ロキソニン・・→モービック
リウマチなどに
「慢性関節リウマチや変形性関節症などの治療に使う。
リウマチなどの疼痛にはCOX2が関係している。
細胞にはシクロオキシゲナーゼ(COX1)と呼ぶ酵素が存在し、胃や腎臓の粘膜を強化する生理活性物質であるプロスタグランジンを日夜作っている。
ところが筋肉が断裂したときなど生体に異変が起きると、通常は休眠状態にあるCOX2が働き、COX2由来のプロスタグランジンが痛みの元凶となる。
1991年まで、COXに2種類あることは科学的に解明されていなかった。それ以前の消炎鎮痛剤はCOX2ばかりか、善玉のCOX1まで止めてしまい、胃腸障害の重い副作用を誘発した。
消炎鎮痛剤は
紀元前からヤナギの樹皮に含まれるサリチル酸塩類を使う療法があったが、近代に入って消炎鎮痛剤の幕を開けたのは1892年に開発された「アスピリン」。
その後、約60種類にのぼるアスピリン系鎮痛剤が登場した。だが、アスピリンは持続時間が2~3時間と短い。
さらにCOX2と同時にCOX1の働きを阻害することで胃腸障害や皮膚のかゆみを引き起こす。
そこで86年に剤形などに工夫を凝らした三共の「ロキソニン」が登場。
消炎鎮痛剤は第2世代に入る。
第2世代は患部にだけ薬効が届くようにする薬物送達システム(DDS)技術を使い、胃粘膜をあまり傷めずに発生源で痛みを止める仕組みだ。ロキソニンは消炎鎮痛剤の売り上げトップに立った。
日本ベーリンガー・インゲルハイムのモービックは、いわば第3世代。
94年に英国の学者が痛みをもたらすCOX2だけを阻害する「夢の薬剤」を理論的に提唱したことで欧米メーカーによる開発競争が始まった。
96年に独ベーリンガー・インゲルハイムが開発に成功し、米メルク、米ファルマシアが追随した。
モービックと第1世代の代表格であるノバルティスファーマの「ボルタレン」を比べると、従来弱点だった消化不良・嘔吐・腹痛などの副作用が「モービックでは統計的に有意に少ない結果が出ている」という。
国内臨床試験での副作用発現率は16.2%で、6割前後出ていた第1世代に比べ低い値がでた。
一方、効き目ではモービックは、慢性関節リウマチ・変形性関節症など、すべての効能でボルタレンと同等の改善効果があった。
ボルタレンは効き目でいえば、第2世代に比べて「切れ味が鋭い」という定評がある。
第2世代のロキソニンとの比較ではリウマチ・変形性関節症でモービックの改善効果が高かったという。
モービックは体内で炎症反応に関係するシクロオキシゲナーゼ2(COX2)と呼ばれる酵素の働きを強く抑えるのが特徴。これまでの非ステロイド系消炎鎮痛剤は、COX2と同時に他の酵素の活性も抑えていたため、副作用が出ることがあった。
アスピリンにはピリンという名前が入っていますが、アスピリンはピリン系ではありません。
「1960年頃までの解熱剤にはアミノピリンやスルピリンなどのピリン系と呼ばれるものが多かった。アンプル入りのかぜ薬を飲んだ後のショック死が社会問題になったのを記憶している方も多いと思う。このため、市販の薬にはピリン系か非ピリン系かを表示しなければならなくなった。
今でも発熱に医師が使用する解熱剤の多くはピリン系の[スルピリン]だし、ピリン系の内服や座薬もある。
ピリンとそっくりの非ステロイド抗炎症剤もよく使われる。
[アスピリン]はピリンという字があるがピリン系ではない。ただ作用はほぼ同じである。
生体内が傷ついたり感染を起こすと、発熱や組織の修復、血管を広げるなど炎症に重要な役割を持つプロスタグランジンという物質が出来る。ピリンや非ステロイド抗炎症剤、アスピリンなどは、プロスタグランジンが体内で合成されるのを抑える。だから、痛みや熱も抑える、半面、傷ついた組織の修復も遅くなり、腎臓や胃の血のめぐりが悪くなる。胃腸の粘膜が荒れやすく潰瘍が出来やすくなる。
過剰反応として、白血球など血液成分が少なくなる病気が起きやすくなるのも、ピリンや非ステロイド抗炎症剤の副作用の特徴だ。
過敏症によるショック以外に、感染が急激に悪化したり低体温、低血圧など中毒によるショック・感染の悪化による敗血症性のショックもある。