乳酸菌
乳酸菌の中には、いわゆる善玉菌と悪玉菌がいます。
有害な悪玉菌は大腸菌、ウェルシュ菌などの腐敗型細菌群です。
腐敗菌はタンパクを分解して有害物質を産生し、これらが便秘や下痢を起こすだけでなく、老化やがんにも関係します。
食べた食物を腐敗させることによって、毒素や発ガン物質まで作り出してしまうのです。
つまり、ガン、動脈硬化、肝臓機能障害、老化などといった好ましくない状態を促進したり、善玉菌の消化促進機能や一部のビタミン様物質の合成も阻害されてしまいます。
有用な善玉菌は、ビヒィズス菌、乳酸桿菌などの発酵型細菌群で、炭水化物を発酵させて乳酸や酢酸などを作って腸内を酸性に保ち、酸に弱い悪玉菌の増殖を抑えます。
さらに善玉菌は、一部のビタミンなどの合成や免疫システムの機能支援、栄養素の消化吸収を助けたりといった無くてはならない働きをします。
このため、
各種の乳酸菌(ビフィズス菌、アシドフィルス菌など)や乳酸菌の餌となるオリゴ糖などを摂取することを心がけることが重要になってきます。
フラクトオリゴ糖はビフィズス菌やアシドフィルス菌の餌ともなるのですが、悪玉菌の餌とはならないのです。
人間の体内に生息する腸内菌はほぼ100種類、重さ約1500gに上る。
見方を変えれば、人間はこれだけの菌を“飼育”しているとも言える。この集団の新旧交代は激しく、排便乾燥物の30%は菌体が占めている。
腸内菌も生き物なので、当然エサが必要である。
基本は食物の未消化成分、いわば残飯である。
これ以外に腸壁からはがれ落ちた粘膜細胞や腸管内への分泌物も腸内菌の栄養源になっている。これらのエサしだいで菌の勢力分布も違ってきて、病気の原因をつくったりする。
肉食過多の欧米人に大腸ガンが多いのは、腸内菌の影響というのが定説。
脂肪をたくさん摂取すると、消化のために必要な胆汁酸が多量に出てくる。高脂肪食を続けると、胆汁酸をエサとする腸内菌が盛んに増殖する。この菌の代謝作用によって、胆汁酸から発ガン物質が出来ることが分かっている。
高タンパク食では消化吸収しきれなかったタンパク質が腸内菌のえさになる。
タンパク質を構成するトリプトファンというアミノ酸からは、腸内菌の代謝作用で発ガン性物質のインドールが出来る。
一方、野菜・イモ・豆などの高繊維食では、発ガン性物質をつくる腸内菌の勢力は抑えられ、体に有害な腸内菌が優勢になるようだ。
代表的食物繊維のセルロースをたくさん摂取するとビタミンB群を生産する菌が増えて、ビタミン不足になりにくいという。
ニューギニアには、極端なタンパク食に適応している人たちがいる。その腸内からは、タンパク質を生産する菌が見つかっている。まるで、腸内菌が人間に食物を提供しているようだ