合湯《東醫寶鑑》「陳皮・半夏各1銭半、厚朴・枳穀・赤茯苓・紫蘇葉・香附子・欝金各7分、甘草5分、生姜5片」水煎服。◎痰積・気滞・腹痛。 四子調中湯[1]《万病回春》《東醫寶鑑》 「半夏2銭、桃仁1銭半、香附子・枳実・括蔞仁・蘇子(炒)・白芥子(炒)各1 銭、黄連・姜汁(炒7分)・青皮・沈香・白茯苓・木通・芒硝各5分」剉作 し、1貼を水煎し芒硝を入れ、空腹時に服用。
◎反胃による痰。大小便とも難渋の者。
#四子調中湯[2]《万病回春》《古今方彙》「青皮・陳皮・沈香・芒硝各5分、枳実・香附子・括楼仁・茯苓・木通各1銭、半夏1銭、黄連(姜)7分、紫蘇子・桃仁・白芥子各1銭半、生姜」水煎し稍熱し服用。
◎反胃にて小便赤く、大便閉じ及び痰気壅盛の者を治す。 #四汁飲《中薬臨床応用》「西瓜汁・梨汁・鮮地黄汁・蔗汁」適量混和して飲用。 ◎暑熱による脱水。
#四生飲《婦人大全良方》「側柏葉、生地黄、荷葉、葉」 #四生丸[1-1]《和剤局方》 「生地黄・生荷葉・生艾葉・生側柏葉」各等分。◎衂血・吐血に。
#四生丸[1-2]《東醫寶鑑》「生荷葉・生艾葉・生側柏葉・生地黄葉」各等分に搗いて卵大の丸剤。1丸づつ水1杯で呑む。◎衂血・吐血。 四生丸[1-3]《婦人大全良方》《中薬臨床応用》「側柏葉(生)9g、葉(生)9g、荷葉(生)9g、生地黄9g」水煎服。◎熱証の内出血◎鮮紅色の出血、口乾、咽燥、脈弦数。◎止血後は服用をやめ、長期間服用すべきでない。
#四生丸[2]《東醫寶鑑》「黒丑頭末・大黄・皀角各2両、朴硝5銭」を作末し、水で梧子大の丸剤。白湯で30丸呑む。◎一切の積熱を治す。 #四生散《東醫寶鑑》白・黄蓍・独活・白附子」各等分に作末し、毎回2銭を薄荷酒で調下する。
◎腎臓風による脚の瘡癬。耳鳴り。 #四将軍飲《東醫寶鑑》「附子(炮)1両、訶子(煨って核を去る)4個、陳皮4個、炙甘草4分」を1貼づつ分作し、毎貼に姜・棗各7枚を入れ、水煎服。
◎諸瘧により人事不省の者。 #四獣飲《東醫寶鑑》「人参・白朮・白茯苓・陳皮・半夏・草果・甘草・烏梅・生姜・大棗各1銭を剉作し、1貼に塩少々入れて混ぜ、皮紙で薬をくるんで水に漬け弱火で焼いて熱くなったら取り出し、水煎服。◎七情の聚痰。五臓の気虚による瘧。
#四獣飲湯《易簡方》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓・橘紅・半夏・草果・烏梅・甘草各等分、生姜、大棗」水煎。 ◎五臓の気虚し、しばしば怒りを節せず、陰陽相勝を致し、結聚、涎飲、衛気と相搏ち、発して瘧疾となるを治す。びに諸瘧を治す。
#四獣補中益気湯《寿世保元》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓・橘紅・半夏・草果・烏梅・甘草各等分、生姜、大棗」水煎。 ◎五臓の気虚し、しばしば怒りを節せず、陰陽相勝を致し、結聚、涎飲、衛気と相搏ち、発して瘧疾となるを治す。
◎ならびに諸瘧を治す。 #四汁膏《東醫寶鑑》「雪梨汁・藕汁・生蘿葡汁・生薄荷汁を等分に糖屑を入れて混ぜ、とろ火で焼いて膏を作り、1匙づつ食べる。
◎咳を止め、痰をなくす。 #四順飲《張氏医通》 「当帰、芍薬、大黄、甘草」各等分。(一名:清涼飲子《和剤局方》)◎血熱、便秘、脈実なるものを治す。◎此方は血熱ありて便秘する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎老人血燥の便秘、痔家湿熱の便秘によく応じるなり。◎腸胃燥熱、下血する者を治す:「地黄」
#四順清涼飲[1-1]《外科正宗》《古今方彙》「連翹・赤芍薬・羗活・防風・当帰・山梔子・甘草各1銭、大黄2銭、燈心草」水煎。 ◎湯発(熱湯による火傷)、火焼にて熱極まり毒逼りて裏に入り或いは涼水を汲む所を被りて火毒内攻し、煩躁を致生し、内熱口乾し、大便秘実する者を治す。
#四順清涼飲[1-2]《外科正宗》《漢方治療の実際》「連翹4、芍薬・防風各3、羗活2、当帰5、梔子・甘草・大黄各1.5」 #四順清涼飲[1-3]《外科正宗》
「連翹・芍薬・羗活・防風・当帰・梔子・甘草各1匁、大黄2匁」◎湯が飛びはね、火焼、熱極逼し、毒裏に入り、或いは外、凉水の汲む所を被り、毒内攻し、煩躁を生ずるを致し、内熱口乾、大便泌実する者を治す。
◎此方は、湯火傷の内攻して、実熱ありて煩躁、便秘する者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名(四順清涼飲) ■カミナリに感電:☆夏の日、2人の者が連れだって歩いていた。途中で雷雨にあってので、走って帰ろうとしたところ、稲妻を見ると、その場に卒倒してしまった。しばらくたって、小便が出そうになって、眼がさめたところ、腰が抜けて立てない。耳も聞こえない。体中が杖で殴られたように痛い。そこで、はじめて、カミナリに打たれたことを知り、友達を呼んだところ、地に伏したままで返事がない。よく見ると、毛髪が焼け縮れて死んでいた。そこで大変驚き、人に頼んで、駕籠で帰って治を予に乞うた。診てみるに、脈が浮緊で、悪寒、発熱し、胸で動悸がして安眠が出来ない。舌に白苔があて、のどが渇く、雷は右のこめかみのあたりを打って、胸脇から下腹に抜け、肛門と陰嚢の間を通り、左の股から委中穴の通りを下り、踵まで、焦げて黒色に変じ、惞熱腫痛(炎症があって腫れて痛む)を起こし、頭髪、陰毛ともに焦げて縮まり、火焼とちっとも違わない。うたれた通りは、着物も股引きもタテに裂けていた。翌日になると、焼けた後が全部水疱になり、皮膚が脱落し膿が流れるようになった。しかし日を経るに従って、痛みも減じ、熱もとれて思ったより速く治った。治療は最初から四順清涼飲を用い、中黄膏、白雲膏を塗った。《有持桂里》
■火傷(やけど):☆たいていは「桂枝加竜骨牡蛎湯」及び「救逆湯」にて宜しけれども、実熱の症には四順清涼飲《外科正宗》適当とす。《勿誤薬室方函口訣》☆湯火傷は、救逆湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、四順清涼飲の3方ですむものである。証に随って撰用するのがよい。そのうち、動悸もあり、物に驚きやすい状があれば、救逆湯、柴胡加竜骨牡蛎湯の方を用い、それらの状のない時は清涼飲を用い、外から胡瓜の汁を塗るとよい。救逆湯、柴胡加竜骨牡蛎湯の2方は、火傷、湯發、或いは灸にあてられた者にも用いる。そのうち柴胡加竜骨牡蛎湯は胸脇にかかる気味がある。さて救逆湯の方論には、火逆に用いてあるけれども、いま試みてみるに、柴胡加竜骨牡蛎湯の方がよく効くものである。それ故に湯火傷の類には、たいていは柴胡加竜骨牡蛎湯を用いる。
また灸に当てられて、ひどい場合は、発熱、悪寒、喘急して横に臥することの出来ないほどのこともある。それらにも皆柴胡加竜骨牡蛎湯がよい。清涼飲も良く効く方である。熱湯を頭からかぶって、熱が激しく出た後で、痛みの出るものなどにはこの方がよい。《有持桂里》■痔瘻:☆痔瘻を治し、腫疼を消す。《聖済総録》
#四順清凉飲[2]《東醫寶鑑》 =「清凉飲子」「大黄(蒸)・当帰・炙甘草・赤芍各1銭2分半・薄荷10葉」水煎服。◎血熱を治す。
#四順湯《備急千金要方》「四逆加人参湯《傷寒論》」に同じ。◎霍乱:転筋肉し、冷汗出でて嘔呃する者を治す。《雑病翼方》 #四順湯《聖済総録》 「貝母・桔梗・紫菀各1両、甘草半両」右4味、或いは咳嗽甚だしきは「+杏仁」《勿誤薬室方函口訣》◎肺癰、膿を吐し、五心煩熱、壅悶、咳嗽するを治す。◎此方は肺癰、咳嗽に効あり。◎主治の如く五心煩熱、壅悶する者:「+葦茎湯」《勿誤薬室方函口訣》◎此方は肺癰のみならず、咳嗽声唖の者に用いて効あり。
#四順理中丸(一名四順元)《東醫寶鑑》「理中湯の甘草を倍増し作末して、梧子大の蜜丸。」 #四順理中湯(一名四順湯)《東醫寶鑑》「理中湯の甘草を倍にして使う。」
◎腹痛・自利を治す。
#四神丸[1-1]《証治準縄》 「破故紙 五味子 肉豆蔲 呉茱萸 大棗 生姜」 ◎脾腎虚寒し、五更泄瀉。
#四神丸[1-2]《東醫寶鑑》「破故紙(酒浸炒)4両、肉豆蔲(煨)・五味子(炒)各2両、呉茱萸(炮) 1両、生姜8両、大棗100枚」を一緒に煮て、姜を去り大棗を取って梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で30~50丸飲む。
◎脾腎虚の泄痢。晨泄の長くなる者。 #四神丸[1-3]《内科摘要》《中薬臨床応用》「補骨脂120g、五味子90g、肉豆蔲60g、呉茱萸30g、生姜120g、大棗80g」丸剤にし毎回6~9g、湯で服用。◎五更瀉◎腎陽虚による慢性下痢◎腸結核◎慢性結腸炎
#四神丸[2]《東醫寶鑑》「呉茱萸(半分は酒浸・半分は醋浸し焙乾)・畢澄茄・青木香各5銭、香附子(大)1両を作末、糊で梧子大の丸剤。塩湯で70~80丸呑む。◎冷疝の腰痛。
#四神丸[3]《東醫寶鑑》「香附米8両を酒・醋・塩水・童便にそれぞれ浸して、2両だけ3日たったらすくい出して炒り、蒼朮4両を水浸し、牡蛎粉(炒)・縮砂(炒)・樗根白皮(蜜水炒)各2両」作末し、黄米飯で梧子大の丸剤。50~70丸酒で飲む。
◎白帯を治す。 #四神散[1]《霊苑》 「当帰、芍薬、川芎、乾姜」◎血気、心腹刺痛、及び産後、瘀血消せず、積聚散せず、塊を作し腹中切痛する者を治す。《雑病翼方》◎按ずるに産婦は中気多く虚、行血し能わず、血ここに凝滞して腹痛を為す者、此湯最も効あり。
#四神散[2]《東醫寶鑑》「甘菊・当帰・旋覆花・荊芥穂各7分」作末し、毎回2銭を葱白3寸・茶末1銭を煎じた水で調服する。◎婦人の血風眩暈・頭痛を治す。
#四神丹《東醫寶鑑》「雄黄・雌黄・硫黄・朱砂各1両を細末にして磁器のなかに入れ、塩泥で固く封をし、弱火で1~2時間、再び細末にし糯米糊で豆粒大の丸剤。毎回1丸、空腹時に呑む。
◎陽気が衰え、精髄が傷耗した者。 #四製香附丸《東醫寶鑑》「香附米1斤を四製に分け、1つは塩水に姜汁を加えて煎じ少し炒って降痰し、もう1つは米醋に漬けて煎じて少し炒って補血し、1つは山梔仁4両と同時に炒って梔子は捨て欝を晴らし、1つは童便で洗って炒らず降火する。以上4つの材料を作末し、再び川芎・当帰各2両を同時に作末して酒麺糊で梧子大の丸剤。毎回50~70丸飲む。◎月経の不調を治し、経脈を調和させる。
#四製蒼柏丸《東醫寶鑑》「黄柏2斤を乳汁・童便・米泔に浸したもの8両、酥炙したもの8両を各13 回浸炙し、蒼朮8両を川椒・破故紙・五味子・川芎・でそれぞれ炒って、2両づつにし、炒薬は捨て、黄柏と蒼朮だけを取って作末し、梧子大の蜜丸。朝は酒・昼は茶・夜は白湯で30~50丸呑む。
◎湿熱で脚膝が痿弱した者。 #四製白朮散《東醫寶鑑》「白朮4両を切って4包をつくり、黄蓍・石斛・牡蛎・小麦麩各2両を一緒に炒って、白朮が黄色になったら、白朮だけ取り出し、作末し毎回3銭を、栗飲で調服。
◎盗汗を治す。
#四聖丸《東醫寶鑑》「全蝎(炒)1両、胡椒・木香・青皮(去白)各2銭半」を作末し、飯で梧子大の丸剤。姜橘湯で5~7丸呑む。◎小児の心腹が虚脹した。
#四柱散《東醫寶鑑》「木香・白茯苓・人参・附子(炮)各1銭2分半、生姜3、大棗2、塩少々」水煎服。 ◎臓が冷え、腹痛・下痢・耳鳴りする者。 #四白丹《東醫寶鑑》「甜竹葉3両、白芷1両、白朮・縮砂・白茯苓・香附子・防風・川芎・人参・甘草各5銭、羗活・独活・薄荷各2銭、細辛・知母・各2銭、藿香・白檀各1銭半、竜脳・牛黄各半銭、麝香1字」作末し1両を10丸に蜜丸。就寝時に1丸を細嚼して、愈風湯で送下。◎中風の昏冒。◎肺気をきれいにし魄魂を調養する。
#四七湯《和剤局方》 「半夏厚朴湯《金匱要略》に同じ。」 「紫蘇葉2両、厚朴3両、茯苓4両、半夏5両」 上を㕮咀咀して毎服4銭、水1半、生姜7片、大棗1個、煎じて6分に至り、滓を去り熱服す。時候に拘わらず。
◎喜・怒・悲・思・憂・恐・驚の気、結びて痰涎と成るを治す。状は破絮(はじよ)(古綿)の如く、或いは梅核の如く、咽喉の間に有り、喀(は)けども出ず、咽(の)めども下らず、これ七気の為す所なり。或いは中痞満、気は舒快せず、或いは痰涎壅盛、上気喘急、或いは痰飲中結に因りて、嘔逆悪心、並に宜しく之を服すべし
#四七湯《易簡方論》《勿誤薬室方函》「半夏厚朴湯《金匱要略》に同じ。」 ◎七気鬱滞して、病となる者を治して極めて効あり。◎妊娠3ヶ月、悪阻病気となり、鬱・瘡を生ずるを治す。◎七情気鬱、呼吸気促、而して痰声無き者を治す。《医学入門》
#四七 湯《易簡方論》《古今方彙》 「半夏5銭、茯苓4銭、紫蘇葉2銭、厚朴3銭、生姜、大棗」煎服。◎七情の気結んで痰涎をなし、状は破絮の如く、或いは梅核の如く、咽喉の間に在り、喀けども出でず、嚥めども下らず、此れ七気のなす所なり。或いは中脘痞満、気は舒快せず、或いは痰涎壅盛、上気喘急、或いは痰飲により嘔逆悪心するを治す。
#四七湯《証治準縄》《勿誤薬室方函》「半夏厚朴湯《金匱要略》に同じ。◎咽喉中に痰涎あり、上気喘逆する者を治す。 #四七湯《瑞竹堂経験方》 「半夏厚朴湯《金匱要略》甘草・香附子・琥珀」◎婦人、小便不順し、甚だしきは陰戸疼痛するを治す。
#四七湯《東醫寶鑑》「半夏(製)2銭、赤茯苓1銭6分、厚朴(製)1銭2分、紫蘇葉8分、生姜7斤、大棗2枚」煎服。 ◎七気が凝結して、痰が古綿又は梅核みたいになって、吐いても吐けず、飲み込んでも飲めず、胸膈が痰涎でふさがった者。
#四磨飲《厳氏済生方》 「人参 檳榔 沈香 烏薬」 ◎七情傷寒・上気喘息・胸腹満痛。 #四磨湯[1-1]《厳氏済生方》《東醫寶鑑》「人参・檳榔・沈香・烏薬」等分に水でよく洗って1杯の7分ぐらい取って3~5回煎じて、温服。「沈香四磨湯木香人参」◎七情が欝結し上気・喘急する者。◎七情傷寒、上気喘息、妨悶し、食せざるを治す。《脚気提要》
#四磨湯[1-2]《東醫寶鑑》「檳榔・沈香・木香・烏薬」各等分。それぞれ水洗し、3~5回煎じ、空腹時に温服。◎《古今方彙》には、食後に服用。
◎気滞と便秘。 #四味茴香散《東醫寶鑑》「烏薬(酒浸の一夜焙ったもの)・茴香・青皮各1両」を作末し毎回2銭半を、発作の起きたとき熱酒で調下する。
◎陰嚢・陰茎の痛みの激しいとき。俗に小腸気を治す。
#四味烏沈湯《医学入門》《古今方彙》「烏薬・香附子・砂仁・沈香各等分、生姜」煎服。◎心脾刺痛するを治す。 #四味藿香湯《東醫寶鑑》「藿香・人参・橘皮・半夏各2銭、生姜3片」水煎服。
◎胃虚・嘔吐で粥・薬を受け付けない者。 #四味茱連湯《東醫寶鑑》「半夏1両、陳皮5銭、黄連1両、呉茱萸1銭、桃仁24粒」を作末し、神麹糊で緑豆大の丸剤。姜湯で100丸呑む。
◎痰火が瘀血を帯びて呑酸になる者。 四味湯《東醫寶鑑》 「当帰・延胡索・血竭・没薬各1銭を作末し、童便で煎服。 ◎産後の血暈を治す。
四味人参湯《保命大全》 「乾姜黄連黄芩人参湯《傷寒論》」に同じ。 ◎傷寒脈遅、胃冷嘔吐するを治す 四味腸癰湯《済世薬室》 腸癰湯《集験方》に同じ。
四妙枳穀丸《東醫寶鑑》 「枳穀を米をといた水に漬け、中身は捨て切って4両を4つに分け、1分は 蒼朮と水で煎じ乾燥して炒り、黄色くなったら蒼朮を捨て、1分は蘿葡子1 両と水で煎じ、前述と同様に蘿葡子を捨て、1分は茴香、1分は乾漆を前 述と同様処理する。別に香附子(醋浸炒)2両、三稜・莪朮各2両を童便に 漬けて一晩おき、次に日皮を剥いて巴豆30粒と煎じて乾燥して炒り、黄 色くなったら巴豆は捨て、作末して前に炒った蒼朮・蘿葡子・茴香・乾漆 を煎じて汁を取り、好醋1椀と煎じ、麺糊で梧子大の丸剤。米飲で70~90 丸呑む。 ◎気血がたまり、脹満・積聚を治す。
四妙固真丹《東醫寶鑑》 「蒼朮1片を切って四分し、1つは茴香・青塩各1両と同じく炒って、2つ めは川椒・破故紙各1両と炒り、又1つは薬酒醋で炒るが、朮が黄色にな るまでにして朮だけを取って末にし、薬酒醋で糊梧子大の丸剤。空腹時に 30~50丸呑む。男子は酒で女子は醋で飲む。 ◎遺精・白濁・五淋・七疝・婦人の崩帯。
四妙散《東醫寶鑑》 「威霊仙(酒蒸)5銭、羊角灰・蒼耳子各1銭半、白芥子1銭」を作末し、 毎回1銭を姜湯で送下する。 <別法>蒼耳子を蒼朮に代える。 ◎痛風が走注する者。
四妙川練丸《東醫寶鑑》 「川練肉1斤を4分して、1分は麩1合・斑猫49枚と炒り、1分は麩1合・ 巴戟1両と炒り、1分は麩1合・巴豆49枚と炒り、1分は塩1合・茴香と 炒り、麩が黄色になったら、同時に炒った薬は捨て、川練肉に再び木香・ 破故紙(炒)各1両を加えて作末し、酒糊で梧子大の丸剤。塩湯で1日3回 服用。
◎疝気・腫痛。 四妙勇安湯《験方新編》《中薬臨床応用》 「玄参90g、当帰60g、金銀花90g、甘草30g」水煎し3回に分服。 下痢などの副作用が出るときは、黄蓍、白朮を加える。 ◎血栓性動脈炎 ◎チアノーゼ
四明飲《万病回春》《古今方彙》 「大黄、葛花、沢瀉、石決明」水煎。 ◎外障(眼瞼結膜、涙器、眼球結膜、角膜等の眼病をさす)及び ◎一切の眼目腫痛、翳障するを治す。
四物安神湯《東醫寶鑑》 「当帰・白芍・生地黄・熟地黄・人参・白朮・茯神・酸棗仁(炒)・黄連(炒) ・山梔子(炒)・麦門冬・竹茹各7分、辰砂(細末)5分、大棗2枚、炒米 一握り、烏梅1個」水煎し、辰砂を少し混ぜて飲む。
◎怔忡・跳動を治す。 四物安神湯《万病回春》《古今方彙》 「当帰、白芍薬(酒)、生地黄、熟地黄、人参、白朮、茯神、酸棗仁、黄連(姜)、 山梔子、麦門冬、竹茹、烏梅1個、辰砂(服するの臨み入れる)、大棗、炒 米」水煎。
◎心中に血養無く、故に怔忡を作すを治す。 四物五子元《東醫寶鑑》 「当帰・白芍・川芎・熟地黄・枸杞子・覆盆子・地膚子・兎絲子・車前子各 等分」作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に塩湯で50~70丸呑む。
◎眼昏を治す。 四物調経湯 四物湯合猪苓湯《漢方治療の実際》 「当帰・川芎・芍薬・地黄各3、猪苓・茯苓・沢瀉・滑石・阿膠各4」 四物湯[1-1]《和剤局方》《古今方彙》 「白芍薬2銭、川芎1銭半、当帰・熟地黄各2銭」水煎。 ◎肝腎の血が虚して発熱し、或いは寒熱往来し、或いは日発熱し、頭目清から ず、或いは煩躁して寝られず、胸膈脹を作し、脇痛を作すを治す《薛立斎》
四物湯[1-2]《和剤局方》《中薬臨床応用》 「熟地黄12g、当帰12g、白芍薬9g、川芎5g」水煎服。 ◎補血の力を増強するときは、熟地黄、当帰を増量し、 ◎活血の効能を強めるときは、当帰、川芎を増量する。 ◎血虚に。
四物湯[1-3]《東醫寶鑑》 「熟地黄・白芍・川芎・当帰各1銭2分半」水煎服。 ◎血病に。 四物湯[1-4]《和剤局方》《古今方彙》「当帰(酒炒)、川芎、白芍薬(酒)、熟地黄(酒蒸)」各等分。水煎。◎一切血虚及び婦人経病を治す。◎栄衛を調益し、気血を滋養して、衝任虚損し、月水調わず、臍腹㽲痛し、妊娠宿冷、将理(てあて)宜しきを失し、胎動不安、血下りて止まず、及び産後虚に乗じ、風寒内を搏ち、悪露下らず、瘕聚を結生し、少腹堅痛し、時に寒熱を作すを治す。《婦人門》
◎経水①:将に来らんとして痛みを作す者は血実、気滞なり。或いは心腹腰に連なりて痛みを作すには[乾地黄]を用い、「+黄連・香附子・桃仁・紅花・延胡索・牡丹皮・莪朮・青皮」を用いる。《済世全書》
◎経水②:期を過ぎて来らず痛みを作す者は血虚にして寒あり。:「+桃仁・紅花・香附子・肉桂・莪朮・蘇木・木通・甘草」◎経水③:期に先んじて来る者は血虚にして熱あり、[乾地黄]を用い、「黄芩・香附子・黄連・阿膠・艾葉・黄柏・知母・甘草」◎経水④:期を過ぎて来り、紫黒にして塊をなす者は気鬱、血滞なり、[生地黄]を用い、「+桃仁・紅花・牡丹皮・青皮・香附子・延胡索・甘草」
◎経水⑤:去ること多くして久しく止まず、腫満を発する者は是れ脾経の血虚なり。 「+白朮・茯苓・砂仁・大腹皮・木香・陳皮・厚朴・紫蘇子・猪苓・木通・香附子・延胡索・牛膝・甘草」◎経水⑥:月久しく行らず、腫を発する者は是れ瘀血が脾経に滲入するなり。「-地黄、+桃仁・紅花・牡丹皮・乾姜・肉桂・厚朴・枳殻・木香・香附子・牛膝・延胡索」
◎経水⑦:期に先んじて至り、血は紫にして塊あり、腰腹痛み、手足は冷えて痺れ、口乾頭眩するには[生地黄]を用い、「+黄芩・荊芥・香附子・小茴香・延胡索・続断・杜仲・地楡・甘草」◎経水⑧:行りて後に痛みを作す者は気血の虚なり、「+四君子湯乾姜」◎経水⑨:期を過ごして来たり、色淡き者は痰多きなり。「+陳皮・半夏・茯苓・甘草・生姜」◎経水⑩:適適来たり、適適断つ、或いは寒熱往来するには、先づ「小柴胡湯」を服して後に、此湯を用いる。
◎経水⑪:肥白の人、期を過ごす者は是れ痰なり、「二陳湯」を用い、「+天南星・蒼朮・滑石・川芎・当帰・香附子」 ◎経水⑫:過多にして久しく止まざる者は血崩(子宮出血の甚だしいもの)となる。[生地黄]を用い、「+白朮・黄芩・阿膠・茯苓・山梔子・地楡・荊芥・香附子・甘草」◎経水⑬:過多なるには、「+黄芩・白朮」◎経水⑭:渋少なるには、「+葵花・紅花」
◎経を錯(みだ)して口鼻に妄行する者は是れ火が血を載せ気が上がるの乱なり。[生地黄]を用い、「+黄芩・梔子・牡丹皮・犀角・茯苓・麦門冬・陳皮」
◎妊娠、胎動不安、下血止まざるには、「+艾葉・阿膠・黄芩」
◎産後血痢にて腹痛するには、「+槐花・黄連・罌栗殻」◎産後悪露通ぜざるには、「+桃仁・蘇木・牛膝」◎血臓(子宮)虚冷し、崩中(子宮の不正出血のこと)にて血を去ること過多なるには、「+阿膠・艾葉」
◎血崩には、「+生地黄・蒲黄」or「+阿膠・艾葉・黄芩」◎赤白帯下には、「+香附子・白芷」
◎血痢には、「+阿膠・黄連」◎中湿にて身重くして無力、身涼しく微汗あるには、「+白朮・茯苓」
◎筋骨肢節疼み、及び頭疼み憎寒するには、「+羗活・防風・藁本・細辛」◎臍中虚冷し、腹疼み、腰背の間痛むには、「+延胡索・川楝子」
◎血熱相搏ち、舌乾き口渇きには、「+括楼根・麦門冬」◎腑臓秘渋するには、「+大黄・桃仁」◎虚損にて不眠には、「+竹葉・酸棗仁」
◎目暴(にわか)に赤く翳(かげ)りを作して疼むには、「+羗活・防風・防已・竜胆」 ◎熱に因りて風を生じるには、「+川芎・柴胡」 四物湯《漢方治療の実際》
「当帰・川芎・芍薬・地黄各3」 四物湯[1-5]《和剤局方》 「芎帰湯《備急千金要方》+白芍薬・熟地黄」 「芎帰湯」=「川芎・当帰」
◎栄衛を調益し、気血を滋養し、衝任虚損、月水不調を治す。◎此方は血道を滑かにするの手段なり。《勿誤薬室方函口訣》◎それ故、血虚は勿論、瘀血、血塊の類、臍腹に滞積して、種々の害を為す者に用ゆるれば、たとえば戸障子の開閉にきしむ者に上下の溝へ油を塗る如く、活血して通利すを付くるり。一概に血虚を補う者とするは非なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎《和田東郭》の説に、任脈動悸を発し、水分穴にあたりて動築最も劇しき者は、肝虚の症に疑い無し、肝虚すれば腎も倶に虚して、男女に限らず必ず此処の動築劇しくなる者なり、是即ち「地黄」を用いゆる標的とす。世医多く此の標的を知らず、妄りに地黄を用いる、故に効を得ずと。亦以て此方の要訣とすべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎《女科百病問答補遺》に云う、婦人多く血に病み、而して七情六淫の邪、ひとたび血と搏つに遇えば、即ち病、変証多端、亦識るの易からず、その人、痴の如く、狂の如く、或いは大便黒く、或いは痛所有り、脈渋、数、弦、結、牢、沈、革、伏なり。皆瘀血の証なり。凡そ一証を見わせば即ち血の治を以てす。 《雑病翼方》◎四物湯は一慨に云うときは肝を緩むる剤と心得ふべし。しかし、四物のみにては霊活なし。膠艾湯を始め、後世に至り種々加減して用いる処に妙用あり。《勿誤堂一夕話》
◎此方は金匱芎帰膠艾湯の変方であって、即ち同方より阿膠、艾葉、甘草を去ったものである。本方は婦人の聖薬とせられ、貧血を補い、血行をよくし、陳旧瘀血を去り、血熱を冷まして所謂婦人血の道と称する神経症状を鎮静する能がある。転じて妊娠、産後、月経異常等広く婦人科疾患に応用される。この方は《勿誤薬室方函口訣》にいう如く、血道を滑らかにし、戸障子の開閉に溝に油を塗る如く活血して通利をたすける意味がある。《漢方後世要方解説》
*「当帰」=辛苦甘温は心脾に入りて血を生ず。君薬となす。*「地黄」=心腎に入りて血を滋す。臣薬となす。*「芍薬」=酸寒は肝脾に入りて、陰を斂めて佐薬となす。*「川芎」=辛温は肝心包に入りて、血をめぐらし、使薬となす。
★適応症及び病名(四物湯) [1]足(脚)の腫痛[2]遺精[3]陰戸がはれる:☆陰戸腫痛するを治す:「+山梔子・牡丹皮・柴胡・竜胆」《薛立斎》[4]運動麻痺:☆手足屈伸すべからざる者:「+萆薢・桂枝」《方読便覧》☆腫気残りて麻痺疼痛する:「+蒼朮・木瓜・薏苡仁」《勿誤薬室方函口訣》☆血虚して中風で右手足が不仁する:「+釣藤鈎・竹瀝・姜汁」《薛立斎》[5]栄養失調
☆顔色が悪い[6]かかとが痛い:☆足跟痛は痰有り、血熱有り。血熱は「+黄柏、知母、牛膝」☆脚跟痛で血熱に依る者:「+黄柏、知母、牛膝」《万病回春》[7]過少月経[8]過短月経[9]下肢の運動麻痺
[10]下腹部堅痛[11]脚気:☆動悸甚だしき者、四物湯或いは効あり。蓋し水分の動を以て標準と為す《和田東郭》☆諸瘍内攻及び脚気上冲に、木瓜、呉茱萸、犀角を与え無効の者、「+黄柏・山梔子」or「+浮萍」能く之を治す。蓋し水湿を制せずして血虚を治む。是れ最上乗の法なり。《和田東郭》☆《医学心悟》曰く、脚気、湿熱を離れず、また両足忽然として枯細する者有り、俗に乾脚気と名づく。これ風燥の症なり。「+牛膝・木瓜」之を主る。今、腫気を帯ぶる者は「+木瓜・蒼朮・薏苡仁」、更に佳なり。《脚気提要》☆血脚気(婦人の脚気):「+蒼朮・木瓜・薏苡仁」《済世薬室》☆脚気、心の冲する者を治す:「+黄柏」《万病回春》☆両膝痛み腫れ、脚脛枯れて細き者は鶴膝風と名づく:「黄蓍・人参・白朮・附子・牛膝・杜仲・防風・羗活・甘草」《万病回春》[12]感情不安定
[13]眼疾患 [14]乾嗽 [15]乾燥性の皮膚病: ☆かゆみがあれば:「当帰飲子」を考える《中医処方解説》 [16]基礎体温が低い [17]稀少月経
[18]稀発月経[19]気ちがい:☆婦人、癲疾、歌唱し、不時に垣根をこえ屋上に上る者は、営血迷心 なり。名付けて血狂症という。:「桂枝・乾姜・紅花・大黄」《本 朝経験》
[20]脇痛:☆(鈍痛がつづく)☆左脇下逆槍痛甚だしく、諸薬を与えて無効なる者、水分の動あれば則ち地黄剤を与えて効あり。《和田東郭》 [21]筋肉攣縮(筋肉のケイレン):☆足が攣痛する:「薏苡仁・忍冬、甘草、沈香」《方読便覧》
[22]口が乾く: ☆口乾き煩渇:「麦門冬6.0g、葛根4.0g、烏梅2.0g」。[23]下疳:☆腫痛、発熱、血虚に:「柴胡・山梔子」[24]月経異常:☆周期が延長、☆月経前に痛む者。心腹から腰に連り痛む者:「乾地黄を用い、黄連・青皮各2.0g、香附子4.0g、桃仁・延胡索
・牡丹皮・莪朮各2.5g、紅花1.5g。」 ☆月経期を過ぎても月経が起こらず、痛みをなす者: 「桃仁・肉桂・木通各2.0g、紅花・甘草各1.5g、香附子4.0g、莪
朮・蘇木・木通各2.5g。」☆月経の時期が過ぎてから月経が起こり紫黒の塊が出る者:「地黄(生)6.0gを用い、桃仁・牡丹皮・延胡索各3.0g、紅花1.5g、青皮2.5g、甘草1.5g、香附子6.0g。」
☆月経が起こったり止んだり、久しく止まず浮腫を発する者:「白朮・陳皮・厚朴・猪苓・木通・牛膝各3.0g、香附子・茯苓・ 木通各4.0g、縮砂・大腹皮・蘇子・延胡索各2.5g、木香・甘草各
1.5g。」 ☆月経久しく来たらず、浮腫する者:「地黄、桃仁・牡丹皮・牛膝・延胡索各3.0g、乾姜・桂皮・厚朴・枳殻各2.0g、紅花・木香各1.5g、香附子4.0g。」
☆月経が来る時期より早く起こり色が紫黒で塊があり、腰腹痛手足冷痺し、口乾き頭眩する者:「乾地黄を使い。香附子4.0g、黄芩・延胡索・続断・杜仲・地楡・荊芥各2.0g、小茴香・甘草各1.5g。」☆月経がすんで後痛む者:「四君子湯乾姜2.5g。」☆月経が時期を過ぎて起こり色が淡い者:「陳皮・半夏・茯苓各3.0g、生姜2.0g、甘草1.5g。」
☆月経過多には:「黄芩2.0g、白朮3.0g。」☆月経過多で久しく止まらない者:]「乾地黄を用い。茯苓・香附子各4.0g、白朮・黄芩・地楡・各2.5g、
阿膠・山梔子・荊芥各2.0g、甘草1.0g。」☆月経寡少には:「葵花・紅花各2.0g」。☆月経過少(量が少ない)☆月経に塊があって、色が変わらない:「香附子・延胡索・枳殻・陳皮」
☆月経の色が紫色:「防風・白芷・荊芥」 ☆月経が黒豆汁のよう:「黄芩・黄連」☆月経のとき腹痛する:「清熱調血湯延胡索・苦練根・莪朮・香附子・桃仁・紅花・黄連」
[25]月経不順: ☆処女の月経不順:「莪朮・桃仁・延胡索・紅花(酒焙)」☆赤白帯下には:「香附子4.0g、白芷2.5g。」☆妊娠胎動不安、下血止まざる者:「葉・阿膠・黄芩各2.0g。」☆子宮虚冷、出血過多には:「阿膠・葉各3.0g。」☆月経紫色:「防風・白芷・荊芥」。☆月経黒・黒紫色で、塊あり:「黄芩・黄連・香附子」。☆月経塊あり、色不変:「香附子・延胡索・枳殻・陳皮」。☆月経時に腹痛あり:「延胡索・苦練根・莪朮・香附子・桃仁・紅花・黄連」。☆処女の月経不順:「莪朮・桃仁・牡丹皮・延胡索・紅花(酒焙)」。
[26]血尿☆血尿には:「五苓散」 [27]<すべての>血病 ☆飲食を思わない:「縮砂2.0g、白豆・蓮肉各3.0g」。[28]下痢(裏急後重はない)
[29]高血圧[30]恍惚状態:☆心気不足、恍惚:「遠志・山子各3.0g、辰砂0.5g」。 [31]骨蒸 [32]口内炎 [33]更年期障害
[34]交腸:☆交腸とは大小便位を易えて、而して冷熱不調、陰陽不順に由り、気下に乱るるなり。「四物湯5銭、益元湯2銭半」酒水にて各1銭煎服。《方読便覧》☆《朱丹渓》云う、一人酒を嗜み、痛飲酔わず、忽ち糟粕前竅より出で、尿溺後竅より出ず。脈沈なり。「海金砂、木香、檳榔、木通、桃仁」を与え8貼にして安し。《方読便覧》
[35]臍上動悸(臍の上で動悸する) [36]産後の諸病: ☆血脚気(産後に起こる下肢の運動麻痺) ☆産後の痿躄:「亀板3.0、石決明3.0」《矢数道明》
☆産後の脚弱 ☆産後の下痢 ☆産後の後陣痛☆産後腹痛し、之を按じて反って痛まざるはこれ血虚なり、「人参・白朮・茯苓」《万病回春》 ☆産後の子宮出血(血崩)
☆産後の頭痛☆産後の舌爛《矢数道明》☆産後の脱肛☆産後に悪血尽きず、昼は則ち明了、暮れば則ち譫語し、寒熱して鬼を見るが如し:「柴胡」《寿世保元》
[37]しびれ感 [38]子癇 eclampsia(しかん)[39]子宮出血:☆肝経の火にて血下るを治す:「柴胡・梔子・茯苓・白朮」《薛立斎》
[40]子宮発育不全 [41]四肢の知覚麻痺:☆婦人臂痛、又癱瘓(ナンタン、運動麻痺)を治す:「紅花」 [42]痔出血: (排便の前に鮮紅色の出血)☆内熱痔瘻、下血する者:「黄柏、黄芩、槐花」《方読便覧》
[43]出血:☆胃潰瘍の出血:「小柴胡湯or黄連解毒湯or三黄瀉心湯or四逆散・解労散。」☆鬱血による出血:「桂枝茯苓丸。or桃紅四物湯を考える。」☆緊張・イライラで出血:「柴胡・白芍薬。」☆鼻血には:「側柏葉3.0g。」☆冷えて出血:「乾姜・附子。」☆不安・抑鬱で出血:「紫蘇葉・薄荷・香附子」☆《名医方考》に云う、上下出血、はなはだ多ければ則ち「四物湯」を与う勿れ。瘀血、癘毒亦禁ずる所に在り。而して今加うるに黄連解毒湯
を以てし、温清始めて適宜とす。《雑病翼方》 [44]消渇 [45]消化不良 [46]嗜眠 [47]視力障害:☆疹後、毒気、眼を攻め、翳膜の生ずるを治す「荊芥」《方読便覧》
☆目、暴に赤起し、雲翳、疼痛忍ぶべからざる者を治す:「羗活、防風、竜胆、防已」= 四物竜胆湯《済世抜粋方》 [48]小児のはしか [49]小便頻数[50]小便不通:☆老年で小便通ぜざる者を治す、本方に黄蓍を加え「通関丸」を送下する。《万病回春》
[51]自律神経失調症 [52]心悸亢進 [53]神経過敏 [54]神経衰弱[55]腎膀胱結核:☆「猪苓湯」《大塚敬節》☆H婦人は尿意の頻数と排尿痛があったので、婦人科の先生にかかった。ところが数ヶ月たっても一向に良くならなかったので、転医した。ここでも膀胱炎ということで、ウロトンビンやペニシリンを用いたが良くならない。
この婦人は平素は肥満していたが、久しぶりに逢ってみると、見る影もなく痩せ、手を握っただけでも体温は38℃あると思われた。のどの渇きがひどく、水っぽいものばかり欲しく、食欲はほとんど無い。 尿は15~20分に1行という状態で、しかも排尿時に疼痛があり、 ときどき血尿も出ると云う。
腹診してみると、左腎はかなり腫脹して、この部に圧痛がある。いうまでもなく腎結核を疑うべき所見である。そこですぐ某大学病院で精細な検査を受けることを勧め、腎結核であろうことを告げる。果たして私の診断が的中し、右腎はほとんど、その機能を停止するほどに病巣は拡大し、レ線により尿管がわずかに糸のように見られた。腹診で右腎の肥大を証明出来なかったのは、病勢があまりに進行していたためであったことが、この写真によって分かった。ところが左腎もまたかなり侵されているので、手術は不可能であるし、予後は不良であろうということが、その病院の診断であった。
私もレ線の写真を見るに及んで、これではとても助かるまいと考えた。しかし最善を尽くしてみようと思い、四物湯猪苓湯を内服せしめる一方、ストレプトマイシンの注射を併用することにした。
1ヶ月ほどたつと、患者は排尿時の疼痛を忘れるようになった。腰はまだ痛むという。体温もまだ時々38℃ぐらいにのぼる。3ヶ月ほ どたつと、もう寝ているのはイヤだというほど元気になった。肉眼では尿が透明に見えるようになた。半年後には、軽い洗濯まで始めたが、だんだん肉付きがよくなり、10日分の薬を1ヶ月もかかって飲むよ うになった。
この婦人は、その後すっかり健康を回復し、臨床的には何の異常も 発見出来ないほど頑丈になってしまった。《大塚敬節》 [55]頭冒感: ☆血虚頭痛:「黄柏、知母、蔓荊子、細辛」《方読便覧》
[56]せき(陰虚による喘急) [57]舌質 <淡紅> [58]切迫流産 [59]背中が痛い [60]全身麻痺[61]帯下:☆常服すれば帯下を生ぜず:「甘草、黄蓍、桂枝、白朮、柴胡、阿膠」《雑病翼方》☆赤白帯下:「五霊脂・荊芥(炒)」《方読便覧》[62]大便下血
[63]脱肛:☆産後、用力はなはだ過ぎ、陰門突出するを治す《雑病翼方》 [64]脱力感 [65]知覚麻痺 [66]膣直腸瘻 [67]血の道症:☆貧血を補い、血行を良くし、神経症を鎮静させる。 ☆脈腹軟弱で皮膚がカサカサする者。☆婦人血脈不調、往来寒熱、状労倦の如きを治す。《本事続集》☆調経:「莎草・茯苓」《方読便覧》
[68]腸風 [69]痛風:☆一婦人、脚疼み、冷をおそれ、夜劇しく日中軽き者を治す《朱丹渓》 [70]爪がもろい(爪の色も悪い) [71]手足が冷たい
[72]手足煩熱 [73]鉄欠乏性貧血 [74]転筋:☆霍乱後の転筋。☆脚気にて転筋する者:「黄芩(酒)・紅花」《万病回春》[75]糖尿病:☆三消にて血虚に属して津液を生ぜざる者:加減して用いる《万病回春》
[76]動悸:☆臍上で動悸。 [77]動脈硬化症[78]乳腺炎:☆乳腫は気滞と為す。乳汁通ぜざる者「王不留行、穿山甲」《先哲医話》 [79]尿道直腸瘻[80]尿の赤白濁[81]尿の淋滴[82]脳溢血[83]肺痿[84]肺結核[85]肺脹 [86]排尿痛(排尿後に疼痛)
[87]はしか [88]発熱: ☆昼静かにして夜熱する者、血分に熱あるなり:「知母・黄柏・黄連・山梔子・牡丹皮・柴胡」《万病回春》 ☆昼夜ともに発熱する者、気血の分に熱あるなり:「小柴胡湯黄連 ・山梔子」《万病回春》☆痩せて水分が少ない(=陰虚の)人発熱:「知母・黄柏。」☆結核性消耗熱:「地骨皮・知母・柴胡各4.0g、黄芩2.5g。」
☆筋骨肢節疼痛及び頭痛悪寒には:「羗活・防風各3.0g、藁本・細辛 各2.5g」。☆夜の潮熱:「黄連・胡黄連各等分」=四物二連湯
[89]発疹:☆足のすね・すねの内側。[90]皮膚枯燥:☆皮膚がカサカサ・潤いがない。☆乾性陰症の皮膚病《矢数道明》[91]皮膚掻痒症:☆皮膚の上を虫がはっている感じ。☆血燥の者《矢数道明》
[92]疲労倦怠[93]貧血 ☆貧血を治し、止血の効もあるが、貧血が強度で、胃腸障害があって、下痢したり、吐いたりする者には用いないほうがよい(漢方診療医典) [94]不安感:☆何事も不安で怖い・驚きやすくビクビクする。
[95]不安神経症 [96]不妊症: ☆婦人肥えて不妊は「地黄香附子、半夏、貝母」に宜し。 痩せて不妊の者「八珍湯」に宜し《雑病翼方》
[97]不眠: ☆発熱心煩不眠:「黄連・山梔子各2.0g」。 ☆虚損不眠:「竹葉・人参各2.0g、酸棗仁4.0g」。
[98]腹痛: ☆大腹痛、建中湯を服して無効なる者、水分の動を認める者: 「甘草莎草」=莎湯《和田東郭》 [99]腹部軟弱
[100]偏頭痛 [101]扁桃炎(虚証) [102]便秘: ☆大便秘渋する:「大黄2.0g、桃仁4.0g」。
[103]膀胱直腸瘻 [104]麻疹: ☆麻疹前後に熱に潮ありて退かざる等の症を治す。《寿世保元》 ①渇を発する:「麦門冬・犀角汁」 ②嗽には:「括楼仁」 ③痰あれば:「貝母・陳皮」 ④患部が紅紫乾燥して暗晦:「生地黄を使い紅花・黄芩 [105]慢性肝炎:
☆肝臓の肥大があり、疲労倦怠、食欲不振を訴え、大便秘結する者: 「茵蒿湯」。 ☆口が渇き、尿が出にくい者。腹水、黄疸がある者:「茵五苓散」
[106]夢泄: ☆夢精、精滑にて肝腎の虚熱に属する者を治す:「柴胡・山梔子・ 山茱萸・山薬」《薛立斎》 [107]無気力 [108]無月経 [109]胸焼け: ☆思慮して血虚を致すを以て五更時に嘈雑する者を治す:「香附子 ・山梔子・黄連・知母」《済世全書》
[110]目がかすむ [111]目が疲れる [112]目の乾燥感 [113]めまい ☆頭眩には:「木香1.5g、細辛3.0g」。 [114]癰疽: ☆陰嚢に出来る癰を治す。
[115]腰痛症: ☆痛みがひどく、腰が伸ばせない者。 ☆「二陳湯」(食積腰痛) ☆臍中虚冷、腹中腰間痛には:「延胡索・川楝子各3.0g。」
☆一婦人、脚疼み、冷を怕れ、夜激しく日中軽き者を治す:「川芎 黄芩、黄柏、白朮、蒼朮、陳皮、牛膝、甘草」《朱丹渓》 [116]流注:
☆敗液の流注を治す「乳香、没薬、牡丹皮、白芷、甘草」 ☆便秘する者:「桃核承気湯」《方読便覧》 [117]歴節: ☆血分に属するもの:「厚朴、莎草、甘草、紅花、独活」 その一等激しき者:「桂枝茯苓丸附子」or「桃核承気湯附子」
《橘窓書影》 四物湯[2]《外台秘要方》 「桔梗湯《傷寒論》紫苑・麦門冬」 桔梗湯⇒「桔梗・甘草」 ◎にわかに暴咳・吐乳・嘔逆して、昼夜休めない者。 ◎此方は、小児暴に咳嗽を発し、声唖、息むを得ざる者を主とす。《勿誤薬室方 函口訣》
◎頓嗽の激症、哮喘の急症に用いて効あり。 ◎大人一時に咳嗽、声唖する者に宜し。 ◎肺痿の声唖には験なし。 四物加三味 四物坎丸《東醫寶鑑》 「熟地黄3両、生地黄1両半を酒につけて、搗いて膏をつくり、当帰2両、 白芍1両半を酒で炒ったもの、知母1両、黄柏2両の塩酒浸炒、槐子各1 両同炒、連翹6銭を作末し、梧子大の蜜丸。7日間晒して乾燥、毎回50 ~60丸を温酒又は白湯で呑む。
◎毛を黒くする。 四物消風散加減《中薬臨床応用》 「生地黄9g、当帰9g、川芎3g、赤芍薬9g、蝉退6g、白鮮皮6g、路路通9g」 水煎服。 ◎ジンマシン ◎風疹
四物調経湯《東醫寶鑑》 「香附子(醋炒)1銭、当帰・川芎・白芍(酒炒)・柴胡・黄芩・枳穀各7分、 熟地黄・陳皮・白朮・三稜(醋炒)・莪朮(醋炒)・白芷・茴香(塩水炒)・ 延胡索各5分、青皮・縮砂・紅花・甘草各3分、生姜3片、葱白3茎」水 煎服。
◎月経が止まり、塊があって、痛む者。 四物調経湯《万病回春》《古今方彙》 「加減四物湯《調経門》肉桂、紅花」 ◎婦女経閉し、積塊ある者を治す。
四物二連湯《東醫寶鑑》 「四物湯黄連・胡黄連各等分」 ◎夜の潮熱。 四物竜胆湯《済世抜粋方》《勿誤薬室方函口訣》 「四逆散羗活、防風、竜胆、防已」 「当帰・川芎・芍薬・地黄各5匁、羗活3匁、竜胆・防風・防已各2匁」 ◎目、暴発を治す。 ◎此方、目、風寒に侵され、血熱沸鬱して痛み、甚だしき者を治す。 ◎風眼、「紫円」などにて快下の後、血脈赤渋、開くこと能わざる者を治す。《勿 誤薬室方函口訣》 ◎目、暴に赤起し、雲翳、疼痛忍ぶべからざる者を治す《方読便覧》
四物竜胆湯《済世抜粋方》《東醫寶鑑》 「川芎・当帰・赤芍・生乾地黄各1銭3分、羗活・防風各8分、草竜胆・防 已各6分」水煎服。 ◎目が赤く腫れて痛み、雲が出来る者。
四物竜胆湯《医学入門》《古今方彙》 「当帰・川芎・赤芍薬・生地黄各1銭、防風6分、竜胆・防已各4分」水煎 温服。 ◎目赤く暴(にわか)に雲翳を発し、痛忍ぶべからざる者を治す。
四妙丸《丹渓心法》《中薬臨床応用》 「蒼朮、黄柏、牛膝、薏苡仁(生)」各等量。作末し水で練って丸剤。1回6 ~9g服用。 ◎寒性膿瘍 ◎下肢が脹って痛む ◎力が入らない
四妙勇安湯《験方新編》《中薬臨床応用》 「当帰60g、金銀花90g、甘草30g」水煎し、3回に分服。 ◎血栓性動脈炎 四葉参湯《中薬臨床応用》 「四葉参30g、磁石15g、丹参9g、野菊花9g、鶏血藤12g、半楓荷30g」水 煎服。
◎高血圧で気血両虚。 四苓散[1-1]《温疫論》《勿誤薬室方函口訣》 「五苓散肉桂」 ◎煩渇思飲を治す。 ◎酌量して之を与える。もし引過多なれば自ずから水心下に停まるを覚ゆ。 ◎此方は能く雀目を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎雀目を治す:[蒼朮] ◎腸胃の間、水気ありて熱下痢する者に:「車前子」効あり。 ◎火酒毒に中るを治す。兼ねて熱痢疾を治す:「乾葛黄連甘草」《嬰童類萃》or 「乾葛黄連黄柏」《張氏医通》 ◎面瘡久しく癒えず、常ライ病の如く、清上の諸剤無効の者は湿気上逆の致す所 なり:「四物湯知母黄柏」 ◎痘疹後、浮腫し、胃気復せざるを治す:「車前子木通連翹」《方読便覧》 ◎瀉して黄赤稠粒、小水短するを治す:「木通滑石」《麻疹精要》 ◎雀目を治ししばしば効あり。雀目多く疳に属す。:「漢蒼朮」 ◎晩盲を治す:「蒼朮夏枯草」《眼目提要》
四苓散[1-2]《東醫寶鑑》 「五苓散肉桂」 ◎腹痛で水を吐き、腸が鳴る :[木通・滑石・黄芩・梔子] 四苓散[1-3]《名医指掌》《中薬臨床応用》 「茯苓12g、沢瀉6g、猪苓9g、白朮9g」水煎服。 ◎腎炎 ◎脚気の浮腫
四苓解毒湯《嬰童類萃》 四苓五皮湯《東醫寶鑑》 「桑白皮・陳皮・地骨皮・茯苓皮・生姜皮・大腹皮・蒼朮・白朮・ 沢瀉・猪苓・青皮・車前子(炒)各1銭」水煎服。
◎浮腫の通治薬。 四苓湯《漢方治療の実際》 「沢瀉・茯苓・朮・猪苓各4」 四霊散《東醫寶鑑》 「人参蘆2銭、赤小豆・甘草各1銭半、風蒂1銭」作末し、毎回1~2銭を 薺菜汁で調下。
◎吐剤の軽剤。 子芩丸《東醫寶鑑》 「黄芩4両を切って醋浸し、透き通った紙にくるんで煨ること7回、当帰(酒 洗)・香附米(醋炒)各2両」作末し、醋糊で梧子大の丸剤。空腹時に50~70 丸飲む。
◎閉経後に、月経が出だし、又止まらない者。 子芩散《東醫寶鑑》 「黄蓍1両、白芍・黄芩・人参・白茯苓・麦門冬・桔梗・生地黄各5 銭を粗く末にし、先に竹葉一握り・小麦70粒・姜3を入れ、水3杯 で1杯半まで煎じから、薬末3銭を入れ再煎し7分ぐらいになった ら滓を捨て、温服。 ◎心肺をすっきりさせ、労熱を治す。
子淋散《寿世保元》《古今方彙》 「麦門冬、赤茯苓、大腹皮、木通、甘草」水煎 ◎子淋の者は妊娠して小便渋痛し、頻数するなり。之を治す。
自然銅銭 紫苑丸《沈氏尊生書》 「紫苑、五味子」 紫苑散《証治準縄》 「紫苑・人参各4g、茯苓・知母・桔梗各6g、阿膠4g(蛤粉で炒る)、川貝母4.8g (心を去る)、五味子15粒、甘草2g(炙)」
紫菀散《医学入門》《東醫寶鑑》 「紫菀・知母・貝母各1銭半、人参・桔梗・赤茯苓各1銭、阿膠珠・甘草各5 分、五味子30粒、姜3片」水煎服。 ◎肺痿で膿血を唾く。 ◎虚労にて咳嗽し膿血を見て肺痿肺癰に変ずるを治す。《古今方彙》
紫菀耳湯《東醫寶鑑》 「紫菀茸・経霜桑葉・款冬花・百合・杏仁・阿膠珠・貝母・蒲黄(炒)・半夏 各1銭、犀角・人参・甘草各5分・姜5」水煎服。
◎過食による邪熱が肺を犯し、咳でのどがかゆく、痰が多く・喘急し、 背骨が痛む。 紫菀湯[1]《東醫寶鑑》 「紫菀・天門冬各2銭、桔梗1銭半、杏仁・桑白皮・甘草各1銭を剉作1貼 し、竹茹を卵大ぐらい入れ、水で煎じて滓を去り蜜半匙を入れ再煎し温服。
◎妊婦の咳嗽。 紫菀湯[2]《東醫寶鑑》 「紫菀茸・白芷・人参・黄蓍・地骨皮・杏仁・桑白皮・甘草各1銭、姜3片、 棗2枚」水煎服。
◎肩背が重く、くしゃみ・咳喘し、血便する者。 紫菀湯[3]《王海蔵方》《中薬臨床応用》 「紫菀(炙)9g、黄芩5g、天門冬9g、桑白皮9g、杏仁6g、桔梗6g、阿膠珠6g (溶解)、川貝母6g、知母6g、党参6g、五味子12粒、甘草1.5g」水煎服。 ◎陰虚の慢性咳嗽 ◎膿血を喀出。
紫河車丸《東醫寶鑑》 「紫河車(焙乾燥)1貝、鼈甲(醋炙)5銭、桔梗・胡黄連・大黄・苦参・知母 ・貝母・敗鼓皮心・人中白各2銭半、草竜胆・甘草各2銭、犀角・莪朮・ 芒硝各1銭半、辰砂2両」作末し、梧子大の蜜丸。辰砂で衣をつけ温酒で20 ~30丸飲む。腸熱には食前、膈熱には食後に服用。
◎伝尸・労を治す。2ヶ月で全治し、軽症は1ヶ月で治る。 ◎腸熱には食前、膈熱には食後服用 紫河車丹《東醫寶鑑》 =「混元丹」 「紫河車・人参各1両半、熟地黄・当帰・白朮・茯神各1両、木香・白茯苓 各5銭、乳香・没薬各4銭、朱砂2銭、麝香2分」作末し酒糊で梧子大の 丸剤。人参湯で50丸飲む。 ◎虚労・痩せ・痰嗽・鬼を治す。
紫金丸《東醫寶鑑》 「五霊脂・蒲黄(炒)」各等分を作末し、醋を混ぜて煎じ膏をつくって桜桃大 の丸剤。毎回2丸を童便・温酒各半杯で調下する。 ◎産後の児枕臍腹痛を治す。
紫金散 「紫金皮・骨砕補・生蒲黄・牡丹皮・当帰尾・紅花・川芎・川続断・虫・ 単桃仁・乳香・没薬各40g」 細末にして、毎服4ないし12g、朝晩2 回、熱い陳酒で冲服する。」
紫金錠 ◎鬼邪を感じて鬼胎をなした者。 紫金錠《外科正宗》《中薬臨床応用》【中成薬】 ⇒「玉枢丹」 「山慈姑・紅芽大戟・五倍子・麝香・千金子」糯米(もちごめ)で錠剤とし、 外用する。
◎癰・・ ◎耳下腺炎 紫金錠子《東醫寶鑑》 =「万病解毒丸丹」 「 ◎伝尸と労を治す。 紫金丹[1]《瘍科綱要》
「紫金藤⇒降香200g 乳香・没薬(油を去る)各80g、血竭・五倍子(炒って まるめる)各60g。以上の薬を細末にして混和し、薬末40gごとに梅片12g を加え、密閉保存する。古ければいっそうよい。」
紫金丹[2]《普済本事方》 「白砒石2g、淡豆8g」を混和し、つきこねて、麻の実大の丸に作り、 就寝時に5~10丸を冷茶で服用。
紫金丹[3]《東醫寶鑑》 「信砒末1銭、淡豆をよく搗いて1両、精猪肉を細切り4両」以上3つを 混ぜて3分し、紙筋を入れた粘土でくるみ、焼いて土が乾いたら、又炭火 で焼き、青い煙が出たら止め、地べたに置いて一晩おき、火毒を抜いた後、 中の薬末を取り出して作末し、緑豆大の丸剤。食後に冷水茶で大人20丸 ・子供9丸服用。 ◎哮喘で寝られないのが、3年も続く。
紫根牡蛎湯[1-1]《黴癘新書》 「当帰、芍薬、川芎、大黄、升麻、牡蛎、黄蓍、甘草、忍冬、紫根」 ◎楊梅瘡毒、痼疾沈痾、無名の頑瘡、及び痒瘡険悪の証を治す。 ◎此方は水戸西山公の蔵方にして、楊梅瘡、その他無名の悪瘡に効あり。《勿誤 薬室方函口訣》
◎《工藤球卿》は痔痛、痘疹に宜しく、又、乳岩、肺癰、腸癰を治すと云う。 紫根牡蛎湯[1-2]《黴癘新書》《漢方後世要方解説》 「当帰5、芍薬3、川芎3、大黄0.5~2、升麻1、牡蠣4、黄蓍2、甘草1、 忍冬2、紫根3~4」
◎楊梅新書には、梅毒性の皮疹、慢性痼疾、頑固な皮膚病を治すとある。 ◎《勿誤薬室方函口訣》には乳ガン、肺癰、腸癰を治すとある。高橋道史氏は乳 ガンの初期にこの方に「起廃丸」を兼用して偉効があったと発表している。 ◎紫根=血熱毒を涼し、頑癬悪瘡を治す 忍冬=熱を清し毒を療す、諸悪瘡を治す。 升麻=熱毒を消し、諸悪瘡を治す。 牡蠣=堅きを軟らげ、瘡を治す。 黄蓍=諸瘡の聖薬、血を生じ、肌を生じ排膿強壮の効あり。 当帰、芍薬、川芎=補血強壮。 ◎この方は水戸西山公の創方だと云われ、片倉鶴陵の《黴癘新書》や浅田宗伯の 《勿誤薬室方函口訣》に、その応用目標が記載せられている。《大塚敬節》 ◎高橋道史 漢方の臨床誌第1巻第3号 「紫根牡蠣湯を、ここ2、3年の中に34名に服薬せしめた結果、その運用如 何によっては好成績を得るものと確信したので、ここに報告することにした、
紫根牡蠣湯は黴癘新書によると、楊梅瘡毒、痼疾沈痾、無名の頑瘡及び痒 瘡険悪の症を治す《勿誤薬室方函口訣》。また工藤球郷は乳ガン、肺ガン、 肺癰、腸癰を治すという。また痔痛、痘疹にも用いたいう。
楊梅瘡とは富士川游著、日本医学史によれば世俗唐瘡(ドウガサ)というもの なり。また天疱瘡と名付けたるものあり、或いは綿花瘡と名付けたるものあ り、また気腫ともいうと。いずれにしても楊梅瘡は現代医学では梅毒性のも のであることは確実で、しかも第2期が第3期でゴム腫とか扁平コンジロー ムのようなものである。痼疾沈痾は長引いた病気で悪性の腫瘍の類らしい。 肺癰は洋医学の肺壊疽のようなもので、腸癰はすなわち盲腸炎と見ればよい」
★適応症及び病名 (五十音順) 悪瘡痒瘍: ☆紫根を多量に使用すること《高橋道史》 [1]頸部リンパ腺腫: ☆頭症に《矢数道明》 黒色肉腫: ☆28歳の職人で、一見したところ、栄養血色共に悪くない。 この患者は某国立病院に入院中、ひそかに病院を抜け出して、当院に治 療を求めた。
患者の語るところによれば、昭和337年2月に左大腿の後面に、イ ボ様のものが出来て、外科医に切除してもらった。ところが、35年2 月にまた梅干し大の腫瘤が出来たので、それも手術で摘出した。その時 に、これは悪性のものだと云われた。ところが、昭和36年になって、 前に手術したところに、大きな腫瘤が出来たので、某国立病院に入院し て、5月24日に手術をして、ボール大のもの6個を摘出した。そして 精密な検査の結果、黒肉腫と診断され、不治である旨を宣告されたとい う。
私にも治す自身はない。黒肉腫が治った例は、まだ一度も報告された ことがないほど予後の悪い病気である。しかし、駄目だといって突き放 すのもあまりに無情である。そこでとにかく紫根牡蠣湯の大黄を除いて 与えた。すると、食欲が出て、血色が良くなったので、治るかも知れな いといって、どんどん服用を続けた。
7月中旬になって、親類の老人が訪ねてきて、驚きましたという。そ うしたと尋ねると、先生、治りましたよという。その後左の腋下のリン パ腺が腫れたので、これを切除して調べたところ、ガン細胞を発見しな い、血液を調べても、ガン細胞を発見しない。、局所の所見も全治のよ うに見える。このままで良くなれば、珍しい例だと、先生は云っている。 しかし先生には、漢方の薬を飲ませていることを話していないので、先 生はどうして良くなったか不思議だと驚いていると云う。ところが、8 月の末に、私が今まで用いていた中国産の上等の紫根が品切れになって しまった。そこで2ヶ月ほど紫根牡蠣湯を用いることが出来なかった。 するとい12月になって、また前に手術したところに小さい腫瘤が出来 たといって来院した。その頃、私の手許に日本産であまりよくない紫根 があったので、これを用いて、紫根牡蠣湯をこしらえて与えた。ところ がそのまま患者は来院しない。
私はもっと引き続いて良い紫根を用いて治療していたら、全治したで はなかったかと残念である。 紫根という薬物は面白い作用のあるものらしい。私は目下、白血病の 少年に、帰脾湯紫根という薬方を用いているが、この頃、未熟細胞が 消失し、経過が頗る良好であるという。《大塚敬節》 [2]ゴム腫 [3]腸腫瘍
[4]乳ガン: ☆当帰・川芎・芍薬等を同分量にしてもよいが、紫根・牡蠣・升麻等は多 量にする必要がある。《高橋道史》 ☆48歳、未産婦。生来頑健、家族にも遺伝的疾患が認められない。昨年 8月頃、左側乳房に胡桃大の硬結を認めたが、自覚的には何等の苦痛が なかったので、約1ヶ月間はそのまま放置していたが、たまたま某新聞 紙上にて乳ガンの記事を見てから球に不安になり、市内某病院にて診察 の結果、乳ガンと診断され直ちに入院手術を勧められた。しかし本人は 元来手術を好まないので、当院の門を叩いた。
初診時、自覚的には患部の重圧感、時として疼痛あり、その他肩背拘 急、頭痛を訴えた。 診するに、顔貌はやや憂心の色があったが、体躯は皮下脂肪に富み、 健康そのものの様であった。血圧は120-90。肩背拘急甚だしい。乳房 は視診にては患部は健側に比較して大同小異で、一見してほとんど目に 留まらない位である。尿は清澄で、蛋白は陰性である。触診するにウズ ラ卵大の硬結1個と、更にその近くにそれよりもやや小さい塊とを認め、 圧痛がある。共に限局性で、移動性せはなく、癒着性のものであって、 周囲には浸潤性の増殖を起こしていない。これらを総合して乳ガンを疑 わざるを得ないのである。しかし腋のリンパ腺までは転移していない。 乳ガンには硬性ガンと髄様ガンとがあるが、このものは前者であって、 後者よりはるかに多い疾患である。腹部は一般には脂肪に富み、病的変 化は認められない。食欲は普通で、大便は秘結する。
治療、工藤球郷の説によって、紫根牡蠣湯を投薬し、他には兼用とし て、起癈丸20粒を1日1回投与する。 私は乳ガンも子宮ガンも、また胃ガンも起癈丸を使用している。但し 子宮筋腫には消石大円を使用している。この2方を10日分づつ投薬す ること2ヶ月で気分大いにすぐれ、肩背拘急、頭痛も全く治し、患部の 疼痛も軽減したのであった。しかるに晩秋から初冬、初冬から寒に入る に及んで、東北地方、ことに山形の酷寒のためか、はたまた病症の半価 したためか、その硬結は更に増大し、先の2個の塊は癒合して鶏卵大の 塊となり、かつ膨隆し、疼痛も加わり、食事も不振にて病症に呻吟する ようになった。
ある日、主人が来て、患者は憂心煩悶、転々反則、一睡もせずと、そ の病変を訴えた。そしてこのまま服薬すべきか、あるいは断固として外 科手術をすべきかとの質問である。
私はこの時、これはおそらく寒冷のためで一時的のものであるからと 思ったので、本人の意志に従って、もう少し継続されてはどうかと云う と主人も納得して帰っていった。こうして10日目毎に必ず主人自ら薬 をとりに来たのであった。陽春、本人が喜色満面、元気溌剌として来院 する。診するに腫れ物も減少し圧痛もさまで感じない。前途に漸く光明 を見るようになったと喜んでいた。
服薬以来、今日で約1ヶ月。病症は一進一退だが、追々良好な経過を 辿りつつある。すなわち腫れ物は尚存在するも大きさは豌豆大よりもや や小さくなり、自覚的には何等の苦痛も感じない。強圧すれば鈍痛があ る位で、元気大いに振るい、今後全治するまで服薬を継続するという。 果たして全快するや否やは今後の経過を見なければ断言は出来ないが、 とにかく紫根牡蠣湯の乳ガンに対して薬効のあることを認識したのであ る。《高橋道史》 ☆69歳、未亡人、経産4回。 若年の頃は虚弱であったが、更年期より健康体となった。ただ10年前 に扁桃腺炎から腎臓炎になり、入院して扁桃腺を手術したという。
今年2月頃、右側乳房に小塊を認め乳ガンを憂いて来院す。 初診。老年のためか、皮下脂肪は貧弱で、視診では患部は不明であっ たが、触診でその結節を直ちに確認された。自覚的には何等の苦痛がな いという。ただ生来非常な便秘で、常に下剤を服用していると云う。症 候として、乳房の他は病的変化を認めない。血圧は160-90。右側乳房 に大豆大の硬結を触知する。扁平でその表面は陥没している。癒着性で 移動しない。乳ガンを疑って、紫根牡蠣湯の紫根。大黄ともに4.0gで 服薬する。
6ヶ月後、結節は小豆大になり、病気も意識しなくなったという。便 通もあり、食事もまた旺盛である。《高橋道史》 [5]乳腺症 [6]肺壊疽 [7]皮膚疾患: ☆頑固な皮膚疾患 ☆梅毒性
[8]扁平コンジローム 紫珠湯《中薬臨床応用》 「紫珠草15g、仙鶴草15g、側柏葉12g、旱蓮草12g」水煎服。 ◎出血
紫参湯《金匱要略》 紫石英散《証治準縄》《中薬臨床応用》 「紫石英30g、茯神。麦門冬・党参・酸棗仁・遠志・黄芩・当帰各2g、羚羊 角屑・防風・黄蓍各15g、甘草(炙)7.5g」粗末にし毎回15gに「生姜15g、 大棗6g」を加え水煎して服用。 ◎驚きやすい ◎動悸、頻脈 ◎意識もうろう ◎精神不安
紫雪《東醫寶鑑》 「黄金10両、寒水石・石膏各4両8銭、玄参1両6銭、犀角・羚羊角各1 両、甘草8銭、升麻6銭、沈香・木香各5銭」水5升に黄金と2石を煎じ て3升になったら諸薬を入れ、再び煎じて1升になったら滓は捨て、芒硝3 両2銭を入れ、又弱火で煎じ、柳の枝でかき混ぜ、固まろうとしたら磁盆 に入れ、再び朱砂・麝香末各3銭を入れ急いでかき回し、冷えたら固まっ て紫雪となる。毎回1銭を少しづつ呑む。 ◎一切の積熱と口瘡・熱毒を治す。
紫雪丹[1-1]《和剤局方》 「黄芩・寒水石・石膏・滑石・磁石・升麻・玄参・甘草・犀角・羚羊角・麝 香・沈香・木香・丁香・朴硝・硝石・辰砂」
◎熱邪内陥し、意識混迷し、狂気・うわごとをいい、熱甚だしくもだえ、 舌は赤く苔なく、四肢が冷える者。 紫雪丹[1-2]《和剤局方》 「羚羊角、犀角、朴硝、朱砂、硝石、磁石、寒水石、滑石、石膏、沈香、木 香、麝香、升麻、甘草」
紫雪丹[2]【中成薬】 「羚羊角屑、犀角屑、麝香、沈香、玄参、升麻、丁香、甘草(炙)、朴硝、硝 石、金箔」大人は朝夕1.5~3gづつ水で服用。小児は減量。 ◎高熱、意識障害、痙攣。
紫蘇飲[1-1]《本事方》 [紫蘇1銭、大腹皮・芍薬各半両、当帰1銭、川芎・橘皮・人参各半両、甘草1 銭」 ◎妊娠・胎気不和・懐胎近上し、脹満疼痛する。これを子懸という。兼ねて臨産
驚恐し、気結連日いえざるを治す。《雑病翼方》 紫蘇飲[1-2]《本事方》 「紫蘇茎汁40g、当帰30g、川芎・白芍・人参・大腹皮・陳皮各20g、甘草10g」 以上を細かく刻み3回に分けて服用。毎回水1盃半に生姜4片・葱白7寸を 用い7分まで煎じ、滓を去り空腹時に服用。
紫蘇飲[1-3]《東醫寶鑑》 「紫蘇葉2銭半、人参・大腹皮・川芎・陳皮・白芍・当帰各1銭、甘草5分」 を剉作1貼し、「姜4片・葱白3茎」を入れ、水煎服。 ◎子懸で出産のとき驚いて難産する者。
紫蘇飲[1-4]《産経》 「当帰・川芎・芍薬・人参・紫蘇葉・橘皮・大腹皮・甘草」 「紫蘇和気飲莎草人参」 紫蘇飲[1-5]《本事方》《古今方彙》 「紫蘇葉・芍薬・川芎・大腹皮・当帰・陳皮各1両、人参・甘草各半両、生 姜、葱白」煎服。
◎胎気和せずして上に湊り、心腹腸満して疼痛す。之を子懸と謂う。及び産に臨 み驚恐して気結びて連日下らざるを治す。 紫蘇飲子《東醫寶鑑》 「紫蘇葉・桑白皮・杏仁・青皮・五味子・麻黄・陳皮・甘草各1銭、人参・
半夏各6分、姜3片」水煎服。 ◎脾・肺が虚寒して、咳・痰が盛んな者。 紫蘇烏薬湯《万病回春》《古今方彙》 「紫蘇葉、烏薬、枳殻、柴胡、前胡、防風、羗活、独活、川芎、芍薬、茯苓、 大腹皮、甘草」各等分。水煎、食後服用。
◎瘰癧で先に結核より起こる者を治す。 紫蘇香附湯《万病回春》《古今方彙》 「紫蘇葉、香附子、青皮、烏薬、半夏、厚朴、桔梗、茯苓、柴胡、防風、羗 活、甘草」各等分。水煎食後服用。
◎瘰癧で先づ右辺より起こる者を治す。 紫蘇厚朴湯《万病回春》《古今方彙》 「紫蘇葉、厚朴、等位、羗活、枳殻、桔梗、前胡、防風、川芎、芍薬、紫蘇 子、甘草、蘿葡子」各等分。水煎、食後服用。
◎瘰癧が先づ左辺より起こる者を治す。 紫蘇子杏桑湯《漢方治療の実際》 「蘇子・厚朴・半夏・柴胡各4、甘草1.5、当帰・橘皮・桂枝・杏仁各3、桑 白皮4」
紫蘇子湯《備急千金要方》《勿誤薬室方函口訣》 「蘇子1升、厚朴2両、半夏1升、柴胡1両、甘草1両、当帰1両、橘皮3 両、桂枝2両」 ◎脚弱上気を治す。 ◎此方は脚弱上気を治する方なれども、今の脚気には効少なし。 ◎上気:今の喘息のことにて、虚気亢ぶりて喘息する者に効あり。故に後世にて 足冷喘息を目的として用いる。 ◎足冷:耳鳴、鼻衂、歯揺、口中腐爛、咳血、水腫、喘満などの症、足冷の候あ れば必ず効あり。 ◎《易簡方》に、下元虚冷尊年気虚之人、元有上壅之患、服補薬不得者、用之 立効、とあり、此の意、脚気に用いるも、又雑病に用いるも、よき口訣と知る べし。 ◎虚陽上攻し、気升降せず、上盛下虚、痰喘壅塞し、喘息、短気咳嗽する者を治 す。《和剤局方》 ◎《一抱子》曰く、此方の虚陽は陽気の疲れたる虚陽にして陰分の虚火に非ず、 上盛下虚とは虚陽の升り浮くを云う。下虚とは陰虚の義に非ずと、実に然り。
◎喘促:《婦人良方》曰く、上盛下虚して喘促する者《雑病翼方》 ◎脚気: ☆上攻し、水腫上部に聚まる者を治す。《雑病翼方》 ☆《三因極一病証方論》陰陽交錯し、清濁不分、上重下虚、中満喘息、嘔 吐、自汗し、また起律無きを治す。
◎《医学統旨》に云う、風行き、水動き、気行り、血流る。衂を治する者は則ち、 血薬以て衂を治するを知り、気降れば則ち血経に帰るを知らず。古人血薬中に 必ず気薬を一二味を加う所以なり。
紫蘇半夏湯《東醫寶鑑》 「桑白皮2銭、杏仁1銭半、半夏・陳皮・紫蘇葉・五味子・紫菀各1銭、姜3 片」水煎服。 ◎喘嗽・痰盛・往来寒熱。
紫蘇連翹湯《万病回春》《古今方彙》 「紫蘇葉、連翹、桔梗、枳殻、防風、柴胡、羗活、独活、白芷、当帰、川芎、 芍薬、甘草」各等分。水煎、食後服用。
◎瘰癧が先づ項後より起こる者を治す。 紫蘇和気飲[1-1]《済生全書》 「当帰、芍薬、川芎、莎草、橘皮、蘇葉、大腹皮、甘草」 「香蘇散四物湯地黄大腹皮」 ◎子懸とは心胃張痛するなり、兼ねて胎気不和(妊娠のよる体調不良)、心腹痛、 疼痛、及び胎前諸疾を治す。
◎此方は、妊娠気満、飲食消化する能わず、或いは胎気不和なる者を治す。《勿 誤薬室方函口訣》 (気満=ガスが溜まる) ◎方意は半夏厚朴湯の症に和血を兼たる者と心得べし。《勿誤薬室方函口訣》
紫蘇和気飲[1-2]《済生全書》《古今方彙》 「紫蘇飲《本事方》人参香附子」 紫蘇和気飲[1-3]《本事方》 「当帰・川芎・芍薬・人参・紫蘇・陳皮・大腹皮各1.5、甘草・生姜各0.8」
紫蘇和気飲[1-4]《本事方》《古今方彙》 「当帰、川芎、白芍薬(酒)、人参、紫蘇葉、陳皮、大腹皮、甘草、生姜」水 煎。 ◎子懸(妊娠のために平素の胃疾患が増悪して心部に疼痛を訴えるもの)の者 は心胃脹痛するなり。
◎兼ねて胎気和せず、心腹腸満して疼痛するを治す。 ◎及び胎前の諸疾を治す。 ◎本は「紫蘇飲」と名づく。 ◎咳嗽には:「枳殻・桑白皮」 ◎熱には:「黄芩」 ◎泄瀉には:「白朮・茯苓」 ◎感冒には:「羗活・麻黄」 ◎傷食には:「山子・香附子」 ◎気脳みには:「香附子・烏薬」
紫草紅花飲《中薬臨床応用》 「紫根6g、番紅花1g、西河柳6g、連翹9g、金銀花9g、大青葉9g、紫花地丁 9g、淡竹葉9g、浙貝母9g、甘草3g」水煎服。 ◎水痘 ◎麻疹
紫草茸湯《中薬臨床応用》 「紫草茸12g、葛根9g、升麻6g、絲瓜絡9g、金銀花9g、桔梗6g、佩蘭9g、 川芎1.5g」水煎服。 ◎麻疹。
紫草木通湯[1-1]《医学入門》《東醫寶鑑》 「紫草茸・木通・人参・赤茯苓・糯米各4分、甘草2分」水煎服。 ◎尿渋。 紫草木通湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》 「紫草・木通・人参・茯苓・糯米各4分、甘草2分」水煎温服。 ◎痘出でて快からざる者を治す。 ◎大便利する者:「紫草木香」
紫草木香湯《医学入門》《古今方彙》 「紫草・木香・人参・白朮・茯苓・甘草各4分、糯米30粒」水煎温服。 ◎痘出でて快からず、大便泄利するを治す。蓋し紫草は能く大便を利す。故に木 香・白朮を用い之を佐く。
◎或いは隠れ或いは見われる者には:「香」 紫霜丸《東醫寶鑑》 「代赭石(醋で7回濾す)・赤石脂各1両、巴豆(皮油を去る)30粒、杏仁(皮 尖を去る)50個。先に杏仁と巴豆霜に2石末を入れて混ぜ、搗いて膏にな ったら蜜を少し入れて貯蔵し、1ヶ月以内の乳児には麻子仁大1粒、100 日の乳児には小豆大のもを食べさせる。
◎食癇と食積・痰癖があって、吐乳する。 紫石寒食散《金匱要略》 「紫石英・白石英・赤石脂・鍾乳・括蔞根・防風・桔梗・文蛤・鬼臼各十匁、太一餘糧十分焼、乾薑・附子(炮)去皮・桂枝(去皮)各四分」
右十三味、杵為散、酒服方寸匕。 ◎治傷寒令愈不復。 紫沈丸《東醫寶鑑》 「陳皮5銭、半夏(麹)・代赭石・縮砂・烏梅肉各3銭、丁香・檳榔各2銭、 沈香・木香・杏仁・白朮各1銭、白豆・巴豆霜各5分を作末し、醋糊で 黍米大の丸剤。毎回50丸を姜湯で服用。 ◎吐いて痛む者。
紫露丸 梔薑飲《東醫寶鑑》 「山梔子15枚」を炒って水1杯で煎じ、6分ぐらいになると姜汁3匙 を入れて、又煎じて熱いときに服用。 ◎胃熱作痛を治す。
梔姜丸 梔子乾姜湯《傷寒論》 「梔子(擘)14個、乾姜2両」 =《楊氏家蔵方》は「二気散」と名付けて噎膈に用いる《勿誤薬室方函口訣》 ◎心中微煩する者を治す《方極》 ◎病人、下利し、身熱去らず、微煩し、或いは嘔する者は、梔子乾姜湯之を主ど る《医聖方格》 ★適応症及び病名 [1]吐瀉: ☆吐瀉の後、なお熱感有り、ただ腹中のみ寒冷を覚え、身体倦怠し頭重 く、その脈緩弱なる証《奥田謙蔵》 [2]不眠: ☆心煩ありて眠るを得ず、尿利減少し、時に嘔し、その脈緩弱なる証《奥 田謙蔵》 [3]胸苦しい:
☆微熱あるもその脈弱、心煩《傷寒論》、或いは胸部微痛し、大便滑痢 し、尿利渋滞し、食欲に異常なき証《奥田謙蔵》 ☆四肢の熱感有り、胸部に欝塞の感あり、尿利減少し、食思なく、脈浮 虚なる証《奥田謙蔵》 ☆汗下の後、熱感なお去らず、心煩ありて脈浮弱なる証《奥田謙蔵》
梔子甘草湯[1-1]《傷寒論》 「梔子(擘)14個、甘草(炙)2両、香(綿嚢)4合」 梔子甘草湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「梔子湯甘草1.5」 ◎梔子湯証にして、急迫する者を治す《方極附言》
☆梔子甘草湯・梔子生姜湯、是れ梔子湯加味の方なり。故に毎章の首(はじめ)に冠するに若の字を以てす。心中懊して少気の者は、梔子甘草湯。心中懊して嘔する者は、梔子生姜湯。《薬徴》
[少気]=浅表呼吸。浅井固お灸をしてフッ飼う息を吸い込むことができない。 梔子甘草湯[1-3]《傷寒論》 ★適応症及び病名(五十音順) [1]嚥下困難: ☆梔子湯の条文にヒントを得て、食道炎で嚥下困難を起こしている者 に用いて著効を得た《大塚敬節》
[2]胸痛: ☆急性肺炎で起きた呼吸浅表を伴う胸痛に用いる《大塚敬節》 [3]滞頤(タイイ): ☆滞頤の症、慎独老人が三黄瀉心湯がよしと云へり、やはり心胸へ迫る 気味あり、如何となれば潤はしても、ひたもの乾燥し、心悪しき故、 自ら急迫する気味あり。因州広瀬氏、かくの如き児、1日大いに発熱 し甚だ近づくべかりざりし程の熱勢なりしが、ふと相考へて梔子甘草 を用ひたるに、雪に湯をそそぐが如くにして遂に全く治したり。《老 医口訣》 [4]胸苦しい: ☆胸中欝悶し、呼吸促迫し、時に緩急あり、二便に異常なく、その脈微 緩なる証《奥田謙蔵》 ☆汗下の後、脈緩弱にして胸中に苦悩あり、飢ゆると雖も、食欲起こら ず、腹軟弱にして時に痛む証《奥田謙蔵》 [5]弄舌(ロウゼツ): ☆口の周りをなめる者に《古家方則》
梔子甘連湯《漢方治療の実際》 「梔子3、甘草4、黄連1」 ★適応症及び病名(五十音順) 胃潰瘍: ☆胃潰瘍で、はげしい胸腹痛を訴える者に用いる《大塚敬節》
梔子枳実芍薬湯《漢方治療の実際》 「梔子3、枳実2、芍薬4」 ★適応症及び病名(五十音順) 唾石: ☆患者は埼玉県某町の八百屋の女主人。しばらく前から、舌の下が小さ く膨らんでいたが、数日前から急に大きくなって、だんだん痛みがひ どく、口をつむることが出来ないという。外科医には手術しなければ 治らないと云われた。診ると舌下腺の唾石である。そこで、排膿散の 桔梗の代わりに梔子を用い、梔子枳実芍薬湯という処方をつくって与 えた。以前の唾石の患者の時には、唾石というハッキリした診断がつ かなかったので、消炎のつもりで。梔子に甘草を入れて与えたが、唾 石ならば、枳実と芍薬を入れた方がよかろうと考えたからである。と ころがこの患者も、翌日になって、ソラマメ大の唾石を自然に排出し て治ってしまった《大塚敬節》
梔子金花湯《傷寒翼方》 「黄連解毒湯大黄」 ◎裏実は当に攻下すべし。 梔子厚朴湯[1-1]《傷寒論》 「梔子(擘)14個、厚朴(炙去皮)4両、枳実(水浸炙令黄)4枚」
◎心煩は、当に虚煩と做して看るべし、腹満も亦実満に非ず《尾台榕堂》 (做=サク、作に同じ) ◎胸腹煩満する者を治す《方極》 ◎熱病、心下堅く、腹微満し、煩して起臥安からざる者は、梔子厚朴湯之を主ど る。《医聖方格》
梔子厚朴湯[1-2]《東醫寶鑑》 「梔子1銭半、厚朴3銭、枳実2銭」水煎服。 ◎傷寒で下痢した後心煩し、腹が張って、寝ても起きても気分が悪い者。 ★適応症及び病名
腹が張る: ☆熱性症候劇しからずして心煩あり、頭のみ汗出で、腹満し、食欲なく、 輾転反側する証《奥田謙蔵》 ☆脈浮に、胸腹微満して心煩し、腹部の按擦を好む証《奥田謙蔵》 ☆胸中閉塞の感あり、或いは痛み、腹満あるも、時々増減あり、脈候に 著変なき証《奥田謙蔵》
梔子湯[1-1]《傷寒論》 「梔子(擘)14個、香(綿嚢)4合」 右二味、以水四升、洗煮梔子、得二升半、内、煮取一升半、去滓、分為 二服、温進一服、得吐者、止後服。 ◎発刊後、水薬不得入口、為逆。若更発汗、吐下後、虚煩不得眠、若劇者、必反 復倒、心中懊、梔子湯主之。若少氣者、梔子甘草湯主之、若嘔者、梔 子生姜湯主之。
◎陽明病、下之、其外有熱、手足温、不結胸、心中懊、飢不能食、但頭汗出者、屬梔子湯證。43 <辨発汗吐下後病脉證并治第二十二>
梔子湯[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》 「山梔子9g、淡豆9g」水煎服。 ◎熱病後の虚煩不眠。 梔子湯[1-3]《東醫寶鑑》 「梔子7個、半合剉作し、水2杯に、先に梔子を煎じて1杯に成っ たらを入れ、再煎し温服。吐いたら止め、吐かなかったら再び 服用。」 ◎心中懊の主治剤。
梔子湯[1-4]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》 「山梔子1.4g、香6.5g」水160ccを以て梔子を100ccまで煮詰め、 香を加えて煮直して60ccに煮詰め2回に分服。 ◎梔子湯の方后に一服して吐を得れば后服を止むの七字あり、世医遂に誤って 以て吐剤と為す。不稽の甚だし、為則之を試すに特に心中懊を治すのみ、未 だ嘗て必ずとせず、若し或いは瞑眩に因て吐す者は諸方皆然り、特に梔子湯 みにあらざるなり。張思聰曰く、旧本に一服して吐を得ば後服を止むの七字有 り、此れ瓜蒂散中に香あるに因ると、而して此に於て誤伝なり。此の説も亦 未だ精覈(セイカク)せざるなり。枳実梔子湯、梔子大黄湯皆香ありと雖も吐 を得る云々の語なし、要は皆転訛(テンカ)のみ、其の若し嘔する者は梔子生姜 湯之を主ると謂うを観れば、則ち其の吐剤に非らざること自ら明白なり。《重 校薬徴》 ◎虚煩して眠られず。 ◎心中懊、胸中ふさがり、心中結痛、煩熱、頭汗出る者。 ◎出血。 「梔子」:つかむような痛みに用いる鎮痛剤。 梔子は好んで胸部に働く作用がある《大塚敬節》 「香」:胸苦しい時に用いる消炎性健胃剤。 ◎心中熱して、懊する者を治す《方極附言》 ◎此方は、梔子、香の2味のみ、然れども之をその症に施せば、その効響くが 如し。親から之を病者に試むるに非ずんば、焉んぞ能くその功を知らんや《尾 台榕堂》 ◎目標: “心中懊する者”“胸中塞がる者”“心中結痛する者”に用いる。 “心中結痛とは、むすぼれ痛むということで、梔子はつかむように痛むとい う処へも用いる。” 【腹証】 《腹診配剤録》 “心中苦煩して眠ることを得ず、或いは心下痞満して痛む。然れども之を按ず れば力無し”
梔子湯[1-5]《漢方治療の実際》 「梔子3、香4」 ★適応症及び病名 [1]イライラ [2]息切れ [3]胃炎 [4]胃潰瘍 [5]胃酸過多症 [6]胃酸欠乏症 [7]胃痛 [8]咽喉炎
☆あつい餅を急いで食べたために食道炎となり、嚥下時に激しい疼痛を訴えたことがあった。そのときに傷寒論の梔子湯の条下に“胸中ふさがる者”または“心中結痛する者”に、梔子湯を用いるのを思い出し、これを試用せんんとしたが、香が手元に無かったので、山梔子に甘草を入れて、煎じてのんだところ、1服で著効を得たことがあった。(漢方診療医典) [9]黄疸(小便赤い)
[10]喀血 [11]乾癬 [12]局所の熱感 [13]狭心症 [14]胸痛: ☆熱性症候なく、胸部支痛して煩悶し、その脈遅なる証《奥田謙蔵》 ☆21歳の女性。急に激しく胸が痛み、言葉を発することが出来ず、 堪えられないほどである。そこで胸痛のある時に用いる処方を用い たが効をみず、梔子湯を用いたところ、1服で痛みが止んだ《長 沙腹診考》
[15]胸中のふさがり: ☆胸中塞がるとは、胸のつまること。《大塚敬節》 ☆気鬱して煩悶し、食を欲せず、其の脈弦細なる証《奥田謙蔵》 ☆大病差えて後、食し已って胸中微煩し、昏沈する者《類聚方集覧》
[16]胸中煩熱(胸があつ苦しい) [17]高血圧症 [18]口苦 [19]口内炎 [20]紅斑(かゆみが強い)
[21]歯根炎(出血が気になる) [22]歯根出血 [23]痔出血(熱感があり、出血が気になる) [24]湿疹
[25]食道炎 [26]食道ガン [27]食道狭窄症 [28]食欲不振 [29]自律神経失調症
[30]神経衰弱 [31]心下部疼痛 [32]心臓病 [33]心中懊: ☆心中懊とは、胸の中が何とも形容出来ないように、もやもやとし て気持が悪くサッパリしない状のこと。《大塚敬節》
[34]心煩: ☆下後、腹部軟弱となれるも、微熱去らず、呼吸促迫し、心煩、苦悩 し、その脈弦にして遅なる証《奥田謙蔵》
[35]ジンマシン(かゆくて眠れない) [36]性的神経衰弱 [37]舌炎 [38]舌出血 [39]舌質
<紅><やや乾燥> [40]舌苔 <微白~微黄>
[41]痒性皮膚疾患 [42]唾石 [43]帯状疱疹 [44]血の道症 [45]手足のほてり(気になって、眠れない)
[46]凍傷 [47]吐血(出血が気になる) [49]熱病 [50]ノイローゼ(夜間に増悪) [51]のぼせ
[52]肺炎 [53]肺結核 [54]煩熱: ☆汗下の後、なお微熱有り、脈緩にして数、胸中満悶を覚える証《奥 田謙蔵》
[55]微熱 [56]不安感(夜間に) [57]不眠症: ☆睡眠し難く、或いは睡眠すれば夢多く、飢ゆると雖も、然かも食味 無く、漸く疲労に陥らんとする証。《奥田謙蔵》
[58]腹部軟弱無力 ☆腹直筋の緊張はない。 [59]腹満: ☆汗下の後、腹虚満し、脈微浮にして心煩有り、二便に異常なき証《奥 田謙蔵》 ☆霍乱、吐下の後、心腹煩満するを治す《肘後百一方》
[60]扁桃炎 [61]胸やけ [62]メッケル憩室炎 梔子生姜湯[1-1]《傷寒論》 「梔子(擘)14個、生姜5両、香(綿嚢)4合」
梔子生姜湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「梔子湯生姜4」 ◎梔子湯証にして、嘔する者を治す《方極附言》 ★適応症及び病名 胸痛: ☆熱性症候なくして、脈緩弱、胸中痛みて背部に徹し、或いは悪心し、 或いは嘔吐する証《奥田謙蔵》 吐き気: ☆汗下の後、微熱未だ去らず、或いは悪心し、或いは乾嘔を発する証《奥 田謙蔵》 不眠: ☆虚煩して眠ること得ず、若し劇しき者は、必ず反復転倒し、心中懊 す。梔子湯之を主どる。若し微煩して止まず、更に少気する者は、 梔子甘草湯之を主どる。もし嘔する者は、梔子生姜湯之を主どる。 《医聖方格》
梔子仁丸《東醫寶鑑》 「山梔子(老)末・黄蝋」等分に熔化して、弾子大の丸剤。茶清で噛 んで呑み下し、熱物を避けると半月目に効あり。
◎酒査鼻。 梔子清肝湯《外科枢要》《古今方彙》 =「柴胡梔子散」 「柴胡・山梔子・牡丹皮各1銭、茯苓・川芎・芍薬・当帰・牛蒡子各7分、 甘草5分」水煎。
◎三焦及び足の少陽経の風熱で耳内に痒を作し、瘡を生じ、或いは水を出し、疼 痛し、或いは胸乳間に痛みをなし、或いは寒熱往来するを治す。
梔子大黄湯[1-1]《傷寒論》 「梔子14枚、大黄1両、枳実5枚、1升」 ◎酒黄疸、心中懊、或熱痛、梔子大黄湯主之。 梔子大黄湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》 =「枳実梔子大黄湯」 「梔子2、大黄1、枳実3、香10」
梔子大青湯[1-1]《東醫寶鑑》 「山梔子・大青・黄芩各1銭半、升麻1銭、杏仁8分、葱白3茎」水煎 服。 ◎妊婦の傷寒、発斑の黒い色に変ずる者。
梔子大青湯[1-2]《東醫寶鑑》 「黄芩・山梔子・升麻各2両、大青葉・杏仁各5分、葱白3茎」水煎服。 ◎妊婦が熱病で斑を発する。
梔子竹茹湯《東醫寶鑑》 「梔子(炒)3銭、陳皮2銭、青竹1銭半」剉作し、1貼を水煎し姜汁を 混ぜて飲む。 ◎胃熱による悪心・乾嘔の止まらない者。
梔子湯《蘇沈内翰良方》 「梔子、附子,薤白」同煎する。 =古梔附湯《医学正伝》と名付け、饑病を治す。 ◎胸痺切痛を治す。 ◎《朱丹渓》曰く、烏頭外束の寒を治し、梔子内鬱の熱を治す。則ち内熱外寒の 理、昭然なり。況や二物皆下焦の薬、梔子烏頭の引く所、則ち勢の下ること急 速に、胃中に少緩するを容(ユル)さず。《雑病翼方》
梔子蘗皮湯[1-1]《傷寒論》 =「梔子柏皮湯」 「肥梔子(擘)15個、甘草(炙)1両、黄柏2両」 ◎傷寒身黄発熱、梔子蘗皮湯主之。
梔子柏皮湯 《漢方治療の実際》 「梔子3、甘草1、黄柏2」 梔子柏皮湯[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》 「山梔子6g、黄柏6g、甘草3g」水煎服。
◎黄連解毒湯黄芩黄連甘草《大塚敬節》 ◎全身の黄染、発熱、頭汗 ★適応症及び病名(梔子柏皮湯) アトピー性皮膚炎: カユミを抑え、好酸球が減少(富田・富山医薬大学助手) [1]黄疸: ☆一身黄み、発熱し、心煩する者を治す《方極附言》 ☆熱病、身黄み、発熱し、微煩する者は、梔子蘗皮湯之を主どる《医聖 方格》 ☆黄疸等にして、発熱し、煩悶する証《奥田謙蔵》 ☆黄疸があっても、腹証上、腹満や胸脇苦満もなく、悪心、嘔吐、口渇、 尿の不利も無い者に用いる《大塚敬節》 ☆《大塚敬節》 “28歳男子。やや痩せ型、10日ほど前から、軽微の黄疸となったが、 食欲、大小便ともに、ほとんど異常がないという。腹診しても、特に 変わったとことはない、口渇も、嘔吐もない。そこでこの方を与えた ところ、7日間の服用で、黄疸は全く消失した” ☆是は黄疸で熱の強い者に用いる。この場合に便秘しておれば、先ず茵 蒿湯を用い、その後で、この方を用いる。もし心胸にかかって便秘 しておれば梔子大黄湯を用いる。およそ黄疸は多かれ少なかれ心胸に かかる者であるが、梔子大黄湯は専ら心胸にかかる。茵蒿湯も心胸 にかかるけれども、梔子大黄湯ほど心胸に専らかかるものではない。 およそ黄疸になろうとする者は、発黄前から胸が気持ち悪いものであ る。それ故、熱があって、胸の気持の悪いときは、いつでも黄疸に意 をそそぐがよい。梔子大黄湯は、心中懊あるいは熱痛が目標である 《有持桂里》 [2]脚気
[3]眼瞼炎: ☆胞瞼糜爛、痒痛し、及び痘瘡落痂以後、眼なお開かざる者には、枯礬 少許を加へて之を洗う。《類聚方広義》 [4]肝斑 [5]胸中煩悶: ☆発汗の後、微熱なお去らず、胸中欝塞の感ありて煩悶し、頭のみ汗出 で、尿黄色を呈する証《奥田謙蔵》 [6]結膜炎 [7]口渇 [8]虹彩炎 [9]肛門掻痒症 [10]黒皮症 湿疹: ☆23歳の女性。患者がいうには、昨年も今頃一度診察していただき、 7日分の薬をもらいましたが、全部を飲み終わらないうちに治ってし まって、そのままになっていましたが、今年もまた同じように眼瞼の 周囲が痒くてたまらず、掻いているとこんなになりましたと。
みると、左右の眼瞼の周囲が少し赤味を帯びて、黒く隈取っている。 指頭を患部にふれてみると、少し熱感がある。大小便その他には異常 がない。
さて、昨年は何を用いたか?とカルテをみると、梔子柏皮湯となっ ている。そこでまた同じ処方を7日間与えたが、そのまま治ってしま った、《大塚敬節》 [11]ジンマシン(身黄、発熱、腹満なし)
[12]腎炎 [13]頭汗 [14]舌質 <紅> [15]舌苔 <黄苔> [16]胆石症 [17]発熱: ☆蒸々として発熱し、衂血を発する証《奥田謙蔵》 ☆1婦人、故なくして下肢の1部分に熱感があり、火が燃えているよ うだと云う。掌をあててみると、熱感を覚え、その部分が少し発赤 している。よって身熱と診断して、この方を与えたところ、数日の のち熱感は拭(ぬぐ)うように消失した。漢方でいう熱とは、必ずしも体温 の上昇を必要とせず、熱感だけのものでも、これを熱とする場合が ある。《大塚敬節》 [18]鼻血: ☆小児の衂血を治す《証治準縄》 煩熱: ☆梔子の入った処方には、煩熱や身熱を治する効がある《大塚敬節》 ☆体温の上昇はなくとも、熱感のある者に用いてよい。この熱感は局 所的なものでも、全身的なものでもよい《大塚敬節》
[19]皮膚炎 [20]皮膚掻痒症 [21]浮腫 [22]腹部膨満 [23]目が充血: ☆眼球黄赤、熱痛甚だしきを洗えば、効あり。《類聚方広義》
梔枳家湯《東醫寶鑑》 「梔子・枳実各2銭、香5銭」水煎服。 ◎労復の発熱に、微熱が出ると治る。 梔湯《東醫寶鑑》 「大梔子4枚、豆6銭を水煎服すると止まる。又梔は苦寒の時、 酸漿を少し入れて胸中の邪を吐出させる。梔子は元来吐剤でない が、これは邪気が上にあると抗拒し、体に合わず、上より吐かせ 邪気を出るようにしたもの。
◎胸膈に痰が壅寒し、燥を発したとき。 梔萸丸《東醫寶鑑》 「山梔子(炒焦)1両半、呉茱萸・香附子各2銭半」を作末し、川椒 大の丸剤。生姜・生地黄で煎じた湯で20~30丸呑む。 ◎気実心痛で抑えると痛みがひどくなる者。
梔附湯《東醫寶鑑》 「山梔子49枚を半分にして焼いて、大附子(炮)1個を切って2銭」 水1杯・酒半杯で7分まで煎じ、滓を去り塩を少々入れて温服。
◎寒疝による腹痛と、小腸・膀胱の刺痛を止める。 絲瓜散[1]《東醫寶鑑》 「絲瓜絡1枚・連皮を焼いたもの」作末し、2銭を酒で空腹時に服用。
◎五色痢と、酒痢の血便・腸痛を治す。 絲瓜散[2]《東醫寶鑑》 「露1~2回受けた絲瓜根を取って洗い、10日間夜露を受けさせて、 陰干しにし毎回1回に、3銭づつ切って散を作り、水煎して滓を去 り香油を少し垂らして服用。 ◎腸風・臓毒・痔瘻・脱肛。
資寿解語湯《東醫寶鑑》 「羚羊角・桂皮各1銭、羗活・甘草各7分半、防風・附子(炮)・酸棗 仁・天麻各5分」剉作1貼し水煎し「竹瀝5匙、姜汁1匙」入れて調 服する。 ◎風が心脾に入って話せない。
児軽散《中薬臨床応用》 「阿仙薬9g、海粉6g、竜脳1g、竜骨9g」作末し水で練って塗布。 ◎分泌物が多い湿疹 ◎皮膚潰瘍
竺黄湯《中薬臨床応用》 「天竺黄6g、白蚕3g、菖蒲2.5g、法半夏5g、胆南星2.5g、天花粉9g、川 貝母5g、釣藤鈎9g、知母6g」水煎服。 ◎小児の熱性ケイレン ◎意識障害で咳嗽、呼吸促迫 ◎粘稠な痰
思仙続断苑《普済本事方》 衂血一方《済世全書》《古今方彙》「升麻・白芍薬・牡丹皮各5分、生地黄2両半、黄芩・柏葉・荊芥各5銭」水煎。 ◎衂血止まざるを治す。
七気消聚散《医学統旨》 「莎草1匁半、青皮・莪朮・三稜・枳実・木香・縮砂各1匁、厚朴・橘皮各1匁2分、甘草」 ◎蠱脹、積聚に因り、相攻め、或いは疼み、或いは腫るを治す。◎此方と「分消湯」と伯仲の薬なり。但し蠱脹の疼痛ある者には此方効ありとす。《勿誤薬室方函口訣》
七気湯[1]《岡本玄治》 「莪朮・青皮・三稜・木香・桂枝・莎草・良姜・橘皮・川芎」◎虫積、臍下痛み、足冷ゆるを治す。
◎此方は玄治翁の《燈火集》に、大七気湯に加減して婦人臍下痛に経験せり。◎証に臨んで運用するときは、虫積のみならず、諸積痛に験あり。《勿誤薬室方函口訣》◎積少腹にあり、奔上して心に至り、上下時無く、賁豚の走るが如し。飢ゆれば見われ、飽すれば減ず。臍下痛、気屈して、手冷え、口乾、目眩し、久しけれ ば則ち骨痿す。此方に宜し。《雑病翼方》
七気湯[2]《外台秘要方》「桂枝・黄芩・桔梗各2両、人参・芍薬・地黄・半夏各3両、枳実5枚、呉茱萸7合、橘皮・乾姜・甘草各3両」◎寒気、熱気、憂気、労気、愁気、或いは飲食膈気を為し、或いは労気、内傷、気衰少力を療す。
◎此方は労気、内傷よりして飲食胸膈に阻格(はばまれる)し、或いは寒熱ありて気衰少力者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎憂、労、寒、熱、愁、思、及び飲食隔塞し、虚労内傷、五蔵絶傷、奔気する能わず、心中悸動、不安を療す。《雑病翼方》
七気湯[3]《備急千金要方》 「七気湯《外台秘要方》-桂枝桔梗括蔞根・蜀椒」 七気湯[4-1]《東醫寶鑑》 「半夏3銭、人参・肉桂・甘草(炙)各7分、生姜3片」水煎服。◎七情が心腹に欝結して痛む者。
七気湯[4-2]《古今方彙》「半夏2銭半、人参・肉桂・甘草各5部、生姜」水煎。◎七情の傷るる所及び労役飲食節せず、満悶短気するを治す。◎心腹刺痛する:「+延胡索+乳香」=「加味七気湯」◎婦人には:「+川芎+当帰」
七気湯[4-3]《漢方治療の実際》 「半夏5、人参・桂枝各3、甘草2、生姜4」◎気鬱を開くために設けられた薬方《大塚敬節》
★適応症及び病名(七気湯) [1]嚥下困難:☆気鬱からくる嚥下困難に用いる《大塚敬節》☆飲食が隔気をなすというものの用いて効がある。その症は隔のように飲食物が時々胸につまって、背を叩かないと下りないというものである。しかし隔のように是非とも吐くという程ではないが、とかく飲食が下りにくく、食事するたびに苦しみ、いろいろ処方を用いても治らないという者に、この方を用いると効がある。《梧竹楼方函口訣》
七賢散[1-1]《外科正宗》 「茯苓・山茱萸・山薬・牡丹・地黄・人参各1銭、黄蓍2銭」 ◎主として腸癰潰後、疼痛、淋瀝已まず、或いは精神減少、飲食無味、面色萎黄、自汗盗汗、睡臥不安を治す。
◎「六味地黄丸-沢瀉+人参黄蓍」《勿誤薬室方函口訣》◎腸癰潰後の滋補のみならず、諸瘡瘍に運用すべし。場合によりては「十全大補湯」より効あり。
◎余又、傷寒差後、下元虚憊の者に与えて験を得たり。◎老人気血衰弱し、背に発し、渇止まざる者、宜しく服すべし。《雑病翼方》 七賢散[1-2]《外科正宗》《漢方治療の実際》「茯苓6、地黄5、山薬・牡丹皮各3、山茱萸・人参・黄蓍各2」
七夏豆根湯《中薬臨床応用》 「七葉一枝花豆頭30g、夏枯草30g、山豆根30g」水煎服。◎肺ガン 七生丸《東醫寶鑑》「川芎・川烏・草烏・天南星・半夏・白芷・石膏」を各等分にし、細辛・全蝎を加え各半分づつ減らして細末にし、韭葉の自然汁で梧子大の丸剤。生葱をかじった後、茶清で7~9丸づつ呑む。
◎男女の頭風と一切の頭痛。
七生湯《東醫寶鑑》「生地黄・生荷葉・生藕節・生韭薬・生茅根各1両、生姜5銭を搗いて自然汁1合を取り、濃くした京墨汁と混ぜて調服する。」◎血が口鼻からあふれ出し、諸薬無効の者。
七製香附丸《東醫寶鑑》「香附米14両を7包に分け、1包は当帰2両と酒浸し、2包は莪朮2両と童便に浸し、5包は川芎・延胡索各1両と水浸し、6包は三稜・柴胡各1両と醋浸し、7包は紅花・烏梅各1両と塩水に浸す。以上の材料を、春には5日、秋には7日、冬には10日間乾かし、香附だけ除いて作末し、それぞれ浸した薬水に又浸して、糊で梧子大の丸剤。就寝時に酒で80丸飲む。
◎月経不調による病気を治す。 七成湯《温疫論》 「人参・附子・茯苓各1銭、五味子8分、甘草5分、破故紙3銭」 ◎病癒える後、脈遅細にして弱、黎明に至る毎に、或いは夜半の後に、便ち泄瀉を作す者を治す。◎此方は《呉氏》専ら五更瀉に用いれども、総じて老人脾腎の虚よりして下痢、足脛微腫をなす者に効あり。
◎「五更瀉」:たぶん疝に属するものにて、大抵真武湯にて治するなり。《勿誤薬室方函口訣》◎按ずるに五更瀉は、独り腎虚の一端のみならず、酒積、食積、寒疝、みな此の病を作す。概して温腎を与うはその治に非ず。《雑病翼方》◎雑病の泄瀉を治して効あり《方読便覧》◎泄瀉癒ゆるの後、脈遅細にして弱く、夜半、黎明に至って瀉する者、これ命門、直陽の不足なり。「七成湯」或いは「参苓白朮散」これを主るに宜し。又、実に属する者有り、「大黄丸」の類に宜し。《先哲医話》
七宣丸《東醫寶鑑》「大黄1両、木香・檳榔・訶子皮各5銭、桃仁12」作末し、梧子大の蜜丸。 温水で50丸飲む。 ◎熱が胃腸にとまって、大便が詰まる者。
七仙丹《東醫寶鑑》「何首烏(9回蒸9回乾燥)4両、人参・生乾地黄(酒洗)・熟地黄・麦門冬・白茯苓・茴香(炒)各2両」作末し蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸、酒or塩湯で噛み下す。◎心腎を補い、美顔・髪黒。
七棗湯《医方考》《古今方彙》「附子、大棗」水煎温服。◎瘧の発する時に独り寒く熱無き者は脉遅なり。名づけて牝瘧と曰う。 七珍散 七転霊応丹《東醫寶鑑》 「妙応丸-使君子」
◎諸般の血積を治す。
七度煎《勿誤薬室方函》「黄蓍・地黄・杜仲・茯苓・川芎・大黄・防風・牛膝・黒丑・檳榔・甘草・山紫玉屑・土茯苓」◎下部の痼毒は「七度煎」に宜し。
(→大百中飲《本朝経験》)
七灰散《婦人大全良方》 「蓮房殻・罌栗殻・蟹殻・益母草・旱蓮草・藕節・棕毛灰各等分を、存性するように(外側を黒く、内側を黄色になる様に)焼いて作末して、空腹時に酢湯で12gを服用。」
七宝飲《外台秘要方》「常山、厚朴、陳皮、青皮、甘草、檳榔子、草果仁」 七宝飲《中薬臨床応用》「常山9g、檳榔子9g、鼈甲9g、烏梅3g、大棗9g、甘草9g、生姜9g」水煎服。◎瘧疾。
七宝飲《医学正伝》《古今方彙》「常山1銭、厚朴・陳皮・草果・檳榔子・青皮・甘草各半銭、生姜」煎じ酒(少許)入れて、一宿を露し発するに臨み、五更に温服す。
◎瘧疾を発散して、病勢少しく衰え而して之を用いて之を截る。「+知母、蒼朮、鼈甲、烏梅」=「常山七宝飲」
七宝丸《東洞家塾方》=「七寶丸」「牛膝・軽粉各2銭、土茯苓1銭、大黄8分、丁字5分」右5味、合して杵き篩い、末となして緑豆大の糊丸。1日8分分けて2服す。毎に4分を服す。朝夕白湯にて之を服す。凡そ6日、又、7日詰朝後方を服す。「巴豆・丁字各2分5厘、大黄4分」右3味まず丁字、大黄を杵きて末と為し、別に巴豆を研りて中に入れ合し治めて、緑豆大の糊丸。凡そ前方を服すること6日、乃ち7日に至りて詰朝此方を服す。1服1銭、白湯にて之を下す。 (後方は丁字をもって、軽粉の毒を取るため)
[丁字を製する法]丁字1銭、粳米7粒を内れ別に研る。悉く細末となす。然からざるときは、粘貼して末すること能わず。 七宝丸=「前七宝丸」と「後七宝丸」及び「続七宝丸」を用いる。
七宝散《東醫寶鑑》「猪牙皀角1銭、全蝎(毒を去る)10箇、硼砂・雄黄・白礬・胆礬各1銭」細末にし喉中に吹き入れるとすぐ治る。◎喉閉・単蛾・隻蛾を治す。
七宝丹《吉益東洞》《勿誤薬室方函》「牛膝・軽粉各2銭、鷄舌香5銭、遺糧1銭半、大黄8銭」◎瘡毒痼疾、骨節疼痛する者を治す。
七宝美髯丹《邵応節方》「何首烏、白茯苓、牛膝、当帰、枸杞子、菟絲子、補骨脂」 七味鷓鴣菜湯《浅田家方》 「黄連・桂枝・半夏・大黄・鷓鴣菜・甘草・乾姜」◎嘔吐、腹痛、蛔に属する者を治す。◎此症は回虫にて嘔吐、腹痛する者を治す。◎「椒梅瀉心湯」と類方なれども、彼は安蚘を主とし、此れは殺蛔を主とするなり。◎胃実の嘔吐、長虫諸般蟯癖通治の方なり。按ずるに鷓胡菜は殺虫の聖剤と為す。而して之を服す者、まま、嘔を発し、嚥む能わず。余聞く、安房の《尾崎玄昌》、かって一児の蚘病を治す。その証、煩渇、水を飲まんと欲し、心痛嘔吐、最も甚だし。而して児、湯薬を悪み、強いて之を与えれば則ち嘔吐益々加う。玄昌、鷓胡菜を以て水侵半時ばかり、菜を去って之を服せしむ。児素より冷を欲す。 頓服数椀して嘔収まり、蚘安し。《傷寒翼方》
七味清脾湯《三因極一病証方論》《古今方彙》「厚朴4両、青皮・半夏・良姜・烏梅各2両、草果1両、甘草(炙)半両、生姜、大棗」水煎。 ◎脾瘧、食瘧、嘔吐腹痛等の症を治す。
七味疝気方《勿誤薬室方函》「桂枝・桃仁・延胡索・木通・烏薬・牡丹皮・牽牛子」
七味葱白散《東醫寶鑑》「葱白連根3葵、乾葛・麦門冬・熟地黄各3銭、香豉半合、生姜(切)1合」剉作1貼し、甘爛水4升で煎じて1/3ぐらいになったら滓を去り、2回に分けて服用。◎労復と食復を治す。
七味蒼柏散《医学入門》《東醫寶鑑》 「蒼朮・黄柏・杜仲・破故紙・川芎・当帰・白朮各1銭」水煎し空腹時に服用。◎湿熱腰痛で軽い者。◎湿熱にて腰痛し動止滞り、重くして転側する能わざるを治す。《古今方彙》
七味調気湯《中薬臨床応用》「青皮6g、香附子3g、木香1.5g(後下)、藿香3g、烏薬3g、縮砂3g、甘草3g」水煎服。 ◎胸脇部が脹って痛む
七味白朮散(慢性の下痢・消化不良) 七味白朮湯《小児薬証直訣》 =「銭氏白朮散」「人参・茯苓・白朮・藿香各5分、葛根1銭、木香・甘草各5分」◎脾胃、久虚し、嘔吐、泄瀉、乳食進まざるを治す。◎霍乱及び一切の吐瀉、煩渇気弱、妊娠の霍乱を治す。《古今方彙》◎中気虧損して津液不足し肌熱怠惰、舌乾口燥、冷を飲むを喜ばず、或いは吐瀉の後に渇を作す者を治す。《医方考》◎瘧久しく癒えず、発したる後に口乾き倦甚だしき者を治す:「+麦門冬+五味子」《薛立斎》。煎じ与えて恣に飲み、再発し稍可なれば乃ち「補中益気湯+茯苓+半夏」を用い而して癒ゆ。《古今方彙》◎口舌に瘡を生じ、口乾し湯を飲み食せざるを治す。《薛立斎》◎此方の趣意は四君子湯にて、脾胃の虚を補い、藿香、木香にて脾気の眠りを醒まし、葛根にて陽明の熱を清解し、渇を止め、下利をとどむと云う手段なり。 《勿誤薬室方函口訣》◎葛根を陽明の薬とすること古意に非ず。吾が門にては唯、葛芩連湯の虚候に渉る者、此方を与えて的効あり。◎泄利、附子剤を与えて止まざる者、「銭氏白朮散」奏功す。《先哲医話》◎胸癉多く虚に属す。消渇病多く此証を兼ね、食物ひとえに甘きを覚ゆる者なり。 《先哲医話》
◎嘔吐・泄瀉・乳食進まざる者。 七物降下湯《修琴堂》 「四物湯+釣藤鈎4、黄蓍3、黄柏2」 ◎目標:補気益気、熄風。 =《大塚敬節》が創作し、馬場辰二氏が命名した処方。「51歳の頃から、時々めまいをしたり、午後になると吐息が出たり、のぼせて頭痛がするようになった。秋になると腰が痛くなって、寝返りが困難となり、朝起きて靴下をはくのにも苦しむほどになった。(中略)翌年の3/23日の雨の日だった。どうも眼がよく見えない。おかしいいなあと思ったが、曇っているからだろうと、まだ呑気に構えていた。3/31日の朝であった。寝床で、額の字を見ようとしたところ、どうも変だ。右眼をつむってみると、ほとんど見えない。これはおかしいぞと思ったが、まだ眼底出血だとは気づかない。しかし気になるので、近所の眼科で診てもらったところ、ひどい眼底出血だとのことであった。しかも出血は相当前から続いていたらしく、一部は結締織化しているということであった。すべては手遅れで、視力は回復すべくもなく加速度で悪化し、2ヶ月後には明暗すら弁ずることが出来ない状態となった。その頃私ののんだ処方は、八味丸、黄連解毒湯、抑肝散、炙甘草湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、解労散などであったが、病勢を少しも緩めることは出来なかった。そこで色々と考えた末に、私の作った処方が「四物湯+釣藤鈎+黄蓍+黄柏」であった。これを用い始めたのが、5/30であった。この日の血圧は140-90であった。すると6/3には126-80、6/4には136-86、6/6には120-80という風で、最高は120内外、最低は80内外となった。そのことを馬場辰二先生に話したところ、その処方に七物降下湯という名をつけてくださった。
ところが6月の末に税務署員が見舞いに来た。私は驚いた。「先生がご病気だということを聞いてお見舞いに参りました。今年は所得税を免税にしますから、どうぞ落ち着いて十分に御養生してください」という。私は妙な複雑な心理状態になった。私はいよいよ駄目だなあと、ため息が出た。税務署には、私の右眼もやがて失明して盲目になるということが伝えられていたが、私には本当のことが語られていなかったのであった。7月の暑い日であった。 どっと衂血が出始め、それが、口からも鼻からも、ほとばしる。ものを言うことも出来ないほどである。黄連解毒湯を飲んだが、ますます出血はひどくなる。とうとう耳鼻科の先生にタンポンしてもらって、やっと止血した。2、3日たつと、右の足がシビレてきた。いよいよ脳出血の前兆かと思うと感慨無量である。私は悩んだ。しかしその頃の血圧は最高120内外で最低は80内外であった。私は自分で一番良いと進ずる養生をしてみよう。それで悪くなれば、運命とあきらめるより外にない。そう決心すると心が軽くなった。
それからやがて10年になる。」《大塚敬節》 ★適応症及び病名(七物降下湯) [1]IgA腎症 ☆体力やや虚弱で、最低血圧の高い者に用いる(漢方診療医典)[2]頭のふらつき[2]顔色が悪い[3]眼底出血[4]筋肉がひきつる(攣縮)[5]肩背強急[6]高血圧:☆最低血圧(拡張期血圧)が高い者。
☆疲れやすくて、最低血圧が高い者《大塚敬節》☆57歳の男性。頭が重く、血圧は168-100であり、尿中にズルフォでタンパク(+)であったが、これを用いて1ヶ月後には、150内外-90内外となり、2ヶ月後にはタンパクは陰性となり、血圧も140内外-80内外となった。《大塚敬節》
☆「+杜仲3.0」=「八物降下湯」[7]更年期障害[9]しびれ感(シビレ・筋肉のひきつり)[10]自律神経失調症状[11]腎性高血圧症:☆腎炎のために高血圧症。☆尿中のタンパクを証明し、腎硬化症の疑いがある者[12]頭重[13]頭痛
[14]舌質 <淡白> [15]血の道症 [16]手足がしびれる [17]手足がふるえる[18]糖尿病性腎症 ☆体力やや虚弱で、最低血圧の高い者に用いる(漢方診療医典)[18]動脈硬化症[19]尿量多い(多尿)[20]ネフローゼ
☆体力やや虚弱で、最低血圧の高い者に用いる(漢方診療医典) [21]のぼせ [22]皮膚に艶がない(皮膚枯燥)[23]疲労倦怠[24]頻尿[25]ふらつき[26]ほてり[27]本態性高血圧症[28]慢性腎炎
☆体力やや虚弱で、最低血圧の高い者に用いる(漢方診療医典)[29]耳鳴り[30]めまい(目眩) 七物厚朴湯《東醫寶鑑》「厚朴3銭、枳実1銭半、大黄・甘草各1銭、桂心5分」剉作1貼し、「姜5、棗2」を入れ水煎服。◎熱脹を治す。
七葉一枝花湯《中薬臨床応用》「七葉一枝花9g、金銀花9g、白菊花9g、麦門冬6g、青木香3g(後下)」水煎服。◎流行性脳炎◎日本脳炎◎流行性耳下腺炎◎マラリア◎小児の高熱◎日射病◎熱射病◎意識障害を伴う痙攣
七厘散[1-1]《良方集腋方》「乳香、没薬、辰砂、血竭、紅花、孩児茶、麝香、氷片」
七里散[1-2]《傷科補要》 「乳香・没薬・紅花・朱砂各600g、血竭512g、当帰80g、孩児茶(⇒阿仙薬)72g、 麝香48g、冰片8g。以上を細末にして、熱い陳酒で、2ないし4g冲服。外用には、酒で調製する。」
七厘散[1-3]《良方集腋方》《中薬臨床応用》【中成薬】 「血竭・紅花・阿仙薬・朱砂・乳香・没薬・麝香」◎打撲捻挫によいる胸腹部の疼痛、出血。
止渇湯 止痙散《河北人民出版社》 「全蠍・蜈蚣」を細末にする。 ◎流行性乙型脳炎云々。 止血散《東醫寶鑑》「胡桃仁・破故紙(炒)・槐花(炒)各3両半、皀角(刺焼灰)2両」作末し、温酒で2銭調下。
◎腸風が糞前にあるのは肝・腎の血で、糞後にあるのは心・肺の血である。
止衂散《三因極一病証方論》《古今方彙》 「黄蓍6銭、赤茯苓・白芍薬各3銭、当帰・生地黄・阿膠各3銭」細末にし、「黄蓍湯」を煎じ調下する。 ◎積怒は肝を傷り、積憂は肺を傷り、煩思は脾を傷り、失志は腎を傷り、慕喜は心を傷り、発して鼻衂を為すを治す。
◎又、気鬱して衂を発するを治す。
止喘元《東醫寶鑑》「蓽撥・胡椒・人参・胡桃肉」各等分に作末し、1両を3丸に蜜丸。毎回1丸を温水で呑む。◎冷喘を治す。
止嗽散[1-1]《医学心悟》 「荊芥・紫苑(蒸す)・百前(蒸す)・桔梗(炒る)・ 百部(蒸す)、陳皮(水で洗って白を去る)、甘草(炒る)」以上を細末にして混和し、毎服、生姜湯で飲む。
止嗽散[1-2]《医学心悟》《中薬臨床応用》「紫菀9g、荊芥6g、百部6g、白前6g、桔梗3g、甘草3g」水煎服。 ◎慢性咳嗽 ◎痰が多くてつまる ◎喀出してもすっきりしない ◎痰に血が混じる
止痛消瘀方《中薬臨床応用》「白膠香5g(沖服)、北紫草12g、三七末5g(沖服)、金狗脊18g、絡石藤12g、当帰12g、甘草(炙)5g」水煎服。(酒浸しても良い) ◎慢性関節リウマチ ◎座骨神経痛 ◎打撲による腫脹疼痛 ◎月経痛
止痛附子湯《医門秘旨》 「蒼朮・莎草・黄柏・青皮・益智仁・桃仁・延胡索・茴香・附子・甘草」 ◎諸疝気を治す。◎此方は瘀血に属する疝にて、疼痛攻注する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎「八味疝気剤」と表裏の方なり。八味の症にして陰位に属する者に用いる。◎「通経導滞湯」の症にして陰位にある者に用いる。
止痛散[1]《医宗金鑑》 「川椒12g 苦参・赤芍・鉄綫透骨草各8g、防風・荊芥・当帰・丹参・艾葉・丹参・鶴虱・升麻各4g、甘草3.2g」を作末して布袋にいれ、袋の口を固くしばって、煎じて燻洗する。
止痛散[2]《医方考》《古今方彙》「白朮、陳皮、青皮、山楂子、神麹、砂仁、麦芽」作末し白湯にて調下する。或いは煎じて服するも亦可なり。 ◎小児の腹痛は多く是れ飲食に傷るる所なり。此方に宜し。 ◎寒あれば:「+呉茱萸」 ◎熱あれば:「+黄芩」
止麻消痰飲《寿世保元》《古今方彙》「黄連、半夏、括楼仁、黄芩、茯苓、気胸、枳殻、陳皮、天麻、細辛、天南星、甘草、生姜」水煎。 ◎口舌麻木し、涎及び嘴角、頭面も亦麻木し、或いは嘔吐痰涎、或いは頭眩、眼花、悪心し遍身麻木するを治す。
◎血虚には:「+当帰」◎気虚には:「+人参」
使君子丸[1]《東醫寶鑑》 「使君子(麺にくるんで煨る、殻を去)1両、訶子(皮半生半煨)・甘草(炙)各5銭、陳皮2銭半」作末し、芡実大の丸剤。毎回1丸を米飲で呑む。◎冷疳を治す。
使君子丸[2]《医方集解》 「使君子・天南星・檳榔」 ◎住血吸虫のため、腹が張り腹痛して、皮膚は黄色になって腫れ、茶米炭土などの異物を喜んで食べる。
使君子散《証治準縄》 「使君子10個(瓦上で炒る)、白蕪荑甘草(胆汁に一昼夜浸す)各0.4g、苦楝子5個(炮じて核を去る) ]以上を末にして、毎服4g清水で煎服。
使檳合剤《中薬臨床応用》「使君子9g、檳榔子5g」水煎服。◎児童の回虫駆除 視脹丸 「商陸、赤小豆、陳皮、木香」 磁朱丸 ◎めまい 磁石羊腎丸《東醫寶鑑》「磁石()3両と葱白・木通各3両を切って一昼夜水煎し、磁石を取って作末したもの2両、川芎・白朮・川椒・棗肉・防風・白茯苓・細辛・山薬・遠志・川烏・木香・当帰・鹿茸・兎絲子・黄蓍各1両、肉桂6銭半、熟地黄2両、石菖蒲1両半」作末し、羊腎の両対を酒で煮て酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に温酒又は塩湯で50丸飲む。
◎諸般の耳聾。
至聖丸《東醫寶鑑》「木香・厚朴・使君子・陳皮・肉豆蔲各2銭、丁香・丁香各1銭」を作末し、神麹糊で麻子大の丸剤。米飲で7~15丸呑む。 ◎冷疳を治す。
至聖来復丹《東醫寶鑑》 =「正一丹」「硝石・硫黄各1両」を混ぜて細末にし、容器に入れ柳の枝でかき混ぜながら炒る。あまり炒りすぎると効果がなくなる。そしてもう一度粉砕したものを二気末という。太陰玄精石(粉末)1両、五霊脂(洗い日光で乾燥)・青皮・陳皮(去白)各2両を粉末する。以上を全部混ぜて醋麺糊で豌豆大の丸剤。米飲で30~50丸空腹時に服用。
◎中気・上気・気痛・気鬱に効く。◎痼冷で心腹が冷痛し、臓腑が虚滑の症、霍乱・吐瀉と脈が細く切れようとするのを治し、◎栄衛が養われず、心腎が昇降出来ず、上は実、下は虚して気はつまり、痰が厥逆するなどの、一切の危険な症を治す。
至宝三鞭丸【中成薬】「海狗腎・広狗腎・鹿茸・海馬・蛤蚧・肉蓯蓉・菟絲子・杜仲・巴戟天・破故紙・肉桂・陽起石・覆盆子・沈香・茴香・淫羊藿・山椒、枸杞子・地黄・芍薬・何首烏、人参・黄蓍・白朮・山薬、当帰・山茱萸・桑螵蛸・竜骨・遠志・甘松香・菖蒲・牛膝・牡丹皮・沢瀉・茯苓・黄柏」◎インポテンス(知的労働者の)・老化現象。
至宝丹[1-1]《和剤局方》 「生烏犀屑(研)、生玳瑁屑(研)、琥珀(研)、朱砂(研りて細かにして水飛す)、雄黄(研りて水飛す)各1両、龍脳(研)、麝香(研)各1分、牛黄(研)半両、安息香1両半(末と為し無灰酒を以て攪て澄まし飛過して砂石を濾し去り浄め数りて1両を約取して慢火に熬りて膏と成す)、銀箔(研)50片、金箔50片1半を衣と為す。上の生犀、玳瑁を将て細末と為し、余薬を入れて研り匀え、安息香膏を将に重湯に煮て凝成して後に、諸薬の中に入れ和し捜(うご)かし剤と成し、不津器(酒の外面に浸出せざる器物)中に盛り、並に旋圓すること桐子の大の如くし、人参湯を用いて化し下すこと3圓より5圓に至る。又小児の諸癇、急驚心熱、卒中客忤、眠睡するを得ず、煩躁風延(無形の毒気によって起こるよだれ)搐搦を療す。毎2歳児は2圓を服す、人参湯にて化し下す。◎卒中急風(脳溢血様疾患)にて語らず、中悪気絶、諸物の毒に中り、暗風(卒中風)、中熱(日射病)、疫毒(伝染性熱病)、陰陽の二毒、山嵐瘴気(深山幽谷の伝染性熱病)の毒、蠱毒(毒虫によって引き起こされた病気)、水毒(水分代謝障碍による病気)、産後の血暈、口鼻血出で、悪血心を攻め、煩躁し、気喘吐逆、 難産悶乱、死胎下らざるを療す。已上の諸疾は並(とも)に童子の小便一合、生 姜の自然汁3.5滴を用い、小便の内に入れ温め過ごし化し下す、三圓より五 圓に至りて神効あり。又心肺積熱、伏熱嘔吐、邪気心を攻め、大腸風秘、神魂 恍惚、頭目昏眩、眠睡安からず、唇口乾燥するを療し、傷寒狂語並に皆之を療 す。
至宝丹[1-2]《和剤局方》 「犀角・玳瑁・琥珀・朱砂・雄黄・梅片・麝香・牛黄・安息香・金箔・銀箔」 ◎一切の悪気にあたる病で、仮死状態となった者。
◎小児の急なひきつけなど。 至宝丹[1-3]《東醫寶鑑》「犀角・朱砂・雄黄・琥珀・玳瑁各1両、牛黄5銭、竜脳・麝香各2銭半、銀箔・金箔各50片(半分はかぶせる)安息香酒で沙土を濾過してきれいなもの1両を熬膏と一緒に作末し、安息香膏に入れて1爾を和匀し、40丸に分作して人参湯で1丸づつ、1日2~3回化下する。◎卒中風で急にしべられなくなり、人事不省。◎風が臓に的中し、精神の昏冒する者を治す。
至宝丹[1-4]《和剤局方》【中成薬】「麝香、犀角、牛黄、玳瑁、竜脳、朱砂、琥珀、雄黄、安息香、銀箔」 ◎高熱時の意識障害 ◎痙攣発作 ◎脳卒中
実腸散[1]《東醫寶鑑》 「厚朴・肉豆蔲(煨)・訶子皮・縮砂・蒼朮・茯苓各1銭、木香・炙甘草各5分、生姜3、大棗2」煎服。 ◎大腸虚熱・腹痛を治す。
実腸散[2]《東醫寶鑑》「厚朴(姜製)1銭半、肉豆蔲()・訶子(炮)・縮砂(研)・陳皮・蒼朮・赤茯苓各1銭、木香・甘草各5分、姜3片、棗2」水煎服。 ◎虚冷下痢を治す。
実腸散[3]《東醫寶鑑》「山薬(炒)1両、黄米(炒)1合」作末し、砂糖調熱湯で薬末を混ぜて飲む。 ◎久痢。 実脾飲[1-1]《済世経験良方》
「白朮・茯苓・厚朴・大腹皮・草果仁・木香・木瓜・附子・炮姜・炙甘草」 ◎食をいやがり、身重く・肢体浮腫し、口渇せず、大便は実せず、小便不利。
実脾飲[1-2]《厳氏済生方》《中薬臨床応用》「熟附子片9g、白朮12g、茯苓9g、厚朴・大腹皮・木瓜・乾姜各6g、草豆蔲・木香・甘草(炙)各3g」 ◎寒湿の肝硬変で腹水
実脾飲[2]《東醫寶鑑》「蒼朮・白朮・厚朴・赤茯苓・猪苓・沢瀉・縮砂・香附子・枳殻・陳皮・大 腹皮・木香各7剉を作分1貼し、燈心1塊を入れ煎じ、滓は捨て、木香汁 で調合して飲む。◎水腫が膨張する症を治す。
実脾飲[3-1]《万病回春》《漢方治療の実際》=「分消湯」「分消湯の枳実を枳殻に代えたものであるが、枳実と枳殻は区別を要しない ので、この2方は同じ者である。
実脾飲[3-2]《万病回春》《古今方彙》 「分消湯《鼓脹門》+枳実、-枳殻」◎水腫の者は、宜しく脾を健かにし、湿を去り水を利すべし。◎気急には:「紫蘇子葶藶子桑白皮、白朮」◎発熱には:「山梔子黄連、香附子」◎瀉には:「芍薬(炒)、枳殻」◎小水通ぜざるには:「木通滑石。白朮」◎飲食停滞するには:「山楂子神麹、白朮」◎腰以上腫るるには:「藿香」◎腰以下腫るるには:「牛膝黄柏、香附子」◎胸腹腫脹し飽悶するには:「蘿葡子、白朮」◎悪寒して手足厥冷し脉沈細には:「官桂(少許)」
実脾散[1-1]《東醫寶鑑》 「厚朴・白朮・木瓜・草果・大腹子・附子(炮)・白茯苓各1銭、木香・乾姜 (炮)・甘草(炙)各5分」剉作1貼し「姜3、棗2」入れて水煎服。 ◎陰水症で腫になったとき。
実脾散[1-2]《漢方治療の実際》 「厚朴・白朮・木瓜・草果・大腹皮・茯苓各2、附子0.6、乾姜1、甘草1」 失笑丸《東醫寶鑑》
=「枳実清痞丸」「枳実・黄連各5銭、厚朴4銭、半夏麹・人参・白朮各3銭、乾生姜・ 白茯苓・麦芽・甘草各2銭」作末し梧子大の丸剤。白湯で100丸、 空腹時に呑む。 ◎心下が弱って痞となり、右関脈の遅い者。
失笑散[1-1]《和剤局方》 「五霊脂(炒)・蒲黄(炒)」 ◎産後の悪露が止まず、心腹疼痛する者。 失笑散[1-2]《和剤局方》《中薬臨床応用》 「蒲黄(炒)3g、蒲黄(生)3g、五霊脂(炒)6g」水酒各半量で煎じ、短時間沸騰 させて服用。 ◎産後の悪露が止まず、心腹疼痛する血の者
失笑散[1-3]《東醫寶鑑》 「五霊脂・蒲黄(炒)」各等分に作末し、毎回2銭を醋に入れ、膏を作って水 1杯で煎服。 ◎産後の児沈・臍腹痛を治す。
失笑散[1-4]《婦人大全良方》《古今方彙》 「五霊脂・蒲黄各1銭」醋水にて煎じ、一味五霊脂尤も治すこと妙なり。 ◎産後悪血上攻し、心腹痛みを作し、或いは牙関緊急するを治す。 ◎一婦、胞衣出でず、胸腹脹痛し、手敢えて近づけず、滾酒(コンシュ、わかした酒) を用いて「失笑散」一剤を下して悪露、胞衣並びに下る。
蒺藜消風散《中薬臨床応用》 「白蒺藜・荊芥・何首烏・当帰各9g、防風・赤芍各6g、生地黄12g、蝉退 ・川芎・甘草各3g」 ◎ジンマシン ◎神経性皮膚炎 ◎風熱による皮膚瘙痒・皮疹。
漆雄丸《東醫寶鑑》 「漆(真生)1両」鍋に入れて熔化し、麻布で絞って滓は捨て、又、鍋に入れ 煎じて乾燥、雄黄1両を作末し醋糊で混ぜ梧子大の丸剤。毎回4丸を麦芽 を煎じた水で飲む。 ◎水蠱を治す。
柿蒂湯[1-1]《厳氏済生方》 「丁香・柿蔕各1両、生姜5片」 右3味、一方、「人参」 ◎咳逆を治す。 ◎此方は後世逆(しゃっくり)の主方とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎「橘皮竹茹湯」とは寒熱の別あり。 ◎《中蔵経》傷寒、咳逆し、汁を噎す。「丁香、乾柿蔕、甘草、良姜」作末し、 熱湯で猛点し、熱に乗じて服し、効ありと。按ずるに《易簡方論》《厳氏済生 方》は丁香、柿蔕二味にて逆を治す。《雑病翼方》
柿蔕湯[1-2]《厳氏済生方》《漢方治療の実際「丁香1、柿蔕5、生姜4」
★適応症及び病名(柿蔕湯) [1]しゃっくり:(吃逆)☆橘皮竹茹湯などを用いて効にない時に用いる《大塚敬節》 柿蔕湯[1-3]《易簡方論》
「柿蔕湯《厳氏済生方》半夏」 柿蒂湯《済世経験良方》 鴟頭丸《東醫寶鑑》「鴟頭1枚、黄丹・皀角(酥炙)各5銭」作末し、糯米糊で緑豆大の丸剤。20
~30丸温水で服用。 ◎癲癇の悪症。 鴟⇒シと読み、トビのこと。 芷貝散《東醫寶鑑》 「白芷・貝母」等分に作末し、毎回1銭を酒で調服。
◎乳房の結核を治す。 指迷七気湯[1-1]《仁斎直指方》 =「大七気湯」《厳氏済生方》 ◎七情相干し、陰陽升降し得ず、気道壅滞し、攻衝し、疼を作すを治す。
指迷七気湯[1-2]《漢方治療の実際》「三稜・莪朮・青皮・陳皮・藿香・桔梗・桂枝・益智仁・香附子・甘草各1.5、生姜3」◎この方は気滞がもとで、腹に積聚を生じ、気にしたがって上下すると云う処を目的にして用いる薬である。この症は女子婦人などに多くあるもので、とかく心労し、或いは思うことを成し遂げることが出来ず、積り積もって、ついにこの症となるものである。この症が起るときは、発熱、脈数の状があって、心下へ上衝して痛むこと甚だしく、ことの外悶乱するものである。しばらくして気が下降すれば少しおさまり、何か気に障ることがあると、たちまち発作が起こる。一昼夜に数十度にも及び、気につれて痛が差し引きをすると云うのが、こ の方の効く目当てである。たいてい、常々も痛はあるけれど気に連れて痛に軽 重のあるは、皆この方の効く症である。その他一切気滞に属して痛む症は、塊 物の有無に拘わらず皆この方がよろしい。
婦人の気病で腹から胸へかけて痛み、或いは腹が張り、或いは大小便が不利 し、大便が快通したら、気持がよくなりそうだと思うような症で、軽いものは 正気天香湯がよく、重ければこの方を用いる。この症は大柴胡湯などで下した ら治りそうに見えるけれども、大黄を用いると、反って腹痛がひどくなって悪 い。元来、この症は気が自然と塞るによって起こる痛だから、大黄はよくない。 またこの方は気痛に回虫をかねた腹痛にもよい。回虫もよく下る。総て男女 に拘わらず、良く効くけれども、婦人には特別にこの症が多い。《百々漢陰》
◎指迷七気湯の目 標:《大塚敬節》*症状に消長が激しく、朝夕に症状の差が激しい。*気分によって、忽ち症状が一転する。*長期に渡って、愁訴に悩みながら、床につききりになることは少なく、危篤状態になったり、死んだりしない。
*絶えず胃腸障害を訴えているのに、比較的栄養も衰えない。*冷え症が多い。
◎鑑別:(指迷七気湯)★胸脇苦満を訴えているのに、柴胡剤で効の無い者に用いてみる。★下腹部の抵抗を目標に、駆瘀血剤を与えて無効の者に用いてみる。★大建中湯証に類似:腹痛が下腹部から突き上げてくると患者が訴え、下痢したり、便秘したりするが、下剤を用いると良くない者に用いる。
★適応症及び病名(指迷七気湯) [] 腹痛:☆腹に塊があり、それが気分の動揺によって上下に動き、大小便ともに快通せず、服が脹って痛む者を治す《大塚敬節》
☆50歳女性。若いときから片頭痛のくせがあった。それに数年前から、時々激しい腹痛を訴えるようになり、医師は胆石による疝痛発作であると診断したという。また風邪を引きやすく、乗り物に酔うクセがある。便秘して、通じが毎日無い。
腹診してみると、右に胸脇苦満があり、左腹下部に圧痛を訴え、臍上で少し動悸を触れる。臍下は脱力して全く力がない。私は一応大柴胡湯を考えたが、何となく腹力が弱いので、柴胡桂枝湯を与えて、経過をみることした。ところが、これを飲むと大便は毎日あるようになったが、左の下腹部が便通のあるたびに痛んでどうも気持ちよくないという。それに腹痛は臍上から、みずおちに向かって、差し込むように痛むというので、試みに指迷七気湯を与えたみた。これを7日分飲むと、気分がとても良く、毎日気持ちの良い通じがあり、腹は全く痛まないと言う。しかも患者を驚かしたことは、他年治らなかった「帯下」がほとんど下りなくなったことである。患者は初診の時、私に帯下の下りることを云うのを忘れていたという。この婦人は婦人科の先生からトリコモナスによる帯下だと診断され、しばらく婦人科に通っていたが、良くならなかったという。《大塚敬節》
指迷茯苓丸《指迷方》 「半夏麹、乳拌茯苓、枳穀(麩炒)、風化硝」 耳鳴丸【中成薬】 「六味丸磁石・柴胡」 炙甘草湯[1-1]《傷寒論》
「甘草(炙)4両、生姜(切)3両、人参2両、生地黄1斤、桂枝(去皮)3両、阿膠2両、麦門冬(去心)半升、麻子仁半升、大棗(擘)30枚」 ◎傷寒脉結代、心動悸、炙甘草湯主之。
炙甘草湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》「甘草4、生姜・桂枝・麻子仁・大棗・人参各3、地黄・麦門冬各6、阿膠3」 炙甘草湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》=「復脈湯」「甘草(炙)9g、党参9g、阿膠6g(溶解)、生姜9g、桂枝3g、麦門冬9g、麻子仁9g、生地黄15g、大棗10g」水煎服。 ◎心血虚による不整脈、動悸
炙甘草湯[1-4]《傷寒論》《荒木正胤》 「甘草3.0、生姜1.5、桂枝3.5、麻子仁3.0、大棗3.0、人参3.0、地黄6.0、麦門冬6.0、阿膠2.0」
◎心臓部の甚だしい動悸を目標として、息切れ、脈の細数、または結滞、皮膚の枯燥、手足のほてり、便秘の傾向を副目標として、心臓病、末期肺結核、バセドウ病などに用います。◎下痢するものには、麻子仁を除いて、芍薬4.5、乾生姜2.0を加えて用います。
炙甘草湯[1-5]《傷寒論》 =「復脈湯」◎病人、欬逆、上衝し、粘痰に血を帯び、舌上胎無くして乾燥し、心動悸し、或いは咽痛し、或いは脈結代し、或いは心下痞して嘔せんと欲し、或いは疲労する者は、炙甘草湯之を主どる。《医聖方格》
◎按ずるに、建中湯より化して潤剤と為るなり《雑病翼方》 ◎按ずるに、滋液を主とし、兼ねて虚熱を制する者なり。《雑病翼方》
◎人参養栄湯や滋陰降下湯は此方より出たるなり《勿誤薬室方函口訣》 ◎桂枝去芍薬湯+麦門冬・麻子仁・地黄・人参・阿膠
◎麦門冬~阿膠まで、すべて潤性で補性の薬物 *「麦門冬」空咳を治す *「麻子仁」緩下作用 *「地黄」 補血作用 *「人参」 補気作用
*「阿膠」 鎮静・止血作用
★炙甘草湯
(陽虚証、自汗盗汗、疲労<虚労>、呼吸促迫、動悸<腹部大動脈>、臍下不仁、腹部軟弱無力、手足煩熱、脈結代)
★適応症及び病名(炙甘草湯) [1]汗をかきやすい[2]息切れ[3]息苦しい[4]黄疸:☆《大塚敬節》 “患者は49歳の男子で、約1年ほど前から全身特に下肢に浮腫が現れ、疲れやすくなっていたが、それから半年ほどたって、耳鳴・めまい・息切れが起こったので、医師にかかって治療を受けていたが、前記の症状は軽快せず、2ヶ月ほど前から黄疸が現れ、食欲がなくなった。
初診は昭和13年3月24日、その時の症状は、以上の他に腹部膨満、手足の煩熱(煩熱は地黄を用いる目標)、ねむけ、口渇等で、大便は1日1行、小便は一昼夜に4、5行である。腹診するに、肝臓は肥大して、その左下縁は臍上3横指径ぐらいのところまで達している。脈は浮大、舌は紅くて苔はない
以上の経過や症状から、予後は不良に近いものと考えながら、炙甘草湯を与えたところ、不思議と思われるほどに症状が軽快し、息切れ・浮腫・めまい・耳鳴りは去り、黄疸は消え、食欲も出てきた。肝臓も眼に見えて縮小し、5月16日の診察ではふれなくなった”[5]肩こり:
①陽虚証。 ②自汗盗汗。 ③疲労<虚労>。 ④呼吸促迫。 ⑤腹部大動脈で動悸を覚える。 [6]癇症[7]肝臓肥大[8]冠不全[9]期外収縮
【EBM】小児の期外収縮 (Evidence) 1件の多施設症例集積研究で、小児の上室期外収縮に対し炙甘草湯は有効率(やや有効以上)70%であった。心室期外収縮に対しては有効率62%だった。[10]気の上衝<+>[11]狭心症[12]虚労[13]血痰[14]下痢するとき:-麻子仁芍薬4.5、乾生姜2.0《荒木正胤》
[15]交感神経緊張症 [16]高血圧症(本態性) [17]甲状腺機能亢進症 ☆甲状腺における甲状腺ホルモンの産生が過剰になる病気で、この病気にかかると、甲状腺が腫れ、心臓の鼓動が多くなって、脈拍数は100~150にも達し、ときに結滞し、臍部でも動悸を強く感じるようになる。また、手指がふるえるようになり、汗が出やすくなって、眼球は突出し、疲れやすく、また神経質になって、物事に感動しやすくなる。女性では月経が不順になる。食べても痩せる。[18]口渇
[19]口唇の乾燥 [20]口内炎:(虚弱者で飲食不能)[21]声がれ:☆動悸がひどくて、声がかれてものを言うことが出来ない者に、炙甘草湯で著効があった。《片倉鶴陵》[22]呼気が熱い
[23]呼吸促迫:☆此方能く血を滋養して脈路を潤流す。以て動悸を治するのみならず、人迎穴付近の血脈凝滞して気急促迫する者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》
[24]臍下不仁 [25]産褥熱[26]自汗 [27]歯根炎 [28]歯周炎 [29]失語症 [30]シェーグレン症候群 ☆栄養衰え、口乾、皮膚が枯燥し、疲労しやすく、手足の煩熱などがあるものに用いる(漢方診療医典)[30]心悸亢進:☆心悸亢進ありて便通不整、脈濇なる証《奥田謙蔵》☆心悸亢進あり、便秘して上逆し、脈拍時に結滞する証《奥田謙蔵》
☆神経性心悸亢進症。☆炙甘草湯は陽証で虚証の者に用い、陽証で実証には桃核承気湯を用いる《湯本求真》☆《傷寒論》ではチフスの回復期に、脈が結代して、動悸がするのは炙甘草湯の主治だといい、《金匱要略》には、《備急千金要方》を引用して、この方は1つに復脈湯ともいい、身体が疲労して体力が不足し、汗が出て、胸苦しく、脈が時々止まって、心臓で動悸を感ずるのを治する。このような患者は平常の様でも、100日もならないうちに危篤に陥ることがあり、急な場合11日位で死ぬこともあると述べている《大塚敬節》☆目標は脈の結滞と心悸亢進であるが、結滞がなくても、心悸亢進があれば用いて良い。《大塚敬節》☆バセドウ氏病や心臓病などで。心悸亢進と脈の結滞の有る者に用いている《大塚敬節》
[31]心下痞 [32]心臓神経症[33]心臓弁膜症 ☆ 動悸、息切れ、脈の結滞を目標として用いる。腹証上では、臍部で動悸の亢進がみられる。また高圧と手足の煩熱を訴えるものもある。貧血と皮膚の枯燥も、本方も用いる目標となる。下痢しているもの、下痢気味のものには用いない方がよい。(漢方診療医典)[34]心内膜炎
[35]腎炎 [36]頭汗[37]せき:☆慢性気管支炎・肺気腫などで、息切れして、のどの奥が乾き、タンの切れにくい者。☆あまり丈夫でなく、臍上で動悸を認める者。
[38]舌炎[39]舌質<やや紅>[40]舌苔<無苔><鏡面>[41]譫妄 [42]タンパク尿 [43]腸チフス[44]爪反裂 [45]手足煩熱
[46]動悸:<心尖部> ☆心尖・腹部大動脈の動悸亢進。 ☆此方は心動悸を目的とす。凡そ心臓の血不足するときは、気管動揺して悸をなし、而して心臓の血動、血脈へ達すること能わず、時として間歇す。故に脈結代するなり。《勿誤薬室方函口訣》☆人参養栄湯と治を同じくして、①此方は外邪に因って津液枯稿し腹部動気ある者を主とし、②養栄湯は、外邪の有無に拘わらず、気血衰弱、動気肉下に在る者を主とす。☆肺結核で動悸や息切れを訴え、臍上で動悸の亢進している者に、柴胡桂枝乾姜湯を用いて、これらの症状が軽快する者が多い。この証に似て、動悸がことに激しく胸が揺らぐようだなどと言う者に炙甘草湯の証がある。肺結核で脈拍が1分間に120以上もある場合でも動悸を自覚しない場合には、うっかり炙甘草湯は用いられない。 細野史郎氏も炙甘草湯ではこの動悸を感ずるということが大切だといっている。《大塚敬節》
☆精神性の搏動、水分の偏在による搏動ではなく、新陳代謝の亢進による搏動である《矢野敏夫》[47]糖尿病 [48]動脈硬化 ☆本方は動悸の亢進と脈の結滞とを目標にして用いるが、血管滋潤を与えて、血流を調整する効があるので、冠動脈硬化のある者に適する(漢方診療医典)
[49]ネフローゼ [50]寝汗(ねあせ)[51]眠りが浅い [52]ノイローゼ [53]肺炎 [54]肺結核(末期)☆肺結核、及びその類証にして、著しき熱発を伴はざる証《奥田謙蔵》☆骨蒸労嗽、擡肩喘急し、多夢、不寝、自汗、盗汗し、痰中血絲あり寒熱交(コモゴモ)も発し、両頬紅赤にして、巨里の動甚だしく、悪心、潰潰として吐せんと欲する者は、此方に宜し《類聚方広義》 (擡=タイ、もたげる)☆《秋山玄端》は肺痿の主方とする。:「桔梗」[55]バセドウ病:☆特に動悸がひどく、からだが揺れるようだという者がある。食欲は旺盛で、口渇があり、多尿・多汗があり熱感を訴え、ことに手足に煩熱のある者が多い。《大塚敬節》☆顔色が浅黒い者が多い《大塚敬節》☆38歳の女性。2、3年前より動悸を訴え、医師より脚気と診断され、脚気の手当を受けていたが良くならず、最近になって、甲状腺の肥大に気が付き、某大学病院の診察によりバセドウ氏病と診断せられた。主訴の動悸の他に頭痛・発汗過多・便秘があり、手術を勧められたが、手術をしたくないというので、私に治を乞うた。
患者は背が高く、ヤセ、顔を見ただけで、バセドウ氏病と分かるほど、眼球が突出して光っている。脈は1分間106、時々結滞するが、弦を帯びている。皮膚は油を塗った様に、湿って光り、臍部で動悸が亢進している。口が渇いてよくお茶を飲むと云う。食欲はる。私はこれに炙甘草湯を与えた。これを10日ほど飲むと、胸の動悸があまり気にならなくなり、便通が毎日あるようになった。
炙甘草湯には、麻子仁や地黄が入っているため、これで通じがつくことがある。その代わり下痢している人に用いると、便が出過ぎることがある。この患者は疲れなくなり、気分が良いと云う。しかし甲状腺はやや縮小した程度である。《大塚敬節》
☆男性のバセドウ病には、これで效がないものがあるが、女性では多くの場合奏功する。脈搏も落ち着き、甲状腺の腫れもとれ、眼球も正常になる。1年~3年は連用するのがよい。脈の結滞のない者にも使える(漢方診療医典)[56]発声困難[57]煩熱[58]煩悶[59]皮膚乾燥(皮膚枯燥)[60]疲労倦怠感[61]百日咳[62]貧血
☆貧血があって脈が結滞して、動悸、息切れを訴えるもの(漢方診療医典)[63]不安感[64]不整脈:☆49歳の男性。かねてから心臓弁膜症があったが、10ヶ月ほど前から浮腫が現れ、耳鳴とめまいを訴えるようになり、最近は心臓肥大し、動悸・息切れがひどくなった。それに疲れやすく、手足に煩熱の状があり、ときどき嘈雑もある。口は乾くが、食欲はない。下腹が張り気味で、大便は1日1行ある。脈は大にして、結滞する。
炙甘草湯八味丸を与える。これを飲み始めて24日目から、浮腫も耳鳴も、めまいもなくなり、肝臓も縮小し、動悸・息切れもになったが、その頃、右の坐骨神経痛が起こった。しかし引き続き前方を与え、通計79日で、自覚的な苦痛がなくなったので服薬を中止した。
この患者には浮腫と肝肥大と口乾を目標にして、木防已湯を用いることも考えたが、脈の結滞する者に木防已湯を与えて失敗したことがあるので、敬遠した。浮腫。手足の煩熱・疲労・口乾などは八味丸証のようである。動悸と脈の結滞は炙甘草湯証のようにもみえる、とにかく地黄を用いる証があると考え兼用した。《大塚敬節》
☆脈の結滞と頻脈を目標とする。腹診すると、臍上で動悸が亢進しているものが多い。発作性頻拍のほか、期外収縮、バセドウ病による頻脈などにも有効である(漢方診療医典)[65]浮腫:☆産婦人科医院に入院中の患者から往診を頼まれた。私は医師の徳義上、その病因の院長の許可を得た後でなければ往診しないと拒絶した。ところが、その翌日、院長の了解を得たから来てくれという。 その患者は38歳の婦人で、12日前にこの病院でお産をしたが、経過が思わしくなく、全身に高度の浮腫が現れ、息苦しく、昨夜は一睡も出来なかったという。それに体温は39℃を越し、口渇があって、水を少しずつ飲み続けている。患者は言葉を出すのも苦しい様だし、浮腫のため眼も開かない。舌は乳頭がとれて真っ赤になって乾燥している。こんな状態が4、5日も続き、次第に病状は良くないという。
私は結滞と動悸と舌の状態を考えて炙甘草湯を与えた。地黄を用いる証に、このような舌を呈する者がよくあるからである。この場合ちょっと気がかりになったのは、体温が39℃もあるという点であった。康平傷寒論によると“傷寒解して後、脈結代、心動悸するは炙甘草湯之を主る”とあって、傷寒の熱が下がってのちに、脈の結代と動悸とがある場合に、この方を用いることになっているからである。
ところが、これを飲むとその夕方から気分が良くなり、その夜はひどい発汗とともに、熱が下がりよく眠れた。胸の苦しみも楽になった。3日目に私が往診した時は、浮腫も大部分去り、眼を開けることが出来るようになって、たいへいん気分が良いという。しかし体温はまだ37.5℃あった。この日、院長に会った。「ジギタリスが効きましてね。たいへん良くなりました」というのが院長の挨拶であった。《大塚敬節》[66]不眠[67]腹部軟弱無力68]扁桃炎(飲食不能、虚弱者)[69]扁桃腫瘍[70]便が硬い[71]便秘(老人・虚弱者)[72]房室ブロック
[73]頬が赤い[74]慢性下痢 [74]耳鳴り ☆バセドウ病に発する耳鳴に用いることがある。心臓疾患で動悸、結滞のあるものに(漢方診療医典)
[75]脈:☆結滞(脉結代)☆脈濇、心悸し、皮膚枯燥し、腹部微急し、虚寒の候なき証《奥田謙蔵》[76]よだれ[77]流感 沙参麦冬飲《温病条弁》=「沙参麦門冬湯」「沙参9g、麦門冬6g、玉竹9g、白扁豆(生)6g、桑葉6g、天花粉5g、甘草(生)3g」水煎服。
◎慢性の発熱、咳嗽=「地骨皮3g」◎慢性の咳嗽(乾咳)◎老人の慢性気管支炎(乾咳)◎痰が少ない
沙草湯《中薬臨床応用》「金沙藤30g、甘草梢6g」水煎服。◎急性尿道炎の排尿痛。 謝道人大黄湯《外台秘要方》「大黄6分、黄芩3分、芍薬7分、甘草6分、細辛6分」右6味。今茯苓、滑石、車前子を加え、特に効あり。◎両眼痛を治す。◎眼目腫れ、また痒痛し、或いは睛腫雲翳を生ずるを療す。◎此方は天行赤眼、或いは睛腫雲翳を生じ、惞痛する者を治す。◎数日癒えざる者は、方後の加減、効験あり。《勿誤薬室方函口訣》
[]ブドウ膜炎 ☆眼目赤腫疼痛はなはだしく、角膜に雲翳を生ずるときに用いて良い。木通・車前子各2.0を加えるとさらによい(漢方診療医典) 赤小豆湯[1]《済世経験良方》
「赤小豆・当帰・芍薬・商陸・沢瀉・猪苓・連翹・沢漆・桑白皮」 赤小豆湯[2]《山脇東洋》 「赤小豆1合、商陸10分、麻黄・桂枝各9分、反鼻・連翹・大黄各5分、生姜1分」◎諸瘡。内攻の腫。毒内攻し、気急息迫する者。◎此方は「麻黄連軺赤小豆湯」と「赤小豆湯」《厳氏済生方》を斟酌して組立し方なり。《勿誤薬室方函口訣》◎諸内攻腫を治する捷なり。
赤小豆湯[3]《聖済総録》 「赤小豆・紫蘇葉・桑白皮」生姜水煎。◎脚気気急、大小便渋通し、身腫・両脚気脹する者。 赤小豆湯《漢方治療の実際》「赤小豆・当帰・商陸各4、沢瀉・連翹・芍薬・防已・猪苓・沢漆各2、桑白皮1.5」
赤小豆湯[4]《厳氏済生方》《東醫寶鑑》「赤小豆・猪苓・桑白皮・防已・連翹・沢瀉・当帰・商陸・赤芍薬各1銭」剉作1貼し、姜5片入れ水煎服。◎年少の人が気血ともに熱があって瘡疥が出、変じて腫満になった者を治す。 ◎瘡疥が水腫に変じた症。◎此方は諸瘡瘍より変じて水腫を成す者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎老人、小児、血気薄弱、瘡毒揮発する能わず、内壅して水気に変ずる者に宜し。もし、血気壮実、毒気内攻して衝心せんと欲する者は、先ず「備急円」を与え、快下の後、
赤小豆湯[2]《山脇東洋》を用いるべし。此方と東洋とは虚実の弁あり。《勿誤薬室方函口訣》 赤石脂丸《漢方治療の実際》 =「烏頭赤石脂丸」
赤石脂湯《外台秘要方》 「赤石脂・乾姜・附子」 ◎傷寒、膿血を下す者。 赤石脂湯《華岡青洲方》 「補中益気湯赤石脂」◎痔疾・蔵毒・脱肛。◎此方は脱肛及び蔵毒下血に効あり。《勿誤薬室方函口訣》 「蔵毒」=先便後血は遠血なり。積久しくして発す。俗にこれを蔵毒という。 《雑病翼方》◎後世、柴胡、升麻を升提するものとして用ゆれども、その実は、<1>柴胡は肝経湿熱を解する故、下部の瘡に効あり。<2>升麻は犀角の代用にする位にて、清粛止血の効あり。◎此方も《李東垣》の理窟に拘泥せず、升麻、赤石脂にて下部を清粛し、当帰、黄蓍、白朮にて中気を扶助すれば、自然に下陥も防ぐものと心得べし。◎本方は升麻を大にしないと効果を挙げ難い。《済世薬室》
赤石脂禹余粮湯《傷寒論》 「赤石脂(碎)1斤、太一禹余粮(碎)1斤」 赤石脂禹余粮湯《傷寒論》《中薬臨床応用》「赤石脂15g、禹余粮15g」水煎し3回に分けて温服。◎慢性赤痢、下痢◎機能性子宮出血
赤茯苓散《太平聖恵方》 「大黄牡丹皮湯《金匱要略》赤茯苓」 赭石平肝湯《中薬臨床応用》「代赭石30g(打砕先煎)、牛膝・竜骨・牡蠣各15g、玄参・白芍各12g、天門冬6g、白蒺藜15g、釣藤鈎24g」水煎服。◎高血圧でふらつく、目がくらむ、手指がふるえる、煩躁、便秘する者。
鵲石散《本事方》 「甘草・黄連・石膏」◎甘草黄連石膏湯《吉益東洞》に同じ。 ◎傷寒発狂或いは衣を棄て奔走し、垣根をこえ屋に登る者を治す。 錫類散《金匱翼方》
「象牙屑(焙)・真珠・各1.2g、青黛(飛)2.4g、冰片0.12g、壁銭20個、牛黄・人指甲各0.2g]作末。 芍甘黄辛附湯《吉益南涯》 「芍薬甘草湯+大黄附子湯」 ◎腹中及び手足攣急、偏痛する者を治す。 ◎南涯の趣意は攣急に偏痛を兼ねたる者に広く用ゆるなり。《勿誤薬室方函口訣》◎疝毒より偏処へ流注する者に用いてしばしば効を奏す。《橘窓書影》
芍甘黄辛附湯《漢方治療の実際》「芍薬・甘草各3、大黄1、細辛2、附子0.5」◎「大黄附子湯+芍薬甘草湯」《大塚敬節》
★適応症及び病名 (芍甘黄辛附湯)[1]座骨神経痛:☆足の筋が突っ張るように痛み、大便の通じがあると楽になるというのを目標にする《大塚敬節》☆浅田宗伯は、腰から腹にかけてひどく痛み、両脚が攣急して起きることも出来ず、夜も昼もうなり通していた者にこの方を与えて2、3日で全治せしめたという《大塚敬節》
[2]胆石の疝痛 芍薬黄連湯《東醫寶鑑》「白芍・黄連・当帰各2銭半、甘草(炙)1銭、大黄5分、桂心2分半」煎服。 ◎大便から出血し、腹痛する者。
芍薬甘草湯[1-1]《傷寒論》 「白芍・甘草(炙)各4両」以水三升、煮取一升五合、去滓、分温再服。 芍薬甘草湯[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》「白芍薬12g、甘草12g」水煎服。 ◎血虚による四肢の筋肉痙攣。 ◎腓腹筋痙攣。
芍薬甘草湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「芍薬・甘草各3」◎拘攣急迫する者を治す。《吉益東洞》 ◎此方は脚攣急を治するが主なれども、諸家腹痛及び脚気、両足或いは膝頭痛み 屈伸すべからざる者、その他諸急痛に運用す。《勿誤薬室方函口訣》◎筋肉の緊張を緩める《大塚敬節》
★適応症及び病名(芍薬甘草湯)[1]アキレス腱炎[2]足がケイレン[3]足がしびれる: ☆(ケイレンする、疼痛)[4]足首の痛み[5]足に力が入らない[6]足の親指が痛む:☆46歳男性。左の足の拇指に劇痛を訴え、その痛がちょうど刀か錐で刺すようで、患者の泣き叫ぶ声は辺りを揺るがすほどであった。しかし何人もの医者があらゆる手を尽くして治療にあたったが、効をみないので、私に診を乞うた。そこで先ず腹を診たところ、腹筋が強く攣急していたので、芍薬甘草湯を与えた。すると1服飲んだだけで、雪に湯を注いだように疼痛が消えて、それきり治ってしまった。(温知医談第32号)[6]胃ケイレン[7]胃痛[8]イレウス[9]ウイルソン病:=「肝レンズ核変性症」☆筋の剛強・ケイレン・疼痛:「厚朴」《大塚敬節》☆《大塚敬節》“患者は10歳の少年で、1954年8月に発熱し、医師の診察を受けたところ、脾臓が腫れていると言われた。そのとき肝臓の機能障害があり、慢性肝炎と診断された。ところが1955年の7月頃より次第に手足が強直するようになったので、某大学の小児科に入院し、ここでウイルソン氏病と診断せられ、同年12月に退院した。この間病気は少しずつ増悪し、1956年の3月には歩行は全く不能となり言葉を発することも出来なくなった。同年7月には、筋の強直ケイレンがひどく、両脚が腹にふれるほどにひきつけ身體が円く固まって手足は伸びなくなった。そしてこの状態は現在も続いている。なお脾臓は依然として肥大し、左右の腹直筋は棒状になって硬い。患者は少しの刺激でも、強い筋のケイレンを起こし、はげしい疼痛を訴えるので、そのため安眠が出来ない。そこで1日おきに鎮痛剤 注射をしている。以上は患者の母親の語るところで、この病状で投薬してくれという。そこで、同年10月15日に、芍薬甘草湯厚朴を与える。芍薬3.0、 甘草1.5、厚朴2.5を1日量とする。これを15日分服用した時の症状は、次の通りである。①刺激を与えても、強い筋のケイレンが起こらなくなった。②鎮痛剤の注射が不要になった。③大小便の量が増した。④大変おとなしくなって、よく眠れるようになった11月4日。芍薬3.0、甘草2.0、厚朴4.0を1日量とし、20日分与える。11月24日。母親がこの患者を背負って来院した。いままでは、背負うと疼痛が強くて、背負うことが出来なかった。筋肉のケイレンは、 夜間2回くらいに減じ、尿量はますます多くなり、食が進み、よく眠る。この頃から右側につれて、口外に出すことの出来なかった舌を外に出すことが出来るようになった。この日芍薬5.0、甘草3.0、厚朴4.0を1日量として与えた。
ところが、その後、この患者の消息は不明である。しかし芍薬甘草湯厚朴が何の副作用も伴わずに、筋の剛強、ケイレン、疼痛を緩解せしめて、一般状態を好転せしめるに役立ったと思われる。”[10]嘔逆[11]かかとの痛み:(跟痛)
☆「雲州の醫生、求馬は、年二十ばかり。一日、忽ち跟痛を苦しむ。錐刺の如く、刀刮の如く、觸れ近づくべからず。衆醫、能く方を處するものなし。一瘍醫有りて以為(おもえらく)「まさに膿あるべし」と。刀を以て之を劈くも亦効なし。是において、《吉益東洞》先生を迎えて之を診す。腹皮攣急之を按じて弛(ゆる)まず。芍薬甘草湯を為りて之を服せしむ、一服にして痛み已む。」《建珠録》[12]下肢のケイレン
[13]下肢の無力症[14]肩こり ①ケイレンする②突っ張ったように凝る。 [15]嵌頓ヘルニヤ [16]気管支喘息 [17]脚気: ☆脚を浸して以て脚気の攣痛を治す:「礬石」《温知医談》
[18]脚弱 [19]脚攣急:☆某、左脚腫痛、攣急屈伸し難く、数ヶ月癒えず、医多く持って風湿とす。余診して曰く、熱無く、病ひとえに筋脈にあり。恐らくは疝毒より流注するものなり。:「大黄附子湯」を服せしめ、「当帰蒸、荷葉、礬石」を以て熨剤とす。《橘窓書影》
[20]客忤(きゃくご) [21]急性腹症 [22]筋肉痛☆腹直筋の攣急がなくて、手足の筋肉だけが攣急していることがある 《大塚敬節》
☆関節痛や筋肉痛で、筋の緊張を伴う者に用いられる。鎮痛作用増強のために附子を加えて用いると良い(漢方診療医典) [23]筋肉リウマチ [24]筋肉攣縮: ☆《大塚敬節》“1女子、28歳。激しい勤労の後、左脚がひきつれて歩行が困難になった。腹診するに腹直筋も突っ張っている。よって芍薬甘草湯を与えたところ1服で効があり。3日分で全治した。” ☆《積山遺言》 “1小児生まれて3月はなり、左の足が屈したきりで伸びない、その母が強いて之を伸ばそうとすると痛むらしく、ひどく泣きわめく、そこでこれに芍薬甘草湯を与えたところ、4、5貼で、足が自由に屈伸するようになった。”
[25]筋膜性腰痛 [26]ケイレン(平滑筋・骨格筋)☆ある人力車夫が空腹をこらえて、強いて遠隔地まで走り、家に帰ると同時に倒れて、それきり歩けなくなり、脚がケイレンを起こしてその苦しみは堪えられないという。そこで友人の藪井修庵が芍薬甘草湯を与えたところ、即効を得た。(温知医談第32号)
[27]ケイレン性咳嗽 [28]ケイレン性便秘 [29]こむら返り(腓腸筋ケイレン)[30]臍腹痛:☆激しい腹痛発作に頓服として用いる。その目標は腹直筋の拘急にあり、疼痛が手、足にまで及んで、ひきつれる者《大塚敬節》[31]座骨神経痛[32]子癇:
☆「乾姜・童便」《先哲医話》 [33]消化管のケイレン性疼痛[34]小児の嘔吐:☆胃弱による嘔吐(哺露):「羚羊角紫円」《方読便覧》[35]小児の客忤[36]小児の感冒[37]小児の腹痛☆小児の中悪(=突然の激しい刺痛)☆小児の腹痛諸証《奥田謙蔵》[38]小児の夜泣き:☆小児、夜啼止まず、腹中攣急甚だしき者も、亦奇効有り《類聚方広義》☆乳児の夜泣きに用いて、まことに著効のあるもので、服薬したその日から夜泣きの止むことが多い。これを用いて効のない時は、甘麦大棗湯、抑肝散などを用いる《大塚敬節》[39]食道ケイレン
[40]膵臓炎[41]舌硬直[42]喘息[43]胆石の発作・疼痛 [44]腸疝痛: [45]腸閉塞症 [46]尿閉 [47]寝違い[48]パーキンソン病:☆「+小承気湯」《大塚敬節》☆《大塚敬節》“1957年7月30日初診。57歳の農夫。病歴、患者は生来著患にかかったことなく、元気であったが、約半年ほど前から、めまい・頭痛・不眠・手足のシビレ・肩こりが起こり次第に手が硬くなり、力が入らなくなったので、某国立大学の付属病院で診察を受け、神経症との診断を受けた。ところがその後、歩行困難・手のふるえが起こり、字が書けなくなり、靴のひもも結べなくなったので、上京して、某国立大学の付属病院の神経科で、診察を受け、パーキンソン病と診断さられたが、特別の手当は受けなかった。現症、栄養は中等度で、骨格のよい男子で、息子に助けられて診察室に入ってきたが、その歩行の格好や全身の姿勢から、一見してパーキンソン氏症候群の印象を与えるほど定型的な外観を呈していた。両手には絶えず振顫があり、手の指は強ばって握ることが出来ない。自分の手でシャツのボタンを外すことが出来ない。項部の筋肉は強ばって動かし難い。脈は浮大で血圧130-86、大便は秘結する。診断。パーキンソン病。治療は小承気湯を20日分与える。ただしその分量は1日量、厚朴12.0、枳実3.0、大黄1.5。経過。20日分を服用し終わった時、振顫は著しく減じ、手の指が少し曲がるようになった。そこで、次の20日分は厚朴14.0、枳実3.0、大黄2.5を1日量とした。この20日分を服用し終わった時、患者は1人で来院したが、その時は口のヒモも、自分で解いたり、結んだり出来るし、振顫も左手に少し残っている程度になった。しかし握力は十分に発揮出来ず、力一杯に握れない。この日は前方に更に、芍薬4.0、甘草2.0を加えて、20日分を与える。則ち小承気湯芍薬甘草湯である。これを飲み終わって来院した患者は、先日の薬で大変よく眠れるようになり、便通がとても気持ちよく出るようになったという。しかし左手の振顫とシビレがまだ少しある。けれども鎌を握ってイネを刈ることが出来たと喜ぶ。1957年の3月には振顫は全くなく、ペンで自分の住所姓名をかくことが出来た。この日の筆跡を発病間もない頃の筆跡に比べると、それよりもよく書けている”[49]梅毒:☆黴毒諸薬を服して羸劣、骨節仍痛、攻下すべからざる者を治す:「茯神」or「虎脛骨」[50]ひきつけ:☆驚癇の勁急を治す:「釣藤鈎・羚羊角」《勿誤薬室方函口訣》
[51]腹痛:☆子宮内膜炎性腹痛等には、証により膠飴を加味す。《奥田謙蔵》☆腹痛を止めること神の如し。《医学心悟》 ①脈遅を寒と為す:「+干姜」②脈洪を熱と為す:「+黄連」
☆腹直筋の攣急を目標にして、急迫性の激しい腹痛に用いる。その際、疼痛の手足にまで及ぶことがある。又、腹痛を訴えずに、手or足にだけ疼痛が来ることがある。《大塚敬節》
[52]腹直筋の攣急:☆腹中攣急して痛む者を治す。《類聚方広義》 [53]平滑筋のケイレン性疼痛 [54]便秘:☆60歳の女性。数年前虫垂炎の手術を受けてから、頑固な便秘を訴えるようになり、医師は手術のあとに癒着が起こったからだと診断して、また手術をした。ところが、その後も便秘は治らず、放置しておけば7日も10日も大便が通ぜず、苦しいので、下剤をかけると猛烈な腹痛が起こり、そのために痙攣を起こしてひきつけることもある。浣腸をしても、腹痛を起こして苦しむという。下剤をかけると死ぬほど苦しいが、それかといって、下剤をかけないと、腹が張って苦しく、食事がとれず、これまた苦しいという。
私はこれに桂枝加芍薬大黄湯を与え、大黄の量を1日0.5とし、これで効がなければ、0.2宛増量することにし、もしこれを呑んで、ひどい腹痛が起こった時には芍薬甘草湯の頓服を用いるよう指示した。ところが、この患者は大黄0.5で便通があり、日によっては、かなり強い腹痛を訴えたが、そのたびに芍薬甘草湯の頓服を用いると、そのまま収まるようになった。そこで患者は安心して、1年あまり、これを飲んでいるうちに、大黄は0.5から0.3と減じ、ついに大黄なしに便通がつくようになり、全快してしまった。
下剤を用いて、下したところ、かえって腹痛がひどくなり足が冷えて冷汗が出て悪寒を伴うようになる者がある。これは誤って虚証 を下したためであるから、芍薬甘草附子湯を用いるがよい。もし悪寒と足冷がなければ芍薬甘草湯でよい。《大塚敬節》
[55]放屁の癖 [56]慢性関節リウマチ [57]夜驚症 ☆夜泣きで腹が痛むのではないかと思うほど泣くものによい。1服で泣き止んで眠ること不思議である(漢方診療医典)[57]腰痛:☆筋膜性腰痛。
☆腰背膝脚拘急し、或いは微痛し、或いは歩行し難き等の証《奥田謙蔵》 芍薬甘草附子湯[1-1]《傷寒論》 「芍薬・甘草(炙)各3両、附子1枚(炮去皮破8片)」◎発汗病不解、反悪寒者、虚故也。芍薬甘草附子湯主之。
芍薬甘草附子湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》「芍薬4、甘草3、附子0.5」◎芍薬甘草湯証にして悪寒する者を治す《吉益東洞》◎其の条に特に悪寒の証を挙ぐ、此れ附子の主る所なり、為則按ずるに其の芍薬を用うる者は拘攣を治するを以てなり。其の甘草を用うる者は毒の急迫を治するを以てなり、然らば則ち拘攣急迫して悪寒する者は此湯之を主る。《重校薬徴》
◎陰病、悪寒して攣急する者は、芍薬甘草附子湯之を主どる《医聖方格》◎此方は発汗後の悪寒を治するものならず、芍薬甘草湯の症にして陰位に属する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名(芍薬甘草附子湯) [1]胃ケイレン [2]ウツ病:☆大炊相公(宮中の主厨長官)の臣、田太夫は、憂慮過多、久しくして熱鬱を生ず。四肢重惰。志気錯越して居常安からず。灸刺、諸薬、並べて效なし。
《吉益東洞》先生之を診す。芍薬甘草附子湯をつくりて之を飲むこと数十日、更に又、七寶丸をつくりて之を服す。此の如きもの凡六次。 而して全く常に復す。《建珠録》[3]悪寒:☆発熱なく、ただ悪寒を覚え、腹痛し、汗出でて心煩する証《奥田謙蔵》[4]鶴膝風:☆鶴膝風で手足を綿で包むほどに冷える者に、これ方に伯州散を兼用する《百疢一貫》 [5]脚気:
☆初め湿脚気(浮腫のある脚気)にかかり、薬を飲んで水気がとれて後、乾脚気となり、両脚が萎縮して力を入れることが出来ず、膝はひきつれて伸ばすことが出来なくなり、諸薬を用いて効のない者には芍薬甘草附子湯を与えて、日光に浴せしむるときは必ず治るものである《内科秘録》[6]筋肉攣縮:☆霍乱、転筋を治す《方読便覧》[7]さむけ(寒気)がする:☆発汗の後、身体倦怠し、手足に寒冷を覚え、脈微弱なる証《奥田謙蔵》[8]座骨神経痛:☆座骨神経痛、及びその類証《奥田謙蔵》[9]疝:☆此方に大黄を加えて、芍薬甘草附子大黄湯と名く。寒疝、腹中拘急し、悪寒甚だしく、腰脚攣痛し、睾丸蹋腫し、二便通ぜざる者を治す。奇効あり。《類聚方広義》[10]胆石症[11]虫積:☆虫積の痛を治す:「-附子+草烏」[12]腸疝痛[13]痛風:☆風湿、百節疼痛し、屈伸すべからず、痛む時、汗出ずるを療す:「+川芎」[14]寝違い[15]冷える:☆下部の冷え:
①専ら腰にかかる⇒「苓姜朮甘湯」②専ら脚にかかる⇒「芍薬甘草附子湯」*足冷頭痛⇒「半夏白朮天麻湯」*足冷喘息⇒「紫蘇子湯」*足冷頭痛・耳鳴⇒「大三五七散」☆湿毒の後、足大いに冷える者に効あり。餘毒あれば「+伯州散」[16]疲労:☆汗出でて、疲労し、腹筋攣急し、或いは痛み、脈微にして沈なる証《奥田謙蔵》[17]腹痛[18]麻痺
芍薬散《東醫寶鑑》「香附子4両を醋2升・塩1両と同時に煮て、乾燥させ肉桂・延胡索(炒)・白芍(酒炒)各1両を作末し、毎回2銭を沸騰湯で調服。◎婦人に冷え症・脇痛で諸薬無効のとき。
芍薬湯[1-1]《素問病機気宣保命集》《中薬臨床応用》「白芍薬18g、黄芩9g、黄連5g、大黄6g(後下)、木香6g(後下)、檳榔子6g、当帰9g、肉桂1.5g(服)、甘草12g」水煎服。◎赤痢の腹痛◎裏急後重
芍薬湯[1-2]《証治準縄》 「白芍80g(炒)、黄芩(炒)・当帰尾・黄連(炒)20g、大黄・木香・檳榔・甘草(炙)各12g、官桂10g」
芍薬湯[1-3]《保命集》「白芍薬1両、当帰・黄芩・黄連各半両、大黄・甘草(炙)・木香・檳榔各3匁、肉桂1匁半」「黄芩加半夏湯+木香・檳榔・大黄・黄連・当帰・官桂」◎下痢・膿血・裏急後重・灼熱感。◎下利、膿血、裏急後重、腹痛、渇をなし、日夜度無きを治す
芍薬湯[1-4]《東醫寶鑑》「白芍薬2銭、黄連・条芩・当帰尾各1銭、大黄7分、木香・檳榔・桂心・甘草各5分」水煎服。◎痢疾で小便が渋く、膿血を下す。
芍薬湯[1-5]《万病回春》《古今方彙》「芍薬・黄芩・黄連・各2銭、甘草・木香・当帰・枳殻・檳榔子各1銭」水煎。◎虚弱の人の痢疾初起。
芍薬湯[1-6]《漢方治療の実際》「芍薬4、黄芩・当帰・黄連各2、甘草・木香・枳実・大黄各2、檳榔4」
★適応症及び病名(芍薬湯) [1]下痢:☆裏急後重が強くて、下剤を必要とする者に用いる。《大塚敬節》☆大柴胡湯の時よりも心下痞硬が軽く、腹痛が強い者に良い。《大塚敬節》[2]赤痢[3]大腸炎
☆桂枝加芍薬大黄湯証にて、腹部の膨満感が強くて、口渇があり、食欲が無く、熱も高く、粘血便が出るものに用いる。赤痢様の下痢によい(漢方診療医典)
芍薬湯[2]《万病回春》《東醫寶鑑》「赤芍薬・梔子・黄連・石膏・連翹・薄荷各1銭、甘草5分」水煎服。◎脾火がおき、口唇に瘡が出来、又沢山食べてもお腹が空く者。
芍薬柏皮丸《東醫寶鑑》「白芍・黄柏皮各1両、当帰・黄連各5銭」を作末し、水で小豆大の丸剤。温水で30~40丸呑む。 ◎湿熱悪痢で膿血を治す。
麝桂保珍膏 「保珍膏麝香」 麝香丸《東醫寶鑑》「蛇床子・亀骨各3両、石灰木・白芷各2銭半、零陵香・藿香各2銭、丁香・小脳各1銭半、麝香2分半」作末し、蜜丸で1両を30丸に作る。毎回1丸を綿でくるんで陰中に入れる。
◎婦人の陰中が長い間冷え、子が無く。又白帯がおりるとき。
麝香元《東醫寶鑑》「川烏(大)3個、全蝎21個、地竜(生)5銭、黒豆(生)2銭半、麝香1字」作末し、糯米糊で緑豆大の丸剤。空腹時に温酒で7~10丸を調下。 汗をかけばすぐ治る。◎白虎歴節風で疼痛し、遊走して定処がなく、虫が歩くようで、昼は静かだが、夜激しくなる者。
麝香散《東醫寶鑑》「白礬・白竜骨各3銭、麝香1分半」細末にし、冷水で鼻孔を洗った後、少しずつ注ぎ入れる。又柔らかい湿紙に薬をひたして鼻孔をふさいでおく。
◎衂血がとまらない者。 瀉胃湯[1]《医学入門》《東醫寶鑑》「大黄2銭半、葛根1銭、桔梗・前胡・杏仁各5分、生姜3片」水煎服。 ◎胃熱により、口唇が乾燥して割れ、便秘し(胃熱で口唇が乾き裂かれ、便秘する)、煩渇し、睡りて口涎を流すを治す。《古今方彙》
★適応症及び病名 (瀉胃湯) []よだれ:☆熱性のよだれに用いる《大塚敬節》☆此方は眠っている間に、口によだれを流すと云うのが目的である。1婦人があった。眠るごとによだれを流して止まない。数人の医者に治を乞うたが治らないという。診察してみるに、便秘して、唇が乾燥して裂けている。そこで胃熱によるものと診断して、この方を用いたところ忽ち治った《百々漢陰》
瀉胃湯[2]《万病回春》《東醫寶鑑》「当帰・川芎・赤芍・生地黄・黄連・山梔子・牡丹皮・防風・荊芥・薄荷・甘草各1銭」水煎し、食遠に頻りに服用。◎牙痛を治す。
瀉陰火升陽湯《古今方彙》「羗活・甘草(炙)・黄蓍・蒼朮各1分、升麻8分、柴胡1銭半、人参・黄芩各7分、黄連(酒)・石膏(秋冬は使わない)各5分」水煎温服。◎肌熱、頭熱、面赤く食少なく、喘咳痰盛、右の関上の脉は緩弱、或いは弦、或いは浮にして数なるを治す。
瀉黄飲子《東醫寶鑑》「升麻・白芷・枳穀・黄芩・防風・半夏・石斛各1銭、甘草5分、姜5片」水煎服。◎風熱が脾経にたまって、唇が乾き、裂けて汁が出る者。
瀉黄散[1-1]《万病回春》《古今方彙》「藿香7分、山梔子1銭、石膏5分、防風4分、甘草7分半」水煎し頻々と服す。 ◎小児の木舌(舌炎)ならびに弄舌(舌肥大症)を治す。
瀉黄散[1-2](一名瀉脾散)《東醫寶鑑》 「山梔子1銭半、藿香・甘草各1銭、石膏末8分、防風6分」切って蜜で少し炒って、水煎服。 ◎脾熱・口瘡・口臭を治す。
瀉黄散[1-3]《銭乙方》 「藿香・山梔子・生石膏・生甘草・防風・竹葉」 ◎口乾き、唇かわき、口瘡・口臭ある者。◎小児は舌をもてあそぶ。 瀉黄散[1-4]《小児薬証直訣》「甘草(生)90g、防風120g、石膏15g、山梔子3g、藿香21g」蜜と酒で香りがでるまで炒り、細末にし十分混ぜ合わせ、毎回3~6gを水で服用。◎胃熱のための口内炎
瀉火清肺湯《東醫寶鑑》「黄芩1銭、山梔子・枳実・桑白皮・杏仁・陳皮・赤茯苓・紫蘇子・麦門冬・貝母各8分、沈香・朱砂(水飛)各5分」剉作1貼し、水煎し朱砂末・竹瀝を入れて調服。◎火喘を治す。
瀉火補腎丸【中成薬】「六味丸+知母+黄柏」◎疲れると顔や手足がほてる人の足腰の無力感・口渇・頻尿。
瀉肝散[1]《銀海精微》 「黒参・大黄・黄芩・知母・桔梗・車前子・羗活・竜胆草・当帰・芒硝」各等分に作末して、煎服。 瀉肝散[2]《東醫寶鑑》「大黄・甘草各5銭、郁李仁・荊芥穂各2銭半」空腹時に水煎服。◎烏風の昏暗を治す。
瀉肝散[3]《済世全書》《古今方彙》「羗活、当帰、山梔子、竜胆、川芎、防風、大黄」水煎。◎経水断たざるの時適々出痘い逢い、身に壮熱を発し、榛子昏沈、言語狂妄、鬼神を見るが如く衣を尋ね空を撮(つか)む。これ経の行りたるの後に血室空虚となり、天行邪熱が虚に乗じて入りたるなり。此湯に宜し。
瀉血湯[1]《東醫寶鑑》「生地黄(酒洗)・柴胡各1銭、熟地黄・蒲黄・丹参・当帰(酒洗)・防已(酒洗)・羗活・甘草(炙)各7分、桃仁(泥)3分」水煎服。
◎夜間の発熱を治す。
瀉湿湯《東醫寶鑑》「白朮(炒)3銭、白芍(炒)2銭、陳皮(炒)1銭半、防風1銭、升麻5分」水煎服。 ◎洞泄を治す。
瀉心湯[1]《備急千金要方》 「半夏瀉心湯-大棗橘皮・瓜婁根」 ◎卒に大下痢・唇乾・口渇・嘔逆・引飲する者を治す。◎此方は半夏瀉心湯の症にして、唇乾、口燥、嘔逆、引飲と云うが目的なり。《勿誤薬室方函口訣》◎下痢の中に噦逆を発する者に用いて効あり。
瀉心湯[2]《傷寒論》《漢方治療の実際》=「三黄瀉心湯」参照 「大黄・黄連・黄芩」 瀉心湯[3]《東醫寶鑑》「黄連」細末にして、2分~1銭を温水で服用。
瀉心導赤散[1-1]《寿世保元》《古今方彙》「山梔子、黄芩、麦門冬、滑石、人参、犀角、知母、茯苓、黄連(姜汁炒)、甘草、生姜、大棗、燈心草」水煎。服するに臨み新生地黄汁を入れ同服す。
◎傷寒にて心下痛まず、腹中満せず、大便常の如く、身に寒熱無く、漸く変じて神昏(意識が昏迷したはっきりしない)して語らず、或いは夢中独語、一二旬して目赤く、神焦がれ、水を将げて之に与うれば則ち嚥み、与えざれば則ち思わず、形、酔人の如く、医者を識らず、便ち呼びて死症と為るを治す。
◎針灸を以て人を誤まること多し。殊に熱邪が少陰心経に伝入するを知らざるなり。因って火上り、肺に逼(せま)り神昏する所以なり。故に越経症と名づく。
瀉心導赤散[1-2]《寿世保元》 「山梔子・黄芩・麦門冬・知母・黄連・滑石・人参・犀角・茯苓・甘草・地黄」(一名:「導赤各半湯」《傷寒六書》)
◎傷寒、心下痛まず、腹中満せず、大便常の如く、身寒熱なく、漸く変じて神昏不語、或いは夢中独語一二句、目赤神焦、水をもって之に与うれば則ち嚥し、与えざれば則ち思わず、形酔人の如し。医者は識らず、便ち呼んで死証と為す。もし針灸を以てすれば人を誤る事多し。殊に熱邪、伝えて少陰心経に入るを知らざるなり。火上るに因って肺にせまり、神昏する所以なり、故に越経証と名づく。
◎此方は瀉心湯・黄連解毒湯の変方にして、黄連解毒湯よりは一等熱勢甚だしく精神昏乱すれども、承気湯の如く胃中に邪毒ありて発する熱には非ず。《勿誤薬室方函口訣》
◎後世のいわゆる心包絡、肝胆経などに怫鬱して煩悶する症を治す。 ◎「升陽散火湯」と類似の症なれど、升陽散火湯は柴胡湯の位にてややもすれば陰分に陥らんとするの機あり。故に附子を加ふることあり。「瀉心導赤散」はその機無く、ただ体中に偏満したる熱甚だしく、精神之が為に昏憒する者に用いる。
(憒=カイ、心が乱れる) ◎総て虚症の時疫、困睡する症に此方の行く処あり。◎「人参養栄湯」「陶氏升陽散火湯」の症に比すれば、熱強き者なり。◎「竹茹温胆湯」の症と紛れ易いけれども、彼は心驚、恍惚、煩熱、不眠を主とし、此方は神昏、不語、或いは夢中独語、形如酔人と云う目的なり。
◎方後の如く生汁を点入するときは特効あり。《勿誤薬室方函口訣》◎按ずるに、導赤各半湯は「梔子豉湯」「黄連解毒湯」の意にもとづき、而して能く上焦の心包絡の熱を解す。古人称して越経症と為すは是と為す。余毎に、柴胡加竜骨牡蛎湯の証にして虚候ある者に会いて、此方を用ひる。《高階枳園》◎口内炎
瀉腎湯《東醫寶鑑》「大黄2銭切って水侵1夜、磁石(砕)1銭6分、石菖蒲・生地黄各1銭、玄参8分、芒硝・赤茯苓・黄芩各6分、甘草4分」水2杯が1杯半になるまで煎じ、大黄を入れて又7分まで煎じて滓を去り、芒硝を入れてかき混ぜ、空腹時に服用。
◎淋で小腹が脹る。
瀉青丸《銭乙方》《東醫寶鑑》「当帰・草竜胆・川芎・山梔子・大黄(煨)・羗活・防風」各等分。作末し芡実大に蜜丸。毎回1丸を竹葉湯と糖温水に混ぜて飲む。
◎肝の慢性疾患を治す。
瀉肺湯《儒門事親》《雑病翼方》 「葶藶3両、桑白皮」「葶藶大棗瀉肺湯-棗+桑白皮」◎肺癰、喘急して坐臥不安を治す。 瀉白安胃飲《東醫寶鑑》「蒼朮(炒)・白芍(酒沙)・蓮肉各1銭、白朮7分半、人参・陳皮・白茯苓・
黄蓍(蜜炒)・当帰(酒洗)各5分、木香・乾姜(炮)・炙甘草各3分」水煎服。 ◎白痢を治す。 瀉白散[1]《証治準縄》《方読便解》 「桑白皮・瓜蔞・当帰・貝母・紫菀・桔梗・地骨皮・甘草・生姜」◎肺癰
瀉白散[2-1]《銭乙方》《小児薬証直訣》 「桑白皮12g、地骨皮9g、生甘草3g、粳米6g」水煎。 ◎皮膚蒸熱し、午後4時頃もっともひどく喘嗽し、息がつまる。◎咳嗽、口乾、黄痰、痰に血が混じる、舌質紅、舌苔黄、脈細数、午後の発熱。《中薬臨床応用》
瀉白散[2-2]《万病回春》《古今方彙》「桑白皮・地骨皮各2銭、甘草1銭、粳米」水煎。◎肺熱にて口辣(から)きを治す。
瀉白散[3](一名瀉肺散)《東醫寶鑑》「桑白皮・地骨皮各2銭、甘草1銭」水煎服。又、知母・貝母・桔梗・山梔子・麦門冬・生地黄を加えても良い。
◎肺実を治す。
瀉白散[4]《東醫寶鑑》「桑白皮2銭、桔梗1銭半、地骨皮・炙甘草各1銭、黄芩・麦門冬各5分、五味子15粒、知母7分」を1日2回水煎服。 酒麺・辛い物・熱い物を避ける。◎肺熱・喉腥を治す。
瀉白湯[1-1]《東醫寶鑑》「生地黄2銭、赤茯苓・芒硝各1銭、陳皮・竹茹・黄芩・山梔子・黄柏各5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎大腸実熱・臍腹痛を治す。
瀉白湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》「陳皮・竹茹・黄芩・山梔子・黄柏各5分、芒硝・茯苓各1銭、生地黄3銭、生姜、大棗」煎服。◎一方に、「白朮、桂心」あり。◎大腸の実熱にて腹脹りて通ぜず、臍を挟みて痛み、食化せず、喘して久しく立つ能わず、口舌に瘡を生じるを治す。
瀉脾湯《千金翼方》《勿誤薬室方函》 「茯苓4両、厚朴4両、桂枝5両、生姜8両、半夏1升、人参2両、黄芩2両、甘草2両」◎脾臓、気実し、胸中満し、食する能わず。又冷気脾臓に在り、走って四肢に在り、手足流腫するを主る。亦水気を逐う。◎栗園先生曰く、此の方は「茯苓飲」の証にして鬱熱ある者を治す。◎此方は、積気留飲にて胸中満し、不食を治す。けだし中脘結聚するが目的とす。《勿誤薬室方函口訣》◎四肢之腫とあり、これも中脘凝結より来る水気なり。又、常に厚味肉食の人、肩へ凝り、頭痛逆上して耳鳴り或いは聾する者に効あり。◎脾労:動悸甚だしく鉄砂の応ぜざる者、此方能く効あり。◎上逆烈しき者:「石膏」《閑斎》◎黄胖:「竜骨・牡蛎」《閑斎》
瀉陽補陰湯《東醫寶鑑》「黄柏(塩水炒)1銭半、天門冬・貝母・黄連(姜汁炒)各1銭、杏仁7分半、知母・生地黄各7分、紫菀・赤芍各6分、天花粉・桔梗・黄芩・当帰・白茯苓各5分、白朮2分半、五味子9枚」削って1貼にし、梅1個・灯心草1撮入れて煎服。
◎過度の酒色による真陰の妄泄、陰虚火動を治す。 謝伝笑止散《東醫寶鑑》「乳香・没薬・雄黄・胡椒・両頭尖烏薬」各等分に作末し患部にするつけると、つばを吐いてすぐ治る。◎牙歯痛。
鷓胡菜湯=「三味鷓胡菜湯」「鷓胡菜8.0、大黄・甘草各1.0~2.0」右三味、水二合五勺を以て、先ず二味を煮て一合を取り、滓を去り、後、大黄を入れ、再び煮て六勺と為し、滓を去りて一回に服用す。◎蟲有りて吐下し、諸証を見はす者を治す。《古方兼用丸散方》◎蚘虫、涎沫を吐し、心痛発作、時有る者を治す。◎回虫駆除に能く効を奏す《奥田謙蔵》
★適応症及び病名(鷓胡菜湯)
[]盲目:☆1婦人が眼を患い。赤腫疼痛し、烏睛曇闇した。これを診するに胸脇苦満がある。よって小柴胡湯を与え、方を施すに疼痛が退いた。そのあとで芎黄散を与え、兼ねて一方を点ずるに、赤腫曇闇やや減じ、心下がなお痞硬する。そこで人参湯を与えたが効無く、鷓胡菜湯を用いたところ、回虫が沢山下って治った《上田椿年》
車狗散《東醫寶鑑》「推車客7・土狗7個」を瓦の上で焼いて作末し、虎目樹皮の東南 向きのものを煎じて、調服する。 男子は、推車の頭、土狗の身をつかい、女子は、推車の身、土狗の頭をつかう。」◎大小便の通りの悪い者。
車前飲《東醫寶鑑》「大黄(煨)・荊芥穂各2銭、悪実・甘草各1銭」水煎服。◎瞼(まぶた)に栗つぶ状のものが出来る者。 車前散《証治準縄》《東醫寶鑑》「密蒙花・甘菊・白蒺藜・羗活・草決明・車前子・黄芩・草竜胆・甘草」各等分に作末し毎回2銭を米飲で服用。◎肝経の熱毒が逆上して瞖が出、涙が多く出る者。◎角膜混濁◎角膜血管新生◎羞明
車前子散《審視瑤函》《中薬臨床応用》「車前子・密蒙花・羗活・白蒺藜・黄芩・菊花・竜胆・決明子・甘草」各等分に作末し、食後重湯で服用。 ◎角膜混濁 ◎角膜血管新生 ◎羞明 ◎フリクテン性角膜炎
車前子湯《沈氏尊生書》「車前子、沢瀉、厚朴」 雀盲散《東醫寶鑑》「雄の猪肝を竹刀で割って、夜明砂を少し入れて湯がき、水に漬けて7分ぐらいにして取り出し細かく噛んで汁を飲む。」◎雀目で夜目が効かない者。
蛇床子散《金匱要略》 「蛇床子仁」1味。 末之、以白粉少許、和合相得、如棗大、綿裏内之、自然温。 蛇床子湯《漢方治療の実際》「蛇床子・当帰・威霊仙・苦参各10」以上を水1000‹に入れて煮て、約700‹とし、汁をとって温湿布または洗滌する。
蛇床子湯《外科正宗》(腎嚢風条)「蛇床子・当帰・威霊仙・苦参各10g」ガーゼの袋に入れて1000ccの水で煮る。男子は陰嚢を湿布し、女子の外陰部の瘙痒には腰湯をさせる。なお内服薬として、竜胆瀉肝湯、当帰飲子、十味敗毒湯などを用いる《大塚敬節》◎腎嚢風(=インキンタムシ)、湿熱、患をなし、疙瘩(=ブツブツした小さいもの)を患い、痒をなし、之を掻けば疼をなすを治す、洗うによろし。とある《大塚敬節》
◎陰部瘙痒:☆堪えがたい外陰部の瘙痒には、まことに欲効く。しかし10日以上の連用が必要。 ☆《津田玄仙》は《療治茶談》の中で不仁の前陰を洗う薬として、「荊芥・蛇床子・白礬・白芷・防風・絲瓜」の6味を、湯で煎じ、痛む処を洗うが良い。ただれたものに奇効があると述べている《大塚敬節》
蛇床子油膏《中薬臨床応用》「蛇床子30g、ワセリン70g」 ◎乳児湿疹 ◎慢性湿疹の急性発作 ◎汗疱様白癬のびらん期 ◎陰嚢湿疹 ◎外陰部掻痒 ◎疥癬 ◎皮膚白癬症 ◎分泌物が滲出し掻痒する。
蛇胆川貝末《中薬臨床応用》【中成薬】「蛇胆汁・川貝母」 ◎熱痰による咳嗽 ◎痰が多い ◎慢性咳嗽 蛇胆陳皮末《中薬臨床応用》【中成薬】「蛇胆汁・陳皮・地竜皮・朱砂・白殭蚕・琥珀」 ◎咳嗽、呼吸促迫 ◎粘稠な痰 ◎喀出しにくい ◎口乾、胸痛
痔薬膏子《東醫寶鑑》「柴灰淋濃汁3杯を煎じて1杯ぐらいになったら「草烏片・大黄片各2銭」を入れ、弱火で煎じて、半杯ぐらいになったら「甘草1銭」入れて2回ぐらい煮た後、「淨石灰末半匙」を入れ3~5回煮た後、生絹で濾して再び煮て膏を作り、冷めた後「胆礬5分」を細末にして、瓦器に入れて使うたびに「竜脳末少々」入れて混ぜ、少しつ1日1回、重症は3~5回、薬水で洗った塗る。◎外痔と反花痔、脱肛・腫痛、膿水が止まらないとき。
痔漏一方[1]《薛立斎十六種》《古今方彙》「四物湯黄芩・黄連・槐花・枳殻」◎一男子、痔を患う。大便燥結し惞痛して渇を作し、脉数にして之を按じて実なり。
瘀
痔漏一方[2]《寿世保元》《古今方彙》「川芎、白芷、赤芍薬、枳殻、阿膠、莪朮、生地黄、茯神、木通、五霊脂、桃仁、大黄、茯苓、甘草、生姜、蜜」水煎。
◎痔瘻の熱症にて瘀血ありて痛みを作すを治す。 痔漏一方[3]《薛立斎十六種》《古今方彙》「秦艽防風湯+黄芩+枳殻」◎一男子痔を患いて漏となり。毎に厠に登れば則ち痛み秦艽防風湯黄芩・枳殻を以て癒える。「四物湯升麻・黄芩・黄連・荊芥・防風」を以て復た作こらず(再発せず)。
痔漏一方[4]《古今方彙》 「秦艽防風湯-大黄+黄蓍・川芎・芍薬」を以て少し癒ゆ。痛み止まれば更に「補中益気湯」20余剤を以てし後に再び脱せず。
◎一男子、痔瘻を患い厠に登る毎に肛門下脱して痛みを作すを治す。 痔漏奇方[1]《曲直瀬道三家方》「昆布」1味を水煎し、布に包み、たびたび痛処を温める。◎これは道三家の秘法である。《大塚敬節》
痔漏奇方[2]「蓮蕋(はすのしべ)・黒丑各15銭、当帰5銭」以上3味を作末し、1回に2銭づつ温酒で呑む。 ◎痔瘻が3年も治らないものを治する効がある。《大塚敬節》
首烏延寿片【中成薬】「何首烏」◎便秘・動脈硬化・過敏性腸症候群 首烏延寿丹《世補斎医書》「何首烏、生地黄、牛膝、菟絲子、杜仲、金銀花、桑椹子、女貞子、旱蓮草、桑葉、黒芝麻、豨薟草」
首烏強身庁《中薬制剤手冊》「何首烏、懐牛膝、生地黄、覆盆子、杜仲、女貞子、桑葉、豨薟草、金桜子、桑椹子、旱蓮草」 狩皮丸《東醫寶鑑》「槐花・艾葉(炒黄)・枳穀・地楡・当帰・川芎・黄蓍・白芍・白礬枯・貫衆各5銭、猬皮(焼)1両、髪灰3銭、猪蹄甲10枚、皀角(醋炙)1挺」作末し梧子大の蜜丸。空腹時に米飲で50~70丸飲む。
◎痔瘻を治す。 集香散《葉氏録験方》 「理中丸丁香・木香」◎心脾疼痛を治す。 集香湯《東醫寶鑑》「木香・藿香・川芎・赤茯苓・檳榔・枳穀・甘草各3銭、沈香・丁香各2銭、
乳香1銭半、麝香1字」粗末にし、毎回3銭に姜3片、紫蘇葉5葉を入れ水煎服。 ◎虚腫を治す。 聚香飲子《医学入門》《古今方彙》「沈香・乳香・丁香・檀香・藿香各5分延胡索・欝金・川烏頭・桔梗・桂心・甘草各2分、生姜、大棗」煎服。
◎七情の傷る所遂に七疝と成り、心脇に痛みを引き俛仰(ベンギョウ、あおむいたりうつむいたり)すべからざるを治す。 聚香飲子《医学入門》《東醫寶鑑》「乳香・沈香・白檀香・木香・蘿香・丁香各8分、延胡索・姜黄・烏薬・桔梗・桂心・甘草各4分、姜3、棗2」水煎服。
◎七情に傷ついて疝気になった者。 修肝散《銀海精微》 「山梔子・薄荷・防風・甘草・連翹・大黄・黄芩・蒼朮・羗活・菊花・木賊・赤芍・麻黄」以上各等分を作末し、毎服2g、豚肝または洋肝を煮た汁で食遠に調服。
修肝活血湯《銀海精微》 「当帰・赤芍・生地黄各60g、川芎・羗活各28g黄蓍・防風・黄連・大黄・薄荷・連翹・菊花・白蒺藜各40g。以上16gを、毎服水で煎じ、酒2盃に入れ、温服。」
舟車丸[1-1]《丹渓心法》《中薬臨床応用》「黒牽牛子(研末)120g、甘遂(裏面煨)・芫花(醋炒)・大戟(醋炒)各30g、大黄60g、青皮・陳皮・木香・檳榔子各15g、軽粉3g」作末し水で丸剤。1回6gを早朝空腹時に湯で服用。◎水腫。
舟車丸[1-2]《東醫寶鑑》「黒丑頭末4両、大黄2両、甘遂・大戟・芫花・青皮・陳皮各1両、木香5銭」を作末し、水で梧子大の丸剤。毎回50~60丸、白湯で調下。下痢すると止める。
◎湿熱の盛んなとき。
舟車神祐丸[1]《劉河間》 「黒牽牛子・大黄・甘遂・大戟・橘紅・芫花・青皮・木香・軽粉⇒水銀粉」 ◎水腫水脹。形気ともに実して熱象ある者。 舟車神祐丸[2]《東醫寶鑑》「黒丑頭末4両、大黄2両、甘遂・大戟・芫花(醋炒)各1両、青皮・木香・檳榔各半両、軽粉1銭」を作末し、水で梧子大の丸剤。毎回50~60丸を白湯で調下。下痢すると止める。◎一切の水湿が大きくなった者。
秋石五精丸《東醫寶鑑》「蓮肉6両、白茯苓2両、秋石1両、川椒・茴香(並微炒)各5銭」作末し、乳汁で梧子大の丸剤。温酒又は米飲で50~70丸呑む。 ◎虚労の腎虚・陽衰を治す。
秋石元《東醫寶鑑》「白茯苓1両・桑螵蛸(炙)・鹿角膠(珠)・秋石各5銭」作末し、粞糊で梧子大の丸剤。空腹時に人参湯で50丸飲む。 ◎膏淋の黄・赤・白黯の膏と油蜜のような者。
酒蒸黄連丸《東醫寶鑑》「黄連4両」酒に一晩浸して、晒した後、作末し栗米糊で梧子大の丸剤。米飲で100丸服用。 ◎酒毒で熱を出し、血便が出て、肛門まで熱いとき。◎過飲による腸胃の熱、又は吐血・下血を治す。◎酒蒸黄連丸、乾葛の煎じ湯で2銭(酒で身体を壊し、朝方必ず下痢)
酒積丸《東醫寶鑑》「烏梅肉・黄連(酒浸一晩)各1両、半夏(麹)7銭、枳実・縮砂各5銭、木香4銭、杏仁3銭、巴豆霜1銭」作末し、蒸餅で緑豆大の丸剤。白湯で8~10丸呑む。
◎酒積を治す。 酒煮黄連丸(一名小黄竜元)《東醫寶鑑》「黄連4両を清酒7合に入れて蒸し、酒が乾くまで干し、麺糊で梧子大の丸剤。毎回30丸を熟水で呑むと、胸膈がさわやかになり、渇をおぼえない。
◎伏暑で嘔渇・悪心・暑毒の治らない者。◎過飲による腸胃の熱を治す。 酒煮当帰丸《東醫寶鑑》「当帰1両、良姜・炮附子各7銭、茴香5銭」を細切りにし、酒1杯半で煮詰まるまで煎じ、そこに炒黄塩・全猬⇒ハリネズミ各3銭、柴胡2銭、炙甘草・川楝子・丁香・升麻各1銭・延胡索4銭を入れて作末し、酒麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に淡醋湯で50~70丸飲む。
◎白帯が流れて止まらず、下は氷のように冷たく、目は青く痩せる者。 茱萸散《東醫寶鑑》「呉茱萸・地竜」等分に作末し、米醋に生麹を入れて調合して塗る。
◎口瘡・咽痛を治す。 茱萸内消丸《東醫寶鑑》「山茱萸・呉茱萸・川楝子・馬蘭花・茴香・青香・陳皮・山薬・肉桂各2両、木香1両」作末し酒糊で梧子大の丸剤。50丸を酒で飲む。◎膀胱腎虚による実疝を治す。
茱萸内消元《東醫寶鑑》「川練肉1両半、大腹皮・五味子・延胡索・海藻各1両2銭半、桔梗・青皮・山茱萸各1両、木香7銭、茴香・桂心・川烏(炮)・呉茱萸・食茱萸・桃仁各5銭」作末し、酒糊で梧子大の丸剤。温酒で30~50丸呑む。
◎陰瘖が偏大で腎嚢が腫脹し、又は瘡瘍が出て、時々黄色い水が出る。 茱萸内滑消丸《東醫寶鑑》「山茱萸・呉茱萸・川楝子・馬蘭花・陳皮・山薬・肉桂各2両、木香1両」 作末し、酒糊で梧子大の丸剤。50丸、酒で飲む。
◎膀胱腎虚による実疝を治す。 茱萸木瓜湯《証治準縄》《古今方彙》「呉茱萸1両半、木瓜1両、檳榔子2両、生姜5片」温服。◎脚気衝心、悶乱して人を識らず、手足の脉絶せんと欲するを治す。
茱連丸[1](一名黄連丸)《東醫寶鑑》 「呉茱萸・黄連各2両」酒浸3日して、それぞれ焙って乾燥し、別々に醋糊 で梧子大の丸剤。 赤痢には、黄連丸30粒を、甘草湯で飲み、
白痢には、茱連丸30粒を、乾姜湯で飲み、 赤白痢には、2つをそれぞれ30粒づつ、甘草乾姜湯で飲む。 ◎赤白痢を治す。 茱連丸[2](一名咽醋丸)《東醫寶鑑》 「呉茱萸(温湯洗焙)・陳皮(去白)・黄土(壁土炒)各5銭、黄連(壁土炒)1両、 蒼朮7銭半」作末し、神麹糊で梧子大の丸剤。唾で60~70丸を嚥下させ る。 ◎欝積による呑酸・吐酸を治す。
朱子読書丸《東醫寶鑑》 「茯神・遠志(姜製)各1両、人参・陳皮各7銭、石菖蒲・当帰各5銭、甘 草2銭半」作末し、小麦粉で緑豆大の丸剤。朱砂で衣を付け就寝時に、灯 心草の煎じ湯で50~70丸服用。
◎健忘症を治す。 朱砂安神丸《李東垣》 「朱砂4g(末にし水飛し半分を衣とする)、黄連6g(酒洗)、甘草2g(炙)、生 地黄・当帰頭各4gを末となし、蜜で練って黍米の大きさの丸とし、朱砂 を衣として、毎服10~30丸、就寝前に服用。」
◎心乱れ、煩熱・心悸亢進し、寝ても覚めても不安などの心血虚の証。★適応症及び病名(朱砂安神丸)不眠症: ☆不安、恐怖、強迫観念があって、驚きやすく、眠れない者。
朱砂安心丸《漢方治療の実際》 「黄連6、鍼砂5、地黄・甘草各3、当帰2.5」以上を作末し米糊で丸とし。 1回2~3を服用。 ★適応症及び病名(五十音順) 不眠症:
☆安眠の出来ない者に用いる。煎剤に兼用してよい。《大塚敬節》 朱砂安心湯 ◎不眠症: (婦人の失血が多く、心神が不安で眠れない) 朱砂丸《東醫寶鑑》 「朱砂・天南星・巴豆霜」各等分。作末し糊で黍米大の丸剤。薄荷湯で2~3 丸呑む。
◎幼児が汚物を飲み込んで、吐瀉するとき。 朱砂黄連元《東醫寶鑑》 「黄連3両、生乾地黄2両、朱砂1両」作末し、梧子大の蜜丸。灯心棗湯で30 ~50丸呑む。
◎醋を食べ過ぎて消渇になった者。 朱砂膏《東醫寶鑑》 「甘草7銭半、寒水石()・石膏()各5銭、朱砂・硼砂・焔硝各2銭半、 竜脳1字、金箔・銀箔各5片」作末し、麦門冬湯で毎回2銭づつ服用。
◎驚いて熱を出し、混迷不省の者。 朱砂指甲散《東醫寶鑑》 「朱砂(水飛)・天南星(姜製)・独活各2銭、人の手足の爪甲の焼いた 物6銭」作末し、3貼に分け、熱酒で調下する。
◎破傷風で手足が震えて止まらない者。 朱砂定驚方《中薬臨床応用》 「朱砂0.5g(沖服)、天竺黄6g、胆南星1.5g、竹蜂6g、法半夏6g、甘草(炙)3g」 水煎服。 ◎痙攣発作 ◎小児の熱性ケイレン
朱砂凉膈丸《東醫寶鑑》 「黄連・山梔子各1両、人参・赤茯苓各5銭、朱砂3銭、竜脳5分」作末し、 蜜で梧子大の丸剤。熟水で5~7丸、1日に3回。
◎上焦の虚熱と、肺と咽膈に何かがあって、煙が上がるような感 じを治す。 朱雀丸《東醫寶鑑》 「白茯神2両、沈香5銭」作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。
朱砂5銭で衣をつけ、人参湯で50丸服用。 ◎心神が不安定で、恍惚・健忘・時々跳動する者。 朱礬散《東醫寶鑑》 「朱砂・白礬枯」各等分。細末にし、口と舌の上に1日3回塗る。
◎鵞口瘡で乳を吸えない。 朱蓬蜜《奥田家方》 「朱砂(=辰砂)1.2、硼砂2.0、竜脳1.0」 右3味、各別に細末、合して散と為し、蜂蜜適宜を混和し、之を患部に塗 布する。
◎口内腫痛し、或いは舌、歯等に瘡を生じ、流涎、疼痛甚だしき諸証を治す。 収功万全湯《寿世保元》《古今方彙》 「当帰・黄蓍各1銭半、人参・白朮・茯苓・熟地黄各1銭、川芎・白芍薬(酒) 各7分、陳皮・防風各5分、肉桂・白芷・甘草各3分、生姜」水煎。
◎癰疽を治す。 ◎潰後に須く当に大いに気血を補い、脾胃を和し、毒を托(ひら)きて外に出すべ し。実に切要と為す。 ◎右癰疽、潰癰後に肌肉長ぜず合せざる者に宜し。 ◎渇を作すには:「麦門冬・五味子」 ◎煩躁するには:「生地黄・麦門冬」 ◎痰あれば:「半夏」 ◎泄瀉には:「厚朴」 ◎小便不利には:「沢瀉」 ◎怔忡不寐には:「遠志・酸棗仁」 ◎胸膈寛かざるには:「厚朴・山子」
珠黄散《和剤局方》 「牛黄、珍珠」 糯根煎《中薬臨床応用》 「糯米根30g、黄蓍15g、糯米30g」水煎服。 ◎タンパク尿。 ◎頑固な慢性腎炎。
蓯蓉潤腸湯《中薬臨床応用》「肉蓯蓉15g、当帰12g、生地黄9g、白芍薬9g、麻子仁9g」水煎服。◎老人の便秘◎血虚の便秘 十将軍丸《東醫寶鑑》「縮砂・檳榔・常山・草果各2両、三稜・莪朮・青皮・陳皮・烏梅・半夏各1両」先に常山と草果を酒・醋各1椀を漬け、一晩置いた後、8味を漬け、日暮れ時に炭火で煎じて作末し、酒醋で梧子大の丸剤。白湯で30~40丸、1日2服、8両になったら止める。
◎久瘧と瘧母を治す。 十疰丸《東醫寶鑑》「雄黄・巴豆霜各3両、人参・麦門冬・細辛・桔梗・炮附子・皀莢・川椒・甘草各5銭」を作末し、梧子大の蜜丸。温水で5丸を呑む。
◎10種の尸疰と鬼気を治す。 十神丸《補元》 十神湯[1-1]《和剤局方》「川芎・甘草・麻黄・紫蘇葉・白芷・升麻・陳皮・香附子・赤芍薬各4両、乾葛14両、生姜、葱白」水煎。
◎時令不正(季節不順のこと)、瘟疫妄行し、感冒発熱悪寒、頭疼身痛、咳嗽喘急、或いは疹を出さんと欲す。此薬は陰陽両感を問わず、並びに宜しく之を服すべし。
◎潮熱には:「黄芩・麦門冬」《寿世保元》◎咳嗽には:「桔梗・桑白皮・半夏」◎頭痛には:「細辛・石膏・葱白」◎心胸腸満には:「枳実・白朮」◎嘔吐には:「丁香・砂仁」◎鼻衂止まざれば:「烏梅・黄芩」◎腹痛には:「芍薬(酒)」◎冷気痛には:「官桂」◎大便閉には:「大黄・芒硝」◎痢には:「枳殻・当帰」
十神湯[1-2]《東醫寶鑑》「香附子・紫蘇葉・升麻・赤芍・麻黄・陳皮・川芎・乾葛・白芷・甘草各1銭」を剉作し、「姜3、葱白2茎」を入れ水煎服。◎風寒による頭痛・寒熱で汗の無い者。
十神湯[1-3]《東醫寶鑑》「葛根2銭、赤芍・升麻・白芷・川芎・陳皮・麻黄・紫蘇葉・香附子・甘草各1銭」剉作し、1貼に「姜5片・葱白3茎」を入れ、水煎服。◎不規則になる瘟疫を治す。
十水丸《東醫寶鑑》「大戟・葶藶子・甘遂・桑白皮・連翹・芫花・沢瀉・藁本・巴豆・赤小豆」の10種をつかうが、その病勢に合った1味を倍に増量して主薬とし、りを等分に焙って末にし、蜜で梧子大の丸剤。赤茯苓湯で3~5丸を1日2~3回飲む。◎10種の水気を治す。
十仙湯《寿世保元》《古今方彙》「柴胡、葛根、玄参、黄連、黄芩、山梔子、陳皮、茯苓、枳殻、生地黄、生姜」水煎。 十全丸《東醫寶鑑》「陳皮・青皮・莪朮・川芎・五霊脂・白豆蔲・檳榔・蘆薈各5銭、木香・使君子・蝦蟆灰各3銭を作末し、猪胆汁に漬け麻子大の丸剤。米飲で20~30丸調下。◎丁・哺露・無辜壊症を治す。
十全大補湯[1-1]《和剤局方》《中薬臨床応用》「当帰9g、川芎6g、白芍薬12g、熟地黄12g、党参9g、白朮(炒)12g、茯苓12g、甘草(炙)5g、黄蓍9g、肉桂1.5g(服)」水煎服。◎気血両虚。
十全大補湯[1-2]《東醫寶鑑》「人参・白朮・白茯苓・甘草・熟地黄・白芍・川芎・当帰・黄蓍・肉桂各1 銭を剉作し、1貼に姜3、棗2を入れ、水煎服。◎虚労による気血両虚を治し、虚労の自汗を治す。
十全大補湯[1-3]《漢方治療の実際》「人参・黄蓍・白朮・当帰・茯苓・地黄・川芎・芍薬・桂枝各3、甘草1.5」 十全大補湯[1-4]《和剤局方》《龍野ー漢方処方集》=「黄蓍茯苓湯」《備急千金要方》
「人参・白朮・茯苓・当帰・川芎・熟地黄・芍薬各3.0g、黄蓍・肉桂・大棗各2.0g、甘草1.5g、干姜1.0g」◎男子婦人諸虚不足、五労七傷、飲食進まず、久病虚損、時に潮熱を発し、気骨脊を攻め、拘急疼痛、夜夢遺精、面色萎黄、脚膝力無く、一切病後、気旧の如からず、憂愁思慮、気血を傷動し、喘嗽中満、脾腎の気弱く、五心煩悶するを治す。此薬性温にして熱せず、気を養い、神を育て、脾を醒まし渇を止め、正を順らし、邪を辟く、脾胃を温煖して、其効具さに述ぶべからず。◎「八物湯黄蓍・肉桂各1銭」《薛立斎》
◎男子、婦人、諸虚不足、五労七傷、一切の病後、気、旧に如かざるを治す。◎此方、《和剤局方》の主治によれば、気血虚すと云うが八物湯の目的にして、寒と云うが黄蓍、肉桂の目的なり。又、下元気衰というも肉桂の目的なり。《勿誤薬室方函口訣》◎《薛立斎》の主治によれば、黄蓍を用ふるは参蓍に力を合わせて、遺精、白濁、或いは大便滑泄、小便短少、或いは頻数なるを治す。又、九味の薬を引導してそれぞれの病処に達するの意なり。何れも此の意を合点して諸病に運用すべし 《勿誤薬室方函口訣》◎気血ともに虚した者。◎発熱悪寒、自汗盗汗、肢体倦怠。◎頭痛眩暈、口渇。◎久病虚損、口乾食少、咳、驚悸発熱。◎寒熱往来、盗汗自汗、夕方発熱、内熱、遺精白濁。◎両便出血、下腹痛、小便短少、大便乾少。◎軟便、脱肛、小便頻数。◎男子婦人諸虚不足、一切病後に気もとの如く回復せざる者。◎気血倶に虚、発熱悪寒、自汗盗汗、肢躰倦怠、或いは頭痛眩暈、口乾渇を作すを治す。又は久病虚損、口乾食少なく、咳して而して利せず、驚悸発熱、或いは寒熱往来、盗汗自汗、熱内熱、白濁を遺精し、或いは二便血を見わし、小腹痛みを作し小便短少、大便乾、或いは大便滑泄、もう門下遂、小便頻数、陰茎癢痛する等の症を治す。《古今方彙》
◎《漢方後世要方解説》此方は気血、陰陽、表裏、内外、共に虚したるを大いに補うもので、十全の効ありとの意味にて十全大補湯を名づけた。即ち本方は諸病により全身衰弱甚だしく、貧血、心臓衰弱し、胃腸機能衰え、痩削し、脈腹共に軟弱で、皮膚枯燥し、熱状のないものによい。諸病後、産後、癰疽潰後等に広く用いられる。◎慢性病、大病後、虚弱人、老人、幼児などで、気力・体力共に衰えた者を目標に用いる《大塚敬節》
★適応症及び病名(十全大補湯)[1]頭がふらつく [2]アレルギー性鼻炎 ☆全身的に衰弱している傾向があり、顔色も蒼く貧血していて皮膚も枯燥し、気血ともに虚しているという者で、鼻粘膜は乾燥しがちで、しかもクシャミが頻発してアレルギー性鼻炎といわれていたものに本方でよくなったものがある。それほどひどくないときに加味逍遙散で体質が改善されたこともある(漢方診療医典)[3]遺精:☆気血虚損して夢精・滑精する。[4]運動麻痺[5]栄養失調[6]カリエス:☆腸癰等、瘻孔ながく癒えない者《矢数道明》☆腰椎カリエスに応用《大塚敬節》[7]ガン(悪性腫瘍)[8]顔色悪い[9]肝炎
[10]基礎体温が低い [11]極度の衰弱:☆虚労にて諸虚不足、五労七傷、飲食進まず、咳嗽喘急、盗汗潮熱等の症を治す。《済世全書》 [12]強皮症
☆体力が低下し、疲労倦怠、食欲不振、手足の冷え、貧血などがみられる者に用いる(漢方診療医典) [12]虚弱者の皮膚病 [13]虚熱(午後から日暮れにかけて発熱)[14]気力がない[15]瘧疾:☆長年治らず羸痩する者《矢数道明》[16]下痢:☆大便滑利、小便閉渋、或いは肢体漸く腫れ、喘嗽、痰を唾し、脾腎気血倶に虚する者を治す:「四神丸」を送下する《寿世保元》☆慢性下痢後、栄養衰え、元気の回復しない者《矢数道明》
[17]元気がない [18]言語不明瞭 [19]声に力が入らない[20]肛門周囲膿瘍 ☆痔瘻を残して排膿が止まず、貧血して全身衰弱の候あるものに用いる。伯州散を兼用する(漢方診療医典)
[20]骨結核:☆股関節結核に応用《大塚敬節》 [22]骨粗鬆症 ☆虚証で疲れやすく、貧血の傾向が強く、食欲不振、体重減少を認め、皮膚が乾燥するものに用いる(漢方診療医典)[21]産後の疾患:☆本方の症多い、血振いという類《矢数道明》
☆産後脚気 ☆産後の虚労 ☆産後の衰弱 ☆産後の閉経☆風に感じ、痙を成し、口噤、角弓反張、汗無き者:「桂枝加葛根湯」☆汗ある者、柔痙と為す、「桂枝湯括楼根」☆産後の痙病の虚症:「十全大補湯柴胡、釣藤鈎、括蔞、竹瀝、」姜汁を以てし、如し汗多き者は「附子」《方読便覧》☆産後戦慄する者、血気新たに虚し、邪気之を襲うなり。先ず荊芥沈香湯を与う。或いは十全大補湯荊芥炮姜を与う。更に虚する者は「附子」。蓋し戦慄、四五発する者は治しガタし。然れども脈緩なる者は癒ゆべく、数なる者は不治と為す。《華岡青州》☆産後に陰脱(子宮内翻症)にて腫痛し、脈滑数にて膿を作らんと欲するに宜し《婦人大全良方》[22]自汗[23]子宮ガン
[24]四肢のしびれ[25]四肢脱力 [26]四肢の冷え [27]手術後の衰弱[28]出産:☆産門開かざるを治す。《万病回春》[29]消化不良
[30]小児の頭蓋骨顖門の陥没 [31]小児の頭蓋骨顖門の閉鎖不全[32]小児麻痺:☆《大塚敬節》“埼玉県で3歳の男児を診察した。この子は生後1年ぐらいの頃、小児麻痺にかかり、その後、歩行が出来なくなり、母親はこの患児を背負って、毎日東京の某大学病院に通って、電気治療やマッサージに罹ること約1カ年に及んだが、いまだに一人で立つことすら出来ないという。手は左右とも自由に動くが、足は左右共に痩せて力が無く、事に右側の麻痺がひどい、栄養は衰え血色は悪く、元気がない、その上に遺尿症がある。こんな症状であったから、私はこれに十全大補湯を1ヶ月分与えた。約1ヶ月後、母親が連れてきた患児をみると、栄養・血色共に見違えるほどに良くなり、ひとりで立つようになった。遺尿症もよくなった。3ヶ月目には、障子や窓につかまって歩くようになった。”
[33]食欲不振:☆補中益気湯は古人が“脾胃の元気の虚”といった場合に用いる。脾は今日の脾臓を指すのではなく、胃腸の消化を助けるものだとあるから、脾胃の虚は、消化作用の弱い気力のないものを指している。 古人の言葉を借りて云えば、十全大補湯は気血の虚を補い、補中益気湯は気の虚を補うものである。《大塚敬節》
[34]ショックによる出血(目・口・鼻・耳・前陰・後陰) [35]視力減退 [36]視力障害:☆(白内障・緑内障・黒内障などによる) ☆内障を治す:「沈香、白豆蔲、附子」《方読便覧》
[37]痔瘻 ☆慢性に経過し、稀薄な膿が止まらず、貧血して、著しく全身衰弱の傾向あるものに、+伯州散(漢方診療医典) [38]腎結核 [39]神経衰弱
[40]心臓疲労[41]舌質<淡白><胖大>[42]舌苔<無苔~微白苔><湿潤> [43]全身衰弱 [44]帯下:☆長血、子宮ガン、諸悪性腫瘍《矢数道明》☆赤白帯下は:「-地黄陳皮、乾姜、半夏」or「+牛皮消」《方読便覧》
煩熱し、小水淋瀝するを治す、「車前子・地骨皮・鹿角・阿膠、桂枝」《寿世保元》☆産後、流産後など体力・気力ともに衰えた者の帯下に用いる。《大塚敬節》☆斎藤佐左衛門の妻39歳は、一昨年流産の後、外邪にかかり、それから急に血が下って止まず、ついに帯下の症に変じた。
余が診するに、顔色は灰のようで、脈は沈細数で、舌には白苔があって乾燥し、口渇を訴え、飲食は進まず、呼吸は促迫し、心下はつかえ、下腹部は硬くて膨満し、小便の出は少なく、大便は軟らかく、腰が痛む。帯下は一昼夜に1、2行で、色が黒く、1合~1合6、7勺ほどであるという。
そこで十全大補湯を与えたところ、40日余りで全治した。(佐藤元悦・和漢医林新誌第19号) [45]脱肛:☆痔瘻、子宮脱など《矢数道明》[46]中風:☆中風にこの方を用いるのは薛已の内科摘要がはじまりである。勿論元気悪く、脈にも腹にも共に力なく熱の少ない者に用いる《梧竹楼方函口訣》“飛鳥井大納言雅威卿は年50あまり、春2月の始めに感冒にかかって、療をしたが、少しも良くならない。そこで和田泰冲を召した。泰冲は九味の羗活湯を用いところ、1、2日で感冒はよくなった。そこへ余が召され泰冲と一緒になった、診てみると、この人はもとから脱肛があったが、このときも脱肛しておさまらない。そこで余は補中益気湯はどうかと泰冲にはかったところ、泰冲も同意したので、補中益気湯羗活附子防風を与えた。すると2、3日で脱肛がおさまった。つづいて前方を与えたら、半身不随もまた良くなった”
[47]知覚麻痺 [48]疲れやすい[49]手足冷たい [50]盗汗:☆気血倶に虚して盗汗する者を治す。《寿世保元》[51]動脈硬化症 ☆体力、気力ともに衰え、血色すぐれず皮膚に光沢なく、枯燥の状があり、動作ものうく、記憶力が衰え、俗に言う「もうろく」の状に用いる(漢方診療医典)[51]乳ガン☆乳癌、流注、潰膿の後、自汗、盗汗、その他脱状を見わす者:「附子」《方読便覧》
[52]寝汗(ねあせ) [53]ノイローゼ(虚弱者の)[54]肺結核: ☆熱状は著しくなく、咳嗽、湿痰もなく、発汗のひどくない者《矢数道明》☆皮膚枯燥した者を目的として使う。本方の症は少ない《矢数道明》
[55]白血病 [56]半身不随 [57]冷える[58]微熱(慢性疾患の)☆年を経て久しく瘧し、気血ともに虚し、而して三五日に一つ発する者を治す。《寿世保元》[59]皮膚疾患(虚弱者の)
[60]皮膚につやがない(皮膚枯燥)[61]疲労倦怠:☆大病後、体力が回復せず、疲労、倦怠を訴える者《大塚敬節》[62]病後の衰弱: [63]貧血☆栄養不良性貧血。☆大病後、栄養衰え、皮膚光沢を失って枯燥し、貧血の状ある者に用いる《大塚敬節》
☆全身的に衰弱して貧血し、口内が乾燥する者(漢方診療医典)[64]腹痛 [65]腹部軟弱[66]閉経[67]ベーチェット病 ☆比較的体力の低下した者で、温清飲を用いると胃腸障害がみられるものに用いる。四君子湯と四物湯を含む処方である(漢方診療医典)[67]崩漏:☆経行過多、血気虚耗、胃気不足し、故に経水妄来するを治す:
「香附子、黄蓍・肉桂」《寿世保元》[68]麻痺:☆(気虚・血虚による麻痺)[69]慢性肝炎[70]夢精:☆虚のひどい者《矢数道明》[71]目がかすむ:☆久病後、視力減退、健忘の者《矢数道明》[72]めまい:☆(老人の、起床してしばらくの間)☆気血両虚し、而して寒を挟み、頭目眩暈するを治す。もし痰あれば、「陳皮・半夏」《寿世保元》☆貧血が甚だしくて、めまいする者《大塚敬節》[73]物忘れ:☆諸虚にて健忘する者。[74]やせすぎ(羸痩)
[75]癰疽:☆癰疽が崩れてきたない。☆癰疽後を治す。《雑病翼方》☆潰瘍、発熱し或いは悪寒し或いは痛みをなし、或いは膿多く、或いは膿成りて潰れず、潰れて斂まらざるを治す。
☆気血足らず腫を結びて未だ膿成らざる者:「陳皮・香附子・半夏・連翹」《薛立斎》☆臀癰、已に潰えたる後に気血虚弱なる者に宜し。☆潰えて後排膿の止まらない者《矢数道明》
[76]腰痛:☆大病後に体力が回復しない者に用いて、栄養を良くして元気をつける効があり、大病後の腰痛、骨・関節カリエスに用いられる《大塚敬節》[77]抑鬱状態[78]淋疾患:☆膿淋:「+鹿茸」《雑病翼方》[79]ルイレキ(瘰癧):☆潰えて後虚羸、稀膿の止まらない者《矢数道明》
【加減方】 1.咳には、・・・五味子2.0g。2.汗多き者・・・牡蠣3.0g。3.気弱気者・・・人参倍加。4.虚労発熱・・・柴胡4.0g、地骨皮2.5g。5.肌熱には・・・地骨皮2.5g。6.不時に熱しor場所一定せずor脚心から起こる者:五味子2.0g、麦門冬6.0g。
十全流気飲《外科正宗》《古今方彙》「陳皮・茯苓・烏薬・川芎・当帰・芍薬各1銭、香附子8分、青皮6分、甘草5分、木香3分、生姜、大棗」水煎し食遠に服す。
◎憂鬱は肝を傷め、思慮は脾を傷り、脾気行らざるを致し、肉裡に逆して乃ち気を生じ、癭肉瘤皮の色変ぜずして日久しく漸く大なれが宜しく此薬を服すべし。
十全流気飲《外科正宗》《漢方後世要方解説》「陳皮・茯苓・烏薬・川芎・当帰・芍薬各3.0、香附子2.0、青皮・甘草・木香各1.0」◎子嗽に《金匱要略》当帰料を煎服せしめ、屡々効を得たり、養血、除湿、清熱の剤胎気壅遏を安ずるにより咳嗽も治するなるべし。《清川玄道》
十宣散(一名千金内托散)《東醫寶鑑》 十棗湯(じっそうとう)[1-1]《傷寒論》 「芫花(熬)・甘遂・大戟」以上三味、等分、各別搗為散、以水一1升半、先煮大棗肥者十枚取八合、去滓、内薬末。強人服一銭匕、羸人服半銭、温服之。平旦服。若下少病不徐者、明日更服、加半銭。得快下利後、糜粥自養。
十棗湯[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》「芫花、甘遂、大戟各等分」作末しカプセルに入れ、第1日目は1.5g、以後毎日0.3gづつ増やし3gまで増量。大棗8~15gの煎液で早朝空腹時に服用。
十棗湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「芫花・甘遂・大戟」以上を細末とし、「大棗10」を水200‹に入れて煮て100‹とし、滓を去る。以上の末1を加えて頓服する。◎老人や虚弱な人には禁忌。
◎十棗湯証(胸下に引きて痛み、乾嘔・短気。又曰く、咳煩。)《薬徴》◎十棗湯証=脇下に引きて痛む。又曰く、咳煩、胸中痛。 ◎十棗湯は、大棗を君薬となす。しかして引痛(ひきつれいたむ)の証あり。
◎病、胸腹に在ってする者を治す《吉益東洞》◎大棗を君薬となして胸脇引痛の証あり。《重校薬徴》◎胸腹掣痛し、息迫する者を治す。《方極附言》◎此方は懸飲内痛を主とす。《勿誤薬室方函口訣》「懸飲」:
→外邪内陥して、胃中の水を胸へ引き上げて、胸に水気を蓄えるなり。また外表の方へ張り出す気味あって、汗出、発熱、頭痛などの証を兼ねる者もあれども、裏の水気主となりて、表は客なり。故に胸下痛、乾嘔、短気、或いは咳煩、水気、浮腫、上気、喘急、大小便不通を目的として此方を与ふべし。
◎欠盆穴に引くを目的として用いる。脈は沈弦or緊。 ◎作用の激しい薬だから長期の連用には適しない。頓服として用いて、一時の急に備えるものである。これを飲むとたちまち水様の激しい下痢を起こすので、体力の弱い人は、便所で腰が抜けて立てなくなることがある。しかし又奇効を奏することも事実である。《大塚敬節》
【腹証】 《腹診配剤録》 “心下痞満して痛み、而してその痛、脇下に引く。故に呼吸短息す”
★適応症及び病名(十棗湯)[1]水飲:☆欬家の水飲には、引痛なくとも此方を用いるべし。[2]脚気:☆水腫性脚気等にして、強実なる証《奥田謙蔵》[3]胸水。[4]胸痛:☆胸肋部疼痛し、腹筋攣急し、尿利減少し、その脈稍浮にして滑なる証。《奥田謙蔵》☆脇下支満し、飲すなわち脇下に引いて痛むを療す《外台秘要方》☆体格の良いガッチリした男性。久しい間、右の胸痛を訴え種々手当をしたが治らないと言う。腹診してみると、心下部が鞕満し、季肋下は右側が特に痞硬して抵抗圧痛がある。すなわち胸脇苦満である。また第10肋骨と第9肋骨間のあたりで、側胸の部に、ちょっと指を触れてもビックリして痛む。脈は沈んで力があり、便秘する。これならば大柴胡湯で効があろうと考え、2ヶ月近くも投与したが効無く、少し良いという程度である。そこで十棗湯を与えることにした。すると数回、水瀉様の下痢があり、胸痛はきれいに去った。《大塚敬節》[5]胸満:☆熱候なく、胸部満悶して、時々痛み、痛を発すれば俯仰する能わず、二便減少し、その脈緊なる証《奥田謙蔵》[6]下痢:☆十棗湯の証に下痢する者あり。上迫の勢甚だしく熱下陥するに因って利を為しなり。故に脱利とその趣はるかに異なる。柴胡、瀉心の下痢も亦然り。《先哲医話》☆下利、咳逆、痛み脇下に引き、飲食を欲せず、寒熱去来し、労とならんと欲する者、急に之を下す。十棗湯に宜し。《先哲医話》[7]懸飲:☆1武官、富貴で、養生のよい人で、70歳近い。いつもは、味の濃いものを喜び、酒は飲まない。菓子・餅など甘味を好む。持薬には、益気湯、八味丸などを用いている。この人、持病に頭痛と脱肛があり、魚や鳥の類を過食すると、きまって頭痛がし或いは脱肛が起こる。こんな時はいつも香砂六君子湯または消化剤を用いる。すると黄色or無色の水を吐いて治る。ところがある日、ふと大きい咳が出たとたんに脇下がひきつれ痛むようになり、身体を動かして歩くことも難しいので、大小便の時には両方から人が支えて、やっとすますという調子である。しかし、飲食はいつもと変わらず、気力もあり、脈は弦である。医者を3、4人と更えて治療したが治らない。そこで古方家を招いて治せしめんとしたが、患家の人たちは古方家を恐れて決断がつかなかった。謙斎は自分では治せないのを知り、無理に古方家を招いて治を托した。すると、その医者は十棗湯の粉末5分(約1.6g)を作り、翌朝これを与え、しばらくして粥を飲ませたところ、たちまち腹がゴロゴロ鳴って下痢し、米のとぎ汁のようなものを2升近くも下した。その後で鮎の料理を飯で2杯食べたが、味はいつもと変わらなかった。それから午後にかけて、3、4行も同じ様な下痢があり、その時は、ひとりで起って便所に行くことが出来た。その後、5、6日して、平日通り、出勤出来るようになった。《医療手引草》 [8]神経痛:☆「ロイマチス」性疾患にして、虚候なき証《奥田謙蔵》☆支飲、咳嗽、胸脇掣痛し、及び肩背、手脚に走り痛む者を治す《類聚方広義》☆痛風、支体に走注し、手足微腫する者は、甘草附子湯を与え、此方を兼用すれば、掎捔の功有り。丸と為して用いるも、亦佳なり。《類聚方広義》[9]手の腫れ:☆《前田長庵》の経験に、一人手ばかり腫れて餘処はサッパリと腫れず、元気飲食共にもとの如き者に、此方を用いて水瀉を得たれば速やかに癒えたり。《勿誤薬室方函口訣》
☆久しく癖飲を病み、停痰消せず、胸膈の上に在りて液液、時に頭眩して痛み、若くは眼睛、身体に攣き、手足十指の甲尽く黄なるを療す。 《外台秘要方》[10]肥満:
☆栄養をとりすぎて、肥満している者に、この方を用いる機会がある《大塚敬節》[11]肋膜炎:☆湿性肋膜炎、及び其の類証にして、強実なる者《奥田謙蔵》
十灰丸《東醫寶鑑》「黄絹・馬尾・藕節・艾葉・蒲黄・蓮房・油髪・棕櫚・赤松皮・新綿」各等分。焼灰して作末し、醋に糯米糊を煮て梧子大の丸剤。米飲で100丸飲む。
◎血崩と一切の失血。 ◎虚労による心・肺が虚弱し、吐血する者を治す。◎咯血・唾血の止まらない者を治す。
十灰散《十薬神書》 「大薊・小薊・側柏葉・茅根・茜草根・陳棕炭各15g・大黄(生)・山梔子・牡丹皮各9g・荷葉1枚」薬性を保って黒焼きにし、極細末にし毎回9~15g を大根汁or藕汁にといて服用。◎熱証の出血。
十灰散《東醫寶鑑》「大薊・小薊・荷葉・柏葉・茅根・茜草根・大黄・山梔子・棕櫚皮・牡丹皮」 各等分。焼いて火毒を除いて細末にし、生藕汁・生蘿菖汁に松煙墨半椀を
すって、5銭服用。 ◎嘔・吐・喀血・嗽血を治す。過労で大吐血する者。 十補丸《東醫寶鑑》「附子(切豆大)1両、塩4両、黒豆(炒)1合」を炒って附子裂に他薬は捨て、附子を取って「葫芦巴・木香・巴戟・川練肉・肉桂・延胡索・蓽澄茄・茴香(炒)・破故紙(炒)各1両」作末し、糯米粉酒姜糊で梧子大の丸剤。朱砂で衣をつけて50~70丸酒で服用。◎寒疝の陰冷と、小腸・膀胱の奔豚など。
十補丸《経験方》「鹿茸・杜仲・熟地黄・枸杞子・菟絲子・山茱肉、山薬、麦門冬、五味子」 十補湯《済世全書》《古今方彙》「人参、白朮、茯苓、黄蓍、肉桂、当帰、川芎、熟地黄、白芍薬(酒)、附子、甘草(炙)、生姜、大棗」
◎諸虚百損、一身痼冷するを治す。 十味温胆湯《古今方彙》「二陳湯人参・遠志・酸棗仁・五味子・熟地黄・枳実」◎温胆湯と同じ証に適用◎兼ねて、四肢浮腫し、飲食味無く、心虚煩悶し、座臥安からざるを治す。
十味芎蘇散《東醫寶鑑》「川芎1銭半、半夏1銭1分、赤茯苓・紫蘇葉・柴胡・乾葛各1銭、陳皮・枳穀・甘草各7分、桔梗5分」剉作し、1貼に姜3片・棗2枚を入れ水煎服。
◎温・熱の瘟疫を治す。 十味芎蘇散《古今方彙》「川芎7分、半夏6分、柴胡・茯苓各5分、乾葛・紫蘇葉各3分、陳皮・枳殻・桔梗各3分、甘草2分、生姜」水煎。
◎外は頭痛、発熱悪寒あり、内は咳嗽吐痰、気淘(胸中に痰があってむかむかする)の者を主どる。 十味香薷飲《東醫寶鑑》「香薷1銭半、厚朴・白扁豆・人参・陳皮・白朮・白茯苓・黄蓍・木瓜・甘草各7分」剉作1貼して水煎服。又は毎回2銭を、熱湯或いは冷水で任意に調下。
◎暑をはらい、胃を和らげ、気を補う。◎暑に中る者は、夏月卒暴、炎暑昏冒、痿厥、吐瀉、喘満、此方之を主どる。《万病回春》 十味香薷飲《是斎百一選方》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・茯苓・陳皮黄連解毒湯・木瓜各5分、香薷1銭、厚朴・白扁豆(炒)・甘草各5分」水煎。
◎暑に伏して身倦、躰困、神昏、頭重、吐利するを治す。◎暑風には:「黄蓍、羗活」 十味挫散《葉氏録験方》 「附子1銭、茯苓7分、当帰1銭、川芎7分、芍薬1銭、防風7分、白朮7分、黄蓍1銭、桂枝7分、地黄2銭」
◎臂痛、筋を連ね、骨に及び、挙動困難を治す。◎此方は、血虚、臂痛甚だしき者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎足痛、日を経て脛肉脱し、行歩困難の者に効あり。◎《癀峯方》に云う、臂絀(ヘキチュウ、ヒジの屈折)力無く、重きに堪えず、此れ乃ち肝腎の気虚し、風邪栄衛の間に客滞し、気血をして周養し能わざらしむ。按ずるに此の症、十味挫散に宜し。《方読便覧》◎《葉氏》曰く、此薬また血を益し、筋を養い、力を生ぜしむ、と是なり。◎もし折傷に因る者「調栄湯」に宜し。即ち「八珍湯牛皮消・川骨」《方読便覧》
十味剉散《易簡方》《古今方彙》「十全大補湯-人参・甘草、+附子・防風」◎中風にて血弱、臂痛連なり、及び筋骨挙動難するを治す。 十味剉散《漢方治療の実際》「当帰・芍薬・川芎・地黄・茯苓・朮・黄蓍・桂枝・防風各3、附子0.5」
十味剉散《易簡方》《漢方後世要方解説》「当帰・芍薬・地黄・茯苓・白朮・黄蓍・桂枝・防風各3、附子0.5~1」 ◎此方は十全大補湯より人参・甘草を去り、附子・防風を加えたもので、血虚による臂痛、又、脚弱、疼痛、歩行困難なる者を治す。最も屡々五十肩にて初老血虚の者に用いられる。
「四物湯」=血弱を補養す「白朮、茯苓」=脾を補う「黄蓍、桂枝」=表を補い、肌を生じ、血脈を通ず。「防風」=骨節痺痛を治す「附子」=四肢厥逆、十二経を通ず。
★適応症及び病名(十味剉散)[1]脚気 [2]五十肩[3]四十肩 [4]中風 十味小柴胡湯《医学入門》《古今方彙》「人参・黄芩・柴胡・乾姜・山梔子各7分半、白朮・防風・半夏・甘草各5分、五味子9粒、生姜」煎服。
◎気虚不足し逆するを治す。 十味参蘇飲《正体類要》 「人参・紫蘇葉・半夏・茯苓・陳皮・前胡・桔梗・葛根・枳穀各4g、甘草2g」を姜水で煎服。
十味蒼柏散《東醫寶鑑》「蒼朮・黄柏・香附子各1銭、青皮・延胡索・益智仁・桃仁各7分、茴香(炒) ◎湿熱疝痛を治す。 十味蒼柏散《医学入門》《古今方彙》「蒼朮、黄柏、香附子<君>、青皮、延胡索、益智仁、桃仁<臣>、小茴香、附子、百草(100種の草を集め黒焼きにしたもの)<佐>」◎疝にて痛みを作すを治す。
十味当帰湯《備急千金要方》 「当帰3 両、桂枝3分、茯苓、枳実、大黄1両、呉茱萸5分、芍薬8分、人 参1両、甘草2両、乾姜6分」
=「当帰大黄湯[1]《外台秘要方》+枳実茯苓」◎冷気、脇下に往来し、胸膈を衝いて痛み、脇背に引いて悶える者を治す。◎《備急千金要方》《外台秘要方》に冷気とは、上は痰飲を指し、下は疝気を指す。◎疝積◎衝疝:不大便の者《勿誤薬室方函口訣》
十味導赤散《東醫寶鑑》「黄連・黄芩・麦門冬・半夏・地骨皮・茯神・赤芍・木通・生地黄・甘草各 5分、生姜5片」◎心臓の実熱・口舌生瘡・驚悸を治す。
十味敗毒湯[1-1]《華岡青洲方》《勿誤薬室方函口訣》「柴胡、独活、桔梗、川芎、甘草、荊芥、防風、桜皮、生姜」右十味、今、撲樕を以て桜皮に代う。◎癰瘡及び諸慥腫、初起憎寒、壮熱、疼痛を治す。◎此方は「荊防敗毒散」を取捨したる者にて、荊防よりはその力優なりとす。
◎鼠毒:「茅根倍加」《方読便覧》◎風犬傷、毒浅き者:「雄黄湯」《方読便覧》◎すべての皮膚病に効くことが多い:「連翹」《済世薬室》 十味敗毒湯[1-2]《華岡青洲方》《漢方後世要方解説》「柴胡・独活・撲樕・防風・桔梗・川芎各3、茯苓4、荊芥・甘草・生姜各1」
十味敗毒湯[1-3]《華岡青洲方》《漢方治療の実際》「柴胡・撲樕(土根皮)・桔梗・生姜・川芎・茯苓各3、独活・防風各1.5、甘草・荊芥各1」
十味敗毒湯[1-4]《華岡青洲方》「柴胡・桔梗・防風・川芎・桜皮・茯苓各3.5g、独活・荊芥・甘草各2.0g、干姜1.0g」《龍野ー漢方処方集》=「荊防敗毒散-羗活・前胡・連翹・枳殻・金銀花・薄荷桜笳」《大塚敬節》「桜笳」とは、
桜の幹のあま肌の部分を削ったものである。《本間棗軒》はこの十味敗毒剤を十味敗毒散と呼び、浅田宗伯は桜笳を撲樕に代えて、十味敗毒湯と呼んでいる。撲樕というのは、土根皮のことである。《大塚敬節》◎癤・癰・リンパ腺炎・乳房炎、その他の炎症性の瘡腫の発病初期で、悪寒、発熱があって、腫れ痛むものに用いる。《大塚敬節》
◎癰疽、疔腫、一切の瘡毒、惞痛、寒熱、脈緊の者を治す。《有持桂里》◎化膿症の初期で発熱悪寒疼痛ある者。《龍野ー漢方処方集》 ★適応症及び病名(十味敗毒湯)[1]アトピー性皮膚炎[2]アレルギー性皮膚炎:☆65歳女性。本患者は特異体質で、新薬に対して非常な過敏症である。4年前に腎臓炎と言われたことがある。ちょうど3年前に高熱を出したときに使用したペニシリンに反応を起こし、全身に発疹を起こし、3日後に全身は黒くなってしまった。しばらくの間は、すれ違う人々が不審に思い立ち止まって振り返るほどであったという。恥ずかしいので大学病院に入院し、特別の高価な治療をしてもらった。しかし、その折も度々薬の反応を起こし、アメリカから輸入したという、1本4000円という注射をしてもらった時は、口中はもちろん、鼻粘膜、胃腸粘膜と全粘膜が発赤腫脹し、その後ひどいT大病院の○内科では証明書を書いて渡し、以後診察を受けるときは、必ずこの証明書をみると、“本患者は化学薬品に極めて過敏なり、注意を要す”という文面であった。皮膚の色は未だ元通りとまではゆかなかったが、他に治療法がないというので、証明書をもらって退院したのであった。現症は3日前に眩暈を起こしたので、内科医の診察を受けたところ、血圧が160あるというので化学剤でないという粉薬をもらって飲んだ。ところがまもなく38℃の熱が出たので驚いて訴えたところ、今度は何か注射してくれた。するとたちまち顔面と両手が真っ赤に腫れ上がってチクチク刺激感が起こり、動くと動悸がして苦しい。今日は顔も手の甲も赤黒くなって来たので、3年前のことを思いだして、またあのような苦しい恥ずかしい思いをするのかと、すっかり悲観してしまった。しかし病院に行けば必ず何か注射されるし、何か薬を飲むと必ず反応を起こすので、もうこれ以上診察を受ける気持にもなれないというので、悶々として家人に訴えて騒ぐばかりであった。夫れを聞いて、近所の人がそれなら漢方薬を飲みなさいといって紹介してくれた。
神経質になっている患者は、不平と不安を綿々と繰り返し訴える。私は内心困った難症に遭遇したと思ったが、十味敗毒湯連翹薏苡仁を10日分与え、無理に診察室を出てもらったほどである。幾度が電話が来ることを覚悟していたが、一向に電話はかかってこなかった。
服薬10日後、患者は非常に喜んで再来した。この薬を2日分飲むと腫脹が引き、赤黒い色も引き始め、薄皮が剥けて、こんなに綺麗になったというのである。引き続き服薬していると食欲も進み、いままで白内障があって視力が弱っていたのが、その方も大変良くなったとのことで前後50日の服薬で廃止した《矢数道明》[2]陰嚢湿疹[3]外耳炎:☆この方は外耳の癤で、葛根湯+桔梗石膏を用いて、効のない者及び湿疹などのために炎症が外耳道に拡がり、外耳道の内壁全体が腫脹しているような時に用いる。《大塚敬節》
☆炎症が激しい時:「石膏」《大塚敬節》[4]かぶれ:☆白髪染めによるかぶれに良く効く《大塚敬節》[4]かゆみ(激しい掻痒感)[5]汗疱状白癬:☆「連翹」《大塚敬節》☆この患者は1年前から左右の掌の皮が脱落するようになった。ちょっと見ると汗疱状白癬の様にも見えるが、2、3の病院で、白癬菌はないと云われた。カユミはほとんど無いが、やや発赤し、次から次へと皮がこぼれる。その他には口渇が強く、舌に白苔がある。大便は1日1行である。
患者は1年間、いろいろの手当をしているが、どうしても治らないという。そこで十味敗毒湯を与えたところ、10日間の服用で、著効があり、40日の服薬で全治した。《大塚敬節》
[6]胸脇苦満[7]肛門周囲膿瘍 [8]湿疹:☆発疹は小さく赤みを帯び、分泌物少なく、かゆみが激しい。☆症状により「連翹」「薏苡仁」☆浸出液が多くて痂皮を作るようなものには、向かない。《大塚敬節》☆40才余りの体格のよい小太りの男性。発疹はマッチの実ぐらいの大きさで、少し赤味を帯びて隆起し、上下肢と下腹部から腰のまわりがひどい。かゆいのをガマンしていると身震いする。大小便や食欲に異常なし。私はかってこんな患者に葛根湯を与えて、かえって病勢が増悪したことがあるので、十味敗毒湯を与えた。
これは良く効いて、かゆみがどんどん去り、2ヶ月ほどで全治した。《大塚敬節》 ☆皮膚面からはあまり隆起せず、色も少し赤く、ところどころ落屑があり、カユミもあり、浸出液の無い者に用いる。若い男子で、体格の良い人多く、慢性に経過する。このタイプでカユミが少なく赤く ないタイプに葛根湯で治るものがある。その判別は難しい。《大塚敬節》☆59歳の体格、栄養共によい男子、手掌と足の裏に、大豆大の粒状のものが、時々出来、それが出来ると1ヶ月は治らない。自発痛は無いが正痛がある。化膿することはなく、いつともなく消える。これも十味敗毒湯を用いて、2ヶ月足らずで全治した。《大塚敬節》[9]腫脹
[10]小児ストロフルス:=ジンマシン様苔癬[11]掌蹠膿疱症:[12]ジンマシン:☆太く、皮膚面に赤く隆起しているジンマシンに効く。☆小さくて、色が皮膚面と同じであるか、それより蒼く見えるようなものには効がない。こんなジンマシンには、「真武湯」が効く場合がある《大塚敬節》☆「+連翹」《大塚敬節》☆19才女性。幼年時代に自家中毒症を繰り返し、虚弱な体質であったという。患者は血色の良い肥満したからだで、食欲・大便ともに正常。口渇が強い。ジンマシンは昨年の夏から約1カ年、ずっと続いている。
腹部は膨満しているが、胸脇苦満はほとんどない。月経は正常。私はこれに十味敗毒湯+石膏を与えた。3週間の服用で全治《大塚敬節》[13]神経質 [14]心下痞鞕[15]進行性手掌角化症[16]身体疼痛[17]癤(フルンケル)☆36歳女性。1年中顔面、項部などに癤が出来ている。1つ治ると又出来るので、いろいろ抗生物質やペニシリンなども用いているが良くならないと言う。患者は中肉中背で、血色はあまり良くない。 糖尿病はない。商売柄、毎夜酒を少しずつ飲むという。
私はこれに十味敗毒湯を与えたが、1ヶ月ほど飲むと癤の出るのが止んだ。そこで休薬していたところ、1ヶ月ほどたつとまた出始めたので、さらに3ヶ月ほど服薬を続けて全治した。《大塚敬節》 ☆43歳男性。3年前に胆嚢を摘出した。その前から湿疹があったが、近年は特にひどく、顔面、後頭部、項部、上膊、季肋部、大腿内側などの拡がり痒くて堪らない。ところが、4、5日前から項部と左耳の後ろに、1つずつ大豆大の癤が出来て枕をすることが出来ないという。
湿疹は赤みを帯びた麻の実大のもので、やや隆起し、所々集合して結痂を作っている。癤のまわりはひろく坐をとり硬く、古人が疔と呼んだものである。
私は湿疹も癤も一緒に治るだろうといって十味敗毒湯を与えた。ところが、その夜の7時過ぎ、患家から電話があり、主人が帰宅後、薬を煎じて呑んだところ、1時間ほどたつと急に苦悶を訴え、どうしたものかと心配した。しかしその時は半時間ほどで楽になった。夕方また1服したところ、7時頃より、もう死ぬ、もう死ぬというほどの苦しみで、先年ペニシリンでショックを起こした時のような苦しみだという。私は困った。患家は遠い。そこで、とにかく近所の医師に至急診てもらってくれといって電話を切った。その夜、私は今に電話がありはしないかと、ビクビクしながら寝た。
翌朝7時に患家から電話があった。おかげさまでという挨拶。私は安心した。その時の話によると、近所の医師が往診に出て留守なので、診てもらえず1時間ほどたつと、病人は眠ってしまった。すやすやと眠ってしまったので、そのままにしておいた。すると、夜中に枕がぬれたというので、診てみると、2つの癤がつぶれて、今までの苦痛はどこかへ消えたという。
こんな風にして、癤は治ったが、湿疹の方はまだ全治に至っていない。《大塚敬節》 [18]全身性エリテマトーデス 十味敗毒湯を用いることもある。小柴胡湯の適応する体質傾向を有するもので、胸脇苦満があり、発赤や浸出液などのある皮膚症状が強いものによい。(漢方診療医典)
[18]乳腺炎 [19]中耳炎 [20]疔=面疔 [21]麦粒腫[22]発熱 [23]鼻炎 ☆粘液性または膿性の分泌物が多量にでるものによい。急性に用いると慢性に移行することを予防できる。慢性の鼻炎には長期間連用するとよい。(漢方診療医典)
[23]皮膚炎:☆浸出液が多くて痂皮を作るようなものには、向かない。《大塚敬節》☆「連翹」《大塚敬節》☆23才男子。一昨日より頸部にかゆみがあるという。栗粒大の無数の発疹があり、赤く、多少の灼熱感がある。皮膚炎らしい。十味敗毒湯を与え、5日分を飲む切らないうちに完治《大塚敬節》[24]皮膚枯燥[25]皮膚の化膿(濃厚な膿汁)[26]風湿熱[27]発赤☆本方より熱証が強いときは「清上防風湯」「治頭瘡一方」を考える。
[28]水虫[29]面疱[30]癰 Karbunkel:☆67歳の男性。やや肥満した色黒の体格で、高血圧症と腹部膨満があり、大柴胡湯を服用して、初診時160-100の血圧が140内外-90内外になっていたが、10日間ほどの旅行から帰って、数日たった 頃、臍の上で、やや左によったところに、小さい癤のようなものができた。あまり痛まないので、薬店で、吸い出し膏薬というもの買ってきてつけておいた。するとだんだん痛みがひどくなり、周囲が赤く硬く腫れてきたという。診てみると鶏卵大の癰である。軽い悪寒があり、体温は37、8℃ある。脈は浮大である。
私はこれに十味敗毒湯連翹を与え、平素から便秘しているので、大黄1.0を加えた。2日間ほどは、夜も眠れないほど痛んだが、3日目に、小さい口が3つほど開いた。すると、やや楽になった。しかし膿はいくらも出ない。手元に破敵膏が無かったので、青木の葉を単軟膏で煮て作った膏薬を貼った。5日目には創面一面に口が開いたが、体温は38、0℃になった。少し不安になったが、十味敗毒湯を続けた。すると翌日は体温も下がり気分が良くなった。創面からは、どんどん膿が出て、10日目には、苦痛を忘れた。そこで紫雲膏を塗ることにした。内服薬は十味敗毒湯で押し通したが、17日目からは紫雲膏だけにした。かくて40日足らずで全治した。 《大塚敬節》
[31]リンパ腺炎: ☆32歳の女性。左の拇指にケガをしたところ化膿し、そのため腋下のリンパ腺が腫れて痛み、悪寒、発熱を訴える。そこで拇指に紫雲膏を塗って、十味敗毒湯を与えたところ、翌日は悪寒も発熱もとれ、2、3日でリンパ腺の腫脹はそのまま消散した。
十味敗毒湯[2]《方輿輗》「羗活、桔梗、川芎、枳実、柴胡、荊芥、防風、連翹、甘草、金銀花」◎「荊防敗毒散独活・前胡・茯苓・薄荷」《大塚敬節》
十四味建中湯《東醫寶鑑》「十全大補湯炮附子・肉蓯蓉・半夏・麦門冬各等分」 ◎虚労による気血不足を治す。 十四友元《東醫寶鑑》「竜歯(細研)2両、熟地黄・白茯苓・白茯神・酸棗仁(炒)・人参・肉桂・阿膠・遠志・酒晒蒸・当帰・黄蓍・柏子仁・紫石英(細研)各1両、辰砂5銭」細末にし、梧子大の蜜丸。30~40丸服用。
◎心と肝の虚弱を補い、心志の不安・睡眠不足を治す。 十六味保元湯《寿世保元》《古今方彙》「貫衆(去根)3銭、人参・巴戟天各2銭、杜仲(小茴塩煎湯拌炒)1銭半、黄蓍・山薬・当帰・茯苓・独活・蓮蕋・骨砕補各1銭、黄柏(酒)・升麻・竜眼肉各8分、甘草(生)3分、石斛7分」水煎空心に服す。
◎赤白帯下、白淫、虚に属する者を治す。◎五心煩熱して口舌乾く者「知母・麦門冬・地骨皮」 十六味流気飲[1-1]《東醫寶鑑》「紫蘇葉1銭半、人参・黄蓍・当帰各1銭、川芎・肉桂・厚朴・白芷・防風
・烏薬・檳榔・白芍・枳穀・木香・甘草各5分、桔梗3分、青皮1銭」水 煎服。 ◎乳ガン(妳巖)を治す。 十六味流気飲[1-2]《万病回春》「人参、当帰、黄蓍、桔梗、防風、木香、枳殻、芍薬、川芎、肉桂、檳榔子、白芷、厚朴、紫蘇葉、烏薬、甘草」各等分。水煎、食遠臥するに臨み頻りに服す。◎無名の悪腫、癰疽等の疾を治す。名も無き腫毒を消す。 ◎脉が洪緩沈遅細ならざる者は用うべからず。◎乳癰には:「青皮」
十六味流気飲[1-3] 《漢方治療の実際》「人参・当帰・黄蓍・桔梗・防風・木香・枳実・芍薬・川芎・肉桂・檳榔・白芷・厚朴・蘇葉・烏薬・甘草各1.5」
十六味流気飲[1-4]《万病回春》《漢方後世要方解説》「当帰3、川芎3、芍薬3、白芷2、桂枝3、人参3、黄蓍2、木香2、烏薬2、厚朴2、枳殻2、檳榔2、蘇葉2、防風2、桔梗3、甘草2」
◎諸気鬱滞し腫核を生じ、瘡瘍をなすもの、之を主る。《医方口訣集》◎此方は《衆方規矩》の外科門に掲げられ、《万病回春》や《医学正伝》の癰疽門に出ず。《衆方規矩》の註に「按ずるに此方はよく、名もなき腫毒を消す。肩頸、或いは手足の甲に腫れ、その色赤く、23年を経ると云うも黄汁のみにて膿まず、世俗之を気腫という。此方之を主る」「乳房の中に小石の如き物あって痛む、乳核と名く、或いは乳癌となって膿血を出し甚だ痛むは青皮を加う。時々大験あり」
「人参・黄蓍・甘草」=その気を補う「当帰・芍薬・川芎」=その血を補う「木香・檳榔・枳殻・厚朴・紫蘇」=気を順らす「烏薬・防風」=皆気滞を破る。 「桂枝・白朮」=血滞を破る。
★適応症及び病名(十六味流気飲)[]頸部リンパ腺腫:[]甲状腺腫:☆58歳の肥満した女性。バセドウ氏病だというふれこみで来院した。なるほど甲状腺は、左右ともに大きい、右の方は大きい鶏卵ぐらい。 この患者はある漢方の研究家が、バセドウ氏病という診断で、しばらく投薬を続けていたので、患者もそのつもりでいたらしい。
私は甲状腺腫の診断の下に、十六味流気飲を与えた。この患者も、これを7日分飲んで来院した時は、明らかに、この薬の効顕が現れ、引き続き7日分あて25回投薬し、左側は全治、右側はよくみればまだ少し腫れていたが、しばらく服薬を中止した。その後、1ヶ月ほどたって来院したときは、また少し腫れが増加していた。そこで引き続き2ヶ月あまり服薬して、めだたない程度になって休薬した。《大塚敬節》[]乳ガン:☆無名の悪瘡、癰疽、あるいは乳岩を治す《衆方規矩》☆婦人、乳核と云って、乳房の内に小さい碁石のような硬いものが出来痛む者にはこの方を用いる。この乳核という者は5、6年も催して後、乳岩と云う物になって終には死ぬものである。十死の一生の症である。 故に乳核の時に早くこの方を頻りに用いると消散する。乳岩となっては、この方も効がない。《疎註要験》☆38歳の女性。4人の子供がある。4、5年前、右の乳房にしこりが あるのに気づき、近所の医師に診てもらったところ、乳ガンではない と言われたので、そのままにしていたが、最近、何となく気にかかり、そのしこりが少し大きくなったように思われるので、某大学の外科で診てもらったところ、マストパチーで、将来はガンになるかも知れないから、手術をした方がよいと言われたという。
診察したところ、右の乳房に、大きい梅干し大の腫瘤があり、これは周囲の組織と癒着せず、皮膚の陥没もない。自発痛もない。その他特に変わったところもない。
そこで、十六味流気飲を15日分与え、これをのんでいるうちに少しでも小さくなるようなら2、3ヶ月続けてのめば、手術をしなくてもよくなるが、15日分のんで、まったく変化がなければ手術しないといって帰した。ところが、15日分ずつ5回の投薬で、すっかりきれいに腫瘤がとれてしまった。《大塚敬節》
[]乳腺症[]癰疽:☆右の目の下に、グリグリした塊があり、これを押すと白い膿が混じって、眼と鼻から出たが、これを与えて3ヶ月で治った。《衆方規矩》☆私はかって1婦人を治療したことがある。その婦人は、ウメの種のようなものが数10個も体中に出来て痛み、毎年、春から夏にかけて、その中の6、7個が破れて膿血が流れ、あとで、腐った綿のようなも のが出て、瘡の根が抜ける。すると来年はまた別のところが破れて、古い根が抜け、新しい根が次々と出来る。こんな状態が20年余りも続き、その間、内科的治療も外科的治療もいろいろやったが効かない。 余はこれを診て、この病気は、気の欝結によって生じたものであるから、十六味流気飲を用いた方がよいと云った。すると患者の云うにはいままでも、たびたびこの方を用いましたが、効いたように思いません。そこで、余は云った。この病気は多年の痼疾であるから、量を多くして長期にわたって飲まなければならない。少しの量では効がなと、よって、この方200貼あまりを与えたところ、次の年には新し いものが出来なかったばかりか、古いものもだんだん消散した。《医 方口訣集》
収嗽湯《保嬰須知》 「天門冬、貝母、檳榔、百部根、甘草」 ◎小児頓嗽、蛔を兼ねる者を治す。 ◎此方は頓嗽のを兼ねる者を治す。 聚金丸《厳氏済生方》 「黄連、防風、黄芩」
手捻散《東醫寶鑑》 「牛蒡子・白芍・大黄・桃仁各6分、紅花4分、桂枝2分半」水煎服。 ◎痘瘡で腰痛する者。神解湯で止痛してから使用。
手捻散《万病回春》《古今方彙》 「牛蒡子・白芍薬・桃仁・大黄各1銭、紅花8分、桂枝5分」水煎温服。 ◎当に靨す時に腹痛して靨せざるときはその痛み著しく中に在り、乃ち熱毒凝 滞し、血にて痛みを作すを治す。
手拈散《医学心悟》 「没薬、延胡索、五霊脂、香附子」 手拈散(しゅねんさん)《奇効良方》 「延胡索・五霊脂(酒研)・草果・没薬」各等分。
手拈散(しゅねんさん)《東醫寶鑑》 「草果玄胡索 霊脂並没薬 酒調三二銭 一似手拈却」 ◎九種の心痛と心脾痛に効く
螽斯丸《東醫寶鑑》 「香附子・白薇・半夏・白茯苓・杜仲・厚朴・当帰・秦艽各2両、防風・肉 桂・乾姜・牛膝・沙参各1両半、細辛・人参各2銭3分」作末し、煉蜜で 梧子大の丸剤。空腹時に50~70丸、酒で呑む。
◎経を補い、7日間服用して交合すると孕胎する。 取痔虫方《東醫寶鑑》 「瞿麦半升、猪牙皀角1寸」を作末し、猪腰子1雙の中に入れて、空腹時に 食べると虫が出る。
◎痔瘻の虫を除く。 取漏膿法《東醫寶鑑》 「焔硝3両、苦参1両半」作末し、袋を作って、薬は半分、砒素3分を入れ た後、残りの薬全部入れて縛り、馬に乗るようにまたいで腰にくくりつけ る。
◎内痔瘻に。 縮砂散《東醫寶鑑》 「縮砂・黄連・木賊」各等分、作末し毎回2銭、調下する。 ◎熱を帯びて脱肛腫痛。 縮泉丸《婦人大全良方》 「烏薬、益智仁」
縮泉丸加味《中薬臨床応用》 「益智仁・烏薬・山薬・菟絲子・桑蛸」各等量。作末し糊状につぶし丸剤。 1日1~2回、6gづつ服用。 ◎脾腎陽虚 ◎下痢、遺尿、頻尿。
縮泉元《東醫寶鑑》 「烏薬・益智仁」等分に作末し、酒煮の山薬糊で梧子大の丸剤。就寝時に70 丸飲む。 ◎膀胱の気が少なく、小便が出ないのに、1日100余回もする者。
縮脾飲《東醫寶鑑》 「縮砂1銭半、草果・烏梅肉・香・甘草各1銭、白扁豆・乾葛各7分、姜5 片」水煎服。 ◎暑月に冷えて腹痛・嘔吐する者。
縮脾飲《和剤局方》《古今方彙》 「白扁豆・葛根各2両、草果・烏梅・縮砂・甘草各4両、生姜」水煎。 ◎伏暑の煩渇を除き、暑を消し、吐利を止め霍乱を治す。
朮附湯[1]《東醫寶鑑》 「白朮・附子(炮)各2銭、杜仲1銭、姜3片」水煎服。 ◎湿が腎経を傷つけて起こる、腰痛・冷え症。 ◎(水様便・腹痛・冷え)
朮附湯[2-1]《東醫寶鑑》 「白朮3銭、附子2銭、甘草1銭、姜3、棗2」水煎服。 ◎風湿を治す。(シビレ・暖めると楽になる)
朮附湯[2-2]《近効方》《金匱要略》 「白朮2両、甘草1両、附子1枚半」 右3味、、毎5錢匕、薑5 片、棗1枚、水盞半、煎7分、去滓温服。
◎治風虚頭重眩、苦極、不知食味。煖肌補中、精氣。 朮苓芍薬湯(一名燥湿湯)《東醫寶鑑》 「白朮2銭、白茯苓・白芍・各1銭半、陳皮1銭、炙甘草5分」水煎服。
◎下痢。 朮苓湯《東醫寶鑑》 「蓄朮(土砂)・滑石各2銭、赤茯苓・白朮・陳皮各1銭」水煎服。 ◎水を吐く者。 朮連丸《東醫寶鑑》 「白朮4両、黄連4銭半」作末し、神麹糊で黍米大の丸剤。つばで100丸呑 む。 ◎嘈雑を治す。
茱連丸(一名黄連丸)《東醫寶鑑》 「呉茱萸・黄連各2両」を(酒浸)し3日置き、それぞれ選んで(焙乾)、醋糊 で梧子大の丸剤。赤痢には黄連丸30粒を甘草湯で呑み下し、白痢には茱 連丸30粒を乾姜湯で呑み下し、赤白痢には2つをそれぞれ30粒づつ甘草 乾姜湯で呑み下す。 ◎赤白痢を治す。
蓯沈丸(一名蓯蓉潤腸丸)《東醫寶鑑》 「肉蓯蓉2両、沈香1両」作末し、麻子仁汁糊で梧子大の丸剤。 白湯で50丸飲む。 ◎津液がなくなり、大便が堅い。
蓯蓉元《東醫寶鑑》 「当帰・生乾地黄・肉蓯蓉・白芍各1両、胡粉5銭」作末し、黍米大の蜜丸。 毎回10丸、黒豆湯で飲む。 ◎小児の毛髪が生えない。
蓯蓉牛膝湯《東醫寶鑑》 「肉蓯蓉・牛膝・木瓜・白芍・熟地黄・当帰・甘草各1銭を剉作し、1貼に 姜3片、烏梅1箇を入れ水煎服。
◎胸脇と小腹が疼痛して、腹鳴・溏泄(泥のような腹くだし)する者。 暑方《葉天子》 「香・香・佩蘭葉・紫蘇葉・厚朴・銀花・竹葉 薄荷」煎服。
蔚子丸《審視瑤函》《中薬臨床応用》 「蔚子・沢瀉各5g、黄連・枸杞子・枳殻・青子・生地黄各30g、石決明 ()・麦門冬・細辛・車前子各60g」作末し小豆大の蜜丸。1回9gを食 後、重湯で服用。 ◎伝染病で衰弱 ◎視力障害 ◎角膜混濁
熟地黄丸《東醫寶鑑》 「熟地黄・石斛・菟絲子(酒製)・防風・黄蓍・車前子・蔚子・覆盆子・肉 蓉(酒浸)・磁石(製)・地膚子各1両、兎肝1具(焙乾)」作末し蜜で梧 子大の丸剤。空腹時に塩湯で50~70丸飲む。 ◎腎が弱くて目に黒花が見える者を治す。
熟地二陳湯《景岳全書》《中薬臨床応用》 ⇒「金水六君煎」 「当帰9g、熟地黄12g、陳皮5g、半夏6g、茯苓9g、甘草(炙)3g」水煎服。 ◎肺腎陰虚 ◎痰が多い ◎咳嗽 ◎息苦しい
苓湯《東醫寶鑑》 「沢瀉1銭2分、猪苓・赤茯苓・白朮・香・黄連(姜汁炒)・白扁豆・厚朴 (製)各1銭、甘草3分」水煎服。
◎夏の下痢で痢疾になろうとする者。 【加減方】[白芍薬・車前子](小便が赤く、水様の下痢) 糯米膏《本草綱目》《東醫寶鑑》 「糯米1升、皀角(切砕く)半升、銅銭100両を炒って黒く焦がしたら、銅銭 は捨て、末にして酒と混ぜて膏を作り、患部に貼る。
◎打撲による骨折・筋の切れた者。 棕櫚丸 「棕櫚(焼灰)・白礬枯末」各等分にし、2銭を酒で服用。 又は、絲瓜絡の焼いた灰で等分に作末し塩湯で服用。 ◎崩漏・帯下を治す。
春沢湯[1]《奇効良方》 「五苓散柴胡・人参・麦門冬」 ◎伏暑、発熱、煩渇、引飲、小便不利を治す。 ◎《医法選要》に云う、兼ねて傷寒を治す。陰陽不分、疑似の間、最も之を服す るに宜し。又云う、渇甚だしきは桂を去り、五味、黄連各2銭を加うと。
◎此方は能く伏暑の熱邪を解す。《勿誤薬室方函口訣》 ◎此症、柴苓湯に似たれども、 <1>柴苓湯は往来寒熱を主とす
<2>春沢湯は清熱滋潤を主とす。 ◎湿瘟、白虎湯の症に似て、熱気はやや軽くして湿邪の方重き者に用いる。
春沢湯[2]《東醫寶鑑》 「五苓散桂枝、人参」 ◎暑熱と燥渇と引飲に度がなく、水が入ればすぐ吐く者。 春沢湯《済世全書》《古今方彙》 「猪苓2両、沢瀉3銭、白朮・茯苓各2銭、肉桂・人参・柴胡各1銭、麦門 冬1銭半、燈心草」水煎。
◎伏暑発熱、煩渇引飲、小便不利するを治す。兼ねて傷寒を治す。陰陽を分たぬ 疑似の間に最も之を服するに宜し。 ◎渇甚だしければ:「肉桂五味子・黄連」
春雪膏[1]《東醫寶鑑》 「仁2両、竜脳2銭半、生蜜2銭半、生 6銭」細末にしてたらす。 ◎目赤・腫痛・涙が出る者。点眼薬。 春雪膏[2]《東醫寶鑑》 「硼砂3銭、竜脳1銭、朴硝5銭」細末にし、少しづつ口中の津液で調合し て入れて目をつぶり、しばらくして開けると涙が出て効く。 ◎眼目赤腫と障の出る者。点眼薬。
順気丸《東醫寶鑑》 「香附子8両を童便に漬けて晒して乾かし、作末し栗米糊で丸めて 食べる。」 ◎血欝を治す。 順気剤《香川修徳》
「茯苓、半夏、枳実、厚朴、甘草、生姜」 ◎吾が門は順気を以て治療の第一義と為す。順気とは承気なり。蓋し仲景の承気 湯の意に取るなり。苟も能く此方の識り得て、臨機応変、以て之を活用すれば、 則ち処剤治病、掌上に運らすべし。
◎此方は半夏厚朴湯の変方にして、承気の意を寓す。艮山の趣意は唯一気滞留す るに因って胸中心下に飲を畜へ、或いは嘔吐、悪心をなし、或いは痰喘壅盛、 気急、或いは種々閉塞の症を発す。是皆一気の為す所故、反って淡味の剤を用 ふれば畜飲にもさわらずして痞塞早く緩む。即ち柔よく剛を制するの手段なり。 今病者に臨んで、芩連の苦味にて推すべき症も無く、又芍薬、甘草、膠飴の甘 味にて緩むべき症にもあらず、ただ気胸中に迫りて鬱悶多慮するに用いて効あ り。半夏厚朴湯、温胆湯も同類の方なれども、各主証ありて、少しくゆく処を 異にするなり、《勿誤薬室方函口訣》
順気散《東醫寶鑑》 「厚朴2銭半、大黄2銭、枳実1銭」水煎服。 ◎消中で良く食べられるが、小便が黄色く赤い者。 順気消食化痰湯《医方考》《古今方彙》 「半夏・天南星各1分、神麹・麦芽・陳皮・青皮・杏仁・蘿葡子・山子(炒) ・葛根・紫蘇子・香附子各1両、生姜」水煎。or細末して作丸するも亦 可なり。
◎飲食にて痰を生じ、胸膈膨悶する者を治す。 順気消滞湯《寿世保元》《古今方彙》 「陳皮黄連解毒湯、半夏、白朮、茯苓、丁香、柿蔕、黄連、神麹、香附子、 竹茹、甘草、生姜」水煎温服。
◎飽食の後に逆を発し、連声止まざるを治す。 順気導痰湯《東醫寶鑑》 「半夏・天南星・茯苓・枳実・陳皮・香附子・烏薬各1銭、木香・沈香・甘 草各5分、姜5片」水煎服。
◎痰飲を治す。 順気木香散《東醫寶鑑》 「縮砂・丁香皮・良姜・乾姜・肉桂・陳皮・厚朴・桔梗・茴香(炒)・蒼朮 (炒)各1銭、甘草(炙)5分、姜3、棗2」水煎服。
◎寒脹で心腹が痛み、顔が黄色く、気が憔悴し、又下痢する者。 順気和中湯[1-1]《証治準縄》 「黄蓍6g、人参4g、白朮・陳皮・当帰・芍薬各2g、甘草(炙)・升麻・柴胡 各1.2g、蔓荊子・川芎・細辛各0.8g」
順気和中湯[1-2]《東醫寶鑑》 「黄蓍(蜜炒)1銭半、白朮・当帰・芍薬・陳皮各5分、升麻・柴胡各3分、 蔓荊子・川芎・細辛各2分」水煎服。 ◎気虚で頭痛・耳鳴り。
順気和中湯[2-1]《古今医鑑》《東醫寶鑑》《古今方彙》 「陳皮(塩水炒)・香附子(醋炒)・山梔子(姜汁炒黒)各1銭、白朮(土炒)8分、 白茯苓7分、半夏・神麹・黄連(姜汁浸し晒して乾燥、猪胆汁で炒)各6分、 枳実5分、縮砂3分、甘草(炙)2分を剉作し、1貼に姜3片を入れ、黄土 を水で混ぜてふるって清澄を取ったもので煎じ、竹瀝・童便・姜汁を入れ 温服。 ◎嘔吐・反胃・嘈雑・呑酸・噎膈・痰水を吐く者。心腹の刺痛を治す。 ◎気虚には:「黄蓍・人参」》 ◎血虚には:「当帰・川芎」 ◎気脳或いは気が舒暢せざるには:「烏薬・木香」 ◎胸膈飽悶するには:「蘿葡子」 ◎心下嘈雑、醋心には:「呉茱萸、黄連・白朮倍加」 ◎嘔吐止まざるには:「香梗」
順気和中湯[2-2] 《漢方治療の実際》 「陳皮・香附子・梔子各3、茯苓・半夏・白朮各2、黄連・枳実各1.5、神麹 ・縮砂・甘草各1、生姜3」
順気和中湯[2-3]《古今医鑑》《漢方後世要方解説》 「茯苓・白朮・半夏空く3、陳皮・香附子各2、枳実・黄連・山梔子・縮砂 ・神曲・生姜・甘草各1」 ◎嘔吐、反胃、嘈雑、呑酸、痞悶、噫気、噎膈、心腹刺痛、悪心、痰水を吐する を治す。
◎此方は気を順らし、中を和する剤として順気和中と名付ける。心腹刺痛ばかり でなく、胸痛をも治する。 ◎胸中には湿熱鬱痰があって煩悶、嘔吐、或いは粗雑、呑酸する者によい。 ◎此方は虚寒の証ではなく、実熱の傾向ある者に用いる。 ◎原方の如く修治するを可とするも、そのままにても効がある。 ◎神曲=胃を開き、食を消し、中を調え、気を下す。 山梔子=鬱を解し、煩を除き、火を降ろし、胃痛を治す。 ◎目標: 「胸焼け・胸煩・吐水のうち1つがあって、飲食を吐する症があるならば、 必ずしも酒客でなくても効く」 ★適応症及び病名
(五十音順) [1]胃痛: ☆一時軽快する《矢数道明》 ☆酒客の慢性胃炎で、嘔吐、胸焼け、吐水、気などのある者に用いる。 又このような症状があって胃の痛み者にも良い《大塚敬節》 [2]胃潰瘍 [3]胃酸過多症 嘔吐: ☆1農夫が5、6ヶ月も嘔吐が止まず、そのうえ大便はウルシのようで あった。患者が云うのに、いつも胸焼けがあったが、この頃は特にひ どくなったと。そこで順気和中湯を与えて、10のうち7、8は治っ た。しかし酒客であるので、大酒を呑んでまた嘔吐するようになった。 そこで再び前方を与えて治った。ところが翌年また大酒を呑んで嘔吐 が始まり、こんどは前方を与えたが効なくして死んだ《積山遺言》 [4]胸痛 [5]十二指腸潰瘍 [6]腹痛: ☆酒客病の上逆腹痛《矢数道明》 [7]肋間神経痛
潤下丸《東醫寶鑑》 「陳皮1斤(塩2両をで煮て乾燥焙)、甘草2両(粉末)」湯に浸して蒸し餅で 梧子大の丸剤。白湯で30~50丸服用。
◎痰積気滞を治す。 潤腎丸《東醫寶鑑》 「蒼朮1斤に韭葉1斤を搗いて絞ったものをかき混ぜ9回蒸し9回晒し、又 茴香半斤を共に蒸して茴香は捨て、熟地黄1斤、五味子半斤、乾姜を蒸し て棗肉と梧子大の丸剤。空腹時に米飲で100丸飲む。 ◎脾腎の虚。痩せて顔色が悪い者。
潤腸丸[1]《《沈氏尊生書》東醫寶鑑》 「当帰・生地黄・枳穀・桃仁・麻子仁」各等分。作末し、梧子大の蜜丸。空 腹時に40~50丸飲む。
◎便秘で、七・八日間も便がない老人。コロコロ便。 潤腸丸[2]《東醫寶鑑》 「杏仁・枳穀・麻子仁・陳皮各5銭、阿膠・防風各2銭半」作末し、梧子大 の蜜丸。毎回50丸、老人は蘇子湯で、若い人は荊芥湯で服用。
◎便秘。 潤腸膏《東醫寶鑑》 「威霊仙4両を搗いて汁を出し、生姜4両の汁を取り、真麻油2両、白砂蜜4 両」弱火で煎じ水飴のようになったら、1匙づつ食べる。 ◎噎膈・反胃を治す。
潤腸湯[1-1]《万病回春》《古今方彙》 「当帰・熟地黄・生地黄・麻子仁・桃仁・杏仁・枳殻・厚朴・黄芩・大黄各 等分、甘草半減」水煎。
◎大便閉結して通ぜざるを治す。 ◎発熱には:「柴胡」 ◎腹痛には:「木香」 ◎血虚枯燥には:「当帰、熟地黄、桃仁、紅花各倍加」 ◎風燥して閉づる者には:「郁李仁・皀莢・羗活」 ◎気虚して閉する者には:「人参・郁李仁」 ◎気実にて閉づる者には:「檳榔子・木香」 ◎痰火にて閉づる者には:「括楼仁・竹瀝」 ◎汗多くor小便去ること多きに因りて津液枯渇して閉づるには:「人参・麦門 冬」
◎老人気血枯燥して閉づる者には:「人参・鎖陽・麦門冬・郁李仁、当帰倍加、 熟地黄倍加、生地黄倍加、桃仁少なく」 ◎産婦血を去ること多くして枯燥して而して閉づるには:「人参・紅花、当帰 倍加、熟地黄倍加、黄芩・桃仁」 ◎「檳榔子」=「通幽湯」
潤腸湯[1-2]《万病回春》《漢方後世要方解説》 「当帰・熟地黄・乾地黄各3、桃仁・杏仁・厚朴・黄芩・麻子仁各2、枳実1、 甘草1.5、大黄1~3」 ◎此方は津液枯燥に因って大便閉結する者に用いる。 ◎古方の麻子仁丸より変じた処方。 (麻子仁丸芍薬、当帰・地黄・桃仁・甘草・黄芩)
◎老人など殊に多く、皮膚枯燥して承気の類用い難く、腹部を按ずれば燥結せる 腸索を指頭に触れ、累々たるを認めることが多い。 ◎他の下剤にては快く通ぜざる者に与えてよい。 ◎動脈硬化症、慢性腎炎などを伴う老人の便閉には此方の証が多い。 当帰、地黄=血燥を潤す 杏仁=大腸気閉、便難を治す。 厚朴=脹を消し、満を除く、 黄芩=大腸の熱を清うす 枳殻=脹を寛め、気結を治す。 桃仁=大腸を潤す。 麻子仁=脹を潤し、結を通ず。
潤腸湯[1-3] 《漢方治療の実際》 「当帰・地黄各4、麻子仁・桃仁・杏仁・枳実・厚朴・黄芩・大黄各2、甘 草1.5」
潤腸湯[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》 「当帰・熟地黄・乾地黄各3.5g、麻子仁・桃仁・杏仁・枳殻・厚朴・黄芩各 2.0g、大黄1.0g、甘草1.5g」 ◎虚証の便秘。 ◎動脈硬化の便秘。 ★適応症及び病名(五十音順)
[1]陰虚の便秘 [2]口が乾く(夜中に) [3]コロコロ便(兎糞状の排便) ☆常習性のコロコロ便で以下の者によく見られる。 1.老人 2.虚弱者 3.術後の回復期
4.動脈硬化 5.慢性腎炎 [4]高血圧で便秘 [5]産後の便秘 [6]習慣性便秘: ☆体液欠乏し、大腸の粘滑性を失ったために起こった弛緩性またはケイレ ン性の常習性便秘に用いてよく奏効する。《矢数道明》
[7]動脈硬化で便秘 [8]疲労倦怠 [9]皮膚枯燥 [10]腹壁弛緩 [11]慢性腎炎で便秘 [12]老人の便秘
潤腸湯[2]《東醫寶鑑》 「蜂蜜1両、香油5銭、朴硝」水煎、温服。 ◎老人・虚弱者の便秘。 潤腸湯[3]《東醫寶鑑》 「麻子仁1盃半を細切りし、水浸して皮・脂を去り、桃仁・荊芥穂各1両を 作末し丸剤。塩を少し入れて煎じ、茶代用。」
◎大便の秘渋。 潤肺丸[1]《東醫寶鑑》 「訶子皮・五倍子・五味子・黄・甘草」各等分。作末し、桜桃大の丸剤。 毎回1丸飲む。
◎久咳・声がれ・言語不能。 潤肺丸[2]《東醫寶鑑》 「貝母1両、瓜呂仁・青黛各5銭を作末し、姜汁に蜜を入れ膏をつくり、溶 かして呑む。
◎燥痰・乾嗽・労嗽。 潤肺豁痰寧嗽湯《東醫寶鑑》 「陳皮・半夏・熟地黄・黄柏・知母各8分、白茯苓7分、黄芩(酒洗)・貝母 ・天門冬・麦門冬・紫菀(酒洗)・款冬花(酒洗)・桔梗・当帰・甘草各6 分、姜3片」水煎服。
◎陰虚の喘急。痰厥。 潤肺膏[1]《東醫寶鑑》 「紫菀・杏仁・款冬花各1両、麻黄・桔梗・訶子・細辛各5銭、枯白礬1銭、 胡桃肉1両、生姜2両、精油8両、蜜1升」作末し、かき混ぜ、毎回2~3 匙、就寝時に白湯で調下。 ◎咳・痰喘。
潤肺膏[2]《東醫寶鑑》 「羊肺・杏仁(細研)・柿霜・真酥・真蛤粉各1両」白蜜2両で羊肺を洗い、 次に5味と煮て服用。
◎虚労の長い咳や肺痿を治す。 潤肺除嗽飲《医学正伝》《東醫寶鑑》 「款冬花・紫菀茸・麻黄・陳皮・石膏粉・桔梗・半夏・桑白皮・枳穀・烏梅 肉・罌栗殻各7分、人参・杏仁・薄荷・生甘草各5分、五味子9粒を剉作 し、1貼に姜3片・茶一握りを入れ煎服。
◎老年の咳を治す。 潤肺除嗽飲《医学正伝》《古今方彙》 「人参・杏仁・甘草(生)・薄荷各3分、五味子・麻黄・紫菀・陳皮・石膏・ 款冬花・桔梗・半夏・枳殻・烏梅・桑白皮・罌栗殻(蜜炙)各5分、生姜、 細茶」水煎。
◎遠年咳嗽するを治す。 潤麻丸潤麻丸 ◎血燥と便秘。 小安腎丸《東醫寶鑑》 「香附子・川楝子・各半斤を塩2両・水2升で煎じ、煮詰まったら切って焙 り、茴香(炒)6両、熟地黄4両、川烏(炮)・川椒(炒)各2両を作末し、酒 糊で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯又は温酒で30~50丸飲む。
◎虚労に腎気が冷え、小便が濁り、だんだん痩せて顔色が黒くなり、目が見えな くなって、耳鳴りがし、牙歯がうく者。 小胃丹《東醫寶鑑》 「芫花(醋浸一昼夜炒黒)・甘遂麺(水浸半日、晒して乾燥)・ 大戟(水で長期間煮て、晒し乾燥)各5銭、大黄(湿紙につつ んで熱、酒浸炒)1両、黄柏(炒)2両」作末し、麻子大 に粥で丸剤。毎回10丸就寝時に、唾で飲み込む。 又、白朮膏で蘿葡子大の丸剤。就寝時に津液又は白湯で、20 ~30丸飲む。 ◎膈上の湿痰・積熱を治す。
小烏沈湯1《東醫寶鑑》 「香附子2両、烏薬1両、沈香・甘草各2銭半」作末し塩湯で 服用。 ◎心腹の刺痛に。 小烏沈湯2《東醫寶鑑》 「香附子(炒)4両、陳皮(去白)1両、甘草(生)2銭半」細末に し、毎回2銭塩湯で服用。
◎心腹の刺痛に。 小温経湯《医学入門》《古今方彙》 「当帰・芍薬・川芎・官桂・牡丹皮・莪朮各5分、人参・肝臓・牛膝各1銭」 水煎。
◎血海(子宮)、虚寒或いは風邪のおそう所と為り、月水利せざるを治す。 小温中丸《東醫寶鑑》 「白朮3両、山肉・青皮・蒼朮・神麹各2両、香附子(便製)1両半」 作末し醋糊で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で70~80丸飲む。
◎食積疸を治す。 小黄丸《東醫寶鑑》 「黄芩1両半、天南星・半夏各1両」作末し姜汁に漬けて搗いた餅 で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸呑む。
◎熱痰咳嗽で脈が多く、顔が赤く煩渇する者。 小活血散《東醫寶鑑》 「白芍」細末にし、毎回1銭を酒で調下。 ◎痘疹が多く出、身体が痛み、煩躁・脹痛する者。
小活絡丸《外科全生集》【中成薬】 「乳香、没薬、烏頭、地竜、胆南星」1日1~2回、1丸づつ服用。 ◎脳血管障害のよるしびれ、関節痛。 ◎風湿による手足の拘攣・疼痛。醒脾
小活絡丹《和剤局方》 「草烏、烏頭、天南星、地竜、乳香、没薬」 ◎腰痛 小陥胸湯[1-1]《傷寒論》 「黄連1両、半夏(洗)半升、括蔞実(大)1枚」 以上三味、以水六升、先煮括蔞、取三升、去滓。内諸薬、煮取二升、去滓、 分温三服。 ◎小結胸病、正在心下、按之則痛、脉浮滑者、小陥胸湯主之。
小陥胸湯[1-2]《傷寒論》《東醫寶鑑》 「半夏(製)5銭、黄連2銭半、瓜蔞(大)1/4」剉作1貼し、水2盞に先に瓜 蔞と煎じ、半分くらいになったら半夏・黄連を入れ、又煎じて半分ぐらい になったら、滓を捨て温服。
小陥胸湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「黄連1.5、括呂仁3、半夏5」 小陥胸湯[1-4]《傷寒論》《古今方彙》 「黄連1銭3分、半夏2銭6分、括楼仁(連穣)2銭半」水煎。
◎一方に、桔梗、黄芩を加える。《医学入門》 ◎傷寒、之を下し、早く熱結し、胸中之を按ずれば則ち痛む。 ◎傷寒にて渇を発し、而して飲水を大いに過して結胸となり、而してを発する 者を治す《寿世保元》
小陥胸湯[1-5]《傷寒論》 「黄連3g、法半夏4.5g、括蔞仁18g」水煎服。《中薬臨床応用》 ◎此方は飲邪心下に結して痛む者を治す《勿誤薬室方函口訣》 ◎病、正に心下に在り、之を按ずれば痛み、心中煩して嘔し、或いは胸中痺する 者を治す《方極附言》 ◎所謂小結胸は、正に心下に在り、之を按ずれば或いは痛み、して涎沫を唾し、 時に吐せんと欲し、心胸中煩し、或いは痛み者なり。小陥胸湯之を主どる《医 聖方格》 ◎括蔞実は痛みを主とす。 【腹証】 《腹診配剤録》 “心下に物有り、之を按ずれば即ち痛む”
小陥胸湯[1-6]《傷寒論》 ★適応症及び病名(五十音順) [1]胃炎 [2]胃酸過多症 [3]胃のあたりが落ち着かない。 [4]嘔吐: ☆傷寒、渇を発して水を飲むこと大いに過ぎ、結胸をなして嘔を発 する者を治す。《雑病翼方》 [5]喀痰: ☆専ら鬱熱、咳嗽し、痰吐せざるを治す。《雑病翼方》 [6]気管支炎 [7]気管支肺炎 [8]亀胸: ☆小児の胸骨突起し、亀胸と称する者を治す。紫円、或いは南呂丸 を兼用す《類聚方広義》 [9]胸中苦悶: ☆心下して胸膈痞満し、或いは発熱し、或いは喘咳し、或いは尿 利減少し、その脈浮緩なる証《奥田謙蔵》 [10]胸膜炎: ☆胸痛ありて喘咳し、呼吸促迫して安穏ならず、その脈伏して緊な る証《奥田謙蔵》 [11]呼吸促迫: ☆熱性症候無くして心下部微痛し、喘咳して呼吸促迫し、尿利少な きも頻数なる証《奥田謙蔵》 小児の癇症: ☆子供の気むつかしい者に小陥胸湯の効くこともある《大塚敬節》 [12]深呼吸すると胸が痛い。: ☆胸満して塞がり、気難しく、或いは嘈雑、或いは腹鳴下利し、或 いは食物進まず、或いは胸痛を治す。《勿誤薬室方函口訣》 [13]心下部に痞塞感がある: ☆胸痺を治す。 ☆熱痰膈上に在る者を治す。 ☆心下結痛し、気喘して悶ゆる者を治す《内台方議》 [14]滲出性肋膜炎: ☆乾性肋膜炎等にありては、証に由り、本方に大小柴胡湯を合方す 《奥田謙蔵》 [15]セキをすると胸が痛い [16]喘咳: ☆喘息妨悶し、胸膈痞痛、背に徹する者、瓜蔞実丸《厳氏済生方》 に宜しと。即ち「本方桔梗」を丸と為すものなり。《雑病翼方》 ☆熱性症候著しからずして喘咳し、胸脇、及び心下部痞満し、その 脈浮なる者《奥田謙蔵》 ☆凡そ咳嗽して面赤く、胸腹脇常に熱し、ただ手足乍ち凉なる時有 り、その脈洪なる者は、熱痰膈上に在る也。小陥胸湯に宜し《張 氏医通》 [17]嘈雑 [18]胆石症
[19]つばを吐く [20]吐乳: ☆小児の吐乳証《奥田謙蔵》 [21]肋間神経痛 小皀角元《東醫寶鑑》 「皀角(炙)・枳穀」各等分。梧子大の蜜丸。米飲で70丸飲む。
◎風秘を治す。老人にはさらに良い。 小解毒湯《栗山》 「遺糧・滑石・沢瀉・阿膠・茯苓・木通・忍冬・大黄」 ◎下疳にて茎中痛み、膿出ずる者を治す。 ◎此方は、内注下疳(梅毒性尿道炎)の淋痛を治す。《勿誤薬室方函口訣》
小芎黄湯《東醫寶鑑》 「川芎3銭、黄芩2銭、甘草5分」水煎服。2~3服した後、大芎黄湯を使 う。 ◎破傷風が中に入り、表に熱のある者。
小膠艾湯《東醫寶鑑》 「阿膠珠2銭、艾葉4銭」水煎服。 ◎悪阻で胸背が痛む者。 小驚元《東醫寶鑑》 「欝金・皀角(水煮)・黄連・馬牙硝・木香・香・草竜胆各2銭半、全蝎3 個」作末し、麺糊で梧子大の丸剤。雄黄・朱砂・麝香・金銀箔で衣をし、 薄荷湯で1~2丸呑む。
◎驚風を治す。 小金丹《外科全生集》 「白膠香・草烏頭・五霊脂・地竜・木鼈子・当帰身・乳香・没薬・麝香・墨 炭」 ◎流注(リンパ管炎)・痰核(リンパ腺炎)・乳ガン
・横痃 小薊飲子《東醫寶鑑》 「藕節2銭、当帰1銭、山梔子8分、小薊・生地黄・滑石・通草・蒲黄各5 分、甘草3分、竹葉7片」水煎服。
◎下焦結熱と尿血を治す。 小薊飲子《東醫寶鑑》 「生地黄2銭、小薊根・滑石・通草・蒲黄(炒)・藕節・竹葉・当帰・山梔子 ・炙甘草7分」水煎し、空腹時に服用。
◎下焦の結熱による血尿・淋痛。 小薊飲子《厳氏済生方》《中薬臨床応用》 「小薊根・生地黄・蒲黄(炒)・藕節・淡竹葉・通草・滑石・山梔子(炭)・当 帰・甘草」各等分、粗末にし毎回12g水煎し温服。 ◎血淋。
小薊散《中国民間験方》 「小薊草(炒め炙る)・白・生蒲黄・生香附子各12g」を微細末にする。密 閉貯蔵。 小薊散《東醫寶鑑》 「百草霜・小薊・香附子・蒲黄(炒)各5銭」作末し、牙歯に塗る。随時。
◎牙宣出血を治す。 小建中湯[1-1]《傷寒論》 「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚、芍薬6両、生姜(切)3両、 膠飴1升」 以上六味、以水七升、去滓、内飴、更上微火消解。温服一升、日三服。嘔
家不可用小建中湯、以甜故也。 (甜=テン,甘くうまいこと) ◎傷寒、陽脉、陰脉弦、法當腹中急痛、先與小建中湯。不差者、小柴胡湯主之。
小建中湯[1-2]《金匱要略》「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)3両、大棗12枚、芍薬8両、生姜2両、膠飴1 升」以上六味、以水七升、煮取三升、去滓、内膠飴、更上微火消解、温服一升、
日三服。[千金療男女因積冷気滞、或大病後不復常、苦四肢沈重、骨肉痠疼、吸吸少氣、行動喘乏、胸満氣急、腰背強痛、心中虚悸、咽乾唇燥、面體少色、或飲食無味、脇肋腹脹、頭重不舉、多臥少起、甚者積年、軽者百日、漸至痩弱、五臓氣竭、則難可復常、六脉倶不足、虚寒乏氣、少腹拘急、羸瘠百病、名曰黄蓍建中湯、又有人参二両。」
◎虚労裏急、悸、衂、腹中痛、夢失精、四肢酸疼、手足煩熱、咽乾口燥、小建中湯主之。◎男子黄、小便自利、當與虚労小建中湯。◎婦人腹中痛、小建中湯主之。
小建中湯[1-3]《傷寒論》《東醫寶鑑》「白芍5銭、桂枝3銭、甘草(炙)1銭」を剉作し、1貼に姜5片・棗4枚を入れて水煎し、半分ぐらいになったら滓を捨て、膠飴1両を入れて再煎服用。◎虚労による疼痛・夢精・四肢がしびれて痛む・咽喉が乾く者。
小建中湯[1-4]《傷寒論》《中薬臨床応用》「桂枝6g、白芍薬12g、甘草(炙)6g、生姜6g、大棗9g、膠飴30g(溶解)」水煎服。◎虚弱体質で解表剤を使用出来ない、慢性病患者の風寒感冒。
小建中湯[1-5]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》「桂枝・甘草・大棗各3.0g、芍薬6.0g、水飴40.0g、干姜1.0g」水280ccを以て水飴以外の薬を煮て120ccに煮詰め滓を去り、水飴を加え
て少し温めて溶解し、3回に分服。◎裏急し、腹皮拘急、及び急痛する者を治す。《吉益東洞》 「為則按ずるに、此の方は芍薬甘草湯より出づ。故に諸病、腹拘急して痛む者を主治するなり。」《薬徴》◎小建中湯は《傷寒論》に其の証備らず、是を以て世医方意を獲ず、以て補剤と為す、故に其の施す所、竟(おもう)に効なし、為則按ずるに此方は桂枝加芍薬湯に類するが故に諸病腹拘急して痛み或いは四肢痠痛する者を治す。《重校薬徴》◎此方は中気虚して腹中の引っ張り痛むを治す。すべて古方書に中と云うは脾胃のことにて、建中は脾胃を建立するの義なり。《勿誤薬室方函口訣》◎全体、腹くさくさとして無力、その内のここかしこに凝りある者は、此湯にて効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎血管透過性亢進による出血、or黄疸、or筋痛。◎小建中湯は胃中を湿らせる方なり。《勿誤薬室方函口訣》◎此方、能く中気を建立す。故に之を建中湯と名くと。又、小と称するは、その 大建中湯に比して作用緩和なるを以てなり。《奥田謙蔵》◎小建中湯、当帰建中湯、黄蓍建中湯、蓍帰建中湯などは腹直筋の拘急がひどくて、歩行困難、または歩行不能の者に用いて時に著効を得ることがある。その際疼痛のある場合があり、知覚麻痺を伴うこともある。《大塚敬節》◎腹直筋が軟弱無力のこともある《大塚敬節》◎目標:《大塚敬節》<1>体質の悪い疲労しやすい人。<2>または平素は体質が良いが、無理を重ねて疲れたような場合。<3>小建中湯の患者は体力がないから、動悸がしやすく、手足がだるかったり、また手足に気持ち悪い熱感を覚えたりする。口も乾燥しやすい。《有持桂里》“此方は腹に力が無くて拘急する者に用いる。その他いろいろの虚の徴候があるものである。その内、小便自利も虚候の1つである。しかし必ずしも自利がなくてもよい”《方読弁解》“脈大数にして弦、腹痛、拘攣し、甘を好む者によく応ず。此方は桂枝芍薬を用いて腹中を調和し、脾胃を養い、急迫を緩める。膠飴は虚冷を補い、腹中に入って腹力を生ずる”
【腹診】《大塚敬節》“腹直筋を浅く腹表に触れる場合で、古人が2本棒とか、火吹竹とか呼んだものであるが、いつでもこの腹証がないと使用できないことではない。”“皮下脂肪が少なく、腹壁がうすい。又、これと異なり、腹部全体が軟弱無力で、腸の蠕動を腹壁を透して診ることの出来る場合がある”
《矢野敏夫》“臍部のすぐ左側に小さい堅い抵抗・圧痛を触知することあり” 小建中湯[1-6] 《傷寒論》《漢方治療の実際》「桂枝・生姜・大棗各4、芍薬6、甘草2」以上を法の如く煎じ滓を去り、膠飴20を入れ、再び火にかけ、5分間煎じ、3回に分服。
☆体質改善の基本処方 「桂枝加芍薬湯に膠飴を加えたのが小建中湯。膠飴は玄米やうるち米などを麦芽で発酵させ飴にしたものだ。 体質改善の基本処方で
①体質虚弱 ②血色がすぐれない ③腹痛 ④動悸 ⑤手足のほてりや冷え ⑥頻用や多尿 ⑦小児虚弱体質 ⑧夜尿症 ⑨夜泣き ⑩慢性胃腸炎 などが使用目標になる。小児用だが、成人や老人にも多用される。
小児は、緊張するとお腹が痛くなるほか、寝汗をかいたり、疲れると手足がうずいて母親に「痛いからもんで」などと訴えることも多い。 口唇が乾燥しやすく、カサカサして痛くなる。アトピー性皮膚炎など皮膚のカサカサやジグジグには小建中湯に黄蓍を加えた黄蓍建中湯がよく使用される(花輪嘉彦・北里研究所東洋医学総合研究所長)2006.2/7《日経》
★適応症及び病名(小建中湯)[1]あくび:(食後に多い)[2]アデノイド:=咽頭・扁桃の増殖・肥大。《腺様増殖症》[3]足がケイレン[4]アレルギー性鼻炎に有効な場合がある[4]インポテンツ
[5]胃アトニー[6]胃潰瘍[7]胃ガン:☆60歳男性。上諏訪の赤十字病院で、胃ガンの末期だと診断され、嫁にいっている娘を頼って上京し、東京大学の付属病院でも診てもらったが、ここでもガンの末期だから、レ線で調べる必要もないと言われ、患者はすっかりしょげこんでいた。
患者は、痩せて血色も良くない、腹診してみると、腹壁一体が板のように硬い。主訴は、激しい胃痛と嘔吐で、吐物には血液様のものが混じっている。また大便には肉眼で分かるほど血液が混じっている。私は胃ガンよりも胃潰瘍を疑ったが、とにかく腹証によって人参湯を与えた。ところが少しも効かないので大建中湯に転方したが、これも駄目、そこで旋覆代赭湯をやてみたが、一向に痛みは止まらない。こんな風だから、患者は東京で有名な某胃腸病院を尋ねた。ここではレ線検査もしてくれたが、幽門ガンだという診断を下し、入院の必要はないと宣告したという。
そこで、この患者はまた私を訪れ、今一度、何とかして欲しいという。私は考えた、《傷寒論》には、“嘔家には建中湯を与うべからず”とあって、嘔吐の有る者に小建中湯を用いてはならないことになっている。しかし、もうこうなっては、背水の陣だ。小建中湯を与える以外に方法はないと決心し、これを与えた。すると不思議なことに、胃痛が止まり、嘔吐が病み、血便も無くなり、2週間後には、あんなに苦しんだ症状がすっかりとれ、1ヶ月ばかりで元気を取り戻して信州に帰った。《大塚敬節》[8]胃下垂
[9]胃酸過多症 [10]胃酸欠乏症 [11]胃腸神経症 [12]息切れ:☆少しからだを動かしてだけで、口が乾き、息が切れ、動悸するという者に小建中湯の証がある。《大塚敬節》
[13]遺精 [14]異常発酵 [15]萎縮腎 [16]咽乾:☆口が乾くが、水は飲みたくない。☆咽乾口燥。 [17]陰嚢寒疝
[18]鬱病 [19]疫痢(えきり) [20]黄疸: (虚証)☆小便自利(小便が多量に出る)者《大塚敬節》☆《矢数有道》“小建中湯を黄疸に用ゆべき場合が存することは、《金匱要略》の文句をみても不思議ではない、しかし私は最近に至って始めてその応用に遭い、そしてよく奏効した。興味ある報告例と思ったので次に詳述してみよう。病歴として本人の語る所は、本年4月に病気となり胆嚢炎と診断された。当時の病状を詳細に訊くことができなかったが、発熱は無かったそうである。一時全く治ったと思ったが、8月になって再発した。粥食と下剤連用のため、漸々に体重を減じて、現在では病前の16貫から12貫程度になってしまったという。初診10月18日。再発後すでに48日になる。商用のため病気を押して内地各地を旅行している内に、今年11月、栃木県で突然大腹痛に襲われ、注射でようやく凌いだ。5日目に同様の大激痛があって、今度も注射で抑えた。東京の医師は胆石症という。頑固な黄疸と激痛の襲来とにおびえて奨める人があって来院した。所見、診ると著明な黄疸色である。皮膚が痒いという。絶えず上腹部の違和と微かな鈍痛とを覚えている。粥食と連日の下剤とのための自覚的に疲労感が強くて、だるくて堪らないという。食欲は可良であるが、あまり食べない方針である。大便は下剤のため軟いが、下痢気味で、便通がないと気持が悪いから下剤は止められぬと考えると患者は付言した。小便はもちろん黄疸色を呈し、分量も少ない。脈は弱い。腹は虚軟で何処にも拘攣も塊もない。脇下は圧痛があるが胸脇苦満も何もなく、寧ろ虚陥している。下肢が冷えるという。発病前に血圧は160耗あったが、現在は132耗である。これは
衰弱の結果によるもので、別に治癒した訳でもないことは患者も承 知しているようである。診断、西洋医学では胆石症に下剤は定石であろうが、この患者の現在の状態は下剤の禁忌証であることを私は患者に告げた。粥食のために穀気不足していることを下剤の連用によって脾胃を損じ、更に肝虚の状態となっている。腹痛発作は傷寒論のいわゆる太陰病裏寒の腹痛と断ぜざるを得ない。則ち“甘薬を以て中気を補すべし”と考え、小建中湯を処方した。《金匱要略》の“男子の黄、小便自利するには当に小建中湯を与ふべし”の条に合致するものと考える。経過、非常によい。薬を飲むたびに気分が良くなったという。3日目には小便が綺麗になる。大便も下剤なしに快通がある。皮膚瘙痒もなくなるし、腹痛全くなし、食欲進み普通食とした。尤も初診時に私がそれを奨めておいたが、5日目に来院した時は、皮膚の黄疸色は9分通り薄らいだ。こんなに漢方薬は効くものかと(それほど効かぬ場合が相当にあるが)感嘆して、1ヶ月分の薬を所して無事に帰台した。考案、さてこの患者について“小便不利”ということが問題になる。《金匱要略》では“小便自利”という条件を提示している。黄疸病は瘀熱に因るものが多い。少陽病か陽明病かである。また小便不利は必発的症状である。“陽明病、無汗、小便利せず、心中懊悩する者は、身必ず黄を発す”とあり、また“陽明病、発熱汗出ずる者は、黄を発すること能はず、但頭汗出で、身汗なく、熱裏に有りとなす。茵蔯蒿湯之を主る”とあるように。ところが黄疸病でも小便自利するものがある。その1つは瘀血によるものであり(太陽病篇、抵当湯)、ほかの1つは虚寒に属するものである。瘀熱によるものは大小柴胡湯、梔子豉湯など、それぞれ消炎利尿開通剤を用いるべきであろうが、この患者には勿論それらの適くべき証は見当たらない”この患者は別に小便自利の侯はない。寧ろ不利に近い、従ってその点だけで考えると虚寒の黄疸ではなくて、瘀熱性のものということが出来るが、本病が裏虚寒の証であることは、他の症候によって厳然たる事実となっている。こういう場合は私は《金匱要略》の文字に拘泥すべきではないと考え、即ち小便量の多寡は本病の診断に主たる役割を果たすものでないという見解をとる方針を持している。
小便不利に対する小便自利の診断的価値は、前者が瘀熱性黄疸の標的となることに対し、後者は虚寒性黄疸の証拠として記載さるべきものである。《金匱要略》の著者が本方運用の主治目標として小便自利の文字を用いたのは、“虚寒に属する黄疸”という説明であ ると解すべきであろうと思う。従ってたとへ小便自利の侯がなくとも、虚寒の確徴が掴み得らるれば、本方を用いてよろしいのである。病人は有機的存在であるから、《金匱要略》の文字をそのままに拘泥していてその裏に潜む著者の真意を洞察するようにせぬと方証相対論も現実に於いてその脆弱性を暴露せねばならないことになる”
[21]顔色がさえない [22]かぜ [23]肩こり: ①甘いもの好き。②くすぐったがり。③手足がほてる。 ④小便頻数。⑤疲れやすい。
[24]脚気 [25]過敏性大腸症候群 [26]下腹部の冷感 [27]体がだるい・重い [28]過労 [29]眼瞼炎:
[30]眼底出血:☆虚労を目標にして、動脈硬化症による眼底出血に用いる《大塚敬節》 [31]肝炎 [32]肝硬変 [33]気管支喘息
[34]期外収縮 [35]胸中煩悸 [36]虚弱児の体質改善:☆冬は寒がり、夏は足をだるがり、すぐ疲れる者を目標にする《大塚敬節》☆S少年は小学校2年生であるが、血色がすぐれず元気がない。学校から帰ると、疲れたと云って、ゴロゴロしているという。腹部を診ると、腹壁に弾力が乏しく、皮がうすいという感じである。尿は近い方であるが、遺尿はない。下痢もない。食欲は普通であるが、ちっとも体重が増加しないという。私はこれに小建中湯を与えたが、2、3ヶ月たつと、顔に生気が充満し、疲れを訴えなくなり、朝も起こさなくても、一人で起きるようになった。風邪を引いてもすぐ治るようになり、学校の成績もよくなった。《大塚敬節》[37]虚労:☆此方は補虚(衰弱を補う)調血(血液循環を改善)の妙あり。
[38]気力がない [39]筋肉攣縮:☆痙症、汗多きを治す:「+人参」《方読便覧》 [40]筋無力症 [41]ケイレン性便秘
[42]頸管カタル [43]頸部の腫瘍 [44]頸部リンパ腺炎 [45]頸部リンパ腺結核 [46]血小板減少性紫斑病
[47]結核性腹膜炎 [48]結膜炎:☆虚労を目標にして、虚弱児の結膜乾燥症に用いる《大塚敬節》[49]下痢:☆下痢、赤白、久新を分かたず、ただ腹中大いに痛む者を治して神効あり。その脈弦急、或いは濇浮大、之を按じて空虚、或いは挙按し、皆無力なる者、是なり。《雑病翼方》☆急慢の下痢等にして、腹部軟弱なるも腹筋攣急し、脈濇、或いは浮大にして虚なる証。《奥田謙蔵》
[50]原因不明の腹痛 [51]眩暈 [52]コロコロ便 [53]高血圧 [54]甲状腺腫[55]口内乾燥:(口乾)☆この方は“咽乾口燥”という症状を目標にして用いることがある。この咽乾口燥は虚労の症状で、体力の消耗があって、のどに湿りが足りなくなった状態である。白虎加人参湯の時のような、激しい口渇があるのではない。
物に驚いた時に、口に唾液が無くなったときのような状態である。 虚弱体質の人によくみられる症状で、少し動くと、息が切れて、口に唾液が足りなくなるという場合に、この方を用いて良いことがある《大塚敬節》
[56]声に力がない [57]呼吸困難 [58]五十肩 [59]座骨神経痛 [60]痔 [61]歯痛:☆激しく歯の痛む者に小建中湯の証がある。これも甘草湯と同じく急迫を緩める効があるが、この方は腹証で用いる。《有持桂里》は“歯のひどく痛む病人があり、これを診てみるに、腹が引っ張り、または腹が痛むという状があれば小建中湯を用いて、腹を整えてやれば、歯痛も自然に治るものである。諸病ともに、その通りで、歯痛の場合もこれと同じ道理で、別に歯痛を治する薬を用いなくてもよいのである。柴胡湯の腹証があれば柴胡湯を用い、建中湯の腹証があれば、建中湯を用いて良い。何でも証に随って、真武湯や四逆湯なども用いて良いが、歯痛には、柴胡剤や建中剤の証が多いから、ここに挙げたけれども。これに限ったことはない。自分は先年、脈が遅沈で歯の痛む者に、麻黄附子細辛湯を用いて治したことがある”と述べている《大塚敬節》
[62]衂血:☆虚弱児童で常習性に衂血を出す者《大塚敬節》☆紫斑病の少年の衂血に用いて効を得た《大塚敬節》 ☆体質の虚弱なもので、貧血して疲れやすく、動悸を覚え、脈腹ともに虚している者によい。壊血病、紫斑病などの衂血に本方の症が多い。(漢方診療医典
[63]子宮筋腫(虚証) [64]四十肩(腕) [65]失精 [66]紫斑病 ☆小児にみられる紫斑病で、病気が長引いて衰弱し、疲労の甚だしいときに用いる。《金匱要略》の虚労篇に“虚労、裏急、悸して衂し、腹中痛み、夢に失精し、四肢痠痛し、手足煩熱して、咽乾き、口燥くは小建中湯之を主る”の条文があり、これによって、紫斑病で、衂血を常習とするものに、これを用いて著効を得た。(漢方診療医典)
[67]十二指腸潰瘍 [68]耳鳴[69]シャックリ:☆一人噦を患うこと五十日ばかり、衆医手を束ぬ。余その腹侯をつまびらかにし、建中湯を与える。二剤にして安し。《先哲医話》
[70]食後眠たくなる [71]食欲不振(食が細い) [72]消化不良 [73]小便頻数 [74]小児科:☆虚弱体質☆臍部疝痛☆習慣性頭痛☆消化不良☆寝小便☆夜泣き
[75]神経質 [76]神経性胃腸炎 [77]神経性心悸亢進症 [78]神経衰弱 [79]腎硬化症[80]心悸亢進☆神経性心悸亢進等にして、時々衂血し、腹部或いは手足拘急し、手掌足蹠に煩熱を覚える証。《奥田謙蔵》
[81]心臓神経症 [82]心臓弁膜症[83]心痛:☆《尤鶴》曰く、余かって一香人の心痛を治す。之を問うに、服薬已に一月、左に向かって臥せば則ち右痛み、右に向かって臥せば則ち左痛み、仰臥すれば則ち痛み前に在り、堰臥すれば則ち痛み背に在り、坐立すれば則ち痛み上に在り、一刻も小安無し。余曰く、中虚なり。与うるに小建中湯を以てし、錫糖、炙甘草を重用す。4剤にして安しと。 《雑病翼方》
[84]身体疼痛 [85]スポーツの疲労[86]頭痛:☆虚弱児の常習頭痛に著効を示すことがある《大塚敬節》☆12歳男児。生来身体虚弱で始終病気をするが、一番困るのは、しばしば頭が痛いと云って臥てしまうことである。平常食欲もあまりない。
診察すると、体格はやや小さい方で、やや痩せ型という程度。だが顔色も冴えないし、見るからにあまり丈夫そうでない。脈細、舌に特徴無く、腹を診ると、肉付き薄く、両側の腹直筋が攣急している。診察当日も朝から頭痛がすると云っていた。この患者に腹診から考えて小建中湯を大人の半量を投与したが、この日を最後に頭痛は全く起こらなくなった。《山田光胤》
[87]臍炎 [88]性的神経衰弱 [89]精力減退 [90]脊椎カリエス [91]脊椎分離症 ☆潜在性脊椎分離症
[92]脊椎不全症 [93]背中がつっぱる [94]舌質 <正常~淡紅> [95]舌苔 <無苔~微白> [96]喘息
気管支喘息に有効なことがある。 [97]腺病質 [98]前立腺肥大症 [99]早漏 [100]だるい
[101]大腸炎: ☆腸炎・腸カタル [102]脱肛 [103]脱腸 [104]脱毛症 [115]胆石症(虚証)[116]腸狭窄:☆腸狭窄に用いる時は、腸の蠕動が亢進し、腹鳴を訴える者が多い。 《大塚敬節》
[117]直腸潰瘍 [118]直腸ガン [119]腹直筋の攣急 腹痛 [120]疲れやすい [121]手足拘急[122]手足がだるい・重だるい[123]手足のほてり(手足煩熱) [124]低血圧症[125]盗汗:☆虚弱体質で、盗汗の出る者《大塚敬節》[126]動悸:☆からだの弱い人が、風邪をひいたり、ちょっと熱が出たりした時、しきりに動悸を訴えることがある。或いはちょっと胸苦しいと訴えることもある。このような症状があれば、葛根湯や麻黄湯のような発汗剤で汗を出すようなことをしてはならない。悪寒・頭痛などの表証があって、片方では裏寒の状があるから、先ず、裏の虚を補い、中気を建立する意味で小建中湯を用いるが良い。これで動悸が静まると共に熱の下るものが多い。《大塚敬節》 [127]糖尿病
[128]動脈硬化症 [129]どもり [130]夏まけ・夏バテ [131]乳児の疝気 [132]尿不利 [133] [134]ノイローゼ [135]肺気腫 [136]肺結核 [137]背痛 [138]鼻出血[139]微熱:☆汗を発し、又復って之を下し、悪寒、発熱(=虚熱)し、休止する時無き者は、小建中湯に宜し。《傷寒六書》[140]疲労倦怠:☆虚労性の疲労。
胃腸虚弱で疲労しやすい者[141]貧血☆諸種の貧血、或いは萎黄病の類にして尿利頻繁、腹痛、拘急を発する証。《奥田謙蔵》[142]頻尿(小便の回数が多い) [143]フリクテン [144]ふけ[145]腹痛:☆(ケイレン性・鈍痛が続く)☆虚寒腹痛、痛んでしばしば押さえる。☆「柴胡鼈甲湯」「延年半夏湯」「解労散」などの如く腹中に痃癖ありて引っ張り痛むと異にして、ただ血の乾き、にわかに腹皮の拘急する者にて、強く按ぜば底に力無く、例えば琴の糸を上より按ずるが如きなり。《勿誤薬室方函口訣》
☆積聚腹痛などの症に、すべて建中湯は血を潤し急迫の気を緩むるの意を以て考ふべし。《勿誤薬室方函口訣》 ☆胃脘、心に当たりて痛み、六脈弦数なるを治す:「香附子」《赤水医按》☆慢性腹膜炎、腸狭窄、胃ガン、胃潰瘍、胃下垂症などで腹痛する者に用いる《大塚敬節》☆50歳男性。ガンが上腹部一杯に塊状になって触れるほどに拡がり、それが痛くて堪らない。こんなに苦しいなら、いっそひと思いに死んだ方がましだと患者は云う。私はこの患者に小建中湯を与え、5日分飲んだところで、痛みがずっと軽くなり、心下部の硬結も小さくなった。3回目には、自分 で歩いて来院した。こんな風で、1ヶ月もたつと映画を見に行った りして、とても元気になった。家族の者も不思議がっていたが、半年もたつと。だんだん衰弱が加わってついに死亡した。《大塚敬節》☆27歳の女性。昭和22年8月に帝王切開によって分娩を終わり、その子供は元気に育て居るが、その後、母親の方は何となく気分がすぐれなかった。そうこうしているうち、昭和24年6月のある日、突然、右下腹部に疼痛を訴えるようになったので、医師を招いたところ虫垂炎だと言われた。しかし軽いから手術の必要がないとのことであった。ところが、この痛みはなかなかよくならないにで、2、3の医師に診てもらった。ある医師は慢性腹膜炎だと云った。身体はだんだん痩せてきた。歩くのに、身体を少し前こごみにしないと歩けなくなった。ときどき悪寒はするが、熱はない。あまり元気がないので胸部をよく調べてもらった。そこでは肺が結核に冒されているということであった。そんな訳で、しずかに寝ていたが、いつまでも腹痛は去らないという。
初診時の症状は、次の通りである。患者は痩せて顔色は土のようで光沢がない。脈は沈濇で、この傾向は右が特にひどい。悪寒や熱はない。舌苔もなく口渇もない。食欲は普通である。大便は1日1行で、尿はやや回数が多い。月経は順調である。肩が少し凝る。腹直筋は左右とも拘攣している。右下腹部から臍下にかけて圧痛があり、腹部は板のように硬い。肺結核だという診断などを思い合わせると腹膜炎を考えるのは当然である。しかしどうも、はっきりした診断がつきかねる。駆虫剤は数回飲んだと言う。回虫のせいとも思えない。しいて診断をつけようとすれば、腹部のレントゲン検査は必要だろうし、再度の開腹手術も必要だろう。
だが、漢方の診断によれば、それが何病であろうと、小建中湯を与えるだけでよい。腹証や脈証から考えれば、これ以外に用いる処方はない。治っても治らなくても、とにかくやろう。
そう決心して10日分を与えた。これを飲み終わった患者は、母親に連れられて来院したが、腹痛は10中の5、6は去ったという。 元気が出て、顔色が生き生きとしてきた。更に10日分を与える。これを飲み終わった患者は右の鼠径部のあたりが少し痛むようになったが、腹は痛くないという。腹診してみるに、腹直筋の緊張がゆるみ、腹全体に弾力がついてきた。栄養状態もよくなった。この日、更に10日分を与えたが、患者はそれきり来院しなくなった。
それから幾月かたったある日。其の患者の母親が新しい患者を連れて来院した。その時の話しになると、あれから腹痛がなくなり、元気も出て、喜んでいたところ、間もなく痔が痛むと云うので、外科の先生に診てもらった。すると肛門に金属性のものがひっかかっているというので、肛門を少し切開したところ、黒くサビた鋏みのようなもの(止血鉗子)が出てきた。これが出てから、患者はすっかり病気を忘れてしまったという。《大塚敬節》
☆大黄やセンナで腹痛を起こす者に適応する。 ☆「腹中急痛あるいは拘攣するものは正証なり、もし外閉の証あれば則ちこの湯の主治するところには非ざるなり」《方機》 [146]腹皮攣急: ☆小建中湯では、腹直筋の攣急があったり腹がつれるような状態にな ったりすることがある。これが裏急である。《大塚敬節》 [147]腹膜炎(結核性) ☆腹膜炎に用いるときは、腹水は無く、腹壁を一体にベニヤ板のよう に触れる者を目標にする。《大塚敬節》 [148]腹満(腹が張る): ☆腹部虚脹し、腹筋の拘攣或いは疼痛を発する証。《奥田謙蔵》 [149]附骨疽 [150]不眠症 [151]フリクテン性結膜炎 [152]ヘルニア: ☆初生児の「ヘルニア」《奥田謙蔵》
☆小児の腺病性虚弱体質で、胃腸が弱く、疲労しやすく、痩せてしばしばヘルニアを起こすものは、本方を長期にわたええ服用し、体質が改善されるとヘルニアがなおる(漢方診療医典) [153]偏頭痛 [154]扁桃肥大 [155]便秘: ①常習性・弛緩性。
②細い、こまぎれ、コロコロ便。 ③最初硬くてあと下痢便(先硬後溏)。 ☆北越高田城下の16、7歳の女性が、7月突然に1日20回ほどの 吐下があり、その後、大便が出なくなり、1ヶ月に1回位しか通じ ないという。その後6ヶ月間、あちこちの名医を歴訪して色々の薬 を呑んだけれども、ちっとも効かないという。
そこで診察してみると、大変な美人で血色も良く、腹診上特別の 所見をみない。小便もいつもと変わりなく、食欲もある。ただ4、 50歩行くと四肢が少し紫色になり、少し冷えるのが違っているだ けである。いままで治療した医者は数十人、皆、これに大黄・芒硝 の下剤を用いているが、自分の診察では、宿便がある症状ではない。 これは胃腸機能の不調和による便秘だから、下剤を必要とせず小建 中湯で、陰陽を調和せしめてやれば良いと考え、小建中湯を与えた。 すると30服ほど呑むと指のような大便がやっと出て、100服足 らずで全治した。《古矢知白》 [156]慢性胃炎: ☆腹直筋の緊張が強く、腹部が膨満し、腹壁が薄く指でつまみやすい 者で、肩こり、腹痛を訴える、血色がわるい者。 [157]慢性肝炎 [158]慢性消化不良 [159]慢性大腸炎 [160]耳が痛い [161]耳鳴り [162]夢精 [163]胸やけ [164]めまい(軽い) [165]網膜剥離: ☆外見上何の異常も発見せず、ただ眼が刺すように痛いという者に用い て効を得たことがある《大塚敬節》 [166]目眩 [167]夜尿症(寝小便): ☆尿利の頻繁、或いは夜尿症等。《奥田謙蔵》 ☆虚弱児童の夜尿症に用いる。又、尿を漏らすことはないが、尿が近 くて量も多い者にも用いる《大塚敬節》 ☆14歳少女。背丈がひょろ長く、顔の色は土色をしている。この少 女は大変小便が近く、1時間に2回も便所に行く。しかも1回量が 多い。いくら食べても痩せていて肥えない。小便が出たくなると、 すぐ便所に駆け込まないと、その場でも洩れるという。疲れやすく て、根気が続かないという。食べ物は、刺激性のものが大好きであ る。大便は毎日1回であるが、軟便である。冬は手足が冷える。の どが渇き水や茶をよく呑む。夜間も眠っていて、ときどき寝小便を する。私はこれに小建中湯を与えたが、1週間後には、2時間ぐら い小便が持つようになり、漏らすことはなくなった。引き続き2ヶ 月ほど服用して、夜尿も止み、血色も良くなり、肥えてきた。《大 塚敬節》
☆虚弱な体質で冷え症で栄養も血色も悪く、疲れやすい、だるいなどの症状があって夜尿症のあるものに用いる。このような患者は昼間でも尿意を覚えず尿の漏れるものもある(漢方診療医典) [168]遊走腎 [169]夜泣き: ☆小児の夜驚症《奥田謙蔵》 [170]腰痛症 [171]ルイレキ [172]肋膜炎
脈状: ☆弦の者があり、沈小のものがあり、一定していない。《大塚敬節》 小柴胡加地黄湯《普済本事方》 「小柴胡湯地黄」 ◎婦人、室女、傷寒発熱し、或いは寒熱を発し、経水適(たまたま)来たり、或 いは適(たまたま)断ち、昼は則ち明了なるも、夜は則ち譫語して鬼状を見る が如きを治す。
◎又、産後悪露来たるにあたり、忽爾として断絶するを治す。 ◎此方は、熱入血室の主剤とす。経水の適断に拘わらず、血熱の甚だしき者に 効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎血熱: <1>頭疼、面赤、耳鳴、歯痛の者:「小柴胡湯石膏」 <2>血気刺痛、心下に衝逆し、嘔吐する者:「小柴胡湯紅花」 <3>五心煩熱、日哺、瘧の如く寒熱を発する者:「小柴胡湯鮮地黄」 ◎《経験良方》曰く、婦人産後、癲狂し、未だ補心の薬を服せざるに、「小柴 胡湯生地黄」を以てし、同煎じて日に3服す。凡そ百餘貼にして安し。《雑 病翼方》
◎「柴胡地黄湯」《雞峰普済方》に同じ。 ◎師尼寡婦、寒熱往来し、脈数にして労と成らんとす。「小柴胡湯生地黄」 を以て之を主る。或いは「八味逍遥散」之を主る。
小柴胡湯[1-1]《傷寒論》 「柴胡半斤、黄芩・人参・甘草(炙)・生姜各3両切、大棗(擘)12枚、 半夏(洗)半升」 右七味、以水一斗二升、煮取六升、去滓、再煎取三升、温服一升、日三服。
◎太陽病、10日以去、脉浮細而嗜臥者、外巳解也。設胸満脇痛者、與小柴胡 湯。脉但浮者、與麻黄湯。七。 ◎婦人中風、78日続得寒熱、発作有時、経水適断者、此為熱入血室、其血必 結、故使如瘧状発作有時、小柴胡湯主之。方十。
◎傷寒56日、頭汗出、微悪寒、手足冷、心下満、口不欲食、大便硬、脉細者、 此為陽微結、必有表、復有裏也。脉沈、亦在裏也。汗出、為陽微。假令純陰 結、不得復有外証、悉入在裏、此為半在裏半在外也。脉雖沈緊、不得有汗、 今頭汗出、故知非少陰也、可與少柴胡湯。設不了了者、得屎而解。十四。
◎傷寒56日、嘔而発熱者、柴胡湯証具、而以他薬下之、柴胡証仍在者、復与 柴胡湯。此雖巳下之、不為逆、必蒸而振、却発熱汗出而解。若心下満而痛 者、此為結胸也、大陥胸湯主之。但満而不痛者、此為痞、柴胡不中與之、宣 半夏瀉心湯。方十五。
◎陽明病、発潮熱、大便溏、小便自可、胸脇満不去者、與小柴胡湯。 方十六。
◎陽明病、脇下満、不大便而嘔、舌上白胎者、可與小柴胡湯。上焦得通、津 液得下、胃氣因和、身然汗出而解。十七。
]⇒シュウと読み、やわらぐこと。 ◎陽明中風、脉弦浮大、而短気、腹都満、脇下及心痛、久按之氣不通、鼻乾、 不得汗、嗜臥、一身及目悉黄、小便難、有潮熱、時時、耳前後腫、刺之 小差、外不解。病過10日、脉続浮者、與小柴胡湯。十八。
「]⇒エツと読み、しゃっくりのこと。 [巻5・辨陽明病脉證并治第8・231] ◎太陽病、過経10餘日、反2、3下之、後4、5日
、柴胡証仍在者、先與 小柴胡。嘔不止、救心下急、鬱鬱微煩者、為未解也、可與大柴胡湯、下之則 愈。方三十一。 [巻10・辨発汗吐下後病脉證并治第22・270]
◎傷寒十三日不解、胸脇満而嘔、日哺所発潮熱、巳而微利。此本柴胡、下之不 得利、今反利者、知醫以丸薬下之、此非其治也。潮熱者、実也。先服小柴胡 湯以解外、後以柴胡加芒硝湯主之。
[巻10・辨発汗吐下後病脉證并治第22・271] 小柴胡湯[1-2]《傷寒論》 「柴胡半斤、黄芩3両、人参3両、半夏(洗)半升、甘草(炙)、生姜 (切)各3両、大棗(擘)12枚」 右7味、以水1斗2升、煮取6升、去滓、再煎取3升、温服1升、日3服。 若胸中煩而不嘔者、去半夏人参、加括蔞実1枚。若渇、去半夏、加人参合 前成4両半、括蔞根4両。若腹中痛者、去黄芩、加芍薬3両。若脇下痞硬、 去大棗、加牡蛎4両。若心下悸、小便不利、去黄芩、加茯苓4両。 若不 渇、外有微熱者、去人参、加桂枝3両、温覆微汗愈。 若者、去人参大 棗生姜、加五味子半升乾姜2両。」
◎傷寒56日中風、往来寒熱、胸脇苦満、不欲飲食、心煩喜嘔、或胸中煩 而不嘔、或渇、或腹中痛、或脇下痞硬、或心下悸、小便不利、或不渇、身有 微熱、或者、小柴胡湯主之。方四十八。
[巻3・辨太陽病脉證并治中第6・96] ◎傷寒45日、身熱、悪風、頸項強、脇下満、手足温而渇者、小柴胡湯主之。 [巻3・辨太陽病脉證并治中第6・99]
◎傷寒、陽脉、陰脉弦、法当腹中急痛、先與小建中湯。不差者、小柴胡湯主 之。五十一。 [巻3・辨太陽病脉證并治中第6・100]
小柴胡湯[1-3]《傷寒論》 「柴胡8両、人参3両、黄芩3両、甘草(炙)3両、半夏(洗)半升、生姜(切)3 両、大棗(擘)12枚」
右七味、以水一斗二升、煮取六升、去滓、再煎取三升、温服一升、日三服。 ◎本太陽病不解、轉入少陽者、脇下満、乾嘔不能食、往来寒熱、尚未吐下、
脉沈緊者、與小柴胡湯。方一。 [巻6・辨少陽病脉證并治第9・266] ◎嘔而発熱者、小柴胡湯主之。方十九。
[巻6・辨厥陰病脉證并治第12・379] ◎陽明中風、脉弦浮大、而短気、腹都満、脇下及心痛、鼻乾、不得汗、嗜臥、 一身及目悉黄、小便難、有潮熱、時時、耳前後腫、刺之小差、外不解、過 十日、脉続浮者、與小柴胡湯。脉但浮、無餘証者、與麻黄湯。不溺、腹満加 悦者、不治。三十二。
[巻7・辨可発汗病脉證并治第16・70] ◎太陽病、十日以去、脉浮而細、嗜臥者、外巳解也。設胸満脇痛者、與小柴胡 湯。脉但浮者、與麻黄湯。三十三。
[巻7・辨可発汗病脉證并治第16・71] ◎中風往来寒熱傷寒、五六日以後、胸脇苦満、不欲飲食、煩心喜嘔、或胸 中煩而不嘔、或渇、或腹中痛、或脇下痞、或心下痞、小便不利、或不渇、 身有微熱、或者、属小柴胡湯証。三十七。
[巻7・辨可発汗病脉證并治第16・75] ◎傷寒四五日、身熱、悪風、頸項強、脇下満、手足温而渇者、属小柴胡湯。 #小柴胡湯[1-4]《傷寒論》 「柴胡8両、人参2両、黄芩2両、甘草(炙)2両、生姜2両、半夏(洗)半升、 大棗(擘)12枚」
右7味、以水1斗2升、煮取6升、去滓、再煎取3升、温服1升、日3服。 ◎傷寒差以後更発熱、小柴胡湯主之。脉浮者、以汗解之。脉沈実者、以下解之。
#小柴胡湯[1-5]《金匱要略》 「柴胡半斤、黄芩3両、人参3両、甘草3両、半夏半斤、生姜3両、大 棗12枚」
右7味、以水1斗2升、煮取6升、去滓、再煎取3升、温服1升、日3服。 ◎嘔而発熱者、小柴胡湯主之。 [巻中・嘔吐下利病脉證治第17・15]
◎産婦鬱冒、其脉微弱、嘔不能食、大便反堅、但頭汗出、所以然者、血虚而厥、 厥而必冒、冒家欲解、必大汗出、以血虚下厥、孤陽上出、故頭汗出。所以産 婦喜汗出者、亡陰血虚、陽氣獨盛、故當汗出、陰陽乃復。大便堅、嘔不能食、 小柴胡湯主之。
[巻下・婦人産後病脉證治第21・2] ◎千金〔三物黄芩湯〕治婦人在草辱、自発露得風。四肢苦煩熱、頭痛者、與小 柴胡湯。頭不痛但煩者、此湯主之。
[巻下・婦人産後病脉證治第21・12] ◎婦人中風78日、續来寒熱、発作有時、経水適断、此為熱入血室。其血必結、 故使如瘧状、発作有時、小柴胡湯主之。
[巻下・婦人雑病脉證并治第22・1] 小柴胡湯[1-6]《傷寒論》《中薬臨床応用》 「柴胡12g、黄芩9g、製半夏9g、党参6g、生姜6g、甘草3g、大棗6g」水 煎服。 ◎弛張熱 ◎往来寒熱。
小柴胡湯[1-7]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》 「柴胡・半夏各8.0g、黄芩・人参・大棗・甘草各区3.0g、干姜1.0g」 水480ccを以て240ccまで煮詰め、滓を去り、再び煮て120ccに煮詰め3 回に分服。 ★処方解説
A[方剤分類]・・・和解剤 B[八綱弁証]・・・裏熱実(中間からやや実)証・半表半裏証 C[六経弁証]・・・少陽病 D[衛気営血弁証]・気分
E[臓腑弁証]・・・肝欝化火・往来寒熱・胸脇苦満 F[方剤帰経]・・・心・心包・胆経。 G[効能・効果]・・疏肝解欝・和解半表半裏・清熱透表・和胃止嘔。 ◎胸脇苦満、往来寒熱、心下痞硬して嘔する者を治す《吉益東洞》
◎小柴胡湯証=胸脇苦満・往来寒熱。又いう、腹中痛。又いう、脇下痞硬《薬徴》 [往来寒熱]=悪寒と熱とが交互に出没すること。さむけがして寒気が止むと熱が出て、熱が下がってまたさむけがする。
小柴胡湯証=頚項強ばる。又云ふ、脇痛。《薬徴》(←大棗) ◎此方は往来寒熱、胸脇苦満、黙々不欲飲食、嘔吐、或いは耳聾が目的なり。《勿 誤薬室方函口訣》 ◎凡そこれらの証あれば胃実の侯ありとも柴胡を与ふべし。老医の説に、脇下と 手足の心と両処に汗なきものは、胃実の証ありとも柴胡を用いるべしとは、こ れの意なり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎総じて此方の之く処は両肋の痞硬拘急を目的とす。 ◎後世、「三禁湯」と名づくるものは、蓋し汗吐下を禁ずる処に用ゆる故なり。 ◎感冒・流感・結核性疾患その他の熱のある病気で、口が苦く、舌に白苔があっ て乾燥し、食を欲せず、或いは悪心or嘔吐のある者に用いる。又、熱が無く ても、胸脇苦満があって、食欲のない者にも用いる。《大塚敬節》 【腹証】 《腹診配剤録》 “凡そ柴胡湯類の腹状は、皆之を按ずるに力有り。而して此の小柴胡湯は、 胸脇下痞して、鳩尾に及ばず。或いは心下に微動有りて満つる也。”
小柴胡湯[1-8]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「柴胡7、半夏5、生姜4、黄芩・大棗・人参各3、甘草2」 ★適応症及び病名(五十音順)
[1]IgA腎症 ☆浮腫が無くて、発熱、悪心、食欲不振、胸脇苦満などのある者に小柴胡湯を用いる。(漢方診療医典) [2]アデノイド ☆一般にアデノイドの症候があり、腹診上胸脇苦満を認め、頸部リンパ節が腫れたり、神経過敏の傾向があるものによい。桔梗2,0g石膏5.0gとして用いる(漢方診療医典) [3]アレルギー性鼻炎 [4]アンギナ
☆2~3日をすぎて熱がなお冷めず、咽痛するものは桔梗2.0g石膏10.0g。体質が強壮のもので胸脇苦満がひどく、便秘の傾向のある者は大柴胡湯桔梗・石膏に大黄1.0gを加える(漢方診療医典) [5]イライラ [6]インフルエンザ [7]いんきんたむし [8]胃ケイレン
[9]胃炎 [10]胃潰瘍 [11]胃酸過多症 [12]胃酸欠乏症 [13]胃痛 [14]陰痿(青壮年の)
[15]陰部掻痒症: ☆身熱し、小便渋滞するを治す:「竜胆草・黄連・車前子」 [16]咽喉炎: ☆咽喉痛、頬腫、及び嘔する者:「連翹」各等分。《先哲医話》
[17]病(えつびょう)=暑気あたり [18]円形脱毛症: ☆「牡蠣」が良く効く。私は小柴胡湯牡蠣で、10数人の円形脱毛 症を治した経験がある。服薬期間は数ヶ月~1年くらい《大塚敬節》 ☆9歳男児。小柄で血症もすぐれないが、これというほどの大病に罹っ たことないという。ところが約1年ほど前から、頭にハゲが出来始め、 それがどんどん拡がるので、皮膚科の先生に注射と光線の手当を受け たが、少しも効無く、頭には数えるぐらいしか毛が無くなった。その 上、最近では、眉毛まで抜けたという。
そこで大人の半量の小柴胡湯に牡蠣2.0を加えて与えた。1ヶ月ぐ らいたつと、小さい毛がポツポツと生え始め、血色も良くなった。3 ヶ月ほどたつと黒い毛が大分生えてきた。6ヶ月ほどすると半分近く 毛が生えた。そこで小柴胡湯の中の柴胡を試しに除いて用いてみた。 するとどんどん勢い良く生えていた毛の発育が悪くなって、1ヶ月た っても、新しい毛が生えなくなった。そこで、また柴胡を入れて用い てみたところ、1年後には、10円貨幣大の禿頭が2つ残ったきりで、 真っ黒い毛が生えそろった。
そこで、もう大丈夫だろうと、服薬を中止していたところ、半年ほ どたつと、またポツポツハゲ始めてきた。そこでまた服薬を始め、こ んどは、全く生えそろってからも半年ほど服薬を続けた。
これですっかり円形脱毛症が良くなったばかりでなく、体格が見違 える程良くなり、よくいたずらが出来るようになった。《大塚敬節》
[19]おたふくかぜ [20]黄疸: ☆諸種の黄疸にして、腹痛、嘔吐を発する証《奥田謙蔵》 [21]悪心 [22]悪風: ☆悪風して時に発熱し、気鬱し、胸満感あり、汗出でて尿利減少する証 《奥田謙蔵》
[23]嘔吐: ☆陽毒傷寒、四肢壮熱あり、心煩、嘔吐止まざるを治す: 「麦門冬・竹葉」= 人参飲子《備全古今十便良方》 ☆肝炎・胆嚢炎・流感・猩紅熱・腎炎などの初期にみられる嘔吐に、こ の方が良く用いられる。腹証として、胸脇苦満・心下痞硬が認められ、 舌にはうすい白苔がつくことが多い。《大塚敬節》
☆乳幼児の風邪や急性胃腸炎などのさいに五苓散でなければ治らない嘔吐がくることがある。熱のある場合でも、熱がない場合でも、どちらでもよい。 はげしい口渇と尿利の減少があって、嘔吐を繰り返して訴える者を目標とする。嘔吐は1回に大量の水をドッと吐くのが特徴で、吐いた後で、水をほしがり、それを飲んでしばらくたつとまた吐く、吐くとまた水をほしがるので、このさい尿の出が少なくまいかをたずね尿利の減少があれば五苓散の適応症である。
多くの場合、1回または2回の服用で嘔吐が止み、口渇も無くなり、熱のある場合は発汗し、尿利が増加して下熱する。 また嘔吐に下痢を兼ねることもあり、嘔吐に腹痛を兼ねることもあり、嘔吐に頭痛を兼ねることもある。この場合でも口渇と尿利の減少を目標に用いる。(漢方診療医典)
[24]怒りっぽい(多怒) [25]唖(おし) [26]往来寒熱: ☆強い悪寒が来て、そのあとで熱が出る。その熱が下がってまた悪寒が 来て熱が出るという状態。《大塚敬節》 ☆往来寒熱は柴胡剤を用いる目標である。《大塚敬節》
[27]かぜ: ☆傷寒にて頭目疼痛し、発熱して焚(たく)るが如く、喘し、嘔吐し、利して赤 黄を洩らし、脉洪数にして力ある者を治す:「人参、羗活・葛根 ・芍薬」《軒岐救正論》 ☆感冒その他の熱病の初期に、悪寒、発熱の状がありそれが数日続いて 悪寒や悪風が無くなり、熱だけとなり、口が粘ったり、口が苦くなっ て、食欲がなくなったり、悪心が現れたりするようになれば小柴胡湯 を用いる。《大塚敬節》
[28]咳嗽: ☆熱嗽、痰濃く、鼻熱し、腥気あり。冷水を飲めばしばらく止む者を治 す。《雑病翼方》 ☆感冒・気管支炎・流感・肋膜炎・肺結核などで、鳩尾がつかえて食欲 が減少し、舌がねばり、或いは白苔がつき、或いは口が苦く、胸が重 苦しく、咳嗽する者に用いる《大塚敬節》 ☆熱嗽を治す:「人参一倍、青黛半面」《保命集》 ☆諸病差ゆる後の咳嗽唾沫はこれ肺虚なり:「人参・大棗・生姜、 五味子3.0g、乾姜2.0g」《本草衍義序列》《龍野》 ☆風邪胸脇に迫り、舌上白苔ありて、両脇に引いて咳嗽する者:「五 味子・乾姜」《本草衍義》 ☆婦人時行、寒に感じ咳嗽する:「人参大棗生姜五味子」《婦人大 全良方》 ☆《陳念祖》曰く、自註に云う、咳嗽に「人参五味子乾姜」。人多 く口に順って読み過げ。余は此れに於いて全書の旨を悟透し、治咳の 秘鑰を得たり。《雑病翼方》 ☆寒熱瘧の如く咳嗽甚だしき者:「葛根・草花・天花粉」《和田東郭》 ☆寒熱して脇痛み而して咳嗽する者は、肝熱が肺に移りたるなり:「 青皮・桑白皮」《万病回春》
[29]潰瘍性大腸炎 [30]喀痰(粘痰が出る) [31]肩こり: ☆肩から首にかけて凝る。 ☆食欲がない。 ☆白苔。
☆《傷寒論》には“傷寒にかかって4、5日たって、身熱と悪風があっ て、頸項が強ばり、脇下が満ち、手先が温かくて口渇のある者は小柴 胡湯の主治である”とあって、小柴胡湯を用いる目標に頸項強ばると いう症状がある。ところで、頸項強ばると言う症状は、葛根湯の項背 強ばるとその強ばる部位が違ってくる。項背強ばるとは、項部から脊 柱に沿って縦に強ばるのをいう。頸項強ばるとは、耳朶の後を下に下 って、鎖骨上または肩峰突起に向かって筋肉の強ばるのをいう。お よそ柴胡剤を用いる肩凝りは、小柴胡湯に限らず、大柴胡湯その他の 柴胡湯の場合でも、同じく、この頸項部の緊張が主となる。それと同 時に季肋下に膨満、抵抗を証明する。だからもし季肋下に膨満抵抗が あって、頸項強ばるの状があれば、柴胡剤を用いる肩凝りであると考 える。ただし呉茱萸湯証との鑑別が必要。《大塚敬節》 ☆肋膜炎・肺結核・肝炎・腺病体質・頸部リンパ節肥大などにみられる 肩凝りに用いる機会がある《大塚敬節》
[32]化膿症: ☆諸種の化膿性の疾患に用いる。その目標は胸脇苦満、発熱、口苦、食 不振などにある。《徐霊胎》は《古今医統》の中で“小柴胡湯は、瘰 癧、乳癰(乳腺炎)、便毒(横痃)、下疳および肝経分の一切の瘡瘍、発 熱、潮熱し、或いは飲食を思うこと少なきを治す”といっている。《大 塚敬節》 ☆「桔梗石膏」《湯本求真》 ☆下疳瘡、または便毒、嚢癰(陰嚢の腫れる病)等の類、凡そ前陰にある 病には、小柴胡湯を用いる。《医方口訣》
☆小柴胡湯は瀉肝湯の気持で下疳瘡の類に用いる。下疳瘡などで、頭痛、 発熱し自汗などのある時には、猶更のこと、この方に竜胆、延胡索な どを加えて用いる《老医口訣》
[33]体がだるい・重い [34]肝炎 [35]肝臓機能障害 [36]癇癪持ち [37]頑癬:「連翹・蒼朮・白藜」
[38]感冒: ☆伏暑、発熱汗渇、暑が心胞に入りて語たざるを治す:「茯苓」《万 病回春》 ☆傷寒にて発熱し、経水適々来たり、昼は則ち明白、夜は則ち譫語する 者を治す。これ熱、血室に入るなり:「生地黄」《古今方彙》
[39]気管支炎: ☆風邪が長引き、いつまでも微熱があり、のどが渇き、口が粘って食が 進まず、咳の止まらない者。
[40]気管支拡張症 [41]気管支喘息 [42]吃逆(きつぎゃく): ☆吃逆には、証に由り「橘皮竹茹湯」を合方す《奥田謙蔵》
[43]急性熱性病: ☆熱性病、胸痛あり、時に発熱、悪寒し、心下痞硬して嘔し、脈弦なる 証。《奥田謙蔵》 ☆熱性病、便秘し、時に譫語し、喘咳ありて嘔吐し、食欲無くて脈浮緊 の証《奥田謙蔵》 ☆熱性病、胸腹膨満を覚えて食を欲せず、若し食すれば嘔吐する証。《奥 田謙蔵》
[44]胸脇苦満<> ☆季肋下に膨満抵抗があること。 ☆胸脇部が脹って苦しい。 ☆帯を締めると苦しい《螺王人》 ☆ネクタイが嫌い・苦しい《螺王人》 ☆胸部膨満感ありて心悸亢進し、時時腹痛し、その脈沈遅なる証《奥田 謙蔵》 ☆柴胡の諸方は、皆能く瘧を治す。要は胸脇苦満を以て目的とすべし《類 聚方広義》 ☆何となく、季肋下に充満感があるという自覚症状だけのこともある《大 塚敬節》
[45]口が渇く(口渇) ☆口渇する者:「半夏。人参4.5gとし、括楼根4.0g」《龍野》 ☆渇するには:「知母・石膏」《古今方彙》 ☆肋膜炎で急激に浸出液が溜まり口渇する者:「石膏」《大塚敬節》
[46]口が苦い(口苦) [47]口の周囲が乾燥して赤い(小児) ☆13歳少年。下顎からあごにかけて、乾燥して赤く爛れ、舌でなめず りまわしていた。葛根湯を与えてみようかと考えたが、診察してみる と、舌も乾燥して白苔があり、最近食欲も減少しているという。胸脇 苦満は著明ではないが、みずおちにつかえる気味がある。こんな患者 に葛根湯を与えると、食欲がますます無くなり、舌も口唇も乾燥する 心配があってので、小柴胡湯を用いた。2週間ほどで治った。《大塚 敬節》
[48]首の筋が突っ張る(側頭部が多い) ☆側頸部~耳の回りの緊張・疼痛・熱感。 [49]車酔い [50]頸部リンパ腺炎
[51]頸部リンパ腺結核 [52]月経前緊張症 [53]元気がない [54]減酸症 [55]睾丸炎: ☆急性睾丸炎《大塚敬節》
[56]甲状腺腫 ☆急性甲状腺腫で、甲状腺が赤く腫れて痛み、熱のある者に桔梗石膏を用いて、2、3日で全治したことがある(漢方診療医典)
[57]更年期障害 [58]三叉神経痛: ☆この女性は、3年前に左の下顎部を中心にして、口腔内まで、激し く痛み、種々の手当も効無く、ついに歯科医にかかって、左側の下 顎部の歯を全部抜いてしまった。しかし疼痛は依然として続き、義 歯を作ったけれども、それをはめるとよけいに痛み、夜間も熟睡で きないという。
診察してみると三叉神経の第3枝の神経痛である。この患者は色 黒く、痩せてはいるが、筋肉質で、脈にも力があり、便秘している。 肩も凝り、頭も重い。そこで葛根湯に川芎3.0大黄3.0を加えて用 いた。これで大便は快通するが、軽快に向かう様子がない。桃核承 気湯にしたり、白虎加桂枝湯にしたりしてみたが、いずれも無効。 いよいよ困って、疎経活血湯にしたところ、初めて少しずつ軽快に 向かい、3ヶ月後には、義歯をはめられるようになり、10ヶ月後 には、ほとんど苦痛を忘れるほどに良くなった。けれどもまだ時々 痛み、またひどくなりそうだと云う。それに喘息の持病がこの頃起 きると云う。腹証上では軽い胸脇苦満があり、腹直筋もやや緊張し ている。そこで小柴胡湯葛根湯にし、大黄4.0を加えて用いたと ころ、初めてサッパリしたと云い、これを1年余り連用した。それ から3年になるが、再発しないでいる。小柴胡湯葛根湯とせずに、 柴胡桂枝湯大黄でも良かったのかもしれない。《大塚敬節》
[59]産褥熱: ☆婦人産後、敗血経に流れ、また能く人をして寒熱瘧の如く、暮れに 至れば則ち発し、発すれば則ち身痛み、杖を被るが如し。通経和血 の剤に宜し:「生地黄」=小柴胡加地黄湯
[60]COPD [61]ジンマシン [62]耳下腺炎: ☆急性耳下腺炎《大塚敬節》 [63]耳聾: ☆傷寒癒えて後、唯だ耳中啾啾として安からず、或いは耳聾累月復せ ざる者有り、此方を長服し可し。《類聚方広義》 ☆毒を解し、核を散ず:「桔梗石膏」《方読便覧》
[64]しもやけ [65]シャックリ [66]子宮付属器炎 [67]暑気あたり [68]食道ケイレン
[69]食欲不振: ☆一婦人、寒熱へだてて起こり、口苦く、咽乾き、頭痛し、食を欲せ ず、眼中に時に紅影を見るを治す。:「当帰・香附子・羚羊角」《方 読便覧》
[70]小児科: ☆小児の原因不明の熱。 ☆小児の心神不安。 ☆初生児、時時故なくして発熱、胸悸し、或いは吐乳する者は、之を 変蒸熱と称す。、此方に宜し。大便秘する者は、加芒硝湯に宜し。 或いは紫円を兼用す。《類聚方広義》 ☆小児食停に、外邪を兼ね、或いは瘧の如きを治す《勿誤薬室方函口 訣》 ☆小児の温熱は、悉く能く治療す《易簡方》
[71]猩紅熱 [72]視力障害 [73]自律神経失調症 [74]心下で動悸(心下悸) ☆心下悸し小便不利する「黄芩、茯苓4.0g」《龍野》
[75]心下痞硬 ☆脇下痞硬・・・大棗、牡蠣4.0g《龍野》 ☆心中飽満するには:「桔梗・枳殻」《古今方彙》 ☆心下痞満には:「黄連・枳実」《古今方彙》
[76]心煩 ☆胸中煩して嘔せぬ者:「半夏・人参、括楼実3.0g」《龍野》 [77]神経質 [78]神経性胃炎
[79]神経性の不食症(拒食症) ☆22歳の女性。5年ほど前に虫垂炎の手術をし、その後次第に痩せ てきた。ところが、約1年半ほど前から、米飯は1粒も食べられな くなった。何か食べると鳩尾に石のようなものが入っている様に感 じ、苦しくてたまらない。食事はリンゴとパンを1片ぐらい食べる だけである。便通は4、5日~10日も無いことがある。月経は1 月前から閉止している。体重は30kgになってしまった。患者は 某大学病院で、神経性のものだと診断されて治療を受けていたが、 最近では衰弱のため歩行困難になっていた。 足が冷え、肩が凝る。脈は沈遅弱である。血圧は最高が90。腹診 するに、腹部は一体に痩せて弾力がないのに、右の季肋下に抵抗と 圧痛がある。明らかに胸脇苦満である。それに正中線から少し左に よって臍上に膨隆した部分があって、やや抵抗がある。この患者は 古人が不食病と呼んだもので、脈からみると附子剤を用いる証のよ うに思える。私はかって、この女性に似た不食病の患者に附子理中 湯や真武湯を用いて失敗した経験を持っている。そこでこんどは附 子剤を警戒して、腹証によって小柴胡湯を用いた。
この患者は、小柴胡湯を1回飲むと、強い腹痛を起こして下痢し、 七転八倒したが、しばらくすると、その痛みがおさまり、3日目か ら米飯を3椀食べても平然としていた。
小柴胡湯で、腹痛、下痢を起こしたのは、古人が瞑眩と呼んだ良 い反応であった。《大塚敬節》 [80]神経痛 [81]腎炎
[82]腎盂炎 ☆膀胱炎の症状があまりなくて、往来寒熱、口苦、舌白苔、悪心または嘔吐、食欲がないを目標にする(漢方診療医典) [83]腎結石
[84]ストロフルス=ジンマシン様苔癬 [85]頭痛: ☆婦人、産後の頭痛にして、胸脇苦満を訴える証《奥田謙蔵》 ☆傷寒差ゆる後、更に頭痛壮熱あり、煩悶す。 ☆「茯苓山梔子」《内科摘要》 ☆「半夏人参薄荷石膏」《六要》
[86]精神分裂病 [87](せつ): ☆「フルンケル」、及びその類似疾患にして、往来寒熱を発する証《奥 田謙蔵》
[88]舌質 <紅> [89]舌苔 <薄白~白~白膩> [90]全身性エリテマトーデス 慢性期に入り、胸脇苦満の柴胡証を表しているときに用いる。血の証を兼ねたものには桂枝茯苓丸を合方する。ときに五苓散を合方することもある(漢方診療医典)
[91]喘息: ☆緩解期に飲むことで体質改善する:「半夏厚朴湯」or「麦門冬 湯」 ☆灸火を被り、発熱、喘息する者:「黒豆、牡蛎」《先哲医話》
[92]腺病質の体質改善 ☆胸腺リンパ体質の小児で、扁桃やリンパ節が肥大しているものに用い、体質を改善する効がある(漢方診療医典)
[93]そばかす [94]側頭部(の痛み・こり) [95]帯状疱疹 [96]唾石: ☆私自身が耳下腺に唾石が出来た例。それは昭和36年12/30のこと である。夕飯を食べようとすると、右ののどが、妙に突っぱる。お かしいなあと思っている中に、妻が「あなた大変ですよ。おたふく かぜのようですよ」という。頬に手をやってみると耳朶の前から下 にかけて、ひどく膨らんでいる。この部を按じてみると、弾力があ って、軟い。圧痛はない。食前までは、何ともなかったものが、食 事を始めて5分間位の間に、こんなに腫れたのをみると、唾石に違 いない。そこで早速、小柴胡湯梔子3.0・芍薬4.0を呑んだ。翌 朝はだいぶん腫れが取れた。食事をしても腫れは、前夜の半分くら いですんだ。そしてたった1日分で治ってしまった。石が出たよう に見えなかったが、それきり治ってしまった。《大塚敬節》
[97]多発性筋炎 ☆胸脇苦満、心下痞硬のある場合に用いる・血があれば桂枝茯苓丸などの駆血剤と合方する(漢方診療医典) [98]食べたくない
[99]だるい [100]胆石症(芍薬甘草湯) [101]胆道ジスキネジー(茯苓飲) ⇒biliary dyskinesia(胆道機能不全)(胆道運動失調症)
[102]胆嚢炎 [103]丹毒: ☆頭瘟(頭部の丹毒):「桔梗石膏」《方読便覧》 [104]中耳炎: ☆耳(テイジ、中耳炎)初起:「石膏」《方読便覧》 ☆外耳道炎よりも中耳炎に用いる機会がある《大塚敬節》 ☆葛根湯などを用いた後、疼痛は軽減したが、なお熱が残り、口が苦 く、食が進まず、頭が重いような場合に用いる《大塚敬節》
☆慢性中耳炎が感冒その他の原因で、炎症が強くなり疼痛を訴える者 に用いる《大塚敬節》 ☆乳幼児の中耳炎に、小柴胡湯、小柴胡湯石膏、柴胡桂枝湯などを 用いる機会が多い。《大塚敬節》 ☆乳幼児で突然、原因不明の高熱が出て、夜間など泣いて眠らない時 には、先ず急性中耳炎を疑ってみる必要がある。このような場合に は、また乳を吐いたり、飲食物を吐いたりする事も多い。これには 小柴胡湯石膏の証が多い《大塚敬節》
☆発病後数日を経過して、悪寒、発熱があり口苦く、舌に白苔があり、耳痛、難聴、膿汁の出るものに用いる。熱が強くて煩悶、口渇を訴える者には、桔梗3.0g石膏5.0gを加える(漢方診療医典)
[105]血の道症 [106]蓄膿症: ☆鼻淵初起を治す:「辛夷・石膏・薄荷」《方読便覧》 [107]腸チフス: ☆腸「カタール」等には、証に由り芍薬を加味し、或いは五苓散を合 方す。《奥田謙蔵》
[108]疲れやすい [109]伝染性単核症 [110]テンカン(癲癇) 「山城、淀藩の士人山下平左衛門は、《吉益東洞》先生に謁して曰く、「男ありて、生まれて5歳。唖にして癇、日に一発或いは再発す。虚(おう)羸憊して、旦夕斃(へい)を待つ。且つその悶苦の状は日一日と甚だし。父母の情として坐視するに忍びず。願わくば、先生の術に頼りて幸にひとたび起つを見れば、死すと雖も悔いなし」と。
先生は因って為に之を診す。心下痞、之を按じて濡。乃って大黄黄連湯とつくりて之を飲ます。百日ばかり。痞去りて癇は復発せず。而して胸肋妨張し、脇下支満す。唖は尚故の如し。又小柴胡湯及び三黄丸を作りて、之を與う。時に大陥胸丸を以て之を攻む。半歳ばかり。一日乳母、兒を擁して門に倚る。適々馬を牽きて過ぎる者あり。兒(こ)忽呼びて曰く「牟麻(むま)」と父母喜び甚だし。乃ち襁負(きようふ)して(=耳を疑いながら)倶に來り、之を先生に告ぐ。先生試みに糖菓を拈して、以てその呼を挑む。 兒忽ち復呼びて曰く「牟麻」と。父母以為(おもえ)らく「願いに過ぐ」と。踊躍(ようやく)して自勝せず。因って前方を服すること數月、言語卒に常の兒の如し。」《建珠録》
虚(おう)=身体が衰弱し弱々しい 羸憊=やせ衰え疲れ果てる 胸肋妨張=脇腹部分がふくれて使える病気 自勝せず=自分で自分を抑えられないほど喜ぶこと。
☆癲癇発作の襲来と小柴胡湯証の発現には密接な関連がある。小柴胡 湯証が消失したと思って、小建中湯に変方すると忽ち発作が起きて くる。発作の起る場合には必ず小柴胡湯証が出ているという風で油 断がならない。そこで胸脇苦満がなくとも小柴胡湯を続ける事とし た。私は癲癇のすべてが小柴胡湯証体質を基礎とするものなること を主張せんとするものではないが、少なくともある種の癲癇はこの ように小柴胡湯証患者の病態表現の一病状なることを確信するもの である。《相見三郎》 ☆小柴胡湯桂枝加芍薬湯で、白痴の智能の低い患者を除けばすべて 全治する《相見三郎》 ☆「黄連解毒湯」
[111]凍傷 [112]痘瘡(天然痘): ☆痘瘡、発熱甚だしくして、嘔する者は、宜しく之を服すべし《証治準 縄》 ☆痘瘡、貫膿収靨の間、身熱くが如く、胸満、嘔渇し、痒、煩躁す る者を治す。また収靨の後、余熱久しく解せず、前症の如き者も、亦 此方に宜し。《類聚方広義》
靨=エン、えくぼ [113]糖尿病 [114]禿頭=はげ [115]吐血: ☆男女の諸熱あり、出血し、血熱薀降す。吐血上焦にある者に属する 治法なり。《仁斎直指方》 [116]吐乳: ☆小児、乳食を吐し、発熱する証《奥田謙蔵》
[117]どもり [118]難聴 ☆かぜで熱があった後、あるいは咳嗽などが続いて難聴を起こしたとき、あるいは中耳炎後の難聴やアデノイドに伴うものなどにはこの証がある。多くの場合胸脇苦満を認め、心下部肝臓のあたりが硬く張っているので、この部のうつ熱うぃ冷ますと良くなるものである。うつ熱が激しく口渇があるものに石膏7.0g(漢方診療医典) [119]乳腺炎 [120]ネフローゼ [121]ノイローゼ [122]膿胸 [123]肺炎 [124]肺気腫 [125]肺結核 [126]梅毒: ☆黴毒残害を為す者は小柴胡湯を主とし、証に随って加減して、多く験 あり。《和田東郭》曰く、凡そ黴毒熱ある者、先ずその熱を解せざれ ば則ち癒えず。 ☆旧下疳瘡にて忽ち頭痛、発汗、自汗するを治す:「草竜胆・黄連・ 胡黄連」《医学綱目》 「下疳」=梅毒が陰茎、亀頭、包皮、女子大小陰唇、陰道などに生じ る病。 [127]はげ [128]はしか [129]発熱:
☆抗生物質を使用しても下がらない高熱。 ☆原因不明の熱にも《大塚敬節》 ☆瘧(=間歇性の悪寒・高熱・戦慄・汗出を特徴)、発する時、耳聾、 脇痛し、寒熱往来し、口苦、喜嘔し、脈弦なる者は、名付けて風瘧と 曰う。小柴胡湯之を主どる。《名医方考》 ☆男女諸熱出で、血熱して蘊隆なるを治す。剛痙の熱有るを治す。咽乾 喉塞、亡血家、淋家、衂家、瘡家、動気は、並に汗す可らず、皆此湯 を用いる。《仁斎直指方》 ☆伏暑、発熱し、汗し、渇し、暑心包に入り不語するを治す:「茯苓」 《万病回春》 ☆傷暑、外熱し、内渇するを治す:「茯苓・生姜」《仁斎直指方》 ☆瘧を截(つき)ること神の如し。《張景岳》 ☆瘧疾にて服薬して寒熱転ずること大なる者を治す。「知母・石膏・ 桂枝」《寿世保元》 ☆一男瘧を患うこと3年、昼発する者を治す。乃ち陰中の陽病なり。 :「柴胡・人参各倍加、白朮・川芎・禍根・陳皮。青皮・蒼朮」 《古今方彙》 ☆一男子、瘧を患うこと3年、夜発するを治す。乃ち陰中の陰病なり。 :「四物湯青皮」《医学正伝》 ☆12歳の男児。1ヶ月余り前から、午後になると、37、5℃の熱が 出て、元気が無く、だるがると云う。2、3の病院で詳しい診察を受 けたが、熱の原因が分からない。腹診上、胸脇苦満というほど季肋下 の抵抗を認めない。脈は浮ではなく、やや細である。悪風も悪寒もな い。
桂枝湯や葛根湯の証ともみえない。試みに小柴胡湯を与えてみる。 7日後に来院したのをみると、何となく血色がよく、元気である。熱 の方は下らない。引き続き3週間分を飲む終わる頃から、熱が37、 1℃ぐらいになり、食が進み、疲れを訴えなくなった。《大塚敬節》 ☆1貴人の小児、5、6歳。悪寒がして熱が出るという状態が数ヶ月も 続き、そのため痩せ衰えた。医は、これを疳労(小児結核)と云い、或 いは回虫のためだと診断して治療し、その他諸種の薬を用いたが、一 向に効がない。その後で、1人の医が、小柴胡湯を用いたところ、4、 5日もたたないのに、諸症が脱然として愈えた。これは面白いことだ。 前医はとかく、病の見立てが深くて薬が反って当たらず、後医は普通 のありきたりの常法を守って効を得たのである。《梧竹楼方函口訣》 [130]半身不随 [131]反芻症 [132]B型肝炎 [133]ひきつけ [134]微熱 ☆発汗を行いて後、発熱減退するも、未だ心身爽快ならず、時に腹痛甚 だしく、口乾きて嘔する証《奥田謙蔵》 ☆渇せず、外に微熱する:「人参、桂枝3.0g」《龍野》 ☆経水たちまち断ち、瘟邪内の搏ち、血結んで散せず、邪出路なく、昼 は即ち熱軽く、夜は即ち熱重く、譫語し、渇を発す。これ熱、血と 結ぶなり「半夏花粉・桃仁・紅花・牡丹皮・生地黄・犀角」を以 て破血し、邪を逐う。もし腹満して痛み、大便せざる者は、さらに「 大黄」で微に之を利すと。《傷寒翼方》 [135]百日咳
[136]風疹 ☆発疹後には、一般に小柴胡湯を用いる。頸部リンパ節腫脹、気管支炎、中耳炎などが併発した場合は桔梗石膏として用いる(漢方診療医典) [137]副睾丸炎 [138]副鼻腔炎(加桔梗石膏)
[139]腹水 ☆腹痛を主訴として入院した50歳の男性。肝肥大と腹水がみられ、軽微の黄疸もある。肝硬変の疑いで、某大学に入院して検査を受け、肝硬変症と診断されたが、2ヵ月の入院で、腹水は増加し、黄疸も強度になったので、退院して再び治を乞うた。そこで、小柴胡湯茵五苓散を用いたところ、1ヵ月あまりで、腹水も黄疸も消え、半ヶ年ほどで、愁訴は全くなくなり、2カ年あまりの服薬で、ほぼ全治した(漢方診療医典) [140]腹痛: ☆胸腹痛み拘急するに「小建中湯」を与えて癒えざるに此方を用いる。 ☆積気ありて風邪に感じ、熱裏に閉じて発せざれば、必ず心腹痛あり。 これ時積なりとて、その鍼薬を施して治せざる者、此方にて速やかに 癒ゆ。《勿誤薬室方函口訣》 ☆熱候なく、腹痛刺すが如く、嘔、渇ありて心煩し、脈沈なる証《奥田 謙蔵》 ☆腹中痛む者:「黄芩、芍薬3.0g」《龍野》 ☆胸腹に邪気留滞し、時に嘔せんとし、或いは腹痛し、小便不利なる者 :「黄連茯苓」
[141]副鼻腔炎 ☆それほど強壮に見えない人、またやや虚弱の傾向のある者によい。 桔梗・石膏各3.0gまたは苓桂朮甘湯(漢方診療医典) [142]浮腫: ☆全身浮腫を治した例 京師木屋街の魚店、吉兵衛の男、年15歳。通身洪腫し、心胸煩悶し、 小便不利し、脚殊に濡弱。衆醫效なし。
《吉益東洞》先生之を診す。胸脇苦満し、心下痞し、四肢微熱す。 小柴胡湯をつくりて之を飲む。3服を盡くして小便快利し、腫張髄い て減ず。いまだ10服に満たずして全く癒ゆ。《建珠録》 [143]船酔い [144]不眠症: ☆内熱甚だしく錯語し、心煩し眠るを得ざる者:「解毒湯」《万病回 春》 [145]偏頭痛 [146]扁桃炎 [147]扁桃肥大 [148]扁桃膿瘍
[149]便秘: ☆久しく大便せざる者、此方にて程良く大便通じ、病解するなり。上 焦和し津液通ずるの義なり。《勿誤薬室方函口訣》 [150]マラリヤ: ☆マラリア及びその類似疾患《奥田謙蔵》
[151]麻疹 : ☆麻疹、及び痘瘡等にして、煩渇甚だしき者には、証に由り石膏を加 味し、或いは白虎湯を合方す。《奥田謙蔵》 ☆麻疹発し、熱頗る解すも、余熱未だ解せず神色了了ならず、食未だ 進まざる者:「荊芥・防風・連翹」《麻疹心得続録》 ☆麻疹発して後、胸脇苦満、嘔吐、煩渇し、飲食進まざるを治す:「 桔梗石膏」
☆発疹後には一般に小柴胡湯を用い、順調なものはこれで治る。また微熱が続き肺結核の続発が考えられるような場合にもこの方尾w用いる。頸部リンパ節腫脹、気管支炎、中耳炎などが併発した場合は小柴胡湯加桔梗石膏として藻チル。小柴胡湯で効のない場合は、柴胡清肝散で奏功することがある(漢方診療医典) [152]慢性胃腸炎: ☆食欲なく、口苦く、白苔、悪心、嘔吐、胸脇苦満がある者。 [153]慢性肝炎 [154]慢性腎炎: ☆浮腫はないが、タンパク尿がある:「茯苓・黄連」
☆亜急性期または慢性化した腎炎で浮腫が無いかあっても軽度のものには、小柴胡湯茯苓3.0、黄連1.5を用いる(漢方診療医典) [155]耳鳴り: ☆感冒が治ったあと、耳管カタルを起こして、耳が塞がったものに用 いて良く効く:「香蘇散」《大塚敬節》
[156]目がくらむ [157]夜尿症: ☆小柴胡湯桂枝加芍薬湯《相見三郎》 ☆患者、29歳。眼をぎょろつかせて絶望そのもののような表情で診 察室に入ってきた男。しばらく口ごもっていたが、やがて思い切っ たように夜尿症だという。何時から始まったか、幼少年時代からだ ったのではっきり憶えはないが、深刻な悩みとしてこの病気と対決 したのは18歳頃からだった。毎夜、必ず寝小便をするので、寝床 を濡らさない朝というものが記憶にないと云う。そのため、東大病 院、有名病院を遍歴し、カテラン比薦骨内注射法、頸部交感神経切 除手術、果ては膀胱括約筋の縫縮手術までも受けたが、どれもこれ も全然来たい外れで寸効もない。最近は自律神経遮断剤をここ1年 半続けてきたが、主治医から、「どうかね、ちっとは効果がありそ うかね」と聞かれ、がっかりすると同時に憤然とした。一体医者は 自分を実験材料にして来たのか、1年半も通わせて今に至って、ち っとは効き目がありそうかとは何事だ。もう私は医者も病院も信用 しません。ただあなたを紹介してくれた人があまり親切だったので やって来て見たのだと云う。
本人は立派な会社員で結婚の話も時々あるし、恋愛も2、3度し たこともあるが、どれもいざ具体的な話となると、自分の病気のこ とを隠す訳にはいかなくなる。そのため、どれもこれも破談になっ てしまう。姉が1人居るが聾唖で結婚出来ないし、もう自分の代で 家系は断絶する覚悟をしていると、聞いているのがつらい程の話し。
診察すると、脈は緊張性で正常、舌は赤滑、便通は1日おき位、 小便は日中は特に近いという程でもない。頭痛と肩凝りを訴え、冷 え症で口渇もある。腹証を診ると左胸脇苦満と腹直筋緊張を触知す る。小柴胡湯桂枝加芍薬湯を10日分投与。
4/2日再診。初診時と打って変わって晴れ晴れとした表情でやっ てきた。服薬以来1回も夜尿しないと云う。長い年月毎朝蒲団の洗 濯をして物干し竿にかけてからでないと出勤出来なかったのに、こ の頃は毎朝乾いた蒲団を片づけてすぐ出勤できる。その愉快な気分 は何とも言えないという。《相見三郎》
[158]ゆううつ感 [159]癰疽: ☆脳疽、疽、熱赤腫する者を治す:「石膏」 [160]卵巣機能不全 [161]リンパ節炎 [162]リンパ腺炎: ☆6歳女児。頭痛と頸が痛いと云う。熱が39℃に近く、右の頸が腫 れている。医師に診てもらったら、リンパ腺炎であると云われた。 それから局部に氷嚢を当てて臥床した。その後、病勢は漸次熾にな り、腫脹と疼痛のために頸の運動が妨げられ、頭を左側に傾けた位 置をとり、起臥が楽に出来なくなった。熱は38℃より40℃の間 を往来し、時々悪寒がある。食欲は減退し盗汗が出る。発病後2週 間以上も経つが一向に良い方に向かず。不安に思って余の許を訪れ た。
主訴、右頸腺腫、疼痛、頭痛、食欲不振、盗汗、往来寒熱(熱は 最高40℃に至る) 現症、体格中等、栄養中等の女児。頸は左斜頸の位置を取り氷嚢 を当てて固定している。脈はやや数であるが著変はない。舌には一 面に白苔がある。扁桃腺の肥大なし、氷嚢を除いて診ると右頸腺部 が鳩卵大に腫脹隆起し、圧に対して過敏、波動を触れず、表皮の発 赤なし。腹壁厚くして弛緩す。臍傍に抵抗強き所ありて圧痛あり、 便通は秘結す。
小柴胡湯桔梗石膏を処方す。 経過、投薬後5日目、視察質に入るや非常に良くなったことを感 謝された。先ず頭は自由に動くようになり、頸部の腫脹は外観では 左右比較してほとんど分からない位になり、触診するとまだ指頭大 の硬い部分があって強く圧すれば痛い。熱は平熱になり、元気が平 常通りに回復した。今日は顔色冴え、相当肥っているし、腹にも弾 力が出てきた。便通はその後毎日1回自然排便がある。何もかも良 くなって前日とは見違えるようである。薬は前方を続けさせ、5日 で全快した。《木村長久》 [163]流感 [164]溜飲症
[165]流行性耳下腺炎 ☆2~3日経って耳下腺が腫れて発熱し、舌に苔ができ食欲があまりない者に用いる。桔梗石膏(漢方診療医典) [166]ルイレキ(瘰癧)=頸部リンパ節結核 ☆瘰癧には、証に由り石膏を加える《奥田謙蔵》 ☆肝経熱毒、下注便毒、腫痛、一切の瘡傷、或いは風毒、悪核、瘰癧 を治す:「大棗生姜山梔子・竜胆草・当帰・芍薬」《保嬰撮要》 ☆これは往来寒熱と腹証で用いる。瘰癧には柴胡剤を用いることが多 い。その症は往来寒熱して、胸脇へせまり、気分が悪く、衰弱して 労状になるものである。後世家ではこのような場合逍遙散を用いる。 もし労状になって、下痢し或いは羸痩などして、すっかり衰えた者 には、小柴胡湯よりも逍遙散がよいけれども、下痢もせず、むしろ 便秘し、羸痩もせず、まだ労状になりきらない者には小柴胡湯がよ い。《有持桂里》 ☆私は瘰癧で、自潰しないものには小柴胡湯夏枯草、または柴胡桂 枝湯夏枯草、または加味逍遥散貝母・夏枯草・括楼根・牡蠣・ 青皮を用いる。瘰癧も自潰して排膿しているような場合は、蓍帰建 中湯、内托散、十全大補湯などを用いる《大塚敬節》
[167]肋膜炎: ☆肋膜炎等には、証に由り「小陥胸湯」を合方す《奥田謙蔵》 [168]肋間神経痛 [169]ワイル病
Weil disease《黄疸出血性レプトスピラ病》 [170]わきばらが痛い: ☆肝気のために脇痛が起こり、手足がだるく、安眠出来ない者を治す。 :「川芎・当帰・白芍薬・蒼朮・青皮・草竜薈」。 ☆性急で怒りっぽい人の、脇痛:「川芎・芍薬・青皮」を煎じ、竜 薈丸で飲む。 ☆気欝から肝火を動かし脇痛する者:「黄連・牡蠣・枳殻」。 ☆血が肝に溜まり、脇下が疼痛し、触れると痛みが激しくなる。: 「四物湯桃仁・紅花・乳香」。
【副作用】 ★間質性肺炎: 「慢性肝炎の治療などに使われる漢方薬小柴胡湯を服用した患者が副作用で 死亡した問題で、製品の警告欄の新設や医療機関への注意喚起などを行っ た96年3月以降も、4人が死亡していたことが4日、厚生省の調べで明 らかになった。これで同剤を服用していた患者が肺炎を起こしたのは、9 4年1月以降、188例にのぼり、うち20人が死亡した。」1998.3.5《日 本経済新聞》
★田代真一・昭和薬科大学教授(漢方薬理学)1998.5.24《朝日新聞》 「72歳の女性。風邪で熱が出たとき、これまでは漢方薬の柴胡桂枝湯をよ く飲んでいました。しかし、この薬を本で調べたところ、副作用で死者が 出た小柴胡湯と成分が似ているようです。副作用の原因は何でしょうか? こんど風邪を引いたときに飲んでよいかどうか迷っています。(栃木・O)」 ●難しい名前の薬ですが、どういう治療に使うのですか? 「柴胡桂枝湯は頭痛や寒気のひどい風邪などに使います。小柴胡湯はもとも と肺炎などに使っていましたが、肝臓の働きを改善する効果が証明され、 慢性肝炎の治療にも使うようになりました。」
●薬の成分は似ているのですか? 「混ぜてある生薬に共通のものがあるので似ています。小柴胡湯は7の生薬 を混合していますが、これに別の2種の生薬を加えたのが柴胡桂枝湯です。 ●問題になった小柴胡湯の副作用とは? 「小柴胡湯は慢性肝炎への効果が認められて漢方薬の中では一番使われてい ます。厚生省の調べでは、服用した人がまれに間質性肺炎という重い肺炎 にかかり、中には呼吸困難で死亡した人もいたことが判ったのです。」
●副作用の原因は何ですか? 「いくつかの原因が推定されるだけで、まだ突き止められていません。組織 的な原因究明をする必要があります。厚生省がこの3月に出した医薬品安 全性情報では「アレルギーと推定される」としています。食物アレルギー で、ひどい場合にはショック死する人がいるように、薬でもひどいアレル ギーが起きることがあります。
ただ、間質性肺炎になった人の中で追跡調査の出来た66例でアレルギ ー反応を試したところ、はっきりした陽性は3割ほどに過ぎませんでした。
●アレルギーの他にどんな可能性があるのですか? 「私は小柴胡を飲んだ人がかかった間質性肺炎に中には、全く原因不明で起 きる『特発性間質性肺炎』もあるのではないか、と考えています。間質性 肺炎は普通、副腎皮質ホルモンを与えると治るのですが、発症後の治療を 調べることが出来た9例の死亡例は、いずれもこの治療を受けていたにも 関わらず、治らなかったからです。
●原因が分からないと不安ですね? 「漢方は患者の症状に見合う処方を大切にしますので、「本来飲むべきでな い人が服用したのではないか?」という見方もあります。また、生薬の何 らかの成分が害を引き起こした可能性もまだ否定できません。
●柴胡桂枝湯は大丈夫なのですか? 「小柴胡湯と共通する生薬を含むので、同じ害が起きる可能性は皆無ではあ りません。しかし、これまでのところ、そうした報告はありません。万一、 小柴胡湯と同じ程度の危険性があるとしても、薬による利益がはるかに大 きいので、恐れすぎることはありません。小柴胡湯で間質性肺炎になった 頻度は高めに診ても1/10000で、この頻度は、インターフェロンが間質性 肺炎を起こす1/500という頻度と比べて著しく低い(20倍低い)と言 えます。風邪で長期に飲む訳ではなく、あまり心配することは無いでしょ う。 ●柴胡桂枝湯を飲むときはどんなことに注意すればよいでしょう? 「間質性肺炎の兆候は、 タンがないのにコンコン咳きをする。 ちょっと動くとすぐ息切れする、 微熱がある、といったことです。 風邪の場合に、もともと出がちな症状なのですが、飲み続けてもこうし た症状がおまらない場合は、間質性肺炎の恐れがあります。すぐ医師に相 談してください。間質性肺炎と分かっても、すぐにきちんとした治療をす ればまず大丈夫です。」
(参照→病状:『特発性間質性肺炎』) 【加減】 山梔子・牡丹皮=「加味小柴胡湯」 小柴胡湯加桔梗石膏 ★適応症及び病名
[1]咽痛 [2]咽喉化膿 [3]往来寒熱 [4]感冒 [5]胸脇苦満 [6]首の横が緊張・疼痛・熱感あり [7]頸部リンパ腺炎 [8]口渇<> [9]口苦
[10]高熱 [11]耳下腺炎 [12]心下痞硬 [13]心煩 [14]のどの痛み(咽痛) [15]肺炎 [16]百日咳
[17]扁桃炎 [18]扁桃周囲炎 [19]癰疽 小柴胡湯合桂枝加芍薬湯《漢方治療の実際》 「小柴胡湯桂枝4、芍薬6」
小柴胡湯合香蘇散《漢方治療の実際》 =「柴蘇飲」 「小柴胡湯香附子4、蘇葉1、陳皮2.5」 小柴胡湯合半夏厚朴湯《漢方治療の実際》 =「柴朴湯」
「小柴胡湯厚朴3、蘇葉2、茯苓4」 ★適応症及び病名(五十音順) (参照á柴朴湯) 小承気湯[1-1]《傷寒論》 「大黄(酒洗)4両、厚朴(炙去皮)2両、枳実(大者炙)3枚」 右三味、以水四升、煮取一升二合、去滓、分温二服。初服湯當更衣、不爾
者盡飲之。若更衣者、勿服之。 ◎陽明病、脉遅、雖汗出不悪寒者、其身必重、短気、腹満而喘、有潮熱者、此外 欲解、可攻裏也。手足然汗出者、此大便已也。大承気湯主之。若汗多、微 発熱悪寒者、外未解也。其熱不潮、未可與承気湯。若腹大満不通者、可與小承 気湯、微和胃氣、勿令至大泄下。大承気湯。方二。 ◎下利譫語者、有燥屎也、宜小承気湯。 ◎陽明病、潮熱、大便微者、可與大承気湯。不者、不可與之。若不大便六七 日、恐有燥屎、欲知之法、少與小承気湯、湯入腹中、轉失氣者、此有燥屎也、 乃可攻之。若不轉失氣者、此但初頭、後必溏、不可攻之、攻之必脹満不能食 也。欲飮水者、與水則、其後発熱者、大便必復而少也、宜小承気湯和之。 不轉失氣者、愼不可攻也。
◎太陽病、若吐、若下、若発汗後、微煩、小便數、大便因者、與小承気湯、和 之癒。 小承気湯[1-2]《傷寒論》《東醫寶鑑》 「大黄4銭、厚朴・枳実各1銭半」水煎服。
◎傷寒の裏症に少し熱があり、脹満する者。 │処方 │厚朴 │枳実 │大黄 │適応症 │ │厚朴三物湯 │ 8両 │ 5個 │ 4両 │腹部滿痛・秘結
│ │ 小承気湯 │ 2両 │ 3個 │ 4両 │陽明腑実、大便秘結、潮熱譫語 │ │厚朴大黄湯 │ 1尺 │ 4枚 │ 6両 │子飲胸滿 │
小承気湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》 「大黄(生)12g(後下)、厚朴6g、枳実9g」水煎服。 ◎腹満して大便硬き者を治す。《吉益東洞》 ◎此方は胃中の邪気を軽く泄下するなり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎本論にては燥屎に有無を以て二湯の別とす。燥屎の侯法、種々あれども、その 的切は、燥屎あるものは下を按じて物あり。これを撫ずれば肌膚乾くなり。 燥屎と積気と見誤ることあり。これはくるくるとして手に按じて大抵知るなり。 燥屎は按じて痛み少なく、積は痛んで自ずから発きさめあり。且つ、下焦にあ るのみならず、上中焦へも上るなり。此の侯無くして潮熱譫語する者、此方に 宜し。《勿誤薬室方函口訣》 ◎後世にて、 <1>大承気湯:三焦痞満を目的とし、
(小承気湯芒硝=大承気湯) <2>小承気湯:上焦痞満を目的とする。 ◎参照á厚朴三物湯 ◎厚朴が筋肉を弛緩させるので、厚朴枳実が入った処方は、筋肉の緊張が良い 事が目標となる。《大塚敬節》
小承気湯[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「大黄・枳実各2、厚朴3」 ★適応症及び病名(五十音順) 嘔吐: ☆便秘して嘔吐する者で、実証の者に用いる。便秘して嘔吐する者でも、 腹膜炎・腸捻転などのさいは、多くは虚証で、この方を用いることはほとんど無い《大塚敬節》☆丸田町堀川西、俵屋伝右衛門、寡婦、歳50余、7月中旬、霍乱を患う。癒えて後、ただ嘔止まず、連綿30数日、百方をつくして効無し。時に残暑灼くが如く。多日不飲する者故に、羸痩甚だしく手足厥冷、脈沈微、凡そ食物或いは湯薬、辛酸甘苦の類、皆受けず、如何ともすることなし。とくとその腹を診するに、右脇肋骨の際、鳩尾を去ること2寸ばかりに当て、積塊手に応ずる者あり。予思えらく、大腸中の燥屎なり、下道の塞がる故気通ぜずして、上へ還り嘔するとして、強いて嘔を忍て小承気3貼を服せしむ。はじめ甚だ苦渋入り難けれども強いて服せしむ。或いは嘔し或いは収まり、遂に燥屎数塊を下す。朝に服して夕に嘔頓に止み、靡粥調理、数日にして安し。《梧竹楼方函口訣》☆《傷寒論》に“嘔の多いものは、陽明の証(腹満・便秘)があっても下してはいけない”とあるが、大便がつまって、嘔吐の止まない場合に、承気湯類を用いることがある《大塚敬節》[1]脚気:☆脚気等にして腹満し、便秘する証《奥田謙蔵》[2]急性大腸炎:☆急性大腸「カタール」にして、腹痛、裏急後重甚だしく、腹満感去らず、脈実にして、舌に黄苔ある証《奥田謙蔵》[3]胸腹部が脹って苦しい[4]下痢:☆痢の初発、積気甚だ盛にして、腹痛忍び難く、或いは脹悶を作し、裏急後重し、しばしば圊に至るも、而も通ずること能わず、窘迫すること甚だしきを治す《入門良方》
(圊=セイ、便所)(窘=キン、苦しむ)[5]高熱、譫語[6]口渇[7]しゃっくり:(吃逆)☆大便通ぜず、噦数なるを治す《雑病翼方》☆吃逆を発し、或いは譫語し、便秘して脈沈実なる証《奥田謙蔵》☆傷寒、噦逆の症は、熱閉、邪実に属する者有り、寒飲、精虚に属する者有り、又蚘虫に因る者有り、宜しく精診甄(ケン)辮し、以て方を措く べし。世医皆吃逆を懼(オソレ)る。故にひとたび噦症をみれば、則ちもて胃寒、虚脱と為し、概ね吃噦の剤を用いる。祖は謂う可し。王宇泰は瀉心湯、小承気湯、調胃承気湯、桃仁承気湯等を用い、龔廷賢は、黄連解毒湯、白虎湯を用いる。具眼の士と謂う可し。《類聚方広義》☆この方は、大便が出ずに、腹満して、吃逆を発する者を治す剤である。ただ、注意しなければいけないのは、便秘・腹満があっても、脈の微弱の者には用いない。例えば、腹膜炎や腹水があって、腹満・便秘のあるような患者が吃逆したからといって、軽率に小承気湯を用いてはならない。小承気湯は実証に用いる方剤であるから、腹満も弾力のある充実した状態であり、脈にも力がなければならない。《大塚敬節》☆これは不大便が目的なり。主治に譫語を云ってあれども、それには拘わらざるなり。およそ噦ある者、是を診するに、腹微満して不大便する者ならば、此方を用るなり。この金匱の主治は正しけれども、今これを活用して胃中に欝熱あると思う者に用ゆ。その処に此方を用て効を得ること多し。そのときは譫語や舌苔に拘わらずして、ただ腹候と不大便とにて用ゆべし。余もと此方を拡充して用ひしは噦の奇方に平胃散(厚朴が筋肉の痙攣や緊張を緩解せしめる)を用ひありて珍重するあり。京師の大家の医におごそかに此方を用る人などあり、なるほどこれをみるに、いかにも効験あり、因って謂ふに、噦に胃中の欝塞より来るものあることを、しからば、とてものことならば、平胃散より承気湯を用るがその効速かなるべしと按じて、後この症に会ひて、承気湯を試みるしに、果たして即効あり。理中湯・四逆湯・呉茱萸湯のの反対と見えたり。さて平胃散、効あるの方といへども、ただこれを噦の妙剤と覚えたるもの笑ふべし。《有持桂里》[8]消渇:☆消中、熱胃に在りて能く食し、小便赤黄なるを治す。微しく之を利せば効を為す。多利すべからず。此の薬を服して漸々と之を利し、多食 を欲せざれば則ち癒ゆ。《雑病翼方》[9]頭痛:☆頭痛甚だしくして便秘し、腹部緊満、尿黄赤色なる証《奥田謙蔵》[10]舌苔:暗黄色[11]パーキンソン病:☆「+芍薬甘草湯」《大塚敬節》[12]熱性病:☆諸般の熱性病、胸腹部膨満し、二便にわかに閉止し、煩悶、躁擾して安からず、その脈実なるも、尚少しく浮の傾向ある証《奥田謙蔵》[13]中風:☆「+小続命湯」《潔古》☆中風の九竅に閉じ、唇緩やかに舌強ばるを利す。:「+羗活」《活用機要》[14]手足厥冷:☆少陰病、手足厥冷し、大便秘し、小便赤く、脈沈にして滑なるは、小承気湯なり。《傷寒諸論》[15]痘瘡:☆痘、冷を飲みて食に傷られ、腹痛甚だしき者を治す。《奥田謙蔵》[16]吐乳:☆小児の吐乳症にして、腹満し、便閉する証《奥田謙蔵》[17]尿淋瀝:☆尿淋瀝し、便秘の傾向あり、或いは血尿を漏らし、下腹部緊満、疼痛し、脈沈実なる証《奥田謙蔵》[18]煩躁:☆吐瀉の後、大熱煩躁し、脈緊実なる証《奥田謙蔵》[19]便秘:☆腹部が全般的に膨満して弾力があり、脈にも力があって、便秘しているときに用いる。しかし腹膜炎や腹水などがあって、膨満している時は用いてはならない。《大塚敬節》☆感染性疾患で、便秘する者。☆発熱性疾患で、便秘する者。
☆発汗過多、流汗止まず、便閉して煩悶、擾乱し、その脈実なるも、尚少しく浮を帯びる証《奥田謙蔵》☆大便秘結し、下腹部微満、緊実なる証《奥田謙蔵》
☆パーキンソン氏病などにくる便秘に用いる機会がある。《大塚敬節》 小省風湯《東醫寶鑑》「防風・天南星(炮)各2銭、半夏製・黄芩・甘草各1銭」剉作し、1貼に姜10片入れ水煎服。導痰湯と合わせて煎じて飲むとさらによい。◎風を散らして痰を除いて火を降ろす。◎卒中風で人事不省になり熱がないとき。
小省風湯《和剤局方》《古今方彙》「防風・天南星各4両、黄芩・半夏・甘草各2両、生姜」煎服。導痰湯と合して服すれば尤も妙なり。◎卒中風、口噤、口眼喎斜、筋脉攣急、抽掣疼痛、風盛痰実、旋暈僵仆、頭目眩重、胸膈煩満、左癱右瘓、手足麻痺、骨折煩疼、歩履艱辛、恍惚不定、神志昏憒、一切の風症を治す。
◎此方は風を散じ、痰を豁き、火を降ろし、標本兼ねて治する者を謂う可なり。 小参蘇飲《東醫寶鑑》「蘇木2両」を切って、水2杯で1杯まで煎じ、人参(細末)を入れて呑む。
◎産後の敗血が肺に入って、顔色黒く、喘促を発して死にかかっている者。 小清空膏《東醫寶鑑》「片芩」細切りにし(酒浸)し作末、茶清で2銭調服。◎風・湿・熱の偏・正頭痛を治す。
小清脾湯《東醫寶鑑》 「厚朴2銭、烏梅肉・半夏・青皮・良姜各1銭、草果・甘草各5分、姜3、棗2」水煎服。 ◎胃瘧を治す。
小青竜湯[1-1]《傷寒論》「麻黄(去節)・芍薬・細辛・乾姜・甘草(炙)・桂枝(去皮)各3両、五味子半升、半夏(洗)半升」 右八升、以水一斗、先煮麻黄減二升、去上沫、内諸薬。煮取三升、去滓、温服一升。若渇、去半夏、加栝楼根三両、若微利、去麻黄、加芫花、如一鷄子、熬令赤色。若噎者、去麻黄、加杏仁半升、去皮尖。且芫花不治利、麻黄主喘、今此語反之、疑非仲景意。
◎傷寒、脉不解、心下有水氣、乾嘔、発熱而欬、或渇、或利、或噎、或小便不利、小腹満、或喘者、小青竜湯主之。 ◎病溢飲者、當發其汗、大青竜湯主之、小青竜湯亦主之。
「心下有水氣」→細辛 小青竜湯[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》=「温肺化飲湯」「麻黄6g、桂枝6g、白芍薬6g、細辛3g、乾姜6g、五味子3g、製半夏6g、甘草(炙)3g」水煎服。◎肺寒による呼吸困難、咳嗽。
小青竜湯[1-3]《傷寒論》《東醫寶鑑》 「麻黄・芍薬・半夏(製)・五味子・各1銭半、細辛・乾姜・桂枝・甘草(炙)各1銭」水煎服。此の湯を飲むと裏気が温かく、水気は散る。◎傷寒が散らず、心下に水気があって乾嘔逆し、気逆による発熱、咳嗽・喘息する者。
小青竜 湯[1-4]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》「麻黄・芍薬・細辛・乾姜・甘草・桂枝・五味子各3.0g、半夏8.0g」水400ccを以て麻黄を煮て320ccに煮詰め、上沫を去り、他の諸薬を入れ煮直し120ccに煮詰め、3回に分服。
◎咳喘上衝し、頭痛発熱し、悪風乾嘔する者を治す。《吉益東洞》◎咳、喘、上衝、頭痛、発熱、悪風し、或いは乾嘔する者を治す《方極附言》◎此方は、表不解而心下水気ありて、咳喘する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎又、溢飲の咳嗽にも用いる。《雑病論識》「溢飲」=汗出でずして、水気四肢に帰して、身体疼重を致す等の証。<1>大青竜湯:溢飲、身体疼痛、汗出でず、拘急痛を治す。<2>小青竜湯:溢飲、支飲、倚息、臥を得ず、及び喘満するを治す。◎その人、咳嗽喘急、寒暑に至れば必ず発し、痰沫を吐いて臥すること能はず、喉中しはめくなどは、心下に水飲あればなり。此方に宜し。◎此方を諸病に用ゆる目的は、痰沫、咳嗽、無裏熱の症を主とす。もし老痰になりて熱候深き者は、「清肺湯」「清湿化痰湯」の類に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
◎《大塚敬節》「心下水気」の具体的症状:発作の起こらんとする前に水様性の鼻汁を流して、しきりにクシャミをする者。頻々尿意を催す者。喀痰がからまって喘鳴のある者
◎小青竜湯は表に邪があって、裏に水毒にあるものに用いられる。 多くは平素から胸脇に水毒のあるものが、外邪に誘発されて起こる諸種の症状を治する。このような患者は感冒にかかると、気管支炎または喘息性気管支炎をおこして、咳嗽が頻発し、喘鳴、息切れを訴えて、泡沫様のタンを喀出する。桂皮は麻黄と組んで、表邪を去り、麻黄、細辛、半夏は水毒を去り、利尿の效があり、乾姜は裏の寒を去り、五味子は麻黄、細辛とともに咳嗽を治する。芍薬は桂皮と組んで、血行を促し、うっ血を去る《漢方診療医典》
小青竜湯[1-5]《傷寒論》《漢方治療の実際》「麻黄・芍薬・乾姜・甘草・桂枝・細辛・五味子各3、半夏6」
★適応症及び病名(小青竜湯)[1]アレルギー性鼻炎:☆毎年、秋から冬にかけて定期的にクシャミと鼻漏が出る女性に、冷え症で、小便が頻数で、心下部が硬く、水様性の鼻汁が出るというのを目標にして、小青竜湯を用いて著効を得た。
☆心下部に水飲があって、表の邪気を伴い、この水飲が動揺して上昇し、クシャミの頻発、鼻汁過多となり、甚だしい時には涙が出てよだれが流れ出す《漢方診療医典》[2]インフルエンザ(流感)[3]胃液分泌過多症
[4]胃酸過多症[5]胃内停水:☆胃内に停水あり、頭重く、身体疼痛し、悪寒あり、脈浮細なる証。《奥田謙蔵》☆ヘソの両側の腹直筋が緊張し、胃のあたりを叩くとポチャポチャと音がする(=胃内停水or胃部振水音)。[6]悪寒:☆(背中で悪寒を感じる)☆少陰表寒の治法なり:「+附子」《傷寒翼方》[7]咳逆倚息[8]咳嗽:☆喘咳し、心下満ち、時々発熱し、脈やや浮なる証。《奥田謙蔵》☆咳逆し、微喘し、心下部痞満し、尿不利にして脈数、或いは乾嘔し、或いは眩暈を発する証。《奥田謙蔵》☆脚気肺に迫り、人をして喘嗽せしむ:「+檳榔」《証治要訣并治類方》☆咳嗽頻発し、呼吸促迫し、逆上甚だしく、脈浮大にして力ある等の者には、証に由り本方に石膏を加える。《奥田謙蔵》☆呼吸困難がなくて、しきりに咳の出る者にも用いる《大塚敬節》[9]喀痰あり☆咳をして、泡沫状の痰を吐く者が目標になる《大塚敬節》
[10]間質性肺炎 小青竜湯には軽度の強心作用が認められる。咳、水様の痰を目標に用いる。《漢方診療医典》[11]寒嗽:☆《柯韻伯》、咳嗽を治するに、冬夏を論ぜず、浅深に拘わらず、ただ是れ寒嗽は倶に小青竜湯を用い、多く効あり。☆《尤在徑》曰く、これ寒を散じ飲をのぞく神剤なり。[12]関節炎(浮腫性)[13]関節水腫[14]感染症[15]感冒(かぜ):☆感冒で頭痛・発熱・悪寒の表証があると同時に、腹痛・下痢の裏証があって、咳をする者に小青竜湯の証がある。これを用いて、表邪を散ずるとともに裏の水をさばくから治る《大塚敬節》[16]気の上衝
<++>☆上気煩躁あれば:「+石膏」《勿誤薬室方函口訣》[17]気管支炎:☆急性気管支炎で、のどがゼイゼイして、咳と共に泡のようなタンが出る者☆気管支炎にして、微熱有り、腹満を自覚し、口渇を訴え、心下部膨満して咳喘を発し、背部に悪寒を感じる証。《奥田謙蔵》
☆咳が頻発し、喘鳴を伴うこともあり呼吸が苦しくて泡のような痰の出る者によい。早朝に咳のためか顔が浮腫状になっている者は小青竜湯を用いる目標である《漢方診療医典》[18]気管支拡張症[19]気管支喘息:☆呼吸困難が強く、口渇があり、額に汗が出て起座呼吸し、痰がほとんど出ない者:「麻杏甘石湯」《中医処方解説》☆咽で喘鳴、痰の音がする:「射干麻黄湯」《中医処方解説》☆この方を気管支喘息に用いるときは、発作時ばかりでなく、発作の収まっている時にも永く続けていると、発作を防ぎ全治に至らしめることが出来る《大塚敬節》
☆気管支喘息には小青竜湯の応ずるものが多いが、痩せて貧血し、腹部は軟弱無力で胃部に振水音を証明し、食欲不振を訴え、手足が冷え、脈が微弱であれば、小青竜湯や麻杏甘石湯などの麻黄剤を用いない方がよい。もし誤ってこれを与えると、全身の疲労感が甚だしくなり、呼吸困難がかえってひどくなることがある。《大塚敬節》
☆“心下水気”を胃内停水と考えて、小青竜湯の腹証に胃の振水音をもってくるけれども、気管支喘息では小青竜湯の効く場合には、胃部の振水音を証明出来ないことが多い。《大塚敬節》☆15歳の少年。中肉中背で、腹部に胸脇苦満はなく、また腹直筋もさほど緊張していなかったが、発作の前には、風邪をひいたような状態になって、クシャミと水ばなが出る。そして間もなく呼吸が苦しくなる。そうなると、4、5日は学校を休まねばならなかった。そんなことが気候の変わり目によく起こった。
私はこれに小青竜湯を与えた、これを飲むと気持が良く、発作が起こらないというので、2年ほど飲み続けた。それから10年あまりになるが、いまだに発作は起こらない。《大塚敬節》
☆気管支喘息の患者に小青竜湯を与えたところ、ひどい子宮出血を起こし、それきり喘息が治った《漢方診療医典》 ☆発作の起こる前兆としてしきりにクシャミをして水様の鼻汁を流し、だんだん呼吸が苦しくなるという患者にには小青竜湯の証が多い。また発作の前駆症状として、頻繁に尿意を催し尿が出る。このような状態に引き続いて発作の起こる場合もあり、これも小青竜湯を用いる目標である。《漢方診療医典》
☆小青竜湯を用いる場合には腹証に注意すると良い。一般に患者の腹直筋が緊張していることが多く、ことに上腹部で腹直筋を硬く触れることが多い。《傷寒論》に小青竜湯の条下に“心下水気あり”とあるがこれは胃部に振水音があるという意味ではないので、振水音を証明しなくても小青竜湯を用いて良い。もし煩躁状態があれば石膏5~10g/日加えるとよい《漢方診療医典》
[20]気管支肺炎[21]吃逆(きつぎゃく)=シャックリ[22]急性上気道炎[23]急性鼻炎 ☆鼻水やクシャミが頻繁に出て、鼻水過多症となっているものによい。分泌物は水様稀薄のことが多い。脈は浮で上衝気味のものである《漢方診療医典》[24]胸水
[25]筋肉リウマチ[26]クシャミ[27]結膜炎 ☆心下に水飲があって、その上方または表にあふれ出て、結膜に炎症、充血を起こし、流涙がはなはだしく、浮脈の傾向がある。溢飲の証の1つ。アレルギー性結膜炎にもよい。《漢方診療医典》[28]下痢:☆脈促にして頭重く、喘咳して熱し、尿不利にして下痢し、或いは少しく裏急後重の状ある証。《奥田謙蔵》[29]口渇:☆肋膜炎で急激に滲出液が溜まり口渇する者:「+石膏」《大塚敬節》[30]肛門掻痒
[31]呼吸困難:☆気管支喘息・気管支炎・肺気腫などから来る呼吸困難に用いる《大塚敬節》☆小青竜湯を与えて却って、病勢が増悪して、咳がひどく出るようになった患者がある。1例は30歳位の男性で、1人は30歳位の女性であった。2例とも刺激性の激しい咳と、発作性の呼吸困難を起こしていた。私はこれに小青竜湯を与えたが、1、2日の服用で、咳がひどくて夜も眠れなくなったといって服薬を中止した。考えてみるに、これらの患者には地黄や麦門冬などの滋潤剤の配剤せられた処方を用いなければならなかったのに、逆に小青竜湯で水を去って乾燥せしめたから、却って咳がひどくなったものであろう。小青竜湯は“心下水あり”という者を目標にしているが、これを単に胃内停水と狭く考えてはならないと痛切に感じた、《大塚敬節》
☆ある程度の腹力のある者に用い、腹部の軟弱無力のものには用いないのがよい《漢方診療医典》[32]昏倒=めまいがして倒れること。 [33]シャックリ[34]自汗:☆胸痛、頭疼、悪汗、汗出ずるに発汗剤を与ふること禁法なれども、咳して汗ある症にやはり小青竜湯にて押し通す症あり。麻杏甘石湯を汗出ずるに用ゆるも此の意なり。一老医の伝に、此の場合の汗は必ず臭気甚だしいと。一徴とすべし。《勿誤薬室方函口訣》[35]湿疹:☆気管支喘息の患者のジンマシンに:「+石膏」《大塚敬節》[36]湿性肋膜炎[37]上腹部振水音:☆喘息の持病のある人は、胸膈部分の筋肉の発達している者が多く、腹直筋などは上半分がことに強く発達して拘攣し、振水音の証明は不可能である。《大塚敬節》☆長年喘息に苦しみながら、しかも腹部が軟弱無力で振水音の証明が可能であれば、かなりの虚証であるから、うかうかと小青竜湯を用いてはならない。このような者に私は六君子湯、喘四君子湯などを用いる。《大塚敬節》[38]少腹満[39]人事不省[40]神経痛
[41]腎炎(急・慢性)☆急性腎炎で熱があり、尿量減少と浮腫がある者。☆腹診すると、ヘソの両側の腹直筋がピーンと突っ張っている。☆慢性腎炎にして、喘息を発し、尿中タンパクを認める証。《奥田謙蔵》[42]心痛:☆悪寒発熱し、外因の心痛、五臓を内攻し、拘急して転側を得ず:「-五味子+附子」《奇効良方》[43]頭重[44]頭痛[45]喘息:☆季節の変わり目、前線通過の前後に発作を引き起こす者。☆発作の前にくしゃみ・鼻水が出て、呼吸が苦しくなる者。☆喘息にして、表証尚あり、頭痛、微熱し、脈浮細或いは浮弱にして、時々泡沫様希薄痰を喀出する証。《奥田謙蔵》☆喘息にして、胃内停水あり、心下部の膨満強く、時々咳逆して吐痰する者には、証に由り麻杏甘石湯を合方す。《奥田謙蔵》☆喘には:「-麻黄、+杏仁4.0g」《龍野ー漢方処方集》☆昭和14年8月に、私は葉山に住む61歳の退役海軍将校で、毎年10月から3月頃まで間断なく喘息発作に苦しむという方を診察した。この患者は筋肉のしまりの良い痩せた方で、腹直筋が肋骨弓下で硬く突っ張っていた。発作のない時でも、水ばなが流れて困ると患者は云う。それが発作の前にはひどくなる。また皮膚に栗粒大のかゆみのある発疹が出来たり、消えたりする。このような症状には小青竜湯を用いる1つの目標になる。
そこで私は小青竜湯を与えた。するとその冬は1回も発作を起こさなかった。ところが、次の年の12月に、仕事のことで伊香保の旅館に泊まったところ、その旅館が新築であったので木材の匂いがした。 これはいけないと思うと急に呼吸が苦しくなり、別の旅館に移って事なきを得たという。この患者は昭和18年まで私の薬を飲み続けたが、その間に1回、別府の旅館で大酒を飲んだ後、ひどい発作を起こしたことがあった。《大塚敬節》☆瞑眩を起こして治ることがある。細野史郎氏はこれを用いて、子宮出血があり、それとともに喘息がすっかり治った例を経験し、私はひどく下痢して喘息の治った例をもっている《大塚敬節》
☆3歳の男児。 「風邪を引いて扁桃炎を起こし、高熱を出し、激しい咳が出るようになり、しだいにひどくなって呼吸困難が起こってきた。 風邪をひくと、くしゃみが頻発し、鼻が詰まり、鼻汁がたくさん出る癖があった。母親や兄弟にも同じような傾向があり、アレルギー性鼻炎の一家であった。この子に小青竜湯エキスを与えたところ、服薬後風邪を引かなくなり、咳や呼吸困難が起こらず、別人のように元気になった。」《矢数道明》
[46]喘鳴:☆(ゴロゴロ・ゼーゼー)☆《尤怡》曰く、齁喘なる者は、積痰肺に在り、冷に遇えば即ち発し、喘鳴迫塞し、ただ坐し、臥するを得ず、外感内飲と相搏つなり。小青竜湯之を主るに宜し。もし肺に積熱あり、熱寒のため束する者は越婢湯之を主るに宜し。《雑病翼方》
(齁=コウ、いびき) [47]痰が多い(透明~白色)[48]涙が出やすい [49]においが分からない(臭覚低下) ☆アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎などで水様鼻漏、クシャミを伴う場合に用いる。小柴胡湯を併用も可《漢方診療医典》
[50]尿毒症 [51]尿量減少(尿利減少) [52]妊娠腎 [53]ネフローゼ [54]肺炎 ☆小青竜湯は小葉性肺炎の初期で寒気がして熱があり、咳の出るものによい。これで尿がよく出るようになれば解熱する《漢方診療医典》
[55]肺気腫:☆老人の肺気腫にして、表証ある証。《奥田謙蔵》 [56]肺結核 [57]肺真菌症 ☆肺真菌症の治療は、慢性気管支炎や気管支喘息の治療に準じて行う。小青竜湯は比較的体力のある者に用いられる。咳嗽の強い場合は小青竜湯+杏仁4.0または小青竜湯+杏仁4.0石膏10.0。
体力がなく小青竜湯が用いられない場合は苓甘姜味辛夏仁湯を用いる。《漢方診療医典》 [58]肺脹:☆《程氏》曰く、肺脹を治し、水飲を去り、風寒を散ずる重剤であると。《雑病論識》
[59]肺癰 [60]白癬症 [61]発熱:☆熱候あり、心下部満ち、尿利著しく減少し、咳して嘔し、脈数なる証。《奥田謙蔵》 [62]鼻炎・鼻カタル
☆鼻水やクシャミが頻繁に出て、鼻水過多症となっているものによい。分泌物は水様稀薄のことが多い。脈は浮で上衝気味のもの(漢方診療医典) [63]鼻づまり=鼻閉
[64]鼻水 [65]半身不随: [66]百日咳:☆百日咳の初期にして、微熱なお有り、咳嗽、喘鳴止まざる証。《奥田謙蔵》
[67]疲労倦怠 [68]鼻涙菅狭窄 ☆体内に水気があって、それが体表に溢れ出るというのが、本方の目標の1つである。涙嚢炎で涙が出てやまないのも溢飲の証である、アレルギー性鼻炎に伴って起こるものによい(漢方診療医典)
[69]腹水 [70]婦人の神経症 [71]浮腫:☆懐妊して四肢浮腫あり、既に娩して復た腫る。胃脘に物あり、胸脇に賁突し、暈倒し、気絶す。腥めて後、短気、喘悶し、脈弦数なる者、《友益》曰く、是れ心下の停水、肺を衝く、産後の水源未だ全く除かず、復漿薬を受く。故に溢れて腫を為すのみ。すなわち「小青竜湯-麻黄+杏仁・前胡・陳皮・茯苓・厚朴」を与う。小便漸く利して癒ゆ。《皇国名医伝》☆感冒後、腎炎となって浮腫をきたした者《木村長久》☆咳き込んで顔に軽い浮腫のみられる者も目標になる《大塚敬節》
☆越婢加朮湯や小青竜湯は急性期の浮腫に用いられたが、利尿薬が発達したことにより、あまり利用されなくなった。また、麻黄に含まれるプソイドエフェドリンにプロスタグランジン生合成阻害作用が想定され、腎血流量を低下させて腎機能を悪化させる可能性があるので、高齢者や腎障害のある患者には麻黄剤は慎重に投与する必要がある《漢方診療医典》
[72]ブドウ膜炎(虹彩、毛様体、脈絡膜を含む) ☆炎症充血がはなはだしく、頭痛、羞明、流涙などの証があって、脈浮のときに用いる。、さらに激しいときは大青龍湯にする。《漢方診療医典》
[73]偏頭痛 [74]膀胱炎 [75]麻疹 ☆発疹後、気管支炎もしくは気管支肺炎を併発し、咳嗽、呼吸困難を訴えるものに、小青竜湯+麻杏甘石湯として用いる(漢方診療医典)[75]慢性気管支炎
☆慢性気管支炎の老婦人に、小青竜湯を与えたところ、帯下がドッサリ下って、それきり気管支炎が治ってしまった《大塚敬節》 [76]目が充血
[77]よだれが出る [78]肋間神経痛 [79]肋膜炎 ☆湿性肋膜炎の初期で浸出液は多いが体温もあまり上がらず、体力も衰えず、貧血、盗汗、食欲不振などの無い者に用いる。これで尿量が増加して急速に浸出液の消失することがある《漢方診療医典》
[80]涙嚢炎 ☆体内に水気があって、それが体表にあふれ出るというのが小青竜湯の目標の1つ。涙嚢炎で涙が流れ出て止まないのみ溢飲の証。アレルギー性鼻炎に伴って起きるものによい。《漢方診療医典》
[81]溜飲症 小青竜加石膏湯《金匱要略》 「麻黄・芍薬・桂枝・細辛・甘草・乾姜各3両、五味子・半夏各半升、石膏2両」右九味、以水一斗、先煮麻黄、去上沫、内諸薬、煮取三升、強人服一升、羸者減之、日三服、小児服四合。◎肺脹而上気、煩躁而喘、脉浮者、心下有水、小青竜湯加石膏湯主之。
★適応症及び病名(小青竜加石膏湯)[1]胃アトニー[2]胃炎(急性・慢性) [3]胃下垂[4]胃腸虚弱[5]胃内停水 [6]悪心☆胃切除後の慢性的な悪心・嘔吐。[7]悪阻(=つわり)[8]嘔吐 ☆周期性嘔吐症[9]咳嗽: ☆哮喘《方読便覧》 ☆水気喘咳を治す:「麻黄杏仁」《仁斎直指方》[10]気管支喘息:☆8歳男児。この少年は体格もよく筋肉もよく発育しているが、母親の云うところによると、年中風邪の引き通しで、学校に行く間がない。 かぜを引くとひどい咳と呼吸困難で、それに時によるとジンマシンも 一緒に出ることがあるという。また発作時には、口渇がひどいと言う。
私はこれに小青竜湯加石膏湯を与えたが、病勢に一進一退を続けて、なかなか全治しなかった。しかし患者は辛抱強く服薬を続けた。その間、私は越婢加半夏湯に転方したり、葛根湯石膏に転方したりした。そしてついにいつともなしに発作が起こらなくなり、ジンマシンも出なくなった。服薬期間は3年であるが、発作もジンマシンも出なくなって、10年ほどになる、《大塚敬節》
[11]吃逆 [12]車酔い [13]眩暈 [14]口渇 [15]自汗 [16]湿性肋膜炎 [17]上腹部振水音
[18]食欲不振 [19]神経性嘔吐 [20]心悸亢進 [21]心下部のつかえ [22]水腫性脚気 [23]頭汗
[24]舌苔 : ☆<微白苔~白滑> [25]手足微厥 [26]動悸 [27]妊娠嘔吐(つわり)
[28]妊娠中毒症 [29]尿量減少(尿利減少) ☆麻黄+石膏=利水。 [30]乗り物酔い[31]肺癰:☆肺癰初起、これを用いて発汗す《方読便覧》
[31]二日酔い [32]船酔い [33]疲労倦怠[34]浮腫:☆水腫で咳嗽の激しい者に用いる《餐英舘療治雑話》 [34]慢性胃炎
[35]メニエール [36]めまい [37]目眩 [38]幽門ケイレン [39]肋膜炎 小接命熏臍秘方《東醫寶鑑》「乳香・玩薬・課猳鼠糞・青塩両頭尖・続断各2銭、麝香1分」を作末し、飽食仰臥した後、そば麺で団子を作り、槐皮1片でそれをかぶせ、豆粒ぐらいの炭で灸をする。◎根元を壮健にし、形態を保護して古病を除去する妙薬。毎年中秋に1回づつ薫蒸するとよい。
小皀角元《東醫寶鑑》「皀角(炙)・枳穀」各等分を梧子大の蜜丸。米飲で70丸呑む。◎風秘を治す。老人にはなお良い。 小瘡摺薬《東洞家塾方》「巴豆(去殻)・萆麻子各1銭、大黄5分」右3味、まず杵き研り、2味を泥となして大黄を内れ、末とし綿に包み、煖酒に浸し中にて之を摺ること1日に7回にして癒ゆ。若し癒えざれば前 法の如くす。
◎諸々の疥癬、膁瘡を治す。
小続命湯[1-1]《備急千金要方》 「附子1枚、防風1両半、麻黄・桂枝・黄芩・甘草・芍薬・防已・杏仁・川芎・人参各1両、生姜5分」◎卒中風、死せんと欲し、身体緩急し、口目不正、舌強ばり語る能わず、奄々忽々、神情悶乱するを治す。諸風之を服して皆験あり。人をして虚せざらしむ。◎此方は中風初起、病経絡にある者の主治とす。《金匱要略》続命湯とは陰陽の別あり。◎《福井楓亭》は此方の症にして桂附の用い難き者に:「烏薬順気散」此方の症にして上気強く面浮腫する者に:「続命湯」《西州》を用いる。◎身鞕く、風邪に属する者。《方読便覧》
小続命湯[1-2]《東醫寶鑑》「防風1銭半、防已・杏仁・肉桂・黄芩・白芍・人参・川芎・麻黄・甘草各1銭、附子(炮)5分を剉作し、1貼に姜3、棗2を入れ水煎服」■ 一方に、防已附子の代わりに当帰・石膏を使い、熱があると白附子を使う。中風に六脈が浄し緊く、風気が盛んで心火が昇り、痰涎が経絡の中に壅塞するのは小続命湯を使い、附子で雄壮な気を出し、斬関奪将の勢いを助け、人参等で十二経に運行して散失された元陽を回復させ麻黄・防風・杏仁等で血分に入って行血養血をさせてその汚損した真陰を滋養し、或いは石膏・知母を加えて、胃火をおろし或いは黄芩を加えて肺金を浄めるもので、もし病勢が少しよくなって精神が漸次回復すると、再び丹溪の法を使って気血を補って浄める薬でその本気を調養する。これは標を治し、標を本にする治法である。◎卒中風で人事不省になり、喎斜して癱瘓し、瘖瘂で麻木し、眩暈して初期の中風で汗なく、表が実したとき、◎一切の諸風を治める。◎風病に常服して瘖瘂を予防すべきである《丹心》
小続命湯[1-3]《備急千金要方》《古今方彙》「人参1銭、附子(炮)5分、桂枝・麻黄・川芎・芍薬・杏仁(炒)・黄芩(酒)各1銭、防風1銭半、防已・甘草各1銭、生姜」水煎。
小続命湯 《漢方治療の実際》「麻黄・桂枝・甘草各3、生姜4、人参・川芎・防已・芍薬・防風・黄芩各2、附子0.6」 ◎中風にて外邪ありて頭疼み、身熱し、背強ばる等の症を治す。◎《金匱要略》には石膏・当帰ありて、附子・防風・防已無し。◎小続命湯は、“卒中風、死せんと欲し、身体緩急、口目正しからず、舌強ばって語ること能わず、奄々忽々、神情悶乱するを治す。諸風これを服して皆験、人をして虚せざらしむ”とある薬方で、附子が入っている。続命湯には石膏が入っているから、陽証のものに用い、この方は附子が入っているから陰証のものに用いる《大塚敬節》
★適応症及び病名(小続命湯) []知覚麻痺:☆《大塚敬節》“患者は43歳の男子。昭和24年のある日、強いくしゃみをした時、右の上膊に痛みを訴えた。その後、どうも調子がよくないので、某国立大学の付属病院に入院した。しかしさっぱりしなかった。昭和29年になって、右の示指が動かなくなった。昭和33年4月に高熱が出た。その後、右の足がシビレ、歩行が困難になった。その頃から左の小指も運動が制限せられるようになった。そこで6月になって、東京の某大学病院に入院したが、病名も不明で、症状は少しも良くならなかったという。そこで同年8月24日に当院に治を乞うた。以上の症状のほかに、めまいと頭痛がある。脈は沈弦小で、血圧は132-88、膝蓋腱反射が亢進し、右側は特に甚だしい。腹診上には特に著明な変化はみられない。大小便は快通し、安眠もできる。私はこれに小続命湯を2週間分を与えた。これを飲み終わって来院した時は、めまいがよくなったが、その他は大した変化はなかった。更に2週間分を与える。これを飲み終わって来院した時、頭痛・シビレ感もとれ、小指も動くようになり、歩行も前より楽になったという。更に2週間分を与える。これを飲むと、足にだいぶん力がついて、階段の上り降りがよほど楽になったという。”[]小便失禁:☆《大塚敬節》“72歳の男子で脳軟化症が亢じて、小便を失禁し、意識は朦朧とし、あと数日があぶないと思われた者に、この方を用いて、一時の危急を救い、また2年あまり生き延びた”
小続命湯[2]《活人》 「小続命湯《備急千金要方》-杏仁人参+白朮」◎痙病陰位に属する者の治方なり。《雑病翼方》 小続命湯[3]《西州》=「続命湯」《西州》=「続命湯《金匱要略》-人参+黄芩」◎風湿、腰脚攣急、痺疼を治す。《勿誤薬室方函口訣》
小駐車元《東醫寶鑑》「黄連3両、阿膠珠1両半、当帰1両、乾姜5銭」作末し、醋糊で梧子大 の丸剤。空腹時に30~50丸飲む。◎赤白痢を治す。 小調中湯《東醫寶鑑》「黄連煎じ湯に甘草を浸し、甘草煎じ湯に黄連を漬けたもの。括楼仁を水で煎じて半夏を浸し、半夏の水で煎じたものに括楼仁のつけたものを、それぞれ炒って水がなくなったのを等分に切って、毎回5銭に生姜3片を入れ水煎服。又は4味を作末して良姜を煮て汁を取り、糊で梧子大の丸剤。白湯で50丸飲む。
◎一切の痰火・諸難病を治す。脾胃を調整する。 小調中湯《医学入門》《古今方彙》「黄連を煎じたる水で甘草を浸し、甘草を煎じた水で黄連を浸し、括楼仁を煎じた水で半夏を浸し、半夏を煎じた水で括楼仁を浸す。生姜」煎じ温服。或いは姜汁糊にて丸となすも尤も妙なり。◎一切の痰火及び百般の怪病を治す。善く脾胃を調え神効あり。
小通聖散《東醫寶鑑》「羗活・防風・薄荷・当帰・山梔子・川芎・桔梗・大黄各1銭、防已・甘草各5分」剉作し、1貼に灯心1団・竹葉7片を入れて煎服。◎風熱・頭痛・咽疼・頬腫を治す。
小兎絲子元《東醫寶鑑》「兎絲子5両、山薬・蓮肉各2両、白茯苓1両」作末し山薬糊で梧子大の 丸剤。温酒又は塩湯で70~90丸飲む。 ◎虚労に腎が虚し、陽気が衰少して小便の多い者。
小児衛生総微論方《小児衛生総微論》「石膏、檳榔子、黄連、黄柏」 小児疳積丸《中薬臨床応用》「胡黄連60g、蕪荑60g、使君子30g、麝香1.5g、蛤蟆(乾)5匹、黄連60g」作末し小麦粉で丸剤。1日2回、3gづつ湯で服用。◎腸内寄生虫による腹部膨満◎午後の潮熱
小児傷食方《中薬臨床応用》「麦芽6g、穀芽6g、山楂子5g、萊菔子3g、陳皮2,5g、連翹3g、神麹6g、白朮3g」水煎服。◎消化不良 小児初生一方《寿世保元》《古今方彙》「白朮、猪苓、沢瀉、木通、生地黄、赤茯苓、肉桂、甘草各等分」水煎。 ◎小児の満口白く爛れ瘡を生じ、口糜れるを治す。
小児清心丸《東醫寶鑑》 「人参・茯神・防風・朱砂・柴胡各2銭、金箔30片」作末し、梧子大の蜜 丸。毎回1丸を竹瀝で調下する。◎あらゆる驚熱・煩躁を治す。
小寧心湯《勿誤薬室方函口訣》 「半夏。茯苓、粳米、竹茹、黄連、知母、石膏」 ◎宿痰、鬱火、胸動高亢し、大便軟なる者。
小半夏湯[1-1]《金匱要略》 「半夏1斤、生姜半斤」右二味、以水七升、煮取一升半、分温再服。◎嘔家本渇、渇者為欲解、今反不渇、心下有支飲故也。小半夏湯主之。◎黄疸病、小便色不変、欲自利、腹満而喘、不可除熱、熱除必噦。噦者、小半夏湯主之。◎諸嘔吐、穀不得下者、小半夏湯主之。
小半夏湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》「半夏・生姜各8」◎吐して渇せざる者を治す。《吉益東洞》◎心下に支飲有り、渇せずして嘔吐する者は、小半夏湯之を主どる《医聖方格》◎此方は嘔家の聖剤なり。その内、水飲の嘔吐は極めて宜し。水飲の症は、心下痞硬し、背七八椎の処、手掌大の如き程に限りて冷ゆる者なり。これらの証を目的として此方を用いるときは百発百中なり。《勿誤薬室方函口訣》◎「生姜半夏湯」:薬味同じなるも、煎法と服用法が異なり、証治も異なる。【腹証】《腹診配剤録》 “心下痞し、且つ水気有り、之を按ずれば即ち鳴る”
★適応症及び病名(小半夏湯)[1]嘔吐:☆諸病、嘔吐甚だしく、或いは病人、湯薬を悪みて嘔吐、悪心し、対症の方を服すること能はざる者《類聚方広義》☆此方は嘔吐の主薬也。若し嘔吐して渇し、飲みて復た嘔吐し、嘔渇倶に甚だしき者は、此方の主治に非ざる也。小半夏加茯苓湯、五苓散、茯苓沢瀉湯を撰用す可じ。《類聚方広義》☆胃虚嘔吐、穀不得下者、先ず此方を服せしめ、癒えざる者、大半夏湯を与える。《勿誤薬室方函口訣》☆諸般の嘔吐には、先づ本方を与えて其の嘔を止め、然る後に、証に随いて他の適方を処す。《奥田謙蔵》 [2]黄疸: [3]霍乱:☆霍乱、涎沫を嘔吐するに、医反って之を下し、心下痞を治す《聖済総録》 [4]シャックリ:☆此方は能く噦を治す。然れども傷寒大熱し、譫語、煩躁し、腹満、便閉の諸症未だ退かざる者は、当にその主症を治すべし。主症治すれば 噦自ら止まん。《類聚方広義》 [5]せき:☆欬逆して死せんと欲するを通治す《医林集要》
小半夏湯[2]《備急千金要方》 「半夏1升、生姜1升、橘皮4両」◎心腹虚冷を病み、遊痰気上り、胸脇満し、食を下さず、嘔逆、胸中冷ゆる者。《雑病翼方》
小半夏加茯苓湯[1-1]《金匱要略》「半夏1升、生姜半斤、茯苓3両」右三味、以水七升、煮取一升五合、分温再服。◎卒嘔吐、心下痞、膈間有水、眩悸者、半夏加茯苓湯主之。
小半夏加茯苓湯[1-2]《金匱要略》《中薬臨床応用》「製半夏9g、茯苓9g、生姜15g」水煎し2回に分服。◎急性消化不良による嘔吐◎心窩部がつかえて苦しい
小半夏加茯苓湯[1-3]《金匱要略》《漢方治療の実際》「小半夏湯+茯苓3」 「半夏・生姜各8、茯苓3」 ◎小半夏の証にして眩悸する者を治す。《吉益東洞》◎此方は小半夏の症に停飲を兼ねて渇する者を治す。又、停飲ありて嘔吐不食、心下痞硬、或いは頭眩する者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名(小半夏加茯苓湯) [1]胃アトニー [2]胃腸虚弱:☆急性胃腸「カタール」等にして、嘔吐甚だしき証《奥田謙蔵》
[3]悪心☆悪心で服薬できない者に、本方で服用させる、又は本方を先に飲ませてから、服薬させる。☆慢性の悪心・嘔吐☆胃切除後の嘔吐・悪心。 [4]嘔吐:☆(周期性あり)
☆悪心・嘔吐を主訴とする者に用いる《大塚敬節》☆悪阻の嘔吐や種々の薬物による胃障害からくる嘔吐に用いる《大塚敬節》☆旦に食し、暮れに吐するを治す:「大黄」《医宗必読》☆食已って吐逆するを治す。:「橘皮・甘草」《僧深方》☆中暑、昏悶醒めず、并びに伏暑、停食吐瀉する:「茯苓・半夏・甘草末」を生姜汁に入れ、口を開き、水で調え之に濯ぐに宜し。《学実在易》【鑑別】
*五苓散証では多量の水を1回にパッと吐くが、
*小半夏加茯苓湯証では、何回にも少しずつ吐くし、悪心の状が吐いた後にも残る。《大塚敬節》 [5]悪阻(つわり):☆妊娠嘔吐等。《奥田謙蔵》☆「+黄土8.0」=「茯苓肝煎」といい、悪阻の治療に良く用いる。 1回に多量呑むと吐くことがあるので、冷たくしてから少量づつ呑ませると良い。《大塚敬節》☆妊娠嘔吐止まず、水分動甚だしき者:「+粳米、薯蕷、生地黄」 [6]顔色悪い [7]咳嗽 [8]脚気: ☆脚気、嘔吐甚だしく、諸薬納れざる者を治す。按ずるに《外台秘要方》《必効》脚気を療する方、及び《文仲》の脚気心に入り悶絶死せんとするを療する方、并びに小半夏湯を用ゆ。ただ姜汁を以て生姜に代ゆるのみ。《脚気提要》☆脚気の険症を治す《原南陽》《山田業広》☆水腫性脚気等にして、嘔吐を発する証《奥田謙蔵》 [9]関節痛:☆肩臂痛を治す。《葉氏録験方》 [10]吃逆 [11]急性胃腸炎 [12]車酔い [13]口渇 [14]自汗 [15]上腹部振水音 [16]食欲不振:☆痰飲、脾胃和せず、咳嗽、嘔吐し、飲食入らざるを治す《婦人大全良方》
☆すべて飲食進まざる者:「生姜倍加」☆瘧疾日を経て食進まざる者:「生姜倍加」 [17]心悸亢進 [18]心下痞:☆霍乱、涎沫を嘔吐し、医反って之を下し、心下痞を作すを治す。《聖済総録》 [19]心下痞硬:☆心下苦悶し、嘔吐、薬を受けざる者:「本方を以て左金丸を送下す」 [20]頭汗:☆水結胸の証、心下忪満し、大熱無く、頭に汗ずるを治す《仁斎直指方》 [21]前額洞炎:☆旧友の小林英治博士がかって前額洞炎に小半夏加茯苓湯を用いて、著効を得たことがあり、私はこの話を聞いて、半夏と茯苓と生姜というこの簡単な薬方の奇効に驚いた。この方は古人がいう湿痰(病的な水の意)を治する効があり、蓄膿も湿痰であるから、この方が効いたのであろうと考えた。《大塚敬節》 [22]手足が冷たい [23]吐乳:☆小児の吐乳症等《奥田謙蔵》 [24]尿不利:☆痰飲、汗多くして、小便利せざるを治す《張氏医通》 [25]妊娠中毒症 [26]疲労倦怠 [27]二日酔い [28]反胃:☆熱吐の反胃及び傷寒遍身発熱し、冷吐するを治す:「竹葉」《衛生家宝》☆反胃、治し難し。然れども停飲を駆除し、胃気を和ずれば、癒ゆるを得。「小半夏加茯苓湯」を長服し、時々、「大黄甘草丸」を以てその腐穢を除く。《先哲医話》 [29]慢性胃腸炎 [30]メニエール
[31]目眩:☆眩暈、嘔吐を発し、心悸亢進を自覚する証《奥田謙蔵》 [32]幽門ケイレン [33]肋膜炎:☆湿性肋膜炎の水をこの方で、一夜の中に消失せしめたことがある。 《大塚敬節》
小檳榔湯《千金本無方名》 「檳榔4分、半夏1銭8分、茯苓・桂枝9分、甘草・生姜2銭4分」◎脚気、心煩悶し、気息不安を治す。◎脚気嘔吐を治し効あり。《高階枳園》◎此方は脚気嘔気ありて衝心せんとする者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎しかし「唐侍中一方」に比すればその症軽し。故に小檳榔湯の名あり。◎又此症にして水気上部に盛んなるものは「犀角旋覆花湯」を与ふべし。◎脚気の嘔吐を治し効あり。如し煩悶気急するに至っては豈此湯の能く敵する所ならんや。《雑病翼方》
小麻仁丸《東醫寶鑑》 「潤麻丸に同じ。」 潤麻丸
「麻子仁・桃仁・生地黄・当帰・枳穀」。 ◎血燥と便秘。 小羅皀丸《東醫寶鑑》「蘿葡子(蒸)2両、皀角(煆)5銭、天南星(明礬水に漬け乾燥)・瓜呂仁・海粉各1両」作末し姜汁に蜜を混ぜ桜桃大の丸剤。口に入れて溶かして飲み込む。
◎久喘を治す。 小竜薈丸《東醫寶鑑》「当帰・草竜胆・山梔子・黄連・川芎・大黄各5銭、蘆薈3銭、木香1銭を作末し、麝香少し入れ粥で緑豆大の丸剤。姜湯で50~70丸飲む。
◎肝火が盛んで脇痛の者。
少腹逐瘀湯《医林改錯》《中薬臨床応用》「肉桂3g(服)、小茴香(炒)7粒、乾姜0.6g、延胡索3g、蒲黄9g、没薬3g、当帰9g、川芎3g、赤芍薬6g、五霊脂6g」水煎服。◎月経前の下腹部痛
正気天香湯[1-1]《丹渓纂要》 「香附子6銭、烏薬1銭半、陳皮・紫蘇葉・乾姜6分半、甘草1銭」「香蘇散烏薬・乾姜」 ◎婦人一切の気病に。或いは心胸に上湊し、或いは脇肋を攻むるを治す。◎《玉機微義》に、腹中結塊し、発渇刺痛、月水不調、或いは眩暈、嘔吐、往来寒熱し、食を減ず。◎此方は気剤の総司なり。諸気為痛と云うを以て目的とす。《勿誤薬室方函口訣》◎その他、眩暈、嘔吐、寒熱の類、何れも気の欝滞より来るものは、一症を見さば即ち用いるべし。蓋し此方、専ら気の欝滞を利すれども、血分の申分にも能く応ず。何故なら、血不能独行、必依気流行すと云って、血分の不和は気に本づくが必然の理なり。それ故、気滞より経行不利する者に用いて効あり。経行不利を強いて血分にこだわって療治するは拙策とす。気滞のみならず、痃癖、攣急の類、すべてその腹候を審(つまび)らかにし、その源証を治すれば、自然と経事来るものなり。《勿誤薬室方函口訣》◎産後、嘔吐し、諸薬効かざる者:「烏薬倍加」《生々堂方函》◎気厥、心胸に上湊し、胸脇痛み、或いは腹中結塊、発渇刺痛し、或いは眩暈、 怔忡、精神乏迫し、或いは酸水を嘔吐し、往来寒熱し、口苦からず、脈沈遅、 或いは月水不調の者、此方大効あり。《雑病翼方》◎婦人手足麻痺する者、多く七情鬱絡凝滞に致す所なり:「正気天香湯」or「香蘇散二陳湯烏薬」《高階枳園》 ◎「蘇葉・陳皮」=「異香四神散」。婦人室女、血気の不調を調理す。 ◎一婦人、喜く唾し、数日止まず、医以て虫積あるいは虚冷を為し、之を治し無 効なり。余、以て鬱と為し、正気天香湯を与え、速やかに癒える。
疫後、喜唾了了ならざる者、一老医、大柴胡湯を与えて速効あり、是れ亦、鬱 に属するなり《先哲医話》 正気天香湯[1-2]《東醫寶鑑》 「香附子3銭、烏薬・陳皮・紫蘇葉各1銭、乾姜・甘草各5分」を煎服。又 は作末して塩湯で2銭づつ点服。
◎婦人の神経痛。 正気天香湯[1-3]《医学入門》《古今方彙》 「香附子6銭、烏薬1銭半、陳皮・紫蘇葉・陥胸各6分半」水煎しやや熱服 す。
◎《朱丹渓》には甘草1銭あり。 ◎婦人一切諸気痛みを作し、或いは上りて心竅に湊り、或いは脇肋を攻築し、腹 中結塊、発渇刺痛、月水之に因りて調わず、或いは眩暈嘔吐、往来寒熱するを 治す。胎前、産後を問うこと無く一切の気候並びに皆之を治す。
正気天香湯[1-4]《医学入門》《漢方後世要方解説》 「香附子4、陳皮・烏薬各2、紫蘇葉・乾姜各1.5、甘草1」 ◎[香蘇散烏薬・乾姜] ◎婦人一切諸気痛みを作し、或いは上気胸に湊り、或いは脇肋に攻め築き、腹中 結塊、発端刺痛、月水之に因って調わず、或いは眩暈、嘔吐、往来寒熱するを 治す。胎前、産後を問うことなし。一切気候並に皆之を治す。
◎婦人一切の気痛みをなし、眩暈、頭痛、腹中に塊あり、月水調わず、諸の欝症、 室女の経閉、寡婦尼僧の病に奇効あり。 ◎此方は気鬱を解する総司の剤である。婦人血の道と称するもの、諸事心意を遂 げず、気鬱し、血滞り、ために痰飲停留し、積聚血塊など生じ、労苦して気鬱 増激するときは心下小腹に疼痛を発し、眩暈、嘔吐、寒熱往来し、柴胡剤、建 中剤など応ぜず、脈沈んで稍寒状を帯びた者によい。転じて気鬱血滞による経 閉、ヒステリー、神経衰弱等に用いられる。
◎烏薬・香附子・紫蘇葉=辛温香棘、諸気鬱を散ず 乾姜=辛熱気を順らす 陳皮=上下の気を利し升降せしむ。 [主治] 《医学正伝》 “婦人一切諸気痛みを作し、或は心胸に上りて湊まり、或いは脇肋を攻め築 き、腹中結塊、発渇(発作的の意)刺痛、月水之に因りて調はず、或いは眩 暈嘔吐往来寒熱を治す。胎前後を問うこと無し、一切の気候並びに皆之を 治す” 《医方口訣集》 “婦人一切諸気痛みを作し、或いは寒熱往来、眩暈嘔吐等の症之を主る” 《牛山方考》 “婦人一切の気痛をなし、眩暈頭痛、腹中に塊あり、月水調わず、諸の鬱症、 室女の経閉、寡婦僧尼の病に奇効あり” [目標] 《勿誤薬室方函口訣》 “此方は気剤の総司なり、諸気痛みを為すと云うを以て目的とす。その他眩 暈、嘔吐、寒熱の類、何れも気の欝滞より来るものは、一症を見さば即ち 用ゆべし。蓋し此方専ら気の欝滞を利すれども、血分の申分にも能く応ず。 如何となれば、血独行すること能はず、必ず気に依りて流行すと云ふて、 血分の不和は気に本づくが必然の理なし。それ故気滞より経行不利する者 に用ひて効あり。経行不利を強ひて血分に拘わりて療治するは拙策とす。 気滞のみならず、痃癖攣急の類すべてその腹候を審にし、その源鉦を治す れば自然と経事来る也” 《医方口訣集》 “愚按するに、先賢已に婦人の病を以て治し難しと為すは何ぞや、蓋し婦人 は陰に属してその気欝結し易し。気欝結するときは則ち血も亦凝滞す。” 《漢陰噫乗》 “此方は婦人心事を遂げず、或いは気悩気鬱よりなす諸症に用いてよし。第 一心下凝り痛み、或は頭痛、或は外感に感ずるが如く寒熱往来逆上をなす 者に、予が家始祖より此方に小柴胡湯を合して用ゆ、寒熱往来を目当とす。 医方口訣の方後に中山三柳子が塊痛を治せし経験あり。予も手の措き難き 者に用いて極めて效あり。” [治験] 《漢陰噫乗》 “一老婦脇下もと塊あり、平生は格別の悩みなし。一旦鍼医来たりて養生に 鍼治を施せんが、鍼の折込みたるをその儘にして告げずして去る、後婦人 腹の痛みを覚え人をして審かに之を視せしむるに、鍼の跡にて鍼頭を見は し、此が為に百方して之を抜き去る。その婦もと気盛んなるものなりしが 鍼医の不届きを憤ると、驚きとにて右の塊物忽ち植え冲して大いに痛み、 忍ぶべからず。予此方を与えて数貼にして癒ゆ” 《先哲医話》 “北山友松の条に、一婦人喜唾数日止まず、医以て蠱積或いは虚冷と為し、 之を治して効無し、余以て鬱と為し、正気天香湯を与えて速に癒ゆ。” 《矢数道明》 “38歳の婦人、腹中に塊あり、右下腹痛を発し、盲腸炎の診断を受けたる ものに初め甲字湯を与えて效なく、本方によって速やかに治したことがあ る。又、一婦人気鬱し、佐卵巣腫れ痛みを訴えるものに与えて著効を奏し たことがある” 《医方口訣集》 “予、大阪鬻薬家の一婦を治す。年4旬を踰へ、平生小腹塊有り、動ずる時 は則ち痛みを作し、或は乾嘔を作す。蓋し七気相干(オカ)して然るを致す也。 一日忽ち血崩を病む、医者或は血剤を用ひ、或いは渋薬を用ひ、倶に効無 し。その脈を診するに沈緩にして神有り、脈を以て之を論ずれば乃ち気病 なり、血病に非ざる也。気道阻滞して血その度を失し、以て下脱を致す。 気一周流は血経絡を循る、則ち後崩ること無し、遂に正気天香湯を用ひ、 症癒ること78改、帰脾湯を用ひて以て十全を収む” [薬能] 《医方口訣集》 “王海蔵曰く、香附は陽中の陰、血中の気薬なり。凡そ気鬱血滞には必ず之 を用ゆ妙なり、此れ婦人の仙薬なりと。瑞竹堂も亦婦人の諸病を治するに 4個の香附丸有り。今之を用ひて君を為す、真に諸気鬱を解するに足れり。 烏薬、紫蘇の辛温香竄之を用ひて諸気鬱を散ず、夫れ気寒を得るときは則 ち滞り易く、熱を得るときは則ち順り易し。乾姜の辛熱以て順すべく、陳 皮は気薄く味厚し、升る可く降す可し、之を用ひて上下の気を利す” 《医方集解》 “此れ手の太陽(肺経)足厥陰(肝経)薬也。烏薬、陳皮は気分に入りて気を理 し、香附、紫蘇は能く血分に入って気を行らす。引くに乾姜を以て気分に 入り兼ねて血分に入らしむ。諸辛温を用ひ以て鬱を解し肝を散ず。気調つ て血を和せじむれば則ち、経行常有りて自ら痛壅の患ひ無し”
正気天香湯[1-4]《医学入門》《漢方治療の実際》 「香附子4、陳皮・烏薬各3、蘇葉1.5、甘草1、乾姜1.5」 ★適応症及び病名 [1]嘔吐: ☆嘔吐が止まない者によいことがある《矢数道明》 [2]瘧疾: ☆諸薬応じない者《矢数道明》 [3]下血: ☆気鬱による子宮出血で、痛み、嘔吐有る者《矢数道明》 [4]月経閉止: ☆処女気鬱による月経閉止によい《矢数道明》 [5]気鬱 [6]産前産後: ☆精神感動によって、寒熱往来、胸背痛み、戦慄痙攣など発する者《矢 数道明》 [7]神経症
産前産後の神経症 寡婦のとりとめのない病証《矢数道明》 尼僧の [8]神経衰弱: ☆神経質者気鬱し、胸痞え頭重く、源ぬんなどあり、食欲の進まない者 《矢数道明》
[9]血の道 [10]ヒステリー: ☆胃痙攣、子宮痙攣、その他種々の痛みがある者《矢数道明》 [11]腹中塊あり: ☆平生腹中に塊物のある者《矢数道明》 ☆七情激変によって胸腹大いに痛み、嘔吐眩暈などある者《矢数道明》 無月経: ☆気鬱からくる無月経に用いる。《大塚敬節》 ☆内経に曰く、百病は皆気より生ずと。乱世の人は知らず、太平の民を 治するには、此の一語誠に宝典と云ふべし。一切諸病を療してみるに、 とにかく皆気の欝滞より生ずることにて、気流暢になれば存外なる病 も、それにつれて癒るなり。況わんや、痃癖・積聚の類、皆この気滞 より生ずるなり。この一語療治をする者は事に臨んで念々忘るべから ず。
後藤艮山の万病は一気の留滞に生ずと唱へしは、この経語を焼き直 したるまでのことなり。世人創闢の見のように思ふは陋(ろう)なり。 ここに山脇東海翁の家婢、歳18、9の頃まで経行なし。東海翁こ れを診し、正気天香湯を処す。服する暫くにして、経大いに利し、そ の後はまた滞ることなし。予童子時、その婢の容貌を記す。随分壮実 そうに見ゆる者にて血の不足する筈のなき婦人と覚ゆ。まったく気の 欝滞より経行不利をなしたるなり。東海翁はそこへ目を付けられ、血 分の療治をせずして、気分の方から掛けられたる至極高按を云ふべし。 また伊良子氏の先代より遺したる規則に、婦人の乳癰、初起寒熱腫脹 疼痛の者に推し切て香正気散を用ゆるこいとあり、至極面白き運用 の仕方なり」《百々鳩窓》 [12]薬煩: ☆補薬胸に泥む者《矢数道明》
正気湯《東醫寶鑑》 「柴胡・前胡・川芎・白芷・半夏・麦門冬・檳榔・草果・青皮・赤茯苓各1 銭、桂皮・甘草各5分、姜3、棗2」水煎服。 ◎
正気湯《万病回春》《古今方彙》 「茯苓・半夏・白芷・青皮・川芎・草果・檳榔子・前胡・柴胡・麦門冬各1 銭、桂枝・甘草各3分、生姜、大棗」水煎し先に預(ソナエ)て熱服す。
◎瘧疾を治す。 ◎初めに憎寒壮熱をなし、頭疼口乾、汗あり。 正気補虚湯《医学入門》《古今方彙》 「人参・黄蓍・当帰・川芎・香・厚朴・熟地黄・茯神・白芷各5分、半夏 ・白朮・五味子・木香・附子・肉桂・丁香・陥胸・甘草各2分半、生姜、 大棗」水煎。
◎内傷、飲食七情を治し、兼ねて外邪襲う所、寒熱頭痛身疼、腰脚軟弱転筋、自 汗肢冷背痺、男婦の諸虚、婦人産後寒に感ずるに通用す。 正心湯[1-1]《古今医統》
「当帰・茯苓・地黄・羚羊角・甘草・酸棗仁・遠志・人参各8分」 ◎七情五志、久逆、心風(精神病)、妄言、苦しむ所を知らざるを治す。 七情=喜怒哀懼愛悪欲or喜怒憂思悲恐驚 五志=喜怒思憂恐。心志=喜。肝志=怒。 ◎此方は、「帰脾湯」の症にして、心風甚だしく、妄言、妄行止まず、血気枯燥 する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎小児、肝虚、内熱、精神爽やかならざる者に用いる。 正心湯[1-2]《古今医統》《漢方後世要方解説》 「当帰4、茯苓5、地黄4、羚羊角1、甘草2、酸棗仁・遠志・人参各3」 ◎此方は極度の精神疲労により、茫然自失して痴呆状態となる者に用いるもので、 「帰脾湯」の症の更に進行したものに良い。又浅田宗伯は小児の精神薄弱に用い ている。
《大塚敬節》氏は糖尿昏睡に用いて奇効を得たという。 著者は一処女就職後の過労により、身心困憊混乱し、白昼夢の如きに用いて効 があった。 ★適応症及び病名 健忘症
神経衰弱 精神薄弱 糖尿病による昏睡 ノイローゼ 老人性痴呆症 正舌散《東醫寶鑑》 「薄荷(焙)2両、赤茯苓1両、蝎梢2銭半」作末し毎回1~2銭、温酒で調
下。 ◎中風で舌がかたく、語渋(しゃべりにくい)の者。 正伝加味二陳湯《東醫寶鑑》 「山肉1銭半、香附子・半夏各1銭、川芎・白朮・蒼朮各8分、橘紅・茯 苓・神麹(炒)各7分、縮砂(研)・麦芽(炒)各5分、甘草(炙)3分、姜3、 棗2」水煎服。
◎食積痰・導痰を治す。 正伝羊肝元《東醫寶鑑》 「黄連1両、甘菊・防風・薄荷・荊芥・羗活・当帰・川芎各3銭」作末し白 羊肝を蒸して入れ、搗いて丸服する。 ◎障と青盲を治す。
正陽散1《東醫寶鑑》 「麻黄1銭半、陳皮・大黄・生乾姜・肉桂・芍薬・炮附子・半夏(製)・炙甘 草各7分、呉茱萸5分・姜3、棗2」水煎服。
◎陰症傷寒を治す。 正陽散2《東醫寶鑑》 「炮附子1両、乾姜(炮)・炙甘草各2銭半、皀角1挺、麝香1銭」を作末し、 毎回2銭を水1盃で半分まで煎じ、滓を捨てないでそのまま熱くして服す る。又白湯で調下してもよい。 ◎傷寒陰毒を治す。
生胃丹 生化湯《傳青主》 「当帰・川芎・桃仁・黒姜・炙甘草」 ◎産後悪露甚だしく、腹中痛む。 生化湯《達生編》 「当帰6銭、川芎4銭、桃仁5分、甘草5分、乾姜5分」 ◎児沈痛を治す。 ◎此方は、《景岳全書》《幼幼集成》等に出でたれども、襲の《女科秘方》に載 せたる論、最も精し。其の主意は、凡そ産後に血気順行すれば、蓄消して、 新血滋生するの理必然なり。故に古より「桂枝茯苓丸」を用いて血を逐うを 主薬とす。しかれども脱血過多の症には参・附・地黄・黄蓍など専用して温補 すべきことなれど、概して地黄など用ゆるは宜しからず。是に於いて、芎・帰 ・姜・桃を以て生化の運用を成すこと実に妙手段と云うべし。若し平素、疝に て子宮痛者か、或いは月信痛堪え難き者には、桃仁を去って用意ゆるを佳とす る。《勿誤薬室方函口訣》
生肌散《東醫寶鑑》 「竜骨()5銭、寒水石()・軽粉⇒水銀粉各1銭、乾臙脂3分」作末し、 しみ込ませる。 ◎新しい肉が出来、瘡口がふさがる。
生肌玉紅膏《外科正宗》 生姜甘草湯《備急千金要方》 「生姜5両、人参3両、甘草4両、大棗15枚」 右4味、以水7升、煮取3升、分温3服 ◎治肺痿欬唾、涎沫不止、咽躁而渇。
生姜甘草湯《備急千金要方》 「生姜5両、人参3両、甘草4両、大棗15枚」 証(咽(のど)乾いて渇す)《薬徴》 生姜甘草湯証に曰く、咳唾、涎沫止まず。為則按ずるに、若(かくのごとき)の証の人は、胸中攣引強急の状あるを患ふ。故に大棗を用ふること居多(大部分を占める)なり。《薬徴》
◎肺痿、涎沫を咳唾して止まず、因燥きて渇するを治す。 ◎此方は肺熱候なき者に用ゆ。《勿誤薬室方函口訣》 ◎「甘草乾姜湯」に比すれば潤燥の剤なり。故に、 <1>甘草乾姜湯:肺寒を主とし。 <2>人参養栄湯《聖済総録》:肺熱を主とし。 <3>生姜甘草湯:その中間に之くものなり。 ◎「甘草乾姜湯」「生姜甘草湯」、二方は倶に肺冷に属し、而して一燥一潤、渇 と不渇とに因り、之を異にして制するものなり。《雑病翼方》
生姜甘草湯《備急千金要方》《東醫寶鑑》 「生姜5銭、人参2銭、甘草(炙)3銭、大棗5枚」水煎し1日2服する。 ◎肺痿で咳をし、前末を吐く。
生姜橘皮湯(一名陳皮湯)《東醫寶鑑》 「橘皮4両、生姜(切)8両」水7杯を3杯まで煎じ服用。 ◎乾嘔で手足が冷える者。 生姜瀉心湯[1-1]《傷寒論》 「生姜(切)4両、甘草(炙)3両、人参3両、乾姜1両、黄芩3両、半夏(洗) 半升、黄連1両、大棗(擘)12枚」
右八味、以水一斗、煮取六升、去滓、再煎取三升。温服一升、日三服。附 子瀉心湯、本云加附子、半夏瀉心湯、甘草瀉心湯、同體別名耳。生姜瀉心 湯、本云理中人参黄芩湯、去桂枝、朮、加黄連、并瀉肝法。 ◎傷寒汗出解之後、胃中不和、心下痞、乾噫食臭、脇下有水気、腹中雷鳴下利 者、生姜瀉心湯主之。
生姜瀉心湯[1-2]《傷寒論》《古今方彙》 「生姜・半夏各2銭、人参・乾姜各1銭半、黄連・甘草各1銭、黄芩5分、 大棗2枚」 ◎汗出で解したる後、胃中不和、心下痞、気、食臭、或いは脇下水気あり、腹 中雷鳴するを治す。
生姜瀉心湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》 「生姜6g、製半夏9g、黄連3g、黄芩6g、党参12g、乾姜6g、甘草3g、大 棗6g」水煎服。 ◎胃寒による嘔吐。
生姜瀉心湯[1-4]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》 「生姜(必ずひねショウガ)4.0g、甘草・人参・黄芩・大棗各3.0g、乾姜・黄連 各1.0g、半夏8.0g」
水400を以て240に煮詰め、3回に分服。 生姜瀉心湯[1-5]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「半夏瀉心湯の乾姜を半分に減じ、生姜2.0を加える」
「半夏5、黄2.5、乾姜1.25、人参2.5、甘草2.5、大棗2.5、生姜2、黄連1」 ○生姜瀉心湯証=脇下水気あり、腹中雷鳴。《薬徴》 [脇下水気]=季肋下部に水がある。これは多くは胃部に振水音があることによって分かる。
◎半夏瀉心湯証にして乾嘔、食臭、下利する者を治す。《吉益東洞》 ◎病人、心下痞し、食臭を噫し、重き者は嘔吐し、脇下に水気有り、腹中雷鳴し、 下利する者は、生姜瀉心湯之を主どる《医聖方格》 ◎此方は後世、順気和中を用いる場へ即効あり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎香砂六君子湯、香砂平胃散など与えて、痰火上格の熱ありて応ぜざる者に用い て善験あり。 ◎古方、皆、乾姜あるときは生姜を用いず、ただ此方のみ生乾共に用いる。その 深意味わうべし。《勿誤薬室方函口訣》 ◎半夏、生姜、甘草、三瀉心湯の証は、水気心中に迫り、心下痞硬して痞する者 有りて、胸腹は迫りなく、ただ心下のみ甚だしく、胸中へ上逆して嘔吐気し、 或いは水気下行して腹中雷鳴下利する者、是胃中の虚、不和よりなす故に、な かには下利清穀と同じように見ゆれども、全く穀不化の証なり。《勿誤薬室方 函口訣》 「清穀」=完穀下泄なり。全く消化せずに下痢すること。 ◎胃部つかえ張り、或いは嘔き、或いは下り、或いは腸鳴する者。 ◎鑑別:旋覆代赭湯(旋覆花・大棗・代赭石各3、甘草・人参各2、半夏5生姜0.5) 「生姜瀉心湯」は、下痢またはその傾向の有る者を目標とし、「旋覆花代 赭石湯」は、便秘の傾向にある者を目標とするのが通説だが、事実はこれ とは無関係で、この反対のことすらある。《大塚敬節》 この2方の差は、虚実の差で「生姜瀉心湯」よりも患者が一段と体力の衰 えている時に、「旋覆花代赭石湯」を用いる《大塚敬節》 ★適応症及び病名(五十音順)
[1]気(ゲップ)(腐敗臭) ☆凡そ噫気、乾嘔を患ひ、或いは嘈雑、呑酸し、或いは平日飲食する 毎に悪心、妨満を覚え、脇下に水飲升降する者は、その人多くは心 下痞硬し、或いは臍上に凝塊有り。長く此方を服用し、五椎より十 一椎に至るまで、及び章門に灸すること、日に数百壮、消塊丸、硝 石大円等を兼用すれば自然に効有り。《類聚方広義》 ☆生姜瀉心湯を用いて治らないときは「旋覆代赭湯」を用いる《大塚 敬節》 [2]胃液分泌過多症
[3]胃腸炎(急・慢性) ☆甘草瀉心湯、生姜瀉心湯、半夏瀉心湯ともに、心下痞硬、腹鳴、下痢を目標として用いるが、悪心、嘔吐を伴う者に用いて良い。
腹痛を伴うこともあるが、激しい痛みではない。下痢は裏急後重を伴うことはなく、さっと下る。 下痢の回数が多いとき・・・甘草瀉心湯 噫気を伴うとき・・・生姜瀉心湯 [4]胃潰瘍 [5]胃拡張 [6]胃下垂 [7]胃酸過多症 [8]胃酸欠乏症 [9]胃弱
[10]胃痛 [11]嘔吐: ☆嘔吐、或いは下痢性疾患にして、心下痞硬し、呑酸、嘈雑甚だしき 証《奥田謙蔵》 ☆心下痞硬のある患者でゲップが多くて嘔吐する者に用いる《大塚敬 節》 ☆1婦人、多年胃病を病み、食すすまず、たまたま食が進むと嘔吐が くる癖がある。甘味のあるものを食べると、胸焼けし、とかく気 が多い。腹診するに心下痞硬し、振水音を証明する。そこで生姜瀉 心湯を与えたところ、3日目の夕方突然激しい嘔吐があって、大き な洗面器1杯の水を吐いた。この患者は、それきり多年の胃病を忘 れた。《大塚敬節》
[12]悪心 [13]下痢: ☆(穀不化) ☆虚労又は脾労などで心下痞して下利する者を治す。 ☆婦人妊娠7月以上は、当に当帰芍薬散を与え、水を逐い、血を理む べし。否らざれば則ち分娩後多く下利を患うなり。又産後下利する 者は、多く腸胃、胎の為に圧制による者、一時に舒暢を得て水気下 奔するなり。その勢に乗じ、生姜瀉心湯を与え、以て水気を尽くす に如かざるなり。《先哲医話》 ☆下痢すること頻々、心下部膨満し、或いは痛み、或いは痛まずして 食欲無く、時々酸性液を吐出する等の証《奥田謙蔵》
☆私は幼少の頃から下痢しやすい傾向があり、油ものを多く食べると 下痢する。下痢するときは腹がゴロゴロと鳴り、どっと下る。渋り 腹ではない。たいてい1日5、6行下る。胃部はつかえて、気が 良く出る。下痢するとき腹痛を伴うことがある。こんな時、下痢が 激しければ「甘草瀉心湯」を用い、悪臭のある気の多く出る時は、 「生姜瀉心湯」を用い、下痢の回数が少ない時は「半夏瀉心湯」を用 いている。《大塚敬節》
[14]十二指腸潰瘍 [15]上腹部振水音 [16]食欲不振: ☆急性胃炎や胃酸過多症で食欲不振の者《大塚敬節》
[17]神経性胃炎 [18]心下痞 [19]心下痞硬 ☆心下痞硬は、半夏瀉心湯、甘草瀉心湯、生姜瀉心湯、人参湯などを用いる目標。
[20]嘈雑: ☆嘈雑は水気火を挟むなり。三黄瀉心湯、生姜瀉心湯に宜し。但し心 下痞せざる者は効無し。 ☆飲食停滞の感ありて、心下部痞し、或いは嘈雑に苦しむ証《奥田謙 蔵》 ☆心下痞せずに嘈雑する者は:旋覆花湯or呉茱萸一味《先哲医話》
[21]帯下 [22]呑酸 [23]脳症 [24]吐き気 [25]ひきつけ [26]腹中雷鳴 [27]腹痛
[28]二日酔い [29]慢性胃腸炎: ☆ゲップがあり、ゲップに食べ物の臭気があり、腹中雷鳴、下痢する 者。
☆慢性胃腸病の患者に、生姜瀉心湯を与えたところ、ひどい吐瀉を起こして、気絶し、仮死状態になって、目が覚めるとともに、多年の慢性病がぬぐうように治った《吉益東洞》
☆慢性胃腸病の患者に、生姜瀉心湯を与えたところ、大きな洗面器にあふれるほど水を吐いて、それきり、治った《大塚敬節》 [30]無酸症 生姜半夏湯[1-1]《金匱要略》 「半夏半升、生姜汁1升」 右二味、以水三升、煮半夏取二升、内生姜汁、煮取一升半、小冷分四服、 日三、夜一服、止、停後服。 ◎病人胸中似喘不喘、似嘔不嘔、似不、徹心中憤憤然無奈者、生姜半夏湯主 之。
◎「小半夏湯」と薬味同じ。 生姜半夏湯[1-2]《金匱要略》《東醫寶鑑》 「半夏5銭」水1杯半で半杯まで煎じ、姜汁半杯に混ぜゆっくり飲む。 ◎胸中では喘息のようだが喘息でなく、嘔逆のようで嘔逆でない症。
生姜湯《僧深方》 「小半夏加茯苓湯橘皮・甘草」 ◎食已って吐逆するを治す。 生血潤膚飲《医学正伝》《東醫寶鑑》 「天門冬1銭、麦門冬・生地黄・熟地黄・当帰・黄蓍各1銭、黄芩(酒)・瓜 呂仁・桃仁(泥)各5分、升麻2分、酒紅1分、五味子9粒」水煎服。
◎燥症が皮膚・手足の爪甲に広がり、掻くと血が出て痛い者。 ◎躰膚虚弱にて血少なく、皮膚折裂、手足枯燥、之を掻けば屑起こり、血出でて 痛み楚(クル)しむを治す。《古今方彙》 ◎大便燥結すれば:「麻子仁・郁李仁」
生犀散《東醫寶鑑》 「犀角・地骨皮・赤芍・柴胡・乾葛・甘草各3分」を作末し、薄荷 5葉を入れ水煎服。 ◎骨蒸熱を治す。
生地黄引子《簡易方》 「生地黄・熟地黄・黄芩・地骨皮・天門冬・麦門冬 ・白芍・銀柴胡・黄蓍・甘草」 生地黄飲子《東醫寶鑑》 「人参・生乾地黄・熟地黄・黄蓍・天門冬・枳殻・石斛・枇杷葉・ 沢瀉各1銭、甘草5分」水煎服。 ◎消渇を治す。
生地黄粥《東醫寶鑑》 「糯米2合で粥を作り、生地黄汁1合を混ぜ、空腹時に服用。」 ◎胎漏を治す。 生地黄丸 生地黄膏《東醫寶鑑》 「地黄(生)2斤、蜜1椀、白茯苓1両、人参5銭」に地黄汁を蜜と混ぜて煎 じ、半分になったらかき混ぜ、容器に入れて1匙づつ温水で服用。 ◎渇を治すときに通用する。
生地黄散《東醫寶鑑》 「生乾地黄・川芎・羚羊角・大黄・赤芍薬・枳殻・木香各1銭」水煎し食後 服用。 ◎目に打撲傷を受けた者を治す。
生地黄湯《備急千金要方》 「地黄・桂枝各2両」 ◎今、大黄を加え特に捷なり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎此方は小児の腹痛に奇効あり。 ◎小児の痛に胎毒攻下の剤を与えて癒えざる者、必ず試むべし。 ◎凡そ小児の腹痛と否とを決疹するには、時を期して頻に啼呼して反張する者、 是を腹痛の候とするなり。
生地黄湯《東醫寶鑑》 「生地黄・赤芍・川芎・当帰・括蔞根各1銭半」煎服。 ◎胎熱を治す。 生地黄湯《寿世保元》《古今方彙》 「生地黄・茅根・柏葉各3銭、川芎・山梔子・黄芩・桔梗・蒲黄・阿膠・牡 丹皮・白芍薬各1銭、甘草3分」水煎。
◎衂血を治すの総司なり。 生地芩連湯《東醫寶鑑》 「生地黄・川芎・当帰各1銭、赤芍・山梔子・黄芩・黄連各7分、防風2銭」 ◎婦人が崩漏で大出血。又は男子の失血過多。
(失血過多で眩暈・人事不省) 生地芩連湯《傷寒六書》《古今方彙》 「鎖陽地黄、柴胡、黄連、芍薬、甘草、川芎、桔梗、山梔子、犀角、大棗」 煎じ服するに臨み搗きたる韭汁と磨墨を入れ之を調え温服。
◎鼻血流れを成して止まざる者、或いは熱毒深く入り、吐血止まざる者、並びに 耳目口鼻を見て並びに出血する者を治す。 ◎すなわち上厥下竭と為す。
生地消風飲《中薬臨床応用》 「生地黄12g、川芎3g、大風9g、白鮮皮12g、白藜12g、防風9g」水煎 服。 ◎血熱による皮膚病 ◎ジンマシン、湿疹。
生熟飲子《東醫寶鑑》 「罌栗殻(大)4個(中身と尾を捨て半生半炙)、陳皮2片(半生半炒)、甘草2 寸(半生半炙)、烏梅2個(半生半煨)、大棗2枚(半生半煨)、生姜2塊(半 生半煨)、黒豆60粒(半生半炒)、黄蓍2寸(半生半炙)、白朮2塊(半生半 煨)、当帰2寸(半生半煨)を細切りにし、毎回5銭を壷に入れて、水1盃 半を半分まで煎じ滓を去り、温服。小児は1~2合服用。
◎大人の痢疾。子供の虚・積痢。 生熟地黄丸《東醫寶鑑》 「生乾地黄・熟地黄・玄参・石膏各1両」梧子大の丸剤。空腹時に茶清で50 ~70丸飲む。 ◎血虚眼昏を治す。
生熟地黄湯《医林集要》《古今方彙》 「川芎、赤茯苓、枳殻、杏仁、御言う連、半夏、天麻、地骨皮、甘草(炙)、 生地黄、熟地黄、黒豆、生姜」水煎。
◎疳眼閉合して開かざるを治す。 生津飲加減《中薬臨床応用》 「天花粉、沙参、麦門冬、生地黄、石斛、熟地黄、天門冬、葛根、五味子、 淡竹葉、甘草」
生津甘露湯《東醫寶鑑》 「石膏・草竜胆・黄柏各1銭、柴胡・羗活・黄蓍(酒炒)・知母(酒 炒)・黄芩(炙)・甘草各8分、当帰身6分、升麻4分、防風・防已・ 地黄(生)・甘草(生)各3分、杏仁10、桃仁5、紅花少々」水2杯を注 いで1杯にし、随時、酒1匙入れて温服。 ◎消中で良く食べながら痩せ、大便乾き、小便少ない。
生津補血湯《東醫寶鑑》 「当帰・白芍薬・熟地黄・地黄(生)・白茯苓各1銭、枳実・陳皮・黄 連(炒)・蘇子・貝母各7分、縮砂・沈香(水磨取汁)各5分」剉作し て、1貼に「姜1、棗2」を入れ水煎し沈香汁を調服。
◎年少の人の噎膈による胃の血が乾き、便なく、食物が消化しない。 効能効果 嚥下困難: ☆当帰養血湯と生津補血湯の2方は、内容が類似で、食道に狭窄があって嚥下困難、嘔吐を訴えるものに用いる。本方を用いる患者は皮膚と粘膜が枯燥している点に着目する。
私はかって、自殺の目的で大量のシュウ酸を飲んで、食道に瘢痕性狭窄を起こしたものに、生津補血湯を用いて著効を得たことがある(漢方診療医典)
生津養血湯《東醫寶鑑》 「当帰・白芍薬・地黄(生)・麦門冬各1銭、川芎・黄連各8分、天花粉7分、 知母・黄柏(蜜炒)・蓮肉・烏梅・薄荷・甘草各5分」水煎服。 ◎上消を治す。
生疝丸 生禿烏雲油 生韮飲《東醫寶鑑》 「桃仁(生)7個を皮のまま囓って、生韭汁1杯で飲み下す。 ◎血欝と胃に血があって痛む者を治す。
生附四君子湯《東醫寶鑑》 「四君子湯の材料に生附子末を等分に加え、姜(2銭に切る)5片を入れ、水 煎し口中に入れる。 ◎慢脾風を治す。
生附除湿湯《東醫寶鑑》 「蒼朮2銭、附子(生)・白朮・厚朴・木瓜・甘草各1銭、姜10」水煎服。 ◎寒湿を治す。 生附湯[1]《東醫寶鑑》 「蒼朮・杜仲各1銭半、附子(生)・牛膝・厚朴・乾姜・白朮・赤茯苓・甘草 各7分、姜3、棗2」水煎服。
◎傷湿諸症を治し、又寒湿を治す。 生附湯[2]《東醫寶鑑》 「附子(生)・滑石各7分、木通・半夏(麹)・瞿麦各1銭2分、生姜7片、燈 心20茎、蜜半匙」空腹時に水煎服。 ◎冷淋で小便すると痛み、ぶるぶるふるえ寒さが増す者。
生附湯《三因極一病証方論》《古今方彙》 「附子(生用)・滑石各半両、瞿麦・半夏・木通各7銭半、生姜、燈心草」 ◎冷淋、小便秘渋、数数起こりて通ぜず、竅中疼痛し、憎寒凛凛するを治す。多 くは飲水過多に因り、或いは寒に渋り、心虚して気耗と為るは皆此の証あり。
生脈散[1-1]《内外傷弁惑論》 =「生脉散」 「麦門冬・人参各2匁、五味子19粒」 ◎精気を滋生し、真元を培養し、心を補い、肺を潤す。 ◎此方、世に《備急千金要方》より出ずると称すれども確かならず。《張潔古》、 《李東垣》より専ら用い始めしなり。
◎その旨は、寒は血を凝し、暑は気を傷ると云ひて、暑と云う者は至ってよく人 の元気を損なうものなり。尤も老人、虚人などの暑の疲るること甚だしく、六 脈力無く、甚だしきに至っては結代するものあり。此方にて元気を引き立て脈 を生ずるを云う意なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎但し、暑中に限らず、一切元気弱き脈の人には、「医王湯」や「真武湯」に此 方を合して用いるべし。 ◎熱、元気を傷め、気短、倦怠、口乾き、汗出ずる者を治す《雑病翼方》 ◎肺虚、或いは自汗し、或いは少気して、喘するを治す《雑病翼方》 ◎《医学入門》50代女性。 素もと痰嗽あり、忽ち一日大いに喘し、痰出ずる泉の如し、身汗する油の 如く、脈浮にして、絶命の状に似たるを治す。 ◎吐血、久しく癒えざる者を治す:「黄蓍、当帰、地黄」《病機暈編》 ◎肺傷嗽血を治す:「茯苓、地黄、阿膠、白」《仁斎直指方》
◎咽破声嘶して痛む:「六味丸」《張氏医通》 生脈散[1-2]《内外傷弁惑論》《中薬臨床応用》 「麦門冬12g、吉林参6g(or党参15g)、五味子5g」水煎服。 ◎心筋のDNA合成率を高める。 ◎ショックで大量に汗が出る、頻脈、血圧低下のとき。 ◎虚脱
生脈散[1-3]《内外傷弁惑論》《東醫寶鑑》 「麦門冬2銭、人参・五味子各1銭を水煎し、夏月に熟水の代用で飲 み、或いは黄蓍・甘草各1銭を加えるか?、又は黄柏2分を加えて 飲むと気力が出る。 人参・麦門冬・五味子が脈を治すが、脈とは即ち元気である。
消飲《東醫寶鑑》 「当帰・赤芍・生乾地黄・桃仁・紅花・蘇木・大黄各1銭、甘草5 分」を水煎し、滓を去り、芒硝を入れ温服。 ◎血・腹痛を治す。
消化丸《東醫寶鑑》 「青石(金色になるまで焼く)・明白礬細末・皀角・天南星(炮)・生半夏 (製)・白茯苓・陳皮各2両、枳穀・枳実各1両半、薄荷1両、沈香・黄芩 各5銭を作末し、姜汁に漬けた神麹末で糊をつくり、梧子大の丸剤。毎回 100丸、就寝時に飴糖で飲み、太平丸をかじって呑む。 ◎虚労・肺痿・熱痰。
消火補陰湯 消塊丸《東醫寶鑑》 「大黄4両、硝石3両、人参・甘草各1両を作末し、磁器に陳醋3升を入れ、 先に大黄を入れ、煮るとき休まずにかき混ぜ1升ぐらいになったら、残り の薬を入れ、梧子大の丸剤。米飲で30丸調下。
◎痞塊とを治す。 消核丸 「夏枯草、牡蛎、玄参、貝母、連翹」 ◎瘰癧。 消渇飲《中薬臨床応用》 「吉林参6g(別)、熟地黄18g、枸杞子12g、天門冬9g、山茱萸9g、 沢瀉12g」水煎服。 ◎糖尿病の口渇 ◎発熱性疾患による口渇 ◎血糖値が下がらないとき。
消渇方《中薬臨床応用》 「石斛9g、天花粉24g、知母12g、麦門冬9g、沙参15g、生地黄15g、黄連3g」 水煎服。 ◎糖尿病 ◎飢餓感、多食、多飲 ◎羸痩 ◎口乾、口臭、口苦、舌燥 ◎歯根の腫脹、出血 ◎舌質紅、舌苔黄ざらざら。
消河餅《東醫寶鑑》 「田螺(大)4個、蒜(大)5、車前子末3銭」同時に作末し、餅を作って臍に 貼り、絹帛を巻いておくと、少したつと小便が出る。
◎水腫で膨んだ者を治す。 消疳飲《済世全書》《古今方彙》 「人参、白朮、茯苓、黄連、胡黄連、神麹、青皮、砂仁、甘草(炙)」水煎。 ◎小児疳疾にて身熱し、面黄、肚大、青筋、痩弱の者を治す。 ◎虫あれば:「使君子」 ◎食に傷れたるには:「山子」
消疳飲《厳氏済生方》 「人参・黄連・神麹・青皮・甘草・茯苓・白朮・縮砂・胡黄連」 ◎小児疳疾、身熱し、面黄に、肚大に青筋あり、痩弱するを治す。
◎此の方は、小児脾疳、腹肚大の者に用ゆ。主治にある青筋を顕す者は大抵不治 なり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎小児、面黄に、腹脹れ、寒熱来去し、毛髪乱れ、黄痩し、あるいは骨立し、精 神悦ばず、あるいは微下利する者、之を病と謂う。 ◎病(サビョウ)も亦疳の類なり。 ◎病、乳癖は化し易く、穀癖は化し難し。体痩せ、腹膨れ、発熱口乾、小便赤く、 或いは渋り、脈沈緊なる者は、名付けて穀と曰う。《雑病補亡論》
消疳丸《東醫寶鑑》 「蒼朮・陳皮・厚朴・枳穀・檳榔・神麹(炒)・山肉・麦芽(炒)・三稜(煨) ・莪朮(煨)・縮砂・茯苓・黄連(炒)・胡黄連・蕪・使君子・蘆薈」各等 分を作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。1丸を米飲で呑む。
◎五疳を治す。 消疳退熱飲《寿世保元》《古今方彙》 「山子、烏薬、竹茹、檳榔子、使君子、蕪仁、木通、牽牛子、大黄、柴 胡、莪朮、枳殻、黄芩、子、燈心草」水煎温服。
◎疳積にて発熱し、肚大にして青筋、骨痩せたる者を治す。 消疳退熱飲《勿誤薬室方函口訣》 「青黛・檳榔・使君子・木通・牽牛子・柴胡・莪朮・枳実・黄芩・甘草」 ◎此方は「消疳飲」と虚実の別あり。《高階枳園》
◎此方は「消疳飲」の症にしてやや実に属する者を治す。水腫脹満の類、その腹 硬くして石の如く、唇色は朱の如く、身熱ありて小便赤く、脈数なる者、此の 方奇効あり。 ◎虫積の症にして水腫鼓脹となる者、此方に油断すべからず。唇朱の如きと云う が1つの目的なり。
◎亀胸、亀背。《方読便覧》 ◎吃泥を愛す《方読便覧》 消疳湯《万病回春》《古今方彙》 「山子・白芍薬(炒)・黄連(姜)・茯苓・白朮・沢瀉各1銭、青皮4分、甘 草(生)3分、生姜、大棗」煎服。
◎小児大便の色は疳白にして、小便渾濁するを治す。 消疳理脾湯《医宗金鑑》 「蕪・三稜・莪朮・青皮(炒)・陳皮・蘆薈・檳榔・使君子肉・生甘草・ 川黄連・胡黄連・麦芽(炒)・神麹(炒)・灯心草」煎服。
消蠱湯(しょうことう)《東醫寶鑑》 「半夏・蘿葡子・炙甘草各7分、紫蘇茎葉・縮砂・肉豆・枳穀・青皮・陳 皮・三稜・莪朮・檳榔・官桂・白豆・畢澄茄・木香各5分、生姜3・大 棗2」水煎服 ◎気によって蠱脹となった者。 ◎腹が膨れ、四肢と面に浮腫がない者。
消蠱湯《済世全書》《古今方彙》 「紫蘇子、辣桂、青皮、陳皮、三稜、莪朮、木香、檳榔子、白豆、澄茄、 枳殻、半夏、砂仁、甘草、蘿葡子、生姜、大棗」煎服。
◎気が蠱脹を作し、ただ腹満して四肢頭面腫れざる者を治す。 ◎鼓脹を按じて初起及び壮盛の人は服す可し。 消腫潰堅湯《万病回春》 ◎瘤、結核を治す。
消腫調脾順気湯《万病回春》《古今方彙》 「蒼朮、陳皮、草果、厚朴、砂仁、猪苓、木通、沢瀉、檳榔子(男は雌・女 は雄)、香附子、枳殻、木香、桔梗、三稜、莪朮、官桂、大茴香、人参、 木瓜、桑白皮、大腹皮、大黄、牽牛子(男は白・女は黒)、甘草、生姜」水 煎。
◎水腫を治す、脹満を消し、気を順らし、脾を和四物湯、湿を除き、水を利す。 消暑飲《衛生方》 「茯苓、半夏、甘草末」を生姜汁に入れ、口を開き、水で調え之に濯ぐ。 ◎而して今散と為す。運用特に妙なり。《時方妙用》に云う、暑証第一の神方と 為すと。《雑病翼方》
消暑元《東醫寶鑑》 「半夏8両、赤茯苓・生甘草各4両を醋2升半で半夏だけ煎じ、醋がなくな ると全部を作末し姜汁糊で梧子大の丸剤。毎回50丸呑む。 ◎伏暑に気が切れようとする者。
消暑湯《松原一閑斎》《勿誤薬室方函口訣》 「半夏・石膏・茯苓・生姜」 ◎夏日、熱甚だしく、嘔吐し、食下らず、頭痛煩渇する者を治す。
◎此方は、《嶺南衛星方》消暑湯に石膏を加えたる者。往年暴瀉(=コレラ)流行の時、 頗(スコブ)る効を得たり。 消暑十全飲《東醫寶鑑》 「香1銭半、白扁豆・厚朴・紫蘇葉・白朮・赤茯苓・木瓜・白檀香各1銭、 甘草5分」水煎服。
◎傷暑と吐瀉を治す。 消食散《東醫寶鑑》 「白朮(陳壁で炒ったもの)2銭半、麦芽・縮砂・山肉各1銭、橘紅・香附 米・神麹・青皮各7分、甘草5分」作末し、毎回1銭を米飲で調下。
◎食積の腹痛を治す。 消食散《東醫寶鑑》 「白朮(陳壁で炒ったもの)2銭半、麦芽・縮砂・山肉各1銭、橘紅・香附 米・神麹・青皮各7分、甘草5分」作末し、毎回1銭を米飲で調下。
◎食積にて腹痛するを治す。その脉は弦にして、その痛みは上にあり、手を以て 重く按じてますます痛む甚だしく、大便利せんと欲したる後にその痛み減ずる 者は是なり。
消食散《済世全書》《古今方彙》 「山子、神麹、砂仁、麦芽、白朮、陳皮、甘草、生姜」水煎。 ◎小児傷食にて腹痛するを治す。 ◎寒を受けて痛みを作すには:「香・呉茱萸」 ◎熱あれば:「黄芩」
消食清欝湯《万病回春》《東醫寶鑑》 「半夏・陳皮・白茯苓・神麹(炒)・山肉・香附子・川芎・麦芽(炒)・枳穀 ・山梔子(炒)・黄連(姜汁炒)・蒼朮・香・甘草各7分、姜3片」水煎服。
◎嘈雑を治す。 ◎嘈雑にて悶乱悪心、発熱頭疼するを治す《古今方彙》 消食方《中薬臨床応用》 「山子(炒)・神麹・山薬・金銀花各9g、布渣葉12g、葛根・青皮各6g」 水煎服。 ◎便秘=大黄・枳殻。 ◎感冒、発熱=佩蘭・連翹。
消水聖癒湯《時方妙用》《勿誤薬室方函口訣》 「桂姜草棗黄辛附湯知母・防已。附子を天雄に換える。」 ◎治水第一の方なり。然して両手の脈浮遅、足趺陽(膀胱経の)の脈浮数。 ◎此方は、陰水の主剤とす。陳修園の発明に出て、場合に因って意外に効を奏す。 即ち大気一転の手段なり。
◎「知母一味」。主治はるかに殊なり、経方の変化竜の如きを知るべし。 「天雄1銭、細辛1銭、麻黄1銭5厘、甘草1銭、生姜2銭、大棗2枚、知母3 銭、水盛者加防已2銭」《方読便覧》
消水方《中薬臨床応用》 「黒牽牛子(研末)24g(沖服)、大黄15g(後下)、元明粉12g(沖服)、枳実9g」 水煎服。 ◎肝硬変の腹水。 ◎虚弱者・服用後下痢がひどいときは、大棗30gを煎じた湯で調服。 ◎効果があった時点で服用を中止する。
消積丸《東醫寶鑑》 「丁香・縮砂各12個、烏梅肉・巴豆肉各3個」作末し、麻子大の丸剤。毎 回3丸、橘皮湯で飲む。 ◎乳食による傷積・脹満を治す。
消積正元散(一名開鬱正元散)《東醫寶鑑》 「白朮1銭半、神麹・香附子・枳実・延胡索・海粉各1銭、赤茯苓・陳皮・ 青皮・縮砂・麦芽(炒)・山肉・甘草各7分を剉作し、1貼に姜3を入 れ煎服。
◎痰飲を気血が鬱結して食積になり、気が昇降せず、積聚が腫れて痛む者。 消積保中丸《東醫寶鑑》 「白朮(土炒)・神麹(炒)・黄連(姜汁炒)・梔子(姜汁炒)各1両、檳榔7銭、 莪朮・三稜(炒)各8銭、麦芽(炒)6銭、乾漆(炒)5銭、青皮(香油炒)・縮 砂(炒)各4銭、木香・阿魏各銭」作末し、姜汁酒糊で梧子大の丸剤。白湯 で80~90丸飲む。 ◎痞塊を散らす。
消疝丸《東醫寶鑑》 「蒼朮1斤を切ってに浸したもの、葱石1斤切って塩1両を混ぜて炒って 黄色くなったら葱は捨て、川椒(微炒)・白茯苓・茴香(炒)各4両」作末し 酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に調下する。 ◎小腸疝気を治す。
消瘡飲《外科発揮》《中薬臨床応用》 =「仙方活命飲」 「金銀花30g、穿山甲(炙)9g、角刺9g、赤芍薬9g、浙貝母9g、防風6g、 白芷5g、当帰尾12g、乳香3g、没薬3g、陳皮6g、天花粉12g、甘草6g」 水煎服。服用後に悪心・嘔吐が生じることがあるが、無害である。 ◎膿瘍、フルンケルなどで、自潰していない。
消息丸(一名消乳丸)《東醫寶鑑》 「香附子(炒)5銭、縮砂・陳皮・三稜・莪朮・神麹・麦芽各2銭半」作末し、 神麹糊で麻子大の丸剤。1才児に2~3丸、米飲で呑む。 ◎宿食が消化しないとき。 ◎乳積・食積を治す。
消滞丸[1]《奥田家方》 「大黄10.0、枳実・神各5.0、茯苓・朮・黄芩・黄連各3.0、沢瀉2.0」右 8味、各別に細末、糊丸。1回2.0~4.0。瀉下するを限度とする。 ◎不消化物を食い、或いは過食によって痞満し、或いは腹痛する者を治す。
消滞丸[2]《東醫寶鑑》 「牽牛子(炒)2両、香附子(炒)・五霊脂各1両、作末し、醋糊で緑豆大の丸 剤。姜湯で20~30丸呑む。
◎消食・消酒・消水・消気・消痞・消脹・消積・消痛に応用。 消痰治風方《中薬臨床応用》 「天竺黄9g、製南星6g、石菖蒲5g、法半夏5g、丹参12g、三七末3g(沖服)、 鶏血藤15g、陳皮6g、茯苓12g、甘草(炙)3g」水煎服。 ◎脳卒中で意識障害。 ◎両手を握りしめる ◎いびきをかく。 ◎痰が出しにくい
消痰茯苓丸《東醫寶鑑》 「半夏2両、赤茯苓1両、枳穀5銭、朴硝2銭半」作末し、姜汁糊で梧子大 に丸剤。姜湯で30~50丸呑む。 ◎痰飲が流注し、臂痛で腕が上がらず、痛みが移動する者。
消脹飲子《東醫寶鑑》 「猪苓・沢瀉・人参・白朮・赤茯苓・半夏・陳皮・厚朴・紫蘇葉・香附子・ 縮砂・木香・檳榔・大腹皮・木通・蘿葡子・甘草各5分、姜5、棗2」水 煎服。
◎蠱脹と単腹脹を治す。 消脹元(一名小檳榔元)《東醫寶鑑》 「黒丑頭末2両、蘿葡子(炒)・木香・檳榔」各等分を作末し、水で梧子大の 丸剤。姜湯で30~50丸呑む。 ◎気を快し、脹をなくし、食欲を増進させる。
消脹散《万病回春》《古今方彙》 「蘿葡子・紫蘇梗・乾葛・陳皮・枳殻各等分、甘草(少許)」水煎。 ◎小児腹脹するを治す。 ◎食少なきは:「白朮」
消毒飲《和剤局方》《古今方彙》 「牛蒡(微炒)4銭、荊芥・甘草各1銭、防風半銭」水煎温服。 ◎一方に、黄芩・犀角を加える。 ◎痘瘡出でんと欲して出でず、熱なお、未だ解せず、毒気太盛、稠蜜片を成し、 或いは内に邪熱を蘊む、咽膈利せず、痰涎壅嗽、眼赤く瞼腫れ、腮項結核にて 腫れ壅がり、毒は遍身に聚り、風疹痺毒赤痛する等の症を治す。 ◎麻疹既に出でて1日、而して又没する者を治す。乃ち風寒の冲する所と為りて 麻毒内攻す。もし治せざれば胃は爛れて死す。《寿世保元》
消毒飲《東醫寶鑑》 「大黄(煨)・荊芥穂各2銭、悪実・甘草各1銭」水煎服。 ◎瞼に栗つぶのようなものが出来る者。 消毒飲《中薬臨床応用》 =「普済消毒飲」
「黄芩・黄連・柴胡・桔梗・升麻・玄参・連翹・板藍根・馬勃・白彊蚕・牛 蒡子・陳皮・薄荷・甘草」 ◎頭面の腫れがひどく、目が開けられない。 ◎しかも口渇・舌乾(大頭蘊)。
消毒活血湯《活幼心法》《古今方彙》 「紫草茸・当帰・前胡・牛蒡子・木通各6分、生地黄・白芍薬(生酒洗)・連 翹・桔梗各5分、黄芩(酒炒)・黄連(酒炒)各7分、甘草4分、山梔子8分、 人参3分、黄蓍(生)8分、生姜1片」煎服。
◎痘色紅紫乾枯し、或いは焦黒を帯びる者を治す。毒熾んにして血凝る者なり。 必ず膿を成さず。 ◎煩渇には:「人参・黄蓍、括楼根」 消毒丸《東醫寶鑑》 「大黄・牡蛎()・白彊蚕(炒)各1両」作末し、梧子大の蜜丸。毎回1丸呑 む。
◎大頭瘟の悪症を治す。 消毒散《東醫寶鑑》 「大黄(煨)・荊芥穂各2銭、悪実・甘草各1銭」水煎服。 ◎まぶたに栗粒のようなものが出来る者。
消毒散《万病回春》《古今方彙》 「天南星・半夏・陳皮・桔梗・柴胡・前胡・黄連・連翹・赤芍薬・防風・独 活・白附子・紫蘇子・莪朮・蔓荊子・木通・甘草各等分、生姜、燈心草」 水煎。
◎咽喉結核にて腫塊が桃の如く腫れて硬く疼痛し、頸項廻らず両脇下に転じ或い は塊ありて硬きこと石の如きを治す。 消毒補中丸 消礬散《金匱要略》 =「消石礬石散」 「消石、礬石(焼)」各等分。 右二味、為散、以大麦粥汁和服方寸匕、日三服。病隨大小便去、小便正黄、 大便正黒、是侯也。 ◎黄家、日所発熱、而反悪寒、此為女労得之、膀胱急、少腹満、身盡黄、額上 黒、足下熱、因作黒疸。其腹脹如水状、大便必黒、時溏、此女労之病、非水也。 腹満者難治。消礬散主之。
消斑青黛飲《東醫寶鑑》 「黄連・石膏・知母・柴胡・玄参・生地黄・山梔子・犀角・青黛各1銭、人 参・甘草各5分」を水煎し姜1・棗2を入れ、酒1匙を混ぜて食べる。
◎陽毒・熱毒で錦紋のような発斑が出る者。 消痞湯《済世全書》《古今方彙》 「人参、白朮、茯苓、陳皮、半夏、厚朴(酒炒)、枳実、黄連、砂仁、沢瀉、 生姜」水煎温服。
◎それ痞は脹満と軽重の分あり、痞すれば即ち痞悶を覚え而して外は脹急の形無 き者是れなり。 消痺狗皮膏 「阿魏40g 乳香(油を去る)・没薬(油を去る)各24g 肉桂・公丁香20g 木香16g 麝香4g」細末にして、万応膏960gを重湯煎で軟らかくした内 にいれて、かき混ぜた後ひろげる。
消風化痰湯《万病回春》《古今方彙》 「天南星・半夏・赤芍薬・連翹・天麻・青藤・白蚕・蒼耳・金銀花・ 消風散[1-1]《外科正宗》
「当帰・地黄・防風・蝉退・知母・苦参・胡麻・荊芥・蒼朮・牛蒡・石膏・ 甘草・木通」 消風散[1-1]《外科正宗》《漢方治療の実際》 「当帰・地黄各3、防風2、蝉退1、知母1.5、苦参1、胡麻1.5、荊芥1、朮3、 牛蒡子2、石膏5、木通5、甘草1.5」
消風散[1-2]《外科正宗》《漢方後世要方解説》 「当帰・地黄・石膏各3、防風・蒼朮・木通・牛蒡子各2、知母・胡麻各1.5、 蝉退・苦参・荊芥各1」 ◎風湿血脈に浸淫し、瘡疥を致生して痒絶えざるを治す。及び大人小児風熱 疹身に遍く、雲片斑点たちまち有り、たちまち無きに併せて効あり。
◎此方は頑固なる皮膚病に屡々用いられる。 風湿血脈に浸淫するとて、夏季暑熱の侯に毎年発する悪瘡に効を奏し、皮膚枯 燥或いは時に分泌物あることあり、痒甚だしき皮膚病に用いる。
又、慢性となれるジンマシンにも応用される。夏期には増悪する皮膚病、古 方なれば白虎加人参湯などの症がある。本方は更に長引き毒深く血燥のものに よい。
当帰、地黄=血燥を潤す。 苦参=癰腫、瘡疥を治す 牛蒡子=瘡毒、風熱を消す 知母=熱渇を除く 胡麻=血を涼し、毒を解す 蝉退=風を消し、熱を除く 荊芥、防風=風を去り、瘡を治す。
消風散[1-3]《外科正宗》 「当帰・熟地黄・石膏各3.0g、防風・木通・牛蒡子各2.0g、知母・胡麻各 1.5g、蝉退。苦参・荊芥各1.0g」《龍野ー漢方処方集》 ◎風湿、血脈に浸淫し、瘡疥を致生し、掻痒絶えざるを治す。及び大人小児、風 熱、疹、身に遍(あまね)く、雲片斑点、乍(タチマ)ち有り乍ち無きも、並びに 効あり。
◎.此方は、風湿血脈に浸淫して瘡疥を発する者を治す。一婦人、年30代、年々 夏になれば総身悪瘡を発し、肌膚木皮の如く痒搨(ヨウトウ)、時に稀水淋漓(漓リ= したたる)、忍べからず。諸医手を束ねて癒えず。余、此の方を持ちゆること 1ヶ月にして効あり、3ヶ月にして全く癒える。《勿誤薬室方函口訣》 ◎目標:《大塚敬節》 <1>消風散の効く湿疹は、夏期に増悪する傾向があるが、1年中同じ状態の患
者もいる。また、 <2>口渇を訴える傾向があり、湯茶を好んで飲んでいる患者が多い。 <3>分泌物が多いということも、消風散を用いる目標である。しかし、分泌物
のあまり無いものに用いて効いたこともある。 ★適応症及び病名(五十音順) [1]アトピー性皮膚炎 [2]あせも [4]胃風 [6]陰嚢湿疹 [7]化膿傾向
[8]かゆみが激しい ☆掻痒感=激甚<> ☆夜間に増悪する傾向がある。《中医処方解説》 ☆全身(四肢)に麻痺感があって、皮膚がかゆい。 [9]感覚異常(顔面部)
[10]乾癬 [11]眼痛 [12]汗疱 [13]顔面の腫れと感覚異常 [14]局所の発赤と熱感 [15]口渇: ☆口渇を訴える者が多い《大塚敬節》
[16]固定ジンマシン ☆ケロイド様になった:「駆血剤」《中医処方解説》 湿疹 ☆湿疹の患者に、消風散を与えたところ、3日ほどたって、かえって増悪したが、7日後には、どんどん快方に向かった《漢方診療医典》
[17]ジクジク又は水泡: ☆湿疹で分泌物多く、痂皮を形成し、カユミの強いもの《大塚敬節》 ☆7月末の蒸し暑い日に、肥満した26歳の婦人が訪れた。この患者は、 川から這い上がったかと思う程、顔から、首から汁がたれ、痒くて、 夜も寝られないという。患部は円く、限局しているのではなく、一体 に赤くなっている。これも消風散がよく聞いて、7日間の服薬で9分 通り治り、2週間分で治ってしまった。《大塚敬節》 ☆浅黒い36歳の男子。7年前より湿疹が治らない。断食をしたらいっ たんは治ったが、また再発した。その後、食養生で一旦軽快したが、、 又再発したという。湿疹は顔面一面と手足に広がり、カユミがひどい、 患部からは分泌物が流れ、それどころか痂皮を作っている。口渇があ り、大便は1日1行。
私はこれに消風散を与え、砂糖・アルコール・牛肉・鶏肉・マグロ ・サバなどの魚類を食べることを禁じたが、1週間目毎の来院のたび に、患部がきれいになり、多少の一進一退はあったが、半年で9分通 りよくなった。しかし食禁を破ると、また再発の傾向があるという《大 塚敬節》
[18]ジンマシン ☆(ジクジク又は水泡、固定ジンマシン) ☆慢性のジンマシン《矢数道明》 ☆発赤が強く局所の熱感ある風熱型《中医処方解説》 ☆皮膚白く寒冷:「桂麻各半湯」《中医処方解説》 ☆夜床に入ると猛烈にかゆくなる:「大青竜湯」《中医処方解説》 ☆食中毒で:「小柴胡湯茵蒿湯」《中医処方解説》 ☆精神的ストレスで:「四逆散or加味帰脾湯or三黄瀉心湯or黄連解毒 湯の加減《中医処方解説》
[19]ジンマシン様苔癬=ストロフルス ☆「消風散石膏胡麻」《大塚敬節》 ☆《老医口訣》 “小児、毎年夏に至りて疥の如き小瘡を発し、カユミ強く、夜寝かぬ るもの、世上に多し。後世家は荊防敗毒散浮萍、古方家は胎毒な りとて紫円などにて下せども癒えず。かようの症は、必ずしも胎毒 ばかりに非ず、皮膚血脈の中に、風湿を受けたるものと覚ゆ。正宗 の消風散の石膏、胡麻を去り用ゆべきし、妙なり。また方彙、頭痛 門にある局方の消風散に苦参を加え用ゆるも効相似たり”
[20]湿疹: ☆体格の良い、血色の良い30歳余りの女性。足におできが出来て、何 時までも治らないという。診ると右の下腿にクルミ大の円い発疹があ り、ジュクジュクと汁が出て、いつまでも治らないという。かゆいが、 なるべく引っ掻かないようにしていると云う。
私はこれに桂枝茯苓丸、十味敗毒湯、防已黄蓍湯などを用いたが、 効が無いばかりか、却って良くない。困って、方函類聚を読んでいる と、消風散の条に、次のような記載を発見した。
“婦人、年30ばかり、年々夏になれば忽身悪瘡を発し、肌膚、木 皮の如く、痒搨時、稀水淋漓、忍ぶべからず。諸医手を束て癒えず。 余此方を用いること1月にして効あり。3月にして全く癒ゆ。”
(漓=リ、したたる) 私の患者は、患部は下腿の一部分に限局してはいるが、発病が5月 下旬で、分泌液が流れる点、この例によく似ている。そこで消風散に したところ、分泌物が減じ、カユミも軽くなり、1ヶ月足らずで治し た。その後、湿疹で分泌物が多く、貨幣状に痂皮を作るものに用いる と、まことに良く効くことを知った。《大塚敬節》
☆湿疹の患者に消風散を与えたところ、3日ほどたつと、かえって増悪したが、7日後には、どんどん快方に向かった《漢方診療医典》 [21]充血
[22]耳聾: ☆聴力が低下し聞こえない。 [23]浸出液(分泌液): ☆多い・濃厚 ☆42歳の男子。2年前から湿疹が全身に出来て、良くなったり悪くな ったりしていたが、3ヶ月ほど前から、ひどく増悪し、某病院に入院 したが、良くならないという。
湿疹は顔面にひどく、一部分から粘稠な汁が流れ、一部は痂皮を作 り、一部は発赤して小豆大の発疹となり、眼瞼にも発疹が及んでいる。 脈は浮大で口渇がある。
私はこれに消風散を与えたが、3日目から効き目が現れ、カユミが 減じ、3週間分を飲み終わったゴロには9分通り良くなった。ところ が、この人は職業が俳優であったから、久しぶりで、どうらん化粧を して舞台へ出た。するとまた増悪のきざしが見えてきた。しかし、消 風散を飲み続けながら、舞台に出ているうちに治ってしまった。
[24]ストロフルス [25]水泡形成 [26]頭重 [27]頭痛(不定期) [28]舌質 <紅> [29]舌苔
<乾燥した白苔~微黄> [31]蓄膿症: ☆(粘稠な鼻水・血が混じることもある) [32]疼痛 [33]頭皮の無感覚
[34]頭部からの発汗が多い [35]なまあくび [36]熱感 [37]白癬症 [38]発疹: ☆(乾燥性・掻痒性)
☆膨隆し弾力あり。 [3]鼻粘膜潰瘍 ☆悪臭性のもの。 [39]皮膚炎(夏期に増悪する)
☆入浴・就寝時に身体が暖まると、かゆみがひどくなる。 [40]皮膚掻痒症: ☆頑固な皮膚病 [41]眉稜の痛み
[42]フケ [43]風疹 [44]ほてり [45]慢性鼻炎: ☆(透明な鼻水が出て、鼻がつまる)
[46]水虫 [47]めまい 消風散[2]《和剤局方》《東醫寶鑑》 「荊芥・甘草各1銭、人参・茯苓・白彊蚕・川芎・防風・香・蝉退・羗活 各5分、陳皮・厚朴各3分、細茶一握り」煎服。又は作末し、毎回2銭を 茶清or温酒で調服。 ◎風邪が上にのぼり、頭や目がくらみ、鼻が詰まり、耳が鳴り、皮膚がカサカサ になる者。 ◎婦人の血風で、頭皮が腫れ上がってかゆい者。
消風散[3]《寿世保元》《古今方彙》 「陳皮・白朮・当帰・白茯苓各1銭、延胡索・半夏・牛膝・川芎核8分、防 已・羗活・秦艽・独活各6分、枳殻・防風各5分、木瓜4分、甘草3分、 生姜」水煎。
◎手足屈伸する能わず週身疼痛するを治す。 消風敗毒散《万病回春》《古今方彙》 「当帰・川芎・赤芍薬・生地黄・升麻・乾葛・黄芩各1銭、黄連・黄柏・連 翹・防風各8分、羗活・金銀花・甘草各5分、蝉退2個」水煎。初めて服 するときは、大黄・芒硝を加う。
◎楊梅天疱にて初起の者は此湯に宜し。 消風百解散《和剤局方》《古今方彙》 「荊芥・麻黄・陳皮・蒼朮・白芷各4両、甘草2両、生姜、烏梅」水煎。 ◎頭痛発熱、鼻塞り声重く、咳嗽する者を治す。
消風百解湯《東醫寶鑑》 「荊芥・蒼朮・白芷・陳皮・麻黄各1銭、甘草5分を剉作し、1貼に姜3片 ・葱白2茎を入れ水煎服。
◎風寒による頭痛・身痛・鼻閉・声がれ。 消風養血湯《医方集解》 「荊芥・蔓荊子・菊花・白芷・麻黄・防風・桃仁・紅花・川芎・当帰・白芍 ・草決明・石決明・甘草」
◎目赤く腫れて痛む。 消癖元(一名芫花丸)《東醫寶鑑》 「芫花(炒)・朱砂」各等分を作末し、小豆大の蜜丸。毎回10丸を棗湯で呑 む。
◎瘧が何年も続いて、汗・吐・下が多く、栄衛を損ない、邪気が肋骨の間に潜 伏して詰まり、になって脇腹が痛くなる者。 消癖湯《高階枳園》
消癖湯《済世全書》《古今方彙》 「人参、白朮、茯苓、半夏、柴胡、黄芩、猪苓、沢瀉、麦門冬、山子、三 稜(醋炒)、莪朮(醋炒)、甘草、胡黄連、生姜、大棗」煎服。
◎小児癖疾にて発熱口乾、尿赤きを治す。 ◎若し癖疾にて日久しく元気虚損するには此方奏功する能わず、宜しく「補中益 気湯」を多服すべし。
消遥解毒湯《黴瘡約言》 消瘰丸《医学心悟》 「玄参、牡蛎()、貝母」 逍遙散[1-1]《和剤局方》 「柴胡、当帰、白芍薬、白朮、茯苓、薄荷、生姜、甘草(炙)」
逍遙散[1-2]《医貫》《古今方彙》 「柴胡、薄荷、当帰、芍薬、陳皮、甘草、白朮、茯神、黄連(呉茱萸炒)、加 味は牡丹皮、山梔子を加う。山梔子を以て屈曲下行して水を泄らし、改め て呉茱萸に浸し炒った黄連を用いる。方中の唯柴胡、薄荷の二味が最も妙 なり。
◎木欝を治す。而して諸欝皆癒える。 ◎虚労、発熱乾嗽、呼吸喘急、両頬倶に赤く、六脉が数大なる者を治す:「牡 丹皮・薏苡仁・蘭葉」《医宗必読》
逍遥散《和剤局方》 •下痢と便秘を繰り返す・神経性 •血虚労倦し、五心煩熱し、頭目昏重し、心き、頬赤く、発熱盗汗あるを、及び血熱相搏ち、月水調わず、臍腹脹痛し、寒熱瘧の如きを治す。
•此方は「小柴胡湯」の変方にして、小柴胡湯よりは少し肝虚の形ある者にして「医王湯」よりは一層手前の場合にゆくものなり。《勿誤薬室方函口訣》 •此方、専ら婦人虚労を治すと云えども、その実は体気甚だ強壮ならず、平生血気薄く、肝火亢ぶり、或いは寒熱往来、或いは頭痛、口苦、或いは頬赤、寒熱如瘧、或いは月経不調にて申し分絶えず、或いは小便淋瀝渋痛、俗に云うせっかちの如く、一切肝火にて、種々申し分ある者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》
•《聖済総録》曰く。産後、血虚し、心煩、自汗あり、精神昏冒し、心き、頬赤く、口乾き、咽乾き、発熱頭痛し、或いは寒熱ありて瘧の如きを治す。《雑病翼方》
•《医学真悟》に云う、噎膈、鬱を挟む者は則ち逍遥散を用いて之を主る。 •《雞峰普済方》に云う、此の症は乃ち神思間の病なり、法は当に内観静養すべしと。この言深く病情に中る《方読便覧》
•血虚発熱止まざる、あるいは労咳なる者を治す:「麦門冬・阿膠」 •血虚鬱塞する者を治す:「地黄・莎草」。 《和田東郭》の地黄・香附子を加ふる者、此の裏にて、肝虚の症、水分の動悸甚だしく、両脇拘急して思慮欝結する者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
•陰中の諸瘡を治す:「荊芥地骨皮」《本朝経験》 •婦人の諸虚百損、五労七傷にて、経脈調わず、肢体羸痩するを治す:「陳皮・知母・貝母・香附子・地骨皮・麦門冬」=「滋陰至宝湯」《古今医鑑》
•逍遥散+牡丹皮・山梔子=加味逍遥散(丹梔逍遥散) 逍遙散[1-3]《寿世保元》《古今方彙》 「当帰1銭2分、白芍薬(酒)1銭、柴胡・黄芩各1銭、川芎・熟地黄・半夏 各7分、人参・麦門冬各5分、甘草4分、生姜」水煎。
◎室女17・8歳にして経脈通ぜざること、或いは100日或いは半年にして顔色 青黄、飲食少しく進み、寒熱往来し、四肢困倦し、頭疼も目眩み、肚痛みて塊 を結び、五心煩熱し、嘔吐し膨張するを治す。
◎睡少なければ:「酸棗仁」 逍遙散[1-4]《和剤局方》《古今方彙》 「甘草(炙)、当帰、白芍薬、白朮、茯苓、柴胡酒、煨姜、薄荷(少許)」水煎。 ◎肝脾の血虚にて発熱し、或いは潮熱し、或いは自汗盗汗、或いは頭痛目渋り、 或いは怔忡寧からず、頬赤く、口乾き、或いは月経不調、或いは肚腹痛みを作 し、或いは小腹重墜して水道渋痛し、或いは腫痛し、出膿、内熱、渇を作す等 の症を治す。 ◎「牡丹皮・梔子仁」=「加味逍遙散」《薛立斎》
逍遙散[1-5]《和剤局方》《漢方後世要方解説》 「当帰・芍薬・柴胡・白朮・茯苓各3、甘草・乾姜各1.5、薄荷葉1」 ◎血虚労倦、五心煩熱、肢体疼痛、頭目昏重、心頬赤、発熱盗汗、減食嗜臥、 及び血熱相搏ち、月水調わず、又室女血弱陰虚して栄衛和せず。痰嗽潮熱、肌 体羸痩、漸く骨蒸となるを治す。
◎此方は小柴胡湯の変方で、「小柴胡湯」よりは少しく虚状を帯び、「柴胡桂枝 乾姜湯」「補中益気湯」よりはやや力あるものである。婦人の虚労、結核の初 期に用い、又中和の剤であるから病後の調理によく用いられる。
◎加味逍遥散(逍遙散梔子牡丹皮)は清熱を主とし、上部の血症に効がある。頭 痛、面熱、衂血、肩背拘ばる等、上部の血熱を清解する。又婦人の肝気亢ぶり、 種々と申し分絶えざる神経症にも広く用いられる。
柴胡・梔子・牡丹皮・芍薬=肝の火を瀉す。 当帰=厥陰の血を滋す。 白朮・茯苓・甘草=脾を養う 逍遙散[1-6]《漢方治療の実際》 「当帰・芍薬・柴胡・朮・茯苓各3、生姜2、甘草1.5、薄荷1」 ★適応症及び病名(五十音順) [1]肩こり: ☆肝欝して肩こり、頭重、不眠などある者《矢数道明》 [2]肝硬変: ☆腹水のない者《矢数道明》 [3]気鬱症: ☆特に室女寡婦の気鬱で肺労に似たもの《矢数道明》
[4]結核: ☆初期軽症 [5]月経不順: ☆心下に痞硬し、肝鬱血して順らない者《矢数道明》 [6]更年期障害: ☆血の道症、身体的灼熱感と悪寒を訴え、のぼせ、全身倦怠する者《矢 数道明》 [7]産後舌爛: ☆「牡丹皮・梔子」《矢数道明》 ☆妊娠中に舌が荒れる者に用いて、著効があった《大塚敬節》 ☆この方は、諸病で虚熱があって、脈が数で、気が欝してのびず、怒り やすく、心下は痞え、両方の脇下が拘攣し、左脇がとくにひどく、或 いは左に動悸のある者を標的とする。さて口舌咽喉等に瘡を生じて痛 む者には実熱の者が多く、虚証は少ないのである。この方は虚火によ って、口舌に瘡を生ずる者によく応ずる。舌上or舌先or舌の横にぐ つぐつと瘡を生じ、或いは正中が少しの間、鳥の皮を剥いたようにな る証には必ず効がある。これは腎肝の虚火が発動して瘡が出来た証で あるから、脈、腹ともに実することはない。
また産前産後の口舌が赤爛して瘡を生ずる証は世上に甚だ多い。こ の病気は些細なものだけれども、なかなか治りにくい。世医は皆困り、 うち捨てて置くのが常である。自分もまたこの証を度々治療したが、 終に著効を得なかった。この頃、この方を試みてみるに、手に応じて 効がある。また虚火発動等強き証は、加味逍遥散連翹・桔梗が特に 著効がある《目黒道》 [8]神経症:(ヒステリー) ☆故白河城主阿部候の祖母聴徳院老女、年50あまり、候家がつぶれた のをうれい患い、心思鬱々として楽しまず、飲食に味がなく、体は痩 せ、息切れがし、動くのが大儀で、脈は沈弱である。侍医は虚労であ るから、難治だと診断した。余はこれを診察して云った。悪寒も熱も なく、脈はまだ数ではない。息切れがしても、幸いに、積も痰も出な い。或いは救うことが出来る出あろうと。逍遙散地黄香附子を与え た。 これを数10日服用すると、飲食が次第に進むようになり、気力も またついてきた。ただ、胸で動悸を感じ、安眠が出来ない。そこで帰 脾湯地黄煉を服用せしめ、数ヶ月で常態に回復した《橘窓書影》 [9]血の道症: ☆婦人の血の道症の薬として用いられ、疎註要験には、“女子、物ごと 心にかなわず、思ふこと、どげず、役にもたたぬことを気づかい、後 には乱気にもなるべきかと見る者、この方を用ひてよし”とある《大 塚敬節》 [10]癲狂:(気ちがい) ☆婦人は嫉妬の心が深く、或いは怒りを隠し、或いは妄りにおもんばか り、これがために肝気が欝滞して、癲狂になりやすい。この症は脈が 必ず弦である。これがその目標である。逍遙散生地黄・桃仁・紅 花・蘇木・遠志・辰砂を与える。《積山遺言》 ☆婦人癲疾を患い、歌唱すること時なく、垣根を越え、屋根に登るもの には、逍遙散桃仁・遠志・紅花・蘇木・生地黄を用いる《衆方規矩》 ☆18歳女性。初産、27夜を過ぎてのち、顔が赤く、からだに熱があ り、胸がおどり、食欲がなく、しばらく眠ったかと思うと、にわかに 驚き、声を震わせ、両方の手を差し上げてブルブルと震わせる。この ようなことが毎夜14、5回もある。医者は手をこまねいて治するこ とが出来ない。そこで逍遙散地骨皮・陳皮・酸棗仁を与えて良くな った。《衆方規矩》 [11]肺尖炎: ☆気鬱が長引いて咳嗽する初期の肺尖《矢数道明》 ☆病勢の進行した者には用いてはならない《矢数道明》 [12]白帯下 [13]皮膚病: ☆婦人の皮膚病ですっきり治らない者「四苓湯」《矢数道明》 [14]婦人神経症 [15]便秘: ☆婦人の便秘、大黄剤の用い難き、虚証の者《矢数道明》 [16]慢性尿道炎
尚足飲《竹田謙預》 「三黄瀉心湯紅花・石膏・甘草」 ◎舌瘡腐爛、一切の歯痛を治す。 升発二陳湯《東醫寶鑑》 「半夏2銭、陳皮・蕪・赤茯苓各1銭半、柴胡・防風・升麻・甘草各1銭、 姜3片」水煎服。 ◎痰欝を治す。
升麻胃風湯《脾胃論》《東醫寶鑑》 「升麻2銭、白芷1銭2分、当帰・葛根・蒼朮各1銭、甘草1銭半、麻黄5 分、柴胡・藁本・羗活・黄柏・草豆各3分、蔓荊子2分、姜3、棗2」 水煎し食後服用。
◎胃風でなった面腫を治す。 ◎食べた後、冷たい風に当たると麻痺し、奥歯が痛み、目玉がくらつき、胃に風 があって顔が腫れる者を治す。 ◎虚風にて能く食し、麻木、牙関急(歯をくいしばること)、目内蠕、胃風面 腫るるを治す。《古今方彙》
升麻益胃散 升麻黄連丸《東醫寶鑑》 「黄芩(酒洗)2両、黄連1両、生姜汁・青皮・升麻各5銭、生甘草3銭、白 檀2銭」作末し蒸餅をつくり弾子大の丸剤。毎回1丸、白湯でかみ下す。
◎口臭がひどい者。 升麻黄連湯《衛生宝鑑》《東醫寶鑑》 「升麻・乾葛各1銭、白芷7分、白芍・甘草各5分、黄連(酒炒)4分、犀角 (屑)・散及・荊芥穂・薄荷各3分」先に水半杯に川芎・荊芥・薄荷を漬け、 残りは皆水2杯で煎じて1杯ぐらいになると、味をつけてまた煎じ、7分 ぐらいになったら滓を捨て、食後に温服。
◎面熱を治す。 升麻葛根湯[1]《万病回春》《古今方彙》 「升麻、葛根、白芍薬、柴胡、黄芩、山梔子、甘草、木通」水煎。母子同じ く服す。 ◎小児丹毒にて身体発熱し、面紅気急、啼叫驚する等の症を治す。
升麻葛根湯[2-1]《銭乙方》 「升麻・葛根・赤芍・甘草」 升麻葛根湯[2-2]《氏小児方論》《中薬臨床応用》 「升麻2.5g、葛根9g、赤芍薬5g、甘草2.5g」水煎服。
升麻葛根湯[2-3]《東醫寶鑑》 「葛根2銭、白芍・升麻・甘草各1銭、姜3、葱白2」 ◎温病と四時の感冒を治す。 ◎過飲による膈の熱で、口瘡が出来、咽喉が痛い者。
升麻葛根湯[2-4]《和剤局方》《漢方後世要方解説》 「葛根5、升麻2、芍薬3、生姜2、甘草1.5、葱白1寸許り2個」 ◎足の陽明胃経の汗剤。 ◎大人、小児、時気瘟疫、頭痛発熱、肢体疼痛するを治す。及び瘡疹已に発し、 及び未だ発生せず、疑似の間宜しく之を服すべし。
◎陽明の傷寒中風、頭疼、身痛、発熱、悪寒、汗なくして口渇し、目痛、鼻乾い て臥することを得ず、及び陽明の発斑出でんと欲して出でず、寒暄(カンケン)時な らざるを治す。《医方集解》 ◎此方は胃中の熱及び血中の熱を清解する剤である。陽明経の表邪を発表する。 諸熱性病、目痛み、花乾き、不眠し、汗無くして悪寒発熱するのは陽明経の熱 症である。
本症は痘瘡、麻疹、猩紅熱等発疹を伴う熱性病の初期、又は流行性感冒にて 脳症状の著明なものに用いられる。将に現れんとする時期に適応する。 ★適応症及び病名(五十音順) 感冒:頭痛激しきかぜ 衂血 猩紅熱:初期
痘瘡 扁桃腺炎 麻疹:初期 目の充血 升麻葛根湯[2-5]《傷寒活人書》《古今方彙》 「葛根3銭、升麻・白芍薬・甘草各2銭、生姜」水煎。 ◎傷寒、頭痛、時疫にて憎寒壮熱、肢体痛み、発熱悪寒、鼻乾き睡るを得ざるを 治す。兼ねて寒暄(あたたかい)時ならず、人多く疫を病み、たちまち暖かく衣 を脱するを治す。及び瘡疹已に発し、未だ発せず、疑似の間に宜しく服すべし。
◎頭痛すれば:「葱白」 ◎咳嗽んは:「桑白皮」 ◎上膈熱するには:「黄芩・薄荷」 ◎無汗には:「麻黄」 ◎咽痛には:「桔梗・甘草」 ◎発黄、丹毒には:「玄参」
升麻葛根湯[2-6]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》 「葛根6.0g、升麻・芍薬・甘草各3.0g、干姜1.0g」 ◎熱病で頭痛発熱・悪寒体痛・鼻乾不眠の者。 ◎目痛み鼻乾き眠らず、自汗悪熱する者。 ◎麻疹水痘等で、発熱が出るか出ないか疑わしい者、或いは出にくい者。
升麻葛根湯[2-7] 《漢方治療の実際》 「葛根5、升麻・生姜各2、芍薬3、甘草1.5」 ★適応症及び病名(五十音順) [1]胃中熱 [2]悪寒 [3]疹(いんしん) [4]咳嗽:
☆咳には・・・桑白皮3.0g《龍野ー漢方処方集》 [5]化膿性の発疹・吹き出物 [6]感冒 [8]くしゃみ [9]首から上の汗
[10]頸強 [11]下痢: ☆(水が吹き出す様な暴瀉便) [12]口渇 [13]口乾 [14]ジンマシン
[15]衂血 [16]猩紅熱 [17]暑泄(夏季の暑さによる下痢) [18]小児の丹毒 [19]身体疼痛 [20]水痘
[21]頭痛(激しい頭痛) ☆感冒・脳脊髄膜炎などで、激しい頭痛する者。 [22]舌質 <紅> [23]舌苔 <無苔~白苔>
[24]はしか(麻疹)の初期 [25]斑疹(はんしん) ☆赤い発疹に・・・駆血剤。 [26]鼻乾 [27]鼻出血
[28]皮膚掻痒症 [29]風疹 ☆発疹を伴う熱性病の初期、または流感の頭痛甚だしく脳症状あるものに用いる。発疹を促進し、発疹が出そろうまで飲ましてよい(漢方診療医典)
[30]不眠 [31]扁桃炎: ☆咽痛には・・桔梗3.0g《龍野ー漢方処方集》 [32]発赤 [33]麻疹(はしか): ☆初期
[34]無汗: ☆.汗無き者・・麻黄3.0g《龍野ー漢方処方集》 [35]胸苦しい [36]目の充血(結膜の充血) [37]目の痛み
升麻散《東醫寶鑑》 「升麻・玄参・川芎・生地黄・麦門冬各1銭、大黄・黄連・黄芩・甘草各5 分、姜3、棗2」水煎服。 ◎心脾の熱で口舌に瘡が出来て裂ける者。
升麻順気湯《医学入門》《古今方彙》 「升麻1銭半、乾葛・防風・白芷・黄蓍・人参各1銭、白芍薬6分、甘草・ 蒼朮各5分、生姜、大棗」煎服。
◎憂思して飲食節を失し、面色黒、心懸して饑えるが如くして、食を欲せず、 気短而して促なるを治す。 升麻蒼朮湯《明医雑著》《東醫寶鑑》 「蒼朮1銭半、半夏1銭、厚朴・陳皮・枳実・桔梗・川芎・木通・升麻・柴 胡各7分、黄連・黄芩・木香・甘草各5分、姜5片」水煎服。 ◎嶺南の春秋の季節に山瘴霧の毒気にふれ、寒熱を発し、胸が詰まって食欲のな い者。
◎春秋時月、人が山嵐瘴霧の毒気に感じて寒熱を発し、胸膈飽悶、飲食を思わず、 此れは毒気が鼻孔より内に入るなり。治は当に上焦を清め、内毒を解し、気を 行らし、痰を降ろすべし、宜しく汗を発すべからず。《古今方彙》
升麻托裏湯(一名内托升麻湯)《東醫寶鑑》 「升麻・乾葛・連翹各1銭半、黄蓍・当帰・甘草(炙)各1銭、悪実5分、肉 桂3分、黄柏2分」水2杯で煎服。
◎乳癰のつぶれない症。 ◎両乳のあいだの黒い悪瘡を治す。 升麻湯[1]《東醫寶鑑》 「陳皮・甘草各1銭、蒼朮・乾葛・桔梗・升麻各7分、赤芍・大黄(酒 蒸)各5分、半夏・赤茯苓・白芷・当帰各3分、枳穀・乾姜各2分、 姜3片、灯心草」煎服。
◎肺風瘡を治す。 升麻湯[2]《東醫寶鑑》 「升麻2銭、茯神・人参・防風・犀角・羚羊角・羗活各1銭、桂皮5分 を剉作し、1貼に姜5片を入れて煮詰め、竹瀝5匙を入れて調服。 ◎熱痺で肌肉が極熱し、体に麻痺が走るような気がし、口がひっくり返 るようなこともあり、又、皮色の変わる者。
升麻湯《万病回春》《古今方彙》 「升麻・蒼朮・薄荷各等分」水煎。 ◎雷頭風(耳鳴りの甚だしき頭痛症のこと)にて頭痛して核塊を起こす(上焦に風 熱強く塊が立つ)者を治す。
升麻発表湯《傷寒六書》《古今方彙》 「麻黄、杏仁、桂枝、甘草、川芎、白芷、羗活、防風、升麻、生姜、大棗、 豆」水煎熱服。汗を出し汗止まれば多服すること勿れ。
◎冬月正傷寒にて頭疼、発熱、悪寒、項背強重、脉浮緊、汗無し、是れ足の太陽 膀胱経、表証もし頭を斧にて劈くが如く、身を火に炙るに似たる者は此方に宜 し。
◎《万病回春》の麻黄湯が此方なり。 升麻白芷湯《衛生宝鑑》《古今方彙》 「升麻・防風・白芷各1銭、芍薬・蒼朮各3分、黄蓍・人参各7分、葛根1 銭半、甘草4分、生姜、大棗」水煎。
◎面と唇が紫黒なるを治す。乃ち陽明経の不足なり。 升麻附子湯《衛生宝鑑》《東醫寶鑑》 「升麻・炮附子・葛根・白芷・黄蓍(蜜炒)各7分、人参・白豆・甘 草(炙)各5分、益智仁3分」を作末し、連鬚葱白3茎を入れ、食前 に煎服。
◎顔面の冷たい者。 ◎これ陽明経の虚寒なり。《古今方彙》 升麻鼈甲湯[1-1]《金匱要略》 「升麻2両、当帰1両、蜀椒1両、甘草2両、甲1片、雄黄半両」 =「升麻甲湯」 ◎此方は陽毒の発斑、錦文の如きを治す。陰陽毒の説明了かならざれども、疫毒 斑疹の異症に用いて効あり。 ◎按ずるに陰陽毒とは、即ち後世の所謂、陰斑、陽斑なり。《雑病翼方》 ◎喉痺: ☆平安時代、佐野氏は《菫氏医級》の説に本づきて、喉痺の急症を陰陽毒 の種類とし、此方を用いて治を得る甚だ多しと云う。《勿誤薬室方函口 訣》
升麻鼈甲湯[1-2](一名甘草湯)《東醫寶鑑》 「甘草(炙)・升麻・桂枝各1銭、雄黄・川椒各1銭半、鼈甲(酥炙)3銭」剉 作1貼し水煎服。 毒は汗と共に出るが、出ないときには再服する。 ◎陰毒を治す。
升麻鼈甲湯[1-3]《東醫寶鑑》 「升麻2銭、当帰・甘草各1銭2分、鼈甲(炙)1銭、雄黄末4分、川椒20 粒」水煎服。 ◎陰毒で陰斑の出る者。
升麻和気飲《和剤局方》《古今方彙》 「升麻・乾葛・白芷・陳皮・蒼朮・桔梗・甘草各1両、白芍薬7銭、当帰・ 茯苓・半夏・枳殻・乾姜・大黄各9銭、生姜、燈心草」水煎。
◎瘡疥四肢に発し、痛痒常ならざるを治す。 ◎甚だしく憎寒発熱を致し、下湿痒して虚するも又宜しくこれを服すべし。 升明湯《東醫寶鑑》 「紫檀香・車前子(炒)・青皮・半夏・酸棗仁・甘草姜5片」水煎服。 ◎寅申の歳の病気。
升陽益胃湯[1](一名復煎散)《東醫寶鑑》 「連翹2銭、羗活・藁本・黄蓍(炙)・甘草各1銭半、知母・生地黄・黄芩・ 桔梗・生甘草各1銭、沢瀉7分、独活・防風・黄連・黄柏・人参・陳皮・ 当帰梢・蘇木・防已(酒)各5分」剉作2貼し、毎1貼に水2杯(大)で半日 漬けて煎じ、1杯になったら酒10滴をたらし、滓を去り、就寝時に温服。
◎脳疽・背癰・一切の悪瘡の内托をする。 升陽益胃湯[2]《東醫寶鑑》 「黄蓍2銭、人参・半夏・甘草各1銭、羗活・独活・防風・白芍各7分、陳 皮5分、柴胡・白朮・茯苓・沢瀉各3分、黄連2分、姜3、棗2」水煎服。 ◎食欲がなく、身体が重く、口渇、大小便が不順で、ぞくぞくと悪寒する者。
升陽益胃湯《弁惑論》《古今方彙》 「黄蓍1銭、橘紅2分半、独活・防風各3分、半夏・甘草(炙)・人参各5分、 白芍薬・黄連・白朮・沢瀉・茯苓・柴胡・羗活各2分、生姜、大棗」水煎。
早飯の後に温服す。 淋閉せざる者には:「沢瀉」 小便利し渇せざる者には:「茯苓」 ◎肺の脾胃虚(脾胃が不足して肺気が弱った)し、怠惰、臥するを好み、四肢収 まらず、時に秋燥に値えば湿を行らしめ、熱少しく退き、躰重く、節痛み、口 燥き、舌乾き、飲食味無く、大便調わず小便頻数、食を欲せず食消せず、兼ね て肺病を見わし、浙浙として悪寒し惨惨として楽しまず、面色悪く而して和せ ず乃ち陽気伸びざるを治す。
升陽散火湯[1-1]《傷寒六書》 「人参、当帰、芍薬、柴胡、黄芩、麦門冬、白朮、茯苓、陳皮、甘草、生姜」 「人参養栄湯地黄知母黄芩、柴胡、茯苓、白朮」 ◎叉手冒胸、尋衣模床、譫語、昏沈醒めざるを治す。此れ肝熱、肺に乗じ元気虚 し、自ら主持する能わざるなり。名付けて『撮空証』と曰う。 ◎此方は瘟疫虚症、循衣模床、譫語、昏沈、人事不省者に
人参養栄湯[4]《温疫 論》を互いに用いて効あり。就中此方の主つ処は、癇症の如くにして煩悶強く、 或いは両脇攣痛し、或いは下利する者に宜し。 ◎此方の症にして、困睡し熱強き者は、「瀉心導赤散」に宜し。 ◎一体、大承気湯の循衣模床は胃実よりすることなれども、又肝経へ邪熱のかぶ れ甚だしく、元気主持すること能はざる者有る故に、《陶節庵》が此方を制せ るなり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎柴胡加竜骨牡蛎湯の証にして虚に属する者:「升陽散火湯」 瀉心湯の証にして虚に属する者:「導赤各半湯」《傷寒翼方》
升陽散火湯 《漢方治療の実際》 「人参・当帰・芍薬各3、黄芩2、麦門冬4、朮3、柴胡4、陳皮・茯苓各3、 甘草・生姜各1.5」
升陽散火湯[1-2]《傷寒六書》《古今方彙》 「人参、当帰、柴胡、芍薬、黄芩、甘草、白朮、麦門冬、陳皮、茯神、生姜、 大棗、金首飾」を入れ煎じ、熱服。
◎叉手冒胸(手を重ねて胸を被う)、尋衣模床(病人が着衣を撫で夜具を模ぐる動 作)、譫語、昏沈、人事を醒めず、俗医は病を見るを知らずして便ち呼びて風 症と為し、殊に肝の肺金に乗ずるを知らず。元気虚して自ら主持する能わざる なり。名づけて撮空証と曰う。
◎痰ある者:半夏。 ◎大便燥実、譫語、渇を発する:大黄。 ◎泄漏する者:升麻、白朮。 ★参照:「黄土湯」腸出血の項。
升陽散火湯[2]《東醫寶鑑》 「升麻・乾葛・羗活・独活・白芍・人参各1銭、柴胡・甘草各6分、防風5 分、生甘草4分」水煎服。 ◎火鬱・五心の煩熱を治す。
升陽散火湯《弁惑論》《古今方彙》 「升麻・葛根・羗活・独活・白芍薬・人参各5銭、柴胡3銭、防風2銭半、 甘草(生)・甘草(炙)各2銭、生姜」水煎。
◎男子、婦人四肢発熱、筋骨間が熱し、肌表熱して、火門の烙手の如きは此の病 多くは血虚に因りて之を得る。或いは胃に冷物を過食し欝遏し陽気が脾土の中 に火欝すれば則ち之を発す。
升陽除湿湯[1]《東醫寶鑑》 「黄蓍・蒼朮・羗活各1銭、柴胡・升麻・防風・藁本・炙甘草各7分、蔓荊 子5分、独活・当帰各3分」水煎服。
◎血崩が止まらない者。 升陽除湿湯[2]《東醫寶鑑》 「蒼朮1銭半、升麻・柴胡・羗活・防風・神麹・沢瀉・猪苓各7分、陳皮・ 麦芽(炒)・甘草(炙)5分」水煎し空腹時に服用。 ◎気虚泄瀉で食欲なく、困倦無力の者。
升陽除湿湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》 「麦芽・甘草・陳皮各3分、蒼朮1銭、猪苓・沢瀉・防風・羗活・神麹・升 麻・柴胡各5分」水煎。
◎湿気が下焦より上がる者を治す。引きて之を去るなり。 ◎胃寒にて腸鳴るには:「益智仁半夏生姜大棗」 升陽除湿湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》
「升麻・柴胡・羗活・防風・猪苓・沢瀉各5分、蒼朮1銭、陳皮3分、神麹5 分、麦芽・甘草各3分」水煎。 ◎自ら下り而して上る者は而して之を竭す。 (上へ上る湿は下に引き下げて小水の方へ取り、下へ陥り低りたる陽気は上焦 の方へ引き挙げる様にする意味)
升陽除湿防風湯《古今方彙》 「蒼朮4銭、防風2銭、白朮・茯苓・芍薬各1銭」水煎。 ◎泄瀉し頭痛するを治す。 升陽除湿和血湯《医学入門》《古今方彙》 「甘草(生)、甘草(炙)、黄蓍、当帰、熟地黄、蒼朮、秦艽、肉桂、陳皮、升 麻」
◎血箭(血が糸筋の如くなりて箭のように走ること)湿毒を治す。 升陽除湿和湯《東醫寶鑑》 「白芍1銭半、黄蓍・炙甘草各1銭、陳皮・升麻各7分、生地黄・牡丹皮・ 生甘草各5分、当帰・熟地黄・蒼朮・秦艽・肉桂各3分」 ◎腸下血で出血し、腹痛する者。
升陽順気湯《東醫寶鑑》 「黄蓍(蜜炙)2銭、人参・半夏(姜製)各1銭、神麹(炒)7分半、当帰・草豆 ・陳皮・升麻・柴胡各5分、黄柏・炙甘草2分半、生姜3片」水煎服。
◎忿努で肝を悪くし、思慮が脾を悪くし、悲哀が肺を悪くし、各経絡に火が動い て元気をなくし、熱を発して食欲のないとき。 ◎内傷の諸症で、春は食欲なく、夏は暑くても身体が冷え、胸腹が脹って、食べ なくても腹が一杯の感じがする。
升陽順気湯《弁惑論》《古今方彙》 「黄蓍1両、黄柏(酒)・甘草(炙)各5分、人参3分、当帰・陳皮各1銭、升 麻・柴胡各1銭、半夏3銭、草豆、生姜」水煎。
◎飲食労役により傷るる所、腹脇満悶、短気、春に遇えば則ち口淡く味無く、夏 に遇えば熱と雖もなお寒く、飢えて常に飽きやすく冷を食するを喜ばざるを治 す。
◎飲食して胸膈飽脹し、大便溏瀉する者を治す《万病回春》 升陽順年湯 升陽燥湿湯《蘭室秘蔵》 「黄芩・橘皮各5分、防風・良姜・甘草各1銭、郁李仁1銭、柴胡1銭3分、 乾姜1銭、白葵花7朶」(朶=ダ、えだ) ◎白帯下、陰戸中痛み、空心にして急痛、身黄皮緩に、身重きこと山の如く、陰 冷え水の如きを治す。 ◎此方は白帯下の主剤とす。身重如山、陰冷如水と云うが目的なり。《勿誤薬室 方函口訣》 ◎白帯下は婦人の内、尤も難治とす。臭気甚だしき者は別して不治なり。 ◎此方は牝戸より俗に水じもとと云う如き冷水を漏下し腰痛する者に効あり。
◎《立野龍貞》は、「白葵花白鶏冠花」が験ありと云う。 升陽蒼朮湯《東醫寶鑑》 「蒼朮1銭半、半夏1銭、厚朴・陳皮・枳実・桔梗・川芎・木通・升麻・柴 胡各7分、黄連・黄芩・木香・甘草各5分、姜5片」水煎服。 ◎嶺南の春秋の季節に山瘴霧の毒気にふれ、寒熱を発し、胸が詰まって食欲のな い者。
升陽調経湯《東醫寶鑑》 「柴胡・羗活・蒼朮・黄蓍各1銭、当帰・防風・升麻・藁本各7分、 蔓荊子5分、独活3分」水煎服。 ◎内傷により、出血が止まらない者。
升陽補胃湯《東醫寶鑑》 「白芍1銭半、升麻・羗活・黄蓍各1銭、生地黄・独活・柴胡・防風 ・熟地黄・牡丹皮・炙甘草各5分、当帰・葛根各3分、肉桂2分」 ◎腸下血が射出され、色が黒紫で腰痛の重い(=湿毒腸)者。
升陽補気湯《東醫寶鑑》 「柴胡1銭半、生地黄1銭、升麻・沢瀉・白芍・防風・羗活・独活・甘草各7 分、厚朴5分、姜3、棗2」水煎服。 ◎食事の不規則・ひもじい時に労役して、胃気が不足し・気短・無力・四肢のだ るさを治す。
升陽補気湯《弁惑論》《古今方彙》 「厚朴5分、升麻・羗活・白芍薬・独活・防風・沢瀉各1銭、柴胡2銭5分、 生地黄1銭5分、甘草1銭、生姜、大棗」水煎し食前温服。 ◎飲食節を失し、飢飽労役、胃気不足、脾気下陥、気弱無力、満熱する能わず、 早飯の後に転増昏悶し、頻りに眠睡を要し怠惰四肢収まらず、懶倦動作、五心 煩熱するを治す。 ◎腹脹り及び狭窄するには:「厚朴」 ◎腹中硬きに似れば:「砂仁」
菖蒲欝金湯《温病全書》《中薬臨床応用》 「石菖蒲5g、欝金5g、連翹9g、山梔子6g、菊花6g、牡丹皮6g、淡竹葉9g、 滑石12g、牛蒡子9g、天竺黄6g、生姜汁6滴(沖服)、玉枢丹末1,5g(沖服)」 水煎服。 ◎意識障害 ◎煩躁 ◎流行性脳脊髄膜炎 ◎日本脳炎
菖蒲開音湯《中薬臨床応用》 「石菖蒲3g、醋梅花9g、佩蘭9g、桔梗6g、石斛12g、人参葉9g、烏梅3g、 牛蒡子5g、麦門冬9g、梅根24g」水煎服。 ◎咽喉炎 ◎声帯浮腫による嗄声。
菖蒲丸《東醫寶鑑》 「石菖蒲・人参・麦門冬・遠志・川芎・当帰各2銭、乳香・朱砂各1銭」作 末し、麻子大の蜜丸。米飲で10~20丸調服。 ◎言葉が遅い幼児。
菖蒲散《東醫寶鑑》 「菖蒲・皀角」各等分に作末し、毎回1銭を綿でくるんで息をふさぎ、仰臥 する。 ◎鼻がつまり、息が出来ない者。
菖蒲散《寿世保元》《古今方彙》 「菖蒲根、当帰、秦艽、呉茱萸、葱白」煎服。 ◎婦人の前陰が腫痛するを治す。 勝金丸《東醫寶鑑》 「常山4両(一晩酒浸晒して乾燥)、蒼朮(米のとぎ汁に漬け乾燥)・檳榔・草 果各2両を作末し、常山を漬けた余酒で糊をつくって梧子大の丸剤。毎回 50丸服用。
◎一切の瘧を治す。 勝金散《東醫寶鑑》 「塩1両を青布にくるんで焼き、麝香1銭を入れ作末し、酒に漬けて1銭 服用。」 ◎難産・横産・逆産を治す。
勝金丹[1]《東醫寶鑑》 「常山4両、檳榔(酒蒸・晒し乾燥)1両」作末し、醋糊で緑豆大の丸剤。就 寝時に30丸、冷酒で飲み、次の日早朝に又15丸、冷酒で飲む。
◎すべての瘧疾が治らないとき。 勝金丹[2]《東醫寶鑑》 「牡丹皮・藁本・人参・当帰・白茯苓・赤石脂・白芷・肉桂・白薇・川芎・ 延胡索・白芍・白朮各1両、沈香・甘草各5銭」作末し、弾子大の蜜丸。 毎回1丸、空腹時に温酒でかじって飲む。 ◎月経不順で長い間妊娠出来ない者。 ◎血癖・気痛。
勝金丹[3]《東醫寶鑑》 「百歯霜を作末し梧子大に丸め、黄丹で衣をし、毎回3丸を逆流水で食後に 飲み、左乳が病んだら左側を下にして寝、右乳は右を下にして寝て温め、 汗を出すとすぐ治る。
◎吹乳に効く。 勝紅元《東醫寶鑑》 「三稜(醋炒)・莪朮(醋炒)・青皮・陳皮・乾姜(炮)・良姜(炒)各1両、香附 子(醋炒)2両」作末し醋糊で梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸飲む。
◎血積・酒積、婦人の脾と血の積気を治す。 勝湿湯《東醫寶鑑》 「白朮3銭、人参・白芍・乾姜・附子(炮)・桂枝・白茯苓・甘草各7分、姜5、 棗2」水煎服。
◎湿地に座臥し、また雨露に濡れて身体が重い者。 ◎足が弱く、下痢する者。 勝湿餅子《東醫寶鑑》 「黒牛2両頭未を取って5銭、白牛2両頭未を取って5銭、甘遂5銭を細末 にし蕎麦麺1両半と水で薬末を混ぜ、餅子を銅銭3つぐらいの大きさに作 り、ご飯の上で蒸し、毎回1餅を空腹時に茶清で飲む。
◎久年の脚気で、足脛が腫痛する者。 勝駿丸《東醫寶鑑》 「木瓜4両、当帰(酒浸)・天麻(酒浸)・牛膝(酒浸)・酸棗仁(炒)・熟地黄(酒 浸)・防風各2両、全蝎(去毒)1両、附子(炮去皮臍)1枚、乳香・没薬・羗 活・木香・甘草各5銭、麝香2銭」作末し、生地黄2斤を酒4升と煎じて 膏のようになったら、前薬を入れて搗いて堅くし、1両を10丸に作る。 就寝時に1丸づつ酒で服用。
◎脚気でケイレンして痛み、歩行不能と一切の足弱を治す。 将軍湯《寿世保元》《古今方彙》 「大黄(酒)一宿浸す」水煎。 ◎癲狂諸病を治す。
将軍湯《漢方治療の実際》 「大黄1味」水煎。 ◎その主治に、精神守らず、語言錯乱、妄見、妄言、少しく臥し、狂走常ならざ るを治すとあり、この方はもと江州の民間で、気ちがいの妙薬として売ってい たもので、この方を中山三柳が病家要覧に載せた。《大塚敬節》
省風清痰転舌湯《万病回春》《古今方彙》 「陳皮・半夏・枳殻・黄芩(酒炒)各1銭、茯苓8分、防已1銭、防風7分、 天南星5分、天麻8分、甘草5分、全蝎7分、蝉退8分、生姜、竹茹」水 煎。丸と為して服するも亦可なり。
◎口眼斜、舌強ばり、言い難きを治す。 省風湯[1]《銀海精微》 「防風・犀角・大黄・知母・玄参・黄芩・桔梗・羚羊角(肝虚には除く)」 以上を作末し、毎服8g、水で煎じ、灯心草・竹葉を入れ、食後服用。
省風湯[2](一名小省風湯)《東醫寶鑑》 「防風・天南星(炮)各2銭、半夏(製)・黄芩・甘草各1銭」剉作し、1貼に 姜10片入れ水煎し、導痰湯と合わせて煎じて飲むともっとよい。
◎卒中風で人事不省になり熱がない者。 ◎風を散らして痰を除き火を降ろす。 省味金花丸《銀海精微》 「山梔子・黄・黄柏・桑白皮・地骨皮・桔梗・知母・甘草」を微細末にし、 蜜で丸剤にして、清茶で服用。
漿水散《東醫寶鑑》 「半夏(製)2両、乾姜(炮)・肉桂・附子(炮)・甘草(炙)各5銭、良姜 2銭半を粗末にし毎回5銭を水2盃で1盃まで煎じ、空腹時に温服。 ◎暴泄で一身に冷汗をかき、脈が弱く、気弱で話すことも出来ず、甚だ しいときは吐くこともある。
衝寒散《東醫寶鑑》 「香附子・陳皮・草果各1銭半、縮砂・白姜・肉豆各7分、香・ 白茯苓・木通・呉茱萸各3分」作末し、毎回2銭を温酒又は姜湯 で調下。或いは剉作1貼して水煎服。
◎痼冷腹痛で下痢し、食欲不振の者。 瘴疸丸《東醫寶鑑》 「茵・山梔子・大黄・芒硝・各1両、杏仁6銭、常山・鼈甲・巴豆霜各4 銭、豆2銭」作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。毎回3~5丸温水で飲 む。
◎天行病が急に発黄した者。瘴瘧発黄を治す。 硝石大円(しょうせきたいえん)《漢方治療の実際》 「消石6、大黄8、人参・甘草各2、当帰1」以上を作末し米糊で丸とし、1 回1.5。
硝石大円 =「夾鐘円」 「大黄40.0、消石30.0、甘草・人参10.0」 右四味、各別に細末にし、醋1合5勺を以て、先ず大黄を煮て1合に減じ、 後、甘草、人参、を入れ、再び煮て飴状の如くにし、火より下し、更に消 石を入れ、攪和して丹と為す。1回に2.0~4.0。 ◎腹中の結毒、心下痞の者を治す。《古方兼用丸散方》 ◎腹中に僻塊有り、心下痞し、或いは腹痛し、吐する者を治す《春林軒丸散方》
硝胆膏《東醫寶鑑》 「芒硝」作末し猪胆汁で調合して塗る。 ◎痘毒であばたになり、肌肉が壊爛し膿が乾かず痛む者。 逍遥解毒湯《黴瘡約言》《勿誤薬室方函口訣》 「金銀花・当帰・芍薬・白朮・柴胡・梔子・茯苓・薏苡仁・連翹・甘草」右 十味。 ◎楊梅、結毒除かれず、腹中熱あり、肌肉痩削し、俗に呼んで湿労というもの、 或いは粉剤を服して後、変を生じ、或いは諸瘡久しく癒えざるを治す。 ◎此方、湿労を治する主剤とす。 ◎逍遥散は小柴胡湯の腹形には手弱き剤なり。故に当帰・芍薬・柴胡・甘草にて 心下両脇をゆるめ、白朮・茯苓にて胃中の水飲を消導する中に、梔子の瀉火、 連翹の湿熱を清する、薏苡仁の濁湿を駆る、金銀花の瘡毒を制する品を伍入し て、むっくりと精気を損せず邪毒を去るの工夫、青州翁の精義入神と謂うべし。 《勿誤薬室方函口訣》
逍遥散《和剤局方》《中薬臨床応用》 「柴胡9g、当帰9g、白芍薬9g、白朮9g、茯苓9g、薄荷3g(後下)、生姜5g、 甘草(炙)3g」水煎服。 ◎肝気欝結による月経不順
逍遥散《和剤局方》《勿誤薬室方函口訣》 「柴胡・芍薬・茯苓・当帰各1両、薄荷少許、白朮1両、甘草半両、生姜1 塊」 ◎(下痢と便秘を繰り返す・神経性) ◎血虚労倦し、五心煩熱し、頭目昏重し、心き、頬赤く、発熱盗汗あるを、及 び血熱相搏ち、月水調わず、臍腹脹痛し、寒熱瘧の如きを治す。 ◎此方は「小柴胡湯」の変方にして、小柴胡湯よりは少し肝虚の形ある者にして
「医王湯」よりは一層手前の場合にゆくものなり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎此方、専ら婦人虚労を治すと云えども、その実は体気甚だ強壮ならず、平生血 気薄く、肝火亢ぶり、或いは寒熱往来、或いは頭痛、口苦、或いは頬赤、寒熱 如瘧、或いは月経不調にて申し分絶えず、或いは小便淋瀝渋痛、俗に云うせっ かちの如く、一切肝火にて、種々申し分ある者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎《聖済総録》曰く。産後、血虚し、心煩、自汗あり、精神昏冒し、心き、頬 赤く、口乾き、咽乾き、発熱頭痛し、或いは寒熱ありて瘧の如きを治す。《雑 病翼方》 ◎《医学真悟》に云う、噎膈、鬱を挟む者は則ち逍遥散を用いて之を主る。 ◎《峰普済方》に云う、此の症は乃ち神思間の病なり、法は当に内観静養すべ しと。この言深く病情に中る《方読便覧》
◎血虚発熱止まざる、あるいは労咳なる者を治す:「麦門冬・阿膠」 ◎血虚鬱塞する者を治す:「地黄・莎草」。 《和田東郭》の地黄・香附子を加ふる者、此の裏にて、肝虚の症、水分の動悸 甚だしく、両脇拘急して思慮欝結する者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》 ◎陰中の諸瘡を治す:「荊芥地骨皮」《本朝経験》 ◎婦人の諸虚百損、五労七傷にて、経脈調わず、肢体羸痩するを治す:「陳皮 ・知母・貝母・香附子・地骨皮・麦門冬」=「滋陰至宝湯」《古今医鑑》
逍遥散《医貫》《勿誤薬室方函口訣》 「逍遥散《和剤局方》甘草橘皮・牡丹皮・貝母・黄連」 ◎一切の欝証、瘧に似たる者を治す。 ◎ただし、その人、口苦、清水或いは苦水を嘔吐し、面青く、脇痛、耳鳴、脈 なり。
椒元《東醫寶鑑》 「椒目1銭、27粒、巴豆(皮芯を去り細研)1個」水をたらして緑豆大の 丸剤。温水で3~5丸飲む。
◎浮腫を治す。 椒豆散《東醫寶鑑》 「胡椒・緑豆各49粒」研末して調服。又煎服。 ◎霍乱・吐瀉のあと、薬・水薬が入らない者。 椒梅湯《万病回春》 「烏梅・花椒・檳榔・枳実・木香(別研)・香附子・砂仁・肉桂・厚朴・乾姜 ・甘草・川楝子(去核)」各等分。剉作1剤。生姜1片。水煎服。 ◎虫痛を治す。 ◎腹痛、時に痛み、時に止み、面白く、唇紅なるは、是れ虫痛なり。 ◎此の方は、回虫の腹痛を治す。其の形症、実に似たれども、殺虫の薬応ぜざる 者に効あり。其の一等軽き者を椒梅丸とす。《勿誤薬室方函口訣》
椒梅瀉心湯《本朝経験》《勿誤薬室方函口訣》 「半夏瀉心湯烏梅蜀椒」 ◎此方は回虫の嘔吐、心下刺痛を治す。 ◎常に心下寒飲ありて悪心、喜唾する者を治す。 ◎回虫を兼ねて悪心甚だしき者《橘窓書影》
椒梅瀉心湯《本朝経験》《漢方治療の実際》 「半夏瀉心湯烏梅・蜀椒各2」 椒附散《東醫寶鑑》 「大附子1箇の皮を去り作末2銭、川椒20粒に白麺を混ぜて置いて、 水1杯半、生姜を煎じて7分ぐらいになると椒は捨て、塩を少し入 れて空腹時に温服。
◎腎気が上に攻搏して項背がまわらない者。 椒粉散《東醫寶鑑》 「麻黄根2銭、黒狗脊・蛇床子各1銭、川椒・当帰梢・猪苓各6分、斑 花4枚、軽粉・紅花」少しづつ、作末して使う。
◎陰嚢の湿痒を治す。 焼塩方《備急千金要方》 「焼塩・熱童便」 焼散《東醫寶鑑》 「婦人の陰部に近い肌着1切れ、直径4~5寸を焼き(焼存性)、温水で 1日3回、1銭を調服すると小便がすぐ利し、陰頭に若干腫を生じ ながら治る。 ◎陰陽易を治す。
焼腎散《東醫寶鑑》 「磁石(火醋淬7回)・附子(炮)・川椒(炒)・巴戟各1両を作末し、 猪腎1枚を細切りにし葱白1銭と薬末1銭、塩1匙を入れて混ぜ、湿 紙でくるみ煨熟して、空腹時にかんで呑み下す。
◎腎虚耳聾を治す。 焼丹丸《東醫寶鑑》 「太隣玄精石・軽粉⇒水銀粉各1銭、粉霜・硼砂各5分」を細末にし、寒食 麺1銭を入れて水滴を良くおとし、細かくしたものを餅状にし、また麺で
くるんで洗い、黄色くなったら麺は捨て、又水滴をふり落として細かく切 って、米粒ほどの丸剤。最初は5丸、次に10丸と温水で飲む。そして大 便に悪物が出るまで飲む。
大変治療しにくい症状には、先に焼丹丸を使い、次に四物湯に黄連を加 えて季節に従って加減して使い、飲食を淡泊なものにして効果を助けると 半年ぐらいで治る。 ◎胎驚でおきた癇症状を治す。
薔薇湯(しょうびとう)《浅田家方》 [薔薇花、桔梗、甘草」 ◎口瘡を治す。口に含む。 ◎此方は、大病の人、口瘡を発し、或いは口中糜爛して、薬食共に廃する者に用 いて効あり。《勿誤薬室方函口訣》
薔薇湯《備急千金要方》 「黄柏、升麻、地黄、薔薇根」 ◎口瘡を治す。 諸蠱保命丹《東醫寶鑑》 「肉蓯蓉3両、青礬・紅棗・香附子各1斤、麦芽1斤半」作末し、先に肉蓯 蓉と棗・礬を入れ、火し煙りが尽きたら薬末を梧子大の丸剤。毎回20~30 丸、食後に酒で調下。
◎蜘蛛蠱脹を治す。 杵糠丸(一名奪命丸)《東醫寶鑑》 「杵頭糠・牛転草各半斤、糯米1斤」作末し、黄母牛の口中の涎を取 って、砂糖3両を加え、実大に作丸し鍋に入れ弱火で1日2回服用。 ◎五膈を治す。
蜀漆散《金匱要略》 「蜀漆(洗去腥)、雲母(焼二日夜)、竜骨」等分。 右三味、杵為散、未発前以漿水服半銭、温瘧加蜀漆半分、臨発時服一銭匕。
◎瘧多寒者、名曰牡瘧、蜀漆散主之。 ◎蜀漆散の条は所謂牡瘧は瘧病にして寒多き者なり。而して下に動ある者は、 此の方能く之を治す。若し下に動なき者は、終にその効を見ず。《重校薬徴》
蜀漆湯《備急千金要方》 「蜀漆1分、桂枝1分、甘草1分、黄芩1分、黄蓍1分、知母4分、芍薬4 分、地黄3銭分」 ◎産後、虚熱往来し、心胸煩満、骨節疼痛、及び頭痛壮熱、哺時に甚だしく、又 微瘧の如きを治す。
蜀漆散 “蜀漆散条に、謂ふところの瘧は、是れ寒熱発作時あり。しかしてその臍下に動ある者、此の散の主治するところなり。臍下に動なき者に之れを用ふれば、則ち未だその効を見ず”《薬徴》
[瘧]=おこり。マラリヤ。 ◎此方は蓐労の主薬とす。《勿誤薬室方函口訣》 青皮湯《東醫寶鑑》 「青皮(焙)2銭」酒で調服。 ◎吹乳の痛くも痒くもなく、石のように硬く腫れる者。
青皮湯《医学入門》《古今方彙》 「莪朮7分、青皮1分、三稜7分、陳皮・神麹各5分、延胡索3分、生姜」 水煎。 ◎食を進め、脾を健にし積を消し、聚を化す。 ◎痞満には:「黄連」 ◎欝には:「山梔子」 ◎少食には:「山子・麦芽」 ◎婦人には:「香附子・川芎・紅花・木香」 ◎気冷にて痛みを作すには:「沈香・木香」
上下分消導気湯《万病回春》《東醫寶鑑》 「枳穀・桔梗・桑白皮・川芎・赤茯苓・厚朴・青皮・香附子(炒)各2両、 黄連(姜汁炒)・半夏(製)・瓜蔞仁・沢瀉・木通・檳榔・麦芽(炒)各1両、 炙甘草3銭」細切りにし、毎回1両に灸3片を入れ水煎服。又は作末し神 麹糊で丸め、白湯で70~80丸服用。
◎気鬱を治す。いつも煩悩する人の常用薬。 ◎功は「分心気飲」に勝る。 上清飲《東醫寶鑑》 「川芎・欝金・芍薬・荊芥・薄荷・芒硝各2銭半、乳香・没薬各5分、竜脳2 分半」作末し毎回2銭を鼻内に入れる。 ◎風頭痛と眉骨・眼の痛む者を治す。
上清元《東醫寶鑑》 「薄荷葉1斤、縮砂4両、甘草2両、防風・桔梗・黄芩各1両」作末 し・1両で20丸の蜜丸。毎回1丸を口に含む。
◎咽喉腫痛・口舌生瘡。 ◎上焦の風熱を治す。 上清散《東醫寶鑑》 「川芎・欝金・芍薬・荊芥・薄荷・芒硝各2銭、乳香・没薬各5分、 竜脳2分半」作末し、毎回2銭反を鼻内に入れる。
◎風頭痛と眉骨・眼(=スイ,見上げる)の痛む者。 上清白附子丸《東醫寶鑑》 「白附子(炮)・半夏(製)・川芎・甘菊・天南星(炮)・白彊蚕(炒)・
陳皮(去白)・旋覆花・天麻各1両、全蝎(炒)半両」作末し、姜汁 を浸して蒸した餅で梧子大の丸剤。30丸姜湯で飲む。
◎風痰で頭痛・めまいする者。 上丹《東醫寶鑑》 「五味子8両、蛇床子・兎絲子・百部根・杜仲・白茯苓・防風・巴戟・肉 蓉・山薬・遠志・枸杞子・柏子仁各2両」作末し、梧子大の蜜丸。空腹時 に温酒または塩湯で50~70丸呑む。
◎労傷・虚損・男の不能を治す。 上品錠子《東醫寶鑑》 「紐礬1両2銭半、信砒火()5銭、乳香・没薬・朱砂各2銭半、牛黄2分 半、綱砂5分(熟)・2分(生)」作末し、麺糊で混ぜ、錠子を瘡の大小・深 浅に合わせて孔中の挿入する。
◎18種の痔瘻を治す。 承気丸《東洞家塾方》 「大黄8銭、硝石12銭」 右2味末と為し梧桐子大の糊丸。枳実厚朴湯を以て之を服す。毎服8分。 [枳実厚朴湯] 「枳実1銭2分、厚朴1銭8分」 右2味、。水1合5勺を以て煎じて6勺を取り、承気丸8分を送下す。 ◎腹満、或いは燥屎通ぜざる者を治す。
如神丸[1-1] =「仲呂丸」 「大黄6.0、牽牛子・甘遂各3.0」(一方に消石3.0あり) 右三味、各別に細末にし、糊丸。1回1.5~3.0を白湯で服用。
如神丸[1-2]《春林軒丸散方》 「大黄・牽牛子各6.0、甘遂3.0」用法用量上に同じ。 ◎腹脹、水腫、小便利せざる者を治す《古方兼用丸散方》 ◎心下痞し、小便利せず、四肢疼痛し、大便通ぜず、或いは身体腫痛し、或い は腰間攣痛し、或いは陰嚢腫れ、少腹に引いて痛む者を治す。《春林軒丸散方》
如神散《東醫寶鑑》 「苦匏子・苦胡蘆子各3~7個、黄黍米300粒、安息香2」皀子大に作末し、1 字(=2分5厘)を鼻中に入れると黄水がドロドロと出る。
◎酒毒の発黄を治す。 如神湯《東醫寶鑑》 「延胡索・当帰・桂心・杜仲(姜汁炒)」等分に作末し、毎回2銭を空腹時に 温酒で調下。
◎挫閃腰痛・ギックリ腰。 如神白虎湯《傷寒六書》《古今方彙》 「石膏、知母、甘草、人参、山梔子、麦門冬、五味子、生姜、大棗、竹葉」 煎服。
◎身熱、渇し而して汗ありて解せず、或いは汗過を経て渇し解せず、脈微にして 洪なるを治す。 ◎熱眠心煩の者:竹茹。 ◎大渇、心煩、背悪寒する者:山梔子天花粉。
如聖飲《傷寒六書》《古今方彙》 「羗活、防風、川芎、白芷、柴胡、芍薬、当帰、烏薬、半夏、黄芩、甘草、 生姜」水煎し、服するに臨み「姜汁・竹瀝」を入れ温服。
◎傷寒重く、寒湿を感ずれば則ち剛柔二となり、頭面赤く、項強直し、手足 し、頭揺り、口噤、背張、と同じ治法なり。 ◎汗あれば、柔痙なり:「白朮・桂枝」 ◎汗無ければ、剛痙なる:「麻黄・蒼朮」 ◎口噤、咬牙の者、大便実なり:「大黄」 如聖飲《万病回春》《古今方彙》 「人参、常山、緒工、甘草」水煎し酒(少許)入れ一宿を露し発するに臨み、 五更に温服。
◎瘧久しく止まざる者は、截ちて而る後に補うなり。 如聖丸《東醫寶鑑》 「黄連・胡黄連・蕪・使君子肉各1両、麝香5分、蝦蟆(乾)1個を酒浸し 煎じて膏を作る」作末し膏と混ぜ、麻子大の丸剤。人参湯で2~3歳児に5 ~7丸呑ませる。
◎冷熱疳を治す。 如聖丸《錢乙方》 「使君子、胡黄連、蕪、干蟾、麝香」 如聖膏 如聖散[1]《東醫寶鑑》 「巴豆1~2粒(皮を去り細切り)油は捨てず、朱砂・黄丹を少しづつ入れて 紙に塗り、小児の顋の上の毛をそって貼ると四方に栗粒のうなものが出来 るが、薬を温水でふきとって、又菖蒲水で洗う。 ◎小児が口瘡で乳が飲めない。
如聖散[2]《東醫寶鑑》 「棕櫚・烏梅各1両、乾姜1両半」焼いて作末し、毎回2銭づつ烏梅酒で空 腹時に飲む。 ◎血崩に効く。
如聖散《済世全書》《古今方彙》 「当帰、白朮、黄芩、枳殻、黒豆、大腹皮、砂仁、甘草」水煎。 ◎比較: ①身熱し足冷ゆる者にて腹脹るには:「八物湯木香」 ②脾気虚して飲食進まず毒発して出でざるには:「四君子湯木香・糯米 ・紫草」 ③胎動不安には:「安胎飲砂仁」 ④痘出ること稠密なるには:「参蓍内托散紫草・芍薬・当帰」 ⑤単に外に邪ありて内に症の無き者には:「参蘇飲木香」or此方を以て す。
◎痘出て太盛なるには:「黄連(酒)・牛蒡子・連翹・山子」 ◎起発せざれば:「牛蒡子・白芍薬」 ◎口乾には:「麦門冬・知母・括楼根」 ◎痰多きは:「半夏」
如聖勝金錠《東醫寶鑑》 「硫黄・川芎・蝋茶・薄荷・川烏・硝石・生地黄」各等分に作末し、生葱汁 でまぜ、1両を10錠に作り、毎回1錠を水でうがいして、次に薄荷5~7 養を錠と噛んで呑み下す。
◎咽喉急閉・単蛾・隻蛾・結喉・重舌・木舌を治す。 如聖丹《儒門事親方》 「蛇床子・明礬」各等分を末にして、酢とメリケン粉で弾丸大の丸にして、 燕脂(化粧に使用する紅)で衣をかぶせ、真綿で包み、女子陰部に挿入す る。熱くなったら取り替える。」
如聖湯《医学入門》《古今方彙》 「白芍薬・升麻・乾葛各5分、甘草・紫草・木通各2分半、山子根3寸、 生姜、葱白」煎服。
◎痘瘡已に出で、未だ出でず、身熱すること火の如く、頭疼み、瞼赤く、呵欠し 鼻瘡の者を治す。 ◎心煩すれば:「麦門冬・赤茯苓」 ◎煩渇には:「生脉散」 ◎身熱し火の如きには:「黄芩(酒)・地骨皮」
如聖餅子《東醫寶鑑》 「天南星・乾姜・川芎・川烏・甘草各1両、防風・半夏(製)・天麻・細辛各5 銭」作末し姜汁麺糊で混ぜ、実大の団子。5個を温酒又は茶清で食べる。 ◎気厥・痰厥の頭痛。
如程飲《済世全書》《古今方彙》 「当帰、川芎、白朮、白芍薬、茯苓、陳皮、半夏、枳殻、白芷、桔梗、白 蚕、天麻、防風、荊芥、細辛、黄芩、烏薬、甘草、生姜」水煎。
◎中風にて口眼斜するを治す。 助胃膏《東醫寶鑑》 「山薬5銭、人参・白朮・白茯苓・陳皮・甘草各2銭半、木香1銭、縮砂20 個、白豆7個、肉豆2個」作末し皀子大の蜜丸。毎回1丸を米飲で呑 む。 ◎小児の吐瀉を治し、食欲を増進させる。
助胃湯《万病回春》《古今方彙》 「白朮・茯苓・人参・肝臓(炙)各2銭半、白豆・木香・山薬各5銭、砂仁20 個、丁香・肉桂・香各3銭、陳皮5銭、肉豆2個」水煎。
◎元気も脾胃も虚弱にて吐瀉止まず、飲食を思わず、及び久しく瀉して虚寒なる 者を治す。 助元散《東醫寶鑑》 「白朮3両、白茯苓・陳皮各1両、麦芽(炒)5銭」作末し砂糖屑3両を入れ、 磁器に入れて貯蔵し、白湯で3銭づつ調服。
◎脾胃を保養し、食欲を増進させる。 ◎老人に良い。 助陽丸《中薬臨床応用》 「海狗腎9g、巴戟天12g、枸杞子12g、鹿茸6g、山茱萸9g、熟地黄12 g、山薬12g」細末を小豆大の蜜丸。毎食後10丸服用。
◎腎陽虚 ◎インポテンス ◎性機能減退 助陽散《東醫寶鑑》 「乾姜・牡蠣各1両」作末し焼酒で調合し、手のひらにつけて外腎をもみ、 婦人は両乳房を揉む。 ◎急陰冷を治す。
助陽和血湯《古今方彙》 =「活血湯」《李東垣》 「黄蓍・当帰・甘草・防風・柴胡各5分、白芷3分、蔓荊子2分、升麻7分」 水煎。
◎眼が之を発せし後になお熱あり、白睛赤色、隠渋して開き難く、而して涙多 き等の症を治す。 助陽和血湯《東垣》《実用漢方処方集》 「黄蓍・当帰・防風・柴胡各3.0、甘草2.0、白芷・蔓荊子・升麻各1.0」
◎逆まつげ 結膜炎 除源散(一名泝源散)《東醫寶鑑》 「食べたものを探って研末し、生韮一握りを搗いて汁を取って調服し、下痢 薬を飲むと、宿食が降りて熱が下がるとすぐ治る。
◎食中毒で悪寒発熱・心腹痞痛する者。 除湿化毒湯《喉証明弁》 「葛根・金銀花・生地黄・桑葉・貝母(去心)各8g、枇杷葉6g(毛を去って 蜜炙)、竹葉4g、木通・生甘草各3.2g、薄荷2g」煎服
除湿羗活湯(一名除風湿羗活湯)《東醫寶鑑》 「蒼朮・藁本各2銭、羗活1銭半、防風・升麻・柴胡各1銭」水煎服。 ◎風湿が相搏って、全身が痛む者。
除湿羗活湯《弁惑論》《古今方彙》 「羗活7分、升麻・柴胡・防風各5分、藁本・蒼朮各1銭」水煎温服。 ◎風湿相搏ち、一身尽く痛む者を治す。
除湿健脾湯《東醫寶鑑》 「白朮1銭半、蒼朮(炒)・白茯苓・白芍(炒)各1銭、当帰・陳皮各8分、猪 苓・沢瀉各7分、厚朴・防風各6分、升麻・柴胡各5分、甘草4分、姜3 片、棗2枚」水煎し空腹時に服用。
◎久泄で顔色青く、食欲のない者。 除湿健脾湯《万病回春》《古今方彙》 「蒼朮、分苦慮言う、白芍薬(炒)、当帰、陳皮、白朮、防風、厚朴、柴胡、 升麻、猪苓、沢瀉、甘草(炙)、生姜、大棗」水煎。
◎久瀉にて色蒼く而して歯疎(歯の間の疎くことや肉の落ちるは脾胃の虚する 看板)、倦怠、食減じ下墜するを治す。 ◎久瀉には:「天南星」
除湿痺湯《証治準縄》 「蒼朮(米のとぎ汁に浸し、皮を去り、切って炒る)8g、白朮8g(蒼朮とい っしょに炒る)、茯苓・羗活・沢瀉各6g、陳皮4g、甘草(炙)1.6g、姜汁 竹瀝」
除湿消疹湯《中薬臨床応用》 「地膚子15g、白鮮皮9g、萆薢12g、苦参9g、野菊花9g、生地黄12g、赤芍 薬9g、当帰9g」水煎服。 ◎湿疹
◎掻痒性皮疹 除湿湯《東醫寶鑑》 「蒼朮・厚朴・半夏各1銭半、香・陳皮各7分半、甘草5分、姜7、棗2」 水煎服。 ◎中湿で全身が重い者。
除湿湯《医学入門》《古今方彙》 「蒼朮・厚朴・半夏・香各8分、陳皮・茯苓・白朮各4分、甘草2分、生 姜、大棗」水煎。
◎寒湿の傷る所にて身重く、腰脚酸痛し、大便瀉し、小便或いは渋し或いは利す るを治す。 除湿補気湯 「橘皮、黄蓍、柴胡、蒼朮、五味子、当帰、藁木、升麻、黄柏、知母、甘草」 「医王湯人参五味子藁木黄柏知母」 ◎両腿麻木、沈重無力、多汗、喜笑、口中涎下り、身重く山の如く、語声出でざ る者を治す。 ◎此方は腿風、俗に酔々と称する者の主薬とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎食禁を厳にし、此方を与えるときは、やや保全すべし。もし此症にして湿熱甚 だしき者には「清湿湯」《会解》とす。
除湿補気湯《済世全書》《古今方彙》 「陳皮、黄蓍、柴胡、蒼朮、五味子、当帰、黄柏(酒)、知母酒、藁本、升麻、 甘草(生)」水煎温服。 ◎両腿麻木、沈重無力、多汗、喜笑、口中涎、下身重きこと山の如く、語声出ざ る者を治す。
除痛解毒湯《勿誤薬室方函口訣》 「撲湯《本朝経験》川芎牛膝附子甘草」 ◎骨節疼痛、黴毒を兼ねる者を治す。 除風清脾飲《審視瑶函》
「陳皮・連翹・防風・知母・芒硝・黄・玄参・黄連・荊芥穂・大黄・桔梗 ・生地黄」各等分。煎服 上池飲《寿世保元》《古今方彙》 「加減潤燥湯人参・烏薬、桃仁」 ◎一切の中風、左、右、半身不随、口眼斜、語言蹇渋、呵欠噴嚔、頭目暈、 筋骨時に痛み、頭或いは痛み、心中悴、痰火熾盛す。これ乃ち血気大いに虚 し、脾胃虧損し、痰あり、火あり、風あり、湿あり、此方は総ての諸風を津す るの神方なり。
浄府散《古今医鑑》 「柴胡・茯苓各1匁、猪苓7分、沢瀉・山査子・三稜・莪朮各1匁、黄芩8 分、白朮7分、半夏8分、人参・甘草・胡黄連各3分」 「柴苓湯大棗生姜莪朮三稜胡黄連」
◎小児、腹中癖塊あり、発熱口乾、小便赤きを治す。 ◎此方は柴苓湯の変方にして、莪朮、三稜、胡黄連を加ふる者は、峻に胸中心下 を推し開き、胃口両脇の間に停畜する処の水飲を消導するときは、癖塊も融和 するなり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎余、越前藩老母、寒熱腹満甚だしき者を治し、又、平岡栄山は、暑疫の熱、固 有の塊癖の執着して数日解せざる者を治す。
◎癇症《方読便覧》 ◎解顱《方読便覧》 ◎此方の症で胃気鬱閉一層甚だしき者:「麦芽・木香」《和田東郭》 浄府湯《漢方治療の実際》 =「浄腑湯」 「柴胡・茯苓各2、猪苓・沢瀉・山子・三稜・莪朮・黄芩各1.5、朮・半 夏各2、人参1.5、甘草・胡黄連各1、生姜・大棗各3」
浄腑湯《万病回春》《古今方彙》 =「浄府湯」 「柴胡・茯苓・猪苓・山子・沢瀉・三稜(醋炒)・莪朮(醋炒)各2銭、黄芩 ・白朮・半夏・人参各8分、胡黄連・甘草各3分、生姜、大棗」水煎。
◎小児一切の痺塊にて発熱し、口乾、小便赤く、或いは渋る者を治す。 浄腑湯《万病回春》《漢方後世要方解説》 「柴胡・茯苓・猪苓・沢瀉・白朮・半夏各2、山陵・莪朮・山子各1.5、 人参・黄連・生姜・大棗・甘草各1、胡黄連0.5」(小児1日量) ◎小児一切の癖塊、発熱、口渇、小便赤くして或いは渋る者を治す。 ◎此方は柴苓湯の変方にして、即ち小柴胡湯、五苓散を取捨して山陵、莪朮の気 を破る剤、山子、黄連の健胃剤を加味せるものである。 ◎此方は柴苓湯の変方で小児の癖塊とて慢性腹膜炎の硬結を生じ、食欲のみ亢進 して身体漸次羸痩し、腹部膨満、所謂脾疳を称せられるる小児の結核性腸間膜 癆の初期、寒熱往来して口渇、小便赤渋の者に用いてよい。本方は脾胃の欝熱 を解するもので、他の柴胡剤にては如何ともし難きものに奇効がある。小児に 多く用いられるが、脾胃の欝熱を目標として大人にも用いられる。
山子・胡黄連=食積を散じ 山陵・莪朮=堅硬を軟らぐ。 ★適応症及び病名 消化不良症 脾疳症 幼児急癇 慢性腹膜炎 虫症
常山飲《東醫寶鑑》 「常山・知母・草果各1銭半、良姜1銭、烏梅肉・甘草各5分、姜5、棗2」 水煎服。 ◎労瘧を治す。 常山飲《和剤局方》 「常山、知母、草果、甘草(炙)、高良姜、烏梅肉」
常山飲《和剤局方》《中薬臨床応用》 「常山9g、貝母9g、草果5g、檳榔子12g、烏梅6g、生姜9g、大棗12g」水 煎服。 ◎3日熱 ◎4日熱マラリア ◎瘧。 常山飲子《寿世保元》《古今方彙》 「常山・草果(不去皮)・知母各2銭、良姜1銭半、烏梅1銭半、甘草(炙)1 銭、大棗」水煎。未だ発せざる時に連りて2服を進む。
◎諸瘧、先に寒く後に熱し、或いは先に熱し後に寒く、或いは寒熱独りなし。或 いは連日并び発し、或いは間日一発して頭疼み悪心、煩渇、飲を引き、気息喘 急、口苦咽乾し、諸薬の効かざる者を問わず治す。
常山湯《香川修徳》 「常山、知母、檳榔」 ◎截瘧の剤。 ◎マラリアの発作を止める。 ◎此方は蜀漆散《金匱要略》と同じく、瘧の截薬なり。(截=セツ、断ち切る) ◎常山の方、数種あれども、此方最も効あり《勿誤薬室方函口訣》
茸香元《東醫寶鑑》 「鶏内金(炙)7銭半、鹿茸(酥炙)・肉蓯蓉(酒浸)・当帰(酒洗)各銭、竜骨() ・牡蛎粉・巴戟・赤石脂・禹余粮(醋淬研)・白姜・益智仁・乳香各2銭 半」作末し糯米糊で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で70丸飲む。 ◎虚損・虚冷で小便不禁の者。
茸珠丸《沈氏尊生書》 「鹿茸、鹿角膠、鹿角霜、陽起石、肉蓯蓉。酸棗仁、柏子仁、黄蓍、当帰、 黒附子、地黄、辰砂」 茸珠丸《東醫寶鑑》 「鹿茸・鹿角霜・鹿角膠・熟地黄・当帰各1両半、肉蓯蓉・酸棗仁・黄蓍・ 柏子仁各7銭、陽起石()・附子(炮)・辰砂(水飛)各3銭」作末し酒麺糊 で梧子大の丸剤。温酒or塩湯で70~90丸飲む。 ◎虚労による腎弱。 ◎命門の陽の衰える症を治す。
醸乳丸《大塚家方》 「白蚕」作末し、寒梅粉で丸剤。 1回に1匁(4.5)ずつ、朝夕2回、酒服する。 ◎乳汁分泌不足に、産後100日以内に飲む。効果は10目までに表れる。10日 分を飲み終わって少しも乳の出が増さないなら、いくら続けても無駄である。
其の効果は7%ぐらいである。《大塚敬節》 醸乳方[1]《東醫寶鑑》 「人参・木香・香・沈香・陳皮・神麹・麦芽各1銭、丁香5分を剉作し、 1貼に姜5片、紫蘇葉5葉、棗3枚を入れ煎服。
◎慢驚風を治す。 醸乳方[2]《東醫寶鑑》 「沢瀉2銭、生地黄1銭半、猪苓・赤茯苓・茵蒿・天花粉・甘草各1銭」 剉作し、乳母が食後に服用。 ◎骨蒸熱を治す。
醸乳方《済世全書》《古今方彙》 「生地黄2銭、沢瀉2銭半、猪苓・赤茯苓・括楼根各1銭半、茵、甘草」 煎じ乳母をして之を治す。 ◎胎熱にて生下(生まれおちること)し身熱し眼閉じ、焦啼燥熱するものを治す。
条痰湯《古今方彙》 「導痰湯人参・竹茹・石菖蒲」 ◎中風にて痰が心竅に迷い、舌強ばりて、言う能わざるを治す。 滌痰湯《医方集解》
「半夏(姜制)・胆星各10g、橘紅・枳実・茯苓各8g、人参・菖蒲各4g、竹 茹2.8g、甘草2g、生姜を加え煎服。 滌痰湯《東醫寶鑑》 「半夏(姜製)・天南星(姜製)各2銭、枳実1銭半、茯苓・陳皮各1銭、 石菖蒲・人参・竹茹各5分、甘草3分」剉作し、1貼に姜5片を入れ 水煎服。 ◎中風に痰が心竅を迷塞し、舌が堅くなってまわらない者。
◎中風でしゃべれない時豁痰・清熱・利気・補虚する最良方。 舒肝潰堅湯《医宗金鑑》 「夏枯草・白彊蚕(炒)各8g、香附子(酒炒)・石決明(椴)各6g、当帰・白 芍(酢炒)・陳皮・柴胡・蕪・穿山甲各4g、紅花・姜黄・甘草各2g、灯 心草50寸」以上を水3盃を1盃に煎じ、空腹時に温服する。 ◎便が乾く者は、乳香4gを加え、 ◎軟便の者には、牡蛎4gを加える。
舒筋温胆湯《伊沢蘭軒》 「柴胡、芍薬、枳実、茯苓、半夏、当帰、竹茹、羚羊角、木瓜、釣藤鈎、甘 草、呉茱萸」 ◎痿躄を治す。 ◎諸の癇癖、攣痛を治して効あり。《高階枳園》 ◎此方は《伊沢蘭軒》の経験にて痿躄を治すと云う。余は四逆散、温胆湯の変方 として、癇症にて四肢拘攣、腹裏拘急して心志不寧、抑肝散などよりその症一 等重き者に用いて効あり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎肝経風の痿躄を治す。《方読便覧》
舒筋散《東醫寶鑑》 「延胡索・当帰・桂心」等分に粉末。毎回2銭を空腹時に温酒で調下。又は 牛膝・桃仁・続断を加えてもよい。
◎挫閃血瀝腰痛に。 (血瀝=転んでキリで刺すように痛む) 舒筋湯《証治準縄》 「当帰、芍薬、羗活、姜黄、海桐皮、白朮、甘草、大棗、生姜」 「痺湯[1]《楊氏家蔵方》黄蓍白朮・海桐皮」 ◎風湿相搏ち、身体煩重、項背強急するを治す。 ◎痺湯の証にして筋脈拘急強く痛ある者に用いる。《方読便解》
舒筋保安散《東醫寶鑑》 「木瓜5両、萆薢・五霊脂・牛膝・続断・白彊蚕・烏薬・松節・白芍・天麻 ・威霊仙・黄蓍・当帰・防風・虎骨各1両」切って好酒1斗に侵し、堅く 封をしてから27日間置いた後、薬を出して焙って乾燥し作末する。毎回2 銭を薬に侵した酒半杯で調下し、もし酒が全部無くなったら米飲で調下す る。
◎で筋脈が拘攣し、痛みが流注する者。 舒筋立安散《万病回春》《古今方彙》 「防風、羗活、独活、茯苓、川芎、白芷、生地黄、蒼朮、紅花、桃仁、天南 星、陳皮、半夏、白朮、威霊仙、牛膝、木瓜、防已、黄芩(酒)、連翹、木 通、竜胆、附子(少許)、甘草」水煎し、「竹瀝・姜汁」入れ服用。
◎慢性関節リウマチ:多発性慢性関節リウマチに用いる。 痛みが強い者。 ◎痛み甚だしき者:「乳香・没薬」 舒腸活血湯《傷科補要》
「川芎・当帰・桃仁・大腹皮・青皮・紅花・川断・延胡索・枳穀・木通・大 黄」煎服。 食欝香砂平胃散《万病回春》《古今方彙》 「蒼朮・厚朴・香附子(便)・陳皮各1銭、甘草3分、砂仁・木香・枳殻・山 子・麦芽・神麹・乾姜(炒)各5分、生姜、蘿葡子1撮(ツマミ)」水煎。
◎食欝症を治す。凡そ食欝の者は気し酸をなし、胸腹飽満して痛みを作し食を 悪みて思わず、右の関脉緊盛なるなり。 ◎食欝久しく塊をなす:「乾姜大黄」
蜀椒湯《中薬臨床応用》 「蜀椒5g、乾姜9g、附子9g、党参15g、甘草6g、大棗15g、膠飴30g(沖 服)」水煎服。 ◎脾胃虚寒 ◎腹痛、悪心
薯蕷湯《勿誤薬室方函口訣》 「四逆散薯蕷」 ◎疝家、鬱毒鬱火を挟む者を治す。 止涙補肝湯 辛夷膏《東醫寶鑑》 「辛夷2両、細辛・木通・木香・白芷・杏仁各5銭、羊髄・猪脂各2両に薬 を混ぜ、石器に弱火で煮詰めて膏をつくり、赤黄色になったら竜脳・麝香 各1銭を入れて丸め、綿にくるんで鼻中に入れておくと取れる。
◎鼻のなかの肉がつまって痛い。 辛夷散《厳氏済生方》 「辛夷、白芷、防風、細辛、升麻、藁本、川芎、木通、甘草各等分」作末し、1 回6gをうすい茶で服用。 ◎副鼻腔炎。
辛夷清肺湯[1-1]《外科正宗》《龍野ー漢方処方集》 「辛夷・黄芩・知母・百合各3.0g、麦門冬・石膏各6.0g、山梔子・升麻各1.5g、
枇杷葉1.0g」 ◎肺熱、鼻内の肉、初めは榴子の如く、日後ようやく大となり、孔竅を閉塞し、 気宣通せざるを治す。 ◎濃い鼻汁が出る熱性の蓄膿症・肥厚性鼻炎。
辛夷清肺湯[1-2]《外科正宗》《漢方治療の実際》 「辛夷2、知母・百合・黄芩・梔子各3、麦門冬・石膏各5、升麻1.5、枇杷 葉2」 ★辛夷清肺湯(鼻づまり、鼻汁<膿性>、口渇、舌苔黄、舌質紅乾燥) ★適応症及び病名(五十音順) [1]咽痛 [2]喀痰(粘稠で黄色の痰) [3]気管支拡張症
[4]口渇 [5]後鼻漏 [6]呼吸促迫 [7]嗄声 酒渣鼻: ☆酒を厳禁し、時々、三稜針を以て刺して血を去り、辛夷清肺湯を与える べし《先哲医話》 [8]頭痛 [9]舌質
<紅><紅で乾燥> [10]舌苔 <白苔~黄苔> [11]痰(タン)が出る [12]においが分からない(臭覚喪失) [13]熱感
<++> ☆顔面・頭部の熱感。 [14]鼻炎・鼻カタル ☆本方は体力中等度以上の鼻症状、膿性鼻漏、膿性後鼻漏、鼻閉塞を目標に用いられる。(漢方診療医典)
[15]鼻汁(膿性の鼻汁) [16]鼻ポリープ [17]鼻づまり(鼻閉) [18]肥厚性鼻炎 [19]副鼻腔炎 ☆上顎洞炎や肥厚性鼻炎、鼻茸、嗅覚欠如症、鼻閉塞の甚だしいもので、熱毒があって疼痛を伴うものに(漢方診療医典)
[20]慢性咽喉炎 [21]慢性気管支炎 [22]慢性気管支拡張症 [23]慢性鼻炎 [24]慢性副鼻腔炎
☆脳漏鼻淵はたいてい「葛根湯川芎大黄」或いは「頭風神方化毒丸」 にて治すれども、熱毒ありて疼痛甚だしき者は此方に非ざれば治するこ と能わず。《勿誤薬室方函口訣》
辛黄三白湯《東醫寶鑑》 「人参・白芍各2銭、白茯苓・当帰各1銭、細辛・麻黄各5分、姜3、棗2」 水煎服。 ◎陰症傷寒が表経にある者。
浸膏槐角丸【中成薬】 「槐角・地楡・防風・枳殻・当帰・黄芩」 ◎痔。 進食丸《東醫寶鑑》 「木香・枳穀・当帰・代赭石・朱砂各3銭、巴豆霜1銭、麝香5分」を作末 し、麺糊で黍米大の丸剤。1歳児に2~3丸、米飲で呑む。
◎癖積を治す。 深黄散《中国民間験方》 「硼砂40g 人中黄・明雄黄各8g 芒硝(精製)・竜脳(最上級)各4g 」を 極細末にして瓶に貯蔵。
腎気円《薛立斎十六種》 腎気丸[1-1]《東醫寶鑑》 「六味地黄元五味子4両」 ◎肺の根元を保養する。 ◎虚労の腎損を治す。
腎気丸[1-2]《方薬合編》 「六味丸五味子8g」 ◎腎虚が原因で起こる肺疾患。 腎気丸[2]《漢方治療の実際》 =八味丸⇒附桂八味丸。
腎気明目湯《万病回春》 ⇒滋陰明目湯 「当帰、・川芎・熟地黄・生地黄各等分、桔梗・人参・梔子・黄連・白芷・ 菊花・蔓荊子・甘草各減半」
今、「熟地黄」 ◎労神、腎虚、血少、眼痛、昏暗を治す。 ◎此方は内障眼の主方とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎内障に気虚、血虚の分あり。 <1>血虚の者:①「腎気明目湯」
②一等重き者:「十全大補湯沈香・白豆・附子」 <2>気虚の者:①「益気聡明湯」 ②一等重き者:医王湯防風・蔓荊子・白豆」 ◎内障の硬翳、乳汁翳の二証あり。 ◎黒内障、癇家に属する者あり。
腎虚胃熱牙疼方《東醫寶鑑》 「羊脛骨灰4両、石膏5両、升麻・地黄(生)各5銭、黄連1銭、胡桐涙3銭、 竜胆草半銭」作末し、すりつけて口をゆすぐ。
腎石一方《中薬臨床応用》 「金銭草60g、瞿麦18g、滑石(生)39g、海金砂21g(包煎)、杜仲24g、木通9g、 牛膝12g、党参9g、鶏内金9g、魚脳石12g、胡桃肉30g、石葦12g、両頭 尖12g」水煎服。 ◎腎結石。
腎石二方《中薬臨床応用》 「玉米鬚12g、金銭草30g、通草6g、木香9g(後下)、枳殻9g、琥珀末3g(沖 服)、冬葵子30g、甘草梢6g」水煎服。 ◎尿路結石 ◎排尿困難、排尿痛
腎石血尿方《中薬臨床応用》 「金銭草30g、紫珠草30g、猫鬚草18g、冬葵子30g、熟地黄18g」水煎服。 ◎出血に対する常用薬。 ◎血尿がひどい時:熟地黄を生地黄炭に代える。
腎疸湯《蘭室秘蔵》《東醫寶鑑》 「蒼朮1銭、升麻・羗活・防風・藁本・独活・柴胡・葛根・白朮各5分、猪 苓4分、沢瀉・神麹・人参・甘草各3分、黄芩・黄柏各2分」水煎服。
◎腎疸で全身が黄色く、小便が赤い者。 腎着湯[1-1]《備急千金要方》 「苓姜朮甘湯《金匱要略》」に同じ。 ◎傷湿、身重く、腰冷え、水中に座あうるが如きを治す。 腎着湯[1-2]《三因極一病証方論》《古今方彙》 「茯苓・白朮各8分、乾姜・甘草各1分、杏仁5分」水煎。 ◎妊娠して腰脚腫れる者を治す。
腎着湯[1-3]《東醫寶鑑》 「白朮2銭半、乾姜(炮)・赤茯苓各1銭半、甘草(炙)5分」水煎服。 ◎身体が重く、腰が冷え、小便の出が悪い時。
腎瀝湯《東醫寶鑑》 「羊腎1具、生姜(切)2両、磁石(砕)1両半を水1斗で5升まで煎じ、玄参 ・白芍・白茯苓各1両半、黄蓍・川芎・五味子・桂心・当帰・人参・防風 ・甘草各1両、地骨皮5銭を切って入れ2升まで煎じ、滓を去り3分服。
◎腎臓風で語音が蹇吃の者。 ◎腎が虚し、癘風に傷つくと、言語がにぶく、口眼斜し、足が痩せ、たるんで 弱く、或いは耳が聞こえなくなり、腰と背中が突っ張り疼痛する。
秦艽飲《医学入門》《古今方彙》 「秦艽、当帰、木香、桂枝、茯苓、熟地黄、陳皮、小草(遠志の苗)、川芎、 甘草、半夏、大棗」水煎。 ◎五疸にて口淡(胃熱)、耳鳴り、脚弱、寒熱し、小便白濁するを治す。 ◎これ虚疸なり。
秦艽飲子《東醫寶鑑》 「秦艽・当帰・芍薬・白朮・桂皮・赤茯苓・陳皮・熟地黄・川芎・小草各1 銭、半夏・甘草各5分、姜5片」水煎服。
◎女労疸を治す。 秦艽羗活湯[1-1]《東醫寶鑑》 =「秦艽湯」 「羗活1銭5分、秦艽・黄蓍各1銭、防風7分、升麻・麻黄・柴胡・甘草(炙) 各5分、藁本3分、細辛・紅花各2分」煎服。
◎痔瘻が塊になって、痒い者。 秦艽羗活湯[1-2]《蘭室秘蔵》《古今方彙》 「羗活1銭2分、秦艽・黄蓍各1銭、防風7分、升麻、甘草、麻黄、柴胡各5 分、藁本3分、細辛、紅花(少許)」水煎。 ◎痔瘻にて塊を成して下垂し、その癢(カユミ)に任(タエ)ざるを治す。
秦艽羗活湯[1-3]《漢方治療の実際》 「羗活5、秦艽・黄蓍各3、防風2、升麻・甘草・麻黄・柴胡各1.5、藁本・ 細辛・紅花各0.5」★適応症及び病名(秦艽羗活湯) 痔瘻: ☆《衆方規矩》の痔漏門に“秦艽羗活湯は、痔漏塊をなし下がり垂れて、 その痒に堪えざるを治す”とあり、私はこれを、痔核・痔瘻なでで、カ ユミの有る者に用いる。《大塚敬節》
☆38歳男性。かって肺結核に罹ったことがある。昨年4月に外痔核の手 術をして後、カユミが始まった。医師の診断を受けたところ、手術の跡 が痔瘻になっていて、少しずつ膿が出ていると云われた。みると、針頭 大の孔があって、少しずつ分泌物が出ている。そこで秦艽羗活湯を用い たところ、1週間後には、カユミがなくなった。3週間後には、分泌物 が減じた。2ヶ月後には孔が塞がった。しかし、腫痛・疼痛は無く、全 治のようにみられるので、服薬を中止した。《大塚敬節》
秦艽升麻湯《衛生宝鑑》《東醫寶鑑》 「升麻・葛根・白芍・人参・甘草各1銭半、秦艽・白芷・防腐・桂枝各7分、 蓮根・葱白各3茎」水煎し食後服用。
◎風が手・足陽明経に的中して、口眼斜した者。 ◎風寒が手足の陽明経に客し、口眼斜、風寒に見うを悪み、四肢拘急し、脉浮 緊なるを治す。《古今方彙》
秦艽蒼朮湯[1-1]《東醫寶鑑》 「秦艽・皀角仁(焼)・桃仁(泥)各1銭、蒼朮・防風各7分、黄柏(酒洗)5分、 当帰梢(酒洗)・沢瀉・檳榔末各3分、大黄2分」檳榔・桃仁・皀角を除い
た外薬は切って1貼を作り、水3杯で煎じ、1杯2分ぐらいになったら滓 を去り、上記の3味を入れて、再煎し服用。 ◎湿熱と風燥により痔となった者。
秦艽蒼朮湯[1-2]《蘭室秘蔵》《古今方彙》 「秦艽・蒼朮・皀角子・桃仁各1銭半、黄柏(酒製)・沢瀉・当帰尾・防風各1 銭、檳榔子5分、大黄(炒)」入れて1剤を作り、水2鍾にて8分を煎服。 ◎腸風(腸出血)痔瘻にて大小便秘渋するを治す。
秦艽当帰湯[1]《東醫寶鑑》 「大黄(煨)4銭、秦艽・枳実各1銭、沢瀉・当帰梢・皀角仁(焼)・白朮各5 分、紅花2分、桃仁20粒」煎服。 ◎痔瘻で大便乾き、疼痛する者。
秦艽当帰湯[2]《中薬臨床応用》 「秦艽・当帰・白芍・釣藤鈎各9g、何首烏12g、桑枝15g、白藜6g」 ◎脳卒中の後遺症で、半身不随、特に上肢の拘縮があり、血虚の者。
秦艽白朮丸《東醫寶鑑》 「秦艽・桃仁(泥)・皀角仁各1両、当帰梢・沢瀉・枳実・白朮各5銭、地楡3 銭」作末し麺糊で実大の丸剤。丸薬をつやが出るまで焙って乾燥。白湯 で50~70丸飲む。
◎痔で大便が乾き、硬痛のとき。 秦艽扶羸湯《医学入門》 「秦艽・鼈甲・人参各1両半、当帰・半夏・甘草各1両、柴胡2両、地骨皮1 両半、紫菀1両、烏梅・大棗各1枚、生姜5片」
◎肺胆二経の虚熱及び肺痿骨蒸、已に労嗽となり、或いは寒、或いは熱、声嗄し て出でず、体虚自汗し、四肢怠惰を治す。 ◎按ずるに此方、本《聖済総録》に出ず。肺痿骨蒸、已に労嗽となり、或いは寒 熱、声唖して出でず、体虚自汗、四肢怠惰を治す。
◎此方は肺痿骨蒸の主剤とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎「秦艽甲湯」に比ずればやや虚候を見す者に宜し。但し彼は骨蒸壮熱、肌肉 消痩して咳嗽なき者に用いる。此方は熱強く咳きする症に用いる。
◎五蒸湯《外台秘要方》の症に似て羸痩甚だしき者に与えるべし。 ◎熱労症のごときは:「大黄・黄芩・犀角・赤芍薬・青蒿・桃枝」《古今方彙》 労瘧にも亦効あり。
秦艽別甲湯《漢方治療の実際》 「秦艽・青蒿・奪い・知母各2、当帰・土別甲・柴胡・地骨皮各3、生姜1.5」 秦艽鼈甲湯《衛生宝鑑》
「秦艽・知母・当帰各半両、鼈甲・柴胡・地骨皮各1両、青蒿5葉、烏梅1 枚、生姜」水煎。 ◎風労、骨蒸壮熱、肌肉消痩、舌紅、頬赤、気麁(麁=ソ、あらい)、困倦、盗汗 を治す。
◎此方は風労の主薬とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎虚弱の人、風が抜けそこねて、ぶらりと労熱になりたるを治す。 ◎一時清熱の効あり。然れども、日を経て骨蒸の候を具し、肌肉消痩、唇紅、頬 赤の者に至っては、此方の治する処に非ず。これは柴胡桂枝乾姜湯鼈甲の場 合今一段熱強く、姜桂の熱薬の障りそうな処へ用いるべし。 ◎性稟薄弱に、憂思遂けず、久鬱解せず、血液枯燥し、往来寒熱、盗汗咳嗽す。 《聖済総録》のいわゆる痃癖骨蒸と成るなり。秦艽鼈甲湯に宜し。《先哲医話》 ◎按ずるに昔人謂う。此症、寒凉の薬を服すれば必ず死すと。愚おもえらく、 尽く然るにあらず、火盛んなるとき薪を抽く、権宜の計無からざるべからずと。 《雑病翼方》 ◎風労にて骨蒸壮熱、肌肉消痩、舌紅頬赤、気困倦し、盗汗するを治す《古今 方彙》
秦艽鼈甲散《衛生宝鑑》 「柴胡、鼈甲、地骨皮、秦艽、青蒿葉、当帰、知母、烏梅」 秦艽鼈甲散《衛生宝鑑》《漢方後世要方解説》 「秦艽・知母・当帰各2.5、鼈甲・柴胡・地骨皮各3、青蒿・烏梅各1.5、生 姜1」
◎風労、骨蒸、壮熱、肌肉消痩し、唇紅頬赤、気麁(あら)く、四肢困倦、盗汗あ るを治す。 ◎黄蓍鼈甲散の症にして咳嗽無き者を治す《福井楓亭》 ◎此方は小柴胡湯或いは柴胡桂枝乾姜湯等に類似して而もこれらの薬方の応ぜぬ 者によく奏功する。 経験によれば、 初期感冒を無理して遷延し、肺結核の症状を備え、 骨蒸と称する発熱蒸々として続き、 顔面特に頬部紅潮し 胸部所見あるにも拘わらず咳嗽少なく、 二便著変なく、 脈細数或いは洪にして力なく 盗汗あり 腹力甚だしく衰えず、等を目標として用いられる。 ◎秦艽=風湿を去り、虚労骨蒸を治す。 知母=肺、胃の熱を瀉し、腎燥を潤し、蓐労、骨蒸を治す。 鼈甲=陰を補い、熱を退か、骨蒸を治す。 青蒿=熱を瀉し、骨蒸、労熱を瀉す。 当帰=血を和し、 柴胡=風熱を去る。 ★適応症及び病名
(五十音順) 胸膜炎: ☆熱退かざるもの。 肺炎の遷延症 肺結核: ☆空洞のみ存し、他に著変なきもの。
秦艽鼈甲散《衛生宝鑑》《中薬臨床応用》 「別甲・柴胡・地骨皮各39g、秦艽・知母・当帰各15g」作末し毎回15gづ つを「烏梅1個、青蒿葉6g」と水煎服。 ◎陰虚内熱 ◎骨蒸潮熱
秦艽鼈甲散《東醫寶鑑》 「乾葛1銭半、荊芥・貝母・前胡・天仙藤・青皮・柴胡・秦艽・鼈甲・甘草 各7分、白芷・羗活・肉桂各3分半、姜3」煎服。
◎虚労による熱・咳嗽。 秦艽防風湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》 「秦艽・防風・当帰・白朮各1銭半、甘草・沢瀉各6分、黄柏5分、大黄(煨) ・陳皮各3分、柴胡・升麻各2分、桃仁30個、効果(少許)」水煎。
◎痔瘻にて舞に津大便の時に疼痛を発するを治す。 神異散《寿世保元》《古今方彙》 「金銀花・括楼根・穿山甲・木子各2銭、甘草3分、大黄・皀角刺各3銭、 連翹・黄芩各8分、木香5分、山梔子7分」酒水で煎じ空心に温服。
◎魚口便毒を治す。 神応散《東醫寶鑑》 「黄牛角顋(砕)1枚、蛇皮1枚、猪牙皀角7個、穿山甲7片、皮(細切)1 両」缶に入れ黄土泥で固く封をして火で焙り、赤くなったら細末して、就 寝時に胡桃仁1箇をかんで酒で送り込んで、ひと寝入りしたら前記の薬末 を温酒で調下する。 ◎五痔を治す。
神奇散《東醫寶鑑》 「当帰・川芎・白芍・生地黄(並酒炒)・陳皮・縮砂・半夏・白茯苓・白朮(土 炒)・香附子・枳実・烏梅肉・香・赤茯苓・檳榔・木通・猪苓・黄芩 (炒)・黄柏(人乳炒)・知母(人乳炒)・赤芍・天門冬・麦門冬・甘草各5分」 煎服。
◎噎膈と反胃による血虚を治す。 神奇散《万病回春》《古今方彙》 「穿山甲3片、木子3個、牡蛎・黄各3銭、黄連・黄芩・黄柏筋敏か・ 連翹各1銭半」酒水にて煎じ空心に温服。
◎魚口便毒を治す。 神亀滋陰丸《東醫寶鑑》 「亀板(酥炙)4両、黄柏・知母(塩水炒)各2両、枸杞子・五味子・鎖陽各1 両、乾姜5銭」作末し酒糊で梧子大の丸剤。塩湯で70丸飲む。
◎美食家が湿熱に腎を犯され脚膝痿弱・無力の時。 神麹丸 神麹酒《東醫寶鑑》 「神麹1塊」焼いて酒で飲み、仰臥していると治る。 ◎挫閃腰痛。
神芎湯《医学入門》《古今方彙》 「升麻・川芎・人参・枸杞子・甘草・遠志・黄蓍・当帰・地骨皮・破故紙・ 杜仲・白朮各4分、生姜、蓮肉」水煎温服。
◎遺精、久しく腎気下陥を経て玉門閉じず、時ならずして精を漏らすを治す。 ◎此方は腎水を升提し源に帰すべし。 ◎若し家に蓮肉なければ、蓮花鬚を以て之に代ゆ。
神功丸《東醫寶鑑》 「升麻1銭半、蘭香葉・当帰身・香・木香各1銭、黄連・縮砂各5分、 生地黄(酒洗)・生甘草各3分」作末し蒸餅で緑豆大の丸剤。白湯 で100丸呑む。 ◎肉食の多い人の口臭、牙歯の疳蝕・脱落。
神功散《東醫寶鑑》 「木香・青皮・陳皮・麦芽・枳穀・三稜・莪朮・神麹・白芍・白芷・肉桂・ 延胡索・甘草各7分、畢澄茄・丁香各3分、姜4、棗2」水煎服。 ◎一切の脾痛を治す。
神功散《万病回春》《古今方彙》 「黄蓍・人参・白芍薬・紫草・生地黄・紅花・牛蒡子各等分、前胡、甘草半 減」水煎。 ◎痘出で毒気太く甚だしく血紅一片地界を分たずして蚊蚕種の如きを治す。 ◎或いは諸失血 ◎或いは吐瀉七日以前の諸症に服すべし。毒を解す。 ◎熱甚だしければ:「黄連・黄芩」 ◎未だ退飾る者:「大黄」 ◎驚有る者:「蝉退」 ◎頭粒淡黒の者:「肉桂」 ◎腹痛む者毒盛んなれば之に宜し。 ◎面紅退かず地界を分たざるには:「前胡倍加」 ◎泄瀉の者は火盛んにして奔走するなり:「升麻」 ◎嘔吐の者は之に宜し。
神効越桃散《東醫寶鑑》 「山梔子(大)・良姜各3銭」作末し、米飲で2~3銭調服。 ◎下痢で腹痛・腹が脹る。 神効黄蓍湯《東垣》 「黄蓍・人参・芍薬各1銭、蔓荊子4分、橘皮・甘草各6分」水煎熱服。 ◎頭面手足腑背腿脚、或いは遍身麻木不仁、及び面目羞明隠渋痛するを治す。 《雑病翼方》 ◎睛(眼球の前部、結膜と角膜)痛むを治す。《古今方彙》
神効黄蓍湯《蘭室秘蔵》《東醫寶鑑》 「黄蓍2銭、白芍薬・甘草(炙)各1銭半、人参1銭、陳皮7分、蔓荊子5分」 水煎服。 ◎渾身のマヒを治す。
◎顔面神経麻痺 黄蓍桂枝五物湯は、色の白い水太りの婦人の顔面神経麻痺に効がある。またこのような患者には神効黄蓍湯を用いて著効をえたことがある(漢方診療医典)
神効黄蓍湯《蘭室秘蔵》《古今方彙》 「蔓荊子1銭、陳皮5分、人参8銭、黄蓍2両、甘草(炙)・白芍薬各1両」 毎服5銭。水煎し臥するに臨みて服す。
◎渾身の麻木婦人、或いは左右の身麻木し ◎或いは頭面・身臂・腿脚麻木不仁し、両目緊急縮少するが如し。 ◎及び羞明して日を畏れ、 ◎或いは隠渋して開き難く、 ◎或いは物を視るに力無く睛痛みて手を近づくるを得ず。 ◎或いは目中熱して火の如き等の症を治す。
神効瓜蔞散《東醫寶鑑》 「黄瓜蔞(大)1箇の皮を去り焙って作末したもの、生甘草・当帰(酒浸)各5 銭、乳香・没薬各2銭」作末して混ぜ、酒3升と銀石器内に弱火で煎じ、1 升半になったら滓を去り、食後3回に分服。 ◎乳癰・巖に特効。
神効丸《東醫寶鑑》 「当帰・烏梅肉・黄連・阿膠」各等分。梧子大の蜜丸。空腹時に厚朴湯で30 ~50丸飲む。 ◎休息痢で膿血の止まらない者。
神効散[1]《万病回春》 「黄蓍・人参・芍薬・地黄・牛蒡子・柴胡・紅花・紫根・甘草」 ◎痘出出、毒喜はなはだ盛んに、血紅一片他界を分たず、蚊蚕種の如き、或いは 諸失血、或いは吐瀉を治す。
◎此方は痘瘡、気虚毒壅の主剤とす。膿漿充つること能わず、痘尖内陥するなり。 《勿誤薬室方函口訣》 「毒壅」=血紅一片他界を分たず、或いは暗黒を帯びて、痒搨の勢あるを云う。 痘瘡の疱疹は通常は充実して表面に光沢があるが、悪化すると表面に シワが出来、色が汚くなる。 ◎此方を以て解毒表托すべし。毒深き者は:「反鼻」《勿誤薬室方函口訣》
神効散[2]《東醫寶鑑》 「丁香1粒、全蝎・辰砂各1」作末し、男は左の中指の血、女は右手中指の 血を薬末にたらして乳児の唇にぬる。
◎慢驚風を治す。 神効散[3]《東醫寶鑑》 「荊芥穂・萆麻肉」等分を作末し皀子大の蜜丸。綿でくるんで含んで溶かし て飲み込む。 ◎喉痺で声が出ない者。
神効散[4]《東醫寶鑑》 「木香・青皮・陳皮・麦芽・枳殻・三稜・莪朮・神麹・白芍薬・白芷・肉桂 ・延胡索・甘草各7分、澄茄・丁香各3分、姜4、棗2」水煎服。 ◎一切の脾痛を治す。
神効参香散《東醫寶鑑》 「陳皮・罌栗殻各1両2銭、肉豆・赤茯苓各4銭、白扁豆・人参・木香各2 銭」作末し、空腹時に米飲で調下する。
◎五色痢・噤口痢・疳蠱など、すべての下痢を治す。 神効吹喉散《外科正宗》 「薄荷、朴硝、白礬、青黛、白蚕、火硝、硼砂、黄連、豚胆汁」
神効湯[1-1]《万病回春》《古今方彙》 「木香・呉茱萸・縮砂各7分、小茴香(酒)・甘草3分、延胡索・益智仁・香 附子・蒼朮・当帰・山梔子各1銭、川烏半減、生姜、燈心草」水煎。
◎一切の疝気を治す。 ◎脹悶して痛む者:「乳香・枳実」 ◎血ありて脹り痛む:「桃仁・川芎、益智仁・山梔子」 ◎腎気上に注ぎ、心痛して悶え絶せんと欲する者:「沈香・枳実、益智仁・ 山梔子」
神効湯[1-2]《万病回春》《漢方後世要方解説》 「蒼朮・香附子・当帰・木香・小茴香・延胡索・益智仁・烏薬・山梔子・砂 仁・甘草・生姜・燈心草各2、呉茱萸1」 ◎一切に疝気を治す。多くは熱中に鬱し、寒外に来るなり。 ◎此方は俗に疝気といわれ、腸神経痛ともいうべき腹中不和より来る疼痛を治す る剤である。腹中に熱欝滞し、外寒気に触れて痛むもので、《大塚敬節》氏は 腹部切開後に癒着あって便秘し、腹痛を発するものに用いて奇験があるという。 桂枝加芍薬湯などにて効のない者に応用される。 香附子・烏薬=気滞を順らす 木香・砂仁=痰滞を散ず。 当帰・甘草=血脈を和し、諸気を和す。 益智=神気を安くす。 梔子=欝熱を涼ます。 呉茱萸・小茴香・延胡索=寒を去り、痛みを緩くす。
神効湯[1-3]《漢方治療の実際》 「蒼朮・香附子・当帰・木香・延胡索・益智仁・烏薬・山梔子・縮砂各2、 小茴香・甘草・生姜・燈心草・呉茱萸各1」 ◎目標:《大塚敬節》 腹が張ってよく腹鳴する。
足が冷える 肩が凝ったり、背が張ったりする。 大便が出そうで出ない。 時に軽い腹痛がある。 ★適応症及び病名(五十音順)
[1]疝気: ☆21歳の未婚の女性。数年間にわたって、肋膜炎と診断されたり、リ ウマチと言われたり、神経痛と言われたり、腹膜炎と診断せられたり して、病名一定せず、その上、近代医学的な治療は元より、鍼灸・マ ッサージ・指圧・その他いろいろの民間療法を受けたが、ついに軽快 せず、最後に小生に治を乞うた。
患者は血色は悪いが、栄養はあまり衰えていない。患者の訴えは次 の通りである。 足が冷えてのぼせる。のぼせると顔で火が燃えているようになる。 便秘して、そのため腹が張って苦しい。食欲がない。ことに朝食は一 口ぐらいしか食べない。肩胛間部が凝って苦しく、右側が特にひどい。 腰から足がだるく夜もよく眠れない。ときどき右の胸背痛が起こる。 痔から出血することがある。月経が不順で、遅れ勝ちである。脈は沈 弦で、腹部は自覚的に膨満感を訴えているのに、腹診上では、ひどい 膨満はない。ただ臍の左右から下腹部にかけて圧痛がある。この圧痛 は右側がやや強い。聴診上、右の肩胛部から腋下にかけて呼吸音が微 弱である。
私は腹膜炎の後で癒着を起こして便秘していると診断した。そこで、 のぼせと便秘を目標に三黄瀉心湯を与えてみた。これを呑むと、のぼ せはないが、便通はつかない。大黄を1日量2.0としたが、少し通じ があるだけで腹満は良くならない。そこで大柴胡湯にしてみたが、か えって腹が張って食べられなくなった。そこで桂枝加芍薬大黄湯にし たが、これはよさそうだという。しかし1ヶ月ほど続けているうつに、 どうしても大便が快通せず、のぼせるという。そこで加味逍遥散にし てみた。すると全然通じが止まり、ひどく肩が張り、かえって気分が 悪いという。いよいよ困って三和散にしたが、10日も続けて飲んで いると、便秘がひどくなって、苦しくなってくる。こんな日が続いた ある日、私は何気なく、《衆方規矩》を開いて読んでいるうち、疝気 門のところに出ている神効湯が眼に留まった。そして、これを用いて みようと決心した。古人が疝気と呼んだ病気の中には、癒着による腸 の狭窄も含まれているので、この患者に試用してみることになった。 これは又驚くほどの効果で、今度の薬は、今まで呑んだどの薬よりも はるかに気分が良く、大便は毎日快通し、食が進む様になったと喜ぶ。 そこで患者も私も、今度こそは治るという期待に燃えて、これを約1 0ヶ月飲み続けた。その間、10日くらい服薬を中止すると、便秘す ることがあったが、この頃は、服薬を中止しても、大便は毎日快通し、 まったく別人のような元気になり、何を食べても平気で、腹も張らな いし、背も凝らなず、夜もよく眠れ、血色も良くなった。《山田業広》
[2]便秘: ☆古人が疝気から来る便秘と呼んだものに用いる《大塚敬節》 ☆大黄などの瀉下剤の効かない頑固な便秘に奏効し、快便が出て喜ばれ ることがある。《大塚敬節》 ☆腹膜炎の治った後、癒着が一部にあって腸が狭窄して便秘する者。胃 下垂症・胃アトニー症などがあって、便秘する者に用いる機会がある 《大塚敬節》 [3]癒着: ☆子宮卵管等に癒着あって、寒冷時に疼痛を発すもの。 ☆手術後癒着疼痛
神効内托散[1-1]《外科正宗》《古今方彙》 「当帰2銭、白朮・黄蓍・人参各1銭半、白芍薬・川芎・茯苓・陳皮・附子 各1銭、木香・甘草(炙)各5分、穿山甲8分、煨姜、大棗」水煎。
◎癰疽、脳項諸発等の瘡を治す。 ◎十四日の後に至り腐潰し流膿の時に当たりて腐潰を作らず、兼ねて高腫せざる 者に用いる。 神効内托散[1-2]《漢方治療の実際》 「当帰4、朮・黄蓍・人参・芍薬・茯苓・陳皮・大棗各2.5、附子0.6、木香 ・甘草・川芎・穿山甲・乾姜各1」 ◎内托散と呼ばれているものに、「千金内托散」と「神効内托散」とある。 (参照→「内托散」「千金内托散」)
神効乳珠丹《東醫寶鑑》 「明乳香」を細末にし、猪の血で実大の丸剤。朱砂で衣をして乾燥。毎回1 丸、冷酒で飲む。 ◎催生に特効。 ◎腹の中で胎児が死んで出ない。
神効明目湯《東醫寶鑑》 「甘草2銭、葛根1銭半、防風1銭、蔓荊子5分、細辛2分」水煎し食後 服用。 ◎目の周りがつれ、まつげが乾き、目の上下が腫れ、瞳が痛く、涙が流 れ、目が開けられない者。
神校黄蓍湯《東醫寶鑑》 「黄蓍2銭、白芍・甘草(炙)各1銭半、人参1銭、陳皮7分、蔓荊子5 分」水煎服。 ◎渾身の麻痺症を治す。
神犀丹《温熱経緯》 「犀角、石菖蒲、鮮地黄、金銀花、連翹、板蘭根、玄参、天花粉、 紫草、香」 神授衛生湯《医宗金鑑》《古今方彙》 「羗活8分、防風・白芷・穿山甲・沈香・紅花・連翹・石決明各6分、金銀 花・皀角刺・当帰尾・甘草(節)・括楼根各1銭、大黄(酒)2銭、乳香5分」 水煎、服後に髄って酒1杯飲む。
◎癰疽発して脳疽対口(項部に出来る癰)丹瘤(熱毒によって出来る赤い塊)、 瘰癧、悪毒疔瘡、湿痰流注あり及び ◎外科一切の瘡症を治す。 ◎但し未だ成らざる者は即ち消え、已に成る者は即ち潰える。 ◎脉虚にして大便利する者:「大黄」
神授丸《三因極一病証方論》 「蜀椒2斤」子並びに合口者を択び去り、炒って、汗を出す。 ◎諸伝尸、労気を治し、殺虫する。 神授黄蓍湯
神授散《東醫寶鑑》 「紅椒2斤」少し炒って作末し、毎回1銭、空腹時に米湯で服用。 服薬後にめまいがしたら、又酒糊で梧子大に丸め30~50丸、空腹 時に服用。 ◎伝尸・虫を殺す。
神授衛生湯《医宗金鑑》 「大黄(酒にまぜて炒る)8g、皀角刺・当帰尾・金銀花・天花粉・ 甘草節各4g、白芷3.6g、羗活3.2g 穿山甲(炒る)・防風 ・連翹・沈香・石決明・紅花各2.4g 乳香2g」
以上15味を水2椀で8分まで煎じる。病が上部にあれば、まず 酒1杯を飲み、その後に服薬する。病が下部にあれば、先に服薬 し、後に酒1杯を飲み、薬力をめぐらせる。もし、気虚で便通が よい者は、大黄を除く。
神授太乙散《東醫寶鑑》 「赤芍・羗活・香・細辛・青皮・川芎・桔梗・枳穀・柴胡・陳皮・香附子 ・蒼朮・防風・藁本・甘草各7分、乾葛・升麻・紫蘇葉各3分、姜7、棗7、 葱白7」水煎服。 ◎温疫の流行に、陰陽両感と頭痛・寒熱を治す。
神授太乙散《済世全書》《古今方彙》 「紫蘇葉、陳皮、香附子、川芎、白芷、乾葛、羗活、升麻、赤芍薬、枳殻、 甘草、生姜、葱白」水煎。
◎四時感冒、時令不正の気、頭疼身痛、発熱悪寒、咳嗽喘急、口乾渇を作し、并 びに傷寒、食を夾み、胸膈満悶、肚腹脹痛するを治す。 ◎腹痛には:「白芍薬」 ◎冷気痛には:「延胡索・呉茱萸」 ◎咽喉痛には:「桔梗・牛蒡子」
神朮丸《東醫寶鑑》 「蒼朮(細末)1斤、白脂麻5銭を水2盃で濾して汁を取る、大棗30枚を濃 く煮て皮・実を去り、麻汁に調合してねっとりした膏をつくった後、朮末 とまぜて梧子大の丸剤。毎日空腹時に温水で100~200丸飲む。はじめ飲 むと、胸膈が必ず焼け付くようになるが、山梔子散を一服するとなくなる。」
◎痰飲。胃部で振水音、酸水を嘔吐する者。 神朮散[1]《東醫寶鑑》 「蒼朮2銭、荊芥・藁本・乾葛・麻黄・甘草(炙)各1銭、姜3片、葱白2茎」 水煎服。
◎傷寒・傷風に頭痛・身疼痛・悪寒し、汗のない者。 神朮散[2]《東醫寶鑑》 「蒼朮3銭、川芎・白芷・細辛・藁本・羗活・甘草各1銭、姜3、葱白2茎」 水煎服。 ◎露霧と山嵐瘴気に中毒し、頭痛などある者。
神朮散[3]《東醫寶鑑》 「蒼朮2銭、羗活・川芎・白芷・細辛・甘草各1銭、姜3、葱白1」 水煎服。 ◎風にあたって頭痛・鼻閉・声が重く咳する者。
神朮湯《陰症略例》《中薬臨床応用》 「防風6g、蒼朮6g、甘草(炙)3g、葱白9g、生姜9g」水煎服。 ◎寒湿の感冒 ◎悪寒、無汗。
神朮湯《和剤局方》《古今方彙》 「藁本・羗活・細辛・白芷・川芎各1両、蒼朮5両、甘草1両、生姜、葱白」 水煎。 ◎四時瘟疫、頭痛項強、発熱憎寒、身体疼痛、及び傷風、鼻塞声重、咳嗽昏眩等 の症を治す。
神助散《東醫寶鑑》 「牽牛子末3銭、子(炒)2銭、椒目1銭半、猪苓・沢瀉・木香各1 銭」作末し、先に漿水1杯と葱白3茎を煎じて半杯になったら、 酒半杯を入れ薬末3銭を調合して、早朝に東向きで飲み、再び葱白 粥を煮て酒5合を入れ熱くして服用。
◎全身が水腫で喘息し、小便の出ない者。 神消散《東醫寶鑑》 「山梔子(塩水炒黒)・橘核(炒)・茴香(塩水炒)各1両、茘枝核8銭、 益智仁(炒)7銭、檳榔5銭、青皮(油炒)3銭」作末し毎回2銭を、空 腹時に酒or塩湯で服用。 ◎諸般の藺気リンキと外腎の腫痛を治す。
神消散《証治準縄》 「木賊、蝉退、穀精草、甘草、蒼朮、蛇蛻」 神聖散《東醫寶鑑》 「麻黄・細辛・葛根(半生半炒)・香葉」各等分に作末し、毎回2銭 を荊芥薄荷酒で調服。 ◎首と背筋が寒く、脳戸(穴名)が極端に冷える=脳風を治す。)
神聖代銭散《東醫寶鑑》 「乳香・没薬・当帰・白芷・川芎・芫青(製)各1銭」作末し毎日1服する。 ◎血積疝痛・諸疝の刺痛に。 神聖復気湯《東醫寶鑑》 「1日前に黄柏・黄柏と地黄(生)の酒で洗ったもの・枳殻各3分を水侵し、 又、細辛・川芎・蔓荊子の砕いたもの各2分を水侵、別に羗活・柴胡各1 銭、藁本・甘草各8分、半夏・升麻各7分、白葵花3つの芯を取って砕い たもの、水5杯と同時に煎じて2杯になるまでにし、「黄蓍・草豆各1 銭、橘紅5分」を入れて煎じ、1杯になったら、前に浸けておいた両薬を 入れて再び煎じて、熱いうちに服用。 ◎腎元と膀胱の陽気が不足し、胸脇と臍腹がひきつれ、冷えて痛む者を治す。
神仙烏雲丹《東醫寶鑑》 「何首烏8両を砂鍋に入れて半日間豆と蒸熱して、豆は捨て酒に7日間浸し て晒して乾燥し蒸熱すること7回したあと、破故紙4両を酒洗し砂鍋内で 炒って黄色くなったら旱蓮汁2両、槐角2両を作末し、胡桐涙1両を作末 て棗肉2斤とついて作末し梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で50~70丸飲む。
◎髪を黒くし、若返りに効く。 神仙既済丹《東醫寶鑑》 「黄柏(酒炒)4両、山薬(酒蒸)・牛膝(酒洗)各3両、人参・杜仲(姜汁炒)・ 巴戟・五味子・白茯苓・枸杞子(酒洗)・茴香(塩水炒)・肉蓯蓉(酒洗)・山 茱萸(酒蒸)・遠志・甘草(水浸去骨)・石菖蒲・知母(酒炒)・生乾地黄(酒 炒)・熟地黄・麦門冬・兎絲子(酒製)・甘菊(酒洗)・梔子(炒)各2両・陳 皮(去白)1両」作末して搗いき、梧子大の蜜丸。空腹時に塩湯又は温酒で70 ~90丸飲む。
◎諸虚・百損・五労・七傷を治す。 ◎延年福寿・精力増強の聖薬。 神仙巨勝子元《東醫寶鑑》 「熟地黄・生乾地黄・何首烏各4両、巨勝子・枸杞子・兎絲子・五味子・酸 棗仁・柏子仁・破故紙・覆盆子・仁・木香・蓮花芯・巴戟・肉蓯蓉・牛 膝・天門冬・官桂・人参・白茯苓・楮実子・韭子・天雄・蓮肉・続断・山 薬各1両」作末し、春秋には煉蜜で作丸し、秋冬には棗肉・胡桃肉と蒸し て薬末を入れ搗いて梧子大の丸剤。温酒又は塩湯で70~90丸飲む。
◎虚労の諸症。 神仙九気湯《東醫寶鑑》 「香附子・片子姜黄・炙甘草」各等分。作末し、毎回2銭づつ塩湯で服用。 ◎九気で痛む症。 神仙解語丹《勿誤薬室方函口訣》 「石菖蒲・遠志・天麻・附子・全蝎・僵蚕・独活・牛胆・天南星各1両、木 香半両」
◎風心脾に入り、言語蹇渋、舌強ばり転せず、涎唾溢盛を治す。 神仙降益丹《東醫寶鑑》 「香附米1斤を童便に漬けて洗い、夜露に一晩あて、再び露にあてて3回乾 かし、好醋に一晩漬けて煎じて乾燥し作末する。益母草12両を東流水で 洗って火で乾燥し作末する。香附子4両、艾葉1両を煎じて汁を取ったも の3分、醋7分に前の薬末を混ぜ、梧子大の丸剤。空腹時に淡醋湯で70 ~90丸呑む。
◎不妊。 神仙散 「神授丸《三因極一病証方論》」を散にしたもの。《勿誤薬室方函口訣》 神仙聚宝丹《東醫寶鑑》 「琥珀・当帰各1両、没薬・乳香各2銭半、辰砂・木香・麝香各1銭」 を作末し、水で1両を15丸に作る。毎回1丸を温酒で呑む。
◎月経不順を治す。 ◎血気が骨や腹を攻めて疼痛し、積聚が塊をなしたもの。 ◎婦人の百病通治薬。 神仙退雲丸《東醫寶鑑》 「当帰(酒洗)1両半、川芎・木賊(童便浸焙)・密蒙花・荊芥穂・地骨皮・白 藜・甘菊・羗活各1両、川椒(炒)7銭半、瓜蔞根・枳実・蔓荊子・薄荷 ・草決明(炒)・甘草(炒)各5銭、蛇蛻・蝉退・黄連各3銭」作末し蜜で丸 め毎回1両を10丸に作り、茶清or白湯で1丸づつ飲む。 ◎膜・内外障が昏暗になる者。
神仙奪命丹(一名二豆回香丹)《東醫寶鑑》 「百草霜(研)5銭、雄黄・硼砂各2銭、乳香1銭半、緑豆・黒豆各49粒を 作末し烏梅30個を水に漬け、種は捨て肉を薬末に混ぜて搗いて梧子大の 丸剤。朱砂2銭で衣をつけ、毎回1丸を溶かして飲み込み、吐かないとき は、その薬が効いていることである。
◎気鬱・嘔吐・噎・食物の下らない者。 神仙沈麝元《東醫寶鑑》 「甘草2両、没薬・血竭・沈香・麝香・朱砂各1両、木香5銭」作末し煮詰 めて、実大の丸剤。毎回1丸、姜塩丸湯で服用。
◎一切の耐えられない痛み。 神仙不酔丹《東醫寶鑑》 「葛花・葛根・白茯苓・小豆花・木香・天門冬・縮砂・牡丹皮・人参・官桂 ・枸杞子・陳皮・沢瀉・白塩・甘草」各等分に作末し蜜で梧子大の丸剤。 毎回1丸、かんで熱酒で飲む。 ◎酒病。
神仙不老丸《東醫寶鑑》 「人参・巴戟(酒浸去心)・当帰(酒浸)・兎絲子(酒製)各3両、熟地黄・生乾 地黄(酒焙)各2両、牛膝(酒浸)・杜仲(麩炒)各1両半、柏子仁(去皮細末) ・石菖蒲(浸)・枸杞子(酒浸)・地骨皮各1両」切って乾燥し弱火で焙っ て細末、梧子大の蜜丸。毎回70~90丸温酒又は塩湯で1日3回飲む。
◎不老長寿に特効。 神仙碧露丹《東醫寶鑑》 「東方巴豆(皮油を去り研)・南方官桂(末)・中央雄黄(別研)・西方白礬(別 研)・北方青黛(別研)各3銭」を5月5日早朝に調合し、それぞれ容器に 入れ、方位によって排定し、榛子大に丸め、1丸を綿でくるんで瘧が起き た日、早朝に男は左、女は右の鼻中をふさぐ。 ◎瘧を除く。
神通飲(一名木通湯)《東醫寶鑑》 「木通2両」 細かく切って長流水(高山から流れる水)で煮詰め、空腹時に服用。 ◎歴節風を治す。
神秘湯[1-1]《外台秘要方》《勿誤薬室方函口訣》 「麻黄、蘇葉、橘皮、柴胡、杏仁」 右5、或いは厚朴、甘草を加う。 ◎《外台秘要方》備急に、療久奔喘、坐臥不得、并喉裏呀声気絶方、又名神秘 湯と有るが原方にて、王碩の《易簡方》、楊人斎の《直脂方》、東垣の《医学 発明》にも同名の方有りて二三味づつの加減あれど、此方が尤も捷効あり。 ◎吾が門、厚朴を加ふる者は《易簡方》に一名降気湯に意ぬ本づくなり。
神秘湯[1-2]《外台秘要方》《漢方後世要方解説》 「麻黄5、杏仁4・杏仁2、陳皮2.5、甘草・柴胡各2、蘇葉1.5」 ◎久咳、奔喘、坐臥することを得ず、並に喉裏呀声、気絶するものを療す。 ◎気管支喘息の一般の薬方である。 麻杏甘石湯より石膏を去り、半夏厚朴湯より半夏、茯苓、生姜を去り、これを 合して柴胡、陳皮を加えたものである。
呼吸困難を主として痰少なく、気鬱を兼ねたものによい。 ◎一般に腹力弱く、心下もそれほど緊張せず、喀痰少なくして呼吸困難を訴える ものに用いる。
神秘湯[1-3]《漢方治療の実際》 「麻黄・蘇葉・橘皮各3、柴胡・杏仁各4」 ◎浅田流ではこれに「厚朴3.0、甘草2.0」を加える。
神秘湯[1-4]《外台秘要方》《龍野ー漢方処方集》 =備急療久奔喘云々方 「麻黄・蘇葉・橘皮各3.0g、柴胡・杏仁各4.0g、厚朴2.5g、甘草2.0g」 ◎気管支喘息で発作時座位呼吸、奔喘する者。★適応症及び病名(神秘湯)[1]イライラ(感情が不安定)[2]咳嗽☆精神的な要素が強い咳嗽《中医処方解説》☆武藤敏文氏は、この方を用いて、却って、咳嗽が甚だしくなり、呼吸の苦しくなった2例を報告している。《大塚敬節》[3]喀痰
<少> [4]気欝[5]気管支炎[6]気管支喘息: ☆鶴牧候は数年哮喘(喘息)を患い、毎月必ず数回の発作があり、発作の時 は呼吸が苦しくて横になることが出来ず、冷汗が流れ、2、3日は何も 食べることが出来ない。清川玄道の父子が多年これの治療に当たってい るが、良くならない。余はこれを診て云った。腹中に癖が無く、心下 に淡飲(水毒)も無い。ただ肺の機能が弱いから、その時の気によって閉 塞して呼吸が苦しくなるだけのことだと。そこで神秘湯厚朴杏仁(神 秘湯[1-4])を与え、発作のひどい時は、別に甘草麻黄湯を服用せしめた。 ところが、その後は、喘息が大いに減じ、発作は1ヶ月に1回となり、 2、3ヶ月に1回となり、発作の時も飲食を廃するようなことななくな った。《橘窓書影》 ☆細野史郎氏は、この方を気管支喘息の患者に与えたところ、呼吸困難が ますますひどく、ついに人工呼吸を施して、やっと蘇生せしめたと言う。 《大塚敬節》 ☆17歳男児、高校生。割合体躯の整った体格ではあるが、幼少の頃から 喘息に苦しめられてか顔色映えず神経質になっている。本人は勿論家族 の1日として安んずる日がないと、連れ添って来た母親の悲痛の言葉で あった。
初診は昭和29年2/15。家族的には遺伝的疾患はないが、実兄は現在 紫斑病にて某病院に入院加療中と云う。これまで市内の病院は勿論、東 北大学病院の治療をも受け最後の最後の手段として自律神経の手術をし たが、その後1年くらいは喘息の発作がなかったと云う。しかし時を経 るに随って再発し目下某病院にて毎日注射療法をしているが、発作は1 日2回は必ず起こり、しかも1回は必ず夜間に忽然として来襲し呼吸急 迫呀声気絶えんとして坐臥するを得ず、或いは母親の肩にすがり或いは フトンを積み重ねて逋逼し、或いは柱に寄りかかかりてその苦を逃れん とす。かくするうちに咳嗽と少量の喀痰を排出して発作が止む。しかし 胸膈清からずして軋(いあつ)音が残るがだんだん回復すると云う。 所見。胸部を診するに気管支音である笛声、軋(いあつ)音著明、呼吸やや困 難である。腹部を診んとして仰臥させようとすると呼吸切迫して診断上 最も肝腎の腹部を診ることが出来なかった。食事はやや不振で膏梁肉食 を好む。
まず肉食を極力節制させ、主として野菜を食するように勧める。 処方。神秘湯厚朴甘草の薬味の分量は、麻黄6、蘇葉2、柴胡2、 杏仁4、橘皮3、厚朴3、甘草4、以上7味で、甘草を比較的大量に用い たことを大書せねばならない。なぜなら若し甘草を少量にすれば神秘湯 としての効果が半減するからである。(中略)他に頓服薬として麻黄甘 草湯を冷却して発作ある毎に少量ずつ徐々に嚥下させた。
経過。服薬後、立ちどころに効果が現れ、2日を過ぐるに、笛聴、軋(いあつ) 音も減少し、呼吸困難あるも、服薬前のような苦しみが無くなったとい う。2ヶ月にしてほとんど全治した《高橋道史》
[7]起座呼吸 [8]胸脇苦満 <軽> [9]呼吸困難(激しい) [10]小児喘息: ☆呼吸困難を訴え、痰が少ない者。 ☆腹力弱く、みぞおちのつかえもなく、胃内停水もない。
[11]神経症 [12]舌苔 <白苔> [13]喘鳴: ☆山田光照は、小児の感冒で咳が出て、喘鳴のある者に、著効があると云 っている《大塚敬節》
[14]肺気腫 [15]腹部軟弱無力 [16]ゆううつ(抑鬱気分) 神秘湯[2]《東醫寶鑑》 「紫蘇葉・橘紅・桑白皮各2銭、人参・赤茯苓・半夏各1銭、木香5分、姜5 片」1日3回水煎服。 ◎上気して喘急して寝られず、寝ると又起こる者。
神秘湯[3]《済世全書》《古今方彙》 「陳皮、桔梗、紫蘇葉、五味子、人参、生姜」水煎。 一方に、五味子なく、茯苓・木香・桑白皮を加える。 ◎上気喘急して臥するを得ざるを治す。
神秘左経湯《東醫寶鑑》 「麻黄・桂心・黄芩・枳穀・柴胡・赤茯苓・半夏・羗活・防風・厚朴・厚朴 ・白姜・小草・防已・麦門冬・乾葛・細辛・甘草各5分、姜3、棗2」水 煎服。
◎風・寒・暑・湿が足陽経に流注して、脚膝がケイレンして腫痛する者。 神品芍薬湯《済世全書》《古今方彙》 「白芍薬3銭、肉桂1銭、甘草1銭」水煎。 ◎肚腹の痛みを治す。 ◎熱あれば:「黄芩・黄連」 ◎大閉には:「枳殻・大黄」
神方験胎散《東醫寶鑑》 「真雀脳芎1両、当帰7両」細末にし、2貼に分け、濃く煎じて好艾湯1杯 又は好酒で調下する。 ◎妊娠の徴候があった時。
神保元《東醫寶鑑》 「全蝎7個、巴豆10個(皮を去り細末)、木香・胡椒各2銭半、朱砂1銭(半 分は薬末、半分は衣に)」作末し、餅で丸剤。5~7丸づつ姜湯又は温酒
で飲む。 ◎心膈痛・腹脇痛・腎気痛。 神芒導水丸《東醫寶鑑》 「牽牛子(頭末)・滑石各4両、大黄2両、黄芩・川芎・薄荷各半両」作末し、 水で小豆大の丸剤。温水で10~15丸飲む。
◎二陽の熱の繁病症を治す。 神明丸《青嚢秘録》 「神授丸《三因極一病証方論》苦楝根」 ◎労を治す。《勿誤薬室方函口訣》
神霊丹《東醫寶鑑》 「五霊脂・蒲黄(炒)各1両、良姜5銭(を斑猫20個と焦がし猫は捨てる)、 防已5銭」細末にし醋糊で皀角大の丸剤。毎回1丸を醋湯で調下。 又は作末して毎回2銭、酒で呑む。 ◎急心痛を治す。
人中黄丸《東醫寶鑑》 「大黄・黄芩・黄連・人参・桔梗・蒼朮・防風・滑石・香附子・人中黄各等 分」作末し、神麹糊で梧子大の丸剤。毎回70丸を イ.気虚のときは四君子湯で、 ロ.血虚には四物湯で、 ハ.痰が多いときは二陳湯で呑む。
◎四季の疫癘を治す。 人馬平安散 「麝香・竜脳・雄黄・朱砂・硝石」 ◎意識混迷・人事不省。 仁熟散《東醫寶鑑》 「柏子仁・熟地黄各1銭、人参・枳穀・五味子・桂心・山茱萸・甘菊・茯神 ・枸杞子各7分半」水煎服。又は作末し温酒で2銭づつ服用。
◎胆虚。恐怖におののいて、一人で寝ていられない者。 沈香飲子 「香蘇散《和剤局方》沈香」 ◎傷風を治す。《方読便覧》 沈香豁胸湯《本朝経験》《雑病翼方》 「沈香・砂仁各5分、香附子1銭、甘草・呉茱萸各2分、桑白皮8分、犀角3 分5厘、茯苓9分」
「豁胸湯《和田東郭》沈香降気湯生姜」 ◎胸腫満し、気急息迫、喘咳する者を治す。《和田東郭》 ◎脚気の人、毒気上衝し、心腹堅満、肢体浮腫する者《雑病翼方》
沈香解毒散《松原家蔵方》 =「伯州散沈香」 ◎癰腫、一切瘡腫を治す。膿已にあると未だ成さざるとを問わず、此薬を与えれ ば能く毒を解し、腫を消し、痛みを止め、膿を成し新肉を生じ、腐潰を止む。
沈香降気湯《峰普済方》《東醫寶鑑》 「香附子4両、炙甘草1両2銭、縮砂5銭、沈香4銭」細末にし、毎回2銭 づつ蘇塩湯で服用。
◎気が昇降せず、上気・喘息する者。 ◎事業などに失敗して腰痛になる:「調気散姜3・棗2」 沈香降気湯《和剤局方》 「沈香6分、縮砂1銭半、莎草7銭半、甘草1分」 【加減方】左金丸(黄連・呉茱萸)=「寧癇湯」 豁胸湯(桑白皮・呉茱萸・茯苓・犀角)=「豁胸降気湯」 ◎陰陽壅滞し、気升降せず、胸膈痞塞し、喘促、臥を嗜むを治す。 ◎脚気上衝し、心腸堅満を治す。 ◎此方は気剤の総目なり。陰陽升降せずと云うが目的にて、脾労の症、あるいは 一切の病、上衝強く、動悸亢ぶり、頭眩し、耳鳴り、気鬱する症に用いる。
◎脚気衝心に「桑白皮湯」あるいは「呉茱萸湯」の苦味を苦しみて嘔吐する者に 効あり。 ◎「香蘇散」「正気天香湯」は気発を主とす。此方は降気を主とす。 ◎七気の欝滞、心痛、ならびにシャックリを治す:「乳香」 ◎もしその人、羸痩、津液乏少、心下動悸甚だしく、目下微腫し、耳鳴り、目眩、 頭暈する者は虚候に属する。沈香降気湯に宜し。《先哲医話》
◎もと脚気転筋を患うを治するに、「蒼朮・黄柏・木瓜」を以てして、能く癒 えると。此の証、気滞に因り、又湿熱を犯して下焦の気通ぜざるの故なり。
沈香降気湯加減《中薬臨床応用》 「沈香末2.5g(沖服)、烏薬9g、木香3g(後下)、延胡索6g、香附子3g」水煎 服。 ◎陽虚で血液循環が悪い ◎下腹部痛
沈香交泰丸《東醫寶鑑》 「呉茱萸・大黄(酒浸)各1両、厚朴5銭、沈香・白朮・陳皮各3銭、白茯苓 ・沢瀉・当帰・木香・青皮各2銭」作末し湯に浸した蒸し餅で梧子大の丸 剤。温水で70~80丸飲む。 ◎濁気が上にあって脹になった者を治す。
沈香琥珀丸《東醫寶鑑》 「子(炒)・郁李仁・沈香各1両半、琥珀・杏仁・蘇子・赤茯苓・沢瀉各5 銭」作末し蜜で梧子大の丸剤。麝香で衣をつけ毎回30~50丸を蘿葡子煎 じ湯で飲む。 ◎水腫で小便が渋い者を治す。
沈香散《証治準縄》《東醫寶鑑》 「蘿葡子(炒研)2銭、沈香・木香・枳殻各1銭」剉作1貼し、姜3片入れ水 煎服。 ◎腹脹と気喘で立っても座っても居られない者を治す。
沈香散《証治準縄》 「沈香、子、枳殻、木香」 沈香天麻湯《衛生宝鑑》《漢方後世要方解説》 「独活・羗活・防風・半夏各3、天麻・益智仁・当帰・白蚕各1.5、沈香 ・甘草各1、附子0.5~1」 ◎癇症或いは小児驚懼により、搦を発し、痰涎声あり、沫を吐し、舌を噛み、 目上視し、項背強直の者之を主る。 ◎此方は元小児陰証の驚癇(ひきつけ)を治すが主である。大人でも平素肝気亢ぶ り、腹攣急して上盛下虚、歩行荒く、性急にして怒りやすく、口眼斜(顔面 神経麻痺)するにも用いられる。また婦人多産又は屡々出血を繰り返し、肝気 亢ぶり、動気甚だしく、」眩暈して歩行する毎に高きより落ちんとする如く思 い、とかく驚き易き者に用いて奇効がある。
独活=頸項舒び難く、両脚湿痺諸風を除く 羗活=風、除湿、身痛、頭疼、舒筋、活骨。 天麻=驚癇、拘攣、頭眩を治す。 白蚕=驚癇、湿痰、諸風を治す。 沈香=降気、胃を暖め、邪を追う。 ◎内熱あれば:「
治肝虚内熱云々方」《本草彙言》 ★適応症及び病名 [1]顔面神経麻痺 [2]小児急癇 [3]神経衰弱 [4]中風 [5]テンカン: ☆陰証の癲癇《矢数道明》 ☆虚弱体質で、貧血気味の者。 ☆ケイレン発作を起こし、泡をふき、舌をかみ、目を見開いたまま宙を 見つめてぼんやりし、頸から肩にかけて凝る者。 [6]脳膜炎様の症状 [7]ヒステリー
沈香半夏湯《東醫寶鑑》 「附子(炮)1、沈香と附子を等分にし、人参5銭、半夏(製)2銭、南星(炮)1 銭」粗末にし毎回3銭を「水2杯、姜10片」と同時に煎じて1杯になっ たら、空腹時に服用。 ◎中風の痰が盛んなとき。 ◎痰をなくし、脾を起こし、気を和らげ、心を強くする。
沈香百補丸《東醫寶鑑》 「熟地黄3両、菟絲子2両、杜仲・肉蓯蓉・山薬・当帰各1両半、知母・黄 柏・人参各1両、沈香5銭」作末し酒糊で梧子大の丸剤。塩湯で70丸飲 む。 ◎虚労を治し、血気を補い、陰を滋養する。
沈香鼈甲散《東醫寶鑑》 「鼈甲(醋炙)・附子(炮)・肉桂各1銭、当帰・熟地黄・羗活各7分半、沈香 ・木香・人参・巴戟・白茯苓・牛膝・黄蓍・柴胡・荊芥・半夏・秦艽各5 分、全蝎2分半、肉豆()1個」剉作し、1貼に「姜3、棗2、葱2本」 を入れて煎服。
◎諸虚・百損を治す。 ◎一切の労傷を治す。 参黄散《傷科補要》 「桃仁・当帰尾各120g 赤芍・紅花・穿山甲各60g 参三七・川厚朴・枳実 ・欝金・延胡索・青皮各40g 柴胡24g 肉桂20g 大黄・甘草16g」作末 し、毎服4~12g、陳酒でのむ。
参蓍救元湯《寿世保元》《古今方彙》 =「参蓍五味湯」《済世全書》 「黄蓍、人参、肝臓シャ、麦門冬(去心)、五味子」水煎し「朱砂(少許)」入 れ時に拘わらず服す。
◎腎水枯渇し運上する能わずして消渇を作し、癰疽を生ずるを恐るるを治す。 参蓍建中湯《東醫寶鑑》 「当帰身1銭半、人参・黄蓍・白朮・陳皮・白茯苓・白芍・生乾地黄(酒炒) 各1銭、甘草5分、五味子3分、姜3、棗2」煎服。
◎虚損・少気・四肢がだるい・食欲不振。 参蓍湯[1]《万病回春》《東醫寶鑑》 「黄蓍(蜜炒)・人参・白朮・白茯苓・当帰・熟地黄・白芍(酒炒)・酸棗仁 (炒)・牡蛎(炒)・牡蛎粉各1銭、陳皮7分、甘草2分、大棗2枚、小麦一 握り・烏梅1個」煎服。 ◎自汗を治す。
参蓍湯[2]《東醫寶鑑》 「人参・黄蓍・白朮・白茯苓・白扁豆・山薬・陳皮・葛根・半夏(麹)甘草 各1銭」水煎服。 ◎盗汗を治す。
参蓍湯[3]《万病回春》《東醫寶鑑》 「人参・黄蓍(蜜炒)・白茯苓・当帰・熟地黄・白朮・陳皮各1銭、益智仁(研) 8分、升麻・肉桂各5分、甘草3分、姜3分、棗2枚」水煎し空腹時に服 用。老人は附子(炮)を加える。 ◎気虚・遺尿を治す。 ◎気虚し、遺溺失禁する者を治す。
参蓍湯[4]《万病回春》《東醫寶鑑》 「人参・黄蓍(蜜炒)・当帰・白朮・地黄(生)・白芍薬(酒炒)・白茯苓各1銭、 升麻・桔梗・陳皮・乾姜(炒)各5分、甘草(炙)3分」煎服。 ◎肛門の虚寒と脱肛。 ◎肺臓の虚寒には:「乾姜(炒)5分」《古今方彙》
参蓍湯《万病回春》《古今方彙》 =「補胃湯」 「黄蓍1銭、青皮・人参各5分、甘草(炙)・蒼朮各1銭、当帰・柴胡・黄柏 (酒)・升麻各3分、神麹7分」水煎食遠に服す。
◎脾胃虚弱、元気不足、四肢沈重、食後昏沈するを治す。 参蓍透肌散《古今方彙》 「紫草、木通、人参、芍薬(酒)、黄蓍、升麻、葛根、甘草、大棗、生姜」水 煎。 ◎気弱にて痘出でて尽きざるか、出でても速やかならざるも者を治す。
参蓍補肺湯《医学入門》《古今方彙》 「人参・黄蓍・白朮・茯苓・陳皮・当帰・山茱萸・山薬・麦門冬・五味子・ 甘草(炙)各5分、熟地黄1銭、牡丹皮1銭、生姜、大棗」水煎。
◎肺痿にて咳喘短気、或いは腎水不足、虚火上炎、痰涎湧盛、或いは膿血を吐し 発熱し小便短渋するを治す。 参蓍鹿茸湯《万病回春》 「人参1銭厘、黄蓍1銭半、鹿茸3銭、当帰1銭半、甘草6分、生姜1片」 或いは「反鼻」 ◎痘色淡に、白疱尖せず、根に紅暈無き者を治す。 ◎気虚にして血縮む者なり、膿を成さず。 ◎此方は虚痘にてその色灰白、根に紅暈なく、膿漿を醸すこと能わざる者を治す。 ◎又痘のみならず、諸瘡瘍、気虚して血縮む者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎一婦人、乳癰数年癒えず、膿水淋漓、長肉(肉芽形成)する能はず、頑肉突起、そ の状、乳岩自潰の者に似たり、此方を与えること数日にして全癒す。《勿誤薬室方函 口訣》 ◎蚊皮痘:「丁香、桂枝、白芷、芍薬」《方読便覧》
参帰益元湯《寿世保元》《古今方彙》 「人参5分、当帰・白芍薬(酒)・熟地黄・茯苓・麦門冬各1銭、知母割け分、 五味子7粒、黄柏(酒)・陳皮各7分、甘草3分、大棗肉、烏梅、炒米」水 煎。
◎注夏病を治す。 ◎注夏病は陰に属す。血虚し元気不足するなり。夏の初め、春の末に頭疼み、眼 花し、腿酸み、脚軟、、食少なく躰弱く、五心煩熱、口苦舌乾、先進困倦無力、 好んで睡り、胸膈不利、形は虚怯の如く、脉数にして無力、是れ注夏と名づく。
◎飽悶には:「砂仁・白豆」 ◎悪心には:「烏梅・蓮肉・炒米」 ◎には:「竹茹」 ◎煩躁には:「辰砂・酸棗仁・竹茹」 ◎瀉には:「白朮・山薬・砂仁・烏梅」 ◎胃開かず、飲食を思わざるには:「厚朴・白豆・益智仁・砂仁・蓮肉、 熟地黄・黄柏・知母」
◎腰痛には:「杜仲・破故紙・小茴香」 ◎腿酸無力には:「牛膝・杜仲」 ◎皮焦には:「地骨皮」 ◎頭目眩暈には:「川芎」 ◎虚汗には:「黄蓍・酸棗仁・白朮」 ◎夢遺には:「牡蛎・山薬・辰砂・椿根皮」 ◎虚驚煩熱には:「辰砂・酸棗仁・竹茹」 ◎口苦舌乾には:「山梔子・烏梅・乾葛」
参帰丸《東醫寶鑑》 「苦参4両、当帰2両」作末し酒糊で梧子大の丸剤。熱茶清で70~80丸服 用。 ◎酒査鼻。 参帰芍薬湯《万病回春》《古今方彙》 「当帰2銭、茯苓・芍薬・白朮各1銭半、砂仁7分、山薬・人参・陳皮各1 銭、甘草5分、烏梅、燈心草、蓮肉」水煎。
◎痢久しきこと、十、二十日、痢多く止まざるに此を用いて気血を調えれば自ら 癒える。 ◎噤口痢にて食せざるには:「黄連・人参・炒米」 ◎腹痛し裏急後重するは積熱気滞なり。又虚ありて坐して大便に行かざる者は血 虚なり。若し「四物湯」の類にて之を治すには木香・檳榔子を加えて積気を和 消すれば則ち後重は自ら除く。 ◎久痢にて後重除かざる者は虚気の墜下なり:「人参・当帰・芍薬・升麻」 ◎痢にて痛みをなすには:「黄芩・芍薬(炒)」 ◎痢の後に発熱し止まざるか或いは積少なくただ虚し、坐して力を努むる者:「芍 薬・地黄各倍加」 ◎積中に紫血ある者は:「芍薬・紅花」 ◎下痢が緑豆汁の如きには:「二朮」
参帰升麻湯《万病回春》《古今方彙》 「人参・当帰・生地黄・赤茯苓・猪苓・沢瀉・知母(酒)・枳殻・黄柏(酒)・ 牛膝・山梔子各等分、甘草半減、升麻(少許)、燈心草」水煎し空心に服す。 ◎虚人で小便通ぜざるを治す。
参帰鼈甲飲《東醫寶鑑》 「鼈甲(醋煮)1銭3分、黄蓍(蜜水炒)・青皮・当帰・白茯苓・白朮・厚朴・ 川芎・香附子各8分、人参・山子・枳実各5分、甘草3分を剉作し、1 貼に姜3、棗2、梅1を入れ水煎服。
◎老瘧で脇腹に塊が出来、瘧母になった者。 参帰鼈甲飲《万病回春》《古今方彙》 「人参・山子・枳実・砂仁各5分、黄蓍・当帰・茯苓・青皮・鼈甲・白朮 ・香附子・川芎・厚朴各8分、甘草3分、生姜、大棗、烏梅」水煎し食前 に温服す。 丸薬を製するには、「阿魏」を(醋煮)し、前薬と和して作末し、水醋を 糊にして梧桐子大の丸剤。毎服30丸を空心に米湯で飲む。
◎老瘧(慢性マラリヤ)にて腹脇に塊あり、瘧母(長時間の瘧のために起こる脾 腫で脇下のシコリ)となるを治す。 参帰養栄湯《万病回春》《古今方彙》 「人参・当帰・茯苓・白朮・陳皮・砂仁・山薬・蓮肉・芍薬(酒)・熟地黄・ 甘草(炙)・厚朴各等分、大棗」水煎。
◎瘧疾截ちてやみたる後を治す。 ◎此湯は血を調え気を養う。 ◎瘧熱虚汗には:「黄蓍砂仁」 参帰養栄湯《万病回春》《古今方彙》 「当帰・人参・熟地黄・白朮・茯苓・陳皮・白芍薬(酒)・黄柏(酒)・知母 (酒)・牛膝・杜仲(姜酒炒)・破故紙(酒)各等分、甘草半減」水煎。
◎痿症を治す。 ◎肥人は気虚に属す。淡あれば:「半夏白芍薬」 ◎痩人は血虚に属す。火あれば:「当帰・熟地黄各倍加」 参帰養栄湯《万病回春》《古今方彙》
「人参・当帰・川芎・白芍薬・熟地黄・白朮・茯苓・陳皮各等分、甘草半減、 生姜、大棗」水煎温服。 ◎一切の痙病を治す。 ◎剛痙(痙病の重症。太陽病にして発熱はしているが発汗なく、反って悪寒する もの)にて無汗身熱、面赤脉緊なるには:「防風・羗活・柴胡・黄芩・乾葛、 白朮」
◎柔痙にて汗あり、身は熱せず、手足冷え、脉沈細なるには:「附子・羗活」 ◎身熱し、煩渇し脉数なるには:「麦門冬・知母・柴胡・黄芩・葛粉、川芎 ・白朮」
◎身熱し飽悶気急、痰を生じるには:「紫蘇子・括楼仁・枳実・黄芩・桔梗・ 柴胡・砂仁・竹瀝・姜汁、人参・白芍薬・川芎・熟地黄」 ◎身熱し煩渇し、口禁咬牙し、手足攣急し、大便通ぜざるには:大黄・柴胡・ 黄芩・厚朴、人参・白朮・川芎・茯苓」
◎風痰の痙には:「羗活・防風・括楼仁・枳実・桔梗・黄芩・竹瀝・姜汁、 人参・白朮・熟地黄」 ◎破傷風の痙には:「白蚕・全蝎・防風・羗活・天南星・括楼仁・枳実・黄 芩・桔梗・竹瀝・姜汁、人参・白朮・地黄」
◎汗吐瀉して多く痙を発する者は:「人参・白朮・当帰・生地黄・黄蓍各倍加、 荊芥」 参帰養栄湯1《東醫寶鑑》 「人参・白朮・白茯苓・当帰・陳皮・縮砂・厚朴・山薬・蓮肉・白芍・熟地 黄・甘草各8分・棗2」水煎服。
◎瘧疾を治療後、この薬で気血を調養する。 参帰養栄湯2《東醫寶鑑》 「人参・当帰・川芎・白芍・白茯苓・陳皮各1銭、甘草5分、姜3、棗2」 水煎服。 ◎破傷風の風痰・陰を治す。
参帰要子《東醫寶鑑》 「人参・当帰各5銭」猪心1個を割って、猪心血に水2椀をまぜ、先に猪心 を1椀半まで煮て、前の2薬を入れて8分まで煎じ、猪心をちぎって清汁 で飲む。」
◎心気が弱って、自汗する者。 参帰鹿茸湯《活幼心法》《古今方彙》 「鹿茸(酒炙・去毛)3銭、黄蓍(蜜炙)・当帰(酒洗)各1銭半、甘草(炙)6分、 人参1銭2分、生姜1片、竜眼3個」煎じて滓を去り、好酒1盃を入れ温 服。
◎痘色淡白にて疱尖らず、円根に紅暈無き者、気虚して血縮する者を治す。 ◎必ず膿成らざるは急ぎ宜しく托膿妙方を用いるべし。 ◎児が能く飲酒する者あらば、濃く煎じ薬汁と酒と相半ば和して服するも亦好し。 ◎虚弱にして未だ甚だしからざる者は此の一二剤を服し、その痘即ち紅活に転じ 漿を行らし、困倦、手足冷、飲食少なき者は:「木香3分、丁香・肉桂各5 分」
◎寒戦咬牙する者は:「官桂3分、附子(炮)8分」 ◎泄瀉には:「当帰白朮(麺炒)・白芍薬(酒炒)・白茯苓各8分、木香・丁香 ・肉桂各3分」
参橘湯(一名人参橘皮湯)《東醫寶鑑》 「橘皮・赤茯苓各1銭半、麦門冬・白朮・厚朴・人参・甘草各1銭」を剉作 し、1貼に姜7片・青竹茹卵大を入れ煎服。
参姜湯《薛立斎十六種》《古今方彙》 「人参2両、生姜(煨熟)2両」水煎。 ◎一儒者、秋に患い、寒熱し春に至りて未だ癒えず、胸痞し腹脹るを治す。 ◎寒熱が止めば即ち、さらに「調中益気湯半夏・茯苓・炮姜」数剤を以て元気 頓に復す。
◎又、瘧を截るに:「人参・白朮各1両、生姜4両」煎服。 或いは、大剤「補中益気湯煨姜」尤も効あり。 参香散 参合湯《万病回春》《古今方彙》 「陳皮・茯苓・烏薬・白蚕・川芎・白芷・麻黄・桔梗・紫蘇葉・香附子・ 半夏・羗活・蒼朮・乾姜各等分、甘草半減」水煎。
◎背心一点痛む者を治す。 参胡三白湯《傷寒蘊要》 「柴胡3匁、人参2匁半、芍薬・白朮・茯苓各1匁半」 ◎傷寒、過経解せず、脈虚数、人弱く発熱し、或いは潮熱、口乾、舌燥を治す。 ◎「愚魯湯」《嶺南衛生方》三白散なり《勿誤薬室方函口訣》 ◎此方は、脈虚数、あるいは下利などありて、ややもすれば医王湯or真武湯の 証に陥らんとして未だ升陽の位を出でざる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
参胡三白湯《東醫寶鑑》 「柴胡1銭、芍薬1銭、枳実8分、黄芩1銭、生姜、知母1銭、人参1銭、 地黄1銭半、麦門冬1銭、甘草」 ◎霍乱後の煩熱・口渇・脈が小さい・頭痛する者。 参胡芍薬湯《医学入門》 「柴胡・白朮・白茯苓・白芍・当帰・陳皮・麦門冬・梔子・甘草各8分、人 参5分、五味子10粒・棗2、梅1、灯心1団」煎服。 ◎傷寒十餘日、外、余熱未だ解せず、脈息未だ緩ならず、大便不快、小便黄赤、 或いは渇し、或いは煩し、安睡を得ず、飲食を想わざるを治す。これ邪気未だ 浄からず、正気未だ復せず、当にその虚実を量って之を調うべし。 ◎此方は「大柴胡湯半夏大黄知母・人参・生地黄・麦門冬・甘草」《勿誤薬 室方函口訣》
◎此方の症は大柴胡湯に似たれども、其の脈腹、大柴胡湯ほどの実したる処なく、 又、胸中に飲を畜ふる様子もなく、ただ熱長引き、数日を経て津液枯燥して解 すること能わざる者に用いる。 ◎小柴胡湯の証にして虚に属する者:補中益気湯 大承気湯の証にして虚に属する者:参胡芍薬湯
参胡芍薬湯《医学入門》《漢方治療の実際》 「柴胡5、芍薬・地黄・麦門冬各4、枳実・黄芩・知母・人参各2.5、甘草1.5、 生姜3」
参胡芍薬湯《医学入門》《古今方彙》 「人参・柴胡・芍薬・黄芩・知母各1銭、生地黄1銭半、枳殻8分、麦門冬1 銭、甘草、生姜」水煎温服。
◎傷寒十四日、外余熱未だ除かず、脉速未だ緩からず、大便快ならず、これ邪気 未だ浄からず正気未だ復せざるを治す。当にその虚実を量り以て之を調えよ。 ★適応症及び病名
疫痢 参赭培気湯《衷中参西録》 「党参18g、代赭石(生)24g(打砕先煎)、天門冬12g、法半夏9g、淡蓉12g、 知母15g、当帰身9g」:水煎し、服薬後に柿霜餅15gを服用する。
◎食道部の閉塞感があって飲食物が通過しにくい。 参仁丸《東醫寶鑑》 「麻子仁・大黄各3両、当帰身1両、人参7銭半」作末し、梧子大の蜜丸。 空腹時に熱水で30丸飲む。
◎気壅による便秘。 参砂和平散《古今方彙》 「人参、砂仁、半夏、白朮、茯苓、香、陳皮、甘草、煨姜」水煎。 ◎虚寒にて嘔吐病まざる者を治す。
参飲(一名却暑清健湯)《東醫寶鑑》 「白朮1銭半、人参1銭半、麦門冬・白芍・白茯苓各1銭、知母(炒)・陳皮 ・香各7分、甘草(炙)5分、黄芩(炒)3分、五味子10粒、姜3片」水 煎服。 ◎暑熱をはらい、元気が出る。 ◎霍乱・吐瀉・痰の予防。
参萸丸《東醫寶鑑》 「六一散1両呉茱萸1両」作末し飯で丸めて服用。 ◎呑酸下痢を治す。 参萸湯《済世全書》《古今方彙》 「呉茱萸、生姜、人参、大棗」水煎、食前服用。 ◎冷涎嘔吐、陰症乾嘔を治す。
参朮飲《東醫寶鑑》 「四物湯の材料各1銭に、人参・白朮・半夏・陳皮各1銭、甘草5分」剉 作、1貼に姜3片を入れ水煎服。
◎妊婦の胞がつまり、小便が出ない者。 参朮芎帰湯《寿世保元》《古今方彙》 「人参・白朮・川芎・当帰・升麻・茯苓・山薬・黄蓍・白芍薬各1銭、甘草5 分、生姜」水煎。
◎瀉痢、産育、気虚の脱肛で脉濡にして弦の者を治す。 参朮健脾湯《東醫寶鑑》 「人参・白朮・白茯苓・厚朴・陳皮・山肉各1銭、枳実・白芍各8分、神 麹・麦芽・縮砂・甘草各5分、姜3、棗2」水煎服。
◎脾を健壮にし、胃を育て飲食を消化させる。 参朮散[1]《東醫寶鑑》 「四物湯に「人参・白朮・半夏・陳皮・甘草各1銭、生姜3片、大棗2枚」 水煎し空腹時に服用。 ◎妊婦が転により小便が不通になった。
参朮散[2]《東醫寶鑑》 「人参・白朮・乾姜(炮)・白豆・縮砂・丁香・橘皮・甘草(炙)各1銭、姜3 片」水煎服。 ◎虚弱者の心脾痛を治す。
参朮散 「人参、白朮、白茯苓、砂仁、甘草、薏苡仁」 参朮湯(一名参蓍湯)《東醫寶鑑》 「黄蓍2銭、蒼朮1銭、神麹7分、人参・陳皮・青皮・甘草各5分、升麻・ 柴胡・黄柏・当帰身各3分」水煎服。
◎脾胃が衰弱し、元気が心・肺を保養出来ず、四肢が重く、食後に 昏悶する者。 ◎食べ物が入ると、眠くなる。 (胃腸が弱く、四肢が重く、食後ねむい)
参朮調元膏《東醫寶鑑》 「雪白朮1斤と人参4両を切って鍋に入れ、浄水10椀を2椀になるまで 煮て濾過し、又滓に水を注いで煎じ、2椀ぐらいに取って濾過して、 前の汁と弱火で煎じ、2椀になったら蜜半斤を入れ再び煎じ、膏に なったら土の中に2日間埋めておいて取り出し、1日3~4回、白湯 で調服。
◎元気を出させ、脾胃を健壮にし、食欲を増進させ、肌を柔げる。 参朮調中湯《弁惑論》《東醫寶鑑》 「桑白皮1銭、黄蓍8分、人参・白朮・白茯苓・甘草各6分、地骨皮・麦門 冬・陳皮4分、青皮2分・五味子20粒」水煎服。
◎解熱し、補気・止嗽し、喘息を鎮め、脾胃を和らげ、食欲を増進させる。 参朮調中湯《弁惑論》《古今方彙》 「白朮5分、黄蓍4分、桑白皮・甘草(炙)・人参各3分、麦門冬・青皮・陳 皮・地骨皮・白茯苓各2分、五味子20個」水2盞で1盞まで煎じ滓を去 り、温服。
◎熱を瀉し気を補い、嗽を止め、喘を定め脾を和し、胃は飲食を進める方なり。 参朮調中湯《弁惑論》《古今方彙》 「補中益気湯当帰・升麻・柴胡桑白皮・五味子・地骨皮・麦門冬・茯苓 ・青皮」生姜、大棗、水煎。
◎熱を瀉し気を補い、嗽を止め、喘を定め脾を和し、胃は飲食を進める方なり。 参朮半夏湯《東醫寶鑑》 「人参・白朮各2銭、半夏・天麻各7分、白茯苓・陳皮各5分、細辛・薄荷 ・甘草各2分、全蝎(炒)1枚を剉作し、1貼に姜3片を入れ水煎服。
◎慢驚風に、母子ともに呑む。 参朮茯苓湯《薛立斎十六種》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・陳皮各1銭、釣藤鈎1銭、柴胡・升麻各7分、山梔子 (炒)8分、甘草(炙)5分、生姜、大棗」水煎。
◎急驚風を治す。 参朮補脾湯《医学入門》《古今方彙》 「人参・白朮各2銭、黄蓍2銭半、茯苓・陳皮・当帰各1銭、升麻3分、麦 門冬7分、桔梗8分、五味子4分、甘草5分、生姜」煎服。
◎肺癰にて脾気虚弱、膿涎を咳吐し、中満して食せず、凡そ肺癰にて膿血を見て 久しく癒えざるを治す。 参茸補血丸【中成薬】 「人参・鹿茸・杜仲・巴戟天・黄蓍・当帰・竜眼肉・牛膝」 ◎虚弱体質・疲労・胃腸虚弱・冷え症。
参蘇飲[1-1]《和剤局方》《漢方後世要方解説》 「半夏・茯苓各3、陳皮・葛根・桔梗・前胡各2、紫蘇葉・人参・枳殻・木 香・甘草各1、大棗・生姜各1.5」
◎感冒発熱頭疼を治す。或いは痰飲凝節に因って兼ねて以て熱をなし、並びに宜 しく之を服すべし。能く中を寛くし、膈を快くし、脾を傷ることを致さず、兼 ねて大いに中痞満、嘔逆悪心を治す。胃を開き食を進むること、以て此に喩 ゆることなし。小児童女亦宜しく之に服すべし
◎此方は肺経の外感を発散し、内傷を兼ねて脾胃調和せざる者を治すものである。 四季の感冒にて発熱、咳嗽、痰飲を兼ね、飲食による内傷もあり、中痞満、 嘔吐、悪心等ある者によい。胸膈を利して飲食を進める。
葛根湯を嫌う者、亦、麻黄剤の用い難き者、小児、老人、虚人、妊婦等の感 冒、咳嗽によく用いられる。転じて気鬱、酒毒、悪阻等にも使用される。
桔梗・前胡・蘇葉・生姜=肺経を発散し、 前胡・生姜・蘇葉・茯苓・葛根=組んで脾経の風を追う 人参・茯苓・甘草=脾を補う 陳皮・半夏=痰を除き嘔を止む 枳殻・桔梗=膈を利し、 木香=気を廻らす。
参蘇飲[1-2]《和剤局方》《中薬臨床応用》 「吉林参3g(別)、蘇葉9g、茯苓9g、葛根9g、前胡3g、姜半夏3g、陳皮3g、
枳殻3g、桔梗1.5g、木香1.5g(後下)、甘草1.5g、生姜1.5g、大棗2g」水 煎し、熱服して発汗させる。 ◎気虚、陽虚の表証。
参蘇飲[1-3]《東醫寶鑑》 「人参・紫蘇葉・前胡・半夏・乾葛・赤茯苓各1銭、陳皮・桔梗・枳穀・甘 草各7分、姜3、棗2」水煎服。 ◎風・寒に感傷して頭痛・発熱・咳嗽する者。 ◎七情による痰が起こり、胸が詰まり潮熱する者。
参蘇飲[1-4]《和剤局方》《古今方彙》 「十味芎蘇散川芎・柴胡前胡・人参・木香」 「紫蘇葉・桔梗・枳殻・陳皮・半夏・茯苓各1銭、前胡・乾葛各2銭、人参 (熱咳の者は之を去る)7分、木香(気盛んなるのは之を去る)5分、甘 草7分、生姜、大棗」水煎、食後に温服。 ◎四時感冒、発熱頭痛、咳嗽声重、涕唾粘稠、中痞満、痰水を嘔吐するを治す。 ◎此薬は大いに肌熱を解し、労倦及び妊娠感冒に宜し。 ◎中を寛げ膈を快くし、脾を傷めず。 ◎天寒くして感冒し、悪寒無汗、咳嗽喘促、或いは風に傷き汗無く、鼻塞り声重 く咳嗽するには竝びて:「麻黄・杏仁・旋覆花」《万病回春》 ◎感冒の初めで肺に熱多い:「杏仁・黄芩・桑白皮・烏梅」 ◎肺寒にて咳嗽する:「五味子・乾姜」 ◎心下痞悶或いは胸中煩熱或いは酒に停めて散らず、或いは嘈雑悪心するには: 「黄連・枳実、乾葛・陳皮倍加」
◎胸満して痰多きには:「括楼仁」 ◎気促喘嗽するには:「知母・貝母」 ◎鼻衂には:「烏梅・麦門冬・白茅根」 ◎心盛んにして発熱する:「柴胡・黄芩」 ◎頭痛には:「川芎・細辛」 ◎咳嗽して久しく血あるには:「升麻・牡丹皮・生地黄」 ◎労熱咳嗽久しく癒えざる:「知母・貝母・麦門冬」 ◎血を見るには:「阿膠・生地黄・烏梅・赤芍薬・牡丹皮」 ◎吐血痰嗽には:「四物湯」=「茯苓補心湯」 ◎妊娠傷寒には:「半夏香附子」
参蘇飲[1-5]《和剤局方》《漢方治療の実際》 「蘇葉・枳実各1、桔梗・陳皮・葛根・前胡各2、半夏・茯苓各3、人参・ 大棗・生姜各1.5、木香・甘草各1」
参蘇飲[1-5]《和剤局方》《龍野ー漢方処方集》 「紫蘇葉・桔梗・枳殻・陳皮・半夏・茯苓各3.0g、前胡・葛根各6.0g、人参 ・甘草・大棗各2.0g、木香1.5g、干姜1.0g」 ◎感冒で発熱頭痛、咳痰、声重く鼻水が出、胃部がつかえ張り、或いは 嘔吐する者。 ◎胃腸が弱い人の感冒・気鬱・つわり。 ★処方解説
A[方剤分類]・・・表裏双解剤 B[八綱弁証]・・・表寒虚証 C[六経弁証]・・・太陽病 D[衛気営血弁証]・衛分 E[臓腑弁証]・・・風寒・痰飲 F[方剤帰経]・・・肺経 G[効能・効果]・・益気解表・化痰止咳・理気和胃。
★適応症及び病名(五十音順) [1]味がない [2]胃腸炎 [3]胃部の膨満・不快感 [4]インフルエンザ: ☆流行性感冒の初期、咳嗽を伴う者《矢数道明》 [5]悪寒 [6]悪阻(妊娠悪祖) ☆「香附子2.0、砂仁1.0」《矢数道明》 [7]悪心 [8]嘔吐 [9]咳嗽
[10]喀痰(濃厚な痰) [11]体がだるい・重い [12]寒嗽 [13]感冒(かぜ): ☆小児、老人、虚人、妊婦のかぜ《矢数道明》
[14]感情が不安定 [15]気鬱: ☆胸内、胃部不快、嘔吐、悪心ある者《矢数道明》 [16]気管支炎: ☆汗の無い者:「桑白皮」《矢数道明》
[17]くしゃみ [18]下痢(頭痛発熱、無汗、食欲不振、悪心嘔吐、胃部膨満感、脈沈数) [19]元気がない [20]肩背強急
[21]声がれ [22]酒毒: ☆木香を倍用して酒気を発散し、順らす《矢数道明》 [23]小児の咳嗽
[24]小児の感冒 [25]小児の喘急 [26]食欲不振 [27]神経性不食症 [28]心下痞 [29]身体痛
[30]頭痛 [31]舌質<淡紅> [32]舌苔<微白~白膩> [33]だるい [34]痰(タン)がよく出る(多痰)
[35]疲れやすい [36]潮熱 [37]ノイローゼ [38]肺炎: ☆軽症 ☆「薄荷1.0」《矢数道明》
[39]肺癰(はいよう) ☆結核の消耗盛熱には注意が必要《矢数道明》 [40]発熱 [41]鼻炎・鼻カタル
[42]鼻づまり=鼻閉 [43]鼻塞鼻痛 [44]鼻水 [45]風嗽 [46]二日酔い [47]腹部膨満感
[48]慢性胃炎 [49]無汗 [50]抑鬱状態(抑鬱気分) 参蘇飲[2]《峰普済方》《勿誤薬室方函口訣》 「人参1両、蘇木2両」 (一名:山査湯) ◎産後、面黒く、乃ち悪血肺に及び、喘を発し死せんと欲するを治す。 ◎此方は血喘を主とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎産後、血衝心の者にも用いる。 ◎産後、喘促し、口鼻黒気を起こすは、血肺に入ると為す。不治なり。或いは 「人参1両、蘇木3銭」水煎頓服す。もし厥冷自汗すれば必ず「通脈四逆湯」 を用いる。《方読便覧》
◎《張氏医通》に曰く、臍腸墜断し、悪露胞に入り、脹大して出ずる能わざる者 は、二味の参蘇飲なり。《雑病翼方》 参蘇温肺湯[1-1]《医学発明》《東醫寶鑑》 「人参・紫蘇葉・肉桂・木香・五味子・陳皮・半夏・桑白皮・白朮・白茯苓 各1銭、甘草5分、姜3片」水煎服。 ◎冷たいのを飲むと、肺が傷つき喘喝し、めまいがし、胸がやける者。
参蘇温肺湯[1-2]《医学発明》《古今方彙》 「人参・紫蘇葉・甘草・肉桂・五味子・木香各4銭、陳皮・白朮各6銭、半 夏・茯苓各半両、桑白皮1両、左水1盞半、生姜3片」煎服。
◎形寒にして冷を飲みて肺を傷り喘嗽煩胸、満気動暢するを得ざるを治す。 参竹浸膏《西苑医院方》《中薬臨床応用》 「党参9g、玉竹15g」を1日量とし、エキスを2回に分服。 ◎冠不全に狭心痛
参附再造湯《通俗傷寒論》 「高麗参・川桂枝各4g、綿蓍皮(酒洗)6g、 羗活・炙甘草・防風各3.2g、 淡附片2g、北細辛1.2g」
参附湯《世医得効方》《東醫寶鑑》 「人参5銭、炮附子1両」を3貼に剉作し、生姜3片を入れ煎服。 ◎陽虚自汗を治す。 参附湯[1-1]《世医得効方》《古今方彙》 「人参1両、附子(炮)5銭」水煎。 ◎真陽不足し、上気喘急、自汗盗汗、気短く頭暈等の症を治す。
参附湯[1-2]《正体類要》《中薬臨床応用》 「人参15g、熟附子片12g」水煎服。 ◎ショック ◎呼吸が微弱 参附理陰煎加白朮《景岳全書》《古今方彙》 「熟地黄357銭、当帰23銭、炙甘草3銭、乾姜(炒黄)123銭、桂肉12銭、 人参、附子、白朮各35銭、水2鍾」を煎じて7~8分とし熱服す。
◎一男子、年4旬をこえて、傷寒癒えたる後に足股腫脹し、之を按ずれば鼓の如 くして且つく、「加減腎気湯」を服してもついに効を見ざる者を治す。之を 服すること2~3剤にして足脛漸く消え、20余剤にして腹脹尽く退く。
参味合剤《中薬臨床応用》 「太子参エキス2‹、五味子チンキ1.5‹、酸棗仁チンキ3‹、シロップ3.5‹」混合 して10‹とし、1日2回、5‹づつ湯で沖服する。 ◎神経衰弱。
参栗湯《聖済総録》 「大半夏湯《金匱要略》白蜜陳栗米・生姜」 ◎乾嘔、食下らざるを治す。 参苓元《東醫寶鑑》 「人参・石菖蒲・遠志・赤茯苓・地骨皮・牛膝(酒浸)各1両」作末し蜜で梧 子大の丸剤。米飲で30~50丸飲む。 ◎胃中に熱が溜まって良く食べ、消化しても血肉にならない者を治す。
参苓琥珀湯[1-1]《東醫寶鑑》 「川煉肉・甘草梢各1銭、延胡索7分、人参5分、赤茯苓4分、琥珀・沢瀉 ・柴胡・当帰尾・青皮・黄柏各3分」剉作し燈心を入れ煎服。 ◎淋渋し茎中が痛い者。
参苓琥珀湯[1-2]《衛生宝鑑》《古今方彙》 「人参5分、茯苓4分、琥珀・柴胡・沢瀉各3分、当帰尾2分、延胡索7分、 甘草梢・川楝子(肉)(少許)」水煎。 ◎淋渋り、茎中痛み、脇下に相引きて痛み忍ぶべからざるを治す。。
参苓壮脾元《東醫寶鑑》 「人参・白茯苓・白朮・縮砂・神麹・麦芽・山薬・白扁豆・肉桂・乾姜・胡 椒各1両」作末し弾子大の蜜丸。毎回1丸を白湯又は温酒でかみ下す。
◎脾胃が冷え、消化されず、顔色が黄色くしなびて、肢体がだるい。 ◎病気による気の衰え、食欲不振を治す。 参苓白朮丸《東醫寶鑑》 「白朮(土炒)2両半、蓮肉・桔梗・薏苡仁各2両、人参・白茯苓・山薬(炒) ・陳皮・半夏(製)・白扁豆・黄連(2味並姜汁炒)・当帰・香附子・遠志・ 甘草各1両、縮砂・石菖蒲各5銭」を作末し、姜棗の煎じた湯に神麹末1 両を混ぜ梧子大の丸剤。白湯で100丸飲む。
◎病気が治った後、元気のない者に、この薬を飲んで脾胃を補う。 参苓白朮散[1-1]《和剤局方》 「白朮、人参・乾山薬(炒)・白扁豆(炒)・蓮肉(炒って心を去る)、茯苓・ 炙甘草・陳皮・薏苡仁(炒)・桔梗・縮砂」を細末にし、毎回8~12gを、
棗湯又は重湯で服用。」 ◎脾胃虚弱、飲食進まず、多困少力、嘔吐泄瀉するを治す。 ◎心脾気弱、神昏躰倦、多困少力、飲食進まず、中満痞噎、心上喘、嘔吐瀉痢 等の症を治す。久服すれば気を養い神を育て脾を醒し胃を益し正を扶け邪 を辟く。《寿世保元》 ◎此方は、脾胃の弱き人、食事進まず泄瀉し易き者を治す。《勿誤薬室方函口訣》 ◎故に半井家にては、平素脾胃の至って虚弱なる人、ややもすれば腹の下ると云 う者に常用にすと云う。 ◎土佐道寿は、脾胃虚弱の候にて発熱悪寒の症ある者:「補中益気湯」。 ただ労倦して飲食進まざるを「参苓白朮散」とした。 ◎虚弱の人の噤口痢にて飲食下らざるを治す:「石菖蒲」or気あれば「木香」 《仁斎直指方》 ◎此方の症にして下利一等重き者:「参苓白朮散《万病回春》」 ◎泄瀉: ☆虚労にて痰嗽喘熱而して泄瀉する者はこれ脾の憊(つかれ)なり。 ☆実症:大黄丸 ☆虚症:参苓白朮散附子《方読便覧》
参苓白朮散[1-2]《和剤局方》《中薬臨床応用》 「党参12g、茯苓9g、白朮9g、陳皮5g、蓮子9g、山薬12g、薏苡仁9g、白
扁豆9g、縮砂3g、桔梗3g、甘草(炙)3g」水煎服。 ◎食欲不振 ◎消化不良 ◎食後の嘔吐 ◎食後の下痢 参苓白朮散[1-3]《東醫寶鑑》 「人参・白朮・白茯苓・山薬・甘草(炙)各3銭、薏苡仁・蓮肉・桔梗・白扁 豆・縮砂各1銭半」作末し毎回2銭、棗湯で点服。 ◎内傷による脾胃の虚弱。 ◎食べなくても吐く者。 ◎大病後の脾胃を強めるのに。
参苓白朮散[1-4]《漢方治療の実際》 「白扁豆・蓮肉各4、桔梗・縮砂各2、薏苡仁5、人参・茯苓・朮各3、甘草 ・山薬各1.5」
参苓白朮散[1-5]《和剤局方》《漢方後世要方解説》 「人参3、白朮4、茯苓4、山薬3、扁豆・蓮肉・桔梗・砂仁各2、薏苡仁5、 甘草1.5」 ◎脾胃虚弱、飲食進まず、多困少力、中満痞噎、心気喘、嘔吐、泄瀉及び傷寒、 咳嗽を治す。此薬中和にして熱せず、久しく服すれば、気を養い、神を育し、 脾を醒ましめ、気を悦ばしめ、正を順し、邪を辟く。 ◎此方は脾胃の虚を補い、湿を除き、滞を行らし、気を調える剤である。平常脾 胃虚弱にして食進まず泄瀉し易き者に効がある。熱無く疲労し不食の者や大病 後の疲労食欲不振にによい。また、陰虚火動の症に滋陰降火等苦寒の剤を用い て脾胃虚耗し泄瀉するとき、速やかに此方を与える。転じて婦人帯下崩漏にも 妙効がある。 ★適応症及び病名
(五十音順) [1]潰瘍性大腸炎 [2]下痢: ☆5歳の男児。 「生まれつき胃腸が弱く、いつも下痢気味・大便は黄色くて粘液は出ない。ご飯をあまり食べなくて、お菓子が大好き。牛乳は嫌いではないが、飲むと、どうも良くない。
こういうお菓子ばかり食べていて、食事をあまりしない子はたいてい虚弱体質で、思い切ってお菓子の量を減らすようにしないと、丈夫な体質にはならない。参苓白朮散を飲み続けるうちに、だんだん胃腸も上部になって、下痢を全くしないようになった」《山田光胤》
☆啓脾湯と参苓白朮散の2方は同じような下痢に用いる。 下痢が長引き、栄養が衰え、皮膚に光沢がなく、枯燥し、貧血の傾向のあるものに用いる。この場合、裏急後重は無く、腹痛はあっても軽微である。真武湯を与えて、効の無いものに、此方で治るものがある(漢方診療医典) [3]消化不良: ☆発酵性消化不良 [4]乳幼児下痢症
☆嘔吐は止んだが、下痢が続き腹にガスがたまり、いつまでも全快しないものに用いる(漢方診療医典) [5]病後の: ☆大病後の疲労、食不振、下痢し易い。《矢数道明》 [6]腸結核の1症: [7]肺結核: ☆食欲が進まず、下痢し易い者《矢数道明》
☆炙甘草湯、滋陰降火湯などの苦寒の剤を投じて下痢、食欲不振を起こ した時《矢数道明》 [8]白帯下: ☆白帯下、子宮ガンで、羸痩、食が進まない者《矢数道明》
[9]バセドウ病 ☆バセドウ病患者で下痢を訴える者(漢方診療医典) [10]崩漏: ☆胃腸虚弱にして貧血衰弱 [11]慢性胃腸炎: ☆食欲なく、湯剤を飲んでも治らない者《矢数道明》
参苓蓮朮散《東醫寶鑑》 「人参・白朮・白茯苓・山薬・蓮子・陳皮各1銭、縮砂・ 香・訶子・肉 豆・乾姜(炮)・甘草(炙)各5分、烏梅1個・灯心1」水煎服。
◎気虚の泄瀉。 ◎(飲食が胃に入るとすぐ下痢して消化されず、脈弱) 参連丸《春林軒丸散方》 「呉茱萸・人参各2銭、黄連3銭」作末、糊丸。
参連湯《朱丹渓》 「人参5銭、黄連1両」水煎。 ◎治下痢噤口不食者。 ◎「連湯」参照。 ◎終日時に之を呻(ノ)めば吐するが如く、再び強く飲み但だ一口を得て咽喉を呻 下(ノミクダ)せば即ち好し、蓮肉3銭を加え尤も妙なり。《万病回春》
参連湯《医約》 「黄連、人参、呉茱萸」 ◎嘔吐、飲食進まず、或いは胃中虚熱し、悪心するを治す。《雑病翼方》 参連湯《漢方治療の実際》 「人参5、黄連・呉茱萸各3」
参連湯《東醫寶鑑》 「黄連3銭、人参・石蓮肉各2銭」水煎服。 ◎噤口痢で胃口の熱がひどい者。 参連白虎湯《漢方治療の実際》 「白虎湯人参3、黄連2」
半湯《香川修徳》 「半夏乾姜人参丸乾姜甘草」 ◎嘔家に用いる。 熊湯《松原一閑斎》 「人参・黄連・熊胆」先ず2味を煮て、後に胆を入れ、溶かす。 ◎卒倒・人事不省・胸心間の閉塞・大いに煩満する者。
連湯《撮要方函》 「人参・黄連・呉茱萸」 ◎積気、癇となる者を治す。 ◎此方は本、《朱丹渓》の《纂要附餘》に出て、方名無し。云う、下痢、噤口、 不食する者は脾胃熱甚だしと。その参連と名づくるは氏の《万病回春》に始 まる。今、呉茱萸を加うる故に《撮要》に従うなり。 ◎此方は元《朱丹渓》噤口痢を治すと《医学入門》に見えたれども、今運用して、 諸気候、直視、煩悶に用いて即効あり。 ◎又、吐血、心下痞硬の者に用いて奇験を奏す。 ◎《閑斎家》では卒病(急激に起こった疾患)の要薬とす。 ◎此方で効なければ「熊参湯」なり。 ◎「参連丸」参照。
連湯《医貫》 「連湯《撮要方函》姜汁糯米」 ◎暑によって吐極、胃虚し、百薬入らず、粒米下らず、口に入れば即ち吐き、病 益々危篤となる者。《勿誤薬室方函口訣》
心痛一方《万病回春》《古今方彙》 「当帰・川芎・陳皮・茯苓・砂仁・官桂・延胡索各1銭、莪朮・檳榔子各2 銭、三稜1銭半、丁香5分、甘草5分」水煎温服。
◎心疼み、肚腹痛み、小腸気(陰嚢ヘルニアのこと)、積塊冷気あるを治す。 心痛一方《寿世保元》《古今方彙》 「梔子(姜汁炒)15枚、川芎1銭、香附子(便)1銭」水煎。 ◎心気痛(気分の欝滞により心痛する)及び胃痛を治す。
心痛一方《薛立斎十六種》《古今方彙》 「山梔子(炒黒)、桔梗」煎服。 ◎心腹痛み、諸薬の応ぜざるを治す。 心脾双補丸《中医治法与方剤》 「西洋参、白朮、茯苓、甘草、生地黄、丹参、酸棗仁、遠志、五味子、麦門 冬、玄参、柏子仁、黄連、香附子、貝母、桔梗、竜眼肉」
真珠母丸《本事方》《東醫寶鑑》 「真珠母7銭半、熟地黄・当帰各1両半、人参・酸棗仁(炒)・柏子仁・犀 角・白茯神各1両、沈香・竜歯各5銭」作末し、梧子大の蜜丸にして朱 砂で衣をつけ、毎回40~50丸を薄荷湯で、1日2回服用。
◎神魂の不安、驚悸不安、不眠症。 真人化鉄湯《東醫寶鑑》 「三稜・莪朮・陳皮・青皮・山肉・神麹・香附子・枳実・厚朴・黄連・当 帰・川芎・桃仁・檳榔各5分、紅花・木香・甘草各3分、姜3、棗2」水 煎服。
◎五積・六聚・痃癖・を治す。 真人養臓湯[1-1]《和剤局方》 「罌栗殻・訶子・肉豆・木香・肉桂・当帰・人参・芍薬・甘草・白朮」 ◎腸胃虚寒し、赤白を下痢し、脱肛して垂れ下がり、酒毒で便血する者。
真人養臓湯[1-2]《東醫寶鑑》 「罌栗殻1銭、甘草9分、白芍薬8分、木香・訶子各6分、肉桂・人参・当 帰・白朮・肉豆各3分」水煎し空腹時に温服。 ◎赤白痢と痢疾を治す。
真人養臓湯[1-3]《和剤局方》《中薬臨床応用》 「肉豆(煨)・罌栗殻(蜜炙)・訶子肉(煨)各5g、白芍・白朮・当帰各15g、 党参・甘草(炙)各8g、肉桂・木香各3g」粗末にし、毎回6gを「生姜6g、 大棗2g」を加えて水煎服。 ◎脾腎陽虚に。
真人養臓湯《和剤局方》《古今方彙》 「肉桂8銭、人参・当帰各6銭、木香2両4銭、訶子1両2銭、甘草(炙)1 両6銭、芍薬(炒)1両6銭、罌栗殻(蜜炒)3両6銭、白朮6銭、肉豆( 煨)半両」水煎し食前服用。
◎大人、小児、冷熱調わず赤白を下痢し、或いは膿血は魚脳の如く、裏急後重し て臍腹疼痛するを治す。或いは脱肛下墜し、酒毒便血を治す。 ◎臓寒の者は:「附子」
真武湯[1-1]《傷寒論》 「茯苓・芍薬・生姜各3両切、白朮2両、附子(炮去皮破8升)1枚」右五味、以水八升、煮取三升、去滓、温服七合、日三服。
若痎者、加五味子半升、細辛一両、乾姜一両。若小便利者、去茯苓、若下利者、去芍薬、加乾姜二両。若嘔者、去附子、加生姜、足前為半斤。
◎太陽病発汗、汗出不解、其人仍発熱、心下悸、頭眩、身瞤動、振振欲擗地者、真武湯主之。 「太陽病を発汗したが、汗が出てもなお熱があり、みずおちの部で動悸し、めまいがし、筋肉がピクピクと虫の動くように痙攣し、フラフラと地に倒れそうになる者は真武湯の治するところである」《大塚敬節》
◎少陰病、二三日不已、至四五日、腹痛、小便不利、四肢沈重疼痛、自下利者、此為有水氣。其人或欬、或小便利、或下利、或嘔者、真武湯主之。 「少陰病にかかって、2、3日で治らず、4、5日目になって腹痛し、小便の出が悪くなり、手足が重くだるく痛み、下痢のある者は、水気のわざである。このような場合には、咳野で《類聚方広義》ことがあり、小便の出のよいこともあり、下痢することもあり、吐くこともあるが、いずれも真武湯の治す るところである」《大塚敬節》
真武湯[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》 =「温陽利水湯」「熟附子9g、白朮12g、白芍薬9g、茯苓12g、生姜9g」水煎服。◎陰証の水腫。
真武湯[1-3]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》
=「玄武湯」「温陽利水湯」「茯苓・芍薬各3.0g、白朮2.0g、附子(炮)0.3g(or白川附子1.0g)、干姜1.0g」 水320ccを以て120ccまで煮詰め3回に分服。◎元の名を玄武湯といい、北方の守護神である玄武神の名をかりて名付けたものである。中国古代の思想では、北方は陰の象徴であり水にあたる。真武湯が陰の治剤であり、水を治める方剤であることを思うとき、この命名まことに、巧妙を極めたものである《大塚敬節》
真武湯[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》「茯苓5、芍薬・生姜・朮各3、附子0.6」
◎心下悸し、身動、振々として地にれんと欲し、腹痛、小便不利、或いは嘔 し或いは下利者を治す。《吉益東洞》
◎陰病、腹痛し、小便清少にして、四肢沈重疼痛し、自下利し、ぞの人或いは し、或いは嘔する者は、真武湯之を主どる《医聖方格》
◎「真武湯」は少陰の裏水を治し、「附子湯」は少陰の表寒を主とす。一味の変 化妙と云うべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は内有水気と云うが目的にて、他の附子剤と違って、水飲の為に心下悸し、 身動すること振々として地に倒れんとし、或いは麻痺不仁、手足引きつるこ とを覚え、或いは水腫、小便不利、その腫虚濡にして力なく、或いは腹以下腫ありて臂肩胸背羸痩、その脈微細或いは浮虚にして、、大いに心下痞悶して飲 食美ならざる者、或いは四肢沈重、疼痛、下利する者に用いて効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎「附子湯」との相違。《重校薬徴》■附子湯=茯苓4、芍薬4、白朮5、附子、人参3■真武湯=茯苓5、芍薬3、白朮3、附子、生姜3*“附子湯は朮附を君薬となして悪寒、身体攣痛、骨節疼痛、心下痞鞕、下利、小便不利等の証を治し”*“真武湯は茯苓、芍薬を君薬となして、心下悸、小便不利、頭眩、動、腹痛、下利、四肢沈重、疼痛、嘔等を治す”
《薬徴》 附子湯は証具らざるなり。此の方の真武湯と独り差(たが)ふもの1味。しかしてその方意におけるや、大いに逕庭あり。(「逕」はこみち、「庭」は広場の意で、隔たりの甚だしいこと。かけはなれていること。)
附子湯は朮附君薬にして、身体疼痛、或いは小便不利、或いは心下痞鞕の者を主る。 真武湯は、茯苓芍薬君薬にして、肉瞤筋惕・拘攣・嘔逆・四肢沈重疼痛の者を主る。
[四肢沈重疼痛]
四肢は上肢2本と下肢2本で、[手]という場合は、上肢の手首から先端をいい、[足]という場合は、下肢の足首から先端をいう。だから傷寒論で、四肢という場合と、手足という場合とでは内容が違ってくる。その四肢が重くいたむ。
◎真武は北方陰精の宿、職専ら水を司るの神なり。之を以て湯に名くるは、義を主水に取ると。又一説に曰く、此方、もと玄武と名く。蓋し方中の附子は、その色黒きを以て、之を四神中の玄武に擬するなりと。《奥田謙蔵》◎仲景の真武における、特に発熱を言うは深意の存ずる有り《皇国名医伝》
◎目標:(真武湯)●発熱・心下悸・頭眩・身がピクピク動く者。●腹痛・尿利減少・四肢沈重・下痢、或いは咳し、或いは尿利普通の者。●他覚的所見に比して、自覚症少なき者。或いは反対に多い者。
◎漢方医学では、新陳代謝の亢進を“熱”とし、新陳代謝の沈衰を“寒”とする。だから体温が40℃以上あっても、漢方の立場からいえば、“寒”の場合に真武湯を用いる。《大塚敬節》
【腹証】 《腹診配剤録》 “これ亦腹に力無く、心下痞して身動す” 真武湯[1-5]《傷寒論》
★適応症及び病名(真武湯) [1]IgA腎症 ☆虚証で顔色不良、冷え症で疲れやすく浮腫傾向がある(漢方診療医典)[2]アテトーゼ[3]朝のこわばり[4]足に力が入らない:☆痿躄病、腹拘攣し、脚冷えて不仁、小便利せず、或いは不禁の者を治す《類聚方広義》[5]頭のふらつき[6]胃アトニー
☆腹部が軟弱無力で、脈も沈弱、沈遅弱などで、血色がすぐれず、手足は冷え、下痢気味の者によい。[7]胃液分泌過多[8]胃腸炎(急・慢性)[9]胃腸虚弱症:[10]胃内停水[11]萎縮腎[12]遺尿
[13]イレウス(腸閉塞) ☆イレウスは腸の一部が閉塞して腸の内容が通過できないもの。多くは手術の適応であるが、漢方治療で回復することがある。
腸の狭窄があって、下痢、腹痛、蠕動亢進のある者に用いる。慢性腹膜炎や腸結核が治った後に狭窄を起こした者にも適する。 [14]運動機能失調 [15]栄養不足の浮腫(タンパク質の喪失)[16]疫病:☆およそ疫病で、大熱、煩渇、譫語などの症があり、熱は火の燃えるようで、渇は焼け石に水を注ぐようで、譫語は狂人が語るようで、たいていの医者がこれは白虎湯の証だといい、或いは承気湯の証だという。これはまことに当然のようだが、このような場合に、意外にも真武湯の証がある。《和田東郭》[17]嘔吐:☆少陰嘔逆、腹痛溺短を治す《医学実在易》☆嘔する者には:「-附子、+生姜(ひね生姜)8.0gに」《龍野ー漢方処方集》[18]顔色悪い:☆胃中及び下焦虚寒なる者に宜し。《先哲医話》
[19]下垂体機能低下症 [20]脚気 [21]脚弱 [22]体がだるい・重い [23]眼球振盪症[24]眼瞼ケイレン [25]眼底出血[26]肝硬変
[27]関節リウマチ [28]感冒:☆ただ陰症の傷寒の服すべきのみならず、虚労の人、憎寒、壮熱、咳嗽、下利する者も、皆宜しく之を服すべし。《雑病翼方》☆体温計で測ると体温は39℃もあるのに、蒼い顔をして、寒いような格好をして、のども渇かず、悪寒があり、手足が冷え、脈に力無く、尿も着色していない者には、真武湯を用いる。《大塚敬節》☆6歳の少女。風邪気味であったから、隣の医師に診てもらった。その翌日は体温が39℃を越えた。医師は肺炎になるかもしれないと云った。2、3日服薬したが、熱はますますのぼり、体温は40℃を超えて、譫語を言うようになった。そこで5日目(25日)に、私が呼ばれた。
患者は右側を下にして、おとなしく寝ている。ときどき咳が出るが、痰は出ない。氷枕と氷嚢をあててているためか、顔色は熱病患者らしくない。体温39、8℃、舌に淡黄色の苔があり、湿っている。口渇はない。脈は浮弱で1分間120至。食欲がなく、1日に1、2回下痢している。夜になると、訳の分からない譫語を言うが、終日、だまりこくって、何の要求も、苦痛も、自らは訴えない。腹診してみると、ほとんど食事を摂らないのに、腹部は膨満していて、脱力していない。右背部に中等度のラッセルを聞き、その部にやや抵抗があるように思われる程度で、他に異常を発見しない。
小柴胡湯を与える。2日後に往診したが、変化がない。麻黄湯とする。11/30日に往診。病室に入るや否や、これはしまったと、私は心 の中でつぶやいた。患者は少しうつむき加減に、諸手を胸に当てて、嫌な体位をとっている。顔には浮腫がみられ、蒼白くて、全く死人の様である。脈は浮大弱で、ときどき結滞している。母親の語るところによると、この朝、水様の下利便を失禁したという。体温は39、6℃あるのに、全身にまったく熱感がない。この患者は、はじめから真武湯で温めてやるべきだった。それを小柴胡湯で冷やし、更に麻黄湯で攻めたので、こんな状態になったのである。私はすぐ氷枕と氷嚢を除くように命じて、この患者が、漢方で言う“陰証”であって、体温は高くても、熱ではなく、寒であることをよく説明した。すると母親がいうのに、この児は始めから非常に寒がって、ちょっとでも蒲団を上げると嫌がり、便器にかかる時に、非常に寒そうにしていた。氷嚢をつけるのも嫌がったが、体温が高いので、無理に冷やしていたという。
初診時に、悪寒の有無について尋ねたとき、この話をしてくれたらと思ったが、もう遅い。とにかく、至急に真武湯(附子1回量0.4)を1時間ぐらいの間隔をおいて2貼のませて、しばらく様子をみると顔色も良くなり、元気も少し出てきた。そこで引き続き真武湯を与え、12/4まで、毎日往診した。この間、附子の量は1日1.6gを用いた。(この例は私が35歳頃の経験で、随分思い切って附子を用いている、今の私なら、0.5位以上は用いないだろう)12/3日の朝は体温が36、8℃に下がった。発病以来19日間、39℃以下にならなかった体温が急に平温になったのに、不安を感じたが患者はすこぶる元気になった。
ところが、その夕刻、悪寒を覚えて40、2℃に体温がのぼった。しかしこれは僅々3、4時間で、強い発汗とともに下降した。発病以 来初めての発汗であった。このように午前中は平温で、夕方悪寒と共に40℃内外に体温ののぼることが、12/29日まで続いた。しかしだんだん体温の上っている自汗が短縮し、悪寒が軽くなって、12/30日には、夕方になっても、体温は37℃を突破しなかった。その後翌年の1/12まで真武湯を飲み続けて全快した。
この患者は初めから悪寒が強く、体温は高いのに舌は湿り、脈は弱く、顔は蒼く、静かにおとなしく寝ていて何の訴えもなかった。この状態は《傷寒論》にいう少陰病で、附子を用いて温めねばならなかった症状なのである。それなのに体温計の魔術にかかって、この患者を熱と誤診して柴胡剤や麻黄剤を与えてしまった。《大塚敬節》[29]気の上衝
<+> ☆痰飲上迫を治す:「呉茱萸・桑白皮」 [30]基礎体温が低い[31]瘧(ぎゃく) ☆陰瘧の治法:「草果」 ☆寒多熱少、小便調い、渇せず、脈遅にして小なる者は、陰邪の勝れるなり。宜しく辛温の剤を以てその寒を散ずべし、と。《雑病翼方》[32]起立性調節障害
[33]筋肉リウマチ [34]くしゃみ [35]ケイレン [36]頸部リンパ腺炎 [37]頸部リンパ腺結核 [38]下痢:(泥状~水様便) ☆少陰病の表証が去って裏証に陥ると、下痢嘔吐、腹痛、四肢の厥冷、脈沈微などの状を現す。このさいには四逆湯を用いる。また太陽病や少陽病で便秘している者を陽明裏実の便秘と誤診して下剤をかけると、太陰病となって腹痛、嘔吐、下痢などを起こすことがある、これには真武湯、または四逆湯を用いる。 ☆大便の性状は、水様性のもの、泡沫状のもの、粘液や血液を混ずるも のなどいろいろである。《大塚敬節》 ☆下痢性疾患にして、或いは喘し、或いは乾嘔し、腹部及び腰部痛み、 身体倦怠する証《奥田謙蔵》 ☆下痢日に数行、身体疼重を覚え、尿利渋滞し、脈沈微の証《奥田謙蔵》 ☆下痢久しく癒えず、或いは身体に微腫あり、常に寒冷を覚える証《奥 田謙蔵》 ☆真武湯の下痢は2、3回~4、5回で、10数回に及ぶことはほとんど 無い。腹痛を伴うこともあるが、痛みは軽く、劇痛はまれである。《大 塚敬節》
☆裏急後重は少なく、まれに失禁する者がある。《大塚敬節》 ☆水分の多い粘液便のこともある。 ☆毒内攻して下利戦慄する者:「反鼻」 ☆五更瀉の如き者、真武湯に宜し。《先哲医話》 ☆脾労、下利して腹痛し、熱無く、心下水気あって喘し、或いは下部に 水気あり、腹痛下利する者を主る。《先哲医話》 ☆裏を温め、水を逐い疝瀉を止む。《方読便覧》 ☆腰疼、腹痛、悪寒して、下痢日に数行、夜間最も甚だしき者は、之を 疝痢と称す。此方に宜し。《類聚方広義》 ☆久痢、浮腫を見はし、或いは咳し、或いは嘔する者も、亦良し《類聚 方広義》 ☆鶏鳴瀉及び疝瀉を治す:「赤石脂」《勿誤薬室方函口訣》
☆鶏鳴瀉及び疝瀉を治す。《本朝経験》 ☆胃虚下痢:「半夏・人参」 ☆暑疫流行、或いは人、下利、煩渇甚だし。:「生脈散」《橘窓書影》 ☆少陰の腎症、水飲と裏寒と合して、嗽を作し、腹痛下利する者を治す :「干姜・細辛・五味子」《仁斎直指方》 ☆産後下利、腰以下水気あり:「良姜」《済世薬室》☆産後の下利、腸鳴り、腹痛し、小便利せず、肢体酸、或いは麻痺し、水気有りて悪寒、発熱し、咳嗽止まず、漸く労状と成る者は、尤も難治と為す。此方に宜し《類聚方広義》
癱らかい)☆「芍薬、乾姜2.0g」《龍野ー漢方処方集》☆真武湯で応じない者á「啓脾湯」を考える。☆人参湯との鑑別は・・・人参湯の[下痢]項を参照。
☆25歳、男性。 「大学の研究室に勤務しているが、年がら年中下痢をしていて、見るからに顔色も悪く、痩せている。今まで、普通の下痢止めを飲んだことがあるが、一応下痢は止まっても、腹が張って気分が悪久那って止めてしまうという。大学病院で、神経性のものだろうと言われて精神安定剤をもらって飲んでみたこともあったが、このときの一旦止まったものの、いつの間にかまた下痢をするようになった。
診察をすると、腹がペチャンコで、みずおちのところを叩くと、水の音がする。胃下垂気味でもある。 そこで真武湯を処方して、飲んでみたところ、1ヶ月目頃から下痢をしない日がでてきた。目下。2ヶ月目だが、少しずつ良くなっている」《山田光胤》」
☆1日に2,3回~4,5回くらいの下痢で、それが長く続いて治らない者に用いる。 この処方の適する下痢は、腹痛を伴うことはあっても、軽く、裏急後重を呈することはマレである。
まれに大便を失禁することがある。 大便は水様のもの、泡沫状のもの、粘液や血液を混ずるものなどいろいろ。 腹部は軟弱無力で、振水音を証明することがあり、ガスがたまる傾向がある。
脈は沈弱、遅大弱のものが多く、足が冷える、疲れやすく、血色もすぐれず、舌は湿っていて、苔の無いものが多い。 下痢していても、食欲にはあまり変化も無いものが多いが、下痢を恐れて、食を減じているものがある(漢方診療医典)
[39]結核性腹膜炎:☆結核性の腹膜炎の後で癒着を起こし、腹痛・下痢の止まない者に、真武湯を用いて軽快した。《大塚敬節》 [40]眩暈: ☆眩暈の証、発熱なくして但だ悪寒し、腹部微満し、神思欝塞して食欲なく、身体疼重を感ずる等の者《奥田謙蔵》
[41]元気がない[42]口渇口渇を、熱湯をのむことを好む者を陰証とし、冷水を好む者を陽証として分けられるが、陰証もその極に達すると、かえって冷水を欲し、陽証に似てくる。また、陽証もその激しいものは、かえって熱湯を好むことがある。
☆陰証の口渇には、附子の配合された真武湯、茯苓四逆湯などを用いる[43]口乾 [44]高血圧症 [45]甲状腺機能低下症 [46]高熱 ☆40℃近い体温が10日あまりもつづいたチフスの患者に、真武湯を与えて速治せしめたことがある。この患者は蒼い顔をしていて、フトンをめくると、ひどく寒がり、着物をぬぐと鳥肌となり、口渇を訴えず、脈は沈遅で、尿は水のような色をしていたので、「寒」と判断して真武湯を用いた。《漢方診療医典》
体温が上昇していても、患者に熱感が無く、かえって寒冷を訴え、脈が微沈遅であれば、これを寒とする。[47]呼吸困難[48]五更瀉:☆古人が五更瀉とか、鶏明下痢とか呼んだ、夜明け頃の常習性の下痢に真武湯の効くものが多い。《大塚敬節》
[49]さむけ(寒気)がする(さむがり) [50]四肢沈重・疼痛(重だるい) [51]湿疹:・冷え症で下痢しやすく、血色のすぐれない老人・発疹らしい発疹ないのに、かゆみを覚える。
☆湿性の陰虚証の湿疹で、疲れやすく、貧血気味で、冷え症のもの。 ☆浸出液は稀薄でかゆみを訴え、外見は著しい変化が無いもの。 [52]雀目 [53]褥瘡(ジョクソウ=とこずれ)
[54]消化不良:☆食事の後ですぐ下痢する者にも、真武湯が効く例が多い。《大塚敬節》[55]食欲に異常:☆食欲には異常の無い者があり、逆に亢進する者もあるが、下痢を恐れて制限していることが多い。
[56]小児の自家中毒:☆《橘窓書影》に9歳の女児が、久しく下痢が止まず、飲食が減じ、顔や手足に軽い浮腫があり、脈が沈小で、舌に苔がなくて乾燥するものに、真武湯人参を与えて、段々治った例を挙げている。この場合の人参は無くても良いと思う《大塚敬節》
[57]小便不利(尿色ー透明) ☆小便利する者:「茯苓」《龍野ー漢方処方集》 [58]小脳の疾患[59]上腹部振水音[60]自律神経失調症
[61]腎炎:☆《尤胎》曰く、一種少陰の腎症、水飲と裏寒と合して、咳を作し、腹痛下利する者あり、真武湯に宜し。《雑病翼方》☆腎炎の険症に:「反鼻」《済世薬室》
[62]腎不全 ☆虚証で顔色不良、冷え症で疲れやすく浮腫傾向がある(漢方診療医典) [63]神経衰弱[64]心悸亢進[65]心下悸 [66]心臓弁膜症
[67]心不全
[68]身体倦怠・瞤動 [69]振顫麻痺 [70]ジンマシン:☆発斑が微細で、熱感なく、カユミ少ない者《大塚敬節》☆55歳女性。40日ほど前からジンマシンが出るようになり、医者に注射20本してもらった。効無し。
この患者は蕁麻疹のほかに、夜間に咳があり、下痢もしている。それに食欲もなく、手足の冷える。脈は沈で、臍上の動悸が亢進している。 以上の状態であったので、真武湯を与えたところ、1週間の服用でジンマシンは出なくなり、下痢も咳も止んだ。《大塚敬節》
[71]錐体外路疾患[72]頭重[73]せき:☆凡そ年高、気弱、久嗽を治するに通用す《仁斎直指方》☆《陳念祖》曰く、水逆を鎮め、痰喘を定むるの神剤なり。
☆「五味子3.0g、細辛・乾姜各1.0g」《龍野ー漢方処方集》 [74]脊髄疾患による運動麻痺・知覚麻痺[75]舌質 <淡白で胖大>[76]舌苔
<白滑><痰黒色><湿潤> ☆熱のある患者で、苔が黒くなったものに、大承気湯で下してよいものと、四逆湯や真武湯で温補しなければならないものがある《漢方診療医典》
[77]帯状疱疹 ☆長引いて疼痛がなかなか去らず、疲労してきたものに用いることがある。[78]大腸炎:☆赤痢・大腸炎で手足が冷え、脈が弱く、大便が失禁し、或いは尿量が減じて足に浮腫のある者に用いて良いことがある《大塚敬節》[79]立ちくらみ[80]多発性硬化症[81]だるい・横になりたい[82]血の道症:☆疲れやすく、冷え症で脈弱、腹部軟弱で胃部をたたくと振水音あり、小便少なく、腹痛、下痢、めまい、心悸亢進する者。
[83]虫垂炎 ☆第2次世界大戦の末期から敗戦後の数年間は本方を用いる虫垂炎が多かった。本方は腹痛が激しくて、下痢があり、粘液を下し、体温が高いのに、悪寒、足冷、脈微数などの状があって、一般状態が重篤な者に用いる。かって某医院に入院していたこじれた虫垂炎の患者に、本方を用いて、著効を得たことがあった。この患者は腹痛、腹満が止まず、体温は39℃を超し、全身からは強い発汗があり、しかも悪寒、手足の煩熱、口乾を訴え、脈弱であったので、本方を用いた(漢方診療医典)[84]腸炎・腸カタル[85]腸結核:☆腸結核の下痢によく用いた。ストレプトマイシンなどまだ出来ない時代に、是で全治し、それから10数年後の今日、元気で働いているもある。《大塚敬節》☆腸結核で罹患部を切除してストマイなどを使用しても、下痢の止まない者に、真武湯を用い、1ヶ月あまりで下痢の止んだ例もある《大塚敬節》[86]疲れやすい(疲労倦怠):☆冷え症で、気力が無く、手足がだるく、ただ何となく動きたくないという者《大塚敬節》☆低血圧症の患者で、疲れやすく、よくめまいがして、気力のない者《大塚敬節》☆疲労感が強く、足が冷えて下痢する者に用いる。[87]手足厥冷(手足が冷える)
☆手足厥冷のある場合には、当帰四逆湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、真武湯、桂枝加附子湯、当帰芍薬散、附子理中湯などのような附子、乾姜、当帰、川などが入った処方をを用いることが多いが、下半身は冷えるが、上半身に熱感のある者には、温清飲、女神散、加味逍遙散、烏梅丸などを用いる。[88]低血圧症
☆疲労しやすく、手足が冷え、たちくらみがあり、腹にも脈にも力のない者に用いる。 [89]低タンパク性浮腫 [90]泥状~水様便[91]糖尿病性腎症
☆虚証で顔色不良、冷え症で疲れやすく浮腫傾向がある(漢方診療医典) [92]]吐血 [93]内耳炎 [94]軟便[95]乳幼児の下痢 ☆腹痛はあっても軽く、裏急後重を呈するものは少ない。腹部は軟弱無力で、振水音を認めることが多い。
☆急性より慢性の下痢に用いることが多い。 ☆真武湯は人参湯と比べ、胃からくる症状が少なく、下痢が主である。 ☆腹痛はあっても軽く、裏急後重を呈するものは少ない、腹部は軟弱無力、振水音を呈することが多い、急性よりも慢性の下痢に用いることが多い。真武湯は人参湯と比べ胃からくる症状が少なく、下痢が主である(漢方診療医典)
[96]尿量減少 [97]ネフローゼ ☆虚証で顔色不良、冷え症で疲れやすく浮腫傾向がある(漢方診療医典) [98]寝小便 [99]脳下垂体の機能低下[100]脳出血後遺症
[101]肺炎 ☆老人や虚弱な人の肺炎に用いる場合がある。また麻疹や百日咳に併発した肺炎に用いた例がある。 ☆体温が高いのに患者には熱感が少なく、寒がり、脈が弱く、舌が湿っているような者に真武湯の証がある。このようなときには数日間便秘していても真武湯を用いるのがよい。
☆大葉性肺炎(クループ性肺炎) 30歳男性、体温は39℃、脈は遅くて弱い。これは附子剤を用いる目標であるが、、数日間便秘しているというので調胃承気湯を頓服として与えた(大黄は0.5g)、その夜は10数回の下痢があり、翌朝早く往診を乞われたので行ってみると体温は40℃を超し、脈は乱れて微弱となり眼球は上転し、呼吸促迫し、重篤な様相を呈していた。私は驚いて、これに真武湯を与えたところ、これで脈が整い一般状態が好転して命を取り留めた。
[102]肺結核:☆衰弱して元気なく、心臓衰弱して、下痢傾向、咳嗽する者:「生脈散」[103]半身不随[104]]パーキンソン病 [105]パンヌス
関節リウマチ患者において、関節の滑膜細胞が増殖して形成された組織。軟骨や骨に浸潤し、関節破壊の誘因となる。 [106]冷え症 ☆新陳代謝機能が衰えて生気に乏しく、疲れやすく、手足が冷え、悪寒を訴え、腹中に水分が停滞して、冷えると痛んだり、下痢する者によい。このような体質の者で、神経痛、リウマチなど手足に痛みを起こした者には附子湯を用いる。
[107]鼻炎・鼻カタル [108]肥満症(基礎代謝の低い者)[109]皮膚瘙痒症 ☆老人や虚人で当帰に多く、皮膚に少しも異常が無く、カユミのみ訴える者に用いる。
☆69歳の婦人。慢性腎炎があり、初秋のことになると、背から腰にかけてカユミ、小さい発疹がでて、冬になるとひどくなり、5月頃には自然によくなるという。疲れてめまいがするという。真武湯によりカユミは大半減じ、3週間で発疹はすっかり治った[110]貧血:☆胃下垂症や胃アトニー症などのある虚弱な貧血性の患者に、真武湯症が多く現れる《大塚敬節》
[111]腹水 [112]腹痛 [113]腹部膨満・軟弱:☆腹部は軟弱で力のないものが多いが、所々に圧痛を訴えることもある。また腹部に振水音を証明できる者が多い。ガスがたまる傾向がある。《大塚敬節》
[114]腹膜炎 ☆慢性腹膜炎で下痢の傾向があるものに用いる。腹部の膨満感と腹痛を訴えるが、腹部は一体に軟弱で、しかも硬結と圧痛の部位があり軽度の癒着症状のある者に用いる。
☆腸結核の疑いがある者にも。 ☆浸出液が溜まっているものにも用いる。[115]腹鳴 [116]浮腫(特に下半身) ☆《陳念祖》曰く、腫甚だしく、小便不利、気喘し、尺脈虚なる者、真武湯に宜し。☆虚腫に用いる。《大塚敬節》☆産後の浮腫《大塚敬節》“産後の水腫は、多く産前の水腫が治らないで産後に及んだもので虚証で、治りにくい、これには真武湯が良い”《鳩峯先生病候記》☆八味丸などの地黄剤を飲むと、食欲が減じたり、下痢したりする者 に良い《大塚敬節》☆大病後の浮腫や、下痢の治ったあとの浮腫に良く効く《大塚敬節》☆諸般の水腫にして、身体衰憊し、手足に著しく寒冷を覚え、脈微弱なる証《奥田謙蔵》☆真武湯は水腫を治する効がある。脈は微弱で、舌に白苔があって、その表面が滑沢で、小便の色が澄んで水のような場合の浮腫に用いる。もし下痢していてもよいが、下痢の激しいときは芍薬を去って用いる。この方は虚腫を治する第一の処方である《水腫加言》[117]不眠:☆眠ることを得ざるは、皆陽盛んなりと為す。切に温剤を禁ず。惟だ汗吐下の後、虚煩し、脈浮弱なる者は、津液内に竭(=ケツ、つきる)くるに因る。則ち当に権に従い、真武湯を用いて之を温むべし《傷寒諸論》
[118]便秘 ☆熱病で、大便が秘結し、脈が微弱で、腹にも弾力の無いものは、いくら便通が無くても、大黄や芒硝あんどの下剤の入った処方を用いない方がよい。もし誤って、これらのこれらの下剤を用いると、大便が通じても、ますます気力が無くなり、病勢は好転しない。このような患者には附子理中湯、四逆湯、真武湯などを用いて温めると、かえって、大便が開通して熱も下がるものである《漢方診療医典》[119]片麻痺
[120]麻疹(はしか) ☆麻疹には附子剤を用いることはほとんど無いと古人は言っているが、筆者は急性肺炎と麻疹が合併した重症患者に、真武湯と四逆湯を用いて治したことがある。高熱がいつまでも続き柴胡剤で効のない時は附子剤を考えてみる必要がある(漢方診療医典)
[121]マラリヤ [122]麻痺: ☆種々の麻痺性疾患にして、手足時々振顫し、脈沈なる証《奥田謙蔵》[123]慢性胃腸炎: ☆新陳代謝機能が衰え、胃腸に水分がたまり、排尿が不十分で、腹痛、下痢、倦怠感があり、手足の冷える者。☆慢性胃腸「カタール」等にして、常に手足に寒冷を覚える証《奥田謙蔵》[124]慢性下痢:☆慢性の下痢にこの方を用いると、下痢が止んでから、一旦浮腫の来ることがある。この場合は浮腫に驚かず、続けて真武湯を服用しておれば自然に浮腫は消失する《大塚敬節》☆浮腫のある慢性下痢に用いても良い《大塚敬節》☆急性より、慢性の下痢に使用することが多い《大塚敬節》
[125]慢性腎炎 ☆虚証で顔色悪く、冷え症で疲れやすい浮腫傾向がある。慢性腎炎から腎不全に広く使われる。 [126]慢性腸炎 [127]メニエール病
☆体力の衰えた冷え症の人のメニエール症候群に用いる。陰虚症で内部の水気が動揺して上衝し、めまい、心悸亢進、嘔気を発し身体がフラフラして倒れそうになるものに。
[128]めまい:☆身瞤動☆目の前が暗くなるめまい。☆グラッとくるめまい。☆最高血圧が90内外というような、低血圧症の患者のめまいの用いる機会がある。しかし血圧が低いというだけで、これを用いるわけではなくて、次のような目標によって用いる。
疲れやすく、血色が悪い。脈は遅で弱い。手足が冷える・下痢しやすい。便秘しているような場合でも、時々下痢する。下剤に敏感で、大黄の入った処方を用いると、腹痛を起こし、快通しない。腹部にも弾力が乏しく、振水音を証明出来る場合が多い。しかし、腹直筋が強直していることもある。《大塚敬節》☆36歳男性。背が高く、中肉、血色も悪くない。風に向かって歩くと、めまいがする。ひどく疲れる。仕事をする気力がない。脈は弱い。腹部には振水音を証明し、臍部で動悸を触れる。夏は足がだるく、冬は手足が冷える。血圧は92-56。私は半夏白朮天麻湯にしようか、真武湯にしようかと迷った。もしこの患者が頭痛を訴えたとすれば、半夏白朮天麻湯を与えたであろうが、めまいと疲労感が甚だしいので、真武湯にした。これを1ヶ月ほど呑むと、何となく気力が出て、疲れが減じ、めまいも滅多にしなくなった。それに、いままで熟睡することが出来なかったが、この頃は安眠が出来て、朝起きるときのだるさをなくなった。《大塚敬節》
[129]網膜出血 [130]網膜剥離 [131]夜尿症 [132]幽門狭窄症 [133]リウマチ[134]流感:☆仮熱発躁し、微に渇し、面赤、泥中井中に座臥せんと欲し、脈来ること無力なる者:「生脈散」《本朝経験》
[135]裏急後重 ☆軽い裏急後重に、真武湯証や胃風湯証がある《漢方診療医典》 [136]ルイレキ [137]冷房病: [138]老人性掻痒症:☆冷え症で、血色のすぐれない老人の掻痒症に用いることがある、脈も弱く、生気がなく、発疹らしいものはないのに、カユミがある者《大塚敬節》
[139]肋膜炎 真武湯《仁斎直指方》「真武湯《傷寒論》干姜・細辛・五味子」◎少陰の腎症、水飲と裏寒と合して、嗽を作し、腹痛下利する者を治す。
真武湯合理中湯《漢方治療の実際》「真武湯人参・甘草各3、乾姜2」 辰砂益元散《東醫寶鑑》「滑石6両、甘草・辰砂各1両」細末にし、毎回2銭を井水で、1日2~3回調服。
◎傷寒に熱が残って虚煩・狂言・譫語する者。
辰砂丸《東醫寶鑑》「辰砂・阿魏各1両」切って混ぜ、稀米糊で角子大の丸剤。空腹時に人参湯で1丸服用。 ◎久瘧を治す。
辰砂丸《三因極一病証方論》《東醫寶鑑》「辰砂・雄黄・赤石蜈蚣・続随子各1両、麝香2銭半」作末し糯米飯で芡実大の丸剤。毎回1丸を酒で飲む。 ◎蠱毒が酒食のなかにまじって入ってきたのを治す。
辰砂膏《東醫寶鑑》 「信砒1銭、白礬2銭、蜜陀僧・辰砂各5銭」作末し、先に鍋底に信砒末をひろげて、その上に礬末をひろげ火をたいて煙が出なくなったら、蜜陀僧・辰砂末を白糕とまぜて小麦大にこしらえ、1粒を漏孔に入れる。 ◎痔瘻の穴を埋めるときに。
辰砂五苓散《東醫寶鑑》「沢瀉・赤茯苓・猪苓・白朮各2銭、肉桂・辰砂各5分」細末にし、 毎回2銭を沸騰湯で点服する。 ◎傷寒に発熱し、狂言・譫語をいい、又治った後、熱が去らず虚煩する者。
辰砂散《東醫寶鑑》「光明辰砂1両、酸棗仁(微炒)・光彩乳香各5銭」細末にし、患者の飲酒量で酔うまで温酒にまぜて、頓服する。 ◎諸般の癲狂・狂言・妄想・不眠に。
辰砂寧志丸《東醫寶鑑》「辰砂2両(酒2升に入れて2合になるまで煮る)、遠志(姜製)・石菖蒲・酸棗仁(炒)・乳香(炙)・当帰(酒洗)・白茯神各7銭、人参5銭」を作末し、猪心1個を入れてかきまぜ、薬末にまぜた後、辰砂酒と煮て緑豆大の丸剤。就寝時に棗湯で60~70丸服用。
◎心身の過度の疲労。驚悸・・夢寐で不安におびえ、いつも誰かが追ってくるような感じで、心疾・癲狂になるとき。 辰砂妙香散《東醫寶鑑》「山薬・白茯苓・茯神・黄蓍・遠志(姜製)各1両、人参・桔梗・甘草各5銭、朱砂3銭、木香2銭半、麝香1銭」細末にし、2銭づつ温酒で服用。酒の飲めない人は蓮肉を漬けた水で服用。
◎心悸・驚悸・怔忡・恍惚・恐怖・憂鬱・惨滅・喜怒不常・虚煩・不眠症。
辰砂妙香散《和剤局方》《古今方彙》「茯苓(去皮)・茯神(去皮木)各1両、人参・桔梗・甘草各半両、山薬・遠志 (去心炒)・黄蓍各1両、辰砂(別研)3銭、麝香(別研)1匁、木香(煨)2銭半」作末し毎服2銭、温酒にて調服。
◎男子・婦人、心気不足し、志意定まらず、驚怖悲憂、惨戚(いたみかなしむ)、虚煩、小睡、喜怒常ならず、夜盗汗多く、飲食味無く、頭目昏眩するを治す。
鍼砂丸《東醫寶鑑》「鍼砂(炒紅醋雖淬)8両、香附子(童便製)・蒼朮各4両、神麹(炒)・茵蔯蒿(姜汁炒)・麦芽(炒)各2両、芍薬・当帰・生地黄・川芎・青皮各1両半、三稜と莪朮の醋煮・陳皮各1両、山梔子(炒)・姜黄・升麻・乾漆(炒)各5銭」作末し、醋糊で梧子大の丸剤。姜湯で60~70丸呑む。◎穀疸・酒疸・湿熱・発黄。
鍼砂丸《続名家方選》 「鍼砂湯《原南陽》を丸剤にしたもの。
鍼砂湯[1-1]《原南陽》 「鍼砂4銭8分、牡蛎・茯苓各1銭3分、桂枝4分、人参2分、蒼朮5分、甘草1分」「苓桂朮甘湯鍼砂牡蛎人参」 ◎虚悸、短気、眩暈、虚煩、并びに黄胖を理す。◎此方の運用は多端、専ら鎮墜を以て主と為すなり。◎此方は黄胖或いは奔豚の症、動悸甚だしく、眩暈、短気の者を治す。
◎下血後の動悸にも用いる。◎「連珠飲」とは症相近くして、鍼砂は胸動を主とし、地黄は水分の動を主とするなり。《勿誤薬室方函口訣》◎神気不定、胸膈動悸、眩暈、或いは臥不安、或いは多夢、短気を治す。黄胖、動悸甚だしき者。《方読便覧》
鍼砂湯[1-1]《原南陽》《漢方治療の実際》「牡蠣・朮各4、茯苓6、桂枝4、鍼砂1.5、人参2、甘草1.5」 鍼砂湯[1-2]《原南陽》《漢方後世要方解説》「牡蠣・桂枝・白朮各4、茯苓6、人参2、鍼砂・甘草各1.5」◎此方は《原南陽》の創方による。苓桂朮甘湯に鍼砂、牡蠣、人参を加えたものである。
★適応症及び病名(鍼砂湯)[1]高血圧症 [2]心臓弁膜症:☆弁膜症にて代償機能障害を起こし、肺水腫、肝肥大、腹水を来たせる者には効がない。「木防已湯」が良い。
[3]心悸亢進:☆心悸亢進があって、貧血の状のある者に用いる。[4]動悸:☆下血後の動悸。☆鍼砂は鉄粉である。私も鍼砂湯を心臓弁膜症などで動悸・息切れのする者に用いたことがあるが、これを用いると、食欲を害するものが多いので、この頃はほとんど用いない《大塚敬節》[5]動脈硬化:☆心悸亢進、眩暈、呼吸促迫、顔面蒼白、浮腫等を目標とし、鎮墜を目的として動脈硬化、高血圧にも用いられる。[6]貧血:
☆黄胖病と称する諸貧血、心臓弁膜症に用いられる。 新傷続骨湯《中薬臨床応用》「自然銅(酢煆)12g、乳香3g、没薬3g、続断9g、骨砕補12g、当帰尾12g、䗪虫6g、丹参6g、沢蘭6g、延胡索5g、蘇木9g、桑枝12g、桃仁6g」水煎服。
◎新鮮な骨折に。
新製潤肺飲《医宗必読》《古今方彙》「貝母・括楼根2銭、桔梗1銭、麦門冬・陳皮・茯苓各1銭半、生地黄2銭半、知母7分、甘草5分、生姜3片」水煎。
新製利金湯《医宗必読》《古今方彙》「桔梗・貝母・陳皮各3銭、枳殻1銭半、茯苓2銭、甘草5分、生姜5片」水煎。 ◎気壅の痰を治す。
新増拯陰理労湯《医宗必読》《古今方彙》「生地黄(姜汁酒炒透)2銭、当帰・麦門冬・牡丹皮・陳皮各1銭、白芍薬7分、人参6分、薏苡仁・蓮肉各2銭、五味子3分、甘草4分、大棗1枚」徐々に服す、
◎陰虚火動、皮は寒く骨は熱し、食少なく痰多く、咳嗽短気、倦怠焦煩するを治す。 ◎肺の脉を重く按じて力ある者:「人参」◎血あれば:「阿膠・童便」◎熱盛んなれば:「地骨皮」◎泄瀉には:「当帰・地黄・山薬・茯苓」甚だしければ人参3銭。◎燥痰には:「貝母・桑白皮」◎湿痰には:「半夏・茯苓」◎不寐には:「酸棗仁」
新増拯陽理労湯《医宗必読》《古今方彙》「黄蓍(酒炒)3銭、人参・白朮各2銭、当帰1銭半、陳皮1銭、肉桂7分、五味子4分、甘草5分、生姜、大棗」煎服。
◎労傷にて気耗し倦怠し、言語懶うく、喘乏を作し、表熱し自汗心煩、遍身痛み を作すを治す。 ◎煩熱して口乾するには:「生地黄」 ◎気浮き心乱るるには:「丹参・酸棗仁」 ◎咳嗽には:「麦門冬」 ◎湿を挟むには:「茯苓・蒼朮」 ◎脈沈遅には:「熟附子」 ◎脈数実には:「肉桂生地黄」 ◎胸悶には:「陳皮倍加、桔梗」 ◎痰多き者:「半夏・茯苓」 ◎泄瀉には:「升麻・柴胡」 ◎口渇には:「乾葛」 ◎夏月には:「肉桂」 ◎冬月には:「乾姜」
新続命湯《有持桂里》 「石膏1銭、葛根3分、麻黄・桂枝・芍薬・羚羊角各2分、甘草1分」「葛根湯大棗生姜石膏羚羊角」◎小児、発壮熱・汗無く煩躁する者。◎此方は小児一時壮熱甚だしく発する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎外感の発搐は痙病を同じことにて、「葛根湯」にてたいてい宜しけれども、大渇、煩躁する者は此方を宜しとす。◎大人中風の熱症にも与えるべし。
新定加減錫類散《張山雷瘍科綱要》 「人中白(きれいな)・老月石各80g、明雄黄42g、鶏爪黄連40g、川貝・広欝金各32g、西牛黄20g、筋余炭24g」細末にして保存。
新定玉竹飲子《張氏医通》《古今方彙》「葳蕤3銭、分苦2銭、甘草・桔梗・陳皮・紫菀各1銭、貝母3銭、生姜(同じく陳皮蜜煎)4銭」長流水にて煎じ、熱白蜜2匕分を入れ2服す。
◎痰火にて痰涎湧盛し、欬逆喘満するを治す。◎気虚には:「人参2銭」◎虚火には:「肉桂半銭」◎客邪(客とは後の意、人体に侵入した病邪、留まるの意):「細辛3分。香豉3銭」◎咽喉不利して膿血を唾く:「阿膠3銭、藕汁半盃」◎頭額痛:「葱白2茎」◎便溏には:「伏竜肝を水に代える」◎気塞には:「服するに臨み沈香汁数匙」
新法半夏湯《東醫寶鑑》「半夏(大)4両、明礬末1両を湯又は姜汁に1日漬けて、汁がなくなるまで煮る。それを焙って作末し、炙甘草2両、橘紅・縮砂・神麹(炒)・草果各1両、丁香・白豆各5銭」細末にし、毎回1銭を姜塩湯で服用。◎脾胃に冷痰があって、嘔逆・悪心・食欲不振に。
滲湿湯[1]《備急千金要方》「茯苓、乾姜、蒼朮、甘草、牛膝、附子、萆薢(or遺糧)」 右七味、或いは呉茱萸を加える。《勿誤薬室方函口訣》◎脚気、腰以下冷痺、腫拘し、小便難なるを治す。◎黴毒、累年解せず、又脚気に感じる者をして効を得たり。《高階枳園》◎「苓姜朮甘湯附子牛膝萆薢」◎此方は脚気下部に専らにして、腰以下冷痺し、或いは両脚微腫し、痿弱せんとする者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎大抵は、桂枝加朮苓附湯にて治すれども、虚候毒気を兼ねる者は此方に宜し。◎人、雨湿にあえば則ち必ず腰痛する者、「滲湿湯」「除湿湯」に宜し《先哲医話》「除湿湯」=「不換金正気散附子茯苓生姜」《古方選》
滲湿湯[2]《東醫寶鑑》「赤茯苓・乾姜(炮)各2銭、蒼朮・白朮・甘草各1銭、橘紅・丁香各5分、姜3、棗2」水煎服。 ◎寒湿にあたって身体が重く、水中に座っているようで、小便が渋く、大便はよく出る者。
滲湿湯[3]《万病回春》《東醫寶鑑》「蒼朮・白朮・赤茯苓各1銭半、沢瀉・猪苓各1銭、香附子・川芎・縮砂・厚朴各7分、甘草3分、姜3、灯心一握り」水煎服。◎一切の湿症を治す。
滲湿湯《万病回春》《古今方彙》「陳皮・沢瀉・猪苓各1銭、香附子・川芎・厚朴・砂仁各7分、甘草3分、白朮・茯苓・蒼朮各1銭半、生姜、燈心草」水煎。
◎一切の湿症を治す。◎脾虚して腫を発し、満気急喘嗽するには:「白朮・甘草大腹皮・枳殻・木香・紫蘇子・桑白皮・蘿葡子」 ◎面目浮腫には:「川芎・沢瀉・厚朴・香附子山薬(炒)・芍薬、蒼朮倍加」◎瀉止まざれば:「肉豆蔲・訶子・烏梅・乾姜」◎嘔噦には:「厚朴・香附子・川芎山薬・炒米」甚だしく止まざるには:「乾姜(煨)」◎湿症にて身体重く、手足は痛み麻木酸軟腫痛し或いは枯細痿弱、筋脈拘攣するには:「香附子・厚朴・川芎・猪苓・沢瀉当帰・生地黄・芍薬・木香・乳香・肉桂・牛膝・黄芩(酒)・羗活・防風」◎陰雨に遇い、久しく坐し、而して湿傷を発して腰痛むを治す:「杜仲・破故紙・木香・乳香・小茴香厚朴・川芎」
陣王丹《東醫寶鑑》「大黄1両、石灰6両」炒って紫色になったら、搗いてつける。◎折傷による出血を止め、止痛する。 尋痛元《世医得効方》《東醫寶鑑》「草烏(生)・乳香・没薬・五霊脂各3銭、麝香(生)少し」酒糊で指先大に丸め、朱砂で衣をつけ、毎回1丸を薄荷湯と汁につけて服用。
◎すべての損傷による痛みを止め、気分を和らげ血を助けるのに特効あり。
審平湯《東醫寶鑑》「遠志・紫檀香各1両半、天門冬・山茱萸各1銭2分半、白朮・白芍・甘草各1銭、姜5片」水煎服。 ◎卯酉の歳の病気。
信石水母(ホジュン《東醫寶鑑》 「砒霜1匁2分、塩2匁」を雨水1斤で弱火で煎じ、12両を取る。◎砒素と雨水で作る瘧病を治す処方 ◎信石水母を作るには、上等の信石1銭2分に塩2銭を加え、雨水1升と、とろ火で煮詰めて12両にすると、鹹と信石は融合し、両者とも分からなくなる。これが信石水母である。毎回、信石水母1両に清水12両を加え、1回1両、1日2~3回服用する。 薬液1両中に、信石は雨水の1/12000しか含まれていない.。この薬液は悪寒熱瘧の証を治し、大いに効験がある。《中薬大辞典》