「た」漢方処方


ダラニスケ
「黄柏とアオキの葉」を煮詰めて黒い板状にしたもの。
◎胃痛。


大阿膠元《東醫寶鑑》
「山薬・五味子・熟地黄・阿膠珠・白茯苓各1両、麦門冬・丹参・貝母・防風・茯神・柏子仁・百部根・杜仲各5銭、遠志・人参各2銭半」作末し蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸服用。
◎虚労の咳で血を吐き、唾をはいて発熱し、痩せる者。


大安丸《丹渓心法》《東醫寶鑑》
「山楂肉・白朮各2両、神麹・半夏・茯苓各1両、陳皮・連翹・蘿葡子(炒)各5銭」作末し、神麹糊で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸呑む。
◎食積を治す。

大異香散《東醫寶鑑》
「三稜・莪朮・青皮・陳皮・藿香・半夏(麹)・桔梗・益智仁・香附子・枳殻各1銭、甘草2部半、姜5、棗2」水煎服。
◎穀脹・気脹を治す。

大烏頭煎《金匱要略》《龍野ー漢方処方集》
「烏頭大きなもの5個(約15.0g)熬って皮を去る水120ccを以て煮て40ccに 煮詰め、滓を去り、蜂蜜40ccを入れて煮直して80ccに煮詰め、1回に強 人は30.0g弱人は20.0gを服す」
◎腹痛、悪寒、脉弦緊又は沈弦、手足冷。

★適応症及び病名(大烏頭煎)
■イレウス
■胃ガン
■胃潰瘍
■陰嚢が縮んでいる(退縮)
■悪寒
■顔面蒼白
■篏頓ヘルニア
■激痛で冷や汗が出る
■ショック状態になっている
■四肢疼痛<激痛>
■身体疼痛<激痛>
■腎臓結石
■疝痛:
■胆石症
■手足厥逆
■尿毒症(意識溷濁・脈弦緊)
■腹痛:<激痛>
☆京師界街の賈人、井筒屋播磨の家僕は、年七十餘。壮年より疝を患い、十日、五日に必ず一發す。壬午(みずのえうま)の秋大いに發し、腰脚攣急し、陰卵偏大腹に入らんと欲す。絞痛して忍べからず。衆醫皆以為(おもえら)く、「必ず死す」と。
《吉益東洞》先生之を診す。大烏頭煎をつくりて之を飲むこと毎貼の重さ八銭。斯須(=シシュ、ほんのすこしの間)にして瞑眩し気絶す。又、頃之(=ケイシ、しばらくたってから)、心腹鳴動して、水数升を吐出し、即ち故に復す。爾後、再び發せず。」《建珠録》
■膀胱結石
■卵巣嚢腫(軸が捻転し激痛)


大温経湯《医学入門》《古今方彙》
「阿膠・芍薬・川芎・当帰・人参・肉桂・牡丹皮・呉茱萸・甘草各2分、半夏3分半、麦門冬5分、生姜」煎服。
◎衝任虚損(婦人の性器を司る経絡の弱り)して月事調わず、或いは崩中にて血を去ること過多、或いは損孕を経て瘀血停留し、小腹急痛し、五心煩熱するを治す。


大温脾湯《勿誤薬室方函口訣》
「温脾湯《備急千金要方》芍薬・黄芩・厚朴」
◎脾胃中冷し、脹満下痢す。
◎太陰寒実の治法なり。《傷寒翼方》



大黄飲子《東醫寶鑑》
「生地黄2銭、大黄()・杏仁・梔子・升麻・枳殻各1銭、人参・黄芩・甘草各5分、姜5片、殻2粒、烏梅1箇」煎服。
◎熱があって大便の通じない者。

大黄黄連瀉心湯[1-1]《傷寒論》
=「大黄黄連湯」
「大黄2両、黄連1両」
右二味、以麻沸湯二升漬之、須臾絞去滓。分温再服。
◎心下痞、按之濡。其脉関上浮者。大黄黄連瀉心湯主之。
◎傷寒大下後復発汗、心下痞、悪寒者、表未解也。不可攻痞、當先解表、表解乃可攻痞。解表宜桂枝湯、攻痞宜大黄黄連瀉心湯。
《傷寒論》辨太陽病脉證平二并治下第七。

大黄黄連瀉心湯[1-2]《傷寒論》
「大黄(酒洗)2両、黄連1両」
右二味、以麻沸湯二升漬之、須臾絞去滓。分温再服。
◎傷寒大下後復発汗、心下痞、悪寒者、表未解也。不可攻痞、當先解表、表解乃攻痞。解表宜桂枝湯、用前方。攻痞宜大黄黄連瀉心湯。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。
       
大黄黄連瀉心湯[1-3]《金匱要略》
「大黄2両、黄芩1両、黄連1両」
右三味、以水三升、煮取一証、頓服之。
◎心氣不足、吐血、衂血、瀉心湯主之。
◎婦人吐涎沫、医反下之、心下即痞、當先治其吐涎沫、小青竜湯主之。涎沫止、乃治痞、瀉心湯主之。

大黄黄連瀉心湯[1-4]《漢方治療の実際》
「三黄瀉心湯」に同じ。


大黄黄連瀉心湯[1-5]《傷寒論》
「大黄6.4、黄連3.2」《奥田謙蔵》
◎《傷寒論識》には黄芩1味を脱すとあり、《千金翼方》、康平本には黄芩1両がある
◎心煩し、心下痞に、之を按んじて濡なる者を治す。《吉益東洞》
◎心下痞硬《傷寒論》、之を按ずれば痛み、その人心煩し、或いは面目赤く、大便硬き者は、大黄黄連瀉心湯之を主どる。《医聖方格》
◎此方は上焦瀉下の剤にして、その用尤も広し。《和剤局方》「三黄湯」の主治熟読すべし。但し気痞と云うが目的なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎《金匱要略》瀉心湯に云う、心気不足、吐血衂血と。その主治茫乎として拠るところなし。余《本草百病》の主治、大黄条の吐血、衂血、胸脇刺痛する者を治するに拠るに、百に一失なし。《先哲医話》

★適応症及び病名(大黄黄連瀉心湯)
■ウツ傾向:
☆精神欝塞し、沈黙して人に対するを嫌い、両便秘渋の傾向有り、その脈浮なる証。《奥田謙蔵》
■逆上:
☆胸部に鬱塞の感ありて煩悶し、便秘の傾向ありて逆上し、その脈浮なる証《奥田謙蔵》
☆顔面紅潮するも、四肢微しく厥冷《傷寒論》、心下部痞満《傷寒論》、脈浮なる証。《奥田謙蔵》
■小児疳眼:
☆疳眼、雲翳を生じ、或いは赤脈縦横、或いは白眼に青色を見はし、羞明して日を怕るる者、癇家、鬱鬱として顧忌多く、毎夜睡らず、中跳動し、心下痞《傷寒論》、急迫する者 、此方に甘草を加えて(=「甘連大黄湯」)宜し《類聚方広義》
■脳充血:
☆脳充血等にして暈倒し、省後尚ほ未だ神思明瞭ならず、心悸亢進ありて、脈浮大なる証。《奥田謙蔵》


大黄甘草湯[1-1]《金匱要略》
「大黄4両、甘草1両」
右二味、以水三升、煮取一升、分温再服。
◎食已即吐者、大黄甘草湯主之。
《金匱要略》嘔吐下利病脉證并治第十七。

大黄甘草湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「大黄4、甘草1」


大黄甘草湯[1-3]《金匱要略》
「大黄6.4、甘草3.2」
右二味を一包と為し、水一合八勺を以て、煮て六勺を取り、滓を去りて一回に温服す。
◎大黄甘草湯の証は特に食し已って即ち吐す者と曰いて其の義を審かにせず、為則按ずるに、急迫を秘閉して若の証を発する者は此方之を主る。《重校薬徴》
◎此方、原方に在りては、甘草の分量少なし。今、《類聚方広義》の改むる所に従う《奥田謙蔵》  ◎此方はいわゆる南薫を求めんと欲すれば必ず先ず北を開くの意にて、胃中の壅閉を大便に導きて上逆の嘔吐を止むるなり。(=ユウ、まど)

★適応症及び病名(大黄甘草湯)
■胃アトニー
■胃ガン
■胃液分泌過多症
■胃炎
■胃潰瘍
■胃反:
☆胃反、噎膈、心胸痛み、大便難き者を治す。鷓胡菜を倍加して、鷓胡菜湯と名く。
☆胃気穀を化する能わざるに因る。故に食久しくして反出す。今即ち吐するは、胃中に旧宿食あるを明らかにす。故に新穀入れば則ち相容れず、霎時翩出するなり。《雑病論識》 (霎時=ショウジ、短時間)
■悪阻:
☆不大便の者。
■黄疸
■嘔吐:
☆(食べてすぐ吐く)
☆腸胃の熱に属する者に用いる。
☆胃熱の症状:大便秘結、或いは食已即吐、或いは手足心熱、或いは目黄赤、或いは上気頭痛すれば胃熱と判断すべし。
☆常習便秘の人が、食事をするとすぐ吐く場合に用いる《大塚敬節》
■カルブンケル
■回虫:
☆蟲、心腹痛み、悪心、唾沫し、小児の蛔症、及び胎毒、腹痛、夜啼、頭瘡、疳眼を治す。《類聚方広義》
 ☆小児、好んで生米、茶、炭、壁泥を食い、或いは偏に五味を嗜む者は、蛔蟲に属す。此方に宜し。《類聚方広義》
■吃逆
■胸痛
■小児の急癇
■小児の吐乳:
☆大便せざる者に宜し《高階枳園》
■常習便秘
■食道ガン:
☆食道~胃の通過障害
■つわり
■テンカン:
☆小児2、3歳以上、5、7歳以内にして、白沫を吐する者は、癲癇の基也。早く鷓胡菜湯を用い、虫を殺伐し、腸垢を蕩滌すれば、以て後患を免る可し。《類聚方広義》
■吐糞症
■フルンケル
■便秘:
☆大便秘閉し、急迫する者を治す《類聚方広義》
☆虚症にても大便久しく燥結する者に用いる。
☆下焦熱結し、大便し得ざるを治す:「黄芩・梔子」《雑病翼方》

【加減】
1.大黄甘草湯鷓胡菜(=海人草)=鷓胡菜湯




大黄甘草飲子《東醫寶鑑》
「大黄1両半、甘草4両、黒豆5升を別に煎じて、にがい水は捨て、前記の材料を井戸水に漬け、病人に豆を食べさせて汁を飲ませる。
◎一切の消渇を治す。

大黄甘遂湯《金匱要略》
「大黄4両、甘遂2両、阿膠2両」
右三味、以水三升、煮取一升、頓服之、其血當下。
◎婦人少腹満、如敦状、小便微難而不渇、生後者、此為與血、倶結在血室也、大黄甘遂湯主之。 《金匱要略》婦人雑病脉證并治第二十二。      
(敦=トン、盤孟という祭器、飲食物を盛る皿)
「小便微難」=小便が少々出にくい。
(生後=産後のこと)
◎大黄甘遂湯証(小便微しく難し)《薬徴》
◎小腹満し、敦状の如く、小便難し、或いは経水の調わざる者を治す。《吉益東洞》 「敦」=飲食物を盛る皿。
◎按ずるに、大黄甘遂湯と、抵当湯とは、皆小腹満る者を主どる。而して抵当湯の症は、鞕満して小便自利す。此方の症は、小腹膨満するも、而も甚だしく鞕からず、小便微難なり。これ以て瘀血と、水血結滞との異なる見る可し。《類聚方広義》
◎此方は水血二物を去るを主とすれども、水気が重になりて血は客なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎微難と云う者は一向不通に非ず。
◎婦人、に小腹満結、小便不利する者に速効あり。
◎男子、疝にて小便閉塞、少腹満痛する者に験多し。
◎「大陥胸湯芒硝阿膠」で、行水破血の制為ること自ら昭然なり《雑病論識》
◎《婦人大全良方》曰く、経水不利なれば即ち水と為り、水流走し、四肢悉く腫満す。名づけて「血分」と曰う。その候、水と相類す。医、水と作して之を治す。非なりと。余ひそかに之を血分の水腫を致す者に用い、効あらざる無し。《雑病論識》

★適応症及び病名(甘草甘遂湯)
■月経異常:
☆月経異常ありて、下腹部膨満し、手足に微腫ありて、尿利減少する証。《奥田謙蔵》
■産後の疾患:
☆婦人、産後において、下腹部膨満し、疼痛を覚え、或いは四肢に微腫を現す証。《奥田謙蔵》
☆此方は、特り産後のみならず、凡そ経水不調、男女の閉にして、小腹満痛する者、淋毒の沈滞、黴淋、小腹満痛して忍ぶ可らず、膿血を溲する者は、皆能く之を治す。《類聚方広義》
■小便閉:
☆大いに泄下し、以て膀胱を却うれば則ち小便従って利す。《方読便覧》
☆諸種の尿閉にして、他の利尿剤を用いて効なき証に、此方能く奏効することあり。《奥田謙蔵》
☆下腹膨満、排尿困難。《龍野ー漢方処方集》


大黄牽牛散《東醫寶鑑》
「大黄1両、黒牽牛子頭末5銭」作末し、毎回3銭、手足が冷たいと酒で調服し、熱があると蜜湯で服用する。
◎大便の秘結を治す。


大黄散《東醫寶鑑》
「大黄(酒浸)」3回炒り、茶清で1~2銭調服。
◎瘧暈でたえられない者。



大黄䗪虫丸《金匱要略》 
「大黄(蒸)10分、黄芩2両、甘草3両、桃仁1升、芍薬4両、乾地黄10両、乾漆1両、蟲1升、水蛭100枚、1升、䗪虫半升」
◎五労虚極、羸痩腹満、不能飲食、食傷、憂傷、飲傷、房室傷、経絡栄衛氣傷、内有乾血、肌膚甲錯、両目黯黒、緩中補虚、大黄䗪虫丸主之。
◎病人、虚の極、羸痩《神農本草経》、肌膚甲錯、欝欝として熱痞し、腹満して飲食すること能はず、唇口乾燥す。内に乾血有れば肌膚甲錯す。中を緩め、虚を補うには、大黄䗪虫丸之を主どる。《医聖方格》

★適応症及び病名(大黄䗪虫丸)
■疳眼:
☆小児の疳眼にて雲翳を生じ、瞼爛れた羞明し、物を視ること能はざるを治す。並に雀目を治す《類聚方広義》
■貧血:
☆諸種の貧血性疾患《奥田謙蔵》
■腹膜炎:
☆慢性腹膜炎、及びその類証《奥田謙蔵》
■閉経:
☆女子の閉経に因する諸証当《奥田謙蔵》
☆婦人、経行利せず、漸く心腹腸満を為し、煩熱、咳嗽し、面色煤黄、肌膚乾き、皮細起し、状、麩片の如く、目中曇暗にして或いは赤渋、羞明し、日を怕(オソ)るる者を治す。《類聚方広義》


大黄左経湯《東醫寶鑑》
「大黄1銭、羗活・茯苓・細辛・前胡・枳殻・厚朴・黄芩・杏仁・甘草各7分、姜3、棗2」水煎服。
◎四気が足陽明経に流注して腰脚が赤く腫れて疼痛し歩行出来ず、大小便の秘渋する者。

大黄消石湯《金匱要略》
「大黄・黄柏・消石各4両、梔子15枚」
右四味、以水六升、煮取二升、去滓、内消更煮、取一升、頓服。
◎黄疸、腹満、小便不利而赤、自汗出、此為表和裏實、當下之。宜大黄消石湯。


大黄消石湯《金匱要略》《漢方治療の実際》
「大黄・黄柏・消石各4、梔子2」
「硝石」=焔硝。硝酸カリウムであるが、古方家の医家は芒硝の別名とした《大塚敬節》
○証(腹満)《薬徴》

大黄硝石湯証(腹満)《薬徴》
◎発黄し、小便利せず、腹中に塊有る者を治す《類聚方広義》
◎黄疸、腹満、小便不利、尿色赤、自汗。《龍野ー漢方処方集》

★適応症及び病名(大黄硝石湯)
■黄疸:
☆黄疸にして、裏実、腹満し、尿不利にして色赤く、便秘する証《奥田謙蔵》
☆黄疸、腹満し、二便利せず、発熱し、自汗出で、起臥安からざる者は、当に之を下すべし。大黄消石湯に宜し《医聖方格》
☆黄疸があって便秘し腹部の膨隆が甚だしく、尿が赤くて量が少ない者《大塚敬節》
☆凡そ、黄疸の軽重を察するには、病者の胸肋の骨の間を指で強く圧迫し、指を放した瞬間、黄色が消えて、その後が白く見えて、忽ちまた元のように黄色に成る者は軽症である。治しやすい。重症では、強く圧迫しても、黄色が少しも消散しない。《大塚敬節》
☆《静検堂治験》
 “本荘四ッ目、某君の臣、荻原弁蔵というもの、黄疸にかかり、医者を数人更えて治療したが、数ヶ月治らず、黄疸はますますひどく、全身が蜜柑の実のようで、しかも光沢が無く、黒味を帯び、眼は黄色が金色のようで、小便は少なく、その色は黄柏汁のようで、呼吸は促迫し、寝ても起きても、じっとしておれない。享和癸亥の7月に、治を予に求めた。そこで指頭をもって、胸肋上を押してみるに、黄気が消散しない。これは黄疸の重症の徴候である。よって茵蔯蒿湯に大黄消石湯を合方して、大剤に作って、日々3、4貼を服用せしめた。このようにして30日ほどたつと、やっと黄色が消失し、小便も清澄なものがたくさん出るようになって全治した”
☆これは茵蔯蒿湯や梔子大黄湯や梔子柏皮湯よりは、強い症に用いる。裏実の強い者に用いる。その目的は腹満である。茵蔯蒿湯にも腹満があるが、それは軟かでむっくりとしている。大黄消石湯は腹満が強くて硬く、鼓脹を押す様なものである。この症になっては、大黄消石湯より外に方はないものである《有持桂里》
■血尿:
☆血尿等にして、脈数なる証《奥田謙蔵》
■雑:
☆雑、胸中煎熬し、腹満して塊有り、二便利せず、或いは口中に苦辛酸等の味をおびえる者を治す。此症、後必ず膈噎と成らん。早く此方を用いて、以て之を防ぐ可し。《類聚方広義》



大黄当帰散《銀海精微》《漢方医学概論》
「梔子・木賊各5銭、菊花3銭、当帰・紅花・蘇木各2銭、大黄・黄芩各1銭」水煎し、食後服用。

大黄湯[1]《東醫寶鑑》
「大黄1両、生姜自然汁半杯」大黄を焼いて姜汁に漬けて再び熱くして汁がなくなったら切って焙り、作末して毎回4銭服用。陳米一握り、葱白2茎、水1杯を煎じて7分ぐらいになったら先に葱白を食べ、次に薬末を服すると10日ぐらいで治る。
◎冷涎と反胃を治す。

大黄湯[2]《東醫寶鑑》
「大黄1両を酒2盃に半日浸しておいたのを、1盃半を煎じて2回に分け頓服する。又芍薬湯を食べて混ぜるようにする。これは邪熱を除く薬である。
◎熱痢に膿血が稠枯して、日夜下痢しつづける者。

大黄湯[3]《外台秘要方》
「黄連解毒湯黄柏大黄」
◎天行、もし已に五六日解せず、頭痛そうねつ、四肢煩疼し、飲食し得るを療す。《傷寒翼方》



大黄湯[4]《外科枢要》《古今方彙》
=「大黄牡丹皮湯」《金匱要略》
「大黄(炒)・朴硝各1銭、牡丹皮・括楼仁・桃仁(去皮尖)各2銭」水煎。
◎腸癰にて小腹堅く腫れるを治す。之を按じて即ち痛み、肉色は故の如く、或いは赤して微しく腫れ、小便頻数し、汗出で寒を憎み、脉遅緊にして膿未だ成らざるに之を服す。



大黄附子湯[1-1]《金匱要略》
「大黄3両、附子(炮)3枚、細辛2両」
右三味、以水五升、煮取二升、分温三服、若強人煮取二升半、分温三服、 服後如人行四五里、進一服。
◎脇下偏痛、発熱、其脉緊弦、此寒也、以温薬下之。宜大黄附子湯。
《金匱要略》腹満寒疝宿食秒脉證治第十。


大黄附子湯[1-2]《金匱要略》《中薬臨床応用》
「大黄9g(後下)、附子9g、細辛3g」水煎服。
◎寒積の便秘
◎腹痛と全身の虚寒を伴う便秘。


大黄附子湯[1-3]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「大黄1、附子0.6、細辛2」
◎腹絞痛し、悪寒する者を治す。《吉益東洞》
◎胸下も広く取りて脇肋より腰までの痛みに用いて宜し。《勿誤薬室方函口訣》
◎発熱、脈滑数は、「承気湯」である。
◎脇下偏痛、脉緊弦、発熱は不定。《龍野ー漢方処方集》
◎温めながら下すという方剤である。《和田東郭》の筆法をかりると、この方は鍋の底に焦げ付いたものを取り除くときに、先ず鍋に水を入れてしばらく温めて、焦げ付いたものが浮き上がったところで、そっと静かに取り除くようなもので、その温める作用をするものが附子と細辛で、取り除くものが大黄である。《大塚敬節》
◎《金匱要略》に“脇下”とあるのは、腰から脇肋まで広く含めて応用した方がよい。《大塚敬節》
◎およそ大黄や石膏のような寒薬と附子のような熱薬とを同時に配合した処方は、頑固で動きにくい病気を、揺り動かす力を持っている。病気が寒熱にまたがって治りにくい者に、しばしば用いられる。《大塚敬節》




★適応症及び病名 (大黄附子湯)
[1]胃痙攣
[2]陰嚢疝痛
[3]下腹部痛:<激しい疼痛><劇痛>
☆腰~下肢にかけての疼痛
☆臍傍・臍下の拘急
[4]座骨神経痛:
☆足が冷え、引きつれる激しい痛みがあり、便秘する者:「芍薬甘草湯」=「芍甘黄辛附湯」
☆58歳の男性。左側の腰から足にかけて痛むこと数ヶ月。病勢は一進一退でなかなか治らない。診察してみると、坐骨神経痛である。患者はやや肥満した体格で、便秘がひどいので、いつも下剤を用いているという。脈は沈んで力がある。私はこれに大黄附子湯(大黄1日量5.0)を与えたが、1日4、5行の下痢があって、疼痛は大いに減じ、3週間の服薬で全治した。《大塚敬節》
[5]腎盂炎:
☆腎盂炎で、悪寒がひどく腹痛の甚だしい者に《染谷奉道》
[6]腎臓結石
[7]疝痛:
☆腸疝痛
☆一婦人、右上腹部の発作性疼痛として来院した。この疼痛は数ヶ月前から起こり、毎月のように痛み、その時は背も共に痛み、背に水を注ぎかけられるようだという。某医師は胃痙攣といい、他の医師は胆石疝痛と診断した。食欲は正常で、発作時以外には、これという訴えはない。
腹診してみるに、胸脇苦満はなく、腹部は一体に軟弱でやや陥没し、腹直筋の拘攣はない。大便は秘結して3日に1行あって、硬い。脈沈小で、舌苔はない。私はこれに大黄附子湯を与えたところ、2週間の服用で、発作が全く止んだ。《大塚敬節》
[8]膵臓炎
[9]側腹痛:
☆右の脇下痛が多い《大塚敬節》
☆一男子が右脇下から腰に連ってひどく疼痛し、それが40~50日も治らず、諸種の治療も効のなかった者に、脈の緊弦を目標に、この方を与えて著効を得た。《有持桂里》
[10]胆石症:
☆其の患者はいつもは大柴胡湯で良くなっていたが、ある日、激しい発作があって、柴胡桂枝乾姜湯を用いたが受け付けず、脈を診てみると、強い疼痛が来ると、脈が緊弦になる。そこで脇下偏痛、其の脈緊弦と《金匱要略》にあるのを思いだし、大黄附子湯を用いたところ、これは良く納まり、服薬後、5、6分で疼痛が軽くなり、腹が突っ張っているような感じが取れて、寝返りが出来るようになった。《大塚敬節》
☆私の友人のS薬剤師は、漢方医学を研究していたので、自分が胆石症を病んだときには、大柴胡湯を用い、疝痛発作のときも、これを飲むと疝痛が緩解していた。ところがあるとき、疝痛発作に、大柴胡湯を用いたが、これを吐いてしまった。痛みはますます強くなる。そこで私が招かれ、診察してみるに、強い痛みがくるときに、脈が緊弦になる。痛みの弱いときには、脈がゆるんでくる。そこで大黄附子湯を与えたところ、飲んで5分もすると痛みが楽になり、腹が突っ張っているような感じが取れて寝返りができるようになり、続いて飲んでいる中に、便通があって全く疼痛が去った。(漢方診療医典)
[11]チアノーゼ
[12]腸ケイレン
[13]椎間板疝痛
[14]手足冷たい
[15]発熱
[16]腹痛
☆冷えると増強し暖めると軽減する《中医処方解説》
☆此方は偏痛を主とす。左にても右にても拘わることなし。《勿誤薬室方函口訣》
☆「烏頭桂枝湯」は腹中の中央に在りてそれより片腹に及ぶものなり。大黄附子湯は脇下痛より他に引きはるなり、《勿誤薬室方函口訣》
☆胆嚢疾患からくる腹痛に:「芍薬甘草湯」《細野史郎》
☆42歳、主婦
「4~5年前から腰が痛み、病院や診療所でいろいろ診察を受けたが、はかばかしくなかった。
患者は腰をのばすことが出来ず、中腰の状態で来院すると同時に、腰掛けに横になった。そして非常に痛がる。
痩せ型の胃アトニータイプで、貧血し冷え症である。食事は野菜より肉類をとり、甘いものが好きとのこと。便秘症で便通は7~10日間に1回ある程度で小水は近く、夜間には1~2回ある。
脈弱く、腹診すると下腹部が冷たく少し圧痛を認める。
冷え症と便秘にポイントをおいて、大黄附子湯芍薬甘草湯を与えた。1日の分量(芍薬6甘草4細辛3附子1大黄3)とする。この処方運用のカギは熱薬の附子と寒薬の大黄にあり、そのさじ加減がむつかしい。この患者は附子をだんだん増量して1.7gまで用い、大黄を12gまで増量した。すると、便通が1日1回となり、40日間の服用で、さいもの腰痛も治り、自由に腰を伸ばして歩けるようになった。」《寺師睦宗》
[17]片頭痛
[18]便秘:
☆便秘の傾向が多い。《大塚敬節》
[19]慢性虫垂炎
[20]腰痛:
☆激しいひきつれるような痛み、足が冷え、便秘する:「芍薬甘草湯」
☆胆石症・腎臓結石などで腰痛する:「芍薬甘草湯」
☆腰腹部痛
[21]肋間神経痛





大黄牡丹皮湯[1-1]《金匱要略》
「大黄4両、牡丹皮1両、桃仁50枚、瓜子半升、芒硝3合」
右五味、以水六升、煮取一升、去滓、内芒硝、再煎沸、頓服之、有膿當下、如無膿、當下血。
◎腸癰者、少腹腫痞、按之即痛、如淋、小便自調、時時発熱、自汗出、復悪寒。其脉遅緊者、膿未成、可下之、当有血。脉洪数者、膿已成、不可下也、大黄牡丹皮湯主之。
《金匱要略》瘡癰腸癰浸淫病脉證并治第十八。


大黄牡丹皮湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「大黄2、牡丹皮・桃仁・芒硝各4、冬瓜子6」


大黄牡丹皮湯[1-3]《金匱要略》
「大黄3.2、牡丹皮2.8、桃仁2.0、瓜子3.2、芒硝3.6」
右五味、水二合八勺を以て、先づ四味を煮て六勺を取り、滓を去り、後芒硝を入れ、溶解せしめて頓服す。
此方、原本に在りては大黄牡丹湯と称し、且つその薬量之と異なれり。今、方名は《類聚方》に従い、薬量は《類聚方広義》に従う《奥田謙蔵》
  
●大黄牡丹皮湯証(小腹腫痞)《薬徴》
◎臍下結毒あり、之を按ずれば即ち痛む、及び便膿血なる者を治す。《吉益東洞》
◎此方は腸癰能潰以前に用ゆる薬なれども、その方桃核承気湯と相似たり。故に先輩、瘀血衝逆に運用す。
◎諸癰疽、疔毒、下疳、便毒、淋毒、痔疾、臓毒、瘰癧、流注、陳久疥癬、結毒、瘻瘡、無名の悪瘡、膿血尽きず腹中凝閉或いは塊あり、二便利せざる者を治す。《類聚方広義》
◎此方、独り腸癰を治する而已(ノミ)ならず、専ら能く無名の悪瘡、癰疔、腫塊、瘰癧、流注、楊梅便毒、及び一切膿有る者、及び淋疾、帯下、痔瘻、痢疾等を治す。数年に及ぶ者と雖も皆奇効あり。《類聚方集覧》
◎大黄牡丹皮湯も亦、白芥子を以て瓜子に代える。白芥子能く血を散ずる故なり。《先哲医話》
◎下腹痛或いは下腹下肢腰部の化膿症、脉緊。《龍野ー漢方処方集》
◎目標:《大塚敬節》
<1>腹診上、瘀血の腹証がある。(参照→桃核承気湯・桂枝茯苓丸)
<2>便秘と少腹腫痞がある。少腹腫痞というのは、下腹部がつかえたように腫れて抵抗のあるのをいうが、少腹急結のような急迫性の疼痛はない。

◎鑑別:
「大黄牡丹皮湯は腸癰(虫垂炎)が膿潰する前に用いる薬であるが、桃核承気湯とよく似ている。それで先輩は瘀血の上衝するものに応用している。およそ「桃核承気湯」の症にして小便不利する者は此方に宜し。その他、内痔、毒淋(淋菌性尿道炎)、便毒(よこね)に用いて効あり。みな排血利
「大黄牡丹皮湯・桃核承気湯・桂枝茯苓丸の3方はともに駆瘀血作用のある方剤であるが、大黄牡丹皮湯と桃核承気湯には大黄と芒硝が入っていて、瀉下の作用がある。その作用は似ているが、急迫性の疼痛のある者 には桃核承気湯を用いる。」《大塚敬節》

★適応症及び病名(大黄牡丹皮湯)    
[1]潰瘍性大腸炎
[2]化膿性疾患:
☆下腹部、臀部、外陰部付近の化膿性腫れ物で、便秘の傾向のある者《瘍科秘録》
☆14歳女子。はじめ左腿に毒腫を発し、それが自潰して後、いつまでも膿が流れて治らない。脚は強直して棒の様になり、便所でかがむことが出来ない。こんな状態で6年にもなり、諸種の知慮曰うも効がないという。そこで大黄牡丹皮湯を与え、時々虎黛丸で、これを攻めたところ、2、3ヶ月で全治した。《古方便覧》
☆余は左股関節、疼痛強直、発赤腫脹㽲痛して、按ずべからず。普く帝 都の諸大学、名家を歴訪して年余寸効なかりし16歳の女子に、腹証に随い、大柴胡湯加石膏湯大黄牡丹皮湯桃核承気湯を与え、黄解丸を兼用すること数ヶ月にて全癒せしめたり。唯左脚やや短縮し僅かに跛行するのみ《皇漢医学》
[3]下腹部の疾患:
☆下腹部の炎症
☆下腹部の硬塊
☆下腹部の腫瘤
☆下腹部の疼痛(圧痛・抵抗)
[4]関節炎     
[5]乾癬
[6]肝斑
[7]急性虫垂炎
☆炎症で腫脹し化膿していない時期に使用。
☆化膿が完成し、脈<洪数>となった者には、使わない。
[8]急性腸炎
[9]蟯虫
[10]筋炎
[11]頸管カタル
[12]頸部リンパ腺炎
[13]頸部リンパ腺結核
[14]経閉
[15]月経異常:
☆月経閉止等。《奥田謙蔵》
☆経水不調、赤白帯下、赤白痢疾、小腹凝結し、小便赤渋し、或いは水気有る者を治す。《類聚方広義》
[16]月経困難症:
☆婦人の月経痛等。《奥田謙蔵》
[17]血尿
[18]下痢:
☆痢病、魚脳の如きを下す者に用いれば効を奏す。もし虚する者、「駐車丸」の類に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
☆痢失久しく差えざる者は腸胃腐爛して赤白を下す者と見倣すことは《後藤艮山》の発明にして、《奥村良筑》その説に本づき、陽症には此方を用い、陰症には「薏苡敗醤附子湯」を用いて、手際よく治すと云う。古今未発の見と云うべし。《勿誤薬室方函口訣》
☆魚の臓腑の腐ったような悪臭のある膿血を下し、裏急後重があって、 下腹部が充実した感じで、この部に圧痛の著明者に用いる。ことに左下腹部に圧痛の強いものがある。《大塚敬節》
[19]睾丸炎
[20]肛門周囲炎
☆57歳男性。元来が健康な方ではなく、すぐ疲れるので、若いときから、あまり仕事をしないという。数日前から肛門に激痛があって、夜間も眠れないほどである。そればかりか、大便は4、5日間、全くなく、尿も昨朝より1滴も通じない。そのため腹が張り裂けそうに痛み、苦しさにうなっている。診察してみると、脈は沈遅で力があり、膀胱には尿が充満している。肛門から臀部にかけて一体に腫脹し、肛門の周囲には手を触れることが出来ないほどに痛む個所がある。まさに周囲膿瘍である。私は急場の苦痛を去るため、カテーテルで導尿し、大黄牡丹皮湯を内服せしめた。これ飲むと、1日3、4行の下痢があり、翌々日多量の臭気のある膿を肛門内から数回にわたって排泄し、それで苦痛の大半は去り、自然に排尿出来るようになった。その後引き続き1ヶ月あまり服用すると、外来で通院出来るようになった。しかし完全に治らないうちに服薬を中止した。   その後、1年に、1、2回、少し痔の気持が悪いといって、大黄牡丹皮湯の投薬を乞うた。この患者は、平素から眼瞼の周囲が黒ずんで、瘀血の存在を思わす風采であった。《大塚敬節》
☆本方は初期に局所の腫脹疼痛が著しく、高熱を発し、便秘していて腫れ・痛みとともに尿閉を起こしているといような緊迫している時に用いされる。
本方で便通がつくと腫脹疼痛がすみやかに去って、切開の必要がないことが多い。大黄と芒硝は各6.0gくらい多い方がよい。
本方は実証で、下部に緊張性の炎症や化膿症があり、腫脹、疼痛、発熱があり、便秘して下腹部に腫瘤または堅塊があり、体力の充実しているときによい。それゆえ、体質の虚弱な者には用いられない。
大塚氏は肛門周囲炎で便閉と尿閉を起こした57歳の男性が、激痛のため眠れず、腹が裂けそうだと苦しみ呻っているのに導尿したあと、本方を用いたところ、3~4回下痢のあと、膿汁を多量に下し、諸症すみやかに軽快したという(漢方診療医典)
[21]鼓腸
[22]骨髄炎
[23]骨盤腹膜炎
[24]産後の疾患:
☆産後、悪露下らず、小便不利、血水壅遏し、少腹満痛し、通身浮腫し、大便難なる者、又、産後、悪露尽きず、数日を過ぎ、寒熱交も作り、脈数急、小腹或いは腰髀の痛劇しき者は、癰を発するの兆也。能く病の情機を審かにし、早く此方を以て之を下す可し。已に膿潰する者も、亦此方に宜し。(遏=アツ、とどめる)(髀=ヒ、もも)
[25]産褥熱:
☆産後の諸病を治す。
[26]子宮筋腫
[27]子宮内膜炎
[28]子宮付属器炎
[29]痔核:
☆痔疾患《奥田謙蔵》
☆痔核・肛門周囲炎などで、実証の者には、この方、又は「蒼朮・薏苡仁・甘草=騰龍湯」を用いる。便秘が強くて腹部に抵抗、膨満の傾向のある者によい。もし少腹急結の状があれば桃核承気湯を用いる。これらを用いて、腹痛を訴え、裏急後重の状を示すものは、虚証であって、これらの処方の適応証ではなく、帰蓍建中湯や芎帰膠艾湯を用いる。《大塚敬節》。
[30]痔出血
[31]痔瘻:
☆痔瘻等には、証に由り伯州散を兼用す。《奥田謙蔵》
[32]自汗
[33]湿疹:患部は分泌物が出て、かゆみがひどい。
[34]腎盂炎:
☆急性の腎盂炎で、体力あり症状が激しい者:「桂枝茯苓丸」
☆上記で便秘する者:「桃核承気湯」
☆腎臓部に疼痛と圧痛があって、この部が腫脹し便秘するものに用いる。便秘しなければ桂枝茯苓丸を用いる(漢方診療医典)
[35]進行性手掌角皮症
[36]赤痢:
☆赤痢様疾患にして、腹痛甚だしく、魚腸の如きものを下し、未だ衰弱加わらざる証《奥田謙蔵》
☆患者は昨夜より再び、さらに猛烈なる腹痛とともに血便を少し出し、続いて真っ黒い便を認めた。この時は全く、四肢厥冷、心臓が破裂し、いまにも呼吸が止み、五臓が働きを休止してしまうかと思われたと述懐している。この日の排便回数は12回。黒便と同時に魚脳のようなものを下した。脈は沈遅で力は相当にあり、舌は黄苔厚く、腹はやや陥没してきたが、底に拘攣緊張が強く抵抗がある。この日2度往診夕方腹痛はだんだん減少の気味であったが、左臍傍を按ずると痛み、拘攣は甚だしく、大便時の腹痛よりも、小便渋痛で、尿道の逼迫と苦痛が顕著となり、尿意を催してから排尿の始まるまでに15分~30分もかかり、その間患者はまことに地獄の苦しみで、全身に冷汗を流し、咬牙上吊の態である。
この患者に、大黄牡丹皮湯を与え、大黄・芒硝各2.0を用いたが効無く、大黄・芒硝各6.0としたところ、さしもの激しい症状も消散して数日で全快した。《矢数道明》
[37]舌質 <紅>
[38]舌苔 <黄苔><乾燥>
[39]前立腺炎
[40]鼠径リンパ腺炎
[41]帯下
[42]大腸炎
[43]体力充実
[44]虫垂炎:
☆急性・初期の虫垂炎で、体力・元気も十分にあるとき。
☆右下腹部が痛く張り気味で、押すと激しく痛む者で、微熱があったり、便秘傾向の者。
☆蟲様突起炎等(盲腸炎)にして、未だ衰憊加はらず、その脈緊にして、下すべき証。《奥田謙蔵》
☆腸癰、小腹牢強、之を按じて痛み、小便不利、時に汗出ずる有り、悪寒、脈遅、未だ脹を成さざるを治す:「赤茯苓」《太平聖恵方》
☆腸癰、未だ膿を成さず、腹中痛忍ぶべからず:「木香・芍薬・敗醤」
☆腸癰、小腸堅硬なること掌の如くして熱し、之を按ずれば則ち痛み、肉色もとの如し。或いは㽲赤微腫し、小便頻数、汗出で憎寒し、脈緊実にして力あり。:「瓜子白芥子」《太平聖恵方》
☆10年あまり前には、本方を用いてよい虫垂炎が多かったが、この頃は本方を用いる患者をあまり診ない。外科的に処置する患者が多くなったせいかもしれない。
虫垂炎には下痢を禁忌とする場合が多く、この処方には大黄と芒硝が入っていて瀉下作用があるので、その使用量は慎重でなければならない。
この処方を用いる目標は、脈が遅緊であること、腫瘍が限局的で、周囲に腹膜刺激症状が無く、一般状態も良好な場合は、本方を用いて、便通をつけてやるとよい。
もし脈が大数または細数あるいは微弱であるよなときには、用いてはならない。この処方を飲んだために、腹痛が増したり、不快感を訴えるようであれば、処方を変えるがよい。(漢方診療医典)
[45]膣直腸漏=直腸膣瘻
[46]乳腺炎
[47]乳腺腫瘍:
☆40歳女性。右乳房に腫瘤が出来ているのに気づき、ガンではないか診てくれとのこと。触診してみると右乳房の皮下に、くるみ大の腫瘤が触れる。腫瘤は硬くヘックリッヒ(コブコブ状)である。触診だけではガンであるとも無いとも言えない。腋下リンパ腺の腫脹はない。腹証をみると下腹部に圧痛を訴える部分がある。瘀血と診断して大黄牡丹皮湯7日分を投与した。7日目に再来した。触診するに乳房の腫瘤は既に全く消失している。乳ガンではなかったわけである《相見三郎》
[48]尿管結石
[49]尿閉:
☆排尿困難を伴い、大小便ともに大いに難渋する者に、本方を用いて奇効を得ることがある《大塚敬節》
[50]尿道炎
[51]脳出血
[52]バルトリン腺炎
[53]梅毒:
☆黴毒性疾患には、証に由り水銀剤を兼用す。《奥田謙蔵》
[54]皮下膿瘍(下半身)
☆下肢皮下膿瘍
☆臀部、及び下肢に発する疔疽。《奥田謙蔵》
[55]フリクテン
[56]フルンケル:
☆臀部フルンケル
[57]副睾丸炎
[58]腹痛(右下腹部が多い)
☆甚だしければ体を折り曲げ、下肢を屈曲させる《中医処方解説》
[59]腹部膨満感
[60]腹膜炎(初期)
[61]不妊症
[62]便秘:
☆白頭翁加甘草阿膠湯とは虚実の差があり。本方には大黄・芒硝の瀉下剤が入っていて、瀉下作用があるが、大黄・芒硝の量が少ないと効力を期待しがたい。《大塚敬節》
[63]膀胱炎
[64]無月経:
☆溝口鮎右衛門妻、経水来らざること3、4ヶ月、1医以て妊娠とす。3ヶ月に至り、産婆も妊なりとて、鎮帯を施せり。自己も度々産せし故、妊の具合も知り、妊と思へり。然るに11月に至りても、産の兆し無し。ここにおいて余に診を乞ふ。余熟診するに、腹状妊の様なれども、妊娠に非ず。因って経閉なることを、告げ聞かせぬ。夫婦大いに驚き、頻に薬を乞う。大黄牡丹皮湯を与ふ。日々4服づつを用ゆ。服すること4、5日。紫血、衂血をまじへ、下すことおびただし。20日ばかりにして血止み、腹状常の如し。翌月月信来たり、その月より妊娠し、翌年1子を挙ぐ。これは嗚咽を残り無く取り尽くしたる故なり。《方技雑誌》
[65]むくみ:
☆血蔵虚気塞ぎ流通せず、面の浮腫を治す。《霊苑方》
[66]癰(カルブンケル):
☆平素から剛胆なある京の人が、臍下に癰が出来、それを治すために外科医にかかったが、効がないので、自分で刀で、これをえぐり取り、その上に灸をすえた。すると汁が出て治った。しかしこの部に触れてみると、石のように硬い。ところでそらから間もなく、東都にいくことになり諏訪を経て、温泉に浴したところ、耐え難いほどの激痛をおこした。そこでこれはえぐり方が足りないと考えて、更に深くえぐって、その上に数十壮の灸をすえた。ところがしばらくすると、腸が焼け爛れて、そこから水と血が迸り出た。しかしその人は食が進み、食べると、下痢便がその瘡口から流れるので、いつも綿で腹をつつんでいた。《吉益東洞》先生はこれを診して、大黄牡丹皮湯に伯州散を兼用したところ、数日で治った。《建珠録》
[67]よこね(横痃):
☆臀癰、便毒、凡そ瘡の下部に生じる者。《雑病論識》
[68リンパ節炎
[69]リンパ腺炎
[70]淋病:
☆淋疾、及び淋毒性睾丸炎等。《奥田謙蔵》
[71]ルイレキ(瘰癧):
☆諸癰疽、疔毒、下疳、便毒、淋疾、痔疾、臓毒、瘰癧、流注、陳久の疥癬、結毒瘻瘡、無名の悪瘡、膿血尽きず、腹中凝閉し、或いは塊有り、二便利せざる者を治す。症に随いて伯州散、七宝丸、十幹丸等を兼用す。《類聚方広義》
   

大黄牡丹皮湯加減《中薬臨床応用》
「大黄9g(後下)、牡丹皮・連翹各15g、冬瓜仁・金銀花・薏苡仁(生)各30g、 桃仁9g、甘草(生)6g」
◎急性の単純性虫垂炎。


大温中丸《新効方》
「平胃散鍼砂・青皮・三稜・莪朮」
◎食積黄腫を治す《雑病翼方》
      


大温中丸《東醫寶鑑》
「香附子1両半、鍼砂1両、陳皮・蒼朮・厚朴・青皮・三稜・莪朮・黄連・苦参・白朮各5銭、生甘草2銭」作末し、醋糊で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で70~80丸飲む。
◎黄疸・黄胖・黄腫を治す。


大活血湯《施丹端効方》
「 鶏鳴散[1]《備急千金要方》麝香」
◎打撲損傷、内壅死せんとするを治す


大活絡丸《聖済総録》
「白花蛇、烏梢蛇、威霊仙、両頭尖、草烏、天麻、全蝎、何首烏、亀板、麻 黄、貫衆、甘草、羗活、肉桂、烏薬、黄連、熟地黄、大黄、木香、沈香、藿香、細辛、赤芍薬、没薬、乳香、丁香、白僵蚕、天南星、青皮、骨砕補、白豆蔲、安息香、黒附子、黄芩、玄参、香附子、白朮、防風、葛根、虎脛骨、当帰、血竭、地竜、犀角、麝香、松脂、牛黄、竜脳、党参」



大陥胸丸[1-1]《傷寒論》
「大黄半斤、甘遂(熬)半斤、芒硝半升、杏仁(去皮尖熬黒)半升」
右四味、搗篩二味、内杏仁、芒硝、合研如脂、和散。取如弾丸一枚、別搗甘遂末一銭匕、白蜜二合、煮取一升、温頓服之、一宿乃下。如不下、更服、取下為效。禁如薬法。
◎病發於陽、而反下之、熱入因作結胸。病發於陰、而反下之、陰作痞也。所以成結胸者、以下之太早故也。結胸者、項亦強、如柔状、下之則和、宜大陥胸丸。《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。
「項亦強」=うなじがこる
芒硝半升=分量、5両にすべし。《薬徴》


大陥胸丸[1-2]《東醫寶鑑》
「大黄5銭、甘遂(炒)・杏仁(炒)各3銭、芒硝2銭半、甘遂2字」作末し、蜜で弾子大の丸剤。毎回1丸を1盞で煎じて半分ぐらいになったら温服。効かないときは再服する。
◎熱実結胸を治す。


大陥胸丸[1-3]《傷寒論》
「大黄32.0、甘遂・杏仁各24.0、硝石40.0、甘遂24.0」
右五味、細末にし、錬蜜を以て丸と為し、瓶中に蓄へ置き、用に臨み、白湯を以て約4.0を頓服す。
若し病重きものは、更に増量して6.0に至る。《奥田謙蔵》
●大陥胸丸証(結胸は項亦強ばる)《薬徴》
その謂ふところの結胸は、大陥胸丸を用ふれば則ち水利して疾愈ゆ。然れば則ちの水を治するや明らかなり。
◎此方、原方に在りては芒硝有りて硝石なし。然れどもその用法煩雑なり。今、《尾台榕堂》氏の改むる所に従う。
◎結胸にして、項背強る者を治す。《類聚方広義》
◎所謂結胸は、病、胸中に結ぼれ、気塞がり、短気し、胸高く起こり、項も亦強バリ、仰いで俛(フ)すこと能はず、痙の状の如く、逆、喘鳴し、其の人舌黄焦にして、心下鞕満し、手も近づく可らざる者なり。之を下せば則ち和す。大陥胸丸に宜し。《医聖方格》
◎すべて本方は、極めて強実なる者に非ざれば、軽々しく投与するを得ざるなり。《奥田謙蔵》
◎結胸、心下部硬く痛み、項部もまたケイレン的に強直する者。《龍野ー漢方処方集》

★適応症及び病名(大陥胸丸)
[1]脚気:
☆脚気衝心等にして、強実なる証。《奥田謙蔵》
[2]湿性肋膜炎:
☆湿性肋膜炎等にして、頗る強実、毫も虚状なき証。《奥田謙蔵》
[3]水腫:
☆水腫、腸の初起、形気倶に実なるを治す。《医宗金鑑》
[4]痰飲:
☆痰飲、疝、心胸痞塞し、痛、項背臂膊に連なる者を治す。或いは湯 薬その宜しきに随い、此方を以て兼用と為すも、亦良し。《類聚方広義》




大陥胸湯[1-1]《傷寒論》
「大黄(去皮)6両、芒硝1升、甘遂1銭匕」
右三味、以水六升、先煮大黄、取二升、去滓、内芒硝、煮一両沸、内甘遂末、温服一升。得快利、止後服。
◎太陽病、脉浮而動数、浮則為風、数則為熱、動則為痛、数則為虚。頭痛、発熱、微盗汗出、而反悪寒者、表未解也。医反下之、動数変遅、膈内拒痛、胃中空虚、客氣動膈、短氣躁煩、心中懊悩、陽氣内陥、心下因鞕、則為結胸、大陥胸湯主之。若不結胸、但頭汗出、余処無汗、剤頸而還、小便不利、身必発黄。大陥胸湯
◎傷寒十余日、熱結在裏、復往来寒熱者、與大柴胡湯。但結胸、無大熱者、此為水結在胸脇也。但頭微汗出者、大陥胸湯主之。
◎傷寒五六日、嘔而発熱者、柴胡證具、而以他薬下之、柴胡證仍在者、復與柴胡湯。此雖已下之、不為逆、必蒸蒸而振、却発熱汗出而解。若心下満而鞕痛者、此為結胸也、大陥胸湯主之。但満而不痛者、此為痞、柴胡不中與之、宜半夏瀉心湯。 《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。


大陥胸湯[1-2]《傷寒論》
「大黄6.4、芒硝4.0、甘遂1.2」
右三味、水一合八勺を以て、先づ大黄を煮て六勺を取り、滓を去り、芒硝を入れ、溶解せしめ、更に甘遂末を入れて頓服す。《奥田謙蔵》
此方、原本煮在りては、芒硝の分量特に多し。今、《類聚方広義》の改むる所に従う。《奥田謙蔵》
大陥胸湯証(短気・躁煩。又曰く、心下滿して鞕痛。)《薬徴》
「心下滿して鞕痛」=みずおちが充満して硬くいたむ
「躁煩」=煩躁
大陥胸湯証(心下痛み、之を按じて石鞕)《薬徴》
大黄8両、芒硝5両に作る
◎結胸心下より少腹に至り鞕満して痛み近づくべからざる者を治す《吉益東洞》
◎此方は熱実結胸の主薬とす。
◎心中懊悩、心下部著しく硬く痛む者。《龍野ー漢方処方集》
◎傷寒を誤って下して結胸となり、心下~小腹が硬満痛、手を近づけることも出来ない者。
◎大陥胸湯は、よく水を駆逐し、積を攻める。

【腹証】
《腹診配剤録》
“心下より小腹に至るまで、石の如くに鞕満して痛み、手を近づく可らざる也”

★適応症及び病名(大陥胸湯)
[1]息切れ
[2]悪熱
[3]カリエス
[4]咳嗽
[5]喀痰<濃厚な痰>
[6]脚気:
☆昏悶絶えんと欲する者、此方を服して甦生せり。
☆脚気衝心。
☆脚気冲心、心下石の如く硬く、胸中大いに煩し、肩背強急し、短気して息するを得ざる者、此方に宜し。《類聚方広義》
☆脚気等にして、強実の証。《奥田謙蔵》
[7]急性膵臓炎
[8]狭心症
[9]胸水
[10]胸痛:
☆胸痛劇しき者に特効あり。一士人胸背徹痛、昼夜苦楚忍ぶべからず、百治効なく自ら死せんとす。大陥胸湯を服する3貼にして霍然たり。
☆胸痛あり、時々発熱して口渇し、其の脈弦なる証。《奥田謙蔵》
☆少しく喘咳あり、吸気に因って胸痛を覚え、口舌乾燥するも、甚だしく水を欲せず、その脈渋にして緊なる証。《奥田謙蔵》
[11]脇痛
[12]クル病:
☆小児の亀背に用いる。
☆その軽き者は大陥胸丸に宜し。
☆小児亀胸にならんと欲する時は此方を早く用いれば効を収める。
[13]肩背強急:
☆肩背強急し、言語すること能はず、忽然死せんとする者は、俗に「早打肩(ハヤウチカタ)」と称す。急に針を以て放血し、此方を与えて峻瀉を取らば、以て一生を九死に回す可し。《類聚方広義》
[14]口渇
[15]口乾
[16]呼吸促迫
[17]午後になると高熱が出る
[18]心筋梗塞:
☆真心痛、心下痞硬し、苦悶して死せんと欲する者、此方に宜し《類聚方広義》
[19]心下堅満
[20]心下部疼痛:
☆少しく熱発あり、口舌乾燥して渇し、胸中満悶を覚え、心下部鞕痛して堪え難く、その脈伏して緊なる証。《奥田謙蔵》
☆みぞおちが硬く脹って苦しく圧痛が強い《中医処方解説》
[21]心中懊悩
[22]身熱
[23]水腫:
☆痢後の初起の者を治す甚だ捷しと。《傷寒論識》
[24]髄膜炎
[25]頭汗
[26]脊椎変形
[27]舌質<紅><乾燥>
[28]舌苔<白黄><黄苔>
☆発汗の後、舌黄色に変じ、胸中満悶し、或いは痛み、食欲減退し、尿利頻数、発熱甚だしからざる証。《奥田謙蔵》
[29]大動脈瘤解離
[30]潮熱
[31]熱性病:
☆熱性病、時に少しく寒熱あり、或いは嘔吐を発し、或いは呼吸促迫し、胸脇痛ありて脈沈なる証。《奥田謙蔵》
[32]膿胸
[33]煩躁
[34]ひきつけ:
☆産後の血暈、及び小児の急驚風、胸満し、心下石の如く硬く、咽喉に痰潮し、直視、痙攣し、胸動奔馬の如き者に宜し。《類聚方広義》
[35]腹水<炎症性>
[36]腹部膨満
☆傷寒で誤って下して結胸となり、心下より小腹は硬満痛で、手を近づけることが出来ない。
[37]便秘
[38]胸苦しい
[39]留飲:
☆肩背に凝る者に速効あり。


大陥胸湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》
「大黄9g、元明粉15g、甘遂()1g」まず大黄を煎じ、元明粉をいれて1~2回沸騰させ、その湯液で甘遂末を服用。
◎滲出性肋膜炎による胸水。
◎急性期
◎潮熱、
◎脇痛
◎便秘、口燥、口渇


大陥胸湯[1-4]《東醫寶鑑》
「大黄3銭、芒硝2銭、甘遂末5分を切って2貼に分け、1貼を先に大黄と 煎じて6分程度になったら芒硝を入れ、再煎し、滓を去り、甘遂末を混ぜて飲むと良い。下痢が止まった後も服用する。
◎大結胸を治す。


大陥胸湯[2]《玉函経》
「桂枝・甘遂各4両、大棗12枚、括実1枚、人参4両」
◎胸腹水邪充実し、衝心苦悶する者を治す。《脚気提要》


大橘皮湯[1]《東醫寶鑑》
「陳皮3銭、青竹茹2銭、人参・甘草各1銭、姜5、棗3」水煎服。
◎動気に誤って発汗して心が煩悶し、骨が痛く、目が回り、食物を吐く者。

 


大橘皮湯[2]《東醫寶鑑》

「滑石3銭、陳皮1銭半、白朮・赤茯苓・猪苓・沢瀉各1銭、桂皮7分、檳榔6分、木香5分、甘草(炙)4分、姜5片」水煎服。
◎湿熱が内に入り、心腹が脹って水腫を発し、小便が不利で、大便が滑泄する者を治す。

 


大橘皮湯《宣明論》《古今方彙》
「陳皮・茯苓各1銭、猪苓・白朮・沢瀉・肉桂各5分、木香2分、滑石6銭檳榔子3分、甘草2分」水煎温服。
◎湿熱内攻し、腹脹り、小便不利し、大便滑泄する者を治す。


大芎黄散 《漢方治療の実際》
=「治頭瘡一方」 
「忍冬3、紅花2、連翹・荊芥・朮各4、防風・川芎各3、大黄2、甘草1.5」


大芎黄湯《活法機要》《古今方彙》
=「道裏湯」《寿世保元》
「川芎・羗活・黄芩・大黄各2銭」水煎温服。臓腑通して和するを以て度となす。
◎破傷風が裏に在る者を治す。宜ぎく疎導すべし。


大芎黄湯《活法機要》《東醫寶鑑》
「川芎1銭、大黄・羗活・黄芩各2銭」水煎服。少し下痢することを原則と する。
「芎黄円黄芩羗活」《勿誤薬室方函口訣》
◎破傷風が中に入って、小便が赤く、自汗が止まらない者。
◎破傷風、裏に在る者を治す。《雑病翼方》
◎湿疹:胎毒と呼ばれる乳幼児の湿疹

★適応症(大芎黄湯)
■小児の体質改善
☆滲出性体質の幼児にはよく湿疹ができる、俗に胎毒と呼ばれているものである。この処方がよい(漢方診療医典)


大芎散《医学入門》《古今方彙》
「川芎1銭、羗活・枳殻・甘草各5分、赤茯苓・赤芍薬・酸棗仁・桂心・当帰・木香・牛膝各1分、生姜」水煎熱服。
◎血風(婦人産後の眩暈)にて身体骨節疼痛し、心膈壅滞して飲食を思わざるを     治す。


大羗活湯[1]《東醫寶鑑》
「生地黄・知母・川芎各1銭、羗活・防風・独活・防已・黄芩・黄連・蒼朮・白朮各7分、細辛・甘草各5分」水煎服。治らない場合は、もう一度3 ~4貼を再服用する。
◎両感傷寒を解利させ、或いは風脈が表れ、又寒脈が表れる場合もあり、発熱悪寒・汗無く頭痛し、のどが堅くなる者。
(両感=二つの病気に共に犯されること)


大羗活湯[2]《東醫寶鑑》
「羗活・升麻各1銭半、独活1銭、蒼朮・防已・威霊仙・白朮・当帰・赤茯       苓・沢瀉・甘草各7分」水煎服。
◎風と湿が互いに功搏して肢節が脹痛し、屈伸出来ない者。


大驚元(一名大安神丸)《東醫寶鑑》
「酸棗仁去皮・蚌粉(炒)・甘草(炙)各5銭、人参・赤茯苓・白朮・朱砂・麦 門冬・木香・代赭石(醋煮)各2銭半、白殭蚕・桔梗尾各1銭2分半、全蝎 3個、金銀箔各3片」作末し蜜で梧子大の丸剤。金銀箔で衣をし、薄荷湯 で1~2丸飲む。
◎驚風を治し、又心熱・夜泣きを治す。


大金花丸《東醫寶鑑》
「黄連・黄芩・黄柏・大黄」各等分に作末して、水で小豆大の丸剤。温水で20 ~30丸飲む。
◎三焦の火熱を治す。


大膠艾湯《備急千金要方》
「芎帰膠艾湯乾姜」
◎男子は絶傷、或いは高きより堕下し、微なる者は唾血し、甚だしきは吐血す。
◎及び、金瘡傷経を治す。
◎此方は芎帰膠湯と主治同じ。
◎けだし「乾姜」を加える処に深意あり。「地黄乾姜」は血分の働き一層強くなるなり。咳奇方。治結狂一方も同趣旨なり。《勿誤薬室方函口訣》


大薊飲子(一名大薊散)《東醫寶鑑》
「大薊根・桑白皮・犀角・升麻・蒲黄(炒)・郁李仁・桔梗・甘草各1銭」水煎服。
◎辛い物・熱い物を食べ過ぎて、血を吐く者。

 


大建中湯[1-1]《金匱要略》
「蜀椒(去汗)2合、乾姜4両、人参2両」
右三味、以水四升、煮取二升、去滓、内膠飴一升、微火煎取一升半、分温再服、如一炊頃、可飲粥二升、後更服、當一日食糜、温復之。
◎心胸中大寒痛、嘔不能飲食、腹中寒、上衝皮起、出見有頭足、上下痛而不可觸近、大建中湯主之。


大建中湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「蜀椒2、乾姜5、人参3」以上を法の如く煎じ、滓を去り、膠飴20を入れ、再び火にかけて5分間煮て3回に分けて飲む。
◎胸腹大いに痛み、嘔して飲食する能わず、腹皮起こって頭足あるが如き者を治す。《吉益東洞》
大建中湯症=心胸中大寒痛、嘔して飲食する能はず。《薬徴》
[心胸中大寒痛]=むねの中が冷えてひどく痛むという意味であるが、これは心腹中大寒痛とした方が実際にあてまはまる。《大塚敬節》
◎此方は小建中湯と方意多きに異なれども、膠飴一味あるを以て建中の意明なり。
◎腹満腹痛、腸の蠕動不安、或いは嘔吐。

【腹証】
《腹診配剤録》
“胸腹満ちて凝有り。あたかも頭足有るが如く、或いは臍傍に塊物有りて、手足有るが如く、而して臍の上下に定所無く、大に痛む。頭足とは、大小本末有るを謂う也” 《大塚敬節》
“この方剤には特異の腹証がある。皮起こり出で現れ、頭足あって上下しとは、腸の蠕動が亢進し、腹壁を透してその蠕動を望見することが可能で、その状は丁度、動物の頭や足のように見え、それが上に行ったり下に行ったりしているというのである。患者を腹診してみると、腹部が軟弱無力で、腸の蠕動を触れる者と、腹部全体に空気を入れたようにガスのために張り切っている者とある。”


★適応症及び病名(大建中湯)
[1]イレウス
●【EBM】術後単純性イレウスに対する大建中湯の効果
(対象患者)
外科手術後に単純性イレウスの発現をみたもので、医師がロングチューブを必要と判断した症例。
(結果)
腹痛と悪心・嘔吐は投与5日目に有意差をもって大建中湯投与群が改善した。
排ガスまでの基幹、排便開始日、経口摂取開始日、X線像、全身倦怠感、手術療法施行率には2群に差がなかった。
イレウス改善度に有意差は無かったが、大建中湯群のほうが改善症例が多かった。腹部所見・自覚症状改善度も2群間で有意差はなかった。改善症例は投与群に多かった。全般改善度も同様の結果であった。快活安全度で安全でない判定された例が5.6%であった。
有用度は極めて有用が6例(33.3%)、有用が8例(44.4%)、有用でないが1例(5.6%)であった。
●【EBM】術後癒着性イレウスに対する大建中湯の予防効果
非投与群では3例(4.3%)に術後X線写真で鏡面像を認めた3例とも保存的治療でケイカイした。
投与群には
便通異常を訴えた例が無く、全例イレウスを発症せず退院していた。
●【EBM】術後癒着性イレウスに対する大建中湯の効果
(対象患者)
癒着性居留守患者で大大建中湯証を有する患者52例
(♂34例、♀18例、年齢は50~70歳で85%)
(薬物投与)
大建中湯エキス15.0gを1日3回経口投与(22例)
1回5gを微温湯20mlに溶解して3階胃管から注入(18例)
2例が投与法不明

(結果)
腹部膨満感は5日後にやや改善以上が76.6%
腹痛は5日後にやや改善以上が78.2%
悪心嘔吐は同様の改善率が90.5%
下痢が見られた例は5日後で66.7%
腹部X線像で軽度改善が5日後に76.1%
投与後の排ガスは、2日目までに85.4%に見られた。
主治医判定による総合評価では、軽度改善異常が82.0%、
有用度ではやや有用以上が88.5%であった。
(付記)
投与開始時の症状と改善率に関する検討では、腹部膨満感、腹痛、腹壁の緊張が見られた群で改善率が高かった。
一方、蠕動不安の有無と改善率に有意な関連は無かった。
●【EBM】不全イレウスに対する大建中湯の効果
(対象患者)

(結果)
再発例は投与群で3例/51例。非投与群で7例/38例。
手術移行例は投与群で1例/51例、非投与群で6例/38例。
副作用として6例に下痢症状がみられた(中止はなし)
腹満・嘔気・嘔吐、腹痛で70%以上の改善率であった。
寛解後の便通異常に対して50%以上医の改善がみられた。
[2]胃アトニー
[3]胃下垂
[4]胃腸無力症
[5]異常発酵
[6]嘔吐
[7]回虫症:
☆蛔蟲に因る腹痛等にして、熱性証無き者《奥田謙蔵》
☆京極の美濃屋の娘が熱病が治ったあとで、腹が大変痛むようになっ た、私はその脇下痞硬を診て、大柴胡湯や柴胡桂枝湯の類を与えたが一向に効が無く、そこでよくよく脈を診てみると洪大である。回虫で腹の痛む時は脈が洪大であることに気づき、駆虫剤である鷓胡菜湯、檳榔湯、鶴虱散などを用いたが、更に効がない。そこで大建中湯を与えたところ、1回で効があり、3回呑むと食欲が出て、5回分を呑む頃には痛は消えてしまった。《有持桂里》
[8]顔色悪い
[9]感情不安定
[10]篏頓ヘルニア
[11]眩暈
[12]元気がない(普段から元気がない)
[13]限局性腹膜炎
[14]鼓脹
[15]寒がり
[16]子宮後屈
[17]条虫
[18]食道狭窄
[19]食欲不振
[20]心下痞:
☆心胸中寒えて痞し、数ば痛みてし、飲食すること能はず、腹皮起こり出でて、頭足有るを見すは、大建中湯之を主どる《医聖方格》
☆太陽病、重ねて復た汗を発し、陽虚し、耳聾し、而して叉手して自ら冒ふ者は、慎みて小柴胡湯を誤り用いること勿れ。大建中湯に宜し《傷寒諸論》
[21]腎臓結石
[22]膵臓炎
[23]積聚:
☆《千金衍義》に曰く、虚寒、積聚の治には此方最も力あり。
☆積聚=腹内に結塊があって、腫れ痛みを伴う病証。
[24]舌質 <淡白><青紫> 
[25]舌苔 <白滑~湿潤して灰白色><黒苔>
[26]疝痛発作
☆寒冷刺激のどで誘発されて激しい腹部疝痛発作《中医処方解説》
☆35歳男性。
「下腹部に何とも言えぬ痛みがあり、便秘するといって来院。痛みは冷 えると悪いという。いわゆる疝痛である」
「患者は十二指腸潰瘍を手術した後に癒着を起こした。そこで再手術をしてその癒着をはがしたが、また癒着した。腸の中には4カ所の癒着があるという。それで冷え込むと名状しがたい疝痛が起こり、便秘になる。そのたびに近所の医師に診てもらうと、ただ鎮痛剤の注射を打つだけで、その場は一旦おさまるが、便秘がひどくなり、そうすると 又痛み出してくる。冷え込むと何とも言えぬ苦しみだと言う。
中肉中背で脈は弱く、腹診すると手術痕が2カ所あり、腹部は軟弱無力で弛緩している。 最初、開腹手術後の癒着を起こす疝痛に対し効果のある神効湯を与えようと考えたが、冷え込みと腹部の軟弱無力にポイントをあて、大建中湯人参湯を与えた。
本方を30日間飲むと疝の痛みがきれいに取れて、便も開通するようになった。」《寺師睦宗》
[27]大腸ガン
【EBM】大腸ガン手術における大建中湯の入院日数短縮効果
(対象患者)
大腸ガンの手術を受けた患者469例(開腹手術237例、腹腔鏡下手術232例)
[28]ダグラス膿瘍:
☆多量の膿を肛門から排泄して治った。《星野俊良》
[29]脱肛
[30]胆石症
☆胆石発作
[31]虫垂炎
☆病気がやや長引き、亜急性期に入った者で、疼痛が強く、ガスのために、腹部が膨満し、腸の蠕動が亢進し、脈沈遅弱、または脈沈遅弦のものに用いる。
また限局性の腹膜炎を起こしているときやダグラス窩膿瘍のあるものに用いる。これで大量の膿が大便とともに排泄されて頓挫的に良くなった例がある(漢方診療医典)
[32]腸管癒着
[33]腸管狭窄
[34]腸疝痛
[35]腸蠕動亢進:
☆(蠕動運動が外から確認出来る)
[36]腸閉塞症
【EBM】クローン病における腸閉塞に対する大建中湯の効果
(Evidence)
1件の自己対象比較試験において、クローン病の口側腸管の拡張を伴わない腸閉塞症状に対して大建中湯は、その腸閉塞改善時間を有意に短縮させた。
[37]爪返り
[38]手足が冷たい
[39]内蔵下垂
[40]難聴
[41]乳汁不足
[42]尿道痛(尿道炎)
[43]尿路結石:
☆又、腸の蠕動運動がよく分からないような場合でも、大建中湯を用いて良いことがある。私がかって腎臓結石に罹って、激しい疝痛に悩んだ時、大建中湯で小豆大の結石2個を排出して治ったことがあるが、この時は腹がパンパンに緊張して、蠕動がよく分からなかった。ガスが充満していたのである。《大塚敬節》
[44]排便障害
【EBM】小児術後排便障害に対する大建中湯の効果

(結果)
術後便秘群では26例のうち18例(75%:2例は判定不能)でやや友情以上であり、
非手術便秘群では11例のうち6例(67%:2例は判定不能)でやや有効以上であった。
術後イレウス群では11例中10例(91%)が有効であった。
術後蠕動改善目的群では9例のうち8例(89%)が有効であった。
(判定不能は・・・浣腸などと併用した症例)
[45]冷える(冷え性)
[46]腹水
[47]腹痛:
☆<激しい腹痛>
☆寒気の腹痛を治する、此方に如くはなし。けだし、大腹痛にして胸にかかり嘔あるか、腹中塊の如く凝結するが目的なり。《勿誤薬室方函口訣》
☆諸積痛の甚だしくして、下から上へムクムクと持ち上げる如き者に用いて妙効あり。
下剤を用いると良くない者á「指迷七気湯」を考える。《大塚敬節》
☆激烈なる腹痛等にして、殊に陽虚証に属する者《奥田謙蔵》
☆「解急蜀椒湯」は此方の一等重きものなり。
☆小建中湯の症にして一等衰弱、腹裏強急する者á大建中湯を宜とす。《備急千金要方》
☆腹痛が下から上に突き上げる。そこで腸の逆蠕動が診られる《大塚敬節》
☆この証の患者は冷え症で、脈に力無く、沈弱遅、大遅弱などを呈することが多い。腹痛はいつでも強いとは限らず、軽いときも、発作性に消長があり、劇しく胸に攻めあげてくる時は嘔吐を起こすこともある。《大塚敬節》
☆42才女性。数年来の腹痛を主訴として来院する。脈を診ると沈にして弱、舌には淡黄の苔があって、湿り、口渇はない。全身の肉は落ちて、ヤセ、顔色は蒼く、腹部は一体に軟弱で、下腹部は特に力がない。腹部の数カ所に凸凹があり、これを圧すると、グル音とともに消える。回盲部を指頭で刺激すると、腸の蠕動が亢進し、腹壁を透して腸の運動を診ることが出来る。臍の上でも下でも振水音を証明する。腹痛は発作的に強くなり、その痛みは回盲部付近に起こり、左右上下に移動し、激しい時は、胸に向かって攻め上げてきて嘔吐を起こすことがある。大便は秘結しがちであるが、下剤を飲むと堪えがたいほどの激しい腹痛が起こるので、恐ろしくて飲めない。なお、この腹痛は寒冷の候になると増悪する。
私はこれに大建中湯を与えた。1日量として、蜀椒3.0、乾姜8.0、人参4.0、膠飴60.0を用いた。これを3日分飲むと、すっかり腹痛が取れ、食欲が大いに進み、自然便が1日1行あるようになった。そこでうれしさのあまり、大いに食い大いに飲んだところ、2、3日たって、また腹痛が起こった。そこで今度は蜀椒6.0、乾姜12.0、人参8.0、膠飴120.0を1日量として与えたところ、これを4日ほど飲むと、水瀉性の激しい下痢が2回あって、腹痛が反ってひどくなったという電話があった。
私はこれに答えて、それは瞑眩という症状で、病気が根治する前 兆だから、恐れないで続けて飲みなさいといった。そこで更に1回分飲んだところ、たちまち堪えがたいほどの激しい腹痛が起こって、上には吐き、下に下し、苦悶の状をみるにしのびないが、どうしたらよいかとまた電話があった。私はまた前言を繰り返した。
その翌朝、私はおそらく全治を確信して、電話でその後の症状を 尋ねた。すると患家の答えは、その後、吐き下しがますます激しく、ついに全身に痙攣を発し、このまま死ぬのではないかと思われたので、近くの医師を招いて注射をしてもらった。今朝はまったく苦痛が去って、よく眠っているとのことであった。
この患者はこれを最後に、再び腹痛を訴えなくなり、肉づきもよくなり、元気になった。
漢方には瞑眩というものがある。瞑眩は治療によって起こる一種 の反応で、予想に反して、反って一時的に病状が増劇したり、また思いがけない症状が現れたりするけれども、結果的にはよい徴候で、これによって頓挫的に軽快に向かうものがある。
この患者の場合の瞑眩は大建中湯の量が多すぎたためであろう。 もっと少なく用いておれば、こんな激しい反応を起こさなくてすんだであろう。しかし回復はもっと長引いたかも知れない。
この治験例は、私が33歳ぐらいの血気にはやっていた頃のもの で、いま思うと恐ろしい気がする。《大塚敬節》
[48]腹部軟弱無力(腹壁が軟弱)
☆腹部が冷える者。
[49]腹部の蠕動運動が見える:
☆腸の蠕動不安を起こして、腸管の動くのが腹壁から見えても、それだけで大建中湯証だと片づけてはならない。小建中湯にも、人参湯にも、真武湯にも、旋覆代赭湯にも、こんな腹証が現れる事がある。《大塚敬節》
[50]腹膜炎:
☆私はかって虫垂炎から限局性の腹膜炎を起こして、毎日体温は38℃あまりにのぼり、腹痛の止まない者に、大建中湯を与えたところ、たちまち腹痛が止み、悪臭のある膿を肛門から多量排泄して、そのまま治ったことがある。《大塚敬節》
[51]腹膜癒着による腸管通過障害
[52]腹満:<虚満>
☆腹部に虚満を現す等の証《奥田謙蔵》
[53]腹鳴
[54]不眠症
[55]ヘルニア(篏頓ヘルニア)
☆胃腸が弱く、弛緩下垂して、腹部軟弱で篏頓を疑うほど激しい腹痛が起こり、あるいは腸の逆蠕動を認め、脈が遅くて弱く、手足や腹中が冷えるものによい(漢方診療医典)
[56]便秘:
☆腹満して便秘する者に、実証の者と虚証の者があり、実証のものには大黄や芒硝の入った大承気湯のようなもので下してよいが、虚証の者は下してはならない。《大塚敬節》
☆荒木氏は、始め、其の患者が、便秘して腹が張っているので、大承気湯を与えたところ、便通があって、一時楽になったが、翌日また元のように苦しくなったので、これは大承気湯で攻めるべきではなく、大建中湯で温めるべきであることに気づいて、この方を用いたということである。裏寒というのは、胃腸が寒えて、新陳代謝が衰えていることである。《大塚敬節》
【EBM】小児便秘症に対する大建中湯の効果
(Evidence)
1件の症例集積研究において、小児慢性便秘症に対する有用率は投与1週後で69.4%、2週後で79.2%であった。

【EBM】向精神薬による便秘に対する大建中湯の効果
(Evidence)
1件の症例集積研究において、向精神薬服用に伴う慢性便秘に対する有用率は70.0%であった。
[57]慢性胃腸炎
[58]慢性膵炎
[59]慢性腸狭窄
[60]メッケル憩室
[61]盲腸炎
[62]癒着(ゆちゃく):
☆(腸管癒着)
[63]裏急後重
☆大便はやわらかいのに、1回に快通せず、すこしづつ度々出ていつまでもスッキリせず、下腹部が膨満して気持ちが悪く、下剤を用いると、腹が痛んで裏急後重が起こり、大便が快通しない。このような患者には、小建中湯+大建中湯を用いると、気持ちよく大便が出るようになる《漢方診療医典》
[64]流産癖
  





大建中湯[2]《備急千金要方》
「大建中湯《金匱要略》半夏・甘草」
「蜀椒、乾姜、人参、半夏、甘草」
◎虚労、寒飲、脇下に在り、決々として声あり、飲み已り、一辺より下るが如く、決々然たり。有頭ならびに衝皮起こり、両乳内に引いて痛む、裏急、善夢、失精、気短、目々(目がはっきりしない)、惚々として多忘するを治す。《雑病論識》



大建中湯[3]《備急千金要方》
「黄蓍4両、人参2両、当帰2両、桂枝6両、大棗20枚、半夏1升、生姜1斤、芍薬4両、附子1両、甘草2両」
「小建中湯膠飴当帰・黄蓍・人参半夏・附子」
◎内虚絶、裏急少気、手足厥逆、少腹攣急、或いは腹満弦急、食する能わず、起てば即ち微汗出で、陽縮む。
◎或いは腹中寒痛、労苦に堪えず、唇口舌乾き、精自ら出ず。
◎或いは手足たちまち寒く、たつまち熱して煩す。
◎酸疼に苦しみ、久しく立つ能わず、夢多し。
◎中を補い、気を益す。
◎これ本虚労を治するの方なり。今用いて太陰、臓寒、腹満、虚煩する者を治して効あり。
◎陽証発斑を治す。
☆陰発斑も亦胸に出で、又手足に出ず。亦稀少にして微紅なり。大建中湯の類を以てすれば、その火自ずから下ると、に本づく。是なり。《雑病翼方》
◎《陳念祖》曰く、無根失守の火、肌表に出て疹となり、斑となり、厥逆、嘔吐の症を治す。


大建中湯[4]《備急千金要方》
「膠飴8両、黄蓍3両、遠志2両、当帰3両、沢瀉3両、芍薬4両、人参3両、竜骨3両、甘草2両、生姜、大棗20枚」
◎五労七傷、小腹急、胸中気急、飲食下さず、小便黄赤、尿に餘瀝あり、夢交去精、驚恐虚乏を治す。
◎小腹急痛、便溺、失精、虚熱盗汗、気弱きを治す:「膠飴大棗」
◎甚だしきには:「附子」
◎腰痛筋急に:「桂枝」


大建中湯[5]《東醫寶鑑》
「黄蓍・附子(炮)・鹿茸(酒蒸)・地骨皮・続断・石斛・白芍薬・人参・当帰・小草各1銭、甘草(炙)5分、姜5、棗2枚」水煎服。
◎虚労の不足と、小腹の急痛、盗汗・熱・痰が多く、咳嗽する者。
◎横になりたがり、起きるのを嫌がる者。


大降気湯《勿誤薬室方函口訣》
「紫蘇子湯《備急千金要方》天南星、川芎、細辛、桔梗、茯苓」
◎痰咳甚だしく或いは水気ある者を治す。


大蜈蚣散[1]《東醫寶鑑》
「蜈蚣2条、魚鰾(炒)・左蟠竜(炒煙尽)各5銭」作末し毎回2銭を防風煎湯 で調服し、これを飲んで治らないときは、もう一度左竜丸を服用する。
◎破傷風、搐搦して反って張る者。


大蜈蚣散[2]《東醫寶鑑》
「蜈蚣1条、江鰾3銭」作末し防風羗活煎湯で調下する。
◎破傷風

    

大固陽湯《世医得効方》《東醫寶鑑》
「大附子1枚炙って8つに切り、白朮・乾姜(炮)各5銭、木香2銭半、を切 って1貼にし、煎じて滓を去り、冷まして飲み、少したって又1服すると 特効がある。
◎吐いたり下したりした後、元気がなく、四肢が逆冷し、顔が黒く気が荒れ、冷 汗が出、外腎がちぢみ、人事不省になり死にかける者。


大五補丸《東醫寶鑑》
「天門冬・麦門冬・石菖蒲・茯神・人参・益智仁・枸杞子・地骨皮・遠志・ 熟地黄各1両」作末して蜜で梧子大の丸剤。酒で50~70丸飲む。
◎虚労の不足を補う。


大犀角湯《外台秘要方》
「前胡、旋覆花、桑白皮、紫蘇、白朮、桂枝、防已、橘皮、茯苓、犀角、豆豉、大棗、黄芩、生姜」或いは「豆豉黒豆」
◎脚気、気急喉を衝き、気急死せんとし、咳嗽、嘔逆、食を解せず、之を主る。《方読便覧》


大柴胡加石膏湯《傷寒論》
「柴胡、黄芩、半夏、大黄、枳実、白芍薬、生姜、大棗、石膏」


大柴胡湯[1-1]《傷寒論》
「柴胡半斤、黄芩3両、芍薬3両、半夏(洗)半升、生姜(切)5両、枳実(炙)4枚、大棗(擘)12枚」
右七味、以水一斗二升、煮取六升、去滓再煎、温服一升、日三服。一方、加大黄二両。若不可、恐不為大柴胡湯。
◎太陽病、過経十餘日、反二、三下之。後四、五日、柴胡證仍在者、先與小柴胡。嘔不止、心下急、鬱鬱微煩者、為未解也、與大柴胡湯下之則癒。
◎傷寒十餘日、熱結在裏、復往来寒熱者、與大柴胡湯。但結胸、無大熱者、此為水結在胸脇也。但頭微汗出者、大陥胸湯主之。
◎傷寒発熱、汗出不解、心中痞鞕、嘔吐而下利者、大柴胡湯主之。


 大柴胡湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「柴胡6、半夏・生姜各4、黄芩・芍薬・大棗各3、枳実2、大黄1」

◎大柴胡湯証
=心下急、鬱々微煩。又曰く、往来寒熱。又曰く、心下滿痛《薬徴》
=心下滿痛。又曰く、嘔吐して下利す(←芍薬)。
[鬱鬱微煩]=気分重くふさがってもだえる。
[心下滿痛]=みずおちがはって痛む。みずおちが膨満して痛む。
◎小柴胡湯の証にして、腹満拘攣し嘔劇しき者を治す《吉益東洞》
◎小柴胡湯症にして、腹満、拘攣し、劇しき者を治す。《類聚方広義》
◎此方は少陽の極地に用いるは勿論にして、心下急、鬱々微煩と云うを目的とし 世のいわゆる癇証の鬱塞に用いるときは非常に効を奏す。《勿誤薬室方函口訣》
◎金匱、玉函、肘后倶に大黄2両あり。是なり。《類聚方広義》
◎小柴胡湯の症に、曰く喜と。曰く乾と。曰くと。その生姜を用いるや3両。此方の症に、曰く止まずと、曰く嘔吐と、その生姜を用いるや5両。の劇易に髄って生姜亦多少あり。玉函に、生姜3両に作るは誤なり。《類聚方広義》
◎「心下急」は拘急なり。鬱々黙々は劇しきを加うなり。《類聚方広義》
◎《恵美三伯》は此症の一等重き者に:「香附子・甘草」を使う。
◎実証、筋肉質、胸脇心下部苦満緊張、或いは嘔、或いは便秘、或いは下痢。《龍 野ー漢方処方集》
◎「小柴胡湯人参桂枝枳実芍薬大黄」《大塚敬節》

【腹証】
《腹診配剤録》
“小柴胡湯症の如くして、心下の急を加える者也。心下の急とは、心下の拘急也。故に呼吸に拘はり、又は心下微痛する者之れ有り。若し夫れ心下屹然として石の如くに鞕くして、その痛呼吸に拘はる者は、大陥胸湯の腹也。又大柴胡湯の満は、定所無く、或いは心下、或いは臍傍なり。一概にして之を論ず可らず”
《大塚敬節》
“胸脇苦満があって、便秘し、脈にも腹にも力があって、季肋弓は鈍角を呈している者が多い”


 大柴胡湯[1-3]《傷寒論》
★適応症及び病名(大柴胡湯
[1]赤髪・赤毛
[2]朝のこわばり
[3]イライラ(感情不安定)
[4]イレウス
[5]インフルエンザ:
☆傷寒にて目瞑、耳聾、舌に黄胎あり、燥渇して水を索め、食を絶し、両日少しく動けば則ち胸腹、脇肋に呼び皆痛む、大便赤水を下し、小便赤渋、脉沈緊、陰嚢未だ縮まらざる者を治す。《古今方彙》
[6]インポテンツ(陰痿)
☆森枳園は若い頃、陰痿になり、大柴胡湯を飲んで治ったと述懐している。《大塚敬節》
[7]遺精:
☆和田氏曰く、心下痞硬甚だしき者、遺精することあり、心下痞を開かしぬれば、遺精自ら止むと云う。肝積によるもの、左の脇拘攣あるべし。左右ともに拘攣また痞塊ある病人は四逆散にて遺精自ら止むことあり。《老医口訣》
[8]陰嚢湿疹
[9]胃アトニー:
☆胃弛緩症にして、脇下鞕痛し、舌黄苔にして乾燥し、口臭強く、全身倦怠し、便秘する証。《奥田謙蔵》
[10]胃液分泌過多症
[11]胃炎
[12]胃潰瘍
[13]胃酸過多症
[14]萎縮腎
[15]咽頭炎
[16]咽喉腫痛
[17]円形脱毛症
[18]おたふくかぜ
[19]黄疸:
☆発黄、心下痞硬の証を治す:「茵蔯蒿」
☆肝気脾に克つなり。大柴胡湯に宜し。《台州》
☆黄疸にして、腹痛、嘔吐を発し、脈沈実なる証。《奥田謙蔵》
☆胸脇苦満が著明で有れば茵蔯蒿湯《大塚敬節》
“患者は58歳の男子で、大柄な体格で、酒が好きであったが、昭和35年の2月上旬に黄疸に気づいた。この黄疸はなかなか治らないので、5月の上旬に、某国立病院に入院した。ここでは肝硬変症と診断された。この黄疸は7月になっても依然として消えなかった。そこで7月の上旬に退院した。
主訴は腹部の膨満である。食欲はあるが、食べると胸苦しい、それによく気が出る。一昨夜から盗汗がある。便秘するので、下剤を飲む。下肢にカユミがある。腹診してみると、腹部全体に膨満があり、特に上腹部に抵抗があって、右の胸脇苦満が著明である。血圧は174-98。こんな状態であるから、大柴胡湯茵蔯蒿湯を与え大黄4gとした。しか    しこれでもなお大便が快通しないので、大黄6gとした。これで大便が快通するようになり、尿量も増加し、腹部も次第に小さくなった。9月4日の診察では黄疸は全くなくなり、血圧も144-92となった。ところで、この日検尿したところ、タンパク陰性、ウロビリノーゲン正常であったが、糖がかなり多量に検出された。しかし12月上旬には、腹部は発病前よりも気持が良くなったというほどに、ひきしまり、胸脇苦満も軽微になった。尿は食事の関係で、時々糖が出る。本年5月に某大学病院に行って精密検査を受けた。やはり糖尿病と高血圧症はあるが、肝臓の機能は正常に近いと云われたという”
[20]嘔吐(激しい嘔吐)
☆痢疾初起、発熱、心下痞して嘔吐ある症、はやく此方に目を付くべし。 《勿誤薬室方函口訣》
☆小柴胡湯を用いても嘔吐が止まず、便秘・口渇があり、舌が乾いて、褐色の苔のつく者に用いる《大塚敬節》
[21]悪心
[22]往来寒熱:
☆田中忠八郎の次女は普段から、気がふさぎ、腹が突っ張っていたが、ある時、外邪にかかり熱がひどく、発汗剤で汗が出たが、熱が下がらず、悪寒と発熱が互いに往来し、鳩尾がつまったかたちになり、少し吐き気があり、舌には白苔がつき、食欲がない。小柴胡湯を与えたが変わりがない。
そこで大柴胡湯で下したところ、熱がやや下がり、鳩尾のつまったのが取れて、飲食が少し進み、尿利が増した。
その後、熱がすっかり下ってから、麻痺が起こり、両脚がひきつれて屈伸が出来なくなった。そこで桂枝加朮苓附湯を与え、芍薬、甘草、礬石の3味の煎剤《松原一閑斎方》で脚を湿布した。すると数日でひきつれが取れたが、足に力が無くなって立つことが出来ない。そこで腎気丸鹿角を用い、これで全快した《橘窓書影》
[23]怒りっぽい
[24]咳嗽:
☆大柴胡湯や大承気湯を用いないと止まらない咳嗽がままある。これは腹部が充実、膨満して、胸がつまったように苦しくて、咳をする者に用いる。《大塚敬節》☆52歳女性。肥満体質で、ことに腹部が膨満し、便秘し、胸脇苦満が著しい。この婦人は冬になると、激しい強い咳が、こみ上げてくる。痰はほとんど出ない。この咳は、どんな薬を飲んでも止まらないが、気候が暖かくなると、自然に治るという。私はこの患者には、腹証によって、大柴胡湯小承気湯を与えたところ、5日ほど飲むと、咳が楽になり、3週間ほど飲むと、ほとんど咳が出なくなった。《大塚敬節》
[25]回虫:
☆腹満大便せず、熱甚だしく昏瞶して蛔を出す者、これ胃邪薫蒸し、虫安 きを得ず、故に逆して上るなり、或いは大便・糞と同出する者あり、大 柴胡湯を用いると。今、鷓胡菜を加え更に妙なり。《本朝経験》
[26]かぜ:
☆発汗を行いて後、熱去らず、頭痛し、心下硬満し、或いは痛み、その脈弦数なる証。《奥田謙蔵》
☆発汗の後、復た時に寒熱を発し、嘔吐甚だしく、呼吸促迫し、心下硬く        して脇痛を覚え、その脈沈なる証。《奥田謙蔵》
☆傷寒にて目瞑、耳聾、舌に黄胎あり、燥渇して水を索め、食を絶し、両日少しく動けば則ち胸腹、脇肋に呼び皆痛む、大便赤水を下し、小便赤渋、脈沈緩、陰嚢未だ縮まらざる者を治す。
☆熱のある患者に小柴胡湯を用いているうちに、舌の白苔が黄苔となり、便秘するようになった時に用いる《大塚敬節》
☆大柴胡湯証にある高血圧患者が、新しく風邪にかかって葛根湯証を呈したなら、ひとまず大柴胡湯の服用を中止して、葛根湯を与えるのが順序です。《漢方診療医典》
[27]角膜炎
[28]仮性近視
[29]肩こり:
①実証で、頑固な肩こり。
②筋肉質。
③胸脇苦満。
④心下部緊張。
⑤便秘。
⑥あんま、マッサージで良くなっても、すぐ元に戻る。
☆頑固な肩凝りに大柴胡湯の証がある。《大塚敬節》
☆肥胖症・高血圧症・胆石症・常習便秘症などのみられる肩凝りに用いる機会がある《大塚敬節》☆この方を用いる目標は、便秘と胸脇苦満で、患者は一体に肥満の傾向にあり、筋肉はよく締まっている。《大塚敬節》
☆52歳女性。5、6年前より次第に肥満し、それと同時に肩凝りと頭重を訴えるようになった。最近血圧も160-90以上あるという。脈はやや沈で力がある。大便は毎日あるが、量が少なくて快通しない。腹診してみると、胸脇苦満が強く心下部も膨満している。そこで大柴胡湯を与えたところ、大便快通し、気分が軽く、肩も凝らなくなった。         10日後の血圧は146-88であった。2ヶ月後には、今までも洋服が大きく、だぶだぶになってしまうほど、胴から腹が小さくなった。《大         塚敬節》
[30]脚気:
☆「檳榔」《雑病翼方》
[31]感覚異常
[32]癇癪もち
[33]癇症:
☆「大棗大黄羚羊角・釣藤鈎・甘草」《高階枳園》
☆此症の一等重き者に:「香附子・甘草」《恵美三伯》
[34]肝炎:
☆用いる機会が多い《大塚敬節》
[35]肝機能障害
[36]肝硬変
[37]肝臓出血:《方読便覧》
[38]肝斑
[39]顔面紅潮
[40]気鬱
[41]気管支炎
[42]気管支拡張症
[43]気管支喘息:
☆64歳女性。数年前から気管支喘息に苦しんでいるという。体格のがっちりした血色の良い女性で、脈は沈実。鳩尾から肋骨弓下にかけて抵抗圧痛がある。胸脇苦満である。肩がひどく凝り、のどが渇く、喘息の発作は夜間に起こることが多く、坂道を登っても、息が切れるという。痰は切れにくい。大便は1日1行。大柴胡湯を与える。大黄を1日量1.0とする。これを飲むと大便が快通し、からだが軽くなり、肩の凝りもとれ、発作が減じ、16週間の服用で、ほとんど発作をみなくなり、服薬を中止した。その後1年ほどたって、また軽い発作が起こり、大柴胡湯でおさまった。その後も、年に1、2回発作が起こりかけたが、その都度大柴胡湯でおさまった。《大塚敬節》
[44]吃逆:
☆道通ぜず、因って吃逆するを治す。《彙補》
[45]亀胸亀背
[46]急性胃腸カタル
☆平素頑丈な人が、暴飲暴食・アルコールの過飲によって、悪心・嘔吐。腹痛を起こし、胸脇苦満、上腹部の膨満、便秘を訴える者に用いる《漢方診療医典》
[47]急性肝炎
[48]急性腎炎
[49]急性膵炎
[50]急性大腸炎
☆下痢のある患者で胸脇苦満・心下痞硬・悪心・嘔吐・口渇などのある者に用いる。多くは腹痛と裏急後重がある。《漢方診療医典》
☆多くは腹痛と裏急後重があり、舌には褐色または黄色の苔がつき、脈には力があるものを目標とする。葛根湯を用いて悪寒がとれて後に本方をもちいることが多い(漢方診療医典)
[51]胸脇苦満:
☆小柴胡湯より胸脇苦満の程度が強く、腹力もあり、便秘する者に用いる《大塚敬節》
[52]胸痛
[53]胸満:
☆胸満を覚え、心下硬く、気急息迫の感ありて咳喘し、尿利減少、脈数 にしてやや浮なる証。《奥田謙蔵》
[54]噤口痢:痢疾患者で飮食が進まず、あるいは嘔して食べられぬものを噤口痢    という。
☆初起、之を下すに宜し。《方読便覧》
[55]筋肉攣縮
[56]痙病:
☆表証あって手足拘攣する者は、葛根湯を以て之を発す。表証すでに去り、拘攣止まざる者は、大柴胡湯を与えて癒える。《先哲医話》
[57]結膜炎
[58]下痢:
☆下痢性疾患にして、心下鞕満し、或いは時々嘔吐する証。《奥田謙蔵》
☆裏急後重が強くて下剤を用いる必要がある時に用いる《大塚敬節》
☆心下部から季肋部にかけての充満痞塞感と悪心・食思不振、舌は黄苔or黄褐色の苔で、脈は沈実である。平素から胃腸の丈夫な人が、赤痢・大腸炎等に罹った時に、この証を呈することがある。《大塚敬節》
☆下痢のある患者で胸脇苦満、心下痞硬、悪心、嘔吐、口渇などある者に用いる。多くは腹痛と裏急後重があり、舌には褐色または黄色の苔がつき、脈には力があるものを目標とする。葛根湯を用いて悪寒がとれて後に本方をもちいることが多い(漢方診療医典)

☆60余歳、女性、
「痢疾患い、嘔吐下利日に数十行、後重甚だしく、元気頗る疲れる。医慢に治を施して益々劇し。余、大柴胡湯を与えてこれを下す。両日、熱大いに減ずと雖も、膿血止まず、飲食進まず、精神疲労す。因って断利湯《備急千金要方》を与え、赤石脂丸を兼用す。後膿血止み、逆を発し、小便不利す。橘皮竹茹湯を与えて逆を治し、真武湯を与えて癒える。その子息も亦噤口痢を患い。ほとんど危篤なり。余、断利湯を与え、兼ねるに香連湯を以て治するを得たり。《橘窓書影》
[59]眩暈
[60]肩背強急
[61]高血圧症:
☆予後の良い軽症の者。《大塚敬節》 
☆49歳の会社員。主訴は頭痛で高血圧だという。初診の日は168-102であった。最低の高いのが気になる。大便は軟便であるが、1回量が少なく、1日2回排便がある。それでも快通しないという。尿中にタンパクも糖も証明しない。胸脇苦満がある。
私はこれに大柴胡湯釣藤鈎魚腥草とし、大黄を1.0g用いた。10日間の服用で血圧は落ち着いた。《大塚敬節》
☆66歳、某会社の社長。肥満した血色によい体格で、10数年前より糖尿病である。主訴は足がだるいのとインポテンツで、毎日インスリンの注射をしているという。腹診してみると、みずおちは膨隆して硬く、肋骨弓下の緊張して抵抗がある。すなわち強度の胸脇苦満である。血圧を測ったら右182-100、左148-86という結果が出た。私は左右差のひどいのに驚き、動脈瘤の存在を疑った。患者の言によれば、平素は150内外で、180になったことはないという。私はこのような腹証の糖尿病患者には、大柴胡湯地黄を用いるが、血圧が高いので、更にそれに魚腥草を加えた。しかし大便は快通するというので大黄を去った。この患者は、糖尿病にはウイスキーが良いということを聞いたので、毎日角瓶を1本のんでいる。米飯は一切食べないということであった。私はウイスキーの1本は量が多いので止めるように勧め、野菜と魚肉と海藻を摂るように指示した。
1週間後に来院した時、血圧は右164-94、左164-90であった。患者の言うところによると、先日は、あの足ですぐ会社に行って、診療所の医師に血圧を測ってもらったところ、やはり右は180を越し、左は140あまりで、その差は40もあった。ところが夕方帰宅して近所医師に測ってもらったら左右とも大差なく150-90内外であったという。次に3週間たって来院したとき、右132-70、左130-64であった。患者が云うのに、あれから数日後、血圧が220-120という日があったので、驚いて、いよいよウイスキーを止めたという。その後、患者はやや便秘するというので、大黄1.0を加えた。その頃から、胸脇苦満は著しく減少し、腹部がやや小さくなった。血圧も140-80内外で落ちるいている。《大塚敬節》
☆肥満型の体質で、肉のしまりがよく、便秘の傾向があり、腹診状、胸脇苦満、心下痞硬のあるものを目標とする。このような患者は、よく肩こりを訴え、頭が重いという。大黄は人によって加減して、毎日、大便が快通するようにする。
この処方には、特に血圧を下げる薬は入っていないが、連続して服用していると、胸脇苦満が減じ、上腹部の緊張がとれて、気分が軽くなり、血圧も安定する(漢方診療医典)
[62]虹彩炎
{63}高脂血症
☆胸脇苦満の認められる虚実中間証から実証にかけてに用いる(漢方診療医典)
[63]交接後出血
[64]後頭部の不快感
[65]五十肩
☆胸脇苦満がある肥満体の患者で、便秘の傾向がある者に用いる《漢方診療医典》
[66]口が苦い
[67]口中の臭気
[68]座骨神経痛
[69]しもやけ
[70]シャックリ
[71]ジンマシン:
☆39歳女性。胃が悪く、時々苦い汁を吐出し口渇がある。右の方が張る。この頃急に肥えた。便秘気味で、ジンマシンが出る。胸脇苦満が強く出ている。血圧は低く96-60。月経は正常。
私はこれに大柴胡湯を与えたが、便通が快通するとともにジンマシンが出なくなった。ただ、息苦しい気味があると言うので、引き続き服用させたところ、2ヶ月で胸脇苦満が減じ、息苦しいのも治った。 《大塚敬節》

[72]痔核:
☆胸脇苦満があり、便秘する者《大塚敬節》
☆「桂枝茯苓丸薏苡仁」《湯本求真》
☆「大黄牡丹皮湯薏苡仁《湯本求真》」
[73]耳下腺炎
[74]耳鳴
[75]四十肩(腕)
[76]湿疹:
☆患部が湿って、かさぶたを作る傾向がある。
☆癰疽、諸腫れ物に、脇下硬満する者は大小柴胡湯を選用して、先ず胸脇苦満を利すべし。《有持桂里》
☆50歳女性。色白で血色が良い。湿疹は頸部・項部・顔面・上膊の内面にあり、発赤して、カユミがひどく、分泌物は多くはないが、少しずつあり、それが結痂している。腹診すると、右側に強い胸脇苦満があって、石のように硬く、軽く指頭で按圧しても、ビックリするほど痛む。それに便秘である。
私はこれに十味敗毒湯を与えた。この方も柴胡が主薬であるから、胸脇苦満にも応ずるし、これで大便の快通することもあるので、効くだろうという考えであった。ところが全く効かない。却って悪化する。そこで消風散に転方したところ、更にますますいけない。
そこで大柴胡湯を与えたところ、2、3日で軽快してきた。その後、湿疹が出始めると、いつも大柴胡湯を5日分服用するとそれで収まるようになった。《大塚敬節》
[77]湿熱:
☆急結を散じ、湿熱をのぞく:「茵蔯蒿」《方読便覧》
[78]歯痛:
☆歯痛等。《奥田謙蔵》
[79]十二指腸潰瘍
[80]出血
[81]小児疳労:
☆毒より来る者に、此方に「当帰」でその勢を挫き、そのあとは小柴胡湯、小建中湯の類にて調理するなり。
[82]食傷
[83]食欲不振
[84]猩紅熱
[85]常習便秘
☆肥満体質で、筋肉のしまりがよく、胸脇苦満、心下痞硬があって便秘する者に用いる。胆のう炎、胆石症、肝炎などに伴う便秘には、本方の応ずるものが多い。また本態性高血圧や肥満症の患者にみられる便秘にも、本方の適応症が多い(漢方診療医典)
[86]自律神経失調症
[87]心悸亢進
[88]心筋炎
[89]心筋障害
[90]心筋変性症
[91]心下部のつかえ・抵抗(心下痞硬)
[92]心下部の圧痛
[93]心臓喘息
[94]心臓弁膜症
[95]心嚢炎
[96]心不全
[97]神経衰弱:
☆平日心思欝塞し、胸満、小食、大便23行、或いは45日に1行、心下時時痛を為し、宿水を吐する者は、その人多くは脇肋妨張し、肩背強急し、臍傍の大筋堅靱にして、上は胸肋に入り、下は小腹に連り、或いは痛み、或いは痛まず、之を按ずれば必ず攣痛し、或いは呑酸、雑等の症を兼ねる者は、俗に疝積溜飲の痛と称す。宜しく此方を長服すべし。当に5日、10日を隔てて大陥胸湯、十棗湯等を用いて之を攻めるべし。《類聚方広義》
[98]神経性胃炎
[99]神経症:
☆《傷寒論》の“心下急、鬱々微煩”という条文によって、大柴胡湯もまた精神症状のある者に用いることがある。《大塚敬節》
☆婦人手足煩熱、夜臥多汗、肌肉黄瘁、経行不調、四肢は煩倦、心胸満悶状は労気の如きを治す。:「大黄」《雑病翼方》
☆大柴胡湯を用いるような患者で、ヘソの当たりで動悸が亢進し、神経症状の強い者には柴胡加竜骨牡蛎湯を用いる。《大塚敬節》
☆20数年前に診た患者で、詳しいことは忘れたが、体格のよい中年の土工風の男性が私に診を乞うた。その主訴が変わっていたので、今も忘れないでいる。 主訴というのは、いつもうつむいて下を見ていると気持が良いが、少し顔を上に向けると気分が悪くて苦しいという。そのため道を歩くにも、真っ直ぐに前方を見て歩くことが出来ないと云う。 患者はこの主訴をもって、数年間、あちこちの病院を歩いたが、どこでも相手にしてくれないと云う。
私はその腹を診て、大柴胡湯を与えた。その腹は鳩尾のところが、guっとつまったように硬く左右の季肋下も、板のように硬い。心下急、鬱々微煩とは正にこの通りだと、私は思った。患者は私が心下部に手をやると、そこが苦しいので、顔が上がらないのだという。このことはどこの病院でも話したが、まったく相手にしてくれなかったと云う。
ところが、この患者は大柴胡湯を飲み始めてから、1ヶ月後には心下部の緊張がとれると共に、気分も良くなり、空を仰いで星をみることも出来るようになった。《大塚敬節》
[100]神経痛:
☆上腹部の膨満と胸脇苦満があり、便秘する者にみられる脚痛に用いる《大塚敬節》
☆43歳男性。1年ほど前に、腹痛が起こり、それが治った後で足・腰が痛み、この頃は肩も痛むと云う。栄養、体格共に中等度。一番苦しいところは腰痛と左肩胛関節より上腕にかけての痛みで、左右の膝関節も痛み、歩くと肩が凝る。夜は痛みのためによく眠れない。食欲は あるが、胸が焼ける。甘い物を好み、小便は近い。大便1日1行。脈は沈んで力がある。腹部は膨満の傾向があり、胸脇苦満が顕著で、左右の腹直筋も硬く突っ張っている。左右の大転子あたりに、圧に過敏な部位がある。大柴胡湯を与える。1週間の服用で胸脇苦満が軽くなり、自覚症状も薄らぎ、5週間の服用で疼痛は全くなくなった。この患者は腹証が明らかに大柴胡湯証を呈していたので、他の訴えには眼もくれずに、大柴胡湯を用いて著効をみた例である《大塚敬節》

[101]腎盂炎
☆小柴胡湯に似て、腹痛、便秘、舌黄苔のものに用いる(漢方診療医典)
[102]腎炎
[103]腎臓結石
[104]尋常性瘡
[105]ジンマシン
[106]膵臓炎:
[107]頭瘟:「桔梗石膏」
[108]頭重
☆便秘すると頭重する者に用いることが多い《大塚敬節》
[109]頭痛
☆発作性というよりも、持続性で、堪えられないような激しいものではなく、頭重のかたちで、肩こりを伴い気分が重いことが多い《大塚敬節》
☆高血圧症の患者、脳出血症の患者、胆石症の患者、肥胖症の患者で頭痛して、便秘する場合の、この方を用いることが多い《大塚敬節》
☆脳出血の軽い発作があって、4ヶ月ほどたち、今では運動障害や麻痺はなく、ただ頭痛と肩凝りを訴える体格のよい49歳の男性に大柴胡湯を与えたところ、10日後には、頭痛も肩凝りも軽くなった。この患者は色が浅黒く、肥満した体格で、胸脇苦満があり、脈は浮大で力があり、大便が快通しないので、この方を用いた。《大塚敬節》
☆大承気湯証の頭痛との鑑別:
「肉や油ものを好む肥満体質の人の常習頭痛で、腹部が膨満して便秘するならば、大承気湯を与えて、大便を通ずるようにしてやれば、頭痛は去る。大柴胡湯証との区別は、腹証にある。大柴胡湯は胸脇苦満のある者に用い、大承気湯が胸脇苦満はなく、臍を中心にして、腹全体が膨満して弾力と抵抗があり、便秘する者に用いる。脈にも力がある。腹がふくれて、便秘していても、腹水がたまったり、腹膜炎を起こしたりして、腹満、便秘のある者には用いてはならない。」《大塚敬節》
[110]性行為後の出血
[111]精神分裂病
[112]精神的インポテンツ
[113]精力減退
[114]舌質 <紅>
[115]舌苔 <白~黄苔><乾燥>
☆白苔が舌の中央からしだいに黄色になったときには、大柴胡湯を用いて良いかどうは、他の証を参考にして決める。もし黄苔が焦げ色になれば、多くは大柴胡湯で下して良い。ここで注意が必要なのは、熱のない一般の慢性病に大柴胡湯を用いるときに黄苔が無いことが多く、目標にならない。《漢方診療医典》
[116]譫語:
☆譫語を発し、血便を漏らし、心悸亢進し、煩悶して安んぜず、脈弦素 なる証。《奥田謙蔵》
[117]喘息:
☆緩解期に:「半夏厚朴湯」
☆喘息にして、せき頻々、不眠、身体疼痛し、脈緊数、舌微黄苔にして乾燥し、胸脇苦満やや強く、腹筋攣急、便秘、食欲なき証。《奥田謙蔵》
[118]早漏
[119]帯状疱疹
[120]大腸炎(大腸カタル)
[121]脱毛症:
☆《和田家》の口訣に、男婦共に櫛削る度に髪抜け年相応に髪の少なきは肝火になす処なり、此方大いに効ありと云う。
☆大病後、頭髪脱落する者:山梔子水煎、大柴胡湯を服す。
☆癇に属する者:「甘草」《方読便覧》
[122]胆石症
☆胆石症の多くは、右側に胸脇苦満を示すものが多い。便秘の傾向があり、体格も比較的頑丈で、実証のものが多い。此の処方は疝痛発作が無いときにも続けて飲む必要がある《漢方診療医典》
☆65歳男子
胆石のため胆嚢を摘出したが、半年ほどたってから、胆石の時と同じ胆石発作が、5日~7日間隔で起きるようになった。発作時には、腹痛とともに、高熱が出て悪寒戦慄し、黄疸も現れた。主治医は、これに種々の抗生物質を用いたが効なく、私に治を乞う。そこで、右の胸脇苦満と便秘を目標に大柴胡湯を用い、黄疸がひどかったので茵蔯蒿湯を合方した。これを飲むと3日目に、激しい腹痛とともに、ソラマメ大の石が下利便とともに排泄され、それっきり、この患者は元気になった。《漢方診療医典》
[123]胆嚢炎
[124]丹毒     
[125]中耳炎
[126]虫垂炎
[127]中風:
☆東郭医談では、この頃の中風又は類中風は、腹に積気があって、そのため左右の気のめぐりが不順となり、右または左を塞ぐものである。それ故に丁寧に腹を診て薬を用いるがよい。世間の医者は手足の痛みや痿躄などの症に、漫然と手足だけ気をつけ腹内を活かすことによって、足の病気を治すことを知らない。中風や足の不仁したものに、大柴胡甘草を用い、のちに抑肝散芍薬を用いて治すことがあると述べている《大塚敬節》
☆《方輿輗》
“中風には大柴胡湯の症が多いものである。その証は胸肋妨脹といって、 胸脇下の突っ張りこばむ者がある。この証があればいつでも大柴胡湯である。中風には小柴胡湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡加竜骨牡蛎湯などの証はあまりないものである。
この方は腹候で用いる。左の臍傍に塊があり、或いは左の脇下に物があって、中風の状をなし、半身不随の症を呈するものが多くある。これには大柴胡湯で治った者が多い(《大塚敬節》は右の脇下の突っ張る者でも良い、必ずしも左とは限らないという。)
中風や偏枯の症で、左の臍傍に塊があって、それに柄のようなものがついて、脇下に上がっているものがある。偏枯もこれが原因とみえる。大柴胡湯のゆくところである。このようなものが無いのは難治である。これがある者は8、9は治るから、踏み込んで療治するがよい”
☆壺山君茶話には、“偏枯・中風は色々妙薬あれども、本当の治方は大柴胡湯などに薫剤なり”とある。薫剤は薫法で煙をかがして治す方である。《大塚敬節》
[128]腸炎・腸カタル:
☆腹中熱あり、心下急、嘔吐して下痢する者《治瘟編》
[129]腸チフス
[130]腸閉塞症
[131]痛風:
☆重役太りの痛風:「桂枝茯苓丸」or「桃核承気湯」
[132]つばを吐く:
☆《先哲医話》の北山友松の条に、熱病のあとで、唾を吐いて、長い間、サッパリしない者に、1老医が大柴胡湯を与えて速効があった。これもまた欝に属する者だとある。これは《傷寒論》大柴胡湯の条に“嘔止まず、心下急、鬱々微煩”とあるによったものである《大塚敬節》
[133]テンカン
[134]糖尿病:
☆糖尿病には、証に由り石膏を加う。《奥田謙蔵》
☆糖尿病で、比較的初期で、体力もあり、腹部が膨満している胸脇苦満が著明なものに用いる(地黄)。便秘の状がなければ大黄を去って用いる。(漢方診療医典)[135]動脈硬化症
[136]吐血:
☆肝欝からくる吐血に荻野台州が用いた。
[137]吐乳:
☆小児の吐乳症等にして、心下硬き者《奥田謙蔵》
[138]難聴
☆陽実証で体質の強壮なもお、肋骨弓下部および心下部が痞硬して、胸脇苦満の著しいものに本方を用いる。便秘の傾向のあるものによい。
原因の如何にかかわらず、心下部の痞硬が緩解するときは難聴も自然と軽快するものである(漢方診療医典)
[139]ネフローゼ
[140]熱性病:
☆熱性病、安臥を好みて食を欲せず、尿利減少し、大便秘結小柴胡湯、脈弦にして数なる証。《奥田謙蔵》
☆瘧、熱多く、寒少なく、目痛み、汗多く、脈大なるは、此湯を以て微利するを度と為す。《直指附遺》
[141]ノイローゼ
[142]脳血栓
[143]脳出血:
☆脳溢血ともいう。
☆49歳で脳出血で倒れた男子に、便秘と腹部ことに上腹部の膨満、抵抗を目標にして大柴胡湯を与えたが、数ヶ月で健康人と全く変わらない程度に全快した。それから20年間、この患者は大柴胡湯を飲み続けているが、全く健康であとから発病した者が、次々死んでゆくのに、この人は健康で元気である《大塚敬節》
☆30歳、男性。
「朝起きてみたら、左半身の知覚が鈍り、手がシビレ、こわばって良く動かない。肩・首が凝り、腰が痛くて吐き気がする。近所の医師に診てもらうと、脳溢血という診断であった。血圧は(194-106)、心臓も肥大していた。平素から体格も大きく丈夫なたちであった。腹部には肉がよくついており、脈も充実して力がある。そこで大柴胡湯を飲むと、5~6日ぐらいで、肩こりと腰の痛みがなくなり、大便も小便も良く出て、気分が爽快になってきた。さらに、大柴胡湯+黄蓍黄柏釣藤を飲んでいくと、1ヶ月後には血圧(140-80)となり、左手のこわばりも取れてきた。
さらに6ヶ月ほど続けると、すっかり健康を取り戻した。」《山田光胤》
[144]脳出血の後遺症:
☆脳出血または脳軟化症のために、半身不随や言語障害などある者に用いる。その時の目標は、腹部の膨満、胸脇苦満、便秘である。胸脇苦満がなければ、便秘していても、この方を用いない。《大塚敬節》
[145]脳塞栓
[146]脳底動脈硬化症
[147]脳軟化 
[148]肺炎
[149]肺結核
[150]白内障
[151]はげ=禿頭:
☆「石膏」《済世薬室》
☆油風、多く大柴胡湯を用いて効あり、これ其の腹を治するに宜しく、徒にその証に泥むべからず。《方読便覧》
☆油風:「石膏」《華岡青州》
「油風」=頭髪が短期間で片状に脱落して、頭皮が平らになって光沢がある病気。
[152]はしか
[153]肺炎
小葉性肺炎(気管支肺炎)より大葉性肺炎(肺胞性肺炎)に用いる機会がある。強壮な人で、胸脇苦満が強く便秘がちで舌には乾燥した茶褐色または黄色の苔があり、脈に力のある者を目標にする《漢方診療医典》
[154]肺気腫
[155]梅毒:
☆黴毒沈滞して、頭痛、耳鳴し、眼目雲翳、或いは赤脈、疼痛し、胸脇苦満し、復拘攣する者を治す。時に紫円、梅肉散等を以て之を攻める。大便燥結する者は、芒硝を加えるを佳とす。《類聚方広義》
[156]発狂:
☆狂症にして、胸脇苦満し、心下鞕塞し、復拘攣し、中の動甚だしき者を治す。鉄粉を加えれば奇効有り。《類聚方広義》
[157]鼻血:
☆婦人逆経を治す。《方読便覧》
「逆経」=月経中or月経前後に出現する周期性の口鼻出血する病証。
[158]半身不随:
☆不語する者、世医中風を以て目すれども、肝積、経隧を塞ぎ、血気の順行悪しく、遂に不遂を為すなり。肝実に属する者、此方に宜し。尤も左脇より心下へかけて凝り、或いは左脇の筋脈拘攣し、之を按じて痛み、大便秘し、喜怒などの証を目的とすべし。《勿誤薬室方函口訣》
☆半身不随等にして、腹満、拘攣、便秘する証。《奥田謙蔵》
[159]B型肝炎
[160]ひきつけ
[161]鼻炎・鼻カタル
[162]肥満症:
☆美食家、運動不足:「桂枝茯苓丸」
☆肥満した体質で、筋肉のしまりがよく、胸脇苦満、心下痞満、便秘、肩こりなどある者に用いる。便通が1日に1~2回快通する程度の大黄を加減する。これを連用していると、腹部膨満感が減じ、からだが軽く右ごっくように鳴る。血圧の高い場合は、血圧も下がり、呼吸も楽になる(漢方診療医典)
[163]副鼻腔炎
筋骨質で強壮にみえる体格で、心下部が硬く張って胸脇苦満の証があり、肩こり・便秘がちなものに用いる。桔梗石膏を加える。《漢方診療医典》
[164]フケ
[165]フルンケル():
☆「フルンケル」、及び其の類似疾患等にして、脇下鞕満する証。《奥田謙蔵》
☆この方は乳幼児や虚弱な体質の者に用いることなく、頑丈な人で、胸脇苦満、便秘などの有る者で、フルンケル、フルンクロージスなどのある者に用いる《大塚敬節》
[166]腹痛:
☆平日、心思欝塞し、胸満して少食、大便二三日、或いは四五日に一行、 心下時々痛を作し、宿水を吐する者、その人多く胸肋妨張し、背項強急、臍偏の大筋堅靱、上って胸肋に入り、下って小腹に連り、或いは痛み、或いは痛まず、之を按ずるに必ず攣痛或いは呑酸雑等の症を兼ぬ者は俗に疝積溜飲痛と称す。よろしく此方を長服すべし。当に五日十日を経て大陥胸湯、十棗湯等を用いて之を攻むべし。《類聚方広義》
☆季肋下から心下部が中心に痛み、この部を按圧すれば痛む者に用いる。        もしも疼痛する部分を按圧してみて、疼痛が軽減するようであればこの証ではない。《大塚敬節》
[167]腹部膨満感(腹筋緊張)
[168]腹部有力充実
腹壁がうすくて弾力に乏しく、指頭で皮膚をつまむことができるような者には、虚証の者が多く、小建中湯・人参湯・眞武湯名ソロ用いる。
腹壁が厚くて皮下脂肪に富み、弾力のある腹は、実証に患者に見られる。このような患者で、胸脇苦満があれば大柴胡湯を用いる。《漢方診療医典》
[169]腹膜炎:
☆癖塊あり、古くないもの:「鼈甲・甘草」
[170]副鼻腔炎:
☆(桔梗石膏)
☆58歳、肥満した女性。数年前に鼻茸の手術をしたことがある。その頃から副鼻洞炎があったらしいが、1年ほど前から、頭が重く、鼻がつまるようになった。それにのどが渇き、便秘するという。脈は沈にして力があり、腹診上、右側の季肋下で、胸脇苦満が著明である。血圧は160-92。私はこれに大柴胡湯川芎を与えた。これを呑むと大 便が毎日快通し、3日目に鼻汁が流れるようにたくさん出て、そのあと急に頭が軽くなり、鼻の通りも良くなった。2週間後の診察では、胸脇苦満はほとんどとれ、血圧も143-90となる。その後また2週間たって診察すると、146-86となり、鼻の方も忘れたように良くなり、それきり自覚的な苦痛を忘れてしまった《大塚敬節》
[171]不妊症:
☆1婦人、久しく孕を受けざりしを、その脈腹を詳にして大柴胡湯を用ひたるに、やがて妊娠したることあり。《和田東郭》
[172]不眠症:
☆夜間、腹が張ってねむれない者がある、その中で、鳩尾が塞がったように苦しく、便秘して、眠れない者によい。《大塚敬節》
☆26歳男性。頑丈な体格で、不眠を主訴として来院した。主訴のほかに、左顔面のシビレ感と鳩尾の膨満感、疲労倦怠感がある。大便は便秘して快通しない。
この患者はかって、副鼻腔炎に罹って、葛根湯大黄石膏を2ヶ月ほど飲んで全治したことがある。腹診してみると、鳩尾が膨満して、胸脇苦満が著明である。そこで大柴胡湯を与えたところ、3日目の夕方、突然に、服用した薬汁を混じえた大量の水を嘔吐し、その後、急に顔のシビレ感が無くなって、安眠が出来るようになった。
大柴胡湯は嘔吐を止める作用があるのに、これを飲んで嘔吐を起こし、その後で急に病状が軽快したところをみると、これは古人が瞑眩と呼んだ症状である《大塚敬節》
[173]ヘルペス
[174]偏頭痛
[175]扁桃炎
[176]扁桃肥大
[177]便秘:
☆腹満大便せず、熱甚だしく、昏瞶して蛔を吐く者を治す:「鷓胡菜」 《勿誤薬室方函口訣》
☆脈なお浮数にして寒熱去らず、心下硬くして食を欲せず、二便難利の証。《奥田謙蔵》
☆上腹部に抵抗・膨満があり、古人が胸脇苦満・心下痞硬と呼んだ症状         があって、便秘している時に用いる《大塚敬節》
☆胆嚢炎・胆石症・肝炎などにみられる便秘は、たいていこの方で良い《大塚敬節》
☆高血圧・肥胖症などの便秘にも良く用いられる《大塚敬節》
☆私は「厚朴」を用いることがある。これは大柴胡湯小承気湯のことで、大柴胡湯を用いる証でしかも腹部の膨満、腹筋の緊張などが著しい時に用いる。《大塚敬節》
☆乳児の便秘で、腹のやや膨満しているものに、胸脇苦満を目標にして即効あり《有持桂里》
★19歳女性。
「小さいときから便秘気味であったが、ひどくなり、ちょっと物を食べた竹でも胃が張ってきて夜床についても息が苦しくて眠りにくい。あまり食べないくせに、もとから小太りで、近頃、ますます太ってきた。その性かどうか、ときどき微熱が出るような感じがするという。
大柴胡湯を与えると、微熱もなくなり、便通もついて良くなった」《山田光胤》
[178]麻痺:
☆《蕉窓雑話》
“薩州の留守居、樺山某という人は、15年前から右足に病があり、騎馬歩行ともに、10丁も行くと、ひどく足が麻痺して歩けなくなる。6月上旬に余に治を求めた。余はとくと診察して大柴胡湯を用いた。ところが、病人が言うのに、いままで、巴豆・甘遂・大黄などは大量に用いたけれども、初めの中は下るが、2、3日すると下らなくなる。大黄などでは下ることはないと。しかし病人の言葉にかかわらず大柴胡湯を用いた。とかく大黄入りの薬は不承知であったが、色々と利害を説明して、強いてこの方を用いる中、同月の中旬になって、風邪で熱があると云ってきた。往診してみるに、熱気は強いけれども、風邪の様子はない、初めからこの時まで大柴胡湯で1日1、2行ずつ下痢があったが、2日後に、うんと腹が痛んで、古い雑巾のようなものを沢山下した。それは、ワカメを固めたようで長さは8、9寸もあり、なかなか切れない。およそ14、5日ばかりも引き続いて、このような汚物を下し、サッパリと熱がとれ、痛みも止み、足の麻痺も忘れてしまった”
[179]マラリヤ
[180]麻疹:
☆疹毒頗る解し、余熱去らざる者は、大柴胡湯を与えて一下すれば則ち余毒悉く去り、十全を得る。
☆麻疹にして、胸脇苦満し、心下鞕塞し、嘔吐し、腹満痛し、脈沈なる者を治す《類聚方広義》
☆麻疹腹痛する者は、熱邪内結して、毒気外に宣発することを得ざるなり。大柴胡湯を与えて下せば癒える。《麻疹心得続録》
☆種痘後発熱し、便秘する等の証《奥田謙蔵》
[181]慢性胃腸炎:肥満or筋骨たくましく、胸脇苦満、便秘する者。
[182]慢性肝炎の急性化したとき
[183]慢性腎炎
[184]耳鳴り:
☆耳鳴、耳聾等にして、胸脇膨満の感を訴える証。《奥田謙蔵》
☆体格が頑丈で、腹力があって、便秘する患者の耳鳴りに用いる。
防風通聖散との区別は、その腹証によって決まる。防風通聖散の腹証は、腹が全般的に膨満して断直に富んでいるが、大柴胡湯の腹証は上腹部の膨満で胸脇苦満がある《大塚敬節》
☆62歳男性。軽い脳出血にかかったことがある。数年前から血圧が190 内外あり、手がシビレる。そのシビレは左が強い。それに左後頭部から知覚鈍麻を訴え、耳鳴とめまいがある。また大腿部がつれる感じがする。大便は秘結し、肩が凝る、脈は大きくて力があり、胸脇苦満がある。これに大柴胡湯を与えたところ、大便快通し、頭重が去り、肩も凝らなくなった。耳鳴りと手のシビレはなかなか取れず、服薬1年後に、漸く治り、後頭部の知覚鈍麻もいつともなしに消失した。その頃になると血圧も140内外最低80代となった。《大塚敬節》
[185]脈・・・「沈遅」
脈が沈遅にして実であれば、裏が実していることを意味し、沈遅にして弱であれば、理が虚していることを意味する。裏が実しているときには調胃承気湯・小承気湯・大承気湯・大柴胡湯などを用い、裏が虚しているときには人参湯・眞武湯・大建中湯・四逆湯などを用いる。《漢方診療医典》
[186]虫歯
[187]目が充血
[188]盲目:
☆1農夫、20余歳。両眼赤腫疼痛して忍び難く、白膜は腫起して朱を注いだ様で、烏睛(黒目)は中が凹んで、膿翳が見えている。治を衆医に求めたが、皆不治であるとした。家人はこれを聞いて相対して泣いた。その妻は夫が貧乏でその上盲となっては、必ず寒飢するであろうことを恐れ、乳児を捨てて去った。農夫は大いにその軽薄を怒って、その父とともに来て治を請い、且つ泣いて云うに、私は今、ごらんの通りの盲者だ。しかし愚婦が私を捨てて去ったのは憎んでも憎み足りない。もし先生のお力によって幸いに治って、再び日月を見得るようになれば、彼女を刺し殺すばかりであると、先生諭して云うに、彼女は実に禽獣のようなものであるから、大いに怒ってはならない。これを殺しても何の益があろうぞ。わしはお前の眼を元の通りに回復せしめてやるが、わしの言に違う様なことをしてはならないぞと。農夫はこれを諾した。
そこで先生がこれを診るに、その脈は浮数で腹満拘攣し、大便は秘結する。よって桂枝加芍薬大黄湯を与え、且つ一方を点眼し、鼻方を施すに、忽ちにして疼痛は忘れたようになり、30日ばかりで、腫膿翳は半を減じたが、腹満拘攣は依然として解けない。そこで大柴胡湯を与え、むし薬を兼用し、消翳方を点眼したところ、3ヶ月ばかりで全治した。家人も驚喜し、婦もまた来て、その罪を謝した。農夫は大いに罵って、お前は禽獣である。幸いに上田先生の一言で死を免れたが、何の面目があって、よくも帰って来られたものだと、ついに許さなかった《上田椿年》
[189]盲腸炎
[190]腰痛症:
☆70歳男性。半年以上前から注射や針の治療を受けたが、良くならない。診察すると、腹部全体が膨満し、腹直筋は左右ともに拘攣し、胸脇苦満が著明である。大便は2、3日に1行で、硬くて出が悪いと言う。この患者は2、3年前に咳が長く止まらず麦門冬飲子を与えて、その夜から咳の止まったことのある患者である。腰が痛むので、診察を受けにくることが出来ず、近所で治療を受けていたという。大柴胡湯にして大黄1.0を与える。5日分の服用で腰が伸びるようになった。《大塚敬節》
☆53歳女性。半年くらい前から、腰が痛むという。腰は右よりが痛み、 足の方へ少しひびく。胸脇苦満が著明で舌に淡い黄苔があり、下剤を飲んで便通をつけている。左下腹に圧に過敏な部がある。すなわち少腹急結である。脈は沈実である。2、3日前から排尿が頻数で残尿感があり、時に血尿が出るという。大柴胡湯にして大黄2.0を入れる。5日分服用すると、食が進み、からだが軽くなって腰の痛みも楽になったので、久しぶりで映画を見に行った。ところが寒い日であったので、冷えたためであろう。血尿がひどくなり、排尿痛を訴えるようになった。そこで桃核承気湯として大黄2.0を入れる。これを5日分飲むと血尿も止み、排尿痛も減ったが尿が近いという。そこで八味丸を与えて全治した。《大塚敬節》
[191]ゆううつ感
[192]裏急後重
下痢していても、裏急後重のはなはだしいものは実証であるから、大黄と芍薬を配合した芍薬湯・大柴胡湯・桂枝加芍薬大黄湯などを用いる。しかし軽い裏急後重では、眞武湯証や胃風湯証にも見られる《漢方診療医典》
[193]流行性耳下腺炎 
[194]肋膜炎
[195]肋間神経痛
[196]無月経
[197]ワイル病
[198]腿風(わいたいふう):(=脊髄癆or偏枯)
☆手足軟痛不仁を治す:「甘草」《方読便覧》



大柴胡湯合茵蔯蒿湯《漢方治療の実際》
「大柴胡湯+茵蔯4+梔子3」


大柴胡湯合半夏厚朴湯《漢方治療の実際》
「大柴胡湯厚朴3、蘇葉2、茯苓5」
◎患者が筋骨質のガッチリした体格で、みずおちがつまったようで抵抗圧痛があり、胸脇苦満があれば、脈は大抵沈んで力がある。このような者に本方の応ずるものが多い。大黄の量は大便が快通する程度に加減する。《大塚敬節》

★適応症及び病名(大柴胡湯合半夏厚朴湯)
■気管支喘息:
☆上腹部が膨満して、胸脇苦満が顕著で、便秘の傾向があれば、この方を用いる。《大塚敬節》
☆発作時も発作の無いときも用いて良いが、呼吸困難に堪えがたい時は、麻杏甘石湯または麻黄甘草湯を頓服として兼用する。《大塚敬節》
☆発作の無いときも、これ方を永く服用していると、胸脇苦満も消退し、喘息も起こらなくなる。《大塚敬節》
☆52歳女性。一見したところ背が高くて、中肉で、大柴胡湯証の患者に見えない。この女性にはかねて気管支喘息があり、いろいろ手当をしたけれども良くならないので、近くの漢薬店に行って、喘息の薬を買ってきて飲んだ。此を飲むと呼吸は楽になり、痰もよく切れるが、頭痛がするので、2日と続けて飲むことが出来ない。1日飲んでは1日休むという調子である。そこで私の診察を受けに来た。
脈をみると、やや沈んで硬い。ピンピンした感じである。血圧が高いなあと思って測ってみると、186-100である。舌は乾燥して白苔がある。腹はあまり膨満していないが、胸脇苦満が左右にある。便秘というほどではなかったが、漢方薬を飲み始めて便秘になったという。肩がひどく凝る。薬局でもらったという薬をみると、小青竜湯杏仁である。これでは良くないはずである。
私はこれに大柴胡湯合半夏厚朴湯を与え、大黄を1日量1.0とした。此を飲むと大便は快通し、胸がスッキリし、呼吸が楽になったという。頭痛も来ない。2週間後に血圧を測ってみると、152-94であった。ところが、1ヶ月ほどたった頃、半年ほど止まっていた月経が襲来して患者を驚かせた。その頃から、喘息の発作は急激に遠のき、3ヶ月 で休薬してしまった。《大塚敬節》




大柴胡湯去大黄
★適応症及び病名(大柴胡湯去大黄)
[1]胃腸病
[2]黄疸
[3]肩こり
[4]肝炎
[5]気管支喘息
[6]口が苦い
[7]上腹部が脹って苦しい
[8]舌苔<黄苔>
[9]高血圧
[10]胆石症
[11]胆嚢炎
[12]動脈硬化
[13]不眠症
[14]便秘なし
[15]耳鳴り


 
大三五七散[1-1]《和剤局方》《古今方彙》
「山茱萸・乾姜・茯苓各3升、細辛1升8両、防風4升、附子35枚」煎服or末となし、温酒で下す。
◎八風五痺、癰曳、口眼喎斜、眉角牽引、項背拘強、牙関緊急、心中悶、神色酔えるが如く、遍身発熱、骨節煩疼、肌肉麻木、腰膝不仁、皮膚動、或いは虫の行く如きを治す。    
(曳=タエイ、ふるえなえる)
◎陽虚頭痛、風寒脳に入り、目旋運転して舟船の上の如く、耳内蝉鳴、或いは風雨の声の如きを治す。
◎風寒湿痺、脚気緩弱に応用する。


大三五七散[1-2]《備急千金要方》
「細辛、防風、乾姜、天雄、山茱萸、薯蕷」
◎頭風眩、口、目斜、耳聾を治す。
◎此方は陽虚風寒入脳の六字が主意にて、一夜の内に口眼喎斜を発し、他に患ふ     る処なく、神思少しも変わら者の効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎医、大抵中風の一症として治風の薬を与ふれども効なし。是れは一種の頭風な     り。重き者は時々「紫円」にて下すべし。
◎耳聾:
☆外に苦処なくただ、耳聾する者に効あり。
☆もし熱あって両脇へ拘急し、耳聞こえ難き者は「小柴胡湯」
◎諸病、耳鳴り或いは頭痛して足冷ゆる者の用いて妙効あり。
◎頭重、耳鳴り、船に乗るが如きを治す:「薯蕷茯苓」《方読便覧》



大三五七散[1-3]《和剤局方》《龍野ー漢方処方集》
「山茱萸・乾姜・茯苓各4.0g、細辛2.0g、防風6.0g、白川附子1.0g」
◎麻痺、顔面麻痺、項背強直、牙関緊急、心中懊悶、顔色酔状、発熱、関節煩痛、腰膝麻痺、搐搦、蟻走感、頭痛、眩暈、耳鳴等のどれかがある者。
    
★適応症及び病名(大三五七散)
[1]顔面神経麻痺
[2]半身不随
[3]麻痺
[4]耳鳴り


大蒜元《東醫寶鑑》
「大蒜(焼き去皮)を搗いて淡豆豉末で梧子大の丸剤。朱砂で衣をつけ棗子・灯心を煎じた湯で30丸、空腹時に飲む。
◎陰汗がしっとりして、かゆい者。

大蒜浸剤《中薬臨床応用》
「50%の大蒜滲出液に半量のシロップ」を加えて経口投与。1日4回、30‹づつ服用。
◎細菌性下痢。


大順散《東醫寶鑑》
「甘草細切り2両を炒り、次に乾姜4銭を入れて又炒り、次に杏仁4銭を入れて炒って黄色くなったら、篩にかけ、肉桂4銭を入れて作末し、毎回2銭を水煎し温服。
◎暑月に煩渇し、水を飲み過ぎて、脾胃が冷湿して吐く者。


大正気散《東醫寶鑑》
「白朮・蒼朮・陳皮・厚朴・藿香・半夏各1銭、枳殻・檳榔各7分、桂皮・乾姜・甘草5分、姜5、棗2」水煎服。
◎風・寒・暑・湿にあたって脹満する者。

大正気散《医学入門》《古今方彙》
「白朮1銭2分、藿香・檳榔子・半夏・乾葛・枳殻・橘皮・厚朴・桂枝・甘       草各5分、生姜、大棗」煎服。
◎脾胃怯弱んて風・寒・湿気に傷る所となり、心腹は脹満し、飲食を妨げること     あるを治す。


大承気湯[1-1]《傷寒論》
「大黄(酒洗)4両、厚朴(炙去皮)半斤、枳実(炙)5枚、芒硝3合」
右四味、以水一斗、先煮二物、取五升、去滓。内大黄、更煮取二升、去滓。内芒硝、更上微火一両沸、分温再服。得下、余勿服。
◎陽明病、脉遅、雖汗出不悪寒者、其身必重、短氣、腹満而喘、有潮熱者、此外欲解、可攻裏也。手足然汗出者、此大便已鞕也、大承気湯主之。
◎傷寒若吐、若下後不解、不大便五六日、上至十餘日、日哺所發潮熱、不悪寒、獨語如見鬼状。若劇者、發則不識人、循衣模牀、而不安、微喘直視、脉弦者生、者死。微者、但発熱譫語者、大承気湯主之。
[牀=ショウ、床のこと]
◎陽明病、譫語、有潮熱、反不能食者、胃中必有燥屎五六枚也。若能食者、但鞕 耳。宜大承気湯下之。
◎汗出譫語者、以有燥屎在胃中、此為風也。須下者、過經乃可下之。下之若早、     語言必亂、以表虚裏實故也。下之愈、宜大承気湯。
◎二陽併病、太陽證罷、但發潮熱、手足汗出、大便難而譫語者、下之則愈、宜大承気湯。
◎陽明病、下之、心中懊悩而煩、胃中有燥屎者、可攻。腹微満、初頭鞕、後必溏、不可攻之。若有燥屎者、宜大承気湯。
◎病人煩熱、汗出則解。又如瘧状、日哺所発熱者、属陽明也、脉實者、宜下之。脉浮虚者、宜発汗。下之與大承気湯、発汗宜桂枝湯。
◎大下後、六七日不大便、煩不解、腹満痛者、此有燥屎也。所以然者、本有宿食故也、宜大承気湯。
◎病人小便不利、大便乍難易、時有微熱、喘冒不能臥者、有燥屎也、宜大承気湯
◎得病二三日、脉弱、無太陽柴胡證、煩躁、心下鞕。至四五日、雖能食、以小承気湯、少少與、微和之、令小安。至六日、與承気湯一升。若不大便六七日、小便少者、雖不受食、但初頭鞕、後必溏、未定成鞕、攻之必溏。須小便利、屎定鞕、乃可攻之、宜大承気湯。
◎傷寒六七日、目中不了了、睛不和、無表裏證、大便難、身微熱者、此為實也。急下之、宜大承気湯。
◎陽明病、発熱、汗多者、急下之、宜大承気湯。
◎発汗不解、腹満痛者、急下之、宜大承気湯。
◎腹満不減、減不足言、當下之、宜大承気湯。
◎陽明少陽合病、必下利。其脉不負者、為順也。負者、失也。互相剋賊、名為負。脉滑而数者、有宿食也、當下之、宜大承気湯。
◎少陰病、得之二三日、口燥咽乾者、急下之、宜大承気湯。
◎少陰病、自利清水、色純青、心下必痛、口乾燥者、可下之、宜大承気湯。
◎少陰病、六七日、腹脹、不大便者、急下之、宜大承気湯。
◎発汗後不解、腹満痛者、急下之、宜大承気湯。
◎少陰病、下利清水、色純青、心下必痛、口乾燥者、可下之、宜大承気湯。
◎下利三部脉皆平、按之心下鞕者、急下之、宜大承気湯。
◎下利、脉遅而滑者、内實也。利未欲止、當下之、宜大承気湯。
◎問曰、人病有宿食、何以別之。師曰、寸口脉浮而大、按之反、故知有宿食、當下之、宜大承気湯。
◎下利、不欲食者、以有宿食故也、當下之、宜大承気湯。
◎下利差、至其年月日時、復發者、以病不盡故也、當下之、宜大承気湯。
◎病腹中満痛者、此為實也、當下之、宜大承気大柴胡湯。
◎下利、脉反滑、當有所去、下之愈、宜大承気湯。
◎腹満不滅、減不足言、當下之、宜大柴胡、大承気湯。
◎脉雙弦而遅者、必心下鞕。脉大而緊者、陽中有陰也、可下之、宜大承気湯。
◎為病、胸満口噤、臥不着席、脚攣急、必歯、可與大承気湯。
[=カイ、歯ぎしり]
◎脉数而滑者實也、此有宿食、下之愈、宜大承気湯。
       

大承気湯[1-2]
「大黄4両。厚朴8両炙、枳実5枚炙、芒硝3合」
右4味、以水1斗、先煮2味、取5升、下大黄、煮取2升、去滓、下芒硝、再煮12沸、分2服。利則止後服。
◎陽明病、潮熱、大便微鞕者、可與大承気湯。




大承気湯[1-3]《傷寒論》《中薬臨床応用》
「大黄(生)12g(後下)、厚朴9g、枳実9g、元明粉9g(沖服)」水煎服。
◎熱積の便秘
◎痞:上腹部が硬く脹ってつかえる
◎満:腹部の膨満
◎燥:糞便が乾いて硬い
◎実:熱積が詰まって便秘


大承気湯[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「大黄2、枳実・芒硝各3、厚朴5」

大承気湯証:(燥屎。又曰く、大便鞕し。又曰く、腹満。又曰く、宿食)
◎腹堅満し、或いは下痢臭穢、或いは燥屎ある者を治す。凡そ燥屎ある者は下必ず磊(ライラ)なり。肌膚必ず枯燥するなり。《吉益東洞》
(磊=ライ、重なった石)(ラ、石が積み重なり合う様)
◎腹堅満し、或いは臭穢を下利し、若くは燥屎ある者を治す《方極附言》
◎此方は胃実を治するが主剤なれども、承気は即ち順気の意にて、気の凝結甚だしき者に活用すること有り。《勿誤薬室方函口訣》
◎陽明病、譫語し潮熱あり、反って食する能わざる者は必ず胃中燥屎56枚あるまり。大承気湯の症もとより多端なり。亦その一候を揚ぐるのみ。又自利清水、色純青なる者有り、ただ心下必ず痛み、口乾燥し、以て熱利を認めるべきなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎大承気湯を用いなければならない患者が四逆湯や附子理中湯の証のように見えることがある。元来、大承気湯と四逆湯とは正反対の薬方で、前者は攻撃する方剤で、後者は温補する方剤である。そこで一歩誤れば、大事に至る危険がある。《大塚敬節》
◎「小承気湯芒硝」《大塚敬節》
   

【腹証】
《腹診配剤録》
“腹候、堅満して、臍下の右傍磊として襄石を探る臥如く、而して臍上水分(=穴名)の辺に動気有り、然れども其の証劇しきときは、則ち臍下の左右皆堅満し襄石にして之を探るが如し。此れ即ち燥屎の候也。総て承気の証は、皮膚枯燥して紙子を按ずるが如く、亦手足或いは頸以上然として汗出ず”



★適応症及び病名(大承気湯
[1]汗が出る:
☆さむけはない。
☆熱性病にして、大に汗出で、身体重く、煩躁し、脈数急、腹痛して便閉する証《奥田謙蔵》
☆汗出づること油の如く、喘鳴あり、身体自由ならず、或いは安静に、或いは擾乱し、その脈微しく滑なる証《奥田謙蔵》
[2]胃ガン
[3]息切れ
[4]意識障害:
☆うわごと
☆傷寒9日以来、口言う能わず、目視る能わず、体動かす能わず、四肢倶に冷え、6脉皆無く、手を以て腹を按ずれば両手にて之を護り、眉に皺楚(クルシム)を作し、趺陽の脉大にして力あるを治す。乃ち腹に燥屎あるを知るなり。遂に之を下し、燥屎を得ること67枚にて口能く言い、躰能く動く。《医宗必読》
【趺陽脈】
衝陽脈ともいう。三部九候診法の切脈の部位の1つ。
足の陽明胃経に属し、脾胃を候うことができる。
部位は、足背の前脛骨動脈の搏動するところにある。
《金匱要略》「趺陽の脈、浮にして滑、滑は則ち穀気実す」
[5]異常発酵
[6]痿躄(いへき):
☆痿躄、腹中に堅塊有り、便秘して口燥き、脈実にして力有る者、此方に非ずんば治すること能わざる也。附子湯、真武湯等、交替互用するも、亦佳なり。《類聚方広義》
[7]疫病
[8]霍乱:
☆乾霍乱を治す。《方読便覧》
☆乾霍乱を治す:「檳榔良姜」《聖済総録》
[9]脚気:
☆脚気衝心。
☆脚気、胸腹腸満し、一身浮腫し、胸動怒濤の如く、短気してし、二便閉渋する者は、衝心の基也。此方に非ずんば、その迅劇の勢を折衝し、結の毒を蕩滌すること能わざる也。脚気症、その人胸中跳動し、心下堅く、短気、腹満し、便秘して脈数なる者は、仮饒(タトエ)その状緩症に似たるも、決して軽視し可らず。必ず不測の変有らん。早く此方を用い、以て欝毒を逐除する時は、則ち大患に至らずして治せん。匕を執る者、忽諸にする勿れ、《類聚方広義》
☆脚気にして、腹満強く、喘鳴息迫し、大小便共に通ぜざる証《奥田謙蔵》
[10]肩こり:
①陽明病。
②腹部膨満<充実>。
③便秘。
④汗出潮熱。
⑤裏急後重。
[11]関節痛:
☆この方は腹部が充実膨満して、脈にも力があって、便秘するものを目標に用いる。大柴胡湯証では胸脇苦満があるが、この方は臍を中心と して膨満している。このような状態で膝関節や足関節の痛み者に用いる《大塚敬節》
☆50歳会社社長。肥満したがっちりした精力旺盛という体格である。主訴は腹部の膨満感で、そのため睡眠がよくとれないことがあるという。肩も凝り、左右の膝関節には疼痛があり、坐っておれないという。小便は頻数で量も多いが大便は秘結していて、下剤を飲まないと通じがない。腹部は全般的に膨満して抵抗があり、脈は沈実である。尿中にはタンパクを証明し、血圧は180-100である。そこで大承気湯を与えたところ、毎日便通があり、身体が軽くなり、肩凝りも、膝の痛みもなくなった。血圧には変化がない。通計100日ほど服薬して海外旅行し、服薬を中止した。
大承気湯証の患者には、尿の頻数と多尿を訴える者があり、又、膝関節や足関節に疼痛を訴える者がある。《大塚敬節》
[12]吃逆
[13]急性肺炎
[14]狂犬病:
☆風犬傷を治す:「黄連解毒湯牽牛子・杏仁・人参」。外は傷処に灸する。《方読便覧》
[15]下痢:
☆(食中毒による下痢・吐き気、粘液・膿性、腹痛)
☆痢疾、大熱、腹満し、痛錐(キリ)にて刺すが如く、口舌乾燥し、或いは破裂し、大便日に数十百行、或いは便膿血の者を治す《類聚方広義》
☆熱はあっても、悪寒、悪風などの症状はなく、下痢せんとしても、なかなか通ぜず、裏急後重が強くて、頻々(ひんぴん)と便意を催し、ひどくのどが渇き、舌は乾燥し、時に黒苔を生じ、時に悪心を訴え、或いは譫語を云ったりする者に用いる。このような時は、速やかに大承気湯で下すべきで、下す時期が遅れると危篤に陥る恐れがある。このさい大黄・   芒硝などの量は1日分10g以上を用いて、十分に便通をつけるようにする。これで大便が快通するようになれば、諸症はすべて軽快する。《大塚敬節》
☆心下硬痛、純青水を下利し、譫語、発渇、身熱を患うを治す。庸医此の証を識らず、ただ下利を見て便ち呼んで漏底傷寒と為して、便ち熱薬を用いて之を止む。すなわち薪を抱いて火を救うが如し。死者多し。殊に知らず、此れ熱邪裏に伝うるに因り、胃中の燥屎結実し、此の下利は内寒にして下利するに非ず。乃ち日を逐い自ら湯薬を飲んで利するなり、宜しく急に下すべきを。名づけて結熱利症と曰う。身に熱ある者宜しく此の湯を用いるべし。:「人参・当帰・甘草」《傷寒翼方》
☆禁口毒咽喉に衝くもの。《方読便覧》
☆下痢して後、手足厥冷し、心下部痛み、尿利渋滞し、心煩して起臥自由ならず、その脈滑なる証《奥田謙蔵》
☆微痢すること頻々、時に精神昏憤して酔状の如く、或いは目動し、或いは視線動かず、その脈弦なる証《奥田謙蔵》
☆下痢し、精神昏(くら)み、眼球潤沢を失い、累日絶食し、唯だ少量の水を与えれば之を嚥下し、その脈沈実なる証《奥田謙蔵》
☆自痢すること数回にして、外熱甚だしからず、腹中絞痛し、俯仰すべからず、舌乾燥して厚苔を被る証《奥田謙蔵》
☆1人の男子が突然に高い熱を出し、下痢をして、意識がなくなった。医者はこれに附子理中湯を与えたが、急にケイレンを起こしてひきつけた。そこで家人は驚いて自分に治乞うた。これを診てみると、脈は玉を転がすように速やかに動き、臍のそばに動悸があり、心下部は堅く膨満し、手足は冷い。そこで宿食があると診断して、大承気湯でうんと下したところ、2日前に食べたグミの実が沢山出て、全快した。《治痢軌範》
☆山本某が急に熱を出して下痢し、うわごとを云うようになり、これが7、8日も続き、この間何も食べず、ほとんど死にそうになった。医者はこれに附子理中湯や四逆湯の類をいろいろ用いたが効無く、死を待つばかりであった。先生がこれを診てみるに、手足は氷のように冷たく、眼は上につり上がって直視し、衣類や蒲団を手でなでまわり、危篤の容貌を呈している。それに下痢は続き、脈はほとんどない。また時々吃逆が出る。唇の色は黒くて乾燥し、舌は真っ赤になって苔がない。こんな状態で、まことに重傷である。先生は大量の大承気湯を作り、これを2日分を1日に呑ましめた。その翌日、鶴(門人)が先生の命によって往診してみると、黒便が下って、吃逆が止み、少し食べられるようになった。そこで又前方を与えて、その翌日、往って診ると、唇がひどく乾燥し、舌に黒胎がついた。更にまた前方を与えること、4、5日で諸症すべて去って全快した。《岑少翁の治験》
☆「京師麩屋街の賈人某は、天行痢(流行性の下痢)を患う。一醫之をす。度数頗る減ずと雖も、尚臭穢を下すこと日に一再行、飲食味無し。身體は羸痩し、四肢に力なし。その年月に至りては益々甚だし。衆醫效なし。《吉益東洞》先生之を診し、大承気湯をつくりて之を飲む。数日にして全く治す。」《建珠録》
☆天行下痢の例
「京師麩屋街の賈人、近江屋嘉兵衛の男、年十有三。天行痢を患う。裏 急後重し、心腹刺痛して噤口三日、苦楚(=苦痛)し、呻吟し四肢席を撲 つ。諸医效なし。
《吉益東洞》先生之を診す。大承気湯をつくりて之を飲ましむ。毎貼の重さ十二銭。少焉(わずかな時間が経過する)ありて蒸振し、熱煩し、快 利傾けるが如く、即ち癒ゆ。」《建珠録》
[16]口渇:
☆腹満・便秘の状があって、口渇の有る者に、大柴胡湯や小承気湯、大承気湯などの証がある。
大柴胡湯の場合は、鳩尾から季肋下にかけて膨満していて、胸脇苦満の状がある。大承気湯の場合も、腹部が臍を中心にして膨満している。白虎加人参湯証では、腹部が膨満していることがあっても、軽微である。ところで、数日間便秘していて、口渇を訴える者に、承気湯で下してはならない虚証の患者がある。この際には便秘しているか否かによって、虚実を分けるのではなく、脈と腹を診て、この部に力がなければ、いくら便秘していても、四逆湯や附子理中湯などを用いる《大塚敬節》
☆腹が脹って渇する場合、実証で下すべき承気湯証と、虚証で下してはならない四逆湯証とがある。《大塚敬節》
☆下痢して渇する者、足が冷えて渇する者、身熱して面色白くして渇する者、寒戦して渇する者、急に歯牙を咬んで渇する者、水を呑んで渇の止まない者、等は“熱”ではなく、脾胃・肌肉が虚して津液が少なくなったからである。《内藤希哲》
[17]口噤
[18]呼吸促迫
[19]高血圧
[20]高熱:
☆壮熱解せず、腹満ありて苦悩し、その脈実にして緊なる証《奥田謙蔵》
[21]項背のこり
[22]痔:
☆痔痛に:「乳香」
[23]自家中毒
[24]四肢強直:
☆四肢強直して、止挙する能わず、口を噤み、直視し、或いは切歯し、その脈弦なる証《奥田謙蔵》
☆傷寒9日以来、口言う能わず、目視る能わず、体動かす能わず、四肢倶に冷え、6脈皆無く、手を以て腹を按ずれば両手にて之を護り、眉皺楚(クルシム)を作し、趺陽の脈大にして力あるを治す。乃ち腹に燥屎あるを知るなり、遂に之を下し、燥屎を得ること67枚にて口能く言い、躰能く動く。《医宗必読》
[25]しぶり腹
[26]歯痛
[27]自閉症
☆腹力、脈ともに充実、腹満、便秘のある者に用いる。ケイレン、興奮、目つきがぼんやりしているなど。(漢方診療医典)
[27]消化不良
☆胃気を鼓舞する:「人参」
【参考】“枳実は気を益すには、人参、乾姜、白朮をもってこれを助け、気を破るには大黄、牽牛、芒硝を補佐薬とする”《湯液本草》
[28]食中毒 
[29]食道ガン:
☆病者、飲食味無く、或いは食中、食後、頻りに白沫を吐し、或いは雑して胸を刺し、或いは食物停触し、胸膈に痛を為し、或いは食後悪心し、懊悩して安からず、或いは吐を得て反って快く、腹裏弦靱にして塊有る者は、膈噎(食道ガン、その類証)の漸なり。若しその精気 未だ衰えず、疾苦未だ深からざるにび、厳に世事を絶ち、酒食を慎み、専ら静養調摂を為し、此方を以て弦靱を柔和し、結を削平し、灸すること五椎より十四五に至りて怠らざるときは、則ち大患に至らずして治せん。硝石大円、大黄硝石も、亦撰用す可し。《類聚方広義》
[30]小児疫痢
[31]小児自閉症
☆腹力・脈ともに充実、腹満、便秘のある者に用いる。ケイレン、興奮、目つきがぼんやりしている(漢方診療医典)
[32]小児ひきつけ
[33]神経症
[34]腎臓結石
[35]心痛:
☆積熱心を攻むる甚だしきを治す。《雑病翼方》
☆積熱心痛甚だしきを治す《方読便覧》
[36]頭痛:
☆<劇痛>
☆胸脇苦満がなく、臍を中心として腹全体が膨満して、便秘して脈有力の者に適する《大塚敬節》
☆肉や油ものを好む肥満体質の常習頭痛で、腹部が膨満して便秘する者《大塚敬節》
☆大柴胡湯証の頭痛との鑑別:(参照→大柴胡湯)
[37]生理不順:
☆月経の量が少なくて、ダラダラと2週間も続くので、4、5日であがるようにしてくれ、という婦人が来院した。こんな場合は、桃核承気湯や桂枝茯苓丸を用いるのが常識であるが、この婦人は肥満し、しかも充実してしっかりしてるし、脈も沈実であったから、大承気湯を与えたところ、流産の時のように、多量の血が下って、3日目にピタリと止まった。《大塚敬節》
[38]精神病:
☆この方は《傷寒論》に腹満、不大便、潮熱、譫語の者に用いてあり、これにヒントを得て、体力が充実し、腹力があって膨満し、精神錯乱 して、妄語を発する者に用いる《大塚敬節》
☆本石町、近江屋三左衛門の主管、傷寒にて治を請う。之を診するに、病人何かぶるぶる言いながら、立ち騒ぐのを、家人抱き止め、ようよう床上に仰臥させる。その症、腹満、大渇、舌上乾燥、歯根まで黒色で、譫語止まず、二便不通、脈沈微なり。よって大承気湯3貼を与えた。服用すると、臭穢黒便おびただしく下り、3日目には、精神頗る爽然となった。ただ夜間驚恐して安眠せず、よって柴胡加竜骨牡蛎湯を用い、30余日にして快復した。《方技雑誌》
☆旧幕の頃、駒込の組屋敷に住む、杉本某の妻が疫病にかかった時、不眠不休で看護したため、大いに心気を労し、妻の病気が全快したある夜、夜中に、急に起き出して、稲荷様に参詣すると云う。夜更けだから止めるようにと家内のものが止めたけれども聞かない。そこで弟が怪しく思って、後をつけたところ、神社に登って、うずくまって、いろいろ訳の分からないことを大声で喋っている。弟はひどく驚いて無理に連れ帰ったが、その時は気が狂っていた。次の日、余に往診を乞うてきたので、柴胡加竜骨牡蛎湯を数日間与えたが、一向に効かない。病人は30余歳で、壮実のからだで力があり、2、3間の座敷を飛ぶのにひどく速い。そこで狐つきの説が起こり、小豆飯、油揚げなどを食べさせたところ、沢山食べる。どこから入って北かと問えば、障子の破れた穴から入ってきたと云う。これは狂人を難詰すると、いつも云う言葉である。そこでいよいよ狐つきと決めて、余の意見を聞いた。余は狐つきではないことを弁じたけれども、十余人の親族が皆その説を固守して、余が言をいさぎよしとしないので、閉口して帰った。その後は、煙をあててみたり、呵責してみたり、いろいろやったけれども良くならないので、10日あまりたってから、1人の親戚がやってきた、なにをやっても狐が去らないところをみると、発狂に違いないから、今一度診てもらいたいと云う。そこでよくよく考えてみるに、激しい発作は一昼夜に数10発であるけれども、発作の無いときはやや正気に近い。その発作時は、手を握り、足を踏ん張り、鳩尾へ差しこみ苦悶する。項背、手足をみるに、筋肉がひどく硬くなっていて、強く握ると堪えかねて声を発するほどである。その反り返った勢をみると破傷風のようである。そこで大承気湯を5貼ほど与え、大黄、芒硝は多量に入れたので、必ず5、6行の下痢があるだろうと思ったのに、1日に2行位である。その筋肉の緊張がだんだん緩むにつれて、発作も日に日に減じ、10余日たった頃は、正気のこともあった。そこで前方を1月あまり連用したところ、病の7、8を減じたので、大黄、芒硝をあまり用いるのもどうかと、少し量を減ずると良くない。そこでまた増量し、大承気湯を用いること7.80日にも及んだ。その間、薬に胃腸がなれたものが、大便が硬くて1行位になった。
この病気が全快したのち、大便が快通しない時は、いつも大承気湯を用いた。(山田業広・温知医談第3号)
[39]赤痢
[40]舌質 <紅>
[41]舌苔:
☆<黄厚><褐色で乾燥し芒刺><黒苔・乾燥>
☆舌、四辺微紅にして、中央灰黒色を現すを治す。此れ下を失するに由りて発す。本方を用いて之を退く。又舌黄を現して、黒点乱生する者を治す。その証必ず渇し、譫語す。又舌灰黒色を現して黒紋あり、脈実なる者を治す。《小青嚢》
[42]譫語(うわごと):
☆熱が高くて譫語をいい、意識が朦朧として、不安の状があり、数日間便秘し、熱は潮熱状となって、悪寒の無い者に用いる《大塚敬節》
[43]前歯発育遅延
[44]疝積:
☆疝積、痛忍ぶ可らず、胸腹煩満し、心下堅硬、二便不利、或いは時に黒物を吐下する者を治す《類聚方広義》
[45]喘息:
☆気管支喘息にして、発作時以外においても微喘あり、身体肥満し、腹部緊満し、便秘、肩背強急あり、血圧高く、口渇、頭痛を訴え、小便頻数にして、食欲衰えず、脈沈にして強実なる証《奥田謙蔵》
[46]躁うつ病
☆躁病の患者には、肥満体質の人が多く、このような患者で、便秘し、狂暴の傾向のある者に用いる(漢方診療医典)
[47]燥屎(=熱で乾燥した硬い糞塊)
[48]大腸炎:
☆激烈なる大腸「カタール」にして、腹満し、腹痛甚だしく、口乾燥し、舌上に皹裂を生じ煩悶し、粘液血便を漏らして止まざる証《奥田謙蔵》
(皹=タン、ひび、あかぎれ)
[49]潮熱:
☆潮熱とは、悪風や悪寒を伴わない熱で、ちょうど潮が満ちてくるときは、海岸の岩間のすみずみまで浪で濡れるように、熱とともに全身に汗が出るのをいう。この潮熱は大承気湯を用いる目標である。《大塚敬節》
[50]チフス:
☆腸チフスのような傷寒という熱病に罹って、8、9日たった頃、ものを言うことも出来ず、ものを見る力もなく、体を動かす事も出来ず、手足は厥冷し、左右の手の橈骨動脈の脈は全く触れない。腹を手で按圧しようとすると、病人は両手で、これを払いのけようとし、眉間にシワを寄せて苦痛の状を示す。足の足背動脈の脈をみると、大きくて 力がある。このようなときには、臍の右側を按じてみるがよい。この部に燥屎を触れ、強く按ずると眉間をしかめて痛む表情をするものである。《医宗必読》
[51]手足厥冷
“京師二条路白山街に、嘉兵衛なる者あり、近江舗と号す。その男、年始めて十有三。一朝(=早朝)、下利し、日午(=正午)に至るに及び、その行数を知るなし。是において神気困冒す。医、独参湯を為(つく)りて之れを与ふ。日所(ひぐれ、16時ごろ)に至るに及び、手足厥冷す。医大いに懼(おそ)れ、姜附を用ふること益(ますます)多し。しかして厥冷益(ますます)甚し。諸医皆おもへらく不治と。余為に之れを診するに、百体(=からだ中)温なく、手足を地に(う)ち、煩躁して叫(きゆう)号(=大きな声でさけぶ)し、腹痛の状あるが如く、臍に当って動あり、手近づくべからず。余乃ち謂ひて曰く、是れ毒なり、薬を以て治すべし、その死生の如きは、則ち我れ之れを知らざるなり。然りと雖も、今治するも亦死し、治せざるも亦死す、等しく死せば、死するも治するも可ならんかと。親戚許諾す。乃ち大承気湯を与ふ<1貼の重さ12銭>。一服にして知らず。復与ふ。厥冷則ち変じて熱となり、三服にして神色正に反り、下利半を減ず。服すること十日所(ばかり)、諸証尽(ことごと)く退く。是れに由って之れを観るに、医の事における、此の薬、此に毒を解するを知るのみ。毒の解するや、厥冷は温まり、大熱は涼し。若し厥冷常に復するを以て熱薬となさば、則ち大黄・芒硝も亦熱薬たらんか。薬物の寒熱温涼、その論ずべからざる、斯(すなわ)ち以て知るべきのみ”《薬徴》
[52]手足汗出
[53]統合失調症
☆体力の頑強な人で、狂暴性を発揮する者に用いる(漢方診療医典)
[54]痘瘡:
☆痘瘡、悪熱、腹満し、煩躁、譫語し、黒胎、燥裂し、大便せずして渇し、或いは自利臭穢の者は、死、須臾に在り。此方に宜し。《類聚方広義》
[55]とり目:
☆21歳女性。晩盲眼(とりめのこと)を患い、すでに10余年になるが、衆治験なく、燈火も月火もこれを弁ずることが出来ない程になった。よって治を乞うた。これを診するにその脈が沈微にして、腹満し、左脇下に塊があって、大なること覆杯の如くである。よって先ず柴胡加芒硝湯を与え、その塊を砕き、腹がなお腹満であるから、続いて大承気湯を与え、塊が解け、満が減じて、眼もまた自ら癒えた《上田椿年》
[56]尿が濃い:
☆尿血実なる者を治す:「当帰」
[57]尿閉
[58]熱厥:
☆熱厥は初め身熱を病み、然る後に厥を発す。その人熱を畏れ、手を揚げ足を擲(なげう)ち、煩躁して水を飲み、頭汗し、大便秘し、小便赤く、怫(ふつ)欝昏憤す。蓋し当に下すべくして下を失し、血気通ぜず。故に四肢厥冷す。所謂熱深ければ則ち厥も深く、所謂下証悉く具りて、厥逆を見はす者、此也。大承気湯を与える《仁斎直指方》
[59]熱性ケイレン
☆葛根湯を用いる場合より一段と病勢が進み、しかも体力が充実している場合に用いる(漢方診療医典)
[60]脳炎
[61]脳充血
[62]脳膜炎
[63]喉に魚骨が刺さる
[64]肺炎
[65]破傷風:
☆破傷風、その暴劇の者は、挙体強直し、直視、不語、胸腹鞕満し、二便利せず、その死踵を旋らさず。此方以て一生を僥倖す可し。若し服すこと能わざる者は、紫円に宜し。平居便秘し、腹満、上逆する者、或いは酷暑寒を冒し、或いは鯨飲過食を為し、則ち眼目昏暗にして、赤脈四起し、忽然として瞻(セン)視を失する者有り。急に此方を与えて之を下す可し。速かに癒える。《類聚方広義》
☆破傷風及びこれに類する筋肉の剛強に用いられる《大塚敬節》
☆《積山遺言》 “一女子、足に竹のトゲを刺して出血し、トゲを抜いても痛がひどかった。それから、2、3日たって海浜に遊びに行ったところ、その夜、頭痛がし、悪寒がして高熱が出た。
翌日、これを診察してみるに、脈が大きくて力があり、しかも速い、顔は朱のように赤い。そこで破傷風の前兆であろうと診断して、2、3の薬を用いたが効無く、そのうちに、はげしいケイレンを起こして意識を失い、牙関緊急して反張した。そこで、破傷風と診断して大承気湯を与えたところ、1服でケイレンが軽快し、引き続きこの方を用いて大半癒え、その後は特別の手当をしなかったが、そのまま全治した”
[66]発狂(錯乱状態になる)
☆「当帰」
☆狂症、大言罵し、昼夜眠らず、飲啖常に過ぎ、胸腹満ち、大便通ぜざる者を治す。《類聚方広義》
☆男婦、痰、心竅に迷い、垣を越え、壁を越え、胡言乱語するを治す。:「当帰甘草」《雑病翼方》
☆陽厥発狂を治す:「鉄屑」《方読便覧》
☆癲狂、熱壅(ふさ)がり、大便秘結するを治す《古今医統》
☆後藤氏の癇気の秘方に、大承気湯三黄瀉心湯石膏・一角がある。余はこの方を得て、これを用いる証を待っていたところ、1狂人を得た。
その症はある朝頓然として発狂し、騒動して止まない。或いは人を投げたり、器物を破壊し、力が強く、4、5人の力を合わせたほどで、種々の治療も効がなく、病勢はますます劇しくなった。そこで、からだを縛り上げて動けないようにしたところ、しきりに大声で罵詈雑言を発し、或いは怒り、或いはツバをかけ落ち着かない。そこで余はかの秘方を2、3日与えたが、何の変化もない。しかし強いて、前方を飲ましたところ、食が少し進むようになり、脈もまた少し和し、諸症 やや緩になり、1ヶ月ほどで、始めて正気を取り戻した。その後2、30日ばかりを過ぎて大半癒えた。しかし過食すると狂勢がぶり返し、前の状態になる。それで1ヶ月の中に幾日かを絶食させ、それから前方を与えると、ようやく全快した。
ところが、その後、白痴のようになった。そこで安魂湯、帰脾湯、建中湯龍骨牡蠣などを与えたが寸効なく、1年あまりたってしまった。その後、ある日のこと、某大医が余の家に来た時、この話しをしたところ、その大医が云うのに、この症はまったく、俗にいうケロリである。発狂の後によくある症である。余は前々からこの症に補剤、妙薬、奇方などを試みたが、何にも効がなかった。しかし、ただ1つ秘方がある。それを与えてみるが良いと。
その方は、先ずマムシに醤油をつけ焼いて食べる。次にカタツムリを塩焼きにして食べる。次にナメクジを塩焼きにして食べる。その他柳の虫、イナゴなどその時にあるものを塩焼きにして食べるのも良い。またスッポンを味噌で煮て食べる。或いはウミヘビを醤油で焼いて、これを食べるのも良い。毎日少しずつ食べると良い。これを半年から1年続ければ治らないことなない。もっとも、煎剤の方はその時に臨んで、証に随って用いると良い。
余は急いでこの方法によって、食餌をさせたところ、3、4ヶ月で全治した。《津田玄仙》
[67]発熱:
☆蒸々として発熱し、煩満して食を欲せず、腹堅痛し、屡(シバシ)ば上厠するも糞便硬固なる証《奥田謙蔵》
☆この方は、熱が高いのに脈が沈遅で力があり、汗が出ても悪寒がなく、腹部は膨満充実し、便秘して大便が硬く、手足からも、汗がじとじとと出るのを目標とする。この際、悪寒があるようなら、大承気湯を用いてはならない。《大塚敬節》
[68]煩躁
[69]ひきつけ:
☆急驚風、心下堅く、腹満、口噤し、肢体強急し、脈数実の者は、此方に宜し。《類聚方広義》
[70]肥満:
☆腹部膨満して、抵抗と弾力あり、頑固な便秘。大柴胡湯では上腹部の膨満が主で胸脇苦満があるが、大承気湯は臍を中心にして膨満しているものを目標とする(漢方診療医典)
[71]腹痛(圧痛)
京都富街(とみまち)の商人で堺屋治兵衛という人の細君が、積を患って5年、初めの症状は腹痛だったのですが、そのうちいろいろな症候が出てきて、どれが主訴か分からない状態となりました。
【積】=積聚(せきしゅう)の略。
腹内に結塊があって、腫れや痛みをともなう病証。
その親族の者に医者がおりまして治療に当たっていましたが、何の効果も現れません。最後には腹が張って普段の2倍の大きさにふくれあがって来ました。その医者は必ず死ぬであろうと言って、ことわって帰って行きました。
 そこで、吉益東洞に診察を求めたのでした。東洞先生は、大承気湯を作りまして、これを与えて帰りました。まだ服用しないうちに、以前の医者が来まして「どんな処方か?」を聞き、大承気湯であることを知ります。そこで治兵衛に言います。
 「こんなものを服ませたら、死を早めるだけだ。承気湯は極めてきびしい薬で、たとえて言えば腹の中に火銃を入れて発火させるよいうなものだ。恐れなくてはならぬ」と。
 治兵衛はその医者に長期間治療をして貰いながら少しも効果を上げなかったので、医者のいうことを聞きません。医者は帰っていきました。
 数剤を、連続して服用させますと、便所に行くと胸腹がスッキリと気持ちよくなってきます。しかし喘満のような症状が感じられます。東洞先生は、今度は控涎丹(甘遂・大戟・白芥子)という処方をつくって与えました。
 まだ服しないうちに又以前の医者がやってきて、治兵衛に申します。「承気湯でさえも、体力に勝つことがあれば害があると恐れられているのに、まして今度の薬は猛烈きわまる薬であるから絶対に服用させてはならぬ」と、言いつけてねんごろに害を説いて帰りました。 治兵衛は聞き入れずに、その夜に服用させます。
 その次の朝、器をひっくりかえすように吐き、下しを致しました。胸腹はとても気持ちよくなって来ました。
医者がまた来て、この様子を見て、感服して帰って行った。
それから数日、全く治ってしまった。
[72]腹部膨満(下腹部全体が固く脹って痛む)
☆脹満を治す:「檳榔良姜」《医学入門》
[73]不食症  
[74]偏頭痛
[75]便秘:
☆もし人、肉食して病たまたま来たり、以て停滞し胃に在るを致す。大小承気を用いて連下するもただ是れ臭水稀糞のみ。承気湯中においてただ人参一味を加え之を服す。三四十日停まる所の完穀完肉と雖も、是において方に下る。けだし承気、人参の力を籍りて胃気を鼓舞し、宿物始めて動くなり。:「人参」《傷寒翼方》
☆咳逆便秘する者。《医林集要》
☆某士人、悪寒発熱し、四肢困倦し、熱は日に彌々(ビビ、いよいよ)盛る。心胸煩躁し、已(すでに)に食を絶す。厠(かわや)に坐さざること10余日。之を按ずれば、腹皮攣急して物あり、柱の如し、横骨より、鳩尾に達す。乃ち大承気湯をつくりて之を飲む。芍薬甘草湯を以て雑進す(毎貼の重さ各10戔)5日、3日に僅かに1行す。久之して大いに快利し、諸證頓に退く。《建珠録》
☆芒硝には大便の堅塊を軟化するする作用があり、そのため小承気湯を用いる場合よりも更に便秘がひどく大便が硬いものに用いる。《大塚敬節》
☆腹がふくれて便秘していても、腹水が溜まったり、腹膜炎を起こしている者には用いない。《大塚敬節》
[76]前歯の遅い小児
[77]麻疹(=はしか)  
[78]無月経:
☆本所相生町歌妓、歳20ばかり。経絶てすでに15ヶ月。はじめに、3ヶ月は妊娠と思ひしに、ある医妊に非ず、血塊なりとで破血の剤を飲しむ。今に寸効無し。よって先生に願ふと、先生之を診るに、腹大満、堅硬、青筋太く見れ、肩背強急甚だしく、いきたわし。先生門下生に謂て曰く、今日は家に帰るべし。明日門人を遣して治療を施さしめんと。鶴、命を受けてその家に鋳たり、左右の尺沢穴を刺す。血出ること1升ばかり。3日過ぎて、鶴また診するに肩背強急大に緩めり。また左右の委中穴を刺す。血出る崩漏の如きこと凡そ3日。腹満大いに減ず。すべて大承気湯を用いること200余貼、、まったく癒ゆ。その後月信例の如し」《継與医報》
☆気のめぐりをよくする効があり、これで無月経が治ることがある《大塚敬節》
☆52歳の、体格の良い婦人。耳朶がかゆくて困るといって来院した。
脈を診ると沈んで力があり、しかも遅である。腹部は膨満して底力があり、頑固な便秘がある。月経は半年ほど前から止まっていると言う。
私はこの脈と腹とを目標にして、大承気湯を与えたところ、5日目になって、外出も出来ないほどの多量の月経があり、その月経が始まった頃から、耳のカユミが無くなってしまった。《大塚敬節》
[79]虫歯
[80]裏急後重<>
[81]流感 
[82]脈:
☆脈数にして熱臭甚だしく、口中あたかも煤煙を含みが如く、腹痛して下痢せんとする状のある証《奥田謙蔵》
☆この方剤を与えて、脈が頻数になるようであれば、強いて与えないほうがよい。《大塚敬節》

      

大省風湯[1-1]《医学入門》《古今方彙》
「防風・半夏(生)各1両、川烏(生)・天南星(生)・甘草・白附子(生)・木香各5銭、全蝎2両、生姜」煎服。
◎中風にて痰涎壅盛、口眼喎斜半身不遂するを治す。

大省風湯[1-2]《東醫寶鑑》
「防風・半夏(生)各2銭、川烏(生)・白附子(生)・木香・甘草各1銭、全蝎3分、姜10片」水煎服。
◎中風で痰が盛んで喎斜不随の者。


大神湯《竹田家方》
「茵蔯・大黄・人参・梔子・茯苓・縮砂、黄芩各2分、甘草1分」
◎黄胖病を治す。
◎此方、黄胖の重症に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
◎黄胖もまた陰黄の類なり。但しその腹中に塊癖有る者は則ち攻下の剤に非ざれば奏功し能わず、故に大神湯を以てす。《雑病翼方
◎黄胖はたいてい「平胃散鉄砂」「鍼砂湯」「瀉脾湯竜骨牡蛎」の類にて治すれども、重実の症に至りては此方に宜し。
◎虚症:「六君子湯莎草・厚朴・蜂蜜」《勿誤薬室方函口訣》


大秦芁湯《活法機要》《古今方彙》
「秦芁・石膏(生)・当帰・芍薬(酒)各1銭、羗活・白朮(酒)・白芷各5分、茯苓・川芎・独活各1銭、防風・黄芩・地黄(生)・熟地黄各5分、細辛2分半、甘草1銭、生姜」水煎し熱服。
◎中風にて手足運動する能わず、舌強ばりて、言語する能わず、風邪散見し、一 経に拘らざる者。


大秦芁湯《東醫寶鑑》
「秦芁・石膏各1銭、羗活・川芎・白芷・生地黄・熟地黄・当帰・白芍薬・黄芩・白茯苓・防風・白朮・甘草各7分、細辛3分」水煎服。
◎中風で、手足が動かず、舌が堅くなってしゃべれなく、大小便の不通の者。

大青膏《東醫寶鑑》
「白附子1銭半、天麻・青黛各1銭、烏蛇肉・蝎梢各半銭、朱砂・天竺黄・麝香を細末にし、生蜜を混ぜて膏を作り、一ヶ月以内の児には粳米大に、半才児は半子大に丸め、薄荷竹葉を煎じた湯で飲む。
◎急驚風を治す。

大青竜湯[1-1]《傷寒論》
「麻黄(去節)6両、桂枝(去皮)2両、甘草(炙)2両、杏仁(去皮尖)40枚、生姜(切)3両、大棗(擘)10枚、石膏(砕)如子大」
 右七味、以水九升、先煮麻黄、減二升、去上沫、内諸薬、煮取三升、去滓 温服一升、取微似汗。汗出多者、温粉撲之。一服汗者、停後服。若復服、汗多亡陽、遂虚、悪風、煩躁、不得眠也。
◎太陽中風、脉浮緊、発熱、悪寒、身疼痛、不汗出而煩躁者、大青竜湯主之。若脉微弱、汗出悪風者、不可服之、服之則厥逆、筋肉、此為逆也。
《傷寒論》辨太陽病脉證治中第六。

[筋肉]=肉筋に同じ。筋肉の間代性痙攣でピクピク動くこと。


大青竜湯[1-2]《傷寒論》
「麻黄(去節)6両、桂枝(去皮)2両、杏仁(去皮尖)40枚、甘草(炙)2両、石膏(砕)如子大、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚」


大青竜湯[1-3]《東醫寶鑑》
「麻黄3銭、桂枝2銭、杏仁1銭半、石膏4銭、甘草1銭、姜3、棗2」
水煎服。汗が出ると飲んではいけない。
◎風と寒の両傷を治す。

大青竜湯[1-4]《傷寒論》《中薬臨床応用》
「麻黄9g、桂枝6g、杏仁9g、甘草(炙)6g、石膏(生)18g(打砕先煎)、生姜6g大棗8g」水煎服。
◎インフルエンザの重症。
◎口渇、煩躁。

大青竜湯[1-5]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「麻黄6、杏仁5、桂枝・生姜・大棗各3、甘草2、石膏10」



大青竜湯[1-6]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》
「麻黄6.0g、桂枝・甘草・大棗各2.0g、杏仁2.0g、石膏12.0g、干姜1.0g」
水360ccを以て麻黄を煮て260ccに煮詰め上沫を去り、他の諸薬を加えて煮直して120ccに煮詰め、滓を去り3回に分服。
「麻黄湯石膏・生姜・大棗」
「麻黄湯越婢湯」
「越婢湯桂枝・杏仁」

 

大青竜湯証(煩躁)《薬徴》
◎喘及び咳嗽、渇して水を飲まんと欲し、上衝し、或いは身疼み、悪風、風寒する者を治す。《吉益東洞》
◎煩渇、頭痛、喘咳、急迫する者は之を主る、大青竜湯の条に喘咳の証なし、蓋し之を欠くなり。《重校薬徴》(→文蛤湯)
◎喘し、及びして上衝し、渇して水を飲まんと欲し、或いは身疼み、悪風寒する者を治す。《方極附言》
◎此方、発汗峻発の剤は勿論にして、その他、溢飲、或いは肺脹、その脈緊大、表症盛んなる者に用いて効あり。
◎陽病、脈浮緊にして、発熱、悪寒し、身疼痛し、汗出でず、渇して煩躁する者は、 大青竜湯之を主どる。《医聖方格》
◎麻黄湯の一等重き者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
◎「小青竜湯」との違い:
<1>《三因極一病証方論》は「大青竜湯」を以て、溢飲、身体疼重、汗出でず、拘急痛するを治し、「小青竜湯」を以て溢飲、支飲、倚息臥するを得ず、及び喘満する者を治す。2湯の本旨を得ると謂うべし。《雑病論識》
<2>《柯琴》曰く、大青竜は表証多く、ただ煩渇のみ是れ裏証なり、 小青竜は裏証多く、ただ発熱のも是れ表証なり。故に大小は発汗の異なるのみと。能く仲景師の方意を知る者と謂うべし《傷寒論識》    
◎「白虎加人参湯」との違い:《大塚敬節》
大青竜湯:激しい疼痛があって、自汗がない。
白虎加人参湯:多汗と心下痞硬があって、口渇が甚だしい
◎実証発熱寒身疼痛、煩躁、或いは無熱浮腫身疼痛。


大青竜湯[1-7]《傷寒論》
★適応症及び病名(大青龍湯)
[1]悪寒:
☆悪寒ありて汗出でず。口舌乾燥し、四肢沈重疼痛する証。《奥田謙蔵》
[2]咳嗽:
☆咳嗽頻発し、口舌乾燥し、渇して水を欲する証。《奥田謙蔵》
[3]脚気:
☆脚気にして、脚部の痿弱、浮腫を現し、脈浮緊、口渇、煩躁し、汗無くして尿利著しく減少する証。《奥田謙蔵》
角膜潰瘍:
☆50余婦人。眼疾を患い来院す。診するに両側のトラホームパンヌス角膜潰瘍翳にして、潰瘍底に膿を付着し将に穿孔せんとするものの如く、羞明流涙甚だしく、眼球前額せつじゅ部の疼痛劇甚にして安眠を得ずと云う。脈は浮大にして力あり、少しく渇し、舌は微黄苔にして乾燥し、微に咳喘す。大青竜湯倍半に車前子8.0を加えて主方となし、毎夜芎黄散4.0-6.0-8.0を兼用せしに、2週目にして些小の痕跡をも残さず全癒した。《湯本求真》
[4]眼瞼炎:
☆爛瞼風、涕涙稠粘、痛甚だしき者を治す。苡(=車前)を加えれば佳なり。《類聚方広義》
☆上衝、咳嗽、内眥赤脈及び爛弦風(眼縁炎)を治す。《方読便覧》
☆1男子。眼にひどい炎症を起こして腫れあがり、その疼痛は劇甚で、気が狂ったかと思うほど、苦しみ叫び、死ぬのではないかと危ぶまれたので、家人が急いで治を乞うた。その脈をみると浮数で、頭痛、発熱がある。そこで先ず鼻方を施したところ、疼痛がたちまち止んだ。続いて大青竜《湯本求真》を与えたところ、夜半になって、疼痛が再び起こったので、また前の通り鼻方を施したところ、疼痛は止んだ。そこで、しきりに大青竜湯を用いたところ、暁に至って、頭痛を忘れ、熱も大いに減じた。そこで朝日を迎えて眼を開いてみると、白膜が角膜よりも高く腫れているので、三黄石膏湯を与え、家方の水薬を10余日、点眼したところ元の通りに治った《眼科一家言》
[5]感冒:
☆傷寒にて頭目疼痛、発熱して焚くが如く、口渇して躁悶し胸腹満脹し、脉浮緊沈、按じても亦実なる者を治す:「柴胡・陳皮・半夏」 《救正》
☆ある官吏が感冒にかかり、次の日からひどく身体が痛み、ちょっと の間もじっとしておれないと云って、私に往診を乞うた。
診察すると、その疼痛のひどいことは譬えようがない。譫語は無いけれども、挨拶も出来ず、半分は夢の中で、てんてんと反側するばかりである。熱は高いし、脈も洪大である。よって大青竜湯の正証と診断して、この方を与え、これを7貼も飲めば必ずうんと汗が出て治るといって帰宅した。翌日行ってみると、サッパリと愈り、ほとんど平日の通りである。病人が云うのに、汗を出そうとして大きな夜具をかぶって寝たけれそも、汗は少しも出ず、とても苦しかったが、5、6貼を飲むと、うんと下痢して、疼痛がすっかり拭うように去ったという。《山田業広》
[6]気管支炎
[7]急性腎炎:
☆急性腎炎の初期にして、浮腫、脈浮緊、頭痛、発熱し、関節疼痛し、口渇、煩躁、尿不利、或いは既に水腫胸腹部に及ぶ証。《奥田謙蔵》
[8]急性肺炎:
☆熱が高いとき《大塚敬節》
[8]結膜炎:
☆天行赤眼の初起に:「車前子」
☆風眼、初起に:「車前子」、大発汗するときは奇効あり。             けだし風眼(=淋毒性or流行性化膿性結膜炎)は目の疫熱なり。故に峻発に非ざれば効なし。《勿誤薬室方函口訣》
☆眼目疼痛、流涙止まず、赤脈怒張、雲翳四囲、或いは眉稜骨痛或いは頭痛、耳痛する者を治す。また爛瞼風(トラコーマ)、涕涙粘稠、痛痒甚だしき者を治す。倶に苡(ひゅうい)(=車前子)を加えるを佳とす。兼ねるに黄連解毒湯枯礬を以て頻々洗蒸し、毎夜臥するに臨み、応鐘散を服し、5日、10日毎に、紫円5分、1銭を与えて之を下すべし《類聚方広義》
☆風眼症(淋毒性結膜角膜炎)暴発劇痛する者、早く球治せざれば眼球破裂迸出す。尤も極悪至急症となす。急に紫円1銭、1銭5分を用い、峻瀉数行を取り、大勢すでに解して後、この方を用ゆべし。その腹証に随い大承気湯、大黄消石湯、瀉心湯、桃核承気湯等を兼用する。《類聚方広義》
[9]口渇
[10]高血圧症
[11]膠原病
[12]湿疹:
☆丈夫な1青年が、夜間になると痒を訴え、皮膚に著変なき者に用いている《村井大年》
[12]水腫:
☆老少を論ぜず、「越婢湯」を用いず、大青竜湯を与えて奇効を奏す《橘窓書影》
[13]頭痛
[14]帯状疱疹
[15]丹毒:
☆小児の赤遊丹毒、大熱煩渇し、驚し、或いは痰喘壅盛する者を治す。紫円、或いは竜葵丸を兼用す。《類聚方広義》
[16]尿不利
[17]ネフローゼ
[18]肺炎
[19]白癬症
[20]発熱:
☆熱性病、悪風して身疼み、下痢頻々、腹部灼熱し、煩渇して汗無き証、《奥田謙蔵》
☆熱性病、倦臥し、四肢懶惰にして、時々寒熱あり、食欲減退し、脈促なる証。《奥田謙蔵》
[21]半身不随:
☆《療治経験筆記》
“一男子、50あまり、悪太りに肥えた人である。1日、人と話しているうちに、ふと舌がもつれると思う内に、サッパリと無言になった。余が脈を診てみに、弦にして数である。余が思うに、これは水飲が心・肺を蒸したためであろうと、小青竜湯を与えたところ、半身不随を起こし、言語も発せず熱も強くなり、元気朦朧として、かえって様子がおかしくみえた。そこで大青竜湯を10日ほど用いたら熱も大半下がり、諸症もよく見えた、そのあと九味半夏湯を50日ほど与えて。さっぱりと治った”
[21]煩躁
[22]ひきつけ:
☆急驚風、痰涎沸涌し、直視口噤する者は、当に先ず熊胆、紫円、走馬等を撰び吐下を取るべし。後、大熱、煩躁し、喘鳴、搐搦止まざる者は、宜しく此方を以て発汗すべし。《類聚方広義》
[23]皮膚化膿症
[24]皮膚掻痒症
[25]浮腫:
☆全身に強度の浮腫があって、脈が浮大で大小便ともに不利し、からだが硬くなって起臥することの出来ない者に用いて浮腫を消失させた《浅田宗伯》
[26]風疹
☆麻黄湯よりも一段と悪寒、発熱が激しく、煩躁状態に用いる、体力の無いものには禁忌(漢方診療医典)
[25]扁桃炎
[26]麻疹:
☆麻疹、及び痘瘡にして、疹子陥没の兆ある証。《奥田謙蔵》
☆麻疹、脈浮緊にして、寒熱、頭眩し、身体疼痛し、喘咳、咽痛し、汗出でずして煩躁する者を治す。《類聚方広義》
[27]慢性関節リウマチ
[28]無汗
[29]緑内障:
☆眼目疼痛し、風涙止まず、赤脈怒張し、雲翳四囲し、或いは眉稜骨疼痛し、或いは頭痛、耳痛する者を治す《類聚方広義》
☆実証に賊する慢性炎症性緑内障で、炎症、充血が軽く、刺激症状は緩慢で、心下や腹部が緊張しているものに本方を長く服用させる(漢方診療医典)


大成湯《御纂医宗金鑑》
「大黄12g、朴硝・枳穀各8g、厚朴・当帰・紅花・木通・蘇木・陳皮・甘草各4g」煎服。随時服用。
「大承気湯当帰・紅花・木通・蘇木・陳皮・甘草」
◎高きところより趺墜し、未だかって肉を損破せざる者は、必ず瘀血あり、臓腑に流注し、人必ず昏沈し醒めず、二便秘結し。当に大成湯を以て二便を通利すべし。《雑病翼方》


大川芎丸《東醫寶鑑》
「川芎4両、天麻1両」作末して、1両を10丸の蜜丸。毎回1丸を茶又は酒で飲む。
◎首風=風呂上がりの頭痛・めまいを治す。

大山芋元《東醫寶鑑》
「山薬3両7銭半、甘草3両半、大豆黄巻(炒)・熟地黄・当帰・肉桂・神麹 (炒)各1両2銭半、人参・阿膠各8銭2分半、白朮・麦門冬・防風・白芍薬・杏仁・川芎各7銭半、白茯苓・桔梗・柴胡各6銭2分半、乾姜3銭7分半、白飲2銭半を作末して大棗100枚を蒸して肉を取って煉蜜を入れ、梧子大の丸剤。毎回1丸を温酒又は米飲で噛み下す。
◎弱くて痩せ、脾胃の虚弱、食欲減退する者。
◎大病後の元気の出ない者。

大聖散《婦人大全良方》《古今方彙》
「茯苓・川芎・麦門冬・黄芩(炒)・当帰各2銭、人参・甘草(炒)・木香各5分、生姜」水煎。
◎妊娠して悸(むなさわぎ)し、夢に驚き、心腹脹満し、急痛するを治す。

大棗湯《備急千金要方》《中薬臨床応用》
「大棗10g、熟附子9g、黄蓍15g、生姜9g、甘草(炙)6g、麻黄6g」水煎服。
◎風寒による痺痛
◎関節リウマチ

大簇丸(だいそうがん)《東洞家塾方》
「大黄40銭、黄芩・人参各20銭」搗き篩い、作末し梧桐子大の糊丸。毎服30丸、白湯で送下す。
◎腹満し、心下痞鞕し、飲食停滞し、不大便の者を治す。

大造丸《東醫寶鑑》
「紫河車をきれいに洗って竹器に入れ、長流水で1~2時間漬けて小さい瓦盆に入れたものを大きい器れ物で爛熟するまで蒸して、糊のようになったら広げて、先ず自然汁を絞って、滓は石臼で搗き、絞った汁と混ぜ、生乾地黄4両、亀板・杜仲・天門冬・黄柏(塩酒炒)各1両半、牛膝・麦門冬・当帰身各1両2銭、人参1両、五味子5銭を作末して、紫河車汁に米糊を入れて搗いて丸を作り、温酒又は塩湯で1日2回づつ100丸飲む。
◎六脈の虚・微、血気の衰弱する者。


大続命湯[1] 《漢方治療の実際》
=《金匱要略》続命湯に同じ



大続命湯[2]
=小続命湯[3]《西州》
「続命湯《金匱要略》人参黄芩」
◎続命湯の証は卒中後の運動・知覚、又は言語障害があって、自覚的には、項背が凝り、他覚的には大柴胡湯証類似の脈・舌・腹候をていする場合がある《大塚敬節》

★適応症及び病名(大続命湯)
[1]痿弱:
☆《山田業精》
“本郷春木町の松本学校の老婦、歳78は昨年より皮膚病にかかり、全身に広がり、かゆくて堪えられないので、たびたび入浴しては堪えていた。しかし別に障害もなく、だんだんに皮膚病の方は軽快したが、本年2月9日、入浴の後、突然高い熱が出て時々悪寒と腹痛があり、ひどくのどが渇き、便秘し、食欲がなくなった。そこで余に診を乞うたので、診たところ、舌には白苔があり、脈数である。余は風熱の内攻と診断して荊防敗毒散四物湯を与えたが、効がないばかりか、両脚の力が抜けて起つことが出来なくなった。そこで風気下焦脚弱の主治によって、越婢湯を用いたが、これも効かない。考えて大続命湯にしたところ、急に脚の痿弱がよくなったが、こんどはまた前と同じように皮膚病が出た。これはいわゆる上を疏すれば下自ら通ずるの理であろう、古人が痿躄に苓桂朮甘湯あるいは香砂六君子湯を用いるのと、表裏中下の差異はあるが、理屈は々である”(和漢医林新誌110号)
[2]ケイレン:
☆《岡田昌春》
“青山左京大夫の家来上田某は歳60あまりであるが、前々から肝筋攣(筋肉の痙攣する病気)の証があり、家丈の治療ではたいてい抑肝散芍薬羚羊角を常用していた。ところが、一夕昏倒して人事不省となり、意識が回復してのち、半身不随が残り、痰がしきりにのどで鳴るようになった。
そこで私が往診して、これに小続命湯を用いた。しかし少し良いようであるが、あまり変わらない。ところが浅田栗園翁が診察して云うのみ、この証は大続命湯の応ずるもので、石膏が多量でなければ効がないと思う。しかしその取捨は薬を盛る人の考えに任すほかはないと云って、籃輿(かご)に乗って帰ろうとしているところへ、たまたま私が往診した。そこで栗園翁の説の通りにしたところ、間もなく全快した。もし栗園翁の裁断がなかったら、おそらく、ぐずぐずと長引いたであろうが、このように奇効を奏したのは石膏の力である。”(温知医談第8号)
[3]項背が凝る




大断下丸《東醫寶鑑》
「竜骨・附子(炮)・白礬枯・肉豆蔲()・牡蠣()・訶子皮・酸石榴皮各1両、良姜・赤石脂各7銭半、細辛3銭7分半」作末し醋糊で梧子大の丸剤。栗丸飲で30丸飲む。
◎久痢で回数が多く、衰弱する者。
◎久痢の五虚症で、危篤なとき。


大調中湯《東醫寶鑑》
「小調中湯人参・白・白茯苓・川芎・当帰・地黄・白芍薬」
◎痰火を治す。

大調中湯《医学入門》《古今方彙》
「小調中湯人参・白朮・茯苓・川芎・当帰・生地黄・白芍薬」
◎虚にして痰火を挟む者を治す。百般人により加減して用いる。

大桃花湯《備急千金要方》《龍野ー漢方処方集》
「赤石脂8.0g、乾姜・当帰・竜骨・白朮各3.0g、白川附子・牡蠣各2.0g、芍薬・甘草各1.0g、人参1.5g」
◎粘液便、腹痛、急性慢性大腸炎。

大百中飲《本朝経験》
=「奇験方」
「遺糧170銭、牛膝1銭、甘草1銭8分、黄連1銭4分、檳榔1銭、人参1銭、大黄1銭、桂枝1銭、黄芩1銭、沈香1銭、川芎1銭、杜仲2銭8分」
◎下疳、梅瘡、その他一切の湿毒、積年癒えず、
◎或いは頭面腐潰し、或いは鼻柱陥し、已でに廃痼となる者を治す。
◎此方は《療治茶談》に載する如く、黴毒の沈痾痼疾になりて如何ともすべからざる者に効あり。その中で上部の痼毒に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
◎下部の痼毒は「七度煎」に宜し。
◎身体痼毒ありて虚憊甚だしき者は「湯」に宜し。
◎本邦痘瘡の治法に奇験方と称する者数方あれども、此方を第一とす。




大定風珠《温病条弁》
「生白芍・乾地黄・麦門冬各24g、生亀板・生牡蛎・炙甘草・生鼈甲各16g、阿膠12g、五味子・麻子仁各8g、生卵の黄身2個」煎服。


大寧散《東醫寶鑑》
「黒豆35粒、罌栗穀2両(半分生、半分炒)、甘草(生)1両、甘草(炙)1両、姜3片」空腹時に水煎服。
◎妊婦の下痢が赤白く、又は腹痛がひどく、死にかかる者。

大寧心湯《喜多村=吐方論》
「大黄、茯苓、粳米、竹茹、黄連、知母、石膏」
◎宿痰、鬱火、胸動高亢し、大便秘する者を治す。
◎もし大便軟なる者は:「大黄半夏」=小寧心湯《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は《喜多村良沢》、癇火を鎮するの主方とす。
◎温胆湯《備急千金要方》の症にして実する者に用いる《勿誤薬室方函口訣》
◎小児初驚し、脈浮、数、洪、緊、弦を「陽癇」と為す。
◎脈鎮、遅、緩、微を「陰癇」と為すなり。《雑病補亡論》
◎小児、熱あり哺乳を欲せず、臥安からず、又数驚す。これ癇の初めなり。《雑病補亡論》

大寧心湯《柴田方函》
「大寧心湯《喜多村=吐方論》茯苓粳米青皮芍薬甘草」
◎小児驚癇を治す。
◎《柴田家》にては、小児陽癇、煩渇甚だしき者の主方とす。

大寧心湯《雑病補亡論》
「石膏6分、知母4分、橘皮3分、芍薬4分、大黄、黄連3分、甘草2分」
◎小児驚癇、身熱、煩渇するを治す。
◎もし驚恐止まず、下利嘔逆する者は:「大黄竹茹麦門冬生姜」


大寧嗽湯《東醫寶鑑》
「半夏2銭、五味子・赤茯苓・桑白皮・紫蘇葉・陳皮・枳殻・杏仁・阿膠珠・罌栗穀(蜜炒)各1銭、細辛・甘草各5分、姜3、棗2、梅1」水煎服。
◎労嗽。

大菟絲子元《東醫寶鑑》
「菟絲子(酒製)・肉蓉(酒浸)各2両、牡蠣()・五味子・附子(炮)・鹿茸(酒炙)各1両、桑蛸(酒炙)・鶏(炙)各5銭」作末し酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に、温酒又は塩湯で70丸飲む。
◎気が虚して、小便不禁になった者。

大半夏湯[1-1]《金匱要略》
「半夏(洗・完用)2升、人参3両、白蜜1升」
右三味、以水一斗二升、和蜜揚之二百四十遍、煮取二升半、温服一升、余分再服。
◎胃反嘔吐者、大半夏湯主之。
《金匱要略》嘔吐下利病脉證治第十七。

大半夏湯[1-2]《金匱要略》《龍野ー漢方処方集》
「半夏20.0g、人参3.0g、単シロップ8.0g」
水480ccに単シロップを加えて充分に攪拌し、薬を入れて煮て100ccに煮詰め2回に分服。
◎《外台秘要方》に曰く、嘔吐、心下痞硬する者及び憂怒の餘、食を得ればすなわち噎し、胸中隠々として痛むを治す。
◎此方、嘔吐に用いるときは心下痞硬が目的なり。先に「小半夏湯」を与えて差えざる者に此方を与えるべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎けだし「小半夏湯」に比すれば「蜜」を伍するに深意あり。膈咽の間、交通の気、降るを得ずして嘔逆する者、蜜の膩潤を以て融和し、半夏・人参の力をして徐々に胃中に斡旋せしむ。古方の妙と云うべし。
◎《陳念祖》曰く、大半夏湯、衝脈の逆を降ろすを主とし、膈症、反胃、初起の神方吐為すと。
◎嘔吐激しく止まざる者。
    

★適応症及び病名(大半夏湯)
<1>膈噎:
☆心下逆満して、つふつふと枯燥してあり、此方必ず効あり。もし枯燥せざる者は水陰にてなす膈にて効なし。
☆半夏は衝逆の気を降ろし、人参は既亡の液を生じ、甘潤蜜水、皆滋潤を生ず。《方読便覧》
☆気力乏しい者:「+羚羊角」
<2>嘔吐:
☆《三因極一病証方論》に曰く、心気めぐらず、鬱して涎飲を生じ、聚結して散せず、心下痞硬、腸中瀝々として声あり、食入れば即ち吐くを治す。《雑病論識》
☆《李東垣》曰く、もし胃虚し、穀気行らず、胃中痞寒して嘔吐する者は、ただ宜しく胃を益し穀気を推揚すべきのみ。故に小半夏湯を服して癒えざる者は大半夏湯を服してたちどころに癒える。
☆乾嘔:「白蜜陳栗米生姜」
<3>反胃:
☆胃反(古方)、後世では翻胃。朝食暮吐、暮食朝吐で、幽門狭窄症・食道ガンなどにあたる。
☆胃反に水飲を以て吐く者あり、熱邪を以て吐く者あり、寒逆を以て吐く者あり、胃実を以て吐く者あり。その因各々異なる。而して此方は則ち水飲に属するなり。《雑病論識》

大半夏湯[2]《東醫寶鑑》
「半夏(製)3銭、陳皮・赤茯苓各2銭半、姜5片」水煎服。
◎停痰と留飲が発して緒症になるとき。

大半夏湯[3]《備急千金要方》

大半夏湯《三因極一病証方論》《古今方彙》
「半夏・桂心各5両、附子(炮)・人参・甘草・厚朴・当帰・茯苓・枳実各2両、川椒800粒、生姜、大棗」煎服。
◎肝気大いに盛んにして剋して脾に勝ち、脾は欝して行らずに結聚し、涎沫、胃中脹満、その脉弦遅なるを治す。


大七気湯[1-1]《厳氏済生方》
=「指迷七気湯」《仁斎直指方》
「三稜4分、莪朮6分、桔梗3分、桂枝3分、橘皮3分、藿香3分、甘草2分、莎草3分、益智仁2分」
◎六聚の状、の如く、気に随って上下し、心腹痛し、腰脇を攻刺するを治す。
◎此方、後世にては積聚の主剤とすれども、[莪朮・三稜]は破気を主とす。堅塊 の者は[檳榔子・鼈甲]に非らざれば効なし。故に古方、積聚の方多く此の2品を用いるなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は腹中に癖気ありて飲食に嗜忌あり、あるいは食臭を悪み、ややもすれば嘔吐腹痛を発し、須萸にして忘るるが如きものに効あり。
◎を兼ねる者:「檳榔」
◎神仙労に:神仙散を兼服せしめる。
    

★適応症及び病名 (大七気湯)
黄胖、茶葉を喜ぶ者:「緑礬辰砂ニ味丸」
気欝:「蘇木紅花呉茱萸」
経閉:「蘇木紅花呉茱萸」
痞積:
☆面黄、肌痩、四肢無力を治す。内に虫積あり。
☆好んで生米、壁泥、酸辣を食する者。
☆小児土泥を吃し、面色青黄は虫動なり。《方読便覧》
婦人の久咳:《先哲医話》
婦人、手臂屈伸止まざる:☆癇なり、《先哲医話》
腹満:「蘇木紅花呉茱萸」
  
大七気湯[1-2]《厳氏済生方》《古今方彙》
「三稜・莪朮・青皮・陳皮・桔梗・藿香・香附子・益智仁・肉桂各1両半、甘草3分」水煎温服。
◎五積、六聚、状はの如く、気に髄って上下し、発作時にあり、心腹疼痛し、上気窒塞し、小腹脹満、大小便不利する者を治す。
◎小児の腹痛を治す。



大七気湯[1-3]《東醫寶鑑》
「三稜・莪朮・青皮・陳皮・桔梗・藿香・益智仁・香附子・肉桂・甘草各1銭、姜3、棗2」水煎服。
◎五積・六聚を治す。
◎心腹の脹痛と大小便の不利を治す。


大七気湯[2]《万病回春》《古今方彙》
「大七気湯《厳氏済生方》大黄・檳榔子」水煎し一宿を露し空心に温服す。
◎諸般の痞積を治す。
◎面黄肌痩せ、四肢無力、皆内に虫積あるによる。或いは好んで生米、壁泥、茶炭、酸辣等の物を食す。

大腹皮散《医学入門》《古今方彙》
「大腹皮6分、木瓜5分、紫蘇葉・紫蘇子・烏薬・檳榔子・橘皮各2分、蘿葡子・沈香・枳殻・桑白皮・荊芥穂各3分、生姜」煎服。
◎諸て脚腫れて気痛し、小便不利するを治す。


大便閉一方《寿世保元》《古今方彙》
「大黄、朴硝、莢」水煎。
◎大便通ぜざるを治す。


大鳳髄丹(一名封髄丹)《東醫寶鑑》
「黄柏(炒)2両、縮砂1両、甘草5分、半夏(炒)・猪苓・茯苓・紅蓮芯・益智仁各2銭5分」粉末にし塩水で丸め、空腹時に、糯米の水で50~70丸 飲む。
◎精力旺盛と腎水の不足。
◎早漏に効く。

大補丸《東醫寶鑑》
「黄柏8両切って人乳にかき混ぜて晒し、乾燥したもの、又は塩水で褐色になるまで炒って作末したものを、水で梧子大の丸剤。空腹時に、塩湯で100丸飲む。
◎耳鳴りで、つんぼになる者。

大補陰丸[1-1]《朱丹渓》
「黄柏160g(塩と酒でまぜる、新しい瓦の上で褐色に炒る)、知母160g(皮を去り酒とまぜ湿炒する)、熟地黄240g(酒で洗い、焙乾する)、亀板240g(酥といっしょに炙って黄色くする)・猪脊髄」以上を蜜で丸剤にする。

大補陰丸[1-2]《東醫寶鑑》
「黄柏(塩酒に混ぜ炒褐色)・知母(酒炒)各4両、熟地黄・亀板(酥炙)各6両」粉末にし、猪の脊髄に煉蜜を入れ、梧子大の丸剤。空腹時に、塩湯で70~90 丸飲む。
◎陰火をおろし、腎水を壮健にする。


大補陰丸[1-3]《丹渓心法》《中薬臨床応用》
「黄柏12g、知母12g、熟地黄18g、亀板18g」水煎服。猪脊髄(ブタの脊髄) も加えた方が良い。
◎肺結核の骨蒸潮熱

    
 大補黄蓍湯《寿世保元》《古今方彙》
      「黄蓍・人参・白朮・茯苓・白芍薬・当帰・熟地黄・山茱萸・肉蓉各1銭、       五味子10個、肉桂5分、防風7分、甘草2分、大棗」水煎。
◎虚弱の人、自汗するを治す。

大補元湯《寿世保元》《古今方彙》
「黄蓍・人参各1銭半、白朮2銭、山薬1銭、陳皮・石斛各7分、白豆蔲6分、甘草7分、木香・沈香各2分、生姜、大棗、粳米」水煎温服。
◎病を攻むる薬を服するに因り傷るるを致し、胃気は下陥し而して元気将に離れて以て胃気と共に丹田の気が疲弊を致し或いは久病にてするに至る者を治す。


大保元湯《保赤全書》
「川芎、黄蓍、人参、桂枝、甘草、白朮」
◎頂陥し、今紅しと雖も、而も皮軟らかく且つ薄く、血に餘りありて気不足する者を治す。
◎此方は痘瘡、元気虚して起脹する能はざる者を主とすれども、凡て小児虚弱にして五遅五軟の兆あり他に餘症なき者に用いて、三味の保元湯より効優なり。


大防風湯[1-1]《和剤局方》《古今方彙》
「熟地黄・当帰・芍薬・黄蓍・防風・杜仲・各1銭、白朮1銭半、川芎・附子各7分半、人参・羗活・甘草(炙)・牛膝各半銭、生姜、大棗」水煎。
◎風を去り、気を順を去り、血を活かし、筋を壮んにし、一切のマヒ・痿軟・風湿・虚を挟む候には、これを服せば効は神の如し。


大防風湯[1-2]《和剤局方》《古今方彙》
「当帰・白芍薬(酒)・熟地黄・黄蓍・防風・杜仲(姜)各1銭、川芎・附子各7分、人参・羗活・牛膝・甘草(炙)各5分、白朮1銭半、生姜、大棗」水煎。
◎一切の麻痺、痿軟、風湿にて虚を挟む者を治す。


大防風湯[1-3]《和剤局方》《古今方彙》
「人参2銭、防風・白朮・附子・当帰・白芍薬・川芎・杜仲・黄蓍・羗活・牛膝・甘草・熟地黄各1銭、生姜」水煎。
◎三陰の気が不足し、風邪之に乗じて両膝痛みを作すを治す。
◎久しくして膝大いに愈え、而して腿は愈えて細く、因って鶴膝風と名づくるものを治す。乃ち敗症なり。
◎附骨疽にて皮色変わらず、大腿通して腫れて疼痛如何ともならず、及び痢後脚痛みて緩弱行く能わず、或いは腿膝腫れ痛むを治す。


大防風湯[1-4]《東醫寶鑑》
「熟地黄1銭半、白朮・防風・当帰・白芍薬・杜仲・黄蓍各1銭、附子・川芎・牛膝・羗活・人参・甘草各5分、姜5片・棗」水煎服。
◎鶴膝風を治す。


大防風湯[1-5]《和剤局方》《漢方後世要方解説》
「当帰・芍薬・熟地黄・黄蓍・防風・杜仲・白朮・川芎各2.5、人参・羗活・牛膝・甘草・生姜・大棗各1.2、附子0.5」
◎風を去り、気を順らし、血脈を治し、筋骨を壮にし、寒湿を除き、冷気を逐う。 また、痢を患うの後、脚痛痿弱にして行履すること能わず、名づけて痢風と曰う。或いは両脚膝腫れて大いに痛み、脛枯してただ皮骨を存し、拘攣臥して屈伸すること能わず、名づけて鶴膝風と曰う。之を服して、気血流暢して肌肉漸く生じ、自然に行履故の如し。
◎此方は気血の両虚を補い、風湿を散じ、関節を利する剤で、中風、痛風、痿躄、 外感後の諸症、ほとんど熱状去って後、気血流行せず、腫痛のみ存し、膝脛ますます細りて歩行困難、関節強直のもの等歳月を経たるものに用いて、よく風を去り、気を順らし、血脈を活かし、筋骨を壮にし、寒湿を除き、冷気を逐う作用がある。
[防風]=諸風を除き、骨節痺疼を治す。
[羗活]=袪風、除湿舒筋活骨
[牛膝]=除湿、痺痿、腰膝酸疼を治す。補髄。
[杜仲]=強筋壮骨、足通腰疼
[白朮]=除湿、健脾、強胃
[黄蓍]=表を固くし肌を生ず。
 


大防風湯[1-6]《是斎百一選方》《龍野ー漢方処方集》
「熟地黄・当帰・芍薬・黄蓍・防風・杜仲各3.5g、白朮4.5g、川芎・白川附子・大棗各2.0g、人参・羗活・甘草・牛膝各1.5g、干姜1.0g」
(四物湯十全大補湯杜仲・牛膝)
◎鶴膝風、両膝腫大して痛み、脛枯するを治す。
◎気血衰弱の候が無ければ効なし。
◎のし実する者に与えれば反って害あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎筋肉麻痺、或いは膝腿痛・脊髄疾患・半身不随、脚気。



大防風湯[1-7]《漢方治療の実際》
「当帰・芍薬・地黄・黄蓍・防風・杜仲・朮各3、川芎2、人参・羗活・牛膝・甘草・生姜・大棗各1.5、附子0.5」

★適応症及び病名 (大防風湯)
[1]運動麻痺(栄養失調による)
[2]栄養失調
[3]鶴膝風:
☆「虎脛骨・穿山甲」奇効あり。《橘窓書影》
☆痢後の鶴膝風(=痢風)
☆《外科正宗》曰く、鶴膝風は敗症なり。此方に非らざれば治する能わず。
[4]下肢が痩せて細い:
[5]下肢の脱力感
[6]下肢の麻痺 
☆気血両虚、風湿相挟み、麻痺痿弱するを治す。
[7]脚気:
☆日久しく、脈脛枯細し、あるいは痒く、あるいは軟、洩する者、及び痢後風、鶴膝風、附骨疽、一切の腿腫毒、潰爛し、膿水絶えず、 その人虚羸する者、皆これを治す。《雑病翼方》
☆脚気痿弱を治す。
[8]関節炎
[9]関節痛
[10]寒冷で増悪する疼痛
[11]筋力の衰え(栄養失調で筋力がない)
[12]座骨神経痛
[13]産後の痿躄
[14]産後の体力低下
[15]手術後の体力低下
[16]脊髄炎:陰虚証の
[17]脊髄癆
[18]立って歩けない(歩行困難):
☆痢後、脚痛し、緩弱し、行歩し能わず、或いは腿膝腫痛するを治す。
[19]痛風
[20]脳出血後遺症
[21]半身不随
[22]疲労倦怠
[23]貧血
[24]附骨疽:
☆赤熱腫するものは用いるを禁ず《雑病翼方》
[25]変形性膝関節症
[26]末梢神経障害
[27]慢性関節リウマチ:
☆体力なく衰弱した者。
☆関節の腫れと痛みが長引く者。
☆この方は桂芍知母湯よりも、更に一段と衰弱が加わり、気血両虚というところが目当てである。桂芍知母湯に四物湯を合方して用いたいというところに用いる《大塚敬節》
☆大防風湯は鶴膝風(関節リウマチ)の主方である。しかし初期には用いない方が良い。発病初期で熱状ある時は麻黄左経湯を用いて発汗せしめるがよい。この方は熱が去り、腫脹・疼痛だけが残って、筋肉が痩せ細り、歩行が困難となり、年を経て治らない者に良い。つまり気血の両虚を補う手段を兼ねたものである。その他一切の客・膝の痛み、或いは拘攣などがあって、夜分にだるく痛み、日に日にやせ細り、寒冷に逢うと痛がひどくなり、総ての容体が気血の両方が虚しているというところを目当てに用いる《百々漢陰》
[28]羸痩






大麻仁丸《東醫寶鑑》
「木香・檳榔・枳殻各1両、麻子仁・大黄(炒)各3銭」作末し蜜で梧子大の丸剤。空腹時に白湯で30~50丸飲む。
◎婦人の便秘を治す。


大無神朮散《医学正伝》《古今方彙》
「陳皮2銭、蒼朮・厚朴各1銭、甘草・石菖蒲・藿香各1銭半、生姜、大棗」水煎。
◎四時瘟疫頭痛、項強、憎寒壮熱、身痛するを治す。
◎専ら、山嵐瘴気を主る妙剤なり。

大明復光散《東醫寶鑑》
「当帰尾(酒洗)、生乾地黄(酒浸)、黄柏(酒炒)、黄連(酒炒)・黄芩(酒炒)・柴胡・白茯苓・枳殻・羗活・防風・荊芥・石膏・甘菊・蝉退・車前子(炒)・決明子()・羚羊角屑・甘草角5分」水煎し食後温服。
◎一切の眼疾。内外障を治す。

大羅皀丸《東醫寶鑑》
「蘿葡子(炒)2両、皀角(焼存性)1両、南星・半夏・杏仁・楼仁・便香附・青黛・陳皮各5銭」作末し、神麹糊で梧子大の丸剤。姜湯で60~70丸飲む。
◎気喘・痰喘・風痰・食痰・酒痰・麺毒を治す。

大呂丸(だいりょがん)《東洞家塾方》
=乃ち備急圓今糊を以て之を丸す。
「大黄。乾姜・巴豆各等分」
右3味、先ず杵きて2味を末と為し、別に巴豆に研りて合わせて、治めて緑豆大の丸剤。毎服1~2丸。下を以て度と為す。知らざれば稍加える。
◎心腹、卒痛するものを治す。


大羚羊角飲《求古館》
「大柴胡湯大棗大黄羚羊角・釣藤鈎・甘草」

大連翹飲《万病回春》《古今方彙》
「連翹・瞿麦・滑石・車前子・牛蒡子・赤芍薬各8分、山梔子・木通・当帰・防風各4分、柴胡・黄芩・荊芥各1銭2分、蝉退5分、甘草1銭6分、竹葉、燈心草」水煎。
◎小児傷風、感冒発熱、痰壅風熱、丹毒腫痛、頸項に核あり、腮赤癰、眼目赤腫、口舌生瘡、咽喉疼痛、小便淋瀝、胎毒痘疹の余毒を治す。
◎風痰の熱や変蒸には:「麦門冬」
◎癰の毒には:「大黄・芒硝」

大連翹飲《万病回春》
「連翹8分、荊芥2分、通草4分、防風4分、牛蒡子8分、甘草1銭6分、蝉退5分、当帰4分、芍薬8分、柴胡2分、黄芩2分、山梔子4分、滑石8分、車前子8分」
◎小児傷風感冒、発熱痰壅、風熱、丹毒、腫痛、頸項核有り、顋赤癰、眼目赤腫、口舌瘡を生じ、咽喉疼痛、小便淋瀝を治す。胎毒痘疹、餘毒一切の熱毒並びに之を治す。
◎此方は元、痘疹収靨の期に及んで餘毒甚だしく、諸悪症を現ずるを治する方なれども、今、運用して、大人老婦、血分に瘀滞ありて身体種々無名の悪瘡を発し、諸治効なき者に与えて奇効なり。
◎もし熱毒甚だしき者は:「犀角」
◎耳疸を治す。《方読便覧》
◎諸瘡内攻し水気を為す者、赤小豆湯を与える。熱甚だしき者は大連翹湯を与える《先哲医話》



大和散《寿世保元》《古今方彙》
「紫蘇葉、陳皮、香附子、羗活、蒼朮、川芎、枳殻、山子、神麹、麦芽、甘草、生姜」水煎。
◎内は乳食に傷れ、肚腹脹痛し、外は風寒に感じて頭疼発熱する者を治す。


太乙紫金錠《霍乱論》
「山慈姑90g(姜汁で洗って毛と皮を去り、炙って干す)、五倍子40g(虫と土を去り、洗ってつき砕く)、続随子40g(白い仁を用いる。殻と油を除く)、朱砂12g(水飛)、雄黄12g(水飛)、麝香12g(当門子を取って毛と皮を除く)、紅芽大戟60g(蘆根を去り酒で煮て、固い部分を去り炙る)以上を細末にし、餅米粥につきまぜ、錠剤にする。」

太乙紫金丹《医学入門》《東醫寶鑑》
=「紫金錠」「万病解毒丹」
「蚊蛤(虫・土を去る)3両、山慈姑(去皮焙)2両、紅芽大戟(洗焙)1両半、続膸子(去皮油)1両、麝香3銭」作末し、糯米粥に混ぜてつき40錠を作り、毎回半錠、重患者は1錠を薄荷湯で飲む。製薬は端午・七夕・重陽日、又は天徳・月天徳を選ぶのがよい。香を焚いて婦人・喪人・鶏・犬を見てはいけない。自縊した者、水に溺れた者、鬼神に魅入られ驚いて死んだ者などが、心臓の上が少しあたたかい気があるとき、すぐ冷水と食べさせると生き返る。蛇・犬・諸悪蠱傷には、酒に混ぜ水とで傷口に塗る。
◎蠱毒・桃生毒・狐狸・鼠・悪菌・河豚・死んだ牛馬肉毒・山嵐瘴気毒・すべての薬毒・金石・草木・鳥獣・百虫などの一切の緒毒を治す。

太乙神精丹《東醫寶鑑》
「丹砂・曽青・雄黄・雌黄・磁石各4両、金牙2両半」
丹砂・雌黄・雄黄は強い酒と醋に漬け、曽青は好酒に漬けて布袋に密封して、陽なたに100日乾燥後、それぞれ細くといで、これまた強い酒と醋にかきまぜて乾かし、土釜に入れ固く封をして、高いところへ吊り下げて煎じるが、火が土釜の下底にとどかないようにして2~3時間たったら、冷まして蓋を開けると、薬の精気が土釜の上に舞い上がって、5色になったら上等なもの、3色は次、1色は下品、棗膏で黍粒大に丸め、早朝空腹時に1丸飲み、だんだん1丸づつ加え、効き目があるのを限度とする。
◎客忤・霍乱・尸・悪気・癲狂・鬼語・蠱毒・妖魅・瘟虐など一切の悪毒の症を治す。

太乙明月丹《東醫寶鑑》
「兎糞2両、天霊蓋(酥炙)・鼈甲(酥炙)各1両、雄黄・木香各5銭、軽粉2銭半」作末し「酒1升と大黄末半両」で膏を作り弾子大の丸剤。朱砂で衣をし五更初に童便に酒を混ぜて1丸を飲む。効き目がないと次の日に又服用。
◎伝尸と労を治す。

太極丸[1]《幼幼集成》
「天竺黄・天南星・酒大黄・白彊蚕・麝香・上冰片」

太極丸[2]《東醫寶鑑》
「黄柏2両6銭、知母1両4銭、破故紙2両8銭、胡桃肉1両2銭、縮砂5銭」作末して蜜で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で30~50丸飲む。
◎腎虚を治す。



太上混元丹《東醫寶鑑》
「紫河車を東流水できれいに洗って、麝香1銭をその中に入れ、砂缶に酒5升と一緒に炒って膏を作り、人参・肉蓉・安息香を酒で煮て、滓を去り白茯苓2両、沈香・乳香・朱砂水飛各1両を作末して、紫河車と搗いて梧子大の丸剤。温酒で70~90丸飲む。
◎五臓の労損を治す。

太上保真湯《済世全書》《古今方彙》
「黄蓍・人参・白朮(乳炒)各2銭、当帰・生地黄・貝母・知母(蜜炒塩炒)各2銭、赤芍薬・白芍薬(酒)・五味子・柴胡・地骨皮(酒洗)各1銭、白茯苓・赤茯苓各8分、亀板1銭半、天門冬・麦門冬各1銭半、陳皮・甘草各5分、黄柏(四所に分け、一は(塩炒)、一は(酒炒)、一は(便炒)、一は(乳炒))3銭、生姜」水煎。
◎労にて百病を発し、憎寒咳嗽痰喘、自汗盗汗、口乾渇を作して五心煩熱するを治す。

太無神朮散《医方考》《古今方彙》
「蒼朮、厚朴、陳皮、藿香、石菖蒲、甘草」
◎瘧疾にて山嵐瘴気に感ずるに因り、発する時は乍ち寒く乍ち熱し、一身沈重の者を名づけて瘴瘧と曰う。此方之を主る。


太倉丸《東醫寶鑑》
「白豆蔲・縮砂各2両、陳倉米1升、黄土(炒)」作末して姜汁で梧子大の丸剤。姜湯で100丸飲む。
◎反胃と噎膈を治す。

太平丸《東醫寶鑑》
「天門冬・麦門冬・知母・貝母・款冬花・杏仁各2両、当帰・生乾地黄・熟地黄・阿膠珠各1両半、蒲黄(炒)・京塁・桔梗・薄荷各1両、白蜜4両、麝香1銭を細末にして皆混ぜ、銀石器に白蜜を入れて煎じたあと諸薬を入れ、再び煎じて麝香を入れて梧子大の丸剤。毎日食後に1丸づつ3回、薄荷湯でゆっくり飲み下し、次の1丸も又同じように服用する。
◎虚労の肺痿と咳を治す。

太無神朮散《東醫寶鑑》
「蒼朮3銭、陳皮・厚朴各2銭、石菖蒲・藿香・甘草各1銭、姜3、棗2」水煎服。
◎四時瘟疫を治し、山嵐瘟気を治す。

太陽丹《東醫寶鑑》
「石膏2両、川芎・川烏(炮)・白芷・甘草各1両、竜脳2銭」作末し蜜で練り、麺糊に混ぜて毎回1両を18丸に作り、黄丹で衣をし、2~3丸を食後葱茶湯で噛み下す。
◎脳が冷たく、頭痛する者を治す。


○太陰病に用いる処方
安中散
胃苓湯
黄蓍建中湯
帰脾湯
九味檳榔湯
桂枝加芍薬湯
桂枝加芍薬大黄湯
桂枝加竜骨牡蛎湯
桂枝人参湯
桂枝茯苓丸・・・・太陰or陽明
啓脾湯
四君子湯
小建中湯
小半夏加茯苓湯
二朮湯
二陳湯
人参湯
半夏厚朴湯
半夏白朮天麻湯
茯苓飲
茯苓飲合半夏厚朴湯
防已黄蓍湯
補中益気湯
六君子湯
苓桂朮甘湯




○太陽病に用いる処方
■越婢加朮湯
■葛根湯
■葛根湯加川芎辛夷
■葛根加朮附湯・・・・太陽病or太陰病
■桂枝湯
■桂枝加葛根湯
■桂枝加厚朴杏仁湯
■桂枝加朮附湯
■桂麻各半湯
■五虎湯
■小青竜湯
■消風散
■升麻葛根湯
■ 辛夷清肺湯
■参蘇飲
■ 神秘湯
■清上防風湯
■治頭瘡一方
■麻黄湯
■麻杏甘石湯
■麻杏薏甘湯




太和丸《東醫寶鑑》
「白朮(土炒)4両、白茯苓・白芍薬(神麹炒)・麦芽(炒)各2両半、香附便炒・当帰・枳実各2両、竜眼肉・白豆蔲各1両3銭、半夏1両2銭、陳皮・黄連(姜汁炒)、山肉各1両、甘草(炙)7銭、人参・木香各5銭」作末して、荷葉を煎じた水で陳米糊を作り、梧子大の丸剤。米飲で100丸飲む。
◎内傷による脾胃の虚弱、食欲がなく、痩せ、顔色がしなびて黄色くなる者。


退陰散《東醫寶鑑》
「川烏・乾姜」等分に粗末し、炒って変色したら冷やして細末にす。毎回1両に塩1匙と水を少し入れ、煎じて温服。
◎傷寒の陰毒を治す。


退雲散《東醫寶鑑》
「当帰・生乾地黄・穀精草・白菊・木賊・羗活・石決明()・大黄(酒炒)・蔓荊子・白芷・黄柏・連翹・草竜胆各1銭、蝉退7箇」水煎服。
◎外障の膜が瞳を覆う者。

退翳捲雲散《銀海精微》
「陰丹1匙、陽丹半匙、姜粉1.2g、飛礬0.2g(焼)、塩0.6g」点眼。


退翳散《中薬臨床応用》
「夜明砂6g、蛤殻粉6g、穀精草6g、猪肝60g」煎じて肝臓と一緒に服用。
◎夜盲症の初期。


退黄丸《東醫寶鑑》
「青礬2両、を鍋に入れて熔化し、陳黄米4升を入れて醋と混ぜ、弱火で炒って煙が出たら平胃散6両を入れて又炒り、冷えたら作末して醋糊で梧子大の丸剤。毎回70丸、空腹時に服用。
◎黄疸・水腫・腹脹・溏泄を治す。


退黄散《万病回春》《古今方彙》
「柴胡・升麻・茵蔯蒿・黄連・黄芩・山梔子・黄柏・木通・滑石・甘草・竜胆・燈心草」水煎す。
◎傷寒にて黄そ発し、身口倶に黄にして金色の如く、小便濃く煮た柏汁の如く、諸薬効かざる者を治す。
【加減方】
<1>大便実すれば・・・大黄。
<2>目睛黄ならば・・・竜胆倍加。
<3>虚弱ならば・・・・人参。


退黄散《東醫寶鑑》
「柴胡・升麻・草竜胆・茵蔯・黄連・梔子・黄柏・木通・滑石各1両、甘草5分」剉作1貼し、灯心一握りを入れ、水煎服。
◎黄疸で、身体と顔が金色になり、小便が黄柏汁のような者。
    


退血止痛散《万病回春》《古今方彙》
「当帰尾、赤芍薬、生地黄、白芷、防風、荊芥、羗活、連翹、黄芩、黄連、黄柏、山梔子、薄荷、枳殻、桔梗、知母、石膏、車前子、甘草」水煎温服。
◎杖後の腫痛、瘀血散らず、血気心を攻め或いは憎寒壮熱するを治す。


退熱清気湯《医学入門》《東醫寶鑑》
「柴胡・陳皮・赤茯苓各1銭、半夏(製)・枳殻各8分、便香附7分、川芎5分、縮砂7粒(研)、木香・甘草(炙)各3分、薑3片」水煎服用。
◎逆上を治す。

◎諸気逆戻し、身熱痞悶するを治す。《古今方彙》

退熱湯《東醫寶鑑》
「黄蓍1銭3分、柴胡1銭、生甘草・黄連(酒炒)・黄芩・赤芍薬・地骨皮・生地黄・蒼朮各7分、当帰身・升麻各5分」水煎服。
◎表・裏の虚熱で、夜になるとひどく痛む者。


退風散《東醫寶鑑》
「防風・天麻・白芷・麻黄・赤茯苓・当帰各1銭、薄荷7分、荊芥・白殭蚕・甘草各5分、姜7片」水煎服。
◎破傷風で人事不省になる者。

退腫気散《東醫寶鑑》
「赤小豆・陳皮・蘿葡子(炒)各2銭、甘草1銭、木香5分・姜3、棗2」水煎服。 =トウと読み、落ちる意。
◎積水症・驚水症を治す。
◎飲水の過多による脾がつもって、浮腫し、身熱のある者。

褪金丸《東醫寶鑑》
「鍼砂(赤醋漬)・香附子(童便漬)各6両、蒼朮・白朮各2両半、陳皮・神麹・麦芽各1両半、厚朴・甘草各1両」作末し麺糊で梧子大の丸剤。米飲で50~70丸飲む。
◎黄腫を治す。

対金飲子《東醫寶鑑》
「陳皮3銭、厚朴・蒼朮・甘草各7分、姜3片」水煎服。
◎酒食に当たった者を治し、胃を和らげ、痰を消す。

対金飲子《医学入門》《古今方彙》
「厚朴・蒼朮・甘草・陳皮・草果各等分、生姜、大棗」煎服。
◎寒熱瘧疾の癒えたる後に、脾胃を調理するに尤も好し。

醍醐湯《東醫寶鑑》
「烏梅肉別末1斤、草果1両、縮砂・白檀香各5銭、煉蜜5斤」作末し、蜜に入れ若干煮詰め、磁器に貯蔵しておき、冷水で調服。
◎暑熱を解き、煩渇を止める。

代炙塗臍膏《東醫寶鑑》
「大附子・馬蘭子・蛇床子・木香・肉桂・呉茱萸」各等分に作末し、白麹と姜汁で調合し膏を切って臍の上に貼って、包帯をしておく。
◎下元の虚寒と臍腹の冷痛を治す。


代参膏
「党参、黄蓍(炙)、於朮、桂肉、氷糖」


澤漆湯《金匱要略》
「半夏半升、紫参5両、澤漆3斤(以東流水5斗煮取1斗5升)、生姜5両、白前5両、甘草、黄芩、人参、桂枝各3両」
右九味、咀、内澤漆汁中煮取五升、温服五合、至夜盡。
◎脉沈者、澤漆湯主之。


沢漆湯《金匱要略》《中薬臨床応用》
「沢漆9g、半夏3g、紫12g、前胡6g、生姜9g、甘草5g、桂枝6g、人参9g  (別)、黄芩6g」水煎服。
◎肺気腫にともなう心不全。


 沢漆湯《証治準縄》《古今方彙》
「沢漆葉(微炒)5両、桑白皮・郁李仁各3両、陳皮・白朮・杏仁各1両、人参1両半、生姜3片」温服し、半時を候(マ)って再び服し、黄水数升を下し取り、或いは小便利するを以て度と為す。
◎痢の後に腫満して気急喘嗽、小便血の如きを治す。


沢瀉散《東醫寶鑑》
「沢瀉・赤茯苓・枳殻・猪苓・木通・檳榔・黒牽牛子頭末」等分に作末し、生姜葱白湯で2銭を調下する。
◎水腫に二便が渋い者。


沢瀉湯[1-1]《金匱要略》
=「澤瀉湯」
「沢瀉5両、白朮2両」
右二味、以水二升、煮取一升、分温再服。
◎心下有支飲、其人苦冒眩、沢瀉主之。
《金匱要略》痰飲嗽病脉證治第十二。


沢瀉湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「沢瀉5、朮2」
◎冒眩:冒は煩に似ているが、苦しむところがない《勿誤薬室方函口訣》


沢瀉湯[1-3]《金匱要略》
★適応症及び病名(沢瀉湯)
[1]息切れ
[2]嘔吐
[3]悪心
[4]昏倒
[5]上腹部振水音
[6]心下痞
[7]頭冒感
[8]テンカン
[9]のぼせ:
☆のぼせる事はない。
[10]ヒステリー
[11]船酔い
[12]めまい:
☆<回転性><激しい>
☆水毒によるめまいに用いる。
☆起き上がったり、歩いたりする時にめまいがするばかりでなく、寝          床で静かにして眼をつぶっていても、目が回って、便所にも行けないという者《大塚敬節》
☆私の妻が若い頃、ひどいめまいに苦しんだことがある。寝ていても、 天井がグルグル回ると云う。寝返りをしても、悪心・嘔吐がくる。終日、何にも食べない。ただ時々茶を飲むだけである。尿は前日の午後より出ないと云う。脈は沈にして遅である。腹部は軟弱無力であるが、振水音は証明出来ない。頸が凝ると云う。月経は不順で量が少ない。
そこで、当帰芍薬散を与えたところ、匂いを嗅ぐだけでも気持が悪くて、呑めないと云う。私の多年の経験では、薬が病証にピッタリ合っている時は、呑みにくいと思われている薬での呑みやすいものである。又呑みやすいと考えられている薬でも、薬が病証に合ってない時は、呑みにくいものである。当帰芍薬散で、匂いの強いものは、川芎と当帰である。そこでこの2つの薬の入っていない処方で、めまいに用いるものを探している中に、沢瀉湯を用いてみようと思って。これを与えた。これは気持ちよく呑めた。そして翌日は起き上がって食事をすることが出来た。《大塚敬節》
☆流産後、浮腫が現れ、大小便共に快通しなくなり、頭に何かかぶっているように重く、めまいがするようになった。また時々丸い玉のようなものが腰から背骨に沿って上がってきて、頸のあたりで、右のあごに来て、次に左のあごに来て、それから顔に上がって雨のように散って、腹を下に下る。それからまた腰に来て、背を上る。これを繰り返すという。何人もの医師が、血の道だといって、薬を与えたが、4ヶ月たっても一向に良くならない。人々は皆死病だろうと噂した。そこで友人の中根がこれを診察して沢瀉湯を与えた。すると、めまいはますますひどくなった。けれども、これを続けて30日ほど飲むと、尿が出るようになり、次第によくなり、その後五苓散に変えて全治した。《豊浦遺珠》
[13]メニエール



沢瀉湯[2]《東醫寶鑑》
「桑白皮・赤茯苓・枳殻・檳榔・木通各1銭半、姜5片」水煎服。
◎子淋を治す。

 

沢瀉牡蛎湯《傷寒五法》
=「沢瀉牡蛎散」
「牡蛎2銭、沢瀉8分、商陸5分、白茯苓1銭2分、半夏8分、猪苓7分、甘遂5分、乾姜3分、天花粉1銭、木瓜8分」水煎。
◎腰以下水気浮腫ある者を治す。


沢蘭湯《東醫寶鑑》
「沢蘭葉2銭、当帰・白芍薬(炒)・甘草各1銭」水煎服。
◎心労で月経のないとき。

沢蘭湯《済陰綱目》《中薬臨床応用》
「沢蘭葉6g、当帰12g、白芍薬9g、甘草5g」水煎服。
◎血瘀による無月経
◎月経痛
◎稀発月経

托裏黄蓍湯《東醫寶鑑》
「人参・当帰・桂皮・白茯苓・遠志・麦門冬・五味子各1銭」水煎服。
◎癰疽が潰れたあと、膿が多く出るのと、内虚の症を治す。



托裏温中湯《外科枢要》《古今方彙》
「附子・羗活各4銭、益智仁・丁香・沈香・木香・小茴香・陳皮各1銭、甘草(炙)1銭、乾姜3銭、生姜」水煎。
◎瘡瘍が膿潰し、元気虚寒、或いは剋代に因り胃気は脱陥し、腸鳴腹痛、大便溏泄、神志昏潰するを治す。



托裏挙斑湯《瘟疫論》
「芍薬・当帰各1銭、升麻5分、白芷・柴胡各7分、穿山甲2銭」水姜煎。
◎斑漸(ヨウヤク)く出ずれば更に大下すべからず、もし下証あるも、少しく承気湯を与え、緩々に之を下す。もし大下し、ちゅうき振るわず、斑毒内陥すれば則ち危うし。此方に宜し。《雑病翼方》


托裏消毒飲《万病回春》《松田ー回春解説》
「防風・当帰(酒洗)・川芎・白芷・桔梗・厚朴(姜汁炒)・皀角刺(炒)・穿山甲(炒・珠)各1銭、天花粉・黄蓍(塩水炒)各2銭、陳皮・金銀花各3銭」剉作1剤。酒水各1盞にて煎服す。瘡、上に在らば食後に服し、下に在らば空心に服す。後、水をもって煎服す。
◎一切の癰疽6、7日にして未だ消せざるを治す。此の薬を服せば、瘡未だ成らざるは、即潰(つい)ゆ。能く気血を壮にし、脾胃を固くし、毒気をして内に攻むること能わざらしむ。毒膿をして潰え易く、肌肉生じ易(やす)からしむ。切に早く肌を生ずるの薬を用うべからず。恐らくは毒未だ尽きざるに、反って潰爛を増し、癒え難からん。
◎一切の癰疽67日未だ消えざる者此薬を服す。
膿未だ成らざれば即ち消し、已に成れば即ち潰ゆ。能く気血を壮にし、脾胃を固め、毒気をして内攻すること能わざらしめ、毒膿をして潰え易からしめ、肌肉を生じ易からしむ。切に早く生肌の薬を用ゆべからず。恐らくは毒未だ尽きず、反って潰爛を増し癒え難し。《矢数道明》
◎此方は消毒を主とし、更に「黄蓍建中湯」の意を以て托膿と内補を兼ね、諸癰疽の3~5日頃に用いて壅毒を解するものである。
◎膿已に成るものを消散することあり。
◎気血を壮にし、脾胃を堅くし、毒気をして内攻することを防ぐ、癰科必要の薬方である。
◎此方の更に虚状を帯び、化膿遷延せるものは、「千金内托散」「十全大補湯」である。

◎筆者は化膿性頸部リンパ腺炎、鶏卵大に腫張し、堅硬のものに屡々用いて大効を得たことがある。
◎皀角刺=諸瘡を治す。腫を散じ、毒を消す
「金銀花」=癰を治す。未成は散じ、已成は潰ず。
「白芷」=排膿、痒を治す
「黄蓍」=表を固め、瘡を托し。肌を生ず。
★適応症及び病名




托裏消毒散[1-1]《外科正宗》《漢方後世要方解説》
「人参・川芎・桔梗・白朮・芍薬各3、当帰・茯苓各5、厚朴・皀角各2、黄蓍・金銀花各1.5、白芷1」


托裏消毒散[1-2]《外科正宗》《漢方治療の実際》
「人参・川芎・桔梗・白朮・芍薬・当帰・茯苓各2.5、白芷1、厚朴・皀角刺各2、黄蓍・金銀花各1.5」

托裏消毒散《外科枢要》《古今方彙》
「人参・黄蓍(塩水炒)・当帰・川芎・芍薬・白朮・茯苓各1銭、金銀花・白芷各7分、連翹・甘草各5分」水煎。
◎胃気虚弱、或いは剋伐に因り潰散する能わざるを治す。之を服し未だ成らざれば即ち消え、已に成れば腐肉が潰えて自ら去り新肉自ら生ず。

托裏消毒散《万病回春》《古今方彙》
「人参、川芎、白芍薬、黄蓍、当帰、白朮、茯苓、金銀花、白芷、甘草、皀角子、桔梗」水煎。
◎乳癰を治す。
◎脾弱の者は:「白芷人参倍加」

托裏消毒散《万病回春》《古今方彙》
「防風・当帰・川芎・白芷・桔梗・厚朴・皀角刺・穿山甲各1銭、括楼根2銭、陳皮・金銀花各3銭、黄蓍(塩水炒)2銭」酒水各半にて煎服。
◎一切の癰疽を治す。
◎六七日未だ消えざる者は此薬を服す。
◎瘡未だ成らざるには消え、已に成るには即ち潰ゆ。
◎能く気血を壮んにし脾胃を固め、毒気をして内攻する能わず、毒膿をして潰え易からしめ、肌肉を生じ易からしむ。切に早く用うべからず。
◎肌を生じるの薬にて毒未だ尽きざるに反って潰爛を増し愈え難くするを恐る。



托裏消毒散《東醫寶鑑》
「金銀花・陳皮各3銭、黄蓍塩水炒・天花粉各2銭、防風・当帰・川芎・白芷・桔梗・厚朴・穿山甲を黒く炒ったもの、皀角刺(炒)各 1銭」を剉作2貼し、毎2貼を酒と水を半分づつ入れて煎服。
◎癰疽にこの薬を飲むと膿んだものでもすぐ潰れ、膿まないものはなくなり、気を強し内攻を予防出来る。

托裏消毒散《外科正宗》
      「人参・川芎・芍薬・黄蓍・当帰・白朮・茯苓各1匁、白芷5分、金銀花1       匁、甘草・桔梗・皀角刺各5分」
    ◎癰疽已に成り、内消し得ざるを治す。
    ◎此方は内補散《備急千金要方》と伯仲の剤成れども、「内補散」は托膿を主と     し、「托裏消毒散」は消毒を兼ねる。故に毒壅の候を帯びる者、此方を与える。     《勿誤薬室方函口訣》
    ◎痘瘡・頭瘡を治す《方読便覧》


托裏消毒散[1-3]《外科正宗》《龍野ー漢方処方集》
「人参・川芎・白芍・黄蓍・当帰・白朮・茯苓・金銀花各4g、白芷・炙甘       草・桔梗・皀角各2g」煎服。空腹時に服用。脾弱き者は、白芷を去り、       人参を倍にする。
    ◎一切の化膿症。
    ◎《外科正宗》には“托裏消毒散は、癰疽すでになって内消するを得ざる者を治     す。よろしくこの薬を服し以て之を托すべし。未だ成らざる者は消ゆべし。す     でになる者はすまわち潰れ、腐肉去りやすく、新肉生じやすし、”とある。こ     れによって、この方を応用する。別に癰疽に限らず、化膿性の諸ではかばか     しくない者によい。《大塚敬節》
    ◎一切の腫れ物、口が開いたなら托裏消毒散を用いるのが定席である。すべて出     来物が膿になって口が開いたなら、それ以上に毒を攻める必要はない。《梧竹     楼方函口訣》
    ★適応症及び病名
     [1]胃腸虚弱
     [2]カリエス
     [3]化膿:
        ☆自潰後に本方を引き続き用いても良い《大塚敬節》
     [5]肛門周囲炎:
        ☆《本間棗軒》は切開の後には托裏消毒飲が良い。もし膿が稀薄であれ         ば千金の内托散を用いると言っているが、切開の前に、この方を用い         ることもある。皮下嚢癰、リンパ腺炎などで、すでに化膿してしまっ         て、近代医学の立場では切開の外に、方法がないような時に、この方         を内服せしめて自潰して治ったり、そのまま能が消散して、数日で全         快することがある。肛門周囲炎で膿が白く、望見出来るものに、この         方を用いて消散せしめたことがある《大塚敬節》
        ☆私の経験では、自発痛、圧痛共に軽い者に良く効く。疼痛の激しい者         には良くないようである。《大塚敬節》
        ☆28歳、痩せて顔の蒼白い男性。痔が悪いといって来院。脈をみると、         沈んで小さくて弱い。腹をみると、腹壁が薄くて、腹直筋が突っ張っ         ている。肛門のすぐそばに、すでに化膿して白く膿の見える部分があ         る。肛門周囲炎であるが、疼痛は少ない。圧痛も軽い。この患者はか         って肋膜炎を患い、手術しないで治したという。私は試みに、托裏消         毒散を与えたところ、1週間の服薬で、大藩の膿が消失し、3週間の         服薬で、そのまま治ってしまった。
その後、疼痛の激しい肛門周囲炎に、この方を用いてみたが、この         時は効がなかった。《大塚敬節》
     [6]耳聾
     [7]多発性筋炎
     [8]乳様突起炎
     [9]疲労倦怠
     [10]貧血
     [11]慢性中耳炎
     [12]癰疽:
        ☆《勿誤薬室方函口訣》にも、癰疽に限らず、一切の腫れ物で、初め熱         がある時は十味敗毒湯を用い、自潰するかどうか分からない時には、         托裏消毒散を用い、自潰した後は、その人のからだの虚実によって内         托散を用いるとある。よって私は自潰しそうで口の開かないものに托         裏消毒散を用いる。托裏消毒散を用いて、自潰した後は内托散を用い         るが、そのまま消散すれば、内托散を用いる必要はない。いずれにし         ても、炎症の激しい時期には、托裏消毒散も内托散も用いない方が良         い。これらの薬方は膿を吸収する力も弱く、また自潰する力もなく、         肉芽の発生がはかどらないという時に用いる。もしこれを用いて自潰         せしめようとすれば、更に伯州散を兼用するとよい。《大塚敬節》
     [13]よこね(横痃)
     [4]リンパ腺炎:
        ☆5歳の男児。10日ほど前から右の顎下のリンパ腺が腫れていたが、         あまり痛を訴えないので、そのままにしておいたところ、ゴムまりの         ように腫れ上がって、首を動かすことが出来なくなったので、母親が         つれて来院した。体温を測ったが、平温である。患部は押すと痛むが、         自発痛はほとんどない。
私はこれに托裏消毒散を与えたが、服薬3日目の朝、目が覚めてみ         ると自然に口が開いて、膿が首から背に流れていた。そこで患部に紫         雲膏を塗っておいたが、次第にリンパ腺の腫脹が減じ、2週間足らず         で、きれいに治ってしまった。《大塚敬節》
        ☆3歳男児。3月20日夜にわかに高熱を発し、体温は40℃近くを示         したという。すこぶる不機嫌で夜もなかなか眠らなかった。翌日にな         ると、左側耳下の顎部、乳様筋のり中央よりやや上方に当たって、大         きな腫脹を認め、甚だしい疼痛を訴え、頸を動かすことが出来なくな         っていたと云う。22日、初診時の体温は38℃である。脈は緊数で、         舌には白苔があるが、その他にはこれといった著明な症候は見当たら         ない。食欲も衰えず、元気も悪くなく、頭を強直したまま室内を遊歩         してなかなか床に就かないと云う。頸部の腫脹を診ると驚いた。この         子供に頸に鶏卵大に近い腫れ物で。周囲も相当腫れているから、流行         性耳下腺炎のように見える。触診すると疼痛に堪えられず泣きもだえ         ている。その腫れ物の堅さは石のようである。しかも発赤は少しもな         い。私は耳下腺炎で化膿の憂いがあるが、大体1週間ぐらいで全治す         るであろうと申し渡し、小柴胡湯桔梗石膏を与え、外用として芋薬         を1時間おきに交換するように命じた。
さて2日間の内服および外用の結果来院したのを診ると、腺の腫脹         はさらに増加し、硬度も緊張も一層加わっている。明らかに右前方に         斜頸の位置をとって、動かす度に痛い痛いと泣いて診察出来ない。こ         の日の体温は37、2℃で、この疼痛と腫脹にもかかわらず、その他         の一般症状はそれほど悪くない。私は未だ化膿はしないものとしたが、         その硬さはまことに石のようで、腫脹緊張がかえって増加し、内服外         用の効のないのに失望し、確然たる見通しがつかなくなったので、外         科医の1診を受けるように勧めた。私の近所にある有名な小児科で診         察を受けると、耳下腺炎ではなくて、急性化膿性リンパ腺炎で、しか         も化膿はずでに8分通り進んでいるから、明後日あたり切開手術の必         要がある。事ここに至ってはいかなる方法をもっしても、非手術適に         治療することは不可能であろう。また今となっては冷やすことを中止         し、却って温罨法で化膿を促進させよと申し渡されたといって、母親         が顔色を変えて駆け込んできた。およそ偏し的な芋薬などを貼らせて         おいて、確かな診断もつかずこの結果では全く面目無しである。手術         の施行まで2日の執行猶予がある。何とかしてこの間に好転させなけ         ればと苦悶やる方なかった。伯州散はどうか、排膿散はどうか、迷い         に迷ったが結局、荊防敗毒散金銀花・薏苡仁、外用には芋薬の上に         さらに氷を当てさせ、しかも効がなければやむを得ず手術を受けるよ         うにさとして、この2日間を待機することになった。
ところがその夜ちょうど会合があって、その席上右の状態を語ると、         大塚氏の言われるには、「私もちょうど同じ様な例で、1ヶ月近くも         小柴胡湯桔梗石膏を与えて、ますます腫脹が加わり、化膿して困り         抜いたあげく、托裏消毒散を与えたところ、わずか5日か1週間でき         れいに治ってしまったことがありますから、構わずやってごらんなさ         い」とのお話であった。
よって、翌朝から托裏消毒散を服用させること、大人量に近く、2         日間に何とか好転させなければならない熱心さから、母親は寝ずの看         護である。外用も同じように継続させた。2日目の午後連れてきたの         を診ると、嬉しいことに、あの腫脹が半減とまでは行かないが3、4         分通りまでは小さくなって、少し軟かになってきた。今日、小児科で         再診すれば未だ手術を勧められるであろうから、あと2日待つことに         し、どんどん前方を服用させた。4日目の正午にはほとんど8分通り         消退して小さくなったとの報告。翌5日目に来院したのを診ると、あ         と1分というところである。熱はもちろんないし、圧しても泣かない。         これならばもう手術する場所がないから大丈夫であろう、が、念のた         めにと再び院長の診察を受けると、もう手術をしなくてもよいとて太         鼓判を押してくれたので、母親は涙を流して喜んだ。その後も同方を         服用すること3、4日にして完全に治った。あの化膿の大塊が傷一つ         なく腫れた形跡もなく、治ってしまった。《矢数道明》


托裏透膿湯《医宗金鑑》
「人参・白朮・穿山甲・白芷・升麻・甘草節・当帰・生黄蓍・皀角・青皮」
◎脳疽(項後に生じる)まさに潰れようとし、紫色になりおちこみ、膿なくその     根脚は散大するもの。

托裏排膿湯《医宗金鑑》
「人参・白朮(土炒)・白芍(酒炒)・茯苓・当帰・連翹(心を去る)・金銀花・       浙貝母(心を去る)各4g、生黄蓍8g、陳皮3.2g、肉桂2.4g、甘草1.6g、生       姜1片」煎服。空腹時に温服。毒が胸にある者は桔梗4gを加え、下部に       ある者は牛膝3.2gを加え、頭の上にある者は白芷2gを加える。



托裏茯苓湯《東醫寶鑑》
      「白茯苓・当帰・黄蓍各1銭2分、白芍薬・防風・桔梗・五味子・川芎・麦       門冬・桂皮・熟地黄・甘草各7分」水煎服。
◎癰疽が潰れたあと膿が多く出る者。

 托裏散《外科枢要》《古今方彙》
      「人参・黄蓍各2銭、白朮・陳皮・当帰・熟地黄・茯苓・芍薬・甘草各1銭       半」水煎。
◎癰疽で気血虚し、起発する能わず、腐潰収斂し、或いは悪寒発熱して肌肉生ぜ     ざるを治す。宜しくこれを補托すべし。


 托裏十補散《証治準縄》
      「肉桂、黄蓍、当帰、川芎、桔梗、人参、防風、白芷、甘草、厚朴」



 胎散《済世全書》《古今方彙》
      「当帰、川芎、白芍薬、人参、茯苓、柴胡、黄芩、荊芥、防風、白芷、粉葛、       砂仁、紫草、桔梗、甘草、阿膠(蛤粉)」水煎。
一方に、陳皮・枳殻あり。
◎妊娠は尤も出痘を忌む。蓋し熱は能く胎を動かし、胎落ちれば則ち血気衰敗し     必ず痘起発する能わず貫漿して命は危し、蓋し痘の薬を用うるや多く温補を主     とす。
    ◎若し半夏・肉桂の類は皆妊娠に忌む所なり。
◎而して黄芩・烏薬・附子は又痘家の宜しき所に非ず。
    ◎故に此症に遇う者は軽重を問わず、悉く清熱安胎を以て主と為す。「安胎散」     に宜し、黄芩・芍薬を加える。
◎血動く者は:「四物湯黄芩・黄連」or胎散に宜し。(=タク、トウ、かご)
◎火熱には:「欝金・糯米」

 濯足法《東醫寶鑑》
      「白礬2~3両」作末し熱湯に混ぜ足を半日漬けておく。
    ◎口舌の生瘡を治す。

濯熱散


 濁証一方《寿世保元》《古今方彙》
      「陳皮・半夏各8分、茯苓・山梔子・滑石各1銭、蒼朮・黄柏(酒)・柴胡各7       分、白朮・神麹・牡蛎各5分、升麻・蛤粉・甘草各3分、生姜、銀杏」水       煎、空心に服す。
◎便濁を治するの主方なり。

 脱衣散《万病回春》《古今方彙》
      「牛膝・木通各3銭、当帰尾3銭、葵子1銭半、滑石4銭、or枳殻2銭」       水煎熱服。
◎胞衣下らざるを治す。

 脱甲散《医学入門》《古今方彙》
      「麻黄・柴胡・当帰・知母・竜胆各3分、人参・川芎各2分、茯苓2分半、       甘草4分、生姜、葱白」煎服。
◎小児発熱し頭疼み、日久しく癒えざるを治す。
    ◎若し表解せざれば:「麻黄」
    ◎裏解せざれば:「大黄」


奪命円《婦人大全良方》
    =「桂枝茯苓丸」に同じ。

奪命丸《東醫寶鑑》
=「二烏丸」
      「川烏(生)・白芷・天麻各2銭、草烏(生)・雄黄各1銭」作末し酒糊で梧子       大の丸剤。温酒で10丸飲む。
    ◎破傷風で角弓反張になり、牙関の緊急する症。


奪命散[1]《婦科準縄》《東醫寶鑑》
=「血竭散」
「血竭・没薬」各等分。細末とし、産後直ちに、童便と酒それぞれ半盃を1       ~2沸煎じたもの8gといっしょに服用する。悪血は自然に運行されて上       衝しないとうになる。
    ◎血暈で譫語・妄語を治す。

 奪命散[2]《東醫寶鑑》
      「枯白礬・白殭蚕(炒)・硼砂・皀角」各等分に作末して、喉中に少し吹き入       れると、痰を出して治る。
    ◎急喉閉に使う。

 奪命散[3]《東醫寶鑑》
      「天南星・甜・白芷・半夏・巴豆(去殻不去油)」各等分作末し、毎回半       銭を姜汁で調下すると効がある。
    ◎卒中風で唾が乾き、気がつまり、口を閉じて目が澄視し、破傷風で体が曲がる     のを治す。
    ◎小児驚風の危急を治す。
    ◎すべての口噤に、薬が降りないのにもこの剤を使う。

 奪命散[4]《東醫寶鑑》
=「独参湯」
      「人参1両に水2升を、銀石器内で煎じ、1升ぐらいになったら、滓を去り、       新水に漬けて放置して冷やした後、全部1回に飲むと、鼻梁より汗を出し       ながら治る。
◎傷寒壊症で、昏睡して死にかかる者。
    ◎陰陽二経がはっきりしない症。    
    ◎誤治による症。
    ◎一切の危急な者。

 奪命散[5]《東醫寶鑑》
      「水蛭(石灰で混ぜ炒)5銭、大黄・黒牽牛子頭末各2両」作末し、それぞれ2       銭を熱酒で服用し、数時間たっても効果のない時は、もう一度飲んで悪血       の出るのを限度とする。
    ◎刀傷と高いところから落ちた傷、木石につぶされて瘀血が心腹につもって疼痛     し、大小便の出ない者。

奪命丹[1]《傷科補要》
「当帰尾120g、桃仁120g、血竭20g、地虫80g、児茶⇒阿仙薬20g、乳香40g、       没薬40g、自然銅80g、紅花20g、大黄120g、朱砂20g、骨砕補40g、麝香2g」       粉末にして丸とし、桐の実の大きさにする。毎服7丸、熱い酒で飲む。

 奪命丹[2]《東醫寶鑑》
      「呉茱萸1斤にうち、4両を(酒浸)、4両を醋浸、4両は白湯に浸し、4両は       童便に浸し焙って乾燥、沢瀉2両を作末し酒麺糊で梧子大の丸剤。空腹時       に塩湯で50~70丸飲む。
    ◎奔豚疝気が上衝して、小腹が痛い者。

 奪命丹[3]《東醫寶鑑》
      「裘(キュウ、かわごろも)1個、麝香1分、孩児茶2分、金絲黄礬3分、朱砂       春2分、夏4分、秋6分、冬8分」
        裘は即ち土糖裘というが、馬糞をころがして作った弾球、この中に指ぐ       らいの白い虫がある。弾球の片方を切って、又蓋をして火で黄色くなるま       でって、上記の諸薬と作末して、空腹時に焼酒で調服する。
◎反胃を治し、起死回生の功がある。

 奪命丹[4]《東醫寶鑑》
      「信砒1銭、白礬2銭、白附子3銭、天南星4銭、半夏5銭」先に信砒と白       礬を石器内に入れ、火でって、黄色くなったら火を消し、残りの薬末を       入れて混ぜ、姜汁麺糊で黍米大の丸剤。朱砂で衣をし、毎回7丸・小児3       丸、井戸水で飲む。
    ◎喘嗽でいびきえをかき、上気する者を治す。


 奪命丹[5]《婦人大全良方》《古今方彙》
      「附子(炮)半両、牡丹皮1両、乾漆(炒烟尽)1銭、大黄末1両」作末し醋で       煎じ大黄にて膏と成し、桐子大の丸剤。温酒にて五七丸を呑む。
◎胎衣下らず、以て心胸脹痛を致すを治す。

獺肝散

達生飲《朱丹渓》《古今方彙》
「大腹皮1銭、人参・陳皮・紫蘇連茎各5分、白朮・白芍薬・当帰各1銭、甘草3分」水煎。
◎懐孕して八九箇月に至り、十数貼を服し、甚だ好く易産せしむ。腹も亦痛み少なし。
◎或いは「砂仁・枳殻」
◎春は:「川芎・防風」
◎夏は:「黄芩・黄連・五味子」
◎秋は:「沢瀉」
◎冬は:「砂仁」
◎或いは通して:「枳殻・砂仁」
◎胎動不安には:「金銀花・麻黄根」
◎気上がりて心に逼(せま)るには:「紫蘇葉・地黄」
◎性急には:「柴胡」
◎多怒には:「黄芩」
◎食少なきには:「砂仁・神麹」
◎渇には:「麦門冬・黄芩」
◎能く職すれば:「黄揚脳」
◎痰あれば:「半夏・黄芩」



達原飲《温疫論》
「檳榔子、厚朴、草果、白芍薬、知母、黄芩、甘草」


断瘧如聖丸《東醫寶鑑》
「信砒2銭、大蜘蛛3個。黒豆(黒)49粒」作末し水を垂らして実大の丸剤。もし次の日に発作が起きるようだったら、前の夜に先に北斗星に捧げ、次の日の朝、1丸を綿でくるんで男は左、女は右の耳の中に入れておく。
◎一切の瘧を治す。


断紅元《東醫寶鑑》
「皮(焼)・黄連(炒)・秦芁・槐角子各1両、当帰・檳榔・皀角仁(焼)・黄柏・荊芥穂・枳殻各5銭、大黄()・桃仁(泥)各3銭」作末し麺糊で梧子大の丸剤。白湯で50丸飲む。
◎腸風を治す。

断利湯[1-1]《外台秘要方》
「半夏1升、乾姜5両、人参2両、黄連2両、附子1両、茯苓2両、甘草2両、大棗12枚」
「半夏瀉心湯黄芩茯苓附子」《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は半夏瀉心湯の変方にして、本心下に水飲あり、既に陰位に陥りて下利止まざる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎小児疳利の脱症に用いて効あり。疳利は「黄連・附子」と伍せざれば効を奏せず。
◎痢病諸薬効を奏せず、利止み難き者、此方を用いて験あり。

断利湯[1-2]《晋唐名医方選》
「断利湯《外台秘要方》生姜乾姜・竜骨2両」


断利湯[1-3]《備急千金要方》
「断利湯《外台秘要方》竜骨」
◎胸心下の伏水を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎痢を治す《雑病翼方》

断利湯[1-4]《方読弁解》
「人参、黄連、半夏、甘草、附子、竜骨、大棗、生姜」


暖肝煎《張景岳》
「当帰・枸杞子・茯苓・小茴香・肉桂・烏薬・沈香」

暖臍膏
「母丁香・胡椒各8g、倭硫黄・緑豆粉各12g、呉茱萸4gを細末にしたものを、太乙膏160gを重湯煎でやわらかくした内に入れて、混和する。臍上に貼ると、寒は化し気は和し、痛みは治り、下痢は止まる。

丹梔四物湯《中薬臨床応用》
「牡丹皮6g、山梔子6g、当帰9g、熟地黄12g、白芍9g、川芎6g」水煎服。
◎婦人の虚熱。


丹梔逍遥散《和剤局方》
「逍遥散牡丹皮・山梔子」⇒加味逍遥散。
◎発熱(午後ひどくなる)
◎盗汗、自汗
◎頭痛、目が充血
◎口乾
◎月経不順

丹参飲《時方歌括》
「丹参、砂仁、檀香」

丹参飲《医宗金鑑》《中薬臨床応用》
「丹参30g、檀香3g、縮砂3g」水煎服。
◎冠不全による疼痛

丹参膏《東醫寶鑑》
「丹参・赤芍薬・白芷」各等分に切って、酒に漬けて2晩置き、猪脂半斤を入れて煮ると、白芷が黄色くなると膏になる。滓を去って黄1両を入れて振ったあと、固まったら少し塗る。
◎乳癰の結核で、刺痛する者。

丹参散《中薬臨床応用》
「丹参」1回6gづつ、陳酒orぬるま湯で沖服。
◎気滞血瘀による月経困難症
◎月経痛
◎産後の悪露停滞
◎瘀血による疼痛

丹参生脈散加味《中薬臨床応用》
「丹参15g、党参18g、麦門冬18g、五味子6g、山茱萸12g、糯米根24g、生地黄18g」水煎服。
◎瘀血があって陰虚

丹参通脈湯《中薬臨床応用》
「丹参39g、鶏血藤30g、当帰18g、玄参30g、甘草30g」水煎服。
◎血栓性静脈炎


丹皮野菊湯《中薬臨床応用》
「牡丹皮6g、野菊花9g、忍冬藤18g、鶏血藤18g、石決明30g、佩蘭9g」水煎服。
◎肝欝化火の高血圧・動脈硬化
◎眼底の動脈硬化
◎眼底出血
◎血管痙攣


丹房奇術《東醫寶鑑》
「巴豆(炒去油)4銭、水銀粉2銭、硫黄(生)1銭」細切りにし餅を作り、先に新綿1斤を臍の上において、この餅をその上に置き、絹でくるんでおく。
◎水腫を去る。

単蒼朮丸《東醫寶鑑》
「蒼朮1斤をとぎ汁に漬け、切って晒して乾かし、半斤は童便に浸して一晩おき、半斤は酒に浸して一晩置いたのを、一緒に焙って乾燥、作末して神麹糊で緑豆大の丸剤。白湯で70丸飲む。
◎常服すると湿を除き、筋骨を強くする。


単人参湯《東醫寶鑑》
「人参1両」切って水煎服。
◎気がおこって喘急するとき。


淡竹茹湯《三因極一病証方論》《東醫寶鑑》
「麦門冬・小麦各2銭、半夏1銭半、人参・白茯苓各1銭、甘草5分、姜5、棗2、青竹茹1塊」水煎服。
◎心が虚し、煩悶する者。
◎心虚し煩悶し頭疼み、気短、内熱解せず、心中悶乱し、及び婦人産後心虚し、驚悸煩悶して絶せんと欲するを治す。《古今方彙》
 


胆道回虫湯《中薬臨床応用》
「苦楝根皮・檳榔子各15g、使君子・枳殻各9g、木香6g」水煎服。
◎腸管内の回虫

胆道排石湯《天津南開医院方》
「金銭草30g、茵蔯蒿15g、欝金15g、枳殻9g、木香9g、大黄(生)6~9g」水煎服。
◎胆石症。


胆道排石湯《中薬臨床応用》
「茵蔯蒿30g、金銭草30、山梔子(炭)12g、柴胡6g、丹参12g、枳殻6g、赤       芍6g、白芍6g、木香9g」水煎服。
    ◎胆道結石。

胆礬散《東醫寶鑑》
      「胆礬半銭、全蝎2箇」作末し、鶏の羽に薬をつけて喉中に入れると、声が       出るようになって治る。次に薄荷葉を細く切り井戸水で調下して毒涎を吐       出する。
◎咽喉痺・腫塞を治す。

 澹寮五淋散《東醫寶鑑》
      「梔子腎銭半、赤茯苓・赤芍薬各1銭、木通・滑石・甘草各8分、竹葉・茵       各5分」空腹時に服用。
    ◎五淋を治す。

団魚散《東醫寶鑑》
      「貝母・知母・杏仁・柴胡各等分、団魚(=)2匹」これらを一緒に煮て、       その汁を飲み、肉を食べ、前薬を焙って乾かし。作末して魚の甲と骨を再       煎した水で梧子大の丸剤。黄蓍の煎じ湯で飲む。
◎骨蒸による熱と咳嗽。

団参飲子《東醫寶鑑》
      「人参・紫・阿膠珠・百合・款冬花・天門冬・杏仁・経霜桑葉各1銭、細       辛・甘草各5分、五味子15粒、姜3片」水煎服。
    ◎七情の咳と労傷で、脾・肺から膿血を出し、だんだん肺痿になり、労になろ     うとする者。

断癇丹《東醫寶鑑》
「黄蓍・釣藤鈎・細辛・甘草各5銭、蛇退(焼存性)1条、蝉退4枚、牛黄1字」細末にし棗肉で梧子大の丸剤。毎回20丸を人参湯で服用。
◎治った癲癇が再発したとき。