漢方処方-3000以上掲載
# 阿魏丸《東醫寶鑑》
「阿魏(軟らかく酢で煮て)1両、山楂子・莱服子・神麹・麦芽・陳皮・青皮・香附子各2両」を粉末とし、蒸餅で丸めて服用」◎肉積と食積の塊になった症。
#阿魏元《東醫寶鑑》
「阿魏(酒侵化)・桂皮・莪朮・麦芽(炒)・神麹(炒)・莱服子・青皮・白朮・乾姜各5銭、百草霜3銭、巴豆37粒の皮と油は捨て、作末して薄糊で緑豆大の丸剤。生姜湯で20~30丸のみ、麺にあたった者は麺湯で呑む。」◎麺と生果を食べ過ぎて消化せず、積となって腹痛・嘔逆する者を治す。◎又、肉積を治す。
#阿魏散《中薬臨床応用》
「阿魏18g、五倍子12g、生信石12g、蟾酥12g、鹵砂18g、明礬12g、藤黄30g、熊胆6g、竜脳3g、乳香30g、没薬30g、銅緑10g」◎腫瘍に外用。粉末を混合し、毎回適量をガンの表面に塗布する。◎体表のガンや子宮頸ガンに。
#阿膠鶏子黄湯[1-1]《通俗傷寒論》《中医処方解説》
「阿膠6g、白芍9g、石決明15g(先煎)、釣籐鈎9g、生地黄12g、炙甘草3g、茯神12g、絡石藤9g、牡蛎24g(先煎)、鶏子黄2個」◎滋陰養血、柔肝熄風
◎大定風珠に準じる。
#阿膠鶏子黄湯[1-2]《重訂通俗傷寒論》
「阿膠・釣藤鈎各2銭、白芍薬・絡石藤各3銭、石決明5銭、地黄(生)・牡 蛎(生)・茯神各4銭、鶏子黄2個、甘草(炙)6分」水煎服。 ◎熱邪が陰をやぶり、唇舌かわき、経脈はひきつり、手足がうごめく。
#阿膠散[1-1]《小児薬証直訣》
「阿膠1両半、馬兜鈴半両、牛蒡子・杏仁各7分、甘草1匁、粳米1両」 ◎小児の肺虚、気粗に、喘促する者を治す。◎治小児肺虚、気粗喘促、 ◎此方は労嗽して諸薬効なく声唖咽痛して咽喉不利する者によろし。「麦門冬湯」と伯仲にして潤肺の効は勝れる。《勿誤薬室方函口訣》◎「補肺阿膠散」《銭乙方》に同じ。
#阿膠散[1-2] 《小児薬証直訣》=「補肺阿膠湯」
「補肺散」「阿膠・馬兜鈴・牛蒡子・杏仁各3.0、甘草2.0、糯米煮汁100ml」◎治小児肺虚、気粗喘促、此方は労嗽にて諸薬効なく聲唖咽痛めて咽喉不利する者に宜し。麦門冬湯と伯仲にして潤肺の効は勝れりとす。《勿誤薬室方函口訣》
#阿膠散[2]《古今医鑑》 「猪令湯車前子」
#阿膠散[3]《仁斎直指方》
「生脈散茯苓・阿膠・白芨・茯苓・地黄」 ◎肺傷嗽血を治す。《雑病翼方》
#阿膠湯《雞峰普斉方》 =「阿膠散[2]」に同じ。
「猪令湯車前子」◎血淋を治す。
#阿膠附子湯《黴瘡約言》
「阿膠5.0 、附子1.5、 甘草2.5」《実用漢方処方集》◎梅毒による潰瘍、陰茎の腫脹疼痛。◎虚証に使用する。
#安胃散《東醫寶鑑》
「人参・白朮・木香・檳榔・半夏(麺)・肉豆蔲・丁香・橘紅・缶香・青皮・白茯苓・甘草各8分」を挫作1貼を、水で煎服。◎食欲不振に。
#安胃湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》
「白朮・白茯苓・山薬(炒)・当帰・陳皮・半夏・藿香各1銭、黄連(姜汁炒)・蓮肉各8分、人参・縮砂各5分、甘草3分、生姜3、大棗2、烏梅1」水煎服。 ◎反胃を治す。◎反胃の者は胃虚し、食と吐して納らざるなり、此方に宜し。
#安胃湯[1-2]《万病回春》《方彙口訣》
「人参1.5g、砂仁1.5g、黄連2.0g、蓮肉2.0g、藿香3.0g、陳皮3.0g、当帰3.0g、山薬3.0g、茯苓3.0g、白朮3.0g、半夏3.0g、烏梅1.0g、甘草1.0g、生姜、大棗肉」水煎、温服。
#安胃湯[2]《古方選注》
「川椒、烏梅、黄連、人参、枳実、乾姜」 #安栄湯《東醫寶鑑》「熟地黄・白芍・川芎・当帰・阿膠・香附子・桑寄生・白朮・黄芩・縮砂各1銭、糯米100粒」水煎服。
◎胎気が堅固でなく、いつも流産する者。この薬で予防する。
#安蛔湯《万病回春》
「人参・白朮・茯苓・烏梅・花山椒・乾姜」◎脾胃虚寒し、回虫を上から吐き出し、或いは下から便とともに出す。
#安肝湯《安藤昌益伝》
「使君子・檳榔・大腹皮・蓮肉・苦参各3.0、楊梅2.0、蜀椒1.0、附子、木 香、硫黄」《実用漢方処方集》◎治小児腹膨張、青筋出、肌膚甲錯、或いは喜唾、有虫候者。《勿誤薬室方函口訣》
#安肝湯《安藤昌益伝》
「使君子・檳榔・大腹皮・蓮肉・楊梅・蜀椒・苦参・附子・木香・硫黄」 ◎小児、腹部膨張し、青筋出て、肌膚甲錯し、或いは喜唾して虫候のある者を治す。 ◎此方は小児腹満、青筋の症、陰陽錯雑、虚実混淆して、世医、脾疳などの方を施し、死せず癒えず、如何ともし難き者、此方を用いて意外の効を奏す。心得て試むべし。《勿誤薬室方函口訣》
#安宮牛黄丸[1-1]《温病条弁》
「牛黄・欝金・犀角・黄連・朱砂・梔子・雄黄・黄芩各1両、珍珠5銭、氷片・麝香各2銭半」(巻1)
#安宮牛黄丸[1-2]《温病条弁》【中成薬】
「牛黄・欝金・犀角・黄芩・黄連・雄黄・朱砂 ・山梔子各4.0g、冰片・麝香各1.0g、真珠2・0g」
◎感染性疾患で顕著な熱痰・意識朦朧の者。
<1>嘔吐のあるときは藿香湯or生姜湯で服用し、
<2>虚弱者は人参湯で、
<3>産婦は生姜湯で服用する。
#安宮牛黄丸[1-3]《温病条弁》《中医処方解説》=「抗熱牛黄丸」
「牛黄・欝金・犀角・黄芩・黄連・雄黄・山梔子・朱砂各30、竜脳・麝香各7.5、真珠15」蜜で丸剤。1丸を3gとし、1日1丸服用。◎清熱解毒、安神開竅。◎急性熱病or脳血管障害などで、高熱・意識障害が有る者。◎温病で邪が心包に入り、意識昏迷しひきつけ、舌が動かなくて言語ができにくい。《漢方医学概論》
#安血飲《中薬臨床応用》
「三七末3g<沖服>、白芨15g、藕汁酒杯1杯<沖服>、茅根30g、竜骨15g、牡蛎15g、製大黄6g」◎吐血・喀血。
#安息香丸《中薬臨床応用》
「安息香・沈香・丁香・木香・小茴香・藿香各9g、縮砂・甘草各15g」を作末して蜜で丸剤にし、毎回3gを紫蘇湯で服用。◎小児の寒による腹痛で、脚をまげ泣く者に有効。
#安神益志湯[1-1]《寿世保元》
「柴胡・人参・麦門冬・知母・竹茹・五味子・茯苓・当帰・地黄・黄連・遠志・甘草」◎傷寒虚煩し、心驚・微熱・四肢無力・倦怠する者を治す。又、◎刑剋の証拠無く、昏沈人事を知らず、六脈ともに静かな者を治す。
◎此方は、傷寒の壊症にして、六経正面の諸薬効なく、又《温疫論》などの方にも応ぜず、労疫にも非ず、百合にも非ず、餘熱荏苒として解せず、六脈ともに静かにして、精神振はざる者に験あり。《勿誤薬室方函口訣》◎疫後、健忘の者は此方に宜し。《先哲医話》◎《本朝老医伝》曰く、熱の解し難きに当たり、頻りに此湯を用いれば必ず発汗
して解す《傷寒翼方》
#安神益志湯[1-2]《寿世保元》
「柴胡4.0、人参・麦門冬・知母各3.0、竹茹2.0、五味子0.5、茯苓・当帰・地黄各4.0、黄連1.0、遠志3.0、甘草2.5」《実用漢方処方集》
#安神丸[1]《東醫寶鑑》
「人参・白茯苓・酸棗仁(炒)・当帰・生地黄(酒炒)・黄連(酒炒)・陳皮(去白)・天南星(姜製)各1両、朱砂・天竺黄各5銭、琥珀・雄黄・真珠・朱黄各2銭」作末し、梧子大に蜜で丸め、朱砂で衣をつけ、空腹時に温酒又は米飲で30~50丸服用。◎癲癇・驚狂・痰火に。
#安神丸[2]《蘭室秘蔵》 =「朱砂安神丸」
「朱砂、黄連、生地黄、当帰、甘草(炙)」
#安神定志丸《医学心悟》
「茯苓・茯神・人参・遠志・石菖蒲・竜歯・辰砂」◎癲癇、心悸亢進して寝られない。
#安神湯[1-1]《東醫寶鑑》
「黄蓍1銭半、羗活・黄柏(酒浸)各1銭、柴胡・生地黄・知母(酒浸)各5分、防風2分半、生甘草・炙甘草各2分」を水で2回煎じた後、「川芎・蔓荊子各3分」を加えて、もう一度煎じて半分になったら、食後に服用。◎気虚・血虚からくる頭痛・目のまわりが黒くなる。
#安神湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》
「黄蓍2銭半、羗活・黄柏各1銭、甘草(炙)2分、柴胡・升麻生地黄・知母各5分、防風2分半、甘草(生)2分」水煎し、川芎・蔓荊子を入れ、再煎し食後臥に臨み熱服する。◎頭痛、頭旋、眼黒を治す。
#安神湯[2]《寿世保元》《古今方彙》
「人参、黄連(姜炒)各1銭半、甘草5分、竹葉、生姜」煎服。◎夜啼止まず、心経に熱有り虚あるを作すを治す。
#安神復元湯[1-1]《寿世保元》
「黄蓍・人参・当帰・酸棗仁・枸杞子・黄芩・知母・柴胡各2.0、黄連・黄柏・升麻・甘草・蔓荊子各1.0、防風・麦門冬・茯神・竜眼肉・遠志各3.0」◎耳鳴り、耳内の掻痒。
#安神復元湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》
「黄蓍・人参・当帰・酸棗仁・枸杞・柴胡・黄連(酒炒)・黄芩(酒炒)・黄柏(酒炒)・知母・防風・麦門冬・茯神・小草・升麻・甘草・蔓荊子・竜眼」水煎服。◎思慮して心を煩し、而して耳鳴り、及び耳の内痒きを治す。
#安神復醒湯[1-1]《寿世保元》
「当帰・川芎・芍薬・熟地黄・酸棗仁・遠志・山薬・竜眼肉・大棗各3.0、益智仁2.0、生姜1.0」◎不眠。
#安神復醒湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬(酒)・熟地黄・益智仁・酸棗仁・遠志・竜眼肉各等分、生姜、大棗」水煎。◎不寐を治するの套剤なり。
#安神復醒湯[1-3]《古今方彙》
「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・熟地黄・酸棗仁・遠志・山薬・竜眼各等分」姜棗を入れて水煎服。
#安神補心湯《東醫寶鑑》「当帰・生地黄・茯神・黄蓍各1銭2分、麦門冬2銭、白芍・白朮各1銭、遠志・酸棗仁(炒)各8分、川芎7分、玄参5分、甘草3分」水煎服。
◎驚悸を治す。
#安神養血湯《温疫論》 「地黄・当帰・芍薬・茯苓・橘皮・桔梗・遠志・酸棗仁・竜眼肉」◎労復、熱甚だしく、虚甚だしい者。◎治労復、熱甚、虚甚、此方は労復の虚熱を解す。大抵は小柴胡湯・麦門冬湯の類にて治すれども虚熱去らざる者には此方を用いる。《勿誤薬室方函口訣》
#安息香丸《全幼心鑑》《中薬臨床応用》「安息香・沈香・丁香・小茴香・藿香各9g、縮砂・香附子・甘草各15g」作末し蜜丸。毎回3gを紫蘇湯で服用。◎小児の寒象を伴う腹痛で、脚をまげて泣く。
#安胎飲[1]《東醫寶鑑》「白朮2銭、黄蓍1銭半、当帰・白芍・熟地黄・縮砂(研)・陳皮各1銭、川芎・紫蘇葉各8分、甘草4分」水煎服。「白朮8g 黄蓍6g 当帰・白芍・熟地黄・縮砂・陳皮各4g 川芎・紫蘇葉各3.2g 甘草1.6g」《方薬合編》 ◎妊娠5~6ヶ月、胎動不安の者。常服すると良い。流産予防。
#安胎飲[2]《方薬合編》「人参・陳皮・大腹皮・白朮・当帰・川芎・白芍・香附子・縮砂・紫蘇葉・茯苓・甘草・灯心草・粳米各1.2g」◎妊婦の痘疹・腹痛・流産予防。
#安胎飲[3]《医学入門》《古今方彙》「当帰・芍薬・生地黄・白朮各1銭、人参・川芎・陳皮各5分、紫蘇葉・砂仁・黄芩・甘草各3分、生姜」煎じ温服。 ◎胎気不安にて腰腹微しく痛み、飲食美ならざるを治す。
#安胎丸《東醫寶鑑》「黄芩3銭、白朮1銭半」を作末し、粥で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸飲む。 ◎妊娠4~5ヶ月目に、いつも流産し、不安な者。
#安胎散[1]《万病回春》「当帰・白朮各2銭、川芎1銭半、生地黄・益智仁・条芩・香附子(童便炒)・蘇梗各1銭、砂仁8分、黄連(炒)8分、甘草3分」剉作1剤。生姜3片入れ水煎温服。◎妊娠養血。◎胎を安んずる者は血を養い、脾を健やかにして熱を清す。もとより熱ある者に宜し。《古今方彙》
#安胎散[2]《東醫寶鑑》「熟地黄3銭、川芎・枳穀各1銭半、糯米1合、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎驚いた為に、胎児が動き、腹痛・下血する者。 #安胎止瀉湯《外台秘要方》 「当帰・阿膠・地黄・黄連・芍薬各1両、鶏子黄・朮米」◎妊娠下重、痛み腰背に引くを治す。
#安胎当帰湯《医学入門》《古今方彙》「当帰・川芎各8分、人参・阿膠各6分、大棗子、艾葉」水酒にて煎服。 ◎挙動、驚悸、胎動、下墜、腹痛、下血するを治す。
#安胎和気飲《傷科補要》 「当帰・白芍・生地黄・川芎・条黄・白朮・縮砂」◎妊婦が傷を受け、腹痛が現れたもの。
#安中散[1-1]《和剤局方》《中薬臨床応用》
「肉桂2・5g(服)、延胡索・小茴香・高良姜各9g、牡蛎18g(先煎)、縮砂6g、茯苓15g、白芍(酒炒)9g、甘草6g」水煎服。 ◎脾胃虚寒による腹痛・食欲不振・上腹部の膨満・嘔吐・下痢。
#安中散[1-2]《和剤局方》《龍野一雄》「延胡索・良姜・乾姜・小茴香・桂枝各5、牡蛎8、甘草10」を作末し、1日量5.0を3回に分服。 ◎虚証の胃痛、呑酸、或いは腹満腹痛《龍野ー漢方処方集》
#安中散[1-3]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「桂枝4、延胡索・牡蠣各3、茴香1.5、縮砂・甘草(炒)各1、良姜0.5」(一方、乾姜(炮)1)七味作末し、毎服二、熱酒調下す。婦人は淡酢湯にて調服す。もし酒を飲まざる者は塩湯を用う。◎遠年、日近、脾疼、口酸水を吐し、寒邪の気内に留滞し、停積消せず、脹満、腹脇を攻刺し、及び婦人血気刺痛を治す。 ◎婦人血気、刺痛、小腹より腰に連り、攻疰重痛するを治す《方輿輗》◎気痛みをなすを治する剤である。脾疼反胃とは、胃潰瘍、胃ガン、胃拡張、胃酸過多症等による腹痛に該当する。虚証にしてやや衰弱の傾向あり、腹壁菲薄にして無力感、臍傍に動悸を触れる場合によい。煎剤散在共に用いられる。嘈雑、心下部疼痛を発し、諸薬効無き虚証のものにこの方の証が多い。《方輿輗》にては散として熱酒にて服するときは効果優れたりと云う。煎服するも効あり、本方の更に虚し、症状強きは「丁香茯苓湯」である。
「桂枝」=血脈を通じ、腹痛を治す。
「縮砂」=胃を養い痛みを止め、経を通ず。
「茴香」=疝気腹痛腰疼を治し、胃を温む。
「延胡索」=心腹疼痛を鎮め、経を通ず。
「牡蠣」=脇疼を鎮め、老痰を去る。
「良姜」=気を下し、中を温む。
#安中散[1-4]《和剤局方》「桂枝4g、高良姜2g、小茴香2g、延胡索2g、縮砂2g、炙甘草1g、牡蛎3g(先煎)水煎服。」《中医処方解説》
#安中散[1-5]《和剤局方》《漢方治療の実際》「桂枝4、延胡索・牡蠣各3、小茴香1.5、縮砂・甘草各1、良姜0.5」◎遠年日近、脾疼、翻胃、口に酸水を嘔し、寒邪の気、内に留滞し、停積し消えず、脹満、腹脇に攻刺す、及び◎婦人の血気刺痛を治す。◎此方、世上には澼嚢の主薬とすれども、吐水甚だしき者には効無し。痛み甚だしき者を主とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎やせ型で体力なく、虚弱で神経質な人に用いることが多く、<1>痛みを取り去り、<2>消化を助け、<3>神経の亢ぶりを抑えます。
#安神湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》「黄蓍2銭半、羗活・黄柏各1銭、甘草(炙)2分、柴胡・升麻生地黄・知母各5分、防風2分半、甘草(生)2分」水煎し、川芎・蔓荊子を入れ、再煎し食後臥に臨み熱服する。◎頭痛、頭旋、眼黒を治す。
#安神湯[2]《寿世保元》《古今方彙》「人参、黄連(姜炒)各1銭半、甘草5分、竹葉、生姜」煎服。◎夜啼止まず、心経に熱有り虚あるを作すを治す。
#安神復元湯[1-1]《寿世保元》「黄蓍・人参・当帰・酸棗仁・枸杞子・黄芩・知母・柴胡各2.0、黄連・黄柏・升麻・甘草・蔓荊子各1.0、防風・麦門冬・茯神・竜眼肉・遠志各3.0」◎耳鳴り、耳内の掻痒。
#安神復元湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍・人参・当帰・酸棗仁・枸杞・柴胡・黄連(酒炒)・黄芩(酒炒)・黄柏(酒炒)・知母・防風・麦門冬・茯神・小草・升麻・甘草・蔓荊子・竜眼」水煎服。◎思慮して心を煩し、而して耳鳴り、及び耳の内痒きを治す。
#安神復醒湯[1-1]《寿世保元》「当帰・川芎・芍薬・熟地黄・酸棗仁・遠志・山薬・竜眼肉・大棗各3.0、益智仁2.0、生姜1.0」◎不眠。
#安神復醒湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬(酒)・熟地黄・益智仁・酸棗仁・遠志・竜眼肉各等分、生姜、大棗」水煎。◎不寐を治するの套剤なり。
#安神復醒湯[1-3]《古今方彙》「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・熟地黄・酸棗仁・遠志・山薬・竜眼各等分」姜棗を入れて水煎服。
#安神補心湯《東醫寶鑑》「当帰・生地黄・茯神・黄蓍各1銭2分、麦門冬2銭、白芍・白朮各1銭、遠志・酸棗仁(炒)各8分、川芎7分、玄参5分、甘草3分」水煎服。
◎驚悸を治す。
#安神養血湯《温疫論》 「地黄・当帰・芍薬・茯苓・橘皮・桔梗・遠志・酸棗仁・竜眼肉」◎労復、熱甚だしく、虚甚だしい者。◎治労復、熱甚、虚甚、此方は労復の虚熱を解す。大抵は小柴胡湯・麦門冬湯の類にて治すれども虚熱去らざる者には此方を用いる。《勿誤薬室方函口訣》
#安息香丸《全幼心鑑》《中薬臨床応用》「安息香・沈香・丁香・小茴香・藿香各9g、縮砂・香附子・甘草各15g」作末し蜜丸。毎回3gを紫蘇湯で服用。◎小児の寒象を伴う腹痛で、脚をまげて泣く。
#安胎飲[1]《東醫寶鑑》「白朮2銭、黄蓍1銭半、当帰・白芍・熟地黄・縮砂(研)・陳皮各1銭、川芎・紫蘇葉各8分、甘草4分」水煎服。「白朮8g 黄蓍6g 当帰・白芍・熟地黄・縮砂・陳皮各4g 川芎・紫蘇葉各3.2g 甘草1.6g」《方薬合編》 ◎妊娠5~6ヶ月、胎動不安の者。常服すると良い。流産予防。
#安胎飲[2]《方薬合編》「人参・陳皮・大腹皮・白朮・当帰・川芎・白芍・香附子・縮砂・紫蘇葉・茯苓・甘草・灯心草・粳米各1.2g」◎妊婦の痘疹・腹痛・流産予防。
#安胎飲[3]《医学入門》《古今方彙》「当帰・芍薬・生地黄・白朮各1銭、人参・川芎・陳皮各5分、紫蘇葉・砂仁・黄芩・甘草各3分、生姜」煎じ温服。 ◎胎気不安にて腰腹微しく痛み、飲食美ならざるを治す。
#安胎丸《東醫寶鑑》「黄芩3銭、白朮1銭半」を作末し、粥で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸飲む。 ◎妊娠4~5ヶ月目に、いつも流産し、不安な者。
#安胎散[1]《万病回春》「当帰・白朮各2銭、川芎1銭半、生地黄・益智仁・条芩・香附子(童便炒)・蘇梗各1銭、砂仁8分、黄連(炒)8分、甘草3分」剉作1剤。生姜3片入れ水煎温服。◎妊娠養血。◎胎を安んずる者は血を養い、脾を健やかにして熱を清す。もとより熱ある者に宜し。《古今方彙》
#安胎散[2]《東醫寶鑑》「熟地黄3銭、川芎・枳穀各1銭半、糯米1合、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎驚いた為に、胎児が動き、腹痛・下血する者。
#安胎止瀉湯《外台秘要方》 「当帰・阿膠・地黄・黄連・芍薬各1両、鶏子黄・朮米」◎妊娠下重、痛み腰背に引くを治す。
#安胎当帰湯《医学入門》《古今方彙》「当帰・川芎各8分、人参・阿膠各6分、大棗子、艾葉」水酒にて煎服。 ◎挙動、驚悸、胎動、下墜、腹痛、下血するを治す。
#安胎和気飲《傷科補要》 「当帰・白芍・生地黄・川芎・条黄・白朮・縮砂」◎妊婦が傷を受け、腹痛が現れたもの。
#安中散[1-1]《和剤局方》《中薬臨床応用》
「肉桂2・5g(服)、延胡索・小茴香・高良姜各9g、牡蛎18g(先煎)、縮砂6g、茯苓15g、白芍(酒炒)9g、甘草6g」水煎服。 ◎脾胃虚寒による腹痛・食欲不振・上腹部の膨満・嘔吐・下痢。
#安中散[1-2]《和剤局方》《龍野一雄》「延胡索・良姜・乾姜・小茴香・桂枝各5、牡蛎8、甘草10」を作末し、1日量5.0を3回に分服。 ◎虚証の胃痛、呑酸、或いは腹満腹痛《龍野ー漢方処方集》
#安中散[1-3]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「桂枝4、延胡索・牡蠣各3、茴香1.5、縮砂・甘草(炒)各1、良姜0.5」(一方、乾姜(炮)1)七味作末し、毎服二、熱酒調下す。婦人は淡酢湯にて調服す。もし酒を飲まざる者は塩湯を用う。◎遠年、日近、脾疼、口酸水を吐し、寒邪の気内に留滞し、停積消せず、脹満、腹脇を攻刺し、及び婦人血気刺痛を治す。 ◎婦人血気、刺痛、小腹より腰に連り、攻疰重痛するを治す《方輿輗》◎気痛みをなすを治する剤である。脾疼反胃とは、胃潰瘍、胃ガン、胃拡張、胃酸過多症等による腹痛に該当する。虚証にしてやや衰弱の傾向あり、腹壁菲薄にして無力感、臍傍に動悸を触れる場合によい。煎剤散在共に用いられる。嘈雑、心下部疼痛を発し、諸薬効無き虚証のものにこの方の証が多い。《方輿輗》にては散として熱酒にて服するときは効果優れたりと云う。煎服するも効あり、本方の更に虚し、症状強きは「丁香茯苓湯」である。
「桂枝」=血脈を通じ、腹痛を治す。
「縮砂」=胃を養い痛みを止め、経を通ず。
「茴香」=疝気腹痛腰疼を治し、胃を温む。
「延胡索」=心腹疼痛を鎮め、経を通ず。
「牡蠣」=脇疼を鎮め、老痰を去る。
「良姜」=気を下し、中を温む。
#安中散[1-4]《和剤局方》「桂枝4g、高良姜2g、小茴香2g、延胡索2g、縮砂2g、炙甘草1g、牡蛎3g(先煎)水煎服。」《中医処方解説》
#安中散[1-5]《和剤局方》《漢方治療の実際》「桂枝4、延胡索・牡蠣各3、小茴香1.5、縮砂・甘草各1、良姜0.5」◎遠年日近、脾疼、翻胃、口に酸水を嘔し、寒邪の気、内に留滞し、停積し消えず、脹満、腹脇に攻刺す、及び◎婦人の血気刺痛を治す。◎此方、世上には澼嚢の主薬とすれども、吐水甚だしき者には効無し。痛み甚だしき者を主とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎やせ型で体力なく、虚弱で神経質な人に用いることが多く、
<1>痛みを取り去り、
<2>消化を助け、
<3>神経の亢ぶりを抑えます。
#易黄散《傳青主女科》
「山薬、芡実、黄柏、白果、車前子」
#易黄湯[1-1]《傳青主女科》《中薬臨床応用》 「芡実(炒)30g、山薬30g、黄柏6g、車前子6g、銀杏9g」
#易黄湯[1-2]《衷中参西録》「芡実・山薬各15g、銀杏(打砕)12g、黄柏・車前子各6g」
#硫黄膏《東醫寶鑑》「生硫黄・白芷・栝楼根・賊粉各半銭、全蝎3、蝉退5枚、莞青7枚」を粉末にし、別に香油・黄蝋をまぜ、そこに薬末を溶かしこむ。就寝時と洗面後に少しずつ塗る。
◎顔面の瘡。
◎鼻・頬の赤紫色の風刺・粉刺。
#硫黄散[1]《東醫寶鑑》「硫黄1両、焔硝半両」粉末にし、3回に分けて酒1杯を煎じて温かい時注入し、30分ごとに3回飲ませると、生き返る。 ◎尸厥によって死にかかり、人事不省に陥る症。
#硫黄散[2]《東醫寶鑑》「硫黄(生)5両、杏仁2銭半、軽粉1銭」作末し酒で調合し、就寝時に塗り、朝洗う。◎鼻齄を治す。
#硫黄散[3]《中薬臨床応用》「硫黄、軽粉」等量を姜酒で練って外用。◎白癜風。
#飴薑元《東醫寶鑑》「黒糖1斤、乾姜(細末)4両」先に糖を溶かし、次に薑末を入れて混ぜて固まると食べる。◎冷嗽を治す。
#育陰湯《中薬臨床応用》 「石決明15g(先煎)、桑寄生18g、野菊花9g、旱蓮草18g、生地黄9g、熟地黄9g、茅根18g」
#育魂丹《東醫寶鑑》「山薬1両、半夏・天南星・白茯神・白朮・黄連(炒)・遠志・酸棗仁(炒)・柏子仁各6銭、竹茹・天麻・白附子(煨)・川芎各5銭、犀角・羚羊角・白礬各3銭半、陳皮3銭2分半、全蝎3銭2分、辰砂2銭2分、牛黄1銭2分、麝香1銭、金箔24片を粉末にし、竹瀝に甘草膏を入れて鶏頭大の丸剤。毎回1丸を空腹時に淡姜湯で服用。 ◎癇病・怔忡・恐怖。
#一加減正気散[1-1]《温病条弁》「藿香梗・厚朴・杏仁・茵蔯蒿・茯苓皮各2銭、陳皮・大腹皮各1銭、神麹・麦芽各1銭半」◎食滞を伴う腹部膨満 ◎排便がすっきりしない
#一加減正気散[1-2]《温病条弁》《中医処方解説》 「藿香梗6g、厚朴6g、杏仁6g、茯苓皮6g、陳皮3g、神麹4.5g、麦芽4.5g、茵蔯蒿6g、大腹皮3g」
#一貫煎《柳州医話》《中薬臨床応用》=「益肝煎」 「北沙参9g、麦門冬9g、当帰身9g、甘杞子9~18g、生地黄18~45g、川楝子5g」◎滋陰養血、疏肝理気。◎慢性疾患で肝胃陰虚の者。
★適応症及び病名(いっかんせん)
■胃潰瘍
■肝硬変の初期
■高血圧症
■脂肪肝
■糖尿病
■慢性胃炎
■慢性肝炎
#一甲煎《温病条弁》「牡蛎(生)60g」細末を8杯の水で3杯に煎じ、3回に分けて温服する。◎熱性疾患の後の微熱。
#一甲復脈湯《温病条弁》《中医処方解説》=「加減復脈湯」「炙甘草18g、生地黄18g、白芍18g、麦門冬15g、阿膠9g、牡蛎」
#一字軽金散《東醫寶鑑》「川芎・白芷・藿香・荊芥・旋覆花・石膏・防風各5銭、天南星・川烏(生)各2銭半、草烏1銭半」を切って日光で干し、粉末にして、毎回1字を茶清で調服。 ◎頭痛・偏頭痛で眉稜骨が痛み、両眼がひきつれ、骨が痛い者。
#一字散[1]《東醫寶鑑》「皀角7銭、雄黄2銭、生明礬・藜蘆各1銭、蝎梢7枚」を粉末にし、少しづつ鼻中に吹き入れると、痰を吐く。 ◎急喉痺・纏喉風・咽喉閉塞・水穀不下・関牙緊急・人事不省。
#一字散[2]《東醫寶鑑》「蜈蚣(全頭1条炙)・天麻・草烏各5銭、全蝎10個、白芷1銭、を粉末にし、毎回1字を発熱のときは茶清で調下し、悪寒するときは温酒で調下する。◎急性破傷風。
#一酔膏《東醫寶鑑》「無灰酒2椀・真麻油4両」を柳の木20本で、かわるがわるかき混ぜると膏になる。これを飲むと熟睡する。 ◎心恙(⇒シンヨウと読み。きちがいのこと)・癲狂を治す。
#一酔不老丹《東醫寶鑑》「蓮花芯・生地黄・槐角子・五加皮各2両、没石子6個を石臼に入れてつき、絹袋に入れて清酒10斤と磁器内に入れて、春と冬は1ヶ月、秋は20日間、夏は10日間入れて連服する。 ◎養血・烏鬚・黒髪になる。
#一笑散《東醫寶鑑》「川椒・巴豆1粒」粉末にして膏をつくり、ご飯で丸め、綿でくるんで牙孔に詰め込む。 ◎虫牙痛で耐えられない者。
#一清飲《東醫寶鑑》「柴胡3銭、赤茯苓2銭、川芎・桑白皮各1銭、甘草5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎黄疸。
#一捻金丸《東醫寶鑑》「延胡索・茴香・呉茱萸・川楝子・木香各2両」を粉末にし、粳米糊で梧子大の丸剤。空腹時に木通湯で30~50丸呑み下し、片脳5分、鉄孕粉1銭を水にまぜて陰挺にぬる。
◎婦人の陰挺で、諸薬効なきとき。
#一捻金散《東醫寶鑑》「雄黄3銭、硼砂1銭、竜脳少し」粉末にし、蜜で調合して塗る。 ◎鵝口瘡で乳が吸えない症。
#一坪金 =「坪金丹」「熟地黄2両、地骨皮・蓮花芯・槐角子(酒に1日漬け・春秋3日・冬6日目に取り出し晒し乾燥)・薄荷各3両、没石子1両、人参・木香各5銭」作末し蜜で芡実大の丸剤。毎回1丸を温酒で1日3回飲む。◎長服すると、髪が黒く成る。
#一粒金丹[1]《東醫寶鑑》「川烏(炮)・炮附子・白附子(炮)各1両、白彊蚕。白蒺藜炒)・五霊脂・明礬(枯過)・没薬各5銭、朱砂・細墨(磨汁)・麝香各2銭半」粉末にし、墨汁でまぜ、1両を6丸に作って金箔で衣をし、毎回1丸を姜汁に酒半杯を混ぜて温服する。続いて薬力を補って汗を出すと、即効する。
◎一切の諸風を治す。
#一粒金丹[2]《東醫寶鑑》 「鴉片2銭半、阿魏1銭、木香・沈香各2分、牛黄2分半」沈香・木香・牛黄を粉末にし、鴉片・阿魏を丼によそって水を少しづつ注いで溶かした後、蜜を少し混ぜ緑豆大に丸め、金箔で衣をつけた後、毎回1粒を、痛むときは冷水で、冷えるときは温水で服用。◎気痛で話せなくなったとき。
#一服散《東醫寶鑑》「大半夏3個、杏仁7個、罌栗殻2個、烏梅2個、阿膠2片、紫蘇10葉、生姜10片、甘草1銭」剉作1貼し、水煎服。 ◎流行性暴嗽を治す。
#一物瓜蒂湯《金匱要略》 「瓜蒂20箇」右剉、以水1升、煮取5合、去滓頓服。◎太陽中暍、身熱疼重、而脉微弱、此以夏月傷冷水、水行皮中所致也。一物瓜蒂湯主之。《金匱要略》痓湿暍病脉證第二。
#一補一発丹《東醫寶鑑》「赤茯苓1両、半夏・陳皮・柴胡・黄芩・蒼朮・葛根各7銭、常山3銭」を粉末にし、麺糊で梧子大の丸剤。白湯で70丸飲む。 ◎長い瘧疾による内傷に外感を浴びた者を治す。
#一捏金散《東醫寶鑑》「延胡索・川練肉・全蝎(炒)・茴香(炒)」粉末にし、毎回1銭を熱酒で調下する。 ◎奔豚疝気の上衝。臍腹の大痛。
#胃関煎《方薬合編》 「熟地黄12g、山薬・白扁豆(炒)・白朮・乾姜(炒黒)各8g、炙甘草4g、呉茱萸2.8g」◎脾腎の虚寒による泄瀉・腹痛・冷痢・大腸カタル。
【加減】
1.泄瀉:肉蓯蓉・破故紙各1g。
2.陽虚:附子4g。
3.気虚:人参4g。
#胃効散《世医得効方》「五積散+麻黄」◎脾胃宿冷あり、腹内切痛、或いは外風寒に感じ、内生冷に傷つき、黄白色を泄瀉して止まず、或いは肝経寒を受け、面色青惨、厥して泄痢するを治す。
#胃風湯[1-1]《和剤局方》 「白朮・芎藭・人参(去蘆)・白芍薬・当帰(去苗)・肉桂(去粗皮)・茯苓(去皮)各等分」
#胃風湯[1-2]《和剤局方》 「人参・茯苓・当帰・芍薬・川芎・桂枝・白朮各等分、栗米100余粒」 ◎水穀化せず、泄瀉注下し、及び湿毒下ること豆汁の如き者。 ◎虚証の粘液血便、側腹満痛。《龍野ー漢方処方集》
#胃風湯[1-3]《東醫寶鑑》「人参・赤茯苓・白朮・当帰・川芎・白芍・桂皮・甘草各1銭、栗米1握り」水煎服。 ◎胃腸の湿毒で、腹痛・下痢して黒豆汁のようなものが下り、◎瘀血が下る者。
#胃風湯[1-4]《方薬合編》「人参・白朮・茯苓・当帰・川芎・白芍・桂皮・甘草・栗各4g」
■潰瘍性大腸炎
■慢性腸炎
■直腸炎
■直腸ガン
■下痢。
#胃風湯[1-5]《和剤局方》《勿誤薬室方函口訣》「人参・茯苓・川芎・桂枝・当帰・芍薬・白朮各等分、栗米100余粒」◎風冷、虚に乗じ、入りて腸胃に客となり、水穀化せず、泄瀉注下し、及び湿毒下ること豆汁の如く、或いは瘀血を下すを治す。 ◎この方は《素問》のいわゆる胃風には非ず。一種腸胃の不和より、泄瀉に非ず、滞下(=疫毒痢ナリ)に非ず、水穀化せずして稀汁と血液と漏下して止まず、顔色青惨、荏苒(ジンゼン)歳月を延びる者を治す。蓋し甘草瀉心湯・断痢湯の如きは上焦に属し、此の方は下焦の方に属するなり。◎《易簡方論》胃風湯、腸風下血及び婦人の下血、面色萎黄、筋力衰憊する者を治す。即ち、《和剤局方》の胃風湯、此れ即ち八物湯の地黄・甘草を去って官桂を加うるもの、蓋し亦結陰の類なり。陰は陰気内結と為す。故に甘寒を去って辛熱を加え、結する者散ずるなり。《雑病翼方》◎《原病集》に云う。風、腸胃に入り、清血を純下す、或いは湿毒下血す。胃風湯の桂を去り、枳殻・荊芥・防風を用いて之を主る。《雑病翼方》 ◎鑑別:《雑病翼方》「甘草瀉心湯」は:-上焦不和の利を、「胃苓湯」は:中焦不和の利を、「胃風湯」は-:下焦不和の利を治す。◎産後の暴泄、胃風湯を与えれば速やかに癒える。もし数行の後、心下痞満する者、宜しく生姜瀉心湯を与えるべし。《先哲医話》◎胃風湯の証は、即ち倉公伝のいわゆる洞風なり。《方読便覧》
#胃風湯[1-6]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「当帰・川芎・芍薬・人参・白朮各3、茯苓4、桂枝・栗各2」◎風冷、虚に乗じて腸胃に客し、水穀化せず、泄瀉注下し、腹脇虚満、腸鳴り、疼痛し、及び腸胃の湿毒下ること豆汁の如く、或いは瘀血を下す者を治す。
◎此方は四君子湯より甘草を去り、四物湯より地黄を去り、更に桂枝と栗を加えたもので、慢性虚証の大腸炎に用いられる。細野史郎氏は「漢方の臨床」に本方の運用を詳述し、下痢久しく続いて、体力稍衰弱の傾向あり、炎症も僅かにして、小腸よりもしろ下焦の大腸、直腸に邪のある場合に応用されるとしている。貧血気味、冷え症で脈浮弦弱、腹も虚軟の者に良い。
白朮・茯苓・人参=四君子湯の意で胃腸の水毒を去り、その機能を強化する。当帰・芍薬・川芎=四物湯の意で、貧血を補い、肝臓機能を亢進させる。桂枝=諸薬をよく導き、栗=腸管の弛緩をひきしめる。
◎目標:「胃風湯は、健常人に突発した胃腸炎などに用いられるものでなく、下痢も久しく続いて、体力のやや衰弱に傾きかけた者に適応性があり、更にその炎症の様子も、その最盛期を過ぎて、力弱く残存性のもので、しかも、小腸のみでなく、腸管下部、即ち大腸・直腸にも及んでいると思える場合に用いられ、また一見、ただ腸管下部にのみ限局された弱い残存性炎症と思える者に応用する機会が少なくない」《細野史郎》
★適応症及び病名(胃風湯)
[1]胃腸虚弱
[2]潰瘍性大腸炎《矢数道明》
[3]顔色悪い
[4]寒冷で増悪する
[5]筋力低下
[6]下血: ☆(冬が多い)☆冬期下血《矢数道明》
[7]下痢 :☆風邪で、下痢しながら便に清血を帯びる。☆産後、老人虚証の下痢《矢数道明》☆冷えると下痢する者《矢数道明》☆真武湯を用いるような虚弱な体質の患者の慢性の経過をとる下痢に用いる《大塚敬節》☆昭和27年1/8。73歳の女性。4、5年前から非常に下痢しやすく、ことに去年12/25から下痢が続いて、少ない日でも1日に2、3行あり、ひどくなると7、8行から10数行に及ぶことがある。しかもその下痢は摂取量にまったく並行的で、食事さえ慎めば回数も減るので、近頃は常に食量を制限しているとのことである。下痢はほとんど腹鳴は伴わないが、時々下腹部に軽い痛みがあることがある。又、時には胸悪く感じることもある。心窩部のつかえ感、膨満感無く、嘔吐の全くない。
診ると、栄養状態の甚だ悪い、顔色の悪い蒼白な老婆で、皮膚には全然ツヤがない。顔は少しむくみ気味で、栄養失調症を思わせる衰弱ぶりである。舌は全体として、帯褐白色の薄い舌苔に覆われてよく湿潤している。脈は中等大、弦で遅い。脈管壁の触感は軟らかい感じだが、之を按圧すると、まったく抵抗も感じないほどである。胸部では背面の左上部にわずかにギーメンが聴取出来る。
腹部は一般に軟弱で、心窩部で劒状突起下部のところに、腹底に軟かいつきたての餅のような触感のする抵抗が触れる。しいて云えば是でも心下痞硬の1微とも云えようか。
食欲はない。詳しく云えば、口に食味が全くないと云った方がよいとのことである。 以上の所見から、慢性胃腸カタルで、ことに腸部の障害の強い形と考えたが、心下痞硬、気、下痢などを目標に生姜瀉心湯と定め、全身の機能を活発化せしめる意味で四君子湯の方意を加えようと、茯苓・白朮を加味して与えた。
服薬後4日間は、あまり芳しい成績ではなく、下痢は依然としていたが、朝の中はなく、昼過ぎから3、4回引き続き行き、終わり頃になると絞り気味となる。丁度、服薬後3日目頃、餅を少々食べてみたが、反って腹具合がずっと良くなって、下腹部の鈍痛さえ無くなり、少しではあるが、腹力がついたかに思えるし、下痢悪化の兆しもなかった。診察上、他覚的には初診時と大差ないので、同方を継続した。
次の1週間は、全くの逆転となて現れ、固形しかけた大便が追々軟化し、ついに無形軟便となり、日に2、3回となった。そして夕方になると必ず便意を催し、下腹部に名状しがたい底苦しさを感じるようになった。さらに大便には強い悪臭があり、排便の始めに粘液があり、排便後には軽い裏急後重がある。時には下腹部痛が軽く伴うこともあった。
他覚的所見としては、脈は依然として弦脈であるが、強く浮き気味で、弱く渋った遅脈。舌は中央部から舌根にかけて濃褐色の苔が厚くかかり、強く湿っている。腹部には心下痞硬が強く、前述の程度ではなく、痞硬は腹底のものと云うよりも腹壁の表在部が最も強い。更に新しい所見としては、左下腹で大体S字状結腸に当たって深部に向かって按圧すると可成の圧痛があり硬い索状物があった。
以上の所見から、胃とS字状結腸部辺に病的変化が強くなったことを意味すると考えた。先ず常識的に行って、白頭翁加甘草阿膠か真武湯のなかから選用したい病像であるが、
①容貌や全身から読める程度の衰弱と久しい下痢
②脈状が浮にして弦、しかも弱遅
③餅食で反って元気づき腹具合も改善の兆しがあったことなどから、兼ねて思いを潜めていた栗を入れるあの胃風湯を試みることとして、方後の指示にしたがって木香を加え与えた。ところが1週間の服薬ですばらしい著効を現して、元気は見違えるほどに良くなり、皮膚色、顔面とも生気に満ち、頑固な下痢も、裏急後重もほとんど止んで、ただ余す苦痛は、わずかに肛門の脱出感を残すに過ぎなかった。それ以来数週間、同方を持続して日を追ってますます元気を回復して何等の自覚的苦痛もなくなり、脈・舌・腹・胸部の所見も全く異常なくなった《細野史郎》☆下痢が豆汁のようで或いは血を交え、急迫様の腹痛を訴え、或いは裏急後重の気味があるが、瘀物があるのではなく、小腹の拘攣によるものである。そして腹部肥満し、下剤のさいには大便が肛門に激突して音をたててチビチビと飛ぶ者あり、或いは便の汁が肛門に当たって沫になって、じわじわと鳴る者がある。これは腹中に風気があって、大便といっしょに出るのである。この時に胃風湯を用いると、5、6貼でその証が減じて必ず奇効がある。《藤田謙造》
[8]食欲不振
[9]大腸カタル
[10]脱肛:☆(寒くなると脱肛する)☆冬期の脱肛《矢数道明》
[11]直腸ガン:☆直腸腫瘍
[12]直腸潰瘍:☆62歳女性。2年前より下痢真武湯、種々の手当を受けたが一向に効がないという。下痢するときは、絞るような腹痛があり、1回の排便量は少なく、粘血便である。多いときは1日10回を越えるという。食欲はあるが、流動食を少しずつ食べている。医者は直腸の潰瘍で、ガンになる恐れがあると診断したという。腹診するに、左腸骨窩に索状物を触れ圧痛がある。私はこれに胃風湯を用いたが、日増しに下痢が減じ、腹痛も軽快し、半年後には正常便が出るようになった。《大塚敬節》
[13]疲労倦怠
[14]貧血
[15]腹痛
[16]腹鳴
[17]慢性下痢:☆<軟便><不消化便><水様便><粘液便>☆<アヒルの便のようにピチャピチャした便>☆半夏瀉心湯や真武湯の応ぜぬ慢性下痢《矢数道明》☆衰弱者の陳久下痢《矢数道明》
[18]慢性大腸炎
[19]慢性直腸炎《矢数道明》
#胃苓湯[1-1]《万病回春》「蒼朮(米泔製)・厚朴(姜汁炒・陳皮・猪苓・沢瀉・白朮(去蘆)・茯苓(去皮)・白芍薬(煨)各1銭、肉桂・甘草(炙)各2分」剉作1貼、生姜・棗子煎。
#胃苓湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》 「蒼朮・厚朴・陳皮・猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・白芍薬(煨)各1銭、甘草(炙)・肉桂各2分、生姜、大棗」水煎。
◎原方には芍薬なし。乃ち「平胃散+五苓散」◎脾胃和せず、腹痛泄瀉して水穀化せず、陰陽を分たざるを治す。 ◎水瀉には:+「滑石」◎暴痢にて赤白雑じえ腹痛、裏急後重する:「-肉桂+木香檳榔子黄連」◎久瀉:+「升麻」◎湿に勝るには:+「防風、升麻」 ◎食積には:+「麹、麦芽、山楂子」◎気虚には:+「人参」
#胃苓湯[1-3]《東醫寶鑑》「蒼朮・厚朴・陳皮・猪苓・沢瀉・白朮・赤茯苓・白芍各1銭、肉桂・甘草各5分、生姜3片、大棗2枚」水煎服。 ◎下痢・腹痛・消化不良。
#胃苓湯[1-4]《方薬合編》「蒼朮・厚朴・陳皮・猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・白芍・大棗各4g、肉桂・甘草各2g、生姜(ひねしょうが)3切れ」◎腹痛下痢・口渇・尿量減少・急性腸カタル・急性腎炎・腹膜炎・浮腫・食中毒。◎滑脱:「肉豆蔲2g・車前子3g」◎消化不良:「神曲・檳榔子・縮砂各2g」
#胃苓湯[1-5]《古今医鑑》《漢方後世要方解説》 「蒼朮・厚朴・陳皮・猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・芍薬各2.5、桂枝2.0、大棗・生姜各1.5、甘草1.0」◎平胃散五苓散芍薬
[主治]《古今医鑑》“中暑、傷湿、停飲、夾食、脾胃和せず、腹痛泄瀉渇を作し、小便利せず、水穀化せず、陰陽分たざるを治す”《医療手引草》“飲食停積、浮腫、泄瀉、脈証倶に実なる者を治す”《牛山方考》“飲食過多にして、腹脹り口渇泄瀉、小便赤渋の症に奇効あり”
#胃苓湯[1-6]《証治準縄》「蒼朮・厚朴・陳皮・白朮・茯苓各1銭5分、沢瀉・猪苓各1銭、甘草6分、肉桂5分、生姜3片、大棗3個」◎水腫を急に下した後、或いは利尿の後、腫勢がすでに消退をみても、続けて胃苓湯などの善後調理の薬物を服用して、再発を防ぐ。《漢方医学概論》
#胃苓湯[1-7]《丹渓心法》「平胃散五苓散」◎此の方は平胃散、五苓散の合方なれば、傷食に水飲を帯びる者に用いて宜し。その他、水穀化せずして下利、或いは脾胃不和にして水気を発する者に用いるべし。《万病回春》にいわゆる陰陽不分とは太陰の位にして陰陽の間に在る症を云うなり。《勿誤薬室方函口訣》◎利後、遍身水気有る者。《治瘟編》◎按ずるに、此の方、本《婦人良方》に出て、芍薬を去り、陳日華方と云う。夏秋の間、脾胃冷に傷つき、水穀不分、泄瀉止まざるを治す。《雑病翼方》◎水穀下痢、按ずるに胃苓湯は中焦不和の利を治す。《雑病翼方》
# 胃苓湯 [1-8]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「厚朴・陳皮・蒼朮・猪苓・沢瀉・茯苓各1銭、桂枝2分、甘草」◎脾胃和せず、腹痛・泄瀉し、水穀化せず、陰陽不分な者を治す。◎腹痛下痢、尿利減少、口渇する者。《龍野ー漢方処方集》◎理気化湿、利水止瀉《中医処方解説》
★適応症及び病名 (胃苓湯)
[1]胃腸神経症
[2]悪心
[3]嘔吐
[4]過敏性大腸症候群
[5]下痢(水様便)☆平胃散に準じ、水様便・浮腫がある者。☆草豆蔲(水様性)
[6]口渇
[7]上腹部振水音
[8]食傷:☆急性の大腸炎で、腎臓機能障碍を伴い、小便利せず腹痛泄瀉を発し、俗に云う夏期の食あたりというものに多くこの症がある。《矢数道明》
☆時に軽度の血便粘液便等を混じ、少し裏急後重を訴える者:「黄連・木香・檳榔」《矢数道明》☆脈証は多くは沈で力があり、腹証も相当抵抗がある者。舌は多くは白苔である。《矢数道明》
[9]食滞泄(消化不良の下痢)
[10]心下痞
[11]神経痛:☆夏場の神経痛・リウマチの類《矢数道明》
[12]]腸カタル(急性・慢性)
[13]尿量減少
[14]熱射病
[15]浮腫(下肢)☆食傷から来る急性腎炎や下痢しやすい者《矢数道明》
[16]腹痛
[17]腹満
#茵蔯蒿湯[1-1]《傷寒論》「茵蔯蒿6両、梔子(擘)14枚、大黄(去皮)2両」右三味、以水一斗二升、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。 (辨陽明病脉證并治第八) ◎陽明病、発熱、汗出者、此為熱越、不能発黄也。但頭汗出、身無汗、剤頸而還、小便不利、渇引水漿者、此為瘀熱在裏、身必発黄、茵蔯蒿湯主之。◎傷寒七八日、身黄如橘子色、小便不利、腹微満者、茵蔯蒿湯主之。(巻第五 辨陽明病脉證并治第八)。
#茵蔯蒿湯[1-2]《傷寒論》「茵蔯蒿6両、梔子(擘)14箇、大黄(破)2両」右三味、以水一斗二升、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分温三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。 ◎陽明病、発熱、汗出者、此為熱越、不能発黄也。但頭汗出、身無汗、剤頸而還、小便不利、渇引水漿者、以瘀熱在裏、身必発黄、宜下之以茵蔯蒿湯主之。 (辨可下病脉證并治第二十一)◎傷寒七八日、身黄如橘子色、小便不利、腹微満者、属茵蔯蒿湯証。
#茵蔯蒿湯[1-3]《金匱要略》「茵蔯蒿6両、梔子14枚、大黄2両」右三味、以水一斗、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分温三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。◎穀疸之為病、寒熱不食、食即頭眩、心胸不安、久久発黄、為穀疸。茵蔯蒿湯主之。(黄疸脉證并治第十五)
#茵蔯蒿湯[1-4]《傷寒論》《龍野一雄》「茵蔯蒿6.0g、山梔子1.4g、大黄2.0g」水480で先ず茵蔯を煮て240に煮詰め、他薬を加え更に煮て120に煮詰め、1日3回に分服。
◎茵蔯蒿湯証=心胸安からず、久久にして黄を発す《薬徴》[心胸安からず]=みずおちから胸にかけて気持ちが悪くサッパリしない。
◎黄疸で或いは発熱頭汗、尿利減少、或いは腹微満、或いは寒熱不食頭眩心胸部不安の者。
◎瘀熱、尿利減少。◎一身発黄し、心煩し、大便難に、小便不利の者を治す《類聚方広義》
◎目標:《大塚敬節》大小便不利、悪心or嘔吐、胸内苦煩、口渇があり、腹診上、上腹部の膨満がある場合に用いられる。発熱・口渇・尿不利・便秘を目標にして用いる。黄疸の有無にかかわらない。これらの症状のほかに悪心・胸の苦悶があることもある。もし発熱・口渇・尿不利があって、便秘がなければ、茵蔯五苓散または五苓散を用いる。
【適応症】 口渇があり尿量少なく、便秘する者の次の諸症: ジンマシン・口内炎。 【
注意】《矢野敏夫》 <1>次の者には投与しないこと。 身体虚弱の者。とくに体内に欝滞した熱感のない冷え症の者。
<2>次の者には慎重に投与すること。 妊婦、又は妊娠していると思われる者。 高齢者。 <3>副作用
消化器系:下痢、腹痛を催したり、食欲が減退することがある。
【ポイント】《矢野敏夫》
<1>古来より各種の黄疸・ジンマシン・口内炎に用いられているが、体力のある者で咽喉の渇き、心窩部から胸部にかけてのふさがるよういな胸苦しさ、便秘、肝臓部の圧迫感などを目標にします。
<2>五苓散、小柴胡湯などの処方とよく合方して使われます。 <3>熱症状、炎症症状の緩和なもの、便秘のない者には梔子柏皮湯がよい。
【腹証】《矢野敏夫》 ☆心下部が痞えて少し膨満感がある。 ☆腹部全体の緊張は良好。
★適応症及び病名 (茵蔯蒿湯)
[1]アトピー性皮膚炎
[2]足が腫れる:☆<下肢>が多い。
[3]油っこい食事で気分が悪くなる
[4]胃痛:☆(日射病による胃の煩痛)
[5]陰部掻痒症:☆女性外陰部のかゆみ。
[6]黄疸:☆黄疸のさいには出血の傾向がある《大塚敬節》 ☆黄疸と伴うときには、頭汗・皮膚掻痒感を伴う《矢野敏夫》☆黄疸等にして、少しく腹満ある証《奥田謙蔵》☆発熱のない黄疸にはá「茵蔯五苓散」を考える。☆(肝細胞性の黄疸)☆(溶血性に不適、閉塞性には不十分)☆《勿誤薬室方函口訣》“此の方は発黄を治する聖剤なり。世医は黄疸初発に茵蔯五苓散を用ゆれども非なり。先ず此の方を用いて下を取って後、茵蔯五苓散を与えるべし。茵蔯は発黄を治するを専らとする。蓋し、湿熱を解し利水の効あり。故に《蘭室秘蔵》の当帰拈痛湯、《医学綱目》の犀角湯にも此の品を用いて、発黄のみにはかかわらぬなり。梔子・大黄と伍するときは利水の効あり。方後に云う尿如角汁と、これなり。後世にても加味逍遥散、竜胆瀉肝湯等の梔子は皆清熱利水を主とするなり。但し此の方、発黄に用いる時は陽明部位の腹満小便不利を主として用るべし。もし心下の欝結ある者は大柴胡湯茵蔯かえって効あり。もし虚候ある者は千金茵蔯湯に宜し。《幼幼新書》吉本家伝。小児、身体黄・便黄・眼目睛黄は、これ疸なり。此の方によろし。即ち本方朴硝と。余は、本方の証にして胃熱激しき者を治するに、之を用いて奏功す。”《雑病論識》☆《大塚敬節》“体格、栄養ともに中等度の34歳の男子。約10日前に、原因不明の熱が出た。その熱が2、3日で下るとともに、全身が黄色になった。医師は急性肝炎と診断して薬をくれたが、どうも気持が良くないという。症状は、黄疸・口渇・全身の搔痒感・尿量の減少、ときどき少しずつ出る衂血などであり、みずおちに、何かが詰まっている感じがするという。脈は遅にして力があり、舌には少し黄苔があって乾燥している。腹部は全体にやや膨満し、鳩尾の部から右の季肋下にかけて抵抗と圧痛があり、肝臓の下縁を指頭にふれる。私はこれに茵蒿湯与えたが、翌日から尿がたくさん出るようになり、口渇が減じ、7日分の服用で、黄疸は大半消失し、19日分の内服でまったく健康になった。”
[7]悪心:☆(軽い)<+>☆悪心強い者にはá「柴胡剤」を考えるor合方する。
[8]かゆい:☆(激しい掻痒)
[9]脚気
[10]肝炎(急性肝炎)☆この方は黄疸の治療薬として有名であるが、黄疸がなくても、口渇・尿不利・便秘・胸内苦悶の状があれば用いる。そこで、急性肝炎の初期で、まだ黄疸の現れないうちに、悪心・食欲不振・便秘・尿利減少・発熱などを目標として、この方を用いる。そうすれば、黄疸が現れても軽く、短期間のうちに全快する。《大塚敬節》
[11]肝硬変
[12]肝臓肥大
[13]感情不安定:
[14]乾癬
[15]眼目痛
[16]気管支炎
[17]急性肝炎:☆茵蔯蒿湯証の患者は、胸がつまったような、塞がったような何とも名状できないような不快感を訴えるものである《大塚敬節》
[18]激症肝炎:(熊胆0.3g~0.6g)
[19]下血
[20]月経異常
[21]月経不順
[22]血清病
[23]結膜炎
[24]口がねばる
[25]口渇:☆急性肝炎の初期やネフローゼの初期に激しい口渇を訴えることがあり、その時に、茵蔯蒿湯を用いる機会がある《大塚敬節》
[26]口乾: ☆口中乾燥気味《矢野敏夫》
[27]口苦
[28]口内炎
[29]甲状腺機能亢進症
[30]更年期障害
[31]黒色便
[32]歯根炎
[33]歯周炎
[34]子宮出血:☆《生々堂医談》
“京師、小川通二条下町、近江屋与兵衛の妻は、毎月、月経が17、8日も止まず、こんな状態が3年間も続き、種々医薬を用いても治らないので、自分に治を乞うた。診察してみると、脈が細数で、からだの色は青白く、起きあがると喘鳴があり、小便が自然に漏れる。それに動悸がひどくて、今にも死ぬのではないかと思われるほどである。そこで茵蔯蒿湯を作って与えた。ところが、その夫はかって製薬を職業としたことのある者で、少しばかり薬のことを知っているので、不思議がって、自分に尋ねた。妻の病をもともと血症で発黄の症ではない。それなのに補血・調血の剤を与えないで、茵蔯蒿湯を与えるとは、どうした訳であるか、こんな虚証を、この上更に茵蔯蒿湯で攻めるのは虚々の法で、そのため死ぬるに違いない。どうしてこんなものを用いるか、その訳を聞かせてほしいと。自分が答えて云うのに、犀角地黄湯、芎帰膠艾湯の類は、前医がもう用いたところで一通りは、薬方と病症が一致しているように見えるけれども、そうではない。それだからこそ、3年もの間、これらの薬を呑んでも、なお治らなかったのではないか。この茵蔯蒿湯をなぜ用いるかを簡単にわかりやすく説明することはむつかしいがまあ一口に云えば、欝熱を除けば血は自然に治まるという意味であると、その人ついに自分の言に信伏してこの方を服し、50日ばかりですっかり治ってしまった”
[35]衂血
[36]湿疹:☆14歳の男児。平素から便秘の傾向があり、いつも下剤を飲んでいるという。こんどの病気は10日前からで、全身にジンマシンが出て、かゆくて堪えられないという。それにノドが詰まる感じがある。《大塚敬節》
[37]上腹部の膨満感(微満):☆この方の腹診は上腹部の軽微の膨満である。もし肝の腫脹があって、胸脇苦満が著明であればá「大柴胡湯」《大塚敬節》
[38]食事の臭いで気分が悪くなる
[39]食欲不振<+>☆今まで食欲のあった人が、突然食べたくなくなり、胸が詰まったようで、吐き気があり、魚や牛肉を焼く匂いを嗅ぐだけで、吐きそうな気分になるときは、急性肝炎の疑いがある。この際、便秘し、口渇を訴え、尿利も減少し、心下部がつまったようで膨満しているならば、茵蔯蒿湯を用いる。これで大小便が快通し、口渇も悪心もとれる。熱のある場合にも良く、また黄疸の有無にかかわらず、これを用いて良い。《大塚敬節》
[40]自律神経失調症
[41]腎盂炎
[42]腎炎
[43]心下堅大
[44]心下痞
[45]心煩
[]神経症:☆心胸不安、上腹部膨満感
[46]ジンマシン:☆26歳の芸者。10日ほど前、客坐でエビの天ぷらを食べ、その夜から発疹と瘙痒で夜の明けるのが待ちきれないで医師を呼んだ。医師は直ちにカルシウムの注射を打ち下剤を2日分与え、明日もまた明日もで、5本の注射を打たれたが、次第に薬効が減ずる様で全身の瘙痒が激しく閉口し、夜もろくろく眠れぬばかりか、御客の前で掻くのもきまりが悪いので休業しているとの事。但し下痢はなく、口が乾き、食も異常ないと云う。
茵蔯蒿湯3日分投与。再来の時は発疹も瘙痒も全くなくなっていた。《掘均》☆55歳の官吏。2年前ハイキングに出掛けて、毒草にあてられ帰途より瘙痒を覚え、翌日発疹、直ちに医師の手当を受けたが、一向に良くならないので、伊香保の温泉に1ヶ月ばかり入浴し、かなり良くなったので帰京した。しかし全治と云うわけでなく、紹介されてきた。腎臓に故障が起きていたので、先ず茵蔯蒿湯を服用し、1ヶ月後、防風通聖散を与え、1ヶ月で治った。《掘均》
[47]膵臓炎
[48]頭汗☆全身に汗が出るとá「大黄硝石湯」を考える。
[49]舌炎
[50]舌質<紅> ☆舌周辺全体に紅色(熱症状)《矢野敏夫》
[51]舌苔:☆<微白~黄~黄膩> ☆白苔(厚い傾向)《矢野敏夫》
[52]舌瘡
[53]譫語
[54]帯下:☆(悪臭・黄色)
[55]胆石症
[56]胆嚢炎:☆茵蔯蒿湯は、胆汁分泌が異常な患者に対し、bilirubin分泌量を増大し胆汁分泌を正常化する作用が顕著にある。しかし、茵蔯蒿単味では、わずかに利胆作用が認められるが、大黄だけではさらに微少で、山梔子には認められない。3味の配合の妙である。
[57]血の道症
[58]吐血
[59]尿が濃い
[60]尿赤濁 ☆瘀熱による
[61]尿不利
[62]ネフローゼ:☆昭和14年5月に、8歳の男児のネフローゼを治療した。その当時の主訴は浮腫と貧血であって、尿量は少なく、尿中に多量のタンパクを証明した。私はこれに五苓散を与えたが、患者は2日ぐらい飲んで、飲みにくいからイヤだといって止めてしまった。それから2年たった。私はその患者のことを忘れていた。ところが、昭和16年5月18日に、この患者から、突然往診を頼んできた。患者の祖母のいうことには、あれから近くの病院に入院して色々手当を受けたが、今に治らない。この状態では、いつ治るかの見当もつかない。薬が変わると、4、5日は尿量が増して、浮腫も減退するが、また間もなく、元のように尿利は減じ、浮腫が増してくる、こんなことをいつまでも繰り返しているという。
そこで今度は必ず薬を飲ませるし、本人も飲む気になっているから、ぜひお骨折りを乞うというのである。私が往診した日の浮腫は、そんなに高度ではなく、顔面と腹部とに主として水気があった。その日の朝まで、洋薬の利尿剤を飲んでいたというこの患者をいくら詳しく診察してみても、本当の証をつかむことは難しいと考えた私は、簡単に診察をすませて帰ってきた。そして3日分の分消湯を与え、この患者を紹介してくださった方に、電話で、次のように通じておいた。
“今日、Sさんを診まして薬をあげましたが、いままで飲んでいた強い利尿剤を今日限り止めさせましたので、2、3日中に、うんとむくみが増して、小便が出なくなると思います。その時、あなたの方へ文句が来るかも知れませんが、そんなことで薬を止めるような了見では、あのような難症は決して治りませんから、どうぞそのおつもりでいて下さい”
果たせるかな、3日目の早朝、患家から電話があり、昨日から尿利が減少して、一昼夜の尿量が200‹に足らず、全身がだるまのようにむくみ、そのため胸が苦しくて昨夜は少しも眠れませんでした。至急おいでくださいと。この日の午後になって、私は患家をたずねたが、2階への梯子段を上りかけると、苦しい、苦しいという患者のうなり声が聞こえる。泣いているのである。浮腫のために僅かに開いている眼裂から涙が頬につたって流れている。腹部はひどく膨満して、鳩尾の部には、数条の青筋が見える、口渇は強いが尿は出ない。それに、3日間便秘している。浮腫は緊張が強くて、張り切っていて、強く押さないと凹まない。脈も沈んでいるが、力がある。こんな状態から考えると、この患者の浮腫は実腫であり、茵蔯蒿湯証のように思われた。
茵蔯蒿湯は、一般に黄疸を治する処方のように考えられているが、この方は“瘀熱が裏にある”と古人がいった場合に用いる方剤で、 口渇・尿利の減少と尿の赤褐色・便秘・胸内苦悶・腹部膨満などを目標にして用いる。必ずしも黄疸の存在を必要としない。《中神琴渓》は、頑固な子宮出血で、いろいろの手当でも治らなかったものを、裏に瘀熱があるからとて、この方を用いて治し、《村井琴山》は、脚気で、ほていのように脹満した者に、この方を与えて速治している。
今、この患者をみるに、浮腫はひどいけれども、茯苓や朮のような利尿剤を用いる証とも思われない。また麻黄剤の適応症のようにも見えない。この患者は、浮腫の他に、心胸部の苦煩(むなぐるしい)口渇、尿利の減少、便秘、腸満を訴えている。しかし患者の主訴は、心胸の苦煩である。そのため眠れないのである。これは正しく梔子剤の証にみられる心中懊にて眠るを得ざる証ではないか。茵蔯蒿湯の証に“心胸安からず”とあるのは、この状態をいったものである。また茵蔯は、裏の瘀熱を去って口渇を治し、尿量を増やす効がある。茵蔯蒿湯はこの2つの薬物に大黄を加えたものである。
このような考案によって、茵蔯蒿湯を与えたところ、驚くべき奇効がたちまち現れ、その翌日は尿量1500‹に達し、心胸はくつろぎ、食は進み、20日ばかりにして、腹部に浮腫を残すだけになり、自覚的には、ほとんど苦痛を訴えない状態となった。心下部の青筋と腹水はやや減少したが、全く去るというまでにはならない。その頃になって、尿量はまた少し減じ、700~800‹になった。これは気分が良いために、安静を守らないからではないかと考えた。ところが投薬を始めて26日目の夜半の2時頃より猛烈な腹痛を訴えるようになり、盲腸炎らしいから至急往診を乞うという電話があった。不思議に思いながら、駆けつけてみると、患者は眉間にシワをよせて、涙を流している。顔は蒼白である。脈をみると、浮にしてやや数である。疼痛は回盲部より右腎の部位に広がり、圧に対して過敏である。ちょっと右足を動かしても、寝返りをしても腹痛はひどくなる。しかも、腹部にはまだ浮腫が相当あるので、深部の状態を充分に探ることが難しい。体温は39度6分である。
私は両親を別室に呼んで言った。こんどの腹痛はおそらく虫垂炎のためであろうと思う。しかしネフローゼに併発した虫垂炎を治療した経験は私にない。したがって、先の見透しはつかない。治療をしてみなければ、治るとも治らない友断言できない。私は一生懸命に手当をしてみるつもりでいるが、虫垂炎は手術しなければならないというのが一般の風潮であるから、あなた方が手術をする覚悟であるなら、私はこれを拒まない。ただ手術の結果がネフローゼに良い影響を与えると、私は考えないから、その点を御熟考の上、態度を決められたいといって帰ってきた。
すると1時間もたたないのに薬をとりにきた。そして云った。「一切を先生にお任せします。たとえ死ぬようなことがあっても、決して恨みません。私たちは覚悟を決めました」と。そこで私は大黄牡丹皮湯を与え、午後3時頃、電話をかけて症状をたずねた。体温は37度8分をなり、腹痛も楽のようだというのが、その返事であった。
私はいくらか安心して、往診の途中、午後7時頃、患家に立ち寄った。その時、患者は眠っていたが、脈も静になり、腹部には圧痛はあるが、自発痛は8分通り去った様子である。その翌朝早く、私はまた患家をたずねた。そして驚いたことには、いままで膨満して青筋のあった腹がぐっと小さくなり、青筋も無くなっている。尿は昨朝から1500‹以上も出たという。ほとんど飲食物をとっていないのに、いままでにない多量の尿が出たことは、予想外であった。しかし体温は平温になった。それから引き続き6日間、大黄牡丹皮湯を与えたところ、虫垂炎の症状はすっかりとれ、尿は毎日1500‹~2200‹もあり、尿中のタンパクもほとんど出なくなった。
この患者は前から腹部に青筋があったから、初めから、瘀血の証として、駆瘀血剤を与えるべきであったかも知れない。《大塚敬節》
[63]熱感
[64]ノイローゼ
[65]バセドウ病
[66]肺炎
[67]梅核気(のどの異物感)☆梔子は“咽中のふさがる”のを治する効があり、利膈湯、梔子豉湯などは食道炎・食道ポリープ。食道ガンなどによる嚥下困難に用いられる。そこでこれらもまた咽頭の異物感に応用でられる。また梔子の配剤せられている茵蔯蒿湯の証にも、のどのつまるという訴えがもられる。《大塚敬節》☆14歳の男子。10日前からひどいジンマシンが出るようになった。その頃から、のどがつまるような感じが起こり、又、のどがつまるような時にはジンマシンもひどく出るという。前々から便秘するくせがあり、下剤で通じをつけているという。茵蔯蒿湯を用いる目標の1つに“心胸安からず”という症状がある。私はこののどがつまるような感じを“心胸安からず”の変形とみた。そして茵蔯蒿湯を用いたところ、5日間の服用で、のどのつまる感じが去ると共に、ジンマシンも全く出なくなった。《大塚敬節》
[68]発熱
[69]ヒステリー
[70]皮膚病
[71]浮腫:☆口渇と尿利の減少と便秘と胸内苦煩を目標にして用いる方剤であるが、これらの症状があって浮腫するものに用いる《大塚敬節》☆効のあったのは、いずれも、腹部の浮腫が他の部分より著しく、便秘の傾向だった。《大塚敬節》
[72]腹水
[73]腹満:☆少し<+>腹部が膨満する。☆熱性証候劇しからず、腹満あるも能く食し、尿赤渋して糞便硬く、汗無くして煩悶する証《奥田謙蔵》☆汗下の後、熱性証候なく、腹満ありて糞便黒く、時々蒜臭を自覚し、煩悶し、然かも反って能く食する証《奥田謙蔵》☆発汗の後、腹満し、譫語し、或いは時に狂状をい発し、尿不利、大便難、その脈微にして沈なる証《奥田謙蔵》☆腹満著明ならá「承気湯類」を考える。☆腹満なら:á「小柴胡湯」を考える。
[74]不眠症
[75]便がスッキリ出ない
[76]便秘:☆肝機能障害があって便秘する者に用いる機会がある。ときに大柴胡湯に合して用いる《大塚敬節》
[77]膀胱炎
[78]慢性肝炎
[79]目が充血
[80]目が黄濁(目がきたない)
[81]卵巣機能障害
#茵荊湯《竹中文慶》《龍野ー漢方処方集》
「茵蔯蒿・茯苓・沢瀉各6.0g、猪苓・白朮・鉄粉各3.0g、荊芥・蒲黄各2.0g」◎肛門或いは腸出血、貧血或いは浮腫。◎下血止まず、身体萎黄、あるいは浮腫ある者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は竹中文慶の家方にして、痔血久しく止まず、面色萎黄、身体浮腫、短気、目眩して歩行出来ない者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎脾労下血して水気ある者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は利水中に止血鎮墜の意を寓する故、運用して意外の効能を有することあり。《勿誤薬室方函口訣》
◎茵蔯蒿が主薬《大塚敬節》◎「五苓散桂枝茵蔯荊芥蒲黄鉄粉」《大塚敬節》
★適応症及び病名(茵荊湯)
[1]痔出血:☆痔出血が永く続いて、貧血・浮腫・動悸・眩暈などのある者《大塚敬節》
[2]腸出血:☆《橘窓書影》“東台吉祥院弟子、恵雲房、眩暈、下血がやまず面色は萎黄状となり、動悸がひどく、少し歩いても呼吸が促迫し、めまいがあり、四肢に軽い浮腫がある。前医は、これに地黄剤を与え、その症ますます増悪した。自分は先年、竹中文慶から伝授せられた茵蔯湯を与えた。すると、数日で下血が止んで諸症がだんだんに良くなった”
[3]直腸ガン
[4]直腸潰瘍
#茵蔯丸《東醫寶鑑》「瘴疸丸に同じ。」毎回5丸を温水で飲む。瘴疸丸⇒「茵蔯・山梔子・大黄・芒硝・杏仁・常山・鼈甲・巴豆霜・豆豉」 ◎流行の瘟疫・瘴瘧・黄疸・温病・熱病を治す。
#茵蔯橘皮湯《東醫寶鑑》「茵蔯一物湯陳皮・白朮・生姜・半夏・茯苓各1銭」 ◎陰黄で煩躁し、嘔しながら吐かない者。
#茵蔯姜附湯[1]《東醫寶鑑》「茵蔯一物湯炮附子・乾姜(炮)各1銭」 ◎陰黄で冷汗が止まらない者。
#茵蔯姜附湯[2] 《衛生宝鑑》《古今方彙》「附子(炮)3銭、乾姜(炮)2銭、茵蔯1銭2分、草豆蔲1銭、白朮4分、枳実・半夏・沢瀉各5分、白茯苓・陳皮各3分、水2鐘、生姜5片」煎じて8分となし、冷えるを待って服す。 ◎陰黄(頭痛ありて熱状なき黄疸)◎女労疸、黒疸にて脈沈微、小便利し、或いは瀉するを治す。
#茵蔯蒿湯[1-1]《傷寒論》「茵蔯蒿6両、梔子(擘)14枚、大黄(去皮)2両」右三味、以水一斗二升、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。 (辨陽明病脉證并治第八) ◎陽明病、発熱、汗出者、此為熱越、不能発黄也。但頭汗出、身無汗、剤頸而還、小便不利、渇引水漿者、此為瘀熱在裏、身必発黄、茵蔯蒿湯主之。◎傷寒七八日、身黄如橘子色、小便不利、腹微満者、茵蔯蒿湯主之。(巻第五 辨陽明病脉證并治第八)。
#茵蔯蒿湯[1-2]《傷寒論》「茵蔯蒿6両、梔子(擘)14箇、大黄(破)2両」右三味、以水一斗二升、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分温三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。 ◎陽明病、発熱、汗出者、此為熱越、不能発黄也。但頭汗出、身無汗、剤頸而還、小便不利、渇引水漿者、以瘀熱在裏、身必発黄、宜下之以茵蔯蒿湯主之。 (辨可下病脉證并治第二十一)◎傷寒七八日、身黄如橘子色、小便不利、腹微満者、属茵蔯蒿湯証。
#茵蔯蒿湯[1-3]《金匱要略》「茵蔯蒿6両、梔子14枚、大黄2両」右三味、以水一斗、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分温三服。小便當利、尿如莢汁状、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。◎穀疸之為病、寒熱不食、食即頭眩、心胸不安、久久発黄、為穀疸。茵蔯蒿湯主之。(黄疸脉證并治第十五)
#茵蔯蒿湯[1-4]《傷寒論》《龍野一雄》「茵蔯蒿6.0g、山梔子1.4g、大黄2.0g」水480で先ず茵蔯を煮て240に煮詰め、他薬を加え更に煮て120に煮詰め、1日3回に分服。
◎茵蔯蒿湯証=心胸安からず、久久にして黄を発す《薬徴》(←茵蔯蒿) [心胸安からず]=みずおちから胸にかけて気持ちが悪くサッパリしない。◎黄疸で或いは発熱頭汗、尿利減少、或いは腹微満、或いは寒熱不食頭眩心胸部不安の者。◎瘀熱、尿利減少。◎一身発黄し、心煩し、大便難に、小便不利の者を治す《類聚方広義》◎目標:《大塚敬節》大小便不利、悪心or嘔吐、胸内苦煩、口渇があり、腹診上、上腹部の膨満がある場合に用いられる。発熱・口渇・尿不利・便秘を目標にして用いる。黄疸の有無にかかわらない。これらの症状のほかに悪心・胸の苦悶があることもある。もし発熱・口渇・尿不利があって、便秘がなければ、茵蔯五苓散または五苓散を用いる。
【適応症】 口渇があり尿量少なく、便秘する者の次の諸症: ジンマシン・口内炎。
【注意】《矢野敏夫》 <1>次の者には投与しないこと。 身体虚弱の者。とくに体内に欝滞した熱感のない冷え症の者。
<2>次の者には慎重に投与すること。 妊婦、又は妊娠していると思われる者。 高齢者。 <3>副作用
消化器系:下痢、腹痛を催したり、食欲が減退することがある。
【ポイント】《矢野敏夫》 <1>古来より各種の黄疸・ジンマシン・口内炎に用いられているが、体力のある者で咽喉の渇き、心窩部から胸部にかけてのふさがるよういな胸苦しさ、便秘、肝臓部の圧迫感などを目標にします。
<2>五苓散、小柴胡湯などの処方とよく合方して使われます。 <3>熱症状、炎症症状の緩和なもの、便秘のない者には梔子柏皮湯がよい。
【腹証】《矢野敏夫》 ☆心下部が痞えて少し膨満感がある。 ☆腹部全体の緊張は良好。
★適応症及び病名 (茵蔯蒿湯)
[1]アトピー性皮膚炎
[2]足が腫れる:☆<下肢>が多い。
[3]油っこい食事で気分が悪くなる
[4]胃痛:☆(日射病による胃の煩痛)
[5]陰部掻痒症:☆女性外陰部のかゆみ。
[6]黄疸:☆黄疸のさいには出血の傾向がある《大塚敬節》 ☆黄疸と伴うときには、頭汗・皮膚掻痒感を伴う《矢野敏夫》☆黄疸等にして、少しく腹満ある証《奥田謙蔵》☆発熱のない黄疸にはá「茵蔯五苓散」を考える。☆(肝細胞性の黄疸)☆(溶血性に不適、閉塞性には不十分)☆《勿誤薬室方函口訣》“此の方は発黄を治する聖剤なり。世医は黄疸初発に茵蔯五苓散を用ゆれども非なり。先ず此の方を用いて下を取って後、茵蔯五苓散を与えるべし。茵蔯は発黄を治するを専らとする。蓋し、湿熱を解し利水の効あり。故に《蘭室秘蔵》の当帰拈痛湯、《医学綱目》の犀角湯にも此の品を用いて、発黄のみにはかかわらぬなり。梔子・大黄と伍するときは利水の効あり。方後に云う尿如角汁と、これなり。後世にても加味逍遥散、竜胆瀉肝湯等の梔子は皆清熱利水を主とするなり。但し此の方、発黄に用いる時は陽明部位の腹満小便不利を主として用るべし。もし心下の欝結ある者は大柴胡湯茵蔯かえって効あり。もし虚候ある者は千金茵蔯湯に宜し。《幼幼新書》吉本家伝。小児、身体黄・便黄・眼目睛黄は、これ疸なり。此の方によろし。即ち本方朴硝と。余は、本方の証にして胃熱激しき者を治するに、之を用いて奏功す。”《雑病論識》☆《大塚敬節》“体格、栄養ともに中等度の34歳の男子。約10日前に、原因不明の熱が出た。その熱が2、3日で下るとともに、全身が黄色になった。医師は急性肝炎と診断して薬をくれたが、どうも気持が良くないという。症状は、黄疸・口渇・全身の搔痒感・尿量の減少、ときどき少しずつ出る衂血などであり、みずおちに、何かが詰まっている感じがするという。脈は遅にして力があり、舌には少し黄苔があって乾燥している。腹部は全体にやや膨満し、鳩尾の部から右の季肋下にかけて抵抗と圧痛があり、肝臓の下縁を指頭にふれる。私はこれに茵蒿湯与えたが、翌日から尿がたくさん出るようになり、口渇が減じ、7日分の服用で、黄疸は大半消失し、19日分の内服でまったく健康になった。”
[7]悪心:☆(軽い)<+>☆悪心強い者にはá「柴胡剤」を考えるor合方する。
[8]かゆい:☆(激しい掻痒)
[9]脚気
[10]肝炎(急性肝炎)☆この方は黄疸の治療薬として有名であるが、黄疸がなくても、口渇・尿不利・便秘・胸内苦悶の状があれば用いる。そこで、急性肝炎の初期で、まだ黄疸の現れないうちに、悪心・食欲不振・便秘・尿利減少・発熱などを目標として、この方を用いる。そうすれば、黄疸が現れても軽く、短期間のうちに全快する。《大塚敬節》
[11]肝硬変
[12]肝臓肥大
[13]感情不安定:
[14]乾癬
[15]眼目痛
[16]気管支炎
[17]急性肝炎:☆茵蔯蒿湯証の患者は、胸がつまったような、塞がったような何とも名状できないような不快感を訴えるものである《大塚敬節》
[18]激症肝炎:(熊胆0.3g~0.6g)
[19]下血
[20]月経異常
[21]月経不順
[22]血清病
[23]結膜炎
[24]口がねばる
[25]口渇:☆急性肝炎の初期やネフローゼの初期に激しい口渇を訴えることがあり、その時に、茵蔯蒿湯を用いる機会がある《大塚敬節》
[26]口乾: ☆口中乾燥気味《矢野敏夫》
[27]口苦
[28]口内炎
[29]甲状腺機能亢進症
[30]更年期障害
[31]黒色便
[32]歯根炎
[33]歯周炎
[34]子宮出血:☆《生々堂医談》
“京師、小川通二条下町、近江屋与兵衛の妻は、毎月、月経が17、8日も止まず、こんな状態が3年間も続き、種々医薬を用いても治らないので、自分に治を乞うた。診察してみると、脈が細数で、からだの色は青白く、起きあがると喘鳴があり、小便が自然に漏れる。それに動悸がひどくて、今にも死ぬのではないかと思われるほどである。そこで茵蔯蒿湯を作って与えた。ところが、その夫はかって製薬を職業としたことのある者で、少しばかり薬のことを知っているので、不思議がって、自分に尋ねた。妻の病をもともと血症で発黄の症ではない。それなのに補血・調血の剤を与えないで、茵蔯蒿湯を与えるとは、どうした訳であるか、こんな虚証を、この上更に茵蔯蒿湯で攻めるのは虚々の法で、そのため死ぬるに違いない。どうしてこんなものを用いるか、その訳を聞かせてほしいと。自分が答えて云うのに、犀角地黄湯、芎帰膠艾湯の類は、前医がもう用いたところで一通りは、薬方と病症が一致しているように見えるけれども、そうではない。それだからこそ、3年もの間、これらの薬を呑んでも、なお治らなかったのではないか。この茵蔯蒿湯をなぜ用いるかを簡単にわかりやすく説明することはむつかしいがまあ一口に云えば、欝熱を除けば血は自然に治まるという意味であると、その人ついに自分の言に信伏してこの方を服し、50日ばかりですっかり治ってしまった”
[35]衂血
[36]湿疹:☆14歳の男児。平素から便秘の傾向があり、いつも下剤を飲んでいるという。こんどの病気は10日前からで、全身にジンマシンが出て、かゆくて堪えられないという。それにノドが詰まる感じがある。《大塚敬節》
[37]上腹部の膨満感(微満):☆この方の腹診は上腹部の軽微の膨満である。もし肝の腫脹があって、胸脇苦満が著明であればá「大柴胡湯」《大塚敬節》
[38]食事の臭いで気分が悪くなる
[39]食欲不振<+>☆今まで食欲のあった人が、突然食べたくなくなり、胸が詰まったようで、吐き気があり、魚や牛肉を焼く匂いを嗅ぐだけで、吐きそうな気分になるときは、急性肝炎の疑いがある。この際、便秘し、口渇を訴え、尿利も減少し、心下部がつまったようで膨満しているならば、茵蔯蒿湯を用いる。これで大小便が快通し、口渇も悪心もとれる。熱のある場合にも良く、また黄疸の有無にかかわらず、これを用いて良い。《大塚敬節》
[40]自律神経失調症
[41]腎盂炎
[42]腎炎
[43]心下堅大
[44]心下痞
[45]心煩
[]神経症:☆心胸不安、上腹部膨満感
[46]ジンマシン:☆26歳の芸者。10日ほど前、客坐でエビの天ぷらを食べ、その夜から発疹と瘙痒で夜の明けるのが待ちきれないで医師を呼んだ。医師は直ちにカルシウムの注射を打ち下剤を2日分与え、明日もまた明日もで、5本の注射を打たれたが、次第に薬効が減ずる様で全身の瘙痒が激しく閉口し、夜もろくろく眠れぬばかりか、御客の前で掻くのもきまりが悪いので休業しているとの事。但し下痢はなく、口が乾き、食も異常ないと云う。
茵蔯蒿湯3日分投与。再来の時は発疹も瘙痒も全くなくなっていた。《掘均》☆55歳の官吏。2年前ハイキングに出掛けて、毒草にあてられ帰途より瘙痒を覚え、翌日発疹、直ちに医師の手当を受けたが、一向に良くならないので、伊香保の温泉に1ヶ月ばかり入浴し、かなり良くなったので帰京した。しかし全治と云うわけでなく、紹介されてきた。腎臓に故障が起きていたので、先ず茵蔯蒿湯を服用し、1ヶ月後、防風通聖散を与え、1ヶ月で治った。《掘均》
[47]膵臓炎
[48]頭汗☆全身に汗が出るとá「大黄硝石湯」を考える。
[49]舌炎
[50]舌質<紅> ☆舌周辺全体に紅色(熱症状)《矢野敏夫》
[51]舌苔:☆<微白~黄~黄膩> ☆白苔(厚い傾向)《矢野敏夫》
[52]舌瘡
[53]譫語
[54]帯下:☆(悪臭・黄色)
[55]胆石症
[56]胆嚢炎:☆茵蔯蒿湯は、胆汁分泌が異常な患者に対し、bilirubin分泌量を増大し胆汁分泌を正常化する作用が顕著にある。しかし、茵蔯蒿単味では、わずかに利胆作用が認められるが、大黄だけではさらに微少で、山梔子には認められない。3味の配合の妙である。
[57]血の道症
[58]吐血
[59]尿が濃い
[60]尿赤濁 ☆瘀熱による
[61]尿不利
[62]ネフローゼ:☆昭和14年5月に、8歳の男児のネフローゼを治療した。その当時の主訴は浮腫と貧血であって、尿量は少なく、尿中に多量のタンパクを証明した。私はこれに五苓散を与えたが、患者は2日ぐらい飲んで、飲みにくいからイヤだといって止めてしまった。それから2年たった。私はその患者のことを忘れていた。ところが、昭和16年5月18日に、この患者から、突然往診を頼んできた。患者の祖母のいうことには、あれから近くの病院に入院して色々手当を受けたが、今に治らない。この状態では、いつ治るかの見当もつかない。薬が変わると、4、5日は尿量が増して、浮腫も減退するが、また間もなく、元のように尿利は減じ、浮腫が増してくる、こんなことをいつまでも繰り返しているという。
そこで今度は必ず薬を飲ませるし、本人も飲む気になっているから、ぜひお骨折りを乞うというのである。私が往診した日の浮腫は、そんなに高度ではなく、顔面と腹部とに主として水気があった。その日の朝まで、洋薬の利尿剤を飲んでいたというこの患者をいくら詳しく診察してみても、本当の証をつかむことは難しいと考えた私は、簡単に診察をすませて帰ってきた。そして3日分の分消湯を与え、この患者を紹介してくださった方に、電話で、次のように通じておいた。
“今日、Sさんを診まして薬をあげましたが、いままで飲んでいた強い利尿剤を今日限り止めさせましたので、2、3日中に、うんとむくみが増して、小便が出なくなると思います。その時、あなたの方へ文句が来るかも知れませんが、そんなことで薬を止めるような了見では、あのような難症は決して治りませんから、どうぞそのおつもりでいて下さい”
果たせるかな、3日目の早朝、患家から電話があり、昨日から尿利が減少して、一昼夜の尿量が200‹に足らず、全身がだるまのようにむくみ、そのため胸が苦しくて昨夜は少しも眠れませんでした。至急おいでくださいと。この日の午後になって、私は患家をたずねたが、2階への梯子段を上りかけると、苦しい、苦しいという患者のうなり声が聞こえる。泣いているのである。浮腫のために僅かに開いている眼裂から涙が頬につたって流れている。腹部はひどく膨満して、鳩尾の部には、数条の青筋が見える、口渇は強いが尿は出ない。それに、3日間便秘している。浮腫は緊張が強くて、張り切っていて、強く押さないと凹まない。脈も沈んでいるが、力がある。こんな状態から考えると、この患者の浮腫は実腫であり、茵蔯蒿湯証のように思われた。
茵蔯蒿湯は、一般に黄疸を治する処方のように考えられているが、この方は“瘀熱が裏にある”と古人がいった場合に用いる方剤で、 口渇・尿利の減少と尿の赤褐色・便秘・胸内苦悶・腹部膨満などを目標にして用いる。必ずしも黄疸の存在を必要としない。《中神琴渓》は、頑固な子宮出血で、いろいろの手当でも治らなかったものを、裏に瘀熱があるからとて、この方を用いて治し、《村井琴山》は、脚気で、ほていのように脹満した者に、この方を与えて速治している。
今、この患者をみるに、浮腫はひどいけれども、茯苓や朮のような利尿剤を用いる証とも思われない。また麻黄剤の適応症のようにも見えない。この患者は、浮腫の他に、心胸部の苦煩(むなぐるしい)口渇、尿利の減少、便秘、腸満を訴えている。しかし患者の主訴は、心胸の苦煩である。そのため眠れないのである。これは正しく梔子剤の証にみられる心中懊にて眠るを得ざる証ではないか。茵蔯蒿湯の証に“心胸安からず”とあるのは、この状態をいったものである。また茵蔯は、裏の瘀熱を去って口渇を治し、尿量を増やす効がある。茵蔯蒿湯はこの2つの薬物に大黄を加えたものである。
このような考案によって、茵蔯蒿湯を与えたところ、驚くべき奇効がたちまち現れ、その翌日は尿量1500‹に達し、心胸はくつろぎ、食は進み、20日ばかりにして、腹部に浮腫を残すだけになり、自覚的には、ほとんど苦痛を訴えない状態となった。心下部の青筋と腹水はやや減少したが、全く去るというまでにはならない。その頃になって、尿量はまた少し減じ、700~800‹になった。これは気分が良いために、安静を守らないからではないかと考えた。ところが投薬を始めて26日目の夜半の2時頃より猛烈な腹痛を訴えるようになり、盲腸炎らしいから至急往診を乞うという電話があった。不思議に思いながら、駆けつけてみると、患者は眉間にシワをよせて、涙を流している。顔は蒼白である。脈をみると、浮にしてやや数である。疼痛は回盲部より右腎の部位に広がり、圧に対して過敏である。ちょっと右足を動かしても、寝返りをしても腹痛はひどくなる。しかも、腹部にはまだ浮腫が相当あるので、深部の状態を充分に探ることが難しい。体温は39度6分である。
私は両親を別室に呼んで言った。こんどの腹痛はおそらく虫垂炎のためであろうと思う。しかしネフローゼに併発した虫垂炎を治療した経験は私にない。したがって、先の見透しはつかない。治療をしてみなければ、治るとも治らない友断言できない。私は一生懸命に手当をしてみるつもりでいるが、虫垂炎は手術しなければならないというのが一般の風潮であるから、あなた方が手術をする覚悟であるなら、私はこれを拒まない。ただ手術の結果がネフローゼに良い影響を与えると、私は考えないから、その点を御熟考の上、態度を決められたいといって帰ってきた。
すると1時間もたたないのに薬をとりにきた。そして云った。「一切を先生にお任せします。たとえ死ぬようなことがあっても、決して恨みません。私たちは覚悟を決めました」と。そこで私は大黄牡丹皮湯を与え、午後3時頃、電話をかけて症状をたずねた。体温は37度8分をなり、腹痛も楽のようだというのが、その返事であった。
私はいくらか安心して、往診の途中、午後7時頃、患家に立ち寄った。その時、患者は眠っていたが、脈も静になり、腹部には圧痛はあるが、自発痛は8分通り去った様子である。その翌朝早く、私はまた患家をたずねた。そして驚いたことには、いままで膨満して青筋のあった腹がぐっと小さくなり、青筋も無くなっている。尿は昨朝から1500‹以上も出たという。ほとんど飲食物をとっていないのに、いままでにない多量の尿が出たことは、予想外であった。しかし体温は平温になった。それから引き続き6日間、大黄牡丹皮湯を与えたところ、虫垂炎の症状はすっかりとれ、尿は毎日1500‹~2200‹もあり、尿中のタンパクもほとんど出なくなった。
この患者は前から腹部に青筋があったから、初めから、瘀血の証として、駆瘀血剤を与えるべきであったかも知れない。《大塚敬節》
[63]熱感
[64]ノイローゼ
[65]バセドウ病
[66]肺炎
[67]梅核気(のどの異物感)☆梔子は“咽中のふさがる”のを治する効があり、利膈湯、梔子豉湯などは食道炎・食道ポリープ。食道ガンなどによる嚥下困難に用いられる。そこでこれらもまた咽頭の異物感に応用でられる。また梔子の配剤せられている茵蔯蒿湯の証にも、のどのつまるという訴えがもられる。《大塚敬節》☆14歳の男子。10日前からひどいジンマシンが出るようになった。その頃から、のどがつまるような感じが起こり、又、のどがつまるような時にはジンマシンもひどく出るという。前々から便秘するくせがあり、下剤で通じをつけているという。茵蔯蒿湯を用いる目標の1つに“心胸安からず”という症状がある。私はこののどがつまるような感じを“心胸安からず”の変形とみた。そして茵蔯蒿湯を用いたところ、5日間の服用で、のどのつまる感じが去ると共に、ジンマシンも全く出なくなった。《大塚敬節》
[68]発熱
[69]ヒステリー
[70]皮膚病
[71]浮腫:☆口渇と尿利の減少と便秘と胸内苦煩を目標にして用いる方剤であるが、これらの症状があって浮腫するものに用いる《大塚敬節》☆効のあったのは、いずれも、腹部の浮腫が他の部分より著しく、便秘の傾向だった。《大塚敬節》
[72]腹水
[73]腹満:☆少し<+>腹部が膨満する。☆熱性証候劇しからず、腹満あるも能く食し、尿赤渋して糞便硬く、汗無くして煩悶する証《奥田謙蔵》☆汗下の後、熱性証候なく、腹満ありて糞便黒く、時々蒜臭を自覚し、煩悶し、然かも反って能く食する証《奥田謙蔵》☆発汗の後、腹満し、譫語し、或いは時に狂状をい発し、尿不利、大便難、その脈微にして沈なる証《奥田謙蔵》☆腹満著明ならá「承気湯類」を考える。☆腹満なら:á「小柴胡湯」を考える。
[74]不眠症
[75]便がスッキリ出ない
[76]便秘:☆肝機能障害があって便秘する者に用いる機会がある。ときに大柴胡湯に合して用いる《大塚敬節》
[77]膀胱炎
[78]慢性肝炎
[79]目が充血
[80]目が黄濁(目がきたない)
[81]卵巣機能障害
#茵蔯呉茱萸湯《東醫寶鑑》
「茵蔯一物湯呉茱萸・炮附子・乾姜(炮)木通・当帰各1銭」 ◎陰黄で姜・附諸薬を飲んでも治らず、脈遅の者。
#茵蔯五苓散[1-1]《金匱要略》「茵蔯蒿(末)10分、五苓散5分」右二物和、先食飲方寸匕、日三服。◎黄疸病、茵蔯五苓散主之。《金匱要略》黄疸病脉證并治第十五。
#茵蔯五苓散[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「茵蔯蒿末2、五苓散1の割合で混和し、1日量6.0gを分3。」 ◎黄疸、小便不利。
#茵蔯五苓散料[1-3]《金匱要略》《龍野ー漢方処方集》「茵蔯蒿6.0g、沢瀉・茯苓各4.0g、白\朮・桂枝・猪苓各3.0g」
#茵蔯五苓散[1-4]《金匱要略》《勿誤薬室方函口訣》「五苓散方中に茵蔯を加う」 ◎此方は発黄の軽症に用いる。小便不利を主とするなり。故に《聖済総録》に此方、陰黄身如橘色小便不利云々治すと云う。陰黄の症、《巣源》に詳らかに見えて陰症のこと
茵蔯五苓散[1-5]《金匱要略》《東醫寶鑑》「茵蔯1両、五苓散5銭」粉末にし、毎回2銭を米飲で調下する。「五苓散茵蔯4g」《方薬合編》 ◎湿熱黄疸を治す。
◎排尿障害・黄疸・肝硬変・腎炎・浮腫。 ◎黄疸病、発熱して水を飲まんと欲し、小便難にして腹虚なる者は、茵蔯五苓散之を主る。《医聖方格》
★適応症及び病名 (茵蔯五苓散)
[1]足の裏(足蹠)が熱っぽい。
[2]油っこい食事で気分が悪くなる
[3]アルコール中毒による肝障害。
[4]黄疸 ☆<湿熱><酒疸>の黄疸に使う。
☆五苓散の証にして発黄する者を治す。《吉益東洞》
☆黄疸様疾患にして、熱性症候甚だしからず、腹部比較的軟弱、尿量減少せる等の者。《奥田謙蔵》☆初生児の黄疸。《奥田謙蔵》
☆寒湿による黄疸⇒「茵蔯四逆湯」を考える。
☆黄疸があって、口渇と小便不利のある者に用いる《大塚敬節》“患者は有名な画家であるが、胆石疝痛の発作が、たびたび起こるので、某病院で胆嚢の摘出手術を受けた。ところが、その後も、毎年初夏になると、胆石疝痛に似た症状が起こる。そのために、半年ぐらいは仕事が出来ないという。発作の起こり初めは、食欲が無くなる、それがひどくなると嘔吐が始まる。腹痛はひどくはないが、嘔吐のため食事がとれないので、体力が衰え、僅かの腹痛にも堪えがたいと云う。このような状態が10月頃まで続く。その為患者は、骨と皮になってしまうのが常だった。昭和22年7月8日、私はこの患者を茨城県の某町に見舞った。何を食べても吐くので、やっとの思いで、重湯をすすっているというこの患者は、発病してまだ7日あまりなのに、かなり衰弱し、それに黄疸も現れている。脈には力が無く、しかものろい。腹にも力がない。上腹部を強く圧すと痛む。ノドは渇くが、吐くので出来るだけ呑まないようにしているという。尿は柿の色のように赤く、1回に50~100‹ぐらいしか出ない。私は口渇・嘔吐・尿利の減少・黄疸を目標にして、茵蔯五苓散を与えて嘔吐を鎮めることに成功した。嘔吐は止んだが、食欲がないので、しばらく六君子湯を与えて様子を見ることにした。これを飲んでいる中にも黄疸もとれ、日増しに体力がつき、庭に萩の花が咲く頃には、これを写生出来るほどに力がついてきたその後、この患者は再びこのよいうな発作を起こさなくなった。この場合に、茵蔯五苓散で、腸管に残っていた石が排泄せられたのかも知れない”
[5]悪寒
[6]悪心
[7]嘔吐
[8]顔に発斑<赤い>
[9]からだが黄色い(皮膚色<黄色い>)
[10]肝硬変
[11]急性胃腸炎
[12]急性肝炎:☆口が渇き、水っぽいものばかり欲しく、吐き気があり、尿量の少ない急性肝炎で、便秘せず下痢しているか、便通が快通しているならば、茵蔯五苓散を用いる《大塚敬節》
[13]急性膵炎
[14]月経困難(煩渇・小便不利を伴う)
[15]月経不順
[16]下痢(泥状~水様便)
[17]口がねばる
[18]口渇
[19]口苦
[20]ジンマシン
[21]自汗
[22]十二指腸潰瘍
[23]上腹部振水音
[24]小便不利
[25]食事の臭いで気分が悪くなる
[26]食欲不振
[27]心悸亢進
[28]心懊悩
[29]新生児黄疸
[30]膵臓炎
[31]舌質:<紅>
[32]舌苔:<微白~微黄~微黄膩>
[33]胆石症
[34]胆嚢炎(急性胆嚢炎)
[35]つわり
[36]手足煩熱
[37]吐乳
[38]軟便
[39]尿色<赤黄><赤濁>
[40]尿量減少
[41]ネフローゼ:☆患者は3歳の時、肺結核に罹り、化学療法の他に小柴胡湯を併用して高熱も下り、咳も止みやっと全快し、やれやれと安心したところで浮腫が現れた。この浮腫は数日のうちに眼も開かないほどに高度になり、尿中のタンパクもズルフォ2、3滴で泥状に固まるほどに多い。口渇は激しいが、尿は1昼夜に300~200‹くらいである。初診時の血圧は134-110で、脈は沈小数で悪寒があった。腹部は膨満して腹水があり、皮膚は緊張している。下肢の浮腫を按圧してみるに、しばらく陥没しているが、軟弱ではない。舌には白苔があって乾燥している。食欲はあまりなく、水っぽいものばかり欲しがる。大便は1日1行で軟い。
こんな状態であるから、予後が心配である。しかしとにかく出来るだけの手当をしてみようと考え、五苓散に茵蔯を加えて茵蔯五苓散として与えた。なぜ茵蔯を加えたかというに、茵蔯には肝臓の機能を盛んにして、尿利を促す効があるので、これを加えてみたのである。ところが、2、3日たつと、尿が400~600‹とだんだん多く出るようになった。しかしこの患者はなかなか安静を守らないので、たびたび失敗して何回も後戻りをしながら、しかも次第に浮腫が減じ、5ヶ月たった頃は、腹水と下肢の浮腫を残すのみとなった。ところが、ある夜、突然39℃の熱が出た。耳が痛いという。中耳炎である。そこで小柴胡湯桔梗石膏に転じ、数日で、中耳炎は全快した。そこでまた茵蔯五苓散に戻した。その後も、時々、風邪を引いたり、咳をしたり、熱を出したりした。その時は小柴胡湯茯苓黄連を与え、これらの症状がとれてから、茵蔯五苓散に戻した。こんな風にして、2年あまりたった頃には、浮腫はほとんどなくなり、何かの拍子に時々僅かに浮腫が現れる程度になった。《大塚敬節》
[42]のぼせ
[43]排尿困難
[44]発熱<+>☆発熱は強くない。強い時は茵蔯蒿湯・梔子柏皮湯を考える。
[45]煩渇
[46]腹水(肝硬変の)
[47]腹部膨満(脹満)
[48]浮腫
[49]二日酔い
[50]慢性肝炎:☆口が渇き、尿が出にくい者で、腹壁柔らかく、胃内停水ある者。 ☆62歳の男性。 「6ヶ月前から鳩尾の当たりが張り、苦しく、食欲が衰え、むくみが下肢から腹部に及んできた。小便は黄赤色で回数が多くなり、腹水と下肢のむくみが徐々に増えて黄疸があらわれてきた。
むくみは軟弱で押すとへこんで長くそのまま残っている。小柄でやせ衰え、肝臓が腫れていて、脈は弦緊で、血圧は(205-95)、舌には白いコケが熱く乾燥し、口は渇いている。肝臓ガンの疑いがあるからと、入院を勧められたことがあるという。
しかし入院を嫌い、薬を望むので茵蔯五苓散の煎薬を与えたところ、、尿量が増え、20日後には黄疸・肝臓肥大・腹水のいずれもほとんど消えて、食欲が出て元気になった。血圧も(140-80)となり、40日間服用ののち、出勤する事が出来る葉になった」《矢数道明》
[51]メッケル憩室⇒胎生時の臍腸管が、生後完全に閉鎖しないために生じる腸の憩室。
[52]目が黄色い
[53]目眩
#茵蔯散[1]《聖済総録》《勿誤薬室方函口訣》 「茵蔯・柴胡・芍薬・茯苓・黄芩・麦門冬・山梔子・犀角・甘草・生姜・竹 葉・地黄」◎傷寒の後、熱心中にあり、恍惚・多驚・不眠を治す。 ◎此の方は《医学綱目》犀角湯の原方にして、傷寒、導赤各半湯の症にて、熱心下に結留して数日解せざる者に用いて効あり。雑病には犀角湯反って捷効する。
#茵蔯散[2]《張氏医通》《勿誤薬室方函口訣》 「茵蔯蒿・荊芥・薄荷・連翹・麻黄・升麻・独活・白彊蚕・細辛・大黄・牽牛子」◎骨槽風を治す。骨槽風は難治だが、初起に此方を用いると治ることが多い。[骨槽風]=耳前頬骨に生じ、腐潰穿孔し、口中膿を噴す。口眼斜になったり、上歯根が腐潰して飲食出来ず、遂には死亡することもある。◎此方は骨槽風を治すのが主であるが、牙歯疼痛、歯根腐爛して諸薬無効の者の用いる。◎さらに、上部瘀毒上衝して項背強急する者を治す。
★適応症及び病名 (茵蔯散)
■骨槽風:☆骨槽風の初期に用いる《浅田宗伯》
■歯根炎
■歯根膜炎
■虫歯の痛み #茵蔯散[3-1]《東醫寶鑑》「茵蔯蒿・山梔子・赤茯苓・猪苓・沢瀉・蒼朮・枳実・黄連・厚朴・滑石各1銭、灯心一握り」煎服。 ◎湿熱黄疸を治す。
#茵蔯散[3-2]《万病回春》《古今方彙》「茵蔯蒿・枳実・芍薬・厚朴・滑石・猪苓・沢瀉・蒼朮・赤茯苓・黄連各等分、燈心草」水煎。◎湿熱にて発黄するを治す。◎身熱には:「柴胡」
◎小水短赤には:「黄柏」◎胸膈飽悶には:「蘿葡子茯苓」◎酒を飲む人:「瓜蔞仁乾葛砂仁滑石」
#茵蔯三物湯《東醫寶鑑》「茵蔯蒿3銭、山梔子・黄連各2銭」水煎服。 ◎黄疸で熱便の不利する者。
#茵蔯四逆散《東醫寶鑑》「茵蔯一物湯・炮附子・乾姜(炮)・炙甘草各1銭」 ◎陰黄で肢体が逆冷し、自汗する者。
#茵蔯四逆湯[1-1]《張氏医通》 「茵蔯蒿・炮姜各6g 炮附子・炙甘草各4g」◎温化寒湿、補陽退黄《中医処方解説》
#茵蔯四逆湯[1-2]《張氏医通》「茵蔯蒿18g、熟附子9g、乾姜9g、甘草(炙)3g」水煎服。
#茵蔯四逆湯[1-3]《方薬合編》「茵蔯・乾姜・炙甘草各4g 炮附子1~4g」 ◎身体が冷え・自汗する黄疸。
#茵蔯四逆湯[1-4]《景岳全書》ー古方八陣ー「茵蔯2両、炮姜1両半、附子(炮)1個、甘草(炙)」
#茵蔯四逆湯[1-5]《医塁元戒》 「四逆湯茵蔯」「茵蔯2両、附子1枚、乾姜1両半、甘草(炙)1両」水煎。《古今方彙》冷服する。◎発黄、脈沈細にして遅、肢体逆冷し、腰以上自汗する者を治す。◎これ陰黄の証治に属す。《雑病翼方》
★適応症及び病名(茵蔯四逆湯)
<1>黄疸:☆寒湿による黄疸☆陰黄(黒ずんだ黄疸) ☆黄疸の陰症ですでに厥陰に及んだ者に用いる《有持桂里》☆手足など微冷する者に用いる。しかしこの方は茵蔯蒿がなくても良い。一通の四逆湯でよい。ただ他の医者と対診して処方を書くときには、四逆湯を用いると云えば、見識のある古方家ならば合点するけれども、そうでない人は信用しない。そこで四逆湯を用いても表向きには《医塁元戒》の茵蔯四逆湯を用いると云っておいた方が、そばの人が安心してよいものである。《有持桂里》
<2>肝硬変
<3>食欲不振・下痢:「白朮」《医学心悟》
<4>慢性黄疸型伝染性肝炎
<5>慢性胆嚢炎
#茵蔯四逆散《東醫寶鑑》
「茵蔯一物湯・炮附子・乾姜(炮)・炙甘草各1銭」 ◎陰黄で肢体が逆冷し、自汗する者。
#茵蔯四逆湯[1-1]《張氏医通》 「茵蔯蒿・炮姜各6g 炮附子・炙甘草各4g」◎温化寒湿、補陽退黄《中医処方解説》
#茵蔯四逆湯[1-2]《張氏医通》「茵蔯蒿18g、熟附子9g、乾姜9g、甘草(炙)3g」水煎服。
#茵蔯四逆湯[1-3]《方薬合編》「茵蔯・乾姜・炙甘草各4g 炮附子1~4g」 ◎身体が冷え・自汗する黄疸。
#茵蔯四逆湯[1-4]《景岳全書》ー古方八陣ー「茵蔯2両、炮姜1両半、附子(炮)1個、甘草(炙)」
#茵蔯四逆湯[1-5]《医塁元戒》 「四逆湯茵蔯」「茵蔯2両、附子1枚、乾姜1両半、甘草(炙)1両」水煎。《古今方彙》冷服する。◎発黄、脈沈細にして遅、肢体逆冷し、腰以上自汗する者を治す。◎これ陰黄の証治に属す。《雑病翼方》
★適応症及び病名(茵蔯四逆湯)
<1>黄疸:☆寒湿による黄疸☆陰黄(黒ずんだ黄疸) ☆黄疸の陰症ですでに厥陰に及んだ者に用いる《有持桂里》☆手足など微冷する者に用いる。しかしこの方は茵蔯蒿がなくても良い。一通の四逆湯でよい。ただ他の医者と対診して処方を書くときには、四逆湯を用いると云えば、見識のある古方家ならば合点するけれども、そうでない人は信用しない。そこで四逆湯を用いても表向きには《医塁元戒》の茵蔯四逆湯を用いると云っておいた方が、そばの人が安心してよいものである。《有持桂里》
<2>肝硬変
<3>食欲不振・下痢:「白朮」《医学心悟》
<4>慢性黄疸型伝染性肝炎
<5>慢性胆嚢炎
#茵蔯梔子湯《東醫寶鑑》「茵蔯蒿3銭、大黄2銭、山梔子・枳実各1銭」水煎服。 ◎穀疸を治す。
#茵蔯瀉黄湯《東醫寶鑑》「葛根1銭半、茵蔯蒿・黄連(姜汁炒)・山梔子(炒)・白朮・赤茯苓・白芍・厚朴・木通・人参各1銭、木香7分、生姜3片」水煎服。 ◎発熱して黄疸担った症(⇒瘟黄)を治す。
#茵蔯朮附湯《医学心悟》《中医処方解説》「茵蔯四逆湯加白朮」
#茵蔯大黄湯[1-1]《万病回春》《古今方彙》「茵蔯・大黄・枳実・山梔子・厚朴・滑石各等分、甘草減半、燈心草」水煎。◎黄疸にて大便結実するを治す。
#茵蔯大黄湯[1-2]《東醫寶鑑》「茵蔯蒿・山梔子・柴胡・黄柏・黄芩・升麻・大黄各1銭、草竜胆5分」水煎服。 ◎傷寒の大熱で黄疸になった者。
#茵蔯湯[1]《備急千金要方》 「茵蔯蒿湯《傷寒論》黄芩・黄連・人参・甘草」◎虚証の黄疸。
#茵蔯湯[2]《東醫寶鑑》「茵蔯3銭、大黄・梔子各1銭」作1貼し、水煎服。◎穀疸を治す。
#茵蔯附子湯《東醫寶鑑》「茵蔯一物湯炮附子・炙甘草各1銭」 ◎陰黄で全身が冷たい者。
#茵蔯附子乾姜湯[1]《衛生宝鑑》 「茵蔯蒿4.8g 炮附子12g 炮姜8g、草豆蔲(とろ火で煮る)4g、白朮1.6g、枳実(麩と炒る)・製半夏・沢瀉各20g、茯苓・橘紅各1.2g 生姜5片」
#茵蔯附子乾姜湯[2]《東醫寶鑑》「炮附子・乾姜(炮)各2銭、茵蔯蒿1銭2分、草豆蔲1銭、枳実・半夏・沢瀉各5分、白朮4分、白茯苓・橘紅各3分、生姜5片」水煎服。 ◎陰黄を治す。
#茵蔯茯苓湯《東醫寶鑑》「茵蔯蒿3銭、茯苓・猪苓・滑石・当帰・官桂各1銭」煎服。 ◎陰黄で小便不利、煩躁で渇する者。
#茵荊湯《竹中文慶》 「茵蔯蒿・荊芥・蒼朮・茯苓・猪苓・沢瀉・蒲黄・鉄粉」
#茴香安腎湯[1]《方薬合編》「人参・白朮・茯苓・茴香・破故紙・檳榔子・烏薬・香附子・縮砂・各3.2g 黄柏・沢瀉各2.4g 延胡索・木香各1.6g升麻・甘草各0.8g」 ◎睾丸腫大。
#茴香安腎湯[2]《東醫寶鑑》《方薬合編》 「人参・白朮・白茯苓・茴香・破故紙・檳榔・烏薬・香附子・縮砂・茄枝核各8分、黄柏・沢瀉各6分、木香・延胡索各4分、升麻・甘草各2分」水煎服。 ◎左辺が偏墜して、睾丸が鶏卵の大きさになった者。
#茴香練実丸《東醫寶鑑》「川楝子(炒)・茴香・山茱萸・呉茱萸・食茱萸・青皮・陳皮・馬蘭花・芫花各1両」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。温酒で50丸呑む。 ◎男の七疝。婦人の帯下・煆聚で痛みの激しい者。
#右帰飲[1-1]《景岳全書》(新方八陣・巻51)「熟地黄2銭~2両、山茱萸1銭、山薬(炒)・枸杞子・杜仲各2銭、甘草(炙)・肉桂1~2銭、制附子1~3銭」
#右帰飲[1-2]《景岳全書》《中薬臨床応用》「熟附子片5g、肉桂3g(服)、熟地黄18g、山茱萸9g、山薬12g、杜仲9g、枸杞子6g、炙甘草3g」◎陽虚の衰弱◎下半身の冷感◎腰膝がだるい◎下腹部の冷えとひきつるような痛み◎脈細弱
#右帰飲[1-3]《景岳全書》《中医処方解説》「附子9g、肉桂6g、熟地黄30g、山茱萸9g、山薬24g、枸杞子30g、杜仲15g、炙甘草3g、茯苓9g」◎温補腎陽。
#右帰飲[1-4]《方薬合編》「熟地黄8~18g 山薬・枸杞子・杜仲各8g 山茱萸・肉桂・炙甘草各4g 炮附子1~4g」 ◎虚労・尿失禁・腰痛・冷え症。
#右帰丸[1-1]《景岳全書》(新方八陣)「熟地黄8両、山薬(炒)・枸杞子・鹿角膠・制菟絲子・杜仲各4両、山茱萸・当帰各3両、肉桂2~4両、制附子2~6両」
#右帰丸[1-2]《景岳全書》《中医処方解説》「熟地黄24g、山薬12g、山茱萸9g、枸杞子6~12g、杜仲12g、兎絲子12g、熟附子6~18g、肉桂6~12g、当帰9g、鹿角膠12g、を粉末にし、蜜丸にし、1日2~3回6gづつ服用。◎温補腎陽、補血益精。
★適応症及び病名(右帰丸)■インポテンツ■遺精■慢性疾患:種々の慢性疾患で、腎陽虚の者。
#羽沢散(うたくさん)《方輿輗》「明礬・杏仁・甘草各2.0、丁字・竜脳各1.0」細末にし、絹布に包み座薬として膣内に挿入する。◎白帯止まず陰門腫痛、orかゆみ、or冷え、or臭気甚だしい者。◎この方は膣に挿入する坐薬で、内服薬に兼用する。帯下の多い者、陰部の冷える者、陰部にかゆみのある者などによい。《大塚敬節》
#禹功散[1-1]《寿世保元》《勿誤薬室方函》 「牽牛子4両、茴香1両」或いは木香1両を加う。生姜汁にて3味を調え、臥に臨んで服す。 ◎《古今医鑑》に云う、寒疝を治す。松原一閑斎曰く、疝気腰痛する者を治す。寧固曰く、乾湿水疝・陰嚢腫脹する者。
#禹功散[1-2]《東醫寶鑑》「黒丑頭末1銭、茴香2銭半、木香1銭」作末し、毎回2銭を姜湯で調下する。◎寒疝を治す。
#禹功散[2-1]《寿世保元》《龍野ー漢方処方集》「陳皮・半夏・茯苓・猪苓・沢瀉・白朮・木通・黄芩・山梔子各3.5g、升麻1.5g、甘草1.0g」◎尿閉。
#禹功散[2-2]《寿世保元》《方薬合編》「陳皮・半夏・茯苓・猪苓・沢瀉・白朮(炒)・木通・黄芩・山梔子(炒)各4g、升麻1.2g、甘草0.8g」◎排尿困難。
#禹功散[2-3]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・半夏・赤茯苓・猪苓・沢瀉・白朮・木通・黄芩・山梔子各1銭、升麻3分、甘草2分」水煎。 ◎小便通ぜず、百法奏功する能わざる者を治す。
#禹余粮丸《東醫寶鑑》「禹余粮(煆)・赤石脂(煆)・竜骨・蓽撥・訶子(炮)・乾姜(炮)・肉豆蔲()・炮附子各等分」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で70丸呑む。 ◎虚寒で、下痢が止まらない者。滑泄不禁。
#烏鴉散《東醫寶鑑》「烏鴉羽(焼く)1銭」酒で調服する。服用後に又酒1~2杯を呑んで、薬 力を増加させる。 ◎破傷風で、血が見えて昏悶する症。
#烏蝎散《東醫寶鑑》「四君子湯川烏・全蝎・天南星各1銭、生姜1」 ◎慢驚風の純陰性による吐瀉の止まらない症。
#烏金丸《経験方》「乳香、没薬、大黄、香附子、当帰、延胡索、烏薬、桃仁、蓬莪朮、天虫、五霊脂、肉桂、木香、益母草、黒豆、蘇木、紅花」
#烏荊円《和剤局方》 「荊芥穂・生烏頭」◎小産後、口噤目吊し、手足抽掣し、項背強直、角弓反張し、心頭倒築し、自利煩躁する者を治す。《雑病翼方》
#烏朮丸《東醫寶鑑》「蒼朮(水に10日間漬けて、皮を剥いて切り、焙って乾燥)半斤、川烏・川椒・青皮(去白)各3両、青塩1両を細末にし、蜜で梧子大に丸め、空腹時に塩湯で(又は温酒)30~50丸飲む。◎虚労を治し、筋骨を壮健にする。
#烏頭桂枝湯[1-1]《金匱要略》 「烏頭」右一味、以蜜二斤、煎減半、去滓、以桂枝湯五合解之、令得一升後、初服 二合、不知、即服三合、又不知、復加至五合。其知者如醉状、得吐者為中 病。◎寒疝・腹中痛・逆冷・手足不仁・身体疼痛、灸刺諸薬不能治、抵當烏頭桂枝湯 主之。
#烏頭桂枝湯[1-2]《金匱要略》《東醫寶鑑》「大川烏を蜜1杯で煎じ、半減したら取り出して細切りにし、肉桂・白芍茎各3銭3分、甘草2銭半、を剉作2貼し、生姜3、大棗2を入れ、前の煎蜜半合を同時に煎じて服用。◎風寒疝気が腹に入って刺痛のため、陰部がしぼみ・手足が冷える。
#烏頭桂枝湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 「烏頭1gを蜂蜜36gで煮て半分に煮詰め、別に桂枝湯20gを作り、両者を混和し、はじめ8gを服し、効かないと12gを服し、それでも効かないと20gを服用。 「桂枝湯烏頭蜜」《勿誤薬室方函口訣》◎腹中絞痛し、手足厥冷し、或いは不仁、或いは身疼痛する者を治す。《吉益東洞》 ○腹中絞痛し、手足逆冷し、或いは不仁、或いは身疼痛する者を治す《方極》 ○此の方の証は、桂枝湯の証にして此の諸証を兼ねるものなり。故に桂枝湯の方内において、烏頭、蜜煎を加えて之を治す。故に、「桂枝湯証にして」の5字あるべし。《方極刪定》◎此方は寒疝の主方なり。故に腰腹陰嚢にかけ苦痛する者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎後世にては「附子建中湯」を用ゆれども、此方、蜜煎にしたる方が速効あり。◎証によって「鹿茸」《勿誤薬室方函口訣》◎烏頭煎と表裏の別あり、病勢沈淪するは是れ「烏頭煎」とし、病勢浮揚するは是れ「烏頭桂枝湯」と為す。《雑病論識》 ◎激しい腹痛、手足冷或いは手足麻痺、或いは身疼痛、或いは腹部の深部鈍痛。 ◎「桂枝加附子湯」と組成が似る。◎「烏頭煎桂枝湯」《大塚敬節》◎目標:《金匱要略》には、寒疝で腹が痛み、からだ中が冷え込み、手足が麻痺し、または体が痛み、灸をしたり、鍼をしたり、色々の薬を用いても、治すことの出来ない者は、烏頭桂枝湯の主治である。◎烏頭桂枝湯の煎じ方:「始め烏頭だけを蜂蜜だけで煎じ、滓を濾してから、桂枝湯の煎汁を混合してから飲むことになっているが、烏頭湯の場合のように、烏頭その他の薬を全部一度に水で煎じて滓を濾し、次に蜂蜜を入れて溶かしてから呑んでも良い。蜂蜜を入れることを忘れると、中毒症状が起こしやすいから、おろそかにしてはいけない」。《大塚敬節》
★適応症及び病名(烏頭桂枝湯)
[1]イレウス
[2]運動麻痺:☆わが子乾先生は、しばしばこの方を用いて、痿躄で廃人になった者や、腰脚が引きつれて痛み、屈伸したり、寝返りしたりすることの出来ない者、または脚の心が割れるように痛み、筋脈が断折して堪えられないように痛み者など、いろいろの薬で効の無い者及びイザリで疼痛のある者を治した。しかし大腿部から下にかけて筋肉が萎縮している者は治らない。この薬をみだりに与えてはいけない。瞑眩を起こして死にそうになる。少し誤れば必ず死期を促すことになる。死んでからでは鍼灸も薬も救う事は出来ない《用方経験》
[3]ガン性の疼痛:<劇痛>
[4]関節炎
[5]寒疝:☆臍をめぐって痛み、もし発すれば即ち自汗出、手足厥逆す。その脈沈緊なる者、「大烏頭煎」之を主る。 烏頭(大)5枚、石水3升を以て煮て1升を取り、滓を去り、蜜2升をいれ、煎じて水気を尽さしめ、2升を取る。強人7合を服し、弱人5合を服す。差えざれば明日更に服す。
[6]気の上衝<+>
[7]ケイレン
[8]五十肩
[9]骨髄骨膜炎
[10]自汗
[11]四肢疼痛<劇痛>
[12]四十腕[13]神経痛<劇痛>[14]身体の疼痛<劇痛>[15]脊髄腫瘍[16]脱疽[17]知覚麻痺[18]腸閉塞[19]手足厥冷[20]のぼせ[21]脳血管障害[22]破傷風[23]腹痛[24]腹部の冷え[25]ヘルペス [26]慢性関節リウマチ[27]腰痛:☆失精家、常に腰足冷えて臍腹力なく、脚弱く、羸痩、腰痛する者に「烏頭桂枝湯」及び「大烏頭煎」効あり。 #烏頭赤石脂丸[1-1]《金匱要略》「蜀椒1両1法2分、烏頭(炮)1分、附子半両(炮)1法1分、乾姜1両1法1分、赤石脂1両1法1分」右五味、末之、蜜丸如梧子大、先食服一丸、日三服。◎心痛徹背、背痛徹心、烏頭赤石脂丸主之。 #烏頭赤石脂丸料[1-2]《龍野ー漢方処方集》 「蜀椒・白川附子・烏頭各1.0g、乾姜2.0g、赤石脂3.0」水半量、 常煎。 #烏頭赤石脂丸[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》「蜀椒・乾姜・赤石脂各1.0g、炮附子0.5g、烏頭0.1g」蜂蜜で0.3gの丸剤とし、1回1丸、1日3回。 ◎心痛背に徹し、背痛心に徹する者。 ◎人参湯は古人が裏寒とよんだ場合に用いる方剤で、沈衰した新陳代謝を新興せしめる作用がある。そこで胸痛に用いる場合でも、裏寒の症状として、尿の稀薄、舌の湿濡、腹および手足の厥冷感、などがみられるが、烏頭赤石脂丸はこの人参湯よりも更に新陳代謝が衰えている場合に用いる。《大塚敬節 ★適応症及び病名(烏頭赤石脂丸)[1]胃ガン[2]胃十二指腸潰瘍[3]嘔吐 [4]悪寒[5]悪心[6]顔色悪い[7]ガン性疼痛[8]狭心症[9]縦隔腫瘍[10]手術後の疼痛<劇痛>[11]食欲不振[12]心筋梗塞 [13]心下部疼痛<劇痛>☆心腹痛、年を経て已まざる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》[14]心胸部疼痛<劇痛>☆患者は体格の小さい血色のすぐれない41歳の女性。タバコを多飲する。この女性は1年中カイロを背に入れている。冬になると、腹にいま1つ加えて、腹背から温めるのを常としている。少し冷えると、みずおちから胸・背にかけて痛んで堪えられないが、カイロを入れると、しのぎやすいという。こんな風だから、夏はさだめし身体の調子が良いだろうと考えられるが、そうではなく、かえって全身が疲れて何も仕事が出来ない。就寝時には、汗を流しながら蒲団をかけている。食欲は普通で、大便は1日1行。小便は安静にしていると、良く出るが、少し動くと出が悪くなる。ときどき下肢に浮腫がくる。また頭が重くなる。脈は弦である。弦という脈は弓のつるを引っ張った状態で、ピンと張り切った脈で、この脈は裏寒の時によく見られる。 以上の症状から、附子の配剤された薬方が必要であることは、誰でも考えるであろう。私も先ず、桂枝加附子湯、附子粳米湯、附子理中湯、などを与えたが、大した効がないので、安中散に転方した。患者は、この薬を持参して、温泉に行った。ところが、4、5日いるうちに、胸背の痛みが堪えられないほど激しくなったので、急いで帰宅して診を乞うた。 その症状は《金匱要略》の赤石脂丸の条文の通り、胸から背に抜ける激しいものである。そこで私は赤石脂丸を試用することを決心し、患者を応接室に待たせて置いて、丸薬を作った。私は先ず青桐の実大にして丸薬を1つ呑ませた。すると、凡そ20分ほどたつと、胸背の疼痛のある部分だけに限局して灼熱感を覚え、あたかも背と胸で火が燃えているような気持になり、それと同時に激しかった疼痛は忘れたように消えてしまった。その後は、少しでも疼痛が起こると、この丸薬を1つ呑むだけで胸背痛を止めることが出来た。このようにして赤石脂丸を合計50粒にして、数年の痼疾が全快した。《大塚敬節》[15]膵臓炎[16]脊髄腫瘍[17]胆石症[18]手足厥冷: [19]肋間神経痛 #烏頭煎《金匱要略》「烏頭(大者5枚熬去皮咀)」右以水三升、煮取一升、去滓。内蜜二升、煎令水氣盡、取二升、強人服七合、弱人服五合。不差、明日更服。不可日再服。◎腹痛、脉弦而緊、弦則衛氣不行、即悪寒。緊則不欲食、邪正相搏、即為寒疝。寒疝遶臍痛、若發則自汗出、手足厥冷、其脉沈弦者、大烏頭煎主之。 #烏頭丸《奥田家方》「烏頭4.0、甘草8.0」右2味、各別に細末、蜂蜜を以て麻子大の丸剤。1回に2~3丸。◎悪寒し、四肢冷え、或いは筋骨攣痛し、或いは腹中絞痛し、或いは下利し、脈沈細にして熱候なき証を治す。◎凡そ諸種の疾病にして、所謂附子の証を現す者には、皆此方をその主方の兼用と為すことを得。 #烏頭湯[1-1]《金匱要略》「麻黄・芍薬・黄蓍各3両、甘草(炙)、川烏5枚咀以蜜2升煎取1升即出烏頭」右五味、咀四味、以水三升、煮取一升、去滓、内蜜煎中、更煎之、服七合、不知、盡服之。◎治脚気疼痛、不可屈伸。◎『外臺』治寒疝腹中絞痛、賊風入攻五臓、拘急不得轉側、発作有時、使人陰縮、手足厥冷。 #烏頭湯[1-2]《金匱要略》《中薬臨床応用》「製烏頭6g、麻黄6g、白芍薬9g、黄蓍9g、甘草5g」水煎服。◎風寒による痺 #烏頭湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 「麻黄・芍薬・黄蓍・炙甘草各3g、烏頭1g、蜂蜜40g」烏頭を蜂蜜で煮て20に煮詰め、別に他の4薬を水120で煮て40に煮詰め滓を去り、両者を合わせて、1回量30を服用。◎骨節疼痛して屈伸すべからず、及び腹中絞痛し手足厥冷する者を治す《吉益東洞》 烏頭湯証=歴節屈伸しべからず、疼痛。又曰く、拘急。 [歴節]=関節◎此方は歴節の劇症に用いて速効あり。◎此方は桂芍知母湯に比し、その力更に烈し、歴節初起の急激症を治す《雑病論識》 ◎四肢身体劇痛。 ★適応症及び病名 (烏頭湯)[1]陰嚢腫大:☆《華岡青州》曰く、切断後、烏頭湯を用うるに非ずんば膿を為す能わず。[2]悪寒[3]潰瘍<下腿の潰瘍>[4]鶴膝風:☆結毒頑固抜き難き者:「角石」[5]下肢の麻痺:(中枢性・脊髄性・末梢神経性・循環不全から)[6]関節の疼痛<劇痛>☆一婦人、臂痛甚だしく、屈伸すべからず、昼夜号泣、衆医治を尽くして治する能はず。余此方を用いて速やかに治す。《勿誤薬室方函 口訣》☆関節が激しく痛んで屈伸の出来ない者に用いる《大塚敬節》[7]頸腕部の神経痛<激しい>[8]血行不良・不全[9]骨髄炎の漏孔[10]座骨神経痛<劇痛>[11]自汗 [12]四肢の疼痛<劇痛>[13]身体疼痛<劇痛>[14]腸閉塞<劇痛に救急的に>[15]痛風:☆発作時の鎮痛。☆痛み激しい。 [16]手足厥冷[17]盗汗[18]嚢瘍: ☆《華岡青州》甘草分量少なく、蜜を加えざれば効なし。[19]半身不遂:☆《李挺》曰く、烏頭湯にて微に之を汗すと。按ずるに中風、疝より来る者、脈多くは緊なり。《雑病翼方》[20]反鼻傷:☆外、鍼を以て乱刺し、中黄雄黄を貼る。《方読便覧》[21]蝮蛇咬傷:☆烏頭湯及び紫円を内服し、柿実汁を塗布する、《先哲医話》☆結毒頑固抜き難き者:「角石」
[22]フルンケル:(硬く、痛み激しい)
[23]附骨疽:☆初起、「紫円」《方読便覧》
[24]腹痛<腹中の絞痛>☆寒疝で腹が絞られるように痛み、寝返りが出来ないほどに、引きつれる者に用いる《大塚敬節》
[25]浮腫
[26]慢性関節リウマチ<劇痛> ☆私は最近関節リウマチ疼痛が激しく、夜間眠れないという者に、種々の治療を施したが効無く、ついに、意を決して烏頭湯を与えたところ、初めて著効があって、疼痛が軽減した。ところが、これを用いると関節の疼痛は軽くなる反面、はげしい頭痛と悪心が起こって、続服出来かねると云う。これは烏頭の中毒症状であると考えたので、初めの1日分1.2の烏頭を1.0に減じ、0.8に減じたが、依然として頭痛が去らない。 そこでこれはあぶないと考えて、甘草附子湯とした。このさい附子は0.8としたが、頭痛は起こらず、関節の疼痛もやや軽快したと云う。 さて、烏頭は附子の母根で、附子はこの母根に付着した子であるが、今日一般に漢薬店で売っている白川附子と称するものは、すべて烏頭である。そこで、私が烏頭湯の時に用いた烏頭も、甘草附子湯のときに用いた附子も、同じ白川附子であった。そこで烏頭湯を用いた時の激しい頭痛と悪心は、烏頭のせいだけではなかったらしい。 烏頭や附子の中毒については、烏頭桂枝湯の方後に“その知る者は酔状の如し、吐を得る者は病にあたるとなす”といい、これを和久田寅は次のように説明している。 “烏頭の良は少なくとも悪寒がしたり、からだがシビレ足り、口に山椒を噛むようなシビレが来て、吐きそうになり、起き上がろうとするとめまいがくる。多量を呑んだ時は、からだが冷え、冷汗が流れ、吐いたり下したりして、脈は沈んで触れなくなり、死んだようになる。その軽い場合は1、2時間、重いときは半日ばかりで醒める。この薬は瞑眩を起こすから慎重に扱わなければならない。万一瞑眩を起こした時は、驚いて妄りに他の薬を与えてはいけない。また慌てて火で温めてもいけない。静かにして醒めるのを待つが良い。醒めて後で吐く者もあり、瞑眩のさいに嘔吐と下痢が同時に来ることもある。ただ、醒めて後に渇して呑みたがるなら、冷水を与えて、様子を見るがよい。もし誤って烏頭・附子の毒に当たる者は、味噌汁を呑むか、黒豆甘草湯を呑むか、又は乾姜甘草湯を呑むが良い”《大塚敬節》 [27]腰痛<激しい>☆腰痛数年止まず、佝僂せんとする者、《中川良哉》此方を用い、腰に芫菁膏を貼して全治す。
[28]卵巣軸捻転
[29]歴節風:☆陰陽の別あり。陽に在る者、越婢加朮湯、陰に在る者、烏頭湯と為す。二証、日を経て差えず、身体羸痩して脚独り腫れ、頭眩、短気、吐かんと欲する者、桂芍知母湯と為すなり。《雑病弁要》 脈:☆脈の緊または沈の者に、烏頭湯を用いれば百発百中であるが、洪数の者には効がない。効がないばかりか、反って悪くなることがある。洪数は続命湯を用いる脈である《有持桂里》
#烏頭七棗湯《東醫寶鑑》「川烏(大)(塩水で7回漬けて、皮と臍は捨て)2貼にし、1貼に生姜7、 大棗7、葱白3茎を入れて煎じ冷まし、先に棗を食べたあと薬を飲む。 ◎労瘧と寒瘧を治す。
#烏豆湯《経験方》《中医処方解説》「製川烏頭9g(先煎)、製草烏頭9g(先煎)、白芍9g、黒豆30g、紅花6g、黄蓍12g、麻黄3g」水煎服。◎散寒湿、止痛、補気血。
#烏鬚髪方《東醫寶鑑》「水蛭(大)2個を磁器椀の中に入れて7日間飢えさせて、烏骨雌雄の血で松煙墨をといて猪尿胞に入れ、水蛭に食わせ、針で水蛭をついて血が出たら、それを鬚髪の根に塗る。」 ◎毛髪が白くなる者。
#烏鬚酒《万病回春》《東醫寶鑑》「黄米(粘黎米)3斗、麦門冬8両、生地黄・何首烏各4両、天門冬・熟地黄・枸杞子・牛膝・当帰各2両、人参1両」を粉末にし麹(こうじ)を適当に入れて、普通の酒と同じように醸造し、毎日夜明け、かすかに酔う程度に飲む。
#烏蛇散[1]《東醫寶鑑》「烏蛇6銭、麻黄1両、草烏(炮)・乾姜・炮附子・川芎・白附子・天麻各5銭、蝎梢2銭半」粉末にし、毎回1銭を熱酒で1日3回飲む。◎破傷風で痰盛。
#烏蛇散[2]《証治準縄》「烏梢蛇、全蝎、白殭蚕、天南星、天麻、膩粉、生姜」
#烏蛇消風飲《中薬臨床応用》「烏梢蛇3g(研粉・呑)、蝉退12g、当帰15g、赤芍12g、防風9g、荊芥9g、地膚子18g、柴胡6g、白藜9g、甘草3g」水煎服。◎慢性湿疹◎ジンマシン
#烏沈湯[1-1]《和剤局方》「天台烏薬100両、沈香50両、人参3両、甘草盬4両半」作末し、毎服半銭、入生姜3片、塩少許、沸騰點服、空心、食前。◎血気心痛。
#烏沈湯[1-2]《和剤局方》《東醫寶鑑》「烏薬1両、沈香5銭、炙甘草4銭、人参3銭」細末にし、毎1銭づつ姜塩湯で服用。◎すべての気が鬱滞し、背や心腹に疼痛。◎諸気を利し、諸痛吐瀉転筋、冷風麻痺を除き、腹中を温め、宿食を消し、及び婦人血気、心を攻撃四物湯、腹刺痛する者並びに皆之を治す。《古今方彙》
#烏沈湯[2]《小児薬証直訣》《古今方彙》「天麻2銭、人参・川烏(生)・全蝎・天南星・木香・沈香各1銭、甘草(炙)5分」水煎。 ◎慢驚を治し、駆風して胃を助ける。
#烏貝散《中薬臨床応用》 「烏賊骨90g、浙貝母30g」細末にし、1日3回3~6g、食前に服用。 ◎胃十二指腸潰瘍
#烏梅円[1]《備急千金要方》 「烏梅・黄連・乾姜・呉茱萸各4両、桂心2両、当帰3両、蜀椒2両半」◎久痢、諸薬にて癒えざること数十年の者を治す。《雑病論識》◎安胃湯を祖とす。
烏梅円[2]=烏梅丸《金匱要略》
#烏梅丸[1-1]《金匱要略》「烏梅300枚、細辛6両、乾姜10両、黄連16両、当帰4両、附子(炮去皮)6両、蜀椒(出汗)4両、桂枝(去皮)6両、人参6両、黄柏6両」右十味、異擣篩、合治之。以苦酒漬烏梅1宿、去核、蒸之五斗米下、飯熟擣成泥、和薬令相得。内臼中、與蜜杵二千下、丸如梧桐子大。日三服、稍加至二十丸。禁生冷、滑物、臭食等。◎傷寒脉微而厥、至七八日膚冷、其人躁、無暫安時者、此為蔵厥、非蚘厥也。蚘厥者、其人當吐蚘、令病者静、而復時煩者、此為蔵寒。蚘上人其膈、故煩、須臾復止。得食時嘔、又煩者、蚘聞食臭出、其人常自吐蚘、蚘厥者、烏梅丸主之。又主久利。
#烏梅丸[1-2]《東醫寶鑑》「烏梅15個、黄連7銭半、当帰・川椒・細辛・炮附子・桂心・人参・黄柏各3銭」を粉末にし、醋に烏梅を漬けて肉を取り、薬末に入れてつき、梧子大に丸め米飲で10~20丸飲む。
#烏梅丸[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「烏梅30個、細辛・炮附子・桂枝・人参・黄柏各6g、黄連16g、当帰・蜀椒各4g、乾姜10g」先ず烏梅を醋の中に一晩つけて核を去り、釜の底に置き、その上に米5合を入れて蒸し、ふやけたら取り出して他薬と蜂蜜(適宜)を加えてつき、0.3gの丸剤に作り、食前に10丸服用。1日3回、漸次増量して、2倍にする。
#烏梅丸[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》「烏梅・細辛・附子・桂枝・大棗・芍薬各4、甘草2」以上を水600ccに入れ半分に煮詰め滓を去り、蜂蜜20を溶かしてから、2回に分服する。◎此方の蛔厥は冷痛するものなり。痛や煩は発作して止むものなり。軽き症には起こる時ばかり厥する者あり。《勿誤薬室方函口訣》◎病者静にして時に煩し、蔵寒に因って蚘上ってその膈に入り、蚘厥をなす。当に蚘を吐すべし。《雑病翼方》◎厥陰の主方とす。最も厥陰は寒熱錯雑の症多き故、「茯苓四逆湯」「呉茱萸湯」のほかはあまねく此方を運用して効を奏すること多い。《勿誤薬室方函口訣》◎故に回虫の候なくとも、胸に差し込み痛ある者に用いる。◎反胃の壊症:此方を半夏乾姜人参丸料で送下して奇効あり。◎《柯琴》曰く、厥陰症の総方と為す。吐蚘久利もっとも宜しと。◎《陳念祖》曰く、余新たに一方を悟出す。瀉心の意ありて、上痞を消すべく、下瀉を止どむべし。腹熱胃寒、能く分走して、各々その長を尽くす。他方有るに非ざるなし。即ち傷寒厥陰条の烏梅丸なり。 ◎胃部圧重感、胸やけ、嘔吐、足の冷え、食欲不振、下痢などを起こす回虫、胃病、慢性下痢、血の道症。
★適応症及び病名(烏梅丸:うばいがん)
[1]嘔吐:☆回虫による吐に用いるばかりでない、百方手を尽くして治らない者に良い《大塚敬節》
[2]精神錯乱:☆回虫が原因で精神錯乱した者を治した《山田業広》☆1幕臣の娘17歳が、1日発狂したので、はじめ柴胡加竜骨牡蛎湯を用いた。これで効があるようでもあり、無いようでもあり、数日たつとまた再発する。そこで三黄瀉心湯を用いてだんだん良くなった。その後、1年半ほどたって、突然手足が冷たくなり、脈が微になり、舌は湿り、熱は無いのに、ひどく口渇があり、不語、不食、大便秘結という状態になった。しかし精神は錯乱せず、顔色も虚脱の状がない。とても不思議に思われたけれども、脈微、手足厥冷によって真武湯を与えてみたが、効がない。いよいよおかしいことだと思っている時に、一案を得た。 思うに、これは、厥陰篇首条の“消渇、気上って心をつき、心中疼熱、飢えて食を欲せず、食すれば則ち蚘を吐す”とある場合であろうと。 そこで烏梅丸を与えたところ、諸症は次第にとれ、よだれのようなものを吐き、7、8日たって大便の通じと共に、回虫が3匹下って、そのまま治ってしまった。《椿庭夜話》
[3]血の道症:☆患者、鈴木某、46歳女性。病歴、5年前から、ゲップ・悪心・不眠・多夢・肩凝り・頭が重く何かがかぶさっているようだ、めまいもすることがある。寝たきりで全然起きられない。婦人科では手術を受けたが反って悪くなったような気がする。現在はブドウ糖とビタミンの注射をしてもらっている。 現症。初診6/11。かなり痩せていて見るからにピリピリするような神経質でどげどげしさが感じられる。以上の訴えの他に時々カーッとのぼせる。イライラする。咽に刺激感を覚える。足は冷たい。動悸、胃部が張る感じ、左手がシビレるなどの自覚症がある。大便は普通だが、小便は1日2、3回で時々出にくい感じがする。 望診上では、唇が乾燥気味で青味がかっている。舌は黒っぽい。脈は非常に沈んで弱い。腹診すると、腹壁は軟く、胸脇苦満や胃部振水音、腹動などはない。 治療と考案。病名は血の道症とつけた。一名更年期症候群。一名婦人精神身体症である。ノイローゼ、神経質、ヒステリー、卵巣機能障害、自律神経不安定症などと診断され、性ホルモンや精神安定剤を用いられるが、心因性のものがあるのでなかなかさっぱり行かないのが常である。 漢方的にみても厄介で、医者と患者の両方が忍耐と工夫をしなければうまく行かない。 先ず考えられるのは柴胡桂枝乾姜湯で、大体の症状は合っているが、悪心と腹証はぴたりとしない。柴胡桂枝乾姜湯は条文にも嘔せずとあり、実際味が悪いのでよく吐いてしまう人も有るくらいだ。 シビレ、小便難がある点では苓桂朮甘湯を考えないわけにはいかないが、ゲップ・胃部膨満感などがあるのでどうもぴったりと来ない。 咽中炙肉感があるからといって半夏厚朴湯の専売ではない。咽に来る経絡を考えたら他にいろいろなものが出てくるし、のぼせなども合わない。 残るのは黄連だが、黄連湯、黄連阿膠湯、甘草瀉心湯など一渡りしても脈その他ぴったりするものがない。まだ烏梅丸が残っている。 何しろ症状が複雑多岐で頭が混乱するから整理分類してみよう。この患者は上が熱して中が詰まって下が冷えている状態である。厥陰病は寒熱錯綜というが、寒と熱が一緒にごちゃごちゃになっているのではなくて、部分的に熱しているのは上の陽気が盛んなためで、下が冷えているのは下の陰気が盛んなためで、そうなったのは中が支えているので、上の陽気が降れず、下の陰気が昇れずにいるからである。 のぼせは頭部の充血によるものだが、陽気が盛んになっていると見る、烏梅丸には黄連と桂枝が入っているから適合する。 不眠は外の陽気が盛んなために起こるから、この場合は黄連で良い。黄連が一番多量に入っていることも意味があるようだ。 イライラするのは心肝の障害で、やはり黄連でよい。動悸はこの場合心熱と見られるから、心の陰気を補う黄連でよろしい。なお、上熱には黄柏も作用するし、のぼせ、動悸、めまい、頭重などを上衝も手伝うものとすれば桂枝が物を言うことになる。 次に中の症状だが、ゲップはこの場合は胃の虚寒のために起こるとしてよいだろう。胃の虚寒は足が冷えることや橘皮竹茹湯の証からも考えられる。乾姜蜀椒が入っている。 胃部の膨満感は胃虚である、人参が入っている。悪心は“せんと欲す”と、“吐せんと欲す”では病理が違ってくる。上に熱があるためなら“嘔せんと欲す”とし、胃に虚寒があるなら“吐せんと欲す”とすべきだが、今の場合はどちらの条件もあるからどちらにとっても宜しい。 下の冷えは、胃の虚寒と共に腎の陽虚陰盛と解釈すべきであろう。舌が黒いのは、腎陰が盛んなためとする。小便難は腎の陽虚であり、陽気が上ばかり集まっていて下に降りてこないためとも解釈できる。 以上の症状には桂枝・細辛が腎の陽気を補っている。 手のシビレは、表虚で、附子で経を温めるほか血行をよくするために当帰がある。特に左手がシビレるというのは難しい所だが、恐らくは女子は右を逆とし、左を従とするものだが、陽は左に症状が現れることが多いと解釈すれば、この場合シビレは表の陽虚だからそれが左手に起こったとしてよいだろうか、先輩の教えを仰ぎたい。 咽は咽と食道とを指している。咽の異常感はスチグマータとかヒステリー球とか云われるもので、食道の粘膜の知覚過敏、浮腫、食道筋層の痙攣などで起こるもので、食道神経症とも云われている。 漢方的にみれば気痞であり、経絡的にみれば胃・肝・腎などの経絡が絡っており、果たしてこの例で何経の作用であるかは明らかにし難いが、胃経であっても腎経であっても前述のように烏梅丸証の中に含まれるものだから、半夏厚朴湯ならずともよいのである。 経過。異常の如くにして烏梅丸を考え、烏梅丸の証を割り出し、薬能と症状とを引き合わせてそれに決め、1日量6.0を用い、9.0~12.0と漸次増量した。勘定合って銭足らずのこともあるから、結果如何と大いに興味を持っていたが、この患者は遠方で再往診も困難な事情があるため電話で連絡して経過を尋ねた。半月すると不眠症、ゲップなどの主訴が著しく軽快し、大変感謝されたが、1ヶ月後には起きられるようになった。5年間ほとんど寝たきりの病人だったので、その喜びようは並々でなかった。(龍野一雄・漢方の臨床誌第8巻第2号) [4]煩躁:☆回虫が原因で煩躁する者を治するために設けられた薬方《大塚敬節》 [5]腹痛:☆回虫から来る腹痛に用いる《大塚敬節》☆およそ回虫の腹痛は発作性にくるものが多く、嘔吐を伴うものである。これを治するに苦味の烏梅丸の効く者と甘草粉蜜湯の効く者とある。 もし吐がひどくて薬を受け付けない者には蜀椒と烏梅の2味を煎じて与えても良い。又、椒梅瀉心湯として用いても良い。《大塚敬節》☆烏梅丸の効く場合は、痛みが甚だしい時は手足がシビレ、或いは厥冷して、煩躁がひどくて気絶するほどになるものである。《大塚敬節》
烏梅丸[2]《東醫寶鑑》
「黄連1両半、烏梅肉・当帰・枳穀各1両」粉末にし、醋糊で丸め、米飲で空腹時に70丸飲む。 ◎熱痢で腹痛・下血。蛔厥の心腹痛を治す。
烏梅丸加減《中薬臨床応用》
「烏梅15g、乾姜6g、党参6g、檳榔子12g、苦楝根皮12g、使君子15g、木香9g、蜀椒6g、大黄9g、細辛3g」水煎し1日1剤を2回に分けて服用。
烏梅膏《中薬臨床応用》「烏梅30g」塩水(50mlのぬるま湯に食塩9g)の中に12~24時間浸す。核を除き「酢15ml」加えてすりつぶし軟膏にする。 ◎胼胝(タコ)、鶏眼(ウオノメ)に外用。
烏梅丹=烏梅丸《金匱要略》
烏梅湯[1]《東醫寶鑑》「柴胡2銭、山梔子(炒)・黄芩・炙甘草各1銭、烏梅肉2個、生姜3片、豆豉50粒」水煎服。 ◎傷寒が治った後、虚煩し、不眠・懊悩する者。
烏梅湯[2]《東醫寶鑑》「黒豆・緑豆各1合、烏梅3個」水煎服。 ◎痘渇と出痘を治す。痘瘡で煩渇し、水を飲んでも渇がもっとひどくなる。
烏梅木瓜湯[1-1]《三因極一病証方論》「木瓜、烏梅、黄柏、甘草、草果」
烏梅木瓜湯[1-2]《東醫寶鑑》「烏梅(砕いて種を残す)・木瓜各2銭、麦芽(炒)・草果・甘草各1銭、生姜3片」水煎服。◎酒熱と消渇を治す。
烏白丸《東醫寶鑑》「烏梅肉・生姜各4両、白礬・半夏各2両、をついて瓦の上に置いて3日間火に焙って、神麹・麦芽・陳皮・青皮・莪朮・丁香皮・大腹皮・枳穀各1両」粉末にし、酒糊で梧子大の丸剤。姜湯で50丸飲む。◎酒積を治し、痰と食物を消化する。 烏附通気湯《東醫寶鑑》 「烏薬・香附子・当帰・白芍・山楂肉・橘皮各1銭、白朮7分、赤茯苓・沢瀉各5分、猪苓・木香・甘草各3分」水煎服。 ◎新・久の疝病を治し、七情の疝を治す。 烏薬順気散[1-1]《和剤局方》《松田ー回春解説》「烏薬・陳皮各2銭、姜蚕(炒って糸を去る)・乾姜(炮5分)・甘草(炙3分)・麻黄(去節)・川芎・白芷・枳殻(去穰麩炒)・桔梗各1銭」剉作1剤。生姜3片、棗1枚。水煎して温服する。 ◎初めて風邪に中り、麻木疼痛るつ者は風湿の気なり。この方に宜し。
烏薬順気散[1-2]《和剤局方》《古今方彙》「烏薬・陳皮各2銭、白殭蚕・乾姜(炮)各5分、麻黄・川芎・白芷・桔梗各1銭、甘草(炙)3分、枳殻1銭、生姜、大棗」水煎。
◎男婦一切の風気攻めて四肢に注ぎ、骨節疼痛、肢体頑麻、手足癱瘓、言語蹇渋(発語が円転ならざるもの)、筋脉拘攣するを治す。 宜しく先ず此の薬を服し、気道を疎通し、然る後に風薬を進め蓋(オオ)いて風を治す。蓋し風を治するには、先ず気を理し、気順えば則ち痰は消え、除ろにその風を理すれば庶(オオク)は効を収むべし。理気は気滞・気欝・肩膊麻痛の類、これ七情なり。みな宜しく之を服すべし。 (癱=ナン、左半身不遂)(瘓=タン、右半身不遂)(蹇渋=ケンジュウ)
#茴香安腎湯[1]《方薬合編》「人参・白朮・茯苓・茴香・破故紙・檳榔子・烏薬・香附子・縮砂・各3.2g 黄柏・沢瀉各2.4g 延胡索・木香各1.6g升麻・甘草各0.8g」 ◎睾丸腫大。
#茴香安腎湯[2]《東醫寶鑑》《方薬合編》 「人参・白朮・白茯苓・茴香・破故紙・檳榔・烏薬・香附子・縮砂・茄枝核各8分、黄柏・沢瀉各6分、木香・延胡索各4分、升麻・甘草各2分」水煎服。 ◎左辺が偏墜して、睾丸が鶏卵の大きさになった者。
#茴香練実丸《東醫寶鑑》「川楝子(炒)・茴香・山茱萸・呉茱萸・食茱萸・青皮・陳皮・馬蘭花・芫花各1両」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。温酒で50丸呑む。 ◎男の七疝。婦人の帯下・煆聚で痛みの激しい者。
#右帰飲[1-1]《景岳全書》(新方八陣・巻51)「熟地黄2銭~2両、山茱萸1銭、山薬(炒)・枸杞子・杜仲各2銭、甘草(炙)・肉桂1~2銭、制附子1~3銭」
#右帰飲[1-2]《景岳全書》《中薬臨床応用》「熟附子片5g、肉桂3g(服)、熟地黄18g、山茱萸9g、山薬12g、杜仲9g、枸杞子6g、炙甘草3g」◎陽虚の衰弱◎下半身の冷感◎腰膝がだるい◎下腹部の冷えとひきつるような痛み◎脈細弱
#右帰飲[1-3]《景岳全書》《中医処方解説》「附子9g、肉桂6g、熟地黄30g、山茱萸9g、山薬24g、枸杞子30g、杜仲15g、炙甘草3g、茯苓9g」◎温補腎陽。
#右帰飲[1-4]《方薬合編》「熟地黄8~18g 山薬・枸杞子・杜仲各8g 山茱萸・肉桂・炙甘草各4g 炮附子1~4g」 ◎虚労・尿失禁・腰痛・冷え症。
#右帰丸[1-1]《景岳全書》(新方八陣)「熟地黄8両、山薬(炒)・枸杞子・鹿角膠・制菟絲子・杜仲各4両、山茱萸・当帰各3両、肉桂2~4両、制附子2~6両」
#右帰丸[1-2]《景岳全書》《中医処方解説》「熟地黄24g、山薬12g、山茱萸9g、枸杞子6~12g、杜仲12g、兎絲子12g、熟附子6~18g、肉桂6~12g、当帰9g、鹿角膠12g、を粉末にし、蜜丸にし、1日2~3回6gづつ服用。◎温補腎陽、補血益精。
★適応症及び病名(右帰丸)
■インポテンツ
■遺精
■慢性疾患:種々の慢性疾患で、腎陽虚の者。
#羽沢散(うたくさん)《方輿輗》「明礬・杏仁・甘草各2.0、丁字・竜脳各1.0」細末にし、絹布に包み座薬として膣内に挿入する。◎白帯止まず陰門腫痛、orかゆみ、or冷え、or臭気甚だしい者。◎この方は膣に挿入する坐薬で、内服薬に兼用する。帯下の多い者、陰部の冷える者、陰部にかゆみのある者などによい。《大塚敬節》
#禹功散[1-1]《寿世保元》《勿誤薬室方函》 「牽牛子4両、茴香1両」或いは木香1両を加う。生姜汁にて3味を調え、臥に臨んで服す。
◎《古今医鑑》に云う、寒疝を治す。松原一閑斎曰く、疝気腰痛する者を治す。寧固曰く、乾湿水疝・陰嚢腫脹する者。
#禹功散[1-2]《東醫寶鑑》「黒丑頭末1銭、茴香2銭半、木香1銭」作末し、毎回2銭を姜湯で調下する。◎寒疝を治す。
#禹功散[2-1]《寿世保元》《龍野ー漢方処方集》「陳皮・半夏・茯苓・猪苓・沢瀉・白朮・木通・黄芩・山梔子各3.5g、升麻1.5g、甘草1.0g」◎尿閉。
#禹功散[2-2]《寿世保元》《方薬合編》「陳皮・半夏・茯苓・猪苓・沢瀉・白朮(炒)・木通・黄芩・山梔子(炒)各4g、升麻1.2g、甘草0.8g」◎排尿困難。
#禹功散[2-3]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・半夏・赤茯苓・猪苓・沢瀉・白朮・木通・黄芩・山梔子各1銭、升麻3分、甘草2分」水煎。 ◎小便通ぜず、百法奏功する能わざる者を治す。
#禹余粮丸《東醫寶鑑》「禹余粮(煆)・赤石脂(煆)・竜骨・蓽撥・訶子(炮)・乾姜(炮)・肉豆蔲()・炮附子各等分」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で70丸呑む。 ◎虚寒で、下痢が止まらない者。滑泄不禁。 #烏鴉散《東醫寶鑑》「烏鴉羽(焼く)1銭」酒で調服する。服用後に又酒1~2杯を呑んで、薬 力を増加させる。 ◎破傷風で、血が見えて昏悶する症。
#烏蝎散《東醫寶鑑》「四君子湯川烏・全蝎・天南星各1銭、生姜1」 ◎慢驚風の純陰性による吐瀉の止まらない症。
#烏金丸《経験方》「乳香、没薬、大黄、香附子、当帰、延胡索、烏薬、桃仁、蓬莪朮、天虫、五霊脂、肉桂、木香、益母草、黒豆、蘇木、紅花」
#烏荊円《和剤局方》 「荊芥穂・生烏頭」◎小産後、口噤目吊し、手足抽掣し、項背強直、角弓反張し、心頭倒築し、自利煩躁する者を治す。《雑病翼方》 #烏朮丸《東醫寶鑑》「蒼朮(水に10日間漬けて、皮を剥いて切り、焙って乾燥)半斤、川烏・川椒・青皮(去白)各3両、青塩1両を細末にし、蜜で梧子大に丸め、空腹時に塩湯で(又は温酒)30~50丸飲む。◎虚労を治し、筋骨を壮健にする。
#烏頭桂枝湯[1-1]《金匱要略》 「烏頭」右一味、以蜜二斤、煎減半、去滓、以桂枝湯五合解之、令得一升後、初服 二合、不知、即服三合、又不知、復加至五合。其知者如醉状、得吐者為中 病。◎寒疝・腹中痛・逆冷・手足不仁・身体疼痛、灸刺諸薬不能治、抵當烏頭桂枝湯 主之。 #烏頭桂枝湯[1-2]《金匱要略》《東醫寶鑑》「大川烏を蜜1杯で煎じ、半減したら取り出して細切りにし、肉桂・白芍茎各3銭3分、甘草2銭半、を剉作2貼し、生姜3、大棗2を入れ、前の煎蜜半合を同時に煎じて服用。◎風寒疝気が腹に入って刺痛のため、陰部がしぼみ・手足が冷える。 #烏頭桂枝湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 「烏頭1gを蜂蜜36gで煮て半分に煮詰め、別に桂枝湯20gを作り、両者を混和し、はじめ8gを服し、効かないと12gを服し、それでも効かないと20gを服用。 「桂枝湯烏頭蜜」《勿誤薬室方函口訣》◎腹中絞痛し、手足厥冷し、或いは不仁、或いは身疼痛する者を治す。《吉益東洞》 ○腹中絞痛し、手足逆冷し、或いは不仁、或いは身疼痛する者を治す《方極》 ○此の方の証は、桂枝湯の証にして此の諸証を兼ねるものなり。故に桂枝湯の方内において、烏頭、蜜煎を加えて之を治す。故に、「桂枝湯証にして」の5字あるべし。《方極刪定》◎此方は寒疝の主方なり。故に腰腹陰嚢にかけ苦痛する者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》◎後世にては「附子建中湯」を用ゆれども、此方、蜜煎にしたる方が速効あり。◎証によって「鹿茸」《勿誤薬室方函口訣》◎烏頭煎と表裏の別あり、病勢沈淪するは是れ「烏頭煎」とし、病勢浮揚するは是れ「烏頭桂枝湯」と為す。《雑病論識》 ◎激しい腹痛、手足冷或いは手足麻痺、或いは身疼痛、或いは腹部の深部鈍痛。 ◎「桂枝加附子湯」と組成が似る。◎「烏頭煎桂枝湯」《大塚敬節》◎目標: 《金匱要略》には、寒疝で腹が痛み、からだ中が冷え込み、手足が麻痺し、または体が痛み、灸をしたり、鍼をしたり、色々の薬を用いても、治すことの出来ない者は、烏頭桂枝湯の主治である。◎烏頭桂枝湯の煎じ方:「始め烏頭だけを蜂蜜だけで煎じ、滓を濾してから、桂枝湯の煎汁を混合してから飲むことになっているが、烏頭湯の場合のように、烏頭その他の薬を全部一度に水で煎じて滓を濾し、次に蜂蜜を入れて溶かしてから呑んでも良い。蜂蜜を入れることを忘れると、中毒症状が起こしやすいから、おろそかにしてはいけない」。《大塚敬節》 ★適応症及び病名(烏頭桂枝湯) [1]イレウス[2]運動麻痺:☆わが子乾先生は、しばしばこの方を用いて、痿躄で廃人になった者や、腰脚が引きつれて痛み、屈伸したり、寝返りしたりすることの出来ない者、または脚の心が割れるように痛み、筋脈が断折して堪えられないように痛み者など、いろいろの薬で効の無い者及びイザリで疼痛のある者を治した。しかし大腿部から下にかけて筋肉が萎縮している者は治らない。この薬をみだりに与えてはいけない。瞑眩を起こして死にそうになる。少し誤れば必ず死期を促すことになる。死んでからでは鍼灸も薬も救う事は出来ない《用方経験》[3]ガン性の疼痛:<劇痛>[4]関節炎[5]寒疝:☆臍をめぐって痛み、もし発すれば即ち自汗出、手足厥逆す。その脈沈緊なる者、「大烏頭煎」之を主る。 烏頭(大)5枚、石水3升を以て煮て1升を取り、滓を去り、蜜2升をいれ、煎じて水気を尽さしめ、2升を取る。強人7合を服し、弱人5合を服す。差えざれば明日更に服す。
[6]気の上衝<+>
[7]ケイレン[8]五十肩[9]骨髄骨膜炎 [10]自汗[11]四肢疼痛<劇痛>[12]四十腕[13]神経痛<劇痛>[14]身体の疼痛<劇痛>[15]脊髄腫瘍[16]脱疽[17]知覚麻痺[18]腸閉塞[19]手足厥冷[20]のぼせ[21]脳血管障害[22]破傷風[23]腹痛[24]腹部の冷え[25]ヘルペス [26]慢性関節リウマチ[27]腰痛:☆失精家、常に腰足冷えて臍腹力なく、脚弱く、羸痩、腰痛する者に「烏頭桂枝湯」及び「大烏頭煎」効あり。 #烏頭赤石脂丸[1-1]《金匱要略》「蜀椒1両1法2分、烏頭(炮)1分、附子半両(炮)1法1分、乾姜1両1法1分、赤石脂1両1法1分」右五味、末之、蜜丸如梧子大、先食服一丸、日三服。◎心痛徹背、背痛徹心、烏頭赤石脂丸主之。 #烏頭赤石脂丸料[1-2]《龍野ー漢方処方集》 「蜀椒・白川附子・烏頭各1.0g、乾姜2.0g、赤石脂3.0」水半量、 常煎。 #烏頭赤石脂丸[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》「蜀椒・乾姜・赤石脂各1.0g、炮附子0.5g、烏頭0.1g」蜂蜜で0.3gの丸剤とし、1回1丸、1日3回。 ◎心痛背に徹し、背痛心に徹する者。 ◎人参湯は古人が裏寒とよんだ場合に用いる方剤で、沈衰した新陳代謝を新興せしめる作用がある。そこで胸痛に用いる場合でも、裏寒の症状として、尿の稀薄、舌の湿濡、腹および手足の厥冷感、などがみられるが、烏頭赤石脂丸はこの人参湯よりも更に新陳代謝が衰えている場合に用いる。《大塚敬節
★適応症及び病名(烏頭赤石脂丸)[1]胃ガン[2]胃十二指腸潰瘍[3]嘔吐 [4]悪寒[5]悪心[6]顔色悪い[7]ガン性疼痛[8]狭心症[9]縦隔腫瘍[10]手術後の疼痛<劇痛>[11]食欲不振[12]心筋梗塞 [13]心下部疼痛<劇痛>☆心腹痛、年を経て已まざる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》[14]心胸部疼痛<劇痛>☆患者は体格の小さい血色のすぐれない41歳の女性。タバコを多飲する。この女性は1年中カイロを背に入れている。冬になると、腹にいま1つ加えて、腹背から温めるのを常としている。少し冷えると、みずおちから胸・背にかけて痛んで堪えられないが、カイロを入れると、しのぎやすいという。こんな風だから、夏はさだめし身体の調子が良いだろうと考えられるが、そうではなく、かえって全身が疲れて何も仕事が出来ない。就寝時には、汗を流しながら蒲団をかけている。食欲は普通で、大便は1日1行。小便は安静にしていると、良く出るが、少し動くと出が悪くなる。ときどき下肢に浮腫がくる。また頭が重くなる。脈は弦である。弦という脈は弓のつるを引っ張った状態で、ピンと張り切った脈で、この脈は裏寒の時によく見られる。 以上の症状から、附子の配剤された薬方が必要であることは、誰でも考えるであろう。私も先ず、桂枝加附子湯、附子粳米湯、附子理中湯、などを与えたが、大した効がないので、安中散に転方した。患者は、この薬を持参して、温泉に行った。ところが、4、5日いるうちに、胸背の痛みが堪えられないほど激しくなったので、急いで帰宅して診を乞うた。 その症状は《金匱要略》の赤石脂丸の条文の通り、胸から背に抜ける激しいものである。そこで私は赤石脂丸を試用することを決心し、患者を応接室に待たせて置いて、丸薬を作った。私は先ず青桐の実大にして丸薬を1つ呑ませた。すると、凡そ20分ほどたつと、胸背の疼痛のある部分だけに限局して灼熱感を覚え、あたかも背と胸で火が燃えているような気持になり、それと同時に激しかった疼痛は忘れたように消えてしまった。その後は、少しでも疼痛が起こると、この丸薬を1つ呑むだけで胸背痛を止めることが出来た。このようにして赤石脂丸を合計50粒にして、数年の痼疾が全快した。《大塚敬節》[15]膵臓炎[16]脊髄腫瘍[17]胆石症[18]手足厥冷: [19]肋間神経痛 #烏頭煎《金匱要略》「烏頭(大者5枚熬去皮咀)」右以水三升、煮取一升、去滓。内蜜二升、煎令水氣盡、取二升、強人服七合、弱人服五合。不差、明日更服。不可日再服。◎腹痛、脉弦而緊、弦則衛氣不行、即悪寒。緊則不欲食、邪正相搏、即為寒疝。寒疝遶臍痛、若發則自汗出、手足厥冷、其脉沈弦者、大烏頭煎主之。 #烏頭丸《奥田家方》「烏頭4.0、甘草8.0」右2味、各別に細末、蜂蜜を以て麻子大の丸剤。1回に2~3丸。◎悪寒し、四肢冷え、或いは筋骨攣痛し、或いは腹中絞痛し、或いは下利し、脈沈細にして熱候なき証を治す。◎凡そ諸種の疾病にして、所謂附子の証を現す者には、皆此方をその主方の兼用と為すことを得。 #烏頭湯[1-1]《金匱要略》「麻黄・芍薬・黄蓍各3両、甘草(炙)、川烏5枚咀以蜜2升煎取1升即出烏頭」右五味、咀四味、以水三升、煮取一升、去滓、内蜜煎中、更煎之、服七合、不知、盡服之。◎治脚気疼痛、不可屈伸。◎『外臺』治寒疝腹中絞痛、賊風入攻五臓、拘急不得轉側、発作有時、使人陰縮、手足厥冷。
#烏頭湯[1-2]《金匱要略》《中薬臨床応用》「製烏頭6g、麻黄6g、白芍薬9g、黄蓍9g、甘草5g」水煎服。◎風寒による痺
#烏頭湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 「麻黄・芍薬・黄蓍・炙甘草各3g、烏頭1g、蜂蜜40g」烏頭を蜂蜜で煮て20に煮詰め、別に他の4薬を水120で煮て40に煮詰め滓を去り、両者を合わせて、1回量30を服用。◎骨節疼痛して屈伸すべからず、及び腹中絞痛し手足厥冷する者を治す《吉益東洞》 烏頭湯証=歴節屈伸しべからず、疼痛。又曰く、拘急。 [歴節]=関節◎此方は歴節の劇症に用いて速効あり。◎此方は桂芍知母湯に比し、その力更に烈し、歴節初起の急激症を治す《雑病論識》 ◎四肢身体劇痛。
★適応症及び病名 (烏頭湯)
[1]陰嚢腫大:☆《華岡青州》曰く、切断後、烏頭湯を用うるに非ずんば膿を為す能わず。[2]悪寒[3]潰瘍<下腿の潰瘍>[4]鶴膝風:☆結毒頑固抜き難き者:「角石」[5]下肢の麻痺:(中枢性・脊髄性・末梢神経性・循環不全から)[6]関節の疼痛<劇痛>☆一婦人、臂痛甚だしく、屈伸すべからず、昼夜号泣、衆医治を尽くして治する能はず。余此方を用いて速やかに治す。《勿誤薬室方函 口訣》☆関節が激しく痛んで屈伸の出来ない者に用いる《大塚敬節》[7]頸腕部の神経痛<激しい>[8]血行不良・不全[9]骨髄炎の漏孔[10]座骨神経痛<劇痛>[11]自汗 [12]四肢の疼痛<劇痛>[13]身体疼痛<劇痛>[14]腸閉塞<劇痛に救急的に>[15]痛風:☆発作時の鎮痛。☆痛み激しい。 [16]手足厥冷[17]盗汗[18]嚢瘍: ☆《華岡青州》甘草分量少なく、蜜を加えざれば効なし。[19]半身不遂:☆《李挺》曰く、烏頭湯にて微に之を汗すと。按ずるに中風、疝より来る者、脈多くは緊なり。《雑病翼方》[20]反鼻傷:☆外、鍼を以て乱刺し、中黄雄黄を貼る。《方読便覧》[21]蝮蛇咬傷:☆烏頭湯及び紫円を内服し、柿実汁を塗布する、《先哲医話》☆結毒頑固抜き難き者:「角石」[22]フルンケル:(硬く、痛み激しい)[23]附骨疽:☆初起、「紫円」《方読便覧》 [24]腹痛<腹中の絞痛>☆寒疝で腹が絞られるように痛み、寝返りが出来ないほどに、引きつれる者に用いる《大塚敬節》[25]浮腫[26]慢性関節リウマチ<劇痛> ☆私は最近関節リウマチ疼痛が激しく、夜間眠れないという者に、種々の治療を施したが効無く、ついに、意を決して烏頭湯を与えたところ、初めて著効があって、疼痛が軽減した。ところが、これを用いると関節の疼痛は軽くなる反面、はげしい頭痛と悪心が起こって、続服出来かねると云う。これは烏頭の中毒症状であると考えたので、初めの1日分1.2の烏頭を1.0に減じ、0.8に減じたが、依然として頭痛が去らない。 そこでこれはあぶないと考えて、甘草附子湯とした。このさい附子は0.8としたが、頭痛は起こらず、関節の疼痛もやや軽快したと云う。 さて、烏頭は附子の母根で、附子はこの母根に付着した子であるが、今日一般に漢薬店で売っている白川附子と称するものは、すべて烏頭である。そこで、私が烏頭湯の時に用いた烏頭も、甘草附子湯のときに用いた附子も、同じ白川附子であった。そこで烏頭湯を用いた時の激しい頭痛と悪心は、烏頭のせいだけではなかったらしい。 烏頭や附子の中毒については、烏頭桂枝湯の方後に“その知る者は酔状の如し、吐を得る者は病にあたるとなす”といい、これを和久田寅は次のように説明している。 “烏頭の良は少なくとも悪寒がしたり、からだがシビレ足り、口に山椒を噛むようなシビレが来て、吐きそうになり、起き上がろうとするとめまいがくる。多量を呑んだ時は、からだが冷え、冷汗が流れ、吐いたり下したりして、脈は沈んで触れなくなり、死んだようになる。その軽い場合は1、2時間、重いときは半日ばかりで醒める。この薬は瞑眩を起こすから慎重に扱わなければならない。万一瞑眩を起こした時は、驚いて妄りに他の薬を与えてはいけない。また慌てて火で温めてもいけない。静かにして醒めるのを待つが良い。醒めて後で吐く者もあり、瞑眩のさいに嘔吐と下痢が同時に来ることもある。ただ、醒めて後に渇して呑みたがるなら、冷水を与えて、様子を見るがよい。もし誤って烏頭・附子の毒に当たる者は、味噌汁を呑むか、黒豆甘草湯を呑むか、又は乾姜甘草湯を呑むが良い”《大塚敬節》 [27]腰痛<激しい>☆腰痛数年止まず、佝僂せんとする者、《中川良哉》此方を用い、腰に芫菁膏を貼して全治す。[28]卵巣軸捻転[29]歴節風:☆陰陽の別あり。陽に在る者、越婢加朮湯、陰に在る者、烏頭湯と為す。二証、日を経て差えず、身体羸痩して脚独り腫れ、頭眩、短気、吐かんと欲する者、桂芍知母湯と為すなり。《雑病弁要》 脈:☆脈の緊または沈の者に、烏頭湯を用いれば百発百中であるが、洪数の者には効がない。効がないばかりか、反って悪くなることがある。洪数は続命湯を用いる脈である《有持桂里》 #烏頭七棗湯《東醫寶鑑》「川烏(大)(塩水で7回漬けて、皮と臍は捨て)2貼にし、1貼に生姜7、 大棗7、葱白3茎を入れて煎じ冷まし、先に棗を食べたあと薬を飲む。 ◎労瘧と寒瘧を治す。 #烏豆湯《経験方》《中医処方解説》「製川烏頭9g(先煎)、製草烏頭9g(先煎)、白芍9g、黒豆30g、紅花6g、黄蓍12g、麻黄3g」水煎服。◎散寒湿、止痛、補気血。 #烏鬚髪方《東醫寶鑑》「水蛭(大)2個を磁器椀の中に入れて7日間飢えさせて、烏骨雌雄の血で松煙墨をといて猪尿胞に入れ、水蛭に食わせ、針で水蛭をついて血が出たら、それを鬚髪の根に塗る。」 ◎毛髪が白くなる者。 #烏鬚酒《万病回春》《東醫寶鑑》「黄米(粘黎米)3斗、麦門冬8両、生地黄・何首烏各4両、天門冬・熟地黄・枸杞子・牛膝・当帰各2両、人参1両」を粉末にし麹(こうじ)を適当に入れて、普通の酒と同じように醸造し、毎日夜明け、かすかに酔う程度に飲む。 #烏蛇散[1]《東醫寶鑑》「烏蛇6銭、麻黄1両、草烏(炮)・乾姜・炮附子・川芎・白附子・天麻各5銭、蝎梢2銭半」粉末にし、毎回1銭を熱酒で1日3回飲む。◎破傷風で痰盛。 #烏蛇散[2]《証治準縄》「烏梢蛇、全蝎、白殭蚕、天南星、天麻、膩粉、生姜」 #烏蛇消風飲《中薬臨床応用》「烏梢蛇3g(研粉・呑)、蝉退12g、当帰15g、赤芍12g、防風9g、荊芥9g、地膚子18g、柴胡6g、白藜9g、甘草3g」水煎服。◎慢性湿疹◎ジンマシン #烏沈湯[1-1]《和剤局方》「天台烏薬100両、沈香50両、人参3両、甘草盬4両半」作末し、毎服半銭、入生姜3片、塩少許、沸騰點服、空心、食前。◎血気心痛。 #烏沈湯[1-2]《和剤局方》《東醫寶鑑》「烏薬1両、沈香5銭、炙甘草4銭、人参3銭」細末にし、毎1銭づつ姜塩湯で服用。◎すべての気が鬱滞し、背や心腹に疼痛。◎諸気を利し、諸痛吐瀉転筋、冷風麻痺を除き、腹中を温め、宿食を消し、及び婦人血気、心を攻撃四物湯、腹刺痛する者並びに皆之を治す。《古今方彙》 #烏沈湯[2]《小児薬証直訣》《古今方彙》「天麻2銭、人参・川烏(生)・全蝎・天南星・木香・沈香各1銭、甘草(炙)5分」水煎。 ◎慢驚を治し、駆風して胃を助ける。 #烏貝散《中薬臨床応用》 「烏賊骨90g、浙貝母30g」細末にし、1日3回3~6g、食前に服用。 ◎胃十二指腸潰瘍 #烏梅円[1]《備急千金要方》 「烏梅・黄連・乾姜・呉茱萸各4両、桂心2両、当帰3両、蜀椒2両半」◎久痢、諸薬にて癒えざること数十年の者を治す。《雑病論識》◎安胃湯を祖とす。 烏梅円[2]=烏梅丸《金匱要略》 #烏梅丸[1-1]《金匱要略》「烏梅300枚、細辛6両、乾姜10両、黄連16両、当帰4両、附子(炮去皮)6両、蜀椒(出汗)4両、桂枝(去皮)6両、人参6両、黄柏6両」右十味、異擣篩、合治之。以苦酒漬烏梅1宿、去核、蒸之五斗米下、飯熟擣成泥、和薬令相得。内臼中、與蜜杵二千下、丸如梧桐子大。日三服、稍加至二十丸。禁生冷、滑物、臭食等。◎傷寒脉微而厥、至七八日膚冷、其人躁、無暫安時者、此為蔵厥、非蚘厥也。蚘厥者、其人當吐蚘、令病者静、而復時煩者、此為蔵寒。蚘上人其膈、故煩、須臾復止。得食時嘔、又煩者、蚘聞食臭出、其人常自吐蚘、蚘厥者、烏梅丸主之。又主久利。 #烏梅丸[1-2]《東醫寶鑑》「烏梅15個、黄連7銭半、当帰・川椒・細辛・炮附子・桂心・人参・黄柏各3銭」を粉末にし、醋に烏梅を漬けて肉を取り、薬末に入れてつき、梧子大に丸め米飲で10~20丸飲む。
#烏梅丸[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「烏梅30個、細辛・炮附子・桂枝・人参・黄柏各6g、黄連16g、当帰・蜀椒各4g、乾姜10g」先ず烏梅を醋の中に一晩つけて核を去り、釜の底に置き、その上に米5合を入れて蒸し、ふやけたら取り出して他薬と蜂蜜(適宜)を加えてつき、0.3gの丸剤に作り、食前に10丸服用。1日3回、漸次増量して、2倍にする。
#烏梅丸[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》「烏梅・細辛・附子・桂枝・大棗・芍薬各4、甘草2」以上を水600ccに入れ半分に煮詰め滓を去り、蜂蜜20を溶かしてから、2回に分服する。◎此方の蛔厥は冷痛するものなり。痛や煩は発作して止むものなり。軽き症には起こる時ばかり厥する者あり。《勿誤薬室方函口訣》◎病者静にして時に煩し、蔵寒に因って蚘上ってその膈に入り、蚘厥をなす。当に蚘を吐すべし。《雑病翼方》◎厥陰の主方とす。最も厥陰は寒熱錯雑の症多き故、「茯苓四逆湯」「呉茱萸湯」のほかはあまねく此方を運用して効を奏すること多い。《勿誤薬室方函口訣》◎故に回虫の候なくとも、胸に差し込み痛ある者に用いる。◎反胃の壊症:此方を半夏乾姜人参丸料で送下して奇効あり。◎《柯琴》曰く、厥陰症の総方と為す。吐蚘久利もっとも宜しと。◎《陳念祖》曰く、余新たに一方を悟出す。瀉心の意ありて、上痞を消すべく、下瀉を止どむべし。腹熱胃寒、能く分走して、各々その長を尽くす。他方有るに非ざるなし。即ち傷寒厥陰条の烏梅丸なり。 ◎胃部圧重感、胸やけ、嘔吐、足の冷え、食欲不振、下痢などを起こす回虫、胃病、慢性下痢、血の道症。
★適応症及び病名(烏梅丸)
[1]嘔吐:☆回虫による嘔吐に用いるばかりでない、百方手を尽くして治らない者に良い《大塚敬節》
[2]精神錯乱:☆回虫が原因で精神錯乱した者を治した《山田業広》☆1幕臣の娘17歳が、1日発狂したので、はじめ柴胡加竜骨牡蛎湯を用いた。これで効があるようでもあり、無いようでもあり、数日たつとまた再発する。そこで三黄瀉心湯を用いてだんだん良くなった。その後、1年半ほどたって、突然手足が冷たくなり、脈が微になり、舌は湿り、熱は無いのに、ひどく口渇があり、不語、不食、大便秘結という状態になった。しかし精神は錯乱せず、顔色も虚脱の状がない。とても不思議に思われたけれども、脈微、手足厥冷によって真武湯を与えてみたが、効がない。いよいよおかしいことだと思っている時に、一案を得た。 思うに、これは、厥陰篇首条の“消渇、気上って心をつき、心中疼熱、飢えて食を欲せず、食すれば則ち蚘を吐す”とある場合であろうと。 そこで烏梅丸を与えたところ、諸症は次第にとれ、よだれのようなものを吐き、7、8日たって大便の通じと共に、回虫が3匹下って、そのまま治ってしまった。《椿庭夜話》
[3]血の道症:☆患者、鈴木某、46歳女性。病歴、5年前から、ゲップ・悪心・不眠・多夢・肩凝り・頭が重く何かがかぶさっているようだ、めまいもすることがある。寝たきりで全然起きられない。婦人科では手術を受けたが反って悪くなったような気がする。現在はブドウ糖とビタミンの注射をしてもらっている。 現症。初診6/11。かなり痩せていて見るからにピリピリするような神経質でどげどげしさが感じられる。以上の訴えの他に時々カーッとのぼせる。イライラする。咽に刺激感を覚える。足は冷たい。動悸、胃部が張る感じ、左手がシビレるなどの自覚症がある。大便は普通だが、小便は1日2、3回で時々出にくい感じがする。 望診上では、唇が乾燥気味で青味がかっている。舌は黒っぽい。脈は非常に沈んで弱い。腹診すると、腹壁は軟く、胸脇苦満や胃部振水音、腹動などはない。 治療と考案。病名は血の道症とつけた。一名更年期症候群。一名婦人精神身体症である。ノイローゼ、神経質、ヒステリー、卵巣機能障害、自律神経不安定症などと診断され、性ホルモンや精神安定剤を用いられるが、心因性のものがあるのでなかなかさっぱり行かないのが常である。 漢方的にみても厄介で、医者と患者の両方が忍耐と工夫をしなければうまく行かない。 先ず考えられるのは柴胡桂枝乾姜湯で、大体の症状は合っているが、悪心と腹証はぴたりとしない。柴胡桂枝乾姜湯は条文にも嘔せずとあり、実際味が悪いのでよく吐いてしまう人も有るくらいだ。 シビレ、小便難がある点では苓桂朮甘湯を考えないわけにはいかないが、ゲップ・胃部膨満感などがあるのでどうもぴったりと来ない。 咽中炙肉感があるからといって半夏厚朴湯の専売ではない。咽に来る経絡を考えたら他にいろいろなものが出てくるし、のぼせなども合わない。 残るのは黄連だが、黄連湯、黄連阿膠湯、甘草瀉心湯など一渡りしても脈その他ぴったりするものがない。まだ烏梅丸が残っている。 何しろ症状が複雑多岐で頭が混乱するから整理分類してみよう。この患者は上が熱して中が詰まって下が冷えている状態である。厥陰病は寒熱錯綜というが、寒と熱が一緒にごちゃごちゃになっているのではなくて、部分的に熱しているのは上の陽気が盛んなためで、下が冷えているのは下の陰気が盛んなためで、そうなったのは中が支えているので、上の陽気が降れず、下の陰気が昇れずにいるからである。 のぼせは頭部の充血によるものだが、陽気が盛んになっていると見る、烏梅丸には黄連と桂枝が入っているから適合する。 不眠は外の陽気が盛んなために起こるから、この場合は黄連で良い。黄連が一番多量に入っていることも意味があるようだ。 イライラするのは心肝の障害で、やはり黄連でよい。動悸はこの場合心熱と見られるから、心の陰気を補う黄連でよろしい。なお、上熱には黄柏も作用するし、のぼせ、動悸、めまい、頭重などを上衝も手伝うものとすれば桂枝が物を言うことになる。 次に中の症状だが、ゲップはこの場合は胃の虚寒のために起こるとしてよいだろう。胃の虚寒は足が冷えることや橘皮竹茹湯の証からも考えられる。乾姜蜀椒が入っている。 胃部の膨満感は胃虚である、人参が入っている。悪心は“せんと欲す”と、“吐せんと欲す”では病理が違ってくる。上に熱があるためなら“嘔せんと欲す”とし、胃に虚寒があるなら“吐せんと欲す”とすべきだが、今の場合はどちらの条件もあるからどちらにとっても宜しい。 下の冷えは、胃の虚寒と共に腎の陽虚陰盛と解釈すべきであろう。舌が黒いのは、腎陰が盛んなためとする。小便難は腎の陽虚であり、陽気が上ばかり集まっていて下に降りてこないためとも解釈できる。 以上の症状には桂枝・細辛が腎の陽気を補っている。 手のシビレは、表虚で、附子で経を温めるほか血行をよくするために当帰がある。特に左手がシビレるというのは難しい所だが、恐らくは女子は右を逆とし、左を従とするものだが、陽は左に症状が現れることが多いと解釈すれば、この場合シビレは表の陽虚だからそれが左手に起こったとしてよいだろうか、先輩の教えを仰ぎたい。 咽は咽と食道とを指している。咽の異常感はスチグマータとかヒステリー球とか云われるもので、食道の粘膜の知覚過敏、浮腫、食道筋層の痙攣などで起こるもので、食道神経症とも云われている。 漢方的にみれば気痞であり、経絡的にみれば胃・肝・腎などの経絡が絡っており、果たしてこの例で何経の作用であるかは明らかにし難いが、胃経であっても腎経であっても前述のように烏梅丸証の中に含まれるものだから、半夏厚朴湯ならずともよいのである。 経過。異常の如くにして烏梅丸を考え、烏梅丸の証を割り出し、薬能と症状とを引き合わせてそれに決め、1日量6.0を用い、9.0~12.0と漸次増量した。勘定合って銭足らずのこともあるから、結果如何と大いに興味を持っていたが、この患者は遠方で再往診も困難な事情があるため電話で連絡して経過を尋ねた。半月すると不眠症、ゲップなどの主訴が著しく軽快し、大変感謝されたが、1ヶ月後には起きられるようになった。5年間ほとんど寝たきりの病人だったので、その喜びようは並々でなかった。(龍野一雄・漢方の臨床誌第8巻第2号)
[4]煩躁:☆回虫が原因で煩躁する者を治するために設けられた薬方《大塚敬節》
[5]腹痛:☆回虫から来る腹痛に用いる《大塚敬節》☆およそ回虫の腹痛は発作性にくるものが多く、嘔吐を伴うものである。これを治するに苦味の烏梅丸の効く者と甘草粉蜜湯の効く者とある。 もし嘔吐がひどくて薬を受け付けない者には蜀椒と烏梅の2味を煎じて与えても良い。又、椒梅瀉心湯として用いても良い。《大塚敬節》☆烏梅丸の効く場合は、痛みが甚だしい時は手足がシビレ、或いは厥冷して、煩躁がひどくて気絶するほどになるものである。《大塚敬節》
烏梅丸[2]《東醫寶鑑》「黄連1両半、烏梅肉・当帰・枳穀各1両」粉末にし、醋糊で丸め、米飲で空腹時に70丸飲む。 ◎熱痢で腹痛・下血。蛔厥の心腹痛を治す。
烏梅丸加減《中薬臨床応用》「烏梅15g、乾姜6g、党参6g、檳榔子12g、苦楝根皮12g、使君子15g、木香9g、蜀椒6g、大黄9g、細辛3g」水煎し1日1剤を2回に分けて服用。
烏梅膏《中薬臨床応用》「烏梅30g」塩水(50mlのぬるま湯に食塩9g)の中に12~24時間浸す。核を除き「酢15ml」加えてすりつぶし軟膏にする。 ◎胼胝(タコ)、鶏眼(ウオノメ)に外用。
烏梅丹=烏梅丸《金匱要略》
烏梅湯[1]《東醫寶鑑》「柴胡2銭、山梔子(炒)・黄芩・炙甘草各1銭、烏梅肉2個、生姜3片、豆豉50粒」水煎服。 ◎傷寒が治った後、虚煩し、不眠・懊悩する者。
烏梅湯[2]《東醫寶鑑》「黒豆・緑豆各1合、烏梅3個」水煎服。 ◎痘渇と出痘を治す。痘瘡で煩渇し、水を飲んでも渇がもっとひどくなる。
烏梅木瓜湯[1-1]《三因極一病証方論》「木瓜、烏梅、黄柏、甘草、草果」 烏梅木瓜湯[1-2]《東醫寶鑑》「烏梅(砕いて種を残す)・木瓜各2銭、麦芽(炒)・草果・甘草各1銭、生姜3片」水煎服。◎酒熱と消渇を治す。
烏白丸《東醫寶鑑》「烏梅肉・生姜各4両、白礬・半夏各2両、をついて瓦の上に置いて3日間火に焙って、神麹・麦芽・陳皮・青皮・莪朮・丁香皮・大腹皮・枳穀各1両」粉末にし、酒糊で梧子大の丸剤。姜湯で50丸飲む。◎酒積を治し、痰と食物を消化する。
烏附通気湯《東醫寶鑑》 「烏薬・香附子・当帰・白芍・山楂肉・橘皮各1銭、白朮7分、赤茯苓・沢瀉各5分、猪苓・木香・甘草各3分」水煎服。 ◎新・久の疝病を治し、七情の疝を治す。
烏薬順気散[1-1]《和剤局方》《松田ー回春解説》「烏薬・陳皮各2銭、姜蚕(炒って糸を去る)・乾姜(炮5分)・甘草(炙3分)・麻黄(去節)・川芎・白芷・枳殻(去穰麩炒)・桔梗各1銭」剉作1剤。生姜3片、棗1枚。水煎して温服する。 ◎初めて風邪に中り、麻木疼痛るつ者は風湿の気なり。この方に宜し。
烏薬順気散[1-2]《和剤局方》《古今方彙》「烏薬・陳皮各2銭、白殭蚕・乾姜(炮)各5分、麻黄・川芎・白芷・桔梗各1銭、甘草(炙)3分、枳殻1銭、生姜、大棗」水煎。
◎男婦一切の風気攻めて四肢に注ぎ、骨節疼痛、肢体頑麻、手足癱瘓、言語蹇渋(発語が円転ならざるもの)、筋脉拘攣するを治す。 宜しく先ず此の薬を服し、気道を疎通し、然る後に風薬を進め蓋(オオ)いて風を治す。蓋し風を治するには、先ず気を理し、気順えば則ち痰は消え、除ろにその風を理すれば庶(オオク)は効を収むべし。理気は気滞・気欝・肩膊麻痛の類、これ七情なり。みな宜しく之を服すべし。
烏薬順気散[1-3]《東醫寶鑑》「麻黄・陳皮・烏薬各1銭半、川芎・白芷・白彊蚕・枳穀・桔梗各1銭、乾姜5分、甘草3分、を剉作し、1貼に生姜3・大棗2を入れ、水煎服。 ◎一切の風疾を治す。先にこの薬を飲んで気道を疎通いた後、風薬を投与し、又 と歴節風を治す。◎風の通治薬。◎風気が経絡に流入して四肢が疼痛し、筋脈が拘攣したとき。
烏薬順気散[1-4]《和剤局方》《漢方後世要方解説》
「烏薬・陳皮・白殭蚕・乾姜・麻黄・川芎・桔梗各2.5、枳殻・白芷・甘草各1.5」
◎男子婦人一切の風気、四肢骨節疼痛、遍身頑麻、頭目旋暈するを治す。及び癰疾、語言蹇渋、筋脈拘攣するを療す。又、脚気歩履艱難、脚膝軟弱、婦人の血風、老人冷気上攻し、胸腹両脇刺痛、心腹膨張、吐瀉腸鳴を治す。
◎此方は中風の症で、四肢骨節の疼痛、言語障害あり、筋脈痛み引きつり、肩及び上肢の疼痛、運動障害あるもの、シビレ感ある者等に、気を順らす目的を以て用いる。風に当たりて麻痺感ある者にもよい。
*麻黄・川芎=表気を順らし、遍身疼痛を治す。
*烏薬・陳皮=裏気を順らし、語言蹇渋を治す。
*白芷・白殭蚕=面部の気を順らし、口眼を治す
*甘草=肺気を緩くし
*桔梗=気の上逆を下し*乾姜=滞気を順らす。
烏薬順気散[1-5]《和剤局方》《勿誤薬室方函》「麻黄・橘皮・烏薬・白彊蚕・枳実・白芷・甘草・桔梗各1両、乾姜半両」温酒にて調服する。
◎男子婦人、一切の風気、攻、四肢骨節疼痛し、遍身頑麻し、頭目旋暈するを治す。及び、語言蹇渋し、筋脈拘攣するを療す。」
◎又脚気、歩履難く、脚膝軟弱し、婦人血気、老人冷気、胸臆上攻し、両脇刺痛し、心腹膨張し、吐瀉腸鳴するを治す。
◎身体痛、関節痛、麻痺、言語障碍等の内どれかが主になる。《龍野処方集》
◎気のめぐりをよくして、気の欝滞によって四肢の疼痛、麻痺、運動障害なそを治する目的で用いる。虚証で脈の微弱な者には用いない。《大塚敬節》
★適応症及び病名 (烏薬順気散)
[1]肩こり:☆肩臂疼痛《矢数道明》☆気鬱から起きる肩こり。☆肩がつまって、首が回らない:「木瓜」=回首散《万病回春》
[2]脚弱の浮腫には:☆「牛膝・独活・五加皮各3.0g」《龍野ー漢方処方集》
[3]顔面神経麻痺:
[4]脚気
[5]関節リウマチ
「6」ギックリ腰:☆ギックリ腰や足のくじきに用いる《大塚敬節》
[7]筋肉リウマチ ☆全身の疼痛:
◎「当帰・桂枝各3.0g、乳香・没薬各1.5g」《龍野ー漢方処方集》[8]口眼か斜には:☆寒冷にあって口眼斜を起こした者《大塚敬節》☆「乾姜・黄連・竹瀝各2.0g、羗活・荊芥・防風各4.0g。《龍野ー漢方処方集》
[9]五十肩:[10]シビレ:《矢数道明》
☆四肢冷痺には:「白川附子1.0g、桂枝3.0g」《龍野ー漢方処方集》☆扇風機やクーラーの風によるしびれ。《中医処方解説》☆この方は気のめぐりをよくする方剤で、気のめぐりが悪いために起こる四肢のシビレ・痛みなどによい《大塚敬節》☆脳出血で、手足がシビレたり、痛んだりする者に良い《大塚敬節》
[11]四十腕
[12]中風: ☆烏薬順気散は中風の初起で、頭痛・悪寒・発熱・口眼・半身不随等の症状があって、一通り中風の初起の表症ある者に用いる主剤である。余が家では中風の常用方である。この方と人参順気散はいずれも表症のある者に用いる。しかし言語障害があり、意識もぼんやりしている様な者には遠慮するが良い。それよりも一等軽いところに用いる。雑病一切気のめぐりが悪く、四肢がシビレあるいは首が回りかね、或いは口がゆがみ、或いは歩行する時に、足の具合が悪い者などに用いる。又、足をねじり或いは床を踏み外し、或いは重い荷物を持って腰脚などをギックリとスジを違え、それが原因で痛み者などに良く効く《梧竹楼方函口訣》
「13」寝違い:☆寝違えて首の回らない者《大塚敬節》☆首の回りにくい者:「木瓜」=回首散《万病回春》[14]脳溢血:☆脳溢血による四肢疼痛《矢数道明》 [15]背心痛には: ☆「行気香蘇散白朮3.0g、半夏・茯苓各6.0g」《龍野ー漢方処方集》[16]半身不随: [17]臂痛:☆「羗活・防風各4.0g、桂枝・白朮各2.5g、紫蘇葉2.0g」《龍野ー漢方処方集》☆赤ん坊に手枕をして、肘がシビレ、痛む者《大塚敬節》[18]浮腫: ☆腰脚の浮腫:「牛膝・杜仲・角茴香各3.0g」《龍野ー漢方処方集》 ☆虚汗には・・黄蓍2.0g、麻黄。《龍野ー漢方処方集》
[19]婦人血風:☆「防風6.0g、荊芥4.0g、薄荷葉2.0g」。《龍野ー漢方処方集》[20]麻痺:☆《餐英舘療治雑話》“当今、肩背の痛んで手臂麻痺する証には気に属する者が甚だ多い。肩背が張って麻痺し、或いは心下がつかえて気ののびない証は、皆七情の病で、この方で著効をとる。或いはこれに羗活。防風などの風薬を加えたり、少し附子を加えて用いると更によい。この頃の病人には、気滞と肝欝に目をつけよというのは、このことである。またはっきり気滞の徴候が見えなくても、難治の者にはこの方を用いてみると良い。婦人で背から腕にかけてシビレて痛むと言う者には、なおさらこの証が多い”
☆片側麻痺には:「天麻・羗活・当帰各3.0g、麦門冬・天南星各6.0g、木香1.0g、麻黄」。《龍野ー漢方処方集》 ☆中風全麻痺には:「人参2.5g、白朮・当帰各3.0g、麦門冬6.0g」《龍野ー漢方処方集》 ☆慢性の麻痺・歩行困難「独活寄生湯」《龍野ー漢方処方集》
烏薬湯[1-1]《医学入門》《古今方彙》「烏薬1銭半、香附子2銭、当帰1銭、木香・甘草各5分」水煎、空心時に服用。◎血海疼痛するを治す。
烏薬湯[1-2]《済陰綱目》《東醫寶鑑》「香附子2銭、烏薬1銭半、当帰1銭、木香・甘草(炙)各5分」水煎服。 ◎婦人の血海疼痛を治す。
烏薬平気散《三因極一病証方論》《古今方彙》「烏薬・茯神・甘草・人参・白朮・川芎・当帰・木瓜・白芷・五味子・紫蘇子各等分、生姜、大棗」煎服。 ◎脚気上攻し、頭目昏眩、腰膝痠疼し、諸気和せず、喘満迫促するを治す。
烏薬平気湯《東醫寶鑑》「烏薬1銭、茯神・人参・白朮・川芎・当帰・木瓜・白芷・五味子・紫蘇葉各7分、甘草3分、生姜5片、大棗2枚」水煎服。 ◎脚気が上攻して昏眩し、喘促する者。
烏竜腎《東醫寶鑑》「川烏・草烏各1両」を黒豆半升と煎じて、皮・臍を捨て晒して乾燥、白附子・天麻・地竜各5銭を粉末にし、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で30~50丸呑む。 ◎腎臓風の下注による瘡癬の症。
烏竜丹《東醫寶鑑》
「川烏生(皮と臍を捨て)・五霊脂各2両、竜脳・麝香各半銭」を水で弾子大の丸剤。毎回1丸を、初日は姜汁で化下し、次の日は煖酒で調合して5~7丸を食べると手足が良く動くようになり、10丸を服用すれば自分の手で全ての事ができる。 ◎中風で口眼がし、手足に力無く、引っ張るような感じがして、言語不渋を治す。
烏龍解毒散《万病回春》《東醫寶鑑》「木耳4両を土鍋で炒り焦がし、性を残して粉末にする。毎回5銭を熱黄酒1椀で調服する。」◎杖で打たれた後、寝起きもできない者。又は打ち身で、疼痛がひどくて昼夜眠れない者。
烏苓通気湯[1-1]《万病回春》
「烏薬・当帰・芍薬・香附子・糖毬・陳皮各1銭、茯苓・白朮(去蘆)・檳榔・延胡索・沢瀉各5分、木香・甘草各3分」剉作1剤生姜3片、水煎服。
◎一切の疝気にて遠近、関越、風湿、寒気を問うことなく治す。◎若し悪寒し脈沈細の者:「呉茱萸」◎《医学入門》には猪苓ありて檳榔子、玄胡索なく、「烏附通気湯」と名づく。
烏苓通気湯[1-2]《万病回春》《勿誤薬室方函》 「烏薬・当帰・芍薬・香附子・山楂子・陳皮各1銭、茯苓・白朮・檳榔・玄胡・沢瀉各5分、木香・甘草各3分、生姜」
◎一切の疝気を治す。遠近寒熱を問う無し。
◎此方は後世、疝の套剤とすれども、疏気利水が主意にて、寒疝諸症、温散和中の薬効なき者に用いて通気の験著しい。《勿誤薬室方函口訣》
◎腹冷痛《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(烏苓通気湯)
[1]遺精:☆疝に因る者:《方読便覧》
[2]陰嚢腫脹:☆小児陰嚢急痛する者に与え即効あり。《勿誤薬室方函口訣》
[3]下痢:☆産後痢病、久痢を治す:「干姜・附子」《方読便覧》
[4]疝気
[5]乳房痛:☆婦人両乳痛甚だしき者に即効あり。《勿誤薬室方函口訣》
[6]冷え腹
[7]腹痛
[8]ヘルニア
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欝金丸[1]《東醫寶鑑》
「蝉退・欝金各7両、明礬3両」粉末にし、糊で梧子大の丸剤。毎回50丸 を温水で服用。飲むと胸につかえたものが、すっと降りる感じで気分が良 くなる。
◎癲狂。心配のしすぎから痰涎が心臓の弁をふさいで癲狂になった。
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欝金丸[2]「欝金、木香、(明)雄黄、五霊脂、延胡索、砂仁、明礬」
欝金黄連丸《東醫寶鑑》
「滑石・白茯苓各4両、黒牽牛子末3、黄芩・大黄・琥珀各2両、欝金・黄連各1両」粉末にし、水で梧子大の丸剤。沸騰湯で50~70丸呑む。
◎小腸・膀胱の積熱による閉不通。
◎遺尿不禁・白濁、膏淋が血膿のような症状。
◎沙石が米粒・粉糊のような症状。
#欝金散《東醫寶鑑》「欝金・白芷・細辛各等分」粉末にして牙歯に塗り、竹葉・竹茹に塩を少し入れて歯を磨く。
◎歯根出血の主治剤。
#禹余粮丸《東醫寶鑑》 「禹余粮(煆)・赤石脂(煆)・竜骨・蓽撥・訶子(炮)・乾姜(炮)・肉豆蔲()・附子(炮)」各等分に作末し、醋糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で70丸呑み下す。
◎虚寒に滑泄不禁を治す。
#雲南白薬【中成薬】 「田七・七葉一枝花」
#温胃湯[1]《東醫寶鑑》「乾姜(炮)1銭半、炮附子・半夏(麹)厚朴・人参・陳皮・甘草(炙)・当帰各1銭2分半、川椒(炒)1銭」水煎服。 ◎胃気が冷え、脹満して消化しない者。
#温胃湯[2]《東醫寶鑑》「陳皮・黄蓍各7銭、益智仁6銭、白豆蔲・姜黄・乾姜・沢瀉各3銭、縮砂・厚朴・人参・甘草各2銭」を粉末にし、毎回3銭に生姜3片を入れ、水煎服。◎寒薬の多飲による、胃脘の疼痛。
#温胃湯[3]《東醫寶鑑》「陳皮・黄蓍各7銭、益智仁6足。
#温胃化痰丸《東醫寶鑑》「半夏(製)3両、乾姜(炮)・白朮(焙)・陳皮各2両」粉末にし姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で20~30丸呑む。 ◎胸膈間に寒飲・冷痰のある症。
#温衛湯《東醫寶鑑》「当帰身1銭半、黄蓍・蒼朮・升麻・知母・柴胡・羗活各1銭、人参・防風・白・黄柏・沢瀉・甘草各5分、陳皮・青皮・黄連・木香各3分」水煎服。 ◎鼻が効かず、眼中に湯火があって、陰冷で足がしびれる症。
#温金散《東醫寶鑑》 「防風・桑白皮・黄芩・甘草各1両、杏仁(去皮尖)21粒」を水に漬けて一晩おき、乾燥後、「人参5銭、茯神5銭、麦門冬2銭半」を入れて粉末にし、毎回3銭に黄蝋を大豆大ぐらい入れ煎服。◎労嗽を治す。
#温経益元湯《傷寒六書》《古今方彙》「附子・人参・白朮・当帰・黄蓍・甘草(炙)・白芍薬(炒)・生地黄・茯苓・陳皮・肉桂・生姜・大棗・糯米(炒)」水煎温服。 ◎汗後大虚し、頭眩し、振々として地に倒れんと欲し、及び肉瞤筋愓(筋肉がピクピク動く)し、◎或いは大汗後衛虚し、亡陽、汗出ること止まず、◎或いは下後下利止まず、身疼痛する者を治す。
#温経湯[1-1]《金匱要略》《龍野一雄》「呉茱萸3g、当帰・芍薬・川芎・桂枝・人参・阿膠・牡丹皮・甘草各2g、半夏8g、麦門冬10g、干姜1g」◎此方は胞門(胎盤の出る門)虚寒と云うが目的にて、凡そ婦人血室虚弱にして月水不調、腰冷、腹痛、頭疼、下血、種々虚寒の候ある者に用いる。年50云々に拘わるべからず。反って方後の主治に拠るべし。《勿誤薬室方函口訣》胞門虚寒とは、子宮の機能が衰えて冷えていることを指す《大塚敬節》 ◎瘀血、暮熱、少腹裏急、腹満、手掌煩熱、口唇乾燥、下腹寒冷、不妊、子宮出血《龍野ー漢方処方集》◎此すなわち正を養えば邪自から消えるの法なり。《雑病論識》◎此湯の温経と名づくるは、瘀血温を得て即ち行るを以てなり、余、本方「附子」で奏功す。《雑病論識》◎温経散寒、補血調経、活血化瘀、益気和胃。《中医処方解説》◎《陳念祖》曰く、温経湯、陰陽、虚実、閉塞、崩漏、老少を論ぜず、よく之を用い、手に応じ効を取らざる無し。又云う、絶えて逐瘀の品無し、故に期を過ぎ来たらざる者能く之を通じ、月来たる過多なる者能く之を止む。少腹寒にして胎を受けざる者、並びに能く之を治す。《方読便覧》◎目標:手掌の煩熱と唇の乾燥と下腹部の膨満または不快感にある《大塚敬節》
★温経湯(手足のほてり、口唇乾燥、下腹部膨満感、腹痛、腰痛、脈無力
【適応症】《矢野敏夫》 「冷え症で手掌がほてり、口唇が乾燥しやすい次の諸症に用いる: 手掌角皮症・更年期神経症・月経不順・月経過多・月経痛・頭痛・腰痛・帯下」
【ポイント】《矢野敏夫》 元気が無く、貧血・冷え症傾向の婦人に、口渇、手掌のほてり、下腹部膨満感を目標に用いる
★適応症及び病名 (温経湯)
[1]アレルギー性鼻炎
[2]頭がふらつく
[3]潰瘍性大腸炎
[4]顔色悪い
[5]角皮症
[6]下肢の冷え:☆下肢寒冷にして、虚熱逆上の証候あり、時に屡(しばし)ば子宮出血を起こす者《奥田謙蔵》☆下肢寒冷にして、手掌煩熱し、冬季に入れば、時々腰腹痛を発する等の証《奥田謙蔵》
[7]下腹部の冷え
[8]下腹部の疼痛
[9]下腹部の不快感
[10]下腹部の膨満感
[11]感情が不安定
[12]乾癬
[13]寒冷で悪化する
[14]気の上衝<+>
[15]月経異常:(遅れる、早すぎる)
[16]月経過多
[17]月経困難
[18]月経痛:☆婦人経水不調、少腹冷気、瘀血に属する者は、温経湯奇効あり。経後腹痛する者亦瘀血に属す。もし経行中に不屈する者は気滞に属す。《先哲医話》
[19]月経不順:☆《張氏医通》に曰く、経水、期をあやまり、胸脇腰脘刺痛し、虚浮、寒戦す。これ衝任衰弱し、蔵気虚冷の故なり。《方読便覧》☆月経不順にして、常に腰脚に冷感あり、かって孕姙せざる証《奥田謙蔵》☆月経不順にして、熱候無く、白帯下断続する等の証《奥田謙蔵》
[20]下焦虚寒
[21]下痢
[22]血瘀血虚:☆血虚に血瘀の証を兼ねる者に用いる。
[23]口唇乾燥:☆瘀血の証で唇口が乾燥する者に用いる《大塚敬節》☆1婦人、結婚10数年一度も妊娠したことがない。この婦人は腰が冷え、足がひきつれる感じがすると云う。唇は乾かないが、鼻孔が乾燥し、肌が荒れる。そこで温経湯を用いたところ、鼻孔の乾燥や指の荒れは良くなった《大塚敬節》
[24]更年期障害
[25]腰が冷える<下寒>
[26]骨粗鬆症 ☆瘀血所見があり、冷え症で、下肢に膨満感があったり、下肢が引きつれたりして、掌には煩熱があり、口唇が乾燥するものに用いる(漢方診療医典)
[27]骨盤内うっ血症候群 ☆EBM:(Evidence) 1件の多施設症例集研究において、骨盤内うっ血症候群に対する温経湯の有効率は84.0%であった。内診所見では子宮圧痛、仙骨抵抗、分泌物の量は有意に改善した。
[28]しびれ(手足の) (手足のほてり、口唇乾燥、下腹部膨満感、腹痛、腰痛
[29]しもやけ
[30]子宮ガン:☆郡山、北条弥一右衛門、妻、歳60は、月経様の出血が止まず、時に汚い水のようなものを下し、腰は氷か鉄の帯をしている様に冷たい。医者は皆、帯下(ここでは今日の子宮ガン)不治とした。余はこれを診察して、悪寒も熱もなく、脈も虚数ではない。また陰部に痛むところがなく、下り物に悪臭がない。或いは治るかもしれないと、温経湯を与え、硫黄と龍骨の2味で丸薬をつくって兼用せしめた。これを服用すること10日あまり、腰に温みを覚え、汚水の下ることも減じ、数ヶ月の後、子宮出血も止まり、普通の老婦人となることが出来た。《橘窓書影》
[31]子宮発育不全
[32]子宮出血:☆下血の証、口唇乾燥、手掌煩熱、上熱下寒(上半身がのぼせ、下半身が冷える)、腹塊なき者を適証として用いる。《勿誤薬室方函口訣》☆もし塊あり、快く血下らざる者は「桂枝茯苓丸」に宜し。その一等重き者を「桃核承気湯」とする。☆《金匱要略》に“おたずねします。婦人が50歳ばかりの頃、数十日もの間、子宮出血が止まず、日暮れになると熱が出て、小腹裏急(小腹は下腹、裏急は腹のつれる感じ)と腹満があり、手掌には煩熱(いやな熱感)があり、唇と口が乾燥しているのですが、これはどういうわけでしょう。先生はこれに次のように答えられました。それは婦人の病で、半産後の瘀血が下腹に残って去らないからこんな症状を呈するのです。その証拠は唇口の乾燥にあるのです。これは温経湯の主治するところです”《大塚敬節》
[33]湿疹:☆手の指や手甲などに出来て、なかなか治らない頑固な湿疹に著効がある。《大塚敬節》☆30歳の女性。結婚して10年になるが、妊娠しないという。色の白い、中肉中背で、別に病気らしいものはしたことがない。婦人科の診察では、特に悪いところはないと言うが、冷え症で、腰(特に右側)の周りから右大腿にかけて冷えて、つれる感じがある。月経の量は少なく、右腹直筋が突っ張っている。それに数年前から、手の指と甲に湿疹があり、これはコーチゾンの使用でよくなるが、一時的でまた元通りになるという。 私は先ず当帰芍薬散を与えた。すると湿疹がひどくなって、鼻の下にも、新しいものが出来て、痒いという。温清飲荊芥連翹とする。変化無し。消風散とする。湿疹の方は少し良いようだが、胃が痛むので、続けて飲めないという。それに背がひどく冷えて、首まで凝るようになり、月経が遅れた。当帰飲子とする。湿疹の方は変化無く、右の腰から足にかけて、ひどく冷える。 温経湯とする。湿疹がどんどん良くなる。2ヶ月ほどで、全治してしまった。その後、3ヶ月ほど、この方を連用した。この患者は最近になって妊娠した。《大塚敬節》 ☆26歳の主婦。20歳の時に左手に湿疹が出来、4年間治らなかった。24歳の春結婚し、11月に妊娠した。その頃より湿疹が増悪し、25歳の春には右手にも拡がった。この年の11月には項部にも拡がり、手の方も悪くなった。そして胸にも発疹が出始めたので、プレドニンを飲んだ。これを飲んでいる間はよいが、止めるとまたひどくなった。目下妊娠7ヶ月であるが、両足と項部に湿疹が出ている。時々頭痛のする事があり、下痢しやすいという。 温経湯を与えると、10日間の服用で、湿疹の方は大いに軽快し、1ヶ月で全快し、下痢もしなくなり、頭痛も無いという。《大塚敬節》
[34]習慣性流産
[35]上熱下寒:☆(上半身がのぼせ、下半身が冷える)
[36]自律神経失調症
[37]進行性手掌角皮症:☆手掌煩熱、唇口乾燥にヒントを得て、それまでは、桂枝茯苓丸+ヨクイニンや加味逍遥散などを用いていたが、それらを用いず、指掌角皮症のほとんどが、これで治ることを知った。《大塚敬節》
[38]精神分裂病
[39]舌質:<淡白><瘀斑>
[40]舌苔:<無苔><湿潤> ☆やや乾燥した薄い白苔《矢野敏夫》
[41]多嚢胞性卵巣症候群 ☆EBM:(Evidence) 1件の多施設症例集積研究に於いて、多嚢胞性卵巣症候群に対する排卵率は57%であった。また、LHは有意に低下した。
[42]帯下(凝血がある)☆婦人、帯下と称する者は、赤白を泄し、少腹裏急し、或いは腹虚満し、手掌煩熱し、脣口乾燥し、その人心下痞し、嘔逆し、或いは欬唾に血を帯びる者なり。当に温経湯を以て之を主としべし《医聖方格》
[43]血の道症
[44]蓄膿症
[45]虫垂炎(急性)
[46]疲れやすい(疲労倦怠)
[47]手掌煩熱:☆手の甲や掌の乾燥する者にも効く《大塚敬節》
[48]凍傷
[49]ノイローゼ
[50]のぼせ<上熱>
[51]冷え症 ☆EBM(レーザー組織血流計による検討) (対象患者) ①冷えの自覚と四肢末梢血流量に関する検討 2000年3~6月外来受診112例 平均年齢 32.7±8.55歳(22~49歳) ②排卵障害、不妊症、更年期障害を有する患者での温経湯投与による四肢血流変化に関する検討 投与群 32例(33,7±7.49歳) 非投与群29例(32.0±7.04歳) 両群において月経状態、冷えスコアにおいて差を認めなかった。 (薬物投与) ③温経湯投与群では7.5g/日を8週間投与。 非投与群では漢方薬以外の治療を選択 (Evidence) 1件の症例集積研究において、温経湯は上下肢の血流量を調整することで冷え症を改善することが示された。
[52]冷えのぼせ
[53]関節痛<膝の>
[54]微熱
[55]皮膚疾患(乾燥性)☆34歳の婦人。不妊のため、6ヶ月前に、子宮後屈の手術をし、その時、両側の卵管を切除し、片方をビニールでつないだ。 なお4年前より軽い耳鳴りがあり、最近、疲れやすく、肩が張り、足が冷える。足は右が重い。時々眠れない。湿疹は胸部の中央に手掌大に拡がったものと、背部で肩胛間部の下方に手掌大に坐をとっている。発疹はあまり隆起せず、発赤を認めない。分泌物もなく、乾燥している。カユミはあるがひどくはない。腹診上左の腸骨窩のあたりに圧痛があり、瘀血の存在を疑わしめるに足る。大便は1日1行。 私はこれに温経湯を用いたところ、10日分の服用で安眠が出来るようになり、湿疹も軽快した。しかし腰痛と肩こりがよくならない。次の10日分で腰痛はよくなったが、肩こりがひどい。次の10日分で依然として肩こりを訴え、耳鳴りがひどい。まだ時々湿疹が痒い。なお、4、5回悪心を訴えた。次の10日分で依然として、肩こりと耳鳴りがあり、口腔に潰瘍が出来た。次の10日分で、口腔の潰瘍は治したが、外陰部から膣がただれ性交不能となる。イライラする。温経湯に黄柏を加えて与える。これを飲むと、とても気分がよく、肥えてきた。陰部のただれもよくなり、湿疹も全治した。《大塚敬節》
[56]皮膚枯燥[57]貧血[58]腹痛[59]不正性器出血:☆郡山の北条弥一右衛門の妻は60であるが、月経が止まらず、時々汚い水がもれ、腰は冷えて、まるで氷か鉄をあてているようだと云う。医者は皆、コレを診て、不治の症とした。自分はこれを診察して云った。身に悪寒も熱もなく、脈も虚数(力がなくて速い)ではない。また陰部にも疼痛もなく、下り物にも悪臭がない。ことによると治るかも知れないと、そこで温経湯を与え、硫黄と龍骨の2味を丸として兼用した。これを10日あまり飲むと腰に温かみを覚え、下り物が減じ、出血が止まり、普通の老婦となった。《橘窓書影》 [60]不妊症:☆《金匱要略》に“婦人の下腹が冷えて久しい間妊娠しないのを治し、かねて子宮出血を治し、また月経が多すぎる者及びその期になっても来ないものを治する”《大塚敬節》☆私はこの方を用いて、うまく妊娠した例を知らない。然し浅田流ではこの方を不妊に用いているので、方と証がうまく的中すれば、妊娠も可能であろうと思う《大塚敬節》 ☆桂枝茯苓丸や当帰芍薬湯とともに不妊症に有効である。桂枝茯苓丸は左下腹部圧痛と共に抵抗があり、温経湯にはない。当帰芍薬湯は、皮膚にやや水分の多い感じ、めまいなどがあり下腹直筋の緊張弱く、表層圧痛を認めるが、温経湯は腹直筋緊張良好の違いがある。《矢野敏夫》[61]ほてり[62]慢性腸炎[63]慢性副鼻腔炎 [64]無気力[65]無月経 [66]無排卵 ☆EBM:症例集積研究 (Evidence) 1件の証を考慮しない症例集積研究において、8週後のFSH、LH、estradiolは有意に増加した。12週後までに排卵に至ったのはⅠ度無月経65%、Ⅱ度無月経23%だった。 [67]盲腸炎[68]卵巣機能障害 [69]脈:弱、時に緊弱(細であることは少ない)《矢野敏夫》 温経湯[2](一名調経散)《東醫寶鑑》「麦門冬2銭、当帰1銭半、人参・半夏(製)・白芍薬・川芎・牡丹皮各1銭、阿膠珠・甘草(炙)各7分半、呉茱萸・肉桂各5分、姜3片」水煎服。◎月経の不調を治す。◎月経のあるときに房事を行い衝脈・任脈が損傷し、経血が暴下。 温警丸(一名粉紅丸)《東醫寶鑑》「天南星(牛胆)4両、天竺黄1両、朱砂1銭半、臙脂胚半銭、竜脳5分」 粉末にし、牛胆汁で芡実大の丸剤。砂糖水で飲む。 ◎急驚の虚症を治す。 温腎丸[1]《東醫寶鑑》「熟地黄1銭半、牛膝・肉蓯蓉・五味子・巴戟・麦門冬・炙甘草各8分、茯神・乾姜・杜仲(炒)各5分」水煎服。 ◎腎が弱く、命門が冷え、腰痛する者。 温腎丸[2]《東醫寶鑑》「山茱萸・熟地黄各3両、巴戟2両、兎絲子・当帰・鹿茸・益智仁・杜仲・生乾地黄・茯神・山・遠志・続断・蛇床子各1両」粉末にし、梧子大の蜜丸。空腹時に温酒で50~70丸飲む・ ◎これを飲むと妊娠する。 温腎湯《東醫寶鑑》「赤茯苓・白朮・沢瀉・乾姜(炮)各1銭2分半」水煎服。 ◎風寒湿による寒淋。小便不利を治す。 温清飲[1-1]《東醫寶鑑》=「解毒四物湯」「黄連解毒湯+四物湯」◎崩漏が止まらず、五色が流れ出、顔は黄色く腹痛する。 温清飲[1-2]《万病回春》《古今方彙》=「四物湯+黄連解毒湯」 「当帰・芍薬・川芎・地黄・黄芩・黄連・黄柏・山梔子各1銭半」◎婦人経水住まず、或いは豆汁の如く五色相雑え、面色萎黄・臍腹刺痛・寒熱往来・崩漏止まざるを治す。◎此方は温と清と相合する処に妙ありて、婦人漏下、或いは帯下、或いは男子下血止まざる者に用いて験あり。《勿誤薬室方函口訣》◎腸出血、子宮出血、貧血著明、或いは腰痛浮腫を伴う者。《龍野ー漢方処方集》◎清熱瀉火、解毒、補血活血、止血。《中医処方解説》◎目標:《大塚敬節》<1>患部が乾燥して赤みを帯び、灼熱があり、カユミがひどく、ひっかくと、粉がこぼれるという点にある。<2>分泌液が流れることはない。<3>顔面・頸部・項部などがひどくおかされる傾向がある。◎目標:《矢数道明》「多く丘疹性の湿疹で、分泌物はなく、枯燥の傾向があり、カユミが甚だしく、掻爬によって出血痕を残している者が多い」 ★適応症及び病名 (温清飲)[1]頭がふらつく[2]イライラ[3]陰部の潰瘍 [4]川崎病 ☆やや急性期を過ぎて、発熱、発疹、結膜充血、不眠などを目標に用いる(漢方診療医典)[5]乾癬:☆老人の頑癬は、多く血液乾燥し、湿熱き肌表に薫ずるに因る。故に温清飲を的治と為す。或いは「浮萍」佳なり。《先哲医話》☆若い人の乾癬:「連翹・荊芥」《大塚敬節》☆28歳の婦人。16歳の頃、全身に、汗疹のような小さい赤い発疹が出来、それが融合し、後には痂皮状になって、カユミがあった。しかしそれは1ヶ月ほどで治った。ところがそれから2年ほどたって、また赤い丘疹が四肢の伸側に散在性にでき、それからウロコの様に乾燥して、こぼれ落ちるようになった。カユミは少ないが、夜間痒いことがある。 某医大の病院で、尋常性乾癬と診断せられて、治療を受けているが、良くならないと云う。大便は1日1行。月経は順調。 私はこれに温清飲を与えたが、20日目頃から、漸次軽快し、4ヶ月の服用で全治した。ただ途中で、痔出血を起こしたので、これに魚腥草を加えたところ、4、5日で痔出血は止んだ。《大塚敬節》[6]肝斑:☆43歳の婦人。長い間、肝斑に悩んでいる。いろいろ手当をしている内に、顔一面に広がったという。 腹診上特に捕まえどころがなく、大便も1日1行。月経も順調。ただ左の足の裏が、ポカポカと火が燃えている様だというのを目標に温清飲を用いた。しかし、1、2ヶ月間の服用で、あまり効果があるようにみえなかった。しかし、患者は2年7ヶ月の間、休まずに飲み続けて、ついに全治した。《大塚敬節》[7]気の上衝:<+>[8]筋肉のひきつり[9]下血(鮮紅色)☆大便下血を治し、糞便糞後を問わず、即ち「地楡・槐花・阿膠・側柏葉」 ☆《名医方考》に曰く、上下失血太(はなは)だ多ければ則ち必ず「四物湯」を与える勿れと。瘀血厲毒の如きも亦禁じる所に在り。而して今加うるに黄連解毒湯を以てす。温清飲、適宜なり。《雑病翼方》☆小栗豊後の室、下血止まず面色萎黄、腰痛折れるが如く、両脚微腫ありて衆医手を束ね。余此方を与えて全く癒ゆ《浅田宗伯》[10]月経過多[11]月経困難[12]血崩[13]口渇 [14]口内炎[15]高血圧症[16]更年期障害 [17]サルコイドーシス ☆丘診や結節などの皮膚症状や眼症状のあるものに用いる(漢方診療医典)[18]痔出血:☆「魚腥草」《大塚敬節》☆41歳の男性。5年前に痔出血があったが、一旦治っていたがその翌年、内痔核からの出血が永く続いて、めまいが起こり、貧血がひどいため、入院して輸血をしたこともある。その後、耳鳴りとめまいがあって、メニエール氏病と云われたこともあった。血圧は110-70位で、疲れやすい。ひどく神経質で、手術は絶対イヤだと云う。大便1日1行あり、胸脇苦満が著明にある。そこで先ず大柴胡湯大黄を用いたところ、上腹部の膨満感は無くなったが、また痔出血が始まった。そこで温清飲荊芥魚腥草を用いたところ、7日分を飲み終わる頃には出血が止んだ。その後、引き続きこれを服用すること、6ヶ月、その間出血は1回もなく、イライラした気分もなくなった。 この患者も芎帰膠艾湯でよいかとも考えたが、上腹部の抵抗とイライラした不安感があったので、四物湯に黄連解毒湯を合した温清飲にし、これに荊芥と魚腥草を加えた。荊芥にも魚腥草にも止血の効があり、魚腥草は槐花と同じく痔に良く効くので、これを加えた。《大塚敬節》☆32歳の女性。5年前に痔出血があったが、それきり出血はなかった。ただ脱肛があって、歩くときにも出てくる状態で、便秘の傾向があり、いつも下剤を呑んでいた。昨日から、急に痔出血が始まったという。患部を診ないで薬をくれという。私はこれに温清飲大黄魚腥草を与えた。 すると翌日から出血が止み、脱肛の方も軽快し、排便の時は脱肛するが、歩行時に脱肛することはなくなった。《大塚敬節》[19]しびれ感(筋肉のひきつり)[20]子宮ガン[21]子宮出血 [22]子宮内膜炎[23]湿疹:☆発疹は乾燥し、赤みを帯び、痒み激しく、患者の皮膚はツヤがなく黄褐色、腹診すると上腹部から両脇にかけて抵抗を感じ、また下腹部に抵抗と圧痛がある。☆41歳の料理店の主婦。やや小太りで、湿疹は頸部・項部・顔面が主で、酒に酔ったような赤い顔をしている。頸部から項部にかけて棒状になった硬い丘疹がある。患者の云うところでは、そのままでは、ひどく乾いて、痒いばかりでなく、痛むので、オリーブ油を塗っているという。オリーブ油を塗らないと、ヌカのようの粉がこぼれるという。これは明らかに温清飲の症であるが、試みに消風散を与えてみた。すると、カユミが増して却って良くないという、そこで温清飲にしたところ、だんだん軽快し、2ヶ月で全治した。《大塚敬節》[24]紫斑病[25]酒渣鼻 [26]出血:☆にわかに紫血塊を成すを吐し、多しと雖も妨げず。《雑病翼方》 [27]自律神経失調症[28]心下痞[29]神経興奮[30]神経症[31]腎臓結核[32]ジンマシン[33]尋常性瘡[34]舌質:<紅>[35]舌苔:<白苔~黄苔>[36]帯下(おりもの) [37]多発性筋炎 ☆落屑性紅斑、皮膚萎縮、ヘリオトロープ疹など皮膚症状のある者に用いる(漢方診療医典)[38]たむし(田虫):☆「茯苓・大黄」《本朝経験》[39]血の道症[40]爪がもろい[41]手足がしびれる [42]手足厥冷 ☆下半身が冷えるが上半身に熱感あり。[43]腸出血[44]粘膜潰瘍:(口中・舌・頬)[45]ノイローゼ[46]のぼせ[47]梅毒:☆黴毒上攻し、頭上腫起し、凸凹を為す者は、火証に属す。温清飲に宜し。黴毒生火を動かす、徒に湿を為して治すべからず。《先哲医話》 [48]はげ ☆妙齢の婦人。円形脱毛症で、頭部には1本の毛もない。私はこれに柴胡加竜骨牡蛎湯を用いたが、3ヶ月たっても、少しも良くならない。ところが、患者は毛の生えないことを少しも気にかけないようで、すこぶる楽天的である。柴胡加竜骨牡蛎湯証ならば、もっと神経質であるハズだと考えた私は、処方を変更してみようと考えた。そして温清飲にした。これは患者の顔がいつも、のぼせたように赤くなっていて、皮膚に湿りの少ないのを目標にした、すると、1ヶ月もたつと、黒々と一面に毛が生えてきて、私を驚かせた《漢方診療医典》[49]鼻出血(鮮紅色)
[50]肌荒れ
[51]皮膚炎
[52]皮膚掻痒症
[53]皮膚枯燥:(皮膚につやがない)
[54]皮膚の色:(黄褐色~黒褐色)
[55]貧血
[56]腹直筋の緊張
[57]不正性器出血
[58]不眠症
[59]ベーチェット病 ☆黄連解毒湯と四物湯の合方で、ベーチャット病の第一選択処方。黄連解毒湯には、抗炎症、解熱、鎮静の作用があり、四物湯には、血行を良くし、血を補う作用がある。皮膚枯燥の傾向があり、やや慢性化した粘膜の潰瘍、炎症に用いられる(漢方診療医典)
[60]発疹(灼熱感あり、暗紅色、乾燥ぎみ)
[61ほてり
[62]膀胱腫瘍
[63]みずおち緊張
[64]メトロパチー=出血性子宮症
[65]目がかすむ[
66]目の充血
#温臍種子方《東醫寶鑑》「五霊脂・白芷・青塩各2銭、麝香1分」を粉末にし、そば粉を水にまぜて枠をつくり、臍の上において、薬末をそこに入れて炭で灸をすえる。 #
#温臍兜肚方《東醫寶鑑》「白檀・羚羊角各1両、零陵香・沈香・白芷・馬兜鈴・木鼈子・甘松・升麻・血竭各5銭、丁香皮7銭、麝香9分」を粉末にし、3つに分け、まずその1つを熟艾と綿でくるんで、さらに白絹でつつみ、臍の上にかぶせて取れないようにする。3日後の1つ、そして5日後、それから1ヶ月後に取り替える。◎痞積・遺精白濁・赤白帯下・経脈不調・孕胎できない(不妊症)。
# 温胆湯[1-1]《千金方》 「半夏・生姜・橘皮・竹茹各6分、枳実3分、甘草2分、茯苓1両」◎大病後、虚煩眠るを得ざる者を治す。
#温胆湯[1-2]《東醫寶鑑》「半夏・陳皮・白茯苓・枳実各2銭、青竹茹1銭、甘草5分、生姜5片、大棗2枚」◎驚悸・不眠。
#温胆湯[1-3]《東醫寶鑑》「半夏・陳皮・白茯苓・枳実各2銭、青竹茹1銭、甘草5分、生姜5片、大棗2枚」水煎服。 ◎心胆が怯え、事物に対するとよく驚き、夢寐(⇒ムビ)が安らかでない者。
#温胆湯[1-4]《三因極一病証方論》《古今方彙》 「竹茹1銭、甘草5分、陳皮・茯苓・半夏・枳実各2銭半、生姜」水煎。◎病後、虚煩して臥するを得ず。◎心胆虚怯、事に触れて驚き易く、短気、悸乏、或いは復、自汗あるを治す。
#温胆湯[1-5]《三因極一病証方論》 「陳皮・茯苓・半夏各6g、枳実・竹茹各2.5g、甘草・生姜各1g」右7 味、本、茯苓無し、今《三因》に従う。或いは「麦門冬人参」「黄連 酸棗仁」◎大病後、虚煩眠るを得ざるを治す。此れ胆寒の故なり。 ◎此方は駆痰の剤なり。古人淡飲のことを胆寒と云う、温胆は淡飲を温散するなり。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は「流水湯」《霊枢》に根底してその力一層優とす。後世の「竹茹温胆湯」「清心温胆湯」などの祖方なり。◎虚煩不眠、気鬱、心悸亢進、驚き易い、多夢。 《龍野一雄》◎清化熱痰、和胃降逆。《中医処方解説》
★適応症及び病名(温胆湯)
[1]胃内停水
[2]易驚
[3]気うつ
[4]更年期障害
[5]呼吸促迫
[6]自汗
[7]自律神経失調症
[8]神経過敏
[9]神経衰弱:☆心胆虚怯、事に触れて驚き易き者:「麦門冬・人参・柴胡・桔梗」。☆古人は胆が寒えると、物に驚きやすくなり、夢をみて安眠出来なくなり、気鬱の症状が現れるとして、胆を温める温胆湯をいう薬方を作った。 この方は、鳩尾が脹って、つかえ、腹で動悸がし、胸騒ぎがしたり、めまいがして上づりになり、気分が暗くふさぐ気味もあるので、柴胡加竜骨牡蛎湯に似たところがある。この方の大切な目標は、痰である。 痰は今日の喀痰の意味ではなく、病的な水の意味である。一般に水毒と云われている。この痰があって、物事に驚きやすく、夢でうなされたり、不吉な夢をみて眠れなかったり、胸騒ぎがするという者を目標にして、この方を用いる《大塚敬節》
[10]神仙労:☆一女子家に在り、事意に如かざるに因って欝結して脾に在り、半年食わず、毎日棗数を食う。予診し、遂に「温胆湯竹茹」を以て与服せしめ、200貼にして癒ゆ。朱震亨《方読便覧》
[11]心下痞
[12]心臓神経症
[13]盗汗
[14]ノイローゼ:☆横浜本町、肥前屋の下男、万吉という者が、かって、尾州の米会所で欝証になり、心気鬱々として楽しまず、或いはだまりこくって、数日間物を言わないかと思うと、時には訳の分からない筋道の通らないこ とをしゃべり、全く茫然として、癡愚(ちぐ)のようである。医者や巫祝の類が、代わりばんこに、これを治したが治らない。 余はこれを診察して云った。癲狂ではなく、心風であるから治るであろうと、そこで温胆湯に黄連、酸棗仁を加えて与え、朱砂安神丸を兼用した。すると数十日で全治したが、この頃になって再発した。しかし往年に比べると軽い、そこでまた前方を与えたところ、まったく治った。 世俗にいうところの癇症は皆この証である。辻元翁は、この証にたいていは温胆湯を用いる。余はこれに黄連・酸棗仁を加えて速効をとる。《橘窓書影》
[15]脳動脈硬化症 [
16]病後の虚煩
[17]腹部軟弱
[18]不眠症:(参照→「加味温胆湯」)☆神経過敏で、ものに驚きやすい。☆病後虚煩、寐ねず、或いは触れて驚悸するを治す:「人参・酸棗仁・遠志」
[19]慢性胃炎 温中益気湯《活幼心法》《古今方彙》「人参・白朮各5分、黄蓍(生)8分、当帰・茯苓6分、甘草・川芎各4分、白芷・防風各3分、木香・官桂各2分、山楂子6分、生姜1片、大棗1枚」煎服。 ◎血気虚弱にして毒気を送り手出でず、而して驚搐狂躁する者を治す。 温中化痰丸《東醫寶鑑》「青皮・陳皮・良姜・乾姜各等分」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。米飲で50丸呑む。 ◎冷痰・気分の悪い者。
#温中湯[1]《本朝経験》《勿誤薬室方函》 「四逆湯烏梅・蜀椒」◎蚘厥を治す。◎諸虫痛を作す。口中必ず清涎の流出あり。渇して飲進む能わず、危きこと旦夕に在る者、烏梅、花椒を用い、煎湯にて服す。《秘方集験》 温中湯[2]《万病回春》《古今方彙》「良姜、官桂、益智仁、砂仁、木香(別研)、香附子、厚朴、陳皮、小茴香、当帰、延胡索、甘草」各等分。生姜、水煎。 ◎手を以て之を按ずるに腹軟かく痛み止む者は是れ虚痛なり。
#温中補脾湯《活幼心法》「白朮、黄蓍、人参、白茯苓、白豆蔲、砂仁、官桂、陳皮、甘草、白芍薬、熟附子、生姜、大棗」温肺化飲湯=小青竜湯《傷寒論》 温肺湯[1-1]《医学正伝》「半夏(泡)・陳皮(去白)・五味子・乾姜・桂心各5分、杏仁(去皮炒研)5分、北細辛阿膠炒成珠・甘草(炙)各2分半」細切加生姜3片大棗2枚水1盞半煎至1盞去相温服。◎肺が寒邪に感じ、咳嗽吐痰する者を治す。 ◎久嗽欝熱の者は用うるなかれ。
温肺湯[1-2]《医学正伝》《龍野ー漢方処方集》 「半夏・陳皮各4g、五味子・乾姜・杏仁・桂枝・大棗各3、細辛・阿膠・甘草各2g、乾生姜1g」 ◎肺寒による咳嗽・喀痰。
★適応症及び病名(温肺湯)■感冒■気管支炎 温肺湯[1-3]《和剤局方》「温肺湯《医学正伝》阿膠白芍薬」 温肺湯[2]《月海雑録》 「麻黄・杏仁・五味子・桂枝・甘草」◎外感の咳嗽激しい者。◎「三拗湯」「五拗湯」よりはその効著しい。 温肺湯[3]《東醫寶鑑》「麻黄2銭、黄蓍・升麻各1銭半、防風・葛根・羗活・炙甘草各1銭、丁香2分、葱白3根」煎じて、食後温服。 ◎鼻が香臭を嗅げない症。 温肺湯[4]《東醫寶鑑》「乾姜・桂皮・半夏・陳皮・五味子・杏仁・甘草各1銭、細辛・阿膠各5分、生姜3、艾2」水煎服。◎肺虚に客寒を浴びて喘咳し、痰沫を嘔吐する者。 温白元(一名万病紫菀丸)《東醫寶鑑》「川烏(炮)2両半、呉茱萸・桔梗・柴胡・菖蒲・紫菀・黄連・乾姜(炮)・肉桂・川椒(炒)・巴豆霜・赤茯苓・皀角(炙)・厚朴・人参各5銭」粉末にし、煉蜜で梧子大の丸剤。姜湯で3~9丸呑む。 温白丸《東醫寶鑑》「白彊蚕(炒)・白附子(生)・天南星(炮)各1両、天麻(生)5銭、全蝎1銭」粉末にし、麺糊で緑豆大の丸剤。米飲に生姜汁を入れ5~30丸飲む。 ◎慢驚風を治す。 温脾散《万病回春》《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)・人参・白朮(土炒)・白茯苓・山薬(炒)・乾姜(炮)・訶子(炮)・肉豆蔲()・罌栗殻(蜜炒)・草果・丁香・肉桂・炮附子・黄連・姜汁・縮砂・陳皮・厚朴・甘草各5分、生姜3片、大棗2枚」水煎服。 ◎久泄で消化不良の者。 ◎久瀉にて米穀化せず、水穀口に入れば即ち時に直ちに下し、下元虚冷滑脱なるを治す。《古今方彙》 温脾湯[1]《備急千金要方》 「大黄4両、甘草・人参・乾姜各2両、附子1枚」 「四逆加人参湯《傷寒論》大黄」《熱痢門》◎下痢久しく、赤白連年止まず、霍乱・脾胃冷実、消えざるを治す。◎此方は温下の極剤とす。《勿誤薬室方函口訣》◎「桂枝加大黄湯」「大黄附子湯」に比すればその力尤も強し。◎脾胃冷実と云うが目的なり。◎積久冷熱、赤白痢を治す:「甘草桂枝」《冷痢門》◎久瀉不已証に此方の応ずる処あり。泄瀉に限らず温薬効なき証に、「大黄附子」、寒熱交え用ゆること深味あり。《勿誤薬室方函口訣》 ★適応症及び病名(温脾湯)<1>寒疝:☆腹痛、臍下絞結せず、胸をめぐって止まざるを治す。「甘草、附子、人参、芒硝、当帰、乾姜、大黄」《雑病翼方》<2>下痢:☆按ずるに是等の下利は、寒積有るに因って気下墜し致す所にして、「四逆湯」の下利と自から異なる。寒実、下を用いる。脈の有力無力、腹痛の微甚に着眼するを要し、始めて親切と為す。《雑病翼方》<3>吐乳 ☆凡そ胃中陽気盛んなれば則ち傾かず、もし胃腸虚すれば則ち必ず側垂し、因って之に乗ず。名づけて澼嚢と曰う。然れども之を按じて手に応ぜず、ただ腹痛嘔吐を以て徴と為す。温脾湯に宜し。<4>慢性腎不全:参照→病状「慢性腎炎」 温脾湯[2]《普済本事方》「厚朴(去麁皮姜製)・乾姜(炮)・甘草・桂心(去皮不見火)・附子(生去皮臍) 各半両、大黄(生)4銭」 (麁=ソ、あらい) 「温脾湯[1]《備急千金要方》-人参+厚朴桂枝」◎痼冷、腸胃の間在り、連年腹痛泄瀉し、休作時無し、諸熱薬を服し、効あらず、宜しく先ず去を取るべし。しかる後に調治せば差え易し。虚を畏れ、以て病を養うべからず。◎連年腹痛泄瀉休作無時者を痼冷の所為として温下するなり。《勿誤薬室方函口訣》◎久泄止まず、百薬効かず、或いはしばらく止んで復来る。此れ必ず陳積腸胃の間に在り、積一日去らざれば則ち瀉一日癒えず、必ず先ず陳積を逐去して復之を補う、こい願わくば益を獲んと。是なり。《雑病翼方》◎久瀉、温補及び固渋の薬を服して止まず、或いは癒えて復作る、或いは既に癒え次年に又期に応ず、倶に是れ痼精未だ除かざるなり。通因通用の法に宜し。《方読便覧》 温脾湯[3]《普済本事方》《龍野一雄》「大黄・厚朴・桂枝・甘草・乾姜各2g、白川附子1g」◎冷腹、腹痛下痢。温補脾陽、瀉下。 ★適応症及び病名(温脾湯)<1>結腸潰瘍<2>大腸カタル<3>腸カタル(急性・慢性)<4>慢性胃炎<5>慢性胃腸炎<6>慢性下痢で陽虚の者<7>慢性赤痢 温脾湯[4]《備急千金要方》 「甘草・附子・人参・芒硝各1両、当帰・乾姜各3両、大黄5両」「四逆加人参湯調胃承気湯」 ◎腹痛、下絞結せず、胸をめぐって止まざるを治す。《雑病翼方》 温脾湯[5]《東醫寶鑑》「甘草4両、大棗20枚」水5升で煎じ、2升になったら3分服。◎飽食すると嗽する者。 温脾丹《中医処方解説》「二陳湯白朮・炮姜」◎よだれ 温脾丹=二陳湯 温風散《東醫寶鑑》「当帰・川芎・細辛・白・蓽撥・藁本・露蜂房各1銭」水煎服、又はうがいして吐き出す。 ◎風邪による歯痛を治す。 温粉[1]《千金方》 「煆竜骨・煆牡蛎・生黄蓍各12g、粳米粉40gを、いっしょに細末にしてよく混ぜ合わし、薄絹でくるんでゆるやかに叩く。」 温粉[2]《東醫寶鑑》「麻黄根・牡蛎粉各1両、赤石脂・竜骨各5銭」粉末にして塗布する。 ◎汗が止まらない者。 温陽利水湯⇒真武湯《傷寒論》 温六丸《東醫寶鑑》「益元散1剤・乾姜1両」粉末にし、飯で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸呑む。 ◎白痢。 瘟疫初病一二日発汗方《奇効医術》《古今方彙》「羗活・紫蘇葉・葛根各1銭2分、蒼朮1銭、白芷・川芎各5分、香附子8分、陳皮・甘草各3分、生姜3片」熱服し汗を取り、大いに汗せず。 ◎虚実を論ぜず倶に此方を用いる。発汗の後も則ち癒え易し。 雲林香砂六君子湯《万病回春》《古今方彙》「香附子・砂仁・陳皮・人参・白朮・厚朴・芍薬(炒)・蒼朮・山薬・甘草各等分、生姜、烏梅」水煎。 ◎脾瀉の症を治す。◎凡そ脾瀉の者は、食後に倒飽(みぞおちのところへ食がつかえて下らない)し、瀉去れば寛ぎ、脈は細、是なり。 雲 林潤身丸《東醫寶鑑》「当帰(酒洗)・白朮各6両、白茯苓・陳皮・香附子・黄連(姜汁炒)山楂肉 ・神麹(炒)各3両、枳実・白芍・人参・山薬(炒)・蓮肉各2両、炙甘草5 銭」粉末にし、荷葉の煎じ湯でご飯を炊いて、梧子大の丸剤。米飲で100 丸呑む。 ◎痩せてひ弱になり、気短で、食欲のない者。
雲林参苓白朮散[1-1]《万病回春》「肉豆蔲(去油)・甘草(炙)・人参・白朮(去蘆)・茯苓(去皮)・山薬(炒)・ 砂仁(研)・藿香・陳皮・乾姜(炒)・蓮肉(去心皮)・訶子()各等分」剉作 1剤。「生姜1片、燈心1團」水煎服。◎気虚泄瀉、食後泄瀉を治す。
雲林参苓白朮散[1-2]《万病回春》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・縮砂(炒)・山薬・橘皮・乾姜・肉豆蔲・訶子・蓮肉・甘草(炙)各等分、生姜・灯心草」◎気虚泄瀉を治す。 ◎凡そ虚瀉は、飲食胃に入らば則ち瀉す。水穀化せず、脈微弱、是なり。 ◎此方は「参苓白朮散」《和剤局方》よりは収の力優とす。故に胃虚、下利止まざる者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》
欝金丸[1]《東醫寶鑑》「蝉退・欝金各7両、明礬3両」粉末にし、糊で梧子大の丸剤。毎回50丸 を温水で服用。飲むと胸につかえたものが、すっと降りる感じで気分が良 くなる。 ◎癲狂。心配のしすぎから痰涎が心臓の弁をふさいで癲狂になった。
欝金丸[2]「欝金、木香、(明)雄黄、五霊脂、延胡索、砂仁、明礬」 欝金黄連丸《東醫寶鑑》「滑石・白茯苓各4両、黒牽牛子末3、黄芩・大黄・琥珀各2両、欝金・黄連各1両」粉末にし、水で梧子大の丸剤。沸騰湯で50~70丸呑む。 ◎小腸・膀胱の積熱による閉不通。◎遺尿不禁・白濁、膏淋が血膿のような症状。◎沙石が米粒・粉糊のような症状。 欝金散《東醫寶鑑》「欝金・白芷・細辛各等分」粉末にして牙歯に塗り、竹葉・竹茹に塩を少し入れて歯を磨く。 ◎歯根出血の主治剤。 禹余粮丸《東醫寶鑑》 「禹余粮(煆)・赤石脂(煆)・竜骨・蓽撥・訶子(炮)・乾姜(炮)・肉豆蔲()・附子(炮)」各等分に作末し、醋糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で70丸呑み下す。◎虚寒に滑泄不禁を治す。 雲南白薬【中成薬】 「田七・七葉一枝花」烏薬順気散[1-3]《東醫寶鑑》「麻黄・陳皮・烏薬各1銭半、川芎・白芷・白彊蚕・枳穀・桔梗各1銭、乾姜5分、甘草3分、を剉作し、1貼に生姜3・大棗2を入れ、水煎服。 ◎一切の風疾を治す。先にこの薬を飲んで気道を疎通いた後、風薬を投与し、又 と歴節風を治す。◎風の通治薬。◎風気が経絡に流入して四肢が疼痛し、筋脈が拘攣したとき。 烏薬順気散[1-4]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「烏薬・陳皮・白殭蚕・乾姜・麻黄・川芎・桔梗各2.5、枳殻・白芷・甘草各1.5」 ◎男子婦人一切の風気、四肢骨節疼痛、遍身頑麻、頭目旋暈するを治す。及び癰疾、語言蹇渋、筋脈拘攣するを療す。又、脚気歩履艱難、脚膝軟弱、婦人の血風、老人冷気上攻し、胸腹両脇刺痛、心腹膨張、吐瀉腸鳴を治す。 ◎此方は中風の症で、四肢骨節の疼痛、言語障害あり、筋脈痛み引きつり、肩及び上肢の疼痛、運動障害あるもの、シビレ感ある者等に、気を順らす目的を以て用いる。風に当たりて麻痺感ある者にもよい。 *麻黄・川芎=表気を順らし、遍身疼痛を治す。*烏薬・陳皮=裏気を順らし、語言蹇渋を治す。*白芷・白殭蚕=面部の気を順らし、口眼斜を治す*甘草=肺気を緩くし*桔梗=気の上逆を下し*乾姜=滞気を順らす。 烏薬順気散[1-5]《和剤局方》《勿誤薬室方函》「麻黄・橘皮・烏薬・白彊蚕・枳実・白芷・甘草・桔梗各1両、乾姜半両」温酒にて調服する。 ◎男子婦人、一切の風気、攻、四肢骨節疼痛し、遍身頑麻し、頭目旋暈するを治す。及び、語言蹇渋し、筋脈拘攣するを療す。◎又脚気、歩履難く、脚膝軟弱し、婦人血気、老人冷気、胸臆上攻し、両脇刺痛し、心腹膨張し、吐瀉腸鳴するを治す。 ◎身体痛、関節痛、麻痺、言語障碍等の内どれかが主になる。《龍野処方集》 ◎気のめぐりをよくして、気の欝滞によって四肢の疼痛、麻痺、運動障害なそを治する目的で用いる。虚証で脈の微弱な者には用いない。《大塚敬節》 ★適応症及び病名 (烏薬順気散) [1]肩こり:☆肩臂疼痛《矢数道明》☆気鬱から起きる肩こり。☆肩がつまって、首が回らない:「木瓜」=回首散《万病回春》 [2]脚弱の浮腫には:☆「牛膝・独活・五加皮各3.0g」《龍野ー漢方処方集》[3]顔面神経麻痺:[4]脚気[5]関節リウマチ「6」ギックリ腰:☆ギックリ腰や足のくじきに用いる《大塚敬節》 [7]筋肉リウマチ ☆全身の疼痛:◎「当帰・桂枝各3.0g、乳香・没薬各1.5g」《龍野ー漢方処方集》[8]口眼か斜には:☆寒冷にあって口眼斜を起こした者《大塚敬節》☆「乾姜・黄連・竹瀝各2.0g、羗活・荊芥・防風各4.0g。《龍野ー漢方処方集》 [9]五十肩:[10]シビレ:《矢数道明》☆四肢冷痺には:「白川附子1.0g、桂枝3.0g」《龍野ー漢方処方集》☆扇風機やクーラーの風によるしびれ。《中医処方解説》☆この方は気のめぐりをよくする方剤で、気のめぐりが悪いために起こる四肢のシビレ・痛みなどによい《大塚敬節》☆脳出血で、手足がシビレたり、痛んだりする者に良い《大塚敬節》[11]四十腕[12]中風: ☆烏薬順気散は中風の初起で、頭痛・悪寒・発熱・口眼・半身不随等の症状があって、一通り中風の初起の表症ある者に用いる主剤である。余が家では中風の常用方である。この方と人参順気散はいずれも表症のある者に用いる。しかし言語障害があり、意識もぼんやりしている様な者には遠慮するが良い。それよりも一等軽いところに用いる。雑病一切気のめぐりが悪く、四肢がシビレあるいは首が回りかね、或いは口がゆがみ、或いは歩行する時に、足の具合が悪い者などに用いる。又、足をねじり或いは床を踏み外し、或いは重い荷物を持って腰脚などをギックリとスジを違え、それが原因で痛み者などに良く効く《梧竹楼方函口訣》「13」寝違い:☆寝違えて首の回らない者《大塚敬節》☆首の回りにくい者:「木瓜」=回首散《万病回春》[14]脳溢血:☆脳溢血による四肢疼痛《矢数道明》 [15]背心痛には: ☆「行気香蘇散白朮3.0g、半夏・茯苓各6.0g」《龍野ー漢方処方集》[16]半身不随: [17]臂痛:☆「羗活・防風各4.0g、桂枝・白朮各2.5g、紫蘇葉2.0g」《龍野ー漢方処方集》☆赤ん坊に手枕をして、肘がシビレ、痛む者《大塚敬節》[18]浮腫: ☆腰脚の浮腫:「牛膝・杜仲・角茴香各3.0g」《龍野ー漢方処方集》 ☆虚汗には・・黄蓍2.0g、麻黄。《龍野ー漢方処方集》
[19]婦人血風:☆「防風6.0g、荊芥4.0g、薄荷葉2.0g」。《龍野ー漢方処方集》
[20]麻痺:☆《餐英舘療治雑話》“当今、肩背の痛んで手臂麻痺する証には気に属する者が甚だ多い。肩背が張って麻痺し、或いは心下がつかえて気ののびない証は、皆七情の病で、この方で著効をとる。或いはこれに羗活。防風などの風薬を加えたり、少し附子を加えて用いると更によい。この頃の病人には、気滞と肝欝に目をつけよというのは、このことである。またはっきり気滞の徴候が見えなくても、難治の者にはこの方を用いてみると良い。婦人で背から腕にかけてシビレて痛むと言う者には、なおさらこの証が多い”
☆片側麻痺には:「+天麻・羗活・当帰各3.0g、麦門冬・天南星各6.0g、木香1.0g、麻黄」。《龍野ー漢方処方集》
☆中風全麻痺には:「人参2.5g、白朮・当帰各3.0g、麦門冬6.0g」《龍野ー漢方処方集》
☆慢性の麻痺・歩行困難「独活寄生湯」《龍野ー漢方処方集》
烏薬湯[1-1]《医学入門》《古今方彙》「烏薬1銭半、香附子2銭、当帰1銭、木香・甘草各5分」水煎、空心時に服用。◎血海疼痛するを治す。
烏薬湯[1-2]《済陰綱目》《東醫寶鑑》「香附子2銭、烏薬1銭半、当帰1銭、木香・甘草(炙)各5分」水煎服。 ◎婦人の血海疼痛を治す。
烏薬平気散《三因極一病証方論》《古今方彙》「烏薬・茯神・甘草・人参・白朮・川芎・当帰・木瓜・白芷・五味子・紫蘇子各等分、生姜、大棗」煎服。 ◎脚気上攻し、頭目昏眩、腰膝痠疼し、諸気和せず、喘満迫促するを治す。
烏薬平気湯《東醫寶鑑》「烏薬1銭、茯神・人参・白朮・川芎・当帰・木瓜・白芷・五味子・紫蘇葉各7分、甘草3分、生姜5片、大棗2枚」水煎服。 ◎脚気が上攻して昏眩し、喘促する者。
烏竜腎《東醫寶鑑》「川烏・草烏各1両」を黒豆半升と煎じて、皮・臍を捨て晒して乾燥、白附子・天麻・地竜各5銭を粉末にし、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で30~50丸呑む。 ◎腎臓風の下注による瘡癬の症。
烏竜丹《東醫寶鑑》「川烏生(皮と臍を捨て)・五霊脂各2両、竜脳・麝香各半銭」を水で弾子大の丸剤。毎回1丸を、初日は姜汁で化下し、次の日は煖酒で調合して5~7丸を食べると手足が良く動くようになり、10丸を服用すれば自分の手で全ての事ができる。 ◎中風で口眼がし、手足に力無く、引っ張るような感じがして、言語不渋を治す。
烏龍解毒散《万病回春》《東醫寶鑑》「木耳4両を土鍋で炒り焦がし、性を残して粉末にする。毎回5銭を熱黄酒1椀で調服する。」◎杖で打たれた後、寝起きもできない者。又は打ち身で、疼痛がひどくて昼夜眠れない者。
烏苓通気湯[1-1]《万病回春》「烏薬・当帰・芍薬・香附子・糖毬・陳皮各1銭、茯苓・白朮(去蘆)・檳榔・延胡索・沢瀉各5分、木香・甘草各3分」剉作1剤生姜3片、水煎服。◎一切の疝気にて遠近、関越、風湿、寒気を問うことなく治す。◎若し悪寒し脈沈細の者:「呉茱萸」◎《医学入門》には猪苓ありて檳榔子、玄胡索なく、「烏附通気湯」と名づく。
烏苓通気湯[1-2]《万病回春》《勿誤薬室方函》 「烏薬・当帰・芍薬・香附子・山楂子・陳皮各1銭、茯苓・白朮・檳榔・玄胡・沢瀉各5分、木香・甘草各3分、生姜」◎一切の疝気を治す。遠近寒熱を問う無し。◎此方は後世、疝の套剤とすれども、疏気利水が主意にて、寒疝諸症、温散和中の薬効なき者に用いて通気の験著しい。《勿誤薬室方函口訣》 ◎腹冷痛《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(烏苓通気湯)
[1]遺精:
☆疝に因る者:《方読便覧》
[2]陰嚢腫脹:☆小児陰嚢急痛する者に与え即効あり。《勿誤薬室方函口訣》
[3]下痢:☆産後痢病、久痢を治す:「干姜・附子」《方読便覧》
[4]疝気
[5]乳房痛:☆婦人両乳痛甚だしき者に即効あり。《勿誤薬室方函口訣》
[6]冷え腹
[7]腹痛 [
8]ヘルニア
温胃湯[1]《東醫寶鑑》「乾姜(炮)1銭半、炮附子・半夏(麹)厚朴・人参・陳皮・甘草(炙)・当帰各1銭2分半、川椒(炒)1銭」水煎服。 ◎胃気が冷え、脹満して消化しない者。
温胃湯[2]《東醫寶鑑》「陳皮・黄蓍各7銭、益智仁6銭、白豆蔲・姜黄・乾姜・沢瀉各3銭、縮砂・厚朴・人参・甘草各2銭」を粉末にし、毎回3銭に生姜3片を入れ、水煎服。◎寒薬の多飲による、胃脘の疼痛。
温胃湯[3]《東醫寶鑑》「陳皮・黄蓍各7銭、益智仁6足。
温胃化痰丸《東醫寶鑑》「半夏(製)3両、乾姜(炮)・白朮(焙)・陳皮各2両」粉末にし姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で20~30丸呑む。 ◎胸膈間に寒飲・冷痰のある症。
温衛湯《東醫寶鑑》「当帰身1銭半、黄蓍・蒼朮・升麻・知母・柴胡・羗活各1銭、人参・防風・白・黄柏・沢瀉・甘草各5分、陳皮・青皮・黄連・木香各3分」水煎服。 ◎鼻が効かず、眼中に湯火があって、陰冷で足がしびれる症。
温金散《東醫寶鑑》 「防風・桑白皮・黄芩・甘草各1両、杏仁(去皮尖)21粒」を水に漬けて一晩おき、乾燥後、「人参5銭、茯神5銭、麦門冬2銭半」を入れて粉末にし、毎回3銭に黄蝋を大豆大ぐらい入れ煎服。◎労嗽を治す。
温経益元湯《傷寒六書》《古今方彙》「附子・人参・白朮・当帰・黄蓍・甘草(炙)・白芍薬(炒)・生地黄・茯苓・陳皮・肉桂・生姜・大棗・糯米(炒)」水煎温服。 ◎汗後大虚し、頭眩し、振々として地に倒れんと欲し、及び肉瞤筋愓(筋肉がピクピク動く)し、◎或いは大汗後衛虚し、亡陽、汗出ること止まず、◎或いは下後下利止まず、身疼痛する者を治す。
温経湯[1-1]《金匱要略》《龍野一雄》「呉茱萸3g、当帰・芍薬・川芎・桂枝・人参・阿膠・牡丹皮・甘草各2g、半夏8g、麦門冬10g、干姜1g」
◎此方は胞門(胎盤の出る門)虚寒と云うが目的にて、凡そ婦人血室虚弱にして月水不調、腰冷、腹痛、頭疼、下血、種々虚寒の候ある者に用いる。年50云々に拘わるべからず。反って方後の主治に拠るべし。《勿誤薬室方函口訣》胞門虚寒とは、子宮の機能が衰えて冷えていることを指す《大塚敬節》
◎瘀血、暮熱、少腹裏急、腹満、手掌煩熱、口唇乾燥、下腹寒冷、不妊、子宮出血《龍野ー漢方処方集》
◎此すなわち正を養えば邪自から消えるの法なり。《雑病論識》
◎此湯の温経と名づくるは、瘀血温を得て即ち行るを以てなり、余、本方「附子」で奏功す。《雑病論識》
◎温経散寒、補血調経、活血化瘀、益気和胃。《中医処方解説》
◎《陳念祖》曰く、温経湯、陰陽、虚実、閉塞、崩漏、老少を論ぜず、よく之を用い、手に応じ効を取らざる無し。又云う、絶えて逐瘀の品無し、故に期を過ぎ来たらざる者能く之を通じ、月来たる過多なる者能く之を止む。少腹寒にして胎を受けざる者、並びに能く之を治す。《方読便覧》
◎目標:手掌の煩熱と唇の乾燥と下腹部の膨満または不快感にある《大塚敬節》
★温経湯(手足のほてり、口唇乾燥、下腹部膨満感、腹痛、腰痛、脈無力 【
適応症】《矢野敏夫》 「冷え症で手掌がほてり、口唇が乾燥しやすい次の諸症に用いる: 手掌角皮症・更年期神経症・月経不順・月経過多・月経痛・頭痛・腰痛・帯下」
【ポイント】《矢野敏夫》 元気が無く、貧血・冷え症傾向の婦人に、口渇、手掌のほてり、下腹部膨満感を目標に用いる
★適応症及び病名 (温経湯)
[1]アレルギー性鼻炎
[2]頭がふらつく
[3]潰瘍性大腸炎
[4]顔色悪い
[5]角皮症
[6]下肢の冷え:☆下肢寒冷にして、虚熱逆上の証候あり、時に屡(しばし)ば子宮出血を起こす者《奥田謙蔵》☆下肢寒冷にして、手掌煩熱し、冬季に入れば、時々腰腹痛を発する等の証《奥田謙蔵》
[7]下腹部の冷え
[8]下腹部の疼痛
[9]下腹部の不快感
[10]下腹部の膨満感
[11]感情が不安定
[12]乾癬
[13]寒冷で悪化する
[14]気の上衝<+>
[15]月経異常:(遅れる、早すぎる)
[16]月経過多
[17]月経困難
[18]月経痛:☆婦人経水不調、少腹冷気、瘀血に属する者は、温経湯奇効あり。経後腹痛する者亦瘀血に属す。もし経行中に不屈する者は気滞に属す。《先哲医話》
[19]月経不順:☆《張氏医通》に曰く、経水、期をあやまり、胸脇腰脘刺痛し、虚浮、寒戦す。これ衝任衰弱し、蔵気虚冷の故なり。《方読便覧》☆月経不順にして、常に腰脚に冷感あり、かって孕姙せざる証《奥田謙蔵》☆月経不順にして、熱候無く、白帯下断続する等の証《奥田謙蔵》
[20]下焦虚寒
[21]下痢
[22]血瘀血虚:☆血虚に血瘀の証を兼ねる者に用いる。[23]口唇乾燥:☆瘀血の証で唇口が乾燥する者に用いる《大塚敬節》☆1婦人、結婚10数年一度も妊娠したことがない。この婦人は腰が冷え、足がひきつれる感じがすると云う。唇は乾かないが、鼻孔が乾燥し、肌が荒れる。そこで温経湯を用いたところ、鼻孔の乾燥や指の荒れは良くなった《大塚敬節》
[24]更年期障害
[25]腰が冷える<下寒>
[26]骨粗鬆症 ☆瘀血所見があり、冷え症で、下肢に膨満感があったり、下肢が引きつれたりして、掌には煩熱があり、口唇が乾燥するものに用いる(漢方診療医典)
[27]骨盤内うっ血症候群 ☆EBM:多施設症例集積研究 (対象患者) 骨盤内うっ血症候群(Evidence) 1件の多施設症例集研究において、骨盤内うっ血症候群に対する温経湯の有効率は84.0%であった。内診所見では子宮圧痛、仙骨抵抗、分泌物の量は有意に改善した。
[28]しびれ(手足の) (手足のほてり、口唇乾燥、下腹部膨満感、腹痛、腰痛
[29]しもやけ
[30]子宮ガン:☆郡山、北条弥一右衛門、妻、歳60は、月経様の出血が止まず、時に汚い水のようなものを下し、腰は氷か鉄の帯をしている様に冷たい。医者は皆、帯下(ここでは今日の子宮ガン)不治とした。余はこれを診察して、悪寒も熱もなく、脈も虚数ではない。また陰部に痛むところがなく、下り物に悪臭がない。或いは治るかもしれないと、温経湯を与え、硫黄と龍骨の2味で丸薬をつくって兼用せしめた。これを服用すること10日あまり、腰に温みを覚え、汚水の下ることも減じ、数ヶ月の後、子宮出血も止まり、普通の老婦人となることが出来た。《橘窓書影》
#王氏清暑益気湯《温熱経緯》「西洋参4.5、西瓜皮30、蓮梗15、黄連3、石斛・麦門冬各9、竹葉・知母・甘草各6、粳米15」水煎服。◎清暑益気、養陰生津。
#王氏連朴飲《王孟英》 「川楝子・山梔子・半夏・鮮菖蒲・枳実・川厚朴・豆豉・蘆根・滑石・黄芩」水煎服。
#王道無憂散《万病回春》《古今方彙》=「開結潤燥湯」《厳氏済生方》 「赤茯苓・砂仁・枳実・香附子・烏薬・陳皮・半夏・藿香・檳榔子・猪苓・木通・天門冬・黄柏(人乳炒)・黄芩(炒)・知母(人乳炒)・生地黄・川芎・白芍薬(炒)・当帰各8分、赤芍薬5分、百九怵白茯苓各1銭2分、甘草3分」水煎温服。 ◎気血虚し而して反胃膈噎する者を治す。
#王不留行散《金匱要略》《龍野一雄》「王不留行10g、蒴藋細葉10g、桑白皮10g、甘草18g、川椒3g、黄芩・乾姜・芍薬・厚朴各2g」桑白皮までの3薬を黒薬のし、上記の割合に混ぜ、1回量2gを内服、又は瘡面に撤布する。
◎外傷・打撲。
#王不留行湯《備急千金要方》「王不留行、桃枝、茱萸根皮、蛇床子、牡荊子、苦竹葉、蒺藜子、大麻子」 #王鑰匙(おうやくし)《東醫寶鑑》「焔硝7銭半、硼砂2銭半、白蚕1銭2分半、竜脳少々」作末し竹管で半銭を喉中に吹き入れる。◎急喉閉・纒喉風を治す。
#王屑無憂散(おうせつむゆうさん)《東醫寶鑑》「寒水石(煆)・硼砂各2銭、玄参・貫家・滑石・縮砂・山豆根・黄連・甘草・赤茯苓・荊芥穂各5銭」作末し毎回1銭を口に入れて水を飲む。
◎骨子などが咽喉につかえて降りないとき。 #黄瓜蔞丸《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・半夏(麺炒)各等分」粉末にし、瓜蔞汁で梧子大の丸剤。姜汁竹瀝で30~50丸服用。
◎食積痰を治す。
#黄蓍益気湯[1-1]《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)1銭、人参・白朮・半夏(製)・陳皮各7分、当帰(酒洗)・川芎・藁本・甘草各5分、黄柏(酒炒)・升麻・細辛各5分、姜3・棗2」水煎服。
◎気虚頭痛を治す。◎耳鳴り、肛門の痛み。
#黄蓍益気湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・陳皮・半夏・当帰・藁本・甘草(炙)各5分、升麻・細辛・黄柏(酒)各3分、生姜、大棗」水煎。
◎頭痛にて右に偏する者は痰と気虚に属するなり。 #黄蓍益損湯《医学入門》《古今方彙》「官桂・熟地黄・半夏・甘草・木香各3分、石斛・当帰・川芎・黄蓍・白朮各1銭、白芍薬1銭半、五味子5分、生姜、大棗」煎服。
◎熱あれば:「柴胡」 #黄蓍丸《東醫寶鑑》「黄蓍1両、白蒺藜(炒)・羗活各5銭、炮附子(大)1個、羯羊腎1対」焙って乾燥させ、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に葱塩湯で30~50丸呑む。
◎耳鳴り。寝ると鐘の音が聞こえる者。 #黄蓍桂枝五物湯[1-1] 《金匱要略》「黄蓍3両、芍薬3両、桂枝3両、生姜6両、大棗12枚」右五味、以水六升、煮取二升、温服七合、日三服。◎血痺、陰陽倶微、寸口關上微、尺中小緊、外證身體不仁、如風痺状、黄蓍桂枝五物湯主之。
#黄蓍桂枝五物湯[1-2]《金匱要略》《中薬臨床応用》「黄蓍15g、白芍薬9g、桂枝6g、生姜9g、大棗6g」水煎服◎関節炎◎肩関節周囲炎 #黄蓍桂枝五物湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》「黄蓍・芍薬・桂枝・大棗各3g、生姜6g」水240を80に煮詰め、1日3分服。◎血痺、身体不仁。◎黄蓍桂枝五物湯の証に身体不仁と曰う。是も亦肌表の水なり、為則按ずるに、仲景氏は不仁を治するに、そのある所に随うと雖も処方は同じからず、而してその薬の如きは則ち皆治水の剤なり。然らば則ち不仁するは是れ水なり。故に小腹不仁、小便不利する者は八味丸を用うる時は則ち小便快利し不仁立ちどころに治す。是れ不仁するは水なり。《類聚方広義》
★適応症及び病名(黄蓍桂枝五物湯) [1]運動麻痺[2]脚気:☆下肢の知覚鈍麻を主訴とする脚気に用いて著効《大塚敬節》☆“患者は30歳あまりの色の白い肥満した婦人で、1ヶ月ほど前から下肢がシビレ、着物のすそが足にふれるのが、何とも嫌な感じであるという。その他には何の異常もない。医師は脚気と診断して、ビタミンB1を多量に与えたが効かないという。私も脚気であろうと診断したが、色が白くて肥満した素封家の婦人であるから、《金匱要略》に血痺の病は尊栄の人が罹るという点を考慮してこの方を与えたことろ、たった8日の服用で全治した。”《大塚敬節》[3]顔面神経麻痺黄蓍桂枝五物湯は、色の白い水太りの婦人の顔面神経麻痺に効がある。またこのような患者には神効黄蓍湯を用いて著効をえたことがある[4]気の上衝<+>[5]寒がり[6]自汗[7]湿疹:☆(うすい分泌液)☆36歳の婦人。1ヶ月ほど前から皮膚が痒くてたまらないという。肉眼的には、全く皮膚に異常を認めない。患者は小太りで、色白、きれいな皮膚をしている。
診察したところ、別につかまえどころがない。このような場合に、《村井琴山》は桂麻各半湯や大青竜湯を用いている。そこで、私は桂麻各半湯を試みることにした。ところがこれを飲むと、全身が温まって、汗が出て、却ってカユミが強くなると云う。瞑眩であろうと考えて、10日間ほど連用したが、思うように効かない。
1日、患者が云うのに、一番かゆいのは、下腹部で、臍以下は、全体に皮膚が少し厚くなっているようで、ほかの部分と感覚がと違うと云う。そこで急に思いついて、黄蓍桂枝五物湯を与えた。この処方は、前年脚気からきた知覚麻痺に用いて良く効いたことがあり、今度の患者も知覚麻痺があるから、それから思いついたのであった。
さて、この患者は、これを5日分飲んだだけで、全くカユミが陰を潜め、それきり良くなった。ところが、不思議なことに、これを3日分飲んだ時、いままで見たこともない白い虫が肛門から数匹這いだして来たと云う。その形状をきくと蟯虫である。蟯虫が夜間肛門から這いだして、そのために、カユミを訴えていたにしては、痒い場所があまりに広すぎるから、蟯虫のためとも考えられないが、不思議なことである。
この方を用いたのは、汗が多く、汗が出ると症状が悪化すると言う点と皮膚が厚くなったように感ずるというのを目標にした。色が白くて皮膚が軟らかいのも、黄蓍の入った薬方を用いる1つの目標になる。《大塚敬節》[8]心悸亢進[9]頭重[10]脊髄症[11]知覚異常:☆知覚低下☆知覚鈍麻
☆知覚麻痺☆<ピリピリ・しびれ> ☆これは中風に似て、体のシビレる者を目的に用いる。シビレなければ用いない。この方は間抜けのしたようなほうであるけれども、シビレのある症に用いると、ことのほか奇効がある。古方というものは妙なもので、手足の麻痺あるいは身體に及び或いは手足が麻痺して半身不随になっても、この方はよく効くものである・《有持桂里》[15]搐搦[16]中耳炎[17]盗汗[18]尿不利[19]妊娠中毒症[20]半身不随
[21]皮膚 <色白・きめ細かな肌>[22]皮膚掻痒症 [23]肥満ぎみ[24]疲労倦怠[25]片麻痺 [26]まぶたが腫れる(眼瞼浮腫)[27]耳鳴り
[28]無気力[29]憂鬱(抑鬱気分) [30]肋間神経痛 #黄蓍桂枝五物湯加味《中薬臨床応用》「黄蓍15g、桂枝6g、秦艽6g、姜黄5g、当帰6g、白芍薬6g、生姜6g、大棗6g」水煎服。◎風湿による痺痛◎肩関節周囲炎
#黄蓍建中湯[1-1]《金匱要略》「於小建中湯内、加黄蓍1両半、餘依上法。」氣短胸満者加生姜。腹満者去棗加茯苓一両半。及療虚損不足、補氣、加半夏三両。」◎虚労裏急、諸不足、黄蓍建中湯主之。
【鑑別】 ①小建中湯 (虚労・やや虚・去寒剤) ②当帰建中湯(虚労・貧血(やや甚)・婦人下腹部激痛・補益剤) #黄蓍建中湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「黄蓍1.5g、桂枝・大棗・甘草各3g、芍薬6g、水飴20g、干姜1g」
水280を120に煮詰め、滓を去り、水飴を加え、1日3分服。「小建中湯黄蓍」◎小建中湯の証にして、盗汗、自汗ある者を治す《吉益東洞》◎諸病、裏急し、自汗、盗汗し、面体に色少なく、身重く、皮膚、骨肉、或いは腰背拘急する者は、黄蓍建中湯之を主どる。《医聖方格》◎此方は小建中湯の中気不足、腹裏拘急を主として、諸虚不足を帯びる故、黄蓍を加えるなり。仲景の黄蓍は、表托、止汗、去水の用とす。此方も外体の不足を目的とする者と知るべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は虚労の症、腹皮背に貼し、熱無く咳する者に用いると雖も、あるいは微熱ある者。或いは汗出ずる者、汗無き者、ともに用いるべいし。《勿誤薬室方函口訣》
◎虚労裏急諸不足、或いは自汗盗汗体表の分泌物。◎虚労性疾患◎補気固表、緩急止痛、温中補虚。《中医処方解説》◎小建中湯、当帰建中湯、黄蓍建中湯、蓍帰建中湯などは腹直筋の拘急がひどくて、歩行困難、または歩行不能の者に用いて時に著効を得ることがある。その際疼痛のある場合があり、知覚麻痺を伴うこともある。《大塚敬節》◎腹直筋が軟弱無力のこともある《大塚敬節》◎下腿潰瘍、手術後肉芽の発生が悪い者。諸種の化膿性腫れ物の自潰後、稀薄な膿が流れて、よい肉芽がみられないような者に用いる。《華岡青州》はこれに当帰を加えて帰蓍建中湯として用いた。《大塚敬節》
#黄蓍建中湯[1-3]《金匱要略》《中薬臨床応用》「黄蓍18g、桂枝6g、白芍薬12g、甘草(炙)6g、生姜6g、大棗9g、膠飴30g(溶解)」水煎服。
◎胃十二指腸潰瘍。 ★適応症及び病名(黄蓍建中湯) [1]アレルギー性鼻炎[2]息切れ[3]癮疹:☆皮膚が乾燥、項背がこる。《腹証奇覧翼》[4]栄養不良性貧血[5]黄汗:☆黄疸で黄色い汗、食欲がない。《古家方則》[6]カリエス☆稀薄な分泌物が多量に出る者。[7]潰瘍:☆虚証、分泌物<多量・薄い>[8]顔色が悪い:☆<貧血状>[9]脚気:☆産後の脚気当にして、骨立羸痩し、常に身体、四肢に冷感ある証。《奥田謙蔵》[10]かぜ(咳嗽がひどい) [11]からだが痛い:☆湿に傷つき鼻塞身疼するを治す。☆血刺身痛:「川芎・当帰」《仁斎直指方》[12]下腹部の脹痛[13]気管支喘息[14]虚弱児の衰弱
☆滲出性体質の幼児に用いて体質を改善する効がある。飲んでいると、筋肉のしまりが良くなり、風邪を引かなくなります(漢方診療医典) [15]頸部リンパ腺結核
[16]結核性腹膜炎:☆(腹満腹痛する)[17]口唇乾燥[18]骨疽=附骨疽=骨壊疽: [19]自汗(全身虚弱で)[20]四肢冷感[21]小児ー虚弱児[22]食欲減退[23]褥瘡
[24]痔瘻:☆痔瘻、或いは諸種の腫瘍膿潰して後、所謂虚熱を発し、自汗、盗汗等有る証には:「当帰」。《奥田謙蔵》[25]心悸亢進[26]心臓弁膜症[27]神経症:☆黄蓍建中湯の他に小建中湯、附子理中湯なども神経症に用いることがあり、白虎湯、風引湯などを精神異常を呈する者に用いることがある。《大塚敬節》
[28 ]臍炎:☆虚証、分泌物<多量・色薄い> [29 ]喘鳴:☆腎経虚寒、咳嗽痰唾し、面色黒、少腹動気、痛をなすを治す。「半夏・乾姜・五味子」《雑病翼方》
[30]多汗[31]脱力感:☆肺虚損不足を療し、気を補う:「半夏」《雑病論識》 [32 ]中耳炎☆稀薄な分泌液がたくさん出る者 [33 ]疲れやすい:<+++>[34
]できもの:☆気体虚弱の人、背瘡頸疽を患い、痛痒を知らざるを治す。瘡勢作らざれば急に擬しく此を服し、以て血を生じ膿を潰ゆるべし。熱ある者服すべからず。:「附子」《袖珍》 [35
]盗汗:☆傷差ゆる後、虚脱し盗汗出る者《雑病翼方》[36 ]内傷発斑:☆(手足に蚊に刺された様な発疹、発病時に頭痛・身熱がない)[37]尿路結石☆腎石、膀胱結石で、尿が快通せず、排尿時に堪えがたいほどの激しい痛みを訴える者に用いる。《大塚敬節》[38
]肉芽形成不全:☆手術後肉芽の発生が悪い者。諸種の化膿性腫れ物の自潰後、稀薄な膿が流れて、よい肉芽がみられないような者に用いる。《大塚敬節》☆肉芽の発生を良くし、瘡口の癒合を促進せしめる目的で損傷後に潰瘍となった者。瘡口の癒合がはかばかしくない者などに用いる。この時に伯州散を兼用したり、紫雲膏を塗布したりする。《大塚敬節》☆「当帰」《大塚敬節》
[39]肺気腫:☆息切れする:「人参半夏湯」[40]肺結核:☆<軽>☆「人参」☆気短胸満:「干姜0.5g」《龍野ー漢方処方集》 ☆腹満には:「茯苓1.5g、大棗」《龍野ー漢方処方集》
☆肺虚損不足には:「半夏3.0g」《龍野ー漢方処方集》[41]皮膚潰瘍 [42]鼻炎・鼻カタル [43]脾腎泄=五更瀉[44]病後の衰弱[45]疲労倦怠感<+++>☆「人参2.0g」《龍野ー漢方処方集》[46]貧血:☆諸種の貧血性疾患にして、自汗或いは盗汗当ある証。《奥田謙蔵》
[47]腹痛 :☆<激しい>[48]不定熱(不明熱)[49]勃起不全:☆事に臨んで起たない:「当帰。人参」《雑病翼方》 「50」麻疹 ☆盗汗、皮膚緊張低下。軟便、食欲不振などを目標に用いる(漢方診療医典)[51]慢性潰瘍[52]慢性肝炎
[53]慢性化膿性疾患[54]慢性下痢:☆慢性下痢等にして、衰弱殊に甚だしく、時々腹痛し、食思無く、脈細弱にして或いは微汗出づる証。《奥田謙蔵》[55]慢性中耳炎[56]慢性副鼻腔炎[57]耳だれ
[58]夜尿症[59]腰背拘急☆痛みがひどいときは→「当帰建中湯」「帰蓍建中湯」を考える。[60]リンパ腺炎: ☆頸部リンパ腺炎☆15歳男子。血色、栄養ともに良くない。小学6年生の時、肺門リンパ腺炎に罹ったことがある。今度の病気は瘰癧で約10ヶ月前に、頸部リンパ腺が腫れているのに気づいた。その後、数個のリンパ腺が相次いで腫れ、その中に瘻孔を就くって、膿の出ているものが3個あるという。よくみると、左右の頸部に数個のリンパ腺の腫脹があり、大きいものは鶏卵大である。その中の左側のものは瘻孔を就くって膿が出ている。ひどく疲れ、せきも少し出る。右肺は明らかに浸潤を証明する。食欲はある。大便には変化がない。
内服薬には黄蓍建中湯を用い、瘻孔のある部位には紫雲膏を貼った。これを1週間ほど呑むと、疲労が軽くなり、7週間ほどで瘻孔が塞がり、栄養血色ともに良くなったが、全治しないうちに、家庭の都合で休薬した。《大塚敬節》[61]淋疾患:☆淋病、諸薬を用いて効なく、痛甚だしく忍ぶべからず、叫嗁(きゅうてい)して隣を動かす類の如きに黄蓍建中湯を用ひよ。その効神の如し。《香月牛山》[62]瘰癧:☆16歳の中学生。瘰癧があり、黄蓍建中湯を与えたが、1ヶ月あまりで非常に肥満し、血色もよくなり、登校しても疲労しないようになった。 それに数個の瘰癧の中の1つは、自然に自潰して排膿し、1つは消失した、その後10ヶ月ほど連用して、目立たないほどに縮小した。《大塚敬節》
[63]流注膿瘍[64]漏孔:☆分泌物---<薄くて多い>[65]労傷 [66]笑い出したら止まらない:☆埼玉県、北埼玉群北新宿村の三井彦周の母、歳70ばかりは、ある日、故なく大笑いするようになり、発作は夜となく昼となく起こり、発作が始まると半時間~1時間も大笑して止まない。自分で止めようとしても止めることが出来ないと云う。何人も医者を変え、薬も数百剤を用いたが効がない。
そこで治を余に乞うた。診察してみると、言語難渋し、手足不遂があり、飲食は進まず、からだが重く、のぼせがあり、汗が自然に流れ、腹はひどくひきつれている。よって癇症を診断し、黄蓍建中湯を与え、滾痰丸1匁を兼用した。
これを服用すること数十日で諸症やや軽快した。そこでますます前方を連用し、なお背に灸したところ、3ヶ月で全快した。(福富元璘・和漢医林新誌第89号)
★黄蓍建中湯
(疲れやすい、四肢冷、食欲不振、自汗、不定期熱、脈細弱、貧血、腹痛) #黄蓍建中湯[2]《小品》「黄蓍建中湯《金匱要略》当帰・人参」◎虚労、小腹急に小便赤く餘歴あり、事に臨んで起たず、陰下湿り、あるいは小便白濁する。傷多きを療する方。《雑病翼方》
#黄蓍建中湯[3]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍六一湯《寿世保元》肉桂、白芍薬」左を各々(蜜炙)すること十数次、火毒を出して水煎温服。
#黄蓍散[1]《医学入門》《古今方彙》「黄蓍・麦門冬・熟地黄・桔梗・白芍薬各1銭、甘草8分」水煎。◎咳血、労と成るを治す。
#黄蓍散[2]《証治準縄》《古今方彙》「黄蓍・檳榔子・紫菀・牛蒡子・梔子仁・赤茯苓・甘草(生)各半両、麦門冬・玄参各1両、升麻・黄芩各3銭」水煎。
◎咽喉に瘡を生じ疼痛するを治す。
#黄蓍散[3]《東醫寶鑑》「黄蓍・防風・黄芩・大黄()各1銭、地骨皮・遠志・人参・赤茯苓・漏芦各5分」水煎し、朝夕食後服用。 ◎瞳から膿が出る症。
#黄蓍芍薬桂枝苦酒湯《金匱要略》「黄蓍5両、芍薬3両、桂枝3両」
以上三味以苦酒一升水七升相和煮取三升温服一升。◎黄汗之為病、身體腫、発熱汗出而渇、状如風水、汗沾衣、色正黄如栢汁、脉自沈、何従得之・師曰、以汗出入水中浴、水従汗孔入得之、宜蓍芍桂酒湯主之。◎黄汗病。◎黄蓍桂枝苦酒湯の証は具らず、他例を以て之を考うるに当に身体疼痛或いは不仁の証あるべし。《重校薬徴》
#黄蓍十補湯《東醫寶鑑》「白芍1、黄蓍・当帰・熟地黄・茯神各7分、人参・白朮・酸棗仁・半夏・陳皮・五味子・肉桂・烏薬・麦門冬・甘草各5分、木香・沈香各2分、生姜5・大棗2」煎服。
◎虚労を補い、血気を養う。
#黄蓍損湯《東醫寶鑑》「人参・白朮・黄蓍・木香・当帰・桂皮・白茯苓・白芍・半夏・川芎・熟地黄・山薬・五味子・牡丹皮・麦門冬・石斛・甘草各7分、生姜5、大棗2、梅1、小麦50粒」煎服。
◎虚労の100症を治す。
#黄蓍湯[1-1]《直指小児》 「黄蓍・当帰・芍薬・川芎・地黄・蝦蟆各3匁、鼈甲2匁、人参・柴胡・半夏・橘皮・茯苓・使君子各1匁、生姜」◎疳労・喘咳・虚汗・骨蒸・渇して腹瀉・小食の者を治す。◎此方は浄府散と表裏の方にて、「浄府散」は血気少しも虚なく、心下あるいは両脇下、或いは右或いは左に凝りありて攣急あり、腹堅くして渇をなし、或いは下痢をなし、或いは下痢でずとも、発熱強く脈も盛んなるを標的とす。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は既に日数を経て血気虚耗する故、発熱の模様も骨蒸と云うて内より蒸し立つる如くなり。且つ盗汗出ずるなり。此の蒸熱、盗汗と五心煩熱とを、此の標的とすべし。◎小児疳労:☆虚証にて、後世のいわゆる哺露丁奚などと云う処に用いる。◎婦人の乾血労:☆疳より来る者に活用して奇効あり。《小島学古》
#黄蓍湯[1-2]《仁斎直指方》《漢方後世要方解説》「当帰・地黄・茯苓・半夏各3、柴胡2.5、鼈甲・陳皮・川芎・芍薬・生姜 各2、黄蓍1、人参・蝦蟆・使君子各1.5」◎疳労を治す。◎疳労、喘咳、虚汗、骨蒸渇して腹瀉、食少なき者。◎此方は疳労と呼ぶ結核性腹膜炎の虚状を呈した者に用いる剤である。腹部膨大して堅き硬結を触れ、消耗熱続いて四肢羸痩し、盗汗ある者を目標とする。「浄腑湯」は実熱に属し、此方は虚熱に属する。日数を経て全体に虚状を呈するものに良い。腹水は認められず、肥厚性のもので腹満、硬結、盗汗、消耗熱等を目的とする。本方を服用して下痢食欲不振を起こす者は中止する。本症の更に虚状強きは「消疳飲」である。「蝦蟆」=小児の疳、癆を治す。腹硬満によい。「使君子」=疳を治し、諸虫を除き、瀉を止む「鼈甲」=骨蒸熱、消耗熱を治す。「当帰・川芎・地黄」=血を補う「人参・黄蓍・茯苓・陳皮」=気脾を補う。
★適応症及び病名 (黄蓍湯) ■結核性腹膜炎 #黄蓍湯[1-3]《万病回春》《古今方彙》「人参、黄蓍、当帰、川芎、芍薬、地黄(生)、蝦蟆(去足)、鼈甲、茯苓、陳皮、半夏、柴胡、士君子、生姜、大棗」水煎。
◎小児疳労、喘嗽、虚汗、骨蒸、渇し而して腹瀉して少しく食する者を治す。 #黄蓍湯[2]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、甘草2銭、当帰5分、五味子9粒」水煎服。
◎気が虚し、発熱・脈がはやい・落ち着かない・頭重・憂鬱になる者。
#黄蓍湯[3]《東醫寶鑑》「黄蓍・陳皮各5銭」を粉末にし、別に麻子仁汁1盃を銀石器で煎じたものに、白蜜1匙を入れて再煎し、前の薬末3銭を入れて空腹時に服用。
◎老人の便秘。(老人の大便秘渋)
#黄蓍湯[4]《東醫寶鑑》「黄蓍・人参・白朮・白茯苓・甘草・白芍各1銭、生姜3片」水煎服。 ◎暑気あたりで、脈虚弱な者。
#黄蓍湯[5]《東醫寶鑑》「生乾地黄2銭、黄蓍・茯神・天花粉・麦門冬各1銭、五味子・甘草各5分」水煎服。 ◎すべての渇を治す。
#黄蓍湯[6-1]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、人参2銭、炙甘草5分」水煎服。 ◎慢驚風で下痢する者。
#黄蓍湯[6-2]《蘭室秘蔵》《古今方彙》「人参、炸薬、甘草(炙)、黄蓍」水煎。◎小児慢驚風の神薬なり。
#黄蓍湯[7]《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)2銭2分、生乾地黄・天門冬・白茯苓・麻黄根各1銭5分、当帰1銭2分、麦門冬1銭、五味子・浮小麦・甘草各7分、防風5分」水煎服用。◎陰陽偏虚と自汗または盗汗を治す。
#黄蓍湯[8]《東醫寶鑑》「人参・白朮・白茯苓・甘草・黄蓍・白芍薬各1銭、薑3片」水煎服用。◎中に脈が虚弱な症。
#黄蓍湯[9-1]《外台秘要方》《中医処方解説》「黄蓍30g、麦門冬15g、生地黄15g、天花粉18g、茯苓6g、五味子5g、甘 草5g」水煎服。
◎滋陰益気の効能があり。◎気陰両虚で口渇・多飲の者。
★適応症及び病名(黄蓍湯) [1]糖尿病[2]慢性胃炎[3]慢性気管支炎
#黄蓍湯[9-2]《証治準縄》《古今方彙》「黄蓍・茯苓・括楼根・麦門冬・地黄(生)・五味子・甘草各等分」水煎。◎諸ての渇疾を治す。 #黄蓍湯[10]《備急千金要方》《勿誤薬室方函口訣》「黄蓍・芍薬・桂枝・麦門冬・橘皮・甘草・当帰・細辛・人参・柴胡・茯苓各2両、半夏2両半、大棗20枚、生姜5両」◎虚労不足、四肢煩疼、食を欲せず、食すれば即ち脹り、汗出ずるを治す。
#黄蓍内托散[1-1]《医宗金鑑》「黄蓍、当帰、川芎、白朮、金銀花、皂角刺、天花粉、沢瀉、甘草」
#黄蓍内托散[1-2]《外科正宗》《古今方彙》「黄蓍1銭、当帰・川芎・金銀花・皂角刺・穿山甲・甘草(節)各2銭」水煎し(酒)を加え食前に服す。
◎臀癰已になり、前に薬を服して勢の定りたる者はそれ潰膿せんと欲す、宜しく之を服すべし。
#黄蓍人参湯《東醫寶鑑》「補中益気湯蒼朮1銭・神麹5分・黄柏3分・五味子15粒」◎暑月に精神が不足し両脚が痿軟し、煩熱・嘔逆・自汗・頭痛する症。
#黄蓍茯苓湯《備急千金要方》《勿誤薬室方函口訣》「黄蓍・茯苓・当帰・川芎・桂枝・芍薬・白朮・地黄・人参各1銭、甘草5分」◎治男婦諸虚不足、一切病後不如。◎此方は即ち後世の「十全大補湯」なれども、《備急千金要方》は旧き故、古に
本づくなり。
「八珍湯」は両虚を治する方なり。右に黄蓍,桂枝を加える者は、黄蓍じゃ黄蓍建中湯の如く諸不足を目的とす。故に、《済世方》の主治に虚労不足、五労七傷を治すと云う。◎此方と「人参養栄湯」に桂枝を伍する者は「八味丸」の意にて、桂枝にて地黄を濡滞を揮発するなり。◎諸病証治の末に此方と「補中益気湯」と「地黄丸」「四君子湯」の加減を載する者は、万病共に気血を回復するを主とするの意なり。[1]瘰癧:☆流注瘰癧の強く虚する者。[2]羸痩:☆瘡瘍に因って気血共に虚し羸痩する者。[3]脱疽:☆[荊芥]。☆痛甚だしいときは桂枝加朮附湯荊芥。
#黄蓍茯神湯《東醫寶鑑》「黄蓍・茯神・遠志・紫河車・酸棗仁(炒)各1銭、生姜3片、大棗2枚」水煎服。 ◎脇・胸・背中・肩・両腕の疼痛、心痛、暴瘖する病気が流行する時。(瘖⇒イン・オンと読み、発声障害のこと)。
#黄蓍鼈甲散[1-1]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「柴胡・黄蓍・鼈甲・芍薬・地黄各2、天門冬・茯苓各2.5、桑白皮・半夏・人参・桔梗・桂枝・地骨皮・知母・秦艽・紫菀・甘草各1」◎虚労客熱、肌肉消痩、四肢倦怠、五心煩熱・心悸、盗汗、食少なく、咳嗽多く、咳唾稠粘、時に膿血あるを治す。又、往来寒熱、労瘧等の症を治す。
◎此方は労咳と骨蒸熱を目的とする。肺痿骨蒸の主剤と言われる秦艽扶羸湯の変方で、肺結核の経過中、弛張熱、稽留熱、或いは消耗熱の初期に蒸々として発熱を続け、肌肉消痩して咳嗽する者に用いる。風労の症とて結核の初期、患者が外感に冒され、発熱の際発散の剤を与えれば排気虚耗して労咳となるものに此方が良い。 「地黄・知母」=腎水を滋す。 「天門冬」=肺火を瀉す。 「鼈甲・芍薬」=肝火を瀉す。(陰を養う剤) 「黄蓍・人参・桂枝・茯苓・甘草」=衛気を固くし、脾肺の虚を補う。(陽を助く) 「紫菀」=肺を潤し、嗽を止む。 「秦艽・地骨皮」=内熱を散ず。
◎秦艽扶羸湯=「秦艽・鼈甲・人参各3、当帰・半夏各5、柴胡・地骨皮・紫菀各2、甘草・烏梅・大棗・生姜各1」
★適応症及び病名 (黄蓍鼈甲散) [1]肺炎 [2]肺結核: ☆2期以後の発熱と咳嗽[3]慢性気管支炎[4]慢性マラリア #黄蓍鼈甲散[1-2]《東醫寶鑑》「鼈甲・天門冬各1銭、知母・地骨皮・黄蓍・秦艽・白茯苓・赤芍・柴胡各7分半、桑白皮・半夏・甘草各5分、紫菀・生地黄各4分、人参・肉桂・桔梗各3分、生姜3、大棗2」煎服。
◎諸虚証・百損と一切の労傷を治す。 #黄蓍鼈甲湯[1-1]《和剤局方》 「桑白皮(炙)・半夏(煮)・黄蓍(蜜炙)・知母(去蘆焙)・赤芍薬(洗)・甘草(炙)・紫菀(去蘆)各2両半、秦艽(去蘆)。白茯苓(焙)・生乾地黄(洗焙乾)・地骨皮(去土)・柴胡(洗)各3両3銭、苦桔梗・肉桂(去麁皮不見火)・人参各1両陸銭半、鼈甲(醋浸去裙炙酥)・天門冬各5両、去心焙 一木作地黄3両、肉桂2両陸銭半。
#黄蓍鼈甲湯[1-2]《和剤局方》《古今方彙》 「桑白皮・半夏・甘草各2分半、地骨皮・知母・黄蓍・秦艽・白茯苓・赤芍薬・柴胡各3分3厘、鼈甲・天門冬各5分、肉桂。人参・桔梗各1分6厘、紫菀・生地黄各3分」水煎、温服。◎虚労客熱、肌肉消羸、四肢煩熱、心悸盗汗、食少なく、多く咳嗽し、血有り、往来寒熱、労瘧等の症を治す。
#黄蓍鼈甲湯[1-3]《和剤局方》「茯苓・天門冬各2.5g、柴胡・芍薬・黄蓍・土鼈甲・地黄各2.0g、地骨皮・知母・秦艽・紫菀各・桑白皮1.5g、半夏・人参・桂皮・甘草・桔梗各1.0g」◎労咳、骨蒸熱、◎風労=初期感冒に罹り、摂養を怠り、漸次肺結核に移行)◎熱が続き咳嗽を伴う者。
★適応症及び病名(黄蓍鼈甲湯) [1]咽乾[2]往来寒熱 [3]気管支炎[4]稽留熱(ケイリュウネツ) [5]口燥[6]自汗[7]弛張熱☆胸部疾患に伴うもの。[8]消耗熱[9]盗汗[10]肺炎[11]肺結核症[12]発熱<微熱・消耗熱>[13]疲労倦怠[14]ほほが赤い[15]マラリア ☆慢性に経過するもの。[16]慢性咳嗽[17]慢性気管支炎
#黄蓍防風湯 「黄蓍防風湯2~3をまず濃く煎じて床下に入れておくと、蒸気が煙霧のようにあがり、独りでに薫ぶられその夜のうちにしゃべることができる。◎中風で脈が沈み、口噤なのは早く補わなければならない。もし有形な湯薬を使うと、遅れていけないので黄蓍防風湯を口・鼻が皆受けるようにしなければならない。これは智慧ある人の神技である。口は地に通じ鼻は天に通じ、口で陰を育て、鼻で陽を育てるので、天は綺麗なものを主張し、鼻は有形なものは受けず無形はものを受け、地は濁を主張し、口は有形なものを受け、又無形なものも兼ねて受ける。◎中風でしゅべられない・脈沈・口噤する者を治す。
#黄蓍補胃湯《医学正伝》《古今方彙》「黄蓍・柴胡・当帰・益智仁・橘紅各1銭半、升麻2銭、甘草(炙)半銭、紅花(少許)」水煎。◎1日に大便34次溏し、而して多からず、時にありて泄をなし、腹中鳴り、小便黄なるを治す。
#黄蓍六一湯《寿世保元》《古今方彙》 「黄蓍6両、甘草1両」◎額上常に汗出でて冬夏を論ぜざる者、酔後に之を得て風に当たりて致す所の者を治す。
#黄解丸《湯本救真》《龍野一雄》「黄連・黄芩・黄柏各3g、大黄4g、山梔子2g」丸薬にし、1日量2g。「黄連解毒湯大黄」 ◎便秘・のぼせ。
#黄解散《吉益南涯》《龍野一雄》「黄連3g、黄芩・黄柏各2g、山梔子1g」粉末にし、2gを頓服。◎冷水で服用。◎喀血・吐血。
#黄芩夏菊湯《中薬臨床応用》「黄芩9g、夏枯草15g、菊花9g」◎動脈硬化◎高血圧◎自律神経失調症◎頭痛、目の充血、口苦、顔面紅潮。
#黄芩滑石湯《温病条弁》《中薬臨床応用》「黄芩9g、滑石9g、通草3g、茯苓15g、猪苓9g、大腹皮9g、白豆蔲3g」◎熱性疾患の中期~後期で熱盛。◎発熱が続く、身体が重い、口渇、舌苔黄。
#黄芩加半夏生姜湯《傷寒論》《龍野一雄》「黄芩・大棗各3g、芍薬・甘草各2g、半夏8g、干姜1g」 水400を120に煮詰め、3分服。◎黄芩湯証にして、嘔逆する者を治す《方極附言》
◎下痢嘔吐、或いは発熱或いは腹痛。《龍野》
★適応症及び病名(黄芩加半夏生姜湯) [1]嘔吐[2]悪寒[3]悪心[4]急性虫垂炎[5]急性腸炎[6]下痢☆細菌性の下痢。☆熱性下痢等にして、乾嘔甚だしく、食物を摂取すること能はず。脈数にして弱なる証《奥田謙蔵》[7]口苦[8]口臭[9]子宮付属器炎[10]消化不良[11]食中毒[12]食欲不振[13]心下痞[14]身體疼痛[15]頭痛:[16]赤痢☆大腸湿熱の者。[17]喘息☆嘔吐を伴う。[18]発熱[19]腹痛:☆腹痛し、下痢すること日に数行、吐して煩悶する証《奥田謙蔵》
[20]裏急後重 #黄芩芍薬湯(一名黄芩湯)《東醫寶鑑》「黄芩・白芍各2銭、甘草1銭」水煎服。 腹痛が激しいときは桂心3分を加える。 ◎下痢に膿血がまじり、身体に熱があり、腹痛のある者。
#黄芩湯[1-1]《傷寒論》 =「天物黄芩湯」 「黄芩3両、芍薬2両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚」◎太陽興少陽合病、自下利者、與黄芩湯。若嘔者、黄芩加半夏生姜湯主之。
《傷寒論》巻第四辨太陽病脉證并治下第七。◎傷寒脉遅六七日、而判與黄芩湯徹其熱。脉遅為寒、今與黄芩湯復除其熱、腹中 応冷、當不能食。今反能食、此名除中、必死。《傷寒論》辨厥陰病脉證并治第十二。
#黄芩湯[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄芩9g、白芍薬6g、甘草6g、大棗8g」水煎服。◎腹痛◎裏急後重◎悪臭のある便◎舌苔黄膩◎湿熱の下痢
#黄芩湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「黄芩・大棗各3g、芍薬・甘草各2g」 ◎心下痞、腹強急して下利するものは、黄芩湯これを主る。為則つねに若の証に体すれば、即ち此の湯を用ひ、その応響の如し。《薬徴》
[腹強急]=腹がツッパリ痛む。
◎黄芩湯の条に太陽と少陽との合病自下利する者は之を主ると曰う、蓋し三陰三陽は疾医の言わざる所なり、故に取らず、他例を以て之を考うるに心下痞して腹強急して下利する者は此湯之を主る。為則若の証に値う毎に此湯を用う。その応響くが如し。《重校薬徴》
◎下して心下痞し、腹中拘急する者を治す《方極附言》◎発熱・腹痛・下痢。◎清熱止痢、和中止痛。
★適応症及び病名(黄芩湯) [1]アトピー性皮膚炎[2]胃炎[3]胃腸型感冒☆ウイルス性。《中医処方解説》[3]乾嘔[4]急性腸炎[5]急性虫垂炎[6]月経代償性出血[7]血便[8]下痢:☆(肛門に熱湯をかけた様に熱痛)☆泥状便・粘液便が多い。☆下痢性疾患等にして、初起に発汗法を行い、或いは之を下して後、大勢挫折するも、下痢なお未だ止まざる証《奥田謙蔵》☆熱性下痢等《奥田謙蔵》☆痢疾、発熱、腹痛し、心下痞し、裏急後重し、膿血を便する者を治す。
大黄を加ふ。若し嘔吐する者は、加半夏生姜湯中に大黄を加ふ。《類聚方広義》☆小児の疳虫による下痢。《荒木正胤》[9]口渇[10]口苦[11]口臭[12]子宮付属器炎(腹痛ある者)[13]消化不良[14]食中毒[15]心下痞[17]赤痢:☆赤痢等にありては、その初起に大黄を加える《奥田謙蔵》
[18]代償性月経[16]大腸炎 [17]虫垂炎(急性) [18]腸炎・腸カタル<軽> [19]吐血☆代償性月経として。[20]乳幼児の消化不良
[21]粘液便[22]発熱: ☆熱性病、数日を経過すと雖も、頭痛、煩渇なお未だ止まず、既にして脈勢やや虚弱に赴かんとする証《奥田謙蔵》[23]鼻出血(月経代償性)[24]腹中拘急(腹痛)[25]腹直筋攣急(右側)[26]慢性胃炎[27]盲腸炎[28]目眩[29]裏急後重☆熱症がない者には桂枝加芍薬乾姜・大黄を考える。
#黄芩湯[2]《外台秘要方》《金匱要略》 「黄芩3両、人参3両、乾姜3両、桂枝1両、大棗12枚、半夏半升」右六味、以水七升、煮取三升、温分三服。◎六物黄芩湯に同じ。◎治乾嘔下利《金匱要略》嘔吐下利病脉證治第十七。
#黄芩湯[3]《東醫寶鑑》「黄芩(酒炒)・山梔子(酒炒)・桔梗・赤芍・桑白皮・麦門冬・荊芥穂・薄荷・連翹各1銭、甘草3分」食後服用。 ◎鼻孔が乾く。又は瘡が出来て痛い者。
#黄芩湯[4]《東醫寶鑑》「沢瀉・山梔子・黄芩・麦門冬・木通・生地黄・黄連・甘草、生姜5片」水煎服。 ◎心肺の蘊熱・口瘡・咽喉痛・小便の淋濁の症。
#黄芩湯[5]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄芩・山梔子・桔梗・麦門冬・当帰・生地黄・天花粉・葛根・人参・白芍各1銭、烏梅1個」煎服。食後服用。
◎上消(糖尿の)を治す。◎上消渇の症を治す。是れ肺火にて飲水多く、而して食少なきなり。《古今方彙》
#黄芩湯[6]《東醫寶鑑》「黄芩・白朮・縮砂・当帰・各1銭半」水煎服。 ◎胎動不安に。
#黄芩湯[7] =「黄芩芍薬湯」「黄芩・白芍各2銭、甘草1銭」水煎服。 腹痛が激しいときは桂心3分を加える。 ◎下痢に膿血がまじり、身体に熱があり、腹痛のある者。
#黄芩湯[8]《万病回春》《古今方彙》「黄芩・山梔子・桔梗・芍薬・桑白皮・荊芥・薄荷葉・麦門冬・連翹各1銭、甘草3分」水煎、食後服用。 ◎肺火にて咳嗽、吐血、痰血、咽喉腫痛し、乾燥して瘡を生じ、或いは鼻穴乾燥して瘡を生じ、或いは鼻腫れて痛むを治す。
#黄芩人参湯《深師》《勿誤薬室方函口訣》「六物黄芩湯-半夏甘草」◎傷寒吐下の後、内外熱あり、煩渇不安を治す。 #黄甲丸《東醫寶鑑》「朱砂・阿魏・穿山甲(炙)・檳榔各5銭、雄黄・木香各2銭半」を粉末にし、黒豆を泡立たせ皮を剥いてついて梧子大の丸剤。姜湯で50丸飲む。
◎瘧が塊になって治らない者。
#黄鐘丸《東洞家塾方》=「三黄丸」「大黄40銭、黄芩・黄連各20銭」右三味杵き篩い作末、梧桐子大の糊丸。毎服20~30丸。白湯にて送下す。下を以て度と為す。若し急に之を下さんと欲するときは則ち酒にて之を服す。
◎大便難、煩悸して心下痞するものを治す。
#黄精エキス《中薬臨床応用》「黄精2500g」を500gまで煮詰めてエキス。◎肺結核。 #黄精湯《中薬臨床応用》「黄精18g、枸杞子9g、生地黄15g、黄蓍9g、党参9g」◎病後の衰弱。
#黄米丸《東醫寶鑑》「絲瓜絡(乾燥)の皮を去り細切りにし巴豆肉14粒と炒って、巴豆は捨て、陳倉米を絲瓜絡の分量に入れて炒り、米が黄色くなったら絲瓜は捨て、米を取って粉末にし、梧子大の丸剤。白湯で100丸呑む。
◎水蠱を治す。 #黄土湯[1-1]《金匱要略》「甘草・乾地黄・白朮・附子(炮)・阿膠・黄芩各3両、竃中黄土半斤」右七味、以水八升、煮取三升、分温二服。◎下血、先便後血、此遠血也、黄土湯主之。《金匱要略》驚悸吐衂下血胸満血病脉證治第十六。
#黄土湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「甘草・乾地黄・白朮・白川附子・阿膠・黄芩各3g、黄土8g」水320を120に煮詰め、2回に分服。◎旧注に云う、吐血、衂血、下血を主る。此方は先便後血、吐血、衂血を論ぜず、脈緊なる者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は下血陰分に陥る者収濇するの意なり。《勿誤薬室方函口訣》◎先便後血に拘わらず脈緊を以て用いるが此方の目的なり。《証治要訣》に“黄土湯は、吐血・衂血ともに、脈緊の者に、この湯を用いる症がある。また子宮出血でも脈緊の者に、この方を用いると効がある”◎吐血衂血を治するも此の意にて用いるべし。◎《陳念祖》曰く、余常に、此方を用いるに「-附子乾姜」「-黄土赤石脂」とし、効を取るに捷し、甚だしき者には「乾側柏葉4両、鮮竹茹6斛」
◎下血・吐血・鼻血・不眠。◎収渋止血、温陽健脾、養血。《中医処方解説》◎陽虚の者。
★適応症及び病名(黄土湯) [1]嘔吐[2]悪寒[3]潰瘍性大腸炎[4]顔色悪い<萎黄>[5]顔面蒼白[6]逆上感[7]健忘症
[8]下血:☆冷汗や冷却などの陰症がある者《済世薬室》☆傷寒、熱血分を侵し、にわかに下血する者、桃核承気湯・犀角地黄湯などを与えて血止まず、陰位に陥り危急なる者、此方を与えて往々奇験あり。《勿誤薬室方函口訣》☆厥陰下血の証を治して効あり。《傷寒翼方》☆下血、及び諸血症、その人心中悪熱し、時に襟を解かんと欲し、舌反って和し、或いは胎無くして乾き、ただ嗽(ススガ)んと欲して嚥んことを欲せず、四肢冷え、小便少なく、大便溏なる者は、黄土湯を主どる《医聖方格》☆下血のさいに、大便が先に出て、後で血の下るのは遠血で、血が先に出て、後から大便の出るのは近血であると述べている。遠血は腸からの出血で、近血は肛門からの出血である。《金匱要略》によれば、黄土湯は、遠血を主治し、また吐血、衂血も治することになっている。しかしこの方は近血である痔出血にも用いる。《大塚敬節》
[9]下痢
[10]子宮出血:☆子宮出血に附子剤を用いる症があり。この際には大抵、脈が緊である。これに黄土湯を用いると、数日のうちに血が止むものである《証治摘要》
[10]子宮内膜炎:☆子宮内膜炎等にして、血性分泌物断続し、下肢寒冷にして虚熱上逆 し、その脈細小遅なる証《奥田謙蔵》[12]痔出血:☆直腸や痔の疾患で、膿血が出て止まず、腹痛を訴え、大便が軟く、小便の出が悪く、貧血し、日々痩せてゆく者或いは浮腫のある者を治す《類聚方広義》[11]手掌煩熱
[12]出血:☆(下血・衂血・吐血・血尿・子宮出血・性器出血)☆衂血、或いは吐血の諸証にして、手掌煩熱し、下肢に冷感あり、その脈細弱なる者《奥田謙蔵》☆痔出血止まず、顔面蒼白、四肢寒冷にして、心煩あり、その脈細遅なる等の証《奥田謙蔵》☆子宮出血等にして、その脈沈細なる証《奥田謙蔵》☆吐血、下血、久久にして止まず、心下痞し、身熱、悪寒し、面青く、体痩せ、脈弱にして舌色刷白、或いは腹痛、下利し、或いは微腫する者を治す《類聚方広義》
[13]自律神経失調症[14]心下痞[15]心煩[16]身熱
[17]錐体外路症候群<運動失調性>[18]大腸ガン
[19]腸出血:☆浅田宗伯の治験に、佐伯候の医員、友浦甫仙の妻が傷寒(腸チフス)にかかって、数日、熱が下がらなかったが、ある日突然腸出血が始まり、豚の肝臓のようなものや、ウルシのような血塊を数個下し、手足は厥冷し、冷汗が流れ、のどには喘鳴が現れ、まさに危篤の状となった。そこで自分はこれに黄土湯を与えたとこそ。下血が止み、手足が温かになり、また熱がのぼって、うわごとを言うようになった。脈を診ると、微細である。そこで升陽散火湯を与えて全治した《大塚敬節》
☆「腸チフス」における腸出血等にして、体温俄然として下降し、手足厥冷し、虚煩し、その脈微細なる証《奥田謙蔵》
[20]テンカン
[21]手足厥冷
[22]尿不利
[23]ノイローゼ
[24]脳水腫
[25]白血病
[26]皮膚枯燥
[27]疲労倦怠[28]貧血[29]腹痛[30]不眠症
[31]崩漏:☆緊脈に効あり《勿誤薬室方函口訣》
[32]羸痩
#黄土湯加減《中薬臨床応用》「伏竜肝45g(さきに煎じて残を除き水の代わりとする)、熟地黄9g、当帰9g、肉桂1.5g(服)、艾葉3g、阿膠6g(溶解)、白朮9g、生姜3g、炙甘草3g」◎虚寒による胃腸出血。
#黄白散《東醫寶鑑》「黄柏・孩児茶・明礬各等分」粉末にし、冷米湯で口をゆすいでから、塗布。◎口瘡と口中の疳瘡を治す。
#黄柏丸[1](一名大補丸)《東醫寶鑑》「黄柏」炒って褐色になったら粉末にし、水で丸にし、空腹時に服用。 ◎腎経の火燥を除去し、下焦の湿と、陰火の気が臍の下からおきる症。
#黄柏丸[2]《小児薬証直訣》「黄柏、赤芍薬」
#黄柏膏《東醫寶鑑》「黄柏1両、甘草4両、紅花2両、緑豆粉1両半」粉末にし、精油で調合し、耳の前から目のふちに塗る。 ◎痘瘡が発したとき、先ずこの膏を使うと目も顔も軽くすむ。
#黄柏散《東醫寶鑑》「黄柏2両、五倍子・蜜陀僧各2銭、甘草2分」を粉末にし、煮詰める。就寝時に患部に塗る。 ◎口唇が合わされず、飲食も出来ない症。
#黄柏地楡煎 「黄柏、地楡」
#黄附湯《魏氏家蔵方》「黄蓍、附子」
#黄薬子酒《中薬臨床応用》「黄薬子300g」62度の白酒1500‹と共に陶器の器に入れて密封し、水をはった鍋に入れて2時間ぐらい弱火で煮る。やや冷えてから冷水中に入れ、7日後に取り出して残渣を除く。1日50~100‹を少量づつ頻回に服用。◎食道ガン。
#黄竜散《東醫寶鑑》「枯白礬・竜骨(煆)・黄丹(水飛)・嚥脂(焼灰)・海蛸(煆)各1銭、麝香若干」粉末にし、耳の中を脱脂綿で脱ぎ取るか、又薬を湿らせて耳の中に入れ、いつも詰め替える。◎風呂に入って水が耳に入って、膿が出る者。
◎小児の耳痛を治す。
#黄竜湯[1]《備急千金要方》 「小柴胡湯」に同じ。 ◎傷寒差ゆる後、更に頭痛壮熱あり、煩悶す。
#黄竜湯[2]《傷寒六書》=参帰承気湯。「大黄、芒硝、枳実、厚朴、人参、当帰、甘草」姜棗水煎。 「大承気湯《傷寒論》当帰・人参・甘草」姜棗水煎す。◎心下硬痛、純青水を下利し、譫語・発渇・身熱を患う者。 ◎《呉又可》曰く、凡そ下を失し、以て循衣模床、撮空肉を致し、目了了たらず、邪熱いよいよ盛んに偏気将に脱せんとする者、勢ついに下すべからず。又下さざるを得ず、已むを得ざれば《陶氏》 黄竜湯を用い之を下すと。是れ亦一活用に出ず。然れども此方、人参を用うる者、その意、硝黄の力をしていよいよ鋭ならしむるに在り。《張氏医通》に云う、人参を用うるは、借りて以て胃気を資助し、その薬力を行らせば、則ち大黄輩以て破敵の功を振うを得るなり。虚して補を兼ねるの謂に非ざるなりと、以て見るべきのみ。《傷寒翼方》
#黄竜湯[3]《東醫寶鑑》「小柴胡湯《傷寒論》-半夏」 ◎妊婦の傷寒発熱と、産後の発熱して熱が血室に入る症。 ◎四味凉血地黄湯を合わせると、さらによい。
#黄竜湯[4]《東醫寶鑑》「柴胡4銭、黄芩・人参・甘草各1銭」 ◎妊婦の感冒で、頭痛・煩熱し、瘧状の者。
#黄連阿膠湯[1-1]《傷寒論》「黄連4両、黄芩2両、芍薬2両、鶏子黄2枚、阿膠3両」右五味、以水六升、先煮三物、取二升、去滓。内膠烊盡、小冷。内雞子黄、攪令相得。温服七合、日三服。◎少陰病、得之二三日以上、心中煩、不得臥、黄連阿膠湯主之。《傷寒論》辨少陰病脉證并治第十一。
#黄連阿膠湯[1-2]《東醫寶鑑》=「黄連鶏子湯」「黄連・阿膠・芍薬各2銭、黄芩1銭、鶏子1個」黄連・芍薬・黄芩を半分まで水煎して滓を捨て、阿膠を入れ、再び煎じ、卵の黄身を入れ1日3回服用。 ◎心が煩悶して眠れない症。
#黄連阿膠湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄連6g、阿膠15g(溶解)、黄芩6g、白芍薬6g」水煎し薬液がぬるくなったとことへ卵黄2個を入れてかき混ぜ、1日3回温服。 ◎心血虚◎胸が暑苦しい◎不眠◎舌質紅 ◎脈細数
#黄連阿膠湯[1-4]《傷寒論》《龍野一雄》「黄連4g、黄芩・芍薬各2g、阿膠3g、鶏卵黄1個」水240を以て黄連・黄芩・芍薬を80に煮詰め滓を去り、阿膠を入れて溶かし。少し冷まして卵黄を加えてかき混ぜる。3回分服。
◎心中悸して煩し眠るを得ざる者を治す《吉益東洞》◎此方は《柯韻伯》の所謂“少陰の瀉心湯”にて、病、陰分に陥って、上熱なお去らず、心煩or虚躁する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎凡そ諸病日久しく熱気血分に浸淫して諸症をなす者、◎毒痢、腹痛、膿血止まず、口舌乾く者を治して験あり。◎疳瀉止まざる者◎不眠症・煩躁・吐血。◎心中煩、不得臥。《龍野ー漢方処方集》◎滋陰降火、安神除煩。《中医処方解説》
【腹証】《腹診配剤録》“心下煩悶して、志気尤も安んざぜず。吐血に此の証多し”
★適応症及び病名(黄連阿膠湯)
[1]喀血[2]化膿性皮膚疾患[3]乾癬[4]顔面紅潮
[5]眼痛:☆虚煩眠るを得ず、眼中疼痛、懊悩を治す《肘後備急方》[6]眼底出血
[7]気管支炎[8]狂躁
[9]下血:☆諸失血の症、驚悸、身熱し、腹痛、微利し、舌乾き、煩悶して寐ぬること能はず、身体困憊し、面に血色無く、或いは面熱し、潮紅する者を治す《類聚方広義》☆少陰の下利膿血に用いることもあり。桃花湯とは上下の弁別あり。
[10]下痢:☆久痢、腹中熱痛し、心中煩して眠ることを得ず、或いは膿血を便する者を治す《類聚方広義》☆星海曰く、符卿公夫人、体素羸弱、頻りに参朮を用い、懐孕7月痢を患う。 腰疼腹痛、病危急に在り。諸医みな言う、胎を安んずれば則ち痢いよいよ重く、痢を治すれば則ち胎全き難し。手を袖にして策無し。最後に余を招く。脈数滑重、按んじて無力と診するに至って、必ず固胎の薬を得て主に為さんと思い、又参朮の宜しき所に非ず。《仲景》に「黄連阿膠湯」あり、阿膠能く膿血の痢を治し、且つ腰痛を止め、而して固胎此より善きは無し、遂に用いて以て君と為し、同じく黄連芍薬甘草を佐と為し、少しく枳実を加え、以てその後重を緩慢にする。1剤を服して痛痢ともに減じ、次日、枳実を去り、23剤を再服して痢癒える。《雑病翼方》
[11]血尿
[12]口渇
[13]口臭
[14]口唇乾燥
[15]口内炎
[16]高血圧症[
17]興奮<逆上する>
[18]子宮出血[
19]湿疹: ①脈腹に力なく、のぼせ気味で胸苦しく、熱感あり。②発疹は赤味を帯び、乾燥して、かゆみ少ない。③強い風や日光に当たると悪化する。☆湿疹等にして、諸種の治療の抵抗し、掻痒、煩熱に堪えざる証《奥田謙蔵》☆目標は発疹が主として顔に見られ、隆起があまり目立たないほど低く、指頭でなでると、ザラザラしている。少し赤味を帯びて乾燥し、カユミは少ない。小さなヌカのような落屑があり、風に当たったり、日光に当たると悪くなる。《大塚敬節》
[20]出血性腸炎
[21]衂血
[22]心悸亢進
[23]心下痞
[24]心下痞硬
[25]心煩:☆下痢の後、水分欠損し、心煩して安静ならず、脈微にして浮なる証《奥田謙蔵》
[26]髄膜炎
[27]精神分裂病
[28]頭重
[29]譫語
[30]躁病
[31]手足がだるい(四肢脱力感)
[32]中風:☆少陰中風《医学実在易》
[33]痘瘡:☆痘瘡内陥し、熱気熾盛にして、咽燥、口渇し、心悸し、煩躁し、清血する者を治す。《類聚方広義》
[34]吐血
[35]尿道炎
[36]熱っぽい
[37]ノイローゼ
[38]脳血管障害[39]肺炎
[40]発熱:☆疲労ありて煩熱し、心下部満悶を覚え、安臥するを得ず。脈数急なる証。《奥田謙蔵》
[41]煩躁
[42]ヒステリー
[43]皮膚枯燥:☆私の妻が、頑固な皮膚病に悩まされたことがある。その発疹は円味を帯びて、両側の頬を中心に拡がりカユミがあり、やや赤味を帯びて乾燥し、小さい落屑が見られた。強い風に当たったり、日光に当たると、赤味が増して、カユミもひどくなる。 私はこれに大柴胡湯石膏、大黄牡丹皮湯薏苡仁、桂枝茯苓丸、黄連解毒丸などを、次々と内服せしめ、100日あまりも治療したが、少しもよくならず、むしろ増悪の傾向があり、さすがに、妻も、漢方では治らないのではありませんかと言うようになった。 そこで、私も今までの態度を改め、熟慮ののち、皮膚の乾燥を阿膠と芍薬で潤おし、熱と赤味を黄連と黄芩でとったらと考え、黄連阿膠湯を与えた。これはすばらしく効いた。1服で赤味がうすらぎ、1週間後には、カユミもなくなり、1ヶ月ほどで全治した。《大塚敬節》[44]皮膚掻痒症[45]腹痛[46]不眠症:☆吐血、咳血、心煩して眠らず、五心熱してようよう肉脱する者。☆吐血後の不眠。《本朝経験》☆痘瘡煩渇眠れない者に特効あり。《勿誤薬室方函口訣》☆中暑心煩、臥するを得ざるの内証を治す《陳修園》☆産後の不眠で、胸の中がサラサラして、空っぽになったようで眠れないと、訴える者に、この方を用いた。《伊沢蘭軒》☆吐血・喀血などがあって、胸苦しくて眠れず、からだが熱し、だんだん衰弱を加える者に用いた《原南洋》☆この方は、黄連解毒湯や三黄瀉心湯を用いたいような患者で、やや疲労している者に用いる。《大塚敬節》 ☆本郷、御弓町の斎藤定之進の義子の太沖は、傷寒にかかり、数10日下熱せず、脈は虚数で、舌上に黄苔があって乾燥し、心身共に疲れ果てている。 余はこれを診して、少陰の裏熱の証で有ると診断して、黄連阿膠湯を与えたが、2、3日で心煩g安らぎ、少し安眠が出来るようになり、食もやや進んだ。 ところが、次の日、全身に熱が高くなり、譫語を発し、煩渇、狂躁の状となった。そこで家人は驚いて、余を招いた。 余はこれを診察してから云った。病が陰から陽に復するのであるから、心配はいらないと、升陽散火湯を与えた。4、5日たつと、精神が明了となり、飲食も大いに進んだ。ただ盗汗が止まらず、夜間、微熱があって、腹が引きつれて、動悸がある。そこで 聖恵の人参散を与えて全治した《橘窓書影》
[47]膀胱炎:淋家、心煩して小便利せざる者を治す《類聚方集覧》
[48]発赤[49]麻疹
[50]腰痛:☆妊娠下重、痛み腰背に引くを治す:「黄芩当帰地黄糯米」《外台秘要方》 [51]羸痩
#黄連阿膠湯[2]《東醫寶鑑》「黄連・阿膠・黄柏・山梔子各1銭2分半」水煎服。 ◎膿血の腐った肉汁のような熱毒下痢。 ◎少陰病が原因で、煩躁して横にもなれない症。
#黄連阿膠元《東醫寶鑑》「黄連3両、赤茯苓2両」粉末にし、水と阿膠(炒)末1両で梧子大の丸剤。米飲で30~50丸空腹時に服用。 ◎赤白痢・熱痢。
#黄連飲[1]《東醫寶鑑》「人参2銭、黄連1銭半、炙甘草5分、青竹葉10斤、生姜1片」水煎服。 ◎心経に熱がある夜泣き。
#黄連飲[2]《聖済総録》《勿誤薬室方函》「甘草乾姜湯黄連」◎腸風、血を瀉す痢の如く、腹中痛し、面色萎黄の者。
#黄連温胆湯[1]《六因条辧》「黄芩2両、黄連・生地黄・知母各1両、甘草5銭」(雑病源流犀燭・臓腑門)
#黄連温胆湯[2]《六因条辧》「姜黄連・甘草・生地黄・当帰尾・赤芍薬・木通・連翹・防風・荊芥」(雑病源流犀燭・内傷外感門)
#黄連温胆湯《中医処方解説》「温胆湯黄連」◎燥湿化痰、清熱理気。
#黄連丸[1]《東醫寶鑑》 =「抑青丸」「黄連(酒炒)or(姜汁炒)」作末して粥で作丸し、白湯で20~30丸呑む。◎心経の火をなくし、酒熱を治す。
#黄連丸[2]《備急千金要方》「黄連、生地黄」
#黄連橘皮竹茹半夏湯《臨床常用中薬手冊》「黄連、橘皮、竹茹、半夏、生姜、大棗」
#黄連橘皮湯《外台秘要方》《勿誤薬室方函口訣》 [黄連4両、橘皮・杏仁・麻黄・葛根・枳実各2両、厚朴・甘草各1両」◎冬温に未だ即ち病まず、春に至って積寒の折むる所に被われ、発するを得ず、夏に至って熱を得、その春寒解け、冬温、毒始めて肌中に発す。 ◎斑爛癮疹錦文の如くにして、咳し心悶し、清汁を嘔吐す。◎眼赤、口瘡、下部もまた瘡を生ず、已に自ら下利を得るを療す。◎此方は時毒の1証にて、頭瘟になれば小柴胡湯桔梗石膏、牛蒡芩連湯の之く所なれど、その邪、肌膚を侵して赤斑を発し、心煩下利する者に用いて効あり。 ◎その一等劇しき者を「三黄石膏湯」《傷寒六書》とす。◎陰分に陥り内攻せんと欲する者は、「托裏挙斑湯」《瘟疫論》
#黄連解毒湯[1-1]《外台秘要方》《中薬臨床応用》「黄連5g、黄芩6g、黄柏6g、山梔子9g」水煎服。◎炎症性の煩躁◎意識朦朧◎譫語◎口乾
◎脈に力ある者。
#黄連解毒湯[1-2]《奥田謙蔵》「黄連3.6、黄芩・大黄・梔子各2.4」右四味を一包と為し、熱湯八勺中の之を漬し、須臾にして絞り、滓を去りて一回に温服する。◎心胸の間に毒有りて停滞し、或いは心下、之を按じて濡にして煩悶し、或いは心志定まらざる者を治す。《古方兼用丸散方》
#黄連解毒湯[1-3]《外台秘要方》 「黄連1銭、黄芩・黄柏・山梔子各2銭」◎時疾、煩悶に苦しみ、乾嘔、口燥し、呻吟、譫語し、臥するを得ざるを治す。◎此方は胸中熱邪を清解する聖剤なり。《勿誤薬室方函口訣》◎一名「倉公の火剤」とす。その目的は「梔子豉湯」の証にして熱勢劇しき者に用いる。 ◎苦味に堪えかねる者は泡剤にして与える。
◎煩悶に苦しみ、乾嘔、口燥し、呻吟・錯語し、臥するを得ざる者。◎清熱瀉火、解毒、清熱化湿、止血。◎大熱止まず、煩躁、乾嘔、口渇、喘満、陽厥極めて深く、蓄熱内に甚だしく、及び汗吐下後、寒涼の諸薬でその熱を退く能わざる者を治す。《傷寒活人書》◎三焦の実火にて内外皆熱し、煩渇し、小便赤く、口に瘡を生ずるを治す《傷寒活人書》
◎黄連には、充血を去り、興奮を鎮める効がある。《大塚敬節》梔子には、充血を去り、煩躁を鎮める効がある。《大塚敬節》
【腹証】胸脇苦満や腹部膨満感がなく、心下がつかえるという程度。《大塚敬節》
【加減方】 「黄連解毒湯石膏・麻黄・香豉(又知母)」= 三黄石膏湯《傷寒六書》 【適応症】《矢野敏夫》 比較的体力があり、のぼせ気味で顔色赤く、イライラ傾向のある者の次の症状:「鼻出血」「不眠症」「ノイローゼ」「胃炎」「二日酔い」「血の道症」「めまい」「動悸」
【腹証】《矢野敏夫》
★腹部の緊張は中等度良好。 ★腹直筋は上腹部がやや緊張。
【注意】《矢野敏夫》 <1>次の患者には、慎重に投与すること。
○顔面および皮膚の血色が冴えず、胃腸機能の減退や内臓下垂の傾向を認め、手足などに冷えを自覚する者。
○精神的に抑うつ傾向のある者。
【ポイント】 <1>充血・炎症症状に対し抑制的に作用する。イライラ・不安・のぼせ症状、胃部のつかえ感、そのた出血傾向を目標にする。 <2>本剤を出血に用いる場合は、鮮紅色で勢いのあるものに用いる。
【参考】《矢野敏夫》 体力がやや弱く、皮膚の乾燥が甚だしい者(血虚)は、四物湯を合わせて温清飲として用いる。
★適応症及び病名 (黄連解毒湯)
[1]噯逆(アイギャク):☆傷寒熱症、医誤って姜桂の薬を用い、火邪を助起し、相搏って逆する者を治す。《雑病翼方》
☆傷寒にて伝経(ある証からある証へ病症が変化すること)熱症を医者誤りて姜桂の熱薬を用いて火邪を助け起こして、痰火相搏ち、而して噯逆する者を治す《万病回春》
[2]赤ら顔 ☆酒に酔ったような赤い顔をしている者には、三黄瀉心湯、黄連解毒湯、温清飲などを用いることが多い。赤い顔でも、頬の当たりだけが桃色になっている者には、麦門冬、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、苓桂味甘湯などを用いることが多い。
[3]イライラ
[4]イボ:☆血疣:《方読便覧》
[5]犬・ネコに噛まれたとき:
☆狗猫鼠などの毒を解す。《勿誤薬室方函口訣》
☆瘈狗傷(狂犬病)、外に「中黄膏杏仁人参甘草」を貼り、「黄連解毒湯木鱉子」を内服し、兼ねて「蟾蜍膾」を食する《先哲医話》
[6]意識障害
[7]咽乾
[8]黄疸
[9]怒りっぽい
[10]かゆみ
[11]牙疳:
☆「+連翹犀角」《方読便覧》
☆走馬牙疳:「+犀角地黄湯《備急千金要方》
[12]鵞口瘡:☆「+薄荷・枳実・甘草」《方読便覧》
[13]喀血:☆[+地黄]
[14]川崎病 ☆川崎病の初期、発熱、発疹、結膜充血、不眠などを目標に用いる(漢方診療医典)
[15]肝炎
[16]肝火上炎
[17]肝斑
[18]眼精疲労 ☆充血、眼痛、のぼせ、種名、イライラがあり、腹力中等度以上で便秘はない(漢方診療医典)
[19]感染症
[20]顔面紅潮
[21]気の上衝<+>
[22]気管支炎:☆化膿性に:「+桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》
[23]気管支拡張症:☆「+桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》
[24]急性胃腸炎
[25]急性肝炎:☆湿熱ある者。
[26]急性感染症:☆インフルエンザ、日本脳炎、流行性脳脊髄膜炎、敗血症など。
[27]急性胆嚢炎:☆湿熱ある者。
[28]狂躁症:☆喜笑不止者を治す。
[29]下血
[30]下痢:☆膿血性、しぶる。☆細菌性の下痢。☆熱があって下痢する者は、通常柴芩湯であるが、一等甚だしい者は黄連解毒湯or柴胡解毒湯を用いる。《済世薬室》☆大熱有りて下利洞泄する者《勿誤薬室方函口訣》☆痧病などの熱毒深く洞下する者を治す。
[31]血尿
[32]血崩: ☆「艾葉」《赤水玄珠》
[33]高血圧症:
☆高血圧で不眠、のぼせ、顔面紅潮、気分が不安定:「釣藤鈎・黄蓍・魚腥草」。☆のぼせ、顔面潮紅、不眠、気分の不安定などの愁訴がある高血圧症患者に用いる。《大塚敬節》☆婦人の更年期障害に伴う高血圧症には、本方を用いる証が多い。《大塚敬節》☆重役婦人、46歳。1年前より月経が不調となり、その頃よりのぼせ、背部の灼熱感、動悸、多汗等の更年期症状を訴えていたが、最近、会社のストライキがもつれ、労働組合員が自宅にも押し掛けてきて、嫌がらせをするようになり、そのため、不眠、めまい等も訴 えるようになり、血圧も180-100となった。脈は浮でやや数、血色はよく赤味を帯びている。腹部は臍上で僅かに動悸が亢進しているだけで、特別の所見はない。大便は毎日1行ある。 私は、のぼせ、不眠、めまい、背部の灼熱感などを目標にして黄連解毒湯を与えた。これを飲むと、気分が落ち着き、睡眠薬を用いなくても眠れるようになり、10日後の来院で血圧は166-94となり、その後10毎の測定で、多少の上下はあったが、次第に血圧は安定し、3ヶ月たった頃は、最高150を越すこともなく、最低も90内外となった。《大塚敬節》
[34]口渇[35]口乾
[36]口苦
[37]口内炎: (アフター性)☆「+甘草2.5g~3.0g」《大塚敬節》☆63歳男性。昭和6年5月頃、口唇の表皮が少し剥げていたが、自覚症状がないので、そのままにしておいた。6月も過ぎ、8月になっても依然としてよくならなない。その頃から医師にかかり始め、昭和7年2月に、私の診察をうけるまで、種々雑多の治療をくりかえした。そしてついに、最後に下された診断は、口唇ガンになるかも知れないということであった。 診ると、下唇の左半分に長さ1cm、幅0.3cmの浅い潰瘍がある。周囲はさほど硬くもないし、出血もない。刺激性の飲食物を食べるときに、少し痛むほか、自覚症状もない。ところで、口腔内をみると、舌も、頬の内面も、左側は、ところどころ紅くなって、爛れている。しかしこれらの部位もほとんど痛まない。私はこれに黄連解毒湯を与えたが、1週間分で、大いに軽快し、3週間分で全治した。《大塚敬節》
[38]更年期障害
[39]興奮しやすい
[40]肛門出血[41]肛門掻痒
[42]黒皮症:☆黄連解毒湯や白虎加桂枝湯の証があるが、黄連解毒湯が効く者が多い《大塚敬節》☆42歳の女性。3年前の春、急に顔が赤くなって、カユミを訴え、医師の手当を受けている間にそれが次第に黒くなって、顔一面に黒くなってしまった。医師はリール氏の黒皮症と診断したという。 大便は便秘がち、月経は順調と云う、目下はカユミはほとんど無いが、のぼせると言う。 そこで黄連解毒湯大黄を与えた。飲み始めて徐々に黒色が薄れ、6ヶ月後には全くの正常な色になった。ところが、その頃から月経が不順となって、時々背に灼熱感があり、ひどく発汗するようになった。 私は更年期障害と診断して、前方を連用し、この頃は、ほとんど灼熱感も、発作性の発汗も訴えない。《大塚敬節》[43]痔出血[44]衂血[45]歯痛[46]湿疹:☆みぞおちがつかえ、のぼせ気味で患部に熱感を覚える。☆発疹は赤味を帯び、かゆみがあり、乾燥していない。温清飲の場合は乾燥している。☆黄連解毒湯を用いるような湿疹でも、患部がひどく乾いて、油でも塗らないと堪えがたいようであれば、温清飲が良い。《大塚敬節》☆激しいかゆみに頓服。 ☆「+荊芥連翹」で用いる《大塚敬節》 ☆55歳の婦人。血色も栄養もよい。昨年肝炎にかかった。ところが肝炎が治った頃から、湿疹が出来るようになった。この湿疹は顔面・肩・上肢の内側に診られ、発疹は赤く、その部分に熱感がある。時に動悸がある。食欲はあるが、胃潰瘍の気味があると云われたので、食事には注意しているという。脈は浮大数である。大便は秘結するので、下剤を飲むと云う。 私はこれに黄連解毒湯連翹荊芥大黄を7日分与えた。7日後に飲み終わって来院した時、患者はその効果に驚き、熱感が去り、カユミが減じ、大便が毎日快通するよいになったという。28日間の服用で全治した。《大塚敬節》☆58歳女性。頸部から肩に掛けて発疹、赤味を帯び、熱感がある。脈は浮でやや弦。腹診すると左脇下が硬く、臍上で動悸が亢進。大便は1日1行。血圧152-108。尿にタンパクなし、口渇があり、胃が重いという。私がのぼせるような感じは無いかと尋ねたところ、首から上がポカポカとあつく、酒に酔った時のような感じで、何となく乾く感じがあると云う。 以上の所見から連翹荊芥を与えた。7日後に、発赤、熱感が減じ、カユミも軽くなり、腹診上心下部の抵抗も減じ、血圧136-92 となった。2週間で良くなった《大塚敬節》[47]湿熱[48]重舌:☆重舌・木舌・紫舌等の症を治す《百々漢陰》[49]酒査鼻:☆酒毒を解する。[50]出血:☆炎症性の出血☆繭唇して出血《方読便覧》 [51]焦燥感 [52]情緒不安定 [53]小便赤色[54]食道炎: ☆食道、胃粘膜にビラン:「+大黄」[55]小児がはしかで鼻血[56]小児がはしかで高熱が続き煩躁
[57]自律神経失調症状
[58]心悸亢進:☆高血圧症や更年期障害からくる心悸亢進に用いることがある。
[59]心下痞 [60]心中懊[61]心煩[62]神経衰弱[63]神経性胃炎[64]神経症[65]身熱
[66]ジンマシン:☆45歳の女性。2ヶ月前からジンマシンができ、みずおちに塊のようなものが出来ると、ひどくなるという、大便は1日1行。月経は順調。 十味敗毒湯を与えた。20日間服用したがまったく効かない。そこで口渇があるというのを目標にして白虎加桂枝湯にして。少し良いようだと云う。1ヶ月続けるが、やっぱり出るという。夜間がひどいと云う。そこで瘀血を疑って桂枝茯苓湯とする。これを飲むと ひどく悪い。そこでまた白虎加桂枝湯にとする。これでだいぶん良い。腰と足にだけ出る。その他は良い。大きいのは出ない。小さいのが出る。口渇は無くなったが、食事を始めると胸がやけるようになったという。腹診すると鳩尾がつかえ、自分ではここに塊があるように感じるという、そこで黄連解毒湯にしたら、20日で完全に治った。《大塚敬節》
[67]髄膜炎
[68]頭痛:☆食物が胃に停滞して始終腹が張り、のぼせて顔色が赤く、頭痛を訴える者。☆高血圧症、動脈硬化症の頭痛。☆便秘があれば→「三黄瀉心湯」
[69]精神不安
[70]精神病
[71]舌質<紅> ☆辺縁の紅潮あり《矢野敏夫》
[72]舌苔<白~黄膩>
[73]譫語:(センゴ=うわごと)☆譫妄一証は即ち毒火太盛、邪熱心を侵し、神昏するなり、疹未だ出ざる者は黄連解毒湯加味に宜し 《麻疹心得続録》
[74]喘息:☆咳して喘息し、面赤く潮熱あり、脈洪大を治す《病機彙編》
[75]瘡瘍:☆惞痛し、煩躁し、冷を飲み、脈洪数の者《先哲医話》
[76]立ちくらみ[77]打撲
[78]丹毒:☆「牡丹皮・升麻・芍薬・紫草・甘草」《方読便覧》
[79]血の道症:☆赤ら顔で、のぼせ、不眠、心悸亢進、鼻出血があり、イライラして精神が不安定な者。
[80]中毒:☆腐薬瞑眩、その証微なる者は悪寒発熱し、或いは渇し、或いは飲食進まず、劇しき者は、煩渇、或いは煩悶、その毒、心下に迫って、遂に命期を促すに至る。急に当に之を救うべし、[黄連解毒湯][甘連加石膏湯][緑豆湯]などに宜し。《先哲医話》☆32歳男性。6年ほど前、砒素剤を服用したところ、顔の毛細血管が赤く透けて見えるようになり、鼻翼・頬部・眼瞼は特にひどくなり、どうしても、治らないと云う。
患者は背が高くて、色の白い方で、脈は浮大、白苔がある。大便は1日1行。 私はこれに黄連解毒湯葛根紅花を与えた。すると徐々に毛細血管が見えなくなり、約1年で全治した。なぜ葛根紅花を加えたかというに、《有持桂里》の《方輿輗》には葛根紅花湯という処方を酒渣鼻に用いてあり、これにヒントを得たのである。《大塚敬節》[81]ツバがたまる:☆口に唾液の溜まるものに、人参湯や甘草乾姜湯のような裏を温める作用のある処方を用いて良いものと、黄連解毒湯や瀉胃湯のように、裏を冷却せしめる作用のある処方を用いて良いものとある。黄連解毒湯や瀉胃湯の場合は、患者に寒性の症状が無く、顔色も赤味を帯び、唾液も粘稠で、しばしば口臭を覚え、脈も浮数の傾向がある。口内炎のため粘液の分泌が増加して、よだれの出るというような時にこれらの処方を用いる機会がある。《大塚敬節》[82]手足が温かい[83]動悸:☆酒に酔って、ひどく動悸する者に用いる《大塚敬節》☆火傷を受けて興奮状態になって、動悸する者に用いる。《大塚敬節》☆からだ中で動悸がして、夜もよく眠れないという53歳の女性が診を乞うた。痔核があって某医院で注射をしてから、そうなったのだという。ことに肛門から外陰部で動悸するという。よく訊ねると、全身に熱感があって、あちらこちらで脈が打つのを感ずるという。心臓に故障はなく、心下部の動悸は亢進していない。私はこれを更年期障害と診断して、本方を与えたところたちまち良くなった、《大塚敬節》[84]吐血:☆上焦熱極にして鮮紅を吐血するを治す:「+生地黄・犀角」
[85]軟便:☆陽毒熱極等の証、あるいは下後、便軟に壮熱已まず、此方に宜し。《傷寒翼方》[86]日本脳炎[87]尿路感染症☆湿熱ある者。[88]熱性ケイレン[89]熱性病:☆内熱太甚だしく、大熱、大渇、大煩する者:「+白虎加湯」《傷寒翼方》☆熱病の後の余熱に用いる方剤に竹葉石膏湯がある。これと黄連解毒湯との違いは、例えば竹葉石膏湯は火が燃えたあと余熱が残って、ほのかに温もりがあるという程度であるのに対し、黄連解毒湯は灼けて、焦げ付いたという感じである。《大塚敬節》[90]熱毒下血:☆(排便後に黒色を帯びた下血。腹痛がある。)[91]ノイローゼ[92]脳溢血[93]脳出血後遺症[94]脳卒中[95]のぼせ:☆顔面が酒でも呑んだ様に潮紅を呈し、気分がイライラして落ち着かず興奮傾向のある者。《大塚敬節》
☆多血症・高血圧症の者に用いる機会が多い。《大塚敬節》☆便秘の傾向があれば三黄瀉心湯を、不眠傾向があれば黄連解毒湯を用いる《大塚敬節》 ☆皮膚乾燥気味、顔面熱感(表面上赤くなくても良い)を目標にする《矢野敏夫》[96]肺炎[97]肺化膿症☆「桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》[98]敗血症:☆疔毒心に入り、口乾、煩悶、恍惚、脈実なる者を治す:
「連翹・甘草・牛蒡子」《外科正宗》「連翹・甘草・牛蒡子・石膏・犀角」《本朝経験》☆気迫する者:「沈香」《方読便覧》[99]排尿痛 [100]発熱:☆高熱が多い。☆1男子、原因不明の高熱が数日続き、抗生物質を用いて下熱したが、口唇は乾燥して裂け、舌は乾いて全くしめりなく、水を欲するも、呑もうとすると悪心があり食欲なく、うとうととするも何となく不安で安眠を得ない。脈は沈で力がある。
私はこれに黄連解毒湯を用いたが、2日後には口内にしめりを生じ、食欲が出で、安眠を得るようになった。《大塚敬節》☆発熱後、日数を経て余熱が内にこもり、舌は乾燥し、時には、黒苔を生じ、胸苦しく、口が渇き、悪心、不眠などのある者に用いる。この際、体の表面にくわっくわっとした浮かび出た熱はなく、深く沈んでこびりついたものによい。
皮膚もガサガサとして湿りがない。脈は沈んで小さくても力がある。腹にも底力がある。《大塚敬節》☆悪風や悪寒のある場合には、この処方ではない《大塚敬節》☆火傷のため、激しく発熱し、重篤の症状を呈する者に用いる。《大塚敬節》
[101]煩渇
[102]ヒステリー
[103]鼻出血:☆衂血清涼の治法なり:「連翹」《本朝経験》
[104]皮膚掻痒症:☆(かゆみ激しい<+++>)
[105]皮膚の化膿:☆熱があるもの。
[106]表層性胃炎
[107]癰疽:☆ひょうそ並びに手指一切の腫瘍、金瘡、損傷を治す「石膏甘草」《方読便覧》[108]腹部有力
[109]二日酔い
[110]不安感
[111]不眠症:☆頭が冴えてなかなか眠れない。☆気分が落ち着かず、つまらない事が気にかかり眠れない。☆イライラして眠れない。☆のぼせて眠れない。☆高血圧症、更年期障害のときの不眠に用いる機会がある《大塚敬節》☆55歳女性。8年前、子宮の全摘と片方の卵巣とを摘出した。主訴は頭重、めまい、不眠で、いつも頭に何かかぶっているようで、気分が重いと云う。この症状は5、6年前から起こり、その間、電撃療法を3回受けたが、あまりよくならなかった。便通は毎日有り、食欲は少ない。舌には白苔がある。この白苔は、毎晩のんでいる眠り薬のためかも知れないと患者は云う。診察が終わったあと、患者は、家の中の汚れが気になったり、食事のまずいのが気になると、追加した。 私はこれに黄連解毒湯を与えたが、1週間分を飲み終わって来院した時、患者は次のように云った。 朝、眼が醒めると、頭が重く、何かかぶったようになり、同時に肛門が締まって苦しいが、軟便が出ると楽になる。その時、舌がしぶいように感ずる。 私はこんな訴えによって、処方を変えることなく、前方を与えた。すると、次の1週間分を飲むと、肛門の締まりが減じ、よく眠れるようになった。めまいも頭重も軽くなった。ただ寝ていると、夜間口にツバがたまって困ると言う。 私は迷った。口につばが溜まるというのは、裏に寒があるためで、この裏寒を温めるには、人参湯を用いなければならないのではないか?黄連解毒湯は裏熱を去る効があるから、これで胃を冷却し過ぎたかも知れない。しかし、いま一度前方で押し通してみようと決心し、黄連解毒湯を与えたところ、口のツバも溜まらなくなり、神経症状も消散した。この時のツバは、裏寒のためのものではなかったらしい。《大塚敬節》
[112]ベーチェット病:☆24歳の女性。数年前から繰り返し、口中に潰瘍が出来て、どんなことをしても治らない。医師はベーチェット氏病と診断したという。患者は中肉中背で色白く、潰瘍が一時外陰部にも出来たことがあるが、主として口中に出来るという。大便は1日1行で、快通し、月経は正常。腹部は臍部でやや動悸を触れる。食欲はあるが、痛みのために十分食べられない。やや不眠の傾向がある。こんな状態であったから、私は黄連解毒湯に山豆根2.0を加えて用いたところ、10日頃から、潰瘍の治癒が速くなり、後から後から出来ていたのが少なくなり、3ヶ月で全治し、その後2ヶ月ほど服用した、それから2年になるが再発しない。《大塚敬節》 ☆粘膜症状の急性期で熱感や疼痛の強いものに用いる(漢方診療医典)[113]便秘 「+大黄」=黄解丸 [114]胞衣が下らない:☆新産息胞、憂思百端、気逆耳鳴眩迷す:「紅藍花」《本朝経験》[115]発赤[116]麻疹:☆疹未だ尽きず、怫々として発熱し、煩悶寧らざる者を治す。☆発せず、内欝煩悶、面熱し、赤斑皮中に隠々し、発透する能わざる者:「牛蒡子・甘草・大黄」《麻疹心得続録》☆毒熱壅滞し因って面赤、身熱、譫語、煩渇、疹色赤紫にして黯を帯びる者、先ず「化斑湯」を与え、差えざる者は「牛蒡子・甘草・大黄」を用いて一下すべし。《麻疹心得続録》[117]むち打ち症[110]胸苦しい(心煩)
[111]めまい:☆のぼせたり、興奮したり、脳充血を起こしたりしたときのめまいに用いる《大塚敬節》[112]目が熱っぽい[113]目の充血[114]目眩[115]裏急後重[116]流行性脳脊髄膜炎
#黄連解毒湯[2-1]《活人書》《漢方後世要方解説》「黄連・黄芩・黄柏各3、山梔子2、《万病回春》には更に加うるに柴胡・連翹・芍薬各2」◎三焦の実火、内外皆熱し、煩渇し、小便赤く、口瘡を生ずるを治す。◎一切の火熱、表裏倶に盛にして、狂躁煩心、口瘡咽乾大熱し、乾嘔錯誤して眠らず、吐血衂血し、熱甚だしく発斑するを治す《医方集解》◎此方は三焦の実火、内外皆熱すと云うのが目的で、半表半裏の熱にも非ず、凉膈散、白虎湯、承気湯の熱にも非ず、日数を経たる残余余熱を解するものである。熱永びき津液枯れて皮膚枯燥し、実熱あれども既に脈沈細にして力あり、腹堅にして結毒深く固着する者に用いる。又、瀉心湯の意を以て諸実火の出血、喀血、吐血、衂血、下血、血漏等に広く用いられる。単独にても用いるが、四物湯その他と合方或いは加減して用いることが多い。
「黄連」=心脾胃の瀉火を主とす。
「黄芩」=肺、大腸小腸の瀉火剤
「黄柏」=腎、膀胱の瀉火剤
「梔子」=心包、三焦の瀉火剤
「柴胡」=肝、胆の瀉火剤
「連翹」=心、脾の瀉火剤。
#黄連解毒湯[2-2]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「黄連・山梔子各2.0g、黄芩・柴胡各3.0g、黄柏・連翹各1.5g」◎煩悶、乾嘔口燥、呻吟、錯語、不眠、出血。
★適応症及び病名(黄連解毒湯)
[1]急性熱病: ☆熱性諸病の余熱《矢数道明》
[2]出血: ☆喀血・吐血・衂血・便血・子宮出血《矢数道明》 ☆熱淋出血《矢数道明》
[3]頭痛: ☆52歳男性。 「体格は太って、おなかがちょっと出ている。誰が見ても健康そのものに見えるが、本人はいつも頭痛がして仕方ないという。A医院で血圧を測ると、少し高いので、頭痛はそのせだと言われ、降圧剤をもらって飲んだ。しかし頭痛はいっこうに良くならない。 B医院で改めて見てもらうと、年齢にしては当然の血圧で、之が原因で頭が痛むとは考えられない。女の更年期障害みたいなもので、しばらく我慢しなさい--と言われた。 そこで管ぽいを訪ねたところ、黄連解毒湯を勧められ、飲み始めたところ、たちまち気分が落ち着いてきて頭痛はすっかり消えてしまったと言う。」《山田光胤》
[4]精神分裂病 ☆20歳男性。 「被害妄想がひどく、激しい興奮状態にあったので、大学病院で電気ショック両方を受けたところ、一応興奮状態だけはおさまった。しかし、「ある人に呪われている、自分の体が異常状態に陥れられている」という妄想と異常感覚だけは、どうしても消えない。 試みに、黄連解毒湯を3ヶ月ほど服用させてみたところ、次第に妄想も消えて、すっかり元通りになってしまい、以後7年間、立派に働いている。」《山田光胤》
[5]痘瘡:
[6]発狂喜笑: ☆狂乱喜笑不止《矢数道明》
[7]皮膚病
[8]麻疹:《矢数道明》
#黄連解毒湯[3]《外科正宗》「黄連・黄芩・黄柏・山梔子・連翹・甘草・悪実各等分」 ◎疔毒心に入り、内熱、口乾、煩悶、恍惚、脈実なる者を治す。
#黄連化痰丸《東醫寶鑑》「黄連・呉茱萸各1銭半、陳皮5銭、半夏1両半」粉末にし、姜汁糊で緑豆大の丸剤。姜湯で100丸呑む。 ◎熱痰と咳を治す。
#黄連橘皮湯《外台秘要方》「黄連4両、橘皮・杏仁・麻黄・葛根・枳実各2両、厚朴・甘草各1両」◎斑爛疹錦文の如くして咳し心悶し、清汁を嘔吐す。眼赤・口瘡・下部も亦瘡を生ず、已に自ら下利を得るを療す。
黄連鶏子湯⇒黄連阿膠湯。
#黄連膏《医宗金鑑》 「黄連・黄柏・姜黄各12g、当帰尾20g、生地黄40g、胡麻油480gを用いて各薬と共に煎じて枯らし、渣を去り、きれいに濾し、黄蝋160gを加えて火にかけて、膏とする」
#黄連香薷飲《東醫寶鑑》 =「黄連香薷散」「香薷3銭、厚朴1銭半、黄連7分半」を剉作1貼し、酒を少し入れ水煎し、冷服する。 ◎中暑と熱渇を治す。 【加減方】[四苓散白芍薬・梔子(炒)](熱泄で、口が乾き冷たいものを好み、痛みと瀉が交互に来る)
#黄連犀角湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄連・犀角・烏梅・木香・桃仁各1銭」剉作1貼、水煎服。◎狐惑を治す。
#黄連犀角湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄連1両半、犀角1両、烏梅7分、木香7分、桃仁」水煎し温服。◎傷寒、孤惑にて其の症、四肢沈重、食気を聞くを悪み、黙々をして臥せんと欲し、目閉じ、舌白く、面目の間黒色にして変易常ならず、下部を虫食し、狐となり、而して唇下に瘡あり、其の咽乾き、其の臓を虫食し惑となる。 (孤惑=コワク、うたがいまどう)
(孤=陰部潰瘍、惑=咽喉部潰瘍)◎上唇瘡ありて声唖するを治す。 #黄連犀角湯[2]《医林集要》「黄連犀角湯《万病回春》桃仁」
#黄連散《東醫寶鑑》「大黄(醋炒)2両、黄芩・黄連・甘草各1両」を細末にし、温水で2銭づつ1日2回服用。 ◎黄疸で熱が壅寒し、二便が秘渋する者
#黄連地黄湯《東醫寶鑑》「黄連・生地黄・天花粉・五味子・当帰・人参・葛根・白茯苓・麦門冬・甘草各1銭、生姜2、大棗1、竹葉10」水煎服。 ◎三消(糖尿の)を治す。
#黄連地黄湯《万病回春》《古今方彙》「黄連・生地黄・括楼根・五味子・当帰・人参・乾葛・茯苓・麦門冬・甘草各1銭、生姜・大棗・竹葉:水煎。 ◎三焦渇するを治す。神の如し。◎上焦渇する者:「山梔子桔梗」◎中焦渇する者:「黄芩」◎頭眩し渇止まざる者:「石膏」◎下焦渇する者:「黄柏知母」
#黄連瀉心湯《東醫寶鑑》 「黄芩2両、黄連・生地黄・知母・各1両、甘草5銭」細切りにし、毎回5銭づつ水煎服。 ◎狂疾を治す。
#黄連清心飲《東醫寶鑑》「黄連・生地黄・当帰・甘草・茯神・酸棗仁・遠志・人参・蓮肉」各等分を粉末にし、毎回5銭煎服。 ◎精が泄するのを調整する。
#黄連清膈丸《東醫寶鑑》「麦門冬1両、黄連5銭、黄芩(鼠尾)3銭」粉末にし、緑豆大の丸剤。温水で20~30丸呑む。 ◎心肺間の熱を治す。
#黄連清化丸《東醫寶鑑》「半夏1両半、黄連1両、陳皮5銭、桃仁20個、呉茱萸1銭」を粉末にし、神麹糊で緑豆大の丸剤。姜湯で100丸呑む。 ◎呑酸を治す。
#黄連消痞丸《東醫寶鑑》「黄芩・黄連(炒)各6銭、枳実(麩炒)5銭、半夏(製)4銭、姜黄・白朮・沢瀉各3銭、人参・陳皮・厚朴各2銭、猪苓1銭半、縮砂・乾姜・神麹・甘草各1銭」を粉末にし、梧子大の丸剤。白湯で100丸呑む。 ◎心下の痞が治らない者。
#黄連消毒散《東醫寶鑑》「黄連・羗活各1銭2分、黄芩・黄柏・藁本・防已・桔梗各7分、生地黄・知母・独活・防風・連翹・当帰尾各6分、人参・甘草各5分、蘇木・陳皮・沢瀉・黄蓍各4分」 ◎癰疽が背中に出来、痛まない。
#黄連消毒飲《寿世保元》《古今方彙》「黄連・羗活各1銭、黄芩・黄柏・藁本・防已・桔梗・当帰尾各5分、生地黄・知母・独活・防風・連翹各4分、黄蓍・人参・甘草・陳皮各3分、蘇木・沢瀉各2分」水煎服。◎附骨疽を治す神方なり。
#黄連竹茹湯[1-1]《東醫寶鑑》「黄連(姜汁炒)・山梔子(炒黒)・青竹茹各1銭、人参7分、白朮・赤茯苓・白芍・陳皮・麦門冬・甘草各5分、大棗2枚、梅1個」煎服。
◎胃に熱があって嘔吐・煩渇し、脈の早い症。
#黄連竹茹湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄連(姜汁炒)・山梔子(炒黒)・竹茹各1銭、人参5分、白朮・茯苓・白芍薬(炒)・麦門冬・甘草各3分、炒米1撮、烏梅1個、陳皮3分、棗肉」水煎。
◎胃熱にて煩渇吐するを治す。◎発熱には:「柴胡」
#黄連竹茹湯[2]《万病回春》《古今方彙》「砂仁・沈香・木香・茴香各5分、紫蘇子8分、甘草2分、黄連・竹茹・山梔子・陳皮・半夏・麦門冬各1銭、烏梅1個」煎服。
◎胃中に痰ありてを発するを治す。
#黄連通聖散《東醫寶鑑》 「防風通聖散黄連(酒炒)・薄荷葉」◎濁った鼻水が止まらない症。
#黄連猪肚丸[1]《東醫寶鑑》「雄猪肚1個、黄連5両、麦門冬・知母・瓜蔞根各4両」を粉末にし、猪肚の中に入れ、ひもで結び、肚を堅く封じて蒸し、臼でついて蜜を少し入れ、梧子大の丸剤。米飲で100丸呑む。
◎消渇・消中と強中症を治す。
#黄連猪肚丸[2]《東醫寶鑑》「黄連・小麦(炒)天花粉・茯神各4両、麦門冬2両」を粉末にし・雄猪肚1個に入れて封をし、蒸してついて梧子大の丸剤。米飲で70~90丸飲む。◎強中症に、石子薺苨湯を飲んだ後、この丸を飲む。
#黄連湯[1-1]《傷寒論》「黄連3両、甘草(炙)3両、乾姜3両、桂枝(去皮)3両、人参2両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚」 右七味、以水一斗、煮取六升、去滓、温服。晝三夜二。◎傷寒、胸中有熱、胃中有邪氣、腹中痛、欲嘔吐者、黄連湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七
「胸中熱」=現代医学で熱という場合は、体温の上昇を意味するが、個々では熱感の意で、あつく感ずること(大塚敬節)
#黄連湯[1-2]《東醫寶鑑》「黄連2銭、人参1銭半、半夏1銭2分、乾姜・桂枝各1銭、甘草5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎腹痛と嘔吐。上に熱があり、下が冷える者。
#黄連湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄連3g、半夏9g、乾姜3g、桂枝3g、党参9g、甘草3g、大棗15g」水煎 服。 ◎胃寒による腹痛、嘔吐。◎胸が暑苦しい
#黄連湯[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》「黄連・甘草・乾姜・人参・桂枝・大棗各3、半夏5」◎心煩、心下痞硬し、腹痛、嘔吐、上衝する者を治す。《吉益東洞》
◎熱病、心下痞し、胸中熱煩し、心腹痛みて吐せんと欲し、その人、頭に汗出で、心下悸して臥すこと能ざる者は、黄連湯之を主ドル《医聖方格》 ◎此方は胸中有熱、胃中有邪気と云うが本文なれども、《喩嘉言》が湿家下之舌上如胎者、丹田有熱、胸中有寒、仲景亦用此湯治之の説に従って、舌上如胎の 4字を一徴とすべし。《勿誤薬室方函口訣》◎此症の胎の模様は、舌の奥ほど胎が厚くかかり、少し黄色を帯び、舌上潤いて滑らかなる胎の有る者は、たとい腹痛無くとも、雑病乾嘔有りて諸治効無きに決して効あり。腹痛あれば尚更のことなり。
◎此方は「半夏瀉心湯黄芩桂枝」なれども、その効用大いに異なり。甘草乾姜桂枝人参と組みたる趣意は「桂枝人参湯」に近し。但し彼は恊熱利に用い、此は上熱下寒に用いる。黄連の主薬たる所以なり。また案ずるに、此の桂枝は腹痛を主とす。即ち「生地黄湯」《備急千金要方》の桂枝と同趣旨なり。《勿誤薬室方函口訣》◎胸熱胃寒、腹痛嘔吐。◎和胃降逆、消痞止痛、止瀉、清熱、調和腸胃。《中医処方解説》◎黄連湯(胸中煩熱、胃中有寒、腹痛<臍上>、胃のもたれ感、食欲不振、嘔吐、口臭、舌苔<黄白色>湿潤)
【腹証】《腹診配剤録》 “心下に物無く、上中脘の辺に凝り有りて痛み、食臭を聞けば、則ち嘔せんと欲す” 《矢野敏夫》 ★腹壁全体の緊張良好《矢野敏夫》
★適応症及び病名 (黄連湯)
[1]噯気[2]イライラ[3]胃液分泌過多症[4]胃炎
[5]胃潰瘍[6]胃カタル[7]胃ガン[8]胃酸過多症[9]胃部の不快感☆(停滞・重圧感)☆脈微緩にして、胸腹部に不快感あり、心下部殊に膨満するも、之按ずるに軟、時に嘔吐を発せんとする証《奥田謙蔵》☆飲酒過度、あるいは宿酔等《奥田謙蔵》[10]胃部の疼痛[11]嘔吐:☆厥、復し、発熱心煩し、嘔吐除かず、飲食を欲せざる者。☆霍乱、疝瘕、攻心腹痛し、発熱、上逆し、心悸して嘔吐せんと欲し、及び婦人の血気痛、嘔して心煩し、発熱、頭痛する者を治す《類聚方広義》☆半夏瀉心湯の黄芩の代わりに桂枝を入れたもので、腹証は半夏瀉心湯と同じく心下痞があり、腹痛・嘔吐を目標として用いる《大塚敬節》 [12]気の上衝 [13]急性胃カタル [14]急性胃腸炎 [15]急性虫垂炎 [16]胸中煩熱:☆半夏瀉心湯の証にして、下利せず、胸中熱ある者なり。《傷寒論識》☆胸部に熱煩、欝満の感ありて食欲欠損し、時に胃痛んで堪ふ可らず、二便に著変なき証《奥田謙蔵》☆胸部に煩熱を覚え、或いは腹痛し、或いは便通不整にして、脈弦数なる証《奥田謙蔵》☆胸中煩熱し、心下部膨満し、或いは喘し、或いは嘔吐し、或いは腹痛し、両便に著変なく、脈微しく弦なる証《奥田謙蔵》[17]下痢:(腹痛ある者) ☆腹痛・嘔気ある者に。《荒木正胤》☆腹痛なく雷鳴し、水瀉性の下痢は、生姜瀉心湯を考える。《済世薬室》☆下痢性疾患にして、腹痛し、嘔気ある証《奥田謙蔵》 [18]口臭 [19]口角糜爛症(びらん、のぼせあり)[20]口内炎(口臭がある)[21]更年期障害☆胸中煩悶、みずおちつかえ、頭痛、吐き気ある者《荒木正胤》[22]コレラ[23]回虫 [24]自家中毒[25]十二指腸潰瘍[26]消化不良 [27]自律神経失調症状[28]歯痛 [29]十二指腸潰瘍 [30]上熱下寒[31]上腹部の疼痛:☆(心下~臍上)[32]舌苔<微白~黄白>☆厚い白苔の現れることが多い《大塚敬節》[33]大腸炎[34]胆石症[35]血の道症[36]虫垂炎:☆急性初期で嘔吐・腹痛<劇痛>[37]腸炎・腸カタル[38]テンカン[39]腹痛:☆霍乱吐瀉止まず、心腹煩痛する者を治す《先哲医話》☆痘疹熱毒胃中にあり、腹痛する者《傷寒翼方》☆この方は心下痞硬よりも腹痛を目標にして用いる。もし心下痞硬が著明であれば半夏瀉心湯などの瀉心湯類を用い、それで痛の止まない時にこの方を用いる。《大塚敬節》☆この方の腹痛は、みずおちと臍の中間あたりから起こるものに良い。《大塚敬節》☆嘔吐は無くても良い。《大塚敬節》☆食傷や急性の胃炎などの腹痛に用いることもある。この際には舌に白苔が厚くかかることが多い。《大塚敬節》[40]二日酔い:☆頭痛・吐き気ある者《荒木正胤》 [41]ノイローゼ[42]肺結核[43]慢性胃炎[44]虫歯[45]盲腸炎[46]卵巣機能障害
#黄連湯[2-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄連(酒炒)・生地黄(酒洗)・麦門冬・当帰(酒洗)・赤芍各1銭、犀角・薄荷・甘草各5分」水煎服。 ◎口唇の瘡。又は舌が裂け、舌先の出血。
#黄連湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》「薄荷葉・犀角・甘草各5分、黄連・山梔子・生地黄・当帰・芍薬・麦門冬湯各1銭」水煎し食遠に服用。 ◎心下舌上に瘡を生じ、或いは舌上腫れ燥き裂け、或いは舌尖出血し、或いは舌硬きを治す。
#黄連湯[3]《東醫寶鑑》「黄連・当帰各2銭、甘草1銭」煎服。 ◎大便のあと下血し、腹が痛まない者。
#黄連二陳湯《中医処方解説》「二陳湯黄連」
#黄連茯苓湯《東醫寶鑑》「黄連・赤茯苓・各1銭2分半、麦門冬・通草・車前子・遠志各7分半、半夏・黄芩・甘草5分半、生姜7、大棗2」水煎服。 ◎上下に寒を受けて、たわごとを言い、妄心・疼痛・咳嗽・寝汗のある者。
#黄連補腸湯《東醫寶鑑》「黄連4銭、赤茯苓・川芎各3銭、石榴皮5片、地楡5銭、伏竜肝2銭」水煎服。 ◎大腸が冷え、青白色の便を下す者。
#黄連木香湯《東醫寶鑑》「白芍(炒)2銭、白朮1銭半、黄連(炒)・木香・縮砂(研)・黄芩(炒)・陳皮・当帰(酒洗)各1銭、甘草5分、生姜3片」水煎服。
◎瘧疾後の痢疾を治す。
#黄蝋膏《東醫寶鑑》「清油5銭を弱火で煮て、黄蝋1塊を入れて又煮る。胡粉・五倍子末を少しづつ入れて煎じ、紫色になったらOK。まず患部を熱湯で洗って乾かした後、膏をつける。
◎凍傷で痛む者。
#鴨子煎《東醫寶鑑》「生姜(年少者100銭、年老者200銭)を搗いて自然汁を取り、卵1個を姜汁に入れて混ぜ、煎じて8分ぐらいになったら蒲黄3銭を入れ、再煎し、温服。
◎子癇を治す。 ◎子痢を治す。
#応鐘散《吉益東洞》=「芎黄散」。「應鐘散」「川芎・大黄各2両」右2味、杵き篩い作末。毎服6分、酒或いは湯にて送下。知らざれば稍加えて1銭に至る。下を以て度と為す。若し結毒、痼疾あるものは、毎夕、臥に臨みて之を服す。◎諸々の上衝。轉変して治すべからざるものを治す。
★適応症及び病名(応鐘散)
[1]肩こり
[2]血圧上昇
[3]頭痛[4]動悸[5]のぼせ ☆便秘に伴うのぼせ。[6]便秘[7]めまい
#応神黒玉丹《東醫寶鑑》「猬皮4両、諸懸蹄2隻、牛角猬3両、乱髪霜・敗棕2両、槐角1両半、苦楝根1両2銭半、雷丸・脂麻各1両を剉砕して缶に入れ、火煆して粉末にし、そこに乳香5銭、麝香2銭を入れて混ぜ、酒糊で梧子大の丸剤。先に胡桃肉1個を入れてかじり、温酒で30~50丸夕食前に呑む。◎五痔と諸痔。(→病状し)
#応痛元《東醫寶鑑》「生姜朮・破故紙(半生半炒)・骨砕補・穿山甲(桑灰炒為珠)・生草烏各2両、茴香1両半に草烏を細かく切って連皮生姜4両とっておいて一夜おき、焙って乾かし、前の薬と作末して酒糊で梧子大の丸剤。温酒で50丸呑む。 ◎折傷後に風寒湿の為手足が痛む。
#嘔血一方[1]《寿世保元》《古今方彙》「当帰・川芎・芍薬・生地黄・梔子」水煎し服するに臨み「童便・韮汁(少許)」入れる。 ◎先づ悪心し、而して血を嘔する者を治す。これ多くは怒気逆するに因るなり。◎《厳氏済生方》には欝金あり。◎痰あれば:「竹瀝」
#嘔血一方[2]《寿世保元》《古今方彙》 「黄蓍、人参、黄柏、荊芥、当帰、生地黄」水煎温服。◎血を嘔し、脉大にして発熱し、喉中痛む者を治す。これ気虚なり。
#嘔血一方[3]《寿世保元》《古今方彙》 「当帰、生地黄、桔梗、通草、牡丹皮、括楼仁」水煎温服。◎怒気逆甚だしく、而して嘔血する者を治す。
#嘔吐一方[1]《済世全書》《古今方彙》「人参、半夏、生姜」蜜(少許)入れ水煎。◎気虚し痰あり嘔吐する者を治す。◎また、反胃を治す。
#嘔吐一方[2]《寿世保元》《古今方彙》「藿香・厚朴・陳皮・白朮・半夏・茯苓各1銭、砂仁(炒)5分、枇杷葉3片、甘草3分、生姜」水煎。 ◎大腸結燥し、嘔吐止まず湯薬入らざるを治す。◎老人虚人に多く此症あり。◎幽門通ぜずして竅門泛満(のどにあふれて一杯になる)の症、法は須らく先づ「蜜導煎」を以てその幽門を通じ、然る後に薬を服すべし。
#罌栗蘇子湯《后字二三六部隊》《中薬臨床応用》「罌栗殻・蘇子・烏梅・五味子各6g、地竜・杏仁各9g、半夏8g」水煎服。◎慢性の咳嗽
#乙字湯[1-1]《原南陽》《中医処方解説》「柴胡5g、升麻2g、黄芩3g、甘草(炙)3g、大棗3g、生姜2g、大黄1g」 (原方)
#乙字湯[1-2]《原南陽》《漢方後世要方解説》「柴胡5、当帰6、黄芩3、升麻1、甘草2、大黄0.5」 大黄は便通の如何により去加する。◎此方は種々の痔疾に用いられる。特に痔疾の疼痛、出血、肛門裂傷などに良い。◎筆者《矢数道明》は長浜氏の駆瘀血丸を以て屡々効を得ている。「柴胡、升麻」=湿熱清解の効あり。「当帰」=滋陰通和の能あり。「黄芩」=裏熱を清解する。
#乙字湯[1-3]《原南陽》《龍野一雄》「唐大黄1~3g、柴胡4g、升麻1.5g、甘草3g、黄芩3g、当帰5g」◎実証の痔、脱肛、痔出血。
#乙字湯[1-4]《勿誤薬室方函口訣》「乙字湯《原南陽》原方大棗・生姜当帰」 ◎痔疾脱肛の痛楚する、あるいは下血腸風、あるいは前陰痒痛する者を理す。◎諸瘡疥、誤って枯薬にて洗傅し、頓に癒ゆる後、上逆鬱冒、気癖の如く、繊憂細慮、あるいは心気不定の如き者、並びに之を主る。《原南陽》◎此方は《原南陽》の経験にて、諸痔疾、脱肛、痛楚甚だしく、或いは前陰痒痛、心気不定の者を治す。◎南陽は柴胡・升麻を升提の意に用いたれども、やはり湿熱清解の功に取るがよし。
◎そのうち、升麻は古より「犀角」の代用にして止血の功あり。◎此方は「甘草」を大量にせざれば効なし。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名 (乙字湯) [1]イボ痔(痔核):☆私はこの方を痔核に用いる時は、「大黄桃仁・牡丹皮・魚腥草」とする。便秘がひどいときは大黄を入れるが、そうでなければ入れない。桃仁・牡丹皮を入れるのは、痔核を瘀血とみて、瘀血を治する作用のあるこの2味を加えるのである。魚腥草には緩下と止血の作用があるので加える。《大塚敬節》[2]陰部掻痒症[3]下血:☆臓毒による:「桃仁・人参」《方読便覧》[4]肛門裂傷:《矢数道明》
☆この処方は原南陽の経験方で、いろいろの痔疾患に用いられる。とくに痔核の騰津、出血、肛門裂傷などによい。便通の状態によっては大黄を去るのがよい。大塚氏はこれに桃仁、牡丹皮、魚腥草(ドクダミ)を加えて用いた(漢方診療医典)[5]痔の疼痛:☆痛み甚だしい者:「乳香」《済世薬室》[6]痔出血:☆大便秘結して出血→「三黄瀉心湯」を考える。☆多量の出血→「芎帰膠艾湯」を考える。☆出血にはこの方より、三黄瀉心湯、芎帰膠艾湯、温清飲などを用いた方が良い《大塚敬節》[7]湿疹[8]女子の前陰部掻痒症
[9]脱肛:☆大腸熱甚だしく脱肛する者。☆脱肛の初期軽症《矢数道明》[10]ほてり[11]不眠☆便秘が多い #乙脳方《中薬臨床応用》⇒「日本脳炎方」「大青葉30g、石膏(生)120g(先煎)、黄芩12g、山梔子(焦)9g、紫根9g、牡丹皮9g、鮮地黄60g、元明粉6g(沖服)、黄連3g」水煎服。◎日本脳炎◎流行性耳下腺炎◎ウイルス性肺炎◎流行性脳脊髄膜炎
#膃肭補天丸《東醫寶鑑》「胡桃肉3両、白朮2両半、白芍・黄蓍・熟地黄・杜仲・牛膝・破故紙・川練肉・遠志各2両、膃肭臍・人参・白茯苓・枸杞子・当帰・川芎・茴香各1両半、木香・茯神・甘草(蜜炙)各1両、沈香5銭」粉末にし、麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に温酒又は塩湯で50~70丸呑む。◎虚損陰痿を治す。 ◎亡陽・失陰・諸虚・百損・陰痿・遺精を治す。
#遠志飲《証治準縄》「遠志、茯神、人参、黄蓍、酸棗仁、当帰、肉桂、甘草」
#遠志丸[1]《厳氏済生方》「遠志、菖蒲、茯神、酸棗仁、人参、竜歯、朱砂」 #遠志丸[2]《東醫寶鑑》「遠志(姜製)・天南星(牛胆製)・人参・白附子・白茯神・酸棗仁(炒)各5銭、朱砂3銭、麝香1銭、金箔5片」蜜で梧子大に丸め、朱砂で衣をつけ、薄荷湯で毎回30丸飲む。◎びっくりして言葉が出ないとき。
#遠志湯[1-1]《証治準縄》「遠志・黄蓍・当帰・麦門冬(去心)・酸棗仁・石斛各5g、党参9g、茯神2g、甘草1.5g」水煎服。◎神経衰弱◎病後の不眠、動悸。
#遠志湯[1-2]《証治準縄》《古今方彙》 「遠志・黄蓍・当帰・麦門冬・酸棗仁・石斛各1両半、人参・茯神各7分、甘草5分」◎心虚して煩熱し夜臥寧からず、及び病後虚煩するを治す。◎煩甚だしき者;「知母竹葉」
#遠志湯[2]《備急千金要方》「遠志、麦門冬、人参、甘草、当帰、桂心、芍薬、生姜、大棗」 #恩仙散《活人心統》 「八角茴香、杜仲、木香」
[31]子宮発育不全
[32]子宮出血:☆下血の証、口唇乾燥、手掌煩熱、上熱下寒(上半身がのぼせ、下半身が冷える)、腹塊なき者を適証として用いる。《勿誤薬室方函口訣》☆もし塊あり、快く血下らざる者は「桂枝茯苓丸」に宜し。その一等重き者を「桃核承気湯」とする。☆《金匱要略》に“おたずねします。婦人が50歳ばかりの頃、数十日もの間、子宮出血が止まず、日暮れになると熱が出て、小腹裏急(小腹は下腹、裏急は腹のつれる感じ)と腹満があり、手掌には煩熱(いやな熱感)があり、唇と口が乾燥しているのですが、これはどういうわけでしょう。先生はこれに次のように答えられました。それは婦人の病で、半産後の瘀血が下腹に残って去らないからこんな症状を呈するのです。その証拠は唇口の乾燥にあるのです。これは温経湯の主治するところです”《大塚敬節》
[33]湿疹:☆手の指や手甲などに出来て、なかなか治らない頑固な湿疹に著効がある。《大塚敬節》☆30歳の女性。結婚して10年になるが、妊娠しないという。色の白い、中肉中背で、別に病気らしいものはしたことがない。婦人科の診察では、特に悪いところはないと言うが、冷え症で、腰(特に右側)の周りから右大腿にかけて冷えて、つれる感じがある。月経の量は少なく、右腹直筋が突っ張っている。それに数年前から、手の指と甲に湿疹があり、これはコーチゾンの使用でよくなるが、一時的でまた元通りになるという。 私は先ず当帰芍薬散を与えた。すると湿疹がひどくなって、鼻の下にも、新しいものが出来て、痒いという。温清飲荊芥連翹とする。変化無し。消風散とする。湿疹の方は少し良いようだが、胃が痛むので、続けて飲めないという。それに背がひどく冷えて、首まで凝るようになり、月経が遅れた。当帰飲子とする。湿疹の方は変化無く、右の腰から足にかけて、ひどく冷える。 温経湯とする。湿疹がどんどん良くなる。2ヶ月ほどで、全治してしまった。その後、3ヶ月ほど、この方を連用した。この患者は最近になって妊娠した。《大塚敬節》
☆26歳の主婦。20歳の時に左手に湿疹が出来、4年間治らなかった。24歳の春結婚し、11月に妊娠した。その頃より湿疹が増悪し、25歳の春には右手にも拡がった。この年の11月には項部にも拡がり、手の方も悪くなった。そして胸にも発疹が出始めたので、プレドニンを飲んだ。これを飲んでいる間はよいが、止めるとまたひどくなった。目下妊娠7ヶ月であるが、両足と項部に湿疹が出ている。時々頭痛のする事があり、下痢しやすいという。 温経湯を与えると、10日間の服用で、湿疹の方は大いに軽快し、1ヶ月で全快し、下痢もしなくなり、頭痛も無いという。《大塚敬節》
[34]習慣性流産
[35]上熱下寒:☆(上半身がのぼせ、下半身が冷える)
[36]自律神経失調症 [
37]進行性手掌角皮症:☆手掌煩熱、唇口乾燥にヒントを得て、それまでは、桂枝茯苓丸+ヨクイニンや加味逍遥散などを用いていたが、それらを用いず、指掌角皮症のほとんどが、これで治ることを知った。《大塚敬節》
[38]精神分裂病
[39]舌質:<淡白><瘀斑>
[40]舌苔:<無苔><湿潤>
☆やや乾燥した薄い白苔《矢野敏夫》
[41]多嚢胞性卵巣症候群
☆EBM:症例集研究 (対象患者) 無月経を主訴に来院し、以下の項目を満たし多嚢胞性卵巣症候群と診断された未婚女性73例(平均年齢24.3歳)を証に随い漢方薬を投与し、8週間で排卵に至らなかった60例を対象にした。
1)血中LHの基礎値が106mlU/ml以上
2)LH-RHtestにおいてLHとFSHの反応性に3倍以上の解離がみられる。 LH=黄体形成ホルモン FSH=卵胞刺激ホルモン (結果) 平均血中LH濃度の低下は見られなかったが、温経湯に切り替えることにより有意に低下した。血中LH濃度低下率は当帰芍薬散か (Evidence) 1件の多施設症例集積研究に於いて、多嚢胞性卵巣症候群に対する排卵率は57%であった。また、LHは有意に低下した。
[42]帯下(凝血がある)☆婦人、帯下と称する者は、赤白を泄し、少腹裏急し、或いは腹虚満し、手掌煩熱し、脣口乾燥し、その人心下痞し、嘔逆し、或いは欬唾に血を帯びる者なり。当に温経湯を以て之を主としべし《医聖方格》
[43]血の道症
[44]蓄膿症
[45]虫垂炎(急性)
[46]疲れやすい(疲労倦怠)
[47]手掌煩熱:☆手の甲や掌の乾燥する者にも効く《大塚敬節》
[48]凍傷
[49]ノイローゼ
[50]のぼせ<上熱>
[51]冷え症
☆EBM(レーザー組織血流計による検討) (対象患者) ①冷えの自覚と四肢末梢血流量に関する検討 2000年3~6月外来受診112例 平均年齢 32.7±8.55歳(22~49歳) ②排卵障害、不妊症、更年期障害を有する患者での温経湯投与による四肢血流変化に関する検討 投与群 32例(33,7±7.49歳) 非投与群29例(32.0±7.04歳) 両群において月経状態、冷えスコアにおいて差を認めなかった。 (薬物投与) ③温経湯投与群では7.5g/日を8週間投与。 非投与群では漢方薬以外の治療を選択 (Evidence) 1件の症例集積研究において、温経湯は上下肢の血流量を調整することで冷え症を改善することが示された。
[52]冷えのぼせ
[53]関節痛<膝の>
[54]微熱
[55]皮膚疾患(乾燥性)☆34歳の婦人。不妊のため、6ヶ月前に、子宮後屈の手術をし、その時、両側の卵管を切除し、片方をビニールでつないだ。 なお4年前より軽い耳鳴りがあり、最近、疲れやすく、肩が張り、足が冷える。足は右が重い。時々眠れない。湿疹は胸部の中央に手掌大に拡がったものと、背部で肩胛間部の下方に手掌大に坐をとっている。発疹はあまり隆起せず、発赤を認めない。分泌物もなく、乾燥している。カユミはあるがひどくはない。腹診上左の腸骨窩のあたりに圧痛があり、瘀血の存在を疑わしめるに足る。大便は1日1行。 私はこれに温経湯を用いたところ、10日分の服用で安眠が出来るようになり、湿疹も軽快した。しかし腰痛と肩こりがよくならない。次の10日分で腰痛はよくなったが、肩こりがひどい。次の10日分で依然として肩こりを訴え、耳鳴りがひどい。まだ時々湿疹が痒い。なお、4、5回悪心を訴えた。次の10日分で依然として、肩こりと耳鳴りがあり、口腔に潰瘍が出来た。次の10日分で、口腔の潰瘍は治したが、外陰部から膣がただれ性交不能となる。イライラする。温経湯に黄柏を加えて与える。これを飲むと、とても気分がよく、肥えてきた。陰部のただれもよくなり、湿疹も全治した。《大塚敬節》
[56]皮膚枯燥
[57]貧血
[58]腹痛
[59]不正性器出血:☆郡山の北条弥一右衛門の妻は60であるが、月経が止まらず、時々汚い水がもれ、腰は冷えて、まるで氷か鉄をあてているようだと云う。医者は皆、コレを診て、不治の症とした。自分はこれを診察して云った。身に悪寒も熱もなく、脈も虚数(力がなくて速い)ではない。また陰部にも疼痛もなく、下り物にも悪臭がない。ことによると治るかも知れないと、そこで温経湯を与え、硫黄と龍骨の2味を丸として兼用した。これを10日あまり飲むと腰に温かみを覚え、下り物が減じ、出血が止まり、普通の老婦となった。《橘窓書影》
[60]不妊症:☆《金匱要略》に“婦人の下腹が冷えて久しい間妊娠しないのを治し、かねて子宮出血を治し、また月経が多すぎる者及びその期になっても来ないものを治する”《大塚敬節》☆私はこの方を用いて、うまく妊娠した例を知らない。然し浅田流ではこの方を不妊に用いているので、方と証がうまく的中すれば、妊娠も可能であろうと思う《大塚敬節》 ☆桂枝茯苓丸や当帰芍薬湯とともに不妊症に有効である。桂枝茯苓丸は左下腹部圧痛と共に抵抗があり、温経湯にはない。当帰芍薬湯は、皮膚にやや水分の多い感じ、めまいなどがあり下腹直筋の緊張弱く、表層圧痛を認めるが、温経湯は腹直筋緊張良好の違いがある。《矢野敏夫》
[61]ほてり
[62]慢性腸炎
[63]慢性副鼻腔炎
[64]無気力[65]無月経
[66]無排卵
☆EBM:症例集積研究 (Evidence) 1件の証を考慮しない症例集積研究において、8週後のFSH、LH、estradiolは有意に増加した。12週後までに排卵に至ったのはⅠ度無月経65%、Ⅱ度無月経23%だった。
[67]盲腸炎
[68]卵巣機能障害
[69]脈:弱、時に緊弱(細であることは少ない)《矢野敏夫》
温経湯[2](一名調経散)《東醫寶鑑》「麦門冬2銭、当帰1銭半、人参・半夏(製)・白芍薬・川芎・牡丹皮各1銭、阿膠珠・甘草(炙)各7分半、呉茱萸・肉桂各5分、姜3片」水煎服。◎月経の不調を治す。◎月経のあるときに房事を行い衝脈・任脈が損傷し、経血が暴下。
温警丸(一名粉紅丸)《東醫寶鑑》「天南星(牛胆)4両、天竺黄1両、朱砂1銭半、臙脂胚半銭、竜脳5分」粉末にし、牛胆汁で芡実大の丸剤。砂糖水で飲む。 ◎急驚の虚症を治す。
温腎丸[1]《東醫寶鑑》「熟地黄1銭半、牛膝・肉蓯蓉・五味子・巴戟・麦門冬・炙甘草各8分、茯神・乾姜・杜仲(炒)各5分」水煎服。 ◎腎が弱く、命門が冷え、腰痛する者。
温腎丸[2]《東醫寶鑑》「山茱萸・熟地黄各3両、巴戟2両、兎絲子・当帰・鹿茸・益智仁・杜仲・生乾地黄・茯神・山・遠志・続断・蛇床子各1両」粉末にし、梧子大の蜜丸。空腹時に温酒で50~70丸飲む・ ◎これを飲むと妊娠する。
温腎湯《東醫寶鑑》「赤茯苓・白朮・沢瀉・乾姜(炮)各1銭2分半」水煎服。 ◎風寒湿による寒淋。小便不利を治す。
温清飲[1-1]《東醫寶鑑》=「解毒四物湯」「黄連解毒湯+四物湯」◎崩漏が止まらず、五色が流れ出、顔は黄色く腹痛する。
温清飲[1-2]《万病回春》《古今方彙》
=「四物湯+黄連解毒湯」 「当帰・芍薬・川芎・地黄・黄芩・黄連・黄柏・山梔子各1銭半」◎婦人経水住まず、或いは豆汁の如く五色相雑え、面色萎黄・臍腹刺痛・寒熱往来・崩漏止まざるを治す。◎此方は温と清と相合する処に妙ありて、婦人漏下、或いは帯下、或いは男子下血止まざる者に用いて験あり。《勿誤薬室方函口訣》◎腸出血、子宮出血、貧血著明、或いは腰痛浮腫を伴う者。《龍野ー漢方処方集》◎清熱瀉火、解毒、補血活血、止血。《中医処方解説》
◎目標:《大塚敬節》<1>患部が乾燥して赤みを帯び、灼熱があり、カユミがひどく、ひっかくと、粉がこぼれるという点にある。<2>分泌液が流れることはない。<3>顔面・頸部・項部などがひどくおかされる傾向がある。◎目標:《矢数道明》「多く丘疹性の湿疹で、分泌物はなく、枯燥の傾向があり、カユミが甚だしく、掻爬によって出血痕を残している者が多い」
★適応症及び病名 (温清飲)
[1]頭がふらつく
[2]イライラ
[3]陰部の潰瘍
[4]川崎病 ☆やや急性期を過ぎて、発熱、発疹、結膜充血、不眠などを目標に用いる(漢方診療医典)
[5]乾癬:☆老人の頑癬は、多く血液乾燥し、湿熱き肌表に薫ずるに因る。故に温清飲を的治と為す。或いは「浮萍」佳なり。《先哲医話》☆若い人の乾癬:「連翹・荊芥」《大塚敬節》☆28歳の婦人。16歳の頃、全身に、汗疹のような小さい赤い発疹が出来、それが融合し、後には痂皮状になって、カユミがあった。しかしそれは1ヶ月ほどで治った。ところがそれから2年ほどたって、また赤い丘疹が四肢の伸側に散在性にでき、それからウロコの様に乾燥して、こぼれ落ちるようになった。カユミは少ないが、夜間痒いことがある。 某医大の病院で、尋常性乾癬と診断せられて、治療を受けているが、良くならないと云う。大便は1日1行。月経は順調。 私はこれに温清飲を与えたが、20日目頃から、漸次軽快し、4ヶ月の服用で全治した。ただ途中で、痔出血を起こしたので、これに魚腥草を加えたところ、4、5日で痔出血は止んだ。《大塚敬節》[6]肝斑:☆43歳の婦人。長い間、肝斑に悩んでいる。いろいろ手当をしている内に、顔一面に広がったという。 腹診上特に捕まえどころがなく、大便も1日1行。月経も順調。ただ左の足の裏が、ポカポカと火が燃えている様だというのを目標に温清飲を用いた。しかし、1、2ヶ月間の服用で、あまり効果があるようにみえなかった。しかし、患者は2年7ヶ月の間、休まずに飲み続けて、ついに全治した。《大塚敬節》[7]気の上衝:<+>[8]筋肉のひきつり[9]下血(鮮紅色)☆大便下血を治し、糞便糞後を問わず、即ち「地楡・槐花・阿膠・側柏葉」 ☆《名医方考》に曰く、上下失血太(はなは)だ多ければ則ち必ず「四物湯」を与える勿れと。瘀血厲毒の如きも亦禁じる所に在り。而して今加うるに黄連解毒湯を以てす。温清飲、適宜なり。《雑病翼方》☆小栗豊後の室、下血止まず面色萎黄、腰痛折れるが如く、両脚微腫ありて衆医手を束ね。余此方を与えて全く癒ゆ《浅田宗伯》
[10]月経過多
[11]月経困難
[12]血崩
[13]口渇
[14]口内炎
[15]高血圧症
[16]更年期障害
[17]サルコイドーシス ☆丘診や結節などの皮膚症状や眼症状のあるものに用いる(漢方診療医典)
[18]痔出血:☆「魚腥草」《大塚敬節》☆41歳の男性。5年前に痔出血があったが、一旦治っていたがその翌年、内痔核からの出血が永く続いて、めまいが起こり、貧血がひどいため、入院して輸血をしたこともある。その後、耳鳴りとめまいがあって、メニエール氏病と云われたこともあった。血圧は110-70位で、疲れやすい。ひどく神経質で、手術は絶対イヤだと云う。大便1日1行あり、胸脇苦満が著明にある。そこで先ず大柴胡湯大黄を用いたところ、上腹部の膨満感は無くなったが、また痔出血が始まった。そこで温清飲荊芥魚腥草を用いたところ、7日分を飲み終わる頃には出血が止んだ。その後、引き続きこれを服用すること、6ヶ月、その間出血は1回もなく、イライラした気分もなくなった。 この患者も芎帰膠艾湯でよいかとも考えたが、上腹部の抵抗とイライラした不安感があったので、四物湯に黄連解毒湯を合した温清飲にし、これに荊芥と魚腥草を加えた。荊芥にも魚腥草にも止血の効があり、魚腥草は槐花と同じく痔に良く効くので、これを加えた。《大塚敬節》☆32歳の女性。5年前に痔出血があったが、それきり出血はなかった。ただ脱肛があって、歩くときにも出てくる状態で、便秘の傾向があり、いつも下剤を呑んでいた。昨日から、急に痔出血が始まったという。患部を診ないで薬をくれという。私はこれに温清飲大黄魚腥草を与えた。すると翌日から出血が止み、脱肛の方も軽快し、排便の時は脱肛するが、歩行時に脱肛することはなくなった。《大塚敬節》
[19]しびれ感(筋肉のひきつり)
[20]子宮ガン
[21]子宮出血
[22]子宮内膜炎
[23]湿疹:☆発疹は乾燥し、赤みを帯び、痒み激しく、患者の皮膚はツヤがなく黄褐色、腹診すると上腹部から両脇にかけて抵抗を感じ、また下腹部に抵抗と圧痛がある。
☆41歳の料理店の主婦。やや小太りで、湿疹は頸部・項部・顔面が主で、酒に酔ったような赤い顔をしている。頸部から項部にかけて棒状になった硬い丘疹がある。患者の云うところでは、そのままでは、ひどく乾いて、痒いばかりでなく、痛むので、オリーブ油を塗っているという。オリーブ油を塗らないと、ヌカのようの粉がこぼれるという。これは明らかに温清飲の症であるが、試みに消風散を与えてみた。すると、カユミが増して却って良くないという、そこで温清飲にしたところ、だんだん軽快し、2ヶ月で全治した。《大塚敬節》
[24]紫斑病
[25]酒渣鼻
[26]出血:☆にわかに紫血塊を成すを吐し、多しと雖も妨げず。《雑病翼方》
[27]自律神経失調症
[28]心下痞
[29]神経興奮
[30]神経症
[31]腎臓結核
[32]ジンマシン
[33]尋常性瘡
[34]舌質:<紅>
[35]舌苔:<白苔~黄苔>
[36]帯下(おりもの)
[37]多発性筋炎 ☆落屑性紅斑、皮膚萎縮、ヘリオトロープ疹など皮膚症状のある者に用いる(漢方診療医典)
[38]たむし(田虫):☆「茯苓・大黄」《本朝経験》
[39]血の道症
[40]爪がもろい
[41]手足がしびれる
[42]手足厥冷 ☆下半身が冷えるが上半身に熱感あり。
[43]腸出血
[44]粘膜潰瘍:(口中・舌・頬)
[45]ノイローゼ
[46]のぼせ
[47]梅毒:☆黴毒上攻し、頭上腫起し、凸凹を為す者は、火証に属す。温清飲に宜し。黴毒生火を動かす、徒に湿を為して治すべからず。《先哲医話》
[48]はげ
☆妙齢の婦人。円形脱毛症で、頭部には1本の毛もない。私はこれに柴胡加竜骨牡蛎湯を用いたが、3ヶ月たっても、少しも良くならない。ところが、患者は毛の生えないことを少しも気にかけないようで、すこぶる楽天的である。柴胡加竜骨牡蛎湯証ならば、もっと神経質であるハズだと考えた私は、処方を変更してみようと考えた。そして温清飲にした。これは患者の顔がいつも、のぼせたように赤くなっていて、皮膚に湿りの少ないのを目標にした、すると、1ヶ月もたつと、黒々と一面に毛が生えてきて、私を驚かせた《漢方診療医典》
[49]鼻出血(鮮紅色)
[50]肌荒れ
[51]皮膚炎 [52]皮膚掻痒症
[53]皮膚枯燥:(皮膚につやがない)[54]皮膚の色:(黄褐色~黒褐色)
[55]貧血
[56]腹直筋の緊張
[57]不正性器出血
[58]不眠症
[59]ベーチェット病 ☆黄連解毒湯と四物湯の合方で、ベーチャット病の第一選択処方。黄連解毒湯には、抗炎症、解熱、鎮静の作用があり、四物湯には、血行を良くし、血を補う作用がある。皮膚枯燥の傾向があり、やや慢性化した粘膜の潰瘍、炎症に用いられる(漢方診療医典)
[60]発疹(灼熱感あり、暗紅色、乾燥ぎみ)
[61ほてり
[62]膀胱腫瘍
[63]みずおち緊張
[64]メトロパチー=出血性子宮症
[65]目がかすむ
[66]目の充血
温臍種子方《東醫寶鑑》「五霊脂・白芷・青塩各2銭、麝香1分」を粉末にし、そば粉を水にまぜて枠をつくり、臍の上において、薬末をそこに入れて炭で灸をすえる。
温臍兜肚方《東醫寶鑑》「白檀・羚羊角各1両、零陵香・沈香・白芷・馬兜鈴・木鼈子・甘松・升麻・血竭各5銭、丁香皮7銭、麝香9分」を粉末にし、3つに分け、まずその1つを熟艾と綿でくるんで、さらに白絹でつつみ、臍の上にかぶせて取れないようにする。3日後の1つ、そして5日後、それから1ヶ月後に取り替える。
◎痞積・遺精白濁・赤白帯下・経脈不調・孕胎できない(不妊症)。
温胆湯[1-1]《千金方》 「半夏・生姜・橘皮・竹茹各6分、枳実3分、甘草2分、茯苓1両」◎大病後、虚煩眠るを得ざる者を治す。
温胆湯[1-2]《東醫寶鑑》「半夏・陳皮・白茯苓・枳実各2銭、青竹茹1銭、甘草5分、生姜5片、大棗2枚」◎驚悸・不眠。
温胆湯[1-3]《東醫寶鑑》「半夏・陳皮・白茯苓・枳実各2銭、青竹茹1銭、甘草5分、生姜5片、大棗2枚」水煎服。
◎心胆が怯え、事物に対するとよく驚き、夢寐(⇒ムビ)が安らかでない者。
温胆湯[1-4]《三因極一病証方論》《古今方彙》 「竹茹1銭、甘草5分、陳皮・茯苓・半夏・枳実各2銭半、生姜」水煎。◎病後、虚煩して臥するを得ず。◎心胆虚怯、事に触れて驚き易く、短気、悸乏、或いは復、自汗あるを治す。
温胆湯[1-5]《三因極一病証方論》 「陳皮・茯苓・半夏各6g、枳実・竹茹各2.5g、甘草・生姜各1g」右7 味、本、茯苓無し、今《三因》に従う。或いは「麦門冬人参」「黄連 酸棗仁」
◎大病後、虚煩眠るを得ざるを治す。此れ胆寒の故なり。
◎此方は駆痰の剤なり。古人淡飲のことを胆寒と云う、温胆は淡飲を温散するなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は「流水湯」《霊枢》に根底してその力一層優とす。後世の「竹茹温胆湯」「清心温胆湯」などの祖方なり。
◎虚煩不眠、気鬱、心悸亢進、驚き易い、多夢。 《龍野一雄》◎清化熱痰、和胃降逆。《中医処方解説》
★適応症及び病名(温胆湯)
[1]胃内停水
[2]易驚
[3]気うつ
[4]更年期障害
[5]呼吸促迫
[6]自汗
[7]自律神経失調症
[8]神経過敏
[9]神経衰弱:☆心胆虚怯、事に触れて驚き易き者:「麦門冬・人参・柴胡・桔梗」。
☆古人は胆が寒えると、物に驚きやすくなり、夢をみて安眠出来なくなり、気鬱の症状が現れるとして、胆を温める温胆湯をいう薬方を作った。 この方は、鳩尾が脹って、つかえ、腹で動悸がし、胸騒ぎがしたり、めまいがして上づりになり、気分が暗くふさぐ気味もあるので、柴胡加竜骨牡蛎湯に似たところがある。この方の大切な目標は、痰である。 痰は今日の喀痰の意味ではなく、病的な水の意味である。一般に水毒と云われている。この痰があって、物事に驚きやすく、夢でうなされたり、不吉な夢をみて眠れなかったり、胸騒ぎがするという者を目標にして、この方を用いる《大塚敬節》
[10]神仙労:☆一女子家に在り、事意に如かざるに因って欝結して脾に在り、半年食わず、毎日棗数を食う。予診し、遂に「温胆湯竹茹」を以て与服せしめ、200貼にして癒ゆ。朱震亨《方読便覧》
[11]心下痞
[12]心臓神経症
[13]盗汗
[14]ノイローゼ:☆横浜本町、肥前屋の下男、万吉という者が、かって、尾州の米会所で欝証になり、心気鬱々として楽しまず、或いはだまりこくって、数日間物を言わないかと思うと、時には訳の分からない筋道の通らないこ とをしゃべり、全く茫然として、癡愚(ちぐ)のようである。医者や巫祝の類が、代わりばんこに、これを治したが治らない。 余はこれを診察して云った。癲狂ではなく、心風であるから治るであろうと、そこで温胆湯に黄連、酸棗仁を加えて与え、朱砂安神丸を兼用した。すると数十日で全治したが、この頃になって再発した。しかし往年に比べると軽い、そこでまた前方を与えたところ、まったく治った。 世俗にいうところの癇症は皆この証である。辻元翁は、この証にたいていは温胆湯を用いる。余はこれに黄連・酸棗仁を加えて速効をとる。《橘窓書影》
[15]脳動脈硬化症
[16]病後の虚煩
[17]腹部軟弱
[18]不眠症:(参照→「加味温胆湯」)☆神経過敏で、ものに驚きやすい。☆病後虚煩、寐ねず、或いは触れて驚悸するを治す:「人参・酸棗仁・遠志」
[19]慢性胃炎
温中益気湯《活幼心法》《古今方彙》「人参・白朮各5分、黄蓍(生)8分、当帰・茯苓6分、甘草・川芎各4分、白芷・防風各3分、木香・官桂各2分、山楂子6分、生姜1片、大棗1枚」煎服。 ◎血気虚弱にして毒気を送り手出でず、而して驚搐狂躁する者を治す。
温中化痰丸《東醫寶鑑》「青皮・陳皮・良姜・乾姜各等分」粉末にし、醋糊で梧子大の丸剤。米飲で50丸呑む。 ◎冷痰・気分の悪い者。
温中湯[1]《本朝経験》《勿誤薬室方函》 「四逆湯烏梅・蜀椒」◎蚘厥を治す。◎諸虫痛を作す。口中必ず清涎の流出あり。渇して飲進む能わず、危きこと旦夕に在る者、烏梅、花椒を用い、煎湯にて服す。《秘方集験》
温中湯[2]《万病回春》《古今方彙》「良姜、官桂、益智仁、砂仁、木香(別研)、香附子、厚朴、陳皮、小茴香、当帰、延胡索、甘草」各等分。生姜、水煎。 ◎手を以て之を按ずるに腹軟かく痛み止む者は是れ虚痛なり。
温中補脾湯《活幼心法》「白朮、黄蓍、人参、白茯苓、白豆蔲、砂仁、官桂、陳皮、甘草、白芍薬、熟附子、生姜、大棗」
温肺化飲湯=小青竜湯《傷寒論》
温肺湯[1-1]《医学正伝》「半夏(泡)・陳皮(去白)・五味子・乾姜・桂心各5分、杏仁(去皮炒研)5分、北細辛阿膠炒成珠・甘草(炙)各2分半」細切加生姜3片大棗2枚水1盞半煎至1盞去相温服。◎肺が寒邪に感じ、咳嗽吐痰する者を治す。 ◎久嗽欝熱の者は用うるなかれ。
温肺湯[1-2]《医学正伝》《龍野ー漢方処方集》 「半夏・陳皮各4g、五味子・乾姜・杏仁・桂枝・大棗各3、細辛・阿膠・甘草各2g、乾生姜1g」 ◎肺寒による咳嗽・喀痰。温肺湯[1-3]《和剤局方》「温肺湯《医学正伝》阿膠白芍薬」 温
★適応症及び病名(温肺湯)
■感冒■気管支炎
肺湯[2]《月海雑録》 「麻黄・杏仁・五味子・桂枝・甘草」◎外感の咳嗽激しい者。◎「三拗湯」「五拗湯」よりはその効著しい。
温肺湯[3]《東醫寶鑑》「麻黄2銭、黄蓍・升麻各1銭半、防風・葛根・羗活・炙甘草各1銭、丁香2分、葱白3根」煎じて、食後温服。 ◎鼻が香臭を嗅げない症。
温肺湯[4]《東醫寶鑑》「乾姜・桂皮・半夏・陳皮・五味子・杏仁・甘草各1銭、細辛・阿膠各5分、生姜3、艾2」水煎服。◎肺虚に客寒を浴びて喘咳し、痰沫を嘔吐する者。
温白元(一名万病紫菀丸)《東醫寶鑑》「川烏(炮)2両半、呉茱萸・桔梗・柴胡・菖蒲・紫菀・黄連・乾姜(炮)・肉桂・川椒(炒)・巴豆霜・赤茯苓・皀角(炙)・厚朴・人参各5銭」粉末にし、煉蜜で梧子大の丸剤。姜湯で3~9丸呑む。
温白丸《東醫寶鑑》「白彊蚕(炒)・白附子(生)・天南星(炮)各1両、天麻(生)5銭、全蝎1銭」粉末にし、麺糊で緑豆大の丸剤。米飲に生姜汁を入れ5~30丸飲む。
◎慢驚風を治す。 温脾散《万病回春》《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)・人参・白朮(土炒)・白茯苓・山薬(炒)・乾姜(炮)・訶子(炮)・肉豆蔲()・罌栗殻(蜜炒)・草果・丁香・肉桂・炮附子・黄連・姜汁・縮砂・陳皮・厚朴・甘草各5分、生姜3片、大棗2枚」水煎服。
◎久泄で消化不良の者。
◎久瀉にて米穀化せず、水穀口に入れば即ち時に直ちに下し、下元虚冷滑脱なるを治す。《古今方彙》
温脾湯[1]《備急千金要方》
「大黄4両、甘草・人参・乾姜各2両、附子1枚」 「四逆加人参湯《傷寒論》大黄」《熱痢門》◎下痢久しく、赤白連年止まず、霍乱・脾胃冷実、消えざるを治す。◎此方は温下の極剤とす。《勿誤薬室方函口訣》◎「桂枝加大黄湯」「大黄附子湯」に比すればその力尤も強し。◎脾胃冷実と云うが目的なり。◎積久冷熱、赤白痢を治す:「甘草桂枝」《冷痢門》◎久瀉不已証に此方の応ずる処あり。泄瀉に限らず温薬効なき証に、「大黄附子」、寒熱交え用ゆること深味あり。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名(温脾湯)
<1>寒疝:☆腹痛、臍下絞結せず、胸をめぐって止まざるを治す。「甘草、附子、人参、芒硝、当帰、乾姜、大黄」《雑病翼方》
<2>下痢:☆按ずるに是等の下利は、寒積有るに因って気下墜し致す所にして、「四逆湯」の下利と自から異なる。寒実、下を用いる。脈の有力無力、腹痛の微甚に着眼するを要し、始めて親切と為す。《雑病翼方》
<3>吐乳 ☆凡そ胃中陽気盛んなれば則ち傾かず、もし胃腸虚すれば則ち必ず側垂し、因って之に乗ず。名づけて澼嚢と曰う。然れども之を按じて手に応ぜず、ただ腹痛嘔吐を以て徴と為す。温脾湯に宜し。<4>慢性腎不全:参照→病状「慢性腎炎」 温脾湯[2]《普済本事方》「厚朴(去麁皮姜製)・乾姜(炮)・甘草・桂心(去皮不見火)・附子(生去皮臍) 各半両、大黄(生)4銭」 (麁=ソ、あらい) 「温脾湯[1]《備急千金要方》-人参+厚朴桂枝」◎痼冷、腸胃の間在り、連年腹痛泄瀉し、休作時無し、諸熱薬を服し、効あらず、宜しく先ず去を取るべし。しかる後に調治せば差え易し。虚を畏れ、以て病を養うべからず。◎連年腹痛泄瀉休作無時者を痼冷の所為として温下するなり。《勿誤薬室方函口訣》◎久泄止まず、百薬効かず、或いはしばらく止んで復来る。此れ必ず陳積腸胃の間に在り、積一日去らざれば則ち瀉一日癒えず、必ず先ず陳積を逐去して復之を補う、こい願わくば益を獲んと。是なり。《雑病翼方》◎久瀉、温補及び固渋の薬を服して止まず、或いは癒えて復作る、或いは既に癒え次年に又期に応ず、倶に是れ痼精未だ除かざるなり。通因通用の法に宜し。《方読便覧》
温脾湯[3]《普済本事方》《龍野一雄》「大黄・厚朴・桂枝・甘草・乾姜各2g、白川附子1g」◎冷腹、腹痛下痢。温補脾陽、瀉下。
★適応症及び病名(温脾湯)
<1>結腸潰瘍
<2>大腸カタル
<3>腸カタル(急性・慢性)
<4>慢性胃炎
<5>慢性胃腸炎
<6>慢性下痢で陽虚の者
<7>慢性赤痢
温脾湯[4]《備急千金要方》 「甘草・附子・人参・芒硝各1両、当帰・乾姜各3両、大黄5両」「四逆加人参湯調胃承気湯」 ◎腹痛、下絞結せず、胸をめぐって止まざるを治す。《雑病翼方》
温脾湯[5]《東醫寶鑑》「甘草4両、大棗20枚」水5升で煎じ、2升になったら3分服。◎飽食すると嗽する者。
温脾丹《中医処方解説》「二陳湯白朮・炮姜」◎よだれ 温脾丹=二陳湯 温風散《東醫寶鑑》「当帰・川芎・細辛・白・蓽撥・藁本・露蜂房各1銭」水煎服、又はうがいして吐き出す。 ◎風邪による歯痛を治す。
温粉[1]《千金方》 「煆竜骨・煆牡蛎・生黄蓍各12g、粳米粉40gを、いっしょに細末にしてよく混ぜ合わし、薄絹でくるんでゆるやかに叩く。」
温粉[2]《東醫寶鑑》「麻黄根・牡蛎粉各1両、赤石脂・竜骨各5銭」粉末にして塗布する。 ◎汗が止まらない者。 温陽利水湯⇒真武湯《傷寒論》
温六丸《東醫寶鑑》「益元散1剤・乾姜1両」粉末にし、飯で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸呑む。 ◎白痢。 瘟疫初病一二日発汗方《奇効医術》《古今方彙》「羗活・紫蘇葉・葛根各1銭2分、蒼朮1銭、白芷・川芎各5分、香附子8分、陳皮・甘草各3分、生姜3片」熱服し汗を取り、大いに汗せず。
◎虚実を論ぜず倶に此方を用いる。発汗の後も則ち癒え易し。
雲林香砂六君子湯《万病回春》《古今方彙》「香附子・砂仁・陳皮・人参・白朮・厚朴・芍薬(炒)・蒼朮・山薬・甘草各等分、生姜、烏梅」水煎。 ◎脾瀉の症を治す。◎凡そ脾瀉の者は、食後に倒飽(みぞおちのところへ食がつかえて下らない)し、瀉去れば寛ぎ、脈は細、是なり。
雲林潤身丸《東醫寶鑑》「当帰(酒洗)・白朮各6両、白茯苓・陳皮・香附子・黄連(姜汁炒)山楂肉 ・神麹(炒)各3両、枳実・白芍・人参・山薬(炒)・蓮肉各2両、炙甘草5 銭」粉末にし、荷葉の煎じ湯でご飯を炊いて、梧子大の丸剤。米飲で100 丸呑む。 ◎痩せてひ弱になり、気短で、食欲のない者。
雲林参苓白朮散[1-1]《万病回春》「肉豆蔲(去油)・甘草(炙)・人参・白朮(去蘆)・茯苓(去皮)・山薬(炒)・ 砂仁(研)・藿香・陳皮・乾姜(炒)・蓮肉(去心皮)・訶子()各等分」剉作 1剤。「生姜1片、燈心1團」水煎服。
◎気虚泄瀉、食後泄瀉を治す。
雲林参苓白朮散[1-2]《万病回春》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・縮砂(炒)・山薬・橘皮・乾姜・肉豆蔲・訶子・蓮肉・甘草(炙)各等分、生姜・灯心草」◎気虚泄瀉を治す。 ◎凡そ虚瀉は、飲食胃に入らば則ち瀉す。水穀化せず、脈微弱、是なり。 ◎此方は「参苓白朮散」《和剤局方》よりは収の力優とす。故に胃虚、下利止まざる者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》
#営実湯[1]《本朝経験》《勿誤薬室方函》「営実・大黄・甘草」 ◎宿水を除く。 ◎蕩滌宿水、此方は疎滌(浮腫を除き去るの意)の効至て捷なり、◎実証の水気腹満には即効あり、又、◎疝より来る水気に宜し。《勿誤薬室方函口訣》◎旧友、嘗て疝塊あり、夏秋の間、水気を醸し、陰嚢腫大、両脚洪腫、腹満如鼓、諸治水の剤寸効なし。之方を服し、三貼にして徹し、五貼にして全く癒ゆ。
蓋し、利水の品、郁李仁は上に係りて、桃花より緩に、営実は中位に在りて、牽牛子に比すれば最も俊なりとす。又尤も峻なる者を甘遂とし、その甘遂の重を巴豆とするなり。
#営実湯[2]《本朝経験》《雑病翼方》 「営実・大黄・黒豆」 #衛生湯[1]《医学入門》《東醫寶鑑》「人参・白朮・白茯苓・山薬・陳皮・苡仁・沢瀉各1銭、黄連・甘草各5
分」水煎服。 ◎洞泄を治す。◎虚火気虚にて水穀を必別する脳わざる者を治す。 #衛生湯[2]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、当帰・白芍・甘草各1銭」水煎服。
◎補脾・養血。 #衛生天花元《東醫寶鑑》「黄連(童便に3日漬けたもの)3両、白扁豆(炒)2両、蘆薈7銭半、辰砂・ 白茯苓・牡蛎粉・知母・苦参・鉄粉・天花粉各5銭、金箔・銀箔各20片
を粉末にし、生楼根汁に生蜜をまぜ梧子大の丸剤。麦門冬湯で30~50 丸呑む。」◎飲酒又は酒後の色欲過多によって、水を飲み食べる物が日毎に増え、肌肉と精
髄はより枯渇し、小便はなく蜜のようで又滑らかなことは油の如く、口が苦く、 のどが乾き、舌が赤い~三消の妙薬。 #益胃湯[1-1]《温病条弁》「沙参3銭、麦門冬・地黄(生)各5銭、氷糖1銭、玉竹(炒)1銭半」
#益胃湯[1-2]《温病条弁》《中薬臨床応用》 「沙参12g、生地黄15g、麦門冬9g、玉竹9g、氷砂糖15g」 #益胃湯[1-3]《温病条弁》《中医処方解説》
「沙参9g、麦門冬15g、生地黄15g、玉竹5g、氷砂糖3g」◎益胃生津、清虚熱。
★適応症及び病名(益胃湯) <1>萎縮性胃炎<2>糖尿病<3>熱病の回復期<4慢性胃炎
#益胃升陽湯《東醫寶鑑》「白朮1銭半、黄蓍1銭、人参・神麹(炒)各7分半、当帰身・陳皮・炙甘草 各5分、升麻・柴胡各3分、生黄芩2分」剉作し1貼づつ水煎服。
◎血塊がひっきりなしにあふれ出る症。◎内傷の諸症を治す。
#益陰腎気丸 「熟地黄2両、生乾地黄(酒焙)・山茱萸各1両、五味子・山薬・牡丹皮・柴 胡・当帰尾(酒洗)各5銭、茯神・沢瀉各2銭半」を作末して蜜で梧子大の
丸剤。朱砂で衣をして空腹時に、塩湯で50~70丸呑む。」◎色欲で腎精の弱った者を治す。
#益栄湯《東醫寶鑑》「黄蓍・当帰・小草・酸棗仁・柏子仁・麦門冬・茯神・白芍・紫石英各1両、 木香・人参・甘草各5銭」細切りにして、1貼を7銭づつ計って、生姜5
片・大棗2枚を入れ水煎服。 ◎思慮過度で心血を消耗して、恍惚・怔忡する者。
#益黄散[1]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、人参・陳皮各1銭、白芍7分、生甘草・炙甘草各5分、白茯苓4分、黄連2分」水煎服。 ◎慢驚を治す。
#益黄散[2-1](一名補脾散)《東醫寶鑑》「陳皮1両、青皮・訶子肉・甘草(炙)各5銭、丁香2銭」それぞれ作末し毎回2~3銭を煎服。又は5銭づつ切って水煎服用する。◎脾臓の冷えと腹痛・下痢を治す。
#益黄散[2-2]《小児薬証直訣》《古今方彙》「陳皮5銭、丁香2銭、青皮・訶子各5銭、甘草3銭」水煎温服。◎脾胃虚寒にて吐泄瀉する者を治す。
#益気安神湯[1-1]《東醫寶鑑》「当帰・茯神各1銭、生地黄・麦門冬・酸棗仁(炒)・遠志・人参・黄蓍(蜜炒)・牛胆(蜜炒)・天南星・竹葉各8分、甘草・黄連各4分、生姜3、大棗2」水煎服。
◎夢が多く・熟睡できず・恍惚・驚悸の者。
#益気安神湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄連8分、生地黄・麦門冬・酸棗仁・遠志・人参・黄蓍・竹葉・天南星各1銭、甘草6分、当帰・茯神各1銭2分、生姜、大棗」水煎。
◎七情六淫、相感じ而して心虚して夜は夢寝多く、睡臥寧からず、恍惚恐怖し、痰(痰のために筋肉の拘攣すること)するを治す。 #益気丸《東醫寶鑑》「人参・麦門冬各7銭、橘皮・桔梗・炙甘草各5銭、五味子21粒」を細末にして水に浸した後、ついて実大の丸剤。1丸づつかんで飲む。
◎気が弱くて言葉を力強く出せない者。◎言葉が多すぎて気を損じる者。 #益気健脾湯《寿世保元》《古今方彙》=「三白散」《厳氏済生方》「人参、白朮、茯苓、陳皮、白芍薬(炒)、蒼朮、乾姜(炒黒)、訶子、肉豆、甘草、升麻(酒洗)、生姜、大棗」水煎。
◎泄瀉にて飲食胃に入れば住(トマ)らず、完穀化せざる者を治す。◎腹痛には:「桂」油膩を忌む。 #益気聡明湯[1]《東垣試効方》「黄蓍・人参各半両、甘草6匁、升麻・葛根各3匁、蔓荊子1匁半、芍薬・黄柏各1匁」◎飲食節せず、形体を労役し、脾胃不足、内障耳鳴り、或いは多年目昏暗する者。
#益気聡明湯[2-1]《蘭室秘蔵》《古今方彙》「黄蓍・人参・甘草各5銭、蔓荊子1銭半、升麻・葛根各3銭、芍薬・黄柏(酒炒)各1銭」毎服3銭、水煎。
◎飲食節せず労役《小児薬証直訣》、形体脾胃不足し、内障、耳鳴り、或いは多年、目昏暗し物を視る能わざるを治す。 ◎此薬は能く人をして目の光を大ならしむ。◎久しく服すれば、内外障・耳鳴・耳聾の患をなくし、又清心は過倍し、元気は自ら益し、身軽く、体健やかに、耳目聡明ならしむ。
#益気聡明湯[2-2]《東垣試効方》《龍野一雄》「黄蓍・人参各4g、蔓荊子1.5g、甘草・升麻・芍薬・葛根各3g、黄柏1g」◎胃腸が弱く疲労しやすく、耳鳴耳聾、或いは弱視の者。
★適応症及び病名(益気聡明湯) [1]弱視: ☆能く人の目光を大ならしむ。☆久服すれば内外障、耳鳴、耳聾の患を無くす《方読便覧》☆真の青盲などの内障には効なし。
《勿誤薬室方函口訣》[2]耳鳴:☆老人など心思労働して目暗、耳鳴する者に効あり。[3]耳聾:☆精神過倍し、元気自ら益し、身軽く、体健やかに耳目聡明ならしむ。《方読便覧》
#益気聡明湯[3]《東醫寶鑑》「炙甘草1銭2分、人参・黄蓍各1銭、升麻・葛根各6分、蔓荊子3分、白芍・黄柏(酒炒)各2分」水煎し、朝夕服用。
◎老人の労傷、虚損による眼昏、耳鳴り。 #益気湯=四君子湯《和剤局方》《中薬臨床応用》 「党参12g、白朮12g、茯苓12g、炙甘草6g」 #益気養栄湯[1]《外科正宗》《勿誤薬室方函》
「白朮・人参・茯苓・陳皮・貝母・当帰・莎草・川芎・黄蓍・芍薬・地黄・桔梗・甘草・大棗・生姜」◎抑鬱あるいは気血を傷められ、あるいは四肢頸項の筋薀結して、累々貫珠の如きを成す者を治す。筋累という。此の患は皆思慮過大に神気の受傷による。乃ち労中得る所なり。或いは痛まず、あるいは日哺発熱し、或いは潰えて斂まざれ者これを主る。
#益気養栄湯[2-1]《外科枢要》《龍野一雄》「黄蓍・白朮・茯苓・人参・当帰・川芎・芍薬・熟地黄・陳皮・貝母・香附子各3g、柴胡2g、桔梗・甘草1.5g」◎気鬱、ルイレキ、或いは四肢腫瘍、或いは潰瘍、或いは発熱する者。
★適応症及び病名(益気養栄湯) [1]潰瘍[2]化膿症[3]気鬱[4]瘰癧(ルイレキ) #益気養栄湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》「黄蓍・白朮・茯苓・人参・当帰・川芎・白芍薬・熟地黄・陳皮・貝母・香附子各1銭、柴胡6分、桔梗・甘草(炙)各5分」水煎。◎懐抱抑鬱(面白くない気持を抱く)して瘰癧流注し、或いは四肢腫を患い肉色は変わらず、或いは日発熱し、或いは潰が斂まらざるを治す。
◎脇下刺痛する;「青皮木香」◎痰あれば:「陳皮倍加」◎午後熱あり、or微しく頭眩:「黄柏(酒)」◎膿水清きには:「人参黄蓍当帰倍加」◎女人欝気あり、胸膈利せざる:「香附子貝母倍加」◎経水通ぜざる:「当帰倍加、牡丹皮」
#益気養栄湯[3]《証治準縄》 「人参4g、炒白朮8g、当帰・白芍・熟地黄・香附子・黄蓍 各12g、茯苓・ 陳皮・貝母各4g、生姜3片」 #益気養神湯[1]《万病回春》《古今方彙》「人参・当帰・白芍薬(酒)・知母・麦門冬・梔子各1銭、大棗」水煎、食遠に温服。◎傷寒が新たにえて方に起こり、労動事に応じ、或いは多言神を労し而して微しく発熱する者を治す。
#益気養神湯[2]《東醫寶鑑》「人参・当帰・白芍(酒炒)・麦門冬・知母・山梔子(炒)各1銭、白茯神・前胡各7分、陳皮5分、升麻・生甘草各3分、大棗2枚」水煎服。
◎労復で気血の虚した者。 益肝煎=一貫煎 #益元固真湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「甘草梢2銭、山薬・沢瀉各1銭半、人参・白茯苓・蓮芯・巴戟・升麻・益智仁・黄柏(酒炒)各1銭」水煎服。
◎情欲を無理に抑制して淫精を出さず、浸下して淋疾になった者。 #益元固真湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》 「人参・茯苓・蓮肉蕊・巴戟天・益智仁・升麻・黄柏(酒)各2銭、山薬・沢瀉各1銭半、甘草梢2銭」水煎、空心服用。
◎欲を縦(ホシイ)ままにし、強く留めて泄さず、精を淫(ムサボ)り、下に滲し、而して淋を作う者を治す。 #益元散[1]《東醫寶鑑》 (=六一散・天水散・神白散)「滑石6両、炙甘草1両」を粉末にし、毎回3銭を温蜜水で調服し、冷飲し
たい時は井戸水で調服する。 ◎中暑で身熱して吐瀉し、腸閉塞・赤白下利・閉を治す。 ◎霍乱・吐瀉に、生姜湯で調下する。 #益元散[2-1](=辰砂六一散)《中薬臨床応用》「六一散18g、朱砂1.5g」2~3回に分けて湯で服用。 ◎熱射病、日射病。
◎夏かぜの下痢には、香9gを煎じ液で服用。 #益元散[2-2]《河間六書》 「滑石240g、甘草(炙る)40g、辰砂20g」煎服。 #益元湯[1]《傷寒六書》《勿誤薬室方函》
「復元湯《寿世保元》芍薬艾葉」⇒「附子・人参・甘草・五味子・麦門冬・黄連・知母・乾姜・艾葉」 ◎傷寒、微熱煩悶し、面赤・脈数で根無し・上熱下冷する者。
◎此方は復元湯と同じことにて、陰陽錯雑の治方なり。《勿誤薬室方函口訣》◎本邦の医は既に「柴胡四逆湯」を用いる。◎寒熱錯雑なれば益元湯を用いるべし《医事小言補正》◎上盛下虚:既済湯 上熱下冷:増損四順湯 外熱裏寒:復元湯
#益元湯[2]《道三》「黄柏6.0、地黄・瓜蔞根・地骨皮各4.0、石膏2.0」 #益寿固真丹《東醫寶鑑》「兎絲子(酒に漬けて焙って末に)3両、熟地黄(酒浸し焙って磁石で火煆し、醋で濾すのを9回)2両、何首烏(切って黒豆汁で蒸して晒し乾燥)2両、肉蓯蓉(酒浸し鱗・甲を捨て、蒸して肉のみ)2両、天門冬(芯を去る)・麦門冬・山薬(微炒)・当帰(酒洗焙)白茯苓(水飛)・沢瀉(酒蒸)・牡丹皮各1両半、人参・芡実・山茱萸(酒肉を取る)・石斛・覆盆子・枸杞子・五味子それぞれ酒洗焙各1両、蛇床子・杜仲それぞれ炒って皮を去り切って姜汁炒って絲を捨てて各1両、巴戟(塩水で煎じ骨去)1両、鹿茸(毛を去る)1両、韭子(炒)1両、赤石脂(水飛)1両、益智仁(皮を去る)・蓮花芯(塩水煎)・破故紙(炒)・柏子仁(皮を去る)・青塩・各1両、天雄(童尿に3日浸炮、皮・臍を去る)1両、陽起石(火煆)1両、膃肭臍(黄色まで焼く)」を粉末にし糯米粉で清酒を注いで煮て、糊で梧子大の丸剤。毎回2銭を空腹時に温酒(又は塩湯・米飲)で呑む。◎強精・補血に良い。中年以降に常服すると良い。
#益腎散《東醫寶鑑》「磁石(煆淬)・巴戟・川椒各1両、石菖蒲・沈香各5銭」を粉末にし、猪腎1枚を細切りにして葱白1銭・薬末1銭・塩1匙を入れてまぜ、湿紙10枚にくるんでり、空腹時に細嚼して酒で呑み下す。 ◎耳聾を治す。
#益腎方《中薬臨床応用》「金桜子15g、益智仁9g、覆盆子12g、狗脊12g、熟地黄6g、生地黄6g、竜骨30g、牡蛎15g、茯苓12g」水煎服。
◎腎陽虚◎遺精◎頻尿◎夜尿症◎脾虚による水様便、泥状便◎白色帯下 #益脾丸《東醫寶鑑》「葛花2両、小豆花、草豆各1両、緑豆花1両・木香各5銭」を粉末にし、梧子大の蜜丸。紅花湯で10丸呑む。
◎酒を呑んでも酔わないようにする。脾胃の補益に良い。 #益胆湯《東醫寶鑑》「黄芩・人参・甘草各1銭、遠志7分、官桂5分、苦参・茯神各3分」水煎服。◎気が上溢し、苦みの出る症。
#益智和中湯《東醫寶鑑》「白芍1銭半、当帰・黄蓍・升麻・炙甘草各1銭、牡丹皮・柴胡・葛根・益智仁・半夏各5分、桂皮4分、肉桂・乾姜(炮)各2分」煎服。
◎腸子下血。黒紫色で、腹痛悪寒する者。
#益本滋腎丸《東醫寶鑑》「黄柏・知母(酒洗)各等分」粉末にし、水で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で50~70丸呑む。 ◎黒晴に硃膜が出る症。陰虚で黒晴が散大する症。
#易簡断下湯《東醫寶鑑》「罌栗殻14枚(筋・膜・帯を捨て醋につけ炒末)、白朮・赤茯苓各1銭、炙甘草5分、草果1、連皮」剉作して水1椀に姜7片・棗7・梅7を濃く煎て、2回に分服。◎一切の痢疾を治す。
#易老門冬飲子《医類元戎》《古今方彙》「生脈散茯苓、枸杞子、甘草」◎老弱虚人、大渇するを治す。 #腋臭摺薬《本朝経験》 「軽粉2.0、炉甘石・礬石各4.0」 右三味、先ず礬石、炉甘石を細末にして、後、軽粉を合して散と為し、之を以て腋下を擦(ス)る。
◎わきが(腋臭)を治す。
#越鞠丸[1-1]《丹渓心法》「香附子、蒼朮、川芎、山梔子」 # 越鞠丸[1-2]《丹渓心法》《中医処方解説》「香附子・蒼朮・川芎・神麹・山梔子各3g」水煎服。◎理気解鬱・清熱化湿。
★適応症及び病名(越鞠丸) [1]月経困難[2]自律神経失調症[3]神経性胃炎[4]肝炎[5]慢性胃腸炎 ☆気滞、湿熱がある者。
#越婢湯[1-1]《金匱要略》「麻黄6両、石膏半升、生姜3両、大棗15枚、甘草2両」以上五味、以水六升、先煮麻黄、去上沫、内諸薬、煮取三升、分温三服。悪風者、加附子一枚。風水、加朮四両。◎風水、悪風、一身悉腫、脉浮、不渇、続自汗出、無大熱、越脾湯主之。
#越脾湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》 「麻黄6g、石膏8g、大棗4g、甘草2g、生姜1g」水240を以て麻黄を煮て上沫を去り、他の諸薬を入れて再び煮て120とし、1日3回分服。◎一身悉く腫れ、喘して渇し、自汗出で悪風する者を治す。《吉益東洞》
「悪風、一身ことごとく腫る」越婢湯証◎越婢湯の証は具らず、為則之を試すに、身体腫れ発熱悪風、喘して渇し、或いは自汗、或いは無汗、或いは脚攣痛する者之を主る。若し小便不利し、身体疼痛する者は越婢加朮湯之を主り、若し咳して嘔逆する者は、越婢加半夏湯之を主る。《重校薬徴》◎陽病、一身悉く腫れ、脈浮にして、渇し、続いて自汗出で、或いは悪風する者は、大熱無きも亦越婢湯之を主どる。《医聖方格》◎此方は脾気を発越すと云うが本義にて、同じ麻黄剤なれども「麻黄湯」「大青竜湯」とは趣を異にして、大熱無く汗出ずと云うが目的なり。故に肺脹(呼吸困難を引き起こす疾患)、皮水(浮腫に同じ)等に用いる。◎傷寒、溢飲には用いない。《勿誤薬室方函口訣》◎傷寒、汗出で悪寒す。衣を近づけば則ち汗益々多く、之を去れば悪寒反って甚だし、。或いは譫語し、食せず、終に危篤に至る者、蓋し2道あり。<1>は則ち内熱熾盛、津液表に溢れる者にして、越婢湯と為す。<2>は則ち表虚して多汗なる者にして、温経益元湯と為す。《先哲医話》温経益元湯=「十全大補湯川芎附子・橘皮」姜棗糯米炒煎。◎越婢湯は風水に挟熱を治するの剤なり、「麻黄附子湯」は風水挟寒を治するの剤なり。
◎風水悪風、脉浮、自汗。◎疎風宣肺、利水。《中医処方解説》
★適応症及び病名 (越脾湯) [1]悪風[2]脚気:☆脚気初起、膝脛不仁に、痺して行く能わず、脚弱歴節、或いは屈伸能わざる者、越婢湯に宜し。《雑病翼方》☆脚気等にして、両脚水腫し、脈浮にして、渇し、尿利減少し、あるいは喘咳を発する証。《奥田謙蔵》[3]化膿性皮膚疾患:☆「フルンケル」の初起等。《奥田謙蔵》[4]関節腫痛:
☆淋毒性関節炎:「朮苓苡仁湯」 ☆下肢関節炎等。《奥田謙蔵》[5]関節水腫[6]急性腎炎[7]急性発作で風水を呈する:☆風水:脈浮、骨節疼痛し悪風する者は、水風のため激して上行するなり。故に名付けて“風水”という《雑病弁要》 [8]口渇[9]口舌乾燥[10]ジンマシン[11]自汗[12]湿疹[13]湿性肋膜炎[14]頭痛:☆偏風・頭風を治す。「蒼朮・川芎」《方読便覧》[15]腫脹[16]帯状疱疹[17]脱力感<下肢の脱力>[18]丹毒:☆丹毒には、証に由り犀角を加える。《奥田謙蔵》[19]痛風[20]疼痛[21]尿不利[22]ネフローゼ[23]発熱[24]皮膚病:(水疱性・膿疱性)[25]浮腫☆炎症性。[26]発赤[27]麻疹[28]慢性関節リウマチ[29]慢性腎炎:☆皮膚病性腎炎、及びその類似疾患。《奥田謙蔵》
#越婢湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》「麻黄9g、石膏(生)25g(打砕先煎)、生姜9g、大棗6g、甘草8g」水煎服。 ◎軽度の浮腫◎悪寒、頭痛、口渇、◎胸が暑苦しい
◎尿が濃い #越婢湯[2-1]《聖済総録》《勿誤薬室方函》 「越脾加朮附湯に同じ」◎風毒脚気、痺攣し、行歩すすまざる者。
#越婢湯[2-2]《東醫寶鑑》「麻黄3銭、蒼朮2銭、石膏・甘草各1銭」剉作1貼し「姜3、棗2」いれて水煎服。◎腰から上の浮腫で咳をし、喘満する者を治す。
#越婢湯[3]《東醫寶鑑》「石膏4銭、麻黄2銭、甘草1銭」剉作1貼し、「姜5、棗2、半夏2銭」入れて水煎服。◎肺脹。 #越婢加朮烏湯 ◎湿毒流注を治す《方読便覧》◎疔毒一身に散漫し、流注する者:「紫円」《方読便覧》◎蜈蚣螫を治す《方読便覧》◎蝮蛇螫を治す、発表して毒を散ず。《方読便覧》◎附骨疽、熱毒甚だしき者。
#越婢加朮湯[1-1]《千金方》《金匱要略》「麻黄6両、石膏半斤、生姜3両、甘草2両、白朮4両、大棗15枚」右六味、以水六升、先煮麻黄、去上沫、内諸薬、煮取三升、分温三服。悪
風加附子一枚、炮。◎治肉極、熱則身體津脱、理開、汗大泄、風氣、下焦脚弱。 ◎裏水者、一身面目黄腫、其脉沈、小便不利、故令病水、假如小便自利、此亡津液、故令渇也、越婢加朮湯主之。(水氣病脉證并治第14)
「一身面目黄腫」=1本に「黄」を「洪」に作る。からだ中、顔までひどく浮腫する #越脾加朮湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》 「麻黄6g、石膏8g、大棗4g、甘草2g、白朮4g、生姜1g」
◎越婢湯の証にして、小便不利する者を治す。《吉益東洞》 ◎一身面目黄腫し、小便少なく、渇して汗出で、その人大便く、舌黄なるは、越婢加朮湯之を主どる。《医聖方格》◎「越婢湯蒼朮4両」或いは症に随って更に茯苓・附子を加う《勿誤薬室方函口訣》◎此方は裏水とあれども、越婢湯方後に風水加朮四両とあれば、風水の誤りと知るべし。朮を加ふるものは湿邪に麻黄加朮湯を与ふと同手段なり。《勿誤薬室方函口訣》◎肉極、汗又は体表の分泌過多、脚弱、浮腫、小便不利。◎行水解表。《中医処方解説》◎鑑別:防已黄蓍湯「防已黄蓍湯の証は筋肉が軟かくて、しまりのない者を目標にし、この方は筋肉のしまりが良くて、充実したものを目標とする」《大塚敬節》
【適応症】《矢野敏夫》 咽喉がかわき浮腫または水疱が甚だしく尿量減少または頻尿の者。あるいは分泌物の多いもの。「腎炎」「ネフローゼ」「湿疹」「脚気」
【注意】《矢野敏夫》 <1>次の者には投与しないこと。 虚弱体質者 高齢者 妊婦 <2>次の患者には慎重に投与すること。
胃腸虚弱者 冷え症傾向がある者 高血圧症の者。 <3>副作用 1.消化器系症状:(食欲減退・悪心・嘔吐を起こすことがある)
2.中枢神経系症状:(発汗過多・心悸亢進・不眠・脱力感などを稀に起こすことがある) 1.甘草の注意 【ポイント】《矢野敏夫》 <1>口渇・浮腫・分泌物が多い、尿量減少を目標にするが、浮腫はいわゆる『実腫』(押してみると比較的弾力があって凹まないで元に戻る)で下半身・脚などに著明である。また「分泌物が多い」には、発汗傾向・水疱・涙が多い、あるいは皮膚ビラン状態なども含む。
<2>症状が緩和な時には五苓散料を考慮する。
【参考】《矢野敏夫》 ★桂枝湯と合方し、桂枝二越婢一湯として良く用いる。さらに附子を加えることも多い(目標は脉診による)。 ★リウマチなど膠原病に有効なことが多い。
【腹証】 ★特定の腹証なし。腹部全体に緊張が良好であれば(実)どんな腹証に使用しても差し支えない。(症状の方が重要)。胸脇苦満があっても無視する。《矢野敏夫》
★適応症及び病名 (越脾加朮湯)
[1]朝のこわばり[2]足に力が入らない[3]アトピー性皮膚炎[4]イボ[5]陰嚢水腫[6]陰部掻痒症[7]黄疸[8]悪風[9]カルブンケル
[10]潰瘍[12]角膜炎<実質炎>[13]脚気: ☆水腫性脚気にして、歩行時下肢に倦怠、痿弱、疲労感あり、頭重、口渇し、しばしば汗出で、下腿浮腫し、知覚鈍麻等ある証《奥田謙蔵》[14]化膿症[15]眼疼(眼球が赤く腫痛)☆眼球膨張、熱痛し、瞼胞腫脹し、及び爛瞼風、痒痛、羞明し、涙多き者を治す。応鐘散を兼用し、時に梅肉散或いは紫円を以て之を攻める。《類聚方広義》[16]関節炎:☆関節「ロイマチス」等。《奥田謙蔵》☆体力が充分にあって、脈にも腹にも力があり、一体に熱状のある関節炎に用いる《大塚敬節》
☆実証陽証のものに適応となり、関節痛、筋肉痛の初期で、急激に発生し、患部に腫脹、熱感、圧痛のあるものに用いる(漢方診療医典)[17]関節水腫:☆43歳女性。左側膝関節の疼痛を主訴として来院した。患者は、硬く肥満し、1回も妊娠したことがない。月経は異常なく、大便は1日1行。尿はやや頻数、舌には白苔がある。膝の痛みは、歩行時はもちろん、5分間以上坐っていると、痛みに堪えられなくなるという。医師は神経痛といい、按摩師は脂肪塊が神経を圧迫するためだと言ったという。しかしなかなか治らないという。患部を触診するに、拇指頭大の脂肪塊状のものがあって、これを圧すると痛む。私はこれに越婢加朮湯を与えたが、15日分の服用で、塊状物が消失して、疼痛も拭うようになくなった。
私はこの治験に気をよくして、結核性の膝関節炎にこの方を用い、反って疼痛が増し、食欲も減少して面目を失ったことがある。越婢加朮湯は老人や虚弱者には注意してほしい。《大塚敬節》[18]関節リウマチ:☆急性関節リウマチで、発熱して悪寒があり、のどが渇いて発汗傾向があり、小水の出が悪い者。[19]頑癬=いんきんたむし
☆諸種の皮膚病、殊に疥癬等。《奥田謙蔵》[20]汗疱状白癬[21]脚弱[22]瘧病:☆内熱熾盛し、煩渇して水を飲み、発露し、風に当たって凉を取り、邪気発泄する能わざる者、変じて水腫を為す。越婢加朮湯に宜し。《先哲医話》《華岡青州》[23]急性腎炎☆実証。☆急性腎炎、及びその類似疾患。《奥田謙蔵》[24]筋炎[25]ケロイド[26]結節性紅斑[27]結膜炎[28]口渇[29]紅肢症[30]骨髄炎[31]自汗☆大量の出汗で体液喪失。[32]湿疹:
①急性・慢性の湿疹②患部は湿潤している場合が多い。③小便の出が悪く、のどが渇く者。
[33]湿性肋膜炎[34]紫斑病:(リュウマチ性)[35]小便の出が渋る[36]神経痛[37]静脈瘤☆バリックス=varix 静脈瘤<下腿>
☆下肢の静脈瘤[38]腎炎(急・慢性)[39]心臓不全[40]舌質<紅><乾燥ぎみ> 全体に膨満気味(浮腫状)で緊張良好《矢野敏夫》 周辺紅色(熱状)、表面甘草気味《矢野敏夫》[41]舌苔<無苔~白苔~黄苔>[42]喘息:☆およそ浮腫の状況や脈状は分消湯のようで、喘咳が甚だしく呼吸が促迫する者に良い《導水瑣言》[43]ただれ目[44]タムシ[45]大便硬[46]痛風:☆発作時の鎮痛。(発作に頓服、浮腫あり)☆発熱して悪寒、のど渇いて、発汗、小水少ない者。☆発表を先務と為す。越婢加朮湯に宜し。最後は下剤を与うる佳と為す。神祐丸に宜し。此の証、水毒を泄下せざれば則ち全効なし。☆発熱悪寒し、頭痛、骨節流注疼痛する者、後世名付けて痛風と曰う。又痛劇しく、節疼痛し、虎の咬む如き者、名付けて白虎病と曰う。
☆発作のときばかりでなく、平素から越婢加朮湯を飲んでいると、発作を予防する効がある。しかし、体質が虚弱で、胃腸の弱い人は、食欲が無くなったり、疲労倦怠を訴えるものがある(漢方診療医典)[47]手足の疼痛
[48]なみだ目[49]なみだが出やすい☆21歳の未婚の婦人。訳もなく、ただ涙が流れ、人の前に出るもの恥ずかしいといって来院した。初診は昭和27年11/29。
私と対談しているときも、涙がポロポロとこぼれる。いままで大学病院の眼科にかかり、遠視と結膜炎が有ると云われて手当を受け、眼鏡も新調したが、やはり涙の流れるのは同じだと云う。なお流涙の他に、口渇と不眠があり、下痢しやすい。しかし便秘すると気持が悪いので、下痢は気にならないという。野菜と魚肉が嫌いで、甘味を好む。月経は正常である。
涙の流れるのは、風邪の時や、冷たい風に当たった時が、特にひどい。したがって夏より冬が悪いと云う。 私はこれに越婢加朮湯10日分を与えたが、これを飲むと、涙の出るのが減るようだという。そこで10日あて与えて、経過をみることにした。1ヶ月ほどたつと、涙の出ない日が多くなった。しかし翌年の正月に薬を10日ほど休んだ時は、また少し後戻りする傾向があった。そこで、たまには休むことはあったが、10ヶ月ほど服薬して、ほとんど、涙を流すこととはなくなった。《大塚敬節》[50]難産:☆妊娠末期に浮腫がひどくて坐することも出来ないという婦人に、越婢加朮湯を用いたところ、2、3日で浮腫が去るとともに。分娩が始まり無事に女子が生まれた《大塚敬節》[51]肉極
[52]乳腺炎[53]尿量減少(尿不利)[54]寝小便[55]ネフローゼ [56]バセドウ病 [57]鼻の先端が黄色い [58]鼻ポリープ
[59]煩渇[60]半身不随:☆半身不随等にして、手足の屈伸自由ならず、尿利著しく減少し、自汗あり、渇して頻りに水を欲する証。《奥田謙蔵》 [61]皮下膿瘍[62]皮膚炎<潰瘍性>
[63]皮膚の知覚異常[64]光がまぶしい[65]肥満(贅肉)[66]疽(ひょうそ)[67]鼻涙菅狭窄 ☆本方の条文に汗が流れ出るという文章がある。これを涙が出るということに転用して用いることがある。分泌物があって、ただれて汚く見える。また結膜には異常がなくて当帰に風に当たると流涙が止まらないという者によい。脈は沈で水毒のある水太りの人によい。
大塚氏は21歳の婦人が、ワケもなくただ涙が流れ人前に出られないといい、対談中も涙がボロボロこぼれている。眼科では結膜炎というが、冷たい風に当たるとひどく、なるよりとくに冬に激しい、口が渇いて不眠症があり、下痢しやすいという人が、本方を1ヵ月飲んで涙の出ない日が多くなり、10ヵ月飲んでほとんど治って結婚したと報告(漢方診療医典)
[68]浮腫 ☆身体がむくんで、脈沈で小便が出ない者。《大塚敬節》☆浮腫を伴う種々の疾患に。☆実腫に用いる方剤《大塚敬節》☆妊娠9ヶ月の婦人で、下半身の浮腫がひどくて、坐れないという者に、この方を用いたとこと、2、3日で浮腫がとれるとともに、分娩が始まった。麻黄剤を妊婦の浮腫に用いると流産することがあると古人も述べている。《大塚敬節》☆小青竜湯、大青竜湯。麻黄連赤小豆湯、続命湯などの麻黄剤を用いる浮腫は実腫で喘鳴、咳嗽を伴う者に良い《大塚敬節》☆咳喘癒えず、小便次第に少なくなり、ついに腫満をなす者には、大小の青竜湯、麻杏甘石湯、厚朴麻黄湯などを与えるが良い。《証治摘要》[69]フルンケル[70]変形性関節炎[71]扁桃炎[72]麻痺☆下肢のマヒに。
[73]慢性関節リウマチ:☆発熱し、口渇があり、その部分or全体に浮腫があって痛む者。☆体力あり、脈・腹ともに力あり、口渇、多汗の者。[74]慢性腎炎:☆実証の者。☆皮膚病性腎炎等《奥田謙蔵》[75]水虫[76]目がかゆい[77]目の充血
[78]夜尿症 [79]腰脚無力 [80]翼状片(目頭に肉が出てきて腫れる) [81]緑内障 ☆角膜の混濁があり、充血、頭痛などがあり、前駆症状と思われるときや刺激症状が比較的軽い時に用いる(漢方診療医典)
#越脾加朮附湯 「越脾加朮湯附子1.0g」《龍野一雄》◎《張路玉》曰く、風毒脚気、湿壅最も甚だし、附子の大力を籍りるに非ざれば、以て之を開く無し。今、朮附を以て越婢湯中に彙入す。
◎越婢加朮湯に附子を加えて、越婢加朮附湯と名く。水腫、身熱、悪寒し、骨折疼重し、或いは痺し、渇して小便不利の者を治す。賓丸、仲呂丸等を兼用す。心下痞満し、或いは腹満し、或いは塊有り、大便通ぜざる者は、陥胸丸、大承気湯等を兼用す。又諸瘍久しきを経て流注状を為す者、及び破傷湿と称する者を治す。又疥癬内攻し、一身洪腫し、短気、喘鳴し、咽乾口渇し、二便通ぜず、虚里の動、怒濤の如き者を治す。更に反鼻を加えれば効尤も勝る。当に仲呂丸、紫円、走馬湯等を以て之を下すべし。又風湿、痛風(ロイマチスなど)、身熱、悪寒し、走注、腫起し、或いは熱痛し、小便利せずして渇する者を治す。賓丸を兼用す。《類聚方広義》
★適応症及び病名(越脾加朮附湯) [1]アトピー性皮膚炎[2]角膜炎:☆眼腫、臥蚕の如き者《方読便覧》[3]結膜炎[4]下肢の疼痛:☆風痺脚弱を治す。[5]口渇[6]歯根炎[7]腫瘍:☆乳疾初起、熱腫甚だし《方読便覧》☆流注状を見す者は、何の因を論せず、越婢加朮湯を与えて可なり。《先哲医話》[8]腎炎(急性・慢性)[9]水疱[10]手足冷たい[11]尿不利[12]冷えると増悪(寒冷で悪化)[13]皮膚枯燥[14]皮膚掻痒感[15]浮腫[16]ポリープ<鼻の>[17]慢性関節リウマチ[18]慢性湿疹<頑固で難治>
[19]夜間排尿 [20]翼状片 #越婢加半夏湯[1-1]《金匱要略》「麻黄6両、石膏半斤、生姜3両、大棗15枚、甘草2両、半夏半升」右六味、以水六升先煮舞おう、去上沫、内諸薬、煮取三升、分温三服。◎而上気、此為肺脹、其人喘、目如脱状、脉浮大者、越婢加半夏湯主之。
#越脾加半夏湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「麻黄6g、石膏8g、大棗4g、甘草2g、半夏8g、生姜1g」◎越婢湯証にして嘔逆する者を治す。《吉益東洞》 ◎此方は肺脹を主とす。その症、して上気、喘ありて気急し、甚だ支飲に似たり。
<1>然れども支飲の喘は初め胸痛あるいは手足厥冷して気急し、側臥すること能わず、<2>肺脹の上気は熱勢強く、卒に発し目脱するが如き状あり、然れども側臥し難きに非ず。◎して嘔逆し、発熱し、その人微喘し、目、脱する状の如く、大に浮腫し、脈浮大なる者は、越婢加半夏湯之を主どる。《医聖方格》
◎咳喘上気、脉浮大、目脱状の如き者。◎咳が出て、呼吸困難があって、眼が腫れたようになり脈が浮大であるというのが、この方を用いる目標である《大塚敬節》
★適応症及び病名(越婢加半夏湯) [1]息切れ[2]喀痰:<濃厚>[3]顔面の浮腫[4]急性気管支炎☆感冒・気管支炎などで、激しく連続的に咳き込み、嘔吐する者。☆気管支炎等にして、口渇あり、喀痰粘稠にして、咽喉に粘着する感を訴える証。《奥田謙蔵》☆気管支炎等にして、咳嗽発作時眼球突出せるの観あり、頚部の静脈怒張し、冷汗を出す証。《奥田謙蔵》[5]口渇[6]ジフテリア:☆ジフテリア及びその類似疾患。《奥田謙蔵》[7]ジンマシン:☆喘息発作のたびにジンマシンの出る少年を診たことがある。この患者には、越婢加半夏湯を用いたところ、喘息が治まると共に、ジンマシンも出なくなった《大塚敬節》[8]自汗
[9]咳<激しい>[10]喘咳<激しい>☆顔を真っ赤に咳き込み、眼球が飛び出しそうな激しい咳。☆まぶたや顔面に浮腫がある者。 ☆《医宗必読》に云う、一令愛、久しく喘じて咳す。凡そ順気・化痰・清金・降化の剤、幾千遍すれど、かって絶えて効を取らず。一日喘甚だしく煩躁す。余、その目は則ち脹出し、鼻は則ち鼓扇し、脈浮にして且つ大なるを視て、肺脹疑い無し、遂に此を以て之に投ず、一剤にして減じ、再剤にして癒ゆ。《雑病翼方》[11]喘息:☆哮喘《方読便覧》☆喘息、日を経て癒えず、脈浮大にしてやや力ある証。《奥田謙蔵》[12]肺炎:☆小児の肺炎にして、高熱あり、口渇、煩躁劇しく、口唇共に乾燥し、咳嗽頻発する証。《奥田謙蔵》[13]尿不利[14]煩躁[15]百日咳[16]ほてり[17]翼状片:☆初期に奇効を示す《知新堂方選》
#延烏二陳湯 「延胡索・烏薬・香附子・縮砂・陳皮・甘草」
#延経散 =「延経期方」 ◎浅田方函の延経散には「紫檀・滑石」なし。 #延経期方[1-1]《方輿》「続断・蒲黄(炒)・枳殻・括楼仁・紫檀・滑石各3,0」◎月経を延期させる処方。
#延経期方[1-2]《周方堂蔵方》《漢方後世要方解説》「続断・蒲黄・枳殻・瓜呂仁・紫檀・滑石各3.0」◎此方暫く経期を延ばす方なり。方書にも見あたらず、且つ医家必用の剤に非らざれども、稀異の薬なるを以て録して子姪の聞見を広む。周方堂蔵方なり《方輿輗》
◎此方は《方輿輗-婦人経閉門》に続方として紹介されている。月経を延期させる経験方であるが、筆者は一処女の海水浴に赴く前6日間これを与えて経期を4日間延期させたことがあるので参考として掲げた。
◎方意、薬能推察し難し「続断」=本草経では乳難(難産)に使う「蒲公」=止血、収斂、利尿の効あり。「枳殻」=芳香健胃、気を破りめぐらす。「瓜呂」=止血、鎮咳、鎮痛「紫檀」=止血、鎮痛、健胃「滑石」=乳難、消炎、利尿
#延胡索散[1]《婦人大全良法》 「延胡索・当帰・川芎・桂心各30g、木香・枳穀・赤芍・桃仁各20g、熟地黄40gに生姜3片を加え煎服」 #延胡索散[2]《中薬臨床応用》「延胡索6g、当帰9g、蒲黄(炒)3g、川芎5g、乳香6g、没薬6g、肉桂3g(
服)」水煎服。◎月経痛。 #延寿屠蘇散《備急千金要方》《本草綱目》「白朮・桔梗・山椒・防風・肉桂・大黄」白朮を蒼朮に。又「赤小豆・烏頭・薐葜」を加える。◎肉桂はニッケイの根皮を使用した。《実用漢方処方集》◎中国では早くすたれたが、日本では宮中行事から民間に広がった。近世になって曲直瀬玄朔が、毒性の強い薬を抜いて、五味~六味としたのが今に続いている。(宗田一著「健康と病の民族誌」)
#延年半夏湯[1-1]《外台秘要方》《漢方後世要方解説》「半夏5、桔梗・前胡・別甲・檳榔各3、生姜・人参各2、枳実・呉茱萸各1」◎此方は痃癖の主方と云われ、胸中の痰を去り、痞堅を和ぐる剤である。その症状は左胸脇の下より肩背にかけて強く牽引して痛むもので、胸苦しく呼吸促迫する。心下部硬く緊張する。「枳実」=痰を除き、積を破り、痰を化す。「檳榔」=気を破り、痰を去り、水を逐う「半夏」=湿を燥し、脾を健にす。「前胡」=痰を消し、痞悶を治す「桔梗」=諸薬を載せて上升し、胸壅を開利す「別甲」=痰を散し、腫を消し、痞を去る「呉茱萸」=疝気を調和し、寒を去る
◎鑑別: 胸背より腹中に拘急するは「柴胡別甲湯」痰心下にあって痛み、腰背に遊走するは「枳縮二陳湯」胸脇より肩背に引っ張り痛む者によいのが「延年半夏湯」。
#延年半夏湯[1-2]《外台秘要方》《勿誤薬室方函》 「半夏・柴胡・鼈甲各3両、桔梗・呉茱萸・枳実各2両、檳榔14枚、人参1両、生姜4両」◎腹内左肋に痃癖あり、硬急、気満し、食する能わず、胸背の痛むを主る。◎此方は痃癖の主方とす。《勿誤薬室方函口訣》◎腹内から左肋胸背にかけての牽引痛、胸満気急《龍野ー漢方処方集》◎延年半夏湯は左側の脇肋にある可視または不可視の塊りがもとで、腹内の硬急や項背背に筋肉の攣急があり、胸背痛み、気満して食することが出来ない者を主治すと考えられると、細野史郎氏は、《外台秘要方》の延年半夏湯の主治を現代風に訳してから、これを用いる目標を次のように要約している。
臨床的観察から、延年半夏湯の奏功者の呈する症状をその頻度の順に列記すると次の如くなる。 ①胃症状が自他覚的のいずれかに必ず証明される。自覚的に胃症状を欠く場合でも、立位における心部圧痛、左側背痛を必ず証明すること。
②左肩凝り。自他覚的いずれかに証明される。③足冷④左季肋部~左乳房下部の疼痛または疼痛に近い感じ(例えば張った様な感じ) 等がもっとも重要な症状であって、その他、便秘の傾向や、左側に強く現れる傾向の腹筋緊張、更に脈・舌・腹力などより推定して体力的にやや消衰状態にあることなどが参考症状たりうる。
これを《外台秘要方》に本方の主治症としている「腹内左肋痃癖硬急」「気満食する能はず」「胸背痛む」の諸点と比較すると、外台に云う如く症状が左側優位に現れた。それがたとえ自覚されぬ場合でも他覚的に証明されることを立証し得た。
「胸背痛」は。われわれの観察では、季肋部、乳房下部及び背部に証明され、これも左側に多く証明される。 ★適応症及び病名(延年半夏湯) [1]足が冷える[2]胃アトニー[3]胃液分泌過多症[4]胃潰瘍[5]胃十二指腸潰瘍[6]黄疸:
☆黄疸で心下及び脇下の硬結ある:「鍼砂」。[7]嘔吐[8]黄胖:(鈎虫症などによる貧血)☆「平胃散」と上下の別あり。《勿誤薬室方函口訣》「延年半夏湯」は病上に位して胸満気急するを目的とす。「平胃散」は病膈下にありて気急の症無し。[9]悪心[10]過食症[11]肩こり ①胃の具合が悪い人が多い。
②左の肩が凝りやすい。 ③足が冷えると訴える。 ④左の季肋部にかたまりがあったり、違和感がある。 ⑤立たせると、背部の左側に痛みがある。 ⑥便秘傾向。 ⑦胃切除後の肩こり。☆私は、左の肩が凝る患者で、仰臥位または立位で心下部に圧痛を訴え、足が冷えるという者に用いている《大塚敬節》[12]狭心症:☆類似する症状[13]胸痛<左の胸>[14]胸膜炎の一症:《矢数道明》[15]拒食症[16]肩背強急<左の>☆婦人肩背強急する者は多く痃癖の為す所に係る《先哲医話》
[17]痃癖:☆《和田東郭》の説の通り、呉茱萸は左部に在る痃癖に最も効あり。又、脇肋の下より肩背に強く牽急する者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》☆痃癖にても胸背より腹中に及んで拘急する者は、「柴胡鼈甲湯」《外台秘要方》を宜しとす。[18]上腹部振水音[19]食欲不振<神経性>[20]心下痞[21]心下部の疼痛[22]心下部の膨満感・停滞感[23]神経性胃炎[24]衰弱[25]膵臓炎の一症:《矢数道明》[26]脱力感[27]疲労倦怠[28]貧血[29]慢性胃炎:
☆立位時にみずおちが痛み、(左)肩こりと圧痛、足の冷えがあり、(左)腹直筋が緊張する者。[30]慢性膵臓炎[31]慢性肋膜炎[32]羸痩[33]肋間神経痛
#延年護命丹《東醫寶鑑》「大黄10両(半分は生で、半分は醋に漬け、切って焙って乾燥)、牽牛子1両、莪朮・三稜・芫花・鼈甲(醋炙)各5銭、陳皮2銭半を芫花と醋浸して1晩おき、焙って乾かし、没薬・乳香・軽粉⇒水銀粉各1銭を粉末にし、蜜で混ぜ、毎回1両を4丸に分作して1丸づつ細かく噛んで、温水で就寝時に飲み下すと、翌朝には悪物が出る。」
#延年益寿不老丹《東醫寶鑑》「何首烏(赤)4両、何首烏(白)4両を、洗い桶に入れて竹刀で皮を剥き、切って黒豆を煎じた汁に漬けて陰干しし、甘草汁をまぜて作る。この後地骨皮(酒洗乾燥)・白茯苓(酒洗干)各5両、生乾地黄(酒浸して日光に晒す)・熟地黄(酒洗し日光に晒す)・天門冬(半日酒浸し晒し干す)・麦門冬(酒浸し一昼夜乾燥)・人参各3両を粉末にし、蜜で丸剤。温酒で30~50丸飲む。
◎養生と長寿に。
#延令固本丹《東醫寶鑑》「兎絲子(酒洗)・肉蓯蓉(酒洗)各4両、天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄・熟地黄酒・山薬・牛膝(酒洗)・杜仲(姜汁炒)・巴戟(酒浸去心)・枸杞子・山茱萸(酒浸去核)・白茯苓・五味子・人参・柏子仁各2両、覆盆子・車前子・地骨皮各1両半、石菖蒲・川椒・遠志・甘草(水浸姜汁)・沢瀉(炒)各1両」を細末にして、酒で煮た希麺糊で丸剤。空腹時に80丸づつ飲む。婦人は当帰・赤石脂各1両を加える。
◎中年の精力減退と50才前後の白髪に飲むと、精力はつき、顔色は若者のよう に若返る。3ヶ月もたつと白髪は黒くなり、常用すると気は衰えず、身体は軽く健康になる。
#延齢丹[1-1]《一渓》 「桂枝・縮砂・丁香・沈香・辰砂各30.0、蓽撥・白檀各3.0、木香・桔梗・乳香・訶子各14.0、甘草18.0、麝香6.0、竜脳5.0」細末にし蜂蜜に和して 舐剤とする。1回量0.5。◎眩暈悶絶、心腹急迫。
#延齢丹[1-2]《牛山方考》「沈香・肉桂・砂仁・辰砂・甘草各5分、木香・白檀・乳香・桔梗・蓽撥各3匁、麝香1匁、竜脳8分」◎東井翁の家伝の秘方也。◎一切の気付け、痰切り、種々の急証、咽喉不利、口噤して薬が入らない者に、歯にすり塗れば必ず甦る。
#塩朮散 「蒼朮4両を切って青塩1両と黄色くなるまで炒ったら、塩を捨て木賊2両を童便でつくり、作末して1銭を熱い水に1日2~3回づつ調下する。」◎内外障を治す。
#塩礬散《東醫寶鑑》「塩化・明礬」粉末にし、箸で患部に塗布。 ◎上顎の腫が下にたれ、咽喉をふせぐ症。
#鉛丹散[1-1]《外台秘要方》「鉛丹・胡粉各2,0、括楼根・甘草各10.0、沢瀉・石膏・白石脂・赤石脂各5.0」細末にし1回1,0服用。
#鉛丹散[1-2]《方輿》「鉛丹2分(熬別研)、括楼根・甘草(炙)各10分、胡粉2分(熬研)、沢瀉・石膏・白石脂・赤石脂各5分」◎治消渇、止小便数兼消中。
#淵然真人奪命丹(一名飛竜奪命丹)《東醫寶鑑》「雄黄3銭、蟾酥・乳香・没薬・銅緑各2銭、血竭・胆礬・寒水石各1銭、軽粉⇒水銀粉・麝香・竜脳各半銭、蝸牛21、連穀用、蜈蚣1条を粉末にし、蝸牛を粘土のように搗いて緑豆大の丸剤。朱砂末2銭で衣をし、毎回2丸を服するが、先に葱白3寸をかじって吐いて、男は左り、女は右の手のひらの受けて、丸薬を葱内に入れ熱酒で34杯送下し、布団をかぶって、しばらくしたら、又熱酒数杯を呑むと発熱し、汗が出るのを限度とする。
#掩臍法[1]《東醫寶鑑》 「田螺2個・麝香少し」かき混ぜて、臍につめて包帯しておく。 ◎噤口痢の熱を冷ます。
#掩臍法[2]《東醫寶鑑》「甘遂末」を水で濾して臍の下に塗り、「甘草節」煎じた湯を飲んで臍の下まで降ろすようにすると、は自ずと下がって小便が出る。◎転症に。
#嚥津服水法《備急千金要方》《東醫寶鑑》「口をつぐみ、舌で上下の歯をなめて、津液を1日260回飲み込むとよい。そしてだんだん回数を増やして1000回までやると、おのずとひもじくなくなる。はじめの3~5日は疲れるが、これを過ぎと身体の自由が効くようになる。もし水のある所だと、左手で水をすくって握り呪文[丞椽吏之賜真之粮正赤黄、行無過城下諸医以自防]を唱えた後、3回歯をかみ合わせ、右の指を3回たたき、左も同様に3回して水を飲む。器があったら、水をその器に入れてやると良い。このように1日3升飲むと飢えない。」
◎飢えて死にかかったとき。
#王氏清暑益気湯《温熱経緯》「西洋参4.5、西瓜皮30、蓮梗15、黄連3、石斛・麦門冬各9、竹葉・知母・甘草各6、粳米15」水煎服。◎清暑益気、養陰生津。
#王氏連朴飲《王孟英》 「川楝子・山梔子・半夏・鮮菖蒲・枳実・川厚朴・豆豉・蘆根・滑石・黄芩」水煎服。
#王道無憂散《万病回春》《古今方彙》=「開結潤燥湯」《厳氏済生方》 「赤茯苓・砂仁・枳実・香附子・烏薬・陳皮・半夏・藿香・檳榔子・猪苓・木通・天門冬・黄柏(人乳炒)・黄芩(炒)・知母(人乳炒)・生地黄・川芎・白芍薬(炒)・当帰各8分、赤芍薬5分、百九怵白茯苓各1銭2分、甘草3分」水煎温服。
◎気血虚し而して反胃膈噎する者を治す。 #王不留行散《金匱要略》《龍野一雄》「王不留行10g、蒴藋細葉10g、桑白皮10g、甘草18g、川椒3g、黄芩・乾姜・芍薬・厚朴各2g」桑白皮までの3薬を黒薬のし、上記の割合に混ぜ、1回量2gを内服、又は瘡面に撤布する。
◎外傷・打撲。
#王不留行湯《備急千金要方》「王不留行、桃枝、茱萸根皮、蛇床子、牡荊子、苦竹葉、蒺藜子、大麻子」 #王鑰匙(おうやくし)《東醫寶鑑》「焔硝7銭半、硼砂2銭半、白蚕1銭2分半、竜脳少々」作末し竹管で半銭を喉中に吹き入れる。◎急喉閉・纒喉風を治す。
#王屑無憂散(おうせつむゆうさん)《東醫寶鑑》「寒水石(煆)・硼砂各2銭、玄参・貫家・滑石・縮砂・山豆根・黄連・甘草・赤茯苓・荊芥穂各5銭」作末し毎回1銭を口に入れて水を飲む。
◎骨子などが咽喉につかえて降りないとき。 #黄瓜蔞丸《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・半夏(麺炒)各等分」粉末にし、瓜蔞汁で梧子大の丸剤。姜汁竹瀝で30~50丸服用。
◎食積痰を治す。
#黄蓍益気湯[1-1]《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)1銭、人参・白朮・半夏(製)・陳皮各7分、当帰(酒洗)・川芎・藁本・甘草各5分、黄柏(酒炒)・升麻・細辛各5分、姜3・棗2」水煎服。
◎気虚頭痛を治す。◎耳鳴り、肛門の痛み。
#黄蓍益気湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・陳皮・半夏・当帰・藁本・甘草(炙)各5分、升麻・細辛・黄柏(酒)各3分、生姜、大棗」水煎。
◎頭痛にて右に偏する者は痰と気虚に属するなり。 #黄蓍益損湯《医学入門》《古今方彙》「官桂・熟地黄・半夏・甘草・木香各3分、石斛・当帰・川芎・黄蓍・白朮各1銭、白芍薬1銭半、五味子5分、生姜、大棗」煎服。
◎熱あれば:「柴胡」 #黄蓍丸《東醫寶鑑》「黄蓍1両、白蒺藜(炒)・羗活各5銭、炮附子(大)1個、羯羊腎1対」焙って乾燥させ、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に葱塩湯で30~50丸呑む。
◎耳鳴り。寝ると鐘の音が聞こえる者。 #黄蓍桂枝五物湯[1-1] 《金匱要略》「黄蓍3両、芍薬3両、桂枝3両、生姜6両、大棗12枚」右五味、以水六升、煮取二升、温服七合、日三服。◎血痺、陰陽倶微、寸口關上微、尺中小緊、外證身體不仁、如風痺状、黄蓍桂枝五物湯主之。
#黄蓍桂枝五物湯[1-2]《金匱要略》《中薬臨床応用》「黄蓍15g、白芍薬9g、桂枝6g、生姜9g、大棗6g」水煎服◎関節炎◎肩関節周囲炎 #黄蓍桂枝五物湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》「黄蓍・芍薬・桂枝・大棗各3g、生姜6g」水240を80に煮詰め、1日3分服。◎血痺、身体不仁。◎黄蓍桂枝五物湯の証に身体不仁と曰う。是も亦肌表の水なり、為則按ずるに、仲景氏は不仁を治するに、そのある所に随うと雖も処方は同じからず、而してその薬の如きは則ち皆治水の剤なり。然らば則ち不仁するは是れ水なり。故に小腹不仁、小便不利する者は八味丸を用うる時は則ち小便快利し不仁立ちどころに治す。是れ不仁するは水なり。《類聚方広義》
★適応症及び病名(黄蓍桂枝五物湯) [1]運動麻痺[2]脚気:☆下肢の知覚鈍麻を主訴とする脚気に用いて著効《大塚敬節》☆“患者は30歳あまりの色の白い肥満した婦人で、1ヶ月ほど前から下肢がシビレ、着物のすそが足にふれるのが、何とも嫌な感じであるという。その他には何の異常もない。医師は脚気と診断して、ビタミンB1を多量に与えたが効かないという。私も脚気であろうと診断したが、色が白くて肥満した素封家の婦人であるから、《金匱要略》に血痺の病は尊栄の人が罹るという点を考慮してこの方を与えたことろ、たった8日の服用で全治した。”《大塚敬節》[3]顔面神経麻痺黄蓍桂枝五物湯は、色の白い水太りの婦人の顔面神経麻痺に効がある。またこのような患者には神効黄蓍湯を用いて著効をえたことがある[4]気の上衝<+>[5]寒がり[6]自汗[7]湿疹:☆(うすい分泌液)☆36歳の婦人。1ヶ月ほど前から皮膚が痒くてたまらないという。肉眼的には、全く皮膚に異常を認めない。患者は小太りで、色白、きれいな皮膚をしている。
診察したところ、別につかまえどころがない。このような場合に、《村井琴山》は桂麻各半湯や大青竜湯を用いている。そこで、私は桂麻各半湯を試みることにした。ところがこれを飲むと、全身が温まって、汗が出て、却ってカユミが強くなると云う。瞑眩であろうと考えて、10日間ほど連用したが、思うように効かない。
1日、患者が云うのに、一番かゆいのは、下腹部で、臍以下は、全体に皮膚が少し厚くなっているようで、ほかの部分と感覚がと違うと云う。そこで急に思いついて、黄蓍桂枝五物湯を与えた。この処方は、前年脚気からきた知覚麻痺に用いて良く効いたことがあり、今度の患者も知覚麻痺があるから、それから思いついたのであった。
さて、この患者は、これを5日分飲んだだけで、全くカユミが陰を潜め、それきり良くなった。ところが、不思議なことに、これを3日分飲んだ時、いままで見たこともない白い虫が肛門から数匹這いだして来たと云う。その形状をきくと蟯虫である。蟯虫が夜間肛門から這いだして、そのために、カユミを訴えていたにしては、痒い場所があまりに広すぎるから、蟯虫のためとも考えられないが、不思議なことである。
この方を用いたのは、汗が多く、汗が出ると症状が悪化すると言う点と皮膚が厚くなったように感ずるというのを目標にした。色が白くて皮膚が軟らかいのも、黄蓍の入った薬方を用いる1つの目標になる。《大塚敬節》[8]心悸亢進[9]頭重[10]脊髄症[11]知覚異常:☆知覚低下☆知覚鈍麻
☆知覚麻痺☆<ピリピリ・しびれ> ☆これは中風に似て、体のシビレる者を目的に用いる。シビレなければ用いない。この方は間抜けのしたようなほうであるけれども、シビレのある症に用いると、ことのほか奇効がある。古方というものは妙なもので、手足の麻痺あるいは身體に及び或いは手足が麻痺して半身不随になっても、この方はよく効くものである・《有持桂里》[15]搐搦[16]中耳炎[17]盗汗[18]尿不利[19]妊娠中毒症[20]半身不随
[21]皮膚 <色白・きめ細かな肌>[22]皮膚掻痒症 [23]肥満ぎみ[24]疲労倦怠[25]片麻痺 [26]まぶたが腫れる(眼瞼浮腫)[27]耳鳴り
[28]無気力[29]憂鬱(抑鬱気分) [30]肋間神経痛 #黄蓍桂枝五物湯加味《中薬臨床応用》「黄蓍15g、桂枝6g、秦艽6g、姜黄5g、当帰6g、白芍薬6g、生姜6g、大棗6g」水煎服。◎風湿による痺痛◎肩関節周囲炎
#黄蓍建中湯[1-1]《金匱要略》「於小建中湯内、加黄蓍1両半、餘依上法。」氣短胸満者加生姜。腹満者去棗加茯苓一両半。及療虚損不足、補氣、加半夏三両。」◎虚労裏急、諸不足、黄蓍建中湯主之。
【鑑別】 ①小建中湯 (虚労・やや虚・去寒剤) ②当帰建中湯(虚労・貧血(やや甚)・婦人下腹部激痛・補益剤) #黄蓍建中湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「黄蓍1.5g、桂枝・大棗・甘草各3g、芍薬6g、水飴20g、干姜1g」
水280を120に煮詰め、滓を去り、水飴を加え、1日3分服。「小建中湯黄蓍」◎小建中湯の証にして、盗汗、自汗ある者を治す《吉益東洞》◎諸病、裏急し、自汗、盗汗し、面体に色少なく、身重く、皮膚、骨肉、或いは腰背拘急する者は、黄蓍建中湯之を主どる。《医聖方格》◎此方は小建中湯の中気不足、腹裏拘急を主として、諸虚不足を帯びる故、黄蓍を加えるなり。仲景の黄蓍は、表托、止汗、去水の用とす。此方も外体の不足を目的とする者と知るべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は虚労の症、腹皮背に貼し、熱無く咳する者に用いると雖も、あるいは微熱ある者。或いは汗出ずる者、汗無き者、ともに用いるべいし。《勿誤薬室方函口訣》
◎虚労裏急諸不足、或いは自汗盗汗体表の分泌物。◎虚労性疾患◎補気固表、緩急止痛、温中補虚。《中医処方解説》◎小建中湯、当帰建中湯、黄蓍建中湯、蓍帰建中湯などは腹直筋の拘急がひどくて、歩行困難、または歩行不能の者に用いて時に著効を得ることがある。その際疼痛のある場合があり、知覚麻痺を伴うこともある。《大塚敬節》◎腹直筋が軟弱無力のこともある《大塚敬節》◎下腿潰瘍、手術後肉芽の発生が悪い者。諸種の化膿性腫れ物の自潰後、稀薄な膿が流れて、よい肉芽がみられないような者に用いる。《華岡青州》はこれに当帰を加えて帰蓍建中湯として用いた。《大塚敬節》
#黄蓍建中湯[1-3]《金匱要略》《中薬臨床応用》「黄蓍18g、桂枝6g、白芍薬12g、甘草(炙)6g、生姜6g、大棗9g、膠飴30g(溶解)」水煎服。
◎胃十二指腸潰瘍。 ★適応症及び病名(黄蓍建中湯) [1]アレルギー性鼻炎[2]息切れ[3]癮疹:☆皮膚が乾燥、項背がこる。《腹証奇覧翼》[4]栄養不良性貧血[5]黄汗:☆黄疸で黄色い汗、食欲がない。《古家方則》[6]カリエス☆稀薄な分泌物が多量に出る者。[7]潰瘍:☆虚証、分泌物<多量・薄い>[8]顔色が悪い:☆<貧血状>[9]脚気:☆産後の脚気当にして、骨立羸痩し、常に身体、四肢に冷感ある証。《奥田謙蔵》[10]かぜ(咳嗽がひどい) [11]からだが痛い:☆湿に傷つき鼻塞身疼するを治す。☆血刺身痛:「川芎・当帰」《仁斎直指方》[12]下腹部の脹痛[13]気管支喘息[14]虚弱児の衰弱
☆滲出性体質の幼児に用いて体質を改善する効がある。飲んでいると、筋肉のしまりが良くなり、風邪を引かなくなります(漢方診療医典) [15]頸部リンパ腺結核
[16]結核性腹膜炎:☆(腹満腹痛する)[17]口唇乾燥[18]骨疽=附骨疽=骨壊疽: [19]自汗(全身虚弱で)[20]四肢冷感[21]小児ー虚弱児[22]食欲減退[23]褥瘡
[24]痔瘻:☆痔瘻、或いは諸種の腫瘍膿潰して後、所謂虚熱を発し、自汗、盗汗等有る証には:「当帰」。《奥田謙蔵》[25]心悸亢進[26]心臓弁膜症[27]神経症:☆黄蓍建中湯の他に小建中湯、附子理中湯なども神経症に用いることがあり、白虎湯、風引湯などを精神異常を呈する者に用いることがある。《大塚敬節》
[28 ]臍炎:☆虚証、分泌物<多量・色薄い> [29 ]喘鳴:☆腎経虚寒、咳嗽痰唾し、面色黒、少腹動気、痛をなすを治す。「半夏・乾姜・五味子」《雑病翼方》
[30]多汗[31]脱力感:☆肺虚損不足を療し、気を補う:「半夏」《雑病論識》 [32 ]中耳炎☆稀薄な分泌液がたくさん出る者 [33 ]疲れやすい:<+++>[34
]できもの:☆気体虚弱の人、背瘡頸疽を患い、痛痒を知らざるを治す。瘡勢作らざれば急に擬しく此を服し、以て血を生じ膿を潰ゆるべし。熱ある者服すべからず。:「附子」《袖珍》 [35
]盗汗:☆傷差ゆる後、虚脱し盗汗出る者《雑病翼方》[36 ]内傷発斑:☆(手足に蚊に刺された様な発疹、発病時に頭痛・身熱がない)[37]尿路結石☆腎石、膀胱結石で、尿が快通せず、排尿時に堪えがたいほどの激しい痛みを訴える者に用いる。《大塚敬節》[38
]肉芽形成不全:☆手術後肉芽の発生が悪い者。諸種の化膿性腫れ物の自潰後、稀薄な膿が流れて、よい肉芽がみられないような者に用いる。《大塚敬節》☆肉芽の発生を良くし、瘡口の癒合を促進せしめる目的で損傷後に潰瘍となった者。瘡口の癒合がはかばかしくない者などに用いる。この時に伯州散を兼用したり、紫雲膏を塗布したりする。《大塚敬節》☆「当帰」《大塚敬節》
[39]肺気腫:☆息切れする:「人参半夏湯」[40]肺結核:☆<軽>☆「人参」☆気短胸満:「干姜0.5g」《龍野ー漢方処方集》 ☆腹満には:「茯苓1.5g、大棗」《龍野ー漢方処方集》
☆肺虚損不足には:「半夏3.0g」《龍野ー漢方処方集》[41]皮膚潰瘍 [42]鼻炎・鼻カタル [43]脾腎泄=五更瀉[44]病後の衰弱[45]疲労倦怠感<+++>☆「人参2.0g」《龍野ー漢方処方集》[46]貧血:☆諸種の貧血性疾患にして、自汗或いは盗汗当ある証。《奥田謙蔵》
[47]腹痛 :☆<激しい>[48]不定熱(不明熱)[49]勃起不全:☆事に臨んで起たない:「当帰。人参」《雑病翼方》 「50」麻疹 ☆盗汗、皮膚緊張低下。軟便、食欲不振などを目標に用いる(漢方診療医典)[51]慢性潰瘍[52]慢性肝炎
[53]慢性化膿性疾患[54]慢性下痢:☆慢性下痢等にして、衰弱殊に甚だしく、時々腹痛し、食思無く、脈細弱にして或いは微汗出づる証。《奥田謙蔵》[55]慢性中耳炎[56]慢性副鼻腔炎[57]耳だれ
[58]夜尿症[59]腰背拘急☆痛みがひどいときは→「当帰建中湯」「帰蓍建中湯」を考える。[60]リンパ腺炎: ☆頸部リンパ腺炎☆15歳男子。血色、栄養ともに良くない。小学6年生の時、肺門リンパ腺炎に罹ったことがある。今度の病気は瘰癧で約10ヶ月前に、頸部リンパ腺が腫れているのに気づいた。その後、数個のリンパ腺が相次いで腫れ、その中に瘻孔を就くって、膿の出ているものが3個あるという。よくみると、左右の頸部に数個のリンパ腺の腫脹があり、大きいものは鶏卵大である。その中の左側のものは瘻孔を就くって膿が出ている。ひどく疲れ、せきも少し出る。右肺は明らかに浸潤を証明する。食欲はある。大便には変化がない。
内服薬には黄蓍建中湯を用い、瘻孔のある部位には紫雲膏を貼った。これを1週間ほど呑むと、疲労が軽くなり、7週間ほどで瘻孔が塞がり、栄養血色ともに良くなったが、全治しないうちに、家庭の都合で休薬した。《大塚敬節》[61]淋疾患:☆淋病、諸薬を用いて効なく、痛甚だしく忍ぶべからず、叫嗁(きゅうてい)して隣を動かす類の如きに黄蓍建中湯を用ひよ。その効神の如し。《香月牛山》[62]瘰癧:☆16歳の中学生。瘰癧があり、黄蓍建中湯を与えたが、1ヶ月あまりで非常に肥満し、血色もよくなり、登校しても疲労しないようになった。 それに数個の瘰癧の中の1つは、自然に自潰して排膿し、1つは消失した、その後10ヶ月ほど連用して、目立たないほどに縮小した。《大塚敬節》
[63]流注膿瘍[64]漏孔:☆分泌物---<薄くて多い>[65]労傷 [66]笑い出したら止まらない:☆埼玉県、北埼玉群北新宿村の三井彦周の母、歳70ばかりは、ある日、故なく大笑いするようになり、発作は夜となく昼となく起こり、発作が始まると半時間~1時間も大笑して止まない。自分で止めようとしても止めることが出来ないと云う。何人も医者を変え、薬も数百剤を用いたが効がない。
そこで治を余に乞うた。診察してみると、言語難渋し、手足不遂があり、飲食は進まず、からだが重く、のぼせがあり、汗が自然に流れ、腹はひどくひきつれている。よって癇症を診断し、黄蓍建中湯を与え、滾痰丸1匁を兼用した。
これを服用すること数十日で諸症やや軽快した。そこでますます前方を連用し、なお背に灸したところ、3ヶ月で全快した。(福富元璘・和漢医林新誌第89号)
★黄蓍建中湯
(疲れやすい、四肢冷、食欲不振、自汗、不定期熱、脈細弱、貧血、腹痛) #黄蓍建中湯[2]《小品》「黄蓍建中湯《金匱要略》当帰・人参」◎虚労、小腹急に小便赤く餘歴あり、事に臨んで起たず、陰下湿り、あるいは小便白濁する。傷多きを療する方。《雑病翼方》
#黄蓍建中湯[3]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍六一湯《寿世保元》肉桂、白芍薬」左を各々(蜜炙)すること十数次、火毒を出して水煎温服。
#黄蓍散[1]《医学入門》《古今方彙》「黄蓍・麦門冬・熟地黄・桔梗・白芍薬各1銭、甘草8分」水煎。◎咳血、労と成るを治す。
#黄蓍散[2]《証治準縄》《古今方彙》「黄蓍・檳榔子・紫菀・牛蒡子・梔子仁・赤茯苓・甘草(生)各半両、麦門冬・玄参各1両、升麻・黄芩各3銭」水煎。
◎咽喉に瘡を生じ疼痛するを治す。
#黄蓍散[3]《東醫寶鑑》「黄蓍・防風・黄芩・大黄()各1銭、地骨皮・遠志・人参・赤茯苓・漏芦各5分」水煎し、朝夕食後服用。 ◎瞳から膿が出る症。
#黄蓍芍薬桂枝苦酒湯《金匱要略》「黄蓍5両、芍薬3両、桂枝3両」
以上三味以苦酒一升水七升相和煮取三升温服一升。◎黄汗之為病、身體腫、発熱汗出而渇、状如風水、汗沾衣、色正黄如栢汁、脉自沈、何従得之・師曰、以汗出入水中浴、水従汗孔入得之、宜蓍芍桂酒湯主之。◎黄汗病。◎黄蓍桂枝苦酒湯の証は具らず、他例を以て之を考うるに当に身体疼痛或いは不仁の証あるべし。《重校薬徴》
#黄蓍十補湯《東醫寶鑑》「白芍1、黄蓍・当帰・熟地黄・茯神各7分、人参・白朮・酸棗仁・半夏・陳皮・五味子・肉桂・烏薬・麦門冬・甘草各5分、木香・沈香各2分、生姜5・大棗2」煎服。
◎虚労を補い、血気を養う。
#黄蓍損湯《東醫寶鑑》「人参・白朮・黄蓍・木香・当帰・桂皮・白茯苓・白芍・半夏・川芎・熟地黄・山薬・五味子・牡丹皮・麦門冬・石斛・甘草各7分、生姜5、大棗2、梅1、小麦50粒」煎服。
◎虚労の100症を治す。
#黄蓍湯[1-1]《直指小児》 「黄蓍・当帰・芍薬・川芎・地黄・蝦蟆各3匁、鼈甲2匁、人参・柴胡・半夏・橘皮・茯苓・使君子各1匁、生姜」◎疳労・喘咳・虚汗・骨蒸・渇して腹瀉・小食の者を治す。◎此方は浄府散と表裏の方にて、「浄府散」は血気少しも虚なく、心下あるいは両脇下、或いは右或いは左に凝りありて攣急あり、腹堅くして渇をなし、或いは下痢をなし、或いは下痢でずとも、発熱強く脈も盛んなるを標的とす。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は既に日数を経て血気虚耗する故、発熱の模様も骨蒸と云うて内より蒸し立つる如くなり。且つ盗汗出ずるなり。此の蒸熱、盗汗と五心煩熱とを、此の標的とすべし。◎小児疳労:☆虚証にて、後世のいわゆる哺露丁奚などと云う処に用いる。◎婦人の乾血労:☆疳より来る者に活用して奇効あり。《小島学古》
#黄蓍湯[1-2]《仁斎直指方》《漢方後世要方解説》「当帰・地黄・茯苓・半夏各3、柴胡2.5、鼈甲・陳皮・川芎・芍薬・生姜 各2、黄蓍1、人参・蝦蟆・使君子各1.5」◎疳労を治す。◎疳労、喘咳、虚汗、骨蒸渇して腹瀉、食少なき者。◎此方は疳労と呼ぶ結核性腹膜炎の虚状を呈した者に用いる剤である。腹部膨大して堅き硬結を触れ、消耗熱続いて四肢羸痩し、盗汗ある者を目標とする。「浄腑湯」は実熱に属し、此方は虚熱に属する。日数を経て全体に虚状を呈するものに良い。腹水は認められず、肥厚性のもので腹満、硬結、盗汗、消耗熱等を目的とする。本方を服用して下痢食欲不振を起こす者は中止する。本症の更に虚状強きは「消疳飲」である。「蝦蟆」=小児の疳、癆を治す。腹硬満によい。「使君子」=疳を治し、諸虫を除き、瀉を止む「鼈甲」=骨蒸熱、消耗熱を治す。「当帰・川芎・地黄」=血を補う「人参・黄蓍・茯苓・陳皮」=気脾を補う。
★適応症及び病名 (黄蓍湯) ■結核性腹膜炎 #黄蓍湯[1-3]《万病回春》《古今方彙》「人参、黄蓍、当帰、川芎、芍薬、地黄(生)、蝦蟆(去足)、鼈甲、茯苓、陳皮、半夏、柴胡、士君子、生姜、大棗」水煎。
◎小児疳労、喘嗽、虚汗、骨蒸、渇し而して腹瀉して少しく食する者を治す。 #黄蓍湯[2]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、甘草2銭、当帰5分、五味子9粒」水煎服。
◎気が虚し、発熱・脈がはやい・落ち着かない・頭重・憂鬱になる者。
#黄蓍湯[3]《東醫寶鑑》「黄蓍・陳皮各5銭」を粉末にし、別に麻子仁汁1盃を銀石器で煎じたものに、白蜜1匙を入れて再煎し、前の薬末3銭を入れて空腹時に服用。
◎老人の便秘。(老人の大便秘渋)
#黄蓍湯[4]《東醫寶鑑》「黄蓍・人参・白朮・白茯苓・甘草・白芍各1銭、生姜3片」水煎服。 ◎暑気あたりで、脈虚弱な者。
#黄蓍湯[5]《東醫寶鑑》「生乾地黄2銭、黄蓍・茯神・天花粉・麦門冬各1銭、五味子・甘草各5分」水煎服。 ◎すべての渇を治す。
#黄蓍湯[6-1]《東醫寶鑑》「黄蓍2銭、人参2銭、炙甘草5分」水煎服。 ◎慢驚風で下痢する者。
#黄蓍湯[6-2]《蘭室秘蔵》《古今方彙》「人参、炸薬、甘草(炙)、黄蓍」水煎。◎小児慢驚風の神薬なり。
#黄蓍湯[7]《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)2銭2分、生乾地黄・天門冬・白茯苓・麻黄根各1銭5分、当帰1銭2分、麦門冬1銭、五味子・浮小麦・甘草各7分、防風5分」水煎服用。◎陰陽偏虚と自汗または盗汗を治す。
#黄蓍湯[8]《東醫寶鑑》「人参・白朮・白茯苓・甘草・黄蓍・白芍薬各1銭、薑3片」水煎服用。◎中に脈が虚弱な症。
#黄蓍湯[9-1]《外台秘要方》《中医処方解説》「黄蓍30g、麦門冬15g、生地黄15g、天花粉18g、茯苓6g、五味子5g、甘 草5g」水煎服。
◎滋陰益気の効能があり。◎気陰両虚で口渇・多飲の者。
★適応症及び病名(黄蓍湯) [1]糖尿病[2]慢性胃炎[3]慢性気管支炎
#黄蓍湯[9-2]《証治準縄》《古今方彙》「黄蓍・茯苓・括楼根・麦門冬・地黄(生)・五味子・甘草各等分」水煎。◎諸ての渇疾を治す。 #黄蓍湯[10]《備急千金要方》《勿誤薬室方函口訣》「黄蓍・芍薬・桂枝・麦門冬・橘皮・甘草・当帰・細辛・人参・柴胡・茯苓各2両、半夏2両半、大棗20枚、生姜5両」◎虚労不足、四肢煩疼、食を欲せず、食すれば即ち脹り、汗出ずるを治す。
#黄蓍内托散[1-1]《医宗金鑑》「黄蓍、当帰、川芎、白朮、金銀花、皂角刺、天花粉、沢瀉、甘草」
#黄蓍内托散[1-2]《外科正宗》《古今方彙》「黄蓍1銭、当帰・川芎・金銀花・皂角刺・穿山甲・甘草(節)各2銭」水煎し(酒)を加え食前に服す。
◎臀癰已になり、前に薬を服して勢の定りたる者はそれ潰膿せんと欲す、宜しく之を服すべし。
#黄蓍人参湯《東醫寶鑑》「補中益気湯蒼朮1銭・神麹5分・黄柏3分・五味子15粒」◎暑月に精神が不足し両脚が痿軟し、煩熱・嘔逆・自汗・頭痛する症。
#黄蓍茯苓湯《備急千金要方》《勿誤薬室方函口訣》「黄蓍・茯苓・当帰・川芎・桂枝・芍薬・白朮・地黄・人参各1銭、甘草5分」◎治男婦諸虚不足、一切病後不如。◎此方は即ち後世の「十全大補湯」なれども、《備急千金要方》は旧き故、古に
本づくなり。
「八珍湯」は両虚を治する方なり。右に黄蓍,桂枝を加える者は、黄蓍じゃ黄蓍建中湯の如く諸不足を目的とす。故に、《済世方》の主治に虚労不足、五労七傷を治すと云う。◎此方と「人参養栄湯」に桂枝を伍する者は「八味丸」の意にて、桂枝にて地黄を濡滞を揮発するなり。◎諸病証治の末に此方と「補中益気湯」と「地黄丸」「四君子湯」の加減を載する者は、万病共に気血を回復するを主とするの意なり。[1]瘰癧:☆流注瘰癧の強く虚する者。[2]羸痩:☆瘡瘍に因って気血共に虚し羸痩する者。[3]脱疽:☆[荊芥]。☆痛甚だしいときは桂枝加朮附湯荊芥。
#黄蓍茯神湯《東醫寶鑑》「黄蓍・茯神・遠志・紫河車・酸棗仁(炒)各1銭、生姜3片、大棗2枚」水煎服。 ◎脇・胸・背中・肩・両腕の疼痛、心痛、暴瘖する病気が流行する時。(瘖⇒イン・オンと読み、発声障害のこと)。
#黄蓍鼈甲散[1-1]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「柴胡・黄蓍・鼈甲・芍薬・地黄各2、天門冬・茯苓各2.5、桑白皮・半夏・人参・桔梗・桂枝・地骨皮・知母・秦艽・紫菀・甘草各1」◎虚労客熱、肌肉消痩、四肢倦怠、五心煩熱・心悸、盗汗、食少なく、咳嗽多く、咳唾稠粘、時に膿血あるを治す。又、往来寒熱、労瘧等の症を治す。
◎此方は労咳と骨蒸熱を目的とする。肺痿骨蒸の主剤と言われる秦艽扶羸湯の変方で、肺結核の経過中、弛張熱、稽留熱、或いは消耗熱の初期に蒸々として発熱を続け、肌肉消痩して咳嗽する者に用いる。風労の症とて結核の初期、患者が外感に冒され、発熱の際発散の剤を与えれば排気虚耗して労咳となるものに此方が良い。 「地黄・知母」=腎水を滋す。 「天門冬」=肺火を瀉す。 「鼈甲・芍薬」=肝火を瀉す。(陰を養う剤) 「黄蓍・人参・桂枝・茯苓・甘草」=衛気を固くし、脾肺の虚を補う。(陽を助く) 「紫菀」=肺を潤し、嗽を止む。 「秦艽・地骨皮」=内熱を散ず。
◎秦艽扶羸湯=「秦艽・鼈甲・人参各3、当帰・半夏各5、柴胡・地骨皮・紫菀各2、甘草・烏梅・大棗・生姜各1」
★適応症及び病名 (黄蓍鼈甲散) [1]肺炎 [2]肺結核: ☆2期以後の発熱と咳嗽[3]慢性気管支炎[4]慢性マラリア #黄蓍鼈甲散[1-2]《東醫寶鑑》「鼈甲・天門冬各1銭、知母・地骨皮・黄蓍・秦艽・白茯苓・赤芍・柴胡各7分半、桑白皮・半夏・甘草各5分、紫菀・生地黄各4分、人参・肉桂・桔梗各3分、生姜3、大棗2」煎服。
◎諸虚証・百損と一切の労傷を治す。 #黄蓍鼈甲湯[1-1]《和剤局方》 「桑白皮(炙)・半夏(煮)・黄蓍(蜜炙)・知母(去蘆焙)・赤芍薬(洗)・甘草(炙)・紫菀(去蘆)各2両半、秦艽(去蘆)。白茯苓(焙)・生乾地黄(洗焙乾)・地骨皮(去土)・柴胡(洗)各3両3銭、苦桔梗・肉桂(去麁皮不見火)・人参各1両陸銭半、鼈甲(醋浸去裙炙酥)・天門冬各5両、去心焙 一木作地黄3両、肉桂2両陸銭半。
#黄蓍鼈甲湯[1-2]《和剤局方》《古今方彙》 「桑白皮・半夏・甘草各2分半、地骨皮・知母・黄蓍・秦艽・白茯苓・赤芍薬・柴胡各3分3厘、鼈甲・天門冬各5分、肉桂。人参・桔梗各1分6厘、紫菀・生地黄各3分」水煎、温服。◎虚労客熱、肌肉消羸、四肢煩熱、心悸盗汗、食少なく、多く咳嗽し、血有り、往来寒熱、労瘧等の症を治す。
#黄蓍鼈甲湯[1-3]《和剤局方》「茯苓・天門冬各2.5g、柴胡・芍薬・黄蓍・土鼈甲・地黄各2.0g、地骨皮・知母・秦艽・紫菀各・桑白皮1.5g、半夏・人参・桂皮・甘草・桔梗各1.0g」◎労咳、骨蒸熱、◎風労=初期感冒に罹り、摂養を怠り、漸次肺結核に移行)◎熱が続き咳嗽を伴う者。
★適応症及び病名(黄蓍鼈甲湯) [1]咽乾[2]往来寒熱 [3]気管支炎[4]稽留熱(ケイリュウネツ) [5]口燥[6]自汗[7]弛張熱☆胸部疾患に伴うもの。[8]消耗熱[9]盗汗[10]肺炎[11]肺結核症[12]発熱<微熱・消耗熱>[13]疲労倦怠[14]ほほが赤い[15]マラリア ☆慢性に経過するもの。[16]慢性咳嗽[17]慢性気管支炎
#黄蓍防風湯 「黄蓍防風湯2~3をまず濃く煎じて床下に入れておくと、蒸気が煙霧のようにあがり、独りでに薫ぶられその夜のうちにしゃべることができる。◎中風で脈が沈み、口噤なのは早く補わなければならない。もし有形な湯薬を使うと、遅れていけないので黄蓍防風湯を口・鼻が皆受けるようにしなければならない。これは智慧ある人の神技である。口は地に通じ鼻は天に通じ、口で陰を育て、鼻で陽を育てるので、天は綺麗なものを主張し、鼻は有形なものは受けず無形はものを受け、地は濁を主張し、口は有形なものを受け、又無形なものも兼ねて受ける。◎中風でしゅべられない・脈沈・口噤する者を治す。
#黄蓍補胃湯《医学正伝》《古今方彙》「黄蓍・柴胡・当帰・益智仁・橘紅各1銭半、升麻2銭、甘草(炙)半銭、紅花(少許)」水煎。◎1日に大便34次溏し、而して多からず、時にありて泄をなし、腹中鳴り、小便黄なるを治す。
#黄蓍六一湯《寿世保元》《古今方彙》 「黄蓍6両、甘草1両」◎額上常に汗出でて冬夏を論ぜざる者、酔後に之を得て風に当たりて致す所の者を治す。
#黄解丸《湯本救真》《龍野一雄》「黄連・黄芩・黄柏各3g、大黄4g、山梔子2g」丸薬にし、1日量2g。「黄連解毒湯大黄」 ◎便秘・のぼせ。
#黄解散《吉益南涯》《龍野一雄》「黄連3g、黄芩・黄柏各2g、山梔子1g」粉末にし、2gを頓服。◎冷水で服用。◎喀血・吐血。
#黄芩夏菊湯《中薬臨床応用》「黄芩9g、夏枯草15g、菊花9g」◎動脈硬化◎高血圧◎自律神経失調症◎頭痛、目の充血、口苦、顔面紅潮。
#黄芩滑石湯《温病条弁》《中薬臨床応用》「黄芩9g、滑石9g、通草3g、茯苓15g、猪苓9g、大腹皮9g、白豆蔲3g」◎熱性疾患の中期~後期で熱盛。◎発熱が続く、身体が重い、口渇、舌苔黄。
#黄芩加半夏生姜湯《傷寒論》《龍野一雄》「黄芩・大棗各3g、芍薬・甘草各2g、半夏8g、干姜1g」 水400を120に煮詰め、3分服。◎黄芩湯証にして、嘔逆する者を治す《方極附言》
◎下痢嘔吐、或いは発熱或いは腹痛。《龍野》
★適応症及び病名(黄芩加半夏生姜湯) [1]嘔吐[2]悪寒[3]悪心[4]急性虫垂炎[5]急性腸炎[6]下痢☆細菌性の下痢。☆熱性下痢等にして、乾嘔甚だしく、食物を摂取すること能はず。脈数にして弱なる証《奥田謙蔵》[7]口苦[8]口臭[9]子宮付属器炎[10]消化不良[11]食中毒[12]食欲不振[13]心下痞[14]身體疼痛[15]頭痛:[16]赤痢☆大腸湿熱の者。[17]喘息☆嘔吐を伴う。[18]発熱[19]腹痛:☆腹痛し、下痢すること日に数行、吐して煩悶する証《奥田謙蔵》
[20]裏急後重 #黄芩芍薬湯(一名黄芩湯)《東醫寶鑑》「黄芩・白芍各2銭、甘草1銭」水煎服。 腹痛が激しいときは桂心3分を加える。 ◎下痢に膿血がまじり、身体に熱があり、腹痛のある者。
#黄芩湯[1-1]《傷寒論》 =「天物黄芩湯」 「黄芩3両、芍薬2両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚」◎太陽興少陽合病、自下利者、與黄芩湯。若嘔者、黄芩加半夏生姜湯主之。
《傷寒論》巻第四辨太陽病脉證并治下第七。◎傷寒脉遅六七日、而判與黄芩湯徹其熱。脉遅為寒、今與黄芩湯復除其熱、腹中 応冷、當不能食。今反能食、此名除中、必死。《傷寒論》辨厥陰病脉證并治第十二。
#黄芩湯[1-2]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄芩9g、白芍薬6g、甘草6g、大棗8g」水煎服。◎腹痛◎裏急後重◎悪臭のある便◎舌苔黄膩◎湿熱の下痢
#黄芩湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「黄芩・大棗各3g、芍薬・甘草各2g」 ◎心下痞、腹強急して下利するものは、黄芩湯これを主る。為則つねに若の証に体すれば、即ち此の湯を用ひ、その応響の如し。《薬徴》
[腹強急]=腹がツッパリ痛む。
◎黄芩湯の条に太陽と少陽との合病自下利する者は之を主ると曰う、蓋し三陰三陽は疾医の言わざる所なり、故に取らず、他例を以て之を考うるに心下痞して腹強急して下利する者は此湯之を主る。為則若の証に値う毎に此湯を用う。その応響くが如し。《重校薬徴》
◎下して心下痞し、腹中拘急する者を治す《方極附言》◎発熱・腹痛・下痢。◎清熱止痢、和中止痛。
★適応症及び病名(黄芩湯) [1]アトピー性皮膚炎[2]胃炎[3]胃腸型感冒☆ウイルス性。《中医処方解説》[3]乾嘔[4]急性腸炎[5]急性虫垂炎[6]月経代償性出血[7]血便[8]下痢:☆(肛門に熱湯をかけた様に熱痛)☆泥状便・粘液便が多い。☆下痢性疾患等にして、初起に発汗法を行い、或いは之を下して後、大勢挫折するも、下痢なお未だ止まざる証《奥田謙蔵》☆熱性下痢等《奥田謙蔵》☆痢疾、発熱、腹痛し、心下痞し、裏急後重し、膿血を便する者を治す。
大黄を加ふ。若し嘔吐する者は、加半夏生姜湯中に大黄を加ふ。《類聚方広義》☆小児の疳虫による下痢。《荒木正胤》[9]口渇[10]口苦[11]口臭[12]子宮付属器炎(腹痛ある者)[13]消化不良[14]食中毒[15]心下痞[17]赤痢:☆赤痢等にありては、その初起に大黄を加える《奥田謙蔵》
[18]代償性月経[16]大腸炎 [17]虫垂炎(急性) [18]腸炎・腸カタル<軽> [19]吐血☆代償性月経として。[20]乳幼児の消化不良
[21]粘液便[22]発熱: ☆熱性病、数日を経過すと雖も、頭痛、煩渇なお未だ止まず、既にして脈勢やや虚弱に赴かんとする証《奥田謙蔵》[23]鼻出血(月経代償性)[24]腹中拘急(腹痛)[25]腹直筋攣急(右側)[26]慢性胃炎[27]盲腸炎[28]目眩[29]裏急後重☆熱症がない者には桂枝加芍薬乾姜・大黄を考える。
#黄芩湯[2]《外台秘要方》《金匱要略》 「黄芩3両、人参3両、乾姜3両、桂枝1両、大棗12枚、半夏半升」右六味、以水七升、煮取三升、温分三服。◎六物黄芩湯に同じ。◎治乾嘔下利《金匱要略》嘔吐下利病脉證治第十七。
#黄芩湯[3]《東醫寶鑑》「黄芩(酒炒)・山梔子(酒炒)・桔梗・赤芍・桑白皮・麦門冬・荊芥穂・薄荷・連翹各1銭、甘草3分」食後服用。 ◎鼻孔が乾く。又は瘡が出来て痛い者。
#黄芩湯[4]《東醫寶鑑》「沢瀉・山梔子・黄芩・麦門冬・木通・生地黄・黄連・甘草、生姜5片」水煎服。 ◎心肺の蘊熱・口瘡・咽喉痛・小便の淋濁の症。
#黄芩湯[5]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄芩・山梔子・桔梗・麦門冬・当帰・生地黄・天花粉・葛根・人参・白芍各1銭、烏梅1個」煎服。食後服用。
◎上消(糖尿の)を治す。◎上消渇の症を治す。是れ肺火にて飲水多く、而して食少なきなり。《古今方彙》
#黄芩湯[6]《東醫寶鑑》「黄芩・白朮・縮砂・当帰・各1銭半」水煎服。 ◎胎動不安に。
#黄芩湯[7] =「黄芩芍薬湯」「黄芩・白芍各2銭、甘草1銭」水煎服。 腹痛が激しいときは桂心3分を加える。 ◎下痢に膿血がまじり、身体に熱があり、腹痛のある者。
#黄芩湯[8]《万病回春》《古今方彙》「黄芩・山梔子・桔梗・芍薬・桑白皮・荊芥・薄荷葉・麦門冬・連翹各1銭、甘草3分」水煎、食後服用。 ◎肺火にて咳嗽、吐血、痰血、咽喉腫痛し、乾燥して瘡を生じ、或いは鼻穴乾燥して瘡を生じ、或いは鼻腫れて痛むを治す。
#黄芩人参湯《深師》《勿誤薬室方函口訣》「六物黄芩湯-半夏甘草」◎傷寒吐下の後、内外熱あり、煩渇不安を治す。 #黄甲丸《東醫寶鑑》「朱砂・阿魏・穿山甲(炙)・檳榔各5銭、雄黄・木香各2銭半」を粉末にし、黒豆を泡立たせ皮を剥いてついて梧子大の丸剤。姜湯で50丸飲む。
◎瘧が塊になって治らない者。
#黄鐘丸《東洞家塾方》=「三黄丸」「大黄40銭、黄芩・黄連各20銭」右三味杵き篩い作末、梧桐子大の糊丸。毎服20~30丸。白湯にて送下す。下を以て度と為す。若し急に之を下さんと欲するときは則ち酒にて之を服す。
◎大便難、煩悸して心下痞するものを治す。
#黄精エキス《中薬臨床応用》「黄精2500g」を500gまで煮詰めてエキス。◎肺結核。 #黄精湯《中薬臨床応用》「黄精18g、枸杞子9g、生地黄15g、黄蓍9g、党参9g」◎病後の衰弱。
#黄米丸《東醫寶鑑》「絲瓜絡(乾燥)の皮を去り細切りにし巴豆肉14粒と炒って、巴豆は捨て、陳倉米を絲瓜絡の分量に入れて炒り、米が黄色くなったら絲瓜は捨て、米を取って粉末にし、梧子大の丸剤。白湯で100丸呑む。
◎水蠱を治す。 #黄土湯[1-1]《金匱要略》「甘草・乾地黄・白朮・附子(炮)・阿膠・黄芩各3両、竃中黄土半斤」右七味、以水八升、煮取三升、分温二服。◎下血、先便後血、此遠血也、黄土湯主之。《金匱要略》驚悸吐衂下血胸満血病脉證治第十六。
#黄土湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「甘草・乾地黄・白朮・白川附子・阿膠・黄芩各3g、黄土8g」水320を120に煮詰め、2回に分服。◎旧注に云う、吐血、衂血、下血を主る。此方は先便後血、吐血、衂血を論ぜず、脈緊なる者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》◎此方は下血陰分に陥る者収濇するの意なり。《勿誤薬室方函口訣》◎先便後血に拘わらず脈緊を以て用いるが此方の目的なり。《証治要訣》に“黄土湯は、吐血・衂血ともに、脈緊の者に、この湯を用いる症がある。また子宮出血でも脈緊の者に、この方を用いると効がある”◎吐血衂血を治するも此の意にて用いるべし。◎《陳念祖》曰く、余常に、此方を用いるに「-附子乾姜」「-黄土赤石脂」とし、効を取るに捷し、甚だしき者には「乾側柏葉4両、鮮竹茹6斛」
◎下血・吐血・鼻血・不眠。◎収渋止血、温陽健脾、養血。《中医処方解説》◎陽虚の者。
★適応症及び病名(黄土湯) [1]嘔吐[2]悪寒[3]潰瘍性大腸炎[4]顔色悪い<萎黄>[5]顔面蒼白[6]逆上感[7]健忘症[8]下血:☆冷汗や冷却などの陰症がある者《済世薬室》☆傷寒、熱血分を侵し、にわかに下血する者、桃核承気湯・犀角地黄湯などを与えて血止まず、陰位に陥り危急なる者、此方を与えて往々奇験あり。《勿誤薬室方函口訣》☆厥陰下血の証を治して効あり。《傷寒翼方》☆下血、及び諸血症、その人心中悪熱し、時に襟を解かんと欲し、舌反って和し、或いは胎無くして乾き、ただ嗽(ススガ)んと欲して嚥んことを欲せず、四肢冷え、小便少なく、大便溏なる者は、黄土湯を主どる《医聖方格》☆下血のさいに、大便が先に出て、後で血の下るのは遠血で、血が先に出て、後から大便の出るのは近血であると述べている。遠血は腸からの出血で、近血は肛門からの出血である。《金匱要略》によれば、黄土湯は、遠血を主治し、また吐血、衂血も治することになっている。しかしこの方は近血である痔出血にも用いる。《大塚敬節》[9]下痢[10]子宮出血:☆子宮出血に附子剤を用いる症があり。この際には大抵、脈が緊である。これに黄土湯を用いると、数日のうちに血が止むものである《証治摘要》[10]子宮内膜炎:☆子宮内膜炎等にして、血性分泌物断続し、下肢寒冷にして虚熱上逆 し、その脈細小遅なる証《奥田謙蔵》[12]痔出血:☆直腸や痔の疾患で、膿血が出て止まず、腹痛を訴え、大便が軟く、小便の出が悪く、貧血し、日々痩せてゆく者或いは浮腫のある者を治す《類聚方広義》[11]手掌煩熱
[12]出血:☆(下血・衂血・吐血・血尿・子宮出血・性器出血)☆衂血、或いは吐血の諸証にして、手掌煩熱し、下肢に冷感あり、その脈細弱なる者《奥田謙蔵》☆痔出血止まず、顔面蒼白、四肢寒冷にして、心煩あり、その脈細遅なる等の証《奥田謙蔵》☆子宮出血等にして、その脈沈細なる証《奥田謙蔵》☆吐血、下血、久久にして止まず、心下痞し、身熱、悪寒し、面青く、体痩せ、脈弱にして舌色刷白、或いは腹痛、下利し、或いは微腫する者を治す《類聚方広義》[13]自律神経失調症[14]心下痞[15]心煩[16]身熱[17]錐体外路症候群<運動失調性>[18]大腸ガン[19]腸出血:☆浅田宗伯の治験に、佐伯候の医員、友浦甫仙の妻が傷寒(腸チフス)にかかって、数日、熱が下がらなかったが、ある日突然腸出血が始まり、豚の肝臓のようなものや、ウルシのような血塊を数個下し、手足は厥冷し、冷汗が流れ、のどには喘鳴が現れ、まさに危篤の状となった。そこで自分はこれに黄土湯を与えたとこそ。下血が止み、手足が温かになり、また熱がのぼって、うわごとを言うようになった。脈を診ると、微細である。そこで升陽散火湯を与えて全治した《大塚敬節》☆「腸チフス」における腸出血等にして、体温俄然として下降し、手足厥冷し、虚煩し、その脈微細なる証《奥田謙蔵》[20]テンカン[21]手足厥冷[22]尿不利[23]ノイローゼ[24]脳水腫[25]白血病[26]皮膚枯燥[27]疲労倦怠[28]貧血[29]腹痛[30]不眠症[31]崩漏:☆緊脈に効あり《勿誤薬室方函口訣》
[32]羸痩
#黄土湯加減《中薬臨床応用》「伏竜肝45g(さきに煎じて残を除き水の代わりとする)、熟地黄9g、当帰9g、肉桂1.5g(服)、艾葉3g、阿膠6g(溶解)、白朮9g、生姜3g、炙甘草3g」◎虚寒による胃腸出血。
#黄白散《東醫寶鑑》「黄柏・孩児茶・明礬各等分」粉末にし、冷米湯で口をゆすいでから、塗布。◎口瘡と口中の疳瘡を治す。
#黄柏丸[1](一名大補丸)《東醫寶鑑》「黄柏」炒って褐色になったら粉末にし、水で丸にし、空腹時に服用。 ◎腎経の火燥を除去し、下焦の湿と、陰火の気が臍の下からおきる症。
#黄柏丸[2]《小児薬証直訣》「黄柏、赤芍薬」
#黄柏膏《東醫寶鑑》「黄柏1両、甘草4両、紅花2両、緑豆粉1両半」粉末にし、精油で調合し、耳の前から目のふちに塗る。 ◎痘瘡が発したとき、先ずこの膏を使うと目も顔も軽くすむ。
#黄柏散《東醫寶鑑》「黄柏2両、五倍子・蜜陀僧各2銭、甘草2分」を粉末にし、煮詰める。就寝時に患部に塗る。 ◎口唇が合わされず、飲食も出来ない症。
#黄柏地楡煎 「黄柏、地楡」
#黄附湯《魏氏家蔵方》「黄蓍、附子」 #黄薬子酒《中薬臨床応用》「黄薬子300g」62度の白酒1500‹と共に陶器の器に入れて密封し、水をはった鍋に入れて2時間ぐらい弱火で煮る。やや冷えてから冷水中に入れ、7日後に取り出して残渣を除く。1日50~100‹を少量づつ頻回に服用。◎食道ガン。
#黄竜散《東醫寶鑑》「枯白礬・竜骨(煆)・黄丹(水飛)・嚥脂(焼灰)・海蛸(煆)各1銭、麝香若干」粉末にし、耳の中を脱脂綿で脱ぎ取るか、又薬を湿らせて耳の中に入れ、いつも詰め替える。◎風呂に入って水が耳に入って、膿が出る者。
◎小児の耳痛を治す。
#黄竜湯[1]《備急千金要方》 「小柴胡湯」に同じ。 ◎傷寒差ゆる後、更に頭痛壮熱あり、煩悶す。
#黄竜湯[2]《傷寒六書》=参帰承気湯。「大黄、芒硝、枳実、厚朴、人参、当帰、甘草」姜棗水煎。 「大承気湯《傷寒論》当帰・人参・甘草」姜棗水煎す。◎心下硬痛、純青水を下利し、譫語・発渇・身熱を患う者。 ◎《呉又可》曰く、凡そ下を失し、以て循衣模床、撮空肉を致し、目了了たらず、邪熱いよいよ盛んに偏気将に脱せんとする者、勢ついに下すべからず。又下さざるを得ず、已むを得ざれば《陶氏》 黄竜湯を用い之を下すと。是れ亦一活用に出ず。然れども此方、人参を用うる者、その意、硝黄の力をしていよいよ鋭ならしむるに在り。《張氏医通》に云う、人参を用うるは、借りて以て胃気を資助し、その薬力を行らせば、則ち大黄輩以て破敵の功を振うを得るなり。虚して補を兼ねるの謂に非ざるなりと、以て見るべきのみ。《傷寒翼方》
#黄竜湯[3]《東醫寶鑑》「小柴胡湯《傷寒論》-半夏」 ◎妊婦の傷寒発熱と、産後の発熱して熱が血室に入る症。 ◎四味凉血地黄湯を合わせると、さらによい。
#黄竜湯[4]《東醫寶鑑》「柴胡4銭、黄芩・人参・甘草各1銭」 ◎妊婦の感冒で、頭痛・煩熱し、瘧状の者。
#黄連阿膠湯[1-1]《傷寒論》「黄連4両、黄芩2両、芍薬2両、鶏子黄2枚、阿膠3両」右五味、以水六升、先煮三物、取二升、去滓。内膠烊盡、小冷。内雞子黄、攪令相得。温服七合、日三服。◎少陰病、得之二三日以上、心中煩、不得臥、黄連阿膠湯主之。《傷寒論》辨少陰病脉證并治第十一。
#黄連阿膠湯[1-2]《東醫寶鑑》=「黄連鶏子湯」「黄連・阿膠・芍薬各2銭、黄芩1銭、鶏子1個」黄連・芍薬・黄芩を半分まで水煎して滓を捨て、阿膠を入れ、再び煎じ、卵の黄身を入れ1日3回服用。 ◎心が煩悶して眠れない症。
#黄連阿膠湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄連6g、阿膠15g(溶解)、黄芩6g、白芍薬6g」水煎し薬液がぬるくなったとことへ卵黄2個を入れてかき混ぜ、1日3回温服。 ◎心血虚◎胸が暑苦しい◎不眠◎舌質紅 ◎脈細数
#黄連阿膠湯[1-4]《傷寒論》《龍野一雄》「黄連4g、黄芩・芍薬各2g、阿膠3g、鶏卵黄1個」水240を以て黄連・黄芩・芍薬を80に煮詰め滓を去り、阿膠を入れて溶かし。少し冷まして卵黄を加えてかき混ぜる。3回分服。
◎心中悸して煩し眠るを得ざる者を治す《吉益東洞》◎此方は《柯韻伯》の所謂“少陰の瀉心湯”にて、病、陰分に陥って、上熱なお去らず、心煩or虚躁する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎凡そ諸病日久しく熱気血分に浸淫して諸症をなす者、◎毒痢、腹痛、膿血止まず、口舌乾く者を治して験あり。◎疳瀉止まざる者◎不眠症・煩躁・吐血。◎心中煩、不得臥。《龍野ー漢方処方集》◎滋陰降火、安神除煩。《中医処方解説》
【腹証】《腹診配剤録》“心下煩悶して、志気尤も安んざぜず。吐血に此の証多し”
★適応症及び病名(黄連阿膠湯)
[1]喀血[2]化膿性皮膚疾患[3]乾癬[4]顔面紅潮
[5]眼痛:☆虚煩眠るを得ず、眼中疼痛、懊悩を治す《肘後備急方》
[6]眼底出血[7]気管支炎[8]狂躁[9]下血:☆諸失血の症、驚悸、身熱し、腹痛、微利し、舌乾き、煩悶して寐ぬること能はず、身体困憊し、面に血色無く、或いは面熱し、潮紅する者を治す《類聚方広義》☆少陰の下利膿血に用いることもあり。桃花湯とは上下の弁別あり。
[10]下痢:☆久痢、腹中熱痛し、心中煩して眠ることを得ず、或いは膿血を便する者を治す《類聚方広義》☆星海曰く、符卿公夫人、体素羸弱、頻りに参朮を用い、懐孕7月痢を患う。腰疼腹痛、病危急に在り。諸医みな言う、胎を安んずれば則ち痢いよいよ重く、痢を治すれば則ち胎全き難し。手を袖にして策無し。最後に余を招く。脈数滑重、按んじて無力と診するに至って、必ず固胎の薬を得て主に為さんと思い、又参朮の宜しき所に非ず。《仲景》に「黄連阿膠湯」あり、阿膠能く膿血の痢を治し、且つ腰痛を止め、而して固胎此より善きは無し、遂に用いて以て君と為し、同じく黄連芍薬甘草を佐と為し、少しく枳実を加え、以てその後重を緩慢にする。1剤を服して痛痢ともに減じ、次日、枳実を去り、23剤を再服して痢癒える。《雑病翼方》[11]血尿[12]口渇[13]口臭
[14]口唇乾燥[15]口内炎[16]高血圧症[17]興奮<逆上する>
[18]子宮出血
[19]湿疹: ①脈腹に力なく、のぼせ気味で胸苦しく、熱感あり。②発疹は赤味を帯び、乾燥して、かゆみ少ない。③強い風や日光に当たると悪化する。☆湿疹等にして、諸種の治療の抵抗し、掻痒、煩熱に堪えざる証《奥田謙蔵》☆目標は発疹が主として顔に見られ、隆起があまり目立たないほど低く、指頭でなでると、ザラザラしている。少し赤味を帯びて乾燥し、カユミは少ない。小さなヌカのような落屑があり、風に当たったり、日光に当たると悪くなる。《大塚敬節》[20]出血性腸炎[21]衂血[22]心悸亢進[23]心下痞[24]心下痞硬[25]心煩:☆下痢の後、水分欠損し、心煩して安静ならず、脈微にして浮なる証《奥田謙蔵》[26]髄膜炎[27]精神分裂病[28]頭重[29]譫語[30]躁病[31]手足がだるい(四肢脱力感)[32]中風:☆少陰中風《医学実在易》[33]痘瘡:☆痘瘡内陥し、熱気熾盛にして、咽燥、口渇し、心悸し、煩躁し、清血する者を治す。《類聚方広義》[34]吐血[35]尿道炎[36]熱っぽい[37]ノイローゼ[38]脳血管障害[39]肺炎[40]発熱:☆疲労ありて煩熱し、心下部満悶を覚え、安臥するを得ず。脈数急なる証。《奥田謙蔵》
[41]煩躁[42]ヒステリー
[43]皮膚枯燥:☆私の妻が、頑固な皮膚病に悩まされたことがある。その発疹は円味を帯びて、両側の頬を中心に拡がりカユミがあり、やや赤味を帯びて乾燥し、小さい落屑が見られた。強い風に当たったり、日光に当たると、赤味が増して、カユミもひどくなる。 私はこれに大柴胡湯石膏、大黄牡丹皮湯薏苡仁、桂枝茯苓丸、黄連解毒丸などを、次々と内服せしめ、100日あまりも治療したが、少しもよくならず、むしろ増悪の傾向があり、さすがに、妻も、漢方では治らないのではありませんかと言うようになった。 そこで、私も今までの態度を改め、熟慮ののち、皮膚の乾燥を阿膠と芍薬で潤おし、熱と赤味を黄連と黄芩でとったらと考え、黄連阿膠湯を与えた。これはすばらしく効いた。1服で赤味がうすらぎ、1週間後には、カユミもなくなり、1ヶ月ほどで全治した。《大塚敬節》
[44]皮膚掻痒症[45]腹痛[46]不眠症:☆吐血、咳血、心煩して眠らず、五心熱してようよう肉脱する者。☆吐血後の不眠。《本朝経験》☆痘瘡煩渇眠れない者に特効あり。《勿誤薬室方函口訣》☆中暑心煩、臥するを得ざるの内証を治す《陳修園》☆産後の不眠で、胸の中がサラサラして、空っぽになったようで眠れないと、訴える者に、この方を用いた。《伊沢蘭軒》☆吐血・喀血などがあって、胸苦しくて眠れず、からだが熱し、だんだん衰弱を加える者に用いた《原南洋》☆この方は、黄連解毒湯や三黄瀉心湯を用いたいような患者で、やや疲労している者に用いる。《大塚敬節》 ☆本郷、御弓町の斎藤定之進の義子の太沖は、傷寒にかかり、数10日下熱せず、脈は虚数で、舌上に黄苔があって乾燥し、心身共に疲れ果てている。 余はこれを診して、少陰の裏熱の証で有ると診断して、黄連阿膠湯を与えたが、2、3日で心煩が安らぎ、少し安眠が出来るようになり、食もやや進んだ。 ところが、次の日、全身に熱が高くなり、譫語を発し、煩渇、狂躁の状となった。そこで家人は驚いて、余を招いた。 余はこれを診察してから云った。病が陰から陽に復するのであるから、心配はいらないと、升陽散火湯を与えた。4、5日たつと、精神が明了となり、飲食も大いに進んだ。ただ盗汗が止まらず、夜間、微熱があって、腹が引きつれて、動悸がある。そこで 聖恵の人参散を与えて全治した《橘窓書影》 [47]膀胱炎:淋家、心煩して小便利せざる者を治す《類聚方集覧》 [48]発赤[49]麻疹[50]腰痛:☆妊娠下重、痛み腰背に引くを治す:「黄芩当帰地黄糯米」《外台秘要方》 [51]羸痩
#黄連阿膠湯[2]《東醫寶鑑》「黄連・阿膠・黄柏・山梔子各1銭2分半」水煎服。 ◎膿血の腐った肉汁のような熱毒下痢。 ◎少陰病が原因で、煩躁して横にもなれない症。
#黄連阿膠元《東醫寶鑑》「黄連3両、赤茯苓2両」粉末にし、水と阿膠(炒)末1両で梧子大の丸剤。米飲で30~50丸空腹時に服用。 ◎赤白痢・熱痢。
#黄連飲[1]《東醫寶鑑》「人参2銭、黄連1銭半、炙甘草5分、青竹葉10斤、生姜1片」水煎服。 ◎心経に熱がある夜泣き。
#黄連飲[2]《聖済総録》《勿誤薬室方函》「甘草乾姜湯黄連」◎腸風、血を瀉す痢の如く、腹中痛し、面色萎黄の者。 #黄連温胆湯[1]《六因条辧》「黄芩2両、黄連・生地黄・知母各1両、甘草5銭」(雑病源流犀燭・臓腑門)
#黄連温胆湯[2]《六因条辧》「姜黄連・甘草・生地黄・当帰尾・赤芍薬・木通・連翹・防風・荊芥」(雑病源流犀燭・内傷外感門) #黄連温胆湯《中医処方解説》「温胆湯黄連」◎燥湿化痰、清熱理気。
#黄連丸[1]《東醫寶鑑》 =「抑青丸」「黄連(酒炒)or(姜汁炒)」作末して粥で作丸し、白湯で20~30丸呑む。◎心経の火をなくし、酒熱を治す。
#黄連丸[2]《備急千金要方》「黄連、生地黄」 #黄連橘皮竹茹半夏湯《臨床常用中薬手冊》「黄連、橘皮、竹茹、半夏、生姜、大棗」 黄連橘皮湯《外台秘要方》《勿誤薬室方函口訣》
[黄連4両、橘皮・杏仁・麻黄・葛根・枳実各2両、厚朴・甘草各1両」◎冬温に未だ即ち病まず、春に至って積寒の折むる所に被われ、発するを得ず、夏に至って熱を得、その春寒解け、冬温、毒始めて肌中に発す。
◎斑爛癮疹錦文の如くにして、咳し心悶し、清汁を嘔吐す。◎眼赤、口瘡、下部もまた瘡を生ず、已に自ら下利を得るを療す。◎此方は時毒の1証にて、頭瘟になれば小柴胡湯桔梗石膏、牛蒡芩連湯の之く所なれど、その邪、肌膚を侵して赤斑を発し、心煩下利する者に用いて効あり。
◎その一等劇しき者を「三黄石膏湯」《傷寒六書》とす。◎陰分に陥り内攻せんと欲する者は、「托裏挙斑湯」《瘟疫論》 #黄連解毒湯[1-1]《外台秘要方》《中薬臨床応用》「黄連5g、黄芩6g、黄柏6g、山梔子9g」水煎服。◎炎症性の煩躁◎意識朦朧◎譫語◎口乾
◎脈に力ある者。
#黄連解毒湯[1-2]《奥田謙蔵》「黄連3.6、黄芩・大黄・梔子各2.4」右四味を一包と為し、熱湯八勺中の之を漬し、須臾にして絞り、滓を去りて一回に温服する。◎心胸の間に毒有りて停滞し、或いは心下、之を按じて濡にして煩悶し、或いは心志定まらざる者を治す。《古方兼用丸散方》
#黄連解毒湯[1-3]《外台秘要方》 「黄連1銭、黄芩・黄柏・山梔子各2銭」◎時疾、煩悶に苦しみ、乾嘔、口燥し、呻吟、譫語し、臥するを得ざるを治す。◎此方は胸中熱邪を清解する聖剤なり。《勿誤薬室方函口訣》◎一名「倉公の火剤」とす。その目的は「梔子豉湯」の証にして熱勢劇しき者に用いる。
◎苦味に堪えかねる者は泡剤にして与える。◎煩悶に苦しみ、乾嘔、口燥し、呻吟・錯語し、臥するを得ざる者。◎清熱瀉火、解毒、清熱化湿、止血。◎大熱止まず、煩躁、乾嘔、口渇、喘満、陽厥極めて深く、蓄熱内に甚だしく、及び汗吐下後、寒涼の諸薬でその熱を退く能わざる者を治す。《傷寒活人書》◎三焦の実火にて内外皆熱し、煩渇し、小便赤く、口に瘡を生ずるを治す《傷寒活人書》◎黄連には、充血を去り、興奮を鎮める効がある。《大塚敬節》梔子には、充血を去り、煩躁を鎮める効がある。《大塚敬節》
【腹証】胸脇苦満や腹部膨満感がなく、心下がつかえるという程度。《大塚敬節》
【加減方】 「黄連解毒湯石膏・麻黄・香豉(又知母)」= 三黄石膏湯《傷寒六書》 【適応症】《矢野敏夫》 比較的体力があり、のぼせ気味で顔色赤く、イライラ傾向のある者の次の症状:「鼻出血」「不眠症」「ノイローゼ」「胃炎」「二日酔い」「血の道症」「めまい」「動悸」
【腹証】《矢野敏夫》 ★腹部の緊張は中等度良好。 ★腹直筋は上腹部がやや緊張。
【注意】《矢野敏夫》 <1>次の患者には、慎重に投与すること。 ○顔面および皮膚の血色が冴えず、胃腸機能の減退や内臓下垂の傾向を認め、手足などに冷えを自覚する者。
○精神的に抑うつ傾向のある者。
【ポイント】 <1>充血・炎症症状に対し抑制的に作用する。イライラ・不安・のぼせ症状、胃部のつかえ感、そのた出血傾向を目標にする。
<2>本剤を出血に用いる場合は、鮮紅色で勢いのあるものに用いる。 【参考】《矢野敏夫》 体力がやや弱く、皮膚の乾燥が甚だしい者(血虚)は、四物湯を合わせて温清飲として用いる。
★適応症及び病名 (黄連解毒湯) [1]噯逆(アイギャク):☆傷寒熱症、医誤って姜桂の薬を用い、火邪を助起し、相搏って逆する者を治す。《雑病翼方》☆傷寒にて伝経(ある証からある証へ病症が変化すること)熱症を医者誤りて姜桂の熱薬を用いて火邪を助け起こして、痰火相搏ち、而して噯逆する者を治す《万病回春》
[2]赤ら顔 ☆酒に酔ったような赤い顔をしている者には、三黄瀉心湯、黄連解毒湯、温清飲などを用いることが多い。赤い顔でも、頬の当たりだけが桃色になっている者には、麦門冬、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、苓桂味甘湯などを用いることが多い。
[3]イライラ[4]イボ:☆血疣:《方読便覧》[5]犬・ネコに噛まれたとき:☆狗猫鼠などの毒を解す。《勿誤薬室方函口訣》☆瘈狗傷(狂犬病)、外に「中黄膏杏仁人参甘草」を貼り、「黄連解毒湯木鱉子」を内服し、兼ねて「蟾蜍膾」を食する《先哲医話》[6]意識障害[7]咽乾[8]黄疸[9]怒りっぽい[10]かゆみ[11]牙疳:☆「+連翹犀角」《方読便覧》☆走馬牙疳:「+犀角地黄湯《備急千金要方》[12]鵞口瘡:☆「+薄荷・枳実・甘草」《方読便覧》 [13]喀血:☆[+地黄]
[14]川崎病 ☆川崎病の初期、発熱、発疹、結膜充血、不眠などを目標に用いる(漢方診療医典)[15]肝炎[16]肝火上炎[17]肝斑 [18]眼精疲労
☆充血、眼痛、のぼせ、種名、イライラがあり、腹力中等度以上で便秘はない(漢方診療医典)[19]感染症 [20]顔面紅潮[21]気の上衝<+>[22]気管支炎:☆化膿性に:「+桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》[23]気管支拡張症:☆「+桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》[24]急性胃腸炎[25]急性肝炎:☆湿熱ある者。
[26]急性感染症:☆インフルエンザ、日本脳炎、流行性脳脊髄膜炎、敗血症など。[27]急性胆嚢炎:☆湿熱ある者。[28]狂躁症:☆喜笑不止者を治す。[29]下血[30]下痢:☆膿血性、しぶる。☆細菌性の下痢。☆熱があって下痢する者は、通常柴芩湯であるが、一等甚だしい者は黄連解毒湯or柴胡解毒湯を用いる。《済世薬室》☆大熱有りて下利洞泄する者《勿誤薬室方函口訣》☆痧病などの熱毒深く洞下する者を治す。
[31]血尿[32]血崩: ☆「艾葉」《赤水玄珠》 [33]高血圧症:☆高血圧で不眠、のぼせ、顔面紅潮、気分が不安定:「釣藤鈎・黄蓍・魚腥草」。☆のぼせ、顔面潮紅、不眠、気分の不安定などの愁訴がある高血圧症患者に用いる。《大塚敬節》☆婦人の更年期障害に伴う高血圧症には、本方を用いる証が多い。《大塚敬節》☆重役婦人、46歳。1年前より月経が不調となり、その頃よりのぼせ、背部の灼熱感、動悸、多汗等の更年期症状を訴えていたが、最近、会社のストライキがもつれ、労働組合員が自宅にも押し掛けてきて、嫌がらせをするようになり、そのため、不眠、めまい等も訴 えるようになり、血圧も180-100となった。脈は浮でやや数、血色はよく赤味を帯びている。腹部は臍上で僅かに動悸が亢進しているだけで、特別の所見はない。大便は毎日1行ある。
私は、のぼせ、不眠、めまい、背部の灼熱感などを目標にして黄連解毒湯を与えた。これを飲むと、気分が落ち着き、睡眠薬を用いなくても眠れるようになり、10日後の来院で血圧は166-94となり、その後10毎の測定で、多少の上下はあったが、次第に血圧は安定し、3ヶ月たった頃は、最高150を越すこともなく、最低も90内外となった。《大塚敬節》
[34]口渇[35]口乾 [36]口苦[37]口内炎: (アフター性)☆「+甘草2.5g~3.0g」《大塚敬節》☆63歳男性。昭和6年5月頃、口唇の表皮が少し剥げていたが、自覚症状がないので、そのままにしておいた。6月も過ぎ、8月になっても依然としてよくならなない。その頃から医師にかかり始め、昭和7年2月に、私の診察をうけるまで、種々雑多の治療をくりかえした。そしてついに、最後に下された診断は、口唇ガンになるかも知れないということであった。
診ると、下唇の左半分に長さ1cm、幅0.3cmの浅い潰瘍がある。周囲はさほど硬くもないし、出血もない。刺激性の飲食物を食べるときに、少し痛むほか、自覚症状もない。ところで、口腔内をみると、舌も、頬の内面も、左側は、ところどころ紅くなって、爛れている。しかしこれらの部位もほとんど痛まない。私はこれに黄連解毒湯を与えたが、1週間分で、大いに軽快し、3週間分で全治した。《大塚敬節》
[38]更年期障害 [39]興奮しやすい[40]肛門出血[41]肛門掻痒[42]黒皮症:☆黄連解毒湯や白虎加桂枝湯の証があるが、黄連解毒湯が効く者が多い《大塚敬節》☆42歳の女性。3年前の春、急に顔が赤くなって、カユミを訴え、医師の手当を受けている間にそれが次第に黒くなって、顔一面に黒くなってしまった。医師はリール氏の黒皮症と診断したという。
大便は便秘がち、月経は順調と云う、目下はカユミはほとんど無いが、のぼせると言う。 そこで黄連解毒湯大黄を与えた。飲み始めて徐々に黒色が薄れ、6ヶ月後には全くの正常な色になった。ところが、その頃から月経が不順となって、時々背に灼熱感があり、ひどく発汗するようになった。
私は更年期障害と診断して、前方を連用し、この頃は、ほとんど灼熱感も、発作性の発汗も訴えない。《大塚敬節》[43]痔出血[44]衂血[45]歯痛[46]湿疹:☆みぞおちがつかえ、のぼせ気味で患部に熱感を覚える。☆発疹は赤味を帯び、かゆみがあり、乾燥していない。温清飲の場合は乾燥している。☆黄連解毒湯を用いるような湿疹でも、患部がひどく乾いて、油でも塗らないと堪えがたいようであれば、温清飲が良い。《大塚敬節》☆激しいかゆみに頓服。
☆「+荊芥連翹」で用いる《大塚敬節》 ☆55歳の婦人。血色も栄養もよい。昨年肝炎にかかった。ところが肝炎が治った頃から、湿疹が出来るようになった。この湿疹は顔面・肩・上肢の内側に診られ、発疹は赤く、その部分に熱感がある。時に動悸がある。食欲はあるが、胃潰瘍の気味があると云われたので、食事には注意しているという。脈は浮大数である。大便は秘結するので、下剤を飲むと云う。
私はこれに黄連解毒湯連翹荊芥大黄を7日分与えた。7日後に飲み終わって来院した時、患者はその効果に驚き、熱感が去り、カユミが減じ、大便が毎日快通するよいになったという。28日間の服用で全治した。《大塚敬節》☆58歳女性。頸部から肩に掛けて発疹、赤味を帯び、熱感がある。脈は浮でやや弦。腹診すると左脇下が硬く、臍上で動悸が亢進。大便は1日1行。血圧152-108。尿にタンパクなし、口渇があり、胃が重いという。私がのぼせるような感じは無いかと尋ねたところ、首から上がポカポカとあつく、酒に酔った時のような感じで、何となく乾く感じがあると云う。
以上の所見から連翹荊芥を与えた。7日後に、発赤、熱感が減じ、カユミも軽くなり、腹診上心下部の抵抗も減じ、血圧136-92 となった。2週間で良くなった《大塚敬節》[47]湿熱[48]重舌:☆重舌・木舌・紫舌等の症を治す《百々漢陰》[49]酒査鼻:☆酒毒を解する。[50]出血:☆炎症性の出血☆繭唇して出血《方読便覧》
[51]焦燥感 [52]情緒不安定 [53]小便赤色[54]食道炎: ☆食道、胃粘膜にビラン:「+大黄」[55]小児がはしかで鼻血[56]小児がはしかで高熱が続き煩躁[57]自律神経失調症状[58]心悸亢進:☆高血圧症や更年期障害からくる心悸亢進に用いることがある。
[59]心下痞 [60]心中懊[61]心煩[62]神経衰弱[63]神経性胃炎[64]神経症[65]身熱[66]ジンマシン:☆45歳の女性。2ヶ月前からジンマシンができ、みずおちに塊のようなものが出来ると、ひどくなるという、大便は1日1行。月経は順調。
十味敗毒湯を与えた。20日間服用したがまったく効かない。そこで口渇があるというのを目標にして白虎加桂枝湯にして。少し良いようだと云う。1ヶ月続けるが、やっぱり出るという。夜間がひどいと云う。そこで瘀血を疑って桂枝茯苓湯とする。これを飲むと ひどく悪い。そこでまた白虎加桂枝湯にとする。これでだいぶん良い。腰と足にだけ出る。その他は良い。大きいのは出ない。小さいのが出る。口渇は無くなったが、食事を始めると胸がやけるようになったという。腹診すると鳩尾がつかえ、自分ではここに塊があるように感じるという、そこで黄連解毒湯にしたら、20日で完全に治った。《大塚敬節》
[67]髄膜炎[68]頭痛:☆食物が胃に停滞して始終腹が張り、のぼせて顔色が赤く、頭痛を訴える者。☆高血圧症、動脈硬化症の頭痛。☆便秘があれば→「三黄瀉心湯」
[69]精神不安[70]精神病 [71]舌質<紅> ☆辺縁の紅潮あり《矢野敏夫》 [72]舌苔<白~黄膩>[73]譫語:(センゴ=うわごと)☆譫妄一証は即ち毒火太盛、邪熱心を侵し、神昏するなり、疹未だ出ざる者は黄連解毒湯加味に宜し
《麻疹心得続録》[74]喘息:☆咳して喘息し、面赤く潮熱あり、脈洪大を治す《病機彙編》 [75]瘡瘍:☆惞痛し、煩躁し、冷を飲み、脈洪数の者《先哲医話》[76]立ちくらみ[77]打撲[78]丹毒:☆「牡丹皮・升麻・芍薬・紫草・甘草」《方読便覧》[79]血の道症:☆赤ら顔で、のぼせ、不眠、心悸亢進、鼻出血があり、イライラして精神が不安定な者。
[80]中毒:☆腐薬瞑眩、その証微なる者は悪寒発熱し、或いは渇し、或いは飲食進まず、劇しき者は、煩渇、或いは煩悶、その毒、心下に迫って、遂に命期を促すに至る。急に当に之を救うべし、[黄連解毒湯][甘連加石膏湯][緑豆湯]などに宜し。《先哲医話》☆32歳男性。6年ほど前、砒素剤を服用したところ、顔の毛細血管が赤く透けて見えるようになり、鼻翼・頬部・眼瞼は特にひどくなり、どうしても、治らないと云う。
患者は背が高くて、色の白い方で、脈は浮大、白苔がある。大便は1日1行。 私はこれに黄連解毒湯葛根紅花を与えた。すると徐々に毛細血管が見えなくなり、約1年で全治した。なぜ葛根紅花を加えたかというに、《有持桂里》の《方輿輗》には葛根紅花湯という処方を酒渣鼻に用いてあり、これにヒントを得たのである。《大塚敬節》[81]ツバがたまる:☆口に唾液の溜まるものに、人参湯や甘草乾姜湯のような裏を温める作用のある処方を用いて良いものと、黄連解毒湯や瀉胃湯のように、裏を冷却せしめる作用のある処方を用いて良いものとある。黄連解毒湯や瀉胃湯の場合は、患者に寒性の症状が無く、顔色も赤味を帯び、唾液も粘稠で、しばしば口臭を覚え、脈も浮数の傾向がある。口内炎のため粘液の分泌が増加して、よだれの出るというような時にこれらの処方を用いる機会がある。《大塚敬節》[82]手足が温かい[83]動悸:☆酒に酔って、ひどく動悸する者に用いる《大塚敬節》☆火傷を受けて興奮状態になって、動悸する者に用いる。《大塚敬節》☆からだ中で動悸がして、夜もよく眠れないという53歳の女性が診を乞うた。痔核があって某医院で注射をしてから、そうなったのだという。ことに肛門から外陰部で動悸するという。よく訊ねると、全身に熱感があって、あちらこちらで脈が打つのを感ずるという。心臓に故障はなく、心下部の動悸は亢進していない。私はこれを更年期障害と診断して、本方を与えたところたちまち良くなった、《大塚敬節》[84]吐血:☆上焦熱極にして鮮紅を吐血するを治す:「+生地黄・犀角」
[85]軟便:☆陽毒熱極等の証、あるいは下後、便軟に壮熱已まず、此方に宜し。《傷寒翼方》[86]日本脳炎[87]尿路感染症☆湿熱ある者。[88]熱性ケイレン[89]熱性病:☆内熱太甚だしく、大熱、大渇、大煩する者:「+白虎加湯」《傷寒翼方》☆熱病の後の余熱に用いる方剤に竹葉石膏湯がある。これと黄連解毒湯との違いは、例えば竹葉石膏湯は火が燃えたあと余熱が残って、ほのかに温もりがあるという程度であるのに対し、黄連解毒湯は灼けて、焦げ付いたという感じである。《大塚敬節》[90]熱毒下血:☆(排便後に黒色を帯びた下血。腹痛がある。)[91]ノイローゼ[92]脳溢血[93]脳出血後遺症[94]脳卒中[95]のぼせ:☆顔面が酒でも呑んだ様に潮紅を呈し、気分がイライラして落ち着かず興奮傾向のある者。《大塚敬節》
☆多血症・高血圧症の者に用いる機会が多い。《大塚敬節》☆便秘の傾向があれば三黄瀉心湯を、不眠傾向があれば黄連解毒湯を用いる《大塚敬節》 ☆皮膚乾燥気味、顔面熱感(表面上赤くなくても良い)を目標にする《矢野敏夫》[96]肺炎[97]肺化膿症☆「桔梗石膏小柴胡湯」《中医処方解説》[98]敗血症:☆疔毒心に入り、口乾、煩悶、恍惚、脈実なる者を治す:
「連翹・甘草・牛蒡子」《外科正宗》「連翹・甘草・牛蒡子・石膏・犀角」《本朝経験》☆気迫する者:「沈香」《方読便覧》[99]排尿痛 [100]発熱:☆高熱が多い。☆1男子、原因不明の高熱が数日続き、抗生物質を用いて下熱したが、口唇は乾燥して裂け、舌は乾いて全くしめりなく、水を欲するも、呑もうとすると悪心があり食欲なく、うとうととするも何となく不安で安眠を得ない。脈は沈で力がある。
私はこれに黄連解毒湯を用いたが、2日後には口内にしめりを生じ、食欲が出で、安眠を得るようになった。《大塚敬節》☆発熱後、日数を経て余熱が内にこもり、舌は乾燥し、時には、黒苔を生じ、胸苦しく、口が渇き、悪心、不眠などのある者に用いる。この際、体の表面にくわっくわっとした浮かび出た熱はなく、深く沈んでこびりついたものによい。
皮膚もガサガサとして湿りがない。脈は沈んで小さくても力がある。腹にも底力がある。《大塚敬節》☆悪風や悪寒のある場合には、この処方ではない《大塚敬節》☆火傷のため、激しく発熱し、重篤の症状を呈する者に用いる。《大塚敬節》[101]煩渇[102]ヒステリー[103]鼻出血:☆衂血清涼の治法なり:「連翹」《本朝経験》[104]皮膚掻痒症:☆(かゆみ激しい<+++>)[105]皮膚の化膿:☆熱があるもの。[106]表層性胃炎[107]疽:☆疽並びに手指一切の腫瘍、金瘡、損傷を治す「石膏甘草」《方読便覧》[108]腹部有力[109]二日酔い[110]不安感[111]不眠症:☆頭が冴えてなかなか眠れない。☆気分が落ち着かず、つまらない事が気にかかり眠れない。☆イライラして眠れない。☆のぼせて眠れない。☆高血圧症、更年期障害のときの不眠に用いる機会がある《大塚敬節》☆55歳女性。8年前、子宮の全摘と片方の卵巣とを摘出した。主訴は頭重、めまい、不眠で、いつも頭に何かかぶっているようで、気分が重いと云う。この症状は5、6年前から起こり、その間、電撃療法を3回受けたが、あまりよくならなかった。便通は毎日有り、食欲は少ない。舌には白苔がある。この白苔は、毎晩のんでいる眠り薬のためかも知れないと患者は云う。診察が終わったあと、患者は、家の中の汚れが気になったり、食事のまずいのが気になると、追加した。
私はこれに黄連解毒湯を与えたが、1週間分を飲み終わって来院した時、患者は次のように云った。 朝、眼が醒めると、頭が重く、何かかぶったようになり、同時に肛門が締まって苦しいが、軟便が出ると楽になる。その時、舌がしぶいように感ずる。
私はこんな訴えによって、処方を変えることなく、前方を与えた。すると、次の1週間分を飲むと、肛門の締まりが減じ、よく眠れるようになった。めまいも頭重も軽くなった。ただ寝ていると、夜間口にツバがたまって困ると言う。
私は迷った。口につばが溜まるというのは、裏に寒があるためで、この裏寒を温めるには、人参湯を用いなければならないのではないか?黄連解毒湯は裏熱を去る効があるから、これで胃を冷却し過ぎたかも知れない。しかし、いま一度前方で押し通してみようと決心し、黄連解毒湯を与えたところ、口のツバも溜まらなくなり、神経症状も消散した。この時のツバは、裏寒のためのものではなかったらしい。《大塚敬節》[112]ベーチェット病:☆24歳の女性。数年前から繰り返し、口中に潰瘍が出来て、どんなことをしても治らない。医師はベーチェット氏病と診断したという。 患者は中肉中背で色白く、潰瘍が一時外陰部にも出来たことがあるが、主として口中に出来るという。大便は1日1行で、快通し、月経は正常。腹部は臍部でやや動悸を触れる。食欲はあるが、痛みのために十分食べられない。やや不眠の傾向がある。こんな状態であったから、私は黄連解毒湯に山豆根2.0を加えて用いたところ、10日頃から、潰瘍の治癒が速くなり、後から後から出来ていたのが少なくなり、3ヶ月で全治し、その後2ヶ月ほど服用した、それから2年になるが再発しない。《大塚敬節》
☆粘膜症状の急性期で熱感や疼痛の強いものに用いる(漢方診療医典)[113]便秘 「+大黄」=黄解丸 [114]胞衣が下らない:☆新産息胞、憂思百端、気逆耳鳴眩迷す:「紅藍花」《本朝経験》[115]発赤[116]麻疹:☆疹未だ尽きず、怫々として発熱し、煩悶寧らざる者を治す。☆発せず、内欝煩悶、面熱し、赤斑皮中に隠々し、発透する能わざる者:「牛蒡子・甘草・大黄」《麻疹心得続録》☆毒熱壅滞し因って面赤、身熱、譫語、煩渇、疹色赤紫にして黯を帯びる者、先ず「化斑湯」を与え、差えざる者は「牛蒡子・甘草・大黄」を用いて一下すべし。《麻疹心得続録》[117]むち打ち症[110]胸苦しい(心煩)[111]めまい:☆のぼせたり、興奮したり、脳充血を起こしたりしたときのめまいに用いる《大塚敬節》[112]目が熱っぽい[113]目の充血[114]目眩[115]裏急後重[116]流行性脳脊髄膜炎
#黄連解毒湯[2-1]《活人書》《漢方後世要方解説》「黄連・黄芩・黄柏各3、山梔子2、《万病回春》には更に加うるに柴胡・連翹・芍薬各2」◎三焦の実火、内外皆熱し、煩渇し、小便赤く、口瘡を生ずるを治す。◎一切の火熱、表裏倶に盛にして、狂躁煩心、口瘡咽乾大熱し、乾嘔錯誤して眠らず、吐血衂血し、熱甚だしく発斑するを治す《医方集解》◎此方は三焦の実火、内外皆熱すと云うのが目的で、半表半裏の熱にも非ず、凉膈散、白虎湯、承気湯の熱にも非ず、日数を経たる残余余熱を解するものである。熱永びき津液枯れて皮膚枯燥し、実熱あれども既に脈沈細にして力あり、腹堅にして結毒深く固着する者に用いる。又、瀉心湯の意を以て諸実火の出血、喀血、吐血、衂血、下血、血漏等に広く用いられる。単独にても用いるが、四物湯その他と合方或いは加減して用いることが多い。
「黄連」=心脾胃の瀉火を主とす。「黄芩」=肺、大腸小腸の瀉火剤「黄柏」=腎、膀胱の瀉火剤「梔子」=心包、三焦の瀉火剤「柴胡」=肝、胆の瀉火剤「連翹」=心、脾の瀉火剤。
#黄連解毒湯[2-2]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》「黄連・山梔子各2.0g、黄芩・柴胡各3.0g、黄柏・連翹各1.5g」◎煩悶、乾嘔口燥、呻吟、錯語、不眠、出血。
★適応症及び病名(黄連解毒湯) [1]急性熱病: ☆熱性諸病の余熱《矢数道明》[2]出血: ☆喀血・吐血・衂血・便血・子宮出血《矢数道明》 ☆熱淋出血《矢数道明》[3]頭痛:
☆52歳男性。 「体格は太って、おなかがちょっと出ている。誰が見ても健康そのものに見えるが、本人はいつも頭痛がして仕方ないという。A医院で血圧を測ると、少し高いので、頭痛はそのせだと言われ、降圧剤をもらって飲んだ。しかし頭痛はいっこうに良くならない。
B医院で改めて見てもらうと、年齢にしては当然の血圧で、之が原因で頭が痛むとは考えられない。女の更年期障害みたいなもので、しばらく我慢しなさい--と言われた。
そこで管ぽいを訪ねたところ、黄連解毒湯を勧められ、飲み始めたところ、たちまち気分が落ち着いてきて頭痛はすっかり消えてしまったと言う。」《山田光胤》
[4]精神分裂病 ☆20歳男性。 「被害妄想がひどく、激しい興奮状態にあったので、大学病院で電気ショック両方を受けたところ、一応興奮状態だけはおさまった。しかし、「ある人に呪われている、自分の体が異常状態に陥れられている」という妄想と異常感覚だけは、どうしても消えない。
試みに、黄連解毒湯を3ヶ月ほど服用させてみたところ、次第に妄想も消えて、すっかり元通りになってしまい、以後7年間、立派に働いている。」《山田光胤》[5]痘瘡:[6]発狂喜笑: ☆狂乱喜笑不止《矢数道明》[7]皮膚病[8]麻疹:《矢数道明》
#黄連解毒湯[3]《外科正宗》「黄連・黄芩・黄柏・山梔子・連翹・甘草・悪実各等分」 ◎疔毒心に入り、内熱、口乾、煩悶、恍惚、脈実なる者を治す。
#黄連化痰丸《東醫寶鑑》「黄連・呉茱萸各1銭半、陳皮5銭、半夏1両半」粉末にし、姜汁糊で緑豆大の丸剤。姜湯で100丸呑む。 ◎熱痰と咳を治す。
#黄連橘皮湯《外台秘要方》「黄連4両、橘皮・杏仁・麻黄・葛根・枳実各2両、厚朴・甘草各1両」◎斑爛疹錦文の如くして咳し心悶し、清汁を嘔吐す。眼赤・口瘡・下部も亦瘡を生ず、已に自ら下利を得るを療す。
黄連鶏子湯⇒黄連阿膠湯。 #黄連膏《医宗金鑑》 「黄連・黄柏・姜黄各12g、当帰尾20g、生地黄40g、胡麻油480gを用いて各薬と共に煎じて枯らし、渣を去り、きれいに濾し、黄蝋160gを加えて火にかけて、膏とする」
#黄連香薷飲《東醫寶鑑》 =「黄連香薷散」「香薷3銭、厚朴1銭半、黄連7分半」を剉作1貼し、酒を少し入れ水煎し、冷服する。 ◎中暑と熱渇を治す。
【加減方】[四苓散白芍薬・梔子(炒)](熱泄で、口が乾き冷たいものを好み、痛みと瀉が交互に来る) #黄連犀角湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄連・犀角・烏梅・木香・桃仁各1銭」剉作1貼、水煎服。◎狐惑を治す。
#黄連犀角湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄連1両半、犀角1両、烏梅7分、木香7分、桃仁」水煎し温服。◎傷寒、孤惑にて其の症、四肢沈重、食気を聞くを悪み、黙々をして臥せんと欲し、目閉じ、舌白く、面目の間黒色にして変易常ならず、下部を虫食し、狐となり、而して唇下に瘡あり、其の咽乾き、其の臓を虫食し惑となる。 (孤惑=コワク、うたがいまどう)
(孤=陰部潰瘍、惑=咽喉部潰瘍)◎上唇瘡ありて声唖するを治す。 #黄連犀角湯[2]《医林集要》「黄連犀角湯《万病回春》桃仁」 #黄連散《東醫寶鑑》「大黄(醋炒)2両、黄芩・黄連・甘草各1両」を細末にし、温水で2銭づつ1日2回服用。
◎黄疸で熱が壅寒し、二便が秘渋する者
#黄連地黄湯《東醫寶鑑》「黄連・生地黄・天花粉・五味子・当帰・人参・葛根・白茯苓・麦門冬・甘草各1銭、生姜2、大棗1、竹葉10」水煎服。 ◎三消(糖尿の)を治す。
#黄連地黄湯《万病回春》《古今方彙》「黄連・生地黄・括楼根・五味子・当帰・人参・乾葛・茯苓・麦門冬・甘草各1銭、生姜・大棗・竹葉:水煎。 ◎三焦渇するを治す。神の如し。◎上焦渇する者:「山梔子桔梗」◎中焦渇する者:「黄芩」◎頭眩し渇止まざる者:「石膏」◎下焦渇する者:「黄柏知母」
#黄連瀉心湯《東醫寶鑑》 「黄芩2両、黄連・生地黄・知母・各1両、甘草5銭」細切りにし、毎回5銭づつ水煎服。 ◎狂疾を治す。
#黄連清心飲《東醫寶鑑》「黄連・生地黄・当帰・甘草・茯神・酸棗仁・遠志・人参・蓮肉」各等分を粉末にし、毎回5銭煎服。 ◎精が泄するのを調整する。
#黄連清膈丸《東醫寶鑑》「麦門冬1両、黄連5銭、黄芩(鼠尾)3銭」粉末にし、緑豆大の丸剤。温水で20~30丸呑む。 ◎心肺間の熱を治す。
#黄連清化丸《東醫寶鑑》「半夏1両半、黄連1両、陳皮5銭、桃仁20個、呉茱萸1銭」を粉末にし、神麹糊で緑豆大の丸剤。姜湯で100丸呑む。 ◎呑酸を治す。
#黄連消痞丸《東醫寶鑑》「黄芩・黄連(炒)各6銭、枳実(麩炒)5銭、半夏(製)4銭、姜黄・白朮・沢瀉各3銭、人参・陳皮・厚朴各2銭、猪苓1銭半、縮砂・乾姜・神麹・甘草各1銭」を粉末にし、梧子大の丸剤。白湯で100丸呑む。
◎心下の痞が治らない者。 #黄連消毒散《東醫寶鑑》「黄連・羗活各1銭2分、黄芩・黄柏・藁本・防已・桔梗各7分、生地黄・知母・独活・防風・連翹・当帰尾各6分、人参・甘草各5分、蘇木・陳皮・沢瀉・黄蓍各4分」
◎癰疽が背中に出来、痛まない。 #黄連消毒飲《寿世保元》《古今方彙》「黄連・羗活各1銭、黄芩・黄柏・藁本・防已・桔梗・当帰尾各5分、生地黄・知母・独活・防風・連翹各4分、黄蓍・人参・甘草・陳皮各3分、蘇木・沢瀉各2分」水煎服。◎附骨疽を治す神方なり。
#黄連竹茹湯[1-1]《東醫寶鑑》「黄連(姜汁炒)・山梔子(炒黒)・青竹茹各1銭、人参7分、白朮・赤茯苓・白芍・陳皮・麦門冬・甘草各5分、大棗2枚、梅1個」煎服。
◎胃に熱があって嘔吐・煩渇し、脈の早い症。
#黄連竹茹湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「黄連(姜汁炒)・山梔子(炒黒)・竹茹各1銭、人参5分、白朮・茯苓・白芍薬(炒)・麦門冬・甘草各3分、炒米1撮、烏梅1個、陳皮3分、棗肉」水煎。
◎胃熱にて煩渇吐するを治す。◎発熱には:「柴胡」
#黄連竹茹湯[2]《万病回春》《古今方彙》「砂仁・沈香・木香・茴香各5分、紫蘇子8分、甘草2分、黄連・竹茹・山梔子・陳皮・半夏・麦門冬各1銭、烏梅1個」煎服。
◎胃中に痰ありてを発するを治す。 #黄連通聖散《東醫寶鑑》 「防風通聖散黄連(酒炒)・薄荷葉」◎濁った鼻水が止まらない症。
#黄連猪肚丸[1]《東醫寶鑑》「雄猪肚1個、黄連5両、麦門冬・知母・瓜蔞根各4両」を粉末にし、猪肚の中に入れ、ひもで結び、肚を堅く封じて蒸し、臼でついて蜜を少し入れ、梧子大の丸剤。米飲で100丸呑む。
◎消渇・消中と強中症を治す。
#黄連猪肚丸[2]《東醫寶鑑》「黄連・小麦(炒)天花粉・茯神各4両、麦門冬2両」を粉末にし・雄猪肚1個に入れて封をし、蒸してついて梧子大の丸剤。米飲で70~90丸飲む。◎強中症に、石子薺苨湯を飲んだ後、この丸を飲む。
#黄連湯[1-1]《傷寒論》「黄連3両、甘草(炙)3両、乾姜3両、桂枝(去皮)3両、人参2両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚」 右七味、以水一斗、煮取六升、去滓、温服。晝三夜二。◎傷寒、胸中有熱、胃中有邪氣、腹中痛、欲嘔吐者、黄連湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七
「胸中熱」=現代医学で熱という場合は、体温の上昇を意味するが、個々では熱感の意で、あつく感ずること(大塚敬節)
#黄連湯[1-2]《東醫寶鑑》「黄連2銭、人参1銭半、半夏1銭2分、乾姜・桂枝各1銭、甘草5分、生姜3、大棗2」水煎服。 ◎腹痛と嘔吐。上に熱があり、下が冷える者。
#黄連湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》「黄連3g、半夏9g、乾姜3g、桂枝3g、党参9g、甘草3g、大棗15g」水煎 服。 ◎胃寒による腹痛、嘔吐。◎胸が暑苦しい
#黄連湯[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》「黄連・甘草・乾姜・人参・桂枝・大棗各3、半夏5」◎心煩、心下痞硬し、腹痛、嘔吐、上衝する者を治す。《吉益東洞》
◎熱病、心下痞し、胸中熱煩し、心腹痛みて吐せんと欲し、その人、頭に汗出で、心下悸して臥すこと能ざる者は、黄連湯之を主ドル《医聖方格》 ◎此方は胸中有熱、胃中有邪気と云うが本文なれども、《喩嘉言》が湿家下之舌上如胎者、丹田有熱、胸中有寒、仲景亦用此湯治之の説に従って、舌上如胎の 4字を一徴とすべし。《勿誤薬室方函口訣》◎此症の胎の模様は、舌の奥ほど胎が厚くかかり、少し黄色を帯び、舌上潤いて滑らかなる胎の有る者は、たとい腹痛無くとも、雑病乾嘔有りて諸治効無きに決して効あり。腹痛あれば尚更のことなり。
◎此方は「半夏瀉心湯黄芩桂枝」なれども、その効用大いに異なり。甘草乾姜桂枝人参と組みたる趣意は「桂枝人参湯」に近し。但し彼は恊熱利に用い、此は上熱下寒に用いる。黄連の主薬たる所以なり。また案ずるに、此の桂枝は腹痛を主とす。即ち「生地黄湯」《備急千金要方》の桂枝と同趣旨なり。《勿誤薬室方函口訣》◎胸熱胃寒、腹痛嘔吐。◎和胃降逆、消痞止痛、止瀉、清熱、調和腸胃。《中医処方解説》◎黄連湯(胸中煩熱、胃中有寒、腹痛<臍上>、胃のもたれ感、食欲不振、嘔吐、口臭、舌苔<黄白色>湿潤)
【腹証】《腹診配剤録》 “心下に物無く、上中脘の辺に凝り有りて痛み、食臭を聞けば、則ち嘔せんと欲す” 《矢野敏夫》 ★腹壁全体の緊張良好《矢野敏夫》
★適応症及び病名 (黄連湯) [1]噯気[2]イライラ[3]胃液分泌過多症[4]胃炎 [5]胃潰瘍[6]胃カタル[7]胃ガン[8]胃酸過多症[9]胃部の不快感☆(停滞・重圧感)☆脈微緩にして、胸腹部に不快感あり、心下部殊に膨満するも、之按ずるに軟、時に嘔吐を発せんとする証《奥田謙蔵》☆飲酒過度、あるいは宿酔等《奥田謙蔵》[10]胃部の疼痛[11]嘔吐:☆厥、復し、発熱心煩し、嘔吐除かず、飲食を欲せざる者。☆霍乱、疝瘕、攻心腹痛し、発熱、上逆し、心悸して嘔吐せんと欲し、及び婦人の血気痛、嘔して心煩し、発熱、頭痛する者を治す《類聚方広義》☆半夏瀉心湯の黄芩の代わりに桂枝を入れたもので、腹証は半夏瀉心湯と同じく心下痞があり、腹痛・嘔吐を目標として用いる《大塚敬節》
[12]気の上衝<> [13]急性胃カタル [14]急性胃腸炎 [15]急性虫垂炎 [16]胸中煩熱:☆半夏瀉心湯の証にして、下利せず、胸中熱ある者なり。《傷寒論識》☆胸部に熱煩、欝満の感ありて食欲欠損し、時に胃痛んで堪ふ可らず、二便に著変なき証《奥田謙蔵》☆胸部に煩熱を覚え、或いは腹痛し、或いは便通不整にして、脈弦数なる証《奥田謙蔵》☆胸中煩熱し、心下部膨満し、或いは喘し、或いは嘔吐し、或いは腹痛し、両便に著変なく、脈微しく弦なる証《奥田謙蔵》[17]下痢:(腹痛ある者)
☆腹痛・嘔気ある者に。《荒木正胤》☆腹痛なく雷鳴し、水瀉性の下痢は、生姜瀉心湯を考える。《済世薬室》☆下痢性疾患にして、腹痛し、嘔気ある証《奥田謙蔵》
[18]口臭 [19]口角糜爛症(びらん、のぼせあり)[20]口内炎(口臭がある)[21]更年期障害☆胸中煩悶、みずおちつかえ、頭痛、吐き気ある者《荒木正胤》[22]コレラ[23]回虫 [24]自家中毒[25]十二指腸潰瘍[26]消化不良 [27]自律神経失調症状[28]歯痛 [29]十二指腸潰瘍 [30]上熱下寒[31]上腹部の疼痛:☆(心下~臍上)[32]舌苔<微白~黄白>☆厚い白苔の現れることが多い《大塚敬節》[33]大腸炎[34]胆石症[35]血の道症[36]虫垂炎:☆急性初期で嘔吐・腹痛<劇痛>[37]腸炎・腸カタル[38]テンカン[39]腹痛:☆霍乱吐瀉止まず、心腹煩痛する者を治す《先哲医話》☆痘疹熱毒胃中にあり、腹痛する者《傷寒翼方》☆この方は心下痞硬よりも腹痛を目標にして用いる。もし心下痞硬が著明であれば半夏瀉心湯などの瀉心湯類を用い、それで痛の止まない時にこの方を用いる。《大塚敬節》☆この方の腹痛は、みずおちと臍の中間あたりから起こるものに良い。《大塚敬節》☆嘔吐は無くても良い。《大塚敬節》☆食傷や急性の胃炎などの腹痛に用いることもある。この際には舌に白苔が厚くかかることが多い。《大塚敬節》[40]二日酔い:☆頭痛・吐き気ある者《荒木正胤》 [41]ノイローゼ[42]肺結核[43]慢性胃炎[44]虫歯[45]盲腸炎[46]卵巣機能障害
#黄連湯[2-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「黄連(酒炒)・生地黄(酒洗)・麦門冬・当帰(酒洗)・赤芍各1銭、犀角・薄荷・甘草各5分」水煎服。 ◎口唇の瘡。又は舌が裂け、舌先の出血。
#黄連湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》「薄荷葉・犀角・甘草各5分、黄連・山梔子・生地黄・当帰・芍薬・麦門冬湯各1銭」水煎し食遠に服用。 ◎心下舌上に瘡を生じ、或いは舌上腫れ燥き裂け、或いは舌尖出血し、或いは舌硬きを治す。
#黄連湯[3]《東醫寶鑑》「黄連・当帰各2銭、甘草1銭」煎服。 ◎大便のあと下血し、腹が痛まない者。
#黄連二陳湯《中医処方解説》「二陳湯黄連」
#黄連茯苓湯《東醫寶鑑》「黄連・赤茯苓・各1銭2分半、麦門冬・通草・車前子・遠志各7分半、半夏・黄芩・甘草5分半、生姜7、大棗2」水煎服。 ◎上下に寒を受けて、たわごとを言い、妄心・疼痛・咳嗽・寝汗のある者。
#黄連補腸湯《東醫寶鑑》「黄連4銭、赤茯苓・川芎各3銭、石榴皮5片、地楡5銭、伏竜肝2銭」水煎服。 ◎大腸が冷え、青白色の便を下す者。
#黄連木香湯《東醫寶鑑》「白芍(炒)2銭、白朮1銭半、黄連(炒)・木香・縮砂(研)・黄芩(炒)・陳皮・当帰(酒洗)各1銭、甘草5分、生姜3片」水煎服。
◎瘧疾後の痢疾を治す。
#黄蝋膏《東醫寶鑑》「清油5銭を弱火で煮て、黄蝋1塊を入れて又煮る。胡粉・五倍子末を少しづつ入れて煎じ、紫色になったらOK。まず患部を熱湯で洗って乾かした後、膏をつける。
◎凍傷で痛む者。
#鴨子煎《東醫寶鑑》「生姜(年少者100銭、年老者200銭)を搗いて自然汁を取り、卵1個を姜汁に入れて混ぜ、煎じて8分ぐらいになったら蒲黄3銭を入れ、再煎し、温服。
◎子癇を治す。 ◎子痢を治す。
#応鐘散《吉益東洞》=「芎黄散」。「應鐘散」「川芎・大黄各2両」右2味、杵き篩い作末。毎服6分、酒或いは湯にて送下。知らざれば稍加えて1銭に至る。下を以て度と為す。若し結毒、痼疾あるものは、毎夕、臥に臨みて之を服す。◎諸々の上衝。轉変して治すべからざるものを治す。
★適応症及び病名(応鐘散) [1]肩こり[2]血圧上昇[3]頭痛[4]動悸[5]のぼせ ☆便秘に伴うのぼせ。[6]便秘[7]めまい #応神黒玉丹《東醫寶鑑》「猬皮4両、諸懸蹄2隻、牛角猬3両、乱髪霜・敗棕2両、槐角1両半、苦楝根1両2銭半、雷丸・脂麻各1両を剉砕して缶に入れ、火煆して粉末にし、そこに乳香5銭、麝香2銭を入れて混ぜ、酒糊で梧子大の丸剤。先に胡桃肉1個を入れてかじり、温酒で30~50丸夕食前に呑む。◎五痔と諸痔。(→病状し)
#応痛元《東醫寶鑑》「生姜朮・破故紙(半生半炒)・骨砕補・穿山甲(桑灰炒為珠)・生草烏各2両、茴香1両半に草烏を細かく切って連皮生姜4両とっておいて一夜おき、焙って乾かし、前の薬と作末して酒糊で梧子大の丸剤。温酒で50丸呑む。
◎折傷後に風寒湿の為手足が痛む。
#嘔血一方[1]《寿世保元》《古今方彙》「当帰・川芎・芍薬・生地黄・梔子」水煎し服するに臨み「童便・韮汁(少許)」入れる。 ◎先づ悪心し、而して血を嘔する者を治す。これ多くは怒気逆するに因るなり。◎《厳氏済生方》には欝金あり。◎痰あれば:「竹瀝」
#嘔血一方[2]《寿世保元》《古今方彙》 「黄蓍、人参、黄柏、荊芥、当帰、生地黄」水煎温服。◎血を嘔し、脉大にして発熱し、喉中痛む者を治す。これ気虚なり。
#嘔血一方[3]《寿世保元》《古今方彙》 「当帰、生地黄、桔梗、通草、牡丹皮、括楼仁」水煎温服。◎怒気逆甚だしく、而して嘔血する者を治す。
#嘔吐一方[1]《済世全書》《古今方彙》「人参、半夏、生姜」蜜(少許)入れ水煎。◎気虚し痰あり嘔吐する者を治す。◎また、反胃を治す。
#嘔吐一方[2]《寿世保元》《古今方彙》「藿香・厚朴・陳皮・白朮・半夏・茯苓各1銭、砂仁(炒)5分、枇杷葉3片、甘草3分、生姜」水煎。 ◎大腸結燥し、嘔吐止まず湯薬入らざるを治す。◎老人虚人に多く此症あり。◎幽門通ぜずして竅門泛満(のどにあふれて一杯になる)の症、法は須らく先づ「蜜導煎」を以てその幽門を通じ、然る後に薬を服すべし。
#罌栗蘇子湯《后字二三六部隊》《中薬臨床応用》「罌栗殻・蘇子・烏梅・五味子各6g、地竜・杏仁各9g、半夏8g」水煎服。◎慢性の咳嗽
#乙字湯[1-1]《原南陽》《中医処方解説》「柴胡5g、升麻2g、黄芩3g、甘草(炙)3g、大棗3g、生姜2g、大黄1g」 (原方)
#乙字湯[1-2]《原南陽》《漢方後世要方解説》「柴胡5、当帰6、黄芩3、升麻1、甘草2、大黄0.5」 大黄は便通の如何により去加する。◎此方は種々の痔疾に用いられる。特に痔疾の疼痛、出血、肛門裂傷などに良い。◎筆者《矢数道明》は長浜氏の駆瘀血丸を以て屡々効を得ている。「柴胡、升麻」=湿熱清解の効あり。「当帰」=滋陰通和の能あり。「黄芩」=裏熱を清解する。
#乙字湯[1-3]《原南陽》《龍野一雄》「唐大黄1~3g、柴胡4g、升麻1.5g、甘草3g、黄芩3g、当帰5g」◎実証の痔、脱肛、痔出血。
#乙字湯[1-4]《勿誤薬室方函口訣》「乙字湯《原南陽》原方大棗・生姜当帰」 ◎痔疾脱肛の痛楚する、あるいは下血腸風、あるいは前陰痒痛する者を理す。◎諸瘡疥、誤って枯薬にて洗傅し、頓に癒ゆる後、上逆鬱冒、気癖の如く、繊憂細慮、あるいは心気不定の如き者、並びに之を主る。《原南陽》◎此方は《原南陽》の経験にて、諸痔疾、脱肛、痛楚甚だしく、或いは前陰痒痛、心気不定の者を治す。◎南陽は柴胡・升麻を升提の意に用いたれども、やはり湿熱清解の功に取るがよし。
◎そのうち、升麻は古より「犀角」の代用にして止血の功あり。◎此方は「甘草」を大量にせざれば効なし。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名 (乙字湯)
[1]イボ痔(痔核):☆私はこの方を痔核に用いる時は、「大黄桃仁・牡丹皮・魚腥草」とする。便秘がひどいときは大黄を入れるが、そうでなければ入れない。桃仁・牡丹皮を入れるのは、痔核を瘀血とみて、瘀血を治する作用のあるこの2味を加えるのである。魚腥草には緩下と止血の作用があるので加える。《大塚敬節》
[2]陰部掻痒症[3]下血:☆臓毒による:「桃仁・人参」《方読便覧》[4]肛門裂傷:《矢数道明》 ☆この処方は原南陽の経験方で、いろいろの痔疾患に用いられる。とくに痔核の騰津、出血、肛門裂傷などによい。便通の状態によっては大黄を去るのがよい。大塚氏はこれに桃仁、牡丹皮、魚腥草(ドクダミ)を加えて用いた(漢方診療医典)」
[5]痔の疼痛:☆痛み甚だしい者:「乳香」《済世薬室》[6]痔出血:☆大便秘結して出血→「三黄瀉心湯」を考える。☆多量の出血→「芎帰膠艾湯」を考える。☆出血にはこの方より、三黄瀉心湯、芎帰膠艾湯、温清飲などを用いた方が良い《大塚敬節》[7]湿疹[8]女子の前陰部掻痒症 [9]脱肛:☆大腸熱甚だしく脱肛する者。☆脱肛の初期軽症《矢数道明》[10]ほてり[11]不眠☆便秘が多い
#乙脳方《中薬臨床応用》⇒「日本脳炎方」「大青葉30g、石膏(生)120g(先煎)、黄芩12g、山梔子(焦)9g、紫根9g、牡丹皮9g、鮮地黄60g、元明粉6g(沖服)、黄連3g」水煎服。◎日本脳炎◎流行性耳下腺炎◎ウイルス性肺炎◎流行性脳脊髄膜炎
#膃肭補天丸《東醫寶鑑》「胡桃肉3両、白朮2両半、白芍・黄蓍・熟地黄・杜仲・牛膝・破故紙・川練肉・遠志各2両、膃肭臍・人参・白茯苓・枸杞子・当帰・川芎・茴香各1両半、木香・茯神・甘草(蜜炙)各1両、沈香5銭」粉末にし、麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に温酒又は塩湯で50~70丸呑む。◎虚損陰痿を治す。 ◎亡陽・失陰・諸虚・百損・陰痿・遺精を治す。
#遠志飲《証治準縄》「遠志、茯神、人参、黄蓍、酸棗仁、当帰、肉桂、甘草」
#遠志丸[1]《厳氏済生方》「遠志、菖蒲、茯神、酸棗仁、人参、竜歯、朱砂」
#遠志丸[2]《東醫寶鑑》「遠志(姜製)・天南星(牛胆製)・人参・白附子・白茯神・酸棗仁(炒)各5銭、朱砂3銭、麝香1銭、金箔5片」蜜で梧子大に丸め、朱砂で衣をつけ、薄荷湯で毎回30丸飲む。◎びっくりして言葉が出ないとき。
#遠志湯[1-1]《証治準縄》「遠志・黄蓍・当帰・麦門冬(去心)・酸棗仁・石斛各5g、党参9g、茯神2g、甘草1.5g」水煎服。◎神経衰弱◎病後の不眠、動悸。
#遠志湯[1-2]《証治準縄》《古今方彙》 「遠志・黄蓍・当帰・麦門冬・酸棗仁・石斛各1両半、人参・茯神各7分、甘草5分」◎心虚して煩熱し夜臥寧からず、及び病後虚煩するを治す。◎煩甚だしき者;「知母竹葉」
#遠志湯[2]《備急千金要方》「遠志、麦門冬、人参、甘草、当帰、桂心、芍薬、生姜、大棗」
#恩仙散《活人心統》 「八角茴香、杜仲、木香」
#快胃片【中成薬】「烏賊骨・延胡索」◎腹痛 #快気湯[1]《東醫寶鑑》 「香附子3両半、縮砂8 銭、炙甘草4 銭」を細かく切って、塩湯を点服する。
◎気が昇降しないために起こる、上気・喘息。 #快気湯[2]《東醫寶鑑》 「人参末を温水で1日5~6回濃く煎じて服用。 #快気湯[3]《東醫寶鑑》
「白芥子1升を作末して布袋に入れ、酒2升に漬けておいたのを、7日目に3合ずつ、1日2回温めて飲む。 ◎上気に。 #快透散《小児痘疹方論》「紫草、蝉蛻、木通、芍薬、甘草」
#快班散[1]《医学入門》《古今方彙》「紫草・蝉退・人参・白芍薬各5分、木通1分」水煎。◎痘出でて快からざるを治す。 #快班散[2]《医学入門》《古今方彙》「紫草・蝉退・人参・白芍薬各5分、穿山甲」水煎。◎痘已にでて風を被りて復た入るを治す。
#槐黄丸《東醫寶鑑》「槐花(炒)・黄連(酒炒)各4両を作末し、猪大腸1尺のなかに入れて、韮薬2斤と煮て韮は捨て、腸をついて梧子大の丸剤。米飲で80~90丸呑む。
◎腸風・臓毒・痔瘻・便血に。 #槐黄湯《東醫寶鑑》「槐花(炒)・生地黄・樗根白皮(炒)各1銭、防風・当帰・白芍・荊芥穂・川芎・黄連・枳穀各8分、地楡・烏梅・甘草各5分」煎服。
◎腸風・臓毒を治す。 #槐花散[1]《東醫寶鑑》「当帰・地楡各1銭、槐花(炒)・枳穀・阿膠珠各8分、生地黄・白芍・黄蓍・升麻各7分、防風・側柏葉各5分」煎服。
◎臓毒を治す。 #槐花散[2]《東醫寶鑑》「槐花(炒)・柏葉(焙)・荊芥・枳穀」等分を作末し、毎回2銭づつ服用。 ◎腸風・臓毒を治す。 #槐花散[3]《東醫寶鑑》「槐花(炒)2銭、蒼朮・厚朴・陳皮・当帰・枳殻各1銭、烏梅肉・甘草(炙)各5分」剉作1貼に水煎服用。◎胃腸が脹って下血する症状。
#槐角丸《和剤局方》《中薬臨床応用》 「槐角9g、地楡12g、当帰6g、防風6g、黄芩3g、枳穀3g」水煎服。◎痔の炎症◎痔の出血◎血便 #槐角元《東醫寶鑑》「槐角4両、地楡・黄芩・防風・当帰・枳穀各2両」を作末して酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に米飲で50~70丸呑む。
◎五痔と諸痔を治す。 #槐子丸《東醫寶鑑》「槐実2両、覆盆子・酸棗仁・柏子仁(炒)・車前子・蔓荊子・茺蔚子・鼠粘子(炒)・白殭蚕(炒)各1両」作末し、蜜で梧子大の丸剤。酒で30丸服用。
◎風邪で瞳がかすむ者。 #槐楡煎《中薬臨床応用》「槐花米(炒)9g、地楡炭9g、黄芩9g、桃仁9g、麻子仁9g、枳穀6g、生甘草3g」水煎服。◎痔出血
#海青丸[1]《東醫寶鑑》「海粉1両、青黛3銭、黄芩2銭、神麹5銭」を作末し、神麹糊で梧子大の丸剤。空腹時に、白湯で20~30丸服用。 ◎痰積下痢を治す。
#海青丸[2]《東醫寶鑑》 「訶子皮・海蛤粉・瓜蔞・青黛・半夏(製)・便香附各1両」作末し姜汁浸蒸し餅で緑豆大の丸剤。姜湯で30~50丸飲む。◎火嗽・欝嗽、肺脹で苦しいとき。
#海金散《中薬臨床応用》「海金砂9g、肉桂3g、赤茯苓15g、白朮9g、沢瀉9g、白芍9g、滑石9g、石葦9g」細末を灯心草煎液で、空腹時に服用。◎急性尿道炎◎尿路結石◎尿量減少◎排尿困難◎排尿痛
#海金沙散[1]《東醫寶鑑》 「海金沙・滑石各1両、甘草2銭半」を作末し、毎回1銭を、麦門冬・灯心草の煎湯で服用。◎膏淋(小便が濁ること膏に似て、浮いて固まる)を治す。
#海金沙散[2]《東醫寶鑑》 「海金沙・雄黄・木香・当帰(酒洗)・牛膝(酒洗)・大黄(酒浸)各5銭を作末し、毎回2銭を就寝時に、酒で服用。」 ◎五淋を治す。
#海金砂散[3]《東醫寶鑑》「当帰(酒洗)・大黄(酒浸)・牛膝(酒洗)・木香・雄黄・海金砂各5銭」作末し、毎回2銭を就寝時に酒で調服。◎五淋を治す。
#海金砂散[4]《東醫寶鑑》「黒丑頭末(半分炒・半分生)1両半、白朮1両、甘遂5銭、海金砂3銭」作末し毎回2銭を倒流水で煎じて1杯を食前に調下する。◎脾湿で肥りすぎ、腫れて喘急する者を治す。
#海金砂散[5]《証治準縄》《古今方彙》「海金砂・肉桂・甘草各2銭、赤茯苓・猪苓・白朮・白芍薬各3銭、沢瀉5銭、滑石7銭、石葦1銭、燈心草30茎」水煎。 ◎諸淋渋痛するを治す。
#海蛤散《東醫寶鑑》「海蛤粉・滑石・甘草各1両、芒硝5銭」を作末し、毎回2銭を鶏で服用。 ◎婦人の傷寒で、血が胸につかえて、堪えられない程痛む症。
#海青丸《東醫寶鑑》「海粉1両、青黛3銭、黄芩2銭、神麹5銭」作末し、別途に神麹糊で梧子大の丸剤。空腹時に白湯で20~30丸飲む。◎痰積の下痢。
#海藻玉壷湯《医宗金鑑》《古今方彙》「海藻・貝母・陳皮・昆布・青皮・川芎・当帰・半夏・連翹・甘草・独活各1銭、海帯5分」水煎。◎単純性甲状腺腫(癭瘤)◎癭瘤の初起、或いは腫れ、或いは硬く、或いは赤く、或いは赤く成らずして但だ未だ破れざる者を治す。
#海藻玉壷湯加減《中薬臨床応用》「海藻9g、浙貝母9g、連翹6g、昆布9g、法半夏6g、青皮3g、海浮石9g、 当帰6g、川芎3g、海帯9g」水煎服。◎甲状腺腫
#海藻栗殻湯《中薬臨床応用》「海藻12g、昆布9g、屈頭鶏9g、風栗殻6g」煎服。豚肉(赤身)を加えて煎じた方がよい。◎慢性リンパ腺炎
#海藻連翹湯《証治準縄》「海藻、連翹、陳皮、半夏、茯苓、黄芩、天南星、牛蒡、柴胡、三稜、莪朮、昆布、白殭蚕、羗活、防風、桔梗、夏枯草、川芎、升麻、黄連」
#海底柏湯《中薬臨床応用》「海底柏15g、煨葛根9g、木香6g(後下)、炙甘草3g、煨肉豆蔲5g」水煎服。◎赤痢・腸炎の下痢。
#海底椰湯《中薬臨床応用》「海底椰12g、紫菀9g、款冬花9g、川貝母12g、阿膠9g(溶解)、旱蓮草12g、鵝管石12g、沙参24g、甘草6g」水煎服。◎肺熱の肺結核◎乾咳◎嗄声◎痰に血が混じる
#海蜇荸薺方《中薬臨床応用》「海蜇60g、荸薺60g」水煎し、1日2回服用。◎硅肺
#海桐皮酒《中薬臨床応用》「海桐皮60g、薏苡仁60g、牛膝30g、川芎30g、羗活30g、地骨皮30g。五加皮30g、生地黄300gを酒1000ccに1ヶ月ぐらい浸け、1日1~2回30cc づつ食前に服用。◎関節リウマチ。
#海馬湯《中薬臨床応用》「海馬12g、枸杞子12g、魚螵膠12g(溶解)、紅棗30g」水煎服。◎腎陽虚による夜間頻尿◎白色帯下
#海貝散(烏貝散)《中薬臨床応用》「烏賊骨90g、浙貝母30g」細末にし、1日3回3~6gづつを食前に、ぬるま湯で服用。
#海浮散《外科十法》《中薬臨床応用》「製乳香・製没薬」各等分。微粉末を外用。◎感染による外傷が癒合しない時
#海竜湯《中薬臨床応用》「海竜9g、冬菇18g(根が付いたまま)、紫菜9g、大棗30g」水煎服。 ◎慢性リンパ腺炎◎リンパ腺結核◎単純性甲状腺腫
#回金丸《東醫寶鑑》「黄連6両、呉茱萸1両」作末して、蒸し餅で梧子大の丸剤。 空腹時に白湯で30~50丸服用。 ◎肝火を治す。 #回首散[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「烏薬順気散羗活・独活・木瓜」水煎服。
◎頭項がまわらず、筋がひっぱる症。◎肩こり ①首がまわりにくい。 ②気鬱から起きる肩こり。 ◎烏薬順気散に羗活、独活、木瓜を加えたもので、万病回春に“頸項強急し、筋痛み、或いは頸を挫(くじ)きて項を転ずることを得ざるを治す”とあるように寝違えの疼痛に用いる(漢方診療医典)
#回首散[1-2]《漢方治療の実際》 「烏薬順気散+木瓜3」 #回春散《東醫寶鑑》「明礬1銭8分、胡椒(細研)2分、焔硝1分」を好錯でまぜ、手で塗る。
◎陰冷を治す。 #回春凉膈散《東醫寶鑑》「連翹1銭2分、黄芩・山梔子・桔梗・黄連・薄荷・当帰・生地黄・枳穀・赤芍・甘草各7分」水煎服。 ◎三焦の火がおきて、口舌に瘡ができる症。
#回生散[1]《奥田家方》 「熊胆2.0、麝香1.0、葛紛20.0」(葛紛は、今、澱粉を用いる)右3味、各別に研磨し、混和して散と為し、白湯or冷水で、1回0.2~0.5服用。◎諸般の虚脱証候を治す。
#回生散[2]《医学入門》《東醫寶鑑》「藿香・陳皮各5銭」水煎温服。◎霍乱・吐瀉の激しい者。 #回生丹《万病回春》「藜蘆2両、青礞石2両、猪胆汁、片脳」葱菅の藜蘆2両、河水1桶を用い、煮て汁となし、青礞石2両を火にて煆き通紅ならしめ、汁の内に投入する。かくの如くすること数次、濾して浄め、雄猪胆汁10箇をもって汁を取り、煎汁の内に攪拌し、再び重湯で煮て膏と成す。温かい間に片脳末1銭5分を入れ、陶器の壺に入れて、黄蠟で口を封じる。つかう毎に黄豆1大粒を用いて新汲水に化して開き、男は左、女は右の鼻孔に吹き入れると、その痰を自ら吐き出す。
◎卒中昏倒して、人事不省、牙関緊急する者。 #回生養胃丹《東醫寶鑑》「蒼朮(換泔浸6日)・蓮肉(酒浸)各4両、猪肚1個を壁土でにぎってきれいに洗い、朮と蓮を入れて縫い、固く結んで酒で煮て搗いて小餅子をつくって焙って乾燥したもの、天南星を細切りにし、姜汁に漬け、一夜おいたのを伏竜肝で炒って土は捨て、半夏湯で洗って醋で7日間漬けておいたもの、橘紅を伏竜肝で炒って土は捨て栗米を姜汁に漬けて蒸して焙ったもの各4両、人参・白朮・白茯苓・厚朴・莪朮・三稜二味並醋炒・蓽澄茄・縮砂・白豆蔲・穀芽炒・麦芽炒・甘草各1両、丁香・木香・沈香各5銭」作末し、稀麺糊で梧子大の丸剤。米飲で60~70丸呑む。◎痰涎があって大便が難渋・小便が赤い・酸水を吐く、反胃と結腸を治す。
#回乳四物湯《医宗金鑑》《古今方彙》「四物湯+麦芽」◎産婦にして乳を吃う児が無く、乳汁致(キワ)まりて腫脹し堅硬疼痛し、忍びがたき者を治す。
#回陽救急湯《傷寒六書》《古今方彙》「附子、乾姜、人参、肉桂、半夏、五味子、茯苓、甘草(炙)、白朮、陳皮、生姜、大棗」水煎。 ◎傷寒の初起、頭痛なく、身熱なく、便ち就中、寒を怕れ四肢厥冷し、或いは肘膝を過ぎ、或いは腹痛、吐瀉、或いは口に白沫を吐し、或いは冷涎を流し、或いは戦慄し、面は刀を刮が如く、衣を退い踡臥し、渇せず、瀉し、脈遅にして力無きは即ち是れ寒が陰経に中たる真の寒症にして陽経より伝え来るにはあらず。
◎嘔吐止まざるには:「+姜汁」◎泄瀉止まざるには:「+升麻黄蓍」◎嘔吐、涎沫、小腹痛あれば:「+呉茱萸(塩炒)」 #回陽救逆湯《傷寒六書》「附子・乾姜・人参・肉桂・半夏・五味子・茯苓・甘草(炙)・白朮・陳皮・生姜・大棗」水煎する。◎傷寒の初起、頭痛なく、身熱なく、便ち就中(ナカンズク)、寒を怕(オソ)れ、四肢厥逆し、あるいは肘膝を過ぎ、あるいは腹痛・吐瀉、或いは口に沫を吐し、或いは冷涎を流し、或いは戦慄し、面は刀を刮が如く、衣を引きて踡臥し、渇せず、瀉し、脉遅にして力無きは即ち是れ寒が陰経に中たる真の寒症にして陽経より伝え来るにはあらず。【加減方】
<1>嘔吐止まざる・・・姜汁。<2>泄瀉止まざる・・・升麻・黄蓍。<3>嘔吐・涎沫、小腹痛・・・呉茱萸(塩炒)。
#回陽玉竜膏《外科正宗》 「生姜(炒)3両、草烏(炒)3両、赤芍薬(炒)3両、白芷1両、南星1両、肉桂5銭」細末にし熱酒で調合し患部に塗布。
#回陽三建湯《外科正宗》《古今方彙》「附子・人参・黄蓍・当帰・川芎・茯苓・枸杞葉・陳皮・山茱萸肉各1銭、木香・甘草・紫草・厚朴・蒼朮・紅花・独活各5分、煨姜」水煎。◎陰疽発背を治す。◎初起疼まず腫れず熱せず紅硬せずして牛皮の如く、堅くして頑石の如く、十日の外にて脈細、身涼しく、肢体倦怠し、皮は鼈甲の如く、色は土砂栗に似て項に多く孔に血を流し、根脚は平に散じ、軟陥して膿無く又皮は腐を作らず、手は熱し足は涼しき者は倶に急ぎ之を服せ。
#回陽湯《外科枢要》《古今方彙》「補中益気湯+乾姜+附子」◎脾腎虚寒にて瘡は純陰に属し、或いは薬が元気を損じ腫痛せずして腐潰せず、或いは腹痛泄瀉、嘔吐厥逆し或いは陽気脱陥する等の症を治す。
#回陽返本湯《傷寒六書》《古今方彙》「附子(煨)・乾姜(炮)・甘草(炙)・人参・麦門冬・五味子・陳皮・臘茶・生姜・大棗」煎じ服するに臨み「蜜2匙」入れ頓に之を冷服する。◎陰極まりて躁を発し、微しく渇し、面赤く、泥水の中に座せんと欲し、中脉は沈遅にして力無く、或いは脉全く無く絶せんと欲する者は涼薬を服すべからず。 もし誤りて熱症なりと認めて涼薬を用うれば死す。復び生きるべからず。熱薬を服し而して躁止まざる者は宜しく再び服すべし、自ら定まる。◎嘔する者:「姜汁・半夏(炙)」。
#廻生神膏《東醫寶鑑》「牡蛎陳粉・乾姜(炮)各1両」を作末し、男は女のつばで調合したものを、手のひらで熱が出るまでもんだ後、睾丸にかぶせ、汗が出ると治る。女には男のつばで調合して、熱が出るまでもんだ後、両乳房にかぶせ、汗が出ると治る。」
◎陰症で、大小便が不通になり、危急の者。 #廻陽救急湯《東醫寶鑑》 「人参・白茯苓・陳皮・半夏・乾姜(炮)・肉桂・炮附子・五味子・炙甘草各1銭を剉作1貼して、生姜7片を入れて水煎服。」
◎傷寒の陰症。陰毒で四肢厥冷・脈細沈・唇が青い・顔色が黒い症。 #廻陽返本湯《東醫寶鑑》「炮附子・乾姜(炮)・人参・陳皮・五味子・麦門冬・炙甘草・臘茶各1銭を剉作1貼して、清泥漿2盞と煎じて、滓は捨て、蜜5匙を混ぜて冷して服用し、汗を出すと治る。」顔の赤い者には葱白7葵・黄連を少し加える。
◎陰が盛んで陽を隔す症。 #廻陽湯《東醫寶鑑》「益智仁・青皮各2銭、川烏(生)・附子(生)各1銭、乾姜5分を剉作1貼し、生姜7片、大棗2枚を入れ水煎服。」
◎中寒を治す。 #潰堅丸《東醫寶鑑》「潰堅湯に「海粉・瓦楞子・鱉甲(炒)」を加えて細末にし、阿魏を醋煮して姜汁糊で梧子大の丸剤・50~70丸飲む。◎五積・六聚・諸般の痞塊を治す。
#潰堅湯《万病回春》《東醫寶鑑》「当帰・白朮・半夏・陳皮・枳実・山楂子・香附子・厚朴・縮砂各1銭、木香5分」を洗って汁を取り水煎、木香汁で調合して服用。◎五積・六聚・諸般の痞塊を治す。◎諸般の癥瘕、痃癖、血塊の総司なり。◎左脇塊あれば:「川芎」◎右脇塊あれば:「青皮」
◎肉を食し塊をなす;「黄連(姜汁炒)」◎粉麺食積には:「神麹」◎痰塊には:「浮石括楼仁枳実」◎壮健の人には:「莪朮」◎痩人には:「人参」
◎血塊には:「+桃仁紅花官桂−半夏山楂子」 #潰瘍出血湯《中薬臨床応用》「白芨9g、陳棕炭9g、当帰(炭)9g、阿膠9g(溶解)、党参9g、黄蓍12g」水煎服。
◎胃潰瘍 #改定三痺湯(1-1) 「人参・白朮・茯苓・甘草・当帰・芍薬・川芎・黄蓍・桂心・炮烏頭・防風・防已・細辛・生姜・大棗」 #改定三痺湯(1-2)《張氏医通》《古今方彙》「人参・黄蓍(酒炒)・白朮・当帰・川芎・白芍薬・茯苓各1銭、甘草(炙)・桂心・防已・防風・烏頭(炮)各5分、細辛3分、生姜3片、大棗2枚」
◎風寒湿気の合病で気血凝滞し、手足拘攣するを治す。 #解急蜀椒湯[1-1]《晋唐名医方選》「蜀椒200粒、乾姜半両、附子1枚、半夏12枚、甘草1両、大棗20枚、粳米半升」 人参・膠飴無し。
#解急蜀椒湯[1-2]《漢方治療の実際》「蜀椒・乾姜・甘草各2、半夏4、人参・大棗各3、附子0.6、粳米8」 #解急蜀椒湯[1-3]《外台秘要方》「乾姜4g、人参2g、蜀椒1g、炮附子0.3g、半夏8g、甘草1g、大棗3g、玄米7g」◎寒疝気、心痛刺すが如く、臍をめぐり腹中ことごとく痛み、自汗出て絶せんと欲するを主とす。◎「大建中湯+附子粳米湯」。本人参無し。今大建中湯に従う。《勿誤薬室方函口訣》◎寒疝心腹に迫り切痛する者を主とする。《勿誤薬室方函口訣》◎「烏頭桂枝湯」とその証髣髴たれども、上下の分あり。且つ烏頭桂枝湯は腹中絞痛、拘急轉側を得ざるが目的とす。「解急蜀椒湯」は心腹痛、水気有って腹鳴するを目的とす。
◎心腹激痛・嘔吐・腹鳴。《龍野一雄》 ★適応症及び病名(解急蜀椒湯) [1]イレウス[2]胃痙攣:☆腹部にかかりて必ず雷鳴があって痛む症。《済世薬室》[3]蚘痛[4]寒疝:☆寒疝の心腹に及ぶ者を治す。☆寒疝、腹痛、腹満、雷鳴して嘔吐するに「附子粳米湯」のゆく処あり。然れども「解急蜀椒湯」は彼よりその症強し。[5]腹痛:☆附子粳米湯の症にして痛心胸に連なる者を主とす。☆心腹痛困急、死せんとするを療す。結を解き寒を逐う。上下痛甚だしき者に良い。《雑病翼方》
#解労散[1-1]《楊氏》《漢方後世要方解説》「柴胡6、芍薬・別甲各4、枳殻・茯苓各3、大棗・生姜・甘草各2」◎労、積気堅硬、胸腹に噎塞し、背に引いて徹痛するを治す。◎「四逆散+別甲茯苓」◎此方は心下部硬く緊張し、硬結ある者に用いる。◎結核症の初期にこの腹証によって用いることがある。◎痃癖の症とて肝、腎、脾、腹膜等に塊状をなし、背に徹して痛む者に屡々用いられる。
即ち、胆石症、胆嚢炎、膵臓炎、胃潰瘍、腹膜の硬結等において、心下部全体に硬く塞りたる実証の腹証の者によい。 「柴胡」=胸腹部、脇下痛みを治す「芍薬」=結実して拘攣、腹痛、腹満を治す。「別甲」=癥結を破り、熱毒を消す「枳殻」=気を破り、胸膈を利す「茯苓」=気を導き、水を行らす。
#解労散[1-2] 《漢方治療の実際》「柴胡4、枳実・甘草各2、芍薬4、土別甲・茯苓・大棗・生姜各3」 #解労散[1-3]《楊氏》《龍野一雄》「柴胡6g、鼈甲・枳実各2g、芍薬4g、甘草3g、茯苓・大棗3g、干姜1g」
◎腹部腫塊・背部の牽引痛、或いは発熱。◎解労散(体がだるくて、時々激しい腹痛があり、臍の左斜め上方4横指あたりを押さえると抵抗・圧痛がある)
★適応症及び病名(解労散) [1]胃潰瘍[2]顔色悪い[3]胸脇苦満 [4]結核性腹膜炎[5]肩背強急[6]痃癖[7]心下部の疼痛[8]膵臓炎[9]胆石症[10]胆嚢炎[11]手足冷たい[12]疲労倦怠
[13]腹痛<右側の上腹部の劇痛>[14]腹膜炎 #開欝正元散《医学入門》《古今方彙》「白朮、陳皮、青皮、香附子、山楂子、海粉、桔梗、茯苓、延胡索、神麹、砂仁、麦芽、甘草、生姜」煎服。
◎痰飲にて血気欝結、食積、気は升降せず、積聚脹痛するを治す。 ◎此は気を利し、血を行らし、脾を和して向導すべし。 #開鬱四物湯《東醫寶鑑》
「香附子(米炒)・当帰身・白芍(薬酒炒)・熟地黄・白朮各1銭、川芎・黄蓍・蒲黄(炒)・地楡・人参各5分、升麻3分」 ◎崩漏。幸せ・裕福だった者が、急に不幸・貧困になり起こる者。
#開欝導気湯《万病回春》《古今方彙》「蒼朮・香附子(便)・川芎・白芷・茯苓・神麹・山梔子(黒)・滑石各1銭、乾姜(黒)5分、甘草(少許)、陳皮5分」水煎温服。◎一切の腹痛を治するの総司なり。
#開欝導痰湯《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・枳殻・黄芩各1銭、前胡・檳榔子各8分、枳実・半夏・荊芥・羗活・射干・甘草・威霊仙各7分、桔梗・木香各5分、白殭蚕2分、香附子(便炒)2分、生姜」水煎。
◎結核にて渾身手足倶に各ありて胡桃の如き者を治す。◎併せて、胸中、胃脘、咽門に至りて狭窄して線の如くにしいて疼痛する者を治す。 #開気丸【中成薬】=舒肝丸【中成薬】「芍薬・川楝子」◎ストレスによる胃腸障害。
#開胸散《医宗金鑑》「柴陥湯枳実・桔梗・山梔子」 ◎傷寒、結胸を治す。《傷寒翼方》 #開襟散《医学心悟》「人参、黄連、石菖蒲、丹参、石蓮子、茯苓、陳皮、陳米、冬瓜仁、荷葉蒂」
#開音飲《中薬臨床応用》「胖大海3~6g、菖蒲5g、薄荷2g」沸騰湯で服。◎発生障害◎急性の激しい炎症による嗄声◎肺熱による失声。 #開関散[1]《医学入門》(一名破棺散)《東醫寶鑑》
「天南星末2g 竜脳1字をまぜ、中指に末をつけて歯に、20 ~30回こする。」 ◎卒中風で口を閉じて開けられないとき。 #開関散[2]《東醫寶鑑》「蜈蚣1条炙、白彊蚕・天南星(炮)各1銭、麝香1字、猪牙皀角3銭を焼いて作末し、指先に姜汁をつけて薬末を歯にこすり、又は薬末2~3滴を口中にたらす。◎驚風で口の開かない者。
#開関神応散《斉有堂医案》 「明浄腰黄 枯白礬 生埕蘆 猪牙皀角<焦がさないように黄色く炒め、筋膜を去る>各等分」それぞれ作末して混和し、密封して保存。
使用方法⇒喉に吹き込む。 #開気消痰湯《東醫寶鑑》 「香附子・桔梗・白彊蚕(炒)各1銭、陳皮・黄芩・枳穀各7分、前胡・半夏・枳実・羗活・荊芥・檳榔・射干・威霊仙各5分、木香・甘草各3分、姜3片」
◎胸中と胃脘から咽門に至るまで、通道が狭窄して線条と同じく、痛んで手足に胡桃のような塊がある者。 #開噤散《医学心悟》「人参、川連、石菖蒲、丹参、石蓮子、茯苓、陳皮、陳米、冬瓜仁、荷葉、荷蒂」
#開噤湯《東醫寶鑑》「砂糖7銭、細茶5銭、縮砂1銭、生姜5片」を水で煎じて、一晩露に当て次の朝、北に向かって温服し、木鼈子の殻をとったもの3銭、麝香2分を、つき砕いて臍をふさぐと、すぐ食欲が出る。◎噤口痢を治す。
#開懐散《東醫寶鑑》「柴胡・草豆蔲各1銭、三稜・莪朮(炒)・青皮・半夏・白茯苓・香附子・檳榔・枳実・紅花・甘草各7分・生姜3片」水煎服。 ◎心下の積塊・痞悶。
#開結枳実丸《東醫寶鑑》「黒丑頭末2両、皀角・旋覆花各1両、枳実・白朮・半夏・南星(炮)・苦葶藶(炒)・白礬(焙)・大黄・青皮・木香各5銭を作末し、姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸呑む。◎凝結した症を治す。◎痰飲を消化して滞気を昇降させ、三焦を通行させる。◎心肺を良くし、肝腎を灌漑して腸胃を補助し、百脹を転行させる。
#開結化痰湯《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・半夏・茯苓・茯苓・枳殻・貝母・括楼仁・黄連・黄芩・山梔子・紫蘇子・桑白皮・朴硝・杏仁各等分、甘草半減」水煎し姜汁を入れ、木香を磨し調服。
◎熱痰胸膈の間に在りて化せず、喀出して出でず、寒熱気急満悶して痛みをなる者を名付けて痰結と曰う。此方に宜し。 #開結舒経湯《東醫寶鑑》「紫蘇葉・陳皮・香附子・烏薬・川芎・蒼朮・羗活・天南星・半夏・当帰各8分、桂枝・甘草各4分、生姜3片」水で煎じて竹瀝・姜汁を入れて調服する。
◎婦人の七情・六鬱により気が経絡に滞し、手足が麻痺する者。 #開結導引丸(一名開鬱導飲丸)《東醫寶鑑》「陳皮・白朮・沢瀉・茯苓・神麹・棗芽・半夏(姜製)各1両、枳実・青皮・乾姜各5銭、巴豆霜1銭半」を作末し、蒸餅で梧子大の丸剤。温水で50~70丸服用。
◎脚気で食積の流注による心下の痞悶に。 #開心散《東醫寶鑑》 「定志丸-茯神」 ∴定志丸=人参・白茯苓・石菖蒲・遠志・朱砂。 ◎健忘症。 #疥癬摺薬
「巴豆・大黄・萆麻子・黒胡麻各等分」右四味、細かに刻み、麻布に之を包み、熱酒に漬して之を打つことしばしばなれば、2時間或いは1時間にして麻疹の如く発疹す。発疹すれば、湯水を以て洗うことを禁ず。此の如くすること67日許りにして入浴すらば、則ち疹白く尽きて癒える。
◎疥癬は、新久を問わず、必ず之を打ちて奇効あり。面部、両乳、及び前後の陰辺は、之を打つ可らざる也。 #孩児散《東醫寶鑑》「熊胆5分、孩児茶2分、片脳1分」を作末し、人乳で調合して塗る。
◎脱肛・熱腫に。 #艾錯湯《東醫寶鑑》「好醋で艾葉を煎じる」◎半配呑んで腹が痛かったら、妊娠している。 #艾附暖宮丸《沈氏尊生書》「艾葉・香附子・当帰・続断・呉茱萸・川芎・白芍・黄蓍・地黄・官桂」
#外感風滞方《中薬臨床応用》 「穀芽15g、藿香6g、蝉退5g、防風5g、茯苓9g、蘇梗15g、薄荷3g(後下)、黄連2g」水煎服。◎小児の感冒性消化不良症。
#外敷膏《東醫寶鑑》「熱水で「甘草」を囓って水を飲み下し、漬けた「大戟・芫花・甘遂・海藻」を等分に作末し醋で調合して腹上に塗る。◎腹脹が固く石の様になった者を治す。
#外敷神膏《東醫寶鑑》「大黄・朴硝各4両、麝香1銭」作末し2両を「大蒜」と混ぜ膏を作って患部に塗る。◎積聚・脹満・血蠱。 #咳奇方《和田東郭》《勿誤薬室方函》「麦門冬・阿膠・百合・乾姜・白朮・地黄・五味子・甘草・桔梗」◎肺痿の咳嗽。◎此方と「四陰煎」《景岳》と伯仲する。◎もし熱に属する者は:「人参養栄湯」《聖済総録》
#咳血一方《寿世保元》《古今方彙》「当帰・白芍薬・知母・桔梗・麦門冬各1銭、生地黄1銭半、括楼根1銭半、茯苓8分、貝母1銭2分、甘草5分」水煎。
◎嗽に因りて痰を去り、痰の内に血のある者を治す。 #咳血方《丹渓心法》《中薬臨床応用》「山梔子(炭)9g、青黛粉3g(冲服)、括蔞仁12g、海浮石9g、訶子2.5g」水煎服。◎肺熱による喀血。
#咳血方加減《中薬臨床応用》「海浮石9g、訶子9g、括蔞仁9g、山梔子(炭)6g、生地黄12g、玄参9g、甘草6g」水煎服。◎熱痰の咳嗽◎慢性咳嗽◎粘稠な痰◎喀出しにくい◎痰に血が混じる
#咳嗽一方[1]《医宗必読》《古今方彙》「百部膏1味烏梅・檳榔子」◎一男子、3年久しく嗽し薬を服して効無く、飢えたる時は胸中大いに痛み、上唇の白点が芣(セイ、砕いた米)の如きを治す。
#咳嗽一方[2]《医宗必読》《古今方彙》「麻黄、杏仁、半夏、前胡、桔梗、陳皮、紫蘇子、甘草」水煎。◎一男子あり、経年咳嗽し、更に医数十人而して病反って増劇す。右の寸脉浮大にして滑なり、これ風痰未だ解せず、必ず多く酸収(五倍子や五味子のこと)を服し久しくして、いよいよ甚だしきを治す。
#咳嗽一方[3]《明医雑著》《古今方彙》「杏仁、茯苓、陳皮、五味子(生)、桔梗、甘草(炙)」水煎温服。◎咳嗽を治するの要方なり。◎春は多く上升の気あり、宜しく肺を潤にし、肝を抑えるべし:「川芎・芍薬・半夏・黄芩・知母・麦門冬」◎春に若し風に傷れて咳を致し鼻に清涕を流すには:「防風・薄荷・紫蘇葉・黄芩・麦門冬」
◎夏は多く火熱炎上す、宜しく金を清し火を降ろすべし:「桑白皮・黄芩・知母・石膏・麦門冬」 ◎秋は多く湿熱が肺を傷る、宜しく熱を清し湿を瀉すべし:「蒼朮・桑白皮・防風・山梔子・黄芩」
◎冬は多く風寒外感す、宜しく表を解し痰を行らすべし:「麻黄・桂枝・半夏・防風・乾姜」 #痎瘧飲《寿世保元》《古今方彙》「蒼朮・草果・桔梗・青皮・陳皮・良姜・白芷・茯苓・半夏・枳殻・桂心・乾姜各3銭、紫蘇葉2銭、甘草(炙)3銭、川芎2銭」水煎し、塩少し許り入れて服用。
◎久瘧にて癥瘕(腹中の硬結)をなし、癖が胸脇の間にありて諸薬にて癒えざる者を治す。 #化瘀散《東醫寶鑑》「蘇木・当帰尾各3銭、大黄・紅花各2銭、を末にし、毎回3銭を温酒と童便で調下する。」◎杖打がひどく、血が心を打ち気絶する症。
#化塊丸《東醫寶鑑》「海粉(酒煮)・三稜・莪朮(並醋煮)・紅花・桃仁・五霊脂・香附子各1両、石5銭を作末し、醋糊で梧子大の丸剤。白朮湯で30~50丸呑む。
◎痞塊・血塊を治す。 #化気湯《東醫寶鑑》「莪朮・乾生姜・陳皮・丁香皮・茴香(炒)・甘草各5銭、縮砂・桂心・木香各2銭半、胡椒・沈香各1銭を作末し、毎回2銭を生姜・紫蘇・塩少し入れて煎じ湯で調下する。
◎息積が腹や肋骨の下で病み、片方が脹満、飲食には差し支えないが、諸薬の効なきとき。 #化血丹《医学衷中参西録》「三七、花蕊石、血余炭」 #化積丸《沈氏尊生書》
「三稜・莪朮・阿魏・海浮石・香附子・雄黄・檳榔・蘇木・瓦楞子・五霊脂を細末にして、水を数滴加え丸剤にして、温服」 #化積湯《済世全書》《古今方彙》「当帰、川芎、生地黄、熟地黄、延胡索、赤芍薬、青皮、貝母、半夏、三稜、莪朮、香附子、白芍薬、陳皮、桃仁、木香、紅花、生姜」水煎。
◎婦人の気積、血塊、癥、左右に拘わらず治す。 #化痰降火湯《医学正伝》《古今方彙》 「陳皮、半夏、黄柏(酒炒)、知母(酒炒)、沢瀉、茯苓、甘草各等分」◎痰火にて尾骨節痛むを治す。
#化痰清火湯《万病回春》《古今方彙》「天南星、半夏、陳皮、黄連、黄芩、山梔子、知母、石膏、蒼朮、白朮、白芍薬各等分、甘草半減、生姜」水煎。 ◎雑、短あり、火動に因る者を治す。
#化疔内消散《外科正宗》《古今方彙》「皀角刺、金銀花、知母、貝母、括楼根、穿山甲、白芨、乳香、赤芍薬、半夏、甘草、蚤休各1銭」水酒で煎服。 ◎疔瘡の初起、或いは已に針し、又已に灸したる後に之を服し能く内消せしむ。
#化毒丸《漢方治療の実際》「乳香10、軽粉1、大黄・雄黄・乱髪霜各3」米糊で丸剤とし、辰砂の衣をかける。1回量2。1日1回。 #化毒清表湯《医宗金鑑》
「葛根・薄荷葉・地骨皮・牛蒡子(炒って末にする)・連翹(心を去る)・防風・黄芩・黄連・玄参・生知母・木通・生甘草・桔梗・灯心草・生姜水煎服」
#化毒丹《東醫寶鑑》「草烏(糊浸炮)・浮石(赤く焼くこと7回、別に研いで)各1両、乳香・没薬各5銭の別研、巴豆(去皮)49個の別研末を醋麺糊で豌豆大の丸剤。冷酒で5~7丸呑む。
◎100種の悪瘡・毒腫の初発を治す。 #化毒湯《寿世保元》《古今方彙》「紫草5銭、升麻・甘草各2銭半、糯米」水煎。◎痘瘡已に出て痘毒太盛なれば此方を以て毒を消す。◎方考には、陳皮あり。
#化斑解毒湯《外科正宗》《古今方彙》「知母、黄連、連翹、人中黄、升麻、石膏、甘草、牛蒡子、玄参」各等分。竹葉20片と水で煎服。 ◎漆瘡にて面熱して腫れ、遍身痒痛する者を治す。
#化斑湯[1-1]《温病条弁》 「生石膏・知母・甘草・玄参・犀角・粳米」 #化斑湯[1-2]《古今方彙》=「白虎加人参湯」◎傷寒にて汗吐下後、発斑、脈伏するを治す。
#化痞丹《東醫寶鑑》「大黄4両(醋に漬けること7日間、日に晒し夜は露に当てること7日間)、穿山甲(土炒)2両、大鼈子(去油)・香附子(童便炒)・桃仁各1両、紅花2銭、青黛5分、を作末し、大黄を好醋で混ぜ糊を作って緑豆大の丸剤。茅根煎湯で50~70丸呑む。
◎積塊を除く。 #化癖如神丸《東醫寶鑑》「蟾酥・黄蝋各2銭、巴豆肉1銭、羚羊角末・牛黄各5分、麝香3分、硼砂・竜脳各1分」作末し、葵子大の丸剤。毎回1丸服用。◎痞塊・積聚を治す。
#化虫丸《医方集解》 「鶴虱・檳榔・苦楝根皮・胡粉(炒)・明礬・蕪・使君子」 ◎蛔厥で腹が痛むとき。 #化虫散 「雷丸2・檳榔2・鶴虱2銭、使君子肉7を作末し、軽粉⇒水銀粉1を入れ、2回に分服。服用法は、猪肉1両を切って皀角汁に漬けて、一夜おいてから早朝弱火で香油を塗って焼き、上記の薬末を肉片にふりかけ、空腹時にかんで食べる。
#化虫湯《中薬臨床応用》「鶴虱9g、苦楝根皮9g、蕪9g、使君子9g、雷丸9g」水煎して早朝空腹時に2日間連続して服用。◎回虫◎蟯虫◎条虫
#華蓋散《和剤局方》《古今方彙》「紫蘇子・赤茯苓・陳皮・桑白皮・麻黄・杏仁各1銭、甘草5分」水煎温服。◎肺が風邪に感じ、咳嗽上気、胸膈煩満、項背拘急、頭目昏眩、鼻塞がり声重く痰気利せざるを治す。
#華蓋散《漢方治療の実際》「麻黄・杏仁各4、茯苓5、橘皮・桑白皮・蘇子各2、甘草1」 #華蓋散《和剤局方》《龍野一雄》「紫蘇子・茯苓・陳皮・桑白皮・麻黄・杏仁各3.5g、甘草2g」◎肺風寒に感じ、咳嗽上気胸膈煩満項背拘急頭目昏眩鼻塞声重痰気不利するを治す。◎発熱・咳嗽・上気、胸満、肩や首筋が強くこる、めまい、鼻閉、声が出にくい。
★適応症及び病名(華蓋散) [1]悪寒[2]咳嗽<激しい>☆胃腸の弱い乳幼児のせき。 [3]気管支喘息[4]くしゃみ[5]肩こり<肩背強>[6]感冒[7]項強[8]自汗[9]喘鳴[10]肺炎[11]肺気腫[12]発熱[13]百日咳[14]鼻汁[15]鼻閉
[16]のぼせ[17]目眩[18]流感 #華蓋散《東醫寶鑑》「麻黄2銭、赤茯苓・蘇子・陳皮・桑白皮・杏仁各1銭、甘草(炙)5分」剉作1貼し、「姜3片、棗2枚」入れ水煎服。◎肺に寒邪を感じ、咳をし上気して鼻が詰まり、声がしゃれる者。
#華佗愈風散《華元化》 「荊芥穂<少し焙って作末する>を毎回12gを、酒あるいは童便といっしょに服用。歯を食いしばっていれば、こじ開けて注ぎ込む。」
#花蕊白芨散《中薬臨床応用》「花蕊石()12g、白芨12g、乱髪霜6g」極細末にし1日3回、3~6g湯冷ましで沖服。◎喀血。 #香川解毒剤[1-1]《香川修徳》《漢方後世要方解説》「山帰来・木通各4、茯苓5、川芎・忍冬各3、甘草・大黄各1」◎此方は香川氏江州の民間より伝え得たという経験方で、梅毒通治の一般薬である。
◎此方に荊芥、防風、連翹各3を加えて梅毒の初期硬結、横痃、梅毒疹等に応用。「山帰来」=梅瘡家一切必要の薬、風湿を除く。「忍冬」=熱を散じ、毒を解す、瘡瘍の要薬。「川芎」=瘀血を破り、気血を順らす、梅瘡を治す。
#香川解毒剤[1-2]《香川修徳》《勿誤薬室方函口訣》「川芎7分、茯苓・木通各6分5厘、遺糧・忍冬各6分、大黄4分5厘、甘草3分」◎黴瘡、便毒、下疳、結毒、発漏、筋骨疼痛、諸の壊証、及び癬、下腿潰瘍、諸々の悪瘡、膿淋を療す。
◎香川の解毒剤は一切の瘡瘍の毒を小便に分泌する効あり。諸瘡の臭気を去るには妙なり。
★適応症及び病名(香川解毒剤) [1]顔面神経麻痺 ☆梅毒が原因のものに用いる。これに桂枝加苓朮附湯を合して用いることがある(漢方診療医典)
[1]下痢:☆臭気甚だしきものは、必ず結毒に因るなり:「桂枝・芍薬・当帰」《雑病翼方》 [2]身体疼痛:「桂枝・附子・牽牛子」。[3]帯下:☆白帯下、臭気甚だしき者:「軽粉丸」《雑病翼方》[4]痛風:☆毒深く一処に凝結して痛をなす:「桂枝・附子・牽牛子」。且つ痛処に芫菁膏を貼る。《橘窓書影》[5]毒淋:☆淋菌性尿道炎:「車前子・滑石・阿膠」。
[6]梅毒:☆初期硬結:「荊芥、防風、連翹各3」《矢数道明》☆梅毒性神経痛:「桂枝3、牽牛子2、附子0.5」《矢数道明》☆淋疾患で、膿血淋瀝、劇痛する者:「阿膠3、滑石4、車前子3」。《矢数道明》☆2期3期の体の冷える者:「桂枝・附子・牽牛子」《済世薬室》
☆湿眼(梅毒性角膜炎):「菊花1.5、車前子・桔梗・防風各3、滑石4」《矢数道明》☆32歳の主婦。3年前に梅毒に感染していることを知った。その後、今日までずっと医師にかかっているが、まだ血液検査は陰性とならず、次のような症状がある。肩凝り・頭痛・眼底が痛む・腰痛・足冷・右下腹部の疼痛・帯下・尿意頻数・月経は正常、外痔核があって稀に痛む。
脈は沈で、腹診上、左下腹で腸骨の部分に圧に対して敏感な索状物を触れる。すなわち少腹急結である。 私はこれに解毒剤桂枝茯苓丸を与えた。患者は辛抱強く、3年近く服薬した。これによって、肩凝り、眼痛、頭痛、帯下、腰痛は皆良くなり、痔核は赤小豆ぐらいの小さい物が1つ残り、苦痛はなくなった。その間、血液検査は2回ともに陰性であった。《大塚敬節》
[7]横痃(よこね):☆「荊芥、防風、連翹各3」《矢数道明》 #樺皮散《東醫寶鑑》「樺皮(焼)・枳穀(麩炒)各2両、杏仁・荊芥穂各1両、炙甘草2銭半」作末し、毎回2銭を1日2回温酒で調下する。◎肺臓の風邪で、満身疹でかゆく、瘡が出来て、疥瘡になる症。
#嘉禾散《和剤局方》《古今方彙》「人参、白朮、薏苡仁、神麹、山楂子、杜仲、半夏。桑白皮、麦芽、石斛、茯苓、陳皮、枇杷葉、藿香、大腹皮、檳榔子、白豆蔲、青皮、沈降、砂仁、木香、甘草(炙)、生姜」水煎。◎脾胃和せず、胸膈痞悶し、気逆し、痰を生じ飲食進まざるを治す。◎膈噎反胃の如きも並びに治す。◎五膈には:「乾柿」◎膈気吐逆に:「薤白紅棗」◎古方には、丁香、五味子、訶子ありて、山楂子、白豆蔲無し、草豆蔲に易(カ)える。
#膈気散《和剤局方》《古今方彙》「三稜・莪朮・檳榔子・陳皮・枳殻・益智仁・肉桂各10両、乾姜・厚朴・木香・青皮・肉豆蔲・甘草(炙)各5両、生姜、大棗」水煎。
◎五種膈気、三焦痞塞し心腹膨張し、背膂引痛し、脇肋刺痛し、噎塞通ぜず、嘔吐痰逆呑酸するを治す。 ◎気を順らし、中を寛ぎ、痃癖積聚を消し、驚憂気を散ず。
#薤白粥《東醫寶鑑》「薤白3茎、卵白3個分、栗米3合」を煮て粥をつくり、別に人参1両を切って水1升で3合まで煎じ、1両を取って前の粥と混ぜて頓服する。◎嘔逆を治す。
#鵝管石湯《中薬臨床応用》「鵝管石30g、胡桃肉10個、杏仁9g、子12g、甘草3g」水煎服。◎気管支喘息。 #芎朮丸(一名麹丸)《東醫寶鑑》「白朮3両、山楂肉2両、蒼朮・川芎・神麹(炒)・便香附子・陳皮・半夏・白茯苓・枳実・黄連(酒炒)・当帰(酒洗)各1両、梔子(炒)・連翹・蘿葡子(炒)・木香5銭を作末し、姜汁泡で搗いた餅で梧子大の丸剤。姜湯で50丸呑む。◎鬱を開き、気を運行させ、積を消し、熱を散らす。
#蝸牛散《東醫寶鑑》「蝸牛1個に片脳・麝香を少しづつ瓦器内に入れておくと、おのずと溶けて水になる。これを塗る。」 ◎痔瘡の腫脹に。 #家韭子元《東醫寶鑑》「家韭子(略炒)6両、鹿茸(燎去毛)4両、肉蓉(酒浸)・牛膝(酒浸)・熟地黄・当帰(酒洗)各2両、菟絲子(酒製)・巴戟各1両半、杜仲(炒)・石斛(酒洗)・乾姜(炮)・桂心各1両」作末し酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に温酒or塩湯で100丸飲む。◎腎陽が衰退しが冷え、遺尿・不禁する者。
#核桃馬蛇子湯(天津和平区衛生局)「馬蛇子粉0.6~0.9g(冲服)、胡桃肉6g、大棗5g」水煎服。◎慢性気管支炎 #括子仁湯《外科枢要》《古今方彙》「薏苡仁4銭、桃仁・牡丹皮・括楼仁各1銭」水煎。◎産後の悪露或いは経行血にて痛みを作し、或いは腸癰を作すを治す。◎「白芍薬」=薏苡仁湯《外科正宗》
#括石湯《医学入門》《古今方彙》「括楼仁9銭、滑石1銭半、天南星・蒼朮・赤芍薬・陳皮各1銭、黄連・黄柏・黄芩・白各5分、甘草2分、生姜」煎服。◎破傷風にて発熱するを治す。
#括呂湯《漢方治療の実際》「括呂実・桂枝・半夏各4、橘皮・厚朴・薤白各3、枳実2、生姜・桔梗各2」 #括呂根湯《漢方治療の実際》 「括呂根・百合・知母・括呂仁各3、薏苡仁10、柴胡5、黄芩3、甘草1」
#藿香安胃散《東醫寶鑑》「橘紅5銭、人参・丁香・藿香各2銭半を作末し、毎回2銭を姜3片と煎じて温服。 ◎脾胃が弱くて嘔吐する。 #藿香安胃湯《医学正伝》《古今方彙》「人参・陳皮・藿香各1銭、丁香半銭」水煎。◎嘔吐悪心、飲食する能わざる者を治す。
#藿香正気丸【中成薬】《和剤局方》《中薬臨床応用》「藿香・紫蘇葉・半夏・白・大腹皮・茯苓・白朮・陳皮・厚朴・桔梗・甘草を含む。1日1~2回、1丸づつを生姜・大棗の煎湯で服用。◎急性胃炎◎生もの、冷たいものなどの飲食で上腹部が脹って苦しい、発熱、疲労感、嘔吐、下痢、口臭
#藿香正気散[1-1]《万病回春》《古今方彙》「大腹皮・紫蘇葉・藿香・白・茯苓各6分、厚朴・白朮・陳皮・桔梗・半夏各4分、甘草2分、生姜、大棗」水煎。
◎四時感冒、頭痛、憎寒壮熱、或いは風湿気、霍乱吐瀉、内傷外感を挟む物を治す。◎四時風寒雨湿に感冒し、或いは腹痛吐瀉、頭疼憎寒、嘔逆悪心、胸膈痞悶するを治す。《寿世保元》
#藿香正気散[1-2]《和剤局方》《東醫寶鑑》「藿香1銭半、紫蘇葉1銭、白・大腹皮・白茯苓・厚朴・白朮・陳皮・半夏(製)・桔梗・炙甘草各5分を剉作1貼して生姜3、大棗2を入れ水煎服。」◎傷寒陰症で頭痛・身疼して表裏を分弁できないとき、この剤で経絡を導引して変動しないようにする。
◎乾霍乱という症は、気がなかにあって痞悶し、吐下出来ず、正気を壅塞し陰陽を関格し、煩躁・喘脹すると必ず死ぬ。「急いで、吐法を使い、委中に鍼をし、兼ねて治中湯or藿香正気散を服用する」
#藿香正気散[1-3]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「白朮・半夏・茯苓各3、厚朴・陳皮各2、桔梗1.5、蘇葉1、藿香1、白1.5、甘草・大棗・生姜各1」◎傷寒、頭痛、憎寒、壮熱、上喘、咳嗽、五労、七傷、八般の風痰、五般の膈気、心腹冷痛、反胃嘔悪、気瀉霍乱、臓腑虚鳴、山嵐瘴瘧、遍身虚腫、婦人産前産後血気刺痛、小児癇傷並びに皆之を治す。
◎此方は内傷と外感を兼治し、発散の力がある。夏月に多く、内生冷に傷られ、外暑湿に感じ、胃腸内に食毒、水毒滞り、ために腹痛下痢、嘔吐、心下痞え、頭痛発熱して汗無き者によい。◎平胃散の去加方である。
◎本方の虚証は「清暑益気湯」である。◎食滞による小児の明け方の咳嗽、眼疾、牙痛、少年性疣に転用される。「紫蘇・藿香・白」=表を解す「厚朴・大腹皮」=胃を開き、腹満感を去る。「藿香・白朮・茯苓・陳皮・甘草・半夏・厚朴・桔梗・大腹皮」=皆中を調える
#藿香正気散[1-4]《和剤局方》《龍野一雄》「大腹皮・藿香・白・茯苓各4g、厚朴・白朮・陳皮・桔梗・半夏・紫蘇葉・大棗各3g、甘草1.5g、干姜1g」◎傷寒、頭疼、憎寒、壮熱、腹痛、霍乱を治す。◎「不換金正気散半夏厚朴湯桔梗大腹皮」《勿誤薬室方函口訣》◎此方はもと《嶺南方》にて、山嵐瘴気を去るが主意なり。夫れ夏月、脾胃に水湿の気を蓄へ、腹痛縁して頭痛悪寒の外症を顕す者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎世に「不換金正気散」と同じく夏の感冒薬とすれども方意大いに異なり。◎発熱・頭痛・悪寒、或いは嘔吐・下痢・腹痛。
★適応症及び病名(藿香正気散)[1]イボ:☆少年の顔面手足に多発するイボ「薏苡仁大量」《矢数道明》
[2]咽痛
[3]嘔吐
[4]悪寒
[5]咳嗽:☆小児の食滞咳嗽《矢数道明》☆小児などで他に原因がなくて朝時にせきする者《矢数道明》
[6]感冒<夏かぜ> ☆外感:「蒼朮・羗活各3g、白朮」《龍野ー漢方処方集》☆春寒く、夏冷え、秋暑く、冬温なるは四時不正の気である。時気に当たったものは皆これを用いて良い《矢数道明》
[7]急性胃腸炎:☆過食し、或いは美食に過ぎ、或いは堅硬のものを摂取、或いは飲料水にあてられ、吐瀉腹痛する者《矢数道明》 ☆夏の寝冷え、または寒冷なものにあたって、下痢、腹痛、嘔吐するものによい(漢方診療医典)
[8]急性熱病: ☆湿熱による霍乱・転筋・煩渇・悶乱:「黄連・藿香」《龍野ー漢方処方集》☆中暑、暑さにあてられた者《矢数道明》
[9]下痢(腹痛・下痢・嘔吐)☆消化不良:「香附子6g・縮砂2g」《龍野ー漢方処方集》☆米穀不消化:「神麹2g・麦芽3g」《龍野ー漢方処方集》☆肉食不消化:「山楂子3g」《龍野ー漢方処方集》☆裏急後重:「枳穀2g」《龍野ー漢方処方集》
[10]口渇☆口渇・下痢・小便不利:「五苓散」《龍野ー漢方処方集》
[11]呼吸困難
[12]歯痛:☆耳の腫痛に用いることがある。食鬱による《矢数道明》
[13]食欲不振
[14]心下痞☆心下痞悶:「香附子6g・縮砂2g」《龍野ー漢方処方集》☆心下痞:「枳実2.5g・青皮3g」《龍野ー漢方処方集》☆誤った薬を服んで、胃が疲労し、心下に欝滞して快くない者《矢数道明》
[15]心腹疼痛☆心腹絞痛:「木香1.5g」《龍野ー漢方処方集》
[16]頭痛
[17]発熱☆発熱:「麦門冬8g・竹茹2.5g」《龍野ー漢方処方集》
[18]疲労倦怠
[19]腹痛 :<産前産後の神経性腹痛>☆腹痛:「芍薬5g」《龍野ー漢方処方集》☆寒痛:「桂枝3g」《龍野ー漢方処方集》☆冷甚だしい者:「乾姜3g」《龍野ー漢方処方集》
[20]のどが痛い:(口を開けて寝るために、朝のどが痛む)☆夜口を開いて眠り、咽喉の痛む者《矢数道明》
[21]浮腫:☆湿気にあてられて浮腫を来した者《矢数道明》[22]無汗[23]目が痛い #藿香湯《奥田家方》「藿香・益智仁・縮砂各3.0」三味を一包とし、水一合を以て、煮て六勺を取り、滓を去り頓服する。
◎頭痛、眩暈を発する諸病にして、熱性症候なく、或いは下肢寒冷にして頭面熱し、或いは宿酔にして嘔気、嘔吐を発し、頭重き、身体倦怠を覚える者を治す。
#藿香平胃散[1]《医学正伝》《龍野一雄》「陳皮3.5g、神麹1.5g、縮砂1.5g、厚朴・藿香各3.5g、古立蒼朮4g」 ◎飲食停滞・嘔吐。
★適応症及び病名(藿香平胃散) [1]胃カタル[2]胃拡張[3]胃下垂[4]食傷
#藿香平胃散[1]《医学正伝》《古今方彙》「陳皮1銭、神麹半銭、砂仁半銭、厚朴1銭、甘草3分、蒼朮1銭半、藿香1銭、生姜」水煎温服。 ◎内、飲食に傷つき、脾湿り、壅滞して吐をなすを治す。
#藿香平胃散[2]《東醫寶鑑》「蒼朮2銭、藿香・厚朴・陳皮各1銭半、縮砂・神麹各1銭、炙甘草7分、姜3、棗2」煎服。◎脾胃の虚弱・嘔吐。 #藿香養胃湯《医学入門》《古今方彙》「藿香・烏薬・白朮・神麹・茯苓・半夏(麹)・砂仁・薏苡仁各1銭半、蓽澄茄・甘草各1銭、生姜、大棗」煎服。
◎胃虚にて食ぜず、四肢痿弱、行立能わず、皆陽明胃虚に由り宗筋養う所無く、遂に痿躄となるを治す ◎入門には、「藿仁養胃湯」と名づく。 #藿香連翹飲《中薬臨床応用》「藿香6g、連翹6g、製半夏6g、陳皮3g」◎熱射病・日射病で発熱・煩熱・悪心・嘔吐。
#藿香和中湯《古今方彙》「藿香、紫蘇葉、香附子、蒼朮、厚朴、山楂子、川芎、羗活、砂仁、麦芽、白、陳皮、甘草(炙)、生姜」水煎。 ◎寒に感じて停食吐瀉する者を治す。
#藿朴夏苓湯 「藿香・厚朴・半夏・茯苓」 #藿朴夏苓湯《温病条弁》「藿香、沢瀉、猪苓、半夏、淡豆豉、赤茯苓、杏仁、薏苡仁、白豆蔲仁、厚朴」 #廓清飲《景岳全書》《勿誤薬室方函》「厚朴1銭5分、大腹皮1銭、、沢瀉1銭、茯苓2~3銭、橘皮1銭、枳実2銭、白芥子7分、蘿葡子1銭」
◎三焦壅滞し、気道清からず、小便不利・通身腫脹する者を治す。 ◎此方は導水茯苓湯より簡にして効多し。《勿誤薬室方函口訣》
◎三子養親湯の症にして中焦壅実する者を治す。
#角石散《備急千金要方》 「角石1味、酒服する。」 ◎腰痛。《勿誤薬室方函口訣》 #鶴頂丹《東醫寶鑑》 「明白礬1両、心紅5銭」を作末し、1匙ずつ取って容器に入れ、熔化させ、桜桃大に丸め、薄荷の煎湯で毎回1丸服用。
◎痰熱が咽喉を防ぎ、痰が胸膈につまって痛むのを治す。
#鶴柏湯《中薬臨床応用》「仙鶴草30g、側柏葉12g、白芨15g、藕節30g、大薊12g」水煎服。◎吐血。 #馘鬼散《東醫寶鑑》 (馘=カク・くびきる)「黄連・胡桐涙・荊芥穂・薄荷・升麻・羊脛骨灰」各等分に、「麝香少々」入れて作末しすりつける。◎胃熱歯痛。
#楽令建中湯[1-1]《和剤局方》《古今方彙》「前胡・細辛・黄蓍・人参・肉桂・陳皮・当帰・白芍薬・茯苓・麦門冬・甘草各1両、半夏7銭半、生姜、大棗」煎服。
◎臓腑虚損、身体消痩、潮熱自汗、まさに労を成るを治す。◎虚熱を療退して血気を生ず。 #楽令建中湯[1-2]《和剤局方》《勿誤薬室方函》「黄蓍・芍薬・桂枝・麦門冬・橘皮・甘草・当帰・細辛・人参・柴胡・茯苓各2両、半夏2両半、大棗20枚、生姜5両」「黄蓍建中湯当帰・人参・麦門冬・細辛・前胡・茯苓・半夏・橘皮」「調中益気湯白朮桂枝細辛麦門冬半夏」◎臓腑虚損・身体痩せ・潮熱自汗し・まさに労にならんとするを治し、虚熱を退く。
◎虚労不足、四肢煩疼、食を欲せず、食せば即ち脹り、汗出ずるを治す。◎虚労寒熱ある者の套剤とす。◎但し肺痿寒熱ある者には効なし。肺痿には人参養栄湯《聖済総録》を用いるべし。《勿誤薬室方函口訣》
#加減湯[1]《通俗傷寒論》 「生12g、生葱白3枚、桔梗6g、東白薇4g、淡豆豉12g、薄荷4g・甘 草2g、紅棗2枚」 #加減湯[2]《通俗傷寒論》《中薬臨床応用》⇒「加減玉竹湯」「玉竹9g、桔梗9g、白薇3g、淡豆豉12g、薄荷3g(後下)、炙甘草15g、大
棗3g」◎陰虚の感冒◎風熱咳嗽 #加減胃苓湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「蒼朮1銭半、陳皮・沢瀉・白朮・赤茯苓・木瓜各1銭、厚朴・猪苓・神麹・檳榔各8分、山楂肉。縮砂各7分、香附子(姜汁炒)・大腹皮各6分、炙甘草3分」を剉作1貼し、姜3・灯心草1を入れ水煎服。◎浮腫を治す。
#加減胃苓湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「陳皮・猪苓・赤茯苓・沢瀉・目下・白朮各1銭、厚朴・神麹・檳榔子各8分、大腹皮・香附子(姜炒)各6分、山楂子・砂仁各7分、蒼朮1銭半、甘草(炙)3分、生姜、燈心草」水煎。◎水腫を治す。
#加減胃苓湯[2]《東醫寶鑑》「胃苓湯桂枝、藿香・半夏・大腹皮・山楂子・蘿葡子・三稜・莪朮・青皮各5分、生姜3、大棗2」水煎服。◎黄疸で食物がまずく、歩行のだるい者。
#加減胃苓湯《寿世保元》《古今方彙》「蒼朮、陳皮、厚朴、猪苓、沢瀉、白朮、白茯苓、藿香、半夏、大腹皮、三稜、莪朮、山楂子、青皮、甘草、蘿葡子、生姜、大棗」煎服。
◎黄胖(貧血して動悸強き者)にて飲食味無く、四肢無力、行歩倦怠、脈濡、或いは腹に積聚ありて腸満するを治す。 #加減温胆湯《万病回春》《東醫寶鑑》
「茯神・半夏(製)・陳皮・枳実・山梔子(炒)・白朮・麦門冬・黄連各1銭、当帰・酸棗仁(炒)・竹茹各8分、人参6分、辰砂末5分、甘草3分、生姜3斤、大棗2枚、烏梅1個を入れて、水煎し竹瀝半杯・辰砂末5分をまぜて服用。
◎痰が心竅をふせぎ、神が離れ、憂が鬱結して驚恐・傷心・いつも不安でびくびくし・怔忡・煩悶・悲歌・叫罵・奔走し、他人の事は省みないとき。◎痰躁痰語驚、志神を失し舎(イエ)(心臓)を守らざるを治す。「痰躁」=痰にて胸が躁いで落ち着かないこと。
「痰語」=痰にて心臓を包み籠らせうろうろして胸苦しくうわごとを言う。 #加減益気湯《東醫寶鑑》「白朮・白芍・陳皮各1銭、当帰7分、黄蓍・人参・沢瀉・縮砂・地楡各5分、升麻・木香・白豆蔲・御米穀(錯炒)・炙甘草各3分」空腹時に水煎服。
◎久痢で衰弱したとき。 加減越脾湯《張氏医通》 #加減甘露消毒丹 「茵蔯・山梔子・黄芩・石菖蒲・藿香・白豆蔲・薄荷・滑石・木通・枳穀」 #加減揆雲散《東醫寶鑑》「羗活2両2銭半、甘菊1両9銭、木賊・白藜各1両1銭半、防風・柴胡・蒼朮・枳殻・川芎・甘草各1両1銭、荊芥・薄荷各1両、蝉退7銭半、石決明(製)・密蒙花各4銭」作末し毎回2銭を薄荷湯で食後服用。◎諸般の眼病を治す。
#加減芎辛湯頭風で目が痛むとき) #加減玉竹湯=加減湯「玉竹9g、桔梗5g、白薇3g、淡豆豉12g、薄荷3g(後下)、炙甘草15g、大棗3g」水煎服。
#加減銀翹散《温病条弁》「金銀花、連翹、玄参、麦門冬、犀角、竹葉、薄荷葉」 #加減五積散《古今方彙》「五積散乾姜羗活、牛膝、生姜、葱白」◎婦人たまたま経行の時に身し沿いて疼痛し、手足麻痺し、或いは寒熱を生じ、頭痛目眩等の症を治す。
◎これ経が感冒に触されたるなり。 #加減五苓散《済世経験良方》 #加減香苓散《東醫寶鑑》「枳穀・陳皮・香附子・蒼朮・麻黄・猪苓・沢瀉・木通・滑石・車前子・三稜・莪朮・川楝子・延胡索・甘草各7分剉作し、姜3・葱白2茎を入れ水煎服。
◎偏墜気が初めて起きたとき。 #加減芎辛湯《東醫寶鑑》「川芎・細辛・白・石膏・藁本・皀角・羗活・防風・荊芥・桔梗・蔓荊子・甘菊・薄荷・甘草各5分」水煎服。
◎頭風で目が痛むとき。 #加減解毒湯《寿世保元》《古今方彙》 「柴胡・知母・羗活・山梔子・黄芩・人参各1銭半、黄連1銭2分、防風・当帰・連翹・乾葛・生地黄・甘草各1銭」水煎、温服。
◎傷寒、かって汗下を経たる後、熱退かず、頭疼みて清からず、脈数実、身なお煩躁し、渇止まず、是れ陰陽交わりたるなり。此症甚だ危うし、その人平素積熱あり。或いは心事火を起こすに因るなり。
#加減香苓散《万病回春》《東醫寶鑑》「枳穀・陳皮・香附子・蒼朮・麻黄・猪苓・沢瀉・木通・滑石・車前子・三稜・蓬莪朮・川楝子・延胡索・甘草各7分、生姜3、葱白2」水煎服。
◎偏墜気が初めて起きたとき。 #加減香苓散《万病回春》《古今方彙》「枳殻、陳皮、香附子、蒼朮、麻黄、香薷、猪苓、沢瀉、木通、滑石、車前子、三稜、莪朮、川楝子、延胡索、甘草、生姜」煎服。
◎疝気が暑月に発する者を治す。◎多く是れ暑が膀胱に入るなり。◎偏墜気の初起に憎寒壮熱するを治す。 #加減紅綿散《東醫寶鑑》「麻黄・荊芥穂・全蝎・天麻・薄荷・紫草茸・蝉退各5分を剉作し、1貼に葱白1茎を入れ水煎服。
◎痘疹が発しようとしたら、まずひどい熱が出て搦する。発散させるために本方を使う。 #加減虎骨散《東醫寶鑑》「虎骨3両、没薬5銭」を作末し、毎回2銭を温酒で服用。
◎白虎歴節痛が昼夜止まない者。 #加減固本丸⇒二参丹(一名二老丹)《東醫寶鑑》 「丹参・熟地黄・天門冬各1両半、麦門冬・白茯苓・甘草各1両、人参・遠志・石菖蒲・朱砂各5銭」を末にし、梧子大の蜜丸。空腹時に、愈風湯で服用。
◎老人の昏忘・中風後の健忘症。 #加減犀角地黄湯《寿世保元》《古今方彙》「犀角・生地黄・当帰・黄連・苦参・枳殻・桔梗・赤芍薬・紅花・牡丹皮・甘草・生姜」服するに臨み藕汁を入れ、もし無くば韭汁にても亦可なり。
#加減柴苓湯[1-1]《寿世保元》《古今方彙》「柴胡、黄芩、半夏、猪苓、沢瀉、蒼朮、青皮、檳榔子、草果、烏梅、甘草、生姜、大棗」水煎温服。◎諸瘧にて寒熱交作し、陰陽を分たず、口乾、渇を発し、小便赤渋、或いは吐瀉をなす者を治す。
#加減柴苓湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》「柴胡、半夏、茯苓、甘草、白朮、沢瀉、猪苓、山楂子、茘枝核、山梔子各等分、生姜」煎服。◎諸疝を治す。◎気を順らし、疝を消し、湿熱を治すの剤なり。
#加減柴苓湯[1-3]《東醫寶鑑》「柴胡・沢瀉各1銭、半夏・赤茯苓・白朮・猪苓・山楂子・山梔子・茘枝核各7分」を作末し、水煎服。 ◎疝による湿熱・腫痛を治す。
#加減三奇湯《医学入門》《東醫寶鑑》「半夏2銭、桔梗・陳皮・青皮・人参・桑白皮・紫蘇葉・杏仁・五味子各1銭、甘草5分」剉作1貼し、姜3片を入れ水煎服。
◎咳喘で上気し、痰涎の不利する者。 #加減三拗湯[1]《東醫寶鑑》「麻黄2銭、陳皮1銭半、杏仁・橘紅各1銭半、乾生姜・桂皮・甘草各1銭」剉作1貼し、紫蘇葉3片を入れ水煎服。
◎寒喘を治す。 #加減三拗湯[2]《医学入門》《古今方彙》「麻黄1銭、杏仁・桑白皮各7分、甘草5分、紫蘇子・前胡各3分、生姜」水煎。 ◎風寒に因る喘を治す。
#加減酸棗仁湯《中薬臨床応用》「酸棗仁24g、茯神12g、朱砂0.5g8(冲服)、党参9g、白芍12g、知母9g、川芎3g、百合花9g、夜交藤15g、炙甘草3g」◎神経衰弱不眠心臓神経症動悸・不安・自汗・盗汗
#加減四君子湯《東醫寶鑑》「四君子湯茯苓、人参・黄蓍・香附子各1銭、姜3片入れて吸い煎服。」 ◎長患いによる胃弱。飲食を受け付けず、食臭を嗅ぐとすぐ吐く者。
#加減四物湯[1]《婦人大全良方》 「四物湯莪朮・三稜・桂心・乾漆」 #加減四物湯[2]《東醫寶鑑》「側柏葉・生地黄・当帰・川芎各1銭、枳穀・荊芥・槐花(炒)・炙甘草各5分、姜3、烏梅1」水煎服。◎血便・腸風を治す。
#加減四物湯[3]《医学入門》《古今方彙》「生地黄、当帰、白芍薬、山梔子、牡丹皮、貝母、知母、黄柏、陳皮、白朮、甘草、玄参、麦門冬」水煎。 #加減四物湯[4]《寿世保元》《古今方彙》「香附子・熟地黄各1銭、当帰・白芍薬(酒炒)・川芎・枳殻・柴胡各8分、黄芩・陳皮・三稜(醋炒)・莪朮(醋炒)各6分、延胡索・小茴香(酒炒)・白朮・青皮・砂仁・肉桂・白・甘草各5分」水煎熱服。◎室女56歳にして経脈通ぜず、日夜寒熱し、手足麻痺し、飲食少し進み、頭疼み、悪心し嘔吐し、腹中に忽然として一塊を結びて痛む者を治す。
◎誤って生冷を食し傷るる所なり。 #加減瀉青丸《雑病証治新義》 「防風・竜胆・山梔子・大黄・黄芩・川牛膝」 # 加減瀉白散[1]《東醫寶鑑》「桑白皮1銭半、地骨皮・赤茯苓各1銭2分、人参8分、陳皮・五味子各5分、青皮・甘草各3分、粳米一握り」水煎服。◎嘔逆して喘促する。◎陰気が下にあり、陽気は上にあって咳をし、嘔逆して喘促する者を治す。
#加減瀉白散[2]《東醫寶鑑》「桑白皮・地骨皮・知母・桔梗・陳皮・青皮各1銭、片芩・甘草各5分」水煎服。◎喘急。 #加減瀉白散[3]《古今方彙》「桑白皮・桔梗・括楼仁・升麻・杏仁・地骨皮各1銭、甘草5分、生姜」水煎。
◎咳嗽喘急、脇痛胸満気促、肺経の湿熱等の症を治す。◎肺火咳嗽の要方なり。 #加減十全大補湯《済世全書》《古今方彙》「黄蓍、人参、白朮、茯苓、当帰、川芎、芍薬、熟地黄、柴胡、黄芩、陳皮、甘草、生姜、大棗」水煎温服。
◎人、虚弱にして久しく瘧し、寒熱多からずして但だ微熱の者を治す。 # 加減薷苓湯[1-1]《寿世保元》《東醫寶鑑》「天花粉2銭、赤茯苓1銭、猪苓・沢瀉・香薷・乾葛各7分、黄連・白朮・甘草各5分を剉作し、1貼に姜3片を入れ煎服。
◎霍乱の熱渇を治す。 #加減薷苓湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》「猪苓・沢瀉・香薷・乾葛各7分、赤茯苓1銭、括楼根2銭、白朮・黄連各5分、甘草3分、生姜」水煎。
◎霍乱、身熱口渇を治す。◎熱極まれば:「石膏知母」◎泄極まれば:「升麻滑石」◎腹痛には:「芍薬(炒)肉桂」 #加減潤燥湯[1-1]《万病回春》「天南星(姜)、半夏・白朮・茯苓・天麻各1銭、防風・桃仁各6分、紅花(酒)4分、黄芩(酒)8分、薄桂6分、白芍薬(酒)2銭、黄柏(酒)3分、酸棗仁(炒)8分、甘草(炙)4分、川芎1銭、陳皮(塩水)8分、水煎し、服するに臨み竹瀝、姜汁少しばかりを入れる。◎中風にて左半身不随、手足、及び語言に力を費やし、呵欠(あくび)、噴嚔(フンテイ=くしゃみ)、面目口眼斜、寛弛、頭目眩暈、痰火熾盛、筋骨時に痛み、 頭痛、心悸するを治す。これ血虚と死血に属するなり。
【加減方】<1>手の不随には・・黄芩、薄桂を倍加する。<2>足の不随には・・竹瀝、牛膝を倍加する。
#加減潤燥湯[1-2]《東醫寶鑑》「白芍(酒炒)2銭、当帰1銭2分、川芎・白茯苓・白朮・天南星・半夏・天麻各1銭、生地黄(酒炒)・熟地黄(姜汁炒)・陳皮(塩水洗)・牛膝(酒洗)・黄芩(酒炒)・酸棗仁(炒)各8分、桃仁・羗活・防風・薄桂各6分、紅花(酒洗)・炙甘草各4分・黄柏(酒炒)3分を剉作2貼して、水で煎じ・竹瀝を少し入れ調服する。」◎左半身の不随。
#加減正気散[1]《東醫寶鑑》「蒼朮2銭、藿香・厚朴・陳皮・縮砂(研)・香附子・半夏・甘草各1銭を剉作1貼して、姜3、棗2、灯心草1団を入れて煎服。◎初めて行った地方で、水が合わず霍乱になって吐き、下痢する者。
#加減正気散[2]《中薬臨床応用》「大腹皮9g、厚朴6g、茯苓皮9g、神麹9g、麦芽112g、陳皮6g、茵蔯蒿12g」水煎服。◎慢性肝炎◎消化不良
◎上腹部が脹って苦しい◎大便がすっきり出ない #加減正気散[3]《万病回春》《古今方彙》「藿香・厚朴・陳皮・砂仁・香附子・半夏・甘草・蒼朮各等分、生姜、大棗、燈心草」水煎温服。
◎異郷にある人初めて他方に至り、水土を服せず(土地変わり水変わりて)或いは吐し、或いは瀉し胸腹飽悶し、或いは腫脹して吐瀉せざる者は此方に宜し。
◎瀉すれば:「白朮山薬烏梅炒米」◎嘔吐:「白朮山薬烏梅炒米」◎腹痛すれば:「木香小茴香」◎飽悶には:「益智仁大腹皮」◎発腫気喘:「紫蘇子桑白皮木通猪苓大腹皮木香甘草」◎小水短赤:「木通猪苓山梔子車前子半夏甘草」◎胸腹脹飽或いは四肢浮腫し、吐瀉せざる者:「蘿葡子枳殻大腹皮木通半夏甘草」
◎内熱にて煩渇する:「乾葛黄連山梔子烏梅半夏甘草」◎内熱、手足冷え、脈沈細:「乾姜官桂」 #加減逍遥散[1]《世医得効方》《古今方彙》「当帰・芍薬・白朮・茯苓・柴胡・生地黄・遠志各中、蘇木・紅花・桃仁各大、甘草少、姜」水煎。
◎婦人癲疾にて歌唱時無く、上屋の踰墻(踰=ユ、超えるのぼる)(墻=ショウ、かき)する者を治す。乃ち栄血が心胞に迷い致す所なり。 #加減逍遥散[2]《寿世保元》《東醫寶鑑》
「逍遥散胡黄連・麦門冬・地骨皮・黄芩・秦艽・木通・車前子を等分」に剉作して、灯心一握りを入れ煎服。 ◎子(ね)・午(うま)の潮熱を治す。
#加減逍遥散[3]《寿世保元》《勿誤薬室方函口訣》「当帰、芍薬、白朮、柴胡、茯苓、胡黄連、麦門冬、甘草、黄芩、秦艽、木通、地骨皮、車前子」◎子午潮熱ある者。◎婦人血熱、時を期して発する者、奇効あり。《高階枳園》◎此方は婦人血熱固着して骨蒸状に似たる者効あり。なかんずく小便不利或いは淋瀝する者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
#加減逍遥散[4]《寿世保元》《龍野ー漢方処方集》「牡丹皮・白朮各4.0g、当帰・芍薬・桃仁・貝母各3.0g、山梔子・黄芩各2.0g、桔梗・青皮各1.5g、甘草1.0g」◎熱性の吐血喀血。
#加減小柴胡湯[1]《東醫寶鑑》「小柴胡湯香附子・黄連・前胡」水煎服。 ◎手のひら、足の裏に、熱があってたまらない症。 #加減小柴胡湯[2]《万病回春》《古今方彙》「柴胡・黄芩・山梔子・柿蔕・陳皮・砂仁・半夏・竹茹各1銭、藿香8分、茴香5分、沈香(磨)・木香(磨)・甘草各3分、烏梅1個、生姜」水煎温服。
◎身熱し、煩渇してを発するを治す。 #加減除湿湯《万病回春》《古今方彙》「人参8分、当帰1銭、白朮1銭2分、茯苓・陳皮・半夏各1銭、桔梗・防風各8分、枳殻・蒼朮各1銭、川芎・白9分、烏薬・羗活・赤芍薬・黄連(酒)・黄芩(酒)各1銭、甘草5分、生姜、水煎温服。◎中風にて右半身不随、手足及び筋骨疼痛するを治す。◎これ気虚と湿痰に属するなり。【加減方】
<1>身痛には・・欝金。<2>脚痛には・・牛膝・防已・威霊仙。 #加減茹苓湯《寿世保元》《古今方彙》「猪苓・沢瀉・香薷・乾葛各7分、赤茯苓1銭、白朮・黄連・甘草各5分、括楼根2銭、生姜」水煎。
◎夏秋の月に霍乱、吐瀉、身熱口渇するを治す。◎熱極まるには:「石膏知母」◎瀉極まるには:「升麻」◎腹痛には:「芍薬肉桂」(寒痛:朮)
#加減腎気丸《東醫寶鑑》「熟地黄2両、牡丹皮・白茯苓・山茱萸・五味子・沢瀉・鹿茸・山薬各1両、肉桂・沈香各5銭」作末し、蜜で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で70~80丸呑む。◎腎消で口が燥し、煩渇して、両足が痩せる。
#加減清脾湯《東醫寶鑑》「小柴胡湯+人参養栄湯」◎寒が多く熱少ない:養栄湯を多く使い。熱が多く寒少ない:小柴胡湯を多く使う。毎貼に姜3・棗2・桃枝2寸・柳枝2寸を入れ、空腹時に水煎服。◎すべての瘧を治す。
#加減続命湯《傷寒六書》《古今方彙》「防風・芍薬・白朮・川芎・防已・桂枝・麻黄・甘草・蒼朮・羗活・生姜・大棗・燈心草」水煎。◎脚気、傷寒に類し、頭疼・身熱・悪寒・肢節痛み、便閉、嘔逆、脚軟屈し、転動する能わず、ただ脚膝にて起つのみ。補剤及び淋洗を用うるを禁ず。この湯に宜し。【加減方】
<1>寒中三陽が冷え、脉遅:附子。<2>湿が原因、脉弱・・・:牛膝・木瓜。<3>風が原因、脉浮・・・:独活。<4>元気を虚する・・・・:人参。<5>大便実・・・・・・・:大黄。
#加減冲和湯《古今方彙》「羗活、防風、白朮、川芎、白、黄芩、生地黄、細辛、甘草、黄蓍、生姜、葱白」水煎。 ◎春夏秋、感冒時に非らざるに寒に暴れ又頭疼悪寒身熱、脈浮緩、自汗あるを治す。
#加減駐景丸[1]《和剤局方》《中薬臨床応用》「車前子60g、当帰15g、熟地黄15g、五味子30g、枸杞子30g、楮実子30g、蜀椒30g、兎絲子240g」細末を蜜で小豆大の丸剤。毎回30丸、空腹時に塩湯で服用。◎老人性白内障。
#加減駐景丸[2]《易簡方論》 「枸杞子 五味子 車前子 楮実子 蜀椒 熟地黄 当帰 兎絲子」 #加減駐景元《東醫寶鑑》「兎絲子8両、枸杞子・五味子・車前子・楮実子・川椒(炒)各1両、熟地黄・当帰身各5銭」蜜で梧子大の丸剤。空腹時に温酒、又は塩湯で50~70丸服用。
◎肝腎ともに弱く、目に黒花・視界が暗い・障が出来る者。 #加減調中湯《医学入門》《古今方彙》「白芍薬、茯苓、白朮、麦門冬、生地黄、陳皮、桔梗、烏梅、甘草」水煎、温服。◎冬温かく及び春暴かに煖飼う、煩躁し、眠食安からず、◎或いは脱して傷風に状をなさんと欲する者を治す。◎体盛んなれば:黄芩。◎痰あれば:貝母。
#加減鎮心丹《東醫寶鑑》「天門冬・黄蓍(蜜炙)・当帰身(酒炙)・熟地黄各1両半、麦門冬・生乾地黄・白茯神・山薬各1両、五味子・遠志(姜汁製)・人参各5銭」作末し、緑豆大の蜜丸。朱砂で衣をつけ温酒又は米飯で50~70丸服用。◎気血の不足、心神の虚損を治す。
#加減珍珠粉丸《東醫寶鑑》「黄柏(半生半炒)・蛤粉各3両、滑石2両、樗根白皮1両、青黛・乾姜(炒褐色)各5銭、炒神麹糊で梧子大に丸め、空腹時に温酒で70~100丸呑む。
「黄柏」は陰火を降ろし、湿熱を除し、
「蛤粉」は補腎、
「滑石」は利竅し、
「樗根白皮」は湿熱を乾かし、
「青黛」は鬱を解かして火を降ろし、
「乾姜」は肺気を収め下降させ、陰血を治す塩を少し黒くなるまで炒って使う。◎赤・白濁と白淫を治す。 #加減天麻湯《万病回春》《古今方彙》「半夏8分、白朮7分、川芎7分、黄蓍・人参・甘草・蒼朮各3分、生姜、大棗」水煎し食遠に服す。
#加減当帰補血湯《万病回春》《古今方彙》「当帰・生地黄・熟地黄・芍薬各3銭、人参5分、白朮・茯苓・山梔子・麦門冬・陳皮各8分、烏梅1個、炒米100粒、甘草3分、大棗肉」水煎し、辰砂(研末)を入れ温服。
◎心中血少なく、而してする者を治す。 #加減導痰湯[1-1]《万病回春》《松田ー回春解説》 「人参(去蘆)・陶器(酒洗)・木香各5分、肝臓3分、南星・陳皮(去白)・枳実(麩炒)・桔梗(去蘆)・黄連(姜汁炒)・黄芩(去朽)・白茯苓(去皮)・瓜蔞仁(去殻)・半夏(1味、牙皀・白礬・生姜の煎湯を用い、浸し透し、炒り乾燥)・白朮(去蘆)各1銭」◎中風、痰喘壅盛、言語すること能わず、牙関緊急、熱ある者を治す。
#加減導痰湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》「人参・当帰各5分、白朮1銭、茯苓・陳皮・天南星・枳実・半夏各1銭、木香5分、括蔞仁・黄芩・黄連(姜炒)各1銭、甘草3分。生姜、水煎、服するに臨み、竹瀝・姜汁を入れ同服す・◎中風にて痰涎壅盛し、言語する能わず、牙関緊急し熱ある者を治す。
#加減導痰湯[2]《東醫寶鑑》「天南星・半夏を皀角・明礬・生姜の煎じ湯に浸して炒って乾かし、白茯苓・陳皮・白朮・桔梗・枳穀各1銭、黄連・黄芩・瓜蔞仁・人参・当帰・木香各5分、甘草3分を剉作1貼して生姜3・大棗2を入れた水で煎じ、竹瀝・姜汁を入れ調服する。」
◎中風で痰が多く、言葉が出ず、熱のある症。 #加減内固丸《東醫寶鑑》「巴戟・肉蓉・山茱萸・兎絲子各3両、破故紙2両半、石斛・胡蘆巴各2両、茴香1両、附子5銭」を作末し、梧子大の蜜丸。温酒又は塩湯で50~70丸呑む。
◎命門の火が衰え、腎が冷たく、陰痿して立たない者。 #加減二陳湯[1]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・茯苓・枳実・黄芩各1銭、半夏1銭半、香附子(便)1銭、貝母1銭半、白朮1銭2分、括楼根7分、防風5分、連翹5分、甘草3分、生姜」水煎。
◎痰は湿に属す。乃ち津液の化す所、風寒湿熱に感ずるに因り或いは七情が飲食に傷るる所気逆を致すを以て液は濁変し、痰厥と為る。故に痰は火動降火に因り先ず火と為る。気逆に因り気を順らすを要となす。
#加減二陳湯[2]《万病回春》《古今方彙》「茯苓・陳皮・羗活・防風・人参・当帰・白朮・枳実・天南星・川芎・括楼仁・桔梗各等分、甘草少し」水煎し、竹瀝・姜汁入れる。
◎眩暈して倒れる者を治す。これ風痰なり。 #加減二陳湯[3]《東醫寶鑑》 「橘紅を塩水で浸して焙ったもの1銭2分、枳実・黄芩(炒)各1銭、白朮・貝母(炒)・香附子各9分、白茯苓・天花粉の塩水で炒めたもの各7分、防風・連翹各5分、甘草3分」煎服。
◎老痰・燥痰・熱痰。 #加減人参白虎湯《万病回春》《古今方彙》「人参5分、甘草3分、白朮・陳皮各7分、石膏・知母各1銭半、茯苓・芍薬・香薷・梔子・麦門冬各1銭、白扁豆8個、蓮肉10個、烏梅1個」水煎。
◎熱極まりて所謂温経湯便遺尿して止まざるには:「黄柏(炒)」◎煩躁する:「辰砂酸棗仁」◎腹痛嘔、吐瀉飽悶する:石膏を使わないこと。 #加減寧神湯《東醫寶鑑》「生乾地黄1両半、当帰・白芍・白茯神・麦門冬・陳皮・貝母(炒)各1両、遠志(姜製)・川芎各7銭、酸棗仁(炒)・黄連・甘草各5銭を作末し、緑豆大の蜜丸。朱砂で衣をし、棗湯で50~70丸服用。
◎心血不足・驚悸・怔忡・健忘・恍惚・一切の痰火。 #加減敗毒散《寿世保元》《古今方彙》「防風、荊芥、羗活、独活、前胡、升麻、乾葛、赤芍薬、桔梗、川芎、白、薄荷、牛蒡子、甘草、柴胡、生姜、葱白」煎服し、汗を出す。
◎衆人、一般に天行時疫を病む。その症は顔面腫大し、咽喉不利、舌乾口燥、憎寒憎熱、時気流れ伝わり、四時の瘟疫を問わず通して此方を用いる。 #加減排風湯《東醫寶鑑》「天麻2銭、蒼朮1銭、防風・川芎・羗活・独活各8分、麻黄7分、白鮮皮・当帰・白芍・白朮・半夏・赤茯苓・黄芩・杏仁・甘草各4分を剉作1貼して生姜3片を入れて、水煎服。」◎五臓の風を通治する。
#加減薄荷煎元《東醫寶鑑》 「薄荷葉8両、防風・川芎・白豆蔲各1両、縮砂・甘草各5銭、竜脳5分、桔梗2両」を作末し、蜜にまぜ1両を30丸につくって、毎回1丸をいつも口に含んで徐々に飲み下す。
◎風熱と咽喉腫痛。 #加減白通湯《東醫寶鑑》「炮附子2銭、乾姜(炮)・肉桂・草豆蔲()・半夏・人参・白朮・炙甘草各1銭を剉作1貼して生姜5片、葱白5茎を入れ水煎服。
◎沈寒痼冷・臍腹冷痛・大便自利・足脛の寒逆の症。 #加減白虎湯《東醫寶鑑》「石膏2銭半、知母1銭、人参・黄柏各7分、玄参・甘草各5分、五味子10粒」剉作1貼し、粳米100粒を入れ水煎服。
◎消渇。良く食べながら渇く。 #加減白朮散《東醫寶鑑》「乾葛2銭、人参・白朮・白茯苓各1銭、木香・知母・黄柏・甘草各5分、五味子9粒」水煎服。◎消渇。食べられずに渇く。
#加減八珍湯《済世全書》《古今方彙》「人参・陳皮各8分、白朮・芍薬各1銭半、茯苓・冬季・半夏・神麹・沢瀉・阿膠各1銭、黄連(酒炒)2銭、砂仁・防風各7分、甘草(炙)5分、川芎6分、生姜」水煎。◎食積痢あるいは時に赤痢し或いはときに水瀉し或いは完穀倶に出る者を治す。
#加減八味丸《東醫寶鑑》 「熟地黄2両、山薬(少炒)・山茱萸各1両、沢瀉(酒蒸)・牡丹皮・白茯苓各8銭、五味子(炒)1両半、肉桂5銭、を作末して、梧子大の蜜丸。早朝と就寝前に、塩湯または温酒で50~70丸服用。◎腎水を治す。
#加減八味丸料車前子・牛膝《薛立斎十六種》《古今方彙》「六味丸五味子・肉桂」 ◎老人陰痿にて色を思いて精出でず、而して内敗れ、小便道渋痛して淋の如く、或いは大小便道牽痛し、痛むと便意起こり、便せんと欲すれば痛む者を治す。応ぜざれば急いで附子を加える。
#加減八味元《東醫寶鑑》◎強中症。 #加減八物湯《万病回春》《古今方彙》「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・生地黄・人参・白朮・茯苓・山薬・杜仲(酒炒)・香附子各等分、甘草半減、烏梅1個、生姜、大棗」水煎。
◎赤白帯下にて気血の虚に属する者を治す。◎肥人には:「半夏」◎痩人には;「黄柏」◎飽悶には:「砂仁人参」◎腹痛には:「小茴香延胡索人参」◎冬季には:乾姜()を使う。
#加減撥雲散《東醫寶鑑》「羗活2両2銭半、甘菊1両9銭、木賊・白各1両1銭半、防風・柴胡・蒼朮・枳穀・川芎・甘草各1両1銭、荊芥・薄荷各1両、蝉退7銭半、石決明(製)・密蒙花各4銭」を作末し、毎回2銭を薄荷湯で食後服用。◎諸般の眼病。 #加減不換金正気散《寿世保元》《古今方彙》「蒼朮、陳皮、厚朴、藿香、半夏、枳実、白朮、茯苓、黄連(姜汁炒)、白豆蔲、甘草(生)、生姜」水煎温服。
◎噎食(物を食べた後にゲップに連れて食が出てくること)を治す。◎転食(食べた物のそのまま口中へ転び出ること)を治す。 #加減復脈湯《温病条弁》「甘草(炙)、生地黄、白芍薬、麦門冬、阿膠、麻子仁」
#加減茯苓丸《東醫寶鑑》「半夏3両を、白礬・皀角・生姜各1両の煎じ湯で、7日間浸し、陳皮(塩水炒)・白芍(酒炒)・黄蓍(塩水炒)各2両、白茯苓1両半、朴硝1両半、海桐皮(酒洗)・姜黄・木瓜各1両、薄桂・甘草各5銭」を作末し、姜汁竹瀝汁で梧子大の丸剤。白湯で100丸飲む。◎湿痰がたまって経絡に通らず、両腕の痛むとき。
#加減茯苓半夏湯《万病回春》《古今方彙》「藿香8分、小茴香7分、丁香・官桂・砂仁各5分、沈香・木香・甘草各3分、陳皮・柿蔕・茯苓・半夏・乾姜(炒)・厚朴各1銭、生姜」水煎。沈香・木香は磨し、同服す。
◎水寒が胃に停り、を発するを治す。 #加減平胃散《東醫寶鑑》「白朮・厚朴・陳皮・各1銭2分、桃仁・人参・黄連・阿膠・赤茯苓・各7分、甘草9、木香・檳榔各5分、生姜3、大棗2片」水煎服。空腹時に服用。
◎脾胃が弱り、血が四肢に流れず、胃に入って血痢となった者。 #加減補陰丸《東醫寶鑑》「熟地黄8両、兎絲子・牛膝各4両、白芍・当帰・鎖陽・亀板各3両、虎骨・黄柏・山薬・杜仲・人参・黄蓍各2両、破故紙・枸杞子各1両半を作末し、猪の脊髄に蜜を入れて丸を作り、塩湯で100丸呑む。」◎陰虚を治す。◎陰を補い、陽を扶ける。
#加減補心湯[1-1] 「陳皮・白茯苓・当帰・白芍・生地黄・遠志(製)・麦門冬・酸棗仁(炒)・知母と知母の酒で炒ったもの各5銭、人参・白朮・石菖蒲・甘草各3銭」水煎服。
◎すべての虚症と健忘。 # 加減補心湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》「人参、白朮、茯苓、陳皮、冬季、生地黄、白芍薬(酒炒)、遠志、菖蒲根、麦門冬、酸棗仁、知母、黄柏(酒炒)、甘草、生姜、大棗」水煎。
◎諸虚にて健忘、及び驚悸、怔忡等の症を治す。 #加減補中益気湯[1]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍・白朮各1銭半、仁治・茯苓・当帰各1銭、陳皮・半夏・厚朴各7分、柴胡・山楂子・枳実各5分、甘草4分、生姜、大棗」水煎。
◎五積、六聚、七癥、八、或いは左、或いは右、或いは上、或いは下、或いは腹中に特にあり、攻めれば疼痛し、諸医は誤りて攻撃大過を持って治し、以て面黄、肌痩、四肢困倦を致し、飲食を思わざる等の症を治す。
#加減補中益気湯[2]《寿世保元》《古今方彙》「補中益気湯柴胡白芍薬、沢瀉、木香、砂仁、白豆蔲、地楡、御米殻(醋炒)」(御米殻=ケシの実の外殻)◎下利にて赤白膿血相雑じり、腹痛、裏急後重、昼夜度無く、日久しく癒えずして起床する能わず、飲食を思わず疲倦甚だしく、◎或いは寒涼峻剤を服するの過ぎたる者を治す。
#加減保和丸《東醫寶鑑》「白朮2両半、山楂肉・香附子・厚朴・神麹・半夏・茯苓各1両半、陳皮・連翹・蘿葡子・黄芩・黄連各1両、蒼朮・枳実各5銭]を作末し、姜汁糊
で梧子大の丸剤。毎回70~80丸を茶湯で服用。」 ◎消食・化痰・脾胃気を保つ。 # 加減木香散《東醫寶鑑》「木香・良姜・升麻・檳榔・人参・白朮各2銭半、神麹(炒)2銭、肉豆蔲()・呉茱萸(湯洗)・乾姜(炮)・陳皮・縮砂各5分」を粗末にし、空腹時に、毎回5銭を水煎服。◎腸風泄・水穀痢を治す。
#加減抑肝散《和田東郭》「抑肝散川芎半夏・梔子・黄連・莎草」 #加減理中湯[1]《東醫寶鑑》「人参・白朮・赤茯苓・乾姜(炮)・陳皮・丁香・半夏・縮砂(研)・桂皮各1銭を剉作し、1貼に姜3片・烏梅1個を入れ煎服。
◎胃が寒冷、清水と冷涎を嘔吐し、脈沈遅。 #加減理中湯[2]《万病回春》《古今方彙》「藿香・蒼朮・厚朴・砂仁・香附子・木香・枳殻・陳皮各1銭、甘草・乾姜・肉桂各分、生姜」水煎。◎乾霍乱、心腹胞脹絞痛し、吐せず、瀉せず、脈沈にして絶せんと欲するを治す。
◎仲景の「四味理中湯」及び「附子理中湯」「姜附湯」「四逆湯」「備急円」類、乾霍乱を治す急卒の捷方なり。◎夏月、乾霍乱にて吐瀉せず胸腹絞痛、煩渇自汗するには生姜、肉桂を用いるべからず。◎心腹絞痛、面唇青く手足冷え、脈は伏し絶せんと欲する:「附子茴香蒼朮」
◎心腹飽悶、硬痛結実の者;「檳榔子枳実山楂子括楼仁蘿葡子甘草枳殻蒼朮」◎胃寒にて嘔発するには;「附子藿香蒼朮」
#加減六合湯《万病回春》《古今方彙》「当帰・白朮・椿根(酒炒)・熟地黄各1銭、橘紅(塩水洗)・白芍薬各8分、川芎(塩水浸)・茯苓・知母(酒炒)各6分、黄柏(酒炒)・貝母(糯米拌炒)・半夏各7分、甘草(炙)4分、生姜」水煎。
◎上は痰火あり、下は白帯、腹痛在る者を治す。◎痰火盛んなれば:「黄芩」 #加減六君子湯《寿世保元》《古今方彙》「人参・白朮・茯苓・砂仁・黄蓍各1銭、山薬2銭、甘草5分、大棗」水煎。◎脾疳(結核性腹膜炎にて体が痩せて腹部のみ膨大せり状態)を治す。◎泄瀉、痢疾にて気虚に属する者を治す。
◎腹痛には:「乾姜(炒黒)、木香、烏梅」 #加減竜薈丸《東醫寶鑑》「草竜胆(酒洗)・当帰(酒洗)・山梔子(炒)・黄芩・青皮各1両、大黄(酒蒸)・青黛・柴胡各5銭、蘆薈・牛胆・天南星各3銭、木香2銭半、麝香5分」を作末し、神麹に蜜で緑豆大の丸剤。姜湯で1日3回20丸づつ呑み、再び鍼砂酒で気を通させる。
◎痰火による耳鳴り。 #加減竜虎散《東醫寶鑑》「虎脛骨3両、没薬5銭」作末し毎回2銭を温酒で調下する。◎白虎歴節風が昼夜止まない者を治す。 #加減凉膈散[1-1]《万病回春》「大黄・黄芩・桔梗・石膏・薄荷・連翹・山梔子・甘草」に「桔梗・防風・菊花・木通・車前子」を加える。◎此方は凉膈散よりは用い易く、口舌を治するのみならず諸病に活用すべし。《勿誤薬室方函口訣》◎古人凉膈散を調胃承気湯の変方とすれども、その方意は膈熱を主として瀉心湯諸類に近し。故に凉膈散の一等劇しき処へ三黄加芒硝湯を用いるなり。《勿誤 薬室方函口訣》◎三焦火盛んに、口舌瘡を生じる者。◎口内炎、舌炎《龍野ー漢方処方集》
#加減凉膈散[1-2]《万病回春》《古今方彙》「連翹、黄芩、山梔子、桔梗、黄連、薄荷、当帰、枳殻、芍薬、生地黄、甘草」各等分、水煎し食遠に服用。
◎三焦の火盛んににて口舌に瘡を生じるを治す。 #加減凉膈散[1-3]《漢方治療の実際》「連翹・黄芩・梔子・桔梗各3、黄連・薄荷各1、当帰・芍薬・地黄各4、甘草・枳実各1.5」◎凉膈散《和剤局方》の大黄・芒硝を去って黄連・当帰・枳殻・芍薬・地黄を際得たものであるから、その応用の目標は似ている。ただ、《和剤局方》の凉膈散は《万病回春》の加減凉膈散より実証で、便秘している者を目標にして用い る《大塚敬節》
★適応症及び病名(かげんりょうかくさん)[1]口内炎:☆口内炎で炎症がひどくて、疼痛の激しい者には:「山豆根3.0」を用いる。呑むにくくなるが良く効く《大塚敬節》☆50歳女性。5日前より突然、口内が荒れて、食事が出来ず、物を言うにも、涙がこぼれるほど痛くなった。近所の医師は、含嗽薬をくれたが、口に含むとひどくしみて1回で止めてしまったという。体温を測ると37、8℃。口腔粘膜から舌にかけて、赤くただれ、所々に潰瘍がある。顎下リンパ腺が腫れている。次男の結婚式があと5日に迫っているのに、こんなことでは困るから、至急治してほしいという。私はこれに加減凉膈散山豆根を与えたが、3日の服薬で大半は治し無事に結婚式に臨むことが出来た。[2]鼻疾患:☆鼻紅白:「加減凉膈散葛根・石膏・白・竹葉」[3]麻疹:☆麻毒内攻劇しき者を治す。紫円を兼服する。☆発疹その形蚊跡の如く、熱甚だしき者:「凉膈散石膏」を服すれば表裏双解して余毒のうれいなし。☆疹すでに発して失音する者《麻疹心得続録》
#加減凉膈散(一名桔梗湯)《東醫寶鑑》 ◎六経の熱をさまし、又熱の上焦にある症を治す。 #加減羚羊角散《雑病証治新義》 「羚羊角・天麻・釣籐鈎・竜胆草・桑寄生・川牛膝・鶏血藤・白彊蚕<蜈蚣<焼いて粉にする>・全蠍<焼いて粉にする>」煎剤をつくり、それに羚羊水磨液・蜈蚣末・全蠍末を加えて服用。
#加減六欝湯《万病回春》《古今方彙》「紫蘇葉茎・枳殻・貝母・川芎・陳皮・連翹・山梔子・神麹・蒼朮・茯苓・甘草・香附子(便炒)各1銭」水煎。 ◎諸欝を解し、火を清し痰を化し気を順らし胸膈を開くなり。◎血欝には:「桃仁紅花」◎湿には:「白朮羗活」◎気には:「木香檳榔子」◎食積には:「山楂子砂仁」
#加剤除湿湯《東醫寶鑑》「赤茯苓・乾姜各2銭、蒼朮・白朮・甘草各1銭、橘紅・桂皮・厚朴各5分、を剉作1貼し、生姜3・大棗2を入れ、水煎服。」
◎湿にあたって身重・腰痛・四肢の冷え・嘔吐・下痢する者。 #加味遺糧湯《済世外科経験》「捜風解毒湯《本草綱目》」に同じ。 #加味遺糧湯《外科正宗》《古今方彙》「川芎・当帰・防風・薏苡仁・木瓜・金銀花・木通・白鮮皮・蒼朮・威霊仙各1銭、甘草5分、皀角刺5個、仙糧(山帰来)1両」水煎。
◎楊梅瘡の初起に筋骨疼痛し、及び已に成りて数月延綿として已まず、并びに楊梅風毒に誤りて軽粉を服しにて骨疼みて動履する能わざるを治す。◎瘡久しく気虚する者:「人参」◎腿脚の下には:「牛膝」
#加味胃苓湯《嬰童類萃》《龍野ー漢方処方集》「白朮・猪苓・沢瀉・蒼朮各3.0g、香附子・茯苓各6.0g、厚朴・橘皮各2.5g、木香・蘇葉・干姜各1.5g」◎一切の水腫脹満を治す。証に随い加減功効神の如し。◎此方は水穀不化より来る水気を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎傷寒差後に用いることあり。
◎痢後風には別して効あり。◎浮腫、腹水。
★適応症及び病名(かみいれいとう)脚気心臓病腎臓炎肝臓病結核性腹膜炎 #加味茵蔯五苓散《寿世保元》《古今方彙》「茵蔯、白朮、茯苓、猪苓、沢瀉、蒼朮、山梔子、滑石、肉桂、甘草、燈心草」水煎温服。
◎黄疸は専ら湿熱に属す。 #加味烏荊元《東醫寶鑑》「川烏(湯で3~5回洗焙)・荊芥穂各4両、薄荷2両半、当帰(洗浸3日焙乾)8両」作末し、錯で煮て、糊で梧子大の丸剤。温酒で50~70丸呑む。
◎疹が頭面に出来て赤く腫れてかゆく、瘡となって皮がむける。 #加味烏薬湯《女科準縄》 「烏薬・縮砂仁・木香・延胡索各40g、香附子80g(毛を除く)、甘草60g、生姜3片 煎服」
#加味温胆湯[1-1]《東醫寶鑑》 「香附子2銭4分、橘紅1銭2分、半夏・枳実・竹茹各8分、人参・白茯苓・柴胡・麦門冬・桔梗各6分 、甘草4分、生姜3、大棗2」煎服。
◎驚悸。痰涎が気と相まって病症を起こす者。◎心と胆が事物にふれると良く驚き、痰涎が気と相まって病症を起こす時に使う。 #加味温胆湯[2-1]《東醫寶鑑》
「半夏3銭半、陳皮2銭2分、竹茹・枳実各1銭半、酸棗仁(炒)・遠志・五味子・人参・熟地黄・白茯苓・甘草各1銭、生姜5、大棗2」水煎服。 ◎心胆が怯え、驚きやすく、夢寝が安らかでない。
# 加味温胆湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》 「酸棗仁・遠志・熟地黄・人参・五味子各1銭、半夏3銭5分、枳実・竹茹各1銭半、陳皮2銭2分、茯苓・甘草各1銭1分、生姜、大棗」水煎。
◎病後虚煩し、臥するを得ず及び心胆虚怯、事に触れて驚き易く、痰気悸乏するを治す。 ◎凡そ虚煩する者は心胸煩擾し而して寧からざるなり。 #加味温胆湯[2-3]《万病回春》《松田邦男ー解説》「半夏(泡7次)3銭半、陳皮2銭2分、竹茹・枳実(麩炒)各1銭半、酸棗仁(炒)・遠志(去心)・五味子・熟地黄・人参各1銭、茯苓・甘草各1銭1分」剉作1剤、姜棗にて煎服。◎病後に虚煩し、臥すことを得ず、及び心胆虚怯、事に触れて驚きやすく、短気、悸乏する者を治す。
#加味温胆湯[2-4]《漢方治療の実際》「温胆湯酸棗仁5、黄連1.5」★適応症及び病名(かみうんたんとう)[1]胃下垂[2]息切れ[3]ウツ病(鬱病)[4]驚悸[5]恐怖[6]健忘症[7]上腹部振水音[8]心悸亢進[9]心下痞
<心下の痞塞感> []認知症(アルツハイマー型) 「有用・・・遠志が重要な役割」(北里大学・北里生命科学研究所の山田陽城教授) [10]ノイローゼ[11]疲労倦怠
[12]不安感(オドオドしている) [13]不眠症:☆ストレスで不眠・・・黄連《衆方規矩》☆大病後、疲れて眠れない者に用いる。神経過敏になり、些細なことに驚き、安眠を得ず、時に気鬱の状となり、或いは息切れがしたり、食が進まないものがある。
私はこれに酸棗仁5.0、黄連1.0を加えて加味温胆湯として用いることにしている。 又、遠志2.0、玄参2.0、人参2.0、地黄3.0、酸棗仁3.0を加えた加味温胆湯もある。《大塚敬節》☆箕輪亀山老候は、歳0余。かって、御奏者番を勤めている時、営中で眩冒(頭に何かかぶさっているようで、めまいがする)を訴えた。この眩冒は辞職の後も治らず、心下に動悸があり、夜間安眠する事が出来ない。その上、時々めまいがして卒倒しそうになる。
辻元為春院がこれを数年治療したが、効がないのですててあるという。余はこれに《備急千金要方》の温胆湯黄連酸棗仁を与えた。眩冒の時は小烏沈散(烏薬・人参・沈香・甘草)を服せしめた。すると、数10日たって、夜は快眠出来るようになり、多年の持病を忘れ、亀山に移住した。《橘窓書影》☆四谷荒木町の角、油舗、三河屋長九郎という者は、気分が沈んで鬱々として楽しまず、心下が虚痞し、飲食が進まない。その上終夜眠られないので、ひどく痩せ、衆医の治を経て寸効がないという。
余はこれに《備急千金要方》の温胆湯黄連酸棗仁を与えたところ、睡眠がとれるようになった。ただ気分が欝塞してのびないので、加味寧癇湯を与え、全快した。《橘窓書影》
☆56歳、主婦。 1人息子を亡くしてから、ひどい不眠症になり、いったん睡眠剤を使って治ったことがあるが、フトしたおりに再発してからは、なかなか前のように治らない。いつもこめかみあたりがシビレた感じで、食事も1日2回、極少量ずつしか食べたくないという。
漢方医が診てみると、いわゆる反応性抑鬱という神経病の1つで、体も胃下垂の傾向があった。加味温胆湯を飲み始めたところ、気分が良くなり、食欲も徐々に出始めるとともに、あれほど頑固な不安不眠も2ヶ月足らずで、治ってしまった。《山田光胤》[14]浮腫:<四肢の浮腫>[15]慢性胃炎
[16]夢をよく見る(多夢) #加味温胆湯[3-1]《万病回春》《古今方彙》「人参・白朮・茯神・生地黄・酸棗仁・麦門冬・半夏・黄連・枳実・竹茹・山梔子各等分、甘草3分、辰砂5分(服するに臨み研末)、生姜、大棗、烏梅、竹瀝」水煎。
◎驚悸にて痰火に属し、而して気虚を兼ねて驚不眠する者を治す。 #加味益気湯《東醫寶鑑》「羗活1銭半、人参・黄蓍・防風・柴胡各1銭、白朮・陳皮・当帰各7分、甘草5分、升麻・黄柏(酒炒)各3分を剉作1貼して生姜3片を入れ、水煎服。熱がひどいときは、黄芩(酒炒)3分を加える。」◎疲労して(傷寒を)外感。
#加味益気湯《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍1銭半、人参・当帰・茵蔯・蒼朮・山梔子・猪苓・沢瀉・黄連・赤茯苓・滑石各1銭、白朮2銭、陳皮8分、柴胡・升麻各5分、甘草(炙)4分、生姜」水煎服用。16味を以て丸となし、「蒼朮・白朮・茵蔯・黄柏各2両」を加えて丸となし、相兼ねて之を進む。
◎五疸にて病延びて日久しく、医誤りて寒涼を以て之を過り、元気と脾胃を損傷し致すを以て身体黒く痩せ、四肢困沈、憎寒発熱し、飲食を思わざる等の症を治す。
#加味益気湯《万病回春》《古今方彙》「黄蓍・人参・白朮・陳皮・当帰各1銭、升麻・柴胡・木香各5分、香附子・青皮・川芎核8分、桂枝(少許)、甘草3分、生姜、大棗」水煎。
◎麻は是れ渾身の気虚なり、此方、之を主る。 #加味益気湯《済世全書》《古今方彙》「補中益気湯黄柏・知母・香附子・半夏・・川楝子」◎婦人赤白帯下を治す。
#加味益母丸《東醫寶鑑》「益母草半斤・当帰・赤芍・木香各2両を作末し、梧子大の蜜丸。白湯で100丸呑む。◎100日呑むと妊娠する。 # 加味槐角丸《東醫寶鑑》「槐角・生乾地黄各2両、当帰・黄蓍・黄連・黄芩・枳穀・秦艽・防風・連翹・地楡・升麻各1両、阿膠・川芎・白各5銭を作末し、酒糊げ梧子大の丸剤。温酒又は米飲で、50~70丸呑む。
◎諸痔と腸風・臓毒に通用する。 #加味槐花散《本事方》《中薬臨床応用》「槐花米6g、側柏葉6g、荊芥穂(炒炭)6g、枳穀6g、厚朴5g、木香5g(後下)、葛根9g」水煎服。◎潰瘍性大腸炎による出血。
#加味藿香散《外科正宗》「藿香、甘草、桔梗、青皮、陳皮、柴胡、紫蘇、半夏、白朮、茯苓、白、夏枯草、厚朴、川芎、香附子、生姜、大棗」 #加味麹丸《東醫寶鑑》「蒼朮を漬けた姜汁を炒って蕪・便香附子・神麹(炒)・山梔子(炒)各4両、
陳皮(去白)・白朮(炒)各1両半、山楂肉(蒸)2両を作末し、糊で梧子大の 万歳。白湯で50~60丸呑む。◎すべての鬱を解かし、胸膈を開き、食欲を増進させる。
#加味陥胸湯《東醫寶鑑》「桔梗・枳穀各1銭5分、半夏・黄連・黄芩・薏苡仁・麦門冬各1銭、生姜5片」水煎服。 ◎熱痞で胸膈が痛む症。 #加味含紅合剤《中薬臨床応用》「鮮含羞草根90g、鮮紅背葉60g、鮮茜草根30g」水煎服。弱火で6時間煎じる。(煎じる時間が短いと、服用後にめまい等の副作用が起こる)朝夕2回、温服。◎老人の慢性気管支炎
#加味甘麦大棗湯《中薬臨床応用》「甘草(炙)・大棗各12g、浮小麦18g、菟絲子・桑螵蛸(炙)・益智仁()各9g、竜骨6g」水煎服。 ◎小児の夜尿症。
#加味枳朮丸《東醫寶鑑》「白朮3両、枳実・蒼朮・猪苓・麦芽(炒)・神麹(炒)・半夏各1両、沢瀉・赤茯苓・川芎・黄連・東堕土(同炒)・白螺殻()各7銭、縮砂・草豆蔲・黄芩・東壁土砂・青皮・蘿菖子(炒)・乾生姜各5銭、陳皮(去白)・便香附・薏苡仁・厚朴・檳榔各3銭、木香・甘草各2銭を作末し、青荷葉泡湯に粳米粉を浸して糊をつくり、梧子大の丸剤。清米飲で100丸を呑み下す。」
◎痞満・悪心・雑・噫気・呑酸・嘔吐・脾痛。 #加味枳朮湯《医学入門》《古今方彙》「半夏・茯苓各3分、枳実・白朮・紫蘇葉・肉桂・陳皮・檳榔子・桔梗・木 香・五霊脂各1分、甘草3分、生姜」水煎。
◎気が痰飲のために所を隔て心下堅脹するを治す。名付けて気分と曰う。 加味蓍桂五物湯《雑病証治新義》 「黄蓍・桂枝・白芍・当帰尾・桃仁・牛膝・生姜・大棗」煎服。重症には 虫・大黄を加える。
加味橘皮竹茹湯 《東醫寶鑑》 「橘皮・竹茹・赤茯苓・枇杷葉・麦門冬・半夏各1銭、人参・甘草各5分を 剉作し、1貼に姜3を入れ水煎服。
◎胃熱による渇症と嘔吐・食べられない者。 加味橘皮竹茹湯 《医学入門》《古今方彙》 「赤茯苓・橘皮・枇杷葉・麦門冬・竹茹・半夏各1銭、人参・甘草各5分、 生姜」煎じ温服。
◎胃熱にて渇多く嘔して食せざるを治す。 加味帰脾湯[1-1]《内科摘要》 「帰脾湯《厳氏済生方》柴胡・山梔子」 ◎貧血不眠、発熱盗汗、或いは思慮過度、健忘、胸さわぎ、驚悸、或いは嗜臥少
食、或いは憂鬱微熱、或いは肢体疼痛、便秘、或いは月経不順、暮方発熱、或 いはリンパ腺腫脹等ですべて熱候をおびた者。 《龍野ー漢方処方集》 ◎欝結して脾を傷つけ、月水通ぜざるを治す《薛立斎十六種》 ◎脾経欝結し、而して血が経に帰らざるを治す《薛立斎十六種》
加味帰脾湯[1-2]《東醫寶鑑》 「帰脾湯《厳氏済生方》柴胡・山梔仁各1銭」 「黄蓍・人参・白朮・茯苓・酸棗仁・竜眼肉各4g、当帰・遠志・大棗各2g、 甘草・木香・干姜各1g」 ◎肝脾が欝し、月経不通を治す。
加味帰脾湯[1-3]《漢方治療の実際》 「帰脾湯+柴胡3、梔子2」 ★適応症及び病名 (加味帰脾湯)[1]イライラ[2]胃弱[3]遺精[4]陰部掻痒症: ☆婦人もと、鬱悶し、牝戸(女性の外陰部)痛痒を覚え、時に水液浸出し、飲食少思、肢体怠なる者に宜し。《先哲医話》[5]ウツ病(鬱病)[6]思い過ごし(考えすぎ)[7]顔色が悪い[8]感情の起伏が激しい[9]驚悸[10]経閉(精神的疲労による)[11]月経不順[12]血小板無力症[131]健忘症[14]更年期障害
[13]再生不良性貧血: ☆《大塚敬節》 “昭和33年の7月に某大学で再生不良性貧血と診断されれた少年を診 に行った。その患者はその前年から体をだるがっていた。はじめ医師 は肝臓が悪いというので、その手当を受けていたが、よくならず、だ んだん貧血が現れてきたので、某大学病院に入院した。そこでも、再 生不良性貧血と診断せられ、輸血を唯一の治療としていたが、治療を 担当している医師が、漢方薬を飲んでみたらどうだろうと云うことで、 私に往診を依頼してきたのであった。 診察したところ、輸血のためか血色は悪くない。元気もある。何処 を診てもつかまえどころがない。そこでこれにも加味帰脾湯を与えて みた。ところで大学の血液検査の結果はだんだんよいということで、 8月から輸血をやめてしまった。これまでは輸血を休むとすぐ悪くな るのに、今度はちっとも悪化して来ないから、薬が効いているだろう ということであった。それで、この薬方をずっと飲み続けたところ、 昭和34年の元旦に届いた先生からの葉書には、次のようにかいてあ った「ちょうど診察していただきました頃から、輸血の間隔が次第に 伸び、現在は8月以降、まったく輸血をせずに赤血球350万、白血球 4000万、血小板2万を保持しております」 この患者はその後次第によくなり、休薬してから2年あまりになる が、まったく健康で通学している”
[14]嗜臥少食 [15]肢体疼痛 紫斑病 ☆電撃性にきて、出血が止まず、脾腫のあるものに(漢方診療医典) [16]出血(種々の) ☆《矢数道明》 “初診は昭和11年10月25日。患者は41歳の女。生来虚弱な体質で 20年前、男児1人をあげただけである。今から6年前は甚だしい血 尿を起こし、T大病院で左側腎臓を剔出(てきしゅつ)してもらった。当時の病名 を尋ねたが患者には分からない。以来、顔色は全く白のようで、歩 行時、階段の上下等には心動悸・呼吸促迫を訴えていた。その頃から すでに右側腎臓も腫脹し圧痛を覚えていたという。2年前のことであ るが、患者の夫が眼疾にかかり、ほとんど失明状態になったので、以 来患者は心身共に労苦の限りを舐め尽くし、疲労困憊の極いよいよ現 在の病状を起こしたようである。 現在症、10月2日。突然39℃を超える高熱を発し、悪寒戦慄を 訴え、時に40℃を超える熱が10日間も続いた。その間右側の腎臓 は驚くべきほど腫大し、疼痛を訴え、血尿はぶどう酒のようで混濁し ている。それが1日10回以上も頻発する。2週間目頃医者を変え、 解熱の注射というのを数回受け、次第に体温は下降したが一般状態は すこぶる不安で、患者は自ら死を覚悟したと言う。私の初診は発病後 すでに3週間を過ぎ、激しい症状は過ぎ去った時である。しかし尿は 依然としてぶどう酒の様で1日10回以上である。さて当時の患者の 主訴は①尿血の頻数不快 ②食思まったく不振 ③右側腎臓の腫大疼 痛 ④体動によって心動悸・息切れを覚え ⑤全身の脱力感 ⑥不眠 等である。 診ると、患者の顔色は①蒼白蝋の如くで ②色つやは全くない ③ 唇もまた血の気が無く ④舌は苔なくまた色あせている ⑤眼光は無 力で ⑥言語応答に物憂いようで ⑦頭髪は赤く薄く散乱として生気 がない。診ると脈は6脈沈微でやや数しており、腹状は右側の腎臓は 肝臓とともに腫脹し、心下から腸骨にまで及んでいる。どこを圧し ても痛む。しかし全身症状の割合には腹は虚弱ではなく、相当の抵抗 感がある。聴診、打診上、両肺とも異常は無く、心音は貧血性雑音が 著明に聴取できる。当時の体温は最高37.3℃である。大便は1日 1回である。 診断。以上で、私は先ず《金匱要略》の黄土湯を考えたが、思うに 本患者の食思不振、四肢倦怠、言語軽微、唇蒼白、心動悸等をもって、 脾経出血、心室血虚の証とし、すなわち熱状あるところから加味帰脾 湯を与えた。すなわち脾気を振り起こして、出血を抑制し、造血作用 を鼓舞させようと企てた訳である。西洋医学的には尿中タンパク強陽 性、膿球、白血球強陽性、大腸菌強陽性、結核菌陰性で腎臓腎盂炎の 出血による全身衰弱状態というところであろう。 経過、初日及び翌日は1日わずか1貼を3回分服。第3日に1貼半 を服用すると、食欲がにわかに進み、全身の元気が充実した感があり、 4日目の朝は血尿は全く止み、日ごとに体力は回復の一途をたどった。 6日目から1日3服し、私は8日目に再び往診したのであったが、患 者は床の中に仰臥して、編み物をしていた。顔色は一変して色つやは 良くなり、言語応答も別人のようで、食欲も大いに進み、平熱となり、 私を紹介した知人の云うところによれば唇の色も良くなったという。 腹診すると腎臓は初診の時に比べて半分に縮小し、圧痛も減少、昨今 では、自分で便所も云っても大した疲労を覚えないという、驚くべき 回復ぶりである。”
[17]食欲不振 [18]自律神経失調症 [19]神経衰弱 [20]神経性胃炎 [21]神経性心悸亢進症: ☆不眠、思慮過度、胸騒ぎ、嗜臥小食
[22]心臓神経症 [23]舌質<湿潤> [24]舌苔<微白苔> [25]多夢 [26]血の道症
[27]低タンパク血症 [28]盗汗 吐血: ☆《梧竹楼方函口訣》 “一男子、20歳あまり、平素から虚弱なたちであったが、12月に なって、ある朝、早く起きて商売の帳尻を合わせたところ、取引を 間違えて余程損になっている事が分かり、ひどく心配した。すると 急に顔色が悪くなり、胸の気持も悪くなって、その夜血を沢山吐い た。それからは、物事に驚きやすくなり、動悸がしたり、眠れなか ったりするようになった。そこで帰脾湯に梔子と柴胡を加えた加味 帰脾湯を与えたところすっかり良くなった。”
熱病の回復期 ノイローゼ: ☆心身の過労により、全身が衰弱し、不眠、健忘、精神不安などを訴える 者。
[29]のぼせ [30]白血病 ☆出血の傾向、貧血、疲労倦怠、脾腫、肝臓肥大などを目標に用いる。 加味帰脾湯紫根・・・紫根は悪性腫瘍に用いて、ときに效を見るのでこれを加える。1日量10g。
[31]発熱<夕暮れから> [32]ヒステリー [33]脾臓機能亢進症 [34]微熱
[35]疲労倦怠 [36]貧血症: ☆原因不明の貧血 ☆悪性貧血 ☆再生不良性貧血 ☆《大塚敬節》 “昭和16年、患者は28歳のの婦人で、1男1女があり、数ヶ月前から 病院に入院していたが、病勢は次第に悪化し、あと1ヶ月の命があびな いと云われたという。 病室に入った私は吸呑みで口を湿らせている血色の悪い婦人をみた。 口渇はあるが、水を飲んでも、すぐ吐くので、1口ずつ口に含んで吐き 出し、ただ口を湿らせているだけでこらえているという。舌には乳頭が なくなって、赤く爛れている。脈をみると沈小弱で、体温は38℃7分、 腹部は陥没していて、臍部では動悸が亢進し、下半身には浮腫がある。 以上の病状から薬方を考えると、四逆湯加人参、附子理中湯なども頭 に浮かんだが、貧血がひどいので、帰脾湯とし、これに柴胡と梔子を加 えた。しなわち加味帰脾湯である。これを飲むと頑固な嘔吐が止み、そ の夜は尿がめずらしくたくさん出た。4、5日たつと、体温も37℃ぐ らいに下り、食欲も出てきた。7日後に、患者は自宅に帰って、私の薬 だけで治療することを決心したので、その日の夕方、私は患家に往診し た。この日は、もう下肢に浮腫もなく、顔に生気があふれていた。こん な状態で貧血の方もぐんぐん良くなり、5ヶ月ほどの服薬を続けて休薬 した。それから20年になるが、この患者はこれといって重い病気もで ずに元気にいるという”
[37]不安神経症 [38]不正性器出血 [39]不眠症: ☆精神の過労がもとでノイローゼ気味となり、記憶力が減退して不眠を訴
える者。 ☆老人・虚弱者で平素から胃腸が弱く、貧血気味で疲れやすく、物忘れす る者で不眠を訴えるものに用いる。 ☆この方は帰脾湯の証で熱状の有る者に用いる。さて帰脾湯は貧血・健忘 ・動悸・神経過敏・不眠などのある者に用いるが、老人などで、物忘れ をして困るというものによく、この症状があって眠れないものに用いる。 老人でなくても、虚弱な者を目標にする。また、軽い中風で、物忘れを し、言語のもつれる者に用いる《大塚敬節》 ☆43歳男性。腹膜炎に罹った事があり、元来、虚弱な体質であるが、4、 5年前から朝・夕に頭痛があり、そのとき悪心を訴える。疲れると背が 痛む。甘い菓子を好む。脈は弱く、腹力もなく、腹部で振水音を証明す る。
私はこれに半夏白朮天麻湯を与えた。これで、やや睡眠状態は良いよ うであったが、3週間ほど飲むと、また逆転して眠れなくなり、背が張 るという。そこで枳縮二陳湯にしてみたが、これも効かない。桂枝加竜 骨牡蛎湯、甘草瀉心湯、神効湯など、次々と用いたが、どれもあまり効 かない。
そこで、加味帰脾湯にした。のぼせ、頭痛、不眠、疲労感と胃腸虚弱 な点を考慮して、この処方を選んだ。これを飲み始めてから、2週間ほ どたつと安眠出来るようになり、血色もよくなった。《大塚敬節》 ☆54歳女性。数年前、胃潰瘍を病んだ。主訴は胃部膨満不快、肩背急痛、 逼迫感、腰痛、神思鬱々として、いわゆる婦人更年期の訴えをことごと く備えていた。
患者は今まで2回ほど狭心症の発作のように肩背強痛、心絞窄の苦悶 を起こしたことがある。 私は初診以来、当帰芍薬散、抑肝散、茯苓補心湯等といろいろ試みた が、結局、香砂六君子湯が最も良かった。患者はこの方を1日1貼ぐら い飲むと気持ちよく立働くことが可能となっていた。
ところが、去る10/27、孫が急性肺炎で危機に瀕し、その看護に精魂 を傾けたため、前症がにわかに拾頭し、心臓部苦悶、動悸、息切れ、食 思まったく不振に陥った。
本患者の病因はすなわち脾胃虚弱で、常に顔面蒼白、皮膚枯燥、貧血 状態であった。脈は沈遅で力薄く、腹は虚軟で臍傍・臍中の動悸がたか ぶっている。私は例に因って香砂六君子湯を与えたが、こんどは効かな い。頑固な不眠症を起こし、ほとんど眠られないとのことであった。
そこで思慮過度、心脾労傷の致すところとして、加味帰脾湯を与える と、これが非常な好結果で、不眠も食思不振も、心思鬱々も治り、顔色 もまたいままでになく良くなった。《矢数道明》
☆32歳男子。 「2年ほど前、ある事件で神経衰弱気味となり、それ以来不眠症になってしまった。あちこちの神経科や精神科を訪ねて睡眠剤をもらったら、はじめはそれなりに効いても、3~4日もすると、効かなくなってくる。
睡眠薬の量が増えてそれでも寝付かれなくなって、夜中になると布団の上に座り込んだり、町の中をうろつき回るようになった。 本人は、甘いものを食べたり、油や肉の多いものを食べた日は、不安と不眠が特にひどくなる。
漢方医から加味帰脾湯をもらって飲んだところ、たちまち気分が安定してきて、夜眠られなくても、静かに横になっていることが出来るようになった。少しずつ心身の状態が安定を取り戻し、3ヶ月すぎ頃からは、ほとんど普通と変わらないところまできた。」《山田光胤》
[40]便秘 [41]ほてり [42]慢性胃腸炎 [43]慢性淋疾患 [44]胸苦しい [45]胸騒ぎ [46]憂鬱(ゆううつ)
[47]リンパ腺腫脹 注意・・・[血中AG]が上昇することがある 加味芎帰湯《万病回春》《古今方彙》 =「活名芎帰湯」《寿世保元》 「川芎、当帰、自死亀板(醋炒)1個、乱髪霜1握り」作末し、毎服5銭水煎 服用。 ◎交骨開かず(=骨盤狭窄)、生産する能わざるを治す。
加味芎湯《三因極一病証方論》《古今方彙》 「川芎、当帰、白芍薬、百合、荊芥」各等分。毎に4銭を服す。水1盞酒半 盞、同じく7分に煎じて服用。
(盞=サン、さかずき) 加味姜附湯《寿世保元》《古今方彙》 「茵蔯2両、附子1枚、乾姜1両半、甘草(炙)1両」 ◎発黄にて脈沈細而して遅、肢体逆冷し、腰以上自ら汗する者を治す。
加味姜附湯(一名四順附子湯)《東醫寶鑑》 「炮附子・乾姜(炮)・人参各1銭半、炙甘草7分」 ◎激しい霍乱で、手足が冷え、六脈の沈伏した者。
加味彊黄丸《東醫寶鑑》 「大黄(酒煮)4両、白彊蚕2両、蝉退6銭半、姜黄3銭半」を作末し、姜 汁糊で混ぜ、1両で10丸作り、大人は1丸、小児は半丸を蜜水で飲む。
◎大頭瘟、蝦蟆を治す。 加味羗活散《東醫寶鑑》 「羗活・前胡各1銭2分、人参・桔梗・枳穀・川芎・天麻・赤茯苓・甘草各7 分、蝉退・薄荷各5分、生姜3片」水煎服。
◎疹でかゆい症。 加味金花丸《東醫寶鑑》 「黄連(酒炒)・黄柏(酒炒)・黄芩(酒炒)・山梔子各1両、大黄()・人参・ 半夏・桔梗各5銭」等分を作末し、水をたらして梧子大の丸剤。茶清で30 丸服用。
◎三焦の火を鎮め、嗽を止め、厥をなくし、頭目をはっきりさせる。 加味駆風豁痰湯《寿世保元》《古今方彙》 「人参、白朮、茯苓、半夏、陳皮、枳実、当帰、川芎、白芍薬(酒炒)、生地 黄、桔梗、天南星、括楼仁、附子、白殭蚕、天麻、遠志、黄芩(酒炒)、黄 連(姜汁炒)、甘草、生姜」水煎。
◎癲狂、五癇、眩暈時に作こり、時に止み、痰涎壅盛、心神昏するを治す。 ◎これ気血の虚に属ず。 ◎而して風痰と欝火を挟みたるなり。
加味荊黄湯《医学入門》《古今方彙》 「荊芥・大黄各5銭、牛蒡子・甘草各1分」水煎。 ◎肝を血が壅ぎて両瞼上下栗米の如きを生じ、或いは赤く或いは白く、甚だし くは疼痛せず、堅硬の者を治す。
加味解毒湯《寿世保元》《古今方彙》 「黄芩、黄連、黄柏、山梔子、柴胡、茵蔯、竜胆、木通、滑石、升麻、甘草、 燈心草」水煎。
◎発黄の症にて身口倶に発して金色の如く、小便は膿煎したる黄柏汁の如くにし て諸薬の効かざるを治す。 ◎大便実なれば:「大黄」 ◎目黄には:「竜胆倍加」
加味解毒湯《寿世保元》《古今方彙》 =「滌腸湯」《厳氏済生方》 「大黄、黄連、黄芩、黄柏、山梔子、赤芍薬、連翹、枳殻、防風、甘草」水 煎。
◎大便下血し、大腸痛み忍ぶべからず。 ◎肛門腫起する者を尚s。 ◎これ下焦の熱盛なり。 ◎外用に金鳳花を水煎し、頻りに肛門を洗えば腫痛たちどころに消える。
加味牽正散《中薬臨床応用》 「全蝎3g、白彊蚕5g、製白附子6g、釣籐鈎9g、天麻9g、黄蓍9g、当帰9g」 水煎服。 ◎脳卒中による半身不随 ◎顔面神経麻痺 ◎脳血管障害後遺症 ◎実証
加味香薷飲《万病回春》《古今方彙》 「香薷飲人参・白朮・茯苓・白芍薬・陳皮・甘草・烏梅・炒米」 ◎夏月暴瀉して水の如く、面垢れ脈虚、煩渇自汗するを治す。
加味香蘇散《医学入門》《古今方彙》 「陳皮・枳殻・川芎・槐花各5分、檳榔子・木香・桃仁・紫蘇茎・香附子・ 甘草各2分半、生姜、大棗」煎服。
◎気痔(心配、怒り、恐れ等の場合に肛門分が急に腫れて、気を使うことが止む と又もとの通りにおさまるもの)を治す。 加味香蘇散(一名橘皮湯)《東醫寶鑑》 「陳皮・川芎・槐花各1銭、紫蘇茎・檳榔・木香・桃仁・香附子・甘草各5 分、生姜3、大棗2」煎服。
◎気痔を治す。 加味香連丸[1]《東醫寶鑑》 「黄連4両を呉茱萸の煎じ湯に浸して炒り、木香1両、阿芙蓉2銭、を作末 し、陳米糊で緑豆大の丸剤。毎回20~30丸を蓮肉を煎じた湯で呑み下す。」
◎虚痢と久痢を治す。 加味香連丸[2]《東醫寶鑑》 「黄連(炒)2両、呉茱萸(炮炒)1両、木香1銭、白豆蔲()1銭半、乳香・ 没薬各1銭、を作末し、烏薬を水で浸したものの肉で梧子大の丸剤。毎回30 丸服用。」
◎一切の痢疾を治す。 加味虎潜丸《東醫寶鑑》 「熟地黄4両、牛膝2両、人参・黄蓍・白芍(炒)・黄柏(酒浸炒)・当帰・山 薬各1両、破故紙(炒)・五味子各5銭、兎絲子・亀板・虎骨・枸杞子・鎖 陽(酥炙)各5銭を作末し、煉蜜に猪の脊髄を入れ梧子大の丸剤。毎回100 丸を温酒又は塩湯で呑む。 ◎虚労を治し、心・腎を補う。
加味固本丸《東醫寶鑑》 「生乾地黄・熟地黄・当帰・黄柏(蜜炙)・白茯苓各1両、天門冬(塩炒)・麦 門冬(塩炒)・知母・訶子・阿膠珠各5銭、人参3銭、烏梅15個、人乳・ 梨汁各1椀を作末し、黄豆大の蜜丸。訶子湯又は蘿菖湯で80~100丸呑 む。 ◎声音がなめらかでない。
加味五加皮散《医方考》《古今方彙》 「五加皮・地骨皮・生姜皮・大腹皮・茯苓皮各等分、姜黄、木瓜、燈心草」 水煎温服。
◎水病にて腰以下腫れる者を治す。 ◎一方に「地骨皮桑白皮橘皮」あり。 加味五香湯《古今方彙》 「沈香、木香、乳香、丁香、藿香、升麻、葛根、連翹、木通、大黄」水煎。 ◎小児の瘡、無名の腫毒を治す。
加味五積散《万病回春》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・陳皮・半夏・蒼朮・茯苓・厚朴・羗活・独活 ・枳殻・桔梗・白各8分乾姜・肉桂・麻黄・甘草各5分、穿山甲1銭、 生姜、大棗、麝香(少許)」水煎。
◎四肢骨節の痛みが虚寒に因る者を治す。 加味五苓散[1]《東醫寶鑑》 「沢瀉・猪苓・茯苓・白朮・桂皮・当帰・枳穀・牛膝・木通・甘草梢各等 分。灯心草ひとにぎり入れて、空腹時に煎服。」 ◎小便の不通を治す。
加味五苓散[2]《東醫寶鑑》 「加味五苓散[1]に「木香・茴香・川楝子・檳榔・黒丑・破故紙・木通・青 皮・三稜・莪朮」を加えた煎じ湯を、青木香元で飲む。 ◎寒疝を治す。
加味五苓散《万病回春》《古今方彙》 「白朮・茯苓・猪苓・沢瀉・山薬・陳皮・蒼朮・砂仁・訶子・肉豆蔲各8分、 官桂・甘草(炙)各5分、生姜、烏梅、燈心草」水煎。
◎湿瀉の者は水を瀉すこと多く、而して腹痛まず、腹響き雷鳴し、脈細なり。 加味犀角地黄湯《万病回春》《勿誤薬室方函》 「《備急千金要方》犀角地黄湯当帰・黄連・黄芩」 ◎一切の吐血・衂血・咳血・喀血・唾血。
◎此方は、諸失血に用い易し。 ◎方後に若吐紫黒血塊胸中気塞加桃将とあれども。此の如きには桃核承気湯を用 いるを優とする。 加味犀角地黄湯《万病回春》《古今方彙》 「犀角・当帰・黄連・黄芩各1銭、生地黄2銭、牡丹皮1銭半、赤芍薬1銭 半」水煎し茅根汁を入れる。
◎一切の吐血、衂血、咳血、喀血、唾血を治す。 ◎吐血には:「天門冬山梔子阿膠蛤粉」 ◎衂血には:「山梔子阿膠」 ◎喀血、唾血には:「山梔子麦門冬黄柏知母熟地黄」 ◎凡そ紫黒血塊を吐して胸中の気塞がる:「桃仁大黄」
加味柴胡湯《東醫寶鑑》 「柴胡2銭、黄芩・半夏・人参・枳穀・大黄・甘草各1銭を剉作し、1貼に 姜3、棗2を入れ水煎服。
◎山嵐等の毒気に感染して、蘊瘧寒熱になる者。 加味柴胡湯《万病回春》《古今方彙》 「人参、半夏、柴胡、黄芩、百合、知母、甘草、竹茹1団、粳米(炒)、食塩1 撮み、姜汁(少許)」水煎。
◎百合病、その病寒に非らず、熱に非らず、食を欲して食せず、行かんと欲して 行かず、坐せんと欲して坐せず、薬を服すれば吐し、小便赤きを治す。
◎鬼を見る如き是れなり。 加味柴平湯《東醫寶鑑》 「柴胡・黄芩・半夏・蒼朮・厚朴・陳皮・山楂肉・青皮・枳穀・神麹・三稜 ・莪朮各7分、甘草5分を剉作し、1貼に姜3、棗2を入れて水煎服。
◎積塊に熱のある者。 加味柴苓湯《東醫寶鑑》 「柴胡・沢瀉各1銭、半夏・赤茯苓・白朮・猪苓・山楂子・山梔子・茘枝核 各7分」水煎服。 ◎疝による湿熱・腫痛。
加味三拗湯《東醫寶鑑》 「麻黄2銭、陳皮1銭半、杏仁・五味子各1銭2分、桂皮1銭、甘草5 分を剉作し、1貼に姜3片を入れ水煎服。
◎寒喘を治す。 加味散毒散《東醫寶鑑》 「人参敗毒散1両に、大黄・蒼朮各1銭、生姜3片、薄荷7葉」水煎服。 ◎三陽経に脚気が流注し、脚踝が赤く腫れる者。
加味滋陰散《寿世保元》《古今方彙》 「当帰・川芎・芍薬・熟地黄・陳皮・半夏・茯苓・甘草各5分、升麻・柴 胡・白朮・牛膝・知母(酒炒)・黄柏(酒炒)・蒼朮各1銭」水煎し一宿を 露す。
◎諸淋久しく止まざる者を治す。 加味四斤元《東醫寶鑑》 「牛膝(酒浸)1両半、川烏・虎脛骨・肉蓉各1両、乳香・没薬各5銭、 木瓜1個(蒸熟)」を作末し、木瓜膏に入れ、酒糊で梧子大の丸剤。 温酒又は塩湯で70丸服用。 ◎肝・腎ともに弱くなり、脚・膝の疼痛・痿弱。又は風寒湿の気で脚痛に。
加味四君子湯[1]《外科正宗》 「四君子湯白扁豆・黄蓍・生姜・大棗」 ◎痔瘡・痔瘻、下血止まず、面色痿黄、心松、耳鳴、脚弱、気乏及びいっさいの 脾虚、口淡く、食に味を知らざるを治す。 ◎又中気虚し、血を摂する能わず、便血禁ぜざるを致す者を治す。 ◎此方は、下血止まず、面色萎黄、短気心する者を治す。 ◎「四君子湯」と「理中湯」は下血虚候の者に効あり。
加味四君子湯[2]《王海蔵》 「四君子湯杏仁・桑白皮各等分 半夏<半量に減ず>」 加味四君子湯[3]《東醫寶鑑》 「四君子湯肉豆蔲()・訶子(炮)各1銭、生姜3・大棗2」空腹時に、 水煎服。
◎気虚下痢を治す。 加味四君子湯[4]《東醫寶鑑》 「人参・白朮各1銭3分、甘草1銭、当帰8分、赤茯苓・陳皮・厚朴・縮 砂・紫蘇子・桑白皮各6分、沈香・木香各5分を水で洗って汁を取り、 剉作1貼し、姜3、棗2を入れ水煎し、二香の水磨汁を調合して食べる。 ◎気喘を治す。
加味四君子湯《朱丹渓》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・陳皮・半夏・甘草、水煎す。竹瀝・姜汁を入れ温服 し、或いは天南星・枳実・烏薬・羗活等を加えるも可なり。 ◎右半身不遂し、手足の者は気虚と湿痰に属するなり。
加味四君子湯《万病回春》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・陳皮・砂仁・厚朴・当帰・甘草各等分、生姜、大棗」 水煎。
◎一死の気虚にて病をなす者を治す。 ◎気虚甚だしいとき;「黄蓍」 加味四君子湯《万病回春》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・黄蓍・当帰・川芎・陳皮・半夏・天麻・桔梗・白 各等分、甘草半減、生姜、大棗」水煎。
◎肥人で気虚し湿痰、頭眩するを治す。 加味四君子湯《仁斎直指方》《古今方彙》 「人参・白朮・白茯苓・白芍薬・黄蓍・白扁豆(炒)各2銭、甘草(炙)1銭、 水2鐘、生姜5片、紅大棗2枚」煎じて1鐘を服す。
◎色疸及び久疸癒えざるを治す。 加味四君子湯《三因極一病証方論》《古今方彙》 「四君子湯黄蓍、白扁豆」 ◎五痔下血、面色萎黄、心耳鳴、脚弱気乏、口淡にて食するの味を知らざる者 を治す。
加味四君子湯《寿世保元》《古今方彙》 「人参1銭、附子1分、茯苓5分、蒼朮・羗活各3分、炮姜4分、甘草(炙)4 分、白朮6分、生姜、大棗」水煎。
◎慢脾の症で面赤額汗、舌短、頭低く眼合して開かず、睡中に揺頭し舌を吐し、 頻りに腥臭を嘔し、噤口咬牙し、手を床にし、足は微しくして収まらず、或 いは身冷え有為は温き者を治す。
◎蓋し慢驚の後、吐瀉して脾を損じ、病伝わりて已に極まり、総じて虚に帰する 処は惟れ脾の受くる所なり。故に慢脾風と曰う。 加味四順清凉飲《中薬臨床応用》
「山梔子9g、連翹15g、防風9g、当帰18g、赤芍9g、羗活6g、生甘草9g、 生黄蓍45g、生地黄15g、黄柏9g」水煎服。 ◎熱傷の感染性発熱。
加味四七湯[1]《東醫寶鑑》 「半夏(製)2銭、赤茯苓・厚朴各1銭2分、茯神・紫蘇葉各8分、遠志(姜 製)・炙甘草各5分、生姜7片、大棗2枚、石菖蒲半寸」水煎服。
◎心気が鬱滞する症状。 加味四七湯[2]《東醫寶鑑》 「半夏・陳皮・赤茯苓・各1銭、神麹(炒)・枳実・天南星(炮)各7分、青 皮・厚朴・紫蘇葉・檳榔・縁砂各5分、白淡豆豉・益智仁各3分、姜3 分、大棗5片」
◎痰気が鬱結して咽喉間にふさがり、吐いても出ず、飲み下すことも出来ない症 状(⇒梅核気)に。 加味四七湯[3]《東醫寶鑑》 「紫蘇葉・半夏・赤茯苓・陳皮・枳実・天南星・縮砂・神麹各1銭、青皮7 分、白豆蔲6分、檳榔・益智仁各3分、生姜5片」水煎服。 ◎梅核気を治す。
加味四七湯《寿世保元》《古今方彙》 「半夏5両、茯苓4両、厚朴3両、紫蘇葉・桔梗・枳実各2両、甘草1両、 生姜、大棗」煎服。
◎七情の気結ばりて痰涎となり、状は破絮(=古綿)の如く、或いは梅核が咽喉の 間にあるが如く、咯けども出でず、嚥めども下らず、或いは中痞悶し、気は 舒快ならず、或いは痰喘壅盛、上気喘急、或いは痰飲に因り、悪心嘔吐する等 を治す。
加味四七湯《世医得効方》《古今方彙》 「四味四七湯茯苓・遠志・石菖蒲・甘草」 「半夏、茯苓、紫蘇葉、厚朴、遠志、石菖蒲、甘草」 ◎心気欝滞するを治す。 ◎痰を豁き驚を散ず。
加味四七湯《万病回春》《古今方彙》 「茯苓・蘇梗・半夏・橘紅・青皮・枳実・縮砂・天南星・神麹・厚朴各1 銭、白豆蔲・檳榔子・益智仁各5分、生姜」水煎し臥するに臨み服す。
◎七情の気が結んで痰気となり、状、梅核の如く、或いは破絮(=古綿)の如く、 咽喉の間にありて咯けども出でず、嚥めども下らず、或いは中痞悶し、或い は中痞悶し、気舒快ならず、或いは痰喘壅盛して上気喘急し、或いは痰飲に 因り、悪心嘔吐する者を治す。
加味四聖散《医学入門》《古今方彙》 「紫草・木通・木香・黄蓍・川芎・甘草・人参各等分、蝉退半減」水煎。 ◎痘出でて快駆らず、及び変陥倒靨(=痘膿後に痂皮を作らず、かえって腐爛し 脱皮する)し、小便赤渋して余熱除からざる一切の悪候、或いは痘出でて風吹 を被り復見われずに皮膚に入り、内熱欝して散らざるを治す。 ◎便閉すれば、:「枳殻」 ◎便調えば「糯米」
加味四物湯[1-1]《医学正伝》 「当帰・麦門冬・黄柏・蒼朮・各1匁、地黄3分、芍薬・川芎・各7分、 五味子9粒、人参・黄連各5分、知母・牛膝各3分、杜仲7分半」
◎諸痿症、四肢軟弱・挙動不能。 加味四物湯[1-2]《医学正伝》《漢方治療の実際》 「当帰・川芎・芍薬・熟地黄・朮各3、麦門冬5、人参・牛膝各2、黄柏
・五味子・黄連・知母・杜仲各1.5」 ◎麻痺 加味四物湯[1-3]《医学正伝》《古今方彙》 「当帰1銭、地黄3銭、芍薬・川芎各7分半、五味子9枚、麦門冬1銭、 人参半銭、黄柏1銭、黄連半銭、知母3分、杜仲7分半、牛膝3分、蒼 朮1銭」水煎温服。
◎諸痿にて四肢軟弱にして挙動する能わざるを治す。 ◎肥えて痰あれば:「半夏」 ◎痩せて血虚すれば:「当帰地黄」 加味四物湯[1-4]《医学正伝》《龍野一雄》 「当帰・黄柏・麦門冬・白朮各2.5g、熟地黄8g、芍薬・杜仲・川芎各2g、 人参・黄連各1.5g、知母・牛膝・五味子各1g」 「或いは、人参を去り羚羊角を加える」 ◎諸痿、四肢軟弱、挙動し能わざるを治す。 ◎此方は滋血、生津、清湿の3功を兼ねて諸痿を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は「大防風湯」とは陰陽の別あり。 <1>大防風湯:専ら下部を主とする。 <2>加味四物湯:専ら上焦の津液を滋して下部に及ぼす。 ★適応症及び病名 (五十音順)
[1]下肢の麻痺: ☆痿症の初起には:痿証方《秘方集験》に宜し。 ☆凝固して動き難き者:痿躄湯(=亀板湯) ☆筋痙攣甚だしき者:二角湯 ☆壊症になった者:加味四物湯 [2]筋萎縮。
[3]脊椎カリエス 加味四物湯[2-1]《万病回春》《古今方彙》 「当帰・黄柏(蜜炙)・知母・括楼根・川芎各1銭、桔梗・甘草各3銭、熟 地黄・白芍薬各1銭2分」水煎し「竹瀝」を入れて同服す。
◎虚火上升して喉痛するを治す。 ◎并して喉瘡、喉痺、熱毒を生ずるを治す。 ◎最も能く火を降ろす。甚だ効あり。 加味四物湯[2-2]《万病回春》《漢方治療の実際》 「当帰・黄柏・知母・川芎・天花粉各2、桔梗・甘草各4、地黄・芍薬各3」 原方には竹瀝があるが、今これを入れない。 ◎この方は咽頭痛に用いる。
◎この方は、滋陰降火湯によく似た処方で、浅田宗伯は、加味四物湯を用いるよ うな咽痛には、滋陰降火湯を用いる《大塚敬節》 加味四物湯[2-3]《万病回春》《東醫寶鑑》
「桔梗・甘草各1銭半、熟地黄・白芍各7分、当帰・川芎・黄柏(蜜水炒) ・知母・天花粉各5分」を水で煎じて、竹瀝1鐘を入れて服用。
◎喉痺・喉痛・喉瘡。 ★適応症及び病名 (五十音順) 咽頭痛: ☆咽痛の症で虚症になった者に用いる《大塚敬節》
☆発汗したり、下したりして効が無く、そのくせ熱があって、脈が虚数 になった時に、この方を用いる。このような場合には、他に用いる方 がなく、附子剤でもなく、甘桔湯などを用いてもダメなときに用いる。 《有持桂里》
加味四物湯[3-1]《万病回春》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬(炒)・生地黄・熟地黄・黄蓍・人参・白朮・陳皮・ 茯苓・荊芥・甘草(炙)各等分、大棗、烏梅」水煎。
◎血虚眩暈、卒倒するを治す。 ◎艾灸をすべからず。 ◎驚哭、叫動、動すれば虚に乗じて死す。 ◎飽悶には:「香附子砂仁黄蓍白朮」
加味四物湯[3-2]《万病回春》《東醫寶鑑》 「当帰・白芍・川芎・生地黄・熟地黄・黄蓍・人参・白朮・陳皮・白茯苓 ・荊芥穂・甘草各7分、大棗2枚、烏梅1個」煎服。
◎貧血でめまい。 加味四物湯[4]《万病回春》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・熟地黄・陳皮・黄芩・山梔子・天麻・茯苓 各等分、人参・甘草各半減、松香、大棗」水煎温服。
◎肥人で気虚し、湿痰、頭眩するを治す。 加味四物湯[5-1]《万病回春》《古今方彙》 「黄柏(酒炒)・知母(酒炒)・黄芩(酒炒)・黄連(酒炒)・当帰・生地黄・蔓 荊子・山梔子・川芎各等分」
◎血虚にして陰火上に冲(ノボ)りて頭痛するを治す。 加味四物湯[5-2]《万病回春》《東醫寶鑑》 「当帰・川芎・生乾地黄(黄酒炒)・黄柏(酒炒)・知母(酒炒)・黄芩(酒炒) ・黄連(酒炒)・蔓荊子・山梔子(炒)各7分」水煎服。
◎血虚による頭痛。 加味四物湯[6]《福井》 「当帰・地黄・知母・黄柏・黄連・蔓荊子・山梔子・川芎」 ◎梅毒壮熱ある者、先ず此湯を用いてその熱を解し、後に奇良剤を用いる。 ◎此方は能く黴毒の壮熱を解す。《勿誤薬室方函口訣》
加味四物湯[7]《東醫寶鑑》 「四物湯4銭、人参・呉茱萸各1銭、姜3、棗2」水煎服。 ◎月経がなくなって何年か後に、又月経があって、それが崩漏となって腹痛と寒 熱がある。
加味四物湯[8]《朱丹渓》《古今方彙》 「当帰・芍薬・川芎・熟地黄・桃仁・紅花」水煎し、「竹瀝・姜汁」少し 許り入れ温服。
◎左半身不遂し、手足の者は血虚と死血に属す。此方に宜し。 加味四揚湯[1]《薛立斎十六種》《古今方彙》 「四物湯山梔子、柴胡、牡丹皮」
加味四揚湯[2]《東醫寶鑑》 「熟地黄2銭、当帰身・麦門冬・黄柏・蒼朮各1銭、白芍・川芎・杜仲各7 分、人参・黄連各5分、知母・牛膝各3分、五味子9粒」水煎服。
◎湿熱による両脚の痿軟・無力。 加味四苓散[1]《万病回春》《古今方彙》 「白朮・茯苓・猪苓・沢瀉・蒼朮・山薬・芍薬・陳皮・山梔子各1銭、烏梅 1個、甘草(炙)5分、燈心草」水煎。
◎火瀉(熱瀉)の者は腹中が一陣(ヒトシキリ)痛み、一陣瀉四物湯、後は去ること熱湯 の如く、後重し滞るが如くにて、赤色を瀉下し、小水短赤、煩渇、脈数なり。 此方に宜し。
◎飽悶には:「厚朴砂仁山薬」 ◎腹痛には:「厚朴砂仁木香小茴香白朮」 ◎嘔悪心には:「藿香烏梅蓮肉縮砂人参」 ◎小水短赤には:「木通車前子沢瀉」 ◎口燥煩渇には:「黄連麦門冬蓮肉烏梅乾葛沢蒼朮」 ◎瀉多く元気虚脱し昏倦する:「人参黄蓍蒼朮沢瀉」 ◎夏月に暴瀉にはあ:「香薷白扁豆」 ◎瀉多く煩躁する:「黄連人参辰砂奪い蒼朮沢瀉」
◎瀉多く止まざるには:「肉豆蔲烏梅人参沢瀉山梔子」 ◎発熱脈数には:「柴胡黄芩烏梅」 加味四苓散[2]《寿世保元》《古今方彙》 「人参、白朮、赤茯苓、猪苓、沢瀉、香薷、蓮肉、麦門冬各等分」水煎し、 空心に服す。
◎心経暑に伏し、小便赤濁するを治す。 加味七気湯《済世全書》《古今方彙》 「半夏、茯苓、厚朴、蘇梗、香附子、生姜」水煎。 ◎七情の傷るる所、憂思欝結し腑臓の気が和平せず、心腹痞悶するを治す。
加味磁朱丸《東醫寶鑑》 「磁石(を醋淬すること7回)、朱砂研1両、沈香5銭を作末し、神麹末2 両で糊をつくって梧子大に丸め、塩湯又は米飲で30~50丸空腹時に服用。 ◎眼昏に常服。
加味紫草散《医学入門》《古今方彙》 「紫草、白芍薬、麻黄、甘草各5分」水煎温服。 ◎痘出でて未だ透らざるを治す。 加味貝散《東醫寶鑑》 「白・貝母・天花粉・金銀花・皀角刺・穿山甲(土炒)・当帰尾・薏苡仁・ 甘草節各1銭」酒と水を半分ずつ入れて煎服。
◎乳癰の腫硬で痛む症。 加味瀉白散《中薬臨床応用》 「桑白皮12g、地骨皮9g、甘草3g、粳米6g、知母6g、黄芩4.5g、桔梗3g、 薄荷1.5g(後下)」水煎服。 ◎小児の急性気管支炎。
加味小胃丹《東醫寶鑑》(一名導痰小胃丹・又、竹瀝化痰丸) 「小胃丹天南星・半夏」 白礬・皀角を姜汁で15回煮て各2両半、蒼朮を米・白礬・皀角と水の
泡に漬け、紅花(酒蒸)・陳皮・枳実と白礬水泡に半日漬けて炒り、白朮・ 白芥子(炒)各1両を作末して、姜汁・竹瀝・神麹を煮て、緑豆大の丸剤。
20 ~30丸を姜湯で服用。 ◎風痰・痞積・眩暈・喉痞・不語。 加味小陥胸湯[1]《勿誤薬室方函》 「小陥胸湯枳実・山梔子」 ◎火、その痰を動かし雑するを治す。 ◎此方は雑に奇効あり。 ◎胸のやけることなり。
加味小陥胸湯[2]《証治大概》《龍野一雄》 「半夏8g、瓜呂仁3g、枳実・山梔子各2g、黄連1.5g」 ◎むねやけ・胃部疼痛。 ★適応症及び病名
胃潰瘍 胃酸過多症 胃痛 胆石症 加味小建中湯《東醫寶鑑》 「白芍(酒炒)3銭、桂心1銭半、炙甘草・遠志(姜汁炒)各1銭、生姜5、
大棗2」水煎服。 ◎心腹痛で堪えられず、押すと痛みが止まる・虚寒症。 加味小柴胡湯《本朝老医伝》《勿誤薬室方函》 「小柴胡湯竹茹・麦門冬・黄連・滑石・茯苓」
◎暑疫、協熱利を治す。 ◎此方は一老医の伝にて、夏秋間の傷寒恊熱利に経験を取りし方なれども、余は 常に「滑石」として、人参飲子(=小柴胡湯麦門竹葉)の邪勢一等重く煩熱
心悶する者を治す。人参飲子は小柴胡湯の邪勢甚だしきに用い、此方は更に 重い。《済世薬室》 ◎竹茹温胆湯の症にして往来寒熱する者を治す。 ★適応症及び病名 泄瀉: ☆最初より下痢あり、恊熱利に似て熱消し難きものあり、此方を用いて
意外の効を得たり。《橘窓書影》 ☆その人、大便不調、邪気忽ち裏に乗じ、便ち煩渇となる。一に平時の 如く稀糞を泄瀉して色敗れず、その色ただ焦黄のみ。これ伏邪裏に伝
え、胃に稽留し能わず、午後に至って潮熱し、便泄瀉となる。加味小 柴胡湯能く之を治す。もし潮熱未だ除かず利止まざる者は「小承気湯」 を以てその余邪を徹するに宜し。《雑病翼方》
加味十奇散《東醫寶鑑》 「当帰・肉桂・人参・黄蓍・川芎・防風・白・桔梗・甘草・乳香・没薬」 各等分を作末し、毎回3銭を温酒で調服。
◎老人・虚弱者の癰疽。膿に成ったか、ならないかに関わらない。 加味十全大補湯[1]《東醫寶鑑》 「十全大補湯柴胡1銭、黄連5分」
◎虚労による気血の衰弱。 加味十全大補湯[2]《寿世保元》《古今方彙》 「十全大補湯附子、沈香、木香、烏薬、牛膝、杜仲、木瓜、防風、羗活、 独活、薏苡仁」
加味上清丸《東醫寶鑑》 「白砂糖8両、薄荷葉4両、柿霜4両、玄明粉・硼砂・寒水石・烏梅肉各5 銭、片脳5分を作末し、甘草水を煮て膏を作り、実大に丸め、毎回1
丸を茶湯で解かして呑む。 ◎声音がなめらかでない。 ◎清声・潤肺・止咳・爽気などに有効。 加味承気湯《傷科補要》 「大黄80g、朴硝80g、枳実4g、厚朴4g、甘草20g、当帰4g、紅茶4g、酒 と水各一杯で飲む。」
加味承気湯《万病回春》《古今方彙》 「大黄・芒硝各2銭、枳実・厚朴・当帰・紅花各1銭、甘草5分」酒水にて 煎じる。 ◎血内に停りて胸腹脹痛し或いは ◎大便通ぜざる等の症を治す。
加味順気散《厳氏済生方》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・半夏・青皮・陳皮・川芎・白・枳殻・桔梗・烏薬・ 細辛・防風・白殭蚕・乾姜・麻黄・甘草・生姜・大棗」水煎す。 ◎風はまず気を理し、気順(メグ)れば則ち痰は消え、除ろにその風を理すれば庶(オ
オ)くは効を収む可し。 ◎気を理すれば気滞・気欝・肩膊麻痛の類を治す。これ七情なり。 加味潤下丸《東醫寶鑑》 「橘紅8両、半夏(擘)2両、を塩湯で煮て乾かした後、天南星・黄芩・黄連
・甘草各1両を作末して、姜汁に漬け、蒸し餅で緑豆大の丸剤。白湯で50 ~70丸服用。 ◎痰火(熱痰)を下降させる名薬。 加味消毒飲《東醫寶鑑》 「人参敗毒散1両に、大黄・蒼朮各1銭を加え剉作し、姜3片、薄荷7葉を
入れて煎服。 ◎三陽経に脚気げ流注し、脚踝が赤く腫れる者。 加味生脈散《医学入門》《東醫寶鑑》 「五味子3銭、人参・麦門冬・杏仁・陳皮各2銭剉作1貼し、姜2片、棗5
を入れ煎服。 ◎脉がなく、喘促して手足の厥逆のとき。 ◎手足厥逆、脉伏し、喘促の者を治す。危殆(キタイ、あやうい)これを以て之を救 う。《古今方彙》
加味朮附湯[1]《東醫寶鑑》 「炮附子2銭、白朮・赤茯苓・炙甘草各1銭半を剉作1貼し、生姜7片・大 棗2を入れ、1日2回、水煎服。
◎中湿の諸症を治す。 加味朮附湯[2]《東醫寶鑑》 「炮附子・白朮各1両、肉豆蔲()2個、木香・炙甘草各5銭を作末し、 毎回2銭に姜3、棗2を入れ水煎服。
◎吐瀉の後、変じて慢驚になり、又は下痢する者。 加味寿星丸《東醫寶鑑》 「半夏(姜製)6両、天南星(炮)3両、朱砂(水飛)1両、琥珀・白礬枯各5銭、
母真珠1銭」作末し、姜汁麺糊で梧子大に丸め、朱砂で衣をつけて、毎 回30~50丸生姜湯で服用。 ◎痰がつまり、清神が安定せず、健忘と恍惚を兼ね、手足がだるいとき。
加味正気散《古今方彙》 「陳皮、半夏、厚朴、藿香、蒼朮、芍薬、黄連、木香、檳榔子、枳殻、甘草 (炙)、生姜」水煎。 ◎痢にして飲食酔飽によりて得たる者を治す。
加味逍遥散[1-1]《内科摘要》《中薬臨床応用》 =「丹梔逍遥散」 「牡丹皮6g、山梔子6g、柴胡9g、当帰12g、白芍薬9g、白朮9g、茯苓9g、 甘草(炙)3g、薄荷3g(後下)、生姜3g」水煎服。 ◎発熱、午後ひどくなる。 ◎盗汗、自汗 ◎頭痛、目に充血 ◎頬の紅潮 ◎口乾 ◎月経不順
加味逍遥散[1-2]《内科摘要》《中薬臨床応用》 =「丹梔逍遥散」 「牡丹皮6g、山梔子6g、柴胡9g、当帰12g、白芍9g、茯苓9g、炙甘草3g、 薄荷3g(後下)、生姜3g」水煎服。
◎逍遥散証で熱候又は上部に充血症状がある者。《龍野ー漢方処方集》 ◎此方は清熱を主として上部の血症に効あり。故に逍遥散の症にして、頭痛面熱、
肩背強ばり、鼻衂などあるに佳なり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎肝分の虚火を鎮むる手段なり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎下部の湿熱を解す。婦人淋疾、竜胆瀉肝湯などより一等虚候の者に用いて効あ
り。 ★加味逍遥散(顔面紅潮、四肢倦怠、疲労、発熱盗汗、口乾、嗜臥不眠、手掌煩 熱、不定期な熱感、月経異常) 【腹証】 加味逍遥散[1-3]《女科撮要》《漢方治療の実際》
=《和剤局方》の逍遥散+牡丹皮+山梔子各2」 ★適応症及び病名 (加味逍遥散)[1]頭のふらつき[2]イライラ:☆63歳の婦人。「2年前、胃潰瘍で吐血し、入院したことがある。1ヶ月前に風邪を引き、頭重・全身倦怠・肩こり・のぼせ・悪寒・便秘・発汗などがあり、イライラするという。食欲は普通、ゲップが出る。
初診時には血圧が(140-90)。以前は低血圧であったとのことである。脈はやや弱く、腹を診てみると、軽度の胸脇苦悶が認められた。。舌にコケはない。
加味逍遥散エキスを15日分服用すると、諸症状が好転し、血圧も(120-80)となり、続けてさあ飲んだところ、経過はますます良好となった」《矢数圭堂》[3]胃潰瘍[4]咽喉神経症[5]咽喉痞塞感[6]陰戸腫[7]陰部掻痒症[8]ウツ病(鬱病)[9]悪寒:<背部>[10]往来寒熱:☆此方の症にして寒熱甚だしく胸脇に迫り、嘔気等ある者は、「小柴胡湯+山梔子+牡丹皮」《勿誤薬室方函口訣》[11]怒りっぽい[12]外陰部(膣口)の腫痛[13]咳血[14]疥癬:☆男子婦人遍身に疥癬の如きを発し、甚だ痒く諸治無効の者:「+四物湯」《勿誤薬室方函口訣》[15]下肢疼痛[16]鵞掌風:「+地骨皮・荊芥」《華岡青州》
[17]喀血[18]肩こり ①血の道症。 ②のぼせ、頭痛 ③めまい ④足が冷える。☆血の道症で、いつも申分が絶えず、のぼせ、頭痛、肩凝り、めまい、足冷などのある者に用いる《大塚敬節》☆月経不順、帯下などの婦人病の症状があって、肩凝りを訴える者に用いる《大塚敬節》[19]過敏性大腸症候群
[20]肝炎 [21]肝硬変:<初期> [22]肝臓肥大:<腫大> [23]肝斑: ☆若い婦人の肝斑に有効《大塚敬節》 ☆33歳未婚婦人。肺結核の既往歴あり。2年前過労と心労のため、不眠症と食欲不振に悩まされ、手当たり次第に新薬を飲んだ。そのためか鼻翼の左右の低いところに大きな茶褐色の斑点が出来た。ところがその冬にスキーに行ったところ、斑点の色が濃くなり、ひどく人目を引くようになり、医師の診察を受けると肝斑と云われ、その指示通りに手当を受けたが、斑点はますます拡大し、鼻と上唇との間にも、ひげ剃りの痕のような斑点が出来た。
月経は順調だが、始まる前日に下腹痛がある。私はこれに加味逍遥散を与えたが、1ヶ月の服用で斑点の着色が薄れて人目を引かなくなり、疲れが減じ、勤務に出ても、あまり疲労を感じないようになった。《大塚敬節》☆42歳女性。卵巣嚢腫で手術の既往歴あり。2週間前にジンマシンが出たが、それは数日で治った。1年ほど前よりこめかみの部分と前膊に肝斑がある。便秘の傾向がある。喫煙が多い。月経は順調である。
私はこれに加味逍遥散を与えたところ、2ヶ月余りで、肝斑は消失し、眉間に、ハタケ(顔面白癬)のようなものが出来た。そこで加味逍遥散+荊芥地骨皮を用い、これも1ヶ月足らずで全治した。《大塚敬節》
[24]感情不安定 [25]眼精疲労 ☆眼痛、頭痛、めまい、冷えのぼせ、不眠、疲れやすいなそ女性で愁訴の多いもの(漢方診療医典) [26]顔面紅潮
[27]気の上衝<₊> [28]逆上感 :<午後から> [29]胸脇苦満<軽>
[30] 強皮症 ☆種々の精神神経症状のある者に、加味逍遙散四物湯を長期間服用させるということがある(漢方診療医典)[31]月経異常 [32]月経困難
[33]月経前緊張症 [34]月経不順[35]眩暈[36]肩背強急 [37]口乾 [38]口苦 [39]口内炎:☆口舌爛瘡する者:茄子の黒焼きを塗布し、本方を内服する。[40]高血圧
[41]更年期障害 [42]骨盤腹膜炎[43]恐がり[44]臍腹脹痛[45]痤瘡 [46]産後の口内炎☆産前産後に口内・舌にビランを生じ痛む。《中医処方解説》☆産前後、口舌赤爛し惞痛する者: <実証>:「麦門冬湯+石膏」「三黄石膏湯」 <虚実の間>:加味逍遥散 <虚証>:「附子湯+当帰」《先哲医話》☆産前後の口赤爛する者に効あるは、虚火上炎を治すればなり《勿誤薬室方函口訣》
☆産前産後の舌が荒れる:「+連翹桔梗」《目黒道》[47]産後の便秘[48]散大眼:☆「密蒙花・五味子磁石丸」《備急千金要方》
[49]残尿感 [50]色素沈着 [51]子宮内膜炎 [52]四肢倦怠・疲労 [52]湿疹: ☆貧血ぎみで足腰が冷える者の、慢性化し、乾燥してかゆみのあるもの。☆血虚熱あり、遍身瘙痒、あるいは口燥咽乾、発熱盗汗、食少に臥を嗜
み、小便渋滞などの症を治す。《雑病翼方》☆身体掻痒とは周身かゆくなりて後には血の出るほどに掻てもまだ飽きたらず思うて掻く。是を身体掻痒という。一症には敗毒散あるいは川芎茶調散の類よけれども、これらにて効無き時は加味逍遥散を用ゆべし。是にて効をとること多し。是は肝経の欝熱より生ずるなり。故に逍遙散にて効あるなり。《療治経験筆記》[53]十二指腸潰瘍
[54]手掌角皮症 [55]手掌煩熱[56]手術後の不定愁訴[57]出血 [58]処女及び寡婦の気鬱病 [59]小便淋瀝(女子)
[60]小便:<色濃い>[61]逍遥性熱感 [62]しろなまず(白癜風) [63]嗜眠 [64]自律神経失調症[65]シミ: ☆41歳主婦。
「やせ形で貧血気味。頬にシミがたくさんある。1年前から月経が不順で、生理のないときに不快症状が起こる。頭がガンガンしてめまいがして、首筋が凝り、車に酔いやすく、不快なときは全身に流れるほど汗が出て、気分が悪くなる。少しのことにも腹が立ち、興奮しやすく、物事が気になって仕方がない。脈は普通。みずおちの当たりは薄く緊張している。
加味逍遥散を与えてみると、10日ほどで諸症状が好転し、40日分の服用で顔色もすっかり良くなり、シミも取れて、月経も順調になった。《矢数道明》[66]ジンマシン:☆この方に四物湯を合したり、地骨皮、荊芥を加えたりしてジンマシン・湿疹・頑癬に用いる《大塚敬節》☆血風(ジンマシン)の症に加味逍遥散または四物湯に荊芥を加えて用いることあり、痒きこと甚だしき者によし。《疎註要験》☆43歳女性。10ヶ月前からジンマシンで出て、治らない。夕方から夜間にかけて特にひどく出る。その他の症状は、足がだるく、のどが乾く、大便は快通しない、尿中のタンパクは陰性、ウロビリノーゲン反応は正常、月経は2年前から止まっている。腹診すると、右に胸脇苦満が少しある。
そこで十味敗毒湯を与えた。10日間服用したが、何の反応もない。そこで加味逍遥散+四物湯を用いたところ、1週間後にはジンマシンは出なくなった。ところが服薬を中止すると又出るので、2ヶ月ほど連用したところ、全治した。《大塚敬節》☆44歳女性。平素から胃が弱く、便秘する。2ヶ月前からジンマシンで、夜間になると、全身に出て痒い、そのため安眠が妨げられる。医師から注射をしてもらったが、よくならない。
私はこれに加味逍遥散+荊芥地骨皮を与えた。加味逍遥散+四物湯を考えたが、この患者は胃腸が弱いので、地黄を考慮して四物湯を入れなかった。これを飲むと大便が快通し、頭が軽くなり、5、6日たつと、ジンマシンが出たり消えたりするようになり、2週間ですっかりよくなった。《大塚敬節》
[65]心悸亢進[66]心下痞 [67]神経症:(ヒステリー) ☆流産後や卵管結紮後に起こる各種の神経症状。 ☆37歳女性。主訴、上逆、心悸亢進、意識障害。11年前に人工妊娠中絶のため、掻爬術を2回受けたところ、それから、上衝、眩暈などが起きた。しかしこれらの症状は間もなく治った。 ついで10年前、卵管結紮の手術を受けたところ、その2年後から、月経過少となり、結婚前には1週間ぐらいあった月経が1日しか見ら れなくなった。更にその1年後から、上衝や身体の震え、腰痛、不眠、手のシビレ感などが起こり、肩背が甚だしく凝り、疲れやすく、しばしば不安になって、気が狂いそうな気持になった。女性ホルモンの注射を受けると、生き返ったように楽になったが、最近はそれも効果がなくなった。また月経の際はことに症状が激しく、しばしば興奮状態になり、正常な意識がなくなって、異常なことを口汚く口走ると言う。
患者は、体格中等、肉つきはやや肥満、筋肉は軟弱、風邪を引きやすく、のぼせ症で疲れやすい。 脈は沈で右やや弦、腹部は心下部に抵抗圧痛があり、下腹が他覚的に冷たい。
性格は温和だが、小心で、敏感、物事を気にしやすく、心配性である。これに加味逍遥散を投与したところ、1ヶ月後には全般的に好転し、月経時に興奮状態を呈することはなくなった。しかし、6/7日、悪心・食思不振・腹痛を覚え、某病院に受診し、急性肝炎と診断された。この際は《大塚敬節》の茵蔯蒿湯の投与を20日間受けて全治した。また、7、8年来、月経量は少なく、コーヒー滓様の固形のおりものがあったのが、6月頃から経血は正常になり、2~3日間あるようになったと言う。
9月下旬、大体調子は良いが、ときに具合が悪くなり、手がシビレ、身体が硬くなり、夜中や早朝、目が醒め、気分が悪いと云う。 12月下旬、疲れは無くなったが、月経時に違和感があると訴えた。その後も時々服薬を続けているが、日常生活は順調である《山田光胤》[68]神経性胃炎[69]神経性下痢[70]頭痛:☆血の道症の片頭痛。☆頭が痛いというより重い感じが強く、同時に肩こり、めまい、月経異常などがある。☆血の道症の患者にみられる、のぼせ、頭痛、肩凝り、めまい、月経不順などの有る者によい。便秘している者に用いて、大便を快通せしめる力がある《大塚敬節》☆頭が重いとか、頭に何かかぶさっていると訴える者に良い。《大塚敬節》☆28歳女性。3回妊娠中絶をしたという。主訴は頭痛で、いつも頭が重く、肩が凝り、欠伸が出て、疲れやすく、仕事をする気力がないと云う。大便は快通せず、下剤を飲むと腹が痛んで、渋り腹で、気持が悪い。月経不順で、月経時に腹痛を訴える。
加味逍遥散を与える。これを飲むと、大便が気持ちよく出て、肩凝りも頭痛も良いが、何となくサッパリしない。1ヶ月ほどたってから、加味逍遥散に香附子3.0を加えたところ、1ヶ月ほどで、頭痛を忘れ、からだがしっかりして、仕事がしたくなり、家庭が明るくなった。《大塚敬節》[71]舌質<紅>
[72]舌苔<微白~黄>[73]帯下:☆当帰芍薬散で帯下が減少するが、今一歩というところで、全治しない者に用いる《大塚敬節》☆28歳主婦。約6ヶ月前から、黄色帯下をみるようになった。以前から月経時に下腹痛のあることが時々ある。特に大病にかかったことはない。
体格は小柄で、肉付きは痩せ型、体質は冷え症、顔色蒼白で冴えない。帯下は染色鏡検では雑菌しか認められない。理学的診断上、胸腹部に著変を認めない。
脈小にしてやや弦。腹部は肉付き少なく、心下部に振水音を認める。両側腹直筋攣急(特に右側が強い)し、左臍傍の動悸が亢進し、下腹部が他覚的にも冷たい。
物事にこだわらない性格で、病気についての訴えも少ない。経過。腹直筋の攣急と月経痛を目標に、当帰建中湯+桂枝茯苓丸を3週間投与したが、無効。当帰建中湯のみを2週間投与し、足の冷えが好転したという。下腹の冷を目標に、当帰芍薬散に転方し、3週間投与、帯下がやや薄くなったという。そこで加味逍遥散にしたところ、帯下は急速に減少し、1週間後には帯下はほとんど消失したと言う。 《山田光胤》
☆帯下白き者には加味逍遥散+白鶏冠花。帯下赤き者には加味逍遥散+赤鶏冠花を用いよ。《香月牛山》 [73]多夢[74]脱毛症:☆抜け毛が多くて困るという婦人に用いて、効を得たことが数例ある。 《大塚敬節》
☆肝斑(シミ)があって、毛が抜けて困るという婦人に、これを用いて、3ヶ月ほどで肝斑も良くなり、毛も抜けなくなった。《大塚敬節》 [74]胆嚢炎
[75]痰に血が混じる [76]血の道症:☆イライラして怒りっぽく、熱感と悪寒が交互に現れ、手足が不快にほ てり、顔面紅潮、頭重、めまい、寝汗、不眠、全身倦怠感、食欲不振
などの不定愁訴がある者。☆27歳女性。10ヶ月ほど前に、死胎を分娩し、その後、頭痛、めまい、動悸、不眠、肩凝り、便秘を訴えるようになった。月経は不順である。体格中等度で、栄養も血色も悪くない。私はこれに加味逍遥散15日分を与えた。これを呑むと、気分が軽くなり、頭痛も、めまいも忘れた。便通も毎日つくようになり、治ったように思った。
そこでしばらく休薬していたが、また頭痛がするようになったからといって、1ヶ月分の調剤を乞うた。こんなことを繰り返して、すっかり全快した。《大塚敬節》
[77]登校拒否 ☆虚弱な体質の女子で、精神不安、憂うつ感などの精神神経症状があり、脈も腹も緊張が弱く、腹診上、軽度の胸脇苦満を認めるものを目標に用いる。瘀血徴候あるいは月経異常が見られることが多い(漢方診療医典)[77]凍瘡:《方読便覧》
[78]動脈硬化症 [79]にきび:☆(月経前に増悪する)[80]乳ガン:☆初起に。《方読便覧》 [81]乳腺症 [82]乳房が張って痛む[83]乳裂:☆産後ごとに乳裂を患う者:茄子の裂けたものを焼いて灰にし、(研末)
水調して乳首に塗布する。そして加味逍遥散を内服する。《方読便覧》 [84]尿道炎[85]ねあせ(盗汗) [86]ノイローゼ:☆虚弱な婦人で、頭痛、頭重、肩こり、のぼせ、めまい、不眠、動悸、足腰の冷え、月経異常を訴える者。
[87]のぼせ:☆のぼせはさほどひどくは無いが、肩こり・頭痛・めまい・不安感などある者《大塚敬節》[88]白帯下 [89]バセドウ病
☆バセドウ病にかかると、月経不順になり、血の道症のときに見られるような精神症状を訴える者がある。めまい、肩こり、動悸、耳なり、のぼせ、足冷、頭重などのあるものによい。(漢方診療医典)
[90]発熱[91]煩熱[92]冷え症[93]冷えのぼせ[94]微熱(原因不明の)[95]皮膚炎[96]肥満:☆肥満しているのに貧血気味で、顔色が冴えず、頭痛、肩こり、不眠を訴える者。
[97]疲労倦怠[98]不安感 [99]不定愁訴:☆不定期の熱感☆加味逍遥散は、年中、肩が凝るとか、頭が重いとか、めまいがするとか、足が冷えるとか、ぼせるとか、とかく訴えのたえない者に用いる。《大塚敬節》
[100]不妊症:☆結婚後6年間妊娠しない婦人に、頭痛、肩凝りを目標に用いたところ、3ヶ月で妊娠し、それから連続して3人の子供が産まれ、もういらないと苦情を云われたことがある。《大塚敬節》
[101]不眠症: ☆(眠りが浅い、夢が多い) [102]浮腫[103]吻瘡:☆「地骨皮・荊芥」《方読便覧》 [104]便秘:☆便秘の特徴:①ケイレン性便秘。②細い、こまぎれ、コロコロ便。③しぶり腹。裏急後重。 ☆大便秘結して朝夕快く通ぜずと云う者、何病に限らず此方を用いれば大便快通して諸病も治すと云う。《勿誤薬室方函口訣》☆平素胃が弱い女性。みずおちがつかえて鈍痛があり、おくびが出るそれにときどき頭痛が来る。大便は軟くて、毎日ある。
半夏瀉心湯を与えたところ、胃のつかえや鈍痛は良くなったが、こんどは便秘してジンマシンが出るようになった。そこで加味逍遥散+荊芥地骨皮を与えたところ、7日分を飲み終わらないうちによくなった。《大塚敬節》☆婦人の患者で、大便が快通せず、大黄を用いると、少量を与えても腹痛を起こして下痢する者がある。このような患者に、この方を用いると腹痛を起こさないで自然便のように大便が快通する。《和田東郭》はこの方に阿膠を加えて用いている。《大塚敬節》☆1病婦、微熱があり、種々の雑症を患って4、5年も治らない。そこで、大便秘結の傾向があるのみ眼をつけて、この方に阿膠を加えて用いたところ、4、5年の痼疾がウソのように忘れるように治った《津田玄仙》☆1老婦、子を失った悲嘆ののち、腰が痛んだり、脚が痛んだりして歩くことが出来なくなり、時には何も食べない日があり、大便は石のように硬くて秘結し、或いは頭痛がしたりめまいgあしたり、卒倒したりして一定の病症がない。脈を診ると、微数で2年も治らない。そこで大便が石のようだというところを目標にして、この方を用いたところ30貼ばかりで大半治った《津田玄仙》☆これには別に下剤は入っていないのに、これで気持ちの良い通じのつくことがあり、大黄の入って薬方で通じをつけると、腹の痛むような便秘に用いる。《大塚敬節》[105]ほてり
[106]膀胱炎 [107]膀胱神経症[108]発作性自汗[109]発作性灼熱感[110]発赤[111]慢性胃炎 [112]慢性肝炎:☆疲労しやすく、手足だるく、頭重、めまい、不眠、怒りっぽい者。☆体がほてる、顔面が紅潮することがある。[113]慢性子宮内膜炎[114]慢性頭痛[115]慢性膀胱炎
[116]水虫[117]無気力[118]めまい(眩暈)[119]ゆううつ(憂鬱)[120]腰痛症 加味逍遥散[2]《和田東郭》 「《和剤局方》の逍遥散地黄・阿膠」 「加味逍遥散阿膠」
◎血虚、発熱止まず、労を成すを治す。 ◎《張氏医通》に云う、もし室女、経水不調ならば、尤も当に開鬱を主と為すべ しと。此方ずなわち是なり。《雑病翼方》
加味逍遥散[3]《東醫寶鑑》 「牡丹皮・白朮各1銭半、当帰・赤芍・桃仁・貝母各1銭、山梔子・黄芩各8 分、桔梗7分、青皮5分、甘草3分」を煎服。
◎痰の中に血がまじる。 加味逍遥散[4]《医貫》《古今方彙》 「柴胡・芍薬・牡丹皮・陳皮・茯神・当帰・白朮・貝母各1銭、薄荷7分、 黄連5分」。毎両呉茱萸2銭、水に拌ぜて用いる。焦色に入り合して用う。
◎欝症にて瘧に似る者を治す第一の薬なり。 ◎その寒熱は正瘧と異なることなし。但しその人、口苦く、青水或いは苦水を嘔 吐し、面青く脇痛み、耳鳴り、脉なり。
加味逍遥散合四物湯《漢方治療の実際》 「加味逍遥散川芎・地黄各3」 #加味升陽除湿湯[1-1]《済世全書》《勿誤薬室方函》「防風・芍薬各1銭半、茯苓・葛根各1銭、紫蘇葉・山楂子・独活・木香・
乾姜・桂枝・生姜・蒼朮各1銭」 ◎下利、大便裏急後重し、しばしば厠に至って便する能わざるを治す。◎赤白膿血に拘わらず慎みて之を利する勿れ、その陽を升せば則ち陰火自ずから
退く。◎此方は「桃花湯」「白頭翁湯」の“後重”にも非ず。◎「大柴胡湯」「四逆散」の“裏急”にも非ず。◎一種湿熱より来る処の類痢にて裏急後重する者に効あり。◎後世、痢疾の初起後重甚だしきに、ただの升陽除湿湯を用いれども効なし。此
の場合は葛根湯にて発汗すれば後重ゆるむ者なり。《勿誤薬室方函口訣》
#加味升陽除湿湯[1-2]《済世全書》《古今方彙》「防風・芍薬(酒炒)各1銭半、茯苓・白朮・蒼朮・乾葛各1銭、甘草(炙)5分、生姜」水煎。 ◎下利にて大便裏急後重、数々厠に至り而して便する能わず、赤白膿血に拘わらず慎んで之を利する勿れ、その陽を升せば則ち陰火は自ら退く。
◎冬には:「桂枝、紫蘇葉、柴胡、山楂子、木香、羗活、乾姜」◎食積には:「麦芽」 #加味除湿湯《東醫寶鑑》「半夏・厚朴・蒼朮各1銭2分、藿香・陳皮・赤茯苓各7分、木香・桂皮・
甘草各5分、生姜3片、大棗2片」空腹時に、水煎服。◎下痢が黒豆汁のようなときに。 #加味如神散《済世全書》《古今方彙》「破故紙(酒)、小茴香(塩)、延胡索、当帰、牛膝、杜仲、黄柏(酒)、知母(酒)、肉桂、生姜」煎服。
◎男婦一切の腰痛を治す。 #加味神効括樓散《寿世保元》《古今方彙》「括楼仁1個、白・括楼根1銭半、玄参・当帰尾・延胡索・連翹各2銭、桔梗・柴胡・青皮・知母・木通・穿山甲各1銭、木鱉子2個、川芎8分、升麻5分」水煎。
◎乳腫れて痛みを作し、癰毒を成らんと欲する者を治す。 # 加味腎気円(一名牛車腎気丸)《勿誤薬室方函》「腎気丸牛膝・車前子」 #加味腎気丸《東醫寶鑑》「炮附子2両、白茯苓・沢瀉・肉桂・牛膝・車前子(炒)・山薬・山茱萸・牡
丹皮各1両、熟地黄5銭」作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に米飲で70 ~100丸呑む。◎腎が弱って水が運行せず、浮腫になった者。 #加味腎気丸《厳氏済生方》《古今方彙》「附子(炮)2両、白茯苓・沢瀉・山茱萸・山薬・車前子。牡丹皮各1両、肉桂・牛膝・熟地黄各半両」作末し蜜丸にし、毎服70丸、空心に米飲にて下す。
◎後人は「金匱腎気丸」と名づく。◎腎虚にて腰重く、脚腫れ、小便不利するを治す。◎《薛立斎十六種》には茯苓・熟地黄各4両附子5銭、余の薬は各1両。補中益気湯と兼ねて用い、脾腎虚して腫脹するを治す。宜しく《薛氏》の案を考うべし。
#加味清胃散[1]《寿世保元》《古今方彙》「当帰尾・生地黄・升麻・黄連・防風・石膏各等分」水煎。◎一切の牙歯腫痛するを治す。◎帯顴額半辺(=ひたいやこめかみ)が痛む者:「防風白羗活細辛」
◎牙脱し而して血を出す者:「柏葉黄芩荊芥山梔子」◎虚損にして牙痛する:「黄柏知母人参甘草」◎満口浮き而して痛みて嚼む力能わざる者:「連翹玄参芍薬」◎小児の牙疳:「括楼根玄参白」◎醇酒、厚味にて痛みを作し、或いは歯潰爛する:「犀角連翹甘草」◎胃寒にて刺痛する:「草豆蔲細辛防風牡丹皮」
#加味清胃散[2]《中薬臨床応用》「牡丹皮6g、生地黄15g、当帰6g、黄連3g、牛膝6g、生甘草3g」水煎服。◎歯根の腫痛 #加味青蛾元《東醫寶鑑》「破故紙6両(脂麻と同時に炒って、色が変わると脂麻は捨て)、杜仲6両、
姜汁(浸炒)・胡桃肉・沈香・玩薬各3両を作末する。肉蓉6両を酒に つけて膏を作り、薬をまぜてついて梧子大の丸剤。温酒又は塩湯で50~ 70
丸服用。 ◎風寒と血気との相搏による腎腰の痛み。 #加味青洲白元子《東醫寶鑑》 「白附子・天南星・半夏・白姜各2両、天麻・全蝎・白彊蚕各1両、川烏5
銭」を作末し、姜汁麺糊で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸随時服用。 ◎中風の壅塞・斜・。(→病状:卒中) #加味清心飲[1]《東醫寶鑑》「蓮肉・白茯苓各1銭半、益智仁・麦門冬・遠志・人参各8分、石菖蒲・車
前子・白朮・沢瀉・甘草各5分、灯心20」 ◎心熱による小便の赤濁。 #加味清心飲[2]《寿世保元》《古今方彙》「白茯苓・蓮肉各1銭半、益智仁・麦門冬・人参・遠志・石菖蒲・車前子・白朮・沢瀉・甘草各1銭、燈心草20茎」水煎。
◎心中客熱、煩躁、赤濁、肥脂(尿の上にギラギラと油が浮く)を治す。◎熱あれば:「薄荷(少許)」 #加味銭氏白朮散《東醫寶鑑》「乾葛2銭、人参・白朮・白茯苓・藿香・甘草各1銭、木香・柴胡・枳穀・
五味子各5分」水煎服。 ◎消渇で食べられないのを治し。又消中を治す。 #加味銭氏白朮散《仁斎直指方》《古今方彙》「銭氏白朮散枳殻、五味子、柴胡」◎消渇にて食する能わざるを治す。
#加味蒼朮膏《東醫寶鑑》「蒼朮10斤をついて鍋に入れ、水2桶を強火で煎じ、10杯ぐらいになった ら絹で濾過して汁をうつして、人参・生地黄・熟地黄・黄柏・遠志・杜仲
・川芎・胡桃肉・川椒・破故紙・当帰・姜汁各4両、青塩2両、朱砂1両、 旱蓮草汁2椀、白蜜2斤。各薬末を朮膏内に入れて鍋に入れ、固く封じて 水で煮て、7日間埋めておいて、毎回2~3匙、空腹時に温酒で、1日2回
服用。」 ◎長期間常服すると、精満・気盛・髪は黒くなり・歯が更生する。 # 加味蒼柏散《東醫寶鑑》 「蒼朮1銭、白朮8分、知母・黄柏・黄蓍各6分、当帰・芍薬・生地黄各4
分、木瓜・防已・檳榔・羗活・木通・牛膝各3分、甘草1分、生姜3片」 水煎服。 ◎湿熱脚気でいざりになる者。 #加味蒼柏散《医学入門》《古今方彙》「蒼朮1銭、白朮8分<湿を去る>、知母・黄柏・黄芩各5分<熱去る>、当帰・芍薬・生地黄各4分<血を調う>、木瓜・檳榔子<気を行らす>、羗活・独活<関節を利し、風湿を散ずる>、木通・防已・牛膝<薬を引きて下に行らし腫湿を消す>、各3分、甘草<和薬>1分、生姜」煎じ温服。
◎痰あれば:「竹瀝姜汁」◎大便実すれば:「桃仁」◎小便渋る:「牛膝」 #加味太乙膏[1]《外科正宗》 「肉桂・白・当帰・玄参・赤芍・生地黄・大黄・土木鼈各80g、真阿魏12
g、軽粉16g、槐枝・柳枝各100本、乱髪霜40g、東丹160g、乳香末12g、没薬末12g、真胡麻5斤」 #加味太乙膏[2]《外科正宗》《漢方医学概論》「肉桂・白・当帰・玄参・赤芍薬・生地黄・大黄・土木鱉各2両、真阿魏
3銭、軽粉4銭、槐枝・柳枝各100本、血余1両、東丹40両、乳香末3 銭、没薬末3銭、真麻油5斤」先ず肉桂・柳枝などの10味を油に浸す(春5日間・夏3日間・秋7日間・
冬10日間)薬ごとに清潔な大鍋に移し、とろ火で煮て、薬が枯れて浮き 上がったら火を止める。布袋で薬の滓を濾過し、油鍋を綺麗に拭き、さら に細かい古絹で油を鍋内に濾過して入れる。透明なほど良い。それから血
余を加え、とろ火で血余が浮き上がるまで煮て、膏が熔化したような状態 になれば、油はすでに熟しているからこれを水に滴らすと珠のようになる。 熟油1斤につき東丹(水飛)6両5銭を徐々に加え(夏秋は暑いので5銭多く加える)、火力を強め、柳の棒で手を休めずにかき混ぜ、鍋内に初め青い煙が昇り、のちに白い煙が出るまでしばしば回すと、膏が出来上がる。 膏を水中に滴下させて硬軟を試し、膏が薄ければ東丹を加え、膏が堅ければ熟油を加え、次第に火を強めてさらに煮て、硬軟を適度にする。煙が出なくなり火から離した後、阿魏を膏面に薄く散らして敷くようににし、全部溶けたら、さらに乳香・没薬・軽粉を加えてまんべんなくかき混ぜ、水の中に傾けて入れ、柳の棒でかき混ぜて一塊とし、冷水を換えてこれに浸して貯蔵しておく。
#加味大承気湯(天津市南開医院)《中薬臨床応用》「厚朴15~30g、莱服子(炒)15~30g、枳穀15g、桃仁9g、赤芍15g、大黄15g(後下)、芒硝9~15g(冲服)水煎服。」◎急性の機能性腸閉塞。
#加味大七気湯《勿誤薬室方函》「大七気湯蘇木・紅花・呉茱萸」「大七気湯」=三稜・莪朮・桔梗・桂枝・橘皮・藿香・甘草・莎草・益智仁。◎気鬱・経閉・腹満を治す。
#加味大醒脾散《寿世保元》《古今方彙》「人参、白朮、茯苓、陳皮、丁香、木香、天南星、全蝎、天麻、白附子、山薬、蓮肉、菖蒲根、肉豆蔲、砂仁、甘草、生姜、大棗」煎服。
◎小児慢脾にて内虚して昏迷醒めざるを治す。 #加味大補湯《東醫寶鑑》「黄蓍(蜜炒)・人参・白朮・白茯苓・当帰(酒洗)・川芎・白芍・熟地黄各7分、烏薬・牛膝(酒洗)・杜仲(酒炒)・木瓜・防風・羗活・独活・薏苡仁各 5分、附子(炮)・沈香・木香・肉桂・甘草各3分、生姜3、大棗2」水煎 服。
◎左右の。 加味調中益気湯《東醫寶鑑》 「黄蓍(蜜炒)1銭、羗活・黄柏・甘草各7分、陳皮・当帰・川芎各5分、木 香・升麻・柴胡・細辛・蔓荊子各3分」水煎服。
◎気血ともに弱い頭痛。 加味調中飲《傷寒六書》《古今方彙》 「蒼朮・厚朴・陳皮・白朮・山楂子・神麹・枳実・草果(麩炒)・黄連(姜炒) ・甘草・乾姜(炮)・生姜」煎服。 ◎食積、傷寒に類し、頭疼・発熱・気口の脉(左手寸口と關上の中間の脉)緊盛、 倶に身痛まず、此れと異なるとなすのみ。この湯に宜し。 【加減方】 <1>腹中痛む:「桃仁」。 <2>痛み甚だしく大便実熱:大黄を加えてこれを下し、「山楂子・草果・乾 姜・神麹・生姜・大棗、竹瀝・生姜汁」。
加味通心飲《東醫寶鑑》 「瞿麦・木通・山梔子・黄芩・連翹・枳穀・川楝子・甘草各2銭、を剉作し て灯心20茎・車前草5葉と同時に煎服。」
◎小腸の疝気で熱痛し、小便不通の者。 加味定志丸《東醫寶鑑》 「白茯苓3両、遠志・石菖蒲各2両、人参1両、琥珀・欝金各5銭」を作末 し、梧子大に蜜で丸め、朱砂をつけて米飯で、30丸ずつ服用。
◎痰による驚悸。 ◎痰で苦しみ心膈が驚悸するとき。 加味導痰湯[1]《傷寒六書》《古今方彙》 「半夏1銭、天南星・茯苓・枳実各8分、黄芩・白朮・陳皮・黄連・括蔞仁 各5分、人参3分、甘草2分、桔梗4分、生姜・大棗」煎じ服るに臨んで 「竹瀝・姜汁」を入れ同じく服す。 ◎憎寒壮熱、頭痛、昏沈迷悶、上気喘急、口に涎沫を出す。これ内傷により七情 痰を致すを以て心竅に迷いて神舎を守らず、神舎を出て空空として痰生ずるな り。鬼祟の如き症なり。
加味導痰湯[2]《寿世保元》《古今方彙》 「陳皮、半夏、天南星、枳実、茯苓、木香、沈香、甘草、生姜」水煎。 ◎痰欝して胸膈不利し痰嗽出でず、脇肋痛み或いは喘満気急、脈沈滑なるを治す。
加味導痰湯[3]《寿世保元》《古今方彙》 「陳皮、半夏、茯苓、白朮、香附子、青皮、黄芩、黄連、括楼仁、砂仁、甘 草、生姜」水煎。 ◎気の声が外に聞こえるは、気に因り胸膈が悶え痰ありて舌黒し、乃ち痰の症 なり。
加味二陳湯[1]《東醫寶鑑》 「半夏(姜製)・赤茯苓(塩水炒)・山梔子(炒黒)各1銭半、陳皮・白朮・桔梗 ・升麻(酒炒)・柴胡(酒炒)・甘草各1銭、石菖蒲7分、黄柏・知母各3分、 生姜3斤」空腹時に水煎服。 ◎湿痰による遺精に。
加味二陳湯[2]《東醫寶鑑》 「半夏・陳皮・赤茯苓・枳穀・桔梗各1銭、黄芩・山梔子各7分、紫蘇子・ 白豆蔲仁・甘草各5分、姜3片」
◎気痰が咽喉につかえて梅核気。 加味二陳湯[3-1]《東醫寶鑑》 「半夏(製)・陳皮・白茯苓・当帰・枳実・桔梗・杏仁各1銭、良姜・縮砂各5 分、木香・桂皮・甘草各3分、姜5片」
◎痰厥を治す。 加味二陳湯[3-2]《万病回春》《古今方彙》 「陳皮・半夏・茯苓・当帰・枳実・桔梗・杏仁各1銭、良姜・砂仁各7分、 木香・肉桂・甘草各3分、生姜」水煎。
◎痰厥し運倒するを治す。 ◎気逆には:「紫蘇子」 ◎元気虚弱には:「枳実」 加味二陳湯[4]《東醫寶鑑》 「二陳湯《和剤局方》枳穀・桔梗・黄芩・山梔子・紫蘇子・白豆蔲各7分 を加え、1貼に生姜3片を入れ煎服。」
◎梅核気を治す。 加味二陳湯[5]《東醫寶鑑》 「二陳湯縮砂1銭、丁香5分」 ◎胃が冷え嘔吐する者。 加味二陳湯[6]《万病回春》《古今方彙》
「陳皮・半夏・茯苓・甘草・人参・白朮・竹茹・砂仁・山梔子・麦門冬各等 分、烏梅1個、生姜、大棗」水煎し徐々に温服する。 ◎痰火にて嘔吐するを治す。
加味二陳湯[7]《万病回春》《古今方彙》 「括楼仁・枳実・茯苓・桔梗・山梔子・陳皮・半夏・天南星・黄芩各1銭、 辰砂・木香各5分、甘草3分、生姜」水煎し、「竹瀝・姜汁」を入れる。
◎《寿世保元》には黄連ありて「加減導痰湯」と名づく。 ◎諸て癇は痰涎併せて壅がる。此方に宜し。 加味二陳湯[8]《万病回春》《古今方彙》
「陳皮・半夏・茯苓・枳殻・牛膝・猪苓・山梔子・麦門冬・黄柏(酒)・車前子・木通各等分、甘草半減、燈心草」水煎。 ◎咳喘して小便通ぜざる者を治す。◎是れ痰気閉塞の致す所なり。
加味二陳湯[9]《寿世保元》《古今方彙》「陳皮・半夏・茯苓・白朮・蒼朮・砂仁・山薬・車前子・木通・厚朴・甘草各等分、生姜、烏梅、燈心草」水煎。
◎凡そ痰瀉の者は、或いは痰多く或いは痰少なく、或いは瀉し或いは瀉せず、脈沈滑なり。 ◎瀉止まざれば:「+肉豆蔲訶子-厚朴」◎当に「香砂六君子湯」加減を考えるべし。
加味二陳湯[10]《寿世保元》《古今方彙》 「陳皮・半夏・茯苓・黄連(姜炒)・枳実・山楂子・木香・青皮・砂仁・甘草・生姜」水煎温服。 ◎之を按じて堅く而して軟く塊なきを痞となす。(按すと堅き様なれど堅くなくて塊もないのを痞という)
◎多く痰気欝結し、或いは飲食停滞する者なり、此方これを主どる。 加味二母丸《東醫寶鑑》「知母・貝母」を巴豆と炒って黄色くなったら巴豆は捨て、「白礬・白芨」4味を等分に作末し、姜汁を蜜で混ぜ芡実大の丸剤。溶かして飲む。又は、麦門冬・陳皮・阿膠珠を加えても良い。◎久嗽・労嗽・食積嗽。
加味二妙丸《東醫寶鑑》 「蒼朮(泔浸)4両、黄柏(酒浸)2両、牛膝・当帰尾(酒洗)・萆薢・防已・亀板(酥炙)各1両」作末し、酒麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に姜塩湯で100丸服用。◎両腕が火にあぶられたようで、徐々に腰胯に及び、麻痺・痿軟する者。
加味人参紫菀散《東醫寶鑑》「人参・五味子・紫菀茸・陳皮・紫蘇葉・貝母・桑白皮・白茯苓・各1銭、杏仁・甘草各7分半、川芎・半夏麹各1銭、阿膠珠5分を剉作し、1貼に姜5、棗2、梅1を入れ水煎服。◎虚労の咳を治す。
加味寧癇湯《浅田家方》《勿誤薬室方函》 「寧癇湯橘皮・茯苓」 寧癇湯=「沈香降気湯《和剤局方》黄連・呉茱萸」。◎此方は予が家の経験にて、沈香降気湯の症にして一等衝逆甚だしき者を寧癇湯とす。寧癇湯の症にして一等衝逆劇しく胸中満悶するを此方とす。◎橘皮・茯苓を加える所以は、茯苓飲《外台秘要方》と同じく胸中を主とするなり。
加味寧癇湯《漢方治療の実際》「沈香・縮砂各2、香附子3、甘草1.5、呉茱萸2、黄連1、橘皮3、茯苓4」 加味寧神丸《東醫寶鑑》 「乾地黄1両半、当帰・白芍・白茯神・麦門冬・陳皮・貝母(炒)各1両、遠志(姜製)・川芎各7銭、酸棗仁(炒)・黄連・甘草各5銭」作末し、蜜で緑豆大に丸め、朱砂で衣をし棗湯で50~70丸服用。
◎心血不足・驚悸・怔忡・健忘・恍惚・一切の痰火。 加味敗毒散[1]《東醫寶鑑》「羗活・独活・前胡・柴胡・川芎・枳穀・桔梗・赤茯苓・人参・防風・荊芥・蒼朮・赤芍・当帰・生地黄各6分、薄荷・甘草各3分、姜3、棗2」水煎服。
◎瘟疫と発斑を治す。 加味敗毒散[2]《東醫寶鑑》「人参敗毒散1両に「大黄・蒼朮各1銭」を加え剉作し「姜3片、薄荷7葉」入れて煎服。 ◎三陽経に脚気が流注し、脚踝が赤く腫れるとき。
加味敗毒散[3]《万病回春》《古今方彙》「柴胡、前胡、羗活、独活、防風、荊芥、薄荷、枳殻、桔梗、川芎、天麻、地骨皮」◎初起発熱すれば即ち此の薬を服す。◎古方では、人参、茯苓を除く。補を早め、火を助くるを恐るるためなり。宜しく、紫草、蝉退、紫蘇葉、麻黄、白殭蚕、葱白、帯根を加え、熱を解し汗を表すべし。
◎泄瀉するには:「猪苓沢瀉紫草」 加味麩麹丸《東醫寶鑑》「蒼朮(姜汁炒)・蕪荑・便香附・神麹(炒)・梔子(炒)各4両、陳皮(去白)・白朮(炒)・黄芩(炒)各1両半、山楂肉(蒸)2両」作末し糊で梧子大の丸剤。白湯で50~60丸飲む。◎すべての欝を溶かし、胸膈を開き、食欲を増進させる。
加味白朮散《東醫寶鑑》「参苓白朮散に陳皮・半夏各1銭を加えて剉作し、1貼に姜3片、桑白皮7寸を入れ、水煎服。◎気虚で食欲のない喘息。 加味白通湯
加味八正散《古今方彙》「沢瀉、木通、車前子、萹蓄、瞿麦、黄芩、山梔子、厚朴、滑石、大黄、燈心草」水煎。 ◎水腫にて目赤く、口乾き煩渇して飲を引き、小便赤渋、大便秘結し、脈数の者を治す。
加味八仙湯《万病回春》《古今方彙》「当帰・川芎・熟地黄・半夏各7分、茯苓1銭、白芍薬・陳皮各8分、人参・牛膝・秦艽各6分、防風・羗活各5分、白朮4銭、柴胡4分、桂枝3分、甘草(炙)4分、生姜、大棗」水煎食遠に服す。◎手足麻木するを治す。◎(長く座っているとシビレる・水ぶとり)
加味八脈散[1-1]《勿誤薬室方函》「猪苓・沢瀉・茯苓・木通・地黄・藁本・山梔子・杏仁・知母・黄柏」 ◎鼻に悪臭常にあり、累年癒えざるを治す。◎此方は鼻淵脳漏の如く臭水を流すに非ず、ただ鼻に一種の悪臭を覚えて如何ともし難き者を治す。《勿誤薬室方函口訣》◎鼻塞香臭を通ぜざる者に用いることあり。
加味八脈散[1-2]《勿誤薬室方函》《龍野ー漢方処方集》「猪苓・沢瀉・茯苓・木通・熟地黄・杏仁各3.0g、藁本・山梔子・知母・黄柏各2.0g」◎鼻悪臭、鼻塞、臭覚障碍。
★適応症及び病名[1]悪臭性萎縮性鼻炎:☆鼻腔内萎縮、結痂、悪臭を3大徴候とする《矢数道明》 [2]臭鼻症:☆真性臭鼻症《矢数道明》[3]嗅覚消失[4]蓄膿症[5]梅毒:☆婦人の多く青春期に屡々発し、遺伝梅毒と関係がある《矢数道明》☆梅毒性オツェーナ[6]鼻づまり
加味八物湯《済世全書》《古今方彙》「人参・白朮・当帰・熟地黄各1銭半、芍薬・陳皮・麦門冬各1銭、茯苓・貝母・括楼仁各8分、川芎・紫蘇葉・知母(酒)・黄柏(酒)各7分、五味子15粒、甘草4分、生姜」水煎し温服。
◎四肢倦怠、気血虧損、咳嗽吐痰、喘急発熱し自汗するを治す。 加味八味丸《精要》《勿誤薬室方函》「八味丸-附子+五味子」 ◎癰疽、既発未発にして、渇する者を治す。
加味百合地黄湯《台州方鈴》「麦門冬・阿膠・百合・乾姜・白朮・地黄・五味子・甘草・桔梗」◎咳奇方《和田東郭》に同じ。◎久咳方《医方問要》に同じ。
加味百花膏《東醫寶鑑》「紫菀・款冬花・各1両、百部根5銭」を作末し毎回3銭を「姜3片・梅1個」の煎じ水で、食後の調服。◎久嗽。 加味七神丸
「肉豆蔲・補骨脂・呉茱萸・木香・白朮・茯苓・車前子」 加味附子理中湯《万病回春》《古今方彙》「乾姜、官桂、人参、当帰、陳皮、厚朴、白朮、呉茱萸、附子、甘草、生姜、大棗」水煎熱服。
◎寒に中たり厥し倒れるを治す。 加味附子理中湯《寿世保元》《古今方彙》「白朮、茯苓、人参、乾姜、附子、砂仁、厚朴、蒼朮、甘草、生姜」水煎。
◎泄瀉にて肚腹疼痛し、四肢厥冷する等を治す。 加味茯苓湯 「人参・半夏(製)・陳皮各1銭半、白茯苓・香附子・益智仁各1銭、甘草5分、姜3片、大棗梅1個」◎痰による昏迷・健忘症。
加味茯苓湯《古今方彙》「白朮3銭、蒼朮2銭、茯苓・当帰・黄芩各1銭、猪苓・沢瀉各8分、芍薬7分、柴胡6分、升麻・肉桂各5分、甘草(炙・生)各5分」水煎温服。
◎水泄にて注下(水のように下ること)し日夜度無く、小便短少、口渇咽乾、腹中疼痛、或いは変じて白痢となる者を治す。 (白痢=白色粘液便を下す者。気の障碍によって起こり、下痢で血液が混じないもの)
加味平胃散[1]《東醫寶鑑》「平胃散神麹・麦芽(炒)各7分」 ◎宿食の消化されない症。 加味平胃散[2]《医方考》《龍野一雄》「白朮・厚朴・陳皮・茯苓・沢瀉各3g、神麹・大棗・麦芽各2g、乾姜1.5、g
甘草1g」◎水様性下痢。胃部につかえ・食欲不振・呑酸。★適応症及び病名 胃カタル 胃弱 腸カタル 加味平胃散[3]《勿誤薬室方函口訣》「平胃散神麹・麦芽・山楂子」◎飲食に傷つけられ胸痞、腹脹、脾胃不和を治す。◎能く宿食を散じ、滞気を除く。
加味平胃散《医方考》《古今方彙》「陳皮、蒼朮、厚朴、神麹、山楂子、麦芽、甘草、生姜」水煎温服。◎飲食に傷られ、胸痞し腹脹り、脾胃和せざる者を治す。
◎能く宿食を消し滞気を除く。 加味平胃散《医方考》《古今方彙》「陳皮、蒼朮、厚朴、神麹、麦芽、甘草(炙)、生姜」水煎。 ◎呑酸が食欝に因りて致す所を治す。
加味平胃散《古今方彙》「蒼朮・厚朴・陳皮・茯苓・神麹・猪苓・沢瀉各1銭、乾姜5分、甘草2分、生姜」水煎。 ◎水瀉を治す。◎凡そ水瀉の者は澄徹清冷なり。
加味防已黄蓍湯《医経会元》《勿誤薬室方函》「防已黄蓍湯薏苡仁・独活」◎風湿相打ち皮膚に客す。四肢無力・関節煩疼する者。 加味補陰丸《東醫寶鑑》「黄柏・知母各4両、牛膝・杜仲・巴戟・熟地黄・山茱萸各3両、肉蓯蓉・白茯苓・枸杞子・遠志・山薬・鹿茸・亀板各2両を作末し、梧子大の蜜丸。塩湯で80~90丸呑む。◎陰虚を補い、陰火を降ろす。
加味補心湯 加味補中益気湯[1]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍・柴胡・黄芩各1銭、升麻・半夏各8分、陳皮6分、甘草5分、生姜、大棗」水煎。 ◎人、平素不足、兼ねて労役して以て肉を傷つけ、挟(メグ)りて寒暑を感じ、以て瘧疾を致し、寒熱交錯、肢体倦怠、力乏しく気少なきを治す。
◎瘧を発して経年癒えず、則ち気血皆虚し、瘧邪深く入るは此湯に宜し。◎汗あるには:「桂枝、黄蓍倍加」◎熱盛んなれば:「柴胡黄芩倍加」◎渇あれば:「麦門冬括楼根」
加味補中益気湯[2]《寿世保元》《古今方彙》「黄蓍・白朮・茯苓各2銭、人参・蘿葡子・厚朴・当帰各1銭、白芍薬1銭半、陳皮8分、枳実5分、柴胡4分、升麻3分、甘草(炙)2分、生姜」水煎。
◎水腫、腫脹の症は内傷に因りて而して得たる者か或いは誤りて攻撃殺代の過を服し以て元気と脾胃の虚損の極を致して腫脹尤も甚だし、これ気血両虚し、腎水乾涸す。此方を用いる。《金匱要略》の腎気丸を以て兼ね進む。
加味保元湯《万病回春》《古今方彙》「黄蓍2銭、人参1銭、山梔子・知母各1銭半、甘草5分、麦門冬2銭半」水煎温服。 ◎痘瘡、血痂し而して後に虚煩する者を治す。
加味麻黄湯《奇効良方》 「小青竜湯-五味子+附子」 ◎悪寒発熱し、外因の心痛、五臓を内攻し、拘急して転側を得ず。これ恐らくは外感、真心痛に非ざるなり。《雑病翼方》
加味養栄丸《東醫寶鑑》「熟地黄・当帰・白朮各2両、白芍・川芎・黄芩・香附子各1両半、陳皮・貝母・白茯苓・麦門冬各1両、阿膠7銭、甘草5銭、黒豆(炒って皮を去る)49粒を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に温酒又は塩湯で呑む。
◎月経が来る前に、外へ潮熱し、内に煩躁・咳嗽し飲食が減り、頭痛・めまいがし、帯下に血風・血気があって、妊娠出来ない症。胎動不安。 加味養臓湯《東醫寶鑑》「真人養臓湯附子・青皮・烏薬・茯苓・生姜3・大棗2」◎休息痢を治す。
加味理中円《三因極一病証方論》《勿誤薬室方函》「理中湯乾葛・川芎」◎虚証の衂血。 ◎飲酒過多及び炙臠を喰らい熱食し、血を動かし発して鼻衂となる者を治す。
加味理中湯[1]《東醫寶鑑》「人参・白朮・乾姜・甘草・赤茯苓・半夏・陳皮・細辛・五味子各1銭」を剉作し、1貼に姜3、棗2を入れ水煎服。◎肺胃が冷え、咳嗽する者。
加味理中湯[2]《備急千金要方》 「理中湯麦門冬・茯苓」◎理中湯の症で、咳嗽・吐痰・煩渇・微腫する者。 加味理中湯[3]《東醫寶鑑》 「炮附子・人参・白朮・乾姜(炒)・肉桂・陳皮・白茯苓・炙甘草各1銭」を剉作1貼して、生姜2を入れ水煎服。◎痼冷の積寒を治す。
加味理中湯《傷寒六書》《古今方彙》「乾姜、白朮、人参、甘草、肉桂、陳皮、茯苓、生姜、大棗」服するに臨んで炙陳壁土1匙を入れ調服。土気を取り持って胃気を助く。◎足の太陰脾経、症を受け、自利して渇せず、手足温、身に熱無く、脈来ること沈にして無力、これ蔵寒に属し。法当に裏を温むべし。◎厥陰消渇、気が心に上衝し、飢えて食を欲せず、即ち食すれば蚘を吐し、腹痛し大便実する者は蜜少しばかりを加え之を理中湯す。
◎本経、腹は濡満、時に減じる者は:「甘草」。◎本経、嘔吐する者:「半夏、生姜」。◎本経、踡臥、沈重、足冷え、利止まざる者:少しく附子を加え、利後身体痛む者は急に之を温む。◎自利腹痛の者:「木香磨汁」。
加味理中湯《万病回春》《古今方彙》「人参・白朮・乾姜(炒)各1銭、官桂5分、陳皮7分、甘草(炙)5分、藿香・茯苓・良姜各7分、烏梅1個、生姜、大棗、燈心草」水煎。
◎寒瀉の者は悠々腹痛し、瀉は休止なく、色は青く、脈沈遅なり。此方に宜し。 ◎寒極まり手足冷え、脈沈細なる:「附子-良姜官桂」 ◎噦、悪心に:「丁香半夏良姜官桂」◎瀉止まざる者:「蒼朮山薬」
◎瀉多く止まざる者:「訶子肉豆蔲附子良姜官桂」◎虚汗には:「黄蓍藿香官桂」 加味理中湯《万病回春》《古今方彙》「人参・茯苓・白朮・乾姜・陳皮・藿香・丁香・半夏・砂仁(炒)・官桂各等分、生姜、烏梅」水煎。
◎胃寒嘔吐、清水冷涎を吐くを治す。◎寒極まりで手足冷え、脈微、吐して出でざる者:「附子官桂」◎煩躁には:「辰砂炒米」 加味理中湯《万病回春》《古今方彙》
「人参・白朮・乾姜(炒)・肉桂・茯苓・陳皮・附子各等分、甘草(炙)減半、生姜、大棗」水煎。 ◎痼冷の者は寒の甚だしきなり。此方これを主どる。
加味六君子湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》「香附子1銭半、白朮・白茯苓・陳皮・半夏各1銭、人参7分、木香・縮砂各5分、甘草3分を剉作し、1貼に姜3、棗2、紫蘇葉7片を入れ煎服。
◎突然、昏倒して口もきけず、四肢も挙げられない。 加味六君子湯[1-2]《万病回春》《龍野一雄》「香附子6g、茯苓・白朮・陳皮・半夏各3.5g、木香・縮砂各1.5g、大棗・
人参各2g、甘草・干姜各1g」◎胃弱・食欲不振・倦怠・微熱疲労・咳痰・下痢。 ★適応症及び病名 胃アトニー胃カタル胃拡張胃下垂疲労腸カタル低血圧症
加味六君子湯《方読便覧》「六君子湯干姜・細辛・五味子」◎肺脾虚寒、痰喘気喘する者を治す。 加味六君子湯《万病回春》《古今方彙》「人参7分、香附子1銭2分、木香・砂仁各5分、甘草3分、茯苓・白朮・陳皮・半夏各1銭、生姜、大棗」水煎。
◎類中風、食厥の者は飲食を過ごし、胃気自ら傷れ、運化する能わず、故に昏冒す。此方に宜し。◎或いは「行気香蘇散」木香、青皮、山楂子に宜し。 加味六君子湯《寿世保元》《古今方彙》「人参1銭、白朮1銭半、半夏・陳皮各8分、茯苓・山楂子各1銭、乾葛7分、縮砂5分、甘草(炙)3分、生姜、大棗」水煎。
◎中気虚して胃弱く食を愛せず、及び食して肉を生せず力を長さず、◎或いは常に微しく熱し、冷えに怯え神は疲れて倦怠し、◎或いは痰嗽を帯びる等の症を治す。
加味六君子湯《証治準縄》《古今方彙》 「人参・白朮・茯苓・黄蓍・山薬・甘草。砂仁各1両、厚朴・肉豆蔲各7銭半」作末し、飯湯にて調服。 ◎一切の脾胃虚弱泄瀉の症◎傷寒の病後に米穀化せず、腸中虚滑し、渇を発し微しく痛み久しくえざる者。◎小児脾疳(=食疳と同じ結核性の腹膜炎のため痩せて腹だけ膨大する状態)◎泄瀉し痢を得るを治す。
加味竜虎散《東醫寶鑑》「蒼朮1両、全蝎5銭、草烏・附子(炮)各2銭、天麻3銭」作末し、毎回1銭を空腹時に、豆淋酒で調下する。 ◎風寒腰痛・筋骨のしびれ。
加味凉膈散《漢方治療の実際》「凉膈散石膏10」 加味和中湯《寿世保元》《古今方彙》「人参・白朮各1銭、茯苓・陳皮・全蝎各5分、半夏・天麻各7分、薄荷・甘草各2分、細辛3分、生姜、大棗」水煎。
◎ 母子倶に之を服す。◎小児慢驚風を治す。 河間生地黄散《東醫寶鑑》 「枸杞子・柴胡・黄連・地骨皮・天門冬・白芍・黄芩・黄蓍・生地黄・熟地黄・甘草各7分」煎服。
◎鬱熱・衂血・吐血・喀血・唾血。
夏枯草膏《医宗金鑑》「夏枯草、当帰、玄参、烏薬、浙貝母、白殭蚕、昆布、桔梗、甘草、陳皮、川芎、香附子、紅花、白蜜」 夏枯草散[1-1]《張氏医通》《中薬臨床応用》「夏枯草15g、当帰12g、白芍9g、炙甘草3g、玄参9g」水煎服。◎肝虚、目珠疼痛で夜になると激しく痛む。
夏枯草散[1-2]《張氏医通》「夏枯草、香附子、甘草(炙)」 夏枯草散[2](一名補肝散)《東醫寶鑑》「夏枯草2両、香附子1両、甘草5銭」を作末し、毎回2銭を茶清で食後服用。■夏枯草は黒晴が痛み、夜にひどい症によい。
◎肝虚で瞳が痛い・冷たい涙があふれ・明るさを嫌う者。
夏枯草湯《外科正宗》「夏枯草、貝母、桔梗、甘草、白芷、当帰、白芍、生地黄、紅花、柴胡、陳皮、茯苓、白朮、香附子」
夏氏代匙散《中国民間験方》 「硼砂4g、薄荷2g。生石膏4g、胆礬2g、生甘草4g、製蚕2g、皀角<煙が出なくなるまで炙る>2g、西黄2g」以上を、微細末にして、瓶に貯蔵して、使用するまで、空気が入らないように密閉保存。
夏氏禽化丸《中国民間験方》 「川貝母2g、百草霜4g、甘草2g、軽粉⇒水銀粉1.6g、薄荷2g、硼砂2g、柿霜20g、梅片0.8g微細末にし、白密で溶かして蓮の実の大きさの丸薬にして、口中に含んで溶かす。」
夏檳湯《勿誤薬室方函口訣》「橘皮、半夏、白朮、木瓜、檳榔」◎乳児の脚気。《済世薬室》 瓜子仁湯[1]《勿誤薬室方函》「薏苡仁・瓜子各3銭、牡丹皮・桃仁各2銭」◎腸癰湯《外科集験方》に同じ。
瓜子仁湯[2]《龍野ー漢方処方集》「薏苡仁7.0g、桃仁・牡丹皮・瓜蔞仁各3.5g」◎骨盤内器官の化膿、発熱疼痛。★適応症及び病名[1]急性子宮付属器炎[2]急性虫垂炎[3]骨盤腹膜炎
[4]腸腰筋炎 瓜蒂散[1-1]《傷寒論》 「瓜蒂(熬黄)1分、赤小豆1分」以上2味、各別搗篩、為散已、合治之。取1銭匕、以香豉1合、用熱湯7合煮作稀糜、去滓、取汁和散、温頓服之。不吐者、少々加得快吐乃止。諸
亡血虚家、不可與瓜蒂散。◎病如桂枝證、頭不痛、項不強、寸脉微浮、胸中痞鞕、氣上衝咽喉不得息者、此 為胸有寒也。當吐之、宜瓜蒂散。《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。
瓜蒂散[1-2]《傷寒論》「瓜蒂・赤小豆」右2味、各等分、異搗篩、合内臼中、更治之、別以香豉1合、用熱湯7合、 煮作稀糜、去滓、取汁和散1錢匕、温頓服之。不吐者、少々加、得快吐乃
止。諸亡血虚家、不可與瓜蒂散。◎病人手足厥冷、脉乍緊者、邪結在胸中、心下満而煩、飢不能食者、病在胸中、 當須吐之、宜瓜蒂散。《傷寒論》辨厥陰病脉證并治第十二。
瓜蒂散[1-3]《金匱要略》「瓜蒂(熬黄)1分、赤小豆(煮)1分」右2味、杵為散、以香豉7合煮取汁、和散1錢匕、不吐者、少加之、以快 吐為度而止。◎宿食在上脘、當吐之、宜瓜蒂散。《金匱要略》腹満寒疝宿食病脉證治第十。◎温温として、吐せんと欲する者を治す。《方極》◎凡そ瓜蒂を服するは、三分より五分(約1.2~2.0)に至る。多服するに宜しからず。已にして、須臾に鳥羽或いは紙縄を以て、徐々に咽下を摩払し、以てその吐を挑促して可也。《類聚方集覧》◎亡血家は、大に之を禁ずと曰ふ。《類聚方集覧》◎卒中風、狂癇、暴厥、真頭痛、風眼、雷頭痛、痰癖、肩背臂膊の疼痛、霍乱、胃翻等、病毒胸膈に在る者は、之を用ふれば皆効あり。但だ精気虚乏する者、腹力脱弱する者は、之を与ふ可らず。《類聚方広義》【腹証】《腹診配剤録》“胸中腫れて痞し、煩悶ことに甚だし、凡そ瓜蒂散を興ふるには、その証を詳かにし、而して後に与ふ加し。苟も誤り治せば、即ち斃るるに至らん”
★適応症及び病名(瓜蒂散) [1]痿躄 [2]胃反 [3]咽喉の痞塞感 [4]咽喉腫痛 [5]黄疸 [6]嘔吐 [7]悪心 [8]咳嗽: ☆咳嗽、喀痰あり、胸背部攣痛して俯仰するを得ず、
時に自汗出で、その脈数なる証《奥田謙蔵》 [9]喀痰 [10]過食症 [11]篏頓ヘルニア [12]亀胸 [13]亀背 [14]吃逆 [15]急性胃炎
[16]急性咽頭炎 [ 17]急性扁桃炎 [18]虚弱者<使わない> ☆虚弱者には・・・附子剤を前もって投与《龍野一雄》 [19]呼吸困難:
☆<テンカンなどの発作で呼吸困難> [20]胸背の疼痛: ☆胸背不痞満して安からず、悪心、煩悶ありて飲食を欲せず、既に日を経て治癒せざる証《奥田謙蔵》
☆外部に時々熱感あり、胸痛、背に徹し、背痛、胸に徹し、或いは乾嘔し、或いは心煩する証《奥田謙蔵》 [21]胸中痞硬 [22]ジフテリア [23]自家中毒
[24]子宮出血 [25]食滞 [26]食中毒 [27]食欲不振 [28]心下痞硬 [29]心煩 [30]頭項部に熱感・自汗: ☆頭部に熱感在り、心煩し、胸満して痛み、或いはその痛、背部に及び、食欲なく、時に乾嘔し、或いは僅かに渇を覚え、四肢に微冷を感ずる証《奥田謙蔵》
☆吐せず、下らず、頭頂部に大汗出で、胸部満悶して飲食を嫌悪し、熱性症候を各証《奥田謙蔵》 ☆発汗の後、頭部に熱感あり、胸痛し、煩悶し、或いは可能し、微渇し、四肢厥冷する証《奥田謙蔵》
[31]頭痛 [32]精神病 [33]喘息 [34]喘満 [35]喘鳴 [36]帯下 [37]テンカン [38]毒物の誤飲 [39]熱射病 [40]ノイローゼ
[41]発熱:<なし> ☆発熱があれば・・・十棗湯を考える。 [42]ひきつけ: ☆産後暈倒する者は、是れ瘀血の逆攻也。故に此方を服す《類聚方集覧》
[43]腹部膨満 [44]マラリア [45]無月経 [46]淋病 [47]瘰癧(ルイレキ) 瓜蒂散《傷寒論》《中薬臨床応用》「甜瓜蒂・赤小豆」各等量。作末し、毎回1.5~3gを「淡豆豉9g」と共
に煎じて服用。◎毒物の誤飲◎脳卒中◎テンカン
瓜蒂散《古今方彙》「瓜蒂・赤小豆・淡豆豉各5分」水煎。◎腹満して吐さんと欲し、鼻燥き、脈浮なる者は此方に宜し。◎酒疸にて吐せんと欲する者も同じ。
瓜丁散(一名細辛散)《東醫寶鑑》「瓜蒂・細辛」等分を作末し、豆粒大にして綿でくるみ、鼻中をふさぐ。 ◎齆臭と瘜肉があって、香臭を嗅げない症。
■砭⇒鼻づまり。硤⇒こぶの類。
瓜礬散《東醫寶鑑》「瓜蒂4銭、甘遂1銭、明礬・蝉退灰・草烏尖各5分」を作末し、麻油で丸剤。鼻孔に毎日1回、痔肉にくっつくぐらいに入れておくと、痔が水となって流れ出る。
◎鼻痔を治す。 瓜蔞枳穀湯《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・枳穀・桔梗・川芎・蒼朮・香附子・杏仁・黄芩(酒炒)・貝母(炒)・陳皮各1銭、縮砂・木香各5分、甘草3分を剉作し、1貼に姜3片を入れ水煎服。
◎痰鬱を治す。 瓜蔞枳実湯[1-1]《万病回春》《龍野一雄》「当帰・縮砂・木香各1.5g、甘草・干姜各1g、山梔子・黄芩・陳皮・瓜呂仁・枳実・桔梗・茯苓・貝母各3g」◎実証者の、粘痰喀出困難、胸痛、胸部の熱気。
瓜蔞枳実湯[1-2]《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・枳実・桔梗・貝母・黄芩・麦門冬・人参・当帰・紫蘇子各8分、 甘草3分を剉作1貼し、生姜3片を入れ、竹瀝と姜汁を温かくして飲む。」
◎破傷風で体熱・咳嗽・痰が出て・脈滑数の者。 瓜蔞枳実湯[1-3]《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・枳実・桔梗・赤茯苓・貝母(炒)・陳皮・芹苓・梔子各1銭、当帰6分、縮砂・木香各5分、甘草3分」水煎し「竹瀝5匙、姜汁半匙」入れて服用。◎痰を吐いても出てこなく、胸膈が痛いとき。
瓜蔞枳実湯[1-4]《万病回春ー痰飲門》《《漢方後世要方解説》「当帰・茯苓・貝母各3、瓜呂仁・桔梗・陳皮・黄芩各2、砂仁・木香・山梔子・枳実・竹茹・甘草・生姜各1」◎痰結喀吐すれども出でず、脇膈痛みをなし、転側すること能わざるを治す。或いは痰胸膈に結んで満悶ぢて寒熱気急を作し、並に痰心竅に迷って言語する能わざる者並に皆之を治す。◎此方は小陥胸湯より出で、胃中の熱と食積によって生じた実熱による燥痰を潤し降ろす方剤である。
喘急、呼吸促迫し、膠痰を吐き、胸痛甚だしく、臥すること能わず、咳嗽すれば呼吸止まる如く、小便赤く、脈滑腹に力あり、痰に風痰、湿痰、燥痰、熱痰、寒痰、気痰の別あるが、寒痰の外は皆用いて良い。
特に燥痰が目的である。◎雑病にも胸中に燥痰あって喀出困難のものに用いられる。◎早朝より正午頃まで咳嗽強き者に特に効がある。■瓜呂・枳実・桔梗・茯苓・貝母・陳皮・生姜=痰飲を消却する。■黄芩・山梔子・竹茹=熱痰を清解する。■木香・砂仁=痰の滞留を散ず■当帰・甘草=気血を和す。
★適応症及び病名[1]胃酸過多症[2]肩こり:☆乾痰のある者《矢数道明》 [3]急性気管支炎:☆早朝より正午頃まで咳嗽強き者に特に効がある。《矢数道明》[4]狭心症類似症:
☆飲食胸中に塞るもの。《矢数道明》[5]せき:☆胸中に燥痰あって喀出困難のもの。☆特に午前中咳嗽烈しく、痰濃厚で喀出の困難な者《矢数道明》[6]動脈硬化症[7]脳溢血:☆脳溢血で顔面赤く、乾痰が出にくく、言語強ばり健忘する者《矢数道明》[8]肺炎:☆肺炎ー胸痛、呼吸困難、燥痰の出にくい者《矢数道明》[9]慢性気管支炎:☆喫煙家の咳嗽《矢数道明》[10]胸がつまる:☆飲食胸中に塞がる者《矢数道明》☆胸焼け《矢数道明》[11]肋間神経痛:☆乾痰燥結して出にくく、胸痛ある者《矢数道明》
瓜蔞杏連丸《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・杏仁・黄連」各等分。作末し竹瀝・姜汁で糊をつくり、服用。 ◎酒痰の咳。 瓜蔞丸《東醫寶鑑》「瓜蔞実・半夏(麹)・山楂子・神麹各等分に作末し、瓜蔞と水でまぜ、竹瀝・姜湯で50~70丸呑む。◎食痰が壅滞して、喘息する。
瓜蔞実丸《厳氏済生方》「小陥胸湯桔梗」 ◎呼吸壅滞し、喘息妨悶し、胸膈痞痛、背に徹する者。《雑病翼方》
瓜蔞実丸《東醫寶鑑》「瓜蔞仁・枳穀・半夏(製)・桔梗」各1両を作末し、姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸服用。 ◎噎膈・胸膈と痞痛がで背まで来てつっぱり、喘息がひどく煩悶する症。
瓜蔞散《東醫寶鑑》「石膏2銭、青皮・瓜蔞仁1銭、没薬・甘草節・当帰尾・皀角刺・金銀花・青橘葉各5分」酒水各半分で煎服。 ◎乳癰の末潰の症は速く散らし、既潰の症を治す。
瓜蔞湯《勿誤薬室方函》「瓜蔞根・牡蛎・甘草各1銭、連翹・羗活各2銭、反鼻8分」 ◎結毒咳嗽して虚労の者。 花蕊石散《東醫寶鑑》「花蕊石4両、硫黄1両」作末し、互缶の中に入れて塩泥で密封して乾燥後、炭火でいぶって、朝食をしてはじめ徹夜した後、そのまま冷やして取り出し、もう一度細末にし、毎回大さじ1杯を、童便と酒を煎じた熱湯で服用。◎刃傷・打撲による損傷。牛馬に噛まれ、蹴られて重傷のとき、早急ににこの薬を貼るとよい。もし、臓腑の瘀血があって、内に損傷が多く、悶絶して死にそうなとき、この薬を飲むと黄水となって出、吐き出すか、または下痢する。◎虚労による吐血。◎五臓の破壊。
花蕊白芨散《中薬臨床応用》「花蕊石(煆)12g、白芨12g、乱髪霜6g」極細末にし、1日3回、3~6gづつ湯冷ましで冲服。◎喀血。
何首烏丸《医学入門》 「何首烏1斤を水に漬け、乾かしてさらしたものを切って、初産婦の乳を絞って混ぜてさらす。そいて乾いたものを作末して、大棗肉とついて梧子大の丸剤。空腹時に温酒または塩湯で飲む。1回に10~20丸服用、100丸を越えないように。
何首烏丸《中薬臨床応用》「何首烏15g、菟絲子9g、当帰9g、牛膝9g、補骨脂9g」作末し煉蜜で丸剤。毎回9g薄い塩水で服用。◎虚弱体質で◎腰膝がだるい◎頭がふらつく◎目がかすむ◎病的白髪◎早期老化◎遺精◎帯下
訶子 散[1]《蘭室秘蔵》《中薬臨床応用》「訶子(煨)9g、罌栗殻6g、乾姜5g、橘紅6g」細末にし、毎回6~9gを湯で服用。◎慢性の泥状便、虚寒の者。
訶子散[2]《東醫寶鑑》 「訶子皮3銭、桔梗5銭、甘草2銭、木通3銭、地黄汁」 ◎咳と失語症。(咳・声が出ない)
訶子散[3-1]《素問病機宜保命集》「訶子、黄連、木香、甘草」
訶子散[3-2]《東醫寶鑑》「訶子皮1両(半生半熟)・木香5銭、黄連3銭、甘草2銭を作末し、毎回2銭を作末し、白朮・白芍の煎じ湯で服用。」◎久泄のとまらない者。
訶子散[4]《三因極一病証方論》《東醫寶鑑》「訶子(炮)・厚朴・乾姜(炮)・草果・陳皮・良姜(炒)・茯苓・神麹(炒)・麦芽(炒)・甘草(炙)」各等分。粗末にし少しの水で煎じ、痛むとき頓服。
◎心脾が冷え、心下の急痛でたえられない者。
訶子皮散《東醫寶鑑》「御米穀(蜜炒)・橘皮各5分、乾姜(炮)6分、訶子皮7分」を作末し、1貼を、空腹時に水煎服。 ◎赤白痢で脱肛。
訶子清音湯[1-1]《東醫寶鑑》 「訶子49個の核を去り、桔梗1両半、甘草2銭半を荒い粉にして、毎回7銭を水煎し、滓を去り童尿1盃を入れ服用。3回飲めば快方に向かう。
◎諸風による失語症。(諸風の失音・中語を治す)
訶子清音湯[1-2]《中薬臨床応用》「生訶子4個、桔梗・甘草各30g」細末にし、毎回6gを水煎服。◎嗄声。 訶子清音湯[2]《東醫寶鑑》 「白朮2銭、人参・橘紅各1銭半、半夏麺1銭、白茯苓・桑白皮・天門冬各7、甘草・青皮各3分、五味子20粒、知母・地骨皮・薏苡仁・桔梗各5分、姜3片を入れて水煎服。夏には黄芩5分を加えて使うが、四物湯に童便・竹瀝・姜汁・黄柏(炒)を加えたものを、昼夜かわるがわる服用する。
◎乾咳嗽・声唖を治す。 訶朮散《東醫寶鑑》 「訶子皮・白朮各1銭半、陳皮・良姜・木香・白芍(薬酒炒)・肉豆蔲(煨)・甘草各1銭を剉作し、1貼に姜5片を入れ水煎服。
◎妊娠中の下痢。
訶梨勒散《金匱要略》 「訶黎勒(煨)10枚」為散、粥飲和、頓服。◎気利、本方主之。《金匱要略》嘔吐下利病脉證治第十七。◎後重を治す。《勿誤薬室方函口訣》
訶黎勒丸[1]《東醫寶鑑》「訶子皮5銭、海粉・括蔞仁・青黛・杏仁・貝母・便香附各2銭半、を作末し姜汁で桜桃大の蜜丸。口に含んで徐々に呑む。◎労嗽・乾嗽・肺脹・喘急。
訶黍勒丸[2]《東醫寶鑑》 「樗根白皮2両、訶子肉5銭、母丁香30粒」を作末し、醋糊で梧子大の丸剤。陳米飲に錯を少し入れ、毎回50丸1日3回。 ◎休息痢で百薬効なきとき。
訶黍勒丸《厳氏済生方》「訶黎勒、附子、肉豆蔲、広木香、呉茱萸、竜骨(生)、白茯苓、蓽撥」
河車大造丸《呉球方》「紫河車、亀板、熟地黄、人参、天門冬、麦門冬、牛膝、杜仲、黄柏」
河車大造丸《扶寿精方》【中成薬】「紫河車・肉蓯蓉・熟地黄・生地黄・天門冬・黄柏・五味子・鎖陽・当帰・枸杞子・杜仲」朝晩の空腹時に、9gづつ湯で服用。
(腰膝がだるい・ふらつく・羸痩)
鰕汁方《東醫寶鑑》「海老」半斤に醤油・葱・姜等の薬味を入れ煮て、まず海老を食べて、次に汁を飲んだ後、鴟(とび)羽でさぐって痰を吐き出させる。海老が風を引っぱり出す。」
◎風痰をはき出させる。 莪朮散《証治準縄》《中薬臨床応用》「莪朮9g、川芎3g、当帰12g、熟地黄18g、白芍9g、小茴香3g、白芷3g、甘草2.5g」水煎服。◎月経不順◎気滞血瘀による月経痛◎無月経◎下腹部に腫瘤をふれる。◎稀発月経
莪稜遂瘀湯《中薬臨床応用》「莪朮9g、三稜9g、紅花9g、丹参15g、鼈甲18g(先煮)、穿山甲(炮)15g、党参9g、黄蓍9g、当帰9g、陳皮9g」水煎服。◎気滞血おによる腹腔内腫瘤◎肝硬変で、肝脾腫大、腹水。
莪稜通経湯《中薬臨床応用》「三稜3g、莪朮3g、肉桂3g(冲服)、木香5g(後下)、熟地黄9g、白芍9g、当帰9g、川芎9g、延胡索9g、桃仁(打砕)9g、紅花9g」水5杯で2杯まで煎じ、滓を去り、2回に温服。◎無月経◎腹腔内腫瘤◎月経痛
鶴柏湯《中薬臨床応用》「仙鶴草30g、側柏葉12g、白芨15g、藕節30g、大薊12g」水煎服。 活血駆風散《東醫寶鑑》「白(炒)・当帰・川芎・白・細辛・桃仁・半夏・槐潤・白芍・五霊脂・甘草(生)各6分、蒼朮・杜仲・桂皮・薏苡仁・天麻・橘紅・檳榔・厚朴・枳穀各3分を剉作して1貼し、生姜5、大棗2を入れて水で煎じ、乳香末を少し入れて空腹時に服用。◎腎臓風・嚢下の湿痒と両脚に瘡癬の出る症。
活血解毒湯《浅田宗伯家方》「解毒剤《香川修徳》当帰・紅花・荊芥」◎此方は解毒剤の症にして血燥を帯る者に用いる。◎総じて遺糧を用ゆる症、血気枯燥者、当帰、山梔子、紅花の類を加えざれば効なし。
◎天刑病:「反鼻」
活血化堅湯《外科正宗》《古今方彙》「防風・赤芍薬・当帰尾・括楼根・金銀花・貝母・川芎・皀角刺・桔梗各1銭、白殭蚕・五霊脂・厚朴・陳皮・甘草・乳香・白各5分」水煎し、酒1杯を加え服用。
◎一切の瘰癧及び癭瘤痰核(リンパ腺炎)で初起未だ潰えず膿ある者を治す。
活血散《東醫寶鑑》「黒黄蓍・当帰・川芎・赤芍・白・続断・鹿茸・黄芩・細辛・炮附子」各等分。作末し、各3銭を1日3回、温酒で服用。 ◎刀槍の傷。腹が裂かれ内蔵が飛び出た者を治す。
活血散瘀湯《外科正宗》《龍野ー漢方処方集》「川芎・当帰・防風・芍薬・蘇木・連翹・天花粉・皀角刺・黄芩・枳殻各3.0g、紅花1.0g、大黄1.0g」◎臀部癰或いは肛門周囲炎の初期で発赤腫脹疼痛便秘の者。
活血散瘀湯《外科正宗》《古今方彙》「川芎・当帰・防風・赤芍薬・蘇木・連翹・括楼根・皀角刺・紅花・黄芩・枳殻各1銭、大黄2銭、水煎。 ◎臀癰の初起赤腫痛し墜重して石(カタ)を加え及び大便秘渋するを治す。◎便通じる者は:「大黄乳香」
活血散瘀湯《外科正宗》《古今方彙》 「川芎・当帰尾・赤芍薬・蘇木・牡丹皮・枳殻・括楼仁・桃仁各1銭、檳榔子6分、大黄(酒炒)2銭」水煎、空心時に服用。
◎産後悪露尽きず、或いは月経の後に血痛みを作四逆湯、或いは暴急奔走し、或いは男子杖後に血流注四逆湯、腸胃痛みを作四逆湯、漸く内に癰を成し、腹痛み、大便燥する者を治す。
活血止痛湯《傷科大成》《中薬臨床応用》「落得打9g、乳香6g、没薬6g、赤芍6g、当帰尾9g、虫3g、三七末3g(冲服)、茯神12g、陳皮6g、蘇木9g、紫荊藤12g、紅花3g、川芎3g」水煎服。◎打撲捻挫による内出血◎打撲捻挫による腫脹、疼痛。
活血潤燥丸《東醫寶鑑》「潤腸丸皀角仁」 潤腸丸⇒杏仁・枳穀・麻子仁・陳皮・阿膠・防風◎風秘・血秘で大便がいつも乾く者。
活血潤燥生津飲《医学入門》《古今方彙》「当帰、生地黄、熟地黄、天門冬、五味子、括楼仁、麻子仁、甘草、括楼根等分」水煎温服。 ◎裏病、消渇するを治す。
活血通経湯《衛生宝鑑》「紅花、当帰、熟地黄、莪朮、三稜、肉桂、血竭、木香、蘇木、貫衆」
活血湯《万病回春》《古今方彙》「当帰尾・赤芍薬・牡丹皮・桃仁・延胡索・烏薬・枳殻・香附子各1銭、川芎7分、甘草2分、紅花・官桂・木香(別研)各5分、生姜」水煎。
◎痛み処を移さざるを治す。是れ死血なり。
活亀丸《東醫寶鑑》「大烏亀を、柴火で地を熱くした所に座らせて出られないように蓋をしておくと、亀がおならをするが、放屁したら縄で亀をしばって黄土を練って固く封をし、灰火でし、肉をとって細く切り、その皮に牛骨髄を塗って5~7回焼いて透明になったら乾かし、作末し黄連1両で9回蒸し、9回晒して当帰尾3銭3分を作末して、以上の諸品を合わせて搗いて梧子大の丸剤。白湯で50~70丸呑む。◎腸風・痔瘻を治す。
活虎丹《東醫寶鑑》「蝎虎1個を四つ足と爪を切り血と一緒に細く切って、朱砂・片脳・麝香を少しづつ入れて混ぜ、礞石散を使って痰涎を降ろした後薄荷湯で飲む。◎積年の癲癇で、気血の不足する者。
活腎丸《東醫寶鑑》「蒼朮(塩炒)1両、黄柏(酒洗)・枳実・滑石各7銭、天南星(炮)・半夏(製)・山楂肉・神麹(炒)・白各5銭、昆布・呉茱萸各3銭」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。塩湯で70丸呑む。
◎木腎の痛まない症。
活命金丹《東醫寶鑑》「大黄1両半、桂心・芒硝各1両、真珠・牛黄・青黛・犀角・薄荷各5銭、辰砂4銭(2銭は花にする)、麝香・竜脳各2銭、板藍根・貫衆・乾葛・甘草各7銭」を作末し、蜜水に浸して蒸し餅でまぜ、毎回1両で10丸を作り、乾く前に朱砂で衣をし、再び金箔40斤で衣をし、毎回1丸を服用。もし風毒を治すには、清茶で化下するが、臘月に収合するのが良い。」
◎風が臓に入って、神が澄んでいない症。
活幼経験治痢方《古今方彙》「黄連・黄芩・白芍薬(生)・山楂子各1銭2分、枳殻檳榔子・厚朴・青皮各8分、当帰・甘草・地楡各5分、紅花(酒洗)3分、桃仁(炒)1銭、木香2分」水煎温服。
◎壮実の人が下痢し或いは赤く或いは白く、或いは紅白相兼ね、裏急後重、身熱し腹痛する者を治す。 ◎単に白く紅無き者:「地楡桃仁木香倍加、陳皮」◎滞渋(大便が滞り出ししぶる)甚だしき者:「大黄(酒)」
活絡效霊丹《医学衷中参西録》「丹参、乳香、当帰、没薬」 活絡丹《東醫寶鑑》「川烏(炮)・草烏(炮)・天南星(炮)・地竜(焙)各1両、乳香・没薬各2銭2分」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に温酒で20~30丸服用。
◎一切の通風と筋脈の拘攣・沈痛・上衝する者。
活絡湯《医学入門》《東醫寶鑑》「羗活・独活・川芎・当帰・甘草各1銭、白朮2銭、生姜5片」煎じて沈香磨汁を少し入れて服用。◎風湿臂痛にして諸薬効かざる者を治す。
活絡流気飲《医経会元》《勿誤薬室方函》「木通・羗活・柴胡・升麻・白・桔梗・薄荷・当帰・川芎・紅花・甘草・連翹・皀角刺・木鼈子・威霊仙」◎流注塊、或いは痛み、あるいは痛まざる者を治す。◎此方は多味なれども流注毒頑固の者を動かすの力あり。《勿誤薬室方函口訣》◎もし膿潰の後は「桂枝加朮附湯」「托裏消毒飲」の類に宜し。
活竜散《東醫寶鑑》「活地竜4条(洗って裂く)、姜汁・薄荷汁・蜜各1匙」水でまぜて潅入(服用)する。熱があると片脳を少し加える。 ◎陽毒の結胸に。陽毒発狂に。
喀血一方《済世全書》《古今方彙》「当帰・芍薬・桃仁・貝母各1銭、白朮・牡丹皮各1銭半、山梔子・黄芩各8分、甘草3分、青皮5分」 ◎喀血、痰血糸を帯びるを出す者を治す。◎一方に青皮・黄芩なく、知母・黄柏・麦門冬あり。◎《寿世保元》には桔梗あり。
脚気一方《寿世保元》《古今方彙》「牛膝・五加皮・独活・蒼朮各1銭半、威霊仙・防已・当帰・黄柏(酒)各1銭、生姜」煎じ、酒を加える。 ◎脚気にて浮腫するを治す。
豁胸湯《和田東郭》《勿誤薬室方函口訣》 「桑白皮湯[2]《東郭》茯苓・犀角」 「桑白皮・呉茱萸・茯苓・犀角」◎脚気毒衝心昏悶欲死を治す。◎「沈香降気湯生姜」=沈香豁胸湯◎「沈香、甘草、羊参」=「人参茯苓湯」《梧竹樓》
葛黄丸《東醫寶鑑》「黄連4両、葛花2両を作末し、大黄末を水で煎じて膏をつくり、梧子大の丸剤。温水で100丸服用。 ◎過飲による熱・吐・衂血によって死ぬようになった症。
#葛花解醒湯[1-1]《東醫寶鑑》「葛花・縮砂・白豆蔲各5銭、青皮3銭、白朮・乾生姜・神麹・沢瀉各2銭、 人参・猪苓・茯苓・橘皮各1銭半、木香5分」を作末し、毎回3銭を白湯で調下する。汗をだすと治る。
◎飲酒過多によって病になり、嘔吐・手足のふるえ・清神朦朧・食欲減退の症。
#葛花解醒湯[1-2]《弁惑論》《龍野ー漢方処方集》 「白豆蔲・砂仁・葛花各5銭、木香5分、青皮3分、白茯苓・陳皮・猪苓・人参各1銭半、白朮・神麹・沢瀉・乾姜各2銭」水煎温服。或いは末となし毎服1~2銭白湯で調下。
◎飲酒を大過して嘔吐痰逆、心神煩乱、胸膈痞塞、手足戦揺、飲食減少、小便不利するを治す。 #葛花解醒湯[1-3]《弁惑論》《龍野ー漢方処方集》「白豆蔲・縮砂・葛花各6.0g、木香1.5g、青皮1.0g、茯苓・陳皮・猪苓・人参各2.0g、白朮・神麹・沢瀉・乾姜各3.0g」◎飲酒過多、嘔吐、心神煩乱、胸膈痞塞、手足戦揺、飲食減少、小便不利。★適応症及び病名
・酒の飲み過ぎ ・二日酔い #葛花散《東醫寶鑑》=「雙花散」「葛花・小豆花」等分に焙って乾燥。作末し毎回2銭を、白湯で点服する。 ◎酒を呑んでも酔わないようにする。
#葛根湯[1-1]《傷寒論》「葛根4両、麻黄(去節)3両、桂枝(去皮)2両、生姜(切)3両、甘草(炙)2両、芍薬2両、大棗(擘)12枚」右七味、以水一斗、先煮麻黄、葛根、減二升、去白沫、内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升、覆取微似汗。餘如桂枝法將息及禁忌、諸湯皆倣此。◎太陽病、項背強几几、無汗、悪風、葛根湯主之。◎太陽與陽明合病者、必自下利、葛根湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證幷治中第六。◎太陽病、項背強几几、無汗悪風者、属葛根湯證。◎太陽與陽明合病病、必自下利、不嘔者、属葛根湯證。《傷寒論》辨可発汗病脉證幷治第十六。
#葛根湯[1-2]《金匱要略》「葛根4両、麻黄(去節)3両、桂(去皮)2両、、芍薬2両、甘草(炙)2両、生姜3両、大棗12枚」右7味、㕮咀、以水1斗、先煮麻黄葛根減2升、去沫、内諸薬、煮取3升、
去滓、温服1升、覆取微似汗、不須啜粥。餘如桂枝法將息及禁忌。◎太陽病、無汗、而小便反少、氣上衝胸、口噤不得語、欲作剛、葛根湯主之。《金匱要略》湿病脉證第二。
#葛根湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「葛根4g、麻黄・大棗各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、干姜1g」水400ccを以て葛根麻黄を煮て80を減じ、白沫を去り、他の諸薬を加え
て再び煮て、120に煮詰め、滓を去り3回に分服。 #葛根湯[1-4]《漢方治療の実際》「葛根8、麻黄・生姜・大棗各4、桂枝・芍薬各3、甘草2」◎項背強急し、発熱悪風、或いは喘し或いは身疼痛する者を治す。《吉益東洞》◎陽病、項背強ること几几、発熱し、汗無く、悪風するは、葛根湯之を主る。《医聖方格》◎此方は、項背強急を主治する也。故に能く驚癇、破傷風、産後の感冒卒痙、痘瘡の初起等、角弓反張し、上竄搦し、身体強直する者を治す。宜しく症に随いて熊胆、紫円、参連湯、瀉心湯等を兼用すべし。《類聚方広義》◎発熱悪風項背強る者。実証の化膿症で発熱悪寒する者。脉浮緊、肩こり・頭部
又は顔面の疼痛。
◎注意:葛根湯や麻黄湯のような麻黄の入っている方剤を飲むと、睡眠のとれない人がある、又、これを長期間服用していると、食欲がなくなったり、性欲が減退する人がある。《大塚敬節》私の患者で、麻黄剤を飲んで、排尿痛と、尿の淋瀝を訴えた者が2例あった。このことをある会合で発表したところ、聴衆の1人が、私もそれと同じ経験をしたということであった。《大塚敬節》麻黄剤を飲むと、動悸して困ると訴える人がいる《螺王人》
【腹診】 《大塚敬節》“臍の上部(臍より少し上の位置)で皮下に圧痛を訴える者を、葛根湯を用いる目標としている。この圧痛は他の薬方の場合にも現れることがるが、葛根湯の際に、最もしばしば現れ、症状の軽快と共に、この圧痛が消失する”
★適応症及び病名 (かっこんとう) ■アレルギー性鼻炎:☆28歳女性。数年前から、朝起きると、続けざまに、しばらく、クシャミが出続ける。この状態は夏は軽く、秋から冬はひどくなる。医者はアレルギー性鼻炎と診断して、薬をくれるが、いつまでも治らないという。
患者は色白の肉づきの良い長身の婦人である。脈はやや浮であるが、速くはない。腹証上では臍より少し上の部分に、圧に過敏な部位がある。私はこれに葛根湯を与えたが、7日間の服用では何の変化もなく、2週間の服用で軽快し、4週間の服用で全治して、再び、クシャミが頻発することなないと言う。《大塚敬節》☆医学博士T氏は、多年アレルギー性鼻炎に悩み、毎夜、鼻がつまって眠れないという。私はこれに葛根湯を与えたところ、その夜から、鼻が気持ちよく通るよいうになって、安眠が出来るよいうになったと、大変喜ばれた。《大塚敬節》
☆本方は顔面や項背部に炎症充血症状があって緊張感があり、目、耳、鼻に及びその粘膜に炎症充血が起こるものに用いられる。アレルギー性鼻炎で常に肩こりがひどく、風邪を引きやすく、クシャミの頻発する者に本方でよいことがある(漢方診療医典)
■アンギナ⇒口腔・咽頭の炎症(狭義) ☆初期に発熱して咽痛のあるときに葛根湯を用いて発汗させる。熱が高くて苦しむときは桔梗2,0g石膏10.0g。嘔吐するときは半夏5.0g。だいたい本方は1~2日間用いるもので、これで治らなければ別の方を考える(漢方診療医典)
■朝のこわばり
■インフルエンザ(流感)
■咽喉炎
■疫痢(えきり)☆疫痢の極めて初期に用いることがある。《大塚敬節》
■おたふくかぜ
■悪寒(おかん)
■カルブンケル(癰)
■外耳道炎:☆悪寒・発熱があり、くび・肩などが強ばる、初期に用いる。:「桔梗石膏」《大塚敬節》☆葛根湯桔梗石膏を用いても、炎症・疼痛が止まない者には、十味敗毒湯+連翹を用いる《大塚敬節》☆北新掘街の後藤弘三郎の妹16歳。幼児の頃より耳だれの持病があり、両方の耳から膿汁が流れ、時にはその膿が臭くて、側によれないほどである。そのため左の耳が聞こえない。嫁にやる年になったので、何人もの医者にかかった。余は胎毒のためだから、徐々に、その毒を攻めて、毒を尽くすべきだと云った。主人は余の言をいれて治を託した。そこで、葛根湯芎黄を与え、五味鼠丸を兼用すること数ヶ月にして、漸次、膿が減じ、臭気も去り、左耳の聴力も回復し、まもなく嫁した。《橘窓書影》
五味鼠丸の代わりに、伯州散を用いてもよい《大塚敬節》
■肩関節周囲炎
■肩こり:①頭痛、発熱②汗が出ていない。 ③項(コウ=うなじ)背がこわばる。④脈浮緊・数。⑤太陽病。☆肩痛・臂痛:「+蒼朮・附子」《勿誤薬室方函口訣》☆項背痛の諸証にして、脈浮数なる等の者《奥田謙蔵》☆18歳男性。2週間前から、朝起きたとき、背が痛み、手足の関節が痛むが、仕事を始めると痛みは軽くなるという。患部は目立つほど腫れていない。食欲は普通で、時々悪寒があり、体温は37、7℃くらいまでのぼる。一番痛むところは項部と背とである。そこで葛根湯を3日分づつ3回与えたところすっかり良くなった。その後2ヶ月ほどたって、再び全症が再発したが、葛根湯3日分でよくなった。この患者は項背部の痛みがいちばん強かったので、葛根湯を用いた《大塚敬節》
☆首から背にかけての凝りがあって、汗が出ない者に葛根湯を、汗が出て悪風する者には桂枝加葛根湯を用いる。熱のない雑病では汗の有無ではなく、脈で区別する。脈浮で力あれば葛根湯、脈浮で力なければ桂枝加葛根湯を用いる。《大塚敬節》
☆葛根湯を用いる肩凝りは、項部から肩胛間部にかけて凝る者に良いが、また項部から肩胛関節に向かって、凝る者にも用いる。しかし、このような肩凝りを訴える場合でも、胸脇苦満があれば、柴胡剤を用いるし、心下痞硬があれば瀉心湯類を用いる。又、腹部が軟弱でこの部で振水音を証明するようであれば、真武湯を用いる《大塚敬節》☆葛根湯を用いる患者の腹は、腹筋の緊張がよいことが条件で、軟弱無力であってはいけない。ことに食欲不振・悪心・嘔吐などのある場合は用いない方が良い《大塚敬節》
☆鼻炎・結膜炎・中耳炎などで肩凝りを訴える者に用いる機会が多い《大塚敬節》 ☆傷寒論に“太陽病、項背強ばること几几、汗無く悪風する者”とあり、肩から項背部のこりを訴えるものに幅広く用いられる(漢方診療医典)
■化膿性炎症:☆諸種化膿性炎症には、証に由り桔梗、石膏を加う。《奥田謙蔵》
■化膿症湿疹
■眼瞼炎:☆1男子、眼に炎症を起こして腫れ痛み、その上に喘鳴と咳嗽がことにひどい。そこで先ず葛根湯を与え、刺絡と家方の鼻方を施したところ、疼痛がたちまち止んだ。続いて麻杏甘石湯を与え、鉛糖水で洗眼したところ、喘咳はだんだんよくなった、だた大便が秘結して、眼にうすい雲がかかって取れない。そこで大柴胡湯を与え、点眼薬を用いたところ、まもなく治った《眼科一家言》
☆1男子、眼が赤く腫れ痛んで耐え難く、黒まなこにも雲がかかっている。これを診たところ、脈は浮数である。そこで葛根湯を与えたところ、眼の赤味と腫れはやや減じたが、雲が取れないので汞水で洗ってから点眼したところ、1ヶ月ばかりで治った《眼科一家言》
☆30歳男性。山に薪をとりに往ったところ、毒虫が飛んできて、眼瞼を刺したため、ひどく腫れ痛み、眼がくらんで歩くことが出来なくなった。そこで傍の人に助けられて家に帰ってから診を乞うた。眼球と眼瞼は共に大いに腫れ、烏睛には白い点が出来て、毒牙すでに両眼に伝わり、発熱がひどく、頭は裂かれるように痛む。そこで刺絡を施し、甘草湯で洗眼し、葛根湯を与え、雄黄を焼いて眼を薫じたところ、頭痛が止み、炎症も消退した。そこで点眼を施し、数日で治った《眼科一家言》
■眼精疲労 ☆眼痛、充血、肩こりなどあるもの(漢方診療医典)
■関節痛:
■関節リウマチ:☆初期で関節が少し腫れている者。☆関節リウマチの初期に用いることがある《大塚敬節》
■疳瘡(かんそう)☆「+荊芥・大黄」《勿誤薬室方函口訣》
■感染症(かんせんしょう)
■感冒(かぜ):☆感冒の初起、項背強急、悪寒、発熱し、汗出でざる証には、まず此方を与えて発汗せしむるを良策とす。《奥田謙蔵》☆悪風または悪寒があって、発熱し、からだが強ばり、項から肩が凝り、脈が浮で力がある者に用いる。汗が自然に出ていないのを常とする。《大塚敬節》
■]顔面の疼痛 ☆筋肉の緊張がよく、突っ張った感じがある者に: 「+朮・附子」or「+川芎・大黄」or「+薏苡仁」を用いる《大塚敬節》
■寒冷ジンマシン
■ギックリ腰
■気の上衝<+>
■急性大腸炎 ☆悪寒・しぼり腹・裏急後重・粘液性下痢に使う。《中医処方解説》☆発熱がないとき→「桂枝加芍薬湯黄連・木香」《中医処方解説》☆葛根湯を急性腸炎の初期、悪寒、発熱の有る者に用いる場合がある。《大塚敬節》
☆発病の初期で、悪寒、発熱があって下痢し、裏急後重があり、脈浮数にして力のある者に用いる(漢方診療医典)
■筋炎
■筋肉痛:☆風湿、体疼、悪風、微腫するを療す:「大棗天門冬・杏仁・人参」 《外台秘要方》
■口の周りをなめる:☆口の周りが乾燥して赤くなり、この部を舌でなめずりまわす者がある。子供によく見られる。《村井琴山》はこのような者には葛根湯が良く効くといっている《大塚敬節》☆10歳少年。半年あまり某大学の耳鼻科にかかっているという。この少年は平素からあまり頑丈な体質ではなかったが、1年ほど前から鼻汁が多くなって、鼻の下がいつもただれるようになった。私が診察している間も、舌を出して、ペロリ、ペロリと上唇から人中のあたりをなめ回している。私はこれに葛根湯を用いたが、次第に鼻汁が流れなくなり、3ヶ月ほどで完全に治るとともに、時々あった夜間の遺尿も止まり、血色も良くなった。《大塚敬節》
■首がまわらない
■ケイレン:☆初発は必ず両腮剛強す。先ず葛根湯を与え、合谷及び髪際に鍼す可く ば則ち治す。もし脱候を見わす者は[十全大補湯荊芥附子]に、[豆
淋酒荊芥」を兼用す。然れども、角弓反張甚だしく、水薬咽を下ら ざる者及び口開く者は、不治なり。《先哲医話》☆疫痢の初期のケイレン《大塚敬節》
■結膜炎:(+桔梗石膏)☆葛根湯・越婢加朮湯・大青竜湯などの麻黄の配剤された薬方は、古人が外障眼と呼んだ結膜や角膜などの病気に用いられた《大塚敬節》
■下痢:☆下痢の初起等にして、悪寒、発熱し、脈浮数なる証。《奥田謙蔵》☆裏急後重(りきゅうごじゅう)のある場合でも、これで汗をとると、後重も緩解し、下痢もまた軽快する。《大塚敬節》☆桂枝加人参湯証の下痢とは、寒熱虚実の差がある。
☆発病の初期で、悪寒、発熱があって下痢し、裏急後重があり、脈浮数にして力のある者に用いる(漢方診療医典)
■口噤(こうきん)☆36歳の中肉中背の婦人。5ヶ月ほど前から口が開かなくなり、いろいろ手当をしたが良くならないといって来院した。無理に開けようとしても、右の顎の間接がこわばっていて、痛くて動かない、指が1本入るくらいがやっとである。そこで《金匱要略》の条文にヒントを得て葛根湯を用いた。葛根湯が筋肉の緊張を緩解する作用のあることは、一般に知られているところで、これで肩こりや腰痛が治り、また破傷風のケイレンを治する効がある。こんなことを考慮に入れて、10日分を投与した。ところが不思議なことに、これを飲み終わって来院し時は8分通り口が開くようになり、1ヶ月あまりで全快した。《大塚敬節》
■高血圧
■]虹彩炎
■五十肩:☆五十肩の初期に用いる。しかし脈の弱い者や、腹部の軟弱な者、胃腸が弱くて、食の進まない者などには与えない方が良い。《大塚敬節》☆63歳男性。中肉中背の患者が、左の五十肩で診を乞うた。私はこれに葛根湯を与えたところ、便秘して大便が快通しないようになり、気分が良くないというので、清湿化痰湯にしたところ、大便も快通するようになり、疼痛も軽快した。《大塚敬節》
☆発病の比較的初期で、脈に力がり筋肉の緊張のよい消化器の丈夫な人に用いる。ばあいによっては、薏苡仁10.0を加えたり、朮4.0を加えたりする(漢方診療医典)
■項背部のこわばり(項背拘急)
■さむけ(寒気)がする
■座骨神経痛
■産後の諸疾患:☆産後の柔中風:「独活・地黄」《勿誤薬室方函口訣》☆産後痙病:その初、項背強ばり、或いは言語蹇渋、寒慄する者は治す べし。葛根湯。続命湯の類に宜し。無患子、虎杖茎2味煎服亦効あり。
■三叉神経痛:☆項部が緊張して脈有力の者《大塚敬節》☆三叉神経痛やこの部の神経痛で、初期の者に用いる。☆こじれた者or長引く者には:「+朮3.0、附子1.0」《大塚敬節》☆慢性の上顎洞蓄膿症のある38歳の女性が、数日前より右顔面がひどく痛んで、食事をすることもできない。夜も眠れないという。
診察してみると、右上顎の中央が、拇指頭大に腫れ、少し発赤し、この部を撫でても強く痛む。右鼻腔は閉塞し、右肩が特に凝る。時々悪寒があり、37、8℃の体温。脈は浮でやや数である。
そこで葛根湯に薏苡仁10.0を入れて与えたところ、その夜の明け方から急に顔が軽くなって、ぐっすり眠り、起床と同時に、多量の膿がノドの方へ出た。続いて、5日間これを飲むと、患部の新しい炎症は消失して、全く疼痛を忘れた。薏苡仁は鎮痛と排膿の作用があるので、これを加えた《大塚敬節》耳下腺炎
■子癇(しかん)☆妊娠臨月、風痙を発するに因り、忽ち悶し、人を識らず、嘔逆眩倒し、すこし醒め復発す。《外台秘要方》
■四十肩(腕)
■視神経萎縮
■視神経炎
■歯痛:☆歯痛、或いは歯根腫痛等には、証に由り石膏を加う。《奥田謙蔵》☆「石膏15g」《荒木正胤》
■湿疹:☆<膨疹が白っぽいものに>☆膨疹が赤く、熱を持つ時は→大青竜湯を考える。《中医処方解説》☆化膿傾向には:「桔梗石膏or金銀花・連翹」。《中医処方解説》☆水泡があれば:「越婢加朮湯」《中医処方解説》☆急性期で発赤して熱感があり、かゆみのひどい者☆慢性期でかさぶたを作り、かゆみの強い者:「石膏」☆諸種の皮膚病、殊に湿疹等には、証に由り大黄を加う。《奥田謙蔵》
☆毛孔性苔癬《大塚敬節》☆47歳男性。毎年夏になると全身の皮膚が痒い。汗をかくと時にひどい。体格中等大、肉付きは良い方。皮膚に変化は見られないが、前腕内側を擦過すると敏感に発赤する。すなわち皮膚表記症が認められる。これはジンマシンと考えて良いと思う。脈はやや浮にして緊、舌正常、腹は肉付きよく、上腹部一体が膨満しているが、胸脇苦満とないえない。その他には特に変わったこともない。そこで私は敗毒の意味で十味敗毒湯を1週間分与えた。ところが再び来院して少しも良くならないと云うのである。ここでまた考えてみた。強い皮膚の瘙痒を訴える のに、発疹は全く見られないのが、前に十味敗毒湯の効が無かった例と似ている。脈のやや浮を表証の存在と考えたらどうかと、そして葛根湯+石膏を1週間分与えた。10日ほどたって、その患者から電話があった。
「今度の薬を飲んだら、痒いのが止まった。しかし薬がなくなるとまた痒くなったので、薬を送って下さい」《大塚敬節》
■腫脹<硬い>
■上気道炎
■猩紅熱
■小児が舌で口のまわりをなめる。《村井琴山》☆口唇・周辺が乾燥して舐める者は→「柴胡清肝湯」を考える《中医処方解説》
■小児のひきつけ
■ジンマシン:☆10才の少女。色が浅黒く、すでに1年近くジンマシンに悩んだ。私はこれに十味敗毒湯、桂枝茯苓丸、茵蔯蒿湯などを与えたが効無く、最後に葛根湯を用い、やや軽快し、僅かのところで、どうしても治らないので、葛根湯+撲樕にしたところ、1ヶ月あまりで全治した。《大塚敬節》
☆数年前30歳ぐらいの婦人が頑固なジンマシンに悩んで治療を受けに来た。方々の医者で注射をしたり薬をつけたりしたがどうしても治らないという。その時私は十味敗毒湯を10日分ばかり与えた。その患者はそれきり来なくなったので、果たして薬が効いたかどうかもわからず、そのことも忘れてしまっていた。この春ひょっこりとその婦人が、ご夫婦でやってきた。聞けば「私のジンマシンは、あの薬ですっかり治ってしまいました。今度は主人が同じようにジンマシンで苦しんでいますので、一緒につれて来ました」ともこと。ご主人は痩せ型の背の高い人で、全身が痒くかけば赤くなって腫れるという。しかし見た目には、皮膚の発疹は認められなかったが、前と同じ十味敗毒湯を1週間分与えた。しかし1週間たってきた時も、少しもカユミが治らないということであった。私は又1週間、同方を与えて帰した。けれどもやはり効かなかった。私の師匠に、この話をしてご意見を求めと「それは麻黄じゃないか」と云われた。しかし患者はそれきり来なくなったので、麻黄剤を試みることは出来なかった。《山田光胤》
☆5歳の子供、ジンマシンで身体中が痒がり、夜も一晩中眠らない。近所の医者にかかって、10日程注射をしているが少しもよくならない。 私は、《類聚方広義》の葛根湯条下に“小児赤遊風を治す”“葛根加朮附湯----風疹、血疹、瘙痒甚だしきを治す”とあることから、葛根湯証と考え、また夜も眠らずにかゆがるという点を煩躁と考えて石膏を加え、葛根湯+石膏として3日分を与えた。しばらくしてから報告があった。それによると、子供が嫌がってなかなか飲まないので、1日分を2日かかってやっと飲ませた。ところが、1日分を飲み終わる頃から、あれほどひどく痒かったのが、ぱったり止まって、夜もよく眠れるようになった。もうよいと思ったが、再発するといけないと思って、あと2日分を5日かかって、全部飲ませた。《大塚敬節》
☆44歳男性。25年前から冬になるとジンマシンが出るという。葛根湯撲樕薏苡仁を用いて著効を得た。この患者には葛根湯だけでも良かったのかも知れないが、撲樕を加えた。これは私の安心のためであって、果たして撲樕が効いたがどうかは疑問であるが、蓄膿症にジンマシンを併発していた患者に、葛根湯撲樕を用いて著効を得た例があったので、この患者にも夜のなると鼻が詰まると言う訴えがあって、よく似ていたので加減した。薏苡仁を加えたのは、頭部の百会の付近にイボが1つあったからである。
さてこの患者は冬になるとジンマシンが出るけれども、水を呑むと5分位で消失する。また熱が出ている間はジンマシンは出ない。ところが3年前から、のどにウロコのようなものが、貼り付いた感じがあり、神経症とも云われたり、鼻咽腔炎とも云われたことがある。耳鼻科に1年通院したがよくない。
私はこれに葛根湯撲樕薏苡仁を用いたところ、ジンマシンがぐっと減り、特別に寒い時だけに出るようになり、20日目ゴロから、鼻の乾燥感を忘れ30日目ごろには、イボが消えた。《大塚敬節》
■神経痛
■頭痛:☆感冒その他熱がある時の頭痛で、悪寒又は風にあたるとゾクゾクして気持ちが悪く、項部から背にかけて凝る者《大塚敬節》
☆感冒その他熱のある場合の頭痛に用いる《大塚敬節》
☆悪寒又は悪風があって、発熱し、項部から背にかけて凝るという症状があり、脈は浮いて力がない者を目標にする《大塚敬節》☆熱や悪寒がなくても、前額洞蓄膿症や上顎洞蓄膿症などの鼻の病気で頭痛する時や三叉神経痛で痛む時にも項部の緊張と脈に力にあることを目標にして用いる、《大塚敬節》
■脊椎空洞症
■喘咳
■喘息:☆肩・背がこる者:「+杏仁3.5g、石膏15.0g」《荒木正胤》
■帯状疱疹
■大腸炎:☆腸炎・腸カタル:☆赤痢・大腸炎などの発病の初期に用いることがある。その目標は、腹痛と裏急後重を伴う下痢で、悪寒、発熱があり、脈は浮大数である。しばしば腹痛を訴える事がある《大塚敬節》☆大腸炎や赤痢などで葛根湯を用いるのは、発病当初だけで、これを数日間続けて用いることは少ない。葛根湯を用いて悪寒が去れば、黄芩湯、芍薬湯、大柴胡湯などを用いる。《大塚敬節》
■打撲
■丹毒:☆頭部の丹毒(頭瘟):「桔梗石膏」《方読便覧》
■蓄膿症:(副鼻腔炎)☆葛根湯は鼻炎・副鼻腔炎などで、鼻閉塞、鼻漏などを訴える者に広く用いられる。これに川芎と辛夷を加えたり、川芎と大黄を加えたり、石膏を加えたりすることもある。《大塚敬節》
☆上顎洞蓄膿症には、証に由り芎藭、大黄を加え、或いは辛夷を加えて、更に有効なることあり。《奥田謙蔵》
☆脳漏、眼耳痛:「川芎・大黄」《勿誤薬室方函口訣》☆前額洞蓄膿症、上顎洞蓄膿症に適する。頬部が痛み、便秘、のぼせなどの症状があれば葛根湯に川芎3.0、大黄1.0を加える《大塚敬節》☆「川芎3.5g、大黄1.0g」or「ドクダミ3.5g」《荒木正胤》☆急性には:「桔梗石膏」《荒木正胤》☆27歳男性。1年ほど前から、頭が重く、鼻が詰まり、ノドの方へ鼻汁が流れるようになったので、某大学病院で診てもらったところ、前額洞蓄膿症だから、手術をしなけれな治らないと云われた。その上、10ヶ月ほど前からジンマシンも出るようになった。
脈をみると浮大で、腹診上、臍上の皮下に鉛筆の芯のように硬いものを触れ、しかもそれを指頭で圧すと痛む。これは葛根湯を用いる目標である。そこで、葛根湯辛夷・撲樕各3.0を加えて与えた。撲樕を加えたのは、《腹証奇覧翼》に桂枝加土骨皮という処方があり、土骨皮は撲樕のことである。これにヒントを得て、毒を消し、排膿を促し、かねてジンマシンを治するという狙いでやった小細工である。
さた、これを服用してから、1ヶ月目に、次のような来信があった。“過日(10/16)は御診察をいただき、大変ありがとうございました。おかげを持ちまして、日毎に快方に向かい、昨今はすこぶる爽快で、仕事の能率が上り、感謝いたしております。もうしばらく服用を続ければ、全快することと存じますので、お手数ながらお薬をお送りいただきたくお願い申しあげます。10/20、服用開始。1日3回。10/21、少し下痢する。10/25、足首と腹部(ベルトが当たる部分)のカユミがなくなる。10/27、口の中へ下りる膿が減ってくる。10/30、鼻汁がちょっと多く出る。11/2、酒を飲んだが従前のように頭が痛くならない。11/4夕方、背中からおしりにかけて一面にジンマシンが、今までに無いくらいひどく出る。翌朝は引いていた。11/5、前日よりは軽いが、同じようにジンマシンが出て、翌朝は引いていた。11/18、鼻の外観が変わっているのに気づく。服用前の写真と比べてみると、鼻の付け根から少し下がった部分の腫れが引いているのがよく分かる。11/14、現状、頭の重いという感じが無くなった。口の中へ下りる膿が非常に少ない。鼻汁が服用前より多く出るようになった。従前はかんで出るより咽へどんどん下りていました。咽喉は若干楽になったようである。まだタンがひっかかっているような感じで、声の出にくい時がある。以上のような次第でありすので、前回同様格別の御配慮を賜りたく存じます”そこで1ヶ月分の薬を送ったところ、12/18、次のような連絡があった。“2回目のお薬をいただいてからの経過は次の通りであります。だんだん咽頭が楽になってきました。風邪気味でありますせいか、頭が痛いのですが、服用前のようにドンと重く、時々しびれるというのではありません。睡眠不足の朝の様な感じであります。従来は甘い物にはほとんど食気がなく、まれに食べても、胃に異常感を起こすことさえありましたが、最近は甘い物が美味しいと感じるようになりました。それかと云って、たくさん食べるようなことは致しません。疲労しなくなりました。従来は毎日何か栄養剤を飲んでおりましても、帰宅すると、ぐったりして元気がありませんでしたが、最近は全然栄養剤を服用しなくても疲労感がありません。ジンマシンはその後、全く出なくなりました”この患者は、その後1ヶ月ほど服用すると、自覚的に全快したように思われるので、手術をしなければいけないと云われた大学病院に行って診察を受けたところ、レントゲン写真で調べても、すっかり全治していたので、その医師は驚いていたとのことである《大塚敬節》☆劇痛を訴える副鼻腔炎:「桔梗石膏薏苡仁」《大塚敬節》
■中耳炎:☆悪寒・発熱があり、くび・肩などが強ばる、初期に用いる。:「桔梗石膏」《大塚敬節》☆葛根湯桔梗石膏を用いても、炎症・疼痛が止まない者には、十味敗毒湯連翹を用いる《大塚敬節》
☆初期に耳の中が痛み、悪寒、発熱、頭痛があり、脈は筆力があるときに用いられる。また肩こりを訴えたり、脳膜炎様の症状を呈するときにも用いられる。もし嘔吐を伴うときは、半夏5.0gを加え、煩渇を訴える場合、穿孔性で排膿のあるものには桔梗3.0g、石膏5.0gを加える(漢方診療医典)
■痛風(つうふう):☆初起、発熱、悪寒、苦痛する者:「土骨皮」《方読便覧》
■トラコーマ:☆膿眼:毒に属する者:「川芎・大黄」《方読便覧》
■難聴 ☆感冒のため鼻がつまり、耳管カタルを併発した者や、中耳炎などのために難聴になった者に用いる。その目標は悪寒、発熱、脈浮の状があって、頭痛、肩凝りなどが有る者《大塚敬節》
■にきび
■日本脳炎
■乳汁不足:☆乳汁の分泌を促す効がある。乳房の張りはよく、乳汁が出そうで出ないという婦人に、脈が浮いて力があるのと、肩が凝るのを目標として、用いる、《大塚敬節》
■乳腺炎: ☆乳汁が欝滞して悪寒する者に良い《大塚敬節》
■熱性ケイレン ☆傷寒論では項背の強ばるものに用い、金匱要略では口噤し、て語するを得ず、剛痙をなさんと欲すというものに用いている。ここで剛痙というのは破傷風を指したもので、牙疳緊急して口を開くことができないものに用いる。葛根湯はこの初期で口噤語るを得ずという程度のものに用いる(漢方診療医典)
■寝小便
■ねちがい
■脳炎
■脳膜炎:☆軽症仮性脳膜炎、或いは破傷風の類にして、その初起、脈浮数なる者《奥田謙蔵》
■はしか(=麻疹)☆虚弱な者は→「桂枝加葛根湯」《荒木正胤》
■肺炎
■黴毒:「荊芥・大黄」
■背痛(せなかが痛い)
■破傷風:☆その初、項背強ばり、或いは言語蹇渋、寒慄する者は治すべし。葛根湯、続命湯の類に宜し。無患子、虎杖茎2味煎服亦効あり。☆傷寒論で、項背の強ばる者に用い、《金匱要略》では口噤して語るを得ず、剛痙をなさんと欲すという者に用いている。ここで剛痙とは破傷風を指したもので、牙関緊急して、口を開くことが出来ない者に用いる《大塚敬節》☆《平原元淋》“余が上毛、高崎に寓居の頃、旧藩士大滝某2男年14、5は雨天の時、素足で外に出て右足の甲を少し損傷した。しかし小さい傷だから何もつけず、1日ばかりで治ってしまった。ところが、2、3日たって少し寒気がして熱が出た。そこで診察を乞うた。その症は熱と悪寒が少しあり、脈は遅で腹はややひきつれ、足の甲が少し痛む。その他は大したことはない。主人が破傷風ではないかと問うので、余もそうであろうと答え、投剤しようと急いで帰宅した。すると調剤が終わらないうちに、使者が飛んできて、病人がきわかに半身痛を起こしたという。そこで使者に葛根湯烏頭を与え、再び診察してみるに、諸症は前の通りで、右半身から足にかけて引きつれている。よって、前方をどんどん服用せしめると共に、夕方発汗してから症状が軽快しましたと主人がいう。発泡膏の部が水疱となっていたので、皮を切り去り、また発泡を貼った。3日たって膏薬を変えた。通計6、7日で全治した”
■発声困難:☆喉痺、纒喉風、風熱に属する者を治す「葛根湯桔梗石膏」外含むに「駆風解毒湯桔梗石膏」を以てすれば更に桂なり。
■発熱:☆種痘後の発熱等。《奥田謙蔵》
■鼻炎 ☆かぜをひいて、急性鼻炎を起こしたとき、その初期に一般に用いられる。頭痛、発熱、悪寒、鼻閉塞、鼻汁などのあるとき用いる。慢性の鼻炎にも用いて良い。初音UTのないものでもい。便秘の者には川芎3.0g大黄0.5g~1.0g(漢方診療医典)
■皮下膿瘍
■皮膚炎
■ひきつけ
■肥厚性鼻炎
■瘭疽(ひょうそ)
■風疹 ☆発病初期でクビから肩にかけて強ばり、熱が高く出ても汗が出ず、脈浮数の者に用いる。また、夜、かゆみがひどくて眠れない者には石膏。(漢方診療医典)
■副鼻腔炎 ☆急性期の初期に用いる。発熱、頭重、鼻閉塞、膿汁流出、肩こりなどあるものに用いる(漢方診療医典) ☆慢性に移行した場合によく用いられるのは葛根湯川芎・黄芩・桔梗・辛夷各2.0gである。内熱、便秘の傾向有る者には石膏5.0g大黄0.5g~1.0gがよい。肥厚性鼻炎、鼻茸に連用してもよい。鼻の病にはよく辛夷を加える(漢方診療医典)
■フルンケル()☆癰や疔の発病初期で、悪寒、発熱を主訴とする時期に用いてよい場合がある。《大塚敬節》
■ヘルペス
■片頭痛
■扁桃(周囲)炎:(桔梗石膏)☆扁桃炎、或いは咽喉の諸疾患には、証に由り甘草を増量し桔梗を加う。《奥田謙蔵》☆扁桃炎、咽頭炎などで、悪寒、発熱、頭痛、肩背の緊張感などがあれば:「桔梗石膏」《大塚敬節》
■扁桃膿瘍
■発疹:<痛みがある>☆29歳の婦人。4年前、出産後に栗粒のよいうな発疹が上肢に出来、それがだんだん拡がって、背部・肩・臀部などにも出来た。それは、カユミは大してなく、苦しみは無いが、皮膚がザラザラして気持が悪いと云う。その発疹の色は、皮膚の色と同じで、ただやや乾燥している。冬になると増悪し、夏になると軽快するという。大小便、月経など普通。
そこで当帰飲子を与え、これを2ヶ月あまり飲んだが効がない。そこで十味敗毒湯にした。すると1ヶ月ほどで、だんだん患部が拡がり、反って良くない。思いあまって、葛根湯にしたところ、こんどは日増しに軽快し、2ヶ月ほどで全治した。《大塚敬節》
■麻疹:☆初発のとき、発熱増寒、咽喉腫痛、咳嗽煩渇する者「桔梗石膏」を主とす。世医往々桂麻を忌む。余曰く、疹毒は桂麻石の3品に非ずんば発する能わず。紫蘇荊芥はその奴隷のみ。《麻疹心得続録》☆麻疹、或いは痘瘡の初起等《奥田謙蔵》
■慢性関節リウマチ:☆起床時に痛むがしばらくたつと軽くなる者。
■慢性頭痛
■水虫:☆72歳の婦人。毎年夏になると足に水虫が出来るのだが、今年はことにひどくて、10日ほど前から歩くこともできない。 往ってみると、あまりのひどさに驚いてしまった。両足の足底は全体がグシャグシャになって皮が剥けかかり、黄色の浸出液がジクジク出て、しかもそれが細菌感染を起こして、臭い膿臭を漂わせている。2日前からは悪寒と頭痛がするので、寝込んでしまったという。口渇があり、お茶をよく飲む。便通は快通しない。足は前から非常に痒かったが、ここ数日は痛くで仕方がないという。
体格中等大、肉付き普通、脈はやや浮、腹は心下部がやや堅く張っている。頭痛・悪寒があり、表証の存在は確実である。とすれば薬方は何かということで迷ってしまった。葛根湯を先ず使いたいところだが、口渇、煩躁により白虎加人参湯も考えられる。また局所の状態から考えれば排膿散や十味敗毒湯なども考えられる。合方という手もあるが、それでは反って効果が無いこともあるし、また効果があっても、後々のためにならない。そこで十味敗毒湯石膏を煎剤で与え、葛根湯のエキスを兼用することにした。これならば表証の除去にも、局所の病変の根本的治療にもよいと考えたのである。
1週間分の薬を与えたら、“薬を飲んだら、見る見るうちに良くなった、5日目ぐらい後にはほとんど普通と同じくらいきれいになった”と報告があった。1週間後、家人が薬を取りに来て“もう外見上は何ともない。皆不思議に思っている”とのことであった。
そこで今度は十味敗毒湯だけを1週間分与えた。この時、私は水虫そのものの治療は十味敗毒湯の薬効だとうと考えていた。ところが、4、5日すると電話がかかってきて“煎じ薬を飲んでいるが、また足が痒くなってきて、病人が心配して粉末も飲みたがっているがら至急送って下さい”とのことである。
これはこれはと思って、私はいささか驚いてしまった。ことによると、これは葛根湯が効いたのではないかと気づいたのである。早速葛根湯エキスを1週間分送っておいた。そして7日後、家人がやってきて、“粉薬を飲んだらカユミが止まりました。もう少し薬は続けます”というので、葛根湯が効いたらしいことは、先ず間違いなさそうである。そこで今度は、家人が両方の薬を下さいというのを、強いて説得して、葛根湯エキス剤だけ1週間分与えた。そして、その後は全く順調である。《大塚敬節》
■耳だれ:☆耳:「桔梗石膏」《方読便覧》
■無汗
■無声
■面庁
■網膜炎
■夜尿症 ☆葛根湯や麻黄湯などの麻黄剤が夜尿症に効くという話を亡友吉村得二氏に聞いたことがあり、昼間は尿が多くないのに、夜間になると尿が多く出るというものに用いる効を得たことがあった。患者は、筋肉の緊張がよく、血色もよく、食欲もあり活発な小児であった。(漢方診療医典)
■腰痛症:☆感冒・流感・神経痛・リウマチなどによる腰痛。 ☆熱のある病気の初期に腰痛を訴えるときに用いる《大塚敬節》☆熱の無いときでも、急に腰が痛む時は、リウマチ・神経痛・腰筋痛症の如何を問わず、脈が浮いて力があれば葛根湯を用いる《大塚敬節》☆38歳の男性。頑強な体格で、数ヶ月前から腰痛を訴え、注射その他の手当を受けたが、なかなか軽快しないという。脈を診ると浮にして力があり、全身の筋肉が緊張している。腰痛は圧によって増減することはないが、屈伸時は突っ張るように痛む。脊椎には異常はない。この腰痛も“項背強ばる”の1症とみなして葛根湯を与えたところ、数日後には疼痛が止まった。《大塚敬節》
☆発病初期で、脈にも筋肉にも緊張のある者を目標とする。薏苡仁が良いことがある(漢方診療医典)
■癰疽(ようそ)
■リウマチ
■リンパ腺(管)炎
■リンパ節炎
■]流行性耳下腺炎 ☆発病の初期で悪寒、頭痛、発熱などのある時に用いる(漢方診療医典)
■瘰癧(るいれき)☆初起、宜しく発汗すべし「桔梗石膏」
■脈:☆浮にして力がある、と言われているけれども、これは感冒などで熱のある場合のことで、鼻炎や副鼻腔炎に用いる場合には、必ずしも浮であることを要しない。《大塚敬節》☆腰部や筋肉の緊張が弱く、振水音などを証明し、脈も沈弱である場合には葛根湯を用いない方が良い。《大塚敬節》
【加減方】「+黄芩」=「解肌湯」《外台秘要方》 #葛根湯[2]《東醫寶鑑》「葛根2銭、黄芩・大黄(錯炒)・山梔子・朴硝・甘草各1銭半」水煎服。
◎陽毒を治す。 #葛根湯加川芎辛夷《本朝経験》「葛根湯+川芎辛夷」 ★適応症及び病名 悪寒花粉症項背強頭重頭痛発熱鼻炎(急性・慢性)鼻汁<濃厚>鼻閉副鼻腔炎(急性・慢性)
無汗 #葛根黄芩黄連湯[1-1]《傷寒論》「葛根半斤、甘草(炙)2両、黄芩3両、黄連3両」右四味、以水八升、先煮葛根、減二升、内諸薬、煮取二升、去滓、分温再服。
◎太陽病、桂枝證、医反下之、利遂不止、脉促者、表未解也。喘而汗出者、葛根 黄芩黄連湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證幷治中第六。 「利遂不止」=利ついに止まず。
=ひきつづき下痢が止まない。「遂に」は、ある事柄にひきつづくの意で、ここでは、医者が誤って下剤を用い、それにつづいての意。 #葛根黄芩黄連湯[1-2]《傷寒論》「葛根8両、黄連3両、黄芩3両、甘草(炙)2両」右四味、以水八升、先煮葛根、減二升、内諸薬、煮取二升、去滓、分温再
服。 ◎太陽病、桂枝證、医反下之、利遂不止、脉促者、表未解也。喘而汗出者、葛根 黄芩黄連湯主之。《傷寒論》辨可発汗病脉證幷治第十六。 #葛根黄芩黄連湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「葛根8g、甘草・黄芩・黄連各3g」水320ccを以て先ず葛根を煮て240に煮詰め、他の諸薬を加えて再び煮て
80に煮詰め、滓を去り2回に分服。
#葛根黄芩黄連湯[1-4]《傷寒論》《中薬臨床応用》「葛根6g、麻黄5g、白芍薬9g、桂枝5g、生姜9g。甘草3g、大棗6g」水煎服。◎急性腸炎◎細菌性下痢◎湿熱の下痢
#葛根黄芩黄連湯[1-5]《傷寒論》《漢方治療の実際》 「葛根6、黄連・黄芩各3、甘草2」 ○葛根黄連黄湯は、その葛根を用ふること最も多し。しかして項背強急の証なし、蓋し闕文(文が欠けている)なり。これを下裏して汗出づる者に施すに、終に効あることなし。項背強急して前証ある者は、即ち是れ影響するなり。《薬徴》◎項背強急し、心下痞し、心悸して下利する者を治す。《吉益東洞》◎葛根半斤を用いて項背強急の証なし、蓋し闕文なり。諸を下利、喘じて汗出ずる者に施すに終に効あることなし、項背強急して前証を見る者は其の効影響す、其れ闕文たること疑を容るるなし。《重校薬徴》◎表熱下利・脉促・喘・汗出。
葛根黄芩黄連湯[1-6]《傷寒論》 ★適応症及び病名[1]インフルエンザ[2]息切れ[3]疫痢:☆疫痢で高熱が出て、下痢とともにケイレンを発する場合に用いる。《大塚敬節》[4]嘔吐:☆嘔吐止まず、諸薬無効の者、脈浮数は表邪壅遏に属する。本方を与えすみやかに癒える。☆二日酔いで、嘔吐する者には、五苓散や順気和中湯が良く効くが、嘔吐、下痢があり、また心下部の痛む者には、この方の効く場合がある《大塚敬節》[5]悪寒
[6]肩こり:①悪寒、頭痛 ②感冒<胃腸型> ③下痢<発熱性>④太陽病。[7]感冒:<胃腸型>[8]気管支喘息[9]急性胃腸炎[10]急性腸炎[11]胸中煩悸 ☆平日項背強急し、心胸痞塞し、神思悒欝(ユウウツ)して、舒暢(ジョチョウ)せざる者を治す。或いは大黄を加う。《類聚方広義》[12]ケイレン:☆疫痢の初期のケイレン《大塚敬節》[13]下痢:☆<発熱性>☆(悪臭のある下痢・裏急後重・肛門の灼熱感)☆表邪陥下の下利に効あり。《勿誤薬室方函口訣》☆下痢性疾患にして、裏急後重有り、熱性症候盛にして、心下部満悶し、汗出でて脈浮数なる証。《奥田謙蔵》☆発汗を行いて後病解せず、下痢日に数余行、心下部痞満し、汗出でて脈浮数なる証。《奥田謙蔵》☆下痢の初期に葛根湯を与え、而も下痢止まらず、熱性症候益々増進する等の者。《奥田謙蔵》☆小児早手(=疫痢)の下痢に用いる。☆疹已に出て瀉する者によろし。☆瀉久しくして痢に変ずる者→「乾姜芩連人参湯」《麻疹心得続録》☆傷寒恊熱利して喘する者を治す。☆熱瀉を治す。[14]口渇[15]口内炎:☆口内炎等。《奥田謙蔵》☆口瘡を治す:「紅花、石膏」《浅田宗伯》☆鵝口瘡を生じ、飲食ともに減じた者に:「葛根黄芩黄連湯1/4紅花0.5・石膏3.0」で著効《大塚敬節》☆急性肺炎で、抗生物質を濫用したため、下熱後、カンジダ性潰瘍となり、口腔内及び舌一面に、紅斑様の糜爛を生じ、ところどころに白斑の苔が出来て、飲食が出来ず、言語を発することも困難を感ずる者に、「葛根黄芩黄連湯紅花2.0・石膏10.0」を用いたところ、7日後には、ほとんど苦痛を訴えないほどに軽快した。《大塚敬節》[16]高血圧[17]項背強[18]自汗[19]心悸亢進[20]心下痞:☆微熱ありて下痢頻発し、心下部閉塞の感あり、或いは疼痛する証。《奥田謙蔵》[21]頭痛
[22]赤痢: ☆小児の疫痢。《済世薬室》[23]舌炎 [24]喘息:☆此方の喘は熱勢の内壅する処にして主証にあらず。☆喘息には、証に由り、半夏、石膏、或いは大黄を加う。《奥田謙蔵》[25]歯痛:☆項背強急し、心下痞塞し、胸中寃熱(寃=エン、ぬれぎぬ)して、眼目、牙歯疼痛し、或いは口舌腫痛、腐爛する者には、大黄を加ふれば其の効速かなり。《類聚方広義》[26]丹毒:☆丹毒、及びその類似疾患等。《奥田謙蔵》[27]脳血管障害・後遺症:☆脳溢血の発作後にして、発熱し、心気不安、顔面潮紅及び頭痛、煩躁を現し、脈浮大にして数なる等の証。《奥田謙蔵》[28]発熱:☆艾灸後の発熱。《奥田謙蔵》☆疹後、身熱除かざるを治す。《保嬰撮要》[29]二日酔い:☆酒客の表証に用いるは活用なり。《勿誤薬室方函口訣》☆過酒後の吐下、心痛する者。☆宿酔にして煩熱を訴える等の証《奥田謙蔵》[30]不安神経症[31]不眠症
[32]ほてり [33]麻疹 ☆高熱が出るとともに痙攣を起こすものに用いる。また、高熱、咳嗽があって下痢する者に用いることがある(漢方診療医典)[34]胸苦しい:☆身熱劇しくして心煩し、或いは暴瀉数行、脈浮数なる証。《奥田謙蔵》[35]目が充血[36]やけど:☆火傷後の発熱等。《奥田謙蔵》
#葛根加朮附湯[1-1]《龍野一雄》「葛根4g、麻黄・大棗・白朮各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、炮附子0.3g(又は白川附子1g)」
◎実証の身体の麻痺・疼痛・分泌・化膿症。 #葛根加朮附湯《漢方治療の実際》「葛根湯朮3、附子0.5」 葛根加朮附湯[1-2]《中医処方解説》「葛根湯蒼朮4g、附子1g」★適応症及び病名(かっこんかじゅつぶとう)[1]カルブンケル[2]かぜ[3]潰瘍[4]肩関節周囲炎[5]肩こり
☆肩強急(本方以外に「肩強急」の表現があるのは、延年半夏湯、三味鷓胡菜湯などがある) ☆身体の麻痺、疼痛、実証。 [6]関節リウマチ(上半身の)[7]顔面神経麻痺[8]筋肉痛[9]筋肉リウマチ[10]頸肩腕症候群
[11]項背がこる[12]五十肩[13]座骨神経痛[14]四肢の疼痛[15]四十腕[16]湿疹[]小児の解顱:☆初起の者には急に葛根加朮附湯を与え、紫円を以て之を 攻めば則ち効
あり。その証已に成る者は之を攻めば命を促す。紫円能く上部の毒を治 す。《先哲医話》[]小児四肢痿弱:☆もし痿弱、背骨突起する者及び左右の証異なり偏枯の如きは、急癒し能
わず。《先哲医話》[17]神経痛:☆上肢の神経痛に用いることがある《大塚敬節》[]脱毛:☆油風にて毛髪脱落する者。《吉益南涯》[18]蓄膿症[19]中耳炎[20]発疹[21]フルンケル[]附骨疽:☆熱甚だしき者《方読便覧》
[22]麻痺<四肢の麻痺> [23]慢性関節炎[24]慢性関節リウマチ[25]腰痛症[26]リンパ腺炎[]瘰癧:表を発すれば滞を散ず。《方読便覧》
#葛根加川芎大黄湯《龍野一雄》「葛根4g、麻黄・大棗・川芎各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、大黄1~3g、干姜1g」◎頭部の炎症、発赤疼痛、のぼせ、便秘。
★適応症及び病名 [1]結膜炎[2]湿疹[3]歯痛[4]蓄膿症[5]フルンケル<頭背部> #葛根加半夏湯[1-1]《傷寒論》「葛根4両、麻黄(去節)3両、甘草(炙)2両、芍薬2両、桂枝(去皮)2両、生姜(切)2両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚」右八味、以水一斗、先煮葛根、麻黄、減二升、去白沫、内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升、覆取微似汗。◎太陽與陽明合病、不下利、但嘔者、葛根加半夏湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。
#葛根加半夏湯[1-2]《傷寒論》「葛根4両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚、桂枝(去皮)2両、芍薬2両、甘草(炙)2両、麻黄(去節)3両、生姜3両」右八味、以水一斗、先煮葛根麻黄、減二升、去上沫、内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升、覆取微似汗。◎太陽與陽明合病、不下利、但嘔者、宜葛根加半夏湯。《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
#葛根加半夏湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》「葛根4g、麻黄・大棗各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、半夏8g、干姜1g」◎葛根湯の証にして嘔する者を治す。《吉益東洞》◎《傷寒論》に太陽と陽明との合病必ず自下利す葛根湯之を主ると曰う。下利せず但嘔する者は葛根加半夏湯是を主ると曰う。為則按ずるに合病の説は疾医の言にあらざるなり。項背強急、汗なく悪風、身疼痛して嘔する者は葛根加半夏湯之を主る。《重校薬徴》◎葛根加半夏湯は、太陽と陽明との合病、身熱し、頭疼み、項強り、煩熱し、鼻乾き、目疼んで嘔するを治す。《証治要訣》◎此方は合病の嘔を治するのみならず、平素停飲ありて本方を服し難く、或いは酒客の外感などに、反って効を得るなり。
◎葛根湯の証で吐く者。
★適応症及び病名(かっこんかはんげとう)[1]嘔吐:☆総て葛根湯の証にして、乾嘔或いは嘔吐を発する者《奥田謙蔵》[2]悪寒[3]咳嗽[4]喀痰
☆葛根湯を飲むと吐き気を催す者。[5]急性大腸炎<嘔吐がある>[6]項背強[7]食欲不振:☆葛根湯を与えて、反って食欲減退する者に、本方の応ずる証あり。《奥田謙蔵》[8]身熱[9]頭痛[10]赤痢:☆小児の赤痢、及び疫痢の初期にして、表証有り、或いはその嘔吐を以て始まる等の者。《奥田謙蔵》[11]]発熱[12]]煩熱
[13]無汗 #葛根解肌湯[1]《東醫寶鑑》「葛根・柴胡・黄芩・芍薬・羗活・石膏・升麻・白・桔梗各1銭、甘草5分を剉作して、1貼に姜3、棗2を入れ水煎服。◎陽明経病に目がチカチカし、鼻が乾いて、寝られないとき。
#葛根解肌湯[2]《東醫寶鑑》「葛根3銭、麻黄・黄芩各2銭、芍薬1銭半、桂皮1銭、甘草8分」剉作1貼し「姜3、棗2」入れ水煎服。◎春瘟で発熱し、渇く。
#葛根橘皮湯《東醫寶鑑》「葛根・橘皮・杏仁・知母・黄芩・麻黄・甘草各1銭」水煎服。 ◎冬温の発斑を治す。 #葛根紅花湯《漢方治療の実際》「葛根・芍薬・地黄各3。黄連・梔子・紅花各1.5、大黄・甘草各1」
# 葛根竹茹湯《東醫寶鑑》「葛根3銭、半夏(切って姜汁と漿水で煎じて、焙って乾燥)2銭、甘草1銭を剉作して、1貼に姜3、棗2、竹茹1を弾子大に丸めて服用。◎胃熱があって嘔吐、煩渇・脈早い者を治す。
#葛根片(北京心不全協作組)
1錠中に葛根フラボン100mgを含む。毎日3回、1回1~2錠づつ服用。 4~12週を1クール。 ◎狭心痛。 葛黄丸《東醫寶鑑》(一名葛連丸)
「黄連4両、葛花2両」作末し、大黄末を水で煎じた内に入れ膏をつくり、 梧子大の丸剤。温水で100丸服用。 ◎飲酒過多で熱がつもり、衂血して死に至るとき。
葛朮湯《東醫寶鑑》 「葛根・蒼朮各2銭、枳実・山梔子・甘草各1銭、豆豉1合」作末し水煎服。 ◎酒疸を治す。 葛朮湯《医学入門》《古今方彙》 「葛根・白朮・桂心各1分、豆豉・杏仁・甘草各5分、枳実3分、水煎。 ◎酒疸及び脾経肉疸、労役疸、腎経黒疸を治す。 ◎熱有る者:「桂枝白朮山梔子」
滑石丸《東醫寶鑑》 「滑石末」飯で梧子大の丸剤。10丸を飲む。 ◎傷寒で汗が出ず衂血が出るとき。 滑石散[1] 「寒水石2両、滑石・乱髪霜・車前子・木通各1両、葵子1合」を水1斗を5 升まで煎じる。1回に1升、1日3回。
◎臍下が急に痛み、小便が出ない者。 ◎転で小便不利。 滑石散[2]《東醫寶鑑》 「滑石・石膏各5銭、石葦・瞿麦・木通・蜀葵子各3銭を作末し、毎回2 銭を、葱白2茎・灯心ひとにぎり・蜜2匙を煎じた湯で、空腹時に服用。
◎沙石淋を治す。 滑石散《備急千金要方》 「滑石、通草、車前子、冬葵子」 滑石礬石甘草散《東洞家塾方》 「滑石・礬石各6両、甘草3両」 右3味、杵き篩い作末、毎服1銭温湯にて之を下す。
◎淋病。 ◎小便不利の者を治す。 “余嘗て淋家痛み忍ぶべからずして渇する者を治するに、滑石礬石甘散を用ひ、その痛み立ちどころに息む。”《薬徴》
膈下逐湯《医林改錯》 「五霊脂、当帰、赤芍薬、桃仁、降下、香附子、烏薬、甘草、川芎、牡丹皮、 延胡索、枳殻」 膈下逐湯《医林改錯》《中薬臨床応用》 「五霊脂(炒)・当帰・赤芍薬・桃仁・紅花・香附子・烏薬・甘草各9g、川 芎・牡丹皮・延胡索・枳殻6g」水煎し2回に分服。 ◎内出血に伴う便秘(大黄)。
豁痰湯《万病回春》《古今方彙》 「半夏・山梔子各1銭、海桐皮・陳皮・枳殻各8分、桔梗・赤芍薬・蒼朮・ 香附子各7分、茯苓6分、川芎・欝金各57分、甘草1分」水煎。
◎肩背疼痛するを治す。 ◎痛み甚だしきには:「芒硝」 霞天膏《東醫寶鑑》 「黄牡牛1具を純黄し、肥沢して病の気の全然ない2~3才になったものの、4 腿(ふくらはぎ)・項・脊を取って筋と膜は捨て、精肉でだんご程度の大き さに切って、40~50斤程をきれいな大きな釜にれ、長流水又は清潔な水で 煮るが、煮る時は火を連続に燃やし、ひっくり返しながら、又、水がなくな ったら熱湯を加えながら、水をかぶせて煮る事を忘れない事。そこの浮沫は 取って捨て、肉が溶けて泥のようになったら、濾過して汁を取り、又、小銅 鍋のような容器に柔柴で強火で沸して、上記のように休まず撹拌し、汁がだ んだん稀のようになったら、それを1滴程度、水に溶して散らないと、琥 珀と如王膏が完全になった事になる。しかし一番注意する事は、用心しない と膏にならないから良く注意してやる事である。12斤に膏1斤程度を作り、 磁器に入れて置いて使うから霞天膏と言う。
<1>薬剤に調用するには、最初に少し入れ、徐々に増やすのが良い。 <2>温火で煮詰めると、自然に熔化するから、丸薬を作るなら毎3分に白 蜜1分を入れて一緒に煮詰め糊を作って製丸し、或いは煉蜜で作っても 良い。又、寒天にして置くといつも新鮮である。 <3>夏は冷蔵庫などの冷所に保管すればよい。
◎虚痰・老痰が胸に粘着したときに、この膏を使って吐かせる。そして実痰・新 痰を治すには天南星・半夏を使って燥し、橘紅・枳角で散らし、猪苓・茯苓で 浸透させ、黄芩・黄連で降ろし、巴豆・附子で流通させ、竹瀝・瓜蔞で潤下さ せる。
喝起散 「嫩心(嫩ドン=若い)を陰干しにし作末して、2銭を酒で服用。」 ◎風寒の頭痛を治す。 蝎麝白元子《世医得効方》《東醫寶鑑》 「半夏7両、天南星3両、白附子2両、川烏・天麻・防風・各1両、全蝎5 銭、麝香半銭」を作末し、姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸呑 み、風には温酒で1日3服すれば、数日後に汗をかいて患部が楽にな り、3~5日すぎたらあくびをする。
◎中風の痰涎壅塞と、一切の風疾に諸薬が効かないとき。 蝎梢散《東醫寶鑑》 「羊脛骨(灰)2銭半、麻黄1銭半、草豆蔲皮1銭、羗活5分、桂皮・升麻・ 防風・藁本・黄蓍各3分、白・当帰身・柴胡各2分、全蝎梢少し」を作 末し、牙上にすりつける。
◎大寒により脳を犯し、牙痛ある者。 蝎梢散《東醫寶鑑》 「蝎梢49枚を生薄荷葉でくるんで鍋で炒り、乾いたら再び、「白殭蚕49個」 を入れて姜汁で炒り、乾いたら脳・麝をそれぞれ少し入れて細末にし、「紫 雄鶏肝2片」を煎じた湯で呑み下す。 ◎胎風・臍風などを治す。
果附湯《東醫寶鑑》 「草果・炮附子各2銭半、生姜7、大棗2」水煎服。 ◎瘧疾で、顔色が青く・寒くて震える。 家方三物湯《和田東郭》 =「三物梓葉湯」 「赤梓・忍冬・通草各8分」 赤梓=あかめがしわ 忍冬=にんどう 通草=あけび ◎《和田東郭》の《蕉窓雑話》に詳しい 「この薬全体、癰に用るには半紙2つ切にして、その紙に円くなるほどの大剤 に調合し、水5合を入れ煎じて2合半とし、1日に2貼ほどづつ用ゆ。もし 煎汁多くて呑みかむる者には、よく煎じつめて用ゆ。初よりこれを用ゆれば、 終始この薬一方にて大抵はすむなり。これを用ゆれば、暫時にして高く腫 して蜂の如く穴あきて水出るなり。潰爛に至るときは腐肉トロトロして取 れて生肉上るなり。この薬、肉を通じ、血分を通ずると見ゆ。畢竟疎通の剤 なるゆへよく内托すると見ゆ。実に霊方なり。その薬の尋常なるを以てこれ を軽視すべからず、先ず巧用の著しきことは癰疽などにて用て甚だ功あり。 また飯たきの女などの指先の痛むに用ゆれば、僅かに2~3貼も用る中に、 ぶっくりと腫上るなり、故に風毒流注の未だ潰ゆべきは潰ゆ」 ◎僕郷里、因州鳥取に在っては旧同藩医、戸崎省庵を師とせり、竹中氏の門に遊 んで東郭家を信ずる故、この三物梓葉湯もしばしば試用するに、往々験あり。 その目的は ①必ず醸膿を以てその毒を排せずんば愈べからざる種類の諸瘍にして、膿ま さに成らんとして未だ成らざるの間に用て膿潰を得ること甚だ速なり。 ②諸癰疽及び便毒に多く用ゆ。 ③疔の如き迅速の症には間に合はず。 ④また痔疾及び風毒腫その他諸瘡には未だ確験を得ず。 ⑤又、膿已に成り潰えて後、或いは専ら補托の剤を頼むべき者には決して効 無し。 ⑥されども、癰疽すでに潰ゆと雖も、毒勢なお去らず、痛未だ止まざる者 には、托裏消毒飲に楸葉を加えて面白き効き目あり。
要するに、実症の者に行くべくして虚症には効無しと思われる。 また僕が母方の祖父に衣笠遊鴎と云う者、医を業として亦楸葉を用ひて、婦 人、分娩後、乳房凝結脹大にして乳汁塞て出でず、苦痛する者、或いは出づと 雖も凝りあって痛む者に、葛根湯楸葉を用いて能く消散す。外用よりも楸葉 1味を煎じて蒸さしむ。もし人乳汁乏少にして且つ乳房の凝痛する者には、五 味蒲公英湯楸葉を用ゆるに両全の効あり。」《藤田謙造》
★適応症及び病名 癰疔 牙疼禽嗽薬《東醫寶鑑》 「露蜂房1個の孔すべてに、胡椒・川椒を水につけたものを詰めて蓋をし、 紙で封をして重湯にし、温いうちにうがいをして、冷えたらはき捨てる。」
◎歯牙の疼痛。 画眉膏《東醫寶鑑》 「山梔子(炒黒)3個、雄黄・朱砂・軽粉」少しずつ作末し、清油で調合して 眉に塗る。
◎小児の乳離れに使う。 過敏性鼻炎湯《中薬臨床応用》 「路路通12g、蒼耳子9g、辛夷6g、防風9g、白6g」水煎服。 ◎アレルギー性鼻炎。
荷葉煎《中薬臨床応用》 「鮮荷葉12g、香薷9g、白扁豆6g、冬瓜皮6g」水煎服。 ◎熱射病 ◎日射病 ◎頭が脹る ◎胸苦しい ◎尿が濃い
括蔞薤白桂枝湯《金匱要略》 ◎胸中痺し、満ちて痛み、或いは上衝する者を治す《方極附言》 ◎して痰飲を唾し、胸満し、脇下より逆して心を搗き、その人必ず頭汗出ずる は、括蔞薤白桂枝湯之を主どる。《医聖方格》 ◎世に所謂、痰労とは、咳嗽、胸満して痛み、或いは脇肋肩背攣痛し、粘痰或い は唾血する者なり。此方に宜し。当に胸満、胸背攣痛を以て目的と為すべし。 南呂丸、或いは姑洗丸を兼用す《類聚方広義》 ★適応症及び病 [1]胃痙攣: 胃ケイレン、及びその類証。《奥田謙蔵》 [2]狭心症:
狭心症、及びその類証。《奥田謙蔵》 [3]心臓神経痛: 括蔞薤白白酒湯[1-1]《金匱要略》 =「括呂薤白白酒湯」 「括蔞実(搗)1枚、薤白半升、白酒7升」 右3味、同煮取2升、分温再服。 ◎胸痺之病、喘息唾、胸背痛、短氣、寸口脉沈而遅、關上小緊数、括蔞薤白白 酒湯主之。 《金匱要略》胸痺心痛短氣病脉證治第九。
括蔞薤白白酒湯[1-2]《金匱要略》 「括蔞実2.4、薤白9.6、白酒2合1勺(今、《尾台榕堂》氏に従い、水1合9 勺に米醋(=きず「生酢」)2勺を加えて之に代う)」
括蔞薤白白酒湯[1-3]《金匱要略》《中薬臨床応用》 「括蔞仁15g、薤白9g、白酒60g」水煎服。 括呂薤白白酒湯[1-4]《漢方治療の実際》 「括呂実2、薤白4」を白酒400‹に入れ、150‹に煎じ、1日3回に分服 する。白酒の代用として上等の清酒を用いるがよいとする者と、酢を用い る者とある。酢の場合は水400‹の中に酢40‹を入れる。 ◎山田椿庭の、白酒は醋で良いとしている《大塚敬節》
括蔞薤白白酒湯[1-5]《金匱要略》《龍野一雄》 =「括呂薤白白酒湯」 「括蔞実4g、薤白8g、日本酒140cc」 水を入れずに煮て40ccに煮詰め、2回に分服。 ◎胸中痺して胸背痛み、及び喘息、唾する者を治す《方極附言》
◎胸背痛、心下部疼痛、或いは喘息短気咳唾。 ★適応症及び病名 [1]息切れ [2]胃炎 [3]胃痛 [4]咳嗽 [5]喀痰 [6]肩こり ①肩背強急
②胸痛 [7]感冒 [8]気管支炎 [9]気管支喘息 [10]気胸 [11]狭心症: ☆狭心症、及びその類証《奥田謙蔵》
☆飲みにくいので、少しづつ冷服するとよい。真性狭心症で、胸背痛、喘鳴、呼吸困難のものに用いるが、発作時にも飲んでよい。飲めないときは、発作が治まってかあ飲むようにする。 [12]胸内苦悶感 [13]胸痛: ☆白酒は醋のことである。胸背が痛んで呼吸が困難な者に用いる。 薤白は君薬である。この方を用いて中ると良く効くものである。 たいがい胸痛の甚だしいものは治るものである。括呂薤白半夏湯 はこの湯よりも一段と痛みが強く背へ抜ける者によい。病が一等 重いものである《梧竹楼方函口訣》 [14]肩背強急 [15]呼吸困難: ☆喘息で、咳と痰が出て、胸と背が痛んで、呼吸の促迫する者にこ の方を用いる《大塚敬節》 [16]縦隔腫瘍 [17]心悸亢進 [18]心筋炎 [19]心筋梗塞 [20]心臓神経症 [21]心臓喘息: ☆心臓性喘息、及びその類証《奥田謙蔵》 ☆心臓性喘息や狭心症などで、呼吸が苦しく、胸から背にかけて痛 む者に用いる《大塚敬節》 [22]心不全 [23]膵臓炎 [24]喘息:
☆括呂薤白白酒湯、多年喘息を患う者にこの証が多い。或いは労咳 と云われて百薬の効のない者、例えば、大小の青竜湯または麻黄 甘草湯或いは葛根湯などの証に似て、これらを用いて効のない者 にこの証が多い。この証に似て、茯苓杏仁甘草湯の証がままある。 診察を誤らないようにしなければならない。もしみずおちの動悸 の有無で、この2つの方を区別するがよい。《腹証奇覧翼》 [25]胆石症 [26]肺気腫 [27]肺結核 [28]肋間神経痛 「絡石藤、寛筋藤」《中薬臨床応用》 [29]肋膜炎
括蔞薤白半夏湯[1-1]《金匱要略》 「括蔞実1枚、薤白3両、半夏半升、白酒1斗」 右4味、同煮取4升、温服1升、日3服。 ◎胸痺、不得臥、心痛徹背者、括蔞薤白半夏湯主之。
括呂薤白半夏湯[1-2]《漢方治療の実際》 「括呂実3、薤白3、半夏6」以上を白酒400‹に入れ半分に煮詰め、滓を 去り3回に分服する。 ◎この薬方に入れる白酒は醋でよい。先ず水250ccほどで、180cc位に煎じ、煎 じあがる少し前に、猪口に1杯くらい醋を入れてから呑む。呑みにくい薬だが、 病気の激しい時は、呑みにくいとは感じない。《大塚敬節》
括蔞薤白半夏湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 =「括呂薤白半夏湯」「括楼薤白半夏湯」 「括蔞実4g、薤白3g、半夏8g、日本酒200cc」 水を入れずに煮て80ccに煮詰め、3回に分服。
◎喘咳し、吐逆して臥することを得ず、心痛背に徹する者は、括蔞薤白半夏湯之 を主どる《医聖方格》 ◎必ず痰涎、短息の症あり、且つ必ず背に徹す。《類聚方広義》
◎胸痺痛して臥すことを得ず、心痛背に徹する者。 ◎「括呂薤白白酒湯半夏」で白酒湯よりも、更にその症状の激しい者に用いる 《大塚敬節》
★適応症及び病名 [1]息切れ [2]嘔吐 [3]悪心 [4]喀痰 [5]気管支炎 [6]気管支喘息 [7]気胸 [8]狭心症: ☆狭心症、及びその類証《奥田謙蔵》
☆古人が真心痛といった、狭心症及びこれに類する病気に良く効く 《大塚敬節》 [9]胸痛:<劇痛> ☆劒状突起のあたりの真ん中で起こり、それが背に徹するもので、 その痛みの様子は、口に言い難く、どことなく凄惨にして危篤に みえるものである。《大塚敬節》 ☆この方の患者は、触診を嫌い、脈は沈伏(分かりにくい程に沈む) で、顔色がひどく悪く、煩躁する訳ではなく、陰々と痛み、横臥 出来ないのが特徴である。《大塚敬節》 [10]胸内苦悶感 [11]肩背強急 [12]呼吸困難 [13]縦隔腫瘍
tumor of mediastinum [14]心悸亢進 [15]心筋炎 [16]心筋梗塞: ☆真心痛の激しい者は、朝に起こって夕を待たずして死ぬるもので あるが、椿庭はこのような病人を10人ほど診たが、どれも皆、 括呂薤白半夏湯を多量に呑んで治したという。その内の1人だけ は、この方で効無く、附子理中湯で著効を得、他の1人はいろい ろ用いたが効無く頓死したという。《大塚敬節》
[17]心臓神経症: ☆心臓神経症、及びその類証《奥田謙蔵》 [18]心臓喘息: ☆心臓性喘息、及びその類証《奥田謙蔵》 [19]心臓弁膜症 [20]膵臓炎 [21]胆石症 [22]肺炎 [23]肺気腫 [24]肺結核症 [25]肋膜炎
括蔞薤白半夏湯加減《中薬臨床応用》 「括蔞仁30g、薤白12g、製半夏6g、丹参18g、欝金9g、紅花6g」 ◎狭心症の発作 ◎乾性肋膜炎
括蔞枳殻湯《万病回春》《古今方彙》 =「括樓枳殻湯」 「木香・砂仁・陳皮・貝母・黄芩・杏仁・香附子・括楼仁・枳殻・桔梗・川 芎・蒼朮各1銭、甘草3分、生姜」水煎。「竹瀝、姜汁」を入れ調服。
◎痰欝症を治す。 ◎凡そ痰欝の者は動けば即ち喘満気急寒痰ででず、胸脇痛み脈沈滑なり。 括蔞枳実湯[1-1]《万病回春》《古今方彙》 =「括樓枳実湯」「括呂枳実湯」 「当帰6分、砂仁・木香各5分、甘草3分、山梔子・黄芩・陳皮・括楼仁・ 枳実・桔梗・茯苓・貝母各1銭、生姜、大棗」水煎。「竹瀝、姜汁(少許)」 入れ同じく服す。 ◎痰結して咯吐して出でず、胸膈痛みを作し、転側する能わず、 ◎或いは痰結して胸膈満悶、寒熱気急するを治す。
◎並びに心竅に迷い言語する能わざる者を治す。 ◎咳嗽、食積にて嗽する者は痰嗽膠の如し。 ◎咳嗽にて胸膈結通する者は是れ痰結なり。 ◎早晨に嗽する者は胃中に食積あるなり。 (晨=シン、あした) ◎上半日嗽多き者は胃中に伏火あるなり。ともに此方に宜し。 ◎健忘:痰が心竅に迷い、神は舎を守らず、人をして健忘せしむる者を治す。 依りて:「遠志石菖蒲」 ◎脇痛:痰結して脇下痛むを治す。 依りて:「白芥子青皮小茴香桔梗黄芩」 発熱する:「柴胡」
括呂枳実湯[1-2]《漢方治療の実際》 「当帰・茯苓・貝母各3、括呂実・桔梗・陳皮・黄芩・生姜各2、縮砂・木 香・甘草・梔子・枳実・竹瀝各1」今、竹瀝の代わりに、竹茹3、または 竹葉を以て代用する。 ◎目標:《木村長久》 4、50歳で従来多量に喫煙を嗜む者。
皮膚は汚穢色で血色に乏しく、やや弛緩して、枯燥の気味がある。 脈は硬く触れ脈管硬化を察する。 腹筋は枯燥拘急し、ことに心下部には腹直筋の攣急を触れる。
以上の目標にて、此方を慢性咳嗽に用うれば的中せざることほとんど稀で ある。また、喫煙家でなくとも、此証があれば応用目標となる。括呂枳実湯 の咳嗽には気急と云い、喘咳と云うのが特長となるから注意を要する。以上 によって本方を慢性気管支炎・肋膜炎・肺炎・肺気腫・肺結核などに応用し ていたが、今度は前記の目標を以て運用してみようと考えた。そこで第1に 試みたのが、食後1~2時間あるいは空心時に胃痛を訴える溜飲症ないし胃 酸過多症である。喫煙家で溜飲症の胃痛を訴え、前記の証を具えた者に応用 したところ果たして奏効した。そこで私は括呂枳実湯は慢性ニコチン中毒と 関係があると考え、喫煙家に多い病症に次々と応用したところ、何れも良い 結果を得た。今まで経験したものは、動脈硬化症で身体疲れやすく、諸神経 痛、肩凝り、脳力低下を覚える者。慢性ニコチン中毒による心臓衰弱症にて、 動悸息切れを覚え、時々狭心症類似の発作を現す者。及び狭心症である。 ◎鑑別:「柴陥湯」 「この方と柴陥湯とは、咳嗽があって、胸痛を訴え、痰が粘稠で切れにくい、 という点では同じで区別しにくいが、柴陥湯には気急という症状が無い」 と述べている《大塚敬節》
括蔞枳実湯[1-3]《増補万病回春》 「枳実、括蔞仁、桔梗、茯苓、貝母、陳皮、黄芩、山梔子、当帰、砂仁、木 香、甘草、生姜」
括蔞枳実湯[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》 =「括樓枳実湯」「括呂枳実湯」 「当帰、縮砂、木香各1.5g、甘草・干姜各1.0g、山梔子・黄芩・陳皮・瓜蔞 仁・枳実・桔梗・茯苓・貝母各3.0g」 ◎痰結して喀吐出でず、胸膈満悶、寒熱気急し、或いは胸膈痛を作し、轉側する 能わざるを治す。 ◎実証の粘痰喀出困難、胸痛、胸部満悶、或いは熱気。
◎目標:《療治経験筆記》 喘息 胸痛 咳嗽して息を止む 小便赤く 脈実数 以上の5症は此方を用いる目標である。この5の中、喘急、胸痛があって、 呼吸の間に、息を引とめる意があれば、脈と小便の色を問題にせずに用いて よい。 ◎胸がべったりとして肋骨の間が痛み。或いは悪寒のあとで、熱が出て、痰がの どの塞がってなかなか出ず。或いは飲食物がつまって下りにくい者。或いは首 筋から肩へかけてひどく凝る者に良い。結局、肺と胃に潜在性の炎症があって、 痰が粘って、このような症状を呈する者である。《梧竹楼方函口訣》 ◎この方は、腹部が軟弱無力というような虚証や疲労倦怠感の甚だしい者や、食 欲不振・下痢などの証のある者には用いない。滋陰至宝湯や味麦益気湯よりは、 はるかに実証で、体力のある者に用いる《大塚敬節》 ★適応症及び病名(五十音順) [1]胃液分泌過多症 [2]胃酸過多症 [3]咳嗽: ☆早朝の咳嗽《衆方規矩》 ☆咳が胸にひびく者。 ☆咳で呼吸が止まりそうになる者。 ☆咳をして息苦しいという者が目標で、老人の喘息様の咳嗽に、この 方を用いる証があるが、ただ痰が粘稠で切れにくいというだけでは、 息苦しさを訴えない者もある《大塚敬節》 ☆気喘する者:「蘇子桑白皮」 ☆午前中だけ咳嗽があり、その他の時には何のことも無いという者に、 この方を与え、半年以上続いた慢性咳嗽を治したことがある《大塚 敬節》 [4]喀痰<濃厚な痰>
[5]気管支炎(急性・慢性) ☆喫煙家の慢性気管支炎・気管支拡張症で、朝目覚めると、しばらく 咳が続き、タンが絡んで切れにくく、息苦しい者。 ☆体格は頑丈だが、乾燥肌の喫煙家。 [6]狭心症
☆本方は、タバコのみの慢性気管支炎に用いられることがあり、それにヒントを得て、喀痰が胸に塞がって、胸痛、呼吸困難を訴え、言語の出にくいのを目標にして、狭心症様の発作のあるものに用いる(漢方診療医典) [7]胸痛: ☆肺炎、気管支炎などで、呼吸が苦しく胸痛を訴える者に、この方を 用いてよい場合のあることが考えられる。ことに中年以降の方で、 タバコを好み、からだの肉付きがしまった人で、咳嗽時に胸痛を訴 え、痰の切れにくい時に良く効く。《大塚敬節》 [8]高血圧症 [9]呼吸困難 [10]心痛 [11]動脈硬化 [12]尿色<赤濁> [13]肺炎: ☆陳久性肺結核があって、喫煙家で、酒飲家で喘息様の咳嗽を訴える 者に、この方を用いて著効を得たことがある《大塚敬節》 [14]発熱 [15]皮膚枯燥 [16]老人の慢性咳嗽 [17]肋膜炎
[18]肋間神経痛 括蔞瞿麦丸《金匱要略》 「括蔞根2両、茯苓3両、薯蕷3両、附子(炮)1枚、瞿麦1両」 右五味、末之、煉蜜丸梧子大、飲服三丸、日三服、不知、増至七八丸、以 小便利、腹中温為知。 ◎小便不利者、有水気、其人若渇、括蔞瞿麦丸主之。 《金匱要略》消渇小便利淋病脉證幷治第十三。 ◎此方は水気にて小便不利、苦渇する者を治する方なれども、凡て「八味丸」の 症にて地黄の泥恋して服しかぬる症に用いるべし。 ◎腎気丸の証にして地黄を嫌忌する者を治す。《先哲医話》 ◎心下悸し、小便利せず、悪寒して渇する者を治す《方極》 ◎消渇、「八味丸」の症にして小便不利する者は此方に宜し。蓋し此方は、火酒 を製するような仕掛けにて、附子、下焦の火を補い、茯苓、薯蕷、中焦の土を 補い、括蔞根、上焦を清し、水と火と上下にありて中の水気を蒸したてる趣向 なり。《勿誤薬室方函口訣》 ◎夜に入って口渇し、舌乾き眠るを得ざる者、久しきを経ば、必ず消渇と為る。 此の煉蜜をゆるゆる服するに宜し。《雑病翼方》 ◎《沈明宗》曰く、利水発汗は乃ちその常を言う、而して未だその変に及ばざる なり。当に実者を審(つまび)らかにし。その常を施し、虚者はその変を施すべ し。但し治変の法は、汗せんと欲する者は当に補陽。即ち「麻黄附子湯」の類 を兼ねるべく、小便を利せんと欲する者はその陰を養う。即ち「括蔞瞿麦丸」 の類を兼ねるべし。 ◎《庭劉》曰く、此方は小便閉して腎気丸に宜しく、而してその人厭いて泥恋 する者に甚だ験ありと。《雑病論識》 ★適応症及び病名
脚気: ☆軽症脚気等にして、下肢に冷感有り、口中乾燥するも、あえて水を欲 せず、尿利減少し、微しく心悸亢進を覚える証《奥田謙蔵》
☆産後の脚気等《奥田謙蔵》 括蔞桂枝湯[1-1]《金匱要略》 「括蔞根2両、桂枝3両、芍薬3両、甘草2両、生姜3両、大棗12枚」 右六味、以水九升、煮取三升、分温三服、取微汗。汗不出、食頃啜熱粥發 之。 ◎太陽病、其證備、身體強、几几然脉反沈遅、此為。括蔞桂枝湯主之。 《金匱要略》湿病脉證第二。
括呂桂枝湯[1-2]《漢方治療の実際》 「桂枝湯括呂根3」 括蔞桂枝湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》 =「括呂桂枝湯」 「括蔞根・甘草各2g、桂枝・芍薬・大棗各3g、干姜1g」 水360ccを以て煮て120とし、3回に分服。 ◎身体強り、脉沈遅。 ★適応症及び病名 痙性麻痺
痙病 括蔞牡蠣散《金匱要略》 「括蔞根・牡蠣(熬)」等分。 右為細末、飲服方寸匕、日3服。 ◎百合病渇不差者、括蔞牡蠣散主之。
《金匱要略》百合孤惑陰陽毒病證治第三。 ◎休息痢で百薬効なきとき。 括蔞湯[1]《黴新書》 =「括楼湯」 「括蔞根・牡蛎・甘草各1銭、連翹・羗活各2銭、反鼻8分」 ◎湿労:結毒咳嗽して連々虚労状をなす者。
(参照→九味柴胡湯[1]《高階枳園》) 括蔞湯[2-1]《潜名方》 =「括呂湯」 「括蔞仁1枚、橘皮1両、半夏1両、枳実1両、桂枝、桔梗、薤白、厚朴、 生姜」
括呂湯[2-2]《漢方治療の実際》 =「括楼湯」 「括呂実・桂枝・半夏各4、橘皮・厚朴・薤白各3、枳実2、生姜・桔梗各2」 ◎胸痺を治す。 ◎此方は括蔞薤白白酒湯の変方にして、括蔞薤白白酒湯の激する者、此方中庸を 得て効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎痰飲胸膈に結氏、痛忍ぶべからず、咳嗽、喘鳴、気急の者は小陥胸湯に宜し。 もし胃中伏火ありて咳嗽気急、あるいは膠痰を吐き胸痛する者、瓜蔞枳実湯に 宜し。
◎胸中痛背に引きて微咳、熱候なき者は此方の主なり。 【適応】 狭心症 括楼薤白白酒湯が飲みにくくて、おさまらないもの。または括楼薤白白酒湯を飲んで、かえって病勢が激発するものによい。痛みが胸から背に抜けて、呼吸促迫の甚だしいものを目標にする(漢方診療医典)
乾葛湯《医学入門》《古今方彙》 「乾葛・枳殻・半夏・茯苓・生地黄・杏仁各5分、黄芩・甘草各2分半、黒 豆100粒、生姜、白梅」水煎。
◎たまたま飲酒して痔瘡を発動し腫痛して流血するを治す。 乾姜甘草湯《外台秘要方》 「甘草乾姜湯《傷寒論》」に同じ。 ◎吐逆、水薬下らざる者を治す。
乾姜半夏人参丸[1-1]《金匱要略》 =「乾姜人参半夏丸」 「乾姜1両、人参1両、半夏2両」 右三味、末之、以生姜汁糊為丸如梧子大、飮服十丸、日三服。 ◎妊娠嘔吐不止、乾姜人参半夏丸主之。 (婦人妊娠脉證幷治第二十) ☆乾姜人参半夏丸、本治の例に依って、試みにその功を推すし、心下に結実の毒 あり、しかして嘔吐止まざる者、実に是れ之を主る。《薬徴》
乾姜半夏人参丸[1-2]《金匱要略》 ◎《温知堂雑著》 「半夏乾姜人参丸を嘔吐に用いるにも、本条に言うとおり、嘔止まずと云うを 目的にして用いる。これは他薬を用いて効無く、悪阻久しく止まず胃中虚寒 を帯びるところに用いる。それ故に始めからこの方を与えても効がない。余 は3味を等分にして、普通の煎剤の1貼の量に調合して、水1合3勺を入れ、 6勺に煮詰め、これを10回に分けて、極少量をたびたび呑ますようにして いる。
この方の応ずる嘔吐の模様は、飲食すると直ちに吐出して、諸薬を呑んで も受け付けない者に良い。 なお、この方の適する者は、1、2貼、服する間に、必ず気持が良くなる ものである。2、3貼を服しても、なお少しも効を診ない者は、この方の応 じない者である」
★適応症及び病名 [1]嘔吐: ☆頑固な嘔吐に乾姜半夏人参丸烏梅丸で著効を得ることがある。《大塚 敬節》 ☆安井仲平の娶(シュウ、めとる)、歳20ばかりは、産のあと胃の消化が悪 く、ときどき飲食を吐きひどく痩せ、ついに大嘔吐を発し、薬も食事も 一切口に入れることが出来なくなった。脈をみると、微細で、四肢は微 冷し、口は乾燥して冷水をほしがる。医はただ手を束ねてどうすること も出来ない。
余はこれを診察して、半夏乾姜人参丸料を作り煎じて冷たくした液を、 時々、蛤の殻に1杯づつ呑ましめ、又冷水で烏梅丸を呑ましめた。そこ で始めて薬が咽を下り、嘔吐が止み、2、3日を経て、薄い粥をすする ようになった。やっと胃の機能が回復した。
そこで、1ヶ月あまり前方を続けると、肉づきよく肥満して、健康体 となった。《橘窓書影》 [2]吐水: ☆旧幕府市予、池田播磨守の妾40歳あまりが、かねてから吐水のくせが あったが、炎暑のため病勢つのり、食欲は全くなくなり、痩せて骨ばか りとなった。それに胸が痛むように灼けて冷水を好む。
余は半夏乾姜人参丸料を与え、烏梅丸を兼服せしめた。するとたちま ち嘔吐が止み、胸が焼けるように痛むのも、日々に減じ、飲食も日毎に 進むようになった。《橘窓書影》
甘桔湯[1-1]《外科正宗》=桔梗湯《傷寒論》 「桔梗1両、甘草2両」 甘桔湯[1-2]《東醫寶鑑》 「桔梗3両、甘草1両」を粗末にし、毎回5銭を水煎し、冷服。
◎咽痛。 甘桔湯[1-3]《小児薬証直訣》《古今方彙》 「甘草(炙)2両、桔梗1両」水煎温服。又阿膠を入れて煎じる。 ◎熱涎を咳吐し、咽痛みて利せざるを治す。
#甘桔湯[2]《万病回春》《古今方彙》「桔梗3銭、防風・荊芥・黄芩・薄荷・甘草各1銭」水煎、食後頻繁に温服する。 ◎小児の咽喉腫痛、風毒等の症を治す。
#甘汞丸《華岡青州》「甘汞1銭、黄連解毒湯末3銭」◎陰中糜爛 #甘草湯[1-1]《傷寒論》「甘草2両」右1味、以水3升、煮取1升半、去滓、温服7合、日2服。◎少陰病23日、咽痛者、可與甘草湯。不差、與桔梗湯。
《傷寒論》辨少陰病脉證幷治第十一。 #甘草湯[1-2]《傷寒論》《龍野一雄》「甘草2g」水120ccを以て煮て60に煮詰め、2回に分服。 #甘草湯[1-3]《漢方治療の実際》「甘草8」
証(咽痛の者)《薬徴》◎病逼迫し及び咽喉の急痛する者を治す《吉益東洞》 ◎此方も亦その用広し。第一咽痛を治し、又諸薬吐して納まらざる者を治し、又薬読を解し、又蒸薬にして脱肛の痛楚を治し、末にして貼ずれば毒蟹・竹木刺などを治す。《勿誤薬室方函口訣》◎甘草。味甘平、毒を解し、中を温め、気を下し、渇を止め、経脈を通じ咽痛を去る。けだし甘草湯は、以て中気を安んじ、痛を緩むるを主るなり。《古今薬議》◎咽痛。咽の使いすぎ。激しい咳。
◎漢方では胃潰瘍という病名で甘草を用いるのではない。《傷寒論》に特に少陰病とあるのに注目しなければならない。少陰病では新陳代謝が衰え、手足が冷え、脈が微細で、生気に乏しいという症状がある。甘草湯を用いるにも、このような状態が必要である。《大塚敬節》
甘草湯[1-4]《傷寒論》★適応症及び病名(かんぞうとう)[1]アナフィラキシー ☆抗原抗体反応に基づく生体反応と定義(→病状:アナフラキシー)[2]胃潰瘍:☆甘草はすべての急迫性の疼痛に用いられる《大塚敬節》
☆傷寒論に“少陰病、咽痛のものは甘草湯を与う”とあって、本方は咽痛ばかりでなく、腹痛、痔痛、四肢痛などで急迫症状の激しい者に用いて効があり、ヨーロッパでは胃潰瘍の薬として評判になり、日本でも追試して薬効が認められた。しかし少陰病の徴候のある胃潰瘍に用いることが望ましく、そうでないと、尿利減少、浮腫、血圧上昇などが現れる。(漢方診療医典)[3]胃ケイレン
[4]咽頭炎:☆急性咽頭炎の初期で、急にのどの痛くなった者似よい。《大塚敬節》☆疼痛の激しい者に良く効くが、激しくないものでもよい。咽頭が乾燥気味で痛む者に良い。これをしばらく口に含んでいて、少しずつ嚥下するようにすると良い《大塚敬節》
[5]咽痛:☆激痛ではない、腫脹なし。☆諸薬口に入らない時、痛の甚だしい時ほど効果大《済世薬室》☆炎症性甚だしからずして、咽痛を発する等の証《奥田謙蔵》
[6]咳嗽 [7]気管支炎: ☆空気乾燥して喉を痛めた時《済世薬室》 [8]気管支喘息 [9]吃逆[10]急迫症状[11]驚狂[12]胸痛[13]筋肉攣縮(筋肉のケイレン)
[14]ケイレン性疼痛 [15]口内炎(アフター性) [16]呼吸促迫[17]嗄声:☆声音嘶嗄等《奥田謙蔵》[18]四肢疼痛[19]痔の疼痛(外用、湯煎し患部を浸ける。)☆エキス4g~10gを湯おけに溶かし、患部を浸ける《螺王人》
☆温湿布によって、急迫性の激しい疼痛を緩解せしめることが出来る。また内服しても良い。ただし疼痛のあまり強くない場合の温湿布は五物大黄湯でよい。《大塚敬節》[20]歯痛:☆突然に激しく歯の痛む者に用いる。甘草には急迫を緩める効があるので、激しい疼痛を治する効がある。疼痛の軽いものには効がない。《大塚敬節》
[21]上逆[22]心悸亢進[23]心臓神経症[24]心煩 [25]咳[26]胆石症 [27]窒息 [28]中毒[29]手足厥冷 [30]尿閉
[31]排尿痛 [32]発声困難[33]煩躁[34]ヒステリー[35]腹痛:☆凡そ紫円、備急円、梅肉丸、白散等を用いて、未だ快吐下を得ず、悪心、腹痛し、苦楚、悶乱する者、甘草湯を用いるときは、則ち吐瀉倶に快く、腹痛頓に安し。《類聚方広義》
☆感冒や急性胃腸炎による腹痛を訴えた小児の有効率は97.5%(症例集積研究)[36]腹直筋緊張 [37]ベーチェット病 ☆口腔粘膜潰瘍にゆっくりとうがいしながら用いる(漢方診療医典)
[38無声 [39]虫さされ #甘草湯[2]《腹証奇覧》 「甘草・桂枝・芍薬・阿膠各8分、大黄1銭」◎癲癇・腹中拘攣・急迫。或いは腹満・時々息迫・上衝する者。◎此方テンカンの急迫を緩和する効あり。柴胡加竜骨牡蛎湯、紫円或いは沈香天麻湯などを与えて逆に激動し苦悶止まざる者に、此方を用いて一時の効を奏することがある《勿誤薬室方函口訣》
#甘草湯[3]《東醫寶鑑》「甘草・瓜蔞根各2銭」剉作し、水煎服。◎痘瘡で煩渇し、水を飲んでも渇がもっとひどくなる。
#甘草湯[4](一名升麻鼈甲湯)《東醫寶鑑》 「炙甘草・升麻・当帰・桂枝各1銭、雄黄・川椒各1銭半、鼈甲(酥炙)3銭、を剉作1貼して、水煎服。毒は汗と共に出る。出ない時は再煎服する。
◎陰毒を治す。 #甘草黄連石膏湯《吉益東洞》《勿誤薬室方函》 「甘草・黄連・石膏」「鵲石散」《普済本事方》に同じ。◎此方はすべて煩熱渇を主として用いるべし。《勿誤薬室方函口訣》★適応症及び病名[1]驚癇:☆参連白虎湯の之く処。☆風引湯の劇しき症。[2]骨痛[3]傷寒発狂:☆或いは衣を棄て奔走し、垣根をこえ屋に登る者を治す。[4]小児の発育不全:☆小児23歳に至るまで骨格不堅、諸薬無効に此方を与える。[5]吐逆:☆嘔吐、煩渇、心下苦悶する者:「小半夏加茯苓湯」
#甘草乾姜湯[1-1]《傷寒論》「甘草(炙)4両、乾姜2両」右二味、以水三升、煮取一升五合、去滓、分温再腹。◎傷寒脉浮、自汗出、小便数、心煩、微悪寒、脚攣急、反與桂枝、欲攻其表、此誤也。得之便厥、咽中乾、煩躁吐逆者、作甘草乾姜湯與之、以復其陽。若厥愈足温者、更作芍薬甘草湯與之、其脚即伸。若胃氣不和譫語者、少與調胃承気湯。若重発汗、復加焼針者、四逆湯主之。《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。◎問曰、證象陽旦、按法治之而増劇、厥逆、咽中乾、両脛拘急而譫語。師曰、言夜半手足當温、両脚當伸、後如師言、何以知此。答曰、寸口脉浮而大、浮為風、大為虚。風則生微熱、虚則両脛攣。病形象桂枝、因加附子参其間、増桂令汗出、附子温経、亡陽故也。厥逆、咽中乾、煩躁、陽明内結、譫語煩乱、更飲甘草乾姜湯、夜半陽氣還、両足當熱、脛尚微拘急、重與芍薬甘草湯、爾乃脛伸。以承気湯微溏、則止其譫語。故知病可愈。《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
◎傷寒脉浮、自汗出、小便数、心煩、微悪寒、脚攣急、反與桂枝、欲攻其表、此誤也。得之便厥、咽中乾、煩躁吐逆者、作甘草乾姜湯與之、以復其陽。若厥愈足温者、更作芍薬甘草湯與之、其脚即伸。若胃氣不和譫語者、少與調胃承気湯。若重発汗、復加焼針者、與四逆湯。《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。
#甘草乾姜湯[1-2]《金匱要略》 「甘草(炙)4両、乾姜(炮)2両」右㕮咀、以水三升、煮取一升五合、去滓、分温再服。◎肺痿吐涎沫而不欬者、其人不渇、必遺尿、小便数、所以然者、以上虚不能制下故也。此為肺中冷、必眩、多涎唾、甘草乾姜湯以温之。若服湯已渇者、属消渇。《金匱要略》肺痿肺癰欬嗽上氣病脉證治第七。
#甘草乾姜湯[1-3]《東醫寶鑑》「炙甘草4銭、乾姜(炮)2銭」を剉作1貼して水煎服。 ◎煩躁・吐逆・厥逆を治す。◎肺痿で涎沫を吐き、咳のない者を治す。
#甘草乾姜湯[1-4]《傷寒論》《龍野一雄》「甘草4g、乾姜2g」水120ccを以て60に煮詰め、2回に分服。 証(厥して咽中乾き、煩躁)《薬徴》
「厥、咽中乾」厥して咽中乾き=手足が冷たくなって、口の中に唾液が無くなって乾燥する 甘草乾姜湯証=厥・咽中乾。煩躁吐逆。《薬徴》 [厥]=厥冷に同じ
[咽中乾]=のどに湿りがなく乾く。口渇ではない。 [煩躁吐逆]=もだえ苦しんで吐く。 ◎厥して煩躁し、涎沫の多き者を治す《吉益東洞》◎此方は簡にしてその用広し。《勿誤薬室方函口訣》◎余、甘草乾姜湯を用いるに、その乾姜を炒黒し、「五味子2銭」とし甚だ効あり。《雑病翼方》
◎足冷・咽中乾・煩躁吐逆。或いは肺痿・涎沫を吐し、遺尿・小便数。◎寒性症状があって、新陳代謝の沈衰した者を目標にする。脈は沈にして力なく、手足ことに下半身が冷え、口にはうすい唾液がたまり、尿は水のように稀薄でたくさん出る者に用いる。《大塚敬節》
◎本方は手足の厥冷、多尿、多唾を目標にして用いる。尿も唾液も希薄である。 医師の逆治またはショックなどで手足の厥冷を来した場合には、煩躁の状を呈することがある。《漢方診療医典》
#甘草乾姜湯[1-5]《傷寒論》《漢方治療の実際》「甘草4、乾姜2」 *「+附子」=四逆湯*「+茯苓・朮」=苓姜朮甘湯*「+人参・朮」=人参湯
★適応症及び病名(かんぞうかんきゅうとう)[1]アレルギー性鼻炎[2]息切れ[3]萎縮腎[4]遺尿:☆肺痿の冷症は、その人、肺中冷、気虚し、津液を温布すること能わず、津液聚めて涎沫に化す。故に唾多く出る。然れども熱症の者の唾凝って重濁なるが如きに非ず、又咳なく咽渇せず、彼は必ず遺尿小便数なり。此症に甘草乾姜湯を与えて甚だ奇効あり。☆涎沫を吐して咳せず、遺尿し、小便数鳴る者。南呂を兼用《方機》[5]運動麻痺[6]喀痰(うすい)[7]吃逆:(しゃっくり)☆吃逆を発し、手足冷え、その脈微なる証《奥田謙蔵》[8]気管支炎[9]気管支喘息[10]逆上感[11]胸痛:☆胸脇偏痛を治す。これみな毒心胸に迫るの致す所なり。[12]厥冷:☆全身の厥冷<急激に起こった厥冷>☆煩躁し四肢が冷える☆大率(オオム)ね、急卒に逆冷する者は、此方に宜しく、大病、荏苒として癒えず、而して厥冷する者は、四逆の輩に宜し《類聚方集覧》☆足厥し、咽中燥き、煩躁し嘔逆する者《方機》☆吐下の後、厥逆、煩躁し、如何ともす可らざる者《方機》[13]下痢:☆久痢を治す、兼用は承気丸なり《類聚方集覧》[14]口内乾燥[15]呼吸困難:☆大発汗の後、呼吸促迫し、或いは乾嘔を発し、或いは心煩しその脈弱にして数なる証《奥田謙蔵》
[]後陣痛[16]しびれ[17]子癇:☆産前の子癇は産後の痙と同じくす。ともに甘草乾姜湯に宜し。 又、産後の痙に豆淋酒を用いるは、之を酔わしめ筋脈を緩くするの取るなり。《方読便覧》[18]子宮出血(冷え性)[19]自家中毒[20]自汗
[]弛緩性出血[21]上熱下寒:☆上は熱し、下は冷え、或いは煩躁して安んぜず、その脈弱にして数なる証《奥田謙蔵》☆発汗し、汗出でて後、頭熱し、足冷え、胸部満悶し、乾嘔を発し、その脈緩にして弱なる証《奥田謙蔵》
[]小便自利[22]心悸亢進:☆熱候なくして脈浮数、心悸亢進及び逆上感あり、二便に著変なき証《奥田謙蔵》[23]精神不安:☆汗下の後、困悶、擾動して安んぜず、或いは嘔し、或いは渇し、或いは呼吸促迫し、二便に著変なき証《奥田謙蔵》[24]赤痢:☆赤白痢を治す。末と為し、蜜にて丸し服す《魏氏家蔵方》☆腸風、血を瀉す痢の如く、腹中㽲痛し、面色萎黄なり:「黄連」《雑病翼方》[25]喘息:☆虚候の喘息に此方にて黒錫丹を送下する。《勿誤薬室方函口訣》[26]前立腺肥大[27]唾液分泌過多症:☆此方を服することを嫌い、咳なくただ多く涎沫を吐して、唾に非らざる者→「桂枝去芍薬加莢湯」を用いて奇効あり。[28]大腸炎[29]脱汗:☆発汗の後、脱汗止まず、頭熱し、足冷え、口舌乾燥し、呼吸促迫、心悸亢進を発し、その脈浮弱なる証《奥田謙蔵》[]多唾[30]食べられない:☆大発汗の後、熱解するも、嘔逆、煩渇し、食物咽に下らず、手足微例し、その脈微浮なる証《奥田謙蔵》[31]知覚麻痺
[]手足厥冷 ☆医師の誤治によって急激に手足厥冷、煩躁、吐逆、口内乾燥などを起こした場合に頓服。《漢方診療医典》[32]テンカン:☆癇を発し、角弓筋惕、気急促迫し、あるいは叫呼する者。[33]盗汗:☆能く自汗盗汗を治す。その理は承気湯の陽明自汗を治すると同じ。《先哲医話》[34]凍傷:《奥田謙蔵》[35]吐逆
:☆<激しい><急激に起こる>☆煩躁なくてただ吐逆して苦味の薬用い難き者。☆水薬下らざる者を療す。《雑病翼方》☆瀉心湯や呉茱萸湯のような苦味の薬を与えて、反って嘔吐が激しくなるような者に良い《大塚敬節》[36]吐血:☆(冷え性で)☆傷胃の吐血に用いる。☆吐血を治す絶妙なり。男子婦人吐紅の疾を治す。けだし是久病、或いは急労となり、その栄衛を損じ、壅滞の気、血に上る妄行の致す所なり。もし投ずるに生地黄などの凉剤を以て之を治せば、必ずその死を求めん。即ち甘草乾姜湯。☆《陳念祖》曰く、血症凉薬を服して止まざる者。甘草乾姜湯を得れば神の如しと。[37]尿意頻数:☆咽渇せず尿意数なる者。「猪苓湯甘草」も可なり。[38]尿失禁☆咳をすると尿がもれる。[39]尿道炎[40]尿の色(うすい)[41]尿量多い[42]肺結核:☆肺痿の吐涎沫に用いる。
☆肺痿の症具わりてせず、渇せずば、乃ち熱無きを知るなり。《雑病論識》☆肺痿、涎沫多く、小便数の者:「芍薬」[43]鼻水(薄い)[44]煩躁:☆傷寒の煩躁吐逆に用いる。☆手足が厥冷して、煩躁吐逆する者に用いる薬方であるが、煩躁がなくても用いてよい《大塚敬節》
[45]冷え症:☆多唾・多尿などがあって、寒冷を訴える者に用いる《大塚敬節》 ☆平素から冷え性で、尿意頻数、多唾、めまいなどある者《漢方診療医典》[46]ひきつけ[47]皮膚の色: ☆<黒ずんでいる>[49]瘭疽:☆瘭疽、及び諸種の炎症性腫瘍等にして、熱性症候なく、ただ疼痛劇甚なる証《奥田謙蔵》[50]頻尿<老人・虚弱者>[51]腹痛[52]腹脹満:☆病人、甘遂、大黄、大戟、桃花の類を服し、下利せず反って腹部腸満する者は当に胃気を和すべし。「芍薬」《先哲医話》[53]膀胱炎[54]めまい:☆熱候なく、脈やや浮大にして、腹部軟弱、頭眩し、煩悶、躁擾し、時に昏憒する証《奥田謙蔵》☆老人、平日小便頻数に苦しみ、涎を吐して短気し、眩暈して起歩し難き者は、此方に宜し《類聚方広義》[55]目眩[56]夜尿症
[57]よだれ:☆13歳少女。夜間眠っている間に、よだれが沢山流れ、昼間は、咳が出ないのに、痰のような、ツバのようなものが沢山出るという。この方を与えて全治した《古訓医伝》
#甘草乾姜茯苓白朮湯《金匱要略》=「苓姜朮甘湯」を参照。 「甘草2両、白朮2両、乾姜4両、茯苓4両」以水5升、煮取3升、分温3 服、腰中即温。
#甘草桔梗湯《傷寒論》《中薬臨床応用》「桔梗6g、生甘草12g」水煎服。◎咽喉炎による咽喉痛◎肺膿瘍 #甘草瀉心湯[1-1]《傷寒論》「甘草(炙)4両、黄芩3両、乾姜3両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚、黄連1両」右六味、以水一斗、煮取六升、去滓、再煎取三升。温服一升、日三服。◎傷寒中風、医反下之、其人下利、日数十行、穀不化、腹中雷鳴、心下痞鞕而満、乾嘔心煩不得安。医見心下痞、謂病不盡、復下之、其痞益甚。此非結熱、但以胃中虚、客氣上逆、故使鞕也。甘草瀉心湯主之。
#甘草瀉心湯[1-2]《傷寒論》《龍野一雄》「甘草4g、半夏8g、黄芩・乾姜・人参・大棗各3g、黄連1g」 水400ccを以て煮詰め滓を去り、再煮て120に煮詰め3回に分服。半夏瀉心湯方中の甘草を倍にする。
#甘草瀉心湯[1-3]《傷寒論》《古今方彙》「半夏瀉心湯甘草1銭、人参1銭半」◎傷寒、傷風、医反って之を下し、下利日に数十行、穀化せず、腹中鳴り、心下痞鞕、乾嘔、心煩するを治す。
#甘草瀉心湯[1-4]《漢方治療の実際》「半夏瀉心湯甘草1」 証(心煩安きを得ず)《薬徴》 「心煩不得安」=心煩安きを得ず=胸苦しく気持ちが安定しない。◎半夏瀉心湯の証にして、心煩し、安きを得ざる者を治す。《吉益東洞》◎半夏瀉心湯証にして、急迫する者を治す《方極附言》◎此方は、半夏瀉心湯方内に於いて、更に甘草一両を加う。而してその主治する所大に同じからず。曰く下利すること日に数十行、穀化せずと。曰く乾嘔し心煩し、安きことを得ずと。曰く黙黙として眠らんと欲し、目閉ずることを得ず、臥起安からざる者と。此れ皆急迫する所有りて然る者なり。甘草の君薬たる所以也。《尾台榕堂》◎胃中不和の下痢で水穀不化雷鳴下痢するを目標とする《済世薬室》◎生姜瀉心湯の証にして胃虚を挟むを論ず。《雑病論識》◎下痢・腹中雷鳴・心下痞硬満・乾嘔・心煩。或いは黙々として眠らんと欲するも目を閉ることが出来ず。臥起安からず・飲食を欲せず・声嗄する者。
甘草瀉心湯[1-5]《傷寒論》★適応症及び病名[1]あくび [2]噫気 [3]イレウス [4]胃カタル [5]胃潰瘍 [6]胃拡張 [7]胃酸過多症
[8]胃弱 [9]息切れ [10]嘔吐:☆吐逆の証にして、心下痞硬し、呼吸促迫し、小半夏湯を与ふるに、反って嘔吐増劇する等の証《奥田謙蔵》[11]悪心
[12]咯血 [13]乾嘔 [14]感情が不安定 [15]急性胃腸炎 ☆心下痞硬。腹鳴、下痢を目標にして用いるが、悪心、嘔吐を伴うもにに用いてよい。腹痛を伴うこともあるが、はげしい痛みでは無い。下痢は裏急後重を伴うことはなく、サッと下る。下痢の回数の多いときは甘草瀉心湯を用い、噫気を伴うときは生姜瀉心湯とする(漢方診療医典)[16]下痢:☆<激しい><日に数十回>
☆心下痞硬・腹中雷鳴があって下痢する者に半夏瀉心湯・生姜瀉心湯・甘草瀉心湯を用いるが、その中でも下痢の回数が多く、激しい者に用いる、《大塚敬節》☆胃中不和の下利を主とする。故に穀不化、雷鳴下利が目的なり。《勿誤薬室方函口訣》☆下痢して心下満悶し、気急息迫し、脈沈緊なる証。《奥田謙蔵》☆瀉下剤を用いて下利を得、下痢続いて止まず、心下痞硬し、食思欠損し、呼吸促迫する証《奥田謙蔵》☆穀不化して雷鳴なく下利する者á「理中湯」or「四逆湯」を考える。☆産後の口糜瀉(=下痢して口がただれる)に用いて奇効あり。《勿誤薬室方函口訣》☆38歳男性。数日前より下痢がある。腹痛と裏急後重はない。ゴロゴロと腹が鳴って、1日数回下痢をする。みずおちがつかえて夜はよく夢をみる。甘草瀉心湯を与える。2日分で全快した。この患者 は急性の腸炎であったが、慢性のものにも効く。《大塚敬節》☆体格の良い女性で、、みずおちに力があって慢性下痢の患者にしては、体力が衰えていなかったが、1年近くの間、どんな事をしても、1日1、2回の下痢が止まらないという。下痢するときは腹が鳴る という。そこで心下痞硬、腹中雷鳴、下痢を目標にして甘草瀉心湯を与えたところ、長い間続いた下痢が止んだ。《大塚敬節》☆もし甘草瀉心湯を与えて、反って下痢が増加するようであれば、人参湯or真武湯or参苓白朮散などに変方した方がよい。《大塚敬節》
☆40歳、主婦。 「一男一女の母。10年ほど前に急性の大腸カタルをやったことがあるが、以後慢性化してしまった。特に、油物や牛肉を食べると、すぐ下痢してしまう。下痢は1日1~2回で、下る時に腹が鳴って、軽い腹痛を感じる。胃も、いつもただれているようで、ときどき酸っぱい水が上がってくる。
温灸やゲンノショウコを飲んだりしてみたが、止めると、又元に戻ってしまう。 こういう人には半夏瀉心湯か甘草瀉心湯が向いているもので、まず甘草瀉心湯を用いたところ、10日ほどで、ずいぶん気分が良くなり、1ヶ月ほどですっかり下痢しなくなった。」《山田光胤》
[17]口臭 ☆胃腸炎があって腹が鳴り、発酵性下痢を起こし、常に気分が悪く神経質となり、口内炎や口内潰瘍を起こしやすく、口臭を発する者に用いる。[18]口内炎:☆甘草瀉心湯は心下痞硬、腹中雷鳴、下痢というのを目標にして用いる方剤であるが、また下痢せずに、不眠があったり、口内が荒れたり、舌に潰瘍が出来たりする者にも用いる。《大塚敬節》☆私は小学校の4、5年頃から唇・舌・口腔粘膜などに小さい潰瘍が出来て、古いものが治れば、また新しいものが出来て、非常に苦しめられた。このような状態は大人になるまで治らなかった。そこで漢方を研究するようになってから、甘草瀉心湯を呑んだところ、年ごとに潰瘍が出来なくなって、全治した。私は平素胃腸が弱く、いつも鳩尾がつかえ、少し食べすぎると、すぐ下痢するクセがあり、下痢する時は、よく腹がゴロゴロ鳴る。こんな風であったから、胃腸と口内の潰瘍とは関係あるに違いないと思って、心下痞硬と下痢しやすく、腹が鳴るというのを目標にして、甘草瀉心湯を用いたところ、だんだん潰瘍が少なくなって治ってしまった。ところが私の長男も、私と同じように、口腔粘膜、舌などに潰瘍が出来るクセがあったが、長男の場合は、私のように下痢せず、食べ過ぎると、便秘して発熱するクセがある。そこで黄連解毒湯甘草を呑んだところ、これで治ってしまった。《大塚敬節》
☆急性慢性胃腸炎に合併したもので、やや虚状を帯び、心窩部痞塞感、精神不安感を伴うものに用いる。 ☆しばしは口内炎を繰り返し、胃腸の弱い者に、本方を長期間服用させると口内炎が出なくなる。[19]嗄声(しわがれ声)
☆神経衰弱、ヒステリーなどによる嗄声で胃腸障害があって心下痞硬、精神不安を訴える者[20]消化不良 [21]食傷[22]食欲不振☆飲食を欲せず《龍野ー漢方処方集》[23]心悸亢進[24]心下痞[25]心下痞硬:☆動気上に在り、之を下せば則ち腹満し、心痞し、頭痛するは、甘草瀉心湯に宜し《奥田謙蔵》[26]心煩[27]神経質[28]神経衰弱[29]神経性下痢[30]精神分裂症[31]嘈雑(胸やけ)[32]走馬疳を治す《方読便覧》(→牙疳=壊血病)「走馬疳」=悪性の壊血病[33]吐血[34]腸カタル[35]呑酸[36]ノイローゼ
[37]バセドウ病 ☆バセドウ病患者で下痢を訴える者(漢方診療医典)[38]ひきつけ:☆慢驚風には、此方に宜しき者あり。《類聚方広義》[39]ヒステリー[40]腹痛
[41]腹鳴<腹中雷鳴>[42]不安感[43]不安神経症[44]不眠症:☆黙々として眠らんと欲するも目を閉することが出来ず、臥起安からず《龍野ー漢方処方集》☆胃炎のある患者で、みぞおちが痞え、腹が張ってゴロゴロ鳴り、胃腸がすっきりせず、夢が多く安眠できない者。☆胃炎、胃下垂症、胃アトニー症などの患者で、胃部に膨満感があって、夢が多くて安眠出来ない者に用いる《大塚敬節》☆嘔吐や下痢がなくても、心下痞硬があれば、用いてよい《大塚敬節》☆34歳男性。不眠、頭重、疲労感を訴え来院。診察すると、心下部やや膨満し、ガスが停滞している。夢が多くて熟睡しないためか、頭が重いという。油の多いものを食べると下痢する。
私はこれに甘草瀉心湯を与え、夕食を軽くし、夕食後には、一切飲食をしないように指導したところ、頭痛がとれ安眠が出来るよう になった。《大塚敬節》
☆本方は心下痞硬、腹中雷鳴、下痢を目標として用いるほかに、狐惑病にも用いられた。狐惑病については《金匱要略》に“狐惑の病たる状は傷寒の如く、黙々眠らんと欲し、目閉づるを得ず、臥起安からず、甘草瀉心湯之を主る”とある。[45]舞踏病
[46]ほてり[47]慢性腸狭窄 [48]味覚異常 ☆味覚異常には、黄連解毒湯、三黄瀉心湯、甘草瀉心湯、涼膈散、加減涼膈散、清熱補気湯、清熱補血湯などから選らぶ。[49]夢遊病:☆近江大津の人、某が先生を訪ねてきて、同室の人を他室に退け。こっそりと先生に相談した。
私に1人の娘があります。歳は18で、某家と婚約をしています。ところで妙な変わった病気があって、毎夜のこと辰己の時刻になって、家人が熟睡すると、こっそり起き上がって舞をまいます。その舞は消妙閑雅で、ちょうど才妓の最も秀でた者が舞うのに似ています。その舞は寅の刻を終わる頃になると止み、それから床につきます。私が時々、その舞をのぞいてみますに、毎晩、その曲が違っていて、曲が異なるたびに、その奇妙なことに、まことに名状出来ません。
ところで翌朝の動作、飲食は平常とちっとも違いません。また自分でもそこことを知りません。そこで、そのことを本人に話してもひどく驚いて、不思議がって信用しません。
これは鬼か、狐か、狸が化かしているのではないでしょうか?もしこれを婚家で知ったなら、結婚解消になると思います。そこで神に祈ったり、おまじないをしたりしていますが、一向に効きません。先生は奇妙な病気の治療がお上手だということを聞きましたので、どうぞ御診察をお願いいたしますと。
先生はこれにこたえて、それは孤惑病というものであろうと、診てみるに、果たしてその通りであった。よって甘草瀉心湯を与えたとこ ろ、数日もたたないで、夜間の舞踊が自然に止み、某家に嫁して子 供が生まれた」《生々堂治験》
[50]幽門狭窄 #甘草附子湯[1-1]《傷寒論》「甘草(炙)2両、附子(炮去皮破)2枚、白朮2両、桂枝(去皮)4両」右四味、以水六升、煮取三升、去滓、温服一升、日三服。初服得微汗則解。能食、汗止復煩者、将復五合。恐一升多者、宜服六七方為始。
◎風湿相搏、骨節疼煩、掣痛不得屈伸、近之則痛劇、汗出短氣、小便不利、悪風不欲去衣、或身微腫者、甘草附子湯主之。
#甘草附子湯[1-2]《傷寒論》《東醫寶鑑》「桂枝4銭、甘草・附子(炮)・白朮各1銭」剉作1貼し、水煎服用。◎風湿を治す。 #甘草附子湯[1-3]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》「甘草・白朮各2g、炮附子0.6g、桂枝4g」水240ccを以て煮て120ccに煮詰め、滓を去り1日3回分服。◎骨節煩疼し、屈伸し得ず、上衝し、汗出で悪寒し、小便不利する者を治す。《吉益東洞》◎条に上衝の証なし。為則按ずるに、此の方は桂枝甘草湯に朮附を加うる者なり。桂枝甘草湯の条に上衝の証あり。然るときは則ち此湯特り骨節疼痛、悪風なしと雖も必ず当に上衝の証あるべく其れ脱文たるや明らかなり。《重校薬徴》◎関節劇しく疼煩して屈伸することが出来ず、汗出で短気・小便不利・悪風・身微腫などある者。
#甘草附子湯[1-4]《漢方治療の実際》「甘草・白朮各2、附子0.6、桂枝4」◎《傷寒論》には“風湿、相い搏ち、骨節疼煩、掣痛、屈伸を得ず。これに近づけば則ち痛み劇しく、汗出でて短気、小便利せず、悪風衣を去るを欲せず、或いは身微腫する者は甘草附子湯之を主る”◎和久田寅は、次のようにこれに注解を加えている。“湿はしめること。水と言わないで湿といったのは、水のように腫れても、之を圧して、そのあとが凹まない。ただ皮肉の締まりがなく、ぐさぐさした状態が皮肉を湿らせたように見えるから湿と名付けたものである。俗によんで、悪太りというの類は、皆湿証である。これは正気のはりが弱いから、水気がこれに乗ずるのである。気が虚して湿証となるから、これを気虚の候とするのである。さて風湿相あつまるというのは、その人の下地に湿気のあるところへ、風邪を感冒して、風邪と湿気と相闘うによって、名付けたのである。骨節疼煩は、節々が疼き痛んで、いきれもやつくのをいう。掣はひくこと。後から引きとどめるように痛む、びっくりする痛を掣痛という。屈伸することを得ずの句は、骨節疼煩に応じたもので、之に近づくは、手を痛い処に近づけることをいう。汗出ずは、風湿が相うつからである。短気は呼吸が短く促迫するをいう。小便不利は、気が衝逆して下降しないためである。悪風が尋常より重いことを示すために衣を去るを欲せずの1句を添えたものである。微腫は何となく腫れたようなものをいう。すなわち湿気の候である”◎鑑別:
「桂枝附子湯」「甘草附子湯に似た処方に、桂枝附子湯があるが、この方は甘草附子湯証に似て、身体疼煩して、自ら転側することの出来ない者に用いている」《大塚敬節》
★適応症及び病名(かんぞうぶしとう)■アルレギー性鼻炎
■悪寒
■悪風
■顔色悪い
■化膿症
■関節炎: ☆急性関節炎
■関節リウマチ:☆急性関節リウマチで、痛みが激しく屈伸出来ない者。
☆患部は赤く腫れて熱感あり。
☆患部に少し触れても、痛みが激しい。
☆17歳少女。扁桃炎から引き続いて高熱が下がらず、四肢に疼痛を訴えたが、熱が高いための疼痛であろうと考えていた。ところが、2、3日たつと、膝関節や足関節が腫れてひどく痛むようになり、立つことも出来なくなった。枕元を歩いても、足が痛みという。呼吸は促迫し、尿利も減少し、汗は流れるほど出るもに、熱も下がらず、悪寒もある。脈は浮にして大である。
このさい汗が出ていなければ、私は麻黄加朮湯、または越婢加朮湯などを用いていたかも知れない。私は先ず白虎加桂枝湯を考えた。高熱と脈の浮大と関節痛と多汗を目標にしたのである。ところが白虎加桂枝湯証には悪寒はないはずである。そこで舌を診たところ、苔もなく湿っている。石膏剤を用いる証とも考えられない。いろいろと考えてから甘草附子湯にした。附子は陰証に用いるもので、真武湯や四逆湯のような附子剤を高熱の時に用いることがあるのである。
この患者は体温が39℃近くものぼるけれども、食事の味は平素と変わらないので、あとで述べる《有持桂里》の口訣などを思いだし、また脈が浮大であるのに、何となく力がないように感ずるのと、舌証なども併せ考え、甘草附子湯にした。附子ははじめ1日量0.5とした。3日目には1.0とした。その頃から汗の出ることが減じ、熱も37℃代となり、疼痛も軽くなった。最も腫脹疼痛の甚だしいところは、左の足関節で足を伸ばすことも出来ず、着物やフトンが触れても痛んだが、その頃から、ひとりで少しずつ動かせるようになった。こんなふうにして、3週間たった頃には、便所に立てるようになり、2ヶ月足らずで全快した。終始、甘草附子湯で押し通した。《大塚敬節》
☆桂枝附子湯よりも痛風(関節リウマチのこと)には、甘草附子湯を用いることが多い。最初から甘草附子湯でやって良い。たいてい痛風で附子の証があれば甘草附子湯ですむものである。この症でよくよく表証でも強ければ桂枝附子湯を用いる。ここに秘訣がある。およそ舌に苔があり、あるいは潮熱などあるときは附子はやりにくいものである。わけても痛風には舌に黒苔の付くこともある。それでもタバコの味も変わらず、醤油・味噌の類の味も変わらない者は、桂枝附子湯や甘草附子湯の証があれば遠慮なく附子をやって良い。百発百中である。これは諸病とも、附子剤を用いる目標となる者であるが、わけても痛風には、この秘訣が役立つものである。また痛風で、脈が浮数or洪数で、食事に味がなく、平素嗜むタバコも臭くて吸えないという者には続命湯や越婢加朮湯などを選んで用いるが良い。いずれにしても石膏剤を用いるのである《有持桂里》
■気の上衝<+>
■筋肉痛
■くしゃみ
■骨髄炎 ■寒がり ■歯痛 ■神経痛
■手足厥冷 ■鼻汁(色薄く多量)
■瘭疽 ■腰痛症 #甘草粉蜜湯[1-1]《金匱要略》「甘草2両、粉1両、蜜4両」 右三味、以水三升、先煮甘草取二升、去滓、内粉蜜、攪令和、煎如薄粥、温服一升、差即止。◎蚘蠱之為病、令人吐涎、心痛発作有時、毒薬不止、甘草粉蜜湯主之。
#甘草粉蜜湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》「甘草2g、米粉1g、蜂蜜4g」水120ccを以て甘草を煮て80に煮詰め滓を去り、他の2薬を加えて攪拌し、再び煮て薄い粥の如くし、1回に40を服用。
#甘草粉蜜湯[1-3]《漢方治療の実際》「甘草3、米粉1.5、蜂蜜6」水200ccで甘草を煮て150ccとし、滓を去り、米粉と蜜を入れて、よく混ぜ3回に分けてのむ。証(人をして涎(えん)を吐せしめ、心痛発作あり、毒薬にて止まず)《東洞》
■「毒薬」=作用のはげしい薬。この毒薬は、東洞の主張する毒薬の意味とは違っている《大塚敬節》■「心痛」=心臓の痛みではなく胃のあたりの痛み。◎吐涎、吐虫し、心痛発作時ある者を治す。《吉益東洞》◎古く単に「粉」と称する者は、みな米粉なり。その粉稲黍、相通用するなり。《雑病論識》◎「毒薬不止」の4字深く味わうべし。《勿誤薬室方函口訣》■毒薬とは辛苦の剤を指して言う。《雑病論識》
★適応症及び病名(甘草粉蜜湯)[1]胃拡張:☆澼嚢病、痛甚だしき者を治して効あり。《先哲医話》[2]嘔逆:☆傷寒熱甚だしく嘔逆止まず、「小柴胡湯」を用いて解せず、一医、水逆として「五苓散」を与えますます劇し、此方を与えて嘔速やかに差える。すなわち《玉函》単甘草湯(甘草一味)の意にして更に妙なり。《勿誤薬室方函口訣》[3]嘔吐:☆傷寒回虫、嘔吐し、諸薬にて止まず、薬食口に入れば即ち出ずる者、甘草粉蜜湯を与え、殊に効あり。《傷寒翼方》
[4]虫積痛:☆苦味を嫌い、強いて与えれば嘔噦する者、此方に宜し。 [5]腹痛:☆此方は蚘虫の吐涎を治するにみならず。吐涎無くとも心腹痛甚だしき者に用いる。☆「烏梅丸」「鷓胡菜湯」などの剤を投じて反って激痛する者、此方を与えて緩むるときは必ず腹痛止むなり。
☆この方は元来、回虫による腹痛を治すために設けられたものであるが、回虫に限らず作用の激しい劇剤を用いて効のない時に、この方を与えて意外に著効を示すことがある《大塚敬節》☆26歳男性。11月下旬から下腹痛を訴えるようになり、それが日増しにひどくなった。その痛みの模様は、始め右下腹から起こり、臍下一面から脇下まで及び、発作時には手を近づけることも出来ないほどである。そこで某医に治を乞うたところ、水薬、散薬、下剤などをくれ、痛みのひどい時には白色の粉末をくれた。これはモルヒネらしく、一時疼痛が緩解した。しかしすぐまた元通りに痛み、一昼夜に4、5回も発作があって、ちっとも安眠出来ない。母や妻は徹夜して看護していたが、そのうなり声を聞くにしのびないという。こんな風で12/7になって余に来診を求めた。
往診してみると、脈は沈んで渋るような状で、少し緊を帯び、微熱がある。顔には血の気が無く、口舌は乾燥している。食事は小さい茶碗に1杯食べるだけで、腹は軟弱にして、大便は出にくく、小便も少ない。そこで寒疝と診断して、解急蜀椒湯を与えたが、更に効がない。よっていろいろと考えた末に、甘草粉蜜湯の項に、心痛、発作時あり、毒薬にて止まずとあるのを思いだし、試みにこの方を1回呑ましめたところ、服後、疼痛軽減し、2、3日で全快した。(和漢医林新誌第197号・竹中玄撮)
[6]反胃:☆反胃澼嚢、毒薬治まらざる者。此方を服して怠らざれば、則ち身微腫を発し、全癒を得る。これ余、累試累効の法なりと。余かって傷寒嘔吐諸薬能せず、いかんともし難き者にしばしば効あり《雑病翼方》
[7]澼嚢:☆痩せて痛の激しい者《和田東郭》 #甘草麻黄湯[1-1]《金匱要略》 =麻黄甘草湯 「甘草2両、麻黄4両」右2味、以水5升、先煮麻黄、去上沫、内甘草、煮取3升、温服1升、重覆汗出、不汗再服、愼風寒。
◎裏水、越婢加朮湯主之、甘草麻黄湯亦主之。 ■「裏水」=浮腫の一種。《金匱要略》に、「裏水者一身面目黄腫、其脈沈、小便不利云々」
#甘草麻黄湯[1-2]《漢方治療の実際》「甘草2、麻黄4」◎水腫、喘咳急迫、或いは汗無く、或いは自汗する者《重校薬徴》 ★適応症及び病名 []呼吸困難:☆激しい発作を押さえるために頓服用として用いる。《大塚敬節》☆多くは兼用方として用いる《大塚敬節》☆乳児や老人、虚弱体質の人などには、用量を加減して用いるが良い。《有持桂里》はこの方を老人に用いて、頓死した例を報告している。《大塚敬節》
#甘葱煎《傷科補要》 「甘草・鮮葱を等分。」水で煎じ、冷めるのをまって濾し、瘡口を洗浄する。
#甘竹茹湯《備急千金要方》「竹茹1銭、黄芩8分、人参2分、茯苓6分、甘草2分」◎産後、内虚、煩熱、短気を治す。◎此方は竹皮大丸料の一等軽き処へ用いる。◎産後煩熱ありて下利し石膏など用い難き処に宜し。◎他病にても「内虚煩熱」の4字を目的として用いれば当たらぬことなし。甘淡音通ず、淡竹なり。《勿誤薬室方函口訣》
#甘麦大棗湯[1-1]《金匱要略》 =「甘草小麦大棗湯」「甘草3両、小麦1升、大棗10枚」右三味、以水六升、煮取三升、温分三服、亦補脾氣。◎婦人藏躁、喜悲傷、欲哭、象如神霊所作、数欠伸、甘麦大棗湯主之。
#甘麦大棗湯[1-2]《金匱要略》 「甘草3g、小麦14g、大棗2.5g」水240ccを以て120に煮詰め、3回に分服。証(蔵躁、喜(しばしば)悲傷し、哭(こく)せんと欲す)《薬徴》
「藏躁」=ヒステリー甘麦大棗湯証=臓躁、喜(しばしば)悲傷。甘麦大棗湯条に喜悲傷の証あり。此れ毒の逼迫なり。故に大棗を用ふ。攣引強急を治するを以て、甘草小麦を用ひ、以て迫急を緩むるなり。《薬徴》
◎急迫して狂驚なる者を治す。《吉益東洞》◎甘麦大棗湯の条に蔵躁喜悲傷の証あり、此れ毒の逼迫するなり。故に大棗を用い以て攣引強急を治し、甘草と小麦を用いて以て急迫を緩みなり。為則按ずるに、仲景氏、大棗、甘草、芍薬を用うる其の症候略ぼ相似る。要は自得するにあるのみ。《重校薬徴》◎此方は婦人臓躁を主とする薬なれども、凡て右の脇下臍傍の辺に拘攣や結塊のある処へ用いると効あるものなり。《勿誤薬室方函口訣》◎婦人、ヒステリー・憂鬱・欠伸。
◎婦人悲傷、欠伸、或いは脾気弱き者。《龍野ー漢方処方集》 #甘麦大棗 湯[1-3]《漢方治療の実際》「甘草5、大棗6、小麦20」◎《方輿輗》に“この方は稀に男子に用いるけれども、もっぱら婦人の癇に用いる。心細がって、部屋の隅で泣いているなどという者に用いる。そのうちで、この方は甘味を嗜む者に良い。甘いものを食べると、腹がゆるむと云う者にことに良い 。 ●この証では腹が引っ張っているのを目的にすべしとある。(大塚も、右腹直筋のひどく突っ張っている者に用いて著効を得た)しかしこれは一概の論だと思う。またこの方は悲傷が無くても、ただ、たびたび欠伸をする者に用いても効がある。これもたびたび効験を得たことである。●蔵躁で悲傷しても柴胡の腹候があれば、やはり柴胡を用いるがよい、悲傷の症でも柴胡の腹候があれば柴胡を用いて効があるものである。そのところへ悲傷を目的にして甘麦大棗湯を用いてみても効のないものである。しかし悲傷を目的にして甘麦大棗湯を用いたが効がない。そこで腹候によって柴胡加竜骨牡蛎湯を用いたところ、悲傷もついに治った。●甘麦大棗湯には消石大円などを兼用することがある。経閉などのある時に兼用する。
●また婦人でよく笑う者がある。甘麦大棗湯を用いて効があると思うけれども、まだ用いたことがない。《儒門事親》には、よく笑う者に、黄連解毒湯を用いてある。これはよく効のあるものである。喜笑で右の腹の凝る者には甘麦大棗湯、心下に迫る者には黄連解毒湯である”
★適応症及び病名 (甘麦大棗湯)[1]あくび(欠伸)をよくする[2]胃アトニー[3]胃炎[4]胃ケイレン[5]胃下垂[6]鬱病[7]驚きやすい[8]おびえる:[9]咳嗽:(ケイレン性)[10]寡黙[11]癇:☆大人の癇に用いることあり。“病急者食甘緩之”の意を旨とすべし。☆癇症、狂症、臓躁に髣髴する者も、奇験あり《類聚方広義》[12]飢餓感が強い[13]喜笑:(笑いが止まらない)☆<右の腹がこる>《方輿輗》☆心下にせまるのは→「黄連解毒湯」《方輿輗》喜笑で右の腹の凝る者には甘麦大棗湯、心下に迫る者には黄連解毒湯である[14]驚狂[15]狂躁症[16]筋肉攣縮[17]更年期障害[18]興奮・神経興奮[19]子宮ケイレン
[20]自閉症 ☆腹直筋は発作中は緊張、神経過敏、奇声、ケイレン、一人笑い、その他急迫症状(漢方診療医典)[20]焦燥感[21]食が細い[21]小舞踏病[22]自律神経失調症[23]神経衰弱 [24]精神病:☆今泉玄が精神神経病に多用。[25]精神分裂症[26]咳:(ケイレン性)
[27]舌質:<淡白>[28]舌苔:<無苔~微白>[29]躁病[30]血の道症:
①ヒステリーの発作に繁用。②腹直筋がひきつり、神経の興奮がひどい者。③少しのことに泣き悲しんだり、不眠、生あくびする者。④狂躁状態の者。[31]チック[32]疲れやすい[33]テンカン:☆ジャクソンの癲癇《大塚敬節》“その少女は、運動会で転倒して、頭部を強打し、その後右半身の不随と全身ケイレンを伴う意識消失が1日10数回も起こるようになり、言語障害もあって。ケイレン発作時には、尿を失禁した。こんな状態が1カ年あまり続き、種々の治療も無効であったという。診察してみると、右腹直筋が棒のように硬く四肢の筋肉も強く緊張している、診察中にも発作が起こった。発作を終えるとしきりに欠伸をする《金匱要略》をみると、「婦人にみられる蔵躁という病気は、たびたび悲しみ、泣き、ちょうど、物の怪が付いたような奇妙な格好をし、たびたび欠伸する。これは甘麦大棗湯の主治である」とある。私はこの条文によって、甘麦大棗湯を用いた。患者は、これを飲むと日増しにケイレンが止み、1カ年ほどで全治し、常人と変わらなくなった。この蔵躁という病気はヒステリーのようにみえるが、この少女はヒステリーとは思えなかった。”[34]涙もろい:☆平時女人好く哭す、自己その故を知らず、之を服せば最も妙なり《雑病翼方》[35]尿失禁:☆「桑螵蛸」 [36]寝つきが悪い[37]眠りが浅い[38]脳出血[39]梅核気:☆元浜街の伊勢屋啓助の女、21歳は、昨年の7月上旬の夜半に、突然、眠りから醒めたところ、胸苦しく、何か物がのどに衝き上がってくる感じで、その状は、喘鳴でもなく、吃逆でもなく、嘔吐でも なく、噫気でもなく、実に名状することの出来ない気持であった。ところが夜明け近くになると、忽然として、その感じが消え去って、平素と変わらなくなった。しかしその発作は時々起こって、患者を苦しめた。そこである医者に治を乞うたところ、その医者は肺病だといって薬をくれたが、ちっとも効がないばかりか、病状はますます激しくなる一方である。そこで11/25に予に治を乞うた。
これを診るに、脈・腹共に異常なく、飲食、大小便もまた平素と変わりがない。ただ月経の来る時期が少し狂っているという。自分が思うに、これは《金匱要略》にある、婦人の蔵躁(ヒステリー)の1症であろうと。そこで甘麦大棗湯を作って与えた。そして1日おいて、次の日に往診してみると、おかげさまで大変気分が良くなりましたという。それからまた3、4日たって往診してみると、病苦は全くなくなったという。そして、その後は再び発作が起こらなくなった(下条通春・和漢医林新誌第50号)[40]歯ぎしり
[41]ヒステリー:(蔵躁) ☆「ヒステリー」、及びその類証《奥田謙蔵》☆蔵は子宮也。此方の蔵躁を治するは、能く急迫を緩むるを以て也。孀婦、室女、平素憂鬱、無聊にして、夜夜眠らざる等の人は、多く此症を発す。発するときは則ち悪寒、発熱し、戦慄、錯語し、心神 恍惚し、居に席に安んぜず、酸泣已まず。此方を服すれば立ちどころに効あり。《類聚方広義》
☆ヒステリーのケイレン発作に《大塚敬節》☆蔵躁で悲傷しても柴胡の腹候があれば、やはり柴胡を用いるがよい、悲傷の症でも柴胡の腹候があれば柴胡を用いて効があるものである。そのところへ悲傷を目的にして甘麦大棗湯を用いてみても効のないものである。しかし悲傷を目的にして甘麦大棗湯を用いたが効がない。そこで腹候によって柴胡加竜骨牡蛎湯を用いたところ、悲傷もついに治った。《方輿輗》[42]悲泣(ひきゅう):☆小児啼泣止まざる者も速効あり。《勿誤薬室方函口訣》[43]百日咳[44]不安感[45]不随意運動が起こる[46]不眠症:☆神経衰弱に因する強度の不眠症等《奥田謙蔵》[47]腹直筋攣急:[48]腹痛:<ケイレン性>[]閉経:☆「消石大円」《方輿輗》[49]夢遊病:☆小児が夜中にふと起きて家の内を歩き回り、またふとして寝床に入って眠り、翌日、そのことを知らないことがある。この[寝ぼけ]の症は、男女共に甘麦大棗湯のゆくところである。腹の左右のどちらが凝っていても用いて良い。もし心胸につかえている者は柴胡剤を用いる。とかく甘麦大棗湯は蔵躁悲笑が目的である《百疢一貫》[50]舞踏病:☆舞踏病のケイレン発作に《大塚敬節》[51]夜驚症:☆元浜街の伊勢屋啓助の娘、21歳は、昨年7月上旬、夜半、突然、眠りより醒めたところ、胸が苦しくなって悶えはじめた、その状は、何か物があって、のどに突き上げてくるようである。それは喘でもなく、噫気でもない。嘔でもなく、吃逆でもない。実に名状出来ない状態である。ところで、その苦しみは夜明けになるとピタリと止んだ。しかしその後も同じ様な苦悩の発作が続いた。
余がこれを診するに、脈腹ともに異状なく、飲食大便ともに何の変わりもない。ただ月経が時々遅れると云う。余はこれは《金匱要略》に論ずるところの婦人蔵躁の1症であると思った。甘麦大棗湯を作って与え、そしてその翌日往診してみるに、患者は云う、お薬をのんでから、とても病気が軽快したようですと、そこで前方を与え、3、4日たって往診してみるに、すっかり病気を忘れ、再び発作は起こらなかった。(下条通春・和漢医林新誌第50号)
☆ヒステリックに泣き叫ぶものによい(漢方診療医典) [52]夜尿症:☆「桑螵蛸」《中薬臨床応用》[53]憂鬱症[54]夜泣き:☆(泣くように長く啼く)☆小児の夜啼証等《奥田謙蔵》☆本症の小児の夜啼は時を定めて泣き、その時目を開いて泣くものなり《済世薬室》 ☆夜啼客忤、左の拘攣する者を「柴胡」とし、右に拘攣する者を甘麦大棗湯とすれども、泥むべからず。客忤は大抵甘麦大棗湯にて治するなり。《勿誤薬室方函口訣》
#甘麦大棗湯加味《中薬臨床応用》 「甘草9g、浮小麦30g、大棗8g、麦門冬9g、生地黄15g、石斛12g」水煎服。◎更年期障害◎ヒステリー
#甘遂散[1]《東醫寶鑑》 「甘遂末1銭を豚の仔袋の血にまぜ、そして仔袋を裂いてその内に入れて糸で縫い、紙にくるんで水に入れて弱火焼いた後、取り出した甘遂末を辰砂末で、4個の丸剤。毎回1丸、先の豚の焼いた水で飲む。大便に悪物が混じっていたら中止し、そうでなかったら又飲む。
◎五種類の癲癇・婦人の風血による混迷に特効。
#甘遂散[2]《東醫寶鑑》 「赤皮甘遂2両、煉蜜2合」まぜて、1両を4分したものを、1日1回蜜水で服用。 ◎大・小便の不通を治す。
#甘遂散[3]《東醫寶鑑》 「甘遂末を葱汁で丸め、綿にくるんで耳をふさぎ、口には甘草湯をふくむ。」 ◎耳聾を治す。 #甘遂半夏湯《金匱要略》
「甘遂(大者)3枚、半夏12枚(以水1升煮取取半升去滓)、芍薬5枚、甘草(如指大1枚炙1本作無)」以上4味、以水2升、煮取半升、去滓、以蜜半升、和薬汁煎取8合、頓服之。◎病者脉伏、其人欲自利、利反快、雖利、心下続堅満、此為溜飲、欲去故也。甘遂半夏湯主之。
◎甘遂半夏湯証(利すとも雖も心下続きて堅滿)《薬徴》◎芍薬甘草湯の証にして心下痞満し嘔する者を治す《吉益東洞》◎此方は利して反って快と心下堅満が目的なり。脈は伏して当てにならならぬものなり。《勿誤薬室方函口訣》◎一体心下の留飲を去るの主方なれども、特り留飲のみに非ず、支飲及び脚気などの気急ある者に用いて緩むこと妙なり。「控涎丹」も此方が軽き処へゆくものなり。◎此方の妙は蜜を用ふるに在り。故に若し蜜を用ひざるときは、則ち特り効を得ざるのみならず、瞑眩(中毒)して変を生ずる者あり。宜しく古法を遵守すべし。《尾台榕堂》
◎此方、蜜を加えざれば反って激して功なし。《二宮桃亭》壮年の時、蜜を加えずして大敗を取り、《吉益東洞》に督責を受けしことあり。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名 (甘遂半夏湯)[1]脚気:☆水腫性脚気等にして、強実なる証《奥田謙蔵》☆脚気衝心等にして、気急息迫、喘鳴し、脈実なる証《奥田謙蔵》[2]腹水:☆腹水等にして、脈緊実なる証《奥田謙蔵》
[3]腹痛:☆飲家、心下満痛し、嘔吐せんと欲し、或いは胸腹攣痛する者を治す《類聚方広義》 #甘豆湯《本草綱目》《東醫寶鑑》「甘草・黒豆各5銭」水煎服。竹葉か薺(=桔梗)を加えるとなお良い。◎100種の毒を消す。
#甘胆丸《東醫寶鑑》「甘草2両を赤皮は捨て、2寸大に切って半分に割り、猪胆汁5枚に3日間漬けて取り出し、炙乾作末し、煉蜜で緑豆大の丸剤。毎回40~50丸を茶湯で飲む。
◎酸っぱいものを食べて喘嗽になり、諸薬無効のとき。
#甘李根湯《東醫寶鑑》「李根皮5銭、桂皮1銭半、当帰・芍薬・茯苓・黄蓍各1銭、半夏・甘草各5分、を剉作1貼して生姜3片を入れ、水煎服。 ◎動気に誤って発汗し、気が上衝して心臓のはじに止まっている症。
#甘楞散《中薬臨床応用》「甘草末・瓦楞子(いて末にする)各等分」1日3回、9gづつを食前に湯で服用。◎胃十二指腸潰瘍。
#甘連大黄丸 =「林鐘丸」「大黄60.0、甘草・黄連各30.0」 右三味、各別に細末にし、糊丸。1回に2.0~4.0。◎胸間に毒有り、審判して安からざる者を治す。《古方兼用丸散方》◎心中煩悸し、大便せざる者を治す。《春林軒丸散方》
#甘連大黄湯《龍野一雄》「甘草・黄連・大黄各2g」◎結膜炎で充血羞明著しきもの。癇家鬱々として不眠・心悸亢進・心下痞する者。
#甘連湯《松原方函》《勿誤薬室方函》「甘草・黄連・紅花・大黄」=甘連大黄湯紅花《方輿輗》には紅花なし。◎小児初生より45歳に至り、便不和、吐乳し、腹脹、滞食す。故無くして発熱、夜啼、腹痛の諸証、皆之を主る。◎専ラ胎毒ヲ去ルヲ主トス。世に「マクリ」と称するもの数方あれども此方を優とす。《勿誤薬室方函口訣》
◎1日振り出し量「甘草0.7黄連0.7大黄0.7紅花o.5」
★適応症及び病名 (甘連湯)驚癇:「連銭草」小児五疳:「胡黄連」 胎毒:胎毒痛:「竹葉」吐乳:「連翹」 #甘連湯《陳氏》《古今方彙》「黄連、甘草、辰砂(少し)」熱湯にて払い出し之を用いる。◎小児初生には先づ須らく此方を用いる。
#甘露飲[1-1]《和剤局方》《漢方後世要方解説》「熟地黄・生地黄・天門冬・麦門冬・黄芩各3、茵蔯蒿・枇杷葉・甘草・石斛各2、枳殻1」◎丈夫、婦人、小児、胃中客熱、牙宣、陰垂重く常に合閉せんことを欲す。或いは飢煩して飲食を欲せず、及び赤目腫痛涼薬に任えず、口舌瘡を生じ、咽喉腫痛するを治す。痘疹已に発し未だ発せず皆之を服すべし。又、脾胃湿を受け瘀熱裏にあり、或いは酔飽房労、湿熱相搏ち、疸病を生ずることを致し、身面皆黄、肢体微腫、胸満気短、大便調わず、小便黄渋、或いは時に身熱するを療す。並びに宜しく之を服すべし。
◎此方は脾胃消化器系に湿熱あり、裏に熱あって、口舌に瘡を生じ、又は、咽喉腫痛する者に用いる。又胃腸弱く、熱をかもし、歯根腫痛又は糜爛して膿血を出す。所謂歯槽膿漏にも用いられる。もし上焦の実熱のものは「加減凉膈散」、脾胃虚熱の場合は「清熱補気湯」である。又血燥によるものは「清熱補血湯」がよい。
熟地・生地・天門・麦門=瘀熱を涼す。枇杷=上焦の熱を解す石斛=脾胃の虚熱を除く茵蔯=風湿を治し、黄疸を療す。
#甘露飲[1-2]《和剤局方》《古今方彙》 「枇杷葉・石斛・黄芩・枳殻・天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄・茵蔯・甘草各等分」水煎。 ◎牙疳にて去血口臭、歯腫痛し、腐爛するを治す。
#甘露飲[1-3]《和剤局方》《古今方彙》「熟地黄・生地黄・天門冬・麦門冬・枳殻・茵蔯・黄芩(酒)・石斛・枇杷葉・甘草各等分」水煎。 ◎小児胃中の客熱にて牙宣(歯出血)、口臭、歯腫爛して時に膿血を出し、饑煩して飲食を欲せず、及び目赤腫痛し、涼薬に任えずして口舌に瘡を生じ、咽喉腫痛し、及び身面皆黄にして、肢体微腫し、大便調わず、小便赤渋するを治す。
#甘露飲[1-4]《和剤局方》《勿誤薬室方函》「生地黄1銭、乾地黄・天門冬各8分、麦門冬9分、枇杷葉4分、黄芩3分、甘草3分、石斛4分、枳実2分5厘、茵蔯蒿3分」◎丈夫小児、胃中客熱あり、牙宣歯爛、目垂れ閉じんと欲し、饑ゆれども食を欲せず、及び目赤く腫痛し、口瘡咽腫、瘡疹已に発し、未だ発せざるを治す。
◎又脾胃湿熱、酔飽房労、黄疸腹満、或いは時に身熱するを療す。◎此方は脾胃湿熱を云うが目的にて、湿熱より来る口歯の諸瘡に用いて効あり。<1>もし上焦膈熱より来る口歯の病は「加減凉膈散」に非らざれば効なし。<2>甘露飲は、「調胃承気湯」や「瀉心湯石膏」などを用いるほどの邪熱にも至らず、血虚を帯びて緩なる処に用いるなり。
#甘露飲[1-5]《和剤局方》《漢方治療の実際》「枇杷葉・石斛・黄芩・枳実・天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄・茵蔯蒿・甘草各2」 ★適応症及び病名
(甘露飲)[1]黄疸:☆茵蔯蒿湯などを用いて攻下した後、湿熱未だ全く徐かざる者に宜し。《方読便覧》☆腹満攻下の後湿熱去らざる者《矢数道明》[2]壊血病:《矢数道明》[3]牙疳:☆《有持桂里》は“牙疳といって、歯茎よりすさまじく日々血出で、血出るにつれて歯齦が腐爛して、なくなり、臭気が強く、後には膿も少しづつ出るものである。その症状の緩慢なものを牙疳といい、急なものを走馬牙疳という。甘露飲はその緩慢な牙疳を治すものである。走馬牙疳は平生の人にもあるけれども、とりわけ天然痘のあとに、最も多いもので、2、3日の中に歯も落ちて死ぬものである。通常の牙疳、走馬牙疳ともに、俗にクサと呼んでいる。この際、甘露飲に六味丸を兼用すると、ことの外によいものである”と述べている。《大塚敬節》[4]角膜膿瘍:☆胃中客熱、眼胞低重、膿をなす。《方読便覧》[5]虚労:☆房事によるものには効なし。《方読便覧》☆房事による虚労には、「牛車腎気丸鹿茸」を用いる。[6]口腔底蜂織炎:《矢数道明》[7]口舌疾患:☆これは繭唇(ケンシン)を治する主剤である。繭唇というのは、唇が堅くて膨れ上がるもので、破れて血が流れるようになると難治である。そこで転用して、一切口舌に申し分があって、虚火に属するものを治する。また口中に硬い出来物を生じ、永く治らず、後に血を流すようになると多くは死ぬものである。膿にはならずにしまうものである。早期にこの方を用いるがよい。《和田東郭》はこの方で舌疽を治したと余に語ったことがある。すべてこの方の効く症は、虚火と心得るがよい。 実証で清胃瀉火湯などを用いる場合とは、別個のものである。《百々漢陰》[8]歯槽膿漏:《矢数道明》
☆《和剤局方》に甘露飲は“牙疳、出血、口臭、歯齦腫れ痛み、腐爛すると治す”とあり、これは今日の粗相脳漏にあたる。《大塚敬節》 [9]舌ガン:☆舌疽に用いて著効を得た《華岡青州》☆舌疽には、甘露飲と滋陰降火湯の他には用いるものがない《浅田宗伯》[10]やせる:☆胃熱、善食し肌肉を生ぜざる者を治す。[11]夜盲症:☆雀目烏睛、膿をなす者を治す。《方読便覧》
#甘露飲[2]《東醫寶鑑》「寒水石・石膏・欝金・薄荷・甘草」各等分を作末し、毎回1銭を薄荷湯で 調下する。 ◎潮熱を治す。 #甘露消毒丹《葉天子》
「黄芩・連翹・茵蔯蒿・藿香・薄荷・白豆蔲・射干・菖蒲」 ◎(悪臭のある下痢) #汗証一方《済世全書》《古今方彙》「黄蓍1銭半、人参・芍薬各1銭、白朮・陳皮・麻黄根・甘草各7分、升麻・柴胡各1分、桂枝・附子各3分、浮小麦1撮み」水煎。
◎内傷虚症、発熱自汗雨の如く已まざるか、或いは身体は水の如く、或は寒戦を発するものを治す。 #冠心二号方(北京地区防治冠心病協作組)《中薬臨床応用》「降香15g、丹参30g、赤芍15g、川芎15g、紅花15g」毎日1剤を3回に分けて冲服。4週間を1クールとし、連続3クール服用する。◎狭心症。
寛快湯《仁斉直指》《勿誤薬室方函》「莎草2両、烏薬・枳実各1両半、縮砂7匁半、橘皮・木香各3匁、紫蘇子半両」 ◎気下降せず、大府渋滞するを治す。◎此方は気剤なれども中気を推下するの効ありて、大便不通、硝黄の剤を投ずれば便気ますます頻数にして通ずる能わず。気利とも云うべき症に用いる。
◎畢竟は訶黎勒散の意にて、はたらきのある方なり。◎対症の薬にて四つ手に取り組み、何としても行かぬことあり。この時彼の鉄砲を暖簾や幕にて受くる如く、軽き剤にて思いの外。和らぐなり。これいわゆる剛柔相制するなり。
寛胸丸《中医研究院西苑医院》《中薬臨床応用》「蓽撥90g、細辛15g、檀香45g、竜脳25g、延胡索25g、高良姜45g」エキスを精油と混ぜてカプセルに入れる(1カプセル=0.3g)1日3回、1カプセルづつ服用。◎狭心症。
寛胸利隔丸《中医雑誌1958年10月号》 「広木香・茅蒼朮・川厚朴・草果・枳穀・縮砂仁・麦芽・神麹・山楂子・桔 梗・青皮・子・広藿香・檳榔子・陳皮・甘草・川貝母各40g、炒白芍 80g、
製大黄160g。(大黄の製法は大黄6400gを、紅花・当帰・黄酒・童 便各1600gで、煎じ泡立てる)上記を作末し、蜜を練って丸め、毎丸12g、 毎服半丸ないし1丸。
寛中丸《全生指迷方》 「橘皮、白朮」 寛中丸《東醫寶鑑》 「蒼朮(炒)・烏薬・香附子各2両、三稜と莪朮を醋で煮て焙ったもの・青皮
・陳皮・乾姜(炮)・良姜(炮)・茴香(炒)・神麹(炒)・麦芽(炒)各1両を作 末し、醋糊で梧子大の丸剤。姜湯で50丸呑む。 ◎七癥・八・五積・六聚・痃癖・気塊を治す。 ◎胸腹の脹痛で顔が黄色く痩せる者を治す。 ◎一切の沈滞の疾病を治す。
寛中散《和剤局方》《龍野一雄》 「香附子6g、厚朴4g、陳皮・丁香・縮砂各1.5g、白豆蔲0.5g、甘草・木香 ・干姜各1g」 ◎気鬱・胃弱・胸つかえ・張る。 ★適応症及び病名 胃アトニー 気鬱 食道狭窄
寛中進食丸《東醫寶鑑》 「麦芽(麺)1両、半夏・猪苓各7銭、草豆蔲・神麹各5銭、枳実4銭、橘皮 ・白朮。白茯苓・沢瀉各2両、縮砂1銭半、乾生姜・人参・青皮・甘草各1
銭、木香5分を作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。米飲で50~70丸呑む。 ◎精が出、食欲を増す。 寛中湯《和田東郭》《勿誤薬室方函》 「半夏・茯苓・厚朴・乾姜・紫蘇子・甘草」
右六味、或いは呉茱萸を加う。 ◎此方は、「半夏厚朴湯」に「甘草乾姜湯」を合し、蘇葉を蘇子に代えたる方に して、利気を主とす。《勿誤薬室方函口訣》 ◎胸中に気あつまりて、心下までも及ぼし、気宇鬱塞する者に宜し。 ◎《和田東郭》は、婦人の経閉にて気宇鬱塞する者、先ず此方を用いて経水を通 じると云う。
寛中湯《和剤局方》《古今方彙》 「香附子16両、厚朴1斤、青皮・陳皮・丁香・砂仁各4両、白豆蔲2両、 甘草5分、木香3両、生姜」水煎。或いは作末し、姜塩湯にて点服する。 (点服=抹茶をたてるように、泡立てて飲むこと)
◎七情四気、脾胃を傷り以て陰陽不和を致し、胸膈痞満、停痰気逆遂に五膈の病 をなるを治す。 寛中透毒飲 「葛根・桔梗・前胡・青皮・枳穀・山楂子・蝉退・連翹・荊芥・麦芽」
寛中養胃湯《万病回春》《古今方彙》 「蒼朮4両、香附子7分、枳殻・藿香・厚朴・半夏・茯苓各5分、神麹・麦 芽・枳実各4分、砂仁・山楂子・檳榔子・青皮・甘草各3分、陳皮1銭、 生姜、大棗」水煎し食遠に服す。
◎胸膈腸満して飲食少しく用うるを治す。 寛腸丸《東醫寶鑑》 「黄連・枳穀」を等分に作末し、麺糊で梧子大の丸剤。50丸呑む。 ◎痔と大便が秘結して痛い。
緩痃湯《高階枳園》《勿誤薬室方函》 「柴胡桂枝乾姜湯鼈甲・芍薬」 ◎臍傍の痃癖ありて骨蒸状をなす者。 ◎肋下或いは臍傍に痃癖ありて、之を按ずれば則ち痛み、寒熱、盗汗、咳嗽など ある者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
緩中湯《肘後備急方》 =茯苓緩中湯《肘後備急方》 ◎此方は「小建中湯」の変方にて、能く中気を緩め積聚を和するの力あり。故に 後世には「緩痃湯」と称するなり。《勿誤薬室方函口訣》
観音救苦散《済世全書》《古今方彙》 「金銀花、皀角刺、穿山甲、当帰尾、括楼根、括楼仁、貝母、甘草」水煎し 酒を加えて服す。
◎乳癰、吹乳腫痛忍ぶべからざる者を治す。 観音元《東醫寶鑑》 「半夏生・烏梅肉・母子香・巴豆肉各10枚」乾燥させ作末し、姜汁糊で麻 子大の丸剤。毎回5丸、就寝時に冷水で服用。
◎瘴瘧を治す。 観音散《医学入門》《東醫寶鑑》 「人参1銭、蓮肉・神麹各2分、白茯苓2分半、白朮・黄蓍・木香・白扁豆 ・甘草各1分を剉作し、1貼に姜2、棗1、藿香3を入れ水煎服。
◎脾が弱く、下痢・精神混迷・四肢が冷たくて、慢驚になろおうとする者。 ◎外は風冷に感じ、内は飲食に傷き、嘔逆吐瀉、飲食進まず漸く羸弱するを治す。 《古今方彙》 ◎一方に「羗活、防風、全蝎、天麻」を加え「全蝎観音散」と名付け、吐瀉の後 慢脾風の甚だしき者を治す《古今方彙》
観音夢授丸《東醫寶鑑》 「夜明砂・当帰・蝉退・木賊各3両、を作末し、白羯羊肝4両を煮て、膏に なるまでついて、梧子大の丸剤。空腹時に、5丸を100日間服用。
◎内障で目が腫れた者。塩辛い物の食べ過ぎが原因の症状。 関節熱洗一方《中薬臨床応用》 「海桐皮・桂枝・寛筋藤・海風藤・両面針・路路通各30gを水煎し、1日1 ~2回、20~30分ずつ熱い内に関節を薫洗する。 ◎打撲、骨折 ◎関節リウマチ ◎関節の腫脹 ◎筋肉拘縮 ◎運動障害
関節熱洗二方《中薬臨床応用》 「沢蘭6g、生姜皮12g、姜黄9g、寛筋藤15g、忍冬藤15g、紅花6g 」水煎 し、熱い内に洗浄する。 ◎捻挫による腫脹疼痛
還元丹(一名返本丸)《東醫寶鑑》 「牛肉(筋・膜を去り、碁石ぐらいに切って洗い一夜漬けておき、酒に漬け て油紙で封をし、桑柴火で一昼夜煮て乾燥・作末し、肉半斤に薬1升の割 で入れる。蓮肉・山薬・白茯苓・茴香(微炒)を作末し、各4両を混ぜ、棗 肉をつぶして膏にし好酒を少し入れ、前の薬末を混ぜて搗いて梧子大の丸 剤。空腹時に温酒で50~70丸呑。
◎内傷の虚弱を治す。 ◎五臓を和らげ、百病を消滅する。 ◎精髄を充実させ、元気を出させ、肥らせる。 還元秋石丸《東醫寶鑑》 「秋石1斤、白茯苓1斤、天門冬・麦門冬・生既往・熟地黄・人参・地骨皮 ・人乳粉各4両」を作末し、梧子大の蜜丸。白湯又は酒で30~50丸呑む。
◎房事による精の消耗で、髪の白くなるのを治す。 還元保真湯《外科正宗》《古今方彙》 「当帰・川芎・白芍薬・熟地黄・白朮・茯苓・人参・黄蓍各1銭、牡丹皮・ 枸杞子各8分、甘草(炙)・熟附子各5分、沢瀉・肉桂各3分、姜、大棗」 水煎。
◎懸癰にて已に潰れ、瘡口開張し、膿水林として収斂する能わざる者を治す。 還魂湯[1](一名追還湯)《東醫寶鑑》 「麻黄3銭、杏仁25粒、桂心・甘草各1銭を剉作し、1貼を水煎し口に注 ぎ入れる。口をつぐんだ者には、口を開けさせて注入する、薬が入りさえ すれば生き返る。 ◎中悪などで、口をつぐみ、気の切れたのを治す。 還魂湯[2](一名輪廻酒)《東醫寶鑑》 「自分の小便を1~2滴、小鉢に垂らして呑む」 ◎腸の中に残った垢を濯う。この方法を行って、おなかが空いたら淡い粥を飲ん で、3日後に他の菓物を食べる、すると半月後に精神が生き生きしているよう になる。それから5年間は牛肉を忌けて食べてはならない。疝病・黄病の慢性 化したのによい。
還魂湯[3]《金匱要略》 「麻黄(去節)3両、杏仁(去皮尖)70個、甘草(炙)1両」 ◎救卒死客忤死、本方主之。 還少丹《東醫寶鑑》 「熟地黄・枸杞子各1両半、山薬・牛膝・遠志・山茱萸・巴戟・白茯苓・五 味子・石菖蒲・肉蓉・楮実子・杜仲・茴香」を作末し、蜜でまぜ棗肉で 梧子大の丸剤。空腹時に温酒又は塩湯で30~50丸呑む。 ◎下部脈が細く、陰痿して立たない者。
還晴丸[1]《東醫寶鑑》 「石決明()・覆盆子・茺蔚子各2両、槐実(炒)・人参・細辛・防風・白茯 苓・甘菊・柏子仁・川芎各1両」作末し、蜜で梧子大の丸剤。温水で30 丸服用。
◎高風雀目で内障になりかける者。 還晴丸[2]《東醫寶鑑》 「細辛・五味子各2両半、人参・桔梗・黄蓍・熟地黄・防風・知母・茺蔚子 ・車前子各2両、玄参5銭」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に、50丸 茶清で服用。
◎目に五色花が見える症。 還晴丸[3]《東醫寶鑑》 「天門冬・麦門冬・熟地黄各3両、知母(酒炒)2両、人参・地骨皮・肉蓉 (酒浸)・牛膝・杜仲(酒炒)・石斛・杏仁各1両半、当帰(酒洗)・白茯苓・ 山薬(蒸)・兎絲子(酒製)・黄柏(酒炒)・枳穀・甘菊(酒洗)・青子・草決 明・白茯苓・羚羊角(屑)各1両、防風・犀角各8銭、川芎」を作末し、梧 子大の蜜丸。空腹時に、塩湯で100丸服用。
◎遠近の一切の眼疾。 ◎内外膜の攀晴・努肉・爛弦・風眼。 ◎老人・虚弱者の目昏・多晴・迎風・冷涙。 還晴紫金丹《東醫寶鑑》 「白蜜2両、炉甘石1両を火10回して、水浸半日・黄丹の水を切った もの6銭、烏賊骨1銭、硼砂(細末にし磁器に入れ、重湯で煮て、自然 乾燥)・麝香各5分、白丁香2分半、軽粉1分を蜜と砂石器内に入れ、 とろ火で煮た後、甘石末を又少し入れ、次に黄丹を入れて柳枝でかき混 ぜ、又残りの薬末を入れて実大の丸剤。毎回1丸を温水で点眼する。
◎爛弦風を治す。 還精補腎丸《銀海精微》 「人参・白朮・茯苓・潼・羗活・木賊・菊花・防風各40g、甘草16g、 川芎・山薬・肉蓉・密蒙花・青子・牛膝・兎絲子各40g、以上を作末 して、蜜で丸薬にする。または煎服」
還陽散《東醫寶鑑》 「硫黄末2銭、を新汲水で調下すると、寒が一度おき、また熱が一度出るが、 もう一度飲むと、汗が出て治る。」
◎陰毒で顔色が青く、四肢が冷え、脈が沈む症。 貫衆丸《東醫寶鑑》 「雷丸1両半、貫衆1両2銭半、狼牙1両、白彊蚕1両、白藿蘆・乾漆・厚 朴・雄黄各7銭半」梧子大の蜜丸。水で5丸ずつ3回服用したあと、漸次 増やして10丸までに達した20日目になると三尸と九虫はみな死ぬ。 ◎三尸(→用語さ)と九虫(→用語き)を除去する。
◎雷丸は赤虫、貫衆は伏・尸虫、狼牙は胃虫、白彊蚕は膈虫、白藿蘆は尸虫、乾 漆は白虫、厚朴は肺虫、雄黄は尸虫、を殺す。 貫衆湯《中薬臨床応用》 「東北貫衆9g、山紫蘇15g、苦楝根皮15g、土荊芥15g」 水煎服。 ◎腸内寄生虫(鈎虫)
旱蓮膏《東醫寶鑑》 「旱蓮草16斤を6月下旬又は7月上旬に採集し水洗。乾いたら汁を絞って 陽に晒すこと5日間、そしてかき混ぜないで正午に新生蔓汁と蜜各1斤を 加えて、前のように晒して乾かし、数日たって飴のようになったものを、 缶に入れて貯蔵して、毎日早朝、空腹時に酒と調合して服用。」
◎髪を黒くする。 款冬花散《東醫寶鑑》 「麻黄・貝母・阿膠珠各2銭、杏仁・甘草(炙)各1銭、知母・桑白皮・半夏 ・款冬花各5分、姜3」煎服。 ◎寒と壅で肺気に不利となり、咳をして痰が起こるとき。
款冬花散《医学入門》《古今方彙》 「款冬花・桑白皮・知母・貝母(炒)・杏仁(炒)・半夏・阿膠・麻黄・甘 草・生姜」水煎温服。
◎寒壅相交わり(寒と痰とが滞り壅る)、肺気不利し、咳嗽喘