ガンの親玉を叩く

ガン幹細胞(CSC)は、ガン細胞が集まってできる腫瘍の中にあり、ガンの親玉といわれる。

分裂して自分と同じ細胞を作り出すほか、子分となるがん細胞を増やして腫瘍を一から構成する能力がある。


低栄養や低酸素といった周辺環境のストレスや刺激を受け細胞内の代謝を変える「可塑性」も持っている。


CSCが生み出す細胞は2種類。
①は、普通のガン細胞
②は、自分と同じレベルの強力な細胞(クローン)を作り出す。


佐谷秀行・慶応義塾大学病院・臨床研究推進センター長は、悪性度の高いガン細胞の表面にはCD44vと呼ばれる接着分子が発現しており、その仕組みを調べようと思った。

 


【発現】
=遺伝子が持っている遺伝情報が形になっていることを意味する。

CD44vはシスチンというアミノ酸を取り込む力を持ち、自分が取り込んだシスチンをCSCに渡していた。
譲り受けたシスチンを使って強力な抗酸化物質であるグルタチオンを細胞内で合成していた。

 

このグルタチオンがCSCの身を守るための盾となった。
抗ガン剤の多くが、活性酸素に作用しているが、CSCは自ら合成したグルタチオンで活性酸素を排除していた。そうして抗ガン剤の攻撃をすり抜けていた。


CSCの遺伝子発現に関係する「Stat3」は転写因子の1つで、遺伝子のデータを読み取り、タンパク質合成を手助けする。CSCの活動をサポートしていた。


大日本住友製薬はStat3の動きを封じることで、CSCを発生させなくする化合物を創りだすことに成功した。
2017年5月現在、通常の抗がん剤との併用により臨床試験が進んでいる。使うのは、化合物でも抗体医薬でも無く、遺伝子改変ウイルスを使う。

2017年05月15日