<ま> つらい症状・病名


マインドフルネス

不安と向き合うことで心を楽にする手法。

仏教に根ざす心の調整法。「頭で考えずに体の感覚を体験する。

雑念を払う「正念」という仏教の教えに根ざしている。

医療に応用:うつ病の再発予防に有効。



Majocchi紫斑(マヨッキー紫斑)
=「血管拡張性環状紫斑」
⇒主に下腿に対側性に紅色の点状斑が多発し、環状に配列する。




Morquio病
⇒ムコ多糖症Ⅳ型。常染色体性劣性遺伝。
◎症状:
・骨変形
・難聴
・角膜混濁
・肝脾腫
・知能正常



Mortaux-Lang病
(マロトー・ラミー症候群)
⇒ムコ多糖症Ⅵ型。常染色体性劣性遺伝。
特定の酵素が欠損して起きる消耗性の遺伝性疾患。酵素欠損により細胞器官のライソゾームに複合糖質などが蓄積し、細胞や組織、臓器に進行性の機能不全を引き起こす。
◎症状:
・骨変形
・難聴
・角膜混濁
○医薬品:ナグラザイム点滴静注液5mg



「マイオスタチン関連筋肉肥大」
筋肉が過剰に発達する病気

遺伝子の突然変異
・ウシ(ベルギーブル牛)
・犬
1997年:原因特定。マイオスタチン関連遺伝子の変異

・ヒトにも。アメリカミシガン州。 リアムちゃん(養子)
疾患から、2歳児でも、たくさん食べさせ続ける必要がある。
筋肉質の体型
生まれてすぐ、動脈間開存症、室中隔欠損症
生まれてスグ立てた。3週間。半年で歩けた。
医師に相談。体脂肪の少なさ。
 2004年の論文との共通点
東京大学石井直方博士
 
筋肉の成長を抑制するのがマイオスタチン

第2番染色体が異常

筋肉の増殖:
HGFがONさせる
HGFをオフさせるのがマイオスタチン

何もしなくても筋肉トレーニングをしているのと同じ。
・体脂肪が付かない
 
食事は1日6回。高カロリ・高脂肪の食事を食べる必要がある。1800kcal
脳や神経の発達に必要な脂肪が不足する。細胞膜・ホルモン分泌・代謝障害






マイコプラズマ肺炎
=マイコプラズマ(ウイルスと細菌の中間に分類される病原体)による肺炎。マイ コプラズマは細菌の仲間だが、細胞壁を持たない。そのため、ペニシリンなどの抗菌薬が効かない。マイコプラズマに感染して肺炎が起きるのは、体が菌に過剰に反応する免疫異常が原因と考えられている。そのあめ、マクロライド系の抗菌剤は、菌の殺菌とともに免疫抑制作用もあるのでマイコプラズマに有効。

◎感染経路:感染者の咳から出る唾液の飛沫感染。
◎百日咳に似た激しいせきや高熱が続き、関節炎を起こすこともある。
◎オリンピックに大流行する
「4年に1度のオリンピックの年に大流行する。激しい咳と、38~40℃の高熱が続くのに、呼吸困難などの通常の肺炎の症状が無い」
「微生物マイコプラズマは、肺の中で炎症を起こし、感染者の咳などによって飛散する唾液によって伝染する。」
◎ウシ・ブタなどの家畜も発症する。

【病状の経過】
●感染2~3週間後・・・・発症
・37~38℃の発熱
・頭痛
・全身倦怠感
●発症後3~5日
・タンが無い咳(乾いた咳)
・耳が痛い
・胸が痛い

● 重症化すると
・胸水がたまる(胸水貯留)
●合併症
・中耳炎
・脳炎
・肝炎
・心筋炎

■病原菌の動き解明
「大阪市立大学理学研究科の宮田直人・助教授らは、若年層が罹りやすい「マイコプラズマ肺炎」の病原菌が動く仕組みをほぼ解明したと米科学誌アカデミー紀要の2005年8/22発表。
宮田助教授らは、病原菌が感染・増殖する上で重要な病原菌の動く仕組みに注目。病原菌と同じ構造をもっていて動きの活発な「マイコプラズマ・モービレ」という最近で研究した。
■3日で
「バイベンチャーのエムバイテック(江東区)は、肺炎を引き起こすマイコプラズマの乾癬を速く正確に診断できる技術を開発した。従来は感染後、発熱してから10日以上でないと感染の有無が不明だった。
マイコプラズマ菌の中でも病原性の高い[マイコプラズマ・ニューモニエ]の作る『GGL』という脂質状の抗原を見つけ、化学合成することに成功した。患者の血清に合成した脂質を加えて、抗体の有無をみることで感染の有無を調べる。」200710/22産業



マクログロブリン血症
macroglobulinemia
(Waldenström病 )
⇒血中にマクログロブリンが増量する疾患。IgMの単クローン性の増加をみる疾患。
◎症状:
・貧血
・出血傾向
・肝脾腫
・リンパ節腫張
・過粘稠度症状群



マチャド・ジョゼフ病(MJD)
(参照→脊髄小脳変性症)
■タンパク質が原因。
「遺伝性の神経病、マチャド・ジョゼフ病(MJD)は、『ポリグルタミン』というタンパク質が神経細胞を殺すのが原因で発症することを京都大学医学部の垣塚彰・助教授らの研究グループが突き止めた。たった一種のアミノ酸(グルタミン)から出来ている特殊なタンパク質で、病気の発症機構の解明や治療法開発に役立つ成果といえる。
京大グループは患者の遺伝子で同じ遺伝暗号が異常に長く反復していることに注目。繰り返し暗号を持つ人工遺伝子を作って培養細胞に注入したところ、細胞が死滅した。
問題の暗号は3つの塩基の配列(CAG)が79回繰り返されるもので、細胞内ではこの暗号をもとにグルタミンが79個つながった『ポリグルタミン』が 出来る。研究グループはこの特殊なタンパク質が細胞死を引き起こし病気の原因になっているとみている。
MJDは遺伝性の小脳変性症で歩行障害などが起きる。患者は世界で推定 100000人と決して一般的な病気ではないが、同じ塩基配列(CAG)の異常な繰り返しはハンチントン舞踏病など5つの遺伝病で見つかっている。
 他の病気でもポリグルタミンが関与している可能性が強いと研究グループはみて、さらに詳しい研究を進める考えだ。1996.6.3《日本経済新聞》」


マラリア
 (参照→原虫による感染症)
=日本で古くはオコリと呼ばれていたのもマラリアの一種で、ハマダラカに媒介されたマラリア原虫が体内で増殖し、突然の寒気ののち高熱を発するという症状を1日~数日おきに繰り返す。
◎熱帯性マラリアでは、意識障害・黄疸などの症状を呈して死に至ることもある。
◎クロロキンが効かないマラリアが増えている。
■WHOの調査では、マラリアは熱および亜熱帯地域の100各国あまりに分布して いる毎年3~5億人感染し、150万~270万人が死亡している。
WHOでは、数年後には毎年8億人がマラリアにかかる可能性があると警告している。1997.8.27《朝日新聞》
■ワクチン----動物実験で有効
「大阪大学微生物病研究所の堀井俊宏助教授らはマラリアのワクチンを作り、サルに接種してマラリアの発病を抑えることに成功した。マラリアは薬剤耐性株の出現などで治療が極めて難しくなっており、ワクチン開発が各国で進められている。
ワクチンは、マラリア原虫の増殖に必要な「SERA]というタンパク質をまねて作った。接種すると、SERAタンパク質に対する免疫が出来、感染してもマラリア原虫が増殖できないため発病を防げる。
SERAタンパク質は堀井助教授が米ダートマス大学での共同研究で発見した。今回、このタンパク質の生産を命ずる遺伝子を人工的に作って大腸菌に組み込み、大量に作った。
マラリア原虫は「煙幕効果」といって自らの増殖に無関係なタンパク質をばらまいて抗体に対する目くらましをする。このため一度の感染では免疫が出来ず、ワクチン開発も難しかった。免疫の攻撃目標として有効なSERAを見つけたことがワクチン開発の突破口になった。1997.2.1《日本経済新聞》
■予防
「『海外で健康に暮らす為の手引き』を著した元世界保健機構(WHO)医務官の渡辺義一さんは“マラリアは予防薬があまり効かない。適切な治療薬の携行と、蚊に刺されない工夫が大事”という。渡辺さんのおすすめは昆虫忌避剤をスプレーした長袖・長ズボンの香取線香の持参。それの日暮れまでには宿に入ることだ。
問題は、こうした一般論だけでは十分ではないことだ。感染症の種類は地域によって違い、流行状況も刻々と変わる。
「マラリアの予防に」と古い情報を基に処方された薬・ファンシダールを飲み、強い副作用で生死の境をさまよった経験のある武岡洋治・名古屋大農学部教授は“最新の新しい情報を流してもらいたい。自分の身を守るのは、正しい知識と情報”と話している。
■輸入感染症
「海外旅行先が多様化してきたことにより、輸入感染症の新顔も目立ってきた。代表格が『マラリア』だ。
大阪市立総合医療センターの坂上賀洋・感染症センター部長によると、特に症状のひどい熱帯性マラリアは、アフリカに限らず、東南アジア・パプアニューギニアに原虫がいる。治療しないと、「意識障害」・「急性腎不全」などが起こり、1週間ほどで死亡してしまう恐れがある。
厚生省「熱帯病治療薬の開発研究班」班長の大友弘士・東京慈恵会医大教授(熱帯医学)によると、1980年代は70~80件だったが、90年頃から、毎年100件を超えて発生し、死亡例も年に数件ある。
初期症状は「頭痛」・「倦怠感」で、かぜと間違われやすい。坂上部長は「日本はマラリアなど輸入感染症に対応出来ない医療機関がほとんどで、適切な治療が遅れて亡くなった患者もいる。思い当たる症状があれば、相談に来て欲しい」と呼びかけている。
 大友教授は「マラリアは藪蚊に似た夜行性の虫に血を吸われる際に感染する。夜間に外出を控えるか、長袖などで肌の露出を抑え、虫よけスプレーなどを併用すれば、かなり防御出来るはず」と話す。1996.8.14《朝日新聞》」
■環境破壊のツケ
「今年4月、国立予防衛生研究所の名称を「国立感染症研究所」に変更。この20年間に発見された感染症は約20種。温暖化でマラリア病原虫を運ぶ蚊の生息地が北上し、石垣島と宮古島がすでに生息地になっている。しかも従来の抗生物質に耐性を持つため、マラリアで死亡する人は年間210万人にのぼる。 1997.5.10《日本経済新聞》
■薬が自由に使えず、診療も手薄
「日本ではじめてエボラ出血熱を疑わせる患者が出たのは、1992年10月。前月にアフリカを旅行した千葉市の男性(当時45歳)だった。発熱で診療所に行き、風邪と診断されたが、ひどくなって6日目に関連病院に入院し、翌日亡くなった。皮下出血があり、抗体検査が擬陽性だったことからエボラ出血熱が疑われた。病理標本と血液が米疾病対策センター(CDC)に送られ、『熱帯性マラリア』と確定した。帰国して約10日後の発病だったが、医師にはマラリアは念頭に無かったらしい。
マラリアは毎年、世界で3億人以上が発病、200万人が死亡する病気だ。しかし、日本ではきちんと診断、治療医、予防できる体制が出来ていない。
4種類のうち、発病時は発熱・悪寒だけで一番軽く見える熱帯性マラリアは5日以内に治療をしないと急変して生命の危険がある。最初は風邪。後は症状から『急性肝炎』『急性腎不全』『急性脳炎』などの病名で、見当違いの治療を受ける患者が毎年のようにいる。
「国際学会で“日本は?”と聞かれるたびに恥ずかしい思いをしています」と、海老沢功・元東邦大学医学部教授(公衆衛生学)。世界保健機関(WHO)が必須薬に指定し、世界中で使われているマラリア薬が日本では自由に使えない。血液中の原虫を殺すクロロキンは藍葉で薬害を起こして承認を返上。クロロキン耐性用のメフロキン、肝臓の原虫を殺すプリマキンは承認を得ていない。
これら「研究用」に、ヒューマンサイエンス振興財団の研究班員が所属する18病院に保管されてはいる。一般の意志がマラリア患者を診断した時は班員に相談する。患者を送ったり、班員を呼んだり、または診断資料をつけて薬の提供を申し込む。「北海道や東北はたった1カ所。悠長なやりとりの間に手遅れになることもあります」と海老沢さん。
欧米からマラリア流行地に行くときは予防薬としてクロロキンやメフロキンを持参する。簡単に入手できない日本では、外国の中継空港などで買って自衛することが多い。92年にPKOでカンボジアに派遣された自衛隊もタイから購入した。」2000.4.30《朝日新聞》
■マラリア原虫-----寄生の様子解明
「米ローレンス・バークレー国立研究所は、マラリア原虫が人間に寄生する様 子を明らかにした。プラスモディウムという単細胞のマラリア原虫は、感染後30分以内に肝臓に侵入、2週間後には何千にも増えて血液中に流れ出て、赤血球に寄生する。
寄生するときには、血球にくっつきやすいタンパク質を合成し特殊な突起を作る。原虫は2日間で6~20個体に増え、再び血液中に出て、別の赤血球に寄生することを繰り返す。原虫は表面のタンパク質の構造を常に変化させているので、人間の免疫機構は働かないという。1996.1.12《日経産業新聞》より」

■マラリア原虫からワクチンの可能性
「感染すると激しい発熱などの症状を引き起こすマラリア原虫が人間の赤血球に侵入した際に出現するタンパク質が、マラリアに対する極めて有効なワクチンになる可能性があることを、大阪大微生物病研究所の堀井俊宏教授とウガンダの共同研究チームが20日までに突き止めた。
マラリアは小児を中心に死者が年間300万人に達するが、治療薬に対する耐性原虫が次々と現れ、ワクチン開発は急務になっている。
ワクチンとして期待されるのは堀井教授が1985年、マラリア原虫から分離したSERAと呼ばれる遺伝子を作るタンパク質。
同教授によると、人工的に合成したSERA遺伝子を大腸菌に組み込み、このタンパク質を大量に生産、ウガンダの流行地域で約50人の小児を対象に調査した。
タンパク質に対する抗体を持っていない小児は、マラリアに感染すると発熱するのに対し、抗体を持っている小児は、ほとんど発熱しないことが分かった。」2000.7.21《日本経済新聞》
■ワクチン合成
「ハマダラカが媒介するマラリア原虫は、いったん肝臓細胞に入り、赤血球に侵入出来る形(メロゾイト)になって血液中に出る。赤血球に入ったメロゾイトはその中で輸状体、栄誉歌い、分裂体となり多数のメロゾイトが血液中に出て、次々と赤血球を侵す。
赤血球への感染期に高熱や、脳障害を起こして死につながる。原虫は感染者の血液を吸った蚊の中で、有性生殖をし、再び人間に入るサイクルを描いている。
マラリアを抑えるには。このサイクルのどこを断ち切ってもよく、蚊の退治、薬剤、ワクチンの3本柱で研究が進められている。蚊を退治して人間への侵入を阻止できれば理想的だが、少しでも原虫が侵入すると体内で増殖する。薬剤も戦後まもなく抗マラリア薬として登場した合成薬クロロキンに対する耐性原虫が世界中に広まったヨウに、耐性の問題がある。ワクチンも、原虫・寄生虫では青蒿していない難点がある。
大阪大微生物病研究所の堀井俊宏教授らは、流行地の志望者のほとんどは1~5歳の乳幼児で、その時期を過ぎれば死亡しにくくなるが、非流行地の大人が感染すると乳幼児と同じように死亡することから、中古うちの大人は免疫を獲得していると判断した。
ワクチンで予防できる可能性があるわけで、その正否は体の免疫力(抗体=IgG)が、原虫の何を攻撃目標(抗原)にするかに左右される。
マラリア・ワクチンの候補となる抗原は主なものでも7種あるが、堀井教授は米ダートマス大で1986年に取り出した抗原「SERA」の遺伝子をもとに大腸菌に作らせた抗原を使っている。
SERAは原虫が赤血球から飛び出すときに体にまとっているタンパク質で、このタンパク質に対する抗体は、赤血球から出てきた原虫に結合して凝集させ、その後、免疫の仕組みである補体によって殺されることが試験管内の実験で確かめられている。
アメリカの研究者や堀井教授が行ったサルの実験で感染予防効果を確認。ウガンダの研究者と共同で流行地の子供を対象にこの抗原に対する崩帯の保有率を調べたところ、発熱している子は1人も抗体を持たず、発熱していない子の多くは抗体を持っていた。
この明かな差を示すデータによってワクチンメーカーの協力が得られ、臨床試験への第一歩の踏み出すことになった。」
■耐性遺伝子
「米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)はマラリアを媒介する原虫に、マラリア治療薬の効果をなくす耐性遺伝子があることを発見した。
7番目の染色体にある『pfcr1』と呼ばれる遺伝子。この遺伝子が設計図となって作られるタンパク質が抗マラリア薬「クロロキニーネ」の効果を失わせる働きがあることを突き止めた。この遺伝子の機能を抑える化学物質を合成できれば、マラリア耐性を克服できるを期待されている」2000.10.25《日経産業新聞》
■原虫と蚊のゲノム解読
「世界で5億人が感染し、毎年300万人が死亡する感染症マラリアの原虫とマラリアを媒介する蚊のゲノム(全遺伝情報)を国際共同研究チームが解読した。
マラリア原虫は4種類が知られているが、このうち最も症状が重くなる『熱帯熱マラリア原虫』のゲノムを、米ゲノム研究所と英・豪の共同グループが回想した結果、遺伝情報を構成する塩基対は約2300万で、この中にタンパク質の合成などの役割を持つ遺伝子が5300個あるのを見つけた。
一方、米バイオ企業セレーラ・ジェノミクスを中心とする米仏独などのグループがマラリア蚊(ハマダラカ)のゲノムを解読したところ、約2億8700万塩基対からなり、約1万3700個の遺伝子があったという。
まらりあはアフリカやトウナンアジアの熱帯を中心にみられ、発熱や腎不全などを引き起こし死亡するケースも多い。」2002.10.4《日本経済新聞》
■予防に原虫の酵素
「マラリアの予防ワクチンとして、マラリア原虫の酵素が有望であることを狩野繁之国立国際医療センター研究所部長と群馬大医学部、工学部のグループが8/24までに突き止めた。マラリアワクチンの開発は世界中で進められているが、有効性が確認された例はない。狩野医師の成果は、米疾病対策センター(CDC)も「有望な候補の1つ」と注目している。グループが注目したのは、マラリア原虫が糖を分解する貯めに使う酵素。人工的に合成し接種したところ、接種していないサルに比べ、原虫に寄生された赤血球の数を1/30に抑えることが出来た。
マラリア流行地域では、感染を繰り返すうちに免疫を獲得する人がいることが知られている。タイで行った調査では、免疫を持つ人は、同酵素に対する抗体が多いことも分かった。」2003.8.25《日本経済新聞》
■蚊で防ぐ
「自治医科大学の吉田栄人講師と茨城大学は、マラリア原虫を媒介するハマダラカの遺伝子を操作して、体内でマラリア原虫が増えない洋にする技術を開発した。原虫に感染した人の血液を蚊が吸っても体内で血液が溶け、血中の原虫も死滅する仕組み。
自然界に放って野生種と交雑させれば、マラリア根絶につながる可能性がある。
人の血液を溶かすナマコのタンパク質に着目し、このタンパク質を作る遺伝子をハマダラカに組み込んだ。ネズミマラリア原虫をラットに感染させて、遺伝子を操作した蚊56匹に血を吸わせて体内の原虫数を調べた。
その結果、平均0.4匹と通常の1/10に減少。
人に感染する原虫での実験はこれから。」2005.10.17《日経》
ハマダラカの遺伝子操作に着手したのは2000年、この年、英国の研究者が発光クラゲの遺伝子を使い、体が光るハマダラカを作製することに成功したとネイチャーに発表。困難とされていたハマダラカへの遺伝子導入が可能であることが分かった。吉田講師が着目したのは福岡県の玄界灘で異常発生し、漁船の網を破るなどの被害を起こす「グミ」というナマコ。このナマコの体液のタンパク質は、人の血液成分を溶かしてしまう不思議な性質がある。茨城大学の研究者らが進めているのとで、共同研究になった。
【鍼灸】
[前谷]


【漢方薬】(マラリア)
■桂枝二越婢一湯
■桂枝二麻黄一湯
■桂麻各半湯
■截瘧七宝飲
■柴胡去半夏加栝楼湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
■四逆散
■小柴胡湯
■常山飲
■真武湯
■走馬湯
■大柴胡湯
■白虎湯 
■白虎加桂枝湯



マルファン症候群(Marfan症候群)
⇒先天代謝異常の1つ。
◎症状:

・扁平足
・鳩胸
・体幹の長さと幅の比率が増大。

■機構解明
「米国立関節炎・筋肉・皮膚病研究所(NIAMS)は高い身長にもかかわらず手足の指が極端に細い病気『マルファン症候群』の機構を解明した。血液の凝固に関わる[フィブリン1]といタンパク質を作る遺伝子の異常が原因とみて、遺伝子治療が有効な治療法だとしている。
フィブリン1の遺伝子異常は多くの患者から見つかっている。NIAMSはマウスのフィブリン1の遺伝子を変異させて調べた結果、血管や肺などの弾力を失う症状が起きて動脈瘤を誘発することが分かった。死んだマウスはフィブリン1を生産出来ないため、細胞に伸縮性をもたらすタンパク質が組織を作れず弾力が消失していた。同症候群は1人/5000人が発症し、これまでバレーボールのオリンピック選手などが死亡している。1997.10.9《日経産業新聞》



マールブルグ病
=マールブルグウイルスによる熱性伝染病。
◎感染経路:経皮感染or飛沫感染。
◎潜伏期間:5~7日。
◎症状:発熱、腹痛、下痢。出血によって死亡することがある。

「パニックはまず、ヨーロッパの瀟洒な街で起きた。<1967年8月、西ドイツ・マールブルク>小高い丘が城を頂き、レンガ造りの建物が並ぶ都市に救急車が走る。原因不明の疾患が発生し、街は騒然とした。
「私は北海沿岸でバカンス中だった。飛んで帰ったよ」。マールブルク大学ウイルス研究所のベルナー・ストレンスカ教授(64)は今も興奮気味だ。患者は頭痛・下痢・めまいを訴え、やがて皮膚と口に発疹、脳炎や肝臓障害を起こした。何人かは1、2週間後に内臓出血で死亡した。
「マラリアか黄熱病。だが誰も熱帯に行っていない」そのうち、患者がワクチン製造の「ベーリング社(現カイロン・ベーリング社)」で、ウガンダから輸入したミドリザルの腎細胞を使ったポリオウイルス培養に関わっていたと判明した。同じサルを使う他の研究所でも患者が出ていた。患者は31人、うち7人が死亡した。
教授らは同年11月、患者の血液から感染させたモルモトを使い、ヘビのような形のウイルスを見つけた。後に『マールブルグ・ウイルス』と呼ぶ新病原体の出現だった。教授は「感染源はいまも不明。熱帯雨林が起源とだとは思うが」と話す。
東京大学の山内一也名誉教授(68)は当時、国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)に勤務していて、世界保健機関(WHO)からのテレックスでこのウイルスの出現を知った。
途のウイルスをサルが持ち込むとは思わなかった。私たちもミドリザルを使っていたのでゾッとした」



まぶたが垂れ下がる
⇒チェックする病気:重症筋無力症。
   アルコール中毒症。
■種類
○「先天性眼瞼下垂」:まぶたをあげる筋肉が生まれつき弱い。
・上眼瞼挙筋を縮める手術。
○「瞼膜性眼瞼下垂」:
長年コンタクトレンズをしていて、この筋肉の腱が伸びる。
・ 上眼瞼挙筋を縮める手術。
○「眼筋型重症筋無力症」:
神経と筋肉の間の伝達が悪くなって起こる
朝方より夕方にまぶたが下がるのが特徴。
内科的治療。
○「老人性眼瞼下垂」:皮膚がたるんで起こる
たるんだ皮膚を切除すれば治る。

■コンタクトに注意
「A子さんは強い近視で、高校生の頃からハードコンタクトを常用している。最近になって鏡を覗いて気づいた。左のまぶたが下がっているように見える。いつもの眼科に行って診察を受けたところ、『眼筋型重症筋無力症』の疑いがあると言われた。
大学病院を受診したところ、朝夕でまぶたの垂れ方に違いはありませんか?と聞かれた。差はないと答えたところ、重症筋無力症の心配の可能性は少ないが、念のため検査をしましょうと言われた。血液検査の結果、眼筋型重症筋無力症では無かった。
A子さんは長年、利き手でない方の手でまぶたを強く引っぱってコンタクトレンズをハズしていた。そのため、上まぶたの筋肉(上眼瞼挙筋)の付着部が延びてしまい『腱膜性眼瞼下垂』と診断された。
眼筋型重症筋無力症はアセチルコリン(神経伝達物質)の受容体に対する抗体が生じ、神経と筋肉の間の情報伝達が悪くなって眼瞼下垂が起きる病気のこと。夕方の方が朝方より眼瞼下垂の症状が強く表れる。
これに対して腱膜性眼瞼下垂は、朝夕の変化はない。治療は上眼瞼挙筋を外科的に縫い縮める手術が有効。(不二門尚・大阪大学医学部教授)」2005.11.22《日経》




まぶたが腫れる
⇒「眼瞼炎」を参照。
◎胞肉(まぶたの内の肉のこと)と烏睛(黒目のこと)がねばり、そのねばりがニカワ(膠)のような場合は、防風通聖散の主治である。またそれより熱気が一段とひどくて目屎(めくそ)の多いのは葛根湯+大黄を用いる。これで治らなければ芎黄散を兼用する。また軽い者は芎黄散だけでも治る。また上瞼と下瞼が目屎で閉じる者には、葛根湯+大黄を用いる。またカユミがあれば蛇床子を水煎して洗うが良い。もし涙がひどく出るようなら葛根湯+朮附を用いる。《柚子流眼療秘伝書》


まゆ(眉稜)が痛い
【漢方薬】
■消風散


末梢神経炎
【漢方薬】
■桂芍知母湯
■大防風湯


末端肥大症
(参照→下垂体性巨人症)
◎診断基準:1990年、厚生省間脳下垂体機能障害研究班。
主症状:
①手足の容積の増大。
②末端肥大症様顔貌:過去の顔写真との比較が重要。
眉弓部の膨隆
鼻・口唇の肥大
下顎の突出
③巨大舌

検査所見:
①成長ホルモン値:
(a)空腹時にブドウ糖負荷後の血中成長ホルモン値がともに10ng/‹以上。
(b)血中成長ホルモン値10ng/‹以上の場合に、以下の2項目以上を満たすこと。
(イ)ブドウ糖75g(50~100g)経口負荷で抑制されない。
(ロ)夜間睡眠中の分泌増加が欠如している。
(ハ)TRHまたはLH-RHに反応して増加する。
(ニ)L-dopaまたはbromocriptineに対する増加反応がみられない。
②血中ソマトメジンC(IGF-1)高値

副症候および参考所見:
①頭痛
②視野障害
③発汗
④トルコ鞍の拡大及び破壊
⑤CTスキャンまたはMRIで下垂体腺腫を認める
⑥heel padの肥厚(22mm以上)
⑦指末節骨X線像における花キャベツ様肥大変形
⑧糖尿
⑨高血圧

 

麻疹(ましん)measles
=「はしか」
⇒急性伝染病。
◎麻疹ウイルスの感染によって、発熱・咳・目の充血・全身性の発疹を起こす。
・飛沫感染する。
◎好発年齢:2年以上~就学年齢。
◎好発時期:春秋
◎麻疹の症状:

・発熱、上気道のカタル症状、結膜炎症状が2~3日続き、発疹、の後・頚部・顔面・上肢・体幹・下肢の順に小斑状丘疹出現。
・一部は融合して大小不同の斑紋となるが健康皮膚面を残す。
・リンパ節は主に頚部~後頭部にかけて腫脹する。
発熱:高熱         
発疹:
①部位:
頚、耳介後部より始まり、全身に拡大する。
耳後部・頚部・顔面・上肢・体幹・下肢の順に出現。
②性状:
不規則な丘疹、米粒大。
一部は融合し大小不同の斑紋となるが、健康皮膚面を残す
落屑は軽度で、色素沈着が残る。
③発疹の出現:
初めに軽度に発熱、次いで一旦下がり、高熱とともに発疹する。
④コプリック斑(Koplik斑):(カタル期)

リンパ節腫張:

粘膜カタル、粘膜疹、リンパ腫、気管支炎、肺炎。

◎血液像:
白血球:減少
好中球:初め増加し後減少。
好酸球:消失
リンパ球:相対的リンパ球増加
   

◎麻疹の検査項目:
<1>WBC(↓)
<2>尿ジアゾ反応(+)
<3>麻疹抗体価(↑)

■怖い余病
「A君は学校でも人気のある元気な男の子だったが、7歳頃から時々物忘れをするようになり、それまで上手だった字が下手になってきた。1ヶ月ぐらいして手足が無意識的に動くことに気づき来院した。検査により、血液や髄液の中の麻疹の抗体が高いこと、脳波の異常などから『亜急性硬化性全脳炎(SSPE)』と診断された。
麻疹にかかった(1歳未満が多い)あと、数年の潜伏期間を経て発病する極めてまれな中枢神経の病気で、麻疹ウイルスによる遅発性ウイルス感染症と呼ばれている。決定的な治療法はなく。最近特定疾患に指定された。A君も9ヶ月の時に麻疹にかかっており、麻疹自体は軽かったが、約7年の潜伏期間の後に発症したことになる。
発病を予防するには麻疹にかかることを防ぐことである。麻疹ワクチンを徹底し、子供(特に1歳未満)を麻疹から守ることである。実際ワクチンの接種が行き届いている先進国ではこの病気は最近ほとんどみられない。しかし日本の接種率は低く、麻疹の流行が見られるため、今でも年間数人の子供に亜急性硬化性全脳炎が発症している。
麻疹はこの他にも、『肺炎』や『脳炎』といった重篤な合併症が知られており後遺症を残すことが多く、今でも軽んじてはいけない重要な子供の病気の1つである。麻疹のワクチンもやらない人が多くなったが、自分の子供を麻疹から守るためにも、1歳未満のワクチンを接種してほしい。(二瓶健次・国立小児病院神経科)1999.1.18《日本経済新聞》
【組み合わせ】
<1>[キンカン犀角イセエビの殻]

【漢方療法】(麻疹)
<1>麻疹内攻すると:

①軽いとき:煩渇譫狂する
②重いとき:神昏悶乱する
・急に犀角消毒飲、黄連解毒湯加味、大柴胡湯石膏を与え、疹毒をして透出せしむれば救ふべし。《麻疹心得続録》
・二仙湯
  

【漢方薬】(麻疹)
■黄蓍建中湯
盗汗、皮膚緊張低下。軟便、食欲不振などを目標に用いる(漢方診療医典)
■黄連阿膠湯
■葛根黄連黄芩湯
高熱が出るとともに痙攣を起こすものに用いる。また、高熱、咳嗽があって下痢する者に用いることがある(漢方診療医典)
■葛根湯
麻疹の患者は良く汗が出るので、葛根湯のような麻黄剤は用いる場合が少ないが、もし熱が高く出ても汗が出ず、脈浮数のものに用いる(漢方診療医典)
■銀翹散
■桂枝加葛根湯    
■桂枝加厚朴杏仁湯(初期)
■桂枝加大黄湯
■桂麻各半湯
■五物解毒湯
症状がほぼ治った後、全身に瘙痒を訴え、小発疹を繰り返すことがある。このような時に用いる。麻疹後の調理の剤。(漢方診療医典)
■犀角解毒湯《寿世保元》
■柴胡桂枝乾姜湯
微熱、盗汗、全身倦怠感、神経質などを目標に用いられる(漢方診療医典)
■柴苓湯《万病回春》
■十仙湯《寿世保元》
■小柴胡湯
発疹後には一般に小柴胡湯を用い、順調なものはこれで治る。また微熱が続き肺結核の続発が考えられるような場合にもこの方尾w用いる。頸部リンパ節腫脹、気管支炎、中耳炎などが併発した場合は小柴胡湯加桔梗石膏として藻チル。小柴胡湯で効のない場合は、柴胡清肝散で奏功することがある(漢方診療医典)
■小青竜湯+麻杏甘石湯
発疹後、気管支炎もしくは気管支肺炎を併発し、咳嗽、呼吸困難を訴えるものに用いる(漢方診療医典)
■消毒飲《寿世保元》
■升麻葛根湯《万病回春》
麻疹の初期に用いて、発疹を促進し、経過を順調にする効がある。発疹が出そろうまで飲ましてよい(漢方診療医典)
■四物湯《寿世保元》
■十全大補湯
食欲不振、全身倦怠などを目標に用いられる(漢方診療医典)
■四苓湯《万病回春》
■真武湯
麻疹には附子剤を用いることはほとんど無いと古人は言っているが、筆者は急性肺炎と麻疹が合併した重症患者に、真武湯と四逆湯を用いて治したことがある。高熱がいつまでも続き柴胡剤で効のない時は附子剤を考えてみる必要がある(漢方診療医典)
■清金降火湯《済世全書》
■宣毒発表湯
■走馬湯
■蘇葛湯《済世全書》
■大柴胡湯
■大承気湯
■大青竜湯
■竹葉石膏湯
発病後にも熱が残り、口渇があり尿が少なく、濃厚なものに用いる。咳嗽がある声がかれるものにもよい。また熱が高くて不安でうわごとを言い、煩躁の状のある者にもよい(漢方診療医典)
■竹葉柳蒡湯
■調胃承気湯
■猪苓湯
■導赤散《万病回春》
■二仙湯《寿世保元》
発疹が急に消退し、肺炎あるいは脳症の徴候があって呼吸困難、チアノーゼを呈し、搬送してまさに死せんとする危急の状がある時には速やかに此方を与えると、危機を脱することがある(漢方診療医典)
■人参養栄湯
食欲不振、全身倦怠などを目標に用いられる(漢方診療医典)
■麦滑散《陳氏》
■白虎加人参湯
■白虎解毒湯《寿世保元》
■防風通聖散《万病回春》
■補中益気湯
体力低下、微熱、盗汗、食欲不振などを目標に用いられる(漢方診療医典)
■麻黄湯
■麻杏甘石湯
■麻疹一方《寿世保元》


麻痺 palsy
   (運動麻痺motor palsy)
■リュックサックまひ
「例えば、山登りをした後、腕がしびれたり、上がらなくなったという人がいます」これはリュックサック麻痺と呼ばれる症状。腕が上がらないだけでなく、握力が極端に落ち、湯飲み茶碗を持つのもおぼつかなくなる。
原因は、重いリュックサックを背負おうことにより、肩ベルトが肩に食い込み肩胛骨の上にある神経を圧迫して起きる。さらに、ザックの重さによって肩が下がると同時に胸が広げられる。すると肋骨と鎖骨が接近し、神経と血管が圧迫される結果、しびれを初め筋萎縮・脱力が起きる。1996.5.23《日本経済新聞》」
■脳梗塞後のマヒ
「69歳の夫のことですが、3年前に脳梗塞で倒れ右側の手足が不自由になりました。初めはリハビリで少しずつ良くなり、不自由ながら歩くことも出来ました。ところが、昨年再び脳梗塞を起こして以来、リハビリの「意欲」が全くなくなりほとんど寝たきりの状態になりました。今月、床ずれが出始め驚いております。意欲の出る漢方薬や床ずれに良い漢方薬はありますか?
高齢化社会になって脳梗塞後のマヒやしびれ、脳の機能低下で悩んでいられる人は非常に増えている。脳梗塞や脳出血後の初期によく用いられる漢方薬は続命湯である。まさに命を続けるための処方で、今日でも初期のマヒやシビレに使われる。出血後しばらくたった者には小続命湯や疎経活血湯・八味地黄丸などが使用される。
脳梗塞後の意欲低下には釣藤散や黄蓍建中湯などの処方が使われる。床ずれには塗り薬の紫雲膏がバツグンの効果がある。
漢方薬には循環をよくするものが多い。今後、健康診断時にMRIを使った検査などで無症状の微少な梗塞が見つかったら、大きくならないように桂枝茯苓丸など漢方薬の循環改善薬の服用をおすすめしたい」(花輪寿彦)1999.12.27《日本経済新聞》
■リハビリに電気が効く
「下半身マヒの男性が自分で車いすからベッドに移れるようになった----------。電気を利用した新しいリハビリテーション技術で、一生動かないと思われていた手足が動くようになった。
●脊髄損傷にも効果
神奈川県に住む40代のAさんは、転落事故による脊髄損傷で両足が動かなくなった、だが、1996年に東北大学付属病院で電気で両足を刺激する装置を操作する訓練を受け、1年後に平行棒をつかみながら立って歩けるようになった。
Aさんのように両足を全く動かせない人が、その機能を回復することは出来ない。しかし、手などを使うことが出来れば、電気で足の筋肉を刺激する装置を操り、足を動かせるようになる。手足をある程度動かせる人なら動きにくくなった手や足を動かし安くするための治療として、この技術を利用できる。
この治療を受けたい人は、麻酔して細いステンレス線をマヒした筋肉に埋め込む手術を受ける必要がある。ステンレス線の数は症状により異なり、5~6本なら1時間程度で埋め込める。手術後は、個人の状態に応じて刺激する電気の量などを調整し、手足を動かす訓練に備えて体力をつける。
電気で手足を刺激する訓練は、手術後2週間ぐらいから始める。弁当箱を少し小さくした装置のボタンを押して、自分でコップを持ったり、ペンを握ったり出来るようにすることことが治療の目標になる。1回につき5~30分程度の訓練を毎日3~6回繰り返す。自分で訓練できるようになるまで平均2ヶ月ほど入院が必要だが、その後は退院して自宅などで訓練を受ける。
東北大学付属病院リハビリテーション科の市江雅芳教授は「家族などの手を借りないと出来なかった動作が、この治療を受けると日常生活のかなりの部分をカバー出来るようになる」という。
一方、完全に手足が麻痺している患者の場合、麻痺した機能が回復することはないので純粋な治療とは言えないが、「手足の筋肉が動くようになるので、生活の幅を広げられる」(市江教授)と言う。麻痺を根本的に治療していないとはいえ、自分で今まで出来なかった動作が出来るようになるため「世界が広がった」と喜ぶ患者が多い。また、麻痺した手足を動かしていると血行が良くなり鬱血を防げるので、心肺機能が通常のリハビリだけの場合より向上する
●磁気治療も
東海大学付属病院リハビリテーション科の出江紳一助教授は、脳卒中で手足が麻痺した人を電気ではなく、磁気を使って治す研究を進めている。頭にコイルをのせて電気を流し磁気を発生させる。ステンレス線を付けなくて済むので、痛みをほとんど感じない利点がある。」2000.7.3《日本経済新聞》
■神経幹細胞移植で運動機能が回復
「米ジョンズホプキンズ大学の研究チームは神経をマヒさせたマウスやラットの脊髄に神経幹細胞を移植し、運動機能を回復させることに成功した。ニューオリンズで開かれた神経学会で発表した。
研究チームは脊髄だけを特異的に攻撃するウイルスを使って神経をマヒさせたマウスやラットの脊髄の中に神経の幹細胞を移植した。通常、ウイルスに攻撃されたマウスやラットは永久に手足を引きずり、正常に動かすことが出来ない。神経幹細胞を移植すると、その半数は正常に歩くことが出来るようになった。」2000.11.8《日経産業新聞》
■脊髄損傷で麻痺
「ロンドン大学のジェフリー・レイスマン教授た7んの国際研究グループは脊髄損傷で損なわれた神経を嗅覚細胞を利用して復元する手術法を開発。2007年に臨床試験を始める。
1つの神経単位が壊れると、周りの健康な神経単位から神経線維が伸びて損傷を補おうとする動きが自然に起きる。しかし脊髄損傷では傷ついた組織がジャマをして神経線維が伸びることが出来ない。
ところが常に外部環境にさらされている嗅覚神経単位は神経線維が脳へと伸びようとする通路があるため、一度死んでも再生を繰り返すことが出来る。この通路の元になっているのが鼻の上部にある穴だらけの管のような形をした嗅覚被膜細胞(OEC)だ。
患者自身のOECを培養したものを傷痕した辺りに注入すると、通路が形成されて神経組織がつながり、肢体の機能が回復するというのがレイスマン教授らのアイデア。1985年にこの細胞を発見したが、培養技術の確立に時間がかかった。
同教授は「マウスを使った実験では一貫して成功している。人間でも成功するはずだ」と自信を示す。
交通事故により腕の機能を失った10人ほどの患者を対象に臨床試験をはじめる予定。
研究チームは大学や企業に所属せず、研究費をチャリティーなどの寄付に頼る独立した組織。世界ではすでにレイスマン教授の考えを応用した臨床試験が3件実施されている」20069/25《産業》
■麻痺と脳の働き
「自然科学研究機構・生理学研究所と理化学研究所は浜松ホトニクスと脊髄損傷で麻痺した体の機能を回復させる脳の働きをサルの実験で解明した。
障害の深刻な段階から完全回復するまでに、脳の活動部位が変化していく様子を初めて捕らえた。2007/11/16の米科学誌サイエンスに掲載。
体の一部の機能が失われた場合、本来その部位に命令を送る脳の領域とは別の領域が活性化して機能を助けることがある。ただ、どうして機能が回復するかが不明だった。
研究チームは、サルの脊髄のうち、左手の指に命令を伝える部分を切断。食べ物をつまむリハビリ訓練を、指の動きが回復するまで約3ヶ月間続け、陽電子放射断層撮影装置(PET)を使い脳の活動を調べた。
回復初期の1ヶ月後では、左指に命令を送る右脳の運動野に加えて、左脳も運動野の働きが活発になった。損傷直後は脊髄の無事な部分を緊急避難的に利用し機能を補おうとするという。
指先を器用に動かせるようになった3ヶ月後では、右脳の活動範囲が正常時よりも拡大。本来働くべき右脳で通常より多くの脳細胞を活用することで、安定した動きを取り戻すと解釈している。
従来の治療では、損傷した脊髄を修復する手術が主流だった。今後は、脳に電気刺激を加えて回復を促すことが必要になる」
【民間療法】
○ウコギ・クロマメ・クワ・セキショウ・ゼンマイ・ニシキギ・ハチ・メナモミ  

【漢方療法】(マヒ)
● 下肢の麻痺:
☆痿症の初起には:痿証方《秘方集験》に宜し。
☆凝固して動き難き者:痿躄湯(=亀板湯)
☆筋痙攣甚だしき者:二角湯
☆壊症になった者:加味四物湯
  

【漢方薬】(マヒ)
■烏頭桂枝湯
■烏頭湯
■越脾湯
■越婢加朮湯
■葛根加朮附湯(四肢の麻痺)
■桂枝加朮附湯(四肢疼痛、麻痺)
■桂枝加附子湯
■桂芍知母湯
■桂麻各半湯
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■四逆散
■芍薬甘草附子湯(冷痛、ケイレン痛)
■十全大補湯(気虚・血虚による)
■小続命湯(顔面神経の)
■真武湯
■走馬湯
■続命湯
■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
■大防風湯(栄養失調)
■抵当湯
■当帰建中湯(貧血、食欲不振、虚弱体質、腹痛、腰痛<牽引痛>、)
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
■桃紅四物湯(脳血管障害・ふるえ)
■独活寄生湯(脳血管障害)
■白朮附子湯
■白虎湯
■防已黄蓍湯(上半身、足がむくむ)
■防風通聖散(手足の麻痺)
■補陽還五湯(小児麻痺)
■麻杏薏甘湯
■薏苡仁湯
■苓桂味甘湯
  

【臨床例】
☆一男子両足麻木す。活血攻痰の剤を服して効あらず、半載を経て後、両手又麻し、左脇下に尺許、痛癢を知らざる有り、六脈大にして無力なるを治す。此れいわゆる着痺なり。
神効黄蓍湯茯苓白朮当帰地黄、又十全大補湯を用いる。《雑病翼方》

麻痺性イレウス
⇒小腸又は大腸或いは両者に、蠕動運動の欠如を生じて機能的閉塞を起こした状態。



麻木(まぼく)
=漢方の病証名。運動麻痺。しびれの強いこと。
「麻」は痛痒がなく、肌肉を虫が這うように覚えるもの。之を按じても止まず、掻くほどの甚だしくなる。
「木」は痛痒がなく、之を按じても感覚がなく、紙や着物を一重二重と重ねた上から摩する如き状。

⇒衛気が運行しないと麻木になる。
「麻」=気虚の症、

「木」=湿痰と血に起因する症。

◎主薬:
麻はこれ気虚なり、黄蓍・人参を主薬とすべし《万病回春》
木はこれ湿痰、死血なり、蒼朮・半夏・桃仁を主薬とすべし《万病回春》


【漢方薬】(しびれ・麻木)
■開結舒経湯《万病回春》(婦人の七情・六欝により気が経絡に滞し、手足がマヒ)
■改定三痺湯《張氏医通》
■加減天麻湯《万病回春》
■加味益気湯《万病回春》
■加味八仙湯《万病回春》
■駆風豁痰湯《済世全書》
■香蘇散《寿世保元》
■五積散《寿世保元》
■五痺湯《医学入門》
■済世茯苓湯《医学入門》
■済世防風湯《医学入門》
■三痺湯《医学入門》
■止麻消痰飲《寿世保元》
■除湿補気湯《済世全書》
■神効黄蓍湯《李東垣》
■神効黄蓍湯+茯苓+白朮+当帰+地黄《医宗必読》
■神効黄蓍湯+十全大補湯《医宗必読》
■清涼潤燥湯《寿世保元》
■宣明升麻湯《医学入門》
■川芎茯苓湯《医学入門》
■雙和湯《万病回春》(湿痰と瘀血による麻木)
■冲和補気湯
■天麻黄蓍湯《医学入門》
■導気湯《医学入門》
■人参益気湯《古今方彙》
■補中益気湯《丹渓心法》
■麻骨方(頭からマヒして心に至って死にいたる)
■麻木一方《済世全書》


脈が遅い
=「徐脈」を参照


脈がない
⇒脈拍がない。
=脈なし病pulseless disease:橈骨動脈の触れないもの。
◎チェックしましょう。→大動脈炎症候群

【漢方療法】(脈がない)

<1>傷寒で両手に脈がない=双伏という。
<2>片手に脈がない=単伏という。
●もし病人が寒熱往来し、昏迷して両手にor片手に、急に脈がなくなる症は必ず正汗のある症である。この時は綿衣で手足をくるんで温かくしておいて、急いで五味子湯を飲むと、少し立つと必ず大汗をかいて治る。

【漢方薬】(脈が無い)
■五味子湯(傷寒で喘促し、脈が伏・厥する者を治す)


脈拍 pulse
◎左右の脈拍に差がある場合、以下の疾患を疑う
・動脈疾患
・縦隔腫瘍
・上腕部の異常

 

慢驚風(まんきょうふう)
=慢性の小児の搐搦(ひきつけ)。
=「慢驚」

慢性の痙攣発作、顔の色は薄白いか或いは青い、精神的疲労、嗜眠、ゆるやかな筋肉のひきつれが、起こったり止んだりする。発病の原因は嘔吐泄瀉のあとに引き続き起こるか、或いは急驚風から転ずることによって生じる。《古今方彙》
⇒慢性のひきつけ・小児の虚寒によるひきつけを指す。
大病の後とか、吐瀉のあと、寒涼の薬を多く飲み過ぎてなる病気で、その症状は目がチラチラし、また手足がしびれ、顔色が青白く、全身と四肢が冷たく、口をきかず脈が沈んで遅い。
   

◎《小児薬証直訣》
「小児慢驚は病後或いは吐瀉、或いは薬餌により脾胃を損傷するにより、肢体逆冷し、口鼻の気微、手足搐搦、昏睡して睛を露す。此れ脾虚して風を生じ陽なき証也。温白丸之を主る」
  

【漢方薬】(ひきつけ)
■烏蝎散(慢驚風の純陰性による吐瀉の止まらない症)
■烏沈湯《小児薬証直訣》
■温白丸(慢驚風を治す)
■益黄散(慢驚を治す)
■黄蓍湯《蘭室秘蔵》(慢驚風で下痢する)   
■加味四君子湯《寿世保元》
■加味朮附湯(吐瀉の後変じて慢驚になり、又は下痢する症)
■加味大醒脾散《寿世保元》
■加味和中湯《寿世保元》
■観音散(脾が弱く下痢し、精神が昏迷し四肢が冷たく、慢驚になろうとする症)
■銀白散(慢驚風)
■三味天少漿子散(慢驚風を治す)
■醸乳方(慢驚風を治す)
■神効散(慢驚風を治す)
■参朮半夏湯(慢驚風に母子ともに飲む)
■醒脾散《万病回春》(脾が弱って吐瀉が止まらず、だんだん慢驚になろうとする
■蝉蝎散(慢驚風に陽性が残っている症)
■全蝎観音散(吐瀉の後、慢驚風になった)
■南星飲(慢驚風で脾が弱く、痰涎の盛んな症)
■八仙散(慢驚の虚風を治す)
■白朮散(吐瀉が止まらず、津液が枯れ、水を呑んで慢驚になろうとするとき)
■防風元(慢驚風)
■保生丹(慢驚風)
■補脾益真湯《証治準縄》
■補脾湯(慢驚風)
■六君子湯+附子《薛立斎十六種》




慢性胃炎   

chronic gastritis
(参照→「機能性胃腸症」)
⇒慢性胃炎は、日本人には非常に多い病気で、急性胃炎から移行する場合や、そ の原因がはっきりしない場合が多いのですが、食事の不摂生が主な原因になります。
一般に「萎縮性胃炎」とその他に分けられる。
その他には「巨大肥厚性胃炎」と「びらん性胃炎」がある
○慢性胃炎では、食欲減退、胃部の膨満感、圧重感、または圧痛を訴え、また噫気、胸やけ、悪心、嘔吐、口臭などあり、時には胃からの出血があって、胃潰瘍を疑わしめることもある。また胃からの著明な症状が無く、疲れやすい、体重が減少するという場合もある(漢方診療医典)

 

【民間療法】(慢性胃炎)
○アカメガシワ・アキカラマツ・アロエ・ウコン・カミツレ・クロモジ・ショウブ・ツルナ・ホオノキ・ヨシ。
【漢方薬】(慢性胃炎)
■安中散
慢性胃炎で胃痛の長く続く者に用いる。患者はやせ型で、血色がすぐれず、冷え症で、腹にも脈にも力がない者によい。また心下部で振水音を証明できる者があり、臍部で動悸が亢進していることがあり、胃液が口に逆流してくることもある。この処方を用いて良い患者には、甘党が多く、酒客は少ない(漢方診療医典)
■一貫煎
■温胆湯
■温脾湯
■益胃湯
■黄芩湯
■黄連解毒湯
酒客の胃炎または吐血のある場合に用いる機会がある(漢方診療医典)
■黄連湯
■加味逍遥散
■甘露飲
■固本丸
■五苓散
嘔吐を主訴とする胃炎で、口渇と尿利の減少があれば、本方を用いる。この場合、吐くとすぐノドが渇き、飲むとまた吐く。これを繰り返すが、本方を飲むと口渇も止み、嘔吐も無くなる。(漢方診療医典)
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
胃炎で胃痛を主訴とするものに用いるが、腹診上、胸脇苦満があって、腹直筋の緊張しているものを目標にする(漢方診療医典)
■左金丸
■四君子湯
平素から胃腸が弱く、気力に乏しく、血色にすぐれず、食が進まず、手足がだるくなり、食後にねむけを催すものによい。胃アトニーを兼ねた胃炎によい。脈にも腹にも力がないものを目標とする(漢方診療医典)
■沙参麦門冬湯
■小建中湯
■小柴胡湯(胸脇苦満、往来寒熱、食食欲不振、舌白苔、微熱、神経質)
小児の胃炎に用いる機会がある。食欲が無くて、悪心、嘔吐のある者によい。この処方も胸脇苦満のある者に用いるが、乳児では、胸脇苦満が証明できないことが多い。肝炎を胃併発しているものがよい(漢方診療医典)
■小半夏加茯苓湯
■生姜瀉心湯
半夏瀉心湯を用いるような患者で、噫気があり、ことにその噫気が食物の臭気を伴っているような場合に本方を用いる(漢方診療医典)
■逍遥散
■参蘇飲(頭痛発熱、無汗、食欲不振、悪心嘔吐、胃部膨満感、脈沈数)
■清熱解欝湯
慢性胃炎で痛みを主訴としているものに用いるが、衆方規矩には“心痛はすなわち胃痛なり。多く気うつし、日久しく薀積するによりて、熱となりて痛みをなすを治す”とあって、いろいろと気をつかったために、胃を悪くして、胃痛を訴える者を治するのであるが、ここに注意しなければならないのは「熱をなす」の語である。この「熱をなす」の語によって漢方で言う「熱状」のあることを知らねばならない。この「熱状」は、新陳代謝の亢進を意味し、安中散が新陳代謝の沈衰する「寒状」を目標とするのに対比する。
そこで脈ぬも腹にも、ある程度の力があって、軟弱でない、また舌は湿潤せずに、乾燥の傾向にあり、苔のつくこともある(漢方診療医典)
■旋覆代赭湯
生姜瀉心湯を用いて噫気のやまない者に用いる。体力、気力ともに生姜瀉心湯を用いる患者よりも弱いものを目標とし、腹壁が弛緩していて、胃腸の運動を望見できることがある。胃潰瘍の手術後ひっきりなしに噫気が出てやまない患者に、本方を与えて著効を得たことがある。噫気のほかに、胸やけを訴えるものに用いて良い(漢方診療医典)
■増液湯
■大建中湯
■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
頑丈な体格の人で、便秘気味で、下剤を飲まないと大便が出なくて、胃が重く、この部に抵抗を圧痛があり、みずおちがつまった感じで背から肩にかけてこり、舌には、褐色または黄色の苔がついて乾燥している者の用いる。脈にも腹にも力があり、腹診によって、強虚位浮く満を証明する。また肝炎を併発している胃炎に用いる機会がある。(漢方診療医典)
■丁香柿蒂湯
■ 丁香茯苓湯
慢性胃炎が長引き、体力が消耗し、舌苔、口臭、悪心、嘔吐、食欲減退などの症状が続き、脈は沈微となり、腹部が軟弱無力となった者に用いる、また胃部に振水音を証明し、醗酵がひどくて、薬も食事とともに吐いて受け付けない者にも用いる。心、肝、肺、腎などの諸病に続発するうっ血性胃炎にも用いてよいことがある(漢方診療医典)
■当帰湯
■二陳湯
■人参湯
平素から胃の弱い患者で、血色がすぐれず、冷え症で食欲が無く、食欲があっても、少し多く食べると、腹が一杯になって苦しい者によい。また口にうすい唾液がたまる者、冷えると尿が多くでて近いものも、本方を用いる目標である。脈波沈遅、弦小、遅弱のものが多い。
本方を用いて良い腹証に2通りある。1つは、軟弱無力で、まったく抵抗のない者、他の1つは、腹壁がうすく、腹筋をベニヤ板の陽に触れる者である。ともに、人参湯をもちいてよい。
慢性胃炎で、ひどく痩せている人が、本方を飲むと、3、4日たって浮腫の現れることがある。これは良いしるしで、薬が病気に的中した証拠であるから、続けてのんでいると、体質が変化して丈夫になる。もし浮腫が気になるようなら、五苓散を3、4日飲むと必ず消失するが、そのままにしておいても、自然に消失して、栄養状態がよくなる。ひどい冷え症で、脈微弱のものには人参湯(別名:理中湯)に附子を加えて、附子理中湯として用いるがよい(漢方診療医典)
■麦門冬湯
■半夏瀉心湯(胸元がつかえる、下痢、腹鳴、吐き気)
慢性胃炎の軽症の者によく用いられる処方で、心下痞硬と食欲不振を目標に用いる。みずおちがつかえて、食欲が無いという患者を診察して、心下部に軽い抵抗感があれば、これを用いてよい。また軽度の胃痛や悪心、嘔吐のある者にも用いる。
本方は元来心下痞硬、腹中雷鳴、下痢を目標にして用いるが、腹中雷鳴も下痢もない者に用いてもよい。舌にはうすい灰白色の苔のつくこともある(漢方診療医典)
■茯苓飲(上腹部がつかえ苦しい、胃部振水音、舌苔白潤)
胃にガスと水が充満し、そのために食べられない者に用いる。また口に水があがってくる者にもよい。本方を用いる患者の腹にはりきがあり、人参湯、六君子湯、安中散などを用いる患者よりも腹部に弾力がある(漢方診療医典)
■茯苓飲合半夏厚朴湯(悪心嘔吐、気鬱不安、胃内停水)
■養胃湯
■六君子湯(心下痞、胸やけ)
本方は四君子湯に半夏と陳皮を加えたもので四君子湯を用いるような場合で、胃内停水があって、振水音を証明するものを目標にするが、六君子湯を四君子湯と比較すると、四君子湯の方が六君子湯より虚証になったものを目標とする。
六君子湯に、香附子、縮砂、藿香を加えたものを香砂六君子湯と呼び、六君子湯の証で心下部のつかえがひどく、気分がふさぎがちも者に用いる(漢方診療医典)
■苓桂朮甘湯(めまい、動悸、胃内停水、)
■良附丸


慢性胃腸炎
【漢方薬】  
■安中散
■延年半夏湯
■加味帰脾湯
■帰脾湯
■桂枝人参湯
■啓脾湯
■堅中湯
■五積散
■五苓散
■柴胡桂枝湯
■四逆散
■生姜瀉心湯
■小建中湯
■小柴胡湯
■小半夏加茯苓湯
■真武湯
■清暑益気湯
■清熱解欝湯
■旋覆代赭湯
■大建中湯
■大柴胡湯
■通導散
■人参湯
■人参養栄湯
■半夏厚朴湯
■半夏瀉心湯
■半夏白朮天麻湯
■茯苓飲
■附子人参湯
■平胃散
■補中益気湯
■六君子湯
  

【民間療法】(慢性胃腸炎)
・センブリ
・ゲンノショウコ
・ハブソウ


慢性円板状エリテマトーデス
⇒紅斑が顔面の両頬骨部から徐々に拡大し、鼻背を超えて左右相連なり、蝶形を呈する。
◎自覚症状はない。


慢性咽喉炎
【漢方薬】
■辛夷清肺湯
■麦門冬湯

 

慢性咽頭炎
【漢方薬】
■清肺湯


慢性潰瘍
【漢方薬】
■黄蓍建中湯


慢性化膿性疾患
【漢方薬】
■黄蓍建中湯

慢性肝炎
⇒B型及びC型肝炎ウイルスが原因で、通常は症状がなく、腹水・黄疸もない。確診は肝生検による。
慢性肝炎では、B型が約30%を占める。

慢性肝炎を疑うときは、必ずHBs抗原の検査を行い,HBs抗原陽性のときHBe抗原・HBe抗体を測定する。
HBe抗原陽性慢性肝炎は活動性が多く、肝硬変へ進展する危険性が高い。

◎診断基準:1979年、第11回犬山シンポジウム
「慢性肝炎とは、6ヶ月以上肝臓に炎症が持続あるいは持続していると思われる病態である。
組織学的には門脈域を中心とした持続的の炎症があり円形細胞浸潤と線維の増生により、門脈域の拡大がみられ、活動性(active)と非活動性(i nactive)に区分される。

◎除外規定:以下の疾患との鑑別を要する。
①脂肪肝
②アルコール性肝障害
③肝硬変

◎種類:
慢性活動性肝炎:
①piecemeal necrosis が著明で、
②小葉内細胞浸潤
③肝細胞の変性ならびに壊死(spotty necrosis bridging necrosis)を伴う。
④トランスアミナーゼが高値で変動し、高γ-グロブリン血症を認める。

慢性非活動性肝炎:上記の変化は何れも軽微。

Persistennt hepatitis:
門脈域に円形細胞浸潤があるが、線維の増生を伴わないものがあり、組織病変の伸展がみられない場合。
◎症状:
<1>全身倦怠感
<2>食意欲不振
<3>易疲労
<4>腹部不快感
<5>自覚症状を認めず検診などで偶然肝機能異常を発見されることも多い。
<6>活動性肝炎では、黄疸・腹水・肝脾腫などを認めることがある。


【臨床検査】
<1>GOT・GPT:↑(GOT>GPT)
<2>ZTT・TTT:↑
<3>ChE:↓
<4>γーグロブリン:↓
<5>Alb:↓

■「IL-6」の肝細胞再生を確認
「米ペンシルベニア大学はリンパ球が分泌するインターロイキン6(IL-6)というタンパク質が疾患のある肝臓を再生することを確認した。
肝臓の一部を取り除いたり肝臓の細胞が壊死しているマウスのうちIL-6に異常があるものは、昏睡状態や食欲不振に陥ったり黄疸が出て、死亡率は40%と高かった。これに対しIL-6が正常なマウスは死亡率が10%にとどまった。肝臓が毒素による攻撃でダメージを受けると、IL-6が肝細胞の増殖を促進させ、肝臓の機能を回復させるという。IL-6が慢性肝炎疾患の治療薬となる可能性を示唆している。1996.12.5《日経産業新聞》

■ウイルス肝炎に治療指針
「急増する肝ガンの原因であるウイルス肝炎について、医師や看護婦でさえ正しい知識を持っていない場合が多く、治療を誤ったり、患者が差別を受けたりしているとして、日本肝臓学会(理事長:谷川久一・久留米大学名誉教授)は11日までに、肝炎の治療・予防のガイドラインを新たに作ることを決めた。
今まで、治療方法は標準化されていないため、肝ガンの発見の遅れなど医師と患者との間でトラブルが起きた際の判断基準となることも想定している。
肝ガンは患者数の多さから「第2の国民病」と言われるが、日本肝臓学会理事の沖田極・山口大学教授は「専門医以外の医師は肝炎の知識が不足しているのが現状」と指摘する。
ウイルス検査で新機関腺がほぼ防げるようになった今でも、透析施設などで肝炎の集団感染が相次ぐのは、発見の遅れが原因。慢性肝炎が肝ガンに進行していることに医師が気付かず、がん発生を見落として患者とトラブルになるケースが増えている。肝炎の症状が出ているにもかかわらず、それに気付かない医師もいると言う。
肝ガンが2cm以内であれば、適切な治療を施せば5年生存率は極めて高い。このため半年に1度は超音波検査を実施し、肝ガンの早期発見に努めるように求めている」

【漢方薬】(慢性肝炎)
■茵蔯蒿湯
■茵蔯五苓散
■黄蓍建中湯
■加味逍遥散
■桂枝茯苓丸
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
■柴苓湯
■瀉青丸
■十全大補湯
■小建中湯
■小柴胡湯+茵蔯蒿湯
■小柴胡湯+茵蔯五苓散
■清肝湯
■清暑益気湯
■洗肝散
■大柴胡湯+茵蔯蒿湯
■当帰芍薬散
■当帰竜薈丸
■人参養栄湯
■補肝丸
■補中益気湯
  



慢性関節炎
【漢方薬】
■葛根加朮附湯(実証、身体の麻痺、疼痛、分泌、化膿)
■二朮湯(しびれ、運動障害、五十肩)
■八味地黄丸
■防風通聖散
■薏苡仁湯(多発性、変形性、腫脹・熱感・疼痛)




慢性関節リウマチ(独)

(RA) rheumatoid arthritis
=「リュウマチ様関節炎(米・英)」
⇒原発性は20~60才の女性に多発。
小関節より大関節を漸次対照的に犯す。
関節の痛みは安静時にもあり、とくに朝方に強く天候の影響を受けやすい。        

患者の多くが、症状が進行すると関節パンヌス(炎症性の肉芽組織)によって、骨・関節軟骨が侵食され、関節は著しく変形し、中指に「白鳥の首変形」や小指側にゆがむ。 (→ヘバーデン結節)

◎好発年齢:(20~40才代の女性に多い。)
◎好発時期:特になし。

◎症状:
<1>発疹:
①部位:肘、手首、指、足背、脊柱。
②性状:無痛性・クルミ大、小豆大・皮下結節
③発疹の出現時間:不定。
<2>発熱、関節痛、関節炎、変形強直、
<3>リンパ節腫大
<4>脾腫

◎血液像:
・貧血
・白血球:増加

◎検査項目:   
RAtest:(+)-----80~90%
LE細胞:(+)----10%
CRP試験:
赤沈:(↑)
フィブリノーゲン(↑↑)
血清タンパク分画:γグロブリン(+)
      抗核抗体(+)
      血清補体価:(↑)

◎AP-1
「慢性関節リウマチに罹ると、体内の骨や関節でタンパク質の一種『AP-1(アクティブ・プロテイン1)』が増え、骨の破壊が進む。AP-1はDNAに結びついて、その働きを活性化し、炎症性サイトカインと呼ばれる骨破壊因子を作り出すためのスイッチを入れる働きがある。」

◎診断基準(アメリカリウマチ協会1987年)
<1>すくなくとも1時間以上の「朝のこわばり」が6週間以上続く。         

<2>3関節以上の腫れが6週間以上続く。
<3>手関節・中手指節関節・近位指節間関節の腫れが6週間以上続く。        

<4>左右の同じ関節に、腫れがある(対称性関節腫脹)。
<5>手に定型的なレントゲン像がみられる。
<6>皮下にリウマトイド結節がある。
<7>リウマトイド因子が陽性である。
以上の7項目中、4項目を満たすものをRAと診断する。

◎診断基準(日本リウマチ学会)
<1>3つ以上の関節で、指で抑えたり動かしたりすると痛みを感じる。
<2>2つ以上の関節で炎症による腫れがみられる。
<3>朝のこわばりがみられる。
<4>皮下結節(リウマトイド結節)がヒジやヒザなどにみられる。
<5>血液検査で赤沈に異常がみられる。またはCRPが陽性である。
<6>血液検査でリウマトイド因子が陽性である。
以上の6項目のうち3項目以上に当てはまる場合。

◎症状
<1>多発性関節炎
<2>Caplan症候群:
英国の医師カプランが見付けた。リウマチ性関節炎を合併する塵肺症、X線写真で両側全肺野に、多発性の円形結節性の境界明瞭な陰影を認める。
<3>手根管症候群。
◎小児期に発症するRA(参照→若年性関節リウマチ)

■縄文人にもリウマチ患者
「慢性関節リウマチは全身の関節に炎症が起き、変形したり動かなくなったりする病気。ウイルスや細菌から身体を守る免疫の働きに、自分自身が攻撃される「自己免疫」と関係していると考えられるが、詳しい原因は分かっていない。
世界中に患者がいるが、文献に初めて登場したのは1800年頃。一方、約10年前、米国の医師が遺跡から出る人骨を調査したところ、北米でリウマチの痕跡が残っている骨が多い一方、ヨーロッパの骨ではほとんど例がないことから、元はアメリカの先住民の間で風土病だったものが植民地時代にヨーロッパ、アジアに広がったという説を唱えていた。
滋賀医科大の福田真輔教授(整形外科)らは、中国・河南省の文物考古研究所との共同研究で、同省から出土した6000~3000年前の人骨、148体を調査。さらに国内では京都大理学部自然人類学講座と共同で縄文時代晩期の人骨313体、大阪府堺市で出土した江戸時代の人骨24体などについて調べた。その結果、縄文人骨の中に全身の症状から確実に『慢性関節リウマチ』と見られるものが1体見つかり、少なくとも日本では3000~2500年前からある病気であることが確認された。
さらに欧米人に比べてアジアでは少ないとされる『変形性股関節症』についても調べた。これは股関節の軟骨がすり減って普通に歩けなくなる病気だが、アジア人の中でも日本人には患者が特に少ない。
古人骨でも縄文人で1%前後、中国人では5~7%にしか見られず、江戸時代の日本人の骨には1例もなかった。これはローマ時代の英国の人骨を調べた報告例(12%)に比べてかなり少なく、現在と同じ様な傾向が生活習慣のかなり違う古代にもあったことが分かった。
背骨の中を走る靱帯が骨に変形して神経を圧迫・麻痺を起こす『脊椎靱帯骨化症』は日本人以外には患者が非常に少ない病気だ。中国の古人骨には靱帯が骨になっている例は見られず、日本でも縄文人には1例も無かった。しかし堺市の江戸時代の人骨からは少数にもかかわらず2例が見つかった。この病気は弥生時代以後のある時期、何らかの要因で日本で増えたらしいという。福田教授は“古人骨の調査は、疫学研究の1つとして病気の原因解明に役立つのではないか”と話している。」1997.10.17《朝日新聞》
■薬の効かぬリウマチ-:-滑膜切除で長期予防
・20~40歳代で多発
「朝起きた時や、長く坐っていて立とうとしたとき、膝が強ばって動けない。変形性膝関節症とよく似た症状を示す病気に慢性関節リウマチがある。
慢性関節リウマチは、体中の関節が炎症を起こして強い痛みが出る。「変形性膝関節症が50歳代に多く発生するのに比べ、慢性関節リウマチは20歳代後半から40歳代に多い」と。岩手医大非常勤講師で、駒ヶ嶺リウマチ整形外科(盛岡市)の駒ヶ嶺正隆院長は話す。
リウマチは、まず手や足などの小さな関節が左右対称に腫れたり、痛んだりすることから始まる。膝に症状が出るまでに通常は10年ほどかかるが、高齢者の場合、最初から膝にくることもあり、関節軟骨がすり減る変形性膝関節症と見分ける必要がある。駒ヶ嶺院長は「膝に溜まった水の内容や、リウマチ反応がないかを血液検査で見て鑑別する」と説明する。
吉野慎一・日本医大リウマチ科教授は「慢性関節リウマチで膝関節を侵される人は多い」と指摘する。同科の外来患者の調査で、炎症は手指(97%)、手首(75%)に次いで、膝(68%)が多かった。
リウマチによる関節の痛みは2つ。

1つは関節内の滑膜の炎症で痛みを誘発する物質が出て神経を刺激して起こるもの。動かなくてもジワーとした痛みが出る。

もう1つは激痛だ。症状が進んだ結果、関節が安定を失い、靱帯や周囲の関節自体が体の動きに引っ張られて生じる。
〇まず薬物・運動療法
「治療は、薬物療法が中心だ。坑リウマチ剤を服用し、膝に水が溜まっていたり、膝の痛みがひどい時には、水を抜いた上でステロイド剤を注入する。「かなり状態が緩和しますが、ステロイド剤は抗炎症作用が強い反面、骨や軟骨に悪影響を及ぼすため、回数が多いときには、1ヶ月近く間隔をあけます」
こうした薬物療法と並行して、運動療法も行う。膝の上の大腿四頭筋を強化すれば、膝の安定性も高まり、痛みが減少する。膝の曲げ伸ばしを積極的に行い、症状を悪化させないことも大事だ。
それでも効果が見られない患者に、同大では「根治的多関節滑膜切除術」と呼ばれる独自の手術を93年から実施している。
滑膜は、関節の内側をひだ状に多う組織で、本来は関節を補助する役目だが、慢性関節リウマチでは、滑膜そのものが炎症を起こして増殖し、周囲の軟骨や骨を破壊する。
このため、

①病巣を切除して関節機能を回復させる。

②関節内の炎症物質を除いて患者の抵抗力を高めるなどを目的に行うのが滑膜切除術だ。

従来は、膝なら膝だけという具合に特定の関節の骨膜を切除していたが、この切除術では炎症が起きている複数の関節の骨膜を同時に切除した上で、坑リウマチ剤を積極的に投与する。
「慢性関節リウマチは全身疾患。1つの滑膜を切除しても他の滑膜がやがて炎症を起こす。しかし、膝や肘など炎症を起こしている関節滑膜を可能な限り切除すれば、関節破壊はかなり長期的に予防出来る」と古野教授。
同大では手術した150人の患者のうち、3年以上たった人の約7割い効果が見られた。「今は治療効果の高い坑リウマチ剤が開発されており、多関節滑膜切除はそうした薬の可能性を引き出す上でも広がるのではないか」と、期待している。

 

■1996.5.28 NHK「健康スペッシャル」
「滑膜が腫大している。」
「滑膜から骨を溶かす成分「サイトカイン」が出る。」
「閉じこもってはダメ。積極的に外へ出ること。運動療法。」
   

■[IL6](インターロイキン6)の過剰によって炎症が激しくなる。
「リウマチは活性・増殖したリンパ球が、関節の骨の接合部分を包む滑膜などの細胞を異物と誤って攻撃することで、炎症を起こす病気とされる。リンパ球などから放出されるサイトカインの1つ『インターロイキン6(IL-6)』が、別のリンパ球表面のILー6受容体にくっつくことで、リンパ球が活性化し、増殖する。
大阪大健康体育部教授の吉崎和幸さん(臨床免疫学)らのグループが1993年、その仕組みを解明。
この受容体にふたをすることが出来れば、炎症を抑えられると考え、このふたの役割を担う抗体の製剤化に、吉崎さんらが成功。臨床試験が行われている。
治験では、生理食塩水に溶かした抗体(体重1kg当たり2mg)を、腕の静脈から点滴で、2時間半かけて注入する。2週簡に1回が1サイクル。
この結果、関節炎などの指標となる『CRP値』は開始時の13から0.06まで下がった。(正常値は0.2以下)
昨年8月、リウマチ治療薬として承認されたメトトレキサートを上回る成績だ。
「抗サイトカイン療法」でIL-6以外に注目されているのが、『エタナーセプト』。98年10月、米国で承認され、日本でも臨床試験が進められている。
■変成コラーゲンが予防に有効
■回帰性リウマチ(参照→リウマチ)
■特殊抗体でリウマチ退治。
「大阪大医学部第三内科(岸本忠三教授)の研究グループが開発した。各種の抗リウマチ薬では症状が抑えられなかった患者の治療を昨年から始めたところ、関節の腫れや痛みなどが改善されたという。18日から福島で開く日本リウマチ学会で発表される。
リウマチの原因はよく分かっていないが、同グループは、患者の体内でリンパ球がインターロイキン6(IL6)という物質を過剰に作り、関節の細胞表面 の受容体にくっついて、腫れなどを引き起こしているのを確かめている。新しい治療法は、この受容体だけにくっつく抗体を遺伝子組み換え技術で作り、患者に注射してIL6が受容体にくっつくのを防ぐ。
抗リウマチ薬では効果がなくなった患者に絞り、同大の倫理委員会などの審査を受けたうえで、昨年4月以降、32~78歳までの男女6人を治療。毎週注 射が必要だが、いずれも数週間で関節の腫れや痛み、倦怠感などの症状が完治されたという。昨年11月から治療を始めた48歳の女性は、関節の痛みが取れ、4分近くかけて歩いていた道を30秒ほどで歩けるようになった。1996.5.17《朝日新聞》」

■生物製剤
「リウマチは、21世紀初めには、これまでのような難病ではなくなるのではないか」。
聖マリアンナ医大難病治療研究センターの西岡久寿樹教授は、明るい見通しを持っている。従来にない作用を持った新薬が相次ぎ開発されているからだ。
その1つは、昨年9月に米国で製造承認された「レフルノマイド(商品名アラバ)」。
慢性関節リウマチは、全身の関節が激しく痛み、変形し、破壊されていく病気。本来は病原体などの異物を攻撃するリンパ球が、関節の細胞などを異物と誤認して攻撃するために起きるとされる。この薬は、リンパ球の増殖を抑える作用を持つ。
米国の臨床試験では、関節の痛みや腫れを抑えることが確認された。特に骨の変形を遅らせる効果が既存の薬より優れ、患者の日常生活の質が上がることが分かった。
●「悪玉」を元から絶つ
「骨の破壊が進むと、歩けなくなったりして患者を苦しめるが、米国では関節破壊の進行を抑えることが効能として認められた薬は初めて。日本では臨床試験が行われている。
これに続き昨年10月、米国で承認された「エタネルセプト(商品名エンブレル)」について、西岡教授は「効果が高く、副作用もない」と評価する。
リウマチの病巣では、関節を包む薄い膜である滑膜細胞がTNF(腫瘍壊死因子)と呼ばれる物質によって異常に増殖し、骨を破壊する。エタネルセプトは、この物質の活動を抑える薬だ。
この薬で半年間、治療を受けた患者の59%が、関節の痛みや腫れが改善した。TNFの働きを止める別の薬剤「アバカイン」の開発も進んでいる。
これらは分子生物学の技術によって開発されたことから「生物製剤」と呼ばれるが、西岡教授らのグループは、さらに強力な第3の生物製剤の開発を目指している。特殊な物質を用いることにより、TNFを作り出す細胞そのものを殺し、「悪玉」を元から絶つ薬だ。
  この特殊な物質は『Fas(ファス)抗体』と呼ばれ、活発に増殖する細胞に作用し、死に至らしめる。TNFを作る滑膜の細胞は増殖が盛んなため、作用を受けやすい。
西岡教授は「Fas抗体を使う治療は、TNFだけでなく、リウマチを進行させる異常な免疫系を制御するので、より根本的な治療になる」と話す。動物実験では高い効果が示され、2001年から患者を使った臨床試験に入る計画。
これらは今後に期待される薬だが、リウマチの治療が大きく進歩したのは、ここ数年だ。リウマチは従来、効果は小さくても副作用の少ない薬をまず使用し、効かない場合に順次、強い薬に変える治療法が取られてきた。しかし、薬の効果が表れるには数ヶ月かかる事も多く、この間に病気が進行し、取り返しがつかなくなる場合も少なくなかった。
●効かない2割
「そこで近年普及したのが、早期のリウマチに、より効果の高い薬から使用する方法。骨の破壊で歩けなくなったりする割合は、従来の治療法で7割だったのに対し、最初に強力な治療をすると2割にまで抑えられるようになった。
現在の焦点は、既存の薬が効かない残る2割の患者の治療にある。西岡教授は「リウマチの治療は骨破壊を防ぐことが大切。開発中の生物製剤が製品化されれば、この目標は達成される」と展望する。

■有効な薬求め試行錯誤
「東京・世田谷区の自宅2回部分が、慢性関節リウマチを患う主婦・野原千代子さん(59)の“城”だ。膝関節の痛みから、数分と歩くことが出来ない。足の冷えがつらく、暖かい日差しが入り込む2回に、台所・居間を作った。10月、約200万円をかけて階段に昇降機をつけた。
「とても重宝しています。つけることに同意してくれた夫に感謝しています」と話す野原さん。17年の闘病は、薬とのつきあいの歴史でもあった。
83年正月。風邪を引きながら来客の対応に追われた著億語、膝が痛み、動くにくくなった。手の指がこわばるようになり、ニンジンなど硬い野菜を切るときに包丁を扱いにくい。近くの病院で「カゼの影響では----」。
しかしその半年後、症状の診察と血液検査でリウマチと診断された。「やっぱり」。リウマチも疑っていたので驚かなかった。治療はまず、鎮痛作用がある非ステロイド抗炎症薬が使われた。翌春から、長期的に病状進行の抑制が期待される抗リウマチ薬の1つ金製剤の注射を受けた。痛みは引いたが、3ヶ月後、副作用と思われる湿疹が出て、薬を変えた。
その後、決まって春と梅雨時に痛みが来る。「季節の変わり目が鬼門なの」・抗リウマチ薬が聞かなくなったり、副作用が出たりする都度、薬が変わった。強い抗炎症作用があるが、骨がもろくなるなどの副作用があるステロイド薬も使い始めた。
一進一退の状況に長女から「専門医に診てもらった方がいい」と助言を受け。97年聖マリアンナ医大難病治療研究センター教授の川合真一さん(48)(リウマチ学)の診察を受けた。膝関節の破壊の進行が止まらないことから、川合さんはアメリカで治療の第1選択薬となっているいメトトレキサートの服用を勧めた。
この薬はもともと、白血病の治療のために開発された。リウマチ治療でも少量で効果があることがわかりアメリカで88年に承認されたが、国内ではやっと昨年8月、医療保険が適用された。
野原さんは昨年2月から服用を開始。現在、週1回、8mgの投与を受けている。一時、関節炎などの指標となる『CRP値』が正常値に近づいたが、現在、少し悪化。膝には激しい痛みがある。
新薬の登場だけでなく、治療法の研究も進んでいる。これまで、劇的な効果は期待できないが副作用も少ない薬から、徐々に強い薬に変えていく治療法が一般的だった。しかし、「発病1、2年の早期治療が、関節の変形など、その後の経過に大きな影響を与える」として、早めに強い薬を使用するようになった。
早期治療の観点から厚生省研究班は96年、診察・治療マニュアルをまとめた。だが、どんな患者に、どの抗リウマチ薬を使うべきかは明示されていない。
「患者によって有効な薬が違うので指針を作りにくい。結局、試行錯誤で、有効な薬を見つけるしかない」。

■人工関節、両膝同時が楽
「慢性関節リウマチの痛みの原因には2種類ある。1つは、関節の骨の接合部分を包む滑膜の炎症。のう1つは、病状がすすみ、関節・軟骨が壊れて骨がむき出しになり、骨と骨がぶつかり合って痛むものだ。破壊された関節は、薬物療法でも元に戻らない。
それを再建するのが、人工関節で置き換える手術だ。膝関節の破壊は、左右同時に起こりやすい。手術後のリハビリを1回で済ませるためにも、日大板橋病院整形外科教授の龍順之介さん(56)は、両膝同時手術に取り組んでいる。
■介護保険への移行に不安
「治療を受けるのは内科が良いのか、整形外科が良いか?」
これまで慢性関節リウマチ患者を悩ましてきた大きな問題だ。一般的に内科医は痛みや病状進行を抑える薬の情報に詳しく、整形外科医は動くが悪くなった関節の機能回復にたけている。
「リウマチを専門に診てもらえる病院・診療所を見つける目安がほしい」との患者らの要望に応えて96年、医療機関が「リウマチ科」を標榜できるようになった。厚生省によると、98年10月現在、全国の8266病院のうち、リウマチ科を掲げているのは558。年々増え続けている。
しかし、標榜だけなら、どの病院でも出来る。知識と経験を持つ医師がいるかどうかだ。
患者団体「日本リウマチ友の会」(東京都千代田区、TEL03-3258-6565)では、全国の専門医の情報を提供している。
その友の会が現在、一番力を入れているのが、来月から始まる介護保険の問題だ。介護サービスは、65歳以上が対象だが、40歳以上65際未満でも特定の15疾病が原因の場合は受けることが出来る。リウマチも特定疾病に選ばれた。
リウマチを26年間患うA子さん(58)は、関東地方の公団住宅で一人暮らし。左右の膝と左肩に人工関節を装着。足の筋肉が落ち、車椅子で生活している。手指の関節も変形してペンを握るのも一苦労。湿気が多い日には関節が痛む。
91年、身体障害者1級の手帳を取得。それにより、医療費の公費負担、段差をなくすための住宅改造費の補助、鉄道やバスの割引、車椅子の貸与などの福祉サービスを受けている。
生活を支えているのが、週5日の訪問介護サービスと、週1日の訪問看護だ。
障害者福祉のサービスは、介護保険に引き継がれるため、A子さんは昨年末、認定の申請書を地元の市に提出した。その後、自宅を訪れた調査員から、服の着脱や入浴は自分で出来るか、どんな治療を受けているか----などを聞かれた。
だが、調査員が自宅にいたのは約2時間だけ。「薬が効いて入るときと効いていない時では体の動きが違う。ちゃんとみてくれただろうか?」
不安いっぱいで結果を待っていると、1月中旬、「要介護3」との通知が届いた。現状の介護サービスは維持されそうだ。
しかし、介護サービスを提供する事業者をどんな基準で選べばいいのか、よく分からない。通院時の付き添いなどをするガイドヘルプ(外出介護)は介護保険にないため、原稿通り障害福祉で行われる。Aさんは複雑な制度に頭を痛める。

■抑制タンパク質発見
「東京大学医学部の谷口維紹教授と高柳広医師らのチームは、関節の骨がもろくなって激しく痛む慢性関節リウマチに関連するタンパク質を発見した。リウマチは骨を壊す細胞が免疫の異常によって増えて起きるが、発見したタンパク質はこの細胞の増殖を抑えている。
発見したのは免疫細胞のTリンパ球が作り出す『インターフェロンγ』と呼ぶタンパク質の一種で、骨を壊す破骨細胞の増殖を抑える働きをしていることを突き止めた。
インターフェロンγは体内に入れると副作用があるため薬にはならないが、同様の働きをする化学物質を見つけれれば治療薬になる。」2000.12.18《日本経済新聞》

■破骨細胞を抑制
「東京大学の研究グループは、慢性関節リウマチを対象にした遺伝子治療技術を開発、ラットを使った動物実験で効果を確認した。
開発したのは、東京大学医学部整形外科の中村耕三教授と高柳広医師らの研究グループ。治療に使ったのは細胞内での情報伝達にかかわる酵素(チロシンキナーゼの一種)で『CSK(C末端SRCリン酸化酵素』と呼ばれるタンパク質の遺伝子。CSKには骨を壊す破骨細胞の働きを抑える機能がある。
実験ではリウマチの症状を示すラットを対象に、アデノウイルスを遺伝子のベクター(運搬役)としてCSKの遺伝子を組み込み、炎症を起こしたラットの関節に約0.1mlのウイルスを注射した。2000.12.28《日経産業新聞》

■遺伝子治療
「東京医科歯科大学の宮坂信之教授と上坂等講師は免疫の異常によって骨が壊れ関節が激しく痛む慢性関節リウマチの新しい遺伝子治療の手法を開発、ネズミを使った動物実験で効果を確認した。ことをもろくする『滑膜細胞』の働きを弱める酵素の遺伝子を関節に注射する。宮坂教授らは完治が困難なリウマチの効果的な治療法になるととしている」2001.1.9《日経産業新聞》

■オステオポンチン
「東京医科歯科大学の野田政樹教授らは、骨の形成を抑えるタンパク質『オステオポンチン』が慢性関節リウマチの症状を悪化させることを突き止めた。慢性関節リウマチはリンパ球の一種のT細胞が、ある種の抗体が結合した軟骨主成分を攻撃して起こる。研究グループは患者の軟骨にオステオポンチンが大量にあることみ着目、オステオポンチンがリンパ球の成長を促して軟骨の破壊を手助けしているのを発見した。
ネズミの実験でリウマチを引き起こす抗体を注射すると、オステオポンチンを作る遺伝子を取り除いた場合はリウマチを発症しなかった。
オステオポンチンは通常、骨や軟骨・白血球に含まれている。免疫反応を抑制する作用があるが、オステオポンチンがなくても生きられるので、その働きを抑える薬を作ればリウマチの治療につながる可能性が高い。
野田教授らはオステオポンチンの働きを阻害する候補物質を見つけており、「できるだけ早く動物実験で確かめたい」という。
成果は2日発行の米科学誌、科学アカデミー紀要に発表する。」2002.4.2《日経産業新聞》

■新薬2~3年以内に
「国内外の製薬会社が今年から来年にかけて厚生労働省に承認を申請する。従来、痛みを抑える対症療法が中心だったが、新薬は症状の進行を抑えると言ったより高い効果を持つとされる。高齢化の伸展に伴うリウマチ患者の増加に対応する。
リウマチは骨ももろくなり関節が激しく痛む病気で、悪化すると関節変形をおこす。米国系の日本ウイスレダリーはリウマチ治療薬『エタネルセプト』で患者を対象とした臨床試験をこのほど終了、2003年までに承認申請する方針。関節に炎症を起こす腫瘍壊死因子「TNF」の働きを阻害することで、症状の進行を止める強い効果が見込まれている。米欧ではすでに販売中。
『COXー2阻害剤』→「疼痛」
万有製薬は「ロフェコキシブ」を2003年3月までに申請する。炎症に対する「COX-2」という酵素の働きを阻害する新しい機能を持ち、変形関節症にも効果があるとされる」2002.11.2《日本経済新聞》
「米系製薬のファルマシアと山之内製薬は12/19、慢性関節リウマチや変形性関節症の治療に使う消炎鎮痛剤「セレコキシブ」の承認を厚生労働省に申請したと発表。消化管などへの副作用が少ないタイプで、欧米では消炎鎮痛剤で最有力製品となっている。
既存の抗炎症剤は消化管などの粘膜保護に関与するCOXー1という酵素の働きまで阻害していた。
米国ではファルマシアが化合物を発見。1999年に発売した。現在は85ヶ国以上で承認されている。2002.12.20《日経産業新聞》

■過剰炎症を抑制
「大坂バイオサイエンス研究所(吹田市)などの国際研究チームは、リウマチやアトピー性湿疹の様な自己免疫疾患の過剰な炎症を抑える働きがある物質を発見した。米科学アカデミー紀要の電子版に掲載。
大坂バイオサイエンス研の江口直美・元副部長(現早稲田大学先端バイオ研究所教授)と、米ハーバード大学、英ロンドン大学の共同成果。
免疫の調節にかかわる物質『プロスタグランジンD2』が造血器官で作られる時に出来る代謝産物に、リウマチなどの炎症を抑える働きがあることを突き止めた。
代謝産物ができないように遺伝子を操作したマウスは自己免疫疾患になると通常よりも炎症が強まった。逆に代謝産物が多くできるようにしたマウスは症状が軽かった。プロスタグランジンD2には様々なタイプがあり、最初に発見したのは大坂バイオサイエンス研の早石修名誉所長らで、脳で作られるタイプに睡眠誘発作用があることを突き止めた。」2006.3.14《日経》

【民間療法】(慢性関節リウマチ)
○イラクサ・オトギリソウ・オニシバリ・サイカチ・サルトリイバラ・ハマゴウ・ヤブガラシ・ヨモギ。
○[ニワトコオオバコヨモギキャベツコマツナツユクサ]
【栄養療法】
・ビタミンB12

【鍼灸】
[曲池][陽谿][合谷][陽陵泉][太谿][足三里][小腸兪]

【漢方薬】(慢性関節リウマチ)
■烏豆湯
■烏頭湯
■越婢加朮湯
急性期または亜急性期で体力が充分あり、脈、腹ともに力があり、一体に熱状のある者に用いる。口渇があり、汗が多く。疼痛はあまり激しくないものによい(漢方診療医典)
■葛根加朮附湯
■葛根湯
急性症でも、慢性症でも、初期で、症状の軽いものに用いる。
慢性症で、指の関節の数カ所が少し腫れて、朝起床時には痛むが、しばらくたつと疼痛が軽減するものに効く(漢方診療医典)
■甘草附子湯
急性多発性関節リウマチで激痛を訴えるものに用いる。侵された関節は赤く腫れ、熱感があり、患部に、手指や衣服が触れても激しく痛み、屈伸できない程で、悪寒がしたり、汗が出たり、熱が出たりするものによい(漢方診療医典)
■羗活勝湿湯
■九味檳榔湯
■桂枝加芍薬大黄湯
■桂枝加朮附湯
慢性のもので、患者は冷え症で、血色も悪く、脈も弱く、筋肉に緊張の乏しいものそ目標にする。桂枝芍薬知母湯のような麻黄の入った方剤を用いると食欲が無くなったり、かえって疲れたりするものに良い場合が多い(漢方診療医典)
■桂枝芍薬知母湯
慢性関節リウマチに用いる。患者は栄養悪く、やせ、罹患関節は腫れ、その周囲の肉が落ち、皮膚が枯燥してツヤのないものに用いる(漢方診療医典)
■桂枝湯
■桂芍知母湯
■五積散
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■柴苓湯
リウマチの活動性が高く、ステロイドを使用しているものに対し、副作用防止、ステロイド効果増強のために用いる(漢方診療医典)
■芍薬甘草湯
■朮附湯
■小活絡丹
■小続命湯
■舒筋立安散
■四妙散
■疎経活血湯
体力中等度の人で、瘀血と水毒があって、諸関節が長年にわたって腫脹し、疼痛があるもの、皮膚にツヤがない者によい(漢方診療医典)
■大防風湯(下肢の)
慢性関節リウマチで、気血両虚というような衰弱したものを目標に用いる。(漢方診療医典)
■程氏蠲痺湯
■竹茹温胆湯
■通経導滞湯
■桃核承気湯(激痛)
■当帰四逆湯
■独活寄生湯
■二朮湯
■白虎加蒼朮湯 
■防已黄蓍湯
体力が比較的低下し、色白で水太りの人で、汗をかきやすく、膝関節が腫れて痛むもんいよい(漢方診療医典)
■防風湯
■麻杏薏甘湯
■薏苡仁湯《明医指掌》
急性期の激しい症状が去って亜急性期とも呼ぶべき時期のものに用いる。関節の炎症も激しいものではなく、疼痛、腫脹ともに軽度であるが、さっぱりしないものによい(漢方診療医典)
■通痺霊《広州中医薬大》
  

【治療薬】
○エラスターゼ阻害剤
「小野薬品は米医薬品ベンチャー、コーテック(コロラド州)から、経口エラスターゼ阻害剤の全世界での開発・販売権を取得することで合意した。小野薬品は慢性閉塞性肺疾患(COPD)・慢性関節リウマチの治療薬にする計画だ。
エラスターゼはタンパク分解酵素で、炎症性疾患での組織破壊や臓器不全の原因になると考えられている。小野薬品はエラスターゼの働きを抑えるエラスターゼ阻害剤が、炎症性の慢性疾患の新しい治療剤になるとみている。      1999.4.16《日経産業新聞》
○エンブレム(一般名:エタネルセプト):生物製剤
・サイトカインの働きを阻害。
「1998年秋、米国で発売された。日本では未承認」
○レミケード(一般名:インフリキシマコブ):生物製剤
・サイトカインの働きを阻害。
「田辺製薬は2003年7月にも腸の炎症治療薬として製品化しているレミケードを関節リウマチ薬として販売する承認を受ける。炎症に関係する生体内物質「TNF(腫瘍壊死因子)α」と結合して、その作用を止める効果がある。」2003.6.5《日本経済新聞》
「細胞の表面にある受容体に結合して、骨や関節を破壊する命令や滑膜に炎症を起こす命令等を出すタンパク質の働きを抑制する。」
○抗リウマチ薬:
「メトトレキサート」(商品名:リウマトレクス)
「レフルノミド」(商品名:アラバ)
「ブシラミン」(商品名:リマチル)
○アラバ錠
 「イソキザール系疾患修飾性抗リウマチ材と呼ばれるタイプの薬。リウマチの原因となる異常な免疫反応を抑制することで症状を改善する。通常のリウマチ治療薬が服用開始後、効果が現れるまでに2~3ヶ月かかるのに対し、この薬は4週間程度で効果を発揮する。仏系製薬のアベンティスファーマが承認を取得。」2003.4.18《日経産業新聞》
○エタネルセプト
 「日本ワイスレダリーは抗体医薬のエタネルセプトを承認申請中で、早ければ2004年にも武田薬品工業と共同発売する予定。」 2003.6.5《日本経済新聞》
○タクロスリム
 「藤沢薬品工業は免疫抑制やアトピー性皮膚炎治療用に販売しているタクロス リムを関節リウマチ治療薬として承認申請中。」2003.6.5《日本経済新聞》



慢性気管支炎
⇒朝、せきとともにタンを吐き出す。毎年・冬に繰り返すことが多い。
中年以降の男性に多い。
症状:
<1>せき:頑固な咳
<2>タン:粘液膿性痰
<3>呼吸困難
「病気が進むと、階段の昇り降りに息切れと呼吸困難をきたす。長年治らないと、気管支のまわりの壁が傷ついて弾力性がなくなり、気管支拡張症(気管支のあちこちが広くなって、そこに痰が溜まる病気)や肺気腫(肺が拡張したまま戻らず、吸い込んだ息を充分出せなくなる)を起こし、ついには拡張肥大して心臓衰弱になる」。
<4>小水疱性ラ音。

検査:タンの性状に注意。
1.%FEV1.0 ↓
2.VC↓
3.DlCO↓
4.Pao2↓
5.PaCO2(重症)↑ クチン臨床試験
6.微熱の時は「結核」との鑑別が必要。(胸部X線・タン検査)

■ワクチン
「英国の医薬品ベンチャーのコルテックス社は、慢性気管支炎を治療する経口投与ワクチンの第二相(フェーズ2)臨床試験を開始した。シューズドモナスやヘモフィルスなどの細菌が肺に感染した慢性気管支炎患者に投与し、治療効果を判断する。       1996.8.7《日経産業新聞》」

【漢方療法】(慢性気管支炎)
<1>繁用処方:
■括楼枳実湯:喫煙者。朝、目が覚めるとしばらく咳が続く、痰がからんで切れにくい。
■滋陰降火湯:昼より夜間に、強い空咳。
■滋陰至宝湯:ひどく衰弱し気力なく、息切れ、寝汗。
■炙甘草湯:のどの奥が乾き、痰が切れにくい。
■清肺湯:痰が多く、切れにくい。
■大柴胡湯:がっしりした体格。
■麦門冬湯:強くせき込む、痰少なく切れにくい。
■苓甘姜味辛夏仁湯:貧血で胃腸が弱い。肺気腫、老人。
<2>参考処方:
■辛夷清肺湯
■人参養栄湯
■麻黄細辛附子湯
■六君子湯
■六味丸
  

【臨床例】
☆78歳、男性。
「慢性気管支炎で、痰が絡んで切れにくく、咳が出る。体格はがっちりした頑丈型で、よくタバコをのむ。脈は弦、舌苔あり、腹診しるとみずおちから両脇にかけて抵抗と圧痛がある」
「最初、タバコのみの気管支炎に用いる括楼枳実湯を与えたが、無効。腹証から考えて大柴胡湯を与えたところ、よく効いた。」
(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p49~p50)



慢性気管支拡張症
【漢方薬】
■辛夷清肺湯

 

 

慢性下痢
【漢方薬】
■黄蓍建中湯
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■啓脾湯
■四君子湯
■炙甘草湯
■当帰芍薬散
■補中益気湯
  

【臨床例】
☆29歳、男性。
「長年の下痢で困っていると言って来院。医師の与える下痢止めを飲むと、下痢は止まるが、ひどく腹が張って食欲がなくなるので、服薬を中止するとまた下痢が始まると言う。下痢のほか、足が冷えるとのことである。
 体格は痩せ型で、栄養血色ともによくない。脈は弱く、腹診すると腹部全体が軟弱無力で、臍下に鉛筆に芯のような硬い索状物をふれる。
 臍下に硬い索条物をふれるときは真武湯の適応証なので、これを与えたところ、効果100%、5ヶ月の服用で長年の下痢がすっかり治り、足の冷えもなくなった。
(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p94参照)




慢性甲状腺炎
⇒大正時代の始めに橋本策(ハルカ)氏発見。(→橋本病)


慢性喉頭炎
【漢方薬】
■清肺湯



慢性硬膜下血腫
■軽い頭部打撲
Aさん(80)は夜中、トイレに行こうとして転んだ。部屋の角でひどく頭を打った。バツが悪いのか“大丈夫”“大丈夫”を繰り返していた。
救急病院で頭部のCTを撮影してもらったが、幸いなことに、特に異常がなかった。ところが、その後、「ボケ」が進んだ。次第に活気が失われ、表情も乏しくなってきた。
一度、診察しもらおうと、改めて頭部CTを撮影したところ、慢性硬膜下血腫で手術が必要と言われ、家族はビックリ。
慢性硬膜下血腫は、比較的軽い頭の打撲の後、しばらくして頭の中に血液が血の塊(血腫)となって溜まる病気だ。(平出敦・京都大学医学教育推進センター教授)20079/11日経



慢性呼吸不全(CRF)
◎検査
・胸部X線
→画像検査は必須。必要によりCT検査。
・呼吸機能検査
→スパイログラムとフローボリューム曲線が重要。
[%VC][FEV1.0][FEV1.0%][V50][]
→肺拡散能力(DLco)
・動脈血ガス分析
・心電図
・運動負荷テスト
◎経過観察のためのテスト
・胸部X線
・呼吸機能検査
・動脈血ガス分析
・心電図
・運動負荷テスト
・血算
・生化学検査:血清アルブミン値・窒素バランス、末梢血リンパ球数
   

■低騒音の酸素濃縮機
「日本特殊陶業(名古屋)は慢性呼吸不全患者向けの医療用酸素濃縮機を8月に発売する。通常の空気呼吸では血液中の酸素が不足する患者に対して、酸素濃度90%以上の空気を供給する。従来型の製品に比べて低騒音・低消費電力が特徴で、病院用・在宅用の両用途向けも販売する。」1999.4.16《日経産業新聞》




慢性骨髄性白血病(CML)
⇒日本国内に約10万人の患者がいる。患者の90%以上に細胞内にある2つの染色体の一部が相互に入れ替わって『フィラデルフィア染色体』という特異な染色体が現れる。
慢性骨髄性白血病は放射線や有機溶媒の取り込みなど、様々な原因で血液のガン化が始まり、10年ほどで発症する。
初期のうちなら抗ガン剤投与だけで十分な治療効果が期待出来る。
症状が進んだ段階では、抗ガン剤の大量投与・放射線照射などで徹底的にガン細胞をたたいた後、骨髄移植する必要がある。

■治療薬
「スイス系製薬会社のノバルティスファーマは年内にも日本で慢性骨髄性白血病(CML)治療薬『グリベック』を承認申請する。従来、CMLの治療にはインターフェロンが使われていたが、従来の治療法では効果の無かったCMLに高い効果が期待できる医薬品。
日米欧でオーファンドラッグ(希少疾患用医薬品)の指定を受けている。米食品医薬品局(FDA)やEUなどには承認申請した。
細胞内シグナル伝達阻害剤と呼ぶタイプの薬剤で、CML患者は異常染色体が体内に出来るが、同染色体が作り出す異常タンパク質によるガン化を促すシグナルを阻害し、正常細胞がガン化するのを防ぐ。異常染色体にのみ作用するため、正常細胞への副作用が少ないとしている」2001.3.9《日経産業新聞》
■イマニチブ・・・特効薬
「臨床検査大手のBMLは、特効薬のイマニチブが無効の患者を見極めるための遺伝子検査サービスを始める。あらかじめイマニチブが効かないことがwかれば、患者が無用の副作用で苦しむこともなくなる。遺伝子検査の対象は『イマニチブ(商品名:グリベック)』と呼ぶノバルティスファーマの抗がん剤。この薬は慢性骨髄性白血病の患者の約8割に有効とされる。患者の体内で作られる「BCR/ABLチロシンキナーゼ」と呼ぶ特殊な酵素の働きを妨げ、ガン細胞の増殖を抑える。ところが、この酵素の遺伝子に突然変異が起きるとイマニチブが効かなく。2006.3.2《産業》



慢性痛症
慢性痛症の痛みは、急性痛のような傷害部の痛覚受容器の興奮によって伝えられる痛みではありません。このことは、急性痛に効果のある消炎鎮痛薬(NSAIDs等)や医療用麻薬(オピオイド)が効かないことから明らかです。つまり、元の病巣が治癒しているにもかかわらず痛みが起こっているという病気です。
本来、痛みというものは危険を感知するために備え付けられた機能です。痛みは症状として現われて、警告信号として働き、どこかに病巣があることを知らせます。
しかし、慢性痛症で発生している痛みは、神経系に何らかの可塑的な変容が起こったために発生していることが明らかになっています。強い痛みの持続や神経の傷害(ニューロパシー)によって起こるとされています。
熊澤孝朗・愛知医科大学教授は、ポリモーダル受容器(痛覚受容器の1つ)を見つけている。

 

慢性痛 慢性疼痛
古傷が痛む
体の中が痛む感覚
神経の分布に沿って痛みがある。

しびれているときには何でも無いような刺激でも痛みになる。

①触覚
②ストレス(天候の変化) 交感神経
③痛みの神経 圧迫→しびれの時

神経のキズがあると→痛みの信号を乱発
治るときに→神経が混戦した状態で再生する→慢性痛になる。
痛みを感じるのに混乱する。

脳に刻まれた痛み・・・痛みが脳に深刻なダメージを与える

痛みを放置→脳に影響

荻野医師
小さな刺激でも激痛に感じるように脳が変化する。
 線維筋痛症

脳に痛み信号が続くと→痛みが記憶として刻み込まれる

花岡一雄 ペインクリニック
神経ブロック
消炎鎮痛薬
モルヒネ
リハビリ
レーザー治療
脊髄刺激療法





慢性閉塞性肺疾患

(COPD)
=Chronic Obstructive Pulmonary Disease
=主に喫煙が原因となり深刻な呼吸困難を引き起こす疾患。
■喘息より多い
「独製薬大手のベーリンガーインゲルハイムは米ファイザーと協力し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬「スピリーバ(一般名:チオトロピウム)をオランダとフィリピンで発売したと発表。
COPDは日常生活に支障を来すほど肺機能が低下する。世界の患者数は喘息よりも多いとされるが、患者の多くは診断を受けていない。
スピリーバは1日1回吸入するだけでよい。」2002.6.6 《日経産業新聞》
■喫煙者に多い
「慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ぶ聞き慣れない呼吸器疾患が急増している。現在、患者の死亡率は8位だが、20年後には4位になると推定されている。咳・タン・息切れが続く人は要チェック。
●どんな病気ですか?
「主に慢性気管支炎と肺気腫からなりまる。慢性気管支炎は気管支が炎症を起こして、セキや痰が常に出ます。肺気腫は肺が破壊されて穴が開き、進行するとすき間だらけになる病気です。咳やタンは少ないのですが、呼吸機能が衰えて、息を吐き出しにくくなる病気です。
「最近、WHOがまとめた治療指針によると、慢性気管支炎と肺気腫という呼び名を止めて、咳・タン・息切れがある人をCOPDと呼ぶことになっています」
「かっては国内の気管支喘息患者の1/10~1/20に相当する15万~30万人程度がCOPDと言われてきました。ところが、順天堂大学などが調査したところ、全人口の約4%、約300万人が罹っていることが分かりました。
●診断法は?
「1秒間に吐き出せる息の量を肺活量で割った値を1秒率といいます。呼吸機能が低下すると、一度にたくさんの息を吐き出せないので、1秒率は低下します。その値が70%未満になったらCOPDと診断します。症状が進行するつれて、値はさらに下がります」
●タバコとの関係は?
「肺ガンは、タバコを吸わない人でもなります。特に女性はそうです。ところがCOPDは患者の95%が喫煙者です。タバコを吸っている人のすべてが罹るわけではありませんが、喫煙者の15%ぐらいがCOPDになるとされています。」
「タバコの影響を受けやすい体質の人は、65歳ぐらいになると、日常生活をしていても呼吸困難に陥る人が多くなります」
●タバコを止めれば良くなるのですか?
「症状の悪化のペースは一般的に遅くなります。70歳まで吸っていても、禁煙すれば効果は表れます。COPDに罹りやすい体質かどうかを調べる方法は今のところ無いので、禁煙することが大切です」
●薬では?
「治す方法は確立されていませんから、禁煙が一番です肺機能が落ちている人には抗コリン剤やベータ2刺激薬、テオフィリンという気管支拡張剤のいずれか1つを投与します。悪化するにつれて2剤、3剤と併用します。非常に悪い時にはステロイドの吸入薬な内服薬を使います」
「肺気腫の場合は、肺容量減少術という手術をする場合もあります。症状改善がネライで、重症の人が受けると多くは劇的に良くなります」
「3~4年すると元の状態に戻ることもありますが、そうなるまでの間、患者さんは日常生活を快適にすごせます。肺の上部に患部が限られている人にはおすすめできます」
呼吸しにくい状態が続くと、酸素が足りない状態が続くことになり、心不全で死亡する危険が高まります。重症になると鼻にチューブをつけて携帯用の酸素濃縮装置から酸素を送り込む在宅酸素療法をします。(三嶋理晃・京都大学教授)2002.10.29《日本経済新聞》
肺の機能検査:COPDは決め手になる治療法が無いだけに、早期診断、早期治療が重要。診断に威力を発揮するスパイロメトリーという肺機能検査装置を持つ開業医は少ない。
■息苦しく、せき・タンが続く
「坂道を少し上がるだけで息苦しくなり、咳や痰が続く・・・・。こんな症状が特徴の『慢性閉塞性肺疾患(COPD)』が増えている。長期の喫煙が主な原因だが、症状に気づかないまま静かに進行するので見つかりにくい。重症になると治療が難しくなる。呼吸をするときに「ゼーゼー」という音がする時も要注意だ。
肺の中で二酸化炭素と酸素を交換する肺胞が壊れる肺気腫という病気と、気管支の内壁が炎症を起こして細くなる慢性気管支炎の症状の一方、または両方が表れる。原因や治療法に大きな違いはなく、欧米では以前からまとめてCOPDと呼んできた。
50歳以上で喫煙歴が長い人は特に要注意。この病気では患者の大半が喫煙者で、タバコの本数が多く喫煙歴が長い人ほどリスクが高まる。重症になると歩くだけでも息苦しく、寝たきりの原因になる。」2003.5.27《日本経済新聞》
■原因
「東京都老人総合研究所と順天堂大学の研究チームは2006年9/13、高齢者に多い肺の病気『慢性閉塞性肺疾患(COPD)』が、ビタミンC不足と喫煙が原因で起きることをネズミの実験で確認した。
COPDの初期症状は息苦しさが目立ち、進行すると呼吸困難となって死に至る。患者数は急増している。
石神昭人東京都老人総合研究所主任研究員と瀬山邦順天堂大学医学部助教授らの成果で、米国胸部疾患学会雑誌に掲載。
ネズミはビタミンCを体内で作ることが出来るが、遺伝子組み換えで、ビタミンCをつくることが出来ないネズミを作り、タバコの煙を吸わせた。その結果、約2ヵ月でCOPDを発症した。煙を吸わせなかったネズミは6ヵ月で発症した。」20069/14《日経》
■ヘリウム
「ヘリウムと酸素を混ぜた混合気体を使うと、慢性閉塞性肺疾患の患者の呼吸がしやすくなることをカナダのアルバータ大学の研究チームが確認した。酸素に対して60%のヘリウムを混ぜた時がもっとも呼吸がしやすかったという。ヘリウムの効果で、息を吐いたときに肺内の空気がキッチリと体外へ送り出されるという。」20072/7《産業》
【西洋薬】
「スピリーバ」(ベーリンガー)


慢性リンパ性白血病
【西洋医学】
「フルダラ」(日本シェーリング):
「白血病は血液のガン。その一種である慢性リンパ性白血病は、リンパ球が成長して白血球になる手前で以上をきたし、何の役割も果たさない偽物の白血球が合成される病気。血液中の白血球の容量は限られているため、偽物が増えると正常な血液細胞が発動する余地が無くなってしまう。この結果、免疫不全・貧血・傷口からの大量出血などの症状が現れる。
フルダラは偽白血球を構成する物質の1つによく似た分子構造を持ち、合成過程に入り込み偽白血球の増殖を阻害する。一般的に抗ガン剤は、ガン細胞だけでなく正常な細胞の機能まで阻害し、思い副作用につながる。しかし、フルダラは偽白血球に特有の酵素に反応して活性化する性質をもつため、正常細胞への影響は少ないという。」2000.10.5《日経産業新聞》
「エンドキサン」(シオノギ)
「プレドニン」(シオノギ)
「オンコピン」(シオノギ)
「アドリアシン」(協和発酵)
「クロラムブシル」(英グラクソ)日本では販売未定。




慢性軸性視神経炎
【漢方薬】
■苓桂朮甘湯


慢性子宮内膜炎
【漢方薬】
■加味逍遥散


慢性消化不良
【漢方薬】
■小建中湯


慢性腎炎
⇒タンパク尿・血尿・高血圧を呈し、しばしば無症状のまま数年~数十年にわたって徐々に進行する。
(参考→IgA腎症)
■在宅療法も可能に
「大手証券会社に勤める48歳の男性。身長175cm、体重85kgの堂々たる押し出しだ。当時、営業部長の座を射止めたばかりで、全国の支店を回り顧客の接待に明け暮れる毎日だった。全身のだるさや動悸・息切れを覚えることもあったが、新ポストと仕事への情熱がそんな気分を忘れさせた。
 ある朝、出張先のホテルで履こうとした靴が入らない。手が腫れぼったく吐く息が妙に臭い。昨夜の酒が悪かったのかと自問しながら、支店の営業会議に出席したが。考えがまとまらない。拍動性の頭痛を覚えて、意識を失った。
  気がついた時は白衣の医師と看護婦さんがのぞき込んでいた。病名は慢性腎不全。
血中の尿素窒素が正常人の7倍以上の150mg(100ml当たり)もあり、腎機能は1/10に低下していた。週に3回、1日4時間の血液透析が必要で、社会復帰を第一義にするなら携行式腹膜潅流(CAPD)もあると説明された。
「なぜ自分がこんなことに・・・・」。深い絶望が去来したが、こうした気持ちを解きほぐしてくれたのは若いケースコーディネータの言葉だった。
「病気には健康を回復出来る急性期型のものと、病気と共存せざるを得ない慢性型があります。腎不全は確実には治らない疾患ですが、社会復帰が出来ないものではありません。私たちの求める医療は障害を持つ人が不自由であっても不幸でない、そんな環境を患者さんと共につくることです」
 男性はCAPDによる在宅療法を選んだ。1日4回、腹膜潅流液を交換して記録をつける。気分の悪さはウソのように消えた。それにも増して、自分を心配してくれる周囲の人々に感謝を覚えるようになった。
「人間は死という不治の病を抱えています。その過程を時間的な長さでなく、充実を感じ悔いのないように生活することが大切だと気づきました」。何ヶ月目かの外来受診で男性はこう語ってくれた。 1996.11.30《日本経済新聞》
  

【民間療法】(慢性腎炎)
・アキノキリンソウ
・アズキ
・ウキクサ
・カヤツリグサ
・キササゲ
・スイカ
・ニワトコ
  

【漢方薬】(慢性腎炎)
■牛車腎気丸
■五苓散
■柴胡加竜骨牡蠣湯
■滋腎通耳湯
■七物降下湯
■十棗湯
■潤腸湯(慢性腎炎で便秘)
■小柴胡湯+黄連+茯苓
■真武湯
■参苓白朮散
■清心蓮子飲
■大柴胡湯
■知柏地黄丸
■釣藤散
■当帰芍薬加附子湯
■当帰芍薬散
■当帰補血湯
■導水茯苓湯
■二仙湯
■人参湯
■人参養栄湯
■八珍湯
■八味地黄丸
■分消湯
■防已黄蓍湯
■防風通聖散
■補気建中湯
■補中益気湯
■補中治湿湯
■木防已湯
■六君子湯(ネフローゼ、体重減少、心下痞、知覚麻痺)
■六味丸
■苓桂朮甘湯
  

【臨床例】
☆23歳、男性。
「小学校6年生の時に風邪から腎炎となり、その後現在まで12年間、病院通いをしている慢性腎炎の患者。副腎皮質ホルモンの服用で顔はムーンフェイスを呈している。主訴は風邪を引きやすく、風邪をひくと尿タンパクが多く出る。その上、体が疲れやすいという。浮腫はない。 体格は中等度で、栄養は良好だが、何となしにシンが弱いという感じで、顔色は青白くムーンフェイスを呈している。脈はやや弦で、舌には白苔が付いている。腹診すると胸脇苦満の症状があり、腹部の肌はツヤがなく、カサカサしている。尿タンパクは中等度の陽性を示す。
腹証により、小柴胡湯加茯苓黄連地黄連銭草を与える。地黄は副腎ホルモンを調整するために加味した。
2年間服用すると、胸脇苦満の症状がほとんど取れ、顔色がよくなり、肌のカサカサが消えてツヤが出てきた。これは本方が副腎皮質ホルモンのミネラルコルチコイドに働いて水分代謝が正常になったため、ツヤが出てきたものと思われる。そのうえ、風邪を全然引かなくなり疲れなくなった。尿タンパクは±になったり、陰性になったりするようになった。ムーンフェイスはまだ少し残っている。」 (寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p147~p148)


慢性心不全
◎心不全学会総会会長・篠山重威京都大教授によると、慢性心不全は60年代ぐらいまでは心臓からくる腎臓障害と考えられていた。80年代までは心臓のポンプ力や血管の問題と考えられていた。それが最近は、ホルモンや免疫のからむ複雑な病気と分かってきたので、それに伴い薬物療法も変化してきた。
◎3点セットで治療
「利尿剤+強心剤+ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤」の組み合わせで慢性心不全の8割は改善する(木全心一・東京厚生年金病院長)
<1>利尿剤:水分を尿として排出する薬で、心臓内に溜まった血液や肺のむくみを取る。
<2>強心剤:ジギタリス製剤は心臓の収縮力を増す
<3>ACE阻害剤:欧米の臨床試験で心臓機能を全般的によくする。

◎ベーターブロッカー:合わない患者がいる一方で適切に使えば延命効果が非常に高いことが欧米で証明されている。

◎カルシウム拮抗剤:心不全を悪化させる。
■仕組みの解明
「心不全は心臓が血液を十分に送り出すことができない病気。心筋症や弁膜症、虚血性心疾患などほとんどすべての心臓病が原因となる。
従来、血液を送り出すポンプ機能を回復させれば治療できると考えられ、強心薬などが使われてきた。しかし、現在では、交感神経や血圧を下げるホルモンなどの神経体液性因子と呼ばれる物質が過剰に働く結果、心筋細胞に細胞死(アポトーシス)などが起こり発症する病と捉えられるようになった。
大阪大学の大津欣也准教授はこの細胞死に照準を合わせて研究中。まずアポトーシスでは[ASK1]という遺伝子に着目、この遺伝子を欠いたマウスに心筋梗塞を人工的に起こしても心不全を発症しなかった。また心不全マウスでASK1の働きをジャマすると症状の進行が止まった。ここから、ASK1阻害薬が治療薬になることが分かった。
細胞が自分自身の一部を分解し栄養源とする自食作用(オートファジー)でも心不全との関係を明らかにした。自食作用は不要なタンパク質を掃除するシステムとしても知られ、感染症などを防ぐ役割がある。
心不全患者では自食作用がたくさん起きていることが知られている。従来は、“心筋細胞の死を引き起こす原因の1つと考えられてきた”(大津准教授)
しかし、東京医科歯科大学などとの共同研究の結果、過剰な掃除で細胞が死んでいるのではなく、掃除で身を守っているが、それが追いつかなくなって細胞死が起きていることが実験で分かった。なぜなら、自食作用に必須の遺伝子を欠いたマウスでも心不全になったからだ。
人でも、先天的に自食作用が起こらず心不全で治療を余儀なくされる病気があるという。
北風政史・国立循環器病センター内科心臓血管部門部長は、心不全患者に特徴的な遺伝子を、幅広いゲノム解析から44個の遺伝子を見つけた。このうちも1つが作るタンパク質『ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)』は心筋細胞の細胞質にのみ存在し、細胞の収縮などに深く関わっているのがわかった。
MLCKを書いた魚やマウスの実験では、心筋の構造が壊れてしまい心不全を引き起こすのが確認できた。機能が損なわれたMLCKは血液中に流出するため、之をマーカー(目印)にすれば、“心不全の前兆ががつかめ、早期の治療につながる可能性がある”(北風部長)」
■治療法
「心不全の多くを占める虚血性の心不全は、酸素や栄養を送る血管が足りない。“心筋細胞で酸素が不足すると細胞が動きを止め、冬眠してしまう血管を新たに作れば心筋も再び動き出すはずだ”(小室一成・千葉大学教授)はこう話す。
高血圧患者では血液を力強く送りだそうとして心筋細胞が大きくなり、心臓全体が肥大化する。しかし血管は増えない。
この点を注目して解明を進めると、意外な事実が明らかになってきた。ガン抑制遺伝子として人体に欠かせない存在である[P53遺伝子]が、心臓では血管の新生を抑えていた。マウスに心肥大を起こし、心臓の毛細血管を詳しく調べた。当初は不足した血液を補うために血管も増えたが、数週間すると逆に減少した。血管を増やす『HIF1』というタンパク質の働きをP53が作るタンパク質が分解していた。
P53を機能できなくすれば血管は増えるが、ガン抑制で重要な遺伝子だけに、機能をすべて抑えるのは危険。心臓だけにあってP53と共に働く遺伝子を見つけようと研究中。」
■スタチン系
「コレステロールを下げるスタチンを投与した患者は、心筋梗塞や心不全も減る傾向にある。これを実証するために小室一成・千葉大学教授らは、心不全患者500人を従来の治療と、これにスタチンを加えた治療をする2群に分け、比較試験を始めた。2010年には解析が終わる予定。」
■H2ブロッカー
「北風政史・国立循環器病センター部長は、心不全患者のカルテのデーターから、治療に使える有用情報を探す「データーマイニング」に着目。ここから、H2ブロッカーという胃薬や糖尿病薬が心不全患者にも有効と見られることを突き止めた。
H2ブロッカーを投与した患者では、心不全の指標の1つである血液中のBNP値が下がるなど効果を認めた。



慢性腎不全
■慢性腎不全の治療、「大黄」「温脾湯」が効果
「31歳の女性。学校検診でいつも血尿とタンパク尿を指摘されていました。5年前、腎生検で進行性腎炎と診断されました。既に腎機能が半分以下に低下しており、数年のうちには透析が必要になるかもしれないと言われました。腎不全の進行を抑え、透析しないですむ漢方薬はありますか?
慢性腎不全については、いくつかの生薬・漢方薬に腎機能の改善や悪化防止に役立つものがある。その代表的生薬が大黄である。大黄は一般に植物性緩下剤と考えられてきたが、近年、実に多彩な薬理作用があることが分かってきた。その1つがタンニン成分の中の腎機能改善作用である。
またこの大黄を含む温脾湯が腎機能の改善、悪化の速度を遅らせることが出来るとして期待されている。
大黄を含む漢方薬を服用出来ない人には、五苓散・柴苓湯などが症状、兆候に応じて使われる。
このように漢方薬を使い分けることによって透析導入を遅らせることは可能であるが、血圧や血清カリウム値など常に西洋医学的管理の下に行うべきである。血中に含まれるクレアチニンの数値で1デシリットル当たり7~8mg程度までが漢方治療の限度と考えられる。(花輪寿彦・北里研究所東洋医学総合研究所所長)1998.4.13《日本経済新聞》



慢性膵炎
◎症状:
<1>心部の疼痛
<2>悪心・嘔吐
<3>便通異常
<4>糖尿病症状

【臨床検査】
<1>パンクレオザイミンーセクレチン試験:↓
<2>血中尿アミラーゼ:↑(進行すると↓)
<3>脂肪性下痢

◎診断基準:1983年、日本消化器学会。
定義:慢性膵炎とは、組織学的には膵におけるびまん性、または限局性の炎症の持続あるいは炎症の後遺的変化であり、臨床的には膵炎としての臨床像が6ヶ月以上持続または継続していると思われる病態をいう。
臨床診断の基準:
①膵組織に確診所見がある。
②膵に確実な石灰化像がある。
③膵外分泌に確実な機能障害がある。
④膵管像または膵画像に確定所見がある。
⑤膵炎を示唆する臨床像(膵酵素逸脱を伴う上腹部痛・圧痛)が6ヶ月以上持続あるいは継続し膵機能、膵管像、膵画像、あるいは膵組織像に細則示す異常所見がある。

除外規定:以下の疾患・病変は除く
①膵領域腫瘍性病変
②特殊な膵疾患:cystic fibrosis
hemochromatosis
polycystic disease

■酒止められず、慢性化
「北海道出身で、Bさん(44)。10歳代後半から酒を飲み始めて、20代半ばには1日にビールを大瓶で5、6本飲んでいた。
つとめていた北海道の居酒屋は、「酒も飲めないで満足に仕事が出来るか。という雰囲気」で、仕事が終わると毎日飲んだ。
36歳の時、店で夕食を取った後、気分が悪くなり、吐いた。背中に重く、突き刺さるような痛みが走る。総合病院にタクシーで駆け込むと、則入院。急性膵炎だった。
1カ月半入院。医師から、「最低2年は酒を我慢するように」と言われたが、職場に戻るとストレスもあり、飲まずにいられない。半年後に再入院。「もう膵臓は元に戻らない」と医師にしかられた。だが退院後、「土曜日だけ」と自分に言い聞かせさ酒が、週2、3回と増えていく。毎日飲むようになるまで3カ月もかからなかった。
さらに2カ所の病院で入退院を繰り返すうちに、膵臓に石が見つかった。慢性膵炎で膵臓が全く昨日しなくなり、糖尿病も合併、インスリンの自己注射が必要になった。それでも酒がやめられない。職場にも知られ、3年前、逃げるように横浜に来た。
生活保護を受けながら暮らしていた98年3月、市のケースワーカーから、アルコール依存症患者のため専門病棟がある横須賀市の国立療養所久里浜病院への入院を勧められた。
ここでは内科・精神科が連携しながら治療に当たる。4月に入院したBさんは、庭の草取りなど軽作業、バレーボールなどのレクリエーション、酒の害の勉強などを、時間割に沿ってこなし、回復を目指した。
4カ月後に退院したものの再び飲むようになり、10月から自主的に3カ月入院。その後、通院を続け、もう1年以上、酒は一滴も飲んでいない。
慢性膵炎の6割は酒の飲み過ぎが原因。男性では8~9割を占めると言われる。日本人の慢性膵炎の年間発病者は74年は人口10万人当たり2人だったが、93年は5.9人と、20年間でほぼ3倍に増えている。
約1.2kgある肝臓に比べ、膵臓は90gと小さく、酒で損傷を受けやすい。久里浜病院副院長の丸山勝也さんは(54)「入院患者の半数は膵臓を痛めている。5合の日本酒を10年間、毎日飲み続ければ、慢性膵炎になる可能性が高い」と警鐘をならす。
アルコールによる消化器障害に詳しい慶応大消化器内科教授の石井祐正さん(61)は、「酒の飲み過ぎで慢性膵炎になったら、原因となった酒を断つことが治療の前提。」と話す。
  

【漢方薬】(慢性膵炎)
■安中散
■当帰湯


慢性頭痛
◎種類:
血管性頭痛:(発作性・拍動性の頭痛)
①片頭痛
 イ.随伴症状・・閃輝暗点。
 ロ.女性に多い。
 ハ.誘因・・・月経・チーズ。

②群発頭痛
  イ.眼裂狭小、流涙。
  ロ.男性に多い。
  ハ.誘因・・・アルコール。

緊張性頭痛:(持続性の頭痛、しめつけ感)
 イ.随伴症状・・肩こり・めまい。
 ロ.誘因・・・過労・ストレス。
   (金芳堂ー内科診断学p156)
   
【漢方薬】(慢性頭痛)
■葛根湯
■加味逍遥散
■五積散
■五苓散(実証の者に著効あり)
■清暑益気湯
■釣藤散(老人・がんこな頭痛・めまいがある者)
■当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
■二陳湯(胃内停水、心下部不快感、めまい、心悸亢進、発熱<不定期>、脈沈弦細)
■八味地黄丸
■半夏白朮天麻湯
■麻黄細辛附子湯(悪寒が強く、のどが痛い、脈沈)
■六君子湯

●「頭痛日記」で頭痛を理解
「日本人の3人に1人は「頭痛もち」だとか。特別な病気がないのにしばしば頭が痛む「慢性頭痛」に、北里大学医学部の坂井文彦助教授(神経内科)グループが昨年12月から試みているもので、患者にシステム手帳形式の日記を預け、頭痛が起きた時間や程度などを記入してもらう。約1ヶ月間の発作の様子や治療効果が人目で分かり、患者が病気や薬について理解を深めるようになったという。
 記入欄の横軸は24時間の時刻で、縦軸は痛さの程度目盛りをつけたものと、痛さ目盛りなしの2種類とした。患者は頭痛が起きた時刻、薬を飲んだ時刻、痛みの変化、治まった時刻などを記入する。痛みはいままで一番ひどかった時を10、その半分を5としてグラフか、数字で示す。予感や引き金になったことがあれば書く。
「問診よりも情報が多いので、どの頭痛か、薬が効いているか、必ず週末に起こるなどで誘因が分かることもある」坂井さんによると、頭痛は
二日酔いなどの日常的な頭痛、
くも膜下出血など脳や全身の病気からくる頭痛、
慢性頭痛、に分けられる。
 

グループは1993年に、調査会社の助けを借りて慢性頭痛の全国調査をした。日本の縮図になるように年令や職業、地域を選んだ。15歳以上の男女4000人余りに尋ねたところ、「頭痛もち」と自認している人がなんと36%もいた。換算すると全国で三千数百万人になろという。
慢性頭痛は、
<1>偏頭痛 
<2>緊張型頭痛 
<3>群発頭痛に大別される。

[偏頭痛]は先の調査で全体の8.4%。女性が男性の3倍以上で、とくに若い女性に目立つ。月に1、2回ほど血管が拡張して炎症が起き、病名の通りに、多くは片側の頭が脈打つようにズキンズキン激しく痛む。発作は数時間~2、3日続く。
精神的、肉体的ストレスから中高年に多い[緊張型頭痛]は、先の調査で22、4%と偏頭痛の3倍近い。頭全体が締め付けられるような鈍痛がほぼ毎日ある。肩こりや首筋のこり、だるさなどを訴える人が多い。ストレスで脳の痛み調節系に障害が起きる。偏頭痛患者に緊張型頭痛が起きる混合型は複雑な病状になる。
[群発頭痛]患者は偏頭痛の10分の1程度で、圧倒的に男性に多い。年1、2回の群発期は1.2ヶ月間、毎日のように片側の目の奥の血管が激しく痛む。  発作時間が短い為、痛み目盛りなしの記入欄を用いることが多い。1996.6.9《朝日新聞》


慢性大腸炎
=慢性腸炎
慢性腸炎になると、腹部の不快感、膨満感、腹痛、腹鳴、下痢などを訴える。
また下痢と便秘が交互にくることもある。
結腸にガスが充満すると、胸部を圧迫して心悸亢進、呼吸困難を起こすことがある。

【漢方薬】(慢性大腸炎)
■胃風湯
下痢がながく続いて、患者が衰弱している場合に用いるので、真武湯証との区別がむずかしいこともあるが、本方は炎症が直腸にあって、粘血便を出し、裏急後重の気味がある者に応じる。
本方は残存性の炎症が腸管の下部にあって、下痢の止まない者にもちいるので、裏急後重は決して強いものではない。また下痢するときには、腹痛を訴え、大便が肛門に激突して音をたててピチピチと飛び散るのも、本方を用いる目標である。
直腸潰瘍に用いてよく、これで全治したものもある(漢方診療医典)
■温経湯
■藿香正気散
■甘草瀉心湯
■桂枝加芍薬湯
■啓脾湯
■小建中湯
■真武湯
1日に2,3回~4,5回くらいの下痢で、それが長く続いて治らない者に用いる。
この処方の適する下痢は、腹痛を伴うことはあっても、軽く、裏急後重を呈することはマレである。
まれに大便を失禁することがある。
大便は水様のもの、泡沫状のもの、粘液や血液を混ずるものなどいろいろ。
腹部は軟弱無力で、振水音を証明することがあり、ガスがたまる傾向がある。
脈は沈弱、遅大弱のものが多く、足が冷える、疲れやすく、血色もすぐれず、舌は湿っていて、苔の無いものが多い。
下痢していても、食欲にはあまり変化も無いものが多いが、下痢を恐れて、食を減じているものがある(漢方診療医典)
■参苓白朮散
啓脾湯と参苓白朮散の2方は同じような下痢に用いる。下痢が長引き、栄養が衰え、皮膚に光沢がなく、枯燥し、貧血の傾向のあるものに用いる。この場合、裏急後重は無く、腹痛はあっても軽微である。真武湯を与えて、効の無いものに、此方で治るものがある(漢方診療医典)
■断痢湯
甘草瀉心湯の証で、陰位に陥って下痢の止まない者に用いる。
いろいろの薬を用いて効のないときにもちいて効をとることがある(漢方診療医典)
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■半夏瀉心湯
慢性のものでも、体力、気力ともに、まだ衰えず、心下痞硬、腹中雷鳴、下痢のある者に用いる。血色のよいやや肥満した婦人で、沢庵を食べたり牛肉をとると、すぐに下痢がはじまるものに、心下痞硬、腹中雷鳴、下痢を目標にして古お方を用いる(漢方診療医典)


慢性多症状病

Chtonic Multi-symptom illness
■体に不調----なぜか「異常なし」
「不景気をぼやく銀行員のN氏。身体がだるくて気力がないので、病院巡りをしたものの異常なしと言われ、憤懣やるかたない様子。その彼が「面白いものを見つけた」と言って持ってきたのが、米国医師会雑誌(JAMA)に載っている『慢性多症状病』についての論文である。
論文には、1991年の湾岸戦争に参加した空軍兵士3723人を対象に精神科によるチェックを含む面接調査を行った結果が紹介されていた。鼻づまり・頭痛・倦怠感・関節のこわばり・記憶障害・認知障害・睡眠障害など35項目にわたる症状が報告されたが、そのうち診察の所見や臨床検査では異常が見いだせないものが多く見られた、という。
しかし、こうした兵士たちは明らかに身体機能と健康状態が低下しており、全体の54%の人が軽度から中等度、8%が重度の慢性多症状病に罹っていると判断された。
従軍しなかった兵士の中にも同様の病気が見られることから、湾岸戦争が直接関係しているのかどうかは明確ではなく、本病をもたらす原因についても分からないというのが論文の結論であった。
これと似た症状を呈するものに、やはり原因が不明の『慢性疲労症候群』というものがあるが、診断基準は異なっている。
具体的には
6ヶ月以上の強い疲労がある。
精神疾患・慢性炎症がない。
微熱・非滲出性咽頭炎orリンパ節炎がある。
筋力が低下する
などである。
N氏は自分はストレスと過労から慢性多症状病にかかったと力説されるので、「そうでしょう」とお答えしたが、本当にそうかどうかの自信はない。
今後、長寿社会に突入して、倦怠感を覚える局面が増える中で、自分自身で健康管理に注意していかなければならない。しかし、残念なことに倦怠感や無力感を他者が客観的に評価できる適切な方法がない。現代の進んだ医学検査でも原因の分からない病態が決して少なくないのが事実である」(巽典之・大阪市立大学医学部教授)1999.6.28《日本経済新聞》



慢性中耳炎
【漢方薬】
■黄蓍建中湯


慢性虫垂炎
⇒急性症の経過後、周囲臓器と虫垂の癒着、膿瘍を形成し、慢性の炎症性障害あるいは、軽度の通過障害(回盲部)を潰す場合と、当初から慢性の経過をとる場合とがある。
   

【臨床症状】
<1>右下腹部の鈍痛
<2>牽引されたような疼痛
<3>腰痛
<4>下痢と便秘を繰り返す
<5>他覚的に、右下腹部の圧痛、硬結。
  

【漢方薬】(慢性虫垂炎)
■当帰建中湯
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯



慢性肉芽腫
■遺伝子治療
「2010年、国立成育医療研究センターはNIH(米国立衛生研究所)と共同で、慢性肉芽腫の遺伝子治療の臨床研究に乗り出す。
慢性肉芽腫は遺伝子の異常で免疫不全になり、重い感染症を繰り返す難病。患者は国内に300人ぐらい。造血幹細胞の移植しか有効な治療法がない。
臨床研究は造血幹細胞の移植が受けられない患者を対象に実施。



慢性肺性心
◎慢性肺性心の定義:1963年、WHO。
「肺の機能及び/或いは構造を障害する疾患から起こる右室肥大を慢性肺性心と言う。但し、左心障害あるいは先天性心疾患による右室肥大を除く。」

◎原因:
・慢性肺疾患
・肺の先天性嚢胞症
・脊椎後側彎症
   

◎症状:
・呼吸困難
・セキ:
・タン:
・右心不全
・赤血球増加症
・肺活量減少
・肺動脈圧上昇


慢性鼻炎
【漢方薬】
■消風散
■消風散(透明な鼻水が出て、鼻がつまる)
■辛夷清肺湯(鼻づまり、鼻汁<膿性>、口渇、舌苔黄、舌質紅乾燥)   
■防風通聖散


慢性疲労症候群
(CFS) Chronic fatigue syndrome
⇒激しい全身倦怠感、微熱、筋肉痛などと、抑鬱・思考力低下などの精神症状を持つ。
「立ち上がることも出来ないほどの激しい疲労や倦怠感が半年以上続いたり、くりかえしたりする原因不明の疾患。1999年4000人を対象にした国の調査では約0.3%がCFSだった。患者は他の病気との誤診や単なる「なまけ」と誤解されて苦しむケースが少なくない。」

【漢方薬】(慢性疲労症候群)
■麻黄細辛附子湯
■六味丸
   
■EBウイルス感染が原因の一部。
◎コクシエラ菌によるQ熱が原因
「1989年アメリカで15人の家族と親戚が慢性疲労症候群に罹った。その原因となったのが、ペットとして飼っていたネコが出産時にまき散らしたコクシエラ菌によるQ熱だった。」
「2002年2月、日本人の慢性疲労症候群の患者138人中の22%がコクシエラ菌に感染していたことが分かった。患者はQ熱に有効な抗生物質の投与で改善した。」
■原因探る
「全身のだるさや微熱、頭痛などが長期間続く「慢性疲労症候群」。原因不明だったこの病気が、脳の中をのぞき込む最新の画像診断技術を駆使した国際共同研究で徐々に解明されつつある。大阪バイオサイエンス研究所(吹田市)、大阪大医学部血液・腫瘍内科学研究部、スウェーデン・ウプサラ大などのグループによる、陽電子放出断層撮影装置(PET)を使った成果で、小児自閉症などの治療法の確立にも役立ちそうだ。
CFSは1980年代から欧米で注目され、「第5のエイズか?」と騒がれたこともある。88年に米国で診断基準が作られ、90年にこの基準によるわが国の患者第1例が見つかった。
健康そうだった人が急に猛烈な疲労感に襲われ、外出どころか朝、布団から起きあがることさえ困難になる。ウイルス感染説が有力だが、よく分かっていない。病状が似ていることから、『鬱病』や『心身症』『更年期障害』と診断されるケースも少なくない。
 同グループは、心臓や脳などのエネルギー源の脂肪酸を運ぶ生理活性物質、アセチルカルニチン(ACN)がCFS患者の血液中では減少しているのに、同様に疲労感を訴える『白血病』や『悪性リンパ腫』患者では減らないことに着目。ACNが脳にどの程度取り込まれるかについて、スウェーデン・カロリンスカ研究所に通院中の女性患者8人をPETで測定した。
その結果、患者の取り込み率は脳全体で健康人の約60%に低下。特に前頭葉のうち、ストレスや集中力が高まると活性化する部位(前帯状皮質24野)や、意欲に関係する部位(前頭皮質9野)の取り込み率が減っていることが分かっ た。
同グループの日本側代表者の大阪バイオ研・神経化学部門の渡辺恭良研究部長は「ウイルス感染など何らかの要因で細胞内の免疫系に異常が生じ、前頭葉の特定部位でACNの代謝が妨害されるのではないか」と分析している。
メカニズムの解明につながる研究が可能になったのは、極僅かな濃度の物質 を脳内で正確に追跡できる画像システムの開発に成功したためだ。
PETはプラスの電気を帯びた電子(陽電子)を放出する放射性同位元素(R I)を体内に注入、陽電子が体内の電子と衝突する際に出るガンマ線を検出、その強弱を輪切りの断面図にして臓器の血流や代謝などを体外から読みとる。
化学物質の臓器内の挙動を生体内で調べられるのが利点だが、微小物質の状 態を分子レベルで把握するには、PETで正確に追跡でき、人体に悪影響がないRIを目印として結合させることが必要だ。同グループは科学技術振興事業団の共同プロジェクトで、追跡しやすいように目標物質と合成する装置を開発、極めて微量の物質を識別できるようにした。
同グループは、小児自閉症患者の神経細胞表面では、神経伝達物質のドーパミンD2の受容体が正常児に比べ異常に多いことも明らかにした。受容体を正常化する補酵素を投与し、神経機能を改善する臨床応用のための共同研究をウプサラ大で進めている。
渡辺部長は「精神疾患の一部は生理活性物質や情報伝達系の代謝障害で発症メカニズムを説明出来る良い例にりつつある」と語る。欧米ではアルツハイ マー病やパーキンソン病、精神分裂病などの病気でPETを使った研究が行われ成果を上げつつある。
■ウイルス感染説有力
「それまで元気だったのに、ある日を境にひどい疲れが長期間とれなくなる『慢性疲労症候群』。社会の認識は徐々に高まってきたが、患者自身が1人で悩んでいるケースもあるという。
●一般検査で異常無し
会社員のAさん(46)は半年以上前から体がだるい状態が続いている。朝はベッドから起きるのがとてもつらい。朝食の箸が鉛のように重く感じられ、食事もノドを通らない。会社を休んで何度も病院に通ったが、血液検査や綾画像検査・心電図と一般的な検査はいずれも異常なし。専門医をたずねて初めて慢性疲労症候群と診断された。
慢性疲労症候群は日常生活に支障が出るほどの倦怠感が半年以上続いたり再発を繰り返したりする病気。微熱や関節の痛み・リンパ節の腫れなども伴う。日本では1990年代の初めから注目され、患者は主に20代後半~30代の働き盛りに目立つ。
疲れなら誰でも溜まる。疲労や微熱は健康な人にも見受けられる。だから、慢性疲労症候群の患者もしばらく休めば治ると思われがちだ。神経症ではと疑われたりする。しかし、慢性疲労症候群の患者の苦しみは尋常ではない。
慢性疲労症候群の患者を診ている村上正人・日本大学板橋病院心療内科科長は「うつ病や自律神経失調症とは明らかに違う。慢性疲労症候群はきちんとした診断基準によって判定する」と説明する。
厚生労働省の基準では神経症などの病気が認められないのに(1)制AK栂著しく損なわれるような強い疲労が少なくとも6ヶ月以上続き再発を繰り返す。(2)1ヶ月に数日は仕事が出来ず自宅で急速が必要になるーーーなどいくつかの特徴をあげている。
●神経質な人に多く
この病気は神経質で、几帳面なタイプの人に比較的多い。発病のメカニズムの解明が徐々に進んでいる。多くの患者が、風邪や下痢の症状が現れてから次第に具合が悪くなっていることから、ウイルス感染が原因とする説が浮上している。
大阪大学の近藤一博助教授らは口に水疱瘡をつくるウイルスの仲間、ヘルペスウイルス6(HHV6)が深く関わっているものとみている。このウイルスが特定のタンパク質を作り、体内の異物を除去する免疫系が過剰に反応してしまう、これに伴い、炎症物質が分泌され、疲れの原因になるという。
日大の村上心療内科科長らはウイルス感染とともにストレスが引き金になるとの説を唱える。不規則な生活や心理的葛藤などで心身がストレスを受け疲弊していると、ウイルスの影響が強まると考えている。そこで慢性疲労症候群に伴う不眠や極度の疲れなどを1つずつ克服するよう心がけることが大切と語る。眠れないなら眠れるようにする。睡眠薬を用いることもある。疲れが続くようだったら、とにかく休む。漢方薬を飲んで体力の回復に努めるのもいいという。仕事でも完璧を求めたりしない。「無利子がちな生活を改め、体に備わっている治癒力を開腹させることが効果的」(村上科長)
●うつ病向け薬が有効
うつ病に似た症状がみられるので、抗うつ剤や精神安定剤が効く場合もある。2~3週間ごとに受診しながら治療を続けていると症状が改善し、3~4年もすると通院が不要になる人がいる。日本には薬18万人の患者がいるとの試算がある。慢性疲労症候群を知らず、原因不明の倦怠感に苦しんでいる人は少なくないという。専門家は「長引く疲労は放置して置くのが最も悪い。まずは内科医を訪ねて原因を調べてほしい」と呼びかけている。」2002.3.19《日本経済新聞》
■セロトニンが関係
「原因不明の激しい疲れや倦怠感が長時間続く「慢性疲労症候群」(CFS)の患者は、体を活性化させる神経伝達物質「セロトニン」の合成が脳で低下していることを、文部科学省疲労研究班の倉恒弘彦大阪大学講師(内科学)とスウェーデンのウプサラ大などとの共同研究チームが6/23までに突き止めた。
ナゾが多いCFSの症状である思考力の低下、ウツなどの発症プロセスの解明に結びつく成果だ。
研究チームはセロトニンの“原材料”となる物質をCFS患者6人と健康な8人に注射死、合成の能力と取り込み具合を調べた結果、患者はセロトニンのが出来る脳の前頭葉への取り込みが健康な人に比べて少なく、合成されにくいことが分かった。
倉恒講師らは、CFSの患者39人にセロトニンの濃度を高める抗うつ剤の一種を投与。11人は副作用がでたため使用を中止したが、2ヶ月間で10人の症状が改善したという。研究チームは、強いストレスによる免疫異常がセロトニンの合成を阻害している可能性があるとみている。」2002.6.24《日本経済新聞》
■ヘルペスウイルス
「免疫系に意外な働きがあることが分かってきた。それは“疲れた”という警報を発して体を休ませる役割だ。1986年、米ネバダ州レイク・タホで多発した「流行性疲労病」の患者から[HHV6]が検出され、このウイルスが慢性疲労の原因として注目された。その後、大半の人にも感染するウイルスとわかり、いったんは否定された。ところが、近藤一博・東京慈恵会医科大学教授らの研究で、再びHHV6関与説が有力になってきた。
HHV6は、100%近くの乳児が1歳半までに感染する突発性発疹の原因となる。初めて感染したときは、発疹や発熱が数日続く程度ですが、一度感染すると、そのウイルスを生涯持ちつづける。潜伏中のウイルスは増殖せず、疲労が溜まると増え始める。
水痘や帯状疱疹の原因となるHHV3とよく似ています。
HHV6は潜伏と増殖の間に中間段階があり、これが慢性疲労症候群と関係するらしい。患者の4割が、中間段階の細胞が作るタンパク質への抗体を持っている。ウツなどの精神症状と関係する可能性もあります。(近藤教授)
HHV6は沈む船から逃げるネズミの似ている。人が疲労という生存の危機に瀕すると、ウイルス自身の生存も危うくなるので、いち早く逃げだそうとして唾液に放出される。唾液中のウイルス量を調べれば人の疲労度を判定できる。健康な大人が残業を1週間続けるとウイルス量が10倍に増え、1週間休むと元の数値に戻る(近藤教授)20079/25日経
■遺伝子
「六反一仁・徳島大学ヒューマンストレス研究センター長らが開発した、血液中の1400以上の遺伝子を調べられるDNAチップで研究。慢性疲労症候群の患者では9つの遺伝子が強く発現していた。
また、健康な人でも疲労困憊になる身体ストレスがかかると、通常の運動(有酸素運動)とは異なる遺伝子が働いていた。」
■疲労神経回路説
「患者の脳をPET(陽電子放射断層撮影装置)などで調べると、前頭葉の『前帯状回』という領域などで血流が減少し、神経伝達物質セロトニンの働きに異常が見つかった。
これらの成果から渡辺恭良・大阪市立大学教授は『疲労神経回路説』を唱える。脳に疲労の見張り番ともいえる回路があり、健康な人は疲れをそこで感じ警報を出す。この回路が損なわれると、疲労感が異常に強まると考える説。
これまでは疲労の原因は乳酸とする『乳酸悪玉説』が主流。筋肉で生じた乳酸が血液を介して脳に流れ込み、筋肉疲労を脳に伝えたり、脳の疲労原因になるという説。
乳酸の増加と疲労の相関関係はハッキリしない。動物に乳酸を注射しても疲労状態にならないことから、この説は否定されつつある。
かわって、脳に疲労中枢があり、免疫系や内分泌系が複雑に絡んで疲労が生じるという見方が有力。
ウイルスに感染すると疲れを感じるのは、細胞がサイトカインという免疫物質をつくるため、その代表がインターフェロンで、肝炎治療でインターフェロンを投与すると、副作用として疲労感が増加することが知られている。
倉恒弘彦・関西福祉科学大学教授は「ストレスや遺伝的要因で免疫物質が異常につくられ、脳神経系の機能障害を起こすことが慢性疲労症候群の原因」と推測する。
疲労回路のある脳の領域は意欲や集中力などを司る。達成感があれば疲れをあまり感じないのも、この回路の働きが関係しているらしい。
■脈拍で判別
「大阪市立大学発のベンチャーの産業疲労特定検診センター(大阪市)は手首の脈拍を5分間計測することで体の疲労度を計測する技術を開発した。
脈拍の微妙な変化から、緊張時に高まる交感神経と体をリラックスさせる副交感神経を測定する。
疲労度分析は被験者が専用の心電計を5分間手首に装着し、脈拍の間隔を1/1000秒単位で測定。その間隔のわずかなズレを利用して独自の手法で交感神経と副交感神経の持つ周波数を割り出す。
疲れやストレスが蓄積すると神経のバランスが崩れて交感神経の周波数が高まり、不眠症状や片頭痛の原因となる。
疲労度分析では交感神経の周波数を副交感神経の周波数で割り、値が5倍を超えると疲れやストレスの蓄積が大きいと判断する。
データーは産業疲労センターのサーバーで解析し、大市立大学医学部の専門医が診断を下す。問診票の回答と疲労度分析を合わせて、診断料金は1回\2000。」





 慢性副鼻腔炎
  【処方名-五十音順】
 温経湯(手足のほてり、口唇乾燥、下腹部膨満感、腹痛、腰痛、脈無力
 黄蓍建中湯)
    香蘇散
    柴胡加竜骨牡蛎湯
    四逆散
    辛夷清肺湯(鼻づまり、鼻汁<膿性>、口渇、舌苔黄、舌質紅乾燥)
    釣藤散
    桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
    補中益気湯
    麻黄細辛附子湯(悪寒が強く、のどが痛い、脈沈)


 慢性腹膜炎
  【処方名-五十音順】
    浄腑湯《万病回春》
    桃核承気湯
    当帰建中湯
    当帰芍薬散
    六君子湯

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
■酵素を特定
「オーストラリアのメルボルン大学などの研究チームは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息など治療の困難な肺疾患で、発病に関わる酵素を特定した。マウスの実験でHckという酵素が病原菌を感知するとマクロファージというドン食細胞の活動を促して退治させる。ところが、Hckを構成するアモノ酸が組変わり過剰に機能するようになると、マクロファージの作用が高まり、肺を浸食して肺疾患になった。」2002.9.12《日経産業新聞》


 慢性扁桃炎
  【処方名-五十音順】
    柴胡清肝湯


 慢性便秘
    柴胡加竜骨牡蛎湯


 慢性膀胱炎
  【処方名-五十音順】
 加味逍遥散
    清心蓮子飲
  【臨床例】
    ☆40歳、主婦。
      「主訴は尿の混濁とまぶたの腫れ。昨年急性腎盂炎になり40℃の熱が出て、      抗生物質で治ったが、その後、慢性膀胱炎になったのか、抗生物質を用いる      と尿はきれいになるが、用いないと濁るという。
患者は小柄のタイプで青白く、脈は細い。腹診すると上で動悸をふれ      る他、たいした腹証はない。胃腸はまあまあの程度。便通は1日1回で、小      水は4~5回あり、生理は順調であるが、結婚後10年間は妊娠しない。足      は冷えるタチ。尿を検査するとタンパクが弱陽性に出る。
まず、まぶたの腫れと尿タンパクにポイントをおいて、自他覚的所見か      ら当帰芍薬散加連銭草を与えた。これを34日分飲むと、まぶたの腫れは取      れたが、尿タンパクは消えない。
そこで、腎炎によく用いる小柴胡湯加茯苓黄連地黄連銭草を投与したと      ころ、飲みにくいと言われ、元の当帰芍薬散に戻した。本方を服薬中、6/23      に下腹部が痛いと訴える。腹診すると左下腹部に圧痛点を認める。そこで桂      枝茯苓丸料加甘草芍薬を与えた。14日分の服用で腹痛はとれる。その後引      き続き当帰芍薬散加連銭草を投与し、8/31に尿タンパクは陰性となる。
5ヶ月間で、まぶたの腫れと尿タンパクはとれた。次ぎに尿の混濁にポ      イントをあて、清心蓮子飲を与える。本方を74日間服用すると、混濁はと      れたが、時々まだ濁る。完全に治るにはまだ日数がかかりそうだ。」



慢性腰痛
脳に原因があった
NHK2015/07/12 21時
ぎっくり腰が最初の原因だった、元ダンサー。
背骨の椎体、椎間板はキレイ。
骨や筋肉の異常は通常3ヶ月で良くなる。
3ヶ月以上続く腰痛が慢性腰痛。
脳の活動が異なる部分があった。脳のDLPFCの体積が減少していた
痛みの回路ができて初めて痛みを感じる。
痛みの回路に興奮を静める指令をだすのがDLPFC。
幻の痛み。
脳の回路に機能的異常が起きている。

DLPFCはなぜ衰えるのか?
痛みへの恐怖心(ストレス)がDLPFCに作用→長く続くと


恐怖克服法
①映像を見せる・・・変形性ヘルニアは、手術をしないでも自然に治ることが多い映像を見せる。痛みへの恐怖心を減らす。38%が良くなった。
②1~3秒ある姿勢をとる。おしりに手をあて、押し込み、背中を反らす姿勢をやってみる。恐怖を無くする。 のけぞる姿勢で痛みがひどくなければ改善する。痛みへの恐怖心が減少する。脳に新たな情報をインプットすることで改善。
③頑固な恐怖心を去るには?シドニー大学。3週間の心理療法。
認知行動療法で治療。カウンセリングと運動。どんな恐怖が痛みの原因になっているのか? 今の自分に目を向けてください。
動いても大して痛くないと自覚させること。
認知行動療法で脳画像に変化が出る。



 慢性淋病・慢性淋疾患
  【処方名-五十音順】
 加味帰脾湯
    帰脾湯
    八味地黄丸


 慢脾風(まんひふう)
   ⇒慢脾風とは、慢驚後の吐瀉によって脾を弱め、病がひどくなると弱いところへと    流れていくもので、その為に脾に入っていき脾風となる。
     この慢驚症は、目がくらく、四肢が冷たい症もあり、又、瞳が回らず、とて回    しても左右は見られない。そして汗が流れて口や目が黒くなる症は重症である。    目を半分閉じ、半分開けているのは慢脾風になろうとする症で、陰気が盛んで臓    の中に入って、陽気がすでに失くなった症である。
脾経は陰に属しているので、あらゆる病気が、みな次々と脾に入って行くので、    慢脾風ともいう。
【処方名-五十音順】
    蝎附散・・・・・・(慢脾風)
    黒附湯・・・・・・(慢脾風で危急の症)
    生附四君子湯・・・(慢脾風)
補脾益真湯・・・・

【病状み】
 ミエロパチー
   ⇒脳脊髄の機能的病理学的障害をさす総括的用語で、一般に、炎症性疾患に対比し    て非特異的な障害をいう。

ミオクローヌスmyoclonus
(参照→「不随意運動」)
=「筋間代」「筋間代」「間代性筋」
筋の一部、全部または1群の筋の突然の収縮で、身体の一部領域に限局して起こり、いくつかの部位で同期生または非同期性に見える。
   ◎手からものを落としたり、転倒したりする。
◎種類
活動時ミオクローヌス
バルチック・ミオクローヌス・・・
てんかん性ミオクローヌス・・・
意図性ミオクローヌス
多発性筋間代性
夜間ミオクローヌス
口蓋ミオクローヌス(口蓋間代性)
反射性ミオクローヌス



 ミオクロニー発作myoclonic seizure
   =「ミオクローヌス発作」(参照→「テンカン」)
   ⇒思春期に多く、突然に瞬間的に全身又は四肢・躯幹の一部に強い痙攣が生じる。
   ◎通常は意識障害を伴わない。
   ◎両側の四肢に起こりやすい。

 ミオグロビン尿
   ⇒筋組織が広範囲に破壊される病態で認められる。
   ◎尿が赤色に着色する。
   ◎心筋梗塞などでも少量が尿中に排泄される。

 ミオパシー 
   myo-pathy
⇒筋疾患の総称。 (参照→「歩行障害」)
   ◎疾患:①進行性筋ジストロフィーが代表的。
    ②その他:重症筋無力症
            多発筋炎
            ミオトニー症候群
            周期性四肢麻痺
            代謝性ミオパチー



 ミトコンドリア病
■受精卵へ遺伝子治療
「筑波大学の林純一教授らは遺伝性の難病、ミトコンドリア病で、受精卵への遺伝子治療が有効なことを動物実験で確認した。2005年11/7付け米科学アカデミー紀要に掲載。
ミトコンドリア病はエネルギー生産を担う細胞内の小器官であるミトコンドリアの遺伝子がうまく働かないために起こる。脳や筋肉の機能が低下したり、背があまり伸びなかったり、運動障害、難聴など様々な症状が出てくる。
母親の卵子に含まれるミトコンドリアの遺伝子に異常があると、それが子供に受け継がれる。
研究チームは人為的にミトコンドリア病を発症させたマウスの受精卵から核を取りだし、あらかじめ核を除去した正常なマウスの卵子に移植、人工妊娠で11匹を出産させた。いずれも正常な卵子に含まれていたミトコンドリアの作用で、寿命が尽きるまで発症を防ぐことが出来た。」
■異常DNAを排除
「東京都臨床医学総合研究所などは、生物の細胞内でエネルギー生産を担っているミトコンドリアに含まれるDNAに遺伝子異常が発生した時に、これを排除するメカニズムの一端を解明した。
米科学誌ネイチャー・ジェネティクスに掲載。
生物のDNAはごく一部、細胞質に散らばったミトコンドリアの中にもある。ミトコンドリアは細胞質の中に1000~2000個あるが、通常はすべて内部に同一の塩基配列のDNAを持つ・ただ、ごくまれに複数の種類のミトコンドリアDNAを持つケースがあり、病気の原因となる遺伝子が含まれていると、ミトコンドリア病が発生する」
■検査
「東京都老人総合研究所の西垣祐・研究副部長、田中雅嗣・研究部長らは、糖尿病などを引き起こす難病「ミトコンドリア病」の原因となる遺伝子異常を、短期間で検出出来る新しい遺伝子検査法を開発した。
原因遺伝子の内主要な28種類を網羅的に約1週間で調べる。
ミトコンドリア病は、細胞内小器官のミトコンドリアにわずかに含まれるDNAの変異によって起こる難病。糖尿病や難聴・低身長・心筋症など様々な症状が現れる。
原因となる遺伝子異常は、世界で200種類以上が報告され、主要なものだけでも約40種類が知られる。
新手法は、患者の血液や骨格筋などからDNAを採取し、蛍光ビーズを使って遺伝子異常を網羅的に調べる装置を利用する。2008/4/15
■交換
2012年、全身の臓器の働きが損なわれる遺伝性の難病ミトコンドリア病の女性の卵子から染色体を抜き出し、他人から提供された卵子に移し替え、子どもに病気が伝わるのを防ぐ手法を米オレゴン健康科学大学の立花真仁研究員らが開発した。
成果はネイチャ(電子版)に掲載
卵子の細胞質に含まれる異常なミトコンドリアを西欧菜ものと交換する。
実際には倫理面の制約がある。
立花研究員らは、米国内で21~32歳の健康な女性から同意を受けて106個の卵子の提供を受け、うち64個に染色体を移し替える操作をし、受精させた。
受精卵になった44個のうち19個が胚盤胞と呼ばれる段階まで成長した。
胚盤胞は母体に戻せば赤ちゃんになりうる状態。
ただ移し替えをしたうち半数で、染色体の数が通常より多くなるなどの異常が起きた。
アカゲザルの実験では、操作した卵子のほぼ全てで正常な受精卵ができ、受精卵を母体に戻して生まれた5匹の子ザルは異常なく成長した。


 ミルク-アルカリ症候群  Mik-Alkali syndrome
⇒ミルクとアルカリの長期摂取によって起こる。
   ◎高カルシウム血症によって起きる症候群といえる。
   ◎症状:①中程度のアルカローシス
       ②重症腎不全

 

 みずおちが緊張
  【処方名-五十音順】
 温清飲
大柴胡湯

 みぞおちが痛む
(参照→「胃食道逆流症」)
◎原因:
  肝ガン
  心筋梗塞


 みぞおちのつかえ
   =鳩尾の痞え=心下痞
  【処方名-五十音順】
 呉茱萸湯
苓桂朮甘湯



 味覚低下
  【処方名-五十音順】
    四君子湯
    補中益気湯


 味覚障害
   =「味覚異常」「味がない」
◎チェックしましょう:
        巨赤芽球貧血
   ■味覚感じる部位解明
     「甘い・辛いといった味覚を感じる脳の場所を初めて突き止めたと、通産省工     業技術院の生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市)が10日、発表した。大     脳の前頭葉から側頭部にかけての内側の左右一対ある島(トウ)と呼ばれる部分。     サルを使った実験で、ここではないかと推定されていた場所だった。
 脳の神経が活動を始めると弱い電流が流れて磁場が生じる。
      感覚知覚研究室の小早川達研究員らは、21~32歳の男女各3人の舌前に食     塩水と人工甘味料のサッカリン溶液を0.4秒間触れさせる実験を40回繰り返     し、「脳磁計」という装置でこの磁場をとらえた。
      脳の磁場の強さは地磁気の1億分の1で、その分布の様子から電流の流れた     場所は島(トウ)の部分と特定した。
      普通の水では磁場は生じなかったという。
      島は目の後ろ側から脳の奥までの細長い構造をしており、長さ5~6cm、厚     さは最大2cmほど。人の感覚に関係する部分と見られていたが、働きはよく     分かっていなかった。味を感じる脳の活動は、辛みが舌に触れてから数10mm     秒後、甘みの時は数100mm秒後に始まっていた。これは神経伝達の理論とも     合致するという。1996.5.11《朝日新聞》」
   ■ガンの味覚障害に亜鉛有効
     「ガンが進行し、食べ物の味が分からなくなったり、おいしく感じられなくな     ったりした患者は、亜鉛製剤で味覚を回復できることが、日本バプテスト病院     ホスピス(京都市)の林章敏医師の調査で分かった。
 昨年4月から6月までに同ホスピスに入院した末期ガン患者28人を調べ      た。その6割にあたる17人が味覚障害を訴えた。
  亜鉛が不足すると味覚障害が起きる。患者の血液を調べると、味覚障害を訴     える人の亜鉛濃度は確かに低かった。比較的元気な9人に亜鉛が含まれる胃腸     薬を飲んでもらったところ、6人が劇的に味覚が回復し、3人は改善した。残     る8人には食欲改善薬とされるステロイド剤を使い、5人の味覚が改善した。
 林さんらは「これまでもっぱらステロイド剤が使われた。今後は亜鉛製剤も     積極的に使いたい」と話す。1997.1.5《朝日新聞》
   ■亜鉛不足と味覚異常------口内細胞の代謝進まず
     「50歳を過ぎて、食物の味を感じにくくなる味覚異常を訴える人が多い。高     齢になるほど其の程度は大きくなる。味覚組織の新陳代謝が若い頃に比べて遅     くなり、味に対して鈍感になるためだ。
微量元素の亜鉛が不足すると、個の味覚異常に拍車がかかる。偏った食事、     精製加工食品、インスタント食品に頼りすぎると起こる一種の栄養失調症だと     言える。亜鉛は1日の必要量は15mgとされるが、あり調査によると10mgに     も満たない人が結構多い。
味蕾という小さな器官が舌表面や軟口蓋に10000個知覚分布している。ここ     に呈味物質が接触して味覚刺激が与えられる。この味蕾をつくっている細胞に     は亜鉛は高密度に存在している。
味蕾細胞は体の細胞のうちで最も新陳代謝が速く、老化した細胞は味に感じ     やすい若い細胞によって置き換えられている。この時、味蕾細胞ではタンパク     質が盛んに合成されている。亜鉛はタンパク質合成に必須の元素なのだ。これ     が不足すると「細胞の新旧交代」がスムーズにいかなくなり、其の結果、味に     対して鈍感になる。
食塩嗜好も味覚異常と関係あるようだ。木村修一先生(昭和女子大大学院教     授)は、ラットのエサのタンパク質量を減らすと濃厚食塩水を好む殊を証明し     ている。さらに、ここ10数年の日本人の食塩摂取量の減少と食事中タンパク     質レベルの上昇との相関性を見いだしている。良質のタンパク質は食塩嗜好性     を低下させるようだ。
      亜鉛は貝類に豊富に含まれ、特にカキには断然多い。海藻、卵黄、乳製品、     肉類、レバー、豆類、種実類、胚芽米にも多く含まれる。
アルコールの飲み過ぎは体内亜鉛を減らすので、味覚異常を招く危険もある。     五明紀春・女子栄養大学教授1998.1.12《日本経済新聞》
■ここ数年味覚がないと嘆く90歳の母
「90歳の母ですが、ここ数年、口の中がシビレ気味で味覚がないと嘆いております。また、便秘もひどいそうです。亜鉛が足りないからとも効きます。エキスなどを飲ませた方がいいのでしょうか?
一般に味覚は老化と共に減少してきます。ことに①心理的な問題があったり、②歯が抜ける、③舌のリンパろ胞、④胃腸粘膜の萎縮など身体的な変化があったりした場合、味覚低下は顕著です。老年期に多い⑤心不全や⑥甲状腺機能障害・⑦高血圧・⑧糖尿病・⑨顔面神経麻痺・⑩延髄の障害などでも起こります。
このような原因が重なり合って、味覚の低下が一段と進行します。⑪さらに水分や食事内容の不足で栄養障害を招き、血液中の亜鉛量が低下します。
さらに、⑫いろんな薬を飲んでいると味覚低下に拍車をかけます。どん薬でも味覚異常を起こす可能性は大です。この場合は、一時的(約1ヶ月)に薬を止め、正常に戻るか調べることも必要です。
便秘の件ですが、以下の項目を病院でチェックしてもらってください。
<1>水分・食物の摂り方。
<2>表面上分からない心不全や甲状腺機能障害。
<3>血液中の電解質や亜鉛の値。
<4>脳梗塞の有無。
<5>薬の一時停止で様子を見る。
その上で。亜鉛不足ならエキスも結構ですが、まずチーズ・レバー・タラコ・煮干し・カキ・ノリ・ブロッコリー・抹茶・ココア・小麦など亜鉛を多く含む食品を意識的に多くとるように心がけてください。」
■中華料理
「何を食べても味がしない」-----。2年前中国に留学中だったTさん(当時22歳)は、ある日突然、こんな症状に襲われた。味がしない症状は翌日になっても治らなかったので、、続けていた中華料理の外食生活を改め、日本食中心の切り替えたところ、数日後にようやく味覚が元に戻ったという。」2000.4.10《日本経済新聞》
■食事バランス崩れて
「味覚障害を訴える患者のうち約30%は、食事のバランスが崩れ亜鉛が不足したことが原因と見られる。また、患者の20%強は服用している薬剤の副作用とされる。このほか、糖尿病や脳梗塞などの病気が原因になる場合もある。
味を感じるのは舌の表面に約5000個ある花の蕾のような形をした味蕾という細胞。味蕾は常に新しい細胞に入れ替わっているが、体内で亜鉛が不足していると新しい味蕾が少なくなり、味覚に影響を与えることがある。
ある調査では、毎年140000人が新たな味覚障害にかかっていると言う。患者が増えている原因は、薬を服用する機会が増えたことや、加工食品や弁当で食事をすます人が増えたことなどがあげられる。
味覚に影響を与える薬剤として知られているのが、降圧剤や抗生物質、高脂血症などの薬の一部。薬剤が亜鉛と結合し、体に取り込めないようにしてしまうのが原因と言う。これらの薬のすべてが味覚障害を引き起こす訳ではないが、複数の薬を飲み合わせたときに問題が起こることが多い。あちこちの病院で複数の薬をもらっている人は注意が必要だ。
また、加工食品の一部には歯ごたえを良くしたり、変質を防いだりするため『品質改良剤』などの名目で食品添加物が使われている。この品質改良剤の影響で亜鉛の吸収が妨げられ、味覚がおかしくなる。
脳で味を感じる中枢に近い場所に出血や腫瘍がある場合も味覚障害になる。」2000.4.10《日本経済新聞》
◎亜鉛は、舌にある味を感じる細胞(味蕾)の新陳代謝に必要な元素。
   ◎亜鉛の吸収を妨げる食品添加物
     <1>フィリチン酸
     <2>ポリリン酸
◎亜鉛の吸収を阻害する薬物:
降圧剤
抗生物質
高脂血症剤の一部
【処方名-五十音順】
    四君子湯
    参蘇飲
    人参湯
    平胃散
    補中益気湯




 見えにくい
   =「見にくくなった」
人間の視神経は[紫色][緑色][黄色]が見える。
1秒間に16コマ見える(ハエは200コマ見える)
・白目があるのは人間だけ。野生の動物には白目がない。それは動きが悟られないため。人間の白目は、心を通わせるために必要だった。めくばせは白目が無いと出来ない。ヒトは視線で会話する。
   ■視神経乳頭の出血
    「21歳の男性。起床時に右目にモヤがかかったようになって見えにくくなりま した。眼科に行くと、視神経の乳頭のまわりに出血があるということで、1週     間通院してステロイド剤の治療を受けました。0.8だった右目の視力が0.4に     なり、疲れやすくなりました。視力は元に戻るでしょうか?(大阪・T)
乳頭とはどういうものでしょうか?
「網膜は受けた光を電気信号に変えて視神経に伝えます。網膜から脳に向かう視     神経の出口にあたるところが、視神経乳頭で、視覚情報を中枢神経に伝える重     要な部分です。
乳頭にはどんな病気がありますか?
    「40代までに多いのは、視神経を覆うサヤが炎症を起こして腫れる「乳頭炎」     です。炎症を起こしている部分に軽い出血を伴うこともあります。ウイルス感     染などが原因とする見方もありますが、はっきりしません。
どんな症状ですか?
    「神経が情報を伝えられなくなるため、急にものが見えなくなります。昨日まで     の視力が1.0あった人が0.1以下になるといった、急激な変化です。
前兆はありますか?
    「目の奥が痛いとか、目を動かすと痛いとか感じる人もいます。
      治療法は? 
    「入院してステロイドの点滴を受けてもらいます。3日間大量に与え、1週間休     んだ後、再び3日間大量に与え、1週間休んだ後3日間点滴する『パルス療法』     と言うやり方が主流です。ステロイドは長く使うと心臓に負担がかかったり糖     尿病などの副作用が出たりすることがあるので、短期間で切り上げます。
視力は戻りますか?
    「元の視力の8割程度に戻るのに約1ヶ月、完全に戻るのに2~3ヶ月かかりま     す。炎症がひどくて一部の視神経が死んでしまった場合は、元の視力まで戻ら     ないこともあります。
再発の可能性は?
    「1割以下ですが、再発することもあります。痛みなど異常を感じたらすぐに医     師に診てもらってください。再発の場合は、視神経だけでなく、全身の神経の     サヤで炎症が起きている恐れもあり、神経内科に診てもらう必要があるかもし     れません。
他に乳頭に関係する病気がありますか?
    「60代以上の人に多いのは『虚血性視神経症』です。周囲の血管が詰まって栄     養が運ばれなくなるため、一部の視神経が機能しなくなります。糖尿病の人で     起きやすい症状で、やはり急に視力が落ちますが、多くは乳頭炎ほど急激では     ありません。
      治療はむじかしいものですか?
    「残念ながらダメになってしまった神経を元に戻す方法はありません。」
      まだ、他にも病気がありますか?
    「乳頭のまわりの血管が炎症を起こす『乳頭血管炎』。出血を伴うこともありま     す。急にかすみがかかったように、ものがぼやけて見えます。原因は分かって     いません。(不二門尚・大阪大学教授)1999.5.2《朝日新聞》
■視覚障害
「全盲ではないが視力が衰えるなどの視覚障害をもつ人々は、その不便さをどう軽減して元気に社会生活を送っていくかについて、誰に相談を持ちかけたらいいか、分からないことが少なくなかった。だが、最近は、そうした人々のために、眼科に専門外来(ロービジョン外来)を開く病院が増えてきた。
会社勤めをしていた京都府の森田茂樹さん(52)は6年前、急激に視力が落ちた。『網膜色素変性症』だった。最初は、読めない職場の伝言メモをコピー機で拡大してしのいでいたが、さらに視力が落ちて退職した。その時は、もう読み書きは出来ないんだとあきらめた。落ち込んで家にこもる生活が3年間続いた。
ところが、障害者のための展示会で、拡大読書器に出会った。カメラで写してた本や新聞の文字をモニターに拡大して見る機械で、森田さんの生活は一変した。モニターを見ながらボールペンを動かせば書くことも出来る。
読み書きに自信を持った森田さんは、自分と同じような障害を持つ人に補助具の使い方を説明するボランティアを始めた。今では、京都大学付属病院など3つの病院に出かけて話をする。自宅にも機器の私設展示ルームをつくり、訪ねてくる人に説明する。
視力が低い・視野が狭い・戸外の光ではまぶしすぎる、など視覚の問題をもつ人は全国に約100万人と推定される。3万人程度とみられる全盲の人に比べて多い。
視覚障害を起こす病気もいろいろだ。網膜色素変性症などは根本的な治療法がまだ無い。高齢人口の増加に伴って『糖尿病性網膜症』『緑内障』『白内障』」『加齢黄斑変性症』などが増えている。手術の進歩で、従来なら失明していたケースも治療できるようになった。しかし、治療後に視覚障害が残ることも多いのが実情だ。
「医師は診断・治療で終わりと考えがち。障害が残り、問題がある場合に、それを解決するところまで踏み込む人は少なかった。患者は手術が終わり、退院したとたん、日常生活で困る。相談するところがないから、いろいろなことをあきらめた人も多い」と簗島(やなしま)謙次・国立身体障害者リハビリテーションセンター病院第三機能回復訓練部長。そこで眼科などで始められたのがロービジョン外来だ。
視覚障害といっても、症状や程度の違いで、抱えている問題は様々だ。例えば、網膜周辺部の異常で視野が狭くなると、周囲が見えにくくなり、歩行困難を感じることが多い。逆に中心部が障害を受けると顔の見分けや字を読むのが難しくなるが、歩くのには困らないことが多い。
ロービジョン外来の中心はリハビリテーションや問題解決の相談だ。「孫の写真がハッキリ見たい」「歩くのが怖い」「仕事をしたい」などから始まる。その解決のために、多種の補助具の中から合うものの選択、歩行の訓練、福祉施設の窓口紹介などが主な内容になっている。
「医師・看護婦・視能訓練士・ソーシャルワーカーなどがチームでじっくり時間をかけて話を聞き、解決策を探る」と簗島部長。
ロービジョンの人が持っている視力を積極的に生かす道を探る。同センターのソーシャルワーカーを務める久保明夫さんによると、会社に拡大読書器を導入してもらって、細かい図面を見る仕事を続けた人、同様な障害を持つ人の集まりに出たことで前向きになり、教師を続ける人などもいるという。
全国的にはロービジョンの相談が出来る眼科は50カ所以上と言う。「補助具を丁寧に選ぶだけでも患者の生活の質が大きく違う。患者主体の医療をするべきだという流れもある」と、来年、ロービジョン学会を設立する準備を進めている田淵昭雄・川崎医科大学教授(眼科)は話している。」1999.11.14《朝日新聞》
■出血
「60代女性。1影グリア名に、左目がぼやけて見えにくいのに気づきました・眼科では、目の中心近くで出血しており、『網膜分枝静脈閉塞症』との診断でした。内服薬をシヨウしていますが、徐々に進行して、見えなくなるのではないかと心配です。治療には時間がかかるそうですが、手術は可能でしょうか?」
網膜分枝静脈閉塞症とは、網膜の静脈が塞がって起こります。動脈硬化が基礎疾患にあって起こることが多いようです。
塞がった部位より周辺部の網膜に出血が起こります。小さな静脈が塞がった場合や視力に影響しない周辺部で起これば気づきません。
しかし、中心部近くや大きな静脈が塞がって、広い範囲に出血した場合、視力に障害が出ます。手術で出血を取り除くことは出来ません。
治療には、止血剤を内服して自然吸収を待ちます。吸収するのに時間がかかり、数ヶ月~1年ぐらいかかることがあります。中心部に出血した場合、たとえ吸収してもある程度の視力障害は残ります。しかし、失明に至ることはありません。
出血が吸収されても、その部位の網膜は血の循環が悪くなります。これを虚血といいます。その虚血部位の周囲から循環を補うために新しい血管が生まれ、この新生血管が新たな出血や緑内障を引き起こします。新生血管を予防するためには、虚血部位の網膜にレーザー凝固を行い、ある程度、網膜を焼きつぶして循環不足を相対的に減少させます。
でも、網膜レーザー凝固は出血を吸収させる治療ではありません。結局は止血剤の内服で、あせらず吸収を待つしかありません。」
   ■円錐角膜
乱視がどんどん悪くなっていくようだと、『円錐角膜』を疑ってみよう。円錐角膜というのは、角膜(黒目の部分)の中心付近が薄くなるために内部からの圧力で押し出され、出っ張ってしまう。
原因はよく分かっていない。男性に多い。
両目に症状が出るが左右で差があることが多い。10~20代で発症し、大半は30歳頃までに進行が止まる。悪化すると角膜の奥にある膜が破れて角膜内に水が流れ込み、白濁してしまうこともある。ただ、数週間~数ヶ月で元に戻り、失明してしまうことは少ない。
原因不明のため、根治させる方法は見つかっていない。079/30日経
■眼底検査
「眼底にある1つ1つの細胞を詳しく観察する技術は、生活習慣病やその合併症の早期診断に役立つ。レーザー光を目に当てて網膜表面の様子などを調べる走査レーザー検眼装置(SLO)の開発に取り組むニデック(愛知県)は試作器を作り京大病院でテスト。
SLOは眼底イメージング装置の光コヒーレント断層画像化装置(OCT)と同様、ドイツのメーカーが高シェアを占めている。
ニデックは2007年10月に、自社製品を発売した。
眼科病院で一般的に普及しているのは眼底カメラ。分解能は約20マイクロ㍍で細胞詳細にには見えない。光を眼球内に入れるため瞳孔の大きさを約4㍉㍍以上広げることが必要になる。これに対し、SLO瞳孔が2.5㍉㍍でもレーザー光を入れることができる。
高齢になると瞳孔が開きにくくなり、薬剤による散瞳処置が必要になる。瞳孔が元に戻るまで数時間かかるので、その間、車の運転ができなくなる。
SLOなら散瞳が不要になり、患者に余計な負担を与えない。深さ方向を詳しく計測できるOCTに比べ、SLOは平面像での分解能が高く、光の波長も自在に変えられる。となった波長帯の光を使って調べれば、眼底の細胞や血管などに溜まった物質を計測することもできる
産総研の白井智宏・光画像計測グループ長は、血液中の酸素飽和度をSLOを使って調べる研究。肥満や高脂血などの生活習慣病で血管が詰まれば、体外から取り込んだ酸素も末端まで届きにくくなると仮定。青緑色~黄色までの光なら計測できることが分かってきた。」



 水イボ
   ■1~2年で抗体、治療不要に
    「1歳2ヶ月の男児。半年ほど前から背中に水イボが出来ました。最初は数個だ     ったのに、1ヶ月ほどで50個近くに増えました。ピンセットで1つずつつぶ     す治療を皮膚科で受けていますが。子供は痛がって泣きます。又、取ってもす     ぐに出てきます。どうすればいいにでしょうか?
●水イボとはどんなものですか?
    「脇の下や、ももの付け根、首などに出来る細かいイボで、少し光って見える特     長があります。正式には『伝染性軟属腫』といいます。ウイルス感染が原因で、     できるのはほとんどの場合、小さな子供です。」
●数が増えてくるのですか?
    「水イボは出来始めの頃は直径1mm前後と小さく、気づかないことも多いので     すが、3ヶ月ほどすると直径3~4mmほどになり、周囲が炎症で赤くなって     きます。時間が経つにつれて数が増え、このお子さんのように1ヶ月ほどで5     0~100個くらいに増えることがあります。」
●増えるとどんな感じになるのですか?
    「少しカユミがあります。やがて、水イボの周りに湿疹が出来ますが、それがさ     らにカユミを増します。子供が掻くことでイボを壊し、中のウイルスが散らば     って周囲に移っていきます。」
●どんな原因で感染するのでしょうか?  
    「伝染性軟属腫ウイルスは接触によって移るとされています。プールで感染する     とも言われますが、水にウイルスがいるのではなく、裸の体で接触するからだ     とされています。保育園での集団生活も、感染のキッカケになるかも知れませ     ん。
●感染を防ぐ方法はありますか?  
    「感染のメカニズムは詳しく分かっていないのですが、このウイルスは肌に触れ     てから1ヶ月ほど潜伏するため、発見するのが難しいのです。ただ、感染を過     剰に恐れる必要はありません。
水イボがきっかけで重い病気にかかることはありませんし、何もせずに放っ     ておおいても、やがて体に抗体ができ、1~2年で治ってしまいます。症状に     気づかないまま、別の子に移している可能性もあるのですから、感染源を気に     しても意味はありません。
●治療はピンセットでつぶすしかないのでしょうか?
    「医師の中には「何もしなくてもいい」という意見もありますが、早めに取って     しまった方が症状の広がりを防ぐ効果はあります。数個なら。一度で済む可能     性もあります。まだ効果的塗り薬はありません。」1999.3.14《朝日新聞》


 
 水疱瘡(みずぼうそう)
⇒水痘。
     <1>発熱と同時に発疹が出現。
     <2>紅斑→丘疹→水疱→痂皮のすべての段階で、新旧の発疹が混在する。
  【色彩療法】
    <1>緑色
    <2>青色
    <3>藍色


 水虫 athlete's foot
 ⇒白癬菌の一種が寄生して起きる皮膚病。
   ◎[白癬]=表在性の皮膚真菌症。
     <1>頭部白癬=境界明瞭。毛が折れやすく、抜けやすい。
        1.[脂漏]:境界不明確、毛髪正常。
        2.[乾癬]:銀白色の厚い鱗屑、毛髪正常。
        3.[しらくも]:脂漏or頭部単純性粃糠疹。
     <2>体部白癬=俗称「ぜにたむし」=斑状小水疱白癬。
        1.[ジベルばら色粃糠疹]:紅斑and鱗屑縁・対側性に多発
        2.[乾癬]:中心治癒傾向なし
        3.[環状丘疹性梅毒]:かゆみなし
        4.[貨幣状湿疹]:四肢に好発
     <3>股部白癬=頑癬(輪郭性湿疹様白癬)=俗称「いんきんたむし」
      =陰股部・臀部・体幹・顔面に。
        1.[慢性湿疹]:湿潤苔癬化
        2.[ヘイリー・ヘイリー病]:家族内発生
        3.[皮膚疣状結核]:かゆみなし
        4.[紅色陰癬]:辺縁隆起なし
     <4>陰嚢白癬tinea scroti:陰嚢は通常、白癬菌に侵されることは少ないが、ま                れにある。
     <5>足白癬=[小水疱鱗屑型][趾間型][角化型]
     <6>手白癬tinea manus
     <7>爪白癬tinea unguium
   ◎弱酸性or微酸性のせっけんを使いましょう。
  【芳香療法】
    <1>ラベンダー没薬
    <2>ティートリ
    <3>マリーゴールド:ひび割れしているとき
【民間療法】
    ○あせび・クララ・サンショウ・スギ・ドクダミ・松ヤニ・・ムクゲ。
  【処方名-五十音順】
     越婢加朮湯
 加味逍遥散
    三物黄湯
    十味敗毒湯
    消風散(痒み激しい)
    当帰四逆加呉茱萸生姜湯
    防風通聖散
    麻杏甘湯(乾燥性)
    苡附子敗醤散
    苓桂朮甘湯(めまい、眼精疲労)
  
■治りにくいワケ
「水虫菌ほど長年人類を悩ませているカビはない。何故治りにくいのか?
動物が死ぬと、死体は他の生物によってすぐに食べられる。ただ、皮膚の最も外側にあって体を保護する角質層や、髪の毛、爪などは食べ残される。自然は良くできたもので、土の中にはこうした物質を好む「角質分解菌」が300種類以上いて、せっせと食べて分解している。その中のある種の菌は死体ではなく、生きている動物にも取り憑いて角質を食べ始めた。
この新天地の開拓に成功したのが水虫菌で、正式には白癬菌、または皮膚糸状菌と呼ばれる。カユイ病気として知られるインキン・タムシ・シラムモは、いずれも白癬菌の仕業。
インキンは内股の付け根、タムシは顔や胴・手足に、シラクモは頭髪に感染したものだ。
皮膚の中では常に新しい細胞が生まれ、それが皮膚表面の方へ次第に押し上げられていく。硬いタンパク質からなる角質層を作り、アカとなる。
水虫菌はエサとなる角質層にのみ侵入し、その下に生きている細胞層には入り込めない。角質層には生きた細胞がいないので、異物や侵入者を攻撃する免疫機構も働かない。水虫菌は菌糸を伸ばし活発に角質を食べて繁殖する。しかし、菌糸が広がるにつれ、菌が持つ酵素や老廃物が角質層の下の生きた細胞を刺激する。すると体の免疫が活発に働き始めて、はびこえる菌糸を攻撃する。炎症反応が起きてかゆくなり、小さな水疱・ただれなどおなじみの水虫の症状が起きる。
菌は殺されるが、生き残るために逃げを打つ。菌糸は細切れになり、それぞれが丸く膨らんで数珠玉のようになる。その正体は休眠状態に入った水虫菌の細胞だ。菌糸の状態よりも生体側の攻撃に強く、数が多いので生き残る細胞も出てくる。
休眠中の菌はジットして死んだように見えるので、生体側は攻撃の手を緩め炎症も鎮まる。すると、菌は休眠から目覚めて芽を出し、再び菌糸を張り巡らせる。
現在では良い薬が多数あり、きちんとぬれば菌はいなくなる。ただ、タタミやジュウタン。風呂場の足ふきマットなどには、水虫菌の休眠細胞や近視の断片が、アカを一緒に多数落ちている。再感染は簡単に起きる。(宮治誠・千葉大学教授)2002.7.28《日本経済新聞》
■投薬は最低半年
「都内に住むTさん(46)は毎年、夏が近づくと足の裏がかゆくなる。7月半ばのある日、帰宅すると短大に通う娘が青白い顔をして駆け寄ってきて“お父さんのせいでハイヒールをはけなくなってしまったじゃない”と泣き叫んだ。娘の足を見ると裏や側面が白くふやけ、指の間の皮が剥けている。典型的な水虫の症状だ。
水虫の原因は白癬菌というカビの一種だ。これが足の角質層に入り込むと発症する。水虫の人が部屋を裸足で歩くと、床に菌が付着し他の人に移すこともある。だが、家族の誰かが水虫にかかっているからと避ける必要はない。白癬菌が足に付着してもすぐに発病するわけではないからだ。
足の角質層に菌が入り込むには通常1~2日かかる。普通に入浴して足を清潔にしていれば菌が付着しても水虫にはならない。それでも気になる人は足や指の間を弱酸性の石けんで洗っていれば確実に予防できる。旅館やホテル・サウナで備え付けのスリッパなどをはいた時も同じだ。



 耳あか
■遺伝子で
「遺伝子のわずかな違いで、人間の耳あかが乾燥タイプか湿るタイプかという体質が決まるということを、長崎大学の吉浦孝一郎助教授や科学技術振興機構などの研究チームが発見。成果は2006年1/29のネイチャー・ジェネチクスに掲載。
研究チームは126人の日本人を対象に、耳あかの体質と遺伝子の違いを調べた。その結果、16番染色体にある遺伝子「ABCC11」の3ヶ所にある塩基という物質で体質が見舞っていた。塩基が「グアニン」だとアカが湿り、「アデニン」だと乾燥する体質になることが分かった。
日本人の70~80%は耳あかが乾燥している。アジアでは一般に乾燥している。欧州やアフリカでは乾燥タイプは少ない。
この遺伝子は、薬に対する反応に関連する。




 耳の病気(耳病)
  【処方名-五十音順】
    安神復元湯《寿世保元》
    散《医学入門》
    桂香散《医学入門》
    荊芥連翹湯《万病回春》
    犀角飲子《医学入門》
    滋陰地黄湯《万病回春》
    滋腎通耳湯《万病回春》
    地黄湯《普済本事方》
    小柴胡湯四物湯山梔子・茯神・陳皮《薛立斎十六種》
    鼠粘子湯《医学入門》
    通明利気湯《万病回春》
    防風通聖散《万病回春》
    蔓荊子散《仁斎直指方》
    射干散《寿世保元》
    竜胆湯《万病回春》


 耳が痛い
  【色彩療法】
    <1>青緑色
    <2>オレンジ色
    <3>すみれ色
  【処方名-五十音順】
    荊芥連翹湯[1](両耳の腫痛)
    紅綿散(膿耳の膿汁を去る)
    犀角飲子(風熱による、耳聾・腫痛・膿水を治す)
    小建中湯
    吹耳散(腎経風熱による耳の膿汁)
    鼠粘子湯(耳の中が腫れて桜桃のようになり、疼痛激しい)
    抵聖散(耳の中に膿が出来、治りにくい者)
    東垣鼠粘子湯(耳の中が痛み、瘡が出来る)
    白竜散(耳の中が急に痛む)
    明礬散(内経に熱があり膿汁が溜まる者)
    竜胆瀉肝湯



 耳がかゆい
  【処方名-五十音順】
    玄参貝母湯(耳に熱があって汁が出、かゆい者)



 耳が聞こえない (→聾ロウカイ=つんぼ)
   ⇒耳が遠い。=「耳聾」。「耳がつまる」と表現する。
     (参照→耳管開放症)
  【漢方療法】
    耳聾はみな熱に属する。
    <1>左の耳聾=足少陽の火に因る症で、よく怒る人に多い:
           [竜薈丸][竜胆湯]
    <2>右の耳聾=足太陽の火に因る症で、色欲に溺れる人に多い:
           [六味丸][滋陰地黄湯]
    <3>左右ともに聞こえない:醇酒美食家に多い:
           [通聖散][滾痰丸][酒製通聖散][清聴化痰丸]
  【処方名-五十音順】
    一物瓜蒂湯
益腎散(精気のない耳聾)
    黄竜散(風呂に入って水が耳に入って、膿が出る者)
    甘遂散[3](耳聾を治す)
    九味活湯
    銀翹散
    杞菊地黄丸
    薑蝎散(腎虚による耳聾)
桂香散(風虚耳聾を治す)
    五苓散陳皮・枳殻・紫蘇・生姜(湿の耳聾)
滋陰地黄湯(色欲におぼれ右耳聾・大病後の耳聾)
    地黄湯(腎経熱で右耳が聞こえず、いつも心中安らかでなく、耳鳴りが        して疼痛する者。)
    焼腎散(腎虚耳聾)
    四物湯知母(塩酒炒)・黄柏(塩酒炒)・菖蒲・遠志(長引く下痢or大                       病後の風邪で耳鳴り・耳聾)
磁石羊腎丸(諸般の耳聾)    
    消風散
    腎気丸磁石・破故紙・菟絲子・黄柏(虚証の耳聾)
    清神散(風気が耳を塞いで、二重に聞こえる者)
    清聡化痰丸(肝胃に弱さからくる耳聾)
    聡耳湯(耳が良く聞こえず、又は二重に聞こえる者)
    塞耳丹(気が塞ぎ、つんぼの者)
    通神散[3](耳聾を治す)
透耳筒(腎気が弱く耳鳴りする)
    透鉄関法(耳聾を治す)
    人参黄蓍湯知母(塩水炒)・黄柏(塩水炒)(精気がない耳聾)
    蒲黄膏(耳が突然聞こえない)
補骨脂丸(精気のない耳聾)
    補中益気湯
    竜胆瀉肝湯
    竜胆湯(忿怒が胆火をおこし耳聾になる者)
    竜脳膏[3](耳が突然聞こえない)
    凉膈散大黄(酒炒)倍量(雨水が耳に入り腫痛)
    六味丸遠志・菖蒲・黄柏(塩水炒)・知母(塩水炒)(腎虚の耳聾)


 耳が腫れる
  【処方名-五十音順】
    荊芥連翹湯(両耳の腫痛)
    犀角飲子(風熱、耳聾、腫痛、膿水)
    柴胡聡耳湯(耳・耳中乾結・耳鳴り)
    鼠粘子湯(耳の中が腫れて桜桃のようになり、激痛)
    竜胆瀉肝湯(湿熱、目が赤い、)



 耳だれ
   ⇒膿が出て、耳をふさぐ=「耳」
    散らばらずに膿汁が出てくる=「膿耳」。膿を出さないとつんぼになる。
【民間療法】
     <1>カノコソウ・キク・サンシュユ・サンショウ・シカ・ミミズ。
  【処方名-五十音順】
    黄蓍桂枝五物湯
    黄蓍建中湯
    荊芥連翹湯
    桂姜棗草黄辛附湯
    桂枝加黄蓍湯
    桂枝加附子湯
    紅綿散(膿耳)
    柴胡聡耳湯(耳・耳中乾結・耳鳴り)
    吹耳散(腎経風熱による)
    当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
    抵聖散(耳の中に膿が出来る)
    蔓荊子散(腎経に風熱があって、耳の中が熱く痛く膿汁が出る)
    明礬散(膿汁が溜まる)
    苓桂朮甘湯(めまい、胃内停水、動悸、小便不利)

 耳鳴り
   ◎耳鳴り(耳なり)が起きる原因:
     神経性耳鳴:迷路性および後迷路性耳鳴のうち原因不明のもの。
     中耳炎及び耳管中耳カタル
     頭部外傷
     メニエール氏病
     脳動脈硬化症
     脳出血
     脳軟化症
     脳腫瘍
     髄膜炎
     貧血
     心臓病
     腎臓病
     更年期障害
     ヒステリー及び逆上
  【色彩療法】
    <1>レモン色
    <2>黄色
    <3>オレンジ色
    <4>赤色
【鍼灸】
○「翳風」「耳門」「聴会」「聴宮」
○軽く刺激する
  【漢方療法】   
    <1>風邪で気が互いに衝突し、その声が々とする:[正散]
    <2>腎気が不足し、脈が弱くて風が耳に入る:
      1)[五苓散枳殻・橘皮・紫蘇・生姜]を同時に煎じて青木香元を飲み下し、
2)次に帰を飲む。
    <3>風熱と酒熱でいつも耳が鳴る:
       [通聖散枳殻・柴胡・南星・桔梗・青皮・荊芥(酒炒)]
    <4>痰火が上がって両耳が鳴り、だんだんつんぼになろうとする:
       [加減竜薈丸][鍼砂酒][通明利気湯][復聡湯]
    <5>腎精不足で:
       [六味丸全蝎49枚(炒黄)]作末して、毎回2銭を温酒で調合して100丸       飲む。
   ◎主薬:耳鳴には、当帰・竜薈を主薬とすべし《万病回春》
  【処方名-五十音順】
    黄蓍丸(耳鳴り。寝ると鐘の音が聞こえる者)
    加減竜薈丸(痰火による耳鳴り)
    帰飲(風邪で耳鳴り)
    帰調血飲
    散(風邪で耳鳴りする者)
    桂枝加竜骨牡蠣湯
    桂枝茯苓丸
    香蘇散
五苓散枳殻・橘皮・紫蘇葉・生姜で「青木香元」を飲み・・・
             次に帰を飲む。(腎気不足・脈弱)
    柴胡加竜骨牡蛎湯
神経衰弱、神経質、ヒステリーなどに現れた耳鳴で、精神不安定、心悸亢進、不眠、眩暈を伴い、腹部に動悸を認め胸脇苦満の証のあるもの(漢方診療医典)
    柴胡聡耳湯(耳、耳中乾結と耳鳴り)
    柴胡桂枝乾姜湯
本方は柴胡加竜骨牡蛎湯の適応者より虚証の者に(漢方診療医典)
炙甘草湯
バセドウ病に発する耳鳴に用いることがある。心臓疾患で動悸、結滞のあるものに(漢方診療医典)
    三黄瀉心湯
      動脈硬化にはよく現れる耳鳴で、上衝、眩暈を併発し、顔面協調、気分落ち      着きなく、神経興奮しがちなものに用いる。脈は力があり陽実証である(漢      方診療医典)
    三物黄湯
    地黄湯
    滋腎通耳湯
腎虚(老人性のもの、多房のもの)によって耳鳴と難聴を起こしたもんに(漢方診療医典)
    磁朱丸
 七物降下湯
十全大補湯
虚証で甚だしい貧血よりくる耳鳴に、それhそ虚していないときは連珠飲(漢方診療医典)
    小建中湯
    小柴胡湯香蘇散
慢性中耳炎に併発した耳鳴、また感冒が治った後に耳管炎を起こして、耳が塞がった者(漢方診療医典)
    耳鳴丸
    蘇子降気湯
    大柴胡湯
口瘡の体格で、腹力があり、胸脇苦満があって便秘がち、脳出血などの後に起こった耳鳴によいことあある(漢方診療医典)
    大補陰丸
    大補丸
    釣藤散
 猪苓湯
本方は頭痛、眩暈、肩こり、肩背拘急、のぼせ感などを目標に(漢方診療医典)
    鎮肝熄風湯
    通導散
通明利気湯
    天麻釣藤飲
    桃核承気湯
    当帰芍薬散
血の道といわれる不仁に発する耳鳴には本方のよいのがある。貧血して手足が冷え、小便不利でやや虚証の者(漢方診療医典)
    当帰芍薬加附子湯
独勝丸(一名大補丸)
    女神散
    八味地黄丸
老人性耳鳴や難聴には本方がよい。また慢性腎炎があって臍下が虚弱で、冷えやすく、倦怠感があり腰痛、口渇などを訴え小便不利、または自利するものによい(漢方診療医典)
    半夏厚朴湯
    半夏白朮天麻湯
復聡湯
茯苓飲
胃下垂や胃アトニーなど胃の照応があり、胃内停止のために起こる耳鳴に用いる。虚証で貧血気味、脈も力もなく心下部の膨満停滞感がある。(漢方診療医典)
    防風通聖散(セミが鳴く・風熱・実証)
      本方も高血圧、動脈硬化症、肥満体質から発する耳鳴で、脈腹ともに充実し      食毒、水毒が多く、便秘がちで頭痛、頭重、肩こりなどを訴える(漢方診療      医典)
    補腎丸[3]
    竜胆瀉肝湯
苓桂五味甘草湯
    苓桂朮甘湯
水毒上衝による耳鳴で、多くの起立時眩暈を伴い、脈は沈緊を呈することが多い。心下部に振水音を認め、神経衰弱、神経質、ヒステリーなど神経興奮の兆しがある(漢方診療医典)
苓桂味甘湯
慢性の中耳炎であった後、稀薄な浸出液が出て難聴と耳鳴りを兼ね、脈は沈んで微弱、足が冷えて顔面紅潮し、のぼせ気味で頭にものがかぶさったように重く、小便の少ないという者によい(漢方診療医典)
    六味丸
【西洋医学】
<1>精神安定剤:
1.Cercine 6mg 分3。
2.Rize 15mg 分3。
<2>循環改善薬:
1.Hexanicit 600~1200mg 分3。
or Juvela nicotinate 300~600mg 分3。
or Ronicol timespan 150~300mg 分2。
or Cholexamin 600mg 分3。
2.Capilan 600mg 分3。
or Aplactan 75mg 分3。
3.Brendil 3T 分3。
4.Kallikrein 3T 分3。
or Carnaculin 3T 分3食前。
<3>抗ケイレン剤:
1.Depakene 600~1200mg 分3。
2.Tegretol 0.2~0.4g 分2。
<4>抗ウツ剤:
Noritren 75mg 分3。




 脈が結代(けったい)
   =脈結代
   ⇒1.脈は血気の先である。「血気の前に脈がある」《河間》。
    2.人間の一呼の脈が三寸を運行し、一吸の脈は又三寸を運行し、呼吸が息を定      め、脈が六寸を運行する。普通一日一夜に13500回呼吸し、脈は30度を運      行して全身を回るが、漏水(漏=水時計)が百刻をおりる間に、栄衛は陽に25      度運行し、陰に又25度を運行するのが一周となるので、陰陽50度を回った      後、再び手太陰に集まる。これが即ち寸口というものである。
       五味が口に入って胃に伝わって五臓の気を養う。気口はまた太陰で五臓・      六腑の気味が皆胃から出て、気口に現れるもので、気口は一名寸口ともいう。      だから寸口をみて生死吉凶を決める。
  【処方名-五十音順】
    炙甘草湯
    人参黄蓍湯


 脈が弱い
  【処方名-五十音順】
    茯神湯(六脈の虚軟、咳嗽にとる心臓の病み、咽喉の詰まり)
    補気湯(気虚による脈の浮軟、)


 脈が感じられない
→「大動脈炎症候群」


【病状む】
 ムコ多糖症
=代謝異常による難病。(→脂質蓄積症)
   ⇒骨や皮膚に多く含まれる「ムコ多糖」という成分を分解する酵素が遺伝子の突然    変異で欠如、機能低下して発症する。骨格の変化で首が短くなる、関節が固くな    る、角膜の混濁、難聴といった症状が出る。折居忠夫・中部学院大教授らの研究    で、原因を解明した。
約1000人の患者がいるとみられるが、病気の判別方法があまり知られておら    ず、適切な治療を受ける機会が少ないという問題があった。
◎ムコ多糖症の種類:
│ 病名 │ 症状 │ 遺伝 │
│Ⅰ型:Hurler病 │特有の顔貌、小人症、亀背、│常染色体性劣性 │
│  (ガーゴイリズム)│骨格変形、難聴、肝脾腫、│ │
│ │へルニア、精神薄弱、角膜│ │
│ │混濁 │ │
│Ⅱ型:Hunter病 │難聴あるも角膜混濁なし。│性染色体性劣性 │
│Ⅲ型:Sanfilippo病 │骨変形、精神薄弱、 │常染色体性劣性 │
│ │難聴あるも角膜混濁なし。│ │
│Ⅳ型:Morquio病 │骨変形、難聴、角膜混濁、│常染色体性劣性 │
│ │肝脾腫、知能正常。 │ │
│Ⅴ型:Ulrich-Scheie病│骨変形、角膜混濁、難聴、│常染色体性劣性 │
│ │短躯、鳩胸、肝脾腫、 │ │
│ │知能正常。 │ │
│Ⅵ型:Mortaux-Lang病│骨変形、角膜混濁、難聴。│常染色体性劣性 │
│pseudo-polydystrophy│骨変形、角膜混濁、 精神薄│ │
│ │弱 │ │
│pseudo-Hurler病 │異常顔貌、骨変形、 精神薄│ │
│ │弱、肝脾腫、角膜混濁、ケ│ │
│ │イレン、ミオクローヌス。│ │

※「MPS親の会」事務局村田さん(0849-43-6898)  1997.8.22《朝日新聞》


 むかつき
   ■思い当たる原因がなければ---
    「2ヶ月前に50歳のサラリーマンMさんが“最近空腹時にむかつくようになっ     た”と言って外来を訪れた。他に目立った症状はなかったが、胃を内視鏡で検     査したところ、早期の胃ガンが見つかった。胃の切除手術を行い、現在では勤     務に復帰している。
むかつきは決して珍しいことではない。誰もが一度は経験する不快な感覚で     ある。アルコールを飲み過ぎた翌朝にみられることもあれば、妊娠に伴うつわ     りや乗り物酔いでも起きる。食道や胃・十二指腸などに何からの病変がある場     合や食中毒、急性肝炎や膵炎でも見られる。まれに、虫垂炎の初期やメニエー     ル病のような耳鼻科領域の疾患や脳の病気でも起こりうる。
もともとむかつきは、脳にある吐中枢という部位が腹部の臓器や内耳から     の刺激を受けて発生する。また脳腫瘍などでも吐中枢に直接刺激が加わる場     合もある。吐の際、顔色が悪く、冷や汗や低血圧などの症状を伴うのは、     吐中枢と近い距離にある自律神経中枢が同時に刺激されるからである。
吐という現象は、胃の出口が閉まり、胃の入り口が緩み、腹筋が急に膨張     したときに起こり、胃の内容物が食道へ逆流し、吐き出されることになる。
そこで、むかつきには何か思い当たる誘因があるのか、食事との関係、他の     症状があるのかなどが診断のポイントとなる。[胃や十二指腸の炎症]、[潰瘍]     や[早期がん]では、その初期症状としてむかつきがしばしば現れるので重要な     徴候の1つである。[虫垂炎の場合]、まずむかつきが生じ、次いで右下腹部痛     が現れる。[メニエール病では]むかつきの他にめまい、[脳の病気では]頭痛な     ど特徴的な症状が現れる。
明らかな誘因がなく、むかつきを自覚したときには消化器外科に相談する     のがよい。(木下博明・大阪市立大学医学部教授)1997.9.22《日本経済新聞》



 むくみ
=「むくむ」こと。(参照→「浮腫」)
   ⇒血管外の細胞外液(細胞間液)が組織間隙に異常に貯留した状態。
      <1>心臓性浮腫、
      <2>腎性浮腫、
      <3>肝性浮腫、
      <4>栄養性浮腫、
      <5>内分泌性浮腫、
      <6>アレルギー性浮腫、
      <7>リンパ性浮腫、
      <8>突発性浮腫がある。
         (金芳堂ー内科診断学)
 
   ◎「クインケ(血管神経性)浮腫」
     =血管運動神経の局部的興奮により毛細管の透過性亢進し組織間に漏れる。(南      山堂ー医学大辞典)
【民間療法】
    <1>アサガオ。
    <2>アズキ。
    <3>イボタノキ。
    <4>キササゲ。
    <5>コイ。
    <6>タニシ。
    <7>トウゴマ。
    <8>トウモロコシ。
    <9>ナデシコ。
    <10>ニワトリ。
    <11>ノイバラ。
    <12>バショウ。
    <13>ヒガンバナ。
    <14>ヤマゴボウ。
    <15>アオギリ・アオツヅラフジ・アカネ・アケビ・アマガエル・イタドリ・イチ      ヤクソウ・イノコズチ・ウキグサ・ウコギ・ウシバサイシン・ウツボグサ・      ウナギ・オオツヅラフジ・オオバコ・オケラ・オトギリソウ・オミナエシ・      カラスウリ・キカラスウリ・キュウリ・キリ・クマツヅラ・クロマメ・ゴボ      ウ・スイカ・スイセン・スギ・スギナ・ゼンマイ・ダイコン・ダイコンソウ      ・タバコ・タラノキ・タンポポ・チャ・ツユクサ・トウガラシ・トウキ・ト      ロロアオイ・ナギナタコウジュ・ナスビ・ナズナ・ナメクジ・ネギ・ネムノ      キ・ハス・ハトムギ・ハンゲショウ・ヒオウギ・ヒヨドリジョウゴ・ビワ・      ヘチマ・ボケ・ボタン・ミカン・ムクゲ・ムベ・メドハギ・メハジキ・モッ      コク・ヤツデ。
    <16>アズキコイフナハブソウゲンノショウコ。
  【宝石療法】
    <1>[ダイヤモンド]



 むずむず脚症候群
■眠れない
“足を切ってくれ!”大阪府に住むR(71)さんが夜中m突然起きて叫びだしたのには、奥さんはビックリした。11年前のことだ。
不快な感覚が足を襲うのだろう、起き上がったRさんはウロウロし始める。足を動かしていないと落ち着かない様子である。2階で寝ていたのだが、睡眠薬を服用しているせいか足元がおぼつかない。“階段から落ちたら・・”と妻はRさんの後について歩き回った。
“こんちくしょう!”など普段は使わない言葉を口にしたり、“何とかしてくれ”と壁に頭をぶつけたり。“人が変わったよう”と妻の不安はつのった。原因が分からないことも不安を大きくした理由の1つだ。毎晩のように繰り返され“どうなるんだろう”と思ったという。
Rさんはいくつもの医療機関を訪ねた。しかぢ原因は分からない。ある整形外科では「腰椎がおかしいせいだ」と、レーザーによる椎間板ヘルニア治療の手術も受けた。
最後に訪ねた大阪医科大学の精神神経科の黒田健治医師(当時:現在は阪南病院院長)に症状を話したところ、“ああ、それはむずむず足症候群ですね”と断定された。そんな病気があったの、というのが正直な気持ちだった。
ムズムズ脚症候群は脳の鉄欠乏状態が進み、神経伝達物質のドーパミン分泌が異常になって起きると考えられている。
ひざやふくらはぎなどにムズムズ感、痛みを覚え、ジッとしていられない深いな感覚に襲われる。異口同音に睡眠不足を訴える。寝床に入ったときによく起こり、8~9割の人に足がピクつく周期性四肢運動がみられる。ひどいときには寝ているときにパートナーを足げにすることもあるという。
欧米ではレストレス・レッグス(落ち着かない脚)症候群(RLS)と呼ばれる。日本では人工の2~5%の人がこの病気に悩んでいるとされる。高齢者に多く見られる。
足裏のマッサージ
寝る前の軽い運動
ぬるま湯浴
鉄分の多い食事
などの症状緩和策のほかに、抗てんかん薬やパーキンソン病薬などが有効。
2009/6/25




 無顆粒球症agranulocytosis
    (参照→白血球が減少)
=主に薬剤によって起こる強い顆粒球減少症。
   ⇒血液中の顆粒球(好中球)が著減(500以下)もしくは消失し、高熱と口腔・咽頭    の壊死性潰瘍を主要症状とする疾患。
   ◎症状:
      発熱:高熱
      頚部リンパ節腫張
      扁桃炎
      壊死性咽頭炎
◎原因:
      薬物の副作用:
         抗甲状腺剤(メルカゾール)
         鎮痛解熱剤(アミノピリン)
         抗生物質(クロロマイセチン)
         サルファ剤
         抗結核剤
         抗テンカン剤(フェニトイン)
         制ガン剤
      放射線


無汗
◎意味:汗が無いこと。汗があるべきはずなのに汗の無いこと。
◎無汗になる場合
<1>真夏の暑いときや、入浴中あるいは飲食をしても汗が出ないのは、多くの場合、暑湿により皮膚表面が緊張しているためなのです。
<2>カゼなどの外感病で発熱無汗のときは、風寒により皮膚表面が緊張しているためなのです。
<3>衰弱しているときにも、無汗になります。
  【処方名-五十音順】
    加減湯
    葛根湯(悪寒、項背項強)
 葛根湯加川辛夷(鼻づまり、首の後がこわばる、濃い鼻汁、頭重)
    杏蘇散
    荊防敗毒散
    香飲
    葱湯
    升麻葛根湯
    参蘇飲(頭痛発熱、無汗、食欲不振、悪心嘔吐、胃部膨満感、脈沈数)
    大青竜湯
 猪苓湯
    猪苓湯合四物湯
 防風通聖散
    麻黄湯(体痛、悪寒)


 無気肺 atelectasis
(atel-=不十分)(ectasisi=拡張)
=肺の膨らみが不十分か、気道の閉塞、肺の圧縮、肺のサーファクタントの不足で起きる。


 無気力
   acratia
  【処方名-五十音順】
 温経湯
 加味逍遥散
 帰脾湯
    桂枝加竜骨牡蠣湯
 呉茱萸湯
    四君子湯
    四物湯
    清暑益気湯
    当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
    補中益気湯
    麻黄細辛附子湯(悪寒が強く、のどが痛い、脈沈)
    苓甘姜味辛夏仁湯(痰飲浮腫、顔色悪い、くしゃみ、せき、)


 無菌性髄膜炎
■カゼに似た症状
「激しい頭痛や吐き気などの症状が出る『無菌性髄膜炎』の流行が続いている。軽い夏風邪かと思っていると、重い症状になることもある。従来とは違ったタイプのウイルスが原因で、子供だけでなく免疫を持っていない大人も罹る恐れがある。専門家は「手洗いを励行すべき」と呼びかけている。
無菌性髄膜炎は腸管の中で増えて糞便に排出されるウイルスが原因だ。例年、夏から秋にかけて10歳未満の子供を中心に流行するが、今年流行しているタイプは国内で今までほとんど流行しなかったウイルス。
ウイルスが脳や脊髄などの中枢神経を覆っている髄膜に達して炎症を起こし、40摂氏近い熱が出たり、吐き気や頭痛などの症状が現れる。
厚生労働省がまとめた患者数では、今年は8/4までに1984人で、過去3年間の平均の2倍以上のペースで増えている。
有効な治療法は無く、脱水症状を防ぐために水分を十分に摂ることが必要。2002.8.19《日本経済新聞》


 無月経 Amenorrhea
(参照→下垂体腺腫)
   ⇒3ヶ月以上月経がない場合。(参照→生理がない)
■原因疾患を調べる
「19歳の娘は、まだ整理がありません。高校2年生の時の血液検査で、女性ホルモンが少ないという診察を受け、それから1年間はホルモン注射や服薬を続け、少しですが整理が起こりました。その後、通院を止めて様子を見たところ、再び、止まってしまいました。」
14歳までに初潮がないと遅発月経といい、18歳になっても無ければ、原発性無月経となります。
原発性無月経には多くの原因があり、その1つに子宮や膣の異常があります。しかし、この方の場合は、ホルモン療法で月経が起きているので、そうではないと思います。
ほかには、完納の一部である視床下部から、それに連なる脳下垂体、卵巣までの部分での異常があります。プロラクチン産生腫瘍や下垂体機能不全、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能異常など、その内容は様々です。ターナー症候群などの染色体異常もあります」。
  【ハーブ】
      「40歳以下で1度も妊娠せず、6ヶ月以上にわたって月経がない女性が、      体内の女性ホルモンのエストロゲンレベルが変調しているのではないかと、      相談を受けたハーバリストは、ダイズ(soybeans)やワイルドヤム(wild yams) などの多くの植物に見いだされる植物エストロゲン(phytoestrogens)であるエ      ストロゲン類似物資の助けを借りて、彼女のエストロゲンレベルを正常に出      来るかもしれないと彼女に告げました。また、月経を回復するために有効な      『チェイストベリー(chasteberry)』についてもアドバイスしました。彼女が      チェイストベリーと植物エストロゲンを試みた結果は上々でした。」
◎月経を何らかの理由でもたらすハーブ=月経促進薬(emmenagogues)
     「チェイストベリー」(Chasteberry,Vitex agnuscatus)
「無月経の女性20人にチェイスベリー抽出物を1日40粒。6ヶ月後の       結果は、完了した15人中10人に月経周期が回復。」
       「無月経はプロラクチン(下垂体で産生される黄体刺激ホルモン)の血中レ       ベルが上昇するので、通常はプロラクチンを減じる薬剤を投与します。チ       ェイストベリーはこれらの薬剤と同じように作用します。
      ★ドイツでは以下の無月経調剤(Femisana)を1日に20mg使用します。
        グレーターセランダイン(greater celandine)
        ブラックコーシュ(Black cohosh,Cimicfuga racemosa)
        パスクフラワー(pasque-flower,Pulsatilla vulgaris)
        チェイスベリー
     「ブラックコーシュ」(Black cohosh,Cimicfuga racemosa)及び「ブルーコーシ       ュ」
アメリアキンディアンが婦人科の愁訴に対して良く用いた。
        ブラックコーシュには、エストロゲン類似活性があります。
        ブルーコーシュは子宮収縮を刺激します。
     「ワイルドキャロット」(Carrot,Daucus careta)
        「ペンシルベニア州に住む多くのオランダ人は月経促進薬として、また、        性交後の避妊に明かな効力がある野生のニンジン(Queen Anne's            lace=wild carrot)の種子を用いました。
     「セロリ」(Clery,Apium groveolens)
「セロリ種子には月経を誘発する化合物ブチリデンフタリド              (butylidenephthalide)を含んでいます。
     「ディル」(Dill,Anethum grabeolens)
「ディルに含まれているアピオール(apiole)は、強力な月経促進薬です。        種子をするつぶして小さじ2杯をティーで飲む。
     「ウスベニタチアオイ」(Marsh mallow,Althaea officinalis)
「このハーブは植物エストロゲン(phytoestrogen)であり、月経促進薬で もあるベタイン(betaine)を4%まで含有しています。
★ベタインを含むもの
  「マーシュマロー」(Marshmallow)
        「ビート」(beets)
        「ニンジン」(carrots)
        「フダンソウ」(chard)
        「チコリ」(chicory)
        「エンバク」(oats)
        「オレンジ」(oranges)
        「セイヨウノコギリソウ」(yarrow)         
     「ターメリック」(Turmeric,Curcume longa)
       「インドの伝統医師たちは無月経を治療するのにターメリックを推奨しま        す。」
    ◎ブレンド:組み合わせハーブ(Assorted herbs) 
     以下のハーブのいずれかを少しずつ混ぜ合わせ、熱湯中に入れて、15分間浸     漬してください。
         「セイヨウキンミズヒキ」(agrimony)=[アグリモニー]
         「アンゼリカ」(angelica)
         「カッコウソウ」(betony)
         「カラミント」(calaminth,calamintha nepeta)
         「ヒメウイキョウ」(caraway)
         「イヌハッカ」(catnip)=[キャットニップ]
         「コリアンダー」(coriander)
         「シラントロ」(cilantro)=コリアンダーの葉
         「クミン」(cumin)
         「カラトウキ」(Chinese angelica)
         「フェンネル」(fennel)
         「ナツシロギク」(feverfew)=[フィーバーフュー]
         「ショウガ」(ginger)
         「ニガハッカ」(horehound)
         「ヒソップ」(hyssopp)
         「ジュニパー」(juniper)
         「ラベンダー」(lavender)
         「レモンバーム」(lemon balm)=[メリッサmelissa]
         「ラヴィッジ」(lovage)
         「キンセンカ」(marigold)=[マリーゴールド]
         「マジョラム」(marjoram)
         「ヨウシュメハジキ」(metherwort)= [マザーワート]
         「ハマスゲ」(nutsedge)
         「オレガノ」(oregano)
         「パセリ」(parsley)
         「ペニロイヤルハッカ」(pennyroyal)
         「ローゼル」(reoselle)
         「ローズマリー」(rosemary)
         「ヘンルータ」(rue)
         「サフラン」(saffron)
         「ヨモギギク」(tansy)
         「タラゴン」(tarragon)
         「タイム」(thyme)
         「シャク」(wild chervil)
         「ヒメコウジ」(wintergreen)
         「アリタソウ」(wormseed)
         「ノコギリソウ」(yarrow)
         「イランイランノキ」(ylang-ylang)
    ◎タンパク質を分解する酵素を持つ果実及び根は、民族伝承の月経促進薬です。
       「イチジク」(figs)
       「ショウガ」(ginger)
       「パパイヤ」(papaya)
       「パイナップル」(pineapple)
  【芳香療法】
    カミルレ
    クラリセージ
    ジュニパー
    バジル
    バラ
    ヒソップ
    マージョラム
    没薬
    ラベンダー
    ローズマリー
  【色彩療法】
    <1>黄色
    <2>レモン色
    <3>緑色
    <4>緋色
    <5>赤紫色
  【処方名-五十音順】
  温経湯
    衛生湯(補脾・養血して月経不通を治す)
    加味帰脾湯(肝脾が欝して月経不通)
    加味逍遥散(肝脾の欝怒で血が傷つき月経不通)
    帰脾湯(脾骨に欝火があって血が損耗して不通)  
    艾附暖宮丸
    帰調血飲第一加減
    玉燭散(月経が凝滞して不通になり、になったとき)
    血極膏(気血が盛実して経が塞がって月経不通)
    宮外孕方
    桂枝茯苓丸
    黒逍遥散
    五積散
    血府逐湯
    柴胡桂枝湯
    三和湯(熱結による血閉)
    四逆散
    四物湯
    四物湯桂附湯
    十全大補湯(産後出血で月経が来ない)
    逍遥散
    石英散(石を治す)
    瑞金散(月経が運行せず血気が痛む)
    増味四物湯
    大黄虫丸
    大柴胡湯
    沢蘭湯(心労で月経がない)
    通経湯
    桃核承気湯
    桃紅四物湯
    桃奴散(血蠱と痰血が停積して経水が通じない)
    桃仁煎(婦人の血蠱・血・血積・月経不順を治す)
    柏子仁丸(心労で月経がない)
    八味地黄丸
    半夏瀉心湯
    万病丸(処女が月経がなく、下が固く詰まって大きな盃or升ぐらいに        なり、寒熱で痩せ、肉になろうとする時)
    六味丸
  
     柴胡桂枝湯当帰芍薬散
     


 無酸症
   ◎チェック:「ペラグラ」「シェーグレン」

無精子症→男性不妊症


 無声
  【処方名-五十音順】
 葛根湯
    甘草湯(炎症<軽>、ケイレン性)
    炙甘草湯
    半夏苦酒湯
    麻黄細辛附子湯(悪寒が強く、のどが痛い、脈沈)


 無尿 anuria
体内から尿の排泄のないこと。
   ⇒尿量が50~100‹/日以下の場合。(参照→「乏尿」「尿閉」)
   ◎原因:
      <1>臨床的には腎後性(尿路の閉塞)が多い。 
      <2>重篤な腎実質性障害の場合でも無尿になることがある。
【西洋医学】
◎分類:
<1>腎前性無尿(prerenal anuria):
「糸球体において適切に濾過する圧力を維持できないレベルに圧力が下がり、尿の腎臓分泌が中止すること。」
「種々の原因で十分な腎血流が得られず無尿になるもので、治療は腎血流を増加させることである。」
「脱水・出血・ショックなどで細胞外液量低下によるものには、バイタルサイン・電解質・体重・中心静脈圧(5~10cm)などをモニターしつつ、適正輸液をすれば利尿がつく。」
「うっ血性心不全・心筋梗塞など心機能不全によるものでは、心電図・電解質をモニターしながらInovanなど強心剤の投与で利尿がつく」
<2>腎後性無尿(postrenal anuria):
「結石・尿路系腫瘍などの原因で起こり、尿路閉塞の速やかな解除が治療の基本。本症が疑われたら逆行性尿管カテーテル挿入を行い、無尿の時間を出来るだけ短縮して腎機能障害の進展を防止する。」
<3>腎性無尿(renal anuria):
「尿管の開存および糸球体における適当な濾過圧があるのに、尿の排泄が出来ない」
◎治療:
(ア)利尿剤:
1.Lasix  1回 40~80mg 静注。
利尿がなければ100mgを静注、2時間以内に30‹/hrの尿量が得られない時は必要に応じて1回500mg、1日1000mgまで増量。
2.Lunetoron 1回 0.5~1mg静注
3.Mannitol 100‹ 5~10分で静注。
4.Fluitran 1日2~8mg  分1~2
5Aldactone-A 1日50~100mg 分割投与
6.Daimox 1日250~500mg  
(イ)輸液
(ウ)電解質バランス:高カリウム血症の治療
1.glucose+Insulin:glucose4~5gに対しInsulin1単位を入れてK濃度を                見ながら持続点滴。
2.CaCl2 1回20~50‹
(エ)代謝性アシドーシスの補正








 無排卵
  【処方名-五十音順】
    六味丸

 無力感 asthenia
   =無力状態
  【処方名-五十音順】
    人参湯



 虫歯 dental caries
   ◎砂糖が原因となる。
     <1>砂糖の主成分のスクロースは、ブドウ糖と果糖から出来ている。その結び      つきを酵素を使って変えてしまい、虫歯の菌に分解出来ないようにしはのが      『パラチノース』『トレハロース』
     <2>マルチトール(糖アルコール)も虫歯菌に分解されない。
   ◎予防=ポリフェノール:
     <1>虫歯の菌が歯に付着するために粘り気のある物質を作るのを妨げる作用が       ある。
     <2>緑茶には含まれていない。
     <3>紅茶よりもウーロン茶に多く含まれている。
◎唾液の中にある「カルシウム」が隠れ虫歯を修復する。どんどんなめると良い。歯を溶かす酸と唾液に力関係。pH5.5をマークに。唾液は酸に直接働きかける。
   ■歯「抜く・削る」から「接着」へ
     「接着剤を大幅に取り入れた歯科治療が注目されている。グラグラの歯を針金     を使わずに固定する。欠けた義歯を削らずに固定入れ歯を作る。之までは抜く     しか無かった歯茎の中野根元で割れた歯も接着剤を使ってくっつけることが出     来るようになった。
       ①東京都世田谷区で開業する真坂信夫歯科医師(東京歯科大講師)が、89        年割れた歯を一度抜いて接着してから植え直す「再植法」を考案。
       ②第一生命保険健康管理診察室の安田登・歯科医長
        1998.1.25《朝日新聞》
■虐待受けた子供に多い
「虐待を受けた子供は、普通の子供に比べて、虫歯が多く、治療していない傾向が強い・・・東京都福祉局は4/30、被虐胎児の口腔内状況についての調査結果を発表した。米国などでは、虫歯など口腔内の状態と「養育の放棄・怠慢」といた児童虐待十関連が深いとされているが、日本での調査は初めて。
調査は東京都歯科医師会の協力で、2002年夏~2003年にかけて都内の児童相談所と乳児院に保護されている被虐胎児計170人を対象に実施。
▽6歳未満の児童の乳歯について
虫歯がある割合→47.6%(一般の2倍以上)
 治療の未処理本数→2.7本(一般の6倍以上)
▽6~12歳までの児童の永久歯にある虫歯→54.5%(一般の20%以上)
同局は「虫歯が多いことが直接虐待につながるとは言えないが、1つの判断材料になる」としており、今後は「児童虐待防止区市町村ネットワーク事業」平胃散の歯科医師の参加を促すことなどで、虐待の早期発見につなげたいとしている」2003.5.1《日本経済新聞》
■重症にも神経を抜かず
「産業総合研究所と北海道医療大学のチームは、神経が露出するほどに重症化した虫歯にも神経を抜かずに治療する技術を開発した。イヌの実験で効果を確認した。
歯の表面のエナメル質より内側にある「象牙質」の中にある微量タンパク質『フォスフォフォリン』を取り出して虫歯部分に加えると神経を覆うように歯が再生する。フォスフォフォリンは歯を刺激し、象牙質を再生させる機能を持つ。
神経を露出させたイヌの歯にフォスフォフォリンと皮膚などに含まれるコラーゲン(タンパク質)を混ぜて投与したところ、象牙質が再生、約2ヶ月で神経を完全に覆うことができた。
従来の手法では象牙質を削り、歯髄も取り除くのが一般的だった。歯髄には血管も通っていて、取り去ると歯に栄養が十分に行き渡らない。そのため、抜歯につながりやすかった。」20071/27
◎虫歯はなるべく抜かないように。
「歯内療法でお願いします」と歯医者に言えば良い。
  【処方名-五十音順】
    黄連湯
    葛根黄黄連湯
    甘草附子湯
    三黄瀉心湯
    大柴胡湯
    大承気湯
    調胃承気湯
    桃核承気湯
    白虎湯
    苓桂味甘湯
   ■植物成分に注目、免疫作用も
     「キシリトール入りのガムなら、虫歯にならないんでしょうか?」「お茶には     殺菌効果があると聞いたのですが」--------大阪大学歯学部付属病院では「母親     教室」を開き、子供の歯の磨き方などの指導をしている。最近、親からの質問     で多いのが、甘味料やお茶で虫歯が防げるかどうかだ。
甘い物を食べると、なぜ虫歯になりやすいのだろうか。虫歯を起こすミュー     タンス菌(虫歯菌)は、砂糖を元にネバネバした物質(グルカン)をつくり、     グルカンとともに歯の表面にへばりつく。そこで参を出し、歯の表面のエナメ     ル質を溶かして虫歯にしてしまう。
      日本歯科大歯学部の丹羽源男教授(衛生学)の試験では、砂糖を口を含むと虫     歯菌は活発に働いて酸を出すことで活発に働いて酸を出すことで酸性度が上が     り、虫歯になる危険性が高まる。一方、キシリトールを口に含んでも酸性度は     ほとんど変わらなかった。
ただし、キシリトールでは他の食品に含まれる砂糖による虫歯までは防ぐこ     とは出来ない。「歯磨きや規則正しい食生活をした上でないと効果はない」と     丹羽教授はクギをさす。「歯垢を防ぐ」「歯を強くする」といった効果も話題     になるが、歯科医の間には「他の採用甘味料とそれほど変わらない」という見     方もある。
より積極的に虫歯菌の働きを抑える食品の研究も進行中だ。大阪大学歯学部     の浜田茂幸教授(細菌学)は菌にネバネバしたグルカンを作らせない効果を持     つ食品を探している。サントリーとの共同研究では、ウーロン茶に含まれてい     るポリフェノールという物質に、その働きがあることが分かった。中略。体内     に侵入した異物を攻撃する免疫の力で虫歯を予防しようとするアイデアもあ      る。1998.2.15.《朝日新聞》
■痛みがない
「東京都千代田区にある紀尾井町プラザ歯科。深井真樹歯科医師が患者の口の中をのぞき込んでいる。虫歯の治療中だが、歯科用ドリル特有の「キーン」という音は聞こえてこない。患者が苦痛に顔をゆがめるおきまりの光景も見られない。
深井医師がドリルの代わりに手にしているのは、「カリソルプ」という薬剤を先端に浸した綿棒。虫歯にこの薬剤を塗り、3分ほどすると菌に侵された部分が溶けていく。溶けた部分を耳掻き棒のようなもので掻き出し、後は白い合成樹脂を穴に流し込むだけ。ものの10分で治療が完了する。
治療時に痛みを感じないため麻酔注射を打たずに済む。削った穴に合わせて型を取る必要も無いため再診も不要。神経までに達した虫歯には使えないなど限界もあり、保険が利かないため治療費も1本1万円程度かかる。だが、ドリルが不要なため、将来は高齢者などの自宅に出向いて虫歯を治療することも可能になる。
カリソルプはスウェーデンのルンド大学で開発された虫歯治療薬。主成分は次亜塩素ナトリウムと、3種類のアモノ酸で、歯のエナメル質や象牙質を傷めず、軟らかい虫歯の部分だけを溶かす。欧州では治療例が増え、日本でも数カ所の歯科医院が個人で輸入して使っている。」2001.6.2《日本経済新聞》
■樹脂を詰める
「金属材料の代わりに樹脂材料を虫歯の穴に詰めて固める歯科治療への関心が増している。
仕上がりが自分の歯の色に近い
歯の削りを極力抑えられる。
痛みが少ない。
患者の苦痛を軽減する虫歯治療の1つとされるのが、レジンという樹脂材料を用いる治療法だ。東京医科歯科大学の田上順次教授は「レジンを用いた治療法は、出来るだけ歯を削らない。治療回数も少なく、現時点では理想的な治療法に近い」と語る。
レジンは元々接着剤として使われてきた樹脂で、1980年代初めに歯科治療用が開発された。当初は耐久性が足りず奥歯の値要などには向かなかったが、90年代半ばに耐久性の高いタイプが登場。現在はセラミック粒入りのレジンを使うことが多い。
虫歯の患部を治療し、開いた穴にメースと状のレジンを詰め、形を整えた後に光を当てて固める。
金・銀・パラジウムなどの合金を使った治療法では詰め物が取れないように、するため、虫歯に侵されていない健康な部分の歯まで削る必要がある。そのためドリルの神堂が歯の心経部分まで届き痛みのもとになる。
レジンを使う治療法は、健康保険の適用対象なので、基本的には希望すれば治療を受けられる。ただ、材料費が金属系に比べ高い割りに保険の点数が低いという構造的な問題から、「レジンを使う治療をやればやるほど、現時点では歯科医院が赤字になりかねない。どこの医院でもやってくれるわけではない」と田上教授。
レジンの治療法を出来る歯科医は大学病院などにいることが多い。近隣の歯科医院でも治療を受けたいときは事前に問い合わせることが必要だ」2002.7.0《日本経済新聞》
■虫歯菌3時間で検出
「昭和大学の荒川秀俊助教授、五十嵐武・助教授らは虫歯菌を短時間で検出する方法を開発した。
綿棒などで患者の歯垢を採取し、虫歯の原因になるミュータンス菌とソブリヌス菌のDNAを検出し、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法でDNAを増やす。」2002.10.22《日経産業新聞》



 虫さされ
   ◎『チャドクガ』の毒針毛。
      チャドクガは、茶・サザンカ・ツバキの葉を食用にする毒を持った蛾。1年     間に2回。成虫はカイコに似ている。
      幼虫の時だけでなく成虫もおしりの回りに毒針毛(0.1mm~0.2mm)をつけ     ている。毒針毛は風に乗って飛び散るので、サザンカの近くを歩いていただけ     でかゆくなることがある。
  日本の蛾の幼虫で毒があるのは[ドクガ][チャドクガ]の2種類。
   ◎蚊
     ①移動距離は、約40m。その範囲内の水たまりで繁殖。繁殖は2日でOK。
     ②黒色を好む。
     ③蚊が嫌いな匂い:ニンニク、ユーカリ、ペパーミント、レモングラスなど。
   ■ツツガ虫病ー手遅れは命取り。
     「ツツガ虫はなかなか厄介な病気である。かっては手紙の冒頭に「つつがなく     お暮らしのことと」という具合に日々心配された病気だったが、現在はあまり     話題にならない。しかし、スポーツドクターの菅栄一医師によれば、“今でも     ツツガ虫病はあり、手当が遅れると命取りになる。2~3年に1~2人の死亡     例はあり、楽観できない”と話す。
  この虫はケダニの幼虫でリケッチアを保有(すべてとは限らない)、北海道と     沖縄を除く全国にいる。どちらか言うと、高い山より、比較的低い草原などに     いて四季を通じて発症している。
      刺されると10日ほどの潜伏期間があり、やがて40度近い熱が出て、頭痛・     筋肉痛などの症状になる。そして全身に淡紅色の斑点が多数出来る。治療が早     ければ治るが、遅れると手遅れになる可能性がある。
     “最近ではオートキャンプをしている人が危ない。野原に寝ているうちに刺さ     れるようです。キャンプを楽しむ時は素肌を留出しないで自宅に帰ってから1     ~2週間は体調を観察してほしい”1996.5.23《日本経済新聞》」
  【処方名-五十音順】
    甘草湯
    白虎加桂枝湯
【民間療法】
    <1>アサガオ。
    <2>イチヤクソウ。
    <3>キランソウ。
    <4>タバコ。
    <5>ノビル。
    <6>フキ。
    <7>ユキノシタ。
    <8>アイ・イチョウ・ウマノスズクサ・エビスグサ・ガガイモ・カタツムリ・カ     ボチャ・キク・キョウリ・クサノオウ・クララ・クロマメ・ゴボウ・スギ・ス     ベリヒユ・ツワブキ・トチノキ・ナンテン・ハチ・ビワ・ヘクソカズラ・ホウ     センカ・ミツバチ・ムカデ・メナモミ・ヨメナ・ヨモギ・ワラビ。


 夢交
  【処方名-五十音順】
    桂枝加竜骨牡蠣湯



 夢精
  =夢泄
   ⇒邪気が陰に侵入すれば神は家を守れなくなり、心に感動を覚えると夢泄する。
    3つの種類がある。
     <1>年少で気盛んな者が一人でいて情欲を強制的に抑えることから、知らない      うちに漏れることで、薬はいらない。
     <2>心臓の気が虚になり、心の熱邪を受けて陽気を収拾することができなくな      って漏らすことで、これはビン一杯の水がビンが傾いてこぼれるのと同じで、      軽い薬で良い。
     <3>臓腑が虚弱で、心が思念を主導することが出来ず、又腎が精を管摂するこ      とが出来ないで漏らすことで、これはビンが壊れて水がこぼれるのと同じ。
  【処方名-五十音順】
    帰元散・・・・・・(夢泄がひどく、気力がなくなった者)
    九竜丹・・・・・・(滑精)
    玉髄丹・・・・・・(精気虚骨・遺泄不禁)
    桂枝加竜骨牡蛎湯・(失神の夢泄)
    実丸・・・・・・(交合前に射精する)
    固真丹・・・・・・(遺精・夢泄)
    固精丸・・・・・・(腎虚の夢泄)
    牛車腎気丸
    鎖陽丹・・・・・・(脱精・滑精)
    滋陰降火湯
    四物湯
    小建中湯
    清心丸[1]・・・・・(経絡が熱して夢泄し、心が虚して恍惚する)
    清心蓮子飲
    樗根皮丸・・・・・(房事過多で夢遺する)
    猪苓丸・・・・・・(発情しても意のままにならない、外部からの淫ら              な刺激で夢泄するとき)
    珍珠粉丸・・・・・(夢泄・滑精に)
    定志珍珠粉丸・・・(心虚の夢泄)
    巴戟丸・・・・・・(顔色青白く脈空虚な脱神の夢泄)
    八味地黄丸
    秘元丹・・・・・・(遺精不禁・危急時に)
    補真玉露丸・・・・(陽虚の精脱)
    保精湯・・・・・・(陰虚火動・夜夢遺精)
    約精丸・・・・・・(小便に精が混じって排泄)
    鹿角散・・・・・・(久虚夢泄)
    六味丸

   【鍼灸穴】:[心兪][白環兪][膏肓兪][腎兪][中極][関元]


 夢遊病
=「睡眠時遊行症」
◎子供にしか起きない。
「脳が未発達なため、ノンレム睡眠中のデルタ波で起きる。そのとき、大脳皮質は休んでいるが、脳幹部の運動野や視覚野だけが働いて大脳は寝ているのに、動き回ることになる。参照→「レム睡眠行動障害」
  【処方名-五十音順】
    甘麦大棗湯


 胸が痛い
   ■カフェインの過敏症
     「此の女性は、左右両方の胸にいくつものしこりがある。月経の前にしこりの     痛みを感じやすくなる人もいるし、いつでも痛みに敏感な人もいる。ガンの検     査(乳房造影法)の結果、乳ガンの心配が無いと分かっているなら、嚢胞組織の     異常からくるしこりだろう。「嚢胞性乳腺炎」と呼ばれることもある。大抵は     原因が1つではなく、複数が絡まっている。
       カフェインへの過敏症の可能性が極めて高い。コーヒー、お茶、チョコレ     ート、ココア、コーラ飲料は、とりあえず全部やめてもらう。カフェインが入     っている薬品もだめだ。
       それから、ビタミンEとヨウ素を試してみよう。それ以外に考慮すべき栄     養素は、ビタミンB6・必須脂肪酸・マグネシウムだ。(J.ライト博士「新・     栄養療法」参照)」
  【処方名-五十音順】
    葦茎湯
    烏梅丸
    括楼薤白白酒湯
    甘草乾姜湯
    甘草湯(炎症<軽>、ケイレン性)
    橘皮枳実生姜湯
    枳実薤白桂枝湯
    血府逐湯   
    桂枝加黄蓍湯(胸中痛)
    桂枝加厚朴杏仁湯(虚弱、喘鳴、自汗、咳嗽)
    五積散(血による胸膈部の疼痛)
    柴陥湯(胸脇苦満<著明>、胸痛、胸中苦悶、咳嗽、痰<黄色痰稠>)         柴胡陥胸湯
    柴胡枳桔湯   
    柴胡桂枝湯
    小陥胸湯
    小柴胡湯加石膏
    失笑散
    十棗湯
    清燥救肺湯   
    大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
    大陥胸湯      
 大黄甘草湯(便秘、嘔吐)        
    大黄附子湯
    丹参飲
    桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
    肺癰湯
    麻杏甘石湯(咳嗽、乾咳、口渇)
    苡附子散





 胸がつかえる
  【処方名-五十音順】
    半夏厚朴湯
    半夏瀉心湯(胸元がつかえる、下痢、腹鳴、吐き気)
    平胃散(太陰病、心下痞塞、腹部膨満、食後腹鳴)


 胸苦しい
  【処方名-五十音順】
 黄連解毒湯
 加味帰脾湯
    九味檳榔湯(息切れ、胸苦しい、ふくらはぎの緊張、腹が張る・脹痛)
 四逆散(胸がつかえる)
    升麻葛根湯
 清心蓮子飲(胸があつ苦しい)
    通導散(顔面赤色、頭痛頭重、肩こり、腹直筋拘攣、爪<暗赤色>、下腹        部膨満、便秘、動悸、脈細実)
    女神散(不安、イライラ、憂鬱、肩こり、頭痛、めまい、動悸)



 胸騒ぎ(むなさわぎ)
=「悸(ショウキ)」
  【処方名-五十音順】
    加味帰脾湯
大聖散《婦人大全良方》



 胸のしこり
   ■カフェインの過敏症
     「此の女性は、左右両方の胸にいくつものしこりがある。月経の前にしこりの     痛みを感じやすくなる人もいるし、いつでも痛みに敏感な人もいる。ガンの検     査(乳房造影法)の結果、乳ガンの心配が無いと分かっているなら、嚢胞組織の     異常からくるしこりだろう。「嚢胞性乳腺炎」と呼ばれることもある。大抵は     原因が1つではなく、複数が絡まっている。
      カフェインへの過敏症の可能性が極めて高い。コーヒー、お茶、チョコレー     ト、ココア、コーラ飲料は、とりあえず全部やめてもらう。カフェインが入っ     ている薬品もだめだ。
      それから、ビタミンEとヨウ素を試してみよう。それ以外に考慮すべき栄養     素は、ビタミンB6・必須脂肪酸・マグネシウムだ。(J.ライト博士「新・栄     養療法」参照)」



 胸やけ pyrosis,heartburn
(参照→「胃もたれ」「胃食道逆流症」「食欲不振」)
   ⇒囃ソウソウ=呑酸囃=胸焼け
   ◎食後に胸焼けする⇒「逆流性食道炎」を参照。
◎胃液が多すぎると胸やけ、少ないと胃もたれになる。(NHKためしてガッテン参照)
   ◎症状:ゲップが出る
空腹時胃痛
食欲旺盛
■ひどい胸やけ
「胸がチリチリ痛む。熱いものが喉を上がって来て、胸のあたりの何とも言えない嫌な感じが消えない。
東京都世田谷区の田辺春子さん(76)は、4年ほど前から胸焼け症状に悩まされてきた。寝ているときに、こみ上げてくるものでゲップや咳が止まらず、つらい思いもした。
食べ物を飲む込む時にも、喉に痛みを感じるようになり、病院を受診。内視鏡の検査で、食道にひどい炎症が起きているのが分かった。
主治医の虎ノ門病院(東京・港区)消化器科部長の星原芳雄さん(52)は、「酸性の胃の内容物が逆流することによって食道の粘膜が荒れる逆流性食道炎。胸焼けなどの症状があるのに、内視鏡検査で異常がないケースもあるので、広い意味では胃食道逆流症が、最近2つの理由で関心を集めるようになった。
胃酸分泌に関わる3大疾患に数えられる胃潰瘍と十二指腸潰瘍の両者がヘリコバクターピロリ菌の除菌によってほぼ再発を防げるようになった。残された逆流症がクローズアップされたのが1つ。
もう1つは、もともと欧米人に多かった逆流症が近年、食生活の欧米化や肥満の増加、社会全体の高齢化などで増えていると見られるためだ。
「年を取れば胃酸の分泌は低下するが、死亡の多い商事が分泌を下げにくくする。食道と胃のつなぎ目(下部食道括約部)の締まりをゆるめる作用を促す。肥満は腹圧を高めて逆流しやすくなり、加齢も下部食道括約部を緩める一因」と星原さん。
ここ20年間、日本人の胃酸分泌そのものが増えているという研究報告もある。
だが、田辺さん自身は、食事はもともと和風のあっさりしたものが好き。脂っこい養殖はあまり口にしない。太ってもいない。牛乳を飲むと良いと人から聞いて試してみたが、症状は一時的に軽くなっただけ。
胸焼けの症状を強く感じるようになった4年前頃から、腰痛がひどくなったことも関係しているかなと自分では思う。前かがみの姿勢だけでも腹圧が上昇するのに、下腹をコルセットで締め付けているから胃液も逆流しやすいだろう。かといって腰の痛みが強いので、コルセットなしでは過ごせない。
最初は年のせいかなと思ったけれど、どうしてこうなったかなと持ったけれども、原因がよく分からない悩みはあります」と田辺さん。
日本での胃食道逆流症の患者数や広がり具合などの実態は、まだ不明な点が多い。」
■逆流性食道炎----胃から逆流し、胸やけに----
「胸焼けの原因として逆流性食道炎が最近話題になっている。この病気は酸性またはアルカリ性の胃内容物が食道に逆流して起こる炎症である。
Aさんは58歳の男性。数年前から食べ過ぎや飲み過ぎの後に胸焼けがするようになり、その都度、制酸剤を用いていた。しかし、最近は胸焼けに胸痛が加わった。内視鏡検査の結果、食道の下部に潰瘍と出血が見つかり、重症の逆流性食道炎と診断された。このままでは吐血や食道狭窄の恐れがあるため、食事を厳しく制限され、胃酸分泌抑制剤の投与受けた。胸焼けは4~5日で治まり、潰瘍は2ヶ月後に消失した。
通常食道と胃の境には逆流防止機構があり、胃の内容物が食道に逆流するのを防いでいる。
●原因:
(1)高齢化
(2)食事の欧米化
(3)肥満
(4)ピロリ菌の除菌
●治療の基本は、食生活。
<1>胸焼けを起こしやすい以下の物を避ける。
(1)甘い物、
(2)天ぷらなどの油物、
(3)カレーなどの刺激物
(4)炭酸飲料
<2>夕食は満腹まで食べず、
<3>就寝まで4時間以上あける。
これらの食事療法に加えて制酸剤と消化管機能促進剤を併用する。それでも再発する時は、胃酸分泌抑制剤を投与する。」(木下博明・大阪市立大学医学部教授)2000.4.24《日本経済新聞》
  【宝石療法】
    <1>[真珠]
【民間療法】
    <1>ダイコン。
    <2>フキ。
    <3>オウレン・ミカン・ヨモギ。
  【漢方療法】
大抵は「安中散」で治るが。
     劇しき者には、「呉茱萸湯」or「加味小陥胸湯[1]」
【処方名-五十音順】
 安中散
    化痰清火湯
    交泰丸
 呉茱萸湯
    左金丸
    三聖丸
    四逆散
    梔子湯
    朮連丸
    小建中湯
消食清欝湯
    大黄硝石湯
    当帰補血湯[3](心血が少ない者)
    半夏瀉心湯(胸元がつかえる、下痢、腹鳴、吐き気)
    平胃分消湯(呑酸と雑・痰火)
    茯苓飲合半夏厚朴湯(吐き気、のどの異物感)
    養血四物湯(血虚の)
    六君子湯(心下痞、消化不良、食欲不振)




 むち打ち症
⇒むち打ちで気を付けなければいけないのは、頸椎のまわりの血管が破れて出血し、    それが時間が経過して粘着力を持ち、血流の流れを悪くする。その結果、種々の    症状が現れる。治療には駆血剤が必要となる。
  【処方名-五十音順】
    黄連解毒湯
    桂枝茯苓丸
    三黄瀉心湯
    治打撲一方(打撲、打ち身)
    桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
【組み合わせ】《螺王人》
    <1>[葛根湯桂枝茯苓丸]
   
●むち打ち症の原因
Aさんは数年前から、気絶して救急車で運ばれることが何度かあた。CT検査で脳を調べたが異常が見つからない。そのうち疲れやだるさも出て、物忘れするようになった。
そこで、東京港区の山王病院で診断を受けた。美馬達夫・国際医療福祉大学助教授の見立ては脳脊髄液減少症。脳や脊髄は硬膜という薄い膜が覆っていて、その内側は透明な髄液で満たされている。脳脊髄液減少症は何らかの原因で硬膜に穴が開き、髄液が漏れることによって引き起こされる。この結果、髄液の圧力で支えられていた脳の位置が下がるため、頭痛や首の痛みなどの症状が出てくる。
一般的には、むち打ち症や強い衝撃で受益の漏れが起きるとは考えられていない。このため、むち打ちの後に頭痛などの症状が長引いても、心因性のもとと考えられている。
だが、むち打ち症患者を多数(約800名)診てきた平塚共済病院の篠永正道・診療部長は別の説を唱える。頭痛や疲労感に長く悩んでいた患者をしらべ、髄液の漏れが原因と判断した。
「交通事故の件数から判断すると、少なくとも見積もって患者は全国で10万人以上に達する」(篠永部長)
治療の基本は髄液の漏れを抑えること。硬膜の外側に患者本人の血液を20mm~40mmほど注入する『ブラッドパッチ』という手法を使う。この手法で漏れの原因となる穴を血液がノリの役目をしてふさぐ。硬膜の外側の圧力が上がって髄液が漏れにくくなる。
これを3~4回、3ヶ月おきに続ける。美馬助教授によると、約3割の患者でほぼ完治。4割は部分的に回復。残りの3割は無効もしくは悪化する。」2004.6.29《日本経済新聞》
●ブラッドパッチ法
交通事故などが原因で長期にわたって、むち打ち症や慢性疲労を引き起こすとされる『脳脊髄液減少症』の理解と新たな治療法の普及を目指し、患者団体などが全国的な啓発活動を進めている。
脳脊髄液減少症は交通事故やスポーツなどによる衝撃で脳を覆う硬膜に穴が開き、髄液が漏れることで起きるとされる。これまでは一般的には強い衝撃で髄液が漏れるという考えが無く、むち打ち症後に頭痛などの症状が長く続いても、原因不明で精神的なもの(気のせい)と判断されるケースが多かった。
しかいs、4年ほど前から患者自身の血液を背中から注入して穴を塞ぐ『ブラッドパッチ』と呼ばれる新たな治療法の試みが一部の医師らの間で始まり、注目されるようになった。
この治療法で患者の約3割がほぼ回復。4割が部分的に回復するというデーターもある。ただ、この治療法を行っている医療機関は各国で40カ所程度にとどまり、健康保険の適用外で保険会社も多くも治療費の支払いを認めていないという。
支援活動を続けるNPO法人「ムチ打ち症患者支援協会」の中井宏代代表理事は「交通事故件数を考えると、患者は少なくとも全国で20~30万人に達するはずだ 」と話す。
脳脊髄液減少症は、硬膜に穴が開き、髄液が漏れることで脳が頭の中で沈み込み、激しい頭痛や首の痛み、吐き気、集中力の低下、全身の倦怠感などの症状を引き起こすとされる。
■和解成立
「追突事故のあと、髄液が漏れて頭痛などの症状を起こす『脳髄液減少症』と診断された弁護士事務所事務長の河原宏明さん(45・三重県伊勢市)が加害者側に約860万円の損害賠償を求めていた津地裁伊勢支部の訴訟で、加害者側が事故と症状との因果関係を認め、650万円を支払うことで和解が2005年12/24成立した」《日経》



【病状め】

 Meige症候群
   ⇒不随意運動の1つ。
   ◎顔面の緩徐な不随意運動(blephalospasm)
口周囲にも同期にみられることがある。

 MÕller-Barlow病(メルレル・バロー病)
   ⇒ビタミンCの欠乏症。
   ◎壊血病と本態が同じで、生後6ヶ月以後の人工栄養児に限ってみられる。
   ◎症状:①骨の変化
       ②出血傾向
       ③栄養失調



 メタボリックシンドローム(代謝症候群)
(参照→「脂肪」)
=生活習慣病に関係する肥満や高血圧・高血糖などを併せ持った要注意状態。心筋梗塞などにかかるリスクが高くなる。日本動脈硬化学会などが2005年春に診断基準をつくった。
■悪化の仕組み
全国で1000万人の患者がいると言われるメタボリックシンドロームは肥満が診断基準の1つ。東京医科歯科大学の小川佳宏教授らは細胞を使った基礎実験で、肥満で巨大化した脂肪細胞から出る『飽和脂肪酸』が、メタボリックシンドロームの重症化のキッカケになることを突き止めた。動脈硬化につながる仕組みは
①食べ過ぎなどで脂肪細胞が大きくなり、飽和脂肪酸を出す。
②飽和脂肪酸が免疫細胞の働きを活性化する。
③その免疫細胞が脂肪細胞を活性化する。
④脂肪細胞から炎症を引き起こすタンパク質が出る。
という悪循環が引き起こされ血管のダメージが進んでゆく。
飽和脂肪酸の作用を抑え込めば、症状が進行するのを防げる可能性がある。
■症状改善
「内臓脂肪が溜まると、脂肪細胞から出るホルモン『アディポネクチン』が減少することが知られている。アディポネクチンには動脈硬化を抑える作用の他に、脂肪や糖の燃焼を促す作用がある、東京大学の門脇教授らな、ジャガイモやトマトに含まれる『オスモチン』に、アディポネクチンを上回る作用があることを発見。
オスモチンは、本来、植物が害虫から身を守るための物質。マウスの細胞を取りだし、アディポネクチンと結びつくヒトのタンパク質を組み込んだ。オスモチンを投与すると、そのタンパク質につながって機能し、脂肪や糖をエネルギーとして取り込む酵素の活性が3倍に上昇した。アディポネクチンより100倍の効果があった。
現在、アディポネクチンを低コストで人工合成するのが難しい。2005.12.5《日経》
■検査方法
「東京大学と第一三共の子会社「第一化学薬品」は、動脈硬化リスクが3倍になると言われているメタボリックシンドロームかどうかを判別出来る血液検査の技術を開発した。
2006年5月から臨床試験に入り、年内に実用化の予定。
東大の門脇孝教授らは血液中の善玉物質『アディポネクチン』と呼ぶホルモンに着目。特に高分子タイプの活性が低くなると、メタボリックシンドロームになりやすいことを突き止めた。このホルモンは脂肪細胞から分泌されており、糖尿病の原因となるインスリン抵抗性を改善する。動脈硬化を抑えるほか脂肪や糖の燃焼を促す作用もある。
肥満や糖尿病になるとアディポネクチンの分泌量が少なくなることが知られている。メタボリックシンドロームは糖尿病や心臓病を発症する前段階で現れることが多い。減量や運動などで内臓脂肪を落とせば比較的簡単に症状は改善すると言われている。
検査では、血液中の濃度と高分子タイプの占める割合を調べ診断する。」
■原因脂肪の測定
「新潟大学と珍書検査役の開発販売会社のシノテストは、メタボリックシンドローム(内臓肥満症候群)の直接原因となる血液中の『悪玉中性脂肪』の量を10分で安価に測定する手法を開発した。
開発したのは岡田正彦新潟大学教授らの産学研究チーム。1年以内をめどに薬事法に基づく検査の承認と保険適用を求める方針。
測定するのは微粒子状の『VLDL』に含まれている中性脂肪。VLDLが血中で増えると、動脈硬化・血栓症などになりやすくなることが知られている。
現在の血液検査ではすべつの粒子の中性脂肪をまとめて測定しており、VLDLの中止脂肪量だけを調べることができなかった。
高速の遠心分離器を使えば測定可能だが、結果が出るまでに数日かかり、研究用に使われていた。
開発した手法ではまずコレステロールを除去し、界面活性剤と酵素を使ってVLDLの中の中性脂肪だけを取りだして測定する。
現在の健康診断では、血液中のすべての中性脂肪を測定している。中止脂肪の中には栄養素として体内に取り込まれるものもある。」20074/13日経





メッケル憩室 Meckel diverticulm
⇒胎生時の臍腸管が、生後完全に閉鎖しないために生じる腸の憩室。妊娠初期にはヘソと腸管は臍腸管という管でつながっているが、妊娠8週頃にはこの管は自然に閉じて無くなってしまう。この一部が閉じずに腸管側に残ったものがメッケル憩室だ。通常、小腸末端から約100cm手前の小腸にできる。たいていは無症状で偶然見つかることが多い。メッケル憩室内には胃の粘膜が入り込むことがあり、周りの小腸粘膜に潰瘍ができる。そうすると出血が起きる。また、腸重積や腸閉塞を合併することもある。憩室に炎症が起きると、虫垂炎に似た腹痛を訴えることが多く、虫垂炎として手術されることもある。結腸のポリープの場合もメッケル憩室と似た出血を起こすので鑑別が必要。
診断は、放射性同位元素を使ったシンチグラフィーにより、胃以外の場所に胃粘膜が存在することを確認することで確定できる。
治療は手術により憩室を切除する。
◎内腔臓器の限局性拡張を「憩室diverticulum」といい、一般的には先天的に形成されたもの指すが、まれに後天的なものにも使う。
本来は病的な構造という意味合いを含まない概念。
    (南山堂ー医学大辞典)
【処方名-五十音順】
茵五苓散(黄疸、発熱、腹壁軟弱、胃内停水、煩渇、脈浮)
橘皮枳実生姜湯
梔子湯(身熱、胸中煩熱、心中懊、不眠、熱感)
大建中湯
茯苓飲(腹部の膨満感)
苓桂味甘湯



 メトヘモグロビン血症
   ⇒ヘモグロビンが酸化して出来るメトヘモグロビン(酸素と結合出来ない)が血中に    過剰に存在する状態。
◎症状:
     チアノーゼがみられる。
呼吸困難から死に至る。
◎ルーマニアで1985年~96年までの12年間で、乳幼児2913人が発症し、102人が死亡した。原因は硝酸性窒素が大量に含まれた地下水で粉ミルクを溶かし、乳幼児に与えたため、
地下水を煮沸すると、硝酸性窒素の濃度がさらに上昇する。
3ヶ月未満の乳幼児は、メトヘモグロビンを酸化しヘモグロビンに戻す還元酵素を十分に作ることが出来ない。
◎流産の原因にもなった。硝酸性窒素の濃度が高い井戸水を使っていて、母胎から胎児に硝酸性窒素が入って、胎児がメトヘモグロビン血症を引き起こし死亡した。
◎硝酸性窒素は、肥料としてまかれ、それが地下水に染みこみ、原因となった。
◎現在、WHOが決めた硝酸性窒素の基準値は、10mg/1リットル。
◎1996年、サルトン海でペリカンの大量死が起きたのも、硝酸性窒素の水中に大量に溶け込み、それが藻の大量発生とバクテリアの異常繁殖を促し、水中を無酸素状態にする。水中は富栄養化となり、その結果、魚の大量死を招き、それを餌にボツリヌス菌が大量に発生し、糸ミミズに、さらにペリカンに入り死亡した。


 メトロパチー
   =出血性子宮症=hemorrhagic metropathy
   ⇒卵巣内に卵胞存続が起こり、その結果として子宮内膜に著しい嚢腺性の増殖を起    こすもので、内膜掻爬により50%は止血する。
  【処方名-五十音順】
    温清飲
    帰膠艾湯
    桂枝茯苓丸
    血府逐湯
    桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
    当帰建中湯(貧血、食欲不振、虚弱体質、腹痛、腰痛<牽引痛>、)
    当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)



 メニエール病
=「メニエール症候群」(Ménière症候群)
   ⇒耳鳴りと難聴を伴った反復性の耳性のめまい。
本病は内耳の血行不全によって、、内リンパ水腫を起こすためと考えられている。動脈硬化症の場合と違って、脈搏や心臓の状態に変化はなく、血圧はむしろ低いことが多く、意識不明となることはない。
漢方では水毒や瘀血が気の上衝とともに起こってくる病態とみられている(漢方診療医典)
   ◎青壮年期に多く、発作性にめまい・難聴・耳鳴を示す。発作寛解期にも難聴は多    少とも持続的に残り、再発作時に増強する。難聴が次第に進行し、完全瘻になる    とめまいも消失する。
   ◎内耳の内リンパ系の拡張が原因とされる。
   ◎急性発作中はめまいが激しいので、安静臥床が最も有効。
■難聴・めまいを繰り返す
「25歳の女性。昨年春に耳鳴りやめまいがして、低い音が聞きづらくなり、突発性難聴と診断されました。治療を受けて症状は安定しましたが、秋に再び耳鳴りがして、低い声が聞きづらくなりました。」
●最初は『突発性難聴』と診断されたそうです。
突然起こった原因不明の難聴と言うことでそういう診断になったのでしょう。しかし、突発性難聴の場合、症状が出てから1、2ヶ月で症状が固定されてしまいます。この方の場合は、その後も聴力の低下やめまいなどの症状を繰り返しているので、メニエール病の可能性が高いと思います。
●それは、どんな病気ですか?
めまいと難聴・耳鳴りが主な症状です。発作の頻度は週に2~3回という人から数年に1回程度の人まで様々です。グルグルと回転するめまいが20分以上続くのが、典型的な症状です。3、40代で発症する人が多く、かっては男女ほぼ同数か、男性の方がやや多い病気だと言われていました。しかし、最近はむしろ、女性の方が多くなってきました。
●低い声が、良く聞こえなくそうです。
メニエール病によって起こる難聴は、初めのうちは低い音が聞こえにくくなるのが特徴です。症状が悪化すると、高い音も聞こえにくくなります。まずは、もう一度病院に行って、めまいなどのしょうじょうを医師に詳しく説明し、しっかりとして診断を受けて下さい。
●メニエール病の場合、原因は何ですか?
内耳に出来る『内リンパ水腫』という水ぶくれが、メニエール病の正体です。内リンパ腔の中野リンパ液がうまく排泄されず、余分にたまるのが原因です。ストレスなどで交感神経が緊張状態になると、リンパ液を吸収する管を取り囲んでいる血管が収縮し、その働きが低下します。これがリンパ液がたまりやすくなる一因と見られています。
●内耳にリンパ液がたまると、なぜ、いろいろな症状が出るのですか?
内耳に出来た水ぶくれが、音を感じる細胞を圧迫すると、鼓膜からの振動が伝わらなくなり、難聴を引き起こします。めまいの原因ははきりしませんが、リンパ液を包んでいる膜が膨張して破れるのが一因と考えられます。耳鳴りは、めまいの症状と連動して起こるケースがよくみられます。
●どんな治療をしますか?
内リンパ水腫を軽くする薬を、1日3回飲みます。めまいがひどい場合は、抗めまい薬を1日2~3回飲みます。数ヶ月して症状が収まれば、薬の量を減らして様子を見ます。7~8割の人は薬によって発作の頻度を減らすことが出来ます。それでも改善しない場合は、手術で内リンパ腔にリンパ液がたまりにくくする方法など、いくつかの選択肢があります。薬物を耳の中に注射し、内耳にあるリンパ液を作る細胞やめまいを感じる細胞の働きそのものを抑えてしまう方法もあります。
●ふだんの生活で気をつけることはありませんか?
この病気は、生活習慣が症状に大きく影響します。私のいる病院に通うメニエール病患者のうち、半数以上の人は、睡眠不足や過労、仕事上のストレスなどが引き金になって難聴やめまいを繰り返す傾向がみられます。(中島務・名古屋大学医学部教授)2000.4.9《朝日新聞》
  【処方名-五十音順】
桂枝茯苓丸
本方は瘀血(血塞、うっ血、血凝滞)があって、気の動揺によって神経症状が起こったものに用いる。メニエール症候群は内耳の血行不全、循環調節不全によって起こるといわれているが、この処方はそれらの循環不全を治すものと思われる。本病は婦人の更年期によく起こるものであるが、それはこの血行不全や自律神経失調と関係がある。たいてい、腹診すると臍傍から下腹部に抵抗と圧通があり、赤ら顔でのぼせ症である。
50歳の肥った赤ら顔の不仁、半年前。手洗いに起きたとたんにひどいめまいがして倒れ、2週間頭を上げられず、激しいめまいで苦しんだ。血圧は120mmHgである。大学病院の婦人科や耳鼻科でメニエール症候群と言われた。その後つねにフラフラして真っ直ぐに歩けない。耳鳴りがしていつも蝉が鳴いている様である。危なくて一人で外出できない。月経時にはめまいがひどい、臍傍臍下に抵抗・圧通があり、瘀血がハッキリしている。桂枝茯苓丸料を与えたところ、10日分飲んで再来のとき、横断歩道を真っ直ぐに駆け足で渡ることができ、足元がしっかりしたと喜んだ。半年ぐらい続服してほとんど良くなった(漢方診療医典)
    呉茱萸湯
 五苓散
    柴胡加竜骨牡蛎湯
本方は上衝し、停滞している気と水を順通するというものである。また胸滿煩驚という病態は自律神経に失調を意味していて、腹部大動脈の亢進による腹部神経症状があり、上衝、心悸亢進、不眠、煩悶を訴えるものによい(漢方診療医典)
柴苓湯
腹力中等以上で、口渇、口苦、胸脇苦満、尿量減少、浮腫などを目標に用いられる(漢方診療医典)
    小半夏加茯苓湯
    真武湯
体力の衰えた冷え症の人のメニエール症候群に用いる。陰虚症で内部の水気が動揺して上衝し、めまい、心悸亢進、嘔気を発し身体がフラフラして倒れそうになるというもの(漢方診療医典)
    沢瀉湯
急激に起こった激しいめまいに用いる。静かに寝ていても天井がまわるという者によい。本方は沢瀉、朮の2味からできた簡単な処方である。(漢方診療医典)
    釣藤散
中年以降の神経症で、頭痛、眩暈、肩こり、のぼせなどあり、自律神経失調症でつねに気分がうっとうしいという者によい。(漢方診療医典)
    当帰芍薬散
    二陳湯
    半夏白朮天麻湯
平素胃腸虚弱で、胃内に停水があり、この水毒が上昇して、眩暈や嘔吐、頭痛を発するものに用いる。やせ型貧血性で、低血圧のものが多い、大塚氏は本方によってメニエール症候群といわれた者を何例も治したという。メニエール症候群は内耳のリンパ水腫といわれているが、胃内停水が動いて上逆し、内耳のリンパに影響を与えているのを本方によってその根本を治そうとするものである(漢方診療医典)
    白朮附子湯
    苓桂朮甘湯
【民間療法】
    <1>サフラン・サンシュユ。

  



 メラノーマ
◎イヌがニオイで分かる
1989年、ロンドンの女性が飼っている犬がしきりに膝の後ろを、なめたり、臭いをかいだりしていた。へんなイヌと思っていると、膝の裏に黒いホクロがあるのに気づいた。そのまま放っておいたが、その後もしきりにイヌがなめるので、気になり、病院に行った。すると、メラノーマの初期で
、その部分の切除だけで済んだ。
■早期なら治癒
「急にほくろが大きくなるのは、注意した方がいいと言われる。悪性度の高い『悪性黒色腫(メラノーマ)』の恐れがあるからだ。
東京都江戸川区のAさん(71)は昨年12月、入浴の際、左足の裏にあるホクロの異常に気づいた。親指と人差し指の間の位置だ。子供の頃から見慣れたホクロだったが、それまでの直径4~5mmの大きさから2倍近くに大きくなっており、なんだか黒光りしている。痛みはなかった。
心配になって近所の皮膚科を受診。「血豆でしょう」という医師の診断にむしろ不安になり、2週間後に自らの判断で国立がんセンター中央病院(東京・築地)を訪ねた。
特殊な拡大鏡による視診や触診、血液などの諸検査の結果、「1期か、2期のはじめのメラノーマ」と診断された。
メラノーマの進行は腫瘍の厚さで決まる。
<1期>---厚さ1.5mm以下。
<2期>---厚さ4mm以下。
いずれも転移がない早い段階を言う。
「“メラノーマは死ぬ病気”というのは20年前までの話。今は治療法も進んでおり、1期ならほぼ100%。2期でも80%以上治ります」
センター皮膚科医長の山本明史さん(46)の説明に胸をなで下ろした。
●できる場所は?
欧米人---顔など日光が当たる部分に多発する。
日本人---足の裏や手のひら、手足のツメなどに出来ることが多い。
●初期症状は?
<1>ホクロの色が変わった。
<2>急に(1~2年以内)、大きくなった(5mm以上)。
<3>ホクロの周囲がギザギザになったり、しみ出した様になってきた。
<4>ホクロの硬さが変わった。
●特徴は?
<1>ホクロや魚の目と思っていたのが、黒みをましながら大きくなっていくのが特徴で、特にジュクジュクしてくるのは要注意。
<2>比較的、進行が速い。
<3>病変近くのリンパ節への転移(3期)、肺や肝臓に転移(4期)すると、とても厄介なものになる。
 ●治療は?
<1>切除
<2>β-インターフェロンの局所注射。

■抗体医薬品
「協和発酵は皮膚ガンの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)の患部細胞をねらって攻撃する、新しい抗体医薬品を開発した。抗体医薬品は免疫反応をつかってガン細胞の特定のタンパク質や糖鎖などに結びつく性質を持つ。従来の抗ガン剤のように、体全体に働きかけることがないため、患部を効率的に攻撃できる。
同社が開発したのは、メラノーマの表面に集中的に発生する糖鎖GD3に結びつく抗体。GD3はメラノーマ細胞の9割で過剰に発生することが分かっている。」2000.9.1《日経産業新聞》
■人工タンパク質で抑制
米ミネソタ大学の研究グループは、悪性黒色腫(メラノーマ)などのがんの増殖を抑制する人工タンパク質を作製した。
「p16」と呼ぶガン抑制遺伝子に注目。この遺伝子から作られるタンパク質が、細胞をガン化させる2種類の特殊な酵素にくっつき、酵素を無毒化することを発見。このタンパク質に似せて人工タンパク質を作った。2005.7.13《産業》






 めくら
   =盲目
  【宝石療法】
    ゴメダ
 

 めまい   
(参照→「真性めまい」「メニエール」)
  =「眩暈(ゲンウン)」。
   ◎チェックしましょう:「大動脈症候群」「難聴」「大動脈弁狭窄症」
   ◎分類:
     「真性めまい(vertigo)」:----------“外界がグルグル回る”“世界が沈む”
 「仮性めまい(pseudovertigo)」:---“クラクラする”“立ちくらみ”
 「めまい感(dizziness)」:------------“フーとする”“フラッとする”
   ◎めまいとは自分の身体と周囲の物体との空間的関係を異常に感じることである。
     めまいは、前庭・平衡系の終末感覚器一次ニューロン、さらには小脳・脳幹や     脊髄においてネットワークをつくる二次ニューロン領域の障害によるものが多     く、大脳の三次ニューロン領域の障害ではまれである。
     <1>定型的めまい (vertigo)
       =回転感又はいずれか一方への運動感あるもの。
       (原因):第8聴脳神経、脳幹の前庭核およびこれと密接な関係にある小            脳の障害で起こることが多い。
     <2>非定型的めまい (dizziness)
       =運動の感覚がないか、あっても極めて少ないもの。
       (原因):不特定。
◎種類と治療(西洋医学):
(1)前庭性めまい:→循環改善剤・鎮暈剤が用いられる。
「循環改善剤」:
1.Hexancit 600~1200mg 分3。
  or Juvela nicotinate 300~600mg 分3。
or Ronicol timespan 150~300mg 分2。
or Colexamin 600mg 分3。
2.Capilan 600mg 分3。
or Aplactan 75mg 分3。
3.Brendill 3T 分3。
4.Kallikren 3T 分3。
or Carnaculin 3T 分3食前。
    「鎮暈剤」:
1.Travelmin 3T、分3。
or Dramamine 3T 分3。
2.Merislon 3T、分3。
or Cephadol 3T 分3。
3.Triomin 3T、分3。
or PZC 3T 分3。
4.Isomenyl 3Cap、分3
<1>抹消性めまい:(抹消前庭系の障害)
1.メニエール病:
メニエール病の内リンパ水腫には(イソバイド90ml、分3)
2.突発性難聴
3.良性発作性頭位眩暈症
4.前庭神経炎
5.内耳梅毒
6.内耳炎
7.薬物中毒
<2>中枢性めまい:
1.脳腫瘍
2.脳循環障害
3.頭部外傷後遺症
(2)非前庭性めまい:
1.眼科疾患
2.内科疾患
3.婦人科疾患
   ■主な原因はメニエール病
    「耳鼻咽喉科領域の疾患の中で、難聴と共に訴えが目立つのがめまい(平衡障害)     である。特に40~60歳代の働き盛りの世代ではメニエール病が原因と成る     ことが多い。
この病気は激しい回転性のめまいを引き起こすのが特徴だ。めまいは30分     ~3時間ぐらい続くのが普通で、耳鳴りや耳が詰まった感じ、或いは難聴を伴     う。
めまいは何時襲ってくるか分からな上に、何度も繰り返すので、「めまいが     怖くて外を出歩けない」という患者も少なくない。発作を繰り返しているうち     に、だんだん聴力も回復しにくくなってくる。
原因は、内耳の奥にある内リンパ腔の水ぶくれ(内リンパ水腫)と考えられ     ているが、なぜ内リンパ腔に水がたまるかは分かっていない。
メニエール病は原因不明のため、決め手となる治療法はいまだ見いだされて     いない。通常は、内耳の腫れをとる利尿薬や血液の循環を良くする循環改善薬、     さらには抗めまい薬などが用いられる。
こうした治療でめまいはかなり抑えられるが、日常的な予防策としては最も     効果があるのは、食事中の塩分を減らす減塩療法だ。摂取塩分量を少なくする     ことで、体の中に水分が溜まらなくなり、内耳の水ぶくれを軽減できる。禁煙、     適度な運動も有効で、高血圧など成人病の治療メニューがそのままメニエール     病の予防にも通じる。
メニエール病は、職業としてはホワイトカラー、性格的にはものごとを1人     で思い悩むタイプの人に多い。精神的ストレスが発症の誘因になっている可能     性もあるので、ストレスをためない工夫も大切だ。1999.1.17《日本経済新聞》

   ◎脳が必要とする血液量は一定しています。
    「全力で体を動かしている時でも、安静にしている時でも、脳は毎分750ˆの新     鮮な血が必要です。脳への血液供給を維持することが、血圧の調節メカニズム     の最も重要は機能の1つです。血圧が低下して脳に届く血液が少なくなりすぎ     ると、めまいがし、意識を失うことがあります。」《螺王人》

   ◎種類: (坂田英治著「めまいは恐い」講談社より)
     自発性のめまい:
  <1>回転性--------------:【グルグル回る感じ】。
        (a)急性の内耳・脳の障害から起きる。慢性化すると非回転性へ移行す          る。
①患部側に向かってめまいする。[メニエール病]
                           [小脳発作]
            ②健全な側にめまいする。[突発性難聴]
                        [急性迷路機能廃絶症]
            ③壁・天井が上へ上へ、下へ下へと流れるように回る
                       [橋出血][小脳虫部出血]
       (b)寝返りをしたり、急に立ち上がった時にめまいが起きる→
        ①『良性発作性頭位眩暈症』
        ②『悪性発作性頭位眩暈症』
        ③小脳腫瘍
        ④血圧の異常
      <2>浮動性-------------------:【フワフワ不安定に浮かぶ感じ】。
        (a)前庭小脳障害
        (b)小脳虫部・橋の梗塞
        (c)後頭蓋窩の中心部or広範囲な疾患。
        (d)椎骨脳底動脈循環不全
        (e)代謝疾患
        (d)中毒
      <3>動揺性-------------------:【ゆらゆら揺れる感じ】。
        (a)内耳梅毒
        (b)抗生物質の副作用(ストレプトマイシン、カナマイシン)
        (c)脳幹・小脳虫部の血管病変
        (d)左右半球に多発した小脳出血
        (e)両側末梢前庭性疾患
        (f)左右同時に犯された中枢前庭系の疾患
      <4>眼前暗黒感--------------:【目の前が真っ暗になる】。
        (a)貧血を含めた代謝疾患
        (b)内分泌異常
        (c)椎骨脳底動脈の血行不良。
      <5>失神発作-----------------:【力が抜けて倒れるような脱力発作】。
        (a)不整脈
        (b)テンカン
        (c)頸動脈洞症候群
     誘発性のめまい:
<1>頭位性:
      <2>頸部捻転性:
      <3>眼前暗黒感:
      <4>ジャンブリング:身体がふわふわした感じがして、特に歩くときに強い。
        (a)両側前庭機能が失調
        (b)小脳虫部の梗塞。
   ◎各論:
    『良性発作性頭位眩暈症』:
      成人病としての「めまい」で、頭部を一定位置にするときに発作性のめまいと      眼振を起こす(頭位眼振)
      頭を水平より30°下げ、一側に30~45°傾けた時に起こりやすい。
        [症状]:イ)頭の位置を変えたときに、グルグル回る。
            ロ)フワフワした感じのめまい。
            ハ)歯医者た理髪店でイスを後ろに倒した瞬間にめまい。
            ニ)寝返りをうった瞬間にめまい。
            ホ)難聴は起こらない。
        [原因]:
          バランスセンサーである「三半規管」「耳石器」に異常。
        [治療]:運動療法=頭を動かして治す。
    『悪性発作性頭位眩暈症』:
        [症状]:と同じ。
        [原因]:
          ①脳腫瘍。
          ②小脳のなかの目や耳の働きをコントロールしている前庭小脳の障           害。
    『アルコール性頭位眼振』:
        [症状]:天井が回るようなめまいで、吐き気を伴う。
        [原因]:
          酒を飲み過ぎて、三半規管の周りのリンパ液比重が変化する為。
『一過性脳虚血性発作』:
        [症状]:
           ①首の内側を通る内頸動脈系で起きると----
              (a)フワフワ浮く感じの浮動性のめまい
    (b)目の前が暗くなる眼前暗黒感の発作が多い。
           ②小脳や脳幹を支配する椎骨脳底動脈系に塞栓が起きたとき-                (a)ぐるぐる回る感じの回転性めまい。
              (b)小脳梗塞では、健全な側に向かって回る。
        [原因]:
          脳の細い血管への血液供給が一時的に滞った時に起きる。
    『メニエール病』:
        [症状]:①めまい+難聴
            ②めまいは患部側に向かって回る。
   [原因]:内耳にリンパ液が溜まりすぎた病態。
    『突発性難聴』
        [症状]:①回転性のめまい
            ②健全な側に向かって回る。
    『急性迷路機能廃絶症』
   ①回転性のめまい
            ②健全な側に向かって回る。
    『脳出血』
        [症状] 小脳虫部出血・橋出血では、病変が中心にあると、壁や天井が            上へ 上へor下へ下へと流れるように回る。
          
   ◎上を向いた時にめまいが起きる→『大動脈炎症候群』
   ■1997.8.21《朝日新聞》
    「前庭神経炎や良性発作性頭位めまい症という病気があります。これらの病気の     名はあまりなじみがないかもしれませんが、メニエール病よりはるかにポピュ     ラーな病気です。
 半規管や耳石器からの情報を中枢に伝える前庭神経の障害で、めまいが起き     る病気が前庭神経炎です。風邪などの急性上気道炎に引き続き、突然激しいめ     まいが起こります。このめまいは普通は1回のみで、その後は体を動かした時     のふらつきが数週間から数ヶ月続きます。
 一方、良性発作性頭位めまい症は、半規管の一部の異常が原因と考えられて     います。寝返りしたときなど、頭をある特定の位置(めまい頭位)に急に変えた     場合、回転性のめまいが起こりますが、1分以内に治まります。めまいはめま     い頭位をとるたびに繰り返しますが、やがて治ります。
      これらのめまいは、慢性的には積極的に運動することが大切です。逆説的な     言い方ですが、一般的にめまいをたくさん経験するほど、早く治ります。
 実際のめまい患者では、必ずしも典型的な経過をとらず、様々な検査をして     も診断がつかないことも少なくありません。その理由の1つとして、心理的な     影響が考えられます。例えば、地震をたびたび体験すると、実際には地面は揺     れていなくても、揺れて感じることがあります。めまいも同様で、めまいの原     因が治っても、長期間めまいを訴えることは少なくありません。これらの例も     含めて、めまいの治療には心理的側面への配慮が大切で、心と体のリラックス     が、めまいの予防や治療に大切です。」(萩野仁・大手前病院耳鼻咽喉科部長)
   ■抗結核剤の後遺症でめまい。
    「めまいと訴える患者の4割は原因不明だが、その1割近くを抗結核剤ストレプ     トマイシンなどの後遺症が占めていることを、さく病院(福岡市)の調希久子・     耳鼻咽喉科部長らが調査で明らかにした。
 調さんは前任の福岡大筑紫病院勤務のとき、周りが回転しているように感じ     るめまいの患者で、2、30代に結核を患い、硫酸ストレプトマイシンや複合     ストレプトマイシン、カナマイシンなどの注射を受けていた人が予想以上に多     いと気付いた。1991年以来、すでに50人。骨折や風邪などが引き金で始     まることが多い。
 坂田英治・埼玉医大教授(平衡神経科)によると、これらの抗生物質は結核治     療に不可欠だった半面、「難聴」を招くなど平衡神経系への副作用が強かった。     改良された製剤も、15~30年後にめまいを起こすことがあることを知って     いたのは、ごく一分の年配専門医だけだ。「今の医療現場ではすっかり忘れら     れており、指摘は大変重要」という。1997.1.19《朝日新聞》
   ■営業マンの体に異変
    「79年冬のある日の夕方だった。自社の商品を売り込もうと懸命になっていた     商談の最中に、全身を震えが襲い、激しいめまいがして話が出来なくなった。    「自分の体にいったい何が起きたんだ」。東京都内の会社に勤めていた松本始さ     ん(仮名54)は予期しない体の異常に気持が動揺した。
商談相手は驚いて懸命に体を気遣ってくれるが、震えが止まる気配はない。     商談はとても続けられなかった。会社の近くの病院に駆け込み、翌日には自宅     近くの総合病院に入院させられた。
「これは普通ではないな。自分の体はどうなっているんだ」。自分の体には     自信があった。これまで病院に行ったことはほとんどなかったし、最近体調の     変化があった訳でもない。当時30代半ばの働き盛りの体を武器に、得意先の     接待には深夜までつき合い、自社の商品を売り込んでいた。
体に今まで経験したこともないような倦怠感、脱力感がつきまとい、なかな     か抜けない。約1ヶ月後に出た検査結果は「異常なし」。退院後は自宅療養す     ることになったが、「気分は悪いままなのにどうしてあんな診断なんだ」と納     得がいかなかった。
1ヶ月以上も会社を休むのは初めてだっただけに、療養中でも「自分の仕事     は今どうなっているのだろう。会社への復帰に備えなくては」と、気がはやる。     症状はあまり良くなかったが、ある日、長男を連れて会社まで行ってみようと     通勤経路をそのままたどってみた。
すると、体は会社に行くことへの「拒絶反応」を示した。人混みでごった返     すターミナル駅に降り立った途端に、吐き気がし、足がわけもなくガタガタ震     えて立っていられなくなったのだ。「前の発作の時とも、倦怠感とも違う。で     もこんなことは会社には言えない」。仕事の行方が気になっていたこともあり、     翌年春には会社に行き始めた。
しかし、バリバリの営業マンとして残業をいとわず働いていたかっての自分     にはとても戻ることが出来なかった。得意先を飛び回り自社の商品を懸命に売     り込むどころか、会社にいたままでも気分が悪くなり早退することの繰り返し     だ。
調子が悪いのは勤務時間中だけではない。通勤の時に、駅や会社の近くの人     混みに混じると息苦しい感じがし、風邪もひいていないのにマスクをしないと     歩けなかった。「自分は何か得たいの知れない病魔に侵されている」。1ヶ月     後には別の総合病院に入院することになった。1998.3.18《日本経済新聞》
■まずは安静、シビレに注意
「都内に住む60代のAさんは、勤務先の会社を定年退職したばかり、趣味の音楽鑑賞をじっくり楽しむつもりだった。ところが、鑑賞中に“どうも低音の聞こえが悪いな”と感じるようになった。続いて、目の前がグルグル回りだしたようなめまいと吐き気に見舞われた。
立っていられないほどのめまいの場合、耳の奥にある[内耳]に何らかの問題が起きていることが多い。内耳は音を伝えるだけでなく、体の平衡感覚を保つ働きも担っている。
東京大学病院耳鼻咽喉科の室伏利久講師によると、めまいの原因として最も多いとされるのは、頭の向きを変えた時などに起こる『良性発作性頭位めまい症』。たいていは2~3分で症状が収まる。一方、続いて多い『メニエール病』は起きあがれない状態が数時間続き、音が聞こえにくくなったり、耳鳴りがしたりする。どちらも症状は繰り返し起こる。Aさんはメニエール病だった。
激しいめまいに襲われたら、吐いた物がのどに引っかからないように体を横たえ、衣服をゆるめて症状が弱まるのを静かに待つのが基本。問題のある側の耳を下向きにすると気持ちが悪くなることがあり、この時は逆っ向きに寝る。乗り物酔いの薬が効果を示すこともあるが、なるべく早めに専門医の診察を受けた方がいい。放っておくと、聴力の低下を招くこともある。
最も危険なのは、めまいに加えて手足がシビレる、物がだぶって見える、といった状態が重なる場合だ。脳のどこかで障害が起きている可能性がある。この時は一刻も早く病院へ。処置が遅れると、命に関わることもある。“強いめまいが起きたら、ろれつが回るかしゃべってみたり、体をつねってみたりしてください”と室伏講師は話す。
メニエール病の原因ははっきりしていないが、強いストレスや睡眠不足、喫煙や塩分の取りすぎなどがあると起きる可能性が高まるとされている。
30代後半のBさんは、成績がトップクラスの営業マンだった。業績を維持しようと闇雲に働き続け、ついにメニエール病による激しいめまいを起こした。「めまいは“体を休めろ”というサインであることもある」と話す医師もいる」1999.5.23《朝日新聞》
■三半規管に個人差
「慶応義塾大学の理工学部の田中俊幸講師と医学部の國弘幸伸講師らの研究グループは平衡感覚を保つ働きがある耳の三半規管の詳しい立体構造を解明した。コンピュータ断層撮影装置(CT)を使って調べたところ、半規管同士の角度が従来の報告と異なり、個人差が大きいのが分かった。めまいが起こる仕組みの解明につながる成果。
三半規管は3つの半円状のループ管が組み合わさった構造。研究グループは健康な成人16人について、CTを使って各人のループ管を三次元座標を高精度で計測して、ループ管相互の位置関係や角度などを割り出した。
この結果、三半規管の立体構造は個人によるばらつきが非常に大きいことが分かった。説くに、水平方向に寝たループ管「水兵半規管」の個人差が大きかった。
これまでは死体から三半規管を摘出して実際に角度を測った例が報告されているが、症例数が少なく、個人差までは把握していなかったという。2003.1.22《日経産業新聞》
  【色彩療法】
    <1>緑色
    <2>紫色
【民間療法】
    ○アマ・イブキボウフウ・ウド・ウマノスズクサ・オケラ・カギカズラ・カノコ     ソウ・キク・キリ・コブシ・サジオモダカ・サフラン・サンシュユ・シャクヤ     ク・セミ・センキュウ・トウキ・ハッカ・番茶・ヒオウギ・ホオズキ・メハジ     キ・ユキノシタ。
  【漢方療法】
    ◎目眩、頭眩、眩運ともいう。動悸とめまいが同時にある時は「眩悸」ともいい、     頭に何かかぶっているようで重くて、めまいするのを「冒悸」という。
《大塚敬節》
     <1>貧血がひどくてめまい:[四君子湯][連珠飲]
     <2>逆上してめまい:[桂枝加竜骨牡蛎湯][加味逍遥散][女神散][麦門冬湯]      <3>動悸が激しくてめまい:[炙甘草湯][半夏厚朴湯桂枝加竜骨牡蛎湯]
  【処方名-五十音順】
    茵蒿湯
    黄竜湯「柴・・参・甘」
 黄連解毒湯
のBSE小の患者にくるめまい。脳充血、高血圧症、更年期障害などにみられるめまいに。(漢方診療医典)
    加味四物湯[5]
      「当・芍・・生地・熟地・蓍・参・朮・陳・茯・穂・甘、棗・梅」
 加味逍遥散
血の道症、更年期障害のときのめまい(漢方診療医典)
    甘草乾姜湯
    葵子茯苓散
 帰脾湯
    帰膠湯「、阿、甘、、当、芍、乾地」
    帰湯「、当帰」《厳氏済生方》
    帰調血飲「当・・朮・茯・熟地・陳・烏・香附・丹・乾・益・棗、姜」
    竅散[1]「、当、・旋・蔓・細・石膏・藁・穂・半・熟地・防・甘、姜」
    朮湯「・朮・半、炙甘、姜」
    玉液湯「半、姜」
    近効方朮附湯
    荊黄湯[1]「大黄・穂・防」
    桂枝加葛根湯    
    桂枝加竜骨牡蛎湯
    桂枝茯苓丸
    桂芍知母湯
    香橘飲「半、陳・白茯・白朮、木香・縮・甘草(炙)、姜」
 呉茱萸湯
 五苓散
    柴胡加竜骨牡蛎湯
やや肥満体質で、上腹部が膨満し、胸脇苦満を認める患者。神経質で興奮しやすく、めまいを訴える(漢方診療医典)
    柴胡桂枝乾姜湯
    柴朴湯
    三黄瀉心湯
    酸棗仁湯
    滋陰脾湯「白朮、陳・半・白茯、当帰・白芍薬・生乾地黄、人参・白茯神・麦門        冬・遠志、川・甘草、姜、棗」
    四君子湯「茯苓、白朮・人参、甘草・大棗・生姜」
    四君子湯倍蜜・黄蓍(炙)・半夏・陳皮・川・荊芥(肥った人)
    四神散「甘菊・当帰・旋覆花・荊芥穂、葱白・茶末」
 七物降下湯
    磁朱丸
    十全大補湯
    生地連湯「生地黄・川・当帰、赤芍・山梔子・黄・黄連、防風」
    小建中湯
    小半夏加茯苓湯
    消風散[1]「当帰・地黄・防風・蝉退・知母・苦参・胡麻・荊芥・蒼朮・牛蒡・         石膏・甘草・木通」
消風散[2]「荊芥・甘草、人参・茯苓・白彊蚕・川・防風・香・蝉退・活、         陳皮・厚朴、細茶」
    逍遥散
    真武湯《傷寒論》
低血圧の患者のめまいんい用いることが多い。疲れやすく、冷え症で、下痢しやすく脈は沈小弱または沈遅である(漢方診療医典)
    清暈化痰湯「陳皮・半夏・白茯苓、枳実・白朮、川・黄・白・活・人参          ・南星(炮)・防風、細辛・黄連・甘草、姜」
    川丸「桔梗、川・薄荷、細辛・甘草」
    川散[1]「山茱萸肉、山薬・甘菊・人参・川・茯神」
川散[2]「黄連・片、生乾地黄・甘草(炙)、活・防風・藁本・升麻・甘草          (生)、柴胡、川」       
    全生活血湯
    大黄散「大黄」
    沢瀉湯「沢瀉、白朮」
    鎮肝熄風湯「生代赭石・生竜骨・生牡蛎・生亀板・生白芍・懐牛膝・玄参・麦門          冬・川楝子・生麦芽・茵蒿・甘草」
    独活寄生湯 「独活・桑寄生・秦・防風・細辛・当帰・芍薬・川・熟地・杜           仲・牛膝・人参・茯苓・甘草・桂心」
    釣藤散「釣藤鈎・陳皮・半夏・麦門冬・茯苓・石膏・人参・菊花・防風、甘草・        干姜」
    通導散「当帰・紅花・大黄・芒硝・枳実、蘇木・木通・厚朴・陳皮・甘草」
    天麻釣藤飲「天麻・釣籐鈎・生決明子・山梔子・黄・川牛膝・杜仲・益母草・          桑寄生・夜交藤・朱茯神」
    天麻半夏湯「天麻・半夏、橘皮・柴胡、黄連、姜」
    桃核承気湯
    当帰芍薬加附子湯
    当帰芍薬散
妊娠中のめまい、産後のめまいなどに用いる機会がある。腎炎にくるめまいにも用いる。頭に何かかぶっているように重くてめまいを訴えるものを目標とする。患者は冷え症で、血色のすぐれないものが多い(漢方診療医典)
    二陳湯
    二陳湯四物湯片・薄荷・竹瀝・姜汁・童便」
    女神散「当帰・川・白朮・香附子、桂枝・人参・黄蓍・檳榔子、黄連・木香・        丁香・甘草(炙)、大黄」
血の道症、更年期障害のときのめまい(漢方診療医典)
    人参前胡湯「半夏、紫蘇葉・枳殻・赤茯苓・南星(炮)・前胡・橘紅・甘草(炙)、          木香・人参、姜」
    麦門冬湯
    半夏厚朴湯
不安神経症の患者にくるめまいに用いる機会がある、めまいのほか、発作性に心悸亢進を訴えたり、ノドに何か詰まっているように感じたりすることがある(漢方診療医典)
    半夏白朮天麻湯
胃下垂症。胃アトニー症の患者にみられるめまいの用いることが多い。同時に頭痛を伴うことがある。半夏厚朴湯証の患者のような不安感を伴うことはなく、腹証では半夏厚朴湯証のそれより虚証で弾力の乏しい、半夏厚朴湯証では比較的弾力があって、軟弱無力というほどではない(漢方診療医典)
    白虎湯
    白丸「白(新)」
    白散「白」
    白附子丸「白附子(炮)・天南星(炮)・半夏(姜製)・旋覆花・甘菊・天麻・川・         橘紅・白蚕(炒)・乾姜、全蝎」
    防風散[1]「防風・川・白・甘菊・甘草」
    防風通聖散「川・防風・当帰・芍薬・連翹・薄荷葉・麻黄・芒硝・大黄・生姜、         石膏・桔梗・黄、白朮・山梔子・荊芥、滑石、甘草、干姜」
    補虚飲「人参・麦門冬・山薬、白茯苓・茯神、半夏(製)・黄蓍、前胡・熟地黄、        枳殻・遠志・甘草(炙)、姜、黍米」
    補中益気湯
    養血風湯「当帰・川・生乾地黄・防風・荊芥・活・細辛・藁本・石膏・蔓          荊子・半夏・旋覆花・甘草、姜、棗」
    沃雪湯[1]「薄荷葉、甘草、荊芥穂・白塩、天花粉,縮砂」
    抑肝散「当帰・白朮・茯苓・釣藤鈎、川、柴胡・甘草」
    抑肝散加陳皮半夏「当帰・白朮・茯苓・釣藤鈎・半夏、柴胡・甘草、陳皮」
    苓桂朮甘湯
本方は心下部に停水があって、この部が膨満し、尿利の減少があり、めまいを訴える者を治す。めまいとともに動悸を訴えるものもある。俗に言う立ちくらみによい(漢方診療医典)
    六味丸



 めんどう(大儀)
   =おっくう=何もしたくない。   
  【処方名-五十音順】
    柴胡加竜骨牡蠣湯(動作不活発)  



 目が赤い
  =目の充血
◎参照→ベーチェット病。
  【処方名-五十音順】
    茵蒿湯
 温清飲
 越婢加朮湯
 黄連解毒湯
    桂枝湯(表虚証、自汗、悪寒悪風、頭痛発熱、乾嘔、脈浮弱)
    三黄瀉心湯
    滋陰降火湯
    地黄粥(寝て起きたとき、目が赤く腫れ、すこしたつと無くなる者
    梔子柏皮湯(身黄、発熱、腹満なし)
    小青竜湯(咳嗽、喘、鼻水、)
    升麻葛根湯
    清上防風湯(顔面の発赤・熱感・かゆみ、化膿性皮疹、目の充血、口渇)
    逍遥散
    大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
    釣藤散
 防風通聖散
    竜胆瀉肝湯(湿熱、子宮付属器炎、排尿痛、小便淋濁)
   苓桂朮甘湯(小便不利、めまい、)


 目が痛い
    (参照→「コンタクトレンズ障害」「再発性角膜上皮びらん」)
  =眼疼
   ⇒1.眼眥と白眼が疼痛する。昼激しく痛み、陽に属する。
    2.目珠と黒眼が疼痛する。夜激しく痛み、陰に属する。
   ◎「眼縁炎」=「風弦赤爛」「眼弦赤爛」「爛弦風」
    「小児のただれ目によく似て、多くは婦人の血症からくる。大人にも小児にもあ     る。この症格別に赤いものを俗に血目という。また格別赤くないものを湿目と     いう。湿目には葛根湯朮・大黄を用いる。また血目には桃核承気湯を用いる     がよい。また格別に血の多い者には当帰建中湯または桃核承気湯を用いる」     《柚子流眼療秘伝書》
   ■雪眼炎
    「紫外線による角膜障害である雪眼炎は日中、スキーをしている時には発症しな     い。多くは、紫外線を受けた6~24時間後に目が充血し痛くなる。時間が経     過しているため原因が分からず、次の日もゴーグルやサングラスを掛けないま     ま滑ってしまい、炎症を拡大させる。特に年間で紫外線量が最も多い3~5月     の春スキーの場合は、曇り空でもゴーグルをつけて目を保護するように気を付     けよう。1996.12.30《日本経済新聞》
  【鍼灸】
     「騎竹馬穴(肝兪の上1寸)。脊柱に近く接し、脊柱を去る約1寸。」《沢田流      聞書鍼灸眞髄》
  【処方名-五十音順】
    夏枯草散[2](目が痛み、冷涙が流れる、陰に属する。)
救苦湯(眼が激しい赤腫で、苦痛に耐えられない
眼疼1号(瞳が痛みに耐えられないとき)
    瀉青丸(目が赤く、便秘)
    十全大補湯枸杞子・甘菊(目が痛むが、目やには出ない)
    升麻葛根湯)
    通導散(顔面赤色、頭痛頭重、肩こり、腹直筋拘攣、爪<暗赤色>、下腹        部膨満、便秘、動悸、脈細実)
    八味地黄丸枸杞子・甘菊(目が痛むが、目やには出ない)
  【臨床例】
    ☆眼球痛や眼精疲労が治った例。
      「越中二口の誓光寺の主僧、某は、診治をいて曰く。「貧道、眼目、外瘴      して明を碍ぐること有るには非ず。然して但、物を望みて久すること能わ      ず、或いは之を強るときは則ち方圓大小なく、須臾にして漸に殺す。最後は、      錘芒し輙ち射るが如く、目中則ち痛みで忍ぶべからず此の如きものは凡そ三      年」と。
《吉益東洞》先生、為に之を診す。上気し、煩熱して、體肉動す。苓桂      朮甘湯及び黄散をつくりて之を服す。数十日、その、稍眞にして復た錘      芒なし。
是において僧、歸期すでに迫る。復た謁して曰く。「越の、京師を去るや      殆ど千里、且つ道路嶮、度るに再び上り難し。病尚、盡きざるあれば、願      わくば、方法を授かるを得て以て歸るなり」。因って復た之を診す。前證皆      除く。但、胸脇苦満することを覚ゆ。乃ち小柴胡湯の方を書して以て、之を      與う。
僧、歸りて後、信じて之を服す。他證ありと雖も、復た他薬でず。一日俄      に大いに悪寒し四肢戦慄し、心中煩悶して気息すること能わず。弟子驚愕す。      醫を延びて治することを謀る。病者、心を掩ひ、徐(よう)やくに言いて曰く、     「寧ろ死すとも他薬することなし」と。更に復た小柴胡湯をつくりて連りに数      剤を服す。少らくして、蒸振し、煩熱し、汗腹背に溢れる。是に至りて舊痾      百患(=昔から慢性的持病の諸症状)、一旦頓に除く。
四體清快にして大いに往常に異なる。僧は乃って之を為せるを書に作りて      一介を走らせ先生に謝せりと云う。」《建珠録》





 目がかすむ
(参照→「かすみ目」」)
=目が暗く感じる(=眼昏)。
   <1>老人の眼昏:[夜光育神丸][明眼地黄丸][呂仏翁方][還晴丸][滋隣地黄方]
   <2>労傷の眼昏:[益気聡明湯]
   <3>婦人の眼昏:[抑青明目散]
   <4>傷寒熱病後に目が見えず、又は膜が出るとき:[石決明散]を飲み春雪膏をた          らす。
   <5>物が2つに見える:[保肝散][駆風一字散][腎気丸][地芝丸]
  【処方名-五十音順】
 温清飲
益気聡明湯(老人の労傷と虚損による眼昏、耳鳴りに)
    加味滋朱丸(目が暗い)
    杞菊地黄丸
    四物五子元(目が暗い)
    四物湯(貧血、皮膚枯燥、動悸<上>、神経症状、腹部軟弱、脈沈弱)
 十全大補湯
    釣藤散
    女神散(不安、イライラ、憂鬱、肩こり、頭痛、めまい、動悸)
    蔓菁子丸(目が暗い)
明眼地黄丸(老人の冷涙と昏花を治す)
    夜光育神丸(老人の眼昏)
    抑青明目散(婦人の怒気で肝が傷つき目が暗い)
    苓桂朮甘湯(めまい、胃内停水、小便不利)
呂仏翁方(老人の内障昏暗を治す)


 目がかゆい
(参照→シックハウス症候群)
  【処方名-五十音順】
    茵蒿湯
    茵五苓散
 越婢加朮湯
    黄連解毒湯
    釣藤散


 目がきたない
  【処方名-五十音順】
    茵蒿湯(目が黄濁)
    三黄瀉心湯 (結膜黄濁


 目がくらむ
  【処方名-五十音順】
    加味帰脾湯
    小柴胡湯
    真武湯
    苓桂朮甘湯



 目が覚めない
   =「朝、起きれない」「目覚めが悪い」「寝起きが悪い」
■起きるときの眠りの深さが決め手
「目覚めがすっきりしないと答えた人のうち、7時間以上眠っている人は49%もいる。睡眠時間がきちんととれているのもかかわらず、すっきりと目覚めることが出来ないわけだ。目覚めの良さ、悪さはどこで決まるのか?
●デルタ波の出方で起床のタイミングを変えてみると
アンケートの結果から、目覚めのよさ、悪さを決めるのは、必ずしも睡眠時間の長短ではないことが分かる。実験に協力してくれたAさんは非常に寝起きが悪く、毎朝ギリギリの出勤。目が覚めるまでの時間が長くかかり、覚めてから会社に行くまでも頭はボーっとしているそうだ。
睡眠中の脳はδ波という脳波を出している。このδ波が強いときは眠りは深く、δ波が弱まると眠りは浅くなっていることが知られている。そして睡眠中のδ波は強弱を繰り返している。これは、深い眠りと浅い眠りが交互に訪れていることを示している。実験では1日目はδ波が半分ぐらいの時に起こしたが、いつもと変わらない目覚めの悪い状態だった。2日目にδ波がほとんど出ていない状態で起こしたところ、いつもよりスッキリと目覚める結果となった。
すなわち、「眠りが浅いときにスッキリ目覚めることが出来る」ことが分かった。では、その状態を作り出すことは出来るだろうか?
眠りの浅い状態を作り出すために、3種類の刺激を与えてみたところ、それぞれ違った結果が得られた。
①匂いの刺激:
 「δ波に変化無し。眠りの状態は変わらない、目覚めに通じる変化は起こらない。」
②光の刺激:
 「δ波はつるやかに減っていく。目覚めには至らない。
③音の刺激:
 「δ波は一気に消える。名前を呼ぶと簡単に目覚める、急激な目覚めを起  こす」
3種類の刺激の中で目覚めを引き起こすことが出来たのは音の刺激だけ。ただし、その急激な目覚めは、めざす“スッキリした目覚め”に「なるだろうか?。バランス計を使って、目覚めの「スッキリ度」を測ってみよう。
両目をつぶって片足でバランス計の上に立つ。安定していれば、すっくり目覚めた証拠。音の刺激で起きた人はふらついてしまった。スッキリ度は最低の[1]。
●究極の目覚ましは?
スッキリ気持ちよく起きられる究極の目覚ましを。人工的に作り出してみよう。
まず、寝室のカーテン、雨戸は完全に閉めることが大切。外からの音や光の刺激は、自然な眠りの状態を妨げるからだ。
電気スタンドは起床時間の10分前に点灯するようにセット。ラジカセは起床時間の5分前に音楽が流れるようにセットする。最後に目覚まし時計を起床時間にセット。
目覚まし時計が鳴る前に自然に目覚めたAさんは、「明かりがついたのは気づかなかったけど、音楽が鳴った時にパッと目が覚めた。普段より数段気分がいい」とのこと。A参の「スッキリ度」をバランス計でチェックすると-------。スッキリ度は[4](普段は2)で、非常によい目覚めだったことが分かる。」
(NHKためしてガッテン)
   ■起きたい時刻に目覚める
    「人間が起きようとする時刻にほぼ正確に目覚める“目覚まし時計の機構”の仕     組みは、血液中の副腎皮質刺激ホルモンによることをドイツ・リューベック大     のヤン・ボーン博士らが解明し、7日発売の英科学誌ネイチャーに発表した。
研究グループは、健康な若者15人を3夜にわたって実験。うち1夜目は翌     朝6時、2~3日夜目は同9時に起きるよう指示した。ただし、最後の朝だけ     は指示した時刻より3時間早い6時に起床させた。
この過程で被験者の副腎刺激皮質ホルモンの血中濃度を調べたところ、起き     るように指示した時刻の約1時間半前から分泌が活発化した。しかし、当初指     示した時刻より早く起こしたときは、このホルモンの血中濃度の上昇は見られ     なかった。
研究グループは、人間にとって睡眠から目覚めること自体がストレスである     と指摘。このため睡眠中でも、起きる時間が近づいてくることを無意識下に自     覚すると、ストレス反応を担う脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンの分泌が盛     んになり、その血中濃度が増えて目を覚まさざるを得なくなる、とみている。」     1999.1.7《日本経済新聞》




 目がチカチカする
(参照→シックハウス症候群)


 目が疲れる
■筋肉が落ちるとピント調節機能が落ちる
「眼球の直径はわずか25mm。内部は硝子体という透明なゼリー状の物質が詰まっている。頭蓋骨にある丸いくぼみにおさまり、周囲に筋肉の働きで上下左右に自在に動く。
ものが見えるのは、光が角膜と水晶体を通って網膜に焦点を結び、それを完治した視神経が信号を脳に送るから。
対象物に焦点を合わせるために、水晶体の周囲の毛様体筋が伸び縮みしてレンズである水晶体の渥美を調節する。「見る」ことは、実は「力仕事」。だがら目は疲れる。
体を動かさず、目だけ使う実験をすると、肩の凝り具合は50%もアップすることが分かった。眼精疲労は明らかに肩こりの原因。同時に、目がピントを調節する力は、作業の後では確実に落ちていた。」(NHKためしてガッテン)
  【処方名-五十音順】
    帰膠湯
    七物降下湯
    四物湯
    十全大補湯
    苓桂朮甘湯


 目が熱っぽい
   =目が腫れる。
  【処方名-五十音順】
 黄連解毒湯
    経効散(眼が腫れ、目やにが多い)
    

 目の異常
    (→内障)(→膜)(→外障)(→眼花)(→眼昏)
   ◎主薬:
     眼腫には、大黄・荊芥を主薬とすべし《万病回春》
     眼中の雲翳には、白豆を主薬とすべし《万病回春》
  【処方名-五十音順】
    黄蓍散(瞳から膿が出る)
    槐子丸(風邪で瞳がかすむ)
    加減撥雲散(諸般の眼病を治す)
    夏枯草散(瞳が痛く冷涙があふれ、明るいのを嫌う)
    観音夢授丸(内障で目が腫れた者。塩辛い物の食べ過ぎが原因)
    還晴丸[3](遠近の一切の眼疾患。内外膜の努肉・爛弦・風眼。老人の         虚弱による目昏・多晴・迎風冷涙を治す)
    還晴紫金丹(爛弦風を治す。点眼薬)
    帰葵湯(黒花が出、涙が出、目の中に火気があって陽を嫌う者)
    揆雲散(眼目が暗く、かゆくて痛い)
    救苦湯(目尻が赤く腫れて痛い)
    香蘇散前胡・蓮鬚葱白3茎(まばたきが出来ない)
    局方密蒙花散(目がくらく、赤く腫れる)
    駆風一字散(目がひどくかゆい者)
    瞿麦散(砂が目に入って出ないとき)
    軽効散(目に打撲傷を受けた者)
    経効散(眼が腫れ、目やにが多い)
    五黄膏(目赤・腫痛)
    五退散[1](まつげが乾き、刺すように痛む)
    牛黄丸(小児の通晴(外障の一種)を治す)
    固本還晴丸(一切の眼疾。内外膜が瞳子をおおい、風眼が爛弦する症。          老人の目やに。風にあたると冷涙が流れる症
    犀角飲(黄膜が上がって瞳が痛み閉渋の者を治す)
    犀角散(失明を治す)
    柴胡湯[2](目が赤く腫れ疼痛)
    散熱飲子(目が赤く腫れ疼痛)
    地黄元(ながく視つづけて目が弱くなった者)
    地黄膏(目に打撲傷を受けた者)
    地黄散[2](混晴を治す)
    四物竜胆湯(目が赤く腫れて痛み、雲が出来る)
    車前散(が出、涙が多い)
    春雪膏[1](目赤・腫痛・涙が出る者。点眼薬。)
    春雪膏[2](眼目赤腫と障の出る者。点眼薬。)
    生地黄散(目に打撲傷を受けた)
    消毒飲(まぶたに栗つぶ状のものが出来る)
    神効明目湯(目の周りがつれ、まつげが乾き、目の上下が腫れ、瞳が痛く、涙が          流れ、目が開けられない者)
    聖草散(爛弦風と虫痒)
    清肺散[3](白眼が腫れ、日夜疼痛する)
    清涼散[1](水瑕と深の青色を治す)
    石決明散(目が腫れて痛み、膜を生じ、目の中に鶏冠のようなもの)
    石膏活散(遠近の内外障・風熱・昏暗を治す)
    蝉花散(涙が多い)
    蝉花無比散(目がはっきりせず、かゆくて渋い)
    蒼朮散(肝臓に風熱があって、冷涙が止まらない者。
    速効散(努肉・紅絲・紅白障と白珠眼に死血があって、腫れ上がり耐        え難い疼痛)
    洗肝明目散(目が赤く腫れ疼痛)
    大明復光散(一切の眼疾。内外障を治す)
    釣藤散(目がクシャクシャする)
    通血丸(血が瞳に入って痛む者)
    通聖散加減(眼目の赤腫・風熱爛弦・紅筋・血などの症を治す)
    点膏(膜を治す。点眼薬
天門冬飲子(瞳がまっすぐでない者)
    定心元(固い肉が瞳をおおう)
    二黄散(固い肉が瞳をおおう)
    白蚕散(冷い風に当たると涙が出、冬になるとさらにひどくなる者)
    白薇元(瞳から膿が出る)
    八味地黄丸十全大補湯枸杞子・甘菊(痛んで、目やにが出ない)
    百点膏(膜を治す。点眼薬)
    保肝散(天を見ても二つにみえ、内障になろうとする者)
補肝散[1](肝風内障で、痛がゆく、一物が二物に見える)
    補肝散[2](肝と腎が弱く、黒眼にが出る者)
    明目細辛湯(目の周りがつれ、まつ毛が乾き、目の上下が腫れ、瞳が痛          く、涙が流れ目が開けられない者。)
    明目流気飲(かすみ目)
    木賊散(目に冷涙の多い者)
    竜胆散[2](瞳が腫れる)
竜脳膏[1](小児の胎風赤爛を治す、点眼薬。)
羚羊角散[2](緑風の内障・昏花を治す)
    羚羊角散[3](目に硬い腫れ物が出来、目が開けられない)
    羚羊角散[4](氷の治らないとき)
    臘茶飲(赤脈が上から下る)
    炉甘石散(爛弦風を治す)
  【臨床】
    《方技雑誌》
     「紀藩の吉岡宅右衛門の息芳太郎は、年々、右の眼のひとみに星が出来ていた      が、3年前に、その星が腫れつぶれ、その後が白く凹んだ。それはちょうど      あばたのようで、少しも見えないと云う。余が診てみるに、目やにも出ず、      痛みも、カユミもない。また赤味もない。ただつぶれた後が、よほど低く白      く、新月の形をして、瞳を被っている。詳しく経過を聞いてみるに、2、3      歳の時、頭瘡を患ったことがあると云う。余はその時の毒が残って、隠れて      いて、この病気の種になったに違いないと思った。そこで難治であることを      告げ、葛根湯に気胸・反鼻を加え、紫円を兼用とし、毎日2、3行ずつ通じ      のあるようにした。その頃、会津の藩医水野清庵が君命を受けて、土生玄碩      のところへ、眼疾の治療を学びに来ていたが、時々余が家にも詩文の話に来      た。そこで右の病状を話したところ、それは不治の症だという。余がそれは      どうしてだと、尋ねたところ、およそ眼の中の水胞や腫瘍などの痕が陥凹し      たのは、例えば、漆器の剥げたのと同じ道理で、大小にも場処にも拘わらず、      どのようにしても治らない者だと、師匠の玄碩は申す。これは、天然痘のあ      ばたが平にならないのと同じことだが、処方は何を用いているかと問うから、      葛根湯桔梗反鼻で、凝閉痼着の毒を動かしておいて、紫円で下して、掃除      をするようにすれば、まだ年も若くて元気も充実し、血液の循環も良いから、      回復するだろうと、答えたところ、清庵は師の説を主張して賛成しない。し      かし余は心を動かさず、前方を与えておいたところ、1ヶ月ばかりたつと、      白色が次第に薄くなり、凹んだ処も少し浅くなったように見えた。そこで益      々前方を続けていたところ、少し物が見えるようになったので、これを清庵      に話したところ、清庵は手を拍って、それは奇妙なことだ。それならば吐酒      石4銭を蝋膏にて塗り、大椎から11椎まで、背部一杯に塗りたまえ、力を      入れて擦り込むようにするがよい。これを3分して3日間塗れば、必ず小瘡      が出来る。そうなればますます眼のために良いであろうと云った。そこでそ      の通りにしたところ、瞑眩を起こし、悪寒発熱し、手足までも水痘のような      発疹が出来た。処方はやはり前方を用い、20日ばかりたつと、論語の本文      が見えるようになり、また20日ばかり用いると、註文の小さい字も読める      と云う。その頃はもう白色も極薄くなり、凹んでいたところも高くなり、発      疹もかせた。なお前方を用いること1ヶ月ばかりで瞳は全く普通になっった。      清庵も、これにはひどく驚いた。それから30年たつが、今に全く眼には何      の障害もない。これは始終転方せずに、毒を駆り尽くしたために、再発しな      いのである。


 目の下のクマ→「くま」


 目の色
  【処方名-五十音順】
    茵蒿湯(黄濁・きたない色)
    茵五苓散(目が黄色い)


 目の乾燥感
   ⇒目が乾く。
  【処方名-五十音順】
    杞菊地黄丸
    四物湯(貧血、皮膚枯燥、動悸<上>、神経症状、腹部軟弱、脈沈弱)
    当帰飲子(虚証、貧血、皮膚枯燥、掻痒)

 目に力がない(眼勢無力)
  【処方名-五十音順】
    補中益気湯


 面黒(めんこく)
  【処方名-五十音順】
    木防已湯
    六味丸(形痩、腎陰虚、ほてり)

 面疔(めんちょう)
   ⇒顔面のフルンケル()のことで、しばしば蜂織炎を伴い、重症となる。
  【処方名-五十音順】
 葛根湯
    葛根湯桔梗石膏
    桂枝附子湯
    排膿散
    排膿散及湯
 防風通聖散


 面病
  【処方名-五十音順】
    升麻胃風湯《脾胃論》
    升麻黄連湯《衛生宝鑑》
    走馬順気湯《医学入門》
    升麻白湯《衛生宝鑑》
    升麻附子湯《衛生宝鑑》
 清上防風湯《万病回春》
    補胃湯《医学入門》
    連翹散《医学入門》


 面疱(めんぽう)
   =「にきび」
   ⇒毛孔に皮脂がつまって出来る栗粒大で円錐形の硬い皮疹をいう。
  【処方名-五十音順】
    桂枝茯苓丸
    十味敗毒湯(過敏性体質、神経質、胸脇苦満、発熱悪寒、化膿・)
    桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)


面目浮腫
  【処方名-五十音順】
    麻杏甘石湯
    八味地黄丸


 免疫芽球性リンパ節症 ammunobkastic lymphadenopathy
   ⇒悪性リンパ腫に類似の臨床症状を示す。






 免疫機能不全
(免疫機能低下)
   ⇒体が細菌・ウイルス・真菌類に侵入されると、最初の防衛は皮膚と、口・鼻・肺    などの内壁となっている粘膜です。細菌は皮膚が破れていないと体内へ侵入出来    ません。汗と皮脂も細菌に対し殺菌消毒力があります。粘膜は皮膚よりもバリヤ    ーとしての有効性が劣り、大部分の細菌は入れてしまいます。
 一旦、何らかの危険な微生物が体内に侵入すると、一連の事態が動きだし、    血液・リンパ系・脾臓・胸腺・組織液などの様々な特殊化された細胞が働き出し    ます。これが免疫反応と言われるものです。
骨髄とリンパ組織(リンパ節・脾臓・胸腺)とで形成されるリンパ球は、複雑    なタンパク質(γ-グロブリン)から抗体をつくることが出来ます。
リンパ系は、免疫反応で重要な役割を演じます。伝染(異物侵入)への反応と    して、リンパ節で多数のリンパ球が形成されます。普段より多い数の細菌がリン    パ液のなかを循環しますと、リンパ球の生産が劇的に増大します。また、リンパ    節の中にある大食細胞が細菌などの好ましくない微分子を食べてしまいます。そ    してリンパ節のあらゆる活動は高まり、死んだ細胞や細菌が蓄積してリンパ節は    膨らみます。この腫脹は首・腋の下・鼠径部でよく見られます。

   ◎免疫力を示すナチュラルキラー細胞(NK細胞)の数は、
     イ)笑うこと、楽しい気分によって高まる。
       サウナに入って汗をかいたあと、さっぱり洗い流すとβ-エンドルフィン       が血液中に放出され、NK細胞の活性が高まる。ただし、このとき、いや       いや仕方なくサウナに入ったのでは、NK細胞が活性化されません。
     ロ)悲しい、不愉快なことで低下する。
       激しいスポーツは活性酸素も多くなりますが、NK細胞の活性を低下させ       ます。
        タバコもまたNK細胞を低下させる。
   ◎原因物質:
ダイオキシン
臭素系難燃剤
   ■細胞の免疫機能-----電磁波を受け低下する。
     「高圧線や一般の家電製品から出る極低周波(周波数50ヘルツ)の電磁波にヒ     トの末梢血リンパ球をさらしたところ、ガンなどの腫瘍細胞に対する攻撃機能     を強める性質を持つタンパク質『TNF-α』の生産量が落ち込み、免疫機能     が低下することが5日までに、労働省産業医学総合研究所(川崎市)の城内博主     任研究員らの実験で分かった。
 大量の電磁波を浴びると、ガンや白血病になるとの説をめぐり世界的な安全     論争が続く中、細胞レベルでは極低周波が免疫機能を弱める働きを持つことを     示したともいえ、城内研究官は、「ガンを誘発することを直接的に証明するも     のではないが、生体がガンに侵されやすくなる可能性もある」と指摘している。
 これをうけ労働省は97年度から、動物実験により生物への具体的な影響の     有無を調べるなど本格的な研究に着手、人体が浴びる電磁波の量を抑えるため     の対策や防護指針作りなどに乗り出す。
実験は城内研究官と名古屋大医学部のマリア・ビラヌエバ博士らが共同で行っ     た。
 実験では、採取した血液を装置に入れ、免疫機能の重要な指標となるサイト     カインと呼ばれるタンパク質数種類について、磁場の変動に伴う変化を観察。     その結果1、3、10ミリテスラ(磁束密度の単位)では[TNF-α]の量が通常の7     5%程度にダウンした。
 実際に一般家庭で浴びる磁場の強さは最大で0.01ミリテスラ程度。実験で照射     したのに比べてかなり弱い。高圧送電線や家庭用電気製品からの電磁波はガン     を発生させるかという論争について、全米科学アカデミーの研究評議会は昨年     10月「ガンなど健康被害に結びつく因果関係は確認できなかった」とする報     告書を発表している。1997.1.6《日本経済新聞》
  【芳香療法】
    <1>以下の精油は、殺菌・抗ウイルス・殺真菌作用と、免疫反応を強力に刺激し     ます。
       ①カユプテ
       ②ニアウリ
       ③ティートリ
    <2>以下の精油は、抗菌・抗ウイルス作用で免疫反応を増強します。
       ①ラベンダー
       ②ベルガモット
       ③ユーカリ
       ④ローズマリー
    <3>以下の精油は、副腎の働きを助け、リンパ系を刺激します。
       ①ローズマリー
       ②ラベンダー
    <4>以下の精油は、脾臓に有益です。
       ①ブラックペパー
       ②ラベンダー
<5>以下の精油は、白血球の生産を刺激します。
       ①ラベンダー
       ②ベルガモット
       ③ティートリ
  【色彩療法】
    <1>赤色
    <2>レモン色
    <3>黄色
    <4>すみれ色


【病状も】

 MODY (maturity-onset diabetes of youth)
=「若年者糖尿病の成熟発現」
   ■若年発症型の糖尿病
    「40歳のF子さん。19歳の時に糖尿病と診断された。これまで周囲の何人も     の人に「糖尿だとインスリン注射しなくてもいいの」などと聞かれたことがあ     ったが、実際には時々病院通いをするくらいですみ、自分でも意外と思うぐら     い元気に暮らしてきた。
 糖尿病は若年発症型と成人発症型に区分され、前者はインスリン依存性で、     インスリン治療をしないと生命が危機になるタイプ。後者はしばしば肥満を伴     い、近親者に糖尿病がよく見られる。若年型はウイルスなどによる膵臓のイン     スリン産生細胞の破壊とそれに続く自己免疫過程によるとされ、成人型は遺伝     形質に過食や運動不足などの環境要因が加わることによるとされている。遺伝     性は後者に強い。
  F子さんの場合、若年で発症しているのみインスリン治療をせずに21年間     も異変がなく、若年型に特有の抗体も見つからず、肥満はないもののどちらか     と言えば成人型になる。このようなどっちつかずの糖尿病を「若年で見られる     成人発症型」といい、専門家の間ではアルファベットの頭をとって『MODY』     (モディ)という。
 このモディは常染色体優性遺伝であり、7番目の染色体にあるグルコキナー     ゼという酵素の遺伝子の突然変異が原因の一つであることが最近分かった。膵     臓でこの酵素の働きが悪いために糖尿病になる。人種によって頻度が異なり、     我が国では糖尿病患者の0.1%と少なく、軽症であることが特徴だ。(大阪大     学医学部助教授・西沢良記)1997.2.1《日本経済新聞》



 Möller-Barlow病
   =「小児壊血病」参照


 モートン病
■ハイヒールを履く時間は短く
「48歳の女性。歩くとき、両足ともに、3番目と4番目の指の付け根裏に電流が走ったような痛みがあります。あまりに痛いので病院に行ったところ「モートン病」と診断されました。痛み場所に注射をしましたが、効果はありませんでした。」
●耳慣れない病気ですが?
足指の付け根から足の甲にかけて5本の中足骨という骨があります。これに挟まれた神経が麻痺し、しびれたり、痛くなったりする病気で、米国の医師の名前から名付けられました。『モートン(モルトン)神経腫』とも呼ばれます。3番目と4番目の指の間が最も多く、ついで2番目と3番目の間に見られます。女性に多い病気です。
●原因は何ですか?
神経麻痺の原因はいろいろありますが、モートン病の場合は、神経が長い期間、圧迫されたり締め付けられたりして起これります。こぶ(神経腫)が出来ることもあります。体には、神経が痛めつけられやすい場所がいくつかあります。aたとえば、骨で出来たトンネルのような部分や、骨と靱帯の狭い隙間などで、足の指の付け根はその1つです。
似た病気に足首で起こる『足根管症候群』、手首で起こる『手根管症候群』があります。
●どのように起こるのですか?
足の指に通じる神経は、中足骨の間をつなぐ靱帯の下を通っています。歩くときに蹴り出すと、この神経が引っ張られて靱帯に当たり、摩擦を起こします。つま先の窮屈な靴を長時間履くと、これが繰り返されて、神経にこぶが出来るのです。両足に出来る場合も片足だけの場合もあります。3番目と4番目の間に多いのは、神経が2方向からきて合わさっているため、自由に動きにくいことなどが理由です。
●靴に関係あるのですね
特にハイヒールを履く女性に大痿病です。
(木下光雄・大阪医科大学助教授)2000.4.23《朝日新聞》


 モヤモヤ病
   =「WILLIS動脈輪閉塞症」=「脳底動脈閉塞症」
   ⇒日本人に多い疾患。脳底部異常血管網を示す疾患。
     <1>脳血管撮影が診断に不可欠。
     <2>症状:(小児)
        (イ)片麻痺、単麻痺、感覚異常、不随意運動、頭痛、ケイレンが反復的          発作的に出現。
        (ロ)知能低下
        (ハ)固定神経症状
        (ホ)病側が左右交代して現れることがある。
     <3>原因:不明。
         特別な基礎疾患(動脈硬化、髄膜炎、腫瘍、Down症候群、             Recklinghausen病、外傷、放射線照射・・・)は見られない。
     <4>発症年齢:2つのピークがある。
        (イ)0~9歳。---------------虚血性脳血管障害を呈することが多い。
        (ロ)30~39歳。---------出血性脳血管障害を呈することが多い。



 ものもらい
(参照→「霰粒種」)
   =「麦粒腫」
  【鍼灸】
     「二間穴」《沢田流聞書鍼灸眞髄》
  【処方名-五十音順】
    蛇床子散
    排膿散
    排膿散及湯

 ものが飲み込めない
    (→鉄欠乏性貧血)


 もの忘れ


 妄想
   ■老いー激しい性的願望が妄想にー
     「年をとっても、異性との触れあいを求める気持ちが減るわけではない。長い     人生では、学習に仕事に打ち込みたくなる時期、ふたつが重なり合う時期があ     る。異性を求めても、青年期、中年期、初老期、そして老年期はそれぞれに質     的な差があるようだ。
 私は有料老人ホームで相談にあたる以前、特別養護老人ホームに巡回診療に     携わったことがあるが、そのころはあまり老人の性的願望に気がつかなかった。     当時の特別養護老人ホームに個室はなく、プライバシーを奪われている限り、     異性との接触欲求もひとつの形を取り得なかったのだろうか。マンションや個     室にすむ老人の精神相談を受けるようになって、老人の性的願望の激しさに驚     いたものである。
 もっとも、以前からヨーロッパの老人の性的願望については知っていた、ド     イツの大衆新聞を開くと、かなり年配の男女がパートナーを求める小さな広告     が延々と載っている。また70歳や80歳の女性から、若いときに、あるいは     つい最近まで、自分がいかに男性に愛されていたか、執拗に聞かされることも     あった。その直接的な性的表現に、文化の差を強く意識させられた
 屈折はしているが、日本の老人の性的願望にも激しいものがある。そう思う     ようになったのは、80年代になってからのこと。
      例えば、隣家の物音が気になって寝付かれない、窓の外からおなかのなかを     いじる電波が入ってくるといった訴えを聞いていると、多くは性的な妄想に突     き当たる。隣家のひとり暮らしの男性を訪ねて、毎夜、女性がきている。明け     方まで、ベッドのきしむ音やあえぐ声が響いて眠られない。わざわざ私に聞こ     えるように、ベッドを私の寝室側に置いている。
あるいは、最近、子宮腫瘍の手術をしてもらった医者が、若い女性とセックス     をしている。2人のからみあう声が私のベッドの下や、壁の間から聞こえてく     る。胸がドキドキし、頭がさえてきて、眠られない。毎夜のことなので、どう     していいか分からない。
 同じように、72歳の女性は訴える。寝ていると、腰から股にかけてピリピ     リしてくる。何か熱い物のようなものが送られてくるのか、体と布団がふれて     いる部分から熱くなってくる。それが強いと、肩がこった時のように、しこり     になって、日中も残っている。毎夜のように、天井の裏で男女が抱き合ってい     る。男性が誰か、分かっているけど、今は言いたくない。声や音、電波や熱線     だけでなく、においの体験も少なくない。布団に横になると、畳の間から、色     々なにおいが流れてくると訴える女性もいる。何日も洗わないで着ている下着     のにおい・ポマードの匂い、もっときつい匂いもある、という。
 こんな性的体験を何と呼べばいいのだろうか。嫉妬や被害妄想とも言いかね     る。恋愛妄想とも言えない。妄想にあまり振り回されず、それと共に生活して     いるようなところがある。被害的に見えて、性愛への願望が巧みに投影されて     いる。いずれも高齢の女性の訴えだが、身構えながら愛を求める日本の女性の     心性をよく表している。 (野田正彰・京都造形芸術大学教授)
  【処方名-五十音順】
    三黄瀉心湯
    桃核承気湯





 毛孔性紅色粃糠疹
   ⇒白いフケのような皮膚片(鱗屑)が付着した直径2~3mmの赤い丘疹が毛孔に    出来て、下ろし金状の皮疹が手指の背に見られる病気。
◎手のひらや足の裏は厚くなり、黄色みを帯びて、ロウ細工のような光沢を生じる。

 毛瘡(もうそう)
   =「かみそりまけ」
   ⇒硬い毛の生えている部位に、ブドウ球菌が感染して炎症を起こす毛嚢炎で、口ひ    げ、顎ひげの部位に起こったものをいう。



 毛髪脱落
  【処方名-五十音順】
    人参養栄湯


 蒙古斑
■蒙古斑が多すぎる
「生後4ヶ月の娘ですが、蒙古斑のある範囲が広く、おしり、背中、肩、手の甲、ひざなどにあります。これはアザでしょうか?消えなければどのような治療法があるのでしょうか?(広島県・H子)」
いわゆる青あざが体の広い範囲を占めている状態で、ご心配のことと思います。(林田道昭)
これは、皮膚の真皮内色素細胞の著しい増殖で起こります。出来る場所によって呼び方も変わります。顔では『太田母斑』、臀部は『蒙古斑』、肩では『伊藤母斑』、その他の場所では『異所性蒙古斑』と呼ばれます。
一般には、出生直後または徐々に出現します。一部は4、5歳までに消失しますが、成人まで残る場合もあります。悪性化したりかゆみ・痛みなどを伴ったりすることはありません。
範囲が広かったり、目立ったりする場合は自然に消失するのを待つにではなく、積極的に治療を行うのが良いとされています。治療法には
レーザー療法
ドライアイス療法
手術療法などがあります。
中でもレーザー療法は約70%の有効率があり、第1選択肢に挙げられます。治療期間は2年以上かかります。回数を重ねるにつれ少しずつ色が薄くなり、跡を残すことは無いと言われています。
しかし、痛みを伴いますので、乳幼児の場合、全身麻酔が必要です。治療には協力が得られる年齢では、麻酔薬入りの軟膏やテープで痛みをとりながら行います。
ドライアイス療法は、有効性が十分でなく、色調にムラが出たり跡が残ったりします。手術療法は傷跡が残りますので最後の手段と考えて下さい。







 網膜炎
  【処方名-五十音順】
 葛根湯
    桂枝茯苓丸
    三黄瀉心湯
    桃核承気湯
    八味地黄丸
    六味丸 
■網膜のキズ・・・再生
「理化学研究所と京都大学のチームは、一度傷つくと修復が難しい目の網膜で、光を感じる『視細胞』を効率よく再生する技術を開発した。
特定の酵素の働きを抑える化合物を投与すると、視細胞ができることを動物実験で確認した。目の機能が回復するか確認する必要はあるが、新しい治療法の開発に可能性
成果は2007年4/11のジャーナルオブ・ニュロサイエンスに掲載
細胞の増殖・分裂に関係するタンパク質『Wnt』に着目。ネズミから採取した網膜に加えたところ、視細胞が通常の20倍再生した。Wntが働くと、GSK3βという酵素の機能が抑えられる。




 網膜牙細胞腫
   ◎原因遺伝子:[RB]


 網膜色素変性症
(参照→「見えにくい」「角膜再生」)
   ⇒目の奥にある網膜が次第に変性し、傷んでくる病気です。暗いと、ものが見づら    くなる夜盲や、道の段差がわかりにくくなる視野狭窄の症状で気付くことが多い    病気です。気付く年齢は早い人で10歳未満、遅い人で70歳代とまちまち。
     病状はゆっくりと進行するのが、この病気の特徴です。 1996.3.3《朝日新聞》    より」
患者団体には、
    「日本網膜色素変性症協会」ー千葉大医学部眼科内043ー222ー0209
「あせび会」03ー3943ー7008
    「網膜色素変性症の患者と家族の会」0492ー48ー4834
    「中途視覚障害者の復職を考える会」ー日本盲人職能開発センター内
                      03ー3351ー3188
     
■遺伝子治療
      「米ペンシルベニア大学などの研究グループは、網膜の異常で起きる視覚障害に遺      伝子治療が効果があることをマウスを使った動物実験で確認した。30000人      に1人の割合で発生する網膜色素変性症のある特定の型(ベーターPDEという      遺伝子の変異で視力を失う)に有効と見られ、近い将来、人に対する臨床試      験を始められそうだという。1996.6.6《日経産業新聞》」
■網膜細胞分化
米ミシガン大学の研究グループは網膜上で光を感じる細胞の分化に関わるタンパク質を突き止めた。網膜は明るいところで光を感じる細胞と、暗いところで感じる細胞があるが、このうち暗いところで光を感じる細胞が今回のタンパク質の働きによって出来る。
『Nr1』というタンパク質の遺伝子を欠いたマウスを育てたところ、暗いところで光を感じる細胞が出来なかった。「DNAマイクロアレイ」という器具を使って、このマウスと通常のマウスを比較し、明るいところで光を感じる細胞を作るのに関わる遺伝子などを探している」2001.11.14《日経産業新聞》
■ES細胞から網膜細胞
「理化学研究所と京都大学のチームは、神経や臓器などあらゆる細胞に育つ胚性幹細胞から目の網膜の細胞を作ることに成功した。2005年8/2米国科学アカデミー紀要に掲載。
網膜で光を電気信号に変える視細胞を作った。まずマウスのES細胞を血清や増殖を促すタンパク質などで培養し、視細胞の元となる『神経網膜前駆細胞』を作製。次に同細胞をマウスの胎児の網膜細胞と一緒に培養したところ、ES細胞から育った細胞の14%が視細胞に変わった。
理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹グループディレクターと京都大学医学部付属病院の高橋政代助教授らが実験した。
網膜の病気が原因で失明するのは視細胞が変性していることが多い。視細胞はもろいので、研究チームは神経網膜前駆細胞を網膜の下に移植する方法を検討。ES細胞から2割弱の前駆細胞を作る技術を確立した。
実際にラットの新生児の目に移植し、1%に満たない率ではあるが、視細胞の再生に成功した」2005.8.2《産業》
■網膜再生
「京都大学付属病院・探索医療センターの高橋政代助教授らが、眼球の内側で光の信号を受け取る網膜の再生に取り組んでいる。
網膜の異常で失明すると、現在は治療法がない。網膜は中枢神経の1つで、一度失うと再生できないからだ。高橋助教授は2005年、理化学研究所の笹井芳樹グループディレクターらと、あらゆる細胞に成長できる胚性幹細胞(ES細胞)から網膜の中で光を電気信号に変換する「視細胞」を高い効率で作ることにマウスで成功。」
■人工網膜
「岡山大学と林原生物科学研究所の研究グループは、新タイプの人工網膜を試作した。光に反応する特殊な色素を組み込んだ軟らかい膜で、網膜に埋め込むだけで網膜色素変性症などの視力回復に役立つ可能性がある。
従来は電極を使うため外部電力が必要だった。
松尾岡山大学助教授らは、人工関節などに使われるポリエチレンのフィルムに、光に反応する「光電変換色素」を組み込み、膜状の人工網膜を作った。網膜の視細胞が死滅した網膜色素変性症と似た状態のニワトリの未熟な網膜を使って実験。人工網膜をくっつけて光りを当てると、網膜の他の細胞が反応した。
研究グループはラットの網膜の下に人工網膜を埋め込む手法を開発済み。2006.4.11《産業》
■既存薬で
「京都大学の大谷篤史助教授らは、遺伝子操作で網膜色素変性症を発症したマウスを使って実験。骨髄の幹細胞などが網膜に移動し分化していることを突き止めた。そこで、骨髄移植などに使う『GCSF』と、貧血治療などに使う『エリスロポエチン』という3種類の薬剤をマウスに投与した。
その結果、骨髄由来細胞の機能が高まり、網膜の保護作用も強まった。」




 網膜出血
  【処方名-五十音順】
    真武湯
    八味地黄丸
 六味丸


 網膜上膜
■レーザ治療後視力低下
「50歳代、女性。両眼の網膜裂孔のため、2年前、網膜レーザー凝固手術を受けました。。最近、左目だけですが突然、黄色く見え、小さな文字が見えにくくなり真下。明るさも低下しています。もっと黄色くなったり、失明したりすることはないでしょうか?
これは網膜上膜という状態です。これには特発性と続発性があります。
特発性は加齢によって起こり、50歳以上の女性に多く見られます。網膜の上に薄い透明・半透明の膜が増殖します。膜が透明の場合は自覚症状が無いこともあります。視力への影響も小さく、発生もゆっくりであまり進行しません。
しかし、視力低下が進行したり、ものがゆがんで見える変視症が起こったりした場合、膜をはがす手術をすることがあります。自然に膜がはがれることは希ですが、あまり心配するような状態ではありません。
続発性のものは、網膜剥離の手術後や、あなたのように網膜裂孔のレーザー凝固後に起こりやすいのです。
通常安中散レーザー凝固後、1~6ヶ月で起こります。網膜中心部にしわが出来、症状は視力低下と変視症で、進行性です。視力低下が大きい場合は、膜をはがすための手術をする事になります。自然にはがれることは無いと思いますが、失明にまで至ることは無いと思います。」


 網膜剥離
  【類似】原田病。
   ■アトピー性皮膚炎が誘発
    「アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離が年毎に増えていることが、樋田哲夫杏林大     医学部教授(眼科)らの初の全国調査で分かった。
 まぶたがかゆい為、患者が繰り返し目を叩くのが最大の誘因らしい。
      アトピー性皮膚炎で、視野が欠けたり視力が落ちたときは、網膜剥離を疑い、     早めに診断を受けることが必要だ。樋田教授らは1994年秋に、全国の大学病     院など45の眼科を対象に郵送で調査し、95年春までに寄せられた32ヶ所の     解答をまとめた。アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離は計348人、417眼あった。     合計の手術数は89年の42件から年々増加し、93年には132件に達していた。
 患者は男性が女性の約2倍で、平均年齢が22歳。10代後半から20代初め     にピークがあり、通常の網膜剥離に比べ若年者に多かった。
   網膜剥離全体の手術に占めるアトピー性皮膚炎の比率は、全国平均で2.3%     だが、東京の4.7%から九州の0.3%まで地域ごとのばらつきが目立った。判明     した中では、約80%の患者がかゆさに我慢出来ず、目の周りを叩いたり、強     くこすったりしたことを認めていた。網膜の後部よりも前方に大きな裂け目の     裂孔が出来ているケースが大半で、打撃が繰り返されたのが誘因との見方を裏     付けた。
 また、皮膚炎が重いほど網膜剥離も重症になる傾向が見られた。95%で手術     が成功したが、5%は失明などの重い視力障害が残った。1996.3.10《日本経済     新聞》より」
   ■予防
    「受験勉強中の18歳の息子が白いノートに黒い物が写ると言います。眼科で診     察を受けると、近視が強いため網膜に異常があると言われました。将来、網膜     剥離症になる可能性もあるので、予防の意味から手術を受けるように勧められ     ました。この手術には危険はないのでしょうか?
<1>網膜剥離とは何ですか?
    「眼球の内側の光を感じる神経がある部分が網膜で、その外側に色素上皮があり     ます。網膜が色素上皮からはがれた状態になるのが網膜剥離です。はがれた部     分は光を感じなくなります。普通は網膜の周辺部で剥離が起き、中心部は見え     ますから、すぐに失明する訳ではありません。剥離が中心部に及んでくると、     視力に支障が出ます。
<2>質問された方はどうでしょう?
    「網膜剥離にはなっていない段階なので、それほど心配する状態ではないと思い     ます。詳しく検査していないと分かりませんが、網膜に格子状変性とか円孔や     弁状裂孔が起きていると考えられます。
<3>円孔とか弁状裂孔というのは?
    「網膜が一部薄くなったのが格子状変性、網膜に丸く穴が開くのが円孔、網膜の     切れ目が出来、引っ張られるように破れるのが弁状裂孔です。格子状変性があ     ると、そこから円孔や弁状裂孔が起きやすくなります。これらの変化は眼底検     査を受ければ分かります。
<4>自覚症状はありますか?
    「格子状変性や円孔は自覚症状があまり出ません。弁状裂孔や網膜剥離が出来る     と色素が外に出てきて動き回るので、蚊が飛んでいるように黒い点のような物     が動いて見えることがあります。ただ、このような『飛蚊症』の多くは硝子体     が変化して起きる生理的なもので、心配する病気ではありません。網膜が原因     になるのは飛蚊症の極一部です。
<5>近視とは関係がありますか?
「格子状変性は成人で視力が正常な人の5%ぐらいに起きていて、珍しい物では     ありません。近視の場合はこの率が2~3倍になります。円孔や弁状裂孔も、     近視の人に多い傾向があります。その理由ははっきりしませんが、近視は眼球     が前後に長くなって起きるので、網膜が薄く変性しやすくなるのではないかと     言う見方があります。
<6>網膜剥離との関係は?
    「網膜剥離が起きやすい年齢には、20代と、50~60代の2つのピークがあ     ります。若い人では円孔から、高齢者の場合は弁状裂孔から網膜剥離になりや     すい傾向があります。円孔や弁状裂孔があっても、すべての人が網膜剥離にな     るわけではありませんが、裂孔などの状態によっては、剥離を予防するために     手術をおすすめします。
<7>予防手術とは?
    「光凝固と呼ばれる方法で、目の中に細いレーザーの光を当て、網膜と色素上皮     に一種のやけどを起こさせてくっつけます。網膜は透明なのでレーザー光を吸     収しませんが、色素上皮は黒褐色なので、光を吸収して発熱し、網膜に癒着し     ます。弁状裂孔などを取り囲むようにレーザーの光を当て、網膜を癒着させこ     れ以上はがれないようにします。
角膜側からレーザーを当てるので、外来で、10~30分で終わります。焼     いたところは視覚がなくなりますが、たいていは視野の周辺部なので、生活に     ほとんど支障はありません。
手術後の生活も日常通りでかまいませんが、網膜は手術後1ヶ月ぐらい罹っ     てゆっくりと癒着しますから、ボクシングやサッカーなど、目に強い衝撃を与     えるスポーツは控えて下さい。(大路正人・大阪大医学部助手)1997.11.16《朝     日新聞》
■早期発見
「目の硝子体はゼリー状の物質で構成されている。加齢と共に液状になり網膜剥離や網膜裂傷お原因となる。液状になった段階で早期発見できれば、シリコーン注入などで治療も可能になる。
国立国際医療センター研究所の山本健二副所長らは横浜栄共済病院と共同で『量子ドット』と呼ばれる蛍光微粒子を使って開発した。量子ドットは半導体を構成する原子が数百個集まった直径数ナノ㍍以下の粒子。電子を捕まえて制御したり、高効率に発光したりする能力があり、紫外線を当てると蛍光を発する
使った量子ドットはカドミウムセレンという物質を微粒子にし、表面処理して水に溶けるようにした。直径約7ナノ㍍。硝子体の液状化した部分に集まる性質があり、光を当てると赤色の蛍光を発する。目に注射して使用する。
目の検査ではスリットランプという特殊な顕微鏡を使うことが多い。ただ、光の屈折具合から判別するので、初期段階の微妙は変化を見落とすことが多い。」2006年6/28《産業》
  【処方名-五十音順】
    小建中湯
    真武湯
    八味地黄丸
    六味丸


 網脈絡膜炎
   ⇒目の網膜に炎症が起こり、視力障害を起こす。
   ■トキソプラズマ
    「フランスにおける調査結果によれば、トキソプラズマの先天性感染児のほぼ3     /4、特に妊娠後期に感染を受けた場合には、90%以上の子で出生児には異常     は認められない。しかし、これら一見正常であった先天性感染児のほとんどが     思春期頃までに網脈絡膜炎を発症した。」藤田紘一郎著「ボンボン・マルコス     のイヌ」より。


 盲腸炎 Typhlitis
  【鍼灸】
     「気海、腎兪、太谿」《沢田流聞書鍼灸眞髄》
       「猛烈なる痛みを頓挫せしむるには気海1穴の30壮~50壮すえる。そ        れで痛みが即座に止む。」
「根治には腎兪、太谿を主とし、全体療法をやる」
  【処方名-五十音順】
    烏頭桂枝湯
 温経湯
    黄湯
    黄連湯
    枳実芍薬散
    桂枝加芍薬湯
    桂枝加大黄湯
    桂枝茯苓丸
    柴胡桂枝湯
    三物備急丸
    大烏頭煎
    大黄附子湯
    大黄牡丹皮湯
    大建中湯
    大柴胡湯
    腸癰湯
    桃核承気湯
    当帰建中湯
    当帰四逆加呉茱萸生姜湯
    当帰四逆湯
    当帰芍薬散
    茯苓四逆湯
    苡附子敗醤散
    闌尾化湯
    闌尾清解湯
    闌尾清化湯



 毛様体炎
  【処方名-五十音順】
    白虎加人参湯  


 朦朧感(もうろう感)
     (参照→傾眠症)
  【臨床例】
    ☆31歳、主婦。
      「主訴は頸から肩にかけての凝りと頭にかすみがかかっているようにボーッ      といていて痛いと言う。夫が今までの経過を語った。
       5/1、母の看病のため岡山へ行き、5/17日に母はガンで亡くなった。その      ショックで、妻は5/30日に死んだ胎児を流産した。そのためかどうか分か      らないが、千葉の自宅で7月始め脳膜炎症状を起こして倒れた。2日後千葉      大学病院へ自動車で1時間ゆられて連れて行き、1時間待たされて診察を受      けた。脳波をとると、テンカン症状があると言われ、ここでは詳しい検査が      出来ないからと、国立東京第二病院へ入院するように進められた。第二病院      に3ヶ月間入院して、ありとあらゆる検査を受けたが、原因は不明というこ      とであった。病院では、ただ鎮静剤と新薬を与えるのみで、妻はテンカン発      作はないが、頭が痛い、頭に霞がかかっているみたいだと訴え、さっぱり良      くならない。
そこで、ここにいても一向に治る見込みがないと考え、思い切って9/27      に退院し、その足で当院を訪れた。診察室に入ってきた患者をみると、怒っ      たよいうな顔して目がすわっている---これは新薬を飲み過ぎているなぁ---と      考えながら、いろいろ笑わせようと努めるが、ムッとしている。
患者は小柄のタイプで、顔色にツヤがない。食事は野菜より肉類を多く      摂り、甘いもの辛いもの、どちらも好きだという。昔からお茶好きであった      由。胃腸は強く、足腰は冷えるタチ。便通は3~5日に1回で、小水は遠い。      生理は順調で、子供は2人ある。
脈は弱く、舌には少し白苔がついている。腹診すると、軽い胸脇苦満と      腹直筋の緊張があり、上で動悸の亢進を認める。
これは「癇による気の病」と診断し、腹証から抑肝散加大黄を投与した。      本方を37日間服用すると。頭痛と霞ががっている頭の朦朧状態がとれ、肩      こりはもちろん、顔色もツヤが出てきて、すっかり良くなった。」(寺師睦      宗著「成人病の漢方療法」p203~p204)
  【処方名-五十音順】
    酸棗仁湯
    八味地黄丸
 六味丸





 木欝(もくうつ)
   =胃腸障害のために神経衰弱症状を発すること。
  【処方名-五十音順】
    逍遙散


 木腎(もくじん)
   ⇒1.腫れて痛まないもの。
     「卵腫痛まざる者、これ湿也。また木腎と名づく」《育嬰秘訣》
2.睾丸が腫れて痛い。
  【処方名-五十音順】
    活腎丸(痛まない木腎)
    川練散(外腎が腫大で、麻木・痛硬の木腎を治す)

 木舌(もくぜつ)
   =舌の強ばる症。《大塚敬節》  (参照→重舌)
  【処方名-五十音順】
    黄連解毒湯


 目翳(もくえい)=目の角膜に白斑を生じる。

目眩(もくげん)
   =「めまい」
  【処方名-五十音順】
    茵五苓散
    黄湯
 黄連解毒湯
 帰脾湯
    桂枝加竜骨牡蠣湯
    三黄瀉心湯
    小建中湯
    小半夏加茯苓湯
    桃核承気湯
    当帰芍薬散
    白虎湯
    六君子湯


物忘れ
   ■ストレスが原因
     「R子さんは結婚後、専業主婦として4人の子供を育て上げた。夫の死後、長     男夫婦と暮らしていたが、長男が海外へ転勤となったのを機に、個室で寝起き     するが台所や風呂・トイレなどが共同のケアつきマンションに入ることにし      た。
彼女にとって個室は快適だったが、共同生活は初めての体験なので毎日が緊     張の連続だった。新しい洗濯機は機能が複雑でなかなか覚えられない。使い方     を何回も隣人に聞いてうるさがられ、時々洗濯物を取り忘れたりしてひんしゅ     くを買った。また、自分が失敗をして皆さんにご迷惑をかけないようにと気に     し過ぎて、かえって食事時間を忘れることもあった。
最近も、女学校時代の友人と会う約束をしたのをつい忘れ、友人から確認の     電話がかかってきて、びっくり我に返った。物忘れがひどくなったのは、ボケ     てきたからではないかと思い込むようになった。そして、ある日、とうとう大     失敗をしてしまった。トイレに入った後、水を流すのを忘れ、他の住人から苦     情が出る始末となった。
近年、高齢化社会の到来により痴呆老人の処遇が社会問題となっている。マ     スコミが盛んに取り扱うせいか、「ボケるのではないか?」ということが老後     の不安のトップに上がられる事が多い。私たちも正常老化である「物忘れ」を     ボケの前兆と心配する「アルツハイマー・ノイローゼ」のような高齢者に会う     機会が増えている。
私たちは記憶と加齢の関係についての正しい知識や記憶力の維持向上を啓蒙     するため、高齢者のための記憶力改善プロジェクトを作成した。(下仲順子・     東京都老人綜合研究所心理学部門研究部長)1998.2.2《日本経済新聞》


 門脈圧亢進症 portal hypertension
   ⇒門脈を経て肝静脈に下大静脈に流入するまでの間で狭窄・閉塞を来して門脈圧が    異常に上昇した状態。門脈は膵臓や腸から甘草につながる血管で、血液を心臓に    戻す静脈だ。肝臓の病気などが原因で門脈の血行に異常が起き、門脈の血圧が高    くなるのが門脈圧亢進症。肝臓を通れなくなった血液は門脈から異常な経路を通    り、心臓へ戻るようになる。その結果、食道や胃の血管に瘤のような静脈瘤がで    きる。静脈瘤から多量に出血すると、最悪の場合、死に至る。
   ◎原因:肝硬変や肝炎などの肝臓病と自己免疫異常。
      肝硬変
      特発性門脈圧亢進症(Banti病)
      Budd-Chiari症候群
      肝静脈閉鎖
   ◎症状:
下血
      食道静脈瘤・腹壁静脈怒張などの側副血行路の形成
吐血
      脾腫
      腹水が溜まる
      脾機能亢進に伴う血小板・白血球・貧血など。
 


 門脈大循環短絡⇒参照→「傾眠症」